(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ラミネート包装材料料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/10 20060101AFI20240829BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240829BHJP
B65D 5/70 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B32B27/10
B65D65/40 D
B65D5/70 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507086
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2022072917
(87)【国際公開番号】W WO2023021067
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ベルクホルツ、ラーシュ
(72)【発明者】
【氏名】トフト、ニルス
(72)【発明者】
【氏名】アベリ、ミー
【テーマコード(参考)】
3E060
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E060BC04
3E060CE03
3E060CE13
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3E086DA08
4F100AB01D
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4F100GB16
4F100JB16B
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4F100YY00D
(57)【要約】
液体食品(12)を包装するためのラミネート包装材料(16)及び製造方法が提供される。ラミネート包装材料(16)は、紙又は板紙又は他のセルロース系材料のバルク層(20)と、バルク層(20)の外側に配置され、包装材料(16)から形成された包装容器(10)の外側を構成する第1の最外液密層(22)と、バルク層(20)の内側に配置され、充填された液体食品(12)と直接接触する第2の最内液密層(24)と、バルク層(20)と第2の最内液密層(24)との間に積層され、少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシート(26)と、を備え、バルク層(20)とバリアフィルム又はシート(26)が一体となって主層(28)を形成し、主層(28)が、少なくとも第2の最内液密層(24)によって覆われる少なくとも1つのスリット(30)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体食品(12)を包装するためのラミネート包装材料(16)であって、
紙又は板紙又は他のセルロース系材料のバルク層(20)と、
前記バルク層(20)の外側に配置され、前記ラミネート包装材料(16)から形成された包装容器(10)の外側を構成する第1の最外液密層(22)と、
前記バルク層(20)の内側に配置され、充填された前記液体食品(12)と直接接触する第2の最内液密層(24)と、
前記バルク層(20)と前記第2の最内液密層(24)との間に積層され、少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシート(26)と、を備え、
前記バルク層(20)と前記バリアフィルム又はシート(26)が一体となって主層(28)を形成し、
前記主層(28)が、少なくとも前記第2の最内液密層(24)によって覆われる少なくとも1つのスリット(30)を備える、
ラミネート包装材料(16)。
【請求項2】
前記スリット(30)が、前記第1の最外液密層(22)及び前記第2の最内液密層(22:24)によって覆われている、
請求項1に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項3】
前記スリット(30)が、前記主層(28)を貫通して延びている、
請求項1又は2に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項4】
前記バリアフィルム又はシート(26)が、バリア材料(33)で被覆された基材層(34)を備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項5】
前記基材層(34)がプラスチック又は紙又はセルロース系材料を含む、
請求項4に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項6】
前記主層(28)が、少なくとも2つの交差するスリット(30:44)を備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項7】
前記スリット(30;44)が十字形(46)である、
請求項1~6のいずれか一項に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項8】
前記十字形(46;50)の各スリット(30;44)が、前記ラミネート包装材料(16)の長手方向延長部(38)に対して角度をなしている、
請求項7に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項9】
前記スリット(32)がY字形(52)である、
請求項6に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項10】
前記スリット(32)が、少なくとも1つの直線(44)である、
請求項1~5のいずれか一項に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項11】
液体食品(12)を包装するためのラミネート包装材料(16)の製造方法であって、
紙、板紙又はその他のセルロース系材料のバルク層(20)を提供し、
少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシート(26)を前記バルク層(20)にラミネートし、前記バリアフィルム又はシート(26)及び前記バルク層(20)が主層(28)を形成し、
