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特表2024-532247フィーダユニットに離散的な医薬品を充填するための充填ステーション及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】フィーダユニットに離散的な医薬品を充填するための充填ステーション及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510730
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 NL2022050482
(87)【国際公開番号】W WO2023027581
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】2029019
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】17/408,529
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595090635
【氏名又は名称】ヴェーエムイー ホーランド ベー. ヴェー.
【氏名又は名称原語表記】VMI HOLLAND B. V.
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ ブール,アントニウス マリア ヘンドリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘムセン,コルネリス ヤン
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ01
4C047JJ12
4C047JJ31
(57)【要約】
本発明は、フィーダユニット(8)に離散的な医薬品(9)を充填するための充填ステーション(1、101、201)に関し、充填ステーション(1、101、201)は、ベース(2、102、202)と、前記ベース(2、102、202)に対して1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)に位置決め可能であり、フィーダユニット(8)を前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)に保持するホルダ(3、103)とを備える。本発明はさらに、上述の充填ステーション(1、101、201)を使用してフィーダユニット(8)に離散的な医薬品(9)を充填するための方法に関し、方法は、フィーダユニット(8)がホルダ(3、103)によって1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)の1つに保持されているときに、フィーダユニット(8)に離散的な医薬品(9)を充填するステップを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダユニット(8)に離散的な医薬品(9)を充填するための充填ステーション(1、101、201、301)であって、前記充填ステーション(1、101、201、301)は、ベース(2、102、202、302)と、前記ベース(2、102、202、302)に対して前記フィーダユニット(8)を保持するためのホルダ(3、103、203)とを備え、前記ホルダ(3、103、203)は、前記ベース(2、102、202、302)に対して1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)に位置決め可能であり、前記充填ステーション(1、101、201、301)は、前記ホルダ(3、103、203)上で前記フィーダユニット(8)を受けるためのフィーダドック(4)を備える、充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項2】
前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)のうちの少なくとも1つが、垂直面(Z)に対して少なくとも45度の傾斜角度(H1、H2)である、請求項1に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項3】
前記充填ステーション(1、101、201、301)が、前記ホルダ(3、103、203)を直立した向き(A)と前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)との間で前記ベース(2、102、202、302)に対して旋回させるための旋回機構(5、105、305)を備える、請求項1又は2に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項4】
前記直立した向き(A)が、垂直面(Z)に平行であるか、又は垂直面(Z)から5度未満のオフセット角度内にある、請求項3に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項5】
前記旋回機構(5、105、305)が旋回軸(S)を規定し、前記ホルダ(3、103、203)が、前記旋回軸(S)を中心として前記ベース(2、102、202、302)に対して旋回可能である、請求項3又は4に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項6】
前記旋回軸(S)が水平面(X)に平行に延びる、請求項5に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項7】
前記ホルダ(3、103、203)が、前記ホルダ(3、103、203)が前記直立した向き(A)にあるとき、前記旋回軸(S)に垂直な横方向(L)において前記旋回軸(S)の片側に位置する重心(G)を有する、請求項5又は6に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項8】
前記旋回機構(5、105、305)が、前記ホルダ(3、103、203)を前記ベース(2、102、202、302)に接続するための前記旋回軸(S)に延びるシャフト(50、350)を備える、請求項5~7のいずれか一項に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項9】
