(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉減少関連疾患治療用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/28 20150101AFI20240829BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240829BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240829BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20240829BHJP
【FI】
A61K35/28
A61P21/00
A23L33/10
C12N15/113 Z ZNA
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509410
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 KR2022009455
(87)【国際公開番号】W WO2023027317
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0110937
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523264415
【氏名又は名称】セラトズ セラピュティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ソ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,リョン-ア
(72)【発明者】
【氏名】ユ,キョン-ハ
(72)【発明者】
【氏名】チョ,キョン-ア
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジユン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD69
4B018MD94
4B018ME14
4B018MF14
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB64
4C087NA14
4C087ZA94
(57)【要約】
本発明は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉減少関連疾患の予防、改善又は治療用組成物に関する。本発明の組成物は、miR-145-5pを高い含量で含有し、筋骨格の消失減少を回復し、筋肉線維消失、筋管細胞形成抑制に対する回復効果を有し、筋肉量に対する陰性調節因子であるアクティビンAの発現を調節し、筋肉線維形成関連遺伝子の発現を増進させ、筋肉萎縮関連遺伝子の発現を増進させることによって筋肉減少関連疾患の予防、改善及び治療と運動能力改善に優れた効果を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉減少関連疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項2】
扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、配列番号1のhsa-miR-145-5pを含む、請求項1に記載の筋肉減少関連疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項3】
筋肉減少関連疾患は、筋機能低下、筋肉消耗又は筋肉退化の原因による筋肉の減少症状を示す、請求項1に記載の筋肉減少関連疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項4】
筋肉減少関連疾患は、筋減少症(sarcopenia)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋無力症(myasthenia)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋肉緊張症(myotonia)、筋緊張低下(hypotonia)、筋力弱化(muscular weakness)、筋肉退行萎縮(muscular dystrophy)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)、及び悪液質(cachexia)からなる群から選ばれる1つ以上の疾患である、請求項1に記載の筋肉減少関連疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項5】
扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、10nm~300nmの直径を有する、請求項1に記載の筋肉減少関連疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項6】
扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、アクティビンAの発現を抑制する、請求項1に記載の筋肉減少関連疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項7】
組成物は、エクソソームを1×10
7~1×10
12/mlの粒子数で含む、請求項1に記載の筋肉減少関連疾患予防又は治療用薬学組成物。
【請求項8】
扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉減少関連疾患予防又は改善用食品組成物。
【請求項9】
扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、配列番号1のhsa-miR-145-5pを含む、請求項8に記載の筋肉減少関連疾患予防又は改善用食品組成物。
【請求項10】
筋肉減少関連疾患は、筋減少症(sarcopenia)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋無力症(myasthenia)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋肉緊張症(myotonia)、筋緊張低下(hypotonia)、筋力弱化(muscular weakness)、筋肉退行萎縮(muscular dystrophy)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)、及び悪液質(cachexia)からなる群から選ばれる1つ以上の疾患である、請求項8に記載の筋肉減少関連疾患予防又は改善用食品組成物。
【請求項11】
扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉量増加又は筋機能改善用食品組成物。
【請求項12】
扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、配列番号1のhsa-miR-145-5pを含む、請求項11に記載の筋肉量増加又は筋機能改善用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉減少関連疾患予防又は治療用薬学組成物に関する。
【0002】
本発明は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉減少関連疾患予防又は改善用食品組成物に関する。
【0003】
〔背景技術〕
骨格筋は人体で最大の部分を占める器官で、総体重の40~50%を占め、エネルギー恒常性及び熱生成などをはじめとする体内諸代謝機能にも重要な役割を担っている。人の筋肉は40歳から毎年1%以上ずつ減少していき、80歳では最大筋肉量の50%程度が減少するが、老年の筋肉減少は身体機能全般を低下させる最も重要な要素として認識されている。加齢とともに筋肉及び脂肪の含量減少、骨格歪みなど、体型が変化するが、老年期の筋減少による肥満有病率は、全世界的に30%以上のレベルで増加の一途を示している。インスリン分泌異常では、細胞にエネルギーを十分に供給できず、筋肉発達障害を起こすことがあり、一般人に比べて糖尿病患者において筋減少症が増加する。また、筋肉の減少は、関節炎、腰痛、慢性疼痛をさらに増加させる原因になり、腹部肥満による尿失禁症状も悪化させることがあり、また、骨折による負傷は老年のうつ症状を増加させ、死亡に至らせることがあるため、老年の筋減少症は様々な疾患と関連して生活の質を落とす主要原因となる。
【0004】
