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特表2024-532291細長いアーム及び枢動可能なカメラを備えた撮像装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】細長いアーム及び枢動可能なカメラを備えた撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20240829BHJP
   B25J 18/06 20060101ALI20240829BHJP
   B25J 3/00 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
A61B34/30
B25J18/06
B25J3/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512092
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 IB2021057753
(87)【国際公開番号】W WO2023026074
(87)【国際公開日】2023-03-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520060483
【氏名又は名称】モーメンティス サージカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MOMENTIS SURGICAL LTD.
【住所又は居所原語表記】3 YEHADUT CANADA STREET OR-YEHUDA, ISRAEL 6037503
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】コーエン, デヴィア
(72)【発明者】
【氏名】レビンソン, ヤロン
(72)【発明者】
【氏名】ローテム, イダン
(72)【発明者】
【氏名】ネタ, イフタ
【テーマコード(参考)】
3C707
4C130
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707CU07
3C707KT01
4C130AA02
4C130AA13
4C130AA22
4C130AA33
4C130AA34
4C130AA37
4C130AB01
4C130AB04
4C130AC01
4C130AC11
4C130BA01
(57)【要約】
人体内の画像を撮影するための撮像装置は、細長い機械アームと、遠位アーム位置で前記アームに結合された撮像アセンブリとを備える。前記撮像アセンブリは、カメラと、枢動軸を画定するとともに前記カメラが枢動範囲全体にわたって前記枢動軸の周りを枢動可能であるように前記カメラと係合する枢動部材と、遠隔ユーザ入力に応答して前記カメラを枢動させるように構成された作動部材とを備える。前記枢動範囲は、前記カメラの方向が前記遠位アーム位置における前記細長いアームの方向から少なくとも90度回転される点を含み得る。前記枢動範囲は、少なくとも前記遠位アーム位置における前記細長いアームの長手方向中心線に平行な平面においては、45度の範囲を少なくとも含み得る。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体内の画像を取得するための撮像装置であって、前記撮像装置は、
(a)細長い機械アームと、
(b)遠位アーム位置において前記アームに結合された撮像アセンブリと、
を備え、前記撮像アセンブリは、
(i)カメラと、
(ii)前記遠位アーム位置において前記細長いアームの長手方向中心線に直交する枢動軸を画定する枢動部材であって、前記カメラが枢動範囲全体にわたって前記枢動軸の周りを枢動可能であるように前記カメラと係合する枢動部材と、
(iii)遠隔ユーザ入力に応答して前記カメラを枢動させるように構成された作動部材と、
を備え、前記枢動範囲は、前記カメラが前記遠位アーム位置における前記細長いアームの前記長手方向中心線から少なくとも90度回転する方向を含む、撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、前記カメラを枢動させることには、前記遠位アーム位置における前記細長いアームの方向から少なくとも135度回転された方向に前記カメラを枢動させることを含む、撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の撮像装置であって、前記細長い機械アームは、ユーザによる遠隔操作が可能である、撮像装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記細長い機械アームは、屈曲するように構成されている、撮像装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記細長い機械アームは、複数のアームセグメントを備え、
前記複数のアームセグメントは、アーム関節によって直列に接続され、
前記アーム関節は、それぞれの自由度を有し、遠隔ユーザ入力に応じて屈曲および回転するように構成される、撮像装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記枢動範囲は、少なくとも前記遠位アーム位置における前記細長いアームの長手方向中心線に平行な平面においては、90度の範囲を少なくとも含む、撮像装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記枢動部材は、前記細長いアームの前記遠位部分に交わるように接続されている、撮像装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記枢動範囲は、遠位アーム位置方向に依存しない、撮像装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記作動部材は、前記遠位アーム位置にある局所電源によって電力が供給される、撮像装置。
【請求項10】
請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記作動部材は、遠隔電源によって電力が供給される、撮像装置。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記作動部材は、微小電気機械システムを含む、撮像装置。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記遠隔ユーザ入力は、前記作動部材によって前記遠位アーム位置で局所的に受信される、撮像装置。
【請求項13】
請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記撮像アセンブリはさらに、前記作動部材とデータ通信する電子通信回路であって遠隔ユーザ入力を受信するように構成された電子通信回路を含む、撮像装置。
【請求項14】
請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記遠隔ユーザ入力は、前記作動部材によって遠隔的に受信される、撮像装置。
【請求項15】
請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記遠隔ユーザ入力は、前記細長いアームの近位位置で受信される、撮像装置。
【請求項16】
請求項1~請求項15のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記枢動範囲は、少なくとも前記遠位アーム位置における前記細長いアームの前記長手方向中心線に平行な平面においては、90度の範囲を少なくとも含む、撮像装置。
【請求項17】
請求項1~請求項16のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記枢動範囲は、少なくとも前記遠位アーム位置における前記細長いアームの前記長手方向中心線に平行な平面においては、135度の範囲を少なくとも含む、撮像装置。
【請求項18】
請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記カメラは、複数の枢動軸の周りを枢動可能である、撮像装置。
【請求項19】
請求項18に記載の撮像装置であって、前記枢動範囲は、少なくとも1つの平面においては、360度の範囲を含む、撮像装置。
【請求項20】
請求項1~請求項19のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記枢動部材は、前記遠位アーム位置に配置された3軸ジンバル構成の一部である、撮像装置。
【請求項21】
請求項1~請求項20のいずれか一項に記載の撮像装置であって、前記枢動範囲は、前記遠位アーム位置における前記細長いアームの前記長手方向中心線周りの前記カメラの枢動を画定する範囲を含む、撮像装置。
【請求項22】
画像を撮影する方法であって、前記方法は、
(a)以下の(i)及び(ii)を備える撮像装置を提供する提供工程と、
(i)遠隔操作可能な細長い機械アーム
(ii)遠位アーム位置で前記アームに結合された撮像アセンブリであって、前記撮像アセンブリは、カメラと、前記遠位アーム位置で前記細長いアームの長手方向中心線に直交する枢動軸を画定するとともに前記カメラと係合する枢動部材と、前記枢動軸の周りで前記カメラを枢動するように構成されている作動部材と、を備える撮像アセンブリ
(b)前記作動部材によって遠隔ユーザ入力を受信する受信工程と、
(c)前記遠隔ユーザ入力に応答して、前記カメラが前記遠位アーム位置において前記細長いアームの前記長手方向中心線から少なくとも90度回転される方向を含む枢動範囲内で、前記作動部材によって前記カメラを枢動させる枢動工程と、
(d)前記枢動工程に続いて、前記撮影位置において画像を撮影する撮影工程と、
を含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記カメラの枢動には、前記カメラが前記遠位アーム位置において前記細長いアームの前記長手方向中心線から少なくとも135度回転される方向を含む枢動範囲内で前記カメラを枢動させることが含まれる、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記案内工程には、前記細長い機械アームを遠隔操作することが含まれる、方法。
【請求項25】
請求項23又は請求項24に記載の方法であって、前記案内工程には、前記細長い機械アームを屈曲させることが含まれる、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記細長い機械アームは、それぞれが自由度を有するアーム関節であって遠隔ユーザ入力に応じて屈曲および回転するように構成されたアーム関節によって直列に接続された複数のアームセグメントを備える遠隔操作可能なアームである、方法。
【請求項27】
請求項22~請求項26のいずれか一項に記載の方法であって、前記作動部材による前記カメラの枢動には、前記細長いアームの前記遠位部分の前記長手方向中心線に平行な平面内でカメラを枢動させることが含まれる、方法。
【請求項28】
請求項22~請求項27のいずれか一項に記載の方法であって、前記枢動部材は、前記細長いアームの前記遠位部分に交わるように接続されている、方法。
【請求項29】
請求項22~請求項28のいずれか一項に記載の方法であって、前記枢動範囲は、遠位アーム位置方向に依存しない、方法。
【請求項30】
請求項22~請求項29のいずれか一項に記載の方法であって、前記作動部材による前記カメラの枢動には、前記遠位アーム位置にある局所電源から電力を受け取ることが含まれる、方法。
【請求項31】
請求項22~請求項30のいずれか一項に記載の方法であって、前記作動部材による前記カメラの枢動には、遠隔電源から電力を受け取ることが含まれる、方法。
【請求項32】
請求項22~請求項31のいずれか一項に記載の方法であって、前記作動部材は、微小電気機械システムを含む、方法。
【請求項33】
請求項22~請求項32のいずれか一項に記載の方法であって、前記作動部材による前記遠隔ユーザ入力の受信には、前記遠隔ユーザ入力を前記遠位アーム位置で局所的に受信することが含まれる、方法。
【請求項34】
請求項22~請求項33のいずれか一項に記載の方法であって、前記撮像アセンブリはさらに、前記作動部材とデータ通信する電子通信回路を含み、前記遠隔ユーザ入力の受信には、前記電子通信回路によって前記遠隔ユーザ入力を受信することが含まれる、方法。
【請求項35】
請求項22~請求項34のいずれか一項に記載の方法であって、前記作動部材による前記遠隔ユーザ入力の受信には、前記遠隔ユーザ入力を遠隔的に受信することが含まれる、方法。
【請求項36】
請求項22~請求項35のいずれか一項に記載の方法であって、前記作動部材による前記遠隔ユーザ入力の受信には、前記細長いアームの近位位置で前記遠隔ユーザ入力を受信することが含まれる、方法。
【請求項37】
請求項22~請求項36のいずれか一項に記載の方法であって、前記カメラの枢動には、少なくとも90度の枢動範囲にわたって前記カメラを枢動させることが含まれる、方法。
【請求項38】
請求項22~請求項37のいずれか一項に記載の方法であって、前記カメラの枢動には、少なくとも135度の枢動範囲にわたって前記カメラを枢動させることが含まれる、方法。
【請求項39】
請求項22~請求項38のいずれか一項に記載の方法であって、前記カメラの枢動には、前記遠位アーム位置における前記細長いアームの方向から少なくとも90度回転された方向に前記カメラを枢動させることが含まれる、方法。
【請求項40】
請求項22~請求項39のいずれか一項に記載の方法であって、前記カメラの枢動には、複数の枢動軸の周りで前記カメラを枢動させることが含まれる、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、前記枢動範囲は、少なくとも1つの平面においては、360度の範囲を含む、方法。
【請求項42】
請求項22~請求項41のいずれか一項に記載の方法であって、前記カメラの枢動には、前記遠位アーム位置に配置された3軸ジンバル構成内で前記カメラを枢動させることが含まれる、方法。
【請求項43】
請求項22~請求項42のいずれか一項に記載の方法であって、前記カメラの枢動には、前記遠位アーム位置において前記細長いアームの前記長手方向中心線の周りで前記カメラを枢動させることが含まれる、方法。
【請求項44】
人体内で画像を撮影するための撮像装置であって、前記撮像装置は、
(a)細長い機械アームと、
(b)遠位アーム位置で前記アームに結合された撮像アセンブリと、を備え、前記撮像アセンブリは、
(i)カメラと、
(ii)前記遠位アーム位置において前記細長いアームの長手方向中心線に直交する枢動軸を画定する枢動部材であって、前記カメラが枢動範囲全体にわたって前記枢動軸の周りを枢動可能であるように前記カメラと係合する枢動部材と、
(iii)遠隔ユーザ入力に応答して前記カメラを枢動させるように構成された作動部材と、
を備え、前記枢動範囲には、45度の範囲が少なくとも含まれる、撮像装置。
【請求項45】
人体内で画像を撮影する方法であって、前記方法は、
(a)撮像装置を人体内の撮像位置まで案内する案内工程であって、前記撮像装置は、
(i)細長いアームと、
(ii)遠位アーム位置で前記アームに結合された撮像アセンブリと、
を備え、前記撮像アセンブリは、カメラと、前記遠位アーム位置において前記細長いアームの長手方向中心線に直交する枢動軸を画定するとともに前記カメラと係合する枢動部材と、前記枢動軸の周りで前記カメラを枢動させるように構成された作動部材と、を備える、案内工程と、
(b)前記作動部材によって遠隔ユーザ入力を受信する受信工程と、
(c)前記遠隔ユーザ入力に応答して、前記作動部材によって前記カメラを少なくとも45度の枢動範囲にわたって枢動させる枢動工程と、
(d)前記枢動工程に続いて、前記撮影位置において画像を撮影する撮影工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
【0002】
本特許出願は、2020年12月2日に出願された米国非仮特許出願第17/109,354号の一部継続出願であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国非仮特許出願第17/109,354号は、2020年1月30日に出願された米国特許出願第16/776,548号の一部継続出願であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許出願第16/776,548号は、2019年1月30日に出願された米国仮特許出願第62/798,508号の優先権を主張しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、細長いアームの遠位端で使用される枢動可能なカメラに関連し、特に、遠隔操作可能な細長いアームの遠位端にある遠隔的に枢動可能なカメラに関連する。
【背景技術】
【0004】
操作可能なアームの遠位端で使用されるカメラおよび同様の撮像装置には、カメラの角度がアームの端の向きに対して固定されている一部の内視鏡および非医療機器が含まれ、カメラの向きは、アームの操作に依存する。逆に、手動で向きを変えることができるカメラであって、アームの向きに依存せずに向きを変えることができるが遠隔的に向きを変えることはできないカメラは、入手可能である。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態によれば、人体内の画像を取得するための撮像装置であって、前記撮像装置は、
(a)細長い機械アームと、
(b)遠位アーム位置において前記アームに結合された撮像アセンブリと、
を備え、前記撮像アセンブリは、
(i)カメラと、
(ii)前記遠位アーム位置において前記細長いアームの長手方向中心線に直交する枢動軸を画定する枢動部材であって、前記カメラが枢動範囲全体にわたって前記枢動軸の周りを枢動可能であるように前記カメラと係合する枢動部材と、
(iii)遠隔ユーザ入力に応答して前記カメラを枢動させるように構成された作動部材と、
を備える。前記枢動範囲は、前記カメラの方向が前記遠位アーム位置における前記細長いアームの方向から少なくとも90度回転される点を含む。いくつかの実施形態では、前記カメラの枢動には、前記遠位アーム位置における前記細長いアームの方向から少なくとも135度回転した方向に前記カメラを枢動させることが含まれ得る。いくつかの実施形態では、前記枢動範囲は、45度の範囲を少なくとも含み得る。いくつかの実施形態では、前記枢動範囲は、遠位アーム位置方向に依存しなくてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記細長い機械アームは、ユーザにより遠隔操作が可能であり得る。いくつかの実施形態では、前記細長い機械アームは、屈曲するように構成され得る。いくつかの実施形態では、前記細長い機械アームは、それぞれが自由度を有するアーム関節であって遠隔ユーザ入力に応答して屈曲および回転するように構成されたアーム関節によって直列に接続された複数のアームセグメントを備え得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記枢動範囲は、少なくとも平行な平面(前記遠位アーム位置における前記細長いアームの長手方向中心線に平行な平面)においては、少なくとも45度または少なくとも90度の範囲を少なくとも含む。いくつかの実施形態では、前記枢動部材は、前記遠位部分に交わるように接続され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記枢動範囲は、遠位アーム位置方向に依存しなくてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記作動部材は、前記遠位アーム位置にある局所電源によって電力を供給され得る。いくつかの実施形態では、前記作動部材は、遠隔電源によって電力を供給され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記作動部材は、微小電気機械システムを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記遠隔ユーザ入力は、前記作動部材によって前記遠位アーム位置で局所的に受信され得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記撮像アセンブリは、前記作動部材とデータ通信する電子通信回路であって遠隔ユーザ入力を受信するように構成された電子通信回路をさらに含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記遠隔ユーザ入力は、前記作動部材によって遠隔的に受信され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記遠隔ユーザ入力は、前記細長いアームの近位位置で受信され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記枢動範囲は、少なくとも前記遠位アーム位置における前記細長いアームの前記長手方向中心線に平行な前記平面においては、90度の範囲を少なくとも含み得る。いくつかの実施形態では、前記枢動範囲は、少なくとも前記遠位アーム位置における前記細長いアームの前記長手方向中心線に平行な前記平面においては、135度の範囲を少なくとも含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記カメラは、複数の枢動軸の周りで枢動可能であり得る。いくつかの実施形態では、前記枢動範囲は、少なくとも1つの平面において360度の範囲を含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記枢動部材は、前記遠位アーム位置に配置された3軸ジンバル構成の一部であり得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記枢動範囲は、前記遠位アーム位置における前記細長いアームの前記長手方向中心線の周りでの前記カメラの枢動を画定する範囲を含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、画像を撮影する方法が開示され、前記方法は、
(a)以下の(i)及び(ii)を備える撮像装置を提供する提供工程と、
(i)遠隔操作可能な細長い機械アーム
(ii)遠位アーム位置で前記アームに結合された撮像アセンブリであって、前記撮像アセンブリは、カメラと、枢動軸を画定するとともに前記カメラと係合する枢動部材と、前記枢動軸の周りで前記カメラを枢動するように構成されている作動部材と、を備える撮像アセンブリ
(b)前記作動部材によって遠隔ユーザ入力を受信する受信工程と、
(c)前記遠隔ユーザ入力に応答して、前記カメラが前記遠位アーム位置において前記細長いアームの前記長手方向中心線から少なくとも90度回転される方向を含む枢動範囲内で、前記作動部材によって前記カメラを枢動させる枢動工程と、
(d)前記枢動工程に続いて、前記撮影位置において画像を撮影する撮影工程と、
を含む。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、前記案内工程には、前記細長い機械アームを遠隔操作することが含まれ得る。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、前記案内工程には、前記細長い機械アームを屈曲させることが含まれ得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記細長い機械アームは、それぞれが自由度を有するアーム関節であって遠隔のユーザ入力に応答して屈曲および回転するように構成されたアーム関節によって直列に接続された複数のアームセグメントを備える遠隔操作可能なアームであり得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記枢動軸は、前記細長いアームの前記遠位部分の前記長手方向中心線に交わるような方向に向けられ得る。いくつかの実施形態では、前記枢動部材は、前記細長いアームの前記遠位部分に交わるように接続され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記枢動範囲は、遠位アーム位置方向に依存しなくてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記作動部材による前記カメラの枢動には、前記遠位アーム位置で局所電源から電力を受け取ることが含まれ得る。いくつかの実施形態では、前記作動部材による前記カメラの枢動には、遠隔電源から電力を受け取ることが含まれ得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記作動部材は、微小電気機械システムを含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記作動部材による前記遠隔ユーザ入力の受信には、前記遠隔ユーザ入力を前記遠位アーム位置で局所的に受信することが含まれ得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記撮像アセンブリはさらに、前記作動部材とデータ通信する電子通信回路を含んでもよく、前記遠隔ユーザ入力の受信には、前記電子通信回路によって前記遠隔ユーザ入力を受信することが含まれ得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記作動部材による前記遠隔ユーザ入力の受信には、前記遠隔ユーザ入力を遠隔的に受信することが含まれ得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記作動部材による前記遠隔ユーザ入力の受信には、前記細長いアームの近位位置で前記遠隔ユーザ入力を受信することが含まれ得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記カメラの枢動には、少なくとも90度の枢動範囲にわたって前記カメラを枢動させることが含まれ得る。いくつかの実施形態では、前記カメラの枢動には、少なくとも135度の枢動範囲にわたって前記カメラを枢動させることを含まれ得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記カメラの枢動には、前記遠位アーム位置における前記細長いアームの方向から少なくとも90度回転した方向に前記カメラを枢動させることが含まれ得る。いくつかの実施形態では、前記カメラの枢動には、前記遠位アーム位置における前記細長いアームの方向から少なくとも135度回転した方向に前記カメラを枢動させることが含まれ得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記カメラの枢動には、複数の枢動軸の周りで前記カメラを枢動させることが含まれ得る。いくつかの実施形態では、前記枢動範囲は、少なくとも1つの平面において360度の範囲を含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記カメラの枢動には、前記遠位アーム位置に配置された3軸ジンバル構成内で前記カメラを枢動させることが含まれ得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記カメラの枢動には、前記遠位アーム位置における前記細長いアームの前記長手方向中心線の周りで前記カメラを枢動させることが含まれ得る。
