IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特表2024-532058X線システムにおいてガイダンスデータを提供する方法
<>
  • 特表-X線システムにおいてガイダンスデータを提供する方法 図1
  • 特表-X線システムにおいてガイダンスデータを提供する方法 図2
  • 特表-X線システムにおいてガイダンスデータを提供する方法 図3
  • 特表-X線システムにおいてガイダンスデータを提供する方法 図4
  • 特表-X線システムにおいてガイダンスデータを提供する方法 図5
  • 特表-X線システムにおいてガイダンスデータを提供する方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】X線システムにおいてガイダンスデータを提供する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240829BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20240829BHJP
【FI】
A61B6/00 520M
A61B6/46 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501533
(86)(22)【出願日】2022-08-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022072188
(87)【国際公開番号】W WO2023020865
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】21191761.2
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ブルック ヘイネル マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ビストロフ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クロンケ スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】フーゼン アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】フォン ベルフ イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ヤング スチュアート マシュー
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA18
4C093EE30
4C093FA15
4C093FA32
4C093FF28
4C093FF42
4C093FG20
(57)【要約】
本発明は、被検体の関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを提供するための方法に関する。方法はプロセッサによって、測定装置から関心領域の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータを取得するステップ(S10)と、プロセッサによって、X線源及びX線検出器の現在位置決めデータを取得するステップと、プロセッサによって、関心領域、X線源及びX線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを、関心領域のポーズを記述するように構成されるパラメトリック3Dモデルを利用することによって決定し、X線源及びX線検出器の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの取得された現在位置決めデータを決定するステップ(S10)と、プロセッサにより、ガイダンスデータを提供するステップとを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを提供する方法であって、
プロセッサによって、測定装置から前記関心領域の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータを取得するステップであって、前記現在位置決めデータは、前記少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの触知から導出される、ステップと、
前記プロセッサによって、前記X線源及び前記X線検出器の現在位置決めデータを取得するステップと、
前記プロセッサによって、前記関心領域のポーズを記述するように構成されるパラメトリック3Dモデルと、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマーク、前記X線源、及び前記X線検出器の前記取得された現在位置決めデータとを利用することによって、前記関心領域、前記X線源、及び前記X線検出器を位置決めするためのガイダンスデータとを決定するステップと、
前記プロセッサによって、前記ガイダンスデータを提供するステップと
を有する、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータを取得するステップは、前記少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークを触知する軟組織触知ロボットの少なくとも一つの指先の空間位置を測定するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータを取得するステップは、軟組織触知ロボットの少なくとも1つの指先が前記少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークを触知することを示すように構成されるトリガ信号を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記トリガ信号は前記X線撮影者によって能動的に生成され、及び/又は前記軟組織触知ロボットの少なくとも1つの指先に配置されたタッチセンサによって受動的に生成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ガイダンスデータを決定するステップは、前記パラメトリック3Dモデルと、前記関心領域の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの前記取得された現在位置決めデータとを利用することによって、前記関心領域のポーズを決定するステップを備える、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガイダンスデータを決定するステップは、前記関心領域のポーズ、前記関心領域の位置決めデータ、前記X線源及び前記X線検出器の位置決めデータと、前記関心領域、前記X線源及び前記X線検出器の標的位置合わせとの比較を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記パラメトリック3Dモデルは、前記関心領域の解剖学的パラメータを有し、
