(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ユーザの手の検出に応じたケーシングアクセスを有するポータブルデバイス
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240829BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20240829BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20240829BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240829BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/51
A24F40/50
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510477
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2022072818
(87)【国際公開番号】W WO2023025616
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 顕
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC01
4B162AD08
4B162AD12
(57)【要約】
ポータブルデバイス(1)が、ケーシング”Iであって、開口部(9)と、ケーシング開口部(9)を閉塞する閉位置とケーシング(7)へのアクセスを許可する開位置との間を移動可能なクロージャ要素(5)とを有するケーシング”Iを備える本体(16)を備える。本体(16)は、選択されたエリア(19)に設置され、この選択されたエリア(19)において本体(16)を保持するユーザの手(21)を検出するように構成された第1のセンサ(4)と、この第1のセンサ(4)によってユーザの手(21)が検出されたときに、クロージャ要素(5)をその開位置に移動させるように構成された機構(18)とを更に備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(16)を備えるポータブルデバイス(1)であって、
前記本体(16)は、
開口部(9)と、
前記ケーシング開口部(9)を閉塞する閉位置と前記ケーシング(7)へのアクセスを許可する開位置との間を移動可能なクロージャ要素(5)と
を有する、ケーシング(7)を備え、
前記本体(16)が、
i)選択されたエリア(19)に設置され、前記選択されたエリア(19)において前記本体(16)を保持するユーザの手(21)を検出するように構成された第1のセンサ(4)と、
ii)前記第1のセンサ(4)によって前記ユーザの手(21)が検出されたときに、前記クロージャ要素(5)を前記閉位置から前記開位置に移動させるように構成された機構(18)と
を更に備える、
ポータブルデバイス(1)。
【請求項2】
前記第1のセンサ(4)が、容量式センサ、抵抗膜式圧力センサ、及びひずみゲージからなる群から選択される、
請求項1に記載のポータブルデバイス。
【請求項3】
前記第1のセンサ(4)が、前記ユーザの手が、少なくとも事前に定義された力を、少なくとも1つの事前に定義された持続時間且つ少なくとも1に等しい事前に定義された回数、前記選択されたエリアにかけているときに、前記ユーザの手を検出するように構成される、
請求項1又は2に記載のポータブルデバイス。
【請求項4】
前記事前に定義された持続時間が500ms~2sに含まれ、
前記事前に定義された力が2N~6Nに含まれ、
前記事前に定義された回数が1~3に含まれる、
請求項3に記載のポータブルデバイス。
【請求項5】
前記本体(16)が、少なくとも前記選択されたエリアにプラスチックカバーを備える外面を備え、
前記第1のセンサ(4)が、前記外面と前記プラスチックカバーとの間に設置される、
請求項1~4のいずれか一項に記載のポータブルデバイス。
【請求項6】
前記クロージャ要素(5)が第1の磁石(23)を備え、
前記機構(18)が、前記クロージャ要素(5)を前記閉位置から前記開位置に移動させるために前記第1の磁石(23)を引き付けるために、前記ユーザの手が前記第1のセンサ(4)によって検出されたときに第1の磁界を発生させるように構成された電磁コイル(24)を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載のポータブルデバイス。
