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特表2024-532147固定から回転への稼働中の移行のための構造化されたブッシングを有する軌道接合部組立品
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  • 特表-固定から回転への稼働中の移行のための構造化されたブッシングを有する軌道接合部組立品 図1
  • 特表-固定から回転への稼働中の移行のための構造化されたブッシングを有する軌道接合部組立品 図2
  • 特表-固定から回転への稼働中の移行のための構造化されたブッシングを有する軌道接合部組立品 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】固定から回転への稼働中の移行のための構造化されたブッシングを有する軌道接合部組立品
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/21 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
B62D55/21 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509318
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022039363
(87)【国際公開番号】W WO2023027877
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】17/410,672
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン、エリック ジェイ.
(57)【要約】
軌道型機械(10)内の軌道接合部組立品(34)は、ピンボア(48)およびその中に形成されたブッシングボア(50)を有する軌道リンク(28)を含む。軌道ピン(30)は、ピンボア(48)内の軌道リンク(28)に取り付けられ、軌道ブッシング(52)は、ブッシングボア(50)内の軌道リンク(28)に取り付けられる。軌道ピン(30)および軌道リンク(28)は、緊密な締まり嵌めによって、取り付けられ、ブッシング(52)および軌道リンク(28)は、緩い締まり嵌めによって、取り付けられる。ブッシング(52)は、一旦稼働されると、摩耗を低減し、稼働中のブッシングの回転の必要性を排除するために、トラック動作中に回転を開始し得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道接合部組立品(34)であって、
第一のリンクストラップ(38)、第二のリンクストラップ(40)、前記第一のリンクストラップ(38)と前記第二のリンクストラップ(40)との間の中央セクション(42)、前記第一のリンクストラップ(38)、前記第二のリンクストラップ(40)、および前記中央セクション(42)の各々に部分的に形成された上部レール表面(44)、および下部シュー装着表面(46)を含む、軌道リンク(28)であって、
前記第一のリンクストラップ(38)内に形成されたピンボア(48)、および前記第二のリンクストラップ(40)内に形成されたブッシングボア(50)をさらに含む、軌道リンク(28)と、
前記ピンボア(48)内の前記軌道リンク(28)に取り付けられた軌道ピン(30)と、
前記ブッシングボア(50)内の前記軌道リンク(28)に取り付けられたブッシング(52)と、を備え、
第一の直径干渉(70)は、前記軌道リンク(28)と前記軌道ピン(30)との間に画定され、第二の直径干渉(72)は、前記軌道リンク(28)と前記ブッシング(52)との間に画定され、
前記第一の直径干渉(70)は、前記第二の直径干渉(72)よりも大きい、軌道接合部組立品(34)。
【請求項2】
前記第一の直径干渉(70)は、前記第二の直径干渉(72)よりも4倍以上大きく、
前記ブッシング(52)は、前記ブッシングボア(50)内に延在するブッシング端部(54)と、前記ブッシング端部(54)に隣接し、前記軌道リンク(28)に対して面する肩部(76)と、を含み、
