(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】誘導加熱
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20240829BHJP
H05B 6/04 20060101ALI20240829BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240829BHJP
【FI】
H05B6/10 371
H05B6/04 321
A24F40/465
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509061
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 GB2022052210
(87)【国際公開番号】W WO2023031593
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】コーラス, アントン
【テーマコード(参考)】
3K059
4B162
【Fターム(参考)】
3K059AA07
3K059AA08
3K059AB24
3K059CD52
4B162AA03
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC22
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
共振回路と、前記共振回路に1つまたは複数のパルスを印加するための回路とを備える装置が記載される。共振回路は、誘導素子およびコンデンサを備える。誘導素子は、少なくとも部分的に露出した1つまたは複数のコイルを備え、前記誘導素子は、サセプタが前記露出したコイルを横切って配置され、前記露出したコイルと電気的に接触するときに前記サセプタを加熱するためのものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導素子およびコンデンサを含む共振回路であって、前記誘導素子が、少なくとも部分的に露出した1つまたは複数のコイルを含み、前記誘導素子が、サセプタが前記露出したコイルを横切って配置され、前記露出したコイルと電気的に接触するときに前記サセプタを加熱するためのものである、共振回路と、
前記共振回路に1つまたは複数のパルスを印加するための回路と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記誘導素子の前記露出したコイルが、腐食に耐性がある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コイルが金であるか、または先端が金である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記誘導素子の前記1つまたは複数のコイルが、プリント回路基板によって形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記プリント回路基板が多層プリント回路基板であり、前記コイルが前記プリント回路基板の異なる層から形成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記誘導素子が、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分と、前記第1の平面から離間した第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分と、前記第1の部分を前記第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタとを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の部分が第1の部分環であり、前記第2の部分が第2の部分環である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記誘導素子および前記コンデンサが並列に接続される、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記誘導素子および前記コンデンサが直列に接続される、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記回路が自己発振駆動回路である、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記回路がHブリッジ駆動回路を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の装置を備える送達システム。
【請求項13】
エアロゾル生成材料を含む取り外し可能な物品を受け入れるように構成された、請求項12に記載の送達システム。
【請求項14】
前記エアロゾル生成材料が、エアロゾル生成物質およびエアロゾル形成材料を含む、請求項13に記載の送達システム。
【請求項15】
前記取り外し可能な物品がサセプタ構成を含む、請求項13または14に記載の送達システム。
【請求項16】
使用時に、前記サセプタ構成が、前記装置の前記誘導素子の前記1つまたは複数の少なくとも部分的に露出したコイルと電気的に接触する、請求項15に記載の送達システム。
【請求項17】
前記送達システムが非燃焼性エアロゾル生成デバイスである、請求項12~16のいずれか一項に記載の送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、エアロゾル生成デバイスに使用するための誘導加熱構成に関する。エアロゾル生成デバイスは、例えば、タバコ加熱製品であり得る。
【背景】
【0002】
シガレットおよび葉巻などの喫煙物品は、使用中にタバコを燃やしてタバコの煙を発生させる。燃焼させることなく化合物を放出する製品を作り出すことによってこれらの物品の代替物を提供するための試みがなされてきた。例えば、タバコ加熱デバイスは、タバコなどのエアロゾル生成物質を加熱して、基材を燃やすのではなく加熱することによって、エアロゾルを形成する。材料は、例えば、タバコまたは他の非タバコ製品であってもよく、ニコチンを含有しても含有しなくてもよい。
【概要】
【0003】
第1の態様では、本明細書は、誘導素子およびコンデンサを含む共振回路であって、誘導素子が、少なくとも部分的に露出した1つまたは複数のコイルを含み、前記誘導素子が、サセプタが前記露出したコイルを横切って配置され、前記露出したコイルと電気的に接触するときに前記サセプタを加熱するためのものである、共振回路と、前記共振回路に1つまたは複数のパルスを印加するための回路(例えば、駆動回路または制御回路)とを備える、装置を記載する。前記コイルは、金であるか、または先端が金であってもよい。
【0004】
誘導素子の露出したコイルは、腐食に耐性があってもよい。
【0005】
誘導素子の1つまたは複数のコイルは、プリント回路基板によって形成されてもよい。例えば、プリント回路基板は多層プリント回路基板であってもよく、前記コイルは前記プリント回路基板の異なる層から形成されてもよい。
【0006】
誘導素子は、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分と、第1の平面から離間した第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分と、第1の部分を第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタとを備えることができる。第1の部分は第1の部分環であってもよく、第2の部分は第2の部分環であってもよい。
【0007】
いくつかの例示的な実施形態では、誘導素子およびコンデンサは並列に接続される。いくつかの例示的な実施形態では、誘導素子およびコンデンサは直列に接続される。
【0008】
回路は、自己発振駆動回路であってもよい。代替的に、前記回路は、Hブリッジ駆動回路を含む。
【0009】
第2の態様では、本明細書は、第1の態様を参照して上述したような装置を備える送達システムを記載する。送達システムは、非燃焼性エアロゾル生成デバイスであってもよい。
【0010】
送達システムは、エアロゾル生成材料を含む取り外し可能な物品を受け入れるように構成され得る。例えば、送達システムのエアロゾル生成デバイスは、サセプタが1つまたは複数のコイルの露出した部分と物理的に接触するように(サセプタとコイルとが電気的に接触するように)取り外し可能な物品を受け入れるように構成され得る。エアロゾル生成材料は、例えば、エアロゾル生成物質およびエアロゾル形成材料を含み得る。取り外し可能な物品は、サセプタ構成を含むことができる。さらに、使用時に、サセプタ構成は、装置の誘導素子の1つまたは複数の少なくとも部分的に露出したコイルと電気的に接触することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
ここで、以下の概略図を参照して、単なる例として、例示的な実施形態を説明する。
【
図1】
