(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料とその作製方法および応用
(51)【国際特許分類】
C01B 33/02 20060101AFI20240829BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240829BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240829BHJP
C08L 25/04 20060101ALI20240829BHJP
C08K 9/04 20060101ALI20240829BHJP
C08K 5/544 20060101ALI20240829BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C01B33/02 Z
H01M4/38 Z
H01M4/36 C
C08L25/04
C08K9/04
C08K5/544
C08L101/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522505
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2022133358
(87)【国際公開番号】W WO2024031867
(87)【国際公開日】2024-02-15
(31)【優先権主張番号】202210953961.9
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522482968
【氏名又は名称】勝華新能源科技(東営)有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHINGHWA AMPEREX TECHNOLOGY (DONGYING)CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 198, Tongxing Road, Kenli District, Dongying, Shandong, China
(71)【出願人】
【識別番号】522482979
【氏名又は名称】勝華新材料科技(眉山)有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHINGHWA ADVANCED MATERIAL TECHNOLOGY (MEISHAN) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 1, Jintai Road, High Tech Industrial Park Meishan, Sichuan, 620010 China
(71)【出願人】
【識別番号】522482980
【氏名又は名称】石大勝華新材料集団股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHIDA SHINGHWA ADVANCED MATERIAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 198, Tongxing Road, Kenli District, Dongying, Shandong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丁偉涛
(72)【発明者】
【氏名】▲しん▼顕博
(72)【発明者】
【氏名】劉登華
(72)【発明者】
【氏名】陳英楠
【テーマコード(参考)】
4G072
4J002
5H050
【Fターム(参考)】
4G072AA01
4G072BB05
4G072DD04
4G072GG02
4G072GG03
4G072HH01
4G072HH28
4G072JJ02
4G072JJ15
4G072JJ16
4G072JJ47
4G072KK01
4G072KK15
4G072LL06
4G072QQ09
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4G072RR15
4G072RR19
4G072RR20
4G072RR28
4G072TT01
4G072UU30
4J002AA001
4J002BC021
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4J002FD206
4J002FD207
4J002GQ00
5H050AA02
5H050AA07
5H050AA12
5H050BA17
5H050CB12
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA05
5H050GA10
5H050HA01
5H050HA14
(57)【要約】
本発明は、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料とその作製方法および応用を開示し、コアとしてのシリコン系基材および、シェルとしての被覆層を少なくとも含み、ここで、被覆層は窒素ドープ非晶質炭素とグラフェンを含み、グラフェンは、窒素ドープ非晶質炭素の外面に被覆され、および/または窒素ドープ非晶質炭素にドープされており、本発明は、保液性を顕著に向上させ、充放電時のシリコンの膨張を抑制することができるとともに、インピーダンスを低減し、その適用した電池のサイクル特性やパワー性能を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアとしてのシリコン系基材および、シェルとしての被覆層を少なくとも含み、前記被覆層は窒素ドープ非晶質炭素とグラフェンを含み、前記グラフェンは、前記窒素ドープ非晶質炭素の外面に被覆され、および/または前記窒素ドープ非晶質炭素にドープされていることを特徴とする、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料。