エンドプレイクリアランス(78)は、前記肩部(76)と前記軌道リンク(28)との間に、前記ブッシング端部(54)の円周方向周りに延在する、請求項1に記載の軌道接合部組立品(34)。
【請求項3】
前記軌道リンク(28)は、前記ブッシングボア(50)を形成するより高い硬度の材料、およびより低い硬度の材料を含み、
前記軌道リンク(28)は、前記より高い硬度の材料で形成され、前記ブッシングボア(50)を形成する環状インサート(90)をさらに含む、請求項1または2に記載の軌道接合部組立品(34)。
【請求項4】
前記ブッシング(52)は、前記ブッシングボア(50)内に、ブッシング端部直径寸法(92)を画定する、ブッシング端部(54)を含み、前記環状インサート(90)は、前記ブッシング端部直径寸法(92)の105%~110%であるインサート外径寸法(94)を画定する、請求項3に記載の軌道接合部組立品(34)。
【請求項5】
軌道リンク(28)であって、
第一のリンクストラップ(38)、第二のリンクストラップ(40)、前記第一のリンクストラップ(38)と前記第二のリンクストラップ(40)との間の中央セクション(42)、前記第一のリ ンクストラップ(38)、前記第二のリンクストラップ(40)、および前記中央セクション(42)の各々に部分的に形成された上部レール表面(44)、および下部シュー装着表面(46)を含む、細長いリンク本体(28)であって、
前記軌道リンク(28)が、前記第一のリンクストラップ(38)内に形成されたピンボア(48)と、前記第二のリンクストラップ(40)内に形成されたブッシングボア(50)と、前記ピンボア(48)と前記ブッシングボア(50)との間に各々長手方向に第一のナットシート窓(49)および第二のナットシート窓(51)と、をさらに含む、細長いリンク本体(28)と、
インサート内径寸法を画定し、前記ブッシングボア(50)を画定するインサート内面(96)と、前記細長いリンク本体(28)と締まり嵌めされ、前記インサート内径寸法の105%~110%であるインサート外径寸法(94)を画定するインサート外面(98)と、を含む、環状インサート(90)と、を備える、軌道リンク(28)。
【請求項6】
前記環状インサート(90)は、前記インサート内面(96)と前記インサート外面(98)との間にインサート厚さ寸法(100)を画定し、
直径干渉(74)は、前記環状インサート(90)と前記細長いリンク本体28との間に画定され、
前記インサート厚さ寸法(100)は、前記直径干渉(74)よりも7~15倍大きく、
前記環状インサート(90)は、より高い硬度の材料で形成され、前記細長いリンク本体(28)は、前記ピンボア(48)を形成するより低い硬度の材料を含み、
前記ブッシングボア(50)は、前記ピンボア(48)の直径よりも大きい直径を有し、前記第一のリンクストラップ(38)は、前記第二のリンクストラップ(40)に対して横方向にオフセットされる、請求項5に記載の軌道リンク(28)。
【請求項7】
軌道リンク組立品(84)であって、
第一のリンクストラップ(38)、第二のリンクストラップ(40)、前記第一のリンクストラップ(38)と前記第二のリンクストラップ(40)との間の中央セクション(42)、前記第一のリンクストラップ(38)、前記第二のリンクストラップ(40)、および前記中央セクション(42)の各々に部分的に形成された上部レール表面(44)、および下部シュー装着表面(46)を含む、軌道リンク(28)であって、
内側リンク側(62)と外側リンク側(64)との間に延在する前記第一のリンクストラップ(38)内のピンボア(48)と、前記内側リンク側(62)と前記外側リンク側(64)との間に延在する前記第二のリンクストラップ(40)内のブッシングボア(50)と、をさらに含む、軌道リンク(28)と、
前記ブッシングボア(50)を形成し、緊密な締まり嵌めによって、前記軌道リンク(28)に取り付けられる、環状インサート(90)と、
緩い締まり嵌めによって、前記環状インサート(90)に取り付けられた第一のブッシング端部(54)、第二のブッシング端部(56)、およびブッシング中央セクション(58)を含む、ブッシング(52)と、を備え、
