(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】負極スラリー、負極スラリーの製造方法、負極スラリーを含むリチウム二次電池用負極、およびリチウム二次電池用負極の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/139 20100101AFI20240829BHJP
H01M 4/1395 20100101ALI20240829BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240829BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240829BHJP
H01M 4/133 20100101ALI20240829BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/1395
H01M4/62 Z
H01M4/13
H01M4/133
H01M4/70 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510380
(86)(22)【出願日】2023-03-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 KR2023003086
(87)【国際公開番号】W WO2023182701
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0037218
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジェ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェウク・イ
【テーマコード(参考)】
5H017
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS02
5H017CC01
5H017HH01
5H017HH03
5H050AA02
5H050AA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA02
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB11
5H050DA03
5H050DA10
5H050DA11
5H050EA23
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA10
5H050GA22
5H050GA27
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA14
(57)【要約】
本出願は、負極スラリー、負極スラリーの製造方法、負極スラリーを含むリチウム二次電池用負極、およびリチウム二次電池用負極の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極活物質層組成物;および溶媒;を含む負極スラリーであって、
前記負極活物質層組成物は、シリコン系活物質;負極導電材;および負極バインダー;を含み、
前記負極スラリーの負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDminが8μm以下であり、Dmaxが7μm以上30μm以下である、負極スラリー。
【請求項2】
前記負極スラリーの平均粒度(D50)値が5μm以上20μm以下である、請求項1に記載の負極スラリー。
【請求項3】
前記シリコン系活物質は、SiO
x(x=0)、SiO
x(0<x<2)、SiC、およびSi合金からなる群より選択される1以上を含む、請求項1に記載の負極スラリー。
【請求項4】
前記シリコン系活物質は、SiO
x(x=0)およびSiO
x(0<x<2)からなる群より選択される1以上を含み、前記シリコン系活物質100重量部を基準として前記SiO
x(x=0)を70重量部以上含む、請求項1に記載の負極スラリー。
【請求項5】
前記シリコン系活物質は、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として60重量部以上である、請求項1に記載の負極スラリー。
【請求項6】
前記負極導電材は、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として5重量部以上40重量部以下である、請求項1に記載の負極スラリー。
【請求項7】
前記負極導電材は、シート状導電材;および線状導電材を含む、請求項1に記載の負極スラリー。
【請求項8】
前記負極バインダーは、水系バインダーを含み、
前記負極バインダーは、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として5重量部以上15重量部以下である、請求項1に記載の負極スラリー。
【請求項9】
負極導電材;および負極バインダーを混合して混合物を形成するステップ;
前記混合物に溶媒を追加して第1ミキシング(mixing)するステップ;および
前記ミキシングされた混合物にシリコン系活物質を添加して第2ミキシング(mixing)するステップ;を含む負極スラリーの製造方法であって、
前記第1ミキシングおよび第2ミキシングするステップは、2,000rpm~3,000rpmで10分~60分間ミキシングするステップを含み、
前記負極スラリーの負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDminが8μm以下であり、Dmaxが7μm以上30μm以下である、負極スラリーの製造方法。
【請求項10】
前記第1ミキシングおよび第2ミキシングするステップにおけるミキシング温度が50℃以下である、請求項9に記載の負極スラリーの製造方法。
【請求項11】
負極集電体層;および前記負極集電体層の一面または両面に設けられた負極活物質層;を含むリチウム二次電池用負極であって、
前記負極活物質層は、請求項1~8のいずれか一項に記載の負極スラリーまたはその乾燥物を含む、リチウム二次電池用負極。
【請求項12】
前記負極集電体層の厚さが1μm以上100μm以下であり、
前記負極活物質層の厚さが1μm以上50μm以下であり、
前記リチウム二次電池用負極の厚さが2μm以上100μm以下である、請求項11に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項13】
負極集電体層を準備するステップ;
前記負極集電体層の一面または両面に請求項1~8のいずれか一項に記載の負極スラリーをコーティングして負極コーティング層を形成するステップ;
前記負極コーティング層を乾燥するステップ;および
前記負極コーティング層を圧延して負極活物質層を形成するステップ;
を含む、リチウム二次電池用負極の製造方法。
【請求項14】
前記負極コーティング層の厚さが20μm以上50μm以下である、請求項13に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年03月25日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0037218号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本出願は、負極スラリー、負極スラリーの製造方法、負極スラリーを含むリチウム二次電池用負極、およびリチウム二次電池用負極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料使用の急激な増加により代替エネルギーやクリーンエネルギーの使用に対する要求が増加しており、その一環として最も活発に研究されている分野が電気化学反応を用いた発電、蓄電の分野である。
【0004】
