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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】切片化器具及びコントローラ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512071
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 US2022041585
(87)【国際公開番号】W WO2023028266
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/237,025
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517021754
【氏名又は名称】エクシミス サージカル インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ディルク ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン ディー.ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エヌ.グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン シー.ラップ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ チェ
(72)【発明者】
【氏名】アルマンド ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ハナ クリーシー
(72)【発明者】
【氏名】クリス アンダーウッド
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK16
4C160KK38
4C160KK70
(57)【要約】
本発明は、組織切片化装置に関する。前記組織切片化装置は、切片化ワイヤと、グラスパーと、導入管であって、前記切片化ワイヤ及び前記グラスパーを患者の切開口内に導入することを可能にするような形状及びサイズである、導入管と、検体バッグであって、前記導入管を通って前記患者の前記切開口内で展開されるように構成されている、検体バッグと、少なくとも1つのアクチュエータと、を備えている。前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記導入管の近位端の近傍に配置されており、かつ前記切片化ワイヤ及び前記グラスパーの近位部分に結合されており、かつ、前記少なくとも1つのアクチュエータは、組織切片化の前又はその最中に、前記グラスパーを操作して組織検体を把持するように構成されている。前記グラスパーを操作することは、切片化のために、前記組織検体を前記切片化ワイヤ内へと引張り込むこと、前記組織検体を、それが前記切片化ワイヤと接触するように、配置すること、及び/又は、前記組織検体を前記バッグ内に配置できるようにすること、をさらに可能にする。
【選択図】図11A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織切片化装置であって、前記組織切片化装置は、
1つ以上の切片化ワイヤと、
グラスパーと、
近位端及び遠位端を有する導入管であって、前記導入管は、患者の切開口内に前記1つ以上の切片化ワイヤ及び前記グラスパーを導入することを可能にするような形状及びサイズである、導入管と、
前記導入管の前記近位端に、又はその近傍に配置された少なくとも1つのアクチュエータであって、前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記1つ以上の切片化ワイヤの近位部分及び前記グラスパーの近位部分に結合されており、かつ、前記少なくとも1つのアクチュエータは、組織切片化の前又はその最中に、前記グラスパーを操作して組織検体を把持するように構成されている、少なくとも1つのアクチュエータと、を備えており、
前記グラスパーを操作することは、
-前記組織検体を切片化するために、前記組織検体を前記1つ以上の切片化ワイヤ内へと引張り込むことと、
-前記組織検体を、それが前記1つ以上の切片化ワイヤに接触するように、配置することと、
のうち1つ以上をさらに可能にする、組織切片化装置。
【請求項2】
前記1つ以上の切片化ワイヤは、複数の切片化ワイヤを含んでおり、かつ前記複数の切片化ワイヤのうち少なくとも1つは、無線高周波(RF)エネルギーを運ぶように構成されたアクティブ電極である、請求項1に記載の組織切片化装置。
【請求項3】
前記アクティブ電極は静止電極であり、かつ前記グラスパーはリターン電極を備えており、かつ、前記グラスパーの前記操作することは、前記組織検体の切片化のために、前記組織検体を前記アクティブ電極内へと引張り込むことを含む、請求項2に記載の組織切片化装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記アクティブ電極を、リターン電極に隣り合ってはいるが接触はしない球根状ループ形状に伸長させるように、構成されており、かつ、前記グラスパーは、前記リターン電極を含んでいる、請求項2に記載の組織切片化装置。
【請求項5】
前記グラスパーの少なくとも一部は導電性であり、
前記グラスパーはリターン電極を備えており、
前記アクティブ電極は単一のアクティブ電極を含んでおり、かつ、
前記リターン電極の表面積は、前記単一のアクティブ電極の表面積よりも大きい、請求項2に記載の組織切片化装置。
【請求項6】
前記1つ以上の切片化ワイヤは複数の切片化ワイヤを含んでおり、前記複数の切片化ワイヤは、前記導入管の内径内に嵌合するような形状及びサイズである、請求項1に記載の組織切片化装置。
【請求項7】
前記複数の切片化ワイヤは、伸長位置及び引込み位置を備えており、かつ、
前記複数の切片化ワイヤは、前記伸長位置にあるときには、前記導入管の前記遠位端からある角度で延びるように構成されており、かつ、
前記複数の切片化ワイヤは、前記引込み位置にあるときには、互いに平行であるか又は実質的に平行であり、かつ前記導入管の前記遠位端内に引込むように構成されている、請求項6に記載の組織切片化装置。
【請求項8】
前記複数の切片化ワイヤは、前記伸長位置にあるときには、以下のときに、即ち、
(1)前記グラスパーを用いて前記組織検体を前記複数の切片化ワイヤ内へ引張り込むときであって、前記グラスパーはリターン電極を備えており、かつ前記複数の切片化ワイヤのうち1つ以上がアクティブ電極を備えている、引張り込むときか、又は、
(2)前記複数の切片化ワイヤを前記組織検体内に押込むときであって、前記複数の切片化ワイヤのうち1つ以上がアクティブ電極を備えている、押込むとき、のうちいずれか一方のときに、前記組織検体を切片化するように構成されている、請求項7に記載の組織切片化装置。
【請求項9】
前記1つ以上の切片化ワイヤは、複数の切片化ワイヤループを備えており、かつ前記組織検体を配置することは、
前記組織検体の少なくとも一部を、前記複数の切片化ワイヤループを用いて取り囲むことをさらに含む、請求項1に記載の組織切片化装置。
【請求項10】
前記組織切片化装置は、
前記導入管の前記遠位端から伸長しかつ前記遠位端に引込むように構成された、複数の引込み可能タインをさらに備えており、前記複数の引込み可能タインのうち少なくとも1つはリターン電極であり、かつ前記複数の引込み可能タインのうち少なくとも2つはアクティブ電極であり、
前記リターン電極は、前記リターン電極が前記アクティブ電極と接触しないように、前記アクティブ電極に対向して配置されている、請求項1に記載の組織切片化装置。
【請求項11】
組織切片化装置であって、前記組織切片化装置は、
1つ以上のワイヤループスプールと、
1つ以上の切片化ワイヤであって、前記1つ以上の切片化ワイヤの各々の少なくとも一部は前記1つ以上のワイヤループスプールのうち1つの上に巻き上げられている、1つ以上の切片化ワイヤと、
少なくとも1つのモータを備えた張力付与機構であって、前記張力付与機構の前記少なくとも1つのモータは、前記1つ以上のワイヤループスプールに結合されており、かつ対応するワイヤループスプールを介して、前記1つ以上の切片化ワイヤを前進させるか又は引込ませるための調整可能な力を提供するように構成されている、張力付与機構と、を備えている、組織切片化装置。
【請求項12】
前記1つ以上の切片化ワイヤは、複数の切片化ワイヤループを備えており、前記組織切片化装置は、
近位端及び遠位端を有する導入管であって、前記導入管は、前記1つ以上の切片化ワイヤを患者の切開口内に導入することを可能にするような形状及びサイズである、導入管と、
複数のルーメン又はチャネルを備えたマルチルーメンチューブであって、前記マルチルーメンチューブは前記導入管の内径内に嵌合するような形状及びサイズである、マルチルーメンチューブと、
前記複数の切片化ワイヤループの端部に結合された複数のコネクタピンと、をさらに備えており、
前記複数のコネクタピンの各々は、前記マルチルーメンチューブの1つのルーメン又はチャネル内に受け入れられる、請求項11に記載の組織切片化装置。
【請求項13】
前記組織切片化装置は、
前記複数の切片化ワイヤループと前記マルチルーメンチューブの間の摩擦を低減又は最小化するためのコネクタをさらに備えており、
前記コネクタは、前記マルチルーメンチューブの遠位端に、又はその近傍に配置されており、かつ、
前記複数のコネクタピンは、前記コネクタの近位部分に配置されている、請求項12に記載の組織切片化装置。
【請求項14】
前記マルチルーメンチューブは、ロッドをさらに備えており、前記ロッドは、前記マルチルーメンチューブのルーメン又はチャネルの内部に受け入れられるような形状及びサイズであり、かつ、前記ロッドの中心軸は、前記マルチルーメンチューブの中心軸に、又はその近傍に配置されている、請求項12に記載の組織切片化装置。
【請求項15】
前記1つ以上のワイヤループスプールの各々は、前記少なくとも1つのモータのうち1つから回転パドルを受けるような形状及びサイズであるスロットを備えており、かつ、前記少なくとも1つのモータの各々は、対応するワイヤループスプールを介して、前記1つ以上の切片化ワイヤのうち1つに調節可能な力を提供するように、構成されている、請求項11に記載の組織切片化装置。
【請求項16】
前記1つ以上の切片化ワイヤの各々は、無線高周波(RF)信号をRF発電機から受け取るように構成されたアクティブ電極であり、かつ、前記1つ以上のワイヤループスプールの各々は、前記少なくとも1つのモータを介して、前記RF発電機を前記1つ以上の切片化ワイヤのうち対応する1つに対して電気的に結合させるための、導電性金属ディスク及びドラッグストリップ接続部を備えている、請求項11に記載の組織切片化装置。
【請求項17】
前記張力付与機構は、空気圧システムに結合されており、前記空気圧システムは、前記1つ以上の切片化ワイヤを前進させるか又は引込ませるための並進力を駆動するための、閾値よりも大きな圧力を生み出すように構成されている、請求項11に記載の組織切片化装置。
【請求項18】
組織切片化装置であって、前記組織切片化装置は、
1つ以上のワイヤループスプールを含む使い捨て部分であって、切片化ワイヤが前記1つ以上のワイヤループスプールの各々の周囲に巻き上げられている、使い捨て部分と、
再使用可能部分であって、前記再使用可能部分は、張力付与機構アセンブリを少なくとも備えており、前記張力付与機構アセンブリは、前記1つ以上のワイヤループスプールの各々に結合するように構成されており、かつ、前記張力付与機構アセンブリは、前記1つ以上のワイヤループスプールの回転を介して前記切片化ワイヤに張力を適用するようにさらに構成されている、再使用可能部分と、を備えている、組織切片化装置。
【請求項19】
前記張力付与機構アセンブリは、モータ又はばねを少なくとも備えており、前記モータは、直流(DC)モータであり、かつ、前記ばねは、一定トルク又は一定力のばねである、請求項18に記載の組織切片化装置。
【請求項20】
前記組織切片化装置は、
少なくとも1つのコントローラをさらに備えており、前記少なくとも1つのコントローラは、以下のうち1つ以上を制御するように構成されており、即ち、
無線高周波(RF)発電機の電力出力であって、前記RF発電機は、前記切片化ワイヤにRFエネルギー又は電力を供給するように構成されている、無線高周波(RF)発電機の電力出力と、
トルク又は力であって、
-前記力適用機構の移動速度、
-前記力適用機構の移動距離、
-前記切片化ワイヤの各々の移動速度、及び、
-前記切片化ワイヤの移動距離、のうち1つ以上を決定することに少なくとも部分的に基づいて前記張力付与機構アセンブリの力適用機構によって前記切片化ワイヤに対して適用される、トルク又は力と、のうち1つ以上を制御するように構成されている、請求項18に記載の組織切片化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2021年8月25日に出願され、かつ本出願の譲受人に譲渡された、「切片化器具及びコントローラ」と題された米国特許仮出願第63/237025号に対する優先権を主張する。この出願は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2019年4月11日に出願され、「組織検体摘出装置、システムおよび方法」と題された米国特許出願第16/381661号、2017年5月16日に出願され、「電気外科手術装置および方法」と題された米国特許第9649147号、及び2016年12月20日に出願され、「大容量の組織を縮小して摘出するシステム及び方法」と題された米国特許第9522034号に関する。それらの開示内容全体は、すべての適切な目的のために、参照により、本明細書に完全に記載されているかのように、本明細書に組み込まれる。また、本特許出願は本出願の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる、「大容量の組織を縮小して摘出するシステム及び方法」と題された米国特許第10925665号、「電気外科手術装置および方法」と題された米国特許第10603100号、及び「コネクタ」と題された第10873164号にも関する。これらの出願は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0003】
本明細書には様々な新規の特徴が記載されているが、それらは上記の特許に記載された発明及び開示と並行して、又はそれらと一緒に、使用され得る。従って、これらの先行特許の関連文献、図面及び他の開示内容は、文脈のため、背景のため、かつ、必要な場合には本明細書に記載の開示の態様に組み込むために、本開示に含まれる。
【0004】
本開示は、一般的に、外科処置の間に生物学的組織を摘出するための装置、システム、及び方法に関する。限定するものではないが、本開示は、特に、組織検体切片化のための装置と、組織切片化用構成要素と摘出装置を結合させるためのコネクタと、に関する。
【背景技術】
【0005】
限定はされないものの、例えば子宮摘出術、腎摘出術、及び脾臓摘出術等である最少侵襲的処置によって大寸組織検体を摘出するための現在の方法は、分割器を使用するか、又は、無線高周波(RF)エネルギー、機械的切断、又は破断方法により組織サイズを手動的に縮小するというものである。これらの方法は、完了するのに、相当量の時間、及び多くの逐次的な段階を必要とする。分割器技術に対する代替策は、組織検体全体を摘出できるようにするため、アクセスポートのためのより大きな切開口を形成することである。残念ながら、この手法は、患者の痛みの増大、及び回復期間の長期化につながってしまう。
【0006】
本背景のセクションにおいて行われた記述は、単にそれが背景のセクションに記載又は関連付けられているというだけの理由によって先行技術であると想定されるべきではない。背景のセクションは、主題技術の1つ以上の側面を記述する情報を備え得るのである。
【発明の概要】
【0007】
以下の記載は、本明細書で開示される1つ以上の態様及び/又は実施形態に関する単純化された要約を提示する。そのため、以下の要約は、すべての考え出される態様及び/又は実施形態に関する広範な概要と考えられるべきではなく、また、以下の要約は、すべての考え出される態様及び/又は実施形態に関する主要要素又は重要要素を特定するためであると見做されるべきではなく、任意の特定の態様及び/又は実施形態に関連する範囲を定めるためであると見做されるべきでもない。従って、以下の要約は、以下で提示される詳細な説明に先立って、本明細書で開示される機構に関する1つ以上の態様及び/又は実施形態に関する特定の概念を単純化された形式で提示するという目的のみを有するのである。
【0008】
本開示の目的のために、意図された外科手術の向きについて言及する際には、「前方」及び「遠位」という用語は、意図された外科手術の向きに関連付けられた(即ち、患者の体に向かう、患者の体内へと向かう)側及び向きを指すものとされたい。一方、「後方」、「後部」、又は「近位」という用語は、グラスパーの意図された装具に関連付けられた(即ち、外科医に向かうか又は外科手術チームに向かう)ものとされたい。例えば、図1は、遠位端にある把持トング1016と、近位端にあるハンドル1018と、を示している。
【0009】
本開示の1つの態様は、以下の組織切片化装置を提供する。即ち、組織切片化装置であって、1つ以上の切片化ワイヤと、グラスパーと、近位端及び遠位端を有する導入管であって、前記導入管は、患者の切開口内に前記1つ以上の切片化ワイヤ及び前記グラスパーを導入することを可能にするような形状及びサイズである、導入管と、検体バッグであって、前記検体バッグは前記導入管を通って前記患者の前記切開口内で展開されるように構成されている、検体バッグと、前記導入管の前記近位端に、又はその近傍に配置された少なくとも1つのアクチュエータであって、少なくとも前記アクチュエータは、前記1つ以上の切片化ワイヤの近位部分及び前記グラスパーの近位部分に結合されており、かつ、前記少なくとも1つのアクチュエータは、組織切片化の前又はその最中に、前記グラスパーを操作して組織検体を把持するように構成されている、少なくとも1つのアクチュエータと、を備えた組織切片化装置が、提供される。幾つかの実装では、前記グラスパーを操作することは、(1)前記組織検体を切片化するために、前記組織検体を前記1つ以上の切片化ワイヤ内へと引張り込むことと、(2)前記組織検体を、それが前記1つ以上の切片化ワイヤに接触するように、配置することと、(3)前記組織検体を前記検体バッグ内に配置できるようにすることと、のうち1つ以上をさらに可能にする。
【0010】
本開示の他の態様は、以下の組織切片化装置を提供する。即ち、組織切片化装置であって、1つ以上のワイヤループスプールと、1つ以上の切片化ワイヤであって、前記1つ以上の切片化ワイヤの各々の少なくとも一部は前記1つ以上のワイヤループスプールのうち1つの上に巻き上げられている、1つ以上の切片化ワイヤと、少なくとも1つのモータを備えた張力付与機構であって、前記張力付与機構の前記少なくとも1つのモータは、前記1つ以上のワイヤループスプールに結合されており、かつ対応するワイヤループスプールを介して、前記1つ以上の切片化ワイヤを前進させるか又は引込ませるための調整可能な力を提供するように構成されている、張力付与機構と、を備えている、組織切片化装置が提供される。
【0011】
本開示の他の態様は、以下のような組織切片化装置を提供する。即ち、組織切片化装置であって、1つ以上のワイヤループスプールを含む使い捨て部分であって、切片化ワイヤが前記1つ以上のワイヤループスプールの各々の周囲に巻き上げられている、使い捨て部分と、再使用可能部分であって、前記再使用可能部分は、張力付与機構アセンブリを少なくとも備えており、前記張力付与機構アセンブリは、前記1つ以上のワイヤループスプールの各々に結合するように構成されており、かつ、前記張力付与機構アセンブリは、前記1つ以上のワイヤループスプールの回転を介して1つ以上の前記切片化ワイヤに張力を適用するようにさらに構成されている、再使用可能部分と、を備えている、組織切片化装置が提供される。
【0012】
幾つかの実装では、前記1つ以上の切片化ワイヤは、複数の切片化ワイヤを含んでおり、かつ前記複数の切片化ワイヤのうち少なくとも1つは、無線高周波(RF)エネルギーを運ぶように構成されたアクティブ電極である。
【0013】
幾つかの実装では、前記アクティブ電極は静止電極であり、かつ前記グラスパーはリターン電極を備えており、かつ、前記グラスパーの前記操作することは、前記組織検体の切片化のために、前記組織検体を前記アクティブ電極内へと引張ることを含む。
【0014】
幾つかの実装では、前記アクチュエータは、前記アクティブ電極を、リターン電極に隣り合ってはいるが接触はしない球根状ループ形状に伸長させるように、構成されており、かつ、前記グラスパーは、前記リターン電極を含んでいる。
【0015】
幾つかの実装では、前記グラスパーの少なくとも一部は導電性であり、前記グラスパーはリターン電極を備えており、少なくとも1つの前記アクティブ電極は単一のアクティブ電極を含んでおり、かつ、前記リターン電極の表面積は、前記単一のアクティブ電極の表面積よりも大きい。
【0016】
幾つかの実装では、前記1つ以上の切片化ワイヤは複数の切片化ワイヤを含んでおり、前記複数の切片化ワイヤは、前記導入管の内径内に嵌合するような形状及びサイズである。
【0017】
幾つかの実装では、前記複数の切片化ワイヤは、伸長位置及び引込み位置を備えており、かつ、前記複数の切片化ワイヤは、前記伸長位置にあるときには、前記導入管の前記遠位端からある角度で延びるように構成されており、かつ、前記複数の切片化ワイヤは、前記引込み位置にあるときには、互いに平行であるか又は実質的に平行であり、かつ前記導入管の前記遠位端内に引込むように構成されている。
【0018】
幾つかの実装では、前記複数の切片化ワイヤは、前記伸長位置にあるときには、以下のときに、即ち、(1)前記グラスパーを用いて前記組織検体を前記複数の切片化ワイヤ内へと引張り込むときであって、前記グラスパーはリターン電極を備えており、かつ前記複数の切片化ワイヤのうち1つ以上がアクティブ電極を備えている、引張り込むときか、又は、(2)前記複数の切片化ワイヤを前記組織検体内に押込むときであって、前記複数の切片化ワイヤのうち1つ以上がアクティブ電極を備えている、押込むとき、のうちいずれか一方のときに、前記組織検体を切片化するように構成されている。
【0019】
幾つかの実装では、前記1つ以上の切片化ワイヤは、複数の切片化ワイヤループを備えており、かつ前記組織検体を配置することは、前記組織検体の少なくとも一部を、前記複数の切片化ワイヤループを用いて取り囲むことをさらに含む。
【0020】