【請求項2】
前記シリコン系基材と前記被覆層との質量比は100:1-8であり、および/または、前記被覆層における窒素ドープ非晶質炭素とグラフェンとの質量比は10:0.5-4であることを特徴とする、請求項1に記載の窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料。
【請求項3】
前記シリコン系基材はナノシリコンを含み、前記窒素ドープ非晶質炭素は、多孔質網目構造を呈する窒素ドープ多孔質炭素を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料。
【請求項4】
炭素源および窒素源カップリング剤を、カルボキシル化したシリコン系基材と電気化学的に重合してシリコン系前駆体を得、当該シリコン系前駆体と酸化グラフェン分散液を水熱反応、水素還元反応、炭化処理させた後、前記窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を得ることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の作製方法。
【請求項5】
以下の操作ステップ、すなわち、
前記カルボキシル化したシリコン系基材とバインダーを均一に混合した後、プレス成形することによりロッド状のシリコン系複合体を得るステップS10)と、
溶媒に溶解した炭素源と窒素源カップリング剤を電解液として用い、前記ロッド状のシリコン系複合体を作用電極として用い、電気化学的重合によりシリコン系前駆体を得るステップS20)と、
前記シリコン系前駆体を酸化グラフェン分散液に入れて均一に分散させ、加熱加圧条件下で水熱反応させた後、乾燥・粉砕するステップS30)と、
上記ステップS30)により得られた複合材料と水素を、水素還元反応させた後、炭化処理を行い、前記窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を得るステップS40)と、を含むことを特徴とする、請求項4に記載の作製方法。
【請求項6】
前記シリコン系基材はナノシリコンを含み、前記ナノシリコンを酸性溶液によりカルボキシル化処理し、前記炭素源はポリスチレンを含み、前記窒素源カップリング剤はアミノシランカップリング剤を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の作製方法。
【請求項7】
前記電気化学的重合は、飽和カロメル電極を参照電極として用い、-2V~2Vの電圧範囲において、0.5-5mV/sのスキャンレートで10-100サイクルスキャンし、電気化学的に重合した作用電極を洗浄し、ろ過して、シリコン系前駆体としての窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料を得ることを含むことを特徴とする、請求項5に記載の作製方法。
【請求項8】
前記酸化グラフェン分散液における酸化グラフェンの重量部は0.5-8wt%であり、前記水熱反応は、温度範囲を100-200℃にし、圧力範囲を1-5Mpaにした条件下で少なくとも1時間水熱反応することを含み、前記水素還元反応は、真空下で体積比1-5:10の水素と不活性ガスを注入し、温度範囲を250-350℃にした条件下で少なくとも1時間水素還元反応することを含み、前記炭化処理は、温度範囲を700-1100℃にした条件下で少なくとも1時間炭化することを含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の作製方法。
【請求項9】
前記シリコン系前駆体と酸化グラフェンの質量比は100:1-8であり、前記バインダーは、アスファルトおよび/またはポリビニルアルコールおよび/またはCMCバインダーおよび/またはLA133バインダーおよび/またはSBR(スチレンブタジエンゴム)ラテックスバインダーおよび/またはLA136Dバインダーを含むことを特徴とする、請求項5または7に記載の作製方法。
【請求項10】
電池の極片を作製するための活物質原料として前記窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を使用する、請求項1~3のいずれか一項に記載の窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年08月10日に中国国家知識産権局特許庁に出願された、発明名称が「窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料とその作製方法および応用」である中国特許出願第2022109539619号の優先権を主張し、その全ての内容が本出願に参照により組み込まれている。
【0002】
本発明は、リチウムイオン電池の作製の分野に属し、具体的には、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料に関し、本発明はさらに、当該窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の作製およびその応用に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)などの新しい市場の出現に伴い、リチウムイオン電池(LIB)への需要は非常に大きくなる。現在リチウムイオン電池の業務用負極材料は、主に黒鉛炭素系の炭素材料であり、その最大理論比容量は372mAh/gに過ぎないため、リチウム電池のさらなる高容量化が制限されている。
【0004】
