IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガンの特許一覧 ▶ カリッジ セラピューティクス,インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-MC4Rアゴニストペプチド 図1
  • 特表-MC4Rアゴニストペプチド 図2
  • 特表-MC4Rアゴニストペプチド 図3
  • 特表-MC4Rアゴニストペプチド 図4A
  • 特表-MC4Rアゴニストペプチド 図4B
  • 特表-MC4Rアゴニストペプチド 図5
  • 特表-MC4Rアゴニストペプチド 図6
  • 特表-MC4Rアゴニストペプチド 図7
  • 特表-MC4Rアゴニストペプチド 図8
  • 特表-MC4Rアゴニストペプチド 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】MC4Rアゴニストペプチド
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/08 20190101AFI20240829BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240829BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240829BHJP
   C07K 7/06 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
A61K38/08
A61P25/18
A61P3/04
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/12
A61P25/24
A61P13/12
A61P19/02
A61P29/00
C07K7/06 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512103
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 US2022075425
(87)【国際公開番号】W WO2023028538
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/236,485
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507238218
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン
(71)【出願人】
【識別番号】523444763
【氏名又は名称】カリッジ セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムス,サバンナ ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス,ルイス イー.
(72)【発明者】
【氏名】ソーヤー,トミ
(72)【発明者】
【氏名】コーン,ロジャー ディー.
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA09
4C084BA10
4C084BA17
4C084BA23
4C084BA26
4C084DC50
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA12
4C084ZA18
4C084ZA36
4C084ZA70
4C084ZA81
4C084ZA96
4C084ZB11
4C084ZC35
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA16
4H045CA40
4H045DA30
4H045EA27
4H045FA20
(57)【要約】
メラノコルチン4受容体(MC4R)アゴニストペプチド、ならびに摂食障害(例えば、過食)、代謝障害(例えば、正のエネルギー不均衡をもたらす障害)、感情/精神障害、及び/または食事性もしくは症候性の肥満の治療及び/または予防のためのその使用方法が本明細書に提供される。具体的には、他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC3R、MC5R)と比較してMC4Rに対して増強された選択性を示す、及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニストであるMC4Rアゴニストペプチドが本明細書に提供される。本明細書におけるペプチドは、他の既知のメラノコルチン受容体結合ペプチドと比較して、増強したインビトロ効力、インビボ有効性、薬物動態特性、及び/または安定性を示し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列:
X-AA1-AA1B-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-Y(配列番号1)に対して4つ以下の置換を有するペプチドを含む組成物であって、
式中、Xが、前記ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、クロロアセチル、または不存在であり、
AA1が、Arg、または不存在であり、
AA1Bが、Nle、または不存在であり、
AA2が、Cys、または不存在であり、
AA3が、D-Ala、Glu、D-Glu、D-Gly、D-Aib、Gly、Ala、NMe-Ala、Aib、Abu、D-Abu、または不存在であり、
AA4が、Arg、D-Arg、NMe-Arg、NMe-D-Arg、Cit、D-Cit、His、D-His、Nme-His、NMe-D-His、Pro、D-Orn、Orn、Homo-Arg、Homo-Cit、Homo-D-Cit、Pal(2’)、Pal(3’)、Pal(4’)、D-Pal(2’)、D-Pal(3’)、4-グアニジル-Dab、4-グアニジル-D-Dab、3-グアニジル-Dap、3-グアニジル-D-Dap、5-カルバモイル-Dab、5-カルバモイル-D-Dab、3-カルバモイル-Dap、3-カルバモイル-D-Dap、またはD-Pal(4’)であり、
AA5が、Phe、D-Phe、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、D-Phe(4-F)、D-Phe(4-tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-F)、Nal(2’)、D-Nal(2’)、Nal(1’)、D-Tyr、Tyr(4-OMe)、またはD-Tyr(4-OMe)、D-Hph、D-Bip、D-Tic、D-Dip、D-Trp、aMe-D-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、NMe-D-Phe、Phe(4-tBu)、Trp、Hph、Bip、Tic、Dip、D-Nal(1’)、aMe-Phe、Phe(4-NH-Ac)、NMe-Phe、Tyr、D-Nal(1’)、Phe(4-I)、D-Phe(4-I)、Phe(4-tBu)]、D-Phe(4-グアニジル)、またはPhe(4-グアニジル)であり、
AA6が、Arg、NMe-Arg、D-Arg、Cit、NMe-D-Arg、またはD-Citであり、
AA7が、Trp、D-Trp、NMe-Trp、Phe、D-Phe、D-Ala D-Nal(2’)、D-Tic、NMe-D-Trp、Ala、Nal(2’)、またはTicであり、
AA8が、Cysであり、
AA9が、Lys、Arg、または不存在であり、