【請求項7】
前記機構(18)が、
前記第1の電磁コイル(24)から間隔を空けて配置され、
前記第1の電磁コイル(24)が前記第1の磁界を発生させなくなったときに前記第1の磁石(23)を引き付けて、前記クロージャ要素(5)を前記開位置から前記閉位置に移動させるために、第2の磁界を発生させるように構成された
第2の磁石(25)を備える、
請求項6に記載のポータブルデバイス。
【請求項8】
前記ポータブルデバイスがエアロゾル発生デバイスを備え、
前記エアロゾル発生デバイスにおいて、前記ケーシング(7)が少なくともエアロゾル形成物質(8)を含む消耗品(2)を受け入れるためのものであり、
前記ポータブルデバイスが、
前記ケーシング(7)を備え、
電気エネルギーが供給されたときに、前記エアロゾル形成物質(8)を、前記ユーザによって吸入され得るエアロゾルに変換するように構成された
エアロゾル発生ユニット(3)を備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載のポータブルデバイス。
【請求項9】
前記ポータブルデバイスが、
前記エアロゾル形成物質(8)を前記エアロゾルに変換するために前記エアロゾル発生ユニット(3)によって使用され、
前記クロージャ要素(5)を前記開位置に移動させるために前記機構(18)によって使用される電気エネルギーを貯蔵する
充電式バッテリ(15)を備える、
請求項8に記載のポータブルデバイス。
【請求項10】
前記本体(16)が、前記ケーシング(7)に受け入れられた消耗品(2)を検出するように構成された第2のセンサ(26)を備え、
前記エアロゾル発生ユニット(3)が、前記第2のセンサ(26)が前記ケーシング(7)において前記消耗品(2)を検出したときに、前記エアロゾル形成物質(8)を前記エアロゾルに変換するように構成される、
請求項8又は9に記載のポータブルデバイス。
【請求項11】
前記第2のセンサ(26)が、フォトレジスタ及び近接センサからなる群から選択される、
請求項10に記載のポータブルデバイス。
【請求項12】
前記本体(16)が、前記第2のセンサ(26)を保護するために、前記第2のセンサ(26)と前記ケーシング(7)との間において前記ケーシング(7)と連絡する穴(28)に設置された透明保護カバー(27)を備える、
請求項10又は11に記載のポータブルデバイス。
【請求項13】
前記第2のセンサ(26)が、前記消耗品(2)が前記ケーシング(7)から取り出されたことを検出するように、また、前記検出後に、前記エアロゾル発生ユニット(3)への前記電気エネルギー供給を停止させるように構成される、
請求項10~12のいずれか一項に記載のポータブルデバイス。
【請求項14】
前記エアロゾル形成物質(8)が、タバコ材料又は少なくとも1種のポリオールを含む、
請求項8~13のいずれか一項に記載のポータブルデバイス。
【請求項15】
前記ポータブルデバイスが電子タバコを構成する、
請求項8~14のいずれか一項に記載のポータブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシングへのアクセスを制御するクロージャ要素を備える本体を有するポータブルデバイスに関し、より詳細には、ユーザがこのようなポータブルデバイスの使用を開始するときの、このクロージャ要素の移動の自動的な制御に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかのポータブルデバイスは、ケーシングであって、開口部と、ケーシング開口部を閉塞する閉位置とケーシングへのアクセスを許可する開位置との間を移動可能なクロージャ要素とを有するケーシングを備える本体を備える。これは、特に、限定されるものではないが、ケーシングがベーピングセッションにおいてエアロゾルを発生させるための少なくともエアロゾル形成物質を含む消耗品を受け入れるように構成される、いくつかのエアロゾル発生デバイスの例である。
【0003】
