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特表2024-532071ハイパワーエレクトロニクスの冷却用の挟持型多層構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ハイパワーエレクトロニクスの冷却用の挟持型多層構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20240829BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505283
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022040509
(87)【国際公開番号】W WO2023023090
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/234,602
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナボヴァティ,アイディン
(72)【発明者】
【氏名】ナスル,モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ヘシュケ,ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ツェン
(72)【発明者】
【氏名】クリシヴァサン,ヴィジャイクマー
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA05
5E322AA10
5E322AA11
5E322DA00
5E322DB12
5E322FA01
5E322FA04
5E322FA06
5F136CB06
5F136CB28
5F136DA41
(57)【要約】
本明細書で開示されるシステム、方法、及びデバイスは、電子機器を冷却するための挟持型多層構造に関する。幾つかの実施形態において、コンピューティングアセンブリは、第1冷却システム、第1エレクトロニクス層、第2冷却システム、及び第2エレクトロニクス層を含むことができる。第1冷却システムは、第1エレクトロニクス層の頂部に配置され、これと熱連通することが可能であり、第1エレクトロニクス層は、第2冷却システムの頂部に配置され、これと熱連通することが可能であり、第2冷却システムは、第2エレクトロニクス層の頂部に配置され、これと熱連通することが可能である。幾つかの実施形態において、少なくとも1層はシステム・オン・ウエハ・パッケージングを使用できる。
【選択図】図7C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングアセンブリであって、
第1冷却システムと、
第1表面及び第2表面を有する第1エレクトロニクス層であって、前記第1表面が前記第1冷却システムと熱連通している、第1エレクトロニクス層と、
前記第1エレクトロニクス層の前記第2表面と熱連通する第2冷却システムと、
第3表面及び第4表面を有する第2エレクトロニクス層であって、前記第3表面が前記第2冷却システムと熱連通している、第2エレクトロニクス層と、
を備える、コンピューティングアセンブリ。
【請求項2】
前記第1冷却システムは、前記第1エレクトロニクス層の頂部に配置され、
前記第1エレクトロニクス層は、前記第2冷却システムの頂部に配置され、
前記第2冷却システムは、前記第2エレクトロニクス層の頂部に配置される、請求項1に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項3】
第3冷却システムと、
第5表面及び第6表面を有する第3エレクトロニクス層も更に含み、
前記第5表面は、前記第3冷却システムと熱連通しており、
前記第4表面は、第3冷却システムと熱連通している、請求項1に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項4】
前記第1エレクトロニクス層は、前記第2エレクトロニクス層と電気的に通信している、請求項1に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項5】
前記第1エレクトロニクス層は、システム・オン・ウエハ層を含む、請求項1に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項6】
前記第1エレクトロニクス層は、集積回路ダイのアレイを含み、前記第2エレクトロニクス層は、電力供給モジュールのアレイを含む、請求項1に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項7】
電力供給モジュールの前記アレイの各電力供給モジュールは、電圧調整モジュールを含む、請求項6に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項8】
前記第1エレクトロニクス層の集積回路ダイの数は、前記第2エレクトロニクス層の電力供給モジュールの数に等しく、各集積回路ダイは、1つの電力供給モジュールのみと電気的に通信している、請求項6に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項9】
電力は前記第2エレクトロニクス層から前記第1エレクトロニクス層へ垂直方向に送達され、集積回路ダイの前記アレイの前記集積回路ダイは、前記電力供給に直交する面内で互いに電子的に通信している、請求項6に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項10】
ある種類の前記第1冷却システム、並びにある種類の前記第2冷却システムは、コールドプレート、ヒートシンク、並びに液冷ブロックの1つ以上を含む、請求項1に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項11】
前記種類の前記第1冷却システムは、前記種類の前記第2冷却システムと同じである、請求項10に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項12】
前記種類の前記第1冷却システムは、前記種類の前記第2冷却システムとは異なる、請求項10に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項13】
前記第1冷却システムは第1液冷ブロックを含み、前記第2冷却システムは第2液冷ブロックを含む、請求項11に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項14】
前記第1液冷ブロックは、第1冷却剤を受容するように構成され、前記第2液冷ブロックは、第2冷却剤を受容するように構成される、請求項13に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項15】
前記第1冷却剤及び前記第2冷却剤は、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、あるいはそれらの組み合わせの1つ以上を含む、請求項14に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項16】