前記旋回機構(5、105)が、前記ベース(2、102、202)と前記シャフト(50)との間、又は前記シャフト(50)と前記ホルダ(3、103、203)との間の前記旋回軸(S)を中心とした自由な旋回を可能にする回転軸受(52)をさらに備える、請求項8に記載の充填ステーション(1、101、201)。
【請求項10】
前記ホルダ(3、103、203)が、前記直立した向き(A)と前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)との間で前記ベース(2、102、302)に対して自由に旋回可能である、請求項3~9のいずれか一項に記載の充填ステーション(1、101、201)。
【請求項11】
前記充填ステーション(301)が、前記直立した向き(A)と前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)との間で前記ベース(302)に対する前記ホルダ(3、103)の旋回を駆動するための旋回駆動装置(351)をさらに備える、請求項3~10のいずれか一項に記載の充填ステーション(301)。
【請求項12】
前記ホルダ(3、103、203)が、前記ホルダ(3)の長手方向(L)に垂直な横方向(T)において前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)の前記フィーダユニット(8)を支持するための、前記ホルダ(3)の長手方向(L)に平行に延びる1つ又は複数の横方向支持部(31、32)を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項13】
前記ホルダ(3、103、203)が、前記フィーダユニット(8)を支持するための後方支持部(33)を、前記ホルダ(3、103、203)の前記ベース(2、102、202、302)に面する側に備える、請求項12に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項14】
前記フィーダドック(4)が、前記フィーダドック(4)上で前記フィーダユニット(8)を整列させるための1つ又は複数の位置決め部材(41、42、43)を備える、請求項13に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項15】
前記充填ステーション(1、101、201、301)が、前記フィーダユニット(8)を計量するための計量要素(44)を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項16】
前記充填ステーション(1、101、201、301)が、第1の旋回方向(R1)の前記ホルダ(3、103、203)の旋回を前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)のうちの第1の傾斜した向き(B)に制限するための第1の傾斜ストッパ(21、121、221)を備える、請求項3~15のいずれか一項に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項17】
前記充填ステーション(1、201、301)が、前記第1の旋回方向(R1)とは反対の第2の旋回方向(R2)の前記ホルダ(3、203)の旋回を前記直立した向き(A)に制限するための直立ストッパ(20、220)をさらに備える、請求項16に記載の充填ステーション(1、201、301)。
【請求項18】
前記充填ステーション(201、301)が、前記第1の旋回方向(R1)とは反対の第2の旋回方向(R2)の前記ホルダ(103)の旋回を、前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)のうちの第2の傾斜した向き(C)に制限するための第2の傾斜ストッパ(122、222)をさらに備える、請求項16又は17に記載の充填ステーション(101、201、301)。
【請求項19】
前記充填ステーション(1、101、201、301)が、前記ベース(2、102、302)に対する前記ホルダ(3、103)の旋回を物理的にブロックすることによって、又は前記ベース(202)に対して前記ホルダ(203)を磁気的に保持することによって、前記ベース(2、102、202、302)に対する前記ホルダ(3、103、203)の旋回を制限するように構成された1つ又は複数のストッパ(20、21、121、122、220~224)を備える、請求項3~18のいずれか一項に記載の充填ステーション(1、101、201、301)。
【請求項20】
前記充填ステーション(101)が、前記ホルダ(103)を前記直立した向き(A)及び前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)のうちの1つにおいてブロックし、前記ホルダ(103)を前記直立した向き(A)及び前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)のうちの1つから解除するための、ブロック状態と解除状態との間で移動可能である1つ又は複数の解除部材(123、124)を備える、請求項3~19のいずれか一項に記載の充填ステーション(101)。
【請求項21】
前記ホルダ(103)が、前記直立した向き(A)の両側にある前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)のうちの第1の傾斜した向き(B)と第2の傾斜した向き(C)との間で旋回可能である、請求項3~20のいずれか一項に記載の充填ステーション(101)。
【請求項22】
前記ホルダ(3、103)が1つ又は複数の当接部材(36、37、136、137)を備え、前記充填ステーション(1、101、201)が、前記ホルダ(3、103)が前記直立した向き(A)及び前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)にあるときに前記1つ又は複数の当接部材(36、37、136、137)に接触するように前記ベース(2、102、202)に対して固定位置に配置される1つ又は複数のストッパ(20、21、121、122)を備える、請求項3~21のいずれか一項に記載の充填ステーション(1、101、201)。
【請求項23】
