(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】車両の充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240829BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20240829BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
B60L53/16
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507957
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2022074796
(87)【国際公開番号】W WO2023041386
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524017168
【氏名又は名称】アンペア エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルーシー, フィリップ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125FF12
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの充電部材を受け入れるようになされた、車両(2)の充電システム(1)であって、少なくとも1つのコネクタ(4)と、車両(2)に強固に連結されるようになされたコネクタ支持部(3)と、コネクタ(4)に対して充電部材を固定するようになされたロッキングピン(550)を備えるアクチュエータ(5)とを具備する充電システム(1)に関する。本発明によれば、コネクタ支持部(3)は、ロッキングピン(550)を解除するようになされた作動アームを受け入れることが可能な案内手段(6)を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの充電部材(10)を受け入れるようになされた、車両(2)の充電システム(1)であって、少なくとも1つのコネクタ(4)と、前記車両(2)に強固に連結されるようになされたコネクタ支持部(3)と、前記コネクタ(4)に対して前記充電部材(10)を固定するようになされたロッキングピン(550)を備えるアクチュエータ(5)とを具備する充電システム(1)において、前記コネクタ支持部(3)が、前記ロッキングピン(550)を解除するようになされた作動アーム(7)を受け入れることが可能な案内手段(6)を備えることを特徴とする、充電システム(1)。
【請求項2】
前記作動アーム(7)を備える、請求項1に記載の充電システム(1)。
【請求項3】
前記作動アーム(7)が、前記ロッキングピン(550)に機械的に連結されたレバー(530)と協働するようになされる、請求項2に記載の充電システム(1)。
【請求項4】
前記案内手段(6)が、前記作動アーム(7)を受け入れることが可能な少なくとも1つの案内部(6A、6B、6C)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の充電システム(1)。
【請求項5】
前記案内手段(6)が、前記作動アーム(7)を受け入れることが可能な複数の案内部(6A、6B、6C)、特に、単一の軸(A)に位置合わせされた少なくとも2つの案内部(6A、6C)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の充電システム(1)。
【請求項6】
前記案内手段(6)が、単一の軸(A)に位置合わせされた3つの案内部(6A、6B、6C)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の充電システム(1)。
【請求項7】
前記3つの案内部(6A、6B、6C)が、第1の案内部(6A)、第2の案内部(6B)、および第3の案内部(6C)を含み、前記第2および第3の案内部(6B、6C)の少なくとも1つが、前記第1の案内部(6A)の垂直上方に配置される、請求項6に記載の充電システム(1)。
【請求項8】
前記案内手段(6)、特に第1の案内部(6A)が、案内面取り部(61)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の充電システム(1)。