幾つかの実装では、前記組織切片化装置は、前記導入管の前記遠位端から伸長しかつ前記遠位端に引込むように構成された、複数の引込み可能タインをさらに備えており、複数の前記タインのうち少なくとも1つはリターン電極であり、かつ複数の前記タインのうち少なくとも2つはアクティブ電極であり、前記リターン電極は、前記リターン電極が前記アクティブ電極と接触しないように、前記アクティブ電極に対向して配置されている。
【0021】
幾つかの実装では、前記1つ以上の切片化ワイヤは、前記組織検体をグリップするために非一様な表面を備えている。
【0022】
幾つかの実装では、前記1つ以上の切片化ワイヤは、複数の切片化ワイヤループを備えており、前記組織切片化装置は、
近位端及び遠位端を有する導入管をさらに備えており、前記導入管は、前記1つ以上の切片化ワイヤを患者の切開口内に導入することを可能にするような形状及びサイズである。
【0023】
幾つかの実装では、前記組織切片化装置は、複数のルーメン又はチャネルを備えたマルチルーメンチューブであって、前記マルチルーメンチューブは前記導入管の内径内に嵌合するような形状及びサイズである、マルチルーメンチューブと、前記複数の切片化ワイヤループの端部に結合された複数のコネクタピンと、をさらに備えており、前記複数のコネクタピンの各々は、前記マルチルーメンチューブの1つのルーメン又はチャネル内に受け入れられる。
【0024】
幾つかの実装では、前記組織切片化装置は、前記複数の切片化ワイヤループと前記マルチルーメンチューブの間の摩擦を低減又は最小化するためのコネクタをさらに備えており、前記コネクタは、前記マルチルーメンチューブの遠位端に、又はその近傍に配置されており、かつ、前記複数のコネクタピンは、前記コネクタの近位部分に配置されている。
【0025】
幾つかの実装では、前記マルチルーメンチューブは、ロッドをさらに備えており、前記ロッドは、前記マルチルーメンチューブのルーメン又はチャネルの内部に受け入れられるような形状及びサイズであり、かつ、前記ロッドの中心軸は、前記マルチルーメンチューブの中心軸に、又はその近傍に配置されている。
【0026】
幾つかの実装では、前記張力付与機構は、以下のうち1つ以上をさらに備えており、即ち、一定力ばねと、一定トルクばねと、プーリーシステムと、ケーブル駆動部と、ウィンチシステムと、1つ以上の非直線ばねと、回転カップリングを用いるリニア駆動部と、磁気カップリングを用いるリニア駆動部と、電気機械的駆動部であって、前記電気機械的駆動部は、サーボモータ、ステッピングモータ、直流(DC)モータ、及びリニアアクチュエータから成る群から選択される、電気機械的駆動部と、のうち1つ以上をさらに備えている。
【0027】
幾つかの実装では、前記張力付与機構は少なくとも1つのDCモータをさらに備えており、かつ前記1つ以上のワイヤループスプールの各々は、前記少なくとも1つのDCモータのうち1つから回転パドルを受けるような形状及びサイズであるスロットを備えており、かつ、前記少なくとも1つのDCモータの各々は、対応するワイヤループスプールを介して、前記1つ以上の切片化ワイヤのうち1つに調節可能な力を提供するように、構成されている。
【0028】
幾つかの実装では、前記少なくとも1つのワイヤループスプールのうち1つは、前記DCモータを介して、前記無線高周波(RF)発電機を前記切片化ワイヤのうち対応する1つに対して電気的に結合させるための、導電性金属ディスク及びドラッグストリップ接続部を備えている。
【0029】
幾つかの実装では、前記張力付与機構は、空気圧システムに結合されており、前記空気圧システムは、前記1つ以上の切片化ワイヤを前進させるか又は引込ませるための並進力を駆動するための、閾値よりも大きな圧力を生み出すように構成されている。
【0030】
幾つかの実装では、前記張力付与機構アセンブリは、少なくとも1つのモータ、及びばねを備えている。幾つかの実装では、前記モータは、直流(DC)モータであり、かつ、前記ばねは、一定トルク又は一定力のばねである。
【0031】
幾つかの実装では、前記張力付与機構アセンブリは1つ以上のモータを備えており、前記1つ以上のモータの各々はパドルを有しており、前記パドルは、対応する前記モータに電圧が印加されたときに回転するように構成されている。
【0032】
幾つかの実装では、前記1つ以上のワイヤループスプールの各々は、スロットを備えており、前記スロットは、前記1つ以上のモータのパドルを受け入れるような形状及びサイズであり、かつ、前記1つ以上のワイヤループスプールの回転は、前記1つ以上のパドルの回転に、少なくとも部分的には基づいている。
【0033】
幾つかの実装では、前記1つ以上の切片化ワイヤは、前記張力付与機構アセンブリを前記1つ以上のワイヤループスプールに結合させる前に事前張力付与され、前記1つ以上の切片化ワイヤに事前張力付与することは、前記1つ以上のワイヤループスプールを手動又は機械的に巻き上げることを含んでいる。
【0034】
幾つかの実装では、前記1つ以上のワイヤループスプールは、事前張力付与の前又はその最中に逆方向に回転してしまうことを防止されており、それによって、前記1つ以上の切片化ワイヤが、前記1つ以上のワイヤループスプールと前記張力付与機構アセンブリの相互作用に少なくとも部分的に基づいて前進することが、防止される。
【0035】
幾つかの実装では、前記1つ以上のワイヤループスプールは、1つのワイヤループスプールを備えており、かつ、前記張力付与機構アセンブリは、回転パドルを有する直流(DC)モータを備えており、かつ、前記ワイヤループスプールは、前記回転パドルを受け入れるような形状及びサイズである第1のスロットと、前記第1のスロットを受け入れるような形状及びサイズである開口部を有する導電性ディスクと、前記1つ以上の切片化ワイヤの1つの切片化ワイヤに結合される結合要素と、前記接続要素を受け入れるような形状及びサイズである第2のスロットと、ドラッグストリップ接続部と、を含んでいる。
【0036】
幾つかの実装では、前記1つ以上の切片化ワイヤのうちの1つの前記切片化ワイヤは、導電性ケーブル又はストランドを介して前記接続要素に結合されており、かつ、前記ドラッグストリップ接続部は、前記接続要素及び前記導電性ディスクの1つ以上に結合されている。
【0037】
幾つかの実装では、前記導電性ディスクは、前記DCモータから無線高周波(RF)信号を受け取るように構成されており、かつ、前記ドラッグストリップ接続部は、前記RF信号を前記接続要素を介して前記切片化ワイヤに供給するように、さらに構成されている。
【0038】
幾つかの実装では、前記1つ以上の切片化ワイヤの各々は、RF発電機からの無線高周波(RF)信号を受け取るように構成されたアクティブ電極である。
【0039】
幾つかの実装では、前記1つ以上の切片化ワイヤの各々に張力を適用することは、前記切片化ワイヤのうち対応する1つを引込ませることを含んでいる。
【0040】
幾つかの実装では、組織切片化装置は1つ以上のコントローラをさらに備えており、前記少なくとも1つのコントローラは、以下のうち1つ以上を制御するように構成されているのであって、即ち、(1)無線高周波(RF)発電機の電力出力であって、前記RF発電機は前記1つ以上の切片化ワイヤにRFエネルギー又は電力を供給するように構成されている、無線高周波(RF)発電機の電力出力、及び、(2)前記張力付与機構アセンブリの力適用機構によって、前記1つ以上の切片化ワイヤに対して適用される、トルク又は力、のうち1つ以上を制御するように構成されている。幾つかの実装では、前記コントローラは、(1)前記力適用機構の移動速度、(2)前記力適用機構の移動距離、(3)前記1つ以上の切片化ワイヤの各々の移動速度、及び、(4)前記1つ以上の切片化ワイヤの各々の移動距離、のうち1つ以上を決定することに少なくとも部分的に基づいて前記力適用機構によって適用される、トルク又は力を制御するように構成されている。
【0041】
幾つかの実装では、前記力適用機構は、前記1つ以上の切片化ワイヤに組織検体に対する一定力を適用させるように構成された一定力ばねを備えており、前記組織切片化装置は、前記RF電力を前記1つ以上の切片化ワイヤに印加するように構成されており、かつ、前記1つ以上の切片化ワイヤの各々は、アクティブ電極を備えている。
【0042】
幾つかの実装では、前記張力付与機構アセンブリは、直流(DC)モータを備えており、かつ、前記少なくとも1つのコントローラは、前記DCモータを駆動するために用いられる電流又は電圧を制御することに少なくとも部分的に基づいて、前記DCモータの速度を制御するように、構成されている。
【0043】
これらの特徴及び他の特徴、ならびに本技術の特徴、ならびに構造の関連要素の操作方法及び機能、ならびに部分の組み合わせ、ならびに製造の経済性は、添付の図面を参照しつつ、以下の説明及び添付の請求項を考慮することにより、より明らかになるであろう。ここで、添付の図面のすべては、本明細書の一部を形成し、同様の参照符号は、各図において対応する部分を指定している。しかしながら、図面は例示及び説明のみを意図したものであり、本発明の限定を定めることを意図されたものではないことは、明示的に理解されたい。本明細書及び請求項で使用されるとき、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに指定していない限り、複数形の参照語を含む。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、本開示の様々な態様による、統合型のリターン電極を含むグラスパーの一例を示している。
【0045】
図2図2は、本開示の様々な態様による、アクティブ電極と、統合型のリターン電極を有するグラスパーと、を含むアクチュエータシステムの一例を示している。
【0046】
図3図3は、本開示の様々な態様による、折り畳み位置にある、折り畳み可能なワイヤスクリーン電極の一例を示している。
【0047】
図4図4は、本開示の様々な態様による、折り畳み位置にある、図3の折り畳み可能なワイヤスクリーン電極の一例を示している。
【0048】
図5図5は、本開示の様々な態様による、グラスパーと図4の折り畳み可能なワイヤスクリーン電極とを含むアクチュエータシステムの一例を示している。
【0049】
図6図6は、本開示の様々な態様による、組織切片化システム内で使用するためのグラスパーの一例を示している。
【0050】
図7図7は、本開示の様々な態様による、アクチュエータの構成要素の斜視図を示している。
【0051】
図8図8は、本開示の様々な態様による、電極の移動距離を検出するための電気外科手術装置及びシステムを示している。
【0052】
図9図9は、本開示の様々な態様による、組織切片化システム内で使用されるように構成された着脱可能かつ/又は再使用可能なモータの詳細な図を示している。
【0053】
図10A図10Aは、本開示の様々な態様による、モータを電極ワイヤループスプールに結合させるための電気的接続機構を示している。
【0054】
図10B図10Bは、本開示の様々な態様による、図10Aの電気的接続機構の分解図を示している。
【0055】
図10C図10Cは、本開示の様々な態様による、ワイヤループ引込み機構の一例を示している。
【0056】
図11A図11Aは、本開示の様々な態様による、検体バッグが開放状態にある、検体摘出バッグシステムの一実施形態を示している。
【0057】
図11B図11Bは、本開示の様々な態様による、組織切片化装置内で使用するためのコネクタハウジング及びコネクタを示している。
【0058】
図12A図12Aは、本開示の様々な態様による、組織切片化システム内で使用するための挿入管及びマルチルーメンチューブの一例を示している。
【0059】
図12B図12Bは、本開示の様々な態様による、組織切片化システム内で使用するための挿入管及びマルチルーメンチューブの他の例を示している。
【0060】
図12C図12Cは、本開示の様々な態様による、組織切片化システム内で使用するためのスティフナーロッドを有する挿入管及びマルチルーメンチューブの一例を示している。
【0061】
図13図13は、本開示の様々な態様による、患者の体腔内で展開される組織検体バッグ及びグラスパーの一例を示している。
【0062】
図14図14は、本開示の様々な態様による、患者の体腔内で展開される組織検体バッグ及びグラスパーの他の例を示している。
【0063】
図15図15は、本開示の様々な態様による、無線高周波(RF)発電機に結合された組織摘出システムの一例を示している。
【0064】
図16図16は、本開示の様々な態様による、コントローラを備えた組織切片化装置を示している。
【0065】
図17図17は、本開示の様々な態様による、組織切片化装置内で使用するように構成された、センシング装置の一例を示している。
【0066】
図18図18は、本開示の様々な態様による、使い捨てのルーメンアセンブリ及び再使用可能な張力付与機構アセンブリの一斜視図である。
【0067】
図19図19は、本開示の様々な態様による、使い捨て部分及び再使用可能な部分を有する組織切片化装置を示している。
【0068】
図20A図20Aは、本開示の様々な態様による、張力付与機構を有する組織切片化装置の一斜視図である。
【0069】
図20B図20Bは、本開示の様々な態様による、幾つかの構成要素が除去された、図20Aの装置の一斜視図である。
【0070】
図20C図20Cは、本開示の様々な態様による、図20Aの装置の幾つかの構成要素の平面図である。
【0071】
図21図21は、本開示の様々な態様による、切片化ワイヤに張力付与するためのばねの一例を示している。
【0072】
図22図22は、本開示の様々な態様による、導入管の一端に配置されたデュアルリターン電極の一例を示している。
【0073】
図23図23は、本開示の様々な態様による、導入管の一端に、又はその近傍に配置されたデュアルリターン電極の他の例を示している。
【0074】
図24図24は、本開示の様々な態様による、導入管の一端に配置されたデュアルリターン電極の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本開示は、外科処置の間に生物学的組織を摘出するための装置、システム、及び方法に関する。限定するものではないが、本開示は、特に、組織検体を切片化する器具、及び、組織切片化構成要素と摘出装置を結合するためのコネクタ、に関する。
【0076】
本明細書において、「例示的」という用語は、「例、事例、又は実例として役立つ」ことを意味するものとして用いられる。本明細書中に記載されている「例示的な」実施形態は、必ずしも他の実施形態に対して好ましいか又は有利であると解釈されるべきものであるとは限らない。
【0077】
本開示の目的のために、意図された外科手術の向きについて言及する際には、「前方」及び「遠位」という用語は、意図された外科手術の向きに関連付けられた(即ち、患者の体に向かう、患者の体内へと向かう)側及び向きを指すものとされたい。一方、「後方」、「後部」、又は「近位」という用語は、グラスパーの意図された装具に関連付けられた(即ち、外科医に向かうか又は外科手術チームに向かう)ものとされたい。例えば、図1は、遠位端にある把持トング1016と、近位端にあるハンドル1018と、を示している。さらに、本開示の目的のために、「導入管」、「挿入管」、及び「遠位管」という用語は、相互可換であり得るのであって、切開口を通って患者の体腔内に入るように構成され、かつ外科処置中に患者の切開口に腹腔鏡ツール(例:把持トング1016)を挿入されることができるような形状及びサイズである、管であり得る。さらに、「外側管」という用語は、例えば、巻き取られた収容バッグアセンブリを包み込むような形状及びサイズである管を指し得る。幾つかの例では、外側管は内側管を受け入れるような形状及びサイズであり、その際、内側管は、例えば、巻き取られた収容バッグアセンブリを外側管の遠位端から押し出し、巻き取られたバッグを広げるように用いられる。幾つかの実施形態では、外側管は、導入管と同一である場合があるが、導入管と異なっていてもよい。即ち、幾つかの例では、巻き取られた収容バッグを含む外側管は、導入管としても機能する。
【0078】
本特許出願は本出願の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる、「大容量の組織を縮小して摘出するシステム及び方法」と題された米国特許第10925665号(’665特許)、「電気外科手術装置および方法」と題された米国特許第10603100号(’100特許)、及び「コネクタ」と題された第10873164号(’164特許)に関する。これらの出願は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。また、本特許出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる、「組織検体摘出装置、システムおよび方法」と題された米国特許出願公開第2019/0328377号(’377特許)にも関する。この出願は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0079】
外科手術の技術における進歩は、ますます、手技の侵襲性の削減に関するものとなってきている。特に、外科医は、可能な場合であれば常に「侵襲性が最小である」手技-これは、切開口が特定のサイズに制限されることを意味するが-を実施しようと努めている。しかしながら、非常に小さな切開部位を介してそのほぼ全体を実施することができる多くの外科手術では、結局、非常に小さな切開部位を介して実施することが非常に困難な最終ステップが求められることになる。その最終ステップとは、切除された組織の摘出である。例えば子宮全体、肝臓の大部分、又は癌性腫瘍等の大きな組織部分の摘出は、多くのロジスティクス上の課題を生み出す。本開示を通じて参照されている以前の開示は、検体バッグ内の大きな組織部片を未だ患者の体内にある間に切片化するための様々な装置、システム、及び方法を記載している。現在のアプローチによって、組織を、小さな切開部位を通して1つずつ引張り出されることができるほど十分に小さい部片へと切片化することが可能になっている。
【0080】
幾つかの要因により、このプロセスは、時間がかかるか、困難であるか、面倒であるか、かつ/又は患者にリスクをもたらす可能性がある。例えば、組織の一部分が石灰化している場合、現在利用可能な切断装置では、当該部分を切り抜くことに長い時間を要することがある。そのような事例においては、組織が抽出される際に、組織を検体バッグの頂部付近に持っていってそれを切断することに1時間以上を要する場合があり、かつその領域内で多くの人手及びツールが必要ともされ得る。組織及び検体バッグを過剰に操作及び処理しなければならない場合には、バッグ開口部が切開部位に滑り落ちて戻ってしまう可能性がある。組織検体が癌性腫瘍である場合には、そのような検体は患者の体内に零れて癌細胞を撒き散らし得る液体を含んでいることが多いため、このことは、患者にとって特に大きなリスクになり得る。本開示は、検体バッグ内部で組織検体を切片化することの容易性、安全性、及び効率を改善する装置、システム、及び方法を提供する。
【0081】
既存の検体バッグ又は収容構成要素システムは、外科医、外科医助手、及び/又は看護師によって巻き取られているか又は折り畳まれており、トロッカー又は切開部位を通って挿入されて患者の体内に入ったところで開放されることができる、可撓性材料である。この種類のシステムにおいては、外科医はまず摘出すべき組織を切除し、そしてその後で腹腔鏡ツールを用いてバッグ開口部を操作し、組織検体をバッグ内に置く。組織を捕捉した後に、バッグ開口部は腹腔鏡グラスパー(例:図1のグラスパー1011)を用いて上昇させられて切開部位から外へと導かれ、外科医の手によって、又はさらにケリー鉗子又は留め金を用いて、体外で固定される。
【0082】
これらの種類の検体バッグの中には、バッグの頂部に形成されているか又は取付けられているポリマーリングを組み込んでいるものがあり、該ポリマーリングは、バッグ開口部が完全開放位置になるよう付勢されている状態を維持するためのものである。このポリマーリングは、バッグが患者の腹膜又は他の外科手術部位内に落下して戻ることがないよう、体外露出(exteriorize)されるバッグを開放状態で適切な位置に保つことを助けることができる。
【0083】
他の一般的な種類の検体バッグ又は収容要素システムは、典型的には、トロッカー又は切開部位を通って腹膜内へと送入するためのカニューレ又はルーメン内に配置されているバッグを使用しており、該検体バッグは該カニューレを超えて前進して開口部にアクセスする。
【0084】
多くの検体バッグシステムが、組織検体をバッグ内部に配置する際に外科医を補助するために、バッグ開口部を付勢して伸長位置へと至らせるための機械的手段を使用している。このようなシステムは、検体バッグの頂部に取付けられたばね付勢部を伴う成形金属リングを含み得る。検体バッグがカニューレの外側にあるとき、このばね付勢部によって検体バッグの頂部が開放されるようになっている。また、この種類の金属リングを用いるシステムのほとんどは、体外露出のためにバッグ開口部を閉鎖するための引紐として、紐又はスツールも含んでいる。これらの装置において、上記の紐は患者の体の外部に留まっていてよく、この紐を引張ってバッグをシールすることができる。この紐は、金属リングがカニューレ内に引き戻される際、開口部を閉鎖し、バッグをカニューレ及び金属リングから解放された状態に残し、さらに、カニューレ及び金属リングが引き抜かれた後には、バッグを切開部位に残しもする。その後、外科医は上記の紐を用いて、切開部位を通してバッグ開口部を引張ることができる。他のシステムでは、紐又はスツールは、バッグ開口部を閉鎖し、バッグを金属リング及びカニューレから解放された状態に残す引紐として用いられる。紐はその後、バッグ開口部を、切開部位を通して回収するように用いられる。
【0085】
図11Aに示されているような1つの非限定的な例では、2つの金属リングの半分から成る金属リングサブアセンブリが、検体バッグの頂部に取付けられた成形金属リングの閉鎖を補助するために利用され得る。幾つかの実施形態では、金属リングの2つの半分の間にある遠位接続点は、可撓性部材によって接続され得る。幾つかの状況においては、この可撓性部材は、ばね付勢された金属リングを圧縮し、ばね付勢された金属リングの2つの半分が平行又は実質的に平行であるような、ほぼ平坦な構成にすることができる場合がある。本開示の態様によれば、この可撓性部材は、2つの金属リングの半分の遠位端の保持を容易にすることができる多様な方法で作られ得る。可撓性部材のために利用される製造技術の幾つかの非限定的な例は、可撓性フィルムから可撓性部材を製造すること(即ち、熱収縮)、遠位リング先端に可撓性ヒンジが組み込まれた機械加工サブアセンブリを用いること、又は、遠位先端で金属リングアセンブリを自由に蝶着させることができる射出成形リビングヒンジ機能(即ち、それが接続する2つの部片と同じ材料から作製された統合型ヒンジ)を用いること、を含み得る。例えば、幾つかの例では、金属リングサブアセンブリが圧縮状態にある状態で、収容バッグサブアセンブリは、患者の切開口を通して配置することを容易にし得るより小さな直径の構成に巻き取られるように構成され得る。幾つかの実施形態では、この圧縮されたかつ/又は巻き取られた収容バッグアセンブリは、外側管(例:薄壁の外側管)の内部に装填されることができ、製品輸送、装填中のバッグ管理、及び/又は患者の切開口を通しての展開、のうち1つ以上を補助することができる。