現在、このような電気化学的エネルギーを用いる電気化学素子の代表的な例として二次電池が挙げられ、その使用領域が益々拡大している傾向にある。
【0005】
モバイル機器に関する技術開発および需要が増加するにつれ、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。このような二次電池の中でも、高いエネルギー密度および電圧を有し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が商用化されて広く用いられている。また、このような高容量のリチウム二次電池用電極として、単位体積当たりのエネルギー密度がさらに高い高密度電極を製造するための方法に関する研究が活発に行われている。
【0006】
一般に、二次電池は、正極、負極、電解質、およびセパレータで構成される。負極は、正極から出たリチウムイオンを挿入し脱離させる負極活物質を含み、前記負極活物質としては、放電容量の大きいシリコン系粒子を用いることができる。
【0007】
特に、最近の高密度エネルギー電池に対する需要に伴い、負極活物質として、黒鉛系材料に比べて容量が10倍以上大きいSi/CやSiOxのようなシリコン系化合物を共に用いて容量を増やす方法に関する研究が活発に行われているが、高容量材料であるシリコン系化合物の場合、従来用いられる黒鉛と比較して、容量は大きいものの、充電過程で急激に体積が膨張して導電経路を断絶させ、電池特性を低下させるという問題がある。
【0008】
また、急速充電の要件を満たすために、容量が大きいシリコン系負極の場合、炭素系負極に比べて負極活物質層のコーティング厚さが非常に薄く形成されることができ、この際、軟質の炭素系物質に比べて、シリコン系物質は硬い性質を有するため、シリコン系活物質を含む負極を製造する場合、電極の製造工程でコーティングが行われないか、またはコーティングが行われるとしても不良状態の負極が製造されるという問題がある。
【0009】
そこで、容量特性を強化するためにシリコン系負極を用いながらも、急速充電の要件を満たすために負極活物質層の厚さが薄い負極を製造しようとするが、上記のような問題により、依然として容量特性および急速充電が可能な負極を作製することが現状では容易ではない。
【0010】
すなわち、軟質の炭素系物質を用いる場合、急速充電のために負極活物質層の厚さを薄く形成できるものの、電極が薄くなる分、シリコン系材料に比べて容量が10倍以上少ない炭素系物質が含まれ、容量特性が発揮されず、シリコン系負極の場合、容量特性は確保できるものの、電極を薄く形成することが工程上難しく、急速充電の問題が発生している。
【0011】
したがって、容量特性を極大化するためのシリコン系負極を作製するにあたり、負極に含まれる組成および含量の変化は最小化しつつ、シリコン系負極の厚さを最小化して急速充電の効果も得ることができる方法に関する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
シリコン系負極は、充電および放電による体積の膨張を抑え、容量特性を極大化するために、負極活物質層組成物の組成および含量に大きな変化を与えることが難しい。特に、シリコン系負極の場合、高容量の材料を用いるという特徴を有するが、材料的特性により電極を薄く形成する場合、電池の形成過程で不良が発生している。急速充電のためにシリコン系負極の厚さを薄く形成するための研究を行った結果、負極活物質層の組成をほぼ変更することなく、負極の製造工程で用いられる負極スラリーの粒度分布を制御することで、上記のような問題を解決できることを見出した。
【0014】
そこで、本出願は、負極スラリー、負極スラリーの製造方法、負極スラリーを含むリチウム二次電池用負極、およびリチウム二次電池用負極の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書の一実施態様は、負極活物質層組成物;および溶媒;を含む負極スラリーであって、前記負極活物質層組成物は、シリコン系活物質;負極導電材;および負極バインダー;を含み、前記負極スラリーの負極スラリー粒度(グラインドゲージ(Grinding Gauge))のDminが8μm以下であり、Dmaxが7μm以上30μm以下である、負極スラリーを提供する。
【0016】
他の一実施態様において、負極導電材;および負極バインダーを混合して混合物を形成するステップ;前記混合物に溶媒を追加して第1ミキシング(mixing)するステップ;および前記ミキシングされた混合物にシリコン系活物質を添加して第2ミキシング(mixing)するステップ;を含む負極スラリーの製造方法であって、前記第1ミキシングおよび第2ミキシングするステップは、2,000rpm~3,000rpmで10分~60分間ミキシングするステップを含み、前記負極スラリーのDminが8μm以下であり、Dmaxが7μm以上30μm以下である、負極スラリーの製造方法を提供する。
【0017】
また他の一実施態様において、負極集電体層;および前記負極集電体層の一面または両面に設けられた負極活物質層;を含むリチウム二次電池用負極であって、前記負極活物質層は、本出願に係る負極スラリーまたはその乾燥物を含む、リチウム二次電池用負極を提供する。
【0018】
最後に、負極集電体層を準備するステップ;前記負極集電体層の一面または両面に本出願に係る負極スラリーをコーティングして負極コーティング層を形成するステップ;前記負極コーティング層を乾燥するステップ;および前記負極コーティング層を圧延して負極活物質層を形成するステップ;を含む、リチウム二次電池用負極の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本出願に係る負極スラリーの場合、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDminが8μm以下であり、Dmaxが7μm以上30μm以下であることを満たす。シリコン系負極の場合、容量特性には優れるものの、急速充電のために電極を薄く形成することが重要であり、本出願に係る負極スラリーの粒度値が上記範囲を満たす場合、負極スラリーのコーティング厚さを薄く形成し、これにより、容量特性に優れるとともに、急速充電も可能なリチウム二次電池用負極を確保できるという特徴を有することになる。
【0020】
本出願に係る負極スラリーの場合、粒子の凝集などを防止するためにスラリーの粘度を調節するのではなく、負極スラリーの粒度自体を調節することで、上記のような問題を解決することを主な目的とする。すなわち、負極スラリーに含まれる負極活物質、負極バインダー、および負極導電材の種類および含量を調節するのではなく、負極スラリーに含まれる粒度を調節することで、容量特性および急速充電の特徴を強化した。
【0021】
すなわち、本出願に係るリチウム二次電池用負極の場合、シリコン系活物質を用いることによる問題である充電および放電による体積の膨張および収縮を剛性の高い水系バインダーにより抑えることができ、さらには負極スラリーの粒度が上記範囲を満たして電極の厚さを薄く制御することができる。これにより、シリコン系負極の利点である高容量、高出力の特徴を有するとともに、急速充電ができるという特徴を有することになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本出願の一実施態様によるリチウム二次電池用負極の積層構造を示す図である。
【
図2】本出願の一実施態様によるリチウム二次電池の積層構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を説明する前に、先ず、いくつかの用語を定義する。
【0024】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0025】
本明細書において、「p~q」とは、「p以上q以下」の範囲を意味する。
【0026】
