(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】第1の隙間と第2の隙間とを備える板状のタバコ物品、並びに関連するエアロゾル生成デバイス及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20240829BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20240829BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20240829BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/46
A24F40/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579355
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2022073925
(87)【国際公開番号】W WO2023031106
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライト, アレク
(72)【発明者】
【氏名】ローガン, アンドリュー ロバート ジョン
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AB11
4B045AB16
4B045BC26
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC22
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル生成デバイスと共に動作し、物品軸(X)に沿って口側端(20)と当接端(18)との間に延びるように構成された板状のタバコ物品であって、口側端(20)に隣接するマウスピース部分(16)と、当接端(18)に隣接するタバコ部分(15)とを備える、板状のタバコ物品に関し、タバコ部分(15)は、2つの反対側の側面を形成する基材層(30)と、内部表面を形成するラッパー(21)であって、内部表面は、基材層(30)の側面の一方との間で第1の隙間(31)を形成し、基材層(30)の側面の他方との間で第2の隙間(32)を形成するように、基材層(30)の周りに配置された、ラッパー(21)と、を備え、第1の隙間(31)及び第2の隙間(32)の各々は、エアロゾル生成デバイスの加熱ブレードを収容するように適合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイス(11)と共に動作し、物品軸(X)に沿って口側端(20)と当接端(18)との間に延びるように構成された板状のタバコ物品(12)であって、前記タバコ物品(12)は、前記口側端(20)に隣接するマウスピース部分(16)と、前記当接端(18)に隣接するタバコ部分(15)とを備え、
前記タバコ部分(15)は、
-前記物品軸(X)に沿って延び、2つの反対側の側面を形成する基材層(30)と、
-内部表面を形成するラッパー(21)であって、前記内部表面は、前記基材層(30)の前記側面の一方との間で第1の隙間(31)を形成し、前記基材層(30)の前記側面の他方との間で第2の隙間(32)を形成するように、前記基材層(30)の周りに配置された、ラッパー(21)と
を備え、
前記第1の隙間(31)及び前記第2の隙間(32)の各々は、前記エアロゾル生成デバイス(11)の加熱ブレード(62)を収容するように適合されている、板状のタバコ物品(12)。
【請求項2】
前記第1の隙間(31)は、前記第2の隙間(32)よりも厚い、請求項1に記載の板状のタバコ物品(12)。
【請求項3】
前記第2の隙間(32)は、前記加熱ブレード(62)が前記基材層(30)の対応する前記側面に接触するように、前記エアロゾル生成デバイス(11)の前記加熱ブレード(62)を収容するように適合されている、請求項2に記載の板状のタバコ物品(12)。
【請求項4】
前記第1の隙間(31)は、前記加熱ブレード(62)が前記基材層(30)の対応する前記側面から間隔を空けるように、前記エアロゾル生成デバイス(11)の前記加熱ブレード(62)を収容するように適合されている、請求項2又は3に記載の板状のタバコ物品(12)。
【請求項5】
前記マウスピース部分(16)は、コア(27)と、内部表面を形成するラッパー(21)であって、前記内部表面の全体が前記コア(27)に接触するように前記コア(27)の周りに配置された、ラッパー(21)とを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の板状のタバコ物品(12)。
