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特表2024-532042扁平形状の加熱チャンバを備えるエアロゾル発生デバイス及び関連するエアロゾル発生アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】扁平形状の加熱チャンバを備えるエアロゾル発生デバイス及び関連するエアロゾル発生アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240829BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240829BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240829BHJP
【FI】
A24F40/46
A24D1/20
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577787
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022074150
(87)【国際公開番号】W WO2023031244
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】21193966.5
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライト, アレク
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC01
4B162AC22
(57)【要約】
本発明は、閉鎖端(51)と開放端(52)との間でチャンバ軸に沿って延在する加熱チャンバ(50)を備えるエアロゾル発生デバイス(11)であって、加熱チャンバ(50)は、扁平形状であり、その開放端(52)を通して扁平形状のたばこ物品(12)を受け入れるよう構成され、閉鎖端(51)に隣接する第1の部分と、開放端(52)に隣接する第2の部分とを画成し、加熱チャンバ(50)は、互いに対向し、加熱チャンバ(50)の両方の部分を通って延在する少なくとも2つのチャンバ接触壁(54A、54B)を備え、チャンバ接触壁(54A、54B)は、加熱チャンバ(50)の第2の部分におけるこれらの壁の間の距離が、加熱チャンバ(50)の第1の部分におけるこれらの壁の間の距離よりも大きくなるように配置される、エアロゾル発生デバイス(11)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖端(51;151;251)と開放端(52;152;252)との間でチャンバ軸に沿って延在する加熱チャンバ(50;150;250)を備えるエアロゾル発生デバイス(11)であって、
前記加熱チャンバ(50;150;250)は、扁平形状であり、その開放端(52;152;252)を通して扁平形状のたばこ物品(12)を受け入れるよう構成され、前記閉鎖端(51;151;251)に隣接する第1の部分と、前記開放端(52;152;252)に隣接する第2の部分とを画成し、
前記加熱チャンバ(50;150;250)は、互いに対向し、前記加熱チャンバ(50;150;250)の両方の部分を通って延在する少なくとも2つのチャンバ接触壁(54A、54B;154A、154B;254A、254B)を備え、
前記チャンバ接触壁(54A、54B;154A、154B;254A、254B)は、前記加熱チャンバ(50;150;250)の前記第2の部分におけるこれらの壁の間の距離が、前記加熱チャンバ(50;150;250)の前記第1の部分におけるこれらの壁の間の距離よりも大きくなるように配置される、
エアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項2】
前記加熱チャンバ(50;150;250)の前記第1の部分は、前記たばこ物品(12)の基材部(15)を受け入れるよう設計され、前記加熱チャンバ(50;150;250)の前記第2の部分は、前記たばこ物品(12)の冷却部(16)を少なくとも部分的に受け入れるよう設計される、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項3】
前記チャンバ接触壁(54A、54B;154A、154B;254A、254B)は、前記たばこ物品(12)の前記基材部(15)の全外部領域の少なくとも半分、有利には少なくとも4分の3と接触するよう設計される、請求項2に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項4】