本明細書において、「比表面積」は、BET法により測定されたものであって、具体的には、BEL Japan社製のBELSORP-mini IIを用いて、液体窒素温度下(77K)での窒素ガス吸着量から算出されたものである。すなわち、本出願において、BET比表面積とは、前記測定方法により測定された比表面積を意味し得る。
【0027】
本明細書において、「Dn」とは、粒度分布を意味し、粒度に応じた粒子数累積分布のn%地点での粒度を意味する。すなわち、D50は、粒度に応じた粒子数累積分布の50%地点での粒度(中心粒度)であり、D90は、粒度に応じた粒子数累積分布の90%地点での粒度であり、D10は、粒度に応じた粒子数累積分布の10%地点での粒度である。一方、中心粒度は、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。具体的に、測定対象粉末を分散媒中に分散させた後、市販中のレーザ回折粒度測定装置(例えば、Microtrac S3500)に導入し、粒子がレーザビームを通過する際に粒子の大きさに応じた回折パターンの差を測定して粒度分布を算出する。
【0028】
本出願の一実施態様において、粒度または粒径とは、粒子をなす個々の粒の平均直径や代表直径を意味し得る。
【0029】
本明細書において、重合体がある単量体を単量体単位として含むとは、その単量体が重合反応に参加して重合体中で繰り返し単位として含まれることを意味する。本明細書において、重合体が単量体を含むとする際、これは重合体が単量体を単量体単位として含むことと同様に解釈される。
【0030】
本明細書において、「重合体」とは、「単独重合体」と明示しない限り、共重合体を含む広義の意味で用いられるものと理解する。
【0031】
本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、分子量測定用として市販中の多様な重合度の単分散ポリスチレン重合体(標準試料)を標準物質とし、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)により測定されたポリスチレン換算分子量である。本明細書において、分子量とは、特に記載しない限り、重量平均分子量を意味する。
【0032】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるように図面を参照して詳しく説明する。ただし、本発明は、種々の異なる形態で実現されてもよく、以下の説明に限定されない。
【0033】
本明細書の一実施態様は、負極活物質層組成物;および溶媒;を含む負極スラリーであって、前記負極活物質層組成物は、シリコン系活物質;負極導電材;および負極バインダー;を含み、前記負極スラリーの負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDminが8μm以下であり、Dmaxが7μm以上30μm以下である、負極スラリーを提供する。
【0034】
本出願に係る負極スラリーの場合、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDminが8μm以下であり、Dmaxが7μm以上30μm以下であることを満たす。シリコン系負極の場合、容量特性には優れるものの、急速充電のために電極を薄く形成することが重要であり、本出願に係る負極スラリーの粒度値が上記範囲を満たす場合、負極スラリーのコーティング厚さを薄く形成し、これにより、容量特性に優れるとともに、急速充電も可能なリチウム二次電池用負極を確保できるという特徴を有することになる。
【0035】
本出願の一実施態様において、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)とは、負極スラリーに含まれる一次粒子が凝集して形成された二次粒子の粒度を意味し、具体的に、負極スラリーに含まれる負極活物質、負極導電材、および負極バインダーからなる群より選択される1以上の粒子が凝集して形成された二次粒子の粒度を意味し得る。
【0036】
この際、負極スラリーの粒度は、粒度の測定が可能な値が記されており、大きさに応じて微細に溝がある測定装置を介して測定することができ、具体的に、0μmの基準点で準備した負極スラリーを5ml注いだ後、掘られた溝を基準に副測定装置であるスチールバーをスライドさせつつ、スラリー粒子の大きさに応じて、最も小さい値(Dmin)から始め、最も大きい値(Dmax)が最後に測定され、その値をDminおよびDmax値に設定してスラリーの粒度を測定することができる。
【0037】
この際、本出願の一実施態様において、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDminとは、負極スラリーにおける最も小さい粒子の粒度を意味し、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDmaxとは、負極スラリーにおける最も大きい粒子の粒度を意味し得るが、一部の誤差を含んでもよい。
【0038】
本出願の一実施態様において、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDminが8μm以下であり、Dmaxが7μm以上30μm以下であってもよい。
【0039】
他の一実施態様において、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDminが8μm以下、好ましくは7.5μm以下、より好ましくは7μm以下、最も好ましくは6μm以下の範囲を満たしてもよく、その下限の範囲は特に限定されないが、0.1μm以上、好ましくは1μm以上の範囲を満たしてもよい。
【0040】
また他の一実施態様において、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDmaxが7μm以上30μm以下、好ましくは7μm以上25μm以下、より好ましくは7μm以上20μm以下、最も好ましくは7μm以上15μm以下の範囲を満たしてもよい。
【0041】
本出願の一実施態様において、前記負極スラリーの平均粒度(D50)値が5μm以上20μm以下である、負極スラリーを提供する。
【0042】
上記のように負極スラリーの粒度が上記範囲を満たすことで、剛性の強いシリコン系活物質を含んでも、前記負極スラリーの粒度範囲を調節して薄い厚さの負極活物質層を形成することができるため、急速充電の効果を得ることができる。これにより、良質の電極を得ることができ、電極ライン(line)の発生などの問題がない負極を得ることができるという特徴を有することになる。
【0043】
本出願の一実施態様において、前記負極スラリーは、負極活物質層組成物;および溶媒;を含んでもよい。
【0044】
本出願の一実施態様において、前記負極スラリーの固形分含量は5%以上40%以下を満たしてもよい。
【0045】
他の一実施態様において、前記負極スラリーの固形分含量は5%以上40%以下、好ましくは7%以上35%以下、より好ましくは10%以上30%以下の範囲を満たしてもよい。
【0046】
前記負極スラリーの固形分含量とは、前記負極スラリー中に含まれる負極活物質層組成物の含量を意味し、負極スラリー100重量部を基準とした前記負極活物質層組成物の含量を意味し得る。
【0047】
前記負極スラリーの固形分含量が上記範囲を満たす場合、負極活物質層の形成時に粘度が適しており、負極活物質層組成物の粒子凝集現象を最小化し、負極活物質層を効率的に形成できるという特徴を有することになる。
【0048】
本出願の一実施態様において、前記溶媒は、負極活物質層組成物を溶解可能であれば限定なく用いることができ、具体的に、水、アセトン、またはNMPを用いてもよい。
【0049】
本出願の一実施態様において、前記負極スラリーの重量ロード量が80mg/25cm2以上160mg/25cm2以下である、リチウム二次電池用負極を提供する。
