(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】トラックリンク間隔センサ
(51)【国際特許分類】
E02F 9/02 20060101AFI20240829BHJP
E02F 3/84 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
E02F9/02 A
E02F3/84 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510505
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 US2022038300
(87)【国際公開番号】W WO2023027850
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン、エリック ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA02
2D003AB01
2D003BA06
2D003BB13
2D003DA04
(57)【要約】
摩耗監視システム(54)は、機械(10)のトラック組立品(24)のための一対のトラックリンク(26)を含み、感知装置(32)が、一対のトラックリンク(26)の各々のリンク本体内に形成された空洞(80)内に配置される。一つ以上の通信装置(34)は、感知装置(32)と関連付けられ、計算装置(56、58)は、通信装置(34)の各々と通信ネットワークを介して、無線接続される。感知装置(32)および計算装置(56、58)のうちの一つ以上は、一対のトラックリンク(26)のうちの一つ内に配置された感知装置(32)と、一対のトラックリンク(26)のうちのもう一つ内に配置された感知装置(32)との間の距離、および一対のトラックリンク(26)のうちの一つ内に配置された感知装置(32)と遠隔装置との間の距離のうちの一つ以上を検出するように構成される。計算装置(56、58)は、検出された距離の変化に基づいて、一対のトラックリンク(26)のうちの少なくとも一つの構成要素間の内部摩耗を判定するように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩耗監視システム(54)であって、
機械(10)のトラック組立品(12)のための一対のトラックリンク(26)と、
前記一対のトラックリンク(26)の各々のリンク本体(60)内に形成された空洞(80)内に配置された感知装置(32)と、
前記感知装置(32)と関連付けられた一つ以上の通信装置(34)と、
前記通信装置(34)の各々と通信ネットワークを介して、無線接続された計算装置(56、58)と、を備え、
前記感知装置(32)および前記計算装置(56、58)のうちの一つ以上は、前記一対のトラックリンク(26)のうちの一つ内に配置された前記感知装置(32)と前記一対のトラックリンクのうちのもう一つ内に配置された前記感知装置との間の距離、および前記一対のトラックリンクのうちの一つ内に配置された前記感知装置と遠隔装置との間の距離のうちの一つ以上を検出するように構成され、
前記計算装置(56、58)は、前記検出された距離の変化に基づいて、前記一対のトラックリンクのうちの少なくとも一つの構成要素間の内部摩耗を判定するように構成される、摩耗監視システム(54)。
【請求項2】
前記一対のトラックリンク(26)は、前記トラック組立品(24)のトラックチェーン(18)内で互いに直接隣接する、請求項1に記載の摩耗監視システム(54)。
【請求項3】
前記一対のトラックリンク(26)は、前記トラック組立品(24)のトラックチェーン(18)内の一つ以上の中間トラックリンク(26)によって分離される、請求項1に記載の摩耗監視システム(54)。
【請求項4】
前記計算装置(56、58)は、前記一対のトラックリンク(26)のうちの一つ内に配置された前記感知装置(32)と前記一対のトラックリンク(26)のうちの他方内に配置された前記感知装置(32)との間の距離が、所定の閾値距離を超える場合、前記一対のトラックリンク(26)のうちの少なくとも一つの構成要素間の内部摩耗が、所定の閾値摩耗量を超えると判定するように構成される、請求項1に記載の摩耗監視システム(54)。
【請求項5】
前記計算装置(56、58)は、前記一対のトラックリンク(26)のうちの一つ内に配置された前記感知装置(32)と、前記一対のトラックリンク(26)のうちの他方内に配置された前記感知装置(32)との間の前記距離が、前記感知装置の各々と前記遠隔装置との間の前記距離を比較することによって、前記所定の閾値距離を超えると判定するように構成される、請求項4に記載の摩耗監視システム(54)。
【請求項6】
前記感知装置(32)のうちの一つ以上は、GPSセンサ、磁気センサ、レーザーセンサ、レーダーセンサ、および無線周波数センサのうちの一つを含む、請求項1に記載の摩耗監視システム(54)。
【請求項7】
前記トラックリンク(26)のうちの少なくとも一つの構成要素間の前記内部摩耗は、トラックピン(40)の外面への摩耗、前記トラックリンク(26)の貫通孔(50)の内部ボアへの摩耗、前記トラックリンク(26)のブッシング(42)の内部ボアへの摩耗、および前記ブッシング(42)の外面への摩耗のうちの一つ以上を含む、請求項1に記載の摩耗監視システム(54)。
【請求項8】
前記機械(10)は、時間の少なくとも20%静止したままである機械である、請求項1に記載の摩耗監視システム(54)。
【請求項9】
前記機械(10)は、油圧採掘ショベル、油圧ショベル、または電気ロープショベルのうちの一つである、請求項8に記載の摩耗監視システム(54)。
【請求項10】
機械(10)用のトラックチェーン(18)に含まれるトラックリンク(26)の内部摩耗を監視する方法であって、
感知装置(32)を、前記機械(10)の前記トラックチェーン(18)内の一対のトラックリンク(26)の各々のリンク本体内に形成された空洞(80)内に配置すること、
一つ以上の通信装置(34)を、前記感知装置(32)と通信可能に関連付けること、
計算装置(56、58)を、前記通信装置(34)の各々と通信ネットワークを介して、無線接続すること、
