(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】整形外科装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/70 20060101AFI20240829BHJP
A61F 2/60 20060101ALI20240829BHJP
A61F 2/54 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
A61F2/70
A61F2/60
A61F2/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506241
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2022074066
(87)【国際公開番号】W WO2023031191
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021122608.2
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502220838
【氏名又は名称】オットーボック・エスイー・ウント・コンパニー・カーゲーアーアー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】マウスナー、ランドルフ
(72)【発明者】
【氏名】フィンケ、ラース・ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】コッペ、マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ボーンマン、ヨナス
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA02
4C097AA11
4C097BB06
4C097TB01
(57)【要約】
本発明は、当て付けられた状態のときに断端または四肢を少なくとも部分的に取り囲む少なくとも1つの壁部を有する整形外科装置に関し、-壁部は変更可能な内側円周を有していて装着開口部を形成し、-壁部には、少なくとも1つの操作部材のための、整形外科装置に支承されたアクチュエータが付属し、該操作部材は整形外科装置に支承され、該操作部材を通じて壁部の内側円周を変更可能であり、アクチュエータおよび/または操作部材の支承部に、アクチュエータおよび/または操作部材の支承力を決定するために少なくとも1つのセンサ装置が付属する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当て付けられた状態のときに断端又は四肢を少なくとも部分的に取り囲む少なくとも1つの壁部(10)を有する整形外科装置であって、
前記壁部(10)は変更可能な内側円周を有していて装着開口部を形成し、
前記壁部(10)には、少なくとも1つの操作部材(30)のための、前記整形外科装置に支承されたアクチュエータ(20)が付属し、該操作部材は前記整形外科装置(1)に支承され、該操作部材を通じて前記壁部(10)の内側円周を変更可能である、整形外科装置において、
前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承部に、前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承力を決定するために少なくとも1つのセンサ装置(40)が付属することを特徴とする、整形外科装置。
【請求項2】
前記アクチュエータ(20)、前記操作部材(30)、及び/又は前記操作部材(30)に付属する方向転換装置(50)が前記整形外科装置(1)に浮動式に支承され、前記センサ装置(40)は負荷依存的な変位を検出することを特徴とする、請求項1に記載の整形外科装置。
【請求項3】
前記センサ装置(40)は、距離、間隔、力、及び/又はトルクを検出する少なくとも1つのセンサ(45,70)を有し、特に圧電素子、容量式のセンサ、抵抗式のセンサ、誘導式の変位変換器、誘導式の間隔センサ、又は光学式のセンサとして構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の整形外科装置。
【請求項4】
前記センサ装置(40)は、前記壁部(10)の近位・遠位方向、半径方向、及び/又は円周方向で作用する力を検出するように構成又は配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の整形外科装置。
【請求項5】
前記操作部材(30)は柔軟な引張部材として構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の整形外科装置。
【請求項6】
前記アクチュエータ(20)は、前記操作部材(30)と結合された、スライダ(27)、スピンドル(26)、又はローラを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の整形外科装置。
【請求項7】
前記壁部(10)は多部分で構成され、又は相互に変位可能なセグメント(11,12,13,14,15)に分割されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の整形外科装置。
【請求項8】
前記アクチュエータ(20)はモータ式又は手動式に駆動されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の整形外科装置。
【請求項9】
前記センサ装置(40)は制御装置(60)と接続され、該制御装置はセンサ値を基礎として前記アクチュエータ(20)のモータ式の駆動部(25)を作動化及び/若しくは不作動化し、並びに/又は表示装置若しくは出力装置(80)に表示命令若しくは出力命令を伝送することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の整形外科装置。
【請求項10】
義肢ソケット、装具、又は外骨格として構成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の整形外科装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の整形外科装置(1)の壁部(10)の内側円周の適合化を制御する方法において、センサ値が前記センサ装置(40)によって検出され、規定された閾値を上回っている場合及び/又は下回っている場合に前記アクチュエータ(20)の駆動部(25)が作動化又は不作動化されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