前記第1冷却剤は前記第2冷却剤と同じである、請求項14に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項17】
前記第1冷却剤は前記第2冷却剤とは異なる、請求項14に記載のコンピューティングアセンブリ。
【請求項18】
電子アセンブリを冷却する方法であって、
第1エレクトロニクス層の頂部に、これと熱連通させて第1冷却層を取り付ける工程と、
第2冷却システムの頂部に、これと熱連通させて第1エレクトロニクス層を取り付ける工程と、
第2エレクトロニクス層の頂部に、これと熱連通させて第2冷却システムを取り付ける工程と、
を含む、方法。
【請求項19】
前記第1エレクトロニクス層から前記第1冷却システムへと垂直方向に熱を出力する工程と、
前記第1エレクトロニクス層から前記第2冷却システムへと垂直方向に熱を出力する工程と、
前記第2エレクトロニクス層から前記第2冷却システムへと垂直方向に熱を出力する工程と、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2エレクトロニクス層から前記第1エレクトロニクス層へ垂直方向に電力を供給する工程を更に含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項21】
コンピューティングアセンブリであって、
第1冷却システムと、
前記第1冷却システムと熱連通する第1エレクトロニクス層と、
前記第1エレクトロニクス層と熱連通する第2冷却システムと、
前記第2冷却システムと熱連通する第2エレクトロニクス層と、
前記第2エレクトロニクス層と熱連通する第3冷却システムと、
前記第3冷却システムと熱連通する第3エレクトロニクス層とを備え、
前記第1エレクトロニクス層が処理エレクトロニクス層を含み、前記第2エレクトロニクス層が電力供給層を含み、前記第3エレクトロニクス層が制御エレクトロニクス層を含む、コンピューティングアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、「A SANDWICHED MULTI-LAYER STRUCTURE FOR COOLING HIGH POWER ELECTRONICS」と題する2021年8月18日付けで出願された米国仮出願第63/234602号の利益を主張するものであり、その開示は、参照によってその全体があらゆる目的のために本明細書で援用される。
【0002】
本開示は電子アセンブリに関し、より具体的には、電子アセンブリの冷却に関する。
【背景技術】
【0003】
高性能コンピューティングシステムは、多くの用途で重要である。しかし、従来のコンピューティングシステムの設計は、冷却にまつわる甚大な課題を抱え、スペースの利用効率が悪く、これにより、性能の低下、物理的スペース要件の増加などにつながる恐れがある。
【0004】
人工知能、機械学習、及びデータマイニングなどの高性能コンピューティング分野は、高い演算密度のメリットを受けることができる。例えば、コンピューティングダイを互いの近くに配置すれば、特定のコンピューティング容量について占有される物理的スペースを削減したり、さらに、通信帯域幅及びダイ間の待ち時間を改善したりすることができる。システム・オン・ウエハ(System on Wafer:SoW)などのパッケージング技術により、ダイ間の面積が殆ど無い超高密度のコンピューティングシステムを構築できるようになった。このようなパッケージング方法は、演算密度を大幅に向上させることができるが、大きな課題ももたらす。ダイが非常に近接して配置されている場合、比較的小さな面積で大量に電力が消費される場合があり、ダイ及び他の近接構成要素の冷却に大きな課題が生じる恐れがある。
【0005】
電子システムの性能が向上し、電子構成要素のサイズが縮小するにつれて、より小さな体積で膨大な発熱が発生するようになり得る。さらに、高密度のニューラルネットワークのトレーニングシステム及びその他の大規模な分散コンピューティングアプリケーションなどの用途では、コンピューティングノードを互いに物理的に近い場所に配置することで、性能を向上させることができる。従来のシステムの中には、片面で(例えば、上側からのみ、あるいは下側からのみ冷却する)、冷却されるべき電子デバイスよりも占有面積がはるかに大きい冷却ソリューションで動作するものもあるが、高性能で高密度のシステムの中には、そのような方式が上手く機能しないものもある。例えば、デスクトップコンピュータ又はサーバの典型的な中央処理装置(CPU)冷却器は、適切な冷却を提供するために、CPUダイの数十倍又は数百倍の面積を占めることがあるが、ダイが互いに隣接して配置され、間にほとんどスペースがない場合、かかるソリューション用に利用できる面積は不十分である。
【発明の概要】
【0006】
特許請求の範囲に記載された技術革新は、それぞれ幾つかの態様を有しており、その望ましい特性を単独で担っているものはない。特許請求の範囲を限定することなく、本開示の幾つかの顕著な特徴について、次に簡単に説明する。
【0007】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、このコンピューティングアセンブリは、第1冷却システムと、第1表面及び第2表面を有する第1エレクトロニクス層であって、第1表面が第1冷却システムと熱連通している、第1エレクトロニクス層と、第1エレクトロニクス層の第2表面と熱連通する第2冷却システムと、第3表面及び第4表面を有する第2エレクトロニクス層であって、第3表面が第2冷却システムと熱連通している、第2エレクトロニクス層とを、含む。
【0008】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、第1冷却システムは、第1エレクトロニクス層の頂部に配置され、第1エレクトロニクス層は、第2冷却システムの頂部に配置され、第2冷却システムは、第2エレクトロニクス層の頂部に配置される。
【0009】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、このコンピューティングアセンブリは、第3冷却システムと、第5表面及び第6表面を有する第3エレクトロニクス層も更に含み、第5表面は、第3冷却システムと熱連通しており、第4表面は、第3冷却システムと熱連通している。
【0010】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、第1エレクトロニクス層は、第2エレクトロニクス層と電気的に通信している。
【0011】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、第1エレクトロニクス層は、システム・オン・ウエハ層を含む。
【0012】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、第1エレクトロニクス層は、集積回路ダイのアレイを含み、第2エレクトロニクス層は、電力供給モジュールのアレイを含む。