AA10が、Pro、Phe、D-Phe、または不存在であり、
AA11が、Val、Gly、または不存在であり、
Yが、前記ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NHまたは不存在であり、
AA1Bが不存在である場合、AA1がAA2に結合し、
AA10が存在する場合、AA9が存在し、
AA11が存在する場合、AA9及びAA10が存在し、
前記ペプチドが、Arg-Cys-(D-Ala)-His-(D-Phe)-Arg-Trp-Cys(配列番号2)からなるものではない、前記組成物。
【請求項2】
前記ペプチドが、前記配列:
X-AA1-AA1B-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-Y(配列番号1)との100%の配列類似性を含み、
式中、Xが、前記ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、クロロアセチル、または不存在であり、
AA1が、Arg、または不存在であり、
AA1Bが、Nle、または不存在であり、
AA2が、Cys、または不存在であり、
AA3が、D-Ala、Glu、D-Glu、D-Gly、D-Aib、Gly、Ala、NMe-Ala、Aib、Abu、D-Abu、または不存在であり、
AA4が、Arg、D-Arg、NMe-Arg、NMe-D-Arg、Cit、D-Cit、His、D-His、Nme-His、NMe-D-His、Pro、D-Orn、Orn、Homo-Arg、Homo-Cit、Homo-D-Cit、Pal(2’)、Pal(3’)、Pal(4’)、D-Pal(2’)、D-Pal(3’)、4-グアニジル-Dab、4-グアニジル-D-Dab、3-グアニジル-Dap、3-グアニジル-D-Dap、5-カルバモイル-Dab、5-カルバモイル-D-Dab、3-カルバモイル-Dap、3-カルバモイル-D-Dap、またはD-Pal(4’)であり、
AA5が、Phe、D-Phe、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、D-Phe(4-F)、D-Phe(4-tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-F)、Nal(2’)、D-Nal(2’)、Nal(1’)、D-Tyr、Tyr(4-OMe)、またはD-Tyr(4-OMe)、D-Hph、D-Bip、D-Tic、D-Dip、D-Trp、aMe-D-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、NMe-D-Phe、Phe(4-tBu)、Trp、Hph、Bip、Tic、Dip、D-Nal(1’)、aMe-Phe、Phe(4-NH-Ac)、NMe-Phe、Tyr、D-Nal(1’)、Phe(4-I)、D-Phe(4-I)、Phe(4-tBu)]、D-Phe(4-グアニジル)、またはPhe(4-グアニジル)であり、
AA6が、Arg、NMe-Arg、D-Arg、Cit、NMe-D-Arg、またはD-Citであり、
AA7が、Trp、D-Trp、NMe-Trp、Phe、D-Phe、D-Ala D-Nal(2’)、D-Tic、NMe-D-Trp、Ala、Nal(2’)、またはTicであり、
AA8が、Cysであり、
AA9が、Lys、Arg、または不存在であり、
AA10が、Pro、Phe、D-Phe、または不存在であり、
AA11が、Val、Gly、または不存在であり、
Yが、前記ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NHまたは不存在であり、
AA1Bが不存在である場合、AA1がAA2に結合し、
AA10が存在する場合、AA9が存在し、
AA11が存在する場合、AA9及びAA10が存在し、
前記ペプチドが、Arg-Cys-(D-Ala)-His-(D-Phe)-Arg-Trp-Cys(配列番号2)からなるものではない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ペプチドが、前記配列:
X-AA1-AA1B-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-Y(配列番号1)を含み、
式中、Xが、前記ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、クロロアセチル、または不存在であり、
AA1が、Arg、または不存在であり、
AA1Bが、Nle、または不存在であり、
AA2が、Cys、または不存在であり、
AA3が、D-Ala、Glu、D-Glu、D-Gly、D-Aib、Gly、Ala、NMe-Ala、Aib、Abu、D-Abu、または不存在であり、
AA4が、Arg、D-Arg、NMe-Arg、NMe-D-Arg、Cit、D-Cit、His、D-His、Nme-His、NMe-D-His、Pro、D-Orn、Orn、Homo-Arg、Homo-Cit、Homo-D-Cit、Pal(2’)、Pal(3’)、Pal(4’)、D-Pal(2’)、D-Pal(3’)、4-グアニジル-Dab、4-グアニジル-D-Dab、3-グアニジル-Dap、3-グアニジル-D-Dap、5-カルバモイル-Dab、5-カルバモイル-D-Dab、3-カルバモイル-Dap、3-カルバモイル-D-Dap、またはD-Pal(4’)であり、
AA5が、Phe、D-Phe、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、D-Phe(4-F)、D-Phe(4-tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-F)、Nal(2’)、D-Nal(2’)、Nal(1’)、D-Tyr、Tyr(4-OMe)、またはD-Tyr(4-OMe)、D-Hph、D-Bip、D-Tic、D-Dip、D-Trp、aMe-D-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、NMe-D-Phe、Phe(4-tBu)、Trp、Hph、Bip、Tic、Dip、D-Nal(1’)、aMe-Phe、Phe(4-NH-Ac)、NMe-Phe、Tyr、D-Nal(1’)、Phe(4-I)、D-Phe(4-I)、Phe(4-tBu)]、D-Phe(4-グアニジル)、またはPhe(4-グアニジル)であり、
AA6が、Arg、NMe-Arg、D-Arg、Cit、NMe-D-Arg、またはD-Citであり、
AA7が、Trp、D-Trp、NMe-Trp、Phe、D-Phe、D-Ala D-Nal(2’)、D-Tic、NMe-D-Trp、Ala、Nal(2’)、またはTicであり、
AA8が、Cysであり、
AA9が、Lys、Arg、または不存在であり、
AA10が、Pro、Phe、D-Phe、または不存在であり、
AA11が、Val、Gly、または不存在であり、
Yが、前記ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NHまたは不存在であり、
AA1Bが不存在である場合、AA1がAA2に結合し、
AA10が存在する場合、AA9が存在し、
AA11が存在する場合、AA9及びAA10が存在し、
前記ペプチドが、Arg-Cys-(D-Ala)-His-(D-Phe)-Arg-Trp-Cys(配列番号2)からなるものではない、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