前記感知装置および前記計算装置のうちの一つ以上を使用して、前記一対のトラックリンク(26)のうちの一つ内に配置された前記感知装置(32)と、前記一対のトラックリンク(26)のうちのもう一つ内に配置された前記感知装置(32)との間の距離、および前記一対のトラックリンク(26)のうちの一つ内に配置された前記感知装置(32)と遠隔装置との間の距離のうちの一つ以上を検出すること、および
前記計算装置を使用して、前記一対のトラックリンク内に配置された前記感知装置間の前記検出された距離、または前記一対のトラックリンクのうちの一つ内に配置された感知装置と前記遠隔装置との間の前記検出された距離のうちの一つの変化に基づいて、前記一対のトラックリンクのうちの少なくとも一つの構成要素間の内部摩耗を判定すること、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一対のトラックリンク、より詳しくは、トラックリンク間の距離を決定するための感知装置を含む一対のトラックリンクを対象とする。
【背景技術】
【0002】
移動式機械は、建設現場、解体現場、採掘現場、または埋め立て現場など、異なる作業現場で様々な種類の作業を実施するために使用され得る。例えば、ブルドーザは、建設現場で土および岩石を押しのけるために使用され得る。ブルドーザは、軌道型の移動式機械として、機械の左右の側にトラックを備えたトラック付き足回りを含む。トラックの各々は、複数のトラックリンクを互いに接続し、複数のトラックシューをチェーンに接続することによって形成されたチェーンを含む。トラックは、機械の両側の様々なローラ組立品によって支持される。
【0003】
移動式機械が動作すると、トラックリンクおよびローラ組立品などの足回りの構成要素を含む、様々な構成要素に摩耗または損傷が必然的にもたらされる。例えば、トラック組立品が動作する際に、各トラックリンクの表面は、トラック組立品、機械、および/または外部材料(例えば、地面)の他の構成要素との接触により、摩耗し得る。油圧採掘ショベルまたは電気ロープショベルなどの移動時間の割合が低い機械では、チェーン内のトラックリンクを枢動可能に相互接続するトラックピンとブッシングとの間の摩耗などの内部摩耗は、より顕著な摩耗源であり得る。移動時間の割合が低い一部の用途では、ピンおよびブッシングは、ブルドーザおよび軌道型トラクタなど、移動時間の割合が高い機械よりも少ない潤滑が提供され得、それゆえに、移動時間の割合が低い機械上で使用されるチェーン内のトラックリンクを相互接続するピンおよび/またはブッシングにより多くの内部摩耗をもたらす。異なる種類の機械は、異なる種類の摩耗を、トラックリンクまたは他の足回り構成要素に受け得る。例えば、構成要素がその予想寿命を超える場合(構成要素の使用年数または構成要素が受ける使用時間数に基づいて)、または構成要素の点検または評価の結果に基づいて、機械構成要素を修繕または交換することが知られている。
【0004】
構成要素が修繕または交換される時期を決定するためのこれらの公知の方法は、多くの欠点を抱えている。例えば、特定の機械構成要素は、その予想寿命をはるかに超えて使用され得、したがって、年齢のみに基づく構成要素の交換は、時期尚早であり得、不要なコストおよび機械のダウンタイムをもたらし得る。逆に、特定の機械構成要素は、その予想される寿命のかなり前に故障し得、損傷した構成要素を備えて機械を継続的に動作することで、機械の他の構成要素に損傷がもたらされ得る。同様に、機械構成要素の点検および評価により、構成要素の修繕または交換が不要と判定される場合、不要なコストおよび機械のダウンタイムがもたらされ得る。なおさらに、点検および評価では、データおよびその他の情報をセンサから収集するコンピュータにセンサを接続する広範な配線を用いて、機械全体に様々なセンサを一時的に設置することによって、機械が評価され得ることが要件となり得る。配線により、機械が作業現場で運転されることが防止され、したがって、このような評価では、作業中の機械の実際の使用に関する情報は提供されない。
【0005】
したがって、移動式機械に関連する摩耗情報などの情報を収集するための改善された監視システムに対するニーズは存在する。さらに、機械が受ける特定の種類の使用に適合された摩耗監視システム、およびトラック付き足回りのトラック付きリンクの外面上、またはトラックリンクのチェーンのトラックリンクを相互接続するピンおよびブッシングなどの内部構成要素上に摩耗が発生する可能性がより高いかどうかなどの、機械の種類の特性に対するニーズが存在する。本開示は、上述の問題および/または先行技術の他の問題のうちの一つ以上の解決を対象とする。
【発明の概要】
【0006】
一つの態様では、摩耗監視システムは、機械のトラック組立品のための一対のトラックリンクおよび接続されたトラックシューと、一対のトラックリンクの各々のリンク本体またはリンク本体に接続されたトラックシューのうちの一つ以上に形成された空洞内に少なくとも部分的に配置された感知装置と、感知装置と関連付けられた一つ以上の通信装置と、通信装置の各々と通信ネットワークを介して無線接続された計算装置と、を含み得る。感知装置および計算装置のうちの一つ以上は、一対のトラックリンクまたはトラックシューのうちの一つ内に少なくとも部分的に配置された感知装置と、一対のトラックリンクまたはトラックシューのうちのもう一つ内に少なくとも部分的に配置された感知装置との間の距離、および一対のトラックリンクまたはトラックシューのうちの一つ内に少なくとも部分的に配置された感知装置と遠隔装置との間の距離のうちの一つ以上を検出するように構成され得る。計算装置は、検出された距離の変化に基づいて、一対のトラックリンクの各々の構成要素間の内部摩耗を判定するように構成され得る。
【0007】
別の態様では、機械用のトラックチェーンに含まれるトラックリンクの内部摩耗を監視する方法は、感知装置を、機械のトラックチェーン内の一対のトラックリンクの各々のリンク本体またはリンク本体に接続されたトラックシューのうちの一つ以上に形成された空洞内に少なくとも部分的に配置することを含む。一つ以上の通信装置は、感知装置と通信可能に関連付けられ、計算装置は、通信装置の各々と通信ネットワークを介して無線接続される。感知装置および計算装置のうちの一つ以上は、一対のトラックリンクまたはトラックシューのうちの一つ内に少なくとも部分的に配置された感知装置と、一対のトラックリンクまたはトラックシューのうちのもう一つ内に少なくとも部分的に配置された感知装置との間の距離、および一対のトラックリンクまたはトラックシューのうちの一つ内に少なくとも部分的に配置された感知装置と遠隔装置との間の距離のうちの一つ以上を検出する。計算装置は、一対のトラックリンクまたはトラックシューの各々内に少なくとも部分的に配置された感知装置間の検出された距離、または一対のトラックリンクもしくはトラックシューのうちの一つ内に少なくとも部分的に配置された感知装置と遠隔装置との間の検出された距離のうちの一つの変化に基づいて、一対のトラックリンクの各々の構成要素間の内部摩耗を判定する。
