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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】一液型ポリウレタン接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20240829BHJP
   C08G 18/80 20060101ALI20240829BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240829BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20240829BHJP
   C08G 18/22 20060101ALI20240829BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20240829BHJP
   C08G 18/30 20060101ALI20240829BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240829BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20240829BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C09J175/04
C08G18/80
C08G18/32 053
C08G18/48
C08G18/22
C08G18/10
C08G18/30 070
C09J11/06
C09J175/08
C09J5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510369
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 US2022036488
(87)【国際公開番号】W WO2023033920
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/238,476
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】グルンダー、セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アーディゾーニ、フィリッポ
【テーマコード(参考)】
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J034BA02
4J034BA03
4J034BA07
4J034CA04
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC28
4J034CC37
4J034CC44
4J034CC54
4J034CC61
4J034CC65
4J034CE04
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF12
4J034DG03
4J034DG04
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4J034DG09
4J034DG14
4J034DG23
4J034DP19
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034HD15
4J034JA01
4J034JA02
4J034JA32
4J034JA42
4J034KA01
4J034KB02
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4J034QA03
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4J034RA08
4J040EF131
4J040EF281
4J040HC03
4J040HC16
4J040HD42
4J040JA12
4J040JB04
4J040KA14
4J040KA16
4J040MA02
4J040MA05
4J040MA10
4J040NA16
(57)【要約】
本明細書では、二液型ポリウレタン接着剤組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させ(中間体Iを生じる)、次いで、式I:
【化1】

(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、且つRはC~Cアルキルである)の分子と反応させることによって製造されるポリウレタンプレポリマー;
(B)湿度に曝露されると切断される基によってアミン基がブロックされている、ポリアミン;
(C)任意選択的に、アミンと、式Iの分子から得られる部分との反応を触媒することができる触媒
を含む、一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のポリオールが、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールである、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のポリオールがポリエーテルポリオールである、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のポリオールが、ジオール、トリオール若しくはテトラオール、又はこれらの混合物、特にジオール及びトリオールの混合物である、請求項1、2又は3に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のポリオールが、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、及びポリテトラメチレンエーテルジオール及びトリオールから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記ポリオールが、ポリプロピレンオキシドベースのジオール若しくはトリオール、又はこれらの混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記ポリオールがポリプロピレンオキシドベースのトリオールである、請求項1~6のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートがジイソシアネートである、請求項1~7のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネートである、請求項1~8のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である、請求項1~9のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させることによって製造される、請求項1~10のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、分子量4,800のポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させることによって製造される、請求項1~11のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項13】
ビスマス触媒、カルボン酸スズ及びカルボン酸亜鉛などのカルボン酸金属から選択される触媒の存在下で、前記少なくとも1種のポリオール及び前記少なくとも1種のポリイソシアネートを反応させる、請求項1~12のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項14】
オクト酸スタンナス、オクト酸ビスマス又はネオデカン酸ビスマスから選択される触媒の存在下で、前記少なくとも1種のポリオール及び前記少なくとも1種のポリイソシアネートを反応させる、請求項1~13のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項15】
ビスマス触媒である触媒の存在下で、前記少なくとも1種のポリオール及び前記少なくとも1種のポリイソシアネートを反応させる、請求項1~14のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項16】
前記プレポリマーが、前記ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、40~95重量%の量の少なくとも1種のポリオールを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項17】
前記プレポリマーが、前記ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、50~90重量%の量の少なくとも1種のポリオールを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項18】
前記プレポリマーが、前記ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、75~85重量%の量の少なくとも1種のポリオールを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項19】
前記プレポリマーが、前記ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、4~15重量%の量の少なくとも1種のポリイソシアネートを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項20】
前記プレポリマーが、前記ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、5~10重量%の量の少なくとも1種のポリイソシアネートを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項21】
前記プレポリマーが、前記ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、7~9重量%の量の少なくとも1種のポリイソシアネートを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項22】
前記式Iの分子において、R及びRが、独立して、H及びC~Cアルキルから選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項23】
前記式Iの分子において、R及びRが、独立して、H及びC~Cアルキルから選択される、請求項1~22のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項24】
前記式Iの分子において、R及びRがHである、請求項1~23のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項25】
前記式Iの分子において、nが1である、請求項1~24のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項26】
前記式Iの分子において、RがC~Cアルキルである、請求項1~25のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項29】
前記式Iの分子において、RがC~Cアルキルである、請求項1~28のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項30】
前記式Iの分子において、Rがエチルである、請求項1~29のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項31】
前記式Iの分子において、エチル2-(エトキシカルボニル)シクロペンタノン(CPEE)である、請求項1~30のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項32】
前記式Iの分子が、前記中間体IのNCO基と当量又は過剰量で使用される、請求項1~31のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項33】
前記式Iの分子が、前記中間体IのNCO基に対して1.1~1.2の量で使用される、請求項1~32のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項34】
前記少なくとも1種のプレポリマーが、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをポリイソシアネートと反応させ、次いで式Iの分子と反応させることによって製造される、請求項1~33のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項35】
前記少なくとも1種のプレポリマーが、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いで式Iの分子と反応させることによって製造される、請求項1~34のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項36】
前記少なくとも1種のプレポリマーが、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いでCPEEである式Iの分子と反応させることによって製造される、請求項1~35のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項37】
前記少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、分子量4,800DaのポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いでCPEEである式Iの分子と反応させることによって製造され、前記ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、前記ポリオールが82~83重量%で使用され、前記HDIが8~9重量%で使用され、前記CPEEが8~9重量%で使用される、請求項1~36のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項38】
前記アミン基がブロックされた前記ポリアミンがアルジミン又はポリオキサゾリジンである、前請求項1~37のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項39】
前記アミン基がブロックされた前記ポリアミンがジアルジミン又はビスオキサゾリジンである、請求項1~38のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項40】
前記アミン基がブロックされた前記ポリアミンがポリオキサゾリジンである、請求項1~39のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項41】
前記アミン基がブロックされた前記ポリアミンがビスオキサゾリジンである、請求項1~40のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項42】
前記アミン基がブロックされた前記ポリアミンが、式II又は式III:
【化2】

(式II中、R10は、分枝状又は非分枝状の2価の有機基であり、R11及びR12は、独立して、H及び分枝状又は非分枝状のC~C-アルキルから選択され、
式III中、R13は、分枝状又は非分枝状の3価の有機基であり、R14、R15及びR16は、独立して、H及び分枝状又は非分枝状のC~C-アルキルから選択される)のポリオキサゾリジンである、請求項1~41のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項43】
前記アミン基がブロックされた前記ポリアミンが、式V、式VI又は式XII:
【化3】

(式V中、R17及びR18は、独立して、H、及び分枝状又は非分枝状のC~C-アルキル、好ましくはC-アルキル又はC-アルキルから選択され、且つ
式VI中、R19及びR20は、独立して、H、及び分枝状又は非分枝状のC~C-アルキル、好ましくはC-アルキルから選択され、且つ
式XII中、R21及びR22は、独立して、分枝状又は非分枝状のC~C-アルキル、好ましくはC-アルキルから選択される)のポリオキサゾリジンである、請求項1~42のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項44】
式V中、R17及びR18が、次式
【化4】

である、請求項43に記載の接着剤組成物。
【請求項45】
式VI中、R19及びR20が1-エチルペンチルである、請求項43に記載の接着剤組成物。
【請求項46】
式XII中、R21及びR22が、次式
【化5】

のものである、請求項43に記載の接着剤組成物。
【請求項47】
前記アミン基がブロックされた前記ポリアミンが、式VII、VIII、IX、X又はXI:
【化6】

のものである、請求項1~46のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項48】
前記アミン基がブロックされた前記ポリアミンが、式VIII:
【化7】

