(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】電解装置からのガス気流から複数の不純物を除去するガスブロック
(51)【国際特許分類】
C01B 3/50 20060101AFI20240829BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20240829BHJP
B01J 39/16 20170101ALI20240829BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240829BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20240829BHJP
B01D 45/08 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C01B3/50
C25B15/08 302
B01J39/16
B01D53/14 100
B01D53/26 100
B01D45/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580634
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2022069195
(87)【国際公開番号】W WO2023281106
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】321003751
【氏名又は名称】エナプター エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】コールデコット ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン ショーン クロフォード
(72)【発明者】
【氏名】ピント ヴィート
(72)【発明者】
【氏名】ダイヤモンド ラザラス
(72)【発明者】
【氏名】ゼーネル ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ ソーベン
【テーマコード(参考)】
4D020
4D031
4D052
4G140
4K021
【Fターム(参考)】
4D020AA08
4D020BA21
4D020BB01
4D020CA05
4D020CD02
4D020CD10
4D020DA03
4D020DB04
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4D031AB23
4D031EA03
4D052AA02
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4D052GA04
4D052GB00
4D052GB04
4G140FA02
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4G140FC08
4G140FD05
4G140FE01
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC01
4K021CA09
4K021DC03
(57)【要約】
【解決手段】
電解装置(1)からのガス気流から複数の不純物を除去するガスブロック(10)。ガスブロック(10)は、少なくとも1つの入口(13)であって、少なくとも1つの入口は、電解装置からのガス気流を受け入れるように構成される、少なくとも1つの入口と、少なくとも2つの出口(12,14)と、を備えて、第1出口(12)は、ガスブロックから不純物液体を除去するように構成されて、第2出口(14)は、ガスブロックからガス気流を解放するように構成される。第1除去チャンバ(15)は、少なくとも1つの入口と第1出口との間でガス気流の流路に沿って位置して、第1除去チャンバは、ガス気流から液体および/または蒸気を除去する。第2除去チャンバ(16)は、第1除去チャンバと第2出口との間でガス気流の流路に沿って位置して、第2除去チャンバは、ガス気流からさらなる不純物を除去する。ガスブロックは、主に、電解装置からの水素流の純化に使用される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解装置からのガス気流から複数の不純物を除去するガスブロックであって、
前記電解装置からの前記ガス気流を受け入れるように構成される少なくとも1つの入口と、
少なくとも2つの出口と、
を有してなり、
第1出口は、前記ガスブロックから液体を除去するように構成されて、
第2出口は、前記ガスブロックから前記ガス気流を解放するように構成されて、
第1除去チャンバは、少なくとも1つの前記入口と前記第1出口との間で前記ガス気流の流路に沿って位置して、
前記第1除去チャンバは、前記ガス気流から不純物液体および/または蒸気を除去して、
第2除去チャンバは、前記第1除去チャンバと前記第2出口との間で前記ガス気流の流路に沿って位置して、
前記第2除去チャンバは、前記ガス気流からさらなる不純物を除去する、
ことを特徴とするガスブロック。
【請求項2】
前記第1出口は、使用時に液体が重力下で前記第1出口を介して前記ガスブロックから除去されるように、前記ガスブロックの底部分に配置される、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項3】
少なくとも1つの前記入口は、前記ガスブロックの上方部分に配置される、
請求項1または2記載のガスブロック。
【請求項4】
前記第1出口の上流に水素と酸素との再結合用の追加の除去チャンバ、
を有してなる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項5】
前記第1出口の下流に水素と酸素との再結合用の追加の除去チャンバ、
を有してなる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項6】
前記第1除去チャンバは、疎水性層または親水性層のうちの1つでコーティングされる、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項7】
前記疎水性または疎水性層は、最大5000m
2/gの表面積を有する基材上にある、
請求項6記載のガスブロック。
【請求項8】
合体フィルタは、前記第1除去チャンバに配置される、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項9】
前記第1除去チャンバは、
スポンジ状の構造、
を備える、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項10】
前記スポンジ状の構造は、
液体を排出する複数の軸空隙、
を備える、
請求項9記載のガスブロック。
【請求項11】
前記第1除去チャンバは、
前記第1除去チャンバの内壁に溝、
を備える、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項12】
前記第2除去チャンバにおいて前記ガス気流から除去されるさらなる前記不純物は、分解生成物である、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項13】
前記第2除去チャンバは、前記ガス気流から前記分解生成物を除去する生成物を収容するように適合される、
請求項12記載のガスブロック。
【請求項14】
前記第2除去チャンバは、アミンを除去する生成物を備えるアミントラップである、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項15】