【0008】
さらに別の態様では、機械のトラック組立品が開示され、トラック組立品は、摩耗監視システムを含む。トラック組立品のための摩耗監視システムは、トラック組立品の一対のトラックリンクおよび接続されたトラックシューと、一対のトラックリンクの各々のリンク本体またはリンク本体に接続されたトラックシューのうちの一つ以上に形成された空洞内に少なくとも部分的に配置された感知装置と、感知装置と関連付けられた一つ以上の通信装置と、通信装置の各々と通信ネットワークを介して無線接続された計算装置と、を含み得る。感知装置および計算装置のうちの一つ以上は、一対のトラックリンクまたはトラックシューのうちの一つ内に少なくとも部分的に配置された感知装置と、一対のトラックリンクまたはトラックシューのうちのもう一つ内に少なくとも部分的に配置された感知装置との間の距離、および一対のトラックリンクのうちの一つ内に少なくとも部分的に配置された感知装置と遠隔装置との間の距離のうちの一つ以上を検出するように構成され得る。計算装置は、一対のトラックリンクまたは接続されたトラックシューの各々の内に少なくとも部分的に配置された感知装置間の検出された距離、または一対のトラックリンクまたはトラックシューのうちの一つ内に少なくとも部分的に配置された感知装置と遠隔装置との間の検出された距離のうちの一つの変化に基づいて、一対のトラックリンクの各々の構成要素間の内部摩耗を判定するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、開示された実施形態と一致する、例示的な軌道型機械を示す。
【
図2】
図2は、
図1の軌道型機械のトラック組立品の例示的な部分を示す。
【
図3】
図3は、
図1の軌道型機械と併せて使用され得る、例示的な摩耗検出システムを示す。
【
図4】
図4は、
図3の摩耗検出システムと併せて使用され得る、例示的な感知装置を示す。
【
図5】
図5は、
図4の感知装置を含む、例示的なトラックリンクの一部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、開示された実施形態と一致する、例示的な軌道型機械10を示す。軌道型機械10は、「連続的な」軌道型の牽引装置を動作させることによって、駆動、推進、位置決め、および/または操作される任意の機械を具現化し得る。このような機械は、例えば、軌道型トラクタ、スキッドステア、ドーザ、ショベル、バックホウ、トラックローダ、フロントショベル、電気ロープショベル、油圧採掘ショベル、または他の任意の種類の軌道操作可能な機械を含み得る。機械10は、機械10の対向側に、駆動機構14によって駆動される、一対のトラック組立品12(一つのみを図示)を含み得る。トラック組立品12は、駆動機構14に結合された駆動スプロケット16と、駆動スプロケット16によって駆動機構14に動作可能に結合され、駆動機構14によって駆動される場合、機械10を推進するように構成されたチェーン組立品18と、を含み得る。
【0011】
駆動機構14は、トルク出力を生成するように構成された一つ以上の構成要素を含み得る。例えば、駆動機構14は、ガソリン、ディーゼル、天然ガス、またはハイブリッド駆動エンジンもしくはタービンなどの任意の好適な種類の内燃エンジンを含み得る。別の方法としてまたは追加的に、駆動機構14は、電源に電気的に結合され、かつ電気エネルギーの少なくとも一部分を、電力出力から機械的エネルギーに変換するように構成された電気モータを具体化し得る。さらに別の実施形態によれば、駆動機構14は、油圧ポンプに流体連結され、該ポンプによって加圧された流体をトルク出力に変換するように構成された油圧モータを含み得る。
【0012】
駆動スプロケット16は、シャフト(図示せず)を介して、駆動機構14に結合され得、これは、駆動機構14によって発生されたトルクを、駆動スプロケット16に送達するためのインターフェースを提供し得る。例えば、駆動スプロケット16は、駆動スプロケット16が駆動機構14によって発生されたトルクに応答して回転するように、シャフト(図示せず)と関連付けられたハブに固定(例えば、溶接、ボルト締め、熱結合など)され得る。一部の実施形態では、駆動スプロケット16は、駆動シャフトを介して、駆動機構14に直接結合され得る。あるいは、駆動スプロケット16は、駆動スプロケット16の回転が、駆動機構14によって発生されるトルクに比例するように、トルクコンバータ(ギアボックス、トランスミッションなど)を介して、駆動機構14に結合され得る。
【0013】
トラック組立品12は、「連続的な」トラック、機械10の駆動システムの地面係合部分を形成する、複数の構成要素を含み得る。トラック組立品12は、とりわけ、駆動スプロケット16と、チェーン組立品18と、少なくとも一つのアイドラ20と、複数のローラ22と、牽引組立品24と、を含み得る。しかしながら、トラック組立品12のこれらの構成要素が、例示に過ぎず、限定することを意図するものではないことは、理解されるべきである。したがって、トラック組立品12は、追加的な構成要素および/または上記に列挙されたものとは異なる構成要素を含み得る。
【0014】
チェーン組立品18は、駆動スプロケット16、アイドラ20、およびローラ22の外側部分の周りに接続された連続チェーンを形成し得る。牽引組立品24は、チェーン組立品18の外側部分に接続され得、軌道型機械10の下の地面に係合するように構成され得る。使用時に、駆動スプロケット16が回転すると、チェーン組立品18は、駆動スプロケット16、アイドラ20、ローラ22、および牽引組立品24の周りを移動して、地面に係合し、それによって、軌道型機械10を、当技術分野で公知の様式で推進させ得る。
【0015】
例示的な実施形態では、チェーン組立品18は、複数の相互接続されたトラックリンク26を含み得る。本明細書で使用する「トラックリンク」が、軌道型機械のための連続チェーンの任意のリンク構成要素を指し、本明細書に記載されるトラックリンク26に限定されないことは、理解されるべきである。例えば、一部の大型機械では、「トラックリンク」は、一体型のパッドであり得る。一部の実施形態では、隣接する(例えば、連続した)トラックリンク26は、複数のトラックピン組立品28を介して、一緒に結合され得る。各トラックピン組立品28は、駆動スプロケット16の歯によって係合され得、チェーン組立品18を、駆動スプロケット16、アイドラ20、およびローラ22の周りで駆動する。
