(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】細胞セラピー注入デバイス、システム、およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/145 20060101AFI20240829BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61M5/145 500
A61M5/315 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509502
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-13
(86)【国際出願番号】 US2022040519
(87)【国際公開番号】W WO2023023100
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524060658
【氏名又は名称】セリュラー ヴィーカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ,ニキル エス.
(72)【発明者】
【氏名】フォリ,マーカス
(72)【発明者】
【氏名】ターコール,アヴニシュ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC10
4C066DD12
4C066EE14
4C066FF01
4C066GG01
4C066HH02
4C066HH14
4C066HH17
4C066QQ35
(57)【要約】
患者の組織、細胞、および/または血液への細胞セラピーを含む媒体の送達のための細胞セラピー注入デバイスは、バレルと、バレル内に嵌合するプランジャと、シリンジシャフトと、デバイス内で所望のレベルの圧力および/または力を達成および/または維持するように構成された圧力除去システムであって、それにより、細胞挙動および/または生存率が、細胞セラピー媒体が患者への投与のためにバレルから患者送達デバイスに押し出され得るようにプランジャをバレル内に押し下げることによって及ぼされる機械的力による悪影響を受けない、圧力除去システムとを含む。細胞セラピー注入デバイスは、バレル内に貯蔵される細胞セラピー媒体の好ましい状態を作り出しおよび/または維持し、一定した、調整された、および/または好ましい方法で、細胞セラピー媒体を細胞セラピー注入デバイスから患者に自動的に投与するように設計された細胞セラピー注入システムと協働し、および/またはその内部に嵌合されてもよい。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞セラピー注入デバイスにおいて、
バレルであって、前記バレル内へのプランジャの挿入を許容し、細胞セラピー媒体のボリュームを含有するようにサイズ設定および成形された、バレルと、
シリンジシャフトであって、前記シリンジシャフトの第1の端部が、前記バレルと物理的に結合され、液体連通しており、前記シリンジシャフトの第2の端部が、カテーテルと結合するように構成されたカテーテルカップリングを含む、シリンジシャフトとを備え、
前記プランジャは、前記バレル内の第1の位置に位置決めされ、前記プランジャおよびバレルのアセンブリは、前記プランジャが前記第1の位置から第2の位置に並進されるときに、前記細胞セラピー媒体を前記バレルから前記シリンジシャフトに押し込む力が、細胞セラピー媒体の前記ボリュームに印加されるように構成され、
前記細胞セラピー注入デバイスが、
前記シリンジシャフトと物理的に結合され、連通している圧力除去システムであって、前記シリンジシャフトおよび前記バレルの少なくとも1つの中で圧力を吸収するように構成される、圧力除去システムをさらに備える、細胞セラピー注入デバイス。
【請求項2】
前記圧力除去システムが、力が及ぼされたときに形状が拡張するダイヤフラムを含む、請求項1に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項3】
前記シリンジシャフトが、前記シリンジシャフトが静止したままで前記シリンジシャフトの周りを前記バレルが回転することを可能にするように構成されたカップリングを介して、前記バレルに物理的に結合される、請求項1または2に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項4】
前記バレル、前記プランジャ、および前記シリンジシャフトのうち少なくとも1つの内部表面が、抗接着コーティングでコーティングされる、請求項1または2に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項5】
前記プランジャが、圧力を弱める先端を含む、請求項1または2に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項6】
バレル回転機構が、前記バレルの外部表面の一部を包囲し、前記バレル回転機構は、前記バレル内に含有される細胞セラピー媒体の前記ボリュームを攪拌するために、細胞セラピー注入システムの対応する回転機構と協働するように構成および位置決めされる、請求項1または2に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項7】
前記圧力除去システムが、細胞セラピー媒体の前記ボリュームが内部に貯蔵されている前記細胞セラピー注入デバイスの凍結プロセス中に拡張する細胞セラピー媒体を含有し、前記圧力除去システムは、前記拡張を吸収する、請求項1または2に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項8】
前記バレル、シリンジシャフト、およびプランジャの構造に使用される材料が、同様の凍結および解凍特性を有する、請求項1または2に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項9】
前記プランジャが、シーリング機構であって、前記バレルの内部表面と連動し、前記内部表面上に力を及ぼすように構成され、それによって前記バレル内の細胞セラピー媒体の前記ボリュームを封止する、シーリング機構をさらに含み、前記シーリング機構によって前記バレルの前記内部表面に及ぼされる前記力は、細胞セラピー媒体の凍結したボリュームが前記シーリング機構を超えて拡張するのを防止するのに十分である、請求項1または2に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項10】
細胞セラピー注入デバイスにおいて、
バレルであって、前記バレル内へのプランジャの挿入を許容し、細胞セラピー媒体のボリュームを含有するようにサイズ設定および成形された、バレルと、
シリンジシャフトであって、前記シリンジシャフトの第1の端部が、前記バレルと物理的に結合され、液体連通しており、前記シリンジシャフトの第2の端部が、カテーテルと結合するように構成されたカテーテルカップリングを含み、前記シリンジシャフトは、前記シリンジシャフトが静止したままで前記シリンジシャフトの周りを前記バレルが回転することを可能にするように構成されたカップリングを介して、前記バレルに物理的に結合される、シリンジシャフトとを備え、
前記プランジャは、前記バレル内の第1の位置に位置決めされ、プランジャおよびバレルのアセンブリは、前記プランジャが前記第1の位置から第2の位置に並進されるときに、前記細胞セラピー媒体を前記バレルから前記シリンジシャフトに押し込む力が、細胞セラピー媒体の前記ボリュームに印加されるように構成される、細胞セラピー注入デバイス。
【請求項11】
前記バレルの回転が、前記細胞セラピー媒体を攪拌し、それによって前記細胞セラピー媒体内に含まれる細胞セラピーが前記バレルの表面に接着するのを防止する、請求項10に記載の細胞セラピー送達デバイス。
【請求項12】
前記シリンジシャフトの前記第1の端部が、前記シリンジシャフトを静止状態に保ちながら軸の周りを前記バレルが回転することを可能にするスリップシールコネクタを介して、前記バレルに物理的に結合される、請求項10または11に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項13】
前記バレル、前記プランジャ、および前記シリンジシャフトのうち少なくとも1つの内部表面が、抗接着コーティングでコーティングされる、請求項10または11に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項14】
前記プランジャが、圧力を弱める先端を含む、請求項13に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項15】
バレル回転機構が、前記バレルの外部表面の一部を包囲し、前記バレル回転機構は、前記バレル内に含有される細胞セラピー媒体の前記ボリュームを攪拌するために、細胞セラピー注入システムの対応する回転機構と協働するように構成および位置決めされる、請求項10または11に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項16】
前記バレル、シリンジシャフト、およびプランジャの構造に使用される材料が、同様の凍結および解凍特性を有する、請求項10または11に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項17】
前記プランジャが、シーリング機構であって、前記バレルの内部表面と連動し、前記内部表面上に力を及ぼすように構成され、それによって前記バレル内の細胞セラピー媒体の前記ボリュームを封止する、シーリング機構をさらに含み、前記シーリング機構によって前記バレルの前記内部表面に及ぼされる前記力は、細胞セラピー媒体の凍結したボリュームが前記シーリング機構を超えて拡張するのを防止するのに十分である、請求項10または11に記載の細胞セラピー注入デバイス。
【請求項18】
細胞セラピー注入システムにおいて、
細胞セラピー注入デバイスを内部の所定場所に受容および保持するためのエンドプレートであって、カテーテル出口ポートを含み、前記カテーテル出口ポートは、前記細胞セラピー注入デバイスに結合されたカテーテルが、前記カテーテル出口ポートを介して前記細胞セラピー注入システムから出ることを可能にするように構成、配置、および位置決めされ、前記細胞セラピー注入デバイスが、
バレルであって、前記バレル内へのプランジャの挿入を許容し、細胞セラピー媒体のボリュームを含有するようにサイズ設定および成形された、バレル、および
