(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】変換機械
(51)【国際特許分類】
B41F 33/00 20060101AFI20240829BHJP
B41F 5/24 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B41F33/00 290
B41F5/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512016
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022073346
(87)【国際公開番号】W WO2023025730
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522462649
【氏名又は名称】ボブスト リヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】バドレディーヌ アブデルマリク
【テーマコード(参考)】
2C034
2C250
【Fターム(参考)】
2C034AA02
2C034AA07
2C250EB29
(57)【要約】
本発明は、変換機械(10)内でシート(3)上の複数の印刷されたモチーフを位置合わせする方法に関する。第1のセンサでの実際の位置(Pa_1)が、シートに対する初期基準位置(P_ref1)として定められ、少なくとも1つの変位誤差(Δd2)が、計算されて第1の閾値(T1)と比較される。変位誤差が第1の閾値よりも低い場合に、第2のフレキソ印刷ユニット(16b)内の印刷シリンダ(42)の角度位置(α)が調節される。しかし、誤差が第1の閾値よりも高い場合に、変位誤差(Δd_2)の少なくとも一部は、第1の印刷ユニットと第2の印刷ユニット間に位置付けられた真空移送ユニットの速度(V)を修正することによって補正される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモチーフを印刷するように構成された少なくとも第1の印刷ユニット(16a)及び第2のモチーフを印刷するように構成された第2の印刷ユニット(16b)であって、前記第1及び第2のフレキソ印刷ユニットが、シート(3)の搬送方向(T)に沿って連続して配置される前記少なくとも第1の印刷ユニット(16a)及び第2の印刷ユニット(16b)を有するフレキソ印刷モジュール(15)を含む変換機械(10)であって、前記第1の印刷ユニットの上流の距離(L1)で第1の検出位置(P1)に配置された第1のセンサ(62)と前記第2の印刷ユニットの上流の距離(L1)で第2の検出位置(P2)に配置された第2のセンサ(64)とを有する見当補正システム(60)を更に含む前記変換機械(10)内で前記シート(3)上の複数の印刷されたモチーフを位置合わせする方法であって、
前記第1のセンサ(62)で前記シート(3)の前方前縁(5)の通過を検出する工程と、
前記第1のセンサ(62)の検出時間(t1)から前記第1の検出位置(P1)での前記前方前縁(5)の実際の位置(Pa_1)を決定する工程と、
前記実際の位置(Pa_1)を前記シート(3)に対する初期基準位置(P_ref1)として定める工程と、
下流に位置付けられた第2のセンサ位置(P2)で第2の基準位置(P_ref2)を計算する工程と、
前記第2のセンサで前記前方前縁の通過を検出し、且つ前記第2のセンサ(64)によって提供された検出時間(t2)から前記第2のセンサ位置での前記前方前縁(5)の実際の位置(Pa_2)を決定する工程と、
前記検出された実際の位置(Pa_2)と前記第2の基準位置(P_ref2)間の差を決定することにより、前記第2の検出位置(P2)での個々の変位誤差(Δd_2)を計算する工程と、
前記個々の変位誤差(Δd_2)を第1の閾値(T1)と比較する工程と、
前記個々の変位誤差が前記第1の閾値よりも低い場合に、前記第2のフレキソ印刷ユニット(16b)内で印刷シリンダ(42)に対する角度位置補正(Δα)を提供する工程と、
前記誤差が前記第1の閾値よりも高い場合に、前記印刷シリンダ(42)に対する角度位置補正(Δα)の形態の第1の補正(c1)と前記シートの位置を変更するための第2の補正(c2)とを提供する工程であって、前記第2の補正が、前記第2のセンサ位置(P2)と前記第2の印刷ユニット(16b)間に位置付けられた真空移送ユニット(52)の搬送速度(V)を修正し、それによって前記第1及び第2の補正の合計が前記個々の変位誤差(Δd_2)に等しくなることによって行われる前記提供する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記角度位置補正(Δα)は、前記印刷シリンダの固定角度長さ限界(Lα)に対応し、
前記変位誤差の残余部分が、前記真空移送ユニット(52)での速度の変化によって補正され、前記速度の変化は、加速又は減速である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印刷シリンダ(42)の前記角度長さ限界(Lα)は、0.5mmから1.5mmの間、好ましくは約1mmである、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変換機械は、少なくとも4つのフレキソ印刷ユニット(16aから16d)を含み、
センサ(62、64)及び真空移送ユニットが、各フレキソ印刷ユニットの上流に配置される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のセンサ(62)の下流に位置付けられた各センサ(64)が、前記シート(3)の前記前方前縁(5)の前記通過を検出するように構成され、
前記見当制御システム(60)の制御ユニット(63)が、各センサ位置(P1からPN)での前記前方前縁(5)の前記実際の位置を決定し、且つ各下流に位置付けられた印刷シリンダに対する角度位置補正(Δα)を提供するように構成され、前記制御ユニットは、前記搬送方向(T)の前記シートの位置を補正するために、各センサの下流に位置付けられた各真空移送ユニットの速度を変更するように更に構成される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のセンサ(62)の下流の位置(PN)に位置付けられたセンサで、前記シート(3)の前方前縁(5)の通過を検出する工程と、
