(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】血管内デュアルモダリティOCT及びマルチチャネルNIRF炎症撮像
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240829BHJP
A61B 1/313 20060101ALI20240829BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61B1/00 511
A61B1/00 526
A61B1/313 510
A61B1/045 618
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512051
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 US2022041171
(87)【国際公開番号】W WO2023028032
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】スラップ アンドリュー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】アーセン オスマン オー.
(72)【発明者】
【氏名】ティアニー ギレルモ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャファー ファロウク エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ガーデッキ ジョーゼフ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】カッサブ モハメド ビー.
(72)【発明者】
【氏名】マウスカップフ アダム
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA22
4C161BB08
4C161CC06
4C161CC07
4C161FF40
4C161FF46
4C161HH51
4C161MM10
4C161NN01
4C161QQ04
4C161QQ07
4C161QQ09
4C161RR01
4C161RR18
4C161WW17
(57)【要約】
炎症活動を検出するための方法であって、NIRF撮像を実行するように構成された近赤外蛍光(NIRF)撮像システムと、構造撮像を実行するように構成された光干渉断層撮影(OCT)撮像システムと、を備えるカテーテルを提供することと、近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を血管に導入することと、前記カテーテルの遠位端を前記血管内に配置することと、前記OCT撮像システムを使用して、前記血管内のアテローム性動脈硬化プラークの構造画像を取得することと、前記NIRF撮像システムを使用して、前記血管内のアテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得することと、前記NIRF画像における前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出することと、前記NIRF画像における前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することと、を含むことを特徴とする方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症活動を検出するための方法であって、
NIRF撮像を実行するように構成された近赤外蛍光(NIRF)撮像システムと、構造撮像を実行するように構成された光干渉断層撮影(OCT)撮像システムと、を備えるカテーテルを提供することと、
近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を血管に導入することと、
前記カテーテルの遠位端を前記血管内に配置することと、
前記OCT撮像システムを使用して、前記血管内のアテローム性動脈硬化プラークの構造画像を取得することと、
前記NIRF撮像システムを使用して、前記血管内のアテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得することと、
前記NIRF画像における前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出することと、
前記NIRF画像における前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤はLUM015剤を含み、
前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を血管に導入することは、更に、前記LUM015剤を前記血管に導入することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NIRF撮像システムは、640nmと660nmの間の励起光を提供し、670nmと745nmの間の放射光を検出する第1チャネルを備え、
前記アテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得することは、更に、
640nmと660nmの間の前記励起光で前記アテローム性動脈硬化プラークを照射することと、
前記アテローム性動脈硬化プラーク内の前記LUM015剤からの放射光を670nmと745nmとの間で検出することと、
前記LUM015剤からの前記放射光の検出に基づいて前記アテローム性動脈硬化プラークの前記NIRF画像を取得することと、
前記NIRF画像における前記LUM015剤からの前記放射光の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することと、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得することは、更に、前記アテローム性動脈硬化プラークを647nmの前記励起光で照射することを含む
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤は、VM110剤を含み、
前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を前記血管に導入することは、更に、前記VM110剤を前記血管に導入することを含む
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記NIRF撮像システムは、720nmと740nmの間の励起光を提供し、765nmと855nmの間の放射光を検出する第2チャネルを更に備え、
前記アテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得することは、更に、
720nmと740nmの間の前記励起光で前記アテローム性動脈硬化プラークを照射することと、
前記アテローム性動脈硬化プラーク内の前記VM110剤からの前記放射光を765nmと855nmとの間で検出することと、
前記VM110剤からの前記放射光の検出に基づいて前記アテローム性動脈硬化プラークの前記NIRF画像を取得することと、
前記NIRF画像における前記VM110剤からの前記放射光の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得することは、更に、