前記チャンバ接触壁(54A、54B;154A、154B;254A、254B)は、前記たばこ物品(12)の前記冷却部(16)の全外部領域の少なくとも半分、有利には少なくとも4分の3から離間されるよう設計される、請求項2又は3に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項5】
各チャンバ接触壁(54A、54B)は、前記たばこ物品(12)に面するよう設計される平面を呈する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項6】
各チャンバ接触壁(54A、54B)は、前記チャンバ軸とゼロではない角度を形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項7】
前記チャンバ接触壁(54A、54B)は、V字形を形成するように前記加熱チャンバ(50)の前記閉鎖端(51)から前記開放端(52)まで延在する、請求項5又は6に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項8】
前記加熱チャンバ(150;250)の前記第1の部分において、前記チャンバ接触壁(154A、154B;254A、254B)は、前記チャンバ軸に平行に延在する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項9】
前記加熱チャンバ(150;250)の前記第2の部分において、前記チャンバ接触壁(154A、154B;254A、254B)の間の距離は、前記第1の部分に隣接する端部から前記加熱チャンバ(150;250)の前記開放端(152;252)まで徐々に増加する、請求項8に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項10】
前記加熱チャンバ(250)の前記第2の部分において、前記チャンバ接触壁(254A、254B)は湾曲形状を形成する、請求項9に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項11】
-前記加熱チャンバ(150)の各部分において、各チャンバ接触(154A、154B)壁は、前記たばこ物品(12)に面するよう設計される平面を呈し、
-各チャンバ接触壁(154A、154B)の前記平面は、前記第1の部分と前記第2の部分との間にゼロではない角度を形成する
請求項9に記載のエアロゾル発生アセンブリ(11)。
【請求項12】
前記加熱チャンバ(50;150;250)は、矩形断面形状を形成し、
前記加熱チャンバ(50;150;250)は、更に、前記チャンバ軸に沿って延在する一対の平行なチャンバ側壁を備え、好ましくは、前記チャンバ側壁の間の距離は、前記チャンバ接触壁(54A、54B;154A、154B;254A、254B)の間の任意の距離よりも3~10倍大きい、
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項13】
少なくとも1つのチャンバ接触壁(54A、54B;154A、154B;254A、254B)は加熱壁である、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項14】
前記加熱チャンバ(50;150;250)はカップ形状を形成する、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(11)。
【請求項15】
扁平形状のたばこ物品(12)と、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(11)とを備えるエアロゾル発生アセンブリ(10)であって、前記エアロゾル発生デバイスは、前記扁平形状のたばこ物品と共に動作するよう適合される、エアロゾル発生アセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平形状の加熱チャンバを備えるエアロゾル発生デバイスに関する。本発明はまた、かかるエアロゾル発生デバイスを備えるエアロゾル発生アセンブリにも関する。
【0002】
特に、本発明によるエアロゾル発生デバイスは、例えば、加熱される場合にエアロゾルを形成することが可能な固体基材を備える扁平形状のたばこ物品と共に動作するよう構成される。従って、加熱非燃焼式デバイスとしても公知のかかる種類のエアロゾル発生デバイスは、伝導、対流、及び/又は放射により、基材を燃焼させるのではなく加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させるよう適合される。
【背景技術】