【請求項6】
前記マウスピース部分(16)の前記ラッパー(21)と、前記タバコ部分(15)の前記ラッパー(21)とは、同じ包装シートにより形成される、請求項5に記載の板状のタバコ物品(12)。
【請求項7】
前記コア(27)は、波形紙を含む、請求項5又は6に記載の板状のタバコ物品(12)。
【請求項8】
前記ラッパー(21)は、紙から作製される、請求項1~7のいずれか一項に記載の板状のタバコ物品(12)。
【請求項9】
前記エアロゾル生成デバイス(11)の前記加熱ブレード(62)を収容するように適合された2つの隙間のみを定め、前記2つの隙間は、前記第1の隙間(31)及び前記第2の隙間(32)である、請求項1~8のいずれか一項に記載の板状のタバコ物品(12)。
【請求項10】
デバイス軸(Y)に沿って閉鎖端と開口部(60)との間に沿って延びる加熱チャンバ(50)を備えるエアロゾル生成デバイス(11)であって、
前記加熱チャンバ(50)は、前記開口部(60)を通して請求項1~9のいずれか一項に記載の板状のタバコ物品(12)を収容するように構成され、前記閉鎖端から延びる加熱ブレード(62)であって、前記板状のタバコ物品の挿入の向きに応じて、前記板状のタバコ物品(12)の前記第1の隙間(31)又は前記板状のタバコ物品(12)の前記第2の隙間(32)に収容されるように構成された、加熱ブレード(62)を備える、エアロゾル生成デバイス(11)。
【請求項11】
前記加熱ブレード(62)は、前記加熱ブレード(62)が前記板状のタバコ物品(12)の前記第2の隙間(32)に収容されているときは伝導加熱によって、及び前記加熱ブレード(62)が前記板状のタバコ物品(12)の前記第1の隙間(31)に収容されているときは対流加熱によって、前記基材層(30)を加熱するように適合されている、請求項10に記載のエアロゾル生成デバイス(11)。
【請求項12】
前記加熱ブレード(62)は、2つの反対側の側面を形成し、前記側面のうちの一方に配置された加熱要素(64)を備え、
前記加熱要素(64)は、前記加熱ブレード(62)が前記板状のタバコ物品(12)の前記第2の隙間(32)に収容されたときに前記基材層(30)に接触し、前記加熱ブレード(62)が前記板状のタバコ物品(12)の前記第1の隙間(31)に収容されたときに前記基材層(30)から間隔を空けるように構成されている、請求項10又は11に記載のエアロゾル生成デバイス(11)。
【請求項13】
前記加熱チャンバ(50)は、前記デバイス軸(Y)に沿って延びる2つの平行な対向する壁(54A、54B)を備え、前記加熱ブレード(62)は、前記壁までの等しくない距離を有して前記対向する壁(54A、54B)に平行に延びている、請求項10~12のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(11)。
【請求項14】
前記加熱ブレード(62)は、前記対向する壁(54A、54B)のうちの一方と、前記対向する壁(54A、54B)の間の中間距離に配置された平面との間に延びている、請求項13に記載のエアロゾル生成デバイス(11)。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載の板状のタバコ物品(12)と、
請求項10~14のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス(11)と
を備える、エアロゾル生成アセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は第1の隙間及び第2の隙間を備える板状のタバコ物品に関する。本発明はまた、そのような物品に関連するエアロゾル生成デバイス及びエアロゾル生成アセンブリに関する。
【0002】
具体的には、本発明によるエアロゾル生成デバイスは、例えば、加熱時にエアロゾルを形成できる固体基材を備える本発明による板状のタバコ物品と共に動作するように構成されている。したがって、加熱非燃焼式デバイスとしても知られるこのようなタイプのエアロゾル生成デバイスは、伝導、対流、及び/又は放射により、基材を燃やすのではなく加熱して、吸入用のエアロゾルを生成するように適合されている。
【背景技術】
【0003】
(気化器としても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、及び巻きタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めたいと望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に高まっている。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、気化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0004】