【請求項9】
前記軸(A)が、前記レバー(530)を貫通する、請求項3と組み合わされた請求項5または6に記載の充電システム(1)。
【請求項10】
前記コネクタ支持部(3)が、前記コネクタ支持部(3)を前記車両の少なくとも1つの構造要素に固定するための固定ラグ(32)と、前記コネクタ(4)を取り囲む矩形部分(31)とを備え、前記案内手段(6)が、少なくとも1つの前記固定ラグ(32)と前記矩形部分(33)との間に配置された補強部(33)に形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の充電システム(1)。
【請求項11】
前記案内手段(6)が、前記コネクタ支持部(3)に形成された孔である、請求項1から10のいずれか一項に記載の充電システム(1)。
【請求項12】
前記案内手段(6)が、前記コネクタ支持部(3)に形成された案内フォークである、請求項1から10のいずれか一項に記載の充電システム(1)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の充電システム(1)を備えることを特徴とする車両(2)、特に電気駆動車両。
【請求項14】
前記作動アーム(7)を、前方張出部(20)の内側を通して前記案内手段(6)に挿入することを可能にするように設計された、請求項13に記載の車両(2)。
【請求項15】
前記案内手段(6)を通して前記作動アーム(7)を挿入することを伴う第1のステップと、前記作動アーム(7)を、前記アクチュエータ(5)に接触するまで、並進的に移動させるステップと、前記ロッキングピン(550)を移動させるステップとを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の充電システム(1)の解除方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、自動車産業に関し、より詳細には、自動車両用の充電システムに関し、それらシステムはハイブリッドまたは電気車両に搭載されている。
【0002】
これらハイブリッドまたは電気車両は、通常、バッテリなどの電気エネルギー貯蔵ユニットを備え、その電気エネルギー貯蔵ユニットは、伝導機構を介して車両を駆動するのに必要な機械的動力に変換される電気エネルギーを車両に供給するために使用される。再充電するためにバッテリを電気ネットワークに定期的に接続する必要があるので、ハイブリッドまたは電気車両には、そのような再充電を可能にする充電システムが取り付けられている。
【0003】
したがって、ハイブリッドまたは電気車両は、電気ネットワークの対合する電気コネクタと協働するように設計された電気コネクタを有し得る。車両の電気コネクタは、雄型プラグまたはソケットとも呼ばれる雌型プラグのどちらの形態でもよく、電気ネットワークの電気コネクタは、2つのプラグが互いに嵌り合うように、対合する雄型または雌型プラグである。
【0004】
車両が充電されているとき、2つの電気コネクタの係合を、電気コネクタが電気ネットワークから引き抜かれるのを防止するロッキングピンによって確保することができる。そのようなロッキングピンは、たとえば、電気ネットワークの電気コネクタに係合させて、拘束手段を形成することができ、それによって、該コネクタを、車両の電気コネクタに対して所定位置に固定する。その場合、電気コネクタは、ロッキングピンを引っ込めた後、すなわち、ロッキングピンがもはや拘束手段として作用しなくなった後でなければ、電気ネットワークから取り外すことができない。
【0005】
そのような機構が故障した場合、ロッキングピンを強制的に引っ込める非常用システムが、通常、設けられている。その中でも、引抜具を使用してロッキングピンを手動で引っ込めることができ、その引抜具は、ロッキングピンに機械的に連結されているレバーを作動させることができる。それを行うために、レバーを上方に、すなわち、車両が載っている地面とは反対方向に引く。しかしながら、引抜具を含むそのような非常用システムは、アクセス上の問題を有する。それは、車両のコネクタが、通常、囲繞されており、この引抜具へのアクセスを困難にしているからである。
【0006】
本発明では、レバーを引かずに上方へ押し、その押動作が作動アームによって行われる充電システムを提案することによって、この欠点を克服することが意図される。したがって、このシステムは、従来技術のアクセス上の問題に対処する。
