(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-04
(54)【発明の名称】脛骨衝撃吸収装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240828BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20240828BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
A61B5/11 200
A63B69/00 C
A61B5/11 230
A61B5/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510469
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 AU2022050938
(87)【国際公開番号】W WO2023019326
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524063796
【氏名又は名称】イボルブ パテンツ プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ピケット,ルーク ジェームズ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA12
4C038VB01
4C038VB31
4C038VC20
4C117XB01
4C117XB15
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4C117XE76
4C117XJ13
4C117XP02
4C117XP03
4C117XP12
(57)【要約】
脛骨衝撃吸収データの収集及び処理に関する装置及び方法は、ユーザの硬組織による衝撃吸収を表す衝撃吸収データを収集するための感覚ユニットと、データ処理及び記憶デバイスと、ハウジングユニットと、センサを脛骨などの身体部分に取り付けるための取付手段とを含む。収集及び処理されたデータは、損傷の最小化、骨密度の増加及び減量などの目的で、衝撃を最適化するために筋肉使用を最適化するようにユーザを指導するために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下肢及び体幹の衝撃吸収性能を最適化するためにユーザにフィードバックを提供するための装置であって、
前記ユーザの硬組織による衝撃吸収を表す衝撃吸収データを収集するための感覚ユニットと、
データ記憶デバイスと、
バッテリ又は再充電ユニットと、
処理されたデータをユーザデバイスに送信するように構成された通信ユニットと、
前記感覚ユニット、マイクロプロセッサユニット、前記データ記憶デバイス、前記バッテリ又は再充電ユニット、及び前記通信ユニットを収容するためのハウジングユニットであって、前記感覚ユニットが前記衝撃吸収データを収集することができるように、前記ユーザの身体に固定又は取り付けられるように構成される、ハウジングユニットと、
前記感覚ユニットに結合されたマイクロプロセッサユニットであって、
前記衝撃吸収データを処理することによって、衝撃吸収性能データを生成することと、
前記衝撃吸収性能データを前記データ記憶デバイスに記憶することと、
前記通信ユニットを介して前記衝撃吸収性能データを前記ユーザデバイスに送信することと
を行うように構成され、
前記衝撃吸収性能データは、前記ユーザの前記下肢及び体幹の衝撃吸収を向上させるためのフィードバックを生成して前記ユーザに提供するために、フィードバックモジュールによって使用することができる、マイクロプロセッサユニットと
を含む装置。
【請求項2】
前記ハウジングユニットは、前記感覚ユニットが前記衝撃吸収データを収集することができるように、前記ユーザの脛骨に固定又は取り付けられるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジングユニットは、ケーシング及びバンドを含み、前記ケーシングは、前記感覚ユニットを包囲し、前記バンドは、前記感覚ユニットが前記衝撃吸収データを収集することができるように、前記ケーシングを前記ユーザの身体に固定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ケーシング及び前記バンドは、前記ケーシングを前記バンドに取り外し可能に取り付けることができるように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記バンドは、前記ケーシングを前記バンドに取り外し可能に取り付けるために前記ケーシングを確実に嵌め込むことができる開口部を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ハウジングユニットは光源を含み、前記装置は、前記光源が、
前記装置の電源状態、及び
前記ユーザの前記下肢及び体幹の衝撃吸収を向上させるための前記ユーザへの前記フィードバック
のうちの少なくとも1つを示すことができるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、ユーザインターフェースを提示するように構成されたディスプレイデバイスを含み、前記マイクロプロセッサユニットは、前記ディスプレイデバイスに更に結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記データ記憶デバイスは、
前記感覚ユニット、及び
外部コンピューティングデバイス
のうちの少なくとも1つに含まれる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記感覚ユニットは、前記ユーザへの信号を生成するように構成され、前記マイクロプロセッサユニットは、
前記衝撃吸収性能データが1つ又は複数の所定の閾値の外側にあると決定することと、
前記衝撃吸収性能データが前記1つ又は複数の所定の閾値の外側にあるとの決定に応答して、前記感覚ユニットに、前記信号を生成させることと
を行うように構成され、前記信号は、前記所定の閾値の外側にあることを前記ユーザに示す、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記信号は、
可聴信号、及び
触覚信号
のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
下肢及び体幹の衝撃吸収性能を最適化するためにユーザにフィードバックを提供するための装置をユーザが使用する際の衝撃吸収性能を監視するための方法であって、前記装置は、感覚ユニットと、マイクロプロセッサユニットと、データ記憶デバイスと、通信ユニットとを含み、前記方法は、
前記感覚ユニットによって、前記ユーザが前記装置を装着している間の前記ユーザの硬組織による衝撃吸収を表す衝撃吸収データを収集するステップと、
前記マイクロプロセッサユニットによって、前記収集された衝撃吸収データを処理することによって衝撃吸収性能データを生成するステップと、
前記通信ユニットによって、前記衝撃吸収性能データをユーザデバイスに送信するステップであって、前記ユーザデバイスは、前記ユーザが歩行、走行、又はリハビリしているときの前記ユーザの前記衝撃吸収性能を最適化するために提供することができるフィードバックを生成するために、前記送信された衝撃吸収性能データを受信して解釈するフィードバックモジュールを実行するように構成される、ステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記方法は、前記データ記憶デバイスによって、前記衝撃吸収性能データを記憶することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記感覚ユニットが前記衝撃吸収データを収集することができるように、前記装置を前記ユーザの脛骨に固定又は取り付けることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記マイクロプロセッサユニットが、
前記生成された衝撃吸収性能データが1つ又は複数の所定の閾値の外側にあると決定するステップと、
前記衝撃吸収性能データが前記1つ又は複数の所定の閾値の外側にあると決定したことに応答して、前記感覚ユニットに、信号を生成させるステップであって、前記信号は、所定の閾値の外側にあるとことを前記ユーザに示す、ステップと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記信号は、
可聴信号、及び
触覚信号
のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ユーザの衝撃吸収性能を監視するための方法であって、
ユーザデバイスに送信された衝撃吸収性能データを受信し、
前記受信した衝撃吸収データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザの下肢及び体幹の衝撃吸収を最適化するために前記ユーザに提供されるべきフィードバックを生成し、
前記ユーザデバイスのユーザインターフェースを介して前記ユーザに前記フィードバックを提供する
ように、前記ユーザデバイスがフィードバックモジュールを実行するステップを含む方法。
【請求項17】
前記ユーザデバイスが、
前記ユーザインターフェースを介して、ユーザ詳細及びユーザパラメータのうちの少なくとも1つを受信する
ように、前記フィードバックモジュールを実行するステップ
を含み、前記フィードバックを生成することは、前記受信したユーザ詳細及びユーザパラメータに少なくとも部分的に基づく、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記生成されたフィードバックは、
前記ユーザによって行われている現在の動作又は運動を前記ユーザが変更するためのフィードバック、及び
前記ユーザの既存の記憶されたプログラム又は運動プロトコルを修正するためのフィードバック
のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記フィードバックは、少なくとも1つの強化運動を含み、前記ユーザインターフェースを介して前記ユーザに前記フィードバックを提供するステップは、
前記運動の説明、
前記運動の写真又はビデオ、並びに
前記運動の持続時間、反復、強度、及び/又は抵抗の指示
のうちの1つ又は複数を前記ユーザインターフェース上に表示するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、前記ユーザデバイスが、前記生成されたフィードバックをデータストアに記憶するように前記フィードバックモジュールを実行するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、
前記受信した衝撃吸収性能データに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザのストライクゾーンを識別し、
前記識別したストライクゾーンが不適切なストライクゾーンであると決定し、
前記識別したストライクゾーンが前記不適切なストライクゾーンであると決定したことに応答して、前記ユーザの足接地に関して前記ユーザを促すフィードバックを生成する
ように、前記ユーザデバイスが前記フィードバックモジュールを実行するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
システムであって、
ワイヤレストランシーバ、加速度計、及び歩行時の動作及びユーザの足首/下肢による衝撃吸収を検出するための慣性測定ユニット(IMU)を含む、前記ユーザの内側足首に取り付けるためのウェアラブルユニットと、
前記ウェアラブルユニットと通信するためのモバイルデバイスであって、
a.前記ユーザが回答するための生理学的評価の質問にアクセスして表示すること、
b.前記質問に対する回答を処理し、スクワット及びカーフレイズなどの一連の客観的な動作テストを前記ユーザに対して表示すること、
c.前記テストに応答して、ユーザインターフェース上に疼痛点をマークし、その疼痛をスコア付けするように前記ユーザに求める前記ユーザインターフェースを生成すること、
d.前記ユーザに歩行するように求める命令を生成して表示し、前記ウェアラブルユニットからデータを取得して、歩行時に前記ユーザがどのように動くかに関するユーザパラメータ、例えば、衝撃吸収、膝関節データ、ステップ及び速度を生成すること、
e.取得した前記ユーザパラメータを分析し、前記ユーザのための推奨を生成すること、
f.前記ユーザパラメータの分析に基づいて、動作に関するパラメータ及び歩行のための適切なテクニックを提供するためのコーチング命令を生成し、触覚などによって前記ユーザを誘導するためのコマンドを生成して前記ウェアラブルユニットに送信すること、及び
g.最適な衝撃吸収を発生させて筋活動(漸増及び収縮)及び消費エネルギーを増加させるために歩行するように前記ユーザを誘導するための減量指示を生成すること
のうちのいくつかを実行するためのアプリケーションのコードを含むモバイルデバイスとを含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行運動(ambulation)及び他の体重負荷活動中の衝撃吸収を監視し、最適化するための装置及び方法に関する。本発明のいくつかの実施形態は、変形性関節症などの筋骨格損傷及び/又は疼痛の治療、管理及び予防、減量、並びに歩行(walking)及び走行(running)の下肢機能の最適化に用途を見出し得る。
【背景技術】
【0002】
歩行及び走行は、機能的、スポーツ、又はレジャーの目的を持つ日常活動である。これらの活動は、時間の経過とともに人体の消耗に寄与する。歩行運動(歩行か走行かを問わない)の日常活動中の衝撃吸収は、一般に、可能な限り効率的とはいえない。この非効率性の原因は決定的な解明がなされていないが、この歩容の非効率性を実際にもたらす衝撃吸収を提供するランニングシューズの出現によるものである可能性がある。この外部衝撃吸収は、身体及び脳に、自身の衝撃吸収能力を低下させ、ランニングシューズの外部衝撃吸収に依存する機会を潜在的に提供すると考えられる。
【0003】
別の理論は、進化が筋肉の衝撃吸収機能を減少させることによって、エネルギー消費の観点から歩行運動プロセスの効率を高めたことを示唆している。これは、衝撃吸収機能を高める必要がある硬組織(すなわち、骨、関節、軟骨など)を犠牲にして成り立つものである。これにより、損傷のリスクが高まり、変形性関節症などの劣化による損傷の早期発症につながる。
【0004】
従来技術に関連する1つ又は複数の欠点若しくは制限に対処若しくはそれらを改善すること、又は少なくとも有用な代替物を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、下肢及び体幹の衝撃吸収性能を最適化するためにユーザにフィードバックを提供するための装置であって、
ユーザの硬組織による衝撃吸収を表す衝撃吸収データを収集するための感覚ユニットと、
データ記憶デバイスと、
バッテリ又は再充電ユニットと、
処理されたデータをユーザデバイスに送信するように構成された通信ユニットと、
感覚ユニット、マイクロプロセッサユニット、データ記憶デバイス、バッテリ又は再充電ユニット、及び通信ユニットを収容するためのハウジングユニットであって、感覚ユニットが衝撃吸収データを収集することができるように、ユーザの身体に固定又は取り付けられるように構成される、ハウジングユニットと、
感覚ユニットに結合されたマイクロプロセッサユニットであって、
衝撃吸収データを処理することによって、衝撃吸収性能データを生成することと、
衝撃吸収性能データをデータ記憶デバイスに記憶することと、
通信ユニットを介して衝撃吸収性能データをユーザデバイスに送信することと
を行うように構成され、
衝撃吸収性能データは、ユーザの下肢及び体幹の衝撃吸収を向上させるためのフィードバックを生成してユーザに提供するために、フィードバックモジュールによって使用することができる、マイクロプロセッサユニットと
を含む装置が提供される。
【0006】
本発明によれば、下肢及び体幹の衝撃吸収性能を最適化するためにユーザにフィードバックを提供するための装置をユーザが使用する際の衝撃吸収性能を監視するための方法であって、本装置は、感覚ユニットと、マイクロプロセッサユニットと、データ記憶デバイスと、通信ユニットとを含み、本方法は、
感覚ユニットによって、ユーザが装置を装着している間のユーザの硬組織による衝撃吸収を表す衝撃吸収データを収集するステップと、
マイクロプロセッサユニットによって、収集された衝撃吸収データを処理することによって衝撃吸収性能データを生成するステップと、
通信ユニットによって、衝撃吸収性能データをユーザデバイスに送信するステップであって、ユーザデバイスは、ユーザが歩行又は走行しているときのユーザの衝撃吸収性能を最適化するために提供することができるフィードバックを生成するために、送信された衝撃吸収性能データを受信して解釈するフィードバックモジュールを実行するように構成される、ステップと
を含む方法が更に提供される。
【0007】
本発明によれば、ユーザの衝撃吸収性能を監視するための方法であって、