アミンを除去する前記生成物は、陽イオン交換樹脂である、
請求項14記載のガスブロック。
【請求項16】
前記第2除去チャンバは、バリアにより前記第1除去チャンバと分離されて、
前記バリアは、
前記第1除去チャンバから前記第2除去チャンバへ前記ガス気流を伝達する手段、
を備える、
請求項1乃至15のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項17】
前記バリアは、前記第1除去チャンバから前記第2除去チャンバへ前記ガス気流を伝達する前記手段を提供するように、前記ガス気流に対して透過性を有する、
請求項16記載のガスブロック。
【請求項18】
少なくとも1つの前記入口および/または前記第2出口に隣接する前記バリアの区間は、前記ガス気流に対して不透過性を有する、
請求項16または17記載のガスブロック。
【請求項19】
前記ガスブロックの内部の閾値圧力を超えたとき、前記ガスブロックからガスを解放するように構成される圧力解放バルブを備える第3出口、
を有してなる、
請求項1乃至18のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項20】
前記ガスブロック内の圧力、および/または前記電解装置もしくは同等のデバイスの方の前記ガスブロックの上流の圧力を調節するガス圧力調節器、
を有してなり、
前記ガス圧力調節器は、前記第2出口に配置される、
請求項1乃至19のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項21】
前記第2除去チャンバは、
壁の下方区間にu形状区間、
を備える、
請求項1乃至20のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項22】
前記第2除去チャンバは、前記第1除去チャンバにより囲まれる、
請求項1乃至21のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項23】
前記ガスブロックは、2バールから100バールまでの範囲の圧力を処理するように適合される、
請求項1乃至22のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項24】
アクティブ冷却手段は、前記ガスブロックの一部または全てに対して提供される、
請求項1乃至23のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項25】
熱交換器は、少なくとも1つの前記入口の上流に提供される、
請求項1乃至24のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項26】
少なくとも1つの前記入口は、1つ以上の前記電解装置に接続される、
請求項1乃至25のいずれか一項に記載のガスブロック。
【請求項27】
前記電解装置は、AEM電解装置である、
請求項1乃至26のいずれか一項に記載のガスブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解装置からのガス気流、例えば、水素のガス気流を処理する改善されたガスブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
水素は、エネルギー貯蔵から肥料の製造までにおよぶ多数の用途を有する。水素は、多くの供給源に由来し得る。同供給源の一部、例えば、化石燃料は、明白な理由により望ましいものではない。したがって、信頼性が高く、持続可能な方法で水素を製造できることが必要である。
【0003】
電解装置は、水を分解することにより、水素と酸素とを生成するために使用されるデバイスである。例えば、余剰再生可能エネルギーを用いて、このようなデバイスに電力供給して、バッテリと対照的なエネルギー貯蔵の手段として水素を使用することが可能である。電解装置は、一般的に、現在利用可能な3つの主要技術、すなわち、陰イオン交換膜(AEM:Anion Exchange Membrane)と、プロトン交換膜(PEM:Proton Exchange Membrane)と、液体アルカリシステムと、のうちの1つに属する。液体アルカリシステムは、最も確立された技術であり、PEMは、ある程度確立された技術である。AEM電解装置は、比較的新しい技術である。固体酸化物電解などの他の技術は、利用可能である。
【0004】
AEM電解装置とPEM電解装置とは、水素を生成するために、一方のハーフセルから他方のハーフセルへのイオンの移動に依拠する。AEMシステムは、水酸化物イオンOH-の移動に依拠する一方、PEMシステムは、水素イオンH+の移動に依拠する。
【0005】
乾式カソードを有するAEM電解などの特定の形態の電解は、比較的純粋な水素の製造を可能にするが、場合により、圧縮、使用、または貯蔵の前に、同水素を純化するために、水素をさらに処理する必要がある。
【0006】
現在、このような純化手段は、異なる不純物(contaminants)に対して別々のユニットであり、例えば、水の除去用に乾燥器があって、分解膜からのアミンなどの他の潜在的な不純物の除去用、または上流の成分の分解から生じる他の生成物の除去用に他のデバイスがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、大部分に水素を含むガス気流から複数の不純物を除去する改善された統合された手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様と実施形態とは、添付の特許請求の範囲に記載される。また、本発明の同態様と、同実施形態と、他の態様と、他の実施形態と、は本明細書に記載される。
【0009】
本明細書に記載される少なくとも1つの態様によれば、電解装置からのガス気流から複数の不純物を除去するガスブロックであって、少なくとも1つの入口であって、少なくとも1つの入口は、電解装置からのガス気流を受け入れるように構成される、少なくとも1つの入口と、少なくとも2つの出口と、を備えて、第1出口は、ガスブロックから液体を除去するように構成されて、第2出口は、ガスブロックからガス気流を解放するように構成されて、第1除去チャンバは、少なくとも1つの入口と第1出口との間でガス気流の流路に沿って位置して、第1除去チャンバは、ガス気流から液体および/または蒸気を除去して、第2除去チャンバは、第1除去チャンバと第2出口との間でガス気流の流路に沿って位置して、第2除去チャンバは、(第1除去チャンバの下流で)ガス気流から不純物を除去する、ガスブロックが提供される。
【0010】
本明細書に記載される別の態様によれば、電解装置からのガス気流から少なくとも1つの不純物を除去するガスブロックであって、少なくとも1つの入口であって、少なくとも1つの入口は、電解装置からのガス気流を受け入れるように構成される、少なくとも1つの入口と、ガスブロックからガス気流を解放する少なくとも1つの出口と、を備えて、除去チャンバは、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間でガス気流の流路に沿って位置して、除去チャンバは、ガス気流から少なくとも1つの不純物(好ましくは、液体および/もしくは蒸気ならびに/または分解生成物)を除去する、ガスブロックが提供される。したがって、この場合、前述のとおりの態様の第1除去チャンバと第2除去チャンバとは、第1除去チャンバと第2除去チャンバとの間に(バリア、フィルタ、境界面、または膜などの)境界を伴わずに単一の除去チャンバを形成するように統合され得る。
