(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ラミネート包装材料料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/10 20060101AFI20240829BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240829BHJP
B65D 5/70 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B32B27/10
B65D65/40 D
B65D5/70 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508386
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022072916
(87)【国際公開番号】W WO2023021066
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】トフト、ニルス
(72)【発明者】
【氏名】ベルリン、ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ベンコー、ガボール
【テーマコード(参考)】
3E060
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060BC04
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3E060CE13
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4F100AA17D
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(57)【要約】
液体食品(12)を包装するためのラミネート包装材料料(16)及び製造方法が提供される。ラミネート包装材料(16)は、紙又は板紙又は他のセルロース系材料のバルク層(20)と、第1の最外液密層(22)と、第2の最内液密層(24)と、バルク層(20)と第2の最内液密層(24)との間に積層されるバリアフィルム又はシート(26)とを備え、バリアフィルム又はシート(26)は、非金属のバリアフィルム又はシートであり、バルク層(20)は少なくとも1つの貫通孔(28)を備え、第1の最外液密層(22)及び第2の最内液密層(24)及びバリアフィルム又はシート(26)は、貫通孔(28)の領域で膜(30)を形成し、膜(30)のバリア性フィルム又はシート(26)には、少なくとも1つのスリット(32)が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体食品(12)を包装するためのラミネート包装材料(16)であって、
紙又は板紙又は他のセルロース系材料のバルク層(20)と、
前記バルク層(20)の外側に配置され、前記ラミネート包装材料(16)から形成された包装容器(10)の外側を構成する第1の最外液密層(22)と、
前記バルク層(20)の内側に配置され、充填された前記液体食品(12)と直接接触する第2の最内液密層(24)と、
前記バルク層(20)と前記第2の最内液密層との間に積層されるバリアフィルム又はシート(26)と、を備え、
前記バリアフィルム又はシート(26)が、非金属バリアフィルム又はシート、又は5質量%以下の金属含有量を有するバリアフィルム又はシートであり、
前記バルク層(20)が、少なくとも1つの貫通孔(28)を備え、
前記第1の最外液密層(22)及び前記第2の最内液密層(24)及び前記バリア性フィルム又はシート(26)が、前記貫通孔(28)の領域で膜(30)を形成し、
前記膜(30)の前記バリア性フィルム又はシート(26)が、少なくとも1つのスリット(32)を備える、
ラミネート包装材料(16)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのスリット(32)が、前記バリアフィルム又はシート(26)を完全に貫通する、
請求項1に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項3】
前記第2の最内液密層(24)が前記スリット(32)を覆っている、
請求項1に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項4】
前記第1の最外液密層(22)及び前記第2の最内液密層(24)が前記スリット(32)を覆っている、
請求項1に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項5】
前記バリアフィルム又はシート(26)が、バリア材料(34)で被覆された基材層(36)を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項6】
前記基材層(36)がプラスチック又は紙又はセルロース系材料を含む、
請求項5に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項7】
前記スリット(32)が前記膜(30)の中央に配置されている、
請求項1~6のいずれか一項に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項8】
前記スリット(32;48)が十字形(50;52;54)を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項9】
前記スリット(32)が半円形(56;58)を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項10】
前記スリット(32)が、少なくとも1つの直線(44)又はドットミシン目(46)を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載のラミネート包装材料(16)。
【請求項11】
前記バリア性フィルム又はシート(26)が、ガスバリア性フィルム又はシート(26)、好ましくは酸素バリア性フィルム又はシート(26)である、
請求項1~10のいずれか一項に記載のラミネート包装材料料(16)。
【請求項12】
液体食品(12)を包装するためのラミネート包装材料(16)の製造方法であって、
少なくとも1つの貫通孔(28)を有する紙又は板紙又は他のセルロース系材料のバルク層(20)を提供し、
バリアフィルム又はシート(26)が、前記バルク層(20)の少なくとも1つの貫通孔(28)を覆う膜部(38)を形成するように、前記バリアフィルム又はシート(26)を前記バルク層(20)に積層し、前記バリアフィルム又はシート(26)が、非金属バリアフィルム又はシートである、又は5質量%以下の金属含有量を有するバリアフィルム又はシートであり、