筋肉減少関連疾患は、骨格筋の弱化によって次第に歩行及び移動機能の障害を招き、日常生活動作(activities of daily living,ADL)が困難になりながら独立した生活が不可能になる結果につながる。その上、心肺機能障害を招き、他の合併症が発生するので、このような特性を正確に理解して接近することが重要である。
【0005】
筋減少症は、骨格筋の量及び機能が低下した状態を指す。筋減少症は、老化、ホルモン異常、栄養不足、身体活動不足、炎症及び退行性疾患など、様々な原因によって発生するが、中でも癌、老化及び性ホルモン不足が主要原因であることが知られている。医療技術の発展及び様々な治療剤の開発によって全世界的に平均寿命が延びるにつれて高齢人口が増加しており、これに伴い、筋減少症に対する治療の要求も増加し続けると予想されている。筋減少症患者において、筋芽細胞の幹細胞である衛星細胞の募集、活性又は増殖の障害による筋芽細胞(myoblast)の個数が減少し、筋芽細胞の増殖及び分化が減少し、これによって筋減少症患者の筋肉は組織学的なレベルで筋線維の大きさ及び数が減って筋機能が減少する症状が現れる。ここ10余年間、米国及びヨーロッパを中心に筋減少症の力学に対する研究が活発になされながら、最近では筋減少症の臨床的重要性に対する関心が急増している。初期研究では、筋減少症が全身衰弱、活動障害及び筋力減少によって生活の質の低下を誘発するという結果が主流であったが、最近に発表される研究では、生活の質の他にも骨多孔症性骨折危険が顕著に増加し得ることが報告された。また、筋減少症患者において糖尿病、代謝症候群、肥満、慢性腎不全、慢性肝不全などの慢性疾患が誘発され、究極的には死亡率も増加するため、筋減少症は適切に治療を受けなければならないという疾患として関心が集められている。近年、米国では、筋減少症患者において身体障害発生の可能性が約1.5倍~約3.5倍増加し、年間185億USDの社会的費用を誘発すると報告されたことがある。韓国では、国民健康栄養調査によれば、筋減少症有病率は、60歳以上において男性42.0%、女性42.7%で、非常に一般的な疾患であり、特に、韓国は全世界で高齢化速度が最も高い国であるがため、今後、重要な社会的問題になり得ることが明らかである。
【0006】
筋萎縮症(muscular atrophy)は、四肢の筋肉が萎縮する疾患で、MuRF-1とアトロジン-1(Atrogin-1)の発現が増加して筋肉のミオシン重鎖(Myosin heavy chain)を分解させることによって、筋肉の大きさが減る筋肉萎縮症が発生することが知られている。
【0007】
筋肉減少関連疾患と関連した脊髄神経、運動神経又は骨格筋線維の退行によって誘発される筋減少症は、まだ発病原因が究明されていない代表的な難治性疾患の一つである。いままでの研究によれば、骨格筋の収縮を誘導する運動神経が退行されて骨格筋の収縮が進行しないか、又は骨格筋内で筋肉の収縮に関与するタンパク質の発現が減少したり前記タンパク質が変形されたりして正常な骨格筋の収縮が進行しないし、長期的には上記の運動神経又は骨格筋が線維性組織に変形されることが知られている。このような筋減少症の根本的な発病原因がまだ究明されておらず、運動神経や骨格筋の退行を防止又は回復させ得る方法が開発されずにいるため、現在としては、上記の筋減少症の進行を鈍化させる方法を開発するための研究が活発に行われている。
【0008】
現在、筋減少症には運動、タンパク質及びカロリー補充が役立つと知られているが、筋減少症患者の大部分を占める高齢者にはあまり役に立たず、筋減少症治療剤が切実に必要である。しかし、現在、筋減少症に使われる治療剤は、筋肉減少の改善及び筋肉量の増進に直接の効果を示す薬物はまだ臨床実験レベルの段階にあり、今のところ、最終的にFDA承認を受けた薬剤はない状況である。そこで、筋減少症の治療のために、一部では、選択的アンドロゲン受容体モジューラー(selective androgen receptor modulator)、アクティビン受容体アンタゴニスト(activin receptor antagonist)、速い骨格筋トロポニン抑制剤(fast skeletal muscle troponin inhibitor)などを筋減少症治療剤として開発しようとする努力はあるが、現在のところ、初期臨床を試みるレベルである。現在、前記筋減少症の治療方法としては、主に、筋減少症の一種である筋肉細胞の退行又は進行性変異によって誘発される筋萎縮症を抑制する方法が用いられている。
【0009】
一方、扁桃間葉幹細胞(Tonsil-mesenchymal stem cell)は、喉の内側と鼻の後部に位置し、外部から侵入する細菌などの物質から一次的に身体を防御すると同時にリンパ上皮免疫組織として働く組織である扁桃に由来する自己複製能力を有しながら2つ以上の新しい細胞に分化する能力を有する未分化された幹細胞を意味する。扁桃間葉幹細胞に関しては、皮膚炎症疾患に対する治療効能、慢性炎症性腸疾患に対する治療効能などに関して報告されたことがあるが、これに基づくエクソソーム研究は殆ど進行していない現状である。
【0010】
このような背景の下に、本発明者らは、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームが、他の間葉幹細胞に由来するエクソソームと異なる特性を有することを見出し、このような特性に基づいて筋肉減少関連疾患に対して優れた治療効果を示すことを確認し、本発明を完成するに至った。
【0011】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉減少関連疾患予防又は治療用薬学組成物に関する。
【0012】
本発明は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉減少関連疾患予防又は改善用食品組成物に関する。
【0013】
本発明は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉量増加又は筋機能改善用食品組成物に関する。
【0014】
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉減少関連疾患予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0015】
本発明において、扁桃間葉幹細胞とは、喉の内側と鼻の後部に位置し、外部から侵入する細菌などの物質から一次的に身体を防御すると同時に、リンパ上皮免疫組織として働く組織である扁桃に由来する自己複製能力を有しながら2つ以上の新しい細胞に分化する能力を有する未分化された幹細胞を意味する。
【0016】
本発明に係る扁桃間葉幹細胞は、他に由来の幹細胞と比較して、起源組織である扁桃の獲得が容易であり、手術後に捨てられる扁桃組織の再利用が可能であり、初期収得率が非常に高いという点で、注入すべきエクソソームを抽出できる調整培地の量を自由に調節することができる。
【0017】
本発明において、扁桃間葉幹細胞の調整培地は、個体から分離、培養及び特殊な操作によって製造されたものを含み、治療、診断及び予防の目的で使用される医薬品又は食品に使用可能であるエクソソームを抽出することができる。
【0018】
本発明において、扁桃間葉幹細胞は、当業界に知られた方法によって扁桃から抽出可能である。例えば、大韓民国登録特許第10-1508413号などに記載された方法によって扁桃から抽出可能である。
【0019】
扁桃間葉幹細胞の調整培地は、扁桃間葉幹細胞を培養し、細胞を除去した後、収得された培養液、培養上澄液又はその濃縮物であるか、その凍結乾燥物であってよい。
【0020】
扁桃間葉幹細胞は、幹細胞培養用培地を用いて普通に培養されてよい。扁桃間葉幹細胞培養液は、扁桃組織から収得された扁桃間葉幹細胞を血清又は無血清培地で培養して収得されたものであってよい。エクソソーム抽出のための調整培地は、これを、遠心分離又はフィルターを用いた濾過によって幹細胞及び巨大分子を除去した後に収得された上澄液を使用することができる。また、収得された上澄液は、そのまま使用したり又は濃縮して収得された濃縮物としてエクソソーム抽出に使用することができる。
【0021】
扁桃間葉幹細胞の培養のための培養用培地及び培養条件は、本発明の属する技術の分野によく知られており、通常の知識を有する者が適切に選択したり変形して利用することができる。
【0022】