それぞれ異なる利用状況についてそれぞれ異なる閾値が規定され、そのつどの利用状況がセンサ値を参照して自動的に認識され、又は手動式に選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記整形外科装置(1)のさまざまに異なる個所でセンサ値が判定されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承力が前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承個所で、リアルタイムに、及び/又は前記アクチュエータ(20)の動作状態に関わりなく、検出されることを特徴とする、請求項11から13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、当て付けられた状態のときに断端または四肢を少なくとも部分的に取り囲む少なくとも1つの壁部を有する整形外科装置に関し、該壁部は変更可能な内側円周を有していて装着開口部を形成し、壁部には、少なくとも1つの操作部材のための、整形外科装置に支承されたアクチュエータが付属し、該操作部材は整形外科装置に支承され、該操作部材を通じて壁部の内側円周を変更可能である。さらに本発明は、整形外科装置の壁部の内側円周を制御および適合化する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
整形外科装置は、医療上の理由から人間の身体に担持される工学コンポーネントであり、特に義肢、装具、および特殊ケースとして外骨格である。
【0003】
義肢は、存在していない、または存在しなくなった四肢を代替するための役目を果たす。義肢は、外側形状への近似性に加えて、代替されるべき四肢がその機能に関しても全面的に模倣されるのがよい。機械式の義肢のほか、電子制御される義肢も多く存在する。制御は、たとえば種々の利用条件や利用要求に合わせた義肢装置の適合化を対象とする。しばしば義肢は、相互に位置調節したり変位させたりすることができる、1つを超えるコンポーネントを有する。たとえば人工関節は、下側部分に対して相対的な上側部分の旋回のために意図され、上側部分と下側部分との間に、制御装置で評価されるセンサデータを基礎として変更することができる抵抗装置または駆動部が配置される。たとえばモータやその他の位置調節装置もしくは駆動部であるアクチュエータは、運動抵抗を変更するためにバルブを位置調節することができる。電気駆動部は、旋回に対する抵抗を惹起するために、発電機モードへと切り換えることができ、その代替として、運動を実行または補助するために駆動部を作動化させることができる。磁気粘性媒体の粘性特性を変更するために、たとえば電磁石を通じて磁界を生成することができる。
【0004】
義肢は患者の身体に固定され、そのために種々のテクノロジーがある。カップ状に構成され、断端の周囲に延びる近位の装着開口部を有する義肢ソケットを通じて固定を行うことが広く普及している。ソケットは形状安定的であり、その遠位端に別の義肢装置を有し、たとえば人工関節や、義足、義手などの端部コンポーネントを有する。
【0005】
義肢ソケットの個別的な適合化や、たとえばいわゆるPINロックを用いるライナー・テクノロジーを通じての固定のほか、互いに変位可能である複数のブレースや壁部分を有する義肢ソケットも存在する。
【0006】
特許文献1は、人工膝関節のための遠位の端部片および取付装置と、半径方向に張設可能なスリーブと、断端でのスリーブの収容スペースを適合化するためのクランプ装置とを有する義肢ソケットに関する。スリーブは、支持フレームと結合された、互いに区域的にオーバーラップする少なくとも2つのセグメントを有する。クランプ装置は、各セグメントを引き伸ばす、調節装置により作用長さに関して調節可能である少なくとも1つのケーブルを有する。
【0007】
特許文献2は、少なくとも1つの切欠きを有する義肢ソケットに関するものであり、この切欠きの中にそれぞれ1つのプレートが配置され、これらのプレートが切欠きを通して、アクチュエータと制御装置とを備えるクランプ装置により、義肢ソケットにより収容された切断断端に押圧される。少なくとも1つの圧力センサが、プレートのうちの1つの下側区域に配置される。
【0008】
特許文献3は、歩行状態を、ならびに収容される断端に対して義肢装置によって及ぼされる力および/または圧力を、検出するために、義肢ソケットとセンサ機構とを有する義肢装置に関する。検出されたパラメータに依存して作動する油圧式のアクチュエータを通じて、義肢ソケットおよび義肢機構の断端への据付けが適合化されて変更される。
【0009】
特許文献4は、窓が形成された義肢ソケットを有し、この窓の内部に調整パネルが可動に配置された義肢に関する。義肢ソケットと調整パネルによって、四肢断端のための収容スペースが形成される。引張手段を通じて、調整パネルの位置およびこれに伴って収容容積を変更することが可能であり、それは、引張手段に対して及ぼされる引張力が調整されることによる。引張力の調整は、少なくとも1つのセンサのセンサデータを基礎として行われる。
【0010】
特許文献5は、近位の挿入開口部と、断端を少なくとも部分的に取り囲む内側円周と、義肢ソケットに取付可能である、義肢コンポーネントのための少なくとも1つの接続装置と、義肢ソケットの内側円周を変更可能である少なくとも1つのアクチュエータとを有する義肢ソケットに関する。少なくとも1つのセンサが制御装置とリンクされていて、このセンサは慣性センサとして構成されている。制御装置はアクチュエータと接続されており、受信された慣性センサのセンサ信号に依存してこれを作動化させる。
【0011】
特許文献6は、身体および四肢断端から義肢ソケットへと伝達される力の分布を検出するためのシステムおよび方法に関する。義肢ソケットに、多数の内側領域をカバーする多数のセンサが配置される。プロセッサが、センサからなるネットワークとリンクされていて、センサデータを受信し、これを参照して圧力分布が判定される。
【0012】
特許文献7は、医療用のデバイスまたは装置を、特に義肢ソケットや装具を、自動式に閉止する方法および装置に関するものであり、駆動部とリンクされたクランプシステムを有している。ソケット壁と四肢との間の圧力などのセンサ値を基礎として、または、クランプベルト内部の引張力に基づいて、調整が自動的に変更されて、クランプシステムが緊締または弛緩される。
【0013】
装具は整形外科用の補助手段であり、存在している四肢に当て付けられて、運動を案内し、制約し、または補助する。互いにリンク式に結合されたコンポーネントの間に、義肢の各装置と対応して位置調節することができる、または調整することができる、駆動部または抵抗装置が配置されていてよい。この場合にも位置調節は、データ処理装置に伝送されるセンサデータをベースとして行われる。センサデータの伝送、およびアクチュエータへの位置調節の指令は、ワイヤレス式に行うことができる。特に利用者の運動を案内し、影響を及ぼし、たとえば駆動部によって補助し、または抵抗装置を介して制動するために、患者の身体に当て付けられて外側の支持構造を形成する外骨格も、本件出願の枠内においては装具であると理解される。装具および特殊ケースとしての外骨格は、日常的な行動の補助のほか、トレーニング目的や治療目的のためにも利用して適用することができる。