アミノ酸配列Arg-Cys-(D-Ala)-His-(D-Phe)-Arg-Trp-Cys(配列番号2)に対して、1~4つの置換または末端欠失を有するペプチドを含む組成物。
【請求項5】
前記ペプチドが、配列番号3~151のうちの1つから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ペプチドが、1つ以上の非タンパク質構成アミノ酸またはアミノ酸類似体を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
AA3が不存在であり、AA1Bが存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
AA3が存在し、AA1Bが不存在である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ペプチドの全てまたは一部が環式である、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
Xがクロロアセチルであり、AA1、AA1b、及びAA2が不存在であり、前記クロロアセチルが、AA8で前記Cysと反応して、チオエーテル結合環式ペプチドを形成する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ペプチドが、配列番号3~4及び74~90から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
配列番号1のAA2に対応するアミノ酸がCysであり、配列番号1のAA8に対応するアミノ酸がCysであり、前記配列番号1のAA2に対応するアミノ酸が、前記配列番号1のAA8に対応するアミノ酸に結合し、配列番号1のAA2~AA8に対応するペプチドセグメントが環式である、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記ペプチドが、前記配列番号1のAA2に対応するアミノ酸に結合した配列番号1のAA1またはAA1bに対応するアミノ酸、及び/または前記配列番号1のAA8に対応するアミノ酸に結合した配列番号1のAA9に対応するアミノ酸をさらに含む、請求項9または12に記載の組成物。
【請求項14】
前記ペプチドが、配列番号5~73及び91~151から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記ペプチドが、メラノコルチン4受容体(MC4R)アゴニストである、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記ペプチドが、メラノコルチン3受容体(MC3R)アンタゴニストである、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記ペプチドが、メラノコルチン3受容体(MC3R)部分アゴニストである、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
疾患、状態、または障害について対象を治療する方法であって、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物を対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
前記対象が、前記疾患、前記状態、または前記障害の原因または結果として、正のエネルギーバランスに罹患している、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記疾患、前記状態、または前記障害が、過食を特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記疾患、前記状態、または前記障害が、1つ以上の感情/精神症状を特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記疾患、前記状態、または前記障害が、肥満によって引き起こされるか、またはその結果である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、及び/または関節炎に罹患している、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、栄養療法、心理療法、または他の医薬品と同時投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記投与が、少なくとも1週間の期間、反復的に繰り返される、請求項18~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記投与が、毎日繰り返される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記投与が、少なくとも1ヶ月の期間、反復的に繰り返される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記投与が、少なくとも1年の期間、反復的に繰り返される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
状態、疾患、または障害の治療または予防における、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物の、使用。
【請求項30】
薬剤としての、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物の、使用。
【請求項31】
薬剤の製造に使用するための、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によって本明細書に組み込まれる、2021年8月24日に出願された米国仮特許出願第63/236,485号の利益を主張する。
【0002】
配列表
2022年8月24日に作成され、272,745バイトのファイルサイズを有する「39120-601_SEQUENCE_LISTING」と題された、本明細書と共に提出されたコンピュータ可読配列表のテキストは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
メラノコルチン4受容体(MC4R)アゴニストペプチド、ならびに摂食障害(例えば、過食)、代謝障害(例えば、正のエネルギー不均衡をもたらす障害)、感情/精神障害、及び/または食事性もしくは症候性の肥満の治療及び/または予防のための、その使用方法が本明細書に提供される。具体的には、他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC3R、MC5R)と比較してMC4Rに対して増強された選択性を示す、及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニストであるMC4Rアゴニストペプチドが本明細書に提供される。本明細書におけるペプチドは、他の既知のメラノコルチン受容体結合ペプチドと比較して、増強したインビトロ効力、インビボ有効性、薬物動態特性、及び/または安定性を示し得る。
【背景技術】
【0004】
肥満は、過剰な量の体脂肪を伴う多因子状態である。肥満は、心疾患、糖尿病、高血圧、及びある特定のがんなどの他の疾患及び健康問題のリスクを高める医学的問題である。多くの研究が、摂食を刺激する上での視床下部AgRP神経回路の重要な役割を確立しており、肥満の潜在的な治療薬として、これらの回路を抑制する薬理学的標的を特定することに熱心な努力が注がれてきた。食事性または症候性の肥満の治療/予防、上流の原因、及び下流の効果のための治療薬が必要である。