【0036】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態によれば、撮像装置(例えば、人体内で画像を撮影するための撮像装置)は、
(a)細長い機械アームと、
(b)遠位アーム位置で前記アームに結合された撮像アセンブリと、を備え、前記撮像アセンブリは、
(i)カメラと、
(ii)前記遠位アーム位置において前記細長いアームの長手方向中心線に直交する枢動軸を画定する枢動部材であって、前記カメラが枢動範囲全体にわたって前記枢動軸の周りを枢動可能であるように前記カメラと係合する枢動部材と、
(iii)遠隔ユーザ入力に応答して前記カメラを枢動させるように構成された作動部材と、
を備え、前記枢動範囲には、45度の範囲が少なくとも含まれる。いくつかの実施形態では、前記枢動範囲には、90度の範囲が少なくとも含まれ得る。いくつかの実施形態では、前記枢動範囲には、135度の範囲が少なくとも含まれ得る。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、人体内で画像を撮影する方法が開示され、前記方法は、
(a)撮像装置を人体内の撮像位置まで案内する案内工程であって、前記撮像装置は、
(i)細長いアームと、
(ii)遠位アーム位置で前記アームに結合された撮像アセンブリと、
を備え、前記撮像アセンブリは、カメラと、前記遠位アーム位置において前記細長いアームの長手方向中心線に直交する枢動軸を画定するとともに前記カメラと係合する枢動部材と、前記枢動軸の周りで前記カメラを枢動させるように構成された作動部材と、を備える、案内工程と、
(b)前記作動部材によって遠隔ユーザ入力を受信する受信工程と、
(c)前記遠隔ユーザ入力に応答して、前記作動部材によって前記カメラを少なくとも45度の枢動範囲にわたって枢動させる枢動工程と、
(d)前記枢動工程に続いて、前記撮影位置において画像を撮影する撮影工程と、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
次に、添付の図面を参照して本発明を例としてさらに説明するが、図に示す構成要素および特徴の寸法は、表示の便宜および明瞭さのために選択されており、必ずしも縮尺通りではない。
【0039】
図1図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る撮像装置の概略斜視図である。
図2図2Aおよび図2Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る細長いアームおよび撮像アセンブリの概略図である。
図3図3A図3B、および図3Cは、本発明のいくつかの実施形態における、図2A及び図2Bの細長いアームおよび撮像アセンブリ、及び、カメラの様々な枢動範囲を示す。
図4図4Aおよび図4Bは、本発明のいくつかの実施形態における、図2A及び図2Bの細長いアームおよび撮像アセンブリ、及び、前記細長いアームに対するカメラの様々な相対枢動角度を示す。
図5図5A図5B、および図5Cは、本発明のいくつかの実施形態における、細長いアーム、及び、枢動軸を備える撮像アセンブリの概略図である。
図6図6A図6B、および図6Cは、本発明の実施形態における、可撓性の細長いアーム、及び、枢動軸を備える撮像アセンブリの概略図である。
図7図7A図7B図7C図7D、および図7Eは、本発明のいくつかの実施形態における、可撓性の細長いアーム、及び、3軸ジンバル構成を備える撮像アセンブリの概略図である。
図8図8は、本発明のいくつかの実施形態における、リモート接続を有する撮像アセンブリの概略図であり、当該リモート接続により、前記撮像アセンブリは、作動、電力供給、および通信される。
図9図9Aは、本発明の実施形態における、細長いアーム及び図8の撮像アセンブリを示す図である。 図9Bは、本発明の実施形態における、図9Aの細長いアームの近位の詳細を示し、当該詳細は、リモートな作動、電力供給、および通信のための構成を含む。
図10図10は、本発明の実施形態における、ローカルな作動、電力供給、および通信のための構成を有する撮像アセンブリの概略図である。
図11図11は、本発明の実施形態における、細長いアーム用のハウジングユニットの概略図であり、当該概略図は、ハウジングユニット内において、リモートな作動、電力供給、および通信のための構成を含む。
図12図12は、本発明の実施形態における、画像を撮影する方法のステップを示すフローチャートである。
図13図13は、本発明の実施形態における、画像を撮影する方法のステップを示すフローチャートである。
図14図14A~14Cは、本発明の実施形態における、撮像装置の構造を示す概略図である。
図15図15A及び図15Bは、本発明の実施形態における、撮像装置の構造を示す概略図である。
図16図16は、本発明の実施形態における、撮像装置の構造を示す概略図である。
図17図17は、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの一般的な使用手順を示すフローチャートである。
図18A図18Aは、いくつかの実施形態における、手術システム200の概略図である。
図18B図18Bは、いくつかの実施形態における、手術室の環境の一例を示す。
図18C図18Cは、いくつかの実施形態における、支持具(例えば、固定アーム)によって保持された1つまたは複数の外科用アームの概略図である。
図18D図18Dは、いくつかの実施形態における、インプットアームによって制御される外科用アームの概略図である。
図19A図19Aは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19B図19Bは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19C図19Cは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19D図19Dは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19E図19Eは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19F図19Fは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19G図19Gは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19H図19Hは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19I図19Iは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19J図19Jは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19K図19Kは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19L図19Lは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19M図19Mは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19N図19Nは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19O図19Oは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図19P図19Pは、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの詳細な使用フローを示すフローチャートである。
図20図20A~図20Cは、いくつかの実施形態における、外科用アームの二重制御の方法を示すフローチャート(図20A)および二重制御手段を備える制御コンソールの概略図(図20Bおよび図20C)である。
図21図21は、いくつかの実施形態における、触覚ハンドルを使用して1つまたは複数の外科用アームを制御する方法を示すフローチャートである。
図22図22A~図22Cは、いくつかの実施形態における、外科用アームの緊急解放時に使用される器具および手順を示す図である。
図23A図23Aは、いくつかの実施形態における、経膣的アクセスのための例示的な手術構成を示す概略図である。
図23B図23Bは、いくつかの実施形態における、経膣的アクセスのための例示的な手術構成を示す概略図である。
図24図24A及び図24Bは、いくつかの実施形態における、取り付けブロック(図24B)と係合するように構成された固定アーム(図24A)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、添付の図面を参照して、本明細書において例示的に説明される。特に、添付の図面に示された詳細は、例示的なものであって、本発明の好ましい実施形態を説明することのみが目的であり、本発明の原理及び思想のうち最も有用で且つ容易に理解できる側面の説明を提供する目的で提示されている。よって、本発明の基礎を理解するにあたって必要以上の構造的な詳細は示されていないが、当業者には、添付の図面と併せて本明細書の説明を理解すれば、どのように本発明の実施形態が具体的に実施され得るかは明らかであろう。すべての図面において、同一の参照文字は、通常、同一の要素を示すために使用される。
【0041】
本開示全体を通じて、下付きの参照番号(例えば、10または10)は、同じ要素が複数の別々の場面で登場する際に使用され得る。例えば、10は、複数の場面で登場する要素10のうちの1つを示す。特定の場面を参照していない場合、すなわち、ある要素そのものを参照する場合は、当該要素は下付き文字なしで(例えば、10ではなく10として)参照される。
【0042】
本明細書で開示される実施形態は、細長いアームおよび撮像アセンブリを備える撮像装置に関する。いくつかの実施形態によれば、撮像アセンブリは、細長いアームの遠位端に枢動可能に取り付けられた1つまたは複数のカメラと、枢動範囲全体にわたって前記カメラが枢動可能な枢動部材と、遠隔ユーザ入力に応答して前記カメラを枢動させるように構成された作動部材とを含む。「カメラ」という用語は、本明細書では、静止画像またはビデオ画像を撮影し、送信し、および/または、保存するための任意の撮像装置を指す広義な用語として使用される。
【0043】
図1には、撮像装置100は、細長いアーム102と、細長いアーム102の遠位端に結合された、すなわち、取り付けられた、設置された、又は取り外し可能に取り付けられた撮像アセンブリ1320とを含む。撮像アセンブリ1320は、少なくとも1つのカメラ1325を含む。前記カメラは遠位を向いているように示されているが、必ずしもそうである必要はなく、図6A~図6Cに示されるような他の実施形態においては、前記カメラは「基本状態」で後ろ向き、つまり近位方向を向いていてもよい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「遠位」、及び、「近位」という用語は、それぞれ、前記カメラが結合される前記アームの端部またはその端部に向かう方向、及び、前記アームの他端部、すなわち、通常ユーザ又はハウジングなどによって保持される端部、またはその端部に向かう方向を示すために使用される。アーム102の遠位部分1103の非限定的な例が図1に示されている。本明細書で使用される「長手方向」という用語は、近位端と遠位端を結ぶ方向を意味する。
【0044】
アーム102の少なくとも一部1200は可撓性であってよい。いくつかの実施形態では、前記可撓性部分は関節及び間接で繋がった部分を含む。図2Aおよび2Bは、可撓性部分1200がアーム102の外形/表面を可撓性にする一連の「積層リンク」1199を備えるアーム設計を示す。図2Bに示すように、前記アームの可撓性および/または関節運動により、アーム102の遠位端1103は屈曲することができる。図2Bに示される非限定的な実施形態では、アーム102の遠位端1103、特に遠位端1103におけるアーム102の長手方向の中心線CLARMは、非屈曲部分から屈曲角θFLEXで配向される。アームの設計に応じて、屈曲角θFLEXは、少なくとも90°、または少なくとも120°、または少なくとも150°、または少なくとも180°、または少なくとも210°であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、細長いアーム102の遠位端1103に結合された撮像アセンブリ1320は、枢動するように配置され得る。これにより、カメラ1325は、アーム102の方向とは独立した枢動範囲、すなわち、その遠位端1103の方向またはその屈曲角θFLEXとは独立した枢動範囲を有する。図3A~図3Cの概略図では、それぞれ、45°、90°および135°の枢動範囲θPIVOT-RANGEが示されている。各図において、枢動範囲は、カメラ1325の長手方向中心線CLCAMERAの回転範囲を示す。枢動範囲θPIVOT-RANGEは、アームに対する、またはその遠位端1103におけるアーム102の長手方向中心線CLARMに対する、相対的な範囲ではない。いくつかの実施形態では、カメラ1325はカメラアセンブリ1320の一部として枢動可能である。すなわち、カメラアセンブリ1320は一つのユニットとして枢動可能である。いくつかの他の実施形態では、カメラ1325は、カメラアセンブリ1320とは独立して枢動可能である。さらに他の実施形態では、カメラ1325は、カメラアセンブリ1320の一つまたは複数の他の構成要素と一緒に枢動可能であるが、カメラアセンブリ1320全体は一つのユニットとして枢動しない。本明細書は、これらの実施形態をさらに区別するものではなく、そのような実施形態は、すべて本発明の範囲内にある。したがって、「カメラ1325を枢動させる」などの表現は、カメラアセンブリ1320またはカメラアセンブリ1320の他の部分の枢動を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0046】
例えばカメラ中心線CLCAMERAによって定義されるカメラ1325は、複数の平面内で枢動することができる。いくつかの実施形態では、図3A~図3Cに示されるように、カメラが枢動する平面のうちの少なくとも1つは、アーム中心線CLARMと平行である。それぞれの枢動範囲θPIVOT-RANGEは、便宜上、図3A~図3Cにおいてアームの中心線CLARMを中心として示されているが、これは必ずしもそうである必要はない。例えば、ここでは示されていない実施形態においては、カメラは、少なくとも45°に等しい枢動範囲θPIVOT-RANGEを有することができ、枢動範囲は完全にアーム中心線CLARMの片側にある。
【0047】
図3A図3Cとは対照的に、図4Aおよび図4Bは、アーム中心線CLARMに対して相対的に規定される枢動範囲θRELATIVE-TO-ARMを示す。図4Aは、90度の枢動範囲θRELATIVE-TO-ARMの極点まで回転されたカメラ1325を、撮像アセンブリ1320全体とともに示している。図4Aは、135度の枢動範囲θRELATIVE-TO-ARMの極点まで回転されたカメラ1325を示す。したがって、カメラ1325の枢動はアーム102の向きとは独立しているが、独立して測定される枢動範囲θPIVOT-RANGEを定義することが可能である。すなわち、一方の極点からもう他方の極点までの円弧、またはアーム中心線CLARMから極点までの枢動範囲θRELATIVE-TO-ARMを定義することが可能である。したがって、図4Aに示される90度の枢動範囲θRELATIVE-TO-ARM図3Bに示される90度のθPIVOT-RANGEは、後者がアーム中心線CLARMの第1極点からそれとは90度離れた第2極点まで延びる場合、同一の範囲を示す。
【0048】
いくつかの実施形態の一態様は、手術中に使用するための撮像装置(例えば、カメラ)に関連しており、撮像装置は、隣接する器官による視野の遮断を潜在的に回避しながら、体内で後屈するように構成されている。いくつかの実施形態では、カメラ自体が後屈するように構成され、例えばカメラが延びるアームに対してある角度で配置される。追加的または代替的に、カメラが伸びるアームは柔軟であり、カメラを後方(例えば、体内へのアームの前進方向と反対)に向けて配置するために曲げることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、アームから伸びるヘッドであって当該アームに対して枢動するように構成されたヘッドに取り付けられたカメラを備える。いくつかの実施形態では、アームは、ヘッドが受け入れられる凹部を画定する遠位剛性延長部を備え、ヘッドは、例えば、剛性延長部に対してある角度(例えば、5~135度の間)でカメラを位置決めするために、凹部から外側に枢動することができる。ヘッドが凹部内に受け入れられるとき、ヘッドは剛性延長部と同一平面上にあってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、ジンバル支持具が提供され、1つまたは複数のカメラがジンバル支持具上に取り付けられる。任意選択で、ジンバル支持具は、任意の角度および/または方向に1つまたは複数のカメラを位置決めするために、当該ジンバル支持具が延びるアームに対して回転するように構成される。
【0051】
図5A図5Cは、いくつかの実施形態における、カメラ1325(図5A図5Bには図示せず)が取り付けられる撮像アセンブリ1320を示す。撮像アセンブリ1320は、当該撮像アセンブリが延びるアーム延長部1109に対して枢動するように構成されている。アーム延長部1109は、撮像アセンブリ1320をアーム102に結合するために必要に応じて使用されるコネクタである。いくつかの実施形態では、例えば図5Aに示すように、撮像アセンブリ1320は、アーム延長部1109内に少なくとも部分的に受容され、必要に応じてアーム延長部1109と長手方向に位置合わせされる。図13Bでは、撮像アセンブリ1320は、例えば、カメラ1325をアーム延長部1109に対して45度の角度で位置決めするために、わずかに枢動されている。図5Cでは、撮像アセンブリ1320は、アーム延長部1109の向きに対して135度の角度でカメラ1325を位置決めするために枢動され、それによって撮像時に「後ろ向き」の視野が得られる。いくつかの実施形態では、枢動は、撮像アセンブリ1320およびカメラ1325が周りで枢動可能である枢動軸を画定する枢動部材1350の周りで行われる。
【0052】
図6A図6Cは、いくつかの実施形態における、枢動する撮像アセンブリ1320に取り付けられた別のカメラ1325を示す。撮像アセンブリ1320は、撮像アセンブリ1320が当該撮像アセンブリとアーム延長部1109とが面一である位置から撮像アセンブリ1320がアーム延長部1109から枢動して離れる位置まで(例えば、図6Bに示される向きに)移動することができるように、アーム延長部1109によって画定される凹部内に受容される。これにより、カメラ1325は「後ろ向き」の位置に配置され、この位置では、カメラ1325は、アーム102の進行方向とは反対側の視野を捉えるように配置されている。図6B及び6Cでは、アーム102は様々な向きに曲げられた状態で示されている。いくつかの実施形態では、撮像アセンブリ1320およびカメラ1325の枢動は、アーム延長部1109によって画定される凹部の遠位端に位置する枢動部材1350の周りで行われる。
【0053】
図7A~7Eは、いくつかの実施形態における、複数の枢動平面内でそれぞれの枢動軸を画定する複数の枢動部材1350の周りを枢動するためのジンバル支持具を含む撮像アセンブリ構造を示す。1つまたは複数のカメラ1325は、3軸ジンバル構成1380に取り付けられた撮像アセンブリ1320上に配置される。いくつかの実施形態では、所望の視野を捉えるための1つまたは複数のカメラ1325の位置決めは、以下の(a)~(c)うちの1つまたは複数によって実行される。
(a)図7A図7Dの矢印901で示すように、第1の枢動部材1350の周りで細長いアーム102に対して相対的に撮像アセンブリ1320を枢動させる。当該枢動は、図7Eに示される後ろ向きの向きを含む。
(b)図7A、図7C及び図7Dの矢印902で示すように、カメラ1325を支持するカメラ取り付け台1327を撮像アセンブリ1320の本体に対して相対的に回転させる。
(c)図7Aおよび図7Dの矢印903で示すように、撮像アセンブリ1320をアーム102に対して相対的に回転させる。図7Dに示されるカメラの向きは、矢印902および矢印903のいずれかまたは両方の回転を行うことで達成することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、図7A~図7Dに示すように、2つ以上のカメラ1325がカメラアセンブリ1320内に配置される。必要に応じて、当該2つ以上のカメラ1325は同様の方向を向くように配置され、又は、異なるカメラ1325がそれぞれ異なる方向を向くように配置される。2つ以上のカメラを使用する潜在的な利点には、(例えば、3次元視野を取得するための)視野の改善が含まれる。
【0055】
ここから、図8図10が参照される。
【0056】
いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ1320は、遠隔ユーザ入力に応答してカメラ1325を枢動するように構成された作動部材を備える。
【0057】
図8に示される非限定的な例では、作動部材は細長い作動ケーブル1240を含み、細長い作動ケーブル1240は、少なくとも細長いアームの近位部分からアーム102の遠位端1103にあるカメラアセンブリ1320まで延びる。作動ケーブル1240の長手方向の操作(例えば、押すまたは引くこと)によってカメラアセンブリ1320が枢動部材1350の周りで枢動するように、作動ケーブル1240はカメラアセンブリ1320に結合されることが可能である。図8の例では、作動ケーブル1240の操作は、作動部材(例えば、作動ケーブル1240)がカメラアセンブリ1320から離れて受信した遠隔ユーザ入力に応答する。例えば、ユーザ入力は、作動ケーブル1240の近位部分の直接的または間接的な操作を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、遠隔ユーザ入力は、細長いアーム102の近位部分の作動部材(例えば、作動ケーブル1240)によって受信される。他の実施形態では、作動ケーブル1240は、細長いアーム102の近位端から近位方向に延在し、遠隔ユーザ入力は、細長いアーム102の外側で受信され得る。図9A及び図9Bの例では、作動ケーブル1240は、細長いアーム102の近位端から近位方向に延びており、近位方向および遠位方向は、図9Aにおいて矢印11000によって示されている。図9Bの例では、作動ケーブル1240は、作動制御装置1440と少なくとも間接的に通信し、作動制御装置1440は、遠隔ユーザ入力を作動ケーブル1240に転送するために使用され得る。作動制御装置1440の適切な例には、入力装置を介して入力されたユーザ入力に応答して作動ケーブル1240の長手方向の操作を引き起こす電子制御および/または機械制御が含まれる。別の例(図示せず)では、作動制御装置1440は、細長いアーム102の近位部分内に配置された作動ケーブル1240の近位部分と通信する。
【0059】
