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特表2024-532159アトピー性皮膚炎を治療するための融合タンパク質
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  • 特表-アトピー性皮膚炎を治療するための融合タンパク質 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】アトピー性皮膚炎を治療するための融合タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240829BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20240829BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20240829BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240829BHJP
   C12P 21/02 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K14/54
C07K16/18
C07K16/24
A61P17/00 171
A61P37/08
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 N
A61K31/519
A61K31/4439
C12P21/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509415
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2022073146
(87)【国際公開番号】W WO2023021170
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/235,259
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/235,261
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】モージー,モハマド
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ユアンジェン
(72)【発明者】
【氏名】スタウファー,セス・ディー
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,ジソン
【テーマコード(参考)】
4B064
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064AG26
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB131
4C084ZB132
4C084ZC202
4C084ZC422
4C084ZC611
4C084ZC612
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB42
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C085GG08
4C085GG10
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086CB05
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA21
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA44
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB13
4C086ZC61
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045DA01
4H045DA75
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、イヌインターロイキン-4に結合する融合タンパク質と、イヌインターロイキン-13に結合する融合タンパク質との組み合わせを含む、イヌにおけるアトピー性皮膚炎を治療するための組成物を提供する。イヌインターロイキン-4に結合する融合タンパク質は、イヌインターロイキン-4受容体アルファの細胞外ドメインを含むのに対して、イヌインターロイキン-13に結合する融合タンパク質は、イヌインターロイキン-13受容体アルファ1の細胞外ドメインを含む。組成物は、イヌIL-31に対するまたはイヌIL-31Rαに対するモノクローナル抗体を更に含むことができる。本発明は更に、これらの組成物を使用してイヌアトピー性皮膚炎を治療する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のイヌインターロイキン-4受容体アルファ-イヌフラグメント結晶化可能領域融合タンパク質(cIL-4Rα-cFc融合タンパク質)を含むホモ二量体と、一対のイヌインターロイキン-13受容体アルファ1-イヌフラグメント結晶化可能領域融合タンパク質(cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質)を含むホモ二量体とを含む組成物であって、
前記一対のcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の各々が、イヌインターロイキン-4(cIL-4)に結合するイヌインターロイキン-4受容体アルファ(cIL-4Rα)の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメントと、第1のイヌフラグメント結晶化可能領域(cFc)とを含み、かつ
前記一対のcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の各々が、イヌインターロイキン-13(cIL-13)に結合するイヌインターロイキン-13受容体アルファ1(cIL-13Rα1)の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメントと、第2のcFcとを含み、
前記第1のcFcおよび前記第2のcFcが同じであるか、または異なるかのいずれかである、組成物。
【請求項2】
前記第1のcFcおよび前記第2のcFcが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4または配列番号51からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を個々に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記一対のcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の各々が、第1のイヌヒンジ領域を更に含み、前記第1のイヌヒンジ領域が、前記cIL-4Rαの前記ECDと前記第1のcFcとの間のリンカーとして作用し、かつ
前記一対のcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の各々が、第2のイヌヒンジ領域を更に含み、前記第2のイヌヒンジ領域が、前記cIL-13Rα1の前記ECDと前記第2のcFcとの間のリンカーとして作用し、前記第1のイヌヒンジ領域および前記第2のイヌヒンジ領域が、同じであるか、または異なるかのいずれかである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1のイヌヒンジ領域および前記第2のイヌヒンジ領域が、配列番号21、配列番号22、配列番号23、および配列番号24からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を個々に含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
cIL-4Rαの前記ECDが、配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%または100%の同一性を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
cIL-13Rα1の前記ECDが、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%または100%の同一性を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1のイヌヒンジ領域が、前記cIL-4Rαの前記ECDと前記第1のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用し、かつ前記cIL-4Rαの前記ECDと前記第1のcFcとの間の前記唯一のリンカーが、イヌにおいて天然に見られるタンパク質中のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)と同一のアミノ酸配列を含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2のイヌヒンジ領域が、前記cIL-13Rα1の前記ECDと前記第2のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用し、前記cIL-13Rα1の前記ECDと前記第2のcFcとの間の前記唯一のリンカーが、イヌにおいて天然に見られるタンパク質中のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記一対のcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の各々が、イヌにおいて天然に見られるタンパク質のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)と同一のアミノ酸配列のみから構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記一対のcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の各々が、イヌにおいて天然に見られるタンパク質のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)と同一のアミノ酸配列のみから構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記一対のcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の各々が、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記一対のcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の各々が、配列番号5、配列番号8、配列番号11および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記一対のcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の各々が、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記一対のcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の各々が、配列番号6および配列番号9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
イヌインターロイキン-4受容体アルファ-cFc融合タンパク質(cIL-4Rα-cFc)およびインターロイキン-13受容体アルファ1-cFc融合タンパク質(cIL-13Rα1-cFc)を含むヘテロ二量体を含む組成物であって、
前記cIL-4Rα-cFc融合タンパク質が、イヌインターロイキン-4(cIL-4)に結合するイヌインターロイキン-4受容体アルファ(cIL-4Rα)の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメントと、第1のcFcとを含み、かつ
前記cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質が、イヌインターロイキン-13(cIL-13)に結合するイヌインターロイキン-13受容体アルファ1(cIL-13Rα1)の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメントと、第2のcFcとを含み、
前記第1のcFcおよび前記第2のcFcが同じであるか、または異なるかのいずれかである、組成物。
【請求項16】
前記第1のcFcおよび前記第2のcFcが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4および配列番号51からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を個々に含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記cIL-4Rα-cFc融合タンパク質が、第1のイヌヒンジ領域を更に含み、前記第1のイヌヒンジ領域が、前記cIL-4Rαの前記ECDと前記第1のcFcとの間のリンカーとして作用し、かつ
前記cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質が、第2のイヌヒンジ領域を更に含み、前記第2のイヌヒンジ領域が、前記cIL-13Rα1の前記ECDと前記第2のcFcとの間のリンカーとして作用し、前記第1のイヌヒンジ領域および前記第2のイヌヒンジ領域が、同じであるか、または異なるかのいずれかである、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項18】
前記第1のイヌヒンジ領域および前記第2のイヌヒンジ領域が、配列番号21、配列番号22、配列番号23、および配列番号24からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を個々に含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記第1のcFcが、配列番号2および配列番号51からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、かつL117Y/F173A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含み、かつ前記第2のcFcが、配列番号2および配列番号51からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、かつT132L/R160L/T162Wのアミノ酸置換を更に含む、請求項15~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記cIL-4Rα-cFcが配列番号18のアミノ酸配列を含み、前記IL-13Rα1が配列番号19のアミノ酸配列を含む、請求項15~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、イヌIL-31Rに対するイヌ化抗体およびイヌIL-31Rに対するイヌ抗体からなる群から選択される抗体を更に含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
イヌIL-31Rに対する前記イヌ化抗体が、
(i)配列番号33および配列番号34からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、ならびに配列番号36、配列番号37、配列番号38および配列番号39からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖、ならびに
(ii)配列番号41、配列番号42および配列番号43からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、ならびに配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
からなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)阻害剤、またはTH2細胞上に発現される化学誘引物質受容体相同分子に対するアンタゴニストからなる群から選択される1つ以上の追加の成分を更に含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記JAK阻害剤が、以下からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物
【化1】
(式中、Rは、ヒドロキシで置換されていてもよいC1~4アルキルおよびその薬学的に許容され得る塩である)、
【化2】
およびその薬学的に許容され得る塩、ならびに
【化3】
およびその薬学的に許容され得る塩。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物を、アトピー性皮膚炎を有するイヌに投与することを含む、アトピー性皮膚炎を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、XML形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2022年7月21日に作成されたXMLファイルのファイル名は「25270.xml」である。EFS-Webを介して提出されたこの配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第63/235,259号(2021年8月20日出願)および米国特許出願第63/235,261号(2021年8月20日出願)の35 U.S.C.§119(e)に基づく優先権を主張する。
【0003】
発明の分野
本発明は、イヌインターロイキン-4またはイヌインターロイキン-13に結合する融合タンパク質を含む、イヌにおけるアトピー性皮膚炎を治療するための組成物に関する。組成物は、イヌアトピー性皮膚炎を治療するために使用することができる。
【背景技術】
【0004】
免疫系は、宿主を感染症および癌から保護するために協働して機能する常在および再循環する特殊な細胞のネットワークを含む。免疫系がこの機能を果たす能力は、白血球によって分泌され、まとめてインターロイキンと呼ばれるタンパク質群の生物学的活性に大きく依存する。よく研究されているインターロイキンの中には、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-13(IL-13)、およびインターロイキン-31(IL-31)として同定された3つの重要な分子がある。IL-4およびIL-13は、特定の病原体(例えば、組織または管腔内に存在する寄生生物)に対する防御に必要な免疫応答の発生に関与する関連シグナル伝達経路における重要なサイトカインである。しかしながら、これらの2つのサイトカインは、IL-31と共に、アトピー性皮膚炎を含むヒトおよび動物におけるアレルギー性疾患の病因にも関与している。
【0005】
アトピー性皮膚炎(AD)は、再発性の掻痒性および慢性炎症性皮膚疾患であり、ヒトにおける免疫系調節不全および表皮バリア異常を特徴とする。アトピー性皮膚炎の病理学的属性および免疫学的属性は、広範な調査の対象であった[Rahman et al.Inflammation&Allergy-drug target 10:486-496(2011)and Harskamp et al.,Seminar in Cutaneous Medicine and Surgery 32:132-139(2013)に概説されている]。アトピー性皮膚炎はまた、コンパニオンアニマル、特にイヌにおける一般的な状態であり、その有病率はイヌ集団の約10~15%であると推定されている。イヌおよびネコにおけるアトピー性皮膚炎の発病[Nuttall et al.,Veterinary Records 172(8):201-207(2013)に概説されている]は、ヒトにおけるアトピー性皮膚炎の発病との有意な類似性を示し、これには、様々な免疫細胞による皮膚浸潤、ならびにIL-4、IL-13およびIL-31が優勢であることを含むCD4Th2極性化サイトカイン環境が含まれる。
【0006】
IL-4およびIL-13は、CD4Th2細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、マクロファージ、肥満細胞および好塩基球を含む多くの細胞型によって分泌され得る密接に関連したタンパク質である。IL-4およびIL-13は、多くの重複する機能を示し、T細胞依存性体液性免疫応答の発生に重要である。IL-4およびIL-13の両方が、アトピー性皮膚炎に関与するシグナル伝達経路の一部である。IL-4は、共通γc鎖のモノマー(γc)およびIL-4受容体アルファのモノマー(IL-4Rα)をそれぞれ含むヘテロ二量体受容体に結合し、IL-13は、IL-13受容体アルファ1のモノマー(IL13Rα1)およびIL-4Rαのモノマーをそれぞれ含むヘテロ二量体受容体に結合する。
【0007】
したがって、Th2サイトカインIL-4、IL-13およびIL-31は、より良好な治療法を開発するための治療介入の対象であった。アトピー性皮膚炎の治療を補助することが証明されているおよび/またはそうすることが約束されていることが証明されている医薬としては、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤[例えば、米国特許第8,133,899号;米国特許第8,987,283号;国際公開第2018/108969号;米国特許出願公開第2020/0339585号を参照]、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)阻害剤[例えば、米国特許第8,759,366号を参照]、およびTH2細胞上で発現される化学誘引物質受容体相同分子に対するアンタゴニスト[例えば、米国特許第7,696,222号、米国特許第8,546,422号、米国特許第8,637,541号、および米国特許第8,546,422号を参照]を含む。さらに、米国特許出願公開第2020/0048325号は、隣接するIL-13/IL-4受容体融合タンパク質を開示している。これらの融合タンパク質の設計は、IL-13Rα1とIL-4Rαとを、IL-13Rα1がリンカーと呼ばれる非自己アミノ酸配列によってIL-4Rαに連結され、隣接する受容体もまた第2の非自己アミノ酸リンカーを有する融合パートナーに連結され得る隣接した配置で一緒にする。特に、使用されるリンカーは、翻訳後修飾、例えばグリコシル化を受ける可能性も有する。
【0008】
タンパク質リガンドまたはそのタンパク質受容体のいずれかに結合することによって特定の経路におけるシグナル伝達を遮断するためのモノクローナル抗体の治療的使用は、広く成功していることが証明されている。実際、そのようなモノクローナル抗体は、ヒト生物製剤の急速な成長において重要な役割を果たしており、2017年現在、ヒト生物製剤市場の25%超を主張している。2014年に最も売り上げが高かった20の薬物のうち、6つはモノクローナル抗体であった[Chung,Experimental&Molecular Medicine 49:e304;doi:10.1038/emm.2017.46(2017)]。この傾向は成長を続けている。ヒトIL-4受容体アルファ(IL-4Rα)に対して生じたモノクローナル抗体が開発されており、これらの抗体のいくつかは、ヒトにおけるアトピー性皮膚炎を治療するためのそれらの治療効果について広範囲に試験されている[例えば、米国特許出願公開第2015/0017176号A1を参照]。1つのそのような抗体(デュピルマブ)は、マウス抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子で置き換えたトランスジェニックマウスの免疫化によって産生され、したがって、得られた抗体は、例えばヒト化マウス抗体とは対照的にヒト抗体である。
【0009】