前記膜部(38)の前記バリアフィルム又はシート(26)に、少なくとも1つのスリット(32)を設け、
前記バルク層(20)の外側に第1の最外液密層(22)を積層して、前記ラミネート包装材料(16)から形成された包装容器(10)の外側を構成し、
充填された前記液体食品(12)と直接接触するように、前記バリアフィルム又はシート(26)の内側に、第2の最内液密層(24)を積層し、前記第1の最外液密層(22)及び前記第2の最内液密層(24)及び前記バリアフィルム又はシート(26)が、前記少なくとも1つの貫通孔(28)の領域で膜(30)を形成する、
方法。
【請求項13】
前記バリアフィルム又はシート(26)を前記バルク層(20)に積層するステップが、押出ラミネート又はウェットラミネートによって行われる、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記膜部(38)の前記バリアフィルム又はシート(26)に前記少なくとも1つのスリット(32)を設けるステップが、レーザー切断、及び/又は機械的切断によって行われる、
請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのスリット(32)が、前記バリアフィルム又はシート(26)を完全に又は部分的に貫通する、
請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのスリット(32)が、前記ラミネート包装材料料(16)の長手方向(40)及び/又は横方向に延びる、
請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~11のいずれか一項に記載のラミネート包装材料料(16)を備えた、及び/又は、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法で製造された、
包装容器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状食品を包装するためのラミネート包装材料、その製造方法、及びそのラミネート包装材料からなる包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体食品用の使い捨てタイプの包装容器は、板紙又はカートンをベースとする包装用ラミネートから製造されることが多い。このような一般的に使用される包装容器の1つは、Tetra Brik Aseptic(登録商標)という商標で販売されており、主に、長期常温保存用に販売される牛乳、フルーツジュースなどの液体食品の無菌包装に使用されている。この公知の包装容器の包装材料は、通常、紙、板紙、その他のセルロース系材料のバルク層又はコア層と、熱可塑性プラスチックの液密の外側層を含むラミネートである。包装容器をガス気密、特に酸素ガス気密にするため、例えば無菌包装や牛乳やフルーツジュースの包装の目的で、これらの包装容器のラミネートは、通常、少なくとも1つの追加層、最も一般的にはアルミニウム箔を含む。
【0003】
ラミネートの内側、すなわち、ラミネートから製造される容器の充填された食品内容物に面することを意図した側には、アルミニウム箔上に適用された最内層があり、この最内層は、接着性ポリマー及び/又はポリオレフィンなどのヒートシール可能な熱可塑性ポリマーを含む1層又は数層の部分層を含み得る。また、バルク層の外側には、最外のヒートシール可能なポリマー層がある。
【0004】
包装容器は、一般に、ウェブから、又は包装材料のプレハブ状ブランクから、パッケージを形成し、充填し、密封するタイプの最新の高速包装機によって製造される。したがって、包装容器は、ウェブの長手方向の両縁を、内側及び最も外側のヒートシール可能な熱可塑性ポリマー層を一緒に溶着することによって、オーバーラップ接合部で互いに結合させることによって、ラミネート包装材料のウェブをチューブに改質して製造してもよい。チューブには、目的とする液体食品が充填され、その後、チューブ内の内容物の高さより低い位置で、互いに所定の距離をおいてチューブの横方向シールを繰り返すことにより、個々のパッケージに分割される。包装材料は、横方向のシールに沿って切り込みを入れることによりチューブから分離され、包装材料に用意された折り目線に沿って折り目をつけることにより、所望の幾何学的形状(通常は平行六面体)が与えられる。
【0005】
この連続的なチューブ形成、充填及び密封包装方法のコンセプトの主な利点は、チューブ形成の直前にウェブを連続的に滅菌することができることであり、したがって、無菌包装方法、すなわち、充填される液体内容物及び包装材料自体が細菌から低減され、充填された包装容器が清潔な条件下で製造され、充填された製品に微生物が増殖する危険性がなく、周囲温度でも長期間保存することができる方法の可能性を提供する。Tetra Brik(登録商標)タイプの包装方法のもう一つの重要な利点は、上述のように、連続高速包装が可能であることであり、これはコスト効率にかなりの影響を与える。
【0006】
例えば、牛乳やジュース等の敏感な液体食品の包装容器は、本発明のラミネート包装材料のシート状ブランク又はプレハブ状ブランクからも製造できる。平らに折り畳まれた包装用ラミネートのチューブ状ブランクから、まずブランクを積み上げて開放チューブ状容器カプセルを形成し、その開放端の一方を一体型エンドパネルの折り畳みとヒートシールによって閉鎖することにより、包装容器が製造される。こうして閉鎖された容器カプセルは、その開放端から当該食品、例えばジュースが充填され、その後、対応する一体型エンドパネルのさらなる折り畳みとヒートシールによって閉鎖される。シート状及び管状のブランクから製造される包装容器の例としては、従来のいわゆるゲーブルトップ・パッケージがある。この種のパッケージには、プラスチック製の成型トップ及び/又はスクリューキャップを有するものもある。
【0007】
包装用ラミネートにおけるアルミニウム箔の層は、望ましいガスバリア性を提供するために長年使用されており、液体食品無菌包装用の従来のアルミニウム箔ベースの包装用ラミネートは、その性能レベルでは、現在、市場で入手可能な最もコスト効率の良い包装材料である。
【0008】
しかしながら、現在、得られる材料の環境特性を改善するために、ラミネート構造中にアルミニウム箔を有しないラミネート包装材料を開発する傾向が高まっている。ラミネート包装材料の製造コストを下げ、ラミネート包装材料から製造された包装容器の無菌長期保存に必要な特性を維持することも望ましい。
【0009】