図10に示す非限定的な例では、作動部材は、遠隔ユーザ入力に応答してカメラ1325を枢動させるように適合されるとともに局所的に配置された作動部材1340を含む。局所的に配置された作動部材1340の適切な例は、微小電気機械システム(MEMS)である。MEMSは、遠隔ユーザ入力の受信時にカメラ1325を枢動させるために、枢動部材1350と少なくとも間接的に接触するように配置され得る。局所的に配置された作動部材1340の別の適切な例は、小型スナップアクションスイッチ(例えば、電気および機械業界で知られている「Micro Switch TM」製品)である。
【0060】
MEMSまたはマイクロスイッチなどの局所的に配置された作動部材1340は、局所電源または遠隔電源によって電力を供給され得る。局所電源の一例は、図10に示される局所電源1355であり、局所電源1355は、カメラアセンブリ1320および局所的に配置された作動部材1340上に配置されるか、またはそれらと電気的に接触する。遠隔電源の一例は、図9Bに示される遠隔電源4155であり、遠隔電源4155は、細長いアーム102の近位端内または近位端に配置され、図8図9A及び図9Bに示す電気ケーブル1255を介してカメラアセンブリ(例えば、局所的に配置された作動部材1340)と電気的に通信する。いくつかの実施形態では、電気ケーブル1255は、局所的に配置された作動部材1340に電力を供給するために電気ケーブル1255が追加的に提供されるかどうかに関係なく、遠隔電源(例えば、遠隔電源1455)からカメラ325に電力を供給するために提供される。
【0061】
局所的に配置された作動部材3140は、電子通信回路を介して、遠隔ユーザ入力(例えば、遠隔で生成されたユーザ入力)を受信することができる。電子通信回路の第1の例は、図10に示される局所的に配置された無線通信構成1356を含み、当該無線通信構成1356は、カメラアセンブリ1320および局所的に配置された作動部材1340上に配置されるか、またはこれらと少なくとも間接的に接触している。電子通信回路の第2の例は、図8図9Aおよび図9Bに示す通信ケーブル1256を含む。
【0062】
例示的な設計では、局所的に配置された作動部材1340にカメラを枢動させるための遠隔ユーザ入力は、局所的に配置された無線通信構成1356によって局所的に(すなわち、カメラアセンブリ1320で)受信される。別の例示的な設計(図示せず)では、局所的に配置された作動部材1340にカメラを枢動させるための遠隔ユーザ入力は、遠隔的に受信される(例えば、図9Bに示すように、細長いアーム102の近位端内または近位端に位置する通信ユニット1456で受信される)。通信ユニット1456は、通信ケーブル1256を介して、カメラアセンブリ1320(例えば、局所的に配置された作動部材1340)とデータ通信する。いくつかの実施形態では、作動部材にカメラ1325を枢動させる遠隔ユーザ入力を送信するために追加的に電子通信回路が提供されるかどうかに関係なく、電子通信回路は、カメラ1325と通信するために(例えば、撮像を制御し、取り込まれた画像を(カメラ1325から)送信するために)提供される。
【0063】
図11は、人体内の撮像位置で画像を取り込む際の使用に適した撮像装置100のモータ制御ユニット1101の概略図を示し、撮像装置100は、細長いアーム102及び細長いアーム102の遠位端1103に結合された撮像アセンブリ1320を備える。撮像装置100は、モータ制御ユニット1101と接触する近位アーム延長部1112を含む。いくつかの実施形態によれば、モータユニットは、その中に以下の(a)~(c)のうちの一つ又は複数を収容し得る。
(a)作動部材に電力を供給するための遠隔電源555(例えば、図9Bの遠隔電源1455に追加的又は代替的な遠隔電源555)
(b)通信ユニット556(例えば、図9Bの遠隔通信ユニット1456に追加的又は代替的な通信ユニット556)
(c)遠隔作動制御装置540(例えば、図9Bの作動制御装置1440に追加的又は代替的な遠隔作動制御装置540)
【0064】
いくつかの実施形態では、作動部材は完全に局所的に配置されてもよく、またはされなくてもよい。いくつかの実施形態では、作動部材に電力を供給するための電源は、局所または遠隔であり得る。いくつかの実施形態では、遠隔ユーザ入力は、局所または遠隔で受信され得る。これらの設計オプションの任意の有効な(すなわち、実行可能な)組み合わせが可能であるとともに本発明の技術的思想の範囲内に含まれる。設計オプションのいずれにおいても、「局所」とは、カメラアセンブリ1320および/またはカメラ1325を指すか、またはそれらの近傍を指し、「遠隔」とは、以下の1つまたは複数を指し得る。
(i)細長いアーム102の近位部分
(ii)細長いアーム102の近位方向
(iii)モータ制御ユニット1101内
【0065】
図12には、人体内の画像を取り込むための方法が開示されている。図12のフローチャートに示されるように、この方法は、ステップS01、ステップS02、ステップS03、およびステップS04を備えており、これらについては以下の段落で説明する。
【0066】
ステップS01は、撮像装置100を体内の撮像位置に案内する案内工程を含む。撮像装置100は、(i)細長いアーム102と、(ii)遠位アーム位置1103でアーム102に結合された撮像アセンブリ1320とを備える。撮像アセンブリ1320は、カメラ1325を備え、枢動部材1350は、枢動軸を画定するとともにカメラと係合し、作動部材(例えば、細長い作動ケーブル1240または局所的に配置された作動部材1340)は、枢動軸の周りでカメラを枢動するように構成される。いくつかの実施形態では、枢動部材1350は、少なくとも間接的に、細長いアーム102の遠位部分1103に交わるように接続される。この方法のいくつかの実施形態では、枢動軸は、細長いアーム102の遠位部分1103の長手方向中心線CLARMに交わるように配向される。
【0067】
いくつかの実施形態では、案内工程は、細長いアーム102を遠隔操作および/または屈曲させることを含む。「遠隔操作」(または「遠隔操作可能」及びそれと同等の用語)とは、機械的制御要素および/または電子制御要素および入力装置またはアームの外部にある他の制御ユニットを使用して間接的に実行される、アーム102の全部または一部の伸長、収縮、回転および/または屈曲などの操作を意味する。いくつかの実施形態では、細長いアーム102は、それぞれが自由度を有するアーム関節であって遠隔ユーザ入力に応答して屈曲および回転するように構成されるアーム関節によって直列に接続された複数のアームセグメント1199を備える遠隔操作可能なアームである。
【0068】
ステップS02は、作動部材(例えば、細長い作動ケーブル1240または局所的に配置された作動部材1340)によって、遠隔ユーザ入力を受信する受信工程を含む。いくつかの実施形態では、撮像アセンブリ1320は、作動部材とデータ通信する電子通信回路をさらに含み、遠隔ユーザ入力を受信する受信工程は、電子通信回路(例えば、ローカル通信ユニット1356、遠隔通信ユニット1456、またはリモート通信556)によって遠隔ユーザ入力を受信することを含む。いくつかの実施形態では、作動部材によって遠隔ユーザ入力を受信する受信工程は、遠隔ユーザ入力を遠隔的に(例えば、細長いアーム102の近位部分において)受信することを含む。
【0069】
ステップS03は、ステップS02で受信した遠隔ユーザ入力に応じて、作動部材(例えば、細長い作動ケーブル1240または局所的に配置された作動部材1340など)によってカメラを枢動させる枢動工程を含む。いくつかの実施形態では、作動部材によって遠隔ユーザ入力を受信する受信工程は、遠隔ユーザ入力を遠位アーム位置で局所的に受信することを含む。枢動は、細長いアーム102の遠位部分1103の長手方向中心線CLARMに平行な少なくとも一つの平面内において、少なくとも45度、90度又は135度の枢動範囲θPIVOT-RANGE内にある。いくつかの実施形態では、枢動範囲θPIVOT-RANGEは、遠位アーム位置方向に依存しない。いくつかの実施形態では、カメラ1325を枢動させる枢動工程は、遠位アーム位置における細長いアームの向きから少なくとも90度又は135度回転した向きθRELATIVE-TO-ARMにカメラ1325を枢動させることを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、カメラ1325を枢動させる枢動工程は、複数の枢動軸の周りでカメラ1325を枢動させることを含む。いくつかの実施形態では、枢動部材1350は、遠位アーム位置に配置された3軸ジンバル構成1380の一部であり、カメラ1325を枢動させる枢動工程は、3軸ジンバル構成内でカメラ1325を枢動させることを含む。カメラ1325を枢動させる枢動工程は、細長いアーム102の遠位部分1103の長手方向中心線CLARMの周りでカメラ1325を枢動させることを含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、作動部材(例えば、細長い作動ケーブル1240または局所的に配置された作動部材1340)によってカメラ1325を枢動させる枢動工程は、遠位アーム位置で局所電源355から電力を受け取ることを含み、またいくつかの別の実施形態では、当該枢動工程は、遠隔電源(例えば、遠隔電源1455または遠隔電源555)から電力を受け取ることを含む。
【0072】
ステップS04は、枢動後の撮影位置で画像を撮影する撮影工程を含む。
【0073】
上記方法のいくつかの実施形態では、作動部材は、微小電気機械システムおよび/またはマイクロスイッチを含む。
【0074】
図13には、画像を取り込むための方法が開示されている。図13のフローチャートに示されているように、この方法はステップS11、S12、S13、およびS14を備えており、これらについては以下の段落で説明する。
【0075】
ステップS11は、遠隔操作可能な細長い機械アーム102と、遠位アーム位置でアーム102に結合された撮像アセンブリ1320とを備える撮像装置100を提供する提供工程を含む。撮像アセンブリ1320はカメラ1325を備え、枢動部材350は枢動軸を画定するとともにカメラ1325と係合し、作動部材(例えば、細長い作動ケーブル1240または局所的に配置された作動部材1340)は枢動軸の周りでカメラを枢動するように構成される。いくつかの実施形態では、枢動部材1350は、細長いアーム102の遠位部分1103に交わるように(少なくとも間接的に)接続される。この方法のいくつかの実施形態では、枢動軸は、細長いアーム102の遠位部分1103の長手方向中心線CLARMに対して交わるような向きに配向される。
【0076】
いくつかの実施形態では、案内工程は、細長いアーム102を遠隔操作および/または屈曲させることを含む。いくつかの実施形態では、細長いアーム102は、それぞれが自由度を有するアーム関節であって遠隔ユーザ入力に応答して屈曲および回転するように構成されたアーム関節によって直列に接続された複数のアームセグメント1199を備える遠隔操作可能なアームである。
【0077】
ステップS12は、作動部材(例えば、細長い作動ケーブル1240または局所的に配置された作動部材1340)によって、遠隔ユーザ入力を受信する受信工程を含む。いくつかの実施形態では、撮像アセンブリ1320は、作動部材とデータ通信する電子通信回路をさらに含み、遠隔ユーザ入力を受信する受信工程は、電子通信回路(例えば、ローカル通信ユニット1356、遠隔通信ユニット1456、またはリモート通信1556)によって遠隔ユーザ入力を受信することを含む。いくつかの実施形態では、作動部材によって遠隔ユーザ入力を受信する工程は、遠隔ユーザ入力を遠隔的に(例えば、細長いアーム102の近位部分において)受信することを含む。
【0078】
ステップS13は、ステップS12で受信した遠隔ユーザ入力に応答して、作動部材(例えば、細長い作動ケーブル1240または局所的に配置された作動部材1340)によってカメラを枢動させる枢動工程を含む。いくつかの実施形態では、作動部材によって遠隔ユーザ入力を受信する受信工程は、遠隔ユーザ入力を遠位アーム位置で局所的に受信することを含む。枢動は、細長いアーム102の遠位部分103の長手方向中心線CLARMに平行な少なくとも一つの平面内で、少なくとも45度、90度又は135度の枢動範囲θPIVOT-RANGE内にある。いくつかの実施形態では、枢動範囲θPIVOT-RANGEは、遠位アーム位置方向に依存しない。いくつかの実施形態では、カメラ1325を枢動させる枢動工程は、遠位アーム位置における細長いアームの向きから少なくとも90度又は135度回転した向きθRELATIVE-TO-ARMにカメラ1325を枢動させることを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、カメラ1325を枢動させる枢動工程は、複数の枢動軸の周りでカメラ1325を枢動させることを含む。いくつかの実施形態では、枢動部材3150は、遠位アーム位置に配置された3軸ジンバル構成1380の一部であり、カメラ325を枢動させる枢動工程は、3軸ジンバル構成内でカメラ1325を枢動させることを含む。カメラ325を枢動させる枢動工程は、細長いアーム102の遠位部分1103の長手方向中心線CLARMの周りでカメラ1325を枢動させることを含むことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、作動部材(例えば、細長い作動ケーブル1240または局所的に配置された作動部材1340)によってカメラ1325を枢動させる枢動工程は、遠位アーム位置で局所電源1355から電力を受け取ることを含み、またいくつかの別の実施形態では、当該枢動工程は、遠隔電源(例えば、遠隔電源1455または遠隔電源555)から電力を受け取ることを含む。
【0081】
ステップS14は、枢動後の撮影位置で画像を撮影する撮影工程を含む。
【0082】
この方法のいくつかの実施形態では、作動部材は、微小電気機械システムおよび/またはマイクロスイッチを含む。
【0083】
ここから、図14A~図16が参照される。
【0084】
いくつかの実施形態では、撮像装置は、例えばユーザがカメラを複数の方向に向けることによって、複数の視野基準点を取得するように構成され、これにより、ユーザが現在の体内における位置を決定するのを支援し得る。いくつかの実施形態では、カメラは、カニューレが挿入されたアームを通して前進(および/または後退)するように構成された可撓性延長部に取り付けられる。いくつかの実施形態では、アームに(例えば、アームの側壁に)窓が形成されており、カメラを選択された位置および/または角度に配置するために、可撓性延長部は当該窓から少なくとも部分的に押し出されてもよい。必要に応じて、カメラが取り付けられている可撓性延長部を操作することによって、カメラを回転させて(例えば、後屈させて)、アームの前進方向と反対の方向を向かせることができる。必要に応じて、後屈したカメラによって得られる視野には、後屈した外科用アームが動作する作業空間が含まれる。
【0085】
いくつかの実施形態では、可撓性延長部は、アームによって画定される長手方向軸に対してある角度で配置可能である。いくつかの実施形態では、カメラが取り付けられる可撓性延長部の遠端は、アームの遠位開口部まで延びる張力要素(例えば、ワイヤケーブル)に結合される。必要に応じて、ケーブルを引っ張ったり解放したりすると、可撓性延長部の曲率が変化する。ある実施形態では、当該延長部は、S字状曲線、C字状曲線に湾曲している。可撓性延長部の曲率を操作することによってカメラを近づけることの潜在的な利点には、当該延長部の曲げ半径を小さくすることが含まれ、それによって患者体内でのカメラの回転または一般的な操作が容易になる。いくつかの実施形態では、アームを通してカメラが前進し、当該アームは、当該アームの遠位側の作業空間を(例えば、組織を押しのけることによって)空けるための遠位スペーサを備える。必要に応じて、当該スペーサは、その遠位端にリングまたは円弧を備える。必要に応じて、カメラは、リングを通して前進可能または円弧に対して前進可能である。スペーサの遠位端に構成されたリングまたは円弧の潜在的な利点には、アームによって画定された外周から半径方向外側に突出しないようにアームの外周と位置合わせされることと、滑らかな外形を有することでスペーサが接触する組織への損傷を潜在的に軽減することとが含まれ得る。
【0086】
図14A~16は、いくつかの実施形態における、患者の体内に挿入可能であるとともに本明細書に記載されるシステムおよび/または方法で使用可能な撮像装置(例えば、カメラ)の構造を概略的に示す。
【0087】
いくつかの実施形態では、外科手術中に視野を提供するために、1つまたは複数の撮像装置が患者の体内に挿入される。
【0088】
いくつかの実施形態では、撮像装置は、アームの遠位端に取り付けられるとともに当該遠位端によって送達されるか、またはカニューレが挿入されたアームの遠位端から延びるように構成される。
【0089】
膣の入り口を介して手術が行われるいくつかの実施形態では、例えば、腹部手術(標準的な腹部の入り口を介した手術など)中に得られる視野と同様の視野を得るために、撮像装置のアームを後屈させることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、撮像装置は、体内において(例えば、周囲の組織または器官による)視野の遮断を低減または回避するような方向に向けられる。例えば、結腸が視界を妨げる可能性があり、結腸を撮像装置から遠ざけることが望ましい場合および/または結腸組織を避けるように撮像装置を方向付けることが望ましい場合がある。
【0090】
いくつかの実施形態では、カメラは、可撓性の延長部またはアームに取り付けられる。必要に応じて、可撓性の延長部またはアームは、複数のリンクまたはセグメントから構成され、当該複数のリンクまたはセグメントは、互いに曲げることができる。可撓性の撮像装置の潜在的な利点には、撮像装置を障害物から遠ざけられること、および/またはユーザ(例えば、外科医)に複数の視野基準点を提供できることが含まれ得る。複数の視野基準点を取得すると、現在の体内における位置に関してユーザを混乱させる可能性のある大きな均質な組織(例:腹部の内壁)などによって視野が不鮮明になる状況で役に立ち得る。
【0091】
図14A~14Cは、側窓1104が形成されるとともにカニューレが挿入されたアーム102を備える例示的な撮像装置の構造を示す。可撓性の(必要に応じて、伸縮性の)延長部1310は、側窓1104から延びるように構成される。いくつかの実施形態では、カメラ1325は、延長部1310の遠位端に取り付けられる。いくつかの実施形態では、延長部1325は、窓1104から外側に前進させられて、そして、細長いアーム102の中心線CLARMに対して選択可能な角度βに設定され得る。角度βは、例えば0度~150度の範囲(30度、60度、90度または120度など)であってもよい。いくつかの実施形態では、例えば図14Aに示すように、延長部1310は後屈され、カメラ1325は近位方向を向くように位置決めされる。図14Cでは、延長部1310はアーム1102内に完全に受容されるとともにアーム1102に沿うように位置合わせされている。
【0092】
アーム102の壁に沿って(必要に応じて、アーム102の遠位端1103に近接して)形成される窓1104の潜在的な利点には、カメラ1325を外側に前進させて、アーム102の前方の遠位に位置する空間の視野を得られること、および/またはアーム102の近位に位置する空間の視野を得られることが含まれ得る。カメラ1325をアーム102に対して半径方向外側に配置することは、ユーザがアーム102を方向付けること(例えば、前進および/または後退)を支援し得る。
【0093】
図15Aおよび15Bは、いくつかの実施形態における、遠位スペーサ1106を備えるアーム102を含む別の例示的な撮像装置の構造を示す。いくつかの実施形態では、スペーサ1106は、アーム102の壁に対して位置合わせされ、アーム開口部1111から前進または後退することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、図15Aに示すように、スペーサ1106はリング1105で終端する。あるいは、図15Bに示すように、スペーサ1106は円弧1114で終端する。いくつかの実施形態では、リング1105はアーム102と位置合わせされている。必要に応じて、カメラ1325は、リング1105を通して前進可能、または円弧1114に対して前進可能である。
【0095】
いくつかの実施形態では、カメラ1325は、可撓性延長部1310の遠位端に取り付けられ、可撓性延長部1310は、(必要に応じて、スペーサ1106によって画定される範囲まで)アーム102から外側に突出するように構成されている。
【0096】
いくつかの実施形態では、カメラ1325のための作業スペースを(組織を押しのけることなどによって)空けるために、使用中において、スペーサ1106はアーム102の遠位方向に前進される。
【0097】
図16は、いくつかの実施形態におけるさらに別の例示的な撮像装置の構造を示し、当該撮像装置の構造は、可撓性延長部1310が延在するように構成されたアーム102を含み、当該アーム102は、カメラ3125を備える。いくつかの実施形態では、ケーブル1180(例えば、ワイヤケーブル)などの張力要素は、アーム102の遠位端から可撓性延長部1310の遠位部分まで延びる。必要に応じて、ケーブル1180は、アームの近位端(図示せず)に引っ張られるおよび/または解放されるように構成され、それによって延長部の遠位端がアームの遠位端に近づき、延長部1310が(例えば、S字カーブ、C字カーブ及び同様のカーブの形に)湾曲することになる。延長部1310を湾曲させる潜在的な利点には、延長部の曲げ半径を小さくすることで、(例えば、アーム102によって画定された長軸に対してカメラ1325を回転させるときに)体内で撮像装置を操作するのを支援することが含まれ得る。
【0098】
実施形態のさらなる説明
【0099】
いくつかの実施形態の一態様によれば、膣を通して治療ゾーンにアクセスするための方法が提供され、当該方法は、
入射角を選択する選択工程と、
膣口に隣接して外科用ポートを配置する配置工程と、
外科用ポートを通してトロカールを導入するトロカール導入工程と、
トロカールを通してカニューレを導入し、カニューレが膣の後壁を通って入るようにカニューレを前進させるカニューレ導入工程と、
延長部を使用してポート、トロカール、およびカニューレのアセンブリを外部から支持し、延長部の一端はアセンブリの少なくとも1つの構成要素に取り付けられ、延長部の他端は安定的な固定された基準構造に取り付けられる支持工程と、
トロカールとカニューレが選択された入射角で傾斜される固定配置において延長部がアセンブリを保持する保持工程と、を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、固定された基準構造は、患者が横たわる手術用ベッドを備える。
【0101】
いくつかの実施形態では、延長部は調節可能な固定アームを備える。
【0102】
いくつかの実施形態では、この方法は、選択工程前に、ダグラス窩の位置を特定することと、その位置に従って入射角を選択することとを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、保持工程は、患者の身体および手術用ベッドのうちの少なくとも1つに対するアセンブリの位置を固定することを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、支持工程は、アセンブリの重量を延長部に移動させることによって、膣の後壁にかかる重量負荷を軽減することを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、この方法は、カニューレを通して1つまたは複数の外科用アームを導入するアーム導入工程をさらに含む。
【0106】
いくつかの実施形態の一態様によれば、1つまたは複数の入力装置を介して、患者の体内に挿入可能な1つまたは複数の外科用機械アームを制御する方法が提供され、各外科用機械アームは複数の可動関節を備える。当該方法は、
第1の操作モードとしての、外科用機械アームを患者の体内に案内する案内工程と、
第2の操作モードとしての、外科用機械アームを使用して手術を実行する実行工程と、を含み、
第1の動作モードでは、各外科用機械アームの動きは、複数の関節のうちの単一の関節の運動、および単一ユニットとしての外科用機械アームの直線運動に制限される。
【0107】
いくつかの実施形態では、案内工程は、患者の体内で外科用機械アームを後屈することを含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、第1の動作モードでは、外科用機械アームは親指操作入力によって制御される。
【0109】
いくつかの実施形態において、第2の動作モードでは、外科用アームはアバタ入力アームによって制御される。
【0110】
いくつかの実施形態では、第1の動作モード及び第2の動作モードにおいて、外科用機械アームは触覚ハンドルによって制御される。
【0111】
いくつかの実施形態において、第1の動作モードでは、ユーザによる入力装置の操作は、手術用機械アームの移動速度に変換され、第2の動作モードでは、ユーザによる入力装置の変位は、手術用機械アームの相対変位に変換される。
【0112】
いくつかの実施形態において、第2の動作モードでは、クラッチに類似のモードが有効になり、1つまたは複数の入力装置による外科用アームの制御が切断される。
【0113】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の外科用機械アームを制御するための制御コンソールが提供され、当該制御コンソールは、
第1の動作モードを制御するための親指操作入力と、
