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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ドナー細胞外液に基づく血漿収集
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/39 20210101AFI20240829BHJP
   A61M 1/38 20060101ALI20240829BHJP
   A61M 60/109 20210101ALI20240829BHJP
   A61M 1/02 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
A61M60/39
A61M1/38
A61M60/109
A61M1/02 120
A61M1/02 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512099
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 US2022027484
(87)【国際公開番号】W WO2023027780
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/256,762
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/244,321
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/236,743
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】308020283
【氏名又は名称】フェンウォール、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】ペイテル,アミット,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】プラナス,サマンサ,エム
(72)【発明者】
【氏名】ワッツ,ウォルター,ティー
(72)【発明者】
【氏名】ミン,キュンヨーン
(72)【発明者】
【氏名】ボッグス,ダニエル,アール
(72)【発明者】
【氏名】グニアデック,トマス,ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA12
4C077CC03
4C077EE01
4C077EE02
4C077HH03
4C077HH17
4C077JJ03
4C077JJ18
4C077JJ24
4C077KK05
4C077KK25
(57)【要約】
血漿を収集するためのシステムおよび方法は、システムの動作を制御するように構成された制御回路を備え、制御回路は、1つまたは複数のドナーパラメータを受信するように構成されている。制御回路は、1つまたは複数のドナーパラメータに少なくとも部分的に基づいてドナーの生理学的流体量を推定し、推定された生理学的流体量に予め保存された定数を乗算することによって、未加工の血漿および抗凝固剤を含む血漿生成物の目標量を計算する。制御回路は、採取容器内の血漿生成物の測定量が血漿生成物の目標量に達するまで、全血を血漿生成物に処理するための採取段階と返送段階を動作させるようにシステムを制御する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血漿を収集するためのシステムであって、
全血を血漿生成物と濃縮細胞を含む第2の血液成分とに分離するように構成された分離器であって、血漿生成物を血漿生成物の収集容器に送るように構成された血漿ラインに結合された血漿出力ポートを有する前記分離器と、
全血をドナーから前記分離器に導入するように構成されたドナーラインであって、前記ドナーラインを通る流れは第1のポンプによって制御される前記ドナーラインと、
抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインであって、前記抗凝固剤ラインを通る流れは抗凝固剤比に基づいて抗凝固剤をドナーからの全血と混合するために第2のポンプによって制御される前記抗凝固剤ラインと、
オペレータから、および/または、ネットワークを介してリモートコンピュータから、入力を受信するように構成された入力装置と、
前記システムの動作を制御するように構成された制御回路とを備え、
前記制御回路は、前記入力装置に結合され、1つ以上のドナーパラメータを受信し、1つ以上のドナーパラメータに少なくとも部分的に基づいてドナーの生理学的流体量を推定し、予め保存された定数に推定された生理学的流体量を乗算することにより、未加工の血漿および抗凝固剤を含む血漿生成物の目標量を計算するように構成されており、
前記制御回路は、ドナーから全血を採取し、全血を血漿生成物と前記第2の血液成分とに分離し、前記第2の血液成分をドナーに戻すために採取段階および返送段階を動作させるように前記システムを制御するように構成されており、
前記制御回路は、前記収集容器内の血漿生成物の測定量が血漿生成物の目標量に達するまで、採取段階および返送段階を動作させるようにさらに構成されている、システム。
【請求項2】
前記制御回路は、前記血漿生成物の測定量がいつ血漿生成物の目標量を満たすかを決定するときにドナーのヘマトクリットを使用しないように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御回路が、血漿生成物の目標量の計算においてドナーのヘマトクリットを使用しないように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記推定された生理学的流体量が細胞外液体積である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記予め保存された定数は、約0.050と約0.064との間である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御回路は、ドナーの体重(W)、身長(H)および性別に基づいてドナーの細胞外液体積を女性の場合はECFV=0.0399×W0.6065×H0.6217となるように、男性の場合はECFV=0.0755×W0.6185×H0.4982となるように計算するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記推定された生理学的流体量は総血漿体積である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記予め保存された定数は、約0.25と約0.34との間である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記推定された生理学的流体量は総血液体積である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記予め保存された定数は、約0.10と約0.75との間である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記予め保存された定数は、男性ドナーと女性ドナーでは異なり、ドナーの性別データは前記入力装置から受け取られ、男性の予め保存された定数および女性の予め保存された定数から選択するために使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
ドナーの体重および身長がドナー管理システムからネットワークを介して受け取られ、前記ドナー管理システムは適格性スクリーニングに使用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記血漿生成物の目標量は、前記ドナーからの採血を開始する前に計算される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御回路は、重量計を使用して、前記収集容器内の未加工の血漿および抗凝固剤を含む血漿生成物の量を測定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
血漿を収集するための方法であって、
(a)ドナーの体重、ドナーの身長、ドナーの体格指数、およびドナーの性別から選択される1つまたは複数のドナーパラメータを受け取る工程と、
(b)1つ以上の前記ドナーパラメータに少なくとも部分的に基づいてドナーの生理学的流体量を推定する工程であって、推定されるドナーの生理学的流体量は、総血液体積、総血漿体積、および細胞外液体積から選択される工程と、
(c)収集すべき血漿生成物の目標量を計算する工程であって、血漿生成物の目標量は未加工の血漿および抗凝固剤を含み、血漿生成物の目標量は推定されるドナーの生理学的流体量に予め保存された定数を乗算することによって計算される工程と、
(d)静脈アクセス装置を介してドナーから全血を血液成分分離装置まで採取する工程と、
(e)採取した全血に抗凝固剤を導入する工程と、
(f)採取した全血を、未加工の血漿および抗凝固剤を含む血漿生成物と、少なくとも第2の血液成分とに分離する工程と、
(g)血液成分分離装置から血漿生成物を血漿収集容器に収集する工程と、
(h)未加工の血漿および抗凝固剤を含む収集された血漿生成物が、収集すべき血漿生成物の目標量に達したかどうかを判断する工程と、
(i)収集された血漿生成物が収集すべき血漿生成物の目標量に達するまで、工程(d)から(h)を継続する工程とを含む、方法。
【請求項16】
前記推定されたドナー生理学的流体量はドナーの細胞外液である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記予め保存された定数は、約0.05と約0.07との間である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記予め保存された定数は、男性ドナーに使用するための第1の定数と、女性ドナーに使用するための前記第1の定数とは異なる第2の定数とを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ドナーの実際のヘマトクリットがドナーの生理学的流体量の推定に使用されず、ドナーの実際のヘマトクリットが収集すべき血漿生成物の目標量の計算に使用されない、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
血漿を収集するためのシステムであって、
全血を血漿生成物と濃縮細胞を含む第2の血液成分とに分離するように構成された血液分離器であって、未加工の血漿と抗凝固剤とを含む血漿生成物を血漿生成物収集容器に送るように構成された血漿ラインに結合された血漿出力ポートを有する前記血液分離器と、
ドナーからの全血を前記血液分離器に導入するように構成されるドナーラインであって、前記ドナーラインを通る流れは第1のポンプによって制御される、前記ドナーラインと、
抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインであって、抗凝固剤比に基づいて抗凝固剤をドナーからの全血と混合するために前記抗凝固剤ラインを通る流れは第2のポンプによって制御される、前記抗凝固剤ラインと、
オペレータからの入力を受信するように構成された入力装置と、
システムの動作を制御するようにプログラムされた制御回路とを備え、
前記制御回路は、前記入力装置に接続され、少なくともドナーの体重を受け取り、ドナーの実際のヘマトクリットを使用せずに、ドナーの体重に少なくとも部分的に基づいてドナーの生理学的流体量を推定し、ドナーの実際のヘマトクリットを使用せずに、ドナーの生理学的流体量の所定のパーセンテージとして、未加工の血漿と抗凝固剤を含む血漿生成物の目標量を判断し、ドナーから全血を採取し、全血を収集された血漿生成物と第2の血液成分とに分離し、第2の血液成分をドナーに戻すための採取段階および返送段階を動作させるように前記システムを制御するようにプログラムされており、
前記制御回路は、採取段階と返送段階を少なくとも3回実行するようにプログラムされており、
前記制御回路は、収集された血漿生成物の量を血漿生成物の目標体積と比較し、収集された血漿生成物の量が血漿生成物の目標体積に達するまで全血の処理を続けるように構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、先の2021年5月3日出願の米国出願番号第17/306,099と、2021年1月22日出願の米国仮出願番号第63/140,534と、2020年1月10日出願の米国出願番号第16/739,441と、2019年5月21日出願の国際出願番号第PCT/US2019/033318と、2019年5月10日出願の米国仮出願番号第62/846,400と、2018年10月30日出願の米国仮出願番号第62/752,480と、2018年5月21日出願の米国仮出願番号第62/674,144とに関連しており、これらの出願はすべて全体が本明細書に参照として組み込まれる。本願は2021年10月18日出願の米国仮出願番号第63/256,762と、2021年9月15日出願の米国仮出願番号第63/244,321と、2021年8月25日出願の米国仮出願番号第63/236,743号の優先権の利益を主張し、これらはすべて全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本出願は、血漿交換を実施するためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、特定のドナーから収集され得る血漿の体積が最適化される血漿交換システムおよび方法に関する。
【0003】
血漿交換は、ドナーから全血を採取し、血漿を他の細胞性血液成分(赤血球、血小板、および白血球)から分離して保持し、細胞性血液成分をドナーに戻すアフェレーシス手順である。細胞成分からの血漿の分離は、遠心分離または膜濾過による自動化手順で行われ得る。
【0004】
FDAは、血漿交換中に未加工の血漿として収集できる血漿の体積に関する登録血液収集センター向けのガイドラインを発行した。(FDAメモ:「体積制限-供給源血漿の自動収集(11/4/92)」)。FDAメモは、ドナーの安全性と快適性を確保するために、特定のドナーから収集できる純粋な(または未加工の)血漿の体積(または重量)が制限される、簡略化された血漿体積ノモグラムを記載している。
【0005】
複数のドナーからの供給源血漿が組み合わされ得るため、各個々のドナーから収集できる純粋な血漿の体積を最大化することが有利である。なぜなら、各個々のドナーから収集された体積のわずかな増加であっても、合計すると、プールされた血漿の総体積が大幅に増加する。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、血漿を収集するシステムは、システムの動作を制御するように構成された制御回路を有する再利用可能な構成要素を備える。制御回路は、入力装置に結合され、1つ以上のドナーパラメータを受信し、1つ以上のドナーパラメータに少なくとも部分的に基づいてドナーの生理学的流体量を推定するように構成され得る。制御回路は、予め保存された定数と推定された生理学的流体量とを乗算することによって、未加工の血漿および抗凝固剤を含む血漿生成物の目標量を計算するように構成され得る。制御回路は、ドナーから全血を採取し、全血を血漿生成物と第2の血液成分とに分離し、第2の血液成分をドナーに戻すための採取段階および返送段階を動作させるようにシステムを制御するように構成され得る。制御回路は、収集容器内の血漿生成物の測定量が血漿生成物の目標量に達するまで、採取段階および返送段階を動作させるように構成され得る。
【0007】
一実施形態では、血漿を収集するためのシステムは、全血を血漿生成物と赤血球を含む第2の血液成分とに分離するように構成された分離器を備え、血液分離器は、血漿生成物を血漿生成物収集容器に送るように構成された血漿ラインに結合された血漿出力ポートを有する。ドナーラインは、全血をドナーから分離器に導入するように構成することができ、ドナーラインを通る流れは第1のポンプによって制御される。抗凝固剤ラインは抗凝固剤供給源に結合され得、抗凝固剤ラインを通る流れは、抗凝固剤比に基づいて抗凝固剤とドナーからの全血とを組み合わせるために、第2のポンプによって制御される。タッチスクリーンは、オペレータからの入力を受け取るように構成され得る。制御回路はシステムの動作を制御するように構成することができ、制御回路はタッチスクリーンに結合され、ドナーの体重を受け取るように構成されている。制御回路は、ドナーの体重に少なくとも基づいてドナーの細胞外液量を計算し、細胞外液量に少なくとも部分的に基づいて血漿生成物および/または未加工の血漿の目標体積を計算するように構成され得る。制御回路は、ドナーから全血を採取し、全血を血漿生成物と第2の血液成分とに分離し、第2の血液成分をドナーに戻すために採取段階および返送段階を動作させるようにシステムを制御するように構成され得る。制御回路は、収集容器内の血漿生成物の体積が血漿生成物および/または未加工の血漿の目標体積と等しくなるまで、採取段階および返送段階を動作させるように構成され得る。
【0008】
別の実施形態では、血漿を収集する方法は、(a)ドナーの体重を判断する工程、(b)ドナーの体重に少なくとも部分的に基づいてドナーの細胞外液量を計算する工程、(c)ドナーの細胞外液量の計算されたパーセンテージに少なくとも部分的に基づいて、収集する目標血漿体積を計算する工程;(d)静脈アクセス装置および血液成分分離装置に接続された第1のラインを介してドナーから全血を採取する工程、(e)抗凝固剤ラインを介して、採取された全血に抗凝固剤を導入する工程、(f)採取した全血を血漿成分と少なくとも第2の血液成分とに分離する工程、(g)血液成分分離装置から血漿成分を血漿収集容器に収集する工程、(h)血漿収集容器内で収集すべき目標血漿量に達するまで、工程(d)から(g)を継続する工程を含む。
【0009】
本開示の第1の態様では、ドナーから血漿を収集するためのシステムが提供され、このシステムは、全血を血漿生成物および赤血球を含む第2の血液成分に分離するための血液分離器と、全血をドナーから血液分離器に導入するためのドナーラインと、ドナーラインを通る流れを制御するための第1のポンプと、抗凝固剤を全血と結合するために抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインと、抗凝固剤ラインを通る流れを制御するための第2のポンプとを備える。
【0010】
タッチスクリーンは、システムの動作を制御するようにプログラムされた制御部へのオペレータからの入力を受信するために設けられる。制御部は、ドナーの体重とドナーのヘマトクリットに基づいて、またはドナーの体重と身長とドナーのヘマトクリットに基づいて、収集される血漿生成物の目標体積(TVPP)を決定し、ドナーから全血を採取するための採取と返送のサイクルを行い、抗凝固剤を所定の比率(ACR)で全血に添加し、抗凝固処理された全血を血漿生成物と第2の成分に分離し、第2の成分をドナーに返送し、血漿収集容器内の血漿生成物の測定された体積が血漿生成物の目標体積に達したときに、ドナーからの全血の採取を停止し、第2の血液成分の最終返送を開始するようにシステムの動作を制御するように構成されている。
【0011】
第2の態様では、制御部は、i)ドナーの体重に基づいて収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)と、ii)ドナーの体重に基づいて収集されるべき血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を、所定の抗凝固剤比ACR、およびドナーのヘマトクリットに基づいて計算するようにプログラムされ、ここで、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP)であり、%ACTVPPは分数で表される。