ベース(2、102、202、302)及び前記ベース(2、102、202、302)に対してフィーダユニット(8)を保持するためのホルダ(3、103、203)と、前記ホルダ(3、103、203)を直立した向き(A)と1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)との間で前記ベース(2、102、202、302)に対して旋回させるための旋回機構(5、105、305)とを備え、前記ホルダ(3、103、203)は前記ベース(2、102、202、302)に関連がある、充填ステーション(1、101、201、301)の使用によりフィーダユニット(8)に離散的な医薬品(9)を充填するための方法であって、
- 前記ホルダ(3、103、203)が前記直立した向き(A)にあるときに、前記フィーダユニット(8)を前記ホルダ(3、103、203)上に配置するステップと、
- 前記ホルダ(3、103、203)及びその上に配置された前記フィーダユニット(8)を、前記直立した向き(A)から、垂直面に対して少なくとも45度の傾斜角度である前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)のうちの1つに旋回させるステップと、
- 前記フィーダユニット(8)が前記ホルダ(3、103、203)によって垂直面に対して少なくとも45度の傾斜角度である前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)の1つに保持されているときに、前記フィーダユニット(8)に前記離散的な医薬品(9)を充填するステップと
を含む方法。
【請求項24】
- 前記ホルダ(103、203)を、前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)のうちの第1の傾斜した向き(B)に旋回させるステップと、
- 前記ホルダ(103、203)を、前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)のうちの、前記第1の傾斜した向き(B)に対して前記直立した向き(A)の反対側の第2の傾斜した向き(C)に旋回させるステップと
を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ホルダ(3、103、203)が、前記直立した向き(A)と前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)との間で手動で移動される、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記充填ステーション(201)が、前記直立した向き(A)と前記1つ又は複数の傾斜した向き(B、C)との間で前記ホルダ(3)の旋回を駆動するように構成される、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
- 前記フィーダユニット(8)が前記ホルダ(3、103)上に位置決めされているときに前記フィーダユニット(8)を計量するステップ、
をさらに含む、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
- 前記フィーダユニット(8)が前記ホルダ(3、103)上に位置決めされているときに前記フィーダユニット(8)を識別するステップ、
をさらに含む、請求項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィーダユニットに離散的な医薬品を充填するための充填ステーション及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第10,173,830B2号明細書は、自動分配装置で使用するための「キャニスタ」としても知られる薬剤分配容器を開示している。この薬剤分配容器は、薬剤を保持するための供給チャンバと、前記供給チャンバの下方に設けられ、前記薬剤分配容器の下方のホッパ位置に供給チャンバからある量の薬剤を選択的に分配するための分配機構とを備えている。
【0003】
薬剤分配容器は、頂部に蓋又はカバーを備える。カバーはヒンジによって供給チャンバに接続されている。そのため、カバーはヒンジを中心にスイングし、薬剤分配容器の頂部を開いて、薬剤分配容器の頂部にある充填開口部にアクセスし、供給チャンバの補充を行うことができる。補充の間、薬剤分配容器は直立姿勢に保持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の薬剤分配容器の欠点は、最初に補充する間に、供給チャンバがまだ空であるか、比較的空であるとき、供給チャンバに落とされる離散的な医薬品が、供給チャンバの底部の分配機構から跳ね返るまで、比較的長い落下経路を自由落下することである。この衝撃により、離散的な医薬品が破損する可能性がある。その後の分配中に破損が検出された場合、分配作業を中断し、破損した離散的な医薬品を廃棄するか、パウチの中身を手作業で修正する必要がある。破損が検出されない場合、破損した離散的な医薬品は、誤った投与や患者による誤解につながる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、フィーダユニットに離散的な医薬品を充填するための充填ステーション及び方法を提供することであり、この充填ステーション及び方法では、補充中に離散的な医薬品が破損する危険性を最小化又は低減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、フィーダユニットに離散的な医薬品を充填するための充填ステーションが提供され、充填ステーションは、ベースと、ベースに対してフィーダユニットを保持するためのホルダとを備え、ホルダは、前記ベースに対して1つ又は複数の傾斜した向きに位置決め可能である。
【0007】
「傾斜した向き」という用語は、フィーダユニットを同じ又は同様の向きで保持する目的で、ホルダがベースに対して傾いた又は斜めの角度で配置される向き又は位置と解釈される。ホルダは明確な向きを有する、例えばその長手方向、或いはフィーダユニットがホルダ上で支持される方向、又はホルダ上若しくはホルダ内に受容される方向を有する。ベースが平らな向き、例えばテーブルなどの水平な作業面上に配置される場合、これはホルダが水平面及び垂直面に対して傾いた又は斜めの角度で配置されることを意味する。
【0008】
