(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】流体殺菌用電子フィルタシステム
(51)【国際特許分類】
A61L 9/18 20060101AFI20240829BHJP
C02F 1/30 20230101ALI20240829BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61L9/18
C02F1/30
A61L9/16 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510270
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 TR2022050721
(87)【国際公開番号】W WO2023022683
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062216
【氏名又は名称】カフ ヘルス テクノロジー アノニム シルケティ
【氏名又は名称原語表記】KAF HEALTH TEKNOLOJI ANONIM SIRKETI
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】クブラ カラコチ
(72)【発明者】
【氏名】フルカン エルチャン
【テーマコード(参考)】
4C180
4D037
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180DD09
4C180LL04
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA18
4D037BB01
(57)【要約】
本発明は、殺菌が必要なあらゆる種類の流体、特に空気及び水を殺菌するための電子フィルタシステムに関する。本開示による前記システムは、流体ダクト及びチャネルに一体化するように設計されている。電子フィルタシステムは、その基本的な分類学的観点で、標準システムを構成し、一体化すべき前記システムは流体ダクト又はチャネルに対して適切な寸法を有する。本開示の目的は、設置及び電力コストの両面で高価な長い殺菌トンネルを必要とせずに、流体ダクト又はチャネルを通る流体の流れと同時に、流体の殺菌を確実に行う、そのような電子フィルタを提供することである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の殺菌に使用する電子フィルタシステムであって、
- 生成された高周波、高振幅の電気パルス信号を蓄積された直流電荷に結合し、また最大輝度を得るためにこの結合を光源(2)に放電するドライバ回路(1)と、
- 前記ドライバ回路(1)で生成された電力によって駆動される少なくとも1つの光源(2)と、及び、
- 前記ドライバ回路(1)及び前記光源(2)の両方が配置された少なくとも1つのテープ(3)と、
を備えることを特徴とする、電子フィルタシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のドライバ回路(1)であって、高周波、高振幅の信号に増幅させるドライバIC(1-1)を含むことを特徴とする、ドライバ回路。
【請求項3】
請求項1に記載のドライバ回路(1)であって、出力信号の急激な電流変化を減衰させ、信号を調整するRLC(Resistor lnductor Capacitor)フィルタ回路の構成要素であるインダクタ(1.2)を含むことを特徴とする、ドライバ回路。
【請求項4】
請求項1に記載のドライバ回路(1)であって、RLCフィルタ回路の構成要素である抵抗(1.3)を含み、その抵抗が有する抵抗力により、前記光源(2)が過大な電流を引き込むことを防止することを特徴とする、ドライバ回路。
【請求項5】
請求項1に記載のドライバ回路(1)であって、前記ドライバ回路(1)の電源入力側における電圧の変動を防止するRLCフィルタ回路の構成要素である第1のコンデンサ(1.4)を含むことを特徴とする、ドライバ回路。
【請求項6】
請求項1に記載のドライバ回路(1)であって、前記ドライバIC(1.1)の出力側の電圧変動を防止する第2のコンデンサ(1.5)を含むことを特徴とする、ドライバ回路。