【0003】
リスク低減デバイス又はリスク修正デバイス(気化器としても公知)の人気及び使用は、シガレット、葉巻、シガリロ、及び巻きたばこ等の従来のたばこ製品の喫煙を止めることを望む常習的喫煙者を支援する補助として、ここ数年で急速に成長している。従来のたばこ製品においてたばこを燃焼させるのとは対照的に、気化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0004】
一般的に入手可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又は加熱非燃焼式デバイスである。この種のデバイスは、通常、湿った葉タバコ又は他の好適な気化性材料を含むエアロゾル基材を典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を、燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。更に、たばこ又は他の気化性材料を加熱することによって発生するエアロゾルは、通常、ユーザにとって不快となり得る、燃焼及び燃やすことに起因する焦げた味又は苦味を含まず、従って、基材は、煙及び/又は蒸気をユーザにとってより口当たりのよいものにするようかかる材料に典型的に添加される糖及び他の添加物を必要としない。
【0005】
エアロゾル発生デバイスの幾つかは、寸法を小さくした扁平形状のたばこ物品と共に動作することができる。幾つかの場合において、かかる物品の深さは、0.5~2mmの間に含まれることができる。これらの物品の加熱効率は極めて困難である可能性がある。特に、物品のヒータへの密着性を確保しつつ、その挿抜をユーザが容易に操作できるようにすることは、必ずしも達成できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の1つは、高い加熱効率を保証し、ユーザが容易に挿抜することを可能にするエアロゾル発生デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、閉鎖端と開放端との間でチャンバ軸に沿って延在する加熱チャンバを備えるエアロゾル発生デバイスであって、
加熱チャンバは、扁平形状であり、その開放端を通して扁平形状のたばこ物品を受け入れるよう構成され、閉鎖端に隣接する第1の部分と、開放端に隣接する第2の部分とを画成し、
加熱チャンバは、互いに対向し、加熱チャンバの両方の部分を通って延在する少なくとも2つのチャンバ接触壁を備え、
チャンバ接触壁は、加熱チャンバの第2の部分におけるこれらの壁の間の距離が、加熱チャンバの第1の部分におけるこれらの壁の間の距離よりも大きくなるように配置される、エアロゾル発生デバイスに関する。
【0008】
これらの特徴のため、扁平形状のたばこ物品の一部のみを圧縮して、チャンバ接触壁との密着を確実にすることができる。従って、扁平形状のたばこ物品は、圧縮され、必要とされる場合にのみ加熱されてもよく、従って熱の浪費を回避し、加熱効率を改善する。加えて、扁平形状のたばこ物品はその全長に沿って圧縮されないため、その挿抜はユーザにとって特に容易であり得る。
【0009】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバの第1の部分は、たばこ物品の基材部を受け入れるよう設計され、加熱チャンバの第2の部分は、たばこ物品の冷却部を少なくとも部分的に受け入れるよう設計される。
【0010】
これらの特徴のため、扁平形状のたばこ物品の基材部のみがチャンバ接触壁と密着することができるのに対して、その冷却部はチャンバ接触壁から離間することができる。従って、物品の冷却部における熱交換が減少し、冷却がより効率的になり、必要とされない熱の浪費が回避される。
【0011】
幾つかの実施形態によれば、チャンバ接触壁は、たばこ物品の基材部の全外部領域の少なくとも半分、有利には少なくとも4分の3と接触するよう設計される。
【0012】
これらの特徴のため、扁平形状のたばこ物品の基材部は、効率的に加熱することができる。
【0013】
幾つかの実施形態によれば、チャンバ接触壁は、たばこ物品の冷却部の全外部領域の少なくとも半分、有利には少なくとも4分の3から離間されるよう設計される。
【0014】
これらの特徴のため、チャンバ接触壁とたばこ物品の冷却部との間の熱交換を最小限に抑え、従って冷却効率を高めることが可能である。
【0015】
幾つかの実施形態によれば、各チャンバ接触壁は、たばこ物品に面するよう設計される平面を呈する。
【0016】
幾つかの実施形態によれば、各チャンバ接触壁は、チャンバ軸とゼロではない角度を形成する。
【0017】