【0086】
上記されたように、現在利用可能な検体回収用ポーチは、外科医が検体バッグに装填しその後体外露出を行う間、組織を収容するように設計されている。上で言及され組み込まれた特許に記載の組織検体摘出システムは、ワイヤ、リターン電極、及び他の構成要素を含む組織切片化装置を利用している。本開示の組織検体摘出システムは、各種組織切片化器具の構成要素を例えば、切片化ワイヤ及びリターン電極を統合しており、かつ1つ以上の「コネクタ」をさらに備え得る。「組織切片化装置の構成要素」又は単に「切片化構成要素」は、組織を物理的に切断するように構成された任意の種類の切断装置を指し得る。多くの場合、これらの切片化構成要素は、別個のワイヤ又はワイヤループを備えており、それらは、力学的な力によって、又はRFエネルギーの補助を用いて、又はそれらの組み合わせを用いて、組織を通るように引かれることによって組織を切断する。しかしながら、本明細書に記載の任意の切片化構成要素は、上記の組み込まれた特許の各々で言及された切片化構成要素、本開示を通じて言及されるものいずれか、又は、公知又はまだ作り出されていない任意の他の組織切断装置、を含み得る。多くの実施形態では、これらの切片化構成要素は、患者の体内で展開される前に、本開示の検体バッグに統合され得る。このような統合型の切片化構成要素(例:切片化ワイヤループ)を有する検体バッグの例は、本開示で後に記述される。
【0087】
1つの例示的な適用では、発展的な電気外科手術システムが提供され得る。該システムは、2015年7月21日に出願され、2014年7月22日に優先日を有する、「大容量の組織を縮小して摘出するシステム及び方法」と題された、本出願人の国際特許出願PCT/US15/41407号に記載された、組織切片化及び/又は摘出等の機能の幾つか又はすべてを実施するように構成され得るのであって、上記出願の開示内容全体は、すべての目的のための参照によって、あたかも本明細書において完全に記述されているかのように、本明細書に組み込まれる。該システムは、複数のリードによって一緒になるよう結合された電気外科手術装置及び発電機(例:RF発電機又は図15のRF電源306)を含み得る。幾つかの例では、発電機(例:図15のRF電源306)は、(例えば、図16においてコントローラ108として示されているような)コントローラを備え得る。本明細書において特段の記載がない限りは、「切片化装置」という用語は、組織分割のための装置を含むものと理解されたい。さらに、この用語は、機械的切片化行為を含み、かつ/又は電気外科手術的切開行為を、例えばバイポーラ切片化行為又はモノポーラ切片化行為を含んでもよい。
【0088】
幾つかの例では、組織検体摘出システムが、大きな体積の組織検体をサイズの点で減少させるように構成される場合があり、それにより、より小さな部片が、最小侵襲手術の間に患者体内のアクセスポートを通って摘出されることができる。幾つかの例では、組織検体摘出システムが、装置を、例えば手順の間に組織検体を捕捉し収容するような検体バッグを導入及び展開するための装置を用いる場合がある。また、組織検体摘出システムは、1つ以上のRF電気外科手術用発電機を用いる場合もある。幾つかの例では、装置はRFエネルギー充填ワイヤ(例:図15のワイヤ322)を通じて組織検体を切片化するように適合されている場合がある。その際、RFエネルギーは、以下でさらに記述される1つ以上のRF電気外科手術用発電機(又は、単に、発電機。例えば、図15のRF電源306である)から受け取られる。幾つかの例では、発電機は、組織の切片化のために必要な公称電力設定値に設定され得る。電力設定値の範囲は、露出サイズ、又は組織検体とRF切断ワイヤの間の表面積に基づいて決定され得る。1つの非限定的な例では、組織の切片化のために用いられるRF電力は、60ワットから400ワットの範囲であり得る。幾つかの例では、RFエネルギー又はRF電力は、バイポーラ形式で印加され、このことは、隣接した組織構造に電流が送達されることを阻止するのに役立つ。絶縁された検体/収容バッグ(例:図15の容器312)内に組織検体を収容することは、患者の残りの体部からのさらなる電気絶縁を組織検体に加えることに役立ち得る。幾つかの実施形態では、RF発電機は、切断の導入及び維持の際に観察された電流供給とインピーダンスに少なくとも部分的に基づき、出力電流の振幅又はデューティサイクルの調節を行うことができる。幾つかの例では、組織検体摘出システムは、1つ以上のコネクタを利用して、RF電気外科手術用発電機、張力付与機構、及び切片化器具の他の構成要素を、切片化電極/ワイヤに結合することができる。
【0089】
「コネクタ」という用語は、1つ以上のコネクタピン(例:図11Bのコネクタピン10603、図12Aのピン11061)を含むコネクタハウジング(例:図11Aのコネクタハウジング10520、図12Aのコネクタ11062)、又は個別のコネクタピン自体のいずれかを指し得る。「コネクタピン」は、「コネクタ部分」とも呼称され得る。図12A-12Cのコネクタ11062等であるこれらのコネクタは、一方の端部で、例えばワイヤ11063等の切片化構成要素に、検体バッグ内で取付けられる。コネクタは、切片化装置の別個の部分と後で接続可能であるように構成されている。組織切片化装置の構成要素とこの別個の接続可能部分の間での言及及び区別を容易にするため、後者は、本明細書では「接続可能(組織切片化)機器」又は「接続可能機器の部片」と呼称されることがある。例えば、該接続可能機器は、張力付与機構アセンブリであり得るのであって、例えば、図9の張力付与機構アセンブリ又は再使用可能部分1071、又は図11Bの張力付与機構アセンブリ10606であり得る。幾つかの例では、該張力付与機構アセンブリは、組織を通るように引くための準備として、組織検体に向かう切片化構成要素(切断装置又は切片化ワイヤ)に張力付与するように構成され得る。接続可能機器は、幾つかの実施形態では、切片化構成要素が必要とする力及びRFエネルギーを切片化構成要素に印加し、リターン電流を運んでRF発電機(例:RF電源306)へと戻すことができる。このようにすると、コネクタ、切片化ワイヤ、及びリターン電極を統合する本開示の検体バッグは、受動的な検体回収ポーチの適用例のためには必要とされない追加的な構成要素を有することがあるが、これは、そのような例においては、組織の分割は、バッグに統合又は接続されていない別個のツールを用いて外科医によって実施されるからである。
【0090】
組織切片化機器(例:張力付与機構アセンブリ)と接続されているか又は接続可能であり得る検体摘出バッグを含む本開示の装置では、コネクタと関連付けられた構成要素は、組織の装填のために必要ではなく、体外露出の際にも必要ではない。本開示の装置及びシステムがこれらのコネクタを含んでいるのは、それらが組織切片化機器の接続のための1つ以上の機構(即ち、コネクタ)を組織検体収集バッグ自体に統合することは、非常に有利であるからである。特に、収集された組織検体を、検体バッグ内部に保持している間に切片化する必要があるときには、切片化構成要素(例:切片化ワイヤ又は他の切断装置)を他の接続可能な組織切片化機器(例:RF電源型張力付与装置)に迅速かつ容易に接続できることが、外科医にとって有利であり得る。切片化構成要素を迅速にアクティベートし使用することができることは、組織が可動化された後の極めて重要な瞬間において、貴重な時間を節約することができる。幾つかの実施形態では、切片化構成要素は、バッグに統合された複数のワイヤループを含んでいる。これらの切片化ワイヤの端部を管理し邪魔にならない場所にどけておき、ひとたび必要となった際には直ちにアクセス可能にしておくことは、極めて望ましい。このことにより、追加の器具の回収のために費やされる時間は削減され、かつ、機器を何度も着脱することに伴うリスクも低減される。従って、本開示の統合型のコネクタシステムは、複数の利便性及び有利な点を提供する。
【0091】
(導入管)
図13に示されているのは、本開示の様々な態様による、患者の体腔1000内で展開される回収バッグ302を有する組織検体回収装置1300である。回収バッグ302は、体腔1000から外科手術的に摘出される組織検体1002を受け入れるような形状及びサイズである。当業者であれば、摘出される特定の組織検体1002に対する回収バッグ302の適切なサイズをどのようにして選択するかを理解できよう。
【0092】
図示された実施形態では、回収バッグ302は、入力部310を有する容器312と、本開示の後続部分でさらに詳しく記述される、容器312内に配置された複数の電極308と、を有している。容器312は可撓性であり、かつカニューレ、ルーメン等の当技術分野で公知の標準的な外科手術用管を通って展開可能である、という場合がある。幾つかの実施形態では、1つのファスナ314又は複数のファスナ314が、所望の構成において、電極308を容器312に固定する(例えば一時的に、又は永久的に)ように設けられ得る。
【0093】
回収バッグ302の開放を容易化するために、ばね付勢されたリング316が、回収バッグ302の入口部319に設けられ得る。しかしながら、当業者であれば、これは本発明の実践に必須ではないことは理解できよう。幾つかの実施形態では、容器312及びファスナ314は、管を通じて、例えば展開器具1004を通じて、体腔1000内に展開され、所定の位置でばね付勢されるように構成されている。
【0094】
回収バッグ302が所定の位置に置かれた後、グラスパー1006(図1におけるグラスパー1011、図14におけるグラスパー8832としても示されている)又は当技術分野で公知の他の適用可能な手段が、患者からの摘出の前に、検体1002を操作して回収バッグ302内に入れるように設けられ得る。当業者であれば、外科手術チームがどのように検体1002を分割し、回収バッグ302内に移動させるかを理解できよう。
【0095】
図15は、本開示の様々な態様による、無線高周波(RF)発電機に結合された組織摘出システム1500の一例を示している。幾つかの実施形態では、図15に示されているように、近位方向の力Fが電極322に適用され、組織切片化動作を始動及び/又は維持することができる場合がある。幾つかの例では、電極322はアクティブ電極ワイヤであり、図13に関連して記述された電極308に類似であるか又は実質的に類似である、という場合がある。当業者であれば、アクチュエータ304及び回収バッグ302を静止位置に維持するために反対方向の力が必要であることを理解できよう。
【0096】
幾つかの実施形態では、検体1002及び電極308を収容する回収バッグ302の一部は、体腔1000の内壁1001に接触しないように、構成されている。幾つかの実施形態では、遠位挿入管(例:図12Aの挿入管11051)が設けられ、電極322が検体1002を通るように引張られている間、検体1002は該遠位挿入管に接することができる。幾つかの実施形態では、体腔1000を熱ダメージから保護するために、さらなる熱障壁(図示されてはいない)が、回収バッグ302の壁内又は回収バッグ302の外側面上に設けられている。該熱障壁は、空気又は流体によって膨張させられ得る断熱層又は特徴を含んでいる場合がある。幾つかの実施形態では、外科医が、体腔1000の内側とのいかなる接触も発生していないことを視覚的に確かめるために、腹腔鏡カメラを用いる場合がある。
【0097】
幾つかの実施形態では、回収バッグ302の体外露出の後、アクチュエータ304は、電極322の近位部分320に結合され得る。当業者であれば理解できるように、無線高周波(RF)電源等の発電機306は、アクチュエータ304に結合され得るのであって、リターン電極330は、以前に行われていなかった場合は、回収バッグ302に結合され得る。図15に示されている組織摘出装置300は、1つ以上の実装に従う、組織切片化の準備状態である。
【0098】
図7は、本開示の様々な態様による、アクチュエータ11404の構成要素の斜視図を示している。アクチュエータ11404は、本明細書に記載のアクチュエータに類似であるか又は実質的に類似であり得るのであって、本明細書に記載のアクチュエータには、少なくとも図15のアクチュエータ304が含まれる。見られるように、アクチュエータ11404は、アクチュエータハウジング11406、遠位挿入管538、第1の引張りアセンブリの第1のばね512(例:図10Cではプーリー10944として示されている)、第2のばね514、第1のコネクタロッド516、第2のコネクタロッド518、電力ストリップ534、ばね分離壁535、及びばね事前張力付与ラッチ524、を備えている。幾つかの実施形態では、アクチュエータ11404は、以下のようなハウジング11406を備えており、即ち、1つ以上の引張りアセンブリと、ユーザがアクチュエータ11404の位置を制御することを補助するためのハンドル(例:図2のハンドル10211及び/又は1018)と、を支持するハウジング11406を備えている。幾つかの例では、第1の引張りアセンブリは、切片化手順の前及び/又はその最中に、第1の電極又は第1のクリンプ電極セット等によって第1の力F1を検体上に適用するように、構成されている。第2の引張りアセンブリは、切片化手順の前及び/又はその最中に、第2の電極又は第2のクリンプ電極セット等によって第2の力F2を検体上に適用するように、構成され得る。第1の力F1は、第2の力F2の適用を開始する前に、適用又は開始され得る。第1の力F1は、第2の力F2の適用を開始する前に完了させられる場合もある。第1の力F1は、第2の力F2の適用の一部を通じて継続される場合もある。第1の力F1及び第2の力F2の大きさは、本開示の他のセクションで論じられるやり方で、制御及び変化させられ得る。即ち、力F1、F2は、切片化手順の間に変化する、検体にかかる近位方向の力を、もたらすことができる。必須ではないが、幾つかの実施形態では、第1の力F1及び第2の力F2は、同等又は類似の大きさを有し得る。
【0099】
第1の引張りアセンブリは、第1のばね512を備え得るのであって、第1のばね512は、第1のばね-コネクタロッドブロック(図示されてはいない)によって第1のコネクタロッド516に結合されている。幾つかの実施形態では、第1のばね512(及び/又は第2のばね514)は、直線ばねであり得る。代替的には、第1のばね及び第2のばねは、一定トルクばねであり得るのであって、これについては図10Cに関連して以下で記述される。第1のコネクタロッド516は、第1の電極セットに結合されている場合もあれば、又は結合されるように構成されている場合もある。さらに、第2の引張りアセンブリは、第2のばね514を備え得るのであって、第2のばね514は、第2のばね-コネクタロッドブロック(図示されてはいない)によって第2のコネクタロッド518に結合されている。第2のコネクタロッド518は、第2の電極セットに結合されている場合もあれば、又は結合されるように構成されている場合もある。幾つかの例では、アクチュエータ11404のばねホルダ又はばね事前張力付与ラッチ524は、切片化手順の前に、ばね512、514を張力付与状態に保つことを補助し得る。幾つかの実施形態では、電力ストリップ534が、電極(例:第1、第2ののセットの電極)に電力を印加するように用いられ得る。幾つかの例では、電力ストリップ534は、第1の引込みアセンブリと第2の引張りアセンブリの間に分離壁を提供すべく、ハウジング11406内で固定及び絶縁されている場合がある。この例では、電力ストリップ534は、ばね分離壁535と整列させられているか又はそれに取付けられている。
【0100】
幾つかの例では、遠位挿入管538は、アクチュエータ11404が腹腔鏡開口部内に挿入されることを可能にし得るのであって、管538の長さは、以下のような、即ち、管538が患者の体内に完全に挿入された状態で、検体1002及び電極308が、腹壁又は胸壁であり得る体腔1000の内部と接触しない状態を維持するような、長さである。挿入管538の遠位端は、丸みを帯びている場合があり、かつ/又は電極308が挿入管538と検体1002の間を通過することを容易化するように、潤滑性材料(例:図12Aの潤滑性コネクタ11062として示されている)を含んでいる場合がある。幾つかの実施形態では、挿入管538の遠位端は開口部を備えている場合があり、又はワイヤの動きを容易化するようなコンプライアント材料から成っている場合がある。適切な器具挿入長さは、遠位挿入管の近位の器具サイズによって決定され得る。遠位挿入管538はまた、膨張可能部分を、例えばアクチュエータ近傍の近位端に含んでいる場合がある。その場合、該膨張可能部分は、検体1002と体腔内壁1001の間に位置しており、電極308を引込ませる間にワイヤ又は電極が患者の体壁に接触することをさらに防止する。幾つかの実施形態では、追加的な熱障壁(図示されてはいない)が回収バッグ302の壁内又は回収バッグ302の外側面上に設けられ、体腔1000との接触部は、存在したとしても、熱ダメージからは保護され得る。この熱障壁は、空気又は流体で膨張させることができる断熱層又は断熱部分を含み得る。幾つかの実施形態では、外科医は、腹腔鏡カメラを用いて、体腔1000の内部との接触がないことを視覚的に確認することができる。
【0101】
幾つかの例では、切片化手順は、図2の導入管1021等の導入管(イントロ管(intro tube)とも呼称される)を組み込んでいる。この管は、切片化器具から独立しているにせよその一部であるにせよ、装填され体外露出されるバッグの開口部を通して配置され得る。幾つかの例では、図2の切片化ワイヤループ1025又は図21の切片化ワイヤループ8304等の切片化ワイヤループは、管の内側チャネル又はルーメンを通過するように構成され得るのであって、これは、図2、12A-13に関連して以下で記述される。幾つかの例では、導入管の遠位端は、切片化される組織の近位に配置され得るのであって、例えば、患者の腹腔内ではあるが患者の腹膜には遠位の位置に配置される場合がある。幾つかの例では、イントロ管の遠位端は、組織及び/又は切片化ワイヤループが導入管を通して引込ませられる際、組織及び/又は切片化ワイヤループに対する反力を与えるように役立ち得る。追加的又は代替的には、このイントロ管は、切片化手順の継続中に、患者の切開口、周囲の組織、及び患者の切開口を通過させられる検体バッグ、のうち1つ以上を保護することを容易化し得る。幾つかの例では、このイントロ管は、それがトロッカーのルーメン内に配置されることができるような、形状及びサイズであり得る。幾つかの他の例では、バッグはトロッカーに統合されるか又は結合されるように設計され得る。
【0102】
幾つかの実施形態では、検体バッグから完全に独立した単一のアクティブ電極が、組織検体を分割するように利用され得る。さらに、幾つかの例では、リターン電極は、アクチュエータ導入管の遠位端上の特徴として包含され得る。幾つかの実施形態では、リターン電極は、切片化の間に組織検体を保持するように用いられるグラスパーの一部であり得るのであって、これは、図1及び2に関連して以下でさらに記述される。代替的には、リターン電極が導電性グラスパー全体を含んでいる場合もある。さらに他の例では、リターン電極はグラスパーの内側面内の導電性部分であり得るのであって、このことは、周囲のアクティブ電極と該リターン電極の偶然の接触を防止することに役立つ。
【0103】
幾つかの例では、アクティブワイヤループは、アクチュエータシャフト又は導入管の一部を下って延び、アクティブ電極ループ(例:図2のアクティブ電極ループ1025)を展開するように、構成され得る。幾つかの例では、アクチュエータ上の1つ以上の特徴又は機構が、ワイヤが遠位方向に伸長して球根状ループ形状になるよう促すように、用いられ得るのであって、これは、図2に関連して以下でも記述される。幾つかの実施形態では、グラスパー又はワイヤループは、組織検体を再配置するための関節部分/機構を備えている場合があり、これにより、ワイヤループが意図された位置で組織検体を切片化することが可能になる。そのような例では、ワイヤループ(例えば、組織検体の一部を今まさに取り囲もうとしている部分)は、手動の、機械的な、又は電気機械的な手段で引込ませられ、組織検体の一部を包み込むことができる。追加的又は代替的には、RFエネルギーは、組織検体を通るようにワイヤループを引張るための機械的力と共に用いられ、、組織を分割することができる。このプロセスは、組織検体をより小さなチャンク又は切片に分割するために必要に応じて繰り返されてよいことには、注意されたい。幾つかの状況では、RFエネルギーは、分割されるべき組織切片が小さいか又は密度が小さい場合には、必要でないこともある。換言すれば、小さいか又は密度の低い組織検体を分割するためには、機械的手段で十分である場合がある。上で議論されたアプローチは、組織検体を取り囲む複数のワイヤループのために用いられてもよいことには、注意されたい。
【0104】
幾つかの実施形態では、上記の単一のワイヤループカッター(例:アクティブ電極ループ)は、1回の外科処置内での1回の分割又は複数の分割のための使い捨て製品として用いられ得る。幾つかの他の例では、単一のワイヤループカッターは、処置と処置の間に再洗浄及び消毒される場合があり、つまり、複数の処置に用いられるように構成される場合がある。後者の例では、機能的な制限が、複数のRFアクティベーションのためのワイヤループの完全性に依存する場合がある。幾つかの実施形態では、ワイヤループは、ワイヤの余分な長さを収納するために、ワイヤループの各端に1つ以上のスプールを備えている場合があり、これは、図9-10に関連して以下でさらに記述される。そのような例では、RFアクティベーションの後に、スプール上の余分なワイヤは、例えば、使用済のワイヤ部分を巻き取り、かつ巻き取られるワイヤの未使用部分をその後の切片化のために残すように、前進させられ得る。必須ではないが、幾つかの例では、ワイヤスプールは、その後の使用のための詰め替え可能なカートリッジとして交換されることができる。
【0105】