前記解剖学的パラメータは、前記関心領域の少なくとも1つのスケールパラメータと、前記関心領域の動きの少なくとも1つの自由度とを有する、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセッサによって、前記測定装置から前記関心領域の一つ又はそれより多くの解剖学的ランドマークの現在位置決めデータを受信するステップと、
前記プロセッサによって、前記関心領域の一つ又はそれより多くの解剖学的ランドマークの受信された現在位置決めデータに基づいて前記パラメトリック3Dモデルを更新するステップと
をさらに有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記測定装置は、光学測定装置、特にレンジカメラである、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ガイダンスデータは、前記被検体の関心領域、前記X線源、及び前記X線検出器を位置決めする間、連続的に決定され、提供される、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ガイダンスデータを提供するステップは、
視覚的表現、及び/又は
音声表現
を有する、請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記関心領域、前記X線源、及び前記X線検出器のガイダンスデータを決定するステップは、前記パラメトリック3Dモデルを利用することによる擬似X線画像の計算を有する、請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
被検体の関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを提供する装置であって、前記装置は、
測定装置から前記関心領域の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータを取得するように構成されるプロセッサ
を有し、
前記現在位置決めデータは、前記少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの触知から導出され、
前記プロセッサはさらに、前記X線源及び前記X線検出器の現在位置決めデータを取得するように構成され、
前記プロセッサはさらに、前記関心領域のポーズを記述するように構成されるパラメトリック3Dモデルと、前記少なくとも1つの触知可能な骨ランドマーク、前記X線源、及び前記X線検出器の取得された現在位置決めデータとを利用することによって、前記関心領域、前記X線源、及び前記X線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを決定するように構成され、
前記プロセッサはさらに、前記ガイダンスデータを提供するように構成される、
装置。
【請求項14】
医用撮像のためのシステムであって、
請求項13に記載の装置と、
X線システムと
を有する、システム。
【請求項15】
プロセッサによって実行されるとき、請求項1乃至12の何れか一項に記載の方法のステップを実行するように構成されるコンピュータプログラム要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の関心領域を位置決めするためのガイダンスデータを提供するための方法、X線源及びX線検出器、被検体の関心領域を位置決めするためのガイダンスデータを提供するための装置、X線源及びX線検出器、医用画像のためのシステム、並びにコンピュータプログラム要素に関する。
【背景技術】
【0002】
医用撮像において、X線撮像は、広く用いられている医用撮像方法である。X線システムは最新技術であり、したがって公知である。このようなX線システムによって得られる医用画像の品質は、とりわけ、実際の画像取得に先行する医用撮像プロセスの準備の品質、特にX線システムに対する被検体の位置合わせに依存する。医用画像の品質が不十分である場合、医用画像が繰り返されなければならず、さらに悪いことに、医用画像から誤った医療診断が導出され得る。要するに、これは、医用撮像、誤った医用診断、より高い放射線被曝、及び低減された画質のためのコストの増加につながる可能性がある。
【0003】
米国特許出願公開第2016/0074004(A1)号明細書は、医用技術撮像装置に対する検査テーブルの位置決めを記載している。これにより、検査テーブルに位置合わせされたカメラと、カメラ画像を出力するように設計されたディスプレイ・操作ユニットとが、マイクロプロセッサを含む。マイクロプロセッサは、装置に、第1のユーザインタラクションに時間的に依存する方法で、ディスプレイ及び操作ユニット上のカメラ画像をフリーズさせ、第2のユーザインタラクションに基づいて、フリーズされたカメラ画像内の検査テーブル上の基準位置情報を定義させ、測位システムを用いて、検査テーブル又は医用技術撮像装置を移動させるように構成され、基準位置情報は、医用技術撮像装置の記録領域と一致するようにされる。
米国特許出願公開第2020/0375546号明細書は患者に関連付けられた3次元(3D)データを受信するように構成された患者センサと、患者に関連付けられた解剖学的特徴の画像データを取得するように構成された撮像ハードウェア構成要素を備える撮像システムであって、撮像ハードウェア構成要素に関連付けられたハードウェア位置センサと、3Dデータに基づいて患者に関連付けられた3D表面マップを生成することと、患者に関連付けられた3D表面マップから3D患者空間を生成することと、3D患者空間に解剖学的アトラスをマッピングすることによって3D患者モデルを生成することであって、3D患者モデルは3D患者空間内の人体の解剖学的特徴の1つ又は複数の3D表現を備える、生成することと、解剖学的特徴の画像データを取得するために撮像ハードウェア構成要素に関連付けられた所望の位置を決定することと、ハードウェア位置センサから撮像ハードウェア構成要素に関連付けられた現在位置を決定することと、撮像ハードウェア構成要素を所望の位置に位置付けるために撮像ハードウェア構成要素に関連付けられた所望の動きを決定することとを行うように構成されたプロセッサとを備える、医療撮像誘導システムを説明する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、特にX線撮像の準備段階において、X線撮像においてガイダンスデータを提供する必要があり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は独立請求項の主題によって解決され、さらなる実施形態は従属請求項に組み込まれる。
【0006】