アルミニウム箔と競合する材料は、原材料に関してコスト効率がよく、少なくとも同等の食品保存特性を持ち、完成した包装用ラミネートに変換する際の複雑さが比較的に低いものでなければならない。
【0010】
液体食品カートン包装用の非アルミ箔材料の開発努力の中には、従来のラミネート包装材料のアルミニウム箔バリア材料に取って代わり、従来のアルミ箔のラミネート工程や製造工程に適合させることができ、高度で多重のバリア機能、すなわち酸素やガスバリア性だけでなく、水蒸気、化学物質、又は芳香物質のバリア性を有する、予め製造されたフィルムやシートの開発に対する一般的な意欲もある。
【0011】
業界のニーズに対応するため、本出願人は、アルミニウム箔を使用しないラミネート包装材料の代替品を提案している。例えば、EP3517291では、ポリエチレン-2,5-フランジカルボキシレート(PEF)及びポリトリメチレンフランジカルボキシレート(PTF)からなる群から選択されるポリエステル、そのブレンド及び共重合体からなるバリアフィルムを、金属又は金属酸化物からなる蒸着バリアコーティングで被覆して使用することが提案されている。US11046060には、ダイヤモンドライクカーボンのPECVDコーティングを含むバリアフィルムが開示されている。
【0012】
提案されたバリアフィルム及び得られたラミネート包装材料は、環境に優しく、コスト効率が高く、所望の完全性を提供するという点で有望な性能を提供するが、これらの非アルミニウムバリア材料は、通常、貫通能力に大きな差異を示す。バリアフィルムの貫通は、通常、消費者が貫通後に包装容器の内容物にアクセスするためのストロー穴又は他の開口構造を備えるラミネート包装材料に要求される。このような穴は、ラミネート前にバルク層又はコア層に穴を開け、バリア材料を含む追加のラミネート層で穴の内側と外側を覆うことによって設けられる。
【0013】
消費者が満足するためには、貫通力はできる限り小さいことが望ましいが、意図しない貫通を防ぐために、開口部の構造にある程度の抵抗が必要である。消費者調査の結果、望ましい貫通力は約15N以下であることが判明している。10~12N程度の貫通力は、包装容器の完全性と取扱いの点で満足のいくものであることが証明されている。しかし、バリア材にアルミニウム箔に代わるものを使用したラミネート包装材料は、いずれも25Nの範囲など、かなり高い貫通力を必要とする。
【0014】
したがって、アルミニウム箔からなるバリアを必要とせず、同時にラミネート包装材料に設けられた開封構造の貫通力を減少させる改良されたラミネート包装材料が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、従来技術の上記で特定された制限の1つ以上を少なくとも部分的に克服することである。特に、液体食品を確実に封入し、包装材料でストローを使用するのに必要な貫通力を低減し、包装材料によって構成される金属材料の量を低減する、液体食品の包装用のラミネート包装材料料を提供することが目的である。
【0016】
これらの目的を解決するために、本発明の第1の態様では、液状食品包装用のラミネート包装材料が提供される。このラミネート包装材料は、紙又は板紙などのセルロース系材料を含むバルク層と、バルク層の外側に配置され、包装材料から形成される包装容器の外側を構成する第1の最外液密層と、バルク層の内側に配置され、充填された食品と直接接触する第2の最内液密層と、バルク層と第2の最内液密層との間に積層されるバリアフィルム又はシートとを備え、バルク層には少なくとも1つの貫通孔が設けられ、第1の液密層、第2の液密層、及びバリアフィルム又はシートは、貫通孔の領域で積層膜を形成している。
【0017】
バリアフィルム又はシートは、少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシートであり、すなわち、バリアフィルム又はシートは、非金属のバリアフィルム又はシートであり、又は金属含有量が5質量%以下のバリアフィルム又はシートである。
【0018】
本発明のラミネート包装材料によれば、膜のバリアフィルム又はシートには、少なくとも1つのスリットが設けられている。
【0019】
膜のバリアフィルム又はシートにスリットが設けられていることは、本発明のラミネート包装材料によって包装され得る食品の保護が維持される一方で、例えばストローがスリットの領域に挿入される場合に必要とされる貫通力が著しく低減されるという点で有利である。特に、貫通力は、25Nをかなり下回るレベルまで低下し、本発明の多くの実施形態では10Nを下回るレベルに達する。同時に、パッケージの部分の酸素透過率(OTR)は驚くほど低いレベルに維持され、0.006cm3/部分(24時間、0.22気圧、23℃、相対湿度50%)を超えず、本発明の多くの実施形態では0.003cm3/部分まで低下する。少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシートを構成することにより、言い換えれば、バリアフィルム又はシートが少なくとも部分的に非金属材料を備えることにより、ラミネート包装材料中の金属の量が大幅に減少又は排除される。これにより、ラミネート包装材料の環境プロファイルが改善される。
【0020】
バルク層は、好ましくは、複数の貫通孔を備える。第1の最外層及び/又は第2の最内層液密層は、好ましくは、ヒートシール可能であってもよい。さらに好ましくは、第1の最外液密層及び/又は第2の最内液密層は、熱可塑性材料を含んでもよい。好ましくは、第1の最外液密層及び/又は第2の最内液密層は、ヒートシール可能な熱可塑性層である。
【0021】
バリアフィルム又はシートは、包装された液体食品の食品安全環境を維持するのに適した任意のバリア材料を含んでもよい。これは、固有のガスバリア特性を有する材料、特に酸素透過バリアを形成する材料を対象とする。このような材料は、例えば、エチレンビニルアルコール、EVOH、又はポリアミドのフィルムのようなポリマーのフィルムの中に見出すことができる。あるいは、バリアフィルムは、真空蒸着されたバリアコーティングを有するポリオレフィンベースの基材を備えてもよい。真空蒸着又は蒸着コーティングは、金属、金属酸化物、無機酸化物、その他の無機化合物のコーティング、又は炭素系コーティング、例えば非晶質ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングであってもよい。しかしながら、バリアフィルム又はシートが金属材料からなる場合、それは部分的に少なくとも1つの非金属材料を含むことに再度留意されたい。また、完全に非金属材料で構成することもできる。以下に、いくつかの好ましい材料についてさらに説明する。
【0022】