本発明において、「エクソソーム(exosome)」とは、様々な細胞から分泌される膜構造の小さい小嚢のことを指す。エクソソームは、電子顕微鏡を用いた研究から、原形質膜から直接脱離するものではなく、多嚢体(multivesicular bodies,MVBs)と呼ばれる細胞内特定区画に起源し、細胞外に放出、分泌されることが観察された。すなわち、多嚢体と原形質膜との融合が起きると、小嚢は細胞外の環境に放出されるが、これをエクソソームと呼ぶ。このようなエクソソームが作られる機序については明らかにされたものがなく、赤血球細胞だけでなく、B-リンパ球、T-リンパ球、樹状細胞、血小板、大食細胞などを含む種々の免疫細胞と腫瘍細胞、幹細胞なども、生きている状態でエクソソームを生産して分泌することが知られている。前記エクソソームは、自然的に分泌されたものであるか、或いは人工的に分泌されたものを含む。
【0023】
本発明に係るエクソソームは、扁桃間葉幹細胞由来のエクソソームである。
【0024】
本発明において、前記扁桃間葉幹細胞由来のエクソソームは、直径が10nm~300nmであってよい。前記エクソソームは、好ましくは、直径が40nm~200nm、より好ましくは50nm~150nmであってよい。
【0025】
前記エクソソーム(exosomes)は、40~200nmサイズであることを特徴とし、前記エクソソーム(exosomes)は、CD63及びCD81陽性であることを特徴とし得る。
【0026】
前記エクソソームは、当業界に知られたエクソソーム抽出方法を用いて収得でき、これに限定されないが、例えば、下記の段階を含む抽出方法によって収得することができる:
1)扁桃間葉幹細胞を培養する段階;
2)前記扁桃間葉幹細胞培養上澄液を回収する段階;
3)前記回収した細胞培養上澄液を遠心分離して細胞残余物を除去する段階;及び
4)前記細胞残余物が除去された細胞培養上澄液を、TFF(tangential flow filtration)、超遠心分離(ultracentrifugation)、サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)、及びエクソソーム分離キット(exosome isolation kit)からなる群から選ばれる一つを用いて分離・精製されたエクソソームを収得する段階。
【0027】
前記扁桃間葉幹細胞の培養において、酸素条件は、これに限定されないが、正常酸素濃度、すなわち21%の酸素(O2)が供給される培養条件であってよく、又は低酸素細胞減作剤(hypoxic cell sensitizer)を細胞培養培地に添加していない培養条件であってよい。
【0028】
上記の段階1)で、一般培養培地は、当業界に一般に使われる細胞培養用培地はいずれも使用可能であり、これに限定されないが、DMEM(Dulbecco’s modified eagle medium)培地、MEM(minimal essential medium)培地、又はRPMI 1640(Rosewell Park Memorial Institute 1640)培地であってよい。
【0029】
また、前記細胞培養培地には必要によって1つ以上の補助成分を添加できるが、このような補助成分には、ウシ胎児、ウマ又はヒトなどの血清をはじめとして、微生物の汚染を防止のためのペニシリンG(penicilli G)、ストレプトマイシンサルフェート(sterptomycin sulfate)及びゲンタマイシン(gentamycin)などの抗生剤、アムホテリシンB(amphotericin B)及びナイスタチン(nystatin)などの抗真菌剤(antifungal agent)及びこれらの混合物からなる群から選ばれる成分のうち1つ以上を使用することができる。
【0030】
前記扁桃間葉幹細胞からエクソソームを抽出するための培養では、必要によって、無血清(serum-free)、無抗生剤(antibiotic-free)、無フェノールレッド(phenol red-free)である培地で交換及び培養を行うことをさらに含んでよい。すなわち、一般培養培地で培養を行った後、無血清培地などで培地を交換して培養をさらに行った後、段階2)に進むことができる。
【0031】
上記の段階2)の培養上澄液の回収は、培養培地、すなわち条件培地を回収することであってよい。回収した細胞培養上澄液には、細胞残余物、及び幹細胞から分泌されたエクソソームが含まれており、上記の段階3)で遠心分離することによって、細胞培養上澄液に含まれている細胞残余物を除去することができる。
【0032】
このような細胞残余物を除去した後に、細胞培養上澄液を、TFF(tangential flow filtration)、超遠心分離(ultracentrifugation)、サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)、及びエクソソーム分離キット(exosome isolation kit)からなる群から選ばれる1つを用いて分離・精製されたエクソソームを収得することができる。
【0033】
本発明に係るエクソソームは、他に由来の間葉幹細胞のエクソソームとは違い、miR-145-5pを多量含有する。
【0034】
hsa-miR-145-5pは、配列番号1の塩基配列を有する:
GUCCAGUUUUCCCAGGAAUCCCU
すなわち、本発明に係る薬学組成物のエクソソームは、配列番号1のhsa-miR-145-5pを含むものであってよい。
【0035】
本発明において、用語「予防」とは、本発明に係る扁桃間葉幹細胞由来エクソソームの投与によって筋肉減少関連疾患の発病を抑制又は遅延させる全ての行為を指す。本発明において、用語「治療」とは、本発明に係る扁桃間葉幹細胞由来エクソソームの投与によって筋肉減少関連疾患の症状が好転したり又は有益に変更する全ての行為を指す。本発明において、用語「改善」とは、本発明の組成物を個体に投与又は摂取させて筋肉減少関連疾患の悪い状態を良くする全ての行為を意味する。
【0036】
「筋肉細胞」は、ヒトを含む哺乳動物の筋肉を構成する細胞を総称するもので、筋細胞(myocyte)、筋管又は筋管細胞(myotube)、筋線維、又はこれらの全てを意味してよく、「筋肉細胞分化」は、筋芽細胞(myoblast)から筋肉細胞(筋細胞、筋管、及び/又は筋線維)が生成されること又はこれに伴う一連の過程を意味できる。
【0037】
本発明に係る組成物は、上述のような筋肉細胞の消失と関連した症状及び疾患に対して改善された治療及び予防効果を示す。
【0038】
本発明において、筋肉減少関連疾患は、筋肉減少と関連した全ての症状及びこれによって誘発される全ての疾病の中から選ばれる疾病又は前記疾病の症状を含み、筋機能低下、筋肉消耗又は筋肉退化などの原因による筋肉の減少と関連した疾患のことを指す。すなわち、筋肉減少関連疾患は、筋機能低下、筋肉消耗又は筋肉退化の原因による筋肉の減少症状を示すものであってよい。
【0039】
より具体的には、筋減少症(sarcopenia)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋無力症(myasthenia)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋肉緊張症(myotonia)、筋緊張低下(hypotonia)、筋力弱化(muscular weakness)、筋肉退行萎縮(muscular dystrophy)、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)、及び悪液質(cachexia)からなる群から選ばれる1つ以上の疾患であってよい。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームはCD63及びCD81を発現してエクソソームの特性を示す。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、100nm未満の直径を有する特性を示す。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、他に由来の間葉幹細胞と対比して、has-miR-145-5pをエクソソームの構成要素として多量含有する。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、筋肉減少関連疾患動物モデルにおいて体重減少及び/又は筋骨格損失に対する回復効果を示す。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、筋骨格関連細胞又は筋骨格の質量、体積、及び/又は密度を増加させることができる。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、筋肉細胞の分化効能を増進させる。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、筋肉減少疾患に見られる組織学的特性である筋肉線維の消失及び増加した内在化された核を回復する効果を示す。