又は式XI:
【化8】

のものであり、
好ましくは式VIIIのものである、請求項1~47のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項49】
アミンと、前記式Iの分子から得られる前記部分との前記反応を触媒することができる触媒を含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項50】
ネオデカン酸ビスマスである、アミンと、前記式Iの分子から得られる前記部分との前記反応を触媒することができる触媒を含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項51】
前記ポリウレタンプレポリマーが、前記接着剤組成物の全重量に基づいて、20~70重量%、より好ましくは30~55重量%、より特に好ましくは35~40重量%で使用される、請求項1~50のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項52】
前記アミン基がブロックされた前記ポリアミン中のアミノ基と前記ポリウレタンプレポリマーの前記末端基との比が、1:1、2:1である、請求項1~51のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項53】
少なくとも1種の可塑剤をさらに含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項54】
前記可塑剤が、エステル、特にジエステル又はトリエステルである、請求項53に記載の接着剤組成物。
【請求項55】
前記可塑剤が、23℃で10-4hPa未満の蒸気圧を有する、請求項53又は54に記載の接着剤組成物。
【請求項56】
前記可塑剤がフタル酸ジノニルである、請求項53又は54に記載の接着剤組成物。
【請求項57】
ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いでCPEEである式Iの分子と反応させることによって製造される少なくとも1種のプレポリマーと;
アミン基がブロックされたポリアミンであって、式VIII:
【化9】

又は式XI:
【化10】

のものであるポリアミンと
を含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項58】
前記接着剤組成物の全重量に基づいて、
ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いでCPEEである式Iの分子と反応させることによって製造される少なくとも1種のプレポリマー42~45重量%と;
アミン基がブロックされたポリアミンであって、式VIII:
【化11】

又は式XI:
【化12】

のものであるポリアミン6~9重量%と;
を含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項59】
前記接着剤組成物の全重量に基づいて、
ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いでCPEEである式Iの分子と反応させることによって製造される少なくとも1種のプレポリマー42~45重量%と;
アミン基がブロックされたポリアミンであって、式VIII:
【化13】

又は式XI:
【化14】

のものであるポリアミン6~9重量%と;
触媒、好ましくはネオデカン酸ビスマス0.1~0.3重量%と;
フタル酸ジノニルである可塑剤12~18重量%と;
クレー8~10重量%と;
カーボンブラック20~25重量%と
を含む、請求項1~58のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項60】
(1)請求項1~59のいずれか一項に記載の接着剤組成物を第1の基材、第2の基材、又はその両方に適用するステップと;
(2)前記第1の基材と前記第2の基材とを接着接触させるステップと;
(3)前記接着剤を湿気に曝露することによって硬化させるステップと
を含む、第1の基材及び第2の基材の接着方法。
【請求項61】
(1)請求項1~58のいずれか一項に記載の一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物を提供するステップと;
(2)前記接着剤を第1の基材、第2の基材、又はその両方に適用するステップと;
(3)前記第1及び前記第2の基材を接着接触するように配置し、それによって、前記接着剤がその間に挟まれた状態となるステップと;
(4)前記接着剤を硬化させるステップと
を含む、2つの基材の接着方法。
【請求項62】
前記第1及び第2の基材が、金属、ガラス及びポリマーから選択される、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
前記第1及び第2の基材が金属から選択される、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項64】
前記第1及び第2の基材がスチールである、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の基材が金属であり、前記第2の基材がポリマーである、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項66】
(1)第1の基材と;
(2)第2の基材と;
(3)請求項1~59のいずれか一項に記載の接着剤組成物と
を含む接着されたアセンブリであって、
前記接着剤がその間に挟まれた状態で、前記第1及び第2の基材が接着接触している、アセンブリ。
【請求項67】
前記第1及び第2の基材が、金属、ガラス及びポリマーから選択される、請求項66に記載の接着されたアセンブリ。
【請求項68】
前記第1及び第2の基材が金属から選択される、請求項66に記載の接着されたアセンブリ。
【請求項69】
前記第1及び第2の基材がスチールである、請求項66に記載の接着されたアセンブリ。
【請求項70】
前記第1の基材が金属であり、第2の基材がポリマーである、請求項66に記載の接着されたアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤(「1K PU」)は、自動車産業で広く使用されている。市販の接着剤は、強い接着性能及び良好な物理的特性の両方を提供するように設計されている。
【0003】
典型的なペースト状1K PU接着剤は、末端イソシアネート(NCO)基を有するイソシアネート官能性プレポリマーをベースとする。このプレポリマーは、過剰量のジイソシアネートをポリオールと反応させてNCO末端プレポリマーを形成することにより製造される。この合成方法の結果として、過剰量のモノマー性ジイソシアネートが汚染物質として残る。
【0004】
使用時、1K PU接着剤が適用され、大気中の水分と反応してカルバミン酸を形成し、これはアミン及び二酸化炭素に分解する。得られたアミンは、残存するイソシアネート基と反応して架橋し、尿素結合を形成して接着剤を硬化させる(式1)。1K PU接着剤の利点は、それらが1種のみの成分をベースとしているため、混合が不要であり、適用が非常に簡単であるという事実に基づいている。
【化1】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1K PU接着剤の欠点は、有毒であると考えられている残留ジイソシアネートモノマーを含むことである。新しい規制では、残留ジイソシアネートの含有量を0.1%未満にすることが義務付けられており、そうでない場合は、使用者は特別な訓練を行う必要がある(https://echa.europa.eu/registry-of-restriction-intentions/-/dislist/details/0b0236e180876053)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
モノマー性ジイソシアネート含有量を減少させる1つの方法は、蒸留によって過剰量のモノマーを除去することであるが、このプロセスは高価であり、時間及びエネルギーを消費するため、好ましくない。潜在的な危険リスクを取り除くためには、イソシアネートを使用せずに1K PU接着剤を配合することが好ましい。
【0007】
第1の態様において、本発明は、
(A)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させ(中間体Iを生じる)、次いで、式I:
【化2】

