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特表2024-532069増強された眼科画像を生成するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】増強された眼科画像を生成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240829BHJP
   A61B 3/14 20060101ALI20240829BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240829BHJP
   G06T 5/50 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61B3/10
A61B3/14
G06T1/00 290Z
G06T5/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505089
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2022057227
(87)【国際公開番号】W WO2023021356
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/234,959
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ルー イン
(72)【発明者】
【氏名】ラメシュ サランガパニ
【テーマコード(参考)】
4C316
5B057
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AA10
4C316AB02
4C316AB11
4C316AB12
4C316AB16
4C316FB21
4C316FB26
5B057AA07
5B057CA08
5B057CA12
5B057CB08
5B057CB12
5B057CD06
5B057CE03
5B057CE11
5B057DA08
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC40
(57)【要約】
本開示の特定の態様は、画像を増強するための眼科用撮像デバイスを提供する。このデバイスは、第2のフレームに先行する第1のフレームを含む画像ストリームを生成するように構成された画像キャプチャコンポーネントを含み、両方とも眼の静脈の分岐をキャプチャする。このデバイスは、第1のフレームの複数のブロックについての一次統計量を計算し、静脈の分岐に少なくとも部分的に基づいて第1のフレームについての一次統計量を補間するように構成された画像プロセッサを更に含む。画像プロセッサはまた、トーンマッピング関数を生成し、トーンマッピング関数に基づいて第2のフレームの個々のピクセルのトーンマッピング値を計算するように構成されている。画像プロセッサは更に、第2のフレームの個々のピクセルについての計算されたトーンマッピング値の第2のフレームのピクセルへの適用に基づいて、増強されたフレームを生成するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の眼の中の静脈の分岐をキャプチャする第1のフレームと、静脈の前記分岐をキャプチャする第2のフレームとを含む画像ストリームを生成するように構成された画像キャプチャコンポーネントであって、前記第2のフレームは前記画像ストリーム内の前記第1のフレームに続く、画像キャプチャコンポーネントと、
画像プロセッサであって、
前記第1のフレームについての複数のブロックの個々のブロックについての一次統計量を計算し、前記第1のフレームについての前記複数のブロックの各ブロックが複数の第1のフレームのピクセルを含み、
前記第1のフレームについての前記複数のブロックの前記個々のブロックについての前記計算された一次統計量に基づいて、前記第1のフレームについての一次統計量を補間し、前記第1のフレームについての前記一次統計量は、少なくとも部分的に、静脈の前記分岐に基づいており、
前記第1のフレームについての前記補間された一次統計量に基づいて、前記第2のフレームのピクセルについてのトーンマッピング関数を生成し、
前記トーンマッピング関数に基づいて、前記第2のフレームの個々のピクセルについてのトーンマッピング値を計算し、
前記第2のフレームの個々のピクセルについての前記計算されたトーンマッピング値を前記第2のフレームの前記ピクセルに適用することに基づいて増強されたフレームを生成する、
ように構成されている、画像プロセッサと、
を含む、眼科用撮像デバイス。
【請求項2】
前記画像プロセッサが、
前記眼内の静脈の前記分岐をキャプチャする第3のフレームについての複数のブロックの各ブロックについての一次統計量を計算し、前記第3のフレームについての前記複数のブロックの各ブロックは、複数の第3のフレームのピクセルを含み、
前記第3のフレームについての前記複数のブロックの各ブロックについての前記計算された一次統計量に基づいて、前記第3のフレームについての一次統計量を補間し、前記第3のフレームについての前記一次統計量は、少なくとも部分的に、静脈の前記分岐に基づいており、
前記第1のフレームについての前記補間された一次統計量への第1の重み付けの適用に基づいて、前記第1のフレームについての第1の重み付け統計量を生成し、
前記第3のフレームについての前記補間された一次統計量への第2の重みの適用に基づいて、前記第3のフレームについての第2の重み付け統計量を生成し、前記第2の重みは前記第1の重みより小さい、
ように更に構成されており、
前記画像プロセッサが前記第1のフレームについての前記補間された一次統計量に基づいて前記第2のフレームの前記ピクセルについての前記トーンマッピング関数を生成するように構成されていることは、前記画像プロセッサが前記第1の重み付け統計量と前記第2の重み付け統計量とに基づいて前記第2のフレームの前記ピクセルについての前記トーンマッピング関数を生成するように構成されていることを含む、請求項1に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項3】
前記画像プロセッサが、前記第1のフレーム内の第1の位置での静的オブジェクトの検出と、前記第3のフレーム内の対応する位置での前記静的オブジェクトの検出とに基づいて、前記静的オブジェクトを識別するように更に構成されている、請求項2に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項4】
前記画像プロセッサが、前記第1のフレーム及び前記第3のフレームのうちの一方のみにおける非静的オブジェクトの検出に基づいて、又は、前記第1のフレーム内の第1の位置及び前記第3のフレーム内の前記第1の位置とは異なる第2の位置での前記非静的オブジェクトの検出に基づいて、前記非静的オブジェクトを識別するように更に構成されている、請求項2に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項5】
前記第1のフレームについての前記一次統計量が、
前記第1のフレームについての前記複数のブロックの各ブロックについての平均ピクセル強度と、
前記第1のフレームについての前記複数のブロックの各ブロックについての強度標準偏差と、を含む、請求項1に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項6】
前記画像プロセッサが、前記第1のフレームを前記複数のブロックに分割するように更に構成されている、請求項1に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項7】
前記複数のブロックの各ブロックが同じサイズ及び形状を有し、前記複数のブロックの他のブロックに対して前記第1のフレームを通して等間隔に配置されている、請求項1に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項8】
前記画像プロセッサが、
前記眼の関連する態様が欠けている空間を含む前記第1のフレームの部分を識別し、
前記複数のブロックのうちの任意のブロックが白い空間を含む前記部分に配置されることを防止する、ように更に構成されている、請求項7に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項9】
前記一次統計量が前記第1のフレームの輝度チャネルに対応し、
前記トーンマッピング関数及び前記トーンマッピング値が、前記第2のフレームの輝度チャネルに適用される、請求項1に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項10】
前記一次統計量が、前記第1のフレームの緑色ピクセルから取得されたグレースケールチャネルに対応し、
前記トーンマッピング関数及び前記トーンマッピング値が、前記第2のフレームの緑色ピクセルからのグレースケールチャネルに適用される、請求項1に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項11】
前記画像キャプチャコンポーネントが高ダイナミックレンジ(HDR)カメラを含む、請求項1に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項12】
前記トーンマッピング関数が、前記第1のフレームに基づいて決定されたコントラスト限界に基づいて制限され、
前記コントラスト限界は、最大コントラスト値及び最小コントラスト値を含む、請求項1に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項13】
前記画像プロセッサが、前記ブロックに隣接する各隣接ブロックについての平均ピクセル強度と前記ブロックに隣接する各隣接ブロックについての強度標準偏差とに基づいて、前記第1のフレームについての前記複数のブロックの各ブロックについての前記一次統計量を計算するように更に構成されている、請求項1に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項14】
前記複数のブロックの各非エッジブロックは、4つの隣接するブロックを含み、
前記複数のブロックの各エッジブロックは、4つの隣接する隣り合うブロックを作成するために、前記第1のフレームのエッジに沿って少なくとも1つの複製ブロックを含み、
前記少なくとも1つの複製ブロックの各複製ブロックについての前記平均ピクセル強度及び前記強度標準偏差は、前記エッジブロックの前記複製ブロックとは反対側のエッジに沿って隣接するブロックから複製される、請求項13に記載の眼科用撮像デバイス。
【請求項15】
患者の眼の静脈の分岐をキャプチャする第1のフレームと、前記眼の静脈の前記分岐をキャプチャする第2のフレームとを含む画像ストリームを生成することであって、前記第2のフレームは前記画像ストリーム内の前記第1のフレームに続く、生成することと、
前記第1のフレームについての複数のブロックの個々のブロックについての一次統計量を計算することであって、前記第1のフレームについての前記複数のブロックの前記個々のブロックが複数の第1のフレームのピクセルを含む、計算することと、