【0014】
センサベースの位置調節装置やアクチュエータを有する最新の義肢や装具は、それぞれの患者に合わせて適合化されてコンフィグレーションされたソフトウェアとともに納品される。コンフィグレーションの際に、たとえば抵抗装置の緩衝挙動をそれぞれの利用者に合わせて適合化するために、個々のパラメータを変更することができる。同様に、個々の機能を作動化または不作動化することも可能であり、それは、たとえば相応の患者がそのような機能を実行できない、または実行すべきでないという理由からである。装具の固定は、レールまたはブレースに配置される取付部材を通じて行われる。レールまたはブレースは、通常、互いにリンク式に結合されるか、または弾性的に互いに接して支承される。それぞれの四肢または胴体への装具の取付と確実な当接のために、四肢を少なくとも部分的に取り囲むシェルまたはバックルが設けられる。
【0015】
特許文献8は、処置プログラムを有する装具に関する。この装具は、特に腰部装具は、クランプ手段のためのクランプ装置と、モータ式の駆動部とを有している。クランプ装置は2つの装具セグメントを互いに近づくように変位させ、または、クランプ装置が応力緩和されて、それにより印加される復帰力によって各装具セグメントが互いに離れるようにすることができる。各装具セグメントは腹部領域で面ファスナーを通じて互いに連結され、背部領域には、装具を自動的に緊締または弛緩させるクランプ装置が配置される。応力を測定するために圧力センサが装具に配置されている。利用者の位置の変化も検知され、クランプ装置の応力が自動的に適合化される。クランプ装置の周期的な緊締と弛緩によって、マッサージ機能を提供することができる。
【0016】
特許文献9は、靴、姿勢矯正装置、リュックサック、帽子、または装具のためのモータ式のクランプシステムに関する。モータはクランプ手段を通じて、たとえばケーブルやロープを通じて、所望の応力を調整する。応力は遠隔操作を通じて調整することができる。
【0017】
それぞれのクランプシステムでの応力の調整は、壁部と身体部分との間での直接的な圧力測定を基礎として行われ、または引張手段の内部での応力測定によって行われる。問題となるのは、直接的な圧力測定の場合、負荷に依存して生じる、あるいは着用の過程での変化に依存して生じる、柔らかい部分との接触に基づく非常に大きな測定誤差である。引張手段の内部での力の測定の場合に問題となるのは、測定の場所と、そこで有効になる高い力である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102010019843A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/274364A1号明細書
【特許文献3】国際公開第2014/144985A1号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2010/0274364A1号明細書
【特許文献5】欧州特許第3454792B1号明細書
【特許文献6】国際公開第2018/017959A1号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2014/138297A1号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2013/191933A2号パンフレット
【特許文献9】米国特許出願公開第2014/0068838A1号明細書
【発明の概要】
【0019】
本発明の課題は、上で説明した問題を回避することができる、または少なくとも緩和することができる、整形外科装置、ならびにそのような整形外科装置の壁部の内側円周を適合化するための方法を提供することにある。
【0020】
この課題は、主請求項の構成要件を有する整形外科装置によって、および独立請求項の構成要件を有する方法によって、解決される。本発明の好ましい実施形態と発展形態は、従属請求項、発明の詳細な説明、および図面に開示されている。
【0021】
整形外科装置が当て付けられた状態のとき断端または四肢を少なくとも部分的に取り囲む少なくとも1つの壁部を有し、該壁部は変更可能な内側円周を有していて装着開口部を形成し、壁部には少なくとも1つの操作部材のために整形外科装置に支承されたアクチュエータが付属しており、該操作部材は整形外科装置に支承され、該操作部材を通じて壁部の内側円周を変更可能である、整形外科装置は、アクチュエータおよび/または操作部材の支承部に、アクチュエータおよび/または操作部材の支承力を決定するために少なくとも1つのセンサ装置が付属することを意図する。アクチュエータおよび/または操作部材の支承力がセンサによって検出されることで、ないしは、アクチュエータおよび/または操作部材の支承力が、センサ装置により検出されたセンサデータを用いて決定されることで、押圧力を直接的に測定することなく、整形外科装置のソケットの内部の、または壁部の内部の、圧力状況に関する推定を得ることが可能である。半径方向力の直接的な測定に代えて、簡易かつ再現可能に検出可能な量の間接的な測定により、壁部の内部の圧力状況を推定することができる。それに伴い、身体部分、四肢、または断端に合わせた、正確で確実なメカトロニクス式の壁部の適合化を実現することが可能である。これに加えて、皮膚やライナーなどの柔らかい構造物とセンサが直接的に接触しないので、再現可能な結果を容易に得ることができる。間接的な測定量を検出するという選択肢は、センサまたはセンサ装置が外部要因から効果的に防護される方式により、壁部の表面ないし壁部の内部での位置決めと配置を現場で行うことを可能にする。たとえば案内部における壁部の外面での操作部材の取付力を、センサを通じて、壁部に対して及ぼされる力に関して検出することができ、操作部材に対して作用する支承力の一部となる。
【0022】
1つの実施形態では、アクチュエータ、操作部材、および/または操作部材に付属する方向転換装置は、整形外科装置に、特に壁部に、浮動式に支承される。浮動式の支承とは、特に、スライド可能な、傾動可能な、または回動可能な、支承である。アクチュエータ、操作部材、または操作部材のための方向転換装置の、たとえばチューブ、鳩目、ローラ、方向転換ピンなどのための支承個所の、負荷に依存して、これらのコンポーネントが浮動式の支承に基づいて負荷依存的に運動する。このような運動がセンサ装置を通じて検出されて、評価される。たとえばアクチュエータが長手方向スライド可能なように案内部で圧力センサに対して支承される場合、圧力センサに対する僅少な変位が測定されて、壁部の内部の圧力状況を決定するために援用される。圧力状況の決定はセンサ値を基礎として、必要なコンポーネントを装備する制御装置で行われる。これにはセンサ信号を処理するためのプロセッサのほか、その他のデータ処理装置、記憶装置、ケーブル式および/またはケーブレス式のインターフェース、ソフトウェア、およびエネルギー蓄積器が含まれる。
