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特表2024-532179水素及び炭素を製造するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】水素及び炭素を製造するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/24 20060101AFI20240829BHJP
   C01B 3/56 20060101ALI20240829BHJP
   H05H 1/48 20060101ALI20240829BHJP
   C09C 1/48 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C01B3/24
C01B3/56 Z
H05H1/48
C09C1/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510250
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022075194
(87)【国際公開番号】W WO2023023636
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/235,025
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/242,273
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524061909
【氏名又は名称】トレント エナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジャーヴィス, リチャード ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】パスカロフ, ジョージ ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】ハーミソン, ブライアン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ウスティメンコ, アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】モス, アルフレッド ロボヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】メッセ―ラ, ウラジミール
【テーマコード(参考)】
2G084
4G140
4J037
【Fターム(参考)】
2G084CC02
2G084CC13
2G084CC17
2G084CC23
2G084DD17
2G084DD63
2G084DD67
4G140DA03
4G140DB05
4G140FA02
4G140FC01
4G140FC03
4G140FE01
4J037AA02
4J037BB02
4J037BB14
4J037BB18
4J037BB28
4J037BB35
(57)【要約】
反応チャンバ内で炭化水素から水素及び炭素を製造する方法が提供される。この方法は、炭化水素が第1方向に回転するようにチャンバ内に炭化水素を導入することを含む。この方法は、炭化水素の一部から直流(DC)ベースのプラズマを発生させることを含み、炭化水素は、少なくとも部分的にDCベースのプラズマによって1,000℃を超える温度に加熱される。この方法は、DCベースのプラズマを第1方向とは異なる第2方向に回転させることを含む。この方法は、炭化水素を、炭素固体及び水素ガスを含む炭化水素の元素成分に変換することを含む。この方法は、炭素固体を水素ガスから分離して、固体部分とガス部分を提供することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバ内で炭化水素から水素及び炭素を製造する方法であって、
炭化水素をチャンバ内に導入することで、前記炭化水素を第1方向に回転させることと、
前記炭化水素の一部から直流(DC)ベースのプラズマを発生させ、少なくとも部分的に前記炭化水素を前記DCベースのプラズマによって1,000℃を超える温度に加熱することと、
前記DCベースのプラズマを前記第1方向とは異なる第2方向に回転させることと、
前記炭化水素を、炭素固体及び水素ガスを含む前記炭化水素の元素成分に変換することと、
前記炭素固体を前記水素ガスから分離して固体部分及びガス部分を提供することと、を含む前記方法。
【請求項2】
前記第2方向は前記第1方向の反対である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭素固体を急冷することをさらに含み、前記炭素固体はカーボンブラックを含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマの一部及び前記炭化水素の一部は、1つまたは複数の次元で異なるそれぞれの回転に基づいて互いに角度をつけて接触する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記炭化水素は、酸素、窒素及び硫黄を実質的に含まないガス中に含まれる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガス中の酸素、窒素及び硫黄の量は1モルパーセント未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
高周波(RF)ベースのプラズマを発生させることをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記水素ガスから前記炭素固体を分離することは、前記分離チャンバ内の前記炭素固体への空気の再導入を制限するような様式で流体冷却オーガを介して前記炭素固体を除去することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記炭化水素は1,400℃~2,000℃の温度に加熱される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記水素ガスから前記炭素固体を分離することは、
前記炭素固体及び前記水素ガスを前記反応チャンバの体積的により大きなセクションに配置することによってガスの速度を低下させること、及び重力によって前記炭素固体が沈むことを可能にすることと、
前記炭素固体及び/または前記水素ガスを前記反応チャンバの壁に接触できるようにすることにより温度を低下させ、それによりガスの容積及び前記速度を低下させることと、
前記炭素固体及び/または前記水素ガスを前記壁に接触させることにより、前記炭素固体が集まって前記反応チャンバの底に落下することができるように前記炭素固体を物理的に遅らせることのうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ガス状炭化水素から水素及び炭素固体を製造する装置であって、
ガス投入口、ガス出口及び固体出口を有する処理チャンバと、
前記処理チャンバのプラズマ処理ゾーン内でプラズマを発生させるように構成され、前記処理チャンバ内にカソード及びアノードを備え、前記プラズマが前記プラズマ処理ゾーンを通過するガスを1,000℃超の温度に加熱して前記ガス中の炭化水素を解離させるように構成されている直流(DC)プラズマ発生器と、
前記処理チャンバの外部にあり、前記DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを回転させるように構成された磁石と、
前記処理チャンバの分離ゾーン内の冷却システムであって、前記ガス投入口は、前記ガス投入口を通過するガスを回転させるように構成されている、前記冷却システムと、を備える前記装置。
【請求項12】
前記カソードは移動可能であり、前記装置は、前記アノードと前記カソードとの間の所定の距離を維持するように前記カソードを移動させるように構成された制御システムをさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記処理チャンバから固体炭素を除去するように構成された流体冷却オーガをさらに備える、請求項11~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記処理チャンバの外部にある前記磁石は、前記DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを1,000RPM~6,000RPMの速度で回転させるように構成される、請求項11~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記処理チャンバの前記プラズマ処理ゾーン内でプラズマを発生させるように構成された高周波(RF)プラズマ発生器をさらに備える、請求項11~14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記処理チャンバの外部にあり、前記DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを回転させるように構成された前記磁石は、前記DCプラズマ発生器が発生させた前記プラズマを、前記ガス投入口を通過する前記ガスの回転方向とは反対の方向に回転させるようにさらに構成されている、請求項11~15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
ガス状炭化水素から水素及び炭素固体を製造する装置であって、
ガス投入口、ガス出口及び固体出口を有する処理チャンバと、
前記処理チャンバのプラズマ処理ゾーン内でプラズマを発生させるように構成されたプラズマ発生器であって、DCプラズマ発生器は、前記プラズマが、前記プラズマ処理ゾーンを通過するガスを、1,400°を超える温度まで加熱し、前記ガス中の炭化水素を解離させるように構成されている、前記プラズマ発生器と、
前記処理チャンバの外部にあり、前記DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを回転させるように構成された磁石と、
前記処理チャンバの分離ゾーン内の冷却システムであって、前記冷却システムは、カーボンブラックの粒子、アグリゲート及びアグロメレートの形成を停止させるために、ガス温度を約500℃以下に下げることができる、前記冷却システムと、を備える前記装置。
【請求項18】
ガス状炭化水素から水素及び炭素固体を製造する装置であって、
ガス投入口、ガス出口及び固体出口を有する処理チャンバと、
前記処理チャンバのプラズマ処理ゾーン内でプラズマを発生させるように構成されたプラズマ発生器であって、DCプラズマ発生器は、前記プラズマが、前記プラズマ処理ゾーンを通過するガスを、1,400°を超える温度まで加熱し、前記ガス中の炭化水素を解離させるように構成されている、前記プラズマ発生器と、
前記処理チャンバの外部にあり、前記DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを回転させるように構成された磁石と、
前記処理チャンバの分離ゾーン内の冷却システムであって、前記冷却システムは、カーボンブラックの粒子、アグリゲート及びアグロメレートの形成を停止させるために、ガス温度を約1000℃以下に下げることができる、前記冷却システムと、を備える前記装置。
【請求項19】
前記冷却システムは、前記アノードから下流の前記反応チャンバの一部の周囲に周方向に配置された複数のガス注入ノズルを備え、前記ガス注入ノズルは、前記プラズマ処理ゾーンから出る前記ガスが通過しなければならない冷却ガスカーテンを作り出す前記ガス注入ノズルを通過できる水素ガスの源に結合されている、請求項17~18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記水素ガスの源は、前記ガス出口に結合された精製システムからの加圧水素ガスの少ない一部である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
液体炭化水素から合成ガス及び炭素固体を製造する方法であって、
液体炭化水素を処理容器に導入することと、
プラズマ形成ガスを導入することと、
前記プラズマ形成ガスに少なくとも部分的に基づいてカソードとアノードとの間にDCプラズマ放電を形成または維持することであって、前記アノードは回転可能であり、少なくとも部分的に前記液体炭化水素中に浸漬されている、前記形成または維持することと、
前記アノードを回転させて前記アノードを覆う液膜を形成することであって、その結果、前記液膜内の炭化水素は前記DCプラズマ放電によって1500K~6000Kの範囲の温度に加熱され、それにより、前記液膜中の前記炭化水素の少なくとも一部が元素成分に変換される、前記形成することと、
前記成分を冷却して、水素ガス及び炭素固体を含むガス及び固体の製品混合物を形成することと、
前記水素ガス及び炭素固体の製品混合物を抽出することと、を含む前記方法。
【請求項22】
前記水素ガス及び炭素固体の製品混合物中の前記水素ガスは合成ガス中にあり、前記水素ガス及び炭素固体の製品混合物を抽出することは、前記合成ガスの他の成分から水素を分離することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記水素ガス及び固体の製品混合物を抽出することは、
前記水素ガス及び固体の製品混合物中の前記水素ガスをガス出力から排出できるようにすることと、
前記水素ガス及び固体の製品混合物中の前記炭素固体を炭素出力から排出できるようにすることと、
前記炭素出力中の液体から炭素固体を分離することと、を含む、請求項21~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記ガス出力は前記処理容器内の液体の所定レベルより上に配置され、前記炭素出力は前記処理容器内の液体の前記所定レベルより下に配置される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記炭素出力中の液体から炭素固体を分離することは、濾過器を使用することを含む、請求項21~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記炭素出力中の炭素固体から分離された液体は、前記処理容器に戻される、請求項21~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
閾値を超える蒸気含有量を有する蒸気を含んだHガスを、前記ガス出力中の前記Hガスから分離することと、凝縮した液体を、前記蒸気を含んだHガスから前記処理容器に戻すこととをさらに含む、請求項21~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記処理容器は、大気ガスが前記処理容器内の液体のレベルより上に入ることができないように密閉されている、請求項21~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記プラズマ形成ガスを導入することは、前記液体炭化水素の一部をガス及び固体に変換することを含む、請求項21~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記処理容器内の液体のレベルを制御して、液体の前記レベルを所定のレベルに維持することをさらに含む、請求項21~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記アノードはドラムを備える、請求項21~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
液体炭化水素を前記処理容器に導入する前に、前記液体炭化水素を前処置して、捕捉されたガス、水及び軽質炭化水素のうちの1つまたは複数を除去することをさらに含む、請求項21~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
液体炭化水素から合成ガス及び炭素固体を製造するシステムであって、
ガスを収容する第1領域、及び液体炭化水素を収容する第2領域を有する処理容器と、
カソード及びアノードであって、前記カソードと前記アノードとの間でDCプラズマ放電を形成または維持し、前記アノードは回転可能である、前記カソード及び前記アノードと、
前記第1領域におけるガス出力と、
前記第2領域における炭素出力と、
液体炭化水素を前記処理容器に導入するための前記第2領域内の液体投入口と、
前記アノード及び前記カソードに結合された電源と、を備える前記システム。
【請求項34】
前記炭素出力は濾過器を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
液体返送口と、前記濾過器及び前記液体返送口に結合され、液体を前記炭素出力から前記処理容器に再導入するように構成されているポンプとをさらに備える、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
ガス投入口と、前記ガス出力及び前記ガス投入口に結合されたガス分離装置とをさらに備え、前記ガス分離装置は、他のガスから純粋な水素を分離するように構成され、さらに前記分離された他のガスを前記処理容器に戻して再導入するように構成されている、請求項33~35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記処理容器は、大気ガスが前記処理容器内の液体のレベルより上に入ることができないように密閉されている、請求項33~36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記液体投入口及び前記炭素出力のうちの1つまたは複数に結合され、前記処理容器内の液体のレベルを制御して液体の前記レベルを所定のレベルに維持するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項33~37のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記アノードはドラムを備える、請求項33~38のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
液体炭化水素から合成ガス及び炭素固体を製造するシステムであって、処理容器のアレイを備え、
各処理容器は、ガスを収容する第1領域、及び液体炭化水素を収容する第2領域を有し、