前記アテローム性動脈硬化プラークを730nmの前記励起光で照射することを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することは、更に、
前記NIRF画像における前記LUM015剤及び前記VM110剤からの前記放射光の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を血管に導入することは、更に、
前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を血管に導入した後、前記カテーテルの前記遠位端を前記血管内に配置する前に、30分から72時間待機することを含む
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記NIRF画像内の前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出することは、更に、
前記アテローム性動脈硬化プラークの前記構造画像に基づいて距離補正を前記NIRF画像に適用して、距離補正されたNIRF画像を提供することと、
前記距離補正されたNIRF画像内の前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出することと、
を含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記血管は、ヒト被験者の冠状動脈を含む
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
炎症活動を検出するためのシステムであって、
NIRF撮像を実行するように構成された近赤外蛍光(NIRF)撮像システム、および構造撮像を実行するように構成された光干渉断層撮影(OCT)撮像システムを備えるカテーテルと、
前記NIRF撮像システム及び前記OCT撮像システムに結合されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記OCT撮像システムを使用して、近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤が導入された血管内のアテローム性動脈硬化プラークの構造画像を取得することと、
前記NIRF撮像システムを使用して、前記血管内のアテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得することと、
前記NIRF画像における前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出することと、
前記NIRF画像における前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することと、
を行うように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤はLUM015剤を含み、
ことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記NIRF撮像システムは、640nmと660nmの間の励起光を提供し、670nmと745nmの間の放射光を検出する第1チャネルを備え、
前記コントローラは、前記アテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得するときに、更に、
640nmと660nmの間の前記励起光で前記アテローム性動脈硬化プラークを照射することと、
前記アテローム性動脈硬化プラーク内の前記LUM015剤からの放射光を670nmと745nmとの間で検出することと、
前記LUM015剤からの前記放射光の検出に基づいて前記アテローム性動脈硬化プラークの前記NIRF画像を取得することと、
前記NIRF画像における前記LUM015剤からの前記放射光の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することと、
を行うように構成されることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記NIRF撮像システムの前記第1チャネルは、647nmの前記励起光を提供する
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤は、VM110剤を含む
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記NIRF撮像システムは、720nmと740nmの間の励起光を提供し、765nmと855nmの間の放射光を検出する第2チャネルを更に備え、
前記コントローラは、前記アテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得するときに、更に、
720nmと740nmの間の前記励起光で前記アテローム性動脈硬化プラークを照射することと、
前記アテローム性動脈硬化プラーク内の前記VM110剤からの前記放射光を765nmと855nmとの間で検出することと、
前記VM110剤からの前記放射光の検出に基づいて前記アテローム性動脈硬化プラークの前記NIRF画像を取得することと、
前記NIRF画像における前記VM110剤からの前記放射光の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することと、
を行うように構成されることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記NIRF撮像システムの前記第2チャネルは、730nmの前記励起光を提供する
ことを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラは、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定するときに、更に、
前記NIRF画像における前記LUM015剤及び前記VM110剤からの前記放射光の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定する
ように構成されることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記コントローラは、前記NIRF画像内の前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出するとき、更に、
前記アテローム性動脈硬化プラークの前記構造画像に基づいて距離補正を前記NIRF画像に適用して、距離補正されたNIRF画像を提供し、
前記距離補正されたNIRF画像内の前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出する
ように構成されることを特徴とする請求項12~19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記血管は、ヒト被験者の冠状動脈を含む
ことを特徴とする請求項12~19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
デュアルモダリティ撮像装置であって、
構造撮像を実行するように構成された光干渉断層撮影(OCT)撮像システムと、
NIRF撮像を実行するように構成されたデュアルチャネル近赤外蛍光(NIRF)撮像システムと、
を備え、
前記デュアルチャネルNIRF撮像システムは、