(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、且つRはC~Cアルキルである)の分子と反応させることによって製造されるポリウレタンプレポリマー;
(B)湿度に曝露されると切断される基によってアミン基がブロックされている、ポリアミン;
(C)任意選択的に、アミンと、式Iの分子から得られる部分との反応を触媒することができる触媒
を含む、一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物を提供する。
【0008】
第2の態様において、本発明は、
(1)本発明による接着剤組成物を第1の基材、第2の基材、又はその両方に適用するステップと;
(2)第1の基材と第2の基材とを接着接触させるステップと;
(3)接着剤組成物を湿気に曝露することによって硬化させるステップと
を含む、第1の基材及び第2の基材の接着方法を提供する。
【0009】
第3の態様において、本発明は、
(1)本発明による一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物を提供するステップと;
(2)接着剤組成物を第1の基材、第2の基材、又はその両方に適用するステップと;
(3)第1及び第2の基材を接着接触するように配置し、それによって、接着剤組成物がその間に挟まれた状態となるステップと;
(4)接着剤組成物を硬化させるステップと
を含む、2つの基材の接着方法を提供する。
【0010】
第4の態様において、本発明は、
(1)第1の基材と;
(2)第2の基材と;
(3)本発明による一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物;
を含む接着アセンブリであって、第1及び第2の基材が、接着剤組成物がその間に挟まれた状態で接着接触している、接着アセンブリを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、残留イソシアネート基が残存しないようにイソシアネート官能性プレポリマーをブロックすることができることを見出した。それらのブロック化プレポリマーは安定であり、湿気と反応しない。ブロック化プレポリマーと組み合わせて、多官能性のブロック化アミン(例えば、ポリアルジミン又はポリオキサゾリジン)をベースとする第2の化合物が配合物に添加される。ブロック化アミンは湿気と反応してアミンを形成し、他方、ブロック化PUプレポリマーと反応して架橋し、硬化ポリウレタンネットワークを形成することができる。したがって、イソシアネートを全く含むことなく、湿気硬化一液型ポリウレタン接着剤組成物を配合することができる。オキサゾリジンとの反応を以下に模式的に示す。
【化3】
【0012】
定義及び略語
MDI:メチレンビス(フェニルイソシアネート)
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
PU:ポリウレタン
SEC:サイズ排除クロマトグラフィー
RH:相対湿度
【0013】
本明細書で報告されるポリマーの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される数又は重量平均分子量としてダルトン(Da)単位で報告される。
【0014】
ポリイソシアネート及びポリオール
本発明の組成物は、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールを反応させ(中間体Iを生じる)、次いで、全てのNCO基を反応させる量で、少なくとも1種の式Iの分子と反応させることによって製造されるポリウレタンプレポリマーを含む。
【0015】
少なくとも1種のポリオールは、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール(例えば、ポリカプロラクトン)、ポリブタジエンジオール、ポリカーボネートジオール、脂肪族ジオール(ポリオール)、及びこれらのいずれかの混合物から選択される。ポリエーテルポリオールが特に好ましい。
【0016】
少なくとも1種のポリオールは、好ましくはジオール、トリオール又はテトラオールである。好ましくは、トリオール又はトリオールとジオールとの混合物であり、トリオールが特に好ましい。
【0017】
本発明に有用なポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリ(アルキレンカーボネート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポリマーポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリエーテルポリオールは、当該技術分野において周知であり、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン及びポリテトラメチレンエーテルジオール及びトリオールが挙げられ、これらは、例えば、非置換又はハロゲン-若しくは芳香族-置換エチレンオキシド若しくはプロピレンオキシドと、水、アンモニア、多価アルコール若しくはアミンなどの2個以上の活性水素基を含有する開始剤化合物とを反応させることによって調製され得る。一般に、ポリエーテルポリオールは、活性水素含有開始剤化合物の存在下でアルキレンオキシドを重合することによって調製され得る。好ましいポリエーテルポリオールは、ポリオールの骨格に1個若しくは複数のアルキレンオキシド単位を含む。好ましいアルキレンオキシド単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びそれらの混合物である。好ましくは、ポリオールは、プロピレンオキシド単位、エチレンオキシド単位又はそれらの混合物を含む。アルキレンオキシド単位の混合物がポリオール中に含まれる実施形態において、異なる単位は、ランダムに配列されることが可能であるか、又は各アルキレンオキシドのブロックに配列されることが可能である。好ましい一実施形態において、ポリオールはプロピレンオキシド鎖を含む。好ましい実施形態では、ポリエーテルポリオールは、ポリエーテルジオールとポリエーテルトリオールとの混合物である。好ましくは、ポリエーテルポリオール又は混合物は、少なくとも約2.0の官能性を有し;そして好ましくは約3.0以上、例えば3.5、4.0以上である。好ましくは、ポリエーテルポリオール混合物の当量は少なくとも約200、より好ましくは少なくとも約500、さらに好ましくは少なくとも約1,000であり;そして好ましくは約5,000以下、より好ましくは約3,000以下である。
【0018】
ポリエーテルポリオールのより具体的な例としては、以下が挙げられる。
【0019】
1.二官能性ポリオール(ジオール)、例えば、アルキレン基がC~Cであるポリ(アルキレンオキシド)ジオール、特にポリ(エチレンオキシド)ジオール、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、ポリ(ブチレンオキシド)ジオール及びポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールであり、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールが特に好ましい。特に好ましい実施形態において、ポリエーテルポリオールは、100~10,000、より好ましくは500~3,000、特に好ましくは1,000~2,000の当量を有する、名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)を含む。
【0020】
2.三官能性ポリオール(トリオール)、例えば、アルキレン基がC~Cであるトリメチロールプロパンなどの三官能性ポリオールで開始されたアキレンオキシドをベースとするもの、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド及びブチレンオキシドであり、プロピレンオキシドが特に好ましい。特に好ましい実施形態において、ポリエーテルポリオールは、100~10,000、より好ましくは500~3,000、特に好ましくは1,000~2,000の当量を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)を含み;ポリマーは、反応性を変性するためにエチレンオキシドでキャップされていても、されていなくてもよい。
【0021】
3.1と2との混合物。特に好ましくは1及び2の混合物であり、より特に好ましくは、a)100~10,000、より好ましくは500~3,000、特に好ましくは1,000~2,000の当量を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)と、b)1,000~2,000の当量を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)との特に0:1~2:1の重量比b)/a)の混合物である。
【0022】
特に好ましい実施形態において、少なくとも1種のポリオールは、プロピレンオキシドベースのトリオールを含む。好ましくは、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールは、1,000~5,000Da、より好ましくは1,000~3,000Daの分子量を有する。
【0023】
ポリエステルポリオールには、ヒドロキシル末端ポリエステルが含まれる。特に好ましくは、ヒドロキシル末端脂肪族ポリエステル及びポリカプロラクトンである。ポリエステルジオール及びトリオールが好ましく、特にポリエステルトリオールが好ましい。特に好ましくは、2,000~4,000Da、好ましくは3,500Daの分子量を有するコポリエステルである。
【0024】
中間体Iの製造に使用され得るポリイソシアネートは特に限定されない。好ましくはジイソシアネートである。
【0025】
脂肪族ジイソシアネート及び芳香族ジイソシアネートを使用してもよく、脂肪族が好ましい。適切なジイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート(HMDI)(水添MDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI、特に4,4’-及び4,2-MDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)が挙げられ、HDIが特に好ましい。
【0026】
好ましい実施形態において、中間体Iは、ポリエーテルトリオールをHDIと反応させることによって製造される。特に好ましい実施形態において、それは、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させることによって製造される。より特に好ましい実施形態において、分子量4,800のポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させることにより製造される。
【0027】
好ましい実施形態において、中間体Iは分子量3,500の脂肪族ポリエステルをMDIと反応させることによって製造される。特に好ましい実施態様において、ポリエステルプレポリマーは65~80重量%のポリエステルジオールと5~15重量%のMDIとを反応させることにより製造される。
【0028】
中間体Iは、ポリエーテルポリオールベースのプレポリマーとポリエステルベースのプレポリマーとの混合物を含み得る。
【0029】
特に好ましい実施形態において、中間体Iはポリエーテルジオール及びポリエーテルトリオールをベースとする。
【0030】
中間体Iの製造に使用され得るジイソシアネートは特に限定されない。脂肪族ジイソシアネート及び芳香族ジイソシアネートを使用することができる。適切なジイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート(HMDI)(水添MDI)、MDI(特に4,4’-及び4,2-MDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)が挙げられ、HDIが特に好ましい。
【0031】
特に好ましい実施形態において、中間体Iは、名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)、及びMDI又はHDIと反応させた名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)を含む。
【0032】
特に好ましい実施態様において、中間体Iは、56のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)、及びMDI又はHDIと反応させた、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)を含む。
【0033】
中間体Iは、NCO基とヒドロキシル基との反応を触媒できる触媒を用いて、少なくとも1種のポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより製造される。好ましい触媒を以下に挙げる。
【0034】
重合は、可塑剤、例えば高沸点エステル又はジエステル、例えばフタル酸ジイソノニルの存在下で行うことができる。フタル酸ジイソノニルが特に好ましい。
【0035】
好ましい実施形態において、中間体Iは、中間体Iの全重量に基づいて、18~30重量%、より好ましくは19~25重量%、より特に好ましくは22~23重量%のポリオールジオールを含む。
【0036】
好ましい実施形態において、中間体Iは、中間体Iの全重量に基づいて、40~90重量%、50~90重量%、より特に好ましくは75~85重量%のポリオールトリオールを含む。
【0037】
好ましい実施形態において、中間体Iは、中間体Iの全重量に基づいて、5~15重量%、より好ましくは8~12重量%、より特に好ましくは8~10重量%のジイソシアネートを含む。
【0038】
特に好ましい実施形態において、中間体Iは、中間体Iの全重量に基づいて、22~23重量%のポリオールジオール、32~33重量%のポリオールトリオール、及び9~11重量%のジイソシアネートを含む。
【0039】
好ましい実施態様において、中間体Iは、中間体Iの全重量に基づいて、18~30重量%、より好ましくは19~25重量%、より特に好ましくは22~23重量%の、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)を含む。
【0040】
好ましい実施形態において、中間体Iは、中間体Iの全重量に基づいて、25~40重量%、28~35重量%、より特に好ましくは32~33重量%の、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)を含む。
【0041】
好ましい実施態様において、中間体Iは、中間体Iの全重量に基づいて、5~15重量%、より好ましくは8~12重量%、より特に好ましくは9~11重量%のMDI又はHDIを含む。
【0042】
特に好ましい実施態様において、中間体Iは、中間体Iの全重量に基づいて、22~23重量%の、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)、32~33重量%の、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)、及び9~11重量%のMDIを含む。
【0043】
特に好ましい実施態様において、中間体Iは、中間体Iの全重量に基づいて、22~23重量%の、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)、32~33重量%の、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)、及び9~11重量%のMDIを含み、且つ1.25重量%のイソシアネート含有量、米国特許第5,922,809号明細書第12欄38行~49行に記載の手順に従って測定された23℃で16,000cpsの粘度を有する。
【0044】
末端基(式Iの分子)
プレポリマーは、少なくとも1種のポリイソシアネートを少なくとも1種のポリオールと反応させ(中間体Iを生じる)、次いで、式I:
【化4】