前記第1のフレームについての前記複数のブロックの前記個々のブロックについての前記計算された一次統計量に基づいて、前記第1のフレームについての一次統計量を補間することであって、前記第1のフレームについての前記一次統計量は、少なくとも部分的に、静脈の前記分岐に基づいている、補間することと、
前記第1のフレームについての前記補間された一次統計量に基づいて、前記第2のフレームのピクセルについてのトーンマッピング関数を生成することと、
前記トーンマッピング関数に基づいて、前記第2のフレームの個々のピクセルについてのトーンマッピング値を計算することと、
前記第2のフレームの個々のピクセルについて前記計算されたトーンマッピング値を前記第2のフレームの前記ピクセルに適用することに基づいて、増強されたフレームを生成することと、
を含む、眼科用画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、眼の手術などの外科手術中に使用する画像ストリーム内のフレームを増強するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白内障手術は、一般に、患者の眼の天然の水晶体を人工眼内レンズ(IOL)に置き換えることを含む。白内障手術中、手術の実施を支援するために、撮像デバイスを使用して患者の眼の画像ストリームを生成することができる。例えば、画像ストリームは、手術中に使用する患者の眼のリアルタイムの拡大図を医師に提供することができる。しかしながら、画像ストリームの未処理の個々のフレームには、医師にとって役立つほど十分な詳細が含まれていない可能性があり、処理済みフレームは医師がリアルタイムで使用できるほど高速に処理されない可能性があり、最適ではない外科手術結果につながる可能性がある。
【0003】
したがって、医師に表示するために画像ストリーム内のフレームを処理するための改良されたシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態は、キャプチャされた画像データを増強するための眼科用撮像デバイスを提供する。眼科用撮像デバイスは、画像キャプチャコンポーネント及び画像プロセッサを含む。画像キャプチャコンポーネントは、画像ストリームを生成するように構成されている。画像ストリームは、患者の眼の静脈の分岐をキャプチャする第1のフレームと、静脈の分岐をキャプチャする第2のフレームとを含み、第2のフレームが画像ストリーム内の第1のフレームに続く。画像プロセッサは、第1のフレームについての複数のブロックの個々のブロックについての一次統計量を計算するように構成されている。第1のフレームについての複数のブロックの各ブロックは、複数の第1のフレームのピクセルを含む。画像プロセッサはまた、第1のフレームについての複数のブロックの個々のブロックについての計算された一次統計量に基づいて、第1のフレームについての一次統計量を補間し、第1のフレームについての補間された一次統計量に基づいて第2のフレームのピクセルについてのトーンマッピング関数を生成するように構成されている。第1のフレームについての一次統計量は、少なくとも部分的に、静脈の分岐に基づいている。画像プロセッサは更に、トーンマッピング関数に基づいて第2のフレームの個々のピクセルについてのトーンマッピング値を計算するように構成されている。画像プロセッサは更に、第2のフレームの個々のピクセルについて計算されたトーンマッピング値を第2のフレームのピクセルに適用することに基づいて増強されたフレームを生成するように構成されている。
【0005】
別の実施形態は、画像を処理及び増強する方法を提供する。この方法は、画像ストリームを生成することを含む。画像ストリームは、患者の眼の静脈の分岐をキャプチャする第1のフレームと、眼の静脈の分岐をキャプチャする第2のフレームとを含み、第2のフレームが画像ストリーム内の第1のフレームに続く。この方法は、第1のフレームについての複数のブロックの個々のブロックについての一次統計量を計算することであって、第1のフレームについての複数のブロックの個々のブロックは複数の第1のフレームのピクセルを含む、計算することと、第1のフレームについての複数のブロックの個々のブロックについての計算された一次統計量に基づいて、第1のフレームについての一次統計量を補間することと、を更に含む。第1のフレームについての一次統計量は、少なくとも部分的に、静脈の分岐に基づいている。この方法はまた、第1のフレームについての補間された一次統計量に基づいて、第2のフレームのピクセルについてのトーンマッピング関数を生成することと、トーンマッピング関数に基づいて、第2のフレームの個々のピクセルについてのトーンマッピング値を計算することとを含む。この方法は更に、第2のフレームの個々のピクセルについて計算されたトーンマッピング値を第2のフレームのピクセルに適用することに基づいて、増強されたフレームを生成することを含む。
【0006】
追加の実施形態は、画像をキャプチャして増強するための眼科用撮像デバイスを含む。撮像デバイスは、画像キャプチャコンポーネント及び画像プロセッサを含む。画像キャプチャコンポーネントは、患者の眼の少なくとも一部の画像ストリームを生成するように構成され、画像ストリームは、眼の静脈の分岐をキャプチャする第1のフレームと、画像ストリームの第1のフレームに続く眼の静脈の分岐をキャプチャする第2のフレームとを含む。画像プロセッサは、第1のフレームを複数のブロックに分割するように構成されており、各ブロックは複数のピクセルを含む。画像プロセッサは更に、複数のブロックに基づいて第1のフレームの画像増強パラメータを識別し、第1のフレームの識別された画像増強パラメータに基づいて第2のフレームの画像増強関数を生成するように構成されている。第1のフレームについての一次統計量は、少なくとも部分的に静脈の分岐に基づいている。画像プロセッサは更に、第1のフレームへの識別された画像増強パラメータを用いて画像増強関数を第2のフレームに適用し、第2のフレームへの画像増強関数の適用に基づいて増強されたフレームを生成するように構成されている。
【0007】
他の実施形態は、上述した方法及び本明細書に記載の方法を実行するように構成された処理システム、処理システムの1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、処理システムに、方法、並びに本明細書に記載される方法を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体、上述した方法及び本明細書に更に記載される方法を実行するためのコードを含むコンピュータ可読記憶媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、上述した方法及び本明細書に更に記載される方法を実行するための手段を含む処理システムを提供する。
【0008】
以下の説明及び関連する図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の例示的な特徴を詳述する。
【0009】
添付の図面は、1つ又は複数の実施形態の特定の態様を示しており、それゆえ、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書に記載される例示的な実施形態による、患者の眼の画像を処理し、増強する画像処理システムのブロック図を示す。
図2A】本明細書に記載される態様による、画像データがどのように処理されて増強されたフレームを生成するかを示す例示的なフロー図である。
図2B】本明細書に記載される態様による、先行フレームの処理と並行して現在のフレームの増強されたフレームを生成するために並列処理がどのように使用されるかを示す例示的なフロー図である。
図2C】本明細書に記載される特定の態様による、図2Bの並列処理を図2Aの処理アルゴリズムと組み合わせて、先行フレームの分析を可能にして、増強されたフレームを生成するために使用される増強パラメータを生成する、例示的なフロー図である。
図3】本明細書に記載される特定の態様による、画像ストリームを取得して処理し、増強されたフレームを生成するために、図1のシステムのコンポーネント間で交換される通信、又はコンポーネントによって実行される処理を示す、シーケンス図である。
図4】本明細書に記載される特定の態様による、例示的なトーンマッピング関数の態様を示す。
図5】本開示の特定の態様による、外科手術をサポートするために使用されるフレームデータを増強する方法を示す。
図6】本明細書に記載される特定の態様を実行又は具体化する例示的な処理システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を円滑にするために、図面間で共通の同一要素を示すために、可能な場合、同一の参照符号が使用されている。一実施形態の要素及び特徴が、更なる説明を伴わずに他の実施形態に有益に組み込むことができるように企図されている。
【0012】
医療画像は、様々な種類の医療処置中に医師をサポートするために頻繁に使用される。例えば、白内障手術中に医師は、患者の眼に焦点を合わせた網膜カメラ又は他の眼球撮像デバイスなどの撮像デバイスを使用して、手術中に患者の眼の画像をキャプチャすることがある。キャプチャされた画像は、例えば、手術中のツール(又は他のオブジェクト)の配置及び眼の状態を監視又は検出することにおいて、医師を支援することができる。
【0013】
場合によっては、画像の現在のフレームをキャプチャ、処理、及び増強すると遅延が生じるため、医師に表示するために画像をリアルタイムで増強することが困難になることがある。換言すれば、現在のフレームの処理及び増強は、増強された現在のフレームをリアルタイム又はほぼリアルタイムで医師に表示するのに十分な速さで完了することができない。この遅れにより、ツールの配置やその他の慎重な処置に安全上のリスクが生じる可能性がある。
【0014】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、先行フレームを処理して現在のフレームに適用する増強パラメータを識別することによって従来の方法の問題を克服し、これにより問題となる遅延を排除し、同時に撮像特性の改善を可能にする。先行フレームを使用して後続フレームの画像増強特性を決定することは、画像の連続フレーム(例えば、手術中の患者の眼)に、連続フレーム間に比較的静的な部分が含まれる場合に効果的であり、したがって、先行フレームの増強特性は、先行フレームと部分を共有する後続フレームを増強するために十分に機能する。
【0015】
画像(本明細書ではフレームと同義に称する)の静的部分は、一般に、連続するフレームにわたる、又は連続するフレーム間の対応する部分のフレームコンテンツと同じ又は実質的に同じフレームの一部又は領域のコンテンツを含むことができる。例えば、患者の眼と撮像デバイスは連続するフレーム間で急激に移動しない可能性が高いため、先行フレームの第1の部分でキャプチャされた患者の眼の構造は、現在のフレームの対応する第1の部分に位置する可能性が高い。したがって、先行フレームの、少なくとも静的部分の増強パラメータは、一般に、現在のフレームにも適用される。
【0016】