一般に、既知のポータブルデバイスの本体は専用ボタンを備え、専用ボタンは、機構に結合され、それ自体がクロージャ要素に結合され、ユーザがポータブルデバイスを使用したいと望むたびに、またケーシングを開く(例えば、消耗品を導入又は取り出す)ことを望むたびに、ユーザによって操作(又は作動)される必要がある。そのため、ユーザはケーシングにアクセスする前に1つ以上の操作を行う必要があり、このことは、一部のユーザにとっては、例えば、ユーザが自らのポータブルデバイスを使用するためにいくつかの他の操作(特に、ベーピングセッションの準備及び開始)を行う必要がある場合に、欠点となるようである。
【0004】
更に、ポータブルデバイスの寸法が小さいため、ユーザが機構を制御できるようにする専用ボタンは、例えばポケット又はバッグの中において、誤って容易に操作される可能性があり、したがって、機構及び/又はクロージャ要素が破損する可能性があったり、ケーシングに収容された物体(例えば、消耗品)がケーシングから離れ、ユーザが物体をケーシングに再び挿入することが必要になることがあったり(破損していない場合)、何らかの塵埃又は材料の残渣がケーシング内に入り込み、これにより操作(例えば、エアロゾルの発生)が妨げられる可能性があったり、又は健康に危険であったり(例えば、加熱によって変換され、発生されたエアロゾルと混合される場合)する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、上記の状況を改善することを目的とし、特に、ポータブルデバイス本体におけるユーザの手の特定の検出時に、クロージャ要素の自動的な制御を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
提案される発明は、ケーシングであって、開口部と、ケーシング開口部を閉塞する閉位置とケーシングへのアクセスを許可する開位置との間を移動可能なクロージャ要素とを有するケーシングを備える本体を備えるポータブルデバイスの一実施形態を提供する。
【0007】
本ポータブルデバイスは、その本体が、
-選択されたエリアに設置され、この選択されたエリアにおいて本体を保持するユーザの手を検出するように構成された第1のセンサと、
-この第1のセンサによってユーザの手が検出されたときに、クロージャ要素をその開位置に移動させるように構成された機構と
を更に備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のおかげで、クロージャ要素は、専用の操作ボタンに頼らずに、ユーザのポータブルデバイスの保持の仕方に応じて、具体的には、第1のセンサによるユーザの手の検出に応じて、非常に簡単且つ自動的に作動され得る。
【0009】
第1のセンサは、ケーシングの選択されたエリアに設置、すなわち配置される。デバイス本体は外壁を備え得る。第1のセンサは、外壁の選択されたエリアに設置、すなわち配置され得る。
【0010】
ポータブルデバイスの実施形態は、別個に、又は組み合わせて検討される他の特徴、特に以下の特徴を含んでもよい。
・第1のセンサは、容量式センサ、抵抗膜式圧力センサ、及びひずみゲージからなる群から選択され得る。
・第1のセンサは、ユーザの手が、少なくとも事前に定義された力を、少なくとも1つの事前に定義された持続時間且つ少なくとも1に等しい事前に定義された回数、選択されたエリアにかけているときに、ユーザの手を検出するように構成され得る。
・例えば、事前に定義された持続時間は500ms~2sに含まれ得、事前に定義された力は2N~6Nに含まれ得、事前に定義された回数は1~3に含まれ得る。
・本体は、少なくとも選択されたエリアにプラスチックカバー(場合により、取り外し可能なもの)を備える外面を備え得る。本実施形態では、第1のセンサは、この外面とこのプラスチックカバーとの間に設置され得る。
・実施形態の一例では、クロージャ要素は第1の磁石を備え得、機構は、クロージャ要素を閉位置からその開位置に移動させるためにこの第1の磁石を引き付けるために、ユーザの手が第1のセンサによって検出されたときに第1の磁界を発生させるように構成された電磁コイルを備え得る。
・直前の実施形態において、機構は、第1の電磁コイルから間隔を空けて配置され、第1の電磁コイルが第1の磁界を発生させなくなったときに第1の磁石を引き付けて、クロージャ要素をその開位置からその閉位置に移動させるために、第2の磁界を発生させるように構成された第2の磁石を備え得る。
・ポータブルデバイスはエアロゾル発生デバイスを備え得、エアロゾル発生デバイスにおいて、ケーシングが少なくともエアロゾル形成物質を含む消耗品を受け入れるためのものである。本実施形態では、ポータブルデバイスは、ケーシングを備え、電気エネルギーが供給されたときに、エアロゾル形成物質を、ユーザによって吸入され得るエアロゾルに変換するように構成されたエアロゾル発生ユニットを備え得る。