【0011】
したがって、有利なことに、本ガスブロックは、異なる不純物に対して別々のユニットを使用する既存の純化手段とは対照的に、電解装置からのガス気流から複数の異なる不純物を除去する統合された手段を提供する。
【0012】
好ましくは、本ガスブロックの第1出口は、使用時に液体が重力下で第1出口を介して本ガスブロックから除去されるように、本ガスブロックの底部分に配置される。
【0013】
好ましくは、少なくとも1つの入口は、本ガスブロックの上方部分に配置される。
【0014】
好ましくは、本ガスブロックは、第1出口の上流に水素と酸素との再結合用の追加の除去チャンバを備える。
【0015】
代替的に、本ガスブロックは、第1出口の下流に水素と酸素との再結合用の追加の除去チャンバを備えてもよい。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つの除去チャンバ、通常、第1除去チャンバは、疎水性層もしくは親水性層のいずれかでコーティングされるか、または疎水性層もしくは親水性層のいずれかを有するように表面処理される。好ましくは、前記層は、コーティングの形態で追加されるか、レーザアブレーションの形態で取り除かれるか、または別の一般的な処理により形成される。
【0017】
好ましくは、親水性層または疎水性層は、最大5000m2/g、好ましくは、1m2/gから5000m2/gの間、より好ましくは、50m2/gと4000m2/gとの間の表面積を有する基材上にある。より高い表面積が望ましい場合があるが、1m2/gから10m2/gの間の表面積、もしくは1m2/gから5m2/gの間の表面積、または1m2/gの表面積も有利な場合があり、最適な表面積は、所望の親水性または疎水性の特性により決定されることが想定される。代替的に、親水性層または疎水性層は、フェムト秒レーザにより達成される所望の効果により、表面に存在し得る。このような表面は、壁自体に形成され得るか、または壁の前方に配置された挿入物に形成され得る。挿入物が望ましい場合、第1除去チャンバは、シート挿入物の挿入と除去とに適応した手段と共に提供されるべきである。
【0018】
一実施形態において、合体フィルタ(coalescing filter)は、第1除去チャンバに配置される。代替的に、合体フィルタ(または他の多孔材料)は、第1チャンバと第2チャンバとの間に境界を形成する。
【0019】
好ましくは、第1除去チャンバは、熱交換を可能にして、および/または凝縮/液滴形成の核形成場所を提供するために、表面積を最大化するスポンジ状の構造または他の構造を備える。
【0020】
好ましくは、スポンジ状の構造は、液体を排出する複数の空隙、軸空隙、または毛細管を備える。これらの空隙、軸空隙、または毛細管は、3Dプリントなどの任意の既知の手段を使用して提供され得る。
【0021】
一実施形態において、第1除去チャンバは、チャンバの内壁に溝を備える。
【0022】
好ましくは、第2除去チャンバは、ガス気流から分解生成物を除去する生成物または物質を収容するように適合される。
【0023】
好ましくは、第2除去チャンバは、ガス気流からアミンを除去する生成物または物質を備えるアミントラップである。
【0024】
好ましくは、ガス気流からアミンを除去する生成物または物質は、陽イオン交換樹脂である。
【0025】
好ましくは、第2除去チャンバは、バリア(好ましくは、合体フィルタまたは膜)により第1除去チャンバと分離されて、バリアは、第1除去チャンバから第2除去チャンバへのガス気流を可能にする手段を有する。
【0026】
好ましくは、バリアは、第1除去チャンバから第2除去チャンバへガス気流を伝達する手段を提供するように、ガス気流に対して透過性を有する。
【0027】
好ましくは、少なくとも1つの入口および/または第2出口に隣接するバリアの区間は、ガス気流に対して不透過性を有する。
【0028】
好ましくは、本ガスブロックは、本ガスブロック内の圧力および/または電解装置の方の上流の圧力を調節するガス圧力調節器を備える。ガス圧力調節器は、好ましくは、第2出口に配置される。調節は、所定の値に設定され得て、好ましくは、50バール未満である。
【0029】
好ましくは、本ガスブロックは、本ガスブロックの内部の閾値圧力を超えたときに、本ガスブロックからガスを解放するように構成される圧力解放バルブを備える第3出口をさらに備える。
【0030】
好ましくは、第2除去チャンバは、壁の下方区間にu形状区間を有する。
【0031】
好ましくは、第2除去チャンバは、第1除去チャンバにより囲まれる。ガスが第2チャンバから第1チャンバへ流れるように、流れの方向が逆でもよいことも想定される。
【0032】
好ましくは、本ガスブロックは、1バールから1000バールまでの範囲、より好ましくは、2バールから100バールまでの範囲、より一層好ましくは、20バールと50バールとの間の範囲の圧力を処理するように適合される。
【0033】
好ましくは、アクティブ冷却手段は、本ガスブロックの一部または全てに対して提供される。
【0034】
好ましくは、熱交換器は、少なくとも1つの入口の上流に提供される。代替的に、熱交換器は、本ガスブロックの本体または本体の一部に配置されてもよい。本体は、除去チャンバの外壁である。
【0035】
好ましくは、少なくとも1つの入口は、1つ以上の電解装置、または電気化学コンプレッサなどの他の電気化学デバイスに接続される。
【0036】
好ましくは、電解装置は、AEM電解装置である。
【0037】
本明細書で使用される「ガスブロック」という用語は、入口と出口とを含むデバイスを指すように使用されて、前記入口と前記出口とは、水素を含むガス気流の処理のためにデバイス内の除去ゾーンと流体接続する開口である。ガスブロックは、ガスマニホールドとも称され得る。ガスブロックは、ガスブロックが使用されているシステムの残りの部分に対して、独立してテスト、設置、および交換され得る。
【0038】
本明細書で使用される「ガス気流」という用語は、液体水、水蒸気、エアロゾル、酸素、アミンなどであるが、これらに限定されない(液体または気体を含む)流体不純物を有する、妥当であるわずかな水素ガスを含む任意の流れを指すように使用される。
【0039】
本明細書で使用される「液体/蒸気トラップ」という用語は、「水トラップ」とも称されて、水は、除去される可能性が最も高い不純物である。
【0040】
本明細書で使用される「トラップ」と、「除去領域」と、「除去チャンバ」と、「除去ゾーン」という用語は、不純物が捕捉されているガスブロック内の領域、または不純物が除去されているゾーンを定義するように交換可能に使用され得る。
【0041】
本明細書で使用される「分解生成物トラップ」という用語は、「アミントラップ」と交換可能に使用されて、アミンは、捕捉される分解生成物の一例である。
【0042】
入口は、一般的に、ガスブロックの上半分にあることが想定される。代替的に、入口は、前記ガスブロックの本体のどこにあってもよい。
【0043】
本明細書で使用される「水」という用語は、好ましい実施形態において、水が最も一般的に存在する液体のタイプであるため、「液体」と交換可能に使用され得る。CO2電解などの他の実施形態では、アルコール/水が分けられる必要があり得る。
【0044】
2つの除去チャンバ、すなわち、液体/蒸気を除去する第1除去チャンバと、アミン/分解生成物を除去する第2除去チャンバと、が存在することが想定される一方で、追加の除去チャンバは、不純物ガスを除去するために提供され得ることが想定される。ガスブロックが電解装置に接続される好ましい実施形態において、顕著な潜在的不純物は、酸素である。したがって、再結合デバイスまたは触媒層は、酸素を除去するために提供され得る。
