(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】冷却要素
(51)【国際特許分類】
A24D 3/17 20200101AFI20240829BHJP
A24D 3/06 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A24D3/17
A24D3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508983
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 GB2022052138
(87)【国際公開番号】W WO2023021292
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523220776
【氏名又は名称】フィルトローナ ディベロップメント カンパニー プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FILTRONA DEVELOPMENT CO.PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】アフメド、ナキーブ
(72)【発明者】
【氏名】アリット、ニ グスティ ニョマン
(72)【発明者】
【氏名】ウィディアルト、スディルマン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー、ボビー
(72)【発明者】
【氏名】ラーマン、アリーフ
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BA05
4B045BA08
4B045BB10
4B045BC16
4B045BC24
(57)【要約】
本発明は、長手方向に延びている基材を備える冷却要素を提供し、その長手方向に延びている基材は、その基材の総重量に対して3%~12%の量で添加剤を含み、その添加剤は、(i)プロピレングリコール、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びている基材を備える冷却要素であって、前記長手方向に延びている基材が、前記基材の総重量に対して3%~12%の量で添加剤を含み、前記添加剤が、(i)プロピレングリコール、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される、冷却要素。
【請求項2】
長手方向に延びている基材を備える冷却要素であって、前記長手方向に延びている基材が、前記基材の総重量に対して3%~12%の量で冷却添加剤を含む、冷却要素。
【請求項3】
前記冷却添加剤が、(i)プロピレングリコール、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される、請求項2に記載の冷却要素。
【請求項4】
前記冷却添加剤が、前記基材の総重量に対して6%~10.5%の量である、請求項2又は請求項3に記載の冷却要素。
【請求項5】
長手方向に延びている基材を備える冷却要素であって、前記長手方向に延びている基材が、添加剤を含み、前記添加剤が、(i)プロピレングリコール、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される、冷却要素。
【請求項6】
前記添加剤が、前記基材の総重量に対して3%~12%の量である、請求項5に記載の冷却要素。
【請求項7】
前記添加剤が、前記基材の総重量の6%~10.5%の量である、請求項1又は請求項6に記載の冷却要素。
【請求項8】
前記長手方向に延びている基材が、酢酸セルロース又は紙(例えば、セルロース系エンボス加工紙)又は不織材料から作製される、請求項1~7に記載の冷却要素。
【請求項9】
前記長手方向に延びている基材が、酢酸セルロースから熱成形される、請求項8に記載の冷却要素。
【請求項10】
前記冷却要素の長さが、5~50mm、例えば、10~30mm、例えば、8~24mm、例えば、15~20mm、例えば、18mmである、請求項1~9のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項11】
前記冷却要素の円周が、12mm~30mm、例えば、15mm~28mm、例えば、17mm~25mmである、請求項1~10のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項12】
前記長手方向に延びている基材が、1つ又は複数の長手方向に延びているボア(複数可)を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項13】
前記長手方向に延びている基材が、複数の溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項14】
前記長手方向に延びている基材が、複数の溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有し、かつ1つ又は複数の長手方向に延びているボア(複数可)を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の冷却要素。
【請求項15】
長手方向に延びている基材を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素であって、前記長手方向に延びている基材が、前記基材の総重量に対して3%~12%の量で添加剤を含み、前記添加剤が、(i)プロピレングリコール、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される、冷却要素。
【請求項16】
長手方向に延びている基材を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素であって、前記長手方向に延びている基材が、前記基材の総重量に対して3%~12%の量で冷却添加剤を含む、冷却要素。
【請求項17】
長手方向に延びている基材を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素であって、前記長手方向に延びている基材が、添加剤を含み、前記添加剤が、(i)プロピレングリコール、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される、冷却要素。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の冷却要素と、任意選択的に1つ以上の別個の更なるセグメントとを備える喫煙物品(例えば、タバコ加熱製品、HNB製品)。
【請求項19】