先行フレームからの増強パラメータを現在のフレームに使用することによって、現在のフレームの増強をより迅速に完了することができ、これにより、医師に対する現在のフレームのリアルタイム(又はほぼリアルタイム)の増強及び表示が可能になる。画像の増強により画像のコントラストが向上し、医師が眼の構造や器具などをよりよく確認できるようになり、画像遅延と画質の間の従来の妥協点が改善される。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の先行フレームの処理は、現在のフレームの増強と並行して実行することができ、現在のフレームがキャプチャされている間に、先行フレームが処理されて、現在のフレームを増強するために使用される増強パラメータが生成される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の先行フレームのそのような処理は、現在又は後続のフレームが生成される前に実行することができ、その結果、現在又は後続のフレームが生成されるときに、現在又は後続のフレームを増強するための増強パラメータがすでに利用可能である。
【0018】
したがって、本開示の特定の態様は、医用撮像機器及び他のタイプの撮像機器で使用され得る画像データを生成、増強、及び表示するための画像処理システム及びデバイスを提供する。先行フレームの増強パラメータを使用して画像ストリーム内の後続フレームを増強することにより、画像処理システム及びデバイスは、従来の方法では不可能であった、増強された画像フレームをリアルタイム又はほぼリアルタイムで表示することができる。
【0019】
本明細書に記載されるシステム、方法、及び技術は、一例として外科手術の文脈で説明されていることに留意されたい。しかしながら、これらのシステム、方法、及び技術は、別の例として術前及び/又は術後処置を含む様々な撮像システムに広く適用可能である。更に、本明細書に記載されるシステム、方法、及び技術は、他の様々な医療実施形態(例えば、解剖学的構造の1つ又は複数の態様のフレームをキャプチャすること)に適用することができる。同様に、本明細書に記載されるシステム、方法、及び技術は、画像内の連続するフレーム間に描写されるコンテンツが比較的静的であり、現在のフレームが、先行フレームから生成された増強パラメータに基づいて増強されることができるような、様々な非医療実施形態に適用することができる。
【0020】
例示的な画像処理システム
図1は、本明細書に記載される例示的な実施形態による、この例では患者の眼110の画像を処理及び増強する画像処理システム100のブロック図を示す。システム100は、撮像デバイス102と通信可能に結合されたコントローラ104を含む。この例では、撮像デバイス102は、患者の眼110のフレームの画像ストリームをキャプチャするために使用される1つ又は複数の撮像デバイスを表す。コントローラ104は、撮像デバイス102から受信した画像ストリームのフレーム、例えば、画像ストリーム内の最も直近にキャプチャされたフレームに対応する現在のフレーム112を分析するように構成され得る。このような分析は、画像増強パラメータなどのフレーム112の様々な態様を識別することと、増強パラメータに基づいてフレーム112を増強することを含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、コントローラ104は、撮像デバイス102から離れていてもよく、ネットワーク接続などのデータ接続によって通信可能に結合されてもよい。例えば、コントローラ104は、単一の位置で複数の撮像デバイスを(例えば、互いに離れて配置され得る1つ又は複数の眼科診療所で)サポートするように構成され得る。ここでの眼科診療所とは、(1)外科手術の準備として患者の眼の術前及び/又は術後の画像撮影が行われるクリニック、及び/又は(2)外科手術中に患者の眼の術中画像が生成される眼科手術診療所を指す場合があることに留意されたい。
【0022】
コントローラ104はまた、撮像デバイス102によってキャプチャされたフレーム及びキャプチャされたフレームの分析から得られた対応するデータ(増強パラメータなど)を記憶するデータストア又はメモリ106にも結合される。特定の実施形態では、メモリ106は、コントローラ104と同じ場所に配置され、1つ又は複数の前のフレーム及び/又は1つ又は複数の前のフレームの対応する増強パラメータを記憶するキャッシュメモリである。いくつかの実施形態では、メモリ106は、患者の眼110の元のフレーム及び増強されたフレーム(及び対応するデータ)を記憶するための中央及び/又はクラウドベースのデータベース又はリポジトリを含む。いくつかの実施形態では、患者の眼110の元のフレーム及び増強されたフレーム、並びに対応する増強パラメータは、その眼110が撮像デバイス102で撮像される患者のプロファイルに関連付けられてもよい。特定の実施形態では、メモリ106は、デバイスメモリ、眼科診療所での使用専用のオンプレミス又はクラウドベースのデータベース又はリポジトリなどを表すことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、コントローラ104は、撮像デバイス102によってアクセス可能なローカルプロセッサ又はコンピューティングシステムである。例えば、コントローラ104は、撮像デバイス102及び/又は眼科診療所に専用及び/又はローカルなコンピューティングシステムを指してもよい。特定の実施形態では、コントローラ104は、「クラウド」サービスを通じて提供されるコンピューティングリソース(例えば、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はコンピューティングシステムを含む)に対応し得る。特定の実施形態において、システム100の1つ又は複数のコンポーネントを接続するネットワークは1つ又は複数のスイッチングデバイス、ルータ、ローカルリアネットワーク(例えば、イーサネット)、ワイドエリアネットワーク(例えば、インターネット)、及び/又はその他を含み得る。
【0024】
撮像デバイス102は、図1に示すように、ある期間にわたってキャプチャされた患者の眼110の1つ又は複数のフレーム(例えば、現在のフレーム112)を含む画像ストリームを生成するように構成された、この特定の例における眼球撮像デバイスなどの任意の撮像デバイスを含む。いくつかの実施形態では、撮像デバイス102によって生成されたフレームは、光学コンポーネント及び患者の眼110の特徴、患者の眼110のコンポーネントの関係、並びに外科手術の際に使用されるツール及び対応するデバイスなどのうちの1つ又は複数の態様を分析及び/又は表示するために使用され得る。いくつかの実施形態では、撮像デバイス102は、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)デバイス、走査型レーザ検眼鏡(SLO)デバイス、走査型レーザ偏光計デバイス、3次元撮像及び可視化デバイス、高ダイナミックレンジ(HDR)カメラ、網膜観察システム、網膜観察レンズ、手術用顕微鏡などのうちの1つ又は複数を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、撮像デバイス102は、専用メモリによって提供される命令を実行して、患者の眼110のフレームをキャプチャし、キャプチャしたフレームを分析し、キャプチャしたフレームを医師に表示するために増強し、ユーザが撮像デバイス102を、例えば撮像デバイス102の専用のユーザインタフェースなどを介して操作することを可能にする、専用プロセッサを含む。撮像デバイス102のユーザインタフェースにより、医師などのユーザが撮像デバイス102と対話し、制御することが可能になり得る。
【0026】
撮像デバイス102は、患者の眼110を撮像するためのデバイス機構を含む。このようなデバイス機構の非限定的な例としては、光学機構、放射機構、撮像機構、及び制御機構のうちの少なくとも1つが挙げられる。光学機構は、患者の眼110の対象オブジェクトに投射され、対象オブジェクトによって反射された光を集束させ、方向付けるための1つ又は複数のレンズ又は他の光学コンポーネントを含む。光学機構により、撮像デバイス102が患者の眼110を観察及び撮像し、光ビームを眼に焦点合わせするなどして、患者の眼110のフレームを生成及びキャプチャすることが可能になる。
【0027】
放射機構は、患者の眼110に信号(例えば、光ビーム、超音波など)を放射するように構成された光又は他の信号源を含む。放射機構は、医師によって必要に応じて、又は自動化された方法で、位置決め、合焦、電力レベル、又は他の方法で信号を向けることに関して調整可能であり得る。撮像機構には、患者の眼110から反射又はエコーバックされる信号、或いは患者の眼110を表す信号を生成、受信、処理、及び/又はデジタル化する機構が含まれる。撮像機構は、受信した信号に基づいて多次元画像を生成する役割を果たす。撮像機構は、受信した信号に基づいて画像データを取得、記憶、及び/又は処理することができる。撮像デバイス102における撮像機構の例としては、画像処理コンポーネントなどを挙げることができる。
【0028】
制御機構により、医師は撮像デバイス102のデバイス機構を有効化、無効化、及び調整することができる。例えば、制御機構には、放射機構をオン/オフするための制御、撮像機構を使用してフレームをキャプチャするなど、放射機構の調整を可能にするコンポーネントが含まれる。同様に、制御機構は、例えば、光学機構の自動又は手動の焦点合わせ、又は光学機構の移動を可能にして、異なる対象又は対象の部分を見ることができるように、光学機構の調整を可能にするコンポーネントを含む。いくつかの実施形態では、撮像デバイス102のユーザインタフェースは制御機構を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、増強されたフレームを術前に使用して、外科手術(例えば、白内障手術)に備えて外科手術計画を作成することができる。特定の実施形態では、眼科診療所は、手術室と関連して撮像デバイス102を使用して、外科手術中に患者の眼110の画像ストリームを取得、処理、及び表示することができる。
【0030】
上で紹介したように、撮像デバイス102は、処理(例えば増強)、記憶、及び表示のために、患者の眼110のフレームをコントローラ104に通信することができる。フレームの処理、記憶、及び表示の一部として、コントローラ104は、画像デバイス102からフレームを受信し、フレームを処理及び増強し、増強されたフレームを医師が使用するために記憶及び/又は表示することができる。画像ストリームの増強には、例えば、画像ストリーム内のフレームの知覚品質を向上させるコントラスト増強が含まれ得る。コントラスト増強を現在のフレーム112(又は画像ストリームの任意のフレーム)に適用して、フレーム112の態様が、増強されていないか又は生のフレームと比較して、より目立つようにすることができる。コントラスト増強により、増強されたフレームが表示されるディスプレイ又は出力デバイスで利用可能な色が最適に使用され得る。フレームの処理と増強の更なる詳細については、以下で説明する。
【0031】