【請求項7】
請求項1に記載のドライバ回路(1)であって、光強度を増加させるための直流電荷を蓄積する第3のコンデンサ(1.6)を含むことを特徴とする、ドライバ回路。
【請求項8】
請求項1に記載の電子フィルタシステムにおいて、流体中の大型汚染物質を捕集するフィルタと、及び流体中の大型汚染物質を捕集した後、流体中に残存する微生物を無力化する電子フィルタとを備えることを特徴とする、電子フィルタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌が必要なあらゆる種類の流体、特に空気及び水、を殺菌するための電子フィルタシステムに関する。
【0002】
本開示による前記システムは、流体ダクト及びチャネルに一体化するように設計されている。電子フィルタシステムは、その基本的な分類学的観点で標準的なシステムを構成し、一体化すべき前記システムは流体ダクト又はチャネルに対して適切な寸法を有する。
【0003】
本開示の目的は、流体ダクト又はチャネルを通る流体の流れと同時に、設置及び電力コストの両面で高額な長い殺菌トンネルを必要とせずに、流体の殺菌を確実に行うような電子フィルタを提供することである。
【背景技術】
【0004】
現在、流体殺菌の分野では、主に従来の物理的、化学的及び非接触的な殺菌方法、並びに、本開示の革新的な電子フィルタシステムがある。
【0005】
物理的殺菌法には、凝集、凝固、沈殿、ろ過、及び熱処理技術が含まれる。凝集、凝固、沈殿、及びろ過技術は、基本的に、流体中の微生物と比較して大きい分子量を有するかなり大きな粒子を流体から除去するために使用される。このようなプロセスにおける殺菌は、前記粒子を除去することによって、またその程度によって達成される。しかし、一定の大きさまでの粒子しか除去できないこのようなシステムでは、流れに残った小さな粒子は、ミクロンサイズの生物及び病気の原因となる生物、すなわち微生物が内在し続ける。したがって、流体を凝集、凝固、沈殿、ろ過技術にさらすことは、人々の健康に安全な流体を提供するためには不十分な解決策である。熱処理技術は、流体を加熱し、高温下に長時間保つことに基づいている。連続的なシステムで流体を長時間高温下に保つことは、コストのかかる方法であり、ほとんど使用されていない。
【0006】
化学的殺菌法は、活性物質に、流体中の微生物の細胞壁、細胞膜、及び細胞の分子を標的化する方法で、流体中の標的の微生物を無力化するという原理に基づいている。殺菌システムにおいて、一般に化学殺菌剤が併用されるが、というのも、あらゆる種類の病気を引き起こす微生物を不活性化できる単一の化学薬剤は存在しないからである。今日、流体殺菌には塩素をはじめとする化学薬品が広く使用されている。しかし、化学殺菌剤は使用された液体に残留物を残し、副生成物を形成し、最終的には人体に移行する。これらの化学製品に人体が長期間さらされると、ガン及びアルツハイマー病などの神経疾患の発症の引き金になる、又は、そのような化学物質そのものがさまざまな病気を引き起こす可能性がある。流体中に残留する問題以外の問題として、化学殺菌剤で効果的な流体殺菌レベルを得るためには、化学殺菌剤を流体中に長時間残留させなければならず、化学殺菌剤の種類によっては、そのような薬剤を多量に使用しなければならない。そしてこの必要性は、大量の化学物質の供給及び廃棄に関する問題を引き起こす。
【0007】
非接触殺菌法には、オゾン及び照射技術がある。オゾン技術はその効果を発揮するためには標的の流体に長時間曝す必要がある高額な方法であり、またオゾン分子、すなわちこの技術の基礎となるオゾン分子は、非常に短時間で酸素分子に変化するため、殺菌目的で使用されることはほとんどない。照射技術では、従来型の紫外線が好ましく、従来型の紫外線タイプC(UV-C)がよく使用されている。従来のUV-Cライトは、流体中の微生物を殺菌することができるのは、その流体と長時間接触させた場合のみであり、そのためには、高額な長い殺菌ラインを使用する必要がある。
【0008】
以下に記載するのは、従来の流体殺菌技術を含み、したがって上記の欠点を有する発明である。
【0009】