図1は、例示的な実施形態によるシステムのブロック図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態による回路のブロック図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態によるインダクタ構成の断面図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態によるインダクタの斜視図である。
【
図5】
図5は、例示的な実施形態によるインダクタ構成の平面図である。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態による等価インダクタ回路を示す。
【
図7】
図7は、例示的な実施形態によるエアロゾル提供システムの側面図である。
【
図8】
図8は、例示的な実施形態によるシステムのブロック図である。
【
図9】
図9は、例示的な実施形態による回路のブロック図である。
【
図10】
図10は、例示的な実施形態による回路のブロック図である。
【詳細な説明】
【0012】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル送達デバイス」という用語は、物質をユーザに送達するシステムを包含することを意図しており、以下を含む:
・電子タバコ、タバコ加熱製品、およびエアロゾル化可能材料の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムなどの、エアロゾル化可能材料を燃焼させることなくエアロゾル化可能材料から化合物を放出する非燃焼性エアロゾル提供システム;および
・エアロゾル化可能材料を含み、これらの非燃焼性エアロゾル提供システムの1つで使用されるように構成された物品。
【0013】
本開示によれば、「可燃性」エアロゾル提供システムは、ユーザへの送達を容易にするために、エアロゾル提供システムの構成エアロゾル化可能材料(またはその構成成分)が燃焼される、または燃やされるものである。
【0014】
本開示によれば、「非燃焼性」エアロゾル提供システムは、ユーザへの送達を容易にするために、エアロゾル提供システムの構成エアロゾル化可能材料(またはその構成成分)が燃焼されない、または燃やされないものである。
【0015】
本明細書に記載の実施形態では、送達システムは、動力式の非燃焼性エアロゾル提供システムなどの非燃焼性エアロゾル提供システムである。
【0016】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル提供システムは、蒸気吸引デバイスまたは電子ニコチン送達システム(END)としても知られる電子タバコであるが、エアロゾル化可能材料中のニコチンの存在は必要条件ではないことに留意されたい。
【0017】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル提供システムは、非燃焼加熱システムとしても知られるエアロゾル生成材料加熱システムである。そのようなシステムの一例は、タバコ加熱システムである。
【0018】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル提供システムは、エアロゾル化可能材料の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、エアロゾル化可能材料の1つまたは複数が加熱され得る。エアロゾル化可能材料の各々は、例えば、固体、液体またはゲルの形態であってもよく、ニコチンを含有しても含有しなくてもよい。一実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体またはゲルエアロゾル化可能材料および固体エアロゾル化可能材料を含む。固体エアロゾル化可能材料は、例えば、タバコまたは非タバコ製品を含み得る。
【0019】
典型的には、非燃焼性エアロゾル提供システムは、非燃焼性エアロゾル提供デバイスと、非燃焼性エアロゾル提供システムと共に使用するための物品とを備えることができる。しかしながら、エアロゾル生成構成要素に動力を与えるための手段をそれ自体が備える物品は、それ自体が非燃焼性エアロゾル提供システムを形成し得ることが想定される。
【0020】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル提供デバイスは、電源およびコントローラを備えてもよい。電源は、電源または発熱電源であってもよい。一実施形態では、発熱電源は、発熱電源に近接するエアロゾル化可能材料または熱伝達材料に熱の形態で電力を分配するように通電され得る炭素基材を含む。一実施形態では、発熱電源などの電源は、非燃焼性エアロゾル提供を形成するように物品に設けられる。
【0021】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル提供デバイスと共に使用するための物品は、エアロゾル化可能材料、エアロゾル生成構成要素、エアロゾル生成領域、吸い口、および/またはエアロゾル化可能材料を受け入れるための領域を含み得る。
【0022】
一実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料から1つまたは複数の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するように、エアロゾル化可能材料と相互作用することができるヒータである。
【0023】
一実施形態では、エアロゾル化可能材料は、活性材料、エアロゾル形成材料、および任意選択的に1つまたは複数の機能性材料を含み得る。活性材料は、ニコチン(タバコもしくはタバコ誘導体に任意選択的に含有される)、または1つもしくは複数の他の非嗅覚性生理学的活性材料を含み得る。非嗅覚性生理学的活性材料は、嗅覚知覚以外の生理学的応答を達成するためにエアロゾル化可能材料に含まれる材料である。本明細書で使用される活性物質は、生理学的応答を達成または増強することを意図した材料である生理学的活性材料であり得る。活性物質は、例えば、栄養補助食品、向知性薬、精神賦活剤から選択され得る。活性物質は、天然に存在していてもよく、または合成的に得られてもよい。活性物質は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、ビタミン、例えばB6もしくはB12もしくはC、メラトニン、カンナビノイド、またはそれらの構成成分、誘導体もしくは組み合わせを含み得る。活性物質は、タバコ、カンナビスまたは別の植物の1つまたは複数の構成成分、誘導体または抽出物を含み得る。一実施形態では、活性物質は、法的に許容されるレクリエーショナルドラッグである。
【0024】
いくつかの実施形態では、活性物質は、ニコチンを含む。いくつかの実施形態では、活性物質は、カフェイン、メラトニンまたはビタミンB12を含む。
【0025】
エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、meso-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジルフェニル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、および炭酸プロピレンの1つまたは複数を含み得る。
【0026】
1つまたは複数の機能性材料は、風味剤、担体、pH調整剤、安定剤および/または酸化防止剤の1つまたは複数を含み得る。
【0027】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル提供デバイスと共に使用するための物品は、エアロゾル化可能材料、またはエアロゾル化可能材料を受け入れるための領域を含み得る。一実施形態では、非燃焼性エアロゾル提供デバイスと共に使用するための物品は、吸い口を含み得る。エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル化可能材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。例えば、貯蔵領域はリザーバであってもよい。一実施形態では、エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル生成領域とは別個であってもよく、またはエアロゾル生成領域と組み合わされてもよい。
【0028】
本明細書でエアロゾル生成材料とも呼ばれ得るエアロゾル化可能材料は、例えば、任意の他の方法で加熱、照射または通電されたときにエアロゾルを生成することができる材料である。エアロゾル化可能材料は、例えば、ニコチンおよび/または風味剤を含有しても含有しなくてもよい固体、液体またはゲルの形態であってもよい。
【0029】
エアロゾル生成材料は、「非晶質固体」であってもよい。いくつかの実施形態では、非晶質固体は「モノリシック固体」である。エアロゾル生成材料は、非繊維状または繊維状であってもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、乾燥ゲルであってもよい。エアロゾル生成材料は、その中に液体などの何らかの流体を保持することができる固体材料であってもよい。いくつかの実施形態では、保持された流体は水(エアロゾル生成材料の周囲から吸収された水など)であってもよく、または保持された流体は溶媒(エアロゾル生成材料がスラリーから形成される場合など)であってもよい。いくつかの実施形態では、溶媒は水であり得る。