各処理容器は、カソード及びアノードであって、前記カソードと前記アノードとの間でDCプラズマ放電を形成または維持し、前記アノードは回転可能である、前記カソード及び前記アノードを有し、
各処理容器は、前記第1領域におけるガス出力を有し、
各処理容器は、前記第2領域における炭素出力を有し、
各処理容器は、液体炭化水素を前記処理容器に導入するための前記第2領域内の液体投入口を有し、
各処理容器は、前記アノード及び前記カソードに結合された電源を有する、前記システム。
【請求項41】
前記処理容器のアレイは、n個の処理容器の1列を含み、数はn>1である、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記処理容器のアレイは、n個の処理容器のm列を含み、第1数はn>1であり、第2数はm>1である、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記処理容器の1つの前記炭素出力は、2つまたはそれ以上の前記処理容器の間で共有される、請求項40~42のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項44】
前記処理容器の各々の前記炭素出力は前記処理容器の各々の間で共有される、請求項40~42のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項45】
液体炭化水素から合成ガス及び炭素固体を製造する方法であって、
液体炭化水素を処理容器に導入することと、
プラズマ形成ガスを導入することと、
前記プラズマ形成ガスに少なくとも部分的に基づいて、カソードとアノードとの間にプラズマを形成または維持することと、
前記プラズマから形成されたプラズマジェットを前記液体炭化水素に導くことであって、その結果、前記プラズマジェットの近くの炭化水素は前記プラズマジェットによって1500K~6000Kの範囲の温度に加熱され、それにより、前記プラズマジェットの近くの前記炭化水素の少なくとも一部が元素成分に変換される、前記導くことと、
前記成分を冷却して、水素ガス及び炭素固体を含むガス及び固体の製品混合物を形成することと、
前記ガス及び固体の製品混合物を抽出することと、を含む前記方法。
【請求項46】
前記ガス及び固体の製品混合物を抽出することは、
前記ガス及び固体の製品混合物中の前記水素ガスをガス出力から排出できるようにすることと、
前記ガス及び固体の製品混合物中の前記炭素固体を炭素出力から排出できるようにすることと、
前記炭素出力中の液体から炭素固体を分離することと、を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ガス出力は前記処理容器内の液体の所定レベルより上に配置され、前記炭素出力は前記処理容器内の液体の前記所定レベルより下に配置される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記炭素出力中の液体から炭素固体を分離することは、濾過器を使用することを含む、請求項46~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記炭素出力中の炭素固体から分離された液体は、前記処理容器に戻される、請求項46~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
閾値を超える蒸気含有量を有する蒸気を含んだHガスを、前記ガス出力中の前記Hガスから分離することと、凝縮した液体を、前記蒸気を含んだHガスから前記処理容器に戻すこととをさらに含む、請求項46~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記処理容器は、大気ガスが前記処理容器内の液体のレベルより上に入ることができないように密閉されている、請求項46~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記プラズマ形成ガスを導入することは、(i)プラズマ形成ガスを前記処理容器の外側から前記処理容器内に供給すること、(ii)前記抽出されたガスの一部を戻すことのうちの1つまたは複数を含む、請求項46~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記処理容器内の液体のレベルを制御して、液体の前記レベルを所定のレベルに維持することをさらに含む、請求項46~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
液体炭化水素から合成ガス及び炭素固体を製造するシステムであって、
ガスを収容する第1領域、及び液体炭化水素を収容する第2領域を有する処理容器と、
カソード及びアノードを有して前記カソードと前記アノードとの間でプラズマを形成または維持し、前記プラズマから形成されたプラズマジェットを前記第2領域に導くためのノズルをさらに有するプラズマ形成リアクタと、
前記第1領域におけるガス出力と、
前記第2領域における炭素出力と、
液体炭化水素を前記処理容器に導入するための前記第2領域内の液体投入口と、
前記アノード及び前記カソードに結合された電源と、を備える前記システム。
【請求項55】
前記炭素出力は濾過器を含む、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
液体返送口と、前記濾過器及び前記液体返送口に結合され、液体を前記炭素出力から前記処理容器に再導入するように構成されているポンプとをさらに備える、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
ガス投入口と、前記ガス出力及び前記ガス投入口に結合されたガス分離装置とをさらに備え、前記ガス分離装置は、他のガスから純粋な水素を分離するように構成され、さらに前記分離された他のガスを前記処理容器に戻して再導入するように構成されている、請求項54~56のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項58】
前記処理容器は、大気ガスが前記処理容器内の液体のレベルより上に入ることができないように密閉されている、請求項54~57のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項59】
前記液体投入口及び前記炭素出力のうちの1つまたは複数に結合され、前記処理容器内の液体のレベルを制御して液体の前記レベルを所定のレベルに維持するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項54~58のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項60】
液体炭化水素から合成ガス及び炭素固体を製造するシステムであって、処理容器のアレイを備え、
各処理容器は、ガスを収容する第1領域、及び液体炭化水素を収容する第2領域を有し、
各処理容器はプラズマ形成リアクタを有し、前記プラズマ形成リアクタは、カソード及びアノードを有して前記カソードと前記アノードとの間でプラズマを形成または維持し、前記プラズマから形成されたプラズマジェットを前記第2領域に導くためのノズルをさらに有し、
各処理容器は、前記第1領域におけるガス出力を有し、
各処理容器は、前記第2領域における炭素出力を有し、
各処理容器は、液体炭化水素を前記処理容器に導入するための前記第2領域内の液体投入口を有し、
各処理容器は、前記アノード及び前記カソードに結合された電源を有する、前記システム。
【請求項61】
前記処理容器のアレイは、n個の処理容器の1列を含み、数はn>1である、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記処理容器のアレイは、n個の処理容器のm列を含み、第1数はn>1であり、第2数はm>1である、請求項60に記載のシステム。
【請求項63】
前記処理容器の1つの前記炭素出力は、2つまたはそれ以上の前記処理容器の間で共有される、請求項60~62のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項64】
前記処理容器の各々の前記炭素出力は前記処理容器の各々の間で共有される、請求項60~62のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許の相互参照
本出願は、2021年8月19日に出願された、「Systems and Methods for the Production of Hydrogen and/or Carbon」と題する米国仮特許出願第63/235,025号、及び2021年9月9日に出願された、「Systems and Methods for the Production of Hydrogen from Liquids, Oils, Semi-Solid Hydrocarbons」と題する米国仮特許出願第63/242,273号の優先権を主張するものであり、それぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
炭化水素原料のプラズマ誘起分解の利用を含む、水素及び/またはカーボンブラックの製造のためのシステム及び方法に関する実施形態が開示される。本明細書に開示される実施形態は、一次原料としてあらゆる種類の液体、油、半固体炭化水素を利用し、プラズマベースの高熱分解にガス状炭化水素を利用する、水素製造システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
炭化水素を構成分子、すなわち水素及び炭素に分解するために、長年にわたりさまざまな装置及び方法が利用されてきた。これらの副製品の用途は多岐にわたる。例えば、水素は、さまざまな部門での数々の用途で使用されており、この部門には産業部門及び輸送部門が含まれるが、これらに限定されない。炭化水素がその構成分子に分解されると、その結果には、水素を含有する合成ガスが含まれる場合がある。いくつかの実施形態では、合成ガスは、水素を分離するためにさらに処理される。
【0004】
そのうえ、炭素副製品には、高い表面積対体積比を有する準結晶性炭素の形態であるカーボンブラックとして炭素副製品が処理される場合を含む、多くの用途がある。カーボンブラックは、タイヤ、ホース、ベルト、パイプ、インク、電池、プラスチック、黒色が必要なその他の製品を含む、多くの用途に使用することができる。
【0005】
炭化水素を水素及び炭素に分解するために利用される従来の先行技術の装置及び方法には、水蒸気メタン改質(SMR)及び高分子電解質膜(PEM)電池が含まれる。SMRは、炭化水素が水(水蒸気として)と反応することによって合成ガス(水素及び一酸化炭素)を製造する方法であり、相当な量の二酸化炭素(CO)、例えば、製造した水素のkg当たり約3~10kgのCOを放出する。また、PEM電池を使用してメタノールから炭化水素を分解し、同様に相当な量のCO、例えば、製造した水素のkg当たり約1~3kgのCOを放出することができる。さらに、従来の先行技術の装置及び方法では、解離される炭化水素ガスは、投入量の高々約70%であり、換言すれば、従来の先行技術の装置及び方法では、炭化水素ガス投入量から水素及び炭素を生み出す効率は最大でも70%であった。
【0006】
このような処理では非常に汚染が大きく、毎年何トンもの温室効果ガスが放出される。また、これらの処理は、各々が、1キログラム(kg)の水素を製造するのに相当な量のエネルギーを必要とするという点で効率的ではない。
【0007】
軽質及び重質の製油所残油、半固体、及び天然ガスは、長い間、水素及び炭素を製造するための資源であった。その例には、水素には水の存在下で、カーボンブラックには水急冷を使う部分ガス化から、炭化水素分子を炭素及び水素に解離する処理によるものがある。これらの炭化水素含有物質(製油所油、半固体、天然ガスなど)を処理する場合、炭化水素含有物質は通常、水素及び炭素を製造するためのエネルギー源として使用されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
炭化水素含有物質から水素及び炭素を製造する処理に伴う高温、エネルギー及び原料の両方に使用される高流量、このような複雑な処理の結果として得られる製品の特性を制御しようとする際の困難のため、より少ないエネルギーを必要とし、製造される製品の特性を改善する、このような製品をより効率的かつ効果的な様式で製造する方法及び装置が必要とされている。さらに、相当な量のCO排出または他の汚染を伴わずにこのような製品を製造するための方法及び装置が必要とされている。さらに、油、潤滑油、廃油及び半固体から水素及び炭素を製造する方法は業界に独特のものであり、これらの廃棄物が販売され、熱のために燃やされて大量のCO2を放出することがないようにするために必要とされている。再循環された油の約80%は再循環されず、単に濾過されて燃やされるだけであることに注意するべきである。本明細書に示され説明される実施形態は、プラズマ及びその他のシステム要素の利用を通じて、先行技術を超える進歩を表しており、プラズマエネルギーをこれらの原料に入れて直接的に利用することで、エネルギー効率が高く環境に優しい様式で、さまざまな原料から水素及び高品位のカーボンブラックを製造する。実施形態は、先行する方法よりも相当に少ないCO排出または他の汚染で水素及び/または炭素を製造することができ、実施形態では、酸素を用いずに炭化水素含有ガスをプラズマ源として処理し、その高エネルギーを熱として液体及び半固体に直接伝達することから発生するCO排出または他の汚染も一切なく、そうすることができる。実施形態は、ガス及び液体の両方の炭化水素を、実質的に70%を超えて解離させることができ(ただし、先行技術の装置は液体中でこれを達成できない)、実施形態では、98%を超える、実質的に100%までの解離率に達する(例えば、99.99%)。
【0009】
本明細書の実施形態は、とりわけ、プラズマ放電及び反応チャンバを利用するシステムの利用を通じて、メタン及び他の炭化水素を解離させることによって、水素及び炭素(例えば、炭素粉末)を発生させる方法及び装置について説明する。実施形態では、炭化水素ガスがチャンバ内で回転し、チャンバ内で作り出されたプラズマと回転接触するように、炭化水素ガスが反応チャンバ内に角度を付けて導入される。いくつかの実施形態では、プラズマはまた、電流制御された磁石によって調節されて、チャンバ内で高い回転速度で、炭化水素ガスの回転と比べると異なる(例えば、反対の)方向に回転する。
【0010】
いくつかの実施形態では、プラズマ及び炭化水素ガスを反対方向に回転させる。ガス及びプラズマの相対的な角度での回転により、ガスと接触して、炭化水素を水素及び炭素の元素成分に解離させるプラズマの発生は増加する結果となり、カーボンブラックを製造するための急冷など、結果として得られた製品を分離及び精製するための処理が提供される。例えば、DCプラズマ、またはDCプラズマとRFプラズマとの組み合わせを含む種々のプラズマ技術も、使用してもよい。
【0011】
実施形態を、小さなモジュールユニットとして実現することができる。したがって、これらの小型モジュールユニットを移動輸送機関(例えば、船)に載せて、移動中に処理しても、荷降ろしの時点で処理してもよく、本明細書に記載の利点を有する。変換船(本明細書に記載の炭化水素解離システムを含む)は、洋上にあるため、変換処理に必要な追加の冷却水/液を製造するためにエネルギーを消費する必要はなく、単に必要なすべての冷却液をポンプで注入及び排出するだけでよい。これはエネルギーの大きな節約であり、放出される排出物の大きな削減である。
【0012】
利点としては以下のものがある。水素は非常に軽いため、たとえ液体であっても輸送にコストがかかる。炭化水素燃料の使用による排出量を超えて水素経済を推進したいが、このクリーンな燃焼燃料を手頃な価格で実用的な経済レベルで製造するための資源を持たない国は、既存の資源及び輸送インフラである液体天然ガス(「LNG」)を依然として購入し、最も効率的な輸送が完了して大量の貯蔵が最も有利になる時点でLNGをHに変換するという選択肢を有することになる。
【0013】
燃料変換によって製造された炭素を除去する必要があり、この炭素は完全に不活性であるため、受け入れ先の顧客が陸上でのさらなる処理を望むならば、収集して販売することもまた可能であり、または船外に投棄することも可能である。この物質を将来発見し、使用することがあるであろうから、回収が望まれる。
【0014】
いくつかの実施形態では、変換処理のために船上で電力を製造することによって、洋上の船での発電には、陸上での発電と対比して異なる規制が適用される。提案された方法では、再ガス化されたLNGを変換船の発電機セットで天然ガスとして使用することになり、ディーゼル燃料またはバンカー燃料よりもはるかにクリーンな選択肢である。
【0015】
実施形態のさらなる利点は、運転コスト及び原料コストであり、これらは、本明細書に記載される様式で解離を引き起こすためにプラズマを使用することによって改善される。また、実施形態は効率的であるため、原料から製品への変換を処理するために使用されるあらゆるキロワットを最大限に活用することができる。実施形態は、既知の方法を超えて、解離処理の生産性及び効率を向上させる。
【0016】
第1態様によれば、反応チャンバ内で炭化水素から水素及び炭素を製造する方法が提供される。この方法は、炭化水素が第1方向に回転するようにチャンバ内に炭化水素を導入することを含む。この方法は、炭化水素の一部から直流(DC)ベースのプラズマを発生させることを含み、炭化水素は、少なくとも部分的にDCベースのプラズマによって1,000℃を超える温度に加熱される。この方法は、DCベースのプラズマを第1方向とは異なる第2方向に回転させることを含む。この方法は、炭化水素を、炭素固体及び水素ガスを含む炭化水素の元素成分に変換することを含む。この方法は、炭素固体を水素ガスから分離して、固体部分とガス部分を提供することを含む。
【0017】
第2態様によれば、ガス状炭化水素から水素及び炭素固体を製造する装置が提供される。この装置は、ガス投入口、ガス出口及び固体出口を有する処理チャンバを備える。この装置は、処理チャンバのプラズマ処理ゾーン内でプラズマを発生させるように構成された直流(DC)プラズマ発生器を備え、DCプラズマ発生器は処理チャンバ内にカソードとアノードとを備え、DCプラズマ発生器は、プラズマが、プラズマ処理ゾーンを通過するガスを、1000℃を超える温度まで加熱し、ガス中の炭化水素を解離させるように構成される。この装置は、DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを回転させるように構成された磁石を、処理チャンバの外部に備える。この装置は、処理チャンバの分離ゾーン内に冷却システムを含み、ガス投入口は、ガス投入口を通過するガスを回転させるように構成される。