第1の態様によれば、被検体の関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを提供するための方法が提供される。本方法はプロセッサによって、測定装置から関心領域の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータを取得するステップを含み、現在位置決めデータは、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの触知から導出される。プロセッサによって、X線源及びX線検出器の現在位置決めデータを取得する。プロセッサによって、関心領域、X線源、及びX線検出器の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマーク、及びX線検出器、関心領域のポーズを記述するように構成されたパラメトリック3Dモデルを利用することによって、関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを決定し、プロセッサによって、ガイダンスデータを提供する。
【0007】
本明細書で使用される「ガイダンスデータ」という用語は広く理解されるべきであり、関心領域、X線源、及びX線検出器の位置合わせの、現在の位置合わせから所望の位置合わせへの適応を誘導するように構成された任意の情報に関する。ガイダンスデータは、関心領域、X線源、及びX線検出器の並進及び回転自由度などの位置決めデータを含むことができる。ガイダンスデータは関心領域(例えば、膝関節)の関節からの自由度を含んでもよい。ガイダンスデータは現在の位置合わせから所望の位置合わせへのシフト値(例えば、X線検出器100mmのx方向のシフトx位置又はシフト膝関節角度―5°)を含むことができる。ガイダンス情報は視覚信号(例えば、ディスプレイ)又は音声信号(例えば、ラウドスピーカアナウンス)によって提示されてもよい。ガイダンスデータは、撮像システムを操作する、監視する、又は同様のものを行う放射線技師などの医療従事者を対象とすることができる。ガイダンスデータは撮像システムのための制御情報として意図されてもよく、ガイダンスデータはX線源及びX線検出器を自動的に位置決めするように撮像システムを制御するように構成される。さらに、撮像プロセス自体は任意選択的に、少なくとも半自動的に実行されてもよい。
【0008】
本明細書で使用される「被検体」という用語は広く理解されるべきであり、任意の人間又は動物に関する。
【0009】
本明細書で使用される、関心領域という用語は広く理解されるべきであり、対象の任意の部分に関する。例えば、関心領域は骨、関節、股関節、2つ以上の骨及び1つ以上の関節(例えば、下腿骨及び足骨を有する足首関節)の骨配列であってもよい。関心領域はまた、被検体全体自体を含んでもよい。
【0010】
X線源及びX線検出器は、本明細書で使用される場合、X線システムの主要な要素として理解されるべきである。X線源及びX線検出器は、互いに独立して配置されてもよい。X線源及びX線検出器の位置は、X線システムの制御によって知ることができる。X線源及びX線検出器の位置は、レンジカメラ又はレーザ干渉計などの測定装置によって測定することができる。X線検出器はデジタルカセット検出器の形成であってもよく、デジタルカセット検出器はX線源の視野内に非限定的に配置することができる。例えば、X線源及び/又はX線検出器の位置は絶対的に、例えば、対応して定義された座標系における絶対座標によって、及び/又は例えば、一般的に定義された基準点に対して、又は互いに対して、決定及び/又は示され得る。
【0011】
本明細書で使用するとき、触知可能な骨ランドマークという用語は広く理解されるべきであり、触知可能な骨ランドマークを直接検出することができない、すなわち、例えば、視覚システム(例えば、人間の目又はカメラ)等によって見ることができないように、通常、対象の組織及び皮膚によって隠される骨ランドマークに関する。触知可能な骨ランドマークは、足の足首などの適切な骨部分、骨部分などであり得、過体重の人の過度の組織によって隠され得る。しかし、それにもかかわらず、X線撮影者は足首を触知することができる。
【0012】
本明細書で使用されるプロセッサという用語は広く理解されるべきであり、上述の方法のステップを実行するように構成された任意の電子データ処理ユニットに関する。プロセッサは、ハードウェア及び/又はソフトウェアで実装され得る。プロセッサは、単一のエンティティであってもよく、又は複数のエンティティ上に分散されてもよい。
【0013】
本明細書で使用する位置決めデータという用語は、関心領域、X線源、及びX線検出器の位置又は位置合わせを記述するように構成された任意の空間情報に関する。位置決めデータは座標系(例えば、X線撮像系の座標系、又は関心領域もしくは対象の座標系)における絶対値及び相対値を含んでもよい。本明細書で使用される「現在の」という語は、現在存在する測位情報を意味する。
【0014】
本明細書で使用される測定装置という用語は広く理解されるべきであり、位置を決定するように構成された任意のセンサ又はセンサ構成、すなわち1つ又は複数のセンサに関する。測定装置は、RGBカメラ、RGB―Dカメラ、レンジカメラ、レーザ干渉計のうちの1つ又は複数を備えてもよく、これは本明細書では限定されない。測定装置は、関心領域、例えば関心領域の上方又は関心領域の側方に向けられるように配置されてもよい。測定装置はプロセッサとの有線(例えば、イーサネット(登録商標)などの通信ネットワーク)又は無線(例えば、WIFI)接続にあってもよい。
【0015】
本明細書で使用するとき、触知という用語は広く理解されるべきであり、触覚サンプリングに関する。触知は人間(例えば、X線撮影者)又は軟組織ロボットによって行われる触知を含んでもよい。触知はまた、ポインティングデバイスなどの補助器具を用いて人間によって実行されてもよい。
【0016】
本明細書で使用されるパラメトリック3Dモデルという用語は広く理解されるべきであり、関心領域、X線源、及びX線検出器の間の幾何学的位置合わせを記述するように構成されたモデルに関する。パラメトリック3Dモデルは関心領域の部分(例えば、骨)の寸法又は大きさ、及び関心領域の1つ以上の自由度(例えば、膝関節の屈曲角)を示すパラメータによって、関心領域を記述するようにさらに構成されてもよい。パラメトリック3Dモデルは関心領域のポーズ、すなわち関心領域の空間的位置を記述するようにさらに構成され、このポーズ又は空間的位置は被検体の身体又は関心領域などの剛体の位置及び配向の組み合わせとも呼ばれ得る。言い換えれば、パラメトリック3Dモデルは一般に、撮像位置合わせを記述し、特に、関心領域の1つ又は複数の寸法又はサイズ及び1つ又は複数の自由度を記述する。パラメトリック3Dモデルは例えば、測定された位置決めデータを入力として得ることができ、関心領域、X線源、及びX線検出器の現在の位置合わせを出力することができる。現在の位置合わせは、X線源及びX線検出器の関心領域の1つ又は複数の素子の位置決めデータを用いて説明することができる。