【0030】
エアロゾル化可能材料は、基材上に存在してもよい。基材は、例えば、紙、カード、板紙、厚紙、再構成エアロゾル化可能材料、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、ガラス、金属、または金属合金であり得るか、またはそれらを含み得る。
【0031】
消耗品は、エアロゾル生成材料を含むかまたはそれからなる物品であり、その一部または全部は、ユーザによる使用中に消費されることが意図されている。消耗品は、エアロゾル生成材料貯蔵領域、エアロゾル生成材料移送構成要素、エアロゾル生成領域、ハウジング、ラッパー、吸い口、フィルタおよび/またはエアロゾル改質剤などの1つまたは複数の他の構成要素を含み得る。消耗品はまた、使用時にエアロゾル生成材料にエアロゾルを生成させるために熱を放出するヒータなどのエアロゾル生成器を含み得る。ヒータは、例えば、可燃性材料もしくは電気伝導によって加熱可能な材料、またはサセプタを含み得る。
【0032】
エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成された装置である。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料から1つまたは複数の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するように、エアロゾル生成材料を熱エネルギーに供するように構成されたヒータである。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成器は、加熱せずにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成される。例えば、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料を振動、圧力上昇、または静電エネルギーの1つまたは複数に供するように構成され得る。
【0033】
サセプタは、交流磁場などの変動磁場による貫通によって加熱可能な材料である。サセプタは導電性材料であってもよく、その結果、変動磁場による導電性材料の貫通が加熱材料の誘導加熱を引き起こす。加熱材料は磁性材料であってもよく、その結果、変動磁場による磁性材料の貫通が加熱材料の磁気ヒステリシス加熱を引き起こす。サセプタは、導電性および磁性の両方であってもよく、その結果、サセプタは両方の加熱機構によって加熱可能である。変動磁場を生成するように構成されたデバイスは、本明細書では磁場生成器と呼ばれる。
【0034】
図1は、例示的な実施形態による、全体として参照番号200で示されるシステムのブロック図である。システム200は、共振回路201(例えば、LC共振回路)と、制御モジュール202と、サセプタ203とを備える。共振回路201は、自己発振駆動回路であってもよい。
【0035】
共振回路201は、直列または並列に接続されたインダクタおよびコンデンサを備えることができる。共振回路は、サセプタ203を誘導加熱してエアロゾル生成材料を加熱するために使用され得る。エアロゾル生成材料を加熱することにより、(以下でさらに説明するように)エアロゾルを生成することができる。
【0036】
制御モジュール202は、共振回路201のための制御信号(例えば、駆動信号)を提供する。例えば、制御モジュール202は、共振回路201のインダクタを、充電する第1の状態と放電する第2の状態との間で切り替える切替信号を提供することができる。このような構成では、共振回路は共振し、インダクタからコンデンサに電荷が流れ、再び戻る。以下でさらに説明するように、共振回路を駆動および制御するための他の構成が可能である。
【0037】
システム200は、多種多様なサセプタ構成と共に使用することができる。いくつかの実施形態を、例として以下に説明する。しかしながら、当業者は、他の実施形態が可能であることを理解するであろう。
【0038】
サセプタは、交流磁場などの変動磁場による貫通によって加熱可能な材料である。加熱材料は導電性材料であってもよく、その結果、変動磁場による導電性材料の貫通が加熱材料の誘導加熱を引き起こす。加熱材料は磁性材料であってもよく、その結果、変動磁場による磁性材料の貫通が加熱材料の磁気ヒステリシス加熱を引き起こす。加熱材料は、導電性および磁性の両方であってもよく、その結果、加熱材料は両方の加熱機構によって加熱可能である。
【0039】
誘導加熱は、変動磁場で導電性物体を貫通することによって導電性物体が加熱されるプロセスである。このプロセスは、ファラデーの誘導法則およびオームの法則によって説明される。誘導ヒータは、電磁石と、電磁石に交流電流などの可変電流を通過させるためのデバイスとを備えることができる。電磁石および加熱される物体が、電磁石によって生成された結果として生じる変動磁場が物体を貫通するように適切に相対的に位置決めされたとき、1つまたは複数の渦電流が物体内部に生成される。物体は、電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、このような渦電流が物体内に生成されたとき、物体の電気抵抗に対する渦電流の流れが物体の加熱を引き起こす。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、または抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱され得る物体が、サセプタとして知られている。
【0040】
図2は、例示的な実施形態による、全体として参照番号210で示される回路のブロック図である。回路210は、上述のシステム200の例示的な実装形態である。
【0041】
回路210は、制御モジュール211と、トランジスタ212と、インダクタ213と、コンデンサ214とを備える。制御モジュール211およびトランジスタ212は、システム200の制御モジュール202の例示的な実装形態である。インダクタ213とコンデンサ214との並列接続は、共振回路201の例示的な実装形態である。したがって、インダクタ213およびコンデンサ214から形成される共振回路は、システム200のサセプタ203を誘導加熱するために使用することができる。
【0042】
トランジスタ212は、制御モジュール211の出力に依存する第1の状態および第2の状態を有する。第1の状態では、トランジスタ212は、電圧供給VDCから生成された変動電流がインダクタ213を通って流れる(それによってインダクタを充電する)ように導通している。電圧供給は、バッテリー(例えば、エアロゾル生成デバイスのバッテリー)によって提供されてもよい。
【0043】
第2の状態では、インダクタ213(第1の状態で充電されている)が放電し、それによってコンデンサ214を充電するように、第1のスイッチング構成は非導通である。スイッチング構成が第2の状態のままである場合、共振回路211は、式:
【数1】
によって与えられる、インダクタ213のインダクタンス(L)およびコンデンサ214のキャパシタンス(C)に依存する周波数で共振する。したがって、回路210は、いくつかの構成では、自己発振駆動回路であり得る。
【0044】
図3は、例示的な実施形態による、全体として参照番号150で示されるインダクタ構成の断面図である。
【0045】
図4は、インダクタ構成150のインダクタ160の斜視図である。インダクタ160は、上述の共振回路のインダクタ213(または上述の他の例示的な実施形態のインダクタ)を実装するために使用され得るが、代替のインダクタ構成が使用されてもよい。
【0046】
インダクタ構成150は、電気絶縁支持体172と、インダクタ160とを備える。支持体172は、対向する第1の側面172aおよび第2の側面172bを有し、インダクタ160の部分162、164はそれぞれ、支持体172の第1の側面172aおよび第2の側面172bにある。
【0047】
より具体的には、インダクタ160は、導電性素子160で形成される。素子160は、第1の平面P1と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分162と、第1の平面P1から離間した第2の平面P2と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分164とを備える。この例では、第2の平面P2は第1の平面P1に平行であるが、他の例では、これは当てはまる必要はない。例えば、第2の平面P2は、20度以下または10度以下または5度以下の角度など、第1の平面P1に対してある角度であってもよい。インダクタ160はまた、第1の部分162を第2の部分164に電気的に接続する第1の導電性コネクタ163を備える。第1の部分162は支持体172の第1の側面172aにあり、第2の部分164は支持体172の第2の側面172bにある。導電性コネクタ163は、支持体172を第1の側面172aから第2の側面172bまで通過する。導電性コネクタ163は、支持体172に設けられた貫通孔の表面にめっき(例えば、銅めっき)の構造を有してもよい。
【0048】
