(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】超音波イメージングにおける血管の自動化リアルタイム検出、輪郭描写、追跡、及び特性評価のためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/06 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61B8/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508924
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 US2021048051
(87)【国際公開番号】W WO2023027733
(87)【国際公開日】2023-03-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523337351
【氏名又は名称】エグゾ イメージング、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ヨンギイ
(72)【発明者】
【氏名】ワーニック、マイルス エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ボウマン、ジョナサン エー.
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB02
4C601DD01
4C601DD03
4C601DD14
4C601DE04
4C601DE05
4C601JB16
4C601JC06
4C601JC37
4C601KK02
4C601KK31
(57)【要約】
装置、方法、及びコンピュータ実装媒体。前記装置は、超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行し、前記アルゴリズムは、現在時刻におけるディスプレイ上の現在の超音波画像フレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;前記現在時刻よりも前の時刻における前記ディスプレイ上の前の超音波画像フレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;前記現在の超音波画像フレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び前記現在の血管パラメータ、前記前の血管パラメータ、及び前記現在の流動データに基づいて前記血管を検出及び追跡することを含む;且つ所定の異物によるアクセスに対する前記血管の適合性に関する情報を決定し、前記ディスプレイを含むユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイスの装置であって、
メモリ、及び前記メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサを備えるコンピューティングデバイスの装置であって、前記1つ又は複数のプロセッサは、
超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行し、前記アルゴリズムは、
現在時刻におけるディスプレイ上の現在の超音波画像のフレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;
前記現在時刻よりも前の時刻における前記ディスプレイ上の前の超音波画像のフレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;
前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び
前記現在の血管パラメータ、前記前の血管パラメータ、及び前記現在の流動データに基づいて前記血管を検出及び追跡すること
を含む;且つ
所定の異物によるアクセスに対する前記血管の適合性に関する情報を決定し、前記ディスプレイを含むユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる、
装置。
【請求項2】
前記現在の流動データは、現在のドップラー流動データに対応し、前記超音波画像は、二次元超音波画像である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像のフレームと同じ視野についての前記現在の流動データを決定すること、及び前記同じ視野より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することの中から選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ又は複数のプロセッサは、画像生成の開始時に前記同じ視野についての前記現在の流動データを決定することを選択し、続いて、前記より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することを選択する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記より小さい視野は、前記同じ視野の左端、右端、下端、又は上端のうちの少なくとも1つまでの所定の数の画像画素を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記ユーザインタフェースデバイスに、前記画像生成中にリアルタイムで前記現在の流動データに関する情報を前記ユーザへ伝達させる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記現在の血管パラメータに関する情報を決定し、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ表示させる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記現在の血管パラメータに関する前記情報は、前記現在の超音波画像のフレーム上の前記血管の境界の輪郭、及びその中心の位置又はその直径のうちの少なくとも一方を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記血管検出アルゴリズムの実行中に前記所定の異物によるアクセスに対する前記血管の前記適合性に関する前記情報を前記ユーザへ表示させる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記ユーザによる前記所定の異物の種類の選択に対応する信号を前記ユーザインタフェースデバイスから受信することによって前記所定の異物の前記種類を決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記メモリにアクセスして、そこから前記血管パラメータのうちの1つ又は複数、及び前記所定の異物の1つ又は複数の属性の間の相関関係を含む情報を読み取り;且つ
前記所定の異物の前記1つ又は複数の属性に関する情報を、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ伝達させる、
請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記血管パラメータは、血管寸法、血管流体流速、血管脈動性、血管圧縮性、又は血管輪郭のうちの1つ又は複数を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
現在の血管パラメータを決定することは、前記現在の超音波画像のフレーム内の所定の形状を識別すること、及び前記所定の形状の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記候補血管シード位置に対応する前記現在の流動データを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動を識別すること、及び前記血管流体流動の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記現在の血管パラメータを決定すること、及び前記候補血管シード位置における前記前の血管パラメータを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記前の血管パラメータを決定することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記前の超音波画像のフレーム内の血管境界を決定すること;及び
前記血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記前の血管品質スコアを決定し;且つ
前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に基づいて前記血管を検出する、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記前の血管パラメータを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;
前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の血管パラメータの予測を生成すること;及び
前記現在の血管パラメータ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出すること
によって前記追跡のアルゴリズムを実行する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記前の血管パラメータを使用することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記前の超音波画像のフレーム内の前の血管境界を決定すること;及び
前記前の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記前の血管品質スコアを決定し;且つ
前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に応答して、前記血管境界の位置を前記候補血管シード位置として識別する、
請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記現在の血管パラメータを決定することは、現在の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記現在の超音波画像のフレーム内の現在の血管境界を決定すること;及び
前記現在の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記現在の血管品質スコアを決定し;且つ
前記現在の血管品質スコアが前記事前定義された品質スコア閾値を下回っているという判定に応答して、前記現在の流動データを決定する、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記前の超音波画像のフレームに基づく前の流動データを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;
前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の流動データの予測を生成すること;及び
前記現在の流動データ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出すること
によって前記追跡のアルゴリズムを実行する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記画像生成に対応する候補血管シード位置のリスト、及び前記候補血管シード位置のそれぞれについての最大流動振幅のリストを前記メモリに記憶させ、ここで、前記現在の流動データを決定することは、前記候補血管シード位置のそれぞれの少なくともいくつかに対応するそれぞれの複数の現在の流動データを決定することを含む、請求項14から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像のフレーム内の前記血管を検出するために複数の前の超音波画像のフレームを共同分析すること、You Only Look Once(YOLO)アルゴリズムのマルチチャネル実装の使用、又は畳み込みニューラルネットワーク及び長・短期記憶ネットワークの組み合わせを含むアルゴリズムの使用のうちの一方を含めて共同分析することによって前記追跡のアルゴリズムを実行する、請求項16から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記血管内の流動の周期的挙動の分析に基づいて前記血管の圧縮性又は前記血管の脈動性のうちの少なくとも一方を決定することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の画像フレーム内の血管のペア間の距離を更に計算することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記1つ又は複数のプロセッサは、連続的な超音波画像のフレーム間のような前記血管の近くの空間的運動に関するデータを分析すること、又は前記血管の壁の動きの局所的分析を実行することによって前記脈動性を決定する、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記血管の圧縮レベルに基づく空間検索範囲を使用することによって前記現在の血管パラメータ又は前記前の血管パラメータのうちの少なくとも一方を決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
表示デバイスを有するユーザインタフェースデバイス;及び
前記ユーザインタフェースデバイスに通信可能に結合されたコンピューティングデバイス
を備え、
前記コンピューティングデバイスは、メモリ、及び前記メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサを有し、前記1つ又は複数のプロセッサは、
超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行し、前記アルゴリズムは、
前記ディスプレイ上の現在の超音波画像のフレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;
前記画像生成中の現在時刻よりも前の時刻における前記ディスプレイ上の前の超音波画像のフレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;
前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び
前記現在の血管パラメータ、前記前の血管パラメータ、及び前記現在の流動データに基づいて前記血管を検出及び追跡すること
を含む;且つ
所定の異物によるアクセスに対する前記血管の適合性に関する情報を決定し、前記ユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる、
システム。
【請求項27】
前記現在の流動データは、現在のドップラー流動データに対応し、前記超音波画像は、二次元超音波画像である、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像のフレームと同じ視野についての前記現在の流動データを決定すること、及び前記同じ視野より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することの中から選択する、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記1つ又は複数のプロセッサは、画像生成の開始時に前記同じ視野についての前記現在の流動データを決定することを選択し、続いて、前記より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することを選択する、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記より小さい視野は、前記同じ視野の左端、右端、下端、又は上端のうちの少なくとも1つまでの所定の数の画像画素を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記ユーザインタフェースデバイスに、前記画像生成中にリアルタイムで前記現在の流動データに関する情報を前記ユーザへ伝達させる、請求項26に記載のシステム。
【請求項32】
前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記現在の血管パラメータに関する情報を決定し、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ表示させる、請求項26に記載のシステム。
【請求項33】
前記現在の血管パラメータに関する前記情報は、前記現在の超音波画像のフレーム上の前記血管の境界の輪郭、及びその中心の位置又はその直径のうちの少なくとも一方を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記血管検出アルゴリズムの実行中に前記所定の異物によるアクセスに対する前記血管の前記適合性に関する前記情報を前記ユーザへ表示させる、請求項26に記載のシステム。
【請求項35】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記ユーザによる前記所定の異物の種類の選択に対応する信号を前記ユーザインタフェースデバイスから受信することによって前記所定の異物の前記種類を決定する、請求項26に記載のシステム。
【請求項36】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記メモリにアクセスして、そこから前記血管パラメータのうちの1つ又は複数、及び前記所定の異物の1つ又は複数の属性の間の相関関係を含む情報を読み取り;且つ
前記所定の異物の前記1つ又は複数の属性に関する情報を、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ伝達させる、
請求項26に記載のシステム。
【請求項37】
前記血管パラメータは、血管寸法、血管流体流速、血管脈動性、血管圧縮性、又は血管輪郭のうちの1つ又は複数を含む、請求項26から36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
現在の血管パラメータを決定することは、前記現在の超音波画像のフレーム内の所定の形状を識別すること、及び前記所定の形状の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記候補血管シード位置に対応する前記現在の流動データを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する、請求項26から36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動を識別すること、及び前記血管流体流動の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記現在の血管パラメータを決定すること、及び前記候補血管シード位置における前記前の血管パラメータを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する、請求項26に記載のシステム。
【請求項40】
前記前の血管パラメータを決定することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記前の超音波画像のフレーム内の血管境界を決定すること;及び
前記血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記前の血管品質スコアを決定し;且つ
前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に基づいて前記血管を検出する、
請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記前の血管パラメータを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;
前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の血管パラメータの予測を生成すること;及び
前記現在の血管パラメータ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出すること
によって前記追跡のアルゴリズムを実行する、請求項26に記載のシステム。
【請求項42】
前記前の血管パラメータを使用することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記前の超音波画像のフレーム内の前の血管境界を決定すること;及び
前記前の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記前の血管品質スコアを決定し;且つ
前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に応答して、前記血管境界の位置を前記候補血管シード位置として識別する、
請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記現在の血管パラメータを決定することは、現在の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記現在の超音波画像のフレーム内の現在の血管境界を決定すること;及び
前記現在の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記現在の血管品質スコアを決定し;且つ
前記現在の血管品質スコアが前記事前定義された品質スコア閾値を下回っているという判定に応答して、前記現在の流動データを決定する、