ホルダの傾斜した向きにおいて、供給チャンバが垂直方向に対してある角度で位置決めされている間に、離散的な医薬品をフィーダユニットの供給チャンバに装填することができる。特に、離散的な医薬品は、供給チャンバの底端部に直接落下するのではなく、前記供給チャンバの底端部に向かって供給チャンバの傾斜した周囲面の1つを介して偏向されることができるように、又は傾斜した周囲面の1つの上をスライドできるように、装填することができる。このようにして、離散的な医薬品が破損する危険性を最小化又は低減することができる。さらに、充填ステーションは、フィーダユニットを傾斜した向きに自律的に保持できるので、オペレータは両手を自由に使って充填を行うことができる。
【0009】
一実施形態において、1つ又は複数の傾斜した向きのうちの少なくとも1つは、垂直面に対して少なくとも45度の傾斜角度である。このような傾斜角度では、離散的な医薬品は、その底端に到達する前に、供給チャンバの傾斜した周囲面の1つに最初に落下する可能性が高い。
【0010】
別の実施形態において、充填ステーションは、ホルダを直立した向きと1つ又は複数の傾斜した向きとの間でベースに対して旋回させるための旋回機構を備える。傾斜した向きが1つしかない場合、充填ステーションは旋回機構なしで機能することができる。しかしながら、例えば、取り外し中に離散的な医薬品が落下することを防止するために、及び/又は、カバーの開閉やフィーダユニットの計量などの他の操作のためにフィーダユニットへのより好都合なアクセスを可能にするために、傾斜した向きの1つとは異なる向きでフィーダユニットを充填ステーションから取り外すことは便利であり得る。旋回機構は、傾斜位置間の切り替え、又は直立した向きからの移動及び直立した向きへの戻りを容易にすることができる。
【0011】
さらなる実施形態において、直立した向きは、垂直面に平行であるか、又は垂直面から5度未満のオフセット角度内にある。したがって、フィーダユニットは、ホルダによって、直立した向き又は実質的に直立した向きで保持され得る。
【0012】
さらなる実施形態において、旋回機構は旋回軸を規定し、ホルダは、前記旋回軸を中心としてベースに対して旋回可能である。旋回軸を中心に旋回することにより、リンケージなどのより複雑な動きを生成する旋回機構と比較して、旋回機構を単純化することができる。
【0013】
さらなる実施形態において、旋回軸は水平面に平行に延びる。したがって、旋回を、前記旋回軸に垂直な垂直旋回平面内の運動に限定することができる。
【0014】
さらなる実施形態において、ホルダは、ホルダが直立した向きにあるとき、前記旋回軸に垂直な横方向において旋回軸の片側に位置する重心を有する。したがって、ホルダは、ホルダに作用する重力によって直立した向きに移動するように付勢されるか、又は促されることができる。
【0015】
さらなる実施形態において、旋回機構は、ホルダをベースに接続するための旋回軸に延びるシャフトを備える。
【0016】
任意選択的に、旋回機構は、ベースとシャフトの間、又はシャフトとホルダの間の旋回軸を中心とした自由な旋回を可能にする回転軸受をさらに備える。ホルダは手動で旋回させることができる。言い換えれば、旋回を能動的に駆動する駆動装置は必要ない。
【0017】
さらなる実施形態において、ホルダは、直立した向きと1つ又は複数の傾斜した向きとの間でベースに対して自由に旋回可能である。この場合も、ホルダは手動で旋回させることができる。言い換えれば、旋回を能動的に駆動する駆動装置は必要ない。
【0018】
代替的に、充填ステーションは、直立した向きと1つ又は複数の傾斜した向きとの間でベースに対するホルダの旋回を駆動するための旋回駆動装置をさらに備える。したがって、旋回を機械的、自動的又は半自動的に制御することができる。
【0019】
別の実施形態において、ホルダは、ホルダの長手方向に垂直な横方向において1つ又は複数の傾斜した向きのフィーダユニットを支持するための、ホルダの長手方向に平行に延びる1つ又は複数の横方向支持部を備えている。1つ又は複数の横方向支持部は、ホルダが1つ又は複数の傾斜した向きに位置決めされたときに、フィーダユニットがホルダの横方向から落下するのを防止することができる。
【0020】
任意選択的に、ホルダは、フィーダユニットを支持するための後方支持部を、ホルダのベースに面する側に備える。後方支持部は、フィーダユニットがベース上に倒れるのを防止することができる。さらに、後部支持部は、フィーダユニットを前記ベースから、及び/又はホルダと前記ベースとの間の旋回機構から効果的に遮蔽することができる。
【0021】
別の実施形態において、充填ステーションは、フィーダユニットをホルダ上で受け取るためのフィーダドックを備える。フィーダドックは、先行技術の自動分配装置においてフィーダユニットが受け取られるのと同じ方法又は実質的に同じ方法でフィーダユニットを受け取るために最適化されてもよい。フィーダドックは、ホルダの一体部分を形成してもよいし、それに接続されていてもよい。フィーダドックは、別のタイプのフィーダユニットと共に使用するのに適した別のフィーダドックと交換するために、ホルダから取り外し可能であり得る。したがって、充填ステーションは、ホルダを修正することなく、異なるフィーダユニットと共に作動するように適合させることができる。
【0022】
任意選択的に、フィーダドックは、フィーダドック上でフィーダユニットを整列させるための1つ又は複数の位置決め部材を備える。1つ又は複数の位置決め部材は、フィーダドックに対するフィーダユニットの位置決めを改善することができる。
【0023】
任意選択的に、充填ステーションは、フィーダユニットを計量するための計量要素を備える。計量要素は、例えば、充填前、充填中、及び充填後のフィーダユニットの重量を決定するために使用することができる。重量の差は、フィーダユニットに装填された離散的な医薬品の量を示すものとして使用することができる。計量要素は、フィーダドック、シャフト、ベース、又はフィーダユニットの重量を直接的又は間接的に示す力が伝達される充填ステーションの他の適切な位置に設けることができる。
【0024】
さらなる実施形態において、充填ステーションは、第1の旋回方向のホルダの旋回を1つ又は複数の傾斜した向きのうちの第1の傾斜した向きに制限するための第1の傾斜ストッパを備える。第1の傾斜ストッパは、ホルダが第1の旋回方向において第1の傾斜した向きを越えて移動することを防止することができる。このような移動は、フィーダユニットから離散的な医薬品を落下させる可能性がある。第1の傾斜ストッパを有することにより、オペレータは、それ以上旋回できなくなるまでホルダを第1の傾斜した向きの方に旋回させるだけでよく、フィーダユニットが正しく位置決めされていることを信頼することができる。
【0025】