シリンジシャフトであって、前記シリンジシャフトの第1の端部が、前記バレルと物理的に結合され、液体連通しており、前記シリンジシャフトの第2の端部が、カテーテルと結合するように構成されたカテーテルカップリングを含む、シリンジシャフトを備え、
前記プランジャは、前記バレル内の第1の位置に位置決めされ、前記プランジャは、圧縮力が前記プランジャに印加されたときに、前記プランジャが前記第1の位置から第2の位置まで並進され、それによって細胞セラピー媒体の前記ボリュームを前記バレルから前記シリンジシャフトに押し出すように構成される、エンドプレートと、
機械的に結合されたヘッドプレートを移動させるためのモータであって、
前記ヘッドプレートは、前記モータに機械的に結合され、前記モータの移動に応答して一定した圧縮力を前記プランジャに印加するように構成され、前記一定した圧縮力は、前記プランジャを前記第1の位置から前記第2の位置に並進させる、モータとを備える、細胞セラピー注入システム。
【請求項19】
前記細胞セラピー注入システム内の温度を測定するように構成された温度計と、
前記温度計に結合された熱源であって、前記温度計によって測定された温度に応答して熱を生成するように構成される、熱源とをさらに備える、請求項18に記載の細胞セラピー注入システム。
【請求項20】
細胞セラピー媒体の前記ボリュームを攪拌するように構成された攪拌機構をさらに備える、請求項18または19に記載の細胞セラピー注入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2022年5月25日出願の、「Cellular Therapy Infusion Devices,Systems,And Methods For Use」と題する米国特許出願第17/824,881号、2021年8月18日出願の、「Cell and Gene Therapy Delivery Systems and Methods」と題する米国仮特許出願第63/234,426号、および2021年12月20日出願の、「Cell and Gene Therapy Capital Delivery Systems and Accessories」と題する米国仮特許出願第63/291,933号に対する優先権を主張し、これらの出願のすべてを参照によって本明細書に全体的に組み込む国際特許出願である。
【背景技術】
【0002】
操作されたT細胞(CAR(キメラ抗原受容体) T細胞療法)を利用する急性白血病およびリンパ種などのがんを含む血液系疾患の治療における近年の革新は、多数の適応症にわたる細胞ベースの療法(細胞療法)の可能性において多大な刺激をもたらしている。現在承認されている治療は、典型的には、細胞を直接血流に静脈内送達することを伴う。この送達方法は、疾患標的が、がん性血液細胞であるという前提で血液系疾患(blood based diseases)を治療するのには十分である。しかし、固形組織適応症の治療のための細胞の静脈内送達は、標的組織内での送達された細胞の生着および維持が難しく、細胞収量は5%を下回る結果となることが多い。これらの低い収量の理由はいくつかあり、細胞がこれらの循環戻り経路上で肺または肝臓および脾臓などのろ過器官によって捕捉されること、細胞が標的を外した挙動を有すること、細胞が移植片対宿主の免疫反応を経験すること、または細胞が体内への送達中に経験する機械的力によって損傷したり殺されたりすることなどがあげられる。これらの力からの損傷は、3Dバイオプリンティング研究において十分に説明されてきており、研究は、膵臓ベータ細胞が20kPaを上回る圧力を受けたときに30%を超える細胞生存率の損失を経験することを示している。このレベルの圧力およびその後のせん断応力は、細胞膜を引き裂く、および/または細胞のタンパク質発現を変化させるシリンジによる注射中に日常的に起こり得る。これらの要因は、炎症促進性マーカを細胞に発現させることがあり、それによって、死に至る恐れがある患者の炎症反応である、意図しない免疫カスケードがもたらされる。追加的に、固形組織細胞は自然の接着細胞であるため、これらは互いに凝集し、または送達に使用されるデバイスの内側表面に接着する傾向があり、その結果、圧力および細胞損傷をさらに増大させる閉塞を送達チャネル内にもたらし、また、患者間で一貫性のない投与が生じる可能性もある。
【0003】
細胞および遺伝子療法で使用される細胞は、化学的、機械的、またはさらには電気的なものであれ、外部環境要因に対して細心の注意が必要であり、影響を受けやすいことで有名である。これまでの細胞セラピーの投与は、細胞セラピーの送達ではなく、従来の薬物送達に合わせて設計された市販のデバイスを利用してきた。細胞は、標準的な薬物送達に使用される分子とは異なり、その周囲環境からの機械的応力因子に極めて影響を受けやすく、その結果、利用される送達方法およびルートに起因して、それらの機能を変化させ、または劣化させる可能性もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示する例示的な細胞セラピー用の注入デバイス(cellular therapy infusion devices)は、バレルと、バレル内に嵌合するようにサイズ設定、成形、および構成されたプランジャと、シリンジシャフトと、圧力除去システムとを含んでもよい。バレルは、その内部へのプランジャの挿入を許容するようにサイズ設定および成形されてもよく、たとえば、液体および/または凍結した形態の細胞セラピー媒体(cellular therapy media)のボリュームを含有または保持してもよい。プランジャは、シーリング機構(たとえば、ガスケット)であって、シーリング機構とバレルの内部表面との間に液密および/または気密シールを作るためにバレルの内部壁と連動する、シーリング機構を有してもよい。いくつかの実施形態では、シーリング機構によってバレルの内部表面に及ぼされる力の大きさは、凍結プロセスによって細胞セラピー媒体が、たとえば液体形態から固体形態に状態を変化させることによって及ぼされる力に耐えるのに十分であってもよく、および/または、たとえばボリュームの低減に伴って細胞セラピー媒体が凍結相から液体相に移行するときに漏出を防止するのに十分であってもよい。これらの実施形態では、シーリング機構によってバレルの内部表面に及ぼされる力の大きさは、細胞セラピー注入デバイスに凍結プロセスが行われる間およびその後に、細胞セラピー媒体リザーバ内に細胞セラピー媒体のすべて、またはほとんどを保つように作用してもよい。いくつかのケースでは、バレルおよびプランジャのアセンブリは、シリンジシャフトを移動させずに、バレル内に含有される細胞セラピー媒体のボリュームの攪拌を可能にするように構成される。
【0005】
シリンジシャフトの第1の端部は、細胞セラピー媒体のボリュームを保持するバレルおよび/またはバレルの一部と物理的に結合され、液体連通してもよい。シリンジシャフトの第2の端部は、カテーテルまたは針などの、患者への細胞セラピーの送達を容易にするために別のデバイスに結合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、シリンジシャフトの第2の端部は、カテーテルに結合するように構成されたカテーテルカップリング(たとえば、ルアーロックカップリング)を含む。いくつかのケースでは、シリンジシャフトは、カップリング(たとえば、スリップシール)を介してバレルに物理的に結合されてもよく、このカップリングは、シリンジシャフトが静止したままでシリンジシャフトの周りをバレルが回転することを可能にし、それにより、たとえば、細胞セラピー媒体のボリュームが攪拌され得、ならびに/または細胞セラピー媒体内に含まれる細胞および/または細胞材料が細胞セラピー注入デバイスの内部表面に接着することが防止され得る。
【0006】
患者への細胞セラピー媒体の投与の前に、プランジャは、バレル内の第1の位置に位置決めされてもよく、プランジャおよびバレルのアセンブリは、プランジャが第1の位置から第2の位置に(たとえば、プランジャの手動および/または自動の押し下げによって)並進されるときに、細胞セラピー媒体をバレルからシリンジシャフト内に、いくつかのケースでは患者への最終的な送達のためにカテーテルまたは他の患者送達デバイス内に押し込む力が、細胞セラピー媒体のボリュームに印加され得るように構成されてもよい。
【0007】
圧力除去システムは、シリンジシャフトと物理的および/または機械的に結合され、連通してもよく、たとえばシリンジシャフトおよびバレルの少なくとも1つの中でのプランジャの押し下げ(たとえば、第1の位置と第2の位置との間の並進)によって細胞セラピー媒体のボリュームに及ぼされる力および/または圧力を吸収するように構成されてもよく、それによって、細胞セラピー媒体内に含まれる細胞、またはその一部に印加される力および/または圧力の大きさが低減される。いくつかのケースでは、圧力除去システムは、弾性的であり得る、力が及ぼされたときに形状が拡張するダイヤフラムを含む。いくつかの実施形態では、圧力除去システムは、中空カップリングおよび/またはチューブを介してシリンジシャフトに結合されてもよく、ダイヤフラムは、シリンジシャフトと連通している中空カップリングおよび/またはチューブの管腔を覆ってもよく、それにより、たとえば第1から第2の位置へのプランジャの並進によって細胞セラピー媒体のボリュームに印加される圧力または力は、中空カップリングおよび/またはチューブを通るように導かれ、並進され、および/または圧力除去システム内のダイヤフラムの拡張によって吸収され得る。時には、圧力除去システムは、ダイヤフラムを覆い、ダイヤフラムが内部に拡張し得る中空空間をもたらす、圧力チャンバカバーを含んでもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、圧力除去システムは、バレル内に含有される細胞セラピー媒体のボリューム近くにあるように、および/またはこれと連通するように構成されたプランジャの端部に位置決めされた圧力を弱める先端(pressure dampening tip)を含んでもよい。圧力を弱める先端は、たとえば、プランジャが第1から第2の状態に並進されるときに起こり得るような圧力および/または力が及ぼされたときに変形するように設計された、1つまたは複数の柔軟な、または可撓性の構成要素を含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、バレル回転機構が、バレルの外部表面の一部上に位置決めされてもよい。バレル回転機構は、バレル内に含有される細胞セラピー媒体のボリュームをバレルの回転によって攪拌するために、細胞セラピー注入システムの対応する回転機構と協働するように構成および位置決めされてもよい。