前記環状インサート(90)が、インサート外径寸法(94)を画定し、前記ブッシング中央セクション(58)が、前記第一のブッシング端部(54)および前記第二のブッシング端部(56)に対して直径が拡大され、前記インサート外径寸法(94)よりも大きい中央セクション直径寸法(83)を画定する、軌道リンク組立品(84)。
【請求項8】
前記ブッシング中央セクション(58)は、前記軌道リンク(28)に隣接する肩部(76)を形成し、エンドプレイクリアランス(78)は、前記肩部(76)と前記軌道リンク(28)との間に画定され、
前記環状インサート(90)は、
前記ブッシングボア(50)、およびインサート外面(98)を形成するインサート内面(96)を含み、前記インサート内面(96)と前記インサート外面(98)との間にインサート厚さ寸法(100)を画定し、
前記インサート厚さ寸法(100)は、前記肩部(76)と前記軌道リンク(28)との間の前記エンドプレイクリアランス(78)のサイズよりも3倍以上大きく、
直径干渉(74)は、前記環状インサート(90)と前記軌道リンク(28)との間に画定され、
前記インサート厚さ寸法(100)は、前記直径干渉(74)よりも7~15倍大きく、
前記第一のブッシング端部(54)は、ブッシング端部直径寸法(92)を画定し、前記環状インサート(90)は、前記ブッシング端部直径寸法(92)の105%~110%であるインサート外径寸法(94)を画定する、請求項7に記載の軌道リンク組立品(84)。
【請求項9】
軌道ブッシング組立品(86)であって、
第一のブッシング端部(54)と第二のブッシング端部(56)との間に延在する長手方向ブッシング軸(53)を画定する、細長いブッシング本体(52)であって、前記第一のブッシング端部(54)および前記第二のブッシング端部(56)に対して直径が拡大されたブッシング中央セクション(58)と、前記細長いブッシング本体(52)を通って長手方向に延在するピンボア(38)と、を含む、細長いブッシング本体(52)と、
前記第一のブッシング端部(54)上の第一の環状インサート(90)と、
前記第二のブッシング端部(56)上の第二の環状インサート(90)と、を備え、
前記第一のブッシング端部(54)および前記第二のブッシング端部(56)の各々が、ブッシング端部直径寸法(92)を画定し、前記ブッシング中央セクション(58)が、前記ブッシング端部直径寸法(92)よりも大きい中央セクション直径寸法(83)を画定し、
前記第一の環状インサート(90)および前記第二の環状インサート(90)の各々が、前記ブッシング中央セクション直径寸法(83)よりも小さく、前記ブッシング端直径寸法(92)の105%~110%である、インサート外径寸法(94)を画定する、軌道ブッシング組立品(86)。
【請求項10】
前記第一の環状インサート(90)および前記第二の環状インサート(90)の各々は、前記それぞれの第一のブッシング端部(54)および第二のブッシング端部(56)上に締まり嵌めされ、
前記第一の環状インサート(90)および前記第二の環状インサート(90)の各々は、前記ブッシング中央セクション(58)からのエンドプレイクリアランス(78)に位置決めされ、
前記第一の環状インサート(90)および前記第二の環状インサート(90)の各々は、前記ブッシングボア(50)を形成するインサート内面(96)と、インサート外面(98)と、を含み、前記それぞれのインサート内面(96)とインサート外面(98)との間にインサート厚さ寸法(100)を画定し、
前記インサート厚さ寸法(100)は、前記エンドプレイクリアランス(78)のサイズよりも3倍以上大きく、
直径干渉(74)は、前記第一の環状インサート(90)および前記第二の環状インサート(90)の各々と、前記それぞれの第一のブッシング端部(54)および第二のブッシング端部(56)との間に画定され、
