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特表2024-532185高効率廃冷温熱リサイクル熱交換装置
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  • 特表-高効率廃冷温熱リサイクル熱交換装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】高効率廃冷温熱リサイクル熱交換装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20240829BHJP
   F25B 27/02 20060101ALI20240829BHJP
   F28D 15/06 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F28D15/02 101D
F25B27/02 A ZAB
F28D15/02 E
F28D15/06 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510287
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 KR2022012372
(87)【国際公開番号】W WO2023022545
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0108714
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062320
【氏名又は名称】コベク エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パク チュンキョン
(57)【要約】
本発明の廃冷温熱リサイクル熱交換装置は、蒸発器10と凝縮器20との間に冷媒が閉ループを形成して循環し、前記凝縮器20には、内部の冷媒圧力と温度を検出して検出値を制御装置50に入力するデジタルセンサー45を設置し、前記液冷媒管40上には、液冷媒を蒸発器10側に押す液体移送ポンプ46とソレノイド弁47を設置し、前記デジタルセンサー45の検出値の入力を受けた制御装置50が前記検出値によって前記液体移送ポンプ46とソレノイド弁47の作動を制御して冷媒管40を流れる液冷媒の流量を調節する。これにより、蒸発器10と凝縮器20に発生した熱平衡と圧力平衡の程度によって冷媒の循環量を自動で調節することができるので、安定した冷媒の循環だけでなく、廃冷温熱回収の高効率最適化を達成する運転が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器(10)と凝縮器(20)との間に冷媒が閉ループを形成して循環するように、蒸発器(10)出口と凝縮器(20)入口との間を連結するガス冷媒管(30)、および凝縮器(20)出口と蒸発器(10)入口との間を連結する液冷媒管(40)を設置し、
前記凝縮器(20)には、内部の冷媒圧力と温度を検出して検出値を制御装置(50)に入力するデジタルセンサー(45)を設置し、
前記液冷媒管(40)上には、液冷媒を蒸発器(10)側に押す液体移送ポンプ(46)を設置し、
前記デジタルセンサー(45)の検出値の入力を受けた制御装置(50)は、前記検出値によって前記液体移送ポンプ(46)の運転動作を制御して冷媒管(40)を流れる液冷媒の流量を調節することを特徴とする、高効率廃冷温熱熱交換装置。
【請求項2】
液冷媒管(40)上には、ソレノイド弁(47)がさらに設置され、
前記デジタルセンサー(45)の検出値の入力を受けた制御装置(50)は、前記検出値によって前記ソレノイド弁(47)の流路開度率を調節することを特徴とする、請求項1に記載の高効率廃冷温熱熱交換装置。
【請求項3】
前記制御装置(50)は、
前記液体移送ポンプ(46)の動作を先に停止する制御を行った後、
所定時間が経過した後、デジタルセンサー(45)で検出した凝縮器(20)内部の冷媒圧力と温度検出値が規定された変化値を満たしているか否かを判断して、