【0023】
センサ装置は、1つの実施形態では、距離、力、および/またはトルクを検出する少なくとも1つのセンサを有する。センサは容量式のセンサ、抵抗式のセンサ、誘導式の変位変換器、または誘導式の距離センサであってよく、または光学式の作用原理に依拠していてよい。たとえば支承個所または取付部材での変位または変形を、歪ゲージまたは感圧センサ、圧電素子などを通じて検出することができる。距離はホールセンサや光学センサを通じて検出することができ、各コンポーネントの間の位置変化が検出されて評価装置および/または制御装置へ伝送される。支承力は、特にアクチュエータおよび/または操作部材が壁部に支承されている場所で、直接的に判定されるのが好ましい。それによって計算コストの上昇が回避され、直接的に作用している力を検出することができる。それにより、アクチュエータまたは操作部材の支承部で作用する支承力または力を、直接的かつ迅速に検出して決定することができる。外部エネルギーがアクチュエータに供給される必要なしに、支承部に対する力をリアルタイムで、整形外科装置の利用期間全体を通じて検出することが可能である。支承力の検出は、アクチュエータの動作状態に関わりなく行われ、特に、アクチュエータがモータ式に構成される場合にはモータが操作されているか否かに関わりなく行われる。アクチュエータおよびその動作状態に関わりのないセンサ装置のために、バッテリまたは蓄電池からのエネルギーを利用することができる。
【0024】
1つの実施形態では、センサ装置は、壁部の近位・遠位方向、半径方向、および/または円周方向で作用する力を検出するように構成または配置される。それにより整形外科装置の、特に義肢ソケットまたは装具コンポーネントの、すべての力方向を記録して、アクチュエータおよび/または操作部材の相応の支承力を検出することが可能である。センサ装置またはセンサは、1つの実施形態では、アクチュエータから分離されてアクチュエータおよび/または操作部材の支承個所に位置決めされて、作用する支承力を恒常的にリアルタイムで検出する。
【0025】
操作部材は、1つの実施形態では柔軟な引張部材として、特にベルト、ロープもしくはケーブル、またはこれらの組み合せとして構成される。柔軟な、特に非弾性的な引張部材により、アクチュエータから整形外科装置へと力を簡易な方式で伝達して転送することができ、特に、円周方向で作用する力を印加することができる。
【0026】
本発明の1つの実施形態では、アクチュエータは操作部材と結合されたスライダ、スピンドル、またはローラを有する。それにより、アクチュエータまたは操作部材を介して印加される力を方向転換させ、相応の変位、応力、または運動を整形外科装置の表面または内部で惹起することが可能である。
【0027】
壁部は、アクチュエータおよび操作部材を通じて整形外科装置の位置調節または調整を実現するために、多部分で構成されていてよく、または相互に変位可能なセグメントに分割されていてよい。
【0028】
1つの実施形態ではアクチュエータはモータ式に駆動され、その代替としてアクチュエータは、たとえばスピンドル、位置調節可能なホイール、ターンロックファスナ、ボール、レバー、またはその他の操作装置を通じて手動式に駆動されてもよい。モータ式の作動化またはモータ式の駆動は、特に電気モータを通じて行われるが、リニアドライブなどのその他の駆動部も同じくアクチュエータの駆動のために意図される。
【0029】
センサ装置は、1つの実施形態では、センサ装置のセンサ値を基礎としてアクチュエータのモータ式の駆動を作動化および/または不作動化させる、および/または表示装置または出力装置に表示命令または出力命令を伝送する、制御装置と接続される。それに伴い、センサ値を基礎とする自動式の調整または適合化を行うことができ、および/または利用者、または整形外科技術者、またはその他の者、または機関への、相応の警告または情報提供を行うことができる。
【0030】
整形外科装置は、特に義肢ソケット、装具、または外骨格として構成される。
【0031】
上で説明したような整形外科装置の、特に義肢ソケットまたは装具または外骨格の、壁部の内側円周の適合化を制御する方法は、センサ値がセンサ装置によって検出され、規定された閾値値を上回っている場合および/または下回っている場合にアクチュエータの駆動部が作動化または不作動化されることを意図する。それにより、センサ値を基礎としたうえで、壁部の内側円周の自動式の適合化を実行して、整形外科装置がそれぞれの利用者へあまりに強く、またはあまりに弱く、当接するのを防止することが可能である。
【0032】
本方法の発展形態では、それぞれ異なる利用状況についてそれぞれ異なる閾値が規定され、それぞれの利用状況がセンサ値を参照して自動的に認識され、または手動式に選択される。センサまたはセンサ装置は、たとえば整形外科装置がどのような運動状態および/または負荷状態にあるかを認識することができる。たとえばセンサ値を通じて操作に割り当てられる高い加速力が整形外科装置で発生している場合、整形外科装置の内側円周を縮小して、整形外科装置が利用者にしっかりと当接することを保証することができる。センサ装置を通じて運動データが検出されていない場合、このことは、たとえば利用者が座ったり寝たりしていることを示唆するので、血流を改善するために、および軟組織への応力軽減のために、壁部の内側円周が拡大される。その代替として、たとえば整形外科装置とケーブル式またはケーブルレス式にリンクされたインターフェースを通じて、そのつどの運動状況または負荷状況が手動式に調整される。
【0033】
整形外科装置のさまざまな個所でセンサ値が判定されるのが好ましく、それは、たとえば運動状況を正確に検出するためであり、または、負荷状況およびこれに伴って利用者における整形外科装置の収まり具合を認識するためである。
【0034】
アクチュエータおよび/または操作部材の支承力は、1つの実施形態では、アクチュエータの動作状態に関わりなく、特にリアルタイムで、かつ整形外科装置の利用期間全体を通して、検出される。アクチュエータの動作状態に関わりなく支承力が直接的に測定されることで、センサデータを検出し、特性量を測定し、そこから支承力を直接的に測定または算出するために、モータ式の実施形態におけるアクチュエータを通電、操作する必要がなくなる。
【0035】
次に、本発明の実施例を図面を参照しながら詳しく説明する。図面は次のものを示す:
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1a】アクチュエータを有する整形外科装置を示す断面図である。
【
図3】モータと手動位置調節部とを有する
図2の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1には、義肢ソケットの形態の整形外科装置1が模式的な斜視図で示されている。義肢ソケットは近位の装着開口部を有しており、当て付けられた状態のとき断端を壁部10によって全面的に取り囲む。壁部10は複数のセグメント11,12,13で成り立っており、第1のセグメント11は円周の大部分にわたって一体的に構成されて、遠位の端部セグメント13へと連通する。端部セグメント13と第1のセグメント11との間で義肢ソケットの遠位区域に円周方向に配置されたスリットによって、両方のセグメント11,13を相互に変位させることができる。第3の別個のセグメント12が整形外科装置1に配置されており、図示した実施例では、第1のセグメント11の円周の隙間を閉じている。義肢ソケット1の遠位端には、角錐アダプタの形態の接続装置16が他の義肢コンポーネントの取付のために、たとえば人工膝関節および/または下腿パイプなどの取付のために、配置または構成されている。
【0038】
図1aには、
図1のA-A線に沿った医療用の整形外科装置1の断面図が示されており、ここでは、互いに向かい合うように近位・遠位方向に延びる第1のセグメント11のそれぞれのエッジの間の隙間の背後に、第3のセグメント12が配置されている様子を見ることができる。第3のセグメント12は第1のセグメント11の各部分に対して相対的に変位可能であり、たとえば図には見えていない端部セグメント13に取り付けられていてよく、または配置されていてよい。これに加えて、壁部10の一部としての第3のセグメント12には、操作部材30を操作するためのアクチュエータ20が配置されており、これを通じて壁部10の内側円周を変更可能である。操作部材30は、特に柔軟な、場合により引張剛性の高い、または弾性的な、コンポーネントとして、たとえばロープ、ケーブルなどとして構成され、図示した実施例では、壁部10の第1のセグメント11の互いに向かい合う領域に取り付けられる。アクチュエータ20によって操作部材30がその有効長さに関して変更されると、たとえば巻き付けられると、すなわち、壁部10の向かい合う各区域に固定されている操作部材30の各端部または各領域が互いに近づくように動くと、整形外科装置ないし壁部10の内側円周が変化する。壁部10の隙間の互いに向かい合う両方のエッジが互いに近づくように動くからである。操作部材30の向かい合う各端部を壁部10に取り付ける代わりに、操作部材30によって形成されるチューブの有効な長さを短縮することによって、内側円周の変更を行うこともできる。この場合、操作部材30が案内される方向転換点が互いに近づくように変位し、またはその初期位置から移されて、壁部10により少なくとも部分的に取り囲まれる中空スペースの内側円周を変更する。
【0039】
操作部材30は、壁部10の第1のセグメント11の互いに向かい合う区域に取り付けられ、そこにセンサ45を備えている。第3のセグメント12での操作部材30の支承部にセンサ装置40が配置されていて、これが第3のセグメント12に対する操作部材30の支承力を検出する。センサ装置40は少なくとも1つのセンサ45を有していて、これが距離、間隔、力、および/またはトルクを検出し、特に、支承個所に対して作用する力および/またはトルクを直接的に検出する。この検出は光学式に、容量式に、抵抗の測定を通じて、歪ゲージや圧電素子を通じて、誘導式に、またはその他の方式で、行うことができる。特にセンサ装置40は、ホールセンサとして構成された、または圧電素子を有する、センサ45を有することができる。壁部10での操作部材30の支承力の検出は、壁部10の内側円周または外側円周でセンサ45を通じて、または少なくとも1つのセンサ45を通じて、行われる。それ以外のセンサを、特性量または動作パラメータの検出のために、たとえば温度、湿度、圧力、加速度、空間内での体勢、角度など検出するために、利用することもできる。
【0040】
図示した実施例では操作部材30にアクチュエータ20が付属していて、これを通じて操作部材30が運動する。アクチュエータ20はたとえばモータや調節歯車として構成され、これを介して操作部材30の有効長さが変更される。アクチュエータ20は第3のセグメント12に対して支承個所で支持され、支承個所とアクチュエータ20の間にセンサ装置40の少なくとも1つのセンサ45があり、それによりアクチュエータ20の、および/またはアクチュエータ20と結合された操作部材30の、支承力を検出する。このとき支承力は、半径方向に作用する圧縮力として、円周方向で作用する引張力もしくは圧縮力として、またトルクとして、作用することができる。力またはトルクの測定は、圧力センサ、力センサ、またはトルクセンサを通じて直接的に行うことができ、または、たとえば変形や長さ変化などの間接的な測定を通じて行うことができる。このとき力またはトルクの測定は、アクチュエータおよび整形外科装置の動作状態に関わりなく行われる。測定は、整形外科装置の利用中に恒常的に実行されるのが好ましい。測定はリアルタイムで行われ、測定値またはセンサ値の評価はサイクルごとに行うことができる。
【0041】
整形外科装置の内部に四肢が、特に義肢ソケットの場合における断端が、配置され、壁部によって包囲される。図示した例では、セグメント11,12が円周方向でオーバーラップしており、その結果として生じる壁部が四肢の円周全体にわたって延びている。その代替として、2つのセグメント11,12の間に隙間があり、この隙間が操作部材30の操作によって変更されることも可能である。
【0042】
図2には、同じく壁部10の複数のセグメント11,12が存在する、
図1の実施形態の変形例が示されている。さらに複数の操作部材30が存在し、すなわち、近位の操作部材30と遠位の操作部材30とが存在し、これらが別々に構成されて、壁部10のそれぞれ異なる領域で固定されている。両方の操作部材30はケーブル、ロープ、または紐として構成され、第3のセグメント12と第1のセグメント11の両方に配置または構成された方向転換装置50に沿って案内される。遠位の操作部材30は、靴紐と同じように、ループをなして交差するように方向転換装置50へと案内され、遠位の操作部材30の2つの端部が可動のスライダ27またはキャリッジに取り付けられ、これが案内部で案内されて、スピンドル26を介して一方または他方の方向へ変位させることができる。近位の操作部材30は、第1のセグメント11の互いに向かい合うエッジの領域で近位端に固定され、方向転換部材50を介して内方および下方に向かって案内されて、同じくスライダ27またはキャリッジに取り付けられている。