長手方向に延びている基材を備える冷却要素を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品であって、前記長手方向に延びている基材が、前記基材の総重量に対して3%~12%の量で添加剤を含み、前記添加剤が、(i)プロピレングリコール、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品。
【請求項20】
長手方向に延びている基材を備える冷却要素を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品であって、前記長手方向に延びている基材が、基材の総重量に対して3%~12%の量で冷却添加剤を含む、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品。
【請求項21】
長手方向に延びている基材を備える冷却要素を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品であって、前記長手方向に延びている基材が、添加剤を含み、前記添加剤が、(i)プロピレングリコール、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品。
【請求項22】
長手方向に延びている基材を備える冷却要素の、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品における使用であって、前記長手方向に延びている基材が、前記基材の総重量に対して3%~12%の量で添加剤を含み、前記添加剤が、(i)プロピレングリコール、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される、使用。
【請求項23】
長手方向に延びている基材を備える冷却要素の、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品における使用であって、前記長手方向に延びている基材が、基材の総重量に対して3%~12%の量で冷却添加剤を含む、使用。
【請求項24】
長手方向に延びている基材を備える冷却要素の、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品における使用であって、前記長手方向に延びている基材が、添加剤を含み、前記添加剤が、(i)プロピレングリコール、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される、使用。
【請求項25】
前記添加剤又は冷却添加剤が、プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドであり、任意選択的に、前記添加剤又は冷却添加剤が、70重量%のプロピレングリコール及び30重量%の2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドである、請求項1~17のいずれか一項に記載の冷却要素、請求項18に記載の喫煙物品、請求項19~21のいずれか一項に記載のタバコ加熱製品及び/又はHNB製品、又は請求項22~24のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序論
本発明は、タバコ加熱製品又は非燃焼加熱製品などの喫煙物品と共に使用するための冷却要素を提供する。
【背景技術】
【0002】
タバコ加熱製品又は非燃焼加熱(heat-not-burn、HNB)製品は良く知られている。タバコ加熱製品の概念は、タバコが燃焼することなく特定の温度(350℃など)に加熱されることである。これにより、ニコチンを含有する蒸気が送達されるが、燃焼させずに加熱することで、消費者に有害な燃焼生成物の生成が回避されると考えられる。
【0003】
タバコ加熱製品又はHNB製品は、紙巻きタバコのような外観を提供するように、紙のプラグラップ(paper plugwrap)で包まれている改良タバコのプラグ及び他のマウスピース構成要素を含んでいる場合がある。そのような製品の1つでは、再構成タバコプラグ、包まれた中空アセテート管、PLA[ポリ(乳酸)]の包まれたプラグ、及び従来の包まれたアセテートセグメントが、白紙で包まれている。次いで、製品は、タバコを加熱する加熱要素に挿入され、消費者は、製品を「喫煙」することができる。これらの製品における「フィルター」の機能は、紙巻きタバコフィルターの機能とは非常に異なっており、主な機能は、紙巻きタバコの外観及び感触を提供すること、及びまた蒸気を消費者にとって許容可能な温度まで冷却することである。
【0004】
しかしながら、既存のタバコ加熱製品又はHNB製品には、それらの濾過特性(特にフェノールに関する)及び蒸気を許容可能又は予測可能なレベルまで冷却するそれらの能力には欠点がある。
【0005】
したがって、HNB製品中の蒸気の許容可能な冷却及び許容可能な濾過特性(特にフェノールに関する)を提供するHNB製品の構成要素(例えば、冷却要素)が必要とされている。また、HNB製品は、蒸気の必要な温度低下をもたらすために、一貫した及び/又は予測可能な冷却効果を有することも望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、第1の態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備える冷却要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)が提供され、その長手方向に延びる基材は、その基材の総重量に対して3%~12%(例えば、6%~10.5%)の量で添加剤を含み、その添加剤は、(i)プロピレングリコール(例えば、PEG 400)、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される。
【0007】
本明細書で使用される場合、「冷却要素」という用語は、有意な冷却機能、すなわち、蒸気が冷却要素の長さに沿って通過するときに蒸気の温度を低下させる機能を提供する別個のセグメントを指すことが理解されよう。冷却要素はまた、有意な濾過機能、すなわち、蒸気が冷却要素の長さに沿って通過するときに蒸気を濾過する機能も提供し得る。
【0008】
冷却要素中の添加剤の量は、以下に示す一般式により、基材及び添加剤の総重量中の百分率として計算される。例示的な計算を実施例1において提示しており、基材は、基材と添加剤との総重量に対して9%の植物性グリセリンである添加剤の量を含んでいる。
【0009】
【0010】
本出願人らは、添加剤を含む長手方向に延びている基材を備える冷却要素が、蒸気の優れた冷却を提供できることを見出した。本出願人らは、添加剤を含めることによって、かつ添加剤の量を変化させることによって冷却効果を調整して、必要な温度低下及び許容可能な濾過特性(例えば、特にフェノールに関する)を提供できることを見出した。
【0011】
一例では、冷却要素は、基材の総重量に対し3%~12%であって存在する添加剤の量を有する。別の例では、冷却要素は、基材の総重量に対し6%~10.5%であって存在する添加剤の量を有する。