(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、且つRはC~Cアルキルである)の分子と反応させることによって製造される。
【0045】
好ましくは、R及びRは、独立して、H及びC~Cアルキル、より好ましくはH及びC~Cアルキルから選択され、特に好ましくはR及びRはHである。
【0046】
好ましくは、nは1である。
【0047】
好ましくは、RはC~Cアルキルであり、より好ましくはRはC~Cアルキルであり、特に好ましくはRはエチルである。
【0048】
特に好ましい実施形態において、式Iの分子において、R及びRはHであり、nは1であり、Rはエチル[2-(エトキシカルボニル)シクロペンタノン、CPEE]である。
【化5】
【0049】
式Iの分子は、中間体IのNCO基と反応する。これは、好ましくは、中間体Iの全てのNCO基と反応する量、つまり中間体Iの遊離NCO基と少なくとも化学量論的に等量、又は過剰量、例えば1、1.1又は1.2当量で使用される。
【0050】
中間体I中のモノマー性ジイソシアネートを低減又は除去するために、添加される式Iの量又は分子は、中間体IのNCO基のみではなく、残留モノマー性ジイソシアネートとも反応するように計算されてよい。これにより、プレポリマー及び遊離モノマー性ジイソシアネートの両方のNCO基が実質的に全て除去される。
【0051】
ポリウレタンプレポリマー用触媒
中間体Iは、NCO官能基とOH官能基との反応を触媒することができる触媒の存在下で、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させることによって製造される。
【0052】
このような触媒の例としては、第三級アミン触媒、ビスマス触媒アルキルスズカルボキシレート、オキシド及びメルカプチドが挙げられる。具体例としては、トリエチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン及びビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビスマス触媒、ジブチルスズジラウレート、スタンナスオクトエートが挙げられ、ビスマス触媒が特に好ましい。
【0053】
式Iの分子との反応には、亜鉛触媒、特に亜鉛カルボキシレート触媒が好ましい。好ましい実施形態において、亜鉛及びビスマスカルボキシレートの混合物が使用される。
【0054】
有機金属触媒を使用する場合、それは、イソシアネートと、少なくとも1個の反応性水素を有する官能基との反応を触媒することができるいずれかの有機金属触媒である。例えば、ビスマス触媒、スズカルボキシレート、亜鉛カルボキシレートなどの金属カルボキシレートが挙げられる。金属アルカノエートとしては、スタンナスオクトエート、ビスマスオクトエート又はビスマスネオデカノエートが挙げられる。好ましくは、少なくとも1種の有機金属触媒はビスマス触媒又は有機スズ触媒である 例えば、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジネオデカノエート、ジメチルスズメルカプチド、ジメチルスズカルボキシレート、ジメチルスズジオレエート、ジメチルスズジチオグリコレート、ジブチルスズメルカプチド、ジブチルスズビス(2-エチルヘキシルチオグリコレート)、ジブチルスズスルフィド、ジオクチルスズジチオグリコレート、ジオクチルスズメルカプチド、ジオクチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジネオデカノエート、ジオクチルスズジラウレートが挙げられる。特に好ましい実施形態において、それはビスマス触媒である。
【0055】
触媒は、接着剤組成物の全重量に基づいて、好ましくは0.05~2重量%、より好ましくは0.1~1重量%で使用される。
【0056】
好ましい実施形態において、触媒は亜鉛及びビスマス触媒であり、接着剤組成物の全重量に基づいて、0.05~0.3重量%で使用される。
【0057】
ポリウレタンプレポリマー
上記の中間体Iと式Iの分子との反応から得られるポリウレタンプレポリマー、及びポリオール、ポリイソシアネート及び式Iの分子の任意の組み合わせが、本明細書において考えられる。
【0058】
特に好ましい実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、75~90重量%の、4800g/molのMWを有するポリプロピレンオキシドベースのトリオール、5~10重量%の1,6-HDI、及び5~10重量%のCPEEを含む。
【0059】
特に好ましい実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、82.68重量%の、4800g/molのMWを有するポリプロピレンオキシドベースのトリオール、8.68重量%の1,6-HDI、及び8.54重量%のCPEEを含む。
【0060】
ポリウレタンプレポリマーは、好ましくは、一液型ポリウレタン接着剤中に、接着剤の全重量に基づいて、20~70重量%、より好ましくは30~55重量%、より特に好ましくは35~40重量%で存在する。
【0061】
特に好ましい実施形態において、本発明の接着剤組成物は、MDIと反応した、36のヒドロキシル価を有する名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1558)と、56のヒドロキシル価を有する名目上二官能性のポリ(プロピレンオキシド)(当量1000)とを含み、且つ1.25重量%のイソシアネート含有量を有するポリウレタンプレポリマーを、接着剤組成物の全重量に基づいて、20~70重量%、より好ましくは35~40重量%含む。
【0062】
好ましくは、プレポリマー又はプレポリマー混合物は、少なくとも6,000センチポアズ又は少なくとも約8,000センチポアズ、及び最大で30,000センチポアズ又は最大で20,000センチポアズのBrookfield粘度を有する。粘度が高すぎる場合、最終接着剤組成物をポンプ輸送することが困難になるであろう。粘度が低すぎる場合、最終接着剤組成物は非常に水っぽくなり、垂れるであろう。
【0063】
プレポリマー当量及び分子量は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,922,809号明細書第12欄50行~64行に開示されている手順に従って測定される。
【0064】
好ましい実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、米国特許第5,922,809号明細書第12欄38行~49行に記載の手順に従って測定された23℃で16,000cpsの粘度を有する。
【0065】
特に好ましい実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、0.1重量%未満、より好ましくは0重量%のイソシアネート含有量を有する。
【0066】
別の好ましい実施形態において、ポリウレタンプレポリマーは、0.1重量%未満、より好ましくは0重量%のイソシアネート含有量、及び米国特許第5,922,809号明細書第12欄38行~49行に記載の手順に従って測定された23℃で16,000cpsの粘度を有する。
【0067】
本発明の接着剤組成物は、好ましくは、接着剤組成物の全重量に基づいて、1~90重量%、より好ましくは35~85重量%、特に好ましくは40~50重量%の量で少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーを含む。
【0068】
特に好ましい実施形態において、接着剤組成物は、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いで式Iの分子と反応させることによって製造されたポリウレタンプレポリマーを40~50重量%、特に44重量%含む。
【0069】
特に好ましい実施形態において、接着剤組成物は、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いでCPEEと反応させることによって製造されたポリウレタンプレポリマーを40~50重量%、特に44重量%含む。
【0070】
ブロック化アミン
本発明の接着剤組成物は、ポリアミン、好ましくはジアミン又はトリアミンを含み、このポリアミンは、湿度に曝露されると開裂する基によってアミン基がブロックされているか、又はマスクされている。
【0071】
その例としては、以下が含まれる。
【0072】
1.式II又はIIIの2個以上のオキサゾリジン基を有する分子であるポリオキサゾリジン:
【化6】

(式II中、R10は、分枝状又は非分枝状の2価の有機基であり、R11及びR12は、独立して、H及び分枝状又は非分枝状のC~C-アルキルから選択され、
式III中、R13は、分枝状又は非分枝状の3価の有機基であり、R14、R15及びR16は、独立して、H及び分枝状又は非分枝状のC~C-アルキルから選択される)。
【0073】
2.式(IVa)又は(IVb)のアルジミノ基、ケチミノ基、及びエナミノ基
【化7】

(式IVa中、R及びRは、独立して、H及び1~12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基から選択されるか、又は一緒になって、4~20個の炭素原子を有する2価の炭化水素基、及び5~8個、好ましくは6個の炭素原子を有する任意選択的に置換された炭素環の一部であり、
は、H、分枝状又は非分枝状のアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はシクロアルケニル、置換又は非置換のアリール、アリールアルキル、及び次式:
【化8】

の基から選択され、Rは、置換及び非置換のアリール、アリールアルキル、アルキル、及び次式:
【化9】

の基から選択され、Rは、H、アルキル及びアリールアルキルから選択され、好ましくは1~12個の炭素原子を有し、好ましくはRはHであり、Rは、1~30個の炭素原子及び任意選択的にエーテル酸素原子を有する炭化水素基であるか、又はRは、次式:
【化10】