【0012】
第3の態様では、制御部は、ドナーの体重および身長に基づいて、ドナーの総血液体積(TBV)、TBVのパーセンテージとして収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)、ならびに、所定の抗凝固剤比(ACR)およびドナーヘマトクリットに基づく、収集される血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を計算するようにプログラムされており、ここで、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP/100)であり、%ACTVPPは分数で表される。
【0013】
第4の態様では、制御部は、ドナーのボディ・マス指数(BMI)を計算するためのドナーの体重および身長に基づいてドナーの総血液体積(TBV)を、TBV=(体重×70)/(√BMI/22)(レメンズの方程式)となるように計算するようにプログラムされる。代替実施形態では、レメンズの方程式以外の総血液量の計算または推定が使用されてもよい。
【0014】
第5の態様では、制御部は、ドナーの総血液体積(TBV)を、ドナーの体重(Wt)、身長(Ht)および性別(男性または女性)に基づいて、男性の場合はTBV=(0.3669×Ht)+(0.03219×Wt)+0.6041、女性の場合はTBV=(0.3561×Ht)+(0.03308×Wt)+0.1833、ここで、Htの単位はメートル、Wtの単位はキログラム(ナドラーの公式)となるように計算するようにプログラムされている。
【0015】
第6の態様では、血漿生成物中の純粋な血漿の目標体積(TVP)がドナーの安全性と快適性と一致するドナーの特有の特性に基づいて決定されるように、ある体積の血漿生成物(すなわち、抗凝固処理血漿、VPP)を収集するために血漿交換を実施するための方法が提供される。特に、収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)は、ドナーの体重、または体重と身長に基づいている。
【0016】
第7の態様では、収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)は、ドナーの体重の倍数または分数であり得る。あるいは、TVPはドナーの総血液体積TBVの倍数であってもよく、ドナーのTBVは、レメンズ方程式やナドラーの公式などの確立された方法論を使用して、ドナーの体重と身長に基づいて決定される。
【0017】
収集される血漿生成物の目標体積(TVPP)は、純粋な血漿の目標体積/重量と、血漿生成物中の抗凝固剤ACのパーセンテージ(%ACTVPP)に基づいて、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP/100)となるように確立され、%ACTVPPは分数で表される。ここで、%ACTVPPは、AC比(ACR)、およびドナーのヘマトクリットに基づく。
【0018】
TVPPが決定されると、血漿交換手順が開始され、ドナーから全血が採取され、特定の比率で抗凝固剤と混合され、その後、血漿、赤血球、および他の細胞成分に分離される。例えば、血漿収集容器に付随する重量計によって決定されるように、TVPPが収集されると、ドナーからの全血の採取が停止され、赤血球および他の細胞成分がドナーに戻される。
【0019】
第7の態様では、収集される血漿生成物の目標体積を決定する際に、ドナーのヘマトクリットは、各サイクルの収集段階の前に、計算によって、またはドナーのヘマトクリットを示すセンサーなどからの信号に基づいて決定され得る。さらに、血漿収集容器内の血漿生成物の量は、例えば、血漿収集容器に関連付けられた重量計、または体積を直接測定する光学センサーによって決定され得る。
【0020】
他の態様では、ドナーの体重に基づいてFDAノモグラムに定められた制限に従って未加工の血漿の最大許容体積/重量を含む血漿生成物体積を収集するために血漿交換システムを操作するための方法が提供される。
【0021】
FDAノモグラムによって許可される未加工の血漿の最大体積/重量を収集するために、ドナーのヘマトクリットを利用して、FDAノモグラムによって許可される未加工の血漿の最大体積を有する血漿生成物の目標体積/重量を計算する修正ノモグラムが提供される。計算された未加工の血漿の体積/重量は、FDAノモグラムで許可されている未加工の血漿の最大体積/重量と比較される。計算された未加工の血漿の体積/重量が最大許容体積/重量よりも小さい場合、収集される血漿生成物の体積/重量は、FDAノモグラムで許可されている血漿生成物の最大体積/重量よりも、追加の体積/重量の血漿を処理するために追加される抗凝固剤の追加の量を差に加えたものに等しい量、上方に調整される。
【0022】
したがって、ドナーのヘマトクリットおよび機器のAC比の知識を用いて、FDAノモグラムに定められた制限と一致してドナーから安全に収集できる追加の未加工の血漿の体積が決定され、次に、FDAノモグラムに記載されているドナーの体重に基づいて収集される血漿生成物の総体積/重量がそれに応じて調整される。
【0023】
本明細書で説明される血漿交換手順は、交互の段階の連続サイクルを含み得、一方の段階ではドナーから全血が採取され、血漿が分離および収集される。もう一方の段階では、分離された赤血球および任意の他の非RBC細胞成分がドナーに返送される。ドナーのヘマトクリットは血漿交換手順の過程で変化し、そのため、あるサイクルから次のサイクルまでに収集される血漿生成物中の抗凝固剤の量に影響を与える。
【0024】
本開示の第1の態様では、後続の抽出/分離段階の開始前に、ドナーの新しいヘマトクリット値が決定され、FDAノモグラムで許可されている最大量の未加工の血漿が確実に収集されるようにするために、それぞれの抽出/分離段階の開始前に、手順の血漿生成物の目標体積/重量が再計算される。
【0025】
別の態様では、アフェレーシス処置中にある体積の血漿を収集するためのさらなる方法が提供される。この方法の工程は、ドナーの総全血体積Vを決定することと、ドナーから採取できる未加工の血漿(VRP)の体積をVに基づいて決定することと、収集される血漿生成物(VPP)の目標体積を決定することを含み、VPPは、収集される未加工の血漿(VRP)の体積に、アフェレーシス手順中にVRPに添加される抗凝固剤の体積(VAC)を加えたものに等しく、VPP=VRP×Kであり、ここで、K=(ACR×(1-Hct/100)+1)/(ACR×(1-Hct/100))であり、手順について確立された抗凝固剤比(ACR、抗凝固剤を含まないドナーの血液についてはドナーの血液に対する抗凝固剤の体積に対するドナーの血液の体積の比として定義)とドナーのHctに基づき、ドナーから全血を採取することと、ACRと一致する量の抗凝固剤を全血に添加することと、全血から血漿生成物を分離することと、収集容器内の血漿生成物の体積がVPPに達するまで、血漿生成物を収集容器に移すこととを含む。血漿交換手順は複数の抽出/分離段階と返送段階で構成されているため、手順のVPPは、各抽出段階の開始前に決定されたドナーのヘマトクリットの値と、それに応じて調整された血漿生成物の目標体積に基づいて、各抽出/分離段階が開始される前に再計算される。あるいは、VRPは、Vとドナーのヘマトクリットに基づいて、ドナーの総血漿体積の計算値に基づいて決定される場合もある。
【0026】
別の態様では、アフェレーシス手順中に収集され得る血漿生成物の体積(VPP)を決定するための方法が提供される。ここで、VPPは、収集され得る未加工の血漿の体積(VRP)に、アフェレーシス手順中にVRPに添加される抗凝固剤の体積(VAC)を加えたものに等しい。この方法の工程は、ドナーの体重(Wkg)および性別(男性または女性)を決定し、ドナーのヘマトクリット(Hct)を決定することと、ドナーの体重(Wkg)および性別(男性または女性)に基づいて、収集できる未加工の血漿(VRP)の体積を決定することと、抗凝固剤比(ACR)およびドナーのHctに基づいて、VPPとVRPとの間の比Kを、K=VPP/VRPとなるように決定することと、VPP=VRP×KとなるようにVPPを決定することとを含む。また、K=(ACR×(1-Hct/100)+1)/(ACR×(1-Hct/100))である。VPPが決定された後、ドナーから全血が採取され、抗凝固剤はACRと一致する量で全血に添加され、血漿生成物は全血から分離され、血漿生成物は収集容器に移される。所望の量の全血がドナーから採取された後、赤血球はドナーに戻される。次に、各採取段階の前にドナーのHctとVPPが決定される。
【0027】
関連する態様では、収集容器内の血漿生成物の体積がVPPに達するまで、採取工程と分離工程が繰り返される。
【0028】
関連する態様では、第1収集段階後のドナーのヘマトクリットは、ドナーの赤血球量が各採取サイクルの開始時に同じであり、一方、血液の総体積は、あるサイクルから次のサイクルで、収集された未加工の血漿と等しい量、減少すると仮定して、体積バランスによって計算することができる。あるいは、各採取サイクルの開始時のドナーのヘマトクリットを光学センサーまたはその他のセンサーで測定することもできる。
【0029】
さらなる態様では、特定のドナーから収集され得る未加工の血漿の体積は、いくつかの異なる手段のうちのいずれか1つによって決定され得る。このような手段には、例えば、ドナーの体重のみを考慮したFDAノモグラム、ドナーのヘマトクリットをさらに考慮し、特定のドナーについて計算された総血液体積または総血漿体積の一部を考慮した、修正されたFDAノモグラムが含まれる。総血液体積または総血漿体積は、例えば、ナドラーの方程式、ギルチャーの五則、国際血液学標準化評議会(ICSH)によって提供される表、またはドナーの身長、体重、性別、年齢を使用する他の一般に認められた方法を使用して、ドナーの安全性と快適性と整合して決定され得る。
【0030】
別の態様では、再利用可能なハードウェア構成要素および使い捨てキットを含む、全血から血漿を分離するための自動システムが提供される。使い捨てキットはさらに、i)全血を血漿画分と濃縮細胞画分に分離するための分離器であって、ドナーから分離器に全血を輸送するための血液ラインが一体的に接続された入力部を有する分離器と、血漿ラインによって血漿収集容器に一体的に接続された血漿出力ポートと、ドナーに再注入する前に濃縮細胞を受け取るための貯留部に一体的に接続された濃縮細胞出口ポートと、ii)全血をドナーから血液ラインに輸送するための静脈穿刺針で終わるドナーラインと、iii)血液ラインに一体的に接続され、抗凝固剤をドナーラインに輸送するために抗凝固剤の供給源に接続されるように構成された抗凝固剤ラインと、iv)濃縮された細胞を貯留部からドナーラインに輸送するための再注入ラインとを備える。
【0031】
再利用可能なハードウェア構成要素はさらに、i)収集段階中に血液ラインに制御された速度で抗凝固剤を送達するための第1の蠕動ポンプと、ii)収集段階中に抗凝固処理された全血を分離器に送達し、再注入段階中に濃縮された細胞成分を返送するための第2のポンプと、iii)収集段階中に濃縮された細胞成分を分離器から貯留部に送達するための第3のポンプと、iv)血液ライン、血漿ライン、および、再注入ラインのそれぞれに関連付けられたクランプと、v)血漿収集容器、貯留部および抗凝固剤源のそれぞれの重量を量る重量計、および、vi)オペレータからの入力を受信するためのタッチスクリーンを備えるプログラム可能な制御部であって、プログラム可能な制御部は、重量計のそれぞれから信号を受信し、第1のポンプ、第2のポンプ、および第3のポンプおよびクランプを自動的に動作させて、収集段階で全血を血漿画分と濃縮細胞画分に分離し、再注入段階では濃縮細胞をドナーに戻すように構成されている。プログラム可能な制御部はさらに、本明細書に記載される態様のいずれかに従って血漿収集容器内に収集される血漿生成物の目標量を決定し、血漿収集容器内の血漿生成物の量が制御部によって決定された血漿生成物の目標量に等しいという信号を受信すると収集段階を終了するように構成される。収集されるべき血漿生成物の目標量を決定する際に、制御部は、各サイクルの収集段階の前にドナーのヘマトクリットを計算するように構成され得る。代替的に、または追加的に、制御部は、ドナーのヘマトクリットを示すセンサーなどから信号を受信してもよい。さらに、血漿収集容器内の血漿生成物の量は、例えば、血漿収集に関連付けられた重量計、または、体積を直接測定する光学センサーによって決定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1は、本出願のシステムおよび方法での使用に適した例示的な血漿交換器具の斜視図である。
【0033】
図2は、図1の血漿交換システムで使用可能な、使い捨てセットに組み込まれたタイプの回転膜分離器の斜視図であり、詳細を示すために一部が破断されている。
【0034】
図3は、図1の血漿交換システムの前面パネルの斜視図であり、そこに取り付けられた使い捨てセットの構成要素を示している。
【0035】
図4は、収集段階における血漿交換システムの動作を示す概略図である。
【0036】
図5は、再注入段階における血漿交換システムの動作を示す概略図である。
【0037】
図6aおよび図6bは、純粋な血漿の目標体積を収集するために本出願で使用される方法の工程を示すフローチャートである。
【0038】
図7は、抗凝固剤対全血の1:16の比率を使用するFDAノモグラムによって設定された血漿生成物体積制限内に含まれる、ドナーのヘマトクリットに基づく純粋な血漿の体積を示す表である。
【0039】
図8は、図7に示される値とFDAノモグラムに基づいて収集され得る純粋な血漿の最大体積との間の差に基づいて、血漿生成物中の「請求されていない」純粋な血漿の体積を示す表である。
【0040】
図9は、ドナーの体重およびヘマトクリットに基づいて、ドナーから収集され得る血漿生成物の体積を示す表であり、その結果、FDAノモグラムによって許容される純粋な血漿の最大許容体積が得られる。
【0041】
図10は、本出願の方法に従って仮想の血漿交換手順を実行するためのプログラム可能な制御部への入力を示す表である。
【0042】
図11aと図11bは、図10の表からの入力に基づく仮説的な血漿交換手順の過程でドナーのヘマトクリットがどのように増加し、その結果、目標体積の純粋な血漿を収集するために必要である血漿生成物の総収集体積が増加するかを示す2つの部分に分割された表を含む。
【0043】
図12は、血漿交換中のIgG希釈を示すグラフである。
【0044】
図13は、別の例示的な実施形態による、細胞外液量を利用して血漿を収集する方法を示すフローチャートである。
【0045】
図14は、別の例示的な実施形態による、生理学的流体量の推定値および事前に保存された定数を使用して血漿を収集する方法を示すフローチャートである。
【0046】
図15Aおよび図15Bは、以前のノモグラム上で達成された血漿体積の増加に対して血漿として除去されたECFVのパーセンテージをプロットしたチャートである。
【0047】
図16は、固定Hct値を使用して採取された血漿と実際のドナーHctとの変化を示す表である。
【0048】
図17は、固定Hct値を使用する、異なるノモグラムについての予め保存された定数を示す表である。
【0049】
図18は、様々な異なる実施形態の例示的なノモグラムを示す表である。
【0050】
図19は、様々な異なる実施形態に対する例示的な血液体積の式を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示によるシステムおよび方法のより詳細な説明を以下に記載する。特定の装置および方法に関する以下の説明は例示を目的としたものであり、考えられるすべての変形または応用を網羅するものではないことを理解されたい。したがって、本開示の範囲は、限定することを意図したものではなく、当業者が思いつくであろう変形または実施形態を包含するものと理解されるべきである。システムおよび方法の様々な態様は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2020/0147289号にさらに詳細に記載されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、収集する目標血漿体積をドナーの細胞外液体積のパーセンテージとなるように設定することにより、異なるドナーにわたるリスクの一貫性を改善することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、収集する目標血漿体積をドナーの細胞外液体積のパーセンテージとなるように設定することにより、収集された血漿生成物の一貫性を改善することができる。
【0054】
本出願の文脈において、血漿交換は、供給源血漿として処理される血漿を収集するための、一般に符号10で示されるハードウェア構成要素と、一般に符号12で示される使い捨てセットとを備える自動化システム上で実行される。図1~5を参照し、以下でより詳細に説明するように、使い捨てセット12は、一体的に接続された分離器、容器、および滅菌流体経路内で血液および溶液を輸送するための管からなる。
【0055】
図2に最もよく示されている分離器14は、血液を成分に分離するためにケース20内で回転するロータ18に取り付けられた回転膜フィルタ16を有する。回転膜分離器の詳細な説明は、参照によって本明細書に組み込まれるシェーンドルファーの米国特許第5,611,113号に記載されている。理解されるように、別のシステムでは、全血の分離は遠心分離によって達成され得る。例えば、ウィリアムソンらの米国特許第5,360,542号を参照されたい。
【0056】
血漿交換中、抗凝固処理された全血は、全血入力ポート22を通って分離器14に入る。血漿は、回転膜フィルターによって分離され、血漿出力ポート24から出て、血漿ライン26を通って血漿収集容器28に入る。濃縮細胞は、濃縮細胞出力ポート30から貯留部32にポンプで送り出され、細胞はドナーに再注入されるまでそこに留まる。
【0057】
使い捨てセット12はまた、収集中にドナーから全血をシステムに導入し、再注入中に濃縮細胞をドナーに戻すための管ライン(静脈穿刺針36で終わるドナーライン34)、抗凝固化された全血を分離器に輸送する管ライン(血液ライン38)、濃縮細胞を貯留部に輸送する管ライン(細胞ライン40)、濃縮細胞を貯留部からドナーラインに輸送する管ライン(再注入ライン42)、血漿を血漿収集容器に輸送する管ライン(血漿ライン44)、生理食塩水を輸送する管ライン(生理食塩水ライン46)、および、抗凝固剤を輸送する管ライン(ACライン48)を含む。
【0058】
ハードウェア構成要素10は、プログラム可能な制御部50と、オペレータが手順を制御するためのグラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)を備えたタッチスクリーン52とを含む。例えば、GUIは、ドナーID、ドナーの性別、ドナーの身長、ドナーの体重、ドナーの年齢、ドナーのヘマトクリット/ヘモグロビン、目標生理食塩水注入体積(生理食塩水プロトコルが選択された場合)、および目標血漿体積のいずれかの入力を可能にする。タッチスクリーン52により、オペレータはステータス情報を収集し、エラー状態を処理することもできる。
【0059】