第1励起波長範囲及び第1検出波長範囲を含む第1チャネルと、
前記第1励起波長範囲とは異なる第2励起波長範囲及び前記第1検出波長範囲とは異なる第2検出波長範囲を含む第2チャネルと、
を含むことを特徴とするデュアルモダリティ撮像装置。
【請求項23】
前記デュアルチャネルNIRF撮像システム及び前記OCT撮像システムがカテーテル内に配置され、
前記装置は、前記デュアルチャネルNIRF撮像システム及び前記OCT撮像システムに結合されたコントローラを更に備え、
前記コントローラは、
前記OCT撮像システムを使用してサンプルの構造画像を取得し、
前記NIRF撮像システムの前記第1チャネルを使用して前記サンプルの第1NIRF画像を取得し、
前記NIRF撮像システムの前記第2チャネルを使用して前記サンプルの第2NIRF画像を取得する
ように構成されることを特徴とする請求項22に記載のデュアルモダリティ撮像装置。
【請求項24】
前記サンプルは、第1近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤及び第2近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤が導入された血管内のアテローム性動脈硬化プラークであり、
前記コントローラは、前記OCT撮像システムを使用してサンプルの構造画像を取得するとき、更に、前記OCT撮像システムを使用して前記血管内の前記アテローム性動脈硬化プラークの構造画像を取得するように構成され、
前記コントローラは、前記NIRF撮像システムの前記第1チャネルを使用して前記サンプルの第1NIRF画像を取得するときに、更に、前記NIRF撮像システムの前記第1チャネルを使用して、前記サンプル中の前記第1近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の前記第1NIRF画像を取得するように構成され、
前記コントローラは、前記NIRF撮像システムの前記第2チャネルを使用して前記サンプルの第2NIRF画像を取得するときに、更に、前記NIRF撮像システムの前記第2チャネルを使用して、前記サンプル中の前記第2近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の前記第2NIRF画像を取得するように構成され、
前記コントローラは、更に、
前記第1NIRF画像において前記第1近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出し、前記第2NIRF画像において前記第2近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出し、
前記第1NIRF画像における前記第1近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤及び前記第2NIRF画像における前記第2近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定する
ように構成されることを特徴とする請求項23に記載のデュアルモダリティ撮像装置。
【請求項25】
前記第1近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤は、LUM015剤を含み、
前記第2近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤は、VM110剤を含む
ことを特徴とする請求項24に記載のデュアルモダリティ撮像装置。
【請求項26】
前記デュアルチャネルNIRF撮像システムの前記第1チャネルの前記第1励起波長範囲は640nmと660nmの間であり、前記第1検出波長範囲は670nmと745nmの間であり、
前記デュアルチャネルNIRF撮像システムの前記第2チャネルの前記第2励起波長範囲は720nmと740nmの間であり、前記第2検出波長範囲は765nmと855nmの間であり、
前記コントローラは、前記サンプル中の前記第1近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の前記第1NIRF画像を取得するとき、更に、
640nmと660nmとの間の前記第1励起波長範囲の光で前記アテローム性動脈硬化プラークを照射し、
前記アテローム性動脈硬化プラーク内の前記LUM015剤からの放射光を、670nmと745nmとの間の前記第1検出波長範囲で検出し、
前記LUM015剤からの前記放射光の検出に基づいて前記アテローム性動脈硬化プラークの前記第1NIRF画像を取得する
ように構成され、
前記コントローラは、前記サンプル中の前記第2近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の前記第2NIRF画像を取得するとき、更に、
720nmと740nmとの間の前記第2励起波長範囲の光で前記アテローム性動脈硬化プラークを照射し、
前記アテローム性動脈硬化プラーク内の前記VM110剤からの放射光を、765nmと855nmとの間の前記第2検出波長範囲で検出し、
前記VM110剤からの前記放射光の検出に基づいて前記アテローム性動脈硬化プラークの前記第2NIRF画像を取得する
ように構成され、
前記コントローラは、前記第1NIRF画像における前記第1近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤及び前記第2NIRF画像における前記第2近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定するときに、更に、前記第1NIRF画像における前記LUM015剤及び前記第2NIRF画像における前記VM110剤からの前記放射光の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定する
ように構成されることを特徴とする請求項25に記載のデュアルモダリティ撮像装置。
【請求項27】
前記デュアルチャネルNIRF撮像システムの第1チャネルは、647nmの励起光を提供し、
前記デュアルチャネルNIRF撮像システムの第2チャネルは、730nmの励起光を提供する
ことを特徴とする請求項26に記載のデュアルモダリティ撮像装置。
【請求項28】
前記コントローラは、前記第1NIRF画像及び前記第2NIRF画像において前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出するとき、更に、
前記アテローム性動脈硬化プラークの前記構造画像に基づいて、前記第1NIRF画像及び前記第2NIRF画像に距離補正を適用して、前記距離補正された第1NIRF画像及び前記距離補正された第2NIRF画像を提供し、
前記距離補正された第1NIRF画像及び前記距離補正された第2NIRF画像において、前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出する
ことを特徴とする請求項27に記載のデュアルモダリティ撮像装置。
【請求項29】
前記血管は、ヒト被験者の冠状動脈を含む
ことを特徴とする請求項24~28のいずれか1項に記載のデュアルモダリティ撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年8月24日に出願された米国特許出願第63/236,668号の優先権を主張し、それに基づくものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究に関する記載