【0007】
したがって、本発明は、第1に、少なくとも1つの充電部材を受け入れるようになされた、車両用の充電システムであって、少なくとも1つのコネクタと、車両に強固に連結されるようになされたコネクタ支持部と、コネクタに対して充電部材を固定するようになされたロッキングピンを備えるアクチュエータとを具備する充電システムに関する。本発明によれば、コネクタ支持部は、充電システムから独立した作動アームを受け入れることが可能な案内手段を備え、作動アームは、上記案内手段を通して挿入された後、ロッキングピンを解除するようになされている。
【0008】
そのような充電システムは、ハイブリッドまたは電気車両を再充電するために使用するようになされている。その再充電は、充電部材とコネクタとを係合することによって達成され、コネクタの支持部は、車両に強固に連結されている。したがって、この充電部材は、充電システムのコネクタに適合する形状の、電気ネットワークの電気コネクタである。
【0009】
ロッキングピンは、充電部材に挿入され、その部材用のストッパを形成するピンであり、それによって、車両が再充電されているとき、その部材が、コネクタから引き抜かれるのを防止する。そのとき、ロッキングピンは、固定位置にある。そのようなロッキングピンは、車両が再充電された後は充電部材を外すために、引っ込められた解除位置を取ることができる必要がある。この引込が作動不良の場合、またロッキングピンが固定位置で固着した場合、本発明は、ロッキングピンを解除することができる作動アームの使用を提供し、この作動アームは、そのために、充電システムに形成された少なくとも1つの案内部に収容されている。それによって、作動アームは、ロッキングピンを強制的に引っ込めて、充電部材をコネクタから切り離すのを可能にするために、アクチュエータへ導かれる。
【0010】
本発明の一特徴によれば、充電システムは、作動アームを備える。
【0011】
したがって、作動アームは、常時、所定位置に置くことができ、すなわち、充電システムの近くに配置されるか、または車両の他の場所、たとえば、グローブボックスなど、その車両の収納区画に配置することができる。
【0012】
作動アームは、6mm~8mmの直径を有する剛性ロッドである。この剛性ロッドは、ロッキングピンを解除するために特別に設計された工具でもよいが、たとえば、鉛筆の形を取ってもよい。
【0013】
本発明の別の特徴によれば、作動アームは、ロッキングピンに機械的に連結されたレバーと協働するようになされている。
【0014】
このレバーはアクチュエータの要素であり、アクチュエータは、ロッキングピンをさらに備える。レバーとロッキングピンとは、レバーを作動させるとロッキングピンの往復運動を生じるように、機械的に連結されている。
【0015】
上記案内手段は、作動アームを受け入れることが可能な少なくとも1つの案内部を備える。
【0016】
好ましくは、上記案内手段は、作動アームを受け入れることが可能な複数の案内部、特に単一の軸に位置合わせされた少なくとも2つの案内部を備える。
【0017】
さらにより好ましくは、上記案内手段が、単一の軸に位置合わせされた3つの案内部を備える。
【0018】
複数の位置合わせされた案内部の存在は、作動アームのための案内軸を形成し、それによって、その作動アームの取扱いが容易になる。
【0019】
本発明の一特徴によれば、3つの案内部は、第1の案内部、第2の案内部、および第3の案内部を含み、第2および第3の案内部の少なくとも1つが、第1の案内部の垂直上方に配置されている。
【0020】
第1の案内部、第2の案内部、および第3の案内部は、この順序で位置合わせされ、第1の案内部と第3の案内部とは、少なくとも100mmの距離で離されている。
【0021】
「垂直上方に配置される」とは、充電システムが車両に装着されているとき、少なくとも第2の案内部または第3の案内部が第1の案内部の上方にあることを意味し、そのとき、垂直方向は、その車両が載っている地面に直交する。
【0022】
本発明の別の特徴によれば、上記案内手段、特に第1の案内部は、案内面取り部を備える。
【0023】
そのような案内面取り部の存在は、案内部への作動アームの挿入を容易にする。この案内手段が複数の案内部である場合、各案内部が案内面取り部を備えてもよく、または、充電システムは、第1の案内部に配置された単一の案内面取り部を有してもよい。丸溝は、作動アームの芯出しを行い、そのことは、作動アームを手探りで配置することを可能にする。