【0018】
第3態様によれば、ガス状炭化水素から水素及び炭素固体を製造する装置が提供される。この装置は、ガス投入口、ガス出口及び固体出口を有する処理チャンバを備える。この装置は、処理チャンバのプラズマ処理ゾーン内でプラズマを発生させるように構成されたプラズマ発生器を備え、DCプラズマ発生器は、プラズマが、プラズマ処理ゾーンを通過するガスを、1,400°を超える温度まで加熱し、ガス中の炭化水素を解離させるように構成される。この装置は、DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを回転させるように構成された磁石を、処理チャンバの外部に備える。この装置は、処理チャンバの分離ゾーン内に冷却システムを備え、冷却システムは、カーボンブラックの粒子、アグリゲート及びアグロメレートの形成を停止させるために、ガス温度を約500℃(または1,000℃)以下に下げることができる。
【0019】
第4態様によれば、液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造する方法が提供される。この方法は、液体炭化水素を処理容器に導入することを含む。この方法は、プラズマ形成ガスを導入することを含む。この方法は、プラズマ形成ガスに少なくとも部分的に基づいてカソードとアノードとの間にDCプラズマ放電を形成または維持することを含み、アノードは回転可能であり、少なくとも部分的に液体炭化水素中に浸漬される。この方法は、アノードを回転させてアノードを覆う液膜を形成することを含むことで、液膜内の炭化水素はDCプラズマ放電によって1500K~6000Kの範囲の温度に加熱され、それにより、液膜中の炭化水素の少なくとも一部が元素成分に変換される。この方法は、成分を冷却して、水素ガス及び炭素固体を含むガス及び固体の製品混合物を形成することを含む。この方法には、水素ガス及び炭素固体の製品混合物を抽出することが含まれる。
【0020】
第5態様によれば、液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造するシステムが提供される。このシステムは、ガスを収容する第1領域と、液体炭化水素を収容する第2領域とを有する処理容器を備える。このシステムは、カソード及びアノードを備えてカソードとアノードとの間でDCプラズマ放電を形成または維持し、アノードは回転可能である。このシステムは第1領域にガス出力を備える。このシステムは第2領域に炭素出力を備える。このシステムは、液体炭化水素を処理容器に導入するための、第2領域内の液体投入口を備える。このシステムは、アノード及びカソードに結合された電源を備える。
【0021】
第6態様によれば、液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造するシステムが提供される。このシステムは、処理容器のアレイを備え、各処理容器は、ガスを収容する第1領域と、液体炭化水素を収容する第2領域とを有する。このシステムは、カソード及びアノードを有してカソードとアノードとの間でDCプラズマ放電を形成または維持する各処理容器を備え、アノードは回転可能である。各処理容器は、第1領域にガス出力と、第2領域に炭素出力と、第2領域に液体炭化水素を処理容器に導入するための液体投入口と、アノード及びカソードに結合された電源とを有する。
【0022】
第7態様によれば、液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造する方法が提供される。この方法は、液体炭化水素を処理容器に導入することを含む。この方法は、プラズマ形成ガスを導入することを含む。この方法は、プラズマ形成ガスに少なくとも部分的に基づいて、カソードとアノードとの間にプラズマを形成または維持することを含む。この方法は、プラズマから形成されたプラズマジェットを液体炭化水素に導くことを含むことで、プラズマジェットの近くの炭化水素はプラズマジェットによって1500K~6000Kの範囲の温度に加熱され、それにより、プラズマジェットの近くの炭化水素の少なくとも一部が元素成分に変換される。この方法は、成分を冷却して、水素ガス及び炭素固体を含むガス及び固体の製品混合物を形成することを含む。この方法にはガス及び固体の製品混合物を抽出することが含まれる。
【0023】
第8態様によれば、液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造するシステムが提供される。このシステムは、ガスを収容する第1領域と、液体炭化水素を収容する第2領域とを有する処理容器を備える。このシステムはプラズマ形成リアクタを備え、このプラズマ形成リアクタは、カソード及びアノードを有してカソードとアノードとの間でプラズマを形成または維持し、プラズマから形成されたプラズマジェットを第2領域に導くためのノズルをさらに有する。このシステムは第1領域にガス出力を備える。このシステムは第2領域に炭素出力を備える。このシステムは、液体炭化水素を処理容器に導入するための、第2領域内の液体投入口を備える。このシステムは、アノード及びカソードに結合された電源を備える。
【0024】
第9態様によれば、液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造するシステムが提供される。このシステムは、処理容器のアレイを備え、各処理容器は、ガスを収容する第1領域と、液体炭化水素を収容する第2領域とを有する。各処理容器は、カソード及びアノードを有してカソードとアノードとの間でプラズマを形成または維持するプラズマ形成リアクタを有し、プラズマ形成リアクタはさらに、プラズマから形成されたプラズマジェットを第2領域に導くためのノズルと、第1領域内のガス出力と、第2領域内の炭素出力と、液体炭化水素を処理容器に導入するための第2領域内の液体投入口と、アノード及びカソードに結合された電源とを有する。
【0025】
本明細書に組み込まれ、その明細書の一部を形成する添付図面は、さまざまな実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一実施形態による炭化水素解離システムを示す図である。
【0027】
図2】一実施形態による炭化水素解離システムを示す図である。
【0028】
図3】一実施形態によるリアクタを示す図である。
【0029】
図4】一実施形態によるリアクタを示す図である。
【0030】
図5】A及びBは一実施形態によるガス注入システムを示す図である。
【0031】
図6】一実施形態による、異なる温度における炭素粒子のクラスターのSEM顕微鏡写真を示す図である。
【0032】
図7】A及びBは一実施形態による動的カソードポジショナを示す図である。
【0033】
図8】A、B及びCは一実施形態による、原料ガスをシステムチャンバに流入させるためのノズル開口部を示す図である。
【0034】
図9A】一実施形態によるカソードを示す図である。
図9B】一実施形態によるカソードを示す図である。
図9C】一実施形態によるカソードを示す図である。
【0035】
図9D】一実施形態によるカソード挿入装置を示す図である。
【0036】
図10】一実施形態による、液膜を作り出す回転ドラムを利用する液体炭化水素解離システムを示す図である。
【0037】
図11】一実施形態による、挿入された流体中円錐部密接接触装置を利用する液体炭化水素解離システムを示す図である。
【0038】
図12】一実施形態による、流体保持容器、流体濾過要件、冷却要件、並びにガスの濾過及び精製の要件を組み合わせる方法として、回転ドラム生成液膜装置を利用した多数の液体炭化水素解離システムを示す図である。
【0039】
図13】一実施形態による水素解離システムを示す図である。
【0040】
図14】一実施形態による上部カソードを備える処理容器を示す図である。
【0041】
図15】一実施形態による、上部にプラズマトーチまたはリアクタを備える処理容器を示す図である。
【0042】
図16】一実施形態による、炭化水素解離システムのブロック処理フローの説明を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の説明は、本開示の図に示される炭化水素解離システムを含む、本明細書に開示される炭化水素解離システムの実施形態に概して適用可能である。以下に説明するように、いくつかの実施形態は、ガス、液体、半液体などを含むさまざまな形態の炭化水素の解離に適用可能である。
【0044】
いくつかの実施形態では、使用されるプラズマリアクタの種類に関係なく、制御ソフトウェアは、測定可能なパラメータに基づいて、プラズマリアクタの使用を強化するために、例えば、エネルギー使用量、変換効率などを改善するために、採用される。これらの実施形態では、リアクタの制御を強化するために、重要な性能測定を監視してもよい。ある1つの測定に、各キログラムの水素を発生させるのに使用されるエネルギー量が含まれる場合があり、実施形態では、制御システムは、この値が一貫しており、可能な限り小さいことを確実にしようとする。実施形態では、パイロリシス及びサーモリシス(酸素を用いない高温パイロリシス)処理に対して、以下の式を利用して、処理制御を支援し、所与のプラズマリアクタに適用可能な他の処理パラメータの中でも、ガス流量及び圧力、カソードとアノードとの間の電力レベル、並びに回転速度に対する磁石電力のうちの1つまたは複数を管理してもよい。
【0045】
実施形態では、製品出力の質量及び品質を維持するために、処理制御指標により、1つまたは複数の処理パラメータを調整してもよい。ある1つの処理制御指標を、1時間当たりに製造される水素のキログラム(質量)を、使用されるメタンのキログラムで割ったものとしてもよい。このパーセンテージは、実験室で文書化された比率98%などの閾値と継続的に比べられる。パーセンテージが変化する場合、流量(例えば、1つまたは複数の制御バルブによって制御される)及び電気投入量(例えば、電源制御によって制御される)などの直接制御される変数を、制御ソフトウェアのアルゴリズムによって調整してもよい。使用されるメタンの質量と純度を直接測定し、一貫性を確かめるために以下の式1と比較してもよい。製造される水素の質量と純度を直接測定して、流量、温度、ガスクロマトグラフ測定から計算してもよい。全エネルギー、印加電圧一貫性及び位相電圧という電気変数を、以下の式2、3及び4によって決定してもよい。これらは制御された設備変数の結果であり、これらはメタンの水素への変換に直接的な影響を有しているので、メタンに対する影響を調整して水素の一貫した出力の容積と品質を維持してもよい。
【0046】
式1:質量流量
Intotal=Outsolids+OutGas+By-pass Gas/Hydrocarbonvapor
In=現状の炭化水素質量流量(1時間当たりのm直接測定)
Outsolids=カーボンブラックの収集/排出分離及びサイクロン質量
Outgas=計算された合成ガス質量流量から監視値CO(システムの投入炭化水素のO汚染/漏れの処理制御)を差し引いた値
By-pass gas/hydrocarbon=濾過器を通過しない濾過処理からの、または吸着剤によって吸着される流れの容積。精製の好ましくない部分。
【0047】
式2:DC/RFに使用されるエネルギー
全加熱エネルギー=DCワット数+RFワット数(使用する場合)-ORCで発生したワット数(ORC=有機ランキンサイクル冷却装置)
【0048】
式3:電圧の一貫性
カソード/アノード間の差分電圧=直接測定-事前設定パラメータ
事前設定パラメータは実験的に決定され、参照変数;実験的な決定;望ましい製品特性に対して事前に行われる;Hパーセント変換率、カーボンブラックの望ましい製品値として入力される。
カソードからアノードまでの距離を一貫したものに維持する位置決め可能なカソードを使用する実施形態において、制御ソフトウェアプログラムによって、差分の大きさを使用してカソードの位置を調整してもよく、カソードの位置は、この差分を最小に維持するように調整される。
カソードの電圧を、位置決めソフトウェアの後の二次的な方法として調整することができる。この電圧の変化を、最初の小さな調整(位置変更が続く)として、差分電圧の範囲または統計的一部分の1パーセントに限定してもよく、またはしなくてもよい。
【0049】
式4:アノードの内径の周りでDC放電を回転させ、解離を可能にする高強度のプラズマボリュームを作り出す方法としてのアノード電圧/位相
実際のアノード電圧の変化(実験的に確立された中央値から)=
流入ガス流量変化(リアルタイム測定パラメータ)(温度対容積についての気体法則に合わせて修正)×
実験的に決定されて事前設定された原料から製品への変換パーセンテージ×
アノード操作電圧(リアルタイム測定パラメータ)(100~700VDCのV電圧単位当たりの変化率)
=リアルタイムで調整されたアノード電圧の変化。
【0050】
処理制御ソフトウェアの目標は、炭化水素からの一次変換率を、水素へは達成可能な最高値(例えば、100%)に保持するか、または別の製品品質特性へは最低の一貫したエネルギー値に保持することである。例えば、圧力、流量、電圧、電流といった処理パラメータの測定は、水素及び炭素の分離処理部分の下流にあって全ガス流の水素含有パーセントをより直接的に決定する化学分析機器によって強化され、実験的に決定された処理パラメータ関係と比較されながらソフトウェアコーディング内で上記の式(式1~4として上記で説明した式である)によって利用される。
【0051】
アノードの構成及び操作は、リアクタ/トーチプラズマガス流れ空間の周りを移動する放電量を最大化するような様式で行われる。放電の電圧と「スピン速度」の両方が、原料から製品水素、カーボンブラック構造の結果のような運転結果に影響を与える。制御ソフトウェアは、望ましい結果を一定に維持するために利用される。
【0052】
いくつかの実施形態(図1~9について本明細書で説明されるものなど)は、炭化水素ガスを解離させるように設計されたリアクタを対象とする。これらの実施形態を、以下に概して説明する。
【0053】
いくつかの実施形態では、セラミックでコーティングされた水冷壁によって形成され得る反応チャンバを備えるプラズマリアクタが提供される。DC放電及び/またはアークのプラズマリアクタは、プラズマリアクタの一部であってもよく、DCプラズマカソードを備えてもよい。電気アークまたはアーク放電は、長時間の放電を引き起こすガスの電気的絶縁破壊である。したがって、本開示の目的上、プラズマ放電またはプラズマアークという用語を互換的に使用してもよい。DCプラズマカソード及び供給ガスシステムをリアクタの最上部に配置してもよい。DCプラズマ円筒形アノード(カソードから電気的に絶縁されている)はリアクタの一部であり、ノズルの下流にノズルと同軸に配置されている。アノードは、磁気コイル、または電流を伝えると共に磁場を提供する他の装置によって囲まれている。コイルを通過する電流によって作り出される磁場によってプラズマが回転し、プラズマの回転速度はDC電流(例えば、駆動電圧及び全ワット数に基づいて、700ボルトから200ボルトで運転している1メガワットシステムでは、通常値はそれぞれ1,500アンペアから5,000アンペア)と、磁場(通常は、800ガウス(B)から1,000ガウス(B))とに依存する。広いアノード面積及び高速回転により、プラズマボリューム、処理効率及び電極寿命が大幅に増加する。
【0054】
いくつかの実施形態では、例えば、カソードとアノードとの間、及び/またはアノードと原料注入プレートとの間にRF電力も、印加してもよい。RF電力の周波数を、イオンサイクロトロン共鳴周波数に調節してもよい(例えば、原子状水素のイオンサイクロトロン周波数は、B=900ガウスでは1.4MHzである)。RF電力をイオンサイクロトロン共鳴周波数に調節することによって、水素イオンが加速され、及び/またはその運動エネルギーが増大することで、解離が改善される場合がある。例示的な操作パラメータを以下に列挙する。
【0055】
いくつかの実施形態では、炭化水素含有ガスを解離させるための目標温度は約1,500℃であり、約1,000℃~2,000℃であってもよい。この温度またはこの範囲内では、効率的なエネルギー使用、例えば5kWh/kg H2~25kWh/kg H2で、炭化水素は高比率で解離する場合がある(例えば、98%を超える炭化水素が解離する)。解離は、より高い(例えば、2,000℃を超える)温度でも依然として成功する場合があるが、使用した追加エネルギーに比べて解離が実質的に改善されないという点で、それらの温度に到達するための追加エネルギーは事実上「無駄」になる。
【0056】
いくつかの実施形態では、目標温度に到達するために、プラズマの回転速度は、毎分約5,000回転(RPM)~6,000RPMとなり、約1,000RPM~6,000RPMのより広い範囲であってもよい。プラズマの回転により、炭化水素含有ガスのより均一な温度プロファイル(例えば、プラズマ雲)が生じ、炭化水素含有ガスが所望の温度まで加熱され、解離することが可能になる。それは、プラズマ放電の回転により、DCプラズマ放電が、定在放電に近いガスだけでなく、プラズマ処理ゾーン内のガスの全容積または実質的に全容積という、より大きな容積のガスに影響を与えるからである。
【0057】
実施形態では、1つまたは複数のセンサー(例えば、光学分光法、レーザー干渉法、スタックガスクロマトグラフ、流量計)を使用して処理を監視してもよい。例えば、図1(後述)の文脈では、1つまたは複数のセンサーを使用して、水素排出口114及び炭素排出口116のいずれかを通ってリアクタ102から出る炭化水素含有ガスの量を測定してもよく、並びに/またはプラズマ処理ゾーンを通過する、もしくは急冷ゾーン及び/もしくは分離ゾーンにある炭化水素含有ガスの量を測定してもよい。また、センサーを使用して、投入口110を通ってリアクタ102に入る炭化水素含有ガスの量を測定してもよい。これらの測定から、解離する炭化水素含有ガスの量を決定してもよい。この量が少なすぎる(例えば、98%未満)場合、アノード電源に結合された制御回路によって、プラズマをより高速で回転させる、または他の処理パラメータを制御するように電流の流れを変更してもよい。その処理パラメータの例には、ガス流量、ガス温度、RF電力、または分解効率を最大化する他のパラメータがある。
【0058】
