(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】機械学習によって支援された適応型アンテナ同調
(51)【国際特許分類】
H04B 1/04 20060101AFI20240829BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240829BHJP
【FI】
H04B1/04 B
G06N20/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510658
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 US2022075401
(87)【国際公開番号】W WO2023034706
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルツォラニ、ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】ウィンズロー、デイビッド・ロウェス
(72)【発明者】
【氏名】ヘッフェル、ギルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】ボロ、ジョン
【テーマコード(参考)】
5K060
【Fターム(参考)】
5K060BB07
5K060CC04
5K060DD04
5K060HH39
5K060JJ01
5K060JJ21
5K060LL07
5K060PP05
(57)【要約】
本開示のいくつかの態様は、電子デバイス内のワイヤレスデータ送信システムを適応的に同調させるための技法であって、デバイスのワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の動作特性を受信することと、ワイヤレスデータ送信システム構成モデルを使用して、1つ以上の動作特性に基づいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を決定することと、ワイヤレスデータ送信システムにおいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を実装することとを含む技法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスのワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の動作特性を受信することと、
ワイヤレスデータ送信システム構成モデルを使用して、前記1つ以上の動作特性に基づいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を決定することと、
前記ワイヤレスデータ送信システムにおいて前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を実装することと
を含む方法。
【請求項2】
第1の推定器モデルを使用して、前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成とは異なる1つ以上の仮想ワイヤレスデータ送信システム構成を使用する前記ワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の推定された動作特性を決定することと、
第2の推定器モデルを使用して、前記1つ以上の推定された動作特性に基づいて前記ワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の推定された性能メトリックを決定することと、
実装された前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成に基づいて実際の性能メトリックを決定することと、
前記実際の性能メトリック及び前記1つ以上の推定された性能メトリックに基づいて、前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成及び前記1つ以上の仮想ワイヤレスデータ送信システム構成のうちの最良のワイヤレスデータ送信システム構成を決定することと、
決定された前記最良のワイヤレスデータ送信システム構成に基づいてフィードバックデータを生成することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィードバックデータに基づいて前記ワイヤレスデータ送信システム構成モデルを更新することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ワイヤレスデータ送信システム構成モデルが、強化学習モデルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記フィードバックデータが、
前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成が前記最良のワイヤレスデータ送信システム構成に一致する場合の、前記強化学習モデルのための報酬信号、又は、
前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成が前記最良のワイヤレスデータ送信システム構成に一致しない場合の、ペナルティ信号の一方を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記フィードバックデータが、前記最良のワイヤレスデータ送信システム構成を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記実際の性能メトリックが、前記デバイスとワイヤレスデータ通信するネットワークによって提供されるインジケータを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記インジケータが、
受信信号受信電力(RSRP)メトリック、
受信信号受信品質(RSRQ)メトリック、
信号対ノイズメトリック(SNR/SINR)、又は、
受信信号強度インジケータ(RSSI)のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の推定器モデルが、ニューラルネットワークモデルからなる、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の推定器モデルが、ニューラルネットワークモデルからなる、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成に基づいてインピーダンス同調器の最適な同調コードを決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の動作特性が、
前記ワイヤレスデータ送信システムの要素の実インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの前記要素の虚インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの周波数と、
アンテナ同調器状態とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記要素が、前記ワイヤレスデータ送信システムのアンテナであり、
前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成が、アンテナ同調器設定を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アンテナ同調器設定が、開口同調器設定又はインピーダンス同調器設定の少なくとも一方を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
装置であって、
ワイヤレスデータ送信システムと、
コンピュータ実行可能命令を備えるメモリと、
前記コンピュータ実行可能命令を実行し、前記装置に、
デバイスの前記ワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の動作特性を受信させ、
ワイヤレスデータ送信システム構成モデルを使用して、前記1つ以上の動作特性に基づいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を決定させ、
前記ワイヤレスデータ送信システムにおいて前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を実装させる、ように構成された1つ以上のプロセッサと
を備える装置。
【請求項16】
前記1つ以上のプロセッサが、前記装置に、
第1の推定器モデルを使用して、前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成とは異なる1つ以上の仮想ワイヤレスデータ送信システム構成を使用する前記ワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の推定された動作特性を決定させ、
第2の推定器モデルを使用して、前記1つ以上の推定された動作特性に基づいて前記ワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の推定された性能メトリックを決定させ、
実装された前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成に基づいて実際の性能メトリックを決定させ、
前記実際の性能メトリック及び前記1つ以上の推定された性能メトリックに基づいて、前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成及び前記1つ以上の仮想ワイヤレスデータ送信システム構成のうちの最良のワイヤレスデータ送信システム構成を決定させ、