モノクローナル抗体治療薬のコストが高いため、最初はヒト生物製剤に限定されていたが、最近、生産コストの大幅な削減により、イヌモノクローナル製品が利用可能になった。初期の兆候は、そのようなモノクローナル抗体もコンパニオンアニマル市場において主要な治療薬になる可能性が高いことを示唆している。例えば、ヒトIL-31受容体アルファ(IL-31RA)に対する抗体が試験され、ヒトにおけるアトピー性皮膚炎に関連する掻痒症に対して有意な効果を有することが見出された[Ruzicka,et al.,New England Journal of Medicine,376(9),826-835(2017)]。さらに、イヌIL-31に対する抗体は、イヌにおけるアトピー性皮膚炎に関連する掻痒症に対して有意な効果を有することが示されている[米国特許第8,790,651号;米国特許第10,093,731号]。このイヌ化抗体は、イヌIL-31受容体(cIL-31R)へのcIL-31の結合を遮断し、それにより、cIL-31/cIL-31Rシグナル伝達経路を遮断する。したがって、IL-31がその受容体IL-31RAに結合するのを遮断することにより、アトピー性皮膚炎に伴う掻痒症が軽減される。しかしながら、単にcIL-31/cIL-31Rシグナル伝達経路を遮断するだけでは、アトピー性皮膚炎の掻痒作用が改善されるだけであり、イヌIL-4(cIL-4)またはイヌIL-13(cIL-13)/イヌIL-4受容体アルファ(cIL-4Rα)シグナル伝達経路によって引き起こされる付随する皮膚炎症を止めることはない。
【0010】
より最近では、イヌIL-4Rαに対するイヌIL-4の結合を遮断する、イヌIL-4Rαに対するイヌ化抗体も開示されている[参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0346580号]。これらの抗体は、イヌIL-4Rα細胞外ドメイン(ECD)によるコンベンショナルな、すなわち非トランスジェニックマウスの免疫化によって産生された。II型IL-4受容体はIL-4Rα鎖およびIL-13Rα1鎖からなるため、イヌIL-4およびイヌIL-13の両方がII型イヌIL-4受容体に結合するのを遮断することができ、それによってアトピー性皮膚炎に関連する炎症を遮断するのに役立つ、イヌIL-4Rαに対する抗体が得られている。
【0011】
しかしながら、アトピー性皮膚炎に関連する掻痒症の治療における最近の成功および関連する炎症の治療に関する最近の有望な開示にもかかわらず、この状態に罹患している多くの対象は、皮膚炎症に対する有意な効果を伴う急速な抗掻痒作用の開始を経験していない。したがって、この満たされていない医学的ニーズに対処するための代替療法を設計する必要がある。
【0012】
本明細書における任意の参考文献の引用は、そのような参考文献が本出願に対する「従来技術」として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第8,133,899号
【特許文献2】米国特許第8,987,283号
【特許文献3】国際公開第2018/108969号
【特許文献4】米国特許出願公開第2020/0339585号
【特許文献5】米国特許第8,759,366号
【特許文献6】米国特許第7,696,222号
【特許文献7】米国特許第8,546,422号
【特許文献8】米国特許第8,637,541号
【特許文献9】米国特許出願公開第2020/0048325号
【特許文献10】米国特許出願公開第2015/0017176号
【特許文献11】米国特許第8,790,651号
【特許文献12】米国特許第10,093,731号
【特許文献13】米国特許出願公開第2018/0346580号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Rahman et al.Inflammation&Allergy-drug target 10:486-496(2011)
【非特許文献2】Harskamp et al.,Seminar in Cutaneous Medicine and Surgery 32:132-139(2013)
【非特許文献3】Nuttall et al.,Veterinary Records 172(8):201-207(2013)
【非特許文献4】Chung,Experimental&Molecular Medicine 49:e304;doi:10.1038/emm.2017.46(2017)
【非特許文献5】Ruzicka,et al.,New England Journal of Medicine,376(9),826-835(2017)
【発明の概要】
【0015】
本発明は、アトピー性皮膚炎を治療するために使用され得る組成物を提供する。組成物は、イヌIL-4に結合する融合タンパク質を、イヌIL-13に結合する融合タンパク質と共に含み得る。特有の実施形態では、組成物は、一対のイヌインターロイキン-4受容体アルファ-イヌフラグメント結晶化可能領域融合タンパク質(cIL-4Rα-cFc融合タンパク質)を含むホモ二量体と、一対のイヌインターロイキン-13受容体アルファ1-イヌフラグメント結晶化可能領域融合タンパク質(cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質)とを含むホモ二量体とを含み、一対のcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の各々が、イヌインターロイキン-4(cIL-4)に結合するイヌインターロイキン-4受容体アルファ(cIL-4Rα)またはそのフラグメントの細胞外ドメイン(ECD)と、cFc(本明細書では第1のcFcとして示される)とを含み、cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の対の各々が、イヌインターロイキン-13(cIL-13)に結合するイヌインターロイキン-13受容体アルファ1(cIL-13Rα1)の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメントと、cFc(本明細書では第2のcFcとして示される)とを含む。特定の実施形態では、第1のcFcおよび第2のcFcは、同じである。他の実施形態では、第1のcFcと第2のcFcは、異なる。
【0016】
ホモ二量体組成物の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0017】
ホモ二量体組成物の特定の実施形態では、第2のcFcが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更に他の実施形態では、第2のcFcは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更に他の実施形態では、第2のcFcは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。特有の実施形態では、第1のcFcおよび第2のcFcは、同じである。他の実施形態では、第1のcFcと第2のcFcは、異なる。
【0018】
ホモ二量体組成物の特定の実施形態では、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、イヌヒンジ領域(本明細書では第1のイヌヒンジ領域として示される)を更に含む。関連する実施形態では、cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、イヌヒンジ領域(本明細書では第2のイヌヒンジ領域として示される)を更に含む。特有の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域と第2のイヌヒンジ領域とは同じである。他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域と第2のイヌヒンジ領域とは異なる。イヌヒンジ領域は、cIL-4RαのECDと第1のcFcとの間のリンカーとして、およびcIL-13Rα1のECDと第2のcFcとの間のリンカーとして作用することができる。
【0019】
ホモ二量体組成物の特有の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更に他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0020】
ホモ二量体組成物の特定の実施形態では、第2のイヌヒンジ領域は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第2のイヌヒンジ領域は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、第2のイヌヒンジ領域は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。特有の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域と第2のイヌヒンジ領域とは同じである。他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域と第2のイヌヒンジ領域とは異なる。特定の実施形態では、イヌヒンジ領域およびcFcは両方ともIgGA由来である。他の実施形態では、イヌヒンジ領域およびcFcは両方ともIgGBに由来する。更に他の実施形態では、イヌヒンジ領域およびcFcは両方ともIgGC由来である。更に他の実施形態では、イヌヒンジ領域およびcFcは両方ともIgGD由来である。
【0021】
組成物の特定の実施形態では、cIL-4RαのECDは、配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を含む。他の実施形態では、cIL-13Rα1のECDは、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を含む。更に他の実施形態では、cIL-4RαのECDは、配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%または100%の同一性を含み、かつcIL-13Rα1のECDは、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%または100%の同一性を含む。
【0022】
ホモ二量体組成物の具体的な実施形態ではでは、cIL-4RαのECDと第1のcFcとの間の唯一のリンカーは、イヌにおいて天然に見られるタンパク質中のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)と同一のアミノ酸配列を含む。関連する実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、cIL-4RαのECDと第1のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用する。他の特定の実施形態では、cIL-13Rα1のECDと第2のcFcとの間の唯一のリンカーは、イヌにおいて天然に見られるタンパク質中のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)と同一のアミノ酸配列を含む。関連する実施形態では、第2のイヌヒンジ領域は、cIL-13Rα1のECDと第2のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用する。
【0023】
ホモ二量体組成物のより具体的な実施形態では、cIL-4RαのECDと第1のcFcとの間の唯一のリンカーは、イヌにおいて天然に見られるタンパク質(その天然に存在する変異体を含む)中のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含み、cIL-13Rα1のECDと第2のcFcとの間の唯一のリンカーは、イヌにおいて天然に見られるタンパク質(その天然に存在する変異体を含む)中のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。関連する実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、cIL-4RαのECDと第1のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用し、第2のイヌヒンジ領域は、cIL-13Rα1のECDと第2のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用する。
【0024】
ホモ二量体組成物の特有の実施形態では、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、イヌにおいて天然に見られるタンパク質(その天然に存在する変異体を含む)アミノ酸配列と同一のアミノ酸配列のみから構成される。関連する実施形態では、cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、イヌにおいて天然に見られるタンパク質(その天然に存在する変異体を含む)アミノ酸配列と同一のアミノ酸配列のみから構成される。具体的な実施形態では、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質およびcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の両方は、イヌにおいて天然に見られるアミノ酸配列のみから構成され、その天然に存在する変異体を含む。
【0025】
ホモ二量体組成物の特定の実施形態では、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。特有の実施形態では、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、配列番号5のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、配列番号8のアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、配列番号11のアミノ酸配列を含む。更に他の実施形態では、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、配列番号12のアミノ酸配列を含む。
【0026】
ホモ二量体組成物の具体的な実施形態では、cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。特有の実施形態では、cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、配列番号6のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列を含む。
【0027】
本発明の別の態様では、組成物は、イヌインターロイキン-4受容体アルファ-cFc融合タンパク質(cIL-4Rα-cFc)およびインターロイキン-13受容体アルファ1-cFc融合タンパク質(cIL-13Rα1-cFc)を含むヘテロ二量体を含む。cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、イヌインターロイキン-4(cIL-4)に結合するイヌインターロイキン-4受容体アルファ(cIL-4Rα)の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメントと、cFc(本明細書では第1のcFcと表記する)とを含むのに対して、cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、イヌインターロイキン-13(cIL-13)に結合するイヌインターロイキン-13受容体アルファ1(cIL-13Rα1)の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメントと、cFc(本明細書では第2のcFcと表記する)とを含む。特有の実施形態では、第1のcFc(すなわち、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質に含まれる)および第2のcFc(すなわち、cIL-13Rα1-cFcに含まれる)の両方が、それらのヘテロ二量体会合を促進するように特異的に遺伝子改変されたIgG-Bである。
【0028】
したがって、ヘテロ二量体組成物の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117Y/F173A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132L/R160L/T162Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117Y/F173A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132L/R160L/T162Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117Y/F173A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132L/R160L/T162Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117Y/F173A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132L/R160L/T162Wのアミノ酸置換を更に含む。
【0029】
ヘテロ二量体組成物の他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132L/R160L/T162Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117Y/F173A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132L/R160L/T162Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117Y/F173A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132L/R160L/T162Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117Y/F173A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132L/R160L/T162Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117Y/F173A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含む。
【0030】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含む。
【0031】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132Wのアミノ酸置換を更に含む。
【0032】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132W/S120Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175V/Y115Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132W/S120Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175V/Y115Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132W/S120Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175V/Y115Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132W/S120Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175V/Y115Cのアミノ酸置換を更に含む。
【0033】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175V/Y115Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132W/S120Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175V/Y115Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132W/S120Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175V/Y115Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132W/S120Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132S/L134A/Y175V/Y115Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、T132W/S120Cのアミノ酸置換を更に含む。
【0034】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177D/R160Dのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、D167K/E122Kのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177D/R160Dのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、D167K/E122Kのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177D/R160Dのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、D167K/E122Kのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177D/R160Dのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、D167K/E122Kのアミノ酸置換を更に含む。
【0035】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、D167K/E122Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177D/R160Dのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、D167K/E122Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177D/R160Dのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、D167K/E122Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177D/R160Dのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、D167K/E122Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177D/R160Dのアミノ酸置換を更に含む。
【0036】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S130H/F173Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115T/T162Fのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S130H/F173Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115T/T162Fのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S130H/F173Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115T/T162Fのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S130H/F173Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115T/T162Fのアミノ酸置換を更に含む。