任意選択的に、充填ステーションは、第1の旋回方向とは反対の第2の旋回方向のホルダの旋回を直立した向きに制限するための直立ストッパをさらに備える。したがって、ホルダを直立した向きに戻すときに、ホルダが旋回し過ぎることを防止することができる。直立ストッパを有することにより、オペレータは、それ以上旋回できなくなるまでホルダを直立した向きの方に旋回させるだけでよく、フィーダユニットが正しく位置決めされていることを信頼することができる。
【0026】
さらなる実施形態において、充填ステーションは、第1の旋回方向とは反対の第2の旋回方向のホルダの旋回を、1つ又は複数の傾斜した向きのうちの第2の傾斜した向きに制限するための第2の傾斜ストッパをさらに備える。2つの傾斜した向きは、直立した向きの同じ側に、例えば異なる傾斜角度で存在してもよく、又は直立した向きの両側に存在してもよい。オペレータは、利用可能な周囲のスペース、ホルダの構成、個人的な好み、オペレータの利き手、その他など、様々な要因に応じて、利用可能な傾斜した向きの間で選択することができる。
【0027】
さらなる実施形態において、充填ステーションは、ベースに対するホルダの旋回を物理的にブロックすることによって、又はベースに対して前記ホルダを磁気的に保持することによって、ベースに対するホルダの旋回を制限するように構成された1つ又は複数のストッパを備える。物理的なブロックは、向きのうちの1つにおいてホルダのより確実な保持を提供できるが、磁気的な保持は、オペレータにより使いやすさを提供することができる。特に、オペレータは、ホルダを正しい向きに磁気的に整列させることができ、磁力を上回る手動力を提供することによって、前記ホルダを磁気的に規定された向きを通り過ぎて移動させることができる。
【0028】
さらなる実施形態において、充填ステーションは、ホルダを直立した向き及び1つ又は複数の傾斜した向きのうちの1つにおいてブロックし、ホルダを直立した向き及び1つ又は複数の傾斜した向きのうちの1つから解除するための、ブロック状態と解除状態との間で移動可能である1つ又は複数の解除部材を備える。特に、前記1つ又は複数の解除部材は、前記1つ又は複数の解除部材によって規定される任意の中間の向きを介して、利用可能な傾斜した向きのいずれか1つにホルダを移動させることができるように、ホルダの邪魔にならないように移動させることができる。任意選択的に、1つ又は複数の解除部材は、1つ又は複数の可動ピン、係合特徴部及び/又は突出部とすることができ、これらは付勢され得る。
【0029】
別の実施形態において、ホルダは、直立した向きの両側にある1つ又は複数の傾斜した向きの第1の傾斜した向きと第2の傾斜した向きとの間で旋回可能である。オペレータは、利用可能な周囲のスペース、ホルダの構成、個人的な好み、オペレータの利き手、その他などの様々な要因に応じて、利用可能な傾斜の向きの間で選択することができる。
【0030】
別の実施形態において、ホルダは、1つ又は複数の当接部材を備え、充填ステーションは、ホルダが直立した向き及び1つ又は複数の傾斜した向きにあるときに1つ又は複数の当接部材に接触するようにベースに対して固定位置に配置される1つ又は複数のストッパを備える。ホルダが充填ステーションの一部であるため、1つ又は複数の当接部材がホルダ上にあるか、又はホルダに付随していることは好都合である。したがって、フィーダドック及びフィーダユニットは、前記1つ又は複数のストッパと共に使用するために修正される必要はない。
【0031】
第2の態様によれば、第1の態様の実施形態のいずれか1つによる充填ステーションの使用により、フィーダユニットに離散的な医薬品を充填するための方法が提供され、この方法は、
- フィーダユニットがホルダによって1つ又は複数の傾斜した向きの1つに保持されているときに、フィーダユニットに離散的な医薬品を充填するステップ、を含む。
【0032】
本方法は、第1の態様による充填ステーションの実際の実施に関するものであり、したがって、同じ技術的利点を有するが、これについては以下では繰り返さない。
【0033】
本方法の一実施形態において、充填ステーションは、直立した向きと1つ又は複数の傾斜した向きとの間でベースに対してホルダを旋回させるための旋回機構を備え、本方法は、
- 前記ホルダが直立した向きにあるときに、フィーダユニットをホルダ上に配置するステップと、
- 前記ホルダ及びその上に配置されたフィーダユニットを、直立した向きから1つ又は複数の傾斜した向きのうちの1つに旋回させるステップとを含む。
【0034】
別の実施形態において、本方法は、
- ホルダを、1つ又は複数の傾斜した向きのうちの第1の傾斜した向きに旋回させるステップと、
- ホルダを、1つ又は複数の傾斜した向きのうちの、第1の傾斜した向きに対して直立した向きの反対側の第2の傾斜した向きに旋回させるステップとを含む。
【0035】
一実施形態において、ホルダは、直立した向きと1つ又は複数の傾斜した向きとの間で手動で移動される。
【0036】
代替的に、充填ステーションは、直立した向きと1つ又は複数の傾斜した向きとの間でホルダの旋回を駆動するように構成される。
【0037】
任意選択的に、本方法は、
- フィーダユニットがホルダ上に位置決めされているときに、フィーダユニットを計量するステップ、をさらに含む。
【0038】
任意選択的に、本方法は、
- フィーダユニットがホルダ上に位置決めされているときに、フィーダユニットを識別するステップ、をさらに含む。このようにして、正しいフィーダユニットが充填されていることを保証することができる。
【0039】
本明細書に記載され示された様々な態様及び特徴は、可能な限り個々に適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に記載された態様及び特徴は、分割特許出願の対象とすることができる。
【0040】
本発明は、添付の概略図面に示す例示的な実施形態に基づいて解明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、フィーダユニットに離散的な医薬品を充填するための第1の実施形態による充填ステーションの等角図を示す。
図2図2は、図1による充填ステーションの分解図を示す。
図3図3は、フィーダユニットが直立した向きにある図1による充填ステーションの正面図を示す。
図4図4は、フィーダユニット及び充填ステーションの部品を破線で示した図1による充填ステーションの正面図を示す。
図5図5は、フィーダユニットが第1の傾斜した向きに旋回された、図4と同様の正面図を示す。