前記インサート外径寸法(100)は、前記直径干渉(74)よりも60倍以上大きい、請求項9に記載の軌道ブッシング組立品(86)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、機械用の軌道システムに関し、より詳しくは、初期固定軌道ブッシングが、軌道システム稼働後しばらく経ってから、回転ブッシングに移行する、軌道システムに関する。
【背景技術】
【0002】
軌道型機械は、建築業、鉱業、林業、埋め立ての用途、およびその他多くの用途を含め、世界中の多くの業界にわたって使用されている。典型的な実装例では、端間を結合された複数の軌道リンクによって形成されたトラックは、複数の回転可能なトラック接触要素の周りで前進される無限ループを形成する。軌道型機械は、典型的には、厳しい環境で動作し、トラックの構成要素に、様々な種類の潜在的に重度の負荷ならびにトラックおよび基材材料の接触構成要素の間の摩耗が作用する。その結果、トラック構成要素は、経時的に摩耗し、検査および定期修繕の必要性を要する。
【0003】
典型的な軌道システムでは、軌道ピンは、リンクの平行な軌道チェーンを一緒に結合する。軌道ブッシングは、軌道ピン上に位置決めされ、駆動スプロケットおよび時には一つ以上のアイドラを含むトラックの回転構成要素に接触する。トラックは、典型的には、所定の修繕間隔で、または構成要素の予想外の故障または性能低下の場合に、様々な検査および修繕活動のために分解される。特定のトラックは、回転するブッシングを備え、ブッシング外面上の摩耗を、ブッシングの円周方向周りにほぼ均一に分配する。他の軌道システムは、軌道リンク内に押圧される固定ブッシングを採用する。固定ブッシングトラックでは、典型的に用いられる一つの修繕作業は、ブッシングの回転である。固定ブッシングトラックにおける摩耗が、主に、ブッシングの一部のみが駆動スプロケットに接触すると生じる傾向があるため、例えば、ある期間の現場修繕作業後に、低摩耗のブッシング材料を、摩耗を生じるプロセスに露呈させるために、ブッシングを180°回転させることが一般的に望ましい。ほとんどの場合、ブッシングを回転させることは、労働集約的なプロセスであり、技術者がトラックの全長に沿って、望む道を進む必要があり、ブッシングのリンクへのプレス嵌合を逆転させ、ブッシングを回転させ、その後、トラックを再組み立てする。回転ブッシングトラックは、ブッシングの回転の必要性を軽減するが、より高価になりがちで、様々なシールおよびより複雑な潤滑計画を必要とする。一つの例示的な回転ブッシングトラックは、Diekeversらの米国特許第8,172,342 B2号から公知である。
【発明の概要】
【0004】
一つの態様では、軌道接合部組立品は、第一のリンクストラップ、第二のリンクストラップ、第一のリンクストラップと第二のリンクストラップとの間の中央セクション、第一のリンクストラップ、第二のリンクストラップ、および中央セクションの各々に部分的に形成された上部レール表面、および下部シュー装着表面を有する軌道リンクを含む。軌道リンクは、第一のリンクストラップ内に形成されたピンボアと、第二のリンクストラップ内に形成されたブッシングボアと、をさらに含む。軌道ピンは、ピンボア内の軌道リンクに取り付けられる。ブッシングは、ブッシングボア内の軌道リンクに取り付けられる。第一の直径干渉は、軌道リンクと軌道ピンとの間に画定され、第二の直径干渉は、軌道リンクとブッシングとの間に画定される。第一の直径干渉は、第二の直径干渉よりも大きい。
【0005】
別の態様では、軌道リンクは、第一のリンクストラップ、第二のリンクストラップ、第一のリンクストラップと第二のリンクストラップとの間の中央セクション、第一のリンクストラップ、第二のリンクストラップ、および中央セクションの各々に部分的に形成された上部レール表面、および下部シュー装着表面を有する細長いリンク本体を含む。軌道リンクは、第一のリンクストラップ内に形成されたピンボアと、第二のリンクストラップ内に形成されたブッシングボアと、ピンボアとブッシングボアとの間に各々長手方向に第一のナットシート窓および第二のナットシート窓と、をさらに含む。環状インサートは、インサート内径寸法を画定し、ブッシングボアを画定するインサート内面と、細長いリンク本体と締まり嵌めされ、インサート内径寸法の105%~110%であるインサート外径寸法を画定するインサート外面と、を含む。