【0024】
本発明の一特徴によれば、軸はレバーを貫通する。
【0025】
したがって、レバーは少なくとも1つの案内部に向き合い、その結果、作動アームは、少なくとも1つの案内部、好ましくは2つの案内部に挿入されると、このレバーに接触するように配置される。
【0026】
一特徴によれば、コネクタ支持部は、コネクタ支持部を車両の少なくとも1つの構造要素に固定するための固定ラグと、コネクタを取り囲む矩形部分とを備え、上記案内手段は、少なくとも1つの固定ラグと矩形部分との間に配置された補強部に形成されている。
【0027】
したがって、コネクタ支持部は、コネクタ用のフレームを形成し、コネクタは、その矩形部分の内側に配置されている。このコネクタ支持部は、そのコネクタ支持部を取り付けようと意図する車両にそのコネクタ支持部を強固に連結することを可能にする固定ラグを備え、少なくとも1つの案内部は、それら固定ラグの1つと矩形部分との間で、これら2つの要素間に延在する補強部に配置されている。
【0028】
本発明の一特徴によれば、上記案内手段は、コネクタ支持部に形成された孔である。
【0029】
あるいは、上記案内手段は、コネクタ支持部に形成された案内フォークである。
【0030】
それら孔は、作動アームを案内する精度を向上させ、他方、案内フォークは、それら案内フォークが形成されるコネクタ支持部の鋳型の製造を簡単にする利点を有する。
【0031】
本発明は、さらに、上記の充電システムを備える車両、特に電気駆動車両に関する。
【0032】
車両は、車両に取り付けられたフードの少なくとも1つのヒンジを受け入れるようになされた基台を備え得、コネクタ支持部は、基台に強固に連結されている。
【0033】
そのような基台は、溶接によって車両のレールに取り付けられている。
【0034】
本発明の一特徴によれば、車両は、作動アームを、前方張出部の内側を通して上記案内手段に挿入することを可能にするように設計されている。
【0035】
作動アームは、異なる方法で前方張出部を通して挿入することができ、すなわち、車両の埃除けが、作動アームが充電システムに到達するために通って挿入される開口を有するか、または、車両が、作動アームが充電システムにアクセスすることを可能にするために埃除けを取り外す必要があるように設計されているかのどちらかである。
【0036】
本発明は、さらに、上記案内手段を通して作動アームを挿入することを伴う第1のステップと、作動アームを、アクチュエータに接触するまで、並進的に移動させるステップと、ロッキングピンを移動させるステップとを含む、上記の充電システムを解除する方法に関する。
【0037】
作動アームは、案内面取り部を使用して、上記案内手段、たとえば第1の案内部に挿入される。次いで、その作動アームは、アクチュエータ、より具体的にはこのアクチュエータのレバーに当接するまでこの案内部内を摺動する。次いで、レバーが、少なくとも1つの案内部とは反対方向、垂直方向に押し動かされ、その動きをロッキングピンに伝え、ロッキングピンが、充電部材をコネクタから外すことができる解除位置に移動させられる。
【0038】
本発明の他の特徴、詳細、および利点が、以下の説明、ならびに添付図面を参照して非限定的例として示される例示的実施形態において、より明確に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明による充電システムの概略前視図である。
【
図3】充電部材を受け入れている
図1の充電システムの図である。
【
図4】
図1の充電システムの絶縁式コネクタ支持部の後視図である。
【
図5】
図1の充電システムの案内部の概略図である。
【
図6】
図1の充電システムが取り付けられた車両の図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の諸特徴、諸変形形態、および様々な実施形態は、互いに不適合または相互に排他的でなければ、様々な組合せで互いに連携させることができる。以下に記載された特徴の中から、他の記載された特徴とは別けて選択されたもののみを含む本発明の変形形態もまた、特徴のこの選択が、技術的利点を提供し、かつ/または本発明を従来技術から差別化するのに十分であるならば、可能であることに留意されたい。
【0041】
諸図面では、複数の図面に共通な要素は、同じ参照番号を有する。
【0042】