特許文献1(TR1998/00400(光触媒空気殺菌))には、光触媒(二酸化チタン-TiO2)でコーティングされた空気出口表面を有するフィルタが記載されており、汚染された空気が前記フィルタを通過するとき、前記光触媒でコーティングされたフィルタ表面に作用する光源によって放出された従来の紫外線が、前記光触媒でコーティングされたフィルタ表面で化学反応を引き起こし、前記光触媒の酸化反応によって、前記汚染された空気中の微生物の少なくとも一部が破壊される。前記紫外線は波長300~400nmの光子(UV-A及びUV-B)を含む。この発明の欠点は、そこで使用される紫外線の波長及び照射時間は、完全な殺菌には不十分なことである。UV-C波長の光子は殺菌に有効となり得る。しかし、この場合も露光時間を考慮する必要がある。露光時間が長くなると、長い殺菌ラインを設置する必要があり、結果的にコストが高くなる。このフィルタのもう一つの欠点は、前記発明で使用される光触媒、すなわちTiO2がナノ粒子の形で空気を介して運ばれる可能性が高く、その場合、呼吸によって体内に入り、体外に排出されない可能性があり、最終的には体内の細胞の構造を破壊することによって発癌作用を引き起こすことである。
【0010】
特許文献2(TR2020/07791(空調機除菌システム))の要旨は、リビングルームタイプ及びカセットタイプの空調機に取り付けることを想定している。前記システムは、圧縮された状態でキャビネット内に保持される空調機の空気吸引口を介して入る周囲空気が、システムに入る間、キャビネット内の従来のUV-Cライトの配置によって殺菌され、その後、前記空気は、空気吸引ダクト内のダスト及び微粒子フィルタを通過した直後に、空調機から清浄空気として吹き出されることを保証する。このシステムは、リビングルームタイプ及びカセットタイプの空調機のモジュールとしてのみ設計されているため、その用途は限られている。このシステムの位置は、吸気部で殺菌された空気が空調機を出る前に空調サイクル内で再び汚染される可能性があるため、前記システムにとっての欠点である。アイドル時間の間に空調機内部に蓄積されたホコリ及び汚れは、空調機の再運転時に空気中に拡散し、一定時間運転した後に初めて効率的な運転を開始する。このシステムのもう一つの欠点は、このシステムで採用されている従来のUV-Cライトでは、連続的なフローの短時間では完全な殺菌を行うことができないという事実に起因する、低殺菌効率である。
【0011】
特許文献3(TR2020/11095(ダクトレス空調機の室内機用UV-C空気殺菌装置))も、特許文献2と同様にダクトレス空調機(リビングルームタイプ又はカセットタイプ)のシステムに関する。実際、特許文献2の要旨に関する上述の欠点は、ここにも存在し、すなわち、このシステムは、殺菌のための従来のUV-C光源を含むが、それがまた、それぞれのフィルタリング部の上流に配置されており、このシステムは、空調機内で発生する可能性のあるいかなる汚染も防止することができず、上述のように、提案された従来のUV-C光源は、完全な殺菌のために長い露光時間を必要とする。
【0012】
特許文献4(US8252099B2)は、スタンドアロンユニットとして使用される空気ろ過装置と呼ばれる装置と、当該デバイスをHVAC又はAHUシステム内の一体化ユニットとして使用する方法を開示している。このシステムは、2つの開放端(1つは空気を受容するため、もう1つは空気を排出するため)を有する管状体の中にある複数のフィルタ、ファン、及び従来のUV-C光源から構成される。外部環境の空気は、システムの空気入口端にあるファンを介して吸引され、その後、当該ファンの後方に位置する多段フィルタに送られる。前記フィルタを通過した後、空気は従来のUV-C光源が配置された場所を通過し、その後、空気出口側の多段フィルタを通過し、浄化/殺菌された空気として得られる。このシステムで使用される従来のUV-C光は、瞬時に殺菌を行う能力を持たないため、特許文献2の内容と同様の欠点を有する。実際、この問題を解決するために、2つの別の多段フィルタ(1つは空気の入り口側、及びもう1つは空気の出口側)が使用されているが、フィルタは、一定の大きさ以下の病気の原因となる微生物を防ぐことができないため、従来のUV-C光源が瞬時に殺菌を行うことができず、システムによる殺菌性能が低いことから生じる問題の解決策とはならない。
【0013】