第2の動作モードを制御するための手動入力と、
画面インターフェースと、を備える。
【0114】
いくつかの実施形態では、親指操作入力は、ユーザの親指によって係合可能なニップルを備える。ニップルを中央の静止位置から押すと、外科用機械アームのそれぞれの動きが作動し、当該動きの速度は、ニップルが静止位置に対して押された程度によって影響される。
【0115】
いくつかの実施形態において、第2の動作モードでは、ユーザによる手動入力の操作が、外科用アームの同様の関節動作に変換される。
【0116】
いくつかの実施形態の一態様によれば、患者を手術するための方法が提供され、当該方法は、
膣を通して1つ又は複数の外科用アームを腹腔内に導入する導入工程と、
1つまたは複数の外科用アームを後屈配置に曲げる曲げ工程であって、導入および曲げの間、1つまたは複数の外科用アームの関節動作は直線運動および単一のアーム関節の運動のみに限定される曲げ工程と、
1つまたは複数の外科用アームを後屈配置で使用して腹腔内で手術する手術工程と、を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、直線運動の間、外科用アームは単一ユニットとして移動し、単一のアーム関節の運動は肘関節の屈曲および伸長を含む。
【0118】
いくつかの実施形態の一態様によれば、1つまたは複数の入力装置を介して、患者の体内に挿入可能な1つまたは複数の外科用機械アームを制御する方法が提供され、各外科用機械アームは複数の可動関節を備える。当該方法は、
1つまたは複数の入力装置を操作するユーザによって感知される力抵抗のレベルを設定する設定工程と、
ユーザによる1つ又は複数の入力装置の操作に応答して、設定された力抵抗のレベルを提供する.提供工程と、を含み、
当該レベルは、次のうちの少なくとも1つに従って選択される。
(a)1つまたは複数の外科用アームの現在の体内位置
(b)1つまたは複数の外科用アームの現在の関節運動の状態(関節運動した位置)
【0119】
いくつかの実施形態では、この方法は、1つまたは複数の入力装置の操作によって、外科用アームの動きであって1つまたは複数の外科用アームによって機械的に支持されない動きが生じた場合に、力抵抗のレベルを増加させる増加工程を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、この方法は、1つまたは複数の入力装置の操作によって、許可されていない体内の領域又は当該領域に隣接した領域において動きが生じた場合に、力抵抗のレベルを増加させる増加工程を含む。
【0121】
いくつかの実施形態の一態様によれば、1つまたは複数の入力装置を介して、患者の体内に挿入可能な1つまたは複数の外科用機械アームを制御する方法が提供され、各外科用機械アームは複数の可動関節を備える。当該方法は、1つまたは複数の外科用アームの動きを生成する生成工程を含むが、当該生成工程は、1つまたは複数の入力装置のそれぞれの制御操作において当該アームの動きと同様の動きであってユーザによって実行される動きが含まれる場合にのみ実行される。その場合、ユーザによって実行される動きは、事前に選択された1より大きい係数によって増幅される必要がある。
【0122】
いくつかの実施形態の一態様によれば、患者の体内に挿入するための撮像装置が提供される。当該撮像装置は、細長いシャフトと、シャフト内に配置されるとともにシャフトから外側に延長可能な可撓性の延長部と、可撓性の延長部の遠位端に取り付けられたカメラ、とを含み、カメラおよび可撓性の延長部のうちの少なくとも1つは、後屈配置に配置可能である。後屈配置では、カメラは後ろ(すなわち、細長いシャフトの前進方向とは反対方向)を向く。
【0123】
いくつかの実施形態では、細長いシャフトはその側壁に窓を備え、可撓性の延長部は、当該窓から外側に突き出るとともにシャフトの長手方向軸に対してある角度でカメラを位置決めするように構成される。
【0124】
いくつかの実施形態では、撮像装置は、1つまたは複数の外科用アームとともに体内に挿入可能であり、少なくとも可撓性の延長部は、外科用アームとともに後屈されるように構成される。
【0125】
いくつかの実施形態では、細長いシャフトは、その遠位端から延びる組織スペーサを備え、組織スペーサは、可撓性の延長部が通過できるリングで終端する。
【0126】
いくつかの実施形態では、撮像装置は、可撓性の延長部の遠位端とシャフトとの間に延びる張力要素を備え、引張要素は、可撓性の延長部の曲率を変化させるために引っ張られるように構成される。
【0127】
いくつかの実施形態の一態様によれば、患者の体内に挿入するための撮像装置が提供される。当該撮像装置は、3軸ジンバル支持ヘッドに取り付けられた少なくとも2つのカメラを備え、当該ジンバル支持ヘッドは、可撓性のシャフトから延びる。ジンバル支持ヘッドは、カメラを後ろ向きに(可撓性のシャフトの方向を向くように)位置決めするために、可撓性のシャフトに対して枢動するように構成される。少なくとも2つのカメラは3次元視野を提供する。
【0128】
いくつかの実施形態の一態様によれば、患者の体内に挿入するための撮像装置が提供される。当該撮像装置は、
可撓性シャフトであってその遠位端に剛性の延長部を有する可撓性シャフトを備え、
剛性の延長部は、枢動可能なヘッドが受け入れられる凹部を画定し、枢動可能なヘッドは、カメラを含む。
枢動可能なヘッドは、自身が剛性の延長部と同一平面上にある位置から、自身が剛性の延長部に対して1~135度の角度となる位置まで、凹部内で枢動するように構成される。
【0129】
いくつかの実施形態の一態様によれば、患者を手術する方法が提供される。当該方法は、
1つまたは複数の外科用アームを膣を通して腹腔内に導入する導入工程と、
1つまたは複数の外科用アームを後屈配置に曲げる曲げ工程と、
1つまたは複数の外科用アームを後屈配置で使用して腹腔内で手術する手術工程と、を含み、
導入工程および曲げ工程においては、1つまたは複数の外科用アームの関節運動は、直線運動および単一のアーム関節の運動のみに制限される。
【0130】
いくつかの実施形態では、直線運動において、外科用アームは単一のユニットとして運動し、単一のアーム関節の運動は、肘関節の屈曲および伸長を含む。
【0131】
いくつかの実施形態の一態様によれば、1つまたは複数の入力装置を介して、患者の体内に挿入可能な1つまたは複数の外科用機械アームを制御する方法が提供され、各外科用機械アームは複数の可動関節を備える。当該方法は、
1つまたは複数の入力装置を操作するユーザによって感知される力抵抗のレベルを設定する設定工程と、
ユーザによる1つまたは複数の入力装置の操作に応答して設定された力抵抗のレベルを提供する提供工程と、を含み、
当該レベルは、以下のうちの少なくとも1つに従って選択される。
(a)1つまたは複数の外科用アームの現在の体内位置
(b)1つまたは複数の外科用アームの現在の関節運動の状態(関節運動した位置)
【0132】
いくつかの実施形態では、この方法は、1つまたは複数の入力装置の操作によって、外科用アームの動きであって1つまたは複数の外科用アームによって機械的に支持されない動きが生じた場合に、力抵抗のレベルを増加する増加工程を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、この方法は、1つまたは複数の入力装置の操作によって、許可されていない体内の領域又は当該領域に隣接した領域における動きが生じた場合に、力抵抗のレベルを増加させる増加工程を含む。
【0134】
いくつかの実施形態の一態様によれば、1つまたは複数の入力装置を介して、患者の体内に挿入可能な1つまたは複数の外科用機械アームを制御する方法が提供され、各外科用機械アームは複数の可動関節を備える。当該方法は、1つまたは複数の外科用アームの動きを生成する生成工程を含むが、当該生成工程は、1つまたは複数の入力装置のそれぞれの制御操作において当該アームの動きと同様の動きであってユーザによって実行される動きが含まれる場合に実行される。その場合、ユーザによって実行される動きは、事前に選択された1より大きい係数によって増幅される必要がある。
【0135】
いくつかの実施形態の一態様によれば、患者の体内に挿入するための撮像装置が提供される。当該撮像装置は、3軸ジンバル支持ヘッドに取り付けられた少なくとも2つのカメラを備え、当該ジンバル支持ヘッドは、可撓性のシャフトから延びる。ジンバル支持ヘッドは、カメラを後ろ向きに(可撓性のシャフトの方向を向くように)位置決めするために、可撓性のシャフトに対して枢動するように構成される。少なくとも2つのカメラは3次元視野を提供する。
【0136】
いくつかの実施形態の一態様によれば、患者の体内に挿入するための撮像装置が提供される。当該撮像装置は、
可撓性シャフトであってその遠位端に剛性の延長部を有する可撓性シャフトを備え、
剛性の延長部は、枢動可能なヘッドが受け入れられる凹部を画定し、枢動可能なヘッドは、カメラを含む。
枢動可能なヘッドは、自身が剛性の延長部と同一平面上にある位置から、自身が剛性の延長部に対して1~135度の角度となる位置まで、凹部内で枢動するように構成される。
【0137】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明に関連する技術分野の当業者によって一般的に知られている意味と同じ意味を有することとする。例示的な方法および/または材料は以下に説明されているが、本明細書に記載の方法および材料と類似または同等の方法および材料を本発明の実施形態の実践または試験のために使用することができる。矛盾が生じた場合には、特許明細書に記載の内容(定義を含む)が優先される。さらに、材料、方法および実施例は例示のみを目的としており、必ずしも限定を意図するものではない。
【0138】
当業者には、本発明のいくつかの実施形態は、システム、方法またはコンピュータプログラムの製品として具現化され得ることが理解できるであろう。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアおよびハードウェアの態様を組み合わせた実施形態であって、本明細書中では「回路」、「モジュール」または「システム」と呼ばれる実施形態をとることが可能である。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、コンピュータ可読プログラムコードが組み込まれた1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム製品の形態をとってもよい。本発明のいくつかの実施形態における方法および/またはシステムの実装には、選択されたタスクを手動、自動またはそれらの組み合わせによって実行および/または完了する工程が含まれ得る。さらに、本発明の方法および/またはシステムのいくつかの実施形態が実際に具現化された計装および装置によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはそれらの組み合わせ(例えば、オペレーティングシステムを使用すること)によって実行され得る。
【0139】
例えば、本発明のいくつかの実施形態において選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実装され得る。ソフトウェアとしては、本発明のいくつかの実施形態において選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用するコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装され得る。本発明の例示的な実施形態では、本明細書で説明される方法および/またはシステムのいくつかの例示的な実施形態における1つまたは複数のタスクは、データプロセッサ(例えば、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォーム)によって実行される。必要に応じて、データプロセッサは、命令および/またはデータを記憶するための揮発性メモリ、および/または命令および/またはデータを記憶するための不揮発性記憶装置(例えば、磁気ハードディスクおよび/またはリムーバブルメディア)を含む。必要に応じて、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイおよび/またはユーザ入力装置(例えば、キーボードやマウス)も必要に応じて提供される。
【0140】
本発明のいくつかの実施形態では、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体に関連するシステム、器具または装置であってもよく、あるいはそれらの任意の適切な組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例には、次のようなものが挙げられるが、それらが全てではない。1つまたは複数のワイヤを備えた電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去及びプログラム可能読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、またはこれらの任意の適切な組み合わせ。本明細書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、器具または装置によって使用されるプログラムを含む若しくは記憶できる任意の有形媒体であってもよく、又は、命令実行システム、器具または装置に関連して使用されるプログラムを含む若しくは記憶できる任意の有形媒体であってもよい。
【0141】
コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読プログラムコードが(例えば、ベースバンドまたは搬送波の一部として)組み込まれた伝播データ信号を含むことができる。このような伝播信号は、電磁気、光またはそれらを任意に適切に組み合わせた様々な形態のうちのいずれかを取り得るが、それらの形態に限定されない。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではない任意のコンピュータ可読媒体であって以下の(a)に記載のプログラムを通信、伝播または移送できる任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。
(a)命令実行システム、器具または装置によって使用されるか、またはそれらに関連して使用されるプログラム
【0142】
コンピュータ可読媒体上に具現化されたプログラムコードおよび/またはそれにより使用されるデータは、任意の適切な媒体を使用して送信され得る。当該任意の適切な媒体は、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態におけるオペレーションを実行するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語(例えば、Java(登録商標)、Smalltalk、C++など)および従来の手続き型プログラミング言語(例えば、CやCに類似のプログラミング言語)を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述され得る。プログラムコードは、ユーザのコンピュータ上で完全に実行されるか、単独のソフトウェアパッケージとしてユーザのコンピュータ上で部分的に実行されるか、ユーザのコンピュータ上及びリモートコンピュータ上でそれぞれ部分的に実行されるか、またはリモートコンピュータまたはサーバ上で完全に実行されてもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)やワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続され得る。あるいは、(例えば、インターネットサービスプロバイダーを使用したインターネット経由で)外部コンピュータに接続されてもよい。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明の実施形態における方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品に関連するフローチャートおよび/またはブロック図を参照しつつ、以下に説明される。フローチャートおよび/またはブロック図の各要素、およびフローチャートおよび/またはブロック図の要素の組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装可能である。これらのコンピュータプログラム命令は、機械を生産するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに送られてもよい。これにより、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の要素で指定された機能/動作を実装するための手段を創造する。
【0145】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置または他の装置に特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。これにより、コンピュータ可読媒体に格納された命令が、製品を生産するようにする。当該命令には、フローチャートおよび/またはブロック図の要素で指定された機能/動作を実装する命令が含まれる。
【0146】
コンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置または他の装置に読み込まれて、コンピュータ、他のプログラム可能な装置または他の装置上で一連のオペレーションを実行して、コンピュータ実装プロセスを生成し得る。これにより、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行される命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の要素で指定された機能/動作を実装するためのプロセスを提供する。
【0147】
ここで説明する方法の一部は、一般にコンピュータでのみ使用するように設計されており、人間の専門家が純粋に手動で実行するのは実現不可能または現実的ではない場合がある。同様のタスクを手動で実行(例えば、歯科に関する測定値の収集などを)したい人間の専門家は、完全に異なる方法(例えば、専門知識や人間の脳のパターン認識能力を利用すること)に従ったほうが、ここで説明する方法の工程を手動で実行するよりも効率的であり得る。いくつかの実施形態の一態様は、膣を通して1つまたは複数の外科用アームを挿入するための構成を含む外科処置に関連している。いくつかの実施形態では、膣を介した挿入の準備には、膣への入口に隣接した患者の脚の間にポート要素を結合する結合工程と、ポートを通してトロカールを配置するトロカール配置工程と、トロカールを通してカニューレを導入する導入工程と、膣壁(例えば、膣円蓋後部の壁)に形成されたアクセスキャビティを通してカニューレを配置するカニューレ配置工程とが含まれる。
【0148】
いくつかの実施形態では、ポート、トロカールおよびカニューレアセンブリは、1つまたは複数の外部機械手段(例えば、アセンブリを選択された位置および配向、例えば選択された入射角及び深さ、に維持する固定アーム)によって所定の位置に保持および支持される。いくつかの実施形態では、固定アームは、アセンブリから安定的な固定された基準構造(例えば、患者が横たわる手術用ベッド)まで延びる。いくつかの実施形態では、アセンブリの位置決め角度は、カニューレを通して外科用アームが導入されるときに、外科用アームがダグラス窩の方向を向くように選択される。いくつかの実施形態では、当該角度は、手術の対象とならない体内の領域(例えば、直腸および/または子宮)が回避されるように選択される。
【0149】
いくつかの実施形態では、固定アームは、アセンブリに直接取り付けられず、代わりにアセンブリから延びる器具ホルダに結合される。一例では、固定アームは、器具ホルダの取り付けブロックから延びる。
【0150】
いくつかの実施形態では、固定アームは、調整可能であり、例えば、膣口に対して、及び/又はベッドに対して、及び/又はカニューレを通して導入された1つまたは複数の外科用アームの動きを作動させるモータユニットに対して、選択された高さ、方向及び/又は傾斜角にアセンブリを設定することが可能である。いくつかの実施形態では、当該調整は、1つまたは複数の固定アームの可撓性関節、固定アームの1つまたは複数のノブであってセグメントを所定の位置に固定するための1つまたは複数のノブ、固定アームの調整可能なセグメント(例えば、伸縮性のシャフト)、および/またはその他の調節手段を介して行われる。
【0151】
ポート、トロカール及びカニューレのアセンブリを所定の位置に固定し、当該アセンブリを機械的に支持することの潜在的な利点には、
薄い膣壁(厚さはわずか数ミリメートル)への機械的な負荷を軽減または回避することと、
アセンブリまたはその構成要素が膣内に滑り込むことを軽減または回避することと、
アセンブリまたはその構成要素が膣から滑り出すことを軽減または回避し、重量を膣壁から遠ざけることなどと、のうちの一つ又は複数が含まれ得る。
アセンブリを固定することのもう1つの潜在的な利点には、(例えば、患者の腹部にガス注入を行う際の)アセンブリの動きを軽減または防止することが含まれ得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、膣アクセスの準備は、ダグラス窩を介して腹部へのアクセスを作成することを含む。いくつかの実施形態では、アクセスは、後膣壁を針で貫通し、必要に応じて専用の拡張器を用いて、少なくとも外科用アームが挿入されるカニューレを導入するのに十分な程度まで穿刺孔を拡張することによって作成される。
【0153】
いくつかの実施形態では、外科用アームを導入する前に、外科用アームは、(例えば、外科用アームのモータユニットの位置を、モータユニット固定アームを使うなどして、決めることによって)膣アクセスポートに対して位置合わせされるとともに位置決めされる。
【0154】
いくつかの実施形態では、手術中に視野を提供するために、カメラは、膣アクセス経路を通して導入される。それに加えて、またはその代わりに、カメラは、臍を通して導入され、膣アクセス経路の視野を提供するような方向に向けられる。臍を通して挿入されたカメラによって提供される腹部視野は、(例えば、膣アクセス視野と比較して)腹部視野に精通している外科医(例えば、腹腔鏡下手術を行う外科医)にとって好都合であり得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、外科用アームの挿入は、(例えば、外科用アームの1つまたは複数の選択されたセグメントがカニューレから突出するように)徐々に実行される。例えば、外科用アームは、まず手首関節まで内側に進められ、次に肘関節まで進められるなどして、徐々に挿入される。いくつかの実施形態では、アームの進行はストッパによって制限される。
【0156】
本発明のいくつかの実施形態の一般的な態様は、アームを患者の体内の選択された位置および配置に案内するための第1の動作モードと、当該位置内において外科手術を実行するための第2の動作モードとを使用して、1つまたは複数の外科用機械アームを制御することに関連している。いくつかの実施形態では、第1のモードでの制御は、入力アーム(例えば、アバタアーム、ジョイスティック)のユーザ(例えば、外科医)による操作を外科用アームのそれぞれの関節運動に変換することを含み、それにより、入力アームの静止位置に対する入力アームの操作範囲が変化するにつれて、外科用アームの移動速度が変化する。
【0157】
いくつかの実施形態では、第2のモードでの制御は、外科用アームの配置が入力アームの配置に従って直接決定されるように(例えば、同一の関節運動などをするように)、入力アームのユーザ操作を外科用アームのそれぞれの配置に変換することを含む。いくつかの実施形態では、ユーザによる入力アームの変位は、外科用アームへの相対変位の指令に変換される。いくつかの実施形態では、第2のモードは、異なる制御を含み、それは例えば、ユーザによる入力アームの操作範囲が、外科用アームによって実行される同様の動きとは異なる比率となる制御のことである。
【0158】
いくつかの実施形態では、第1のモードでの外科用アームの動きが制限され、例えば、外科用アームの肘関節の屈曲および/または伸展、および単一ユニットとしての外科用アームの直線運動のみが提供される。必要に応じて、外科用アームの他の関節(例えば、肩関節、手首関節)は静止状態に保持され、さらに必要に応じて、それらは所定の位置に固定される。あるいは、1つまたは複数の他の関節の部分的で限定的な動きは少なくとも許可される。
【0159】
いくつかの実施形態では、外科用アームの体内への(例えば、膣を介した)導入工程、アームの(例えば、腹部内への)案内工程、および必要に応じて外科用アームを後ろ向きにする後屈工程は、外科用アームが第1の動作モードを使用して制御されるときに実行される。外科用アームの導入中および/または外科用アームの後屈中に外科用アームの関節運動を制限することの潜在的な利点には、外科用アームの曲げ半径を減少させ、それによって周囲の障害物(例えば、腹壁内壁)に遭遇する可能性を減らすことが含まれ得る。案内および/または後屈中に外科用アームの関節運動を制限することの別の潜在的な利点には、外科用アームの制御の改善が含まれ得る。いくつかの実施形態では、第1の動作モード(速度制御モード)により、ユーザは、相対方向(例えば、上方と下方)が逆転するアームの後屈中であっても、外科用アームの動きを連続的に制御することができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、両方のモードで外科用アームを制御するように構成されたシステムは、2つの異なる制御セットを含むデュアル制御手段を含む。いくつかの実施形態では、第1の制御セットは、体内への外科用アームの挿入に使用され、第2の制御セットは、体内で外科行為を実行するために使用される。あるいは、両方のセットが挿入と手術のうちの少なくとも1つの段階で使用される。あるいは、両方の段階で1つのセットのみが使用される。