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって与えられた助成金番号R01 HL150538及びR01 HL13791の下で政府の支援を受けてなされた。政府は発明に関して一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
冠状動脈などの血管内のアテローム性動脈硬化性プラークは、血流を遅くしたり遮断したりする可能性があり、プラークが破裂すると血栓が生じ、心臓発作や脳卒中などの合併症を引き起こす可能性がある。従って、プラークの状態をスクリーニング及び評価するための改良されたツールが必要である。
【発明の概要】
【0004】
従って、プラーク中の炎症活動を検出するための新しいシステム、方法、及び装置が望ましい。
【0005】
LUM015(Lumicell, Inc.)と呼ばれるカテプシン活性化近赤外蛍光(near-infrared fluorescent(NIRF))剤が最近開発され、術中残存がんの検出を強化するために臨床試験で利用されている。しかし、他のカテプシン媒介炎症プロセスを検出する能力は評価されていない。従って、アテローム性動脈硬化症のウサギモデルにおいてLUM015炎症活性の最初のインビボ撮像を行うために、マルチモーダルNIRF光干渉断層撮影(OCT)撮像システム及びカテーテルを使用するためのシステム、方法、及び装置の実施形態が本明細書に開示される。
【0006】
1つの実施形態では、本開示は、炎症活動を検出するための方法であって、NIRF撮像を実行するように構成された近赤外蛍光(NIRF)撮像システムと、構造撮像を実行するように構成された光干渉断層撮影(OCT)撮像システムと、を備えるカテーテルを提供することと、近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を血管に導入することと、前記カテーテルの遠位端を前記血管内に配置することと、前記OCT撮像システムを使用して、前記血管内のアテローム性動脈硬化プラークの構造画像を取得することと、前記NIRF撮像システムを使用して、前記血管内のアテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得することと、前記NIRF画像における前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出することと、前記NIRF画像における前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することと、を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0007】
別の実施形態では、本開示は、炎症活動を検出するためのシステムであって、NIRF撮像を実行するように構成された近赤外蛍光(NIRF)撮像システムと、構造撮像を実行するように構成された光干渉断層撮影(OCT)撮像システムと、を備えるカテーテルと、前記NIRF撮像システム及び前記OCT撮像システムに結合されたコントローラと、とを備え、前記コントローラは、前記OCT撮像システムを使用して、近赤外蛍光カテプシン活性化撮像剤が導入された血管内のアテローム性動脈硬化プラークの構造画像を取得することと、前記NIRF撮像システムを使用して、前記血管内のアテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得することと、前記NIRF画像における前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出することと、前記NIRF画像における前記近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の検出に基づいて、前記アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することと、を行うように構成されることを特徴とするシステムを提供する。
【0008】
更に別の実施形態では、本開示は、デュアルモダリティ撮像装置であって、構造撮像を実行するように構成された光干渉断層撮影(OCT)撮像システムと、NIRF撮像を実行するように構成されたデュアルチャネル近赤外蛍光(NIRF)撮像システムと、を備え、前記デュアルチャネルNIRF撮像システムは、第1励起波長範囲及び第1検出波長範囲を含む第1チャネルと、第1励起波長範囲とは異なる第2励起波長範囲及び第1検出波長範囲とは異なる第2検出波長範囲を含む第2チャネルと、を含むことを特徴とするデュアルモダリティ撮像装置を提供する。
【0009】
開示される主題の様々な目的、特徴、及び利点は、同様の参照番号が同様の要素を識別する以下の図面と関連して考慮される場合、開示される主題の以下の詳細な説明を参照することにより、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の特定の構成によるマルチモーダル近赤外蛍光光コヒーレンストモグラフィー(NIRF-OCT)検出システムの光学概略図を示す。OCT-レーザー光源、OCT検出電子機器及び光学系を含むOCT撮像システム。WDM-波長分割マルチプレクサ、DCF-ダブルクラッドファイバ、SMF-シングルモードファイバ、MMF-マルチモードファイバ、DCFC-ダブルクラッドファイバカプラー、RJ(DCF)-ダブルクラッドファイバベースの接触ロータリージャンクション。EmF-エミッションフィルター、PMT-光電子増倍管。
【
図2】
図2は、ウサギモデルにおいて取得されたアテローム性動脈硬化プラークの血管内画像を示す。ベースライン撮像の後、ウサギに6.2mg/kgのLUM015剤を注射した。画像は、ベースラインで、6時間、及び24時間で、647nmチャネルで取得された。リン酸緩衝生理食塩水に溶解した既知濃度のAlexaFluor 647を満たした大きな円錐管ファントムの中心にカテーテルを浸すことにより、蛍光マップの距離補正と校正を行った。
【
図3】
図3は、ウサギモデルにおいて取得されたアテローム性動脈硬化プラークの血管内画像を示す。ウサギに6.2mg/kgのLUM015剤を注射し、6時間後に3.5mg/kgのProSense VM110を注射した。示されている画像は、LUM015注入の30時間後に730nm及び647nmチャネルで取得されたものである。蛍光マップは、それぞれリン酸緩衝生理食塩水に溶解した既知濃度のAlexaFluor 647(647nmチャネル)及びAlexaFluor 750(730nmチャネル)で満たされた大きな円錐管ファントムの中心にカテーテルを浸すことによって距離補正及び校正された。
【
図4】
図4は、開示される主題の幾つかの実施形態による、プラーク内の炎症活動を検出するためのシステムの一例を示す。
【
図5】
図5は、開示された主題の幾つかの実施形態による、コンピューティングデバイス及びサーバを実装するために使用できるハードウェアの例を示す。
【
図6】
図6は、開示された主題の幾つかの実施形態による、プラーク中の炎症活性を検出するためのプロセスの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示された主題の幾つかの実施形態によれば、炎症活動を検出するための(システム、方法、及び装置を含むことができる)機構が提供される。
【0012】