【0017】
本発明は、医用画像の品質が医用画像のフォローアップ診断に重要であるという知見に基づいている。医用画像の品質は、医用画像が何を示すべきかに依存する。例えば、特別な透視における2つの骨の間の特別なギャップ、例えば、放射線ビームの特別な方向における内果と外果との間のギャップである。換言すれば、取得される医用画像の品質はX線撮像システムの中心ビームと、例えば患者の膝の関節軸との間の角度に依存し、膝は関心領域である。所望の角度は、放射線写真等を生成するためのガイドラインから導出されてもよい。中心ビームと関節との間に所望の角度を有するそのような医用画像を得るために、関心領域、X線源及びX線検出器は、それに応じて位置合わせされなければならない。関心領域(例えば、内果と外果又は膝関節との間のギャップ)は被検体(すなわち、患者)の組織及び皮膚によって隠されるので、関心領域、X線源、及びX線検出器がどのように配置されなければならないかは、明らかでない場合がある。臨床診療において、多くの経験を有するX線撮影者は触知可能な骨のランドマーク又は触知可能な骨の隆起を感じ、関心領域、X線源及びX線検出器を位置決めするために、触覚印象を3次元文脈に置く。しかしながら、これは、放射線撮影者の膨大な経験を必要とする。本発明は少なくとも1つの触知可能な骨ランドマーク、X線源、及びX線検出器の現在位置決めデータを検出することによってこのアプローチを簡略化し、関心領域、X線源、及びX線検出器をどのように位置決めするかという現在位置決めデータに基づいてX線撮影者ガイダンスデータを提供することを提案する。言い換えれば、本発明は関心領域、X線源、X線検出器の位置合わせを準備する際にコンピュータ支援されるX線撮影者を支援し、その結果、高度に経験したX線撮影者は必要とされない。これは、画像化プロセス、特に調製段階を簡略化するので有利であり得る。これは、品質、コスト、及び効率の点で有利であり得る。これは、撮像プロセスに大きな経験を有する放射線撮影者が必要とされないので、有利であり得る。重要な利点は、経験の少ないX線撮影者が放射線を使用せずに位置決めを容易に適応できることである(すなわち、低線量のプレイメージ又はリテイク)。関心領域、X線源及びX線検出器の位置決め及び/又は位置合わせは、有利にはX線撮像処理の前に行うことができる。これは、未経験の放射線技師を訓練するのにさらに有利である。さらなる利点は、この方法がマーカなどを必要としないことであり得る。
【0018】
一実施形態によれば、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータを取得することは、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークを触知する、X線撮影者又は軟組織触知ロボットの少なくとも指先の空間位置を測定することを含み得る。測定された空間位置は座標系(例えば、X線システムの座標系)に位置合わせされ得る。基礎となるレジストレーションアルゴリズムは、測定された測位データの予想される精度に応じた重み付けを含むことができる。例えば、X線撮影者は関心領域(例えば、足関節)を触知し、左手の一方の指先で外果(すなわち、第1の触知可能な骨ランドマーク)を検出し、右手の一方の指先で内果(すなわち、第2の触知可能な骨ランドマーク)を検出する。目に見える指先の位置は、目に見えない触知可能な骨ランドマークの位置を間接的に明らかにする。指先の空間位置を測定することによって、触知可能な骨ランドマークの空間位置を容易に決定することができる。X線撮影者が関心領域を触知する場合、レンジカメラなどの測定装置、1つ又は複数のカメラが空間位置を測定することができる。代替的に、放射線撮影者は補助器具を利用してもよく、例えば、手、手首、又は指に追跡装置(例えば、電磁追跡装置、又は光学トラッキングのための反射マーカ)を装着してもよい。軟組織ロボットが関心領域を触知する場合、触知可能な骨ランドマークの位置決めデータは、軟組織ロボットの制御によって決定され、軟組織ロボットの四肢の空間的位置を連続的に追跡する。軟組織ロボットは、触知及び/又は患者の位置決めを行うためのタッチセンサを備えてもよい。これは、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークへの位置が正確に決定されるので有利であり得る。X線撮影者はタッチセンサ(例えば、指先にタッチセンサを備えた手袋)を備えてもよい。
【0019】
一実施形態によれば、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータを取得することは、X線撮影者又は軟組織触知ロボットの少なくとも1つの指先が少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークを触知することを示すように構成されたトリガ信号を含むことができる。トリガ信号を測定することによって、少なくとも1つの骨ランドマークの触知と、その位置決めデータの取得との同期を有利に達成することができる。トリガ信号は測定装置(たとえば、マイクロフォン、ボタン、カメラ、圧力センサ、又はタッチセンサ)によって受信され得、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの空間位置の測定を開始するために、プロセッサに送信され得る。これは、プロセスを単純化するので、精度及び効率の点で有利であり得る。これは、X線撮影者が触知可能な骨のランドマークを見つけた瞬間がそうでなければ観察可能ではないため、有利であり得る。
【0020】
一実施形態によれば、トリガ信号はX線撮影者によって能動的に、及び/又はX線撮影者又は軟組織触知ロボットの少なくとも1つの指先に配置されたタッチセンサによって受動的に生成され得る。トリガ信号を能動的に生成するための例は、ボタンを押すこと、音声認識、視線追跡、及びジェスチャ検出を含み得る。例えば、X線撮影者はトリガ信号を生成するために、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークに触れ、次いで、他方の手でボタンに触れてもよい。例えば、X線撮影者は少なくとも1つの触知可能な骨のランドマークに触れ、次いで、トリガ信号を生成するために、装置に口頭で、例えば、「今、測定」などを発声することによって、命令し得、その命令は、マイクロフォンによって取得され得る。例えば、X線撮影者は少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークに触れ、次いで、カメラによって取得され得るトリガ信号を生成するために、彼の眼で2回瞬きすることができる。例えば、X線撮影者は少なくとも1つの触知可能な骨のランドマークに触れ、次いで、カメラによって取得され得るトリガ信号を生成するために、他方の手を上げることができる。タッチセンサは、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークを示す増加した圧力を検出することができる。例えば、X線撮影者又は軟性触知ロボットはトリガ信号を生成するために、少なくとも1つの触知可能な骨のランドマークを触知することができ、X線撮影者又は軟性触知ロボットは、触知圧力を増加させることができる。後処理ユニットは例えば、圧力パターンを処理し、トリガ信号を検出し、それをプロセッサに送信して、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの空間位置の測定を開始することができる。これは、精度、効率、及び柔軟性をさらに改善することができる。