・直前の実施形態において、ポータブルデバイスは、エアロゾル形成物質をエアロゾルに変換するためにエアロゾル発生ユニットによって使用され、クロージャ要素をその開位置に移動させるために機構によって使用される電気エネルギーを貯蔵する充電式バッテリを備え得る。
・また、直前の実施形態において、本体は、ケーシングに受け入れられた消耗品を検出するように構成された第2のセンサを備え得、エアロゾル発生ユニットは、第2のセンサがケーシングにおいてこの消耗品を検出したときに、エアロゾル形成物質をエアロゾルに変換するように構成され得る。
・例えば、第2のセンサは、フォトレジスタ及び近接センサからなる群から選択され得る。
・また、例えば、本体は、第2のセンサを保護するために、第2のセンサとケーシングとの間においてケーシングと連絡する穴に設置された透明保護カバーを備え得る。この透明保護カバーは、例えば、ガラス材料又はプラスチック材料(場合により、防汚コーティングを有するもの)で作られ得る。
・また、例えば、第2のセンサは、消耗品がケーシングから取り出されたことを検出するように、また、この検出後に、エアロゾル発生ユニットへの電気エネルギー供給を停止させるように構成され得る。
・また、例えば、エアロゾル形成物質は、タバコ材料又は少なくとも1種のポリオールを含み得る。
・ポータブルデバイスは、電子タバコを構成し得る。
【0011】
本発明及びその利点は、非限定的な例としてのみ挙げられ、添付の図面を参照して記述される以下の詳細な説明を読めば、より良く理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明によるポータブルデバイスの実施形態の一例を、そのクロージャ要素が、そのケーシングに消耗品を挿入する前に、その閉位置にある状態で、概略的且つ機能的に断面図で示す。
【
図2】選択されたエリアにおいてユーザの手を検出した後に、そのクロージャ要素の開放及びそのケーシングへの消耗品の挿入を許可している
図1のポータブルデバイスを概略的且つ機能的に断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ユーザによって使用され得るポータブルデバイス1であって、ケーシング7へのアクセスを制御し、ユーザの手の位置に応じて開位置に配置されるクロージャ要素5を有するポータブルデバイス1を提供することを目的とする。
【0014】
以下の説明では、ポータブルデバイス1はエアロゾル発生デバイス装置であると見なす。ただし、本発明によるポータブルデバイス1は、物体の導入(又は挿入)及び取り出しが意図されているケーシングへのアクセスを制御するクロージャ要素を備える限り、別のタイプのものであってもよい。
【0015】
更に、以下の説明では、エアロゾル発生デバイス1は、電子タバコ(又はeシガレット若しくは個人気化器)である(又はこれを構成する)と見なす。ただし、本発明によるエアロゾル発生デバイス1は、固体の形態のエアロゾル形成物質をエアロゾル(場合により、室温に近いもの)に変換することができる限り、別のタイプのものであってもよい。より一般的には、本発明によるポータブルデバイス1は、固体物質を加熱するためのヒータを備える、通常Tベイパー(又は「加熱非燃焼式(heat-not-burn)」(又はHnB))デバイスと呼ばれる任意のエアロゾル発生デバイスに関する。
【0016】
更に、以下の説明では、ケーシング7に導入(又は挿入)されることが意図される物体は、少なくともエアロゾル形成物質8を含む消耗品2であると見なす。例えば、この消耗品2はタバコスティックである。よって、エアロゾル形成物質は、少なくともタバコ材料(場合により、刻みタバコ)を含む。ただし、本発明は、このタイプの消耗品に限定されない。
【0017】
「エアロゾル形成物質」という用語は、エアロゾルを形成するように空気中でエアロゾル化可能な任意の材料を指定するために使用される。よって、エアロゾル形成物質は、ニコチン、タバコ材料、ポリオール、カフェイン、若しくは他の活性成分、又は香味料のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0018】