上述したように、メモリ106は、1つ又は複数のフレーム(生及び/又は増強された)及び記憶されるフレームに関連付けられた対応するデータ(例えば、増強パラメータ)を記憶する。いくつかの実施形態では、メモリ106は、1つ又は複数のフレームがコントローラ104によって処理及び増強された後に、それらのフレームを記憶する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のフレーム及び対応するデータは患者プロファイルに関連付けられる。特定の実施形態では、メモリ106は、例えばコントローラ104などからの要求に応じて、後の検索のためにフレームを記憶する。いくつかの実施形態では、メモリ106は、フレーム及び対応するデータを記憶し、例えば後続フレームの処理及び増強中に、コントローラ104が特定の処理されたフレーム及び対応するデータに迅速且つ効率的にアクセスできるようにするキャッシュメモリとして動作する。
【0032】
いくつかの実施形態では、メモリ106は、トーンマッピングパラメータ、又は1つ又は複数のフレームの処理から生成される他の類似の画像増強特性、パラメータ、又は統計量を含むことができる増強パラメータを更に記憶する。例えば、コントローラ104が撮像デバイス102によって生成されたフレームのうちの1つを処理して、平均ピクセルグレースケール若しくは輝度、又は個々のブロック又はフレーム全体に対するピクセルグレースケール若しくは光度の標準偏差を含む1つ又は複数の画像統計量などの1つ又は複数のトーンマッピングパラメータを識別する場合、メモリ106は、処理されたフレーム及び対応するトーンマッピングパラメータを記憶することができる。いくつかの実施形態では、対応するトーンマッピングパラメータは、対応するトーンマッピングパラメータが生成されたフレームに関連付けられる。したがって、対応するトーン関数パラメータは、撮像デバイス102によって生成される後続フレームと併せて使用され得る。
【0033】
画像の処理と増強のための例示的なフロー図
図2Aは、本明細書に記載される態様による、画像データ(例えば、図1のフレーム112)が、適応等化アルゴリズム、又は画像ピクセルのすべて若しくはサブセットの強度を分散する他のアルゴリズムを使用して、増強されたフレーム250を生成して利用可能な強度ダイナミックレンジのすべてを占めるようにするためにどのように処理されるか、を示すデータフロー図(データフロー)200の一例である。
【0034】
データフロー200は、図1を参照して上述したように、撮像デバイス102によって生成されたフレーム112を示す。フレーム112は、例えば、9つのブロック224a~224iを有するブロック化されたフレーム214によって示されるように、フレーム112を複数のブロック224又はタイルに論理的に分割するためにコントローラ104によって処理される。特定の実施形態では、コントローラ104は、フレーム112を、同じ相対的なサイズを有する、サイズ若しくは形状が異なる、又は例えばフレーム112の異なる部分で一貫した若しくは均等な間隔を有するいくつかのブロック224に論理的に分割することに基づいて、ブロック化されたフレーム214を生成する。例えば、コントローラ104は、ブロック化されたフレーム214を作成するためにフレーム112自体を実際に分割することなく、ブロック224の数を識別することができる。コントローラ104は、ブロック化されたフレーム214の論理ブロック224に従ってフレーム112を処理することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、フレーム112を複数のブロック224に分割することは、コントローラ104がフレーム112を分析して、患者の眼110と境界を接するがそれらの一部ではないフレーム112の部分など、更に処理する必要がないフレーム112の1つ又は複数の部分を識別することを含む。例えば、フレーム112は、患者の眼110に対応するフレーム112の部分を実質的に取り囲む白い境界部分を含む。それ以外の場合、白い境界部分はフレーム112の分析及び増強とは無関係である。コントローラ104は、白い境界部分を識別し、その白い境界部分が患者の眼110のいかなる態様も含まないため、その部分を無関係で更なる処理の必要がないものとしてマークし得る。フレーム112のそのような白い境界部分(及び同様の無関係な部分、又は黒い空間の部分)を処理しないことによって、コントローラ104は、対象とならないフレーム112の部分の処理を回避し、さもなければ、フレーム112に基づいてコントローラ104によって生成された画像統計量及びパラメータに悪影響を与える可能性がある。これにより、画像ストリーム内のフレームの効率と増強時間が改善され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、コントローラ104は、機械学習モデル又は他の画像処理アルゴリズムを使用する画像処理に基づいて、フレーム112の白い境界部分(及び他の無関係な部分)を識別する。例えば、コントローラ104は、ブロック化されたフレーム214のブロック224に1つ又は複数の画像セグメント化アルゴリズムを適用することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ104は、トレーニングされた機械学習(ML)モデルを使用して、フレーム112の関連部分又は無関係な部分を識別することができる。以前に処理されたフレームの集合は、フレームのブロック224の関連部分と無関係な部分を識別できるMLモデルのトレーニングに使用するためのデータセット(「トレーニングデータセット」と呼ばれる)を提供することができる。
【0037】
場合によっては、MLモデルは、画像セグメント化アルゴリズムなどの1つ又は複数のMLアルゴリズムをトレーニングデータセットと組み合わせて使用してトレーニングされる。MLアルゴリズムは、教師あり学習アルゴリズム、教師なし学習アルゴリズム(K平均及びガウス混合モデルなど)、及び/又は半教師あり学習アルゴリズムを含み得る。教師なし学習は、ラベル付き回答のない入力データからなるデータベースから推論を引き出すために使用されるタイプの機械学習アルゴリズムである。教師あり学習は、例えば入力を出力に、例としての入力-出力ペアに基づいてマッピングする関数を学習するMLタスクである。教師あり学習アルゴリズムには一般に、回帰アルゴリズム、分類アルゴリズム、決定木、ニューラルネットワークなどが含まれ得る。
【0038】
特定の実施形態では、トレーニングされたMLモデルは、例えば、フレーム112内のブロック224の関連部分及び無関係な部分を識別するために使用される重み及びパラメータを有する関数を指す。トレーニング及び展開が完了すると、MLモデルは、ブロック224の関連部分又は無関係な部分を出力として識別できるようになる。
【0039】
コントローラ104は、ブロック化されたフレーム214を処理して、フレーム112に対応する増強されたフレーム250を生成するために使用される増強パラメータに対応し得る、1つ又は複数のトーンマッピングパラメータ(又は増強パラメータ)215を計算する。1つ又は複数のトーンマッピングパラメータ215を計算することは、コントローラ104が、ブロック化されたフレーム214の各ブロック224について、又はブロック化されたフレーム214全体についてトーンマッピングパラメータを計算することを含み得る。いくつかの実施形態では、コントローラ104は、ブロック化されたフレーム214のブロック224のピクセルレベルでトーンマッピングパラメータ215を計算することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、コントローラ104がブロックレベルでトーンマッピングパラメータ215を計算する場合、コントローラ104は、ブロック化されたフレーム214の(例えば、ブロック224の)態様について、一次統計量などの次数統計量を計算する。フレームの一部の一次統計量は、対象となる特定の値を有する特定のピクセルがフレームの一部で発生する確率を決定する関数に基づいて計算することができる。一次統計量は、隣り合うピクセルに依存しない個々のピクセル値に基づくことができる。いくつかの実施形態では、一次統計量は、ピクセル数とグレースケール値などの特定のピクセル値とを関連付けるピクセル値の一次ヒストグラムに基づいて生成され得る。一次統計量の例には、平均、標準偏差、歪度などが含まれる。したがって、トーンマッピングパラメータ215は、ブロック化されたフレーム214の各ブロック224の平均ピクセルグレースケール216、又はブロック化されたフレーム214の各ブロック224のピクセルグレースケールの標準偏差217などのうちの1つ又は複数を含むことができる。いくつかの実施形態では、平均ピクセルグレースケール216(平均、μ)及びピクセルグレースケールの標準偏差217(STD、σ)は、以下の等式に従って計算される。
【数1】
【0041】
一次統計量は、昇順に並べられたサンプル値のセットのうちの最も小さいサンプル値(すなわち、最小サンプル値)であり得る。例えば、サンプルセット21、2、11、15、71、4では、一次統計量は2である。したがって、ブロック化されたフレーム214の各ブロック224の平均ピクセルグレースケール216及びピクセルグレースケールの標準偏差217に適用されるとき、平均ピクセルグレースケール216の一次統計量は、対応するブロック224の最小平均ピクセルグレースケールに対応し得る。同様に、ピクセルグレースケールの標準偏差217の一次統計量は、対応するブロック224のピクセルグレースケールの最小標準偏差に対応し得る。本明細書に記載される例は、ピクセルのグレースケール(又は明度又は強度)に関するが、いくつかの実施形態では、トーンマッピングパラメータ215は、クロミナンス値、カラー値など、フレーム又は画像ストリームの他の値から生成された統計量を含む。更に、ピクセルレベル又はフレームレベルで計算されたトーンマッピングパラメータ215は、コントローラ104によって計算された対応する一次統計量を有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される一次統計量は、先行フレーム212の緑色ピクセルの分析又は処理から得られるグレースケールチャネルに適用される。例えば、ここで説明されるグレースケールは、先行フレーム212などのフレームの緑色チャネルのグレースケールに対応することができる。いくつかの実施形態では、トーンマッピング関数は、現在のフレーム112の緑色チャネルグレースケールに適用され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、ブロック化されたフレーム214のブロック224又はブロック化されたフレーム214のピクセルについての計算された一次統計量の1つ又は複数に基づいて、コントローラ104は、補間された平均ピクセルグレースケール218として生成されたブロック化されたフレーム214全体の平均ピクセルグレースケールを補間する。同様に、コントローラ104は、ピクセルグレースケール219の補間標準偏差として生成されるブロック化されたフレーム214のブロック224(又はピクセル)の一次統計量に基づいて、ブロック化されたフレーム214全体のピクセルグレースケールの標準偏差を補間する。補間は、既知のデータ値を使用して未知のデータ値の値を予測又は推定するプロセスに対応し得る。いくつかの実施形態では、補間を使用して、ブロック化されたフレーム214の様々な態様を組み合わせることができる。補間を使用して、ブロック224にわたる一次統計量の滑らかな表現を生成することもでき、これにより、ブロック化されたフレーム214のブロック224間のエッジを滑らかにする。