【0050】
他の一実施態様において、前記負極スラリーの重量ロード量(B1)は80mg/25cm2以上160mg/25cm2以下、好ましくは85mg/25cm2以上140mg/25cm2以下、より好ましくは85mg/25cm2以上130mg/25cm2以下の範囲を満たしてもよい。
【0051】
前記負極スラリーの重量ロード量とは、負極集電体層に塗布される負極スラリーの量を意味し得る。この際、負極スラリーの重量ロード量が上記範囲を満たすことで、負極の性能特性(容量、出力)を極大化できるという特徴を有することになり、また、前記負極スラリーの粒度範囲を満たして容量特性を有するとともに、電極を薄く形成することができるため急速充電の利点も得ることができる。
【0052】
本出願の一実施態様において、前記負極スラリーの粘度は1,000cP以上10,000cP以下の範囲を満たしてもよい。
【0053】
他の一実施態様において、前記負極スラリーの粘度は3,000cP以上10,000cP以下、好ましくは3,000cP以上7,000cP以下であってもよい。
【0054】
上記のように負極スラリーの粒度分布が上記範囲を満たし、また、後述する分散工程により粘度を調節することで、前記粘度範囲を満たすことにより、今後の混合が良好になり、これにより、二次電池の出力が向上するという特徴を有することになる。
【0055】
以下、負極スラリーに含まれる負極活物質層組成物に含まれるシリコン系活物質、負極導電材、およびバインダーについて説明する。
【0056】
本出願の一実施態様において、負極スラリーは、負極活物質層組成物;および溶媒;を含み、前記負極活物質層組成物は、シリコン系活物質;負極導電材;および負極バインダー;を含んでもよい。
【0057】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、SiOx(x=0)、SiOx(0<x<2)、SiC、およびSi合金からなる群より選択される1以上を含む、負極スラリーを提供する。
【0058】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、SiOx(x=0)、SiOx(0<x<2)を含み、前記シリコン系活物質100重量部を基準として前記SiOx(x=0)を70重量部以上含んでもよい。
【0059】
他の一実施態様において、前記シリコン系活物質100重量部を基準として前記SiOx(x=0)を70重量部以上、好ましくは80重量部以上、より好ましくは90重量部以上含んでもよく、100重量部以下、好ましくは99重量部以下、より好ましくは95重量部以下含んでもよい。
【0060】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、特に純粋なシリコン(Si)をシリコン系活物質として用いてもよい。純粋なシリコン(Si)をシリコン系活物質として用いるとは、上記のようにシリコン系活物質の総100重量部を基準とした際、他の粒子または元素と結合していない純粋なSi(SiOx(x=0))を上記範囲で含むことを意味し得る。
【0061】
一方、本願発明の前記シリコン系活物質の平均粒径(D50)は5μm~10μmであってもよく、具体的には5.5μm~8μmであってもよく、より具体的には6μm~7μmであってもよい。前記平均粒径が上記範囲に含まれる場合、粒子の比表面積が適した範囲で含まれ、負極スラリーの粘度が適正範囲に形成される。これにより、負極スラリーを構成する粒子の分散が円滑になる。また、シリコン系活物質の大きさが前記下限値の範囲以上の値を有することで、負極スラリー中で導電材とバインダーとからなる複合体によりシリコン粒子、導電材の接触面積が良好になり、導電ネットワークが持続する可能性が高くなり、容量維持率が増加する。一方、前記平均粒径が上記範囲を満たす場合、過度に大きいシリコン粒子が排除され、負極の表面が滑らかに形成され、これにより、充放電時の電流密度の不均一現象を防止することができる。
【0062】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、一般に特徴的なBET比表面積を有する。シリコン系活物質のBET比表面積は、好ましくは0.01m2/g~150.0m2/g、より好ましくは0.1m2/g~100.0m2/g、特に好ましくは0.2m2/g~80.0m2/g、最も好ましくは0.2m2/g~18.0m2/gである。BET比表面積は、(窒素を用いて)DIN 66131に従って測定される。
【0063】
本出願の一実施態様において、シリコン系活物質は、例えば、結晶または非晶質の形態で存在してもよく、好ましくは非多孔性である。ケイ素粒子は、好ましくは、球状または破片状の粒子である。代替的に、しかし好都合ではないが、ケイ素粒子は、繊維構造を有するか、またはケイ素含有フィルムまたはコーティングの形態で存在してもよい。
【0064】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として60重量部以上である、負極スラリーを提供する。
【0065】
他の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として60重量部以上、好ましくは65重量部以上、より好ましくは70重量部以上含まれてもよく、95重量部以下、好ましくは90重量部以下、より好ましくは85重量部以下含まれてもよい。
【0066】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、非球状の形状を有してもよく、その球形度は、例えば0.9以下、例えば0.7~0.9、例えば0.8~0.9、例えば0.85~0.9である。
【0067】
本出願において、前記球形度(circularity)は下記式1により決められ、Aは面積であり、Pは境界線である。
[式1]
4πA/P2
【0068】
従来、負極活物質として黒鉛系化合物のみを用いるのが一般的であったが、近年、高容量電池の需要が高くなるにつれ、容量を高めるためにシリコン系活物質を混合して用いようとする試みが増えている。ただし、シリコン系活物質の場合、上記のようにシリコン系活物質自体の特性を一部調節するとしても、充/放電過程で体積が急激に膨張し、負極活物質層中に形成された導電経路を損なう問題が一部発生する可能性がある。
【0069】
したがって、本出願の一実施態様において、前記負極導電材は、点状導電材、シート状導電材、および線状導電材からなる群より選択される1以上を含んでもよい。
【0070】
本出願の一実施態様において、前記点状導電材は、負極に導電性を向上させるために用いられることができ、化学的変化を誘発せず、かつ、導電性を有するものであって、球状または点状の導電材を意味する。具体的に、前記点状導電材は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、導電性繊維、フルオロカーボン、アルミニウム粉末、ニッケル粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化チタン、およびポリフェニレン誘導体からなる群より選択された少なくとも1種であってもよく、好ましくは、高い導電性を実現し、分散性に優れるという面でカーボンブラックを含んでもよい。
【0071】
本出願の一実施態様において、前記点状導電材は、BET比表面積が40m2/g以上70m2/g以下であってもよく、好ましくは45m2/g以上65m2/g以下、より好ましくは50m2/g以上60m2/g以下であってもよい。
【0072】
本出願の一実施態様において、前記点状導電材は、官能基の含量(揮発分、Volatile matter)が0.01%以上1%以下、好ましくは0.01%以上0.3%以下、より好ましくは0.01%以上0.1%以下を満たしてもよい。
【0073】