バリアフィルム又はシートは、例えば、主要な量の非金属材料と少量の金属材料を含む複合材料であってもよい。いくつかの実施形態において、金属材料は、包装材料によって封入された製品を外部環境からさらに保護するために、光の透過を防止するという利点を提供することができる。好ましくは、金属材料の量は、複合材料の総量の5%以下、さらに好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下である。金属材料の量は、複合材料の総量に対する質量又は体積の量を指すことがあり、これは、総量に対する質量%又は体積%でそれぞれ表されることを意味する。好ましくは、質量量を指す。本明細書では、既知の製造工程で達成可能な精度によってのみ制限される、5%から0%までのすべての中間値も開示する。
【0023】
例えば、非金属材料は、プラスチック、紙、又はセルロースベースの材料を含んでもよい。例えば、金属材料はアルミニウムを含んでもよい。他の好ましい材料についてはさらに後述する。非金属材料は、バリア材料を担持する基材を形成してもよい。
【0024】
本発明のラミネート包装材料の一実施形態において、少なくとも1つのスリットがバリアフィルム又はシートを完全に貫通して延びている。これにより、例えばストローで膜を貫通させるのに必要な貫通力が大幅に低減される。
【0025】
本発明のラミネート包装材料の一実施形態では、少なくとも1つのスリットは、バリアフィルム又はシートを部分的に貫通して延びている。
【0026】
これは特に、低いOTRと十分に低い貫通力を同時に達成するのに有益である。
【0027】
本発明のラミネート包装材料料の一実施形態において、バリアフィルム又はシートは、バリア材料で被覆された基材層を含む。このようなバリアフィルム又はシートは、上述した複合材料の一実施形態であってもよい。
【0028】
本発明のラミネート包装材料の一実施形態では、基材層はプラスチック又は紙、あるいはセルロース系材料で作られる。
【0029】
例えば、基材層は、好ましくはアルミニウムで金属化されてもよい。基材層上の金属、例えばアルミニウムは、例えば、60nmの厚さを有してもよい。基材層は、材料、所望の用途及び機械パラメータに応じて、典型的には12μm以上、例えば12~50μmの厚さを有してもよい。この単なる例示的な組み合わせにおいて、金属の量は、典型的には、バリアフィルム又はシートの1vol%又は厚さ%よりかなり低い範囲になる。
【0030】
一般に、バリアフィルム又はシート、及び場合によってはその中に含まれるコーティングは、蒸着コーティング又は分散コーティング材料の薄い材料コーティング、又はそのようなコーティングの組み合わせを含んでもよい。基材層は、EVOH又はポリアミドポリマーの表層又はコーティングであるバリア材料を含んでもよい。
【0031】
水性分散液又は溶液組成物のコーティングによって適用されるガスバリア材料又はコーティングは、固有のガスバリア特性を有し、リサイクル可能性及び工業的コーティング及びラミネートプロセスへの適用の両方に関して、食品安全性及び環境的に持続可能であるポリマーを含み得る。このようなポリマーは、水分散性及び/又は水溶解性であり、水性分散コーティングプロセス又は液体フィルムコーティングプロセスによって適用することができる。アルコール又はアルコールと水との混合物をベースとするもののような、非水性又は部分的にのみ水性のコーティング組成物もまた、本明細書に開示される発明の観点から好適である。
【0032】
バリア性分散コーティングは、ビニルアルコールポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルアルコール(PVOH)及びエチレンビニルアルコール(EVOH)からなる群から選択されるポリマー、デンプン、デンプン誘導体、ナノフィブリルセルロース/ミクロフィブリルセルロース(NFC/MFC)、ナノ結晶セルロース(NCC)、及びそれらの2種以上のブレンドからなる群から選択されるポリマーを含んでもよい。
【0033】
バリア分散コーティングは、バリア材料の乾燥重量を基準として、0.2~5g/m2、例えば0.5~4g/m2、例えば0.5~3.5g/m2、又は例えば1~3g/m2の量で、分散コーティング又は溶液コーティングによって適用してもよい。
【0034】
低乾燥含量ポリマー分散液又は溶液組成物のコーティングに適したプロセスは、広義には、グラビアロールコーティング、エアスプレー、エアレススプレー、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ブラシコーティング法など、適切なあらゆる湿式コーティング法である。
【0035】
バリア性分散コーティング組成物は、ビニルアルコールモノマー、すなわちポリビニルアルコール(PVOH)及びエチレンビニルアルコール(EVOH)をベースとする、分散コーティングに適した2つの最も一般的なタイプのポリマー及びコポリマーをベースとすることができる。
【0036】
ガスバリアポリマーは、PVOHであることが好ましい。なぜなら、PVOHは、良好なフィルム形成特性、ガスバリア特性、コスト効率、食品適合性、及び臭気バリア特性を提供するためである。
【0037】
PVOHベースのガスバリア性組成物は、PVOHのケン化度が少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%である場合に最良の性能を発揮するが、ケン化度がより低いPVOHでも酸素バリア性を発揮する。
【0038】
一方、EVOHはエチレンモノマー単位からなるコポリマーであるため、バリア材料にある程度の耐湿性を与えることで有利になる場合がある。エチレンモノマーユニットの量はEVOHグレードの選択によって異なるが、純粋なPVOHと比較して、その存在は酸素バリア性を犠牲にすることになる。従来のEVOHポリマーは、通常、押出成形用であり、3.5g/m2以下の薄い液膜コーティングバリアフィルムを製造するために、水性媒体中に分散又は溶解することは不可能である。このようなEVOHは、水分散性であるために、かなり多量のビニルアルコールモノマー単位からなり、その特性は、PVOHの液体フィルムコーティンググレードにできるだけ近いものであるべきである。押し出されたEVOH層は、好ましくはポリオレフィンベースフィルム上のスキン層として、ポリマー基材フィルムに組み込むことができる。
【0039】
バリア分散コーティング組成物は、乾燥コーティング重量を基準にして約1~約20重量%の無機層状化合物、例えばベントナイトなどの剥離されたナノクレイ粒子をさらに含んでもよい。このように、バリア層は、乾燥コーティング重量に基づいて約99~約80重量%のポリマーを含んでもよい。
【0040】