【0012】
一例において、蒸気の温度は、本発明による冷却要素を通して引き出されると、10℃を超えて低下する可能性がある。別の例では、蒸気の温度は、本発明による冷却要素を通して引き出されると、20℃を超えて低下する可能性がある。
【0013】
一例では、フェノール(例えば、フェノール化合物)は、蒸気が冷却要素を通って引き出されると、冷却要素によって蒸気から除去(例えば、吸着)され得る。
【0014】
本出願人らは、添加剤を含めることにより、最適な冷却特性を提供することができ、また消費者にとって許容可能な量のニコチンを送達しながら、濾過効率(例えば、フェノールに関する)を高め得ることを見出した。
【0015】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、天然又は合成のフィラメント状のトウ(例えば、綿、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン又は酢酸セルロースなどのプラスチック)から作製され得る。長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、天然又は合成のステープルファイバー、コットンウール、不織材料、又はウェブ材料、例えば、紙(例えば、クレープ紙、例えば、セルロース系エンボス加工紙)から作製され得る。
【0016】
好ましくは、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、酢酸セルロース(例えば、捲縮酢酸セルロース繊維、例えば、モノアセテートフィルター)から作製される。好ましくは、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、酢酸セルロースから熱成形される。酢酸セルロースは、可塑剤(例えば、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)若しくはポリエチレングリコール(PEG)若しくは他の可塑剤、又は可塑剤の混合物)を更に含み得る。
【0017】
好ましくは、冷却要素の長さは、5~50mm(例えば、10~30mm、例えば、8~24mm、例えば、15~20mm、例えば、18mm)である。
【0018】
好ましくは、冷却要素の円周は、12~30mm(例えば、15~28mm)、より好ましくは17~25mm(例えば、18~25mm、例えば、20~24mm、例えば、22~24mm、例えば、23mm、例えば、22mm)である。
【0019】
好ましくは、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、均一な軸方向断面(例えば、円形、例えば、環状)のものである。
【0020】
好ましくは、冷却要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)は、実質的に円形の断面を有し、これは、冷却要素が実質的に円筒状であることを意味する。しかしながら、本発明の冷却要素は任意の形状であってもよい。例えば、冷却要素は、環状断面又は楕円形断面又は正方形断面又は長方形断面を有し得る。
【0021】
冷却要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)は、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)の周りに係合された外側ラッパーを更に備え得る。外側ラッパーは、紙(例えば、プラグラップ)、好ましくは坪量20~160gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量24~150gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量70~150gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量70~140gsmの紙(例えば、プラグラップ)であり得る。
【0022】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、1つ又は複数の長手方向に延びているボア(複数可)(又は穴(複数可))を有し得る。1つ又は複数の長手方向に延びているボア(複数可)(又は穴(複数可))は、長手方向に延びている基材の全長を通して長手方向に延びていてもよい(基材の一端又は両端で開いていてもよい)。
【0023】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状の)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有し得る。複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルは、長手方向に延びている基材(の外面)の全長にわたって延びていてもよい。複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルは、長手方向に延びている基材(の外面)の全長にわたって延びていなくてもよい。
【0024】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状の)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、1つ又は複数の長手方向に延びているボア(複数可)(又は穴(複数可))を有してもよく、複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有し得る。
【0025】
本発明によれば、第2の態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備える冷却要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)が提供され、長手方向に延びる基材は、基材の総重量に対して3%~12%(例えば、6%~10.5%)の量で冷却添加剤を含む。
【0026】
本明細書で使用される場合、「冷却添加剤」という用語は、有意な冷却機能を発揮する、すなわち、蒸気が要素の長さに沿って通過するときに蒸気の温度を低下させる添加剤(例えば、冷却剤)を指す。
【0027】
冷却要素中の冷却添加剤の量は、基材の総重量中の百分率として計算され、基材の総重量に対する冷却添加剤として計算される。冷却要素中の添加剤の量を計算するための同じ式(上記に示したように)を使用して、冷却要素中の冷却添加剤の量を計算できることが理解されよう。
【0028】
本出願人らは、添加剤を含む長手方向に延びている基材を備える冷却要素が、蒸気の優れた冷却を提供できることを見出した。本出願人らは、添加剤を含めることによって、かつ添加剤の量を変化させることによって冷却効果を調整して、必要な温度低下及び許容可能な濾過特性(例えば、特にフェノールに関する)を提供できることを見出した。