【0010】
代替の実施形態では、細胞セラピー注入デバイスは、バレルと、シリンジシャフトと、プランジャとを含んでもよい。いくつかのケースでは、細胞セラピー注入デバイスまたはその構成要素の内部表面は、細胞セラピー媒体内に含まれる細胞または細胞成分の接着が細胞セラピー注入デバイスに接着するのを防止する抗接着コーティング(たとえば、低摩擦または疎水性のコーティング)によって、コーティングされてもよい。
【0011】
バレルは、その内部へのプランジャの挿入を許容し、細胞セラピー媒体のボリュームを含有するようにサイズ設定および成形されてもよい。時には、バレル回転機構は、バレルの外部表面の一部を包囲する。バレル回転機構は、バレル内に含有される細胞セラピー媒体のボリュームを攪拌するために、細胞セラピー注入システムの対応する回転機構と協働するように構成および位置決めされてもよい。
【0012】
シリンジシャフトの第1の端部は、バレルと物理的に結合され、液体連通してもよく、シリンジシャフトの第2の端部は、カテーテルに結合するように構成されたカテーテルカップリング(たとえば、ルアーロックカップリング)を含んでもよい。シリンジシャフトは、シリンジシャフトが静止したままでシリンジシャフトの周りをバレルが回転することを可能にするように構成されたカップリング(たとえばスリップシール)を介して、バレルに物理的に結合されてもよい。
【0013】
プランジャは、バレル内で第1の位置に位置決めされてもよく、プランジャおよびバレルアセンブリは、プランジャが第1の位置から第2の位置に並進されたときに、力および/または圧力が細胞セラピー媒体のボリュームに印加されるように構成されてもよい。この力および/または圧力は、患者インターフェースデバイス(たとえばカテーテル、静脈内バッグ、または針)への最終的な送達のために細胞セラピー媒体をバレルからシリンジシャフトに押し込んでもよい。いくつかの実施形態では、シリンジシャフトに近接するプランジャの一部は、圧力を弱める先端であって、プランジャが第1から第2の位置に並進されるときにバレル内に存在する細胞セラピー媒体のボリュームに及ぼすであろう圧力および/または力を吸収するように構成される、圧力を弱める先端を含む。
【0014】
細胞セラピー送達デバイスは、バレルの回転が細胞セラピー媒体を攪拌し、それによって細胞セラピー媒体内に含まれる細胞セラピーがバレルの表面に接着するのを防止するように構成されてもよい。これは、たとえば、シリンジシャフトを静止状態に保ちながら軸の周りをバレルが回転することを可能にする、シリンジシャフトとバレルとの間のスリップシールコネクタによって達成されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、細胞セラピー注入デバイスは、シリンジシャフトと物理的に結合され、連通している圧力除去システムを含んでもよい。圧力除去システムは、シリンジシャフトおよび/またはバレル内の力および/または圧力(たとえば液圧)を吸収するように構成されてもよい。圧力除去システムは、力が及ぼされたときに形状が拡張するダイヤフラムを含んでもよい。時には、圧力除去システムは、圧力チャンバカバーと、過剰な圧力が及ぼされたときに圧力チャンバカバー内で形状が拡張するダイヤフラムとを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する細胞セラピー注入デバイスの圧力除去システムは、細胞セラピー媒体のボリュームが貯蔵されている細胞セラピー注入デバイスの凍結プロセス中に、シリンジシャフトおよび/またはバレルから拡張する細胞セラピー媒体のボリュームを保持、吸収、および/または含有するように構成、設計、および/または製造されてもよい。この保持、吸収および/または含有は、たとえば、シリンジシャフトと連通する、圧力除去システム内に存在するダイヤフラムの拡張によって達成されてもよく、それにより、バレルおよび/またはシリンジシャフト内に貯蔵される、(たとえば、凍結プロセスによって)拡張する細胞セラピー媒体は、ダイヤフラムに対して拡張され、それによって、細胞セラピー媒体が完全に拡張(たとえば凍結)されるまでダイヤフラムを膨張させ得る。拡張する細胞セラピー媒体に、拡張する場所を提供することにより、圧力除去システムは、細胞セラピー媒体がバレル内のその意図される貯蔵場所の外側で拡張し(たとえば、プランジャとバレルとの間のシールを破損し)、汚染され、および/または細胞セラピー注入デバイスから、たとえば細胞セラピー注入システム、臨床的空間、または研究所空間内に漏出してこれを汚染する可能性を低減する。これらの実施形態では、細胞セラピー媒体が(たとえば、患者への投与前に)解凍されるとき、圧力除去システムによって保持、吸収、および/または含有される凍結細胞セラピー媒体のボリュームは、圧力除去システムから出て、シリンジシャフトおよび/またはバレルに戻ってもよい。圧力除去システムがダイヤフラムを含むとき、ダイヤフラムは、解凍プロセス中、解凍する細胞セラピー媒体によって及ぼされる圧力が低下するにつれて収縮し得る。
【0017】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、プランジャは、シーリング機構(たとえばガスケット)であって、バレルの内部表面と連動し、その上に力を及ぼすように構成され、それによってバレル内の細胞セラピー媒体のボリュームを封止する、シーリング機構を含んでもよい。シーリング機構によってバレルの内部表面に及ぼされる力は、細胞セラピー媒体の凍結したボリュームがシーリング機構を超えて拡張するのを防止するのに十分であってもよい。これは、たとえば、シーリング機構を使用することによって達成されてもよく、このシーリング機構は、細胞セラピー媒体を拡張(たとえば凍結)させることによってシーリング機構および/またはプランジャに及ぼされる予想拡張力よりも大きい力をバレルの内部表面に及ぼす。いくつかの場合、シーリング機構によって及ぼされるより大きな力は、細胞セラピー媒体の拡張を圧力除去システム内に導くような働きをしてもよい。
【0018】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、プランジャは、シーリング機構(たとえばガスケット)であって、バレルの内部表面と連動し、その上に力を及ぼすように構成され、それによってバレル内の細胞セラピー媒体のボリュームを封止する、シーリング機構を含んでもよく、この場合、シーリング機構は、細胞セラピー媒体の凍結したボリュームの拡張によって引き起こされる拡張力が及ぼされたとき、上方向に(たとえば、細胞セラピー媒体のボリュームから離れて)関節運動するように構成され、それによって、細胞セラピー媒体が存在する細胞セラピーリザーバのボリュームを、細胞セラピー媒体の(たとえば凍結による)増大したボリュームを収容/含有するように増大させる。これは、たとえば、バレルの内部表面上に力を及ぼすシーリング機構を使用して達成されてもよく、この力は、バレルの内部表面との液密なシールを維持するが、バレル内でシーリング機構(したがってプランジャ)が移動することを可能にして、拡張する(拡張される)細胞セラピー媒体をシーリング機構を超えて拡張させることなく、細胞セラピー媒体の拡張するおよび/または拡張されたボリュームを収容するのに十分なものである。時には、バレルに対するシーリング機構および/またはプランジャの動きは、摩擦無しおよび/または疎水性の化合物によって容易にされてもよく、この化合物は、細胞セラピー媒体がシーリング機構を侵害することなく、バレル内でシーリング機構/プランジャが移動することを可能にする。
【0019】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、細胞セラピー注入デバイスの構造(たとえば、バレル、シリンジシャフト、プランジャおよび/またはシーリング機構)に使用される材料は、同様の凍結および解凍特性を有してもよく、それにより、構成要素は、凍結および/または解凍プロセス中に同じおよび/または同様の速度で拡張および収縮し、また、(漏出および/または汚染を引き起こし得る)構成要素間の空隙が、構成要素の一様ではない凍結および/または解凍によって形成されることはない。
【0020】
本明細書に開示する例示的な細胞セラピー注入システムは、エンドプレートと、細胞セラピー注入デバイスと、内部の所定場所に位置決めされた細胞セラピー注入デバイスを受容し、保持するためのエンドプレートであって、カテーテル出口ポートを含み、カテーテル出口ポートは、細胞セラピー注入デバイスに結合されたカテーテルがカテーテル出口ポートを介して細胞セラピー注入システムから出ることを可能にするように構成、配置、および位置決めされる、エンドプレートとを含んでもよい。細胞セラピー注入デバイスは、バレルであって、その内部へのプランジャの挿入を許容し、細胞セラピー媒体のボリュームを含有するようにサイズ設定および成形された、バレルと、シリンジシャフトであって、シリンジシャフトの第1の端部が、バレルと物理的に結合され、液体連通しており、シリンジシャフトの第2の端部が、カテーテルと結合するように構成されたカテーテルカップリングを含む、シリンジシャフトとを含んでもよい。プランジャは、バレル内の第1の位置に位置決めされてもよく、圧縮力がプランジャに印加されたときに、プランジャが第1の位置から第2の位置に並進され、それによって細胞セラピー媒体のボリュームをバレルからシリンジシャフトに押し出すように構成されてもよい。システムは、機械的に結合されたヘッドプレートを移動させるためのモータをさらに備えてもよく、ヘッドプレートは、モータの移動に応答して一定した圧縮力をプランジャに印加するように構成されてもよい。一定した圧縮力は、プランジャを第1の位置から第2の位置に並進させ得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、細胞セラピー注入システムは、細胞セラピー注入システムおよび熱源内の温度を測定するように構成された温度計をさらに含んでもよい。熱源は、温度計および/または介在するプロセッサに結合されてもよく、熱源は、温度計によって測定された温度、および/またはシステム内の温度が閾値を下回っているという(温度計からの温度測定値の受信時の)プロセッサからの命令に応答して、熱を生成するように構成されてもよい。追加的または代替的に、細胞セラピー注入システムは、細胞セラピー媒体のボリュームを攪拌するように構成された攪拌機構を含んでもよい。