更に、「エアロゾル」という用語は、物質の懸濁液を固体粒子、液滴、及び気体のうちの1つ以上として含んでもよく、その上、そのような懸濁液が空気を含む気体内にあり得る。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本発明によるポータブルデバイス1(ここでは、エアロゾル発生デバイス)は、開口部9、クロージャ要素5、第1のセンサ4、及び機構18を有するケーシング7を備える本体16を少なくとも備える。
【0020】
クロージャ要素5は、ケーシング開口部9を閉塞する閉位置(
図1に示す)と、ケーシング7へのアクセスを許可する開位置(
図2に示す)との間で移動可能である。
【0021】
第1のセンサ4は、デバイス本体16の選択されたエリア19に設置され、この選択されたエリア19においてデバイス本体16を保持するユーザの手21を検出するように構成される(
図2参照)。
【0022】
例えば、デバイス本体16は外面を有する外壁20を備え、外面上で、第1のセンサ4によって検出されるためにユーザの手21の一部が配置されなければならない場所を示すように、この選択されたエリア19が区切られる。選択されたエリア19は、好ましくは、ユーザがポータブルデバイス1を使用するとき(例えば、ポータブルデバイス1がエアロゾル発生デバイスであるときのベーピングセッションの際)、ユーザの手21が通常部分的に配置される場所に画定される。
【0023】
換言すれば、第1のセンサ4がユーザの手21を(好ましくは、以下に説明するように、特定の条件下で)検出できるのは、ユーザの手21が選択されたエリア19に部分的に接触している(ここでは、少なくとも1本の指が選択されたエリア(19)に接触している)場合だけである。ユーザの手21が(好ましくは、特定の条件下で)選択されたエリア19と接触することは、ポータブルデバイス1を使用しようとする意思があると見なされる。
【0024】
機構18は、
図2に示すように、第1のセンサ4によってユーザの手21が検出されたときに、クロージャ要素5をその開位置に移動させるように構成される。
【0025】
よって、本発明により、専用の操作ボタンに頼らずに、ユーザのポータブルデバイス1の保持の仕方に応じて、非常に簡単且つ自動的にクロージャ要素5を作動させることができる。本発明はまた、本発明によってユーザのポータブルデバイス1を使用するためのユーザの操作の回数を減らすことができるという事実により、ユーザ体験を強化する。更に、ポータブルデバイス1が、把持の有無に依るものであることから、機構18の(ケーシング7へのアクセスを可能にする)制御が意図せずに開くことはない。
【0026】
例えば、第1のセンサ4は、デバイス本体16に収容された電源15により電気エネルギー(又は電力)を供給され得る。しかし、これは必須ではない。実際、電源15は、例えば、2つの対応するねじ部分によるねじ止め、クリップ留め、又は磁石によって、本体16に結合された別の本体に収容することもできる。また、例えば、電源15は、充電式バッテリであり得る。この場合、本体16は、充電式バッテリ15の充電セッション中に充電器ケーブルが接続され得る電気コネクタを備え得る。そのような充電器ケーブルは、(AC)アダプタ又は壁コンセントに結合され得る。充電器ケーブル及び/又は(AC)アダプタは、ポータブルデバイス1に属し得る。
【0027】
また、例えば、クロージャ要素5は、機構18によって閉位置と開位置との間で移動(矢印F)され得る摺動可能なシャッタであり得る。
図1及び
図2の非限定的な例では、クロージャ要素5は、直線的に移動され、したがって並進移動される平板である。ただし、クロージャ要素5は、湾曲した形状を有してもよく、機構18によって閉位置と開位置との間で移動されるときに、湾曲した線を辿ってもよい。クロージャ要素5の移動を容易にするために、デバイス本体16は、
図1及び
図2の非限定的な例に示すように、ケーシング開口部9の近傍に案内部材(又はレール)22を備え得る。
【0028】
また、例えば、第1のセンサ4は、抵抗膜式圧力センサであり得る。この場合、第1のセンサ4は、ユーザの手21がデバイス本体16上で選択されたエリア19においてかける圧力を検出するように構成される。ただし、実施形態の変形形態では、第1のセンサ4は、例えば、容量式センサ(デバイス本体16上での選択されたエリア19における指の存在によって、又はユーザの手21がデバイス本体16上で選択されたエリア19においてかける圧力によって生じる静電容量の変動を検出するもの)であってもよいし、又はひずみゲージ(ユーザの手21がデバイス本体16上で選択されたエリア19において与えるひずみの変動を検出するもの)であってもよい。
