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特表2024-532087自動車用途の為のロック用アクチュエータ
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  • 特表-自動車用途の為のロック用アクチュエータ 図1
  • 特表-自動車用途の為のロック用アクチュエータ 図2
  • 特表-自動車用途の為のロック用アクチュエータ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】自動車用途の為のロック用アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/90 20140101AFI20240829BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20240829BHJP
   E05B 81/16 20140101ALI20240829BHJP
【FI】
E05B81/90
B60L53/16
E05B81/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506786
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2022057832
(87)【国際公開番号】W WO2023026163
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110968093.7
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, ウェンホン
(72)【発明者】
【氏名】スン, サクソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン, ボアン
【テーマコード(参考)】
2E250
5H125
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB52
2E250HH01
2E250JJ48
2E250KK02
2E250LL01
2E250RR11
5H125AA01
5H125AC24
5H125FF12
(57)【要約】
本発明の目的は、自動車用途のロック用アクチュエータであり、このアクチュエータは、ハウジング(4)を備え、さらにハウジング(4)内に装備された電気駆動装置(5-9)を備え、ハウジング(4)内の開口部(15)を介して外方に案内されるロック要素(11,12)を装備する。電気駆動装置(5-9)は、ロック要素(11,12)に作用するために、少なくとも1つの電気モータ(5)と、出力要素(6)と、出力要素(6)に噛合する出力ギア(7)と、出力ギア(7)に噛合するギアホィール(8)とを有する。本発明によれば、ギアホイール(8)に係合する手動で作動可能な緊急作動要素(17,18)が提供される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用途の為のロック用アクチュエータであって、
ハウジング(4)を備え、前記ハウジング(4)内に配置された電動駆動装置(5-9)をさらに備え、前記ハウジング(4)内の開口部(15)を介して外方に案内されるロック要素(11,12)を備え、前記電動駆動装置(5-9)は、少なくとも1つの電気モータ(5)と、出力要素(6)と、前記出力要素(6)に噛合する出力ギア(7)と、前記出力ギア(7)に噛合して前記ロック要素(11,12)に作用するギアホイール(8)とを有し、
前記ギアホイール(8)に係合する手動で作動可能な緊急作動要素(17,18)を装備することを特徴とする、アクチュエータ。
【請求項2】
前記緊急作動要素(17,18)は、ディスク(17)と可撓性接続手段(18)とを有する2つの部品に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記可撓性接続手段(18)は、前記ディスク(17)に接合されるケーブル(18)として形成されていることを特徴とする、請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記ディスク(17)は、前記ギアホイール(8)のピンレセプタクル(8a)内のピン(17a)と係合することを特徴とする、請求項2又は3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ディスク(17)は、前記可撓性接続手段(18)と係合する周溝を装備することを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記可撓性接続手段(18)にガイド(21,22)が設けられていることを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