【0037】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115T/T162Fのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S130H/F173Aのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115T/T162Fのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S130H/F173Aのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115T/T162Fのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S130H/F173Aのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115T/T162Fのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S130H/F173Aのアミノ酸置換を更に含む。
【0038】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、F173Lのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177Rのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、F173Lのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177Rのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、F173Lのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177Rのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、F173Lのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177Rのアミノ酸置換を更に含む。
【0039】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177Rのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、F173Lのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177Rのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、F173Lのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177Rのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、F173Lのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K177Rのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、F173Lのアミノ酸置換を更に含む。
【0040】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含む。
【0041】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177Wのアミノ酸置換を更に含む。
【0042】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177W/Y115Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173T/S120Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177W/Y115Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173T/S120Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177W/Y115Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173T/S120Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177W/Y115Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173T/S120Cのアミノ酸置換を更に含む。
【0043】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173T/S120Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177W/Y115Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173T/S120Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177W/Y115Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173T/S120Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177W/Y115Cのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、S113R/D167V/F173T/S120Cのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126E/K177W/Y115Cのアミノ酸置換を更に含む。
【0044】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K136E/K177Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E123N/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K136E/K177Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E123N/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K136E/K177Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E123N/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K136E/K177Wのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E123N/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含む。
【0045】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E123N/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K136E/K177Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E123N/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K136E/K177Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E123N/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K136E/K177Wのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E123N/D167V/F173Tのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K136E/K177Wのアミノ酸置換を更に含む。
【0046】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126D/D167M/Y175Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Q111R/S113R/T132V/K177Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126D/D167M/Y175Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Q111R/S113R/T132V/K177Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126D/D167M/Y175Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Q111R/S113R/T132V/K177Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126D/D167M/Y175Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Q111R/S113R/T132V/K177Vのアミノ酸置換を更に含む。
【0047】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Q111R/S113R/T132V/K177Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126D/D167M/Y175Aのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Q111R/S113R/T132V/K177Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126D/D167M/Y175Aのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Q111R/S113R/T132V/K177Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126D/D167M/Y175Aのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Q111R/S113R/T132V/K177Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、K126D/D167M/Y175Aのアミノ酸置換を更に含む。
【0048】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115S/K136Y/T132M/K177Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122G/E123D/S130Q/Y175Aのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115S/K136Y/T132M/K177Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122G/E123D/S130Q/Y175Aのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115S/K136Y/T132M/K177Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122G/E123D/S130Q/Y175Aのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115S/K136Y/T132M/K177Vのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122G/E123D/S130Q/Y175Aのアミノ酸置換を更に含む。
【0049】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122G/E123D/S130Q/Y175Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115S/K136Y/T132M/K177Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122G/E123D/S130Q/Y175Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115S/K136Y/T132M/K177Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122G/E123D/S130Q/Y175Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115S/K136Y/T132M/K177Vのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122G/E123D/S130Q/Y175Aのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、Y115S/K136Y/T132M/K177Vのアミノ酸置換を更に含む。
【0050】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117D/L134Eのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117K/T132Kのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117D/L134Eのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117K/T132Kのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117D/L134Eのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117K/T132Kのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117D/L134Eのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117K/T132Kのアミノ酸置換を更に含む。
【0051】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117K/T132Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117D/L134Eのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117K/T132Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117D/L134Eのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117K/T132Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117D/L134Eのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117K/T132Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L117D/L134Eのアミノ酸置換を更に含む。
【0052】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L134D/K136Sのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122Q/S130Kのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L134D/K136Sのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122Q/S130Kのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L134D/K136Sのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122Q/S130Kのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L134D/K136Sのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122Q/S130Kのアミノ酸置換を更に含む。
【0053】
ヘテロ二量体組成物の更に他の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122Q/S130Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L134D/K136Sのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122Q/S130Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L134D/K136Sのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122Q/S130Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L134D/K136Sのアミノ酸置換を更に含む。ヘテロ二量体組成物の更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、E122Q/S130Kのアミノ酸置換を更に含むアミノ酸配列を含み、一方、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、L134D/K136Sのアミノ酸置換を更に含む。
【0054】
ヘテロ二量体を含む組成物のより具体的な実施形態では、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は配列番号18のアミノ酸配列を含み、IL-13Rα1-cFc融合タンパク質は配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0055】
ヘテロ二量体組成物の特有の実施形態では、第1のcFcは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更に他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、第1のcFcは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0056】
ヘテロ二量体組成物の特定の実施形態では、第2のcFcが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第2のcFcは、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更に他の実施形態では、第2のcFcは、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更に他の実施形態では、第2のcFcは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更に他の実施形態では、第2のcFcは、配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。特有の実施形態では、第1のcFcおよび第2のcFcは、同じである。他の実施形態では、第1のcFcと第2のcFcは、異なる。
【0057】
ヘテロ二量体組成物の特定の実施形態では、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、イヌヒンジ領域(本明細書では第1のイヌヒンジ領域として示される)を更に含む。関連する実施形態では、cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、イヌヒンジ領域(本明細書では第2のイヌヒンジ領域として示される)を更に含む。特有の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域と第2のイヌヒンジ領域とは同じである。他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域と第2のイヌヒンジ領域とは異なる。イヌヒンジ領域は、cIL-4RαのECDと第1のcFcとの間のリンカーとして、およびcIL-13Rα1のECDと第2のcFcとの間のリンカーとして作用することができる。
【0058】
ヘテロ二量体組成物の特有の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更に他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0059】
ヘテロ二量体組成物の特定の実施形態では、第2のイヌヒンジ領域は、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、第2のイヌヒンジ領域は、配列番号22のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、第2のイヌヒンジ領域は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。更なる他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。特有の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域と第2のイヌヒンジ領域とは同じである。他の実施形態では、第1のイヌヒンジ領域と第2のイヌヒンジ領域とは異なる。特定の実施形態では、イヌヒンジ領域およびcFcは両方ともIgGA由来である。他の実施形態では、イヌヒンジ領域およびcFcは両方ともIgGBに由来する。更に他の実施形態では、イヌヒンジ領域およびcFcは両方ともIgGC由来である。更に他の実施形態では、イヌヒンジ領域およびcFcは両方ともIgGD由来である。
【0060】
ヘテロ二量体組成物の具体的な実施形態ではでは、cIL-4RαのECDと第1のcFcとの間の唯一のリンカーは、イヌにおいて天然に見られるタンパク質中のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)と同一のアミノ酸配列を含む。関連する実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、cIL-4RαのECDと第1のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用する。他の特定の実施形態では、cIL-13Rα1のECDと第2のcFcとの間の唯一のリンカーは、イヌにおいて天然に見られるタンパク質中のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)と同一のアミノ酸配列を含む。関連する実施形態では、第2のイヌヒンジ領域は、cIL-13Rα1のECDと第2のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用する。ヘテロ二量体組成物のより具体的な実施形態では、cIL-4RαのECDと第1のcFcとの間の唯一のリンカーは、イヌにおいて天然に見られるタンパク質(その天然に存在する変異体を含む)中のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含み、cIL-13Rα1のECDと第2のcFcとの間の唯一のリンカーは、イヌにおいて天然に見られるタンパク質(その天然に存在する変異体を含む)中のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。関連する実施形態では、第1のイヌヒンジ領域は、cIL-4RαのECDと第1のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用し、第2のイヌヒンジ領域は、cIL-13Rα1のECDと第2のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用する。
【0061】