請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記前の超音波画像のフレームに基づく前の流動データを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;
前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の流動データの予測を生成すること;及び
前記現在の流動データ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出すること
によって前記追跡のアルゴリズムを実行する、請求項26に記載のシステム。
【請求項45】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記画像生成に対応する候補血管シード位置のリスト、及び前記候補血管シード位置のそれぞれについての最大流動振幅のリストを前記メモリに記憶させ、ここで、前記現在の流動データを決定することは、前記候補血管シード位置のそれぞれの少なくともいくつかに対応するそれぞれの複数の現在の流動データを決定することを含む、請求項39から44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像のフレーム内の前記血管を検出するために複数の前の超音波画像のフレームを共同分析すること、You Only Look Once(YOLO)アルゴリズムのマルチチャネル実装の使用、又は畳み込みニューラルネットワーク及び長・短期記憶ネットワークの組み合わせを含むアルゴリズムの使用のうちの一方を含めて共同分析することによって前記追跡のアルゴリズムを実行する、請求項41から43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記血管内の流動の周期的挙動の分析に基づいて前記血管の圧縮性又は前記血管の脈動性のうちの少なくとも一方を決定することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する、請求項26に記載のシステム。
【請求項48】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の画像フレーム内の血管のペア間の距離を更に計算することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記1つ又は複数のプロセッサは、連続的な超音波画像のフレーム間のような前記血管の近くの空間的運動に関するデータを分析すること、又は前記血管の壁の動きの局所的分析を実行することによって前記脈動性を決定する、請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記血管の圧縮レベルに基づく空間検索範囲を使用することによって前記現在の血管パラメータ又は前記前の血管パラメータのうちの少なくとも一方を決定する、請求項26に記載のシステム。
【請求項51】
メモリ、及び前記メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサを含むコンピューティングデバイスにおいて実行される方法であって、前記方法は、
超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行する段階、前記アルゴリズムは、
ディスプレイ上の現在の超音波画像のフレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;
前記画像生成中の現在時刻よりも前の時刻における前記ディスプレイ上の前の超音波画像のフレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;
前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び
前記現在の血管パラメータ、前記前の血管パラメータ、及び前記現在の流動データに基づいて前記血管を検出及び追跡すること
を含む;且つ
所定の異物によるアクセスに対する前記血管の適合性に関する情報を決定し、前記ディスプレイを含むユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる段階
を備える、方法。
【請求項52】
前記現在の流動データは、現在のドップラー流動データに対応し、前記超音波画像は、二次元超音波画像である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記方法は更に、前記現在の超音波画像のフレームと同じ視野についての前記現在の流動データを決定すること、及び前記同じ視野より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することの中から選択する段階を備える、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記方法は更に、画像生成の開始時に前記同じ視野についての前記現在の流動データを決定することを選択し、続いて、前記より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することを選択する段階を備える、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記より小さい視野は、前記同じ視野の左端、右端、下端、又は上端のうちの少なくとも1つまでの所定の数の画像画素を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記方法は更に、前記ユーザインタフェースデバイスに、前記画像生成中にリアルタイムで前記現在の流動データに関する情報を前記ユーザへ伝達させる段階を備える、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記方法は更に、前記現在の血管パラメータに関する情報を決定し、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ表示させる段階を備える、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記現在の血管パラメータに関する前記情報は、前記現在の超音波画像のフレーム上の前記血管の境界の輪郭、及びその中心の位置又はその直径のうちの少なくとも一方を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記方法は更に、前記血管検出アルゴリズムの実行中に前記所定の異物によるアクセスに対する前記血管の前記適合性に関する前記情報を前記ユーザへ表示させる段階を備える、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
前記方法は更に、前記ユーザによる前記所定の異物の種類の選択に対応する信号を前記ユーザインタフェースデバイスから受信することによって前記所定の異物の前記種類を決定する段階を備える、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
前記メモリにアクセスして、そこから前記血管パラメータのうちの1つ又は複数、及び前記所定の異物の1つ又は複数の属性の間の相関関係を含む情報を読み取る段階;及び
前記所定の異物の前記1つ又は複数の属性に関する情報を、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ伝達させる段階
を更に備える、請求項51に記載の方法。
【請求項62】
前記血管パラメータは、血管寸法、血管流体流速、血管脈動性、血管圧縮性、又は血管輪郭のうちの1つ又は複数を含む、請求項51から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
現在の血管パラメータを決定することは、前記現在の超音波画像のフレーム内の所定の形状を識別すること、及び前記所定の形状の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別することを含み、前記方法は更に、前記候補血管シード位置に対応する前記現在の流動データを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する段階を備える、請求項51から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記方法は、前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動を識別すること、及び前記血管流体流動の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別する段階を備え、前記方法は更に、前記現在の血管パラメータを決定すること、及び前記候補血管シード位置における前記前の血管パラメータを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する段階を備える、請求項51に記載の方法。
【請求項65】
前記前の血管パラメータを決定することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記方法は更に、
前記前の超音波画像のフレーム内の血管境界を決定すること;及び
前記血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記前の血管品質スコアを決定する段階;及び
前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に基づいて前記血管を検出する段階
を備える、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記方法は更に、
前記前の血管パラメータを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;
前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の血管パラメータの予測を生成すること;及び
前記現在の血管パラメータ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出すること
によって前記追跡のアルゴリズムを実行する段階を備える、請求項51に記載の方法。
【請求項67】
前記前の血管パラメータを使用することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記方法は、
前記前の超音波画像のフレーム内の前の血管境界を決定すること;及び
前記前の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記前の血管品質スコアを決定する段階;及び
前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に応答して、前記血管境界の位置を前記候補血管シード位置として識別する段階
を備える、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記現在の血管パラメータを決定することは、現在の血管品質スコアを使用することを含み、前記方法は更に、
前記現在の超音波画像のフレーム内の現在の血管境界を決定すること;及び
前記現在の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記現在の血管品質スコアを決定する段階;及び
前記現在の血管品質スコアが前記事前定義された品質スコア閾値を下回っているという判定に応答して、前記現在の流動データを決定する段階
を備える、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記方法は更に、
前記前の超音波画像のフレームに基づく前の流動データを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;
前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の流動データの予測を生成すること;及び
前記現在の流動データ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出すること
によって前記追跡のアルゴリズムを実行する段階を備える、請求項51に記載の方法。
【請求項70】
前記方法は、前記画像生成に対応する候補血管シード位置のリスト、及び前記候補血管シード位置のそれぞれについての最大流動振幅のリストを前記メモリに記憶させる段階、ここで、前記現在の流動データを決定することは、前記候補血管シード位置のそれぞれの少なくともいくつかに対応するそれぞれの複数の現在の流動データを決定することを含む、を備える、請求項64から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記方法は更に、前記現在の超音波画像のフレーム内の前記血管を検出するために複数の前の超音波画像のフレームを共同分析すること、You Only Look Once(YOLO)アルゴリズムのマルチチャネル実装の使用、又は畳み込みニューラルネットワーク及び長・短期記憶ネットワークの組み合わせを含むアルゴリズムの使用のうちの一方を含めて共同分析することによって前記追跡のアルゴリズムを実行する段階を備える、請求項66から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記方法は更に、前記血管内の流動の周期的挙動の分析に基づいて前記血管の圧縮性又は前記血管の脈動性のうちの少なくとも一方を決定することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する段階を備える、請求項51に記載の方法。
【請求項73】
前記方法は更に、前記現在の画像フレーム内の血管のペア間の距離を更に計算することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する段階を備える、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記方法は更に、連続的な超音波画像のフレーム間のような前記血管の近くの空間的運動に関するデータを分析すること、又は前記血管の壁の動きの局所的分析を実行することによって前記脈動性を決定する段階を備える、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記方法は更に、前記血管の圧縮レベルに基づく空間検索範囲を使用することによって前記現在の血管パラメータ又は前記前の血管パラメータのうちの少なくとも一方を決定する段階を備える、請求項51に記載の方法。
【請求項76】
請求項51から75のいずれか一項に記載の方法を実行するための手段を備える装置。
【請求項77】
実行されると1つ又は複数のプロセッサに請求項51から75のいずれか一項に記載の方法を実行させる複数の命令を記憶した1つ又は複数のコンピュータ可読媒体。
【請求項78】
請求項1から25のいずれか一項に記載の装置を備え、前記ユーザインタフェースデバイスを更に備えるイメージングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、一般的に、イメージングデバイス又はプローブについての信号処理の分野、特に、微細超音波トランスデューサ(MUT)を含むものなどの超音波イメージングデバイスについての信号処理の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波イメージングは、医療及び非破壊試験の分野において広く使用される。
【0003】
超音波イメージングプローブ又は超音波イメージングデバイスは、典型的に、画像化される対象に音響エネルギーを放出するとともにその対象から音響エネルギーを受け取るために使用される多くの個々の超音波トランスデューサ(画素)のアレイを含む。反射波形がトランスデューサ(例えば、微細超音波トランスデューサ)によって受信され、電気信号に変換され、更に信号処理されて、画像が作成される。(例えば血流に対する)流体速度及び流体流動の方向も、超音波によって測定又は検出され、超音波イメージングデバイスの操作者に視覚的に提示され得る。この解剖学的な構造及び運動の定量化及び視覚化は、様々な医療診断的適用及び他の医療処置のサポートに利用され得る。
【0004】
最も一般的な医療処置には、抹消挿入式中心静脈カテーテル(PICC)、中心静脈カテーテル(CVC)、及び抹消静脈内(PIV)カテーテルを含む、静脈内カテーテルの留置を伴う処置を含む血管アクセスがある。
【0005】
しかしながら、針の挿入を伴うカテーテル留置は難しい場合があり、複数回の試行を必要とする場合がある。余分な試行は、その都度、患者に不必要な痛み、怪我、及び健康上のリスクを引き起こす可能性があり、一方で、健康管理機関に追加の人件費及び材料費が発生する。不注意で動脈に針が当たると、潜在的に危険な大量の出血が起こる可能性がある。不注意で神経に針が当たると、患者に不必要な痛みを引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態の超音波イメージングデバイスは、静脈内カテーテルの留置をガイドする目的などで、超音波イメージングデバイスのユーザが静脈、動脈、及び神経などの人間又は動物の解剖学的特徴を識別するのを支援するための集合的に又は個々に使用され得るアルゴリズムを含む、1つ又は複数の命令セットにしたがって動作し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の新規の特徴を、添付した特許請求の範囲において詳細に記載する。本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、及び添付の図面(本明細書では「図」とも呼ばれる)を参照することによって、いくつかの実施形態の特徴及び利点がより良く理解されるであろう。
【0008】
【
図1】開示する実施形態に係る、選択的に変更可能な特性を有するイメージングデバイスのブロック図である。
【0009】
【
図2】開示する実施形態に係る、選択的に変更可能な特性を有するイメージングシステムの図である。
【0010】
【
図3】開示する実施形態に係る、選択的に変更可能な特性を有するイメージングデバイスの概略図である。
【0011】
【
図4】いくつかの実施形態に係るタッチスクリーンユーザインタフェース(UI)の実施形態を示す。ユーザインタフェースには、リアルタイムのBモード超音波画像シーケンスが、様々な解釈的オーバーレイ、仮想インジケータライト、測定値、推奨事項、制御、及びパラメータと共に表示される。
【0012】
【
図5】一実施形態に係る、超音波イメージングシステムで実装されるような、血管の検出、輪郭描写、トレース、及び特性評価アルゴリズムの動作をフローチャート形態で示す。
【0013】
【
図6】いくつかの実施形態に係るプロセスのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
いくつかの実施形態は、イメージングデバイス、より具体的には、電子的に構成可能な超音波イメージングデバイスに関する。超音波イメージングデバイスは、人間又は動物の体の内部組織、骨、血流、又は臓器を非侵襲的に画像化するために使用され得る。次に、画像が表示され得る。超音波イメージングを実行するために、超音波イメージングデバイスは、体内に超音波信号を送信し、画像化されている体部位からの反射信号を受信する。そのような超音波イメージングデバイスは、トランスデューサ及び関連電子機器を含み、これらはトランシーバ又はイメージャと称される場合があり、光音響又は超音波の効果に基づく場合がある。そのようなトランスデューサは、画像化に使用されてよく、他の用途にも使用されてよい。例えば、トランスデューサは、医用画像;パイプ、スピーカ、及びマイクアレイ内の流動測定;砕石術;治療のための局所的な組織加熱;及び高密度焦点式超音波(HIFU)手術に使用され得る。
【0015】
例示的な実施形態のみが図示及び説明されている本発明を実施するための形態からは、いくつかの実施形態の追加の態様及び利点が当業者にとって容易に明らかになるであろう。理解されるように、いくつかの実施形態は、他の異なる目標を達成することができ、それらのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することなく、様々な明白な点で修正することができる。したがって、図面及び説明は本質的に例示的なものと見なされるべきであり、限定的なものとして見なされるべきではない。
【0016】
超音波イメージングは、針の挿入前及び挿入中に血管及び神経を直接視覚化することによって血管アクセスの成果を改善するためにますます使用されている。人間による超音波イメージングの解釈は、人間の操作者による画像の解釈が難しいことから、臨床従事者(すなわち、臨床治療の人間の従事者)にとって難解である。したがって、カテーテル留置における超音波の使用は、主に中心線(PICC及びCVC)を留置するというより困難な作業に限定されており、この作業は専門家によって行われることが多く、一方で、看護師によって実行されるより日常的なPIVは、通常、超音波の恩恵を受けずに行われる。しかしながら、経験豊富な人間の従事者であっても、一部の患者における超音波画像の品質によっては、静脈又は動脈を識別するためのそのような画像の解釈を信頼できない可能性がある。
【0017】
本開示は静脈の検出/識別及び静脈の追跡について言及しているが、理解されるべきであり、実施形態はそれに限定されず、流体流動を持続する人間又は動物の血管(以降「流動血管」)の識別をその範囲内に含む。
【0018】
静脈を見つけることに成功すると、静脈の直径を測定しなければならず、妥当なサイズのカテーテルを決定しなければならない。静脈の直径は、典型的に、超音波イメージャの画面上で手書きの「キャリパ」を使用することによって半手動で測定される。妥当なカテーテルのサイズは、通常、式を適用するか又は表で値を調べることによって静脈の直径から決定される。これらのステップには貴重な時間がかかるが、それは、プロセスを自動化することによって回避され得る。
【0019】