図示した実施例では、スピンドル26は近位・遠位の方向に向いており、それにより、スピンドル26を一方の方向へ回転運動させるとスライダ27が上方に向かって変位して、それぞれの方向転換部材50ないし取付点の間の有効長さが短縮される。それにより、壁部10の内部の互いに向かい合う隙間のエッジが互いに近づくように動き、壁部10の内側円周が縮小する。これと逆の運動では、スライダ27が下方に向かって移動し、それぞれの操作部材30が応力軽減されて、壁部10の内側円周が拡大され、または拡大させることができる。壁部10の弾性が存在する場合、内側円周は復帰力に基づいて自動的に拡大する。アクチュエータ20は、モータまたは手動操作式の駆動装置を有することができる。スピンドル26ないしスライダ27は第3のセグメント12に対して、内部または表面にセンサ45が配置されたセンサ40で支持されている。センサ45は、操作部材30の内部で応力が変化したときにアクチュエータ20に対して作用する支承力を検出する。スライダ27が上方に向かって移動して操作部材30に応力がかかると、たとえば圧縮力などの支承力が増大し、操作部材30が応力軽減されるとアクチュエータ20の支承力が低減される。
【0043】
図3には整形外科装置1の2つの実施形態が示されており、左側の図ではアクチュエータ20が駆動部としてモータ25を装備しており、それにより、センサ装置40と接続された制御装置60の指令に応じて、モータ20を作動化および不作動化することができる。センサ値と、制御装置60の内部に格納されている制御ソフトウェアとをベースとして、モータ25が一方または他方の回転方向へ駆動され、スライダ27がスピンドル26に沿って所望の位置に達したときに不作動化される。所望の位置は、センサ45を有するセンサ装置40を通じての支承力の検出から決定され、それにより、アクチュエータ20の支承力の測定によって壁部10の内側円周が制御されながら変更される。整形外科装置1におけるほぼ任意の点での測定は、患者にとって断端に合わせた壁部10の圧着力の正確な適合化を可能にし、壁部10の内面と、その中に収容されている断端との間で実際に及ぼされている圧力を判定しなくてよい。測定はほぼ任意の場所で行うことができる。操作部材30が力を任意に迂回させることができるので、技術的に有意義な方向に沿ったスライダ27の変位を行えるからである。このように駆動部、スピンドル、およびスライダを有するアクチュエータ20を、機械的に最適化して整形外科装置で位置決め可能である。支承力の測定は、駆動部ないし操作部材の最適化された支承によって、およびセンサ装置40ないしセンサ45の最適化された配置によって、高い精度で行うことができ、壁部10の内側円周と断端または四肢との間の圧力を直接的に測定しなくてよい。支承力は、壁部の内側円周の縮小に対して断端または四肢によって反対向きに作用する抵抗に依存して変化する。抵抗が大きいほど、支承力が高くなり、四肢への壁部10の圧着力が高くなる。このようにセンサ装置40は、センサ45またはセンサ装置40がどこに配置されるかに応じて、アクチュエータ20ないし操作部材30または方向転換装置50の負荷依存的な変位を検出する。
【0044】
図3の右側の図では、スライダ27の位置の位置調節は、手回し車24を手動で動かすことに基づくスピンドル26の回転を通じて行われ、それにより、センサ45によって検出される駆動部またはアクチュエータ20の支承力は、モータを制御するための制御装置を通じて利用されるのではなく、たとえば表示装置や出力装置80に伝送されて、これを通じて支承力の大きさや、そこから算出または導出される断端への壁部の圧着力が表示され、および/または警告信号が光学式および/または音響式に出力される。
【0045】
図4には、
図1aに示す本発明の変形例が示されており、ここでは義肢ソケットの水平方向断面が示されている。義肢ソケットの壁部10は、複数のセグメント、本例では3つのセグメント11,12,14で成り立っており、場合により遠位の端部セグメント13も同じく存在していてよい。第1のセグメント11および別個のセグメント12のほか、接続セグメント14が第1のセグメント11に配置されている。接続セグメント14は、センサ装置40またはセンサを通じて第1のセグメント11にリンクされている。このセンサ装置40は、第1のセグメント11に対して円周方向で作用する接続セグメント14の支承力を検出する。さらに接続セグメント14には、操作部材30の一端がレバーまたは支承部を介して取り付けられている。さらにレバーは別のセンサ40を介して接続セグメント14に対して支持されており、そのようにして、壁部10における操作部材30の支承力を検出する。別のセンサまたは別のセンサ装置40は、操作部材30の取付個所とアクチュエータ20との間にあり、接続セグメント14に対して相対的に半径方向および/または円周方向で作用する操作部材30の力を検出する。これに対応する構造が、接続セグメント14の向かい合う側でも、第1のセグメント11に構成されている。これに加えて、別個の第3のセグメント12とアクチュエータ20との間にセンサ装置40が配置されている。すべてのセンサ装置40を通じて、壁部10のさまざまな個所での支承状況に基づく方向転換された力または圧力が、圧力センサを通じて、または長さ変化や変形などの検出を通して導き出される量を通じて、測定される。これに加えて第1のセグメント11の内側円周と外側円周には、たとえば筋電信号、圧力、酸素飽和度、温度または加速度、角度位置、空間姿勢、速度、またはその他の運動パラメータや状態パラメータを検出するために、
図3の制御装置60とリンクさせることができる別のセンサ70が配置されている。これらのセンサのうちの1つはたとえばIMUであってよく、これを通じて整形外科装置の運動データが検出される。たとえば高い加速度が測定された場合、断端への整形外科装置のいっそう高い圧着が必要であると推定することができ、それにより、制御装置60の信号がアクチュエータ20の駆動部に送信される。この信号は、操作部材30の十分な変位が行われるまで、位置調節が自動的に行われることを惹起する。この位置調節の目安は、アクチュエータ20、操作部材30、または方向転換装置50に割り当てることができる、センサ装置40により検出される支承力から得られる。
【0046】
図5には、たとえばヘルメットや、下腿保護の形態の矯正用の保護装置など、整形外科装置のさまざまな適用例が示されている。ヘルメットは、円蓋の形態の第1の壁部セグメント11と内側シェルとしての第2のセグメント12とを有していて、これらが位置調節可能なヘッドバンドの形態の操作部材30を介して相互に変位可能であり、それにより、壁部の内側円周を変更可能である。壁部の第1のセグメント11としての脛骨保護具と、第2のセグメント12としてのアキレス腱保護具とを有する矯正用の保護装置では、くるぶしの領域でふくらはぎに巻かれた調整ベルト30を通じて変位が行われる。このとき調整ベルト30は、アクチュエータのための原動力としての手によって動かされる操作部材である。たとえばアクチュエータはスライダ、手回し車、調整ベルトのグリップ部分、巻取装置などであり、これらが相応に変位する。操作部材30の表面または内部に、操作部材30および/または図示しないアクチュエータ20の支承力を検出して記録するために、センサ装置40が配置されている。ヘルメットの内部または表面にあるヘッドバンドや固定部材にも、相応のアクチュエータおよび/またはセンサ装置が配置されていてよい。