前記主層(28)に少なくとも1つのスリット(30)を設け、
前記バルク層(20)の外側に第1の最外液密層(22)を積層して、前記ラミネート包装材料(16)から形成された包装容器(10)の外側を構成し、
前記バリアフィルム又はシート(26)の内側に、充填された前記液体食品(12)と直接接触するように、第2の最内液密層(24)を積層し、前記第2の最内液密層(24)が前記主層(28)の前記少なくとも1つのスリット(30)を覆う、
方法。
【請求項12】
前記第1の最外側液密層(22)及び前記第2の最内液密層(24)の積層は、前記第1の最外液密層(22)及び前記第2の最内液密層(24)が前記主層(28)の前記少なくとも1つのスリット(30)を覆うように行われる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バリアフィルム又はシート(26)を前記バルク層(20)に積層するステップが、押出ラミネート又はウェットラミネートによって行われる、
請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記主層(28)に前記少なくとも1つのスリット(30)を設ける前に、前記バルク層の外側に装飾層(36)を印刷する、
請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記主層(28)に前記少なくとも1つのスリット(30)を設けるステップは、レーザー切断、及び/又は機械的切断によって行われる、
請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのスリット(32)が、前記ラミネート包装材料料(16)の長手方向に延びる、
請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~11のいずれか一項に記載のラミネート包装材料料(16)を備える、及び/又は、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法で製造される、
包装容器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状食品を包装するためのラミネート包装材料、その製造方法、及びそのラミネート包装材料からなる包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体食品用の使い捨てタイプの包装容器は、板紙又はカートンをベースとする包装用ラミネートから製造されることが多い。このような一般的に使用される包装容器の1つは、Tetra Brik Aseptic(登録商標)という商標で販売されており、主に、長期常温保存用に販売される牛乳、フルーツジュースなどの液体食品の無菌包装に使用されている。この公知の包装容器の包装材料は、通常、紙、板紙、その他のセルロース系材料のバルク層又はコア層と、熱可塑性プラスチックの液密の外側層を含むラミネートである。包装容器をガス気密、特に酸素ガス気密にするため、例えば無菌包装や牛乳やフルーツジュースの包装の目的で、これらの包装容器のラミネートは、通常、少なくとも1つの追加層、最も一般的にはアルミニウム箔を含む。
【0003】
ラミネートの内側、すなわち、ラミネートから製造される容器の充填された食品内容物に面することを意図した側には、アルミニウム箔上に適用された最内層があり、この最内層は、接着性ポリマー及び/又はポリオレフィンなどのヒートシール可能な熱可塑性ポリマーを含む1層又は数層の部分層を含み得る。また、バルク層の外側には、最外のヒートシール可能なポリマー層がある。
【0004】
包装容器は、一般に、ウェブから、又は包装材料のプレハブ状ブランクから、パッケージを形成し、充填し、密封するタイプの最新の高速包装機によって製造される。したがって、包装容器は、ウェブの長手方向の両縁を、内側及び最も外側のヒートシール可能な熱可塑性ポリマー層を一緒に溶着することによって、オーバーラップ接合部で互いに結合させることによって、ラミネート包装材料のウェブをチューブに改質して製造してもよい。チューブには、目的とする液体食品が充填され、その後、チューブ内の内容物の高さより低い位置で、互いに所定の距離をおいてチューブの横方向シールを繰り返すことにより、個々のパッケージに分割される。包装材料は、横方向のシールに沿って切り込みを入れることによりチューブから分離され、包装材料に用意された折り目線に沿って折り目をつけることにより、所望の幾何学的形状(通常は平行六面体)が与えられる。
【0005】
この連続的なチューブ形成、充填及び密封包装方法のコンセプトの主な利点は、チューブ形成の直前にウェブを連続的に滅菌することができることであり、したがって、無菌包装方法、すなわち、充填される液体内容物及び包装材料自体が細菌から低減され、充填された包装容器が清潔な条件下で製造され、充填された製品に微生物が増殖する危険性がなく、周囲温度でも長期間保存することができる方法の可能性を提供する。Tetra Brik(登録商標)タイプの包装方法のもう一つの重要な利点は、上述のように、連続高速包装が可能であることであり、これはコスト効率にかなりの影響を与える。
【0006】
例えば、牛乳やジュース等の敏感な液体食品の包装容器は、本発明のラミネート包装材料のシート状ブランク又はプレハブ状ブランクからも製造できる。平らに折り畳まれた包装用ラミネートのチューブ状ブランクから、まずブランクを積み上げて開放チューブ状容器カプセルを形成し、その開放端の一方を一体型エンドパネルの折り畳みとヒートシールによって閉鎖することにより、包装容器が製造される。こうして閉鎖された容器カプセルは、その開放端から当該食品、例えばジュースが充填され、その後、対応する一体型エンドパネルのさらなる折り畳みとヒートシールによって閉鎖される。シート状及び管状のブランクから製造される包装容器の例としては、従来のいわゆるゲーブルトップ・パッケージがある。この種のパッケージには、プラスチック製の成型トップ及び/又はスクリューキャップを有するものもある。
【0007】
包装用ラミネートにおけるアルミニウム箔の層は、望ましいガスバリア性を提供するために長年使用されており、液体食品無菌包装用の従来のアルミニウム箔ベースの包装用ラミネートは、その性能レベルでは、現在、市場で入手可能な最もコスト効率の良い包装材料である。