【0006】
さらに別の態様では、軌道リンク組立品は、第一のリンクストラップ、第二のリンクストラップ、第一のリンクストラップと第二のリンクストラップとの間の中央セクション、第一のリンクストラップ、第二のリンクストラップ、および中央セクションの各々に部分的に形成された上部レール表面、および下部シュー装着表面を有する軌道リンクを含む。軌道リンクは、内側リンク側と外側リンク側との間に延在する第一のリンクストラップ内のピンボアと、内側リンク側と外側リンク側との間に延在する第二のリンクストラップ内のブッシングボアと、をさらに含む。環状インサートは、ブッシングボアを形成し、緊密な締まり嵌めによって、軌道リンクに取り付けられる。軌道リンク組立品は、緩い締まり嵌めによって、環状インサートに取り付けられた第一のブッシング端部、第二のブッシング端部、およびブッシング中央セクションを有するブッシングをさらに含む。環状インサートは、インサート外径寸法を画定し、ブッシング中央セクションは、第一のブッシング端部および第二のブッシング端部に対して直径が拡大され、インサート外径寸法よりも大きい中央セクション直径寸法を画定する。
【0007】
さらに別の態様では、軌道ブッシング組立品は、第一のブッシング端部と第二のブッシング端部との間に延在する長手方向ブッシング軸を画定し、第一のブッシング端部および第二のブッシング端部に対して直径が拡大されたブッシング中央セクションと、細長いブッシング本体を通って長手方向に延在するピンボアと、を含む、細長いブッシング本体を含む。軌道ブッシング組立品は、第一のブッシング端部上の第一の環状インサート、および第二のブッシング端部上の第二の環状インサートをさらに含む。第一のブッシング端部および第二のブッシング端部の各々は、ブッシング端部直径寸法を画定し、ブッシング中央セクションは、ブッシング端部直径寸法よりも大きい中央セクション直径寸法を画定する。第一の環状インサートおよび第二の環状インサートの各々は、ブッシング中央セクション直径寸法よりも小さく、ブッシング端部直径寸法の105%~110%であるインサート外径寸法を画定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一つの実施形態に係る、軌道型機械の概略側面図である。
図2図2は、詳細な拡大を含む一つの実施形態に係る、トラックの一部分の部分断面概略立面図である。
図3図3は、図2のトラックの一部分の前後断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、一つの実施形態に係る、軌道型機械10が示されている。機械10は、任意のオフハイウェイ環境での使用に適し、フレーム12およびフレーム12上にキャブ14を有する、軌道型トラクタとの関連で示される。地面係合軌道システム16は、フレーム12を支持し、図1で視認可能な機械10の第一の側面上の軌道18と、図では視認不可能な第二の実質的に同一の軌道と、を含む。軌道システム16は、前方アイドラ20と、後方アイドラ22と、駆動スプロケット24と、をさらに含む。駆動スプロケット24は、軌道システム16内のいわゆる「高駆動」構成で示される。他の実施形態では、楕円形トラック構成、またはさらに別のトラック構成を用いることができる。さらに他の事例では、オフハイウェイ機械での実装例ではなく、軌道システム16を、コンベア、またはさらに別の機械用途に使用することができる。以下の説明からさらに明らかであるように、軌道システム16は、フィールド耐用年数の延長および/または修繕作業の低減のために構成される。
【0010】
トラック18は、前方アイドラ20、後方アイドラ22、駆動スプロケット24、および複数のトラックローラ33の周りに延在するループを形成するために、端間の配置で一緒に結合された複数の軌道リンク28を含む。トラックローラ33は、略従来の様式で、機械10の重量の大部分を支持し、トラックローラフレーム32に装着される。トラックシュー26は、軌道リンク28に結合され、複数の軌道ピン30は、第一の軌道チェーン内の図1に示すそれらの軌道リンク28を、図では見えない第二の軌道チェーンに結合する。
