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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】大きさを求めるためのセンサー装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 21/00 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
G01P21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510675
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2022075067
(87)【国際公開番号】W WO2023041424
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021004639.0
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500331909
【氏名又は名称】ハイダック エレクトロニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス ボルフ
(72)【発明者】
【氏名】カイ ミッターミュラー
(57)【要約】
ハードウェアと、これに実装されたソフトウェアと、を備えた、大きさを求めるためのセンサー装置が開示されている。センサー装置は、ソフトウェアが非認証部分(10)と、安全要件に基づいて認証された部分(12)とに分割されており、これらの部分はそれぞれのソフトウェアに関して互いに別個に形成されていて、それぞれ少なくとも1つの計算ユニット(14、16)を有しており、計算ユニット(14、16)は互いに通信接続されていることを特徴とする。更に、このようなセンサー装置を備えた作業機械と、このようなセンサー装置をそれぞれの使用条件に適合させるための方法と、について説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアと、これに実装されたソフトウェアと、を備えた、大きさを求めるためのセンサー装置であって、前記ソフトウェアは非認証部分(10)と、安全要件に基づいて認証された部分(12)とに分割されており、前記部分はそれぞれのソフトウェアに関して互いに別個に形成されていて、それぞれ少なくとも1つの計算ユニット(14、16)を有しており、前記計算ユニット(14、16)は互いに通信接続されていることを特徴とするセンサー装置。
【請求項2】
前記計算ユニット(14、16)の少なくとも1つに、状態値を検出するための少なくとも1つのセンサーデバイス(20、22、24)が接続され、前記センサー装置は、少なくとも1つのセンサーデバイス(20、22、24)の状態値に応じて、各計算ユニット(14、16)によって互いに独立にそれぞれ大きさを決定できるように設計され、大きさを決定するための計算ユニット(14、16)のプロセスが互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載のセンサー装置。
【請求項3】
前記認証部分(12)の計算ユニット(16)によって大きさを決定するために、1つのセンサーデバイス(20、22、24)の状態値が使用され、前記非認証部分(10)の計算ユニット(14)によって大きさを決定するために、少なくともこのセンサーデバイス(20、22、24)の状態値、好ましくは追加的に別の少なくとも1つのセンサーデバイス(20、22、24)の状態値が使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセンサー装置。
【請求項4】
前記非認証部分(10)の計算ユニット(14)に実装されたソフトウェアは、少なくとも2つのセンサーデバイス(20、22、24)によって検出された状態値の融合を実行して大きさを求めるように設計されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサー装置。
【請求項5】
前記認証部分(12)は、前記非認証部分(10)の計算ユニット(14)の構成データを格納するために前記認証部分(12)の少なくとも1つの空データフィールドが設けられている状態で認証されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のセンサー装置。
【請求項6】
それぞれ状態値を検出するためのセンサーデバイス(20、22、24)として、加速度センサー(20)と回転数センサー(22)と磁力計(24)の群のうちの少なくとも1つのメンバーが設けられていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のセンサー装置。