図1は、一実施形態による炭化水素解離システム100を示す。図示されるように、炭化水素解離システム100は、リアクタ102と、プラズマ源104と、投入口110と、磁石112と、水素排出口114と、炭素排出口116とを備える。リアクタ102を、炭化水素の解離、並びに得られた水素及び炭素製品の精製のために、プラズマを収容すると共に1つまたは複数の領域またはゾーンを提供し、得られた水素及び炭素製品を収集するための出口を提供する、例えば、誘電体材料で作られた円筒形の容器(プラズマ処理ゾーン310、急冷ゾーン312、分離ゾーン314など)とすることができる。実施形態では、リアクタ102は細長くてもよく、直径対長さの比は約1:5~1:10であってもよく、垂直、水平、及び/または角度を持った構成で配置及び操作されてもよい。
【0059】
プラズマ源104は、図1に示すように、直流(DC)放電プラズマ源を備えてもよい。DC放電プラズマ源104は、カソード106及びアノード108を備える。カソード106及びアノード108は、円筒形状、円錐形状、リング形状、及び他の幾何学的構成を含む種々の形状をとってもよい。カソード106及びアノード108の例示的な材料には、グラファイト、コバルト酸リチウム(LCO)、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(NMC)、アルミナをドープしたニッケルコバルト酸リチウム(NCA)、マンガン酸リチウム(LMO)及び鉄リン酸リチウム(LFP)が含まれる。他の材料もまた、本明細書に開示される実施形態の範囲内である。
【0060】
DC放電プラズマ源104もまた、DC電源などの電源を含む。炭化水素含有ガスの存在下でDC電力がカソード106及びアノード108に印加されると、プラズマ放電が作り出され、プラズマ放電はカソード106とアノード108との間で発生する。いくつかの実施形態では、プラズマ源104は、カソード106とアノード108との間にRFベースのプラズマを作り出すことができる高周波(RF)電源をさらに含んでもよい。DCベースのプラズマは単一点の回転放電であるが、RFベースのプラズマは膨張してプラズマ処理ゾーン内のリアクタ102の容積を満たす。
【0061】
リアクタ102は投入口110を備え、これを使用して炭化水素原料ガスをリアクタ102に提供してもよい。投入口110は、ガス排出口806(図8Cに示す)などのリアクタ102に炭化水素ガスが供給されるときに炭化水素ガスを回転させるノズルを有してもよい。図示されるように、投入口110(またはガス入口)は、リアクタ102の最上部のカソード106内に位置決めされる。炭化水素ガスが投入口110を通ってノズルの下流でさらにリアクタ102内に供給されるときに炭化水素ガスの回転を容易にするような様式で、ノズルに角度を付けるか、または形状を付けてもよい。投入口110の実施形態を、図8A、8B及び8Cについてさらに説明する。磁石112は、永久磁石であってもよく、またはリアクタ102の周囲に巻かれたコイル(複数可)であって、コイルに電流が印加されると磁場を誘導することができ、熱的に冷却されることが可能なコイルであってもよい。磁石112は、プラズマの回転方向の速度の制御、そうでなければ調節を助けるために設けられる。
【0062】
水素排出口114は、ガス状水素を収集できるようにするために設けられている。例えば、水素排出口114は、水素が炭化水素解離システム100から排出されることを可能にするバルブ及び配管を備えてもよい。排出される水素は、ある程度の量の炭化水素ガス及び/または他の不純物を含む可能性があり、さらなる精製処理を受ける可能性がある。いくつかの実施形態では、残りの炭化水素ガスを、例えばガス注入システム302(図3に示す)にポンプで送ることによって、リアクタ102に再循環させてもよい。
【0063】
固体炭素を収集できるように、炭素排出口116を設ける。例えば、炭素排出口116は、空気の侵入を排除するような様式で炭素が炭化水素解離システム100から排出されることを可能にする回転エアロック、及びオーガまたはコンベヤを備えてもよい。オーガまたはコンベヤを(例えば、水などの流体によって)冷却してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、1組の注入器(例えば、図3に最初に示されているノズルまたはチューブ304などのセラミック注入器)を急冷ゾーン312に設けて(例えば、ガス注入システム302を介して)、その領域にガスを注入し、炭素温度を約2,000Kから約1,000Kまたは約500Kに下げることを可能にしてもよい。全てのガスの中で最も高い熱伝導率を有し、本明細書に開示される実施形態によって製造されるガスの1つである水素は、水を使用することなく炭素の急冷を可能にし、これは先行のシステムよりも有利である。これについては、図3~4、5A及び5Bに関連してより詳しく説明する。
【0065】
例えば、二酸化炭素の放出が許容される実施形態では、リアクタ102を、例えばリアクタ102に結合された水冷システム105によって冷却してもよい。
【0066】
図示のように、リアクタ102は垂直に配向されており、垂直リアクタと呼ばれる場合がある。実施形態では、リアクタ102をこの配向で位置決めすることにより、例えば、重力が(より重い)固体炭素を(より軽い)ガス状水素から分離することを支援できるようになって、水素及び炭素の分離及び精製の効率を改善することができる。他の配向のリアクタ102もまた、可能である(例えば、横方向(例えば、水平)または角度を付けた位置)。
【0067】
運転中、DC電力をカソード106及びアノード108に供給してプラズマを作り出す。炭化水素含有ガスは、ガス投入口110に導入され、開口部(図8Cに示すガス排出口806など)を介してリアクタ102内の処理ゾーンに斜めに入る。いくつかの実施形態では、例えば、DCベースのプラズマの生成と同時にプラズマを生成するために、RF電力もまた、カソード106及びアノード108に供給してもよい。
【0068】
理想的には、炭化水素含有ガスは純粋な、または実質的に純粋な炭化水素である。実際には、濾過して除去する必要がある不純物がある。さらに、単一の炭化水素含有ガス、または異なる炭化水素含有ガス(例えば、メタン及び天然ガス)の混合物があってもよい。
【0069】
実施形態では、カソード106はポート(図9A、9B及び9Cに示すポート902など)を側面に有し、このポートは、炭化水素含有ガスがガス投入口110のノズルから排出されてプラズマ処理ゾーンに入るときに、炭化水素含有ガスの物理的スピン回転を与える。図9A、9B及び9Cに関連して以下に説明するように、ポート902は、(図9Aに示すように)角度αだけ角度が付いていてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、αを10°~30°の範囲としてもよい。いくつかの実施形態では、カソード106のポートによって与えられるガスのこの回転は、ガス投入口110によって与えられる回転に追加されるものである。プラズマ処理ゾーンでは、少量の炭化水素含有ガス(例えば、約2%~3%)がプラズマ(例えば、高エネルギープラズマ)に変化し、残りのガスはプラズマ処理ゾーンを通過する時に加熱される。このゾーンでは、ガスのスピンが角運動量を与え、この角運動量がすべてのガスをDCプラズマ放電に導き、混合を増加させ、効率を向上させる。磁石112がDCプラズマ放電のスピンを誘導すると、この放電はプラズマ処理ゾーン内のより大容積のガスを加熱することができる。実施形態では、磁石112は、プラズマを1,000RPMから6,000RPMの間の速度で回転させる場合がある。
【0070】
炭化水素含有ガスのガス流れは、炭化水素含有ガスをプラズマ処理ゾーンに押し込む。高エネルギープラズマの放電及びプラズマの回転により、このゾーンを通過する炭化水素含有ガスは高エネルギーで衝突し、非常に高い効率で解離し、炭化水素内の炭素-水素結合を単独の水素及び炭素の原子、すなわち炭化水素の元素成分に分解する。このゾーンでは、炭化水素-含有ガスが1,000℃から2,000℃の範囲、諸実施形態では約1,500℃の温度に加熱され、炭化水素の大部分または実質的に大部分がその元素成分に変換される。
【0071】
例えば、諸実施形態では炭化水素含有ガスの90%超が解離し、他の実施形態では95%超の解離が達成され、他の実施形態では98%超が達成され、他の実施形態では実質的に100%(例えば、99.99%)が達成される。処理制御パラメータ、例えば、これに限定されないが、ガス流量は、結果として生じるこの解離効率を調整することができる。99.99%の解離を達成すると共に、閾値量を下回る(例えば、設備の検出限界以下)有機原料ガス(例えば、メタン)のために出力ガスのスペクトル分析によって監視される公称流量がある。処理ガスの流量がこのポイント(すなわち、公称流量)を超えて増加すると、プラズマからのエネルギーは約1500℃の解離温度に達するのに十分ではなくなり、一部の未解離の炭化水素(例えば、メタン)が変化することなく通過し、前述のセンサーによって検出される。公称流量の0%から3%の増加により、98%の変換結果がもたらされる。3%から5%に増加すると95%の結果などがもたらされる(処理シミュレーション及び発明者の経験に基づく)。
【0072】
これらの単独元素は、例えば、プラズマ処理ゾーン内で加熱されるガスによって生じる圧力差に基づいて、プラズマ処理ゾーンから出て急冷ゾーン(312)に入る。急冷ゾーンの後、単独元素は分離ゾーンに移動する。ここで、分離ゾーン(314)において、水素は、自然状態のHに冷却されるにつれて再結合し、ガスとしてこのゾーンから出ていく。ガスはリアクタ102に入るときに回転しており、ガス及びその後の構成分子は下流で回転し続ける傾向があるので、分離ゾーン314では、解離した炭素は、遠心力効果に基づいてリアクタ102(分離ゾーン314内)の壁に向かって移動する傾向がある。炭素製品を制御する急冷処理は、ガス注入システム302について、及び重要な「接触時間」または急冷速度としての急冷ゾーン312の長さについて、さらに説明される。炭素は再結合して、水素より重い固体粒子、アグリゲートまたはアグロメレート塊として自然な状態になる。これらの粒子は重力の力の下で分離ゾーンの底に落ち、例えば、オーガ、コンベヤ、またはその他の機械的装置によって、炭素排出口に除去され得る。
【0073】
炭素がリアクタ102内に落下すると、一部の炭素粒子(またはアグリゲートもしくはアグロメレート塊)がリアクタ102の壁の内側を覆うことになる。この時点で、固体炭素は非常に乾燥しており、リアクタ102の壁上の炭素の厚さは薄くなり、残りの炭素は分離ゾーンの底に落ちている。実施形態では、リアクタ102の壁を、炭素の蓄積を防ぐ様式でコーティングしてもよい。また、実施形態では、リアクタ102の壁の幾何学的形状及び/または壁の表面材料及び/または壁に塗布されたコーティングは、炭素の蓄積量に影響を及ぼしてもよい。他の実施形態では、発生する限定的な炭素の蓄積は、リアクタ102の断熱を改善するのに役立ち得る。
【0074】
図2は、一実施形態による炭化水素解離システム200を示す。システム200の構成要素のいくつかは、システム100に関して説明したものと類似しており、それらの構成要素については、同様の構成要素を示すために同じ参照番号が使用されている。システム200は、ハイブリッドプラズマリアクタがDC放電プラズマ源104及び別個のRFプラズマ源202を手段として提供されるという点でシステム100とは異なる。いくつかの実施形態におけるシステム100は、カソード106とアノード108との間にRFベースのプラズマを含んでもよい。システム200では、RFベースのプラズマをリアクタ102の周りのコイル203によって発生させる。これは、システム100で使用されるものとは別個のプラズマ源である。いくつかの実施形態では、RFベースのプラズマが有利である。例えば、RFベースのプラズマは、DCベースのプラズマよりも容易に安定化させることが可能であり、リアクタ102の全域にわたってより均一な温度を提供することができ、追加のエネルギーを与えて、前述したように、ガス注入スピンによって既に与えられた角運動量から分子の衝突を増加させ、より多くのプラズマボリュームをリアクタ102内に作り出すことができる。場合によっては、RFベースのプラズマだけでは、炭化水素を効率的に処理することが困難になり得るため、実施形態では、RFベースのプラズマをDCベースのプラズマと組み合わせて、システム効率を改善する。
【0075】
RFプラズマ源202は、RFエネルギーを使用してプラズマ、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)を作り出す。RFプラズマ源202は、RFベースのプラズマ(例えば、ICP)を発生させるのに必要な電磁誘導を提供するコイル203を備えてもよい。RFプラズマ源202は、リアクタ102内のプラズマ処理ゾーンにRFベースのプラズマを導入する。プラズマ処理ゾーンでは、物理的に回転する炭化水素含有ガスはRF電力によってエネルギーを与えられ、生成されたプラズマが大量のエネルギーを有するように、特定のパラメーター(例えば、周波数、振幅、バイアス)を持つように制御してもよく、そうすることで、炭化水素含有ガスは加熱されて膨張し、プラズマ処理ゾーン全体を満たすようになる。
【0076】
実施形態では、RF電源の通常の周波数は1.76MHzと13.56MHzの間であり、振幅は約5kVから約10kVである。炭化水素含有ガスを膨張させてプラズマ処理ゾーン全体を満たすことにより、処理容積が最大化され、結果として生じる解離がより効率的になる。DCベースのプラズマ及びRFベースのプラズマの両方を使用する実施形態では、炭化水素含有ガスに二重にエネルギーを与える(すなわち、DCベースのプラズマ及びRFベースのプラズマの両方による)ことにより、潜在的により低いDC電力でさらに高い変換効率がもたらされる。上述したように、炭化水素含有ガスの解離が起こると、構成分子は分離ゾーンに送られる。濾過器204を、水素排出口114及び炭素排出口116に結合してもよい。例えば、水素が水素排出口114を通過するとき、通過する炭素粒子を濾過器204によって捕捉することができ、場合によって炭素排出口116に入ることを可能にするように、水素は濾過器204と相互作用してもよい。加えて、炭素が炭素排出口116を通過するとき、炭素排出口116を通過する任意のガスが水素排出口114に入ることが可能になるように、炭素排出口116の開口により、炭素排出口116内の任意のガスが濾過器204と相互作用することが可能になるようにしてもよい。ガスは炭素排出口114を通過するときに依然として熱いため、ガスは上昇して開口部を通過する傾向があることから、ガスはさらに濾過器204を通過して水素排出口114に入ることができる。濾過器204は、セラミック高温濾過器を備えてもよい。
【0077】
図3及び図4はさらに炭化水素解離システムを示す。リアクタ102は、図1及び図2に示されるリアクタ102と同様であり、概して、同じまたは類似の構成要素を示すために同じ参照番号が使用されている。リアクタ102はガス注入システム302を含む。ガス注入システム302は、急冷ゾーン312においてリアクタ102にガスが入ることを可能にするための複数のノズルまたはチューブ304を備えてもよい。ノズルまたはチューブ304を、半径方向に間隔を開けてもよい。実施形態において、水素排出口114を通過した水素は、冷却のためにチューブ304を通ってリアクタ102に再導入され、急冷を生じさせ、炭素製品をカーボンブラックに処理するのを助ける。概して、リアクタ102によって実行される処理は、ゾーン310、312及び314に分割することができる。プラズマ処理はゾーン310で行われ、凝集及び急冷はゾーン312で行われ、分離はゾーン314で行われ、また、そこで製品はさらに処理され、濾過され、及び/またはリアクタ102から除去されてもよい。
【0078】
本明細書に開示されるシステムの利点は、概して炭化水素を分解するのに必要なエネルギーがより少なく、プラズマに投入されるほとんどすべてのエネルギーが解離処理に費やされるため、システムははるかに効率的であることである。いくつかの実施形態では、システムは約24kWh/Kgの効率を達成することができ、いくつかの実施形態では、効率は約15kWh/Kg~約30kWh/Kgになり得る。先行技術のシステムは効率が相当に低い。
【0079】
以下は、炭化水素解離システム100及び200を含む、本明細書に開示される任意の炭化水素解離システムに概して適用される。カソード106は、場合によって移動可能であってもよい。使用により、カソード106の材料は劣化し、エッチングされて除去され、それにより時間の経過とともに小さくなる。カソード106の位置を制御することによって、例えば、カソード106とアノード108との間の一定の距離を維持する。これにより、時間の経過とともにシステムの運転が改善され、カソード106の交換が必須になるまでの連続運転時間を増加させることができる。図7A及び図7Bに関して、動的カソードポジショナをさらに説明する。位置決めは電気的に駆動される補正によって制御され、位置決めの変化の大きさはカソードからアノードへのフィードバック及び運転電流の監視によって継続的に決定される。
【0080】
本明細書に開示される実施形態で使用される例示的な炭化水素含有ガスには、メタン、天然ガス、圧縮天然ガス(CNG)、石油ガス、合成ガス、バイオディーゼル、及びこれらのいずれかの組み合わせを含む他の種類の炭化水素が含まれる。
【0081】
実施形態では、炭化水素含有ガスからの水素及び炭素は、回転プラズマの遠心力効果によって分離される。特に、プラズマの回転により、リアクタ102内のより均一に加熱された空間が作り出されており、それとは違って角運動量衝突率による場合よりも大容積の炭化水素含有ガスが解離される。一方では炭化水素含有ガス、他方ではプラズマによる異なる(例えば、反対の)回転は、プラズマと炭化水素含有ガスの少なくとも一部との間の角度がついた接触を強化し、その結果、より大きな解離効果と効率がもたらされる。炭化水素含有ガス及びプラズマのそれぞれは、3次元(例えば、x、y、z次元)のうちの1つまたは複数で回転する場合があり、それぞれの回転はこれらの次元の1つまたは複数で異なる場合がある。炭化水素含有ガス及びプラズマの異なる回転、並びにそれらのそれぞれの角運動量は、炭化水素含有ガスをより均一にすることによってその加熱を改善する。遠心力効果により、重い炭素粒子が冷却された壁に向かって移動し、そこで急冷処理の一部が生じる。水素は、冷却及び熱回収のために、熱交換器(図示せず)及びサイクロンダスト分離器(図示せず)に輸送される。炭素粉末は水冷リアクタの壁と底に収集され、リアクタチャンバから空気を隔絶する排出ポートに物質のプラグを作り出し、水冷コンベヤ/オーガによって包装システムに輸送される。プラズマリアクタ内で発生したガス流から高純度水素を抽出するための高選択性膜または圧力スイング吸収剤に基づく水素精製ユニット(例えば、水素精製システム107)を、水素排出口114から排出されたガスが水素精製ユニットを通過するように、すぐ近くに配置してもよい。