【0011】
また図2を参照すると、軌道接合部組立品34が示されている。軌道接合部組立品34は、軌道リンク28を含み、図示した実施形態では、複数の軌道リンク28を含み、各々が、第一のリンクストラップ38、第二のリンクストラップ40、および第一のリンクストラップ38と第二のリンクストラップ40との間の中央セクション42を有する細長いリンク本体36を有する。用語である軌道リンクおよびリンク本体は、本明細書で互換的に使用される。以下、単数形で時折称される各軌道リンク28は、第一のリンクストラップ38、第二のリンクストラップ40、および中央セクション42の各々に部分的に形成された上部レール表面44をさらに含む。図2から、軌道リンク28が、図面の左側にある軌道チェーン(番号付けされていない)内の左巻き構成、および図面の右側にある軌道チェーン(番号付けされていない)内の右巻き構成を含むことは、留意され得る。本明細書で想定される左軌道リンクは、第一のリンクストラップ38が、第二のリンクストラップ40から外方方向に横方向にオフセットされるように配置される一方、右軌道リンク28は、逆構成を有する。用語「内側」は、トラック18の長手方向中心線に向かうことを意味し、「外側」は、長手方向中心線から離れる方向を意味する。さらに他の実施形態では、軌道リンク28は、それぞれのリンクストラップ間に横方向のオフセットなしに、直線の軌道リンクであり得る。図3を簡潔に参照すると、軌道リンク28は、トラックシュー26をボルト締めできる、下部シュー装着表面46をさらに含み得る。
【0012】
図1に示すように、軌道リンク28は、第一のリンクストラップ38内に形成されたピンボア48と第二のリンクストラップ40内に形成されたブッシングボア50との間に各々長手方向に第一のナットシート窓49および第二のナットシート窓51をさらに含む。典型的な実装例では、ブッシングボア50は、ピンボア48よりも直径が大きくなる。各軌道リンク28は、内側リンク側62と、その上に形成されたピンボス66を有する外側リンク側64と、を含むようにさらに理解される。ピンボア48、ブッシングボア50、およびナットシート窓49および51は各々、内側リンク側62と外側リンク側64との間の軌道リンク28を通って延在する。動作中に駆動スプロケット24の歯を受容するトラック誘導空間68は、それぞれの平行な軌道チェーン内の隣接する軌道リンク28の間に延在する。
【0013】
上述のように、軌道ピン30は、軌道リンク28を一緒に結合する。軌道接合部組立品34内の軌道ピン30は、ピンボア48内の軌道リンク28に取り付けられる。長手方向ブッシング軸53を画定するブッシング52は、ブッシングボア50内の軌道リンク28に取り付けられる。軌道ピン30が、緊密な締まり嵌めによって、軌道リンク28に取り付けられ得る一方、ブッシング52は、緩い締まり嵌めによって、軌道リンク28に取り付けられ得る。用語「密封」および「緩い」は、互いに対して、およびそれぞれの締まり嵌めの相対強度に関連して、本明細書で理解され得る。
【0014】
ここで特に図2の詳細な拡大を参照すると、第一の直径干渉70は、軌道リンク28と軌道ピン30との間に画定され、第二の直径干渉72は、軌道リンク28とブッシング52との間に画定される。直径干渉は、それぞれ取り付けられた構成要素の全直径にわたる寸法干渉を指す。したがって、図2では、第一の直径干渉70および第二の直径干渉72は各々、使用される全直径干渉の半分を示す。第一の直径干渉70は、第二の直径干渉72よりも大きくてもよい。当業者であれば、より大きい、より緊密な第一の直径干渉70が、それぞれの取り付けられた構成要素間のより小さい、より緩い第二の直径干渉72よりも、それぞれの構成要素間のより強い締まり嵌めの取り付けを提供することを理解するであろう。この配置により、軌道ピン30が軌道リンク28に強固かつしっかりと取り付けられる一方、ブッシング52が軌道リンク28に最初に強固に取り付けられる傾向が付与されるが、本明細書でさらに説明するように、長手方向ブッシング軸53の周りに回転荷重が作用する場合、少なくとも時折、回転を開始する稼働中である。実用的な実装例の計画では、第一の直径干渉70は、第二の直径干渉72よりも4倍以上大きくてもよい。精密化では、第一の直径干渉70は、第二の直径干渉72よりも4~5倍大きい。一部の実施形態では、第一の直径干渉70は、0.2ミリメートル~0.5ミリメートル、より詳しくは、0.25ミリメートル~0.42ミリメートルであり得る。第二の直径干渉72は、0.0ミリメートル~0.05ミリメートルであり得る。