【発明の概要】
【0005】
メラノコルチン4受容体(MC4R)アゴニストペプチド、ならびに摂食障害(例えば、過食)、代謝障害(例えば、正のエネルギー不均衡をもたらす障害)、感情/精神障害、及び/または食事性もしくは症候性の肥満の治療及び/または予防のためのその使用方法が本明細書に提供される。具体的には、他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC3R、MC5R)と比較してMC4Rに対して増強された選択性を示す、及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニストであるMC4Rアゴニストペプチドが本明細書に提供される。本明細書におけるペプチドは、他の既知のメラノコルチン受容体結合ペプチドと比較して、増強したインビトロ効力、インビボ有効性、薬物動態特性、及び/または安定性を示し得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC4Rペプチド(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、70%以上のインビボ有効性(例えば、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%など)を示す。
【0007】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC3R、MC5R)よりも、MC4Rに対して選択性を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、MC3Rよりも、MC4Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC4Rアゴニストペプチド(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、MC1Rよりも、MC3Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC4Rアゴニストペプチド(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、MC2Rよりも、MC3Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC4Rアゴニストペプチド(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、MC5Rよりも、MC3Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。
【0008】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC4R、MC5R)よりも、MC3Rに対して選択性を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、MC4Rよりも、MC3Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC4Rアゴニストペプチド(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、MC1Rよりも、MC3Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC4Rアゴニストペプチド(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、MC2Rよりも、MC3Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC4Rアゴニストペプチド(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、MC5Rよりも、MC3Rに対して10倍以上の選択性(例えば、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、もしくはそれ以上、またはそれらの間の範囲)を示す。
【0009】
いくつかの実施形態では、摂食障害に罹患している対象にメラノコルチン4受容体(MC4R)アゴニストを投与することを含む、対象における(例えば、摂食障害(例えば、過食)、代謝障害(例えば、正のエネルギー不均衡をもたらす障害)、感情/精神障害、及び/または肥満を治療する)方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、摂食障害に罹患している対象にメラノコルチン3受容体(MC3R)アゴニストを投与することを含む、対象における(例えば、摂食障害(例えば、過食)、代謝障害(例えば、正のエネルギー不均衡をもたらす障害)、感情/精神障害、及び/または肥満を治療する)方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、対象(例えば、治療/予防される状態に罹患しているまたはそのリスクが増加している対象)にMC3R部分アゴニストを投与することを含む、対象における(例えば、摂食障害(例えば、過食)、代謝障害(例えば、正のエネルギー不均衡をもたらす障害)、感情/精神障害、及び/または肥満を治療する)方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、摂食障害は、過食を特徴とする。いくつかの実施形態では、摂食障害は、1つ以上の感情/精神症状を特徴とする。いくつかの実施形態では、摂食障害は、不安及び/または抑うつを特徴とする。いくつかの実施形態では、摂食障害は、ストレス誘発性過食である。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、ペプチドである。いくつかの実施形態では、ペプチドは、MC4Rアゴニスト及びMC3Rアンタゴニストの両方である。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、ペプチドである。いくつかの実施形態では、ペプチドは、MC4Rアゴニスト及びMC3R部分アゴニストの両方である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、完全アゴニストよりも小さい程度でMC3Rを活性化し、したがって、天然の完全アゴニストと競合することによって、MC3Rの活性化を低減する、MC3R部分アゴニストである。いくつかの実施形態では、MC3R部分アゴニストは、MC3Rを、完全活性化の50%未満(例えば、<40%、<30%、<20%、<10%、<5%など)まで活性化する。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1週間(例えば、1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上)の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、毎日繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、1日2回繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、隔日で繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、毎週繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1ヶ月(例えば、1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上)の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1年の期間、反復的に繰り返される。