特許文献5(US8496735B2)は、外部環境から汚染された空気を吸引し、ナノ結晶金属酸化物コーティングフィルタに通過させた後、環境に戻す方法またはシステムに関する。本発明は、特許文献1の内容と同じ欠点を有し、それはナノ結晶の光触媒を使用することに起因しており、つまり、ここで採用されている光触媒も空気を通じて運ばれる可能性があり、その場合、呼吸を通じて体内に入り、体外に排出されない可能性があり、最終的には体内の細胞の構造を破壊して発癌作用を引き起こす可能性がある。
【0014】
特許文献6(US20150033942A1)は、住宅用又は商業用HVACシステムで使用するシステムに関し、当該システムは、光触媒剤でコーティングされたガス状及び粒子状物質捕集フィルタ、並びに従来のUV光源、センサ、検出器、スイッチ、バルブ、及びマイクロプロセッサを備える。再生式空気清浄システムと呼ばれるこのシステムでは、システムに取り込まれた空気はガスセンサ及び検知器で測定され、空気の質が所望のレベルにあるかどうかが判断され、それに応じて、所望の品質レベルの空気が存在すれば、空気の流れは途切れることなく、自由に通過する一方、汚染された空気が存在すると、空気の流れが遮断され、空気がシステムから出るのを防ぎ、含まれる空気の品質が所望のレベルに達するまで維持される。現在のHVACシステムにとって、このシステムは複雑でコストのかかる解決策となる。上述の欠点、すなわち空気の流れが時折遮断されることに加えて、このシステムには、ナノ結晶光触媒を使用することによる他の問題、すなわち特許文献1の内容と同じ副作用がある。さらに、一定の大きさ以下の小さな病気の原因となる微生物は、フィルタで捕捉することも、センサ又は検出器で検出することもできず、従来のUV光システムでは瞬時に殺菌する能力が低いなどの欠点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】トルコ国特許第1998/00400号明細書
【特許文献2】トルコ国特許第2020/07791号明細書
【特許文献3】トルコ国特許第2020/11095号明細書
【特許文献4】米国特許第8252099号明細書
【特許文献5】米国特許第8496735号明細書
【特許文献6】米国特許公開第2015-0033942号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
結論として、上述した欠点及び現在の慣行の不十分さは、それぞれの技術分野における改善を必要とする。したがって、上述の問題を克服する発明が必要とされている。
【0017】
前述の欠点を解消し、それぞれの技術分野に新たな利点を提供するために、本開示は、設置コスト及び電力コストの両面で高額な長い殺菌トンネルを必要とせずに、流体チャネルを通る流体の流れと同時に流体の殺菌を保証する電子フィルタを提供する。本開示は、液体を殺菌するための電子フィルタシステムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本開示の前記システムは、フィルタの寸法に従って設計された「パルス幅変調及び直流駆動技術」によって駆動されるUV-C光源のアレイで構成されている。本開示のシステムは、先行技術におけるUV光技術の最大の欠点である長時間の照射時間の必要性を排除することにより、効果的な瞬間殺菌をもたらす。本開示によるシステムで使用されている瞬間殺菌技術「パルス幅変調及び直流駆動技術」は、教授陣のコンサルティングのもとで行われた7年間の研究開発の成果である。
【0019】
本開示のシステムで使用されるこの「パルス幅変調及び直流駆動技術」は、高振幅、高周波数のパルス信号を発生する、当社独自の設計による少なくとも1つのドライバモジュールと、高輝度の光を発生し、ドライバモジュールによって発生された信号と調和して動作するために必要な適切な仕様を有する少なくとも1つのUV-C光源とを有するデバイスである。このデバイスは直流5Vの電気信号で動作する。このドライバモジュールでは、ドライバICの入力側に到達した直流電圧を増幅する。その結果、一般に1.2MHzのスイッチング周波数を持つ高周波、高振幅のパルス信号がドライバICの出力として得られる。ドライバICを使用することにより、PWM(Pulse Width Modulation)技術で最大輝度を得る回路が生成される。生成された電気信号は、RLC素子で構成されるフィルタ回路で調整される。そして、光強度を増加させるために、ドライバ回路の出力側のコンデンサに蓄積された直流電荷を、得られた高周波、高振幅のパルス信号と結合させ、マイクロ秒以内にUV-C光源に向けて放電させる。これにより、ドライバ回路から得られる高周波、高振幅の電気信号がUV-C光源に伝達され、最大輝度の高周波UV-C光が得られる。