本開示の様々な実施形態は、LUM015剤(Lumicell Inc.)及びカテーテルなどの注射可能な炎症マーカーを使用した、アテローム性動脈硬化プラークの炎症活性のインビボ検出を提供する。LUM015は、カテプシン感受性ポリペプチドリンカーによって消光剤に結合したCy5蛍光団を含むペグ化カテプシン活性化造影剤である。カテプシンプロテアーゼによるリンカーの切断により、クエンチャーが放出され、蛍光が検出できるようになる。特定の実施形態では、プラークは、マルチモーダル光干渉断層撮影法(optical coherence tomography、OCT)及び近赤外蛍光(NIRF)撮像システムを使用して検出及び分析されてよく、光は、カテーテル(例えば、冠動脈カテーテル)を介してシステムから組織に中継される。以下でさらに説明するように、血管の一部(例えば、冠状動脈)は、OCT撮像を使用して撮像されて構造情報を取得することができ、また、NIRF撮像を使用して撮像されて、LUM015又はProSense VM110などの蛍光マーカーのレベルに関する情報を取得することもできる。
【0013】
特定の実施形態では、NIRF撮像システムは730nm励起を使用することができ、注入されたProSense VM110を用いてプラークの炎症活動を識別することができ(3.5mg/kg、ex/em 750/770nm)、ProSense VM110は、十分に確立されているが、カテプシン活性を視覚化するための臨床的には利用できない蛍光プローブである。LUM015はCy5(ex/em 649/666nm)に結合しているため、647nm励起レーザーが708/75nm検出チャネルとともに撮像システムの実施形態に追加された。アテローム性動脈硬化症のウサギ(n=2)を、(2mg/kgのヒト用量から比量計的にスケール化した)6.2mg/kgのLUM015剤を静脈内注射した後、NIRF-OCTカテーテルで撮像した。5cmプルバックNIRF-OCTデータセットは、ベースライン(つまり、注射前)、注射後6時間、及び24時間でインビボ(in vivo)で取得された。LUM015の平均プラーク対バックグラウンド比(average plaque-to-background ratio)は、6時間及び24時間でそれぞれ3.3±1.3及び2.0±1.0であった。カテプシン媒介炎症を標的とするLUM015とVM110の類似性を調査するには、両方の薬剤が注入され、マルチチャネル蛍光検出(VM110の場合は810/90nm、LUM015の場合は708/75nm)が利用され、各チャネルから個別にプルバックを取得した。このマルチチャネルアプローチを使用すると、LUM015とVM110を混注したウサギからのコレジストされた(co-registered)距離補正された(distance-corrected)蛍光カーペットマップは互いに類似しており、ピアソン相関係数は0.51、マンダーのオーバーラップ係数は0.79であった。これらの結果は、LUM015が、冠状動脈などの患者のプラーク炎症活動の撮像における実行可能な臨床オプションである可能性があることを示している。更に、本開示は、LUM015剤などのNIRF炎症プローブを使用して、ヒト又は他の動物などの対象におけるアテローム性動脈硬化プラークの炎症活動を検出できるマルチモーダル臨床OCT-NIRF撮像システム及びカテーテル装置の実施形態を提供する。
【0014】
本明細書に記載されるように、LUM015検出が可能なシステムの実施形態は、既存のデュアルモダリティ撮像システムの改良として開発された。他の改善点の中でも、マルチモーダル近赤外蛍光(NIRF)及び光干渉断層撮影(OCT)システムにチャネルが追加され、2つの異なるNIRFプローブによる同時撮像が可能になった。システムの1つのチャネルは発光フィルタ810/90nm(中心波長/帯域幅)を使用して730nmで動作し、2番目のチャネルは発光フィルタ708/75nm(中心波長/帯域幅)を使用して647nmで動作する。従って、改良された撮像システムは、OCTと2チャネルのNIRF情報を使用して構造情報を取得し、ProSense VM110やLUM015などのプローブの蛍光レベルを監視できる。
【0015】
開示されたシステムの特定の実施形態は、3つの時点(ベースライン、6時間、24時間)で撮像されたウサギ(n=2)を撮像するために使用された。ウサギには、6時間の撮像時点後に3.5mg/kgのProSense VM110を混注した後、6.2mg/kgのLUM015を注射した。様々な実施形態において、ウサギ(n=2)の冠状動脈は、(1)信号強度をベースラインと比較した場合、6時間及び24時間で近赤外蛍光(NIRF)の上昇、(2)730nmチャネルで混注された薬剤(Prosense VM110)を使用して連続的に取得された蛍光カーペットマップと比較したときの蛍光のコレジストレーション(co-registration)、を示すように撮像された。(1)の経時データは、時間の経過とともにLUM015信号レベルが増加していることを示し、(2)のコレジストレーションは、十分に確立されたVM110プローブを使用して取得されたシグナルとLUM015を使用して取得されたシグナルの間の一致を示し、これは、アテローム性動脈硬化プラークの炎症の指標として機能することはこれまで示されていなかったため、驚くべき新しい発見を提供する。
【0016】
他の実施形態では、追加のウサギ(n=5)を、異なる励起レーザー波長、フィルタ、及び研究デザインで撮像した。
【0017】
様々な実施形態において、対象は、蛍光カテプシン活性化造影剤を投与されてよく、その後、炎症活動を同定するために、血管に挿入されたカテーテルプローブを使用して対象の血管が撮像されてもよい。幾つかの実施形態において、蛍光カテプシン活性化造影剤は、LUM015又はProSense VM110のうちの1つ以上を含んでよい。特定の実施形態では、対象にはヒト又は他の動物が含まれてよい。幾つかの実施形態において、血管は動脈を含んでもよく、動脈は冠状動脈であってもよい。特定の実施形態では、アテローム性動脈硬化プラークなどのプラークを識別するために血管を撮像することができる。
【0018】
カテーテルプローブは、血管内を撮像するための構造撮像機能及び蛍光撮像機能を備えていてもよい。構造撮像は、光干渉断層撮影(OCT)などの干渉撮像手順を使用して実行することができる。蛍光撮像は、近赤外蛍光(NIRF)撮像であってもよく、1つ以上の波長範囲又はチャネルで実行されてもよい。幾つかの実施形態において、NIRF撮像は、追加の情報を取得するために複数の異なる薬剤の使用を容易にするために、2つ以上の波長範囲又はチャネルで実行されてもよい。特定の実施形態では、NIRF撮像システムの第1チャネルは、640nmと660nmの間の範囲の照明を提供し、670nmと745nmの間の検出範囲を提供する第1光源を含んでもよく、特定の実施形態では、光源は、708nmを中心とし幅75nmの照明フィルタを用いて647nmの照明を提供する。幾つかの実施形態において、NIRFシステムの第2チャネルは、720nmと740nmの間の範囲の照明を提供し、765nmと855nmの間の検出範囲を提供する第2光源を含んでもよく、特定の実施形態では、光源は、810nmを中心とし幅90nmの照明フィルタを用いて730nmの照明を提供する。
【0019】
様々な実施形態において、1つ以上の薬剤が対象に導入されてよく、対象への薬剤の導入後30分から72時間の遅延の後、画像情報を取得するために、プローブの遠位端(画像情報を収集するための光学コンポーネントが含まれる。