【0029】
一例において、蒸気の温度は、本発明による冷却要素を通して引き出されると、10℃を超えて低下する可能性がある。別の例では、蒸気の温度は、本発明による冷却要素を通して引き出されると、20℃を超えて低下する可能性がある。
【0030】
一例では、フェノール(例えば、フェノール化合物)は、蒸気が冷却要素を通って引き出されると、冷却要素によって蒸気から除去(例えば、吸着)され得る。
【0031】
本出願人らは、添加剤を含めることにより、最適な冷却特性を提供することができ、また消費者にとって許容可能な量のニコチンを送達しながら、濾過効率(例えば、フェノールに関して)を高め得ることを見出した。
【0032】
冷却添加剤は、(i)プロピレングリコール(例えば、PEG 400)、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択され得る。
【0033】
一例では、冷却要素は、基材の総重量に対し3%~12%であって存在する冷却添加剤の量を有する。別の例では、冷却要素は、基材の総重量に対し6%~10.5%であって存在する冷却添加剤の量を有する。
【0034】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、天然又は合成のフィラメント状のトウ(例えば、綿、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン又は酢酸セルロースなどのプラスチック)から作製され得る。長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、天然又は合成のステープルファイバー、コットンウール、不織材料、又はウェブ材料、例えば、紙(例えば、クレープ紙、例えば、セルロース系エンボス加工紙)から作製され得る。
【0035】
好ましくは、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、酢酸セルロース(例えば、捲縮酢酸セルロース繊維、例えば、モノアセテートフィルター)から作製される。好ましくは、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、酢酸セルロースから熱成形される。酢酸セルロースは、可塑剤(例えば、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)若しくはポリエチレングリコール(PEG)若しくは他の可塑剤、又は可塑剤の混合物)を更に含み得る。
【0036】
好ましくは、冷却要素の長さは、5~50mm(例えば、10~30mm、例えば、8~24mm、例えば、15~20mm、例えば、18mm)である。
【0037】
好ましくは、冷却要素の円周は、12~30mm(例えば、15~28mm)、より好ましくは17~25mm(例えば、18~25mm、例えば、20~24mm、例えば、22~24mm、例えば、23mm、例えば、22mm)である。
【0038】
好ましくは、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、均一な軸方向断面(例えば、円形、例えば、環状)のものである。
【0039】
好ましくは、冷却要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)は、実質的に円形の断面を有し、これは、冷却要素が実質的に円筒状であることを意味する。しかしながら、本発明の冷却要素は任意の形状であってもよい。例えば、冷却要素は、環状断面又は楕円形断面又は正方形断面又は長方形断面を有し得る。
【0040】
冷却要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)は、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)の周りに係合された外側ラッパーを更に備え得る。外側ラッパーは、紙(例えば、プラグラップ)、好ましくは坪量20~160gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量24~150gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量70~150gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量70~140gsmの紙(例えば、プラグラップ)であり得る。
【0041】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、1つ又は複数の長手方向に延びているボア(複数可)(又は穴(複数可))を有し得る。1つ又は複数の長手方向に延びているボア(複数可)(又は穴(複数可))は、長手方向に延びている基材の全長を通して長手方向に延びていてもよい(基材の一端又は両端で開いていてもよい)。
【0042】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状の)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有し得る。複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルは、長手方向に延びている基材(の外面)の全長にわたって延びていてもよい。複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルは、長手方向に延びている基材(の外面)の全長にわたって延びていなくてもよい。
【0043】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状の)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、1つ又は複数の長手方向に延びているボア(複数可)(又は穴(複数可))を有してもよく、複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有し得る。
【0044】
本発明によれば、第3の態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備える冷却要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)が提供され、長手方向に延びる基材は、添加剤を含み、その添加剤は、(i)プロピレングリコール(例えば、PEG 400)、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される。
【0045】
冷却要素中の添加剤の量は、基材の総重量に対して3%~12%(例えば、基材の総重量に対して6%~10.5%)であり得る。冷却要素中の添加剤の量は、基材の総重量に対して、基材の総重量中の百分率として計算される。基材中の添加剤の量を計算するための同じ式(上記に示したように)を使用して、基材中の冷却添加剤の量を計算できることが理解されよう。