図6図6は、第2の実施形態による代替充填ステーションの正面図を示し、これはフィーダユニットを直立した向きから2つの反対側に傾斜された向きに旋回させることができる。
図7図7は、第3の実施形態によるさらなる代替充填ステーションの等角図を示す。
図8図8は、第4の実施形態によるさらなる代替充填ステーションの等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1~5は、フィーダユニット8と、前記フィーダユニット8に離散的な医薬品、離散的な固形医薬品、薬又は固形アイテム、医療用物品又は物質、例えば錠剤、タブレット、カプセル等を充填するための充填ステーション1とを示す。医薬品は、1つずつ、個別に、別個に、又は用量単位で分配できるという意味で「離散的」である。フィーダユニット8は、「キャニスタ」又は「薬剤分配ユニット容器」としても知られている。フィーダユニット8は、自動分配装置のフィーダ位置のアレイに設置される多数のフィーダユニット(図示せず)の一部である。
【0043】
図2に示すように、フィーダユニット8は、離散的な医薬品を受け入れるための容積を画定する供給チャンバ80と、フィーダユニット8から離散的な医薬品を選択的に分配するための分配セクション81と、供給チャンバ80と分配セクション81との間に設けられ、離散的な医薬品を1つずつ分配セクション81に供給できるように分離又は単一化するための単一化セクション82とを備える。供給チャンバ80は、供給チャンバ80にヒンジ式に接続され得るか、又は前記供給チャンバ80から全体が取り外し可能であり得る蓋又はカバー83によって頂部が閉じられている。この例では、カバー83には、前記カバー83の手動による開放又は取り外しを容易にするためのノブ84が設けられている。図4及び5に示すように、カバー83は、開放又は取り外されると、供給チャンバ80と直接連通する充填開口部85を露出する。
【0044】
図3に示すように、フィーダユニット8は、頂部のノブ84から底部の分配セクション81までフィーダユニット8を長手方向に延びるフィーダ平面Fを有する。この例では、フィーダユニット8は、前記フィーダ平面Fに関して実質的に対称である。フィーダ平面Fはまた、正中平面又は矢状平面と考えることもできる。
【0045】
図2に最もよく見られるように、フィーダユニット8には、前記フィーダユニット8の正確な位置決め及び/又は整列のために、自動分配装置のフィーダ位置のアレイにおいて対応する位置決め部材と嵌合可能な複数の位置決めスロット86、87が設けられている。フィーダユニット8は、以下により詳細に記載する方法で、充填ステーション1のフィーダドック4と同じ方法又は同様の方法で位置決め及び/又は整列させることができる。
【0046】
図2に示すように、充填ステーション1は、ベース2と、ベース2に対してフィーダユニット8を保持するためのホルダ3とを備える。この例では、充填ステーション1はさらに、フィーダユニット8をホルダ3上で受けるためのフィーダドック4を備えている。
【0047】
図3に示すように、ホルダ3は、フィーダドック4及びその上に載置された任意のフィーダユニット8を受け取り、支持し、及び/又は担持するためのプラットフォーム30を備える。ホルダ3は概ね細長い形状を有し、長手方向Lに延び、フィーダ平面Fが前記長手方向Lに平行又は実質的に平行な向きでフィーダユニット8を受ける。
【0048】
ホルダ3はさらに、プラットフォーム30から起立又は突出する第1の横方向支持部31及び第2の横方向支持部32を備える。横方向支持部31、32は、前記長手方向Lに平行又は実質的に平行に延びる。この例では、横方向支持部31、32は、前記長手方向Lに垂直な横方向Tにおいてフィーダユニット8に支持を提供することができる。この例では、横方向支持部31、32は、少なくともフィーダユニット8の一部に沿って延び且つその両側に延びる側壁又はフランジとして形成される。ホルダ3はさらに、ベース2に面するホルダ3の後側でフィーダユニット8を遮蔽する後方支持部33を有する。この例では、後方支持部33は横方向支持部31、32を相互に接続している。横方向支持部31、32と後方支持部33は一緒になって、フィーダユニット8を受け入れることができる部分的な筐体を形成する。
【0049】
図2に最もよく見られるように、フィーダドック4は、ドック本体40と、前記ドック本体40から起立又は突出する複数の位置決め部材41~43とを備える。ホルダ3と整列されると、位置決め部材41~43は、前記ホルダ3の長手方向Lと平行に又は実質的に平行に延びる。フィーダユニット8の既述の位置決めスロット86、87は、フィーダユニット8をフィーダドック4上で正確に整列及び/又は位置決めするために、それぞれの位置決め部材41~43上でスライドさせることができる。フィーダドック4は、ホルダ3に固定的に接続され得る、前記ホルダ3と一体であり得る、又はこの場合において前記ホルダ3から取り外し可能であり得る。フィーダドック4は、使用するフィーダユニット8の種類に応じて、別のフィーダドック4と交換することができる。例えば、位置決め部材41~43の数又は形状は、異なるフィーダドック4に対して異なっていてもよい。
【0050】
任意選択的に、充填ステーション1には、フィーダユニット8を計量するための計量要素44が設けられている。計量要素44は、充填前、充填中、及び充填後のフィーダユニット8の重量を決定するために使用することができる。この例では、計量要素44はフィーダドック4に設けられている。代替的に、計量要素は、フィーダユニット8の重量を直接的又は間接的に示す力が伝達される充填ステーション1内の他の適切な位置に設けてもよい。
【0051】
図4に示すように、ホルダ3は、直立した向きAに位置決め可能である。前記直立した向きAにおいて、ホルダ3の長手方向L、ひいてはその上に支持されたフィーダユニット8のフィーダ平面Fは、垂直面Zに平行又は実質的に平行である。代替的に、直立した向きAは、重力の影響下でホルダ3を前記直立した向きAに向けて付勢するために、垂直面Zに対してわずかにオフセットされていてもよく、例えば5度未満のオフセット角度(図示せず)にわたってオフセットされていてもよい。ホルダ3は、図4に示すように、直立した向きAから、図5に示すように、第1の傾斜した向きBに向かって、及び/又は第1の傾斜した向きBに、移動可能、回転可能、回動可能、傾斜可能、又は旋回可能である。第1の傾斜した向きBでは、ホルダ3の長手方向L、ひいてはフィーダ平面Fは、垂直面Zに対して少なくとも45度の第1の傾斜角度H1で延びる。