の基であり、Rは、H、及び1~5個の炭素原子を有する炭化水素基から選択され;
並びに式IVb中、Rは、5~8個、好ましくは6個の原子の環サイズを有する置換若しくは非置換のアリール若しくはヘテロアリールであるか、又は次式:
【化11】

のものであり、Rは、H若しくはアルコキシ基であるか、又は少なくとも6個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のアルケニル若しくはアリールアルケニルである)。
【0074】
ポリオキサゾリジンが使用される場合、それは好ましくはビス-オキサゾリジンである。
【0075】
式IIの好ましいポリオキサゾリジンにおいて、R10は、アルキレン、アリールアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、2価のポリエーテル、2価のポリエステル、及び2価のポリウレタンから選択される。ポリウレタンが特に好ましい。
【0076】
特に好ましいポリオキサゾリジンは、式V、VI又はXIIのものである。
【化12】

式V中、R17及びR18は、独立して、分枝状又は非分枝状のC~C-アルキル、好ましくはC-アルキル又はC-アルキルから選択される。特に好ましくは、R17及びR18は、次式:
【化13】

である。
【0077】
式VI中、R19及びR20は、独立して、分枝状又は非分枝状のC~C-アルキル、好ましくはC-アルキル、特に好ましくは1-エチルペンチルから選択される。
【0078】
式XII中、R21及びR22は、独立して、分枝状又は非分枝状のC~C-アルキル、好ましくはC-アルキル、好ましくはC-アルキルから独立して選択され、特に好ましくはR21及びR22は、次式:
【化14】