【0047】
図6には、膝装具の形態の整形外科装置1が前面図で示されており、ここでは装具上側部分が装具下側部分に対して相対的に互いにリンク式に支承されている。上側部分は上腿に固定され、下側部分は下腿に固定され、足への取付はベルトを通じて行われる。上腿への上側部分の固定は図示しておらず、下腿への固定は、同時に操作部材でもあるふくらはぎ閉止具を通じて行われる。操作部材のそれぞれの自由端に閉止装置が配置されていて、これを用いて、操作部材をふくらはぎの周りに通して閉止することが可能である。それにより、膝装具の下側部分が下腿に固定される。脛骨の領域に、整形外科装置の壁部のセグメント12としての当接プレートが配置されている。下側部分のバックル状の構成は、壁部の他のセグメント11である。当接プレート12にはアクチュエータ20としての調整輪が配置されていて、その背後に、セグメント12に対して相対的な調整輪20の支承力を検出するためにセンサが配置されている。
【0048】
図7および8には、当接プレート12とアクチュエータ20との間へのセンサ装置40の配置の実施例が断面図で示されている。アクチュエータ20は膝装具の前面の外側にあり、外部からアクセス可能である。アクチュエータ20は、操作部材30に応力をかけるために、または応力軽減をするために、たとえばターンロックファスナとして構成されていてよく、ターンロックファスナの駆動は手動式またはモータ式に行うことができる。センサ装置40は当接プレート12とアクチュエータ20との間にあり、アクチュエータは、たとえば中間プレートまたはその他の支持部材を介してセンサ装置40に支持される。支承力の測定または検出は、たとえば圧力センサを通じて、または距離変化などの導き出される量の検出を通じて、直接的または間接的に行うことができる。
【0049】
図9には、センサまたはセンサ機構40の実施例が示されており、ここでは操作部材は、またはソケットもしくは壁部の第2のセグメント11は、圧縮ばね35を介して壁部のセグメント11に支承される。圧縮ばね35を通じて、壁部の複数のセグメント11または壁部の1つのセグメントと、操作部材30との間の相対変位を可能にすることが可能である。操作部材30またはセグメント11に、ホールセンサ45に向かい合う永久磁石46が配置されている。操作部材30または壁部のセグメント11が図示しないアクチュエータ20によって動くと、または応力をかけられると、圧縮ばね35が圧縮されて、永久磁石46がホールセンサ45から遠ざかる。ホールセンサ45と永久磁石46の間の距離変化が測定され、そこから操作部材30と壁部のセグメント11との間の、または壁部10のそれぞれのセグメント11の間の、支承力が導き出されて、整形外科装置の内側壁部と四肢または断端との間で作用している圧縮力または圧着力の推定が引き出される。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当て付けられた状態のときに断端又は四肢を少なくとも部分的に取り囲む少なくとも1つの壁部(10)を有する整形外科装置であって、
前記壁部(10)は変更可能な内側円周を有していて装着開口部を形成し、
前記壁部(10)には、少なくとも1つの操作部材(30)のための、前記整形外科装置に支承されたアクチュエータ(20)が付属し、該操作部材は前記整形外科装置(1)に支承され、該操作部材を通じて前記壁部(10)の内側円周を変更可能である、整形外科装置において、
前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承部に、前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承力を決定するために少なくとも1つのセンサ装置(40)が付属することを特徴とする、整形外科装置。
【請求項2】
前記アクチュエータ(20)、前記操作部材(30)、及び/又は前記操作部材(30)に付属する方向転換装置(50)が前記整形外科装置(1)に浮動式に支承され、前記センサ装置(40)は負荷依存的な変位を検出することを特徴とする、請求項1に記載の整形外科装置。
【請求項3】
前記センサ装置(40)は、距離、間隔、力、及び/又はトルクを検出する少なくとも1つのセンサ(45,70)を有し、特に圧電素子、容量式のセンサ、抵抗式のセンサ、誘導式の変位変換器、誘導式の間隔センサ、又は光学式のセンサとして構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の整形外科装置。
【請求項4】
前記センサ装置(40)は、前記壁部(10)の近位・遠位方向、半径方向、及び/又は円周方向で作用する力を検出するように構成又は配置されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の整形外科装置。
【請求項5】
前記操作部材(30)は柔軟な引張部材として構成されていることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の整形外科装置。
【請求項6】
前記アクチュエータ(20)は、前記操作部材(30)と結合された、スライダ(27)、スピンドル(26)、又はローラを有することを特徴とする、請求項1
又は2に記載の整形外科装置。
【請求項7】
前記壁部(10)は多部分で構成され、又は相互に変位可能なセグメント(11,12,13,14,15)に分割されていることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の整形外科装置。
【請求項8】
前記アクチュエータ(20)はモータ式又は手動式に駆動されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の整形外科装置。
【請求項9】
前記センサ装置(40)は制御装置(60)と接続され、該制御装置はセンサ値を基礎として前記アクチュエータ(20)のモータ式の駆動部(25)を作動化及び/若しくは不作動化し、並びに/又は表示装置若しくは出力装置(80)に表示命令若しくは出力命令を伝送することを特徴とする、請求項1
又は2に記載の整形外科装置。
【請求項10】
義肢ソケット、装具、又は外骨格として構成されていることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の整形外科装置。
【請求項11】
請求項1