本発明の組成物のいずれも、抗掻痒抗体を更に含むことができる。特有の実施形態では、抗掻痒抗体は、イヌ抗体である。より特有の実施形態では、抗掻痒抗体は、イヌインターロイキン-31(cIL-31)に対するイヌ抗体である。他の実施形態では、抗掻痒抗体は、イヌ化抗体である。特有の実施形態では、イヌ化抗掻痒抗体は、cIL-31に対する抗体である。より特有の実施形態では、cIL-31に対するイヌ化抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。代替的な実施形態では、cIL-31に対するイヌ化抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0062】
組成物の他の実施形態では、抗掻痒抗体は、イヌインターロイキン-31R(cIL-31R)に対するイヌ抗体である。特定の実施形態では、抗掻痒抗体は、cIL-31Rに対するイヌ化抗体である。更に他の実施形態では、cIL-31Rに対するイヌ化抗体は、配列番号26または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号29、配列番号30または配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。更なる他の実施形態では、cIL-31Rに対するイヌ化抗体は、配列番号33または配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号36、配列番号37、配列番号38または配列番号39のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。更に他の実施形態では、cIL-31Rに対するイヌ化抗体は、配列番号41、配列番号42または配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号45、配列番号46または配列番号47のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0063】
本発明の組成物のいずれもまた、1つ以上の追加の治療成分を更に含むことができる。特有の実施形態では、追加の治療成分は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤である。他の実施形態では、追加の治療成分は、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)阻害剤である。更に他の実施形態では、追加の治療成分は、TH2細胞上に発現される化学誘引物質受容体相同分子に対するアンタゴニストである。
【0064】
具体的な実施形態では、JAK阻害剤は、
【化1】
(式中、Rは、ヒドロキシで置換されていてもよいC1~4アルキル)、およびその薬学的に許容され得る塩である。
【0065】
代替的な実施形態では、JAK阻害剤は、
【化2】
およびその薬学的に許容され得る塩である。
【0066】
更に他の実施形態では、JAK阻害剤は、
【化3】
およびその薬学的に許容され得る塩である。
【0067】
本発明は更に、本発明の組成物のいずれかをアトピー性皮膚炎を有するイヌに投与することを含む、アトピー性皮膚炎を治療する方法を含む。
【0068】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の図面の簡単な説明および詳細な説明を参照することによってよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は、ELISAによって評価される、キメラ抗イヌIL-31Rα抗体およびイヌ化抗イヌIL-31Rα抗体の結合活性を示す。キメララット/イヌ44E2[●]。イヌ化44E2:H2k1[■]、H2k2[▲]、H5k1[▼]、およびH5k2[◆]。
図2図2は、ELISAによって評価される、キメラ抗イヌIL-31Rα抗体およびイヌ化抗イヌIL-31Rα抗体の結合活性を示す。キメララット/イヌ:10A12[●]。イヌ化10A12:H1L5[■]およびH2L6[▲]。
図3図3は、ELISAによって評価される、キメラ抗イヌIL-31Rα抗体および対応するイヌ化抗イヌIL-31Rα抗体の結合活性を示す。キメララット/イヌ28F12。イヌ化28F12:H1k3[■]、H2k2[▲]、およびH2k3[▼]。
【発明を実施するための形態】
【0070】
上記のタンパク質リガンドまたはそのタンパク質受容体のいずれかに結合することによって特異的経路におけるシグナル伝達を遮断するためのモノクローナル抗体の成功した治療的使用は、イヌIL-4受容体アルファに対するイヌ化抗体を生成する推進力であった。したがって、マウス抗体をcIL-4Rαに対して産生させ、次いで、イヌ化し、in vitroで、cIL-4Rαとその2つの天然リガンド、すなわちcIL-4またはcIL-13のいずれかとの結合を効果的に遮断することが示された。しかしながら、驚くべきことに、イヌ化マウスcIL-4Rα抗体をイヌに投与した後、治療したイヌにおいて異常に多量のいわゆる抗薬物抗体(ADA)が検出された。更に予想外なことに、この問題は、試験した複数の異なるイヌ化マウスcIL-4Rα抗体について生じた。
ADAの誘導は、治療薬としてのモノクローナル抗体の開発における実質的な障害である。ADAは、動物対象に投与される治療用抗体(すなわち、薬物)に対して動物対象によって形成される抗体である。それらは、典型的には、治療用抗体の生物学的活性を中和し、および/またはそれらが投与される動物対象の全身循環からの治療用抗体の迅速なクリアランスをもたらす。ADAの問題は、抗体が最初に1つの種、例えばマウスまたはラットで生成されるが、第2の種、例えばイヌの治療用抗体を作製するために使用される場合、より深刻になり、これは、イヌ化マウスまたはラット抗体が構築される方法である。
【0071】
さらに、対応するイヌ化ラット抗体において標的イヌタンパク質に対する選択されたラット抗体の強い結合親和性を保持するために、一般に、マウスまたはラットCDRのアミノ酸配列だけでなく、マウスまたはラット抗体のアミノ酸配列からの追加のアミノ酸残基も含めることが必要である。これらの追加のアミノ酸は、逆突然変異と呼ばれる。逆突然変異は、CDRの三次元構造を維持し、それによって、イヌ化マウスまたはラット抗体におけるイヌ標的タンパク質に対するマウスまたはラット抗体の強い結合親和性の保持を促進するのに役立つ。しかしながら、マウスまたはラットのアミノ酸残基の数を治療用のイヌ化マウスまたはラット抗体に増加させること、すなわち、マウスまたはラットのCDRおよび関連する逆突然変異の付加によって、その抗体が治療されているイヌの免疫系によって外来として認識される可能性も増加し、ADAが生じる。
【0072】
上記のように、ADAの発生はほとんどの治療用抗体に共通の問題であるが、ADAの発生は通常、治療されている抗体の比較的小さな亜集団で起こるため、一般に管理可能な問題と見なされる。しかしながら、驚くべきことに、ADAを示したイヌ化マウスcIL-4Rα抗体で治療されたイヌの数は、予想外に多いことが判明した。この驚くべき結果の説明を任意の特定の分子機構に限定するものではないが、後になってみれば、cIL-4Rαが抗原提示細胞(APC)上で発現されるという事実が重要な因子であり得る。したがって、治療的にイヌ化されたcIL-4Rα抗体のAPCのcIL-4Rαへの結合は、結合したcIL-4Rαの内在化をもたらし得る。これに続いて、イヌ化抗体のマウスCDR(またはマウスCDRおよびマウス逆突然変異)を含有する配列を有するタンパク質フラグメントがイヌT細胞にその後提示され、これにより、治療動物においてADAのより高い誘導が観察され得る。
【0073】
ADAを示すイヌ化マウスcIL-4Rα抗体で治療したイヌの数が増加した原因にかかわらず、その発見は、cIL-4またはcIL-13/cIL-4Rαシグナル伝達経路を遮断するための代替戦略の評価につながった。1つの可能性のある代替戦略は、上記のようにイヌIL-4受容体およびイヌIL-13受容体の両方の一部であるcIL-4Rαではなく、cIL-4およびcIL-13を直接遮断することである。この目的を達成するための可能な方法論は、IL-4およびIL-13の2つの天然に存在する結合パートナーの細胞外ドメイン(ECD)、すなわち、それぞれIL-4RαのECDおよびIL-13Rα1のECDの使用によるものであろう。
【0074】
使用され得る現在一般的な方法論は、IL-4RαのECDおよびIL-13Rα1のECDの両方を含む隣接二重特異性融合タンパク質の使用であろう。隣接二重特異性融合タンパク質は、2つの別個のタンパク質分子を合成することを必要とするのではなく、単一の治療用タンパク質分子の合成を可能にする等、明確な利点を有する。さらに、隣接二重特異性cIL-13Rα1およびcIL-4Rα融合タンパク質の場合のように、二重特異性融合タンパク質の2つの機能的成分が機能的に関連している場合、第1の機能的成分(例えば、cIL-13Rα1)の結合が第2の機能的成分(例えば、cIL-4Rα)の結合を促進すると予想されるので、相乗効果が予想されるであろう。隣接したIL-13/IL-4受容体融合タンパク質を使用するそのような戦略の1つが提案されている[米国特許出願公開第2020/0048325号を参照]。そのような融合タンパク質の設計は、IL-13Rα1とIL-4Rαとを、IL-13Rα1がIL-4Rαに連結されている隣接した配置で一緒にする。さらに、隣接する受容体は、第2のリンカーで融合パートナーに連結されてもよい。しかしながら、そのような方法論の重大な欠点は、そのようなリンカーの使用であり、これは、融合した受容体の一般に非天然の構成要素であり、それにより、ADA形成を誘導し得る潜在的ネオエピトープをもたらし得る。さらに、使用されるリンカーは、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化)を受ける可能性を更に有し、これは潜在的に変化した構造を有する変異体分子を作成することができ、これは次にADA形成を更にもたらし得る。
【0075】
二重特異性融合タンパク質を作製するための代替方法は、IL-13Rα1のECDおよびIL-4RαのECDの融合タンパク質の二重特異性ヘテロ二量体[国際公開第2020/086886号]の使用である。さらに別の推定戦略は、IL-13 Rα1-cFc融合タンパク質のホモ二量体と組み合わせたIL-4 Rα-cFc融合タンパク質のホモ二量体を組み込んだイヌFc融合タンパク質の使用である。いずれの場合も、これらのECDをイヌIgG(cFc)、すなわちIgGA、IgGB、IgGCまたはIgGDと融合させることができる。より好ましくは、融合タンパク質は、イヌIgGヒンジ領域またはそのフラグメントを含むことができる。ECDとのcFcを含めることには、(i)融合タンパク質のin vivo半減期を延長すること、および(ii)アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の精製を補助することの2つの主な利点がある。したがって、IL-4RαまたはIL-13Rα1のいずれかのECDは、イヌIgGヒンジ領域およびイヌIgG(cFc)と融合することができる。特定の代替法では、得られた融合タンパク質は、N末端からC末端の順序で、cIL-13Rα1、またはまたはcIL-4RαのECDと、イヌヒンジ領域と、cFcとを含む。国際公開第01/77332号は、IL-13Rα2およびイヌIgG Fc配列を含有するFc融合タンパク質を開示している。しかしながら、これらのタンパク質は、IL-13Rα2のECDとイヌIgG Fcとの間にリンカーとして非自己グリシン残基(G)の挿入を含み、その後にイヌIgGのCH1ドメインからの9アミノ酸残基が続く。グリシルリンカーもCH1ドメインからの9アミノ酸残基のストレッチも、本発明のFc融合タンパク質には存在しない。国際公開第01/77332号に開示されているFc融合タンパク質のように、グリシン残基の後にセリン残基が存在することは、融合タンパク質が細胞培養系で発現される場合に、融合タンパク質の酵素的グリコシル化の機会を生み出し、それにより、セリン残基上にある程度のレベルのグリコシル化を有する変異体分子の生成をもたらし得る。これは、工業規模での製造可能性の観点から望ましくない。さらに、ネイティブイヌIgG配列の一部ではないグリシン残基の挿入は、イヌの免疫系によって認識され、融合タンパク質に対する抗体の産生を刺激することができるネオエピトープを作成する可能性を作り出す。そのような抗体は、融合タンパク質の治療的有用性を無効にする可能性がある。
【0076】
したがって、本発明のcFc融合タンパク質の1つの利点は、それらが非自己アミノ酸リンカーを導入せず、それによって、治療された動物においてADAをもたらす可能性を最小限に抑えることである。いくつかの例外はあるが、融合ドメインを接続する非自己アミノ酸リンカーの非存在は、融合タンパク質ドメインの低収率、低効力および/またはミスフォールディングをもたらすことが一般に認められており、驚くべきことに、イヌヒンジ領域を有するcIL-4Rα、またはcIL-13Rα1のECDおよびcFcを含む融合タンパク質は、非自己アミノ酸リンカーを使用しなかったとしても、首尾よく産生および精製された。したがって、以下に示すように、これらの融合タンパク質は、治療価値が高いこと、およびADAリスクが低下していることの両方が証明された。
【0077】
さらに、アトピー性皮膚炎のためのより良好な治療法の必要性に応答して、本発明はまた、アトピー性皮膚炎に関与するcIL-4/cIL-13およびcIL-31シグナル伝達経路の同時調節を達成して、皮膚炎症に対する有意な効果および皮膚バリア機能の改善を伴う抗掻痒作用の迅速な開始をもたらすことができる製剤および方法論を提供する。これらの製剤は、イヌIL-31Rαに結合するイヌ化ラット抗体と共に、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質のホモ二量体およびcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の使用、代替的には、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質およびcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質のヘテロ二量体の使用を組み合わせる。
【0078】
したがって、本発明は、cIL-4およびcIL-13にそれぞれ結合し、これらのサイトカインのそれぞれの受容体への結合を遮断するcIL-4Rα-cFc融合タンパク質およびcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質のホモ二量体およびヘテロ二量体の組成物を提供する。さらに、本発明は、cIL-31またはcIL-31 Rに結合し、cIL-31のcIL-31受容体への結合を遮断するイヌまたはイヌ化抗体を更に含む組成物を提供する。これらの組成物は、イヌのアトピー性皮膚炎を治療するために使用することができる。
【0079】
特定のヒトタンパク質、例えば、ENBREL(登録商標)として公知のヒトTNFR-FcおよびBELATACEPT(登録商標)として公知のヒトCTLA-4-Fcを含むFc融合タンパク質は、リンカーを含まない。
【0080】
略語
本発明の詳細な説明および実施例を通して、以下の略語を使用する。
ADCC 抗体依存性細胞傷害
CDC 補体依存性細胞毒性
CDR Kabatナンバリングシステムを使用して定義される、免疫グロブリン可変領域中の相補性決定領域
cFc イヌフラグメント結晶化可能領域
CHO チャイニーズハムスター卵巣
EC50 50%の有効性または結合をもたらす濃度
ECD 細胞外ドメイン
ELISA 酵素結合免疫吸着アッセイ
FR 抗体フレームワーク領域:CDR領域を除く免疫グロブリン可変領域。
HRP セイヨウワサビペルオキシダーゼ
IC50 50%阻害をもたらす濃度
IgG 免疫グロブリンG
Kabat Elvin A.Kabatによって開拓された免疫グロブリンのアラインメントおよびナンバリングシステム[Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)]
mAb モノクローナル抗体(MabまたはMAbも同様)
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
PK 薬物動態
V領域 異なる抗体間で配列が可変であるIgG鎖のセグメント。
VH 免疫グロブリン重鎖可変領域
VL 免疫グロブリン軽鎖可変領域
Vl 免疫グロブリンラムダ軽鎖可変領域
Vk 免疫グロブリンカッパ軽鎖可変領域
【0081】
定義
本発明がより容易に理解され得るように、特定の技術的および科学的用語を以下に具体的に定義する。本明細書の他の箇所で具体的に定義されていない限り、本明細書で使用される他の全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0082】
添付の特許請求の範囲を含む本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」等の単語の単数形は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、それらの対応する複数の言及を含む。
【0083】
「活性化」は、細胞または受容体に適用される場合、文脈または明示的に別段の指示がない限り、リガンドによる細胞または受容体の活性化または治療を指す。「リガンド」は、天然および合成リガンド、例えば、サイトカイン、サイトカイン変異体、類縁体、ムテイン、および抗体に由来する結合化合物を包含する。「リガンド」はまた、小分子、例えばサイトカインのペプチド模倣物および抗体のペプチド模倣物も包含する。「活性化」は、内部機構ならびに外部または環境因子によって調節される細胞活性化を指し得る。
【0084】
「投与」および「治療」は、動物、例えばイヌ被験体、細胞、組織、器官または生物学的流体に適用される場合、外因性の医薬、治療、診断剤または組成物と、動物、例えばイヌ対象、細胞、組織、器官または生物学的流体との接触を指す。細胞の治療は、細胞への試薬の接触、ならびに流体が細胞と接触している流体への試薬の接触を包含する。
【0085】
「投与」および「治療」はまた、例えば、試薬、診断、結合化合物または別の細胞による細胞のin vitroおよびex vivoでの治療を意味する。「対象」という用語は、任意の生物、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物(例えば、イヌ、ネコまたはヒト)、最も好ましくはイヌを含む。
【0086】
「治療する」または「治療」は、治療剤、例えば本発明のcFc融合タンパク質を含む組成物を、1つ以上の症状を有するか、または薬剤が治療活性を有する状態を有すると疑われるイヌ対象または患者の内部または外部に投与することを意味する。
【0087】
典型的には、治療剤は、治療された対象または集団における1つ以上の疾患/状態症状を、任意の臨床的に測定可能な程度までそのような(1または複数の)症状の退縮を誘導するか、またはそのような症状の進行を阻害することによるかどうかにかかわらず、緩和および/または改善するのに有効な量で投与される。任意の特定の疾患/状態症状を緩和するのに有効な治療剤の量(「治療有効量」とも呼ばれる)は、患者の疾患状態、年齢および体重(例えば、イヌ)、ならびに対象において所望の応答を誘発する医薬組成物の能力等の要因に従って変動し得る。疾患/状態症状が緩和または改善されたかどうかは、その症状の重症度または進行状態を評価するために獣医または他の熟練したヘルスケア提供者によって通常使用される任意の臨床測定によって評価することができる。本発明の実施形態(例えば、治療方法または製造品)は、全ての対象において(1または複数の)標的疾患/状態症状を軽減するのに有効ではないかもしれないが、それは、当該分野で公知の任意の統計学的検定、例えば、スチューデントのt検定、カイ二乗検定、マン・ホイットニーによるU検定、クラスカル・ウォリス検定(H検定)、ヨンクヒール・タープストラ検定およびウィルコクソン検定によって決定されるように、統計学的に有意な数の対象において(1または複数の)標的疾患/状態症状を軽減するはずである。
【0088】
ヒト、獣医学的(例えば、イヌ)または研究対象に適用される「治療」は、治療的処置ならびに研究および診断の用途を指す。ヒト、獣医学的(例えば、イヌ)、もしくは研究対象、または細胞、組織、もしくは器官に適用される「治療」は、本発明の抗体および/または融合タンパク質と、例えばイヌもしくは他の動物対象、細胞、組織、生理学的区画、または生理学的流体との接触を包含する。
【0089】
本明細書で使用される場合、「ネコ」という用語は、ネコ科の任意のメンバーを指す。このファミリーのメンバーには、野生、動物園、および家庭のメンバー(イエネコ、純血および/または雑種コンパニオンキャット、ショーキャット、実験室キャット、クローンキャット、および野生または野生のキャットを含む)が含まれる。
【0090】
本明細書で使用される場合、「イヌ」という用語は、特に明記しない限り、全ての家畜イヌ、イヌ(Canis lupus familiaris)またはイヌ(Canis familiaris)を含む。
【0091】
イヌIgGの4つの既知のIgG重鎖サブタイプおよび2つの既知の軽鎖サブタイプが存在する。4つのIgG重鎖は、A、B、CおよびDと呼ばれる。これらの重鎖は、IgG-A(またはIgGA)、IgG-B(またはIgGB)、IgG-C(またはIgGC)およびIgG-D(またはIgGD)と呼ばれるイヌIgGの4つの異なるサブクラスを表す。各重鎖は、1つの可変ドメイン(VH)と、CH1、CH2、およびCH3と呼ばれる3つの定常ドメインとからなる。CH1ドメインは、「ヒンジ」または代替的には「ヒンジ領域」と呼ばれるアミノ酸配列を介してCH2ドメインに接続している。これらの4つの重鎖IgGのDNAおよびアミノ酸配列は、Tang et al.[Vet.Immunol.Immunopathol.80:259-270(2001)]によって最初に同定された。これらの重鎖IgGのアミノ酸およびDNA配列は、GenBankデータベースからも入手可能である。例えば、IgG-A重鎖のアミノ酸配列はアクセッション番号AAL35301.1を有し、IgG-Bはアクセッション番号AAL35302.1を有し、IgG-Cはアクセッション番号AAL35303.1を有し、IgG-Dはアクセッション番号(AAL35304.1)を有する。イヌ抗体はまた、2種類の軽鎖、カッパおよびラムダを含有する。これらの軽鎖のDNAおよびアミノ酸配列は、GenBank Databaseから入手することができる。例えば、カッパ軽鎖アミノ酸配列はアクセッション番号ABY 57289.1を有し、ラムダ軽鎖はアクセッション番号ABY 55569.1を有する。
【0092】
「Fc領域」または単に「Fc」と略記される「フラグメント結晶化可能領域」は、Fc受容体と呼ばれる細胞表面受容体と相互作用する抗体のCH2-CH3部分に対応する。本明細書で使用される場合、「イヌフラグメント結晶化可能領域」は、「cFc領域」または単に「cFc」と互換的に省略され、イヌ抗体由来のイヌフラグメント結晶化可能領域に対応する。4つのイヌIgGの各々のイヌフラグメント結晶化可能領域(cFc)は、Tang et al.[Vet.Immunol.Immunopathol.80:259-270(2001);see also,Bergeron et al.,Vet.Immunol.Immunopathol.157:31-41(2014)]によって最初に記載された。
【0093】
本明細書で使用される場合、イヌインターロイキン-4受容体アルファ、イヌインターロイキン-13受容体アルファ1、またはイヌインターロイキン-13受容体アルファ2等の膜貫通インターロイキンの「細胞外ドメイン」または「ECD」は、細胞を取り囲む環境に自然に突出するインターロイキンタンパク質の部分を指す。ECDは、インターロイキンの膜貫通部分を含まない。イヌインターロイキン-4受容体アルファのECDは、イヌIL-4に結合する。イヌインターロイキン-13受容体アルファ1およびイヌインターロイキン-13受容体アルファ2のECDは両方ともIL-13に結合する。
【0094】
本明細書で使用される場合、「人工タンパク質」および「人工タンパク質分子」は互換的に使用され、人工融合タンパク質等の天然には存在しないタンパク質(またはタンパク質の多量体、例えば二量体、ヘテロ二量体、四量体およびヘテロ四量体等)を示す。
【0095】
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」は、ペプチド結合によって互いに結合された2つ以上の異なるタンパク質由来のアミノ酸配列を含む人工タンパク質である。
【0096】