【0013】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、電力供給モジュールのアレイの各電力供給モジュールは、電圧調整モジュールを含む。
【0014】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、第1エレクトロニクス層の集積回路ダイの数は、第2エレクトロニクス層の電力供給モジュールの数に等しく、各集積回路ダイは、1つの電力供給モジュールのみと電気的に通信している。
【0015】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、電力は第2エレクトロニクス層から第1エレクトロニクス層へ垂直方向に送達され、集積回路ダイのアレイの集積回路ダイは、電力供給に直交する面内で互いに電子的に通信している。
【0016】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、ある種類の第1冷却システム、及びある種類の第2冷却システムは、コールドプレート、ヒートシンク、並びに液冷ブロックの1つ以上を含む。
【0017】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、上記種類の第1冷却システムは、上記種類の第2冷却システムと同じである。
【0018】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、上記種類の第1冷却システムは、上記種類の第2冷却システムとは異なる。
【0019】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、第1冷却システムは第1液冷ブロックを含み、第2冷却システムは第2液冷ブロックを含む。
【0020】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、第1液冷ブロックは、第1冷却剤を受容するように構成され、第2液冷ブロックは、第2冷却剤を受容するように構成される。
【0021】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、第1冷却剤及び第2冷却剤は、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、あるいはそれらの組み合わせの1つ以上を含む。
【0022】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、第1冷却剤は第2冷却剤と同じである。
【0023】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、第1冷却剤は第2冷却剤とは異なる。
【0024】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、電子アセンブリを冷却する方法に関し、上記方法は、第1エレクトロニクス層の頂部に、これと熱連通させて第1冷却層を取り付けることと、第2冷却システムの頂部に、これと熱連通させて第1エレクトロニクス層を取り付けることと、第2エレクトロニクス層の頂部に、これと熱連通させて第2冷却システムを取り付けることとを、含む。
【0025】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、方法に関し、この方法は、第1エレクトロニクス層から第1冷却システムへと垂直方向に熱を出力することと、第1エレクトロニクス層から第2冷却システムへと垂直方向に熱を出力することと、第2エレクトロニクス層から第2冷却システムへと垂直方向に熱を出力することも、更に含む。
【0026】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、方法に関し、この方法は、第2エレクトロニクス層から第1エレクトロニクス層へ垂直方向に電力を供給することも、更に含む。
【0027】
幾つかの態様において、本明細書に記載された技術は、コンピューティングアセンブリに関し、このコンピューティングアセンブリは、第1冷却システムと、第1冷却システムと熱連通する第1エレクトロニクス層と、第1エレクトロニクス層と熱連通する第2冷却システムと、第2冷却システムと熱連通する第2エレクトロニクス層と、第2エレクトロニクス層と熱連通する第3冷却システムと、第3冷却システムと熱連通する第3エレクトロニクス層とを含み、第1エレクトロニクス層が処理エレクトロニクス層を含み、第2エレクトロニクス層が電力供給層を含み、第3エレクトロニクス層が制御エレクトロニクス層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
ある特定の実施形態の図面を参照して、本開示を本明細書で説明するが、これらは本開示を説明するためのものであり、限定することを意図していない。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本明細書で開示された概念を説明するためのものであり、縮尺通りでない場合があることについて、理解されたい。
【0029】
図1】一例示の集積回路ダイのアレイ、並びに演算負荷とシグナリングに対して垂直に走る電力、冷却、制御信号を示す、概略図である。
【0030】
図2】エレクトロニクス層の頂部に単一の冷却システムを備えた、先行技術の片面冷却システムの一例を示すブロック図である。
【0031】
図3】一実施形態に係る、2層のエレクトロニクス層の間に冷却システムを備えた、先行技術の両面冷却システムの一例を示すブロック図である。
【0032】
図4】一実施形態に係る、2つの冷却システム、及び2層のエレクトロニクス層を備えた、垂直冷却ソリューションに関する一例示の実施形態を示すブロック図である。
【0033】
図5】一実施形態に係る、2つの冷却システム、及び3層のエレクトロニクス層を備えた、垂直冷却ソリューションに関する別の例示の実施形態を示すブロック図である。
【0034】
図6】一実施形態に係る、3つの冷却システム、及び3層のエレクトロニクス層を備えた、垂直冷却ソリューションに関する別の例示の実施形態を示すブロック図である。
【0035】
図7A】一実施形態に係る、システム・オン・ウエハを含むコンピューティングアセンブリの斜視分解図である。
【0036】
図7B】一実施形態に係る、冷却入口及び出口を示すコンピューティングアセンブリの分解ブロック図である。
【0037】
図7C】幾つかの実施形態に係る、システム・オン・ウエハ層を含む、図7Aで示されるシステムの組み立て後のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ある特定の実施形態に関する以下の説明は、特定実施形態の様々な説明を提示する。しかし、本明細書で記載の技術革新は、例えば、特許請求の範囲によって定義され、網羅されるとおり、多数の異なる方法で具体化され得る。この説明において、図面を参照するが、同様の参照番号は同一又は機能的に類似の要素を示す場合がある。図面で例示されている要素は、必ずしも縮尺とおりに描写されているわけではないことが理解されよう。さらに、ある特定の実施形態は、図面に例示されているよりも多い要素、及び/又は図面に例示されている要素のサブセットを含み得ることが、理解されよう。さらに、幾つかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の任意の適切な組み合わせを組み込むこともできる。