前記シート(3)の前記前方前縁(5)の前記検出位置(Pa_N)を基準位置(P_refN)と比較し、且つそれらの間の差を傾向変位誤差(Δd_total)として定める工程と、
前記傾向変位誤差を第2の閾値(T2)と比較する工程と、
前記傾向変位誤差(Δd_total)が前記第2の閾値(T2)を超える場合に、前記フレキソ印刷モジュール内で前記第2のセンサの下流に位置付けられた各制御可能な真空移送ユニット(52)に傾向速度補正(Δvt)を適用する工程と、を更に含む、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記傾向変位誤差は、第3及び第4のフレキソ印刷ユニット間のセンサ位置(P4)で決定される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記傾向補正を適用する前に前記変位誤差を確認する工程を更に含み、
前記変位誤差を前記確認する工程は、サンプル(S)内のシートの数に対する平均変位誤差(Δd_total_avg)を計算することによって達成される、
請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプル(S)は、5から10枚の間のシートを含有する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記傾向計算及び補正は、各サンプルの後で繰り返される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記真空移送器(52)の前記加速及び減速は、前記シート搬送速度(V)に関連して調節される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加速及び減速は、前記センサ位置(PN)と前記印刷シリンダ(42)間の前記全距離(L1)にわたって行われる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
シート(3)上に第1のモチーフを印刷するように構成された少なくとも第1の印刷ユニット(16a)及び前記シート上に第2のモチーフを印刷するように構成された第2の印刷ユニット(16b)であって、前記第1及び第2のフレキソ印刷ユニットが前記シート(3)の搬送方向(T)に沿って連続して配置される前記少なくとも第1の印刷ユニット(16a)及び前記第2の印刷ユニット(16b)を有するフレキソ印刷モジュール(15)と、
前記第1のフレキソ印刷ユニットの上流の距離(L1)で第1の検出位置(P1)に配置された第1のセンサ(62)と前記第2のフレキソ印刷ユニットの上流の距離(L1)で第2の検出位置(P2)に配置された第2のセンサ(64)とを含み、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の前記シート(3)上の複数の印刷されたモチーフを位置合わせする方法を少なくとも部分的に実行するように構成された見当補正システム(60)と、
を含む変換機械(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパック式箱又は折畳み箱を生成するのに適した回転打ち抜き機械又は折畳み-接着機械などの変換機械に関する。
【背景技術】
【0002】
回転打ち抜き機械の形態の変換機械には、印刷ユニットで印刷され、次いで、フラットパック式箱を形成するように切断されて切込みが入れられるシートを給送することができる。フラットパック式箱は、その後、手動で又は折畳み-接着機械内で自動的に折り畳まれるように設計される。フレキソ折畳み器-接着器として構成された変換機械は、回転打抜き機械に似ているが、これに加えて、折畳み箱を形成するようにブランクを自動的に接着して折り畳む、折畳み及び接着モジュールを含む。
【0003】
完成された箱には、多くの場合に、印刷されたモチーフ又はパターンを設ける必要がある。高く且つ一貫した品質を提供するために、各シートは、印刷シリンダ上の印刷プレートの角度位置に対して印刷ユニット内で正しく位置決めされることが重要である。しかし、一部のシートは、シート搬送での変動に起因して、印刷シリンダに過度に早く又は過度に遅く到着する。これは、色の不整合の問題を引き起こす。
【0004】
印刷不整合を回避するために、既存の見当制御システムが多くの場合に使用され、且つシートの位置をシートが印刷シリンダに到着する前に調節することができるようにシートの搬送を制御することによって機能する。従って、シートは、必要に応じて、印刷シリンダへの到着の前に早められる又は遅延される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのタイプの見当制御システムは、各シートを検出してそれに変位補正を適用するように構成される。各シートに対して変位補正を行うために、変換機械内の搬送システムは、真空移送ユニットの速度を絶えず変更する必要があり、且つ多くの場合に大きい減速の加速を行う必要がある。これは、真空移送ユニット内のベルト及びローラーなどのドライブ機構の摩耗に悪影響を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の問題に鑑みて、変換機械の摩耗を制限する見当制御システムを提供することが本発明の目的である。本発明の目的は、請求項1に定める方法及び請求項13に定める変換機械によって解決される。
【0007】
第1の形態により、変換機械内でシート上の複数の印刷されたモチーフを位置合わせする方法を提供し、変換機械は、第1のモチーフを印刷するように構成された少なくとも第1の印刷ユニット及び第2のモチーフを印刷するように構成された第2の印刷ユニットを有するフレキソ印刷モジュールを含み、第1及び第2のフレキソ印刷ユニットは、シートの搬送方向に沿って連続して配置され、変換機械は、第1の印刷ユニットの上流のある距離での第1の検出位置に配置された第1のセンサ及び第2の印刷ユニットの上流のある距離での第2の検出位置に配置された第2のセンサを有する見当補正システムを更に含み、本方法は、
-第1のセンサでシートの前方前縁の通過を検出する工程と、