図1は、本開示の一実施形態による、リターン電極を組み込んだグラスパー1011の一例を示している。見られるように、グラスパー1011は近位端及び遠位端を有しており、グラスパー1011は、1つ以上のハンドル1018及びリターン電極ケーブル1014を近位端に備えており、把持トング1016を遠位端に備えている。この例では、グラスパー1011はまた、把持トング1016とハンドル1018の間に配置された管1012も備えている。管1012は、非導電性の外側面及び中空の内部を備え得る。幾つかの実施形態では、リターン電極ケーブル1014の少なくとも一部は、管1012の内部に受け入れられ得る。さらに、非導電性の外側面を有する管1012は、例えば、リターン電極ケーブル1014とアクティブ電極(図1に示されてはいないが、図2ではアクティブ電極ワイヤループ1025として示されている)の間の電気的短絡の発生可能性を最小化又は低減することによって、リターン電極ケーブル1014を保護することに役立ち得る。幾つかの実施形態では、グラスパー1011の遠位端の少なくとも一部分は、例えば把持トング1016は、導電性であり得る。さらに、グラスパーの遠位端は、例えばハンドル1018は、非導電性である場合があり、又は電気絶縁材料(幾つか非限定的な例を挙げると、プラスチック、ポリマー、硬質ゴム等)から成る場合がある。このようにすると、ユーザ(例:外科医)及び/又は患者は、RFエネルギー伝導から離隔されることができる。
【0106】
幾つかの例では、把持トング1016の一部分のみが、リターン電極ケーブル1014に電気的に結合され得る。見られるように、把持トング1016は、第1の顎部1019-a及び第1の顎部に対向する第2の顎部1019-bを備えている。非限定的な1つの例では、把持トング1016は、第1及び/又は第2の顎部1019の内側面1017上に導電性部分を備え得る。上記のように、このことは、周囲のアクティブ電極(例:図2のアクティブ電極1025)との偶然の接触を防止することに役立ち得る。他の例では、把持トング1016の第1及び/又は第2の顎部1019は、リターン電極ケーブル1014に電気的に結合されており、リターン電極として機能する、という場合がある。幾つかの他の例では、顎部1019の一部分のみが、又は2つの顎部1019のうち一方のみが、リターン電極として機能する場合もある。上で列挙された例は、限定することを意図されておらず、異なるリターン電極の構成が異なる実施形態において考えられることは、注意されたい。
【0107】
図2は、本開示の幾つかの態様による、組織切片化装置1020の一例を示している。組織切片化装置1020は、図1に関連して上記されたリターン電極グラスパー1011の1つ以上の態様を実装している。見られるように、組織切片化装置1020は、近位端及び遠位端を備えており、近位端は、1つ以上のハンドル1018、押込み/引張りハンドル10211、及び複数のケーブル1014、10210、を有している。幾つかの例では、ケーブルのうち1つ(例:ケーブル1014)がリターン電極ケーブルであり、他のケーブル(例:ケーブル10210)がアクティブ電極ケーブルである。組織切片化装置1020は、第1の内径を有する導入管1021をさらに備えており、ここで、第1の内径は、グラスパー(即ち、その管1012を含むグラスパー1011)、及びワイヤループ1025を患者の切開口に通過させるための内側管又はルーメンを受け入れるのに十分なサイズである。幾つかの例では、ワイヤループ1025は、伸長位置及び引込み位置を備えている。図2に示されているように、伸長位置にあるとき、ワイヤループ1025は、導入管の遠位端から伸長するか又はそこから延びており、球根状ループ形状を備えている。さらに、引込み位置(図示されてはいない)にあるとき、ワイヤループ1025は、導入管1021の遠位端内に折り畳まれるか又はその中に引き戻されるように、構成されている。非限定的な1つの例では、ユーザ(例:外科医)は、押込/引込みハンドル10211を操作し、ワイヤループ1025を伸長させるか又は引込ませることができる。組織切片化装置1020は、把持トング1016とハンドル1018の間に配置された管1012をさらに備えている。管1012及び把持トング1016は、図1に関連して記述されたものと類似であるか又は実質的に類似であり得る。幾つかの例では、組織切片化装置1020又はアクチュエータは、管1012及び把持トング1016を備えた統合型のリターングラスパーを、以下のように、即ち、その移動経路が一般的に又は常にアクティブ電極(例:図2のワイヤループ1025)から分離されているように、ガイドするための1つ以上の部分(例:近位端にあるガイド部分1027)を備え得る。幾つかの例では、ワイヤループ1025等のアクティブ電極ワイヤは、ケーブル10210を介して導入管1021の近位端内へとガイドされている。
【0108】
幾つかの実施形態では、組織切片化装置は、組織検体の切片化のために1つ以上のワイヤループを利用する場合があり、ループ切片化部とも呼称され得る。幾つかの例では、単一のワイヤループを備えたループ切片化部が利用され得る。このワイヤループは、ルーメン(例:図12A-12Cのマルチルーメンチューブ)の遠位端の外側へと延びるように構成され得るのであって、そのような場合、該ルーメンは導入管又はトロッカーの内径内に嵌合するような形状及びサイズであり得る。切片化の前又はその最中に、遠位ワイヤループ(例:図2のワイヤループ1025、図12Aのワイヤループ11063)は、組織の周囲に配置され得る。その後、ワイヤループは、それが組織検体の周囲を閉じる/巻回するように、引込ませられ得る。幾つかの例では、ワイヤループは、組織検体内へと引張られ、組織の圧縮が提供され得る。幾つかの実施形態では、ルーメンは、組織検体がリターン電極に接触するように、(例えば、患者の切開口の内部に)引き下げられるように構成され得る。これにより、アクティブ電極又はワイヤループが組織検体に接触する場所にある組織検体の分割が可能になる。幾つかの実施形態では、ルーメンは再使用可能に設計されている。例えば、幾つかの例では、ルーメンは、使用前に新しい切片化ワイヤを挿入することによって、複数回の再使用が可能になる。幾つかの例では、切片化ワイヤは、一回のみ使用のワイヤであり得る。あるいは、切片化ワイヤは、組織切片化の分割後に除去され、次回の使用時の前に消毒/洗浄され得る。
【0109】
本開示の幾つかの態様は、静的又は折り畳み可能なワイヤスクリーンに関する。幾つかの実施形態では、例えば、組織検体が静止アクティブ電極内に引張られるとき、静止アクティブ電極は、折り畳まれてアクチュエータ器具の遠位端に引込ませられるように構成され得る。そのような例では、アクティブ電極は、展開位置及び収納位置を備えており、その際、展開位置にあるアクティブ電極は、アクチュエータ器具(又は導入管)の遠位端を通って延びており、収納位置にあるアクティブ電極は、アクチュエータの一部の内部に収納されている。このような設計によって、静止アクティブ電極を、患者の切開口を通って、かつ/又は装填された組織検体バッグの内部に、ガイドすることが容易化される。幾つかの実施形態では、ひとたびアクチュエータ又は導入管の遠位端が患者の切開口内に配置されると、アクティブ電極は格納位置から展開位置へと移動させられる。展開位置では、アクティブ電極は導入管の遠位端から延びるか又は伸長しており、このことは、例えば、より大きな組織検体を分割するために、電極プロファイル(例:アクティブ電極の表面積)を増大させることに役立つ。
【0110】
非限定的な1つの例では、アクティブ電極は、導入管(例:図2の導入管1021)の遠位端から延びる薄型エッジを備えている。幾つかの態様では、この薄型エッジ突出部は、アクティブ電極の露出サイズを制限することに役立つ。代替的には、アクティブ電極の突出エッジの大部分をコーティングし、それによって最遠位端以外はコーティングされない場合があり、このことも、アクティブ電極のサイズを制限できる。幾つかの例では、このアクティブエッジ突出部は、以下のような引込み可能部分の一部である場合があり、即ち、例えば、患者の切開口と幾つかの例では検体バッグとを通して展開される際に、電極エッジが導入管内に収納されていることを可能にする、引込み可能部分の一部である場合がある。ひとたび所定の位置に置かれると、電極のリーディングエッジは、分割ステップ(即ち、組織が電極エッジ内に引張り込まれて組織切片化が引き起こされるとき)のために展開され得る。この静止アクティブ電極のサイズ及び位置が組織分割の形状及び位置を決定し得ることには、注意されたい。
【0111】
図3、4、及び5に移ると、同図は、本開示の幾つかの態様による、折り畳み可能なワイヤスクリーン電極の幾つかの例を示している。図3は、管1032と、1つ以上のハンドル1018と、ケーブル1014と、を備えた組織切片化装置1031の一例を示している。管1032は、折り畳み可能なワイヤスクリーン電極を収容するような形状及びサイズであり得る。幾つかの実施形態では、折り畳み可能なワイヤスクリーン電極は、管1032の遠位端1036から延びるように構成されており、これは図4に関連して以下で記述される。
【0112】
図4は、本開示の幾つかの態様による、展開位置にある、図3の組織切片化装置1031を示している。この例では、組織切片化装置1031は、管1032の遠位端1036から延びるワイヤスクリーン電極1047を備えている。ワイヤスクリーン電極1047は、ある角度(例:90度未満の角度)で管1032の遠位端から延びる複数のタイン1045を備えている。収納位置(図3で示されている)では、複数のタイン1045が、管1032の遠位端内へと折り畳まれかつ/又は引込ませられるように構成されている。幾つかの例では、複数のタイン1045は、収納位置にあるとき、平行構成又は実質的に平行な構成で(例えば、管1032内に、又は管の遠位端1036に)配置されている。幾つかの例では、電極ケーブル1014(例:アクティブ電極ケーブル又はリターン電極ケーブル)は、タイン1045に電気的に結合されており、組織切片化装置1031の近位端から導入されるという場合がある。ここで、組織切片化装置1031の近位端は、例えば、ハンドル1018にあるか又はその近傍にある。さらに、タイン1045(又はアクティブ電極ワイヤ1045)は、管1032の遠位端1036から患者の切開口内へ展開され得る。幾つかの例では、アクティブ電極又はタイン1045は、1つ以上のばねを含むばね負荷機構によって(即ち、タイン1045の完全な展開を推進するために)展開され得る。このことは、アクティブ電極又はタイン1045が、より大きな組織検体を受け入れ切片化するために、管1032の遠位端1036から伸長することを、可能にする。図7、8、及び/又は21は、1つ以上の実装による、タイン1045を管1032から伸長させるために利用できるばねの幾つかの非限定的な例を示している。ばね負荷機構以外の他の適用可能な機構が、異なる実施形態において考えられるのであり、本明細書で列挙された例は限定することを意図されていないことは、注意されたい。
【0113】
図4で最も明確に見られるように、ワイヤスクリーン電極1047のアクティブ電極又はタイン1045は、展開位置にあるとき、ウェブ(例:蜘蛛の巣)の形状を取り得る。そのような設計によって、外科医又はユーザが、分割のために、電極ウェブ(又はワイヤスクリーン電極1047)を組織検体(図示されてはいない)へと押し込むことが可能になり得る。
【0114】
図5は、本開示の幾つかの態様による、グラスパー及びリターン電極ケーブル1014を備えた、図4の組織切片化装置1031を示している。図5の組織切片化装置1031は、図1-4に関連して記述された組織切片化装置の1つ以上の態様を実装している。この例では、組織切片化装置1031は、導入管1052、複数のハンドル1018、アクティブ電極1054、リターン電極ケーブル1014、把持トング1016、及び、複数のアクティブ電極又はタインを備えるワイヤスクリーン電極1047、を備えている。幾つかの例では、把持トング1016は、リターン電極を含んでおり、かつ/又はリターン電極ケーブル1014に電気的に結合されている、場合がある。さらに、複数のタイン1045を備えたワイヤスクリーン電極1047(又は電極ウェブ1047)は、アクティブ電極1054に電気的に結合され得る。ユーザ又は外科医は、組織切片化装置1031の近位端に設けられたハンドル1018によって、グラスパー及びワイヤスクリーン電極1047を個別に操作することができる。幾つかの例では、導入管1052は、図2に関連して記述された導入管1021に類似又は実質的に類似であり得る。具体的には、導入管1052は、その内側体積部分内で、(即ち、その収納又は折り畳み構成にある)把持トング1016及びワイヤスクリーン電極1047に嵌合するような形状及びサイズであり得る。換言すれば、把持トング1016及びワイヤスクリーン電極1047は、導入管1052内に収納されており、切片化手順の前(又はその最中)に導入管の遠位端1036から伸長するように、構成され得る。
【0115】
幾つかの例では、図5に見られるように、リターン電極グラスパー(即ち、把持トング1016)が、伸長されたワイヤスクリーン電極1047を通して組織検体を引張るように、用いられてもよい。幾つかの例では、リターン電極グラスパーは、図1及び/又は2に関連して上記されたリターン電極グラスパー1011に類似であるか又は実質的に類似であり得る。幾つかの例では、把持トング1016を備えたリターン電極グラスパーは、導入管又はアクチュエータ管1052内に嵌合するような形状及びサイズであり得る。幾つかの実施形態では、上記の機構を伸長させる方法によって、以下のことが、即ち、1つ以上の電極又はタイン1045が、切片化されるべき組織検体全体のサイズに適切に合致するように、圧力を用いて伸長させられる/折り畳まれることが、可能になり得る。
【0116】
図6は、本開示の幾つかの態様による、組織切片化装置1061の他の例を示している。組織切片化装置1061は、本明細書に記載の他の組織切片化装置の1つ以上の態様を実装するのであり、本明細書に記載の他の組織切片化装置には、図2及び/又は5に関連してそれぞれ記述された組織切片化装置1020及び/又は1031が少なくとも含まれる。この例では、組織切片化装置1061は、管10602の遠位端に配置された折り畳み可能ワイヤ電極切片化部10612、管10602の遠位端に配置されたグラスパー10615、管10602の近位端の1つ以上のハンドル1018、管の近位端に配置された押込み/引張りハンドル10611、及びケーブル10608、を備えている。幾つかの例では、ワイヤ電極切片化部10612(又は、単純に、電極10612、又は切片化部10612)が、例えばグラスパー10615に結合されているか又はその一部である、単一のアームリターン電極を備えている。
【0117】
幾つかの例では、管10602は、非導電性の外側面を備えており、組織切片化装置1061の1つ以上の電極/ワイヤのためのハウジングとして機能する。組織切片化装置1061の1つ以上の構成要素は、収納/折り畳み位置と展開位置の間を移動可能であり得る。図6は、展開位置にある組織切片化装置1061を示しており、ここで、グラスパー10615及び切片化部10612が、管10602の遠位端から突出/伸長している。収納位置では、グラスパー10615及びワイヤ電極10612は、それらが管10602の遠位端へと引込ませられ得るように、折り畳まれるように構成されている。この折り畳み可能ワイヤ電極10612は、2つの長手方向ロッド10656の間を延びる、複数の水平方向を向いたワイヤ/電極10645を備えている。見られるように、この長手方向ロッド10656は、展開位置にあるとき、管10602の中心軸に平行であるか又は実質的に平行である。長手方向ロッド10656の各々は、近位端及び遠位端を備えている。さらに、長手方向ロッド10656の各々は、近位端で他のロッド10657(又は角度を有するロッド10657)に結合されており、角度を有するロッド10657の近位端は、グラスパー10615及び管10602の1つ以上に結合されている。例えば、角度を有するロッド10657の近位端は、グラスパー10615の基部に結合されており、そしてそれが管10602の遠位端に結合されている、という場合がある。代替的には、角度を有するロッド10657の遠位端及びグラスパー10615の近位端が、管10602の遠位端に結合されている。
【0118】
幾つかの例では、グラスパー10615は、リターン電極を備えており、切片化部10612のアクティブ電極/ワイヤ10645から電気絶縁されている。ここで、グラスパー10615は、組織検体を把持しかつ/又は組織検体を切片化のための位置へと引張り込むための、1つ以上の歯10622を備えている。非限定的な1つ以上の例では、リターン電極は、1つ以上の歯10622に電気的に結合されている場合がある。即ち、グラスパー10615の一部分のみが、リターン電極として機能する場合がある。他の例では、グラスパー10615の大部分又はすべてが、リターン電極を形成する場合もある。幾つかの例では、角度を有するロッド10657、長手方向ロッド10656の1つ以上が導電性であり、アクティブ電極の一部を形成している、という場合がある。代替的には、ロッド及び/又は長手方向ロッド10657は、非導電性の外側面を備えている場合があり、そのような場合、アクティブ電極はワイヤ10645によって形成される。ワイヤ10645のすべてが導電性であるというわけではないことは注意されたい。非限定的な1つの例では、ワイヤ10645が1つおきに導電性の外側面を有しているという場合がある。代替的には、第1のワイヤ(例:管10602の遠位端に最も近いワイヤ)及び最後のワイヤ(例:ワイヤ電極切片化部10612の遠位端にあるワイヤ)のみが、露出させられているか、又は導電性外側面を有するという場合がある。
【0119】
上記のように、リターン電極は、アクティブ電極/ワイヤから電気絶縁されている場合がある。即ち、リターン電極を備えたグラスパー10615は、切片化手順の間、ワイヤ10645及び/又は長手方向ロッド10656の1つ以上から電気絶縁されている場合がある。幾つかの例では、管10602は、サイドチャネル10659を備えており、このサイドチャネル10659は、各々、角度を有するロッド10657の対応する1つに結合されたスライドロッド10658を受け入れるような、形状及びサイズである。スライドロッド10658は、押込み/引張りハンドル10611の動きに基づき、サイドチャネル10659内でスライドするように構成されている。例えば、押込み/引張りハンドル10611を近位方向に引張ることで、ワイヤ電極切片化部10612を折り畳み、切片化部10612及び/又はグラスパー10615を管10602の遠位端内へと引込ませることができる。同様にして、組織切片化装置1061は、押込み/引張りハンドル10611を押し込むことによって、以下のような、即ち、ワイヤ電極10612及び/又はグラスパー10615が管10602の遠位端から延びているような、図6に見られる展開位置へと移動させられ得る。幾つかの実施形態では、ハンドル1018は、グラスパー10615を操作するように、例えば、切片化手順の間に組織検体を把持し、保持し、かつ/又は引張るように、用いられ得る。
【0120】
幾つかの例では、ハウジング又はケーブル10608は、アクティブ電極、リターン電極等の1つ以上の電極/ワイヤを収容することができる。幾つかの例では、ケーブル10608はまた、以下のような入力パワーケーブルを、即ち、電力又はエネルギー(例:RFエネルギー)を、例えばRF電源306を介して、組織切片化装置1061に対して供給するように用いられる、入力パワーケーブルを備えている場合がある。
【0121】
幾つかの他の例では、グラスパー10615及び/又は歯10622は、非導電性であり得る。即ち、グラスパー10615は、リターン電極を組み込んではいない場合がある。幾つかの例では、組織切片化装置1061は、1つ以上の折り畳み可能タイン(例:電極/ワイヤ10645)を備えており、その場合、折り畳み可能タインの少なくとも1つは、リターン電極接続部を統合している。非限定的な1つの例では、電極/ワイヤ10645の1つ以上がリターン電極を含んでおり、かつ電極/ワイヤ10645の1つ以上がアクティブ電極を含んでいる、という場合があり、そのような場合には、アクティブ電極は、リターン電極から分離/電気絶縁されている。例えば、電極/ワイヤ10645が交互にアクティブ電極及びリターン電極であるという場合がある。このようにすると、アクティブ電極、リターン電極、及びグラスパー10615を統合した複数の電極/ワイヤ10645を、例えばカーニバルグラスパー機械(carnival grasper machine)のように、組織検体を把持するように用いることができる。
【0122】
幾つかの例では、組織切片化装置1061が、伸長タイン10645を折り畳むため、かつ/又は伸長タイン/ワイヤ10645を管10602内へ戻すよう引張るための機構を備えている。さらに、RFエネルギーの補助によって、組織検体は、タイン又はワイヤ10645が器具内に折り畳まれる際、水平方向切片に切片化され得る。幾つかの例では、リターン電極は、折り畳み可能なシステムの対向する力の「脚」(leg)であって、限定されるわけではないものの、例えばグラスパー10615に配置されるか又は組み込まれ得る。上記のプロセスは、患者の切開口から摘出するには大きすぎる組織切片をさらに切片化するように繰り返され得る。
【0123】
幾つかの例では、リターン電極は、組織検体に接触して配置される導電性構成要素である。その導電性構成要素は、以下のうちいずれかであり得るのであって、即ち、バッグ(例:図16のバッグ161)及びワイヤ(例:図16の電極153、155、157、159)の近位に配置され、バッグ及びワイヤが展開されたときには、リターン電極が近傍に位置する、構成要素、又は、装置(例:電気外科手術器具102)の遠位端に統合されており、組織検体に接触もする構成要素、のいずれかであり得る。他の実施形態では、リターン電極は、固定位置にあるルーメン(例:図12Aのマルチルーメンチューブ11052)の遠位端に結合されている場合がある。リターン電極(例:図15のリターン電極330)は、アクティブワイヤ(例:図15の電極322、図12Aのワイヤ11063)から電気絶縁されており、リターン電極部位において、切断を最小化又は排除するためにかつ/又は熱を減少させるために十分なサイズである。リターン電極は、装置の遠位のルーメンの中央部に配置された、円形、平坦、又は丸みを帯びたディスクを備えている場合もあれば、装置の遠位のルーメンを取り囲むリングを備えている場合もある。リターン電極は、組織切片化装置の遠位端に配置された展開可能な接触領域を用いて、組織に適用され得る。これらの接触領域は、通常、バッグの展開の前には閉鎖位置にあり、展開に際しては、回動運動で、装置の遠位端を超え、さらにルーメンの径を超えて、外向きに延びることができる。結果生じる幾何的形状は、装置のルーメンの遠位端上方の面内の円周に沿って接触ポイントを形成する遠位端開口部を取り囲む、延長部を有する。これらの延長部の材料は、主として、該延長部の内側面及び/又は最遠位面のいずれかに導電性層が配置された状態の高温に耐えることができる、断熱材から成り得る。あるいは、延長部は、組織のみが金属の導電性部分に接触するように、電気絶縁又は断熱材料を用いて部分的にコーティングされた金属から成ってもよい。組織切片化装置は、ワイヤが引込ませられたときにアクティブ電極がリターン電極と接触することがないように、構成され得る。例えば、アクティブ電極ワイヤは、絶縁特徴であって、リターン電極に、又はその上方に取付けられているか、又はワイヤを取り囲んでいる、絶縁特徴の使用を通じて、リターン電極から離れるように、導かれ得る。この絶縁特徴は、例えば、切片化手順の間に電気絶縁を提供しつつ、アクティブ電極ワイヤ(例:ワイヤ11063)をガイドしてそれらがチューブ内へスライドすることを可能にし、それによってリターン電極をアクティブ電極ワイヤから絶縁する、小さなチューブ又は管(図12Aのルーメン又はチャネル11053)であるが、これらに限定されるわけではない。