決定された前記最良のワイヤレスデータ送信システム構成に基づいてフィードバックデータを生成させる、ようにさらに構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記1つ以上のプロセッサが、前記装置に、前記フィードバックデータに基づいて前記ワイヤレスデータ送信システム構成モデルを更新させるようにさらに構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記ワイヤレスデータ送信システム構成モデルが、強化学習モデルである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記フィードバックデータが、
前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成が前記最良のワイヤレスデータ送信システム構成に一致する場合の、前記強化学習モデルのための報酬信号、又は、
前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成が前記最良のワイヤレスデータ送信システム構成に一致しない場合の、ペナルティ信号の一方を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記フィードバックデータが、前記最良のワイヤレスデータ送信システム構成を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記実際の性能メトリックが、前記デバイスとワイヤレスデータ通信するネットワークによって提供されるインジケータを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記インジケータが、
受信信号受信電力(RSRP)メトリック、
受信信号受信品質(RSRQ)メトリック、
信号対ノイズメトリック(SNR/SINR)、又は、
受信信号強度インジケータ(RSSI)のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の推定器モデルが、ニューラルネットワークモデルからなる、請求項16に記載の装置。
【請求項24】
前記第2の推定器モデルが、ニューラルネットワークモデルからなる、請求項16に記載の装置。
【請求項25】
前記1つ以上のプロセッサが、前記装置に、前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成に基づいてインピーダンス同調器の最適な同調コードを決定させるようにさらに構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項26】
前記1つ以上の動作特性が、
前記ワイヤレスデータ送信システムの要素の実インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの前記要素の虚インピーダンスと、
前記ワイヤレスデータ送信システムの周波数と、
アンテナ同調器状態とを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項27】
前記要素が、前記ワイヤレスデータ送信システムのアンテナであり、
前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成が、アンテナ同調器設定を含む、
請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記アンテナ同調器設定が、開口同調器設定又はインピーダンス同調器設定の少なくとも一方を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
コンピュータ実行可能命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能命令が、処理システムの1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、前記処理システムに、方法を実行させ、前記方法が、
デバイスのワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の動作特性を受信することと、
ワイヤレスデータ送信システム構成モデルを使用して、前記1つ以上の動作特性に基づいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を決定することと、
前記ワイヤレスデータ送信システムにおいて前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を実装することと
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項30】
デバイスのワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の動作特性を受信するための手段と、
ワイヤレスデータ送信システム構成モデルを使用して、前記1つ以上の動作特性に基づいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を決定するための手段と、
前記ワイヤレスデータ送信システムにおいて前記ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を実装するための手段と
を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、本出願の譲受人に譲渡され、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2021年8月31日に出願された米国出願第17/463,290号の優先権を主張する。
【0002】
導入
[0002] 本開示の態様は、適応型アンテナ同調(adaptive antenna tuning)に関する。
【0003】
[0003] スマートフォンなどのワイヤレスデバイスは、ワイヤレスデータ送信(wireless data transmission)システムによってワイヤレスデータを送信及び受信するための1つ以上のアンテナを有することができる。そのようなデバイス(device)の使われ方、たとえば、スマートフォンがどのように把持されているかが、アンテナの性能、したがってワイヤレスデータ送信の性能に影響する場合がある。アンテナ性能の低下は、いくつかの問題を挙げると、ワイヤレスデータ送信の遅れ、バッテリー使用の増加、及びワイヤレスネットワーク干渉の増加につながる場合がある。
【0004】
[0004] したがって、アンテナ同調を動的に適応させてワイヤレスデバイス性能を向上させるためのシステム及び方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] いくつかの態様は、電子デバイス内のワイヤレスデータ送信システム(wireless data transmission system)を適応的に同調するための方法であって、デバイスのワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の動作特性(operating characteristics)を受信することと、ワイヤレスデータ送信システム構成モデル(wireless data transmission system configuration model)を使用して、1つ以上の動作特性に基づいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成(target wireless data transmission system configuration)を決定することと、ワイヤレスデータ送信システムにおいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を実装することとを含む方法を提供する。
【0006】
[0006] 他の態様は、前述の方法並びに本明細書に記載する方法を実行するように構成された処理システムと、処理システムの1つ以上のプロセッサによって実行されると、処理システムに、前述の方法並びに本明細書に記載する方法を実行させる命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体と、前述の方法並びに本明細書にさらに記載する方法を実行するコードを備えるコンピュータ可読記憶媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品と、前述の方法並びに本明細書にさらに記載する方法を実行する手段を備える処理システムと、を提供する。
【0007】
[0007] 以下の説明及び関連図面は、1つ以上の態様のいくつかの例示的な特徴を詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[0008] 添付の図は、1つ以上の態様のうちのいくつかの態様を示し、したがって、本開示の範囲の限定と見なされるべきでない。
【
図1A】[0009] ワイヤレス電子デバイスの3つの異なるユースケースに対するテスト結果の例を示す図である。
【
図1B】[0010] 測定されたテスト結果に基づく、ワイヤレス電子デバイスに対する例示的ユースケース決定境界を示す図である。
【
図2】[0011] ワイヤレス電子デバイスにおいて適応型アンテナ同調を実行するための例示的なシステムを示す図である。
【
図3】[0012] 例示的な強化学習モデルアーキテクチャを示す図である。
【
図4】[0013] 例示的な性能推定器(performance estimator)を示す図である。
【
図5】[0014] 適応型アンテナ同調を実行する例示的な方法を示す図である。
【
図6】[0015] 本明細書に記載するような適応型アンテナ同調を実行するように構成され得る例示的な電子デバイスを示す図である。
【0009】
[0016] 理解を容易にするために、可能な場合、図面に共通の同一の要素を指定するために同一の参照番号が使用されている。1つの態様の要素及び特徴がさらなる記載なく他の態様に有益に組み込まれてもよいことが企図される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0017] 本開示の態様は、機械学習によって支援された適応型アンテナ同調のための装置、方法、処理システム、及びコンピュータ可読媒体を提供する。
【0011】