【0021】
一実施形態では、ガイダンスデータを決定することはパラメトリック3Dモデルと、関心領域の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの取得された現在位置決めデータとを利用することによって、関心領域のポーズを決定することを含み得る。本明細書で使用される「ポーズ」という用語は関心領域の1つ又は複数の要素(例えば、骨及び関節)の空間的位置合わせに関する。パラメトリック3Dモデルは例えば、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークに依存して関心領域のポーズを推定することができる。関心領域のポーズを決定することによって、関心領域内の位置合わせを有利に決定することができる。これは、有利にはガイダンスデータの精度を高めることができる。パラメトリック3Dモデルはさらに、例えば、測定装置によって測定された関心領域の1つ又は複数の可視解剖学的ランドマークの関心領域のポーズを決定するために使用することができる。これは、ガイダンスデータの精度を高めることができる。
【0022】
一実施形態では、ガイダンスデータが関心領域のポーズ、関心領域の位置決めデータ、X線源及びX線検出器の位置決めデータと、関心領域の標的位置合わせ、X線源及びX線検出器との比較を含むことができる。本明細書で使用される、関心領域、X線源、及びX線検出器の標的位置合わせという用語はそれぞれの関心領域を撮像するためのガイドラインから、又は専門家の入力から得られる位置合わせに関する。標的位置合わせは、関心領域、X線源及びX線検出器の位置決めデータによって記述される。標的位置合わせは、プロセッサと通信する記憶媒体上のテーブルなどに記憶されてもよい。比較は現在の位置合わせの位置決めデータと標的位置合わせとの間の差の計算を含むことができ、これは、有利には放射線撮影者に提供されるガイダンスデータに処理することができる。
【0023】
一実施形態ではパラメトリック3Dモデルが関心領域の1つ又は複数の解剖学的パラメータを含むことができ、解剖学的パラメータは関心領域の少なくとも1つのスケールパラメータと、関心領域の動きの少なくとも1つの自由度とを含むことができる。スケールパラメータは関心領域の長さ、表面、素子(例えば、骨)の体積であってもよい。動きの自由度は関心領域の要素(例えば、骨)の変位であってもよい。動きの自由度は関心領域の関節(例えば、膝関節)の角度であってもよい。動きの自由度は、関心領域又は関心領域の素子のねじれであってもよい。パラメトリック3Dモデルは一般的なモデルであってもよく、これは撮像される被検体又は関心領域に応じて適合されてもよい。例えば、骨の長さなどの尺度パラメータは、子供と成人とでは異なる。スケールパラメータは、関心領域の取得された解剖学的ランドマークに基づいて適合され得る。パラメトリック3Dモデルは、多関節モデルであってもよい。言い換えれば、パラメトリック3Dモデルは適応可能な多体モデルに関連し得、それぞれの単一体及びそれぞれの動きの自由度は可能な限り正確に現実を記述するように有利に調整され得る。
【0024】
一実施形態では、方法がプロセッサによって、測定装置から、関心領域の1つ又は複数の解剖学的ランドマークの現在位置決めデータを受信するステップと、プロセッサによって、関心領域の1つ又は複数の解剖学的ランドマークの受信された現在位置決めデータに基づいて、パラメトリック3Dモデルを更新するステップとをさらに含むことができる。本明細書で使用する解剖学的ランドマークという用語は、測定装置によって測定されるように構成された可視ランドマークに関する。測定装置は、RGBカメラ、レンジカメラ、RBG―Dカメラなどの光学測定装置であってもよい。触知可能な骨ランドマークとは対照的に、解剖学的ランドマークは可視であり、組織及び/又は皮膚によって隠されない。測定された解剖学的ランドマークは、3Dパラメトリックモデルを更新するために使用され得る。例えば、2つの解剖学的ランドマークの位置決めデータはレンジカメラによって測定することができ、2つの解剖学的ランドマークは、脛骨の長さを示す。次いで、パラメトリック3Dモデルは測定された情報を使用して、下肢のパラメトリック3Dモデル(すなわち、本例では関心領域)を更新することができる。これは、パラメトリック3Dモデルの精度を向上させ、そのためにガイダンスデータの精度を向上させるので、有利であり得る。解剖学的ランドマークの測定された空間位置は座標系(例えば、X線システム又は関心領域の座標系)に位置合わせされてもよい。基礎となるレジストレーションアルゴリズムは、測定された測位データの予想される精度に応じた重み付けを含むことができる。これは、外れ値の点で有利であり得る。
【0025】
一実施形態では、測定装置が光学測定装置、特にレンジカメラであってもよい。光学測定は、2つ以上のカメラを含むステレオカメラシステムであってもよい。光学測定装置は、関心領域、X線源、及び/又はX線検出器の上方又は側方に配置され得る。光学測定装置は、プロセッサと有線又は無線通信することができる。光学測定装置は、1つ以上の測定センサを備えてもよい。光学測定装置は、単一エンティティであってもよく、又は複数の実体上に分散されてもよい。光学測定装置は、通信インターフェースを備えてもよい。
【0026】
一実施形態によれば、ガイダンスデータは、対象の関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めする間、連続的に決定され、提供され得る。換言すれば、この方法は調製段階の間、恒久的に実施され、そのため、有利には、例えば、放射線撮影者を助ける。これは、医用画像の効率及び品質を高めることができる。これは、方法のプロセスステップを連続的に実行することによって達成される。
【0027】
一実施形態では、ガイダンスデータを提供することは視覚的表現、及び/又は音声表現を含むことができる。視覚的表現は、関心領域、X線源、X線検出器、及び標的位置合わせの現在の位置合わせの概略表現を示すディスプレイであってもよい。視覚的表現は、仮想現実眼鏡又は拡張現実眼鏡で示されてもよい。音声表現はラウドスピーカ又はイヤホンをX線撮影者に提供することができ、音声表現は、関心領域、X線源、及びX線検出器の直接位置決め命令を含むことができる。オーディオガイダンスは患者又はX線源又はX線検出器の回転又は並進を示すために、トーン周波数及び/又は繰り返し間隔を使用する音響トーンを備え得る。