【0161】
いくつかの実施形態では、第1のモードは、1セットのサムスティックによって制御される。必要に応じて、各サムスティックのニップルの中央静止位置に対するニップルの押し込みの程度は、アームの関節動作が行われる速度に影響を与える。必要に応じて、ユーザが親指を持ち上げると、ニップルはその静止位置まで跳ね返る。いくつかの実施形態では、第2の動作モードは、ユーザの手によって操作される1セットのアバタ入力アームを使用して制御される。
【0162】
それに加えて、またはその代わりに、両方の動作モードを実行するために、1セットの触覚ハンドル(例えば、2つのハンドルであってそのうち1つは各外科用アームの制御のためのハンドル)が使用される。必要に応じて、第1の動作モードでは、ハンドルは、アームを静止位置から遠ざけることに応じて、ユーザの動きに対する抵抗力(必要に応じて、バネのような抵抗力)を与えるように設定される。必要に応じて、第2の動作モードでは、触覚ハンドルは、ユーザによる操作に応じて、選択された抵抗または変化する抵抗を与えるように設定(例えば、事前にプログラム)される。
【0163】
いくつかの実施形態では、外科用アームの動きの制御は、所定のアルゴリズムに従って行われる。いくつかの実施形態では、制御アルゴリズムは、システムメモリ、および/または手術システムと通信するリモートサーバに格納される。いくつかの実施形態では、制御アルゴリズムは、システム回路に実装される。例えば、システムコントローラが1つまたは複数の制御アルゴリズムで事前にプログラムされる。必要に応じて、実装される1つ又は複数の制御アルゴリズムは、(例えば、システムのユーザインターフェースを介して)ユーザによって選択される。それに加えて、またはその代わりに、システムによって自動的に選択されてもよく、例えば、外科用アームの現在の配置を感知することによって選択するか、外科用アームが動作する現在の体内の領域の視野を獲得することによって選択するか、および/またはその他によって選択されてもよい。
【0164】
いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、ユーザに様々な(および/または変動する)抵抗レベルを提供するように定義される。これは、例えば、外科用アームとって不適切な動きを防止するため、および/または許可されていない体内の領域に入る若しくは向かう動きを防止または制限するため、および/または接触している組織や臓器の種類をユーザに示唆するためのものである。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、入力アームの操作時にユーザに有用なフィードバックを提供するように定義される。これは、例えば、避けるべき動きが生じた場合にユーザに壁のような抵抗を提供するためであり、さらに、望ましいまたは許可された動きが生じた場合にユーザに無抵抗または浮いているような抵抗を提供するためである。そのような抵抗は、動きの種類と、外科用アームの現在の関節運動の状態と、外科用アームの現在の体内配置と、操作の範囲とのうちの1つまたは複数に従って選択され得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、ユーザの動きをスケーリング(増幅又は減衰)するためにカスタムアルゴリズムが定義される。これは、例えば、動きの精度を高めるためである。このようなスケーリングには、ユーザ側で必要とされる動きを選択された係数(例えば、1より大きい数、2より大きい数、5より大きい数)で増幅して、同様の動きであって増幅されていない動きを外科用アームで再現することが含まれ得る。必要に応じて、外科用アームの動きは、選択されたスケーリング比率においてユーザの動きに比例して実行される。
【0166】
いくつかの実施形態では、特定の信号をフィルタリングするカスタムアルゴリズムが定義される。これは、例えば、ユーザの手の震えを取り除くためのものである。
【0167】
いくつかの実施形態の一態様は、手術中に使用するための撮像装置(例えば、カメラ)に関連しており、撮像装置は、隣接する器官による視野の遮断を潜在的に回避しながら、体内で後屈するように構成されている。いくつかの実施形態では、カメラ自体が後屈するように構成される。例えば、カメラは、シャフトから延びるとともに当該シャフトに対してある角度で配置される。それに加えて、またはその代わりに、カメラが延びるシャフトは可撓性であり、カメラを後ろ向き(例えば、体内へのシャフトの前進方向と反対の方向)に配置するために曲げることができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、撮像装置は、(例えば、ユーザがカメラを複数の方向に向けることによって)複数の視野基準点を取得するように構成され、それによりユーザが現在の体内位置を知ることを支援し得る。いくつかの実施形態では、カメラは、カニューレを有するシャフトを通して前進(および/または後退)するように構成された可撓性の延長部に取り付けられる。いくつかの実施形態では、シャフト(例えば、シャフトの側壁)には窓が形成されており、可撓性の延長部は少なくとも部分的に当該窓の外に押し出され得る。これは、カメラを選択された位置および/または角度に配置するためである。必要に応じて、カメラが取り付けられている可撓性延長部を操作することによって、カメラを回転させて(例えば、後屈させて)シャフトの前進方向と反対の方向を向かせることができる。必要に応じて、後屈したカメラによって得られる視野には、後屈した外科用アームが動作する作業空間が含まれる。
【0169】
いくつかの実施形態では、可撓性の延長部は、シャフトによって画定される長手方向軸に対してある角度で配置可能である。いくつかの実施形態では、カメラが取り付けられる可撓性の延長部の遠端は、シャフトの遠位開口部まで延びる張力要素(例えば、ワイヤケーブル)に結合される。必要に応じて、ケーブルを引っ張ったり解放したりすると、可撓性の延長部の曲率が変化する。一例では、当該延長部は、S字状曲線、C字状曲線に湾曲させられる。可撓性の延長部の曲率を操作することによってカメラを近づけることの潜在的な利点には、当該延長部の曲げ半径を小さくすることが含まれ得る。それにより、患者体内でのカメラの回転または一般的な操作が容易になり得る。いくつかの実施形態では、シャフト(その中をカメラが前進する)は、シャフトの遠位側の作業空間を(例えば、組織を押しのけることによって)空けるための遠位スペーサを備える。必要に応じて、スペーサは、その遠位端にリングまたは円弧を備える。必要に応じて、カメラは、リングを通して前進可能、または円弧に対して前進可能である。スペーサの遠位端に構成されたリングまたは円弧の潜在的な利点としては、シャフトによって画定される外周から半径方向外側に突出しないように、シャフトの外周と位置合わせされることと、滑らかな外形を有することで、スペーサが接触する組織への損傷を潜在的に軽減することとが挙げられる。
【0170】
いくつかの実施形態は、ヘッドに取り付けられたカメラを備え、当該ヘッドは、シャフトから延びるとともにシャフトに対して枢動するように構成されている。いくつかの実施形態では、シャフトは、ヘッドが受け入れられる凹部であってヘッドが当該凹部から外側に枢動可能な凹部を画定する遠位剛性延長部を備える。これは、例えば、カメラを剛性延長部に対してある角度(例えば、5度~150度、又は5度~135度)で配置するためのものである。必要に応じて、ヘッドが凹部内に受け入れられると、ヘッドと剛性延長部とは同一平面上にある。
【0171】
いくつかの実施形態では、ジンバル支持具が提供され、1つまたは複数のカメラがジンバル支持具上に取り付けられる。必要に応じて、ジンバル支持具は、シャフト(ジンバル支持具はシャフトから延びる)に対して回転するように構成される。これは、1つまたは複数のカメラを選択された角度および/または方向に配置するためのものである。
【0172】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明および/または図面および/または実施例に示される、構成および構成要素の配置および/または方法に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、あるいは様々な方法で実施することが可能である。
【0173】
以下説明される工程の順序および/または工程の構造は(特に、手術における使用の流れの説明において)任意であることに留意されたい。いくつかの実施形態は、工程の一部のみを実行することによって、および/または工程を部分的にのみ実行することによって、実行され得る。
【0174】
一般的な使用の流れ
【0175】
図17は、いくつかの実施形態における、医療用ロボット手術システムの一般的な使用のフローチャートを示す。
【0176】
本明細書に記載される使用の流れは、いくつかの実施形態では、膣、肛門、口、食道、気管、鼻孔、外耳道などの1つまたは複数の自然の開口部を介して身体にアクセスすることによって実行される外科手術中において、実施され得る。例示的なフローチャートでは、膣を介してアクセスすることによって実行される処置に関して、その工程が説明される。
【0177】
ステップ1001では、手術ロボットシステムが準備される。いくつかの実施形態では、システムの準備には、制御コンソールの電力供給手段(主電源、バッテリ、および/または他の電力供給手段)への接続、モータユニットの制御コンソールへの接続、モータユニットの電気手術用の発電機への接続などの、電気的接続の設定が含まれる。
【0178】
いくつかの実施形態では、システムの準備には、固定アームの手術ベッドへの取り付け、(例えば、ノブを介して固定アームの関節を調整することによる)固定アームの位置の設定、モータユニットの固定アームへの配置などの、機械的な構成が含まれる。それに加えて、またはその代わりに、モータユニットカートが使用される場合、モータユニットの配置(例えば、高さおよび/または角度配置)が調整される。カートは、手術用ベッドに対する相対的な位置であって選択された位置まで(車輪で)移動する。
【0179】
システムの準備が完了すると、モータユニット、制御コンソール、および/または電気手術用の発電機の電源がオフになり、その後、処置の開始時に再び電源がオンになる。
【0180】
ステップ1003で、患者の準備が整う。いくつかの実施形態では、患者は、外科用無菌ドレープで少なくとも部分的に覆われる。いくつかの実施形態では、患者は、手術前に麻酔される。いくつかの実施形態では、患者の脚は、脚あぶみの上に置かれる。いくつかの実施形態では、手術用ベッドは傾斜し(例えば、それにより患者の頭側を下げて)、膣を通したアクセスを容易にする。いくつかの実施形態では、患者は、臀部が手術ベッドからわずかに(例えば、テーブルから約2cmまたは約2.5cm)突出するように配置される。
【0181】
ステップ1005で、各外科用アームに対してエネルギの種類(双極エネルギまたは単極エネルギ)が選択され、1007で、選択された配線が接続される。必要に応じて、電源の種類の選択は、制御コンソールの画面インターフェースを介して実行される。いくつかの実施形態では、配線は、電気手術用の発電機とモータユニットとの間のケーブルの接続を含む。
【0182】
ステップ1009で、いくつかの実施形態では、外科用無菌ドレープがモータユニット上に実装される。下部ドレープシートおよび上部ドレープシートを含む2部分ドレープが使用されるいくつかの実施形態では、下部ドレープシートがモータユニット上に展開され、それにより、外科用アームをモータユニットに取り付ける部分へのアクセスが露出したまま残される。
【0183】
ステップ1011で、いくつかの実施形態においては、1つまたは複数(例えば、2、3、4、6、8またはそれらの中間、またはそれらより大きい、またはそれらより小さい数)の外科用アームが、無菌カバー(例えば、無菌パウチ)から取り出され、モータユニットに接続される。必要に応じて、外科用アームは、モータユニット上に構成された1つまたは複数のアクセスドアを介してモータユニット上に組み立てられる。必要に応じて、外科用アームが組み立てられると、アクセスドアが閉まることで外科用アームを所定の位置に固定する。いくつかの実施形態では、アームの組み立ては、アーム上に構成された1つまたは複数のハンドルを掴み、アームをモータユニット上のそれぞれのアクセスドアを通して指定されたスロットに挿入することによって実行される。
【0184】
ステップ1013で、いくつかの実施形態においては、組み立てられたモータユニット上にドレープが実装される。2部分ドレープが使用される例では、上部ドレープがモータユニット上に展開され、それにより、モータユニットの残りの露出部分が覆われる。
【0185】
ステップ1015で、いくつかの実施形態においては、自己検査が実行される。いくつかの実施形態では、自己検査は、システムによって(例えば、システムコントローラによって制御されて)自動的に実行される。必要に応じて、自己検査中に、1つまたは複数の外科用アームが動かされる。いくつかの実施形態では、入力アームは、(必要に応じて、指示に従って)ユーザによって検査される(例えば、動かされる)。いくつかの実施形態では、検査中の外科用アームの関節運動は、(例えば、最大運動範囲未満に)制限される。いくつかの実施形態では、自己検査中に、(例えば、外科用アームの位置および/または方向に対する入力アームの位置および/または方向の)キャリブレーションが検査される。いくつかの実施形態では、自己検査中に、システムの構成要素間(例えば、入力アームと外科用アームとの間、制御コンソールと外科用アームとの間、電気手術用の発電機と外科用アームとの間など)の通信が検査される。いくつかの実施形態では、自己検査中に電圧レベルが検査される。いくつかの実施形態では、自己検査中に、1つまたは複数のシステムセンサの動作が検査される。いくつかの実施形態では、自己検査中に、システムの1つまたは複数のモータ、ドライバ、および/または他のアクチュエータの動作が検査される。
【0186】
自己検査の進行状況および/または結果、および/または入力アームを操作するための説明は、制御コンソールの画面インターフェース上でユーザに提示され得る。
【0187】
ステップ1017で、いくつかの実施形態においては、外科用ポートおよび/または膣アクセスが準備される。いくつかの実施形態では、当該準備は、ポート要素(例えば、腹腔鏡ポート)を(例えば、膣への入口に隣接するとともに身体の外側にある)選択された挿入点において患者の身体に結合することを含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、切開が行われる。いくつかの実施形態では、ポートの位置は、実行される処置の種類や所望の解剖学的分析に従って選択される、および/または手術領域をポートを通して挿入可能なカメラを使用して検査するのに望ましい視野に従って選択される。
【0189】
ステップ1018で、いくつかの実施形態においては、トロカールがポートに配置される。これにより、例えば、カニューレ、1つ又は複数の外科用アーム、カメラ、1つ又は複数の器具(吸引器具、灌注器具など)を患者の体内に挿入できるようにする。
【0190】
必要に応じて、いくつかの実施形態では、カメラは、臍を通して導入され、臍の方向から膣アクセスポイントが見えるように設定される。臍からのカメラの挿入は、特定の処置において、および/または膣へのアクセスにあまり精通していないが腹部の視野に従って操作することには慣れている外科医(例えば、腹腔鏡下手術を行う外科医)にとって、特に有利である可能性がある。
【0191】
いくつかの実施形態では、わずか数ミリメートル(例えば、1~2mm)の厚さを有する膣壁(いくつかの実施形態では、後部膣円蓋の壁)にトロカールを配置するには、トロカールを保持するための外部手段が必要である。これは、例えば、膣壁への機械的負荷、トロカールが膣の奥深くまで滑り込むこと、トロカールが膣から滑り出ること、などのうち一つ又は複数を避けるためである。したがって、いくつかの実施形態では、固定アーム(例えば、以下で参照するGYN固定アーム)は、(必要に応じて、手術ベッドなどの安定した基準点に対して)トロカールを保持および固定するように配置される。いくつかの実施形態では、トロカールは、選択された向きで固定される。必要に応じて、トロカールの配置角度は、一方向では直腸との接触を回避するとともに反対方向では子宮との接触を回避する角度として選択される。
【0192】
いくつかの実施形態では、トロカールは、ダグラス窩に向かう角度で配置される。必要に応じて、トロカールは、その遠位端が膣から腹部に向かって約1cm、1.5cm、2cm、2.5cm、3cm、3.5cm、4cm延在する位置に固定される。
【0193】
いくつかの実施形態では、患者の腹部にガスが注入される。必要に応じて、ガスの注入は膣におけるトロカールの配置に影響を与えないように行われる。
【0194】
いくつかの実施形態では、拡張器がトロカールを通して挿入される。必要に応じて、その後、針が拡張器を通して挿入され、膣壁を貫通してアクセスを生じさせる(例えば、膣壁を貫通してダグラス窩に入る)。この段階で、針に導かれて拡張器が内側に進められて、穿刺孔が広がる。いくつかの実施形態では、その後、トロカールを通してカニューレが配置される。必要に応じて、拡張器による穿刺孔の拡張は、カニューレのサイズ(例えば、直径)に適合する程度まで行われる。
【0195】
ステップ1019で、いくつかの実施形態においては、膣を通して外科用アームを導入するようにモータユニットの位置が設定される。いくつかの実施形態では、膣腔に対するモータユニットの位置は、例えば、モータユニットが配置される支持具(例えば、固定アーム、カート、および/または他の支持具)を修正することによって調整される。必要に応じて、膣腔からモータユニットまでの高さ、角度位置、および/または距離が調整される。一例では、患者の脚の間の高さ、距離、相対位置、及び膣(例えば、ポートが配置される膣口)に対するモータユニットのピッチ、ヨー、および/またはロールのうちの1つまたは複数が調整される。いくつかの実施形態では、モータユニットは、スライド可能な結合(例えば、支持具のそれぞれの凹部内でスライドするように構成されたダブテール結合)を介して、モータユニットの支持具に結合される。いくつかの実施形態では、モータユニットは、例えば1つまたは複数のラッチを介して、選択された配置に固定される。
【0196】
ステップ1020で、いくつかの実施形態においては、外科用アームは、各アームの少なくともセグメント(例えば、アームの可撓性セグメント)をシースで覆うことによって挿入のために準備される。必要に応じて、シースには、(例えば、カニューレ内でのシースの前進を制限する外部突出部の形態の)ストッパが形成される。これにより、外科用アームは、シースによって覆われることなくカニューレから外部に延在し続け得る。
【0197】
いくつかの実施形態では、外科用アームは、器具ハンドルを利用してカニューレ内に導入され、当該器具ハンドルには、例えば、挿入ハンドルおよび/または位置合わせハンドルおよび/または間隔ハンドルと、取り付けブロックとが含まれる。いくつかの実施形態では、ハンドルの遠位端は伸縮性であり、それにより、ハンドル部分が近位方向へスライドすると、外科用アームにおいて選択されたもう1つのセグメントが(例えば、手首関節、肘関節まで)徐々に露出される。いくつかの実施形態では、アームの前進は、ストッパ(例えば、ハンドルのストッパ)によって制限される。それに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、外科用アームは、それぞれのモータユニットの前進が(例えば、モータユニット固定アーム上のストッパによって)停止されるまで前進する。
【0198】
場合によっては、外科用アームが体内へと前進する距離は、外科用アームの遠位端(例えば、アームエンドエフェクタ)と周囲の器官の組織との接触を回避するように選択される。いくつかの実施形態では、ハンドルは、アームを体内に導入する際に、外科用アームとカニューレとの間で位置合わせされる。いくつかの実施形態では、アームは、エンドエフェクタ(例えば、組織把持器)がユーザインターフェース画面上に見えるまで体内に進められる。
【0199】
ステップ1021で、制御コンソールの入力アームを介して外科用アームを制御する外科医により、処置が実行される。いくつかの実施形態では、処置は、外科用アームを選択された位置に案内する工程、組織を掴む工程、組織を切開する工程、組織を動かす工程、縫合する工程、および/または他の外科的行為のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、アームは選択された位置まで案内され、そして後屈する。後屈の潜在的な利点には、外科医が処置を行う際により快適および/または慣れている方向に外科用アームを配置できることが含まれ得る。別の潜在的な利点には、腹壁を切開することなく、腹腔鏡の観点から腹腔鏡手術のタスクを実行できることが含まれ得る(腹部切開による瘢痕化および/またはその他の望ましくない影響を回避できる可能性がある)。アームを後屈することによって相対的な配置を修正することの別の潜在的な利点には、外科手術(例えば、システムを使用しての腹腔鏡手術)を実行する際の外科医の学習曲線を短縮することが含まれ得る。
【0200】
いくつかの実施形態では、電気外科手術が適用される。必要に応じて、外科用アームに電源を印加するとき、外科医は、(例えば、画面インターフェースとのやり取りによって)電源の種類を検証する。いくつかの実施形態では、電源の印加は、制御コンソールのフットペダルを押すことによって作動される。
【0201】
いくつかの実施形態では、システムは、(例えば、入力アーム上のボタンを押すことによって、および/または画面インターフェースに触れることによって)動作中に一時停止および/または再開され得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、緊急事態(例えば、機械の故障、電力損失)の場合、緊急ボタンが押され、(例えば、アームの電動による作動を停止することによって)外科用アームの動きを停止することができる。必要に応じて、手動による操作(例えば、組織を解放するための把持器の解放、アーム関節の関節動作)および/または身体からの外科用アームの手動による除去が有効化される。いくつかの実施形態では、手動による解放により外科用アームが真っ直ぐになり、アームを身体から引き抜くことが容易になる。いくつかの実施形態では、外科用アームが動く余裕のある体内の空間で動作することを保証することによって、緊急解放中の組織への損傷が軽減または防止される。いくつかの実施形態では、電力損失の場合、1つまたは複数のブレーキがシステムを固定して、望ましくない動きを防止する。
【0203】
ステップ1023で、処置は終了する。いくつかの実施形態では、外科用アームは零(静止)位置まで動かされ、同時に身体から引き抜かれる。いくつかの実施形態では、「一時停止―再開」ボタンは、外科用アームが完全に引き抜かれる前に押される。いくつかの実施形態では、外科用アームを引き抜いた後、カメラは、(例えば、出血を検査するために)患者の体内に留まる。その後、カメラ、トロカール、ポートを身体から取り除き、切開部を閉じる。いくつかの実施形態では、(例えば、画面インターフェース上で)「処置終了」ボタンを押すと、モータユニットから外科用アームを解放できるようになる。必要に応じて、ロックドアが開かれる。
【0204】
この時点で、手術用ドレープがモータユニットから取り外され、モータユニットと外科用アームが洗浄され、ケーブルが外され、使い捨て用の器具が廃棄される。
【0205】
上記の方法は、1つまたは複数の外科用アームを使用して実行される外科的処置の一例にすぎず、動作の順序は変更され得ることに留意されたい。記載された動作は、実行される動作の種類に応じて、無菌の外科医、非無菌の外科医、無菌の看護師、非無菌の看護師のうちの1人又は複数人によって実行され得る。
【0206】
上記の方法またはその一部は、婦人科手術、腹腔鏡手術、耳鼻咽喉科(耳、鼻、および喉)手術などの様々な種類の手術に実装できることに留意されたい。
【0207】
例示的な手術システム
【0208】
図18Aは、いくつかの実施形態における、外科システム200の概略図である。
【0209】
いくつかの実施形態では、外科用システム200は、少なくとも1つの外科用機械アーム(例えば、複数の外科用機械アーム202、212(例えば、2つの外科用機械アーム))を含む。いくつかの実施形態では、外科用機械アームは、人間の患者の身体214に挿入するためのサイズおよび/または形状を有する。
【0210】
いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも1つのモータユニット(例えば、複数のモータユニット204、216)を含み、いくつかの実施形態では、外科用機械アーム202、204のそれぞれがモータユニットによって駆動される。例えば、第1の外科用アーム202が第1のモータユニット204によって駆動され、および/または第2の外科用アーム212が第2のモータユニット218によって駆動される。