ユーザデバイスに送信された衝撃吸収性能データを受信し、
受信した衝撃吸収データに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの下肢及び体幹の衝撃吸収を最適化するためにユーザに提供されるべきフィードバックを生成し、
ユーザデバイスのユーザインターフェースを介してユーザにフィードバックを提供する
ように、ユーザデバイスがフィードバックモジュールを実行するステップを含む方法が更に提供される。
【0008】
本発明によれば、下肢及び体幹の衝撃吸収性能を最適化するためにユーザにフィードバックを提供するための装置であって、
硬組織による衝撃吸収を表す衝撃吸収データを収集するための感覚ユニットと、
感覚ユニットに結合され、収集されたデータを処理するためのマイクロプロセッサユニットと、
処理されたデータを記憶するためのデータ記憶デバイスと、
バッテリ又は再充電ユニットと、
感覚ユニット、マイクロプロセッサユニット、データ記憶デバイス、バッテリ又は再充電ユニット、及び通信ユニットを収容するためのハウジングユニットであって、感覚ユニットが衝撃吸収データを収集することができるように、ユーザの身体に固定又は取り付けられるように構成される、ハウジングユニットと
を含み、
処理された衝撃吸収データは、ユーザの下肢及び体幹の衝撃吸収を向上させるためのフィードバックを生成してユーザに提供するために、フィードバックモジュールによって使用することができる、装置が提供される。
【0009】
感覚ユニットは、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、温度センサ、及び心拍数モニタのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0010】
本装置は、ユーザインターフェースを提示するように構成されたディスプレイデバイスを含み得、マイクロプロセッサは、ディスプレイデバイスに更に結合される。
【0011】
データ記憶デバイスは、感覚ユニットの一部、又はスマートフォン、タブレット、若しくは他のコンピューティングデバイスなどの外部構成要素であり得る。
【0012】
本発明によれば、ユーザの衝撃吸収性能を監視するための方法であって、
上記装置によって、ユーザが装置を装着している間に、衝撃吸収性能データを生成するステップと、
ユーザの下肢及び体幹の衝撃吸収を向上させるためにユーザが実施することができるフィードバックを、衝撃吸収性能データに基づいて生成するステップと、
ユーザインターフェースを介してユーザにフィードバックを提供するステップと
を含む方法が更に提供される。
【0013】
フィードバックは、ある期間にわたって衝撃吸収性能を向上させるための運動を含み得る。フィードバックは、筋骨格系の筋肉又は関節を強化又は弛緩させるための推奨又は介入を含み得る。
【0014】
ユーザにフィードバックを提供するステップは、ユーザに視覚刺激、聴覚刺激、又は触覚刺激を提供するステップを含み得る。
【0015】
本方法は、ユーザインターフェースを介して、ユーザデータ(身長、体重、履物、衝撃吸収パラメータ又は以前の性能レベル、表面、位置などを含む)を受信するステップを更に含み得る。フィードバックを生成することは、ユーザデータに更に基づき得る。
【0016】
本方法は、ユーザが損傷を自己管理するための教育及びリハビリテーションプロトコルを更に提供してもよいし、損傷予防又は術後の外科的リハビリテーションプロトコルを完了してもよい。
【0017】
特に、一実施形態は、システムであって、
ワイヤレストランシーバ、加速度計、及び歩行時の動作及びユーザの足首/下肢による衝撃吸収を検出するための慣性測定ユニット(IMU)を含む、ユーザの内側足首に取り付けるためのウェアラブルユニットと、
ウェアラブルユニットと通信するためのモバイルデバイスであって、
a.ユーザが回答するための生理学的評価の質問にアクセスして表示すること、
b.質問に対する回答を処理し、スクワット及びカーフレイズなどの一連の客観的な動作テストをユーザに対して表示すること、
c.テストに応答して、ユーザインターフェース上に疼痛点をマークし、その疼痛をスコア付けするようにユーザに求めるユーザインターフェースを生成すること、
d.ユーザに歩行するように求める命令を生成して表示し、ウェアラブルユニットからデータを取得して、歩行時にユーザがどのように動くかに関するユーザパラメータ、例えば、衝撃吸収、膝関節データ、ステップ及び速度を生成すること、
e.取得したユーザパラメータを分析し、ユーザのための推奨を生成すること、
f.ユーザパラメータの分析に基づいて、動作に関するパラメータ及び歩行のための適切なテクニックを提供するためのコーチング命令を生成し、触覚などによってユーザを誘導するためのコマンドを生成してウェアラブルユニットに送信すること、及び
g.最適な衝撃吸収を発生させて筋活動(漸増及び収縮)及び消費エネルギーを増加させるために歩行するようにユーザを誘導するための減量指示を生成すること
のうちのいくつかを実行するためのアプリケーションのコードを含むモバイルデバイス
を含むシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ、本明細書で更に説明される。
【
図1】本発明の一実施形態による装置をユーザが装着している様子の概略図であり、上記装置の拡大図を含む。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による装置の感覚ユニットのブロック図である。
【
図3】装置によって行われるプロセスのフロー図である。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態による、ユーザデバイスによって行われるプロセスのフロー図である。
【
図5】コンピュータであるユーザデバイスの概略図である。
【
図6A】本発明の一実施形態による、フィードバックの前後に装置によって収集されたデータを示すグラフである。
【
図6B】本発明の一実施形態による、フィードバックの前後に装置によって収集されたデータを示すグラフである。
【
図7】装置のハウジングユニット及び感覚ユニットの一実施形態の図である。
【
図8】装置のハウジングユニット及び感覚ユニットの一実施形態の図である。
【
図9】充電デバイスを備えた感覚ユニットの図である。
【
図10】充電デバイスを備えた感覚ユニットの図である。
【
図11】装置のハウジングユニット及び感覚ユニットの別の実施形態の図である。
【
図12】装置のハウジングユニット及び感覚ユニットの別の実施形態の図である。
【
図13】装置のハウジングユニット及び感覚ユニットの別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
概要
本明細書で説明される装置及び方法の実施形態は、力を吸収する筋肉の役割に特に焦点を当てた、歩行運動又は走行中の人の下肢を通じた生体力学及び力の伝達の分析に関する。
【0020】
人は、いくつかの理由により、衝撃吸収が不十分な状態で、歩行、走行、又は他の体重負荷活動のプロセスを行うことがある。例えば、人が特定の方法で歩行又は走行していることに気付いていないために衝撃吸収が不十分になることがある。それはまた、損傷、筋肉の衰弱、筋肉の不十分な活性化、柔軟性の低下又は人が術後であることによっても発生する可能性がある。人が、衝撃吸収が不十分な状態で、歩行、走行、又は他の体重負荷活動を行うとき、その人の筋肉(すなわち、軟組織)は、本来の機能を発揮することができず、その結果、骨若しくは関節(すなわち、硬組織)、又は過負荷になるか若しくはこの機能のために設計されていない代替の軟組織を通して、より多くの力が伝達される。これにより、以下の結果のうちの1つ又は複数をもたらし得る:
(i)当人の損傷のリスクが高まること、
(ii)リハビリテーション時間の長期化又は損傷前レベルまでリハビリテーションすることができないこと、
(iii)硬組織の劣化の加速、
(iv)(競技人口における)骨ストレス又は関節機能障害、及び
(v)関節表面/軟骨の劣化。
【0021】
活動レベル、生体力学的変動、及び従事している特定のスポーツに応じて、個人によって異なる構造に負荷がかかる。
【0022】
そのような衝撃吸収の非効率性を軽減又は低減するためのフィードバックを提供するための装置及び方法を提供することが望ましい場合がある。この目的のために、衝撃吸収性能の評価、使用可能なフィードバックの提供、このフィードバックを効果的に利用し、歩行及び走行中の衝撃吸収を最適化することによって疼痛/損傷又は筋骨格損傷若しくは変形性関節症の早期発症を緩和又は予防するための戦略又は介入の提供を可能にする装置及び方法が本明細書で説明される。