これらの特徴により、加熱チャンバの閉鎖端に隣接する部分の断面形状を確実に減少させることが可能である。
【0018】
幾つかの実施形態によれば、チャンバ接触壁は、V字形を形成するように加熱チャンバの閉鎖端から開放端まで延在する。
【0019】
これらの特徴のため、チャンバ接触壁は、特に容易に製造し、組み立てることができる。加えて、たばこ物品の基材部の不均一な圧縮率を確実にすることが可能である。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバの第1の部分において、チャンバ接触壁は、チャンバ軸に平行に延在する。
【0021】
これらの特徴のため、たばこ物品の基材部全体の均一な圧縮率を確実にし、冷却部の圧縮を回避することが可能である。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバの第2の部分において、チャンバ接触壁の間の距離は、第1の部分に隣接する端部から加熱チャンバの開放端まで徐々に増加する。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバの第2の部分において、チャンバ接触壁は湾曲形状を形成する。
【0024】
これらの特徴のため、ユーザによるたばこ物品の挿入は、その基材部が加熱チャンバの徐々に狭くなることによって連続的に圧縮されるため、容易に行うことができる。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバの各部分において、各チャンバ接触壁は、たばこ物品に面するよう設計される平面を呈する。加えて、又は代替として、各チャンバ接触壁の平面は、第1の部分と第2の部分との間にゼロではない角度を形成する。
【0026】
これらの特徴のため、たばこ物品の基材部全体の均一な圧縮率を確実にし、冷却部の圧縮を回避することが可能である。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバは、矩形断面形状を形成する。
【0028】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つのチャンバ接触壁は加熱壁である。
【0029】
これらの特徴のため、たばこ物品の基材部は、1つ以上のチャンバ接触壁によって直接加熱することができる。加えて、壁を加熱する場合、加熱は、同じ加熱プロファイル又は異なる加熱プロファイルに従って行うことができる。これは、ベイピングセッション中の加熱効率及びユーザ体験を向上させることができる。
【0030】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバはカップ形状を形成する。例えば、閉鎖端は、特に開放端に面するカップ形状の形態の加熱チャンバの底部を画成してもよい。
【0031】
幾つかの実施形態によれば、加熱チャンバは、チャンバ軸に沿って延在する一対の平行なチャンバ側壁を備える。例えば、チャンバ側壁の間の距離は、チャンバ接触壁の間の任意の距離よりも3~10倍大きくてもよい。
【0032】
幾つかの実施形態によれば、チャンバ接触壁及びチャンバ側壁は、互いに強固に固定される。例えば、チャンバ接触壁及び/又はチャンバ側壁は、互いに対して移動できないように固定される。
【0033】
幾つかの実施形態によれば、チャンバ接触壁は、チャンバ軸を備える断面において、連続的な導出可能曲線を形成してもよい。言い換えれば、例えば、チャンバ接触壁は、チャンバ軸に対して垂直な平面内に延在する段部及び/又は部分を欠いていてもよい。
【0034】
本発明はまた、扁平形状のたばこ物品と、上記で定義したようなエアロゾル発生デバイスとを備えるエアロゾル発生アセンブリであって、扁平形状のたばこ物品と共に動作するよう適合されるエアロゾル発生デバイスに関する。
【0035】
本発明及びその利点は、非限定的な例としてのみ挙げられ、添付の図面を参照して記述される以下の説明を読むことでよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明によるエアロゾル発生アセンブリの斜視図であり、エアロゾル発生アセンブリは、本発明によるエアロゾル発生デバイスと、エアロゾル発生デバイスと共に使用可能な扁平形状のたばこ物品とを備え、エアロゾル発生デバイスは加熱チャンバを備える。
図2図1の扁平形状のたばこ物品の斜視図である。
図3図1の平面IIIに従う部分断面図であり、加熱チャンバは、本発明の第1の実施形態によるものである。
図4図1の平面IVに従う部分断面図であり、加熱チャンバは、本発明の第2の実施形態によるものである。