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、筋肉量に対する陰性調節因子として作用し、筋管細胞分化に影響を及ぼし得るアクティビンAに対する発現を抑制する。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、筋肉萎縮遺伝子として知られたMuRF1とAtrogin1の発現を抑制する。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、has-miR-145-5pを多量含有し、has-miR-145-5pによってアクティビンA受容体であるACVR2A(Activin A Receptor Type 2A)及びACVR1B(Activin A Receptor Type 1B)に直接結合してアクティビンAの活性を調節することができる。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、筋肉細胞において筋管細胞形成を増進させることができる。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、筋肉線維形成と関連したMyoD及びMYH1の発現を増進させ、筋肉線維形成を増進させることができる。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、ACVR2A及びACVR1Bの発現を阻害してアクティビンAの活性を減少させることができる。
【0053】
本発明の薬学組成物は、通常の方法によって液剤、懸濁液、エマルジョン、ローション、軟膏、凍結乾燥剤など、様々な剤形に製剤化できる。
【0054】
本発明の薬学組成物は、薬学的分野の通常の方法によって患者の身体内投与に適合した単位投与型の薬学的製剤に剤形化させて投与でき、前記製剤は、1回又は多回投与によって効果的な投与量を含む。このような目的に適合した剤形としては、非経口投与製剤として注射剤、注入剤などが好ましい。また、前記癌予防又は治療用の薬学組成物は、薬学的に許容可能な通常の不活性担体及び希釈剤を含んでよい。本発明の薬学組成物に含み得る薬学的に許容可能な担体及び希釈剤は、澱粉、糖、及びマンニトールのような賦形剤、カルシウムホスフェートなどのような充填剤及び増量剤、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ-スなどのようなセルロ-ス誘導体、ゼラチン、アルギン酸塩、及びポリビニルピロリドンなどのような結合剤、滑石、ステアリン酸カルシウム、水素化ヒマシ油及びポリエチレングリコールのような潤滑剤、ポビドン、クロスポビドンのような崩解剤、ポリソルベート、セチルアルコール、及びグリセロールなどのような界面活性剤を含むが、これに限定されない。前記薬学的に許容される担体及び希釈剤は、これが移植された受恵者に対して生物学的及び生理学的に親和的なものであってよい。希釈剤としては、これに限定されないが、塩水、水溶性緩衝液、溶媒及び/又は分散剤(dispersion media)を挙げることができる。その他にも、例えば、注射剤の場合には、保存剤、無痛化剤、可溶化剤又は安定化剤などを、局所投与用製剤の場合には、基剤(base)、賦形剤、潤滑剤又は保存剤などを、さらに含んでよい。本発明の組成物は、凍結しないまま使用されるか、将来の使用のために凍結してよい。凍結するべき場合に、標準冷凍保存剤(例えば、DMSO、グリセロール、エピライフ(Epilife(登録商標))細胞凍結培地(Cascade Biologics))が凍結前に細胞集団に添加されてよい。
【0055】
また、当業界で一般に用いられる投与方法によって投与されてよく、好ましくは、治療が必要な患者の疾患部位に直接投与が可能であるが、これに限定されない。また、前記投与は、カテーテルを用いた非外科的投与及び疾患部位切開後注入などの外科的投与方法のいずれをも可能である。投与量は、濃縮程度によってその投与量が変わってよいが、10μl/kg~1ml/kg体重を1回又は複数回に分けて投与できる。例えば、エクソソームは、本発明の組成物中に約1~150μg/ml、又は1~100μg/mlの量で含まれることが好ましい。また、前記エクソソームは、例えば、1×107~1×1012/mlの粒子数で含まれ、適用される対象体によって適切にその投与量が変更されて投与されてよい。有効成分の実際投与量は、治療しようとする疾患、疾患の重症度、投与経路、患者の体重、年齢及び性別などの様々な関連因子に照らして決定されるべきものと理解でき、したがって、前記投与量はいかなる面においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0056】
本発明は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームをこれを必要とする対象体に投与する段階を含む筋肉減少関連疾患の治療方法を提供する。
【0057】
本発明は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームをこれを必要とする対象体に投与する段階を含む筋肉運動能力増進又は改善方法を提供する。
【0058】
本発明は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームをこれを必要とする対象体に投与する段階を含む筋肉減少抑制又は筋肉増加方法を提供する。
【0059】
本発明において、「扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム」、「筋肉減少関連疾患」、「投与」などの用語は、上記で説明した通りである。
【0060】
前記対象体は動物のことを指し、典型的に、本発明の扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを用いた治療によって有益な効果を示し得る哺乳動物であってよい。このような対象体の好ましい例に、ヒトのような霊長類が含まれてよい。また、このような対象体には、筋肉減少関連疾患の症状を有したり又はこのような症状を有する危険があるいかなる対象体も含まれてよい。
【0061】
本発明は、また、筋肉減少関連疾患の治療のための薬剤の製造において扁桃間葉幹細胞由来エクソソームの用途を提供する。
【0062】
本発明は、また、筋肉減少関連疾患の治療に使用するための扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む組成物を提供する。
【0063】
本発明は、また、筋肉減少関連疾患の治療のための扁桃間葉幹細胞由来エクソソームの用途を提供する。
【0064】
本発明は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉減少関連疾患予防又は改善用食品組成物を提供する。
【0065】
本発明は、また、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを含む筋肉量増加又は筋機能改善用食品組成物を提供する。
【0066】
本明細書において、「筋肉運動能力増進又は改善」は、消失又は減少した筋肉運動能力の回復及び/又は向上、及び/又は筋肉運動能力の強化を意味できる。
【0067】
「筋」は、靭帯、筋肉、腱を包括的に指し、「筋機能」は、筋肉の収縮によって力を発揮する能力を意味し、筋肉が抵抗に耐えられるために最大限に収縮力を発揮できる能力である筋力、筋肉が、与えられた重量にどれくらい長く又はどれくらいの回数で収縮と弛緩を反復できるかを示す能力である筋持久力、短時間内に強い力を発揮する能力である瞬発力を含む。このような筋機能は、肝が主管し、筋肉量に比例し、「筋機能改善」は、筋機能をより良く向上させることを意味する。
【0068】
上述のような筋機能の改善又は筋肉量の増加は、日常生活やスポーツから見られる身体動作を、外形的に走り、飛び、投げ、泳ぎなどに区分するとき、前記動作を速く、強く、正確に、長く、上手にできる程度を示すものであり、運動遂行能力は、筋力、敏捷性及び持久力などの因子で規定されてよい。このような運動遂行能力の向上は、筋力、筋持久力のような筋機能向上効果を意味し、好ましくは、筋力又は筋持久力が増加することである。また、運動遂行可能時間(exercise endurance)増加、筋力強化、均衡感覚増進、及び/又は運動適応能力(exercise adaptation)増進効果を含むものであってもよい。
【0069】
本発明は、通常使用される食品として一般的に使われてよい。
【0070】