【0023】
筋肉は、人が歩行又は走行しているときに重要な機能を果たす。骨を動かして物理的な動作を可能にする役割についてはよく理解されている。しかしながら、歩行及び走行中、筋肉は、筋肉の制御された又は能動的な伸長を通して、身体に作用する垂直力及び水平力を吸収するという別の役割を有する。このプロセスは、「エキセントリック収縮」として知られており、それによって、力を吸収するにつれて長くなる引張ばねとして筋肉が作用する。この弾性エネルギーは、筋肉のエキセントリック収縮だけでなく、腱及び結合組織によっても吸収される。軟組織(筋肉、腱及び結合組織)におけるこのエネルギー吸収は、硬組織(骨、関節)又はこの機能のために設計されていない代替の軟組織を通して伝達される力の量を最小限に抑える。
【0024】
歩容周期の段階には、足接地(foot strike)が含まれる。足接地は、一般に、歩行時には踵接地の形態であり、ジョギング又は走行時には中足部から前足部への接地の形態である。人のペースが速いほど、接地点は、一般に、足の上方(すなわち、つま先に向かって)に位置する。言い換えると、歩行時には踵接地が想定され、ジョギング及び短距離走行時には、それぞれ中足部接地及び前足部接地が想定される。
【0025】
足接地のたびに、人の体には複合的な力が作用する。矢状面(人の頭から足に走り、左右2つの等しい半身を作り出す)において、結果として得られる力ベクトルは、垂直成分及び水平成分に分解されることができる。水平成分は、(人の重心に対する接地位置に応じて)制動力又は加速力として説明され、垂直成分は、地面反力として説明される。これらの2つの力は、人の荷重支持構造(すなわち、硬組織)に印加される過剰な力を減少させるように、人の歩容を変化させる(すなわち、「最適化する」)ことによって最小限にされ、それによって、損傷のリスクを減少させることができる。これは、前頭面及び横断面に対しても行うことができる。
【0026】
歩行に関連して、踵接地からの力の伝達は、骨格系を介して以下の経路を辿る:
(i)踵骨から距骨へ(脚経路)及び立方骨(足経路)へ;
(ii)立方骨(中足骨)及び距骨の一部(中足骨)が足根骨に力を分散させ、足根骨は、足を通して力を拡散させ、吸収する;
(iii)距骨は、足首関節を介して脛骨に(力の80%)及び腓骨(力の20%)に上向きに力を伝達する;
(iv)次いで、脛骨が、この力を膝関節を通して大腿骨に伝達し、大腿骨が、この力を股関節を通して骨盤に伝達する;
(v)骨盤は、力分配器として作用し、骨盤の骨(坐骨、恥骨、及び腸骨)の周囲に力を伝達し、この減衰された力を仙骨を介して脊椎に伝達する;
(vi)この時点で、上半身の体重の力は、脊椎を下って、仙骨を通り、骨盤に伝達されている。
【0027】
衝撃吸収に関与する筋肉及び生体力学は熟達している。着地又は足の配置の際、足/足首/ふくらはぎの複合体は、下肢に伝達される力の60%を吸収する。走行では、歩行と比較して、衝撃吸収のためのより多くの力が発生し、この力は、各ステップにおいてランナーの体重の3倍になり得る(非効率的なランナーでは更に大きくなる)。
【0028】
足首関節の衝撃吸収は、エネルギー吸収のプロセスを調べることができる例である。ランナーが中足部又は前足部で地面を打つとき、足首及び足はほぼ尖っているか、又は(ランナーの速度及びテクニックに応じて)底屈の程度である。ランナーが着地して力を吸収すると、足首は足首底屈から足首背屈に移行し、ふくらはぎの筋肉は偏心的に(伸張性)収縮し、アキレス腱及び結合組織は伸長する。これは、伸長ばねと同様に、力を吸収しながら伸張性を生み出す。従って、筋肉系は、力を能動的に吸収することができ、その結果、硬組織(すなわち、骨及び関節)を通して、更に運動連鎖を上って、膝、臀部、骨盤、及び脊椎に伝達される負荷を低減させることができる。
【0029】
筋肉系は、より長い時間間隔にわたって衝撃吸収が行われることを可能にするために関節において十分な可動域を有するように骨格系に依存して、この衝撃吸収機能を果たす能力を有する。足首の場合、足首関節の背屈可動域が十分でないと、筋肉が衝撃を吸収することができるように足首が背屈した際に、動作が妨げられ、筋肉が力を吸収する能力が停止し、従って、衝撃吸収プロセスが損なわれる。四肢(足首と同じ側)に損傷があり可動域が減少している人、又は再教育若しくは修正を必要とし得る不十分なテクニックで歩行又は走行する人の場合も、衝撃吸収プロセスが損なわれ得る。
【0030】
次に、神経系(脳及び神経)は、筋肉系と連動して働き、筋肉の収縮のタイミング及び程度を適切に調整する-これらの系は、神経筋ユニットとして共働する。
【0031】
本明細書で説明される装置及び方法は、この神経筋ユニットの働きを最適化し、それによって、歩行及び走行中の軟組織の衝撃吸収を向上させることを目指す。
【0032】
上述したように、足接地に関連する力が軟組織に吸収されない場合、その力は硬組織を通して伝達される。硬組織を通した伝達は、「ジョルト(jolt)」と説明され得る身体の変位の増加(一般に、下肢においてより顕著である)として検出され得る。このジョルト(すなわち、不十分な/望ましくない衝撃吸収)は、ユーザの身体(例えば、ユーザの脛骨、腓骨、臀部、胸部、脊椎、又は頭部など)上のセンサによって検出することができ、この検出に基づくフィードバックをユーザに提供して、力を吸収するユーザの神経筋系の能力を最適化することができる。フィードバックはまた、適切な医療専門家への紹介又は自己誘導リハビリテーションプログラムを通して、ユーザに提供され得る。
【0033】
本明細書で説明される装置及び方法によれば、ユーザの身体にセンサを配置することによって、ユーザの硬組織による衝撃吸収を検出することができる。検出された衝撃吸収に基づくフィードバックを生成し、ユーザに提供して、ユーザの下肢及び体幹の筋肉の衝撃吸収機能を最適化することができる。これにより:
1)歩行運動/歩容及び走行又は活動(例えば、スポーツ活動、トレーニングドリル、リハビリテーション運動など)の不十分な衝撃吸収に関連する疼痛を打ち消す又は防止する;及び/又は
2)リアルタイムでユーザの性能を向上させるために即時のフィードバックを提供するか、又は後の日付/実行後に性能の概要を提供するかのいずれかを行うソフトウェアプログラムの有無にかかわらず、スキル性能(活性化された又はマインドフルな又は「軽い」歩行テクニック)、歩容及び衝撃吸収性能の効率に関するフィードバックを提供する。
【0034】
フィードバックは、適切な歩容テクニック及び目標とする関節の可動化又は筋肉の強化に関する命令又はアドバイスを含むことができる。そのような命令又はアドバイスは、ユーザに固有のものであってもよく、又は特定の損傷、機能要件(例えば、減量)、又は患者グループに一般化されてもよい。
【0035】
加えて、骨粗鬆症に罹患している個人は、関節をより重くすることによって骨密度を維持又は増加させることを望み得る。これは、設定された量の負荷が骨格を通過する状態で1日当たり少なくとも特定の歩数を歩くこと、及び/又は歩行中の筋活動を低下させることによって達成され得る。例えば、これは、長期的な骨の健康に影響を及ぼし得る摂食障害に罹患しているより若年層において有用であり得る。本明細書で説明される装置及び方法は、筋動員の尺度としての衝撃吸収性能の評価、使用可能なフィードバックの提供、筋動員を減少させ、歩行又は走行中の硬組織を通した衝撃吸収を増加させることによって、骨密度を維持又は改善するための戦略又は介入に使用され得る。
【0036】
装置によって収集された衝撃吸収データはまた、研究目的のために照合されて、機能の向上、疼痛の防止、及びプログラムの管理を行うために、ユーザ、コーチ、医療従事者/医療専門家又は科学者にフィードバックを提供することができる。
装置
【0037】
図1に示すように、本発明の一実施形態による装置100は、ユーザ104の身体に配置される感覚ユニット102を含む。感覚ユニット102は、ユーザ104の硬組織の衝撃吸収を表す衝撃吸収データを収集するためのものである。図示の実施形態では、感覚ユニットは、ユーザ104の脛骨(shinbone)(脛骨(tibia))上に配置される。他の実施形態では、感覚ユニット102は、ユーザ104の身体の他の位置、例えば、胸部、腕、首、又は臀部に配置されてもよい。感覚ユニット102は、ユーザ104の身体上のこの位置で信頼できる測定値を取得することができるため、脛骨に位置し得る。感覚ユニット102は、脛骨を覆う皮膚に対して感覚ユニット102が直接固定されるように、ハウジングユニット106によってユーザ104の身体上の適所に保持される。これは、硬組織による衝撃吸収、例えば、硬組織を通して伝達される力の正確な測定を提供する。ハウジングユニット106は、感覚ユニット、マイクロプロセッサユニット、バッテリ又は再充電ユニット、及び通信ユニットを収容する。