記ガイド(21,22)は、内ガイド(21)と外ガイド(22)とを有する2つの部品に形成されていることを特徴とする、請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記外ガイド(22)は、シール(23)の中間位置決めにより前記ハウジング(4)の開口部(24)に係合することを特徴とする、請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記ロック要素(11,12)は、ギア(9)を前記ギアホィール(8)に係合させる為の歯形(10)を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記ロック要素(11,12)は、前記ハウジング(4)の前記開口部(15)内のシール(14)を介して、ピン状突起(12)によって係合することを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用途のロック用アクチュエータに関するが、このアクチュエータは、ハウジングを備え、ハウジング内に配置された電動駆動装置をさらに備え、ハウジングの開口部を通して外方に案内されたロック要素を備え、電動駆動装置は、少なくとも1つの電気モータと、出力要素と噛み合う出力ギアと、出力ギアと噛み合うギアホイールとを有し、ロック要素に作用する。
【0002】
最初に説明した構造のロックアクチュエータは、例えば、出願人からの国際公開第2019/068279 A1号に記載されている。このように移動可能なロック用アクチュエータ又はロック要素は、特に電気自動車又はハイブリッド自動車用の電気接続装置と共に、充電コネクタがロック要素を用いて充電ソケット内に着脱可能に据え付けられることを確実にする。これは原理的に証明されている。
【0003】
さらに、このようなロックアクチュエータは、自動車内または自動車上の異なる状況で使用することもできる。いずれにしても、電動駆動装置には、通常、車両側のバッテリまたはこの時点で設けられたアキュムレータを用いて必要な電気エネルギが供給される。この時点で、たとえば、問題のバッテリが最早十分な充電状態を有していない場合、たとえば、より長いアイドル時間の後に、電気エネルギ供給が破壊される可能性がある。このような場合には、たとえば、ロック用アクチュエータやそのロック要素を用いて行われたロックを容易にキャンセルすることができなくなる。ここに発明が存在する。
【0004】
【概要】
【0005】
本発明は、緊急操作が可能なように自動車用途のロック用アクチュエータを開発するという技術的課題に基づいている。
【0006】
この技術的課題を解決するために、一般的なロックアクチュエータは、本発明の範囲内で、ギアホイールに係合する手動で作動可能な緊急作動要素が提供されることを特徴とする。
【0007】
ギアホイールに係合する手動で作動可能な緊急作動要素に本発明を援用することにより、電気モータのための電力供給が故障したかまたは中断された場合にも、関連するロックアクチュエータを少なくとも手動で作動させることができる。なぜなら、そのような場合には、ロック要素を作動させるためのギアホイールは、ギアホイールに直接作用する手動で作動可能な緊急作動要素を使用して移動されるからである。緊急作動は、原則として、ロック要素を使用する緊急ロックおよびロック要素を使用する緊急ロック解除の両方に対して実行することができる。
【0008】
本発明によれば、緊急作動要素は、典型的には緊急ロック解除要素として設計され、即ち、ロック状態にあり、露出位置でハウジングから延びているロック要素が、そのロック解除位置および後退位置に戻されることを一般に保証する。その結果、ロック要素を用いてロックされていた自動車構成部品を手動で解除することができる。これは、非限定的な実施例として、充電ソケットに受けられる充電コネクタとすることができる。しかしながら、一般的には、前述の手動緊急作動または緊急解除に続いて、以前にロックされた他の自動車構成部品に作用したり、(再び)開放したりすることもできる。
【0009】
この目的のために、緊急作動要素は、ディスクおよび柔軟な接続手段を備えた2つの部品で設計される。可撓性接続手段は、たとえば、ディスクに接合されたケーブルであってもよい。ディスクは、一般に、ギアホィール上のピンレセプタクル内のピンと係合する。
【0010】
このようにして、可撓性接続手段を用いてディスクに伝達されたあらゆる回転運動がギアホイールに伝達されるが、これは、ピンレセプタクルに係合するピンによるディスクの回転運動が、ギアホイールがディスクの回転運動中の伴出を確実にするためである。
【0011】
可撓性接続手段および有利にはケーブルをディスク上に案内するために、ディスクは通常、関連する可撓性接続手段に係合するための周方向溝を備える。さらに、特に有利な実施形態によれば、接続手段用のガイドも提供される。全体として、ガイドは、接続手段がディスクまたはディスクの周溝に接線的にもたらされることを確実にする。