本発明の食品組成物は、健康機能食品として使用されてよい。前記「健康機能食品」とは、健康機能食品に関する法律に基づく、人体に有用な機能性を有する原料や成分を使って製造及び加工した食品を意味し、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節するか、生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得る目的で摂取することを意味する。
【0071】
本発明の食品組成物は、通常の食品添加物を含むことができ、前記「食品添加物」としての適否は、特に規定がない限り、食品医薬品安全処に承認された食品添加物公典の総則及び一般試験法などによって当該品目に関する規格及び基準によって判定する。
【0072】
前記「食品添加物公典」に収載された品目には、例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カリウム、ニコチン酸、桂皮酸などの化学的合成物、柿色素、甘草抽出物、結晶セルロ-ス、高梁色素、グアガムなどの天然添加物、L-グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤などの混合製剤類を挙げることができる。
【0073】
本発明の食品組成物は、組成物総重量に対して、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを0.01~95重量%、好ましくは、5~90重量%で含んでよい。
【0074】
また、本発明の食品組成物は、癌の予防及び/又は改善を目的に、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、液状、丸などの形態で製造及び加工できる。
【0075】
例えば、カプセル形態の健康機能食品のうち、硬質カプセル剤は、通常の硬質カプセルに本発明に係る扁桃間葉幹細胞のエクソソーム、及び賦形剤などの添加剤との混合物を充填して製造でき、軟質カプセル剤は、本発明に係る食品組成物及び賦形剤などの添加剤との混合物を、ゼラチンなどのカプセル基材に充填して製造できる。前記軟質カプセル剤は、必要によって、グリセリン又はソルビトールなどの可塑剤、着色剤、保存剤などを含有することができる。
【0076】
前記賦形剤、結合剤、崩解剤、滑沢剤、矯味剤、着香剤などに対する用語の定義は、当業界に公知された文献に記載されたものであり、その機能などが同一又は類似なものを含む(大韓薬典解説編、ムンセォン社、韓国薬学大学協議会、第5改正版、p33-48,1989)。
【0077】
前記食品の種類は、特に限定されず、通常の意味での健康機能食品のいずれをも含む。
【0078】
〔発明の効果〕
本発明の扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、miR-145-5pを高い含量で含有することで、筋骨格の消失減少を回復し、筋肉線維消失及び筋管細胞形成抑制に対する回復効果を有し、筋肉量に対する陰性調節因子であるアクティビンAの発現を調節し、筋肉線維形成関連遺伝子の発現を増進させ、筋肉萎縮関連遺伝子の発現を減少させることによって、筋肉減少関連疾患の予防、改善及び治療と運動能力改善に優れた効果を有する。
【0079】
〔図面の簡単な説明〕
〔
図1〕扁桃間葉幹細胞由来エクソソームのエクソソームマーカーに対する免疫ブロット確認結果を示す。
【0080】
〔
図2〕走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)を用いて扁桃間葉幹細胞由来エクソソームのサイズを確認した結果を示す。
【0081】
〔
図3〕Bu-Cy処理動物モデルにおいて扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)投与による体重変化を確認した結果を示す。
【0082】
〔
図4〕Bu-Cy処理動物モデルにおいて扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)投与による大腿四頭筋の筋骨格重量変化を確認した結果を示す。
【0083】
〔
図5〕Bu-Cy処理動物モデルにおいて扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)投与による組織学的変化を確認した結果を示す。
【0084】
〔
図6〕Bu-Cy処理動物モデルにおいて扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)投与による血中アクティビンA、Murf1及びAtrogin1の発現変化を確認した結果を示す。
【0085】
〔
図7〕C2C12細胞へのアクティビンA処理による筋管細胞形成抑制効果を示す。
【0086】
〔
図8〕C2C12細胞へのアクティビンA処理によるMyoD、Myh1、MuF1、Atrogin1の発現変化を確認した結果を示す。
【0087】
〔
図9〕扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)及び/又はホウォートンゼリー由来間葉幹細胞のエクソソーム(WJ-MSCエクソソーム)のmiR-145-5pの発現レベルを確認した結果を示す。
【0088】
〔
図10〕miR-145-5p標的配列を予測してACVR2A、ACVR1Bに対する作用可能性を確認した結果を示す。
【0089】
〔
図11〕扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)の細胞毒性をC2C12細胞から確認した結果を示す。
【0090】
〔
図12〕C2C12細胞への扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)とアクティビンAの処理による筋管細胞形成変化を確認した結果を示す。
【0091】
〔
図13〕C2C12細胞への扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)とアクティビンAの処理によるMyh1、ACVR2A、ACVR1Bの発現変化を確認した結果を示す。
【0092】
〔
図14〕C2C12細胞への扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理による筋管細胞分化変化を確認した結果を示す。
【0093】
〔
図15〕C2C12細胞への扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理によるACVR2A、ACVR1B、MyoD、Myh1、Atrogin1の発現変化を確認した結果を示す。
【0094】
〔
図16〕Bu-Cy処理動物モデルへの間葉幹細胞のエクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理による体重変化を確認した結果を示す。
【0095】
〔
図17〕Bu-Cy処理動物モデルへの間葉幹細胞のエクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理による大腿四頭筋の筋骨格重量変化を確認した結果を示す。
【0096】
〔
図18〕Bu-Cy処理動物モデルへの間葉幹細胞のエクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理による組織学的変化を確認した結果を示す。
【0097】
〔
図19〕Bu-Cy処理動物モデルにおいて扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理によるMurf1、Atrogin1、ACVR2A、ACVR1Bの発現変化を確認した結果を示す。
【0098】
〔発明を実施するための形態〕
本発明の理解を助けるために実施例、製造例を提示する。下記の実施例、製造例は、本発明のより容易な理解を助けるために提供されるだけで、実施例、製造例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0099】
<実施例1>扁桃間葉幹細胞からエクソソーム分離
エクソソームを分離するために、扁桃由来間葉幹細胞-条件培地(T-CM)を生成した。確立された扁桃由来間葉幹細胞(T-MSC)を、100mm組織培養プレートで約80~90%程度埋まるまで培養し、細胞をリン酸塩緩衝食塩水(PBS)で4回洗浄した後、培地を無血清DMEMで入れ換えた。48時間培養後に培地を回収して1,300rpmで5分間遠心分離した後、0.2μmフィルターに通過させた。条件培地(CM)を遠心濾過(cut-off of 3K,Amicon Ultra-15,Millipore,Bedford,MA,USA)によって元の濃度の20倍まで濃縮した。その後、1/5体積のExoQuick-TC試薬(System Biosciences,Palo Alto,CA,USA)をT-CMに添加して混合した。4゜Cで一晩かけて培養した後、混合物を4℃で30分間1,500×gで遠心分離した。上澄液を除去して常温で5分間最終遠心分離した。エクソソームペレットをPBSに再懸濁し、BCAタンパク質分析キット(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を用いて定量化し、-80℃で保管した。