【0082】
カーボンブラックには種々の特性があるため、種々の産業でのカーボンブラックの用途に応じて有用になる。例えば、粒子サイズ、及び/または表面活性(窒素捕捉によって検査)、及び/または何よりもヨウ素吸着といった物理的特性は、タイヤ製造、ベルト及びホース用のゴム、プラスチック、食品サービス、カーボンファイバー、その他の黒色材料などの産業におけるカーボンブラックの価値に影響を与え得る。これらの特性を、炭化水素解離システムの処理中に、例えば、電力、ガス速度、ガス混合、飛行/冷却の時間などの処理パラメータを操作することによって制御することができる。粒子サイズ及びその他の特性の調整は、例えば、タイヤ製造、プラスチック配合、塗料及びインクへの添加剤、及び他の多くの産業に、望ましい等級の製品を供給するために重要である。水素の発生させる処理で、追加のエネルギーコストなくこれを達成することで、既に世界的にニーズが増大している市場に第2の製品を提供するという有益な経済性が作り出される。
【0083】
実施形態では、冷却時間(すなわち、急冷速度)を変更する方法が提案されている。この方法は、図3に示されるガス注入システム302を使用するなど、発生した水素ガスを使用することによって、調整可能な冷却ガスカーテンを提供することを含む。解離した構成分子がプラズマリアクタのアノードを通過し、そこで分解が起こるとすぐに、それらは冷却され始める。元素状炭素を含む構成分子は高温ジェット流を形成し、乱流の衝突力学によって凝集して茎上のブドウに似た小さなクラスターになる。また、冷却を、飛行時間として知られるアノードと急冷ガスリングとの間の距離を調整することによって制御してもよい。つまり、長距離(または長飛行時間)は結果的により多くの冷却をもたらし、短距離(または短飛行時間)は結果的により少ない冷却をもたらす。
【0084】
図6は、異なる温度における炭素粒子のクラスターのSEM顕微鏡写真である。高温ジェット流はこれらの非常に細かい炭素粒子を運び、炭素粒子が熱い状態(例えば、1,000℃超、通常は1,000℃~2,000℃の範囲)に長く留まるほど、図6に示すように、炭素粒子はより大きくなり、より複雑になる。なぜなら、最も微細な粒子は2,000°F(または約1,100℃)で生じ、処理が停止するのに十分に冷却されるまで対流と衝突によって冷却されるからである。この処理を人為的に停止することは急冷と呼ばれ、発生した水素ガスをクリーニングして冷却し、それを高温ジェット流の尾部の適切な部分に注入することによって行われる。発生した水素ガスを注入すると、高温ジェット流の温度が劇的に低下するため、炭素の特性、例えば、炭素粒子が形成するクラスターのサイズを制御することができる。例えば、急冷に必要な時間範囲は約30ミリ秒から約90ミリ秒であることが知られている。所望の特性に応じて、急冷位置を、例えば、アノード位置から排出されるガス速度に基づいて計算して、アノード108から約40ミリ秒~約60ミリ秒の下流にガス注入を配置してもよい。
【0085】
実施形態では、解離後のガス温度急冷を使用して、粒子、アグリゲートまたはアグロメレートへの炭素の再会合を停止させてもよい。結果として得られる炭素製品のサイズは、解離プラズマの処理パラメータ及び急速冷却が行われるリアクタ102内の位置によって決定され得る。炭素粒子サイズの具体的な中央値及び範囲は実験的に予め決定することができ、例えば、急速冷却の位置を移動することによって急冷ゾーン内で調整可能である。実施形態では、従来のように水蒸気に変わる水によってではなく、予冷した不活性ガス、または好ましくは予冷した水素製品ガスによって、急冷を達成してもよい。これは、いくつかの実施形態では、ガス注入システム302などの所定のノズル装置によって達成される。ノズルまたはチューブ304を、高温セラミックで作ってもよく、流れの中心に向けてもよく、プラズマジェット接続の直後に接合チャンバの内部寸法の周囲にリングとして配置して、流れの中心に向けてもよいが、プラズマ処理ゾーンから下流に分離ゾーンの長さの最大50%までの軸方向位置決めをするように調整可能でもある。前記装置は、セラミックノズルを備えるステンレス鋼のような材料で作られているが、これに限定されず、ポストプラズマチャンバ環境の運転温度に耐えられるように流体冷却されていてもよい。図5A及び図5Bに示すように、角(スピン)ガス速度を作り出すと共に高エネルギープラズマとの乱流接触を増加させる投入口110を経る特定の注入により、粒子を含む高温ジェット流はアノード位置から下流に移動し、ガスは回転し続ける。スピンガスは冷却注入水素の注入ノズル304を通過し、いくつかの実施形態では約10K/秒の急冷速度を達成して、温度を1,000℃よりも大幅に低下させることで、アグリゲート形成は停止し、カーボンブラック形成は小サイズかつ高価値な等級(N300以下など)に調整されるようにしてもよい。N300とは、粒子サイズ30mm~35mmを有するカーボンブラックの等級を指す。この処理の急冷速度K/秒は、1秒当たりのケルビンでの温度の変化の速度に関連しており、分子衝突力学によって決定される。
【0086】
本明細書に開示される処理は、中断がほとんどまたはまったくなく連続的に実行され得る。これにより、メンテナンスによるダウンタイムの影響が最小限に抑えられる。処理の安定化、及び好ましい公称処理パラメータでの運転を可能にすることにより、より一貫した製品品質に繋がる。開示された処理のわずかのメンテナンス中断のうちの1つは、リアクタ102内の高温カソード106の交換である。カソード106は、例えば、グラファイトまたはグラファイト複合材料で作られ、特に耐用年数を延ばすために望ましい寸法で作られ得るが、カソード106上の高電流によるエッチング効果により、時間の経過とともに腐食し、交換しなければならなくなる。いくつかの実施形態では、カソードは、プラズマエネルギーのサイズ及び潜在的能力を調節するためにアノードに対して相対的に位置決めされ、実施形態では、この寸法フィーチャーは、所定の値の約+/-10%以内である。この腐食は時間の経過とともに発生するため、使用を続けるとこの寸法は変化する。いくつかの実施形態では、運転寿命を延ばすために、そうでなければ使用するものよりも相当に長い、例えば公称設計長さの2~10倍のカソード部分を使用してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、必要なカソード対アノードの位置が比較的一定、例えば、+/-10%以内に保持されるように、所定の腐食進行速度(例えば、1日当たりミリメートルのオーダー)でカソード106の余長をゆっくりと差し込む機構があってもよい。この機構は能動的処理制御装置であり、動的カソードポジショナとしても知られている。さらに、いくつかの実施形態では、カソード棒を既存の棒に取り付ける(例えば、ねじ込む)ことで、システムを停止することなく寿命を延ばすことができる。
【0087】
図7A及び図7Bは、一実施形態による動的カソードポジショナ700を示す。カソード703は、棒形状であってもよく、破損することなくカソード(例えば、グラファイト製)を支持するのに十分にしっかりしたホルダ702内に固定され得るが、カソードをリアクタ102及びプラズマ処理ゾーン310内に注入する注入スクリュー701装置とインターフェース接続するようにも設計されている。ホルダ702に結合された速度調整可能な挿入装置705は、例えばモータによってカソードを案内し、挿入速度(例えば、1日当たり数ミリメートルのオーダー)を確立し、プラズマ処理ゾーン310への空気漏れが起こらないようにカソードを密閉することができる。電源704もまた提供され、これは、運転ソフトウェアインターフェース画面を備えた、タイミング及び制御回路を含み得る。挿入装置705は、ベアリングを装備したスクリュー701を備えた長い支持チャネルを備えてもよい。このスクリューは、その長さにわたって細いねじ山を有しており、スクリューを回転させるための微細位置決めステッピングモータ706が基部端にあり、それにより、ホルダ702の上下の直線運動を作り出している。カソード703を一端で保持するためにホルダ702に結合されたクランプ装置を有する潤滑マウントがこのねじ山付スクリュー上にあり、チャネルの一端から他端まで自由に移動するような様式でチャネル内に取り付けられる。この装置をリアクタ102の最上部、つまりロッドガイドにボルトで固定する取り付け具が他端である基部にねじ込あり、リアクタ102及びスクリューモータ706に空気が入らないように密閉している。
【0088】
動的カソードポジショナ用のソフトウェアは、空気密閉部を通過してプラズマ処理ゾーン310内に入るカソード挿入を、リアクタ102のアノード狭窄直径部まで操作してもよい。例えば、ソフトウェアは、処理モデリング及び/または実験的証明に基づいてもよく、いくつかの実施形態では、所定の速度で運転することができ、または運転条件を考慮して調整され得る。例えば、電圧の一貫性のような特定の電源運転パラメータ範囲を、予め決定された挿入速度へのバックアップとして使用してもよい。プラズマ主電力を一定電流に保持してもよく、電圧を変化させて高温解離処理を一定に保持してもよい。電圧運転範囲が過剰に変化し始めた場合、これはカソードが公称位置から外れていることの合図である可能性がある。ソフトウェアアルゴリズムを使用して挿入速度を変更し、この処理の変化を調整してもよい。
【0089】
図8A図8B及び図8Cは、それぞれ、一実施形態によるガス投入ヘッド800の上面図、切り欠き透視図及び側面図を示す。ガス投入ヘッド800を、例えば、図1及び図2に示すガス投入口110として使用してもよく、リアクタ102の最上部または実質的に最上部に配置してもよい。図示のように、ガス投入ヘッド800はチャンバ810及び820を有し、上部レベルチャンバ810内を流れる冷却水と、下部レベルチャンバ820内でのガス分散とを有し得る。下部レベルチャンバ820は、これがなければ中空であったチャンバ内のガスの流れを制御するのに役立つ方向性羽根804を有する。羽根804は、例えば、チャンバ820の中空キャビティ内に機械加工されてもよいが、これに限定されない。実施形態では、羽根804は利用可能な容積の50%未満を占め、いくつかの実施形態では25%未満を占める。
【0090】
下部レベルチャンバ810内のガスが排出口806に移動するときにガスを回転させるような様式で、羽根を形作り、配置している。排出口806は、チャンバ820とプレート821との間の隙間であり、そこからガスが抜けることができる。この羽根付きチャンバ820の端は、リアクタ102の直径よりも小さい直径を有し、それゆえに、このチャンバ820から押し出されるガスは、排出口806を通過するときにリアクタ102のプラズマ処理ゾーンに容易に移動する。ガスは、ガス投入ヘッド800の最上部の投入穴802(中心からずれている)に注入される。ガスは、傾斜羽根804がある中央領域を満たす。その結果、羽根の間で絞り出され、接線方向が与えられる。この方向により、ガスがガス投入ヘッド800を出てリアクタ102のプラズマ処理ゾーンに入るときに、ガスにスピンを作り出される。
【0091】
図9A図9B、及び図9Cは、それぞれ、一実施形態によるカソード900の上面図、部分側面図及び側面図を示す。カソード900を、例えば、図1及び図2に示すカソード106の代わりに構成してもよい。ポート902をカソード900の側面に配置して、炭化水素含有ガスがガス投入口110のノズルから排出されてプラズマ処理ゾーンに入るときに、炭化水素含有ガスの物理的スピン回転を与えてもよい。いくつかの実施形態では、図9Aに示される角度オフセットαが10°~30°の範囲になり得るように、ポート902に角度を付けている。この角度は、カソード900の外縁からカソード中心までの線に関するポート902の長手方向軸からの角度を表す。異なるポート902は、いくつかの実施形態では同じ角度を有してもよく、他の実施形態では10°~30°の範囲内の異なる角度を有してもよい。角度オフセットαにより、炭化水素含有ガスがガス投入口110のノズルから排出されてプラズマ処理ゾーンに入るときに、ポート902は炭化水素含有ガスの物理的なスピン回転を与える。
【0092】
図9Dは、一実施形態によるカソード挿入装置900Dを示す。挿入されるカソード901Dは、図示のように、902Dとして示される各端に機械加工されたねじ込みフィーチャー(または他の端と端との嵌合可能な接続方法)を有することで、このねじ込みフィーチャーにより、新しいカソードの長さの雄フィーチャーを現在使用中のカソードの雌フィーチャーにねじ込むことによって、カソードを延長することができるようになり、それゆえに、連続運転が可能になる。このカソード901Dは、カソード901Dを移動させることができるモータ付計量装置905D内にある。この装置のモータは、デジタル制御ボード及びコンピュータの電子回路によって制御される正確な移動を有する、業界で知られているようなデジタルサーボモータであってもよい。一実施形態に示されるように、カソード901Dは、モータ付計量装置905Dの一部である歯車906Dの間に挟まれ、特に、カソード901Dをリアクタ102内に押し込むのに十分な抵抗で歯車906Dの間に挟まれる。(図9Dには示されていない)。歯車は、例えば、一方の側面にモータへのギアがあり、他方にカソードをグリップする摩擦装置がある905Dの一部として(ただし、これに限定されない)デジタルサーボ型モータによって、制御されたモータの回転を伝達する機構である。ゴムのような材料、またはカソードを移動させるが損傷させない程度の十分な深さと材料強度を有する金属ホイールの溝によって、このグリップ方法を行ってもよい。カソード挿入装置900Dを使用して、開示された実施形態で使用される適切なサイズのカソード(図1に示されるカソード106など)を挿入してもよい。実施形態では、カソード挿入装置900Dは、カソードがリアクタ102内に移動することを可能にし、空気がリアクタ102内に入るのを許容しない、特定の材料の密閉部908Dを有する特に設計された水冷の密閉部907Dを備えてもよい。一実施形態では、密閉部は、カソードの直径全体を取り囲む2つの部分からなる二重密閉とすることができ、ゴム、合成ナイロン、テフロン(登録商標)などの耐熱材料であるが、これらに限定されない。ここで、この材料は、カソードのある長さ(例えば、1~6インチの長さ)に沿ってエアロックを作り出すような様式で、一体化されたチューブの各端にあって、リアクタ内に空気が入らないようにしている。また、この密閉部907D及び駆動部905Dは、907D内の接続を介してカソード901Dに置かれた電荷から電気的に絶縁される。加えて、本明細書に記載のプラズマ発生方法は時間の経過とともにカソード901Dを腐食させる可能性があるため、リアクタ102内のカソード901Dを交換することができる必要がある。図示のように、902Dのスクリューねじ山904Dと適合するスクリューねじ山904Dを有する追加のカソード903Dを、カソード901Dのねじ山端902Dに取り付けることができる。つまり、スクリューねじ山端904D及び902Dは共に嵌合する。これにより、連続的かつ均一なシステム運転が可能になる。
【0093】
リアクタシステムは、同じ種類または異なる種類の単一のリアクタまたは複数の並列リアクタを備える場合がある。換言すれば、本明細書に開示される炭化水素解離システムはモジュール式である。
【0094】
いくつかの実施形態(図10図16に関して本明細書に記載されるものなど)は、炭化水素の液体、半液体、油などを解離するように設計されたリアクタを対象とする。これらの実施形態を、概して以下に説明する。
【0095】
実施形態はまた、容器内に収容され、温度が制御され、維持される原料液体の適切かつ調整可能な液面レベルを維持するための方法及び制御システムを説明する。連続運転中にこの容器から炭素が豊富な流体を除去するには、濾過した流体を容器に戻して処理を継続し、流体の不透明度を監視して濾過品質を制御し、適切な流体レベルに新しい原料を補充する必要がある。それは、流体の元の容積を消耗させて、一貫した容積を変換するためである。
【0096】
本明細書の実施形態は、プラズマ発生システムを利用してメタン及びその他のガス状炭化水素を解離することにより水素及び炭素(例えば、カーボンブラック)を発生させる方法及び装置を説明する。このプラズマ発生システムは、プラズマトーチ/ゾーンから排出されるプラズマ流から残りのガス状炭化水素ガスへの熱の伝達、及びその高エネルギーを容器内に収容される液体に与えることによって、とりわけ、ガス状炭化水素ガスのすべて(または一部)に対して、DCプラズマ放電リアクタ、及び/またはRFのICPプラズマ反応を有するDCプラズマ放電チャンバを利用して、ガス状水素及び固体炭素を作り出す。炭素は液体中に残るため、これら2つの製品は直ちに分離する。そしてガスは高温であるため、ガスベントに上昇する。実施形態では、炭化水素ガスがチャンバ内で回転し、チャンバ内で作り出されたプラズマと回転接触するように、炭化水素ガスがリアクタまたはトーチチャンバに角度を付けて導入される。いくつかの実施形態では、DCプラズマはまた、プラズマ制御された磁石、電圧及びシーケンス制御ソフトウェア、並びにプラズマリアクタを構成するカソード/アノード対のアノード部分の一体化された部分によって調節されて、炭化水素ガスの回転と比べてチャンバ内で高い回転速度で異なる(例えば、反対の)方向に回転する。
【0097】
いくつかの実施形態では、プラズマと炭化水素ガスは反対方向に回転させられる。ガス及びプラズマの相対的な角度での回転により、ガスと接触して、炭化水素を水素及び炭素の元素成分に解離させるプラズマの発生は増加する結果となり、カーボンブラックを製造するための容器の液体に入れる急冷など、結果として得られた製品を分離及び精製するための処理が提供される。解離したガスは、プラズマゾーンの注入キャップで与えられたスピンと、磁気制御された反対のDC放電回転によって与えられた角運動量を持っているため、炭素を含むガスは、液体への向心力によって外側をスピンし、また、容器壁内の冷水によって冷却される。これにより、ナノ及びマイクロサイズのスケールでの炭素と炭素との結合処理が停止/急冷され、それゆえに、カーボンブラックのアグリゲート構造(元素状炭素が元素状炭素と結合した結果)が確立される。次いで、これによりカーボンブラックの特性が形成され、流体中に収集され、流体から濾過され、流体が乾燥品質に減量し、その後、種々の処理方法及び設備によって選別される。
【0098】