又は2に記載の整形外科装置(1)の壁部(10)の内側円周の適合化を制御する方法において、センサ値が前記センサ装置(40)によって検出され、規定された閾値を上回っている場合及び/又は下回っている場合に前記アクチュエータ(20)の駆動部(25)が作動化又は不作動化されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
それぞれ異なる利用状況についてそれぞれ異なる閾値が規定され、そのつどの利用状況がセンサ値を参照して自動的に認識され、又は手動式に選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記整形外科装置(1)のさまざまに異なる個所でセンサ値が判定されることを特徴とする、請求項1
1に記載の方法。
【請求項14】
前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承力が前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承個所で、リアルタイムに、及び/又は前記アクチュエータ(20)の動作状態に関わりなく、検出されることを特徴とする、請求項1
1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
図9には、センサまたはセンサ機構40の実施例が示されており、ここでは操作部材は、またはソケットもしくは壁部の第2のセグメント11は、圧縮ばね35を介して壁部のセグメント11に支承される。圧縮ばね35を通じて、壁部の複数のセグメント11または壁部の1つのセグメントと、操作部材30との間の相対変位を可能にすることが可能である。操作部材30またはセグメント11に、ホールセンサ45に向かい合う永久磁石46が配置されている。操作部材30または壁部のセグメント11が図示しないアクチュエータ20によって動くと、または応力をかけられると、圧縮ばね35が圧縮されて、永久磁石46がホールセンサ45から遠ざかる。ホールセンサ45と永久磁石46の間の距離変化が測定され、そこから操作部材30と壁部のセグメント11との間の、または壁部10のそれぞれのセグメント11の間の、支承力が導き出されて、整形外科装置の内側壁部と四肢または断端との間で作用している圧縮力または圧着力の推定が引き出される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 当て付けられた状態のときに断端又は四肢を少なくとも部分的に取り囲む少なくとも1つの壁部(10)を有する整形外科装置であって、
前記壁部(10)は変更可能な内側円周を有していて装着開口部を形成し、
前記壁部(10)には、少なくとも1つの操作部材(30)のための、前記整形外科装置に支承されたアクチュエータ(20)が付属し、該操作部材は前記整形外科装置(1)に支承され、該操作部材を通じて前記壁部(10)の内側円周を変更可能である、整形外科装置において、
前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承部に、前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承力を決定するために少なくとも1つのセンサ装置(40)が付属することを特徴とする、整形外科装置。
[2] 前記アクチュエータ(20)、前記操作部材(30)、及び/又は前記操作部材(30)に付属する方向転換装置(50)が前記整形外科装置(1)に浮動式に支承され、前記センサ装置(40)は負荷依存的な変位を検出することを特徴とする、[1]に記載の整形外科装置。
[3] 前記センサ装置(40)は、距離、間隔、力、及び/又はトルクを検出する少なくとも1つのセンサ(45,70)を有し、特に圧電素子、容量式のセンサ、抵抗式のセンサ、誘導式の変位変換器、誘導式の間隔センサ、又は光学式のセンサとして構成されていることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の整形外科装置。
[4] 前記センサ装置(40)は、前記壁部(10)の近位・遠位方向、半径方向、及び/又は円周方向で作用する力を検出するように構成又は配置されることを特徴とする、[1]から[3]のいずれか1項に記載の整形外科装置。
[5] 前記操作部材(30)は柔軟な引張部材として構成されていることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか1項に記載の整形外科装置。
[6] 前記アクチュエータ(20)は、前記操作部材(30)と結合された、スライダ(27)、スピンドル(26)、又はローラを有することを特徴とする、[1]から[5]のいずれか1項に記載の整形外科装置。
[7] 前記壁部(10)は多部分で構成され、又は相互に変位可能なセグメント(11,12,13,14,15)に分割されていることを特徴とする、[1]から[6]のいずれか1項に記載の整形外科装置。
[8] 前記アクチュエータ(20)はモータ式又は手動式に駆動されることを特徴とする、[1]から[7]のいずれか1項に記載の整形外科装置。
[9] 前記センサ装置(40)は制御装置(60)と接続され、該制御装置はセンサ値を基礎として前記アクチュエータ(20)のモータ式の駆動部(25)を作動化及び/若しくは不作動化し、並びに/又は表示装置若しくは出力装置(80)に表示命令若しくは出力命令を伝送することを特徴とする、[1]から[8]のいずれか1項に記載の整形外科装置。
[10] 義肢ソケット、装具、又は外骨格として構成されていることを特徴とする、[1]から[9]のいずれか1項に記載の整形外科装置。
[11] [1]から[10]のいずれか1項に記載の整形外科装置(1)の壁部(10)の内側円周の適合化を制御する方法において、センサ値が前記センサ装置(40)によって検出され、規定された閾値を上回っている場合及び/又は下回っている場合に前記アクチュエータ(20)の駆動部(25)が作動化又は不作動化されることを特徴とする、方法。
[12] それぞれ異なる利用状況についてそれぞれ異なる閾値が規定され、そのつどの利用状況がセンサ値を参照して自動的に認識され、又は手動式に選択されることを特徴とする、[11]に記載の方法。
[13] 前記整形外科装置(1)のさまざまに異なる個所でセンサ値が判定されることを特徴とする、[11]又は[12]に記載の方法。
[14] 前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承力が前記アクチュエータ(20)及び/又は前記操作部材(30)の支承個所で、リアルタイムに、及び/又は前記アクチュエータ(20)の動作状態に関わりなく、検出されることを特徴とする、[11]から[13]のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】