【0008】
しかしながら、現在、得られる材料の環境特性を改善するために、ラミネート構造中にアルミニウム箔を有しないラミネート包装材料を開発する傾向が高まっている。ラミネート包装材料の製造コストを下げ、ラミネート包装材料から製造された包装容器の無菌長期保存に必要な特性を維持することも望ましい。
【0009】
アルミニウム箔と競合する材料は、原材料に関してコスト効率がよく、少なくとも同等の食品保存特性を持ち、完成した包装用ラミネートに変換する際の複雑さが比較的に低いものでなければならない。
【0010】
液体食品カートン包装用の非アルミ箔材料の開発努力の中には、従来のラミネート包装材料のアルミニウム箔バリア材料に取って代わり、従来のアルミ箔のラミネート工程や製造工程に適合させることができ、高度で多重のバリア機能、すなわち酸素やガスバリア性だけでなく、水蒸気、化学物質、又は芳香物質のバリア性を有する、予め製造されたフィルムやシートの開発に対する一般的な意欲もある。
【0011】
業界のニーズに対応するため、本出願人は、アルミニウム箔を使用しないラミネート包装材料の代替品を提案している。例えば、EP3517291では、ポリエチレン-2,5-フランジカルボキシレート(PEF)及びポリトリメチレンフランジカルボキシレート(PTF)からなる群から選択されるポリエステル、そのブレンド及び共重合体からなるバリアフィルムを、金属又は金属酸化物からなる蒸着バリアコーティングで被覆して使用することが提案されている。US11046060には、ダイヤモンドライクカーボンのPECVDコーティングを含むバリアフィルムが開示されている。
【0012】
提案されたバリアフィルム及び得られたラミネート包装材料は、環境に優しく、コスト効率が高く、所望の完全性を提供するという点で有望な性能を提供するが、これらの非アルミニウムバリア材料は、通常、貫通能力に大きな差異を示す。通常、ストローと共に使用されるラミネート包装材料には、バリアフィルムの貫通が必要である。ラミネート前にバルク層又はコア層に穴を開け、バリア材料を含む追加のラミネート層で内側と外側の穴を覆うという試みがなされてきた。このような構成により、消費者はバルク層やコア層を貫通する必要がないため、必要な貫通力が大幅に減少する。しかし、バルク層やコア層にあらかじめ穴を開けておくと、製造工程が複雑になる。
【0013】
消費者が満足するためには、貫通力はできる限り小さいことが望ましいが、意図しない貫通を防ぐために、開口部の構造にある程度の抵抗が必要である。消費者調査の結果、望ましい貫通力は約15N以下であることが判明している。10~12N程度の貫通力は、包装容器の完全性と取扱いの点で満足のいくものであることが証明されている。しかし、バリア材にアルミニウム箔に代わるものを使用したラミネート包装材料は、上記の説明のようにバルク層やコア層を取り除いたとしても、いずれも25Nの範囲など、かなり高い貫通力を必要とする。
【0014】
この観点から、バリアフィルムとしてアルミニウム箔を使用しないラミネート包装材料の利用可能な技術では、必要な貫通力が消費者の許容を大幅に超えるため、ストローの使用が許可されていない。
【0015】
したがって、アルミニウム箔からなるバリアを必要とせず、同時に、最終の包装容器にストローを使用できるように、ラミネート包装材料に設けられた開封構造の貫通力を減少させる改良されたラミネート包装材料が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、従来技術の上記で特定された制限の1つ以上を少なくとも部分的に克服することである。特に、液体食品を確実に封入し、包装材料でストローを使用するのに必要な貫通力を低減し、包装材料によって構成される金属材料の量を低減する、液体食品の包装用のラミネート包装材料料を提供することが目的である。
【0017】
これらの目的を解決するために、本発明の第1の態様では、液状食品包装用のラミネート包装材料が提供される。このラミネート包装材料は、紙又は板紙などのセルロース系材料を含むバルク層と、バルク層の外側に配置され、包装材料から形成される包装容器の外側を構成する第1の最外液密層と、バルク層の内側に配置され、充填された食品と直接接触する第2の最内液密層と、バルク層と第2の最内液密層との間に積層されるバリアフィルム又はシートとを備え、バルク層及びバリアフィルム又はシートが一体となって主層を形成する。
【0018】
バリアフィルム又はシートは、少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシートであり、すなわち、バリアフィルム又はシートは、非金属のバリアフィルム又はシートであり、又は金属含有量が5質量%以下のバリアフィルム又はシートである。
【0019】
本発明のラミネート包装材料によれば、主層は、少なくとも第2の液密層によって覆われる少なくとも1つのスリットを備える。いくつかの実施形態では、スリットは第1及び第2の液密層によって覆われている。
【0020】
少なくとも第2の液密層によって覆われたスリット、任意に、さらに第1の液密層によっても覆われたスリットは、本発明のラミネート包装材料によって包装され得る食品の保護が維持される一方で、例えばストローがスリットの領域に挿入される場合に必要とされる貫通力が著しく低減されるという点で有利である。特に、貫通力は、25Nをかなり下回るレベルまで低下する。同時に、パッケージの部分の酸素透過率(OTR)は、0.002cm3/部分(24時間、0.2気圧、23℃、相対湿度50%)を超えない低レベルに維持される。少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシートを構成することにより、言い換えれば、バリアフィルム又はシートが少なくとも部分的に非金属材料を備えることにより、ラミネート包装材料中の金属の量が大幅に減少又は排除される。これにより、ラミネート包装材料の環境プロファイルが改善される。スリットにより、既知のラミネート包装材料の場合、内層と外層をラミネートする前に、パンチング作用によりバルク層に穴が設けられることによれば、別の問題を解決することができる。この工程は、製造環境においてバルク層の打ち抜き残渣を生じさせ、従来は「紙吹雪問題」と呼ばれていた。この問題は、本発明の積層包装材料のスリットによって解決される。なぜなら、スリットの周囲の材料は打ち抜かれるのではなく、ずれるためである。