全てのユーザにとって、アクセスのために選択された血管が真に静脈であることを確認することは有益である。血栓の影響を受けた静脈へのアクセスを回避するために、静脈が圧縮性であることも証明すべきである。
【0020】
その結果、1)超音波ガイド下血管アクセスのプロセスを簡素化して、経験の浅い従事者がその技術を利用できるようにする;2)既に超音波イメージングの経験がある従事者も含めて、従事者によって達成された成果を改善する;及び、3)処置の完了にかかる時間を短縮する、必要性が存在する。
【0021】
いくつかの実施形態は、超音波イメージャによって生成された超音波画像の自動解釈のためのコンピュータ化されたアルゴリズムを使用することで、これらの必要性を満たす。いくつかの実施形態のコンピュータ化されたアルゴリズムは、超音波イメージングシステムに実装され、静脈及び動脈の識別及び描写(輪郭描写)又は別の方法での視覚的表示;血管の測定及び特性評価;アクセスに対する静脈の適合性の評価;及びカテーテルゲージの推奨を実行する。いくつかの実施形態の特徴は、血管における異物の挿入を伴う挿入処置中にリアルタイムで適用でき、これにより、従事者が、画面上に表示される血管を素早く識別し、走査の進行に伴いこれらの構造を追跡できることである。
【0022】
一般的に、いくつかの実施形態は、イメージングデバイス、より具体的には、電子的に構成可能な超音波トランスデューサを有するイメージングデバイスに関する。非侵入型イメージングデバイスは、人間又は動物の体の内部組織、骨、血流、又は臓器を画像化するために使用され得る。次に、画像が表示され得る。画像化を実行するために、イメージングデバイスは、体内に信号を送信し、画像化されている体部位からの反射信号を受信する。そのようなイメージングデバイスは、トランスデューサを含み、これはトランシーバ又はイメージャと称される場合があり、光音響又は超音波の効果に基づく場合がある。そのようなトランスデューサは、画像化に使用されてよく、他の用途にも使用されてよい。例えば、トランスデューサは、医用画像;パイプ、スピーカ、及びマイクアレイ内の流動測定;砕石術;治療目的での局所的な組織加熱;及び高密度焦点式超音波(HIFU)手術に使用され得る。
【0023】
従来、医用画像に使用される超音波イメージャなどのイメージングデバイスでは、圧電(PZT)材料又はその他の圧電セラミック及び高分子の複合材料が使用されている。そのようなイメージングデバイスは、PZT材料を有するトランスデューサを収納するハウジング、及び画像を形成して表示ユニット上に表示する他の電子機器を含み得る。バルクPZT素子又はトランスデューサを製造するには、厚い圧電材料のスラブを大きい長方形のPZT素子に切断し得る。これらの長方形のPZT素子は、構築に費用のかかる場合がある。なぜなら、製造プロセスに、一般的に長方形の厚いPZT又はセラミック材料を的確に切断し、それを的確な間隔で基板上に搭載することが含まれるからである。更に、トランスデューサのインピーダンスは、トランスデューサの送信/受信電子機器のインピーダンスよりもはるかに高く、性能に影響を与え得る。
【0024】
尚も更に、そのような厚いバルクPZT素子は、送信信号を生成するために、例えば、100ボルト(V)以上の非常に高い電圧パルスを必要とし得る。トランスデューサの電力散逸は駆動電圧の二乗に比例するため、この高い駆動電圧は高い電力散逸をもたらす。この高い電力散逸によりイメージングデバイス内で熱が発生し、その結果、冷却装置が必要になる。これらの冷却システムによりイメージングデバイスの製造コスト及び重量が増加し、これによりイメージングデバイスの動作に更なる負担がかかる。
【0025】
更に、トランスデューサの送信/受信電子機器はトランスデューサ自体から遠く離れて位置付けられてよく、したがって、トランスデューサ及び送信/受信電子機器の間に極細同軸ケーブルが必要になる。一般的に、ケーブルは、遅延及びインピーダンス整合のために的確な長さであり、ケーブルを通じて電子機器にトランスデューサを効率的に接続するために、追加のインピーダンス整合ネットワークが使用されることがかなり多い。
【0026】
いくつかの実施形態は、本明細書で更に詳細に説明するように、圧電型微細超音波トランスデューサ(pMUT)技術又は容量性微細超音波トランスデューサ(cMUT)技術のいずれかを利用するイメージングデバイスとの関連で利用され得る。
【0027】
一般的に、cMUT及びpMUTなどのいずれのMUTにもダイアフラム(端部に、又はプローブ内部の何らかの点に取り付けられた薄い膜)が含まれているが、「従来の」バルクPZT素子は、典型的に固体の材料片からなる。
【0028】
圧電型微細超音波トランスデューサ(pMUT)は、様々な半導体ウェハ製造作業を活用して基板上に効率的に形成され得る。現在、半導体ウェハには6インチ(15.24センチメートル)、8インチ(20.32センチメートル)、12インチ(30.48センチメートル)のサイズがあり得、数百のトランスデューサアレイを収納することが可能である。これらの半導体ウェハは、様々な処理作業が実行されるシリコン基板として始まる。そのような作業の例は、絶縁酸化物としても知られるSiO2層の形成である。他の電子機器への接続を可能にするために、相互接続及び接着パッドとして機能する金属層の追加など、他の様々な動作が実行される。機械作業の更に別の例は、キャビティのエッチングである。大きい圧電材料を有する従来のトランスデューサと比較して、半導体基板上に構築されたpMUT素子は大きくなく、製造コストも安く、電子機器及びトランスデューサの間の相互接続がより簡単でより高性能である。それ故、pMUTは、pMUTを使用するイメージングデバイスの動作周波数により高い柔軟性、及びより高品質の画像を生成する可能性を提供する。
【0029】
いくつかの実施形態では、イメージングデバイスは、送信ドライバを含む特定用途向け集積回路(ASIC)、受信されたエコー信号用の感知回路、及び様々な動作を制御する制御回路に結合される。ASICは、別の半導体ウェハ上に形成され得る。このASICは、寄生損失を低減するために、pMUT又はcMUT素子のごく近くに留置され得る。具体的な例として、ASICは、トランスデューサアレイから50マイクロメートル(μm)又はそれより短い距離だけ離れていてよい。より広範な例では、2つのウェハ又は2つのダイの間の隔たりが100μm未満であり得、各ウェハには多くのダイが含まれ、ダイにはトランスデューサウェハ内のトランスデューサ及びASICウェハ内のASICが含まれる。いくつかの実施形態では、ASICは、pMUT又はcMUTアレイに対して合致する寸法を有しており、デバイスを積層して、ウェハ間の相互接続、又はASICウェハ上のトランスデューサダイ又はトランスデューサダイとASICダイの相互接続を行うことを可能にする。代替的に、低温ピエゾ材料スパッタリング、及びASIC処理と相性のよい他の低温処理を使用して、ASICウェハの上にトランスデューサを展開することもできる。
【0030】
一実施形態によれば、ASICとトランスデューサがどこで相互接続しても、2つは同様のフットプリントを有し得る。より具体的には、後者の実施形態によれば、ASICのフットプリントは、MUTのフットプリントの整数倍又は約数であり得る。
【0031】
イメージングデバイスがpMUTとcMUTのどちらに基づいているかに関係なく、いくつかの実施形態に係るイメージングデバイスは、いくつかの送信チャネル及びいくつかの受信チャネルを含み得る。送信チャネルは、トランスデューサ素子が応答する周波数の電圧パルスでトランスデューサ素子を駆動する。これにより、超音波波形が素子から放射され、その波形は体内の臓器などの画像化される物体に向けられることになる。いくつかの例では、トランスデューサ素子のアレイを備えたイメージングデバイスは、イメージングデバイス及び体の間にジェルを使用して体と機械的に接触し得る。超音波波形は物体、すなわち、臓器に向かって進み、波形の一部は反射して、受信/反射超音波エネルギーの形態でトランスデューサ素子に戻り、受信された超音波エネルギーはイメージングデバイス内で電気エネルギーに変換され得る。次に、受信された超音波エネルギーを電気信号に変換するために、受信された超音波エネルギーはいくつかの受信チャネルによって更に処理されてよく、電気信号に基づいて表示するための物体の画像を生成するために、電気信号は他の回路によって処理され得る。
【0032】
超音波イメージングデバイスの実施形態はトランスデューサアレイ、及び、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、送信及び受信ビームフォーミング回路、及び、任意選択で追加の制御電子機器を含む制御回路を含む。
【0033】
実施形態の特徴を組み込んだイメージングデバイスは、問題を有利に低減又は解決し得る。
【0034】
ある実施形態では、イメージングデバイスは、トランスデューサ、及び制御回路及び任意選択でコンピューティングデバイスなどの関連する電子回路が収納されるハンドヘルドケースを含み得る。イメージングデバイスはまた、電子回路を駆動するバッテリを含み得る。
【0035】
したがって、いくつかの実施形態は、2DアレイにおけるpMUT素子又はcMUT素子のいずれかを利用するポータブルイメージングデバイスに関連する。いくつかの実施形態では、そのようなトランスデューサ素子のアレイは、イメージングデバイスの特定用途向け集積回路(ASIC)に結合される。
【0036】
以下の説明では、説明の目的で、本開示の理解を提供するために具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者にとっては、本開示がこれらの詳細なくして実施され得ることが明らかであろう。更に、当業者であれば、後述する本開示の例が、プロセス、制御回路の1つ又は複数のプロセッサ(処理回路)、コンピューティングデバイスの1つ又は複数のプロセッサ(又は処理回路)、システム、デバイス、又は有形のコンピュータ可読媒体上の方法などの様々なやり方で実装され得ることを認識するであろう。
【0037】
当業者であれば、(1)任意選択で、特定の製造作業が実行され得ること;(2)作業、本明細書に記載されている特定の順序に限定され得ないこと;及び(3)特定の作業は、同時に実行されることを含め、異なる順序で実行され得ることを認識するであろう。
【0038】
図に示す要素/構成要素は、模範的な実施形態を例示するものであり、本開示が不明瞭になるのを避けることを意図している。本明細書における「一例(one example)」、「好ましい例(preferred example)」、「ある例(an example)」、「例(examples)」、「ある実施形態(an embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」、又は「実施形態(embodiments)」への言及は、例に関連して説明される特定の特徴、構造、特性、又は機能が本開示の少なくとも1つの例に含まれており、1つより多くの例に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な箇所で、「一例では(in one example)」、「ある例では(in an example)」、「例では(in examples)」、「ある実施形態では(in an embodiment)」、「いくつかの実施形態では(in some embodiments)」、又は「実施形態では(in embodiments)」という語句の表示は、必ずしも全てが同じ1つの例又は複数の例を指しているわけではない。用語「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、及び「備える(comprising)」は、オープンな用語であると理解され、以下の任意のリストは例であり、リストされた項目に限定されることを意図するものではない。本明細書で使用する任意の見出しは、整理を目的としているにすぎず、説明の範囲又は特許請求の範囲を限定するために使用されるべきではない。更に、明細書の様々な箇所での特定の用語の使用は、例示のためのものであり、限定として解釈されるべきではない。
【0039】
ここで、図を参照すると、
図1は、選択的に変更可能なチャネル(108、110)を制御し、本明細書に記載の原理にしたがってコンピューティングデバイス112上で画像計算を実行するコントローラ又は制御回路106を有するイメージングデバイス100のブロック図である。上述のように、イメージングデバイス100は、人間又は動物の体の内部組織、骨、血流、又は臓器の画像を生成するために使用され得る。したがって、イメージングデバイス100は、体内に信号を送信し、画像化されている体部位からの反射信号を受信し得る。そのようなイメージングデバイスは、光音響又は超音波の効果に基づき得るトランスデューサ又はイメージャと称され得るpMUT又はcMUTのいずれかを含み得る。イメージングデバイス100は、他の物体を画像化するためにも使用され得る。例えば、イメージングデバイスは、医用画像;パイプ、スピーカ、及びマイクアレイ内の流動測定;砕石術;治療のための局所的な組織加熱;及び高密度焦点式超音波(HIFU)手術に使用され得る。
【0040】
人間の患者に対する使用に加えて、イメージングデバイス100は、動物の内臓の画像を取得するためにも使用され得る。更に、内臓の画像化に加えて、イメージングデバイス100は、ドップラーモード画像化のように動脈及び静脈内の血流の方向及び速度を決定するためにも使用されてよく、組織の硬度を測定するためにも使用され得る。
【0041】
イメージングデバイス100は、異なる種類の画像化を実行するために使用され得る。例えば、イメージングデバイス100は、A走査としても知られる一次元画像化、B走査としても知られる二次元画像化、C走査としても知られる三次元画像化、及びドップラー画像法(すなわち、ドップラー超音波を使用した、血管内の流体流動などの運動の決定)を実行するために使用され得る。イメージングデバイス100は、線形モード及びセクタモードを含むがこれらに限定されない異なるイメージングモードに切り替え得、プログラム制御の下で電子的に構成し得る。
【0042】
そのような画像化を容易にするために、イメージングデバイス100は1つ又は複数の超音波トランスデューサ102を含み、各トランスデューサ102は超音波トランスデューサ素子104のアレイを含む。各超音波トランスデューサ素子104は、pMUT又はcMUT素子などの任意の適切なトランスデューサ素子として具現化され得る。トランスデューサ素子104は、1)体又は他の塊を通過する超音波圧力波を生成し、2)画像化される体内の物体又は他の塊からの反射波(受信された超音波エネルギー)を受信するように動作する。いくつかの例では、イメージングデバイス100は、超音波波形又は超音波圧力波(略して圧力波)を同時に送信及び受信するように構成され得る。例えば、制御回路106は、特定のトランスデューサ素子104を制御して、画像化されている対象物体に向けて圧力波を送信する一方で、他のトランスデューサ素子104は、同時に、対象物体から反射された圧力波/超音波エネルギーを受信し、受信された波/受信された超音波エネルギー/受信されたエネルギーに応答して、それらに基づいて電荷を生成するように構成され得る。
【0043】
いくつかの例では、各トランスデューサ素子104は、中心周波数に関連付けられた特定の周波数及び帯域幅、並びに任意選択で、追加の中心周波数及び帯域幅で信号を送信又は受信するように構成され得る。そのような多周波数トランスデューサ素子104は、マルチモーダル素子104と称され得、イメージングデバイス100の帯域幅を拡張することができる。トランスデューサ素子104は、約0.1~約100メガヘルツなどの任意の適切な中心周波数で信号を発信又は受信することが可能であり得る。トランスデューサ素子104は、約3.5メガヘルツ~約5メガヘルツまでの範囲の1つ又は複数の中心周波数で信号を発信又は受信するように構成され得る。
【0044】
圧力波を生成するために、イメージングデバイス100は、いくつかの送信(Tx)チャネル108及びいくつかの受信(Rx)チャネル110を含み得る。送信チャネル108は、それらが応答する周波数の電圧パルスでトランスデューサ102、すなわち、トランスデューサ素子104のアレイを駆動するいくつかの構成要素を含み得る。これにより、超音波波形がトランスデューサ素子104から画像化される物体に向けて放射される。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、超音波波形は、イメージングデバイスの1つ又は複数の対応するトランスデューサ素子から実質的に同時に送信される1つ又は複数の超音波圧力波を含み得る。
【0046】
超音波波形は画像化される物体に向かって進み、波形の一部が反射してトランスデューサ102に戻り、圧電効果によって超音波波形が電気エネルギーに変換される。受信チャネル110は、このようにして得られ電気エネルギーを収集し、それを処理し、例えば、表示され得る画像を展開又は生成するコンピューティングデバイス112にそれを送信する。
【0047】
いくつかの例では、イメージングデバイス100内の送信チャネル108及び受信チャネル110の数は一定のままであり得るが、それらが結合されるトランスデューサ素子104の数は変化し得る。一実施形態では、送信チャネル及び受信チャネルのトランスデューサ素子への結合は、制御回路106によって制御され得る。いくつかの例では、例えば、
図1に示すように、制御回路は、送信チャネル108及び受信チャネル110を含み得る。例えば、トランスデューサ102のトランスデューサ素子104は、N列及びM行を有する二次元空間アレイに形成され得る。具体的な例では、トランスデューサ素子104の二次元アレイは、128列及び32行を有し得る。この例では、イメージングデバイス100は、最大128個の送信チャネル108及び最大128個の受信チャネル110を有し得る。この例において、各送信チャネル108及び受信チャネル110は、複数又は単一画素104に結合され得る。例えば、イメージングモード(例えば、いくつかのトランスデューサが同じ空間方向に超音波を送信する線形モード、又はいくつかのトランスデューサが異なる空間方向に超音波を送信するセクタモードのいずれか)に応じて、トランスデューサ素子104の各列は、単一の送信チャネル108及び単一の受信チャネル(110)に結合され得る。この例では、送信チャネル108及び受信チャネル110はコンポジット信号を受信でき、コンポジット信号はそれぞれの列内の各トランスデューサ素子104で受信された信号を合成する。別の例では、すなわち、異なるイメージングモード中に、各トランスデューサ素子104は、その専用送信チャネル108及びその専用受信チャネル110に結合され得る。いくつかの実施形態では、トランスデューサ素子104は、送信チャネル108及び受信チャネル110の両方に結合され得る。例えば、トランスデューサ素子104は、超音波パルスを生成して送信し、次に、反射した超音波エネルギーを電気エネルギーに変換する形態でそのパルスのエコーを検出するように適合され得る。
【0048】
制御回路106は、本明細書に記載の機能を実行するように構成された任意の1つ又は複数の回路として具現化され得る。例えば、制御回路106は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、システムオンチップ、プロセッサ及びメモリ、電圧源、電流源、1つ又は複数の増幅器、1つ又は複数のデジタル/アナログ変換器、1つ又は複数のアナログ/デジタル変換器などとして具現化され得るか、又は、そうでなければ、それらを含み得る。
【0049】
例示的なコンピューティングデバイス112は、プロセッサ、メモリ、通信回路、バッテリ、ディスプレイなどのような任意の適切な構成要素を含む任意の適切なコンピューティングデバイスとして具現化され得る。一実施形態では、例えば、
図1の実施形態で示唆されるように、コンピューティングデバイス112は、制御回路106、トランスデューサ102、などと共に、単一のパッケージ又は単一のチップ、又は単一のシステムオンチップ(System On a Chip:SoC)に統合され得る。他の実施形態では、以下で更に詳細に説明されるように、例えば、
図2の実施形態で示唆されるように、コンピューティングデバイスのいくつか又は全てが、制御回路及びトランスデューサなどとは別個のパッケージ内にあり得る。
【0050】
各トランスデューサ素子は、正方形、長方形、楕円形、又は円形などの任意の適切な形状を有し得る。トランスデューサ素子は、本明細書で述べるように、N列及びM行などの直交方向に配列された二次元アレイに配列され得るか、又は非対称(又は千鳥状)直線アレイに配列され得る。
【0051】
トランスデューサ素子104は、関連付けられた送信チャネルの関連付けられた送信ドライバ回路、及び関連付けられた受信チャネルの低雑音増幅器を有し得る。したがって、送信チャネルは送信ドライバを含み得、受信チャネルは1つ又は複数の低雑音増幅器を含み得る。例えば、明示的に示されていないが、送信チャネル及び受信チャネルはそれぞれ、特定のトランスデューサ素子及びトランスデューサ素子のセットの作動、停止、又は低電力モードを可能にするための多重化及びアドレス制御回路を含み得る。トランスデューサは、円形状などの直交する行及び列以外のパターン、又はそこから生成される超音波波形の範囲に基づいた他のパターンで配置され得ることが理解されよう。
【0052】
図2は、ある実施形態に係る、選択的に構成可能な特性を有するイメージングシステムを含む画像化環境の図である。
図2のイメージングシステムは、以下で更に詳細に説明するように、イメージングデバイス202、及びコンピューティングデバイス216及びコンピューティングデバイスに結合されたディスプレイ220を含むコンピューティングシステム222を含み得る。
【0053】
図2に示すように、一実施形態によれば、
図1の実施形態とは異なり、コンピューティングデバイス216は、イメージングデバイス220から物理的に分離され得る。例えば、コンピューティングデバイス216及び表示デバイス220は、イメージングデバイス202の構成要素と比較して、別個のデバイス(この文脈では、図示のコンピューティングシステム222は、動作中にイメージングデバイス202から物理的に分離されている)内に配され得る。コンピューティングシステム222は、ユーザに画像を表示できる、携帯電話又はタブレットなどのモバイルデバイス、又は据え置き型コンピューティングデバイスを含み得る。別の例において、