規定された変化値を満たしていない場合は、前記ソレノイド弁(47)の流路開度率の調節制御を実施することを特徴とする、請求項2に記載の高効率廃冷温熱熱交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発器と凝縮器との間で閉ループを成し、循環する冷媒を使用して、空調装置を含む多様なエネルギー消費装置で損失される廃冷熱または廃温熱を回収してリサイクルする廃冷温熱リサイクル熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸発器と凝縮器を使用する熱交換装置は、蒸発器と凝縮器を通過する冷媒の間に温度差が大きくなるとき、それぞれ冷媒の蒸発と凝縮現象が起こる。
【0003】
冷媒の蒸発と凝縮は、蒸発器出口と凝縮器入口との間および凝縮器出口と蒸発器入口との間に圧力差を発生させるので、冷媒が別途の動力なしにも蒸発器と凝縮器との間を連結した冷媒管の圧力傾度に沿って流れて循環するサーモサイフォン(thermosiphon)作用が起こる。
【0004】
前記サーモサイフォン作用を利用した従来の熱交換装置(以下、「サーモサイフォン熱交換装置」と称する)は、韓国登録特許第10-1294939号公報にその基本原理が紹介されている。
【0005】
このようなサーモサイフォン熱交換装置は、別途の外部動力なしに自体に冷媒を循環させて熱を移動させることができる長所があるので、既存の空調装置を始めとした廃冷熱や廃温熱が発生する装置に付設して熱効率を改善する廃冷温熱リサイクル熱交換装置として多く使用される。
【0006】
しかし、前記従来のサーモサイフォン熱交換装置は、蒸発器と凝縮器を通過する冷媒の間で温度差が小さければ、蒸発器と凝縮器を連結した液冷媒管とガス冷媒管で熱平衡と圧力平衡状態が発生しやすい。この場合には、冷媒の流れが停止してしまうので、蒸発と凝縮を繰り返す冷媒の循環で廃冷温熱を回収する作用効果を期待できない問題点がある。
【0007】
そして、冷媒管で熱平衡と圧力平衡状態が発生した以後には、通常的に温度と圧力が高くなる蒸発器側の液冷媒が凝縮器側に向かって逆方向に流れて、熱交換装置としての機能を喪失する問題も発生する。
【0008】
このような問題のため、サーモサイフォン熱交換装置に冷媒圧縮機や再熱ヒーターなどを追加で装着して、冷媒の熱平衡と圧力平衡状態を強制的に解消し、冷媒が逆方向に流れないようにする熱交換装置も使用されている。
【0009】
ところで、既存のサーモサイフォン熱交換装置が多様な熱交換装置や廃熱発生場所に自由に設置されていたことに比べて、冷媒圧縮機や再熱ヒーターのための冷媒圧縮機用電力供給装置や再熱ヒーター用熱源装置の位置を考慮しなければならないサーモサイフォン熱交換装置の場合には、設置適用環境に制限が多い。
【0010】
また、冷媒圧縮機や再熱ヒーターなどを作動するためには、非常に大きい外部エネルギーがさらに消耗するので、サーモサイフォン熱交換装置が外部エネルギーをほとんど消費しないという固有長所を失う問題があり、装置が複雑になることにつれ故障率が高くなり、製品の生産原価およびメンテナンス費用の上昇を招く問題も発生する。
【0011】
一方、本発明の発明者は、従来のサーモサイフォン熱交換装置を改善して、図1に図示されているサーモサイフォン熱交換装置を出願して、韓国公開特許第10-2018-0029474号公報として公開した。
【0012】
図1に図示されているサーモサイフォン熱交換装置は、蒸発器10の出口と凝縮器20の入口との間および凝縮器20の出口と蒸発器10の入口との間を連結させている冷媒管30、40にそれぞれ定められた圧力以上の差が発生したとき、冷媒をある一方向にだけ通過させるチェック弁31、41を設置し、液冷媒通過用チェック弁41の出口と蒸発器10の入口側との間には、冷媒の絞り効果を得ることができるようにする膨張弁44を設置したものである。
【0013】
したがって、図1に図示されたサーモサイフォン熱交換装置の場合には、ガス冷媒管30と液冷媒管40に熱平衡と圧力平衡状態が発生すれば、チェック弁31、41によって冷媒の流れが停止し、その逆方向流れは防止される。以後、熱平衡と圧力平衡状態が十分に解消されれば、チェック弁31、41を介した正方向冷媒循環が再度行われる。
【0014】
このように韓国公開特許第10-2018-0029474号公報のサーモサイフォン熱交換装置は、別途の冷媒熱平衡と圧力平衡状態解消用動力装置を使用せずにも、従来のチェック弁がなかったサーモサイフォン熱交換器で熱平衡と圧力平衡状態が発生して、冷媒の流れ方向が逆転される現象を解決することができる。