例えば、DCプラズマ、またはDCプラズマとRFプラズマとの組み合わせを含む種々のプラズマ技術も、制御可能な処理パラメータとともに使用してもよい。この処理パラメータの例には、例えば、プラズマガスの流量及び速度(この生ガスの制御可能な圧力によって与えられる)、ポストプラズマゾーンの生ガス流量、カソード及びアノードの電圧、DC放電プラズマの回転速度などがあるが、これらに限定されない。制御可能な処理パラメータを使用して、例えば、原料ガスが流れて分解されるプラズマ加熱容積を拡大してもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、液体変換方法は、液体の濾過、濾過されたカーボンブラックの乾燥、プラズマトーチまたはリアクタ及び発熱方法、この発熱方法の液体容器への取り付け、水素製品ガスのベント、冷却、収集、ろ過、脱蒸気/流動化の方法と設備、製品水素の精製、プラズマエネルギー制御システム及び流体交換制御、濾過、脱油、半乾燥させた炭素固体をすべて熱分解キルンで処理することを包含してもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、容器に入れる前に原料流体の前処置を適用してもよく、ガス状水素製品の発生後処置、及び発生固体(例えば、カーボンブラック)の後処置を適用してもよい。原料流体の前処置は、バルク配送物を混合して、容器内に配置されるより均一な流体組成物を作り出すことと、ビジネスによって推進される製品の品質と特性を最大化する取り組みとして、処理パラメータの調整を可能にする化学分析と、固体の除去及び/または濾過と、脱気と、脱水とを含んでもよい。
【0101】
実施形態は、ガス状水素製品の後処置方法を含み、このガス状水素製品は、上部の密閉されたベントを通って処理容器から排出され、処理蒸気ミスト凝縮装置に送られ、最大30barの圧力(これに限定されない)の水素圧縮機に送られ、次いで膜水素精製装置を通過して、約99.9%の水素純度が得られる。この精製工程からのバイパスガスは概して炭化水素含有量が高いため、循環してプラズマ発生器に戻される。
【0102】
いくつかの実施形態では、高温プラズマガス水蒸気が高温(2,000℃~6,000℃)でチャンバから放出され、このプラズマは第2炭化水素原料を含む容器内に垂直に作り出される。この高温のプラズマガス水蒸気は液体原料に密接に接触し、熱エネルギーを与え、原料を水素及び炭素に分解する。一貫したカーボンブラック組成及び表面品質を、制御された様式で、例えば1秒未満で、例えば炭素アグリゲート形成を急冷することによって得てもよい。この方法は、新たに作り出された分子状水素(H)の泡立ちとして、この相互作用からの水素の発生を含み、この分子状水素は気体であるため、液体から分離する。この方法は、炭素が液体中に残って集まるときに、水素(ガス)から炭素(固体)を分離し、液体中固体部分とガス部分を提供することを含む。ガス部分は液体の上に上昇し、ベントパイプラインに収集され、そこで冷却され、液滴、ヒューム、粒子などをさらに濾過し、精製のために冷却される。炭素含有液体は濾過されて炭素が除去され、さらに乾燥固体に処理されてもよく、過剰な液体は容器内で処理するために戻される。
【0103】
いくつかの実施形態では、この方法は、炭素(固体)を急冷することを含み、炭素(固体)はカーボンブラックを含み、カーボンブラックの形成は、DC放電が衝突する部分の周囲の液体の温度によって停止される。いくつかの実施形態では、プラズマ流の発生に使用される炭化水素ガスは、酸素、窒素及び硫黄を実質的に含まないガス中に含有される。いくつかの実施形態では、ガス中の酸素、窒素及び硫黄の量は1モルパーセント未満である。いくつかの実施形態では、液体原料は、水の存在を削減するように調製されている。いくつかの実施形態では、液体原料炭化水素から炭素(固体)を分離することは、流体ポンプ揚液による液体の一部の固液分離装置への除去を含み、この固液分離装置は、濾過プレス、遠心装置、ケーキング装置、オーガプレス、または炭素のすべてもしくは一部を除去するように設計された他の装置を含んでもよいが、これらに限定されない。一実施形態では、炭素「ケーキ」は、炭素ケーキ(固体)への空気の再導入を制限するような様式で、流体冷却オーガを介して除去される。
【0104】
いくつかの実施形態では、炭素ケーキは無酸素パイロリシス回転式装置内でさらに処理され、そこで炭素とともに残っている湿った/液体の油が高カロリー値の合成ガスに揮発される。この実施形態では、この合成ガスは、この回転式装置の熱源として燃焼される場合がある。別の実施形態では、この合成ガスはプラズマ発生チャンバに戻され、そこで加熱されたプラズマ水蒸気を発生させるために利用される。この実施形態では、たった今、乾燥され脱油されたカーボンが収集され、冷却され、販売可能なカーボンブラック製品に分類される。
【0105】
いくつかの実施形態では、液体原料炭化水素は、ガス状炭化水素プラズマ流によって1,400℃~2,000℃の温度に加熱される。
【0106】
図10は、一実施形態による炭化水素解離システム1000を示す。図10に示されるように、システム1000は、容器1004を含む液体リアクタ1002を有し、いくつかの実施形態では、容器1004全体がリアクタ1002の構成要素のすべてまたは大部分を包含する。処理される液体炭化水素原料1006は、容器1004内で、例えばアノード回転要素1008の最上部(頂点)またはその近くの一定レベルに保持される。一実施形態では、カソード1010は、カソード1010からアノード1008へのDC放電プラズマ1012の生成を容易にするために、適切な距離をおいてアノード1008の上に配置される。実施形態では、回転アノード1008は、ドラムの形態であってもよく、回転アノード1008は、液体1006の内部をその表面上に引き上げて、放電プラズマ1012の経路内に入れてもよい。回転アノード1008の表面上の液体1006の内部は、流体層1014を形成することができ、これは、回転アノード1008の表面に関連するので液体の粘度及び表面張力特性に依存することになる。実施形態では、流体層1014の厚さは約0.1mm~約6mmであってもよい。
【0107】
流体1006の分解はこの処理中に起こり、水素ガスは、流体1006上の空間1016内に排出され、液体領域から上昇し、例えば、合成ガス出力1018を通って合成ガスとして容器1004から出る。炭素を含んだ流体は容器の底から除去されるが、この容器は炭素の収集を容易にするために漏斗底を有していてもよい(図14及び図15に示されるものなど)。次いで、除去された流体は、濾過され、デカンテーションされ、遠心分離され、及び/または炭素/液体分離器1020によるなどして、液体から炭素固体を除去するための他の方法に供される。過剰な炭化水素流体は、液体を炭素/液体分離器1020から液体返送入口1022にポンプで注入する、例えば、ポンプ1026を通って容器1004に戻される。返送入口1022を通って戻される液体には、炭素/液体分離器(濾過)装置1020から再循環され、濾過された液体炭化水素が含まれる。
【0108】
カソード1010は、放電プラズマ放電1012を作り出す高電圧/高電流供給の一方の側であり、そこで分解が起こる。合成ガス出力1018は、空間1016内の水素ガスを含む、リアクタ1002内で作り出されたガスの排出を容易にする。アノード1008は、放電プラズマ1012用の高電圧/高電流供給の他方の側にあり、回転ドラムとして構成されることができる。このドラムを液体炭化水素1006に浸漬することができ、前述したように、表面摩擦及び粘度により液体はドラム上の層1014に引き上げられる。リアクタ1002の処理及び運転中に、炭素固体1028が形成され、液体1006によって捕捉される。ポンプ1026は、例えば、一定速度(実験的に分解速度によって予め決定される)で液体をリアクタ1002から除去し、その処理中に液体は分離器または濾過器1020を通過する。分離された炭素は濃縮された形態で分離器/濾過器から排出されて、さらなる処理のために送られる場合がある。次いで、ポンプ1026によって、濾過された液体を、再処理のために液体返送口1022を介してリアクタ1002に戻してもよい。また、新鮮な流体は、容器1004内の流体のレベルを適度に一定に維持するように構成された新鮮な流体入口1024を通って容器1004に入る。
【0109】
本出願で使用され、参照され、記載され、またはそうでなければ開示されるように、液体炭化水素には、油、廃油、グリセリン、植物油、製油所副産物、アスファルト、及び他の炭化水素が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0110】
図11は、一実施形態による炭化水素解離システム1100を示す。図11に示されるように、システム1100は、容器1103を含む液体リアクタ1102を有し、いくつかの実施形態では、容器1103全体がリアクタ1102の構成要素のすべてまたは大部分を包含する。処理される投入液体を、液体返送口1104で容器1103に入れてもよい。この液体返送口1104は、炭素/液体分離器(濾過)装置1106から再循環された、濾過された液体炭化水素を含み得る。
【0111】
リアクタ1102を、天然ガス原料1110などの投入ガスの使用を通じて高エンタルピーのプラズマジェット流1108を発生させるように構成してもよい。このプラズマジェット1108の形成に使用されるガスはまた、リアクタ装置が発生させた合成ガス(例えば、合成ガス出力1114を介してガス返送口1116を通って返される)の一部を含んでもよい。このプラズマジェット1108の形成に使用されるガスは、例えば、すべて合成ガス、または新鮮な投入原料ガスの混合物であってもよいが、メタン及び合成ガスに限定されない。各ガス成分の範囲には、例えば、メタン50%、水素25%、二酸化炭素25%から、メタン98%、水素1%、二酸化炭素1%までが含まれる場合がある。結果として得られるこのようなガス混合物の分解では、入る割合として、二酸化炭素及び水素のすべてが分解を通過し、メタン(または他の任意の炭化水素)の99+%が水素及び固体炭素に分解される。実施形態では、一部の合成ガスを、合成ガス出口1114を介して出力し、一部の合成ガスのガスを、合成ガス返送入口1116を介してリアクタに返してもよい。
【0112】
ガスは、カソード1118(図11に示す図では、下向き三角形状)を通してその周囲に注入され、カソード1118は、ガスが渦巻き状にカソードから排出されるように構成される。スピンするまたは回転するガス1120は、反対方向にスピンするまたは回転するDC放電1122に遭遇して分解速度及び効率を最大化し、高エンタルピーのプラズマジェット流を発生させる。一実施形態では、アノード1124は、永久磁石であってもよい磁石、またはリアクタ1102の周囲に巻かれて電流が印加されると磁場を誘導することができるコイル(複数加)であり、制御を助けるために、そうでなければプラズマの回転を調節するために、提供される。
【0113】
プラズマ形成ガスは膨張し、底部ノズル1128からプラズマ1108として流体1136内に押し出され、そこですべてのプラズマ熱を伝達してノズル1128の周囲の局所流体を分解し、それによって水素、合成ガス及び炭素固体を発生させる。つまり、ノズル1128から排出されるプラズマ1108の熱により、ノズル1128の領域にある流体または液体1136が加熱されてその構成分子に分解され、その結果、水素、合成ガス及び炭素固体が得られる。図示されるように、流体1136のレベルがノズル1128の上にあることで、プラズマ1108がノズル1128から排出されると、ノズル1128の領域にある流体または液体1136と直ちに接触する。加熱されたガスはノズル1128の周囲で泡立ち、合成ガス出力1114を介して容器から排出されて精製される。
【0114】
一実施形態では、リアクタ1102は放電プラズマリアクタ1130を備えており、その中で、ノズル1128を通って液体1136に向かうと共にそこに送られる高温ガス流(またはプラズマジェット)1108が発生する。上記で説明したように、プラズマジェット流1008が液体1136内に送られると、結果として液体1136中の炭化水素の分解をもたらす熱エネルギーが与えられる。高温プラズマジェット1108を作り出すために、放電プラズマリアクタ1130にガスをもたらす天然ガス原料1110がある。
【0115】
高電圧/高電流リアクタ装置のカソード1118側が、図11に三角形の形状で示されている。なお、この形状は限定されず、任意の適切な形状としてもよい。カソード1118は、プラズマ放電を作り出す高電圧/高電流供給の一方の側であり、そこで分解が起こる。合成ガス出力1114は、図11に示されるリアクタが作り出した水素を含むすべてのガスの排出口である。一実施形態では、追加の量の合成ガス返送(例えば、排出ガスの所与の割合)があり、これにより、合成ガス出力1114から濾過されたバイパスガスを再循環する手段が提供され得ることになり、ここで、分解から所望の水素が濾過される。
【0116】
アノード1124は、放電プラズマ1122用の高電圧/高電流供給の他方の側であり、高温プラズマジェットに供給される原料ガスの分解のためにその移動を駆動する。放電プラズマ1122は、図11でプラズマ1122を示す曲線によって概略的に示されるように移動する場合がある。プラズマがノズル1128から排出されると、ノズル1128の下の曲線矢印によって概略的に示されるように、液体1136に流入する。ノズル1128は、分解熱のためにプラズマジェットを液体中に集中させる。処理中に、炭素固体1134が形成されており、液体1136によって捕捉されているのが黒色粒子として示されている。ポンプ1138は、例えば、一定速度(実験的に分解速度によって予め決定される)で液体をリアクタから除去する。この間に、液体は濾過器1106を通過する。濾過器1106の後、炭素は濃縮されており、さらなる処理に送られる場合がある。ポンプ1138は、濾過された液体を、再処理のために液体返送口1104を介してリアクタに戻してもよい。
【0117】
図12は追加の実施形態を示す。ここで、図10図11との関連も含めて本明細書に図示及び説明した処理容器1202はモジュール式設計であり、単位面積当たりの全水素/合成ガス出力を増加させるために一緒にしてクラスター化され得る。クラスター内のユニットの数は制限されていないが、実際には、そのような施設の出力要件によって実用的に制限される可能性がある。この配置により、より大きな単一の合成ガス精製装置及び単独の流体/固体炭素除去(濾過/デカンター/遠心分離)装置のスケールメリットを活用することも可能になる。図示されるように、各モジュールの個々の合成ガス出力は、共通の合成ガス出力1204に接続する。同様に、モジュールは共通の炭素出力1206を共有する。いくつかの実施形態では、容器は、例えば、炭素固体の収集を容易にするために、各モジュールユニットの傾斜した、または漏斗形状の底を有してもよい。また、このようなモジュールを、さらに大きな液体プール装置を作り出すために、多次元で(例えば、マトリックス状の配置で)一緒にクラスター化してもよい。この場合もやはり、処理コスト及び施設のサイズを削減するために、他の共用装置を使用するスケールメリットが可能になる。
【0118】
図13は、図11に関して示され説明されたものと同様の実施形態の断面図をしており、ここで、プラズマリアクタは容器内の流体と密接に接触している。図13に示すように、炭化水素解離システム1300はリアクタ1302を備え、このリアクタ1302は容器1304を有し、さらに、(i)プラズマ源1306(例えば、DCプラズマリアクタ)、(ii)リアクタ1302が発生させると共に、分解される炭化水素の液体プール1310に導かれた高温、高エネルギーのプラズマジェット内で解離する選択された炭化水素である天然ガス(または他の炭化水素系)原料1308の投入、(iii)DCプラズマリアクタ1306のアノード1312に組み込まれ、すべての天然ガスを解離させるような様式で、放電プラズマの内部の周りのDC放電回転を強化する磁石、(iv)分解によって製造されたガスが冷却及び精製のために導かれる水素(H)排出口1314、並びに(v)例えば、左下にあり、ここで炭素を含む液体が油濾過分離器1318を通ってポンプで汲み出され、処理を継続するために濾過されたばかりの油を、油返送口1320を介して液体プール1310に戻す炭素排出口1316、のうちの1つまたは複数を含む。
【0119】
リアクタ1302は円筒形容器1304を含むことができる。この円筒形容器1304は、例えば、誘電体材料または鋼で作られ、プラズマを収容し、液体プールと、天然ガスの多数ポート注入と、油濾過と、ガス冷却ステーション1322へのH排出口とを提供する。ガス冷却ステーション1322は、ステーションの底に、分離及び精製モジュール1324につながる炭素収集ゾーン(例えば、塵及び微粒子用のサイクロン型粒子分離器)を備えてもよい。実施形態では、リアクタは細長くてもよく、直径の長さに対する比は約2:1から10:1であってもよい。
【0120】
図14は、図10の構成と同様の実施形態の近似の等傾斜断面図を示しており、カソードは、容器内の流体で半分濡れている回転ドラムの形態でアノード上に位置決めされ、DC放電は、カソードから流体に部分的に埋め込まれたアノードドラムに直接進む。図14に示すように、プラズマ源カソード電極としてのカーボングラファイト棒1401が容器上部に垂直に設置される;1402-水素排気は、右上から約45度の角度で伸びているパイプである;1403-容器の幅にわたる回転ドラムアノードは炭化水素液体で濡れており、ここで、プラズマ放電により炭化水素が水素及び固体炭素に解離される;1404-アノードドラム回転ギアモータは0~100回転/分で制御可能である;1405-回転ドラムの湿潤液体レベル(及びメンテナンスのために取り外し可能な1406容器の上部分もまた)は、ドラムの最上部が液体レベルより上に延在するように一定に保持される;1406-炭素及び炭化水素容器及び底部漏斗;1407-略図の中央底部にある炭素高濃度ポンプは、炭素を含む液体を濾過へ移動させる場所である;1408及び1409-このフィーチャーでは固体炭素除去が示されているが、濾過器、遠心装置、デカンテーションタンク、または他の液体中固体分離方法であってもよい;1408-左下に、さらなる処理への分離された炭素の排出口が示されている;1410-濾過された炭化水素液体は、再循環のためにこの油の流れとして左中央に戻る。
【0121】