シリコンは理論容量が高く(例えば、Li4.4Si合金の理論容量は約4200mAh/g)、資源も豊富なため、新世代の電極材料として最も有望であり、そこで、シリコン系電極のリチウム化電圧プラットフォームは黒鉛電極より高く、リチウムデンドライトの形成を効果的に回避でき、さらにリチウムイオン電池の安全性を高めることができる。しかし、シリコン系電極は、リチウムの埋め込みと脱リチウムの過程で、体積が(約300%)膨張するため、シリコン系電極の構造の破壊およびその電極の剥がれ、チョーキング、導電率の低下が起こり、さらに、リチウムイオン電池の容量が急速に減衰し、また、シリコンの電子の電気伝導率が低いため、そのレート特性も比較的低い。
【0005】
本出願人は、上記の現状を踏まえ、発明者の長年にわたるシリコン系材料およびリチウムイオン電池の分野における熱心な研究経験に基づいて、上記技術的課題を解決するための技術的解決手段を模索することにした。
【発明の概要】
【0006】
これに鑑み、本発明の目的は、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料とその作製方法および応用を提供することであり、保液性を顕著に向上させ、充放電時のシリコンの膨張を抑制することができるとともに、インピーダンスを低減し、その適用した電池のサイクル特性やパワー性能を向上させることができる。
【0007】
本発明で使用される技術的解決手段は、以下のとおりである。
【0008】
窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料であって、コアとしてのシリコン系基材および、シェルとしての被覆層を少なくとも含み、ここで、前記被覆層は窒素ドープ非晶質炭素とグラフェンを含み、前記グラフェンは、前記窒素ドープ非晶質炭素の外面に被覆され、および/または前記窒素ドープ非晶質炭素にドープされている。
【0009】
好ましくは、前記シリコン系基材と前記被覆層との質量比は100:1-8であり、および/または、前記被覆層における窒素ドープ非晶質炭素とグラフェンとの質量比は10:0.5-4である。
【0010】
好ましくは、前記シリコン系基材はナノシリコンを含み、前記窒素ドープ非晶質炭素は、多孔質網目構造を呈する窒素ドープ多孔質炭素を含む。
【0011】
好ましくは、上記のような窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の作製方法であって、炭素源および窒素源カップリング剤を、カルボキシル化したシリコン系基材と電気化学的に重合して(すなわち電気化学堆積法により)シリコン系前駆体を得、当該シリコン系前駆体と酸化グラフェン分散液を水熱反応、水素還元反応、炭化処理させた後、前記窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を得る。
【0012】
好ましくは、以下の操作ステップ、すなわち、
前記カルボキシル化したシリコン系基材とバインダーを均一に混合した後、プレス成形することによりロッド状のシリコン系複合体を得るステップS10)と、
溶媒に溶解した炭素源と窒素源カップリング剤を電解液として用い、前記ロッド状のシリコン系複合体を作用電極として用い、電気化学的重合によりシリコン系前駆体を得るステップS20)と、
前記シリコン系前駆体を酸化グラフェン分散液に入れて均一に分散させ、加熱加圧条件下で水熱反応させた後、乾燥・粉砕するステップS30)と、
上記ステップS30)により得られた複合材料と水素を、水素還元反応させた後、炭化処理を行い、前記窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を得るステップS40)と、を含む。
【0013】
好ましくは、前記シリコン系基材はナノシリコンを含み、前記ナノシリコンを酸性溶液によりカルボキシル化処理し、前記炭素源はポリスチレンを含み、前記窒素源カップリング剤はアミノシランカップリング剤を含む。
【0014】
好ましくは、前記電気化学的重合は、飽和カロメル電極を参照電極として用い、-2V~2Vの電圧範囲において、0.5-5mV/sのスキャンレートで10-100サイクルスキャンし、電気化学的に重合した作用電極を洗浄し、ろ過して、シリコン系前駆体としての窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料を得ることを含む。
【0015】
好ましくは、前記酸化グラフェン分散液における酸化グラフェンの重量部は0.5-8wt%であり、前記水熱反応は、温度範囲を100-200℃にし、圧力範囲を1-5Mpaにした条件下で少なくとも1時間水熱反応することを含み、前記水素還元反応は、真空下で体積比1-5:10の水素と不活性ガスを注入し、温度範囲を250-350℃にした条件下で少なくとも1時間水素還元反応することを含み、前記炭化処理は、温度範囲を700-1100℃にした条件下で少なくとも1時間炭化することを含む。
【0016】
好ましくは、前記シリコン系前駆体と酸化グラフェンの質量比は100:1-8であり、前記バインダーは、アスファルトおよび/またはポリビニルアルコールおよび/またはCMCバインダーおよび/またはLA133バインダーおよび/またはSBR(スチレンブタジエンゴム)ラテックスバインダーおよび/またはLA136Dバインダーを含む。
【0017】
好ましくは、上記のような窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の応用であって、電池の極片を作製するための活物質原料として前記窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を使用する。
【0018】
なお、本出願に係るナノシリコン(Si)とは、直径20nm未満の結晶シリコン粒子を指し、市場から直接購入することができる。さらに説明すべきことは、本出願に係るロッド状のシリコン系複合体は、具体的には、ロッド状、シート状または他の電気化学堆積法に使用できる作用電極の形状であってもよい点であり、これらの形状の変更は全て、本出願に記載のロッド状のシリコン系複合体の範囲に含まれる。
【0019】