本明細書で使用される場合、「cFc融合タンパク質」は、ヒンジ領域、例えばIgGBヒンジ領域-CH2-CH3を含むことができるIgG抗体のcFcを別の生物学的に活性なタンパク質ドメインと結合させて、固有の構造および治療上の有用性を有する分子を生成する人工タンパク質である。例えば、イヌIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、イヌIgG Fc(cFc)のN末端に連結されたイヌIL-13Rα1の細胞外ドメイン(ECD)を含む。IL-13Rα1のECDは、イヌヒンジ領域によってcFcのN末端に連結され得る。本発明のcFc融合タンパク質は、IgGBヒンジ領域およびIgGB cFcの使用によって例示されるが、決してそのように限定されず、むしろ、それらは、IgGA、IgGCおよびIgGDのcFcを有し、ならびにIgGA、IgGCおよびIgGDのヒンジ領域を有してもよい対応する融合タンパク質を含む。したがって、イヌFc融合タンパク質cIL-4Rα-cIgGB-Fcは、cIL-4Rα-cIgGA-Fc、cIL-4Rα-cIgGC-FcおよびcIL-4Rα-cIgGD-Fcも含むcIL-4Rα-cFc属の1種である。
【0097】
本発明のcFc融合タンパク質の特定の成分(例えば、イヌECD、イヌヒンジ領域、またはcFc)は、「イヌにおいて天然に見られるタンパク質のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む」は、イヌに見られる対応するタンパク質の領域の対応するアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなり、その天然に存在する変異体を含む。例えば、cFc融合タンパク質の成分がcFc自体であり、cFcが「イヌにおいて天然に見られるタンパク質のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む」場合、cFc融合タンパク質のcFc領域のアミノ酸配列は、イヌ抗体の天然に存在するイヌcFc領域またはその変異体のアミノ酸配列と同一である。
【0098】
本明細書で使用される場合、「イヌにおいて天然に見られるタンパク質のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列のみから構成される」cFc融合タンパク質は、その天然に存在する変異体を含む、イヌに見られるタンパク質の対応する領域のアミノ酸配列と個々に同一のアミノ酸配列からなるcFc融合タンパク質の成分のみからなる。例えば、cFc融合タンパク質が、3つの成分、すなわちイヌヒンジ領域によってcFcのN末端に連結されたcIL-13Rα1のECDからなるcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質であり、「イヌにおいて天然に見られるタンパク質のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列のみから構成」される場合、cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の3つ全ての成分の個々のアミノ酸配列:(i)cIL-13Rα1のECDのアミノ酸配列、(ii)cFcのアミノ酸配列、および(iii)イヌヒンジ領域のアミノ酸配列は、イヌにおいて天然に見られるタンパク質(その天然に存在する変異体を含む)の対応する領域のアミノ酸配列と個々に同一である。
【0099】
本明細書で使用される場合、本発明のcFc融合タンパク質の「唯一のリンカー」という用語は、そのリンカーがそのcFc融合タンパク質における唯一のリンカーであることを示す。例えば、そのイヌヒンジ領域が、イヌヒンジ領域によってcFcのN末端に連結されたcIL-13Rα1のECDを含むcFc融合タンパク質によって含まれる唯一のリンカーである場合、そのイヌヒンジ領域は唯一のリンカーである。
【0100】
本明細書で使用される場合、「イヌインターロイキン-13受容体アルファ1-イヌフラグメント結晶化可能領域融合タンパク質」、「イヌインターロイキン-13受容体アルファ1-cFc融合タンパク質」、「イヌIL-13Rα1-cFc融合タンパク質」、または「cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質」は全て互換的に使用され、ペプチド結合を介してイヌIgG Fc(cFc)に結合したcIL-13Rα1[またはイヌインターロイキン-13(cIL-13)に結合するECDのフラグメント]の細胞外ドメイン(ECD)を含む。特有の実施形態では、cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、cIL-13Rα1のECD(またはcIL-13に結合するECDのフラグメント)をcFcに連結するイヌヒンジ領域を更に含む。cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、遺伝子工学を介してcFc(連結ヒンジ領域の有無にかかわらず)と共にcIL-13Rα1 ECD(またはcIL-13に結合するECDのフラグメント)をコードする化学合成核酸から生成することができる。
【0101】
本明細書で使用される場合、「イヌインターロイキン-13受容体アルファ2-イヌフラグメント結晶化可能領域融合タンパク質」、「イヌインターロイキン-13受容体アルファ2-cFc融合タンパク質」、「イヌIL-13Rα2-cFc融合タンパク質」または「cIL-13Rα2-cFc融合タンパク質」は全て互換的に使用され、ペプチド結合を介してイヌIgG Fc(cFc)に結合したcIL-13Rα2[またはイヌインターロイキン-13(cIL-13)に結合するECDのフラグメント]の細胞外ドメイン(ECD)を含む。特有の実施形態では、cIL-13Rα2-cFc融合タンパク質は、cIL-13Rα2のECD(またはcIL-13に結合するECDのフラグメント)をcFcに連結するイヌヒンジ領域を更に含む。cIL-13Rα2-cFc融合タンパク質は、遺伝子操作によってcFc(連結ヒンジ領域の有無にかかわらず)と共にcIL-13Rα2 ECD(またはcIL-13に結合するECDのフラグメント)をコードする化学合成核酸から生成することができる。
【0102】
本明細書で使用される場合、「イヌインターロイキン-4受容体アルファ-イヌフラグメント結晶化可能領域融合タンパク質」、「イヌインターロイキン-4受容体アルファ-cFc融合タンパク質」、「イヌIL-4Rα-cFc融合タンパク質」または「cIL-4Rα-cFc融合タンパク質」は全て互換的に使用され、ペプチド結合を介してイヌIgG Fc(cFc)に結合したcIL-4Rα[またはイヌインターロイキン-4(cIL-4)に結合するECDのフラグメント]の細胞外ドメイン(ECD)を含む。特有の実施形態では、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、cIL-4RαのECD(またはcIL-4に結合するECDのフラグメント)をcFcに連結するイヌヒンジ領域を更に含む。cIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、遺伝子工学を介してcFc(連結ヒンジ領域の有無にかかわらず)と共にcIL-4Rα ECD(またはcIL-4に結合するECDのフラグメント)をコードする化学合成核酸から生成することができる。
【0103】
本明細書で使用される場合、「cIL-4に結合するcIL-4RαのECDのフラグメント」(または交換可能に、cIL-4に結合するcIL-4RαのECDの「そのフラグメント」)を含むcIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、全長ECDを含む対応するcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の結合親和性よりも最大で100倍低いcIL-4に対する結合親和性を有する、すなわち、解離定数は最大で10倍高い(例えば、10-9Mと比較して10-7M)。特定の実施形態では、cIL-4に結合するcIL-4RαのECDのフラグメントを含むcIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、全長ECDを含む対応するcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の結合親和性よりも最大で10倍低いcIL-4に対する結合親和性を有する、すなわち、解離定数は最大で10倍高い。更に他の実施形態では、cIL-4に結合するcIL-4RαのECDのフラグメントを含むcIL-4Rα-cFc融合タンパク質は、全長ECDを含む対応するcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の結合親和性よりも最大で5倍低いcIL-4に対する結合親和性を有する、すなわち、解離定数は最大で5倍高い。
【0104】
本明細書で使用される場合、「cIL-13に結合するcIL-13Rα1のECDのフラグメント」(または互換的に、cIL-13に結合するcIL-13Rα1のECDの「そのフラグメント」)を含むcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、全長ECDを含む対応するcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の結合親和性よりも最大で100倍低いcIL-13に対する結合親和性を有する、すなわち、解離定数は最大で10倍高い。特定の実施形態では、cIL-13に結合するcIL-13Rα1のECDのフラグメントを含むcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、全長ECDを含む対応するcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の結合親和性よりも最大で10倍低いcIL-13に対する結合親和性を有する、すなわち、解離定数は最大で10倍高い。更に他の実施形態では、cIL-13に結合するcIL-13Rα1のECDのフラグメントを含むcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質は、全長ECDを含む対応するcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の結合親和性よりも最大で5倍低いcIL-13に対する結合親和性を有する、すなわち、解離定数は最大で5倍高い。
【0105】
本明細書で使用される場合、「cIL-13に結合するcIL-13Rα2のECDのフラグメント」(または互換的に、cIL-13に結合するcIL-13Rα2のECDの「そのフラグメント」)を含むcIL-13Rα2-cFc融合タンパク質は、全長ECDを含む対応するcIL-13Rα2-cFc融合タンパク質の結合親和性よりも最大で100倍低いcIL-13に対する結合親和性を有する、すなわち、解離定数は最大で10倍高い。特定の実施形態では、cIL-13に結合するcIL-13Rα2のECDのフラグメントを含むcIL-13Rα2-cFc融合タンパク質は、全長ECDを含む対応するcIL-13Rα2-cFc融合タンパク質の結合親和性よりも最大で10倍低いcIL-13に対する結合親和性を有する、すなわち、解離定数は最大で10倍高い。更に他の実施形態では、cIL-13に結合するcIL-13Rα2のECDのフラグメントを含むcIL-13Rα2-cFc融合タンパク質は、全長ECDを含む対応するcIL-13Rα2-cFc融合タンパク質の結合親和性よりも最大で5倍低いcIL-13に対する結合親和性を有する、すなわち、解離定数は最大で5倍高い。
【0106】
本明細書で使用される場合、本発明のイヌインターロイキン受容体-cFc融合タンパク質の「ホモ二量体」は、同じECD(または対応するリガンドに結合するそのECDのフラグメント)を最小限に有する2つの単量体融合タンパク質の二量体である。2つの単量体融合タンパク質はまた、一般に、同じcFcおよび同じヒンジ領域を有する。例えば、イヌインターロイキン受容体-cFc融合タンパク質がcIL-4Rα-cFc融合タンパク質である場合、ECDはIL-4Rα ECDであり、リガンドはcIL-4である。ホモ二量体の2つのモノマーは、各モノマーのヒンジ領域内のシステイン残基によって形成されるジスルフィド結合によって一緒に保持される。例えば、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質のホモ二量体は、2つのcIL-4Rα-cFc融合タンパク質モノマーを含み、cIL-13Rα2-cFc融合タンパク質のホモ二量体は、2つのcIL-13Rα2-cFc融合タンパク質モノマーを含む。
【0107】
本明細書で使用される場合、本発明のイヌインターロイキン受容体-cFc融合タンパク質の「ヘテロ二量体」は、異なるECD(またはそれぞれのECDの対応するリガンドに結合するそれぞれのECDのフラグメント)を有する2つの単量体融合タンパク質の二量体である。2つの単量体融合タンパク質は、一般に同じcFcを有するが、特定の例では、2つの単量体を一緒に保つための修飾のためにわずかに異なり得る。例えば、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質およびcIL-13Rα2-cFc融合タンパク質のヘテロ二量体は、1つのcIL-4Rα-cFc融合タンパク質モノマーおよび1つのcIL-13Rα2-cFc融合タンパク質モノマーを含み、一方、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質およびcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質のヘテロ二量体は、1つのcIL-4Rα-cFc融合タンパク質モノマーおよび1つのcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質モノマーを含む。そのような一実施形態は、cIL-4Rα-cFc-ZW-AおよびcIL-13Rα1-cFc-ZW-Bのヘテロ二量体であるcIL-4Rα-13Rα1_ZW1-cFcである。別のそのような実施形態は、cIL-4Rα-cFc-ZW-AおよびcIL-13Rα2-cFc-ZW-Bのヘテロ二量体であるcIL-4Rα-13Rα2_ZW1-cFcである。
【0108】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、所望の生物学的活性を示す任意の形態の抗体を指す。抗体は、モノマー、二量体、またはより大きな多量体であり得る。したがって、それは最も広い意味で使用され、限定されないが、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、イヌ化抗体、完全イヌ抗体、キメラ抗体およびラクダ化単一ドメイン抗体を具体的に包含する。「親抗体」は、イヌ治療用抗体として使用するための抗体のイヌ化等の意図された使用のための抗体の改変の前に免疫系を抗原に曝露することによって得られる抗体である。
【0109】
本明細書で使用される場合、例えばイヌ受容体のその結合パートナー(リガンド)に対して「遮断」または「遮断している」または「結合を遮断する」本発明のcFc融合タンパク質または本発明で使用される抗体は、標準的な結合アッセイ(例えば、BIACore(登録商標)、ELISAまたはフローサイトメトリー)で決定されるように、イヌ受容体のそのイヌリガンドへの結合、およびその逆の結合を(部分的または完全に)ブロックする抗体および/または融合タンパク質である。
【0110】
典型的には、本発明の抗体または抗原結合フラグメントは、その活性がモルベースで発現される場合、(親抗体と比較した場合)そのイヌ抗原結合活性の少なくとも10%を保持する。好ましくは、本発明の抗体または抗原結合フラグメントは、親抗体としてイヌ抗原結合親和性の少なくとも20%、50%、70%、80%、90%、95%または100%またはそれ以上を保持する。本発明の抗体または抗原に結合するフラグメントは、その生物学的活性を実質的に変化させない保存的または非保存的アミノ酸置換(抗体の「保存的変異体」または「機能保存変異体」と呼ばれる)を含み得ることも意図される。
【0111】
「単離抗体」は、精製状態を指し、そのような文脈において、分子が、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物等の他の生物学的分子、または細胞残屑および増殖培地等の他の材料を実質的に含まないことを意味する。一般に、「単離」という用語は、本明細書に記載の結合化合物の実験的または治療的使用を実質的に妨げる量で存在しない限り、そのような材料が完全に存在しないこと、または水、緩衝液もしくは塩が存在しないことを指すことを意図しない。
【0112】
本明細書で使用される場合、「キメラ抗体」は、第1の抗体由来の可変ドメインおよび第2の抗体由来の定常ドメインを有する抗体であり、第1および第2の抗体は異なる種に由来する[米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1984)]。典型的には、可変ドメインは、げっ歯類等の実験動物「親抗体」からの抗体から得られ、定常ドメイン配列は、動物対象抗体、例えばヒトまたはイヌから得られ、その結果、得られたキメラ抗体は、親(例えば、げっ歯類)抗体よりも、ヒトまたはイヌ対象においてそれぞれ有害な免疫応答を誘発する可能性が低くなる。
【0113】
本明細書で使用される場合、「イヌ化抗体」という用語は、イヌおよび非イヌ(例えば、ラット)抗体の両方からの配列を含む抗体の形態を指す。一般に、イヌ化抗体は、少なくとも1つ以上の、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非イヌ免疫グロブリン(例えば、以下に例示されるような6つのCDRを含む)のものに対応し、フレームワーク(FR)領域の全てまたは実質的に全て(および典型的には残りのフレームの全てまたは実質的に全て)がイヌ免疫グロブリン配列のものである。本明細書で例示されるように、イヌ化抗体は、イヌフレームまたは改変イヌフレームと共に、ラット抗イヌ抗原抗体由来の3つの重鎖CDRおよび3つの軽鎖CDRの両方を含む。改変されたイヌフレームは、例えば、イヌ抗原へのその結合および/またはイヌ抗原の天然結合パートナーへのそのイヌ抗原の結合を遮断する能力を増加させるために、イヌ化抗体の有効性を更に最適化する、本明細書に例示される1つ以上のアミノ酸変化を含む。イヌIL-31およびIL-31Rαに結合するイヌ化マウスまたはラット抗イヌ抗体には、イヌIgGA、IgGB、IgGCまたはIgGD重鎖を含む本発明の抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0114】
各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。したがって、一般に、インタクトな抗体は2つの結合部位を有する。二機能性抗体または二重特異性抗体を除いて、2つの結合部位は、一般に、同じである。
【0115】
典型的には、重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインは、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)内に位置する、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる3つの超可変領域を含む。CDRは通常、フレームワーク領域によってアライメントされ、特定のエピトープへの結合を可能にする。一般に、N末端からC末端に向かって、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの両方が、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、一般に、Sequences of Proteins of Immunological Interest[Kabat,et al.;National Institutes of Health,Bethesda,Md.;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242(1991);Kabat,Adv.Prot.Chem.32:1-75(1978);Kabat,et al.,J.Biol.Chem.252:6609-6616(1977);Chothia,et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)、またはChothia,et al.,Nature 342:878-883(1989)]に従う。
【0116】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」という用語は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」由来のアミノ酸残基[すなわち、軽鎖可変ドメイン中のCDRL1(またはLCDR1)、CDRL2(またはLCDR2)およびCDRL3(またはLCDR3)と、重鎖可変ドメイン中のCDRH1(またはHCDR1)、CDRH2(またはHCDR2)およびCDRH3(またはHCDR3)]を含む。[抗体のCDR領域を配列によって定義する、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)を参照;抗体のCDR領域を構造によって定義する、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)も参照]。
【0117】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク」または「FR」残基という用語は、本明細書でCDR残基として定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基を指す。
【0118】
本明細書で使用される場合、「イヌフレーム」という用語は、本明細書でCDR残基として定義される超可変領域残基以外のイヌ抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を指す。イヌ化抗体に関して、大部分の実施形態では、天然のイヌCDRのアミノ酸配列は、両方の鎖において対応する外来CDR(例えば、マウス抗体またはラット抗体由来のもの)で置き換えられる。イヌ抗体の重鎖および/または軽鎖は、例えば、下記に例示されるように、および/または、米国特許第10,106,607号B2に開示されるように、イヌ抗体内の外来CDRのコンフォメーションを保存するために、および/または、Fc機能を改変するために、いくつかの外来非CDR残基を含有してもよい。
【0119】
本明細書で使用される場合、「抗掻痒剤」は、かゆみを阻害、軽減、および/または予防する傾向がある化合物、高分子、および/または製剤である。抗掻痒剤は、口語的に痒み止め薬と呼ばれる。
【0120】
本明細書で使用される場合、「抗掻痒抗体」は、特にアトピー性皮膚炎に関して、ヒト、イヌおよび/またはネコ等の哺乳動物を含む動物において抗掻痒剤として作用することができる抗体である。特有の実施形態では、抗掻痒抗体は、IL-31またはその受容体IL-31Rα等のIL-31シグナル伝達経路の特定のタンパク質に結合する。抗掻痒抗体のその対応する抗原(例えば、IL-31またはIL-31Rα)への結合は、例えばIL-31とIL-31Rαとの結合を阻害し、この経路の成功したシグナル伝達を妨害および/または防止し、それにより、IL-31シグナル伝達経路によって引き起こされるそう痒を阻害、軽減および/または防止する。
【0121】
本明細書で使用される場合、「抗炎症剤」は、炎症を引き起こす体内の特定の物質の相互作用を遮断することによって炎症を軽減する化合物、高分子、および/または製剤である。抗炎症剤は、特にアトピー性皮膚炎に関して、ヒト、イヌおよび/またはネコ等の哺乳動物を含む動物において抗炎症剤として作用することができるcFc融合タンパク質であり得る。特有の実施形態では、抗炎症性cFc融合タンパク質は、IL-4またはIL-13等のIL-4/IL-13シグナル伝達経路中の特定のタンパク質に結合する。抗炎症性cFc融合タンパク質のその対応する抗原(例えば、IL-4)への結合は、例えばIL-4とIL-4Rαとの結合を阻害し、この経路のシグナル伝達を妨害および/または防止し、それによってアトピー性皮膚炎に関連する慢性炎症を妨害または防止する。cIL-4Rα-cFc融合タンパク質のホモ二量体とcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質のホモ二量体との組み合わせは、アトピー性皮膚炎の治療において抗炎症剤として作用する。
【0122】
本明細書で使用される場合、「二重特異性融合タンパク質」は、隣接したタンパク質、例えばペプチド結合を介して互いに接合された2つの異なる生物学的に活性なタンパク質ドメイン、例えばcIL-4RαのECD、cIL-13Rα1のECD、cFcおよび任意のリンカーであり得る人工タンパク質である。代替的には、二重特異性融合タンパク質は、2つの異なる生物学的に活性なタンパク質ドメインが、ペプチド結合を介して融合パートナーと個々に結合しているが、共有結合または非共有結合のいずれかであり得る非ペプチド結合によってヘテロ二量体融合タンパク質において結合しているヘテロ二量体融合タンパク質であり得る。例えば、cIL-4Rα-cFc融合タンパク質モノマーおよびcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質モノマーのヘテロ二量体等の異なるECDを有する2つの単量体融合タンパク質を組み合わせることによって形成されるヘテロ二量体。