【0039】
コンピューティングダイが非常に接近している場合、幾つかの構成要素が垂直に配置されるように、システムを構成する方が有利な場合がある。例えば、電力供給、制御回路などはダイの下に配置され、電力と冷却は垂直方向に送達され、信号と演算負荷はアレイ内のダイからダイへと水平方向に移動することができる。幾つかの場合において、ダイのアレイと関連する電力、制御、及び冷却ハードウェアは、コンピューティングアセンブリに組み立てることができ、コンピューティングアセンブリは、間にほとんどスペースを空けずに、互いの近くに(例えば、隣に)配置することができる。幾つかの実施形態において、コンピューティングアセンブリは、コンピューティングアセンブリが互いに通信できるように、高速通信インターフェイスを備えて構成され得る。したがって、一方、密度が主な懸案事項ではないか、あるいはCPUダイが1つ、又は数個しか存在し得ないような、従来型コンピューティングシステムでは、水平方向の電力供給、及び/又は水平面積の大きな冷却ソリューションが実現可能となり得る。しかし、SoW又は他の高密度パッケージング技術を使用する場合など、高密度環境では、電力、クロック信号などを水平方向にルーティングするための水平スペースがない場合がある。限られた水平スペースは、アレイ内のノード間の通信を可能にするために使うことができる。
【0040】
本開示は、複数レベルの片面及び両面冷却ソリューションを高電力電子構成要素間で使用可能とする、冷却アーキテクチャについて説明する。本明細書で述べる冷却ソリューションを使用して、コンパクトな構造内で複数の電子システムを冷却可能とする、高密度の冷却構造を製造することができる。かかる構造は、計算密度を高めるのに効果的である。幾つかの実施形態において、電子構成要素を冷却構成要素の両面に配置することで、密度を高め、パッケージング体積を減らすのに役立てることができる。
【0041】
幾つかの実施形態において、この構造は、冷却溶液の不均一な組み合わせを含むことができる。例えば、冷却構造は、液冷構成要素、空冷構成要素、浸漬冷却などの組み合わせを含められる。幾つかの実施形態において、異なる冷却剤を使用することができる。例えば、ある構成要素は水で液冷され、別の構成要素はオイル、プロピレングリコールなどで液冷される。特定の冷却構成要素、冷却剤などは、様々な構成要素の冷却ニーズに基づき得る。例えば、電圧レギュレータモジュールは、コンピューティングダイの熱的限界を実質的に超える温度に耐えられるので、一部の実施形態では、ダイを冷却するために使用される冷却構成要素よりも冷却能力が低い冷却構成要素によって、冷却することができる。
【0042】
幾つかの実施形態において、本明細書で記載の冷却構造は、システム・オン・ウエハ(SoW)システムの冷却で使用可能であり、このシステムには、単一基板上で物理的に非常に近接して配置された多数のプロセッサ、又はプロセッサダイが含まれる場合がある。SoWシステム用のこれらの冷却構造は、高電力SoW層に効率的な両面冷却を提供可能とする挟持型構造を含むことができる。幾つかの実施形態において、冷却構造は、SOW層に機械的支持を提供し、さらに、SoW層の機械的完全性を高められる、1つ以上の構成要素を含むことができる。
【0043】
幾つかの実施形態において、本明細書で記載の冷却構造は、熱及び情報の直交流を可能にする。例えば、電力と熱は下から上へ、及び/又は上から下へ流れることができ、情報と演算ワークロードは熱と電力に直交する水平面内で流れることができる。
【0044】
図1は、一例示のアレイ100を示すアレイ100は、複数の集積回路(IC)ダイ102を含むことができる。ダイ102は、電力信号及び/又は制御信号を垂直方向に受信することができる。ダイ102は垂直方向に冷却することができる。ダイ102は水平通信リンクを介して互いに通信することができる。例えば、SoW層は1層以上のルーティング層、例えば4層、5層、6層、8層、10層のルーティング層を含むことができる。ルーティング層は、SoW層内のICダイ102間及び/又は外部構成要素への信号接続を提供することができる。
【0045】
幾つかの実施形態において、SoW層は、ウエハ上に配置されたICダイのアレイを含むことができる。幾つかの実施形態において、ICダイは、センサダイ、メモリダイ、特定用途向け集積回路(ASIC)ダイ、中央処理装置(CPU)ダイ、グラフィック処理装置(GPU)ダイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ダイ、及び/又は微小電気機械システム(MEMS)ダイを含むことができる。幾つかの実施形態において、ICダイは、その中に形成された再配線層(RDL)を通して、SoW内で互いに通信できる。RDL層、及び/又はSoWとの他の電気的接続は、例えば、ICダイ間の比較的低い通信待ち時間、比較的高い帯域幅密度、及び/又は比較的低い電力分配ネットワーク(PDN)インピーダンスを有益に提供可能である。
【0046】
各アレイ100は、より大きなシステム内の複数のSoWアレイ間で通信する接続を含むことができることも、理解されたい。例えば、アレイ100は、4個、8個、12個、16個又はそれ以上のSoWアレイを含むシステムの一部でもよく、それぞれがSoWアレイと同一又は類似の平面に配置されたコネクタを通じて互いに通信する。
【0047】
図2は、一例示の先行技術の片面冷却システム200を示す。冷却システム201は、エレクトロニクス層202の頂部に取り付けることができる。冷却システム201とエレクトロニクス層202との間には、伝熱を促進する熱界面材料(TIM)を配置することができる。TIMは、例えば、サーマルパッド、熱接着剤、サーマルパッドなどでよい。エレクトロニクス層202は、例えば、様々な集積回路又は他の構成要素がPCBに添付(例えば、はんだ付け)されたプリント回路基板(PCB)を含むことができる。IC及び/又は他の構成要素の全て又は一部は、冷却システム201と熱的に接触し得る。冷却システム201は、ヒートシンク、コールドプレート、ベーパチャンバ、液冷ブロックなど、あらゆる種類の冷却ソリューションとすることができる。冷却ソリューションは、アクティブ又はパッシブであり得る。幾つかの場合において、ファンを使用して、エレクトロニクス層202から熱を放散させることができる。
【0048】
図3は、両面冷却システム300を示す一例示の従来技術である。図3で見られるように、冷却ソリューションの両面(例えば、頂部と底部)と熱連通する電子装置を配置することで、密度を改善できる。図3で見られるように、エレクトロニクス層301とエレクトロニクス層302は、冷却システム303の反対側に配置され、冷却システム303と熱連通している。エレクトロニクス層301とエレクトロニクス層302の双方を冷却するのに十分な熱容量が冷却システム303にある場合、かかる構成は、第2冷却ソリューションの使用を回避することで、スペースを節約することができる。