本出願によって提供される窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料における被覆層は、窒素ドープ非晶質炭素とグラフェンを含み、グラフェンは窒素ドープ非晶質炭素の外面に被覆され、および/または窒素ドープ非晶質炭素にドープされており、保液性を顕著に向上させ、充放電時のシリコンの膨張を抑制することができ、また、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料における非晶質炭素が窒素原子を含むため、インピーダンスを低減できるとともに炭素の等方性にも優れ、その適用した電池のパワー性能を向上させることができ、また、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料におけるグラフェンは、非晶質炭素の外面に被覆され、および/または非晶質炭素にドープされているため、インピーダンスをさらに低減し、その適用した電池のサイクル特性やパワー性能をより一層向上させることができる。
【0020】
本出願の作製では、まず、電気化学堆積法でシリコン系基材の表面に化学結合による接続を確立し、シリコン系基材に基づいて作製された作用電極の表面に、窒素源と炭素源を複合した多孔質網目構造を堆積させ、グラフェンを複合した後、炭化することを提出し、形成した多孔質炭素構造は、シリコンの膨張を顕著に抑制するとともに、インピーダンスを顕著に低減することができ、作製プロセスは安定的、信頼的であり、効率が高く、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の量産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例1における窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施例は、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を開示し、コアとしてのシリコン系基材および、シェルとしての被覆層を少なくとも含み、ここで、被覆層は窒素ドープ非晶質炭素とグラフェンを含み、グラフェンは、窒素ドープ非晶質炭素の外面に被覆され、および/または窒素ドープ非晶質炭素にドープされ、本実施形態において、シリコン系基材と被覆層の質量比は、好ましくは100:1-8であり、より好ましくは100:1-6であり、さらに好ましくは100:1-5であり、および/または、被覆層における窒素ドープ非晶質炭素とグラフェンの質量比は、好ましくは10:0.5-4であり、より好ましくは10:0.5-3であり、さらに好ましくは10:0.5-2である。
【0023】
好ましくは、本実施形態において、シリコン系基材はナノシリコンを含み、窒素ドープ非晶質炭素は、多孔質網目構造を呈する窒素ドープ多孔質炭素を含み、シリコンの膨張を顕著に抑制するとともに、インピーダンスを顕著に低減することができる。
【0024】
本実施例に記載された上記の窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を効率的かつ信頼的、安定的に得るために、好ましくは、本実施例は、上記のような窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の作製方法をさらに提出し、炭素源および窒素源カップリング剤を、カルボキシル化したシリコン系基材と電気化学的に重合してシリコン系前駆体を得、当該シリコン系前駆体と酸化グラフェン分散液を水熱反応、水素還元反応、炭化処理させた後、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を得る。
【0025】
さらに好ましくは、本実施形態において、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の作製方法は、以下の操作ステップのS10)~S40)を含む。
【0026】
S10)において、カルボキシル化したナノシリコンとバインダーを均一に混合した後、プレス成形することにより(ホットプレスに入れて行ってもよい)ロッド状のシリコン系複合体を得、ここで、好ましくは、このステップS10)では、シリコン系基材はナノシリコンを含み、ナノシリコンを酸性溶液によってカルボキシル化処理して、カルボキシル化したナノシリコンを得、具体的に好ましくは、ナノシリコンを濃硫酸/濃硝酸の混合液に入れ、25-80℃の温度で1-24時間浸漬させ、その後、脱イオン水で洗浄し、このステップS10)におけるカルボキシル化したナノシリコンを得、好ましくは、このステップS10)では、バインダーは、アスファルトおよび/またはポリビニルアルコールおよび/またはCMCバインダーおよび/またはLA133型バインダーおよび/またはSBR(スチレンブタジエンゴム)ラテックスバインダーおよび/またはLA136Dバインダーを含み、他の適当な周知のバインダーを使用してもよく、具体的に好ましくは、カルボキシル化したナノシリコンとバインダーの質量比は80-90:10-20である。
【0027】
S20)において、溶媒に溶解した炭素源と窒素源カップリング剤を電解液として用い、ロッド状のシリコン系複合体を作用電極として用い、電気化学的重合によりシリコン系前駆体を得、好ましくは、このステップS20)では、炭素源はポリスチレンを含み、窒素源カップリング剤はアミノシランカップリング剤を含み、溶媒はクロロホルムを用い、具体的に好ましくは、ポリスチレン:アミノシランカップリング剤:クロロホルムの質量比は1-5:1-5:100であり、他の実施形態では、炭素源または窒素源カップリング剤として、同様の効果を有する他の周知の物質を使用してもよく、本実施例では唯一に限定されなく、好ましくは、このステップS20)では、電気化学的重合は、飽和カロメル電極を参照電極として用い、-2V~2Vの電圧範囲において、0.5-5mV/sのスキャンレートで10-100サイクルスキャンし、電気化学的に重合した作用電極を洗浄し、ろ過して、シリコン系前駆体としての窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料を得ることを含む。