【0022】
本発明は、添付の図に、限定的ではなく例として示される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】本発明のいくつかの実施形態による、圧力除去システムを有する第1または第2の例示的な細胞セラピー注入デバイスの側面図である。
【
図1B】本発明のいくつかの実施形態による、圧力除去システムを有する細胞セラピー注入デバイスの第1の例示的な実施形態の断面図である。
【
図1C】本発明のいくつかの実施形態による、圧力除去システムを有する細胞セラピー注入デバイスの第2の例示的な実施形態の断面図である。
【
図1D】本発明のいくつかの実施形態による、圧力除去システムを有する細胞セラピー注入デバイスの第3の例示的な実施形態の断面図である。
【
図1E】本発明のいくつかの実施形態による、ダイヤフラムが静止している、または膨張されていない状態にあるときの圧力除去システムの側部断面図である。
【
図1F】本発明のいくつかの実施形態による、ダイヤフラムが拡張または膨張された状態にあるときの圧力除去システムの側部断面図である。
【
図1G】本発明のいくつかの実施形態による、ダイヤフラムが静止している、または膨張されていない状態にあるときの圧力除去システムの断面斜視図である。
【
図1H】本発明のいくつかの実施形態による、ダイヤフラムが延長または膨張された状態にあるときの圧力除去システムの断面斜視図である。
【
図1I】本発明のいくつかの実施形態による、第4の例示的な細胞セラピー注入デバイスの側面図である。
【
図1J】本発明のいくつかの実施形態による、細胞セラピー注入デバイスの第4の実施形態の断面図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による、細胞セラピー注入システム内に含まれ得る構成要素のシステムのブロック図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による、例示的な細胞セラピー注入の側部斜視図である。
【
図4A】本発明のいくつかの実施形態による、細胞セラピー注入デバイスが内部に位置決めされている、例示的な細胞セラピー注入システムの側部斜視図である。
【
図4B】本発明のいくつかの実施形態による、
図4Aの細胞セラピー注入デバイスが内部に位置決めされている、例示的な細胞セラピー注入システムの一部の拡大図である。
【
図4C】本発明のいくつかの実施形態による、
図4Aからの細胞セラピー注入システムのベースのためのハウジングを有する、
図4Aの細胞セラピー注入デバイスが内部に位置決めされている例示的な細胞セラピー注入システムの切断図である。
【
図4D】本発明のいくつかの実施形態による、別の細胞セラピー注入デバイスが内部に位置決めされている別の例示的な細胞セラピー注入システムの側部斜視図である。
【
図5A】本発明のいくつかの実施形態による、蓋が位置決めされている、
図3の例示的な細胞セラピー注入システム、または
図4Aの細胞セラピー注入デバイスが内部に位置決めされている例示的な細胞セラピー注入システムの後部斜視図である。
【
図5B】本発明のいくつかの実施形態による、蓋が位置決めされ、カテーテルが細胞セラピー注入デバイスに結合され、カテーテル出口ポートを通って延びている、
図4Aの細胞セラピー注入デバイスが内部に位置決めされている例示的な細胞セラピー注入システムの正面斜視図である。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態による、細胞セラピー注入デバイスを手動で使用するためのプロセスを示すフロー図である。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態による、細胞セラピー注入システムおよび細胞セラピー注入デバイスのアセンブリを使用して細胞セラピー媒体のボリュームを患者に投与するためのプロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
別途述べられない限り、図を通して同じ参照番号および記号が、例証する実施形態の同じ特徴、要素、構成要素、または部分を示すために使用される。さらに、次に本発明を図を参照しながら詳細に説明するが、本説明は、例証的な実施形態に関連して行われる。付属の特許請求の範囲によって定義される本発明の真の範囲および趣旨から逸脱することなく、説明する実施形態に変更および改変を加えることができることが意図される。
【0025】
本発明は、とりわけ、送達プロセス中、細胞セラピーを損傷し、変化させ、または殺すことなく、標的組織への直接的なアクセスルート(ROA)を介して(本明細書では集合的に「細胞セラピー」と称される)細胞、遺伝子セラピーベクター、および/またはウイルスなどの細胞セラピーおよび/または生体治療薬を含む、および/またはそれが注入された媒体(たとえば、生理食塩水、試薬、血液など)を無傷で送達するためのシステム、デバイス、および方法を対象とする。本発明は、たとえば、細胞セラピーが患者および/または患者の組織に投与されるとき、送達プロセスの前およびその間の両方で細胞セラピーの最適化された状態を維持することによって、これらの目的を達成する。いくつかのケースでは、細胞セラピー媒体内に含まれる細胞セラピーの状態は、たとえば、せん断応力、圧縮力、圧力、および/または患者への投与中の送達デバイスと細胞セラピーとの間の材料相互作用(たとえば、細胞セラピーの凝集および/または送達デバイスへの付着)を低減または排除することにより、投与プロセス中に媒体内に含まれる細胞セラピーに及ぼされるストレス要因を最小化することによって最適化される。細胞セラピーに及ぼされるストレス要因のこうした最小化は、細胞セラピーの挙動、生存率、濃度、および/または患者の組織に送達される投与量における変化の可能性を低減し得、それにより、たとえば、規定された投与量および/またはタイプの細胞セラピーが、患者の組織に適切に送達される。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよびデバイスは、経時的に患者の身体(たとえば、組織または血液)内に細胞セラピーを注入するように構成されてもよく、これらの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよびデバイスは、たとえば、持ち運びおよび/または患者のベッドサイド近くでの使用を可能にするために、比較的小さく(たとえば0.028立方メートル(1立方フィート)未満)、軽量(たとえば3~20kg)のフォームファクタを有してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、細胞セラピー注入デバイスは、細胞セラピーおよび/または細胞セラピー注入デバイス100内に含まれる細胞セラピー媒体のタイプ、特定の患者もしくは患者のタイプ(たとえば、特定の診断を有する患者)、および/または細胞セラピーを使用する適応症に合致され得る光学、英数字、および/またはバイナリコードなどの識別子に関連付けられてもよい。
【0028】
次に図に移れば、
図1Aは、第1および/または第2の例示的な細胞セラピー注入デバイス100/101の側面図を提供し、
図1Bは、第1の例示的な細胞セラピー注入デバイス100の断面図を提供し、
図1Cは、第2の例示的な細胞セラピー注入デバイス101の断面図を提供する。細胞セラピー注入デバイス100は、たとえば、細胞セラピーに関して初期のおよび/または規定されたパラメータ(たとえば、細胞セラピーカウント、細胞セラピー生存率、細胞セラピー挙動、および/または細胞セラピー副産物の生成)を温存する最適な方法で、いくつかの細胞セラピー(たとえば、細胞、細菌、ウイルスなど)を含む媒体(たとえば、生理食塩水、血液、試薬など)を患者に送達するように構成、設計、および製造されてもよい。細胞セラピー注入デバイス100のサイズ、形状、および/または構成は、細胞セラピー媒体の可変のボリューム、患者に注入され得る細胞セラピーの種々のタイプ、および/または患者への細胞セラピーの送達のための種々の送達モダリティに対応するように適応および/または構成されてもよい。
【0029】
細胞セラピー注入デバイス100は、バレル110と、プランジャ115と、プランジャ端部120と、任意選択の圧力/力緩和機構125と、任意選択の圧力を弱める先端130と、ガスケット132と、細胞セラピー媒体リザーバ135と、バレル/シャフトカップリング140と、シリンジシャフト145と、カテーテルカップリング150と、圧力除去システムカップリング155および圧力チャンバカバー165を含む圧力除去システム170とを含む。ガスケット132は、プランジャ115とバレル110の内部表面壁との間に液密シールを形成してもよい。いくつかの実施形態では、バレル110、プランジャ115、プランジャ端部120、およびガスケット132は、プランジャ115がバレル110内に押し込まれ、バレル110内(たとえば細胞セラピー媒体リザーバ135内)に貯蔵された細胞セラピー媒体が、バレル110を通ってシリンジシャフト145に押し込まれ、細胞セラピー注入デバイス100から出てカテーテルなどの患者送達デバイス(図示せず)に入り得るように、ピストンと同様の方法で協働してもよい。
【0030】
いくつかの状況では、細胞セラピー注入デバイス100の1つまたは複数の構成要素(たとえば、バレル110、プランジャ115、任意選択の圧力/力緩和機構125、任意選択の圧力を弱める先端130、ガスケット132、バレル/シャフトカップリング140、シャフト145、および/またはカテーテルカップリング150)の内部表面は、これら表面へのセラピー細胞の摩擦および接着を阻害する物質を備えてもよく(たとえば、その物質が注入された材料で製造されてもよく)、および/またはその物質によってコーティングされてもよく、それによって、細胞セラピー注入デバイス100に接着し、および/または患者に送達されないことがある媒体内に含まれる生体試薬は、たとえあるとしてもわずかであるため、患者に送達されたセラピー細胞のカウント、または投与量を臨床医が理解することが支援され得る。いくつかの状況では、コーティングは、たとえば、細胞材料の相互作用を低減し、バレル110内の細胞保持および/または細胞の凝集を低減するように構成されたタンパク質コーティングであってもよい。追加的または代替的に、コーティングは、細胞/細胞セラピーおよび/または媒体の接着を防止する疎水性および/または非付着性コーティング(たとえばポリテトラフルオロエチレン)であってもよい。