支持体172は、任意の適切な電気絶縁材料で作製することができる。いくつかの例では、支持体172は、母型(エポキシ樹脂など、任意選択的にセラミックなどの充填剤を添加したもの)および補強構造(ガラス繊維または紙などの、織布または不織布材料など)を含む。
【0049】
インダクタ160は、任意の適切な導電性材料で作製することができる。いくつかの例では、インダクタ160は銅で作製される。
【0050】
いくつかの例では、インダクタ構成150は、プリント回路基板(PCB)を備えるか、またはそれから形成される。そのような例では、支持体172は、フェノール樹脂を含浸させたFR-4ガラスエポキシまたは綿紙などの材料から形成され得るPCBの非導電性基板であり、インダクタ160の第1の部分162および第2の部分164は基板上のトラックである。これは、インダクタ構成150の製造を容易にし、また、以下でより詳細に説明するように、素子160の部分162、164を薄くして密接に離間させることを可能にする。
【0051】
この例では、第1の部分162は第1の部分環162であり、第2の部分164は第2の部分環164である。さらに、この例では、第1の部分162および第2の部分164の各々は、それぞれの円形経路の一部のみを辿る。したがって、第1の部分または第1の部分環162は第1の円弧であり、第2の部分または第2の部分環164は第2の円弧である。他の例では、第1の部分162および第2の部分164は、楕円形、多角形または不規則など、円形以外の経路を辿ってもよい。
【0052】
図3のさらなる考察から最もよく理解され得るように、第1の平面P
1に直交する方向、したがってインダクタ160の軸線B-Bの方向に見たとき、第1の部分162および第2の部分164は、第1の導電性コネクタ163から反対の回転方向に延びる。例えば、
図3のインダクタ160を
図4が描かれているように左から右へ軸線B-Bの方向に見ると、インダクタ160の第1の部分162はコネクタ163から反時計回り方向に延び、インダクタ160の第2の部分164はコネクタ163から時計回り方向に延びる。
【0053】
また、この例では、第1の平面P1に直交する方向から見たとき、第1の部分162または第1の部分環は、第2の部分164または第2の部分環と、部分的のみではあるが、重なる。この例では、第1の部分162および第2の部分164は一緒になって、第1の平面P1および第2の平面P2に直交する軸線B-Bを中心とする約1.75巻きを画定する。他の例では、巻数は、少なくとも0.9である別の巻数など、1.75以外であってもよい。例えば、巻数は、0.9~1.5、または1~1.25であってもよい。他の例では、巻数は0.9未満であってもよいが、支持体172当たりの巻数の減少は、インダクタアセンブリ150の軸方向長さの増加を招く可能性がある。
【0054】
さらに、第1の平面P1に直交する方向から見たとき、第1の部分162または第1の部分環と、第2の部分164または第2の部分環とは、第1の導電性コネクタ163と少なくとも部分的に重なる。これは、PCB(またはより一般的には、平面基板層)を含むか、またはPCBから形成されるインダクタ構成150によって容易になる。特に、そのような例では、第1の導電性コネクタ163は、支持体172を通って延びる「ビア」の形態をとる。インダクタ構成150がPCBから形成されない例でも、コネクタ163は依然として支持体172を通って延びることができる。この重なった構成により、第1の部分162および第2の部分164が、第1の部分162および第2の部分164の半径方向外側に離間したコネクタ163によって接続される比較例と比較して、第1の平面P1に直交する方向に見たときに、インダクタ160が占める設置面積を比較的小さくすることが可能になる。さらに、この重なった構成により、第1の部分162および第2の部分164が、第1の部分162および第2の部分164の半径方向内側に離間したコネクタ163によって接続される比較例と比較して、貫通孔152の幅を大きくすることが可能になる。それにもかかわらず、いくつかの例では、コネクタ163は、第1の部分162および第2の部分164の半径方向内側または半径方向外側にあってもよい。これは、支持体172を通って延びる「貫通ビア」によって形成されるコネクタ163によって実現され得る。貫通ビアは、PCBが製造された後に形成することができるため、ブラインドビアよりも安価に形成される傾向がある。
【0055】
この例では、インダクタ構成150は2つのさらなる支持体174、176を備え、素子160は、第1の平面P1に平行な2つの離間した平面P3、P4とそれぞれ一致する2つのさらなる導電性非螺旋部分166、168を備えることに留意されたい。他の例では、離間した平面P3、P4の1つまたは各々は、20度以下または10度以下または5度以下の角度など、第1の平面P1に対してある角度であってもよい。第2の導電性非螺旋部分164および第3の導電性非螺旋部分166は、第2の支持体174の両側面にあり、第2の導電性コネクタ165によって電気的に接続されている。第3の導電性非螺旋部分166および第4の導電性非螺旋部分168は、第3の支持体176の両側面にあり、第3の導電性コネクタ167によって電気的に接続されている。第2の導電性コネクタ165および第3の導電性コネクタ167は、第1の導電性コネクタ163から回転方向にずれている。支持体172、174および176がPCBとして形成される構成では、コネクタ163、167は「ブラインドビア」として形成されてもよく、コネクタ165は「埋込みビア」として形成されてもよい。
【0056】
インダクタ160はまた、インダクタ160の両端に第1の端子161および第2の端子169を備えることに留意されたい。これらの端子は、使用時にインダクタ160に電流を通過させるためのものである。
【0057】
この例では、平面P1~P4の各々は、平坦な平面または略平坦な平面である。しかしながら、これは他の例に当てはまる必要はない。
【0058】
第1の導電性コネクタ163と導電性素子160の第1の部分162および第2の部分164との組み合わせは、螺旋コイルであるか、またはそれに近いと考えることができる。実際、完全なインダクタ160は、螺旋コイルであるか、またはそれに近いと考えることができる。
【0059】
図に示された例のインダクタ構成150は、3つの支持体172、174、176と、4つの部分162、164、166、168を含むインダクタ160とを有するが、これは他の例示的な実施形態に当てはまる必要はない。
【0060】
図5は、例示的な実施形態による、全体として参照番号220で示されるインダクタ構成の平面図である。
【0061】
インダクタ構成220は、少なくとも部分的に露出した1つまたは複数のコイル223を有するインダクタ222を含む。例として、インダクタ222はインダクタ160を使用して実装されてもよく、露出したコイル223はインダクタ160の部分162を形成してもよい。しかしながら、他の構成が可能であり、当業者には明らかであろう。
【0062】
インダクタ構成220は、サセプタが露出したコイル223と(したがって、インダクタ222と)電気的に接触するように、露出したコイル223を横切って配置されたサセプタ224をさらに備える。
【0063】
例として、インダクタ222は、システム210のインダクタ213を実装するために使用することができる。サセプタ224は、以下でさらに説明するサセプタ構成の1つのシステム200のサセプタ203であってもよい。
【0064】
インダクタ222の露出したコイル223は、腐食に耐性があってもよく、例えば、前記コイルは、金であるか、または先端が金であってもよい。
【0065】
インダクタ222のコイルは、プリント回路基板によって形成されてもよい。インダクタ160は、そのようなインダクタの1つの例示的な実装形態であるが、代替形態が可能である。
【0066】
図6は、例示的な実施形態による、全体として参照番号230で示される等価インダクタ回路を示す。
【0067】
等価回路230は、インダクタL3、L4、L5およびL6の直列接続を含む。インダクタL3~L6は、インダクタ222のインダクタンスを表す。等価回路230は、インダクタL7および抵抗器R4を含む並列接続232をさらに含む。並列接続232はサセプタ224を表す。
【0068】
サセプタ224をインダクタ222の露出したコイル223を横切って配置することの影響は、サセプタをインダクタ222の一部と並列に設けることによって電気的に表される。サセプタ224は、分圧器といくらかの概念的類似性を有する露出したコイルと電気的に接触し、サセプタの誘導加熱をもたらす。効果は、単巻変圧器の効果と同様であり得る。
【0069】
サセプタ(サセプタ224など)は、インダクタの露出したコイル(コイル223など)と多くの方法で接触することができる。例として、以下に説明するシステム1は、複数の加熱ゾーンが提供されるように、サセプタと露出したコイルとの間に複数の接続点を提供する。これは、本明細書に記載の原理の多くの例示的な実装形態の1つである。
【0070】
図7は、例示的な実施形態による、全体として参照番号1で示されるエアロゾル提供システムの側面図である。エアロゾル提供システム1は、例えば、エアロゾル送達デバイスのサセプタを加熱するためのシステム200の原理を使用することができる。
【0071】