以下の詳細な説明では、用語「長手の」、「横向きの」、および「垂直な」は、本発明による充電システムの向きを示す。長手方向は、装着車両が延在する主方向に対応し、この長手方向は、図に示された座標システムL、V、Tの長手軸Lに平行である。垂直方向は、車両が載っている地面に直交する方向に対応し、この垂直方向は、座標システムL、V、Tの垂直軸Vに平行であり、この垂直軸Vは、長手軸Lに直交する。最後に、横方向は、座標システムL、V、Tの横軸Tに平行な方向に対応し、この横軸Tは、長手軸Lおよび垂直軸Vに直交する。
【0043】
図1および2は、本発明による充電システム1を、それぞれ前方および後方から概略的に示す。そのような充電システム1は、ハイブリッドまたは電気車両2に取り付けて、該車両を再充電することを可能にするようになされている。この充電システム1は、主として長手/垂直面内に延在し、車両2に強固に連結されると、車両2が載っている地面を向いている第1の垂直端部101と、地面から遠く、第1の垂直端部101とは反対側の第2の垂直端部102とを有する。
【0044】
充電システム1は、
図4に後方から示された、コネクタ4を取り囲むコネクタ支持部3を備える。コネクタ支持部3は、このコネクタ4用のフレームを形成する矩形部分31と、長手方向に矩形部分31の両側に配置された固定ラグ32とを備える。これら固定ラグ32は、コネクタ支持部3を車両2に固定することを可能にし、そのコネクタ支持部は車両に強固に連結される。このために、それらコネクタ支持部は、固定手段320、この場合はスクリューを有し、その固定手段は、固定ラグ32を一方の側から他方へ横方向に貫通し、それによって車両の基台28に係合し、そのような基台28が
図6に見られる。固定ラグ32は、対称ではなく様々な形状を有し、この場合、基台28へのコネクタ支持部3の固定が成立することを可能にする。
【0045】
コネクタ4は、この場合、主コネクタ41と補足コネクタ42とに分けられ、主コネクタ41は、車両の低速再充電に対応し、一方、補足コネクタ42は、車両の急速再充電を可能にする。これらコネクタ41および42のそれぞれが、電気ネットワークに接続された充電部材10を受け入れることができ、そのような充電部材10が、
図3に示されている。この充電部材10は、特に、雌型プラグであるコネクタ4と協働することができる雄型プラグの形態を取ることができる。あるいは、コネクタ4が雄型プラグであり、充電部材10が雌型プラグでもよい。
【0046】
充電システム1は、アクチュエータ5を備え、そのアクチュエータは、第2の垂直端部102の近傍に配置されたハウジングである。
図2で特に見えるこのアクチュエータ5は、コネクタ支持部3の矩形部分31と同じ面内にはないが、充電システム1を前方から視たとき、コネクタ支持部の矩形部分の後に置かれている。アクチュエータ5は、実質的に矩形である。そのアクチュエータは、車両2の基台12に向いた後面52とは反対側に、コネクタ支持部3に向いた前面51を有する。そのアクチュエータは、また、長手方向に互いに対向し、前面51および後面52に継がる2つの側面53、ならびに垂直方向に互いに対向する上面54および底面55を有し、底面55は、車両2が載っている地面に向いている。これら面51、52、53、54、および55は、アクチュエータ5のハウジングを画成する。
【0047】
このアクチュエータ5は、底面55から出て垂直に延在するロッキングピン550を有する。そのようなロッキングピン550が、
図1および2に点線を用いて示されている。このロッキングピン550は、特に車両2が再充電されている間、
図3に示すように、充電部材10がコネクタ4に接続されたとき、充電部材とコネクタとを強固に連結して、充電部材10をコネクタ4に対して固定することを可能にする。このために、ロッキングピン550は、アクチュエータ5のハウジング内に少なくとも部分的に引っ込めることができる。したがって、ロッキングピン550は、アクチュエータ5のハウジング内に少なくとも部分的に引っ込められた高位置または解除位置と、引っ込められず底面55から突出する低位置または固定位置とを有し得る。したがって、充電部材10は、ロッキングピン550が低位置にあるときに固定される。その場合、そのロッキングピンは、コネクタ4を取り囲む、矩形部分31の隔壁310を貫通し、さらに充電部材10を部分的に貫通する。したがって、ロッキングピン550は、コネクタ4と充電部材10とに同時に挿入される。このように、ロッキングピンは、充電部材用のストッパを形成し、充電部材が横方向に並進的に移動するのを防止することによって充電部材を拘束し、そのような並進移動は、充電部材10がコネクタ4から引き抜かれることに対応する。逆に、ロッキングピン550が高位置にあるとき、ロッキングピンはもはやストッパとして作用しないので、コネクタ4と充電部材10とは切り離すことができる。