したがって、バリア性分散コーティングは、乾燥重量で0.2~4g/m2、より好ましくは0.5~4g/m2、例えば0.5~3.5g/m2、例えば1~3g/m2の総量で塗布してもよい。0.2g/m2以下では、ガスバリア性は全く達成されず、3.5g/m2を超えると、一般にバリア性ポリマーのコストが高く、液体を蒸発させるためのエネルギーコストが高いため、コーティングは包装用ラミネートにコスト効率をもたらさない。PVOHは、0.5g/m2以上で認識できるレベルの酸素バリア性を達成し、0.5~3g/m2の間で、バリア性とコストの良好なバランスが通常達成される。
【0041】
バリア分散コーティングは、2つのパート層として、中間乾燥を伴う2つの連続したステップで適用されてもよい。2つのパート層として適用される場合,各層は,好適には0.2~2g/m2,好ましくは0.5~1.5g/m2の量で塗布され,より少ない量の液体ガスバリア組成物から,より高品質の総層を得ることができる。より好ましくは、2つの部分層は、それぞれ0.5から1.5g/m2の量で塗布される。
【0042】
基板はまた、その第1面の表面上に、金属、金属酸化物、無機酸化物及び非晶質ダイヤモンドライクカーボンコーティングから選択されるガスバリア材料の蒸着コーティングを有してもよい。蒸着コーティングは、物理蒸着法(PVD)又は化学蒸着法(CVD)、例えばプラズマエンハンスト化学蒸着法(PECVD)によって施してもよい。より具体的には、PVDコーティングプロセスによって塗布されるアルミニウム蒸着コーティング及び酸化アルミニウム(AlOx)からなる群から選択してもよい。好ましくは、アルミニウム金属化コーティングである。PVDプロセスは、アルミニウム又は酸化アルミニウムAlOxなどの金属蒸着に使用され、非晶質炭素及びダイヤモンドライクカーボン蒸着は、CVD又はPECVDプロセスによって提供される。
【0043】
紙又はセルロース系材料シートの基材は、第1の表面上に、水性ガスバリア組成物の分散液又は溶液の塗布及びその後の乾燥によって形成されたガスバリア材料の第1の分散コーティングと、第1のバリア分散コーティング上に塗布された、金属、金属酸化物、無機酸化物及び非晶質ダイヤモンドライクカーボンから選択されるガスバリア材料の蒸着コーティングとを有してもよい。
【0044】
バリアコーティングされたセルロース系基材は、その上側表面に蒸着コーティングによってガスバリア材料を2~80nm、例えば2~50nm、例えば2~45nmの厚さにコーティングしてもよい。
【0045】
最終的に基板の上面側にコーティングされる蒸着バリアコーティングは、物理蒸着(PVD)又は化学蒸着(CVD)、例えばプラズマエンハンスト化学蒸着(PECVD)によって適用してもよい。しかし、後者のプロセスは、ポリマーフィルム基板に特に適している。
【0046】
一般に、5nm以下の厚さではバリア性が低すぎて有用でない場合があり、200nm以上、例えば100nm以上、例えば50nm以上では、蒸着コーティングの種類にもよるが、バリアコーティングの柔軟性が低下するため、可撓性基材に塗布した場合に割れやすくなり、コストも高くなる。
【0047】
蒸着コーティングの他の例は、酸化アルミニウム(AlOx、Al2O3)及び酸化ケイ素(SiOx)コーティングである。一般的に、このような酸化物のPVDコーティングはより脆く、ラミネートによる包装材料への組み込みには適していない。
【0048】
通常、アルミニウムの金属化層は、使用される金属化コーティングプロセスの性質により、本質的に酸化アルミニウムからなる薄い表面部分を有する。
【0049】
アルミニウム蒸着層は、光学濃度(OD)が1.8~3.0、さらには3.5、例えば1.8~3.0、例えば1.8~2.5、好ましくは1.9~2.2となるように塗布してもよい。光学濃度が1.8未満では、金属化フィルムのバリア性が低すぎる場合がある。一方、3.5以上、例えば2.5以上では、金属化層が脆くなることがあり、また、基材フィルムを長時間金属化する際に熱負荷が高くなるため、金属化工程中の耐熱性が低くなる。その結果、塗膜品質や密着性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0050】
他のコーティングは、プラズマエンハンスト化学気相成長法(PECVD)により行うことができ、多かれ少なかれ酸化的な環境下で化合物の蒸気を基板上に堆積させる。例えば、酸化ケイ素コーティング(SiOx)もPECVDプロセスによって適用され、特定のコーティング条件とガスレシピの下で非常に優れたバリア特性を得ることができる。
【0051】
DLCは、ダイヤモンドの典型的な特性の一部を示す非晶質炭素材料(ダイヤモンドライクカーボン)の一種を定義する。好ましくは、アセチレン又はメタンなどの炭化水素ガスが、PECVD真空プロセスによって適用される非晶質水素化炭素バリア層のコーティング、すなわちDLCを製造するためのプラズマのプロセスガスとして使用される。真空下でPECVDにより塗布されたDLCコーティングは、ラミネート包装材料中の隣接するポリマー層又は接着剤層に対して良好な接着性を提供する。特に、ポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリエチレンをベースとする共重合体では、隣接するポリマー層との良好な接着性が得られる。
【0052】
本発明のラミネート包装材料料の一実施形態では、スリットは膜の中央に配置されている。この設計は、例えばストローを用いた貫通時に材料が容易に側方に変位することができるため、必要な貫通力を低くすることに寄与する。スリットの位置とは、スリットによって覆われる面積の中心と、バルク層のそれぞれの貫通孔の領域の中心との相対的な位置を指す。円又は半円の場合、領域の中心は、本明細書では、それぞれ、前記円又は前記半円に部分的に囲まれた領域として定義される。
【0053】
スリットは、好ましくは、材料を除去するのではなく、材料の分離を形成するように向けられた作用によって提供される。スリットを設けるのに適した技術は、例えば、レーザー、ナイフ又は鋭利な刃物による切断、又はスパーク処理の適用である。
【0054】
スリットは、所望の貫通力に応じて、また、関連する開口装置(例えば、紙ストロー、プラスチックストローなど)に応じて、異なる形状を有し得る。一般に、スリットの設計はOTRと貫通力のトレードオフによって決定される。OTRが最小であれば、最小のスリットが必要となり、貫通力が最小であれば、かなり広範なスリットが必要となる。しかし、ある程度の貫通力があれば意図しない開封を効果的に防ぐことができるため、貫通力を最小にすることは通常望まれていない。
【0055】