【0049】
これまで簡単に考察したように、高密度コンピューティングには、冷却、電力供給、シグナリングなどに関する課題がある。構成要素を垂直に積層させることで、密度を高めることができる。構成要素の垂直スタックを効果的に冷却するには、幾つかの課題がある。例えば、ある構成要素は他の構成要素よりも熱出力が多かったり少なかったり、ある構成要素は他の構成要素よりも温度が高かったり低かったり、といった具合である。本明細書で述べるように、冷却ソリューションの幾つかの実施形態は、垂直方向に積層された構成要素を効率的に冷却するために、異なる構成要素の冷却要件の違いについて考慮することができる。
【0050】
幾つかの実施形態において、高密度コンピューティングシステムは、発熱する電子装置を効率良く両面冷却するために、エレクトロニクス層の下と頂部に配置された、エレクトロニクス層と結び付けられた、あるいは、エレクトロニクス層の間に配置された複数の冷却システムを有する、SoWアセンブリを含むことができる。かかるアーキテクチャは、SoW層及び/又は他のエレクトロニクス層に効率的な冷却を提供するだけでなく、壊れやすいSoW層の機械的完全性を高める高度な機械的支持を提供することもできる。
【0051】
SoWアセンブリは、SoW層と、SoWアセンブリに統合されるか、又は挟持される冷却システムとを含むことができる。SoWアセンブリはICダイのアレイを含むことができる。SoWアセンブリのICダイは、動作中に著しい熱を発生することがある。冷却システムは、SoWアセンブリ内のICダイ及び/又は他の電子構成要素によってSoWアセンブリ内で発生した熱を放散することができる。
【0052】
本明細書の幾つかの実施形態は、SoWアセンブリ内の発熱構成要素の効率的な熱管理を提供する統合型冷却システム又は構造を含むSoWアセンブリに関する。幾つかの実施形態において、SoWアセンブリは、複数の異なる冷却システム、例えば、3つの冷却システムを含み得るが、これよりも多くの、あるいは少ない冷却システムも企図される。
【0053】
本明細書記載のシステムと方法は、計算密度が高い処理システムで使用でき、処理システムにより発生する熱を放散することができる。幾つかの実施形態において、ある特定の用途では、処理システムは1秒間に数兆回の演算を実行できる。幾つかの実施形態において、処理システムは、ニューラルネットワーク処理、機械学習、人工知能など、高性能コンピューティング及び計算集約型用途で使用可能である、且つ/又は特別に構成可能である。幾つかの実施形態において、処理システムは冗長性を導入することができる。例えば、処理システムは、冗長ダイ、冗長電源、冗長ストレージ、あるいは動作の中断を最小限に抑えるために使用可能な他のフェイルオーバ機構を含むことができる。幾つかの実施形態において、処理システムは、車両(例えば、自動車)の自動操縦システム、他の自律走行車両機能の実装、先進運転支援システム(ADAS)機能の実装などで、使用することができる。
【0054】
幾つかの実施形態において、冷却器と電子構成要素とを交互に積層して、垂直構造を形成することができる。幾つかの実施形態において、電子構成要素から冷却器への伝熱を促進するため、電子層と冷却器との間に熱界面材料を配置することができる。これまで考察したように、TIMは、サーマルペースト、熱接着剤、サーマルパッド、又は、他の適切な材料とすることができる。幾つかの実施形態において、構成要素は、片面(例えば、上又は下)から、あるいは、両面(例えば、上及び下)から冷却することができる。幾つかの実施形態において、冷却器は、片面(例えば、上又は下)、あるいは両面に構成要素を備えることができる。幾つかの実施形態において、冷却システムを介在させることなく、エレクトロニクス層を別のエレクトロニクス層に隣接させることができる。幾つかの実施形態において、エレクトロニクス層を介在させることなく、冷却システムを別の冷却システムに隣接させることができる。
【0055】
幾つかの実施形態において、スタック内の冷却器は全て同じでもよいが、必ずしもそうである必要はない。例えば、より高い冷却効果が得られる電子構成要素は、放熱能力のより高い冷却器(例えば、液冷)によって冷却できる一方、より高い温度で動作可能であり、且つ/又は、発熱が少ない他の構成要素の一部は、コールドプレート、ヒートシンク、又はベーパチャンバなどの冷却能力の低い構成要素によって冷却することができる。幾つかの実施形態において、1つ以上のエレクトロニクス層は、浸漬冷却、例えば、炭化水素、又はフルオロカーボン系の流体への浸漬を使用して冷却することができる。
【0056】
幾つかの実施形態において、スタック内の異なる液冷ブロックでは、様々な冷却剤を使用することができる。例えば、液冷ブロックは、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、鉱油、冷媒、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、グリセリン、及び/又は上記の混合物、例えば、プロピレングリコールと水、あるいはエチレングリコールと水の1:1の混合物、もしくは、冷却に望ましいと思われる他の比率を使用することができる。幾つかの実施形態において、冷却液は、微生物の繁殖を防ぐため、且つ/又は冷却構成要素の腐食を防ぐために、ある量の殺菌性、及び/又は防錆化合物を含むことができる。
【0057】
幾つかの実施形態において、システムに複数の液冷器が含まれる場合、リザーバ、ラジエータ、及び/又はポンプなど、幾つかの共通の構成要素を共有することがある。幾つかの実施形態において、異なる液冷器は、共通の構成要素を共有していない場合がある。
【0058】
積層構造は、冷却に関する特別な課題をもたらす恐れがある。例えば、液冷用の入口と出口はアクセスしにくく、積層構造が互いに隣接して配置されている場合は特に、冷却ソリューションの側面にパイプ、ホースなどを通すスペースがないため、構成の余地が限られる場合がある。したがって、好ましくは、入口と出口は、垂直方向に冷却剤を供給し、戻すように構成される。幾つかの実施形態において、垂直スタック内の層のサイズ(すなわち、水平寸法)は、層ごとに異なる場合がある。幾つかの実施形態において、他の層用の冷却ライン、あるコンピューティングアセンブリを隣接するコンピューティングアセンブリに接続するための電気コネクタが占有するスペースなどのために、層の水平方向のサイズが制限されることがあり得る。
【0059】
幾つかの実施形態において、冷却ソリューションには、1つ以上のファンを含めることができる。例えば、冷却ソリューションは、垂直スタックの頂部及び/又は底部に配置された1つ以上のファンを含むことができる。幾つかの実施形態において、1つ以上のファンを垂直スタック内に配置してもよい。幾つかの実施形態において、垂直スタックをハウジング又はシャーシ(例えば、コンピュータエンクロージャ、ラックマウントエンクロージャなど)に設置することができ、そこには1つ以上のファンを含められる。
【0060】