【0038】
装置100は、マイクロプロセッサユニット204と、データ記憶デバイス206と、バッテリ210又は再充電ユニットと、通信ユニット208とを含む(
図1には図示せず)。
【0039】
いくつかの実施形態では、装置100は、ユーザインターフェースを提示するように構成されたディスプレイデバイスを含み、マイクロプロセッサユニット204は、ディスプレイデバイスに更に結合される。
【0040】
マイクロプロセッサユニット204は、収集された衝撃吸収データを感覚ユニット102から受信し、収集されたデータを以下のように処理する:
(a)処理されたデータをデータ記憶デバイス206に記憶することができる、及び/又は
(b)通信ユニット208が、処理されたデータをユーザデバイス108に送信することができる。
【0041】
図2に示すように、感覚ユニット102は、感覚デバイス202を含む。感覚デバイス202は、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、高度計、歪みゲージ、圧力センサ又はゲージ、全地球測位システム、近接センサ、及び圧電センサを含み得るが、これらに限定されない。
【0042】
感覚ユニット102はまた、マイクロプロセッサユニット204及び/又はデータ記憶デバイス206、通信ユニット208、並びにバッテリ210を含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、これらの構成要素のうちの1つ又は複数は、感覚ユニット102の外側に位置してもよい。
【0043】
図7に示すように、ハウジングユニット106は、ケーシング702及びバンド704を含むことができる。
【0044】
ケーシング702は、感覚ユニット102、マイクロプロセッサユニット204、データ記憶デバイス206、バッテリ210、及び通信ユニット208を包囲する。ケーシング702は、LEDなどの光源706を有し得る。光源706は、処理されたデータに基づいて、装置100の電源状態及び/又はフィードバックを示し得る。例えば、光源706は、装置100の電源が「オン」であることを示すために緑色(及び任意選択的に点滅)であってもよく、光源706は、装置100が充電中であることを示すために青色であってもよく、及び/又は光源706は、処理されたデータに基づいて、ユーザの衝撃吸収性能が所定のパラメータ内にないことをユーザ104に示すために赤色(及び任意選択的に点滅)であり得る。ケーシング702に関連して説明されているが、光源706は、バンド704上など、ユーザ104によって観察することができるように装置100上に別様に設けられてもよい。
【0045】
ケーシング702は、硬質プラスチック材料で作製され得る。
【0046】
バンド704により、ケーシング702、従って感覚ユニット102をユーザ104の身体に固定することができる。図示のように、これは、バンド704が面ファスナなどの1つ又は複数の締結具708を含むことによって達成することができる。バンド704は、ユーザ104の身体に、例えば、ユーザ104の四肢の周りに適合させることができるように、可撓性材料で作製される。例えば、バンド704は、布(例えば、エラスタンを含む)、シリコン、又はゴムで作製され得る。
【0047】
図8に示すように、ケーシング702及びバンド704は、ケーシング702をバンド704に取り外し可能に取り付けることができるように構成される。バンド704は、ケーシング702を確実に嵌め込むことができる周囲部804によって画定された開口部802を含む。ユーザ104は、例えばバッテリ210を充電するために、バンド704からケーシング702を取り外すために、下方向806に圧力を加えることができる。
【0048】
図11~
図13に示すように、別の実施形態では、バンド704は、面ファスナ1102によってケーシング702に取り外し可能に取り付けられるように構成される。これにより、バンドが調節可能となり、それにより、装置100を様々なサイズのユーザの身体の異なる部分(例えば、脛、胸部、臀部、腕)上に載置固定することができるようになる。特に、バンド704により、ケーシング702は、皮膚に対して最小限の圧力で、腱、すなわちアキレス腱を圧迫することなく、ユーザの骨に一次接触し、面一になることができる。これにより、ユーザに有害な圧力又は刺激を与えることなく、感覚ユニット102を一日中骨上に保持することが可能になる。
【0049】
図9及び
図10に示すように、ケーシング702がバンド704から取り外されると、ケーシング702を充電デバイス902内に置くことでバッテリ210を充電することができる。
方法
【0050】
本発明の実施形態による、ユーザの衝撃吸収性能を監視するための方法は、
上記装置によって、ユーザが装置を装着している間に、衝撃吸収性能データを生成するステップと、
ユーザの下肢及び体幹の衝撃吸収を向上させるためにユーザが実施することができるフィードバックを、衝撃吸収性能データに基づいて生成するステップと、
ユーザインターフェースを介してユーザにフィードバックを提供するステップと
を含む。
【0051】
図3は、衝撃吸収性能データを生成するために装置100によって行われる方法300のフロー図である。
【0052】
ステップ302において、感覚ユニット102は、感覚デバイス202を使用してユーザ104の硬組織の衝撃吸収を表す衝撃吸収データを収集する。例えば、感覚デバイス202が加速度計を含む場合、感覚ユニット102は、ユーザ104の硬組織の衝撃吸収を表す、加速度データを含む衝撃吸収データを収集し得る。衝撃吸収データはまた、筋動員、エネルギー消費、及び脂肪燃焼を表すか、又は示す。
【0053】
ステップ304において、マイクロプロセッサユニット204は、収集された衝撃吸収データを受信して処理する。処理には、通信ユニット208による通信のために、収集されたデータを分析すること、精緻化すること、及び準備することが含まれ得る。例えば、マイクロプロセッサユニット204は、収集されたデータからあらゆる「ノイズ」及び/又は振動フィードバックを除去し得る。処理されたデータは、「衝撃吸収性能データ」と称され、以下に説明されるように、ユーザの下肢及び体幹の衝撃吸収を最適化するためのフィードバックを生成してユーザに提供するために、フィードバックモジュールによって使用されることができる。フィードバックは、フィードバックモジュールによって生成されるデータである。
【0054】
マイクロプロセッサユニット204は、衝撃吸収性能データが1つ又は複数の所定の閾値の外側にある(例えば、上回る又は下回る)ことを識別し、それに応じて、感覚ユニット102に、所定の閾値の外側にあることをユーザに通知するためのユーザ104への信号を生成させることができる。信号は、例えば、光(例えば、光源706)の活性化などの可視信号、アラーム音の活性化などの可聴信号、ユーザ104が感知することができる振動などの触覚信号とすることができる。信号は、感覚ユニット102によって少なくとも部分的に生成され得る。信号は、ユーザデバイス108(例えば、スマートフォン)によって少なくとも部分的に生成され得る。所定の閾値は、以下に説明されるステップ404及び406で受信され、通信ユニット208を介してマイクロプロセッサユニット204によって受信されるユーザ詳細及び/又はユーザパラメータのうちの1つ又は複数に基づき得る。信号は、衝撃吸収性能データが所定の閾値の外側にならなくなり、ユーザ104の下肢及び体幹の衝撃吸収が向上し得るように、ユーザ104にその挙動を変更するように促すためのものである。
【0055】
ステップ306において、データ記憶デバイス206は、処理されたデータを記憶する。記憶されたデータは、ユーザデバイス108などの別のコンピューティングデバイスに後で転送することができる。
【0056】
ステップ308において、通信ユニット208は、処理されたデータをユーザデバイス108に送信する。この送信は、「ライブ」、すなわち、データが感覚デバイス202によって収集され、続いてマイクロプロセッサユニット204によって処理されるときにリアルタイムで行うことができる。代替的に、通信ユニット208は、処理されたデータ(例えば、データ記憶デバイス206に記憶された)を遅延後にユーザデバイス108に送信してもよい。通信ユニット208は、処理されたデータを、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、USB、光ファイバケーブル、赤外線、ZigBeeなどのワイヤード又はワイヤレス通信リンクを介してユーザデバイス108に送信する。