【0043】
例えば、コントローラ104は、(隣接する)隣り合うブロック224を補間して、隣り合うブロック224のピクセル間又はピクセル同士の遷移を滑らかにする。ブロック224eなど、フレーム内に4つの隣り合うブロック224を有するブロック224は、ブロック224eの4つの隣り合うブロック224b、224d、224f、及び224h(上、下、左、及び右のブロック224に対応する)を使用して補間されることになる。ブロック224fなど、フレームのエッジにあるブロックの場合、ブロック224fには、ブロック224fの右エッジに沿った隣り合うブロックが欠けている。しかしながら、ブロック224eに対して実行されるのと同様の補間を可能にするために、コントローラ104は、(1)ブロック224fの右エッジに沿って欠落している隣り合うブロックを表すためにブロック224fを複製するか、又は(2)欠落している隣り合うブロックの右エッジの位置の反対側のブロック224fに隣り合うブロック224eを複製することのうち1つを行い、その複製を4つの隣り合うブロック224を使用する補間に使用することができる。いくつかの実施形態では、補間中にブロックを複製すると、複製されたブロックの「特殊性」が除去されるため、エッジブロックの計算は非エッジブロックと同じ方法で行うことができる。複製ブロックのこの使用は、さもなければ4つ未満の隣り合うブロック224で補間を実行することから生じる可能性のある、補間プロセスへの分散の導入を限定することができる。いくつかの実施形態では、欠落した隣り合うブロックは、欠落した隣り合うブロックの反対側のエッジからのブロックで満たされる。
【0044】
コントローラ104は、1つ又は複数の適応又は非適応補間方法を使用することができる。適応補間方法は、補間されるピクセルに基づいて変化する補間を含むが、非適応補間方法はすべてのピクセルに一貫して適用される。非適応補間アルゴリズムの例には、最近傍法、双線形法、双三次法、スプラインなどが含まれる。特定の実施形態では、コントローラ104によって実行される補間は、1つ又は複数の非適応補間方法を使用する。
【0045】
コントローラ104は、ブロック化されたフレーム214のフレーム補間を実行して、ブロック化されたフレーム214に対する最良の近似値(例えば、上で導入された増強パラメータ)を識別又は達成することができる。例えば、コントローラ104は、ブロック化されたフレーム214のブロックに対して、平均ピクセルグレースケール及びピクセルグレースケールの標準偏差に基づいて、ブロック化されたフレーム214全体の平均ピクセルグレースケールの最良近似及びピクセルグレースケールの標準偏差の最良近似をそれぞれ生成することができる。
【0046】
コントローラ104によって生成された補間値又は最良近似値に基づいて、コントローラ104は、補間平均ピクセルグレースケール値及びピクセルグレースケールの標準偏差を生成し、トーンマッピング関数230(例えば、フレーム増強アルゴリズム)への入力として適用する。トーンマッピング関数230は、フレーム内の第1の色(又は強度又はグレースケール)のセットを第2の色(又はそれぞれ強度又はグレースケール)のセットにマッピングすることができる。したがって、コントローラ104は、トーンマッピング関数230をブロック化されたフレーム214の各ピクセルに適用して、撮像デバイス102によって生成されたフレーム112の増強バージョンである増強されたフレーム250を生成する。増強されたフレーム250は、フレーム112と比較して、コントラストが増強されたフレームを含んでもよく、又は1つ又は複数の他の方法で増強されたフレーム112であってもよい。いくつかの実施形態では、増強されたフレーム250により、医師は、生のフレーム又は増強されていないフレーム112では失われる可能性がある患者の眼110の様々な詳細を見ることができる。いくつかの実施形態では、トーンマッピング関数230は、一次統計量が先行フレーム212の輝度チャネルに基づいて生成されるときに、フレーム112の輝度チャネルに適用される。いくつかの実施形態では、トーンマッピング関数230は、現在のフレーム112の輝度チャネルに適用され得る。
【0047】
上で紹介したように、増強されたフレーム250を生成する前に、フレーム112をブロックに分割し、そのブロックを処理してトーンマッピング関数230で使用するトーンマッピングパラメータを生成するためにフレーム112のそのような処理を実行することには、例えば外科手術中には容易に得られない又は実行可能ではない、かなりの時間がかかる。したがって、図2Aの処理は、外科手術中に撮像デバイス102によって生成されたフレームストリームに対して増強されたフレーム250を提供できない可能性がある。
【0048】
特定の実施形態では、上で紹介したように、コントローラ104は、現在のフレームが撮像デバイス102によって生成されている間に、フレームストリーム内の先行フレームを処理又は分析する。このような並列フレーム処理により、コントローラ104は、先行フレームの増強パラメータを使用して現在のフレームを増強し、全体として、医師が閲覧できる増強された画像ストリームを迅速に提供することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、上で紹介したように、画像ストリーム内の後続フレームは、後続フレーム内のほぼ同じ部分又は領域にある連続的な特徴を有することが多いため、先行フレームの増強パラメータを現在のフレームに適用することができる。例えば、先行フレームの第1の部分は、患者の眼110の静脈の分岐を描写することができる。現在のフレームには、先行フレームの対応する第1の部分にある同じ静脈の分岐が含まれている可能性がある。したがって、先行フレームからの第1の部分の増強パラメータを、現在のフレームの対応する第1の部分に適用することができる。画像ストリーム内の連続フレームは、大量のコンテンツを共有する可能性があり、これは、画像ストリームの連続フレーム内の対応するピクセルが、一般に同一又は類似、或いは実質的に同一のコンテンツであることを意味する。このような連続的な特徴により、先行フレームの増強パラメータの現在のフレームへの使用が可能になり、これは、先行フレームの連続的な特徴を増強する態様が、同様の位置にある現在のフレームの対応する連続的な特徴に対して機能しないことよりも多いためである。したがって、図2Aを参照して説明したように、画像ストリームからのフレーム112に基づいて増強されたフレーム250を生成する処理が、1つ又は複数の先行フレームの増強パラメータに基づいて、画像ストリーム内の後続フレームの増強されたフレームを生成するために適用され得る。
【0050】
先行フレームからの増強パラメータに基づいて現在のフレーム(フレーム112など)を処理して、現在のフレームの増強されたフレーム250を生成するこの機能により、外科手術中の画像ストリームのフレームのより高速な取り扱い及び処理が可能になる。増強されたフレーム250を生成する前に、フレーム112を処理してフレーム112のトーンマッピングパラメータを識別する必要の代わりに、コントローラ104は、フレーム112に先行するフレームからの増強パラメータを使用し、増強パラメータを使用したフレーム112に基づいて増強されたフレーム250のみを生成することができる。これにより時間が節約され、増強されたフレームをリアルタイムで医師に表示できるようになる。
【0051】
いくつかの実施形態では、画像ストリームの対象は一般に、画像ストリーム内の異なるフレームに対してあまり動かないはずであるため、フレーム112に基づいて生成された増強パラメータは、画像ストリーム内の多数の後続フレームに適用することができる。現在のフレーム112の増強されたフレーム250を生成するために、その後にキャプチャされる現在のフレーム112に対して先行フレームからの増強パラメータを使用する例について、図2Bを参照して説明する。
【0052】
図2Bは、先行フレームの処理と並行して現在のフレーム112の増強されたフレーム250を生成するための並列処理の採用を示す例示的なデータフロー図255である。データフロー図255は、図2Aのデータフロー200に示される態様と同様の多くの態様を含む。データフロー200と255との間の対応する態様は、対応する機能及び動作などを有することができる。したがって、データフロー200の態様に対応するデータフロー255の1つ又は複数の態様については、簡潔にするために、対応する説明は繰り返さない。
【0053】
データフロー255は、撮像デバイス102によって生成されたフレーム112から始まる。フレーム112は、患者の眼110の撮像デバイス102によって生成された画像ストリームの非先頭フレームを表すことができる。画像ストリームの先頭フレームには先行フレームがない。したがって、先頭フレームは、先行フレームの増強パラメータに基づいて増強することができない。
【0054】
データフロー255は、コントローラ104による、フレーム112に先行する画像ストリーム内の先行フレーム212の処理に対応するブロック205を含む。例えば、フレーム112が画像ストリームの第2のフレームである場合、ブロック205は、コントローラ104による、画像ストリームの第1のフレームである先行フレーム212の処理に対応する。いくつかの実施形態では、ブロック205の処理は、複数の先行フレームに対してコントローラ104によって実行され得る。例えば、フレーム112が画像ストリーム内の第10のフレームである場合、コントローラ104は、画像ストリーム内の先行フレーム1~9の任意の組み合わせに基づいてブロック205の処理を実行することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の先行フレームの処理により、1つ又は複数の先行フレームに対する増強パラメータ215が得られるか、又は生成される。例えば、増強パラメータ215は、複数の先行フレームからの増強パラメータの重み付け合計として表現することができる。増強パラメータ215は、トーンマッピング関数230(例えば、トーンマッピング関数230)を使用して適用されて、フレーム112を増強することができる。フレーム112が複数の先行フレームに基づいて増強されるいくつかの実施形態では、異なる先行フレームの増強パラメータ215は、画像ストリーム内で先行フレームがフレーム112にどれだけ近いか又は近接しているかに従って重み付けされる。第7~第9の増強パラメータが第10のフレームの増強に使用される場合、第7、第8、及び第9のフレームのそれぞれからの増強パラメータは、第10のフレームを増強するために使用される場合、異なる重み付けが行われてもよい。例えば、第7のフレームは0.1で重み付けされ、第8のフレームは0.5で重み付けされ、第9のフレームは1.0で重み付けされてもよい。例えば、画像ストリーム内の(フレーム112と比較して)より古いフレームは、画像ストリーム内の新しいフレームよりも小さい重みを有することができる。特定の実施形態では、増強パラメータ215は、予測された傾向に応じて、第7から第9フレームにわたって増加又は減少し得る。いくつかの実施形態では、すべての先行フレームの重みが合計1になるか、又はすべての先行フレームが同じ重み付けされる。いくつかの実施形態では、ブロック205の処理は、等しい重みを有する1つ又は複数の先行フレームのそれぞれに対して行われ、これに基づいて、フレーム112に対して増強されたフレーム250が生成される。