上記で簡単に触れたように、冷却器の種類、片面から冷却するか、あるいは両面から冷却するかなど、様々な層について異なる冷却ソリューションを提供することができる。冷却器、及び/又は冷却剤の種類は、構成要素、計算負荷、垂直スタック内の構成要素の相対的な位置、エンクロージャ又はシャーシ内の構成要素の位置、隣接する構成要素(例えば、隣接するコンピューティングアセンブリ、ストレージ、コントローラなど)などに少なくとも部分的に基づいて、選択することができる。電圧レギュレータモジュール(VRM)などの一部の構成要素は、比較的高い温度(例えば、最高約125℃、最高約110℃、最高約90℃など、あるいはこれらの温度間の任意の温度、もしくは構成要素の特性によっては、さらに高い温度)で動作可能であるが、他の構成要素(例えば、ICダイ)は、最高動作温度が比較的低いか、あるいは、例えば、より効率的に動作して、消費電力を抑えるために、一層冷却される場合がある。例えば、ICダイは、最高動作温度が約105℃、約95℃、約85℃、あるいは、ICダイの特性に応じて、それ以上又はそれ以下であり得る(例えば、ある製造プロセスに従って作製されたダイは、別のプロセスで製造されたダイとは異なる温度範囲で動作可能であり得る)。同様に、スタック内の制御回路などの他の構成要素には、最高動作温度、又は動作温度に関する別の制約がある場合がある。
【0061】
幾つかの実施形態において、本明細書で述べる冷却システムは、熱膨張係数(CTE)が比較的高い材料を含み得る。例えば、冷却システムは銅(Cu)及び/又はアルミニウム(Al)を含むことができる。幾つかの実施形態において、冷却システムは、CTEが約10ppm/℃~約20ppm/℃の範囲の材料を含むことができる。例えば、冷却システムはCTEが約17ppm/℃の銅を含むことができる。幾つかの実施形態において、SoW層は、シリコン(Si)ウエハを含むことができる。幾つかの実施形態において、SoW層は、CTEが約1ppm/℃~約10ppm/℃の範囲の材料を含むことができる。例えば、シリコンのCTEは約2.6ppm/℃であり得る。幾つかの実施形態において、冷却システムのCTEは、SoW層のCTEより約2倍から約7倍高い。
【0062】
少なくとも部分的には、スタック内の構成要素の熱膨張係数が異なるために発生しうる熱応力により、構成要素が早期故障を起こしやすくなる場合がある。従って、不均一な熱膨張係数による過度の応力を回避する温度範囲に、構成要素を確実に保つことが重要になる。幾つかの実施形態において、スタック内の構成要素の位置合わせを慎重に行うことで、熱応力の影響を軽減することができる。例えば、ダイにかかる応力が均一(例えば、実質的に均一)になるように、冷却器をICダイに対して中央に配置することができる。
【0063】
望ましい放熱を得るため、且つ/又は潜在的な熱応力の問題を軽減するためには、比較的高い精度でSoW層と冷却システムとの位置合わせを行えば、有益となり得る。例えば、SoW層の基準点(例えば、中心点)が冷却システムの基準点(例えば、中心点)と一致するように、SoW層と冷却システムを位置合わせすれば、有益となり得る。幾つかの実施形態では、SoW層と冷却システムとの位置合わせに使用できる複数の位置合わせマーカが存在してもよい。
【0064】
幾つかの実施形態において、垂直スタック内の様々な電子構成要素には、温度センサが含まれる場合がある。例えば、ICダイは1つ以上の温度センサを有することができ、VRMなどの電力供給ハードウェアは1つ以上の温度センサを有することができ、制御回路は1つ以上の温度センサを有することができる。幾つかの実施形態において、複数のセンサからの温度データは、様々なレベルで集約されてもよい。幾つかの実施形態において、集約されたデータは、ファン速度の変更、冷却剤流量の増減など、冷却の調整に使用することができる。幾つかの実施形態において、特定のICダイ上の全ての温度センサを集約してもよい。幾つかの実施形態において、SoW層の全てのICダイの全ての温度センサを集約してもよい。幾つかの実施形態において、電力供給構成要素の全ての温度センサを集約してもよい。幾つかの実施形態において、コンピューティングアセンブリ内の全ての温度センサを集約してもよい。幾つかの実施形態において、複数のコンピューティングアセンブリを含む、より大きなキャビネット又は構造内の全ての温度センサを集約してもよい。
【0065】
望ましい集約レベルは、特定の冷却実装形態に依存し得る。例えば、異なる冷却システム、異なるコンピューティングアセンブリなどを独立して冷却できる場合、集約レベルを下げる方が望ましい場合がある一方、例えば、コンピューティングアセンブリごと、又はキャビネットごとなど、より高いレベルで冷却を制御する場合は、より高いレベルの集約が望ましい場合がある。幾つかの実施形態において、高レベルの冷却制御しかできない場合でも、低レベルの集約が望ましい場合もある。例えば、幾つかの実施形態において、ICダイは温度に対して特に敏感であるが、他の構成要素は比較的回復力があり得る。したがって、ICダイの温度を他の温度データと集約することなく、且つ/又は、ICダイの温度を他の構成要素の温度よりも高く評価することで、ICダイの温度を監視すると、都合が良くなる場合がある。
【0066】
幾つかの実施形態において、冷却は、機械式バルブの開口度を調整したり、機械式ファンの回転数を調整するなどして、調整できる。かかる調整には膨大な時間がかかり、その間、ICダイ及び他の構成要素は温度が上昇し続ける可能性がある。したがって、幾つかの実施形態において、システムは、例えば、演算負荷、周囲温度などに基づいて、将来の熱需要を予測するように構成することができ、さらに、予測された熱需要に基づいて冷却を調整することもできるので、構成要素の過熱を防ぐことができる。
【0067】
図4は、幾つかの実装形態に係る、一例示の垂直冷却ソリューション400を示す。図4で見られるように、冷却システム401を、両面エレクトロニクス層402の頂部に配置することができる。両面エレクトロニクス層を、冷却システム403の頂部に配置することができる。冷却システム403を、エレクトロニクス層404の頂部に配置することができる。図4に示すように、冷却システム401は片面式でよい。つまり、冷却システム401の底表面と接触するエレクトロニクス層402があるが、冷却システム401の頂表面と接触するエレクトロニクス層はない。一方、冷却システム403は両面式でよい。つまり、冷却システム403は、頂面のエレクトロニクス層402と、冷却システム403の底面のエレクトロニクス層404と熱的に結合している。電子装置構成要素は、片面式又は両面式でよい。例えば、エレクトロニクス層402は両面であり、基板(例えば、PCB、ウエハなど)の両面に電子構成要素が配置されている。エレクトロニクス層404は片面で、電子構成要素は基板の頂面のみに配置されている。
【0068】
図5は、幾つかの実装形態に係る、別の例示の垂直冷却ソリューション500を示す。図5は、図4と実質的に類似しているが、エレクトロニクス層501が追加されている。エレクトロニクス層501は、両面冷却システム502の頂部に配置された片面エレクトロニクス層である。冷却システム502は、両面エレクトロニクス層503の頂部に配置されている。エレクトロニクス層503は、片面エレクトロニクス層505の頂部に配置された、両面冷却システム504の頂部に配置されている。図5に示す層は、隣接する層と直接熱連通することができる。図5に示す層は、隣接しない層と間接的に熱連通することができる。