【0211】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のモータユニットおよび/または1つまたは複数の外科用アームが、(例えば、支持具222によって)患者支持面220(例えば、ベッド)に取り付けられる。例示的な実施形態では、1つまたは複数のモータユニットが患者支持面220に取り付けられる。装置がベッドに結合される潜在的な利点は、(例えば、手術中に)装置がベッドおよび/または患者に対して同じ位置に留まりながら、ベッドの移動および/または角度の変更ができることである。それに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、患者および/またはベッドに対する装置の位置は、(例えば、装置による治療前および/または手術中に)調整可能である。
【0212】
図18Aに示す例では、患者214は、膣(および/または肛門および/または車台)の中へおよび/または膣(および/または肛門および/または車台)を通って装置を挿入するのに適した位置で示されており、このときに例えば、患者の脚は開いている(例えば、脚あぶみなどにより脚が持ち上げられておよび/または開脚状態で保持されている)。
【0213】
いくつかの実施形態では、外科用アーム202、212は、(例えば、ユーザ232によって)制御コンソール228において制御される。いくつかの実施形態では、外科用アーム202、212の動きが制御される。いくつかの実施形態では、アーム202、212の電気手術用の充電が制御される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のモータユニット(例えば、各モータユニット204、218)は、データ接続および/または電源接続242を介して制御コンソールに接続される。
【0214】
いくつかの実施形態では、制御コンソール228は、複数のユーザインターフェースを含む。いくつかの実施形態では、制御コンソール228は、1つまたは複数の入力アーム206、230を含み、制御コンソールは、アームの動きに応じて制御信号を生成するように構成される。入力アームは、ジョイスティック、サムスティック(親指で操作するボタン)、触覚ハンドルのうちの1つまたは複数の形式をとってもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ(図示せず)は、入力アームが動かされると(例えば、図17のセンサ108およびプロセッサ110に関して説明したように)制御信号を生成する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の入力アームは、追加のユーザインターフェース(図示されていないが、例えば、1つまたは複数のボタンおよび/またはスイッチ)を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、制御コンソールは、ディスプレイ234(例えば、グラフィックユーザーインターフェース、すなわち、GUI)を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイ234は、手術領域の画像を表示するように構成される。これにより、例えば、外科用アーム202、212などにより患者214に挿入されたカメラによって収集された画像を表示する。いくつかの実施形態では、ディスプレイ234は、ユーザ入力を受信するように構成されたタッチスクリーンであり、それによりユーザ入力を提供し得る。
【0216】
いくつかの実施形態では、制御コンソール228は、(例えば、ディスプレイ234上および/またはディスプレイ234の近くに配置される)1つ又は複数の追加のユーザインターフェース240(例えば、ボタン、スイッチ)を含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、システム200は、電気手術用の発電機224への接続および/また電気手術用の発電機224を含む。いくつかの実施形態では、例えば、電気手術の技術分野で知られているように、電気手術用の発電機224は、高周波(例えば、無線周波数)交流電流を供給する。いくつかの実施形態では、電気手術用の発電機224は、(例えば、組織の切断および/または凝固および/または乾燥および/または電気で破壊することに適した)異なる周波数および/または電力を供給するように構成される。
【0218】
いくつかの実施形態では、電気手術用の発電機224は、制御コンソール228の一部である。あるいは、いくつかの実施形態では、電気手術用の発電機224は、(例えば、電気手術用の発電機への接続を含む)制御コンソールおよび/またはモータユニットからは分離された装置である。例えば、例示的な実施形態では、電気手術用の発電機224は、Covidien Force FX ESU電気手術用発電機である。いくつかの実施形態では、モータユニットへの供給は、(例えば、高周波の電気手術用電力を伝達するように構成された)ケーブル226を介して行われる。
【0219】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の外科用機械アーム202、212には、アームが取り付けられるモータユニットによって電力が供給される。いくつかの実施形態では、外科用アームは、電気手術用発電機224によって(例えば、モータユニットを介して間接的に)電力が供給される。
【0220】
いくつかの実施形態では、電気手術用発電機224は、(例えば、アーム202、212への電気手術用電源の供給を制御するための)1つ又は複数のユーザインターフェースを含む。いくつかの実施形態では、当該電気手術用発電機は、制御コンソールのユーザインターフェース(例えば、234および/または240)によって制御される。
【0221】
いくつかの実施形態では、制御コンソールはフットペダル236を含む。それに加えて、またはその代わりに、フットペダル236は、電気手術用発電機224の一部として提供され、および/または電気手術用発電機224に取り付けられる。いくつかの実施形態では、フットペダル236は、データ接続および/または電力接続225を介して電気手術用発電機224に接続される。いくつかの実施形態では、フットペダル236は、外科用機械アーム202、212への電気手術用電力の供給を制御する。
【0222】
いくつかの実施形態では、システム200は、ユーザ入力(例えば、入力アーム206、230、ディスプレイ234、追加のユーザインターフェース240、フットペダル236のうちの1つまたは複数)から信号を受信するように構成されたプロセッサ(図示せず)を含む。いくつかの実施形態では、当該プロセッサは、(例えば、ユーザ入力から受信した信号に基づいて)モータユニット204、218および/または電気手術用発電機224に制御信号を送信する。
【0223】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、制御コンソールの一部を調整するために、制御コンソールアクチュエータに制御信号を送信する。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザは、ユーザインターフェース(例えば、ディスプレイ234)を介して命令を入力して、制御コンソールの1つまたは複数の部分(例えば、入力アームの位置および/または向き、ユーザ支持具の高さ)を調整する。いくつかの実施形態では、プロセッサは、ユーザ入力命令に基づいて制御信号を生成し、例えば次に、制御コンソールを調整するために制御信号をアクチュエータに送信する。いくつかの実施形態では、プロセッサは、測定値(例えば、入力アームの位置および/または動き)に基づいて信号を生成する。例えば、いくつかの実施形態では、入力アーム同士が(例えば、ユーザによって)衝突に向かう動きをするとき、入力アーム同士の間の距離が(例えば、1つまたは複数の入力アーム支持具の動きによって)自動的に増加する。それに加えて、またはその代わりに、画面インターフェースに警告が表示される。それに加えて、またはその代わりに、外科用アームの動きが停止される。
【0224】
いくつかの実施形態では、制御コンソール228はプロセッサを含む。それに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、プロセッサが行う処理は、(例えば、ユーザ入力信号を受信する、および/または制御信号をモータユニットおよび/または電気手術発電機に送信するように構成された)外部プロセッサによって行われる。
【0225】
いくつかの実施形態では、フットペダル236および/または電気手術用発電機224は、(例えば、フットペダル236の一部を押すユーザ232が感知する圧力に基づいて)制御信号を生成するように構成されたプロセッサを含む。例えば、モータユニットに供給される電力は、制御信号に基づいて変更される。いくつかの実施形態では、フットペダル制御信号は制御コンソールプロセッサを通過しない。
【0226】
いくつかの実施形態では、第1の入力アーム204が第1の外科用アーム202の動きを制御し、および/または第2の入力アーム230が第2の外科用アーム212の動きを制御する。いくつかの実施形態では、ユーザは、入力アームハンドル238を握ることによって入力アーム206を位置決めおよび/または移動させる。
【0227】
いくつかの実施形態では、システムは、電気手術用スイッチングユニットを含む。当該スイッチングユニットは、例えば、電気手術用発電機212とモータユニット204、218との間に接続される。モータユニット204、218は、例えば、(電気手術用スイッチングユニットのユーザインターフェースおよび/または外部プロセッサなどからの)信号を受信すると、電気手術用発電機からの電気手術用電源を(例えば、オンおよび/またはオフに)切り替える。
【0228】
図18Bは、いくつかの実施形態による、手術室環境の一例である。
【0229】
いくつかの実施形態では、手術システム2200は、患者の体内に挿入するための1つまたは複数の外科用アーム2202を備える。いくつかの実施形態では、外科用アーム2202は、モータユニット2204によって駆動される。必要に応じて、外科用アームは、モータユニットの1つまたは複数のロックドア2210を通して配置されることでモータユニット上に組み立てられる。
【0230】
いくつかの実施形態では、モータユニット2204は、固定アーム2206などの支持手段によって手術ベッド2216に対して位置決めされる。いくつかの実施形態では、固定アームは、調節可能な関節2208によって互いに取り付けられた複数のセグメントから構成される。必要に応じて、関節は、例えば、1つまたは複数のロック可能なノブ(例えば、回転によってロックされる)およびラッチなどの手段、および/または固定アームのセグメントの位置を調整および/または制限するのに適した他の手段によって、所定の位置に固定されるように構成される。
【0231】
いくつかの実施形態では、単極または双極エネルギをモータユニット2204に供給するための電気手術用ケーブル2212は、電気手術用発電機2214からモータユニットまで延びている。
【0232】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のケーブル2218は、モータユニットから制御コンソール2220まで延びる。いくつかの実施形態では、制御コンソール2220は、1つまたは複数の外科用アーム2202を制御するための1つまたは複数の入力アーム2222を含む。いくつかの実施形態では、入力アーム2222は、ユーザの手、指(例えば、親指)、および/または手の一部によって制御されるような(例えば、握られることにより制御されるような)形状および構成になっている。いくつかの実施形態では、制御コンソールは可動である。必要に応じて、制御コンソールは、コンソールを押して動かすための1セットの車輪2224上に配置される。いくつかの実施形態では、制御コンソール2220は、ユーザ支持具(例えば、座席2226および肘掛け2228)を含む。必要に応じて、シート2226は、入力アームに対する直線的な配置に関して調節可能(例えば、高さ)であり、および/または入力アームに対する横方向の配置に関して調整可能である。いくつかの実施形態では、シート2226は、制御コンソールのベース2230に沿ってスライド可能である。必要に応じて、肘掛け2228は、例えば(ベース2230に対する)高さおよび/または横方向の配置に関して調節可能である。いくつかの実施形態では、制御コンソール2220は、ディスプレイ2232を含み、当該ディスプレイは、例えば、手術中の画像(例えば、外科用アームとともに挿入されたおよび/または外科用アームに取り付けられたカメラからの画像)を表示するためのものである。必要に応じて、ディスプレイ2232は、タッチスクリーンであり、ユーザ入力を受信するように構成されている。いくつかの実施形態では、コンソールは、追加のユーザインターフェースを含む。例えば、いくつかの実施形態では、1つ又は複数のスイッチまたはボタン2234(オン/オフスイッチ、ライトインジケータ、緊急オフボタンなどのオン/オフボタン、入力アーム上のユーザインターフェースなど)が含まれる。いくつかの実施形態では、ディスプレイの高さおよび/または横方向の位置は調整可能である。いくつかの実施形態では、制御コンソールは、(例えば、ディスプレイ2232の背後に位置する)1つまたは複数の保管コンパートメント2234を備える。
【0233】
いくつかの実施形態では、制御コンソール2220は、電力接続および/またはデータ接続2236を含む。必要に応じて、制御コンソールは、主電源から電力を受け取るためのソケットを備える。それに加えて、またはその代わりに、制御コンソールはバッテリから電力を供給される。
【0234】
図18Cは、いくつかの実施形態による、支持具2382(例えば、固定アーム)によって保持された1つまたは複数の外科用アーム2300の概略図である。
【0235】
いくつかの実施形態では、支持具2382は、患者の手術面の一部(例えば、レール2302)に取り付けられる。いくつかの実施形態では、レール2302上の支持具2382の取り付け位置は調整可能であり、例えば、患者の手術面への支持具の取り付け位置の線形調整を可能にする。必要に応じて、調整は手動で実行される。
【0236】
いくつかの実施形態では、支持具2382は、(この例においては外部ハウジングなしで示される)モータユニット2314のポート2312に取り付けられ、外科用アーム2300は、モータユニット2314への取り付けによって支持される。
【0237】
いくつかの実施形態では、ポート2312は、患者の身体の開口部(例えば、膣および/または肛門および/または口などの自然の身体開口部、および/または切開部)に配置される。いくつかの実施形態では、ポート2312は、縫合糸および/または他の取り付け手段を使用して患者の身体に取り付けられる。それに加えて、またはその代わりに、ポート2312は、手術面ベッドに固定される。
【0238】
いくつかの実施形態では、支持具2382は、セグメント間の角度および/またはセグメントの長さが調節可能である複数の関節運動を含み、例えばこれにより、外科用アームおよび/またはポート2312および/または(例えば、外科用アーム2300を作動させる)モータユニット2314の、位置および/または角度の調節を可能にする。
【0239】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のモータを使用して、外科用アーム2300をシステムの1つまたは複数の部分に対して(例えば、ポート2312および/またはモータユニット2314に対して)移動させるとともに患者の中へおよび/または外へ移動させる。いくつかの実施形態では、モータユニット2314は、1つ又は複数の外科用アームをモータユニットに対して移動させるための1つ又は複数のモータを含み、例えばこれにより、モータユニットに対する1つ又は複数の支持セグメントの位置が変更される。
【0240】
図18Dは、いくつかの実施形態による、入力アームによって制御される外科用機械アームの概略図である。
【0241】
いくつかの実施形態では、外科用機械アーム102は、器具105(例えば、把持器、ハサミ、ニードルドライバ、ドリル、吸引/灌注器具などのエンドエフェクタ、レーザアブレーション器具および/またはその他の器具)に結合された、第2の可撓性部分103に結合された第1の可撓性部分101を含む。いくつかの実施形態では、第1の可撓性部分101は肩関節を画定し、第2の可撓性部分103は肘関節を画定する。いくつかの実施形態では、部分109は手首関節を画定する。
【0242】
いくつかの実施形態では、外科用機械アームの遠位部分(例えば、部分101、103、105を含む)は、外科用機械アーム支持具107に結合される。いくつかの実施形態では、支持具107は剛体である。
【0243】
いくつかの実施形態では、外科用機械アーム102は、モータユニット104によって駆動される。いくつかの実施形態では、外科用機械アーム102には、(例えば、モータユニット104を介した電気手術のために)電力が供給される。いくつかの実施形態では、モータユニット104は、電気手術用発電機(図示せず)から電気手術用電力を受け取る。
【0244】
いくつかの実施形態では、入力アーム106は、第1の屈曲関節150および第2の屈曲関節152を含む。いくつかの実施形態では、外科用アームおよび入力アームと通信する1つまたは複数のセンサ108は、入力アーム106の1つまたは複数の部分の位置を感知する。いくつかの実施形態では、センサ108は、入力アームの部分間の動き(例えば、屈曲関節150における屈曲および/または回転関節160、162、174における回転)を測定する。
【0245】
いくつかの実施形態では、プロセッサ110は、センサ108から信号を受信し、1つまたは複数の制御信号を生成する。いくつかの実施形態では、プロセッサ110は、生成された制御信号をモータユニット104に送信する。いくつかの実施形態では、モータユニット104は、制御信号に基づいて、外科用機械アーム102の動きを作動させる。
【0246】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、外科用アームの形状が入力アームの形状に対応する構成へと外科用アームを移し変える命令をモータユニットに出す。これには例えば、外科用アームの各セグメント間の角度と入力装置の対応する各セグメント間の角度とがほぼ同じである場合が相当する。ここで、いくつかの実施形態では、セグメント間の角度は、回転関節においてアームの長手方向中心軸同士が交わる角度として測定される。
【0247】
図19は、いくつかの実施形態による、医療ロボット手術システムの詳細な使用の流れを示すフローチャートである。
【0248】
システム構成
【0249】
ステップ300で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師が制御コンソール(CC)を非無菌の位置に配置する。
【0250】
ステップ302で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師が制御コンソールを主電源および接地コンセントに接続する。
【0251】
ステップ304で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師が手術用固定アームを手術用ベッドに接続する。
【0252】
ステップ308で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、1つまたは複数の固定アームのノブ(例えば、二つのノブのうちの両方)を固定する。
【0253】
ステップ310で、いくつかの実施形態においては、無菌の外科医は、患者の準備(例えば、患者にドレープを掛けることを含む)を行う。
【0254】
ステップ312で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、1つまたは複数の外科用固定アームのノブを開く。
【0255】
ステップ314で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、固定アームアダプタを上向きに配置する。
【0256】
ステップ316で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、1つまたは複数の固定アームのノブ(例えば、二つのノブのうちの両方)を再び固定する。
【0257】
ステップ318で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、固定アームアダプタのラッチが開いていることを確認する。
【0258】
ステップ320で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、モータユニット(MU)(必要に応じて、モータユニットの一部、例えば、モータユニットハウジングのダブテールなど)を固定アームアダプタ内に配置し、スライドさせる。
【0259】
ステップ324で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、固定アームアダプタのラッチを固定する。
【0260】
ステップ325で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、制御コンソールの電源を入れる。
【0261】
ステップ326で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、モータユニット-制御ユニット(MU-CU)ケーブルをモータユニットに接続する。
【0262】
ステップ328で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、電気手術用発電機から制御コンソールに双極ケーブルおよび/または単極ケーブルを接続する。必要に応じて(例えば、単極電気手術が用いられる場合)、非無菌の看護師は、リターンプレートを電気手術用発電機に接続する。
【0263】
ステップ330で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、電気手術用発電機の電源を入れる(例えば、ユーザインターフェースを使用するなどして電気的に起動する)。
【0264】
手術、システムの組み立て、ドレーピングの準備
【0265】
ステップ336で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、制御コンソールのユーザインターフェース(例えば、GUI画面表示)に表示される電気手術用電力の種類から、(例えば、外科用アームごとに)電気手術用電力の種類を選択する。
【0266】
ステップ340で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、ステップ336での外科医の選択に従って、双極ケーブルおよび/または単極ケーブルを1つまたは複数のモータユニットに接続する。
【0267】
ステップ342で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、外科用アーム一式のダンボール箱を非無菌のテーブル上に置く。
【0268】
ステップ346で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、モータユニットを覆うための手術用ドレープ(例えば、上部および下部ドレープシートが使用される場合には下部ドレープシート)の使用期限をチェックし、および/または包装に損傷がないか検査する。
【0269】
ステップ350で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、モータユニット上に下部ドレープを実装する。
【0270】
ステップ352で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、下部ドレープの前部の折り目を固定し、まっすぐにする。
【0271】
ステップ354で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、1つまたは複数の表示ストリップを引き裂き、1つまたは複数の接着剤(例えば、ステッカー)を貼り付けて、ドレープをモータユニットに取り付ける。
【0272】
ステップ356で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、無菌パウチ(必要に応じて、二層無菌パウチ)の有効期限をチェックし、および/または包装に損傷がないか検査する。
【0273】
ステップ358で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、二層パウチの外部パウチを開ける。
【0274】
ステップ360において、無菌の看護師は、非無菌の看護師の二重パウチから内部パウチを取り出す。
【0275】
ステップ362で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、内部パウチを開ける。
【0276】
ステップ364で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、ダイカットトレイから1つ又は複数の固定フラップを解放するか、または外科用機械アームが詰められているブリスタから1つ又は複数のインサートを解放する。(いくつかの実施形態では、外科用アームは、手術前の滅菌のためにダイカットトレイまたはブリスタに詰められる)
【0277】