【0057】
装置100のデータ記憶デバイス206にローカルに記憶されることに加えて又はその代わりに、処理されたデータは、ユーザデバイス108によって、ユーザデバイス108上にローカルに、又はリモートクラウドサーバを含むサーバ上にリモートに記憶されてもよい。
ユーザデバイス及びフィードバックモジュール
【0058】
ユーザデバイス108は、例えば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチなどであり得る。ユーザデバイス108は、ユーザが歩行又は走行しているときのユーザの衝撃吸収性能を最適化するためのフィードバックを生成してユーザ104に提供するために、装置100の通信ユニット208からユーザデバイス108に送信されたデータを受信して解釈するフィードバックモジュールを実行するように構成される。フィードバックは、本明細書で説明されるフィードバックモジュールによって生成されるデータである。
【0059】
フィードバックモジュールは、例えば、ユーザデバイス108のユーザインターフェースにおいて、ユーザ104によって提供されたユーザデータを受信するように構成される。
【0060】
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、ユーザデバイス108においてフィードバックモジュールによって行われる方法400のフロー図を示す。
【0061】
ステップ402において、フィードバックモジュールは、ユーザインターフェースを介してログイン詳細を提供するようにユーザ104を促す。
【0062】
ステップ404において、フィードバックモジュールは、ユーザインターフェースを介して、ユーザ104によって入力されたユーザ詳細を受信する。ユーザ詳細は、以下のうちの1つ又は複数に関連し得る:
(i)BMI;
(ii)伸張;
(iii)体重;
(iv)脚の長さ;
(v)足首の周囲;
(vi)足首の組織タイプ、例えば、骨性、浮腫性(むくみ)、脂肪質(脂肪組織);
(vii)靴/履物タイプ(例えば、裸足、ランナー);
(viii)活動面(例えば、舗装道路、草地、砂利、コンクリート、床板);
(ix)損傷;
(x)手術又は他の医療処置;
(xi)装置を使用して記録されるか別様に決定された以前の性能レベル、これは以下のうちのいずれかを含む:損傷前又は手術前の性能レベル;b.完全な回復性能レベル;c.表面固有の性能レベル;d.履物固有の性能レベル;
(xii)以下のいずれかを含む歩行運動/走行目標:a.歩行/走行速度目標、b.歩行/走行距離目標、c.「方向転換」目標、例えば、カット、足踏み、8の字;
(xiii)減量目標;
(xiv)移動距離(例えば、100m、800m、5km、20km);
(xv)持続時間;
(xvi)地形;
(xvii)圧力又は衝撃吸収性能の限界(上限又は下限);
(xviii)1日の累積衝撃吸収;
(xix)1日の全体的な性能;
(xx)(ステップ毎、セッション毎、又は日毎などの)伝達された累積身体荷重又は衝撃。
【0063】
ステップ406において、フィードバックモジュールは、ユーザインターフェースを介して、ユーザ104によって入力されたユーザパラメータを受信する。ユーザパラメータは、ユーザの目的、ユーザのワークアウト及び/又はユーザの環境を含み得る。ユーザパラメータは、gの単位(すなわち、加速度の尺度)を含み得る。ユーザパラメータは、性能のパーセンテージ/単位を含み得る。ユーザパラメータは、最小及び最大心拍数を含み得る。フィードバックは、そのようなユーザパラメータに部分的に基づき得る。フィードバックモジュールは、ユーザ104によって入力されるパラメータがない場合に適用される1つ又は複数のデフォルトパラメータを有することができる。
【0064】
ステップ406においてパラメータが受信されたか又は他の方法で適用された場合、フィードバックモジュールは、本明細書で説明される装置によって生成された衝撃吸収性能データに対して1つ又は複数の閾値を決定し得る。閾値は、損傷からの回復/リハビリテーション、減量、速度の増加、骨密度維持などの1つ又は複数の結果をユーザが達成することを可能にし得る、衝撃吸収性能データの望ましい範囲を定義する。本方法は、装置が、生成された衝撃吸収性能データが決定された閾値の外側であることを識別するステップと、衝撃吸収性能データが閾値の外側であることをユーザ104に警告し、それによって、衝撃吸収性能データが所定の閾値の外側にならなくなるように、ユーザにその挙動を変更するように促すための信号を生成するステップとを含むことができる。
【0065】
ユーザ104が装置100の装着中に活動(歩行又は走行など)を行った後、ステップ408において、フィードバックモジュールは、通信ユニット208によってユーザデバイス108に送信された処理されたデータを受信する。
【0066】
ステップ410において、フィードバックモジュールは、現在の動作若しくは運動中に及び/又は将来の動作若しくは運動のためにユーザの下肢及び体幹の衝撃吸収を最適化するためのフィードバックを生成してユーザ104に提供する。例えば、フィードバックは、ユーザ104が、ユーザ104によって行われている現在の動作又は運動を変更するためのもの、又はユーザ104の既存の記憶されたプログラム又は運動プロトコルを修正するためのものであり得る。フィードバックの生成は、ステップ408において受信されたデータに少なくとも部分的に基づく。フィードバックの生成は、受信したユーザデータ、すなわち、ステップ404において受信されたユーザ詳細及び/又はステップ406において受信されたユーザパラメータに更に基づき得る。フィードバックは、ユーザインターフェースを介してユーザ104に提供される。
【0067】
フィードバックの生成は、受信されたデータを分析して、ユーザ104による不十分な衝撃吸収、すなわちユーザの硬組織による過度の衝撃吸収を表すデータを識別することを含み得る。一般的な問題の場合、これにより、所定のフィードバック応答が得られ得る。他のよりユーザ固有の問題の場合、コーチングスタッフ又は医療専門家の指導により、識別された不十分な衝撃吸収データに対するユーザ固有のフィードバックが行われ得る。
【0068】
フィードバックは、強化運動を含むことができ、特に、ユーザ104が不十分な衝撃吸収を一貫して作り出している場合、医療専門家の戦略又は分析により、特定の又は目標となる運動ルーチンをフィードバックモジュールに入力することができる。例えば、特定の地形、運動のタイプ、又は運動の持続時間における不十分な衝撃吸収への寄与因子又は弱点して足の内在筋が標的となり得る。運動は、ユーザインターフェース上に表示することができ、これらの運動に対する任意の修正もまた、ユーザインターフェースを介して入力することができる。各運動の表示は、以下のうちの1つ又は複数の表示を含むことができる:
(a)運動の説明、
(b)運動の写真又はビデオ、及び
(c)運動の持続時間、反復、強度及び/又は抵抗の指示。
【0069】
フィードバックは、ユーザインターフェースを介した、又はセンサレベルでの即時介入のために、「ライブ」で(すなわち、リアルタイムで)生成され、ユーザ104に提供され得る。しかしながら、フィードバックの提供は、ユーザ104又はスポーツ科学者、スポーツ医学の専門家若しくはコーチングスタッフなどの他の専門家による後のレビューのためにフィードバックを記憶することによって遅延させることもできる。
【0070】
このデータ記憶は、上記感覚データ記憶レベルで、又は方法及びシステムのソフトウェアインターフェースレベルで行うことができる。従って、ユーザは、ユーザデバイス108の有無にかかわらず、装置を使用することが可能であり得る。これは、走行中に装置を使用しており、走行中にユーザデバイス108(スマートフォンなど)を持ち歩くことを望まないユーザ104にとって便利であり得る。
【0071】
生成されたフィードバックは、以下の点のうちの1つ又は複数で衝撃吸収性能に関する直接情報をユーザ104に提供し得る:
(i)ステップ毎のフィードバック(すなわち、「1ステップ当たりの」又はステップ固有のフィードバック);
(ii)複数のステップについてのフィードバック(複数のステップが、位置、距離、又は期間でグループ化され得る);
(iii)実施場所;
(iv)方向;
(v)速度;
(vi)力;
(vii)ストライクゾーン;
(viii)性能の質;
(ix)ユーザが入力したターゲットパラメータに関する性能のレビュー。
【0072】
記憶されたユーザフィードバックは、衝撃吸収性能のレビューを可能にし、以下の間の特定の分析又は比較を含み得る:
(i)個々のステップ;
(ii)左側対右側;
(iii)複数のステップのグループ、又はセッション全体における全てのステップ;