【0045】
このような再結合デバイスは、触媒が並べられた(lined)第1領域、または第1除去チャンバの断面におよぶ触媒活性基材などの多くの形態を取り得る。代替的に、再結合デバイスは、ガスブロックの上流にあるが、ガスブロックに接続され得るか、またはガスブロックの下流にあり得る。好ましくは、任意の再結合ゾーンは、生成された水が、液体/蒸気除去チャンバにおいて単一の段階で除去され得るように、液体/蒸気除去チャンバの上流にある。しかしながら、水を除去する他の手段が提供されてもよい。
【0046】
水トラップ(すなわち、液体/蒸気除去チャンバ)は、疎水性層または親水性層を用いた第1除去チャンバの内部のコーティングを含む様々なアプローチで達成され得ることが想定される。より一層好ましくは、疎水性層を備える前記除去チャンバの表面積は、カーボンクロスなどの高表面積基材により増やされ得る。高表面積基材は、少なくとも5000m2/g、または1m2/gから5000m2/gまでの間、もしくは50m2/gと4000m2/gとの間の表面積を有して、代替的に、高表面積基材は、1000m2/gを超えるか、または少なくとも500m2/gから5000m2/gまでの範囲、もしくは500m2/gから2500m2/gまでの範囲の表面積でもよいことが想定される。より高い表面積が望ましい場合があるが、10m2/g未満の表面積、もしくは5m2/g未満の表面積、または1m2/g未満の表面積も有利な場合があり、表面積は、所望の親水性または疎水性の特性により決定されることが想定される。本発明の実施形態において、水トラップ(すなわち、第1除去チャンバ)の内側表面上には、疎水性コーティング基材および/または表面処理基材と、非コーティング基材と、で交互になっている筋が提供され得る。これらは、処理されているガス気流の流路に対して平行または垂直であり得る。流路に沿った合体フィルタなどの他の改変は、液滴の形成を促すために使用され得る。
【0047】
ガスブロックは、水素を含むガス気流の流路にメッシュタイプ構造が存在して、前記メッシュ状の構造が合体フィルタとして機能するように、少なくとも部分的に3Dプリントまたは他の方法で製造され得ることが想定される。
【0048】
製造方法に関わらず、液体/蒸気除去チャンバ(すなわち、第1除去チャンバ)は、スポンジ状の構造に類似した合体フィルタを備え得ることが想定される。前記スポンジ状の構造は、液体出口への液体水の排出と液体出口からの液体水の排出とを可能にするように、実質的に垂直の向きに複数の軸空隙を備え得ることがさらに想定される。液体の伝達を可能にするような液体除去チャンバの内壁における1つ以上の溝などの他の流路のように、液体除去出口への液体の伝達を促す他の向きも想定される。
【0049】
3Dプリントは、制限的な因子であることを意図されたものではないが、製造方法として、3Dプリントは、より優れた自由度とカスタマイゼーションとを可能にする。
【0050】
好ましい実施形態において、水トラップがガスブロックの寿命において制限的な因子とならないように、第1段階で選択される濾過オプションは、劣化しない。
【0051】
第2除去チャンバ、すなわち、アミントラップ/分解生成物トラップは、陽イオン交換樹脂であることが想定される。上流の第1除去チャンバ、すなわち、水トラップは、アルカリ性ではないこと、または他の場合には、KOHなどの妨害する可能性がある溶液ではないことを保証する。NaOHまたはLiOHは、第2トラップに達して、第2トラップを汚染し得る。図で認識され得るように、KOHがアミントラップに達しないことを保証するために別のバリアとして重力を利用するアミントラップを有するガスブロックの形状も、これを助ける。
【0052】
アミントラップ樹脂は、再生し得るが、好ましい実施形態において、アミントラップは、ガスブロックに接続された電解スタックの膜に存在する全てのアミンを捕捉可能なサイズである。アミン除去物質は、任意の好適な物質でもよいが、好ましくは、陽イオン交換樹脂、例えば、市販のDowex(登録商標)G26のようなスルホン酸官能基を有するポリスチレン主鎖であるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。特定の実施形態または使用ケースにおいて、追加の陰イオン交換樹脂および/または代替的な陰イオン交換樹脂が提供され得る。
【0053】
ガスブロックは、水素と、液体および/または気体不純物と、アミンと、を含む任意のガス気流に関して使用され得るが、好ましい実施形態において、ガスブロックは、電解装置、より一層好ましくは、AEM電解装置、さらにより一層好ましくは、乾式カソードを用いて動作するAEM電解装置に接続される。
【0054】
本発明は、熱交換器を用いることなく機能するが、好ましい実施形態において、フィンもしくは他の好適な手段、またはヒートシンクなどの熱交換器は、電解装置または他の水素供給源の出口とガスブロックの入口との間であって、ガスブロック自体に提供され得ることが想定される。前記熱交換器は、コイルパイプでもよく、流れにおける水もしくは他の蒸気の凝縮を促すために、周囲冷却、強制空気冷却、冷却を促すように前記パイプから放射するフィン、または処理される流れの温度を低減する任意の他の好適な手段を有してもよい。熱交換器は、水トラップの負荷を低減する。
【0055】
単一のガスブロックは、独立した入口、またはより高い可能性としては、統合された単一の入口により、複数の供給源からの水素を処理可能であることが想定される。
【0056】
入口と出口とは、記載のとおり、上半分または下半分のいずれかに配置されることが想定されるが、好ましい実施形態において、入口/出口は、ガスブロックの上または下における遠位端で実質的に同じ平面内にあるように構成されて、前記ガスブロックは、細長い柱体、直方体、または任意の形状のプリズムである。遠位端にある入口と出口とは、重力と除去チャンバを通るガスの流路の最大化との両方を利用して、これにより、ガス気流から除去される不純物の量を最大化する。
【0057】
一実施形態において、第2除去チャンバの壁は、中実であり、単一の部分のみがガス気流を受け入れるために、多孔質であるように適合される。このような実施形態は、第1除去チャンバと第2除去チャンバとを分離する膜、または他の場合には、多孔質ディスクを有する中実な柱体を備え得る。第2(アミン)除去チャンバとその内容物とを第1(液体/蒸気)除去チャンバから分離するために提供される手段、例えば、膜、微孔性層、または別のカーボンクロスが使用され得る。別の例は、金属膜外殻を有する焼結金属であり、前記金属膜は、100nmから200nmまでの間の細孔サイズを有して、バルク細孔体積は、5ミクロンから10ミクロンで、より大きい。このような特徴は、アミン除去トラップに多孔質の壁とベースとを提供するために使用され得る。
【0058】
第2除去チャンバの壁厚さは、変更されてもよいことも想定される。より細い壁とより厚いベースとを有することにより、これは、最も少ない抵抗の経路に従って、前記壁を通って水素が濾過されることを可能にして、水が大きい細孔サイズから小さい細孔サイズに形態を移すのを好むことにより、水がより厚いベースを通ってガスブロックから出て排出されることを可能にする。
【0059】
さらに別の実施形態において、第2除去チャンバ(すなわち、不純物トラップ)は、アミントラップの底およびまたは側面の少なくとも一部において、多孔質の壁の少なくとも1つ以上の区間を有する。入口に最も近い壁は、湿ったガスがアミントラップに入ることを防止するために、中実であり、さらに下流の壁は、第1(液体/蒸気)除去チャンバからアミントラップへのガスの伝達を可能にするために、多孔質であり得ることが想定される。アミントラップの出口に最も近い壁の区間は、前記アミントラップ内に収容された樹脂をガスがバイパスするのを防止するために、中実であり得ることも想定される。好ましい実施形態において、壁の下半分または下3分の2におけるU形状区間は、多孔質であり得る。