【0031】
バレル110は、たとえば、細胞セラピー媒体リザーバ135内に細胞セラピー媒体のボリュームを保持し、
図1Aおよび
図1Bで分かるように第1の位置からのプランジャ115の作動に対応するようにサイズ設定および構成されてもよく、細胞セラピー媒体リザーバ135は第2の位置まで満杯であり、プランジャ115は、(
図1Aおよび
図1Bに配向されるように)下方向に押し出され、それにより、細胞セラピー媒体リザーバ135内に貯蔵された細胞セラピー媒体は、プランジャ115の第1の位置から第2の位置への並進によって、シャフト145を通って、(たとえば、
図4Bおよび
図5Aに示す)カテーテルに押し込まれる。細胞セラピー媒体リザーバ135は、たとえば、細胞セラピー媒体の0.1mL~50mLを保持するようにサイズ設定および/または構成されてもよい。バレル110の例示的な寸法は、10~45mmの外径、8~43mmの内径、および60~200mmの長さである。プランジャ115の例示的な寸法は、8~43mmの外径および70~300mmの長さである。多くの実施形態では、たとえば、ガスケット132、ならびに/または任意選択の圧力/力緩和機構125および/または任意選択の圧力を弱める先端130とバレル110の内径との係合によるシールが、プランジャ115とバレル110との間に存在してもよい。このシールは、気密性および/または水密性であってもよく、プランジャ115がバレル110内で押し下げられたとき(すなわち、第1の位置から第2の位置に移動されたとき)に、(プランジャ115の第1から第2の位置への動きによって圧縮力が及ぼされることに応答して)細胞セラピー媒体がシリンジシャフト145を通る動きを導くように機能してもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、シリンジシャフト145の1つまたは複数の寸法(たとえば、直径および/または長さ)に対するバレル110の1つまたは複数の寸法(たとえば、直径、長さ、形状)は、細胞セラピー媒体に及ぼされる乱流および/またはせん断力を抑制するように設計されてもよい。たとえば、シリンジシャフト145の直径は、バレル110の直径の15~40%であってもよく、この比較的大きい直径のシリンジシャフトは、バレル110からシリンジシャフト145への(細胞セラピー媒体に及ぼされる乱流および/またはせん断力を低減する)より段階的な移行を提供し得る。追加的または代替的に、バレル110の内径からシリンジシャフト145の内径までの移行は、たとえば、細胞セラピー媒体のボリュームが細胞セラピー媒体リザーバ135からシリンジシャフト145内に移動している間の大きな差圧ならびにその後の乱流およびせん断応力の増大を回避するために、より段階的になるようにテーパにされてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、バレル/シャフトカップリング140は、シリンジシャフト145、圧力除去システム170、および/またはカテーテルカップリング150を回転させずに、中央軸の周りでバレル110およびプランジャ115の回転を可能にする径方向またはスリップシールとして構成されてもよい。たとえば、バレル/シャフトカップリング140は、スリップシールコネクタであってもよい。追加的または代替的に、カテーテルカップリング150は、たとえば、
図4Bに示すようなカテーテルに結合するように構成および/または配置されたルアー接続であってもよい。
【0034】
任意選択の圧力/力緩和機構125は、任意選択でカバリングで覆われるか、またはその内部に封入され得るばねまたはばね様(たとえば、圧縮および拡張できる)材料を備えてもよい。細胞セラピー注入デバイス100および/またはプランジャ115が第1の位置から第2の位置に手動で作動されているとき、任意選択の圧力/力緩和機構125は、ユーザによって印加される力と直列にばねおよび/またはばね様材料を加えることによって、細胞セラピー媒体リザーバ135内に含有される細胞セラピー媒体のボリュームから、ユーザによって(たとえば、プランジャ端部120を押し込むことによって)プランジャ115に印加された力を結合解除するように構成されてもよく、それによって、ユーザがプランジャを押し込むことによって細胞セラピー媒体に印加される力を緩和または円滑にするという効果が得られ得る。いくつかの実施形態では、それによって、任意選択の圧力/力緩和機構125内に含まれるばねおよび/またはばね様材料は、細胞セラピー媒体に及ぼされる圧力または力を、たとえば約25~50%低減することによって、細胞セラピー媒体に及ぼされる力(たとえば、圧縮力)および/または応力(たとえばせん断応力)の大きさを調節する。細胞セラピー媒体に及ぼされる圧力または力の低減の程度は、たとえば、任意選択の圧力/力緩和機構125内に含まれるばね/ばね様材料のばね定数および/または長さによって設定されてもよい。
【0035】
任意選択の圧力を弱める先端130は、プランジャが第1から第2の位置に並進されるとき(すなわち、バレル110内に押し下げられるとき)に、細胞セラピー媒体のボリューム上の圧縮力および/またはせん断応力を吸収、調節、緩和、および/または低減するように設計、構成、および/または製造されてもよい。いくつかの場合、任意選択の圧力を弱める先端130は、バレル110および/または細胞セラピー媒体リザーバ135内の圧力、力、および/または応力の大きさの閾値に到達した後に変形する、柔軟なおよび/または変形可能な材料を備えてもよい。いくつかの実施形態では、任意選択の圧力を弱める先端130は、プランジャが第1から第2の位置に並進されるときに細胞セラピー媒体のボリューム上の圧縮力および/またはせん断応力を調節、緩和、および/または低減するために、任意選択の圧力/力緩和機構125と協働するように設計および製造されてもよい。
【0036】
圧力除去システム170は、シリンジシャフト145と連通してもよく、ならびに/またはプランジャ115の第1から第2の位置への並進によって細胞セラピー媒体が細胞セラピー媒体リザーバ135からシリンジシャフト145に押し込まれるときに、細胞セラピー媒体のボリューム上の流体圧力および/または圧縮力を調節、緩和、および/または低減するように構成されてもよく、このようにして、たとえば、細胞セラピーの挙動および/または生存率に変化を誘発し得る細胞セラピーへの力および/圧力の印加を防止してもよい。
図1E~1Hに示すように、圧力除去システム170は、圧力除去システムのベース161を覆うダイヤフラム160を含んでもよく、ベース161は、圧力除去システムカップリング155と連通する中央アパーチャ180を介して、圧力除去システムカップリング155と連通している。
【0037】
図1Cに示すように、第2の例示的な細胞セラピー注入デバイス101は、これが任意選択の圧力/力緩和機構125を含まないことを除いて、第1の例示的な細胞セラピー注入デバイス100と同様である。
【0038】
図1Dに示すように、第3の例示的な細胞セラピー注入デバイス101は、これが、任意選択の圧力/力緩和機構125および任意選択の圧力を弱める先端130を含まず、その代わりに、プランジャ115およびガスケット132が細胞セラピー媒体リザーバ135のすぐ近くにあることを除いて、第1の例示的な細胞セラピー注入デバイス100と同様である。この実施形態では、圧力除去システム170は、任意選択の圧力/力緩和機構125および任意選択の圧力を弱める先端130を必要とすることなく、細胞セラピー媒体リザーバ135内に含有される細胞セラピー媒体に及ぼされる過剰な圧力を吸収/軽減するように構成される。
【0039】
ダイヤフラム160が静止している、または膨張されていない状態にあるときの圧力除去システム170の側部断面図である
図1E、ダイヤフラム160が拡張または膨張された状態にある圧力除去システム170の側部断面図である
図1F、ダイヤフラム160が静止している、または膨張されていない状態にあるときの圧力除去システム170の断面斜視図である
図1G、および/またはダイヤフラム160が延長または膨張された状態にあるときの圧力除去システム170の断面斜視図である
図1Hで分かり得るように、圧力除去システム170は、圧力チャンバカバー165によって境界付けられた中空の圧力チャンバ175を含んでもよい。圧力チャンバカバー165は、剛性または可撓性であってもよく、圧力除去システム170のベース161の溝162内に嵌合するように構成された延長部164を有してもよい。延長部164は、それだけに限定されないが、機械的、熱、および/または化学的結合を含む任意の許容可能な手段によって、
図1Eに示すように溝162に挿入され、その内部に固着されてもよい。中央アパーチャ180は、シリンジシャフト145内に存在する管腔と連通する圧力除去システムカップリング155の管腔185と連通してもよい。
【0040】
ダイヤフラム160は、たとえば、液体がシリンジシャフト145を通って移動することによって及ぼされた圧力/力に応答して、拡張または膨張し、圧力/力が除去されたときに元の形状/状態に戻るように構成された弾性のまたは柔軟な材料(たとえば、ラテックスまたはシリコン)を備えてもよい。
【0041】
圧力除去システム170は、中空圧力チャンバ175内へのダイヤフラム160の拡張によって、細胞セラピー注入デバイス100、101、および/または102内の流体圧力および/または圧縮力を吸収してもよく、それにより、力がプランジャ115に及ぼされたときにプランジャ115が第1から第2の位置に並進する(すなわちバレル100内に押し下げられる)につれて、バレル110および/またはシリンジシャフト145内の圧力が上昇するにつれて、ダイヤフラム160は、圧力除去チャンバ175内に拡張して、細胞セラピーリザーバ135およびシリンジシャフト145のサブシステムのボリュームを一時的に増大させ、それによって、細胞セラピー媒体リザーバ135からの細胞セラピー媒体がシリンジシャフト145および/またはシリンジシャフト145に結合された(