-第1のセンサの検出時間から第1の検出位置での前方前縁(5)の実際の位置を決定する工程と、
-実際の位置をシートに対する初期基準位置として定める工程と、
-初期基準位置に第1及び第2の検出位置間の予め決められた距離を追加することにより、下流に位置付けられた第2のセンサ位置での第2の基準位置を計算する工程と、
-前方前縁の通過を第2のセンサで検出し、且つ第2のセンサによって提供された検出時間から第2のセンサ位置での前方前縁の実際の位置を決定する工程と、
-検出された実際の位置と第2の基準位置間の差を決定することにより、第2の検出位置での個々の変位誤差を計算する工程と、
-個々の変位誤差を第1の閾値と比較する工程と、
-個々の変位誤差が第1の閾値よりも低い場合に、第2のフレキソ印刷ユニット内で印刷シリンダに対する角度位置補正を提供する工程と、
-誤差が第1の閾値よりも高い場合に、印刷シリンダへの角度位置補正の形態の第1の補正とシートの位置を変更するための第2の補正とを提供する工程であって、上記第2の補正が、第2のセンサ位置と第2の印刷ユニット間に位置付けられた真空移送ユニットの搬送速度を修正し、それによって第1及び第2の補正の合計が個々の変位誤差に等しくなることによって行われる上記提供する工程と、
を含む。
【0008】
本発明は、補正を、印刷シリンダ及び真空移送器上に配分することができるという認識に基づいている。その結果、これは、真空移送器に必要とされる補正を低減する。
【0009】
第2の基準位置は、好ましくは、初期基準位置に第1及び第2の検出位置間の予め決められた距離を追加することによって計算される。
【0010】
回転変位補正は、シートの位置に対して印刷シリンダを位置合わせする。
【0011】
角度位置補正は、変位誤差が第1の閾値よりも低い場合、変位誤差に対応する。従って、誤差は、印刷シリンダの角度補正を用いてのみ補正される。
【0012】
一実施形態では、角度位置補正は、角度位置補正が印刷シリンダの固定角度長さ限界に対応することと、変位誤差の残余部分が真空移送ユニット内の速度の変化によって補正されることと、に対応する。
【0013】
速度の変化は、真空移送ユニット内の搬送速度の加速又は減速として提供される。
【0014】
固定角度長さ限界は、第1の閾値を超える変位誤差を有する各シートに対して適用される一定の補正であるのがよい。
【0015】
印刷シリンダの角度長さ限界は、0.5mmから1.5mmの間、好ましくは約1mmとすることができる。角度長さ限界は、すなわち、印刷シリンダの円周上のセグメント長さである。角度長さ限界はまた、角度補正に対応する印刷シリンダの円弧長さとして定めることができる。
【0016】
一実施形態では、変換機械は、少なくとも4つのフレキソ印刷ユニットを含み、センサ及び真空移送ユニットは、各フレキソ印刷ユニットの上流に配置される。
【0017】
一実施形態では、第1のセンサの下流に位置付けられた各センサは、シートの前方前縁の通過を検出するように構成され、見当制御システムの制御ユニットは、各センサ位置での前方前縁の実際の位置を決定し、且つ各下流に位置付けられた印刷シリンダに対する角度位置補正を提供するように構成され、且つ搬送方向でのシートの位置を補正するように各センサの下流に位置付けられた各真空移送ユニットの速度を変更する。
【0018】
有利な一実施形態では、本方法は、
-第1のセンサの下流の位置に位置付けられたセンサで、シートの前方前縁の通過を検出する工程と、
-シートの前方前縁の検出された位置を基準位置と比較し、且つそれらの間の差を傾向変位誤差として定める工程と、
-傾向変位誤差を第2の閾値と比較する工程と、
-変位誤差が第2の閾値を超える場合に、フレキソ印刷モジュール内の第2のセンサの下流に位置付けられた各制御可能な真空移送ユニットに傾向速度補正を適用する工程と、
を更に含む。
【0019】
個々の変位誤差は、また、シート品質に関連して共通点を有することが判明している。それらのタイプの共通点を解析することによって、いくつかの変位は、傾向解析及び補正によって予想されて、適応させることができる。一実施形態では、傾向変位誤差は、第3及び第4のフレキソ印刷ユニット間のセンサ位置で決定される場合がある。
【0020】
本方法は、傾向補正を適用する前に変位誤差を確認する工程を更に含む場合があり、変位誤差を確認する工程は、サンプル内のシート数に対する平均変位誤差を計算することによって達成される。サンプルは、例えば、5と10枚の間のシートを含有するのがよい。傾向計算及び補正は、好ましくは、各サンプル後に繰り返される。
【0021】
一実施形態では、真空搬送の加速及び減速は、シート搬送速度に関連して調節される。好ましくは、加速及び減速は、センサ位置と印刷シリンダの間の全距離にわたって行われる。
【0022】
本発明はまた、第1の形態によるシート上の複数の印刷されたモチーフを位置合わせする方法を少なくとも部分的に実行するように構成された見当補正システムを含む変換機械に関し、変換機械は、
-シート上に第1のモチーフを印刷するように構成された少なくとも第1の印刷ユニットと、シート上に第2のモチーフを印刷するように構成された第2の印刷ユニットと、を有するフレキソ印刷モジュールであって、第1及び第2のフレキソ印刷ユニットは、シートの搬送方向に沿って連続して配置される上記フレキソ印刷モジュールと、
-第1のフレキソ印刷ユニットの上流のある距離での位置に配置された第1のセンサと、第2のフレキソ印刷ユニットの上流のある距離での位置に配置された第2のセンサと、を含む見当補正システムと、
を含む。
【0023】
ここで、本発明を例示的に且つ類似の要素に同一の参照番号を使用する同封図面に示す実施形態を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1a】変換機械から取得可能な折畳み箱の例を示す図である。
【
図1b】変換機械から取得可能なフラットパック式箱の例を示す図である。
【
図1c】変換機械から取得可能な折畳み箱の例を示す図である。
【
図2】回転打ち抜き器の形態の且つ従来技術で公知の変換機械の概略斜視図である。
【
図3】フレキソ折畳み器-接着器の形態の且つ従来技術で公知の変換機械の概略図である。
【
図4】フレキソ印刷ユニットのフレキソ印刷アセンブリの概略斜視図である。
【
図5】変換機械の真空移送ユニットの概略図である。
【