【0056】
ブロック205の処理の一部として、コントローラ104は先行フレーム212にアクセスする。いくつかの実施形態では、先行フレーム212にアクセスすることは、コントローラ104が先行フレーム212を要求し、メモリ106から受信することを含む。いくつかの実施形態では、先行フレーム212は、コントローラ104に関連付けられたキャッシュなどのキャッシュに記憶され、これにより、先行フレーム212及び対応する増強パラメータへの、メモリ106よりも迅速なアクセスが可能になり得る。
【0057】
図2Cは、図2Bの処理アルゴリズムを図2Aの並列処理と組み合わせた例示的なデータフロー図260であり、これにより、先行フレーム212を分析して、現在のフレーム112を増強するための増強パラメータを生成できるようになる。データフロー図260は、図2Aのデータフロー200と図2Bのデータフロー図255とに示される態様と同様の多くの態様を含む。データフロー260、200、及び255の間の対応する態様は、対応する機能及び動作などを有することができる。したがって、データフロー200又はデータフロー255の態様に対応するデータフロー260の1つ又は複数の態様については、簡潔にするために、対応する説明は繰り返さない。
【0058】
データフロー260は、撮像デバイス102によって生成されたフレーム112から始まる。フレーム112は、患者の眼110の撮像デバイス102によって生成された画像ストリームの非先頭フレームを表すことができる。
【0059】
データフロー255は、コントローラ104による、フレーム112に先行する画像ストリーム内の先行フレーム212の処理に対応するブロック205を含む。
【0060】
ブロック205の処理の一部として、コントローラ104は、図2Aに関して上述したように、先行フレーム212にアクセスし、アクセスされた先行フレーム212をブロック化されたフレーム214のいくつかのブロックに分割する。
【0061】
次に、コントローラ104は、ブロックを処理して、各ブロックの平均ピクセルグレースケール及び各ブロックのピクセルグレースケールの標準偏差など、先行フレームの一次統計量を計算する。次に、コントローラ104は、個々のブロック及び隣り合うブロックの平均ピクセルグレースケール及びピクセルグレースケールの標準偏差を補間して、先行フレーム212全体についての対応する補間値を生成する。これらの補間された平均グレースケール値及び補間された標準偏差値は、先行フレーム212の増強パラメータに対応し得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、ブロック化されたフレーム214のブロックの処理は、ブロック化されたフレーム214の1つ又は複数のブロック内のピクセルのサブセットからトーンマッピングパラメータを計算することを含む。いくつかの実施形態では、ブロックの処理は、ブロック化されたフレーム214の1つ又は複数の態様の処理に基づいて識別され得る、ブロック化されたフレーム214の各ブロックの1つ又は複数の他のパラメータを識別することを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース108上に表示するために画像ストリームを増強するとき、画像ストリームの各フレーム112が処理されて、後続フレームの増強パラメータ又はトーンマッピングパラメータが生成される。フレームが処理されると、そのフレームの増強パラメータをメモリ106又は同様のデータストアに記憶することができる。いくつかの実施形態では、対応するフレームを記憶又は保存する代わりに、フレームの増強パラメータを記憶することができ、これにより、システムリソース、処理時間などを節約することができる。したがって、フレーム112が画像ストリームの1つ又は複数の先行フレームに基づいて増強される場合、コントローラ104は、1つ又は複数の先行フレーム212の代わりに、又はそれに加えて、1つ又は複数の先行フレーム212に対応する増強パラメータをメモリ106又は同様のデータストアから取得することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、画像ストリーム内の先行フレーム212のトーンマッピングパラメータを識別するためのブロック205の処理は、撮像デバイス102による現在のフレーム112の生成と並行して実行され得る。したがって、フレーム112が処理のためにコントローラ104によって受信されるとき、コントローラ104は、対応する増強パラメータを識別するために先行フレーム212を処理している。現在のフレーム112の生成と並行して先行フレーム212の処理を実行することにより、画像処理システム100は、医師に迅速且つタイムリーに表示するために画像ストリーム内のフレームをリアルタイムで増強することができる。コントローラ104は、フレーム112の処理に時間を費やす必要はなく、先行フレーム212からの増強パラメータに基づいてトーンマッピング又は同様の関数をフレーム112に適用するだけである。
【0065】
いくつかの実施形態では、先行フレーム212の処理は、ダウンサンプリングを実行することを含む。ダウンサンプリングは、先行フレーム212を処理して、先行フレーム212に関連付けられたデータのサイズ又は量を削減することに対応し得る。画像ストリームのフレームは一般に空間的に滑らかである(画像ストリームの一部ではないフレームと比較して、含まれる鋭いエッジがはるかに少ないことを意味する)。したがって、ブロックについての一次統計量を計算するために、画像ストリームのフレームのブロック内のすべてのピクセルを使用する必要はない場合がある。したがって、ピクセルのサブセットは、より少ない計算で実行できる一次統計量の計算に十分である可能性がある。したがって、ダウンサンプリングにより、先行フレームの処理速度と現在のフレームの増強が向上し得る。
【0066】
図3は、本明細書に記載される例示的な実施形態に従って、画像ストリームのフレームを取得して処理し、それに基づいて増強されたフレームを生成するために、図1のシステム100のコンポーネント間で交換される通信、又はコンポーネントによって実行される処理を示すシーケンス図300である。シーケンス図300及び対応する説明には、図1のシステム100のコンポーネントへの参照が含まれているが、シーケンス図300のステップは、その例示的な実施形態に限定されず、コンポーネントの他の様々な組み合わせに適用することができる。更に、シーケンス図300は、図示されたステップの各々又はそれだけを実行しなくてはならないわけではなく、示されているステップを何れかの特定の順序で実行することに限定されない。
【0067】
シーケンス図300は、撮像デバイス102、コントローラ104、メモリ106、及びユーザインタフェース108の間の対話を示す。シーケンス図300は、撮像デバイス102が患者の眼110の、図1のフレーム112などのフレームをキャプチャする通信ステップ302で始まる。上で紹介したように、キャプチャされたフレームは画像ストリームの非先頭フレームであってもよい。
【0068】
通信304において、撮像デバイス102は、処理及び増強のために、キャプチャされたフレーム112をコントローラ104に提供する。
【0069】
いくつかの実施形態では、撮像デバイス102の1つ又は複数がフレーム112をキャプチャするか、又はキャプチャされたフレームをコントローラ104に提供するのと同時に、コントローラ104は、図2Aの先行フレーム212などの先行フレームを処理して、先行フレームの対応する増強パラメータを計算することができる。特定の実施形態では、シーケンス図300には示されていないが、対応する増強パラメータを計算することは、上述したように、先行フレームの増強パラメータを計算する前に、メモリ106から先行フレームを要求し受信することを含む。先行フレームに対するこの要求の一部として、又はその代わりに、コントローラ104は、メモリ106から先行フレームに対する増強パラメータを要求することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、コントローラ104は、処理306において、2つ以上の先行フレームに対する増強パラメータを要求又は計算する。いくつかの実施形態では、先行フレーム又は対応する増強パラメータに対する要求を送信し、要求されたフレーム又はパラメータを受信する代わりに、コントローラ104は、キャッシュメモリから要求された先行フレーム又は対応する増強パラメータにアクセスすることができる。
【0071】
処理308において、コントローラ104は、取得された先行フレーム又は対応する増強パラメータと、撮像デバイス102から受信され、コントローラ104が増強されたフレーム(例えば増強されたフレーム250)を生成しているフレームとに基づいて、トーンマッピング又は同様の関数を生成することができる。
【0072】
処理310において、コントローラ104は、生成されたトーンマッピング関数を撮像デバイス102から受信したフレームのピクセルに適用して、増強されたフレームを生成することができる。
【0073】
通信312において、コントローラ104は、増強されたフレームを医師に表示するためにユーザインタフェース108に提供する。
【0074】
通信314において、コントローラ104は、増強されたフレーム又は、増強されたフレームに対応する増強パラメータをメモリ106又は対応するキャッシュメモリに記憶する。
【0075】
通信316及び318では、上記の通信302及び304と同様に、撮像デバイス102は患者の眼110の次のフレームを生成又はキャプチャし、その次のフレームをコントローラ104に提供する。処理320で、コントローラ104は、通信316からの次のフレームの増強に使用される、通信302でキャプチャされたフレームのフレーム増強パラメータの計算を開始する。処理320は処理306に対応し得る。
【0076】
通信及び処理ステップ302~314は、患者の眼の画像ストリームの個々のフレームに対して繰り返すことができる。
【0077】
図4は、本明細書に記載される例示的な実施形態による、先行フレーム及びそのフレームからの増強パラメータに基づいて増強されたフレームが生成される例示的な関数として本明細書で説明されるトーンマッピング関数(例えば、図2A図2Cのトーンマッピング関数230)に関する詳細を提供する。いくつかの実施形態では、増強されたフレーム(例えば、フレーム112)は、カラー(RGB又は同様の)フレームとしてキャプチャされ、輝度部分(例えば、sRGBからのグレースケール、又は強度)とカラー部分(例えば、RGB比率など)とに分離される。輝度部分は、例えば、トーンマッピング関数230を使用して増強されるフレーム112の部分であり、これにより、増強されたフレーム250内のコントラストを改善することができる。
【0078】