【0015】
しかし、韓国公開特許第10-2018-0029474号公報のサーモサイフォン熱交換装置は、蒸発器10と凝縮器20を通過する冷媒の間で温度差が小さい場合には、液冷媒管40とガス冷媒管30で熱平衡と圧力平衡状態が容易に発生して冷媒の流れが停止する問題があり、その圧力差がチェック弁を通過することができるほど相当水準回復するまでは、廃冷温熱を回収する熱交換装置としての作用効果を期待できない問題点が依然として残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1294939号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2018-0029474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、前記従来技術の諸問題点を解決するために案出したものであって、蒸発器の出口と凝縮器の入口との間および凝縮器の出口と蒸発器の入口との間に冷媒熱平衡と圧力平衡が発生しても、最小の外部エネルギー投入だけで安定した冷媒の循環作用を維持できる高効率廃冷温熱リサイクル熱交換装置の構成を提供することを課題とする。
【0018】
これに加え、廃冷温熱リサイクル運転中に蒸発器に投入される適正冷媒量を自動で調節できる高効率廃冷温熱リサイクル熱交換装置の構成を提供することを他の課題とする。
【0019】
また、本発明は、試運転段階で最適の冷媒量を充填する作業を容易に遂行することができるようにする高効率廃冷温熱リサイクル熱交換装置の構成を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記目的を達成するために、本発明は、蒸発器出口と凝縮器入口との間を連結するガス冷媒管、および凝縮器出口と蒸発器入口との間を連結する液冷媒管を設置して、蒸発器と凝縮器との間に冷媒が閉ループを形成して循環するようにし、前記凝縮器には内部の冷媒圧力と温度を検出して検出値を制御装置に入力するデジタルセンサーを設置し、前記液冷媒管上には、液冷媒を蒸発器方向に押す液体移送ポンプを設置し、前記デジタルセンサーの検出値の入力を受けた制御装置は、前記検出値によって前記液体移送ポンプの運転動作を制御して冷媒管を流れる液冷媒の流量を調節するように構成される。
【0021】
また、本発明の液冷媒管上には、ソレノイド弁がさらに設置され、前記デジタルセンサーの検出値の入力を受けた制御装置は、前記検出値によって前記ソレノイド弁の流路開度率を調節することができるように構成することができる。
【0022】
そして、前記制御装置は、前記液体移送ポンプの動作を先に停止する制御を行った後、所定時間が経過した後、デジタルセンサーで検出した凝縮器内部の冷媒圧力と温度検出値が規定された変化値を満たしているか否かを判断して、規定された変化値を満たしていない場合は、前記ソレノイド弁の流路開度率の調節制御を実施するように構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の廃冷温熱リサイクル熱交換装置は、蒸発器出口と凝縮器入口との間および凝縮器出口と蒸発器入口との間に冷媒熱平衡と圧力平衡が発生しても、液体移送ポンプを制御して安定的に冷媒の循環作用を維持することができる。特に、発生した熱平衡と圧力平衡の程度によって冷媒の循環量を自動で調節することができるので、安定した冷媒の循環だけでなく、廃冷温熱回収の高効率最適化を達成する運転が可能である。
【0024】
また本発明は、装置の最初設置後、試運転段階やメンテナンス時の再充填過程で熟練度の低い作業者も容易に冷媒の適正量充填可否を確認することができるので、装置の設置およびメンテナンスが容易になる長所がある。
【0025】
そして、本発明の廃冷温熱リサイクル熱交換装置は、既存の空調装置の形態にこだわらずに冷暖房用熱交換器の前段または後段に設置するか、廃熱活用のための場所に蒸発器または凝縮器を別途に分離して設置が可能であるので、多様な形態のエネルギー消費装置で損失される現場に適用して、廃冷温熱を積極的且つ自由にリサイクルすることができる長所がある。
【0026】