図5図1の平面Vに従う部分断面図であり、加熱チャンバは、本発明の第3の実施形態によるものである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載する構造の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行できることは、本開示の利益を享受する当業者に明らかであろう。
【0038】
本明細書中で用いるように、用語「エアロゾル発生デバイス」又は「デバイス」とは、以下で更に詳細に説明するヒータ要素を用いて、ベイピングのためのエアロゾルを含む、ユーザにエアロゾルを送出するベイピングデバイスを含み得る。デバイスは、可搬であってもよい。「可搬」とは、ユーザが保持する場合に用いられるデバイスを指してもよい。デバイスは、例えば、可変の時間量にわたり、ヒータ要素を作動させることにより、(定量のエアロゾルとは対照的に)可変量のエアロゾルを発生するよう適応してもよく、それは、トリガによって制御されてもよい。トリガは、ベイピングボタン及び/又は吸入センサ等、ユーザが作動させるものであってもよい。吸入センサは、吸入強度並びに吸入継続時間に対する感度が高いものであってもよく、(たばこ、葉巻、又はパイプ等のような従来の可燃性喫煙物品の喫煙効果を模倣するように)可変量の蒸気を提供することを可能にしてもよい。デバイスは、ヒータ及び/又は加熱されたエアロゾル発生物質(エアロゾル前駆体)の温度を特定の目標温度まで駆動し、その後、エアロゾルの効率的な発生を可能にする目標温度で温度を維持するための温度調節制御部を含んでもよい。
【0039】
本明細書中で用いるように、用語「エアロゾル」は、気化性材料の懸濁液を、固体粒子、液滴、気体のうちの1つ以上として含んでいてもよい。前記懸濁液は、空気を含む気体の状態であってもよい。本明細書のエアロゾルは、一般に、蒸気を指すか又はそれを含んでいてもよい。エアロゾルは、気化性材料の1つ以上の成分を含んでいてもよい。
【0040】
本明細書中で用いるように、用語「気化性材料」又は「前駆体」とは、例えば、ニコチン又はたばこを備えてもよい喫煙可能材料及びエアロゾル形成剤を指す場合がある。たばこは、様々な材料の形態、例えば刻みたばこ、粒状たばこ、たばこ葉、及び/又は再構成たばこの形態を取ってもよい。適切なエアロゾル形成剤として、ポリオール(例えば、ソルビトール、グリセロール及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールなどのグリコール)、非ポリオール(例えば、一価アルコール、乳酸などの酸、グリセロール誘導体、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチルなどのエステル、グリセリン又は植物性グリセリン)がある。幾つかの実施形態において、エアロゾル発生剤は、グリセロール、プロピレングリコール、又はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であってもよい。基材はまた、ゲル化剤、結合剤、安定化剤、及び保湿剤のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0041】
図1は、エアロゾル発生デバイス11と、以下でたばこ物品12と称する扁平形状のたばこ物品12とを備えるエアロゾル発生アセンブリ10を示している。エアロゾル発生デバイス11は、図2により詳細に示す扁平形状のたばこ物品12と共に動作するよう意図されている。
【0042】
図2を参照すると、たばこ物品12は、例えば、物品軸Xに沿って延在し、外部寸法L×W×Dを有する扁平形状の立方体である。典型的な実施例において、物品軸Xに従ったたばこ物品12の長さLは、略33mmに等しい一方で、その幅W及び深さDは、それぞれ略12mm及び1.2mmに等しい。異なる実施例によれば、値L、W、及びDは、例えば、±40%の範囲内で選択することができる。たばこ物品12の深さDは、以下で物品側壁13A、13Bと称する一対の平行な壁13A、13Bによって形成され、たばこ物品12の幅Wは、以下で物品接触壁14A、14Bと称する一対の平行な壁14A、14Bによって形成される。本発明の他の実施形態によれば、たばこ物品12は、他の任意の適切な形状及び/又は外部寸法を有することができる。例えば、たばこ物品12は、円形管形状を形成してもよい。
【0043】