【0016】
牽引組立品24は、チェーン組立品18に固定された複数のトラックシュー30を含み得る。各トラックシュー30は、一つ以上のトラックリンク26に固定されるように構成された接続部分と、地面に接触するように構成された地面係合部分と、を含み得る。地面係合部分は、トラックシュー30と地面との間の増加した牽引を提供する、一つ以上の機構(例えば、グラウサーバー)を含み得る。しかしながら、開示された実施形態が、軌道型の移動式機械によって使用されるトラック組立品の一部を形成する任意の種類のトラックシューに使用され得ることは、理解されるべきである。一部の実施形態では、トラックシュー30は、トラックリンク26と一体的に形成され得る。他の実施形態では、トラックシュー30は、トラック組立品12から完全に省略され得、その結果、そうでなければトラックシュー30に接触し得るトラックリンク26の表面は、機械10の下の地面に接触し得る。
【0017】
例示的な実施形態では、軌道型機械10は、トラック組立品12のパラメータを監視するように構成された検出システムの一つ以上の構成要素を含み得る。例えば、軌道型機械10は、少なくとも一つの感知装置32および少なくとも一つの通信装置34を含み得る。感知装置32は、トラック組立品12のパラメータを検出し、パラメータを示す信号を通信装置34に送信するように構成された電子装置であってもよい。通信装置34は、感知装置32から受信された情報を、オンボードまたはオフボードコンピュータなどの別の装置に転送するように構成され得る。このようにして、トラック組立品12のパラメータと関連付けられた情報は、自動的に決定され、適切な宛先(例えば、オペレータに表示するため)に経路指示され得る。
【0018】
例示的な実施形態では、検出システムは、摩耗パラメータを監視するように構成され得る。トラック組立品12と関連付けられた摩耗パラメータの検出は、隣接する一対のトラックリンク26または接続されたトラックシューのうちの一方の上に位置する感知装置32と、隣接する一対のトラックリンク26の他方の上に位置する感知装置32との間の距離の変化を検出することを含み得る。別の方法として、または追加的に、トラック組立品12と関連付けられた摩耗パラメータの検出は、一対のトラックリンク26または接続されたトラックシューのうちの一つの上に位置する感知装置32と遠隔装置との間の距離の変化を検出することを含み得る。一対のトラックリンク26または接続されたトラックシューのうちの一方の上に位置する感知装置32と遠隔装置との間の距離は、一対のトラックリンク26または接続されたトラックシューの他方の上に位置する感知装置32と遠隔装置との間の距離から減算され得、一対のトラックリンク26の各々の上に位置する感知装置間の距離を決定する。一対のトラックリンクまたは接続されたトラックシューの各々の上の感知装置間の決定された距離の変化は、駆動チェーン組立品18の構成要素の内部摩耗を示し得る。例えば、一対のトラックリンクを相互接続するために使用されるトラックピンおよびブッシングなどの構成要素の内部摩耗は、トラックピンとトラックピンがその中に受容されるブッシングとの間のクリアランスの増加をもたらし得る。トラックピンと周囲のブッシングとの間のクリアランスのこのような増加により、隣接する一対のトラックリンクまたは接続されたトラックシューの各々の上の感知装置間の長さが増加し得る。
【0019】
例示的な実施形態では、感知装置32は、トラックリンク26内、トラックリンク26上、またはトラックリンク26の周りに装着され得、感知装置32の位置を示す信号を提供するように構成され得る。代替的な実施形態では、感知装置32は、接続されたトラックシューなどのトラックチェーンの他の構成要素内に、またはその上に少なくとも部分的に位置し得る。例えば、感知装置32は、座標系に対する感知装置32の地理的位置を提供するために、GPS装置と関連付けられ、GPS装置によって処理され得る信号を提供するように構成された、トランスポンダであり得る。代替的な感知装置は、レーザー装置、レーダー装置、赤外線装置、RFID装置、および磁気装置を含み得る。例示的な実施形態では、感知装置32は、トラックリンク26に固定され得る。一つの実施形態では、感知装置32は、トラックリンク26の本体または接続されたトラックシューに少なくとも部分的に埋め込まれ得る。別の実施形態では、感知装置32は、トラックリンク26の本体または接続されたトラックシューに外部から装着され得る。
【0020】
通信装置34は、通信装置34が信号を感知装置32から受信可能にする機械10上の任意の場所に位置決めされ得る。
図1に示すように、通信装置34は、その天井または床上など、機械10のオペレータキャビンの内部に設置され得る。他の実施形態では、通信装置34は、オペレータキャビンの上部または機械シャーシの上など、機械10の外部部分に装着され得る。
【0021】
図2は、四つのトラックリンク26、一つのトラックピン組立品28、および一つのトラックシュー30を含む、トラック組立品12の一部分をより詳細に示す。
図2に示すように、トラックリンク26は、トラックリンク26Aおよびトラックリンク26Bを含み得る。トラックリンク26Aおよび26Bは、互いの鏡像であり得、トラックリンク26Aがトラック組立品12の一つの側面(例えば、機械10の中心に最も近いトラック組立品の側面)を形成する一方、トラックリンク26Bがトラック組立品12の反対側(例えば、機械10の中心から最も遠いトラック組立品の側面)を形成するように、トラック組立品12内で互いに対向して配置され得る。
【0022】
図2に示す構成要素が互いに組み立てられる場合、一つのトラックピン組立品28を使用し得、四つのトラックリンク26(例えば、二つのトラックリンク26Aおよび二つのトラックリンク26B)を接続し、一つのトラックシュー30は、一つのトラックリンク26Aおよび一つのトラックリンク26Bに接続され得、別のトラックシュー30(図示せず)は、他のトラックリンク26Aおよび他のトラックリンク26Bに接続され得る。
【0023】