ACポンプ54、血液ポンプ56、および細胞ポンプ58を含む3つの蠕動ポンプがハードウェア構成要素10の前面パネルに配置されている。ACポンプ54は、制御された速度で抗凝固剤溶液(AC)を全血がドナーからセットに入るとき、血液ライン38内に送達する。血液ポンプ56は、処置の収集段階中に抗凝固処理された全血を分離器に送出し、処置の再注入段階中に濃縮された細胞成分および必要に応じて置換液をドナーに戻す。細胞ポンプ58は、収集段階中に、濃縮された細胞成分を分離器14から貯留部に送達する。
【0060】
前面パネルはまた、再注入クランプ60、血液クランプ62、生理食塩水クランプ64、および血漿クランプ66を含む、使い捨てセット12からの管が取り付けられる4つのクランプを含む。再注入クランプ60は、収集段階(図5)中に閉じて再注入ライン(42)を遮断し、再注入段階(図5)中に開いて、血液ポンプが貯留部32からドナーに濃縮細胞成分を再注入できるようにする。血液クランプ62は、収集段階中に開いて抗凝固処理された全血が分離器14に送られることを可能にし、再注入段階中に閉じて血液ライン38を遮断する。生理食塩水クランプ64は、収集段階中および分離された細胞成分の再注入中に閉じて生理食塩水ライン46を遮断する。生理食塩水を置換流体として使用する場合、生理食塩水クランプ64は再注入段階中に開く。血漿クランプ66は、収集段階中に開いて血漿が血漿収集容器28に流入できるようにし、再注入段階中に閉じる。
【0061】
ハードウェア構成要素10は、現在の血漿収集体積(重量計68)、AC溶液体積(重量計70)、および濃縮された細胞内容体積(重量計72)を監視するための3つの重量重量計を含む。このシステムはまた、静脈圧センサー74、分離器圧力センサー76、光学式血液検出器78、および空気検出器80を含む、様々なセンサーおよび検出器を含む。
【0062】
ドナーは、手順全体を通してシステムに接続される。図示されるように、使い捨てセット12は、単一の静脈穿刺針36を含み、この静脈穿刺針36を通して、収集段階(図4)においてドナーから全血が採取され、再注入段階(図5)において濃縮された細胞がドナーに戻される。上で述べたように、血漿交換手順は複数のサイクルを含み、各サイクルは収集/分離段階とその後に返送または再注入段階を有する。収集段階では、全血が血漿と濃縮細胞に分離される。使い捨てセットは、分離された血漿を受け入れるための血漿収集容器28と、濃縮された細胞を受け入れるための貯留部32とを含む。再注入段階では、貯留部32からの濃縮細胞が静脈穿刺針36を通じてドナーに再注入される。単一の静脈穿刺針36を用いて行われる血漿交換は、複数サイクルの収集と再注入を伴う場合がある。
【0063】
図4に戻ると、収集段階中、抗凝固剤溶液(AC)は、制御された速度で汲み上げられ、使い捨てセット12に入る全血と混合される。抗凝固処理された血液は分離器14に送られ、そこで血漿が細胞成分から分離され、血漿収集容器28に送られる。
【0064】
細胞成分は、分離器14から貯留部32にポンプで送られる。収集段階は、貯留部32が濃縮細胞の予想された体積に達したとき、または目標血漿収集体積が達成された場合に停止する。
【0065】
次に、再注入段階が始まる。図5を参照すると、再注入段階中、血液ポンプ56は方向を逆転させ、濃縮された細胞を貯留部32からアフェレーシス針36を通してドナーに送り返す。生理食塩水プロトコルが選択された場合、収集された血漿の補充液として生理食塩水がドナーに返され、最終再注入段階の後に生理食塩水が注入される。
【0066】
自動血漿収集装置は、FDAノモグラムに定められた限度内でドナーに許容される未加工の血漿の最大体積/重量を有する抗凝固処理された血漿(すなわち、血漿生成物)の体積/重量を収集するように構成されている。血漿生成物を構成する未加工の血漿の体積を最大化するために、装置はドナーのヘマトクリットを考慮したノモグラムでプログラムされている。ドナーのヘマトクリットと機器のAC比を知ることで、FDAノモグラムに記載されている未加工の血漿の総体積/総重量の制限と整合している、ドナーから収集できる未加工の血漿画分の最大体積/重量が血漿生成物に含まれるように、収集される血漿生成物の総体積/重量を決定できる。計算を制御部にプログラムすることにより、収集体積をオフラインで計算して装置に入力する場合と比較して、オペレーターの間違いの可能性が減少する。
【0067】
血漿交換中、抗凝固剤がドナーから採取される全血と混合される場合、抗凝固剤は血液中の純粋な/未加工の血漿内に均一に分布する。ただし、全血中の純粋な/未加工の血漿の体積は、全血のヘマトクリット(Hct)に依存する。次の関係が確立される。
赤血球の体積=全血の体積×Hct/100 [1]
純粋な/未加工の血漿の体積=全血の体積×(1-Hct/100) [2]
抗凝固剤を全血と混合する場合、全血16部対AC1のAC比(ACR)、または全血1部対AC0.0625部の割合で計量される。
ACR=全血の体積/抗凝固剤の体積(ドナーの血液には抗凝固剤が含まれていない) [3]
(これは、FDAノモグラムとはわずかに異なる結果をもたらする。FDAノモグラムは、上記のように、抗凝固剤と抗凝固処理された血液の比率が1:16、または抗凝固剤0.06部と抗凝固処理された血液1部に添加できる抗凝固剤の体積を標準化している。)
抗凝固処理された血液の体積=抗凝固剤の体積+全血の体積 [4]
方程式を組み合わせると次のようになる。
純粋な/未加工の血漿の体積=ACR×抗凝固剤の体積×(1-Hct/100) [5]
赤血球はドナーに返されるため、次のようになる。
収集された血漿生成物の体積=純粋な/未加工の血漿の体積+抗凝固剤の体積 [6]
式[5]と[6]を組み合わせて、一定量の収集された血漿中の抗凝固剤の量を計算できる。
抗凝固剤の体積=収集された血漿生成物の体積/(1+ACR×(1-Hct/100)) [7]
さらに、
収集された血漿生成物の体積=純粋な/未加工の血漿の体積×K、ここで、K=(ACR×(1-HCT/100)+1)/(ACR×(1-HCT/100)) [8]
【0068】
上記の方程式で表される関係を考慮すると、FDAノモグラムの下で許可される血漿生成物の体積内に含まれる純粋/未加工の血漿の体積は、ドナーのヘマトクリットに基づいて決定することができる。このような計算の結果を図7に示す。図7は、FDAノモグラムによって設定された血漿生成物の体積制限内に含まれるドナーのヘマトクリットに基づく純粋/未加工の血漿の体積を示す。
【0069】
図7を参照して理解できるように、ドナーの体重が110ポンドから149ポンドである場合(FDAノモグラムによる最大血漿生成物体積は690mLである)、ドナーのヘマトクリット値が42以上の場合、収集される未加工の血漿の体積はFDAノモグラムで許可されている625mL未満である。ドナーのヘマトクリットが40以上の場合、体重が150~174ポンドのドナーの場合(FDAノモグラムによる最大血漿採取体積は825mL)、体重175ポンド以上のドナーの場合(FDAノモグラムによる最大血漿採取体積は880mL)も状況は同様である。
【0070】
図8に示される表は、図7に示される値と、FDAノモグラムに基づいて収集され得る純粋な/未加工の血漿の最大体積との間の差に基づいた、血漿生成物中の「請求されていない」未加工の血漿の体積を示す。したがって、図9に示す表に示すように、特定のドナーから採取した血漿生成物は、FDAノモグラムに記載されているものから、図8に記載されている「請求されていない」純粋な/未加工の血漿の量と、追加の体積を処理するために必要な抗凝固剤の量を加えたものに対応する量だけ調整することができる。
【0071】
あるいは、収集される血漿生成物の体積は、最初にドナーの体重およびヘマトクリット(Hct)を決定し、ドナーの体重(Wkg)に基づいて収集され得る未加工の血漿の体積(VRP)を決定し、抗凝固剤比(ACR;FDAノモグラムに従って1:16または0.0625:1)およびドナーのHctに基づいて、K=VPP/VRPとなるように、VPPとVRPとの間の比Kを決定し、VPP=VRP×KとなるようにVPPを決定することによって計算され得る。また、K=(ACR×(1-Hct/100)+1)/(ACR×(1-Hct/100))である。
【0072】
さらに別の方法では、収集される血漿生成物の体積(VPP)は、最初にドナーの体重(Wkg)およびヘマトクリット(Hct)を決定し、ドナーの体重(Wkg)に基づいて収集できる未加工の血漿の体積(VRP)を決定し、抗凝固剤比(ACR;FDAノモグラムに従って1:16または0.06:1)およびドナーのヘマトクリットに基づいて、追加される抗凝固剤の体積(VAC)を、VAC=VRP×(ACR×(1-Hct/100))となるように決定し、VPP=VRP+VACとなるように収集体積を決定することによって計算され得る。
【0073】
本開示の一態様に従って、自動血漿収集装置は、以下に詳細に説明するいずれかによって決定されるドナーに許可される純粋な血漿の体積/重量を有する血漿生成物(純粋な血漿+抗凝固剤)の体積/重量を収集するように構成される。
【0074】
図6aを参照すると、目標体積の血漿生成物(TVPP)を収集するための第1の方法(70)が示されている。この方法では、血漿生成物の目標体積(TVPP)は、最初にドナーの体重に基づいて収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)を計算し(工程72)、次に、所定の抗凝固剤比(ACR)およびドナーのヘマトクリットに基づいて収集される血漿生成物の目標体積の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を決定することによって決定され、ここで、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP/100)であり、%ACTVPPは分数で表される(工程74)。この方法では、ドナーの血漿の目標収集体積を決定する前に、ドナーの総血液体積または総血漿体積のいずれについても介入する計算は必要ないが、代替実施形態では、そのような計算が含まれてもよい。
【0075】
ドナーの体重から直接、収集され得る純粋な血漿の目標体積を決定するために、様々な方法が使用され得る。例えば、ドナーの体重に、確立された定数「K」(10mL/kgなど)を乗じてもよい。あるいは、ドナーの体重は、体重カテゴリまたは体重範囲(例えば、少なくとも3つのカテゴリ、少なくとも6つのカテゴリなど)に分類され、各カテゴリに対して固定体積が設定されてもよい(上で論じたFDAノモグラムではドナーの体重の範囲は3つのカテゴリに分類される)。
【0076】
抗凝血比(ACR)は、2つの異なる方法のうちの1つで定義され得る。第1の方法では、ACRは抗凝固剤の量に対する全血の体積の比である(ACR=WB/AC)。第2の方法では、ACRは、抗凝固剤の体積に対する全血の体積に抗凝固剤の体積を加えたものの比率である(ACR=(WB+AC)/AC)。ACR=WB/ACの場合、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)は次の方程式に従って決定される。%ACTVPP=1/(1+ACR(1-Hct/100))、Hctはパーセンテージで表される。ACR=(WB+AC)/ACの場合、血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセント(%ACTVPP)は次の方程式に従って決定される。
%ACTVPP=1/(1+(ACR-1)(1-Hct))
ACRは比率またはパーセンテージのいずれかで表すことができ、7:1~20:1、または約5%~14%の範囲で変化する。例示的なACRは16:1、すなわち6.25%である。
【0077】
図6aに戻ると、上述のようにTVPPが決定されると、ドナーから全血が採取され(工程76)、所定の比率ACRに基づいて抗凝固剤と混合される(工程78)。次いで、抗凝固処理された全血が分離器14に導入され、そこで血漿と濃縮(赤血球)細胞とに分離される(工程80)。血漿生成物(純粋な血漿および抗凝固剤)は血漿収集容器28に収集され(工程82)、分離された赤血球は貯留部32に収集される。血漿生成物が収集されるとき、血漿容器内の血漿生成物(純粋な血漿および抗凝固剤)の体積VPPが決定される(工程84)。VPPが血漿生成物の目標体積(TVPP)に等しいとき、全血の採取は停止され、残りの血液成分(赤血球など)はドナーに戻される(工程86)。
【0078】
図6bを参照すると、目標体積の血漿生成物TVPPを収集するための第2の方法(90)が示されている。この方法では、血漿生成物の目標体積(TPPV)は、最初にドナーの体重と身長に基づいてドナーの総血液体積(TBV)を計算し(工程92)、収集される純粋な血漿の目標体積(TVP)を、TBVのパーセンテージとして計算し(工程94)、所定の抗凝固剤比(ACR)およびヘマトクリットに基づいて、収集される血漿生成物の目標体積中の抗凝固剤のパーセンテージ(%ACTVPP)を計算し(工程96)、TVPP=TVP/(1-%ACTVPP/100)(%ACTVPPは分数で表わされる)を計算する(工程98)ことによって決定される。%ACTVPPは、第1の方法に関連して上述したように決定することができる。この方法では、ドナーの血漿の目標収集体積を決定するために、ドナーの総血漿体積を計算する必要はない。
【0079】
ドナーの血漿体積は、ドナーの総血液体積に基づいて推定することができ、ドナーの安全性および快適性と一致して採取できる血漿の体積は、この推定に基づいてよい。ドナーの総血液体積を推定するには、ドナーのパラメーターを利用する方法が使用され得る。ドナーの総血液体積は、レメンズ方程式(ドナーのボディ・マス指数を使用して総血液体積を決定する)、ナドラーの方程式(ドナーの身長、性別、および体重を考慮する)、ギルチャー五則(性別、体重、形態 (肥満、やせ、正常、または筋肉質)を考慮する)、または、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ヘマトロジー 1995,89:748-56に記載されている国際血液学標準化審議会(「ICSH」)の標準(ドナーの身長、体重、年齢、性別を考慮する)のうちの1つまたは複数を使用して決定され得る。レメンズら「肥満および病的肥満患者の血液体積の推定」肥満手術、16、773-776、2006に開示されているような、ドナーの総血液体積を決定するための他の方法も使用できる。
InBv=70/√(BMIp/22)
ここで、InBvはインデックス付けされた血液体積、つまりドナーの単位質量あたりの血液体積であり、BMIはドナーの体重と身長に基づくドナーのボディマス指数である。以下に示すように、年齢依存の回帰式は、IBW(理想体重)でのインデックス付けされた血液体積InBVにも使用できる。
InBV=90-0.4×年齢(男性)、InBV=85-0.4×年齢(女性)
したがって、インデックス付けされた血液体積はドナーの性別に基づいて計算することができる。
【0080】
別の実施形態では、そのような方法を複数使用することができ、方法の平均、中間、または加重平均をドナーの総血液体積として採用することができる。たとえば、ドナーの総血液体積が決定されると、ドナーの血漿体積は、総血液体積に定数「K」を乗算することによって推定できる。ここで、Kは(1-ドナーのHct)に等しい。
【0081】
ピアソンらの「成人で測定された赤血球体積と血漿体積の解釈:国際血液学標準化評議会の放射性核種に関する専門家パネル」英国血液学雑誌,89:748-756(1995)(ここでICSHが推奨する式が導かれた)に沿って、性別、年齢、身長、体重、妊娠データ、およびヘマトクリット値が抽出された、2015~2016年の全国健康栄養検査調査からの人口統計、検査、および検査データの分析から、特定の特性を有するドナー(すなわち、ヘマトクリット値が高い低体重の女性)の場合、現在の規制の範囲内で、利用可能な血漿の最大36%を収集できることが確認されている。このようなドナーによる血漿交換法は、副作用なしに日常的に行われているため、安全であると考えられている。これは、ドナーの利用可能な血漿の最大36%が血漿交換法で安全に収集できることを示唆している。
【0082】
予測された/計算された総血液体積からのドナーの真の血液体積の負の偏差のみが潜在的なリスクを提示することを考えると、血漿の採取可能な体積の下方へのさらなる調整が適切であり得る。上で引用したピアソンらによって決定された、計算された血液体積間の偏差の考慮に基づいている。
【0083】
したがって、ドナーの総血液体積(TBV)は、ドナーの体重(Wt)および身長(Ht)に基づいて計算され得、TBV=(体重×70)/√(BMI/22)となるようなドナーのボディ・マス指数(BMI)を計算することができる。ここで、BMI=Wt/Htであり、Htの単位はメートルであり、Wtの単位はキログラムである(レメンズの方程式)。「肥満および病的肥満患者における血液体積の推定」、レメンズら、肥満外科16、2006、773-776ページを参照せよ。
【0084】
あるいは、ドナーの総血液体積(TBV)は、ドナーの体重(Wt)、身長(Ht)および性別(男性または女性)に基づいて、男性の場合はTBV=(0.3669×Ht)+(0.03219×Wt)+0.6041、女性の場合はTBV=(0.3561×Ht)+(0.03308×Wt)+0.1833、ここで、Htの単位はメートル、Wtの単位はキログラム(ナドラーの公式)、となるように計算され得る。
【0085】
TVP(そして最終的にはTVPP)を得るためにTBVを掛けるパーセンテージは、ドナーの快適性と安全性と一致してドナーから収集される純粋な血漿の体積を最大化するように選択される。様々な実施形態におけるパーセンテージ範囲は、TBVの約1%~15%、少なくとも15%、18%未満、約15%~17%、約12%、約16%または約18%であり得る。TVPPは、ドナーのTBVに関係なく、例えば1000mLまたは1050mLの最大収集体積の対象となる場合もある。
【0086】
調整(V)は、純粋な血漿の目標体積TVPを計算する前に、全血TBVの計算された体積に対して、TVP=0.36(1-Hct)(TBV-V)となるように行うことができ、ここで、V=523mLである。レツラフら「成人男性および女性における赤血球体積、血漿体積、および除脂肪体重」ジャーナル・オブ・ヘマトロジー、33,5:649-667(1969)に記載された実験的な血液体積データの回帰分析に基づいている。個人の予測された血液体積が20.5%を超えないで異なるという95%の確信がある。したがって、0.795のスケーリング係数を適用して、上記のドナーの総血漿体積の36%である採取可能な未加工の血漿を決定することができる。これにより、ドナーの計算された未加工の血漿の体積の28.6%が採取され、ドナーの安全性と快適性に合う。
【0087】
図6bに戻ると、上述のように(TBVに基づいて)TVPPが決定されると、ドナーから全血が採取され(工程100)、所定の比率に基づいて抗凝固剤と混合される(工程102)。次に、抗凝固処理された全血は分離器14に導入され、そこで血漿と濃縮(赤血球)細胞に分離される(工程104)。血漿生成物(純粋な血漿および抗凝固剤)は血漿収集容器28に収集され(工程106)、分離された赤血球は貯留部32に収集される。血漿生成物が収集されるとき、血漿容器内の血漿生成物VPP(純粋な血漿および抗凝固剤)の体積が決定される(工程108)。VPPが血漿生成物の目標体積(TVPP)に等しいとき、全血の採取は停止され、残りの血液成分(赤血球など)はドナーに戻される(工程110)。
【0088】
したがって、収集体積(血漿生成物の体積)は、特定のドナーから収集され得る未加工の血漿体積の体積、ドナーのヘマトクリット、および固定された抗凝固剤比(ACR)に基づいて決定される。その結果、この方法により、ドナーの安全性に最も関係する変数であるドナーの未加工の血漿体積をより一貫して制御することが可能になる。
【0089】