【0060】
ガスブロックは、様々な圧力下で機能可能であることが想定される。好ましくは、ガスブロックは、圧力下で電解装置により出力されるガス気流を処理可能であるように適合される。圧力は、実質的に1バールであるか、もしくは1バールよりも高いか、2バールから100バールまでの範囲か、10バールから50バールまでの範囲か、30バールと40バールとの間の範囲であるか、または実質的に35バールである。
【0061】
再結合デバイスは、ガスブロック、第1入口の上流、または出口の下流に提供され得ることが想定される。このような再結合デバイスは、水素と酸素との結合用の触媒活性表面を備え得る。このような反応は、第1(液体除去)出口を介して除去され得る水を生成して、したがって、好ましい配置は、前記出口の上流である。
【0062】
ガスブロックは、上昇した圧力下で動作するものとして想定されるため、好ましい実施形態において、安全性チェックバルブは、問題となる可能性がある圧力増大を防止するように、ガス気流の排出を可能にするために提供される。
【0063】
安全性チェックバルブは、予め定められてもよく、および/または修正されてもよいことが想定される。これは、101%と200%との間の動作圧力、もしくは105%から150%までの動作圧力、またはより好ましくは、115%と125%との間、もしくは140%と150%との間の動作圧力であることが想定される。AEM電解装置に接続される場合、動作圧力は、好ましくは、5バールから100バールの間、より好ましくは、20バールと50バールとの間、より一層好ましくは、35バールと45バールとの間である。好ましい実施形態において、冷却は、パッシブである。しかしながら、ファンなどのアクティブ冷却手段が提供され得ることが想定される。
【0064】
本明細書に記載の発明は、使用、圧縮、または貯蔵の前に電解装置からの水素を処理する目的で、オールインワンのコンパクトな解決策を提供する明確な利点を有する。しかしながら、本発明は、電解装置以外からの水素のガス気流を処理するためにも同様に使用されてもよい。同様に、本発明は、電解装置などからの酸素のガス気流、または電解装置からの任意の気体もしくは多相の排出物を処理するために使用されてもよい。
【0065】
本発明は、構築材料により限定されることを意図されたものではなく、任意の好適な材料が使用されてもよい。
【0066】
本明細書に記載される任意の装置の特徴は、方法の特徴としても提供されてもよく、逆もまた同様である。代替的に、本明細書で使用されるミーンズプラスファンクションの特徴は、同特徴の対応する構造の観点で表現されてもよい。
【0067】
本発明の一態様における任意の特徴は、任意の適切な組合せで本発明の他の態様に適用され得る。特に、方法の態様は、装置の態様に適用されてもよく、逆もまた同様である。さらに、一態様における任意の特徴、一部の特徴、および/または全ての特徴は、任意の適切な組合せで任意の他の態様における任意の特徴、一部の特徴、および/または全ての特徴に適用され得る。本発明の任意の態様で記載されて、定義される様々な特徴の特定の組合せは、独立して実装および/もしくは供給ならびに/または使用され得ることも理解されたい。
【0068】
本発明の一態様における任意の特徴は、任意の適切な組合せで、本発明の他の態様に適用され得る。特に、方法の態様は、装置の態様に適用されてもよく、逆もまた同様である。代替的に、本明細書で使用されるミーンズプラスファンクションの特徴は、同特徴の対応する構造、例えば、好適にプログラムされたプロセッサと関連付けられるメモリとの観点で表現されてもよい。
【0069】
本発明は、添付の図を参照して、実質的に本明細書に記載されて、および/または示される方法とシステムと装置とにまでおよぶ。
【図面の簡単な説明】
【0070】
ここで、単なる例示として、同様の参照番号を有する添付の図面を参照して、1つ以上の態様が説明される。
【
図1】
図1は、電解スタックの下流にあるガスブロックである。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係るガスブロックの断面である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施形態に係る別のガスブロックの断面である。
【
図4】
図4は、第1除去チャンバに合体フィルタを有する、本発明の第3実施形態に係る別のガスブロックの断面である。
【
図5】
図5は、第1除去チャンバに長手方向の軸を有する、本発明の第4実施形態に係る別のガスブロックの断面である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の第5実施形態に係るガスブロックを示す。
【
図6B】
図6Bは、本発明の第5実施形態に係るガスブロックを示す。
【
図6C】
図6Cは、本発明の第5実施形態に係るガスブロックを示す。
【
図6D】
図6Dは、本発明の第5実施形態に係るガスブロックを示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1を参照すると、水素出口2を有する電解スタック1が認識され得る。大部分に水素を含み、水蒸気やアミンなどの一部の不純物ガスを含むガス気流は、水素出口2から熱交換器コイル3に流れて、ファンなどの追加の任意選択的な冷却手段は、図示されていない。
【0072】
後述のとおり、
図2に図示されるとおり、ガス気流は、入口11を介してガスブロック10に入る。ガスブロックには、液体出口12と、所定の圧力で解放されるように設定された安全性チェックバルブ13と、処理された水素用の出口14と、が存在する。出口14は、液体出口12の上にあるが、液体出口の下流にあり、アミントラップは、この図に示されていない。入口11と出口12,13,14とは、ガスブロックに流体(すなわち、電解スタックからのガス気流)を導入して、ガスブロックから流体を排出する(すなわち、液体出口12から液体を出して、圧力解放出口13と処理水素出口14とからガスを出す)パイプに接続可能であるように適合される。
【0073】
ここで、
図2を参照すると、
図1のガスブロック10の断面が認識され得る。ガスブロック10の上で左から右へ、水素を含むガス気流を取り込む第1入口11が存在して、中間に水素出口14が存在して、右に安全性チェックバルブ13への出口が存在する。液体/蒸気出口12は、ガスブロック10の底部にある。
【0074】
使用時、水素含有流は、ガス気流の流路を示す矢印20aにより示されるように、水素入口11を介してガスブロック10に入る。次いで、ガス気流は、第1除去チャンバ15を通って流れる。この例では、第1除去チャンバ15は、液体/蒸気除去チャンバである。除去チャンバ15は、疎水性材料および/または親水性材料、再結合触媒、または他の材料でコーティングされ得る。再結合触媒/デバイス(不図示)は、存在する任意の酸素を除去するために、第1除去チャンバ15におよび得て、生成される液体は、液体トラップ12を介して出られ得る。
【0075】