図1に示すように、例えば、表示デバイス、コンピューティングデバイス、及び関連付けられたディスプレイは、イメージングデバイス202(ここで示される)の一部であり得る。すなわち、イメージングデバイス100、コンピューティングデバイス216、及び表示デバイス220は、単一のハウジング内に配され得る。
【0054】
本明細書で言及される「コンピューティングデバイス」は、いくつかの実施形態では、物体の画像をディスプレイ上に表示させること、又は画像に関する情報をユーザへ伝達させること、のうちの少なくとも一方を行うための信号を生成するように構成され得る。画像に関する情報を表示させることは、識別された血管に関する識別情報、及び血管に挿入されるカテーテルなどの異物に関する推奨事項を、例えば、スピーカを通じて再生される音声メッセージ、及び/又はUIディスプレイ上のテキストを介してディスプレイ上に表示させることによって、ユーザインタフェースを介してユーザへ伝達させることを含み得る。信号の生成は、いくつかの実施形態では、以下で更に説明するような血管の検出及び追跡アルゴリズムの実装を含み得る。
【0055】
図示されるように、イメージングシステムは、送信モード/プロセスにおいて、送信チャネル(
図1、108)を介して、心臓214などの物体に向けて圧力波210を生成及び送信するように構成されたイメージングデバイス202を含む。内臓又は他の画像化される物体は、圧力波210の一部をイメージングデバイス202に向かって反射し得、イメージングデバイス202は、トランスデューサ(
図1のトランスデューサ102など)を介して、受信チャネル(
図1、110)を受信、制御回路(
図1、106)を介して、反射された圧力波を受信し得る。トランスデューサは、受信モード/処理において受信された超音波エネルギーに基づいて電気信号を生成し得る。送信モード又は受信モードは、異なる時点ではあるが、送信又は受信のいずれかを行うように構成され得るイメージングデバイスの文脈で適用可能であり得る。しかしながら、前述したように、実施形態に係る一部のイメージングデバイスは、送信モード及び受信モードの両方に同時になるように適合され得る。システムは、図示のような無線通信チャネル218などの通信チャネルを介してイメージングデバイス100と通信するコンピューティングデバイス216も含むが、実施形態は、コンピューティングシステム及びイメージングデバイスの間の有線通信もその範囲内に包含する。イメージングデバイス100は、コンピューティングデバイス216に信号を伝達し得、コンピューティングデバイス216は、受信した信号を処理して物体の画像の形成を完了するための1つ又は複数のプロセッサを有し得る。次に、コンピューティングシステム222の表示デバイス220は、コンピューティングデバイスからの信号を使用して物体の画像を表示し得る。コンピューティングシステムは更に、上述したように、欠陥画素に関する情報をユーザに伝え得る。
【0056】
いくつかの実施形態に係るイメージングデバイスは、無線で(IEEE802.11又はWi-Fi(登録商標)プロトコル、Bluetooth Low Energyを含むBluetooth(登録商標)プロトコル、mmWave通信プロトコルなどの無線通信プロトコル、又は当業者の知識内にあるような任意の他の無線通信プロトコルを使用して)、又は、ケーブル(USB2、USB3、USB3.1、及びUSB-Cなど)など又はマイクロ電子デバイス上の相互接続などの有線接続を介して、通信チャネルを通じて信号をコンピューティングデバイスと通信するように適合されるポータブルデバイス及び/又はハンドヘルドデバイスを含み得る。テザー又は有線接続の場合、イメージングデバイスは、コンピューティングデバイスと通信するケーブルのケーブル接続を受けるべく、
図3との関連で更に詳細に記載されるように、ポートを含み得る。無線接続の場合、イメージングデバイス100は、コンピューティングデバイス216と通信するための無線トランシーバを含み得る。
【0057】
様々な実施形態では、本開示の異なる態様が異なる構成要素で実行され得ることを理解されたい。例えば、一実施形態では、イメージングデバイスは、自身のトランスデューサを通じて超音波波形を送信及び受信させるための回路(例えば、チャネル)を含んでよく、一方で、コンピューティングデバイスは、そのような回路を制御することで、電圧信号を使用してイメージングデバイスのトランスデューサ素子で超音波波形を生成し、更に、受信された超音波エネルギーの処理を制御することで、1つ又は複数の欠陥画素についての欠陥画素データセットを決定するように適合されてよい。そのような実施形態において、コンピューティングデバイスは、欠陥画素の判定に基づいてイメージングデバイスの機能を管理/制御し得、下の更なる詳細において説明されるようにフレームを使用して物体の画像を構築し得、送信チャネル及び受信チャネルなどを選択及び構成し得る。
【0058】
別の実施形態において、イメージングデバイスは、トランスデューサ素子から超音波波形を送信及び受信させるために、電圧信号を使用して、トランスデューサ素子における超音波波形の生成を制御するための制御回路を含み得、また、受信された超音波エネルギーから電気信号を生成し得、試験モードにおいて、受信された超音波波形に対応する電気信号を使用して、イメージングデバイスの1つ又は複数の欠陥画素に関する情報を判定し得る。そのような実施形態において、イメージングデバイスの制御回路は、受信された超音波エネルギーから生成された電気信号をコンピューティングデバイスへ送信し得、コンピューティングデバイスは、1つ又は複数の欠陥画素に関する情報を判定するためにそれらを処理し得る。より一般的には、本明細書に開示される任意の適切な機能が、1つ又は複数の回路によって実行され得ること、及びこれらの回路が、1つの物理デバイス内に収納され得るか、又は互いに物理的に分離して収納され得るが、互いに通信可能に結合され得ることを理解されたい。
【0059】
図3は、以下で更に詳細に説明するように、いくつかの実施形態に係るイメージングデバイスの図を表す。
【0060】
図3でわかるように、イメージングデバイス300は、ハンドヘルドケース331を含み得、トランスデューサ302、及び関連付けられる電子機器が収納される。イメージングデバイスはまた、電子機器に電力を供給するためのバッテリ338を含み得る。
図3は、したがって、任意選択で、シリコンウェハに構築された、2DアレイのpMUTを使用して2D及び3Dの画像化ができるポータブルイメージングデバイスの実施形態を示す。特定のパラメータの電子構成を有する特定用途向け集積回路(ASIC)106に結合された、そのようなアレイは、これまで可能であったものよりも低コストで高品質の画像処理を可能にする。更に、特定のパラメータ、例えば、使用されるチャネルの数を制御することによって、消費電力を変更してよく、温度を変化させてよい。
【0061】
いくつかの実施形態に係るイメージングデバイス300は、1つ又は複数の欠陥画素に関する情報(欠陥画素データ)に基づいて、リアルタイムのシステム構成可能性及び適合可能性を可能にするように構成されている。これは例えば、下で更に詳細に説明されるように、イメージングデバイスのトランスデューサアレイの1つ又は複数の画素の現在の画素性能データセットを同じの画素の基準画素性能データセットと比較することによって行われる。
【0062】
ここで、
図3に更に詳細に注意を向けると、
図3は、いくつかの実施形態に係る、選択的に調節可能な特徴を有するイメージングデバイス300の概略図である。イメージングデバイス300は、単なる例として、
図1のイメージングデバイス100又は
図2のイメージングデバイス202と同様であり得る。上述したように、イメージングデバイスは超音波医療用プローブを含み得る。
図3は、イメージングデバイス300のトランスデューサ302を示す。上述したように、トランスデューサ302は、圧力波(
図2、210)を送信及び受信するように適合されたトランスデューサ素子のアレイ(
図1、104)を含み得る。いくつかの例では、イメージングデバイス300は、トランスデューサ302及び圧力波(
図2、210)が送信される人体、又は他の塊又は組織の間のインピーダンス整合界面として機能するコーティング層322を含み得る。場合によっては、コーティング層322は、所望の焦点距離と一致する曲率で設計された場合、レンズとして機能し得る。
【0063】
イメージングデバイス300は、任意の適切なフォームファクタで具現化され得る。いくつかの実施形態では、トランスデューサ302を含むイメージングデバイス300の一部は、イメージングデバイス100の残りの部分から外側に延在し得る。イメージングデバイス300は、コンベックスアレイプローブ、マイクロコンベックスアレイプローブ、リニアアレイプローブ、膣内プローブ、直腸プローブ、外科用プローブ、術中プローブなどのような任意の適切な超音波医療用プローブとして具現化され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、ユーザは、コーティング層322及び人体の間の界面におけるインピーダンス整合を改善し得るように、コーティング層322と直接接触する前に生体の皮膚にジェルを塗布し得る。インピーダンス整合により、界面での圧力波(
図2、210)の損失、及び界面でイメージングデバイス300に向かって進む反射波の損失が低減される。
【0065】
いくつかの例では、コーティング層322は、トランスデューサ102から体への音響信号の送信を最大化するために平坦な層であり得、逆も同様である。コーティング層322の厚さは、トランスデューサ102で生成される圧力波(
図2、210)の4分の1波長であり得る。
【0066】
イメージングデバイス300はまた、トランスデューサ102を制御するための、任意選択で特定用途向け集積回路(ASICチップ又はASIC)の形態の1つ又は複数のプロセッサなどの制御回路106を含む。制御回路106は、バンプなどを介してトランスデューサ102に結合され得る。上述のように、送信チャネル108及び受信チャネル110は、選択的に変更可能又は調節可能であり得、例えば欠陥であると判定された1つ又は複数の画素が使用されないように、所与の時間にアクティブである送信チャネル108及び受信チャネル110の数は変更され得ることを意味する。例えば、制御回路106は、欠陥について試験される画素に基づいて、及び/又は、欠陥であると判定された画素に基づいて、選択的に送信チャネル108及び受信チャネル110を調節するように適合され得る。
【0067】
いくつかの例において、チャネルを変更する基礎は、動作のモードであり得、動作のモードの方は、どの画素が欠陥であると判定されたかに基づいて、及び、任意選択で、各欠陥画素の欠陥の種類に基づいて選択され得る。
【0068】
イメージングデバイスはまた、イメージングデバイス100の構成要素を制御するための1つ又は複数のプロセッサ326を含み得る。1つ又は複数のプロセッサ326は、制御回路106に加えて、トランスデューサ素子の作動を制御すること、トランスデューサ素子から反射された超音波波形に基づいて電気信号を処理すること、又は、
図1のコンピューティングデバイス112又は
図2のコンピューティングデバイス216などのコンピューティングデバイスの1つ又は複数のプロセッサによって画像化されている物体の画像の生成を引き起こすための信号を生成すること、のうちの少なくとも1つを行うように構成され得る。1つ又は複数のプロセッサ326は、イメージングデバイスに関連付けられた他の処理機能を実行するように更に適合され得る。1つ又は複数のプロセッサ326は、任意の種類のプロセッサ326として具現化され得る。例えば、1つ又は複数のプロセッサ326は、シングル又はマルチコアプロセッサ、シングル又はマルチソケットプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、グラフィックスプロセッサ、ニューラルネットワーク計算エンジン、画像プロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のプロセッサ又は処理/制御回路として具現化され得る。イメージングデバイス100はまた、信号を処理/調整するためのアナログフロントエンド(Analog Front End:AFE)などの回路328、及びトランスデューサ102によって生成され回路328に向かって伝播する波を吸収するための音響吸収層330を含み得る。すなわち、トランスデューサ102は、基板上に搭載されてよく、音響吸収層330に取り付けられ得る。この層は、逆方向(すなわち、コーティング層322から離れる方向で、ポート334に向かう方向)に放射する任意の超音波信号を吸収し、そうでなければ、反射して画像の品質に干渉し得る。
図3は音響吸収層330を示しているが、他の構成要素が超音波の逆方向への材料伝達を妨げる場合には、この構成要素は省略され得る。
【0069】
アナログフロントエンド328は、制御回路106、及びプロセッサ326などのイメージングデバイスの他の構成要素とインタフェースするように構成された任意の1つ又は複数の回路として具現化され得る。例えば、アナログフロントエンド328は、例えば、1つ又は複数のデジタル/アナログ変換器、1つ又は複数のアナログ/デジタル変換器、1つ又は複数の増幅器などを含み得る。
【0070】
イメージングデバイスは、例えば、ポート334又は無線トランシーバを介して、コンピューティングデバイス(
図2、216)などの外部デバイスと、制御信号を含むデータを通信するための通信ユニット332を含み得る。イメージングデバイス100は、データを記憶するためのメモリ336を含み得る。メモリ336は、本明細書に記載の機能を実行できる任意の種類の揮発性又は不揮発性メモリ又はデータストレージとして具現化され得る。動作中、メモリ336は、オペレーティングシステム、アプリケーション、プログラム、ライブラリ、及びドライバなどイメージングデバイス100の動作中に使用される様々なデータ及びソフトウェアを記憶し得る。
【0071】
いくつかの例では、イメージングデバイス100は、イメージングデバイス100の構成要素に電力を提供するためのバッテリ338を含み得る。バッテリ338はまた、無線又は有線充電回路(図示せず)であり得るバッテリ充電回路を含み得る。イメージングデバイスは、消費されたバッテリ充電を示すゲージを含み得、バッテリ寿命を改善するために電力管理を最適化するようにイメージングデバイスを構成するために使用される。追加的に又は代替的に、いくつかの実施形態では、イメージングデバイスを壁のコンセントに差し込むことによってなど、外部電源によってイメージングデバイスに電力を供給し得る。
【0072】
いくつかの実施形態は、特に流体が血管内を流動し得る血管への異物の挿入についての血管検出の問題を軽減するであろう、体内の血管、例えば、流体が流動する血管、例えば、流体が流動する生体の血管、の識別に関して従来技術の欠点を克服する。いくつかの実施形態に係るコンピュータアルゴリズムにより、このように流体が流動する血管(以降「血管」)の検出及び追跡が可能になり、異物(例えば、針又はカテーテル又は同様のもの)の挿入などの医学的介入のための血管の検出が容易になる。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、アルゴリズムは、血管検出のための超音波デバイスによるA、B、又はCモード画像化だけでなく、検出された血管内の流体流動の決定を可能にする画像化にも依存し得る。
【0074】
典型的に、Bモード(二次元)超音波画像における例として、静脈及び動脈は、短軸図(すなわち、血流の方向に垂直な断面図)で見た場合、表示された画像上で暗い長円形の領域として表示される。原則として、いくつかの実施形態によれば、物体認識を含むコンピュータアルゴリズムは、そのような長円形の領域の存在を検出することによって、A、B、又はCモード超音波画像シーケンス内の血管を検出又は識別するために実装され得る。
【0075】
表示された画像又は画像フレーム内に交絡する組織テクスチャ及び画像化アーチファクトが存在することから、物体検出器だけでは血管検出性能が不十分になる。更に、処置中に静脈がイメージングプローブの力によってつぶされると、それらを個々のBモード画像フレームで検出できなくなる場合がある。
【0076】
実施形態の新規の態様は、Bモードフレームなどの個々の画像超音波フレームで見られるものを超える追加の流動情報を使用することである。そのような追加の流動情報を使用すると、血管の検出及び識別の正確さ及び計算効率を高めることができる。いくつかの実施形態は、単一の超音波画像フレーム(例えば、Bモード画像フレーム)を超える2つの追加の情報源、すなわち、1)流動データ(例えば、カラードップラー又はパワードップラーのいずれかを含むドップラー流動データ)、及び、2)時間領域における現在の超音波画像フレーム(例えば、Bモード画像フレーム)よりも前の1つ又は複数の超音波画像フレーム、を使用する。いくつかの実施形態では、流動データは、血管を検出及び追跡するために使用される超音波画像の平面に垂直な成分を有する流動のみについての流動データを指す。
【0077】
本説明との関連で、単数形又は複数形で「超音波画像」に言及する場合、言及されているものは、超音波デバイスを使用した結果として生成される1つ又は複数の画像である。1つ又は複数の画像は、Aモード、Bモード、又はCモード画像、好ましくは、Bモード(二次元画像)を含み得る。
【0078】
場合によっては、超音波の経験が浅い人間のユーザは、ドップラー画像法を使用して得られた流動画像などの流動画像を分かりにくいと感じ得る。なぜなら、そのような画像は時としてノイズが多い場合があり、超音波画像上に重ね合わせて表示される場合があり、それによって、超音波画像内に示された解剖学的詳細が不明瞭になるからである。いくつかの実施形態の特徴は、流動画像法を通じて取得された情報又はデータが、「舞台裏」でコンピュータアルゴリズムによって取得及び使用され得ること、すなわち、それが人間のユーザには表示されず、体内の血管を識別するためにコンピュータアルゴリズムによって消費され得ることである。したがって、一例によれば、ドップラー画像法データは、いくつかの実施形態に係るアルゴリズムによって処理されて、コンピューティングデバイスによるより正確且つより効率的な血管検出を促進することができる。
【0079】
いくつかの実施形態は、超音波を通じた物体認識が、物体を更に認識/検出/識別するために検索する価値のある画像位置を識別することから恩恵を受け得ることを認識している。通常、これらの位置は、画像自体から識別される。しかしながら、いくつかの実施形態は、別個の流動画像(例えば、カラードップラー又はパワードップラーのいずれか)を、対応する超音波画像内の血管を見つけるための候補位置(本明細書では、これらの位置を流動シードと呼ぶ)を識別するために、又は、流体が流動する血管として識別された物体が実際に流体が流動する血管であるかどうかに関する確認情報として、使用する。ドップラー情報は、この作業において効果的であり得る。なぜなら、流動の検出は、血管が存在するという優れた特徴的性質又は指標であるからである。
【0080】
空間位置が、流動データ(例えば、ドップラー画像法を通じて得られたデータ)に基づいて決定された流動、及び対応するBモード画像内の同じ位置の近くを中心とする所定の形状(例えば、楕円形状)の強力な証拠を示す場合、これは、血管がこの位置に存在するという高い信頼度、すなわち、個々に考慮されたいずれかの特徴的性質(すなわち、流動のみ又は超音波画像フレームのみ)によって提供される信頼度よりも高い信頼度を示唆する。いくつかの実施形態は、超音波画像においてドップラーシードなどの流動シードの近くの所定の形状を検索することによってこのアイデアを活用する。流動の種類、例えば、心拍数に基づいて脈動しているかどうか、は動脈を示している場合があり、それに対して、比較的より一定した流動は静脈を示している場合がある。上記の技術は、コンピューティングデバイスの検出性能を改善するだけでなく、検索スペースも低減し、貴重な計算効率がもたらされる。代替的な手法は、血管が存在するという信頼度を計算するときに、超音波深層学習検出器からの血管の超音波画像を示すデータを補完するために流動情報を使用することである。
【0081】
いくつかの実施形態は、(ドップラーシードに加えて)検索されるシード位置の更なるソースとして予測追跡を組み込む。これらの「追跡器シード」は、現在のフレームで検出された各血管の形状、位置、及び/又は見かけの並進速度(血管及びプローブの相対的な動きに起因する)を使用することによって得られて、次のフレームでその血管の形状及び位置を予測する。追跡することで、フレーム間の一貫性を活用することによって検出性能が改善される。所与の画像フレーム内に血管が存在するのではないかとアルゴリズムが疑う場合は、それが予想された形状及び位置を有することで、この結論に対する信頼度が高まる。
【0082】
また、追跡することで、検索しなければならない楕円の形状及び位置の範囲が低減し、それによって、計算負荷が低減する。
【0083】
代替的な実施形態では、別個の物体の検出及び追跡ではなく、最近の画像フレームを共同分析して現在のフレームについての血管検出決定を行う時空間検出方法が使用され得る。時空間検出方法には、二次元の空間次元、及び時間に基づく三次元が含まれる。これは、例えば、You Only Look Once(YOLO)アルゴリズムのマルチチャネル実装(ここでは、現在のフレーム、及び前のフレームのセットがチャネルとして機能する)、又は畳み込みニューラルネットワーク(空間分析を実行する)及び長・短期記憶ネットワーク(時間的分析を実行する)の組み合わせを使用して実行され得る。
【0084】
それらの正確さの利点に加えて、追跡及び時空間検出により、どの血管がどの血管(例えば、動脈と静脈)であるかをアルゴリズムが追跡することが可能になり、ユーザインタフェース上の一貫した注釈付けが可能になり、静脈及び動脈の検出及び判別を目的として各血管のパラメータを時間的に分析することが可能になる。
【0085】