である。
【0079】
非常に特に好ましいポリオキサゾリジンは、以下の式を有する。
【化15】
【0080】
特に好ましくは、ポリオキサゾリジンは式VIII又はXI、より特に好ましくは式VIIIである。
【0081】
ブロック化アミンは、好ましくは、1:1のアミノ基対ポリウレタンプレポリマーの末端基の比で使用される。
【0082】
ポリウレタンプレポリマーの製造方法
ポリウレタンプレポリマーの製造方法の一例は、
1.少なくとも1種のポリオールを、不活性雰囲気下(例えば、窒素又はアルゴン)、任意選択的に可塑剤(例えば、フタル酸ジイソノニル)の存在下で撹拌するステップと;
2.少なくとも1種のポリイソシアネートを添加するステップと;
3.触媒を添加し、中間体Iを得るステップと;
4.所望のNCO含有量に達したら、式Iの分子を、好ましくは中間体Iの全てのNCO基と反応するのに十分な量で添加するステップと
を含む。
【0083】
本方法の好ましい実施形態は、
1.少なくとも1種のポリオールを、不活性雰囲気下(例えば、窒素又はアルゴン)、任意選択的に可塑剤(例えば、フタル酸ジイソノニル)の存在下で撹拌するステップと;
2.少なくとも1種のポリイソシアネートを、1.5:1、2:1、4:1、5:1又はそれ以上のNCO:OH比で添加するステップと;
3.触媒を添加し、中間体Iを得るステップと;
4.所望のNCO含有量に達したら、式Iの分子を、1~1.5、好ましくは1~1.1のNCO:式Iの比率で添加するステップと
を含む。
【0084】
好ましい実施形態において、ポリウレタンプレポリマーの製造方法は、
1.少なくとも1種のポリオールを、不活性雰囲気(例えば、窒素若しくはアルゴン)で、任意選択的に可塑剤(例えば、フタル酸ジイソノニル)の存在下で撹拌し、65~150℃まで加熱し、次いで60~80℃まで冷却するステップと;
2.少なくとも1種のポリイソシアネートを添加するステップと;
3.触媒を添加し、混合物を60~100℃で反応させるステップと;
4.所望のNCO含有量に達したら、ステップ3の混合物を50~70℃まで冷却し、式Iの分子を1~1.5、好ましくは1~1.1のNCO:式Iの比率で添加するステップと
を含む。
【0085】
接着剤組成物の製造方法
発明の接着剤組成物は、少なくとも1種のポリウレタンプレポリマー、少なくとも1種のブロック化アミン、及び任意選択的に触媒を含む。接着剤組成物は、好ましくは乾燥条件下で、成分を均一に混合することにより製造される。混合後、接着剤組成物は、好ましくは乾燥条件下、例えば真空下又は乾燥窒素下で保存される。
【0086】
任意選択的な成分
本発明の接着剤組成物は、アミンと、式Iの分子から得られる部分との反応を触媒することができる触媒を任意選択的に含み得る。例としては、ネオデカン酸ビスマスが挙げられる。使用される場合、触媒は、典型的には、接着剤組成物の全重量に基づいて、0.1~0.5重量%で存在する。
【0087】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に、酸化防止剤、特にフェノール系酸化防止剤を含み得る。典型的な例としては、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールが挙げられる。使用される場合、酸化防止剤は、典型的には、接着剤組成物の全重量に基づいて、0.2~1.5重量%、好ましくは0.3~0.6重量%で存在する。特に好ましい実施形態では、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールは、接着剤組成物の全重量に基づいて、0.3~0.6重量%、より好ましくは0.5~0.6重量%で使用される。
【0088】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に可塑剤を含んでもよい。可塑剤の例は、エステル、特にジエステル及びトリエステルであり、特に23℃で<10-4hPaの蒸気圧を有するものである。例えば、フタル酸ジアルキルエステル、脂肪酸のアルキルエステル、リン酸エステル(リン酸トリオクチルなど)などが挙げられる。フタル酸ジイソノニルが特に好ましい。使用される場合、可塑剤は、接着剤組成物の全重量に基づいて、典型的には10~20重量%、好ましくは12~18重量%で存在する。特に好ましい実施形態において、フタル酸ジイソノニルは、接着剤組成物の全重量に基づいて、12~18重量%、より好ましくは16~17重量%で使用される。
【0089】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に充填剤を含んでもよく、例えば、カーボンブラック、クレー、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)、金属水和物及びヒュームドシリカである。充填剤は、好ましくは、0~80重量%、より好ましくは10~70重量%、さらに好ましくは20~60重量%で使用される。
【0090】
好ましい実施形態において、本発明の接着剤は、充填剤としてクレー、好ましくはカオリン、特に焼成カオリンを含む。使用される場合、クレーは、接着剤組成物の全重量に基づいて、5~15重量%、より好ましくは8~12重量%で使用される。特に好ましい実施形態において、カオリンは、接着剤組成物の全重量に基づいて、8~12重量%、より好ましくは9重量%で使用される。
【0091】
好ましい実施形態において、本発明の接着剤は、充填剤としてカーボンブラックを含む。カーボンブラックは、特に限定されない。好ましいカーボンブラックは、ASTM D-2414-09に従って測定された、カーボンブラック100gあたり少なくとも80、望ましくは少なくとも90、より望ましくは少なくとも95cmのフタル酸ジブチルの吸油量を示す。さらに、カーボンブラックは、ASTM D1510-11に従って測定された、少なくとも80のヨウ素価を有することが望ましい。
【0092】
使用される場合、カーボンブラックは、接着剤組成物の全重量に基づいて、5~30重量%、より好ましくは15~25重量%で使用される。特に好ましい実施形態において、カーボンブラックは、接着剤組成物の全重量に基づいて、15~25重量%、好ましくは22~23重量%で使用される。
【0093】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に、接着剤組成物の全重量に基づいて、0~20重量%、より好ましくは5~15重量%、特に好ましくは9~10重量%の炭酸カルシウムを含んでもよい。炭酸カルシウム粒子は、未処理であっても、或いは有機酸又は有機酸のエステルなどの化学薬品による処理によって表面変性されていてもよい。
【0094】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に、接着剤の全重量に基づいて、0~1.5重量%、より好ましくは0.5~1重量%のヒュームドシリカを含んでもよい。
【0095】
ヒュームドシリカを使用する場合、粒子は、未処理であっても、或いはクロロシラン、ジクロロシラン、アルキルトリアルコキシシラン又はポリジメチルシロキサンなどの化学薬品によって表面変性されていてもよい。
【0096】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に難燃剤及び相乗剤を含んでもよい。適切な難燃剤及び相乗剤の例としては、
1.ジエチルホスフィン酸アルミニウム、亜鉛及びチタン塩、特にジエチルホスフィン酸アルミニウム;
2.窒素含有分子及び/又はリン含有分子、例えば、ポリリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、シアヌル酸メラミン;
3.亜リン酸アルミニウム及び/又は亜リン酸亜鉛
が挙げられる。
【0097】
難燃剤/相乗剤の好ましい組み合わせは、ジエチルホスフィン酸アルミニウム+ポリリン酸メラミンである。
【0098】
本発明の接着剤組成物が高い熱伝導性(>2Wm-1-1)を有することが望ましい場合、酸化アルミニウム又は水酸化アルミニウムなどの熱伝導性充填剤が添加されてもよい。
【0099】
本発明の接着剤組成物は、任意選択的に、1種又は複数の追加の安定剤、例えば、熱、可視光及びUV安定剤を含んでもよい。
【0100】
熱安定剤の例としては、アルキル置換フェノール、ホスファイト、セバケート及びシンナメートが挙げられる。存在する場合、好ましい熱安定剤は、有機ホスファイトであり、より具体的には、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,512,033号明細書に開示されているようなトリスノニルフェニルホスファイトである。熱安定剤は、接着剤組成物の全重量に基づいて、少なくとも0.01重量%又は少なくとも0.3重量%、最大5重量%、最大2重量%又は最大1.0重量%を構成していてもよい。接着剤組成物は、そのような熱安定剤を含まなくてもよい。
【0101】
UV安定剤としては、ベンゾフェノン系及びベンゾトリアゾール系が挙げられる。具体的なUV吸収剤としては、BASFからの、例えば、TINUVIN(商標)P、TINUVIN(商標)326、TINUVIN(商標)213、TINUVIN(商標)327、TINUVIN(商標)571、TINUVIN(商標)328、並びにCytecからの、例えば、CYASORB(商標)UV-9、CYASORB(商標)UV-24、CYASORB(商標)UV-1164、CYASORB(商標)UV-2337、CYASORB(商標)UV-2908、CYASORB(商標)UV-5337、CYASORB(商標)UV-531及びCYASORB(商標)UV-3638がある。これらの中でも、TINUVIN(商標)571が好ましい。1種若しくは複数のUV吸収剤が、粘着剤組成物の重量の少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%、又は少なくとも0.3重量部を構成していてもよく、最大3重量%、最大2重量%、又は最大1重量%を構成していてもよい。
【0102】
本発明の接着剤組成物は、1種若しくは複数の可視光安定剤をさらに含んでいてもよい。好ましい可視光安定剤としては、Cytecから入手可能なTINUVIN(商標)144、TINUVIN(商標)622、TINUVIN(商標)77、TINUVIN(商標)123、TINUVIN(商標)765、CHIMASSORB(商標)944;Ciba-Geigyから入手可能なCYASORB(商標)UV-500、CYASORB(商標)UV-3581、CYASORB(商標)UV-3346などのヒンダードアミン系可視光安定剤が挙げられる。これらの中でも、TINUVIN(商標)765が好ましい選択である。可視光安定剤が、接着剤組成物の少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%、又は少なくとも0.3重量%を構成していてもよく、最大3重量%、最大2重量%、又は最大1.5重量%を構成していてもよい。
【0103】
製造方法
本発明の接着剤組成物は、成分を不活性及び乾燥条件下で、及び/又は真空下で、均質な混合物が得られるまで混合することにより製造される。
【0104】
得られる接着剤組成物は、包装することができ、例えば気密性の高いチューブなどの気密容器に包装することができ、これは、窒素充填された密封アルミニウムバッグ内で保管される。
【0105】
使用方法
第2の態様において、本発明は、
(1)本発明による一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物を提供するステップと;
(2)接着剤組成物を第1の基材、第2の基材、又はその両方に適用するステップと;
(3)第1及び第2の基材を接着接触するように配置し、それによって、接着剤組成物がその間に挟まれた状態となるステップと;
(4)接着剤組成物を硬化させるステップと
を含む、2つの基材の接着方法を提供する。
【0106】
上述したように、本発明の接着剤を提供する好ましい方法は、気密密閉シールなどの気密容器に入れることである。容器は使用の直前に開封される。
【0107】
本発明の接着剤組成物は、例えば、スプレッド(spreading)、ノズルを介した適用を含む、手動又はロボット装置を用いた任意の適用方法により適用されてよい。
【0108】
好ましい実施形態において、第1及び第2の基材の一方又は両方は、金属、ガラス、プライマー付きガラス、エナメルコーティング付きガラス、プラスチック(例えば、タルク又はガラス繊維を含むポリプロピレン)、ポリカーボネート、シート成形コンパウンド、複合材料(例えば、炭素繊維強化エポキシ、ガラス繊維強化ポリアミド)から選択される。好ましい実施形態において、第1及び第2の基材の少なくとも一方は金属、特にスチール又はアルミニウム、特に好ましくはeコートスチール、eコートアルミニウムである。特に好ましい実施形態において、両方の基材がスチールである。
【0109】
硬化は、接着剤を大気中の湿気に曝露することによって行われる。硬化は、室温で、又は高温、例えば、50℃以上又は70℃以上で行われてよい。典型的な硬化条件には、23℃及び50%RHで3~7日間が含まれる。
【0110】
発明の効果
本発明の接着剤組成物は、好ましくは、0.1重量%未満、より好ましくは0重量%の、モノマー性汚染物質及び接着剤分子中の両方のNCO含有量を示す。
【0111】
本発明の接着剤組成物は、良好な接着特性を示す。実施例に記載のラップせん断接着試験を使用すると、本発明の接着剤組成物は、23℃及び50%RHで7日間硬化させた後、好ましくは、少なくとも1.5MPa、より好ましくは2MPaより高いラップせん断強度を示す。
【0112】
実施例に記載のラップせん断強度試験を使用すると、本発明の接着剤組成物は、23℃及び50%RHで7日間硬化させた後、好ましくは、360psi以上、より好ましくは370psi以上のラップせん断強度を示す。
【0113】
実施例に記載の引張強さ試験を使用すると、本発明の接着剤組成物は、23℃及び50%RHで7日間硬化させた後、
【0114】
実施例に記載のラップせん断強度試験を使用すると、本発明の接着剤組成物は、23℃及び50%RHで7日間硬化させた後、好ましくは、1.5MPa以上、より好ましくは2MPa以上の引張強さを示す。
【0115】
実施例に記載のE弾性率試験を使用すると、本発明の接着剤組成物は、23℃及び50%RHで7日間硬化させた後、好ましくは、1MPa以上のE弾性率を示す。
【0116】
実施例に記載の破断時の伸び率試験を使用すると、本発明の接着剤組成物は、23℃及び50%RHで7日間硬化させた後、好ましくは、少なくとも200%、より好ましくは少なくとも300%、特に好ましくは少なくとも400%の破断時の伸び率を示す。
【0117】
特に好ましい実施形態
以下は、本発明の接着剤組成物の特に好ましい実施形態である。
【0118】
1.(A)少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとを反応させ(中間体Iを生じる)、次いで、式I:
【化16】