図15は、図11及び図13に示されたものと同様の実施形態の「構築されたままの」実施の近似断面図のCAD改訂版を利用した配線図であり、処理容器はプラズマリアクタを備え、このプラズマリアクタは最上部にあるが、高温プラズマジェットを流体に注入するような様式で容器内の流体レベルとぴったり合う位置に位置決めされている。処理容器はプラズマリアクタを備え、このプラズマリアクタは最上部にあるが、高温プラズマジェットを流体に注入するような様式で容器内の流体レベルとぴったり合う位置に位置決めされている。1501-プラズマ源リアクタ(図13のDCプラズマリアクタ及び図11の放電プラズマリアクタも);1502-水素排気(図13のH2及び図11の合成ガス出力も);1503-液体内への熱プラズマガス噴射レベル(これは、図13の油充填液体レベラーでもある);1504-炭化水素容器(図11の容器、及び図13のリアクタ格納部である);1505-この時点で保持される液体レベル(図11には示されていないが、図13では油充填液体レベラーとして示されている);1506-底にある炭素及び炭化水素の液体漏斗であり、ここで濾過のために油が除去される;1507-図13の油濾過である炭素高濃度ポンプ、及び図11の炭素/液体分離器;1508-左下の固体炭素除去は、炭素がさらに処理される炭素排出口である;1509-濾過器を表す;1510-濾過された炭化水素液体返送口である。
【0122】
いくつかの実施形態では、炭素の形成は、液体原料との直接接触によって停止される。炭素形成処理のこの急冷は、形成されるカーボンブラックの特性、ゆえにその市場性を決定する。
【0123】
リアクタは、例えば、これらの図には示されていないが、リアクタに結合された水冷システムによって冷却される。運転中、DC電力がカソード及びアノードに供給されてプラズマが作り出される。炭化水素含有ガスは、最上部のガス投入口に導入され、角度をつけた開口部(図8Cに示されるガス排出口806など)を介して、斜めにリアクタ内の処理ゾーンに入る。
【0124】
また、いくつかの実施形態では、例えば、DCベースのプラズマの生成と同時に、RF電力をカソード及びアノードに供給してプラズマを作り出してもよい。理想的には、炭化水素含有ガスは純粋な、または実質的に純粋な炭化水素である。実際には、濾過して除去する必要がある不純物がある。さらに、単一の炭化水素含有ガス、または異なる炭化水素含有ガス(例えば、メタン及び天然ガス)の混合物があってもよい。
【0125】
炭化水素含有ガスのガス流れは、炭化水素含有ガスをプラズマ処理ゾーンに押し込む。高エネルギープラズマの放電により、このゾーンを通過する炭化水素含有ガスは高エネルギーで衝突し、非常に高い効率で解離し、炭化水素内の炭素-水素結合を単独の水素及び炭素の原子、すなわち炭化水素の元素成分に分解する。このゾーンでは、炭化水素含有ガスが1,000℃から2,000℃の範囲、諸実施形態では約1,500℃の温度に加熱され、炭化水素の大部分または実質的に大部分がその元素成分に変換される。
【0126】
例えば、諸実施形態では炭化水素含有ガスの90%超が解離し、他の実施形態では95%超の解離が達成され、他の実施形態では98%超が達成され、他の実施形態では実質的に100%(例えば、99.99%)が達成される。実験的公称値よりも遅いプラズマガス供給流量のような(ただし、これに限定されない)運転パラメータと、カソード及びアノードに印加されるより高い電圧及び電流値との組み合わせにより、結果として、最高の生産性だけでなく、より高い/最も高い炭化水素の水素への変換率(解離率)が得られる。より高い流量、及びより低い電圧は変換割合を低下させるが、より高い速度で水素を製造する。実際のパラメータは、プラズマ発生器の電力の大きさ及び範囲、並びに最大化する望ましい製品特性、水素仕様または炭素仕様に基づいている。
【0127】
図10に示すように、放電プラズマはカソードから回転アノードドラムまで薄膜を通して発生し、可能な限り最高の温度で瞬時に薄膜を蒸発させる。回転ドラムの最上部全域で放電を振動/走査させて露出した液体の容積を最大化すると共に、そこで水素が発生する。
【0128】
図11では、リアクタ内の液体レベル直上にプラズマフレームが発生し、この高温/高速度ガスが液体に吹き込み、解離エネルギーを与えて、水素をガスとして、炭素を液体によって濡れた固体として作り出す。この炭素は、再循環濾過によって液体から濾過される。
【0129】
本明細書に開示されるシステムの利点は、概して炭化水素を分解するのに必要なエネルギーがより少なく、プラズマに投入されるほとんどすべてのエネルギーが解離処理に費やされるため、システムははるかに効率的であることである。いくつかの実施形態では、システムは約24kWh/Kgの効率を達成することができ、いくつかの実施形態では、効率は約15kWh/Kg~約30kWh/Kgになり得る。先行技術のシステムは効率が著しく低い。
【0130】
以下は、炭化水素解離システムを含む、本明細書に開示される任意の炭化水素解離システムに概して適用される。カソードは場合によって移動可能であってもよい。カソードの材料は使用により劣化してエッチングされ、時間の経過とともに小さくなる。例えば、カソードの位置を制御して、カソードとアノードとの間に一定の距離を維持する。これにより、時間の経過とともにシステムの運転が改善され、カソードを交換しなければならなくなるまでの連続運転時間を増やすことができる。動的カソードポジショナについては、本明細書でさらに説明する。別の実施形態では、挿入されたカソードが、第1カソードの後端にねじ込まれる追加のカソードを有するように構成することができ、全使用可能寿命を増やすことができる。
【0131】
本明細書に開示される実施形態で使用される例示的な炭化水素含有ガスには、メタン、天然ガス、圧縮天然ガス(CNG)、石油ガス、合成ガス、バイオディーゼル、及びこれらのいずれかの組み合わせを含む他の種類の炭化水素が含まれる。
【0132】
いくつかの実施形態では、炭化水素含有ガスを解離させるための目標温度は約1,500℃であり、約1,000℃~2,000℃であってもよい。この温度またはこの範囲内では、効率的なエネルギー使用で、炭化水素は高比率で解離する場合がある(例えば、98%を超える炭化水素が解離する)。解離は、より高い(例えば、2,000℃を超える)温度でも依然として成功する場合があるが、使用した追加エネルギーに比べて解離が実質的に改善されないという点で、それらの温度に到達するための追加エネルギーは事実上「無駄」になる。
【0133】
リアクタシステムは、同じ種類または異なる種類の単一のリアクタまたは複数の並列リアクタを備える場合がある。換言すれば、本明細書に開示される炭化水素解離システムはモジュール式である。
【0134】
本明細書に開示される炭化水素解離システムをさまざまな用途で使用してもよい。このような用途の例には、植物調理用油などの軽質油、アルコール、アセトン、灯油、メタノール、ディーゼル及びガソリンなどの燃料、原油、廃クランクケース油、トランスミッション液などの重質液、原料が容器に流入するために予熱する必要があるアスファルトのような半固体があり得るが、これらに限定されない。
【0135】
プラズマ源/リアクタは、図10図11図12及び図13に示すように、直流(DC)放電プラズマ源を備えてもよい。DC放電プラズマ源はカソード及びアノードを備える。カソード及びアノードは、円筒形、円錐形、リングの形状、及び他の幾何学的構成を含む種々の形状をとってもよい。カソード及びアノードの例示的な材料には、コバルト酸リチウム(LCO)、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(NMC)、アルミナをドープしたニッケルコバルト酸リチウム(NCA)、マンガン酸リチウム(LMO)及び鉄リン酸リチウム(LFP)が含まれる。
【0136】
また、DC放電プラズマ源には、DC電源などの電源も含まれる。炭化水素含有ガスの存在下でDC電力がカソード及びアノードに印加されると、プラズマ放電が作り出され、プラズマ放電はカソードとアノードとの間で発生する。いくつかの実施形態では、プラズマ源は、カソードとアノードとの間にRFベースのプラズマを作り出すことができる高周波(RF)電源をさらに含んでもよい。DCベースのプラズマは放電であるが、RFベースのプラズマを使用すれば、それは膨張してプラズマ処理ゾーン内のリアクタの容積を満たす。
【0137】
水素/合成ガス出力は、ガス状水素を収集できるようにするために設けられている。例えば、水素排出口は、水素が炭化水素解離システムから排出されることを可能にするバルブ及び配管を備えてもよい。排出される水素は、ある程度の量の炭化水素ガス及び/または他の不純物を含む可能性があり、さらなる精製処理を受ける可能性がある。いくつかの実施形態では、残りの炭化水素ガスを、例えば、精製圧縮機によって既に供給されている圧力によって、またはプラズマガス原料供給へのベンチャーによって、リアクタに再循環させてもよい。
【0138】
各図の左下に示すように、炭素排出口(炭素/液体分離器として示される)を設けて、原料液体から固体炭素を濾過して収集することを可能にする。この濾過された収集物から、いくらかの流体を伴う炭素は、約800℃で運転する回転式無酸素パイロリシスキルンに移送され、そこで流体は合成ガスとして蒸発し、変換のためにプラズマリアクタに戻され、乾燥させられた炭素は今やカーボンブラックになり、販売またはさらなる処理のために包装される。
【0139】
図12は、一実施形態による、流体保持容器、流体濾過要件、冷却要件、並びにガスの濾過及び精製の要件を組み合わせる方法として、回転ドラム生成液膜装置を利用した多数の液体炭化水素解離システムを示す。
【0140】
本明細書に開示される処理は、中断がほとんどまたはまったくなく連続的に実行され得る。これにより、メンテナンスによるダウンタイムの影響が最小限に抑えられる。処理の安定化、及び好ましい公称処理パラメータでの運転を可能にすることにより、より一貫した製品品質に繋がる。開示された処理のわずかのメンテナンス中断のうちの1つは、リアクタ内の高温カソードの交換である。カソードは、例えば、グラファイトまたはグラファイト複合材料で作られ、特に耐用年数を延ばすために望ましい寸法で作られ得るが、カソード上の高電流によるエッチング効果により、時間の経過とともに腐食し、交換しなければならなくなる。いくつかの実施形態では、カソードは、プラズマエネルギーのサイズ及び潜在的能力を調節するためにアノードに対して相対的に位置決めされ、実施形態では、この寸法フィーチャーは、所定の値の約+/-10%以内である。
【0141】
実施形態では、図11図12図15及び図16に示されるように、センサー(例えば、Honeywell Co.のメタンガス検出器)を使用して、水素排出口及び炭素排出口のいずれかを通ってリアクタから出る炭化水素含有ガスの量を測定してもよく、並びに/またはガス/固体分離ゾーンもしくは合成ガス出力/水素排気(702)を通過する炭化水素含有ガスの量を測定してもよい。また、センサーを使用して、投入口を通ってリアクタに入る炭化水素含有ガスの量を測定してもよい。これらの測定から、解離する炭化水素含有ガスの量を決定してもよい。この量が少なすぎる(例えば、98%未満)場合、DC電源に結合された制御回路によって、プラズマをより高速で回転させて変換率を一定で高く保持する効果を有するように、電流の流れ、回転速度、及びその他の処理制御パラメータを変更してもよい。
【0142】
図16は、一実施形態による液体分解の処理フローをブロック図として示す。この実施形態では、タンカーまたは他の運搬車両が、油、潤滑油、及び他の種類の液体(不要な液体及び廃液を含むがこれらに限定されない)を配送し、これらは一時的に貯蔵される。液体の前処置は、貯蔵中及び使用前に実行される。これには、化学分析、均一性のための混合、脱気及び脱水が含まれる。液体は種々の供給から得られ、前処理のために異なるタンクに貯蔵されるため、化学物質及び前記化学物質の濃度が異なると想定されるので、受け入れ可能かつ処理可能な原料を形成するための成分として、異なる液体を一緒にした混合部分を決定するために分析が必要になる場合がある。予め決定された混合チャートが、この処理で相対的な分解速度、水素の均一な流れ、加熱の一貫性、及び炭素/水素比を得ることを支援する場合がある。この比率は、最良の水素変換及び純度のために実験結果によって事前に決定される処理パラメータを確立する。流体が待機している間に、脱気及び脱水の前処置(>100℃及び<150℃への間接加熱)が行われる。次いで、流体は処理機への輸送中に混合されるが、前処置により温かいため、リアクタへの流入は少エネルギーの液体ポンプ揚液により達成可能である。イオン化されたプラズマガスとして天然ガス(または合成ガス)がすべてのプラズマエネルギーを液体に放出すると、処理は瞬時に行われ、ガス形態の水素、液体内炭素粒子、及びその他の多数の炭化水素ガス蒸気が発生する。任意での液体への直接放電という分解方法も本明細書に記載されている。次いで、ガスは外気と接触することも、希釈されたりすることもなく、冷却及び凝縮ユニットに移動する。この設備は、水素温度を炭化水素蒸気の凝縮温度以下に下げる。凝縮した蒸気は再処理のために容器の液体プールに戻され、水素は膜またはPSA汚染除去に移動する。この結果、それぞれ産業用または燃料電池での使用に適した99~99.99%(それぞれ、織布またはPSA処理された場合)の品質の水素が得られる。クリーンな水素が10barを超える圧力で貯蔵タンクにポンプで送られる。さらなる加圧、及び/または配送トラックもしくは鉄道車両への圧力移送が必要とされる場合があり、170~350bar、またはいくつかの実施形態では500barの追加のポンプ/圧縮圧力で達成される。発生した炭素を油が収集している。この炭素は蓄積して容器の底に沈殿する。高密度の炭素は容器の底に沈み、ゆっくりと濾過機構にポンプで送られる。ここで抽出された過剰な油は、容器の一定レベルの液体に注ぎ戻されることによって再処理される。収集された炭素は最終処理機に移動する。この最終処理機は、ガス処理ユニットと同様に、炭素塊が「ドロップイン」分解を受け、水素及びカーボンブラックが作られる最上部充填式プラズマリアクタであってもよい。いくつかの実施形態では、収集された炭素を、熱分解プラズマ/合成ガス加熱分解キルンを介して処理し、油に浸された炭素を水素及びカーボンブラックに変えてもよい。
【0143】
本明細書に開示される炭化水素解離システムを、さまざまな用途に使用してもよい。例えば、炭化水素の解離は、液化天然ガス(LNG)などの天然ガスを扱うときに有用になる場合がある。供給施設は天然ガスを液化してLNGにし、次いで、このLNGを、供給施設から受け入れ施設までLNGを運ぶように特別に設計された船で輸送することができる。通常、LNGが掘削及び液化される油田及びガス田から、LNGは輸送される。次いで、船で顧客の場所に輸送される。それは、この液体のエネルギー密度が水素よりも高いからである。そこから、再ガス化(物理相が液体から気体に変化するのみ)されて、次いで、陸上の貯蔵タンクにポンプで送られるか、または輸送されたときと同じ液体の状態で陸上にポンプで送られる。これは単なる物理的状態の変化であり、異なる化合物への変換(本出願で呼ぶところの変換)ではない。
【0144】
この船は、3つの主要な処理構成要素を搭載してもよい。第1に、業界で知られている再ガス化処理機などの再ガス化処理機があってもよい。この再ガス化は、1日当たりに処理すると予想される天然ガスの容積と、処理、及びその関連設備に必要な天然ガス発電機の電力とに対応できるサイズに設定される。第2に、この船が保有するLNG貯蔵量は、より小さくかつより限定された量だが、船上での天然ガス発生器による、ある日数の発電及び原料供給ガスに対応できるだけの十分な量になっていてもよい。第3に、この船は、炭化水素原料から水素を作り出し貯蔵する変換リアクタ(すなわち、本明細書に記載の炭化水素解離システム)を有してもよい。
【0145】
実施形態では、これらの船は、システム100またはシステム200などの炭化水素解離システムを備えてもよい。例えば、この船は、高品質の水素を発生させることができる、さまざまなサイズのリアクタ、例えば、5~10メガワットのリアクタを有してもよい。この船は、LNGを受け取る受入場所に移動してもよい。LNGの一部を、再ガス化を行う再ガス化処理機に移送してもよい。LNGの再ガス化は、サージ容量にいくらかの余裕を持たせて、必要に応じて行われる。除湿が必要な場合には、処理用の高品質原材料源を保障するためにここで行われて、直ちにガス状のNGが発電に利用される。この再ガス化の結果として、電力が発生し、排気ガスを加熱に利用してもよく(例えば、再ガス化での必要に応じて)、冷却された排気ガスを放出してもよい。追加的に、または代替的に、天然ガス(または他の原料ガス)を、船上の炭化水素解離システムによって水素に変換してもよく、この水素を貯蔵して受け入れ施設にポンプで送ることができる。加えて、天然ガスから水素への変換によって炭素が製造される場合があり、その炭素を包装して同じ受け入れ施設または異なる受け入れ施設に移送してもよく、もしくはマイナスの環境影響を与えることなく不活性固体として投棄してもよい。
【0146】
本開示の態様は、以下の非限定的な条項のリストによってさらに説明される。
条項1. 反応チャンバ内で炭化水素から水素及び炭素を製造する方法であって、
炭化水素をチャンバ内に導入することで、前記炭化水素を第1方向に回転させることと、
前記炭化水素の一部から直流(DC)ベースのプラズマを発生させ、少なくとも部分的に前記炭化水素を前記DCベースのプラズマによって1,000℃を超える温度に加熱することと、
前記DCベースのプラズマを前記第1方向とは異なる第2方向に回転させることと、
前記炭化水素を、炭素固体及び水素ガスを含む前記炭化水素の元素成分に変換することと、
前記炭素固体を前記水素ガスから分離して固体部分及びガス部分を提供することと、を含む前記方法。
条項2. 前記第2方向は前記第1方向の反対である、条項1に記載の方法。
条項3. 前記炭素固体を急冷することをさらに含み、前記炭素固体はカーボンブラックを含む、条項1~2のいずれか1項に記載の方法。
条項4. 前記プラズマの一部及び前記炭化水素の一部は、1つまたは複数の次元で異なるそれぞれの回転に基づいて互いに角度をつけて接触する、条項1~3のいずれか1項に記載の方法。
条項5. 前記炭化水素は、酸素、窒素及び硫黄を実質的に含まないガス中に含まれる、条項1~4のいずれか1項に記載の方法。
条項6. 前記ガス中の酸素、窒素及び硫黄の量は1モルパーセント未満である、条項1~4のいずれか1項に記載の方法。
条項7. 高周波(RF)ベースのプラズマを発生させることをさらに含む、条項1~6のいずれか1項に記載の方法。
条項8. 前記水素ガスから前記炭素固体を分離することは、前記分離チャンバ内の前記炭素固体への空気の再導入を制限するような様式で流体冷却オーガを介して前記炭素固体を除去することを含む、条項1~7のいずれか1項に記載の方法。