すなわち、本発明の廃冷温熱リサイクル熱交換装置は、予冷後に再熱過程が必要な恒温恒湿装置や既存の空気調和機の除湿機能強化用として、または高温および除湿乾燥装置のフリークーリングおよびフリーヒーティング用として、そして、換気ダクトの排気廃熱のリサイクル用などとして非常に有用に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明者らが先出願した韓国公開特許第10-2018-0029474号公報の図面である。
図2】本発明の主要技術構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本発明の高効率廃冷温熱熱交換装置の好ましい実施形態を詳しく説明する。
【0029】
本発明の説明のために使用される用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語が含まれてよい。本発明において使用された用語は、他の設計者や使用者の意図または慣例によって他の用語で表現され得るので、このような用語に対する実質的な定義は、本明細書の全般に記載された内容を参酌して下されなければならないだろう。
【0030】
また、本発明の説明において使用される「上」、「下」、「前側」、「後側」、「前」、「後」、「左」、「右」、「先端」、「後端」のような方向性用語は、開示された図面の配向を基準にしたものである。しかし、本発明の実施形態の構成要素は、多様な配向に位置設定され得るため、方向性用語は例示を目的に使用されるものであって、これを制限するものではない。
【0031】
本発明において使用される構成要素が互い「連結」、「結合」または「締結」などが成されたと記載した場合は、中間媒介構成要素を通じた間接的方法で成された場合も含むものと理解しなければならない。
【0032】
そして、本発明の説明においては、発明の要旨を不明確にする可能性がある公知機能および構成に対する詳細な説明は省略する。
【0033】
図2は、本発明の一実施形態として、廃冷温熱のリサイクルのための冷媒循環サイクルが作動する熱交換装置の模式図を示したものである。
【0034】
図2に図示されているように、本発明の熱交換装置は、液の冷媒を外部熱を吸収してガスで蒸発させる蒸発器10と、蒸発器から出たガスの冷媒を放熱によって液に凝縮する凝縮器20、そして前記蒸発器10と凝縮器20との間に閉ループを形成して冷媒が循環するように、蒸発器10の出口と凝縮器20の入口とを連結するガス冷媒管30、および凝縮器20の出口と蒸発器10の入口とを連結する液冷媒管40で閉ループを成す構成を基本にし、これは、公知のサーモサイフォン熱交換器から見られる一般的な構成に該当する。
【0035】
そして、本発明には、前記ガス冷媒管30にスイング型のチェック弁31をさらに設置し、液冷媒管40にはボール型のチェック弁41をさらに設置している。このようなチェック弁の設置構成は、前記従来技術として言及された韓国公開特許第10-2018-0029474号公報に開示されたものと同一である(図1を参照)。
【0036】
前記チェック弁31は、蒸発器10出口側の冷媒圧が凝縮器20入口側の冷媒圧より規定された圧力差以上に高ければ、ガス冷媒が凝縮器20に流れるように開放され、チェック弁41は、凝縮器20出口側の冷媒圧が蒸発器10入口側の冷媒圧より規定された圧力差以上に高ければ、ガス冷媒が蒸発器10側に流れるように開放される。
【0037】
図2の図示を見れば、本発明の好ましい実施形態として液冷媒管40上に液体移送ポンプ46とソレノイド弁47がさらに設置される。
【0038】
液体移送ポンプ46は、液冷媒管40上の液冷媒を強制に蒸発器10に押す装置であって、通常の熱交換装置でガス冷媒を高温高圧で圧縮して凝縮器側に吐出する「圧縮機」とは機能、作用および効果が全く異なる装置である。
【0039】
先立って説明したように、蒸発器10と凝縮器20を通過する冷媒の間で温度差が小さくなれば、液冷媒管40とガス冷媒管30との間で熱平衡と圧力平衡状態に近接するようになるので、閉ループ内で冷媒の流れが微弱になり過ぎて、廃冷温熱の回収効率をほとんど期待できなくなる。
【0040】
本発明は、このように冷媒の流れが非常に微弱になった状態になるとき、液冷媒を強制に押して冷媒循環サイクルを維持する用途で液体移送ポンプ46を使用するようになる。したがって、通常の熱交換装置でガス冷媒を高温高圧で圧縮する圧縮機とは使用目的と機能が異なる装置である。
【0041】
そして、本発明に使用される液体移送ポンプは、単に液冷媒の流れを誘導する程度の液体移送能力だけあれば十分であるので、小容量のものを使用してよい。