特に点状導電材の官能基の含量が上記範囲を満たす場合、前記点状導電材の表面に存在する官能基が存在し、水を溶媒とする場合に前記溶媒中に点状導電材が円滑に分散することができる。
【0074】
本出願の一実施態様において、シリコン系活物質と共に、上記範囲の官能基の含量を有する点状導電材を含むことを特徴とし、前記官能基の含量の調節は、点状導電材を熱処理の程度に応じて調節することができる。
【0075】
本出願の一実施態様において、前記点状導電材の粒径は10nm~100nmであってもよく、好ましくは20nm~90nm、より好ましくは20nm~60nmであってもよい。
【0076】
本出願の一実施態様において、前記導電材は、シート状導電材を含んでもよい。
【0077】
前記シート状導電材は、負極内でシリコン粒子間の面接触を増加させて導電性を改善するとともに、体積の膨張による導電性経路の断絶を抑制する役割を果たすことができるものであり、板状導電材またはバルク(bulk)状導電材と表すことができる。
【0078】
本出願の一実施態様において、前記シート状導電材は、板状黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、および黒鉛フレークからなる群より選択される少なくともいずれか一つを含んでもよく、好ましくは板状黒鉛であってもよい。
【0079】
本出願の一実施態様において、前記シート状導電材の平均粒径(D50)は2μm~7μmであってもよく、具体的には3μm~6μmであってもよく、より具体的には4μm~5μmであってもよい。上記範囲を満たす場合、十分な粒子サイズにより、負極スラリーの過度な粘度上昇を引き起こさず、かつ、分散が容易である。したがって、同一の装置および時間を用いて分散させる際に分散効果に優れる。
【0080】
本出願の一実施態様において、前記シート状導電材は、D10が0.5μm以上1.5μm以下であり、D50が2.5μm以上3.5μm以下であり、D90が7.0μm以上15.0μm以下である、負極活物質層組成物を提供する。
【0081】
本出願の一実施態様において、前記シート状導電材としては、BET比表面積の高い高比表面積のシート状導電材;または低比表面積のシート状導電材を用いてもよい。
【0082】
本出願の一実施態様において、前記シート状導電材として高比表面積のシート状導電材;または低比表面積のシート状導電材を限定なく用いることができるが、特に本出願に係るシート状導電材は、分散が電極性能にある程度影響を及ぼし得るため、分散に問題が発生しない低比表面積のシート状導電材を用いることが特に好ましい。
【0083】
本出願の一実施態様において、前記シート状導電材は、BET比表面積が5m2/g以上であってもよい。
【0084】
他の一実施態様において、前記シート状導電材は、BET比表面積が5m2/g以上500m2/g以下であってもよく、好ましくは5m2/g以上300m2/g以下、より好ましくは5m2/g以上250m2/g以下であってもよい。
【0085】
また他の一実施態様において、前記シート状導電材は、高比表面積のシート状導電材であり、BET比表面積が50m2/g以上500m2/g以下、好ましくは80m2/g以上300m2/g以下、より好ましくは100m2/g以上300m2/g以下の範囲を満たしてもよい。
【0086】
さらに他の一実施態様において、前記シート状導電材は、低比表面積のシート状導電材であり、BET比表面積が5m2/g以上40m2/g以下、好ましくは5m2/g以上30m2/g以下、より好ましくは5m2/g以上25m2/g以下の範囲を満たしてもよい。
【0087】
その他の導電材としては、カーボンナノチューブなどの線状導電材が挙げられる。カーボンナノチューブは、バンドル型カーボンナノチューブであってもよい。前記バンドル型カーボンナノチューブは、複数のカーボンナノチューブ単位体を含んでもよい。具体的に、ここで、「バンドル型(bundle type)」とは、特に言及しない限り、複数のカーボンナノチューブ単位体が、カーボンナノチューブ単位体の長さ方向の軸が実質的に同一の配向で並んで配列されるかまたは絡み合っている、束(bundle)状もしくはロープ(rope)状の二次形状を指す。前記カーボンナノチューブ単位体は、黒鉛シート(graphite sheet)がナノサイズの直径のシリンダー状を有し、sp2結合構造を有する。この際、前記黒鉛シートが巻かれる角度および構造に応じて導体または半導体の特性を示すことができる。前記バンドル型カーボンナノチューブは、絡み合い型(entangled type)カーボンナノチューブに比べて負極製造時に均一に分散することができ、負極内に導電性ネットワークを円滑に形成し、負極の導電性が改善されることができる。
【0088】
本出願の一実施態様において、線状導電材は、SWCNT;またはMWCNTを含んでもよい。
【0089】
本出願の一実施態様において、前記負極導電材は、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として5重量部以上40重量部以下であってもよい。
【0090】
他の一実施態様において、前記負極導電材は、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として5重量部以上40重量部以下、好ましくは10重量部以上30重量部以下、より好ましくは10重量部以上25重量部以下含まれてもよい。
【0091】
本出願の一実施態様において、前記負極導電材は、シート状導電材;および線状導電材を含む、負極スラリーを提供する。
【0092】
本出願の一実施態様において、前記負極導電材は、シート状導電材;および線状導電材を含み、前記負極導電材100重量部を基準として前記線状導電材0.01重量部以上10重量部以下;および前記シート状導電材90重量部以上および99.99重量部以下含んでもよい。
【0093】
他の一実施態様において、前記線状導電材は、前記負極導電材100重量部を基準として0.01重量部以上10重量部以下、好ましくは0.05重量部以上5重量部以下、より好ましくは0.1重量部以上3重量部以下であってもよい。
【0094】
また他の一実施態様において、前記シート状導電材は、前記負極導電材100重量部を基準として90重量部以上99.99重量部以下、好ましくは95重量部以上99.95重量部以下、より好ましくは97重量部以上99.9重量部以下であってもよい。
【0095】
特に、本出願の一実施態様において、前記負極導電材がシート状導電材および線状導電材を含み、前記組成および割合をそれぞれ満たすことで、従来のリチウム二次電池の寿命特性には大きな影響を及ぼさず、充電および放電が可能なポイントが多くなり、高いC-レートで出力特性に優れた特徴を有することになる。
【0096】
本出願に係る負極導電材の場合、正極に適用される正極導電材とは全く別個の構成を有する。すなわち、本出願に係る負極導電材の場合、充電および放電により電極の体積の膨張が非常に大きいシリコン系活物質間の接点を取る役割をするものであり、正極導電材は、圧延時に緩衝機能を有するバッファの役割をし、かつ、一部の導電性を付与する役割をするものであって、本願発明の負極導電材とはその構成および役割が全く異なる。
【0097】
また、本出願に係る負極導電材は、シリコン系活物質に適用されるものであって、黒鉛系活物質に適用される導電材とは全く異なる構成を有する。すなわち、黒鉛系活物質を有する電極に用いられる導電材は、単に活物質に比べて小さい粒子を有するため、出力特性の向上と一部の導電性を付与する特性を有するものであって、本願発明のようにシリコン系活物質と共に適用される負極導電材とは構成および役割が全く異なる。
【0098】
本出願の一実施態様において、前述した負極導電材として用いられる点状導電材は、一般に従来の負極活物質として用いられる炭素系活物質とは異なる構造および役割を有する。具体的に、負極活物質として用いられる炭素系活物質とは、人造黒鉛または天然黒鉛であってもよく、リチウムイオンの貯蔵および放出を容易にするために球状または点状の形状に加工して用いる物質を意味する。