【0052】
この例では、充填ステーション1は、直立した向きAと第1の傾斜した向きBとの間でベース2に対してホルダ3を旋回させるための旋回機構5を備える。特に、旋回機構5は、旋回軸Sを規定し、ベース2に対して前記旋回軸Sを中心とする旋回運動でホルダ3を案内する。旋回軸Sは、水平面X及び/又はフィーダ平面Fに平行に延びている。この例では、旋回機構3
【0053】
図2に最もよく見られるように、この例では、旋回機構5は、旋回軸Sで延びる、又は旋回軸Sと一致するシャフト50を備える。シャフト50は、ホルダ3をベース2に接続する。ホルダ3には、シャフト50を受け入れるためのボア又はシャフト穴34が設けられている。シャフト50は、シャフト50がベース2からホルダ3に向かって突出する位置で、シャフトホルダ51を介してベース2に取り付けられる。任意選択的に、旋回機構5は、シャフトホルダ51に対するシャフト50の自由な回転を容易にするために、シャフトホルダ51とシャフト50との間に回転軸受52をさらに含む。ホルダ3にはキー取付穴35が設けられ、シャフト53にはキー溝53が設けられ、このキー溝53は、キー取付穴35と整列されると、ホルダ3をシャフト50に回転的に固定するキー7を受け入れることができる。代替的に、シャフト50をベース2に対して回転しないように固定し、ホルダ3とシャフト50の間にさらなる回転軸受(図示せず)を設けて、シャフト50に対してホルダ3を自由に回転できるようにしてもよい。
【0054】
ベース3に対するホルダ3の同じ又は同様の旋回運動を提供することができるリンケージ、カムスロット等などの他の旋回機構5を想定することもできる。旋回運動は、単一の旋回軸Sを中心とする運動に限定されるものではなく、より複雑な運動経路を含んでいてもよい。
【0055】
図4に示すように、ホルダ3は、ホルダ3が直立した向きAにあるとき、前記旋回軸Sに垂直な横方向Lにおいて旋回軸Sの一方の側に位置する重心Gを有する。したがって、ホルダ3は、ホルダ3に及ぼされる重量又は重力によって、直立した向きAに移動又は留まるように付勢又は促され得る。
【0056】
ホルダ3は、図4に示すような直立した向きAから、及び、図5に示すような第1の傾斜した向きBから、第1の旋回方向R1に自由に移動可能である。ホルダ3は手動で、つまり工具を使わずに移動させることができる。ホルダ3は、第1の旋回方向R1とは反対の第2の旋回方向R2に自由に戻すことができる。図4に示すような直立した向きAと、図5に示すような第1の傾斜した向きBとの間のホルダ3の旋回を制限するために、ホルダ3は第1の当接部材36と第2の当接部材37とをさらに備える。この例では、当接部材36、37は、ホルダ3の後部、より具体的にはベース2に面する後方支持部33の側に位置決めされている。当接部材36、37は、それぞれの向きA、Bに到達するときのホルダ3の衝撃を吸収するために、ゴムなどの弾性材料を備えることができる。ベース2は、対応して、旋回中に第1の当接部材36及び第2の当接部材37の経路にそれぞれある直立ストッパ20及び第1の傾斜ストッパ21を備える。特に、第1の傾斜ストッパ21は、ホルダ3が第1の傾斜した向きBに達したときに第2の当接部材37と物理的に当接するようにベース2上に戦略的に位置決めされる。同様に、直立ストッパ20は、ホルダ3が直立した向きAに達したときに第1の当接部材36と当接又は接触するようにベース2上に戦略的に位置決めされる。
【0057】
代替的に、ストッパは、可動ピン、突起、突出部、又は他の係合特徴部などのラッチ要素の形態で提供されてもよく、これらのラッチ要素は、ホルダ3の対応する受入れ特徴部に係合するように付勢されることができる。また、ラッチ要素は、ホルダ3に設けられ、ベース2の対応する受入れ特徴部に向けて付勢されてもよい。
【0058】
ストッパ20、21はベース2上の固定位置にある場合もある。代替的に、ベース2上のそれぞれの位置は、例えば、複数の取付穴を設けることによって、又はそれぞれの位置を機械的に調整することによって、手動又は機械的に調整可能であり、第1の傾斜角度H1、第1の傾斜した向きB及び/又は直立した向きAを調整することができる。
【0059】
次に、前述の充填ステーション1を使用してフィーダユニット8を充填する方法について、図3、4及び5を参照して簡単に説明する。
【0060】
図3は、フィーダユニット8がフィーダドック4上に置かれている状態を示す。ホルダ3は直立した向きAにある。図4は、カバー83がフィーダユニット8から取り外された状態を示す。ヒンジ付きカバーの場合、カバーは開位置に傾けられる。このとき充填開口部85が露出される。図5は、ホルダ3及びその上に支持されたフィーダユニット8が、直立した向きAから第1の傾斜した向きBに旋回された状態を示す。充填ステーション1は、フィーダユニット8を自律的に第1の傾斜した向きBに保持することができるので、オペレータは両手を自由に使って充填を行うことができる。次に離散的な医薬品9を充填開口部85から供給チャンバ80に装填することができる。
【0061】
供給チャンバ80は垂直面Zに対してある角度で都合よく位置決めされる。特に、供給チャンバ80の内周面又は側壁は、水平面Xに対して比較的浅い角度で配置されている。したがって、離散的な医薬品9は、供給チャンバ80の底端部に直接落下するのではなく、供給チャンバ80の底端部に向かって供給チャンバ80の側壁を介して偏向されることができるように、又は側壁の上をスライドできるように、装填することができる。このようにして、離散的な医薬品9が損傷する危険性を最小化又は低減することができる。図5は手作業による充填を示しているが、充填は、機械、ロボット、又は手作業による充填以外の他の方法で行うこともできる。
【0062】
図6は、第2の実施形態による代替充填ステーション101を示し、この充填ステーション101は、ホルダ103が、第1の傾斜した向きBと、第1の傾斜した向きBに対して直立した向きAの反対側の第2の傾斜した向きCとの間で旋回可能であるという点で、前述の充填ステーション1とは異なる。特に、代替充填ステーション101は、先の実施形態の第1の傾斜ストッパ21と同様の位置にある第1の傾斜ストッパ121と、第2の傾斜した向きCへの第1の旋回方向R1とは反対の第2の旋回方向R2のホルダ103の旋回を制限するための第2の傾斜ストッパ122とを備える。オペレータは、オペレータの利き手などの個人的な好み、充填のための医薬品のアクセスし易さ、その他に応じて、利用可能な傾斜した向きB、Cの間で選択することができる。