【0028】
S30)において、シリコン系前駆体を酸化グラフェン分散液に入れて均一に分散させ、加熱加圧条件下で水熱反応させた後、乾燥・粉砕し、このステップS30)では、シリコン系前駆体と酸化グラフェンの質量比は好ましくは100:1-8であり、より好ましくは100:1-5であり、酸化グラフェン分散液における酸化グラフェンの重量部は好ましくは0.5-8wt%であり、より好ましくは0.5-6wt%であり、さらに好ましくは0.5-5wt%であり、水熱反応は、温度範囲を100-200℃にし、圧力範囲を1-5Mpaにした条件下で、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは1-8時間、さらに好ましくは1-6時間水熱反応することを含む。
【0029】
S40)において、上記ステップS30)により得られた複合材料と水素を、水素還元反応させた後、炭化処理を行い、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を得、このステップS40)では、水素還元反応は、真空下で体積比1-5:10の水素と不活性ガス(すなわち混合ガス)を注入し、温度範囲を250-350℃にした条件下で好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは1-8時間、さらに好ましくは1-6時間水素還元反応することを含み、炭化処理は、温度範囲を700-1100℃にした条件下で、好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは1-8時間、さらに好ましくは1-6時間炭化することを含む。
【0030】
特に説明すべきことは、本出願では、広範な実験を通じて、上記の実施例によって好ましい各範囲のパラメータを例示するが、当業者は、実際の状況に応じてこれらの好ましい範囲(終点値と中間値を含む)のパラメータから選択することができる点であり、明細書の紙面を節約するために、本実施例では省略される。
【0031】
好ましくは、本実施例は、上記のような窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の応用をさらに提出し、電池の極片を作製するための活物質原料として窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を使用し、電池の極片を作製するための活物質原料としてシリコン炭素複合材料を使用し、具体的には電池の負極極片として使用でき、実際の必要に応じて選択することができ、具体的に実施する場合、電池の負極極片の作製プロセスは、任意の周知のプロセスを用いることができ、この部分は、本出願の革新的な内容ではなく、本出願で如何なる制限もせず、さらに説明すべきことは、本出願の実施応用では、電池は、ボタン電池、パウチ電池または他の公知の電池であってもよく、当業者は実際の必要に応じて適用することができる点であり、本出願では特に限定されない。
【0032】
当業者が本発明の技術的解決手段を容易に理解できるように、以下は本発明の実施例における図面と併せて、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、当然ながら、記述した実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、その全てではない。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的労力を要することなく得られた他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0033】
実施例1:以下のステップに従って操作する。
【0034】
ステップ1、ナノシリコンを濃硫酸/濃硝酸の混合液に入れ、50℃で12時間浸漬させ、その後、脱イオン水で洗浄し、カルボキシル化したナノシリコンを得る。
【0035】
ステップ2、85gのカルボキシル化したナノシリコンと15gのアスファルトバインダーを均一に混合した後、ホットプレスに入れ、100℃の温度でプレスし、ロッド状のシリコン系複合体を得る。
【0036】
ステップ3、電気化学堆積法(サイクリックボルタンメトリー)による電気化学的重合を実施し、具体的には、ロッド状のシリコン系複合体を作用電極とし、飽和カロメル電極を参照電極とし、-2V~2Vの電圧範囲において、1mV/sのスキャンレートで50サイクルスキャンすることを含み、そして、電気化学的に重合した作用電極を脱イオン水で洗浄し、ろ過し、シリコン系前駆体として窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料を得、ここで、電気化学的重合における電解液は、3gのポリスチレン、3gのアミノシランカップリング剤を100mlのクロロホルム溶媒に溶解させた溶液(質量濃度が6%)を採用する。
【0037】
ステップ4、100gの窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料を、質量濃度1wt%の酸化グラフェン分散液300mlに添加し、均一に分散させた後、オートクレーブに移し、温度150℃、圧力3Mpaの条件下で3時間反応させ、真空下で乾燥、粉砕する。
【0038】
ステップ5、その後、管状炭化炉に移し、まずアルゴン不活性ガスを注入して管内の空気を除去し、次に水素混合ガス(混合ガスにおける水素とアルゴンの体積比は3:10)を注入し、300℃の温度で3時間水素還元反応させる。
【0039】
ステップ6、その後、950℃に昇温させて3時間炭化処理し、本実施例1の窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を得た。