【0099】
これに対し、負極導電材として用いられるシート状導電材は、シート状または板状の形状を有する物質であり、板状黒鉛と表すことができる。すなわち、負極活物質層中で導電性経路を維持するために含まれる物質であり、リチウムの貯蔵および放出の役割ではなく、負極活物質層の内部でシート状で導電性経路を確保するための物質を意味する。
【0100】
すなわち、本出願において、板状黒鉛が導電材として用いられたとは、シート状または板状に加工され、リチウムの貯蔵または放出の役割ではなく、導電性経路を確保する物質として用いられたことを意味する。この際、共に含まれる負極活物質は、リチウムの貯蔵および放出に対する容量特性が高く、正極から伝達されるすべてのリチウムイオンを貯蔵および放出できる役割をすることになる。
【0101】
これに対し、本出願において、炭素系活物質が活物質として用いられたとは、点状または球状に加工され、リチウムを貯蔵または放出する役割をする物質として用いられたことを意味する。
【0102】
すなわち、本出願の一実施態様において、炭素系活物質である人造黒鉛または天然黒鉛は、点状の形状であって、BET比表面積が0.1m2/g以上4.5m2/g以下の範囲を満たしてもよい。また、シート状導電材である板状黒鉛は、シート状の形状であって、BET比表面積が5m2/g以上であってもよい。
【0103】
本出願の一実施態様において、前記負極バインダーは、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ポリアクリル酸(poly acrylic acid)、およびこれらの水素がLi、Na、またはCaなどで置換された物質からなる群より選択される少なくともいずれか一つを含んでもよく、また、これらの多様な共重合体を含んでもよい。
【0104】
本出願の一実施態様による負極バインダーは、シリコン系活物質の体積の膨張および緩和において、負極構造の歪み、構造変形を防止するために活物質および導電材を保持する役割をするものであり、上記の役割を満たせば、一般的なバインダーのすべてを適用することができ、具体的には水系バインダーを用いてもよく、より具体的にはPAM系バインダーを用いてもよい。
【0105】
本出願の一実施態様において、前記負極バインダーは、水系バインダーを含み、前記負極バインダーは、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として5重量部以上15重量部以下である、負極スラリーを提供する。
【0106】
他の一実施態様において、前記負極バインダーは、前記負極活物質層組成物100重量部を基準として5重量部以上15重量部以下、好ましくは7重量部以上13重量部以下、より好ましくは10重量部以上12重量部以下であってもよい。
【0107】
本出願に係る負極スラリーの場合、容量特性を極大化するためにシリコン系活物質を用いるものであり、従来の炭素系活物質を用いる場合に比べて充放電時の体積の膨張が大きくなる。従来の炭素系活物質は、体積の膨張が少ないため、剛性の小さいゴム系バインダーを主に用い、また、バインダーの含量が低いため、シリコン系負極でのバインダーが重要ではなかった。
【0108】
しかし、シリコン系活物質の体積の膨張を抑えるために剛性の大きい上記のような水系バインダーを適用しており、これにより、上記の範囲を有することで、シリコン系活物質の充放電による体積の膨張を効果的に防ぐことができ、導電材の分散も容易に形成できるという特徴を有する。
【0109】
本出願の一実施態様において、負極導電材;および負極バインダーを混合して混合物を形成するステップ;前記混合物に溶媒を追加して第1ミキシング(mixing)するステップ;および前記ミキシングされた混合物にシリコン系活物質を添加して第2ミキシング(mixing)するステップ;を含む負極スラリーの製造方法であって、前記第1ミキシングおよび第2ミキシングするステップは、2,000rpm~3,000rpmで10分~60分間ミキシングするステップを含み、前記負極スラリーの負極スラリー粒度(グラインドゲージe)のDminが8μm以下であり、Dmaxが7μm以上30μm以下である、負極スラリーの製造方法を提供する。
【0110】
前記負極スラリーの製造方法における各説明には、前述した負極スラリーの説明が適用されてもよい。
【0111】
本出願の一実施態様において、前記第1ミキシングおよび第2ミキシングするステップにおけるミキシング温度が50℃以下である、負極スラリーの製造方法を提供する。この際、ミキシング工程における温度とは負極スラリー自体の温度を意味し、ミキシング温度は50℃以下、好ましくは、ミキシング温度は40℃以下、より好ましくは、ミキシング温度は30℃以下であってもよく、20℃以上であってもよい。
【0112】
また、本出願の一実施態様において、前記負極スラリーの製造工程における粘度は、工程が可能なレベルであれば限定されないが、具体的には1000cP~15000cPの範囲を満たしてもよく、より具体的には4000cP~8000cPの範囲を満たしてもよい。この際、粘度とは、負極スラリーの製造工程における負極スラリー自体の粘度を意味し得る。
【0113】
すなわち、上記のように負極スラリーの製造工程において、ミキシング工程の条件、負極スラリーの温度条件、および負極スラリーの粘度条件を特定の範囲に調節することで、本出願に係る負極スラリーの負極スラリー粒度(グラインドゲージ)範囲を特定の範囲に調節することができる。
【0114】
結果的に、本発明による負極スラリーの負極スラリー粒度(グラインドゲージ)範囲は、単に一つの因子のみを調節して変更するのではなく、負極スラリーに含まれる負極組成物の組成および含量(材料特性)、負極スラリーの工程上の条件(温度、ミキシング条件、粘度)による複合的な因子により、本出願が最適な負極スラリー粒度(グラインドゲージ)範囲を確認したことが主な発明の目的に該当する。
【0115】
本出願の一実施態様において、負極集電体層;および前記負極集電体層の一面または両面に設けられた負極活物質層;を含むリチウム二次電池用負極であって、前記負極活物質層は、本出願の負極スラリーまたはその乾燥物を含む、リチウム二次電池用負極を提供する。
【0116】
本出願の一実施態様において、前記負極活物質層は、本出願の負極スラリーまたはその乾燥物を含むものであり、負極スラリーの乾燥物を含むとは、溶媒が蒸発し、負極スラリー100重量部を基準として溶媒の含量が0.1重量部以下の場合を満たすことを意味し得る。
【0117】
本出願の一実施態様において、前記負極集電体は、一般に1μm~100μmの厚さを有する。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ、高い導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが用いられてもよい。また、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させてもよく、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で用いられてもよい。
【0118】
本出願の一実施態様において、前記負極集電体層の厚さが1μm以上100μm以下であり、前記負極活物質層の厚さが1μm以上50μm以下であり、前記リチウム二次電池用負極の厚さが2μm以上100μm以下である、リチウム二次電池用負極を提供する。
【0119】
すなわち、本出願に係るリチウム二次電池用負極の場合、シリコン系活物質を負極活物質層に含むものであり、前述した特定の条件の負極スラリーをコーティングして負極活物質層を形成することで、従来のシリコン系負極のように容量特性に優れ、また、厚さ範囲も上記範囲のように薄く形成され、急速充電の効果を得ることができるという特徴を有する。