たばこ物品12は、物品軸Xに沿って配置される基材部15及び冷却部16を備える。基材部15は、例えば、冷却部16よりも僅かに長くてもよい。例えば、物品軸線Xに従う基材部15の長さL2は、略18mmに等しくてもよく、物品軸Xに従う冷却部16の長さL1は、略15mmに等しくてもよい。基材部15は、たばこ物品12の当接端18を画成し、冷却部16は、たばこ物品12の口側端20を画成する。基材部15及び冷却部16は、物品軸Xの周囲に延在する固有のラッパーによって互いに固定されてもよい。他の実施形態において、部分15、16は、異なるラッパーによって巻装され、他の任意の適切な手段によって互いに固定されてもよい。ラッパー又は各ラッパーは、例えば、紙、及び/又は不織布、及び/又はアルミニウムを備えていてもよい。ラッパー又は各ラッパーは、多孔性又は空気不透過性であってもよい。ラッパー又は各ラッパーは、当接端18と口側端20との間でたばこ物品12の内側に延在する複数の気流チャネルを形成する。
【0044】
基材部15は、1つ以上のヒータ(本実施例においては加熱チャンバを用いる)によって加熱されるよう意図されており、上で定義したような気化性材料を備える。本発明の異なる実施例によれば、冷却部16は、以下で更に詳細に説明するように、部分的にマウスピースの内側に、部分的に加熱チャンバ内に受け入れられるよう意図される。本発明の他の実施形態によれば、冷却部16の口側端20に隣接する少なくとも一部は、それ自体、ユーザの口及び/又は唇と接触するよう意図されるマウスピースを形成する。冷却部16は、例えば、フィルタ及び/又は蒸気冷却手段のように機能するコア17を備える。コア17は、例えば、発泡体又は詰め込まれたストランド若しくは繊維であってもよい。コア17は、押し出し及び/又は圧延プロセスによって安定した形状に形成されてもよい。特定の実施形態(図示せず)において、冷却部16は、例えば、物品軸Xに対して垂直な2つの軸に沿って冷却部16の周囲全体に従って配置される複数の通気孔を画成する。言い換えれば、この実施例によれば、通気孔は、物品側壁13A、13B及び物品接触壁14A、14Bのうちたばこ物品12の各壁に配置される。別の実施例によれば、通気孔は、物品接触壁14A、14Bのみに、又は好ましくは、物品接触壁14A、14Bの一方のみに配置される。両方の実施例において、通気孔は、たばこ物品12の対応する壁又は各壁上で物品軸Xに対して垂直に位置合わせされてもよく、同じ距離だけ離間させることができる。通気孔は、特定のベイピング/テイスティング効果を実現するよう、新鮮な空気がたばこ物品12の内側に入ることを可能にする。好ましい実施形態において、通気孔は設けられない。
【0045】
再び図1を参照すると、エアロゾル発生デバイス11は、デバイス軸Yに沿って延在するデバイス本体40を備えている。デバイス本体40は、デバイス軸Yに沿って連続して配置されるマウスピース42及びハウジング44を備える。図1の実施例によれば、マウスピース42及びハウジング44は、2つの異なる部品を形成している。特に、この実施例によれば、マウスピース42は、ハウジング44の端部の一方に形成される挿入開口部上に固定されるか又はそれに受け入れられるよう設計される。この場合、たばこ物品12は、マウスピース42がハウジング44から取り外される場合にデバイス11の内部に挿入することができる。別の実施例(図示せず)によれば、マウスピース42及びハウジング44は、唯一の部品を形成する。この場合、たばこ物品12は、例えば流出口を通してデバイス11の内部に挿入することができる。両方の実施例によれば、マウスピース42は、たばこ物品12を少なくとも部分的に受け入れるよう適合される貫通孔を画成する。特に、貫通孔は、図1に示すように、たばこ物品12の冷却部16の少なくとも一部を受け入れるよう適合させることができる。
【0046】
ハウジング44は、デバイス11の異なる機能を実行するよう設計される様々な要素を受け入れるデバイス11の内部空間を区切る。この内部空間は、例えば、デバイス11に電力を供給するためのバッテリ、デバイス11の動作を制御するための制御モジュール、たばこ物品12の基材部15を加熱するための加熱チャンバ等を受け入れることができる。これらの要素のうち、本発明の異なる実施形態による加熱チャンバのみを、図3~5を参照して更に詳細に説明する。
本発明の第1の実施形態
図3は、図1の平面IIIによる、マウスピース42を欠いたエアロゾル発生デバイス11の断面を示している。この図に示すように、エアロゾル発生デバイス11は、閉鎖端51と開放端52との間でチャンバ軸に沿って延在する加熱チャンバ50を備える。チャンバ軸は、図3の実施例においてはデバイス軸Yと一致している。
【0047】