【0040】
本出願では、実施例1で得られた窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料をSEM(すなわち走査型電子顕微鏡)で測定し、測定結果を
図1に示し、
図1から、実施例1で得られたシリコン炭素複合材料粒子の粒径は5-10μmであり、かつ少量のシート状構造のグラフェンがシリコン炭素複合材料にドープされていることが確認できる。
【0041】
実施例2:以下のステップに従って操作する。
【0042】
ステップ1、ナノシリコンを濃硫酸/濃硝酸の混合液に入れ、25℃で24時間浸漬させ、その後、脱イオン水で洗浄し、カルボキシル化したナノシリコンを得る。
【0043】
ステップ2、80gのカルボキシル化したナノシリコンと29gのポリビニルアルコールバインダーを均一に混合した後、ホットプレスに入れ、100℃の温度でプレスし、ロッド状のシリコン系複合体を得る。
【0044】
ステップ3、電気化学堆積法(サイクリックボルタンメトリー)による電気化学的重合を実施し、具体的には、ロッド状のシリコン系複合体を作用電極とし、飽和カロメル電極を参照電極とし、-2V~2Vの電圧範囲において、0.5mV/sのスキャンレートで10サイクルスキャンすることを含み、そして、電気化学的に重合した作用電極を脱イオン水で洗浄し、ろ過し、シリコン系前駆体として窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料を得、ここで、電気化学的重合における電解液は、1gのポリスチレン、1gのアミノシランカップリング剤を100mlのクロロホルム溶媒に溶解させた混合溶液を採用する。
【0045】
ステップ4、100gの窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料を、質量濃度0.5wt%の酸化グラフェン分散液20mlに添加し、均一に分散させた後、オートクレーブに移し、温度100℃、圧力5Mpaで6時間反応させ、真空下で乾燥、粉砕する。
【0046】
ステップ5、その後、管状炭化炉に移し、まずアルゴン不活性ガスを注入して管内の空気を除去し、次に水素混合ガス(混合ガスにおける水素とアルゴンの体積比は1:10)を注入し、250℃の温度で6時間水素還元反応させる。
【0047】
ステップ6、その後、700℃に昇温させて6時間炭化処理し、本実施例2の窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を得た。
【0048】
実施例3:以下のステップに従って操作する。
【0049】
ステップ1、ナノシリコンを濃硫酸/濃硝酸の混合液に入れ、80℃で1時間浸漬させ、その後、脱イオン水で洗浄し、カルボキシル化したナノシリコンを得る。
【0050】
ステップ2、90gのカルボキシル化したナノシリコンと10gのCMCバインダーを均一に混合した後、ホットプレスに入れ、100℃の温度でプレスし、ロッド状のシリコン系複合体を得る。
【0051】
ステップ3、電気化学堆積法(サイクリックボルタンメトリー)による電気化学的重合を実施し、具体的には、ロッド状のシリコン系複合体を作用電極とし、飽和カロメル電極を参照電極とし、-2V~2Vの電圧範囲において、5mV/sのスキャンレートで100サイクルスキャンすることを含み、そして、電気化学的に重合した作用電極を脱イオン水で洗浄し、ろ過し、シリコン系前駆体として窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料を得、ここで、電気化学的重合における電解液は、5gのポリスチレン、5gのアミノシランカップリング剤を100mlのクロロホルム溶媒に溶解させた混合溶液を採用する。
【0052】
ステップ4、100gの窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料を、質量濃度5wt%の酸化グラフェン分散液100mlに添加し、均一に分散させた後、オートクレーブに移し、温度200℃、圧力1Mpaで1時間反応させ、真空下で乾燥、粉砕する。
【0053】
ステップ5、その後、管状炭化炉に移し、まずアルゴン不活性ガスを注入して管内の空気を除去し、次に水素混合ガス(混合ガスにおける水素とアルゴンの体積比は5:10)を注入し、350℃の温度で1時間水素還元反応させる。
【0054】
ステップ6、その後、1100℃に昇温させて1時間炭化処理し、本実施例3の窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を得た。
【0055】
本出願の実施例が奏する技術的効果を検証するために、本出願は、さらに以下の比較例を特別に設定した。
【0056】
比較例1:本比較例1の技術的解決手段は実施例1と同様であるが、その相違点として、本比較例1では、100gの実施例1のカルボキシル化したナノシリコン(実施例1のステップ1で得られたもの)と5gのポリスチレン、5gのアミノシランカップリング剤を100mlのクロロホルム溶媒に溶解させて均一に分散させた後、スプレードライしてシリコン系前駆体を得、実施例1の窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料の代わりにそれを使用して、比較例1のシリコン炭素複合材料を得た。
【0057】
比較例2:本比較例2の技術的解決手段は実施例1と同様であるが、その相違点として、実施例1のステップ4を省略し、実施例1のステップ3で得られた窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料100gを直接管状炭化炉に移し、実施例1の実施ステップ5、ステップ6を参考して比較例2のシリコン炭素複合材料を得た。
【0058】