【0021】
第1の最外層及び/又は第2の最内層液密層は、好ましくは、ヒートシール可能であってもよい。さらに好ましくは、第1の最外液密層及び/又は第2の最内液密層は、熱可塑性材料を含んでもよい。好ましくは、第1の最外液密層及び/又は第2の最内液密層は、ヒートシール可能な熱可塑性層である。
【0022】
バリアフィルム又はシートは、包装された液体食品の食品安全環境を維持するのに適した任意のバリア材料を含んでもよい。これは、固有のガスバリア特性を有する材料、特に酸素透過バリアを形成する材料を対象とする。このような材料は、例えば、エチレンビニルアルコール、EVOH、又はポリアミドのフィルムのようなポリマーの中に見出すことができる。あるいは、バリアフィルムは、真空蒸着されたバリアコーティングを有するポリオレフィンベースの基材を備えてもよい。真空蒸着又は蒸着コーティングは、金属、金属酸化物、無機酸化物、その他の無機化合物のコーティング、又は炭素系コーティング、例えば非晶質ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングであってもよい。しかしながら、バリアフィルム又はシートが金属材料からなる場合、それは部分的に少なくとも1つの非金属材料を含むことに再度留意されたい。また、完全に非金属材料で構成することもできる。以下に、いくつかの好ましい材料についてさらに説明する。
【0023】
バリアフィルム又はシートは、例えば、主要な量の非金属材料と少量の金属材料を含む複合材料であってもよい。いくつかの実施形態において、金属材料は、包装材料によって封入された製品を外部環境からさらに保護するために、光の透過を防止するという利点を提供することができる。好ましくは、金属材料の量は、複合材料の総量の5%以下、さらに好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。金属材料の量は、複合材料の総量に対する質量又は体積の量を指すことがあり、これは、総量に対する質量%又は体積%でそれぞれ表されることを意味する。好ましくは、質量量を指す。本明細書では、既知の製造工程で達成可能な精度によってのみ制限される、5%から0%までのすべての中間値も開示する。
【0024】
例えば、非金属材料は、プラスチック、紙、又はセルロースベースの材料を含んでもよい。例えば、金属材料はアルミニウムを含んでもよい。他の好ましい材料についてはさらに後述する。非金属材料は、バリア材料を担持する基材を形成してもよい。
【0025】
本発明のラミネート包装材料の一実施形態において、少なくとも1つのスリットが主層を完全に貫通して延びている。これにより、例えばストローで主層を貫通させるのに必要な貫通力が大幅に低減される。
【0026】
本発明のラミネート包装材料料の一実施形態において、バリアフィルム又はシートは、バリア材料で被覆された基材層を含む。このようなバリアフィルム又はシートは、上述した複合材料の一実施形態であってもよい。
【0027】
本発明のラミネート包装材料の一実施形態では、基材層はプラスチック又は紙、あるいはセルロース系材料で作られる。例えば、基材層は、好ましくはアルミニウムで金属化されてもよい。基材層上の金属コーティングは、例えばアルミニウムであり、例えば、60nmの厚さを有してもよい。基材層は、材料、所望の用途及び機械パラメータに応じて、典型的には12μm以上、例えば12~50μmの厚さを有してもよい。この単なる例示的な組み合わせにおいて、金属の量は、典型的には、バリアフィルム又はシートの1vol%又は厚さ%よりかなり低い範囲になる。
【0028】
一般に、バリアフィルム又はシート、及び場合によってはその中に含まれるコーティングは、蒸着コーティング又は分散コーティング材料の薄い材料コーティング、又はそのようなコーティングの組み合わせを含んでもよい。基材層は、EVOH又はポリアミドポリマーの表層又はコーティングであるバリア材料を含んでもよい。
【0029】
水性分散液又は溶液組成物のコーティングによって適用されるガスバリア材料又はコーティングは、固有のガスバリア特性を有し、リサイクル可能性及び工業的コーティング及びラミネートプロセスへの適用の両方に関して、食品安全性及び環境的に持続可能であるポリマーを含み得る。このようなポリマーは、水分散性及び/又は水溶解性であり、水性分散コーティングプロセス又は液体フィルムコーティングプロセスによって適用することができる。アルコール又はアルコールと水との混合物をベースとするもののような、非水性又は部分的にのみ水性のコーティング組成物もまた、本明細書に開示される発明の観点から好適である。
【0030】
バリア性分散コーティングは、ビニルアルコールポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルアルコール(PVOH)及びエチレンビニルアルコール(EVOH)からなる群から選択されるポリマー、デンプン、デンプン誘導体、ナノフィブリルセルロース/ミクロフィブリルセルロース(NFC/MFC)、ナノ結晶セルロース(NCC)、及びそれらの2種以上のブレンドからなる群から選択されるポリマーを含んでもよい。
【0031】
バリア分散コーティングは、バリア材料の乾燥重量を基準として、0.2~5g/m2、例えば0.5~4g/m2、例えば0.5~3.5g/m2、又は例えば1~3g/m2の量で、分散コーティング又は溶液コーティングによって適用してもよい。
【0032】
低乾燥含量ポリマー分散液又は溶液組成物のコーティングに適したプロセスは、広義には、グラビアロールコーティング、エアスプレー、エアレススプレー、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ブラシコーティング法など、適切なあらゆる湿式コーティング法である。
【0033】
バリア性分散コーティング組成物は、ビニルアルコールモノマー、すなわちポリビニルアルコール(PVOH)及びエチレンビニルアルコール(EVOH)をベースとする、分散コーティングに適した2つの最も一般的なタイプのポリマー及びコポリマーをベースとすることができる。
【0034】
ガスバリアポリマーは、PVOHであることが好ましい。なぜなら、PVOHは、良好なフィルム形成特性、ガスバリア特性、コスト効率、食品適合性、及び臭気バリア特性を提供するためである。
【0035】