【0042】
すなわち、本発明のサーモサイフォン熱交換器では液体移送ポンプが0.5kgf/cm程度の流体圧を発生させるとき、正常な液冷媒の流れが行われ始めることを確認した。したがって、本発明の液体移送ポンプは、通過した液冷媒が通過前に比べて少なくとも0.5kgf/cmの圧力上昇やそれより若干高い圧力上昇を発生させる程度のものを採択する。
【0043】
そして、ソレノイド弁47は、液体移送ポンプ46から吐出した液冷媒を断続的に制御するための用途で液体移送ポンプ46と蒸発器10との間に設置することができる。ソレノイド弁47は、液体移送ポンプ46を作動停止させることだけで液体移送ポンプ46からの冷媒流出が正確に行われない場合に備えて設置したものであり、液冷媒の流れの断続をより確実に実施することができるようにする。
【0044】
本発明においては、液体移送ポンプ46とソレノイド弁47を制御するために、デジタルセンサー45と制御装置50を設置する。
【0045】
デジタルセンサー45は、温度と圧力を検出することができるものを使用して、凝縮器20側に設置する。好ましくは、図2に図示されたように凝縮器20の出口側の液専用ヘッダー22で液冷媒が溜まっている下部側に設置して液冷媒の温度と圧力を検出するようにする。
【0046】
そして、デジタルセンサー45で検出した温度と圧力の検出値の入力を受けて液体移送ポンプ46とソレノイド弁47の作動を制御するための信号を発生する装置である制御装置50を所定の位置に設置する。
【0047】
前記制御装置50としては、MCU(Micro Controller Unit)を使用することができ、凝縮器20内の液冷媒状態によって液体移送ポンプ46とソレノイド弁47の作動を制御して冷媒管40を流れる液冷媒の流量を自動で調節する。
【0048】
すなわち、制御装置50では、デジタルセンサー45で検出した温度と圧力の検出値が規定された範囲よりある程度超過あるいは未達であるかを判断し、その超過値または未達値の大きさに比例して液体移送ポンプ46の運転動作を制御することで、冷媒吐出量を調節するか、吐出を完全に止めるようにすることができる。
【0049】
また、制御装置50は、ソレノイド弁47の流路開度率を増加または減少または閉鎖作動させる信号を発生させて制御することができ、液体移送ポンプ46の制御と有機的に連動して制御することもできる。
【0050】
膨張弁44は、液冷媒の絞り効果を得ることができるようにする手段である。膨張弁44を通過する液冷媒は、絞られて圧力が下がるが、もし圧力降下が過度であり飽和圧力以下に落ちるようになれば、液冷媒の一部が蒸発してフラッシュガス(flash gas)が発生することがあるが、このフラッシュガスは、液冷媒から蒸発熱を吸収するので、液冷媒の温度は下降する。
【0051】
前記膨張弁44は、熱交換装置の熱容量などに鑑みて、電子式または感応式膨張弁で設置することができ、毛細管またはグローブ弁のように絞り作用を起こすことができる装置の中から代替選択して設置することもできる。
【0052】
図2に図示された圧力計32、42は、前記チェック弁31、41の入口側の冷媒管30、40に設置され、冷媒管を通過するガス冷媒または液冷媒の圧力を測定して表示するものである。前記冷媒管30、40と圧力計32、42との間には、冷媒の流れを断続することができる圧力計断続弁33、43をさらに設置することが好ましい。
【0053】
図2に図示された本発明の実施形態においては、蒸発器10の入口側に多数の分配チューブ12が分岐している分配器11を設置する。
【0054】
分配器11は、膨張弁44を過ぎて冷媒管40を介して伝達されてくる少量のフラッシュガスと低温低圧の液冷媒を分配させる機能をする。
【0055】
前記分配チューブ12は、蒸発器の熱交換チューブ端部にそれぞれ分けられて結合されるので、液冷媒管40から入ってくる冷媒は分配器11と分配チューブ12を経て蒸発器全体に均等に分配されて流入する。
【0056】
そして、蒸発器10の冷媒出口と凝縮器20の冷媒入口には、それぞれガス専用ヘッダー13、21を設置し、凝縮器20の冷媒出口には、液専用ヘッダー22を設置する。
【0057】
前記ヘッダーは、冷媒管と蒸発器または凝縮器との間で冷媒が円滑に流入または流出するように助ける機能をする。
【0058】