[0018] ワイヤレス電子デバイスがより小さく、より有能になるのに従って、ワイヤレスデータ送信システムを設計する上での問題が、少なくとも部分的には、そのようなデバイスの緊密であり複雑な内部領域内で有効アンテナを設計することの複雑さのせいで、より面倒になる。実際、最新のワイヤレス電子デバイスは、送信と受信の両方のために同時に多くのワイヤレス周波数において動作し得るので、1台のデバイス内に異なる設計の複数のアンテナがしばしば必要になる。
【0012】
[0019] 機能上の設計及びパッケージング問題は、ワイヤレス電子デバイス用の有効ワイヤレスデータ送信システムを作成する上での全体的問題の1つの側面にすぎない。そのようなデバイスの異なる使用モードは、異なるモードがワイヤレスデータ送信システムの性能に様々に影響するので、別の問題を提起する。
【0013】
[0020] たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータなどのワイヤレス電子デバイスを、左手か右手に、又は両手で持つことによって、ワイヤレスデータ送信性能が変わる場合があり、というのは、異なる手の配置が、異なるアンテナに様々に影響するからである。別の例として、面に置くこと、ある領域内(たとえば、ポケット、車、又は飛行機の中)に置くこと、(たとえば、USB又は同様のケーブルにより)プラグに差し込んでの使用などは、概してワイヤレスデータ送信性能に様々に影響する。
【0014】
[0021] ワイヤレス通信が可能なデバイスにおけるアンテナ性能を向上させるために、異なる手法を使用することができる。たとえば、そのようなデバイス内のアンテナの性能を向上させるために、インピーダンス整合及び同調を動的に実行することができる。
【0015】
[0022] 概して、インピーダンスは、システムを通るエネルギーの流れに対して反対である。一定の電子信号が一定のインピーダンスを有してよく、変動電子信号が、変化する周波数(frequency)で変動するインピーダンスを有してよい。インピーダンスは概して、値の「実」部を形成する抵抗成分と、値の「虚」部を形成するリアクタンス成分とを含む複素数値を有する。
【0016】
[0023] アンテナインピーダンスは、アンテナへの入力における電圧及び電流に関係する。アンテナインピーダンスの「実」部は、アンテナから放散されるか、又は吸収される電力を表し、インピーダンスの「虚」部は、アンテナの近接場に蓄えられる電力、すなわち、非放射電力を表す。アンテナは概して、システムのインピーダンスがアンテナのために最適化されているとき、より効率的であり、したがって、より有効である。
【0017】
[0024] インピーダンス整合は、電気負荷の入力インピーダンス又はそれに対応する信号源の出力インピーダンスを、電力伝達を最大にし、負荷からの信号反射を最小にするように設計することを指す。ただし、インピーダンスは周波数信号の変化によって変動するので、無線周波数(RF)RFフロントエンドからアンテナへの電力伝達が最大にされるように、アンテナをRFフロントエンドと整合するように同調させるために、動的なインピーダンス同調が、使用される場合がある。
【0018】
[0025] インピーダンス同調は、事前構成されたパラメータがアンテナをシステムに同調させるために使用される「開ループ」構成において、又はパラメータがアンテナをシステムに同調させるように動的に調整される「閉ループ」構成において実行することができる。いずれの場合も、そのようなパラメータは、ワイヤレス電子デバイスのアンテナ性能(たとえば、総放射電力及び反射損失)を向上させるために使用することができる。
【0019】
[0026] 開口同調は、電子デバイス内のワイヤレス通信システムの性能を向上させる別の方法である。一般に、アンテナ開口同調は、特定のアプリケーション又は周波数と整合するようにアンテナの共振周波数を修正することを伴う。アンテナの共振周波数を特定のアプリケーション又は周波数のために同調させることによって、アンテナの効率が、その特定のアプリケーション向けに、又はその特定の周波数において向上される。開口同調はしたがって、複数の周波数における複数のアプリケーションのために同じアンテナをより効率的に使用させることができる。
【0020】
[0027] アンテナ開口同調を実行するための1つのやり方は、アンテナの電気的長さを、その共振周波数を調整するように修正するものである。いくつかの態様では、スイッチを使用して、アンテナを異なる長さの接地経路に接続することによってアンテナの共振周波数を調整し、したがって、アンテナの共振をシフトさせて、アンテナに対するいかなる構造的な変更も伴わずにアンテナの性能を変更することができる。キャパシタ又はインダクタを、共振周波数をさらに調整するために使用することもでき、一般に、スイッチとアンテナの放射要素(radiating element)との間に接続することができる。
【0021】
[0028] 開口同調及びインピーダンス同調は、一般に、アンテナの性能、たとえばその動作帯域、反射損失、帯域幅、利得、及び効率を向上させることができる。スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートウェアラブルなど、最新のモバイルデバイスでは、開口同調は有益には、帯域選択同調と呼ばれ得る、異なるときに複数の帯域中で動作するためのデバイスの力を向上させることができる。
【0022】
[0029] 本明細書に記載する態様は、ワイヤレス通信システムにおいて適応型アンテナ同調を実行するためのシステム及び方法に関する。(たとえば、明確に定義されたユースケースに基づく)固定されたアンテナ同調の構成に依存するいくつかの従来の方法とは異なり、本明細書に記載する方法は、フィードバックデータ(feedback data)に基づいて1つ以上の最適なアンテナ同調器設定(antenna tuner setting)を選択することをエージェントに教示するために強化学習を使用することに関する。アンテナ同調器設定は、一般に、本明細書に記載する様々な例におけるインピーダンス同調器(impedance tuner)及び/又は開口同調器(aperture tuner)を含む、ワイヤレスデバイス内の任意の様式の同調器に関する場合がある。有益なことに、フィードバックデータは、選択の性能を決定するために、選択されたアンテナ同調器設定を選択されていないアンテナ同調器設定と比較する推定モデルを使用することによってオンデバイスで生成することができる。いくつかの態様では、デバイス内のセンサ、及びデバイスとワイヤレスに通信するネットワークからのフィードバックに基づいて、さらなるフィードバックデータを生成することができる。
【0023】
[0030] したがって、本明細書に記載する態様は、有利には、インピーダンス同調器設定(impedance tuner setting)、開口同調器設定(aperture tuner setting)、及び他の同調器設定など、それ自体の最適なワイヤレス通信デバイス構成をデバイスに学習させ、デバイスの使われ方(たとえば、どのように把持されるか)、及び(たとえば、デバイスに保護カバーを配置することによって)デバイスがユーザによってどのように改変され得るかなど、製造変更及び他の外部要因に対するデバイスの鋭敏性を低減する。さらに、アンテナ性能の向上を達成するために、明確に定義された特定のユースケースの実験室での特徴付けはもはや必要とされない。
【0024】
[0031] 有益なことに、本明細書に記載する態様は、一般に、ワイヤレス通信システムを有するデバイスのアンテナ性能を(たとえば、3~5dB以上)向上させ、そのようなデバイスの送信及び受信範囲を増大させ、バッテリー駆動式デバイスのバッテリー寿命を増加させ、そのようなデバイスによって使用されるワイヤレスデータ通信ネットワークにおける干渉を減少させる。
【0025】
アンテナ開口同調のための従来のユースケースの特徴付け
[0032] 従来のアンテナ同調は、デバイスの左手把持又は右手把持など、特定のユースケースの設定を決定することに基づいていた。
【0026】
[0033]
図1Aは、3つの異なるユースケース(自由空間、右手、及び左手)についての例示的なインピーダンス値及びテスト結果のセットそれぞれについて算出された平均を示す。たとえば、特定のユースケース(この例では、例示的な右手把持)についてのテスト結果102A~Cは、平均された点102Dをもたらす。平均された点は、テスト結果に基づいたユースケースについての特性点又は代表点と見なすことができる。この例では、テスト結果は、所与の周波数についての実及び虚インピーダンスを測定しており、テストは、テストされるデバイスの能力に基づいて、多くの異なる周波数にわたって実行することができる。
【0027】
[0034] 測定結果に基づいて、明快なユースケース決定境界を、
図1Bに示すように(弧によって示すように)決定することができる。その後、「ライブ」測定値104をプロットし、ワイヤレス電子デバイスが現在、どのように使用されているか(たとえば、デバイスの現在のユースケース)を決定するために、異なるユースケースについての代表点と、及び/又はユースケース決定境界と比較することができる。
【0028】
[0035] 残念ながら、
図1Aに示すような、測定値とユースケースとの間の初期モデリングは、時間を消費し、コストがかかり、概して代表的でなく、というのは、生産に入る任意の所与のデバイスが(たとえば、様々なユースケースに関して)使われ得る無数の異なるやり方をテストすることは実際的でないからである。たとえば、デバイスは、いくつかの異なるユースケースを判断するために、いくつかの異なる位置においてテストされ得るが、そのテストが、デバイスが様々なユーザによって扱われ得る非常に様々な異なるやり方を本当に表すことはまれである。たとえば、
図1Bに示すように、決定境界は、3つの例示的ユースケースの各々について、代表点の周りの広いエリアをカバーし、それらの大きいエリアは、特定のユースケースを過剰に表す場合がある。
【0029】
[0036] さらに
図1Bに示すように、点が複数のユースケースの限界内であり得るようなユースケース決定境界が重複する多くのエリアがあり、ユースケース決定の際のさらなる不確実性につながる。したがって、この例でのように、代表点に基づく明快な決定境界を使用するには、ワイヤレス電子デバイスによる追加処理を要する場合があり、これは、動作を遅くさせ、より多くの電力を使用する。