図3にも示すように、加熱チャンバ50は、たばこ物品12の基材部15及び少なくとも部分的に冷却部16を受け入れるよう適合されるカップ形状を形成することができる。本発明の異なる実施例に応じて、加熱チャンバ50から突出する冷却部16の先端は、マウスピース42の貫通孔に受け入れられることができるか、又はユーザの唇及び/又は口と接触するよう意図される。たばこ物品12と同様に、加熱チャンバ50も矩形の断面形状を形成してもよく、以下で更に詳細に説明するように、チャンバ軸に沿って延在する一対の平行なチャンバ側壁(図3には図示せず)と、物品接触壁14A、14Bと部分的に接触するよう設計される一対のチャンバ接触壁54A、54Bとを備えてもよい。本発明の異なる実施例によれば、チャンバ側壁は、物品側壁13A、13Bと接触しているか、又はそれらから離間することができる。加えて、たばこ物品12と同様に、加熱チャンバ50は扁平形状であり、これは、その側壁間の距離が、その接触壁54A、54B間の任意の距離よりもはるかに大きい、例えば3~10倍大きいことを意味する。
【0048】
加熱チャンバ50はまた、前記壁のそれぞれに隣接し、閉鎖端51においてチャンバ軸に対して垂直に延在する底壁(図3には図示せず)を備えてもよい。変形例において、チャンバ50の閉鎖端51は、たばこ物品12がチャンバ50内に挿入されている間にたばこ物品12の当接端18に当接するように、その側壁及び/又は接触壁の間の狭い部分によって形成される。加熱チャンバ50はまた、たばこ物品12を挿入するのに適した開口部60をその開放端52に画成する。
【0049】
チャンバ接触壁54A、54Bのそれぞれ、又はこれらの壁の少なくとも1つは、加熱壁とすることができる。特に、かかる加熱壁は、デバイス11のバッテリに接続され、たばこ物品12を加熱するようデバイス11の制御モジュールによって制御される発熱体を備えてもよいか、又はそれと接触していてもよい。発熱体は、実質的に加熱壁の表面全体に沿って、又はこの表面の一部のみに沿って延在してもよい。発熱体は、セラミックヒータ、ポリイミドフィルムヒータ、又は他の任意の好適なヒータによって形成されてもよい。両接触壁54A、54Bが加熱壁である場合、対応する発熱体は、同じ加熱プロファイルに従って、又は異なる加熱プロファイルに従って、制御モジュールによって制御されてもよい。
【0050】
本発明の第1の実施形態によれば、チャンバ接触壁54A、54Bのそれぞれは、たばこ物品12がチャンバ50内に挿入される場合にたばこ物品12に面する平面を有する。加えて、チャンバ接触壁54A、54Bのうちの少なくとも1つは、チャンバ50の開放端52におけるこれらの壁の間の距離がチャンバ50の閉鎖端52におけるこれらの壁の間の距離よりも大きくなるように、チャンバ軸とゼロではない角度を形成する。例えば、チャンバ接触壁54A、54Bは、V字形のチャンバ50を形成するよう、チャンバ軸に対して対称的に配置することができる。チャンバ接触壁54A、54B又は各チャンバ接触壁54A、54Bとチャンバ軸とによって形成されるゼロではない角度は、1°~30°の間、有利には5°~20°の間に含まれてもよい。
【0051】
より一般的には、チャンバ接触壁54A、54B又は各チャンバ接触壁54A、54Bとチャンバ軸とによって形成されるゼロではない角度は、チャンバ50が、閉鎖端51に隣接し、たばこ物品12の基材部15を受け入れるよう適合される第1の部分と、開放端52に隣接し、たばこ物品12の冷却部16を少なくとも部分的に受け入れるよう適合される第2の部分とを画成するように選択され、第2の部分におけるチャンバ接触壁54A、54B間の距離は、第1の部分におけるこれらの壁54A、54B間の距離よりも大きい。
【0052】
加熱チャンバ50の第1の部分において、チャンバ接触壁54A、54Bは、たばこ物品12の基材部15の全外部領域の少なくとも半分、有利には少なくとも4分の3と接触するよう設計される。この場合、チャンバ50の閉鎖端51に隣接する基材部15の少なくとも一端部が圧縮されてもよい。加えて、冷却部16に隣接する基材部15の少なくとも一端部は、チャンバ接触壁54A、54Bから離間していてもよい。
【0053】
加熱チャンバ50の第2の部分において、チャンバ接触壁54A、54Bは、たばこ物品12の冷却部16の全外部領域の少なくとも半分、有利には少なくとも4分の3から離間されるよう設計される。有利には、チャンバ接触壁54A、54Bは、たばこ物品12の冷却部16の全外部領域から離間されるよう設計される。
本発明の第2の実施形態
図4は、図1の平面IVによる、マウスピース42を欠いたエアロゾル発生デバイス11の断面を示している。この図に示すように、エアロゾル発生デバイス11は、以下で詳細に説明する特徴を除いて、第1の実施形態による加熱チャンバ50と同様の、第2の実施形態による加熱チャンバ150を備える。特に、第1の実施形態による加熱チャンバ50のように、加熱チャンバ150は、閉鎖端151と開放端152との間でチャンバ軸に沿って延在する。加えて、先の場合のように、チャンバ軸は、図4の実施例においてはデバイス軸Yと一致している。