本発明の実施形態において、送風ファン23は、外部空気(または廃冷熱発生場所の空気)を凝縮器20の熱交換チューブ側に吹いて加熱させて熱い空気にし、これを室内に流入させる役割をする。
【0059】
以下においては、図2を参照にして、本発明が冷気を排出する廃冷熱源がある箇所の廃冷熱を利用して、高温乾燥室のような室内に加熱された空気を供給する廃冷熱リサイクル熱交換器として利用される事例を挙げて、その作用を説明する。
【0060】
一般的に、通常の熱交換器では蒸発器に流入する冷媒は低温/低圧の液体状態であり、蒸発器で冷媒が外気と熱交換(吸熱)して気化することで、低温/低圧のガス状態になって排出される。この低温/低圧状態のガス冷媒は、圧縮機を介して高温/高圧の過熱したガス状態に圧縮された後、凝縮器に入って外気と熱交換(放熱)することで、高温/高圧の液体状態になって排出される。この高温/高圧の液体冷媒は、膨張弁で絞り作用により低温/低圧の液体状態になって、さらに蒸発器に流入して冷媒の循環サイクルが行われる。
【0061】
上記の通常の熱交換器では、凝縮器側の圧力が蒸発器側の圧力より高いので、圧縮機がなければ蒸発器から排出される低温/低圧のガス冷媒を凝縮器側に移送させることができない。
【0062】
ところで、本発明においては、蒸発器10で冷媒が気化する蒸発作用が所定時間以上持続的に行われるようにして、冷媒の気化量を大きくして、蒸発器10から発生する低温/低圧のガス冷媒が自ら高温/高圧の状態になるようにする。
【0063】
すなわち、本発明は、蒸発器10で排出されるガス冷媒圧力を凝縮器20の入口側の圧力より定められた圧力以上に高くすることができるので、圧縮機でガス冷媒を高温/高圧状態にする別途の過程がないとしても、凝縮器20側に移送することができる。
【0064】
このように蒸発器10の出口圧力が凝縮器20の入口圧力より大きくなれば、その圧力差によってガス冷媒管30に設置されているスイング型のチェック弁31が凝縮器側に開になり、ガス冷媒はガス冷媒管30を介してチェック弁31およびガス専用ヘッダー21の経路に沿って凝縮器20の熱交換チューブ内に自動流入される。
【0065】
続いて、凝縮器20に流入した高温/高圧のガス冷媒は、外気と熱交換(放熱)して凝縮作用が起こるので、凝縮器20内で高温/高圧の液冷媒に状態が変化する。
【0066】
本発明においては、凝縮器20の出口側に位置した液専用ヘッダー22の下部側にデジタルセンサー45を設置しており、制御装置50で前記デジタルセンサー45により検出された凝縮器内の液冷媒の温度と圧力情報を受け入れるようになる。
【0067】
制御装置50では、デジタルセンサー45で検出される液冷媒の圧力が事前に定められた圧力範囲内にあるかを判断し(例えば、凝縮器内の液冷媒圧力が0.5~1.5kgf/cmの範囲にあれば正常であると判断することができる)、その結果値によって液体移送ポンプ46の作動とソレノイド弁47の断続を制御するようになる。
【0068】
本発明において凝縮器20内の液冷媒が定められた圧力範囲(例えば、0.5~1.5kgf/cm範囲を超える圧力)に上がると、蒸発器出口と凝縮器入口との間の圧力差が非常に少ないか、凝縮器入口側の方がさらに高圧の状態である可能性がある。
【0069】
この場合、蒸発器から凝縮器側に流れるガス冷媒の圧力がスイング型チェック弁31を開にすることができるほど大きくできなくなり、ガス冷媒の流れがチェック弁31に詰まって止まるようになるだろう。
【0070】
したがって、本発明においては、デジタルセンサー45で凝縮器20内の液冷媒が定められた圧力範囲を超える(例えば、0.5~1.5kgf/cm以上)と検出される場合、制御装置50は液体移送ポンプ46を作動させ、ソレノイド弁47を開状態に制御して冷媒の強制循環を実施する。これにより、蒸発器から吐出した高温/高圧のガス冷媒が凝縮器20に持続的に流入させることができる。
【0071】
そして、前記冷媒強制循環状態が持続すれば、凝縮器20から吐出する高温/高圧の液冷媒が前記蒸発器10に絶えず流入するとともに蒸発器10内で発生するガス冷媒の圧力は次第に増加するようになる。
【0072】
そして、結局、蒸発器10の出口から吐出するガス冷媒圧力が凝縮器20の内部圧力とほぼ同じになるまで上昇して、相互間の圧力差が定められた圧力差以下(例えば、デジタルセンサー45で凝縮器内圧力が0.5~1.5kgf/cm範囲以下で検出される場合)に落ちることがある。