第1除去チャンバ15が液体/蒸気除去チャンバであるとき、第1除去チャンバ15は、蒸気不純物の凝縮を促して、その結果、蒸気不純物を液体形態で除去できるように液滴の形成を促す特徴を第1除去チャンバ15の内部に含む。液滴の形成を促す同特徴は、疎水性層コーティング(不図示)、および/もしくはカーボンクロス(同じく不図示)などの高表面積基材、および/もしくは疎水性コーティング基材と非コーティング基材とで交互になっている内側表面上の筋、および/もしくは他の表面処理/コーティングの側面にある、選択的な凝縮を可能にするような流路内のレーザプリントによるミクロンサイズの穴、または他のパターンなどの表面処理であり得る。同筋は、第1除去チャンバ15を通って伝達されるガス気流の流れの方向に対して平行または垂直であり得る。
【0076】
液体出口12は、凝縮水蒸気とガスブロックに入った任意の不純KOHとを除去することを意図されたものである。(除去チャンバ15において凝縮した蒸気を含む)液体は、ガスブロック10の底部へ流れて、出口12を通って排出されるため、出口12をガスブロックの底部に配置することにより、重力は、除去を助けるために利用される。出口12を通って出る液体の流路は、矢印22により示される。第1除去チャンバ15または他のデバイスに配置された合体フィルタも、液体の除去を助けるために使用され得る。
【0077】
通常の動作において、ガスは、第1除去チャンバ15から第2除去チャンバ16に入るように進む。この例では、第2除去チャンバ16は、アミンまたは他の分解生成物を除去するアミントラップ/分解生成物トラップである。
図2で、移行は、アミン/分解生成物を捕捉する化合物を第2除去チャンバ16内部に維持するように、メッシュ、膜、または他の半透過性バリアが位置する螺旋状領域17で認識され得る。メッシュ、膜、または他の半透過性バリアは、第2除去チャンバ16と第1除去チャンバ15との間の境界であって、第2除去チャンバ16の底部に配置される。アミントラップは、取り付けられた電気化学スタックからの全ての潜在的なアミン分解をアミントラップが理論的に処理可能なサイズである。この例では、第2除去チャンバ16から第1除去チャンバ15を分離する垂直壁は、ガス気流に対して不透過性であり、したがって、ガス気流は、第1除去チャンバ15の長さを通過した後にのみ第2除去チャンバ16に入り得る。このように、ガスの流路は、第1除去チャンバ15における蒸気不純物の凝縮を促すために、第1除去チャンバ15を通って延在しており、これにより、不純物が第1出口12を介して除去され得る。
【0078】
(この例では、アミントラップ/分解生成物トラップである)第2除去チャンバは、アミン除去物質として機能する陽イオン交換樹脂(不図示)を含む。代替的に、アミン除去物質は、任意の好適な物質でもよいが、市販のDowex(登録商標)G26のようなスルホン酸官能基を有するポリスチレン主鎖などの陽イオン交換樹脂が好ましい。
【0079】
第2出口14は、このチャンバの上に位置する。ガス気流は、矢印20bにより示される流路に従って、第2除去チャンバ16を通過する。第1除去チャンバと第2除去チャンバとを通過することにより純化されたガスは、第2出口14を介して解放される。
【0080】
安全性チェックバルブ13は、自動的に開放するように設定されて、これにより、ガスは、所定の閾値でガスブロック10から排出される。閾値は、上流または下流のバランスオブプラントについて圧力が高すぎる場合にのみガスが解放されるような閾値である。チェックバルブ13を介して排出されているガスの流路は、矢印24により示される。
【0081】
本発明の代替的な実施形態の断面は、
図3で認識され得る。水素ガスと不純物ガスとは、入口11(A)を介してガスブロック10に入る。次いで、ガス気流は、矢印20aにより示されるように、液体除去チャンバ15(E)を通過する。液体は、矢印22により示されるように、出口12(D)を介して本実施形態を出る。ガス流は、アミンを除去するために、アミン除去チャンバ16(F)に進み、通常の使用では、矢印20bにより示されるように、出口14(B)を介して出る。安全性チェックバルブ13(C)は、圧力が所定の閾値を超える場合にのみ開放するように適合されて、このとき、圧力は、矢印24により示されるように、バルブ13を介して水素を排出することにより解放される。
【0082】
図2に示される前の実施形態のように、液体除去チャンバは、同様の方法でコーティングされてもよく、任意選択的に、存在する任意の酸素を除去するために、再結合デバイス/層を収容してもよい。任意の再結合の結果として生成される液体を、出口12を介して除去できるように再結合デバイスを第1(液体/蒸気)除去チャンバに配置することは、有利である。再結合デバイスが出口12の下流に配置される場合、追加の液体除去出口は、さらに下流に必要とされる。
【0083】
図4は、本発明のさらに代替的な実施形態の断面図を示す。本実施形態において、水素ガスと不純物ガスとは、(液体/蒸気除去チャンバである)第1除去チャンバ15に入るために、入口11を介してガスブロック10に入る。本実施形態における液体除去チャンバは、クロスハッチングにより示される合体フィルタ26を含む。具体的には、第1除去チャンバ15は、合体フィルタとして機能するメッシュまたはスポンジ状の構造を含む。メッシュまたはスポンジ状の構造は、3Dプリントによりガスブロック10とメッシュまたはスポンジ状の構造とを形成することにより、第1除去チャンバ15の内部に製造され得る。
【0084】
ガスブロック10に入るガス気流に存在する蒸気不純物は、第1除去チャンバ15において液体を形成するように凝縮して、同液体は、合体フィルタ26により気流のガス成分と分離される。重力下で、液体は、出口12へフィルタ26を通って排出されて、ガスブロックから液体を除去するために、出口12で、液体は、矢印22により示されるように、排出される。
【0085】
次いで、ガスは、2つの除去チャンバを分離している水素透過性バリア層28を介して、第1除去チャンバ15から第2除去チャンバ16内へ進む。この例では、第2除去チャンバ16は、アミンまたは他の分解生成物を除去するアミントラップ/分解生成物トラップであり、したがって、第2除去チャンバ16は、バリア層28により第2除去チャンバ16内に保持される陽イオン交換樹脂(不図示)などのアミン除去物質を含む。ガスは、第2(アミン)除去チャンバ16を通って進み、矢印20bにより示されるように、出口14を介して出る。
【0086】
安全性チェックバルブ13は、圧力が所定の閾値を超える場合にのみ開放するように適合されて、このとき、圧力は、矢印24により示されるように、バルブ13を介した水素の排出により解放される。
【0087】
図5は、本発明のさらに代替的な実施形態の断面図を示す。本実施形態において、水素ガスと不純物ガスとは、(液体/蒸気除去チャンバである)第1除去チャンバ15に入るために、入口11を介してガスブロック10に入る。本実施形態における液体除去チャンバ15は、ガスの流路と同じ方向に液体除去チャンバ15に沿って延在する一連の長手方向の軸空隙または毛細管29を含む。この例における毛細管29は、ガス透過性のスポンジ状の構造で形成されている。毛細管は、液体が玉になって液体に凝縮するのを促して、次いで、液体は、毛細管29に沿って出口12へ下方に排出されて、液体は、出口12を通って、ガスブロック10から除去される。毛細管は、3Dプリントによりガスブロック10と毛細管とを形成することにより、第1除去チャンバ15の内部に製造され得る。
【0088】
本実施形態において、第1除去チャンバ15と(アミン/分解生成物除去チャンバである)第2除去チャンバ16とは、第2除去チャンバ16の外周のほとんどに沿って水素透過性バリア28により分割される。しかしながら、水素入口11と安全性チェックバルブ13との近くでは、第1除去チャンバ15と第2除去チャンバ16とはそれぞれ、水素不透過性壁30aと水素不透過性壁30bとにより分離される。水素は、スポンジ状の材料の毛細管29を超えて透過して、水素透過性バリア28を超えて第2除去チャンバ16内に透過する。