【0100】
<実施例2>扁桃間葉幹細胞から分離されたエクソソームの確認
前記実施例1で製造されたエクソソームを、エクソソームマーカーの免疫ブロットと、走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)を用いて確認した。
【0101】
具体的には、エクソソームマーカーCD63及びCD81の発現を確認するために、免疫ブロットを扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム及び扁桃間葉幹細胞溶解物に対して行った。レーン当たりに5μgのエクソソーム及び扁桃間葉幹細胞タンパク質をロードし、ブロットされたメンブレインをCD63(ab193349,Abcam,Cambridge,UK)及びCD81(sc-166029,Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA,USA)に対抗する抗体で一晩かけて培養した。洗浄後、メンブレインを二次抗体(抗マウスIgG,Sigma Aldrich)で培養した。イメージは、SuperSignal West Femto Substrate(Thermo Fisher Scientific)を用いて現像し、ImageQuant LAS 3000(GE Healthcare,Little Chalfont,UK)を用いてスキャンした。
【0102】
【0103】
図1から確認できるように、本発明に係る方法によって分離された扁桃間葉幹細胞由来エクソソームはCD63及びCD81発現特徴を示し、エクソソームの特性を示すことが確認された。
【0104】
また、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた確認のために、希釈されたエクソソームをポリL-リジンカバーガラスに落として30分間、0.25%グルタルアルデヒドをプリフィクス(prefixed)した。PBSで数回洗浄した後、最終固定させるために、サンプルを1%四酸化オスミウム(osmium tetroxide)に30分間保管した。次に、エタノールで連続希釈し、臨界点乾燥(CPD)によってサンプルを洗浄して脱水した。最後に、サンプルをスタブに装着して金でスパッターコーティングした後、SEM Sigma-300(ZEISS、ドイツ)で検査した。
【0105】
また、透過電子顕微鏡(TEM)を用いた確認のために、精製されたエクソソームをPBSで1:1000に希釈した。5μlに希釈されたエクソソームを、Formvar-carbonコートされた電子顕微鏡(EM)グリッドに落とした。グリッドを2%酢酸ウラニルで染色し、濾過紙を用いて除去した。最後に、H-7650 TEM(Hitachi,Tokyo,Japan)を用いて80kVの電圧でグリッドを観察した。スケールバーが提供されるデジタルイメージは、70,000~200,000Xの倍率でキャプチャーした。
【0106】
前記結果を、
図2の(A,SEM)及び(B,TEM)にそれぞれ示した。
【0107】
図2の走査電子顕微鏡及び透過電子顕微鏡から確認できるように、本発明に係るエクソソームの直径が100nm未満であった。
【0108】
<実施例2>筋減少モデルにおいてT-MSCエクソソーム処理による治療効果確認
8週齢雌BALB/cマウスを、OrientBio(ウムソン-グン,韓国)から購入した。全ての動物は、病原菌がない(pathogen-free)条件下に21~23℃の温度、51~54%の湿度を維持し、12時間の明暗周期で食べ物と水に自由に接近できるようにした。全ての手続は、イファ女子大学校医科大学動物保護及び利用委員会(EUM 20-015)の承認を受けた。
【0109】
雌BALB/cマウスは、4日間毎日ブスルファン(Bu,20mg/kg/日)を受けた後、腹腔内注射で2日間毎日シクロホスファミド(Cy,100mg/kg/日)を投与した。化学療法の3日目に、マウスの側面尾静脈から扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(30μg/マウス)を注射した。最後にシクロホスファミドを注射して4~5日後にマウスを犠牲させた。実験期間中に全てのマウスを毎日検査し、体重減少を記録した。実験が終わる時点にマウスを犠牲させ、大腿四頭筋(quadricep)の質量を測定し、組織学及び遺伝子発現を含む追加評価を行った。
【0110】
【0111】
図3は、実験日程中に確認されたマウスの体重変化を確認した結果である。
図3から確認できるように、Bu-Cy注入後4日まで急激な体重減少が観察されたが、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームが注入されたBu-Cyマウスは軽微な体重減少を示した。
【0112】
図4は、骨格筋損失を確認するための大腿四頭筋(quadricep)の質量を測定した結果である。筋肉量はBu-Cy処理によって減少したが、本発明に係るエクソソームは、化学療法で誘発された筋肉消失を有意に回復した。
【0113】
図5は、このような結果を組織学的分析によって確認した結果を示す。具体的には、マウスの大腿四頭筋(quadricep)標本を4%ホルムアルデヒドで固定してパラフィンに漬けた後、セクション(5μm厚)をスライドに装着し、組織学的評価のためにヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。
図5から確認できるように、大腿四頭筋の筋肉組織は、Bu-Cyマウスにおいて筋肉線維の消失と増加した内在化された核を示したが、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは筋肉消失を回復した結果を示した。
【0114】
また、アクティビンAは筋肉量の陰性調節剤であり、化学療法中にアクティビンAの上昇したレベルが報告されるので、これと共に、筋肉萎縮遺伝子として知られたMuRF1とAtrogin1の発現変化を確認した。具体的には、循環するアクティビンAを検出するために、実験が終わる時点に正常BALB/cマウス、Bu-Cy処理されたマウス、及びエクソソーム注射されたBu-Cyマウスから血清を収集した。アクティビンAのレベルは、メーカーの指針に従ってヒト/ネズミ/マウスアクティビンA免疫分析キット(R&D Systems,Minneapolis,MN,USA)を用いて決定した。
【0115】
また、筋肉関連遺伝子検出のために、実験用マウス大腿四頭筋を採取した後、TRIzol(Thermo Fisher Scientific)を使ってRNAを抽出した。メーカーの指示に従って逆転写試薬(ELPIS-Biotech,デジョン,韓国)を使って相補的DNAを合成した。実時間PCR分析は、前述した通りに行った。全ての遺伝子発現値(MuRF1及びAtrogin1)はGAPDH参照遺伝子に対して正規化した。
【0116】
上の実験に使用されたプライマー配列は、次の通りである:
【0117】
【0118】
前記結果は、
図6に示した。
図6の(A)に見られるように、Bu-Cy処理は、循環するアクティビンAを有意に増加させた。また、筋肉萎縮遺伝子として知られたMuRF1とAtrogin1の発現も共に増加した(
図6の(B)及び(C))。これに対し、エクソソームの処理によってMuRF1、Atrogin1発現が有意に減少した。
【0119】
<実施例3>アクティビンAの筋管細胞分化抑制確認
上記のように、アクティビンAがMuRF1及びAtrogin1の発現に影響を及ぼすことを確認し、C2C12細胞の筋管細胞への分化能力に対するアクティビンAの効果を確認した。
【0120】
具体的には、C2C12マウス筋芽細胞は、20%ウシ胎児血清(FBS;Welgene)、100U/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンが補充されたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM;Welgene、デグ広域市、韓国)で構成された成長培地で5% CO2下に37℃の温度で培養した。90%コンフルエンシー(confluency)細胞は、2%ウマ血清(HS;Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)、ペニシリン及びストレプトマイシンを含有するDMEMで5~7日間培養して筋管細胞(myotubes)に分化させた。C2C12細胞分化に対するアクティビンA(activin A)C2C12細胞分化に及ぼす影響を観察するために、分化期間の初日に50ng/mlアクティビンAで細胞を処理した。