【請求項7】
前記大きさは、基準面に対するセンサー装置の傾斜角度であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサー装置。
【請求項8】
前記センサー装置が設定可能な基準系において少なくとも部分的に静止しているときは、センサー装置の傾斜角度は少なくとも前記認証部分(12)の計算ユニット(16)によって決定できる、及び/又は、前記センサー装置が前記基準系に対して少なくとも部分的に移動しているときは、前記センサー装置の傾斜角度は少なくとも非認証部分(10)の計算ユニット(14)によって決定できることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のセンサー装置。
【請求項9】
少なくとも1つの可動構成要素と、少なくとも1つの制御装置(8)及び/又は表示装置と、を備えた作業機械であって、前記可動構成要素に請求項1から8のいずれか1項に記載のセンサー装置が割り当てられており、前記センサー装置が、基準面に対する構成要素の傾斜角度を決定し、接続部(32)を介して前記制御装置(8)及び/又は表示装置に転送するように設計されている、作業機械。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載のセンサー装置をそれぞれの使用条件に適合させるための方法であって、
前記センサー装置のそれぞれの使用条件に対して既に認証された部分(12)を準備するステップと、
前記センサー装置の認証部分(12)のソフトウェアに認証が必要な変更を加えることなく、前記非認証部分(10)のソフトウェアを前記センサー装置のそれぞれの使用条件に適合させるステップと、を備える方法。
【請求項11】
前記非認証部分(10)のソフトウェアは、
前記非認証部分(10)の計算ユニット(14)の構成データを、既に認証された部分(12)のそれぞれの空データフィールドに格納し、
前記構成データを前記認証部分(12)から前記非認証部分(10)に伝送し、
前記非認証部分(10)のソフトウェアをそれぞれの使用条件に適合させることによって適合されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記非認証部分(10)のソフトウェアは、更新することによって適合されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードウェアとこれに実装されたソフトウェアとを備えた、大きさを求めるためのセンサー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願DE102016004466A1号は、作業機械のアームセグメントの傾斜角度を検出するための傾斜センサーの形態のセンサー装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、それぞれの使用条件に簡単、かつ低コストで適合させることができるセンサー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、特許請求項1の特徴を全体的に備えた本発明によるセンサー装置によって解決される。
【0005】
本発明に関連して最初に認識されたのは、センサー装置がDIN EN61508又はDIN EN ISO13849などの安全規格による厳しい安全要件を満たさなければならないセーフティクリティカルな用途で使用されるセンサー装置のハードウェアとソフトウェアは、TUEVなどの認証機関による相応の認証を受ける必要があるが、これには費用と時間がかかる。そのような認証を受けた後に、例えばセンサー装置のソフトウェア及び/又はハードウェアをそれぞれの使用条件に適合させるために、センサー装置のハードウェアやソフトウェアに変更が加えられると、既に取得した認証は失効し、再び費用と時間をかけてセンサー装置全体の再認証を実施する必要があるということである。
【0006】
本発明に関連して更に認識されたのは、センサー装置はそのソフトウェアに関して、セーフティクリティカルな部分とセーフティクリティカルでない部分に分割できることである。
【0007】
これらの本発明に関連した知見は、その全体が請求項1の特徴に組み込まれており、請求項1の特徴部によれば、本発明によるセンサー装置は、センサー装置のソフトウェアが非認証部分と安全要求に基づいて認証された部分とに分割されており、これらの部分はそれぞれのソフトウェアに関して互いに別個に形成されていて、それぞれ互いに通信接続された少なくとも1つの計算ユニットを有することを特徴とする。
【0008】