【0030】
[0037] より全般的には、従来のテストの限られた性質は、ライブデータ測定値に基づいてデバイスが現在どのように使用されているか(たとえば、ユースケースの定義されたセットに関して)を確実に判断する限られた能力を有する、限られたユースケーステストデータ及びモデルにつながる。特に、ユースケースの誤判断又は予測ミスは、誤ったアンテナ同調器設定を適用させ、デバイスの最適には及ばないワイヤレスデータ送信性能につながる場合がある。
【0031】
[0038] 従来のテスト及びユースケース決定を改善するために、本明細書に記載する態様は、最適なアンテナ同調器設定を決定するための前提条件としてユースケース決定に依存しない。むしろ、本明細書に記載する態様は、フィードバックデータに基づいて(たとえば、インピーダンス同調器及び/又は開口同調器の)最適なアンテナ同調器設定を動的に決定する。いくつかの態様では、エージェントが、様々な入力、フィードバック信号、及び最適なアンテナ同調器設定の選択を強化するように構成された選択性能関数に基づいて、アンテナ同調器設定を選択するための最適なポリシーを強化学習することによって教示される。有益なことに、ユースケースを決定する必要がなく、むしろ、デバイスは、強化学習フィードバックループに基づいて任意の様式のユースケースに適応することができる。
【0032】
強化/エージェント学習の紹介
[0039] 強化学習は、取った行動に対する報酬を最大にし、及び/又はペナルティを最小にするために、環境においてどのような行動を取るべきかを、「エージェント」(「スマートエージェント」又は「AIエージェント」とも呼ばれる)に教示することに焦点を当てた機械学習の形態である。強化学習は、エージェントを訓練するためにラベル付けされた入力/出力ペアを必要としない点で、一般に教師あり学習とは異なり、これは、ユースケースを特徴付けることに関して
図1A及び
図1Bに関して上で説明したものなど、従来の教師あり学習のための十分な訓練データを収集するのが困難であるシナリオにおいて非常に有用である。強化学習は、したがって、たとえば、経時的に最大にされる報酬要素及び/又は経時的に最小にされるペナルティ要素を含み得る性能関数を最大にする、エージェントのための最良のポリシーを学習することに焦点を当てている。
【0033】
[0040] 強化学習エージェントは、離散的な時間ステップ又は時間間隔で環境と相互作用することができる。一般に、各時間ステップにおいて、エージェントは、現在の状態を受け取り、その状態に基づいて報酬及び/又はペナルティを決定する性能関数を評価する。次いで、エージェントは、利用可能な行動のセットから1つの行動を選択し、その後、その行動が環境に送られる。環境は、行動に基づいて新たな状態に移り、移行に関連する新たな報酬及び/又はペナルティが決定され、エージェントにフィードバックされる。したがって、強化学習エージェントの最終的な目的は、変化する環境における異なる時間での異なる行動の選択に基づいて、予想される累積報酬を最大にし、及び/又は予想される累積ペナルティを最小にするポリシーを学習することである。
【0034】
[0041] エージェントによって採用される「ポリシー」は、ニューラルネットワークモデル(neural network model)などの機械学習モデルに基づくことができる。たとえば、様々な入力を機械学習モデルに提供することができ、モデルは、入力に基づいて取るべき行動を予測することができる。強化学習は、性能関数に基づいてモデル及びエージェントのポリシーベースの行動を改善するために、そのようなモデルのパラメータ(たとえば、重み及びバイアス)を経時的に変化させることができる。
【0035】
[0042] たとえば、アンテナ同調の文脈では、エージェントは、ポリシー(たとえば、モデル)に基づいて、インピーダンス同調器設定、開口同調器設定、及び/又は別の同調器設定などのアンテナ同調器設定を選択し(たとえば、「行動」)、それを、データ送信のために実装される(たとえば、デバイスの状態を変更する)デバイス(たとえば、「環境」)に提供することができる。選択されたアンテナ同調器設定に従った送信は、フィードバックデータを作成するために使用することができ、フィードバックデータは、データ送信のために選択されたアンテナ同調器設定に基づいてエージェントに対する報酬及び/又はペナルティを決定するために使用することができる。いくつかの態様では、エージェントによって使用されるポリシーは、ワイヤレスデータ通信システムの送信チェーンに沿った測定された実インピーダンス(real impedance)、送信チェーンに沿った虚インピーダンス(imaginary impedance)、送信チェーンの1つ以上の動作周波数、並びに現在のインピーダンス同調器状態、現在の開口同調器状態、及び/又は現在の他の同調器状態など、1つ以上の現在のアンテナ同調器設定(たとえば、現在の状態)など、様々なタイプの入力データを考慮することができる。
【0036】
適応アンテナ同調を実行するための例示的システム
[0043]
図2は、ワイヤレス電子デバイス中の、適応アンテナ同調を実行するための例示的システム200を示す。
【0037】
[0044] システム200はモデム210を含み、これは、この例では、測定構成要素212、適応型アンテナ同調構成要素214、性能推定構成要素216、及びアンテナ同調器設定データベース218を含む。
【0038】
[0045] 測定構成要素212は、インピーダンス及び周波数測定値などの測定データを、ワイヤレス電子デバイスの他の態様から受信するように構成されてよい。たとえば、測定構成要素212は、一態様では、ワイヤレストランシーバ220のフィードバック受信機(FBRx)222から測定値を受信することができる。一般に、フィードバック受信機222は、送信チェーンに沿った異なるポイントにおける送信信号の測定値を比較する回路である。たとえば、電圧定在波比(VSWR)又は反射損失を決定することができ、これは、送信信号の複素インピーダンスの測定値を提供する。次いで、適応型アンテナ同調構成要素214など、モデム210のある態様が、複素インピーダンスを受け取り、それをアンテナにおけるインピーダンスに変換することができる。上記のように、このアンテナインピーダンスは、インピーダンス同調器232、開口同調器234、及び/又は他の同調器236によってそれぞれ実装されるインピーダンス同調器設定、開口同調器設定、及び/又は他の同調器設定など、異なるアンテナ同調器設定によって、アンテナがどのように影響されるかを決定するために使用することができる。
【0039】
[0046] 適応型アンテナ同調構成要素214は、
図3に関してさらに説明するような、インピーダンス同調器232及び/又はアンテナ開口同調器234の設定を含むアンテナ同調器設定を決定するためのエージェントを実装することができる。場合によっては、エージェントは、アンテナ同調器設定データベース218に記憶された設定から決定及び/又は選択することができる。設定は、インピーダンス同調器232、開口同調器234、及び/又は他の同調器236によって実装され得る開口、インピーダンス、及び/又は他の同調器設定を含むことができ、これらは、実装されたときの無線周波数フロントエンド(RFFE)230の状態の態様と見なされ得る。たとえば、無線周波数フロントエンド230の状態を、インピーダンス同調器232、開口同調器234、及び/又は他の同調器236の設定によって規定することができる。
【0040】
[0047] この例では、無線周波数フロントエンド230は、インピーダンス同調器232及び開口同調器234を含み、これらはそれぞれ、インピーダンス同調及び開口同調を実行するように構成される。無線周波数フロントエンド230は、たとえば、電力増幅器の出力をアンテナに整合させて電力増幅器性能を向上させるための1つ以上の整合ネットワークを含み得る、他の同調器236をさらに含む。
【0041】
[0048] 無線周波数フロントエンド230は、いくつか例を挙げると、電力増幅器、電力追跡器、デュプレクサ、ヘキサプレクサ、スイッチ、低ノイズ増幅器、フィルタ、アンテナスイッチ、及び抽出器など、簡単のためにこの例には示されない多くの他の態様を含んでもよいことに留意されたい。
【0042】
[0049] 無線周波数フロントエンド230は、アンテナ250にさらに接続される。この例では、簡単のために単一のアンテナ250が示されているが、無線周波数フロントエンド230は複数のアンテナに接続されてよいことに留意されたい。さらに、この例は単一の無線周波数フロントエンドを示すが、他の例は、異なる無線アクセス技術のため、異なる周波数において同時に動作するためなどに、複数の無線周波数フロントエンドを含んでもよい。
【0043】
[0050] 適応型アンテナ同調構成要素214は、(複数のアンテナを表す場合がある)アンテナ250の性能を向上させるために、無線周波数フロントエンド230内のインピーダンス同調器232、開口同調器234及び/又は他の同調器236にアンテナ同調器設定を提供するようにさらに構成される。適応型アンテナ同調構成要素214によって実装され得る適応型アンテナ同調システムの例を、
図3に関してより詳細に示し、説明する。
【0044】
[0051] 適応型アンテナ同調構成要素214は、電子デバイスのワイヤレスデータ送信システムの性能を著しく向上させることができる。たとえば、アンテナ効率における3~5dBの向上が、電力使用の削減、バッテリー寿命の増大、及びネットワーク干渉の低下とともに達成され得る。そのような向上は、概して有益であり、屋内及び/若しくはセルエッジでの、又は複数のアンテナがカバーされるようにデバイスが扱われるときの使用など、いくつかのシナリオに特に適する場合がある。
【0045】
[0052] データを送信及び受信するために、モデム210はワイヤレストランシーバ220に接続され、トランシーバは無線周波数フロントエンド230に接続され、フロントエンドはアンテナ250に接続される。モデム210は、処理コア、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、セキュリティ構成要素、周辺構成要素、キャッシュ、及びそれ以外など、簡単のためにこの例には示されない多くの他の態様を含み得ることに留意されたい。