システム1は、エアロゾル提供デバイス100と、エアロゾル化可能材料11を含む物品10とを備える。エアロゾル化可能材料11は、例えば、本明細書で説明するエアロゾル化可能材料のタイプのいずれかであってもよい。一例では、エアロゾル提供デバイス100は、タバコ加熱製品(タバコ加熱デバイスまたは非燃焼加熱デバイスとしても当技術分野で知られる)である。
【0072】
したがって、エアロゾル提供デバイス100は、上記で詳細に説明したように、物品10のサセプタがエアロゾル提供デバイス100のインダクタの1つまたは複数のコイルの露出した部分と物理的および電気的に接触するように、取り外し可能な物品10を受け入れるように構成され得る。
【0073】
いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11は非液体材料である。いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11はゲルである。いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11はタバコを含む。しかしながら、他の例では、エアロゾル化可能材料11は、タバコからなってもよく、略完全にタバコからなってもよく、タバコおよびタバコ以外のエアロゾル化可能材料を含んでもよく、タバコ以外のエアロゾル化可能材料を含んでもよく、またはタバコを含まなくてもよい。いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11は、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチンまたはジエチレングリコールなどの蒸気もしくはエアロゾル形成剤または湿潤剤を含み得る。いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11は、再構成タバコなどの再構成エアロゾル化可能材料を含む。
【0074】
いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11は、略円形の断面および長手方向軸を有する略円筒形である。他の例では、エアロゾル化可能材料11は、異なる断面形状を有してもよく、および/または細長くなくてもよい。
【0075】
物品10のエアロゾル化可能材料11は、例えば、8mm~120mmの軸方向長さを有してもよい。例えば、エアロゾル化可能材料11の軸方向長さは、9mm、または10mm、または15mm、または20mmより長くてもよい。例えば、エアロゾル化可能材料11の軸方向長さは、100mm未満、または75mm、または50mm、または40mmであってもよい。
【0076】
いくつかの例では、物品10は、使用時にエアロゾル化可能材料11から放出されたエアロゾルまたは蒸気を濾過するためのフィルタ構成12を備える。代替的または追加的に、フィルタ構成12は、物品10の長さにわたって圧力降下を制御するためのものであってもよい。フィルタ構成12は、1つの、または2つ以上のフィルタを備えることができる。フィルタ構成12は、タバコ産業で使用される任意のタイプのものとすることができる。例えば、フィルタは酢酸セルロースで作製され得る。いくつかの例では、フィルタ構成12は、略円形の断面および長手方向軸を有する略円筒形である。他の例では、フィルタ構成12は、異なる断面形状を有してもよく、および/または細長くなくてもよい。
【0077】
いくつかの例では、フィルタ構成12は、エアロゾル化可能材料11の長手方向端部に当接する。他の例では、フィルタ構成12は、隙間および/または物品10の1つもしくは複数のさらなる構成要素などによってエアロゾル化可能材料11から離間されてもよい。いくつかの例では、フィルタ構成12は、例えば、濾過材料の本体によって、または濾過材料の2つの本体の間に保持され得る添加剤または風味源(添加剤または風味剤含有カプセルまたは糸状物など)を含んでもよい。
【0078】
物品10はまた、エアロゾル化可能材料11およびフィルタ構成12の周りに巻き付けられて、エアロゾル化可能材料11に対してフィルタ構成12を保持するラッパー(図示せず)を備えてもよい。ラッパーは、ラッパーの自由端が互いに重なるように、エアロゾル化可能材料11およびフィルタ構成12の周りに巻き付けられてもよい。ラッパーは、物品10の周方向外面の一部または全部を形成し得る。ラッパーは、紙、カードまたは再構成エアロゾル化可能材料(例えば、再構成タバコ)などの任意の適切な材料で作製することができる。紙は、当該技術分野で知られているチップペーパーであってもよい。ラッパーはまた、重なった自由端の分離防止を助けるために、ラッパーの重なった自由端を互いに接着する接着剤(図示せず)を含んでもよい。他の例では、接着剤は省略されてもよく、またはラッパーは記載された形態とは異なる形態をとってもよい。他の例では、フィルタ構成12は、接着剤などのラッパー以外の接続物によってエアロゾル化可能材料11に対して保持されてもよい。いくつかの例では、フィルタ構成12は省略されてもよい。
【0079】
エアロゾル提供デバイス100は、物品10の少なくとも一部を受け入れるための加熱ゾーン110と、使用時にエアロゾルを加熱ゾーン110からユーザに送達可能な出口120と、物品10が加熱ゾーン110内に少なくとも部分的に位置するときに物品10の加熱を引き起こし、それによってエアロゾルを生成するための加熱装置130とを備える。いくつかの例では、エアロゾルは、物品10に隣接する任意の隙間を通してではなく、物品10自体を通して加熱ゾーン110からユーザに送達可能である。それにもかかわらず、そのような例では、物品10内を移動している間であっても、エアロゾルは依然として出口120を通過する。
【0080】
デバイス100は、加熱ゾーン110をデバイス100の外部と流体接続する少なくとも1つの空気入口(図示せず)を画定することができる。ユーザは、物品10を介して加熱ゾーン110から揮発成分を引き出すことによって、エアロゾル化可能材料の揮発成分を吸入することができる。揮発成分が加熱ゾーン110および物品10から除去されると、空気が、デバイス100の空気入口を介して加熱ゾーン110に引き込まれ得る。
【0081】
この例では、加熱ゾーン110は、軸線A-Aに沿って延び、物品10の一部のみを収容するようなサイズおよび形状である。この例では、軸線A-Aは、加熱ゾーン110の中心軸である。さらに、この例では、加熱ゾーン110は細長く、そのため、軸線A-Aは、加熱ゾーン110の長手方向軸A-Aである。物品10は、出口120を介して加熱ゾーン110内に少なくとも部分的に挿入可能であり、使用時に加熱ゾーン110から出口120を通って突出する。他の例では、加熱ゾーン110は、細長くてもよく、または細長くなくてもよく、物品10の全体を受け入れるような寸法であってもよい。いくつかのそのような例では、デバイス100は、出口120を覆うように配置され、エアロゾルを加熱ゾーン110および物品10から引き出すことができる吸い口を含むことができる。
【0082】
この例では、物品10が加熱ゾーン110内に少なくとも部分的に位置するとき、エアロゾル化可能材料11の異なる部分11a~11eは、加熱ゾーン110内の異なるそれぞれの位置111~115に位置する。この例では、これらの位置111~115は、加熱ゾーン110の軸線A-Aに沿った異なるそれぞれの軸方向位置にある。さらに、この例では、加熱ゾーン110が細長いので、位置111~115は、加熱ゾーン110の長さに沿って長手方向に離間した異なる位置にあると考えることができる。この例では、物品10は、それぞれ第1の位置111、第2の位置112、第3の位置113、第4の位置114および第5の位置115に位置するエアロゾル化可能材料11の5つのそのような部分11a~11eを含むと考えることができる。より具体的には、第2の位置112は、第1の位置111と出口120との間に流体的に位置し、第3の位置113は、第2の位置112と出口120との間に流体的に位置し、第4の位置114は、第3の位置113と出口120との間に流体的に位置し、第5の位置115は、第4の位置114と出口120との間に流体的に位置する。
【0083】
加熱装置130は、複数の加熱ユニット140a~140eを備え、その各々は、物品10が加熱ゾーン110内に少なくとも部分的に位置するとき、エアロゾル化可能材料11の部分11a~11eのそれぞれを、その成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱することができる。複数の加熱ユニット140a~140eは、軸線A-Aに沿って互いに軸方向に整列していてもよい。このように加熱可能なエアロゾル化可能材料11の部分11a~11eの各々は、例えば、1ミリメートル~20ミリメートル、例えば2ミリメートル~10ミリメートル、3ミリメートル~8ミリメートル、または4ミリメートル~6ミリメートルの軸線A-A方向の長さを有してもよい。
【0084】