【0048】
アクチュエータ5は、側面53の1つに配置されたレバー530をさらに備える。このレバー530は、このレバーが機械的に連結されているロッキングピン550が作動不良の場合、特にロッキングピンが低位置で固着したとき、非常用システムを構成する。したがって、レバー530を垂直方向に作動させ、より具体的には、車両2が載っている地面とは反対方向にレバーを動かして、ロッキングピン550を強制的に引っ込める。
【0049】
しかしながら、
図6を参照して下記でより詳細に説明するように、充電システム1が車両2に配置されているので、レバー530は、直接作動させることができない。したがって、このレバー530に到達するために、媒介物、たとえば作動アーム7を使用しなければならない。そのような作動アーム7は、好ましくは6mm~8mmの直径を有する、剛性ロッドである。その作動アームは、具体的にレバー530を作動させるように設計された工具、または図に示されているような鉛筆状の棒、ドリルビット、またはねじ回しのシャフトのような物体でよい。この作動アーム7は、常時、所定位置、すなわち充電システム1の近傍に置くことができ、または車両2の乗員室21に配置され得る。
【0050】
本発明によれば、案内手段6が、この作動アーム7を受け入れることが可能な少なくとも1つの案内部6A、6B、または6Cを備える。
【0051】
案内手段は、作動アームのための案内軸を画定する2つの案内部6Aおよび6Cを備え得る。より具体的には、上記案内手段6は、本明細書に示された実施形態におけるように、3つの案内部6A、6B、および6Cを備える。上記案内部6A、6B、6Cは、
図5に示された特定の実施形態におけるように、特に、貫通孔または案内フォークであり得る。
【0052】
3つの案内部6A、6B、6Cは、単一の軸Aに位置合わせされ、レバー530もその単一の軸を通過する。したがって、3つの案内部6A、6B、6Cおよびレバー530は、この軸Aに位置合わせされている。この位置合わせが、作動アーム7のための案内軸を成立させ、作動アームは、案内手段6に挿入されて、このレバー530に接触し、このレバーを作動させてロッキングピン550を解除する。この場合「作動させる」とは、レバー530が作動アーム7によって上方に、すなわち車両2が載っている地面とは反対方向に、押されることを意味する。
【0053】
コネクタ支持部3を後方から示す
図4では、作動アーム7なしで案内手段6が示されている。この案内手段6は、コネクタ支持部3に形成されている。より具体的には、案内部6A、6B、6Cは、矩形部分31と固定ラグ32の1つとの間に延在する補強部33に配置されている。それら補強部33は、この矩形部分31とこの固定ラグ32との間に結合部を形成する、垂直方向に実質的に直交する板である。補強部33は、コネクタ支持部3から後方へ、すなわち支持部の、充電部材10を受け入れる面とは反対側の面から延出する。
【0054】
案内手段6は、第1の案内部6A、第2の案内部6B、および第3の案内部6Cをこの順序で位置合わせさせて備え得、その結果、第1の案内部6Aは、充電システム1の第1の垂直端部101の近傍になり、第3の案内部6Cは、充電システムの第2の垂直端部102の近傍になる。したがって、第3の案内部6Cは、第2の案内部6Bの垂直上方に配置され、第2の案内部6B自体は第1の案内部6Aの垂直上方に配置され、この配置は、車両2が載っている地面からの案内部6A、6B、6Cの距離によって確定される。案内部6A、6B、6Cのこの配置、およびそれら案内部とレバー530との軸Aに沿った配列によって、第3の案内部6Cがレバー530と向き合うことになる。
【0055】
有利には、第1の案内部6Aと第3の案内部6Cとは、少なくとも100mmの距離で離れている。これら2つの案内部間に配置された第2の案内部6Bは、好ましくは、第3の案内部6Cより第1の案内部6Aに近く、すなわち、第2の垂直端部102より第1の垂直端部101に近い。したがって、この第2の案内部6Bは、第1の案内部6Aと第3の案内部6Cとの距離の1/3~1/2に配置され得る。この独特な配置は、車両2に充電システム1を配置した結果、手探りで作業しているユーザによる作動アーム7の使用を容易にする。