【0046】
[0053] 特に、
図2は、簡単のために、デバイスのワイヤレスデータ送信システムの選択された態様のみを示しており、他のプロセッサ、メモリ、センサ、入力及び出力デバイス、周辺システムなどのような、多くの他の態様が可能である。
【0047】
例示的な強化学習モデルアーキテクチャ
[0054]
図3は、例示的な強化学習モデルアーキテクチャ300を示す。強化学習モデルアーキテクチャ300は、たとえば、
図2の適応型アンテナ同調構成要素214によって実装することができる。
【0048】
[0055] 強化学習モデルアーキテクチャ300は、この例ではインピーダンス同調器232のインピーダンス同調器設定、開口同調器234の開口同調器設定を含む、アンテナ同調器設定を決定又は選択するためのポリシーを実装し得るエージェント304を含む。
図3には示されないが、追加の態様では、エージェント304は、
図2に関して上で説明した他の同調器236など、他の同調器の同調器設定も決定するように構成されてもよいことに留意されたい。
【0049】
[0056] 場合によっては、エージェント304は、ニューラルネットワークモデルなどの機械学習モデル(たとえば、「ポリシーモデル」又は「ワイヤレスデータ送信システム構成モデル」)によってそのポリシーを実装することができ、機械学習モデルは、1つ以上の入力302(たとえば、デバイス内のワイヤレス通信システムの動作特性)を受け取り、インピーダンス同調器設定303(
図3の「IT設定」)及び/又は開口同調器設定305(
図3の「AT設定」)などのポリシー決定(たとえば、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成)を出力する。この例では、エージェント304に提供される1つ以上の入力302は、エージェント304のポリシーモデルへの入力として使用することができ、実インピーダンス測定値302A、虚インピーダンス測定値302B、1つ以上の動作周波数302C、開口同調器状態302D、インピーダンス同調器状態302E、及びモデムメトリック302F(たとえば、受信信号受信電力(RSRP:received signal received power)メトリック、受信信号受信品質(RSRQ:received signal received quality)メトリック、信号対ノイズメトリック(signal to noise metric)(SNR/SINR)、受信信号強度インジケータ(RSSI:received signal strength indicator)、その他)を含む。さらに、示されないが、ワイヤレスデータ通信システムが動作しているデバイスからのセンサデータなど、他の入力データを使用してもよい。
【0050】
[0057] 場合によっては、エージェント304によって実装されるポリシーモデルは、インピーダンス同調器設定、開口同調器設定、及び/又は任意の数の同調器パラメータを含み得る他の同調器を含む、アンテナ同調器設定に関連する1つ以上のインデックスを出力することができる。場合によっては、インデックスは、
図2の設定データベース218などのデータベースに記憶された同調器設定を識別することができる。
【0051】
[0058] いくつかの態様では、エージェント304は、アンテナ上に存在する1つ以上のキャリアに関する異なるアンテナ同調器設定の予想される性能(効率、整合インピーダンス)をさらに出力し、システムの他の部分(たとえば、適応型アンテナ同調システムの外部)に、電力増幅器効率、非線形性、(たとえば、誤差ベクトルの大きさによって記述されるような)精度、達成可能な変調タイプ、多入力多出力(MIMO)構成のための達成可能なアンテナランク、その他など、他の目標及び制約に基づいて同調器挙動を選択させるように構成することができる。
【0052】
[0059] 図示するように、(実成分302A及び虚成分302Bをそれぞれ含む)複素インピーダンス測定値は、インピーダンス測定構成要素308によって提供することができる。いくつかの態様では、ワイヤレスデータ通信システムは、複数の動作周波数を同時に使用している場合があり、そのような場合、インピーダンス測定構成要素308によるインピーダンス測定は、複数の同時周波数に基づく場合がある。しかし、そのような場合、測定周波数は必ずしも動作周波数のすべてに整合する必要がないことに留意されたい。
【0053】
[0060] 場合によっては、インピーダンス測定値は、
図2のフィードバック受信機222などのフィードバック受信機によって生成することができる。さらに、インピーダンス同調器状態及び開口同調器状態は、ワイヤレスデータ送信システムの現在の状態に基づいてエージェント304によって知られてもよいし、そうでなければ、一次基準又は確認基準としてインピーダンス同調器232及び開口同調器234によって提供されてもよい。
【0054】
[0061] エージェント304によって決定されたアンテナ同調器設定(たとえば、この例ではインピーダンス同調器設定303及び/又は開口同調器設定305)は、決定されたアンテナ同調器設定に基づいてフィードバックデータをエージェント304に提供するように構成された性能推定器306にさらに提供されてもよい。場合によっては、開口同調器設定305及びインピーダンス同調器設定303は、まとめて同調コードと見なすことができ、エージェント304は、無線周波数フロントエンド(たとえば、
図2の230)の性能(効率、電力、線形性)を最適化する最適なインピーダンス同調器及び開口同調器設定を含む最適な同調コード(optimal tunecode)を決定しようと試みる。一例では、電力増幅器からアンテナ(たとえば、
図2の250)への最大電力送達が、最適な同調コードに基づいて達成される。様々な態様では、最大受信電力、最小非線形性、及び送信電力と受信電力と線形性との間の妥協点がすべて、最適な同調コードを決定する際に考慮される。
【0055】
[0062] いくつかの態様では、フィードバックデータは、エージェント304によって選択されていないアンテナ同調器設定(たとえば、この例では、選択されていない又は「仮想」のインピーダンス同調器設定及び/又は開口同調器設定)に関連する推定されたインピーダンスに基づく。たとえば、任意の数の定義されたインピーダンス同調器設定及び/又は開口同調器設定を、(たとえば、
図2の設定データベース218)に記憶し、エージェント304にとってアクセス可能にすることができる。エージェント304によって出力されるアンテナ同調器設定に基づく推定されたインピーダンスは、
図4の例に関してさらに説明するように、性能推定器306によって実装される1つ以上のモデルに基づくことができる。
【0056】
[0063] いくつかの態様では、フィードバックデータは、さらに又は代替的に、他のインジケータ(indicator)に基づくことができる。上記のように、デバイス上の様々なセンサが、エージェント304へのフィードバックを生成するために使用され得るセンサデータを提供することができる。同様に、デバイスとデータ通信するワイヤレスデータネットワークからのインジケータ(たとえば、信号品質メトリック)を、エージェント304へのフィードバックデータを生成するために使用することができる。
【0057】
[0064] 性能推定器306からのフィードバックデータに基づいて、エージェント304は、強化学習を使用してそのポリシー(たとえば、そのポリシーモデルのパラメータ)を更新することができる。たとえば、エージェント304は、この例ではインピーダンス同調器232及び開口同調器234に関連するが、上記のように他のアンテナ同調器(たとえば、
図2の他の同調器236)も含み得る、性能推定器306からの性能推定値に基づいて、最良の適応型アンテナ同調設定を選択するためにエージェント304に報酬を与える選択性能関数を評価することができる。さらなる例として、選択性能関数は、アンテナにおける電力損失を最小にする適応型アンテナ同調器設定の選択に報酬を与えることができる。
【0058】
[0065] エージェント304によって評価される選択性能関数は、追加的又は代替的に、最適以下の適応型アンテナ同調設定の選択に対するペナルティをエージェント304に課すことができる。たとえば、選択性能関数は、同調器設定間の迅速な繰返しを妨げるために同調器設定間の切り替えに対するペナルティ要素を含むことができる。一般的に言えば、選択性能関数は、報酬要素を最大にすると同時にペナルティ要素を最小にするように、エージェント304にその設定選択ポリシーを経時的に適応させる報酬要素及び/又はペナルティ要素を含むことができる。
【0059】
[0066] 強化学習モデルアーキテクチャ300を実装するデバイスは、性能推定器306及び強化学習によって提供されるフィードバックループを必要に応じて有効又は無効にしてもよいことに留意されたい。たとえば、新たなデバイスを、インピーダンス及び/又は開口同調器設定を選択するためのポリシーモデルによって事前構成することができる。使用されると、新たなデバイスは、エージェント304のポリシーモデルが経時的に改善されるように、性能推定器306及び強化学習によって提供されるフィードバック機構を有効にすることができる。いくらかの時間の後、たとえば、ポリシーモデルが収束した(又は収束したと推定された)後に、フィードバックループを無効にすることができる。さらに、フィードバックループを、デバイスに対するいかなる変更(たとえば、新たな電話カバーがインストールされている)もエージェント304によって理解されることを確実にするために、間隔を置いて有効にすることができる。フィードバックループが無効にされているとき、エージェント304は、性能推定器306によって提供されるフィードバックなしに、その既存のポリシーに基づいて、インピーダンス同調器設定303及び開口同調器設定305などのアンテナ同調器設定を決定し続ける。
【0060】
[0067] 有益なことに、強化学習モデルアーキテクチャ300は、デバイスのユースケースを最初に、又は全く決定する必要なしに、開口同調器設定(たとえば、305)を決定することができる。したがって、強化学習モデルアーキテクチャ300を実装するデバイスは、任意のユースケースに基づいて、デバイス間の製造差に対する鋭敏性を伴わずに、その開口同調器設定を適応的に同調させることが可能である場合がある。