各トラックリンク26は、外向き面36および内向き面38を含み得る。内向き面36は、チェーン組立品18の中心に向かって(例えば、反対側のチェーンに向かって)面し得る。外向き面38は、チェーン組立品18の中心から離れて(例えば、機械10に最も近いチェーン組立品18の側面上の機械10の中心に向かって、および機械10から最も遠いチェーン組立品18の側面上の機械10の中心から離れて)面し得る。
図2に示すように、トラックリンク26A、26Bは、内向き面36が隣接するトラックリンク26の外向き面38に接続されるように、互いに接続され得る。しかしながら、他のトラックリンク構成が可能であることは、理解されるべきである。
【0024】
図2に示すように、トラックリンク26を接続する各トラックピン組立品28は、トラックピン40およびブッシング42を含み得る。ブッシング42は、ブッシング42がトラックピン40に対して回転するように、トラックピン40上に配置され得る。この配置によって、駆動スプロケット16(
図1)は、ブッシング42に係合し得、ブッシング42は、駆動スプロケット16とともにトラックピン40上で回転し得る。ブッシング42に加えられる力の結果として、トラックピン40は、並進し得、当技術分野で公知の様式で、トラック組立品12の移動をもたらし、機械10を地面上で移動させる。
【0025】
各トラックリンク26Aおよび26Bが、一つ以上の貫通孔44を含み得る一方、各トラックシュー30は、対応する貫通孔46を含み得る。各トラックリンク26Aおよび26Bはまた、貫通孔44と整列した一つ以上の開口部48を含み得る。この配置により、例えば、ボルト(図示せず)などのねじ付き締結具を貫通孔44および46内に配置し得、トラックシュー30を、トラックリンク26Aおよび26Bに取り付け、ナット(図示せず)などの対応するねじ付き締結具は、ボルトの端部上に配置され得る。開口部48は、ナットを締めるために使用され得るツールを収容するようにサイズ設定、形状設定、または位置設定されることによってなど、ボルトの端部上のナットの配置または締め付けを容易にするように形成され得る。
【0026】
トラックリンク26Aおよび26Bの各々は、当技術分野で公知の様式で、トラックピン組立品28の少なくとも一部分を受容するように構成された複数の追加の貫通孔50、52を画定し得る。例えば、貫通孔50は、ブッシング42の一部分を受容するように構成され得、貫通孔52は、トラックピン40の自由端の一部分を受容するように構成され得る。このようにして、旋回接合部は、トラックピン組立品28で形成され得、チェーン組立品18が動作中に駆動スプロケット16、アイドラ20、およびローラ22の周りを自由に移動可能になる。
【0027】
図2に示すように、トラックリンク26A、26Bのうちの一つ以上は、感知装置32を含み得る。
図2には示されていないが、代替的な実施形態は、トラックリンクのうちの一つ以上に接続されたトラックシュー内に少なくとも部分的に配置された感知装置32を含み得る。感知装置32を含むように選択されるトラックリンク26A、26Bは、トラック組立品12内のトラックリンク位置および機械10に対する配向、ならびに感知装置32が選択されたトラックリンク26に装着される手段などの、複数の要因に依存し得る。例えば、トラックリンク26Aのいずれかが感知装置32を含む場合、感知装置32は、トラックリンク26Bのいずれかが感知装置32を含む場合よりも、機械10の近くに位置決めされ得る。同様に、感知装置32が、内向き面36または外向き面38に装着される、またはそれに隣接する場合、選択されたトラックリンク26の配向は、感知装置32が機械10に向かって、または機械10から離れる方向に面するかどうかを判定する。例示的な実施形態では、これらの要因は、感知装置32を含むトラックリンク26の位置を決定する場合に考慮され得る。
【0028】
一つの実施形態では、トラックリンク26A、26Bは、感知装置32が通信装置34と確実に通信できるように、感知装置32を含むように選択され得る。したがって、選択されるトラックリンク26A、26Bはまた、機械10上の通信装置34の位置に依存し得る。
図2に示すように、例示的な実施形態では、感知装置32は、感知装置32が機械10から最も遠くに位置決めされ、機械10から離れて面するように、トラックリンク26Bの外向き面38に装着され得る。この位置決めにより、信号が、通信装置34に到達するために、機械10の構成要素を通って移動することを少なくとも部分的に回避し得る理由で、通信装置34との信頼できる通信が可能になり得る。しかしながら、他の実施形態では、感知装置32の他の位置および配向は、同一またはより良好な通信の信頼性を提供し得る。
【0029】
図3は、感知装置32および通信装置34を含む例示的な検出システム54を示す。例示的な実施形態では、検出システム54はまた、オンボードコンピュータ56およびオフボードコンピュータまたは遠隔装置58を含んでもよい。感知装置32は、トラックリンク26に装着され得、感知装置32の位置を示す信号を、通信装置34に送信するように構成され得る。通信装置34は、信号を受信し、対応する信号を、オンボードコンピュータ56および/またはオフボードコンピュータまたは遠隔装置58に送信するように構成され得る。
【0030】
図3に示すように、感知装置32は、表面62および表面64に近接して、トラックリンク26のリンク本体60上またはその中に位置決めされ得る。一つの例示的な実施形態では、感知装置32は、感知装置32がリンク本体60内に少なくとも部分的に埋め込まれるように、表面62内に形成された空洞内に少なくとも部分的に位置決めされ得る。感知装置32は、感知装置32によって生成される信号が、表面62または表面64に垂直な空洞を通ってなど、リンク本体60の外側に送信可能になる様式で、固定され得る。
【0031】
例示的な実施形態では、感知装置32は、トラックリンク26Bの外向き面38に形成された空洞内に部分的または完全に位置決めされ得る。代替的な実施形態は、トラックリンクの他の表面に、または接続されたトラックシュー内に形成された空洞内に少なくとも部分的に、感知装置32を埋め込み得る。GPS型、無線周波数型、レーダー型、レーザー型、赤外線型、および感知装置の位置を示す信号を受信および/または送信するための見通し線のアクセスを必要とする他の種類の感知装置の場合、感知装置32は、空洞内に部分的にのみ位置決めされ得、またはトラックリンクの外面に取り付けられ得る。トラックリンクまたは接続されたトラックシューなどの金属部品に埋め込まれ得、タグの位置を示す無線信号を依然として提供する磁気タグなどの磁気型感知装置の場合、感知装置32は、トラックリンクまたは接続されたトラックシューの空洞内に完全に包含され得、エポキシ材料または他の保護材料で定位置に埋め込まれ得る。