【0056】
作動アーム7をユーザが使用するのをさらに簡単にするために、
図5に示されるように、第1の案内部6Aが案内面取り部61を備えてもよい。そのような案内面取り部61は、作動アーム7の第1の案内部6Aへの挿入を容易にする利点を有し、この作動アーム7が、この案内面取り部61上を摺動しながら、孔の明かりに向かって案内される。
【0057】
充電システム1は、作動アーム7を第1の案内部6Aに挿入することを伴う第1のステップを含む解除方法を用いて解除することができる。ユーザは、作動アーム7を、充電システム1の第1の垂直端部101に配置し、案内面取り部61の援けを借りて、この作動アーム7を、第1の案内部6Aを構成する貫通孔またはフォークに滑り込ませる。解除方法の次のステップは、作動アーム7を並進的に移動させることを伴い、その間、作動アームは、第2の垂直端部102に向かって、軸Aに沿って、他の案内部6Bおよび/または6C内を摺動する。作動アーム7は、アクチュエータ5、より具体的には第3の案内部6Cに向き合うレバー530に接触するまで、並進的に移動する。解除方法は、ロッキングピン550を移動させるステップをもって終了する。それを行うために、作動アーム7は、レバー530に当接し、そして押して、レバーを、第3の案内部6Cから離れる向きに動かすことによって作動させる。レバー530は、次いで、アクチュエータ5内部の機構を用いてロッキングピン550を作動させ、このロッキングピン550が、引っ込められ、低位置から高位置に移る。解除後は、ロッキングピン550は、もはや、充電部材10用のストッパとして作用せず、したがって、充電部材は、挿入されていたコネクタ4から切り離すことができる。
【0058】
図6は、本発明による充電システム1が取り付けられた、車両2の前方張出部20の一部分を示す。この前方張出部20の一部の部品は、本発明の理解を容易にするために図では取り除かれている。
【0059】
車両2は、地面に近い乗員室の底部のシル22と、地面から離れたフロントガラスピラー24とによって垂直方向に画定された乗員室21を備え、このフロントガラスピラー24にはフロントガラス23が取り付けられている。シル22とフロントガラスピラー24とは前方ピラー25によって結合されている。この前方ピラー25は、地面に実質的に直交する方向に延在し、他方、シル22は地面に平行である。レール26が、前方ピラー25から出て、乗員室21とは反対側の長手方向に延出する。
【0060】
充電システム1は、前方ピラー25とレール26との間の結合部における前方張出部20に強固に連結されている。この場合、充電システムは、コネクタ支持部3と車両2の車体(この図には示されない)との間に配置された中間部品27によって部分的に覆われている。
【0061】
充電システム1は、フードの少なくとも1つのヒンジ(ここには示されない)を受け入れるようになされた基台28を用いて車両2に強固に連結されている。この基台28は、溶接によってレール26に取り付けられている。コネクタ支持部3は、
図1および2を参照して上記で説明された固定ラグ32および固定手段320を使用して、この基台28に固定されている。
【0062】
車両2は、充電システム1、より具体的には上記案内手段6を少なくとも部分的に覆う埃除けを備え得る。上記の解除方法を実行するときに充電システム1にアクセス可能にするために、そのような埃除けには、作動アーム7を通すことができる開口を設けることができる。あるいは、この埃除けは、上記案内手段6へのアクセスを容易にするために、車両2から取り外すことができる。したがって、車両2は、作動アーム7を、
図6に矢印Dによって示された方向に前方張出部20の内側を通して、上記案内手段6に挿入することができるように設計されている。
【0063】
したがって、本発明は、非常用システムが取り付けられた充電システムを提案し、その非常用システムは、ハイブリッドまたは電気車両を再充電するとき、この充電システムのコネクタの所定位置に充電部材を固定するために使用されるロッキングピンを、強制的に解除するために使用される。
【0064】
本発明は、本明細書で説明され図示された手段および構成に決して限定されず、本発明は、また、あらゆる同等な手段または構成、およびそれら手段の技術的に機能するあらゆる組合せを包含する。
【国際調査報告】