一般的に入手可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル生成デバイス又は加熱非燃焼式デバイスである。このタイプのデバイスは、典型的には、湿った葉タバコ又は他の好適な気化可能材料を含むエアロゾル基材を典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を生成する。エアロゾル基材を、燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。更には、タバコ又は他の気化可能材料を加熱することによって生成されるエアロゾルは、典型的には、ユーザにとって不快となり得る、燃焼及び燃やすことに起因する焦げた味又は苦味を含まない。したがって、基材は、煙及び/又は蒸気をユーザにとってより口当たりのよいものにするためにそのような材料に典型的に添加される糖及び他の添加物を必要としない。
【0005】
そのようなタイプのエアロゾル生成デバイスと共に使用可能なタバコ物品は、様々な形をとることができる。それらのいくつかが、細長いスティック、又は例えば板状形状のような任意の他の好適な形状を呈することができる。しかしながら、タバコ物品の設計は、多くの場合、その美的価値と加熱効率との間のトレードオフである。
【0006】
具体的には、板状のタバコ物品の場合、一般に、そのタバコ部分を紙で包んで、サンプルを消費者にとってより魅力的にすることが必要である。しかしながら、外部から加熱された場合、紙は熱障壁として機能し、したがってデバイスの潜在的効率は低下する。加えて、このようなタバコ物品は非常に薄い(例えば1mm)ので、例えばタバコスティックのために使用されるような内部加熱は、挑戦的でもある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的の1つは、加熱効率が増加された板状のタバコ物品を提供することである。
【0008】
この目的のため、本発明は、エアロゾル生成デバイスと共に動作し、物品軸に沿って口側端と当接端との間に延びるように構成された板状のタバコ物品であって、口側端に隣接するマウスピース部分と、当接端に隣接するタバコ部分とを備える、板状のタバコ物品に関し、
タバコ部分は、
-物品軸に沿って延び、2つの反対側の側面を形成する基材層と、
-内部表面を形成するラッパーであって、内部表面が、基材層の側面の一方との間で第1の隙間を形成し、基材層の側面の他方との間で第2の隙間を形成するように、基材層の周りに配置された、ラッパーと
を備え、
第1の隙間及び第2の隙間の各々は、エアロゾル生成デバイスの加熱ブレードを収容するように適合されている。
【0009】
これら特徴のおかげで、基材層とラッパーとの間に設けられる隙間の各々が、エアロゾル生成デバイスの加熱ブレードを収容することができる。したがって、基材層の内側での内部加熱又はラッパーを介する外部加熱を確実にする必要がない。したがって、加熱効率を単純且つ実用的な形で増加させることができる。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、第1の隙間は第2の隙間よりも厚い。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、第2の隙間は、加熱ブレードが基材層の対応する側面に接触するように、エアロゾル生成デバイスの加熱ブレードを収容するように適合されている。
【0012】
これら特徴のおかげで、加熱ブレードから基材層に直接、すなわち伝導によって熱を伝達させることにより、基材層を確実に加熱することが可能である。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、第1の隙間は、加熱ブレードが基材層の対応する側面から間隔を空けるように、エアロゾル生成デバイスの加熱ブレードを収容するように適合されている。
【0014】
これら特徴のおかげで、加熱ブレードから基材層に空隙を介して熱を伝達させることにより、基材層を確実に加熱することが可能である。したがって、加熱は対流によって実施される。したがって、第1及び第2の隙間が異なる厚さを有する場合、ユーザは、最適な加熱、すなわち伝導又は対流による加熱を選択することができる。ユーザの選択は、ユーザ自身の嗜好/選好に応じて、又は、例えば基材層の性質に応じて行うことができる。例えば、あるタイプの基材層は、加熱タイプ又は温度に基づいて異なって作用するエアロゾル形成剤を含んでもよい。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、マウスピース部分は、コアと、内部表面を形成するラッパーであって、内部表面の全体がコアに接触するようにコアの周りに配置された、ラッパーとを備える。