図1を参照)がプラークを含む又はプラークを含むと疑われる血管のセグメント内にあるように、カテーテルプローブが血管に導入されてもよい。特定の実施形態では、薬剤の導入と画像情報の取得との間の遅延は、6時間から24時間の間であってよい。幾つかの実施形態において、1つ以上のベースライン画像(例えば、蛍光撮像情報の構造及び/又は1つ以上のチャネルを含む)が、1つ以上の薬剤を対象に導入する前に取得されてよい。ベースライン画像は、血管組織のベースライン外観及び/又は1つ又は複数の蛍光撮像チャネルで使用される波長でのバックグラウンド蛍光レベルの存在を決定するために分析及び使用されてよい。
【0020】
幾つかの実施形態において、プローブは、1つ又は複数のチャネルの蛍光撮像情報(例えば、NIRFを使用)とともに構造撮像情報(例えば、OCTを使用)をキャプチャしてもよい。プローブの遠位端と血管構造/組織との間の距離の結果として生じる可能性のある蛍光撮像情報の蛍光強度の変動を補正するために、蛍光撮像情報は、構造撮像情報から得られた距離情報に基づいて距離補正されてもよい。構造撮像情報及び1つ又は複数のチャネルの蛍光撮像情報(おそらく距離補正済み)は、別個の画像で表示されてもよく、及び/又は、単一の画像内に表示される構造情報やマルチチャネル情報と組み合わせてハイブリッド画像を作成することもできる。
【0021】
様々な実施形態において、薬剤は、蛍光強度情報を含む生成された画像内で検出されてもよい。特定の実施形態では、検出は、信号レベルを決定し、そのレベルを血管内の炎症の存在に関連付けるために、ユーザ(例えば、臨床医)及び/又はソフトウェア(例えば、自動画像解析ソフトウェア)によって実行されてもよい。幾つかの実施形態において、炎症のレベルは、プラークの存在及び/又はプラークが破裂する危険性のレベルに関連しうる。
【0022】
例
【0023】
以下は、本開示の特定の実施形態による非限定的な例である。
【0024】
光学系
【0025】
この光学システムは、LUM015とVM110の検出に、それぞれ647nmと730nmの2つの別個の近赤外蛍光(NIRF)検出チャネルを使用する。Axsun OCTシステム(Axsun、A19012482、100kHz Aラインレート、1310nm中心波長)の光源によって生成された光は、波長分割マルチプレクサ(Thorlabs Inc.、W980S330A1A)を介して蛍光励起レーザー(730nm:QPhotonics、QFLD-730-20S 02.17.467, 647 nm:OBIS LX 647 1193843)からの光と結合される。次に、光はDCFカプラ(DCFC、Thorlabs、DC1300LEFA)によってデュアルクラッドファイバ(DCF、Nufern SM-9/105/125-20A)の内部コアに導かれる。DCFベースの光ファイバ回転ジャンクション(RJ、Princetel Inc.、MJXAP-SAPB-131-DCL-005-FA)により、固定ファイバと回転ファイバのコアと内部クラッドの間で光を伝送できる。組織に光を集中させるために、角度52度に研磨された自社製のボールレンズが使用される
【0026】
戻ってくるOCT光と蛍光発光はボールレンズによって収集される。OCT光はAxsunシステムに導かれ、蛍光発光はDCFの内部クラッドに導かれる。DCFは発光を励起から分離し、光をエミッションフィルター(EmF、730チャネル:Chroma 810/90 ET Bandpass、647チャネル:Semrock FF01-708/75-25)を介してカスタム光電子増倍管(PMT、Hamamatsu)に導く。オンボードデジタイザにより、Axsunによってデータが収集され、PCによってリアルタイムで記録及び表示される。データ収集カード(DAQ、NI、USB-6341 OEM)は、PMTによって収集された蛍光発光をデジタル化する。2つのコネクタにより、オペレータは複数の検出チャネルを切り替えることができる。1つはDCFCとRJの間にあり、1つはOCTコンソールをWDMに接続するものである。
【0027】
カテーテルはドライブシャフト、シース、硬質チューブ、キャップで構成されている。ファイバは、シースの内側にあるドライブシャフトの内腔によってガイドされる。シースの最遠位部分に迅速交換ガイドワイヤが設けられているため、ガイドワイヤを介してカテーテルを動物に挿入できる。ガイドワイヤの内部には放射線不透過性のマーカーが入っている。剛性の金属チューブとキャップは、ロータリージャンクション、ドライブシャフト、及びシースの間の界面を移動する。モーター、キャップ、RJは電動プルバックステージに取り付けられており、ステージが移動するとドライブシャフトがシース内で移動する。モーター(Faulhaber MCBL3006SAESRS)は、ドライブシャフトを回転させる回転接合部にトルクを伝達する。ドライブシャフトは円形に回転し、ドライブシャフトがシースを通して引き戻されると、ヘリカルスキャンパターンが生成される。
【0028】
動物テスト
【0029】
ニュージーランド白ウサギは、アテローム性動脈硬化症の動物モデルとして使用された。ウサギは、バルーン脱内皮損傷後に病変を発症し、その後、Ughi,G.J.ら(「デュアルモダリティ血管内光干渉断層撮影(OCT)及び近赤外蛍光(NIRF)撮像:定量的分子撮像のためのNIRF信号強度の距離校正のための完全自動アルゴリズム」("Dual modality intravascular optical coherence tomography (OCT) and near-infrared fluorescence (NIRF) imaging: a fully automated algorithm for the distance-calibration of NIRF signal intensity for quantitative molecular imaging.")心臓血管画像国際ジャーナル(Intl. J. Cardiovasc. Imaging),2015.31(2):p.259-268,参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている手順に従って高コレステロール食を与えた。近赤外蛍光(NIRF)光干渉断層撮影(OCT)カテーテルを使用して、各動物の大動脈の長さ80mmを撮像した。蛍光強度は、リン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解したAlexaFluor647を使用して作成したファントムを使用して校正され、得られたカーペットマップは距離補正された(Ughiら)、つまり、蛍光信号の強度は、OCT構造撮像情報と撮像ファントムに基づくキャリブレーションから決定された各位置でのプローブからの組織の距離に基づいて調整された。ウサギは、
図1に示される2チャネル検出システムの647nmチャネルを使用して全ての時点で、及び、647nmチャネルとともに730nmチャネルにVM110を注入してから24時間後に、撮像された。
【0030】
最初の撮像時点は、ベースラインで蛍光造影剤を注入する前に取得された。ベースライン撮像の直後、LUM015剤(6.2mg/kg)をウサギに注射し、6時間後に再度撮像を実行した。6時間の撮像を実行した直後にVM110(3.5mg/kg)を注射した。Lumicell LUM015剤の注射から30時間後に、最終撮像が実行された。各時点で、各チャネル(647nm及び730nm)を使用して撮像を個別に実行した。
図2は、薬剤が取り込まれるにつれて信号強度が増加することを示している(
図2の上から下に向かってNIRF画像の強度が増加していることに注目されたい)。