この例の加熱装置130は、5つの加熱ユニット140a~140e、すなわち、第1の加熱ユニット140a、第2の加熱ユニット140b、第3の加熱ユニット140c、第4の加熱ユニット140dおよび第5の加熱ユニット140eを備える。加熱ユニット140a~140eは、加熱ゾーン110の軸線A-Aに沿った異なるそれぞれの軸方向位置にある。さらに、この例では、加熱ゾーン110が細長いので、加熱ユニット140a~140eは、加熱ゾーン110の長さに沿って長手方向に離間した異なる位置にあると考えることができる。より具体的には、第2の加熱ユニット140bは、第1の加熱ユニット140aと出口120との間に位置し、第3の加熱ユニット140cは、第2の加熱ユニット140bと出口120との間に位置し、第4の加熱ユニット140dは、第3の加熱ユニット140cと出口120との間に位置し、第5の加熱ユニット140eは、第4の加熱ユニット140dと出口120との間に位置する。他の例では、加熱装置130は、5つの加熱ユニット140a~140eを超える、または5つ未満の加熱ユニット、例えば4つのみ、3つのみ、2つのみ、もしくは1つのみの加熱ユニットを備えることができる。それぞれの加熱ユニットによって加熱可能なエアロゾル化可能材料11の部分の数は、対応して変化し得る。
【0085】
加熱装置130はまた、加熱ユニット140a~140eの動作を引き起こし、使用時にエアロゾル化可能材料11のそれぞれの部分11a~11eの加熱を引き起こすように構成されたコントローラ135を備える。この例では、コントローラ135は、加熱ユニット140a~140eを互いに独立して動作させるように構成され、その結果、エアロゾル化可能材料11のそれぞれの部分11a~11eは独立して加熱され得る。これは、使用時にエアロゾル化可能材料11の漸進的な加熱をもたらすために望ましい場合がある。さらに、エアロゾル化可能材料11の部分11a~11eが異なるタバコブレンドおよび/または異なる適用されたもしくは固有の風味剤などの異なるそれぞれの形態または特性を有する例では、エアロゾル化可能材料11の部分11a~11eを独立して加熱する能力は、時間依存性である所定の特性を有するエアロゾルを生成するために、使用セッション中の異なる時間にエアロゾル化可能材料11の選択された部分11a~11eを加熱することを可能にすることができる。それにもかかわらず、いくつかの例では、加熱装置130は、コントローラ135が、使用セッション中に同時に、加熱ユニット140a~140eのすべてなどの、加熱ユニット140a~140eの2つ以上を動作させるように構成された1つまたは複数のモードで動作可能であってもよい。
【0086】
この例では、加熱ユニット140a~140eは、交流磁場などのそれぞれの変動磁場を生成するように構成されたそれぞれの誘導加熱ユニットを備える。したがって、加熱装置130は、磁場生成器を備えると考えることができ、コントローラ135は、それぞれの加熱ユニット140a~140eのインダクタ150に可変電流を通過させるように動作可能な装置であると考えることができる。さらに、この例では、デバイス100は、変動磁場による貫通によって加熱可能であり、それによって使用時に加熱ゾーン110およびその中の物品10を加熱するように構成されたサセプタ190を備える。すなわち、サセプタ190の部分は、それぞれの変動磁場による貫通によって加熱可能であり、それによって加熱ゾーン110内のそれぞれの位置111~115でエアロゾル化可能材料11のそれぞれの部分11a~11eの加熱を引き起こす。
【0087】
いくつかの例では、サセプタ190は、アルミニウムで作製されるか、またはアルミニウムを含む。しかしながら、他の例では、サセプタ190は、導電性材料、磁性材料、および磁性導電性材料からなる群から選択される1つまたは複数の材料を含んでもよい。いくつかの例では、サセプタ190は、金属または金属合金を含み得る。いくつかの例では、サセプタ190は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、鋼、普通炭素鋼、軟鋼、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、モリブデン、炭化ケイ素、銅、および青銅からなる群から選択される1つまたは複数の材料を含み得る。他の例では、他の材料が使用されてもよい。
【0088】
サセプタ190が鋼(例えば軟鋼もしくはステンレス鋼)またはアルミニウムなどの鉄を含む例などのいくつかの例では、サセプタ190は、使用時にサセプタ190の腐食または酸化を回避するのを助けるためのコーティングを含んでもよい。そのようなコーティングは、例えば、ニッケルめっき、金めっき、またはセラミックもしくは不活性ポリマーのコーティングを含み得る。
【0089】
この例では、サセプタ190は管状であり、加熱ゾーン110を取り囲む。実際、この例では、サセプタ190の内面が加熱ゾーン110を部分的に区切る。サセプタ190の内部断面形状は、円形であってもよく、または楕円形、多角形もしくは不規則などの異なる形状であってもよい。他の例では、サセプタ190は、加熱ゾーン110を依然として部分的に取り囲む非管状構造、または加熱ゾーン110を貫通するロッド、ピンもしくはブレードなどの突出構造などの異なる形態をとることができる。いくつかの例では、サセプタ190は、複数のサセプタで置き換えられてもよく、それらの各々は、変動磁場のそれぞれの1つによる貫通によって加熱可能であり、それによってエアロゾル化可能材料11の部分11a~11eのそれぞれの1つの加熱を引き起こす。複数のサセプタの各々は、例えば、管状であってもよく、またはサセプタ190について本明細書で説明する他の形態の1つをとってもよい。さらに別の例では、デバイス100はサセプタ190を含まなくてもよく、物品10は、変動磁場による貫通によって加熱可能であり、それによってエアロゾル化可能材料11のそれぞれの部分11a~11eの加熱を引き起こす1つまたは複数のサセプタを備えてもよい。物品10の1つまたは複数のサセプタの各々は、エアロゾル化可能材料11の周りに巻き付けられるか、そうでなければ取り囲む構造(例えば、アルミニウム箔などの金属箔)、エアロゾル化可能材料11内に配置された構造、またはエアロゾル化可能材料11と混合された粒子もしくは他の素子の群などの任意の適切な形態をとることができる。デバイス100がサセプタ190を含まない例では、サセプタ190は、加熱ゾーン110を部分的に区切る耐熱性の管で置き換えられてもよい。このような耐熱性の管は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはセラミック材料から作製することができる。
【0090】
この例では、加熱装置130は、デバイスのユーザ操作のための電源(図示せず)およびユーザインターフェース(図示せず)を備える。この例の電源は、充電式バッテリーである。他の例では、電源は、非充電式バッテリー、コンデンサ、バッテリーコンデンサハイブリッド、または主電力供給への接続などの充電式バッテリー以外であってもよい。
【0091】
この例では、コントローラ135は、電源と加熱ユニット140a~140eとの間で電気的に接続されている。この例では、コントローラ135は、電源にも電気的に接続されている。より具体的には、この例では、コントローラ135は、電源から加熱ユニット140a~140eへの電力の供給を制御するためのものである。この例では、コントローラ135は、プリント回路基板(PCB)上のICなどの集積回路(IC)を備える。他の例では、コントローラ135は、異なる形態をとることができる。コントローラ135は、この例では、ユーザインターフェースのユーザ操作によって操作される。ユーザインターフェースは、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、タッチスクリーンなどを含み得る。他の例では、ユーザインターフェースは、遠隔にあってもよく、Bluetooth(登録商標)などを介して無線でエアロゾル提供デバイス100の残りの部分に接続されてもよい。
【0092】
この例では、ユーザによるユーザインターフェースの操作により、コントローラ135は、それぞれの加熱ユニット140a~140eの少なくとも1つのインダクタ150に交流電流を通過させる。これにより、インダクタ150に交流磁場を生成させる。インダクタ150およびサセプタ190は、インダクタ150によって生成された変動磁場がサセプタ190を貫通するように適切に相対的に位置決めされる。サセプタ190が導電性であるとき、この貫通により、サセプタ190内に1つまたは複数の渦電流が生成される。サセプタ190の電気抵抗に対するサセプタ190内の渦電流の流れにより、ジュール加熱によってサセプタ190が加熱される。サセプタ190が磁性であるとき、印加された磁場の変化に伴ってサセプタ190内の磁気双極子の向きが変化し、サセプタ190内に熱が生成される。
【0093】
デバイス100は、加熱チャンバ110、サセプタ190または物品10の温度を検知するための温度センサ(図示せず)を備えることができる。温度センサは、コントローラ135に通信可能に接続されてもよく、その結果、コントローラ135は、温度センサによって出力された情報に基づいて、加熱チャンバ110、サセプタ190または物品10のそれぞれの温度を監視することができる。他の例では、温度は、システムの電気的特性、例えば加熱ユニット140a~140e内の電流の変化を測定することによって、検知および監視することができる。温度センサから受信した1つまたは複数の信号に基づいて、コントローラ135は、加熱チャンバ110、サセプタ190または物品10の温度がそれぞれ所定の温度範囲内に留まることを確実にするために、必要に応じて可変または交流電流の特性を調整させることができる。特性は、例えば、振幅または周波数またはデューティサイクルであり得る。所定の温度範囲内で、使用時に、加熱チャンバ110内に配置された物品10内のエアロゾル化可能材料11は、エアロゾル化可能材料11を燃焼させることなくエアロゾル化可能材料11の少なくとも1つの成分を揮発させるのに十分に加熱される。