【0016】
これら特徴のおかげで、マウスピース部分には隙間が形成されない。したがって、マウスピース部分がフィルタ及び/又は冷却器を形成する場合、タバコ部分で形成されたフローは、ユーザの口/唇に達する前に完全にフィルタ処理される及び/又は少なくとも僅かに冷却されることができる。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、マウスピース部分のラッパーと、タバコ部分のラッパーとは、同じ包装シートにより形成されている。
【0018】
これら特徴のおかげで、タバコ部分及びマウスピース部分を一緒に組み立てることができる。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、コアは波形紙を含む。
【0020】
これら特徴のおかげで、マウスピース部分のフィルタ及び/又は冷却効果を実現することができる。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、ラッパーは紙から作製される。
【0022】
これら特徴のおかげで、タバコ物品のコストを削減しながら、所望の設計を維持することができる。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、ラッパーの内部表面は、単一の包装シートにより定められる。例えば、単一の包装シートは、内部表面が4つの部分を備えるように曲げられてもよい。具体的には、内部表面の1つの部分が、基材層の側面のうちの一方との間で第1の隙間を形成してもよく、内部表面の別の部分が、基材層の他方の側面との間で第2の隙間を形成してもよい。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、基材層の側面のうちの一方との間で第1の隙間を形成する内部表面の部分は、この側面の全領域にわたって基材層のこの側面に面している。加えて、例えば、基材層の側面のうちの他方との間で第2の隙間を形成する内部表面の部分は、この側面の全領域にわたって基材層のこの側面に面している。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、ラッパーの内部表面との間で第1の隙間を形成する基材層の側面が、第1の基材表面を定める。第1の基材表面は、例えば、1つの単一平面内で延びている。いくつかの実施形態によれば、ラッパーの内部表面との間で第2の隙間を形成する基材層の側面が、第2の基材表面を定める。第2の基材表面は、例えば1つの単一平面内で延び、この平面は、例えば第1の基材表面が延びる平面とは異なる。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、第1の基材表面及び/又は第2の基材表面は、物品軸に沿って実質的にタバコ部分の全長に沿って延びており、及び/又はラッパーの内部表面によって範囲が定められる全幅に沿って横方向に物品軸まで延びている。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、第1の基材表面及び/又は第2の基材表面は、対応する基材表面との間でそれぞれ第1の隙間又は第2の隙間を定める、ラッパーの内部表面の部分と同じ領域サイズを有する。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、第1の基材表面及び/又は第2の基材表面は、対応する基材表面との間でそれぞれ第1の隙間又は第2の隙間を定めるラッパーの内部表面の対応する部分が延びる平面に対して実質的に平行な平面内で延びている。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、板状のタバコ物品は、エアロゾル生成デバイスの加熱ブレードを収容するように適合された2つだけの隙間を定め、2つの隙間は、第1の隙間及び第2の隙間である。
【0030】
本発明は、上述したような板状のタバコ物品を収容するように構成されたエアロゾル生成デバイスであって、板状のタバコ物品の第1の隙間及び/又は第2の隙間に収容されるように構成された加熱ブレードを備える、エアロゾル生成デバイスにも関する。
【0031】
本発明はまた、デバイス軸に沿って閉鎖端と開口部との間に沿って延びる加熱チャンバを備えるエアロゾル生成デバイスであって、