【0121】
図7から確認できるように、分化期間中に50ng/mlのアクティビンAが添加されたとき、筋肉線維形成は、処理されていない対照群C2C12細胞と比較して減少した。
【0122】
また、実施例2と類似に、実時間PCR分析によってMyoD、Myh1、MurF1、Atrogin1などの発現変化を確認した。
【0123】
上記の実施例2におけるプライマー配列に加えて、追加されたプライマー配列情報は次の通りである:
【0124】
【0125】
【0126】
図8から確認できるように、アクティビンAの処理によって線維がよく形成されていない細胞は、MyoD及びMYH1の顕著に低い発現を伴った。また、MuRF1及びAtrogin1の発現は、アクティビンA処理によって上方調節された。
【0127】
このような結果から、アクティビンAが筋管細胞の分化に影響を及ぼす因子であることを確認した。
【0128】
<実施例4>扁桃間葉幹細胞由来エクソソームのhas-miR-145-5p発現確認
扁桃間葉幹細胞由来エクソソームが生体内で筋肉損失と関連遺伝子発現を効率的に回復したことから、miRNAのようなエクソソーム構成要素が筋肉量調節に作用できることを着眼した。
【0129】
これにより、microRNA(miRNA)は、メーカーの指示に従ってExo2D for RNA分析キット(Exosome Plus、キョンギ-ド、韓国)を用いてT-CMからエクソソームRNAを分離した。次に、miRNAをポリアデニル化した後、メーカーの指針に従ってMystiCq MicroRNA cDNA合成ミックスキット(Sigma-Aldrich)を用いて相補的DNA(cDNA)に変換した。SensiFAST SYBR Hi-ROXキット(Bioline,London,UK)を用いてStepOnePlus機器(Applied Biosystems,Foster City,CA,USA)で実時間PCR分析を行った。MicroRNA145-5p発現を、対照群miRNAであるRNU6-1に対して正規化した。当該結果を
図9の(A)に示した。
【0130】
比較のために、ホウォートンゼリー由来間葉幹細胞から同一方式でエクソソームを抽出したものを比較例として使用した。
【0131】
【0132】
図9の(B)から確認できるように、エクソソームmiRNA、has-miR-145-5pを含む扁桃間葉幹細胞由来エクソソームの独特のプロファイルを示す。
【0133】
すなわち、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームはhas-miR-145-5pの構成的発現を示したし、発現は、ホウォートンゼリーMSCのエクソソームに比べて非常に高かった。
【0134】
筋肉量調節の基礎になり得る分子メカニズムをさらに探索するために、TargetScanHuman7.2データベース(http://www.targetscan.org/vert_72/)を用いて、推定されるmiR-145-5p標的配列を予測した。
【0135】
【0136】
図10の(A)から確認できるように、has-miR-145-5pのシード配列は、ACVR2A及びACVR1Bの3’非番駅領域(UTR)と完壁に一致し、アクティビンA受容体がhas-miR-145-5pの潜在的標的であることを確認した。また、
図10の(B)から確認できるように、has-miR-145-5pの潜在的結合部位が哺乳類ACVR2A及びACVR1B遺伝子の間で高度に保存されていることも併せて確認した。このような結果は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームのhas-miR-145-5pが筋肉のアクティビンA受容体媒介反応に影響を及ぼし得ることを示す。
【0137】
<実施例5>扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム処理によるアクティビンAによって誘導された筋肉分化障害克服確認
扁桃間葉幹細胞由来エクソソームの筋肉量の維持効果を確認するために、C2C12筋芽細胞の筋肉分化実験を行った。
【0138】
エクソソームを処理するに先立ち、細胞生存力を測定して潜在的毒性を確認し、これを
図11に示した。
図11から確認できるように、様々な濃度の扁桃間葉幹細胞由来エクソソームで処理されたC2C12細胞は、100%に設定された処理されていないC2C12細胞と比較して100%以上増加した細胞生存力を有する。
【0139】
その後、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームがアクティビンAの存在下に筋肉分化を改善するかを確認した。
【0140】
C2C12筋芽細胞は、分化を始めて分化初日に50ng/mlアクティビンA及び様々な濃度の扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(0.5、1、5、10μg/ml)で処理した。その結果を
図12に示した。
【0141】
図12から確認できるように、5日後、アクティビンA単独で処理された細胞は、筋管細胞(myotube)の限定された形成を示した。逆に、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームに露出された細胞は、アクティビンAがある場合にも豊富な筋管細胞(myotube)を形成した。
【0142】
また、骨格筋マーカーであるMYH1、ACVR2A及びACVR1Bの発現変化を実時間PCRによって確認し、これを
図13に示した。
【0143】
上記の実施例におけるプライマー配列に加えて、追加されたプライマー配列情報は次の通りである:
【0144】
【0145】
図13から確認できるように、MYH1骨格筋マーカーの発現は、アクティビンA露出下に扁桃間葉幹細胞由来エクソソームで処理されたC2C12細胞において回復した。特に、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームが5μg/mlの濃度でMYH1発現を最も効果的に増加させた。
【0146】
また、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームにあるhas-miR-145-5pの豊富さとアクティビンA受容体であるACVR2A及びACVR1Bに対する潜在的関連性を考慮して、24時間、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームで処理されたC2C12細胞でACVR2A及びACVR1Bの発現を確認した。その結果、ACVR2A及びACVR1Bが、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームが追加されたC2C12細胞においてかなり下方調節されていた。
【0147】
したがって、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは筋肉分化を増進させ、特に、アクティビンA受容体発現を調節することによって、アクティビンAによって誘発された損傷した筋肉分化を改善できることを確認した。
【0148】
<実施例6>エクソソームのhas-miR-145-5p活性を用いたアクティビンAに対する筋肉反応調節確認
has-miR-145-5pが筋肉分化を支持する扁桃間葉幹細胞由来エクソソームにおいて中枢役割を担うか否かを確認するために、has-miR-145-5p特異的抑制剤((バイオニア、デジョン、韓国)を使用した時の筋管細胞形成変化を確認した。
【0149】
その結果を
図14に示した。
図14から確認できるように、has-miR-145-5p抑制剤の処理は、筋管細胞(myotube)形成に対する扁桃間葉幹細胞由来エクソソームの支持効果を抑制した。
【0150】
また、
図15から確認できるように、ACVR2A、ACVR1B、MyoD、Myh1においてhas-miR-145-5p特異的抑制剤処理は、扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム誘導遺伝子発現を有意に逆転させた。また、Atrogin1発現は、has-miR-145-5p依存的方式で扁桃間葉幹細胞由来エクソソームによって下方調節された。