【0124】
本開示の幾つかの実施形態では、遠位リターン電極を有する導入管(例:図2の導入管1021、図12Aの導入管11051)が、アクティブ電極ワイヤループ(例:図2のワイヤループ1025、図12Aのワイヤループ11063)と一緒に用いられ得る。上記のように、幾つかの例では、遠位リターン電極は、導入管1021の遠位端で、グラスパー又は図2の把持トング1016等の把持トングに組み込まれ得る。
【0125】
幾つかの他の例では、このリターン電極は、図22において、導入管12010(図2、5、及び/又は12Aにおいて、それぞれ導入管1021、導入管1052、及び/又は導入管11051として示されてもいる)の遠位端に、2つの導電性同心リング12015及び12020によって組み込まれている場合がある。幾つかの実施形態では、絶縁リング12025(空間12025とも呼称される)は、2つの導電性同心リング12015、12020を電気絶縁するために、それらが電気的に結合しないよう、2つの同心リング12015、12020の間に配置されており、これにより、デュアル電極が提供される。幾つかの例では、同心リングの各々は、回路の別個の側に電気的に結合されており、該回路は、2つの同心リング12015、12020の間のインピーダンス又は抵抗値を測定するように構成されている。幾つかの例では、両方のリング間にわたって接触している組織のインピーダンスを検出するための問い合わせ信号が、回路に適用され、それによって、第1の検体接触クオリティモニタ(SCQM、Specimen Contact Quality Monitor)が得られ得るのであって、その際、第1のSCQMは、両方の同心リング12015、12020と組織の接触(存在するならば)を示す。
【0126】
幾つかの他の例では、単一の導電性リング(例:導電性リング12015又は導電性リング12020)が、導入管12010の遠位端に配置され得る。導電性リング(例:導電性リング12015)は、インピーダンス測定回路の1つの側に電気的に結合され得る。幾つかの例では、インピーダンス測定回路のもう一方の側(又は端部)に、リターン電極(例:リターン電極330)が接続され得る。幾つかの例では、リターン電極と導入管の遠位端の間の組織インピーダンスを検出するための問い合わせ信号が適用され、その結果第2のSCQMが得られる場合がある。幾つかの例では、第2のSCQMは、(1)リターン電極と組織検体の接触、及び(2)組織検体と導入管の遠位端の接触、を検出するように構成されている。
【0127】
幾つかの態様では、上で論じられた同心リング設計は、組織が導入管(例:図2、5、12Aにおいて、それぞれ導入管1021、1052、11051として示されている)と接触しているかどうかを、(例えば、RFエネルギーが適用される前に)決定することに役立ち得る。
【0128】
図22は、導入管12010の遠位端に配置された同心リング12015、12020を示す実施形態(2200)を描いている。ここで、同心リング12015、12020は、本開示の様々な態様に従い、導入管の同じ遠位表面上に平面配向で配置されている。さらに、図23は代替的な実施形態(2300)を示しており、ここでは、導入管12010の遠位端に、例えば導電性リング12020である単一の電極が配置されており、かつ、導入管12010の側面上に、同心リング12015が配置されている。幾つかの例では、リング12015、12020は、絶縁リング又は空間12025によって分離されており、絶縁リング12025は、導入管12010の側面上に配置されている。幾つかの状況では、図23に示された実施形態(2300)は、同心リング12015、12020をより大きく分離させることを可能としている一方、各同心リングの表面積をより広くすることを可能にしてもいる。
【0129】
幾つかの他の例では、2つの電気絶縁された導電性半球(例:図24に示された実施形態2400の導電性半球12030及び12035)は、導入管12010の遠位端上に配置及び位置決めされている。幾つかの例では、導電性半球12030及び12035は、2つの導電性半球の間に配置された絶縁間隔12040によって電気絶縁されている。絶縁間隔12040は、導電性半球12030、12035が電気的に結合されていないことを保証することを補助し、それによって、導入管12010の遠位端にデュアル電極構成を設けることができる。他のタイプのデュアル電極構成が、異なる実施形態において実装され得るのであり、上で列挙した例は、限定することを意図されてはいない。例えば、幾つかの例では、リターン電極は、同心リング(例:同心リング12015、12020)の1つ以上に電気的に結合され得る。単一のリング又は導電性半球へのリターン電極の接続は、接続された同心リングを通じたRF電流のリターン部接続を提供することに役立ち得る。そのような例では、他の(即ち、リターン電極に接続されていない)同心リングは、問い合わせリング又は組織センシングリングとして機能する。あるいは、幾つかの実施形態では、SCQMが、リターン電極を両方の同心リング(又は導電性半球)に電気的に接続することにより実装され得るのであって、即ちデュアル電極設計である。そのような例では、リターン電流は、リターン電極に結合されている両方のリング/導電性半球によって形成される。
【0130】
幾つかの状況では、短絡を避けるために、リターン電極が、図12A-12Cに関連して記述されたマルチルーメンチューブ等のルーメンを通じて移動するワイヤ(例:アクティブワイヤ/電極)から保護される必要がある場合がある。幾つかの例では、この保護は、ルーメンの内側面にわずかなショルダー部を設計することによって達成され得る。このような場合、そのわずかなショルダー部は、ルーメンの遠位に突出し、それにより、リターン電極に接触することなくリターン電極の周囲を移動する経路が、アクティブ電極ワイヤに提供される。幾つかの他の例では、離隔された同心リングは、ルーメンの外側面上に配置され得るのであって、例えば、ルーメン又は導入管の遠位端に、又はその近傍に配置され得る(例えば、図23に示されているように)。このような例のいずれかでは、SCQMを満足させるために、リターン部は、組織とリターン電極対の1つ以上との間の接触に依存する場合がある。
【0131】
幾つかの例では、上記のデュアルリターン電極構成(例:絶縁リング12025によって分離された導電性の同心リング12015、12020を用いて実装される)が、組織接触表示を提供するように用いられ得る。幾つかの状況では、この構成は、例えば、RFアクティベーションが要求されたときに導入管が持ち上げられているかどうかを識別するための監視回路として用いられ得る。上記のSCQMと同様に、幾つかの実施形態では、この監視回路は、デュアル電極間に問い合わせ信号を供給するように設けられてもよい。代替的には、この監視回路の電極のうち1つが、組織の抵抗値を監視するように利用され、一方他の電極は組織の接触品質を監視するように利用される、という場合がある。
【0132】
幾つかの状況では、例えば、切開口が小さい処置の際には、患者の切開口を通過する製品の体積部分(例:組織検体、アクチュエータに対する電極ワイヤの接続ポイント)を最小化するために、収容バッグアセンブリの一部が、患者の切開口の外側に保たれ得る。非限定的な1つの例では、統合型のアクチュエータ/収容バッグシステムが設けられる場合があり、それは、切片化器具の収容に必要な余分な体積部分を最小化することに役に立つ。非限定的な1つの例では、統合型のアクチュエータ/収容バッグシステムは、それに余分な体積部分を加える接続ジャンクションを除去するように構成され得る。
【0133】
幾つかの他の例では、図15に示されているように、電極ワイヤ/アクチュエータ接続ポイント(例:図15の電極ワイヤ322とアクチュエータ304の間の接続ポイント)は、患者の切開口の外側の位置に移動させられ得る。幾つかの実施形態では、例えば図12A-12C、15、及び/又は16に関連して記述されたもの等の、細長い電極ワイヤ又はワイヤループを利用することができる。ワイヤループ(例:ワイヤループ11063、ワイヤループ322、ワイヤループ153、157、159)として形作られたこれらの細長い電極ワイヤは、小径、可撓性又は剛性、単一、又はマルチルーメンチューブを有する管(例:マルチルーメンチューブ11052)を通るような形状及びサイズである場合があり、この場合、該ルーメンチューブは、電極ワイヤを患者の切開口を通過させるように、用いられ得る。幾つかの実施形態では、例えば、マルチルーメンチューブの場合、高温キャップ又はリングが、患者の切開口を保護するように用いられる導入管11051の代理として、管(例:図12Aのマルチルーメンチューブ11052)の遠位端で用いられ得る。
【0134】
見られるように、図12Aは、本開示の様々な態様による、プロセスフロー1101-aの一例を示している。幾つかの例では、プロセスフロー1101-aは、挿入管が患者の切開口に挿入される組織切片化システムに向けられており、以下を含む。即ち、(1)挿入管又は導入管11051を提供すること、(2)複数のルーメン又はチャネル11053を有するマルチルーメンチューブ11052を提供すること、(3)複数のピン11061を有する潤滑性コネクタ11062を提供すること、(4)ステップAの最後で示されているように、マルチルーメンチューブ11052の複数のルーメン又はチャネル11053内に、複数のピン11061を受け入れること、及び、(5)ステップBの最後で示されているように、挿入管/導入管11051を下方向に延ばすこと、を含む。
【0135】
幾つかの例では、ピン11061は、管11052のルーメン/チャネル内に受け入れられるような、形状、サイズである場合があり、かつ/又はそのように配置される場合もある。さらに、マルチルーメンチューブ11052は、導入管11051の内径内に嵌合するような形状及びサイズである。幾つかの例では、コネクタ11062の近位部分上にある複数のピン11061は、コネクタ11062の遠位部分に示されている複数の切片化ワイヤループ11063に結合されている。コネクタ11062は、切片化ワイヤループ11063とピン11061の間の接続を可能にする、複数の貫通穴又は他の適用可能な特徴を有し得る。幾つかの例では、コネクタ11062(潤滑性コネクタ11062とも呼称される)は、マルチルーメンチューブ11052と切片化ワイヤループ11063の間の摩擦を低減又は最小化するように構成されている。
【0136】
図12Aの紙面の左側の図には、マルチルーメンチューブ及び接続前のコネクタが示されている。ステップAでは、コネクタ及びピンはマルチルーメンチューブ11052に接続されており、この例では、ピンは管11052のルーメン11053内に受け入れられ、コネクタ11062はマルチルーメンチューブの遠位端に配置されている。幾つかの例では、ステップBでは、挿入管11051は、以下のように、即ち、挿入管11051の遠位端がコネクタ11062の遠位端を通過して延び、かつ/又は、挿入管11051の少なくとも一部は、コネクタ11062から遠位方向に延びる切片化ワイヤループ11063を取り囲むように、遠位方向に延ばされている。換言すれば、挿入管11051は、挿入管の少なくとも一部(例:挿入管の遠位端)が患者の切開口内に挿入されるように、延ばされる(又は、押し下げられる)。
【0137】
図12Bは、本開示の様々な態様による、プロセスフロー1101-bの一例を示している。幾つかの例では、プロセスフロー1101-bは、マルチルーメンチューブが患者の切開口に挿入される組織切片化システムに向けられており、以下を含む。即ち、(1)挿入管又は導入管11051を提供すること、(2)複数のルーメン又はチャネル11053を有するマルチルーメンチューブ11052を提供すること、(3)複数のピン11061を有する潤滑性コネクタ11062を提供すること、(4)ステップAの最後で示されていたように、マルチルーメンチューブ11052の複数のルーメン又はチャネル11053内に、複数のピン11061を受け入れること、及び、(5)ステップBの最後で示されていたように、マルチルーメンチューブ11052を、それを遠位方向に(即ち、紙面下向きに)押し込むことによって、患者の切開口に挿入すること、を含む。
【0138】
さらに他の例では、例えば、可撓性マルチルーメンチューブ(例:図12Cのマルチルーメンチューブ11052)の場合、トロッカーが、該ルーメンチューブのために必要な必要硬度を提供するように用いられ得る。幾つかの実施形態では、例えば、可撓性マルチルーメンチューブが用いられているときには、補強ロッド(例:図12Cでは補強ロッド11099として示されている)が、チャネル11053のうち少なくとも1つに加えられ得る。補強ロッド11099は、アクチュエータの使用前、又はその最中に、ルーメンチャネルに加えられてもよい。幾つかの状況では、この補強ロッド11099は、組織検体を通過するワイヤループの切片化のための堅固な反力を提供することに役立ち得る。
【0139】
図12Cは、本開示の様々な態様による、プロセスフロー1101-cの一例を示している。幾つかの例では、プロセスフロー1101-cは、追加強度又は可撓性マルチルーメンチューブへの支持をもたらすために補強ロッドが利用される、組織切片化システムの使用に向けられており、以下を含む。即ち、(1)挿入管又は導入管11051を提供すること、(2)複数のルーメン又はチャネル11053を有するマルチルーメンチューブ11052を提供すること、(3)複数のピン11061を有する潤滑性コネクタ11062を提供すること、(4)補強ロッド11099を提供すること、(5)補強ロッド11099を、マルチルーメンチューブの近位部分を通じてマルチルーメンチューブ11052のルーメンのうち1つ(例:中央ルーメン)に挿入すること、(6)ステップAの最後で示されていたように、マルチルーメンチューブ11052の複数のルーメン又はチャネル11053内に、複数のピン11061を受け入れること、及び、(7)ステップAの最後で示されていたように、ロッド11099を、ロッド11099が対応するルーメン/チャネルの長さの大部分を通過するように、遠位方向(即ち、紙面下向きに)押し込むこと、を含む。幾つかの例では、ロッド11099は、図12Cの紙面右側の図に示されているように、ロッド11099は、マルチルーメンチューブ11052の遠位端からコネクタ11062内へと延びる十分な長さを有し得る。そのような場合、コネクタ11062は、ロッド11099を受け入れる形状及びサイズを有する追加的な受け入れ穴を(即ち、ピン11061を保持するためのホールに加えて)有し得る。
【0140】
幾つかの他の例では、先行技術と比較してより小さな断面フットプリントを有するコネクタ(例:図11Aに関連して記述されたコネクタハウジング及びコネクタピンアセンブリ)が利用される場合があり、それによって、患者の切開口を通って入る収容バッグの部分に接続部を残すことができる。幾つかの例では、積み重ね可能なコネクタ(例:ライフルの弾薬クリップに見出されるものに類似のもの)が用いられ得る。幾つかの他の例では、コネクタを一時的に端から端まで取付けてもよく、このことは、複数のコネクタの分長さを増やすことができ、一方では、断面形状面積を最小化することに役立つ。
【0141】
多くの腹腔鏡的処置では、外科医は、外科手術器具(例:切片化ワイヤ、グラスパー、はさみ)を、トロッカーを用いて患者の切開口を通じて配置したいと考える。幾つかの状況では、トロッカーは、外科手術器具をトロッカー中央シャフトに自由に通しつつ、患者の切開口を緊密に空気圧シールすることができる。幾つかの例では、トロッカーはまた、二酸化炭素(CO)ガスを用いた患者の気腹を可能にするための補助ポートを備えてもいる。幾つかの実施形態では、無外傷性遠位表面を含むトロッカー(例:ブラントトロッカー)が、組織切片化の間に用いられ得る。幾つかの例では、鋭利な挿入部が、トロッカーの遠位端に、又はその近傍に配置され、所定の位置への配置を補助する場合がある。さらに、この鋭利な挿入部は、(例えば、腹膜内への)配置後に除去することができる。幾つかの例では、トロッカーは、限定するものではないものの、例えばグラスパー、切片化ワイヤ又はワイヤループ、折り畳み可能なワイヤスクリーン電極等である、1つ以上の腹腔鏡的外科手術装置を通過させる形状及びサイズであり得る。幾つかの例では、展開器具(例:図13の展開器具1004)は、例えば切片化が必要なときに、トロッカーを通して挿入され得る。
【0142】
幾つかの実施形態では、本開示のシステムと共に使用される検体/収容バッグ(又は、単に、バッグ)は、1つ以上のワイヤを備えており、その1つ以上のワイヤは、図12A-12Cに示されているように、マルチルーメンチューブの小さなルーメン又はルーメンチャネルを通って延びている。幾つかの実施形態では、そのルーメンチューブ(例:マルチルーメンチューブ11052)は、トロッカー又は導入管11051の内径よりも小さな直径を有し得る。幾つかの例では、マルチルーメンチューブ11052は、検体バッグの頂部から導入管11051内へ延びるような形状、サイズ、及び/又は構成である、場合がある。幾つかの例では、コネクタ(例:潤滑性コネクタ11062)は、マルチルーメンチューブ11502の遠位端の近傍に、別個のコネクタとしてか又はその遠位端に統合されるかのいずれかで、位置決め又は配置され得る。幾つかの実施形態では、組織が装填された後で、バッグ(図12A-12Cには示されていないが、図11Aではバッグ10101として示されている)がばねアームから解放され、マルチルーメンチューブ11502のまわりで引張り上げられ、トロッカー/導入管11051から引張り出されて、体外露出され得る。さらに、バッグが体外露出させられた状態で、展開器具(例:図13の展開器具1004)を除去することができ、それによって、ルーメンチューブ11052及び/又はコネクタ11062が露出される。展開器具(図13の展開器具1004)の除去に続いて、組織切片化装置(例:切片化ワイヤ11063、組織切片化装置1020、組織切片化装置1031、組織切片化装置1061)が、コネクタ11062に接続され得る。そのような例では、ルーメンチューブ又はマルチルーメンチューブ11052は、反力の提供を助けることができ、その際、その反力によって組織切片化が容易化される。組織切片化が完了した後で、ルーメンは切片化器具(又は組織切片化装置)に沿って除去され、検体バッグ、患者の切開口等からの組織の摘出を容易化することができる。代替的な実施形態では、トロッカー又は導入管11051は、(例えば、上方に、患者の切開口の外側へと、持ち上げられることによって)除去され得るのであって、それによって、切開部位から延びるルーメン及び/又は体外露出されるバッグ開口部を残すことができる。
【0143】
幾つかの例では、組織切片化装置(例えば、切片化手順のためにRFエネルギーを採用している)は、図9-10C及び18-19に関連してさらに記述されるように、切片化器具の使い捨て部分と一緒にはたらく再使用可能部分を作り出すように適合され得る。幾つかの態様では、そのような設計は、処置コスト全体を削減し、かつ/又は使用ごとに生じる廃棄材料又は廃棄物の量を減少させることに役立つ。幾つかの実施形態では、組織切片化装置又は切片化器具は、図9-10C及び18-19に関連してさらに記述される、再使用可能部分及び使い捨て部分を含み得る。幾つかの例では、この再使用可能な切片化器具は、張力付与機構を備え得るのであって、そこでは、張力付与機構は、切片化ワイヤを前進させ/引込ませる力を適用するように、モータを利用している。非限定的な1つの例では、直流電流又はDCモータが、張力付与機構で利用され得る。DCモータ等のモータの使用により、切片化器具の張力付与機構の位置が自動的に(即ち、ユーザによる調節は最小で)前進させられるか又は引込ませられ得る。このことにより、次回の使用に備えて、先行技術と比較して容易に切片化器具を再装填することができる。追加的又は代替的には、DCモータにエンコーダを組み込むことで、例えば、切断中及び/又は切片化器具が次の使用のために準備される再装填の間に、ワイヤ移動のリアルタイム位置情報を決定することができる。幾つかの例では、張力付与機構におけるDCモータの使用は、(例えば、切断のために)切片化ワイヤが自動的に張力付与されることを可能にし得る。さらに、DCモータは、切片化が完了した後で張力付与機構を装填前位置に戻すことに役立つ場合がある。幾つかの実施形態では、組織切片化装置の再使用可能部分は、以下のうち1つ以上と、即ち、コントローラ、張力付与機構、及びユーザ制御部のうち1つ以上と通信する必要がある電子機器を含み得る。幾つかの他の例では、組織切片化装置の再使用可能部分は、コントローラを備える場合があり、その際、該コントローラは、DCモータ及び/又は張力付与機構の動作を制御するように構成され得る。幾つかの実施形態では、組織切片化装置の使い捨て部分は、組織切片化装置の切片化ワイヤとの界面に限定され得る。幾つかの例では、上記の特徴及び実施形態は、それ自体で、又は後述のシステムと組み合わせて、そのシステムの改良として利用され得る。本開示の態様によれば、再使用可能なDCモータ又はアクチュエータは、1つ以上のアクティブ電極ワイヤループに張力を適用するように利用され得る。再使用可能なDCモータがアクティブ電極ワイヤループに対して着脱可能に接続されることを達成するために、幾つかの非限定的な例が後述される。
【0144】
幾つかの実施形態では、上記の張力付与機構及びDCモータを含む切片化器具が、使い捨てシステムに全体的に組み込まれる場合がある。即ち、第1の再使用可能部分及び第2の使い捨て部分を含む切片化器具の開示は、限定することを意図されたものではない。
【0145】