ステップ366で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、手術用機械アームの隔離(insulation)を検査する。
【0278】
ステップ368で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、手術用機械アームの無菌端を保持しながら、手術用機械アームを非無菌の看護師に手渡す。必要に応じて、このプロセスは、第2の外科用機械アームに対して繰り返される。
【0279】
ステップ370で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、外科用機械アームアームのハンドルにおいて当該アームを保持する。
【0280】
ステップ372で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、外科用機械アームをモータユニットに取り付ける。
【0281】
ステップ374で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、モータユニットロックドアを閉める。必要に応じて、このプロセスは、第2の外科用機械アームに対して繰り返される。
【0282】
ステップ376で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、上部手術用ドレープの使用期限をチェックし、必要に応じて包装に損傷がないか検査する。
【0283】
ステップ378で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、非無菌のテーブル上にドレープのパッケージを置く。
【0284】
ステップ380で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、無菌の看護師のために上部ドレープパウチを開ける。
【0285】
ステップ382で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、パッケージからドレープを取り出す。
【0286】
ステップ384で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、上部ドレープを下部ドレープ上に実装し、上部ドレープを接着剤(例えば、ステッカー)で固定する。
【0287】
ステップ386で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、ドレーピングが完了したことを承認する。
【0288】
自己検査と入力アーム検査
【0289】
ステップ388で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、GUI画面上の指示に従って自己検査および/または入力アーム(例えば、ジョイスティック)検査を実行する。自己検査中、いくつかの実施形態では、外科医は、表示された指示に従って入力アームを操作する(例えば、入力アームハンドルの先端同士を互いに接触させ、各入力アームを固定位置および/または固定解除位置に移動させるなど)。
【0290】
ポートの準備、膣アクセスおよびシステムのドッキング
【0291】
ステップ390で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、アームトロカール導入器を使用して、アームトロカール(例えば、一つ又は複数の外科用アームを挿入するための形状およびサイズを有する指定されたトロカール)を外科用ポート(必要に応じて、「GelPoint」ポートを含む)に挿入する。
【0292】
ステップ392で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、創傷レトラクタ(「Alexis」創傷レトラクタなど)を外科用ポートで組み立てる。
【0293】
ステップ394で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、婦人科固定アームを手術ベッドに接続する。
【0294】
ステップ396で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、アームトロカールを患者の膣の前に配置し、トロカールの延長部分を婦人科固定アームに(必要に応じて、クリッキング(clicking)によって)取り付ける。
【0295】
ステップ398で、いくつかの実施形態においては、無菌の外科医は、補助ポートを患者の腹部に挿入する。
【0296】
ステップ400で、いくつかの実施形態においては、無菌の外科医は、内視鏡を挿入し、腹部を検査する。
【0297】
ステップ402で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師または無菌の外科医は、子宮マニピュレータを子宮頸部に挿入する。
【0298】
ステップ404で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師または無菌の外科医は、ダグラス窩を識別するためにトロカールを通して鈍的拡張器を挿入する。
【0299】
ステップ406で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師または無菌の外科医は、鈍的拡張器を通して針を挿入し、ダグラス窩を貫通する。
【0300】
ステップ408で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師または無菌の外科医は、拡張器を固定しながら針を除去する。
【0301】
ステップ410で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、「カチッ」という音が聞こえるまで、拡張器にカニューレを挿入する。
【0302】
ステップ412で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、拡張器を取り外し、カニューレにカニューレガスケットを配置する。
【0303】
ステップ414で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、ガスケットをシースに挿入する。
【0304】
ステップ416で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、外科用アーム上でシースをスライドさせる。
【0305】
ステップ418で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師または無菌の外科医は、伸縮ハンドルをスライドさせて、婦人科固定アーム上のストッパを開く。
ステップ420で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、モータユニット固定アームのノブを開き、婦人科固定アーム上のストッパに到達するまでモータユニットをゆっくりと前進させる。
【0306】
ステップ422で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、エンドエフェクタの先端が見えるようになるまで(例えば、腹腔鏡カメラによって捉えられた動画を示す画面などで見えるようになるまで)外科用アームを膣腔内に挿入する。
ステップ424で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、モータユニット固定アームを調整して所定の位置に固定する。
【0307】
制御コンソールを介して実行される非無菌の手術タスク
【0308】
ステップ426で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、(必要に応じて、例えば図20A図20Cに記載のように、1セットのサムスティックを使用して)外科用アームを後屈した配置に案内する。
【0309】
ステップ428で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、入力アーム(例えば、ジョイスティック)を使用してシステムの動作範囲を確認する。
【0310】
ステップ430で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、外科用アームを使用しての組織の把持、組織の鈍的切開、組織のモビライゼーション、および/または組織の密着のうちの1つまたは複数を使用して、組織および血管系を操作する。
【0311】
ステップ432で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、(必要に応じて、GUI画面を介して)電気手術を行う。
【0312】
ステップ434で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、使用する予定の入力アーム(例えば、ジョイスティック)に正しいエネルギの種類を示す印があることを確認する。
【0313】
ステップ436で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、フットペダルを押して単極切断を行う。
【0314】
ステップ438で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師または無菌の外科医は、非無菌の外科医からの要求に応じて、補助ポートを通してベッセルシーラを使用する。いくつかの実施形態では、シーリングは、双極エネルギなどのエネルギを血管に加えて組織を凝固させることによって行われる。いくつかの実施形態では、エネルギの印加に対する組織の反応を感知するとともに必要に応じて感知された組織の特性に従って印加電流を変更するように構成された専用器具(例えば、はさみ、湾曲した器具、および/またはその他)が、シーリングのために使用される。
ステップ440で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師または無菌の外科医は、非無菌の外科医からの要求に応じて、補助ポートを介して把持器、ハサミ、吸引器および/または灌注器を導入する。
【0315】
ステップ442で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、使用する予定の入力アーム(例えば、ジョイスティック)が正しいエネルギの種類を示す印があることを確認する。
【0316】
ステップ444で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、フットペダルを押して単極凝固を行う。
【0317】
ステップ446で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、使用する予定の入力アーム(例えば、ジョイスティック)が正しいエネルギの種類を示す印があることを確認する。
【0318】
ステップ448で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、フットペダルを押して双極エネルギを印加する。
【0319】
ステップ450で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、異なる電気焼灼出力強度を要求する。
【0320】
ステップ452で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、非無菌の外科医の要求に応じて電気焼灼出力強度を変更する。
【0321】
ステップ454で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、強度が変更されたことを報告する。
【0322】
電気メスの交換
【0323】
ステップ456で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、単極エネルギケーブルをモータユニットから外す。
【0324】
ステップ458で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、単極エネルギケーブルをモータユニットに接続する。
【0325】
ステップ460で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、単極エネルギケーブルをモータユニットから外す。
【0326】
ステップ462で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、双極エネルギをモータユニットに接続する。
【0327】
ステップ464で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、エネルギの種類が変更されたことを承認する。
【0328】
ステップ466で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、システムを一時停止し、GUI画面上の指示に従う(例えば、手を離す前にジョイスティックなどの入力アームを固定状態になる配置に動かす)。
【0329】
一時停止と再開
【0330】
ステップ468で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、GUI画面上の指示に従ってシステムを再開する(例えば、指示された姿勢に従って入力アームを操作する)。
【0331】
処置終了
【0332】
ステップ472で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、(必要に応じて、サムスティックを使用して)外科用アームを零位置まで動かす。
【0333】
ステップ474で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、目視下で(例えば、入力アームおよび/またはタッチスクリーンを使用して)標的器官から外科用アームを引き抜く。
【0334】
ステップ476で、いくつかの実施形態においては、無菌の外科医は、例えば、器具の摘出中に、以前に挿入された1つまたは複数の器具に沿ってカメラを案内する。必要に応じて、工具は摘出中に真っ直ぐにされる。必要に応じて、カメラは、器具を含む外科用アームの全体像(例えば、外科用アームの近位端から器具の遠位端までの)を提供する。いくつかの実施形態では、(例えば、肘関節および/または肩関節などのアーム関節が摘出中に器官に接触しないことを保証するために)カメラの焦点をズームアウトして外科用アームの全体像を取得する。
【0335】
ステップ478で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、器具の摘出を要求する。
【0336】
ステップ480で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、固定アームのノブのロックを安定的に解除する。
【0337】
ステップ482で、いくつかの実施形態においては、無菌の外科医は、目視下で手術部位から外科用アームを摘出する。
【0338】
ステップ483で、いくつかの実施形態においては、無菌の外科医は、婦人科固定アームのロックを解除しながら、手術部位からカニューレを除去する。
【0339】
ステップ484で、いくつかの実施形態においては、無菌の外科医は、手術部位から標本を除去する。必要に応じて、標本は、子宮、卵巣、卵管、胆のう、および/または他の器官もしくはその一部などの、切除された器官を含む。いくつかの実施形態では、標的組織(例えば、腫瘍)が除去される。
【0340】
ステップ486で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、上部および下部のドレープを取り外す。
【0341】
ステップ488で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、モータユニットから外科用アームを分解する。
【0342】
ステップ490で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、固定アームからモータユニットを取り外す。
【0343】
ステップ492で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、手術ベッドに対するモータユニットおよび婦人科固定アームのロックを解除し、それらを取り除く。
【0344】
ステップ494で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、モータユニットと制御ユニットとの間のケーブルを取り外し、ケーブルを制御コンソールの保管コンパートメントに配置する。
【0345】
ステップ496で、いくつかの実施形態においては、無菌の看護師は、電気手術用ケーブルを外す。
【0346】
ステップ498で、いくつかの実施形態においては、無菌の外科医は、入口切開部に縫合を施す。いくつかの実施形態では、(例えば、子宮摘出術が行われる場合)膣カフが縫合される。
【0347】
緊急時の手動解除、システムのトラブルシューティング
【0348】
ステップ500で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、入力アーム(例えば、ジョイスティック)のハンドルを解放する。
【0349】
ステップ502で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、緊急ボタン(EMO)を押す(例えば、図22Aを参照)。
【0350】
ステップ504で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、カメラによる手術部位の検査を要求する。
【0351】
ステップ506で、いくつかの実施形態においては、無菌の外科医は、カメラで手術部位を走査する。
【0352】
ステップ508で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、外科用アームの手動解放を承認する。
【0353】
ステップ510で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、制御コンソールから手動抽出器具を取り出す。手動抽出器具の一例は、図22B図22Cに示されている。
【0354】
ステップ512で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、器具を用いて(必要に応じて、器具の底部を用いて)モータユニット上に構成された非常ドアを開ける。
【0355】
ステップ514で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師または非無菌の外科医は、非常ドアを取り外す。
【0356】
ステップ516で、いくつかの実施形態においては、必要に応じて、非無菌の看護師は、エンドエフェクタ(例えば、把持器のギアを回転させることによって把持器など)を開く。
【0357】
ステップ518で、いくつかの実施形態においては、必要に応じて、非無菌の看護師は、肘のギアを回転させることによって外科用アームの肘関節を伸ばす。
【0358】
ステップ520で、いくつかの実施形態においては、必要に応じて、非無菌の看護師は、肩のギアを回転させることによって外科用アームの肩関節を伸ばす。
【0359】
ステップ522で、いくつかの実施形態においては、非無菌の看護師は、アームがトロカールの先端に配置されるまで、モータユニットおよび外科用アームを手動で引き抜く。
【0360】
ステップ524で、いくつかの実施形態においては、無菌の外科医は、手動の腹腔鏡検査に切り替え、必要に応じてロボット手術を中止するとともに従来の腹部腹腔鏡検査を継続する。
【0361】
ステップ526で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、システムをシャットダウンする。
【0362】
ステップ528で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、緊急ボタンを放す。
【0363】
ステップ530で、いくつかの実施形態においては、非無菌の外科医は、システムを再起動する。
【0364】
手術用機械アームの制御
【0365】
図20A図20Cは、いくつかの実施形態による、外科用アームの二重制御のための方法のフローチャート(図20A)および二重制御手段を含む制御コンソールの概略図(図20A図20B)である。
【0366】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の外科用アームの制御は、1つまたは複数の入力アーム、ジョイスティック、制御ハンドル、および/またはユーザ(例えば、外科医)による操作に適した他の手段を介して達成され、そしてそれは外科用アームの一致する関節運動に変換される。
【0367】
本明細書に記載される例では、図20Aのフローチャートで参照されるように、いくつかの実施形態は、外科用アームの二重制御を含む。いくつかの実施形態では、第1のユーザ入力(この例では、サムスティック4005)は、(例えば、膣を通して)患者の体内に外科用アームを導入してそして外科用アームを後屈するために使用される(4001)。いくつかの実施形態では、患者の体内での外科用アームの後屈(例えば、後方への屈曲)は、外科用アームが位置する領域を縮小するために実行される。必要に応じて、特定の器官またはその一部(例えば、腹部の内壁)などの障害物を避けるために、手術中に後屈が実行される。必要に応じて、手術を実行するにあたって腹腔鏡外科医が慣れている向きに外科用アームを配置するために、後屈が実行される。
【0368】
いくつかの実施形態では、この例においては入力アーム4011(例えば、アバタジョイスティック)の形態である第2のユーザ入力は、手術の残りの処置を実行するために使用される(4003)。
【0369】
いくつかの実施形態では、サムスティック4005(図20B図20Cを参照)は、制御コンソール画面4007に隣接して(例えば、画面の両脇に)配置される。いくつかの実施形態では、サムスティック4005のそれぞれは、ユーザの親指に合わせて形状およびサイズが決められたニップル型コントローラ4009を備える。いくつかの実施形態では、サムスティックのニップルは、中心に位置するときに静止位置にあり、親指を離すとバネで静止位置に戻るように構成されている。いくつかの実施形態では、ニップルの中央静止位置に対するニップルの動きの程度は、その結果として生じる外科用アームの動きの速度を決定する。例えば、ニップルがその中央静止位置から遠ざかるほど、外科用アームの移動速度は速くなる(逆もまた同じで、ニップルが中央静止位置に近づくほど、アームの速度は遅くなる)。
【0370】
いくつかの実施形態では、サムスティックを介して外科用アームを制御するとき、1つまたは複数の外科用アーム関節(例えば、肩関節、手首関節)の動きが制限される。いくつかの実施形態では、肘関節を除くすべての外科用アーム関節の動きが制限され、肘関節の屈曲および/または回転のみが可能になる。いくつかの実施形態では、(例えば、アームを前進または後退させるために)外科用アーム(単体として)の直線運動も可能になる。いくつかの実施形態では、ニップルの動きは、肘関節の屈曲および/または回転を作動させる。いくつかの実施形態では、アームの直線運動は、別個のアクチュエータによって(例えば、サムスティック4005の本体に沿って構成された押しボタン4006、4008などを使用して)作動される。一例では、ボタン4006は、外科用アームを遠位方向に(例えば、腹部内に)前進させ、ボタン4008は、外科用アームを近位側に後退させる。
【0371】
いくつかの実施形態では、サムスティックの使用中、入力アーム4011は、(例えば、ソレノイドロックによって)静止位置にロックされる。いくつかの実施形態では、入力アームの静止位置が後屈位置として選択される。必要に応じて、この位置は、サムスティックを使用しての後屈の直後に外科医が処置を継続することを可能とする。いくつかの実施形態では、入力アームが操作されると、サムスティックの操作が無効になる。
【0372】
肩関節などの選択されたアーム関節を静止させたまま、体内への案内や外科用アームの後屈にサムスティックを使用する潜在的な利点には、外科用アームの曲げ半径を小さくすることで、腹壁の内側などの周囲の障害物に遭遇する可能性を減らすことが含まれ得る。案内および/または後屈のプロセスにサムスティックを使用する別の潜在的な利点には、外科用アームの制御が向上することが含まれ得る。これは例えば、ハンドルのエルゴノミクスが、外科医がハンドルを握りながら後屈を行うために必要な回転運動を支持することにあまり適しておらず、そのような入力アームを使用しての案内および後屈と比較したときの潜在的な利点である。
【0373】
いくつかの実施形態では、体内への外科用アームの導入中、外科用アームは、(必要に応じて、カニューレを介した挿入を可能にするために)真っ直ぐである。一方で、入力アームは、静止するとともにロックされた後屈配置にある。必要に応じて、サムスティックを使用して外科用アームを後屈させた後、外科医は、サムスティックを手放して、手を入力アームに移動する。外科医が入力アームを掴み、必要に応じて持ち上げると、外科用アームに対する制御が自動的に得られ、外科医は入力アームを使用して処置を続行することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の入力アームの関節がソレノイドロックによってロックされている場合、外科医が入力アームを持ち上げると、ソレノイドロックが自動的に解除される。それに加えて、またはその代わりに、入力アームの関節の手動ロックが、(例えば、入力アームの配置を検出するセンサを介して)解除される。