PVOHベースのガスバリア性組成物は、PVOHのケン化度が少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%である場合に最良の性能を発揮するが、ケン化度がより低いPVOHでも酸素バリア性を発揮する。
【0036】
一方、EVOHはエチレンモノマー単位からなるコポリマーであるため、バリア材料にある程度の耐湿性を与えることで有利になる場合がある。エチレンモノマーユニットの量はEVOHグレードの選択によって異なるが、純粋なPVOHと比較して、その存在は酸素バリア性を犠牲にすることになる。従来のEVOHポリマーは、通常、押出成形用であり、3.5g/m2以下の薄い液膜コーティングバリアフィルムを製造するために、水性媒体中に分散又は溶解することは不可能である。このようなEVOHは、水分散性であるために、かなり多量のビニルアルコールモノマー単位からなり、その特性は、PVOHの液体フィルムコーティンググレードにできるだけ近いものであるべきである。押し出されたEVOH層は、好ましくはポリオレフィンベースフィルム上のスキン層として、ポリマー基材フィルムに組み込むことができる。
【0037】
バリア分散コーティング組成物は、乾燥コーティング重量を基準にして約1~約20重量%の無機層状化合物、例えばベントナイトなどの剥離されたナノクレイ粒子をさらに含んでもよい。このように、バリア層は、乾燥コーティング重量に基づいて約99~約80重量%のポリマーを含んでもよい。
【0038】
したがって、バリア性分散コーティングは、乾燥重量で0.2~4g/m2、より好ましくは0.5~4g/m2、例えば0.5~3.5g/m2、例えば1~3g/m2の総量で塗布してもよい。0.2g/m2以下では、ガスバリア性は全く達成されず、3.5g/m2を超えると、一般にバリア性ポリマーのコストが高く、液体を蒸発させるためのエネルギーコストが高いため、コーティングは包装用ラミネートにコスト効率をもたらさない。PVOHは、0.5g/m2以上で認識できるレベルの酸素バリア性を達成し、0.5~3g/m2の間で、バリア性とコストの良好なバランスが通常達成される。
【0039】
バリア分散コーティングは、2つのパート層として、中間乾燥を伴う2つの連続したステップで適用されてもよい。2つのパート層として適用される場合,各層は,好適には0.2~2g/m2 ,好ましくは0.5~1.5g/m2の量で塗布され,より少ない量の液体ガスバリア組成物から,より高品質の総層を得ることができる。より好ましくは、2つの部分層は、それぞれ0.5から1.5g/m2の量で塗布される。
【0040】
基板はまた、その第1面の表面上に、金属、金属酸化物、無機酸化物及び非晶質ダイヤモンドライクカーボンコーティングから選択されるガスバリア材料の蒸着コーティングを有してもよい。蒸着コーティングは、物理蒸着法(PVD)又は化学蒸着法(CVD)、例えばプラズマエンハンスト化学蒸着法(PECVD)によって施してもよい。より具体的には、PVDプロセスによって適用されるアルミニウム蒸着コーティング及び酸化アルミニウム(AlOx)からなる群から選択してもよい。好ましくは、アルミニウム金属化コーティングである。PVDプロセスは、アルミニウム又は酸化アルミニウムAlOxなどの金属蒸着に使用され、非晶質炭素及びダイヤモンドライクカーボン蒸着は、CVD又はPECVDプロセスによって提供される。
【0041】
紙又はセルロースベースのシート等の基材は、第1の表面上に、水性ガスバリア組成物の分散液又は溶液の塗布及びその後の乾燥によって形成されたガスバリア材料の第1の分散コーティングと、第1のバリア分散コーティング上に塗布された、金属、金属酸化物、無機酸化物及び非晶質ダイヤモンドライクカーボンから選択されるガスバリア材料の蒸着コーティングとを有してもよい。
【0042】
バリアコーティングされたセルロース系基材は、その上側表面に蒸着コーティングによってガスバリア材料を2~80nm、例えば2~50nm、例えば2~45nmの厚さにコーティングしてもよい。
【0043】
最終的に基板の上面側にコーティングされる蒸着バリアコーティングは、物理蒸着(PVD)又は化学蒸着(CVD)、例えばプラズマエンハンスト化学蒸着(PECVD)によって適用してもよい。しかし、後者のプロセスは、ポリマーフィルム基板に特に適している。
【0044】
一般に、5nm以下の厚さではバリア性が低すぎて有用でない場合があり、200nm厚さ以上、例えば100nm以上、例えば50nm以上では、蒸着コーティングの種類にもよるが、バリアコーティングの柔軟性が低下するため、可撓性基材に塗布した場合に割れやすくなり、コストも高くなる。
【0045】
蒸着コーティングの他の例は、酸化アルミニウム(AlOx、Al2O3)及び酸化ケイ素(SiOx)コーティングである。一般的に、このような酸化物のPVDコーティングはより脆く、ラミネートによる包装材料への組み込みには適していない。
【0046】
通常、アルミニウムの金属化層は、使用される金属化コーティングプロセスの性質により、本質的に酸化アルミニウムからなる薄い表面部分を有する。
【0047】
アルミニウム蒸着層は、光学濃度(OD)が1.8~3.0、さらには3.5、例えば1.8~2.5、好ましくは1.9~2.2となるように塗布してもよい。光学濃度が1.8未満では、金属化フィルムのバリア性が低すぎる場合がある。一方、3.5以上、例えば2.5以上では、金属化層が脆くなることがあり、また、基材フィルムを長時間金属化する際に熱負荷が高くなるため、金属化工程中の耐熱性が低くなる。その結果、塗膜品質や密着性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0048】
他のコーティングは、プラズマエンハンスト化学気相成長法(PECVD)により行うことができ、多かれ少なかれ酸化的な環境下で化合物の蒸気を基板上に堆積させる。例えば、酸化ケイ素コーティング(SiOx)もPECVDプロセスによって適用され、特定のコーティング条件とガスレシピの下で非常に優れたバリア特性を得ることができる。
【0049】