ある好ましい実施形態では、超音波イメージングに使用されるのと同様の追跡手法が、同時に取得される流動データ、例えば、同時に適用されるドップラー流動ビデオにも適用され得る。ドップラー追跡により、追跡器シード位置に対する信頼度が増大し(流動シードで開始して超音波イメージングでフォローアップするという文脈で上述した信頼度のアップに類似している)、各血管をドップラーシーケンス内で一意的に追跡することが可能になり、その結果、流動情報は、静脈と動脈の判別に使用するために、動き補償された時間的処理によって分析され得る。
【0086】
ある好ましい実施形態では、ドップラー情報は、流動の周期的挙動を脈動性(典型的に動脈に関連付けられる特徴)の証拠として分析するために信号処理方法を適用することによって血管の正体(静脈又は動脈)に関する証拠を提示するために使用され得る。いくつかの実施形態では、血管の脈動性に関する決定が機械学習分類器によって遂行され得る。機械学習分類器は、超音波画像データを使用してもよいし、脈動性のスカラ指数の測定値を使用してもよい。いくつかの実施形態では、脈動性は、連続的な超音波画像間のような血管の近くの空間的運動に関するデータを分析することで、コンピューティングデバイスによって決定され得る。代替的な実施形態では、脈動性は、超音波イメージにおける(例えば、血管壁の)解剖学的な動きの局所的分析によって評価され得る。
【0087】
(身体血管に挿入される異物の例として)抹消挿入式中心静脈カテーテル(PICC)及び中心静脈カテーテル(CVC)の線が一般的に留置される上腕には、主幹動脈が上腕動脈1つしかなく、この動脈は上腕静脈に非常に近い。他の2つの主要な静脈、すなわち、尺側皮静脈及び橈側皮静脈は、上腕動脈から更に隔てられている。したがって、上腕において、いくつかの実施形態の超音波デバイスによって画像化された大血管が他のいずれの大血管にも直接隣接していない場合は、それは、動脈よりも静脈である可能性が高い。なぜなら、唯一の動脈の近くには、他の大血管があるはずだからである。上腕の他のいずれの主要血管にも近くない上腕主要な静脈は、線のアクセスに好ましい2つの身体動脈のうちの1つである。いくつかの実施形態は、流動情報を超音波画像と共に使用して血管の位置を検出してよく、このようにして、上腕内などの静脈と動脈を判別するための強力な特徴的性質を提供してよい。そのような特徴的性質は、血管の位置、脈動性、及び/又は圧縮性に関するデータを流動データと共に使用することによって提供され得る。これは、これらの各々を、個々に、又は機械学習を使用して組み合わされた組み合わせで使用することによって、又は単純なブール論理によって実行され得る。
【0088】
いくつかの実施形態との関連で、各血管は、(血管の検出及び追跡中に)リアルタイムで、又は血管の検出及び追跡を伴う画像化セッションの終了時にアクセスされ得る。
【0089】
血管は、特定の特性を有する静脈である場合にのみ、最も良くアクセスされ得る。静脈は、圧縮性であるのが最善であり得る。なぜなら、非圧縮性は、静脈に血栓が含まれていることを示唆する可能性があり、血栓は、血管にアクセスするとちぎれて肺に進む場合があるからである。標準的技法では、プローブの操作者は、プローブを使用して組織に圧力を加えることで血管を圧迫することによって圧縮性を観察する。いくつかの実施形態では、圧縮性が自動的に測定される。静脈は、提供する健康管理機関によって一般的に確立されている血管占有基準にしたがって、カテーテルを収容するのに十分な直径を有するのが最善であり得る。前述したように、動脈は回避するのが最善であり得る。上腕では、針又はカテーテルによるアクセスに好ましい静脈(尺側皮及び橈側皮)がいずれの動脈にも近くないため、いくつかの実施形態に係るアルゴリズムは、孤立した血管を、動脈ではなく静脈である、それ故、上腕にあり他のいずれの大血管にも近くないのでいずれの動脈からも安全に遠く離れている、と検出し得る。
【0090】
要約すると、血管がカテーテル留置又は針留置のためのアクセスにふさわしい候補であるには、それは、いくつかの実施形態によれば、以下の判断基準、すなわち、1)静脈であること、2)圧縮性であること、及び、3)血管に挿入される異物を収容するのに十分な大きさの直径を有すること、を満たし得る。上腕では、血管が他の同程度の大きさの血管の近くにあるべきではない/他の同程度の大きさの血管から孤立していてよい、という追加の判断基準が適用され得る。
【0091】
ある好ましい実施形態では、血管アクセスに対する適合性は、関連する判断基準に基づいて論理真理値表にアクセスすることで、コンピューティングデバイスによって決定され得る。代替的な実施形態では、これらの判断基準の尺度は、コンピューティングデバイス上で実行される機械学習アルゴリズムによって使用される特徴として機能し得る。
【0092】
いくつかの実施形態は、ユーザインタフェース構成要素及びアルゴリズム処理構成要素のシステムを含む。ある好ましい実施形態では、これらの構成要素は、以下で更に説明するように動作し得る。
【0093】
いくつかの実施形態は、超音波イメージングを使用した血管の検出及び追跡に関連する情報提示の機能及び方式を定義する新規のユーザインタフェース(UI)を含む。
【0094】
いくつかの実施形態は、ユーザインタフェースに表示される、血管の識別を含む情報、及び、カテーテル及び/又は針などの1つ又は複数の異物によるアクセスのしやすさに関する情報を提供するために、コンピューティングシステム112又は216などのコンピューティングシステムの1つ又は複数のプロセッサ上で実行される、本明細書でより詳細に説明するアルゴリズム構成要素を有するアルゴリズムに関連する。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、アルゴリズムは、例えば、UI上で血管の輪郭を提供することを含む、血管の検出及び追跡を実装する。検出及び追跡に関する実施形態によれば、アルゴリズムの血管探索機能(VSF)によって潜在的な血管が検出され得る。潜在的な血管又は候補血管がアクセスのために検出されると、アルゴリズムは、血管の追跡を目的として、その境界の輪郭及びその中心の位置又はその直径を継続的に決定して表示させてよく、その輪郭、見かけ速度(組織及びプローブの相対的な動きに起因する)、及び次のフレーム内の血管の位置を予測してもよい。
【0096】
いくつかの実施形態に係るアルゴリズムのアルゴリズム構成要素は、静脈及び動脈の判別を実装し得る。この構成要素では、アルゴリズムは、そのような判別を継続的に実行しようとし得る。判別は、Bモード画像における楕円形状などの超音波画像上の形状と併せて、圧縮性、脈動性、及び空間位置などの判断基準を使用することによって実装され得る。
【0097】
いくつかの実施形態に係るアルゴリズムのアルゴリズム構成要素は、血管のパラメータ又は属性、例えば、いくつか例を挙げると、その圧縮性、その脈動性、その直径、その深度(又は皮膚の表面からの距離)、アクセスに対するその適合性、その内部の流体流動(又は流速)を自動的に決定し得る。次に、カテーテルなどの、挿入のための異物の選択の推奨事項が、UI上でユーザに表示され得る。
【0098】
図4は、いくつかの実施形態に係るタッチスクリーンユーザインタフェース(UI)400の実施形態を示す。UI400のディスプレイは、リアルタイムのBモード超音波画像シーケンス402を、様々な解釈的オーバーレイ、仮想インジケータライト404、血管パラメータ406と共に表示する。なお、本明細書で使用する血管パラメータ(又は血管属性)は、超音波画像上の1つ又は複数の血管寸法(例えば、直径/半径及び深度)、血管流体流速、血管脈動性、血管圧縮性、又は血管輪郭のいずれかを含み得る。血管パラメータは更に、血管に挿入される異物に基づくアクセスに対する血管の適合性を含み得る。UIは、ユーザ410へのテキスト通信を含んでよく、挿入される異物の種類、図示の場合はPCCであるカテーテル、をユーザが選択できるようにする特徴412を更に含んでよい。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、
図4に例として示すように、一連のBモード画像が、時間の経過に伴いリアルタイムで表示され得る。色コード(例えば、動脈は赤色、静脈は青色)を使用して、アルゴリズムによってディスプレイ上で静脈及び動脈の陰影付けをさせてよい。カテーテル留置のための特定の候補血管が輪郭描写され得る。十字線などの他のスタイルの注釈を、輪郭及び陰影付けの代わりとすることもできる。アルゴリズムは、ある静脈を候補血管として選択し、その属性をオーバーレイ414及びインタフェースの「静脈ID」欄406に示し得る。ユーザがオーバーレイをオフにすることができるように、「血管オーバーレイ」トグルスイッチが提供され得る。ユーザが異なる血管の属性を見ることに興味がある場合は、いくつかのアルゴリズムは、異なる血管について触れるオプションを提供してよく、アルゴリズムは次に、その異なる血管を候補血管として輪郭描写し、新たな血管の属性を提供してよい。候補静脈416の隣には、その前後(AP)直径(例えば、ミリメートル単位で報告される)、及びその直径に関連付けられた推奨カテーテル(健康管理機関によって設定されたガイドラインに基づいて選択される)が示される。輪郭描写された候補静脈416内の垂直線分「キャリパ」は、AP直径が測定される経路を示す。この経路は、アルゴリズムによって自動的に計算され得る。
【0100】
いくつかの実施形態に係るアルゴリズムは、UI上で輪郭描写された血管に関する自動化された(すなわち、アルゴリズムによって決定された)所見を、例えば、
図4の静脈ID406の形態で報告し得る。「静脈深度」は、皮膚の線(画像上部)から静脈輪郭上の最上点までの距離(例えば、cm単位)として自動的に測定される数値である。「静脈ID」は、画像ディスプレイ上に輪郭描写された候補血管に関する自動的に決定された情報を伝える4色(
図4にパターン(パターンなし、陰影のあるパターン、及び塗りつぶしパターン)で示す)の仮想インジケータライトを含み得る。「圧縮性」(緑色又は赤色)は、超音波プローブを使用して組織に圧力を加えることによって候補血管がつぶされ得るかどうかを示す(静脈は典型的に圧縮性であるが、動脈は通常圧縮性ではない)。「静脈流」(緑色又は赤色)は、静脈を示す血流パターンを血管が示しているかどうかを示す(流動は、典型的に、静脈よりも動脈において脈動性が高く;この脈動性は、ドップラー流動情報、及び又はBモード画像で見られる血管の脈動の動きを使用して測定され得る)。「十分な直径」(緑色、黄色、又は赤色)は、健康管理機関によって設定されたガイドラインに基づいて、AP直径がカテーテル留置の対象となるのに十分な大きさであるかどうかを示す。黄色の表示は、直径がどっちつかずであることを示す。「アクセスに適切」(緑色、黄色、又は赤色)は、静脈がカテーテル留置の判断基準を満たしているかどうかを示す。「カテーテル選択」欄は、AP直径を繰り返し、健康管理機関によって決定されるような、カテーテルによる血管の許容占有率に基づいて得られた、対応する推奨のカテーテルゲージ及びフレンチサイズを示す。
【0101】
図4における他のグラフィック要素は、ユーザプロフィールボタン及び超音波イメージングパラメータでよい。
【0102】
図5は、一実施形態に係る、超音波イメージングシステムで実装されるような、血管の検出、輪郭描写、トレース、及び特性評価アルゴリズムについての模範的なプロセスをフローチャート形態で示す。
図5のフローチャートでは、アルゴリズム500によって実装又は実行される機能ブロック又はステージが相互参照されている。
【0103】
動作501は、以下のアルゴリズムパラメータのうちの1つ又は複数を含むがこれらに限定されない初期化を実行する。
●検索パラメータ:最良適合の血管候補を検索するときに考慮されるパラメータ値の初期範囲
・Bモード画像から開始し、例えば、各々が所定のパラメータ値の範囲内にある1つ又は複数の実質的に楕円形(円形を含む)の形状を検索及び識別するためのパラメータを決定する;例えば、アスペクト比は0から1の間である;長軸半径は1mmから3mmの間である;配向角は0度から45度の間である;及び画像内の血管の位置に制限はない。
・流動情報から開始し、ドップラー又はドップラー追跡器を使用して流動シード又はドップラーシードを検出するためのパラメータを決定する;例えば、流動シード位置は、測定された流動の極大値として得られてよい。
●血管インベントリ:アルゴリズムによって現在追跡されている血管ごとに、識別子コード、中心位置、形状パラメータ、及び見かけ速度(フレームごとの並進変位)を含むデータ構造を使用する;
●シードリスト:楕円などの所定の血管形状を検索するための候補となる(上述のように見つけられる)空間画像位置のリストを含むデータ構造。
【0104】
動作502では、模範的なアルゴリズムは、以下を含むがこれらに限定されないデータ取得を実行し得る。
●動作502-1では:Bモード画像フレーム(現在のBモード(Current B-mode))を取得する。この動作では、Bモード画像フレームが標準的なやり方で取得され得る。
●動作502-2では:ドップラー流動(カラードップラー又はパワードップラー)画像フレーム(現在のドップラー(Current Doppler))を取得する。動作502-2では、ドップラー画像フレームが標準的なやり方で取得される。ある好ましい実施形態では、現在のドップラーは、現在のBモードと同じ視野をカバーする。代替的な実施形態では、現在のドップラーは、画像情報のサブセットのみを含む。例えば、以下の通りである。
・最初は全視野で、次に、プローブが皮膚に接触しなくなるまで部分的視野に切り替える(これはゼロから開始するのと同等である);
・前のフレームではBモード視野内になかったがプローブの動きに起因して現在の視野内には存在する血管を探すために、現在のBモードの左端、右端、及び/又は下端の事前指定された数の画素のうちの全ての画素のセット。なお、血管は、皮膚の線が存在する画像の上端から視野に入ることができない。結果として、いくつかの実施形態によれば、アルゴリズムは、これらの端部の近くの画像領域のみにドップラー画像法を適用して、まだ見られていない血管の外観を検出し得る;
・アルゴリズムがプローブによる取得を要求し得る、小さい関心領域又は個々の走査線などの全視野のサブセット。そのような要求は、例えば以下の状況で有用であり得る。Bモード追跡器が一連の画像フレーム内の所与の血管を経時的に辿っており、所与の位置及び形状パラメータを用いて次の画像フレームにその血管が存在すると予測する、と仮定する。ここで、これらのパラメータに基づいて検索を行うと、後述する品質スコアにより血管が予想通り検出されない、と仮定する。この場合、アルゴリズムは、予測された位置を囲む小さい画像領域を、ドップラー流動画像法を使用して調査するようにプローブに要求することで、その小さい画像領域が依然として血管検索にふさわしい候補であるかどうかを判定し得る。そうである場合、Bモード追跡器は、再シードされ得る。
【0105】
動作503におけるアルゴリズムは、超音波プローブの留置を検出する。超音波プローブが皮膚(超音波ジェルでコーティングされ得る)に接触して留置されると、超音波走査が開始する。したがって、アルゴリズムは、プローブが所定の位置に来るまでスキップ(休止)される。走査中にプローブが皮膚から持ち上げられた場合は、アルゴリズムが再びスキップされ、アルゴリズムパラメータが再初期化される。「プローブが所定の位置にある」状態は、画像の一番下のX%以内の画素の平均画像強度を測定し、この値を決定された閾値Tと比較することによって検出され得る。パーセンテージX及び閾値Tは、特定の超音波プローブについての様々な深度及び利得設定における走査例に基づいて決定され得る。
【0106】
動作504及び505における模範的なアルゴリズムは、ドップラーシードの検出及び追跡、及び、Bモードの血管の検出、追跡、及び輪郭算出を実行する。アルゴリズム500は、2つの検出器/追跡器のペア、すなわち、1つはドップラー用;1つはBモード用を含む。
【0107】
ドップラー検出器504-1は、ドップラー画像フレームにおいて考えられる流動シードを検索する。その検索はドップラー追跡器504-2によってガイドされ、ドップラー追跡器は、考えられる流動シードの最後の既知の位置に基づいてこの検索に焦点を当てる。ドップラー追跡器504-2は、シードの追跡(現在のどのシードが前のどのシードに対応するかの追跡)も行う。Bモード検出器505は、ドップラー検出器/追跡器によって識別された考えられるシードを、Bモード画像において血管を検索するための開始点として使用する。
【0108】
Bモード検出器505'による血管の検索は、Bモード追跡器によって提供される検索パラメータのセットによってガイドされ得る。要約すると、2つの検出器/追跡器のペアは、ドップラー検出器/追跡器504が流動シードを追跡する一方で、Bモード検出器/追跡器505がその情報を使用して血管の探索及び追跡を行う、といったやり方で連携する。プロセスは、まずBモードシードを識別し、Bモードシードの領域に基づいてドップラー検出を行うことから、又は、まずドップラーシードを識別し、ドップラーシードの領域に基づいてBモード検出を行うことによって開始し得る。
【0109】
模範的なアルゴリズムは、ドップラー検出器を使用して動作504-1を実行し得る。動作504-1では、まず、考えられるシードを見つけるための検索ウィンドウが画像全体である。このブロックでは、考えられるシードが現在のドップラーから以下のように識別され得る。(1)現在のドップラーに基づいて、2つの考えられる流動方向(プローブに向かうか又はプローブから離れる)のうちの一方を示す画素のみについての流動情報を含む構成要素画像f1(又は少なくともデータf1)を作成する;(2)(弱い信号値又はノイズが多い信号値を除去するために)f1を閾値T0と比較することによってf1から二値信号マップf2を生成し、空間広がりが小さ過ぎる(ノイズ、又は関心のない小血管を示していることを示唆する)、f1内の領域を排除する;(3)f2内の総信号面積が所定の閾値を超えている(プローブの動きが血流に起因する動きを圧倒する場合に起こる)か、又は所定の閾値より小さい(恐らくノイズ又は小血管に対応する)場合は、UIにおいて検出なしと宣言する。(4)f2内の信号領域R0の位置を特定する;(5)R0内の内点P(例えば、R0の重心)を見つけ、Pを考えられる流動シードとして宣言する。
【0110】
上記の動作504-1(2)における模範的なアルゴリズムは、最高の性能を得るためにT0を調整することを含み、現在のドップラーがアルゴリズムへの入力前にどのようにスケーリングされるかに依存する。例えば、T0は、現在のドップラーにおける最大値の0.1倍になるように選択され得る。同様に、動作504-1(2)及び(3)におけるアルゴリズムによって領域が大き過ぎるか又は小さ過ぎるかを判定するための閾値の選択は、現在のドップラーの空間分解能に依存する。これらの閾値は、関心のある最も小さいか又は最も大きい血管のサイズにしたがって設定され得る。
【0111】
動作504-2では、アルゴリズムは、考えられるシードをシードリストに追加し得る。D.1で識別された考えられるシードがいずれもまだシードリストにない場合は、それらをシードリストに追加する。シードリストでは、考えられるシードごとの位置及び最大流動振幅(「流動スコア」)がコンピューティングデバイスのメモリに記録され得る。
【0112】
動作504-3では、アルゴリズムは、ドップラー追跡器を更新し得る。ドップラー追跡器は、1)シードリスト内のシードの位置に基づいて、ドップラー信号について504-1で検索されている画像の領域を限定し得る、及び、2)どのシードがどのシードであるかを追跡し得る、という2つの目的を果たし得る。
【0113】
ある好ましい実施形態では、走査が開始すると、流動の検出ための検索ウィンドウが画像フレーム全体を包含し得る。その後、ドップラー追跡器は、シードリスト内のシードごとに、504-1における検出のための検索ウィンドウを定義し得る。所与のシードについての検索ウィンドウは、シードの最後の既知の位置、及び現在のフレームについての予測された動きベクトルによって定義される点を中心とするボックスである。現在、ボックスは16×16画素である。他の変形例では、動きベクトルは、一方又は両方の方向について省略され得る。
【0114】
ドップラー追跡器は、所与のシードの検索が画像の境界の外側に出ているかどうかをフレームごとにチェックし得る。そうである場合、アルゴリズムは、シードの追跡が失敗し、もはやそれが追跡されないと判定してよく、UIを介してユーザに同じことを示してよい。
【0115】
ドップラー画像はノイズが多いので、1つ又は複数の連続するフレームでシードを検出できない可能性がある。この問題に対処するために、シードを検出できない場合は、ドップラー追跡器は、一定期間、例えば、0.5秒にわたって、その予測された場所を追跡し続ける。シードが再表示された場合は、通常通りにそれを追跡し続ける。そうでない場合は、そのシードの追跡が中止される。
【0116】
あるアルゴリズム例は、動作505で、Bモードの血管の検出、追跡、及び輪郭算出を実行し得る。
【0117】
動作505-1では、模範的なアルゴリズムは、Bモード追跡器を採用してシードリストを予測及び更新し得る。動作505-2では、アルゴリズムは、現在のBモードを使用して最良適合の血管境界及び品質スコア(QS)を計算し得る。動作505-3では、アルゴリズムは、楕円(血管)が存在するかどうかを判定する。動作505-4では、アルゴリズムは、動作505-2で見つけられた値を使用して各シードの血管パラメータ値を更新することによってBモード追跡器を更新する。
【0118】
この好ましい実施形態では、血管境界を輪郭描写する楕円によって血管が特性評価される。楕円は、当業者の知識内にあるような任意の周知の方法によって決定され得る。しかしながら、当業者にとっては明白であるように、楕円を決定するための代替的な手法が代わりに使用され得る。
【0119】
品質スコアは、Bモード画像内の特定の血管の特徴的性質を楕円がどの程度正確に描写しているかを定量化する測定基準である。ある好ましい実施形態では、血管の品質スコアは、血管境界に均等に留置されたN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さによって測定され得る。画像勾配は、Bモードにおける血管境界のコントラストの定量化を表す。点の数Nは、20から50の間に設定されてよく、血管が小さいほど低い値、血管が大きいほど高い値に設定されてよい。
【0120】