条項9. 前記炭化水素は1,400℃~2,000℃の温度に加熱される、条項1~8のいずれか1項に記載の方法。
条項10. 前記水素ガスから前記炭素固体を分離することは、
前記炭素固体及び前記水素ガスを前記反応チャンバの体積的により大きなセクションに配置することによってガスの速度を低下させること、及び重力によって前記炭素固体が沈むことを可能にすることと、
前記炭素固体及び/または前記水素ガスを前記反応チャンバの壁に接触できるようにすることにより温度を低下させ、それによりガスの容積及び前記速度を低下させることと、
前記炭素固体及び/または前記水素ガスを前記壁に接触させることにより、前記炭素固体が集まって前記反応チャンバの底に落下することができるように前記炭素固体を物理的に遅らせることのうちの1つまたは複数をさらに含む、条項1~9のいずれか1項に記載の方法。
条項11. ガス状炭化水素から水素及び炭素固体を製造する装置であって、
ガス投入口、ガス出口及び固体出口を有する処理チャンバと、
前記処理チャンバのプラズマ処理ゾーン内でプラズマを発生させるように構成され、前記処理チャンバ内にカソード及びアノードを備え、前記プラズマが前記プラズマ処理ゾーンを通過するガスを1,000℃超の温度に加熱して前記ガス中の炭化水素を解離させるように構成されている直流(DC)プラズマ発生器と、
前記処理チャンバの外部にあり、前記DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを回転させるように構成された磁石と、
前記処理チャンバの分離ゾーン内の冷却システムであって、前記ガス投入口は、前記ガス投入口を通過するガスを回転させるように構成されている、前記冷却システムと、を備える前記装置。
条項12. 前記カソードは移動可能であり、前記装置は、前記アノードと前記カソードとの間の所定の距離を維持するように前記カソードを移動させるように構成された制御システムをさらに備える、条項11に記載の装置。
条項13. 前記処理チャンバから固体炭素を除去するように構成された流体冷却オーガをさらに備える、条項11~12のいずれか1項に記載の装置。
条項14. 前記処理チャンバの外部にある前記磁石は、前記DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを1,000RPM~6,000RPMの速度で回転させるように構成される、条項11~13のいずれか1項に記載の装置。
条項15. 前記処理チャンバの前記プラズマ処理ゾーン内でプラズマを発生させるように構成された高周波(RF)プラズマ発生器をさらに備える、条項11~14のいずれか1項に記載の装置。
条項16. 前記処理チャンバの外部にあり、前記DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを回転させるように構成された前記磁石は、前記DCプラズマ発生器が発生させた前記プラズマを、前記ガス投入口を通過する前記ガスの回転方向とは反対の方向に回転させるようにさらに構成されている、条項11~15のいずれか1項に記載の装置。
条項17. ガス状炭化水素から水素及び炭素固体を製造する装置であって、
ガス投入口、ガス出口及び固体出口を有する処理チャンバと、
前記処理チャンバのプラズマ処理ゾーン内でプラズマを発生させるように構成されたプラズマ発生器であって、DCプラズマ発生器は、前記プラズマが、前記プラズマ処理ゾーンを通過するガスを、1,400°を超える温度まで加熱し、前記ガス中の炭化水素を解離させるように構成されている、前記プラズマ発生器と、
前記処理チャンバの外部にあり、前記DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを回転させるように構成された磁石と、
前記処理チャンバの分離ゾーン内の冷却システムであって、前記冷却システムは、カーボンブラックの粒子、アグリゲート及びアグロメレートの形成を停止させるために、ガス温度を約500℃以下に下げることができる、前記冷却システムと、を備える前記装置。
条項18. ガス状炭化水素から水素及び炭素固体を製造する装置であって、
ガス投入口、ガス出口及び固体出口を有する処理チャンバと、
前記処理チャンバのプラズマ処理ゾーン内でプラズマを発生させるように構成されたプラズマ発生器であって、DCプラズマ発生器は、前記プラズマが、前記プラズマ処理ゾーンを通過するガスを、1,400°を超える温度まで加熱し、前記ガス中の炭化水素を解離させるように構成されている、前記プラズマ発生器と、
前記処理チャンバの外部にあり、前記DCプラズマ発生器が発生させたプラズマを回転させるように構成された磁石と、
前記処理チャンバの分離ゾーン内の冷却システムであって、前記冷却システムは、カーボンブラックの粒子、アグリゲート及びアグロメレートの形成を停止させるために、ガス温度を約1000℃以下に下げることができる、前記冷却システムと、を備える前記装置。
条項19. 前記冷却システムは、前記アノードから下流の前記反応チャンバの一部の周囲に周方向に配置された複数のガス注入ノズルを備え、前記ガス注入ノズルは、前記プラズマ処理ゾーンから出る前記ガスが通過しなければならない冷却ガスカーテンを作り出す前記ガス注入ノズルを通過できる水素ガスの源に結合されている、条項17~18のいずれか1項に記載の装置。
条項20. 前記水素ガスの源は、前記ガス出口に結合された精製システムからの加圧水素ガスの少ない一部である、条項19に記載の装置。
条項21. 液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造する方法であって、
液体炭化水素を処理容器に導入することと、
プラズマ形成ガスを導入することと、
前記プラズマ形成ガスに少なくとも部分的に基づいてカソードとアノードとの間にDCプラズマ放電を形成または維持することであって、前記アノードは回転可能であり、少なくとも部分的に前記液体炭化水素中に浸漬されている、前記形成または維持することと、
前記アノードを回転させて前記アノードを覆う液膜を形成することであって、その結果、前記液膜内の炭化水素は前記DCプラズマ放電によって1500K~6000Kの範囲の温度に加熱され、それにより、前記液膜中の前記炭化水素の少なくとも一部が元素成分に変換される、前記形成することと、
前記成分を冷却して、水素ガス及び炭素固体を含むガス及び固体の製品混合物を形成することと、
前記水素ガス及び炭素固体の製品混合物を抽出することと、を含む前記方法。
条項22. 前記水素ガス及び炭素固体の製品混合物中の前記水素ガスは合成ガス中にあり、前記水素ガス及び炭素固体の製品混合物を抽出することは、前記合成ガスの他の成分から水素を分離することを含む、条項21に記載の方法。
条項23. 前記水素ガス及び固体の製品混合物を抽出することは、
前記水素ガス及び固体の製品混合物中の前記水素ガスをガス出力から排出できるようにすることと、
前記水素ガス及び固体の製品混合物中の前記炭素固体を炭素出力から排出できるようにすることと、
前記炭素出力中の液体から炭素固体を分離することと、を含む、条項21~22のいずれか1項に記載の方法。
条項24. 前記ガス出力は前記処理容器内の液体の所定レベルより上に配置され、前記炭素出力は前記処理容器内の液体の前記所定レベルより下に配置される、条項23に記載の方法。
条項25. 前記炭素出力中の液体から炭素固体を分離することは、濾過器を使用することを含む、条項21~24のいずれか1項に記載の方法。
条項26. 前記炭素出力中の炭素固体から分離された液体は、前記処理容器に戻される、条項21~25のいずれか1項に記載の方法。
条項27. 閾値を超える蒸気含有量を有する蒸気を含んだHガスを、前記ガス出力中の前記Hガスから分離することと、凝縮した液体を、前記蒸気を含んだHガスから前記処理容器に戻すこととをさらに含む、条項21~26のいずれか1項に記載の方法。
条項28. 前記処理容器は、大気ガスが前記処理容器内の液体のレベルより上に入ることができないように密閉されている、条項21~27のいずれか1項に記載の方法。
条項29. プラズマ形成ガスを導入することは、前記液体炭化水素の一部をガス及び固体に変換することを含む、条項21~28のいずれか1項に記載の方法。
条項30. 前記処理容器内の液体のレベルを制御して、液体の前記レベルを所定のレベルに維持することをさらに含む、条項21~29のいずれか1項に記載の方法。
条項31. 前記アノードはドラムを備える、条項21~30のいずれか1項に記載の方法。
条項32. 液体炭化水素を前記処理容器に導入する前に、前記液体炭化水素を前処置して、捕捉されたガス、水及び軽質炭化水素のうちの1つまたは複数を除去することをさらに含む、条項21~31のいずれか1項に記載の方法。
条項33. 液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造するシステムであって、
ガスを収容する第1領域、及び液体炭化水素を収容する第2領域を有する処理容器と、
カソード及びアノードであって、前記カソードと前記アノードとの間でDCプラズマ放電を形成または維持し、前記アノードは回転可能である、前記カソード及び前記アノードと、
前記第1領域におけるガス出力と、
前記第2領域における炭素出力と、
液体炭化水素を前記処理容器に導入するための前記第2領域内の液体投入口と、
前記アノード及び前記カソードに結合された電源と、を備える前記システム。
条項34. 前記炭素出力は濾過器を含む、条項33に記載のシステム。
条項35. 液体返送口と、前記濾過器及び前記液体返送口に結合され、液体を前記炭素出力から前記処理容器に再導入するように構成されているポンプとをさらに備える、条項34に記載のシステム。
条項36. ガス投入口と、前記ガス出力及び前記ガス投入口に結合されたガス分離装置とをさらに備え、前記ガス分離装置は、他のガスから純粋な水素を分離するように構成され、さらに前記分離された他のガスを前記処理容器に戻して再導入するように構成されている、条項33~35のいずれか1項に記載のシステム。
条項37. 前記処理容器は、大気ガスが前記処理容器内の液体のレベルより上に入ることができないように密閉されている、条項33~36のいずれか1項に記載のシステム。
条項38. 前記液体投入口及び前記炭素出力のうちの1つまたは複数に結合され、前記処理容器内の液体のレベルを制御して液体の前記レベルを所定のレベルに維持するように構成されたコントローラをさらに備える、条項33~37のいずれか1項に記載のシステム。
条項39. 前記アノードはドラムを備える、条項33~38のいずれか1項に記載のシステム。
条項40. 液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造するシステムであって、処理容器のアレイを備え、
各処理容器は、ガスを収容する第1領域、及び液体炭化水素を収容する第2領域を有し、
各処理容器は、カソード及びアノードであって、前記カソードと前記アノードとの間でDCプラズマ放電を形成または維持し、前記アノードは回転可能である、前記カソード及び前記アノードを有し、
各処理容器は、前記第1領域におけるガス出力を有し、
各処理容器は、前記第2領域における炭素出力を有し、
各処理容器は、液体炭化水素を前記処理容器に導入するための前記第2領域内の液体投入口を有し、
各処理容器は、前記アノード及び前記カソードに結合された電源を有する、前記システム。
条項41. 前記処理容器のアレイは、n個の処理容器の1列を含み、数はn>1である、条項40に記載のシステム。
条項42. 前記処理容器のアレイは、n個の処理容器のm列を含み、第1数はn>1であり、第2数はm>1である、条項40に記載のシステム。
条項43. 前記処理容器の1つの前記炭素出力は、2つまたはそれ以上の前記処理容器の間で共有される、条項40~42のいずれか1項に記載のシステム。
条項44. 前記処理容器の各々の前記炭素出力は前記処理容器の各々の間で共有される、条項40~42のいずれか1項に記載のシステム。
条項45. 液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造する方法であって、
液体炭化水素を処理容器に導入することと、
プラズマ形成ガスを導入することと、
前記プラズマ形成ガスに少なくとも部分的に基づいて、カソードとアノードとの間にプラズマを形成または維持することと、
前記プラズマから形成されたプラズマジェットを前記液体炭化水素に導くことであって、その結果、前記プラズマジェットの近くの炭化水素は前記プラズマジェットによって1500K~6000Kの範囲の温度に加熱され、それにより、前記プラズマジェットの近くの前記炭化水素の少なくとも一部が元素成分に変換される、前記導くことと、
前記成分を冷却して、水素ガス及び炭素固体を含むガス及び固体の製品混合物を形成することと、
前記ガス及び固体の製品混合物を抽出することと、を含む前記方法。
条項46. 前記ガス及び固体の製品混合物を抽出することは、
前記ガス及び固体の製品混合物中の前記水素ガスをガス出力から排出できるようにすることと、
前記ガス及び固体の製品混合物中の前記炭素固体を炭素出力から排出できるようにすることと、
前記炭素出力中の液体から炭素固体を分離することと、を含む、条項45に記載の方法。
条項47. 前記ガス出力は前記処理容器内の液体の所定レベルより上に配置され、前記炭素出力は前記処理容器内の液体の前記所定レベルより下に配置される、条項46に記載の方法。
条項48. 前記炭素出力中の液体から炭素固体を分離することは、濾過器を使用することを含む、条項46~47のいずれか1項に記載の方法。
条項49. 前記炭素出力中の炭素固体から分離された液体は、前記処理容器に戻される、条項46~48のいずれか1項に記載の方法。
条項50. 閾値を超える蒸気含有量を有する蒸気を含んだHガスを、前記ガス出力中の前記Hガスから分離することと、凝縮した液体を、前記蒸気を含んだHガスから前記処理容器に戻すこととをさらに含む、条項46~49のいずれか1項に記載の方法。
条項51. 前記処理容器は、大気ガスが前記処理容器内の液体のレベルより上に入ることができないように密閉されている、条項46~50のいずれか1項に記載の方法。
条項52. 前記プラズマ形成ガスを導入することは、(i)プラズマ形成ガスを前記処理容器の外側から前記処理容器内に供給すること、(ii)前記抽出されたガスの一部を戻すことのうちの1つまたは複数を含む、条項46~51のいずれか1項に記載の方法。
条項53. 前記処理容器内の液体のレベルを制御して、液体の前記レベルを所定のレベルに維持することをさらに含む、条項46~52のいずれか1項に記載の方法。
条項54. 液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造するシステムであって、
ガスを収容する第1領域、及び液体炭化水素を収容する第2領域を有する処理容器と、
カソード及びアノードを有して前記カソードと前記アノードとの間でプラズマを形成または維持し、前記プラズマから形成されたプラズマジェットを前記第2領域に導くためのノズルをさらに有するプラズマ形成リアクタと、
前記第1領域におけるガス出力と、
前記第2領域における炭素出力と、
液体炭化水素を前記処理容器に導入するための前記第2領域内の液体投入口と、
前記アノード及び前記カソードに結合された電源と、を備える前記システム。
条項55. 前記炭素出力は濾過器を含む、条項54に記載のシステム。
条項56. 液体返送口と、前記濾過器及び前記液体返送口に結合され、液体を前記炭素出力から前記処理容器に再導入するように構成されているポンプとをさらに備える、条項55に記載のシステム。
条項57. ガス投入口と、前記ガス出力及び前記ガス投入口に結合されたガス分離装置とをさらに備え、前記ガス分離装置は、他のガスから純粋な水素を分離するように構成され、さらに前記分離された他のガスを前記処理容器に戻して再導入するように構成されている、条項54~56のいずれか1項に記載のシステム。
条項58. 前記処理容器は、大気ガスが前記処理容器内の液体のレベルより上に入ることができないように密閉されている、条項54~57のいずれか1項に記載のシステム。
条項59. 前記液体投入口及び前記炭素出力のうちの1つまたは複数に結合され、前記処理容器内の液体のレベルを制御して液体の前記レベルを所定のレベルに維持するように構成されたコントローラをさらに備える、条項54~58のいずれか1項に記載のシステム。
条項60. 液体炭化水素から水素及び炭素固体を製造するシステムであって、処理容器のアレイを備え、
各処理容器は、ガスを収容する第1領域、及び液体炭化水素を収容する第2領域を有し、
各処理容器はプラズマ形成リアクタを有し、前記プラズマ形成リアクタは、カソード及びアノードを有して前記カソードと前記アノードとの間でプラズマを形成または維持し、前記プラズマから形成されたプラズマジェットを前記第2領域に導くためのノズルをさらに有し、
各処理容器は、前記第1領域におけるガス出力を有し、
各処理容器は、前記第2領域における炭素出力を有し、
各処理容器は、液体炭化水素を前記処理容器に導入するための前記第2領域内の液体投入口を有し、
各処理容器は、前記アノード及び前記カソードに結合された電源を有する、前記システム。
条項61. 前記処理容器のアレイは、n個の処理容器の1列を含み、数はn>1である、条項60に記載のシステム。
条項62. 前記処理容器のアレイは、n個の処理容器のm列を含み、第1数はn>1であり、第2数はm>1である、条項60に記載のシステム。
条項63. 前記処理容器の1つの前記炭素出力は、2つまたはそれ以上の前記処理容器の間で共有される、条項60~62のいずれか1項に記載のシステム。
条項64. 前記処理容器の各々の前記炭素出力は前記処理容器の各々の間で共有される、条項60~62のいずれか1項に記載のシステム。
【0147】
本明細書ではさまざまな実施形態が説明されているが、それらは例としてのみ提示されたものであり、限定ではないことを理解するべきである。したがって、本開示の広さ及び範囲は、上記で説明した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、あらゆる可能な変形における上記で説明した実施形態の任意の組み合わせが本開示に包含される。
【0148】
加えて、上記で説明し、図面に示した方法は一連の工程として示されているが、これは説明のためにのみ行われたものである。したがって、いくつかの工程を追加する、いくつかの工程を省略する、工程の順序を並べ変える、いくつかの工程を並行して実行することが考えられる。
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【国際調査報告】