【0089】
水素入口11の近くでは、不透過性壁30aは、蒸気不純物が第1(液体)除去チャンバ15において凝縮する前に、任意の未処理水素がガスブロック10に入ったほぼ直後に第2(アミン)除去チャンバ16に入るのを防止する。このようにして、ガスは、第2(アミン)除去チャンバ16に入る前に、少なくとも壁30の長さ分、第1(液体)除去チャンバ15を通って流れるように強制される。同様に、不透過性壁30bは、水素が第2除去チャンバ16に沿って少なくともほぼ中間で第2除去チャンバ16に入ることを保証して、したがって、水素が出口14を介して解放される前に、少なくとも壁30aの長さ分、水素が第2除去チャンバ16を通過することを保証する。したがって、不透過性壁30aは、両方の除去チャンバ15,16におけるガスの最低限の純化レベルを保証する。
【0090】
安全性チェックバルブ13の近くの不透過性壁30bは、バルブ13がガスブロック内部の圧力を解放するために開放される場合に、第2除去チャンバ16内の水素が排出されるのを防止する。このようにして、(処理された水素ではなく)未処理水素は、バルブ13を通じて排出されて、ガスブロック10における再処理のために、入口11に戻るように再び向けられ得る。
【0091】
不透過性壁30aと不透過性壁30bとは、第2除去チャンバ16の長さに沿ってほぼ中間まで延在しているように図示されているが、壁30a,30bは、より短くてもよく、例えば、第2除去チャンバ16の長さの3分の1のみに沿って延在してもよい。同様に、壁30a,30bは、より長くてもよく、例えば、
図1を参照して記載される実施形態のように、ガスが第2除去チャンバ16に入り得る第2除去チャンバ16の底部のほんの一部を残すように、第2除去チャンバ16の全長に沿って延在してもよい。
【0092】
ガスブロック10に入るガス気流に存在する蒸気不純物は、第1除去チャンバ15において液体を形成するように凝縮する。重力下で、液体は、出口12へ毛細管29に沿って排出されて、ガスブロックから液体を除去するために、出口12で、液体は、矢印22により示されるように排出される。この例では、第1除去チャンバ15の内壁は、液体を出口12に向けるように傾斜している。水素透過性バリア層28を介して第2(アミン)除去チャンバ16内に進むガスは、矢印20bにより示されるように、第2除去チャンバ16においてアミン除去物質を通過して、出口14を介してガスブロック10を出る。安全性チェックバルブ13は、圧力が所定の閾値を超える場合にのみ開放するように適合されて、このとき、圧力は、矢印24により示されるように、バルブ13を介した水素の排出により解放される。
【0093】
図6Aから
図6Dは、本発明のさらに代替的な実施形態に係るガスブロックの様々な図と断面とを示す。本実施形態において、ガス流は、入口11を介してガスブロックに入り、(液体/蒸気除去チャンバである)第1除去チャンバ15に入る。ガスブロック10に入るガス気流に存在する蒸気不純物は、第1除去チャンバ15において液体を形成するように凝縮して、同液体は、流れのガス成分と分離される。重力下で、液体は、出口12へフィルタ(不図示)を通って排出されて、液体は、出口12で排出される。次いで、ガス流は、2つの除去チャンバを分離している水素透過性バリア層28を介して、第1除去チャンバ15から第2除去チャンバ16内へ進む。この例では、第2除去チャンバ16は、不純物(例えば、分解生成物/アミン)除去トラップである。ガスは、第2除去チャンバ16を通って進み、出口14を介して出る。安全性チェックバルブ13は、圧力が所定の閾値を超える場合にのみ開放するように適合されて、このとき、圧力は、バルブ13を介した水素の排出により解放される。
【0094】
図7Aから
図7Dは、
図6Aから
図6Dと同じガスブロック10を示すが、入口11と出口14とが逆である、逆の流れを有して、矢印は、(本実施形態において、入口として機能している)出口14から第2除去チャンバ16内に入り、バリア28を通って第1除去チャンバ15に向かって(本実施形態において、出口として機能している)入口11から出る流体の流れを示す。
【0095】
ガスブロックとガスブロックの上流とにおける圧力が一定のままであることを保証するように所定の閾値に設定される水素出口におけるガス圧力調節器は、図示されていない。このガス圧力調節器は、流体がガスブロックを出入りするのを可能にするために、特定の圧力閾値で開閉するように較正される、ガスブロックの入口におけるバルブ(任意選択的に、ガスブロックの出口におけるさらなるバルブ)の形態で提供され得る。
【0096】
改変と修正
図2から
図5のそれぞれを参照して記載されるガスブロックの実施形態のそれぞれに開示される特徴は、組み合わされてもよいことを理解されたい。例えば、少なくとも以下の修正が行われてもよい。
・
図4のガスブロックの第1(液体)除去チャンバ15に存在する合体フィルタ26は、
図2または
図3のガスブロックの第1除去チャンバ内に組み込まれてもよい。
・
図4のガスブロックの第1(液体)除去チャンバ15に存在する毛細管29は、
図2または
図3のガスブロックの第1除去チャンバ内に組み込まれてもよい。
・
図4と
図5とのガスブロックの第1(液体)除去チャンバ15と第2(アミン)除去チャンバ16との間に存在する不透過性壁30a,30bと水素透過性バリア層28とは、
図2、
図3、または
図4のガスブロックの除去チャンバ間に組み込まれてもよい。加えて、不透過性壁30a,30bの長さは、記載のとおり変更されてもよい。
・
図2と
図4と
図5とのガスブロックの様々な入口(11)と出口(12,13,14)との場所はそれぞれ、
図2のガスブロックの入口と出口との場所と一致するように移されてもよい。
【0097】
本発明は、前述の実施形態の詳細に制限されることを意図されたものではない。例えば、構築材料は、任意の好適な材料でもよく、構築方法は、任意の好適な方法でもよい。形状は必ずしも、同心のディスクとドーナツとを示す制限的な因子であることを意図されたものではなく、ガスブロックの一部または全てにおいて円錐形状が存在してもよい。
【0098】
追加的に、流れは、他の場所で、またはガスブロック内で除去される、述べられていない他の不純物を含んでもよい。
【0099】
本発明は、単なる例示として上記で記載されており、詳細な修正は、本発明の範囲内で行われ得ることが理解されるであろう。
【0100】
明細書と(必要に応じて)特許請求の範囲と図面とに開示される各特徴は、独立して、または任意の適切な組合せで提供され得る。
【0101】
特許請求の範囲で登場する参照番号は、単なる例示であり、特許請求の範囲に対する制限的な効果は、全くない。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解装置からのガス気流から複数の不純物を除去するガスブロックであって、
前記電解装置からの前記ガス気流を受け入れるように構成される少なくとも1つの入口と、
少なくとも2つの出口と、
を有してなり、
第1出口は、前記ガスブロックから液体を除去するように構成されて、
第2出口は、前記ガスブロックから前記ガス気流を解放するように構成されて、
第1除去チャンバは、少なくとも1つの前記入口と前記第1出口との間で前記ガス気流の流路に沿って位置して、
前記第1除去チャンバは、前記ガス気流から不純物液体および/または蒸気を除去して、
第2除去チャンバは、前記第1除去チャンバと前記第2出口との間で前記ガス気流の流路に沿って位置して、