【0029】
実施形態の一例では、第1のセンサ4は、ユーザの手21が、少なくとも事前に定義された力を、少なくとも1つの事前に定義された持続時間且つ少なくとも1に等しい事前に定義された回数、選択されたエリアにおいてかけているときに、ユーザの手(21)を検出するように構成され得る。この場合、事前に定義された持続時間は、500ms~2sに含まれ得る。例えば、検出される力の事前に定義された持続時間(これは、検出のために満たすべき第1の条件であり得る)は、1sに等しくてもよい。また、この場合、事前に定義された力は、2N~6Nに含まれ得る。例えば、事前に定義された力(これは、検出のために満たすべき第2の条件であり得る)は4Nに等しくてもよい。また、この場合、事前に定義された力が検出される回数は1~3に含まれ得る。例えば、ユーザが、ケーシング7にアクセスしようとしていないのにうっかり選択されたエリア19を1回だけ押した場合に、クロージャ要素の移動がトリガされないようにするために、回数(これは、検出のために満たすべき第3の条件となり得る)は2に等しくてもよい。
【0030】
また、例えば、デバイス本体16は、少なくとも選択されたエリア19にプラスチックカバーを備える外面を備え得る。本実施形態では、第1のセンサ4は、この外面とこのプラスチックカバーとの間に設置され得る(又は挟まれ得る)。これにより、第1のセンサ4の保護が可能となる。このプラスチックカバーは、好ましくは、第1のセンサ4が交換され得るときに、取り外し可能である。
【0031】
図1及び
図2の非限定的な例に示すように、クロージャ要素5は、第1の(永久)磁石23を備え得、機構18は、ユーザの手21が第1のセンサ4によって検出されたときに第1の磁界を発生させるように構成された電磁コイル24を備え得る。この第1の磁界は、
図2に示すように、クロージャ要素5をその閉位置からその開位置に移動させるために、第1の磁石23を引き付けるためのものである。このような機構18により、ユーザの手21が選択されたエリア19において検出されない限り、電磁コイル24は電気エネルギーを供給されず、したがってクロージャ要素5はその閉位置に留まる。そして、ユーザの手21が選択されたエリア19において検出されると、電磁コイル24は電源15から到来する電気エネルギーを供給され、したがってクロージャ要素5はその開位置に到達する。
【0032】
例えば、第1の磁界の強度は、250mT~500mTに含まれ得る。
【0033】
また、
図1及び
図2の非限定的な例に示すように、機構18は、第1の電磁コイル24から間隔を空けて配置され、第2の磁界を発生させるように構成された第2の磁石25を備え得る。この第2の磁界は、電磁コイル24が第1の磁界を発生させなくなったときに第1の磁石23を引き付けて、クロージャ要素5をその開位置から閉位置に移動させるためのものである。このような実施形態により、電磁コイル24が電気エネルギーを供給されなくなると、第1の磁石23が今度は第2の磁界に引き付けられるため、クロージャ要素5は、その開位置からその閉位置に自動的に移動する。これにより、第2の磁石25が永久磁石である場合、場合により電気エネルギーを消費することなく、非常に簡単な仕方でケーシング7を閉鎖することができる。ただし、実施形態の変形形態では、第2の磁石25は、ケーシング7を閉鎖しなければならないとき(すなわち、電磁コイル24が電気エネルギーを供給されなくなったとき)に電気エネルギーに供給される電磁コイルであってもよい。
【0034】
このような実施形態により、機構18は、機械的に複雑な可動部分を持たないため、その寿命及び堅牢性が著しく増す。
【0035】
第2の磁石25が永久磁石である場合、第2の磁界も永続的であることに留意されたい。よって、クロージャ要素5をその閉位置からその開位置に移動できるようにするためには、第1の磁界の強度が第2の磁界の強度より大きい必要がある。強度に関するこの条件は、第2の磁石25が第2の電磁コイルである場合には、コントローラ6が、電気エネルギーを第1の電磁コイル24に供給する際、第2の電磁コイル25への電気エネルギーの供給を妨げる(その逆も同様)ため、実施する必要はない。
【0036】
例えば、第2の磁界は永続的である場合、その強度は、250mT~500mTに含まれ得る。ただし、第2の磁界が永続的でない場合、その強度は第1の磁界の強度と等しくてもよい。
【0037】
図1及び