図6】真空移送ユニット及びフレキソ印刷アセンブリでのシート搬送の概略図である。
【
図7】フレキソ印刷モジュール内のシート変位誤差を示す概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態による見当制御システムの概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるフレキソ印刷モジュール内の見当制御システムの概略断面図である。
【
図10a】本発明の実施形態による加速及び減速プロファイルを示す概略グラフである。
【
図10b】本発明の実施形態による加速及び減速プロファイルを示す概略グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで折畳み箱1’及びフラットパック式箱1’’の例を示す
図1a及び
図1bを参照する。折畳み箱1’は、例えば、フレキソ折畳み-接着機械から取得することができ、フラットパック式箱は、回転打ち抜き機械から取得することができる。正方形又は矩形の段ボール又は板紙の形態のシート基板が、両方のタイプの変換機械に共通して、変換機械の給送器に置かれる。折畳み箱1’又はフラットパック式箱1’’には、典型的には、内面及び外面のうちの少なくとも一方の面上に印刷されたモチーフ7が設けられる。
【0026】
図1bに見られるように、フラットパック式箱1’’は、シートの形態で提供され、成形された周縁部2、例えばハンドルのための切り欠き4、及び折畳みを可能にする折り目線6を含む。
【0027】
回転打ち抜き器の形態の変換機械10が
図2に示されており、複数の異なるモジュールを含む。変換機械10は、変換機械10の入口から搬送方向Tに沿った下流方向に、事前給送器モジュール12と、給送器モジュール14と、印刷モジュール15と、打ち抜きモジュール18と、積み重ねモジュール20と、パレット化器-破砕器22と、を含む。主オペレータインタフェース11を、変換機械10の近傍に更に設けることができる。変換機械10は、印刷モジュール15の下流に又は打ち抜きモジュール18の下流に位置付けられた排出器モジュールを更に含むことができる。
【0028】
フレキソ折畳み-接着機械10は、
図3に概略的に示されており、搬送方向Tに上流から下流に順番に、シート基板3を自動的に装填する装填器30と、給送器31と、複数のフレキソ印刷ユニット16a~16Nを有するフレキソ印刷モジュール15と、少なくとも1つのスロット付けアセンブリ33及び少なくとも1つの切断ユニット34と、屑剥ぎ取りユニット及び任意的な振動ユニット35と、折畳み-接着ユニット36と、を含む。フレキソ折畳み-接着ユニット10はまた、計数排出ユニット、結束器、パレット化器などの(
図3では部分的に点線で表されている)任意的なモジュール37を更に含むことができる。
【0029】
回転打ち抜き器及びフレキソ折畳み-接着機械10のフレキソ印刷モジュール15は、同様の方式で構成することができ、複数のフレキソ印刷ユニット16を含む。変換機械10には、必要な色数に応じて、対応する数のフレキソ印刷ユニット16が設けられる。例えば、CMYKカラーコードによる印刷を可能にすることができる4つのフレキソ印刷モジュール16a~16dを設けることができる。各フレキソ印刷ユニット16は、フレキソ印刷アセンブリ40を含む。
【0030】
フレキソ印刷アセンブリ40の構成を
図4に示している。フレキソ印刷アセンブリ40は、印刷プレート46をその上に装着することができる取付ブラケット44が設けられた印刷シリンダ42と、アンビル43と、を含む。印刷プレート46には、シート3上に特定のモチーフ7を印刷する印刷ダイが設けられる。アニロックスシリンダ48が、印刷シリンダ42の近傍に配置され、ドクターブレードチャンバ49などの液体供給デバイスから印刷プレート46にインクを吸収して移送するように構成される。
【0031】
図5及び
図6に最も良く見られるように、変換機械10は、変換機械10を通ってシート3を搬送方向Tに搬送するように構成された搬送システム50を更に含む。搬送方向Tは、変換機械10の入口から出口まで定められる。搬送システム50は、移送ユニット52と呼ばれる複数の別体の搬送セグメント52を含むことができる。特に、搬送システム50は、真空移送器52の構成で一連の移送ユニット52を含むことができる。真空移送器52は、搬送面56と、シート3を変換機械10を通って搬送するように無限ベルトコンベヤ及びローラー58などのドライブ要素58と、を含む。真空開口60は、シート3がローラー58に対して付着されることを保証するためにローラー58の周りに配置される。シート3の搬送速度Vは、印刷シリンダ42の接線速度に対応し、印刷シリンダ42の接線速度は、典型的には、同じく真空移送器52によって提供される搬送速度に対応する。
【0032】
変換機械10の予め決められた見当設定は、変換機械10の立ち上げ又は設置時に、教育サイクルで較正することができる。較正は、シート3の前方前縁5の位置に対するフレキソ印刷シリンダの角度位置を定める。これは、変換機械10の較正された印刷見当設定と呼ばれる。
【0033】
図7に最も良く見られるように、各個々のシート3は、典型的には、シート3が第1のフレキソ印刷ユニット16aからフレキソ印刷モジュール15を通って搬送方向Tに沿って搬送システム50によって搬送される時に個々の変位距離Δdを受ける。個々の変位距離は、従って、個々の変位誤差Δdであり、その結果、シート3は、各印刷シリンダ42での較正された印刷見当位置に完全に従って到着するわけではない。個々の変位誤差Δdはまた、本出願の文脈では、同義で「長手方向の個々の変位誤差Δd」と呼ぶことができる。個々の変位誤差Δdは、搬送方向Tで決定される。
【0034】
これらの個々の変位誤差Δdは、異なるフレキソ印刷ユニット16a~16Nから印刷されたモチーフの異なる色の不整合をもたらすことになる。同一のシート3は、1つの印刷シリンダ42の角度位置に対して過度に早く着き、一方で別の印刷シリンダ42に対して過度に遅く着くことがある。
【0035】
図8及び
図9に示すように、搬送システム50は、見当制御システム60に接続され、見当制御システム60は、フレキソ印刷モジュール15を通るシート3の搬送方向Tに沿った複数の(「センサ位置」とも呼ばれる場合がある)検出位置P1~PNで個々の変位誤差Δdを検出及び計算するように構成される。見当制御システム60は、シート3の位置を補正するように更に構成される。