グラフ410は、図1のユーザインタフェース108などの表示デバイスへの出力フレーム特徴として(y軸に沿って)出力される、(x軸に沿った)フレームのブロックの強度に対応する入力フレーム特徴の、入力フレーム特徴と出力フレーム特徴との間に示される均一な線形関係412を有するグラフィック表現を示す。ただし、この均一な線形関係は、画像ストリームで生成された実際のフレームのブロック内のピクセル強度を表すものではない。フレーム特徴は、撮像デバイス(例えば、図1の撮像デバイス102)によって生成されたフレームに対応することができる。
【0079】
グラフ420は、入力及び出力フレーム特徴のグラフィック表現を示しており、ブロックは入力特徴全体にわたって均一なピクセル強度を有していない。したがって、入力特徴と出力特徴の間の関係422は、関数の値の異なる範囲に対して変化する(例えば、異なる傾きを有する)。関係422は、先行フレーム212の一次統計量を利用してピクセルの大部分(すなわち、平均ピクセルグレースケールの+/-2の標準偏差の範囲内に入る強度を有するピクセル)を強調する3セグメント関数(トーンマッピング関数230に対応する)を表す。計算された平均ピクセルグレースケールとピクセルグレースケールの標準偏差の一次統計量は、ブロック(又は対応するフレーム部分)内のピクセルの大部分が、平均ピクセルグレースケールから+/-2の標準偏差の範囲内に含まれていることを示す。したがって、現在のフレームをより鮮明にするために、平均ピクセルグレースケールの+/-2の標準偏差内にあるピクセルが増強されて、出力でより多くのダイナミックレンジを占めるようになる。具体的には、関係422の3つのセグメントは、上述した平均及び標準偏差のピクセルグレースケール値によって確立することができる。更に、3セグメント関数は、関係422におけるセグメント1~3の傾きを限定する2つの境界線を含み、境界線は、コントラスト限界に対応するコントラスト最大値(Cmax)及びコントラスト最小値(Cmin)の勾配を有する。
【0080】
図示されるように、入力フレーム特徴と出力フレーム特徴との間の関係422は、異なる傾きを有する3つのセグメントを有する。本明細書に記載されるように、入力フレーム特徴の強度(又はグレースケール)の平均及び標準偏差を計算することによって、コントローラ104は、入力フレーム特徴の大部分が該当する強度の範囲を識別することができる。入力特徴を含むフレームをより鮮明にし、フレーム内のコントラストなどを改善するために、関係422において、セグメント2に対応して、大部分の範囲に含まれるピクセルがより多くのダイナミックレンジを占めるようになる(セグメント2はより多くのダイナミックレンジを占有する)。これは、セグメント1及び3の傾きと比較して、セグメント2の傾きが大きいことで反映されている。最大値及び最小値を有するコントラスト限界は、関係422の最大及び最小の傾きを限定することができる。コントラスト限界により、例えば、トーンマッピング関数又は他のフレーム増強アルゴリズムが限定される場合がある。
【0081】
セグメント1及び3は、セグメント2のゲインと引き換えにダイナミックレンジが犠牲になる領域を表す。セグメント2の最大傾きはCmax傾きによって限定され、セグメント1及び3の最小傾きはCmin傾きによって限定される。したがって、セグメント1~3の傾きはCmax及びCminの傾きを超えることはできず、そのため、セグメント2の傾きはCmaxの傾きより急峻にすることはできず、セグメント1と3の傾きはCminの傾きよりも浅くすることはできない。ここで生成された増強パラメータ(増強パラメータ215など)は、Cmax及びCmin制限を満たすように減じられる。
【0082】
リアルタイムで画像をキャプチャ、増強及び表示する例示的な方法
図5は、本開示の実施形態による、外科手術中に使用する患者の眼の画像ストリームのフレームを生成し、増強し、表示するための方法500を示す。例えば、方法500は、撮像デバイス102、コントローラ104など、図1のシステム100の1つ又は複数のコンポーネントによって実行され得る。
【0083】
方法500のブロック502は、患者の眼の中の静脈の分岐をキャプチャする第1のフレームと、眼の中の静脈の分岐をキャプチャする、画像ストリームの第1のフレームに続く第2のフレームとを含む画像ストリームを生成することを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のフレームは、画像ストリーム内の連続したフレームであるが、第1及び第2のフレームはまた、画像ストリーム内の1つ又は複数の他のフレームによって分離されていてもよい。
【0084】
方法500のブロック504は、第1のフレームの複数のブロックの各ブロックについての一次統計量を計算することを含み、第1のフレームの複数のブロックの各ブロックは複数の第1のフレームのピクセルを含む。いくつかの実施形態では、一次統計量は、上述の平均ピクセルグレースケール又は強度及びピクセルグレースケール又は強度の標準偏差に対応するが、一次統計量は他の増強パラメータに対応することもできる。いくつかの実施形態では、第1のフレームのブロックについての一次統計量を計算することは、第1のフレームをいくつかのブロックに分割し、ブロックを処理して増強パラメータ及び対応する一次統計量を生成することを含む。
【0085】
ブロック506は、第1のフレームの複数のブロックの各ブロックについての計算された一次統計量に基づいて、第1のフレームについての一次統計量を補間することを含む。第1のフレームについての一次統計量は、少なくとも部分的に静脈の分岐に基づくことができる。これは、コントローラ104が、第1のフレームを構成するブロックの増強パラメータに基づいて、第1のフレームの増強パラメータを生成することを含んでもよい。
【0086】
ブロック508は、第1のフレームについての補間された一次統計量に基づいて、第2のフレームのピクセルに対してトーンマッピング関数(トーンマッピング関数230など)又は同様の増強関数を生成することを含む。本明細書に記載されるトーンマッピング関数により、コントローラ104は、第1のフレームの増強パラメータを第2のフレームのピクセルに適用することができる。上で紹介したように、トーンマッピング関数により、コントローラ104は、上で紹介した一次統計量などの第1の色又は値のセットを異なる色又は値にマッピングすることができる。したがって、平均ピクセルグレースケール及び標準偏差グレースケールの一次統計量が第1のフレームに関するものである場合、トーンマッピング関数は、それらのグレースケール値を第2のフレームの対応する値にマッピングすることを可能にし得る。
【0087】
ブロック510は、トーンマッピング関数及び第1のフレームの対応する増強パラメータに基づいて、第2のフレームの個々のピクセルのトーンマッピング値を計算することを含む。
【0088】
ブロック512は、第2のフレームの個々のピクセルについて計算されたトーンマッピング値を第2のフレームのピクセルに適用することに基づいて、増強されたフレームを生成することを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、方法500は、第3の画像の複数のブロックの各ブロックについての一次統計量を計算することを更に含み、第3のフレームの複数のブロックの各ブロックは、複数の第3のフレームのピクセルを含む。いくつかの実施形態では、方法500はまた、第3のフレームの複数のブロックの各ブロックについての計算された一次統計量に基づいて、第3のフレームについての一次統計量を補間することを含む。方法500はまた、第1のフレームについての補間された一次統計量への第1の重みの適用に基づいて、第1のフレームについての第1の重み付け統計量を生成し、第3のフレームについての補間された一次統計量への第2の重みの適用に基づいて、第3のフレームについての第2の重み付け統計量を生成し、第2の重みは第1の重みより小さい。特定の実施形態では、第1のフレームについての補間された一次統計量に基づいて第2のフレームのピクセルについてのトーンマッピング関数を生成することは、画像プロセッサが第1の重み付け統計量及び第2の重み付け統計量に基づいて第2のフレームのピクセルのトーンマッピング関数を生成するように構成されることを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、方法500は、第1のフレーム内の第1の位置での静的オブジェクトの検出と、第3のフレーム内の対応する位置での静的オブジェクトの検出とに基づいて、静的オブジェクトを識別することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、第1のフレーム及び第3のフレームのうちの一方のみにおける非静的オブジェクトの検出に基づいて、又は、第1のフレーム内の第1の位置及び第3のフレーム内の第1の位置とは異なる第2の位置での非静的オブジェクトの検出に基づいて、非静的オブジェクトを識別することを更に含む。いくつかの実施形態では、第1のフレームについての一次統計量は、第1のフレームの複数のブロックの各ブロックの平均ピクセル強度と、第1のフレームの複数のブロックの各ブロックの強度標準偏差とを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、方法500は、第1のフレームを複数のブロックに分割することも含む。いくつかの実施形態では、複数のブロックの各ブロックは同じサイズ及び形状を有し、複数のブロックの他のブロックに対して第1のフレームを通して等間隔に配置される。いくつかの実施形態では、方法は、オブジェクトの関連する態様が欠けている空間を含む第1のフレームの部分を識別することと、複数のブロックのうちの任意のブロックが白(又は黒又は空)の空間を含む部分に配置されるのを防ぐこととを更に含む。方法500では、一次統計量は第1のフレームの輝度チャネルに対応することができ、トーンマッピング関数及びトーンマッピング値は第2のフレームの輝度チャネルに適用される。
【0092】
いくつかの実施形態では、一次統計量は、第1のフレームの緑色ピクセルから得られるグレースケールチャネルに対応し、トーンマッピング関数及びトーンマッピング値は、第2のフレームの緑色ピクセルからのグレースケールチャネルに適用される。いくつかの実施形態では、画像キャプチャコンポーネントは高ダイナミックレンジ(HDR)カメラを含む。いくつかの実施形態では、撮像デバイスは眼科用撮像機器を含み、オブジェクトは患者の眼又はその一部を含む。いくつかの実施形態では、トーンマッピング関数は、第1のフレームに基づいて決定されるコントラスト限界に基づいて制限され、コントラスト限界は、最大コントラスト値及び最小コントラスト値を含む。
【0093】
方法500は、ブロックに隣接する各隣接ブロックの平均ピクセル強度と、そのブロックに隣接する各隣接ブロックについての強度標準偏差とに基づいて、第1のフレームの複数のブロックの各ブロックについての一次統計量を計算することを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、複数のブロックの各非エッジブロックは4つの隣接するブロックを含み、複数のブロックの各エッジブロックは、4つの隣接する隣り合うブロックを作成するためにフレームのエッジに沿って少なくとも1つの重複ブロックを含み、平均ピクセル強度と少なくとも1つの複製ブロックの各複製ブロックの強度及び強度標準偏差とが、複製ブロックとは反対側のエッジブロックのエッジに沿って隣接するブロックから複製される。