【0061】
例示的な性能推定器
[0068] 一般に、ワイヤレス通信システムを有するデバイスは、そのアンテナにおけるインピーダンス、送信のために動作している周波数、及びその現在のアンテナ同調器状態(antenna tuner state)(たとえば、インピーダンス及び/又は開口同調器状態)のみを「見る」ことができる。エージェント(たとえば、
図3のエージェント304)にフィードバック信号を提供するために、デバイスは、異なるアンテナ同調器設定を使用してデバイスがどのように動作したかを推定することができる。
【0062】
[0069] いくつかの態様では、以下で説明するように、機械学習ベースの推定器は、選択されていないアンテナ同調器設定を用いて、それらに物理的に切り替えることなしに、ワイヤレス通信システムの性能をシミュレートするために使用することができ、時間及び電力を節約する。さらに、機械学習モデルによっても実装され得る追加の推定器を使用して、実際のアンテナ同調器状態及び測定された実際の性能の両方、並びに選択されていないアンテナ同調器状態及びそれらの状態における推定された性能に基づいて、アンテナの効率を推定することができる。これらの値のすべてが決定されると、システムは、(選択されていないアンテナ同調器設定のうちの1つであり得る)最適なアンテナ同調器設定を計算し、この決定をフィードバックとしてエージェントに提供して学習させることができる。
【0063】
[0070]
図4は、
図3のエージェント304などのエージェントにフィードバックデータを提供するために使用され得る例示的な性能推定器306を示す。
【0064】
[0071]
図4に示される例示的な性能推定器306では、アンテナインピーダンス推定器402が、デバイスによって現在使用されていないアンテナ同調器設定(たとえば、この例ではAT
1~AT
N-1、ここで、Nはアンテナ同調器設定の総数である)の、実成分及び虚成分を含む「仮想」インピーダンス推定値(たとえば、ワイヤレスデータ送信システムの推定された動作特性(estimated operating characteristics))404A~404Bを予測する。いくつかの態様では、アンテナ同調器設定は、インピーダンス同調器及び開口同調器の設定を含むが、他の例では、アンテナ同調器設定は、インピーダンス同調器又は開口同調器に関する場合がある。この例では、現在のアンテナ同調器設定AT
Nは、現在の開口同調器状態302D及び現在のインピーダンス同調器状態302Eを含むことができる。
【0065】
[0072] いくつかの態様では、アンテナインピーダンス推定器402は、開口同調器設定に基づいて仮想インピーダンスを予測するように訓練された、訓練されたニューラルネットワークモデル、決定木、ブースト木、又は別のタイプのモデルなどの機械学習モデルを使用して実装され得る。
【0066】
[0073] アンテナインピーダンス推定値404A~404Bに基づいて、アンテナ効率推定器406は、仮想アンテナ効率推定値(たとえば、推定された性能メトリック(estimated performance metrics))408A~408Bを予測する。仮想アンテナ効率は、たとえば、異なるアンテナ同調器設定(たとえば、この例ではAT1~ATN-1)に基づくアンテナの送信電力効率に関する場合がある。さらに、アンテナ効率推定器406は、現在の開口同調器状態302D及びインピーダンス同調器状態302Eにおけるように、実際のアンテナ同調器設定に基づいてアンテナの効率を決定する。
【0067】
[0074] 選択されていないアンテナ同調器設定(たとえば、408A~408B)に基づく仮想アンテナ効率と、現在のアンテナ同調器設定(たとえば、408C)に基づく実際のアンテナ効率の両方が、最適なアンテナ同調器設定412を決定するために比較器410に提供される。たとえば、最適な開口同調器設定412は、最高の送信電力効率を提供する設定であることができる。最適なアンテナ同調器設定412を、上で説明したように、強化学習を実行するためのフィードバックデータとして、
図3のエージェント304などのエージェントに提供することができる。したがって、フィードバックデータは、エージェントが、たとえばデバイス動作特性に基づいて、最適なアンテナ同調器設定をより頻繁に選択するように、そのポリシーを適応させるのを助けるために使用することができる。
【0068】
[0075]
図4には示さないが、他の入力を性能推定器306によって考慮してもよく、さらなるモデルを、最良のアンテナ同調器設定を決定するために(たとえば、比較器410によって)実際の性能値と比較され得る仮想性能値を推定するために使用してもよい。たとえば、性能推定器306は、いくつかの例を挙げると、受信信号受信電力(RSRP)メトリック、受信信号受信品質(RSRQ)メトリック、信号対ノイズメトリック(SNR/SINR)、受信信号強度インジケータ(RSSI)を含む、デバイスとワイヤレスデータ通信するネットワークによって提供されるインジケータを考慮することができる。ネットワークによって提供される実際の値は、最適な開口同調器設定412を選択するために、適切なモデルによる推定値と比較することができる。
【0069】
適応型アンテナ同調の例示的な方法
[0076]
図5は、
図2~
図4に関して上で説明したような、ワイヤレスデータ通信システムを有するデバイスにおいて適応型アンテナ同調を実行する例示的な方法500を示す。
【0070】
[0077] 方法500は、ステップ502において、デバイスのワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の動作特性を受信することから始まる。たとえば、動作特性は、
図3に関して説明した入力302及びデバイスからのセンサデータなどの他のものと同様であることができる。
【0071】
[0078] 次いで、方法500はステップ504に進み、ワイヤレスデータ送信システム構成モデルを使用して、1つ以上の動作特性に基づいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を決定する。たとえば、モデルは、
図3に関して上で説明したエージェント304などのエージェントによって実装することができる。
【0072】
[0079] 次いで、方法500はステップ506に進み、ワイヤレスデータ送信システムにおいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を実装する。
【0073】
[0080] いくつかの態様では、方法500は、インピーダンス推定器402とともに
図4に関して説明したように、第1の推定器モデル(estimator model)を使用して、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成とは異なる1つ以上の仮想ワイヤレスデータ送信システム構成(virtual wireless data transmission system configuration)を使用するワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の推定された動作特性を決定することをさらに含む。いくつかの態様では、第1の推定器モデルはニューラルネットワークモデルからなる。
【0074】
[0081] いくつかの態様では、方法500は、アンテナ効率推定器406とともに
図4に関して説明したように、第2の推定器モデルを使用して、1つ以上の推定された動作特性に基づいてワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の推定された性能メトリックを決定することをさらに含む。いくつかの態様では、第2の推定器モデルはニューラルネットワークモデルからなる。
【0075】
[0082] いくつかの態様では、方法500は、アンテナ効率推定408Cとともに
図4に関して説明したように、実装されたターゲットワイヤレスデータ送信システム構成に基づいて実際の性能メトリック(actual performance metric)を決定することをさらに含む。
【0076】
[0083] いくつかの態様では、方法500は、比較器410とともに
図4に関して説明したように、実際の性能メトリック及び1つ以上の推定された性能メトリックに基づいて、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成及び1つ以上の仮想ワイヤレスデータ送信システム構成のうちの最良のワイヤレスデータ送信システム構成(best wireless data transmission system configuration)を決定することをさらに含む。
【0077】
[0084] いくつかの態様では、方法500は、決定された最良のワイヤレスデータ送信システム構成に基づいてフィードバックデータを生成することをさらに含む。いくつかの態様では、フィードバックデータは、最適なアンテナ同調器設定412とともに
図4に関して説明したように、最良のワイヤレスデータ送信システム構成を含む。
【0078】
[0085] いくつかの態様では、フィードバックデータは、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成が最良のワイヤレスデータ送信システム構成に一致する場合の、強化学習モデル(reinforcement learning model)のための報酬信号(reward signal)、又は、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成が最良のワイヤレスデータ送信システム構成に一致しない場合の、ペナルティ信号(penalty signal)の一方を含む。
【0079】
[0086] いくつかの態様では、方法500は、フィードバックデータに基づいてワイヤレスデータ送信システム構成モデルを更新することをさらに含む。いくつかの態様では、ワイヤレスデータ送信システム構成モデルは強化学習モデルである。
【0080】