図9は、本開示の様々な態様による、組織切片化装置の再使用可能部分1071の一例を示している。具体的には、図9は、切片化器具又は組織切片化装置の再使用可能なDCモータと、使い捨て部分の、着脱可能な接続を示している。幾つかの例では、再使用可能部分1071は、パドル10714を有するDCモータ10712を含んでいる。図9はまた、切片化器具の使い捨て部分10711も示している。この例では、使い捨て部分10711は、複数のワイヤループスプール10718を含んでいる。非限定的な1つの例では、各アクティブ電極ワイヤループは、切片化器具の使い捨て部分のためのワイヤループスプール10718に貼付され得る。幾つかの例では、ワイヤループ(図示されてはいない)は、DCモータ10712に、直接的に、あるいは、中間的な導電性ケーブル(例:図10A及び図10Bのケーブル10832)を用いて、接続され得る。さらに、各ワイヤループスプール10718は、中央スロット10728を含んでいる場合があり、その際、中央スロット10728は、対応するDCモータ10712の回転パドル10714に嵌合するような形状及びサイズである。幾つかの実施形態では、再使用可能なDCモータ10712は、アクチュエータの使い捨て部分10711に一時的にラッチ接続することができ、このことは、DCモータパドル10714とワイヤループスプール10718の中央スロット10728との整列を補助することに役立ち得る。幾つかの例では、DCモータ10712は、例えば、接続が行われる前に、この「一直線」の整列を(即ち、中央スロット10728が使い捨て部分のチャネル10720と整列させられるときに)「開始」及び「終了」させるように駆動され得る。スロット付きスプール10718が初期位置で所定の位置に保持された状態で、1つ以上のDCモータ10712は、(矢印10716によって示されているように)スライドして、それぞれの相手のスプール10718と係合することができる。幾つかの例では、特徴又は機構(例:使い捨て部分10711と再使用可能なDCモータ10712の間のリビングヒンジスナップ部分)が、以下のように、即ち、DCモータを所定の位置に保持し、複数のワイヤループスプール10718を含むアクチュエータの使い捨て部分10711との係合を維持することを補助するように、設けられ得る。
【0146】
本開示の幾つかの態様は、例えば、1つ以上の再使用可能な構成要素を含むアクチュエータ又は切片化器具のために、DCモータから電極ワイヤループへのRFエネルギーの接続を提供することに関する。図10A及び10Bは、本開示の様々な態様による、DCモータを電極ワイヤループスプールに結合させるための電気的接続機構の一例を示している。図10Aは、電気的接続機構1081-aの一斜視図を示しており、図10Bは、電気的接続機構1081-bの一分解図を示している。幾つかの例では、電気的接続機構1081-bは、図10Aの電気的接続機構1081-aに類似であるか又は実質的に類似であり得る。
【0147】
見られるように、図10Aは、中央スロット10728を含むワイヤループスプール10718を示しており、ここで、ワイヤループスプール10718及び中央スロット10728は、図9に関連して上記されたものに類似であるか又は実質的に類似である。幾つかの例では、ワイヤループスプール10718の中央スロット10728は、DCモータの回転パドル(例:図9のパドル10714)を受けるような形状及びサイズである。幾つかの実施形態では、アクティブ電極ループは、導電性ケーブル又はストランド10832に電気的に接続されることができ、その場合、ストランド10832は、導電性材料(例:銅、銀、又は他の金属)から成る単一のワイヤであり得る。代替的には、ケーブル又はストランドは、導電性ワイヤ又はフィラメントを取り囲む絶縁性又は非導電性の外側面(例:ゴム、ポリマー)を備えていてもよい。さらに他の例では、ストランド10832は、非絶縁性材料を取り囲む導電性コーティングを(即ち、上記外側面上に)有している場合がある。いずれの場合においても、ストランド10832の少なくとも一部は導電性である。幾つかの例では、ケーブル又はストランド10832は、接続要素10831に取付けられており、その際、接続要素10831は、ワイヤループスプール10718内のスロット10841(図10Bに示されている)に嵌合するような形状及びサイズである。一旦取付けられると、接続要素10831の頂部部分は、屈曲され(図10Bに示されてもいる)、接続要素10831がワイヤループスプール内にしっかりと留められ得る。幾つかの実施形態では、中央ホール10835を備える導電性金属ディスク10833が、ワイヤループスプール10718の頂部面に接着又は貼付される場合もある。中央ホール10835は、ワイヤループスプールの中央スロット10728を受け入れるような形状及びサイズであり得る。幾つかの態様では、このディスク10833は、ワイヤループスプール10718がアクチュエ-ションの間に回転させられるとき、静的かつ/又は一貫した導電性経路を提供することに役立つ。幾つかの実施形態では、この導電性ディスク10833は、例えばDCモータからアクティブ電極/ワイヤにRFエネルギー信号を供給するために、ドラッグストリップ接続部10834と嵌合するように構成され得る。
【0148】
さらに他の例では、プランジャーを用いるばね負荷接触部が利用される場合もある。例えば、ばね負荷接触部はプランジャーを用いる場合があるが、その際、プランジャーは、回転の間に接触を維持されるように構成されており、それにより、ワイヤループスプールとの連続的なRF伝導性を保証することに役に立つ。切片化システムにおける機械的抗力を最小化するために、複数の玉軸受を備えた軸受アセンブリが利用される場合があり、その際、該軸受アセンブリは、上記リングに接触するように構成されている。軸受アセンブリの金属製サブコンポーネントは、以下のような連続的なRF導電性を。即ち、該軸受アセンブリを通じ、ワイヤループスプールの周囲に巻き上げられた切片化ワイヤに至る、連続的なRF導電性を保証することにも役立ち得る。この例では、複数の玉軸受を備えた軸受アセンブリは、回転中に、(例えば、ワイヤループスプールとの)接続が維持されることを可能にしつつ、ワイヤループスプールが経験する摩擦抵抗を低減することを補助することができる。
【0149】
(独立した事前張力付与)
幾つかの実施形態では、組織サンプルに事前張力付与するための別個の手段が、ワイヤ電極と組織の間の絶縁層によって提供され得る。この層は、加圧された空気層、非導電性流体層、又は、ワイヤと組織の間に適用された絶縁フィルム又は層であってよく、組織サンプルに対して張力を適用する代替的な機能を果たし得る。代替的には、この絶縁層は、操作中に組織のワイヤ/バッグ界面に間隔が生じるような、バッグ、ワイヤ取付部、及び事前張力付与機構の設計によって達成される。幾つかの例では、電力又はRFエネルギーが、アクティベートされるべき所望のワイヤセットに印加され得る。さらに、電圧を有する十分な電力が印加された後で、ワイヤセットは組織の表面へと引張られ、切断効果を開始することができる。代替的には、RFエネルギー又は電力が電極/ワイヤセットに印加された後で、ワイヤセットは、機械的又は電気的に(例えば、温度上昇によって)分離層を破り、切断効果を開始することができる。一般的に言えば、ワイヤ電極を所定の位置に保持するための、任意の容易に電気的に除去可能な(又は分解可能な)接着剤又は維持体積部分が、設けられ得る。幾つかの例では、電流が裸ワイヤ電極に流されると加熱効果が発生し、その際、加熱効果は、少なくとも部分的には、裸ワイヤ電極の電流及び抵抗の大きさに基づく。電気的入力を受けて、裸ワイヤ電極は、裸ワイヤ電極の加熱効果の結果として、維持媒体(接着剤/維持体積部分)又はフィルムを破る。この媒体又はフィルムの容易な分解により、組織切断効果の始動を促進するための疑似的な空気間隔も提供され得る。幾つかの実施形態では、分解可能な媒体又はフィルムは、媒体又はフィルムが、一般的な操作環境下で格納されているときに溶融してしまうことを防止するために、典型的な室温よりも高い(例えば、摂氏25度よりも高い)融点を有しているとよい。もっとも、分解可能な媒体又はフィルムは、閾値以上の電流が裸ワイヤ電極を通るように流されているときに分解されるように、構成されているとよい。
【0150】
幾つかの実施形態では、組織検体が検体バッグに装填された後、RFエネルギーが印加される前に、電極/ワイヤアセンブリは、組織検体をワイヤに対して固定するように事前張力付与され得る。このワイヤの事前張力付与はまた、RFエネルギーの印加の前にワイヤを検体内部に埋め込むことを補助し、従って、意図された検体の外側に温度上昇が広がる可能性を最小化する。このワイヤ事前張力付与は、独立した機構で達成される場合もあれば、検体切断プロセス中の機械的張力付与のために用いられる機構と組み合わせられて達成される場合もある。事前張力付与値は、事前張力付与機構が取付けられるワイヤの限界引張値よりも低く抑えられている必要がある場合がある。理想的な事前張力付与値は、RFエネルギーから最適な切断効果(即ち、検体周囲の領域における温度上昇が閾値未満である)を得る一方、ワイヤを組織検体内に機械的に埋め込み(即ち、切断前に)、検体を通るワイヤの移動をバランスさせる範囲で生じる。非限定的な1つの例では、この事前張力付与は、各電極/ワイヤについて40-100psiの範囲であり得る。幾つかの例では、この事前張力付与範囲は、他の手段が検体を固定するために用いられている場合に、40psiよりも低い場合がある。
【0151】
例えば、幾つかの実施形態では、1つ以上のDCモータが使用される再使用可能なシステムについて、この事前張力付与ステップは、手動で、かつその1つ以上のDCモータの接続の前に、行われ得る。1つの実施形態では、図9、10A、及び/又は10Bに関連して上で記述されたスロット付きスプール(例:ワイヤループスプール10718)は、該スプール上にある1つ以上の特徴であって、DCモータのハウジングと協働してスプールが逆方向に回転することを防止するような形状であり、かつそのように構成されている、1つ以上の特徴を備え得る。換言すれば、スプール10718は、接続されたワイヤループを引込ませる方向に回転することのみが可能である場合がある。この配置によれば、各ワイヤループスプール10718は、手動又は機械的に巻き上げられて各ワイヤループに事前張力付与することができ、この際、この事前張力付与は、DCモータ接続の前に実施され得る。巻き上げの後、各ワイヤループは、その事前張力付与状態を維持するように構成され得る。そして、幾つかの実施形態では、DCモータシステム(例:図9のDCモータ10712)は、例えば、組織分割中にワイヤループに張力付与しかつそれを引込ませるように、接続され得る。1つ以上の実装に従う、事前張力付与のためにワイヤループスプールを巻き上げる、幾つかの非限定的な例が、以下で記述される。
【0152】
一実施形態では、ワイヤループスプール(例:ワイヤループスプール10718)の露出部分は、ワイヤループスプールを巻き上げるためにユーザ(例:外科医)によって掴まれ、かつ/又はねじられることができる特徴を備えている場合がある。非限定的な1つの例では、キー、ロッド、又は他の類似のアイテムが、ワイヤループスプール内の受け入れ穴又はスロットに挿入され、そのワイヤループスプールを(例えば、時計のねじ巻きのように)手動で巻き上げることができる。さらに他の例では、ワイヤループスプール10718の中央スロット10728が、そのワイヤループスプール10718を巻き上げるために手動で回転させられる場合がある。他の実施形態では、ワイヤループスプールは、ケーブル又は一定トルクばね(例:図10Cの一定トルクばね1091)を備えている場合もあり、それは、事前張力付与のために、そのワイヤループスプールの周囲に巻き上げられ、かつ各ワイヤループスプールをねじるように引張られ得る。幾つかの例では、そのケーブル状の部分又は他の機械的係合部分は、閾値量の力又はトルクが適用された後で事前張力付与機構の一部が破れる(又は係合解除される)ような、形状及びサイズであり得る。幾つかの例では、この閾値は、各ワイヤループが十分に事前張力付与されることを確実化するほど十分に高い一方、ワイヤループの機械的引張強度を下回るほど十分小さいものであり得る。
【0153】
他の例では、ワイヤループスプールの独立した事前張力付与を作り出す方法が提供される。幾つかの例では、モータ(例:DCモータ)の各々が、事前設定された張力まで駆動され得る。さらに、そのモータは、切片化ワイヤが組織検体のスライスを開始するまで、この位置に(例えば、事前設定された張力下で)保持され得る。そして、その時点で、モータによって適用された張力は、切片化を実施するために変更(例えば、増加)され得る。
【0154】
(複数の電極ワイヤと使用するための再使用可能なモータ駆動部)
複数の電極ワイヤを利用するアクチュエータシステム(又は切片化器具)のために、上記の議論は、各電極ワイヤに個別に事前張力付与するための様々な技術を概説した。幾つかの実施形態では、各ワイヤループスプールは、DCモータ等のモータに個別に結合されており、これにより、各ワイヤループスプール又は切片化ワイヤへの事前張力を個別に設定することができる。幾つかの他の例では、複数のワイヤループスプールは、単一のDCモータに結合されている場合があり、その際、そのDCモータは、複数の電極ワイヤ張力付与機構又はワイヤループスプールの各々に個別に結合され得る。さらに他の事例では、複数のワイヤループスプールがグループごとに分割され(例:各グループに2つ又は3つのワイヤループスプール)、各グループは異なるDCモータと結合されるという場合がある。
【0155】
追加的又は代替的には、製造コストをさらに削減し、かつ/又はユーザとの相互作用を最小化することができる、カム又はベルトシステムが利用される場合がある。この例では、単一のDCモータは、各電極ワイヤ張力付与機構(例:ワイヤループスプール、又はラック)に選択的に連結されることができ、それにより、1つの張力駆動モータ(例:DCモータ)を、ユーザとの相互作用を限定して、使用することが可能になり得る。
【0156】
(速度及びトルクの並列制御)
幾つかの実施形態では、可変力機構が、切片化ワイヤに事前張力付与する(即ち、切片化前に)ために、かつ/又は張力を適用する(即ち、切片化中に)ために、利用され得る。幾つかの例では、この可変力機構は、上記の一定力張力付与機構に加えて、又はその代わりに、用いられ得る。幾つかの例では、可変力機構は、負荷(又は引張り力)を切片化ワイヤに対して適用するように構成されており、ここで、負荷は、切片化手順の過程で変化させられることができる。例えば、負荷又は引張り力は、切断中、高い値から低い値へと変化させられる場合があり、あるいは、高い値から低い値へと変化させられる場合もある。幾つかの状況では、このような設計によって、切片化ワイヤが組織パラメタ(例:断面積サイズ、及び、他の適用可能な組織検体のパラメタ又は特性)のばらつきに遭遇した際に、インピーダンスをより一定に保つことに役立ち、このことは、切断の質を高めることを補助する。
【0157】
幾つかの例では、可変力は、典型的な組織の圧縮及びサイズをモデル化するために選択される、開始時の適用力及び事前決定された終了時の力を用いて、線形に減少するように適用され得る。また、可変力は、ワイヤの形状変化に伴う力の増加をモデル化する指数関数的減衰であってもよい。幾つかの例では、張力付与機構に適用される可変力は、DCモータを用いて伝達され得る。このモータは、図20A-20Cに示されているような、ウィンチ又はウォームギア等のスプールを有する切片化ワイヤに結合されている場合がある。他の例では、モータは、最も大きな検体(即ち、切片化手順中に切断される最大の検体)を切断するために必要なワイヤ切断長さ全体の長さを少なくとも移動する、ラック及びピニオンを有する切片化ワイヤに結合されている場合もある。幾つかの例では、DCモータは、電流ドライバと共に用いられる場合もあり、その際、該電流ドライバは、適用される力を、組織の測定インピーダンスに基づいて変調させるように、構成されている。このようにすると、可変力機構は、発電機(例:RF発電機)が組織に電力を送達する能力を維持しもする最大の力をワイヤに適用する。DCモータはまた、DCモータによって送達された力を定電流を用いて制御できるように、所望の適用力の範囲に沿った固有の負荷特性(例:トルク-電流曲線)を有するものを選択することができる。例えば、特定のトルク-電流曲線を有するDCモータが、以下のように、即ち、切片化ワイヤに結合された張力付与機構と共に使用されるときに、該DCモータが(範囲内の)力を適用するように、選択され得るのであって、その際、その力は定電流を用いて制御することができる。換言すれば、選択されたDCモータは、定電流によって制御されているときに力を送達するように構成されているのであり、その際、送達される力は、DCモータが張力付与機構及び切片化ワイヤと共に使用されているときには、選択されたDCモータのトルク-電流曲線に少なくとも部分的に基づいて、所望の範囲内(例:上限閾値と下限閾値の間)に留まるのである。
【0158】
DCモータを可変力機構として用いることに加えて、幾つかの実施形態では、切片化は、切片化ワイヤ又は切断ワイヤの速度を制御することによって、さらに改善され得る。幾つかの例では、切片化ワイヤの速度は、DCモータの速度を制御することによって制御され得る。本開示の幾つかの実施形態では、モータ速度及び/又は切断ワイヤの速度は、ロータリエンコーダの使用を通じて、モーションフィードバックを用いて制御され得る。代替的には、モータを駆動させるために用いられる電圧は、パルス幅変調(PWM)を用いて調節され得る。幾つかの例では、DCモータに結合された駆動電圧のPWMによって、モータ及び/又は切断ワイヤの速度の制御が補助され得る。幾つかの他の例では、可変力機構によって適用される力は、DCモータに送達された平均電流を監視することによっても制御され得る。幾つかの状況では、PWMのデューティサイクルを上昇させることによって、モータの速度を上昇させることができる(例えば、このことは、DCモータの最大駆動力を超えないことを前提とする。さもなければ、DCモータは失速し、DCモータを通る電流が急激に増加してしまう)。幾つかの例では、モータの速度は、例えば適用される力(又はトルク)の最大設定値を使用することによって、DCモータの最大駆動力が閾値未満であることを確実にするように制御されなければならない場合がある。幾つかの態様では、これにより、制御システムであって、(1)自己調整された速度で組織検体を切片化することを補助し、かつ/又は、(2)適用される力を、力の最大設定値よりも小さく維持する、制御システムが作り出される。組織インピーダンスは、切片化ワイヤが組織に適用する力の関数であるので、幾つかの例では、速度設定値もまた、切片化手順の間に一定であるか又は実質的に一定である組織インピーダンスが生じるように、同時に適合(例:リアルタイムで調節)され得る。
【0159】
(モーションセンシング)
図17は、本開示の様々な態様による、組織切片化装置内で使用されるように構成された、センシング装置1700の一例を示している。幾つかの実施形態では、アナログ光反射センサ(例:図17の光反射センサ674)が、張力付与機構(例:図17のばね676等の、ばね又は他の力適用機構)の直線移動距離を決定するために設けられ得る。幾つかの例では、アナログ光反射センサ674が、切片化器具のばね又は力適用機構676の各々の近傍に配置され得る。さらに、光反射センサ674は、以下のように、即ち、ばね676がリコイルされたときに、その光反射センサ674が、ばね676の位置に焦点を合わせられ、光反射センサ674に対するばね676の近さを測定するように、構成され得る。そして、この近さは、ばね又は力適用機構676の直線移動距離を推測するように用いられ得る。幾つかの例では、この直線移動距離は、例えば、その直線移動距離を横断するのに要した時間の測定に基づいて、平均移動速度を計算するためにも用いられ得る。
【0160】
幾つかの実施形態では、アナログホール効果センサが、上記光反射センサの代わりに用いられる場合がある。幾つかの例では、図17に関連して記述された光反射センサは、本開示の1つ以上の実装による、アナログホール効果センサに置き換えられ得る。上記光反射センサと同様に、このアナログホール効果センサは、ばね又は力適用機構676の各々の近傍に配置され得る。さらに、ばね676は、強磁性材料から製造されてもよく、それにより、ばね676は、ばね676がリコイルされる直線移動地の軸に沿ったそのコイル位置で磁化されることができる。ばねが張力付与機構を用いて張力付与されたとき、そのばねはその軸に沿って北極(North pole)及び南極(South pole)のパターンを含んでいる。幾つかの例では、ホール効果センサは、ばね676に、又はその近傍に配置され得る。さらに、このホール効果センサは、ばねの事前設定された位置に焦点を合わせられ、ばねがリコイルされたときに、そのホール効果センサはばねのコイル半径の各回転に対するサイン波を出力することができる。コイルの回転数は、直線移動距離を推測するために用いられ得る。光反射センサと同様に、直線移動距離は、平均移動速度を推定するためにも用いられ得る。幾つかの実施形態では、ばね676は、強磁性材料から成ってはおらず、代わりに、その内径部に取付けられた永久磁石を有しているという場合があり、このことは、同等又は同様の効果を達成することに役立つ。
【0161】
(再使用可能な巻き上げクロックスプリング)
幾つかの実施形態では、張力付与機構は、一定力ばね(例:図10Cの一定力ばね1091として示されている)及び/又はプーリーシステム(例:図10Cのプーリー10944として示されている)等の他のシステム、ケーブル駆動部又はウィンチシステム、非直線ばね、ギア等の回転カップリング又は接触カップリングを有するリニア駆動部、磁気カップリングを有するリニア駆動部、手動制御部を有するリニア駆動部、ならびに/又は、上記したような、サーボ又はステッピングモータ駆動部又はリニアアクチュエータ等の電気機械的駆動部、を備え得る。
【0162】
本開示の態様によれば、再使用可能な巻き上げクロックスプリングが、例えばワイヤをワイヤループスプールから引込ませるために、利用され得る。幾つかの実施形態では、一定(又は実質的に一定)トルクを提供するように構成されたばね機構が、ワイヤループスプール(例:図9、10A、及び/又は図10Bのワイヤループスプール10718)が張力付与機構に統合されたときに、用いられ得る。
【0163】