【0120】
ただし、前記負極集電体層の厚さは、用いられる負極の種類および用途に応じて多様に変形することができ、これに限定されない。
【0121】
図1は、本出願の一実施態様によるリチウム二次電池用負極の積層構造を示す図である。具体的に、負極集電体層10の一面に負極活物質層20を含むリチウム二次電池用負極100を確認することができ、
図1は、負極活物質層が一面に形成されたものを示すが、負極集電体層の両面に含んでもよい。
【0122】
本出願の一実施態様において、前記負極活物質層の空隙率は10%以上60%以下の範囲を満たしてもよい。
【0123】
他の一実施態様において、前記負極活物質層の空隙率は10%以上60%以下、好ましくは20%以上50%以下、より好ましくは30%以上45%以下の範囲を満たしてもよい。
【0124】
前記空隙率は、負極活物質層に含まれるシリコン系活物質;導電材;およびバインダーの組成および含量に応じて変動するものであり、特に本出願に係るシリコン系活物質;および負極導電材を特定の組成および含量部で含むことで上記範囲を満たすものであり、これにより、電極における電気伝導度および抵抗が適した範囲を有することを特徴とする。
【0125】
本出願の一実施態様において、負極集電体層を準備するステップ;前記負極集電体層の一面または両面に本出願に係る負極スラリーをコーティングして負極コーティング層を形成するステップ;前記負極コーティング層を乾燥するステップ;および前記負極コーティング層を圧延して負極活物質層を形成するステップ;を含む、リチウム二次電池用負極の製造方法を提供する。
【0126】
この際、前記負極コーティング層の厚さが20μm以上50μm以下である、リチウム二次電池用負極の製造方法を提供する。
【0127】
すなわち、本出願に係るリチウム二次電池用負極の製造において、従来の問題であるシリコン系負極の活物質層の厚さを制御し難い部分を本出願に係る特定の条件で粒度が制御された負極スラリーを塗布してコーティング層を形成することで、上記のような厚さ範囲を実現できるという特徴を有する。
【0128】
本出願の一実施態様において、正極;本出願に係るリチウム二次電池用負極;前記正極と前記負極との間に設けられたセパレータ;および電解質;を含む、リチウム二次電池を提供する。
【0129】
図2は、本出願の一実施態様によるリチウム二次電池の積層構造を示す図である。具体的に、負極集電体層10の一面に負極活物質層20を含むリチウム二次電池用負極100を確認することができ、正極集電体層50の一面に正極活物質層40を含むリチウム二次電池用正極200を確認することができ、前記リチウム二次電池用負極100とリチウム二次電池用正極200がセパレータ30を間に置いて積層される構造に形成されることを示す。
【0130】
本明細書の一実施態様による二次電池は、特に上述したリチウム二次電池用負極を含んでもよい。具体的に、前記二次電池は、負極、正極、前記正極と前記負極との間に介在したセパレータ、および電解質を含んでもよく、前記負極は、上述した負極と同様である。前記負極については上述したため、具体的な説明は省略する。
【0131】
前記正極は、正極集電体、および前記正極集電体上に形成され、前記正極活物質を含む正極活物質層を含んでもよい。
【0132】
前記正極において、正極集電体は、電池に化学的変化を誘発せず、かつ、導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものが用いられてもよい。また、前記正極集電体は、通常、3μm~500μmの厚さを有してもよく、前記集電体の表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めてもよい。例えば、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で用いられてもよい。
【0133】
前記正極活物質は、通常用いられる正極活物質であってもよい。具体的に、前記正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や1またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;LiFe3O4などのリチウム鉄酸化物;化学式Li1+c1Mn2-c1O4(0≦c1≦0.33)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-c2Mc2O2(ここで、MはCo、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B、およびGaからなる群より選択された少なくともいずれか一つであり、0.01≦c2≦0.3を満たす)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-c3Mc3O2(ここで、MはCo、Ni、Fe、Cr、Zn、およびTaからなる群より選択された少なくともいずれか一つであり、0.01≦c3≦0.1を満たす)、またはLi2Mn3MO8(ここで、MはFe、Co、Ni、Cu、およびZnからなる群より選択された少なくともいずれか一つである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4などが挙げられるが、これに限定されはない。前記正極は、Li金属であってもよい。
【0134】
前記正極活物質層は、前述した正極活物質と共に、正極導電材および正極バインダーを含んでもよい。
【0135】
この際、前記正極導電材は、電極に導電性を付与するために用いられるものであり、構成される電池において、化学変化を引き起こすことなく電子伝導性を有するものであれば特に限定なく使用可能である。具体例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの導電性高分子などが挙げられ、この中の1種の単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。
【0136】
また、前記正極バインダーは、正極活物質粒子間の付着および正極活物質と正極集電体との接着力を向上させる役割をする。具体例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、この中の1種の単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。
【0137】
前記セパレータとしては、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであり、通常、二次電池においてセパレータとして用いられるものであれば特に限定なく使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、かつ、電解質含湿能力に優れることが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、およびエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造された多孔性高分子フィルム、またはこれらの2層以上の積層構造体が用いられてもよい。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が用いられてもよい。また、耐熱性または機械的強度を確保するために、セラミック成分または高分子物質が含まれたコーティングされたセパレータが用いられてもよく、選択的に単層または多層構造として用いられてもよい。
【0138】
前記電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これに限定されない。
【0139】
具体的に、前記電解質は、非水系有機溶媒および金属塩を含んでもよい。