【0123】
「相同性」とは、2つのポリヌクレオチド配列間または2つのポリペプチド配列が最適にアラインメントされている場合の2つのポリペプチド配列間の配列類似性を指す。2つの比較された配列の両方の位置が同じ塩基またはアミノ酸モノマーサブユニットによって占められている場合、例えば2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占められている場合、分子はその位置で相同である。相同性のパーセントは、2つの配列が共有する相同位置の数を比較した位置の総数で割って100を掛けたものである。例えば、配列が最適にアラインメントされたときに、2つの配列中の10個の位置のうち6個が一致または相同である場合、2つの配列は60%相同である。一般に、比較は、2つの配列が最大パーセントの相同性を与えるようにアラインメントされたときに行われる。
【0124】
「単離された核酸分子」は、単離されたポリヌクレオチドが自然界で見出されるか、または自然界では連結されていないポリヌクレオチドに連結されているポリヌクレオチドの全部または一部に関連しない、ゲノム、mRNA、cDNAもしくは合成起源またはそれらの何らかの組み合わせのDNAまたはRNAを意味する。本開示の目的のために、特定のヌクレオチド配列「を含む核酸分子」はインタクトな染色体を包含しないことを理解されたい。指定された核酸配列「を含む」単離された核酸分子は、指定された配列に加えて、最大10または更には最大20またはそれを超える他のタンパク質もしくはその一部またはフラグメントのコード配列を含み得るか、または列挙された核酸配列のコード領域の発現を制御する作動可能に連結された調節配列を含み得るか、および/またはベクター配列を含み得る。
【0125】
「制御配列」という語句は、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適した制御配列には、例えば、プロモーターが含まれ、オペレーター配列、およびリボソーム結合部位が含まれてもよい。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを使用することが公知である。
【0126】
核酸は、別の核酸配列と機能的関係にある場合、「作動可能に連結される」である。例えば、プレ配列または分泌リーダーのためのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのためのDNAに作動可能に連結されているか、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されているか、またはリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置されている場合、コード配列に作動可能に連結されている。一般に、「作動可能に連結される」とは、連結されているDNA配列が隣接していることを意味し、分泌リーダーの場合、隣接しており、読み取り段階にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは隣接している必要はない。連結は、好都合な制限部位でのライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが従来の慣例に従って使用される。
【0127】
本明細書で使用される場合、「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」という表現は互換的に使用され、そのような呼称は全て子孫を含む。したがって、「形質転換体」および「形質転換細胞」という用語は、移入の回数にかかわらず、初代対象細胞およびそれに由来する培養物を含む。意図的または不注意な突然変異のために、全ての子孫が正確に同一のDNA含有量を有するわけではないことも理解される。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫が含まれる。明確な指定が意図されている場合、それは文脈から明らかであろう。
【0128】
配列同一性は、2つの配列が最適にアラインメントされたときに、2つのポリペプチドのアミノ酸が等価な位置で同じである程度を指す。本明細書で使用される場合、両方の配列のアミノ酸残基が同一である場合、1つのアミノ酸配列は第2のアミノ酸配列に対して100%「同一」である。したがって、2つのアミノ酸配列のアミノ酸残基の50%が同一である場合、アミノ酸配列は第2のアミノ酸配列に対して50%「同一」である。配列比較は、所与のタンパク質、例えばタンパク質、または比較されるポリペプチドの一部に含まれるアミノ酸残基の隣接ブロックにわたって行われる。特有の実施形態では、そうでなければ2つのアミノ酸配列間の対応関係を変化させ得る選択された欠失または挿入が考慮される。
【0129】
配列類似性には、同一の残基および同一でない生化学的に関連するアミノ酸が含まれる。同様の特性を共有し、交換可能であり得る生化学的に関連するアミノ酸。
【0130】
「保存的に改変された変異体」または「保存的置換」は、タンパク質の生物学的活性を変化させることなく変化が頻繁に起こり得るような、類似の特徴(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、主鎖立体配座および剛性等)を有する他のアミノ酸によるタンパク質中のアミノ酸の置換を指す。当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域における単一アミノ酸置換が生物学的活性を実質的に変化させないことを認識する[例えば、Watson et al.,Molecular Biology of the Gene,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224(4th Ed.;1987)]。さらに、構造的または機能的に類似したアミノ酸の置換は、生物学的活性を破壊する可能性が低い。例示的な保存的置換を下記の表Aに直接示す。
【0131】
【表1】
【0132】
本発明の抗体の機能保存的変異体も本発明によって企図される。本明細書で使用される場合、「機能保存的変異体」は、抗原親和性および/または特異性等の所望の特性を変化させることなく1つ以上のアミノ酸残基が変化した抗体またはフラグメントを指す。そのような変異体としては、アミノ酸を、上記の表Aの保存的アミノ酸置換等の同様の特性を有するもので置き換えることが挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
核酸
本発明は、本発明のcFc融合タンパク質、および本発明で使用される抗体(例えば、以下の実施例を参照)と共に本発明のcFc融合タンパク質を含む組成物を含む。
【0134】
提供されるcFc融合タンパク質をコードする核酸および本発明で使用される免疫グロブリンポリペプチドも本発明に含まれ、比較がBLASTアルゴリズムによって行われる場合、本明細書において提供されるイヌ化抗体のアミノ酸配列と少なくとも約70%同一、好ましくは少なくとも約80%同一、より好ましくは少なくとも約90%同一、最も好ましくは少なくとも約95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)であるアミノ酸配列を含み、アルゴリズムのパラメータは、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列間の最大一致を与えるように選択される。本発明は更に、融合タンパク質および/または免疫グロブリンポリペプチドをコードする核酸を提供し、比較がBLASTアルゴリズムを用いて行われる場合、参照アミノ酸配列のいずれかと少なくとも約70%の類似性、好ましくは少なくとも約80%の類似性、より好ましくは少なくとも約90%の類似性、最も好ましくは少なくとも約95%の類似性(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)であるアミノ酸配列を含み、アルゴリズムのパラメータは、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列間の最大一致を与えるように選択される。
【0135】
本明細書で使用される場合、ヌクレオチドおよびアミノ酸の配列同一性パーセントは、アライメントデフォルトパラメータおよび同一性のデフォルトパラメータを用いて、C、MacVector(MacVector,Inc.ノースカロライナ州ケアリー27519)、Vector NTI(Informax,Inc.、メリーランド州)、Oxford Molecular Group PLC(1996)およびClustal Wアルゴリズムを使用して決定することができる。これらの市販のプログラムを使用して、同じまたは類似のデフォルトパラメータを使用して配列類似性を決定することもできる。代替的には、例えば、デフォルトパラメータを使用するGCG(Genetics Computer Group、GCGパッケージのプログラムマニュアル、バージョン7、ウィスコンシン州マディソン)パイルアッププログラムを使用して、デフォルトフィルタ条件下でのAdvanced Blast検索を使用することができる。
【0136】
以下の参考文献は、配列分析にしばしば使用されるBLASTアルゴリズムに関する:BLAST ALGORITHMS:Altschul,S.F.,et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990);Gish,W.,et al.,Nature Genet.3:266-272(1993);Madden,T.L.,et al.,Meth.Enzymol.266:131-141(1996);Altschul,S.F.,et al.,Nucleic Acids Res.25:3389-3402(1997);Zhang,J.,et al.,Genome Res.7:649-656(1997);Wootton,J.C.,et al.,Comput.Chem.17:149-163(1993);Hancock,J.M.et al.,Comput.Appl.Biosci.10:67-70(1994);ALIGNMENT SCORING SYSTEMS:Dayhoff,M.O.,et al.,“A model of evolutionary change in proteins.” in Atlas of Protein Sequence and Structure,vol.5,suppl.3.M.O.Dayhoff(ed.),pp.345-352,(1978);Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Schwartz,R.M.,et al.,“Matrices for detecting distant relationships.” in Atlas of Protein Sequence and Structure,vol.5,suppl.3.”(1978),M.O.Dayhoff(ed.),pp.353-358(1978),Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Altschul,S.F.,J.Mol.Biol.219:555-565(1991);States,D.J.,et al.,Methods 3:66-70(1991);Henikoff,S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-10919(1992);Altschul,S.F.,et al.,J.Mol.Evol.36:290-300(1993);ALIGNMENT STATISTICS:Karlin,S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-2268(1990);Karlin,S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5877(1993);Dembo,A.,et al.,Ann.Prob.22:2022-2039(1994);およびAltschul,S.F.“Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments.” in Theoretical and Computational Methods in Genome Research(S.Suhai,ed.),pp.1-14,Plenum,New York(1997)。
【0137】
本発明のcFc融合タンパク質(および本発明で使用される抗体)は、当技術分野で公知の方法によって組換え生産することができる。本明細書に開示される抗体またはフラグメントの発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は当技術分野で周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株を含む。これらには、とりわけ、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO、SP2細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、A549細胞、3T3細胞、HEK-293細胞およびいくつかの他の細胞株が含まれる。哺乳動物宿主細胞には、ヒト、マウス、ラット、イヌ、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマおよびハムスターの細胞が含まれる。どの細胞株が高い発現レベルを有するかを決定することによって、特に好ましい細胞株を選択する。使用され得る他の細胞株は、Sf9細胞、両生類細胞、細菌細胞、植物細胞および真菌細胞等の昆虫細胞株である。重鎖またはその抗原結合部分もしくはフラグメント、軽鎖および/またはその抗原結合フラグメントをコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入する場合、抗体は、宿主細胞における抗体の発現、またはより好ましくは、宿主細胞が成長している培地への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間にわたって宿主細胞を培養することによって産生される。
【0138】
抗体は、標準的なタンパク質精製方法を使用して培養培地から回収することができる。さらに、産生細胞株からの本発明の抗体(またはそれからの他の部分)の発現は、いくつかの公知の技術を用いて増強することができる。例えば、グルタミンシンテターゼ遺伝子発現系(GS系)は、特定の条件下で発現を増強するための一般的なアプローチである。GS系は、欧州特許第0216846号、第0256055号、および第0323997号、ならびに欧州特許出願第89303964.4号に関連して全体的または部分的に論じられている。
【0139】
医薬組成物および投与
本発明の抗体および/または融合タンパク質を含む医薬組成物または無菌組成物を調製するために、これらの抗体および/または融合タンパク質を薬学的に許容され得る担体または賦形剤と混合することができる[例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences and U.S.Pharmacopeia:National Formulary,Mack Publishing Company,Easton,PA(1984)を参照]。
【0140】
治療剤および診断剤の製剤は、例えば、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液または懸濁液の形態の許容され得る担体、賦形剤または安定剤と混合することによって調製され得る[例えば、Hardman,et al.(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw-Hill,New York,NY;Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott,Williams,and Wilkins,New York,NY;Avis,et al.(eds.)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Marcel Dekker,NY;Lieberman,et al.(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Marcel Dekker,NY;Lieberman,et al.(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Marcel Dekker,NY;Weiner and Kotkoskie(2000)Excipient Toxicity and Safety,Marcel Dekker,Inc.,New York,NY]。一実施形態では、本発明の抗体および/または融合タンパク質は、pH5~6の酢酸ナトリウム溶液中で適切な濃度に希釈され、等張性のためにNaClまたはスクロースが添加される。安定性を高めるために、ポリソルベート20またはポリソルベート80等の追加の薬剤を添加してもよい。
【0141】
単独でまたは別の薬剤と組み合わせて投与される抗体組成物の毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療有効な用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指数(LD50/ED50)である。特定の態様では、高い治療指数を示す抗体が望ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、イヌにおける使用のための投薬量の範囲を定式化する際に使用することができる。そのような化合物の投与量は、好ましくは、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、使用される剤形および投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。
【0142】
投与様式は様々であり得る。適切な投与経路としては、経口、直腸、経粘膜、腸、非経口、筋肉内、皮下、皮内、髄内、髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、眼内、吸入、吹送、局所、皮膚、経皮、または動脈内が挙げられる。特有の実施形態では、本発明の抗体および/または融合タンパク質は、注射等の侵襲的経路によって投与することができる。本発明の更なる実施形態では、本発明の抗体および/または融合タンパク質、またはその医薬組成物は、静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、または吸入によるエアロゾル送達によって投与される。非侵襲的経路(例えば、経口;例えば、丸剤、カプセル剤または錠剤)による投与も本発明の範囲内である。
【0143】
組成物は、当技術分野で公知の医療機器を用いて投与することができる。例えば、本発明の医薬組成物は、例えばプレフィルドシリンジまたは自動注射器を含む皮下注射針での注射によって投与することができる。本明細書に開示される医薬組成物はまた、無針皮下注射装置、例えば、米国特許第6,620,135号;第6,096,002号;第5,399,163号;第5,383,851号;第5,312,335号;第5,064,413号;第4,941,880号;第4,790,824号または第4,596,556号に開示されている装置を用いて投与されてもよい。
【0144】
本明細書に開示される医薬組成物はまた、注入によって投与され得る。医薬組成物を投与する周知のインプラントおよびモジュールの例としては、米国特許第4,487,603号(制御された速度で薬剤を分配するための植込み型微量注入ポンプを開示する);米国特許第4,447,233号(正確な注入速度で薬剤を送達するための薬剤注入ポンプを開示する);米国特許第4,447,224号(連続薬物送達のための可変流量植込み型注入装置を開示する);米国特許第4,439,196号(マルチチャンバ区画を有する浸透圧薬物送達システムを開示する)が挙げられる。他の多くのそのようなインプラント、送達システム、およびモジュールは、当業者に周知である。
【0145】
代替的には、本発明のcFc融合タンパク質(および場合により本発明で使用される抗体)を含む組成物を、全身的ではなく局所的に、しばしばデポー製剤または持続放出製剤で投与してもよい。
【0146】
投与レジメンは、治療用抗体および/またはcFc融合タンパク質の血清または組織ターンオーバー速度、症状のレベル、治療用抗体および/またはcFc融合タンパク質の免疫原性、ならびに生物学的マトリックス中の標的細胞の接近可能性を含むいくつかの因子に依存する。好ましくは、投与レジメンは、標的疾患/状態の改善をもたらすのと同時に望ましくない副作用を最小限に抑えるのに十分な治療用抗体および/またはcFc融合タンパク質を送達する。したがって、送達される生物学的製剤の量は、部分的には、特定の治療用抗体および/または融合タンパク質ならびに治療される状態の重症度に依存する。適切な用量の治療用抗体を選択する際の指針が利用可能である[例えば、Wawrzynczak Antibody Therapy,Bios Scientific Pub.Ltd,Oxfordshire,UK(1996);Kresina(ed.)Monoclonal Antibodies,Cytokines and Arthritis,Marcel Dekker,New York,NY(1991);Bach(ed.)Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases,Marcel Dekker,New York,NY(1993);Baert,et al.New Engl.J.Med.348:601-608(2003);Milgrom et al.New Engl.J.Med.341:1966-1973(1999);Slamon et al.New Engl.J.Med.344:783-792(2001);Beniaminovitz et al.New Engl.J.Med.342:613-619(2000);Ghosh et al.New Engl.J.Med.348:24-32(2003);Lipsky et al.New Engl.J.Med.343:1594-1602(2000)]。
【0147】
適切な用量の決定は、例えば、治療に影響を及ぼすことが当技術分野で知られているまたは疑われるパラメータまたは因子を使用して、獣医によって行われる。一般に、用量は、最適用量よりも幾分少ない量で始まり、その後、任意の負の副作用に対して所望のまたは最適な効果が達成されるまで、少しずつ増加する。重要な診断手段には、症状のものが含まれる。
【0148】
本発明のcFc融合タンパク質を含む組成物は、単独で、または本発明で使用される抗体と共に、連続注入によって、または例えば、毎日、週に1~7回、毎週、隔週、毎月、隔月、四半期ごと、半年ごと等に投与される用量によって提供され得る。用量は、例えば、静脈内、皮下、局所、経口、経鼻、直腸、筋肉内、脳内、脊髄内、または吸入によって提供され得る。総毎週用量は、一般に少なくとも0.05μg/kg体重、より一般的には少なくとも0.2μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、10μg/kg、100μg/kg、0.25mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、5.0mg/ml、10mg/kg、25mg/kg、50mg/kgまたはそれ以上である[例えば、Yang,et al.New Engl.J.Med.349:427-434(2003);Herold,et al.New Engl.J.Med.346:1692-1698(2002);Liu,et al.J.Neurol.Neurosurg.Psych.67:451-456(1999);Portielji,et al.Cancer Immunol.Immunother.52:133-144(2003)を参照]。イヌの血清中の本発明のcFc融合タンパク質の所定の標的濃度、例えば0.1、0.3、1、3、10、30、100、300μg/ml以上を達成するための用量も提供され得る。他の実施形態では、本発明のcFc融合タンパク質は、10、20、50、80、100、200、500、1000または2500mg/対象で、毎週、隔週、「4週間毎に」、毎月、隔月または四半期ごとに皮下または静脈内投与される。
【0149】