【0374】
いくつかの実施形態では、システム(例えば、システムプロセッサ)は、例えば入力アームが静止位置にあるとき、入力アームの1つまたは複数の配置を認識するように構成されるとともに必要に応じて現在の位置をユーザに表示するように構成される。
【0375】
図21は、いくつかの実施形態による、触覚ハンドルを使用して1つまたは複数の外科用アームを制御する方法のフローチャートである。
【0376】
いくつかの実施形態では、ユーザに力のフィードバックを提供する触覚ハンドル(ForceDimension社によるomega.7など)が、外科用アームの動きおよび関節動作を制御するために手術全体を通じて使用される。いくつかの実施形態では、触覚ハンドルは、ユーザが外科用アームとって不適切な方向に動くこと(例えば、外科用アームの肘関節を後方に曲げること、同じアームの異なるセグメントで肘関節などの関節に触れることなど)を防止するための抵抗力を提供するように設定される。いくつかの実施形態では、当該ハンドルは、外科用アームの現在の体内配置および/または方向に従って変化する抵抗力を提供するように設定される。一例では、ユーザが許可されていない体内の領域(例えば、避けるべき器官)に動くことを試みる場合、抵抗力が増加され得る。
【0377】
いくつかの実施形態では、触覚ハンドルは、さまざまな制御モードに従って動作するようにプログラムされる。必要に応じて、制御モードは、外科手術の現在の段階に従って選択される。いくつかの実施形態では、異なる制御モード間の切り替えは、画面インターフェース、制御コンソール上またはハンドル上の1つまたは複数のボタン、フットペダル、などのうちの1つまたは複数を介して実行される。
【0378】
いくつかの実施形態では、外科用アームが患者の体内に導入されるとともに必要に応じて後屈される処置の第1段階中に、触覚ハンドルは「速度制御」モードで使用される(5001)。必要に応じて、速度制御モードでは、静止位置に対するハンドルの相対的な動きによって、外科用アームが動く速度が設定される。ユーザがハンドルを静止位置から遠ざけると速度が上がり、逆もまた同じである。例えば、ハンドルをその静止位置の右側に動かすと、ハンドルの静止位置からの距離に応じて決定される速度で、アーム関節(例えば、肘関節)が右に回転し得る。いくつかの実施形態では、速度制御モードでは、触覚ハンドルは、ユーザの動きに対して弾性的な(バネのような)抵抗力を提供するように設定される。いくつかの実施形態では、速度制御モードでは、制御アルゴリズムが適用され、(例えば、1つまたは複数のモータ歯車の回転速度を増加させるために)触覚ハンドルの現在の構成を外科用アームのアクチュエータ(例えば、モータ)に送られる速度命令に変換する。
【0379】
外科用アームを体内に導入する際および必要に応じて体内で後屈する際に速度制御モードを使用する潜在的な利点には、後屈中に方向が逆転する(例えば、上下方向)にもかかわらず、その変化を無視して動きを自然に継続できることが含まれ得る。なぜなら、後屈によって生じる外科用アームの動きは制限され、変化するのは動きの速度であるからである。
【0380】
いくつかの実施形態では、処置の第2段階中および必要に応じて処置の残りの期間中、触覚ハンドルは「位置制御」モードに設定される(5003)。必要に応じて、位置制御モードでは、ハンドルの空間的位置が外科用アームのそれぞれの位置を決定する。位置制御モードでは、ユーザによる触覚ハンドルの変位は、外科用アームへの相対変位命令に変換される。いくつかの実施形態では、触覚ハンドルの変位の変換は、アルゴリズムに従って制御される。いくつかの実施形態では、制御は既知のアルゴリズム(例えば、逆ヤコビアンアルゴリズム)に従って行われる。それに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、制御は、カスタムアルゴリズムに従って行われる。一例では、(動きの精度を高めるなどのために)ユーザの動きをスケーリング(増幅又は減衰)するようにカスタムアルゴリズムが設定される。このようなスケーリングは、同様の外科用アームの動きであって増幅されていない外科用アームの動きを生成するために、選択された係数によってユーザ側で必要とされる動きを増幅することを含み得る。例えば、アームを距離Xだけ移動するには、ユーザはハンドルをA*X(A>1)だけ移動する必要がある。別の例では、信号をフィルタリング(例えば、ユーザの手の震えを低減するためにローパスフィルタを使用するフィルタリング)するためにアルゴリズムが選択される。
【0381】
いくつかの実施形態では、位置制御モードでは、クラッチ機構が提供されることで(触覚ハンドルの動きにより外科用アームが制御されないように)ユーザが一時的に外科用アームとの接続を切断することを可能にする。必要に応じて、接続が切断された場合、ユーザは触覚ハンドルの位置を自由に変更し得る。一例では、ユーザは、次の動きを実行および制御するのが容易な位置および/または方向に触覚ハンドルの位置を変更する。
【0382】
いくつかの実施形態では、ハンドルの動きに対してユーザが感知する抵抗力の程度が選択されるとともに制御される。一例では、フローティングモードが設定され、このモードでは、ユーザは、実質的に抵抗力を与えられることなくハンドルを全方向に自由に動かすことができる。それに加えて、またはその代わりに、ユーザが感知する抵抗のレベルは、(例えば、ユーザは、ある動きに対しては高い抵抗を感じて、別の動きに対しては低い抵抗を感じるまたは全く抵抗を感じないように)調整される。
【0383】
いくつかの実施形態では、抵抗力の程度は、体内における外科用アームの位置に基づいて制御される。例えば、外科用アームの近くに障害物(腹壁など)がある場合は、高い抵抗力が設定され得る。特定の例では、外科用アームの右側に障害物が見つかった場合、ユーザは、ハンドルを右に動かすと大きな抵抗力を与えられ得る。外科用アームの左側に障害物が見つからない場合、ユーザは、ハンドルを左に動かしても抵抗力がほとんど与えられないか又はまったく抵抗力が与えられなくてもよい。必要に応じて、抵抗力の程度は、(例えば、壁に当たったような抵抗力、ゴムに当たったような抵抗力、砂のような抵抗力、などの抵抗力を生成する)システム設定によって定義される。
【0384】
緊急解放の方法と器具
【0385】
図22A図22Cは、いくつかの実施形態による、外科用アームの緊急解放中に適用される手順および器具を示す図である。
【0386】
図22Aは、制御コンソール6003上に構成された緊急ボタン6001の一例を示す。いくつかの実施形態では、(装置の故障、患者の緊急事態、ユーザ(外科医)側の問題、および/または病院の停電などの)緊急事態の場合、ボタン6001がユーザによって押されて外科用アームの動きが停止される。いくつかの実施形態では、ボタンを押すと、外科用アームは、当該アームが最後にあった位置で静止し続ける。あるいは、いくつかの実施形態では、外科用アームは、(例えば、当該アームが真っ直ぐになった位置、曲げられた位置、後屈された位置、および/または他の選択された位置を含む)静止位置(必要に応じて、予め決められた静止位置)まで移動される。
【0387】
いくつかの実施形態では、緊急ボタンが誤って押された場合、(例えば、ボタンを反時計回りに回転させることによって)手動で解除され得る。
【0388】
図22B図22Cは、専用器具を使用した外科用アームの手動解放の一例を示す。いくつかの実施形態では、器具6005は、ロックドア6011であって当該ロックドアを介して外科用アームのアクチュエータにアクセスされ得るロックドア6011を開くために、モータユニット6009上に構成されたスロット6007と係合する形状を有する。一例では、器具6005は、当該スロット内で嵌合して下から当該ドアを押す平らな先端6013を備える。(いくつかの実施形態では、ロックドアは、外科用アームがモータユニットに搭載される時に通るドアとは異なるドアである)
【0389】
いくつかの実施形態では、ドライブコグなどの外科用アームアクチュエータは、ロックドア6011を持ち上げると露出される。次いで、(例えば、スロットを介して)コグに係合してコグを手動で回転するために、器具6005が使用され得る。必要に応じて、外科用アームは、コグの回転により真っ直ぐになり、身体から摘出され得る。一例では、図22Cに示すように、外科用アームの肩関節(6017)、肘関節(6019)、および手首関節(6021)を作動させるコグが回転される。
【0390】
経膣的アクセスのための手術構成
【0391】
PCT出願番号IL2018/050934および米国出願番号16/109,891に記載されているシステム構成要素および/または方法(取り付けブロック、挿入ハンドルおよび/または位置合わせハンドルおよび/または間隔ハンドル、器具ホルダ、ポート、トロカール、カニューレ、外科用アーム、膣を通したアクセス方法など)は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0392】
図23A図23Bは、いくつかの実施形態による、経膣的アクセスのための例示的な手術構成を概略的に示す。
【0393】
図23Aは、外科用アームを患者の骨盤内へ前進させたときの手術構成の等角図である。図23Bは、いくつかの実施形態による、当該構成の概略的な正面図である。
【0394】
例示的な構成では、1つまたは複数の外科用アーム7001(この例では、後屈配置で示される2つのアーム)はカニューレ7003を通して挿入され、次にカニューレ7003はトロカール7005を通して挿入される。いくつかの実施形態では、トロカール7005は、膣に隣接して(例えば、患者の脚の間の膣口に隣接して)配置された外科用ポート(例えば、ゲルアクセスポート7007)を通して配置される。
【0395】
いくつかの実施形態では、ポートとそこに挿入されるトロカール及びカニューレとを備えるアセンブリを保持するための機械的支持具が提供される。いくつかの実施形態では、固定アーム7017(本明細書では、婦人科固定アームまたはGYN固定アームとも呼ばれ、例えば、FISSO固定アームや無菌FISSO固定アームなどが含まれる)は、(例えば、調整可能なシャフト7012によって)ポートの下から延びる取り付けブロック7011から延びることによって、アセンブリを支持する。必要に応じて、調節可能なシャフト7012は、トロカール7005から延在し、トロカールを取り付けブロックに直接接続する。いくつかの実施形態では、固定アーム7017は、取り付けブロックから固定された外部基準構造(例えば、手術ベッド7019)まで延びる(図23Bの一例では、固定アーム7017はベッドの下面7018にクランプされている)。それに加えて、またはその代わりに、固定アームは、安定的な基準構造(例えば、手術が小さな手術室で行われる場合は、システム制御コンソールなど)に取り付けられる。
【0396】
いくつかの実施形態では、外科医は、使用中に外科用アームの挿入に続いて膣2021への入射角を選択する(図23Bを参照)。いくつかの実施形態では、挿入角度は、カニューレおよび/または外科用アームと特定の組織または器官(例えば、子宮または直腸)との望ましくない接触を回避する角度として選択される。いくつかの実施形態では、挿入角度は、ダグラス窩の方向に向けられる。
【0397】
次に、いくつかの実施形態では、ゲルポイントポートは、膣の隣(例えば、膣への外部入口)に配置される。トロカールがポートを通して導入され、続いてカニューレが導入される。必要に応じて、カニューレの遠位端は、(外科用アームがアセンブリを通って前進するときにダグラス窩を介して腹膜腔にアクセスできるように)ダグラス窩内に延在する。
【0398】
いくつかの実施形態では、固定アームは、(例えば、ねじ式の結合を介して)取り付けブロック7011に予め取り付けられている。必要に応じて、この時点で、取り付けブロックは、(例えば、クリック式の取り付けによって)トロカールとカニューレとを備えるアセンブリに取り付けられる。必要に応じて、クリック式の取り付けは、トロカールから延びる調節可能なシャフト7012を取り付けブロックのそれぞれの凹部に受け入れることを含む。次に、いくつかの実施形態では、固定アーム7017の反対側の端部は、手術ベッドなどの固定された基準構造に取り付けられる。
【0399】
いくつかの実施形態では、上記の構成の準備とは独立して、外科用アームを作動させるためのモータユニット(本明細書には図示せず)がモータユニット固定アームに取り付けられ(例えば、図18C、2382を参照)、1つまたは複数の外科用アームがモータユニットに搭載される。
【0400】
ポートとカニューレが所定の位置に固定されると、ユーザ(外科医など)は、外科用アームがカニューレに対して軸方向に位置合わせされるようにモータユニットに指示を出し、次に、アームは、ポートを通して遠位方向に進められ得る。
【0401】
外部支持具(例えば、手術ベッドまで伸びる固定アーム)を介してポートとトロカールとカニューレとを備えるアセンブリを支持する潜在的な利点には、トロカール(およびカニューレ)が通って延在する膣壁への負荷を軽減し、それによって損傷(例えば、膣壁の裂傷)を防止または軽減することが含まれ得る。アセンブリを患者の身体に対して選択された位置および方向に固定することの潜在的な利点には、アセンブリ(またはその一部)が膣内に滑り込むおよび/または膣から滑り出るリスクを防止または軽減することが含まれ得る。膣壁の厚さが薄いため、(例えば、ポートが外部支持具なしで配置可能である腹壁と比較して)膣壁は、それ自体でアセンブリを維持および支持するのに十分な耐久性がない可能性がある。
【0402】
いくつかの実施形態では、外科用アーム7001の挿入を案内するために、取り付けブロック7011は、器具ホルダ7014の構成要素であり、器具ホルダ7014は、挿入ハンドル7023及び/又は位置合わせハンドル及び/又は間隔ハンドル7023をさらに備える。これらハンドルは、取り付けブロック7011から延びる。
【0403】
いくつかの実施形態では、アセンブリの構成要素(トロカール、ポート、カニューレ)の少なくとも1つへの固定アームの(直接的または取り付けブロックなどを介した間接的)取り付けは、固定アームの少なくとも端部セグメントがアセンブリの長軸7020に対してある角度(例えば、30度、60度、90度、120度)で配置されるように実行される。固定アームが軸7020と直線的に位置合わせされていない(例えば、アセンブリの延長直線上にアセンブリから直接延在していない)ことの潜在的な利点には、(固定アーム、ポート、トロカール、カニューレ、器具ハンドルなどを含む)構造体全体の設置面積を削減することで、患者の脚の間に位置する外科用ポートへのアクセスと干渉しにくくなることが含まれ得る。
【0404】
図24A図24Bは、いくつかの実施形態による、取り付けブロック(8B)と係合するように構成された固定アーム(8A)の図である。
【0405】
いくつかの実施形態では、(例えば、上記で説明された)固定アーム7017は、取り付けブロック7011と係合するような形状および/またはサイズにされた端部セグメント8001を含む。それに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、セグメント8001は、アダプタを受容するような形状となっており、アダプタは、取り付けブロック7011と係合する形状および/またはサイズとなっている。いくつかの実施形態では、この例に示されるように、取り付けは、(例えば、取り付けブロック7011に形成されたそれぞれのキャビティ8005内に受容される固定アーム7017から延びるネジ8003を介した)ねじ式の結合を備える。必要に応じて、キャビティ8005には雌ねじが切られている。取り付けブロックへの固定アームの他の結合方法には、磁気による取り付け、干渉結合(例えば、凸部および凹部)、および/または固定アームを取り付けブロックに固定的に取り付けるように構成された他の結合が含まれ得る。
【0406】
取り付けブロックを介してアセンブリと固定アームとの間を結合することの潜在的な利点には、(例えば、固定アームの重量がアセンブリにかかるのとは対照的に)固定アームの重量を取り付けブロック上に(および/または、取り付けブロックが器具ホルダの構成要素である場合には、器具ホルダの他の部分上に)移動させることで、繊細な組織への負荷を軽減することが含まれ得る。
【0407】
それに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、固定アームは、(例えば、トロカールおよび/またはカニューレに対してアームを把持するように固定アームの周囲に巻き付けられる手段によって)トロカールおよび/またはカニューレに直接取り付けられる。
【0408】
いくつかの実施形態では、取り付けブロックと固定アームとの間の取り付けは、手術前に行われ、必要に応じてこれらの器具の製造中に行われる。そして必要に応じて、手術中に、取り付けブロックおよび固定アームを含む構造体は、アセンブリ(ポート、トロカール、およびカニューレのうちの1つまたは複数)に取り付けられる。一例では、取り付けブロックは、トロカールの延長部に取り付けられる。
【0409】
本明細書に開示されるとともに添付の特許請求の範囲において請求されている特徴に加えて、それ自体で発明性があると考えられる特徴は、1つまたは複数の分割特許出願を行う際に公正な根拠を提供するために、以下に記載される。
【0410】
<態様1>
膣を通して治療領域にアクセスするための方法であって、前記方法は、
入射角を選択する選択工程と、
膣口に隣接して外科用ポートを配置する配置工程と、
前記外科用ポートを通してトロカールを導入するトロカール導入工程と、
前記トロカールを通してカニューレを導入し、前記カニューレが前記膣の後壁を通って入るように前記カニューレを前進させるカニューレ導入工程と、
延長部を使用して、アセンブリであって前記ポート、前記トロカールおよび前記カニューレを備えるアセンブリを外部から支持し、前記延長部の一端は前記アセンブリの少なくとも1つの構成要素に取り付けられ、前記延長部の他端は安定的な固定された基準構造に取り付けられる支持工程と、
前記トロカールと前記カニューレが選択された前記入射角で傾斜される固定配置において前記延長部が前記アセンブリを保持する保持工程と、を含む、方法。
【0411】
<態様2>
態様1に記載の方法であって、前記固定された基準構造は、患者が横たわる手術用ベッドを備える、方法。
【0412】
<態様3>
態様1に記載の方法であって、前記延長部は、調節可能な固定アームを備える、方法。
【0413】
<態様4>
態様1に記載の方法であって、前記選択工程の前に、ダグラス窩の位置を特定する特定工程を含み、当該位置に従って前記入射角を選択する、方法。
【0414】
<態様5>
態様1に記載の方法であって、前記保持工程は、患者の身体および手術用ベッドのうちの少なくとも1つに対する前記アセンブリの配置を固定する固定工程を含む、方法。
【0415】
<態様6>
態様1に記載の方法であって、前記支持工程は、前記アセンブリの重量を前記延長部に移動させることによって、前記膣の前記後壁にかかる重量負荷を軽減する軽減工程を含む、方法。
【0416】
<態様7>
態様1に記載の方法であって、前記カニューレを通して1つまたは複数の外科用アームを導入するアーム導入工程をさらに含む、方法。
【0417】
<態様8>
1つまたは複数の入力装置を介して、患者の体内に挿入可能な1つまたは複数の外科用機械アームを制御する方法であって、前記外科用機械アームのそれぞれは複数の可動関節を備え、前記方法は、
第1の操作モードとしての、前記外科用機械アームを前記患者の体内に案内する案内工程と、
第2の操作モードとしての、前記外科用機械アームを使用して手術を実行する実行工程と、を含み、
前記第1の動作モードでは、前記外科用機械アームのそれぞれの動きは、前記複数の可動関節のうちの単一の可動関節の運動および単一ユニットとしての前記外科用機械アームの直線運動に制限される、方法。
【0418】
<態様9>
態様8に記載の方法であって、前記案内工程は、前記外科用機械アームを前記患者の体内で後屈させる後屈工程を含む、方法。
【0419】
<態様10>
態様8に記載の方法であって、前記第1の操作モードでは、前記外科用機械アームは親指操作入力によって制御される、方法。
【0420】
<態様11>
態様10に記載の方法であって、前記第2の操作モードでは、前記外科用機械アームはアバタ入力アームによって制御される、方法。
【0421】
<態様12>
態様8に記載の方法であって、前記外科用機械アームは、前記第1の操作モードと前記第2の操作モードの両方において、触覚ハンドルによって制御される、方法。
【0422】
<態様13>
態様8に記載の方法であって、前記第1の操作モードでは、ユーザによる前記入力装置の操作は、前記外科用機械アームの移動速度に変換され、前記第2の操作モードでは、前記ユーザによる前記入力装置の変位は、前記外科用機械アームの相対変位に変換される、方法。
【0423】
<態様14>
態様8に記載の方法であって、前記第2の操作モードでは、クラッチに類似のモードが有効になり、前記1つまたは複数の入力装置による前記外科用機械アームの制御が切断される、方法。
【0424】
<態様15>
態様8に記載の方法に従って1つ又は複数の外科用機械アームを制御するための制御コンソールであって、前記制御コンソールは、
前記第1の操作モードを制御するための親指操作入力と、
前記第2の操作モードを制御するための手動入力と、
画面インターフェースと、
を含む、制御コンソール。
【0425】
<態様16>
態様15に記載の制御コンソールであって、前記親指操作入力は、ユーザの親指で係合可能なニップルを備え、前記ニップルを中央静止位置から押すと、前記外科用機械アームのそれぞれの動きが作動し、当該動きの速度は、前記ニップルがその静止位置からどれだけ押されたかの程度によって影響される、制御コンソール。
【0426】
<態様17>
態様15に記載の制御コンソールであって、前記第2の操作モードにおいて、ユーザによる前記手動入力の操作は、前記外科用機械アームの同様の関節運動に変換される、制御コンソール。
【0427】
<態様18>
患者の体内に挿入される撮像装置であって、前記撮像装置は、
細長いシャフトと、
前記シャフト内に配置されるとともに前記シャフトから外側に延長可能な可撓性延長部と、
前記可撓性延長部の遠位端に取り付けられたカメラと、を含み、
前記カメラおよび前記可撓性延長部のうちの少なくとも1つは、前記カメラを後向き(すなわち、前記細長いシャフトの前進方向とは反対の方向)に向ける後屈配置に配置可能である、撮像装置。
【0428】
<態様19>
態様18に記載の撮像装置であって、前記細長いシャフトは、その側壁に窓を備え、前記可撓性延長部は、前記窓から外側に突き出るように構成されるとともに前記細長いシャフトの長手方向軸に対してある角度で前記カメラを配置するように構成される、撮像装置。
【0429】
<態様20>
態様19に記載の撮像装置であって、前記撮像装置は、1つまたは複数の外科用機械アームとともに前記患者の体内に挿入可能であり、少なくとも前記可撓性延長部は、前記外科用機械アームとともに後屈されるように構成される、撮像装置。
【0430】
<態様21>
態様18に記載の撮像装置であって、前記細長いシャフトは、その遠位端から延びる組織スペーサを備え、前記組織スペーサは、前記可撓性延長部が通過可能なリングで終端する、撮像装置。
【0431】
<態様22>
態様19に記載の撮像装置であって、前記可撓性延長部の遠位端と前記細長いシャフトとの間に延在する張力要素をさらに備え、前記張力要素は、前記可撓性延長部の曲率を変化させるために引っ張られるように構成される、撮像装置。
【0432】
本発明は、当業者であれば、本明細書において図示されるか又は説明されたものに特に限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲には、本明細書で開示された様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせ、ならびに、それらの変形例及び修正例であって従来技術には存在しない変形例及び修正例が含まれる。そのような変形例及び修正例は、本明細書を読んだ当業者であれば発想し得るものである。
図1
図2A-2B】
図3A-3C】
図4A-4B】
図5A-5C】
図6A-6C】
図7A-7E】
図8
図9A-9B】
図10
図11
図12
図13
図14A-14C】
図15A-15B】
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図19F
図19G
図19H
図19I
図19J
図19K
図19L
図19M
図19N
図19O
図19P
図20A-20C】
図21
図22A-22C】
図23A
図23B
図24A-24B】
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体内の画像を取得するための撮像装置であって、前記撮像装置は、
(a)細長い機械アームと、
(b)遠位アーム位置において前記アームに結合された撮像アセンブリと、
を備え、前記撮像アセンブリは、
(i)カメラと、
(ii)前記遠位アーム位置において前記細長いアームの長手方向中心線に直交する枢動軸を画定する枢動部材であって、前記カメラが枢動範囲全体にわたって前記枢動軸の周りを枢動可能であるように前記カメラと係合する枢動部材と、
(iii)遠隔ユーザ入力に応答して前記カメラを枢動させるように構成された作動部材と、
を備え、前記枢動範囲は、前記カメラが前記遠位アーム位置における前記細長いアームの前記長手方向中心線から少なくとも90度回転する方向を含む、撮像装置。
【国際調査報告】