DLCは、ダイヤモンドの典型的な特性の一部を示す非晶質炭素材料(ダイヤモンドライクカーボン)の一種を定義する。好ましくは、アセチレン又はメタンなどの炭化水素ガスが、PECVD真空プロセスによって適用される非晶質水素化炭素バリア層のコーティング、すなわちDLCを製造するためのプラズマのプロセスガスとして使用される。真空下でPECVDにより塗布されたDLCコーティングは、ラミネート包装材料中の隣接するポリマー層又は接着剤層に対して良好な接着性を提供する。特に、ポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリエチレンをベースとする共重合体では、隣接するポリマー層との良好な接着性が得られる。
【0050】
本発明のラミネート包装材料料の一実施形態では、少なくとも1つのスリットは主層を完全には貫通していない。このような場合、スリット又はドットのミシン目は、層が弱められるように、バルク層及び基材フィルム又はシート層を部分的に又は完全に貫通して延びてもよいが、バリアコーティング又は表面層は貫通しないため、薄いバリア層又はコーティングされたバリア層をそのまま残すことができる。
【0051】
スリットは、好ましくは、材料を除去するのではなく、材料の分離を形成するように向けられた作用によって提供される。スリットを設けるのに適した技術は、例えば、レーザー、ナイフ又は鋭利な刃物による切断、又はスパーク処理の適用である。
【0052】
スリットは、所望の貫通力に応じて、また、関連する開口装置(例えば、紙ストロー、プラスチックストローなど)に応じて、異なる形状を有し得る。一般に、スリットの設計はOTRと貫通力のトレードオフによって決定される。OTRが最小であれば、最小のスリットが必要となり、貫通力が最小であれば、かなり広範なスリットが必要となる。しかし、ある程度の貫通力があれば意図しない開封を効果的に防ぐことができるため、貫通力を最小にすることは通常望まれていない。
【0053】
貫通力は通常、連続的な二重ピーク挙動を示す。ストローで包装材料を貫通させる場合、包装材料の第1層を貫通させるために第1の貫通力が必要である。次に、ストローをスリットから押し出すために第2の貫通力が必要となり、ストローの周囲で包装材料のたわみが発生する。紙製ストローの一般的な使用は、プラスチック製ストローと比較してさらなる課題をもたらす。一方では、紙製ストローはプラスチック製ストローほど鋭利ではないため、包装材料の第1層を押し切るために、より高い第1の貫通力を必要とする。一方、紙製ストローはプラスチック製ストローに比べて直径が大きいことが多く、圧縮されにくいため、より高い第2の貫通力を必要とする。
【0054】
本発明者らは、好ましい実施形態において、スリットは一方向に非常に狭いが、別の長手方向、垂直方向には伸びていることに気付いた。この「狭い」寸法は、例えば、鋭利なカッティングナイフや集光レーザービームによって達成される。スリットの長手方向の延長により、包装材料、特に、バルク層及びバリアフィルム又はシートは、ストローが包装材料を貫通するために十分に容易に分離することができる。
【0055】
スリットは機械方向に延びてもよい。これにより、包装材料の運きによりスリットが所望の延長を引き起こすため、スリット工具は少なくとも長手方向に静止させることができる。
【0056】
スリットは、好ましくは、部分的な円形であり、例えば、円の4分の1、円の3分の1又は半円、並びに、例えば円の3分の2又は円の4分の3の形状を有する。部分的な円形の直径は、好ましくは既知のストローの直径に相当し、例えば直径6mmである。部分的な円は、換言すれば、単一又は複数の断続された円を意味し、好ましくは、長さが2mm以下又は1mm以下の円形状の単一の断続された円を含む。断続された部分は、好ましくは、1mmから2mmの間の任意の長さを測定することができ、同様に既知の方法によって製造することができる。もちろん、スリットの幾何学的形状は、本明細書に記載の他の実施形態にも適合する。
【0057】
本発明の積層包装材料の一実施形態では、主層に少なくとも2つの交差するスリットが設けられている。これにより、単一のスリットと比較して、必要な貫通力が大幅に低減される。あるいは、例えばミシン目タイプの、交差しない複数のスリットを設けることもできる。
【0058】
本発明のラミネート包装材料の一実施形態では、スリットは十字形である。これは、パッケージの一部のOTRが0.002cm3/部分 24h、0.2atmを超えない一方で、必要な貫通力を約10Nのレベルまで低下させる特に有益な設計であることが確認されている。
【0059】
さらに、十字形の各スリットは、ラミネート包装材料の長手方向の延長線に対して角度を付けてもよい。長手方向の延びに関しては、ラミネート包装材料は通常、製造方向又は機械方向とも呼ばれる材料供給方向を有する連続工程で製造されることを理解しなければならない。本明細書では、ラミネート包装材料の長手方向の延びは、機械方向に平行であると定義する。しかしながら、ラミネート包装材料の長手方向延在部は、最終の包装容器の長手方向延在部に対して90°配向していてもよいことに留意すべきである。場合によっては、単一の包装容器を形成することを意図したラミネート包装材料のウェブの領域は、最終の包装容器の意図した長手方向延在部が機械横方向、すなわち機械方向に対して垂直な方向と整列するように配向される。
【0060】
十字形を製造する際、それぞれの切削工具は、ワークピースと相対的に移動する際に機械方向から離れる必要がある。従って、ラミネート包装材料を製造工程で速く移動させればさせるほど、例えば機械方向と直角方向に延びるスリットを形成するために、機械方向に対する切削工具の移動を適合させるための制御要件が高くなる。このため、例えば、製造方向に直交する(90度の角度を意味する)1つのスリットと、機械方向に平行な(0度の角度を意味する)交差する1つのスリットとからなる対称十字形を製造することがより困難になる。しかしながら、両方のスリットが機械方向に対して角度が付けられている場合、例えば、それぞれが45度である場合、これらのスリットを製造するための機械方向に対する切削工具の移動のための制御要件を低減することができる。同時に、例えば、両方のスリットが垂直に交差する、つまりX型の形状で、対称的な十字を製造することができる。
【0061】
一実施形態では、スリットはY字形であってもよい。これは、別の好ましい形状として確認されており、包装容器の一部のOTRが0.002cm3/部分、24h、0.2atmを超えない一方で、必要な貫通力を約14Nのレベルまで低減する。
【0062】