【0010】
いくつかの実施形態では、配列:X-AA1-AA1B-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-Y(配列番号1)に対して4つ以下の置換を有するペプチドを含む組成物が、本明細書で提供され、式中、Xは、ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、クロロアセチル、または不存在であり、AA1は、Arg、または不存在であり、AA1Bは、Nle、または不存在であり、AA2は、Cys、または不存在であり、AA3は、D-Ala、Glu、D-Glu、D-Gly、D-Aib、Gly、Ala、NMe-Ala、Aib、Abu、D-Abu、または不存在であり、AA4は、Arg、D-Arg、NMe-Arg、NMe-D-Arg、Cit、D-Cit、His、D-His、Nme-His、NMe-D-His、Pro、D-Orn、Orn、Homo-Arg、Homo-Cit、Homo-D-Cit、Pal(2’)、Pal(3’)、Pal(4’)、D-Pal(2’)、D-Pal(3’)、4-グアニジル-Dab、4-グアニジル-D-Dab、3-グアニジル-Dap、3-グアニジル-D-Dap、5-カルバモイル-Dab、5-カルバモイル-D-Dab、3-カルバモイル-Dap、3-カルバモイル-D-Dap、またはD-Pal(4’)であり、AA5は、Phe、D-Phe、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、D-Phe(4-F)、D-Phe(4-tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-F)、Nal(2’)、D-Nal(2’)、Nal(1’)、D-Tyr、Tyr(4-OMe)、またはD-Tyr(4-OMe)、D-Hph、D-Bip、D-Tic、D-Dip、D-Trp、aMe-D-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、NMe-D-Phe、Phe(4-tBu)、Trp、Hph、Bip、Tic、Dip、D-Nal(1’)、aMe-Phe、Phe(4-NH-Ac)、NMe-Phe、Tyr、D-Nal(1’)、Phe(4-I)、D-Phe(4-I)、Phe(4-tBu)]、D-Phe(4-グアニジル)、またはPhe(4-グアニジル)であり、AA6は、Arg、NMe-Arg、D-Arg、Cit、NMe-D-Arg、またはD-Citであり、AA7は、Trp、D-Trp、NMe-Trp、Phe、D-Phe、D-Ala D-Nal(2’)、D-Tic、NMe-D-Trp、Ala、Nal(2’)、またはTicであり、AA8は、Cysであり、AA9は、Lys、Arg、または不存在であり、AA10は、Pro、Phe、D-Phe、または不存在であり、AA11は、Val、Gly、または不存在であり、Yは、ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NH、または不存在であり、AA1Bが不存在である場合、AA1はAA2に結合し、AA10が存在する場合、AA9は存在し、AA11が存在する場合、AA9及びAA10は存在し、ペプチドは、Arg-Cys-(D-Ala)-His-(D-Phe)-Arg-Trp-Cys(配列番号2)からなるものではない。
【0011】
いくつかの実施形態では、配列:X-AA1-AA1B-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-Y(配列番号1)に対して100%の配列類似性を有するペプチドを含む組成物が、本明細書で提供され、式中、Xは、ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、クロロアセチル、または不存在であり、AA1は、Arg、または不存在であり、AA1Bは、Nle、または不存在であり、AA2は、Cys、または不存在であり、AA3は、D-Ala、Glu、D-Glu、D-Gly、D-Aib、Gly、Ala、NMe-Ala、Aib、Abu、D-Abu、または不存在であり、AA4は、Arg、D-Arg、NMe-Arg、NMe-D-Arg、Cit、D-Cit、His、D-His、Nme-His、NMe-D-His、Pro、D-Orn、Orn、Homo-Arg、Homo-Cit、Homo-D-Cit、Pal(2’)、Pal(3’)、Pal(4’)、D-Pal(2’)、D-Pal(3’)、4-グアニジル-Dab、4-グアニジル-D-Dab、3-グアニジル-Dap、3-グアニジル-D-Dap、5-カルバモイル-Dab、5-カルバモイル-D-Dab、3-カルバモイル-Dap、3-カルバモイル-D-Dap、またはD-Pal(4’)であり、AA5は、Phe、D-Phe、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、D-Phe(4-F)、D-Phe(4-tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-F)、Nal(2’)、D-Nal(2’)、Nal(1’)、D-Tyr、Tyr(4-OMe)、またはD-Tyr(4-OMe)、D-Hph、D-Bip、D-Tic、D-Dip、D-Trp、aMe-D-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、NMe-D-Phe、Phe(4-tBu)、Trp、Hph、Bip、Tic、Dip、D-Nal(1’)、aMe-Phe、Phe(4-NH-Ac)、NMe-Phe、Tyr、D-Nal(1’)、Phe(4-I)、D-Phe(4-I)、Phe(4-tBu)]、D-Phe(4-グアニジル)、またはPhe(4-グアニジル)であり、AA6は、Arg、NMe-Arg、D-Arg、Cit、NMe-D-Arg、またはD-Citであり、AA7は、Trp、D-Trp、NMe-Trp、Phe、D-Phe、D-Ala D-Nal(2’)、D-Tic、NMe-D-Trp、Ala、Nal(2’)、またはTicであり、AA8は、Cysであり、AA9は、Lys、Arg、または不存在であり、AA10は、Pro、Phe、D-Phe、または不存在であり、AA11は、Val、Gly、または不存在であり、Yは、ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NH、または不存在であり、AA1Bが不存在である場合、AA1はAA2に結合し、AA10が存在する場合、AA9は存在し、AA11が存在する場合、AA9及びAA10は存在し、ペプチドは、Arg-Cys-(D-Ala)-His-(D-Phe)-Arg-Trp-Cys(配列番号2)からなるものではない。
【0012】