センサー装置のソフトウェアをこのように分割することにより、センサー装置のソフトウェアのセーフティクリティカルな部分だけを、センサー装置の運転開始前に、及び場合によってはこの既に認証されたソフトウェアを変更した後で、認証すればよく、センサー装置のソフトウェアのセーフティクリティカルでない別の部分は認証する必要がない。これにより、センサー装置の認証にかかるコストと時間が削減される。
【0009】
更に、認証すべき部分若しくは認証部分には、センサー装置のどのような使用条件にも適用できるソフトウェアを設けることができるのに対し、認証する必要がない部分若しくは非認証部分には、センサー装置のそれぞれの使用条件に適合させることができる又は適合させなければならないソフトウェアを設けることができる。センサー装置のソフトウェアを相応に分割すれば、センサー装置のソフトウェアのセーフティクリティカルな部分だけをセンサー装置の運転開始前に一度認証すればよく、センサー装置をそれぞれの使用条件に適合させるために、たとえ非認証部分が変更されたとしても、もう一度再認証する必要はない。これにより、センサー装置の認証にかかるコストと時間が一層大幅に削減され、その上センサー装置が使用されているシステムにおいて、センサー装置はそれぞれの使用条件に簡単、迅速、かつ低コストで適合させることができる。
【0010】
特に好適な実施例では、計算ユニットの少なくとも1つに、特に認証部分の計算ユニットのみに、状態値を検出するための少なくとも1つのセンサーデバイスが接続されており、センサー装置は、少なくとも1つのセンサーデバイスの状態値に応じて、各計算ユニットによって互いに独立にそれぞれ大きさを決定できるように接続されており、大きさを決定するための計算ユニットのプロセスが互いに異なるようになっている。つまり大きさは、一方では認証部分の計算ユニットによってある仕方で決定され、他方では非認証部分の計算ユニットによって別の仕方で決定される。それぞれのセンサーデバイスの状態値は、検出録された測定値に基づいている。
【0011】
別の好適な実施例では、認証部分の計算ユニットによって大きさを決定するために、1つのセンサーデバイスのみの状態値を使用でき、非認証部分の計算ユニットによって大きさを決定するために、追加的に少なくとも1つの別のセンサー装置の状態値を使用できるようになっている。少なくとも1つのセンサーデバイスの状態値に応じて非認証部分の計算ユニットによる大きさを決定することにより、1つのセンサーデバイスのみの状態値を使用する場合とは異なり、それぞれのセンサーデバイスに作用する外乱を少なくとも部分的に算出できる。
【0012】
更に別の好適な実施例では、非認証部分の計算ユニットに実装されたソフトウェアが、少なくとも2つのセンサーデバイスによって検出された状態値の融合を実行して大きさを計算できるように設計されているようになっている。このようなソフトウェアは、先行技術から知られているマルチセンサーデータ融合のアルゴリズム、例えば(拡張)カルマンフィルター又は相補フィルターであることができる。
【0013】
更に別の好適な実施例では、認証部分は、非認証部分の計算ユニットの構成データを格納するために認証部分の少なくとも1つの空データフィールドが設けられている状態で認証されるようになっている。それにより、認証部分の認証後に、空データフィールドは、既に認証された部分を再認証が必要となるように変更することなく、データで埋めることができる。
【0014】
更に別の好適な実施例では、上記の大きさは、基準面に対するセンサー装置の傾斜角度であるようになっている。この場合に好ましくは、それぞれ状態値を検出するためのセンサーデバイスとして、加速度センサー(加速度計)、回転数センサー(ジャイロスコープ)及び磁力計の群のうちの少なくとも1つのメンバーが設けられるようになっている。特に好適には、加速度センサーの状態値のみを使用して認証部分の計算ユニットによって大きさが決定され、加速度センサー、回転数センサー、及び必要に応じて磁力計の状態値を使用して非認証部分の計算ユニットにより大きさが決定される。
【0015】
更に別の好適な実施例では、少なくとも認証部分の計算ユニット、好適には両計算ユニットがメモリデバイスを有するか、又は当該部分のメモリデバイスと接続されているようになっている。それぞれのメモリデバイスは、少なくとも1つのデータフィールドを有することができる。
【0016】
別の好適な実施例では、それぞれの計算ユニットは、マイクロコントローラーとして設計されているようになっている。
【0017】
更に別の好適な実施例では、少なくとも1つの計算ユニット、特に認証部分の計算ユニットのみが、フィールドバスシステムに接続するためのインターフェースを備えているようになっている。
【0018】