【0036】
見当制御システム60は、制御ユニット63と、メモリ65と、複数のセンサ62、64と、を含む。制御ユニット63は、中心制御ユニットとすることができる。これに代えて、複数の制御ユニット63があり、各センサ62,64は、同時計算を可能にするために専用制御ユニット63に接続される。
【0037】
図9に最も良く見られるように、センサ62、64は、シート3の搬送方向Tに沿って予め決められた長手方向位置P1~PNに配置される。各センサ64は、第1のセンサ62の位置P1から予め決められた距離D2~DNに位置付けられる。第1のセンサ62は、給送センサ62とすることができる。第1のセンサ62は、第1のフレキソ印刷ユニット16aのフレキソ印刷シリンダ42の上流の距離L1に位置付けられる。複数のセンサ64は、第1の給送センサ62の下流に位置付けられ、また、第2の及びその後のフレキソ印刷シリンダ42の上流の距離L1に位置決めされるのがよい。センサ64は、好ましくは、移送センサ64として構成される。
【0038】
距離L1は、典型的には、制御ユニット63が個々の変位誤差Δdを決定するのに要求される時間に対応する。距離L1はまた、シート3が印刷シリンダ42に到着する前にシート3の位置を補正するか又は印刷シリンダ42の角度位置補正Δαを達成することを可能にするように、センサ64と下流に位置付けられたフレキソ印刷配置部16との間に位置付けられた真空移送器52で、十分に大きい移動距離を提供する。一実施形態では、センサと印刷シリンダ42との間の距離L1は、200mmから600mmの範囲、好ましくは約400mmである。
【0039】
図7に示すように、センサ62、64は、各シート3の前方前縁5の通過を検出するように構成される。センサ62、64は、光検出器の形態にあることができ、シート3の搬送方向Tに沿って配置される。センサ62、64は、背景抑制を有するレーザ検出器、又は前方前縁5の通過を検出するように構成された他のタイプの光センサとすることができる。
【0040】
真空移送器52の速度及び加速度は、シート3の位置が、シート3が下流に位置付けられた印刷シリンダ42に到達する前に調節されるように、見当制御システム60によって制御及び変更されることができる。
図6に示すように、見当制御システム60はまた、モチーフ7がシート3上に移送される位置を制御するために印刷シリンダ42に角度位置補正Δαを提供するように構成することができる。
【0041】
図7及び
図9に最も良く見られるように、複数の移送センサ64は、給送センサ62から予め決められた長手方向位置P2~PNに位置付けられる。
【0042】
シート3の初期変位は、多くの場合に、シート3が変換機械10の中心制御システムから示された給送器排出信号に対して過度に早められる又は過度に少なく早められる時に給送器14、31に発生する。
【0043】
第1のセンサ62での各シート3の前方前縁5の実際の位置Pa_1は、更に下流に位置付けられたフレキソ印刷ユニット16b~16Nのシート3の初期基準位置P_ref1として設定することができる。これは、シート3の位置の補正又は印刷シリンダ42の角度位置補正Δαが、第1のフレキソ印刷ユニット16aの内部又はその手前で行われないことを意味する。初期基準位置P_ref1は、特定の時点での位置として予め決められる。予め決められた時点は、給送器排出信号と関連しているのがよい。初期基準位置P_ref1は、給送器14、31から来るシート3毎に異なり、シート3毎に決定されることになる。
【0044】
変換機械10の中心制御システムは、センサ62、64の検出時間からシート3の前方前縁5の実際の位置Pa_1~Pa_Nを決定するように構成される。実際の位置Pa_1~Pa_Nは、それぞれのセンサ位置P1~PNで決定される。実際の位置を決定する計算は、センサ62、64から捕捉されたデータを較正されたマスター設定及び機械センサ入力(すなわち、機械部品の相対位置を示すセンサ)と比較することにより、変換機械10の中心制御ユニット及び総合カウンタによって実行される。
【0045】
これに代えて、給送センサ62での実際の位置Pa_1は、給送センサ62での搬送速度V及び検出時間からの積によって計算することができる。同様に、第2のセンサ64での実際の位置Pa_2は、制御ユニット63により、シート3の搬送速度Vを検索し、第2のセンサ64での検出の経過時間を乗算することによって計算することができる。検出時間は、総合カウンタが排出信号を放出した時にカウントを開始する。
【0046】
第1のフレキソ印刷ユニット16aの更に下流に位置付けられた異なるフレキソ印刷ユニット16b~16Nからの印刷モチーフを位置合わせするために、各個々のシート3の前方前縁5の実際の位置Pa_2~Pa_Nは、各フレキソ印刷ユニット16b~16Nの上流に位置付けられた各センサ64によって検出される。
【0047】
図7に示すように、各センサ位置での各シート3の実際の位置Pa_2~Pa_Nは、検出され、各特定のセンサ位置P2~PNに対して、対応する計算された基準位置P_ref2~P_refNと比較される。
【0048】
第2のセンサ位置P2での基準位置P_ref2は、第1のセンサ位置P1と第2のセンサ位置P2の間の予め決められた距離D2(
図9参照)を初期基準位置P_ref1に追加することによって計算することができる。
【0049】
第1のセンサ位置P1の下流のシート3の前方前縁5の基準位置P_ref2~P_refNは、全て同一の方法で、すなわち、それぞれのセンサ位置P2~PNからの距離D2~DNを第1の基準位置P_ref1に追加することによって、計算することができる。実際の位置Pa_1~Pa_N及び基準位置P_ref1~P_refNは、搬送方向Tの長手方向の座標によって予め決められる。制御ユニット63は、給送センサ62の下流の各センサ位置P2~PNでの各シート3の個々の変位誤差Δdを決定する。
【0050】
図7及び
図9に最も良く見られるように、個々の変位誤差Δdは、従って、各センサ位置で検出された実際の位置Paと基準位置P_refの間の(搬送方向Tでの)長手方向の距離の差である。各それぞれの移送センサ位置P2~PNでの個々の変位誤差は、Δd2~ΔdNと呼ぶことができる。