(iv)位置;
(v)方向;
(vi)速度;
(vii)以前の性能。
【0073】
ユーザ104に提供されると、生成されたフィードバックは、より良好なテクニックを促す又は誘導することによって、ユーザ104が、即時介入として衝撃吸収性能を向上させる又は最適化することを可能にし得る。
【0074】
この促し又は誘導は、フィードバックモジュールによって行われるか、又はユーザ104若しくは外部の当事者によってオーバーライドされて、スポーツ科学、スポーツ医学の医療専門家又はコーチングスタッフからの任意の追加の推奨を提供し得る。
【0075】
フィードバックは、特定の動作の変更を行うようにユーザ104を促すか又は指示し、及び/又は一般的な概要の命令又は警告を与え得る。例えば、フィードバックは、以下のプロンプト、命令、又は警告のうちの1つ又は複数を含み得る:
(i)右膝をより高く持ち上げる;
(ii)踵で接地する;
(iii)踵で接地する;
(iv)膝をより柔らかくする;
(v)前足部に乗る(roll onto);
(vi)踵でより柔らかく接地する;
(vii)前足部の接触を増やす;
(viii)踵をそっと置く;
(ix)自然な歩き方で歩行する;
(x)より速く;
(xi)より遅く;
(xii)左足の内在筋の収縮を増加させる;
(xiii)軽やかに歩行する;
(xiv)疲労が明らかである。
【0076】
ステップ408において受信されたデータは、コーチング、スポーツ医学フィードバック又はスポーツ科学フィードバックを提供すること、又はスポーツ専門家/医療従事者にアドバイスを求めるようにユーザ104を促すことなど、フィードバックモジュールによって実行される1つ又は複数の他のプロセスをトリガするために使用され得る。ワイヤレス通信(Bluetooth(登録商標)、WiFi、Zigbee(登録商標)、5G、GPSなど)を利用すれば、トレーニング及び試合中に複数の選手のチーム全体(例えば、フットボール、サッカー、ラグビー)を監視することが可能になるであろう。
実施例1:衝撃吸収効率の向上
【0077】
フィードバックモジュールは、受信したデータに基づいて、ユーザ104のストライクゾーンを識別することができる。識別されたストライクゾーンは、踵、中足部、又は前足部のうちの1つであり得る。次いで、フィードバックモジュールは、識別されたストライクゾーンが、歩容のタイプ、履物、地形などの、ユーザによって入力された1つ又は複数のユーザ詳細に対して適切又は最適であるかどうかを決定することができる(ステップ404)。例えば、フィードバックモジュールは、ユーザが歩行していることをユーザ詳細が示すとき、ユーザのストライクゾーンを前足部接地として識別し得る。その後、フィードバックモジュールは、歩行に不適切なストライクゾーンであると決定し、ユーザに踵接地を行うように促すフィードバックデータを生成することができる。
実施例2:減量
【0078】
ユーザデータが減量に関する目標を含む場合、フィードバックモジュールは、受信したデータに基づいて、ユーザ104が、筋活動の増加、ひいてはエネルギー消費の増加を必要とするテクニックを用いた運動(歩行又は走行など)を行っていないことを識別する。次いで、フィードバックモジュールは、筋活動の増加を必要とするテクニックを採用するようにユーザを促すためのフィードバックデータを生成する。その結果、(このテクニックがある期間にわたって維持されるとき)ユーザはエネルギー消費を増加させ、それによって体重を減らすことができる。
【0079】
衝撃吸収性能データの閾値は、上限閾値を含むことができる。例えば、衝撃吸収性能データが加速度データを含む場合、上限閾値は最大加速度とすることができる。最大加速度は、少なくとも1gとすることができる。最大加速度は2g以下とすることができる。
【0080】
ステップ410において、フィードバックモジュールは、衝撃吸収データが上限閾値を上回る場合、フィードバックデータを生成してユーザ104に提供する。言い換えると、ユーザが「より軽やかに」歩く(すなわち、より効率的な衝撃吸収で、より多くの筋活動を必要とし、それによって、より多くのエネルギー消費及び脂肪燃焼が必要となる)必要がある場合、フィードバックデータが生成され、ユーザ104に提供される。フィードバックデータは、感覚ユニット102及び/又はユーザインターフェースによって少なくとも部分的に提供され得る、ユーザ104への信号(視覚信号、可聴信号、及び/又は触覚信号など)を生成することができる。フィードバックデータは、より軽やかに歩行するよう求めるユーザへの命令を含むことができ、例えば、例えば、踵又は足をそっと置く、踏みつけない、胸を張って歩行する、踵を地面に叩きつけないことのうちの1つ又は複数を含む。
【0081】
衝撃吸収データが上限閾値を下回る場合、これは、衝撃吸収性能が、減量をもたらすエネルギー消費を生じさせるのに十分であることを示唆するものであり得る。そのため、フィードバックデータは生成されない。代替的に、フィードバックデータが生成されてユーザ104に提供され、ユーザ104に(活動の実行中及び/又は実行後に)良好なテクニック/性能を知らせてもよく、すなわち、積極的な強化をユーザ104に提供してもよい。しかしながら、衝撃吸収データが不十分な歩行テクニックを示す場合、他のフィードバックデータが生成されて、ユーザ104に提供されてもよい。例えば、フィードバックデータは、必要に応じて、ユーザインターフェース上に以下の命令のうちの1つ又は複数を生成することができる:膝を柔らかくする、中足部又は前足部で接地する、踵をそっと置く、軽やかに且つ静かに歩行する。
【0082】
フィードバックモジュールは、軽い歩行性能、エネルギー消費及び/又は減量性能の要約を生成してユーザ104に提供し得る。フィードバックモジュールは、ユーザの「通常の」(すなわち、フィードバック前の)歩行性能と、フィードバックデータによって修正されたユーザの歩行性能との間の比較を生成する。要約及び/又は比較は、衝撃性能データに少なくとも部分的に基づいて生成され得る。要約及び/又は比較は、ユーザ詳細に少なくとも部分的に基づいて生成され得る。
【0083】
体重を減らそうと努めるユーザに対して試験を実施した。条件、距離及び歩行時間が等しい場合、参加者は、フィードバックがない場合と比較して、上述のようにフィードバックが通知されて歩行した場合、少なくとも15~30%多いエネルギー消費を生成したことが分かった。
【0084】
フィードバックモジュールはまた、栄養、精神衛生、及び損傷防止に関するアドバイスにアクセスし、それらを組み合わせて又は別個の構成要素として提供し、ユーザを支援することもできる。
実施例3:骨粗鬆症及び骨密度
【0085】
上述したように、ユーザ104は、歩行時の筋活動を減少させて、硬組織における衝撃吸収を増加させることによって、骨密度を改善することを望み得る。従って、衝撃吸収性能データの閾値は、より低い閾値を含むことができる。ステップ410において、フィードバックモジュールは、衝撃吸収データが下限閾値を下回る場合、フィードバックを生成してユーザ104に提供することができる。言い換えると、ユーザが、骨密度を維持又は改善するには軽すぎる歩行をしている場合、フィードバックが生成され、ユーザ104に提供される。フィードバックは、より重く歩行するように、例えば、歩行時に地面に沈み込むように、足でより重く接地するように、及び/又はより高い負荷力でより多くのステップを生成するように、ユーザへの命令を含み得る。フィードバックは、ユーザが歩行するときにリラックスするよう求めるユーザへの命令を含み得る。
実施例4:リハビリテーション
【0086】
ユーザ104は、損傷をリハビリするために、本明細書で説明される装置及び方法を使用し得る。ステップ404においてフィードバックモジュールによって受信されるユーザ詳細は、例えば、損傷タイプ、損傷した身体領域、症状、疼痛タイプ(例えば、鋭痛又は鈍痛)、疼痛レベル、睡眠時間のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0087】
ステップ410において、フィードバックモジュールは、ユーザ詳細に基づいて、フィードバックを生成して、ユーザ104に提供し得る。例えば、フィードバックモジュールは、損傷タイプに少なくとも部分的に基づいて、運動を行うための命令を生成して、ユーザ104に提供し得る。フィードバックモジュールは、ユーザインターフェースを介して、各運動を行った後にユーザ104によって入力される更なるユーザ詳細を受信し得る。例えば、更なるユーザ詳細は、疼痛レベル、知覚された労作率(rate of exertion)、実行の容易さ(例えば、10点満点又は100点満点でスコア化される)のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0088】