本発明の主題は更に、少なくとも1つの可動構成要素と少なくとも1つの制御装置及び/又は表示装置とを備えた作業機械、特にホイールローダー、移動式掘削機、又はコンクリートポンプ車などの建設機械である。可動構成要素には上述したセンサー装置が間接的又は直接的に配置されており、このセンサー装置は基準面に対する構成要素の傾斜角度を決定し、接続部を介して制御装置及び/又は表示装置に転送するように設計されている。基準面は地表面に対応することができる。設定可能な基準系は地球であることができる。
【0019】
本発明の主題は更に、上述したセンサー装置をそれぞれの使用条件に適合させるための方法であって、以下の方法ステップ、即ち、それぞれの使用条件に対して既に認証されたセンサー装置の一部を提供するステップと、センサー装置の既に認証された部分のソフトウェアに再認証が必要な変更を加えることなく、非認証部分のソフトウェアをセンサー装置のそれぞれの使用条件に適合させるステップとを含む。
【0020】
特に好適な実施例では、非認証部分のソフトウェアが、非認証部分の計算ユニットの構成データを、既に認証された部分のそれぞれの空データフィールドに格納し、構成データを認証部分の計算ユニットから非認証部分の計算ユニットに伝送し、非認証部分のソフトウェアをセンサー装置のそれぞれの使用条件に適合させることによって適合される。特に好適な実施例では、非認証部分のソフトウェアは更新することによって適合されるようになっている。これにより、非認証部分の計算ユニットをセンサー装置のそれぞれの使用条件に適合させる際に、センサー装置の認証部分は変更されないので再認証する必要がないことをその都度確保することができる。
【0021】
特に好適な実施例では、非認証部分の計算ユニットのソフトウェアの更新を認証部分の計算ユニットに示すために、もはや最新ではない構成データで占められている認証部分のデータフィールドが空にされるか、又はこの部分の空データフィールドが相応のマークエントリで埋められ、それによって認証部分の計算ユニットが非認証部分の計算ユニットに最新の構成データを照会するようになっている。
【0022】
以下の方法ステップは好適ではないが、排除されない。即ち、センサー装置の既に認証された部分のソフトウェアを変更し、センサー装置の認証部分を再認証すること。
【0023】
以下では、本発明によるセンサー装置と本発明による方法を、図面を参照して詳細に説明する。図はそれぞれ原理的なブロック図で模式的に表現されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、それぞれ1つの計算ユニットを有する本発明によるセンサー装置の認証部分と非認証部分を縮尺通りではなく示すブロック図である。
図2図2は、図1のセンサー装置の非認証部分の計算ユニットに実装されたマルチセンサーデータ融合のためのアルゴリズムのフシーケンスを示すブロック図である。
図3図3は、非認証部分の計算ユニットをセンサー装置のそれぞれの使用条件に適合させるためのシーケンスを示すブロック図である。
図4図4は、非認証部分の計算ユニットをセンサー装置のそれぞれの使用条件に適合させるためのシーケンスを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、大きさを求めるための本発明によるセンサー装置を示している。このセンサー装置は、ハードウェアとこれに実装されたソフトウェアとを有し、ソフトウェアは非認証部分10と安全要件に基づいて認証された部分12とに分割されている。両部分10、12は、それぞれのソフトウェアに関して互いに別個に形成されている。両部分10、12は、それぞれ互いに通信可能に接続された計算ユニット14、16を備えている。ハードウェアは、少なくとも部分的にソフトウェアの非認証部分と認証部分によって共有される。
【0026】
以下では、認証部分12の計算ユニット16を認証計算ユニット16とも呼び、これに対応して非認証部分10の計算ユニット14を非認証計算ユニット14とも呼ぶ。
【0027】
認証計算ユニット16には、それぞれ状態値を検出するためのセンサーデバイス20、22、24が導電線18を介して接続されている。複数のセンサーデバイス20、22、24の状態値は、それぞれのセンサーデバイス20、22、24を起点として認証計算ユニット16を通って非認証計算ユニット14に伝送される。認証計算ユニット16は、センサーデバイス20、22、24の少なくとも1つの状態値を使用して、ある仕方で大きさを決定する。それとは独立に、非認証計算ユニット14は、複数のセンサーデバイス20、22、24の状態値を使用して、ある仕方とは少なくとも部分的に異なる別の仕方で大きさを決定する。それぞれの決定の仕方は、本明細書では大きさを決定するプロセスとも呼ぶ。好ましくは、単一のセンサーデバイス20、22、24の状態値は、両計算ユニット14、16によって互いに独立して大きさを決定するために使用される。
【0028】