【0069】
図6は、垂直冷却ソリューション600の別の例示の実施形態を示す。図6で見られるように、冷却システム601は、片面でエレクトロニクス層602へと熱的に結合することができる。エレクトロニクス層602は両面で、冷却システム603と熱的に接触することもできる。冷却システム603の底面は、両面エレクトロニクス層604の頂表面と熱的に結合することができる。エレクトロニクス層604の底面は、冷却システム605と熱的に結合することができる。冷却システム605の底表面は、片面エレクトロニクス層606と熱連通することができる。
【0070】
図4図6は、電子構成要素が両面に配置されたエレクトロニクス層の両面に配置された冷却器を描写しているが、他の構成も可能である。例えば、両面エレクトロニクス層は、例えば、もう一方の面にある構成要素が、冷却なしで、且つ/又はエレクトロニクス層の反対側にある冷却システムによって提供される間接的な冷却で動作することができるように、発生する熱を十分抑え、且つ/又は十分な高温に耐えることができるので、片面だけに冷却を設けることができる。幾つかの実施形態において、片面エレクトロニクス層は、両面に冷却を設けることができる。こうした構成は、例えば、エレクトロニクス層の構成要素が特に大量の熱を発生する場合、又はスタックの他の層のより感度の高い構成要素を保護する熱シールドとして機能する場合などに、望ましくなり得る。
【0071】
幾つかの実施形態において、エレクトロニクス層は、その上に構成要素が配置されたPCBを含み得る。しかし、他の構成も可能である。例えば、上述したように、エレクトロニクス層はSoW層であり得る。SoW層は、互いに近接して配置された複数のICダイを有することができる。例えば、SoW層は300mmウエハから作製され、そこに配置された複数のICダイ(例えば、4ダイ、9ダイ、16ダイ、25ダイ、36ダイ、49ダイなどのアレイ、又は正方形アレイでも、なくてもよい別のICダイのアレイ)を有することができる。一般に、現行のSoW層は300mmウエハから作製されるが、本明細書で開示するシステム、方法、及びデバイスは、例えば、200mm、450mmなど、より大きい、又はより小さいウエハにも適用できる。
【0072】
図7A図7B、及び図7Cは、幾つかの実施形態に係るSoW層を含む、一例示のコンピューティングアセンブリ700を示す。アセンブリは、SoW層702に熱的に結合された頂部コールドプレート701を含むことができる。SoW層702は、その中に配置された複数のICダイ703を有することができる。ICダイ703の下には、アセンブリは複数の電力供給モジュール704を有することができる。各ICダイは、それに関連する電力供給モジュールを有することができ、関連する電力供給モジュールに電気的に接続することができる。底部コールドプレート705は、電力供給モジュールと熱的に結合することができる。さらに、底部コールドプレート705は、ICダイにシグナリング機能と制御機能を提供するために使用可能な制御盤706と熱的に結合することもできる。制御盤はヒートシンク707と熱的に接触することができる。ヒートシンク707の下には、追加の電子装置708を配置することができる。
【0073】
頂部コールドプレート701は、液冷材を頂部コールドプレート701に流入させる入口709と、加熱された液冷材を頂部コールドプレート701から除去する出口710とを有することができる。底部コールドプレートは、液体内容物を受容する冷却入口711と、底部コールドプレート705から冷却剤を除去する冷却剤出口712とを有することができる。SoW層702は、SoW層702の縁に配置された通信インターフェイス713を有することができる。通信インターフェイス713を使用して、SoW層702を他のアセンブリの隣接するSoW層に接続することができる。
【0074】
図7Cは、図7Bに示す分解後のアセンブリの組立図である。組み立て時、コンピューティングアセンブリは、垂直高さHが約1インチ~約5インチ、例えば、約1インチ、約2インチ、約3インチ、約4インチ、約5インチ、あるいはこれらの値の間の任意の値とすることができる。垂直スタックの層数は必ずしも限定されない。したがって、垂直スタックの高さも必ずしも制限されない。
【0075】
幾つかの実施形態において、剛性と機械的強度は、冷却システムから得られ得る。幾つかの実施形態において、機械的補強は、図7Aに示される支持層714などの支持層によって、代替的に、又は付加的に提供されてもよい。支持層714は、金属、プラスチック、セラミックなどの剛性材料からなる構造であり得る。
【0076】
上記の明細書において、その特定の実施形態を参照して、システム及びプロセスについて述べてきた。しかしながら、本明細書で開示された実施形態の広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされ得ることは明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、制限的な意味よりもむしろ例示的な意味で解釈されるものとする。
【0077】
実際、ある特定の実施形態及び実施例の文脈において、システム及びプロセスを開示したが、当業者には、システムとプロセスの様々な実施形態が、具体的に開示された実施形態を越えて、システムとプロセスの他の代替的な実施形態及び/又は使用、並びにそれらの明らかな変更形態及び均等物に及ぶことが理解されるであろう。さらに、システム及びプロセスの実施形態に関する幾つかの変形形態を示し、詳細に説明してきたが、本開示に基づいて、本開示の範囲内の他の変更形態も、当業者には容易に明らかであろう。また、実施形態の特定の特徴及び態様の様々なコンビネーション又はサブコンビネーションがなされ、それでもなお本開示の範囲内に収まることが企図される。開示されたシステム及びプロセスの実施形態の様々な様式を形成するために、開示された実施形態の様々な特徴及び態様を互いに組み合わせたり、あるいは、互いに置き換えたりすることができることを理解されたい。本明細書で開示された方法を、記載の順序で実行する必要はない。したがって、本明細書で開示されたシステム及びプロセスの範囲は、上述の特定の実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0078】
本開示のシステム及び方法は、それぞれ幾つかの革新的な態様を有しており、本明細書で開示される望ましい特性について単独で機能するものでも、必要とされるものでもないことが理解されよう。上述の様々な特徴及びプロセスは、互いに独立して使用したり、あるいは様々な方法で組み合わせてもよい。想定される全てのコンビネーション及びサブコンビネーションは、本開示の範囲に含まれることが意図されている。
【0079】