【0032】
本開示の様々な例示的な実施形態によると、感知装置32は、二つの直接隣接するトラックリンクまたは接続されたトラックシューの各々の上に提供され得、または一対の感知装置32は各々、トラックチェーン内の一つ以上の中間トラックリンクによって互いに分離されるトラックリンクまたは接続されたトラックシュー上に位置し得る。上述のように、各トラックリンク26上に位置する感知装置間の距離の変化は、トラックリンク26を相互接続する一つ以上のトラックピン組立品28内の内部摩耗を示し得る。トラックピン組立品28内の構成要素のこのような内部摩耗は、ピン40が貫通孔50に係合するピン40の外面上の摩耗、貫通孔50の内面上の摩耗、ピン40がブッシング42を通って内部ボアに係合するピン40の外面上の摩耗、ブッシング42を通ってボアの内面上の摩耗、ブッシング42の外面上の摩耗、またはトラックチェーン内のトラックピン組立品28の構成要素または他の構成要素上の他の場所での摩耗を含み得る。構成要素のうちの一つ以上が使用時に摩耗する際に、トラックリンク26は、負荷下に離れて移動し得、各トラックピン組立品28と駆動スプロケット16との間にスロッピー嵌合をもたらす。トラックチェーン内のトラックリンクの全てに対する二つの直接隣接するトラックリンクの各々の上に感知装置32を配置することで、内部摩耗がトラックチェーンに沿って発生している正確な場所を正確に識別可能にし得る。一部の用途では、トラックピン組立品間の距離の任意の変化が決定され得、かつ是正措置が取られ得るように、感知装置32を、各トラックピン組立品28に接続された少なくとも一つのトラックリンク上に配置することが望ましい場合がある。トラックチェーンの個々のトラックリンク内の内部摩耗の位置を特定する必要がない状況では、感知装置は、一つ以上の中間トラックリンクによって互いに離隔しているトラックリンク上に位置決めされ得る。一つ以上の中間トラックリンクによって分離されたトラックリンク上の感知装置32の配置により、修理または交換を必要とし得るトラックチェーンのセクション内に位置する構成要素の過剰な内部摩耗の結果として、そのセクションの診断が可能になり得る。
【0033】
各感知装置32は、その感知装置の位置を示す信号を、通信装置34に送信するように構成される一つ以上の構成要素(例えば、アンテナ、受信機、送信機など)を含み得る。通信装置34は、信号を一つ以上の感知装置32から受信し、対応する信号をオンボードコンピュータ56および/またはオフボードコンピュータまたは遠隔装置58に送信するように構成され得る。一つの実施形態では、通信装置34は、信号を一つの感知装置から受信し、該信号を別の装置に転送するように構成されたアンテナを含み得る。一部の実施形態では、通信装置34はまた、情報(例えば、隣接する感知装置32間の距離)の処理および/または記憶のためのプロセッサおよびメモリを含んでもよい。
【0034】
オンボードコンピュータ56は、機械10上(例えば、オペレータキャビン内)に位置する計算装置であり得る。例えば、オンボードコンピュータ56は、少なくともプロセッサおよびディスプレイを含むダッシュボードコンピュータであり得る。オンボードコンピュータ56は、通信装置34と通信し得(例えば、有線または無線接続を介して)、一つ以上のトラックリンク26上の一つ以上の感知装置32の位置情報を受信する。オンボードコンピュータ56は、異なるトラックリンク26上の感知装置間の距離が、一つ以上のトラックリンク組立品の一つ以上の内部構成要素上の過剰な摩耗を示す所定の閾値を超えるかどうかに関する情報を(例えば、機械10のオペレータに)表示し得る。
【0035】
オフボードコンピュータまたは遠隔装置58は、機械10から離れて(例えば、制御建物の内側に)位置する類似の計算装置であり得る。オフボードコンピュータまたは遠隔装置58はまた、少なくともプロセッサおよびディスプレイを含み得、機械10から離れたオペレータ(例えば、機械管理者)に表示され得る、トラックリンク上に位置する感知装置間の距離に関する情報を同様に受信するために、通信装置34および/またはオンボードコンピュータ56と通信(例えば、無線ネットワークを介して)するように構成され得る。
【0036】
図4は、感知装置32の例示的な実施形態を示す。感知装置32は、一つ以上の中央処理装置(CPU)またはプロセッサを含む、一つ以上の有形の非一時的ハードウェア構成要素を含み得る。例えば、感知装置32は、感知装置32の位置を示す信号を発生、受信、送信、および/または修正するように構成された回路構成要素70を含み得る。例えば、回路構成要素70は、信号コンディショナ、増幅器、マルチプレクサ、および/またはコンバータ(例えば、アナログデジタル(A/D)コンバータまたはデジタルアナログ(D/A)コンバータ)を含み得る。これらの構成要素が例示的であり、追加的および/または代替的な回路構成要素が、感知装置32の構成に応じて、使用され得ることは、理解されるべきである。
【0037】
低電力マイクロコントローラなどの制御装置72は、回路構成要素70から受信された入力、および/または回路構成要素70のいずれかまたはすべてによって処理された一つ以上の信号に応答して、出力を提供し得る。ランダムアクセスメモリ(RAM)および読み出し専用メモリ(ROM)のいずれかまたは両方などのメモリデバイス74は、回路構成要素70からの入力または処理された信号、および制御装置72からの出力のうちの一つ以上に関連する情報を記憶し得る。別の方法としてまたは追加的に、メモリデバイス74は、制御装置72などの感知装置32の一つ以上の他の構成要素(または検出システム54の他の構成要素)によって使用される命令を記憶し得る。
【0038】
例えば、無線周波数(RF)受信機などの受信機76は、制御装置72(例えば、通信装置34)によって提供される出力を無線でブロードキャストし得る。別の方法としてまたは追加的に、例えば、USB(ユニバーサルシリアルバス)ポートまたは類似のポートなどの出力ポート(図示せず)は、ケーブルまたは出力ポートに取り外し可能に接続された他の接続を通して、制御装置72によって提供される出力を送信し得る。
【0039】