加熱チャンバは、開口部を通して、上述したような板状のタバコ物品を収容するように構成されており、その閉鎖端から延びる加熱ブレードであって、板状のタバコ物品の挿入の向きに応じて板状のタバコ物品の第1の隙間又は板状のタバコ物品の第2の隙間に収容されるように構成された加熱ブレードを備える、エアロゾル生成デバイスに関する。
【0032】
これら特徴のおかげで、加熱ブレードは、物品内に形成された隙間のうちの1つに収容されることができる。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、加熱ブレードは、加熱ブレードが板状のタバコ物品の第2の隙間に収容されているときは伝導加熱によって、及び加熱ブレードが板状のタバコ物品の第1の隙間に収容されているときは対流加熱によって、基材層を加熱するように適合されている。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、加熱ブレードは、2つの反対側の側面を形成し、側面のうちの一方に配置された加熱要素を備え、
加熱要素は、加熱ブレードが板状のタバコ物品の第2の隙間に収容されたときに基材層に接触し、加熱ブレードが板状のタバコ物品の第1の隙間に収容されたときに基材層から間隔を空けるように構成されている。
【0035】
これら特徴のおかげで、同じエアロゾル生成デバイスにより、2つの異なる加熱タイプを確実にすることができる。前述したように、加熱タイプは、ユーザによって単に加熱チャンバ内でのタバコ物品の向きを変えることによって選択できる。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、加熱チャンバは、デバイス軸に沿って延びる2つの平行な対向する壁を備え、加熱ブレードは、壁までの等しくない距離を有して対向する壁に平行に延びている。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、加熱ブレードは、前記対向する壁のうちの一方と、対向する壁の間の中間距離に配置された平面との間に延びている。
【0038】
これら特徴のおかげで、加熱ブレードは、挿入中に追加の調整をすることなく、ユーザによって選択された隙間に収容されることができる。具体的には、加熱チャンバの壁は、加熱ブレード用のガイド手段として機能することができる。
【0039】
本発明は、
-上述したような板状のタバコ物品と、
-上述したようなエアロゾル生成デバイスと
を備えるエアロゾル生成アセンブリにも関する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明及びその利点は、以下の説明を読むことでよりよく理解されるであろう。以下の説明は、単なる非限定的な例として挙げられ、添付の図面を参照して記述される。
【0041】
【
図1】本発明によるエアロゾル生成アセンブリの斜視図であり、エアロゾル生成アセンブリは、本発明によるエアロゾル生成デバイスと、本発明による板状のタバコ物品とを備え、板状のタバコ物品は、エアロゾル生成デバイスと共に使用可能である。
【
図3】
図2の板状のタバコ物品の異なる図である(A:上面図、B:正面図、C:底面図)。
【
図4】
図1のエアロゾル生成デバイスに組み込まれた加熱チャンバの異なる図である(A:正面図、B:側面図)。
【
図5】2つの異なる方向に従って
図4の加熱チャンバ内に挿入された
図2の板状のタバコ物品の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明について説明する前に、本発明は、以下の説明で記述される構造の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行されることが、本開示の利益を享受する当業者に明らかであろう。
【0043】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル生成デバイス」又は「デバイス」という用語は、以下に更に詳細に説明するヒータ要素を用いて、ベイピング用のエアロゾルを含むエアロゾルをユーザに送達するためのベイピングデバイスを含み得る。このデバイスは、携帯用であり得る。「携帯用」とは、ユーザが保持して使用するデバイスを指し得る。デバイスは、例えば、可変の時間量にわたってヒータ要素を作動させることにより、(定量のエアロゾルとは対照的に)可変量のエアロゾルを生成させるように適合されてもよく、その生成は、トリガによって制御することができる。トリガは、ベイピングボタン及び/又は吸入センサなど、ユーザが作動させるものであり得る。吸入センサは、(タバコ、葉巻、又はパイプなどの従来の可燃性喫煙物品の喫煙効果を模倣するように)可変量の蒸気を提供することを可能にするために、吸入強度及び吸入持続時間に対する感度が高いものであってもよい。デバイスは、ヒータ及び/又は加熱されたエアロゾル生成物質(エアロゾル前駆体)の温度を特定の目標温度まで駆動し、その後、その温度をエアロゾルの効率的な生成を可能にする目標温度に維持するための温度調節制御部を含み得る。