【0051】
得られる変位誤差Δdは、実際の位置から基準位置を差し引いたものから計算することができる。従って、以下の関係が適用される:
Δd=Pa-P_ref
第2のセンサ位置では、変位誤差は等しい:
Δd_2=Pa_2-P_ref2
【0052】
第2のセンサ位置P2での基準位置P_ref2は、第1の基準位置P_ref1に依存し、第1のセンサ位置P1と第2のセンサ位置P2の間の距離は、固定である。その結果、以下の関係が適用される:
Δd_2=Pa_2-D2-P_ref1
…
Δd_N=Pa_N-DN-P_ref1
【0053】
個々の変位誤差Δdは、見当制御システム60によって補正される。第1のフレキソ印刷ユニット16aに続く各センサ位置P2~PNでの個々の変位誤差Δdは、第1の閾値T1と比較される。
【0054】
補正は、個々の変位誤差Δdが第1の閾値T1未満である場合に、最も下流に位置付けられた印刷シリンダ42の角度位置補正Δαによってのみ行われる。すなわち、見当制御システム60は、印刷プレート46がシート3の実際の位置Paに位置合わせされるように印刷シリンダ42に回転変位補正を提供する。第1の閾値T1は、0.5から1.5mmの間、好ましくは約1mmとすることができる。これは、印刷シリンダ42の角度セグメント長さを角度長さ限界Lαまで補正することができることを意味する。角度長さの限界Lαは、0.5mmから1.5mmの間、好ましくは約1mmとすることができる。
【0055】
印刷シリンダ42の角度位置は、変換機械10の電動システム55によって修正することができる。電動システム55は、見当制御システム60から所要の角度位置補正Δαを受け入れることができる。
【0056】
重い印刷シリンダ42上で大きい角度位置補正Δαを管理するのは、その慣性に起因して困難である可能性がある。しかし、小さい個々の変位誤差Δdについては、印刷シリンダ42の角度位置調節は、安定した耐久性のある補正方法である。これは、上述の真空移送器の過度の使用及び真空移送器でのベルトの振動の問題を回避する。
【0057】
しかし、個々の変位誤差Δdが第1の閾値T1よりも大きい場合には、補正は、印刷シリンダ42の角度位置補正Δαと、移送センサ64と最も下流に位置付けられた印刷シリンダ42の間に位置付けられた真空移送器52の速度の変化の形態の速度補正Δvとの組合せによって達成される。これは、
図10a及び
図10bに示されている。
【0058】
従って、補正は、得られる個々の変位誤差Δdが角度長さ限界Lαよりも大きい場合に、真空移送器52及び印刷シリンダ42の両方に対して適用される。見当補正システム60は、従って、印刷シリンダ42に対する角度位置補正Δαの形態で第1の補正c1を行うように構成される。更に、第2の補正c2は、移送センサ位置P2~PNと最も下流に位置付けられた印刷シリンダ42の間に位置付けられた真空移送ユニット52の搬送速度Vを修正することによって行われる。速度Vの変更により、搬送方向Tでのシート3の位置を修正することができる。
【0059】
第1の補正c1及び第2の補正c2の合計は、長手方向変位誤差Δd_2に等しい。第1の補正c1は、好ましくは、角長限界Lαに対応し、第2の補正c2は、角長限界Lαによって減算された総変位誤差Δdに対応する。
【0060】
これを
図10a及び
図10bに概略的に示し、後でより詳細に説明する。
図10a及び10bは、シート3の前方前縁5が搬送方向Tに十分には進んでいない場合の状況を示している。換言すると、これは、補正のないシート3が印刷シリンダ42に到着することが遅すぎることを意味する。
図10a及び
図10bに見られるように、シート3は、センサ64に到着すると、初期速度V1を有する。シート3は、センサ64の後に、第2の速度V3まで加速され、次いで初期速度V1に戻るように再度減速される。初速度V1は、標準作動速度として定められることができる。
【0061】
しかし、シート3が搬送方向に過度に早められる場合に、すなわち、補正なしのシート3が印刷シリンダ42に早く着きすぎる場合に、最初に、センサ64からの入力に基づいて、第2速度V3に到達するために初速度V1の減速があり、次いで、初速度V1に戻すように加速がある。
【0062】
各フレキソ印刷ユニット16b~16N内の又はその手前の各個々のシート3のこの補正は、個々のシート補正と呼ばれる。
【0063】
検出された個々の変位誤差Δdは、好ましくは、シート3が最も近いその後の印刷シリンダ42に到着する前に補正される。しかし、2mmを超えるような大きい変位距離については、真空移送器52及び印刷シリンダ42が、センサ64と最も近い下流に位置付けられた印刷シリンダ42との間の個々の変位誤差Δdを完全に補正することが可能ではない場合がある。そのような場合、シート3は、排出モジュールでの排出のために、見当制御システム60によってタグ付けされ、追跡されることができる。任意的に、第3の許容閾値T3を設けることができ、第3の許容閾値T3を超えた場合にのみ、シート3に排出のためにタグ付けすることができる。第3の許容閾値T3は、従って、完成された折畳み箱1’又はフラットパック式箱1’’の品質要件に依存する可能性がある。
【0064】
変換機械10の給送器14、31に置かれたシート3の異なるパイルの間には、材料特性の変動がある。この変動は、反りの存在、面の凹凸、通気性及び剛性の変動などのシートの品質に関連する。その理由は、しわ寄せ機械で、シート3のいくつかのパイルが異なるバッチで異なる時間に生成された可能性があるからである。
【0065】
シート3の個々の変位誤差Δdは、異なるセンサ位置P2~PNで変動する場合がある。しかし、
図7に示すように、一貫した総変位誤差Δd_totalは、フレキソ印刷モジュール15の終わりに最終センサ位置PNで決定することができる。従って、総変位誤差Δd_totalは、印刷ユニット番号Nでの変位誤差Δd_Nに対応する。一貫した変位誤差とは、複数のシート3の内のフレキソ印刷モジュール15の終わりでの総変位誤差Δd_totalが、各フレキソ印刷ユニット16a~16Nで且つ各シート3に対して個々の変位誤差よりも少ない変動を示すことを意味する。
【0066】