【0020】
つまり、UV-C光源から放出された光子は、一般的に1秒間に1.2×106回照射されることによって流体中に深く浸透し、それによって、標的微生物を、細胞構造を破壊することによってマイクロ秒以内に不活性化する。
【発明の効果】
【0021】
その結果、高周波、高強度UV-C光から散乱した光子は、一般的に、それが関連するフィルタの単位面積の120万倍の面積に当たり、フィルタが防ぐことのできない一定の大きさ以下の微生物を無力化することによって、フィルタを通過する流体を、当該微生物をフィルタ表面から拡散させることなく殺菌する。
【0022】
従来の流体殺菌法よりも優れている本開示のシステムの他の特徴は、以下の通りである。すなわち、放射性物質ではなく、放出される強力なUV-C光は、影響を及ぼす流体の物理的構造に変形を起こさず、色の変化を起こさず、影響を及ぼす流体から粒子を発生させず、化学物質を含まず、残留物を残さず、臭気又は煙の発生を起こさず、ガスを放出しない。
【0023】
本開示に従って流体の殺菌に使用するために開発された電子フィルタシステムは、大小さまざまな大きさで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
上記に要約され、以下により詳細に議論される本開示の実施形態は、添付の図面に図示される本開示の例示的な実施形態を参照することによって、より良く理解され得る。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態を記載しているに過ぎず、したがって、他の有効な実施形態も本開示の範囲内にあり得るように、本開示の範囲を限定するものと見なされないことに留意すべきである。
【0025】
理解を容易にするため、図中の同一要素を示すために、可能な限り同一の参照符号を使用している。図は縮尺通りに描かれておらず、明確にするために簡略化することができる。実施形態の要素及び特徴は、さらなる説明を必要とすることなく、他の実施形態に有用に組み込むことができることが企図される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この詳細な説明に記載されている、本開示による流体の殺菌のための電子フィルタシステムの好ましい代替的実施形態は、要旨をより良く理解するためのものであり、いかなる制限的な意味においても解釈されるべきではない。
【0027】
図1~
図4に見られるように、本発明は、流体の殺菌に使用するため、ドライバ回路(1)、光源(2)、及びテープ(3)を備える電子フィルタシステムである。さらに、本発明はまた、「革新的なUV-Cテープ一体型フィルタ」及び「革新的なUV-Cテープ一体型電子フィルタ」も含む。
【0028】
本発明で使用するドライバ回路(1)は、ドライバIC(1.1)、インダクタ(1.2)、抵抗(1.3)、第1のコンデンサ(1.4)、第2のコンデンサ(1.5)及び第3のコンデンサ(1.6)を備える。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、2本のテープ(3)が使用される。本発明の代替的実施形態では、少なくとも1つのテープ(3)が使用される。
【0030】
通常、各ストリップ(3)には2つのドライバ回路(1)及び4つの光源(2)がある。各ドライバ回路(1)は、一般に2つの光源(2)で動作するように設計されているが、これは殺菌の必要度合いに応じて変化し得る。本発明の好ましい実施形態では、2つのドライバ回路(1)及び4つの光源(2)が使用される。
【0031】