いくつかの実施形態では、配列:X-AA1-AA1B-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-Y(配列番号1)を有するペプチドを含む組成物が、本明細書で提供され、式中、Xは、ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、クロロアセチル、または不存在であり、AA1は、Arg、または不存在であり、AA1Bは、Nle、または不存在であり、AA2は、Cys、または不存在であり、AA3は、D-Ala、Glu、D-Glu、D-Gly、D-Aib、Gly、Ala、NMe-Ala、Aib、Abu、D-Abu、または不存在であり、AA4は、Arg、D-Arg、NMe-Arg、NMe-D-Arg、Cit、D-Cit、His、D-His、Nme-His、NMe-D-His、Pro、D-Orn、Orn、Homo-Arg、Homo-Cit、Homo-D-Cit、Pal(2’)、Pal(3’)、Pal(4’)、D-Pal(2’)、D-Pal(3’)、4-グアニジル-Dab、4-グアニジル-D-Dab、3-グアニジル-Dap、3-グアニジル-D-Dap、5-カルバモイル-Dab、5-カルバモイル-D-Dab、3-カルバモイル-Dap、3-カルバモイル-D-Dap、またはD-Pal(4’)であり、AA5は、Phe、D-Phe、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、D-Phe(4-F)、D-Phe(4-tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-F)、Nal(2’)、D-Nal(2’)、Nal(1’)、D-Tyr、Tyr(4-OMe)、またはD-Tyr(4-OMe)、D-Hph、D-Bip、D-Tic、D-Dip、D-Trp、aMe-D-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、NMe-D-Phe、Phe(4-tBu)、Trp、Hph、Bip、Tic、Dip、D-Nal(1’)、aMe-Phe、Phe(4-NH-Ac)、NMe-Phe、Tyr、D-Nal(1’)、Phe(4-I)、D-Phe(4-I)、Phe(4-tBu)]、D-Phe(4-グアニジル)、またはPhe(4-グアニジル)であり、AA6は、Arg、NMe-Arg、D-Arg、Cit、NMe-D-Arg、またはD-Citであり、AA7は、Trp、D-Trp、NMe-Trp、Phe、D-Phe、D-Ala D-Nal(2’)、D-Tic、NMe-D-Trp、Ala、Nal(2’)、またはTicであり、AA8は、Cysであり、AA9は、Lys、Arg、または不存在であり、AA10は、Pro、Phe、D-Phe、または不存在であり、AA11は、Val、Gly、または不存在であり、Yは、ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NH、または不存在であり、AA1Bが不存在である場合、AA1はAA2に結合し、AA10が存在する場合、AA9は存在し、AA11が存在する場合、AA9及びAA10は存在し、ペプチドは、Arg-Cys-(D-Ala)-His-(D-Phe)-Arg-Trp-Cys(配列番号2)からなるものではない。
【0013】
いくつかの実施形態では、アミノ酸配列Arg-Cys-(D-Ala)-His-(D-Phe)-Arg-Trp-Cys(配列番号2)に対して、1~4つの置換または末端欠失を有するペプチドを含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号3~151のうちの1つから選択される。いくつかの実施形態では、ペプチドは、1つ以上の非タンパク質構成アミノ酸またはアミノ酸類似体を含む。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチド中のいずれのLアミノ酸も、Dアミノ酸に置換され得る。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチド中のいずれのDアミノ酸も、Lアミノ酸に置換され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、環式である。いくつかの実施形態では、AA3は不存在であり、AA1bは存在する。いくつかの実施形態では、AA3は存在し、AA1bは不存在である。
【0014】
いくつかの実施形態では、ペプチドの全てまたは一部は環式である。
【0015】
いくつかの実施形態では、Xはクロロアセチルであり、AA1、AA1b、及びAA2は不存在であり、クロロアセチルは、AA8でCysと反応して、チオエーテル結合環式ペプチドを形成する。いくつかの実施形態では、そのようなチオエーテル結合環式ペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号3~4及び74~90から選択されるアミノ酸配列に対して0~4つの置換を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号3~4及び74~90から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、配列番号1のAA2に対応するアミノ酸はCysであり、配列番号1のAA8に対応するアミノ酸はCysであり、配列番号1のAA2に対応するアミノ酸は、配列番号1のAA8に対応するアミノ酸に結合し、配列番号1のAA2~AA8に対応するペプチドセグメントは環式である。いくつかの実施形態では、そのようなcys-cys結合環式ペプチドが提供される。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号1のAA2に対応するアミノ酸に結合した配列番号1のAA1またはAA1bに対応するアミノ酸、及び/または前記配列番号1のAA8に対応するアミノ酸に結合した配列番号1のAA9に対応するアミノ酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号5~73及び91~151から選択されるアミノ酸配列に対して0~4つの置換を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号3~4及び5~73及び91~151から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号3~151から選択されるアミノ酸配列に対して0~4つの置換を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号3~151から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、1つ以上の非タンパク質構成アミノ酸またはアミノ酸類似体を含む。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、環式である。
【0019】
いくつかの実施形態では、疾患、状態、または障害について対象を治療する方法であって、本明細書に記載のペプチドを含む組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、状態、または障害の原因または結果として、正のエネルギーバランスに罹患している。いくつかの実施形態では、組成物(ペプチド)は、正のエネルギーバランスを治療する(または予防する)ために投与される。いくつかの実施形態では、対象は、過食を特徴とする疾患、状態、または障害に罹患している。いくつかの実施形態では、組成物(ペプチド)は、過食を治療する(または予防する)ために投与される。いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の感情/精神症状を特徴とする疾患、状態、または障害に罹患している。いくつかの実施形態では、組成物(ペプチド)は、1つ以上の感情/精神症状を治療する(または予防する)ために投与される。いくつかの実施形態では、疾患、状態、または障害は、肥満によって引き起こされるか、またはその結果である。いくつかの実施形態では、組成物(ペプチド)は、肥満を治療する(または予防する)ために投与される。