上記の実施例と比較例の効果を比較して検証するために、本出願では、中国国家標準GBT-245332019「リチウムイオン電池黒鉛系負極材料」の方法に従って、実施例1-3で得られたシリコン炭素複合材料および比較例1-2のシリコン炭素複合材料に対して、物理的および化学的特性(粉末導電率、タップ密度、比表面積、粒度)を試験し、試験結果を表1に示す。
【0059】
【0060】
表1から、本発明の実施例1-3のシリコン炭素複合材料は、比較例1-2と比較して、シリコン炭素複合材料の粉末導電率が顕著に向上することが分かり、その理由として、本出願の実施例では、ナノシリコンの表面にポリスチレンとそのアミノシランカップリング剤を電気化学堆積法により堆積させ、グラフェンを被覆して炭化処理することにより、高緻密度で安定かつ信頼性の高い構造を持つ非晶質炭素を形成し、それによって、インピーダンスを低減し、シリコン炭素複合材料のタップ密度を向上させ、また、アミノシランカップリング剤は網目構造を形成できるため、シリコン炭素複合材料のタップ密度をさらに向上させることができる。
【0061】
上記の実施例と比較例の効果をさらに比較して検証するために、本出願では、実施例1-3で得られたシリコン炭素複合材料および比較例1-2のシリコン炭素複合材料をそれぞれリチウムイオン電池の負極極片の活物質原料として使用し、それぞれ以下の方法で5つのボタン電池を組み立てた。
【0062】
9gの活物質(すなわち、実施例または比較例に対応するシリコン炭素複合材料)、0.5gの導電剤SP、0.5gのLA133バインダーを220mLの脱イオン水に添加して均一に撹拌し、ペーストを得、当該ペーストを銅箔集電体に塗布して極片を得た。
【0063】
負極としての、対応して得られた極片、対極としてのリチウム金属板、電解液およびセパレータを、酸素、水の含有量がともに0.1ppm未満のグローブボックスにおいてボタン電池に組み立て、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2の順で、その対応して作製されたボタン電池をそれぞれA-1、B-1、C-1、D-1、E-1と表記し、ここで、セパレータは具体的にcelgard 2400を選択し、電解液は具体的にLiPF6の溶液を選択し、LiPF6の濃度は1.2mol/Lであり、その溶媒は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)(重量比は1:1)の混合溶液である。
【0064】
その後、藍電(LAND)試験装置でボタン電池の性能を試験し、0.1Cの充放電レート、0.005~2Vの電圧範囲の試験条件下で、3つサイクルした後に停止し、その後、その負極極片の満充電による膨張を測定し、測定結果を表2に示す。
【0065】
【0066】
表2から分かるように、本発明の実施例1-3で提供されるシリコン炭素複合材料を用いて作製されたボタン電池は、比較例1-2と比較して、ボタン電池の初回放電容量および初回効率が顕著に向上し、電池の満充電による膨張が顕著に低減される。
【0067】
上記の実施例と比較例の効果をさらに比較して検証するために、本出願では、上記の実施例1-3および比較例1-2で得られたシリコン炭素複合材料をリチウムイオン電池負極材料の活物質原料として使用し、それぞれ以下の方法で5Ah仕様のパウチ電池を5つ組み立てた。
【0068】
負極材料としてその対応するシリコン炭素複合材料に90wt%(負極極片における重量%)の人造黒鉛をドープして負極極片を作製し、三元材料(Li(Ni0.6Co0.2Mn0.2)O2)を正極材料とし、Celgard 2400膜をセパレータとし、電解液は、LiPF6を電解質とし、かつ体積比1:1のエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合物を溶媒とし、LiPF6の濃度は1.3mol/Lであり、5Ahのパウチ電池を作製した。実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2の順で、その対応して作製されたパウチ電池をそれぞれA-2、B-2、C-2、D-2、E-2と表記した。
【0069】
本出願では、上記の実施例1-3および比較例1-2で対応して作製されたパウチ電池に対して、以下の性能をそれぞれ試験した。
【0070】
(1)容量を測定した各パウチ電池を解体してその負極極片の厚みD1を測定し、次に各パウチ電池を100回サイクル(サイクル試験条件:1C/1C@25±3℃@2.5-4.2V)した後、パウチ電池を満充電し、そして、再解体して、サイクルした負極極片の厚みD2を測定し、
を計算し、測定結果を表3に示す。
【0071】
【0072】
表3から分かるように、本発明の実施例1-3で提供されるシリコン炭素複合材料を用いて作製されたパウチリチウムイオン電池は、比較例1-2と比較して、その負極極片の膨張率が顕著に低減される。以上により、本発明の実施例で提供されるシリコン炭素複合材料は、その適用した電池の充放電時の膨張を効果的に低減できることが証明される。
【0073】
(2)各パウチ電池に対して、サイクル特性試験とレート試験を実施し、2.5~4.2Vの充放電電圧範囲、25±3.0℃の温度、1.0C/1.0Cの充放電レートを試験条件とする。レート試験:2Cの条件下での当該材料の定電流比を測定し、その測定結果を表4に示す。
【0074】
【0075】
表4から分かるように、本発明の実施例1-3で提供されるシリコン炭素複合材料を用いて作製されたパウチ型のリチウムイオン電池は、サイクル特性の点で比較例1-2と比較して顕著に優れ、それによって確認できるように、本発明の実施例で提供されるシリコン炭素複合材料は、低膨張や低インピーダンスなどの特性を有するため、サイクル時の膨張率が低く、SEIによるリチウムイオンの消費を低減してサイクル特性を高め、また、本発明の実施例で提供されるシリコン炭素複合材料は、インピーダンスが低いため、リチウムイオン電池のレート特性を高め、つまり高い定電流比を有する。
【0076】