【0015】
ブッシング52は、図2に示すように、軌道リンク28内の一つのブッシングボア50内に第一のブッシング端部54、および反対側に位置決めされた軌道リンク28内の別のブッシングボア内に第二のブッシング端部56を有するブッシング本体をさらに含み得る。ブッシング52はまた、第一のブッシング端部54および第二のブッシング端部56に対して直径が拡大された中央セクション58を含み得る。駆動スプロケット24の歯およびポケットに接触するように構造化された外側ブッシング表面60は、ブッシング52上に形成され、長手方向ブッシング軸53の円周方向周りに延在する。ピンボア(番号付けされていない)は、第一のブッシング端部54、ブッシング中央セクション58、および第二のブッシング端部56を通って長手方向に延在する。図3も参照すると、そこで示される第一のブッシング端部54は、ブッシングボア50内に延在し、第一のブッシング端部54に隣接する中央セクション58によって形成された肩部76は、軌道リンク28に対して面して位置決めされる。エンドプレイクリアランス78は、本明細書でさらに論じるように、肩部76と軌道リンク28との間に、および第一のブッシング端部54の円周方向周りに延在する。
【0016】
前述の説明は、軌道接合部組立品34内の一つの軌道リンク28、一つの軌道ピン30、および一つのブッシング52の組み立てられた組み合わせに焦点を当てる。軌道接合部組立品34は、その中に形成された第二のピンボア48を有する第二の軌道リンク28と、ブッシング52およびブッシングボア50を通って延在し、第二の軌道ピン30を第二のピンボア48内に取り付ける第二の軌道ピン30と、を含む、追加の軌道リンクを含み得る。本明細書で想定される「軌道接合部組立品」は、任意の数の軌道リンク、軌道ピン、軌道ブッシング、および関連する構成要素を含み得る。トラック18の構成要素の他のハードウェアの組み合わせは、軌道リンク28およびブッシング52を含む軌道リンク組立品84として、またはブッシングおよび記載される一つまたは二つの環状インサートのブッシング組立品86として含め、市販され得る。さらに他の事例では、軌道リンク28は、個々のユニットとして市販され得る。本開示は、トラック18の様々な構成要素の任意の組み合わせまたは部分組み合わせに適用可能であるように理解されるべきである。
【0017】
軌道接合部組立品34は、軌道リンク28の一部として本明細書に記載され、ブッシングボア50を形成する、環状インサート90をさらに含み得る。環状インサート90は、軌道リンク28に緊密な締まり嵌めで取り付けられ得る。図2に再度注目すると、別の直径干渉74が示される。直径干渉74は、環状インサート90と軌道リンク28との間の直径干渉である。実用的な実装計画では、直径干渉74が、直径干渉70にサイズが類似または同一であり得るが、本開示は、それによって限定されない。したがって、環状インサート90は、軌道リンク28にしっかりと嵌合および取り付けられ得、ブッシング52は、環状インサート90により緩く嵌合および取り付けられ得る。
【0018】
図示した実施形態では、第一のブッシング端部54は、ブッシング端部直径寸法92を画定し、環状インサート90は、ブッシング端部直径寸法92の105%~110%であるインサート外径寸法94を画定する。インサート外径寸法94は、直径の推定74よりも60倍以上大きくてもよい。中央セクション58は、インサート外径寸法94よりも大きい中央セクション直径寸法83を画定する。図3からも分かるように、エンドプレイクリアランス78は、長手方向ブッシング軸53に平行な方向に軸方向クリアランスサイズ80、および長手方向ブッシング軸53に垂直な方向に半径方向クリアランスサイズ82を有する。環状インサート90は、ブッシングボア50を形成するインサート内面96と、インサート外面98と、をさらに含む。環状インサート90は、インサート内面96とインサート外面98との間にインサート厚さ寸法100を画定する。インサート厚さ寸法100は、肩部76と軌道リンク28との間のエンドプレイクリアランス78のサイズよりも3倍以上大きくてもよい。インサート厚さ寸法100は、直径干渉74よりも15倍以下だけ、精密化では7~15倍だけ大きくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