【0046】
本出願人らは、添加剤を含む長手方向に延びている基材を備える冷却要素が、蒸気の優れた冷却を提供できることを見出した。本出願人らは、添加剤を含めることによって、かつ添加剤の量を変化させることによって冷却効果を調整して、必要な温度低下及び許容可能な濾過特性(例えば、特にフェノールに関する)を提供することができることを見出した。
【0047】
一例では、冷却要素は、基材の総重量に対し3%~12%であって存在する添加剤の量を有する。別の例では、冷却要素は、基材の総重量に対し6%~10.5%であって存在する添加剤の量を有する。
【0048】
一例において、蒸気の温度は、本発明による冷却要素を通して引き出されると、10℃を超えて低下する可能性がある。別の例では、蒸気の温度は、本発明による冷却要素を通して引き出されると、20℃を超えて低下する可能性がある。
【0049】
一例では、フェノール(例えば、フェノール化合物)は、蒸気が冷却要素を通って引き出されると、冷却要素によって蒸気から除去(例えば、吸着)され得る。
【0050】
本出願人らは、添加剤を含めることにより、最適な冷却特性を提供することができ、また消費者にとって許容可能な量のニコチンを送達しながら、濾過効率(例えば、フェノールに関して)を高め得ることを見出した。
【0051】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、天然又は合成のフィラメント状のトウ(例えば、綿、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン又は酢酸セルロースなどのプラスチック)から作製され得る。長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、天然又は合成のステープルファイバー、コットンウール、不織材料、又はウェブ材料、例えば、紙(例えば、クレープ紙、例えば、セルロース系エンボス加工紙)から作製され得る。
【0052】
好ましくは、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、酢酸セルロース(例えば、捲縮酢酸セルロース繊維、例えば、モノアセテートフィルター)から作製される。好ましくは、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材は、酢酸セルロースから熱成形される。酢酸セルロースは、可塑剤(例えば、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)若しくはポリエチレングリコール(PEG)若しくは他の可塑剤、又は可塑剤の混合物)を更に含み得る。
【0053】
好ましくは、冷却要素の長さは、5~50mm(例えば、10~30mm、例えば、8~24mm、例えば、15~20mm、例えば、18mm)である。
【0054】
好ましくは、冷却要素の円周は、12~30mm(例えば、15~28mm)、より好ましくは17~25mm(例えば、18~25mm、例えば、20~24mm、例えば、22~24mm、例えば、23mm、例えば、22mm)である。
【0055】
好ましくは、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、均一な軸方向断面(例えば、円形、例えば、環状)のものである。
【0056】
好ましくは、冷却要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)は、実質的に円形の断面を有し、これは、冷却要素が実質的に円筒状であることを意味する。しかしながら、本発明の冷却要素は任意の形状であってもよい。例えば、冷却要素は、環状断面又は楕円形断面又は正方形断面又は長方形断面を有し得る。
【0057】
冷却要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)は、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)の周りに係合された外側ラッパーを更に備え得る。外側ラッパーは、紙(例えば、プラグラップ)、好ましくは坪量20~160gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量24~150gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量70~150gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量70~140gsmの紙(例えば、プラグラップ)であり得る。
【0058】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、1つ又は複数の長手方向に延びているボア(複数可)(又は穴(複数可))を有し得る。1つ又は複数の長手方向に延びているボア(複数可)(又は穴(複数可))は、長手方向に延びている基材の全長を通して長手方向に延びていてもよい(基材の一端又は両端で開いていてもよい)。
【0059】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状の)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有し得る。複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルは、長手方向に延びている基材(の外面)の全長にわたって延びていてもよい。複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルは、長手方向に延びている基材(の外面)の全長にわたって延びていなくてもよい。
【0060】
長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状の)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)は、1つ又は複数の長手方向に延びているボア(複数可)(又は穴(複数可))を有してもよく、複数の(例えば、長手方向に延びている)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有し得る。
【0061】
本発明によれば、更なる態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素が提供され、その長手方向に延びている基材は、基材の総重量に対して3%~12%(例えば、6%~10.5%)の量で添加剤を含み、その添加剤は、(i)プロピレングリコール(例えば、PEG 400)、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される。
【0062】