【0044】
本明細書で使用する場合、「エアロゾル」という用語は、固体粒子、液滴、気体のうちの1つ以上として気化可能材料の浮遊物を含み得る。この浮遊物は、空気を含む気体中に存在することができる。本明細書におけるエアロゾルは、一般に、蒸気を指し得る/含み得る。エアロゾルは、気化可能材料の1つ以上の成分を含み得る。
【0045】
本明細書で使用する場合、「気化可能材料」又は「前駆体」という用語は、例えば、ニコチン又はタバコと、エアロゾル形成剤とを含み得る喫煙可能材料を指し得る。タバコは、刻みタバコ、粒状タバコ、タバコ葉及び/又は再構成タバコなどの様々な材料の形態を取り得る。適切なエアロゾル形成剤として、ポリオール(例えば、ソルビトール、グリセロール及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールなどのグリコール)、非ポリオール(例えば、一価アルコール、乳酸などの酸、グリセロール誘導体、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチルなどのエステル、グリセリン又は植物性グリセリン)が挙げられる。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成剤は、グリセロール、プロピレングリコール又はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であり得る。基材は、ゲル化剤、結合剤、安定化剤及び保湿剤のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0046】
図1は、エアロゾル生成デバイス11と、以下ではタバコ物品12と称される板状のタバコ物品12とを備えるエアロゾル生成アセンブリ10を示す。エアロゾル生成デバイス11は、
図2及び
図3に更に詳細に示す板状のタバコ物品12と共に動作するように意図されている。
【0047】
図2を参照すると、タバコ物品12は、例えば、物品軸Xに沿って延び、外部寸法L×W×Dを有する板状の直方体である。典型的な例では、物品軸Xに沿った物品12の長さLは、実質的に33mmに等しい一方で、その幅W及び深さDはそれぞれ実質的に12mm及び1.2mmに等しい。別の例によれば、値L、W及びDは、例えば、±40%の範囲内で選択することができる。タバコ物品12の深さDは、以下では狭い壁13A、13Bと称される一対の平行壁13A、13Bにより形成され、基材の幅Wは、以下では広い壁14A、14Bと称される一対の平行壁14A、14Bにより形成される。いくつかの実施形態では、広い壁及び狭い壁13A、13B、14A、14Bの間の縁部は丸みを帯びていてもよい。本発明の他の実施形態によれば、タバコ物品12は、任意の他の適切な形状及び/又は外部寸法を有することができる。
【0048】
タバコ物品12は、タバコ部分15と、物品軸Xに沿って配置されたマウスピース部分16とを備える。例えば、タバコ部分15は、マウスピース部分16よりも僅かに長くてもよい。例えば、物品軸Xに沿ったタバコ部分15の長さL2は、実質的に18mmに等しくてもよく、物品軸Xに沿ったマウスピース部分16の長さL1は、実質的に15mmに等しくてもよい。タバコ部分15は、物品12の当接端18を定め、マウスピース部分16は、物品12の口側端20を定める。タバコ部分15及びマウスピース部分16は、基材軸Xの周りに延びるラッパー21により互いに固定されてもよい。ラッパー21は、タバコ物品12の狭い壁及び広い壁13A、13B、14A、14Bを形成する。いくつかの実施形態では、ラッパー21は、同じ包装シートから形成される。例えば、狭い壁及び広い壁13A、13B、14A、14Bは同じ包装シートにより形成され、この包装シートは、特に、これらの壁を形成するように曲げられる。いくつかの他の実施形態では、ラッパー21は、部分15、16を別々に包装し任意の他の適切な手段により互いに固定される別々の包装シートによって形成される。ラッパー21は、例えば、紙、及び/又は不織布、及び/又はアルミニウム箔を含んでもよい。ラッパー21は、多孔質又は空気不透過性であってもよく、物品12の内側で当接端18と口側端20との間を延びる複数の空気流通路を形成する。
【0049】
マウスピース部分16は、タバコ物品12の上面図に対応する