本明細書において個別の実施形態の文脈で述べられている、ある特定の特徴も、単一実施形態で組み合わせて実施することができる。逆に、単一実施形態の文脈で述べられている様々な特徴も、複数の実施形態で個別に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実装することができる。さらに、特徴は、ある特定のコンビネーションで動作するものとして上述され、当初はそのようなものとして特許請求されることもあるが、場合によっては、特許請求されるコンビネーションから1つ以上の特徴が除外されることがあり、特許請求されるコンビネーションは、サブコンビネーション、又はサブコンビネーションの変形形態を対象とする場合もある。どのような特徴又は特徴群も、全ての実施形態に必要なものでも、不可欠なものでもない。
【0080】
また、特に指定しない限り、あるいは、使用時の文脈内で理解されない限り、本明細書で使用される、「できる(can)」、「可能性がある(could)」、「し得る(might)」、「してもよい(may)」、「例えば(for example)」などの条件付きの文言は、全般に、ある特定の実施形態がある特定の特徴、要素、及び/又はステップを含み、他の実施形態がこれらを含まないことを伝えることを意図していることが理解されるであろう。したがって、かかる条件付きの文言は、一般に、特徴、要素、及び/又はステップが、1つ以上の実施形態に何らかの形で必要であること、あるいは、1つ以上の実施形態が、これらの特徴、要素、及び/又はステップが、任意の特定の実施形態に含まれるか、あるいは実行されるかどうかを、作成者の入力又は指示の有無にかかわらず、決定するロジックを必ず含むことを、意味するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの語句は同義であり、包括的に、非限定な態様で使用され、追加の要素、特徴、行為、操作等を除外するものではない。さらに、「又は(or)」という語句は、(排他的な意味ではなく)包括的な意味で使用されるため、例えば、要素のリストをつなぐために使用される場合、「又は(or)」という語句は、リスト内の要素の1つ、一部、あるいは全てを意味する。さらに、本願及び添付の特許請求の範囲において使用される「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」という冠詞は、別途指定されない限り、「1つ以上」又は「少なくとも1つ」を意味するものと解釈される。同様に、操作が特定の順序で図面に描写されている場合があるが、かかる操作は、望ましい結果を達成するために、図示された特定の順序で、又は連続した順序で実行される必要はなく、あるいは、図示された全ての操作が実行される必要はないことを、理解されたい。さらに、図面は、1つ以上の例示的なプロセスを流れ図の形態で概略的に描写することができる。しかし、図示されていない他の操作が、概略的に図示された例示的な方法及びプロセスに組み込まれてもよい。例えば、1つ以上の追加の操作を、図示した操作の前、後、同時、あるいはその間に実行することができる。さらに、他の実施形態では、操作を並べ替えたり、あるいは順序を入れ替えてもよい。状況によっては、マルチタスク及び並列処理が有利な場合もある。さらに、上述の実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施形態において、かかる分離が必要であると理解すべきではなく、一般に、記載のプログラム構成要素及びシステムを、単一のソフトウェア製品に共に統合してもよいこと、あるいは複数のソフトウェア製品にパッケージ化してもよいことを、理解するべきである。さらに、他の実施形態は以下の特許請求の範囲に含まれる。幾つかの場合において、特許請求の範囲に記載されている動作を異なる順序で実行しても、望ましい結果を得ることができる。
【0081】
さらに、本明細書に記載される方法及びデバイスは、様々な変更形態、及び代替形態の影響を受け得るが、その特定の実施例が図面に示され、本明細書で詳述されている。ただし、実施形態は、開示された特定の形態又は方法に限定されるものではなく、逆に、実施形態は、記載の様々な実装形態及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲に属する全ての変更形態、均等物、並びに代替物を網羅するものであることを理解されたい。さらに、ある実装形態又は実施形態に関連する特定の特徴、態様、方法、特性、特徴、品質、属性、要素などの本明細書における開示は、本明細書に規定される他の全ての実装形態、又は実施形態において使用することができる。本明細書で開示された方法を、記載の順序で実行する必要はない。本明細書で開示される方法は、実施者により実施されるある特定の動作を含むことができるが、方法はまた、明示的又は暗黙的に、これらの動作の任意の第三者による指示も含み得る。本明細書で開示される範囲は、あらゆる重複、部分範囲、及びそれらの組み合わせも網羅する。「最大(up to)」、「少なくとも(at least)」、「より大きい(greater than)」、「より小さい(less than)」、「~の間(between)」などの文言には、言及された数字が含まれる。「約(about)」又は「ほぼ(approximately)」などの語句が先行する数字は、言及された数字を含み、状況に基づいて解釈されるものとする(例えば、その状況下で合理的に、最大限正確に、例えば、±5%、±10%、±15%など)。例えば、「約3.5mm」には「3.5mm」が含まれる。「実質的に(substantially)」などの語句が先行する語句は、言及された語句を含み、状況に基づいて解釈されるものとする(例えば、その状況下で、最大限合理的に)。例えば、「実質的に一定」には「一定」が含まれる。特に指定しない限り、すべての測定は、温度と圧力を含む標準的な条件下で実施される。
【0082】
本明細書で使用する場合、項目のリストの「少なくとも1つ(at least one of)」を指す語句は、単一の構成要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。一例として、「A、B、Cの少なくとも1つ」は、A、B、C、AとB、AとC、BとC、並びにA、B及びCを含むことを意図している。特に指定しない限り、「X、Y、Zの少なくとも1つ」という語句などの接続詞は、ある項目、用語などがX、Y、Zの少なくとも1つである可能性があることを伝えるために全般的に使用されるものとして、本来文脈に合わせて理解される。したがって、かかる接続詞は、一般に、ある特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、並びにZの少なくとも1つがそれぞれ存在することを必要とすることを意味するものではない。本明細書で見出しが設けられている場合、それは便宜上のものであり、本明細書で開示されるデバイスと方法の範囲又は意味に必ずしも影響を及ぼすものではない。
【0083】
従って、特許請求の範囲は、本明細書で示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本開示、本明細書で開示される原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が認められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
【国際調査報告】