【0028】
一実施形態によれば、関心領域、X線源及びX線検出器のガイダンスデータを決定することは、パラメトリック3Dモデルを利用することによる擬似X線画像の計算を含むことができる。擬似X線画像は、関心領域、X線源及びX線検出器の現在の位置合わせから生じる投影の概略図である。擬似X線画像は、現在の位置合わせが十分であるかどうかを評価するのに役立ち得る。これは、効率及び品質の点で有利であり得る。
【0029】
さらなる態様は、被検体の関心領域を位置決めするためのガイダンスデータを提供するための装置、X線源、及びX線検出器に関する。装置は測定装置から関心領域の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータを取得するように構成されたプロセッサであって、現在位置決めデータは少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの触知から導出され、プロセッサはX線源及びX線検出器の現在位置決めデータを取得するようにさらに構成され、プロセッサは関心領域、X線源及びX線検出器を測位するためのガイダンスデータを、パラメトリック3Dモデル及び取得された少なくとも1つの触知可能な骨ランドマーク、X線源及びX線検出器の現在位置決めデータを利用することによって決定するようにさらに構成され、プロセッサはガイダンスデータを提供するようにさらに構成される、プロセッサを備える。プロセッサは、CPU、ワークステーション、コントローラ、又はデータセンタのノードとすることができる。プロセッサは、単一のエンティティであってもよく、又は複数のエンティティ上に分散されてもよい。
【0030】
さらなる態様は、医用画像のためのシステムに関する。このシステムは、上述のような装置と、X線システムとを備える。X線システムは、X線源及びX線検出器を備える。
【0031】
最後の態様は、プロセッサによって実行されると、上述の方法のステップを実行するように構成されたコンピュータプログラム要素に関する。プロセッサは医用撮像システムの一部であってもよいし、別のコンピュータ装置に別々に設けられてもよい。コンピュータプログラム要素は、実施形態の一部であってもよいコンピュータユニットに記憶されてもよい。この計算ユニットは、上述の方法のステップを実行するか、又はそのステップの実行を誘発するように構成され得る。また、上記装置の各構成要素を動作させるように構成してもよい。計算ユニットは自動的に動作するように、及び/又はユーザの順序を実行するように構成され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされ得る。したがって、データプロセッサは、前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように装備され得る。本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、アップデートによって既存のプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムの両方を包含する。さらに、コンピュータプログラム要素は、上述のプロシージャの例示的な実施形態の手順を満たすために必要なすべてのステップを提供することができる。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CDROM、USBスティックなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体はその上に記憶されたコンピュータプログラム要素を有し、そのコンピュータプログラム要素は、前のセクションによって説明される。コンピュータプログラムは他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶及び/又は配布され得るが、インターネット又は他の有線もしくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されてもよい。しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提示されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされてもよい。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、ダウンロードのためにコンピュータプログラム要素を利用可能にするための媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0032】
上述の実施形態は、関連する態様にかかわらず、互いに組み合わせることができることに留意されたい。したがって、方法は他の態様の装置及び/又はシステムの構造的特徴と組み合わされてもよく、同様に、装置及びシステムは、互いの特徴と組み合わされてもよく、方法に関して上述した特徴と組み合わされてもよい。
【0033】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかになり、それらを参照して説明される。
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本開示の第1の実施形態による装置の概略図を示す。
図2】関心領域の2つの触知可能な骨ランドマークの触知の概略図を示す。
図3】ガイダンスデータの視覚的表現を示す。
図4】さらなる実施形態による、ガイダンスデータの視覚的表現を示す。
図5】本開示の一実施形態によるシステムの概略図を示す。
図6】本開示の一実施形態による方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本開示の第1の実施形態による装置10の概略図を示す。装置10は、被検体の関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを提供するように構成される。
【0037】