【0094】
したがって、コントローラ135、および全体としてのデバイス100は、エアロゾル化可能材料11を加熱して、エアロゾル化可能材料11を燃焼させることなく、エアロゾル化可能材料11の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成される。温度範囲は、約50℃~約350℃、例えば約100℃~約300℃、または約150℃~約280℃であり得る。他の例では、温度範囲は、これらの範囲の1つ以外であってもよい。いくつかの例では、温度範囲の上限は、350℃を超える可能性がある。いくつかの例では、温度センサは、省略されてもよい。
【0095】
この例では、加熱装置130は、加熱セッション中のエアロゾル化可能材料11の第2の部分11bの加熱よりも前に、またはより迅速に、エアロゾル化可能材料11の第1の部分11aの成分をエアロゾル化するのに十分な温度までエアロゾル化可能材料11の第1の部分11aの加熱を引き起こすように構成される。より具体的には、コントローラ135は、加熱セッション中のエアロゾル化可能材料11の第2の部分11bの加熱よりも前に、またはより迅速に、エアロゾル化可能材料11の第1の部分11aの加熱を引き起こすように、第1の加熱ユニット140aおよび第2の加熱ユニット140bの動作を引き起こすように構成される。したがって、加熱セッション中、物品10のエアロゾル化可能材料11に熱エネルギーが印加される位置は、最初は出口120およびユーザから比較的流体的に離間され、次いで出口120に向かって移動する。これは、加熱セッション中に、エアロゾル化可能材料11の連続した「新鮮な」部分からエアロゾルが生成されるという利点を提供し、これにより、従来の可燃性の工場製造シガレットを喫煙した場合とより類似し得るユーザにとって感覚的に満足のいく体験をもたらすことができる。
【0096】
さらに、いくつかの例では、コントローラ135は、コントローラ135が第2の加熱ユニット140bの動作を引き起こすように構成されている期間の少なくとも一部(または全期間)中に、第1の加熱ユニット140aへの電力の供給を停止させるように構成される。これは、エアロゾル化可能材料11の所与の部分で生成されたエアロゾルが、以前に加熱されたエアロゾル化可能材料11の別の部分を通過する必要がないというさらなる利点を提供し、これは、そうでなければエアロゾルに悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、以前に加熱された、または使用済みのエアロゾル化可能材料を通過するエアロゾルは、エアロゾルに「不調和」をもたらすエアロゾルピックアップ成分をもたらし得る。
【0097】
加熱装置130が3つ以上の加熱ユニットを有するいくつかの例では、加熱セッション中に、加熱装置130はまた、エアロゾル化可能材料11の少なくとも1つのさらなる部分11b~11eの加熱を、出口120に流体的に近いエアロゾル化可能材料11のなおさらなる部分11c~11eの加熱よりも前に、またはより迅速に、エアロゾル化可能材料11のさらなる部分11b~11eの成分をエアロゾル化するのに十分な温度まで引き起こすように構成され得る。すなわち、コントローラ135は、エアロゾル化可能材料11の少なくとも1つのさらなる部分11b~11eの加熱を、エアロゾル化可能材料11のなおさらなる部分11c~11eの加熱よりも前に、またはより迅速に引き起こすように、加熱ユニットの適切な動作を引き起こすように構成され得る。
【0098】
加熱セッションの所与の持続時間について、エアロゾル化可能材料11の加熱ユニットおよび関連する部分の数が多いほど、所与の軸方向長さに沿って延びるエアロゾル化可能材料11の「新鮮な」または未使用の部分からエアロゾルを生成する機会が大きくなることが理解されよう。代替的に、エアロゾル化可能材料11の各部分を加熱する所与の持続時間について、エアロゾル化可能材料11の加熱ユニットおよび関連する部分の数が多いほど、加熱セッションは長くなり得る。個々の加熱ユニットが作動され得る持続時間は、加熱セッション全体を調整(例えば、低減)するために調整(例えば短縮)することができ、同時に、加熱素子に供給される電力は、より迅速に動作温度に達するように調整(例えば、増加)することができることを理解されたい。加熱ユニットの数(「新鮮な吸煙」の数を決定し得る)、セッション全体の長さ、および達成可能な電力供給(電源の特性によって決定され得る)の間でバランスがとられ得る。
【0099】
上述したように、並列LC共振回路の一部を形成するインダクタを使用してサセプタを加熱することができ、サセプタはインダクタの露出したコイルと物理的(および電気的)に接触する。以下でさらに説明するように、いくつかの他の構成が可能である。
【0100】
図8は、例示的な実施形態による、全体として参照番号300で示されるシステムのブロック図である。
【0101】
システム300は、直流(DC)電圧供給11の形態の電源と、スイッチング構成13と、共振回路14と、サセプタ構成16と、制御回路18とを備える。スイッチング構成13および共振回路14は、サセプタ16を加熱するために使用することができる誘導加熱構成12において互いに結合されてもよい。
【0102】
共振回路14は、コンデンサと、エアロゾル生成材料を加熱するためにサセプタ構成16を誘導加熱するための1つまたは複数の誘導素子とを備えることができる。エアロゾル生成材料を加熱することにより、エアロゾルを生成することができる。
【0103】
スイッチング構成13は、(制御回路18の制御下で)DC電圧供給11から交流電流を生成することを可能にすることができる。交流電流は、1つまたは複数の誘導素子を通って流れることができ、サセプタ構成16の加熱を引き起こすことができる。スイッチング構成は、複数のトランジスタを備えてもよい。例示的なDC-ACコンバータは、Hブリッジ回路またはインバータ回路を含み、その例は、以下で説明する。
【0104】
システム300は、上述のシステム200といくつかの類似点を有するが、システム300では、共振回路14は、以下でさらに説明するように、直列に接続されたインダクタおよびコンデンサを備えることができる。
【0105】
図9は、例示的な実施形態による、全体として参照番号400で示される回路のブロック図である。回路400は、上述のシステム300の例示的な実装形態である。
【0106】
回路400は、正端子67および負(接地)端子68(これらは、上述のシステム300のDC電圧供給11の例示的な実装形態である)を備える。回路400は、スイッチング構成64(上述のスイッチング構成13を実装する)を備え、スイッチング構成64は、ブリッジ回路(例えば、FET Hブリッジ回路などのHブリッジ回路)を備える。スイッチング構成64は、第1の肢部64aおよび第2の肢部64bを備え、第1の肢部64aおよび第2の肢部64bは、共振回路69(この共振回路は上述の共振回路14を実装する)によって結合される。第1の肢部64aは、スイッチ65aおよびスイッチ65bを備え、第2の肢部64bは、スイッチ65cおよびスイッチ65dを備える。スイッチ65a、65b、65cおよび65dは、電界効果トランジスタ(FET)などのトランジスタであってもよく、システム10の制御回路18などのコントローラから入力を受信してもよい。
【0107】
共振回路69は、共振回路69がLC共振回路であり得るように、コンデンサ66と誘導素子63との直列接続を含む。回路60は、サセプタ等価回路62(それによってサセプタ構成16を実装する)をさらに示す。サセプタ等価回路62は、例示的なサセプタ構成16の電気的効果を示す抵抗素子および誘導素子を備える。上記で詳細に説明したように、サセプタ16は、インダクタ63の露出したコイルを横切って(および電気的に接触して)配置することができる。(したがって、サセプタ16は、上述したサセプタ224と同様であり得る。)
【0108】
サセプタが存在するとき、サセプタ構成62および誘導素子63は、変圧器61(例えば、単巻変圧器)として作用することができる。変圧器61は、回路60が電力を受信したとき、サセプタが加熱されるように変動磁場を生成することができる。サセプタ構成16が誘導構成によって加熱される加熱動作中、スイッチング構成64は、交流電流が共振回路69を通過するように第1および第2の分岐の各々が順に結合されるように、(例えば、制御回路18によって)駆動される。共振回路69は、サセプタ構成16に部分的に基づく共振周波数を有し、制御回路18は、共振周波数または共振周波数に近い周波数でスイッチするようにスイッチング構成64を制御するように構成され得る。スイッチング回路を共振または共振付近で駆動することは、効率を改善するのに役立ち、(スイッチング素子の不必要な加熱を引き起こす)スイッチング素子に失われるエネルギーを低減する。アルミニウム箔を備える物品21が加熱される例では、スイッチング構成64は、約2.5MHzの周波数で駆動され得る。しかしながら、他の実装形態では、周波数は、例えば、500kHz~4MHzのいずれかであってもよい。