給送器14、31に置かれたパイルからのシート3のサンプルSを解析することにより、平均傾向誤差Δd_total_avgを決定することが有利であることが判明している。サンプルSは、同じパイルからの複数のシート3、例えば、5枚から10枚の間のシート3を含む。平均傾向誤差Δd_total_avgを計算するために、シート3のサンプルSは、変換機械10を通って搬送され、各シート3の総変位誤差Δd_totalは、基準位置P_refNに対するシート3の前方前縁5の総変位誤差Δd_totalを決定することにより、フレキソ印刷モジュール15の終わりに最終センサ位置PNで計算される。従って、各シートの傾向変位誤差は、以下のように計算することができる:
Δd_total=Pa_N-DN-P_ref1
【0067】
制御ユニット63は、次いで、シートサンプルSの平均変位誤差Δd_total_avgを計算するように構成される。従って:
ここで、ΣΔd_total_avgは、サンプルSでの全てのシートの平均変位誤差の合計であり、sは、サンプル内のシート数である。
【0068】
これに代えて、傾向変動は、第2のセンサ位置P2の下流に位置付けられたセンサ位置で決定することができる。一実施形態では、平均傾向変位誤差Δd_total_avgは、初期基準位置P_ref1に対して第4のフレキソ印刷ユニット16dで検出されることができる。従って、第4のフレキソ印刷ユニット16dでは、第4のセンサ位置P4で、傾向変動を十分な精度で計算することができることが判明している。
【0069】
速度の変化の形態での傾向補正、すなわち、傾向速度補正Δvtは、真空移送器52の初速度V1が複数の真空移送器52に対して変更されるように適用される。好ましくは、フレキソ印刷モジュール15内の全ての真空移送器52には、速度変化Δvtが設けられる。好ましくは、各真空移送器52には、等しい速度補正Δvtが設けられる。
【0070】
従って、以下の公式のいずれも、新しい搬送速度を決定するのに使用されることができる:
【0071】
傾向補正は、次いで、速度補正Δvt=V2-V1のように計算される。
ここで:
Δd_total=傾向変位誤差
Δd_total_avg=平均傾向変位誤差
V1=初期作動速度
V2=新しい作動速度
D_total=センサ位置間の距離(すなわち、センサ位置P2とPNの間)
【0072】
傾向速度補正Δvtを開始するために、傾向補正を開始するように第2の誤差閾値T2を適用することができる。見当制御システム60は、シート3のサンプルを連続的に解析し、シート3の予め決められたサンプルSから新しい平均傾向誤差Δd_total_avgが確認されると、新しい傾向補正を開始するように構成されることができる。新しい平均傾向誤差Δd_total_avg及び傾向補正は、従って、以前の傾向補正とは異なる可能性がある。これは、有利なことに、機械の作動中(すなわち、箱の生産中)に連続的に実施される。
【0073】
例えば、閾値T2は、連続するシート3のサンプルに対して0.5mmの平均傾向誤差Δd_total_avgによって定められるのがよい。閾値T2は、傾向補正を開始又は再開することができる。傾向補正は、従って、第2の閾値T2を超える十分に大きい変位誤差Δd_total_avgに対してのみ開始又は再評価される。
【0074】
傾向補正は、個々のシートの補正の前に行われるので、シート3の個々の変位誤差Δdを低減する。この傾向補正により、真空移送器52の過度の加速/減速の観点から大きい補正が制限される。
【0075】
傾向補正及び個々のシート補正は、好ましくは同時に行われる。これは、傾向補正にも関わらず、各個々のシート3は、依然として個別に制御及び補正されることを意味する。しかし、個々のシート補正は、個々の変位誤差Δdの一部が傾向補正によって予想及び補正されるため、低減される。任意的に、個々のシート補正は、常に有効にされ、一方で傾向補正は、無効にすることができる。
【0076】
図10a及び
図10bを参照すると、真空移送器52の加速及び減速は、シート3の搬送速度Vに関連して調節されることができる。低速時に、真空移送器52の大きい加速又は減速は、ローラー58を駆動している駆動ベルトに振動を生じさせる場合があり、シート搬送を不安定にする。この問題を解決するために、加速及び減速は、シート3の搬送速度Vの関数として適応させることができることが判明している。例えば、高速時での加速と減速は、低速時よりも高い。
【0077】
真空搬送52の搬送速度Vは、変更されることができ、高速は5m/sまでとするのがよく、低速は1m/s程度とすることができる。真空移送器52によって提供される変位誤差Δdの第2の補正c2は、Δd-Lαに対応する。約400mmとするのがよい補正距離L1は、残りの変位誤差Δd-Lαが真空移送器52によって補正されるべき距離を表している。低速時には、すなわち、変位誤差を補正するように加速又は減速を達成するためのより長い時間がある。
【0078】
加速プロファイルは、すなわち、シート3がL1の半分の距離にわたって加速され、L1の残りの半分の距離にわたって減速されるように距離L1にわたって対称になるように選択される。これは、加速度が常に最小に保たれ、真空移送器52の駆動ベルトの張力と摩耗を更に低減することができることをもたらす。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモチーフを印刷するように構成された少なくとも第1の印刷ユニット(16a)及び第2のモチーフを印刷するように構成された第2の印刷ユニット(16b)であって、前記第1及び第2のフレキソ印刷ユニットが、シート(3)の搬送方向(T)に沿って連続して配置される前記少なくとも第1の印刷ユニット(16a)及び第2の印刷ユニット(16b)を有するフレキソ印刷モジュール(15)を含む変換機械(10)であって、前記第1の印刷ユニットの上流の距離(L1)で第1の検出位置(P1)に配置された第1のセンサ(62)と前記第2の印刷ユニットの上流の距離(L1)で第2の検出位置(P2)に配置された第2のセンサ(64)とを有する見当補正システム(60)を更に含む前記変換機械(10)内で前記シート(3)上の複数の印刷されたモチーフを位置合わせする方法であって、
前記第1のセンサ(62)で前記シート(3)の前方前縁(5)の通過を検出する工程と、
前記第1のセンサ(62)の検出時間(t1)から前記第1の検出位置(P1)での前記前方前縁(5)の実際の位置(Pa_1)を決定する工程と、