[0087] いくつかの態様では、実際の性能メトリックは、デバイスとワイヤレスデータ通信するネットワークによって提供されるインジケータを含む。いくつかの態様では、インジケータは、受信信号受信電力(RSRP)メトリック、受信信号受信品質(RSRQ)メトリック、信号対ノイズメトリック(SNR/SINR)、又は受信信号強度インジケータ(RSSI)のうちの少なくとも1つを含む。他の態様では、他のネットワークキー性能インジケータ(KPI)、又はネットワーク上の他のデバイスからクラウドソーシングされたメトリックさえも、実際の性能メトリックとして使用することができる。
【0081】
[0088] いくつかの態様では、方法500は、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成に基づいてインピーダンス同調器の最適な同調コードを決定することをさらに含む。一般に、最適な同調コードは、電力増幅器から送達される電力とアンテナによって送信される電力との間に最小の損失が存在するものである。
【0082】
[0089] いくつかの態様では、1つ以上の動作特性は、ワイヤレスデータ送信システムの要素(element)の実インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの要素の虚インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の周波数と、アンテナ同調器状態とを含む。たとえば、アンテナ同調器状態は、インピーダンス同調器状態、開口同調器状態、及び/又は他の同調器状態のうちの1つ以上を含むことができる。
【0083】
[0090] いくつかの態様では、要素は、ワイヤレスデータ送信システムのアンテナであり、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成は、アンテナ同調器設定を含む。いくつかの態様では、アンテナ同調器設定は、開口同調器設定又はインピーダンス同調器設定の少なくとも一方を含む。
【0084】
適応型アンテナ同調を実行するための例示的な電子デバイス
[0091]
図6は、たとえば、
図2~
図5に関して本明細書に記載するように、スパース性を活用した(sparsity-aware)コンピュートインメモリを実行するための例示的な処理システム600を示す。
【0085】
[0092] 処理システム600は、いくつかの例ではマルチコアCPUであってよい、中央処理ユニット(CPU)602を含む。CPU602において実行される命令は、たとえば、CPU602に関連するプログラムメモリからロードされてよく、又はメモリパーティション624からロードされてもよい。
【0086】
[0093] 処理システム600はまた、グラフィックス処理ユニット(GPU)604、デジタル信号プロセッサ(DSP)606、ニューラル処理ユニット(NPU)608、マルチメディア処理ユニット610、及びワイヤレス接続性構成要素612などの、特定の機能に編整された追加の処理構成要素を含む。
【0087】
[0094] 608などのNPUは一般に、人工ニューラルネットワーク(ANN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、ランダムフォレスト(RF)などを処理するためのアルゴリズムなどの、機械学習アルゴリズムを実行するためのすべての必要な制御及び演算論理を実装するように構成される特殊回路である。NPUは代替として、ニューラル信号プロセッサ(NSP)、テンソル処理ユニット(TPU)、ニューラルネットワークプロセッサ(NNP)、インテリジェンス処理ユニット(IPU)、ビジョン処理ユニット(VPU)、又はグラフ処理ユニットと呼ばれることもある。
【0088】
[0095] 608などのNPUは、画像分類、機械翻訳、物体検出、及び様々な他の予測モデルなどの一般的な機械学習タスクの実行を加速するように構成される。いくつかの例では、複数のNPUが、システムオンチップ(SoC)などの単一のチップ上でインスタンス化されてもよいが、他の例では、専用のニューラルネットワークアクセラレータの一部であってもよい。
【0089】
[0096] NPUは、訓練若しくは推論のために最適化されてもよく、又は場合によっては、その両方の間で性能のバランスをとるように構成されてよい。訓練と推論の両方を実行することが可能なNPUでは、一般に2つのタスクはやはり独立して実行されてよい。
【0090】
[0097] トレーニングを加速するように設計されたNPUは、一般に、新たなモデルの最適化を加速するように構成され、そうした最適化は、(しばしば、ラベル付け又はタグ付けされた)既存のデータセットを入力することと、データセットを反復することと、次いで、モデル性能を向上させるために重み及びバイアスなどのモデルパラメータを調整することとを伴う、極めて計算集約的な動作である。一般に、誤った予測に基づく最適化は、モデルの層を逆伝播することと、予測誤差を減らすために勾配を決定することとを伴う。
【0091】
[0098] 推論を加速するように設計されたNPUは、一般に、完全なモデル上で動作するように構成される。したがって、そのようなNPUは、新しいデータを入力し、モデル出力(たとえば、推論)を生成するようにすでに訓練されたモデルを通じてデータを高速に処理するように、構成されてもよい。
【0092】
[0099] 一実装形態では、NPU608は、CPU602、GPU604、及び/又はDSP606のうちの1つ又は複数の一部である。
【0093】
[0100] いくつかの例では、ワイヤレス接続構成要素612は、たとえば、第3世代(3G)接続、第4世代(4G)接続(たとえば、4G LTE(登録商標))、第5世代接続(たとえば、5G又はNR)、Wi-Fi接続、Bluetooth(登録商標)接続、及び他のワイヤレスデータ送信規格用のサブ構成要素を含んでもよい。ワイヤレス接続処理構成要素612は、さらに1つ以上のアンテナ614に接続される。
【0094】
[0101] 処理システム600はまた、センサの任意の方式に関連する1つ若しくは複数のセンサ処理ユニット616、イメージセンサの任意の方式に関連する1つ若しくは複数の画像信号プロセッサ(ISP)618、及び/又は衛星ベースの測位システム構成要素(たとえば、GPS又はGLONASS)を含むことがあるナビゲーションプロセッサ620、並びに慣性測位システム構成要素を含んでよい。
【0095】
[0102] 処理システム600はまた、スクリーン、タッチ敏感表面(タッチ敏感ディスプレイを含む)、物理ボタン、スピーカー、マイクロフォンなどの、1つ以上の入力及び/又は出力デバイス622を含んでよい。
【0096】
[0103] いくつかの例では、処理システム600のプロセッサのうちの1つ以上は、ARM又はRISC-V命令セットに基づいてよい。
【0097】
[0104] 処理システム600はまた、ダイナミックランダムアクセスメモリ、フラッシュベースのスタティックメモリなどの、1つ以上のスタティックメモリ及び/又はダイナミックメモリを表すメモリ624を含む。この例では、メモリ624は、処理システム600の上述のプロセッサのうちの1つ以上によって実行され得るコンピュータ実行可能構成要素を含む。
【0098】
[0105] 特に、この例では、メモリ624は、測定構成要素624A、適応型同調構成要素624B、推定構成要素624C、受信構成要素624D、送信構成要素624E、及び設定データベース624Fを含む。図示の構成要素及び図示されていない他の構成要素は、本明細書に記載する方法の様々な態様を実行するように構成することができる。
【0099】
[0106] 処理システム600は、たとえば、
図2に関して上で説明したような開口同調器626をさらに備える。
【0100】
[0107] 処理システム600は、
図2に関して上で説明したようなインピーダンス同調器628をさらに備える。
【0101】
[0108] 一般に、処理システム600及び/又はその構成要素は、本明細書に記載する方法を実行するように構成されてもよい。
【0102】
[0109] 特に、他の場合には、処理システム600の態様が省略されてもよい。たとえば、マルチメディア構成要素610、ISP618、及び/又はナビゲーション構成要素620は、他の態様では省略されてもよい。さらに、処理システム600の態様は、複数のデバイス間で分散されてもよい。
【0103】
代替態様
[0110] 以下の番号付き条項に、代替態様が列挙される。
【0104】
[0111] 条項1:デバイスのワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の動作特性を受信することと、ワイヤレスデータ送信システム構成モデルを使用して、1つ以上の動作特性に基づいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を決定することと、
ワイヤレスデータ送信システムにおいてターゲットワイヤレスデータ送信システム構成を実装することとを含む方法。
【0105】
[0112] 条項2:第1の推定器モデルを使用して、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成とは異なる1つ以上の仮想ワイヤレスデータ送信システム構成を使用するワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の推定された動作特性を決定することと、第2の推定器モデルを使用して、1つ以上の推定された動作特性に基づいてワイヤレスデータ送信システムの1つ以上の推定された性能メトリックを決定することと、実装されたターゲットワイヤレスデータ送信システム構成に基づいて実際の性能メトリックを決定することと、実際の性能メトリック及び1つ以上の推定された性能メトリックに基づいて、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成及び1つ以上の仮想ワイヤレスデータ送信システム構成のうちの最良のワイヤレスデータ送信システム構成を決定することと、決定された最良のワイヤレスデータ送信システム構成に基づいてフィードバックデータを生成することとをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0106】