電源78は、感知装置32の構成要素のうちの一つ以上に給電し得る。一つの実施形態では、電源78は、コインセル型の電池などの電池を含み得る。一部の実施形態では、電源78は、追加的または代替的に、感知装置32の構成要素のうちの一つ以上に給電するために、振動ベースのエネルギー回収システムなどの動作ベースのエネルギー源を含み得、および/または電源78の電池を充電するために使用され得る。さらに別の実施形態では、電源78は、無線充電(例えば、近接場充電)が可能な電池を含み得る。このようにして、感知装置32は、電力をリンク本体60の外側から受電し、それゆえ、オンボード電力(例えば、電池)の要件を低減可能な一方、リンク本体60内に埋め込まれ得る。
【0040】
図4が、感知装置32によって使用される特定の構成要素の実施例を示すものの、感知装置32は、示される特定の構成に限定されない。むしろ、本開示と一致して、感知装置32は、他の構成要素、上述のものよりもより多くの構成要素、またはより少ない構成要素を含んでもよい。さらに、上記に列挙されたハードウェア構成要素のうちの一つ以上が、ソフトウェアを使用して、部分的にまたは全体で実装され得ることは想定される。このようなソフトウェア構成要素のうちの一つ以上は、プロセッサまたは他のコンピュータハードウェアによって実行される場合、本開示と一致する方法およびプロセスを実施するコンピュータ実行可能命令を含む、有形の非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され得る。
【0041】
図5は、感知装置32が取り付けられている、例示的なトラックリンク26を示す。例示的な実施形態では、トラックリンク26は、表面36、38、62、64のうちの一つに形成された空洞80を含み得る。空洞80は、感知装置32の少なくとも一部分を受容するようにサイズ設定および形状設定され得る。感知装置32は、空洞80内に位置決めされ、封じ込め機構84によって定位置に保持され得る。封じ込め機構84は、感知装置32を空洞80内の定位置に保持するように構成された材料、装置、またはシステムであり得る。一つの実施形態では、封じ込め機構84は、感知装置32がその中に埋め込まれた状態で、包囲材料充填空洞80であり得る。別の実施形態では、封じ込め機構84は、感知装置32を収容し、空洞80内に受容されるように構成されたハウジングであり得る。一部の実施形態では、封じ込め機構84は、開口部を、表面36、38、62、64の空洞80内に封止するように構成されたカバー(図示せず)を含み得る。例えば、感知装置32は、締結具(例えば、ねじ付き締結具)によって定位置に保持され得、カバーは、感知装置32を損傷から保護するために、感知装置32を空洞80内に閉塞し得る。
【0042】
空洞80および封じ込め機構84が図示および記載されているが、感知装置32をトラックリンク26に装着するための他の手段があり得ることは、理解されるべきである。機械用のトラックチェーンに含まれるトラックリンクの内部摩耗を監視するための例示的なプロセスを、以下でより詳細に説明する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
摩耗感知装置を有する一対のトラックリンクを含む例示的な開示された摩耗監視システムは、任意の軌道型機械のトラック組立品に適用可能であり得る。トラックリンクおよび摩耗感知装置は、トラックリンクと関連付けられた摩耗パラメータを監視し、摩耗パラメータを示す信号を、さらなる使用のために計算装置に自動的に送信するために使用され得る。トラックリンクの摩耗が、機械足回り(例えば、足回りのチェーン組立品)の残りの寿命を示し得るため、開示された実施形態は、機械足回りの状態(例えば、足回りの構造的健全性などの重要な摩耗レベルに達したかどうか)の判定を可能にし得る。さらに、摩耗パラメータの監視により、オペレータは、在庫部品予測を正確に作成し、機械保守を積極的に予定し、摩耗率を簡単かつ効率的に追跡することが可能になり得る。
【0044】
さらに、埋め込まれた感知装置および戦略的に位置決めされた通信装置を含む例示的な開示された検出システムにより、トラックリンクの摩耗パラメータの信頼できる監視が可能になり得る。感知装置を少なくとも部分的にトラックリンクもしくは接続されたトラックシュー内に、またはトラックリンクもしくはトラックシューにしっかりと装着されて位置決めすることで、関連するトラック組立品の使用中に、感知装置が損傷から保護される。磁気センサなどの非見通しの感知装置の場合、感知装置をトラックリンクの金属本体または接続されたトラックシューに埋め込み可能な一方、一対のトラックリンクの各々の上の感知装置の正確な位置を示す信号の通信を依然として可能にする。
【0045】
例示的な実施形態では、既存の(例えば、製造された)トラックリンク26は、選択され得、空洞80は、その中に機械加工され得る。他の実施形態では、トラックリンク26は、その中に形成された空洞80を備えて製造(例えば、鋳造、鍛造、3-D印刷など)され得る。一つの実施形態では、空洞80は、リンク本体60の外向き面38の凹部として形成され得る。他の実施形態では、空洞80は、リンク本体60上の他の場所に位置し得る。一部の実施形態では、通路は、感知装置32の摩耗部分を受容するために、空洞80に隣接して、トラックリンク26の摩耗表面に延在して、機械加工および/または形成され得、摩耗部分が、摩耗表面が摩耗するにつれて、実際に摩耗する。
【0046】
空洞80がリンク本体60内に形成されて、感知装置32は、空洞80内に配置され得、封じ込め機構84によってその中に固定され得る。一つの実施形態では、封じ込め機構84は、空洞80をその中に埋め込まれた感知装置32で充填するように構成された材料であり得る。封じ込め機構84は、例えば、感知装置32をその中に位置決めして、空洞80の中に注がれる、および/または注入され得るポッティングエポキシであり得る。ポッティングエポキシを硬化させ得、固体材料を形成し、それによって、感知装置32を定位置に保持する。感知装置32を埋め込むために使用される材料は、感知装置32への損傷を防止するのに十分な強度を有し得る一方、それを通って信号を送信させ得る(感知装置32と通信装置34との間の無線送信を確実に行うことができるように)。
【0047】