装置10は測定装置から関心領域の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータを取得するように構成されたプロセッサ11を備え、現在位置決めデータは少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの触知に由来する。プロセッサ11は、本例ではワークステーションのCPUである。関心領域は例えば、足の足首であり、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークは内果である。測位データは、測定装置から通信インターフェースを介してプロセッサに送信され得る。測定装置は、本例では3D測位データを提供することができるレンジカメラである。プロセッサ11は、X線源及びX線検出器の現在位置決めデータを取得するように更に構成される。X線源及びX線検出器の位置決めデータは本例では測定装置(すなわち、レンジカメラ)によっても測定される。代替的に、位置決めデータは、X線システムの制御から提供されてもよい。プロセッサ11はさらに、関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを、パラメトリック3Dモデルと、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマーク、X線源、及びX線検出器の取得された現在位置決めデータとを利用することによって決定するように構成される。パラメトリック3Dモデルは、この場合、装置10の記憶媒体に記憶される。代替的に、パラメトリック3Dモデルはデータセンタのサーバ上に記憶することもでき、プロセッサとサーバとの間に通信(例えば、イーサネット(登録商標))が存在し得る。プロセッサ11は、ガイダンスデータを提供するようにさらに構成される。プロセッサ11は例えば、ガイダンスデータを表すように構成されたディスプレイに接続された通信インターフェースを有する。
【0038】
図2は、関心領域20の2つの触知可能な骨ランドマークの触知の概略図を示す。関心領域20は足の足首である。足首は、X線検出器21、本例ではデジタルカセットX線検出器上に配置される。X線撮影者は、関心領域20を手22及び23で触知する。X線撮影者は、左手22の指先24、外果、及び右手23の指先25、足首の内果を触知する。例えば、音声認識によって、X線撮影者は触知可能な骨のランドマークの位置情報を得るために、測定装置(例えば、レンジカメラ(図示せず))をトリガして、両指先24及び25の空間位置を測定するトリガ信号を生成する。
【0039】
図3は、図2に示される触知に対応するガイダンスデータの視覚的表現を示す。ガイダンスデータ30は、関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めするために使用される。ガイダンスデータ30は足の足首(すなわち、関心領域31)の骨格モデルと、触知可能な2つの骨ランドマーク32及び33とを示す。ガイダンスデータ30は、理想的なX線検出器34及びX線源の中心ビーム35の概略図を含む。ガイダンスデータ30は、現在の中心ビーム36の表現と、X線源をこの方向に100mmだけ適合させるようにX線撮影装置を誘導する変位値を有する矢印37とをさらに含む。ガイダンスデータ30は、本例ではX線源及びX線検出器の位置を適合させるために放射線撮影装置を補助する。X線撮影者には、拡張現実眼鏡によりガイダンス情報を示した。あるいは、ガイダンスデータが検査室内のディスプレイ上に示される。ガイダンスデータは、関心領域の異なるビューをさらに含むことができる。
【0040】
図4は、更なる実施形態によるガイダンスデータ40の視覚的表現を示す。ガイダンスデータ40は、関心領域41、本例では図1の足首の擬似X線画像を含む。擬似X線画像は、パラメトリック3Dモデルを利用して計算される。擬似X線画像は、関心領域、X線源及びX線検出器の現在の位置合わせから生じる投影の概略図である。擬似X線画像は、拡張現実眼鏡によってX線撮影者に提示される。
【0041】
図5は、医用画像のためのシステム50の概略図を示す。システム50は図1に記載されるように、対象の関心領域、X線源、X線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを提供するための装置51を備える。システム50はX線システムをさらに備え、X線システムはX線源52及びX線検出器53を備える。被検体54は、支持体55上に横たわる。関心領域56は足首であり、本例では、X線検出器53、デジタルカセットX線検出器の上方に配置される。あるいは、任意の他のX線検出器を使用することができる。X線撮影者57は、関心領域56、X線源52、及びX線検出器53の位置決めの準備を行う。X線撮影装置57及び関心領域56の上には、天井に測定装置58が配置されている。測定装置58は、本例では関心領域を触知する放射線撮影者の指先の空間位置を測定するように構成されたRGB―Dカメラである。測定装置58は、足及び膝関節の端部などの関心領域の1つ又は複数の解剖学的ランドマークの位置決めデータを測定するようにさらに構成される。測定装置58は、X線検出器53からの位置決めデータを測定するようにさらに構成される。本例では、X線源の位置がX線システムの制御(図示せず)によって取得される。X線撮影者は、関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを示すように構成された拡張現実眼鏡59を装着する。X線システム、測定装置58、拡張現実眼鏡59、及び装置51の制御は、WIFI、Bluetooth(登録商標)などによって無線接続される。
【0042】
図6は、本開示のさらなる実施形態による方法のフローチャートを示す。この方法は、被検体の関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを提供するために使用される。この方法は、以下のステップを含む。ステップS10において、プロセッサによって、測定装置からの関心領域の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータが取得され、現在位置決めデータは、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの触知から導出される。少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータは、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークを触知するX線撮影者又は軟組織触知ロボットの少なくとも指先の空間位置を測定することによって取得され得る。少なくとも1つの指先の空間的位置の測定は、X線撮影者又は軟組織触知ロボットの少なくとも1つの指先が少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークを触知することを示すように構成されたトリガ信号によって開始されてもよい。トリガ信号はX線撮影者によって能動的に、及び/又はX線撮影者又は軟組織触知ロボットの少なくとも1つの指先に配置されたタッチセンサによって受動的に生成され得る。トリガ信号は、放射線撮影者によって押されたボタンによって、又はタッチセンサの圧力上昇によって生成され得る。指先の空間位置は、レンジカメラを用いて測定することができる。
【0043】