ドライバ回路(1)の電源入力側に到達した直流電圧を増幅し、ドライバIC(1.1)で高周波、高振幅のパルス信号に変換処理する。ドライバIC(1.1)で処理される信号は、PWM技術を適用することで最大輝度に到達するように構成されている。ドライバ回路(1)内のインダクタ(1.2)により、この信号の急激な電流変化が防止し、抵抗(1.3)により、光源(2)が過大な電流を流すことを防止する。ドライバ回路(1)の入力側及び出力側にそれぞれ配置されている第1のコンデンサ(1.4)及び第2のコンデンサ(1.5)は、電圧の変動を減衰させるために使用される。得られた信号は、光源の入力側に位置する第3のコンデンサ(1.6)に蓄積された直流電荷と結合し、マイクロ秒以内に光源(2)に放電する。こうして、光源(2)は、最大輝度の高周波光のバーストを発生させ、作用する表面に完全な殺菌を施す。
【0032】
ドライバIC(1.1)は入力信号を高周波、高振幅の信号に増幅し、通常1.2MHzのスイッチング周波数を有する。最大輝度はPWM技術で設定される。ただし、この値は1.2MHzに限定されるものではなく、周波数の変動も本発明の範囲内である。
【0033】
図1~4に見られるように、本発明は、生成された高周波、高振幅の電気パルス信号を蓄積された直流電荷と結合し、この結合を光源(2)に放電して最大輝度を得ることにより、より短い殺菌時間を保証するドライバ回路(1)と、同様に、ドライバ回路(1)で生成された電力により駆動される少なくとも1つの光源(2)と、ドライバ回路(1)及び光源(2)の両方が配置される少なくとも1つのテープ(3)とから構成されることを特徴とする。
【0034】
図1~4に見られるように、本発明で使用するドライバ回路(1)は、その入力側の信号をスイッチング周波数1.2MHzの高周波、高振幅信号に増幅するドライバIC(1.1)と、出力信号の急激な電流変化を減衰させ、信号を調整するRLC(Resistor lnductor Capacitor)フィルタ回路の構成要素であるインダクタ(1.2)と、それが有する抵抗力によって光源(2)が過大な電流を流すのを防ぐRLCフィルタ回路の構成要素である抵抗(1.3)と、ドライバ回路(1)の電源入力側の電圧変動を防止するRLC回路の構成要素である第1のコンデンサ(1.4)と、ドライバIC(1.1)の出力側の電圧変動を防止する第2のコンデンサ(1.5)と、光強度を増加させるための直流電荷を蓄える第3のコンデンサ(1.6)と、を備える。
【0035】
本発明のシステムは、システムがフィルタの出口表面(背面)に効果を発揮させる革新的なUVテープ(3)を構成するように設計されている。このUV-Cテープ(3)上には、ドライバ回路(1)及びUV-C光源(2)がフィルタの大きさに応じて所定の数だけ配置されている。各ドライバ回路(1)は、1つ以上のUV-C光源(2)を駆動するように設計されている。
【0036】
ドライバ回路(1)の電源入力側に到達した直流電圧は増幅され、ドライバIC(1.1)によって高周波、高振幅パルス信号に変換処理される。ドライバIC(1.1)で処理される信号は、PWM技術を適用することで最大輝度になるように設定される。ドライバ回路(1)内のインダクタ(1.2)により、この信号内の任意の急激な電流変化もが防止され、抵抗(1.3)により、UV-C光源(2)が過大な電流を流すことが防止される。
【0037】
第1のコンデンサ(1.4)及び第2のコンデンサ(1.5)はそれぞれドライバ回路(1)の入力側及び出力側に配置されており、電圧の任意の変動を減衰させるために使用される。得られた信号は、UV-C光源(2)の入力側にある第3のコンデンサ(1.6)に蓄積された直流電荷と結合され、数マイクロ秒以内にUV-C光源(2)に放電される。こうして、UV-C光源(2)は、最大輝度の高周波光のバーストを発生させ、作用する流体に完全な殺菌をもたらす。
【0038】
「革新的なUV-Cテープ一体型フィルタ」は、流体中の大型汚染物質を捕捉するフィルタである。「革新的なUV-Cテープ一体型電子フィルタ」は、流体中の大型汚染物質を捕捉し、流体中に残存する微生物を無力化する革新的なUV-Cテープ一体型電子フィルタである。
【符号の説明】
【0039】
ここで説明するのは、図に示した参照符号である。
1 ドライバ回路
1.1 ドライバIC
1.2 インダクタ
1.3 抵抗
1.4 第1のコンデンサ
1.5 第2のコンデンサ
1.6 第3のコンデンサ
2 光源
3 テープ
【国際調査報告】