別の実施形態では、封じ込め機構84は、空洞80内に受容されるように構成されたハウジングであり得る。ハウジングは、その中に感知装置32を取り外し可能または恒久的に受容および保護し得、空洞80の中に取り外し可能または恒久的に挿入可能であり得る。一つの実施例では、ハウジングは、感知装置32をその中に取り外し可能に受容し得る。さらに、ハウジングは、空洞80内に取り外し可能に受容され得る(例えば、ハウジングは、空洞80の対応する機構と嵌合する、ねじ、戻り止め機構、クリップなどを含み得る)。このようにして、感知装置32(および/または感知装置32を含むハウジング)は、(例えば、交換、修繕、有線接続などのために)アクセス可能であり得る。
【0048】
本明細書に記載されるように、封じ込め機構84は、感知装置32によって生成される信号がそれを通過可能にするように構成され得る。例えば、封じ込め機構84の材料は、受信機76によって生成される無線伝送に対して実質的に透過的であり得る。さらに、感知装置32を含むトラックリンク26は、機械10上に設置される場合、空洞80が機械10の中心から離れて面するように、位置決めされ得る。このようにして、封じ込め機構84の露出した部分は、機械10から離れて面し得、それゆえ、機械10の移動固体構成要素を回避することによって、感知装置32によって送信される信号が、トラック組立品12から(例えば、通信装置34まで)より簡単にブロードキャストされ得る。
【0049】
トラックリンク26に装着された感知装置32は、該装置と、同一チェーンの別のトラックリンク上の別の類似の装置との間の距離が正確に決定され得るように、装置の位置を示す信号を発生させるように構成され得る。このような装置の実施例は、GPSセンサ、磁気感知装置、レーザー装置、無線周波数装置などを含み得る。各トラックリンク26上に位置する感知装置間の距離の変化は、トラックリンク26を相互接続する一つ以上のトラックピン組立品28内の内部摩耗を示し得る。トラックピン組立品28内の構成要素のこのような内部摩耗は、ピン40が貫通孔50に係合するピン40の外面上の摩耗、貫通孔50の内面上の摩耗、ピン40がブッシング42を通って内部ボアに係合するピン40の外面上の摩耗、ブッシング42を通ってボアの内面上の摩耗、ブッシング42の外面上の摩耗、またはトラックチェーン内のトラックピン組立品28の構成要素または他の構成要素上の他の場所での摩耗を含み得る。構成要素のうちの一つ以上が使用時に摩耗する際に、トラックリンク26は、負荷下に離れて移動し得、各トラックピン組立品28と駆動スプロケット16との間にスロッピー嵌合をもたらす。トラックチェーン内のトラックリンクの全てに対する二つの直接隣接するトラックリンクの各々の上に感知装置32を配置することで、内部摩耗がトラックチェーンに沿って発生している正確な場所を正確に識別可能にし得る。一部の用途では、トラックピン組立品間の距離の任意の変化が決定され得、かつ是正措置が取られ得るように、感知装置32を、各トラックピン組立品28に接続された少なくとも一つのトラックリンク上に配置することが望ましい場合がある。トラックチェーンの個々のトラックリンク内の内部摩耗の位置を特定する必要がない状況では、感知装置は、一つ以上の中間トラックリンクによって互いに離隔しているトラックリンク上に位置決めされ得る。一つ以上の中間トラックリンクによって分離されたトラックリンク上の感知装置32の配置により、修理または交換を必要とし得るトラックチェーンのセクション内に位置する構成要素の過剰な内部摩耗の結果として、そのセクションの診断が可能になり得る。
【0050】
制御装置72は、一対のトラックリンク上の感知装置32間の距離が、一対のトラックリンク内のトラックリンク26の一方または両方の内部構成要素上の許容できない摩耗量を示す、閾値量を超えると判定し得る。受信機76は、信号を通信装置34に送信し得る。通信装置34は、信号を受信し、二つの感知装置間の距離に関する情報をオンボードコンピュータ56および/またはオフボードコンピュータ58に転送し得る。オンボードコンピュータ56および/またはオフボードコンピュータ58は、信号を受信し得、一つ以上のプロセスを実行し得、オペレータに摩耗を知らせ、メンテナンスを自動的に予定し、追跡された摩耗情報を更新し、トラックリンク26および/または関連するトラック組立品12の残存寿命を推定する。
【0051】
例示的な開示されたプロセスを通して、開示されたトラックリンク26および感知装置32は、トラックリンク26と関連付けられた摩耗パラメータの自動および/またはオンデマンド監視を提供し得る。さらに、オンボードコンピュータ56および/またはオフボードコンピュータ58と併せて感知装置32を使用することで、摩耗情報を計算装置および/またはオペレータ(例えば、機械10内のオペレータ、制御建物内の管理オペレータなど)によって追跡および分析可能になる。このようにして、トラック組立品12は、非効率的な手動点検を必要とすることなく、かつ残りの部品寿命の推定値に依存することなく、監視および維持され得る。本開示のある実施形態に係る例示的な摩耗監視システムは、トラックチェーンの異なるトラックリンク上のセンサ間の距離の増加を正確に決定することによって、トラック組立品のトラックチェーン内のトラックリンクの内部構成要素の摩耗のタイムリーな表示を提供し得る。トラックリンク間の距離の変化は、個々のトラックリンク上または個々のトラックリンク内に容易に装着され得る複数の異なる種類のセンサを使用して、決定され得る。GPSセンサ、磁気センサ、レーザーセンサ、レーダーセンサ、および無線周波数センサはすべて、二つの隣接するトラックリンク、または一つ以上の中間トラックリンクによって分離された二つのトラックリンクなどの二つのトラックリンク間の距離が変化し、所定の閾値を超える寸前、または既に超えている可能性があるという正確なリアルタイム表示を提供するために使用され得る、感知装置の種類の例である。トラックチェーン上のトラックリンク間の距離が所定の閾値を超えたという表示により、一つ以上のトラックリンクの内部構成要素上の過剰な摩耗が明確に診断され得る。
【0052】
本開示の範囲から逸脱することなく、本開示のトラック組立品および検出システムに対して、さまざまな修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。その他の実施形態は、本明細書で開示された実施形態の仕様および実践を考慮することで、当業者には明らかであろう。仕様および実施例は、例としてのみ考慮されることが意図され、開示の真の範囲が、以下の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】