図3は、2つの検出器チャネルで取得された、つまり、647nmチャネルからLUM015レベル(
図3、上)を撮像し、730nmチャネルからProSense VM110レベル(
図3、下)を撮像した、LUM015とVM110の間の蛍光強度の比較を示している。2つのチャネルの距離補正された蛍光強度が類似しており、バックグラウンドと比較して上昇しているという事実は、LUM015がそのカテプシンプロテアーゼ感受性を介してプラーク炎症の指標として機能することを示す。
【0031】
コンピューティングシステム
【0032】
戻って
図4を参照すると、開示される主題の幾つかの実施形態による、プラーク内の炎症活動を検出するためのシステム(例えば、データ収集及び処理システム)の例400が示される。
図4に示すように、コンピューティングデバイス410は、光学システム400から干渉データ及び/又は蛍光データを受信することができる。幾つかの実施形態において、コンピューティングデバイス410は、光学システム400から受信した干渉データ及び/又は蛍光データに基づいて絶対深さを決定するために、プラークにおける炎症活動を検出するためのシステム404の少なくとも一部を実行することができる。加えて、又は代わりに、幾つかの実施形態において、コンピューティングデバイス410は、通信ネットワーク406を介して、光学システム400から受信した干渉データ及び/又は蛍光データに関する情報をサーバ420に通信することができ、これは、プラークにおける炎症活動を検出するためのシステム404の少なくとも一部を実行して、干渉データ及び/又は蛍光データに基づいて炎症活動を検出することができる。幾つかのそのような実施形態では、サーバ420は、干渉情報又は蛍光情報など、プラークにおける炎症活動を検出するためのシステム404の出力を示す情報をコンピューティングデバイス410(及び/又は任意の他の適切なコンピューティングデバイス)に返すことができる。この情報は、ユーザ(例えば、研究者、オペレータ、臨床医など)に送信及び/又は提示されてもよく、及び/又は(例えば、研究データベース又は対象に関連する医療記録の一部として)保存されてもよい。
【0033】
幾つかの実施形態において、コンピューティングデバイス410及び/又はサーバ420は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、サーバコンピュータ、物理的なコンピューティングデバイスによって実行される仮想マシンなどの、任意の適切なコンピューティングデバイス又はデバイスの組み合わせでありうる。本明細書に記載されるように、プラークにおける炎症活動を検出するためのシステム404は、干渉データ及び/又は蛍光情報に関する情報をユーザ(例えば、研究者及び/又は医師)に提示することができる。
【0034】
幾つかの実施形態において、光学システム400は、1つ又は複数の電磁放射線源402を含んでよく、これは、OCTなどの光干渉法及び/又はNIRF撮像に適した任意の放射線源であってよい。他の実施形態では、電磁放射線源402は、コンピューティングデバイス410に対してローカルであってよい。例えば、電磁放射線源402はコンピューティングデバイス410に組み込まれてもよい(例えば、コンピューティングデバイス410は、光干渉情報及び/又は蛍光情報をキャプチャ及び/又は保存するためのデバイスの一部として構成することができる)。別の例として、電磁放射線源402は、ケーブル、直接無線リンクなどによってコンピューティングデバイス410に接続されてもよい。加えて、又は代わりに、幾つかの実施形態において、電磁放射線源402は、コンピューティングデバイス410のローカル及び/又はコンピューティングデバイス410から遠隔に配置することができ、通信ネットワーク(例えば、通信ネットワーク406)を介してコンピューティングデバイス410(及び/又はサーバ420)に情報を通信することができる。
【0035】
幾つかの実施形態において、通信ネットワーク406は、任意の適切な通信ネットワーク又は通信ネットワークの組み合わせでありうる。例えば、通信ネットワーク406は、Wi-Fiネットワーク(1つ又は複数の無線ルータ、1つ又は複数のスイッチなどを含みうる)、ピアツーピアネットワーク(例えば、Bluetooth(登録商標)ネットワーク)、セルラーネットワーク(例えば、CDMA、GSM、LTE、LTE Advanced、WiMAX(登録商標)などの任意の適切な規格に準拠する3Gネットワーク、4Gネットワーク、5Gネットワークなど)、有線ネットワークなどを含みうる。幾つかの実施形態において、通信ネットワーク406は、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、公衆ネットワーク(例えば、インターネット)、プライベート又はセミプライベートネットワーク(例えば、企業又は大学のイントラネット)、任意の他の適切なタイプのネットワーク、又はネットワークの任意の適切な組み合わせでありうる。
図4に示される通信リンクはそれぞれ、有線リンク、光ファイバリンク、Wi-Fiリンク、Bluetooth(登録商標)リンク、セルラーリンクなどの任意の適切な通信リンク又は通信リンクの組み合わせでありうる。
【0036】
図5は、開示される主題の幾つかの実施形態に従ってコンピューティングデバイス410及びサーバ420を実装するために使用できるハードウェアの例500を示す。
図5に示されるように、幾つかの実施形態において、コンピューティングデバイス410は、プロセッサ502、ディスプレイ504、1つ又は複数の入力506、1つ又は複数の通信システム508、及び/又はメモリ510を含みうる。幾つかの実施形態においては、プロセッサ502は、中央処理装置、グラフィックス処理装置などの任意の適切なハードウェアプロセッサ又はプロセッサの組み合わせでありうる。幾つかの実施形態においては、ディスプレイ504は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切な表示装置を含むことができる。幾つかの実施形態においては、入力506は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクなどの、ユーザ入力を受信するために使用できる任意の適切な入力デバイス及び/又はセンサを含むことができる。
【0037】
幾つかの実施形態においては、通信システム508は、通信ネットワーク406及び/又は他の任意の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム508は、1つ又は複数のトランシーバ、1つ又は複数の通信チップ及び/又はチップセットなどを含むことができる。より具体的な例では、通信システム508は、Wi-Fi接続、Bluetooth(登録商標)接続、セルラー接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0038】
幾つかの実施形態においては、メモリ510は、例えばプロセッサ502がディスプレイ504を用いてコンテンツを提示したり、通信システム508を介してサーバ420と通信したりするために使用できる命令、値などを格納するために使用できる任意の適切な記憶装置を含むことができる。メモリ510は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ510は、RAM、ROM、EEPROM、1つ又は複数のフラッシュドライブ、1つ又は複数のハードディスク、1つ又は複数のソリッドステートドライブ、1つ又は複数の光ドライブなどを含むことができる。幾つかの実施形態においては、メモリ510には、コンピューティングデバイス410の動作を制御するためのコンピュータプログラムがエンコードされることができる。このような実施形態では、プロセッサ502は、コンピュータプログラムの少なくとも一部を実行して、コンテンツ(例えば、画像、ユーザインターフェース、グラフィックス、テーブルなど)を提示し、サーバ420からコンテンツを受信し、サーバ420に情報を送信するなどすることができる。