血管境界は、所与の画像位置でコンピューティングデバイスによって計算された場合に最も大きい品質スコア又は最大品質スコアを生み出すBモードにおける血管を輪郭描写する形状(例えば、楕円)として定義されてよく、最大品質スコアについての位置の決定は、動作505-2におけるアルゴリズムによる形状パラメータのグリッド検索を使用して、コンピューティングデバイスによって実行される。例えば、血管形状の楕円モデルの場合、グリッド検索は、楕円のパラメータ、すなわち、中心位置座標、長軸半径、アスペクト比、及び配向角に基づき得る。
【0121】
動作505-3では、アルゴリズムは、偽陽性及び偽陰性の楕円検出の所望のトレードオフを達成するために画像例から経験的に決定された、事前定義された閾値を品質スコアが超えている場合に血管が存在すると判定し得る(最大品質スコアについての位置の決定)。
【0122】
Bモード追跡器(505-1及び505-3)は、次の画像フレーム内の血管の位置を特定するために使用される楕円パラメータについての検索範囲を規定するために、アルゴリズムによって使用され得る。所与の血管の位置の中心位置(x,y)について、Bモード追跡器は、ドップラー追跡器によって予測されるのと同じやり方で、現在の血管の位置及び動きベクトルに基づいて検索ウィンドウを予測する。この検索ウィンドウは、血管が過度に圧縮されている(例えば、アスペクト比が0.2未満である)とアルゴリズムが判定した場合に検索プロセスを高速化するためにアルゴリズムによってサイズ調節され得る。追跡器は、血管シードの検索が、予測された検索ウィンドウの境界、又は画像の境界の外側に出ているかどうかも監視する。そうである場合、シードの追跡(Bモード又はドップラーのいずれか)は、アルゴリズムによって終了され得る。
【0123】
楕円パラメータ(例えば、楕円上の位置)の場合は、各パラメータの現在の値を中心とする小さい間隔が、検索範囲としてアルゴリズムによって使用され得る。例えば、長軸半径についての検索間隔は、[r0-dr,r0+dr]として与えられてよく、ここで、r0は、現在の半径値であり、drは、小さい増分、例えば、8画素であり;アスペクト比についての検索間隔は、[f0-df,f0+df]として与えられてよく、ここで、f0は、現在のアスペクト比値であり、dfは、小さい増分、例えば、0.1であり;アスペクト比についての検索間隔は、[f0-df,f0+df]として与えられてよく、ここで、f0は、現在のアスペクト比値であり、dfは、小さい増分、例えば、0.1である。ユーザがプローブを介して血管圧縮を加えた場合の血管形状の突然変化の状況に対応するために、これらの検索間隔は、血管が過度に圧縮された場合に、それに応じてアルゴリズムによってサイズ調節され得る。
【0124】
静脈と動脈の判別は、動作506におけるアルゴリズムによって実行され得る。動脈流は一般的に脈動性であり、超音波の対象者の心拍数の周期性に対応する周期性を伴う。静脈流は一般的に位相的であり、呼吸とより密接に関係するより緩やかな変化を伴う。したがって、静脈及び動脈は、流動の大きさの時間的挙動の違いを用いて、アルゴリズムによって区別され得る。
【0125】
脈動性の推定は、動作506-1におけるアルゴリズムによって実行され得る。ドップラー追跡器によって追跡されているシードについての流動スコアの時系列については、シードごとの脈動性の特徴的性質を、位置が静脈と動脈のどちらに対応するかを判定するための証拠として測定するために、計算が実行され得る。脈動性は、以下のいくつかのやり方で分析され得る。1)単純な脈動性指数は、PI=(max(v)-min(v))/mean(v)などのアルゴリズムによって計算されてよく、ここで、vは、現時点に至るまでの時間ウィンドウからの利用可能な流動スコアの時系列を表す、2)脈動性スコアは、vの自己相関の周期性を検出することで(そのような検出のための任意の標準的な方法を使用して)アルゴリズムによって計算され得る、又は、3)脈動性スコアは、機械学習分類器をvに直接適用することでアルゴリズムによって計算され得る。脈動性スコアを閾値処理することによって、所与の血管が脈動性であるかどうかの判定が実行されてよく、これは、ユーザインタフェースに示される脈動性インジケータライトの状態を設定するために使用される。この判定はまた、506-3における静脈と動脈の判別の情報を提供する。
【0126】
血管の全てのペア間の距離の計算は、動作506-2におけるアルゴリズムによって実行され得る。血管の空間的関係が患者間で極めて一貫している状況、そのようなPICC線の留置では、ある血管の他の血管に対する距離が、その正体に関する特徴的性質を提供する。例えば、一般的に、上腕の外側面には動脈が見られず、上腕の内側面には動脈(上腕動脈)が1つしか見られない。したがって、外側面に見られる主要血管はいずれも、恐らく静脈である。それが皮膚表面の近くにある場合は、恐らく橈側皮静脈であり;それが深い場合は、恐らく尺骨静脈である。内側面において、上腕動脈は、様々な上腕静脈に直接隣接しているが、尺側皮静脈は、このグループからある程度の距離だけ離れている。したがって、動脈からある程度隔てられた静脈は、静脈(特に尺側皮静脈)である可能性が最も高い。同様に、動脈に直接隣接している血管は、静脈(特に上腕静脈)である可能性が最も高い。したがって、Bモード画像内で検出された血管どうしの距離を測定することによって、静脈と動脈の判別に寄与し得る情報を推測することができる。実際、各血管は、場合によっては、UI上でアルゴリズムによって具体的に名付けられてよい。
【0127】
血管インベントリ内の血管ごとの静脈・動脈フラグの更新は、動作506-3におけるアルゴリズムによって実行され得る。動作506-1からの脈動性スコア、及び動作506-2におけるアルゴリズムによって定義された距離測定値に基づく投票スキームを使用して、各血管は、ユーザインタフェースに示される色分けの定義を目的として、静脈又は動脈のいずれかとして識別され得る。
【0128】
動作UI画像表示506'では、方法は、動作506'-1によってBモード画像を表示してよく、動作506'-2によって、例えば、動脈には赤色、静脈には青色を使用して、Bモード画像上に全ての血管境界のオーバーレイを表示してよい。
【0129】
最終分析は、動作507におけるアルゴリズムによって実行され得る。
【0130】
圧縮性指数の計算は、動作507-1におけるアルゴリズムによって実行されてよく、これは、超音波検査の圧縮フェーズ中の血管の最大アスペクト比及び最小アスペクト比の比(又は差)、又は形状の変化の他の同様の尺度として算出されてよい。品質スコアが事前設定された閾値を下回っていることがアルゴリズムによって観察され、血管がBモード画像から事実上消えることが示された場合は、これは完全な圧縮を示し得る。
【0131】
脈動性指数の最終値の計算は、動作508におけるUIを介したユーザへのアルゴリズムによる命令「静脈を中心にする」に続く検査フェーズに基づいて、動作507-2におけるアルゴリズムによって計算され得る。血管の前後(AP)直径は、単に、フィットした楕円の垂直寸法として、動作507-3におけるアルゴリズムによって得られる。静脈深度は、静脈の上部から皮膚表面までの距離を画素単位で測定し、画像の既知の校正スケールに基づいてmm単位に変換することで、動作507-4におけるアルゴリズムによって計算される。カテーテルゲージ及びフレンチサイズは、動作507-5におけるアルゴリズムによって決定されてよく、既知の参照値を使用するAP直径に基づいている。
【0132】
動作508を参照すると、アルゴリズムは、血管圧縮が完了したかどうかを動作508-0で判定し得る。はいの場合、アルゴリズムは動作508-1に進み、そこで、圧縮が完了したことをUIを介してユーザに示し、いいえの場合、アルゴリズムは動作508-3に進み、そこで、静脈が画像フレームの中心にあるかどうかを判定する。はいの場合、アルゴリズムは動作508-3に進み、そこで、例えば、プローブを使用して、静脈を3回(又は任意の回数)圧縮するようにUIを介してユーザに指示し、いいえの場合、アルゴリズムは動作508-4に進み、そこで、静脈が血管インベントリにあるかどうかを判定する。はいの場合、アルゴリズムは動作508-5に進み、そこで、静脈を中心にするようにUIを介してユーザに指示し、いいえの場合、アルゴリズムは動作508-6に進み、そこで、静脈が画像フレームの中心にあるかどうかを判定する。はいの場合、アルゴリズムは動作508-7に進み、そこで、プローブを使用して静脈の位置を特定するようにUIを介してユーザに指示し、いいえの場合、アルゴリズムは動作508-8に進み、そこで、プローブを留置するようにUIを介してユーザに指示する。プローブが留置された後、方法は、動作501における初期化に戻ってよい。動作508-1、508-3、508-5、及び508-7の後、方法は、動作504に戻ってよい。
【0133】
ユーザインタフェース上のインジケータライトは、動作509におけるアルゴリズムによって以下のように設定される。静脈流ライトは、脈動性指数を、脈動性指数の範囲(例えば、0.5)内の真陽性判定及び偽陽性判定の所望のトレードオフのために選択された、事前定義された閾値と比較することによって、例として、赤色(静脈ではない)又は緑色(静脈)に設定され得る。圧縮性ライトは、圧縮性指数に基づいて同様に設定される。十分な直径のライトは、AP直径を、臨床診療で使用される既知の基準閾値と比較して設定されてよく、例えば、黄色は、AP直径が閾値を中心とする何らかの事前定義された範囲内にあることを示し、緑色は、AP直径がこの範囲を上回っていることを示し、赤色は、AP直径がこの範囲を下回っていることを示す。アクセスに対する適合性のライトは、例えば、静脈流、圧縮性、又は十分な直径のライトのいずれかが赤色に設定されている場合に赤色(不適切)に設定され得る。静脈流及び圧縮性が緑色に設定されている場合は、アクセスに対する適合性のライトのステータス(動作507-6におけるアルゴリズムによって決定される)が十分な直径のライトと同じに設定される。
【0134】
模範的な実施形態の上記の説明は、静脈について具体的に言及しているかもしれないが、実施形態はそれに限定されず、異物が血管にアクセスする超音波イメージングの対象者となり得る体を有する任意の血管の検出及び追跡に関連する。また、アクセスに対する適合性又は血管に関する他のパラメータを示すために、特定の色が上で言及されているが、実施形態はそれに限定されず、その範囲内に、テキスト、視覚的な画像又はコード、音声通信などを通じて、任意の方式でUIを通じてユーザに血管パラメータを表示することを含む。
【0135】
ある例では、プロセッサ326によって実装される命令は、メモリ336、又は、イメージングデバイスの任意の他のメモリ又は記憶デバイスを介して提供されてよく、又は、プロセッサ326、又はイメージングデバイスの任意の他のプロセッサは、ケーシングにおける電子動作を実行するようにプロセッサ326に指示するためのコードを含む有形の非一時的機械可読媒体として具現化されてよい。プロセッサ326は、メモリ336及びプロセッサ326の間の相互接続を介して非一時的機械可読媒体にアクセスし得る。例えば、非一時的機械可読媒体は、メモリ336又はプロセッサ326内の別個のメモリによって具現化されてもよいし、光ディスク、フラッシュドライブ、又は、ケーシングに差し込まれ得る任意の数の他のハードウェアデバイスなどの特定の記憶ユニットを含んでもよい。非一時的機械可読媒体は、例えば、本明細書に示される動作及び機能性のフローチャート及びブロック図に関して説明されるような、具体的なアクションのシーケンス又はフローを実行するようにプロセッサ326に指示するための命令を含み得る。本明細書で使用する場合、「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という用語は交換可能である。
【0136】
図6は、メモリ、及び当該メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサを含む、コンピューティングデバイスで実行される方法600を示す。動作602における方法600は、超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行する段階を含み、アルゴリズムは、ディスプレイ上の現在の超音波画像フレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;画像生成中の現在時刻よりも前の時刻におけるディスプレイ上の前の超音波画像フレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;現在の超音波画像フレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び現在の血管パラメータ、前の血管パラメータ、及び現在の流動データに基づいて血管を検出及び追跡することを含む。動作604における方法は、所定の異物によるアクセスに対する血管の適合性に関する情報を決定し、ディスプレイを含むユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる段階を含む。
【0137】
後述する例はいずれも、別段の明示的な定めが無い限り、任意の他の例(又は例の組み合わせ)と組み合わされ得る。本明細書において説明される態様はまた、例えば異なる機能についての階層型優先化(例えば、低/中/高優先度など)を導入することによって、スキームの階層型適用を実装し得る。
【0138】
特定の模範的な態様を参照して実装が説明されたが、本開示のより広い範囲から逸脱することなく、これらの態様に対して様々な修正及び変更が加えられ得ることは明らかである。本明細書において説明される構成及びプロセスの多くは、組み合わせて、又は、並行実装で使用され得る。したがって、本明細書及び複数の図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。本明細書の部分を形成する添付の図面は、限定ではなく例示として、主題が実施され得る具体的な態様を示す。示される態様は、当業者が本明細書において開示される教示を実施することを可能にするのに十分に詳細に説明される。他の態様が利用され、そこから取得されてよく、その結果、構造的及び論理的な置換及び変更が、本開示の範囲から逸脱することなく加えられ得る。したがって、この発明を実施するための形態は、限定的な意味とみなされるべきでなく、様々な態様の範囲が、添付した特許請求の範囲のみによって、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と共に、定義される。
【0139】
発明の主題のそのような態様は、実際に1つより多くが開示されている場合でも、本願の範囲を任意の単一の態様又は発明の概念に自発的に限定することを意図することなく、単に便宜上の目的で、個々に及び/又は集合的に本明細書において参照され得る。
【0140】
本開示の好ましい実施形態を本明細書に示し説明してきたが、そのような実施形態が単なる例として提供されたものであることは当業者には明白であろう。実施形態が明細書内で提供される具体的な例によって限定されることは意図されていない。本開示の実施形態は、前述の明細書を参照して説明されているが、本明細書の実施形態の説明及び例示は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者であれば、本開示の概念から逸脱することなく、数多くの変形、変更、及び置換をすぐに思いつくであろう。更に、様々な実施形態の全ての態様は、様々な条件及び変数に依存する、本明細書に記載の特定の描写、構成、又は相対的比率に限定されないことを理解されたい。本明細書で説明した実施形態に対する様々な代替を採用し得ることを理解されたい。したがって、本開示は、任意のそのような代替、修正、変形、又は均等物も網羅するものと考えられる。
【0141】
(例)
【0142】
本明細書で開示される技術の例示的な例が、以下で提供される。これらの技術のある実施形態は、後述する例のいずれか1つ又は複数、及び任意の組み合わせを含み得る。
【0143】
例1は、メモリ、及び前記メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサを含むコンピューティングデバイスの装置を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行し、前記アルゴリズムは、現在時刻におけるディスプレイ上の現在の超音波画像フレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;前記現在時刻よりも前の時刻における前記ディスプレイ上の前の超音波画像フレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;前記現在の超音波画像フレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び前記現在の血管パラメータ、前記前の血管パラメータ、及び前記現在の流動データに基づいて前記血管を検出及び追跡することを含む;且つ所定の異物によるアクセスに対する前記血管の適合性に関する情報を決定し、前記ディスプレイを含むユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる。
【0144】
例2は、例1に記載の主題を含み、前記現在の流動データは、現在のドップラー流動データに対応し、前記超音波画像は、二次元超音波画像である。
【0145】
例3は、例1に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像フレームと同じ視野についての前記現在の流動データを決定すること、及び前記同じ視野より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することの中から選択する。
【0146】
例4は、例3に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、画像生成の開始時に前記同じ視野についての前記現在の流動データを決定することを選択し、続いて、前記より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することを選択する。
【0147】
例5は、例4に記載の主題を含み、前記より小さい視野は、前記同じ視野の左端、右端、下端、又は上端のうちの少なくとも1つまでの所定の数の画像画素を含む。
【0148】
例6は例1に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記ユーザインタフェースデバイスに、前記画像生成中にリアルタイムで前記現在の流動データに関する情報を前記ユーザへ伝達させる。
【0149】
例7は、例1に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記現在の血管パラメータに関する情報を決定し、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ表示させる。
【0150】
例8は、例7に記載の主題を含み、前記現在の血管パラメータに関する前記情報は、前記現在の超音波画像フレーム上の前記血管の境界の輪郭、及びその中心の位置又はその直径のうちの少なくとも一方を含む。
【0151】
例9は、例1に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記血管検出アルゴリズムの実行中に前記所定の異物によるアクセスに対する前記血管の前記適合性に関する前記情報を前記ユーザへ表示させる。
【0152】
例10は、例1に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記ユーザによる前記所定の異物の種類の選択に対応する信号を前記ユーザインタフェースデバイスから受信することによって前記所定の異物の前記種類を決定する。
【0153】
例11は、例1に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記メモリにアクセスして、そこから前記血管パラメータのうちの1つ又は複数、及び前記所定の異物の1つ又は複数の属性の間の相関関係を含む情報を読み取り;且つ前記所定の異物の前記1つ又は複数の属性に関する情報を、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ伝達させる。
【0154】
例12は、例1から11のいずれか1つに記載の主題を含み、前記血管パラメータは、血管寸法、血管流体流速、血管脈動性、血管圧縮性、又は血管輪郭のうちの1つ又は複数を含む。
【0155】
例13は、例1から11のいずれか1つに記載の主題を含み、現在の血管パラメータを決定することは、前記現在の超音波画像フレーム内の所定の形状を識別すること、及び前記所定の形状の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記候補血管シード位置に対応する前記現在の流動データを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する。
【0156】
例14は、例1に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像フレームに対応する血管流体流動を識別すること、及び前記血管流体流動の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記現在の血管パラメータを決定すること、及び前記候補血管シード位置における前記前の血管パラメータを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する。
【0157】
例15は、例14に記載の主題を含み、前記前の血管パラメータを決定することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記前の超音波画像フレーム内の血管境界を決定すること;及び前記血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定することによって前記前の血管品質スコアを決定し;且つ前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に基づいて前記血管を検出する。