【0054】
また、先の場合のように、第2の実施形態による加熱チャンバ150は、たばこ物品12と部分的に接触するよう設計される2つのチャンバ接触壁154A、154Bを備える。また、先の場合のように、加熱チャンバ150は、閉鎖端151に隣接し、たばこ物品12の基材部15を受け入れるよう適合される第1の部分と、開放端152に隣接し、たばこ物品12の冷却部15を少なくとも部分的に受け入れるよう適合される第2の部分とを画成する。チャンバ接触壁154A、154Bは、加熱チャンバ150の第2の部分におけるこれらの壁の間の距離が、加熱チャンバ150の第1の部分におけるこれらの壁の間の距離よりも大きくなるように配置される。
【0055】
先の場合とは対照的に、チャンバ接触壁154A、154Bは、第1の部分においてはチャンバ軸に平行に延在し、第2の部分においてはゼロではない角度で延在する。特に、第1の部分において、チャンバ接触壁154A、154Bは、たばこ物品12の基材部15の実質的に全外部領域と接触していてもよく、場合によっては、この基材部15を僅かに圧縮してもよい。第2の部分において、チャンバ接触壁154A、154Bは、冷却部15の実質的に全外部領域から離間されてもよい。加えて、第2の部分において、チャンバ接触壁154A、154B間の距離は、第1の部分に隣接する端部から加熱チャンバ150の開放端152まで徐々に増加してもよい。
【0056】
この目的のために、各チャンバ接触壁154A、154Bは、一方がチャンバ軸に平行に第1の部分において配置され、他方がチャンバ軸とゼロではない角度により第2の部分において配置される、2つの扁平セグメントを呈してもよい。同じ壁のセグメントは、加熱チャンバ152の第1の部分と第2の部分とを分離する線に沿って固有の扁平部品を曲げることによって形成されてもよい。変形例において、同じ壁のセグメントは、互いに固定されるか又はヒンジ留めされてもよい2つの別々の扁平部品によって形成されてもよい。
本発明の第3の実施形態
図5は、図1の平面Vによる、マウスピース42を欠いたエアロゾル発生デバイス11の断面を示している。この図に示すように、エアロゾル発生デバイス11は、以下で詳細に説明する特徴を除いて、第1及び第2の実施形態による加熱チャンバ50、150と同様の、第3の実施形態による加熱チャンバ250を備える。特に、第1及び第2の実施形態による加熱チャンバ50、150のように、加熱チャンバ250は、閉鎖端251と開放端252との間でチャンバ軸に沿って延在する。加えて、先の場合のように、チャンバ軸は、図5の実施例においてはデバイス軸Yと一致している。
【0057】
また、先の場合のように、第3の実施形態による加熱チャンバ250は、たばこ物品12と部分的に接触するよう設計される2つのチャンバ接触壁254A、254Bを備える。また、先の場合のように、加熱チャンバ250は、閉鎖端251に隣接し、たばこ物品12の基材部15を受け入れるよう適合される第1の部分と、開放端252に隣接し、たばこ物品12の冷却部15を少なくとも部分的に受け入れるよう適合される第2の部分とを画成する。チャンバ接触壁254A、254Bは、加熱チャンバ250の第2の部分におけるこれらの壁の間の距離が、加熱チャンバ250の第1の部分におけるこれらの壁の間の距離よりも大きくなるように配置される。
【0058】
先の場合とは対照的に、チャンバ接触壁254A、254Bは、第1の部分においてはチャンバ軸に平行に延在し、第2の部分においては曲がった形状を形成する。特に、第1の部分において、チャンバ接触壁254A、254Bは、たばこ物品12の基材部15の実質的に全外部領域と接触していてもよく、場合によっては、この基材部を僅かに圧縮してもよい。第2の部分において、チャンバ接触壁254A、254B間の距離は、第1の部分に隣接する端部から加熱チャンバ150の開放端152まで徐々に増加してもよい。
【0059】
この目的のために、各チャンバ接触壁154A、154Bは、チャンバ軸に平行な第1の部分における扁平セグメントと、第2の部分に配置される湾曲セグメントとを呈してもよい。第2の実施形態に関して、セグメントは、固有の部品、又は共に固定される2つの別々の部品を形成してもよい。
本発明の他の実施形態
本発明の、特に加熱チャンバの他の実施形態もなお可能である。幾つかの実施形態は、先の実施形態の組み合わせに対応してもよい。例えば、幾つかの実施形態において、チャンバ接触壁は、上記の異なる実施形態に関連して説明した特徴に従って実現されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】