貫通力は通常、連続的な二重ピーク挙動を示す。ストローで包装材料を貫通させる場合、包装材料の第1層を貫通させるために第1の貫通力が必要である。次に、ストローをスリットから押し出すために第2の貫通力が必要となり、ストローの周囲で包装材料のたわみが発生する。紙製ストローの一般的な使用は、プラスチック製ストローと比較してさらなる課題をもたらす。一方では、紙製ストローはプラスチック製ストローほど鋭利ではないため、包装材料の第1層を押し切るために、より高い第1の貫通力を必要とする。一方、紙製ストローはプラスチック製ストローに比べて直径が大きいことが多く、圧縮されにくいため、より高い第2の貫通力を必要とする。
【0056】
本発明者らは、好ましい実施形態において、スリットは一方向に非常に狭いが、別の長手方向、垂直方向には伸びていることに気付いた。この「狭い」寸法は、例えば、鋭利なカッティングナイフや集光レーザービームによって達成される。スリットの長手方向の延長により、包装材料、特にバリアフィルム又はシートは、ストローが包装材料を貫通するために十分に容易に分離することができる。
【0057】
スリットは機械方向に延びてもよい。これにより、包装材料の運きによりスリットが所望の延長を引き起こすため、スリット工具は少なくとも長手方向に静止させることができる。
【0058】
本発明のラミネート包装材料の一実施形態では、バリアフィルム又はシートには、少なくとも2つの交差するスリットが設けられている。これにより、必要な貫通力が著しく低減される。好ましくは、スリットは十字形である。実験では、十字の場合、必要な貫通力は約5Nまで低減でき、同時にOTRは0.006cm3/部分に抑えることができた。
【0059】
さらに、十字形の各スリットは、ラミネート包装材料の長手方向の延長線、又は機械方向に対して角度を付けてもよい。長手方向の延びに関しては、ラミネート包装材料は通常、製造方向又は機械方向とも呼ばれる材料供給方向を有する連続工程で製造されることを理解しなければならない。本明細書では、ラミネート包装材料の長手方向の延びは、機械方向に平行であると定義する。しかしながら、ラミネート包装材料の長手方向延在部は、最終の包装容器の長手方向延在部に対して90°配向していてもよいことに留意すべきである。場合によっては、単一の包装容器を形成することを意図したラミネート包装材料のウェブの領域は、最終の包装容器の意図した長手方向延在部が機械横方向、すなわち機械方向に対して垂直な方向と整列するように配向される。
【0060】
十字形を製造する際、それぞれの切削工具は、ワークピースと相対的に移動する際に機械方向から離れる必要がある。従って、ラミネート包装材料を製造工程で速く移動させればさせるほど、例えば機械方向と直角方向に延びるスリットを形成するために、機械方向に対する切削工具の移動を適合させるための制御要件が高くなる。このため、例えば、製造方向に直交する(90度の角度を意味する)1つのスリットと、機械方向に平行な(0度の角度を意味する)交差する1つのスリットとからなる対称十字形を製造することがより困難になる。しかしながら、両方のスリットが機械方向に対して角度が付けられている場合、例えば、それぞれが45度である場合、これらのスリットを製造するための機械方向に対する切削工具の移動のための制御要件は、切削工具によっては、いくつかの実施形態において低減することができる。同時に、例えば、両方のスリットが垂直に交差する、つまりX型の形状で、対称的な十字を製造することができる。
【0061】
本発明のラミネート包装材料料の一実施形態では、スリットは半円形である。スリットは、例えば、円の4分の1、円の3分の1又は半円、並びに、例えば円の3分の2又は円の4分の3の形状を含んでもよい。半円の直径は、好ましくは既知のストローの直径に相当し、例えば直径6mmである。半円は、換言すれば、単一又は複数の断続された円を意味し、好ましくは半円の形状を含む。実験では、半円の場合、必要な貫通力は約5Nまで低減でき、同時にOTRは0.006cm3/部分に抑えられた。
【0062】
本発明のラミネート包装材料料の一実施形態では、スリットは、少なくとも1つの直線又はドットミシン目の形態である。これは、単一の直線又は単一のドットミシン目を形成することによって行うことができ、これは、少なくともレーザー切断によって行われる場合には、製造の観点から最も好ましい解決策である。スリット又はドットのミシン目は、材料の機械方向に入れる必要がある。しかし、どちらの方法も、ミシン目タイプのスリットを作るために使用できる。ミシン目タイプのスリット(一実施形態では、比較的短く長手方向に整列した複数の直線からなるスリット)を用いた実験の場合、必要な貫通力を約8Nまで下げることができ、同時にOTRを0.003cm3/部分に抑えることができた。
【0063】
上述した他の形状も、ドットミシン目及び/又は直線の並びによって形成され得ることに留意されたい。例えば、円はドットミシン目、曲線又は直線の並びによって形成することができる。
【0064】
本発明の別の態様は、液体食品を包装するためのラミネート包装材料の製造方法に関する。この方法は、特に、本明細書に記載される本発明のラミネート包装材料に対応することができ、したがって、そのラミネート包装材料に関して開示されるすべての方法に関連する態様を意味し、その逆も同様である。
【0065】
本発明の方法は、
-少なくとも1つの貫通孔を有する紙又は板紙、その他のセルロース系材料のバルク層を提供する、
-バリアフィルム又はシートが、バルク層の少なくとも1つの貫通孔を覆う膜部分を形成するように、少なくとも比例的に非金属のバリアフィルム又はシートを前記バルク層にラミネートする、
-膜部分のバリアフィルム又はシートに少なくとも1つのスリットを設ける、
-バルク層の外側に第1の最外液密層を積層して、包装材料から形成された包装容器の外側を構成する、
-バリアフィルム又はシートの内側に、充填された食品と直接接触するように、第2の最内液密層を積層し、第1の最外液密層、第2の最内液体層、及びバリアフィルム又はシートが、少なくとも1つの貫通孔の領域で積層膜を形成する、
ことを備える。
【0066】
少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシートとは、この文脈では、非金属のバリアフィルム又はシート、あるいは5質量%以下の金属含有量を有するバリアフィルム又はシートと解釈されるべきである。
【0067】
第1の液密層と第2の液密層をバルク層の内外に積層する前に、バリア性フィルム又はシートをバルク層に積層することが好ましい。特に好ましいのは、スリットを製造した後に、バルク層の内側と外側に第1の液密層と第2の液密層を積層することである。これは、特に非金属材料の場合、バリアフィルム又はシートの完全性の維持に有益である。ラミネートの用語は、ホットメルト又はスプレー技術なども含む。
【0068】
好ましくは、ラミネート包装材料は、連続プロセスで、又はウェブが製造される方法で製造される。その後、前記ウェブを断片に切断して、前記断片から様々な包装容器を製造することができる。その場合、バルク層に複数の貫通孔を設けることが好ましく、好ましくは、製造される各包装容器に対して1つの貫通孔を設ける。