(式中、R及びRは、独立して、水素及びC~Cアルキルから選択され、nは1~2からの整数であり、且つRはC~Cアルキルである)の分子と反応させることによって製造されるポリウレタンプレポリマー;
(B)湿度に曝露されると切断される基によってアミン基がブロックされている、ポリアミン;
(C)任意選択的に、アミンと、式Iの分子から得られる部分との反応を触媒することができる触媒
を含む、一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物。
【0119】
2.少なくとも1種のポリオールが、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールである、実施形態1の接着剤組成物。
【0120】
3.少なくとも1種のポリオールがポリエーテルポリオールである、実施形態1又は2の接着剤組成物。
【0121】
4.少なくとも1種のポリオールが、ジオール、トリオール若しくはテトラオール、又はこれらの混合物、特にジオール及びトリオールの混合物である、実施形態1、2又は3の接着剤組成物。
【0122】
5.少なくとも1種のポリオールが、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、及びポリテトラメチレンエーテルジオール及びトリオールから選択される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0123】
6.ポリオールが、ポリプロピレンオキシドベースのジオール若しくはトリオール、又はこれらの混合物である、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0124】
7.ポリオールがポリプロピレンオキシドベースのトリオールである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0125】
8.少なくとも1種のポリイソシアネートがジイソシアネートである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0126】
9.少なくとも1種のポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネートである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0127】
10.少なくとも1種のポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又は4,4’-若しくは4,2-メチレンビス(フェニルイソシアネート)である、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0128】
11.中間体Iが、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させることによって製造される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0129】
12.中間体Iが、分子量4,800のポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させることによって製造される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0130】
13.ビスマス触媒、カルボン酸スズ、カルボン酸ビスマス、カルボン酸亜鉛などのカルボン酸金属、及びこれらのいずれかの混合物、特にカルボン酸亜鉛及びカルボン酸ビスマスの混合物から選択される触媒の存在下で、少なくとも1種のポリオール及び少なくとも1種のポリイソシアネートを反応させる、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0131】
14.オクト酸スタンナス、オクト酸ビスマス又はネオデカン酸ビスマスから選択される触媒の存在下で、少なくとも1種のポリオール及び少なくとも1種のポリイソシアネートを反応させる、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0132】
15.ビスマス触媒である触媒の存在下で、少なくとも1種のポリオール及び少なくとも1種のポリイソシアネートを反応させる、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0133】
16.プレポリマーが、ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、40~95重量%の量の少なくとも1種のポリオールを含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0134】
17.プレポリマーが、ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、50~90重量%の量の少なくとも1種のポリオールを含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0135】
18.プレポリマーが、ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、75~85重量%の量の少なくとも1種のポリオールを含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0136】
19.プレポリマーが、ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、4~15重量%の量の少なくとも1種のポリイソシアネートを含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0137】
20.プレポリマーが、ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、5~10重量%の量の少なくとも1種のポリイソシアネートを含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0138】
21.プレポリマーが、ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、7~9重量%の量の少なくとも1種のポリイソシアネートを含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0139】
22.式Iの分子において、R及びRが、独立して、H及びC~Cアルキルから選択される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0140】
23.式Iの分子において、R及びRが、独立して、H及びC~Cアルキルから選択される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0141】
24.式Iの分子において、R及びRがHである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0142】
25.式Iの分子において、nが1である、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0143】
26.式Iの分子において、RがC~Cアルキルである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0144】
29.式Iの分子において、RがC~Cアルキルである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0145】
30.式Iの分子において、Rがエチルである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0146】
31.式Iの分子において、エチル2-(エトキシカルボニル)シクロペンタノン(CPEE)である、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0147】
32.式Iの分子が、中間体IのNCO基と当量又は過剰量で使用される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0148】
33.式Iの分子が、中間体IのNCO基に対して1.1~1.2の量で使用される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0149】
34.少なくとも1種のプレポリマーが、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをポリイソシアネートと反応させ、次いで式Iの分子と反応させることによって製造される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0150】
35.少なくとも1種のプレポリマーが、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いで式Iの分子と反応させることによって製造される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0151】
36.少なくとも1種のプレポリマーが、ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いでCPEEである式Iの分子と反応させることによって製造される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0152】
37.少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーが、分子量4,800DaのポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いでCPEEである式Iの分子と反応させることによって製造され、ポリウレタンプレポリマーの全重量に基づいて、ポリオールが82~83重量%で使用され、HDIが8~9重量%で使用され、CPEEが8~9重量%で使用される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0153】
38.アミン基がブロックされたポリアミンがアルジミン又はポリオキサゾリジンである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0154】
39.アミン基がブロックされたポリアミンがジアルジミン又はビス-オキサゾリジンである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0155】
40.アミン基がブロックされたポリアミンがポリオキサゾリジンである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0156】
41.アミン基がブロックされたポリアミンがビス-オキサゾリジンである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0157】
42.アミン基がブロックされたポリアミンが、式II又は式III:
【化17】

(式II中、R10は、分枝状又は非分枝状の2価の有機基であり、R11及びR12は、独立して、H及び分枝状又は非分枝状のC~C-アルキルから選択され、
式III中、R13は、分枝状又は非分枝状の3価の有機基であり、R14、R15及びR16は、独立して、H及び分枝状又は非分枝状のC~C-アルキルから選択される)のポリオキサゾリジンである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0158】
43.アミン基がブロックされたポリアミンが、式V、式VI又は式XII:
【化18】

(式V中、R17及びR18は、独立して、H、及び分枝状又は非分枝状のC~C-アルキル、好ましくはC-アルキルから選択され、且つ
式VI中、R19及びR20は、独立して、H、及び分枝状又は非分枝状のC~C-アルキル、好ましくはC-アルキルから選択され、且つ
式XII中、R21及びR22は、独立して、分枝状又は非分枝状のC~C-アルキル、好ましくはC-アルキルから選択される)のポリオキサゾリジンである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0159】
44.式V中、R17及びR18が、次式
【化19】

である、実施形態43の接着剤組成物。
【0160】
45.式VI中、R19及びR20が1-エチルペンチルである、実施形態43の接着剤組成物。
【0161】
46.式XII中、R21及びR22が、次式
【化20】

である、実施形態43の接着剤組成物。
【0162】
47.アミン基がブロックされたポリアミンが、式VII、VIII、IX、X又はXI:
【化21】

である、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0163】
48.アミン基がブロックされたポリアミンが、式VIII:
【化22】

又は式XI:
【化23】

であり、
好ましくは式VIIIである、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0164】
49.アミンと、式Iの分子から得られる部分との反応を触媒することができる触媒を含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0165】
50.ネオデカン酸ビスマスである、アミンと、式Iの分子から得られる部分との反応を触媒することができる触媒を含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0166】
51.ポリウレタンプレポリマーが、接着剤組成物の全重量に基づいて、20~70重量%、より好ましくは30~55重量%、より特に好ましくは35~40重量%で使用される、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0167】
52.アミン基がブロックされたポリアミン中のアミノ基とポリウレタンプレポリマーの末端基との比が、1:1、0.9:1、1.0:0.9、0.8:1、1:0.8、2:1である、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0168】
53.少なくとも1種の可塑剤をさらに含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0169】
54.可塑剤が、エステル、特にジエステル又はトリエステルである、実施形態53の接着剤組成物。
【0170】
55.可塑剤が、23℃で10-4hPa未満の蒸気圧を有する、実施形態53又は54の接着剤組成物。
【0171】
56.可塑剤がフタル酸ジノニルである、実施形態53又は54の接着剤組成物。
【0172】
57.ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いでCPEEである式Iの分子と反応させることによって製造される少なくとも1種のプレポリマーと;
アミン基がブロックされたポリアミンであって、式VIII:
【化24】

又は式XI:
【化25】

のものであるポリアミンと
を含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0173】
58.接着剤組成物の全重量に基づいて、
ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いでCPEEである式Iの分子と反応させることによって製造される少なくとも1種のプレポリマー42~45重量%と;
アミン基がブロックされたポリアミンであって、式VIII:
【化26】

又は式XI:
【化27】

のものであるポリアミン6~9重量%と
を含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0174】
59.接着剤組成物の全重量に基づいて、
ポリプロピレンオキシドベースのトリオールをHDIと反応させ、次いでCPEEである式Iの分子と反応させることによって製造される少なくとも1種のプレポリマー42~45重量%と;
アミン基がブロックされたポリアミンであって、式VIII:
【化28】