いくつかの実施形態では、対象は、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、及び/または関節炎に罹患している(またはそのリスクが増加している)。いくつかの実施形態では、組成物(ペプチド)は、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、及び/または関節炎を治療する(または予防する)ために投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、栄養療法、心理療法、または他の医薬品と同時投与される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1週間の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、毎日繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1ヶ月の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1年の期間、反復的に繰り返される。
【0020】
いくつかの実施形態では、状態、疾患、または障害の治療または予防における、本明細書に記載のペプチドを含む組成物の使用が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のペプチドを薬剤として含む組成物の使用が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、薬剤の製造に使用するための本明細書に記載のペプチドを含む組成物が本明細書に提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、メラノコルチン4受容体(MC4R)アゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニスト)ペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書における薬学的組成物のペプチドは、他のメラノコルチン受容体よりも、MC4R及び/またはMC3Rに対して選択的である。
【0022】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、肥満及び/または過食に関連するものなどの様々な状態の治療及び/または予防に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書におけるMC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニスト)ペプチドは、肥満、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、関節炎などの治療または予防に使用される。いくつかの実施形態では、対象は、肥満に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、食事性肥満に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、メラノコルチン-4受容体ハプロ不全に起因する肥満症候群に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、過食の、または肥満になるリスクがある。いくつかの実施形態では、対象は、肥満または過食障害から回復しており、再発のリスクがある。
【0023】
いくつかの実施形態では、摂食障害を治療する方法であって、摂食障害に罹患している対象に、本明細書のペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、摂食障害は、過食を特徴とする。いくつかの実施形態では、摂食障害は、1つ以上の感情/精神症状を特徴とする。いくつかの実施形態では、組成物は、栄養療法、心理療法、体重管理習慣、体重減少デバイス、肥満手術、食事療法、他の体重減少治療薬などと共に同時投与される。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書のペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)の投与を、少なくとも1週間の期間、反復的に繰り返す方法が提供される。いくつかの実施形態では、投与は、毎日繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1ヶ月の期間、反復的に繰り返される。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも1年の期間、反復的に繰り返される。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、摂食障害の治療または予防における、本明細書のペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)の使用が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本明細書のペプチドを薬剤として含む組成物(例えば、薬学的組成物)の使用が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、薬剤の製造を含む本明細書のペプチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)の使用が本明細書に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】セトメラノチドの薬理学的アッセイの結果。ヒトMC3R(青色)及びヒトMC4R(赤色)におけるセトメラノチドの濃度応答曲線を、hMC3RまたはhMC4R及びGScAMP22FcAMPセンサーを安定に発現するHEK-293細胞におけるスプリットルシフェラーゼcAMPセンサーダイナミックアッセイによって決定した。各データ点は、反復各3回の代表的な実験の平均±SEMを表す。データは、a-MSHのECmaxに対して正規化する。
図2】二重MC4Rアゴニスト、MC3Rアンタゴニスト特性を示す本明細書における例示的なペプチドの薬理学的アッセイの結果。ヒトMC3R(青色)及びヒトMC4R(赤色)におけるCTX-2205及びCTX-1214の濃度応答アゴニスト曲線を、hMC3RまたはhMC4R及びGScAMP22FcAMPセンサーを安定に発現するHEK-293細胞におけるスプリットルシフェラーゼcAMPセンサーダイナミックアッセイによって決定した。アンタゴニスト曲線は、EC80~EC90濃度のα-MSHの存在下で決定した。各データ点は、実験ごとに反復各3回の2つの実験の平均±SEMを表す。データは、a-MSHのECmaxに対して正規化する。
図3】対照ペプチドの血漿安定性試験の結果。示される化合物を、37℃、1mM濃度で、マウス血漿中でインキュベートした。40ulのアリコートを示された時間に除去し、200ng/mLのペプチド内部標準(IS)を含有する160μLの冷アセトニトリルを添加して反応を停止した。インキュベーション溶液を3500rpmで10分間遠心分離して、タンパク質を沈殿させた。LC/MS/MS分析を使用して、残っているペプチド%を決定した。