【0069】
本発明の方法の一実施形態では、バリアフィルム又はシートをバルク層にラミネートするステップは、押し出しラミネート又はウェットラミネートによって行われる。
【0070】
好ましくは、バリア性フィルム又はシートをバルク層にラミネートする工程は、本発明方法においてスリットを形成する前に行われる。したがって、スリットを貫通孔内に正確に配置することができ、接着剤のような押し出しラミネート工程又はウェットラミネート工程で添加される材料は、バリアフィルム又はシート又はバルク層を通過しない。これにより、ラミネートに使用されるニップローラーなどの各製造装置の汚染を効果的に防止できる。
【0071】
本発明の方法の一実施形態では、膜部分のバリアフィルム又はシートに少なくとも1つのスリットを設けるステップは、レーザー切断、及び/又は機械的切断によって行われる。スリットを設けるための他の可能なツール及び技術には、スパーク又は放電切断及び/又はエアジェット切断が含まれる。
【0072】
製造方向に1本のスリットを設ける場合、いずれの変形例も特に効率的である。レーザー切断は、柔軟な形状の1つ又は複数のスリットを効率的に作成するのに特に適している。この柔軟性のおかげで、機械的切断では機械的切断工具全体を交換する必要があるのに対し、レーザー切断は、生産中にあるパッケージの形式から別の形式に変更する場合の迅速な再構成にも適している。レーザー切断では、スリットを貫通孔内に正確に配置することも可能で、この貫通孔の直径は例えばわずか6mmである。スリットの形状を選択する際には、バルク層とバリアフィルム又はシートに巻き込まれたままになる可能性のある空気を排出できることを考慮する必要があることに留意されたい。
【0073】
一方、ナイフやミシン目ナイフなどによる機械的切断は、低い技術労力で行うことができる。
【0074】
本発明の方法の一実施形態では、少なくとも1つのスリットは、バリアフィルム又はシートを完全に又は部分的に貫通して延びている。例えば、スリットは、バリアフィルム又はシートを50%以上の範囲でのみ貫通して延びるように設けることができ、それによって、バリアフィルム又はシートを完全に貫通することなく局所的な弱化を提供する。このようにして、選択された異なる材料に関して、開放性、それぞれ必要な貫通力の低減を柔軟に適合できる。
【0075】
本発明の方法の一実施形態では、少なくとも1つのスリットは、ラミネート包装材料の長手方向及び/又は横方向に延びる。
【0076】
特に、少なくとも1つのスリットが少なくともある程度長手方向に延びていれば、本発明のラミネート包装材料料に関して上述したように、製造労力が著しく低減される。これは、製造工程が連続工程である場合に特に有利である。
【0077】
最外の液密層も主層のスリット又は穿孔によって切り裂かれる場合、後者は、充填機で包装容器を形成した後に、PVOH、EVOH又はPAのようなバリアポリマーの水性分散液などによって局所的にコーティングされてもよい。
【0078】
本発明の別の態様は、本発明のラミネート包装材料料からなる、及び/又は本発明の方法で製造されたラミネート包装材料料からなる、包装容器に関する。
【0079】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0080】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図2】液体食品包装用ラミネート包材の一実施形態を断面図で示し、それぞれの製造方法を示す。
【
図3】スリットの代替変形によるラミネート包装材料の異なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1を参照すると、液体食品12用の本発明の包装容器10の実施形態が示されている。例えば、さらに特定されないパッケージ製造機14は、本発明のラミネート包装材料16(
図2及び
図3参照)を供給し、そこから本発明の包装容器10を製造することができる。本発明の包装容器10は、例えば、液体食品12を充填した後、それぞれの切断・密封手段18によって本発明ラミネート包装材料16を切断・密封することによって製造することができる。
【0083】
図2を参照すると、液体食品12(
図1に示す)を包装するための本発明ラミネート包装材料16の実施形態が断面図で示されている。前記ラミネート包装材料料16は、本質的に、紙又は板紙又は他のセルロース系材料のバルク層20と、バルク層20の外側に配置され、包装材料16から形成された包装容器10(
図1に示す)の外側を構成する第1の最外液密層22と、バルク層20の内側に配置され、充填された食品12(
図1に示す)と直接接触する第2の最内液密層24と、バルク層20と第2の最内液密層24との間に積層された少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシート26とを備え、バルク層20には少なくとも1つの貫通孔28が設けられ、貫通孔28の領域で第1の液密層22、第2の液密層24、及びバリアフィルム又はシート26が積層膜30を形成している。
【0084】
本発明のラミネート包装材料16によれば、膜30のバリアフィルム又はシート26には、少なくとも1つのスリット32が設けられている。
【0085】
スリット32は、膜30のバリアフィルム又はシート26を部分的に又は完全に貫通して延びていてもよく、後者は
図2に例示的に示されていることに留意されたい。
【0086】
さらに、少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシート26は、完全に非金属材料を含んでもよいことに留意されたい。その場合、金属を含まないバリア材料34からなる単層で実現することができる。
【0087】
あるいは、スリット又はドットの穿孔は、基材フィルム又はシート層を部分的に又は完全に貫通して延びてもよく、このような場合、これらの層は弱められるが、バリアコーティング又は表皮層は貫通しないため、薄い又はコーティングされたバリアコーティング又はバリア層はそのまま残る。
【0088】
第1最外液密層22と第2最内液密層24は、好ましくは、ただし任意で、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂層である。
【0089】
いくつかの実施形態では、膜30の外側は、スリット32によって弱められた領域における膜30の酸素バリアをさらに強化するために、例えば、第1の最外液密層22上にコーティングされた追加のバリア材料が提供され得る。このようなバリア材料は、例えばPVOH又は他のタイプの適切な材料であり得る。装飾層がバルク層20上に予め印刷され、最外液密層22にもスリット32が設けられているシステムでは、追加のバリア材料は、露出し得るスリット32を覆うように充填機内で塗布され得る。