また、スリットは単一の直線状であってもよい。これにより、特に製造の労力が軽減され、必要な貫通力が25Nを大幅に下回る。これは、例えば、約21Nである。同時に、包装容器の一部のOTRは、0.002cm3/部品、24h、0.2atmを超えず、実験的には、0.001cm3/部分、24h、0.2atmを超えないレベルまで下げることができる。
【0063】
一実施形態では、バリアフィルム又はシートは、ガスバリアフィルム又はシートであり、好ましくは、酸素バリアフィルム又はシートである。
【0064】
本発明の別の態様は、液体食品を包装するためのラミネート包装材料の製造方法に関する。この方法は、特に、本明細書に記載される本発明のラミネート包装材料に対応することができ、したがって、そのラミネート包装材料に関して開示されるすべての方法に関連する態様を意味し、その逆も同様である。
【0065】
本発明の方法は、以下のステップを備える:
-紙、板紙、又はその他のセルロース系材料のバルク層を提供する、
-少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシートを前記バルク層にラミネートし、バリアフィルム又はシート及びバルク層が主層を形成する、
-主層に少なくとも1つのスリットを設ける、
-バルク層の外側に第1の最外液密層を積層して、包装材料から形成された包装容器の外側を構成する、
-バリアフィルム又はシートの内側に、充填された食品と直接接触するように、第2の最内液密層を積層し、第2の最内液密層が主層の少なくとも1つのスリットを覆う。
【0066】
少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシートとは、この文脈では、非金属のバリアフィルム又はシート、例えば5質量%以下の金属含有量を有するバリアフィルム又はシートと解釈されるべきである。
【0067】
本発明の方法の一実施形態では、第1の最外液密層及び第2の最内液密層は、第1の最外液密層及び第2の最内液密層が主層の少なくとも1つのスリットを覆うように積層される。
【0068】
最外液密層もスリット又はミシン目によって切り開かれる場合、後者は、充填機で包装容器を形成した後に、PVOH、EVOH又はPA等のバリアポリマーの水性分散液等によって局所的にコーティングされてもよい。
【0069】
本発明の方法の一実施形態では、バリアフィルム又はシートをバルク層にラミネートするステップは、押出ラミネート又はウェットラミネートによって行われる。
【0070】
従来のラミネート包装材料、特にバルク層に予めパンチングされた孔を含むもの以外では、好ましくは、バリア性フィルム又はシートをバルク層にラミネートする工程は、本発明方法においてスリットを形成する前に行われる。したがって、接着剤のような押出ラミネート工程又はウェットラミネート工程で添加される材料は、バリアフィルム又はシート又はバルク層を通過しない。これにより、ラミネートに使用されるニップローラーなどの各製造装置の汚染を効果的に防止できる。
【0071】
本発明の方法の一実施形態では、さらなるステップは、少なくとも1つのスリットを有する主層を設ける前に、バルク層の外側に装飾層を印刷することを含んでもよい。これにより、印刷材料がスリットに入ることを効果的に回避できる。
【0072】
本発明の方法の一実施形態では、主層に少なくとも1つのスリットを設けるステップは、レーザー切断、
及び/又は機械的切断によって行われる。
【0073】
製造方向に1本のスリットを設ける場合、いずれの変形例も特に効率的である。レーザー切断は、柔軟な形状の1つ又は複数のスリットを効率的に作成するのに特に適している。ナイフやミシン目ナイフなどによる機械的切断は、低い技術労力で行うことができる。
【0074】
本発明の方法の一実施形態では、少なくとも1つのスリットは、ラミネート包装材料の長手方向にある程度延びる。これにより、本発明のラミネート包装材料に関して上述したように、製造の手間が著しく減少する。製造工程が連続工程である場合には、特に有利である。
【0075】
本発明の別の態様は、本発明のラミネート包装材料料からなる、及び/又は本発明の方法で製造されたラミネート包装材料料からなる、包装容器に関する。
【0076】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0077】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図2】液体食品包装用ラミネート包材の一実施形態を断面図で示し、それぞれの製造方法を示す。
【
図3】スリットの代替変形によるラミネート包装材料の異なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1を参照すると、液体食品12用の本発明の包装容器10の実施形態が示されている。例えば、さらに特定されないパッケージ製造機14は、本発明のラミネート包装材料16(
図2及び
図3参照)を供給し、そこから本発明の包装容器10を製造することができる。本発明の包装容器10は、例えば、液体食品12を充填した後、それぞれの切断・密封手段18によって本発明ラミネート包装材料16を切断・密封することによって製造することができる。
【0080】
図2を参照すると、液体食品12(
図1に示す)を包装するための本発明ラミネート包装材料16の実施形態が断面図で示されている。前記ラミネート包装材料料16は、本質的に、紙又は板紙又は他のセルロース系材料のバルク層20と、バルク層20の外側に配置され、包装材料16から形成された包装容器10(
図1に示す)の外側を構成する第1の最外液密層22と、バルク層20の内側に配置され、充填された食品12(
図1に示す)と直接接触する第2の最内液密層24と、バルク層20と第2の最内液密層24との間に積層された少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシート26とを備え、バルク層20及びバリアフィルム又はシート26は、一緒になって主層28を形成する。
【0081】
本発明によれば、主層28は、少なくとも第2の液密層24によって覆われる少なくとも1つのスリット30を備える。
図2の実施形態では、第1の液密層22もスリットを覆っている。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1の液密層22は、スリットを形成する前に適用され、スリットが第1の液密層22を貫通して延びている。
【0082】
スリット30は、主層28を部分的に又は完全に貫通してもよく、後者は