図3の部分Aにも示されるコア27を備える。コア27は、例えば、蒸気がユーザにより吸入される前に蒸気を僅かに冷却するためのクーラとして機能するように意図され、この目的のために、例えば波形紙を含んでもよい。コア27は、押出成形及び/又は圧延工程を介して安定した形状に形成されてもよい。コア27は、
図3の部分Aに示すように、ラッパー21の内部表面に完全に接触するようにマウスピース部分16の内側に配置されて、このマウスピース部分16の範囲を定めることが好都合である。換言すれば、マウスピース部分16におけるラッパー21の内部表面とコア27との間には隙間が形成されていない。
【0050】
本発明(図示せず)の特定の実施形態では、マウスピース部分16は、例えば、物品軸Xに垂直な2つの軸に沿ったマウスピース部分16の全周に沿って配置された複数の通気孔を定める。換言すれば、この特定の実施形態によれば、通気孔は、狭い壁13A、13B及び広い壁14A、14Bのうちの基材の各壁に配置されている。別の例によれば、通気孔は、広い壁14A、14Bのみに、又は好ましくは、広い壁14A、14Bのうちの一方のみに配置される。両方の例において、通気孔は、物品軸Xに対して垂直に、物品12の対応する壁に又は各壁に整列されてもよく、同じ距離だけ間隔を空けて配置されることができる。通気孔は、物品12の内側に流入する新鮮な空気が特定のベイピング/味覚効果を実現させることを可能にする。本発明の好ましい実施形態では、通気孔が設けられていない。
【0051】
以下で更に詳細に説明するように、タバコ部分15は加熱ブレードにより加熱されることが意図されている。タバコ物品12の底面図に対応する
図3の部分Cに示すように、タバコ部分15は、上述したような気化可能材料を含む基材層30を備える。基材層30は、物品軸Xに沿ってタバコ部分15の内側で延びており、2つの反対側の側面を形成する。具体的には、基材層30は、その側面のうちの一方が、広い壁14Aに面し、この壁との間で第1の隙間31を形成し、他方の側面が、広い壁14Bに面し、この壁との間で第2の隙間32を形成するように構成されている。換言すれば、隙間31、32の各々が、ラッパー21の内部表面と基材層30の対応する側面との間に形成される。以下で更に詳細に説明するように、隙間31、32の各々が、基材層30に平行に加熱ブレードを収容するように構成されている。加えて、
図3の部分Cに示すように、第1の隙間31は第2の隙間32よりも広くすることができる。具体的には、第1の隙間31の厚さは、第2の隙間32の厚さの1.5倍、又は2倍、又は3倍の大きさとすることができる。例えば、第1の隙間31の厚さは0.3~0.7mmを含むことができ、第2の隙間32の厚さは0.2~0.4mmを含むことができる。
【0052】
図1を再度参照すると、エアロゾル生成デバイス11は、デバイス軸Yに沿って延びるデバイス本体40を備える。デバイス本体40は、マウスピース42と、デバイス軸Yに沿って引き続いて配置されたハウジング44とを備える。
図1の例によれば、マウスピース42及びハウジング44は2つの異なる部品を形成する。具体的には、この例によれば、マウスピース42は、ハウジング44の端部のうちの1つに形成された挿入開口部に固定されるように、又は挿入開口部内に収容されるように設計される。この場合、タバコ物品は、マウスピース42がハウジング44から取り外された場合にデバイス11内に挿入されることができる。(図示されない)他の例によれば、マウスピース42及びハウジング44は、1つの固有の部品を形成する。この場合、タバコ物品12は、例えばフロー出口を介してデバイス11内に挿入されることができる。両方の実施例によれば、マウスピース42は、タバコ物品12を少なくとも部分的に収容するように適合された貫通孔を定める。具体的には、
図1に示すように、貫通孔は、タバコ物品12のマウスピース部分16の少なくとも一部を収容するように適合されることができる。
【0053】
ハウジング44は、デバイス11の異なる機能を実行するように設計された様々な要素を収容するデバイス11の内部空間の範囲を定める。この内部空間は、例えば、デバイス11に給電するバッテリ、デバイス11の動作を制御する制御モジュール、タバコ物品12のタバコ部分15を加熱する加熱チャンバ50などを収容することができる。これらの要素のなかで加熱チャンバ50だけが
図4及び
図5を参照して更に詳細に説明される。
【0054】
具体的には、これら図面に示すように、加熱チャンバ50は、