【0158】
例16は、例1に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記前の血管パラメータを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の血管パラメータの予測を生成すること;及び前記現在の血管パラメータ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出することによって前記追跡アルゴリズムを実行する。
【0159】
例17は、例16に記載の主題を含み、前記前の血管パラメータを使用することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記前の超音波画像フレーム内の前の血管境界を決定すること;及び前記前の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定することによって前記前の血管品質スコアを決定し;且つ前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に応答して、前記血管境界の位置を前記候補血管シード位置として識別する。
【0160】
例18は、例17に記載の主題を含み、前記現在の血管パラメータを決定することは、現在の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像フレーム内の現在の血管境界を決定すること;及び前記現在の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定することによって前記現在の血管品質スコアを決定し;且つ前記現在の血管品質スコアが前記事前定義された品質スコア閾値を下回っているという判定に応答して、前記現在の流動データを決定する。
【0161】
例19は、例1に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記前の超音波画像フレームに基づく前の流動データを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の流動データの予測を生成すること;及び前記現在の流動データ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出することによって前記追跡アルゴリズムを実行する。
【0162】
例20は、例14から19のいずれか1つに記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記画像生成に対応する候補血管シード位置のリスト、及び前記候補血管シード位置のそれぞれについての最大流動振幅のリストを前記メモリに記憶させ、ここで、前記現在の流動データを決定することは、前記候補血管シード位置のそれぞれの少なくともいくつかに対応するそれぞれの複数の現在の流動データを決定することを含む。
【0163】
例21は、例16から18のいずれか1つに記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像フレーム内の前記血管を検出するために複数の前の超音波画像フレームを共同分析すること、You Only Look Once(YOLO)アルゴリズムのマルチチャネル実装の使用、又は畳み込みニューラルネットワーク及び長・短期記憶ネットワークの組み合わせを含むアルゴリズムの使用のうちの一方を含めて共同分析することによって前記追跡アルゴリズムを実行する。
【0164】
例22は、例1に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記血管内の流動の周期的挙動の分析に基づいて前記血管の圧縮性又は前記血管の脈動性のうちの少なくとも一方を決定することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する。
【0165】
例23は、例22に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の画像フレーム内の血管のペア間の距離を更に計算することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する。
【0166】
例24は、例22に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、連続的な超音波画像フレーム間のような前記血管の近くの空間的運動に関するデータを分析すること、又は前記血管の壁の動きの局所的分析を実行することによって前記脈動性を決定する。
【0167】
例25は、例1に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記血管の圧縮レベルに基づく空間検索範囲を使用することによって前記現在の血管パラメータ又は前記前の血管パラメータのうちの少なくとも一方を決定する。
【0168】
例26は、表示デバイスを有するユーザインタフェースデバイス;及び前記ユーザインタフェースデバイスに通信可能に結合されたコンピューティングデバイスを含むシステムを含み、前記コンピューティングデバイスは、メモリ、及び前記メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサを有し、前記1つ又は複数のプロセッサは、超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行し、前記アルゴリズムは、前記ディスプレイ上の現在の超音波画像フレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;前記画像生成中の現在時刻よりも前の時刻における前記ディスプレイ上の前の超音波画像フレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;前記現在の超音波画像フレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び前記現在の血管パラメータ、前記前の血管パラメータ、及び前記現在の流動データに基づいて前記血管を検出及び追跡することを含む;且つ所定の異物によるアクセスに対する前記血管の適合性に関する情報を決定し、前記ユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる。
【0169】
例27は、例26に記載の主題を含み、前記現在の流動データは、現在のドップラー流動データに対応し、前記超音波画像は、二次元超音波画像である。
【0170】
例28は、例26に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像フレームと同じ視野についての前記現在の流動データを決定すること、及び前記同じ視野より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することの中から選択する。
【0171】
例29は、例28に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、画像生成の開始時に前記同じ視野についての前記現在の流動データを決定することを選択し、続いて、前記より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することを選択する。
【0172】
例30は、例29に記載の主題を含み、前記より小さい視野は、前記同じ視野の左端、右端、下端、又は上端のうちの少なくとも1つまでの所定の数の画像画素を含む。
【0173】
例31は例26に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記ユーザインタフェースデバイスに、前記画像生成中にリアルタイムで前記現在の流動データに関する情報を前記ユーザへ伝達させる。
【0174】
例32は、例26に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記現在の血管パラメータに関する情報を決定し、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ表示させる。
【0175】
例33は、例32に記載の主題を含み、前記現在の血管パラメータに関する前記情報は、前記現在の超音波画像フレーム上の前記血管の境界の輪郭、及びその中心の位置又はその直径のうちの少なくとも一方を含む。
【0176】
例34は、例26に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記血管検出アルゴリズムの実行中に前記所定の異物によるアクセスに対する前記血管の前記適合性に関する前記情報を前記ユーザへ表示させる。
【0177】
例35は、例26に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記ユーザによる前記所定の異物の種類の選択に対応する信号を前記ユーザインタフェースデバイスから受信することによって前記所定の異物の前記種類を決定する。
【0178】
例36は、例26に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記メモリにアクセスして、そこから前記血管パラメータのうちの1つ又は複数、及び前記所定の異物の1つ又は複数の属性の間の相関関係を含む情報を読み取り;且つ前記所定の異物の前記1つ又は複数の属性に関する情報を、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ伝達させる。
【0179】
例37は、例26から36のいずれか1つに記載の主題を含み、前記血管パラメータは、血管寸法、血管流体流速、血管脈動性、血管圧縮性、又は血管輪郭のうちの1つ又は複数を含む。
【0180】
例38は、例26から36のいずれか1つに記載の主題を含み、現在の血管パラメータを決定することは、前記現在の超音波画像フレーム内の所定の形状を識別すること、及び前記所定の形状の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記候補血管シード位置に対応する前記現在の流動データを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する。
【0181】
例39は、例26に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像フレームに対応する血管流体流動を識別すること、及び前記血管流体流動の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記現在の血管パラメータを決定すること、及び前記候補血管シード位置における前記前の血管パラメータを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する。
【0182】
例40は、例39に記載の主題を含み、前記前の血管パラメータを決定することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記前の超音波画像フレーム内の血管境界を決定すること;及び前記血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定することによって前記前の血管品質スコアを決定し;且つ前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に基づいて前記血管を検出する。
【0183】
例41は、例26に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記前の血管パラメータを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の血管パラメータの予測を生成すること;及び前記現在の血管パラメータ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出することによって前記追跡アルゴリズムを実行する。
【0184】
例42は、例41に記載の主題を含み、前記前の血管パラメータを使用することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記前の超音波画像フレーム内の前の血管境界を決定すること;及び前記前の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定することによって前記前の血管品質スコアを決定し;且つ前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に応答して、前記血管境界の位置を前記候補血管シード位置として識別する。
【0185】
例43は、例42に記載の主題を含み、前記現在の血管パラメータを決定することは、現在の血管品質スコアを使用することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像フレーム内の現在の血管境界を決定すること;及び前記現在の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定することによって前記現在の血管品質スコアを決定し;且つ前記現在の血管品質スコアが前記事前定義された品質スコア閾値を下回っているという判定に応答して、前記現在の流動データを決定する。
【0186】
例44は、例26に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記前の超音波画像フレームに基づく前の流動データを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の流動データの予測を生成すること;及び前記現在の流動データ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出することによって前記追跡アルゴリズムを実行する。
【0187】
例45は、例39から44のいずれか1つに記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記画像生成に対応する候補血管シード位置のリスト、及び前記候補血管シード位置のそれぞれについての最大流動振幅のリストを前記メモリに記憶させ、ここで、前記現在の流動データを決定することは、前記候補血管シード位置のそれぞれの少なくともいくつかに対応するそれぞれの複数の現在の流動データを決定することを含む。
【0188】
例46は、例41から43のいずれか1つに記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像フレーム内の前記血管を検出するために複数の前の超音波画像フレームを共同分析すること、You Only Look Once(YOLO)アルゴリズムのマルチチャネル実装の使用、又は畳み込みニューラルネットワーク及び長・短期記憶ネットワークの組み合わせを含むアルゴリズムの使用のうちの一方を含めて共同分析することによって前記追跡アルゴリズムを実行する。
【0189】
例47は、例26に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記血管内の流動の周期的挙動の分析に基づいて前記血管の圧縮性又は前記血管の脈動性のうちの少なくとも一方を決定することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する。
【0190】
例48は、例47に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の画像フレーム内の血管のペア間の距離を更に計算することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する。
【0191】
例49は、例47に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、連続的な超音波画像フレーム間のような前記血管の近くの空間的運動に関するデータを分析すること、又は前記血管の壁の動きの局所的分析を実行することによって前記脈動性を決定する。
【0192】
例50は、例26に記載の主題を含み、前記1つ又は複数のプロセッサは、前記血管の圧縮レベルに基づく空間検索範囲を使用することによって前記現在の血管パラメータ又は前記前の血管パラメータのうちの少なくとも一方を決定する。
【0193】
例51は、メモリ、及び前記メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサを含むコンピューティングデバイスにおいて実行される方法を含み、前記方法は、超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行する段階、前記アルゴリズムは、ディスプレイ上の現在の超音波画像フレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;前記画像生成中の現在時刻よりも前の時刻における前記ディスプレイ上の前の超音波画像フレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;前記現在の超音波画像フレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び前記現在の血管パラメータ、前記前の血管パラメータ、及び前記現在の流動データに基づいて前記血管を検出及び追跡することを含む;且つ所定の異物によるアクセスに対する前記血管の適合性に関する情報を決定し、前記ディスプレイを含むユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる段階を含む。
【0194】
例52は、例51に記載の主題を含み、前記現在の流動データは、現在のドップラー流動データに対応し、前記超音波画像は、二次元超音波画像である。
【0195】
例53は、例51に記載の主題を含み、前記方法は更に、前記現在の超音波画像フレームと同じ視野についての前記現在の流動データを決定すること、及び前記同じ視野より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することの中から選択する段階を含む。
【0196】
例54は、例53に記載の主題を含み、前記方法は更に、画像生成の開始時に前記同じ視野についての前記現在の流動データを決定することを選択し、続いて、前記より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することを選択する段階を含む。
【0197】
例55は、例54に記載の主題を含み、前記より小さい視野は、前記同じ視野の左端、右端、下端、又は上端のうちの少なくとも1つまでの所定の数の画像画素を含む。
【0198】
例56は、例51に記載の主題を含み、前記方法は更に、前記ユーザインタフェースデバイスに、前記画像生成中にリアルタイムで前記現在の流動データに関する情報を前記ユーザへ伝達させる段階を含む。
【0199】
例57は、例51に記載の主題を含み、前記方法は更に、前記現在の血管パラメータに関する情報を決定し、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ表示させる段階を含む。
【0200】
例58は、例57に記載の主題を含み、前記現在の血管パラメータに関する前記情報は、前記現在の超音波画像フレーム上の前記血管の境界の輪郭、及びその中心の位置又はその直径のうちの少なくとも一方を含む。
【0201】
例59は、例51に記載の主題を含み、前記方法は更に、前記血管検出アルゴリズムの実行中に前記所定の異物によるアクセスに対する前記血管の前記適合性に関する前記情報を前記ユーザへ表示させる段階を含む。
【0202】
例60は、例51に記載の主題を含み、前記方法は更に、前記ユーザによる前記所定の異物の種類の選択に対応する信号を前記ユーザインタフェースデバイスから受信することによって前記所定の異物の前記種類を決定する段階を含む。
【0203】
例61は、例51に記載の主題を含み、前記方法は更に、前記メモリにアクセスして、そこから前記血管パラメータのうちの1つ又は複数、及び前記所定の異物の1つ又は複数の属性の間の相関関係を含む情報を読み取る段階;及び前記所定の異物の前記1つ又は複数の属性に関する情報を、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ伝達させる段階を含む。
【0204】
例62は、例51から61のいずれか1つに記載の主題を含み、前記血管パラメータは、血管寸法、血管流体流速、血管脈動性、血管圧縮性、又は血管輪郭のうちの1つ又は複数を含む。
【0205】
例63は、例51から61のいずれか1つに記載の主題を含み、現在の血管パラメータを決定することは、前記現在の超音波画像フレーム内の所定の形状を識別すること、及び前記所定の形状の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別することを含み、前記方法は更に、前記候補血管シード位置に対応する前記現在の流動データを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する段階を含む。
【0206】
例64は、例51に記載の主題を含み、前記方法は、前記現在の超音波画像フレームに対応する血管流体流動を識別すること、及び前記血管流体流動の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別する段階を含み、前記方法は更に、前記現在の血管パラメータを決定すること、及び前記候補血管シード位置における前記前の血管パラメータを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する段階を含む。
【0207】
例65は、例64に記載の主題を含み、前記前の血管パラメータを決定することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記方法は更に、前記前の超音波画像フレーム内の血管境界を決定すること;及び前記血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定することによって前記前の血管品質スコアを決定する段階;及び前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に基づいて前記血管を検出する段階を含む。