【0090】
図2に例示的に示すように、少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシート26は、複合材料として具現化してもよく、したがってそれぞれ2つ以上の層を含んでもよい。
図2の例では、バリアフィルム又はシート26は、バリア材料34でコーティングされている基材層36を含む。この場合、基材層36が非金属材料でできているので、バリア材料34は金属材料を含むか、金属材料から構成される。しかしながら、非金属材料の量は、金属材料の量に対して非常に多くなければならない。
【0091】
単なる好ましい例として、基材層36は、プラスチック、紙又はセルロース系材料を含む非金属材料で作られる。単なる好ましい例として、バリア材料34はアルミニウムを含む。しかしながら、バリア材料34の厚さは、この例では好ましくは60nmのみであるのに対し、基材層36の厚さは、好ましくは12μmより大きい。したがって、この例では、金属材料の量は非金属材料の量の1vol%を超えず、そのために比較的非常に少ない。
【0092】
図2から分かるように、スリット32は膜30の中央に配置されており、これは例えばレーザー切断によって特に良好に製造可能である。
【0093】
本発明のラミネート包装材料16は、
図2に示すように、本発明の方法で製造することができる。
【0094】
前記方法の第1のステップ1において、紙又は板紙又は他のセルロース系材料からなるバルク層20に、少なくとも1つの貫通孔28を設ける。
【0095】
第2のステップ2において、少なくとも割合的に非金属のバリアフィルム又はシート26を、バリアフィルム又はシート26がバルク層20の少なくとも1つの貫通孔28を覆う膜部38を形成するように、バルク層20に積層する。
【0096】
第3のステップ3において、膜部分38のバリアフィルム又はシート26に、少なくとも1つのスリット32が設けられる。
【0097】
第4のステップ4において、包装材料16から形成された包装容器10(
図1に示す)の外側を構成するように、バルク層20の外側に第1の最外液密層22を積層し、充填された食品12(
図1に示す)と直接接触するように、バルク層20の内側に第2の最内液密層24を積層する。第1の液密層22、第2の液密層24、及びバリアフィルム又はシート26が一緒になって、少なくとも1つの貫通孔28の領域で積層膜30を形成する。
【0098】
ステップ2については、押出ラミネート又はウェットラミネートによって、バリアフィルム又はシート26をバルク層20にラミネートすることが好ましい。
【0099】
好ましくは、ステップ3において、膜部分38のバリアフィルム又はシート26には、レーザー切断によって少なくとも1つのスリット32が設けられる。従って、
図2では単なる例として1つのスリットであるスリット32を、貫通孔28内に正確に配置することができる。
【0100】
図2からわかるように、スリット32は、例示的にバリアフィルム又はシート26を完全に貫通して延びている。
【0101】
ここで、
図3をさらに参照しながら、ラミネート包装材料16の異なる実施形態について、特にスリット32の好ましい変形例に焦点を当ててさらに詳細に説明する。
【0102】
この目的のために、機械方向40が定義され、
図1、
図2及び
図3に図示されている。機械方向40とは、ラミネート包装材料16が、言い換えれば機械方向40である材料供給方向を有する連続プロセスで通常製造されることを意味する。それに基づいて、ラミネート包装材料料16の長手方向40は、機械方向40と平行であることが達成される。よく知られているように、平行な方向ベクトルは、それらが依然として同じ方向を向いている限り、互いに相対的にシフトすることができる。それに基づいて、以下の説明では、機械方向40と長手方向40との間にそれ以上の違いはなく、それらの等価性を強調するために同じ参照符号40が使用される。
【0103】
図3の上部はラミネート包装材料16を示しているが、第1の最外液密層22と第2の最内液密層24は図示されていない。
【0104】
図3の下部には、スリット32のさまざまな変形例が示されている。図示された変形例は、代替案であってもよいし、任意の組み合わせで使用されてもよい。スリット32は、詳細Dに従って、
図3の上部の貫通孔28の上部の図に示されており、当該図は
図3の下部に投影されている。
【0105】
詳細Dに示す代替実施形態では、スリット32は、例えば本発明の方法のステップ3において、少なくとも1つのスリット32がラミネート包装材料16の長手方向40及び/又は横方向に延びるように製造されている。横方向は、それに応じて、この長手方向40に垂直に延びている。
【0106】
一実施形態では、スリット32は、好ましくは直線として製造されるミシン目タイプのスリット42によって形成される。別の実施形態では、スリット32は単一の直線44によって形成される。別の例として、スリット32はまた、単一の穿孔ドット46又はそのような穿孔ドット46(図示せず)によって形成されるタイプのスリット42によって形成されてもよい。ミシン目ドット46に関しては、数学的なドットを指すのではなく、長手方向40及び横方向にも延びる製造可能なドット46を指すことを理解されたい。
【0107】
別の実施形態では、膜部分38のバリアフィルム又はシート26は、少なくとも2つの交差するスリット48を備える。例えば、交差するスリット48は、十字形50の形態であってもよい。例えば、十字形50のスリット48の一部は、十字形52及び54の場合に示されるように、ラミネート包装材料料16の長手方向延長部40に対して角度をなしていてもよい。十字形52の場合、1つのスリット48(水平に示されている)のみが長手方向延長部40に対して角度を付けられている。さらに、十字形54の場合に示すように、十字形54のすべてのスリット48が、長手方向延長部40に対して角度を付けてもよい。
【0108】
他の実施形態では、スリット32はZ字形55a又はT字形55bの形態を有する。
【0109】
最後に、別の実施形態では、単に例として半円58である半円タイプのスリット56が設けられている。
【0110】
説明した実施例のすべての形状は、1つ又は複数の直線44、ドット46、又は曲線60を適切に使用することによって形成されてもよい。
【0111】
以上の説明から、本発明の様々な実施形態を説明し示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に定義される主題の範囲内で他の方法で具体化してもよい。
【国際調査報告】