前記実際の位置(Pa_1)を前記シート(3)に対する初期基準位置(P_ref1)として定める工程と、
下流に位置付けられた第2のセンサ位置(P2)で第2の基準位置(P_ref2)を計算する工程と、
前記第2のセンサで前記前方前縁の通過を検出し、且つ前記第2のセンサ(64)によって提供された検出時間(t2)から前記第2のセンサ位置での前記前方前縁(5)の実際の位置(Pa_2)を決定する工程と、
前記検出された実際の位置(Pa_2)と前記第2の基準位置(P_ref2)間の差を決定することにより、前記第2の検出位置(P2)での個々の変位誤差(Δd_2)を計算する工程と、
前記個々の変位誤差(Δd_2)を第1の閾値(T1)と比較する工程と、
前記個々の変位誤差が前記第1の閾値よりも低い場合に、前記第2のフレキソ印刷ユニット(16b)内で印刷シリンダ(42)に対する角度位置補正(Δα)を提供する工程と、
前記誤差が前記第1の閾値よりも高い場合に、前記印刷シリンダ(42)に対する角度位置補正(Δα)の形態の第1の補正(c1)と前記シートの位置を変更するための第2の補正(c2)とを提供する工程であって、前記第2の補正が、前記第2のセンサ位置(P2)と前記第2の印刷ユニット(16b)間に位置付けられた真空移送ユニット(52)の搬送速度(V)を修正し、それによって前記第1及び第2の補正の合計が前記個々の変位誤差(Δd_2)に等しくなることによって行われる前記提供する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記角度位置補正(Δα)は、前記印刷シリンダの固定角度長さ限界(Lα)に対応し、
前記変位誤差の残余部分が、前記真空移送ユニット(52)での速度の変化によって補正され、前記速度の変化は、加速又は減速である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印刷シリンダ(42)の前記角度長さ限界(Lα)は、0.5mmから1.5mmの間、好ましくは約1mmである、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変換機械は、少なくとも4つのフレキソ印刷ユニット(16aから16d)を含み、
センサ(62、64)及び真空移送ユニットが、各フレキソ印刷ユニットの上流に配置される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のセンサ(62)の下流に位置付けられた各センサ(64)が、前記シート(3)の前記前方前縁(5)の前記通過を検出するように構成され、
前記見当制御システム(60)の制御ユニット(63)が、各センサ位置(P1からPN)での前記前方前縁(5)の前記実際の位置を決定し、且つ各下流に位置付けられた印刷シリンダに対する角度位置補正(Δα)を提供するように構成され、前記制御ユニットは、前記搬送方向(T)の前記シートの位置を補正するために、各センサの下流に位置付けられた各真空移送ユニットの速度を変更するように更に構成される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のセンサ(62)の下流の位置(PN)に位置付けられたセンサで、前記シート(3)の前方前縁(5)の通過を検出する工程と、
前記シート(3)の前記前方前縁(5)の前記検出位置(Pa_N)を基準位置(P_refN)と比較し、且つそれらの間の差を傾向変位誤差(Δd_total)として定める工程と、
前記傾向変位誤差を第2の閾値(T2)と比較する工程と、
前記傾向変位誤差(Δd_total)が前記第2の閾値(T2)を超える場合に、前記フレキソ印刷モジュール内で前記第2のセンサの下流に位置付けられた各制御可能な真空移送ユニット(52)に傾向速度補正(Δvt)を適用する工程と、を更に含む、
請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記傾向変位誤差は、第3及び第4のフレキソ印刷ユニット間のセンサ位置(P4)で決定される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記傾向補正を適用する前に前記変位誤差を確認する工程を更に含み、
前記変位誤差を前記確認する工程は、サンプル(S)内のシートの数に対する平均変位誤差(Δd_total_avg)を計算することによって達成される、
請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプル(S)は、5から10枚の間のシートを含有する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記傾向計算及び補正は、各サンプルの後で繰り返される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記真空移送器(52)の前記加速及び減速は、前記シート搬送速度(V)に関連して調節される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加速及び減速は、前記センサ位置(PN)と前記印刷シリンダ(42)間の前記全距離(L1)にわたって行われる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
シート(3)上に第1のモチーフを印刷するように構成された少なくとも第1の印刷ユニット(16a)及び前記シート上に第2のモチーフを印刷するように構成された第2の印刷ユニット(16b)であって、前記第1及び第2のフレキソ印刷ユニットが前記シート(3)の搬送方向(T)に沿って連続して配置される前記少なくとも第1の印刷ユニット(16a)及び前記第2の印刷ユニット(16b)を有するフレキソ印刷モジュール(15)と、
前記第1のフレキソ印刷ユニットの上流の距離(L1)で第1の検出位置(P1)に配置された第1のセンサ(62)と前記第2のフレキソ印刷ユニットの上流の距離(L1)で第2の検出位置(P2)に配置された第2のセンサ(64)とを含み、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の前記シート(3)上の複数の印刷されたモチーフを位置合わせする方法を少なくとも部分的に実行するように構成された見当補正システム(60)と、
を含む変換機械(10)。
【国際調査報告】