【0208】
例66は、例51に記載の主題を含み、前記方法は更に、前記前の血管パラメータを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の血管パラメータの予測を生成すること;及び前記現在の血管パラメータ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出することによって前記追跡アルゴリズムを実行する段階を含む。
【0209】
例67は、例66に記載の主題を含み、前記前の血管パラメータを使用することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記方法は、前記前の超音波画像フレーム内の前の血管境界を決定すること;及び前記前の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定することによって前記前の血管品質スコアを決定する段階;及び前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に応答して、前記血管境界の位置を前記候補血管シード位置として識別する段階を含む。
【0210】
例68は、例67に記載の主題を含み、前記現在の血管パラメータを決定することは、現在の血管品質スコアを使用することを含み、前記方法は更に、前記現在の超音波画像フレーム内の現在の血管境界を決定すること;及び前記現在の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定することによって前記現在の血管品質スコアを決定する段階;及び前記現在の血管品質スコアが前記事前定義された品質スコア閾値を下回っているという判定に応答して、前記現在の流動データを決定する段階を含む。
【0211】
例69は、例51に記載の主題を含み、前記方法は更に、前記前の超音波画像フレームに基づく前の流動データを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の流動データの予測を生成すること;及び
前記現在の流動データ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出することによって前記追跡アルゴリズムを実行する段階を含む。
【0212】
例70は、例64から69のいずれか1つに記載の主題を含み、前記方法は、前記画像生成に対応する候補血管シード位置のリスト、及び前記候補血管シード位置のそれぞれについての最大流動振幅のリストを前記メモリに記憶させる段階、ここで、前記現在の流動データを決定することは、前記候補血管シード位置のそれぞれの少なくともいくつかに対応するそれぞれの複数の現在の流動データを決定することを含む、を含む。
【0213】
例71は、例66から68のいずれか1つに記載の主題を含み、前記方法は更に、前記現在の超音波画像フレーム内の前記血管を検出するために複数の前の超音波画像フレームを共同分析すること、You Only Look Once(YOLO)アルゴリズムのマルチチャネル実装の使用、又は畳み込みニューラルネットワーク及び長・短期記憶ネットワークの組み合わせを含むアルゴリズムの使用のうちの一方を含めて共同分析することによって前記追跡アルゴリズムを実行する段階を含む。
【0214】
例72は、例51に記載の主題を含み、前記方法は更に、前記血管内の流動の周期的挙動の分析に基づいて前記血管の圧縮性又は前記血管の脈動性のうちの少なくとも一方を決定することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する段階を含む。
【0215】
例73は、例72に記載の主題を含み、前記方法は更に、前記現在の画像フレーム内の血管のペア間の距離を更に計算することによって前記血管が静脈と動脈のどちらに対応するかを識別する段階を含む。
【0216】
例74は、例72に記載の主題を含み、前記方法は更に、連続的な超音波画像フレーム間のような前記血管の近くの空間的運動に関するデータを分析すること、又は前記血管の壁の動きの局所的分析を実行することによって前記脈動性を決定する段階を含む。
【0217】
例75は、例51に記載の主題を含み、前記方法は更に、前記血管の圧縮レベルに基づく空間検索範囲を使用することによって前記現在の血管パラメータ又は前記前の血管パラメータのうちの少なくとも一方を決定する段階を含む。
【0218】
例76は、例51から75のいずれか1つに記載の方法を実行するための手段を含む装置を含む。
【0219】
例77は、実行されると1つ又は複数のプロセッサに例51から75のいずれか1つに記載の方法を実行させる複数の命令を記憶した1つ又は複数のコンピュータ可読媒体を含む。
【0220】
例78は、例1から25のいずれか1つに記載の装置を含み、前記ユーザインタフェースデバイスを更に含む、イメージングデバイスを含む。
【0221】
例79は、少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサが例51から75のいずれか1つに記載の方法を実行することを可能にするように動作可能であるコンピュータ実行可能命令を含む1つ又は複数の有形のコンピュータ可読非一時的記憶媒体を有する製品を含む。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイスの装置であって、
メモリ、及び前記メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサを備えるコンピューティングデバイスの装置であって、前記1つ又は複数のプロセッサは、
超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行し、前記
血管検出アルゴリズムは、
現在時刻におけるディスプレイ上の現在の超音波画像のフレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;
前記現在時刻よりも前の時刻における前記ディスプレイ上の前の超音波画像のフレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;
前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び
前記現在の血管パラメータ、前記前の血管パラメータ、及び前記現在の流動データに基づいて前記血管を検出及び追跡すること
を含む;且つ
所定の異物によるアクセスに対する前記血管の適合性に関する情報を決定し、前記ディスプレイを含むユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる、
装置。
【請求項2】
前記現在の流動データは、現在のドップラー流動データに対応し、前記超音波画像は、二次元超音波画像である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記現在の超音波画像のフレームと同じ視野についての前記現在の流動データを決定すること、及び前記同じ視野より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することの中から選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ又は複数のプロセッサは、画像生成の開始時に前記同じ視野についての前記現在の流動データを決定することを選択し、続いて、前記より小さい視野についての前記現在の流動データを決定することを選択する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記より小さい視野は、前記同じ視野の左端、右端、下端、又は上端のうちの少なくとも1つまでの所定の数の画像画素を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記ユーザインタフェースデバイスに、前記画像生成中にリアルタイムで前記現在の流動データに関する情報を前記ユーザへ伝達させる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記現在の血管パラメータに関する情報を決定し、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ表示させる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記現在の血管パラメータに関する前記情報は、前記現在の超音波画像のフレーム上の前記血管の境界の輪郭、及びその中心の位置又はその直径のうちの少なくとも一方を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記血管検出アルゴリズムの実行中に前記所定の異物によるアクセスに対する前記血管の前記適合性に関する前記情報を前記ユーザへ表示させる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記メモリにアクセスして、そこから前記血管パラメータのうちの1つ又は複数、及び前記所定の異物の1つ又は複数の属性の間の相関関係を含む情報を読み取り;且つ
前記所定の異物の前記1つ又は複数の属性に関する情報を、前記ユーザインタフェースデバイスを介して前記ユーザへ伝達させる、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記血管パラメータは、血管寸法、血管流体流速、血管脈動性、血管圧縮性、又は血管輪郭のうちの1つ又は複数を含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
現在の血管パラメータを決定することは、前記現在の超音波画像のフレーム内の所定の形状を識別すること、及び前記所定の形状の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別することを含み、前記1つ又は複数のプロセッサは更に、前記候補血管シード位置に対応する前記現在の流動データを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する、請求項1から
10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
ディスプレイを有するユーザインタフェースデバイス;及び
前記ユーザインタフェースデバイスに通信可能に結合されたコンピューティングデバイス
を備え、
前記コンピューティングデバイスは、メモリ、及び前記メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサを有し、前記1つ又は複数のプロセッサは、
超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行し、前記
血管検出アルゴリズムは、
前記ディスプレイ上の現在の超音波画像のフレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;
前記画像生成中の現在時刻よりも前の時刻における前記ディスプレイ上の前の超音波画像のフレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;
前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び
前記現在の血管パラメータ、前記前の血管パラメータ、及び前記現在の流動データに基づいて前記血管を検出及び追跡すること
を含む;且つ
所定の異物によるアクセスに対する前記血管の適合性に関する情報を決定し、前記ユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる、
システム。
【請求項14】
前記血管パラメータは、血管寸法、血管流体流速、血管脈動性、血管圧縮性、又は血管輪郭のうちの1つ又は複数を含む、請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
メモリ、及び前記メモリに結合された1つ又は複数のプロセッサを含むコンピューティングデバイスにおいて実行される方法であって、前記方法は、
超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行する段階、前記
血管検出アルゴリズムは、
ディスプレイ上の現在の超音波画像のフレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;
前記画像生成中の現在時刻よりも前の時刻における前記ディスプレイ上の前の超音波画像のフレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;
前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び
前記現在の血管パラメータ、前記前の血管パラメータ、及び前記現在の流動データに基づいて前記血管を検出及び追跡すること
を含む;且つ
所定の異物によるアクセスに対する前記血管の適合性に関する情報を決定し、前記ディスプレイを含むユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる段階
を備える、方法。
【請求項16】
前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動を識別すること、及び前記血管流体流動の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別する段階を備え、前
記現在の血管パラメータを決定すること、及び前記候補血管シード位置における前記前の血管パラメータを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析する段階を
更に備える、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記前の血管パラメータを決定することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記方法は更に、
前記前の超音波画像のフレーム内の血管境界を決定すること;及び
前記血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記前の血管品質スコアを決定する段階;及び
前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に基づいて前記血管を検出する段階
を備える、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は更に、
前記前の血管パラメータを使用して、前記血管を検出するために時間領域で追跡される候補血管シード位置を決定すること;
前記前の血管パラメータに基づいて前記現在の血管パラメータの予測を生成すること;及び
前記現在の血管パラメータ及び前記予測の間に相関関係が存在するという判定に基づいて前記血管を検出すること
によって前記追跡のアルゴリズムを実行する段階を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記前の血管パラメータを使用することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、前記方法は、
前記前の超音波画像のフレーム内の前の血管境界を決定すること;及び
前記前の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記前の血管品質スコアを決定する段階;及び
前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に応答して、前記血管境界の位置を前記候補血管シード位置として識別する段階
を備える、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記現在の血管パラメータを決定することは、現在の血管品質スコアを使用することを含み、前記方法は更に、
前記現在の超音波画像のフレーム内の現在の血管境界を決定すること;及び
前記現在の血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記現在の血管品質スコアを決定する段階;及び
前記現在の血管品質スコアが前記事前定義された品質スコア閾値を下回っているという判定に応答して、前記現在の流動データを決定する段階
を備える、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
請求項15から20のいずれか一項に記載の方法を実行するための手段を備える装置。
【請求項22】
プロセッサにより実行された場合に、プロセッサに、
超音波イメージングデバイスによる画像生成中にリアルタイムで生体の血管を検出するための血管検出アルゴリズムを実行する動作、前記血管検出アルゴリズムは、
ディスプレイ上の現在の超音波画像のフレームに基づいて現在の血管パラメータを決定すること;
前記画像生成中の現在時刻よりも前の時刻における前記ディスプレイ上の前の超音波画像のフレームに基づいて前の血管パラメータを決定すること;
前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動についての現在の流動データを決定すること;及び
前記現在の血管パラメータ、前記前の血管パラメータ、及び前記現在の流動データに基づいて前記血管を検出及び追跡すること
を含む;及び
所定の異物によるアクセスに対する前記血管の適合性に関する情報を決定し、前記ディスプレイを含むユーザインタフェースデバイスを介してユーザへ表示させる動作
を含む動作を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項23】
前記
動作は更に、前記現在の超音波画像のフレームに対応する血管流体流動を識別すること、及び前記血管流体流動の位置に基づいて候補血管シード位置を決定することによって前記血管を検出するために検索される前記候補血管シード位置を識別する動作を含み、前記動作は更に、前記現在の血管パラメータを決定すること、及び前記候補血管シード位置における前記前の血管パラメータを決定することによって前記血管を検出するために前記候補血管シード位置を分析することを含む、請求項
22に記載の
コンピュータプログラム。
【請求項24】
前記前の血管パラメータを決定することは、前の血管品質スコアを使用することを含み、
前記動作は更に、
前記前の超音波画像のフレーム内の血管境界を決定すること;及び
前記血管境界におけるN個の点のセットにわたって平均化された画像勾配の強さを決定すること
によって前記前の血管品質スコアを決定すること;及び
前記前の血管品質スコアが事前定義された品質スコア閾値を超えているという判定に基づいて前記血管を検出すること
を含む、
請求項
23に記載の
コンピュータプログラム。
【請求項25】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の装置を備え、前記ユーザインタフェースデバイスを更に備えるイメージングデバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本開示は静脈の検出/識別及び静脈の追跡について言及しているが、実施形態はそれに限定されず、流体流動を持続する人間又は動物の血管(以降「流動血管」)の識別をその範囲内に含むことを理解されたい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
本説明との関連で、単数形又は複数形で「超音波画像」に言及する場合、言及されているものは、超音波デバイスを使用した結果として生成される1つ又は複数の画像である。1つ又は複数の画像は、Aモード、Bモード、又はCモード画像、好ましくは、Bモード(二次元)画像を含み得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
いくつかの実施形態に係るアルゴリズムは、UI上で輪郭描写された血管に関する自動化された(すなわち、アルゴリズムによって決定された)所見を、例えば、
図4の静脈ID406の形態で報告し得る。「静脈深度」は、皮膚の線(画像上部)から静脈輪郭上の最上点までの距離(例えば、cm単位)として自動的に測定される数値である。「静脈ID」は、画像ディスプレイ上に輪郭描写された候補血管に関する自動的に決定された情報を伝える4色(
図4にパターン(パターンなし、陰影のあるパターン、及び塗りつぶしパターン)で示す)の仮想インジケータライトを含み得る。「圧縮性」(緑色又は赤色)は、超音波プローブを使用して組織に圧力を加えることによって候補血管がつぶされ得るかどうかを示す(静脈は典型的に圧縮性であるが、動脈は通常圧縮性ではない)。「静脈流」(緑色又は赤色)は、静脈を示す血流パターンを血管が示しているかどうかを示す(流動は、典型的に、静脈よりも動脈において脈動性が高く;この脈動性は、ドップラー流動情報、及び
/又はBモード画像で見られる血管の脈動の動きを使用して測定され得る)。「十分な直径」(緑色、黄色、又は赤色)は、健康管理機関によって設定されたガイドラインに基づいて、AP直径がカテーテル留置の対象となるのに十分な大きさであるかどうかを示す。黄色の表示は、直径がどっちつかずであることを示す。「アクセスに適切」(緑色、黄色、又は赤色)は、静脈がカテーテル留置の判断基準を満たしているかどうかを示す。「カテーテル選択」欄は、AP直径を繰り返し、健康管理機関によって決定されるような、カテーテルによる血管の許容占有率に基づいて得られた、対応する推奨のカテーテルゲージ及びフレンチサイズを示す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
図4における他のグラフィック要素は、ユーザプロフィールボタン及び超音波イメージングパラメータ
を含み得る。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】