【0063】
当接部材136、137は、第1の傾斜ストッパ121及び第2の傾斜ストッパ122の位置を考慮してわずかに修正することができる。
【0064】
この例において、旋回機構105はそれに応じて調整され、その結果、旋回軸Sはホルダ103の対称中間面により近い位置に又は対称中間面内に配置され、例えばフィーダ平面Fと一致して配置される。特に、シャフト開口部134の位置はホルダ103の中央位置により近い。これにより、両旋回方向R1、R2において、より対称的な旋回が可能となる。
【0065】
図6に示すように、代替充填ステーション101は、前記ホルダ103が直立した向きAにあるときに、ホルダ103の両側に1つずつ設けられた2つの解除部材123、124をさらに備える。解除部材123、124は、可動ピン、突起、突出部、又は他のタイプの係合特徴部など、付勢され得る前述のラッチ部材の形態で提供され得る。特に、解除部材123、124は、ホルダ103を直立した向きAにおいてブロックするためのブロック状態と、ホルダ103を前記直立した向きAから解除するための解除状態との間で移動可能である。この例では、解除部材123、124は、ホルダ103を解除するために、後方支持部33の後方の凹んだ位置に手動で押し込むことができる。解除部材123、124は、ホルダ103が旋回方向R1、R2の一方において解除部材123、124のそれぞれの一方を通過したときに、元の伸長位置に戻るように付勢され得る。解除部材123、124は、ホルダ103を直立した向きAに戻すことを可能にするために、同様の方法で押すことができる。解除部材123、124はまた、傾斜した向きB、Cの1つ又は複数において使用することができる。
【0066】
図7は、第3の実施形態によるさらなる代替充填ステーション201を示し、この充填ステーションは、磁石の形態の直立ストッパ220及び/又は1つ又は複数の傾斜ストッパ221、222、223、224を特徴とする点で、前述の充填ステーション1、101とは異なる。1つ又は複数のストッパ220~224は、ベース202又はホルダ203の一方に設けることができ、ベース202及びホルダ203の他方に対応する強磁性特徴部を有する。1つ又は複数のストッパ220~224は、ホルダ203をベース202に対して1つ又は複数の向きに磁力で保持するために使用することができる。この実施形態では、前述の当接部材及び/又は解除部材は必須ではないが、それでもなお、追加の安全確保として設けることができる。
【0067】
図8は、第4の実施形態によるさらなる代替充填ステーション301を示し、このさらなる代替充填ステーション301は、直立した向きAと1つ又は複数の傾斜した向きB、Cとの間でベース302に対するホルダの旋回を駆動するための、好ましくはベース302に収容された旋回駆動部351をさらに備える点で、前述の充填ステーション1、101、201とは異なる。旋回駆動部351は、シャフト350を直接駆動するように構成されてもよい。
【0068】
前述の充填ステーション1、101、201、301は、充填作業に付加的な機能を提供し、及び/又は充填作業を少なくとも部分的に自動化するために、好ましくはベース2、102、202、302に収容された、制御ユニット6及び/又はセンサ、RFIDリーダ、バーコードスキャナ、プロセッサ、メモリ等などのさらなる電子機器を任意選択的に備えることができる。特に、制御ユニット6は、フィーダユニット8から情報を読み出すため、又はフィーダユニット8又はその内容物の重量を示す計量要素44から信号を受信するために、フィーダドック4に動作的及び/又は電子的に接続することができる。より詳細には、充填ステーション1、101、201は、正しいフィーダユニット8が充填されていることを確実にするために、充填作業中にホルダ3上に載置されるフィーダユニット8を識別するように構成されていてもよい。制御ユニット6には、プロセッサによって実行されると、制御ユニット6に、充填作業前、充填作業中、及び/又は充填作業後のフィーダユニット8の重量に基づいて、フィーダユニット8に装填される離散的な医薬品9の量を計算させるコンピュータ読み取り可能な命令がロードされていてもよい。図8に示すような実施形態において、制御ユニット6は、ベース302に対するホルダ3の位置を制御するために、旋回駆動部351に動作的及び/又は電子的に接続することができる。
【0069】
上記の記載は、好ましい実施形態の動作を説明するために含まれるものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。上記の考察から、当業者には、本発明の趣旨及び範囲に包含されるであろう多くの変形例が明らかであろう。
【符号の説明】
【0070】
1 充填ステーション
2 ベース
20 直立ストッパ
21 第1の傾斜ストッパ
3 ホルダ
30 プラットフォーム
31 第1の横方向支持部
32 第2の横方向支持部
33 後方支持部
34 シャフト穴
35 キー取付穴
36 第1の当接部材
37 第2の当接部材
4 フィーダドック
40 ドック本体
41 第1の位置決め部材
42 第2の位置決め部材
43 第3の位置決め部材
44 計量要素
5 旋回機構
50 シャフト
51 シャフトホルダ
52 回転軸受
53 キー溝
6 制御ユニット
7 キー
8 フィーダユニット
80 供給チャンバ
82 単一化セクション
81 分配セクション
83 カバー
84 ノブ
85 充填開口部
86 第1の位置決めスロット
87 第2の位置決めスロット
9 離散的な医薬品
101 代替充填ステーション
102 ベース
121 第1の傾斜ストッパ
122 第2の傾斜ストッパ
123 第1の解除部材
124 第2の解除部材
103 ホルダ
134 シャフト穴
136 第1の当接部材
137 第2の当接部材
105 旋回機構
201 さらなる代替充填ステーション
202 ベース
220 直立ストッパ
221-224 傾斜ストッパ
301 さらなる代替充填ステーション
302 ベース
305 旋回機構
350 シャフト
351 旋回駆動装置
A 直立した向き
B 第1の傾斜した向き
C 第2の傾斜した向き
F フィーダユニットの長手方向平面
G 重心
H1 第1の傾斜角度
H2 第2の傾斜角度
L ホルダの長手方向
R1 第1の旋回方向
R2 第2の旋回方向
S 旋回軸
T 横方向
X 水平面
Z 垂直面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】