本発明によれば、更なる態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素が提供され、長手方向に延びている基材は、基材の総重量に対して3%~12%(例えば、6%~10.5%)の量で冷却添加剤を含む。
【0063】
本発明によれば、更なる態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素が提供され、長手方向に延びている基材は、添加剤を含み、その添加剤は、(i)プロピレングリコール(例えば、PEG 400)、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される。
【0064】
冷却要素は、任意のマルチセグメントフィルター又は消耗品において使用され得ることが理解されよう。フィルター構造体は、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の別個のセグメントであることができよう。別個の更なるセグメントは、タバコの煙の濾過材料(例えば、酢酸セルローストウ)の(例えば、円筒状)プラグ、及び/又は中空(例えば、アセテート)管、及び/又はPLAの包まれた(例えば、円筒状)プラグであり得る。フィルターは、タバコのロッド(任意の形態のタバコ(再構成を含む)から作製することができる)に取り付けられ得る。フィルターは、カプセル、カーボン、CPS、チューブ、アセテート、紙、メントールなどを含む他のセグメントを含んでもよい。
【0065】
本発明によれば、本明細書に記載され、かつ以下で特許請求される冷却要素を備える喫煙物品(例えば、タバコ加熱製品、HNB製品)が提供される。
【0066】
喫煙物品(例えば、タバコ加熱製品、HNB製品)は、(例えば、HNBマウスピースの)1つ以上の別個の更なるセグメントを備え得ることが理解されよう。別個の更なるセグメントは、タバコの煙の濾過材料(例えば、酢酸セルローストウ)の(例えば、円筒状の)プラグ、タバコ(例えば、任意の形態のタバコ(再構成タバコを含む))の(例えば、円筒状の)ロッド、PLAの包まれた(例えば、円筒状の)プラグ、中空(例えば、アセテート)管などであり得る。
【0067】
本発明によれば、更なる態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備える冷却要素を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品が提供され、長手方向に延びている基材は、基材の総重量に対して3%~12%(例えば6%~10.5%)の量で添加剤を含み、添加剤は、(i)プロピレングリコール(例えば、PEG 400)、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される。
【0068】
本発明によれば、更なる態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備える冷却要素を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品が提供され、長手方向に延びている基材は、基材の総重量に対して3%~12%(例えば、6%~10.5%)の量で冷却添加剤を含む。
【0069】
本発明によれば、更なる態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備える冷却要素を備えるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品が提供され、長手方向に延びている基材は、添加剤を含み、その添加剤は、(i)プロピレングリコール(例えば、PEG 400)、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される。
【0070】
好ましくは、本発明によるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品は、(例えば、HNBマウスピースの)1つ以上の別個の更なるセグメントを更に備え得る。別個の更なるセグメントは、タバコの煙の濾過材料(例えば、酢酸セルローストウ)の(例えば、円筒状の)プラグ、タバコ(例えば、任意の形態のタバコ(再構成タバコを含む))の(例えば、円筒状の)ロッド、PLAの包まれた(例えば、円筒状の)プラグ、中空(例えば、アセテート)チューブなどであり得る。
【0071】
本出願人らは、任意選択的にHNBマウスピースの他の構成要素(例えば、他の別個のセグメント)と共に、添加剤を含む長手方向に延びている基材を備える冷却要素が、蒸気の優れた冷却を提供することができることを見出した。本出願人らは、添加剤を含めることによって、かつ添加剤の量を変化させることによって冷却効果を調整して、必要な温度低下及び許容可能な濾過特性(例えば、特にフェノールに関する)を提供することができることを見出した。本出願人らは、添加剤を含めることにより、最適な冷却特性を提供することができ、また消費者にとって許容可能な量のニコチンを送達しながら、濾過効率(例えば、フェノールに関する)を高め得ることを見出した。
【0072】
本発明によれば、更なる態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備える冷却要素の、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品における使用が提供され、長手方向に延びている基材は、基材の総重量に対して3%~12%(例えば6%~10.5%)の量で添加剤を含み、添加剤は、(i)プロピレングリコール(例えば、PEG 400)、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される。
【0073】
本発明によれば、更なる態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備える冷却要素の、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品における使用が提供され、長手方向に延びている基材は、基材の総重量に対して3%~12%(例えば、6%~10.5%)の量で冷却添加剤を含む。
【0074】
本発明によれば、更なる態様において、長手方向に延びている(例えば、円筒状、例えば、管状)基材(例えば、酢酸セルロース、例えば、不織材料、例えば、紙)を備える冷却要素の、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品における使用が提供され、その長手方向に延びている基材は、添加剤を含み、その添加剤は、(i)プロピレングリコール(例えば、PEG 400)、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択される。
【0075】