【0151】
このような結果は、has-miR-145-5p活性を用いた扁桃間葉幹細胞由来エクソソームによるアクティビンA受容体、ACVR2A、及びACVR1Bの減少した発現と相関関係があることを示す。
【0152】
<実施例7>扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム処理による生体内(in vivo)体重減少及び骨格筋損失回復確認
Bu-Cy治療中に、miR-145-5p特異的抑制剤が補充された扁桃間葉幹細胞由来エクソソームを注入し、先の実施例2と類似に実験を行った。
【0153】
【0154】
3日目に扁桃間葉幹細胞由来エクソソームと非特異的抑制剤(control)を注射したマウスは、最後のCy処理の翌日から体重減少が有意に抑制されることが見られた。しかし、このような効果は、最後のCy処理2日後から扁桃間葉幹細胞由来エクソソームとmiR-145-5p抑制剤が投与されたマウスにおいて減少した。特に、扁桃間葉幹細胞由来エクソソームとmiR-145-5p抑制剤の共同投与は、実験が終わる時、体重の急激な減少を招いた。
【0155】
また、
図17から確認できるように、has-miR-145-5p抑制剤と併用された扁桃間葉幹細胞由来エクソソームは、また、各実験マウスの筋肉量損失の減少を鈍化させた。
【0156】
また、
図18に示すように、扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム注入マウスは、miR-145-5pの活性が正常に維持されたとき、Bu-Cyによって誘導された筋肉線維破壊が最小化されたことが確認できた。
【0157】
最後に、
図19に示すように、Bu-Cy処理されたマウスにおいてhas-miR-145-5p特異的抑制剤及び扁桃間葉幹細胞由来エクソソームの共同投与は、MuRF1及びAtrogin1萎縮遺伝子の発現を逆転させた。また、Bu-Cyで処理されたマウスは、アクティビンA受容体であるACVR2A及びACVR1Bにおいて相当な増加を示し、アクティビンA反応性を増加させることを示した。
【0158】
上記の結果から、本発明に係る扁桃間葉幹細胞由来エクソソームが筋骨格損失に対して優れた改善効果を示すことを確認した。特に、このような改善効果は、他の細胞由来エクソソームと違い、has-miR-145-5pの発現レベルが高いことに基づいてなされることを確認したし、このような作用では、アクティビンAの発現レベル抑制と関連が高いことを確認した。このような結果から、本発明に係るエクソソームが筋肉関連疾患の治療剤として利用可能であることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0159】
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図1】扁桃間葉幹細胞由来エクソソームのエクソソームマーカーに対する免疫ブロット確認結果を示す。
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図2】走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)を用いて扁桃間葉幹細胞由来エクソソームのサイズを確認した結果を示す。
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図3】Bu-Cy処理動物モデルにおいて扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)投与による体重変化を確認した結果を示す。
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図4】Bu-Cy処理動物モデルにおいて扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)投与による大腿四頭筋の筋骨格重量変化を確認した結果を示す。
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図5】Bu-Cy処理動物モデルにおいて扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)投与による組織学的変化を確認した結果を示す。
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図6】Bu-Cy処理動物モデルにおいて扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)投与による血中アクティビンA、Murf1及びAtrogin1の発現変化を確認した結果を示す。
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図7】C2C12細胞へのアクティビンA処理による筋管細胞形成抑制効果を示す。
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図8】C2C12細胞へのアクティビンA処理によるMyoD、Myh1、MuF1、Atrogin1の発現変化を確認した結果を示す。
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図9】扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)及び/又はホウォートンゼリー由来間葉幹細胞のエクソソーム(WJ-MSCエクソソーム)のmiR-145-5pの発現レベルを確認した結果を示す。
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図10】miR-145-5p標的配列を予測してACVR2A、ACVR1Bに対する作用可能性を確認した結果を示す。
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図11】扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)の細胞毒性をC2C12細胞から確認した結果を示す。
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図12】C2C12細胞への扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)とアクティビンAの処理による筋管細胞形成変化を確認した結果を示す。
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図13】C2C12細胞への扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)とアクティビンAの処理によるMyh1、ACVR2A、ACVR1Bの発現変化を確認した結果を示す。
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図14】C2C12細胞への扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理による筋管細胞分化変化を確認した結果を示す。
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図15】C2C12細胞への扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理によるACVR2A、ACVR1B、MyoD、Myh1、Atrogin1の発現変化を確認した結果を示す。
【
図16】Bu-Cy処理動物モデルへの間葉幹細胞のエクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理による体重変化を確認した結果を示す。
【
図17】Bu-Cy処理動物モデルへの間葉幹細胞のエクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理による大腿四頭筋の筋骨格重量変化を確認した結果を示す。
【
図18】Bu-Cy処理動物モデルへの間葉幹細胞のエクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理による組織学的変化を確認した結果を示す。
【
図19】Bu-Cy処理動物モデルにおいて扁桃間葉幹細胞由来エクソソーム(T-MSC exosome)とmiR-145-5p抑制剤の処理によるMurf1、Atrogin1、ACVR2A、ACVR1Bの発現変化を確認した結果を示す。
【配列表】
【国際調査報告】