図4Bに示すような)カテーテル内に前進されるにつれて、サブシステム内の圧力を低減してもよい。バレル110および/またはシリンジシャフト145内の圧力および/または力が低下するとき、ダイヤフラム160は、その元のおよび/または静止構成に弾性的に戻り、したがって、デバイス/システムの元のボリュームを復元してもよい。いくつかの実施形態では、圧力除去システム170は、細胞セラピー媒体への所望のレベルの液圧の印加を緩和、調節、および/または維持するために、任意選択の圧力/力緩和機構125および/または任意選択の圧力を弱める先端130と協働してもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、細胞セラピー媒体のボリュームは、たとえば、シリンジシャフト145の開放端を細胞セラピー媒体に挿入し、プランジャ115をバレル110から引き出す(すなわち、第2の(または押し下げられた)位置から第1の位置に移動させる)ことによって、細胞セラピー媒体リザーバ135に手動および/または機械的に引き込まれてもよい。追加的または代替的に、細胞セラピー注入デバイス100は、たとえば、細胞セラピー注入デバイスの製造者および/または細胞セラピー媒体を製造する研究所によって、細胞セラピー媒体リザーバ135内に存在する細胞セラピー媒体が事前装填されるように準備されてもよい。これらの状況では、細胞セラピー媒体は、たとえば、細胞セラピー媒体を準備する製造施設および/または研究所においてバレル110/細胞セラピー媒体リザーバ135に挿入されてもよい。事前装填された細胞セラピー注入デバイス100は、封止されたパッケージング内に置かれ、凍結され、患者への細胞セラピー媒体の送達のために患者に使用するための医療施設に提供されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、細胞セラピー注入デバイス100は、細胞セラピー媒体リザーバ135内に含有される細胞セラピー媒体のボリュームを有して凍結され得るように、構成、設計、および/または製造されてもよい。これにより、細胞生存率を損なうことなく、および/または細胞挙動を変化させることなく、細胞セラピー媒体が事前に装填された細胞セラピー注入デバイス100を、たとえば、研究所、細胞セラピー製造施設、および/または冷蔵倉庫(たとえば病院のフリーザ)と、細胞セラピーが患者に投与される環境との間で容易に移送することが可能になり得る。
【0044】
細胞セラピー媒体のボリュームが細胞セラピー媒体リザーバ内に事前装填され、凍結され得る細胞セラピー注入デバイス100を達成するために、細胞セラピー注入デバイス100は、たとえば、液体状態と固体状態との間を移行しているときの細胞セラピー媒体の拡張が、プランジャ115のガスケット132を押し超えてガスケット132の上方に位置するバレル110の一部に入らないように、凍結プロセス中の細胞セラピー媒体の拡張、ならびに/または細胞セラピー注入デバイス100の構成要素が作製される材料の拡張および/または収縮に対応するように適応および/または設計されてもよい。これは、構成要素が凍結状態(たとえば、-5℃)から非凍結状態(たとえば20~40℃)および/または非凍結状態から凍結状態に移行するときに同様の凍結および/または解凍特徴を有する構成要素を使用することによって達成されてもよく、それにより、異なる速度で凍結および/または解凍し得る構成要素間に空隙が形成されることはなくなる。追加的または代替的に、凍結した細胞セラピー媒体が細胞セラピー媒体リザーバ135から逃げるのを防止することは、バレル110の内部表面上に比較的大きい側方力を及ぼすように構成された幅広のガスケット132および/またはガスケット132を使用することによって達成されてもよく、この側方力は、(凍結プロセス中に起こり得る)細胞セラピー媒体を拡張させることによって印加されるいかなる力にも対抗し、それによって細胞セラピー媒体を細胞セラピー媒体リザーバ内に保つものである。
【0045】
図1Iおよび
図1Jは、細胞セラピー注入デバイス100と同様であるが、圧力除去システム170またはその構成要素を含まない、第4の細胞セラピー注入デバイス103の側面図および断面図それぞれを提供する。第4の細胞セラピー注入デバイス103では、圧力/力緩和機構125および圧力を弱める先端130は、任意選択ではなく、本明細書に説明するように、細胞セラピー媒体リザーバ135内に存在する細胞セラピー媒体のボリュームに及ぼされ得る圧力を吸収するように構成された圧力軽減システムを形成する。
【0046】
図2は、
図3に関して以下で論じる細胞セラピー注入システム300などの、細胞セラピー注入デバイス100、101、102、および/または103と協働するように構成された細胞セラピー注入システム内に含まれ得る複数の構成要素のシステム200のブロック図である。システム200は、熱源210と、任意選択のファン212と、電源215と、第1のモータ220と、ユーザインターフェースデバイス225と、送受信機230と、1つまたは複数のポート235と、プロセッサ/コントローラ240と、メモリ242と、第2のモータ245と、温度計250とを含み、これらすべては、ハウジング205内に封入される。ハウジング205は、システム200の構成要素を収容するように構成されてもよく、任意の適切な材料(たとえば、金属、プラスチックなど)から作製されてもよい。
【0047】
熱源210は、細胞セラピーの凍結した試料を所望の温度に温め、および/または細胞セラピーのボリュームの所望の温度を維持するように構成されてもよい。例示的な熱源210は、それだけに限定されないが、抵抗コイルを含む。しばしば、熱源210は、細胞セラピー媒体のボリュームを約37℃の温度までもっていくように、および/または細胞セラピー媒体のボリュームおよび/または細胞セラピー媒体のボリュームが保持されているチャンバの一貫した温度を維持するように構成および/またはプログラムされてもよい。いくつかの実施形態では、熱源210は、たとえば、セラピー細胞のボリューム、熱源210、および/または細胞セラピー注入システムの温度を測定するように構成された温度計250を含んでもよく、たとえば、ユーザインターフェースデバイス225、送受信機230、ポート235、および/またはプロセッサ/コントローラ245に温度を与えるように構成されてもよい。ファン212は、細胞セラピー注入システムまたはその構成要素内で所望の温度を達成および/または維持するために、空気および/または熱源210によって提供された熱をハウジング205、細胞セラピー注入システム、および/またはその構成要素内で循環させるように構成されてもよい。
【0048】
電源215は、システム200および/または細胞セラピー注入システムの1つまたは複数の構成要素に電力を提供するように構成されてもよく、たとえば、電気メインに結合するように構成されたバッテリおよび/または回路であってもよい。第1のモータ220および第2のモータ245は、
図3および
図4に関して以下でより詳細に論じるように、細胞セラピー注入システムの1つまたは複数の構成要素を回転および/または移動させるように構成されてもよい。第1のモータ220および/または第2のモータ245は、たとえば、ステッパモータであってもよい。
【0049】
ユーザインターフェースデバイス225は、ユーザがシステム200および/または細胞セラピー注入システムの構成要素の動作を監視し、ならびに/またはシステム200および/または細胞セラピー注入システムの構成要素に命令(たとえば、オン/オフ)を提供することができるように構成された、任意のデバイス、またはデバイスの組み合わせであってもよい。例示的なユーザインターフェースデバイス225は、それだけに限定されないが、ダイヤル、ボタン、キーボード、ディスプレイデバイス、スピーカおよびタッチスクリーンを含む。
【0050】
送受信機230は、たとえば、(たとえばポート235を介した)無線または有線通信によって通信を送信および/または受信するように構成されてもよい。例示的な受信通信は、それだけに限定されないが、動作のための命令、動作のためのパラメータ(たとえば、開始/停止時間、実行持続時間、使用されるセラピー細胞のタイプ、注入速度、セラピー細胞の好ましい温度、細胞セラピー注入システム内の好ましい温度、および/または動きの速度)を含む。例示的な送信通信は、それだけに限定されないが、動作のパラメータ(たとえば、実行持続時間、経時的なセラピー細胞の温度、および/またはエラー状態)を含む。ポート235は、たとえば、電力、ユーザインターフェース、および/または通信ポートとして構成されてもよく、たとえば、コントローラ/プロセッサ240および/またはメモリ242に結合されてもよい。
【0051】
温度計250は、細胞セラピー注入システムが所望の温度(たとえば37℃)を達成および/または維持するように、細胞セラピー注入システム内で温度を測定するように構成されてもよい。時には、温度計250は、プロセッサ/コントローラおよび/または熱源210に結合されてもよく、熱源210の起動は、(熱源210に起動命令を提供する)プロセッサ/コントローラ240および/または、たとえばサーモカップルまたはスイッチによって直接的に熱源210によって受信される、温度計250からの温度測定値に応答するものであってもよい。
【0052】
プロセッサ/コントローラ240は、第1のモータ220の回転速度、第2のモータ245の回転速度、熱源210によって達成および/または維持される温度、ならびに/または送受信機230によって送出および/または受信される通信などのシステム200の1つまたは複数の構成要素の動作を制御するようにプログラムおよび/または構成されてもよい。プロセッサ/コントローラを動作させ、および/または本明細書に開示する1つまたは複数の方法を実行するための命令が、メモリ242内に記憶されてもよい。追加的または代替的に、プロセッサ/コントローラ240は、たとえば、ユーザインターフェースデバイス225、ポート235、および/または送受信機230を介して、システム200の動作に関係する命令を受信するように構成されてもよい。追加的または代替的に、プロセッサ/コントローラ240は、たとえば、ユーザインターフェースデバイス225、ポート235、および/または送受信機230を介して、システム200の動作に関する情報をユーザに提供するように構成されてもよい。プロセッサ/コントローラ240は、解凍速度、温度、攪拌速度、攪拌のタイプ(たとえば、スピン回転、回転、振とう、振動、ロッキング、および/またはランダムな動き)、および/または細胞セラピー注入デバイス100を通って患者に入る細胞セラピー媒体の注入速度(たとえば、ウォームギヤおよび/またはヘッドプレートの動きの速度)などの、患者に細胞セラピー媒体を注入するためのさまざまなパラメータを正確に制御するようにさらに構成されてもよい。時には、これらのパラメータは、デフォルト設定であってもよい。いくつかのケースでは、これらのパラメータの1つまたは複数は、たとえば、細胞セラピーのタイプ、細胞セラピーが懸濁される媒体のタイプ、細胞セラピーにより治療される標的組織の特徴、および/または細胞セラピーを受け入れる患者の特徴に特異的であってもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ/コントローラ240は、たとえば、ユーザが、ユーザインターフェースデバイス225、および/または送受信機230と通信し得る外部コンピューティングデバイス上で実行するソフトウェアプログラムを介して、システム200の1つまたは複数のデフォルト設定をオーバーライドすることができてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、熱源210、ファン212、プロセッサ/コントローラ240および温度計250は、プロセッサ/コントローラ240が、細胞セラピー注入システムまたはその構成要素内で所望の温度を達成および/または維持するために、細胞セラピー注入システムまたはその構成要素内の(温度計250から受信された)温度に応答して熱源210およびファン212の動作を制御するように、熱均衡システムとして協働してもよい。