図10Cは、本開示の様々な態様による、ケーブル10946を引込ませるための一定トルクを提供するように構成された一定トルクばね1091の一例を示している。幾つかの例では、ケーブル10946は、ケーブル10832(即ち、図10Aに関連して記述されたもの)に類似か又は実質的に類似であり、引込ませられる切片化ワイヤループ(図示されてはいない)に結合される場合がある。幾つかの例では、一定トルクばね1091は、一定トルクの動力源として機能し得る。見られるように、一定トルクばね1091は、プーリー10944、第2のスプール10942(出力スプール10942とも呼称される)、及び第1のスプール10941(ストレージスプール10941とも呼称される)を備えている。プーリー10944は、中央ホール10943及び半径rを有し得る。幾つかの例では、一定トルクばね1091は、ストレージスプール10941の周囲に巻き上げられた第1の部分10945-aと、出力スプール10942の周囲に巻き上げられた第2の部分10945-bと、を備えている。即ち、一定トルクばね1091は、第1のスプール及び第2のスプールの各々の外周まわりに配置/巻回されている。当技術分野では公知であるように、一定トルクばねは、2つのスプールの間を移動する、特別の負荷を加えられた一定力ばねである。一定トルクばねは、ストレージスプール10941等のストレージスプール上に格納され、出力スプール10942等の出力スプールに逆方向で巻き上げられている。一定トルクばね1091は、解放されたときに、ストレージスプール10941上でのその本来の曲率を取り戻すので、トルクは出力スプール10942から得られる。一定トルクばね1091は必ずしもストレージスプール10941に取付けられている必要はないことは、注意されたい。例えば、幾つかの実施形態では、一定トルクばね1091は、切片化器具の腔内に収容されてもよく、それによってストレージスプールの必要性は排除される。非限定的な1つの例では、一定トルクばね1091は、301ステンレス鋼、炭素鋼、又は他の適用可能材料から作製され得る。見られるように、ストレージスプール1041及び出力スプール10942の各々が、それぞれ、幅Wを有し得る。さらに、ストレージスプール及び出力スプールの幅(W)は、一定トルクばね1091の幅(即ち、一定トルクばねの第1の部分10945-a及び第2の部分10945-bの幅)に類似であるか又は実質的に類似であり得る。さらに、ばね1091の厚さtが、図10Cに示されている。図10Cはまた、一定トルクばね1091の第1のループスプール10941及び第2のループスプール10942の直径D及びDを示している。ばね1091の第1の部分10945-a及び第2の部分10945-bの中心は、距離Sだけ隔てられている。この例では、スプールの中心間の距離は、ばねの中心間の距離と類似であるか又は実質的に類似である。幾つかの例では、スプールの中心間の距離Sは、出力スプール10942上に完全に巻き上げられたときのばねの半径よりも大きい。
【0164】
幾つかの例では、複数の視覚的又は電気的マーカー(例:図8の視覚的又は電気的マーカー1102として示されている)が、一定トルクばね1091上に設けられ得る。マーカーは、一定トルクばね1091に沿って一様な距離で配置された線(着色されたもの、又は離隔されているもの)を含み得る。さらに、これに関連して、光学的又は電気的センサ(図8のセンサ1106として示されている)が設けられ、ばねのマーカー(例:図8のばねのマーカー1102)と遭遇させられるたびに検出又はカウントをし、それによって一定トルクばね1091の移動距離を推測することができる。幾つかの他の例では、ばねは、
【0165】
幾つかの他の例では、図10Cの一定トルクばね1091は、切片化器具の再使用可能な構成要素の一部であり得る。なお、その再使用可能な構成要素には、例えば、図9に関連して上記された再使用可能部分(例:モータ10712)が挙げられるが、これに限定されるわけではない。そのような例では、一定トルクばね1091は、異なるワイヤループスプール(例:異なる出力スプール及びストレージスプール)に再度巻き上げられるか又は再接続され得る。
【0166】
(電極ワイヤ把持部分)
幾つかの例では、例えば、電極ワイヤを機械的張力と組み合わせて用いるアクチュエータシステムの場合に、初期に組織検体の表面を把持するワイヤの能力が、組織の切片化を補助することができる。そのような例では、初期のより低い事前張力(即ち、実際の切片化の前の)は、切片化/切断ワイヤが組織検体の表面を把持することを補助するように用いられ得る。本開示の態様によれば、電極/切断ワイヤ(例:図2の切片化ワイヤループ1025、図6のワイヤ10645、図12A-12Cのワイヤ11063)に、ワイヤと組織検体の間のグリップを促進するための表面処理又は特徴を加えることができる。幾つかの他の例では、バーブ及び/又は他の非一様な表面特徴を設け、ワイヤと組織検体の間のグリップを改善することができる。
【0167】
追加的又は代替的には、凝固波形又は低振幅切断波形を利用し、組織とワイヤ界面の間の乾燥を通じて、ワイヤが界面組織の表面に付着すること(又はグリップされること)が促進される場合がある。幾つかの例では、凝固波形は、初期に、各電極ワイヤ(例:図2の切片化ワイヤループ1025、図6のワイヤ10645、図13のワイヤ11063)のために用いられ得る。他の例では、凝固波形が、電極ワイヤの一部分のみのために用いられる場合もある。さらに他の例では、凝固波形が、上記の表面処理/特徴と共に用いられ、ワイヤが組織検体をグリップすることを助ける場合もある。代替的には、ワイヤを保持しバッグに取付けるワイヤチャネルは、以下のように、即ち、ワイヤ穿孔チャネルがバッグに取付けられているが、ワイヤの長さに沿った領域ではバッグから引き離されことができるように、準着脱式であり得る。このことにより、(例えば、機械的に、又はRFエネルギーの印加を介して)切片化が始動されるまで、ワイヤを組織上の所定の位置に保持することができる。
【0168】
本開示は、検体バッグ及び統合型のコネクタキャリアを利用した組織検体摘出のための装置、システム、及び方法を提供する。図11Aは、本開示の様々な態様による、検体バッグ及びコネクタキャリアのアセンブリ10100の一例を示している。検体バッグ及びコネクタキャリアのアセンブリ10100は、図示されている実施形態で統合されているので、これは単に「検体バッグアセンブリ10100」とも呼称され得る。検体バッグアセンブリ10100は、バッグ開口部に取付けられ得る可撓性リングを有する検体バッグ10101を備えている。図示された実施形態の可撓性リングは、十分に薄く可撓性である金属から作製され、ばねのような性質を有し得る。図示された実施形態では、可撓性リングは、遠位端で可撓性部材と結合され、近位端10104で堅く保持される、2つの別個のばねアームを含んでいる。可撓性リングは、より多くの、又はより少数の、別個の構成要素を備え得ることが考えられ、例えば、可撓性リングが単一の可撓性リングである場合もあれば、より多くの別個の部分を有している場合もある。図示内容を通じて、検体バッグ10101は、その壁内に、又はその壁に隣接して、複数の切片化構成要素を含み得る。
【0169】
検体バッグ10101とカニューレアセンブリ(図11Aには示されていない)の間の中間位置には、コネクタキャリア10105が示されている。コネクタキャリア10105は、後続の図中で図示されかつ記述される幾つかの機能を実施する。その機能は、切片化機器に取付けられるように構成されたコネクタを保持することと、バッグ開口部を開閉させるための可撓性リングに沿った移動のためのガイドを提供することと、バッグから離れる方向に延びる、リターン電極ケーブル10108のためのチャネルを提供することと、リターン電極ケーブル10108を引張ることによって適用され得る力を緩和させるために、リターン電極10108をアセンブリの近位端に固定することと、外側管の最も遠位の位置に機械的アンカーを提供するために、カニューレ又は外側管と統合できるロックを提供することと、を含む。切片化機器がRF電力を供給される実施形態において、リターン電極ケーブル10108は、切片化機器の部分にプラグインされるように構成され得る。これは、図15及び16に関連してさらに記述される。このような実施形態では、検体バッグ10101内で導電性材料に取付けられ得るリターン電極ケーブル10108は、切片化機器及び切片化構成要素(例:ワイヤループ)によって作り出される回路を検体バッグ10101内で完結させることができる。RF電力型切片化装置の実施形態は、本開示を通じて図示及び記述される。
【0170】
図11Bは、本開示の様々な態様による、コネクタハウジング10520を一時的に維持するように構成されたコネクタキャリア10105を示している。図11Bに拡大図で示されているコネクタハウジング10520は、1つ以上のタイプの組織切片化機器に接続されるように構成されている。幾つかの例では、コネクタハウジング10520及びコネクタピン10603は、図12Aに関連して記述されているコネクタ11062及びピン11061に類似であるか又は実質的に類似であり得る。追加的又は代替的には、ワイヤループは、図12Aのワイヤループ11063の1つ以上の態様を実装することができる。コネクタハウジング10520は、検体バッグアセンブリ10100がバッグ内の多くの種類の組織切片化構成要素に統合され得るように、コネクタキャリア10105内に収容される。幾つかの例では、コネクタハウジング10520は、組織切片化のための1つの特定のタイプの切断装置である、複数のワイヤループ10601を管理するように用いられ得る。これらのワイヤループは、米国特許第9649147号明細書、及び米国特許第9522034号明細書に示され記述されているものによって実装され得る。他の任意のタイプの切断装置が、本開示の範囲から逸脱することなく使用され得る。
【0171】
コネクタハウジング10520は、コネクタピン10603が単一の方向(即ち、上向きの、バッグから離れる方向。これにより、ワイヤ又は他の切断装置を、切断されるべき組織の方向に引張ることができる)に引込ませられるように、構成され得る。これらのコネクタピンにより、複数のワイヤループ10601(又は他の任意の種類の切断装置)を、追加的な組織切片化機器に接続することができる。例示的なタイプの組織切片化機器は、図7-10C及び/又は18-19に関連して示され記述されたもののような張力付与機構アセンブリを備え得る。
【0172】
図示されているコネクタは、コネクタに向かって下向きに押し付ける動作を介して、張力付与機構アセンブリ10606に容易に接続され得る。次に、張力付与機構アセンブリ10606を、上向きに、コネクタキャリア10105から離れるように引張り、コネクタハウジング10520を脱離させることができる。次に、外科医は、張力付与機構アセンブリ10606を検体バッグ10101の中央開口部の直上であり検体の上方である位置に動かし、そして張力付与機構アセンブリ10606のボタンを押すことで、切片化構成要素(例:ワイヤループ)に張力付与することができる。換言すれば、ワイヤは、組織検体の表面に対してぴんと張った状態で引張られることができる。複数のコネクタピン10603はお互いに対して独立して動くことができるので、ワイヤは変わった形状の組織検体に対してもぴんと張った状態で引張られることができる。即ち、幾つかのコネクタピン及びワイヤは、特定のワイヤが接触している組織検体の形状に基づいて、他のコネクタピン及びワイヤよりも深く張力付与機構アセンブリ内へと引張られることができる。
【0173】
コネクタハウジング10520の目的は、複数の(この実施形態では、4つの)個々の(この実施形態では、ワイヤループの)接続ポイントを、ユーザが、1回のプラグインステップで個々のすべての接続部をプラグインすることができるように、維持することである。他の実施形態では、より多くの接触ポイントを有する機器に対する接続を容易化するために、コネクタハウジングごとにより多くのコネクタピン(例:6つ、8つ、又は10つ)が存在する場合がある。また、コネクタハウジング10520が、図示されている2つよりも多い場合もある。コネクタピンが、異なるタイプの機器と結合するために、異なる形状で構成されている場合もある。
【0174】
各個コネクタピン10603は、個々に独立してコネクタハウジング10520から引き離されるように、構成されている。従って、コネクタピン10603の各々は、必要に応じて、接続された切断装置を操作するために別々に操作され得る。所望であれば、コネクタピン10603は、ワイヤループを用いた手動での組織の鋸挽き又は切断を容易化するように、引張られかつ動かされ得る。換言すれば、コネクタピン10603は、異なるタイプの組織切片化機器に取付けられるように構成されてもよいし、それらには全く取付けられないように構成されてもよい。
【0175】
図示されている実施形態に描かれている検体バッグとカニューレのアセンブリは、リターン電極ケーブル10108を有しており、これにより、後の図に記載されているように、切片化ワイヤにRFエネルギーを追加することによる補助を受けて、機器を用いることができるようになる。リターン電極ケーブル10108は、RF切片化機器にプラグインすることができる。しかしながら、これらのワイヤを用いる組織検体の切片化機構は、機械的効果、電気的効果、又は本明細書に記載の効果の任意の組み合わせ、によって達成され得る。
【0176】
図示された実施形態においては、コネクタハウジング10520は、以下のように、即ち、張力付与機構アセンブリへの接続のためにこれまで利用可能であった機構と比較して、効率的なステップか又は少ない数のステップで、複数のワイヤループを張力付与機構アセンブリに接続する。しかしながら、コネクタハウジング10520及びコネクタピン10603は、図12Aのマルチルーメンチューブ11052等の任意のタイプの複数ピンのプラグイン装置に対して接続されるように用いられ得る。代替的には、コネクタピン10603は、機械的な機器、電気的な機器、又は他の機器を切断装置に接続するように用いられてもよい。図示されている特定のコネクタハウジング10520の構造は、クリックすることができ、適切な接続が行われたことを使用者に確信させることができるという利点がある。また、検体バッグに統合された複数のワイヤループ又は他の複合型切片化構成要素の管理、又はそれらの切片化機器に対する接続を、1つのステップで行うことができる。
【0177】
コネクタハウジング10520の維持管理及び引き抜きを容易にするために、コネクタキャリア10105及びコネクタハウジング10520に対して、以下のような特徴を、即ち、張力付与機構アセンブリの接続及びコネクタキャリア10105からの取り外しを容易に行える位置となるまで、ハウジングを回転(又は移動)させ、ハウジングを所定の位置に維持するような特徴を、追加できる。
【0178】
幾つかの例では、複数のコネクタピン10603(図12Aではピン11061として示されてもいる)は、複数のワイヤループ10601(ワイヤループ11063として示されてもいる)を覆っており、かつ、コネクタハウジング10520又は、コネクタ11062から個々に取り外し可能である。図示された実施形態では、これらのコネクタピン10603自体が、検体バッグ10101内のワイヤ又は他の切片化構成要素の、張力付与機構アセンブリ10606に対する物理的接続を提供する。これは、図18及び19にも関連して示されかつ記述される。幾つかの例では、図18の張力付与機構又は張力付与機構アセンブリが近位部分1302内に収容され、張力付与ブロック1318は近位部分1302の張力付与機構の端部に、例えば遠位端に配置される、場合がある。
【0179】
切片化機器が上記の張力付与装置である場合、張力付与装置(現在、プラグインされている)のボタンを一回プッシュすることにより、コネクタピン10603を介してワイヤループ10601の各々に張力付与し、それにより、外科医はRF電力を介してワイヤループの各々を用いて組織検体を小分割することができる。
【0180】
(可変力切片化器具)
これまでの開示では、切断中に切片化ワイヤに機械的負荷を付与するために、RF組織検体摘出装置が、図7を参照しつつ示され記述されてきたもののような一定力張力付与機構を使用することの有利な点が、特定されてきた。この方法は、低温での切断を実施するために必要な最小の力が、切片化の間に常に適用されることを、確実化するものである。一定力の適用の不利な点は、組織密度及び検体サイズが変化するため、一定力の値が、組織の変化範囲に対応するように選択されなければならないことである。そのため、力の値をすべての状況に対して最適化することはできない。
【0181】
組織検体の周囲に巻かれた、軸方向の機械的負荷が適用されたワイヤのループを用いてRF切断を行うときには、機械的エネルギーと電気的エネルギーの組み合わせにより、組織検体の側部からはじまり、ワイヤを検体の中心に向かって組織の内部に引張り込む切断が生じる。これは、電磁場及び機械的な力がワイヤに沿って分配されていることによる。切片化が進むにつれて、切断効果は組織内部へと、組織の表面から遠位の点へ向かって、移動していく。切断効果は、最終的には、ワイヤが組織内に完全に引張り込まれたときに、最遠位点まで移動する。ワイヤ形状のこのような変化が生じると、ワイヤによって適用される力も変化する。力は、限りなく小さなセグメントとしてモデル化され得るのであって、その際、各セグメントは、組織内へ向かう法線方向の力及びワイヤの軸方向の力を有する。このセグメントの組織まわりの配置により、法線方向の力ベクトル及び軸方向の軸ベクトルの大きさが決定される。法線方向の力は、ワイヤを組織内部へ向かうように駆動させ、切断を実施する成分である。軸方向の力は、ワイヤを前進させるのみであり、切断効果に対して顕著な貢献をするわけではない。上記のように、切断の始動は、組織検体の中間点から始まる。この位置では、法線方向の力は、適用された負荷の軸から約90度の角度なので、最も小さな値である。結果として、切断は、小さな法線方向成分によって、非常にゆっくりと開始される。切断が進行するにつれ、形状の変化、及び検体遠位部に向かう切断の進行によって、ワイヤの遠位端での力の法線方向成分が増加させられる。これによって、切片化が進行するにつれ、より大きな切断力が適用される結果になる。
【0182】
この増大する力の一側面として、切断中に、適用された機械的負荷による組織の圧縮が増大する。この圧縮は、組織のインピーダンスの変化によって観察され得る。切断開始時、圧縮力は、始動させられたワイヤの周囲に形成される蒸気だまり及び組織のインピーダンスによって決定される公称値から始まる。力が増加するにつれ、ワイヤによる組織の圧縮が増加し、その結果組織のインピーダンスは減少する。これは、主として組織圧縮の結果なのであり、RFエネルギーが切断を続けるために必要なアーク放電を維持するためには大きな課題である。ほとんどの組織検体に対しては、この現象は悪影響を及ぼさないものの、組織検体が非常に大きく、非常に大きな機械的負荷が適用される場合には、切断終了まで切断を続けるのに必要なRFエネルギーが問題となる場合がある。この影響は、適用される負荷、組織圧縮、及びシステムのサイズ範囲の選択において、有益に考慮され得る。
【0183】
一定力の代替案として、本開示の一態様は、切片化ワイヤに負荷を適用するための可変力機構に関する。この負荷は、切断中、適用される力の範囲を維持するように、最大値から最小値へと変化させられ得る。このアプローチにより、インピーダンスはより一定に保たれ、RFエネルギーが切断を維持する能力が改善させられる。
【0184】
可変力は、典型的な組織の圧縮及びサイズをモデル化するように選択される、開始時に適用される力及び事前決定された終了時の力を用いて、線形的に減少させられるように適用される場合がある。また、可変力は、ワイヤ形状の変化に伴う力の増加をより忠実にモデル化するために、指数関数的減衰とされる場合もある。
【0185】
適用される調節可能な力は、DCモータを用いて送達され得る。図9-10C及び18-20Cに関連して示され記述されるように、このモータは、ウィンチ、ウォームギア等のスプールを有するワイヤに結合されているか、又は、最も大きな検体に必要とされる全体切断長さを満たすか又はそれを超える長さを移動するラック及びピニオンを有するワイヤに結合されている、場合がある。DCモータは、測定された組織のインピーダンスに基づいて適用される力を変調させることができる電流ドライバと共に、用いられ得る。このようにすると、発電機が組織に電力を送達する能力を維持もする最大の力が、ワイヤに対して適用される。DCモータはまた、モータによって送達された力を定電流を用いて制御できるように、所望の適用力の範囲に沿った固有の負荷特性を有するものを選択することができる。
【0186】
図20A-20Cに移ると、幾つかの実施形態では、組織切片化装置2000(例:装置2000-a、装置2000-b、装置2000-c)は、以下のようなやり方で、即ち、無線高周波(RF)電源306を用いたRFエネルギー等の電力によって、アクティベートされるべきワイヤセットのみに張力付与する能力をユーザに提供するようなやり方で、複数ワイヤでの組織切片化を提供し得る。この能力は、全体の電力又はRFエネルギーの印加を、現在組織切片化に関与しているワイヤのみに特定することに有用であり得る。具体的には、組織切片化手順を実施する者は、それらのワイヤ又はワイヤセットのアクティブ化に際しては、1つの平面方向にあるワイヤのみを、例えばすべての「X」方向ワイヤに、電力又はRFエネルギー等の導入によって張力付与する能力を有することが、有用であると、認識できよう。これらの「X」方向ワイヤは、これらのアクティブワイヤが他の非アクティブワイヤと電気的に結合する可能性を低減するために、物理的空間において互いに重なり合うことがないように、構成され得る。当業者であれば、アクティブ化されたワイヤのみに、又は1つの平面方向にあるすべてのワイヤに選択的に張力を付与する機構1502を作製する複数の方法に、容易に想到するであろう。
【0187】
幾つかの実施形態では、一定力ばね1503が、ギア状スプール1504の周囲に巻き上げられており、このギア状スプール1504は、張力付与又は電力アクティベーションの前には、フランジ又はタブ1506等によって、所定の位置にロックされ得る。
【0188】
(再使用可能な切片化器具)
幾つかの実施形態では、RF組織切片化は、切片化器具の使い捨て部分(例:図9の使い捨て部分10711、図18の1304)と一緒にはたらく再使用可能部分(例:図9のモータ10712、図18の1302)を作り出すように適合され得る。このことは、使用のたびに廃棄される材料の量を減少させるのと同様に、処置コスト全体を削減するという利点を有する。
【0189】
本開示に記載された再使用可能な切片化器具は、モータに力を適用して利用する、張力付与機構を備えている。小型DCモータ等のモータを用いることは、切片化器具の張力付与機構の位置が自動的に前進させられるか又は引込ませられることができるという点で、再使用可能な適用における利点を有する。このことにより、次回の使用に備えて、切片化器具を容易に再装填することができる。この再装填は、コイルばねを用いる実施形態でははるかに困難である。加えて、モータにエンコーダを組み込むことで、切断の間に、及び切片化器具を次回の使用に備えて再装填する際に、ワイヤ移動のリアルタイム位置情報を得ることができる。このことにより、切断のために自動張力付与すること、及び、切片化完了後に張力付与機構を装填前位置に位置変更することが可能になる。この実施形態を用いることで、装置の再使用可能部分は、以下のような電子機器を、即ち、コントローラ、張力付与機構及びユーザ制御部と切片化器具との間の通信に必要な電子機器を、含むことができる。使い捨て部分は、切片化ワイヤと切片化器具との界面に限定され得るのである。
【0190】
上記の特徴及び実施形態は、それ自体で用いられる場合もあれば、下記のシステムと組み合わせて、その改良として用いられる場合もある。
【0191】