非認証計算ユニット14に実装されたソフトウェアは、複数のセンサーデバイス20、22、24によって検出された状態値の融合を実行して大きさを計算するように設計されている。非認証計算ユニット14のそのようなソフトウェアは、先行技術から知られているマルチセンサーデータ融合のためのアルゴリズム、例えば本発明の使用に適合された(拡張)カルマンフィルター26又は相補フィルターであることができる。
【0029】
各計算ユニット14、16は、少なくとも1本の別の導電線30を介して互いに接続されているインターフェース28を有する。この接続は、バスシステムによって実現することができる。それぞれの他方の計算ユニット14、16に接続するためのそれぞれのインターフェース28は、CPU間インターフェースの形態、例えばシリアル周辺インターフェース(SPI)の形態で存在できる。認証計算ユニット16は、フィールドバスシステム32に接続するための別のインターフェースを有する。フィールドバスシステム32は、コントローラエリアネットワーク(CAN)フィールドバスシステムの形態で形成することができる。この場合にデータ伝送に使用されるプロトコルは、CanOpenSafetyプロトコルであることができる。認証計算ユニット16は更に、図示しないメモリデバイスを有するか、又はメモリデバイスに接続されていることができる。認証計算ユニット16によって、それぞれのセンサーデバイス20、22、24を設定することができる。
【0030】
計算ユニット14、16は、それぞれマイクロコントローラーとして形成されている。
【0031】
大きさは、本明細書では基準面に対するセンサー装置の傾斜角度である。傾斜角度を決定するために使用されるセンサーデバイス20、22、24は、加速度センサー20、回転数センサー22、及び場合によっては磁力計24である。傾斜角度は、各計算ユニット14、16において互いに独立に決定される。認証計算ユニット16は、加速度センサー20の状態値のみを使用して、非認証計算ユニット14は、加速度センサー20、角速度センサー22、及び場合によっては磁力計24の状態値を使用して、それぞれ互いに独立して傾斜角度を決定する。非認証計算ユニット14によって決定された傾斜角度は、最後に例えば導電線30を介して認証計算ユニット16に伝送され、この導電線30を介してセンサーデバイス20、22、24の状態値も認証計算ユニット16から非認証計算ユニットに到達できる。
【0032】
傾斜角度の形で計算ユニット14、16によって決定された2つの大きさは、センサー装置の出力信号をなし、特に認証計算ユニット16から、好ましくはフィールドバスシステム32に出力される。
【0033】
任意の位置に配置された加速度センサー20が静止しているときは、この加速度センサー20には重力加速度(gravitation)gのみが作用し、これはベクトル(垂直)の形で加速度センサー20によって検出できる。現在検出されているベクトルを、加速度センサー20が基準位置で検出するベクトルと比較することにより、センサー装置、特に加速度センサーの地表面に対する傾きを決定することができる。基準位置は、センサー装置の初期静止位置に対応することができる。そのためセンサー装置が任意の位置で静止しているとき、センサー装置の傾斜角度は、認証計算ユニット16の傾斜角度にのみ依存し、又は少なくとも認証計算ユニット16の傾斜角度に依存することができる。
【0034】
加速度センサー20が静止しておらず、運動、特に加速された運動を行っているときは、この加速度センサー20には重力加速度(gravitation)gの他に、例えば遠心力及び/又は外部から設定された振動に基づき別の加速度が作用する。この別の加速度は、運動している加速度センサー20において加速度センサー20の傾きを決定するための外乱をなし、誤って検出されたベクトル(見かけの垂直)につながる。マルチセンサーデータ融合のアルゴリズムは、これらの外乱を減少させるか、せいぜいのところ補償するために用いられ、その目的のためにアルゴリズムは角速度センサー22と、場合によっては磁力計24の状態値を使用して加速度センサー20の状態値を補正する。
【0035】
マルチセンサーデータ融合のアルゴリズムの一例として、図2に本明細書における使用に適合された、先行技術から知られている、通常のように予測ステップ34と補正ステップ36を有する拡張カルマンフィルター26が示されている。予測ステップ34では、センサー装置が使用されるシステムの物理システムモデルを使用して、現在の推定期待値xと現在の推定分散値P、及び場合によっては加速度センサー20と角速度センサー22の状態値42、44の関数として、予測期待値xと予測分散値Pが算出され、続く補正ステップ36で現在の状態値50によって補正される。現在の状態値は速度であることができる。補正ステップ36の後、現在の推定期待値xと現在の推定共分散Pが得られ、これらは予測ステップ34にフィードバックされ、そこから傾斜角度を導出することができる。この目的のために、現在の推定期待値xの関数としてオイラー角θ,φの計算を実行でき、及び/又は特に補正ステップ36から補正値ψが得られる。物理システムモデルをそれぞれのシステム、例えばセンサー装置が使用され得る作業機械に適合させることは、非認証部分10をこのシステムにおけるそれぞれの使用条件に適合させる原因となり得る。