[0113] 条項3:フィードバックデータに基づいてワイヤレスデータ送信システム構成モデルを更新することをさらに含む、条項2に記載の方法。
【0107】
[0114] 条項4:ワイヤレスデータ送信システム構成モデルが、強化学習モデルである、条項3に記載の方法。
【0108】
[0115] 条項5:フィードバックデータが、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成が最良のワイヤレスデータ送信システム構成に一致する場合の、強化学習モデルのための報酬信号、又は、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成が最良のワイヤレスデータ送信システム構成に一致しない場合の、ペナルティ信号の一方を含む、条項4に記載の方法。
【0109】
[0116] 条項6:フィードバックデータが、最良のワイヤレスデータ送信システム構成を含む、条項4に記載の方法。
【0110】
[0117] 条項7:実際の性能メトリックが、デバイスとワイヤレスデータ通信するネットワークによって提供されるインジケータを含む、条項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【0111】
[0118] 条項8:インジケータが、受信信号受信電力(RSRP)メトリック、受信信号受信品質(RSRQ)メトリック、信号対ノイズメトリック(SNR/SINR)、又は、受信信号強度インジケータ(RSSI)のうちの少なくとも1つを含む、条項7に記載の方法。
【0112】
[0119] 条項9:第1の推定器モデルが、ニューラルネットワークモデルからなる、条項2から8のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
[0120] 条項10:第2の推定器モデルが、ニューラルネットワークモデルからなる、条項2から9のいずれか一項に記載の方法。
【0114】
[0121] 条項11:ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成に基づいてインピーダンス同調器の最適な同調コードを決定することをさらに含む、条項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0115】
[0122] 条項12:1つ以上の動作特性が、ワイヤレスデータ送信システムの要素の実インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの要素の虚インピーダンスと、ワイヤレスデータ送信システムの周波数と、アンテナ同調器状態とを含む、条項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【0116】
[0123] 条項13:要素が、ワイヤレスデータ送信システムのアンテナであり、ターゲットワイヤレスデータ送信システム構成が、アンテナ同調器設定を含む、条項12に記載の方法。
【0117】
[0124] 条項14:アンテナ同調器設定が、開口同調器設定又はインピーダンス同調器設定の少なくとも一方を含む、条項13に記載の方法。
【0118】
[0125] 条項15:処理システムであって、ワイヤレスデータ送信システムと、コンピュータ実行可能命令を備えるメモリと、コンピュータ実行可能命令を実行し、条項1から14のいずれか一項に記載の方法を処理システムに実行させるように構成される1つ以上のプロセッサとを備える、処理システム。
【0119】
[0126] 条項16:条項1から14のいずれか一項に記載の方法を実行するための手段を備える処理システム。
【0120】
[0127] 条項17:コンピュータ実行可能命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体であって、コンピュータ実行可能命令が、処理システムの1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、条項1から14のいずれか一項に記載の方法を処理システムに実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0121】
[0128] 条項18:条項1から14のいずれか一項による方法を実行するためのコードを備えるコンピュータ可読記憶媒体上で具現化されたコンピュータプログラム製品。
【0122】
追加の考慮事項
[0129] 先行する説明は、本明細書に記載した様々な態様をあらゆる当業者が実践することを可能にするために提供される。本明細書に記載した実施例は、特許請求の範囲に記載された範囲、適用可能性、又は態様を限定するものではない。これらの態様の様々な修正が当業者に容易に明らかになり、本明細書で定義される一般原理が他の態様に適用され得る。たとえば、本開示の範囲から逸脱することなく、説明する要素の機能及び構成に変更を行うことができる。様々な実施例は、必要に応じて、様々な手順又は構成要素を省略してもよく、置換してもよく、又は追加してもよい。たとえば、説明する方法は、説明する順序とは異なる順序で実行されてもよく、様々なステップが追加されてもよく、省略されてもよく、又は組み合わされてもよい。また、いくつかの実施例に関して説明する特徴は、いくつかの他の実施例に組み合わされてもよい。たとえば、本明細書に記載する任意の数の態様を使用して、装置が実装されてもよく、又は方法が実践されてもよい。加えて、本開示の範囲は、本明細書に記載される本開示の様々な態様に加えて、又はそれらの態様以外に、他の構造、機能、又は構造及び機能を使用して実践されるそのような装置又は方法を包含することを意図している。本明細書で開示する開示のいずれの態様も、特許請求の範囲の1つ以上の要素によって具現化できることを理解されたい。
【0123】
[0130] 本明細書で使用されるとき、「例示的」という語は、「例、事例、又は例示としての役割を果たすこと」を意味する。「例示的」として本明細書で説明したいかなる態様も、必ずしも他の態様よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0124】
[0131] 本明細書で使用する、項目の列挙「のうちの少なくとも1つ」を指す句は、単一の部材を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b、又はcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、及びa-b-c、並びに複数の同じ要素を有する任意の組み合わせ(たとえば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c、及びc-c-c、又はa、b、及びcの任意の他の順序)を包含することを意図している。
【0125】
[0132] 本明細書で使用されるとき、「決定すること/判定すること(determining)」という用語は、多種多様なアクションを包含する。たとえば、「決定すること/判定すること」は、計算すること、算出すること、処理すること、導出すること、調査すること、ルックアップすること(たとえば、テーブル、データベース、又は別のデータ構造においてルックアップすること)、確認することなどを含んでもよい。また、「決定すること/判定すること」は、受信すること(たとえば、情報を受信すること)、アクセスすること(たとえば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「決定すること/判定すること」は、解決すること、選択すること、選出すること、確立することなどを含むことができる。
【0126】
[0133] 本明細書で開示する方法は、方法を達成するための1つ以上のステップ又はアクションを含む。方法ステップ及び/又はアクションは、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに入れ替えてもよい。言い換えれば、ステップ又はアクションの具体的な順序が指定されない限り、具体的なステップ及び/又はアクションの順序及び/又は使用は、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく修正されてもよい。さらに、上述した方法の様々な動作は、対応する機能を実行することが可能な任意の適切な手段によって実行されてもよい。手段は、限定はされないが、回路、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、又はプロセッサを含む、様々なハードウェア及び/又はソフトウェア構成要素(単数又は複数)及び/又はモジュール(単数又は複数)を含んでもよい。一般に、図に示された動作がある場合、それらの動作は、類似の番号付けを伴う対応する相対物のミーンズプラスファンクション構成要素を有し得る。
【0127】
[0134] 以下の特許請求の範囲は、本明細書で示される態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲の文言と一致する全範囲を与えられるべきである。請求項において、単数形の要素への言及は、「唯一無二の」と明記されていない限り、それを意味するものではなく、「1つ以上の」を意味するものとする。別段に明記されていない限り、「いくつかの」という用語は1つ以上を指す。請求項の要素は、要素が「の手段」という句を使用して明白に記載されていない限り、又は方法クレームの場合には、要素が「のステップ」という句を使用して記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定の下で解釈されるべきではない。当業者に知られている又は後で知られることになる、本開示全体にわたって説明した様々な態様の要素のすべての構造的及び機能的な均等物は、参照により本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。その上、本明細書に開示するものはいずれも、そのような開示が特許請求の範囲において明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公に供されることを意図するものではない。
【国際調査報告】