図5の例に示すように、タバコ物品12の少なくともタバコ部分15、場合によっては、マウスピース部分16の少なくとも一部を収容するように適合されたカップ形状を形成することができる。タバコ物品12として、加熱チャンバ50は、デバイス軸Yに沿って延び、デバイス軸Yに沿って延びる一対の平行な狭い壁53A、53Bと、やはりデバイス軸Yに沿って延びる一対の平行な広い壁54A、54Bと、これら各壁に隣接しデバイス軸Yに垂直に延びる底部壁58とを備える、直方体形状を形成してもよい。したがって、底部壁58はチャンバ50の閉鎖端を形成する。加熱チャンバ50は、底部壁58の反対側に、タバコ物品12を収容するように構成された開口部60を定め、それにより、タバコ物品12の対応する広い壁14A、14Bは、加熱チャンバ50の対応する広い壁54A、54Bに面し、タバコ物品12の対応する狭い壁13A、13Bは、加熱チャンバ50の対応する狭い壁53A、53Bに面し、タバコ物品12の当接端18は、底部壁58又は底部壁58から延びる少なくともリブに当接する。具体的には、加熱チャンバ50は、タバコ物品12を2つの異なる向きで収容するように構成されている。第1の向きでは、タバコ物品12の狭い壁13A(又は13B)は、加熱チャンバ50の狭い壁53A(又は53B)に面し、タバコ物品12の広い壁14A(又は14B)は、加熱チャンバ50の広い壁54A(又は54B)に面する。第2の向きでは、タバコ物品12の狭い壁13A(又は13B)は、加熱チャンバ50の狭い壁53B(又は53A)に面し、タバコ物品12の広い壁14A(又は14B)は、加熱チャンバ50の広い壁54B(又は54A)に面する。両方の向きにおいて、向き合う広い壁14A、14B、54A、54B、及び向き合う狭い壁13A、13B、53A、53Bは、互いに接触することができる、又は互いに間隔を空けていることができる。
【0055】
第1の向き及び第2の向きは、例えば、タバコ物品12の挿入中にユーザにより、及び/又はデバイス11を使用して、例えばラッパー21上の特別なマーク又はシンボルと、デバイス11のハウジング44又はマウスピース42とを比較することにより決定されてもよい。
【0056】
加熱チャンバ50は、デバイス軸Yに沿って底部壁58から延びる加熱ブレード62を更に備える。例えば、加熱ブレード62は、デバイス軸Yに沿って、加熱チャンバ50の全長の少なくとも1/2、有利には3/4に沿って延びることができる。
図4の部分Bに示すように、加熱ブレード62は、加熱チャンバ50の広い壁54A、54Bまでの等しくない距離を有して配置されることができる。例えば、加熱ブレード62は、加熱チャンバの広い壁54Aと、広い壁54A、54Bの間の中間距離に配置された平面との間に延びることができる。換言すれば、加熱ブレード62は、広い壁54Bによりも、広い壁54Aにより接近して配置されることができる。この構成により、加熱ブレード62を加熱チャンバ50内に挿入している間に、加熱ブレード62の向きに応じて、加熱ブレード62がタバコ物品12の隙間31、32のうちの1つに収容されることが可能になる。具体的には、タバコ物品12が、第1の向きに従って加熱チャンバ50内に収容される場合(すなわち、物品12の広い壁14Aがチャンバ50の広い壁54Aに面する場合)、加熱ブレード62の構成によって、第2の隙間32よりも広い第1の隙間31内への加熱ブレード62の収容が可能になる。加熱ブレード62及びタバコ物品12のこのそれぞれの位置が
図5の部分Aに示される。タバコ物品12が、第2の向きに従って加熱チャンバ50内に収容される場合(すなわち、物品12の広い壁14Bがチャンバ50の広い壁54Aに面する場合)、加熱ブレード62の構成によって、第1の隙間31よりも厚い第2の隙間32内への加熱ブレード62の収容が可能になる。加熱ブレード62及びタバコ物品12のこのそれぞれの位置が
図5の部分Bに示される。
【0057】
加熱ブレード62は、2つの反対側の側面を形成し、側面のうちの一方に配置された加熱要素64を備える。具体的には、
図4の部分Bに示すように、加熱要素64は、加熱チャンバ50の広い壁54Bに面するように配置される。換言すれば、加熱要素64は、加熱ブレード62と加熱チャンバ50の対応する広い壁との間に形成される容積に面するように構成され、この容積は、加熱ブレード62と加熱チャンバ50の他の広い壁との間に形成される容積よりも大きい。したがって、タバコ物品12の第1の向きでは、加熱要素64は基材層30から間隔を空けて配置されて、この基材層30を対流により加熱するように構成され(
図5の部分A)、タバコ物品12の第2の向きでは、加熱要素64は基材層30に接触して、この基材層30を伝導により加熱するように構成される(
図5の部分B)。加熱要素64は、加熱ブレード62の対応する側面の実質的に総領域に沿って、又は例えばこの側面の中心部分のみに沿って延びる、加熱トラック又はポリイミドフィルムヒータを形成してもよい。加熱ブレード62は、セラミック又は金属から作製されてもよい。その厚さは、例えば0.1mm~0.5mmを含むことができ、0.3mmに等しいことが好都合であり得る。
【国際調査報告】