図2に非限定的に示すように、ポータブルデバイス1がエアロゾル発生デバイスである場合、そのケーシング7は、少なくともエアロゾル形成物質8を含む消耗品2(ここでは、タバコスティック)を受け入れるためのものであり、その本体16はエアロゾル発生ユニット3を備える。エアロゾル発生ユニット(3)は、ケーシング7を備え、電源15から到来する電気エネルギーが供給されると、空気と混合されたエアロゾル形成物質8を、ベーピングセッションにおいて連続的な吸引(又は「パフ」又は吸入段階)を通してユーザが吸入し得るエアロゾルに変換するように構成される。
【0038】
クロージャ要素5がその開位置(
図2)にあるとき、ユーザは消耗品2の少なくとも一部を、加熱チャンバとなり得るケーシング7に手動で挿入し得る。
【0039】
図1及び
図2の非限定的な例に示すように、ケーシング7は、空気流路11の空気出口10と連絡して、この空気流路11の少なくとも1つの空気入口12から到来する空気を供給される。これにより、エアロゾル形成物質8と空気との混合が可能になる。
【0040】
また、図示のように、消耗品2は、エアロゾル形成物質8の下流にフィルタ13を備え得る。
図2の非限定的な例では、消耗品2は、ケーシング7に完全に挿入される。ただし、タバコのように、フィルタ13は、少なくとも部分的に、また一時的にユーザの口に配置されてもよく、この場合、フィルタ13は、各パフ(又は吸入)において発生されたエアロゾルを吸い込むためのマウスピースとして使用される。
【0041】
エアロゾル形成物質8は、(燃焼せずに)加熱されて空気と混合されたときにエアロゾルを発生させるように構成される。この加熱は、電源15から到来する電気エネルギーを供給されるヒータ14により行われる。このヒータ14は、エアロゾル発生ユニット3に属し得る。
【0042】
図1及び
図2に示す非限定的な例では、ヒータ14はケーシング7を囲み、ひいては消耗品2(より正確には、そのエアロゾル形成物質8)の一部を囲んで、エアロゾル形成物質(8)を加熱する。例えば、ヒータ14は、ケーシング7の側壁と内部空間の少なくとも一部とを加熱するために、ケーシング7の外面の周りに巻かれた薄膜ヒータであり得る。ただし、変形形態(図示せず)では、ヒータ14は、サセプタ又は抵抗性コイルヒータに関連するコイルであり得る。第1の代替形態では、コイルは、電流が供給されると電磁界を発生するように構成され、サセプタは、この電磁界を熱に変換するように構成される。このサセプタは、消耗品2の箔であり、エアロゾル形成物質8を囲むか、エアロゾル形成物質8の内部に配置される。実施形態の他の変形形態(図示せず)では、ヒータ14は、消耗品2の内部又はケーシング7の内部に配置され得る。
【0043】
例えば、ヒータ14は、エアロゾル形成物質8を150℃~350℃に含まれる温度に加熱し得る。
【0044】
ベーピングセッションにおいてヒータ14に供給される電気エネルギーは、コントローラ6によって制御される。このコントローラ(又は制御ユニット)6は、エアロゾル発生ユニット3、特に、ベーピングセッションにおけるそのヒータ14、また起こり得る充電セッションにおける電源15、更に機構18を制御するための動作を実行するように構成されたプロセッサ及びメモリを少なくとも備え得る。
【0045】
電磁コイル24に供給された電気エネルギーもまた、コントローラ6によって制御され得る。この場合、第1のセンサ4は、選択されたエリア19において(場合により上述の条件下で)ユーザの手21を検出するたびに、コントローラ6に送信され、検出を表す信号を送出し、したがって、コントローラ6は、電気エネルギーの電磁コイル24への供給を可能にして、クロージャ要素5をその開位置に移動させる。
【0046】
例えば、コントローラ6のプロセッサは、デジタルシグナルプロセッサ(すなわちDSP)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であり得る。より一般的には、プロセッサは、複数の集積(又はプリント)回路、又は有線若しくは無線の接続を介して、それらの間に接続された、いくつかの集積(又はプリント)回路を含み得る。「集積(又はプリント)回路」という用語は、ここでは、少なくとも1つの電気的な又は電子的な動作を実行することが可能な任意のタイプのデバイスを指す。
【0047】
また、例えば、コントローラ6のメモリは、ランダムアクセスメモリ(すなわちRAM)であり得る。ただし、メモリは、プロセッサのためのプログラム命令を格納するように構成された任意のタイプのデバイスであってもよい。