【0140】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が用いられてもよい。
【0141】
特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒として、誘電率が高く、リチウム塩をよく解離させるため好ましく用いることができ、このような環状カーボネートにジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の直鎖状カーボネートを適した割合で混合して用いると、高い電気伝導率を有する電解質を作製することができるためさらに好ましく用いることができる。
【0142】
前記金属塩としては、リチウム塩を用いてもよく、前記リチウム塩は、前記非水電解質に溶解しやすい物質であり、例えば、前記リチウム塩のアニオンとしては、F-、Cl-、I-、NO3
-、N(CN)2
-、BF4
-、ClO4
-、PF6
-、(CF3)2PF4
-、(CF3)3PF3
-、(CF3)4PF2
-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3
-、CF3CF2SO3
-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、(SF5)3C-、(CF3SO2)3C-、CF3(CF2)7SO3
-、CF3CO2
-、CH3CO2
-、SCN-、および(CF3CF2SO2)2N-からなる群より選択される1種以上を用いてもよい。
【0143】
前記電解質には、前記電解質の構成成分の他にも、電池の寿命特性の向上、電池容量の減少抑制、電池の放電容量の向上などを目的に、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、または三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれてもよい。
【0144】
本発明の一実施態様は、前記二次電池を単位セルとして含む電池モジュールおよびこれを含む電池パックを提供する。前記電池モジュールおよび電池パックは、高容量、高いレート特性およびサイクル特性を有する前記二次電池を含むため、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグ-インハイブリッド電気自動車、および電力貯蔵用システムからなる群より選択される中大型デバイスの電源として用いることができる。
【実施例】
【0145】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本記載を例示するためのものにすぎず、本記載の範囲および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することは当然である。
【0146】
<製造例>
<負極の製造>
シリコン系活物質としてSi(平均粒径(D50):3.5μm)、第1導電材、第2導電材、およびバインダーとしてポリアクリルアミド(PAM)からなる負極活物質層組成物を下記表1の重量比で、負極スラリー形成用溶媒として蒸留水に添加し、負極スラリーを製造した(固形分濃度25重量%)。
【0147】
【0148】
前記第1導電材は、板状の黒鉛(比表面積:17m2/g、平均粒径(D50):3.5μm)であり、前記第2導電材は、SWCNTであった。前記表1において、シリコン系活物質、第1導電材、第2導電材、およびバインダーとしてポリアクリルアミド(PAM)からなる負極活物質層組成物の総100重量部を基準としてそれぞれの重量部を示した。
【0149】
具体的なミキシング方法としては、前記第1導電材、第2導電材、バインダー、および水をホモミキサーを用いて下記表2の条件で第1ミキシングして分散させた後、前記シリコン系活物質を添加した後、下記表2の条件で第2ミキシングして分散させて負極スラリーを作製した。
【0150】
この際、負極スラリー粒度のDminおよびDmax値は、それぞれ下記表3の範囲を満たした。
【0151】
負極集電体層として厚さ8μmを満たす銅集電体の一面に前記負極スラリーを下記表3の重量ロード量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して負極活物質層を形成し、圧延電極の厚さおよび負極活物質層の厚さは下記表3のとおりであった(負極の空隙率40.0%)。
【0152】
【0153】
【0154】
前記表3において、電極の不良有無は、電極の製造工程で問題なく電極が生産される場合には×、電極の製造工程自体に問題が発生し、電極の製造ができない場合にはO、電極自体は製造されるが、製造された電極に粒子発生などの問題が発生する場合には△で示した。
【0155】
前記表1~表3の結果から確認できるように、本出願に係る負極スラリーの場合、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDminが8μm以下であり、Dmaxが7μm以上30μm以下であることを満たす。シリコン系負極の場合、容量特性には優れるものの、急速充電のために電極を薄く形成することが重要であり、本出願に係る負極スラリーの粒度値が上記範囲を満たす場合、負極スラリーのコーティング厚さを薄く形成し、これにより、容量特性に優れるとともに、急速充電も可能なリチウム二次電池用負極を確保できるという特徴を有することを確認することができた。
【0156】
比較例1および比較例2は、負極スラリー粒度(グラインドゲージe)のDminが8μm以下の範囲を満たすが、Dmaxが本出願に係る範囲を超過する場合に該当する。これは、負極組成物に含まれる材料の組成、含量、および工程条件による複合的な要因や、表2から分かるように、主な原因は、ミキシング時間を長くしたが、スラリーの温度が上昇し、多量のバインダーが含まれたスラリーの相が不安定になることによる結果である。この場合、スラリーの移送過程で詰まりが発生し、工程自体が進行せず、これにより、負極活物質層のコーティングができないことを確認することができた。
【0157】
比較例3は、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDmaxが本出願の範囲を満たすが、Dminが本出願に係る範囲を超過する場合に該当する。負極組成物に含まれる材料の組成、含量、および工程条件による複合的な要因により上記のような結果を示すが、これは、負極組成物に含まれる材料問題およびミキシング方式による差が主な要因に該当する。この場合、比較例1および比較例2と異なり、移送過程で詰まり現象は発生しなかったが、負極活物質層の形成後に粒子が発生し、製造後に問題が発生することを確認することができた。
【0158】
比較例4は、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDmaxおよびDminが本出願に係る範囲をすべて超過する場合に該当する。前述したように複合的な要素が合わさった結果であるが、これは、表2から分かるように、作業時間による問題が主な原因に該当する。この場合も、比較例1および比較例2と同様に、スラリーの移送過程で詰まりが発生し、工程自体が進行せず、これにより、負極活物質層のコーティングができないことを確認することができた。
【0159】
最後に、比較例5は、負極スラリー粒度(グラインドゲージ)のDmaxが本範囲未満である場合に該当する。この場合も、比較例3と同様の要因に該当し、この場合、移送過程で詰まり現象は発生しなかったが、負極活物質層の形成後に粒子が発生し、製造後に問題が発生することを確認することができた。
【符号の説明】
【0160】
10 ・・・負極集電体層
20 ・・・負極活物質層
30 ・・・セパレータ
40 ・・・正極活物質層
50 ・・・正極集電体層
100 ・・・リチウム二次電池用負極
200 ・・・リチウム二次電池用正極
【国際調査報告】