【0054】
時には、プロセッサ/コントローラ240および送受信機230は、たとえば、コンピュータ、タブレットコンピュータ、および/またはスマートホン上で実行するソフトウェアアプリケーションと通信するように協働してもよい。送受信機230は、ソフトウェアアプリケーションと通信するために有線および/または無線(たとえば、ブルートゥース(登録商標))通信プロトコルを使用してもよい。
【0055】
図3は、細胞セラピー注入システム200の内部構成要素を含む例示的な細胞セラピー注入システム300の側部斜視図である。細胞セラピー注入システム300は、第1のシャフト306周りで回転する第1のギヤ304と、第2のシャフト308の周りで回転する第2のより大きいギヤ310と、第2のシャフトホルダ312と、ヘッドプレート314と、回転ギヤ316と、回転シャフト318と、ウォームギヤ320と、注入トレイ322と、カテーテル出口ポート324と、位置決めブラケット326と、カテーテル出口ポートカバー332と、エンドプレート334と、ユーザインターフェース窓330とを含む。ヘッドプレート314は、細胞セラピー注入100、101、102、または103の圧縮によってプランジャ115を所定の場所に保持するように構成されてもよい。注入トレイ322は、細胞セラピー注入デバイス100、101、102、または103から漏出し得る細胞セラピー媒体による細胞セラピー注入システム300の汚染を防止するために、細胞セラピー注入デバイス100、101、102、または103を細胞セラピー注入システム300から分離するように構成されてもよい。
【0056】
第1のシャフト306は、第1のモータ220に機械的に結合されてもよい。第1のモータ220の回転は、第1のギヤ304を回転させてもよい。第1のギヤ304および第2のギヤ310は、第1のギヤ304が第1のシャフト306の周りで回転されるときに、第1のギヤ304および第2のギヤ310の歯および/またはギヤ延長部が互いに係合するように配置されてもよい。第1のギヤ304が第1のシャフト306の周りで回転するとき、第1のギヤ304の歯は、第2のギヤ310の歯と係合してもよく、第1のギヤ304の回転の動きが、第2のシャフト308の周りの第2のギヤ310の回転を引き起こしてもよい。第2のギヤ310のこの回転は、ウォームギヤ320を回転させてもよい。
【0057】
ヘッドプレート314は、ウォームギヤ320に機械的に結合されてもよく、ウォームギヤは、第1のモータ220などのモータに機械的に結合されてもよい。第1のモータ220は、回転してもよく、この回転は、ウォームギヤ320に伝えられてもよく、ウォームギヤは、第1のモータ220/ウォームギヤ320の回転の動きをヘッドプレート314の線形の動きに伝えてもよい。ウォームギヤ320は、次いで、ヘッドプレート314が(
図3に配向されるように)左から右に線形に移動するように、第1のモータ220からの回転の動きをヘッドプレート314の線形の動きになるように伝えてもよい。ヘッドプレート314のこの線形の動きは、細胞セラピー注入デバイス100、101、102、または103のプランジャ115などの細胞セラピー注入デバイスのプランジャを、第1の位置から第2の位置に線形に並進させるように作用してもよい(すなわち、プランジャ115は、細胞セラピー媒体を細胞セラピー媒体リザーバ135からシリンジシャフト145に押し込むようにバレル110に押し込まれる)。
【0058】
回転ギヤ316は、
図4Aに示し、以下で論じるバレル回転ギヤ445などのバレル110の対応する構成要素および/または外部部分と係合するように構成されてもよい。回転シャフト318は、第2のモータ245に機械的に結合されてもよく、この結合を介して中央軸の周りを回転してもよい。回転シャフト318の回転はまた、回転シャフト318の中心軸周りの回転ギヤ316の回転を引き起こしてもよい。細胞セラピー注入デバイス、100、101、102、および/または103が細胞セラピー注入システム300内に位置決めされるとき、回転ギヤ316とバレル回転ギヤ445との間の(たとえば、摩擦またはギヤ駆動式)係合は、中央軸周りのバレル110の回転を可能にしてもよく、このバレル110の回転が、細胞セラピー媒体リザーバ135の細胞セラピー媒体内に懸濁された細胞セラピーを攪拌してもよい。
【0059】
位置決めブラケット326は、ウォームギヤ320、回転シャフト318などの細胞セラピー注入システム300のさまざまな構成要素を所定の場所に保持してもよい。位置決めブラケット326は、たとえば、回転接続(たとえばスリップシール)および/またはベアリング(たとえばボールベアリング)によるウォームギヤ320および/または回転シャフト318の回転を容易/可能にしてもよい。
【0060】
ユーザインターフェース330は、それだけに限定されないが、キーパッド、タッチスクリーン、ボタン、ディスプレイスクリーン、スピーカおよび/またはマイクロホンを含む、ユーザが細胞セラピー注入システム330とそれによって通信し得る(たとえば、命令を入力するおよび/または情報を受信する)任意のデバイス、またはデバイスの組み合わせであってもよい。ユーザインターフェース330は、ユーザインターフェース225に通信可能に、電気的に、および/または機械的に結合されてもよい。
【0061】
図4Aは、シリンジシャフト145がカテーテル出口ポート324の近くにおよび/またはその内部に位置決めされるように細胞セラピー注入デバイス100、101、または102が内部に位置決めされている、細胞セラピー注入システム300の例示的なアセンブリ400の側部斜視図である。
図4Bは、シリンジシャフト145がカテーテルカップリング150を介してカテーテルリード425に結合する様子を示す、細胞セラピー注入デバイス100、101、または102が内部に位置決めされている例示的な細胞セラピー注入システム300の一部の拡大図である。カテーテルリード425は、患者への細胞セラピー媒体の送達のためにシリンジシャフト150と連通するカテーテルチューブ430に結合される。カテーテルカップリング150、カテーテルリード425、およびカテーテル430が組み立てられた後、このアセンブリは、
図4Bに示すようなカテーテル出口ポート324内に載置し、これによって所定の場所に保持されてもよい。
【0062】
図4Cは、ハウジング205の正面パネルが細胞セラピー注入システム300のベースから取り外されている、
図4Aと同様の方法で細胞セラピー注入デバイス100、101、または102が内部に位置決めされている例示的な細胞セラピー注入システム300の側部切断図である。
図4Cは、細胞セラピー注入システム300のベース内のシステム200の構成要素の1つの例示的な配置を示す。特に、
図4Cは、第1のモータ220による第1のシャフト306の回転が、本明細書に開示するように第1のギヤ304に伝えられ得るように、第1のモータ220がそこから延びる第1のシャフト306を有する様子を示す。第1のモータ220は、ベースプレート435に取り付けられたブラケット420によって所定場所に保持されてもよい。第2のシャフトホルダ312、位置決めブラケット326および/またはエンドプレート334もまた、ベースプレート435に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、ブラケット420は、熱源210、第1のモータ220、および/または第2のモータ245によって生成された熱から、プロセッサ/コントローラ240、送受信機230、通信インターフェース330(図示せず)および/またはポート235を遮蔽する熱シールドとして構成されてもよい。
図4Cで分かり得るように、ポート235は、コントローラ/プロセッサ240に物理的に結合される。
【0063】
加えて、熱源210は、ベースプレート435に結合されてもよく、いくつかの実施形態では、ベースプレート435は、熱源210によって生成された熱を、細胞セラピー注入デバイス100、101、または102に向かって、および/または
図5Aに示すような蓋510のような蓋の下方の領域などの、細胞セラピー注入デバイス100を収容する細胞セラピー注入システム300の一部分内に放散および/または分散させてもよい。蓋510は、周囲空気との細胞セラピー注入デバイス100の相互作用を低減し、および/または蓋510が閉じられたときに蓋510によって覆われる細胞セラピー注入システム300の一部内で熱均衡を保持してもよい。いくつかの実施形態では、蓋510は、たとえば、内部構成要素および/またはその動き(たとえば、ヘッドプレート314がバレル110に向かって線形に並進して、たとえば、細胞セラピー媒体のボリュームを細胞セラピー媒体リザーバ135から、シリンジシャフト145を通ってカテーテル430に出すときのウォームギヤ320の動き、ヘッドプレート314の動き、ならびに/またはプランジャ端部120および/またはプランジャ115の動き)に対して透過性、または半透過性であってもよい。
【0064】