本明細書で使用される場合、「阻害する」または「治療する」または「治療」は、障害もしくは状態に関連する症状の発症の延期および/またはそのような障害もしくは状態の症状の重症度の低下を含む。この用語は更に、既存の制御されないまたは望ましくない症状を改善すること、追加の症状を予防すること、およびそのような症状の根本的な原因を改善または予防することを含む。したがって、この用語は、障害、状態および/もしくは症状を有するか、またはそのような障害、疾患もしくは症状を発症する可能性を有する脊椎動物対象(例えば、イヌ)に有益な結果が与えられたことを意味する。
【0150】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」、「治療有効用量」および「有効量」という用語は、単独でまたは追加の治療剤と組み合わせて細胞、組織または対象、例えばイヌに投与した場合に、疾患もしくは状態の1つ以上の症状またはそのような疾患もしくは状態の進行の測定可能な改善を引き起こすのに有効な本発明のcFc融合タンパク質の量を指す。治療有効用量は更に、症状の少なくとも部分的な改善、例えば関連する医学的状態の治療、治癒、予防もしくは改善、またはそのような状態の治療、治癒、予防もしくは改善の速度の増加をもたらすのに十分な抗体および/または融合タンパク質の量を指す。組み合わせに適用される場合、治療有効用量は、組み合わせて投与されるか、連続的に投与されるか、または同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす有効成分の組み合わせ量を指す。有効量の治療薬は、診断尺度またはパラメータの少なくとも10%、通常、少なくとも20%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%の改善をもたらすであろう。有効量はまた、症状の重症度を評価するために主観的尺度が使用される場合に主観的尺度の改善をもたらすことができる。
【0151】
他の併用療法
本発明のcFc融合タンパク質を含む組成物(本発明で使用される抗体を含むまたは含まない)は、1つ以上の追加の治療成分を含むことができる。治療成分のそのようなファミリーの1つは、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤である。このタイプの特有の実施形態では、JAK阻害剤は、
【化4】
(式中、Rは、ヒドロキシで置換されていてもよいC1~4アルキルである)の化学式およびその薬学的に許容され得る塩[米国特許第8,133,899号;米国特許第8,987,283号]を含む。より具体的には、JAK阻害剤は、オクラシチニブであり、更により具体的には、オクラシニウムマレエートである。
【0152】
JAK3と比較してJAK1を優先的に阻害する代替のJAK阻害剤は、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドであり、
【化5】
の化学式、およびその薬学的に許容され得る塩[国際公開第2018/108969号を参照]を含む。
【0153】
更に別の代替のJAK阻害剤は、3-アゼチジンアセトニトリル、1-(シクロプロピルスルホニル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-(供元:CAS){1-(シクロプロパンスルホニル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル(供給元:USAN Program chemical consultant)とも呼ばれ、
【化6】
の化学式、およびその薬学的に許容され得る塩[米国特許出願公開第2020/0339585号を参照]を含む。
【0154】
本発明の組成物に添加され得る別の治療成分は、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)阻害剤であり得る。そのようなSYK阻害剤の1つは、(1S,4R)-4-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-4-{5-[3-メチル-5-(4-メチル-ピリミジン-2-イルアミノ)-フェニル]-1,3-チアゾール-2-イル}-シクロヘキサンカルボン酸またはその薬学的に許容され得る塩[例えば、米国特許第8,759,366号を参照]である。
【0155】
さらに、本発明の組成物に添加することができる更に別の治療成分は、
【化7】
の化学式およびその薬学的に許容され得る塩を含むTH2細胞上で発現される化学誘引物質受容体相同分子に対するアンタゴニスト[米国特許第7,696,222号、米国特許第8,546,422号、米国特許第8,637,541号、国際公開第2010/099039号、国際公開第2010/031183号、および米国特許第8,546,422号も参照]であり得る。
【0156】
これらの追加の治療成分は、本発明の抗体および/または融合タンパク質を含む組成物の投与前、投与と併せて、または投与後に、イヌ対象に投与することができる。
【0157】
上記のJAK阻害剤、SYK阻害剤、または化学誘引物質受容体相同分子の予防的または治療的用量の大きさは、当然のことながら、治療される状態の性質および重症度、ならびに特定の阻害剤およびその投与経路によって変化する。これはまた、個々のイヌの年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせおよび応答を含む様々な因子に従って変動する。一般に、1日用量は、イヌの体重1kg当たり約0.001mg~約100mg、好ましくは体重1kg当たり0.01mg~約10mgである。別の実施形態では、1日用量は、イヌの体重1kg当たり約0.2mg~約1.0mg/kgである。別の実施形態では、1日用量は、イヌの体重1kg当たり約0.1mg~約3.0mg/kgである。一方、場合によっては、これらの制限外の投与量を使用する必要があり得る。単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される宿主および特定の投与様式に応じて変化する。例えば、経口投与を意図した製剤は、全組成物の約5~約99.95パーセントで変動し得る適切で便利な量の担体材料と配合された0.05mg~5gの活性剤を含有し得る。投薬単位形態は、一般に、約0.1mg~約0.4gの有効成分、典型的には0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mgまたは400mgを含有する。
【0158】
[実施例]
[実施例1]
ホモ二量体Fc融合タンパク質
組換え融合タンパク質の生成:
下記の表2Bおよび表2Cに列挙される組換え融合タンパク質を、選択された融合タンパク質のための正確なアミノ酸配列をそれらに提供した後、商業的製造業者から得た。アミノ酸配列は、GenBank等の公的に入手可能なタンパク質データベースから得ることができ、例えば、全長アミノ酸配列のアクセッション番号には、イヌ(Canis lupus familiaris)インターロイキン-4受容体サブユニットアルファアイソフォームX1のアクセッション番号XP_022275636.1、イヌ(Canis lupus familiaris)インターロイキン-13受容体サブユニットアルファ-1アイソフォームX2のアクセッション番号XP_038306633.1、およびイヌ(Canis lupus familiaris)インターロイキン-13受容体サブユニットアルファ-2前駆体のアクセッション番号NP_001003075.1が含まれる。典型的には、これらの融合タンパク質を組換え生産するために、イヌ融合タンパク質をコードするDNAを化学合成し、次いで適切な発現ベクター(例えば、pcDNA3.4発現ベクター)にクローニングして、CHOまたはHEK-293細胞等の細胞内でタンパク質を生産する。したがって、市販の製造業者は、融合タンパク質のアミノ酸配列をコードする最適なヌクレオチド配列を選択し、核酸を化学的に合成し、対応する組換え融合タンパク質を産生する発現ベクターに核酸を挿入し、次いで発現した融合タンパク質を精製する。核酸配列は、典型的には、以下の工程を必要とするプロセスで商業的供給業者において製造される:
1.標的遺伝子配列に基づいて、約100ヌクレオチドの長さを有するいくつかのオリゴヌクレオチドを設計および合成する(合成された重複オリゴヌクレオチドは、ECD、ヒンジ領域、およびcFcを含む);
2.ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用してオリゴヌクレオチドを一緒に構築して全長遺伝子配列を得る;および
3.DNAゲル抽出キットを使用してPCR産物を精製し、その後のクローニング工程でインサートとして使用する。この場合、組換え融合タンパク質をCHO細胞で産生し、プロテインAカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。
本発明のcFc融合タンパク質をコードする核酸は、選択されたイヌインターロイキン受容体の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメント、すなわちcIL-4Rα、cIL-13Rα1またはcIL-13Rα2のコード配列、およびイヌIgGヒンジ領域のコード配列をイヌIgG(cFc)と共に含む。得られた融合タンパク質は、N末端からC末端の順序で、ECD、ヒンジ領域(太字)、およびcFcを含む。cFcおよびヒンジ領域は、イヌIgGA、IgGB、IgGCまたはIgGDに由来し得る。cFc融合タンパク質は、in vivoでの半減期の延長を可能にするため、または抗体依存性細胞傷害性(ADCC)もしくは補体媒介性細胞傷害性(CDC)[例えば、米国特許第10,106,607号B2を参照]等のいくつかのエフェクター機能を排除するためのアミノ酸置換を有してもよい。
【0159】
ホモ二量体の2つのモノマーは、各モノマーのヒンジ領域内のシステイン残基によって形成されるジスルフィド結合によって一緒に保持される。ホモ二量体タンパク質は、別個の宿主細胞(CHO細胞等)で作製され、次いで、それらのそれぞれの産生細胞からの精製後に組み合わせることができる。ホモ二量体タンパク質は、IV、SC、IPまたはIM等の様々な経路を介してイヌに投与することができる。ホモ二量体タンパク質は、0.1ug/kg~20mg/kgまたはそれを超える範囲の用量で投与され得る。典型的には、ホモ二量体タンパク質は、0.1mg/kg~10mg/kgの範囲の用量で投与され得る。
【0160】
本発明のホモ二量体Fc融合タンパク質の例は、以下のとおりである:
cIL-4Rα-cIgGB-Fc[配列番号5]
【数1】
【0161】
cIL-13Rα1-cIgGB-Fc[配列番号6]
【数2】
【0162】
cIL-13Rα2-cIgGB-Fc[配列番号7]
【数3】
【0163】
[実施例2]
半減期が延長されたホモ二量体cFc融合タンパク質
いわゆる新生児型Fc受容体(FcRn)とIgG抗体との間の相互作用の構造および特徴を理解することは、IgG抗体およびFc融合タンパク質の血清半減期を改善する抗体またはFc工学研究の基礎を提供した。タンパク質の血清半減期延長およびそのようなタンパク質の血清半減期を延長するアプローチの背後にある機構は、いくつかの研究者によって記載された[例えば、Ko et al.,BioDrugs 35:147-157(2021)を参照]。半減期が延長された相同タンパク質は、上記の実施例1に記載されているように、所望のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列から合成され、組換え生産される。
【0164】
in vivo半減期が延長された組換えcFc融合タンパク質の例を以下に提供する。これらの例では、イヌcFcはIgGBであるが、本発明のcFc融合タンパク質における代替cFc、すなわちIgGA、IgGCおよびIgGDの使用も本発明の一部である。
【0165】
イヌIgG-B Fcは、以下に提供される配列番号51のアミノ酸配列を含むものとして、Tang et al.[Vet Immunology&Immunopathology,80:259-270(2001)]によって最初に定義された。
【0166】
【数4】
[配列番号51]
【0167】
組換え融合タンパク質のcFc部分のアミノ酸配列は、弱酸性pH(例えば、pH6.0)では野生型cFcよりも高い親和性結合をFcRnにもたらすと同時に、中性pH(例えば、pH7.0~7.2)では野生型cFcが示すものと同様の結合親和性を有するアミノ酸置換(太字および下線)を含む。各配列のヒンジ領域は太字であるが、下線が引かれていない。
【0168】
cIL-4Rα-cIgGB-Fc-YTE[配列番号8]CH2ナンバリング(L18Y/A20T/T22E)
【数5】
【0169】
cIL-13Rα1-cIgGB-Fc-YTE[配列番号9]CH2ナンバリング(L18Y/A20T/T22E)
【数6】
【0170】
cIL-13Rα2-cIgGB-Fc-YTE[配列番号10]CH2ナンバリング(L18Y/A20T/T22E)
【数7】
【0171】
cIL-4Rα-cIgGB-Fc-H[配列番号11]CH2ナンバリング(N202H)
【数8】
【0172】
cIL-4Rα-cIgGB-Fc-YD[配列番号12]CH2ナンバリング(L18Y/T22D)
【数9】
【0173】
cIL-13Rα2-cIgGB-Fc-YD[配列番号13]CH2ナンバリング(L18Y/T22D)
【数10】
【0174】
太字のアミノ酸残基はヒンジ領域であり、太字および下線のアミノ酸残基は融合タンパク質のin vivo半減期を増加させるための置換である。
【0175】
[実施例3]
二重特異性Fc融合タンパク質
二重特異性cFc融合タンパク質は、二重特異性cFc融合タンパク質の2つのモノマーの各々が異なる標的タンパク質に結合するため、一般に、ホモ二量体cFc融合タンパク質よりも良好な代替物と考えられる。理論的には、これにより、全体的な製造コストを大幅に低減することができる。したがって、生成された1つのそのような二重特異性cFc融合タンパク質は、N末端からC末端の順序で、IL-13Rα1のECD、IgGBのヒンジ領域およびIgGBのcFcを含む第1のモノマーからなるヘテロ二量体を含んでいたのに対し、第2のモノマーは、N末端からC末端の順序で、cIL-4RαのECD、IgGBのヒンジ領域およびIgGBのcFcを含む。別の二重特異性cFc融合タンパク質は、N末端からC末端の順序で、IL-13Rα2のECD、IgGBのヒンジ領域およびIgGBのcFcを含む第1のモノマーからなるヘテロ二量体を含み、一方、第2のモノマーは、N末端からC末端の順序で、cIL-4RαのECD、IgGBのヒンジ領域およびIgGBのcFcを含んでいた。
【0176】
二重特異性融合タンパク質を形成するためには、2つのFc融合タンパク質のホモ二量体よりもヘテロ二量体の形成を促進するために、各結合パートナーの融合タンパク質のFc部分にアミノ酸置換を行うことが重要である。ヘテロ二量体形成を促進するために使用され得るイヌFc融合タンパク質のFc部分における特定のアミノ酸置換のいくつかの可能性のある方法または組み合わせを以下の表1に提供する。これらの置換は、Fcのヘテロ二量体化のためのノブ・イントゥ・ホール法に有利であるか、またはヘテロ二量体化を可能にするための異なるFc鎖間の静電引力に有利である[これらのアミノ酸置換の包括的な考察については、Moore et al.,Methods,154:38-50(2019)and Brinkmann&Kontermann,MABS,9:182-212(2017)を参照]。
【0177】
1つの二重特異性融合タンパク質cIL-4Rα-13Rα1_ZW1-cFcは、cIL-4Rα-cIgGB-Fc-ZW-AおよびcIL-13Rα1-cIgGB-Fc-ZW-Bのヘテロ二量体である。別の二重特異性融合タンパク質cIL-4Rα-13Rα2_ZW1-cFcは、cIL-4Rα-cIgGB-Fc-ZW-Aと、
【0178】
cIL-13 Rα2-cIgGB-Fc-ZW-Bとのヘテロ二量体である。
【0179】
【表2】
【0180】
本発明の二重特異性Fc融合タンパク質のモノマーの例を以下に列挙し、アミノ酸置換を太字および下線で示す:
【0181】
cIL-4Rα-cIgGB-Fc-ZW-A[配列番号18]
【数11】
【0182】
cIL-13Rα1-cIgGB-Fc-ZW-B[配列番号19]
【数12】
【0183】
cIL-13Rα2-cIgGB-Fc-ZW-B[配列番号20]
【数13】
【0184】
4つのイヌIgGの従来技術のアミノ酸配列:
cIgGA[配列番号1]従来技術
【数14】
【0185】
cIgGB[配列番号2]従来技術
【数15】
【0186】
cIgGC[配列番号3]従来技術
【数16】
【0187】
cIgGD[配列番号4]従来技術
【数17】
【0188】
4つのイヌIgGのイヌIgGヒンジ領域の従来技術のアミノ酸配列:
cIgGAヒンジ領域[配列番号21]従来技術
【数18】
【0189】
cIgGBヒンジ領域[配列番号22]従来技術
【数19】
このトレオニン(T)は、アラニン(A)としても同定されている。
【0190】
cIgGCヒンジ領域[配列番号23]従来技術
【数20】
【0191】
cIgGDヒンジ領域[配列番号24]従来技術
【数21】
【0192】
cIL-4Rα、cIL-13Rα1およびcIL-13Rα2のECDの従来技術のアミノ酸配列
cIL-4Rα[配列番号48]従来技術
【数22】
【0193】
cIL-13Rα1[配列番号49]従来技術
【数23】
【0194】
cIL-13Rα2[配列番号50]従来技術
【数24】
【0195】
【表3】
【0196】
【表4】
【0197】
【表5】
【0198】
[実施例4]
Fc融合タンパク質のイヌIL-4およびIL-13への結合
方法:
以下の表3および表4に提供されるcFc融合タンパク質の結合定数を、OCTET(登録商標)HTXを使用して決定した。全ての動態測定を、SA(登録商標)バイオセンサおよびDATA ACQUISITION(登録商標)12.0ソフトウェアを使用してOCTET(登録商標)HTXによって行った。10μg/mLのビオチン標識抗原、イヌIL-4(cIL-4)またはイヌIL-13(cIL-13)のいずれかをSA(登録商標)バイオセンサに120秒間ロードした。次に、ブロッキング相のために、バイオセンサを1×pH7.0のTBS/カゼイン緩衝液に60秒間入れた。会合段階のために、抗原をロードしたバイオセンサを、1×pH7.0のTBS/カゼイン緩衝液中のcIL-4抗原またはcIL-13抗原を認識する1μMから15.6nMまでの野生型受容体Fc融合物、二重特異性受容体Fc融合物またはFcRn変異体受容体Fc融合物の2倍連続希釈物に30秒間入れた。最後のウェルは緩衝液のみであり、そのセンサを参照センサの減算に使用した。最後に、バイオセンサを1×pH7.0のTBS/カゼイン緩衝液に120秒間入れて解離相とした。次いで、Data Analysis 12.0ソフトウェアを使用して結果を分析し、1:1結合モデルを使用して曲線をフィッティングした。
【0199】
結果:
cIL-4Rα-cFcおよびcIL-13Rα1-cFc、ならびにcIL-13Rα2-cFcホモ二量体およびヘテロ二量体融合タンパク質の会合速度定数(ka)、解離速度定数(kdis)および解離定数(KD)を以下の表3および表4に示す。以下の表3から分かるように、cIL-4を有する改変されていないcIL-4Rα-cFcホモ二量体の結合定数(KD)は、約1×10-12Mであった。顕著に対照的に、cIL-4を有するヘテロ二量体二重特異性cIL4Rα-IL13Rα1_ZW1-cFcのKDは、約10,000倍高かった(約1×10-8M)。換言すれば、ホモ二量体cIL-4Rα-cFcは、ヘテロ二量体二重特異性cIL4Rα-IL13Rα1_ZW1-cFcよりも約4桁強くcIL-4に結合する。注目すべきことに、改変されたホモ二量体cIL-4Rα-cFc-HのイヌIL-4(1×10-10)への結合についてのKDは、改変されていないcIL-4Rα-Fcホモ二量体のKDよりもおよそ2桁高く、改変されたホモ二量体cIL-4Rα-cFc-YTEのcIL-4(1×10-11)への結合のKDは、改変されたホモ二量体のKDよりもおよそ1桁高かった。さらに、cIL-4へのヘテロ二量体二重特異性cIL4Rα-IL13Rα2_ZW1-cFcの結合は、このアッセイによって検出不能であった。したがって、ホモ二量体cIL-4Rα-cFcを改変してその半減期を増加させると、ホモ二量体cIL-4Rα-cFc-NHおよびcIL-4Rα-cFc-YTEそれぞれに対するcIL-4に対する親和性が約10~100倍低下したが、cIL4Rα-IL13Rα1_ZW1-cFcヘテロ二量体は、改変されていないcIL-4Rα-cFcホモ二量体と比較してcIL-4に対する親和性が約4桁低下したことを示し、二量体cIL4Rα-IL13Rα2_ZW1-cFcのcIL-4に対する親和性は非常に低く、この実験手順では検出できなかった。
【0200】
【表6】
【0201】
cIL-13との改変されていないcIL-13Rα1-cFcの結合定数(KD)は、約5×10-9M(以下の表4を参照)であった。cIL-13Rα1-cFcを改変してその半減期を更に増加させる、すなわちcIL-13Rα1-cFc-YTEを作製すると、cIL-13に対する親和性が約4倍減少し、すなわちKDが2×10-8Mに増加した。特に、ヘテロ二量体二重特異性cIL4Rα-IL13Rα1_ZW1-cFcは、改変されていないIL-13Rα1-cFcよりも8倍強いcIL-13(約4×10-10M、以下の表4を参照)結合を示した。これは、cIL-4に全く同じヘテロ二量体が結合する場合とは直接対照的であり、上記で指摘したように、結合は、対応するcIL-4Rα-cFcホモ二量体に対してほぼ4桁減少した(上記の表3を参照)。これらの結果は、ヘテロ二量体を形成すると、ヘテロ二量体の2つの個々のモノマーのそれぞれの結合パートナーに対する結合親和性に劇的な差が生じ得ることを示している。
【0202】
以下の表4から、改変されていないcIL-13Rα2-cFcは、約7.5×10-13MのKDを有するcIL-13に極めて強く結合することが明らかである。実際、cIL-13Rα2-cFcホモ二量体とcIL-13との結合は、cIL-13Rα1-cFcホモ二量体とcIL-13との結合よりも3~4桁強い。cIL-13 Rα2-cFcをcIL-13 Rα2-cFc-YTEまたはcIL-13 Rα2-cFc-YDのいずれかに改変してその半減期を延ばすと、cIL-13に対する結合親和性がわずかに増加した、すなわちKDが二分の一(約4.0×10-13Mまで)減少した。驚くべきことに、cIL-13Rα2-cFc-YTEまたはcIL-13Rα2-cFc-YDの両方のホモ二量体は、約4×10-9M(以下の表4を参照)のKDを有するヘテロ二量体二重特異性cIL-4Rα-IL13Rα2_ZW1-cFcよりも約4桁強くcIL-13に結合する。
【0203】
【表7】
【0204】
要約すると、IL-4に対する結合親和性は、cIL-4Rα-cFcのホモ二量体が、cIL-13Rα1-cFc-ZW-BまたはcIL-13Rα2-cFc-ZW-Bのいずれかを含むcIL-4Rα-cFc-ZW-Aのヘテロ二量体で置き換えられ、それぞれcIL4Rα-IL13Rα1_ZW1-cFcおよびcIL-4Rα-IL13Rα2_ZW1-cFcを形成する場合に有意に低下するが、親和性の低下は、cIL-4Rα-IL13Rα2_ZW1-cFcヘテロ二量体の場合に実質的に大きい。一方、IL-13の対応する結合親和性は、cIL-13Rα1-cFcのホモ二量体がcIL4Rα-IL13Rα1_ZW1-cFcヘテロ二量体で置き換えられた場合に増大し、一方、IL-13の結合親和性は、cIL-13Rα2-cFcのホモ二量体がcIL-4Rα-IL13Rα2_ZW1-cFcヘテロ二量体で置き換えられた場合に実質的に低下する。
【0205】
[実施例5]
cFc融合タンパク質によるSTAT-6リン酸化の阻害
DH82細胞におけるSTAT-6リン酸化の阻害によって測定される、IL-4およびIL-13によって媒介されるシグナル伝達を遮断するcFc融合タンパク質の能力を以下のように決定した:
【0206】
材料:
1. 活発に増殖しているDH82細胞:Merck Animal Health Lot:628-011、24Oct14
2. HBSS、1X:Corning、カタログ21-022-CM
3. AlphaLISA p-STAT6(Tyr641)アッセイキット:Perkin Elmer、カタログALSU-PST6-A10K
4. 組換えイヌIL-4:R&D Systems、カタログ:752-CL/CF
5a. IL-4研究のためのcFc融合タンパク質試料
(i)cIL4Rα-cFc
(ii)cIL4Rα-IL13Rα1_ZW1-cFc
(iii)cIL4Rα-IL13Rα2_ZW1-cFc
5b. IL-13研究のためのcFc融合タンパク質試料:
(i)cIL13Rα1-cFc
(ii)cIL13Rα2-cFc
(iii)cIL4R-IL13Rα1_ZW1-cFc
(iv)cIL4R-IL13Rα2_ZW1-cFc
6. Perkin Elmer(登録商標)Envisionについて