好ましくは、本発明によるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品は、(例えば、HNBマウスピースの)1つ以上の別個の更なるセグメントを更に備え得る。別個の更なるセグメントは、タバコの煙の濾過材料(例えば、酢酸セルローストウ)の(例えば、円筒状の)プラグ、タバコ(例えば、任意の形態のタバコ(再構成タバコを含む))の(例えば、円筒状の)ロッド、PLAの包まれた(例えば、円筒状の)プラグ、中空(例えば、アセテート)チューブなどであり得る。
【0076】
冷却要素は、任意のマルチセグメントフィルター又は消耗品において使用され得ることが理解されよう。フィルター構造体は、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の別個のセグメントであることができよう。別個の更なるセグメントは、タバコの煙の濾過材料(例えば、酢酸セルローストウ)の(例えば、円筒状)プラグ、及び/又は中空(例えば、アセテート)チューブ、及び/又はPLAの包まれた(例えば、円筒状)プラグであり得る。フィルターは、タバコのロッド(任意の形態のタバコ(再構成を含む)から作製することができる)に取り付けられ得る。フィルターは、カプセル、カーボン、CPS、チューブ、アセテート、紙、メントールなどを含む他のセグメントを含んでもよい。
【0077】
本出願人らは、任意選択的にHNBマウスピースの他の構成要素(例えば、他の別個のセグメント)と共に、添加剤を含む、長手方向に延びている基材を備える冷却要素が、蒸気の優れた冷却を提供できることを見出した。本出願人らは、添加剤を含めることによって、かつ添加剤の量を変化させることによって冷却効果を調整して、必要な温度低下及び許容可能な濾過特性(例えば、特にフェノールに関する)を提供できることを見出した。本出願人らは、添加剤を含めることにより、最適な冷却特性を提供することができ、また消費者にとって許容可能な量のニコチンを送達しながら、濾過効率(例えば、フェノールに関して)を高め得ることを見出した。
【0078】
本明細書に記載されかつ特許請求される本発明又はその態様による冷却要素、喫煙物品、タバコ加熱製品、HNB製品、及びそれらの使用では、添加剤又は冷却添加剤は、(i)プロピレングリコール(例えば、PEG 400)、(ii)植物性グリセリン、(iii)プロピレングリコール及び植物性グリセリン、又は(iv)プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミドから選択され得る。例えば、添加剤又は冷却添加剤は、プロピレングリコール及び2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド(例えば、それらの混合物)であり得る。添加剤又は冷却添加剤は、70重量%のプロピレングリコール及び30重量%の2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド(例えば、それらの混合物)であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0079】
次に、添付の図面を参照して、本発明を更に詳細に説明する:
【
図1】本発明の一実施形態による冷却要素を含む、本発明によるHNB製品の概略図を示している。
【
図2】HNB製品が冷却要素A、B、C、D及びEを含有する場合に、喫煙が行われるにつれてHNB製品の口端部における温度がどのように変化するかを、基準HNB製品であるAmber HEETSと比較するグラフ表示である。
【0080】
図1は、円筒状のHNB製品100の概略図を示している。HNB製品100は、4つのセグメント、すなわち、再構成されたタバコの円筒状プラグ101と、中空のアセテート管102と、PLAの包まれた円筒状プラグ103と、本発明の一実施形態による円筒状冷却要素104と、を備えている。再構成されたタバコのプラグ101は、長さ12mmであり、22mmの円周を有し、HNB製品100の一端を形成する。これは、HNBデバイスに挿入される端部である。このような再構成タバコのプラグは、当該技術分野において良く知られている。このプラグは、当該技術分野において良く知られているように、蒸気を生成するために加熱装置(HNBデバイス)によって使用時に加熱される。再構成タバコのプラグ101は、長さ8mmの中空アセテート管102の一端に当接しており、この中空アセテート管は、また円周22mmであり、壁厚1.3mmを有する。再構成タバコのプラグ101と反対側にある中空アセテート管102の端部は、PLAの長さ18mmの包まれた円筒状プラグ103に当接している。本発明の一実施形態による円筒状冷却要素104は、円筒状冷却要素104がHNB製品の口端部に配置されるように、PLAの包まれた円筒状プラグ103の反対側の端部に当接している。円筒状冷却要素104は、酢酸セルロースで作製され、当該技術分野で良く知られている方法によって(例えば、繊維を噴霧することによって)適用された9%の植物性グリセリン(図示せず)を含む。円筒状冷却要素104は、長さ7mm、円周22mmである。
【0081】
再構成タバコの円筒状プラグ101、中空アセテート管102、PLAの包まれた円筒状プラグ103、及び円筒状冷却要素104は、従来のプラグラップ紙(当該技術分野で知られている)のプラグラップ(図示せず)で更に包まれている。これにより、従来の紙巻きタバコと同様の外観が得られる。
【0082】
使用中、HNB製品100の再構成タバコ101の円筒状プラグは、HNBデバイスに挿入される。HNBデバイスは、HNBデバイスに関する従来の仕方で再構成タバコを加熱する。これは熱い蒸気を生成し、それは最初に中空のアセテート管102を通して、次にPLAの包まれた円筒状プラグ103を通して、次いで最後に円筒状冷却要素104を通して、喫煙者の口(すなわち、口端部)に引き出される。冷却要素104を通して、この高温蒸気を吸い込むことは、ユーザにとって許容可能な温度まで蒸気を冷却させると考えられる。本出願人らは、冷却要素に添加剤を含めることにより、特に効果的なレベルの冷却が提供され、蒸気からのフェノールの顕著な抽出も提供されることを見出した。このような優れた効果は、従来の冷却要素では達成されていなかった。
【実施例】
【0083】
図1において、長さ7mm及び円周22mmの円筒状冷却要素104は、セルロースアセテートと植物性グリセリンとの総重量に対して9%の植物性グリセリン(図示せず)を含むセルロースアセテートから作製される。冷却要素104に使用される酢酸セルロースは、重量0.6mgであり、0.06mgの植物性グリセリンを含有する。酢酸セルロースと植物性グリセリンとの総重量に対して、存在する植物性グリセリンの百分率は9%である。これは、前に示した一般式を使用して計算したものであり、以下の結果が得られる。
【0084】
【0085】
実験
本発明の冷却要素A、B、C、D及びEは、当該技術分野で知られている方法に従って作製した。
【0086】