前述の説明から、異なる計画が、軌道リンク28、軌道接合部組立品34、軌道リンク組立品84、またはブッシング52のブッシング組立品86および一つ以上の環状インサート90を構造化するために提供され得ることは理解されよう。図示した実施形態では、環状インサート90は、軌道リンク28内に比較的硬い耐摩耗表面を提供するために使用される。他の事例では、ブッシングボア50を形成する軌道リンク28の材料の硬化を使用し得、所望の特性を同様に提供する。さらに他の事例では、軌道リンク28は、無芯焼入れされ得る。環状インサート90が使用される場合、環状インサート90は、軌道リンクおよび軌道接合部組立品の他の目的に使用される他のインサートよりも比較的薄くなり得る。さらに、ブッシング52のある程度の回転を最終的に容易にするために、エンドプレイクリアランス78は、肩部76と軌道リンク28との間に提供され得る。エンドプレイクリアランス78が大きすぎる場合、肩部76と軌道リンク28および/または環状インサート90との間の軸方向移動が多すぎる可能性があり、ならびに破片の進入のための経路を生成し得る。エンドプレイクリアランス78が小さすぎる場合、過剰な摩耗が発生し得る。肩部76が省略される場合、ブッシング52と軌道リンク28との間の望ましくない軸方向変位が、自由に発生し得る。環状インサート90は、一部の実施形態では、窒化鋼を含み得る。他の好適な金属および/または硬化プロセスを用いることができる。また、軌道リンク28の他の部分が、硬化されるのではなく、比較的軟質であるか、または比較的軟質のままであることは、望ましい場合がある。したがって、未変性リンク本体材料の硬化環状インサートまたは硬化が使用されるかどうかによらず、軌道リンク28は、ブッシングボア50を形成するより高い硬度材料、およびピンボア48を形成するより低い硬度材料などの、他の場所のより低い硬度材料を含み得る。
【0020】
トラック18が最初に稼働される場合、ブッシング52は、軌道リンク28に固定され、回転不可能になる。一部の動作期間にわたって、ブッシング52は、駆動スプロケット24との係合からなど、回転負荷を受け得る。したがって、摩耗がブッシング52上で進行する際に、ブッシング52の回転の開始は、摩耗が長手方向ブッシング軸53の円周方向周りに均一に、または比較的より均一に分布するように、少なくとも時折、ブッシング外面60を再配向する傾向があり、ブッシングの回転の必要性を排除または低減する。
【0021】
本明細書は、例示目的のみとし、本開示の範囲をいかなる形でも狭めるように解釈されるべきではない。従って、当業者は、本開示の完全および公正な範囲および趣旨から逸脱することなく、本開示の実施形態にさまざまな修正を行うことができることを理解するであろう。その他の態様、特徴および利点は、添付図面および添付の特許請求の範囲を検討の上で明らかになるであろう。本明細書で使用する冠詞「a」および「an」は、一つ以上の品目を含むことが意図されており、「一つ以上(one or more)」と交換可能に使用され得る。一つの項目のみが意図される場合、用語「一つの」または類似の言い回しが使用される。また、本明細書で使用する用語「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」またはこれに類するものは、非限定な用語であることが意図される。さらに、語句「~に基づく」は、別段の明示がない限り、「~に少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図する。
図1
図2
図3
【国際調査報告】