例示的な方法では、オペレータは、採取され得る未加工の血漿の目標体積に基づいて、特定のドナーに対する血漿生成物の収集体積をシステム制御部に入力する。目標血漿収集体積は、最初の収集段階でのドナーの体重とヘマトクリット値に基づいて、または上記の他の方法のいずれかによって、図9に示されているようになり得る。あるいは、制御部は、例えば、ドナーの体重とヘマトクリット値、および/または、ドナーの総血液体積、総血漿体積、および、採取され得る血漿の採取可能な目標体積を決定するために使用される方法論によって要求されるさらなるドナーの固有の情報(例えばドナーの性別、身長、および年齢)のいずれかをオペレータが入力する際に、上記のような方法に従って、初期収集段階の目標血漿生成物収集体積を計算するように構成される。
【0090】
実際には、オペレータは、採取され得る未加工の血漿の目標体積に基づいて、特定のドナーに対する血漿生成物の収集体積をシステム制御部に入力する。目標血漿収集体積は、最初の収集段階でのドナーの体重とヘマトクリット値に基づいて、または上記の他の方法のいずれかによって、図9に示されているようになり得る。あるいは、制御部は、例えば、ドナーの体重とヘマトクリット値、および/または、ドナーの総血液体積、総血漿体積、および、採取され得る血漿の採取可能な目標体積を決定するために使用される方法論によって要求されるさらなるドナーの固有の情報(例えばドナーの性別、身長、および年齢)のいずれかをオペレータが入力する際に、上記のような方法に従って、初期収集段階の目標血漿生成物収集体積を計算するように構成される。
【0091】
好ましくは、システム管理者は、血漿生成物の目標収集体積(TVPP)がシステムによって(例えば、上記の方法の1つに従って)決定されるか、またはオペレータによってシステムに直接入力されるかの指示を最初に設定する。オペレータがTVPPを入力する場合、システム管理者はTVPPを計算する制御部の機能を無効にする。システム管理者は、すべての手順で使用されるAC比率も設定する。制御部がTVPPを決定する場合、管理者は、オペレーターまたはドナー管理者のいずれかによって、上記の方法のいずれかに従ってTVPPを計算するための適切なドナー固有の特性を制御部に入力できるようにシステムを設定する。このシステムにより、適格性スクリーニングに使用されるドナーパラメータ(体重、身長、ヘマトクリットなど)を機器に電子的に送信できるため、ドナーパラメータの入力におけるオペレータのミスを回避できる。ドナー管理システムはまた、純粋な血漿の体積と収集体積との関係とともに、ドナースクリーニング測定値を利用して、血漿交換装置の制御部に送信するTVPPを自動的に計算することができる。それ以外の場合、制御部はドナーからの全血の収集が開始される前にTVPPを計算する。さらに、制御部/ドナー管理システムがTVPPを計算する場合、管理者は、オペレーターが計算された体積以外のTVPPを入力できるようにシステムを設定する。さらに、このシステムは、例えば、ドナーの快適性または利便性の理由から、処置の実行/完了にかかる推定時間を短縮する必要がある場合、オペレーターが処置前または処置中に、計算されたTVPPからTVPPを変更できるようにする。手順の完了時に、収集された純粋な血漿の実際の体積、および血漿の目標体積(TPV)に加えて、収集された血漿生成物の実際の体積(VPP)、および目標体積(TVPP)が表示される。
【0092】
上で述べたように、血漿交換手順は、収集/採取段階および返送/再注入段階の複数のサイクルで実行され得る。返送/再注入段階に補充液の再注入が含まれない場合、ドナーのヘマトクリットはサイクルごとに増加する。したがって、血漿生成物の目標体積がドナーの最初のヘマトクリット値のみに基づいて決定され、ドナーの増加するヘマトクリット値を考慮しない場合、血漿生成物の目標体積を決定するための最初の計算によって予測されたものよりも、血漿生成物中の抗凝固剤のパーセンテージは多くなる(そして未加工の血漿の体積は少なくなる)。したがって、収集される血漿生成物の体積が、特定のドナーから採取されると決定された未加工の血漿の最大の体積を含むことを確実にするために、血漿生成物の目標体積は、ドナーのヘマトクリット値の変化を考慮して計算に入れるため、血漿交換手順を通して、各サイクルの収集段階の開始前など定期的に再計算される。
【0093】
したがって、ドナーの当初のヘマトクリット値に基づいて血漿生成物の目標体積の決定がなされる。血漿交換手順は、指定された体積の全血(通常は約500mL)がドナーから採取されるまで、第1の採取段階から始まる。抗凝固剤が全血に加えられ、抗凝固処理された全血は、血漿生成物、赤血球、および他の非RBC血液成分に分離される。第1の採取段階の終わりに、赤血球と非RBC血液成分がドナーに返される。最初の採取段階の後に収集される血漿生成物の現在の体積は、例えば、重量計によって決定される。次に、ドナーのヘマトクリット値の現在の値が確立され、収集される血漿生成物の新しい目標体積が決定され、採取段階と戻り段階の第2のサイクルが実行される。各採取段階の開始前に再計算されたように、血漿交換手順に対する血漿生成物の目標体積が収集されるまで、採取段階と戻り段階のサイクルが繰り返される。最終の収集段階の後、制御部は最終の赤血球再注入段階を開始し、その後ドナーは接続解除される。
【0094】
上記の方法論に従って複数の収集/再注入サイクルを有する血漿交換手順を実施することの利点は、図10および図11a,11bの表を参照することによって見ることができる。図10は、体重190ポンド(86.4kg)で、初期ヘマトクリット値は44であるドナーに対する仮想的な血漿交換法の入力データを示している。図1の表を参照すると、簡略化されたFDAノモグラムは、このようなドナーから収集される血漿の体積を800mLに制限し、血漿生成物の総収集体積を880mLに制限する。この例では、収集される可能性のある未加工の血漿の体積に対するFDAノモグラムの制限は、説明のみを目的としている。上記のように、他の方法論を使用して、FDAノモグラムによって示されるものとは異なるドナーから安全に抽出される可能性のある未加工の血漿の量を決定することができる。
【0095】
血漿交換手順における収集および再注入サイクルの数は、3から12まで変動し得る。仮想的な血漿交換手順では、5つの収集および再注入サイクルがあり、これらは説明の目的で選択されている。
【0096】
第1の収集サイクルの開始前に、収集される未加工の血漿の体積および収集される血漿生成物の総目標体積は、ドナーの初期のヘマトクリット値に基づいて、上記の方法に従って決定される。表の最初の行(サイクル1 開始)に示されているように、収集される血漿生成物の最初の目標体積は889mLであり、これは、FDA制限の800mLの未加工の血漿をドナーから収集するために175ポンド以上の体重があり、ヘマトクリット値44を有するドナーに対して図9の表に示されているものと同じである。
【0097】
各収集段階中、500mLの全血がドナーから採取され得、それに抗凝固剤が所定の比率(すなわち、1:16)で添加され、500mLの各収集サイクルごとに31mLが添加される。全血と抗凝固剤は、血漿画分と赤血球画分に分離される。
【0098】
第1の返送段階の間に(サイクル1 戻し 終了)、赤血球および「非RBC」血液成分がドナーに戻されるので、最初の戻りサイクルの終わりに、ドナーのヘマトクリット値は45.6%に増加した。収集された未加工の血漿の量によって減少する血液体積に基づいて制御部によって計算されるが、総血液体積中の赤血球の量は手順の開始時と同じままである。制御部は、赤血球とともに各戻り段階で再注入される抗凝固剤の体積、およびサイクル2以降で採取されるドナーの全血中の残留抗凝固剤を計算に入れて、次のサイクルのための新しいヘマトクリット値を決定することもできる。次に、手順のために収集される未加工の血漿の体積と血漿生成物の総目標体積が、ドナーの新しく増加したヘマトクリット値と未加工の血漿体積に基づいて再計算される。これにより、891mLの新しい総目標収集体積が提供される。
【0099】
次に、第2の収集段階が実行され、最初の2つの収集段階にわたって収集される386mLの未加工の血漿を含む合計430mLの血漿生成物が得られる(サイクル2 採取 終了)。赤血球と「非RBC」血液成分は再びドナーに戻され、その後、ドナーのヘマトクリット値は47.2%と計算される。
【0100】
500mLのさらに2つの収集段階が実行され、それぞれに返送段階が続き、そこでは、収集される未加工の血漿の体積および血漿生成物の総体積の新しい値が、各収集段階の開始前に決定される。ドナーのヘマトクリット値が増加すると、手順の再計算された目標収集体積は893mL(第3の収集段階の場合)に増加し、次に894mL(第4の収集段階の場合)に増加する。第5の「ミニ」収集サイクルを実行して、収集された未加工の血漿の体積を、仮想的なドナーに対してFDAノモグラムで許可されている800mLまで上げる。第5の収集段階で再計算された血漿生成物の目標収集体積は894mLのままである。
【0101】
したがって、上記の例に示されるように、血漿生成物の目標収集体積が収集段階ごとに再計算されると、血漿生成物の目標収集体積である894mLが得られ、これは、800mLの血漿未加工のの目標体積を収集するために必要である。対照的に、目標収集体積がドナーの初期ヘマトクリット値のみに基づいて決定された場合は889mLの血漿生成物が収集され、目標収集体積が簡略化されたFDAノモグラムに基づいた場合は880mLになる。どちらの場合も、800mLの目標体積より少なく収集される。
【0102】
理解できるように、処置前および処置中の両方で、ドナーのヘマトクリット値を決定することができる精度が高いほど、収集される血漿生成物の目標体積は、特定のドナーにとって収集され得る最大体積の未加工の血漿を含む可能性が高い。上記のように、手順中のドナーのヘマトクリット値は、各採取サイクルで引き出された赤血球の100%が、非RBC細胞製品の100%とある体積の抗凝固剤とともに、各戻りサイクルで再注入されるという仮定に基づいている。しかしながら、血液分離手順の過程で、間質液が血管内空間に移動し、その結果、回収された体積の半分が回復する可能性があることが確認されている。サイトウ(Saito)ら「Interstitial fluid shifts to plasma compartment during blood donation(献血中に間質液が血漿コンパートメントに移動する)」Transfusion 2013;53(11):2744-50を参照せよ。移動した間質液は、各戻り段階で再注入される赤血球、非RBC細胞産物、および、抗凝固剤に追加される。したがって、間質液の移動を考慮して計算に入れると、より正確なヘマトクリット値の決定が得られ、したがって、最大量の未加工の血漿をもたらす血漿生成物の目標体積のより正確な決定が得られる。
【0103】
血漿交換中の間質液の移動は、血漿交換手順の過程にわたってドナーの免疫グロブリンG(IgG)のレベルを追跡することによって実証されてきた。例えば、バーカート(Burkhardt)ら「Immunoglobulin G levels during collection of large volume plasma for fractionation(分画のための大体積血漿の収集中の免疫グロブリンGレベル)」Transfusion 2017;56:417-420を参照せよ。間質液が移動していなかった場合、ドナーのIgGレベルは血漿交換手順の過程全体で安定する。ただし、IgGレベルが低下することが示され、IgGレベルが低下する量は、血液系に移動した間質液の体積の関数である。
【0104】
図12を参照すれば、経験的に開発された、収集された血漿の体積(X軸に沿った対(Y軸に沿った)IgG濃度)のプロットが示されている。ドナーのIgGの9%の低下は、(手順の開始時に)ゼロ血漿収集のベースラインから200mLの血漿収集まで見られ、200mLから800mLまでの収集でさらに4%の低下が見られる。これは、ドナーの初期の総血液体積の約9%(200mLの血漿を採取した後)から、ドナーの初期の総血液体積の約13%(800mLの血漿を採取した後)に等しい間質液の移動に起因している。
【0105】
ドナーのIgG濃度の量と収集された血漿の体積との間の以下の関係が確立された。y=1.0017x-0.02、ここで、y=IgG濃度およびx=収集された血漿体積である。したがって、間質液の移動によって置き換えられるドナーの血液体積のパーセンテージは、V(1-y)に等しくなる。ここで、Vはドナーの全血の初期体積である。したがって、間質液の移動された体積は、収集された血漿の体積に基づいて計算でき、この量は、ドナーの現在の合計の血液の体積とヘマトクリット値を決定するために、各戻り段階で再注入された赤血球、非RBC細胞生成物および抗凝固剤の体積に追加できる。理解できるように、制御部は、収集された血漿の体積に基づいて移動した間質液の体積を自動的に決定し、各採取段階の前にドナーのヘマトクリット値を決定するときに移動した体積を含めるように構成することができる。
【0106】
あるいは、ドナーのヘマトクリット値を直接測定する他の方法、例えば、光学センサー、または遠心分離器が使用されている場合は、遠心分離器内の赤血球の体積を測定する方法を使用することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、ドナー固有のパラメータ(例えば、体重、ヘマトクリットなど)の経時的変化を使用して、そのドナーのために収集された血漿生成物および/または未加工の血漿の目標体積を調整することができる。いくつかの実施形態では、変更を考慮することにより、ドナーの安全性および/または製品の一貫性が向上する可能性がある。一例では、ある提供から別の提供へのドナーのヘマトクリットの変化は、その特定のドナーの水和状態の経時変化(例えば、提供センターでの異なる出会いの間)の代用マーカーとして使用され得る。制御部は、後の献血におけるドナーの体重、ヘマトクリットなどの変化に基づいて、前の献血で計算された血漿生成物および/または未加工の血漿の目標体積を再計算または調整するように構成され得る。
【0108】
さらに、抗凝固剤は、一般に、血漿交換手順を開始する前に、使い捨てキットのプライミング、1つまたは複数の前サイクルの実行、または他の前処理の実行などの前処理工程で使い捨てキットに導入される。これらの目的に使用される抗凝固剤が最終的に血漿生成物収集容器に向けられる限り、それは、収集される未加工の血漿の目標体積をもたらす血漿収集容器に含まれる体積を決定する際に考慮して計算に入れられ得る。これは、例えば、抗凝固剤の「満杯」容器の重量および第1の採取サイクルの開始前に抗凝固剤の容器の重量を測定し、その体積の抗凝固剤を血漿生成物の目標体積に加えることによって行うことができる。制御部は、抗凝固血漿とは別に血漿収集容器に導入された抗凝固剤を説明するために必要な工程を自動的に実行するように構成することができる。
【0109】
別の実施形態では、ドナーの細胞外液体積(ECFV)に基づいて血漿を収集するシステムおよび方法が説明される。細胞外液とは、ドナーの細胞の外側にある体液を指す。場合によっては、細胞外液が体液の約3分の1を占め、残りの3分の2が細胞内液である場合がある。細胞外液には、間質液、血漿、リンパ液、および経細胞液(例えば、脳脊髄液、胃腸管内の液など)が含まれ得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、収集する目標血漿体積をドナーの細胞外液体積のパーセンテージに設定することにより、異なるドナーにわたるリスクの一貫性を改善することができる。重大なドナーの低血圧有害事象は、相対的なECFVの除去と相関する可能性がある。
【0111】
いくつかの実施形態では、収集する目標血漿体積をドナー細胞外液体積のパーセンテージに設定することにより、収集された血漿生成物の一貫性を改善することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、ドナーの細胞外液体積に基づいて収集する目標血漿体積を設定することにより、収集する目標血漿体積を設定する他の方法と同等の有意な降圧性有害事象(SHAE)率で血漿の増分を提供することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、収集する目標血漿体積を設定することは、提供中の血漿体積の減少に応じた間質水の迅速な輸送を考慮すると、より適切である可能性がある。
【0114】
血管系は、細胞外液(例えば、血漿)と細胞内液(赤血球内)の両方を含む。細胞外液体積(ECFV)は、(1)血管外液体積(ISFV)(場合によっては体重の約20%)と、(2)血管内液体積、血漿(PV)(場合によっては体重の約4%)で構成される。したがって、ECFVは次のように推定できる。
ECFV(BMの24%)=ISFV(BMの20%)+PV(BMの4%) [9]
【0115】
細胞外液量は、多くの異なる方法のいずれかで推定または計算することができる。一例では、ドナーの細胞外液体積(ECFV)は、以下のようなドナーの体重(BM)および身長(H)に基づくことができる。
ECFV(L)=0.02154×BM0.6469(kg)×H0.7236(cm) [10]
ここで、ECFVはリットルで表され、BMはキログラムで表され、Hはセンチメートルで表される。バードら、小児に適した糸球体濾過率の指標化、J Nucl Med 2003;44:1037-1043(Bird 2003)。SI単位での別の表現は次のとおりである。
ECFV(L)=0.6032×BM0.6469(kg)×H0.7236(m) [11]
ここで、Hはメートルで表される。
【0116】
別の例では、ドナーの細胞外液体積(ECFV)は、次のようなドナーの体重(W)および身長(H)に基づくことができる。
ECFV(L)=aW [12]
ここで、女性の場合はa=0.0399、b=0.6065、およびc=0.6217、男性の場合はa=0.0755、b=0.6185、およびc=0.4982であり、体重Wはキログラムで表され、身長Hはセンチメートルで表される。Bird,N.J.およびPeters,A.M.、成人の身長と体重から細胞外液体積を推定するための新しい性別固有の式、Nuclear Medicine Communications、42:58-62(2021)(バード 2021)。
【0117】
別の例では、ドナーの細胞外液体積(ECFV)は、以下のようなドナーの体重(BM)および身長(H)に基づくことができる。
ECFV (L)=sqrt(BM(kg))×H(m) [13]
ここで、ECFVはリットルで表され、BMはキログラムで表され、Hはメートルで表される。エイブラハムら、慢性腎臓病の小児における細胞外体積と糸球体濾過率、Clin J Am Soc Nephrol、2011年4月6(4):741-747。別の例では、ドナーの細胞外液体積は、次のような係数を伴う体重(BM)と身長(HT)に基づく場合がある。
ECFV(L)=0.96×BM0.51×H0.96 [14]
【0118】
別の例では、細胞外液量は、以下のようにドナーの体重(BM)に基づいて細胞外液重量(ECFW)として計算することができる。
ECFW(kg)=0.135×BM(kg)+7.35kg [15]
ここで、ECFWとBMはキログラムで表される。
【0119】
別の例では、ドナーの細胞外体積(ECFV)は、次のようなドナーの体重(BM)および身長(H)に基づくことができる。
ECFV(L)=0.0682×BM0.400(kg)×H0.633(cm) [16]
ここで、ECFVはリットルで表され、BMはキログラムで表され、Hはセンチメートルで表される。フリース・ハンセン、小児の体内水分区画:成長中の変化とそれに関連する体組成の変化、小児科;28巻第2号、1961年8月。フリース・ハンセンの別の例では、ドナーの細胞外液体積(ECFV)は、次のように体重のみ(BM)に基づいている可能性がある。