【0094】
例示的な処理システム
図6は、本明細書に記載される特定の態様を実行又は具体化する撮像デバイス102、コントローラ104などのうちの1つ又は複数を表すことができる、コンピューティングシステム600の一実施形態の図である。具体的には、コンピューティングシステム600は、システム100、データフロー200、255、及び260、シーケンス図300、並びに方法500のうちの1つ又は複数に関して示される処理又は方法を実行するように構成され得る。
【0095】
図6は、システム600のコンポーネントが、例えばシステムバス605を介して互いに電子通信している、コンピューティングシステム600を示している。バス605は、プロセッサ610を、読取り専用メモリ(ROM)620、ランダムアクセスメモリ(RAM)625など(例えば、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、及び/又は任意の他のメモリチップ又はカートリッジ)などの様々なメモリコンポーネントに結合する。システム600は、プロセッサ610に接続された、近接した、又は統合された高速メモリのキャッシュ612を更に含み得る。いくつかの実施形態では、システム600は、プロセッサ610による高速アクセスのために、キャッシュ612を介してROM620、RAM625、及び/又は1つ若しくは複数の記憶デバイス630に記憶されたデータにアクセスし得る。後続フレームを増強するために使用される画像ストリーム内の先行フレーム(又は対応する増強パラメータ)は、キャッシュ612に記憶され得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の記憶デバイス630は、ソフトウェアモジュール631、632、633、634、及び635などのソフトウェアモジュールを記憶する。プロセッサによって実行されると、ソフトウェアモジュール631、632、633、634、及び635は、プロセッサ610に、本明細書に記載されるプロセスなどの様々な動作又は方法を実行させる。いくつかの実施形態では、ソフトウェアモジュール631、632、633、634、又は635のうちの1つ又は複数は、本明細書に記載されるMLモデル又は他のアルゴリズムを含む。
【0097】
ソフトウェアモジュール631は、フレーム112などの、現在のフレーム又は受信されたフレームに関して先行フレームを識別するようにプロセッサ610をプログラムする命令(例えば、コンピュータ可読コードの形式)を含む。ソフトウェアモジュール632は、増強パラメータを生成するために処理されている先行フレーム内の関連ブロックを識別するようにプロセッサ610をプログラムする命令を含み、関連ブロックは、例えば医師にとって関心のある対象の部分を含む。ソフトウェアモジュール633は、上述したように、先行フレームの増強パラメータを推定するようにプロセッサ610をプログラムする命令を含む。いくつかの実施形態では、ソフトウェアモジュール633は、キャッシュ612又は別のメモリなどのメモリから増強パラメータを取得するようにプロセッサ610をプログラムする命令を含む。
【0098】
ソフトウェアモジュール634は、上述のトーンマッピングアルゴリズムなどの増強アルゴリズムを生成するようにプロセッサ610をプログラムする命令を含む。ソフトウェアモジュール635は、撮像デバイスから受信した現在のフレームへのトーンマッピングアルゴリズムの適用に基づいて、最初に受信したフレームの増強されたフレームを生成するようにプロセッサ610をプログラムする命令を含む。
【0099】
システム600は1つのプロセッサ610のみによって示されているが、プロセッサ610は、1つ又は複数の中央処理装置(CPU)、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィックス処理装置(GPU)、及びテンソル処理装置(TPU)などを表し得る。いくつかの例では、システム600は、スタンドアロンサブシステムとして、コンピューティングデバイスに追加されたボードとして、仮想マシンとして、又はクラウドベースの処理マシンとして実装されてもよい。
【0100】
システム600とのユーザ対話又はシステム間の通信を可能にするために、システム600は、通信インタフェース640及び入力/出力(I/O)デバイス645を含む。いくつかの例では、通信インタフェース640は、1つ又は複数のネットワーク又は通信バス規格に従って通信を提供するために、1つ又は複数のネットワークインタフェース、ネットワークインタフェースカードなどを含む。いくつかの例では、通信インタフェース640は、ネットワークを介してシステム600と通信するためのインタフェースを含む。いくつかの例では、I/Oデバイス645には、1つ又は複数のユーザインタフェースデバイス(例えば、グラフィカルユーザインタフェース(例えば、ユーザインタフェース128)、キーボード、ポインティング/選択デバイス(例えば、マウス、タッチパッド、スクロールホイール、トラックボール、タッチスクリーンなど)、オーディオデバイス(例えば、マイクロフォン及び/又はスピーカ)、センサ、アクチュエータ、ディスプレイデバイスなど)を含んでいてもよい。
【0101】
1つ又は複数の記憶デバイス630のそれぞれは、ハードディスク、光学媒体、ソリッドステートドライブなどによって提供されるもののような、非一時的及び不揮発性記憶デバイスを含んでいてもよい。いくつかの例では、1つ又は複数の記憶デバイス630の各々は、システム600と同じ場所に配置されている(例えば、ローカル記憶デバイス)か、又はシステム600から離れている(例えば、クラウドストレージデバイス)。
【0102】
追加的考慮事項
前述の説明は、当業者が本明細書に記載される様々な実施形態を実践することができるように提供されている。本明細書において記載される例は、特許請求の範囲に記載の範囲、適用性、又は実施形態を限定するものではない。これらの実施形態に対する様々な修正形態は、当業者に容易に明らかであり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、議論された要素の機能及び配置に変更を加えられ得る。様々な例では、必要に応じて、様々な手順又はコンポーネントを省略、置換、又は追加してもよい。例えば、記載された方法は、記載された順序とは異なる順序で実行されてもよく、様々なステップが追加、省略、又は組み合わされてもよい。加えて、幾つかの例に関して説明した特徴は、他の幾つかの例において組み合わせてもよい。例えば、本明細書で示される幾つの態様を用いて装置を実装しても、又は方法を実施してもよい。更に、本開示の範囲は、本明細書に記載の本開示の様々な態様に加えて、又はそれ以外の他の構造、機能、又は構造及び機能を使用して実施されるそのような装置又は方法を網羅することを意図している。本明細書で開示される本開示の何れの態様も、特許請求項の1つ又は複数の要素により具現化され得ると理解すべきである。
【0103】
本明細書において使用される場合、「例示の」という語は、「例、事例、実例として機能すること」を意味する。本明細書で「例示的」として記載される任意の態様は、必ずしも他の態様よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0104】
本明細書において使用される場合、項目のリスト「のうちの少なくとも1つ」を指す語句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに複数の同じ要素の任意の組合せ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c、並びにc-c-c又はa、b、及びcの他の任意の順序)を網羅することが意図される。
【0105】
本明細書において使用される場合、「決定する(determining)」という用語は、多種多様な作用を包含する。例えば、「決定する」は、算出する、計算する、処理する、導出する、調査する、検索する(例えば、テーブル、データベース、又は別のデータ構造で検索する)、確認するなどを含み得る。加えて、「特定する」は、受け取る(例えば、情報を受け取る)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスする)などを含み得る。また、「決定する」は、解明する、選択する、選ぶ、確立するなどを含み得る。
【0106】
本明細書に開示される方法は、方法を達成するための1つ又は複数のステップ又は作用を含む。方法ステップ及び/又は作用は、特許請求の範囲から逸脱することなく、相互交換可能であり得る。換言すれば、ステップ又は作用の具体的な順序の指定がない限り、具体的なステップ及び/又は作用の順序及び/又は使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく変更され得る。更に、上記の方法の様々な動作は、対応する機能を実行することができる任意の適切な手段によって実行されてもよい。これらの手段は、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はプロセッサを含むがこれらに限定されない、様々なハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネント及び/又はモジュールを含み得る。一般に、図に示されている操作がある場合、それらの操作には、同様の番号が付けられた対応する同等の手段と機能のコンポーネントが含まれ得る。
【0107】
以下の特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることが意図されるものではなく、特許請求の範囲の文言に一致する全範囲が認められるべきである。特許請求の範囲において、単数形での要素への言及は、具体的にそのような定めがない限り、「1つ及び1つのみ(one and only one)」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1つ又は複数(one or more)」を意味するものである。具体的に別段の定めがない限り、「いくつかの(some)」という用語は、1つ又は複数を指す。特許請求の範囲のいかなる要素も、要素が「するための手段(means for)」という語句を使用して明示的に列挙されない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではなく、又は方法請求項の場合には、要素は「ためのステップ(step for)」という語句を使用して列挙される。当業者に知られている又は後に知られることになる、本開示全体を通って記載された様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的均等物は、本明細書に参照により明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。その上、本明細書に開示したものは何れも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず公衆に献呈されることが意図されるものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】