フィードバックモジュールは、ユーザ詳細と更なるユーザ詳細とに基づいて、更なるフィードバックを生成して、ユーザに提供し得る。例えば、更なるユーザ詳細が、ユーザ104が以前の運動を行った後に無痛であることを示す場合、フィードバックモジュールは、異なる運動を指示する、すなわち、ユーザ104がリハビリテーションの次のステップに進むことを許可するフィードバックを生成し得る。
【0089】
フィードバックモジュールは、以下のデータのいずれか又は全てに対して動作することができる:
1.患者プロファイル/ユーザ詳細;
2.当日又は以前に回答された質問を表す主観的検査データ(例えば、睡眠、健康の質問、日常生活の活動における疼痛、運動に伴う疼痛);
3.当日又は以前に実施された疼痛、知覚された難易度などを表す客観的なテスト性能データ;
4.歩容、走行又は他のテスト/性能における衝撃吸収の性能を表す歩容分析又は性能分析データ;及び
5.以前の期間にわたってユーザがリハビリテーション運動及び管理にどれほど熱心であったかを表す運動、管理又はリハビリテーションアドヒアランスデータ。
【0090】
ユーザが装置を装着している間に、装置によって生成された衝撃吸収性能データを使用して、ユーザによる運動の実施に関するフィードバックを生成し、それによって、損傷からのユーザの回復を早める(improve)ことができる。衝撃吸収性能データはまた、フィードバックモジュールによって指示された運動を行うことに関するユーザ104のコンプライアンスを監視するためにも使用され得る。すなわち、衝撃吸収性能データを使用して、ユーザが運動を行わなかったかどうか、指示された回数の反復を行わなかったかどうか、又は完全な回数の反復セットを行わなかったかどうかを識別することができる。
変形性膝関節症試験
【0091】
変形性膝関節症のあるユーザ(患者)に対して6週間の試験を実施した。この試験において第1の患者から収集されたデータが
図6Aに示されており、x軸は時間を表し、y軸は感覚デバイス202によって検出された加速度(衝撃吸収を示す)を表す。この試験において第2の患者から収集されたデータが
図6Bに示されており、x軸は時間を表し、y軸は感覚デバイス202によって検出された加速度(衝撃吸収を示す)を表す。
【0092】
フィードバック前のこの患者の衝撃吸収性能をセクション1に示す。フィードバックモジュールによって生成されるフィードバックの提供中のこの患者の衝撃吸収性能をセクション3に示す。フィードバックを提供した後のこの患者の衝撃吸収性能をセクション2に示す。
【0093】
歩容の再教育及び変形性関節症の管理を容易にするために本明細書で説明される装置100及び方法に依拠することで、ユーザは、疼痛を最大91%低減し、機能を平均38%改善し得ることが分かった。従って、本装置を使用して歩容を再教育することで、ユーザの疼痛を減らし、ユーザの機能を向上させ、投薬の必要性を減らし、膝に対するユーザの自信を高め、手術の必要性を減らし、ユーザの生活の質を向上させることができる。
ユーザデバイス
【0094】
人の歩行又は走行中の衝撃吸収を最適化する方法は、少なくとも部分的にユーザデバイス108に実装される。ユーザデバイスは、
図5に示すように、コンピュータ500とすることができる。
【0095】
コンピュータ500は、Lenovo Corporation、IBM Corporation、又はApple Incによって製造された32又は64ビットインテルアーキテクチャコンピュータなどの標準的なコンピュータに基づき得る。コンピュータ500によって実行されるデータプロセスは、コンピュータ500の不揮発性(例えば、ハードディスク)ストレージ504に記憶されたソフトウェア構成要素又はモジュール550(フィードバックモジュールを含む)のコンピュータプログラム命令コード及びデータによって定義され、制御される。モジュール550によって実行されるプロセスは、代替的に、読取り専用メモリ(RAM)に記憶されたファームウェアによって、又は少なくとも部分的に、特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのコンピュータ500の専用ハードウェア回路によって実行されることができる。
【0096】
コンピュータ500は、ランダムアクセスメモリ(RAM)506と、少なくとも1つのマイクロプロセッサ508と、外部インターフェース510、512、514とを含み、これらは全てシステムバス516によって接続されている。外部インターフェースには、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース、ネットワークインターフェースコネクタ(NIC)512、ディスプレイアダプタ514が含まれる。USBインターフェース510は、キーボード及びマウス518などの入力/出力デバイスに接続されている。ディスプレイアダプタ514は、LCD表示画面522などのディスプレイデバイスに接続されている。NIC512は、コンピュータ500が通信ネットワーク523に接続することを可能にする。ネットワーク523は、LAN、WAN、PSTN、インターネット、モバイルセルラー電話ネットワークなどの既存の分野のうちの1つ又はそれらの組合せを含み得る。コンピュータ500は、Microsoft Windows(登録商標)、Mac OSX、又はLinux(登録商標)などのオペレーティングシステム(OS)524を含む。コンピュータ500がハンドヘルド又は装着デバイスである場合、OS524は、iOS、アンドロイド(登録商標)、又はWatchOSであってもよい。モジュール550は全て、OS524上で実行され、C、Ruby、又はC#などの言語を使用して書かれたプログラムコードを含む。
【0097】
一例では、コンピュータ500は、ネットワーク510を介してクライアントコンピュータが接続し得るサーバコンピュータである。この実装形態では、クライアントコンピュータ上で実行されるクライアントソフトウェアモジュールは、サーバコンピュータ500上で実行されるソフトウェアモジュール550と対話する。クライアントソフトウェアモジュールは、例えば、OS524上で実行されるように構成されたコンパイルされた実行可能コードを含んでもよいし、クライアントコンピュータ上のウェブブラウザ内で実行されるように構成されてもよい。
【0098】
モジュール550は、ステップ406において受信された衝撃吸収データ値を監視し、それらの値に基づいて個人の衝撃吸収性能のフィードバックを提供するためのコードを含み得る。監視は、上記で説明したように、感覚ユニットによって蓄積されたデータに基づき得る。モジュール550はまた、心拍数モニタなどの他のウェアラブルデバイスからのデータのアップロードを可能にするモジュールを含み得る。
【0099】
ユーザは、
図4に示すように、個々の設定に応じてログインしたりしなかったりする。ユーザ詳細は入力してもしなくてもよい。そのセッション(例えば、地形、履物、活動など)の変数について能動的に感知されるか、ユーザによって入力されるか、又はデフォルト設定であるかのいずれかであるパラメータも入力され得る。活動が行われ、そのセッションのためのパラメータを用いて、これらの設定された変数の境界(perimeter)の外側にある場合には、制約又は結果として生じるフィードバックをユーザに提供するであろう。セッションからの記憶されたデータは、適切なインターフェースを有する装置上で見ることができる。
【0100】
フィードバックモジュールは、ユーザデバイス108上で実行されるものとして説明されているが、いくつかの実施形態では、フィードバックモジュールは、装置100が独立型デバイスとして使用されることができるように、装置100のマイクロプロセッサユニット202によって実行され得る。
【0101】
本明細書で説明される装置及び方法は、療法士若しくは他の医療専門家とともにクリニックで、療法士若しくは他の医療専門家とともに遠隔医療設定で、又は医療若しくはフィットネス専門家とともに対面で若しくは仮想グループクラスで使用され得る。本装置及び方法はまた、プライベート/過程環境又はジムにいる間、ユーザによって独立して使用されることもできる。
【0102】
本発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正が当業者には明らかであろう。
【0103】
本明細書における任意の先行技術への言及は、その先行技術が、本明細書が関連する努力傾注分野における共通及び一般的な知識の一部を形成することの承認又は任意の形態の示唆ではなく、また、そのように解釈されるべきではない。
【国際調査報告】