【0012】
ガイドが、内ガイドと外ガイドとを有する2つの部品で設計される場合、特に有利であることが証明されている。内ガイドは、ハウジングの内部に設けられ、形成されている。全体的な設計は、内ガイドが、たとえば、ハウジングのカバーに接続されるようにすることができる。ここで、本発明は、ハウジングが一般にシェルとカバーとを有する2つの部品で設計されるという知識に基づいている。
【0013】
外ガイドは、一般に、シールの中間位置決めによってハウジングの開口部に係合する。シールを使用して、外部ガイド、従って外方に案内される可撓性接続手段が、ハウジングに対して密封される。これは、自動車用途のための、そのようなロック用アクチュエータが、通常、本体内側に設置されるが、必ずしも埃や湿気から保護されないという事実に照らして、特に重要である。
【0014】
ロック要素は、一般に、出力ウォーム上のギアと係合する歯形を有し、即ち、出力ウォームは、一般に、ロック要素の歯形に係合する当該ギアと共に設計され、その結果、対応するギアの回転は、一般に直線に延びる歯形にギアと係合することによって、ロック要素の直線運動に変換される。
【0015】
ロック要素は、ハウジングの開口部にシールを介して係合するピン状突起を有する。シールを用いて、ピン状突起がハウジングの開口部から密封され、スプレー水または一般的には、湿気、埃などがハウジングの内部に侵入するのを防止する。これは、ハウジング内に置かれた構成部品、すなわち出力要素、出力要素と噛み合う出力ギア、および緊急作動要素の一部としてのディスクが、通常、プラスチック材料で作られ、それぞれプラスチック射出成形部品であるので、特に重要である。このようなプラスチック射出成形部品は、摩耗を最小限に抑えるために、特に粉塵の侵入から保護されなければならない。
【0016】
シェルおよびカバーからなるハウジングもまた、典型的にはプラスチック材料で作られる。ガイドまたは内ガイドおよび外ガイドについても同様である。外部ガイドを通してハウジングの外側に引っ張るケーブルは、たとえば、ケーブルに接続されたハンドルを装備して、ケーブルの手動作動を簡単にすることができる。実際、ケーブルは有利には、ボーデンケーブルコアおよびボーデンケーブルスリーブを有するボーデンケーブルであり、ハンドルは一般にボーデンケーブルコアに接続されている。その結果、前述のように、緊急作動、特に緊急ロック解除の過程におけるギアホイールの所望の手動作動を実行して実施することができる。
【0017】
その結果、特に安全かつ耐久性をもって機能する自動車用途のロック用アクチュエータが利用可能となる。これは、電気モータのための電気エネルギ源が故障した場合、または利用可能な電力が不十分な場合であっても適用される。なぜなら、そのような場合には、手動で作動可能な緊急作動要素を使用して、ロック要素を緊急時に作動させることができ、特に緊急時にはロックを解除することができるからである。この目的のために、緊急作動要素は、典型的には、端部にケーブルおよびハンドルを備え、その手動作動は、ロック要素に伝達される。
【0018】
これらの全ては、好ましくない環境条件下であっても機能的障害が懸念されないように、ハウジングの密封されかつ封入された設計に関連して実施される。さらに、プラスチック材料で作られた主要な設計は、低重量および低コストを保証し、したがって、本発明によるロック用アクチュエータは、記載された自動車用途向けに特に予定されている。
【0019】
本発明は、1つの例示的な実施形態のみを示す図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明に係るロック用アクチュエータに接続された電気接続装置を概略的に示す。
図2図2は、ロック用アクチュエータを分解図で示す。
図3図3は、図2の対象をハウジングの組立開状態で示す。
【0021】
【発明の詳細な説明】
【0022】
図1は、特に電気自動車またはハイブリッド自動車用の電気接続装置を示す。この電気自動車またはハイブリッド自動車は、充電ソケット3およびハウジング4を受けるための本体1および本体1内の設置開口部2の一部を示す。図2および図3に詳細に示され、以下により詳細に説明されるロックアクチュエータにハウジング4は属する。
【0023】
また、以下に詳述する電動駆動装置5-9も見ることができる。電動駆動装置5-9は、ロック要素11、12の調整運動を生成するために使用される。ロック要素11,12は、図1にのみ示される充電コネクタ13が充電ソケット3に着脱可能に据え付けられることを確実にする。この目的のために、充電コネクタ13は、詳細には示されていない充電インフラストラクチャの一部として、充電カラム(図示せず)に接続されてもよい。
【0024】