本発明は上記の例示的な実施例の詳細に限定されるものではなく、本発明の精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で本発明を実施可能であることは、当業者にとって自明である。したがって、実施例は、いずれの観点からも例示的かつ非限定的なものであるとみなされるべきであり、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるため、特許請求の範囲の同等の要素の意味および範囲に入るすべての変形を本発明に包含することが意図される。特許請求の範囲に付された参照番号は、当該特許請求の範囲を限定するものと見なしてはならない。
【0077】
さらに、理解されるように、本明細書は実施形態に従って記載されているが、各実施形態が1つの別個の技術的解決手段のみを含むわけではなく、本明細書でのこのような記載方式は説明を明確化するためのものに過ぎず、当業者は本明細書を全体として捉えるべきであり、各実施例の技術的解決手段はまた、適当に組み合わて、当業者が理解し得る他の実施形態を形成することが可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素源および窒素源カップリング剤を、カルボキシル化したシリコン系基材と電気化学的に重合してシリコン系前駆体を得、当該シリコン系前駆体と酸化グラフェン分散液を水熱反応、水素還元反応、炭化処理させた後、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を得る窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の作製方法
であって、
以下の操作ステップ、すなわち、
前記カルボキシル化したシリコン系基材とバインダーを均一に混合した後、プレス成形することによりロッド状のシリコン系複合体を得るステップS10)と、
溶媒に溶解した炭素源と窒素源カップリング剤を電解液として用い、前記ロッド状のシリコン系複合体を作用電極として用い、電気化学的重合によりシリコン系前駆体を得、前記電気化学的重合は、飽和カロメル電極を参照電極として用い、-2V~2Vの電圧範囲において、0.5-5mV/sのスキャンレートで10-100サイクルスキャンし、電気化学的に重合した作用電極を洗浄し、ろ過して、シリコン系前駆体としての窒素ドープシリコン/ポリスチレン微小球複合材料を得るステップS20)と、
前記シリコン系前駆体を酸化グラフェン分散液に入れて均一に分散させ、加熱加圧条件下で水熱反応させた後、乾燥・粉砕し、前記水熱反応は、温度範囲を100-200℃にし、圧力範囲を1-5Mpaにした条件下で少なくとも1時間水熱反応することを含むステップS30)と、
上記ステップS30)により得られた複合材料と水素を、水素還元反応させた後、炭化処理を行い、前記窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を得、前記水素還元反応は、真空下で体積比1-5:10の水素と不活性ガスを注入し、温度範囲を250-350℃にした条件下で少なくとも1時間水素還元反応することを含むステップS40)と、を含むことを特徴とする、窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の作製方法。
【請求項2】
前記シリコン系基材はナノシリコンを含み、前記ナノシリコンを酸性溶液によりカルボキシル化処理し、前記炭素源はポリスチレンを含み、前記窒素源カップリング剤はアミノシランカップリング剤を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の作製方法。
【請求項3】
前記酸化グラフェン分散液における酸化グラフェンの重量部は0.5-8wt%であり
、前記炭化処理は、温度範囲を700-1100℃にした条件下で少なくとも1時間炭化することを含むことを特徴とする、請求項
1に記載の作製方法。
【請求項4】
前記シリコン系前駆体と酸化グラフェンの質量比は100:1-8であり、前記バインダーは、アスファルトおよび/またはポリビニルアルコールおよび/またはCMCバインダーおよび/またはLA133バインダーおよび/またはSBR(スチレンブタジエンゴム)ラテックスバインダーおよび/またはLA136Dバインダーを含むことを特徴とする、請求項
1に記載の作製方法。
【請求項5】
コアとしてのシリコン系基材および、シェルとしての被覆層を少なくとも含み、前記被覆層は窒素ドープ非晶質炭素とグラフェンを含み、前記グラフェンは、前記窒素ドープ非晶質炭素の外面に被覆され、および/または前記窒素ドープ非晶質炭素にドープされていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の作製方法によって作製した窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料。
【請求項6】
前記シリコン系基材と前記被覆層との質量比は100:1-8であり、および/または、前記被覆層における窒素ドープ非晶質炭素とグラフェンとの質量比は10:0.5-4であることを特徴とする、請求項5に記載の窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料。
【請求項7】
前記シリコン系基材はナノシリコンを含み、前記窒素ドープ非晶質炭素は、多孔質網目構造を呈する窒素ドープ多孔質炭素を含むことを特徴とする、請求項5に記載の窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料。
【請求項8】
電池の極片を作製するための活物質原料として前記窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料を使用する、請求項
5に記載の窒素ドープグラフェン被覆シリコン炭素複合材料の応用。
【国際調査報告】