【0073】
この場合には、デジタルセンサー45から検出信号の入力を受けた制御装置50は、液体移送ポンプ46を停止させる制御を行い、結局、冷媒の循環が停止する。
【0074】
そして、このように冷媒の循環が停止した状態では、凝縮器20内に残留していたガス冷媒は外気と熱交換が継続して起こるので、凝縮がさらに進行されるとともに次第に凝縮器20の冷媒圧力が次第に下降することがあり、反対に蒸発器10内に残留していた液冷媒も外気と継続して熱交換して蒸発がさらに進行されるとともに次第に蒸発器10内の冷媒圧力が次第に上昇することがある。
【0075】
ここで、もし、制御装置50が液体移送ポンプ46動作を停止させたにもかかわらず、液体ポンプから液冷媒の漏れが冷媒管40で起こり、少量の液冷媒循環が続くと、蒸発器10内の冷媒圧力上昇速度が過度に遅くなることがある。
【0076】
したがって、制御装置50には、液体移送ポンプ46の動作を停止して所定時間経過後にデジタルセンサー45で検出した凝縮器20内部の冷媒圧力と温度検出値が規定された変化値を満たすことができなければ、停止した液体ポンプから液冷媒の漏れがあるものと判断して、前記ソレノイド弁47の流路開度率を0%から100%の間に調節する制御を行うことができる。
【0077】
上記の制御が実施されて所定時間が経過すると、凝縮器に設置されたデジタルセンサー25には凝縮器20内の液冷媒が定められた圧力範囲に進入したと検出されるので、この検出信号の入力を受ける制御装置50は、液体移送ポンプ46を作動させてソレノイド弁47を開にするように制御し、ガス冷媒管30のスイング型チェック弁31は開になるので、さらに冷媒が閉回路内で循環サイクルを実施することになる。
【0078】
次に、図2の実施形態を見れば、ソレノイド弁47と蒸発器10の入口側との間の冷媒管40上に設置された膨張弁44は、前記凝縮器20から冷媒管40を介して伝達されてくる高温/高圧の液冷媒を絞り膨張させて、低温/低圧の状態に冷却させ、蒸発器10の入口に設置された分配器11側に吐出するようになる。
【0079】
そして、蒸発器10の入口に設置された分配器11と、ここで分枝して出される分配チューブ12は、蒸発器10の熱交換チューブ各端部に結合されているので、前記分配器11を介して流入される冷媒を蒸発器全体にわたって均等に分散させて、蒸発器10における蒸発作用をより一層効率的に遂行することができるようにする。
【0080】
このように膨張弁44で低温/低圧の状態になった液冷媒が流入した蒸発器10では、外気と熱交換(吸熱)して冷媒を気化させる蒸発作用を所定時間以上持続させて高温/高圧のガス状態になるようにして吐出することで、冷媒の連続的な循環が行われるようになる。
【0081】
一方、本発明においては、前記凝縮器20の出口側に設置された液専用ヘッダー22に所定の定められた圧力を検出することができるように設置されたデジタルセンサー45は、初期設置時またはメンテナンス時に簡便に冷媒充填状態を確認する用途で使用することができる。
【0082】
すなわち、従来には、熱交換装置を設置して初めて冷媒を注入する場合や、メンテナンス次元で冷媒を補充する場合に、作業者は別途の圧力計を使用して注入された冷媒の圧力を測定するとともに作業しなければならないが、これは、一定水準の熟練度がなければならないものである。
【0083】
しかし、本発明は、凝縮器20内部の冷媒充填状態をデジタルセンサー45が正確に検出して表示するので、作業者は冷媒を注入するとき、単にデジタルセンサー45を見ながら所定の定められた圧力が表示されるときまでに注入すれば作業を完了することができる。したがって、作業者の熟練度が落ちても冷媒注入作業を正確且つ容易に実施することができる。
【0084】
本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想を多様な形態で改良または変更することが可能である。したがって、先立って説明され、図面に図示された本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を限定するものと解析されてはならない。すなわち、前記改良および変更が通常の知識を有する者にとって容易なものであれば、本発明の保護範囲に属することになるだろう。
図1
図2
【国際調査報告】