【0048】
一般的に言えば、コントローラ(又は制御ユニット)6の機能は、プログラムロジックの動作を通して、専用ロジックを通して、プログラム制御と専用ロジックとの相互作用を通して、又は(ユーザによる)手動でも実行され得る。これらの機能は、専用ハードウェア及び適切なソフトウェアと連携してソフトウェアを実行可能なハードウェアの使用を通して提供され得る。
【0049】
図1及び
図2の非限定的な例に示すように、コントローラ(又は制御ユニット)6(並びに特にそのプロセッサ及びメモリ)は、(ここでは本体16内に収容された)プリント回路基板(すなわちPCB)17上に固定され得る。
【0050】
また、
図1及び
図2の非限定的な例に図示するように、デバイス本体16は、ケーシング7に受け入れられた消耗品2を検出するように構成された第2のセンサ26を備え得る。この場合、エアロゾル発生ユニット3は、第2のセンサ26がケーシング7において消耗品2を検出したときに、エアロゾル形成物質8をエアロゾルに変換するように構成され得る。換言すれば、第2のセンサ26がケーシング7において消耗品2を検出すると、この検出を表し、ヒータ14の電気エネルギー供給、ひいては吸入のためのエアロゾルの発生をトリガする特定の第1の信号を送出する。例えば、送出された特定の第1の信号はコントローラ6に送信されてもよく、したがってコントローラ6はヒータ14に電気エネルギーを供給することができる。
【0051】
例えば、第2のセンサ26はフォトレジスタであり得る。ただし、変形形態では、第2のセンサ26は、例えば、近接センサであってもよい。
【0052】
また、
図1及び
図2の非限定的な例に示すように、デバイス本体16は、第2のセンサ26を保護するために、第2のセンサ26とケーシング7との間で、ケーシング7と連絡する穴28に設置された透明保護カバー27を備え得る。これにより、第2のセンサ26の汚染又は破損が防止される。
【0053】
例えば、この透明保護カバー27は、ガラス材料又はプラスチック材料(場合により、防汚コーティングを有するもの)で作られ得る。
【0054】
また、例えば、第2のセンサ26は、消耗品2がユーザによってケーシング7から取り出されたことを検出するように、また、この検出後に、エアロゾル発生ユニット3への電気エネルギー供給を停止させるように構成され得る。
【0055】
換言すれば、第2のセンサ26がもはやケーシング7に消耗品2がないことを検出すると、この検出を表し、ヒータ14への電気エネルギー供給の停止、ひいてはエアロゾルの発生の終了をトリガする特定の第2の信号を送出する。例えば、送出された特定の第2の信号はコントローラ6に送信されてもよく、したがってコントローラ6はヒータ14に電気エネルギーを供給することを阻止する。
【0056】
コントローラ(又は制御ユニット)6はまた、そのプロセッサ及びメモリに加えて、少なくともエアロゾル発生ユニット3(特に、そのヒータ14)を制御するためのメッセージ及び命令を送達するために、入力インターフェース、大容量メモリ(特に、その計算及び処理中に生成される中間データを格納するためのもの)、及び出力インターフェースと、エアロゾル発生ユニット3、第1のセンサ4、機構18、及び存在し得る第2のセンサ26に(電源15に貯蔵された)電力を供給する電子コンポーネント(スイッチなど)とを備え得る。
【0057】
図1及び
図2のいくつかのブロック図は、本明細書において本発明の原理を具現化する例示的なコンポーネント(又は構成物)又は回路の概念図を表すことが当業者には理解されるはずである。
【0058】
説明及び図面は、単に発明の原理を説明する。したがって、本明細書に明示的に説明又は図示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を当業者であれば考案できることを理解されたい。更に、本明細書に列挙されたすべての例は、主に本発明の原理及び当技術分野を促進するために本発明者が寄与する概念を読み手が理解することを促進する単なる教育的目的のためのものであるように明示的に意図され、そのような具体的に列挙された例及び条件に限定されないものと解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態を列挙する本明細書のすべての記載並びにそれらの特定の例は、その均等物を包含するように意図される。
【国際調査報告】