図2によれば、電動駆動装置5-9は、当初は電気モータ5と、電気モータ5の出力シャフトに取り付けられた出力要素6とから構成されていることが分かる。例示的な実施形態において、出力要素6はエボロイド歯形(toothing)を有するクラウンギア段として設計されている。高いギア比はエボロイド歯形によって達成できる。代替的な実施形態において、出力要素6は、異なる歯形を有することができ、またはクラウンギア段として設計される代わりに、たとえば、出力ウォームとして設計されてもよい。出力要素6は出力ギア7と噛み合っており、出力ギア7はギアホイール8を駆動する。ギアホイール8は、例示的な実施形態に従って下側に接続されたギア9と係合して、ロック要素11、12に直線歯形10を形成する。
【0025】
ロック要素11,12は、歯形10を有するベース11とピン状突起12とから構成される。ピン状突起12は、ハウジング4の開口部15内のシール14を通って延びている。実際、ハウジング4は、特に図2による分解図から分かるように、シェル4bとカバー4aとから構成されている。
【0026】
ハウジング4の内部には、電動駆動装置5-9とロック要素11,12の他に、電動駆動装置5-9を制御する制御ユニット(図示せず)を有する回路基板16が置かれている。回路基板16は、ハウジング4の外側に導かれる供給ライン16’を装備している。さらに、ギアホイール8に係合し、手動で作動させることができる緊急作動要素17,18がハウジング4に配置されている。
【0027】
図2図3とを比較すると、本実施形態に係る緊急作動要素17,18は、ディスク17と可撓性の接続手段を有する2つの部品に形成されていることが分かる。例示的な実施形態によれば、可撓性接続手段18は、ディスク17に接続されるケーブル18として設計される。ケーブル18は、ボーデンケーブルコアおよびボーデンケーブルジャケットを備えたボーデンケーブルであってよい。例示的な実施形態によれば、指示された手動ハンドル19がケーブル18またはそのボーデンケーブルコアに接続され、これによってケーブル18、したがって非常作動要素17,18全体を手動で作動させることができる。ケーブル18を介してディスク17に伝達され、図3内の矢印によって示される引張荷重は、これに対応することができる。この目的のために、ディスク17は、可撓性接続手段またはケーブル18の係合のための周溝を装備している。さらに、ディスク17は、下側に径方向および周方向に設けられたピン17aを有し、このピン17aは、ギアホイール8上のピンレセプタクル8aに係合する。その結果、ケーブル18が、たとえば、図3に示す方向に引張りを受けると、図3に示す時計回り方向へのディスク17の回転に伴って、このディスク17の時計回りの回転中に、ギアホイール8がピン17aとピンレセプタクル8aとの間に係合する。実際、ディスク17とギアホィール8は、共通の軸すなわち回転軸20に対して互いに同軸的に装着されている。
【0028】
図2図3を比較すると、最後に、可撓性接続手段またはケーブル18のためのガイド21、22が設けられ、実施されていることが分かる。ガイド21,22は、内ガイド21と外ガイド22とを有する2つの部品に形成されている。内ガイド21は、ハウジング4のカバー4aに接続されてもよい。また、内ガイド21は、シール23を装備したハウジング4またはそのシェル4bの開口部24から、可撓性接続手段18またはケーブル18がハウジング4の内側に適切に案内されることを確実にする。可撓性接続手段またはケーブル18のための外ガイド22もまた、この開口部24から延びている。外ガイド22は、前記シール23の中間位置決めによりハウジング4の開口部24に係合する。
【0029】
ピン状突起12を備えたロック要素11,12は、電動駆動装置5-9によって予め定められた長さでハウジング4から突出しており、本実施形態において、充電コネクタ13が充電ソケット3に対してロックされることを確実にしていることがが分かる。もちろん、突起12またはロック要素11,12は、他のタイプのロックにも使用することができる。いずれにしても、電気モータ5、ひいては電動駆動装置5-9全体の電気エネルギの供給が失敗した場合には、ロックをキャンセルすることができる。この目的のためには、たとえば、可撓性接続手段またはケーブル18の端部でハンドル19に作用して、ロック解除を達成し、ロック要素11,12または突起12を図3に示された露出位置から後退位置に戻すように移動させるだけでよい。
【0030】
【符合の説明】
【0031】
本体1、
設置開口部2、
充電ソケット3、
ハウジング4、
カバー4a、
シェル4b、
電気モータ5、
電動駆動装置5,6,7,8,9、
出力ウォーム6、
出力ギア7、
ギアホィール8、
ピンレセプタクル8a、
歯形10、
ベース11、
ロック要素11,12、
ピン状突起12、
充電コネクタ13、
シール14、
開口部15、
ディスク17、
ピン17a、
接続手段18、
ケーブル18、
緊急作動要素17,18、
手動ハンドル19、
回転軸20、
内ガイド21、
外ガイド22。
図1
図2
図3
【国際調査報告】