1つの例示的な適用では、図16に示されているように、第1のワイヤセット151及び第2のワイヤセット160を備える発展的な電気外科手術システム1600が提供され得る。この例では、ワイヤセット151は、電極/ワイヤ/ワイヤループ153、155を備えており、ワイヤセット160は、電極/ワイヤ157、159を備えている。システム1600は、2015年7月21日に出願され、2014年7月22日に優先日を有する、「大容量の組織を縮小して摘出するシステム及び方法」と題された、本出願人の国際特許出願PCT/US15/41407号に記載された、組織切片化及び/又は摘出等の機能の幾つか又はすべてを実施するように構成され得るのであって、上記出願の開示内容全体は、すべての目的のための参照によって、本明細書で完全に述べられたように、本明細書に組み込まれる。システム1600は、複数のリード106によって一緒になるよう結合された、電気外科手術器具102及び発電機104を備え得る。発電機104は、コントローラ108を含み得る。幾つかの実施形態では、コントローラ108は、切片化及び摘出のために、ワイヤ/電極153、155、157等の切断を行うように、無線高周波(RF)電力を組織検体に印加するように、構成され得る。
【0192】
本明細書において特段の記載がない限りは、「切片化装置」という用語は、組織分割のための装置を含むものと理解されたい。さらに、この用語は、機械的切片化行為を含み、かつ/又は電気外科手術切開行為を、例えばバイポーラ切片化行為又はモノポーラ切片化行為を含んでもよい。
【0193】
幾つかの実施形態では、発電機104は、組織切片化パラメタの1つ以上のセットを格納するためのデータ格納部(図示されてはいない)を備えている場合がある。組織切片化パラメタは、電気外科手術処置の間の通常の又は予測される反応に関連付けられたパラメタを備えている場合があり、かつ、組織切片化電圧、電流、力率角、インピーダンス、電力、エネルギー、電極又はワイヤの移動速度、電極又はワイヤの移動距離、及び/又は、電極又はワイヤによって組織に適用される機械的切片化力、に関連し得る。データ格納部は、コントローラ108の構成要素である場合もあれば、それとは別個である場合もある。
【0194】
移動速度を測定又は決定するために、多くの方法が用いられ得る。幾つかの実施形態では、図17に示されているように、光学モーションセンサ674がばね又は力適用機構676の近傍に設けられている。該光学モーションセンサは、ばねが動く際、光学センサの焦点領域がこの動きを直線移動として検出できるように、ばねの位置に焦点を当てられている場合がある。幾つかの実施形態では、この動きは、一平面内の動きとして検出され得る。
【0195】
幾つかの実施形態では、複数のモーションセンサが設けられている場合がある。複数のモーションセンサは、時刻Tにおける画像を時刻T0+1における画像と比較し、張力付与機構、切断電極、及び/又はワイヤの移動の方向及び/又は距離を決定するように、構成され得る。
【0196】
幾つかの実施形態では、センサは、1つ以上の集積回路、センサ光学レンズ、及び光源を備えている。幾つかの実施形態では、センサは、適用先専用の、別個の構成要素を有している。ばね676の焦点領域は、ばねの動きが水平方向、横方向、又は「X」方向の動きとして現れるように、コイルばねの平坦な側面に接するばねシリンダのスプールの近傍であってよい。幾つかの実施形態では、光学センサ674の焦点領域は、ばねスプール又はシリンダから離れたばねの延長部分に沿っている。幾つかの実施形態では、上記焦点領域は、スプールシリンダの頂部上であり、これにより、センサは、ばねが動いたときに、X及びY方向の両方の運動又は横方向及び縦方向の両方の運動である、回転運動を検出するように、構成される。
【0197】
幾つかの実施形態では、装置は、上記の1つのセンサ又は複数のセンサによって検出及び/又は伝達された情報に対応して電力を調節するように構成され得る。例えば、装置は、張力付与機構、電極、又はワイヤが好ましい速度よりも遅く並進又は移動しているという決定に対応して、切断電極に印加される切片化電力を増加させるように、構成され得る。他の例では、装置は、張力付与機構、電極、又はワイヤが好ましい速度よりも速く並進又は移動しているという決定に対応して、切断電極に印加される切片化電力を減少させるように、構成され得る。
【0198】
幾つかの実施形態では、エンコーダは、移動速度又は距離を示すべく、ばね又は力適用機構に機械的に結合されている。エンコーダは、波形を提供し得るのであり、その波形は、2つの波形の位相を用いて移動速度を決定するように用いられ得る。
【0199】
幾つかの実施形態では、1つ以上のセンサ又はセンシング回路の出力は、移動速度を計算又は推測するために用いられる情報を提供する。電気外科手術器具102は、本明細書では切片化器具としても呼称され得るものだが、移動速度が許容可能であるかどうかを決定するために、この情報を直接的に利用し得る。切片化器具は、計算、処理、及び/又はセンサ出力を追跡するために、処理装置、アナログ回路、及び/又はデジタル回路を含んでいる場合がある。幾つかの実施形態では、装置は、例えば、移動距離又は速度が許容可能範囲又は予測範囲の外にあるときにのみ、上記1つ以上のセンサからの情報に応じた行動を始動するという場合がある。
【0200】
この情報を、cm/秒等のユーザにとって意味のある単位にスケーリングすることは、有益であり得る。幾つかの実施形態では、装置又はコントローラ108は、デジタル信号、アナログ信号、又は他の信号を、当業者に公知の方法で情報出力にスケーリングするように構成された、プロセッサを有している。この方法を用いる1つの利点は、ばねの動きを、外部測定機器と比較可能である追跡可能なやり方で定量化することができることである。さらなる利益は、ばね又は力適用機構の移動の全範囲を通じて移動速度に非線形性が観察された場合、補正アルゴリズムを適用することができることである。
【0201】
幾つかの実施形態では、切片化器具は、コントローラ108又はセンサと通信する処理装置を有している。幾つかの実施形態では、切片化装置は、処理を実施するために、かつ/又はユーザが切片化装置を構成できるようにするために、マイクロプロセッサ、ステートマシン、及び/又はFPGAを有している場合がある。
【0202】
幾つかの実施形態では、力ゲージが張力付与機構アセンブリ(例:図11Bの張力付与機構アセンブリ10606、図9の張力付与機構又は再使用可能部分1071)に結合されており、かつ電力が、実質的に一定な力を維持する際に、かつ/又は好ましい組織切片化のための所望の閾値よりも大きいか又は小さい力を維持する際に、ばねを補助するように調節される、という場合がある。これらの方法は、リニアアクチュエータ又は手動引手等の、組織切片化力を適用する他の手段に使用されてもよい。
【0203】
幾つかの実施形態では、コントローラ108は、発電機104(図15のRF電源306としても示されている)上にセットされ、別個の電力コードを有するボックスである場合があり、又は、幾つかの実施形態では、コントローラ108は、図16に示されているように、発電機104と一体でありその構成要素である場合もあり、又は電気外科手術器具102と一体であるか又はその構成要素である場合もある。コントローラ108は、発電機104に取付けられたRF電力接続等の電力のみを有している場合があり、又は、追加的な接続を、即ち、発電機104、データ格納部(図示されてはいない)、電気外科手術器具102、及び/又はユーザインタフェース(図示されてはいない)と通信するための追加的な接続を、有している場合もある。この追加的な通信によって、発電機104との間で情報を伝送することができる。この情報は、電力及びモード設定、リターン電極インピーダンス情報、本明細書において上記されたような組織分割パラメタからの逸脱等のエラー情報、処置パラメタ及び変数の記憶及び統計情報、ならびに、処置パラメタデータベースの履歴統計情報、を含み得る。
【0204】
コントローラ108、及び/又はコントローラ108を用いる発電機104は、発電機104の出力を電気外科手術器具102に接続する前に、発電機104によって送達される、電流I、電圧V、及び/又は電力に関連付けられた他の変数を測定する能力を有し得る。これにより、コントローラ108は、電気外科手術用RFエネルギーをワイヤ/電極に印加する前に、ユーザが適切な発電機のセッティングを選択したことを確かめることができ、ワイヤ/電極上のコーティングの完全性が始動に際して維持されていることを確かめることができる。
【0205】
次に、図8に移ると、幾つかの実施形態では、1つ以上のワイヤ電極(例:図15のワイヤ電極322、324)の移動距離及び速度を検出するための様々な方法及びシステムがある。例えば、幾つかの実施形態では、複数の視覚的又は電気的マーカー1102が、1つ以上の一定力ばね1104上に設けられ得る。マーカー1102は、ばね1104に沿って一様な距離で配置された線(着色されたもの、細い磁気ストリップ、又は電気絶縁されたもの)を含み得る。さらに、これに関連して、ばねのマーク1102と遭遇させられるごとに検出又はカウントをするための光学的又は電気的センサ1106が設けられる場合があり、それによって移動距離及び/又は移動速度を推測することができる。これらのマークはまた、異なる一様な距離で周期的に含まれる、より大きな幅を備えている場合もあり、これは、主要目盛マークとして機能するためである。この主要目盛マークは、総測定距離として用いられてもよいし、かつ/又は、移動速度が電気外科手術器具102又はシステム1600の移動速度を測定する能力の上限に近づいている場合には、カウント補正のために用いられてもよい。幾つかの実施形態では、ばねマーク1102は、カラーフォトセンサ又は他の識別手段が切断ワイヤアセンブリ又はワイヤ322、324の位置を決定することができるように、ばね1104に沿った距離にわたって色分けされているか又は他の方法で変更されている。幾つかの例では、センサ1106は、ホール効果センサ又はリードセンサ等の磁気センサである場合があり、マーカー1102が磁化されている場合がある。
【0206】
続いて図18-19を参照すると、再使用可能な組織切片化装置1800が設けられ得る。再使用可能な組織切片化装置1800は、図9に関連して記述された再使用可能な切片化装置の1つ以上の態様を実施することができる。再使用可能な組織切片化装置1800は、本明細書でこれまで記述されてきた電気外科手術器具102又はシステム1600及び本出願人の出願PCT/US15/41407号に記載された装置を参照しつつ本明細書でこれまで記述されてきた機能の幾つか又はすべてを実施するように、構成され得る。再使用可能な組織切片化装置1800は、図9-12Cで参照されるコネクタに接続されるように使用される接続可能切片化機器として、使用され得る。
【0207】
装置1800は、遠位部分1304に着脱可能に接続されているか又は接続可能な近位部分1302を含み得る。近位部分1302と遠位部分1304の間の接続領域1319は、使い捨てルーメン1303(図12A-12Cにおいてマルチルーメンチューブ11052として示されている)が取付けられるような、ワイヤ張力付与機構のブロックであり得る。使い捨てルーメン1303は、ガイド1306を、即ち、近位部分1302上の張力付与ブロック1318に結合されるポスト1316を有する1つ以上の張力付与機構のための、ガイド1306を提供し、さらに、接続ポイントを、即ち、遠位端1308がアクティブワイヤ接続部(図12Aでは図示されてはいないが説明されている)に接続されることを可能にする、接続ポイントを有している、という場合がある。使い捨てルーメン1303はまた、張力付与ばね(又は張力機構)を事前張力付与位置へと前進させるための手段、ユーザが張力付与機構に事前張力付与できるようにする事前張力付与機構制御部1312、切開部位に配置されるための導入管1314、及び/又は検体バッグ、を含み得る。
【0208】
引き続き図18及び19を参照しつつ、使い捨てルーメン1303(図12Aにおいて使い捨てマルチルーメンチューブ11052としても示されている)を使用する方法が、以下でより詳細に記述される。幾つかの実施形態では、制御部1310は、近位部分1302のばね及び張力付与ブロック1318が前進させられて遠位部分まで至ることができるように、設けられ得る。制御部1310は、制御タブであり得る。ばね及び張力付与ブロック1318は、近位部分1302内のロック機構(図示されてはいない)によって、遠位部分に保持され得る。
【0209】
ユーザは、部分1304、1302を一緒にスライドさせることによって、遠位部分1304を近位部分1302に、以下のように接続することができる、即ち、遠位部分1304のポスト1316(図18を参照)が、近位部分1302の張力付与機構の端部にある張力付与ブロック1318の受け入れ開口部1318a内にスナップ/スライド/ロックされるように、接続することができる。この取付はまた、制御部1310又は制御タブを、近位方向に、又は遠位部分1304から離れるように、スライドさせ、事前張力付与機構制御部1312と近位部分1302内のロック機構との整列を可能にし得る。近位部分1302及び遠位部分1304は、取付の後で事前張力付与機構制御部1312を押すことによって、ロック機構が解放され、4つの張力付与機構が事前張力付与されるように、構成され得る。当業者であれば、多くの異なる解放手段が設けられ得ることを理解できよう。
【0210】
引き続き図18及び19を参照すると、張力付与機構(図11Bにおいては張力付与機構アセンブリ10606として示されている)は、事前張力付与の前にアクティブ電極コネクタ(図示されてはいない)に接続され、事前張力付与及び切断の間にはガイド1306内に収容されている、という場合がある。
【0211】
近位部分1302の張力付与機構によって生成され、適用される力は、張力付与ブロック1318から、ポスト1316を通り、整列ブロック1320を通り、遠位端1308を通り、そしてアクティブ電極コネクタを通るよう、機械的及び電気的に結合され得る。幾つかの実施形態では、すべての患者接触領域は、使い捨てルーメン1303の一部であり、それにより、近位部分1302を含む再使用可能な部分の洗浄及び再処理の単純化がもたらされ得る。
【0212】
幾つかの実施形態では、図19に示されているように、切片化装置の1つの再使用可能部分1404又は複数の再使用可能部分が、無菌バッグ1402に封入されるか、又は、無菌バッグ1402の内部を無菌移送プロセスによって搬送される場合がある。無菌バッグ1402が再使用可能部分1404を封入しており、使い捨て部分1406はユーザによってその再使用可能部分に取付けられる、という場合がある。バッグを通したアクセスは、バッグ1402のアクセス開口部1408を通して行われ得る。幾つかの実施形態では、アクセス開口部1408は、移動、並進、又は折り畳みが可能であるスリーブの後方で開放されているか又は開放されるのであり、かつ/又は、ユーザが使い捨て部分を再使用可能部分に接続するときに、使い捨て部分の特徴によって穿刺される。幾つかの実施形態では、無菌アダプタが、無菌領域を無菌に保ちつつ、装置の無菌の使い捨て部分と非無菌の再使用部分の接続を容易化するように、無菌バッグ1402に統合されている。当業者であれば、再使用可能部分1404及び使い捨て部分1406を設けたうえでそれらの部分の接続を可能にする多数の手段を、容易に認識できよう。現在公知であるか又は未だ開発されていないあらゆる手段が、本明細書において考慮されている。
【0213】
再使用可能な構成要素と患者に接触している構成要素を分離させるための手段を提供する幾つかの実施形態は、再使用可能な組織切片化装置1800内部に、使い捨てインサートを含み得る。この使い捨てインサートは、切断後のワイヤを捕捉することができる。幾つかの実施形態では、装置は、ワイヤを含有する内部領域を切断後に洗浄、再組立て、及び再滅菌することができるように、容易に分解可能であり得る。
【0214】
幾つかの実施形態では、張力付与機構は、一定力ばね1091及び/又は他の機構を備え得る。ここで、他の機構には、例えば、プーリーシステム(例:プーリー10944)、ケーブル駆動部又はウィンチシステム、非直線ばね、ギア等の回転カップリング又は接触カップリングを用いるリニア駆動部、磁気カップリングを用いるリニア駆動部、手動制御を用いるリニア駆動部、ならびに/又は、例えばサーボ又はステッピングモータ又はリニアアクチュエータ等である上記の電気機械的駆動部、が挙げられる。
【0215】
切片化ワイヤに張力付与するためのばねシステム2100の一例を図示する図21に示されているように、切断中のワイヤへの張力付与を達成するために、ねじりばね8302が設けられている場合がある。ねじりばね8302が、一定力のばねであり、切断ワイヤ、電極、又はワイヤループを引込ませることを提供する、という場合がある。ねじりばねは、ワイヤ又はワイヤを装置のシャフト内へと引張り込む他の構造を、巻くことができる。ねじりばね8302は、順次動作し得る。
【0216】
図14に示されているように、幾つかの例では、ロボット手段又は他の電気機械的手段が、外科手術のために利用される場合がある。そのような例では、バッグから切片を摘出するために同じ手段を利用することが所望である場合がある。図14は、本開示の様々な態様による、患者の体腔内で展開される組織検体バッグ及びグラスパーの他の例1400を示している。図14は、ロボット補助による摘出を可能にする、例示的なアプローチを示している。図示されているように、組織摘出バッグ8831、ロボットグラスパー8832、ガイド手段8834、及びバッグ-機械界面8836を有するシステム8830が、幾つかの実施形態において提供される。幾つかの例では、グラスパー8832は、図1-6に関連して記述されたグラスパーの1つ以上の態様を実装する。
【0217】
ロボットグラスパー8832は、外科医が、ロボットグラスパー8832が患者の体又は切開口を出入りするのを見ることができるようにすべく、アーム8835上にカメラ及び/又は光源8839を備えている場合がある。ガイド手段8834は、トロッカーと切開部位の間のガイドを含め、切開口又はトロッカーの内外でロボットグラスパー8832をガイドする能力を提供する。幾つかの実施形態では、ロボットグラスパー8832は、切開部位と他の場所(例:検体容器又は病理学的容器、又は組織を受けるためのトレイ)の間を移動するように構成されている。
【0218】
バッグ-機械界面8836は、バッグ開口部の近位に設けられ得るのであって、以下のように、即ち、ロボットアーム8838とインタフェース接続し、組織切片8822の摘出の間に該アーム8838がバッグ8831に張力を与え、切片が容易に識別及び把持されるようにすることを可能にするように、構成されている。
【0219】
本明細書は、主として電気外科手術システムについて述べているが、幾つかの実施形態では、電気外科手術構成要素を有さない切片化装置を用いて組織の切片化及び摘出が達成されてもよいことは、理解されたい。具体的には、例えば力、運動、及び/又は振動によって機械的に組織を切片化する1つ以上のワイヤを有する、外科手術装置が設けられる場合がある。本明細書で開示される例の多くは、このような機械的外科手術装置にも適用される。例えば、外科手術装置が本明細書に記載のワイヤ張力付与の方法を利用するにあたって、電気的な側面を伴わない場合もあれば、引張り力又は切断速度を制御するように構成されたコントローラを備えている場合もあれば備えていない場合もある。同様にして、ロボットシステムが、本質的に電気外科手術的ではない切断機能も提供する場合がある。電気外科手術切片化手順の例にあるように、摘出バッグは、組織切片が摘出バッグ内に配置されているときに切断ワイヤを所定の位置に保つ(そして互いに絡まり合わないようにする)ための手段を、提供することができる。同様にして、ワイヤは、所望の設定された力又は時間で摘出バッグから脱離するように構成されている場合もある。機械的切断のみの使用は、組織が石灰化していない適用、機械的特性の変動が少ない適用、又は一般的に壊れやすい適用において、従って、確実に組織を貫通して切断するために非常に大きな力を必要とするわけではない適用において、有利であり得る。このような例に対処するためには、組織摘出装置又はワイヤ切断装置は、電気外科手術切断を必要とする要素を有さないように構成されるとよく、例えば、リターン電極を、又はコントローラ又は電気外科手術用発電機への接続を、省略することが可能である。当業者であれば、電気外科手術切断構成要素を有さない摘出装置が必要とする、ユーザが完了させる器具接続は、より少数であることが、理解できよう。ひいては、このことは、製品の製造コストを削減することができる。幾つかの実施形態では、電気外科手術切断部分を有さない摘出装置は低温での組織切断を可能にするので、そのような摘出装置は、体の弱い患者にとってのより安全な選択肢となり得る。当業者であれば、電気外科手術切断機能を有さない摘出装置における機械的引張り力は、電気外科手術切断部分を有するものよりも著しく大きくなることを、理解できよう。
【0220】
本明細書で開示される要素の各々は、様々なやり方で達成され得る。本開示は、任意の装置の実施形態の変形、方法又はプロセスの実施形態の変形、又はこれらの要素の単なる変形であっても、そのような変形の各々を包含するものと、理解されたい。特に、機能又は結果のみが同じであったとしても、各要素の用語は、等価な装置用語又は方法用語によって表現されるべきであることは、理解されたい。そのような等価な用語、より広い用語、又はより一般的な用語でさえもが、各要素又は作用の記述に包含されるものと、考えられるべきである。そのような用語は、暗黙のうちに本発明に対して認められる広範な範囲を明示するために、必要に応じて置き換えられ得る。
【0221】
一例であっても、すべての行為は、その行為をするための手段として、又はその行為を引き起こす要素として、表現され得ることは、理解されたい。同様にして、開示された各物理的要素は、その物理的要素が可能にする行為の開示を包含するものと理解されたい。この最後の側面に関しては、「切断機構」の開示内容は、-明示的に論じられているにせよそうでないにせよ-「切断」行為の開示内容を包含するものと理解されたい。逆に、「切断」行為のみが開示されている場合、そのような開示内容は、「切断機構」の開示内容を包含しているものと理解されたい。そのような変更または代替用語は、本明細書に明示的に含まれているものと理解されたい。
【0222】
開示された実施形態の上記の記述は、任意の当業者が請求項によって定義された本発明を作製又は使用することができるように、提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正は、当業者にとっては容易に明らかであり、かつ、本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態に対しても適用され得る。従って、本発明は、本明細書で示された実施形態に限定されることを意図されたものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
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図23
図24
【国際調査報告】