ECFV(L)=0.583×BM0.678 [17]
ここで、ECFVはリットルで表され、BMはキログラムで表される。
【0120】
他の例では、細胞外液量は、まず任意の既知のアルゴリズムを使用して総体液(TBF)量を計算し、細胞内液(ICF)量を計算し、TBFからICFを差し引くことによって計算され得る。細胞外体液の他の計算および/または推定も考えられる。
【0121】
細胞外液量を計算または推定するための式のいずれにおいても、式で使用される体重は、適切な定数とともに、総体重の代わりに除脂肪体重であってもよい。除脂肪体重は、総体重と体脂肪重量の差である可能性がある。除脂肪体重は、ボーア、ジェームス、ヒュームなどの公式を使用して、身長と総体重から計算できる。たとえば、ボーア式は次のとおりである。
男性について eLBM=0.407W+0.267H-19.2 [18]
女性について eLBM=0.252W+0.473H-48.3
【0122】
上記の式のうちの1つ(または別の式)を使用して細胞外液量(体積または重量)が計算または推定されると、細胞外液量のパーセンテージが、収集される目標未加工血漿量として計算され得る。例えば、制御回路は、細胞外体積のパーセンテージとして収集する目標未加工の血漿体積を計算するように構成することができ、そのパーセンテージは、好ましくは約4%と約7%の間、約5%と約6%の間、少なくとも約5%、約5.5%未満、約5.6%または約5.25%である。制御回路はさらに、最大血漿体積または最大血漿重量(例えば、1000mL以下)に基づいて収集する目標未加工血漿量を設定するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施形態では、細胞外液量は、収集すべき目標未加工血漿量を計算するために使用される主要パラメータであり得るが、他のパラメータまたは方程式は、計算された量が許容可能な量の範囲内であることを確認するために使用され得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、制御部は、少なくとも2つの異なる方程式、少なくとも3つの異なる方程式などの複数の異なる方程式を使用して、収集する目標未加工血漿体積を計算するようにプログラムされ得る。収集する最終的な目標未加工血漿体積は、異なる方程式からの目標未加工血漿体積の平均に基づいてよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、ECFVは、細胞外液重量から計算または推定することができる。
【0125】
一実施形態では、血漿を収集するためのシステムは、全血を血漿生成物と赤血球を含む第2の血液成分とに分離するように構成された分離器を備えることができ、血液分離器は、血漿生成物を血漿生成物収集容器に送るように構成された血漿ラインに結合された血漿出力ポートを有する。このシステムは、全血をドナーから分離器に導入するためのドナーラインを備えることができ、ドナーラインを通る流れは第1のポンプによって制御される。このシステムは、抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインを備え、抗凝固剤ラインを通る流れは、抗凝固剤比に基づいて抗凝固剤をドナーからの全血と混合するために第2のポンプによって制御される。このシステムは、オペレータからの入力を受信するように構成されたタッチスクリーンと、システムの動作を制御するように構成された制御回路とを備えることができる。制御回路は、本明細書に記載される態様の1つ以上を実行するためのアルゴリズムによって構成またはプログラムされた1つ以上のデジタルおよび/またはアナログ回路構成要素を備え得る。制御回路は、タッチスクリーンに結合され、ドナーの少なくとも体重、任意選択でドナーの体重および身長を受け取るように構成され得る。制御回路は、少なくともドナーの体重に基づいてドナーの細胞外液量(体積または重量)を計算するように構成され得る。制御回路は、細胞外液量に少なくとも部分的に基づいて、例えば、細胞外液量の数値百分率または一部を血漿生成物または未加工血漿の目標量として計算することによって、血漿生成物および/または未加工の血漿の目標体積を計算するように構成され得る。制御回路は、ドナーから全血を採取し、全血を血漿生成物と第2の血液成分とに分離し、第2の血液成分をドナーに戻すために採取段階および返送段階を動作させるようにシステムを制御するように構成され得る。第2の血液成分は、各返送段階中にドナーに返送されてもよい。制御回路はさらに、収集容器内の血漿生成物の量が血漿生成物および/または未加工の血漿の目標量に等しくなるまで、採取段階および返送段階を動作させるように構成され得る。
【0126】
制御回路は、ドナー管理システムからネットワークを介してドナーの体重および身長を受信するように構成することができ、ドナー管理システムは適格性スクリーニングに使用される。
【0127】
血漿生成物および/または未加工の血漿の目標量は、ドナーからの採血を開始する前に計算することができる。
【0128】
制御回路は、収集容器内の血漿生成物の量を秤量し、少なくとも血漿生成物の重量と収集容器内の抗凝固剤のパーセンテージに基づいて収集容器内の未加工血漿の体積を計算することによって、収集容器内の未加工の血漿の量が未加工血漿の目標量を満たすかを判断するように構成され得る。
【0129】
抗凝固剤の比率は、全血の体積を抗凝固剤の体積で割ったものに等しくてもよい。抗凝固剤の比率は、(全血の体積に抗凝固剤の体積を加えたもの)を抗凝固剤の体積で割ったものに等しくてもよい。抗凝固剤の比率は、これらの式の逆数として表すことができる(たとえば、全血16対AC1部、またはAC1部対全血16部)。
【0130】
制御回路は、採取サイクルと返送サイクルを少なくとも3回実行するように構成することができ、制御回路は、最終採取段階で採取する全血の体積を決定するように構成することができ、これはより前の採取段階で採取された体積とは異なる(例えば、少ない)。
【0131】
次に図13を参照して、上述のような血漿収集システムを使用して血漿を収集する方法を説明する。工程1300において、ドナーの体重は、例えば、システムに接続されたタッチスクリーン入力装置で体重を受信することによって、またはドナー管理システムまたはドナースクリーニングに使用される他のリモートコンピュータからネットワークを介して体重を受信することによって決定される。ドナーの身長および/または他のドナーパラメータも同様に工程1300で決定され得る。
【0132】
工程1302において、本方法は、ドナーの体重に少なくとも部分的に基づいて、代替実施形態ではドナーの身長に基づいて、ドナーの細胞外液量を計算することを含む。上述の式のいずれかを単独でまたは一緒に使用することができ、または細胞外液量を推定するために設計された他の式を使用することもできる。この計算は、ドナー細胞外液の推定または近似であってもよい。
【0133】
工程1304において、本方法は、ドナー細胞外液量の計算されたパーセンテージに少なくとも部分的に基づいて、収集する目標血漿体積を計算することを含む。このパーセンテージは、約5.2%、約5.4%、約5.6%、約6.0%未満、約5.0%超、約4%超、または他のパーセンテージであってもよい。
【0134】
工程1306で、この方法は、静脈アクセス装置および血液成分分離装置に接続された第1のラインを介してドナーから全血の採取を開始することを含む。工程1308で、この方法は、抗凝固剤ラインを通して採取された全血に抗凝固剤を導入することを含む。工程1310において、この方法は、採取された全血を血漿成分と少なくとも第2の血液成分(例えば、赤血球を含む)とに分離することを含む。遠心分離機、回転膜、または他の分離器を使用してもよい。工程1312で、この方法は、血液成分分離装置から血漿成分を血漿収集容器に収集することを含む。いくつかの実施形態では、血漿収集は、分離過程中に血漿が分離され、収集容器内に継続的に堆積されるように、工程1310での分離と同時に行われてもよい。
【0135】
工程1314で、本方法は、目標血漿量が達成されたかどうかを判断する。これは、目標血漿生成物または目標未加工血漿であり得る。この判断は、重量計、ポンプ回転数、流量センサー、推定値などのうちの1つ以上から計算された血漿生成物または未加工血漿のいずれかの体積または重量を使用して行われ得る。目標血漿に到達しない場合、本方法は、目標が達成されるか到達するまで工程1306から工程1312を継続する。工程1316で、本方法は、血漿提供過程のレポートをタッチスクリーン上に提示するなどの他の工程または他の後処理工程を実行し続ける。
【0136】
細胞外液体積(ECFV)に基づくノモグラムの増分血漿体積およびSHAE率を評価するために分析を行った。使用したノモグラムは次のとおりである。
pp=min(φECFV,Vpp.max) [19]
ここで、Vpp.max=1050mLおよびφが決定される。バード2003の式が使用された。
ECFV=aW 「20]
ここで、a=0.02154、b=0.6469、c=0.7236。ドナー集団のデータベースを使用して、バード2003の式を使用して取得できる血漿体積の量を分析した。
【0137】
前のノモグラム(760mL)を使用してこのドナーセットの平均血漿体積をとり、それをBird2003を使用して計算されたドナーセットの平均ECFV(16287mL)で割ることによって、φの推定値を計算した。したがって、
φ=760/1287=0.047 [21]
【0138】
以前のノモグラムで得られた血漿体積を超える増分血漿体積を、各性別について個別に、および性別を組み合わせて、φ=0.0500およびφ=0.0525のドナーセットについて計算した。φ=0.0525のECFVノモグラムを使用してモデル化された増分血漿体積は全体で84.6mLで、これは86.9mLのドナー血液体積ノモグラムを使用してモデル化された増分血漿体積とほぼ一致した(つまり、VPP=min(0.16×VDB、VPPMAX)、VPPMAX=1050mLおよびVDB=ドナーの血液体積。)φ=0.0500のECFVノモグラムを使用してモデル化された増分血漿体積は、全体で48.7mLであった。
【0139】
従来の時間変数の代わりに、血漿として除去された血液体積のパーセンテージの関数としてSHAE率をモデル化するために、カプラン・メイア生存分析を使用してSHAE率もモデル化した。このような分析を使用して、女性ドナーと男性ドナーについて個別にφ=0.0500およびφ=0.525のECFVノモグラムに基づいてSHAE率を予測した。血漿として除去されたECFVのパーセンテージの関数としてのSHAEの確率は、カプラン・マイヤー分析に基づいてグラフ化された。確率曲線を考慮して、除去されたECFVのパーセンテージの分布がさまざまなノモグラムに対して生成された。SHAE率と各ビンのドナーのパーセンテージをビンごとに乗算すると、全体のSHAE率に対するビンごとの寄与が得られる。これらの寄与を合計すると、全体的なモデル化されたSHAE率が得られる。FDA1992ノモグラムでは、モデル化されたSHAE率は女性で0.189、男性で0.048、女性と男性の提供の割合が等しいと仮定して、合計で0.119であった。総血液体積ノモグラムのモデル化されたSHAE率は、女性で0.235、男性で0.071、合計で0.153であった。φ=0.0500のECFVノモグラムのモデル化されたSHAE率は、女性で0.171、男性で0.064、合計で0.118であった。φ=0.0525のECFVノモグラムのモデル化されたSHAE率は、女性で0.214、男性で0.071、合計で0.143であった。データベースから観察されたSHAE率(488,628件の手順で542SHAE)は、女性で0.184、男性で0.048、合計で0.111であった。
【0140】
第2の同様の分析は、バード2021方程式を使用して実施され、ECFVは、腎臓提供の可能性についてスクリーニングされている1872人の正常な成人からなる母集団の性別にさらに基づいている。式[20]が使用され、女性の場合はa=0.0399、b=0.6064、およびc=0.6217、男性の場合はa=0.0755、b=0.6185、およびc=0.4982である。ドナー集団のデータベースを使用して、性別ごとおよび性別を組み合わせたECFV分布を分析した。FDA1992ノモグラムの血漿として除去されたECFVのパーセンテージの分布がグラフ化された。次に、以前のノモグラムと、Bird2021式を使用したECFVノモグラムを使用して、性別ごとに個別に、および性別を組み合わせて、φ=0.052、φ=0.054、およびφ=0.056の増分血漿体積を取得した。φ=0.052のECFVノモグラムを使用してモデル化された増分血漿体積(mL)は、女性で-20.0、男性で82.6、全体で31.4であった。φ=0.054のECFVノモグラムを使用してモデル化された増分血漿体積は、女性で7.20、男性で111.5、全体で59.5であった。φ=0.056のECFVノモグラムを使用してモデル化された増分血漿体積は、女性で34.1、男性で138.3、全体で86.3であり、86.9mLのドナー血液体積ノモグラムを使用してモデル化された増分血漿体積とよく一致した。
【0141】
この第2の分析では、以前のノモグラムと比較して純粋な血漿提供体積を増加または減少させると予測される提供量のパーセンテージが計算された。バード2021およびφ=0.052を使用したECFVノモグラムでは、女性の29.15%、男性の81.26%、および合計の55.26%が純粋な血漿体積の提供を増加すると予想された。バード2021およびφ=0.054を使用したECFVノモグラムでは、女性の43.95%、男性の94.63%、および合計の69.33%が純粋な血漿体積の提供を増加すると予想された。バード2021およびφ=0.056を使用したECFVノモグラムでは、女性の60.59%、男性の99.21%、および合計の79.94%が純粋な血漿体積の提供を増加すると予想された。
【0142】
従来の時間変数の代わりに、血漿として除去された血液体積のパーセンテージの関数としてSHAE率をモデル化するために、カプラン・メイア生存分析を使用してSHAE率もモデル化した。このような分析は、バード2021を使用し、女性ドナーと男性ドナー別にφ=0.052、φ=0.054、およびφ=0.056を使用してECFVノモグラムに基づいてSHAE率を予測するために使用された。血漿として除去されたECFVのパーセンテージの関数としてのSHAEの確率は、カプラン・マイヤー分析に基づいてグラフ化された。確率曲線を考慮して、除去されたECFVのパーセンテージの分布がさまざまなノモグラムに対して生成された。SHAE率と各ビンのドナーのパーセンテージをビンごとに乗算すると、全体のSHAE率に対するビンごとの寄与が得られる。これらの寄与を合計すると、全体的なモデル化されたSHAE率が得られる。FDA1992ノモグラムでは、モデル化されたSHAE率は女性で0.189、男性で0.048、女性と男性の提供の割合が等しいと仮定して、合計で0.119であった。以前の総血液体積ノモグラムのモデル化されたSHAE率は、女性で0.240、男性で0.072、合計で0.156であった。φ=0.052のECFVノモグラムのモデル化されたSHAE率は、女性で0.133、男性で0.064、合計で0.098であった。φ=0.054のECFVノモグラムのモデル化されたSHAE率は、女性で0.170、男性で0.073、合計で0.122であった。φ=0.056のECFVノモグラムのモデル化されたSHAE率は、女性で0.208、男性で0.073、合計で0.141であった。データベースから観察されたSHAE率(488,628件の手順で542SHAE)は、女性で0.184、男性で0.048、合計で0.111であった。
【0143】
バード2021公式を使用した第2の分析では、わずかに低いECFV値が予測された。したがって、約85mLの望ましい増分血漿体積を得るために、より高い%ECFVが使用された。式Vpp=min(0.056×ECFV,1050))はその目的を満たした。
【0144】
第3の分析では、性別に関係なくドナーの体重と身長を使用して、ドナーデータベースのドナー母集団全体にわたって、女性用のバード2021式(ECFV_F)と男性用の式(ECFV_M)の間のECFV値のパーセンテージ差(PECFV)を計算した。したがって、
PECFV=100×(ECFV_F-ECFV_M)/ECFV_M [22]
ヒストグラムが生成された。すべての場合において、女性用の式は男性用の式よりも約5%低いECFV値を生成した。したがって、性別に関係なく特定のドナーに対してECFVを選択する場合、
ECFV=ECFV_F [23]
入力としてドナーの実際の性別を参照せずに、わずかに低いECVFとわずかに低い(より保守的な)純粋な血漿体積を選択する。この式は、ドナーの性別が決定されない場合、または他の実施形態において使用され得る。
【0145】
ここで図14を参照すると、追加の実施形態による血漿を収集するためのシステムおよび方法が説明される。上述の構造および特徴のいずれも、静脈穿刺針、分離器、ドナーライン、抗凝固剤ライン、計算などの追加の実施形態とともに使用することができる。入力装置は、オペレータから入力データを受信するように構成され得る(例えば、タッチスクリーン、近くのスマートフォンなどを介して)。入力装置は、複数のドナーのドナーデータ(例えば、ドナーID、ドナーの体重、ドナーの身長、献血履歴、ドナーのデジタル画像など)にアクセスおよび/または保存するように構成されたサーバーコンピュータなどのリモートコンピュータからネットワークを介して入力データを受信するように構成され得る。
【0146】
工程1400では、再利用可能なハードウェア構成要素(例えば、血漿交換装置、アフェレーシス装置など)の制御回路が、タッチスクリーン、キーボード、無線または有線ネットワークインターフェース回路などの1つまたは複数の入力装置からドナーパラメータを受信するように構成される。ドナーパラメータは、ドナーの体重、ドナーの身長、ドナーの体格指数、ドナーの性別、ドナーの細胞外液体積、ドナーの細胞内液体積、ドナーの血液体積、ドナーの血漿体積、ドナーの体表面積、またはその他のドナーの生理学的、生物学的、または他の特性などの特性を示すパラメータうちの1つまたは複数を含み得る。
【0147】
制御回路は、1つ以上のドナーパラメータに少なくとも部分的に基づいてドナーの生理学的流体量を推定する(工程1402)ように構成され得る。推定は、バード2003方程式、バード2021方程式、レメンズ方程式、ナドラー方程式、またはその他の方程式などの1つ以上の方程式を使用して実行できる。生理学的流体量は、ドナー血液体積、ドナー血漿体積、ドナー細胞外液体積、ドナー細胞内液体積、ドナー水体積などのうちの1つまたは複数を含み得る。流体の量は、体積、重量、または他の量であってもよい。
【0148】
工程1404で、制御回路は、予め保存された定数に推定された生理学的流体量を乗算することによって、未加工血漿および抗凝固剤を含む血漿生成物の目標量を計算するように構成され得る。事前に保存された定数は、製造中および/またはソフトウェアまたはファームウェアの更新中に、システムの再利用可能な構成要素および/または制御回路にプログラムすることができる。事前に保存された定数は、以下に説明するように、計算または推定であってもよい。
【0149】