【0036】
センサー装置の少なくともセンサーデバイス20、22、24は、市販ユニットとして組み合わせ、図示しない共通のハウジング内に配置することができる。それゆえこの場合、センサーデバイス20、22、24は、ハウジング内にハウジングに対して固定配置することができる。本明細書でセンサー装置の静止状態又は運動状態と言う場合、この状態は少なくともセンサー装置のセンサーデバイス20、22、24について言われている。
【0037】
センサー装置は、例えばホイールローダー、移動式掘削機、又はコンクリートポンプ車などの移動式作業機械の形態のシステムの一部である。このシステムのうち、図1にはフィールドバスシステム32のみが図示されている。作業機械は、フィールドバスシステム32と、センサー装置が直接的又は間接的に接続されているブームの形態の可動構成要素とを有する。センサー装置は、基準面に対する構成要素の傾斜角度を決定して、フィールドバスシステム32に転送するように設計されている。
【0038】
認証部分12は、ソフトウェアの再認証を招くように、ソフトウェアの変更の枠内でそれぞれのシステムに適合させる必要はなく、種々のシステムで、つまり種々の使用条件下で使用することができる。非認証部分10は、センサー装置の認証部分12のソフトウェアの認証が必要となる変更を招くことなく、ソフトウェアの変更の枠内でそれぞれのシステムに適合可能であり又は適合される。
【0039】
認証部分12は、非認証計算ユニット14の構成データを格納するために、認証部分12の少なくとも1つの空データフィールドが設けられている状態で認証される。この空データフィールドは、図示しない認証部分12のメモリデバイス内にある。
【0040】
非認証部分10は、非認証計算ユニット14の構成データが既に認証された部分12のそれぞれの空データフィールドに格納されることによって、センサー装置が使用されているそれぞれのシステムに適合できる。センサー装置の立ち上げ(ブート)の枠内におけるセンサー装置の再起動60(図3)の後、最初に認証計算ユニット16の初期化62が実行され、その後で使用可能状態64になる。それに続いて非認証計算ユニット14の初期化66が実行され、その後で非認証計算ユニット14は認証計算ユニット16に構成データの照会68を行う。次のステップで、これらのデータの認証計算ユニット16から非認証計算ユニット14への伝送70が行われる。最後に、非認証計算ユニット14のソフトウェアは、伝送された構成データによって、それぞれのシステムに、つまりそこに存在するそれぞれの使用条件に適合される。その後で、非認証計算ユニット14は使用可能状態72になる。
【0041】
代替的又は追加的に、非認証部分10は非認証計算ユニット14のソフトウェアを更新することによってそれぞれのシステムに適合できる。センサー装置の再起動80(図4)の後、認証計算ユニット16の初期化82が実行される。それに続いて、認証計算ユニット16がトンネルモード84に置かれ、非認証計算ユニット14の初期化86が実行される。その後で非認証計算ユニット14は更新状態88に置かれ、ソフトウェアの更新90が実行される。次に、非認証計算ユニット14のソフトウェアの更新を認証計算ユニット16に示す目的で、それまで構成データで占められていた認証部分12のデータフィールドのリセット92若しくは削除が実行される。次にセンサー装置の再起動94が実行され、それに続いて非認証計算ユニット14が認証計算ユニット16に構成データの照会96を行う。その後で、認証部分12の空データフィールドが空であるという認識98が行われ、それによって認証計算ユニット16は非認証計算ユニット14に対して構成データの照会100を行う。続いて、構成データの非認証計算ユニット14から認証計算ユニット16への伝送102が実行される。次のステップで、認証部分12の空データフィールドへの構成データの格納104が実行され、続いて最後にセンサー装置の再起動106が実行される。
【0042】
センサー装置の再起動60、80、94、106は、本明細書においては各計算ユニット14、16のソフトウェアの少なくとも1回の再起動に対応する。認証部分12の上記データフィールドは、オブジェクト辞書によって編集でき、強誘電体ランダムアクセス記憶(FRAM(登録商標))の形態のメモリデバイス内に設けることができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】