冷却要素Aは、酢酸セルロースとプロピレングリコールとの総重量に対して6%のプロピレングリコール(6%PG)を含む酢酸セルロースの長手方向に延びている円筒状基材を備え、長さ7mm及び円周22mmである。
【0087】
冷却要素Bは、酢酸セルロースとプロピレングリコールとの総重量に対して11%のプロピレングリコール(11%PG)を含む酢酸セルロースの長手方向に延びている円筒状基材を備え、長さ7mm及び円周22mmである。
【0088】
冷却要素Cは、酢酸セルロースと植物性グリセリンとの総重量に対して3%の植物性グリセリン(3%VG)を含む酢酸セルロースの長手方向に延びている円筒状基材を備え、長さ7mm及び円周22mmである。
【0089】
冷却要素Dは、酢酸セルロースと植物性グリセリンとの総重量に対して9%の植物性グリセリン(9%VG)を含む酢酸セルロースの長手方向に延びている円筒状基材を備え、長さ7mm及び円周22mmである。
【0090】
冷却要素Eは、酢酸セルロースと、植物性グリセリンと、プロピレングリコールとの総重量に対して6%のプロピレングリコール及び6%の植物性グリセリン(6%PG 6%VG)を含む酢酸セルロースの長手方向に延びている円筒状基材を備え、長さ7mm及び円周22mmである。
【0091】
図1に従う5つのHNB製品が試験のために組み立てられ、各々が、本発明の冷却要素A、B、C、D及びEのうちの1つを含んでいた。長さ18mm及び円周22mmのPLAの包まれた円筒状プラグ(
図1の103)と、長さ8mm、円周22mm及び壁厚1.3mmの中空アセテート管(
図1の102)と、長さ12mm及び円周22mmの再構成タバコのプラグ(
図1の101)と共に、冷却要素A、B、C、D及びEを使用した。基準HNB製品であるAmber HEETSは、
図1に示したものに類似している配置で、再構成タバコのプラグ、中空アセテート管、PLAの包まれた円筒状プラグ、及び酢酸セルロースのトウの円筒状プラグを含んでいる。
【0092】
冷却要素A、B、C、D及びEのうちの1つを含むHNB製品、並びに基準HNB製品であるAmber HEETSを、従来の加熱デバイス(HNBデバイス)において試験した。
【0093】
各HNB製品を加熱デバイスに挿入した。HNB製品の口端部を、HNB製品を喫煙するために構成されている喫煙機械に挿入した。IRカメラを使用して、喫煙中のHNB製品の口端部の温度を分析した。喫煙機械は、30秒毎にHNB製品を吸煙するように構成され、各吸煙は2秒間の長さであった。HNB製品の口端部での温度を、各吸煙について測定した。実験は、標準的な室温及び湿度で行った。冷却要素A、B、C、D、Eのうちの1つを含む各HNB製品及び基準HNB製品であるAmber HEETSについて実験を繰り返した。
【0094】
図2は、冷却要素A、B、C、D及びEを備えるHNB製品に関する各吸煙についての口端部での温度を、基準HNB製品であるAmber HEETSと比較して示している。図には、本発明の冷却要素A、B、C、D及びEが、多くの追加の利益、例えば、フェノール収量の低減、例えば、許容可能な量のニコチンの消費者への送達を提供しながら、基準HNB製品であるAmber HEETSよりも良好な冷却効果を提供できることが示されている。これは、プロピレングリコール及び植物性グリセリンを含む冷却要素が、改善された蒸気の冷却を提供できることを示唆している。
【0095】
特に、
図2には、9%の植物性グリセリンを含む冷却要素を備えるHNB製品の口端部の温度が、各吸煙に関して、基準HNB製品であるAmber HEETSよりも口端部温度よりも有意に低いことが図示されている。最も高い温度低下は、植物性グリセリンを含む冷却要素で認められる。しかしながら、
図2には、プロピレングリコールを含む冷却要素(プロピレングリコールと植物性グリセリンとを含む冷却要素を含む)は、基準HNB製品であるAmber HEETSにおける従来の冷却要素と比較して、各吸煙による口端部温度の有意な低下も実証されていることが示されている。更なるデータを以下の表1に示す。
【0096】
したがって、本発明の冷却要素は、要求される温度低下をもたらす一貫した及び/又は予測可能な冷却効果を有する。
【0097】
従来の加熱デバイス(HNBデバイス)における冷却要素A、B、C、D及びEのうちの1つを備えるHNB製品、並びに基準HNB製品であるAmber HEETSのフェノール収量及びニコチン収量は、当該技術分野で良く知られている方法(ISO 23904:2020-Cigarette-Determination of selected phenolic compounds in cigarette mainstream smoke with a intense smoking regime using HPLC-FLD及びISO 3308:2012 Routine analytical cigarette-smoking machine-Definitions and standard conditions)で測定した。その結果を表1に示す。
【0098】
【0099】
表1は、冷却要素A、B、C、D及びEを備えるHNB製品のフェノール収量が、基準HNB製品であるAmber HEETSのフェノール収量より低いことを示している。特に、表1は、9%の植物性グリセリンを含む冷却要素を備えるHNB製品のフェノール収量が、基準HNB製品であるAmber HEETSのフェノール収量の半分未満であることを示している。更に、3%の植物性グリセリンを含む冷却要素を備えるHNB製品のフェノール収量は、基準HNB製品であるAmber HEETSのフェノール収量よりも有意に低い。これは、植物性グリセリンを含む冷却要素が、蒸気の優れた冷却を提供することに加えて、蒸気が冷却要素を通して引き出されるときに蒸気からフェノール(例えば、フェノール化合物)を除去(例えば、吸着)するのに特に有効であることを示している。
【0100】
表1はまた、6%プロピレングリコールを含む冷却要素が、基準HNB製品であるAmber HEETSと比較して、フェノール収量の有意な減少を実証していることも示している。したがって、プロピレングリコールを含む冷却要素は、蒸気が冷却要素を通って引き出されるときに、蒸気からフェノール(例えば、フェノール化合物)を除去(例えば、吸着)するのにも有効である。
【0101】
基準HNB製品であるAmber HEETSと比較して、冷却要素A、B、C、D及びEを備えるHNB製品のより低いフェノール収量は、ニコチン収量を減少させることなく認められる。表1は、本発明の冷却要素A、B、C、D及びEが、基準HNB製品であるAmber HEETSのまさにそのニコチン収量(又は少なくとも同様のニコチン収量)を提供できることを示している。
【0102】
これは、本発明の冷却要素が、HNB製品において、蒸気の許容可能な冷却及び許容可能な濾過特性を提供できることを示している。特に、本発明の冷却要素は、許容可能な量のニコチンを消費者に送達しながら、フェノール収量を低減することができる。
【国際調査報告】