一例では、生理学的流体量が細胞外液体積である場合、事前に保存された定数は、女性ドナーの場合は約0.06125、男性ドナーの場合は約0.062715、少なくとも約0.050、約0.064未満、および/またはその他の定数であり得る。別の例では、生理学的流体量が細胞外液体積である場合、事前に保存された定数は、女性ドナーについては約0.06275、男性ドナーについては約0.06284であり得る。図17も参照されたい。さらに別の例では、事前に保存された定数は、男性および女性のドナーの両方に対して同じであってよく、例えば、男性および女性の両方のドナーに対して36のHctが使用される場合、0.06257である。バード2021式を使用して推定を行う場合、これらの定数の1つ以上が使用される場合がある。
【0150】
別の例では、生理学的流体量が総血漿体積である場合、事前に保存された定数は、女性ドナーの場合は約0.285、男性ドナーの場合は約0.3135、少なくとも約0.25、約0.34未満、または他の定数であり得る。別の例では、事前に保存された定数は、女性ドナーの場合は約0.3192、男性ドナーの場合は約0.3197、少なくとも約0.25、約0.34未満、および/または他の定数であり得る。さらに別の例では、事前に保存された定数は、男性および女性のドナーの両方に対して同じであってよく、例えば、男性および女性の両方のドナーに対して36のHctが使用される場合、0.3183である。
【0151】
別の例では、生理学的流体量がドナーの総血液体積である場合、事前に保存された定数は、女性ドナーの場合は約0.16、男性ドナーの場合は約0.66、少なくとも約0.10、約0.75未満、または他の定数であり得る。別の例では、事前に保存された定数は、女性ドナーについては約0.1761、男性ドナーについては0.1764、少なくとも約0.10、約0.75未満、および/または他の定数であってもよい。さらに別の例では、事前に保存された定数は、男性および女性のドナーの両方に対して同じであってよく、例えば、男性および女性の両方のドナーに対して36のHctが使用される場合、0.1756である。
【0152】
いくつかの実施形態では、事前に保存された定数は、男性ドナーと女性ドナーでは異なる場合がある。ドナーの性別は、入力装置から受け取ったドナーパラメータの1つであり得る。制御回路は、男性ドナーについては男性の事前保存された定数、および女性ドナーについては女性の事前保存された定数を使用して、収集する目標血漿生成物を計算するように構成され得る。あるいは、事前に保存された1つの定数を男性と女性の両方のドナーに使用することもできる。
【0153】
工程1406で、制御回路は、ドナーから全血を採取し、抗凝固剤を導入し(工程1408)、全血を血漿生成物と第2の血液成分とに分離し(工程1410)、第2の血液成分をドナーに返送するための採取段階および返送段階を動作させるようにシステムを制御するように構成され得る。血漿生成物は収集容器内に収集される(工程1412)。血漿生成物は、ドナーからの未加工の血漿と、抗凝固剤供給源から提供され分離器を通して処理された抗凝固剤の両方を含む。
【0154】
工程1414で、制御回路は、容器内に収集される未加工血漿および抗凝固剤を含む血漿生成物の量を測定するように構成される。一実施形態では、容器の重さを量って、収集された血漿生成物の重量を決定し、次いで、それを血漿生成物の体積に変換する。別の実施形態では、光センサ、ポンプ回転センサもしくはカウンタ、または他の装置などの他の測定装置が使用されてもよい。
【0155】
工程1416で、制御回路は、収集容器内の血漿生成物の測定量が、上記の工程1404で計算された血漿生成物の目標量を満たすかどうかを判断する。この判断は、収集過程の複数の段階のいずれかで、たとえば、事前に設定された期間ごと(収集中は1秒ごと、5秒ごとなど)、特定の事象(採取および/または返送サイクルの終了、採取および/または返送サイクルの開始など)に応じて、および/または処理中の他の時点で行われる。未加工の血漿および抗凝固剤を含む目標血漿生成物が達成されると、処理は工程1418に進み、ポンプの停止、手順の結果の計算および/または報告、ネットワークを介したリモートコンピュータへの収集報告の送信などの他の工程を実行する。
【0156】
図14の処理は、示された順序で実行されてもよいし、他の実施形態では異なる順序で実行されてもよい。一例では、血漿生成物の目標量は、全血の採取を開始する前に計算され得る。別の例では、血漿生成物の目標量は、全血の採取の開始後に計算され得る。別の例では、制御回路は、最初にドナーの生理学的流体量を推定し、次にその量に定数を乗算するように構成され得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、ドナーヘマトクリットは、工程1416において、または血漿生成物の測定量がいつ血漿生成物の目標量を満たすかを判断するために使用されない。代わりに、ドナーの実際のヘマトクリットではない定数を、実際のヘマトクリットの代わりに使用して、血漿生成物の測定量が血漿生成物の目標量を満たす時期を判断することができる。他の実施形態では、ドナーのヘマトクリットを表すために定数が使用されない場合がある。
【0158】
いくつかの実施形態では、実際のドナーヘマトクリットは、工程1404またはその他で血漿生成物の目標量を計算する際に使用されない。代わりに、定数(例えば、規制当局によって設定された最小ドナーHct、所定のドナー集団にわたる平均ドナーHctなど)が使用されてもよいし、定数が使用されなくてもよい。
【0159】
ドナーからの血漿収集中、総血漿生成物(別名、純粋な血漿または未加工の血漿と抗凝固剤の総収集体積)は、全血の処理に使用される抗凝固剤の比率とドナーのヘマトクリットによって影響を受ける可能性がある。係数Fは抗凝固剤の希釈係数であり、次のように定義できる。
F=1+1/R(1-H) [24]
ここで、Rは抗凝固剤比(16:1など、この式では16として表される)、Hはドナーヘマトクリットであり、この式では38%Hctを表す0.38などの小数として表される。Fを使用して、収集された血漿生成物の体積に基づいて未加工血漿の体積を決定できる。
未加工の血漿の体積=血漿生成物の体積/F [25]
例えば、血漿生成物の体積が900mL、Rが16、Hが50%の場合、F=1.125となり、収集される未加工血漿の体積は800mLになる。
【0160】
バード2021式を使用する一実施形態では、
ECFV=f(体重、身長、性別) [26]
ここで、ECFVは細胞外液体積であり、バード2021式によれば、ドナーの体重、身長、性別の関数である。
F=f(ac_ratio,Hct) [27]
式 [24]に示されている因子Fは、ac_ratioまたはRとHctまたはHの関数である。さらに、式[25]に示されているように、血漿生成物の体積=未加工の血漿の体積×F。したがって、次のようになる。
血漿生成物の体積=f(体重、身長、性別)×x%×F(ac_ratio,Hct) [28]
未加工の血漿の目標体積がECFVのx%(例えば、一例では上述のように5.6%)である場合。
【0161】
ただし、別の例では、式[28]からHctを省略し、定数Cに置き換えることができる。
血漿生成物の体積=f(体重、身長、性別)×x%×F(ac_ratio、C) [29]
【0162】
定数Cの値を決定するために分析が行われた。ドナー集団のデータベースを使用して、式[28](実際のドナーHctを使用)を使用して得られる血漿体積と、実際のドナーHctの代わりにドナー集団内のドナーの平均ヘマトクリットを定数Cとして使用する式[29]を使用して得られる血漿体積を分析した。また、分析では、実際のドナーHctを使用した式[28]を使用した場合と、Hctの代わりに規制当局によって定数Cとして割り当てられた最小ドナーヘマトクリットを使用した式[29]を使用した場合で得られる血漿体積が決定された。
【0163】
図16は分析結果を示す表である。実際のHctの代わりに平均ドナーHct(女性で42.6%、男性で46.2%)を使用すると、平均収集体積の変化は無視できる程度(女性で0.1mL減少、男性で0.3mL減少)にとどまったであろう。実際のHctの代わりに最小Hctを使用すると、平均総収集体積は女性で6.4mL少なく、男性で12.9mL少なくなる。平均未加工血漿体積も計算され、ごくわずかな変化しか生じないであった(平均Hctを使用すると、女性では0.07mL、男性では0.25mL)。最小のHctを使用した平均未加工血漿体積は、女性では5.8mL少なく、男性では11.6mL少なくなる。性別を組み合わせると、平均総収集体積は、平均Hctを使用すると両性で0.20mL減少し、最小Hctを使用すると両性で9.62mL減少すると計算された。両性混合の未加工の血漿体積は、平均Hctを使用すると0.2mL少なく、最小Hctを使用すると8.7mL少なくなるように計算された。
【0164】
一実施形態では、最小Hctを定数Cとして使用することができる。別の実施形態では、所定の母集団にわたる平均Hctを定数Cとして使用することができる。ドナー集団の平均Hctは、最初は不明である可能性がある。さらに、最小Hctは規制当局(FDA)によって割り当てられた消極的な推定値である。より低いHctドナーの場合、平均Hctを使用すると、実際のHctを使用するよりも多くの血漿が収集される。定数Cとして最小Hctを選択することは、ドナーの安全性を最適化するためのより消極的な推定値である。分析によると、定数Cとして最小Hctを使用すると、実際のドナーHctを使用した場合よりも平均で約10mL少ない血漿を収集することになる。10mLの差に対応するために、式[29]のx%を増やして10mLの少なくとも一部を回収することが提案された。x%を増加させる量を決定するために、1992年のFDAノモグラムで達成された増分血漿体積の分析が、ドナーの実際のHctと最小Hctを使用してドナーの母集団に対して実施された。結果は、血漿として除去された細胞外液のパーセンテージ(mL)に基づいてプロットされ、添付の図15Aに示されている。1992年のFDAノモグラム85±3mLを超える増分血漿体積の望ましい目標範囲については、実際のドナーHctの代わりに最小Hctを使用する場合、目標範囲内に適合するものとして5.65%のパーセンテージが選択される。言い換えれば、実際のドナーHctを使用した場合に目標範囲を満たすECFVの5.60%のパーセンテージが、前回の1992年のFDAノモグラムを上回る血漿増分を85±3mLの目標内に維持するために最小Hctを使用した場合に0.05%増加して5.65%になった。SHAE率もいくつかのデータ ポイントに対して計算され、5.65ポイントのSHAE率は0.269%~0.300%と推定される。
【0165】
図15Bでは、x%を増加させる量を決定するために、1992年のFDAノモグラムにわたって達成された増分血漿体積の分析が、ドナーの実際のHctおよび女性について38/男性について39および女性について36/男性について36のHct入力を使用してドナーの母集団に対して行われた。結果は、血漿として除去された細胞外液のパーセンテージ(mL)に基づいてプロットされ、添付の図15Bに示されている。1992年のFDAノモグラムの85±3mLを超える増分血漿体積の望ましい目標範囲について、実際のドナーHctの代わりに女性の場合は36、男性の場合は36のHct入力を使用した場合、目標範囲内に適合するものとして5.70%のパーセンテージが選択された。言い換えれば、前回の1992年のFDAノモグラムを超える血漿増分を85±3mL目標範囲内に維持するために、実際のドナーHctを使用した場合に目標範囲を満たすECFVの5.60%のパーセンテージが、36Hctを使用した場合に0.10%から5.70%増加した。SHAE率もいくつかのデータ ポイントに対して計算され、5.70%ポイントのSHAE率は0.294%と推定される。
【0166】
様々な実施形態において、図17に示されるように、ECFVの割合は、少なくとも約0.055%および/または約0.0575%未満の値から選択され得る。総血漿体積の割合は、少なくとも約0.25、および/または約0.35未満であり得る。総血液体積の割合は、少なくとも約0.12、および/または約0.24未満であり得る。
【0167】
一実施形態では、上記式[29]は次のように表すことができる。
血漿生成物の体積=f(体重、身長、性別)×FH(x%,ac_ratio,C) [29.1]
【0168】
ここで、FHは、収集するECFVのパーセンテージおよび以前に定義された他の変数の関数である、事前に保存された定数である。ac_ratioが16、定数Cが男性ドナーにとっては最小Hctである39、女性ドナーにとっては最小Hctである38(規制当局ごとの設定)に設定され、x%が増加率の5.65%に設定されている場合、方程式は次のようになる。
血漿生成物の体積=f(体重、身長、性別)×FH(定数) [30]
血漿生成物の体積=ECFV×0.6125(女性) [31]
血漿生成物の体積=ECFV×0.62715(男性) [32]
この場合、図14に示す方法で使用される予め保存された定数は、女性ドナーの場合は0.6125、男性ドナーの場合は0.62715である。代替実施形態では、単一の定数が両方の性別に使用されてもよく、これは、2つの定数の平均、または2つの定数のうち低い方、または別の定数であってもよい。
【0169】
代替実施形態では、図17に示すように、x%は、男性ドナーについては39、女性ドナーについては38にHctを設定して、5.70%の増加パーセンテージに設定することができる(ノモグラムECFV21-5.7-1050-H38/39を参照)。生理学的量の割合(目標血漿生成物として取られるECFVの%)は0.057または5.70%である。式[27]のAC係数Fは、女性ドナーの場合は1.1008、男性ドナーの場合は1.1025である。事前に保存された定数Cは、女性ドナーの場合は0.06275、男性ドナーの場合は0.06284となり、女性の場合は866mL、男性の場合は1049mLの収集量になる。
【0170】
別の実施形態によれば、図17に示されるように、Hctは、男性および女性のドナーの両方について定数36に設定され得る(ノモグラムECFV21-5.70-1050-H36/36を参照)。生理学的量の割合(目標血漿生成物として取られるECFVの%)は0.057または5.70%である。式[27]のAC係数Fは1.0977である。事前に保存された定数Cは、男性と女性のドナーの両方で0.06257となり、女性の場合は864mL、男性の場合は1044mLの収集量になる。
【0171】
1つの利点によれば、上記の分析および図14の方法で説明したように、事前に保存された定数を使用することにより、実際のドナーHctを必要とせずに続行できるという利点がある。ドナーの体重、身長、Hctの間で、ドナーHctは各ドナーごとに決定される方法により最大の潜在的な誤差を有する。固定Hctを最小Hct(たとえば、男性では39、女性では38)として割り当てると、消極的なアプローチの利点が得られ、血漿収集のより安全な推定値が得られる。さらに、目標血漿生成物の計算は、より容易であり、より少ない処理電力および時間を必要とし、それによって制御回路の動作を改善することができ、および/または、ドナーに対して予め記憶された定数が血漿の推定ECFVと乗算されるため、誤差が生じにくくなる可能性がある。目標血漿生成物は、以前のノモグラムと比較して、女性ドナーについては10.0%多く、男性ドナーについては10.2%多くてもよく、例えば、女性ドナーについては目標血漿生成物を1000mLから1100mLに、男性ドナーについては1000mLから1102mLに増加する。
【0172】
実施された分析により、血漿収集アルゴリズムは、ドナー生理学的流体の計算において実際のドナーHctを使用せずに、および/または収集された血漿生成物と目標血漿生成物との比較において実際のドナーHctを使用せずに、収集する目標血漿生成物を計算できることが実証された。この分析はまた、一部の実施形態では、許容可能なSHAE率を備え、収集されたECFV体積のパーセンテージを5.60%から5.65%または5.70%に増加させることができ、1992年のFDAノモグラムよりも約85mLだけ未加工の血漿収体積を増加させるという目標を達成できることを実証した。
【0173】
いくつかの実施形態では、血漿収集装置の制御回路は、ドナーの推定生理学的流体体積に定数を乗算することによって、未加工の血漿および抗凝固剤を含む目標血漿生成物を計算するように構成され得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、血漿収集装置の制御回路は、ドナーの推定生理学的流体体積に変数ではなく定数のみを乗算することによって、未加工血漿および抗凝固剤を含む目標血漿生成物を計算するように構成され得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、血漿収集装置の制御回路は、計算においてドナーの推定生理学的流体体積および所定の定数を使用するが、血漿中の抗凝固剤比を使用せず、未加工の血漿および抗凝固剤を含む目標血漿生成物を計算するように構成され得る。抗凝固剤の比率は事前に定義された定数で事前に提供されている。
【0176】
いくつかの実施形態では、予め保存された定数は、血漿収集装置の製造業者によって事前に決定または事前計算され、製造中に血漿収集装置のメモリにプログラムされ得る。予め保存された定数は、生理学的流体体積の目標パーセンテージ(x%)、抗凝固剤比(R)、および実際のドナーHctの代わりに使用される定数C、規制規則ごとの最少のドナーHct、所定のドナー集団にわたる平均ドナーHct、または他の定数のうちの1つまたは複数に基づいて計算され得る。
【0177】
上記で行われた分析では、以前のノモグラムよりも改善された血漿収集の目標範囲は85±3mLであった可能性があるが、生理学的流体体積の目標パーセンテージに到達するために、少なくとも30mL、少なくとも60mL、100mL未満、120mL未満など改善された血漿収集の他の目標範囲が使用され得る。
【0178】
別の実施形態によれば、血漿を収集するための方法は、ドナーの体重、ドナーの身長、ドナーの体格指数、およびドナーの性別から選択される1つまたは複数のドナーパラメータを受け取ることを含み得る。これらのドナーパラメータのうちの任意の1つまたは複数は、血漿収集装置に結合されたユーザ入力装置(例えば、タッチスクリーン、キーボードなど)から、またはドナーパラメータをドナーのスクリーニング、ドナーの募集、および/またはその他の機能に使用されるドナー管理システムなどのリモートコンピューターから受信するように構成された、ネットワークインターフェース回路などの別の入力装置から受信され得る。一部のECFV方程式では、体重のみが使用される場合がある。他のECFV方程式では、体重と身長が使用される場合がある。さらに他のECFV方程式では、体重、身長、性別が使用される場合がある。
【0179】
この方法は、1つまたは複数のドナーパラメータに少なくとも部分的に基づいてドナーの生理学的流体量を推定することをさらに含んでもよい。推定ドナー生理学的流体量は、総血液量、総血漿量、細胞外液量、細胞内液量、間質液量、細胞間液量、リンパ量、および/または、体積、重量、面積(例えば体表面積)など、様々な単位で表される他の流体量を含む群から選択され得る。上述の式、またはレメンズ、バード2003、バード2021などの他の入手可能な式のいずれかを使用して、1つまたは複数のドナーの生理学的流体量を推定することができる。ドナーの生理学的流体量は、特定のドナーに対する血漿収集手順の一部として血漿収集機械によって計算され得る。
【0180】