【0109】
上述したように、サセプタを加熱するために使用することができる並列LC共振回路の一部を形成するインダクタを含む他の多くの回路構成があり、サセプタはインダクタの露出したコイルと物理的(および電気的)に接触する。例として、
図10は、例示的な実施形態による、全体として参照番号500で示される回路のブロック図である。
【0110】
回路500は、サセプタ構成510の誘導加熱のための共振回路550を備える。共振回路550は、並列に接続された誘導素子558およびコンデンサ556を備える(上述の共振回路201の例示的な実装形態である)。
【0111】
共振回路550は、この例では第1のトランジスタMlおよび第2のトランジスタM2を備えるスイッチング構成Ml、M2を備える。第1のトランジスタM1および第2のトランジスタM2は各々、それぞれの第1の端子G1、G2、第2の端子D1、D2および第3の端子S1、S2を備える。第1のトランジスタM1の第2の端子D1および第2のトランジスタM2の第2の端子D2は、並列の誘導素子558とコンデンサ556との組み合わせの両側に接続される。第1のトランジスタM1の第3の端子S1および第2のトランジスタM2の第3の端子S2は、各々が、アース151に接続される。回路500では、第1のトランジスタM1および第2のトランジスタM2はいずれもMOSFETであり、第1の端子G1、G2はゲート端子であり、第2の端子Dl、D2はドレイン端子であり、第3の端子S1、S2はソース端子である。代替例では、上述のMOSFETの代わりに他のタイプのトランジスタが使用され得ることが理解されよう。
【0112】
共振回路550は、インダクタンスLおよびキャパシタンスCを有する。共振回路550のインダクタンスLは、誘導素子558によってもたらされ、誘導素子558による誘導加熱のために配置されたサセプタ構成510のインダクタンスによっても影響を受ける可能性がある。上述したように、使用時に、サセプタ構成510は、誘導素子558の露出したコイルを横切って(および電気的に接触して)設けることができる。
【0113】
共振回路550には、DC供給電圧V1が供給される。DC電圧供給V1の正端子は、第1の点559および第2の点560で共振回路550に接続される。DC電圧供給V1の負端子(図示せず)は、アース551に接続され、したがって、この例では、MOSFET M1およびMOSFET M2の両方のソース端子Sに接続される。例では、DC供給電圧V1は、バッテリーから直接または中間素子を介して共振回路に供給され得る。
【0114】
したがって、共振回路550は、ブリッジの2つのアームの間に並列に接続された誘導素子558およびコンデンサ556を有する電気ブリッジとして接続されると考えることができる。共振回路550は、以下に説明するスイッチング効果を生成するように作用し、これにより、誘導素子558を介して可変電流、例えば交流電流が引き出され、したがって交流磁場が作り出され、サセプタ構成510が加熱される。第1の点559は、誘導素子558とコンデンサ556との並列の組み合わせの第1の側に位置する第1のノードAに接続されている。第2の点560は、誘導素子558とコンデンサ556との並列の組み合わせの第2の側の第2のノードBに接続されている。第1のチョークインダクタ561は、第1の点559と第1のノードAとの間に直列に接続され、第2のチョークインダクタ562は、第2の点560と第2のノードBとの間に直列に接続される。第1のチョーク561および第2のチョーク562は、それぞれ第1の点559および第2の点560から回路に入るAC周波数を除去するように作用するが、インダクタ558にDC電流を引き込んで流すことを可能にする。チョーク561および562は、AおよびBにおける電圧が、第1の点559または第2の点160における可視効果をほとんどまたは全く伴わずに振動することを可能にする。
【0115】
共振回路550は、第1の状態から第2の状態に切り替わり、再び戻る。したがって、共振回路55は、自己発振回路であると考えることができる。
【0116】
第1の状態では、
・ノードAの電圧は高く;
・ノードBの電圧は低く;
・第1のダイオードd1は順方向バイアスされ;
・第2のMOSFET M2はオンであり;
・第2のダイオードd2は逆方向バイアスされ;
・第1のMOSFET M1はオフである。
【0117】
この時点から、第2のMOSFET M2をオン状態として、第1のMOSFET M1をオフ状態として、供給V1から第1のチョーク561および誘導素子558を介して電流が引き込まれる。誘導チョーク561の存在により、ノードAにおける電圧は自由に振動する。誘導素子558はコンデンサ556と並列であるため、ノードAで観測される電圧は、半正弦波電圧プロファイルの電圧に従う。ノードAで観測される電圧の周波数は、回路550の共振周波数に等しい。
【0118】
ノードAにおける電圧は、ノードAにおけるエネルギー減衰の結果として、その最大値からゼロに向かって正弦波的に時間的に低減する。ノードBにおける電圧は低く保持され(MOSFET M2がオンであるため)、インダクタLはDC供給V1から充電される。MOSFET M2は、ノードAの電圧がM2のゲート閾値電圧+d2の順方向バイアス電圧以下になった時点でオフにされる。ノードAの電圧が最終的にゼロに達したとき、MOSFET M2は完全にオフになる。
【0119】
同時に、またはその直後に、ノードBの電圧が高くなる。これは、誘導素子558とコンデンサ556との間のエネルギーの共振伝達に起因して起こる。このエネルギーの共振伝達によりノードBの電圧が高くなるとき、ノードA、BおよびMOSFET M1、M2に関して上述した状況が逆転する。すなわち、Aの電圧がゼロに向かって低減するにつれて、M1のドレイン電圧は低減される。M1のドレイン電圧は、第2のダイオードd2に逆方向バイアスされなくなり、順方向バイアスとなる点まで低減する。同様に、ノードBの電圧はその最大まで上昇し、第1のダイオードdlは順方向バイアスから逆方向バイアスに切り替わる。これが起こると、M1のゲート電圧はM2のドレイン電圧に結合されなくなり、したがって、M1のゲート電圧は、ゲート供給電圧V2の印加下で高くなる。したがって、第1のMOSFET M1は、そのゲート-ソース電圧がここでスイッチ-オンの閾値を上回るため、オン状態に切り替えられる。ここで、M2のゲート端子は、順方向バイアスされた第2のダイオードd2を介してM1の低電圧ドレイン端子に接続されているため、M2のゲート電圧は低い。したがって、M2はオフ状態に切り替えられる。
【0120】
要約すると、この時点で、回路150は第2の状態にあり、
・ノードAの電圧は低く;
・ノードBの電圧は高く;
・第1のダイオードd1は逆方向バイアスされ;
・第2のMOSFET M2はオフであり;
・第2のダイオードd2は順方向バイアスされ;
・第1のMOSFET M1はオンである。
【0121】
この時点で、第2チョーク562を介して供給電圧V1から誘導素子558に電流が引き込まれる。したがって、電流の方向は、共振回路550のスイッチング動作に起因して逆転している。共振回路550は、第1の状態と第2の状態との間で切り換わり続ける。
【0122】
定常動作状態では、エネルギーは静電ドメイン(すなわち、コンデンサ556において)と磁気ドメイン(すなわち、インダクタ558)との間で伝達され、逆もまた同様である。
【0123】
回路550の共振周波数は、上記のように、回路550のインダクタンスLおよびキャパシタンスCに依存し、これは次に誘導素子558、コンデンサ556、さらにサセプタ構成510に依存する。すなわち、誘導素子からサセプタ構成にエネルギーが伝達されることに応じて共振周波数が変化すると考えることができる。
【0124】
本明細書に記載の様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解および教示を支援するためにのみ提示される。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとしてのみ提供され、網羅的および/または排他的ではない。本明細書に記載の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、および/または他の態様は、特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲に対する制限または特許請求の範囲の均等物に対する制限と見なされるべきではなく、特許請求された発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、修正を行うことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本明細書に具体的に記載されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部分、ステップ、手段などの適切な組み合わせを適切に含むか、それからなるか、または本質的にそれからなることができる。さらに、本開示は、現在特許請求されていないが、将来特許請求され得る他の発明を含み得る。
【国際調査報告】