【0207】
方法:
1. 組織培養プレートにウェルあたり1×10個のDH82細胞(2.5×10細胞/mLの密度で40μL)を播種し、37℃で2時間インキュベートした。
2. cFc融合タンパク質を2000nM(ウェル中の最終濃度500nM)に予備希釈し、次いで、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)で3倍段階希釈した。DH82細胞を含む組織培養プレート上のそれぞれの位置に20μL/ウェルを移すことによってタンパク質を添加した。
3. (a)イヌIL-4をHBSS中10ng/mL(ウェル中2.5ng/mL)に希釈し、プレートの各ウェルに20μL添加した。プレートを37℃で15分間インキュベートするか、または、代替的に、
(b)イヌIL-13をHBSS中20ng/mL(ウェル中5ng/mL)に希釈し、20μLをプレートの各ウェルに添加した。プレートを37℃で15分間インキュベートした。
4. プレートをインキュベーターから取り出し、AlphaLISA(登録商標)p-STAT-6アッセイキットからの20μLの4×溶解緩衝液をプレートの各ウェルに加えた。プレートを350rpmのプレートシェーカー上で室温にて10分間撹拌した。
5. アクセプターミックスをAlphaLISA(登録商標)p-STAT6アッセイキットから調製し、1ウェル当たり15μLを、96ウェルの1/2エリアプレート中の30μLの細胞溶解物に添加した。プレートを密封し、350rpmで2分間撹拌し、次いで、室温で1時間インキュベートした。
6. ドナーミックスを、AlphaLISA(登録商標)p-STAT6アッセイキットから、照明を抑えた実験室で調製し、15μL/ウェルを各プレートに添加した。プレートを密封し、箔で覆い、350rpmで2分間撹拌し、次いで、室温で1時間インキュベートした。
7. プレートを、Perkin Elmer(登録商標)EnVisonのAlphaScreen設定を使用して読み取った。
【0208】
結果:
(a)DH82におけるcIL4Rα-cFc、cIL4Rα-IL13Rα1_ZW1-cFc、およびcIL4Rα-IL13Rα2_ZW1-cFcによるcIL-4媒介STAT6リン酸化の阻害についてのIC50を以下の表5Aに提供する。見て分かるように、ホモ二量体cIL-4Rα-cFcおよびヘテロ二量体二重特異性cIL-4Rα-IL-13Rα1_ZW1-cFcの両方が、それぞれ約80pMおよび約50pMの濃度でIL-4媒介STAT6リン酸化の50%を阻害するのに対して、cIL-4Rα-IL-13Rα2_ZW1-cFcは、cIL4Rα-cFcまたはcIL4Rα-IL13Rα1_ZW1-cFcのいずれよりも3桁超高い濃度(すなわち、約0.2μM)でcIL-4媒介STAT6リン酸化の50%を阻害する。興味深いことに、ヘテロ二量体cIL-4Rα-IL13R2αコンストラクトとは直接対照的に、ヘテロ二量体cIL-4Rα-IL13R1αコンストラクトは、ホモ二量体cIL-4Rα-cFcよりもcIL-4(表4を参照)に対して強くないにしても、少なくとも同様に結合し、この関係は表5AのIC50データと一致する。
【0209】
(b)DH82細胞におけるcIL13Rα1-cFc、cIL13Rα2-cFc、cIL4Rα-IL13Rα1_ZW1-cFc、およびcIL4Rα-IL13Rα2_ZW1-cFcによるcIL-13介在性STAT6リン酸化の阻害についてのIC50を以下の表5Bに提供する。見て分かるように、cIL-13Rα2-cFcは、約165pMの濃度でcIL-13媒介STAT6リン酸化の50%を阻害するが、cIL13Rα1-cFc、cIL4Rα-IL13Rα1_ZW1-cFc、およびcIL4Rα-IL13Rα2_ZW1-cFcは全て、ナノモル濃度をはるかに超えるcIL-13媒介STAT6リン酸化の50%を阻害する。したがって、cIL-13介在性STAT6リン酸化の50%を阻害するcIL-4Rα-IL-13Rα1_ZW1-cFcの濃度は、cIL-13Rα1-cFcの場合よりも6倍低いが、依然としてcIL-13Rα2-cFcの場合よりも約20倍高いのに対して、cIL-13介在性STAT6リン酸化の50%を阻害するcIL-4Rα-IL-13Rα2_ZW1-cFcの濃度は、cIL-13Rα2-cFcの場合よりも約200倍高い。したがって、改変されていないcIL-13Rα2-cFcホモ二量体は、驚くべきことに、cIL-4Rα-IL-13Rα2_ZW1-cFcよりもcIL-13により強く結合する(上記の表4を参照)だけでなく、cIL-4Rα-IL-13Rα2_ZW1-cFcについて見出される濃度よりも実質的に低い濃度でcIL-13媒介STAT6リン酸化も一貫して阻害する(以下の表5Bを参照)。
【0210】
【表8】
【0211】
【表9】
【0212】
以下の表6は、得られた結果を要約しており、様々な結合パートナーの解離定数をそれぞれのIC50と相関する。見て分かるように、最適なサイトカイントラップは、cIL-13Rα2-cFcのホモ二量体を有するcIL-4Rα-cFcのホモ二量体であるが、cIL-13Rα1-cFcのホモ二量体を有するcIL-4Rα-cFcのホモ二量体およびcIL-13Rα1-cFcを有するcIL-4Rα-cFcのヘテロ二量体の両方も実行可能な代替物であると思われる。
【0213】
【表10】
【0214】
[実施例6]
イヌIL-31に対する従来技術のイヌ化抗体
本発明において有用であり得る抗体は、米国特許第9,206,253号B2および米国特許第10,150,810号B2に記載されているものである。好ましくは、これらの抗体は、以下の軽鎖および重鎖配列を有する:
【0215】
マウス抗体クローンM14およびイヌIgG-Bからのイヌ化重鎖配列:
[配列番号14]従来技術
【数25】
【0216】
マウス抗体クローンM14およびイヌ軽鎖定常領域由来のイヌ化軽鎖配列:[配列番号15]従来技術
【数26】
【0217】
Z-HC:イヌ化重鎖配列:[配列番号16]従来技術
【数27】
【0218】
Z-LC:イヌ化軽鎖配列:[配列番号17]従来技術
【数28】
【0219】
【表11】
【0220】
[実施例7]
IL-31Rαに対するイヌ化抗体
イヌIL-31Rαに対するラットモノクローナル抗体:
イヌIL-31Rαに対するモノクローナル抗体を、(毎回25μgの抗原/動物を使用して)イヌIL-31Rαの細胞外ドメイン(ECD)でラットを3~4週間にわたって複数回免疫することによって産生させた。免疫後、血清を各動物から回収し、ELISAによってイヌIL-31Rα ECDに対して試験した。最も高いIL-31Rα ECD反応性を有する動物のリンパ節細胞を骨髄腫SP2/0細胞株と融合させて、ハイブリドーマを産生した。融合の約10日後、成長中のハイブリドーマ由来の上清を、IL-31Rα ECDタンパク質被覆プレート上で、以下に記載されるプロトコルを使用してELISAによってスクリーニングした。3つのラットモノクローナル抗体、44E3、10A12および28F12をイヌ化のために選択した。これらのイヌ化抗体は、イヌIL-31Rαに強固に結合する。
【0221】
ELISAの手順:
1. 96ウェルのハーフエリアプレートを、25μL/ウェルのIL-31Rα(PBS緩衝液中1μg/mL)でコーティングする。プレートを4℃で一晩インキュベートする。
2. プレートをPBST(PBS+0.05%Tween20)で3回洗浄する
3. ブロッキング緩衝液(5%FBSを含むPBS)により、25ul/ウェルでプレートを室温で30分間ブロッキングする。
4. 25ul/ウェルハイブリドーマ上清を96ウェルプレートに移し、室温で60分間インキュベートする。
5. PBSTによってプレートを3回洗浄する。
6. 25ul/ウェルの抗ラットIgG-HRPコンジュゲート、ブロッキング緩衝液中1:4000希釈液をプレートに添加し、室温で60分間インキュベートする。
7. プレートをPBSTで5回洗浄する。
8. 20~30分間の比色反応のために、TMB系試薬をプレートに添加する。
9. 0.16M硫酸で反応を停止する。
10. プレートリーダーによってプレートを読み取る。
【0222】
これらの手順を使用して、イヌIL-31Rαと反応するいくつかのハイブリドーマ分泌抗体を同定した。
イヌ化抗体の作製およびイヌIL-31Rαへのイヌ化抗体の結合:
イヌIL-31Rαと反応性の選択されたラット抗体のHCおよびLCのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を決定した。各抗体について3つのHC CDRおよび3つのLC CDRを表すアミノ酸配列も決定した。これらのCDRを使用して、イヌIL-31Rα ECDに結合するイヌ化抗体を開発した。IL-31Rαに対するイヌ化抗体の結合を以下のようにELISAによって決定した:
【0223】
材料:
1. 抗イヌIgG(cFc特異的)-ペルオキシダーゼ(Sigma-Aldrich SAB3700109-1.5MG)
2. TMB-ELISA基質(Thermo-Fisherカタログ番号34028)
3. PBS pH7.4(Thermo-Fisherカタログ番号10010001)
4. Tween20を含むトリス緩衝生理食塩水(TBST)(Sigma-Aldrich T9039-10PAK)
【0224】
方法:
1. 1μg/mL、100μL/ウェルのPBS緩衝液中のcIL-31Rαによって免疫プレートをコーティングする。プレートを37℃で1~2時間または4℃で一晩インキュベートする。
2. TBST緩衝液でプレートを3回洗浄する。
3. ブロッキング緩衝液(TBST中0.5%BSA)によってプレートを室温で45~60分間ブロッキングする。
4. 抗cIL31-Rα抗体を希釈プレート中のブロッキング緩衝液で三倍希釈し、希釈した抗体をcIL-31Rα被覆プレートに移し、室温で45~60分間インキュベートする。
5. TBSTでプレートを3回洗浄する。
6. 1:2000希釈HRPコンジュゲート抗イヌIgG Fcをプレートに添加し、室温で45~60分間インキュベートする。
7. TBSTによってプレートを3回洗浄する。
8. TMB-ELISA基質を比色反応のためにプレートに10~15分間添加する。
9. 1M HPOによって反応を停止させる。
10. プレートを450nMでプレートリーダーによって読み取る。
【0225】
結果:
図1は、ELISAによって評価される、関連するキメラ抗イヌIL-31Rα抗体およびイヌ化抗イヌIL-31Rα抗体の結合活性を示す。ラット抗体44E2の異なる設計をELISAで評価した。ELISAの結果は、全てのイヌ化抗体が、キメラ44E2抗体のEC50に類似するEC50でイヌIL-31Rαに結合するが、c44E2 H5k1は、対応するキメラ44E2抗体のEC50に最も類似するEC50でイヌIL-31Rαに結合することを示している。
【0226】
図2は、ELISAによって評価される、関連するキメラ抗イヌIL-31Rα抗体およびイヌ化抗イヌIL-31Rα抗体の結合活性を示す。ラット抗体10A12の異なる設計をELISAで評価した。ELISAの結果は、イヌ化抗体の1つ(c10A12 H2L6)が、対応するキメラ10A12抗体のEC50よりも更に低いEC50でイヌIL-31Rαに結合することを示している。
【0227】
図3は、ELISAによって評価される、関連するキメラ抗イヌIL-31Rα抗体およびイヌ化抗イヌIL-31Rα抗体の結合活性を示す。ラット抗体28F12の異なる設計をELISAで評価した。ELISAの結果は、イヌ化抗体がイヌIL-31Rαに結合し、キメラ28F12抗体のEC50よりも更に低いEC50を有することを示している。
【0228】
以下は、本発明のキメラ抗体(ラット-イヌ)およびイヌ化抗体のアミノ酸配列の例である。CDRを表すアミノ酸に下線を引く。
【0229】
r10A12VH-cIgGBm[配列番号25]
【数29】
【0230】
c10A12VH1-cIgGBm[配列番号26]
【数30】
【0231】
c10A12VH2-cIgGBm[配列番号27]
【数31】
【0232】
r10A12VL-cCl[配列番号28]
【数32】
【0233】
c10A12VL4-cCl[配列番号29]
【数33】
【0234】
c10A12VL5-cCl[配列番号30]
【数34】
【0235】
c10A12VL6-cCl[配列番号31]
【数35】
【0236】
r28F12VH-cIgGBm[配列番号32]
【数36】
【0237】
c28F12VH1-cIgGBm[配列番号33]
【数37】
【0238】
c28F12VH2-cIgGBm[配列番号34]
【数38】
【0239】
r28F12VL-cCk[配列番号35]
【数39】
【0240】
c28F12VL1-cCk[配列番号36]
【数40】
【0241】
c28F12VL2-cCk[配列番号37]
【数41】
【0242】
c28F12VL3-cCk[配列番号38]
【数42】
【0243】
c28F12VL4-cCk[配列番号39]
【数43】
【0244】
r44E2VH-cIgGBm[配列番号40]
【数44】
【0245】
c44E2VH1-cIgGBm[配列番号41]
【数45】
【0246】
c44E2VH4-cIgGBm[配列番号42]
【数46】
【0247】
c44E2VH5-cIgGBm[配列番号43]
【数47】
【0248】
r44E2VL-cCk[配列番号44]
【数48】
【0249】
c44E2VL1-cCk[配列番号45]
【数49】
【0250】
c44E2VL2-cCk[配列番号46]
【数50】
【0251】
c44E2VL4-cCk[配列番号47]
【数51】
【0252】
【表12】
【0253】
【表13】
【0254】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に記載されたものに加えて、本発明の様々な変更は、前述の説明から当業者には明らかになるであろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
【配列表】
2024532159000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヌインターロイキン-4受容体アルファ-cFc融合タンパク質(cIL-4Rα-cFc)およびインターロイキン-13受容体アルファ1-cFc融合タンパク質(cIL-13Rα1-cFc)を含むヘテロ二量体を含む組成物であって、
前記cIL-4Rα-cFc融合タンパク質が、イヌインターロイキン-4(cIL-4)に結合するイヌインターロイキン-4受容体アルファ(cIL-4Rα)の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメントと、第1のcFcとを含み、かつ
前記cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質が、イヌインターロイキン-13(cIL-13)に結合するイヌインターロイキン-13受容体アルファ1(cIL-13Rα1)の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメントと、第2のcFcとを含み、
前記第1のcFcおよび前記第2のcFcが同じであるか、または異なるかのいずれかである、組成物。
【請求項2】
一対のイヌインターロイキン-4受容体アルファ-イヌフラグメント結晶化可能領域融合タンパク質(cIL-4Rα-cFc融合タンパク質)を含むホモ二量体と、一対のイヌインターロイキン-13受容体アルファ1-イヌフラグメント結晶化可能領域融合タンパク質(cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質)を含むホモ二量体とを含む組成物であって、
前記一対のcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の各々が、イヌインターロイキン-4(cIL-4)に結合するイヌインターロイキン-4受容体アルファ(cIL-4Rα)の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメントと、第1のイヌフラグメント結晶化可能領域(cFc)とを含み、かつ
前記一対のcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の各々が、イヌインターロイキン-13(cIL-13)に結合するイヌインターロイキン-13受容体アルファ1(cIL-13Rα1)の細胞外ドメイン(ECD)またはそのフラグメントと、第2のcFcとを含み、
前記第1のcFcおよび前記第2のcFcが同じであるか、または異なるかのいずれかである、組成物。
【請求項3】
前記第1のcFcおよび前記第2のcFcが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4および配列番号51からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を個々に含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記cIL-4Rα-cFc融合タンパク質が、第1のイヌヒンジ領域を更に含み、前記第1のイヌヒンジ領域が、前記cIL-4Rαの前記ECDと前記第1のcFcとの間のリンカーとして作用し、かつ
前記cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質が、第2のイヌヒンジ領域を更に含み、前記第2のイヌヒンジ領域が、前記cIL-13Rα1の前記ECDと前記第2のcFcとの間のリンカーとして作用し、前記第1のイヌヒンジ領域および前記第2のイヌヒンジ領域が、同じであるか、または異なるかのいずれかである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1のイヌヒンジ領域および前記第2のイヌヒンジ領域が、配列番号21、配列番号22、配列番号23、および配列番号24からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を個々に含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1のcFcが、配列番号2および配列番号51からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、かつL117Y/F173A/Y175Vのアミノ酸置換を更に含み、かつ
前記第2のcFcが、配列番号2および配列番号51からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、99%または100%の同一性を有し、かつT132L/R160L/T162Wのアミノ酸置換を更に含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
cIL-4Rαの前記ECDが、配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%または100%の同一性を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
cIL-13Rα1の前記ECDが、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%または100%の同一性を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1のイヌヒンジ領域が、前記cIL-4Rαの前記ECDと前記第1のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用し、かつ前記cIL-4Rαの前記ECDと前記第1のcFcとの間の前記唯一のリンカーが、イヌにおいて天然に見られるタンパク質中のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)と同一のアミノ酸配列を含む、請求項4~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記第2のイヌヒンジ領域が、前記cIL-13Rα1の前記ECDと前記第2のcFcとの間の唯一のリンカーとして作用し、前記cIL-13Rα1の前記ECDと前記第2のcFcとの間の前記唯一のリンカーが、イヌにおいて天然に見られるタンパク質中のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)を含む、請求項4~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記cIL-4Rα-cFc融合タンパク質が、イヌにおいて天然に見られるタンパク質のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)と同一のアミノ酸配列のみから構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記cIL-13Rα1-cFc融合タンパク質が、イヌにおいて天然に見られるタンパク質のアミノ酸配列(その天然に存在する変異体を含む)と同一のアミノ酸配列のみから構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ヘテロ二量体において、前記cIL-4Rα-cFcが配列番号18のアミノ酸配列を含み、前記IL-13Rα1-cFcが配列番号19のアミノ酸配列を含む、請求項1、3~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ホモ二量体において、前記一対のcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の各々が、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項2~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記一対のcIL-4Rα-cFc融合タンパク質の各々が、配列番号5、配列番号8、配列番号11および配列番号12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ホモ二量体において、前記一対のcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の各々が、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項2~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記一対のcIL-13Rα1-cFc融合タンパク質の各々が、配列番号6および配列番号9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、イヌIL-31Rに対するイヌ化抗体およびイヌIL-31Rに対するイヌ抗体からなる群から選択される抗体を更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
イヌIL-31Rに対する前記イヌ化抗体が、
(i)配列番号33および配列番号34からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、ならびに配列番号36、配列番号37、配列番号38および配列番号39からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖、ならびに
(ii)配列番号41、配列番号42および配列番号43からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、ならびに配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)阻害剤、またはTH2細胞上に発現される化学誘引物質受容体相同分子に対するアンタゴニストからなる群から選択される1つ以上の追加の成分を更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記JAK阻害剤が、以下からなる群から選択される、請求項20に記載の組成物
【化1】
(式中、Rは、ヒドロキシで置換されていてもよいC1~4アルキルおよびその薬学的に許容され得る塩である)、
【化2】
およびその薬学的に許容され得る塩、ならびに
【化3】
およびその薬学的に許容され得る塩。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物を、アトピー性皮膚炎を有するイヌに投与することを含む、アトピー性皮膚炎を治療する方法。
【請求項23】
イヌにおいて、アトピー性皮膚炎の治療に使用するための、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
イヌにおいて、アトピー性皮膚炎の治療に使用するための医薬の調製における、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【国際調査報告】