この方法は、推定されたドナーの生理学的流体量に事前に保存された定数を乗算することによって、収集すべき血漿生成物の目標量を計算することをさらに含んでもよい。予め保存された定数は、製品開発中に決定され、製造中に血漿収集装置、例えばファームウェアまたは他のメモリにプログラムされ得る。いくつかの実施形態では、計算は、収集すべき血漿生成物の目標量に到達するために、推定されたドナーの生理学的流体量に事前に保存された定数を乗算することのみを含み得る。他の実施形態では、他の係数が計算に使用されてもよい。事前に保存された定数は、生理学的流体体積の所定のパーセント(例えば、x%)、比、分数、小数またはその他として表される比抗凝固剤比(R)、および/または、ドナーHct値またはドナーHct値の代わりとなる定数(C)に基づいて(製品開発中に、リモートサーバーコンピュータ上で、または血漿収集装置自体でさえも)事前に計算された定数であってもよい。
【0181】
生理学的流体がECFVである場合、予め保存された定数は、約0.050より大きく、および/または、約0.064未満もしくは約0.06257未満であり得る。
【0182】
図17に示されるように、予め保存された定数は少なくとも約0.28および/または約0.34未満、または約0.0.3183であり得る。ここで、生理学的流体量はドナーの総血漿体積であり、Hctは男性および女性ドナーの両方について36に設定される。Hctが女性ドナーについては38、男性ドナーについては39に設定される場合、事前に保存された定数は、女性ドナーについては約0.3192、男性ドナーについては約0.3197であり得る。
【0183】
図17に示されるように、生理学的流体がドナーの総血液体積であり、Hctが男性および女性ドナーの両方について36に設定される場合、事前に保存された定数は、少なくとも約0.10および/または約0.20未満、または約0.1756であり得る。Hctが女性ドナーについては38、男性ドナーについては39に設定される場合、事前に保存された定数は、女性ドナーについては約0.1761、男性ドナーについては約0.1764であり得る。
【0184】
他の定数も考えられる。様々な実施形態において、図17に記載された事前に格納された定数のいずれも、または本明細書に別途記載される値は、示される値の少なくとも約50%、少なくとも約75%、約150%未満、および/または、約200%未満の範囲内であってもよい。例えば、ドナーの生理学的流体量がECFVであり、Hctが男性および女性のドナーに対して36に設定されている場合、事前に保存された定数は、少なくとも約0.3128(示された値:0.06257の50%)、少なくとも約0.04692(示された値:0.06257の75%、等)、約0.07508未満、および/または、約0.12514未満であり得る。例えば、異なる実施形態は、Hctの他の値(男性および/または女性のドナーについて少なくとも約33Hct、男性および/または女性のドナーについて約45Hct未満)、AC比の他の値(15:1、16:1、17:1など。(ACの体積+全血の体積)/(全血の体積)または(ACの体積/全血の体積))、および/または生理学的流体量の比率の他の値(ECFVの約7.5%未満、ECFVの約4.5%以上)を想定してもよく、これにより、所望の収集量、所望のSHAE率などに基づいて、他の所定の定数が使用される可能性がある。
【0185】
この方法は、静脈アクセス装置を介してドナーから血液成分分離装置まで全血を採取することをさらに含んでもよい。上述の計算および推定は、全血の採取前、全血の採取中、および/または全血の採取の開始後に行うことができる。この方法は、採取された全血に抗凝固剤を導入する工程と、採取された全血を未加工血漿および抗凝固剤とを含む血漿生成物と少なくとも第2の血液成分(例えば、赤血球)に分離する工程と、血液成分分離装置から血漿生成物を血漿収集容器内に収集する工程とを含んでもよい。
【0186】
この方法は、収集された血漿生成物(未加工血漿および抗凝固剤を含む)が収集すべき血漿生成物の目標量に達したかどうかを判断する工程をさらに含んでもよい。この判断は、採取から抗凝固剤との混合、分離、赤血球をドナーに戻すまでの血液の処理中の様々な時点で行うことができる。この判断は、血漿生成物収集容器の重量を量る重量計から信号を受信することによって行うことができる。判断は、血漿生成物の重量を血漿生成物の体積に変換することを含んでもよい。判断は、測定された血漿生成物の体積を収集すべき血漿生成物の目標量と比較することを含んでもよい。判断は、収集された血漿生成物が血漿生成物の目標量または血漿生成物の目標量から導出される値と等しいかまたはほぼ等しい場合に、収集された血漿生成物が収集すべき血漿生成物の目標量に達していると判断することを含んでもよい。
【0187】
血漿収集機械の制御回路は、多数の異なるノモグラムのうちの1つまたは複数でプログラムすることができる。ノモグラムは、ドナーの血液体積(BV)、血漿体積(PV)、細胞外液体積(ECFV)、または血漿として除去された重量(W)のパーセンテージまたは割合に基づく場合がある。これらのノモグラムは次のように表現できる。
PP=最小(φBASEBASE、VPP,MAX,M) [33]
ここで、VPPは純粋な(または未加工の)血漿の目標体積、下付き文字BASEは上記のノモグラム基準(PV、BV、ECFVまたはW)を指し、φはドナーベース体積の割合、VPP,MAX,Mは最大の純粋な血漿の体積、および下付き文字NおよびMは、対象となるφおよびVPP,MAXの特定の値を指す。BVおよびECFVを計算するための例示的な式は上に提供されている(例えば、レメンズ、バード2003、バード2021など)。血漿体積は次のように計算できる。
=(1-H)V [34]
ここで、HはドナーHct(またはドナーのセットにわたる最小Hctまたは平均Hct)である。体重はキログラム単位で測定できる。
【0188】
制御回路は、基準(PV=血漿、BV=血液、EDFV03=バード2003、ECFV21=バード2021、W=体重)、血漿として除去される基準体積のパーセンテージ(100φBASE)、最大の純粋な血漿の体積(VPP,MAX)および/または想定されるHctなどの追加のデータなど、1つ以上の特性を持つ任意のノモグラムでプログラムできる。血漿収集システムの制御回路は、図18に示されるノモグラムのいずれか1つ以上を用いてプログラムされ得る。これは、上で説明した1つまたは複数の式を使用することができる。たとえば、ノモグラム指定PV-28.0-1000は、ドナー血漿総体積の28.0%(1000mLを超えない)の目標未加工血漿に基づくノモグラムを示す。ノモグラム指定ECFV21-5.70-1050は、バード2021方程式を使用し、最大1050mLの純粋血漿を超えない、ドナー細胞外液体積の5.70%の目標純粋血漿に基づくノモグラムを示す。別の例として、ノモグラム指定ECFV21-5.70-1050-H38/39は、バード2021方程式を使用し、最大1050mLの純粋血漿を超えない、ドナー細胞外液体積の5.70%の目標純粋血漿に基づくノモグラムを示し、ヘマトクリットを最小許容値(女性の場合は38%、男性の場合は39%)として取り、収集体積を計算する。
【0189】
図18に示すように、-H38/39として指定されたノモグラムについては、ヘマトクリットを最小許容値(女性については38%、男性については39%)として採用することができる。-H36/36と指定されたものについては、性別を問わず36%の固定ヘマトクリットを使用できる。VPPは、最初にノモグラムを使用して評価できる。次に、これらの固定ヘマトクリットを仮定して、収集体積(純粋な血漿と抗凝固剤)を計算できる。再び図18に示されるように、ECFV21-5.60-1050-Female(3)として示されるノモグラムは、男性および女性のすべてのドナーについて女性についてのBird2021方程式を使用することができる。-H AVGという指定のノモグラムでは、女性と男性の平均ヘマトクリットを使用して収集体積(純血漿と抗凝固剤)を計算できる。これは、1組のドナーの場合、男性で42.6%、女性で46.2%になる。
【0190】
オリジナルの1992ノモグラムと最適化されたノモグラムは、段階的に適用されるドナーの体重に基づいている。図18において体重(身体体積)として記載されているノモグラムは、体密度が約1.0g/mLであるという仮定の下で、方程式[33]に従って継続的に体重を使用する。φBASEは、体重1キログラムあたりのミリリットル(9.90mL/体重1kg)で表すことができる。φBASEは、体積のパーセンテージとして表すこともできる(この場合は0.99%と1.00%)。φBASEの他の値、例えば、少なくとも約8mL/kg、少なくとも約9mL/kg、約10.5mL/kg未満、約12.0mL/kg未満などが考えられる。
【0191】
図18に列挙されたノモグラムのそれぞれについて、VPP,MAXは、少なくとも約1000mL、少なくとも約950mL、少なくとも約800mL、約1050mL未満、約1100mL未満、約1200mL未満などであり得る。本明細書に記載されるノモグラムのいずれも、上限VPP,MAXを含むことができる。
【0192】
図18に列挙されたノモグラムのそれぞれについて、ドナーへの血漿提供を完了するための目標として使用される目標は、目標純粋血漿または目標血漿生成物(純粋血漿または未加工の血漿と抗凝固剤)として計算され得る。図18に列挙されたノモグラムのそれぞれについて、目標血漿生成物の計算には、実際のドナーヘマトクリット、固定ドナーヘマトクリット(例えば、36、38、39)、女性および男性ドナーの同じまたは異なる固定ヘマトクリット、ドナーの母集団にわたるドナーヘマトクリットの平均、または他の値のうちの1つまたは複数を使用することができる。
【0193】
様々な実施形態において、血漿収集装置の制御回路は、1つ以上のドナーパラメータに少なくとも部分的に基づいて、図18に記載されたノモグラムのいずれかを使用して、ドナーの生理学的流体量を推定するように構成され得る。さらに、制御回路は、予め保存された定数と推定された生理学的流体量とを乗算することによって、未加工血漿および抗凝固剤を含む血漿生成物の目標量を計算するように構成され得、予め保存された定数は、図18に記載のそれぞれのノモグラムに基づいて決定される。
【0194】
図19に示されるように、ドナーの総血液体積(および/または総血漿体積)は、体重(W)、身長(h)および/または年齢(A)に基づいて示されるモデルのいずれかを使用して計算または推定され得る。フェルドシュー,ジェイおよびワイ.エンソン「正常な血液体積の予測:血液体積と体の習慣の関係」循環、56(4):605-612(1977)。ハーレー,ピー,ジェイ「正常成人における赤血球と血漿の体積」核医学ジャーナル、16(1):46-52(1975)。ナドラー,エス、ビーら「正常な成人の血液体積の予測」調査外科、51(2):224-232(1961)。ティー、シー、ピアソンら「成人における測定された赤血球体積と血漿体積の解釈:血液学国際標準化評議会の放射性核種に関する専門家パネル」英国血液学ジャーナル、89:748-756(1995)。ジェイ、エイ、レツラフら「成人男性と女性の赤血球体積、血漿体積、除脂肪体重」血球計数検査雑誌、33(5):649-667(1969)。ウェネスランド,アールら「放射性クロム(Cr51)細胞タグによる健康な男性の赤血球、血漿、血液体積」使用される場合、体表面積Sは次の式で求められる。
S=0.007184W0.2450.725 [34]
ここで、Wは体重(キログラム)、hは身長(センチメートル)である。デュボア、ディーおよびイーエフ デュボア「身長と体重がわかっている場合に、おおよその表面積を推定する公式」内科アーカイブズ、17:863-871(1916)。表面積(S)の方程式は次のように表すことができる。
S=aW+d [35]
ここで、d=0。
したがって、何らかの係数によってSを単純にスケーリングする任意のモデルは、図19の下部の表に示されているのと同じ数学的形式で表現することができる(体重と身長に基づく血液体積の計算式)。
【0195】
本明細書に開示される方法およびシステムの追加の実施形態を以下に説明する。
【0196】
第1の実施形態では、血漿を収集するためのシステムが提供される。システムは、全血を血漿生成物と濃縮細胞を含む第2の血液成分とに分離するように構成された分離器を含む。分離器は、血漿生成物を血漿生成物の収集容器に送るように構成された血漿ラインに結合された血漿出力ポートを有する。システムは、全血をドナーから分離器に導入するように構成されたドナーラインであって、ドナーラインを通る流れは第1のポンプによって制御されるドナーラインと、抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインであって、抗凝固剤ラインを通る流れは抗凝固剤比に基づいて抗凝固剤をドナーからの全血と混合するために第2のポンプによって制御される抗凝固剤ラインと、オペレータから、および/または、ネットワークを介してリモートコンピュータから、入力を受信するように構成された入力装置と、システムの動作を制御するように構成された制御回路とを含む。制御回路は、入力装置に結合され、1つ以上のドナーパラメータを受信し、1つ以上のドナーパラメータに少なくとも部分的に基づいてドナーの生理学的流体量を推定し、予め保存された定数に推定された生理学的流体量を乗算することにより、未加工の血漿および抗凝固剤を含む血漿生成物の目標量を計算するように構成されており、制御回路は、ドナーから全血を採取し、全血を血漿生成物と第2の血液成分とに分離し、第2の血液成分をドナーに戻すために採取段階および返送段階を動作させるようにシステムを制御するように構成されており、制御回路は、収集容器内の血漿生成物の測定量が血漿生成物の目標量に達するまで、採取段階および返送段階を動作させるようにさらに構成されている。
【0197】
第2の実施形態は、第1の実施形態を含み、制御回路は、血漿生成物の測定量がいつ血漿生成物の目標量を満たすかを決定するときにドナーのヘマトクリットを使用しないように構成されている。
【0198】
第3の実施形態は、第1の実施形態を含み、制御回路は、血漿生成物の目標量の計算においてドナーのヘマトクリットを使用しないように構成されている。
【0199】
第4の実施形態は、第1の実施形態を含み、推定された生理学的流体量は細胞外液体積である。
【0200】
第5の実施形態は、第4の実施形態を含み、予め保存された定数は、約0.050と約0.064との間である。
【0201】
第6の実施形態は、第4の実施形態を含み、制御回路は、ドナーの体重(W)、身長(H)および性別に基づいてドナーの細胞外液体積を女性の場合はECFV=0.0399×W0.6065×H0.6217となるように、男性の場合はECFV=0.0755×W0.6185×H0.4982となるように計算するように構成されている。
【0202】
第7の実施形態は、第1の実施形態を含み、推定された生理学的流体量は総血漿体積である。
【0203】
第8の実施形態は、第7の実施形態を含み、予め保存された定数は、約0.25と約0.34との間である。
【0204】
第9の実施形態は、第1の実施形態を含み、推定された生理学的流体量は総血液体積である。
【0205】
第10の実施形態は、第9の実施形態を含み、予め保存された定数は、約0.10と約0.75との間である。
【0206】
第11の実施形態は、第1の実施形態を含み、予め保存された定数は、男性ドナーと女性ドナーでは異なり、ドナーの性別データは入力装置から受け取られ、男性の予め保存された定数および女性の予め保存された定数から選択するために使用される。
【0207】
第12の実施形態は、第1の実施形態を含み、ドナーの体重および身長がドナー管理システムからネットワークを介して受け取られ、ドナー管理システムは適格性スクリーニングに使用される。
【0208】
第13の実施形態は、第1の実施形態を含み、血漿生成物の目標量は、ドナーからの採血を開始する前に計算される。
【0209】
第14の実施形態は、第1の実施形態を含み、制御回路は、重量計を使用して、収集容器内の未加工の血漿および抗凝固剤を含む血漿生成物の量を測定するように構成されている。
【0210】
第15の実施形態では、血漿を収集するための方法が提供される。この方法は、(a)ドナーの体重、ドナーの身長、ドナーの体格指数、およびドナーの性別から選択される1つまたは複数のドナーパラメータを受け取る工程と、(b)1つ以上のドナーパラメータに少なくとも部分的に基づいてドナーの生理学的流体量を推定する工程であって、推定されるドナーの生理学的流体量は、総血液体積、総血漿体積、および細胞外液体積から選択される工程と、(c)収集すべき血漿生成物の目標量を計算する工程であって、血漿生成物の目標量は未加工の血漿および抗凝固剤を含み、血漿生成物の目標量は推定されるドナーの生理学的流体量に予め保存された定数を乗算することによって計算される工程と、(d)静脈アクセス装置を介してドナーから全血を血液成分分離装置まで採取する工程と、(e)採取した全血に抗凝固剤を導入する工程と、(f)採取した全血を、未加工の血漿および抗凝固剤を含む血漿生成物と、少なくとも第2の血液成分とに分離する工程と、(g)血液成分分離装置から血漿生成物を血漿収集容器に収集する工程と、(h)未加工の血漿および抗凝固剤を含む収集された血漿生成物が、収集すべき血漿生成物の目標量に達したかどうかを判断する工程と、(i)収集された血漿生成物が収集すべき血漿生成物の目標量に達するまで、工程(d)から(h)を継続する工程とを含む。
【0211】
第16の実施形態は、第15の実施形態を含み、推定されたドナー生理学的流体量はドナーの細胞外液である。
【0212】
第17の実施形態は、第16の実施形態を含み、予め保存された定数は、約0.05と約0.07との間である。
【0213】
第18の実施形態は、第17の実施形態を含み、予め保存された定数は、男性ドナーに使用するための第1の定数と、女性ドナーに使用するための第1の定数とは異なる第2の定数とを含む。
【0214】
第19の実施形態は、第15の実施形態を含み、ドナーの実際のヘマトクリットがドナーの生理学的流体量の推定に使用されず、ドナーの実際のヘマトクリットが収集すべき血漿生成物の目標量の計算に使用されない。
【0215】
第20の実施形態では、血漿を収集するためのシステムが提供される。このシステムは、全血を血漿生成物と濃縮細胞を含む第2の血液成分とに分離するように構成された血液分離器であって、未加工の血漿と抗凝固剤とを含む血漿生成物を血漿生成物収集容器に送るように構成された血漿ラインに結合された血漿出力ポートを有する血液分離器と、ドナーからの全血を血液分離器に導入するように構成されるドナーラインであって、ドナーラインを通る流れは第1のポンプによって制御される、ドナーラインと、抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインであって、抗凝固剤比に基づいて抗凝固剤をドナーからの全血と混合するために抗凝固剤ラインを通る流れは第2のポンプによって制御される、抗凝固剤ラインと、オペレータからの入力を受信するように構成された入力装置と、システムの動作を制御するようにプログラムされた制御回路とを備え、制御回路は、入力装置に接続され、少なくともドナーの体重を受け取り、ドナーの実際のヘマトクリットを使用せずに、ドナーの体重に少なくとも部分的に基づいてドナーの生理学的流体量を推定し、ドナーの実際のヘマトクリットを使用せずに、ドナーの生理学的流体量の所定のパーセンテージとして、未加工の血漿と抗凝固剤を含む血漿生成物の目標量を判断し、ドナーから全血を採取し、全血を収集された血漿生成物と第2の血液成分とに分離し、第2の血液成分をドナーに戻すための採取段階および返送段階を動作させるようにシステムを制御するようにプログラムされており、制御回路は、採取段階と返送段階を少なくとも3回実行するようにプログラムされており、制御回路は、収集された血漿生成物の量を血漿生成物の目標体積と比較し、収集された血漿生成物の量が血漿生成物の目標体積に達するまで全血の処理を続けるように構成されている、システム。
【0216】