【0039】
幾つかの実施形態において、サーバ420は、プロセッサ512、ディスプレイ514、1つ又は複数の入力516、1つ又は複数の通信システム518、及び/又はメモリ520を含むことができる。幾つかの実施形態においては、プロセッサ512は、中央処理装置、グラフィックス処理装置などの任意の適切なハードウェアプロセッサ又はプロセッサの組み合わせでありうる。幾つかの実施形態においては、ディスプレイ514は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビなどの任意の適切な表示装置を含むことができる。幾つかの実施形態においては、入力516は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクなどの、ユーザ入力を受信するために使用できる任意の適切な入力デバイス及び/又はセンサを含むことができる。
【0040】
幾つかの実施形態においては、通信システム518は、通信ネットワーク406及び/又は他の任意の適切な通信ネットワークを介して情報を通信するための任意の適切なハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。例えば、通信システム518は、1つ又は複数のトランシーバ、1つ又は複数の通信チップ及び/又はチップセットなどを含むことができる。より具体的な例では、通信システム518は、Wi-Fi接続、Bluetooth(登録商標)接続、セルラー接続、イーサネット(登録商標)接続などを確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができる。
【0041】
幾つかの実施形態においては、メモリ520は、例えばプロセッサ512がディスプレイ514を用いてコンテンツを提示したり、1つ又は複数のコンピューティングデバイス410と通信したりするために使用できる命令、値などを格納するために使用できる任意の適切な記憶装置を含むことができる。メモリ520は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えば、メモリ520は、RAM、ROM、EEPROM、1つ又は複数のフラッシュドライブ、1つ又は複数のハードディスク、1つ又は複数のソリッドステートドライブ、1つ又は複数の光ドライブなどを含むことができる。幾つかの実施形態においては、メモリ520には、サーバ420の動作を制御するためのサーバプログラムがエンコードされることができる。このような実施形態では、プロセッサ512は、サーバプログラムの少なくとも一部を実行して、情報及び/又はコンテンツ(例えば、組織の識別及び/又は分類の結果、ユーザインターフェースなど)を1つ又は複数のコンピューティングデバイス410に送信し、1つ又は複数のコンピューティングデバイス410から情報及び/又はコンテンツを受信し、1つ又は複数のデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)から命令を受信する。
【0042】
幾つかの実施形態においては、本明細書で説明される機能及び/又はプロセスを実行するための命令を格納するために、任意の適切なコンピュータ可読媒体を使用することができる。例えば、幾つかの実施形態において、コンピュータ可読媒体は一時的又は非一時的でありうる。例えば、非一時的なコンピュータ可読メディアは、磁気メディア(ハードディスク、フロッピーディスクなど)、光学メディア(コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ブルーレイディスクなど)、半導体メディア(RAM、フラッシュメモリ、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)など)、送信中に一時的ではない又は永続性の欠如がない適切な媒体、及び/又は任意の適切な有形媒体を含むことができる。別の例として、一時的なコンピュータ可読媒体は、電線、導体、光ファイバ、回路、又は送信中に一時的又は永続性が欠如している適切な媒体、及び/又は任意の適切な無形媒体における、ネットワーク上の信号を含むことができる。
【0043】
幾つかの実施形態において、光信号はフォトダイオードによって検出される。この検出機能を実行するために、光検出器、フォトダイオード、ラインスキャン及び二次元カメラ、並びにフォトダイオードアレイを含むがこれらに限定されない任意の光電子変換デバイスを使用できることを認識されたい。
【0044】
本明細書で使用される場合、機構という用語は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の適切な組み合わせを包含することができることに留意されたい。
【0045】
プラークの炎症活動を検出するプロセス
【0046】
図6は、開示された主題の幾つかの実施形態による、プラーク中の炎症活動を検出するためのプロセスの例600を示す。
図6に示すように、602で、プロセス600は、NIRF撮像を実行するように構成された近赤外蛍光(NIRF)撮像システムと、構造撮像を実行するように構成された光干渉断層撮影(OCT)撮像システムとを含むカテーテルを提供することができる。604において、プロセス600は、近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を血管に導入することができる。606において、プロセス600は、カテーテルの遠位端を血管内に配置することができる。608において、プロセス600は、血管内のアテローム性動脈硬化プラークの構造画像を取得することができ、これはOCT撮像システムを使用して実行されてもよい。610において、プロセス600は、アテローム性動脈硬化プラークのNIRF画像を取得することができ、これは、NIRF撮像システムを使用して実行されてよい。612で、プロセス600は、NIRF画像内の近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤を検出することができる。最後に、614で、プロセス600は、NIRF画像における近赤外蛍光カテプシン活性化造影剤の検出に基づいて、アテローム性動脈硬化プラーク内の炎症を特定することができる。
【0047】
図6のプロセスの上記のステップは、図に示し説明した順序及び順番に限定されず、任意の順序及び順番で行われる又は実行することができることを理解されたい。
図6のプロセスの上記のステップの幾つかは、必要に応じて実質的に同時に、又は並行して行われる又は実行されて、待ち時間及び処理時間を短縮することができる。
【0048】
従って、本発明を特定の実施形態及び実施例に関連して説明してきたが、本発明は必ずしもそのように限定されるものではなく、他の多くの実施形態、実施例、使用法、変形例、及び実施形態、実施例、及び使用法からの逸脱も本明細書に添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【国際調査報告】