図2に例示的に示されていることに留意されたい。
【0083】
さらに、少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシート26は、完全に非金属材料を含んでもよいことに留意されたい。その場合、金属を含まないバリア材料34からなる単層で実現することができる。
【0084】
第1の最外液密層22と第2の最内液密層24は、好ましくは、ただし任意で、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂層である。
【0085】
図2に例示的に示すように、少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシート26は、複合材料として具現化してもよく、したがってそれぞれ2つ以上の層を含んでもよい。
図2の例では、バリアフィルム又はシート26は、バリア材料32でコーティングされている基材層34を含む。この場合、基材層34が非金属材料でできているので、バリア材料32は金属材料を含むか、金属材料から構成される。しかしながら、非金属材料の量は、金属材料の量に対して非常に多くなければならない。
【0086】
単なる好ましい例として、基材層34は、プラスチック、紙又はセルロース系材料を含む非金属材料で作られる。単なる好ましい例として、バリア材料32はアルミニウムを含む。しかしながら、バリア材料32の厚さは、この例では好ましくは60nmのみであるのに対し、基材層34の厚さは、好ましくは6μmである。したがって、この例では、金属材料の量は非金属材料の量の1vol%を超えず、そのために比較的非常に少ない。
【0087】
本発明のラミネート包装材料16は、
図2に示すように、本発明の方法で製造することができる。
【0088】
前記方法の第1のステップ1において、バルク層20が提供され、少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシート26を、バリアフィルムまたはシート26及びバルク層20が主層28を形成するように、前記バルク層20に積層する。
【0089】
第2のステップ2において、主層28に少なくとも1つのスリット30が設けられ、このスリット30は例示的に主層28を完全に貫通して形成される。
【0090】
第3のステップ3において、バルク層20の外側に第1の最外液密層22を積層して、包装材料16から形成された包装容器10の外側を構成し、バリアフィルム又はシート26の内側に、充填された食品12と直接接触するように、第2の最内液密層24を積層し、第1の液密層22、第2の液密層24が主層28のスリット30を覆う。
【0091】
ステップ1において、押出ラミネート又はウェットラミネートによって、バリアフィルム又はシート26をバルク層20にラミネートすることが好ましい。
【0092】
ステップ2において、少なくとも1つのスリット30を主層28に設ける前に、バルク層20の外側に装飾層36を印刷するのが好ましい。これは、ステップ1で行ってもよいし、ステップ2の最初に行ってもよい。
【0093】
ステップ2において、スリット30の形成のために、レーザー切断、機械的切断、又はそれらの組み合わせを採用することが好ましい。
【0094】
ここで、
図3をさらに参照しながら、ラミネート包装材料16の異なる実施形態について、特にスリット30の好ましい変形例に焦点を当ててさらに詳細に説明する。
【0095】
この目的のために、製造方向38が定義され、
図1、
図2及び
図3に図示されている。機械方向40とは、ラミネート包装材料16が、言い換えれば機械方向38である材料供給方向を有する連続プロセスで通常製造されることを意味する。それに基づいて、ラミネート包装材料料16の長手方向38は、機械方向38と平行であることが達成される。よく知られているように、平行な方向ベクトルは、それらが依然として同じ方向を向いている限り、互いに相対的にシフトすることができる。それに基づいて、以下の説明では、機械方向38と長手方向38との間にそれ以上の違いはなく、それらの等価性を強調するために同じ参照符号38が使用される。
【0096】
図3の上部はラミネート包装材料16を示しているが、第1の最外液密層22と第2の最内液密層24は図示されていない。
【0097】
図3の下部には、スリット30のさまざまな変形例が示されている。図示された変形例は、代替案であってもよいし、任意の組み合わせで使用されてもよい。スリット30は、詳細Dに従って、
図3の上部の主層28の上部の図に示されており、当該図は
図3の下部に投影されている。
【0098】
詳細Dに示す代替の実施形態では、スリット30は、例えば本発明の方法のステップ2において、少なくとも1つのスリット30がラミネート包装材料16の長手方向40に少なくともある程度延びるように製造されている。しかし、これは任意である。
【0099】
一実施形態では、スリット30は、好ましくは直線として製造されるミシン目タイプのスリット40によって形成される。別の実施形態では、スリット30は単一の直線42によって形成される。
【0100】
別の実施形態では、主層28は、少なくとも2つの交差するスリット44を備える。例えば、交差するスリット44は、十字形46の形態であってもよい。例えば、十字形46のスリット44のいくつかは、十字形48の場合に示されるように、ラミネート包装材料料16の長手方向延長部38に対して角度をなしてもよい。十字形48の場合、1つのスリット44(水平に示されている)のみが長手方向延長部38に対して角度を付けられている。さらに、十字形50の場合に示すように、十字形46のすべてのスリット44が、長手方向延長部38に対して角度を付けてもよい。
【0101】
さらに他の実施形態では、スリット44は、Y字形状52a、Z字形状52b又はT字形状52cに形成されてもよい。
【0102】
最後に、他の2つの実施形態では、部分円形状のスリット54が設けられている。そのうち1つの実施形態では、単一の断続円形56のスリット54を有する。他方の実施形態では、二つの断続円形58のスリット54が設けられている。
【0103】
以上の説明から、本発明の様々な実施形態を説明し示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に定義される主題の範囲内で他の方法で具体化してもよい。
【国際調査報告】