第21の実施形態では、血漿を収集するためのシステムが提供される。このシステムは、全血を血漿生成物と濃縮細胞を含む第2の血液成分とに分離するように構成された分離器を含み、血液分離器は、血漿生成物を血漿生成物収集容器に送るように構成された血漿ラインに結合された血漿出力ポートと、全血を分離器に導入するように構成されたドナーラインであって、ドナーラインを通る流れは第1のポンプによって制御されるドナーラインと、抗凝固剤供給源に結合された抗凝固剤ラインであって、抗凝固剤ラインを通る流れは抗凝固剤比に基づいて抗凝固剤をドナーからの全血と混合するために第2のポンプによって制御される抗凝固剤ラインと、オペレータからの入力を受信するように構成された入力装置と、システムの動作を制御するように構成された制御回路とを含み、制御回路は、入力装置に結合され、ドナーの体重を受け取り、少なくともドナーの体重に基づいてドナーの細胞外液量を計算し、細胞外液量に少なくとも部分的に基づいて血漿生成物および/または未加工の血漿の目標量を計算するように構成されており、制御回路は、ドナーから全血を採取し、全血を血漿生成物と第2の血液成分とに分離し、第2の血液成分をドナーに戻すために採取段階および返送段階を動作させるようにシステムを制御するように構成されており、ここで、制御回路はさらに、収集容器内の血漿生成物の体積が血漿生成物および/または未加工の血漿の目標量を満たすまで、採取段階および返送段階を動作させるように構成されている。
【0217】
第22の実施形態では、制御回路は、ドナー管理システムからネットワークを介してドナーの体重および身長を受信するように構成され、ドナー管理システムは適格性スクリーニングに使用される、第21の実施形態のシステムを含む。
【0218】
第23の実施形態は、血漿生成物および/または未加工の血漿の目標量がドナーからの採血を開始する前に計算される、第21の実施形態のシステムを含む。
【0219】
第24の実施形態は、第21の実施形態のシステムを含み、制御回路は、収集容器内の血漿生成物の量を秤量し、収集容器内の未加工の血漿の体積を、少なくとも血漿生成物の重量および収集容器内の抗凝固剤のパーセンテージに基づいて計算することによって、収集容器内の未加工血漿の量が未加工血漿の目標量を満たすかどうか判断するように構成されている。
【0220】
第25の実施形態は、第21の実施形態のシステムを含み、制御回路は、ドナーの体重(W)、身長および性別に基づいてドナーの細胞外液量を細胞外液体積(ECFV)として、女性の場合はECFV=0.0399×W0.6065×H0.6217、男性の場合はECFV=0.0755×W0.6185×H0.4982となるように計算するように構成される。
【0221】
第26の実施形態は、第21の実施形態のシステムを含み、制御回路は、ドナーの細胞外液量のパーセンテージを計算することによって、血漿生成物および/または未加工の血漿の目標体積を計算するように構成される。
【0222】
第27の実施形態は、第21の実施形態のシステムを含み、制御回路は、採取サイクルと返送サイクルを少なくとも3回実行するように構成され、制御回路は、より前の採取段階で採取された体積とは異なる、最終段階で採取される全血の体積を決定するように構成される。
【0223】
第28の実施形態は、第21の実施形態のシステムを含み、制御回路は、ドナーの体重(BM)および身長(H)に基づいてドナーの細胞外液量を細胞外液体積(ECFV)をとして、ECFV(L)=0.02154×BM0.6469(kg)×H0.7236(cm)となるように計算するように構成される。
【0224】
第29の実施形態は、第21の実施形態のシステムを含み、制御回路は、体重(BM)および身長(H)に基づいてドナーの細胞外液量を細胞外液体積(ECFV)として、ECFV(L)=√(BM(kg))×H(m)となるように計算するように構成される。
【0225】
第30の実施形態は、第21の実施形態のシステムを含み、制御回路は、ドナーの体重(BM)に基づいてドナーの細胞外液量を細胞外液重量(ECFW)として、ECFW(kg)=0.135×BM(kg)+7.35kgとなるように計算するように構成される。
【0226】
第31の実施形態では、血漿を収集する方法が提供される。この方法には以下が含まれる。(a)ドナーの体重を判断する工程。(b)ドナーの体重に少なくとも部分的に基づいてドナーの細胞外液量を計算する工程。(c)ドナー細胞外液量の計算されたパーセンテージに少なくとも部分的に基づいて、収集する目標血漿体積を計算する工程。(d)静脈アクセス装置および血液成分分離装置に接続された第1のラインを介してドナーから全血を採取する工程。(e)抗凝固剤ラインを介して、採取された全血に抗凝固剤を導入する工程。(f)採取した全血を血漿成分と少なくとも第2の血液成分とに分離する工程。(g)血液成分分離装置から血漿成分を血漿収集容器に収集する工程。(h)血漿収集容器内で収集すべき目標血漿体積に達するまで、工程(d)から(g)を継続する工程。
【0227】
第32の実施形態は、第31の実施形態の方法を含み、収集すべき目標血漿体積が目標未加工血漿体積である。
【0228】
第33の実施形態は、第31の実施形態の方法を含み、ドナーの細胞外液量は、ドナーの体重(BM)および身長(H)に基づいて細胞外液体積(ECFV)として、ECFV(L)=0.2154×BM0.6469(kg)×H0.7236(cm)となるように計算される。
【0229】
第34の実施形態は、第31の実施形態の方法を含み、制御回路は、体重(W)、身長(H)、およびドナーの性別に基づいてドナーの細胞外液量を細胞外液体積(ECFV)として、女性の場合はECFV=0.0399×W0.6065×H0.6217、男性の場合はECFV=0.0755×W0.6185×H0.4982となるように計算するように構成される。
【0230】
第35の実施形態は、第31の実施形態の方法を含み、ドナーの細胞外液量が、ドナーの体重(BM)に基づいて細胞外液重量(ECFW)として、ECFW(kg)=0.135×BM(kg)+7.35kgとなるように計算される。
【0231】
第36の実施形態は、血漿を収集するためのシステムが提供されることを含む。このシステムは、全血を血漿生成物と濃縮細胞を含む第2の血液成分とに分離するように構成された血液分離器を含み、血液分離器は、血漿生成物を血漿生成物収集容器に送るように構成された血漿ラインに結合された血漿出力ポートを有し、ドナーラインを含み、ドナーラインはドナーからの全血を血液分離器に導入するように構成され、ドナーラインを通る流れは第1のポンプによって制御され、抗凝固ラインを含み、抗凝固剤ラインは抗凝固剤供給源に結合され、抗凝固剤比に基づいて抗凝固剤をドナーからの全血と混合するために抗凝固剤ラインを通る流れは第2のポンプによって制御され、オペレータからの入力を受信するように構成された入力装置と、システムの動作を制御するようにプログラムされた制御回路とを含み、制御回路は入力装置に接続され、少なくともドナーの体重を受け取り、ドナーの体重に基づいてドナーの細胞外液量を推定し、ドナーの細胞外液量に少なくとも部分的に基づいて血漿生成物および/または未加工の血漿の目標体積を判断し、ドナーから全血を採取し、全血を血漿生成物と第2の血液成分に分離し、第2の血液成分をドナーに戻すための採取段階および返送段階を動作させるようにシステムを制御するようにプログラムされており、制御回路は、採取段階と返送段階を少なくとも3回実行するようにプログラムされ、制御回路は、先の採取で採取された全血の体積よりも少ない体積の全血を採取することによって最終採取段階を実行するようにプログラムされている。
【0232】
第37の実施形態は、第36の実施形態のシステムを含み、制御回路は、適格性スクリーニングに使用されるドナー管理システムからネットワークを介してドナーの身長、性別、及びヘマトクリット(Hct)を受信するようにプログラムされている。
【0233】
第38の実施形態は、第36の実施形態のシステムを含み、制御回路は、収集容器内の未加工血漿(VRP)の体積が未加工の血漿の目標体積に等しくなるまで、採取段階と返送段階を動作させるようにさらに構成され、未加工の血漿の体積(VRP)は測定された血漿生成物(VPP)の体積に基づく。
【0234】
第39の実施形態は、第36の実施形態のシステムを含み、制御回路は、ドナーの体重(BM)および身長(H)に基づいてドナーの細胞外液量を細胞外液体積(ECFV)として、ECFV(L)=0.02154×BM0.6469(kg)×H0.7236(cm)となるように計算するように構成される。
【0235】
第40の実施形態は、第36の実施形態のシステムを含み、制御回路は、ドナーの体重(BM)および身長(H)に基づいてドナーの細胞外液量を細胞外液体積(ECFV)としてECFV(L)=√(BM(kg))×H(m)となるように計算するように構成される。
【0236】
第41の実施形態では、血漿生成物が複数の収集段階で収集され、その間に分離された赤血球がドナーに再注入される、血漿を収集するための方法が提供される。この方法は、a)ドナーの全血の体積(V)およびヘマトクリット(Hct)を決定することと、b)ドナーから収集できる未加工の血漿(VRP)の体積を決定することと、c)収集できる血漿生成物(VPP)の体積を決定することとを含み、ここで、血漿生成物は、未加工の血漿の体積に抗凝固剤の体積を加えたものを含み、d)ドナーから全血を採取することと、e)採取された全血に抗凝固剤を特定の比率(ACR)で導入することと、f)採取された全血を、血漿生成物と赤血球を含む第2の成分とに分離することと、g)血漿生成物を血漿収集容器に収集することと、h)所望の量の全血がドナーから採取された後、赤血球をドナーに戻すことと、i)各収集段階の前にドナーのHctおよびVPPを決定することとを含む。
【0237】
第42の実施形態は、第41の実施形態を含み、工程d)~i)は、収集容器内の血漿生成物の測定された体積がVPPに等しくなるまで継続される。
【0238】
第43の実施形態では、血漿生成物が複数の収集段階で収集され、その間に分離された赤血球がドナーに再注入される、血漿を収集するための方法が提供される。この方法は、a)ドナーの全血の体積(V)およびヘマトクリット(Hct)を決定することと、b)Vに基づいてドナーから収集できる未加工の血漿の体積(VRP)を決定することと、c)抗凝固剤比(ACR)およびドナーのHctに基づいて、VAC=VRP×(ACR×(1-Hct))となるように、VRPに添加されるべき抗凝固剤の体積VACを決定することと、d)収集され得る血漿生成物(VPP)の体積を決定することとを含み、ここで、血漿生成物は、未加工の血漿の体積(VRP)と抗凝固剤の体積(VAC)とを含み、e)ドナーから全血を採取することと、f)採取された全血に抗凝固剤を特定の比率(ACR)で導入することと、g)採取した全血を血漿生成物と赤血球を含む第2の成分とに分離することと、h)血漿生成物を血漿収集容器に収集することと、i)所望の量の全血がドナーから採取された後、赤血球をドナーに戻すことと、j)各収集段階の前にドナーのHctおよびVPPを決定することを含む。
【0239】
第44の実施形態は、第43の実施形態を含み、工程d)~j)は、収集容器内の血漿生成物の測定された体積がVPPに等しくなるまで継続される。
【0240】
第45の実施形態は、第43と第44の実施形態のいずれかを含み、Vは、ドナーの体重、身長、性別、年齢、および形態を含む1つまたは複数のドナー固有の特性に基づいて決定される。
【0241】
第46の実施形態では、アフェレーシス処置においてある体積の血漿生成物(VPP)を収集するための方法が提供され、この方法では、血漿生成物が複数の収集段階で収集され、その間に分離された赤血球がドナーに再注入される。この方法では、VPPは、ドナーから採取できる未加工の血漿(VRP)の体積に、アフェレーシス処置中にVRPに添加される抗凝血剤の体積(VAC)を加えたものに等しい。この方法の工程は、a)ドナーの体重(Wkg)および性別(男性または女性)を決定することと、b)ドナーのヘマトクリット(Hct)を決定することと、c)ドナーの体重(Wkg)および性別(男性または女性)に基づいて採取できる未加工の血漿の体積(VRP)を決定することと、d)VPPとVRPとの間の比Kを、K=VPP/VRPとなるように、抗凝固剤比およびドナーのHctに基づいて決定する工程と、e)VPP=VRP×KとなるようにVPPを決定することと、f)ドナーから全血を採取することと、g)採取された全血に抗凝固剤を特定の比率(ACR)で導入することと、h)採取した全血を血漿生成物と赤血球を含む第2の成分とに分離することと、i)血漿生成物を血漿収集容器に収集することと、j)所望の量の全血がドナーから採取された後、赤血球をドナーに戻すことと、k)各収集段階の前にドナーのHctおよび目標VPPを決定することとを含む。
【0242】
第47の実施形態は、第46の実施形態を含み、収集容器内の血漿生成物の測定された体積がVPPに等しくなるまで、工程c)~k)が繰り返される。好ましくは、K=VPP/VRP=(ACR×(1-Hct/100)+1)/(ACR×(1-HCT/100))である。
【0243】
第48の実施形態では、アフェレーシス手順においてある体積の血漿生成物(VPP)を収集するための方法が提供され、この方法では、血漿生成物が複数の収集段階で収集され、その間に分離された赤血球がドナーに再注入される。この方法では、VPPは、ドナーから収集できる未加工の血漿の体積(VRP)と、アフェレーシス処置中にVRPに添加される抗凝血剤の体積(VAC)とを加算したものに等しい。この方法の工程は、a)ドナーの体重(Wkg)および性別(男性または女性)を決定することと、b)ドナーのヘマトクリット(Hct)を決定することと、c)ドナーの体重(Wkg)およびドナーの性別(男性または女性)に基づいて収集できる未加工の血漿の体積(VRP)を決定することと、d)抗凝固剤比(ACR)およびドナーのHctに基づいて、VAC=VRP×(ACR×(1-Hct))となるように、VRPに加えられるVACを決定することと、e)VPP=VRP+VACとなるようにVPPを決定することと、f)ドナーから全血を採取することと、g)採取された全血に特定の比率(ACR)で抗凝固剤を導入することと、h)採取した全血を血漿生成物と赤血球を含む第2の成分とに分離することと、i)血漿生成物を血漿収集容器に収集することと、j)所望の量の全血がドナーから採取された後、赤血球をドナーに戻すことと、k)各収集段階の前にドナーのHctおよびVPPを決定することとを含む。
【0244】
第49の実施形態は、第48の実施形態を含み、工程d)~k)は、収集容器内の血漿生成物の測定された体積がVPPに等しくなるまで継続される。
【0245】
第50の態様は、第48と第49の実施形態のいずれかを含み、VRPは、複数のドナー体重範囲のそれぞれについてVRPを確立し、ドナーの体重を含む体重範囲についてVRPを選択することによって決定される。ドナーの体重の範囲は、110~149ポンド、150~174ポンド、および175ポンド以上の3つのカテゴリに分類できる。
【0246】
第51の実施形態では、VRP=K×Wkgである。
【0247】
第52の実施形態では、VRPは(1-Hct)×(V)の28.6%以下である。
【0248】
第53の実施形態では、Vは、ナドラーの方程式、ギルチャーの5法則、ICSHの標準、およびその他の一般的に受け入れられている方法論のうちの1つを使用して決定される。
【0249】
第54の実施形態では、VRP=Wkg×10mL/kgである。
【0250】
第55の実施形態では、ドナーの総血液体積(V)を推定するためにドナーパラメータが使用される場合、VRP=K×Vである。
【0251】
第56の実施形態では、再利用可能なハードウェア構成要素および使い捨てキットを含む、全血から血漿を分離するための自動システムが提供される。使い捨てキットはさらに、i)全血を血漿画分と濃縮細胞画分に分離するための分離器であって、ドナーから分離器に全血を輸送するための血液ラインが一体的に接続された入力部を有する分離器と、血漿ラインによって血漿収集容器に一体的に接続された血漿出力ポートと、ドナーに再注入する前に濃縮細胞を受け取るための貯留部に一体的に接続された濃縮細胞出口ポートと、ii)血液ラインに一体的に接続され、抗凝固剤をドナーラインに輸送するために抗凝固剤の供給源に接続されるように構成された抗凝固剤ライン、iii)生理食塩水を血液ラインに輸送するために生理食塩水の供給源に取り付けられるように構成された生理食塩水ライン、およびiv)濃縮された細胞を貯留部からドナーラインに輸送するための再注入ラインとを備える。再利用可能なハードウェア構成要素にはさらに、i)収集段階中に血液ラインに制御された速度で抗凝固剤を送達するための第1の蠕動ポンプと、ii)収集段階中に抗凝固処理された全血を分離器に送達し、再注入段階中に濃縮された細胞成分を返送するための第2のポンプと、iii)収集段階中に濃縮された細胞成分を分離器から貯留部に送達するための第3のポンプと、iv)血液ライン、血漿ライン、再注入ラインおよび生理食塩水ラインのそれぞれに関連付けられたクランプと、v)血漿収集容器、貯留部および抗凝固剤源のそれぞれの重量を量る重量計、および、vi)オペレータからの入力を受信するためのタッチスクリーンを備えるプログラム可能な制御部であって、プログラム可能な制御部は、重量計のそれぞれから信号を受信し、第1のポンプ、第2のポンプ、および第3のポンプおよびクランプを自動的に動作させて、収集段階で全血を血漿画分と濃縮細胞画分に分離し、再注入段階では濃縮細胞をドナーに戻すように構成されている。プログラム可能な制御部はさらに、本明細書に記載される態様のいずれかに従って血漿収集容器内に収集される血漿画分の重量を決定し、制御部によって決定された血漿画分の重量に等しい血漿収集容器について血漿収集容器の重量計からの信号を受信すると収集段階を終了するように構成される。収集されるべき血漿生成物の目標量を決定する際に、制御部は、各サイクルの収集段階の前にドナーのヘマトクリットを計算するように構成され得る。代替的に、または追加的に、制御部は、ドナーのヘマトクリットを示すセンサーなどから信号を受信してもよい。さらに、血漿収集容器内の血漿生成物の量は、例えば、血漿収集に関連する重量計によって決定され得る。一実施形態では、分離器は回転膜分離器を含む。
【0252】
本願は、総血液体積、総血漿体積、細胞外液体積、および/または他のパラメータに基づいて目標未加工の血漿および/または血漿生成物を計算することを記載しているが、代替実施形態では、目標未加工の血漿および/または血漿生成物は、細胞内液量、間質液量、組織液量、血管内液量、脳脊髄液量、体内総水分量、リンパ量、経細胞液、有効循環体積、または他のドナーパラメータなどの1つまたは複数の他のドナーパラメータに基づいて計算され得る。目標の未加工の血漿および/または血漿生成物はさらに、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、重炭酸塩、および/またはリン酸塩などの陽イオンおよび陰イオンなどの電解質成分に少なくとも部分的に基づいて計算または決定され得る。
【0253】
説明される実施形態は、本発明の主題の原理の応用のいくつかを例示するものであることが理解されよう。当業者であれば、本明細書で個別に開示または請求される特徴の組み合わせを含む、特許請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、数多くの修正を行うことができる。これらの理由により、特許請求の範囲は上記の説明に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に記載されるものである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正の内容】
図16
【国際調査報告】