ステップS20において、X線源及びX線検出器の現在位置決めデータがプロセッサによって取得される。X線源及びX線検出器の位置決めデータは、レンジカメラを用いて測定することができる。代替的に、位置決めデータはX線システムの制御から、又は別の測定装置、例えばRGB―Dカメラから受信されてもよい。測定された測位データは、プロセッサに送信される。
【0044】
ステップS30は、プロセッサによって、関心領域、X線源、及びX線検出器を位置決めするためのガイダンスデータを、パラメトリック3Dモデルと、少なくとも1つの触知可能な骨ランドマーク、X線源、及びX線検出器の取得された現在位置決めデータとを利用することによって決定することを含む。パラメトリック3Dモデルは、関心領域の解剖学的パラメータを含むことができる。解剖学的パラメータは、関心領域の少なくとも1つのスケールパラメータと、関心領域の動きの少なくとも1つの自由度とを含むことができる。任意選択で、プロセッサによって、測定装置(たとえば、レンジカメラ)から、関心領域の1つ又は複数の解剖学的ランドマークの現在位置決めデータがさらに受信され得る。任意選択で、プロセッサによって、関心領域の1つ又は複数の解剖学的ランドマークの受信された現在位置決めデータに基づいて、パラメトリック3Dモデルをさらに更新することができる。任意選択で、プロセッサによって、パラメトリック3Dモデルと、関心領域の少なくとも1つの触知可能な骨ランドマークの取得された現在位置決めデータとを利用することによって、関心領域のポーズをさらに決定することができる。任意選択で、プロセッサによって、関心領域のポーズ、関心領域の位置決めデータ、X線源及びX線検出器の位置決めデータと、関心領域の標的位置合わせ、X線源及びX線検出器との比較をさらに決定することができる。ガイダンスデータは、連続的に決定され得る。任意選択的に、ガイダンスデータは擬似X線を含んでもよく、擬似X線画像は、パラメトリック3Dモデルを利用することによって計算されてもよい。
【0045】
ステップS40は、プロセッサによって、ガイダンスデータを提供することを含む。ガイダンス情報は、視覚的表現の手段及び/又は音声表現によって提供されてもよい。任意選択で、ガイダンスデータは、連続的に提供されてもよい。
【0046】
別の例示的な実施形態では、前述の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを適切なシステム上で実行するように構成されることを特徴とする、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0047】
したがって、コンピュータプログラム要素は、実施形態の一部であってもよいデータ処理ユニットに記憶されてもよい。このデータ処理ユニットは、上述の方法のステップの実行を実行又は誘発するように構成され得る。さらに、それは、上述のデバイス及び/又はシステムの構成要素を動作させるように構成され得る。計算ユニットは自動的に動作するように、及び/又はユーザの順序を実行するように構成され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされ得る。したがって、データプロセッサは、前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように装備され得る。
【0048】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上述のプロシージャの例示的な実施形態の手順を満たすために必要なすべてのステップを提供することができる。
【0049】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CDROM、USBスティックなどのコンピュータ可読媒体が提示され、コンピュータ可読媒体はその上に記憶されたコンピュータプログラム要素を有し、そのコンピュータプログラム要素は、前のセクションによって説明される。
【0050】
コンピュータプログラムは他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶及び/又は配布され得るが、インターネット又は他の有線もしくは無線通信システムを介してなど、他の形態で配布されてもよい。
【0051】
しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提示されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされてもよい。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、ダウンロードのためにコンピュータプログラム要素を利用可能にするための媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0052】
本発明の実施形態は、異なる主題を参照して説明されることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は方法タイプの請求項を参照して説明され、他の実施形態は装置タイプの請求項を参照して説明される。しかしながら、当業者は別段の通知がない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されると見なされる、上記及び以下の説明から集まるのであろう。しかしながら、全ての特徴を組み合わせて、特徴の単純な合計以上の相乗効果を提供することができる。
【0053】
本発明は図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されているが、そのような図示及び説明は例示的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は図面、開示、及び従属請求項の研究から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。
【0054】
請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に列挙されるいくつかの項目の機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0055】
10, 51 装置
11 プロセッサ
20, 31, 41, 56 関心領域
21, 34, 53 X線検出器
22, 23 手
24, 25 指先
30, 41 ガイダンスデータ
32, 33 触知可能な骨ランドマーク
35 理想的な中心ビームX線源
36 現在中心ビームX線源
37 矢印
50 システム
52 X線源
54 被検体
55 支持体
57 X線撮影者
58 測定装置
59 拡張現実眼鏡
S10 触知可能な骨ランドマークの現在位置決めデータの取得
S20 X線源とX線検出器の現在位置データの取得
S30 ガイダンスデータの決定
S40 ガイダンスデータの提供
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】