前記第2除去チャンバは、前記ガス気流からさらなる不純物を除去する、
ことを特徴とするガスブロック。
【請求項2】
前記第1出口は、使用時に液体が重力下で前記第1出口を介して前記ガスブロックから除去されるように、前記ガスブロックの底部分に配置される、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項3】
少なくとも1つの前記入口は、前記ガスブロックの上方部分に配置される、
請求項1または2記載のガスブロック。
【請求項4】
前記第1出口の上流に水素と酸素との再結合用の追加の除去チャンバ、
を有してなる、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項5】
前記第1出口の下流に水素と酸素との再結合用の追加の除去チャンバ、
を有してなる、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項6】
前記第1除去チャンバは、疎水性層または親水性層のうちの1つでコーティングされる、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項7】
前記疎水性または
親水性層は、最大5000m
2/gの表面積を有する基材上にある、
請求項6記載のガスブロック。
【請求項8】
合体フィルタは、前記第1除去チャンバに配置される、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項9】
前記第1除去チャンバは、
スポンジ状の構造、
を備える、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項10】
前記スポンジ状の構造は、
液体を排出する複数の軸空隙、
を備える、
請求項9記載のガスブロック。
【請求項11】
前記第1除去チャンバは、
前記第1除去チャンバの内壁に溝、
を備える、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項12】
前記第2除去チャンバにおいて前記ガス気流から除去されるさらなる前記不純物は、分解生成物である、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項13】
前記第2除去チャンバは、前記ガス気流から前記分解生成物を除去する生成物を収容するように適合される、
請求項12記載のガスブロック。
【請求項14】
前記第2除去チャンバは、アミンを除去する生成物を備えるアミントラップである、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項15】
アミンを除去する前記生成物は、陽イオン交換樹脂である、
請求項14記載のガスブロック。
【請求項16】
前記第2除去チャンバは、バリアにより前記第1除去チャンバと分離されて、
前記バリアは、
前記第1除去チャンバから前記第2除去チャンバへ前記ガス気流を伝達する手段、
を備える、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項17】
前記バリアは、前記第1除去チャンバから前記第2除去チャンバへ前記ガス気流を伝達する前記手段を提供するように、前記ガス気流に対して透過性を有する、
請求項16記載のガスブロック。
【請求項18】
少なくとも1つの前記入口および/または前記第2出口に隣接する前記バリアの区間は、前記ガス気流に対して不透過性を有する、
請求項16または17記載のガスブロック。
【請求項19】
前記ガスブロックの内部の閾値圧力を超えたとき、前記ガスブロックからガスを解放するように構成される圧力解放バルブを備える第3出口、
を有してなる、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項20】
前記ガスブロック内の圧力、および/または前記電解装置もしくは同等のデバイスの方の前記ガスブロックの上流の圧力を調節するガス圧力調節器、
を有してなり、
前記ガス圧力調節器は、前記第2出口に配置される、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項21】
前記第2除去チャンバは、
壁の下方区間にu形状区間、
を備える、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項22】
前記第2除去チャンバは、前記第1除去チャンバにより囲まれる、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項23】
前記ガスブロックは、2バールから100バールまでの範囲の圧力を処理するように適合される、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項24】
アクティブ冷却手段は、前記ガスブロックの一部または全てに対して提供される、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項25】
熱交換器は、少なくとも1つの前記入口の上流に提供される、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項26】
少なくとも1つの前記入口は、1つ以上の前記電解装置に接続される、
請求項1記載のガスブロック。
【請求項27】
前記電解装置は、AEM電解装置である、
請求項1記載のガスブロック。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
水素入口11の近くでは、不透過性壁30aは、蒸気不純物が第1(液体)除去チャンバ15において凝縮する前に、任意の未処理水素がガスブロック10に入ったほぼ直後に第2(アミン)除去チャンバ16に入るのを防止する。このようにして、ガスは、第2(アミン)除去チャンバ16に入る前に、少なくとも壁30の長さ分、第1(液体)除去チャンバ15を通って流れるように強制される。同様に、不透過性壁30aは、水素が第2除去チャンバ16に沿って少なくともほぼ中間で第2除去チャンバ16に入ることを保証して、したがって、水素が出口14を介して解放される前に、少なくとも壁30aの長さ分、水素が第2除去チャンバ16を通過することを保証する。したがって、不透過性壁30aは、両方の除去チャンバ15,16におけるガスの最低限の純化レベルを保証する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
改変と修正
図2から
図5のそれぞれを参照して記載されるガスブロックの実施形態のそれぞれに開示される特徴は、組み合わされてもよいことを理解されたい。例えば、少なくとも以下の修正が行われてもよい。
・
図4のガスブロックの第1(液体)除去チャンバ15に存在する合体フィルタ26は、
図2または
図3のガスブロックの第1除去チャンバ内に組み込まれてもよい。
・図
5のガスブロックの第1(液体)除去チャンバ15に存在する毛細管29は、
図2または
図3のガスブロックの第1除去チャンバ内に組み込まれてもよい。
・
図4と
図5とのガスブロックの第1(液体)除去チャンバ15と第2(アミン)除去チャンバ16との間に存在する不透過性壁30a,30bと水素透過性バリア層28とは、
図2、
図3、または
図4のガスブロックの除去チャンバ間に組み込まれてもよい。加えて、不透過性壁30a,30bの長さは、記載のとおり変更されてもよい。
・
図2と
図4と
図5とのガスブロックの様々な入口(11)と出口(12,13,14)との場所はそれぞれ、
図2のガスブロックの入口と出口との場所と一致するように移されてもよい。
【国際調査報告】