又は式XI:
【化29】

のものであるポリアミン6~9重量%と;
触媒、好ましくはネオデカン酸ビスマス0.1~0.3重量%と;
フタル酸ジノニルである可塑剤12~18重量%と;
クレー8~10重量%と;
カーボンブラック20~25重量%と
を含む、前記実施形態のいずれか一項の接着剤組成物。
【0175】
60.(1)前記実施形態のいずれか一項による接着剤組成物を第1の基材、第2の基材、又はその両方に適用するステップと;
(2)第1の基材と第2の基材とを接着接触させるステップと;
(3)接着剤を湿気に曝露することによって硬化させるステップと
を含む、第1の基材及び第2の基材の接着方法。
【0176】
61.(1)実施形態1~58のいずれか一項による一液湿気硬化型ポリウレタン接着剤組成物を提供するステップと;
(2)接着剤を第1の基材、第2の基材、又はその両方に適用するステップと;
(3)第1及び第2の基材を接着接触するように配置し、それによって、接着剤がその間に挟まれた状態となるステップと;
(4)接着剤を硬化させるステップと
を含む、2つの基材の接着方法。
【0177】
62.第1及び第2の基材が、金属、ガラス及びポリマーから選択される、実施形態60又は61による方法。
【0178】
63.第1及び第2の基材が金属から選択される、実施形態60又は61による方法。
【0179】
64.第1及び第2の基材がスチールである、実施形態60又は61による方法。
【0180】
65.第1の基材が金属であり、第2の基材がポリマーである、実施形態60又は61による方法。
【0181】
66.(1)第1の基材と;
(2)第2の基材と;
(3)実施形態1~59のいずれか一項による接着剤組成物と
を含む接着されたアセンブリであって、
接着剤がその間に挟まれた状態で、第1及び第2の基材が接着接触している、アセンブリ。
【0182】
67.第1及び第2の基材が、金属、ガラス及びポリマーから選択される、実施形態66による接着されたアセンブリ。
【0183】
68.第1及び第2の基材が金属から選択される、実施形態66による接着されたアセンブリ。
【0184】
69.第1及び第2の基材がスチールである、実施形態66による接着されたアセンブリ。
【0185】
70.第1の基材が金属であり、第2の基材がポリマーである、実施形態66による接着されたアセンブリ。
【実施例
【0186】
【表1】
【0187】
ポリウレタンプレポリマーの調製
ブロック化ポリウレタンプレポリマー1は、表2に示す成分を用いて調製した。
【0188】
【表2】
【0189】
ポリエーテルポリオール(VORANOL CP 4610)を実験室用反応器に添加し、真空及び撹拌下で130℃まで加熱した。130℃に達したら、混合物を撹拌下で70℃まで冷却した(材料温度)。真空を解除し、Desmodur Hを実験室用反応器に添加した。混合物を窒素下で2分間撹拌し、その時点で触媒TIB KAT 718を添加した。窒素下、85℃の浴温で撹拌しながら混合物を45分間反応させた。イソシアネート含有量を確認したところ、2.37%であった。
【0190】
混合物を窒素下で撹拌しながら60℃まで冷却した。材料温度が60℃に達したら、CPEEを添加した。撹拌及び窒素下、浴温85℃で混合物を45分間反応させた。イソシアネート含有量を確認したところ、0%であった。
【0191】
混合物を真空下、浴温85℃でさらに20分間撹拌した。
【0192】
ブロック化ポリウレタンプレポリマー2は、表3に示す成分を用いて調製した。
【0193】
【表3】
【0194】
Cardolite NX-2026及びDesmodur E15を混合し、60℃まで加熱した。その後、DABCO T-12N触媒を添加した。混合物を窒素下、80℃で45分間撹拌し、次いで、真空下で10分間撹拌した。混合物を冷却し、密閉容器中に保存した。
【0195】
接着剤配合物
表4に列挙した成分を使用し、プラネタリーミキサー又は二重非対称遠心分離機で接着剤配合物を混合した。第1段階では、液相を混合してから固体材料を配合物に添加した。配合物を真空下で約30分混合してから、カートリッジ、ペール缶、又はドラム缶に充填した。
【0196】
試験方法
粘度
粘度は、角度4°及びギャップ0.144mmの20mm直径コーンのプレート/コーンセットアップを用いるKinexusレオメーターで測定した。測定は23℃で行った。せん断速度測定は0.1~10 1/sで行い、ニュートン粘度を報告する。
【0197】
ラップせん断試験
DIN EN 1465(GEX21)に従い、ガラス基材を用いてラップせん断試験を行った。寸法100×25×5mmのフロートガラス基材を使用した。基材はガラスプライマーであるBETAPRIME(商標)5500で下塗りした。接着剤組成物を適用する前にプライマーを15分間蒸発させた。接着剤組成物を適用し、第2の基材を接合した。接着剤の重なり面積は25×10mmであり、接着剤の厚さは2mmであった。接着剤組成物の硬化後にラップせん断試験を行い、表4に報告した。試験は、5kNフォース測定システムを備えたZwickテンシオメーターで、2Nの予荷重及び10mm/分の引張速度で行った。試験を23℃、50%rhで行った。
【0198】
引張試験
引張試験はDIN EN ISO527-2に従って行った。23℃、50%rhで少なくとも7日間硬化させた厚さ2mmのプレートからドッグボーンを切断した。予荷重は1.5N、試料幅は4mm、引抜速度は200mm/分であった。MuliXtens距離測定システムとともに500Nフォース測定システムを使用した。結果を表4に報告する。
【0199】
分子量
ポリウレタンプレポリマーの分子量データを、Malvern Viscothek GPC max装置を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し、カラムとしてPL GEL MIXED D(Agilent、300*7.5mm、5μm)を使用し、検出器としてMALVERN Viscotek TDA(屈折率粘度計及び光散乱を統合)を使用した。
【0200】
NCO含有量
NCO測定はASTM D2572-97(Reapproved 2010)(GEX081)に従って実施した。この試験法はイソシアネートを含む液体に適用可能である。モノマー(例えばメチレンジフェニルジイソシアネートMDI)、プレポリマー及び接着剤配合物が含まれる。イソシアネート(NCO)試料は過剰量のジブチルアミンと反応し、対応する尿素を形成する。NCO含有量は、反応で消費されたジブチルアミンの量から決定された。結果はパーセントNCO(重量%)として報告される。
【0201】
結果
実験結果を表4及び5に示す。
比較例を「CE」、本発明の実施例を「IE」と表した。
【0202】
【表4】
【0203】
【表5】
【0204】
CE1は、CPEEで保護されたプレポリマー1のみを湿度に曝露した場合、架橋せず、23℃、50%r.h.で7日後も粘度が有意に上昇しないことを示している。
【0205】
CE2は、フェノールに基づく一般的な保護基でキャップされたイソシアネート官能性プレポリマー(プレポリマー2)を湿度に曝露した場合(7日間、23℃)、やはり反応は起こらず、23℃で7日後も粘度が上昇しないことを示している。
【0206】
CE3は、ビス-オキサゾリジンを23℃で7日間湿気に曝露すると何が生じるかを示している。これによって、ビス-オキサゾリジンの加水分解が生じ、それはアミンへと変換される。しかし、架橋は起こらず、これは、23℃で7日後でも粘度が非常に低いことによって示される。
【0207】
CE4は、従来のブロック化ポリウレタンプレポリマー2が、ビス-オキサゾリジンの存在下でも架橋しないことを示している。
【0208】
本発明の実施例IE1は、ビス-オキサゾリジンと組み合わせて、CPEEブロック化プレポリマー(プレポリマー1)を含む。この混合物を湿気に曝露すると、架橋が始まり、硬化パテが形成される。この架橋プロセスは、本発明の実施例IE2で示したように、触媒(Bicat 8108)の添加によって補助することができる。この技術は、本発明の実施例IE3で示したように、充填された1K PU接着剤組成物を調合するために利用することができる。IE3からの接着剤組成物は、未硬化の状態では、良好なレオロジーを有し、たるみのない、ストリングが非常に短い黒色のペーストである。適用後、湿度によって硬化が始まり、架橋したPU/ポリアミドポリマーを形成する。ガラスプライマーBETAPRIME 5500(フラッシュオフ時間15分)で下塗りしたフロートガラス基材のラップせん断強度は、100%凝集破壊モードで2.2MPaであった。23℃(50%r.h.)で14日間硬化させた厚さ2mmの板から切り出した試験片を用いて引張試験を実施したところ、2.7MPaの引張強さ、1.3MPaのE弾性率及び455%の破断時の伸び率が示された。接着試験は、フロートガラス及びeコートスチール基材上で実施した。ガラス基材はガラスプライマーBETATPRIME 5500で下塗りし、eコートスチール基材は黒色プライマーBETAPRIME 5404で下塗りした。23℃、相対湿度50%で7日間硬化後、23℃で7日間、それに続いて、23℃で7日間水中に浸漬後、RTで7日間、それに続いて、7日間水中に浸漬、それに続いて、70℃で暴露後、並びにRTで7日間、それに続いて、7日間水中に浸漬、それに続いて、70℃で7日間暴露、それに続いて、7日間カタプラズマ(cataplasma)暴露(70℃、100%rh)後に剥離接着試験を行った。全ての剥離接着試験は100%の凝集破壊モードを示し、下塗りされたガラス基材上で良好な接着が観察されたことを示す。硬化速度試験では、材料が48時間以内に3mmの厚さまで硬化することが示された。
【国際調査報告】