図4Dは、バレル110の外部表面上に位置決めされたガスケット440を含む、細胞セラピー注入デバイス100、101、または102が内部に位置決めされている細胞セラピー注入システム301の代わりの実施形態の代替の実施形態の例示的なアセンブリ401の側部斜視図である。細胞セラピー注入システム301および細胞セラピー注入デバイス101は、回転ギヤ316および対応するバレル回転ギヤ445が、回転シャフト318上に位置決めされた回転駆動輪445とバレル110上に位置決めされた対応する平滑なガスケット440とを備える、(回転ギヤ316およびバレル回転ギヤ445用のギヤ駆動式システムに対して)バレル110の回転用の圧縮駆動式および/または摩擦駆動式システムに置き換えられていることを除いて、細胞セラピー注入システム300および細胞セラピー注入デバイス100、101、または102それぞれと同様である。平滑なガスケット440は、バレル110を包囲し、回転駆動輪445の外縁に当接および係合する材料(たとえば、ゴム、ラテックス、シリコン)から作製されてもよい。いくつかの実施形態では、回転駆動輪445の外縁は、回転シャフト318の回転によって回転駆動輪445が回転するときにガスケット440と当接および/または係合する材料(たとえば、ゴム、ラテックス、シリコン)で覆われてもよい。回転シャフト318の回転式の動きによって回転駆動輪445が回るとき、バレル110は、細胞セラピー媒体リザーバ135内に含有される細胞セラピー媒体を攪拌するために、たとえばバレル/シャフトカップリング140の周りで回転されてもよく、それによって、細胞セラピーが、細胞セラピー媒体リザーバ135内および/または細胞セラピー注入デバイス100、101、または102の壁または表面に接着することが防止され得る。
【0065】
図5Aは、蓋510が位置決めされている細胞セラピー注入システム300の後部斜視図であり、
図5Bは、その正面斜視図である。
図5Aの実施形態では、蓋510は、細胞セラピー注入デバイス100、101、または102、ならびに第2のシャフトホルダ312、ヘッドプレート314、回転ギヤ316、回転シャフト318、ウォームギヤ320、注入トレイ322、位置決めブラケット326を覆う。
図5Aおよび5Bの実施形態では、第1のシャフト306、第1のギヤ304、第2のシャフト308、第2のギヤ310、カテーテル出口ポートカバー332、およびエンドプレート334は、蓋510が閉じられたときに蓋510の外側に存在してもよい。他の実施形態では、第1のシャフト306、第1のギヤ304、第2のシャフト308、および/または第2のギヤ310は、(蓋510が閉じられたときに)ハウジング205および/または蓋510内に存在していてもよい。
図5Bで分かり得るように、カテーテル430は、カテーテル出口ポート324から延び、細胞セラピーが患者の組織に送達され得るように患者の生体構造内にナビゲートされてもよい。いくつかの実施形態では、たとえば、カテーテルリード425に結合されていないカテーテル430の端部が、たとえば患者の動脈および/または内視鏡に挿入されるとき、送達デバイスは、たとえばカテーテル430自体であってもよい。追加的または代替的に、カテーテル430は、詳細には細胞セラピーを組織(たとえば、器官または筋肉)に直接送達するように構成された、可撓性針などの送達先端に結合されてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するシステムおよび/またはデバイスは、細胞セラピー注入デバイス100、101、102、および/または103が細胞セラピー注入システム300とは別個であり得るという点で、モジュール式であってもよい。これらの実施形態では、細胞セラピー注入デバイス100、101、102、および/または103は、1回だけ使用するように構成されてもよく、その一方で細胞セラピー注入システム300は、経時的に複数の細胞セラピー注入デバイス100、101、102、および/または103と共に使用するように構成されてもよい。
【0067】
図4A、
図4B、
図4C、および
図4Dは、例示的な第1、第2、または第3の細胞セラピー注入デバイス100、101、102を有する細胞セラピー注入システム400を示すが、これは必ずしもそうである必要はない。細胞セラピー注入システム400は、第4の細胞セラピー注入デバイス103などの他の代替の細胞セラピー注入デバイスと協働してもよい。
【0068】
本明細書に開示する細胞セラピー注入デバイスは、手動で(バレル110内のプランジャ115を手で押し下げることによって)、および/または本明細書に開示する細胞セラピー注入システムなどの細胞セラピー注入システムを介して使用されてもよい。たとえば、
図6は、細胞セラピー媒体のボリュームが事前装填された凍結された細胞セラピー注入デバイス(たとえば、細胞セラピー注入デバイス100)であるか、または、たとえば、シリンジシャフトの開放先端が細胞セラピー媒体内に浸されているときにシリンジシャフト145からプランジャ115を引き離すことによって、細胞セラピー媒体が患者の投与のために後で装填される、空の細胞セラピー注入デバイスである、細胞セラピー注入デバイス100、101、102、および/または103のような細胞セラピー注入デバイスを手動で使用するためのプロセス600を提供する。シリンジシャフト145からプランジャ115を引き離すことによって引き起こされる真空は、細胞セラピー媒体をシリンジシャフト145に引き込み、圧力除去システム170、圧力/力緩和機構125、および/または圧力を弱める先端130は、細胞セラピー媒体が細胞セラピー媒体リザーバ135に引き込まれている間、細胞セラピー注入デバイス内で所定のレベルの圧力を維持するように作用してもよい。
【0069】
より具体的には、ステップ605において、細胞セラピー媒体のボリュームが事前装填された、凍結された細胞セラピー注入デバイスが、たとえば、臨床医またはスタッフメンバ(たとえば、看護師、検査室技術者、または医師)によって受け取られ、凍結された細胞セラピー注入デバイスは、これが所望の温度(たとえば25~40℃)に達するまで、任意の許容可能な解凍手段によって解凍される(ステップ610)。代替的には、ステップ615において、空の細胞セラピー注入デバイスが受け取られ、細胞セラピーのボリュームによって装填されてもよい(ステップ620)。
【0070】
次いで、ステップ610または620に続いて、細胞セラピー注入デバイスは、たとえば、カテーテルリード425を介して、カテーテル430などの患者送達デバイスに結合されてもよい。次いで、細胞セラピー媒体のボリュームは、たとえば、臨床医によるバレル110内でのプランジャ115の手動による押し下げによって、患者に投与されてもよい(ステップ625)。
【0071】
別の例では、
図7は、細胞セラピー注入システム300および細胞セラピー注入システム100のアセンブリ400などの、細胞セラピー注入システムおよび細胞セラピー注入デバイスのアセンブリを使用するためのプロセス700を提供する。アセンブリは、細胞セラピー注入デバイスを保持する細胞セラピー注入システムのチャンバ内で熱均衡を達成および/または維持することを支援するために、蓋510などの蓋を有してもよい。いくつかの実施形態では、細胞セラピー注入デバイスは、凍結され、細胞セラピー媒体のボリュームによって事前充填されてもよく、または患者への投与のために細胞セラピー媒体によって装填された細胞セラピー注入デバイスであってもよい。
【0072】
最初に、ステップ705において、内部に細胞セラピー媒体のボリュームを有する細胞セラピー注入デバイスが、細胞セラピー注入システムによって受け入れられてもよい。しばしば、ステップ705は、臨床医によって実行されてもよく、または、たとえば、
図4A~4Dに示すような細胞セラピー注入システム内に細胞セラピー注入デバイスを置くことと、細胞セラピー注入システムの蓋(たとえば蓋510)を閉じることとを用いてもよい。次いで、ステップ710において、細胞セラピー注入システムの熱均衡システムが、細胞セラピー注入システム内で所望の温度(たとえば、25~40℃)を達成および/または維持するように起動されてもよい。ステップ710は、たとえば、ユーザインターフェース窓330などのユーザインターフェースとユーザとの相互作用によって実行されてもよい。例示的な熱均衡システムは、それだけに限定されないが、熱源210のような熱源、ファン212のようなファン、温度計250のような温度計、ならびに/またはプロセッサ/コントローラ240のようなプロセッサおよび/またはコントローラを含む。追加的または代替的に、ステップ710は、いくつかのケースでは、細胞セラピー注入システムをオンにする、細胞セラピー注入システム内の細胞セラピー注入デバイスの存在を検出する、および/または細胞セラピー注入デバイスが細胞セラピー注入デバイス内に存在し得ることを示すアクション(たとえば蓋を閉じる)を検出するなどのユーザアクションに応答するものであり得る、細胞セラピー注入システムによって自動的に実行されてもよい。
【0073】
ステップ715において、細胞セラピー注入デバイス内の細胞セラピー媒体は、たとえば、細胞セラピーが細胞セラピー注入デバイスの壁に接着するのを防止するために、攪拌されてもよい。いくつかの実施形態では、ステップ715は、たとえば、本明細書に説明するような、たとえば、細胞セラピー注入デバイスのバレル(たとえばバレル110)の回転によって実行されてもよい。
【0074】
ステップ720において、細胞セラピー注入システムは、細胞セラピーを患者に投与してもよい。ステップ720は、たとえば、ヘッドプレート314などのプランジャ押し下げ機構および/またはシステムの移動によってバレル110内でプランジャ115を押し下げることによって実行されてもよい。ヘッドプレート314の移動は、本明細書に開示するように第1のモータ220とウォームギヤ320との間の機械的協働によって容易にされてもよい。
【0075】
任意選択で、ステップ725において、1つまたは複数の動作パラメータフィードバック測定が行われてもよく、規定されたまたは好ましいパラメータ内で細胞セラピー注入デバイスが作動していることをフィードバックが示す場合、ステップ720の実行は、細胞セラピーの投与が完了するまで継続してもよい。規定された、または好ましいパラメータ内で細胞セラピー注入デバイスが作動していないことをフィードバックが示す場合、エラー状態を示す通知(たとえば、可聴式ビープ音、点滅光、または文書によるメッセージ)がユーザに提供されてもよく、および/または細胞セラピー注入システムの1つまたは複数(たとえば、熱源、ファン、プロセッサ/コントローラ、第1のモータ220、および/または第2のモータ245)の動作が、それに応答して調整されてもよい。例示的な動作パラメータフィードバック測定値は、それだけに限定されないが、細胞セラピー注入デバイスおよび/またはこれに結合された構成要素(たとえばカテーテル)内の圧力、ならびに/または細胞セラピー注入システム内の温度を含む。
【国際調査報告】