図4A】MC4R+/-マウスにおける有効性が改善したものを含む、例示的なMC4Rアゴニストペプチドの薬理学的特性(CTX-1211、CTX-1227、及びCTX-1228)。ヒトMC4R(赤色)、ヒトMC3R(青色)、ヒトMC5R(緑色)、及びヒトMC1R(黒色)において示されるペプチドの濃度応答アゴニスト曲線を、hMC1R、hMC3R、hMC4R、またはhMC5R、及びGScAMP22F cAMPセンサーを安定に発現するHEK-293細胞におけるスプリットルシフェラーゼcAMPセンサーダイナミックアッセイによって決定した。各データ点は、実験ごとに反復各3回の2つの実験の平均±SEMを表す。データは、a-MSHのECmaxに対して正規化する。
図4B】上記と同じで、hMC1Rにおける活性の低減を表すペプチドについて。挿入表は、各受容体について示されるリガンドのEC50値を示す。
図5】セトメラノチドに対する例示的なペプチドの薬物動態データ。10% DMSO及び10% PEG-400を含有するPBS中1.5mg/mLのペプチドを、IP注射(15mg/kg)により、雌のCD-1マウス(n=15)に与えた。所与の時点(0.5時間、2時間、4時間、7時間、及び24時間)で、脳試料を取り出し、後の調製及び分析のために即座に-80℃で凍結させ、ヘパリン化し較正したピペットを使用して血液試料を採取した。血液試料を15000rpmで10分間遠心分離した。次に、上層から血漿を採取した。血漿を、後の分析のために-80℃で凍結させた。示される時間でのペプチド濃度を、ブランク血漿及び脳試料中で非ゼロ標準を使用して、LC MS/MSによって決定した。
図6】セトメラノチドと比較した、CTX-1211、CTX-1227、及びCTX-1228によりMC4R+/-マウスにおける食物摂取の阻害の改善。例示的なペプチドにより、セトメラノチド対照と比較して、食物摂取の阻害が有意に改善する。試験は、8~24週齢の、条件ごとに7匹のMC4R+/-雄C57BL/6Jマウスを利用した。マウスを個別に収容した。動物に、150mLの生理食塩水を、3日間、または14時間の食物摂取量が処置前のレベルに戻ることによって示される動物の順応まで、毎日午後5時に注射した。次いで、動物を無作為化し、実験日にビヒクルまたはビヒクル中の薬物(2.5mg/kg)のいずれかを注射した。注射は、暗サイクルの開始の1時間前である午後5時に行った。次いで、午後8時(3時間)、午前7時(14時間)、及び翌日午後5時(24時間)に、食物消費量を決定した。バーは平均+SEMを示す。
図7】急性給餌試験の定量化。表は、8週齢の雄C57BL/6Jに高脂肪食を13週間給餌することによって生成された、食事誘発性肥満動物を使用した同様の実験からのデータと共に、図6からのデータの定量化を示す。
図8】慢性低用量注入試験。示されるペプチドを、42週齢の雄C57BL/6J MC4R+/-マウス(n=6~7)の肩甲下領域に皮下で埋め込んだAlzetミニポンプモデル#1002を介して、1200nmol/kg/日で投与した。示される日に測定した累積食物摂取量。データ点は平均+SEMを示す。
図9】二重MC4Rアゴニスト/MC3RアンタゴニストのICV投与による食物摂取の阻害。個別に収容した肥満雄C57BL/6Jマウスに、示されるビヒクルまたはペプチドのいずれかを、示される用量で、実験日に注射した。注射は、暗サイクルの開始の1時間前である午後5時に行った。次いで、食物摂取量を、化合物投与の3、6、16、または24時間後に決定した。バーは平均+SEMを示す。ペプチドを、側脳室に埋め込んだカニューレを介して、腹腔内(左)、または脳室内(ICV、右)に投与した。
【0027】
定義
本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法及び材料は、本明細書に記載の実施形態の実施または試験で使用することができるが、いくつかの好ましい方法、組成物、デバイス、及び材料が本明細書に記載される。しかしながら、本発明の材料及び方法が記載される前に、本発明は、ルーチンの実験及び最適化に従って変化し得るため、本明細書に記載される特定の分子、組成物、方法論、またはプロトコルに限定されないことを理解されたい。記述で使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明することのみを目的としており、本明細書に記載される実施形態の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0028】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。ただし、矛盾する場合は、定義を含む本明細書が優先される。したがって、本明細書に記載の実施形態の文脈では、以下の定義が適用される。
【0029】
本明細書において、また付属の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈によってそうでない旨が明確に示されない限り、複数への言及を含む。したがって、例えば、「アゴニストペプチド」への言及は、当業者に既知の1つ以上のアゴニストペプチド及びその等価物などへの言及である、などである。
【0030】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語及びその言語的変形は、追加の特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などの存在を除外することなく、列挙された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などの存在を示す。反対に、「からなる」という用語及びその言語的変形は、列挙された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などの存在を示し、通常付随する不純物を除いて、任意の未列挙の特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などを除く。「から本質的になる」という語句は、列挙された特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)など、及び組成物、システム、または方法の基本的な性質に実質的に影響を与えない任意の追加の特徴(複数可)、要素(複数可)、方法ステップ(複数可)などを示す。本明細書の多くの実施形態は、オープンな「~を含む(comprising)」という言葉を用いて説明される。かかる実施形態は、複数のクローズな「~からなる(consisting of)」及び/または「~から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態を包含し、これらの実施形態は代替的に、かかる言語を用いて特許請求または説明される場合もある。
【0031】
本明細書で使用される場合、「MC4Rアゴニスト」という用語は、MC4Rに結合し、MC4Rを促進して、その生物学的活性をMC4Rに対する天然のリガンド(例えば、α-メラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)または副腎皮質刺激ホルモン)と少なくとも同程度に生じさせる薬剤(例えば、ペプチドなど)を指す。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニストは、天然のMC3Rリガンドと同じ位置でMC4Rに結合する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「MC3Rアンタゴニスト」という用語は、MC3Rに結合し、MC3Rがその生物学的活性を生じさせることを阻害する薬剤(例えば、ペプチドなど)を指す。いくつかの実施形態では、MC3Rアンタゴニストは、天然のMC3Rリガンド(例えば、メラノサイト刺激ホルモン及び副腎皮質刺激ホルモン)と同じ位置でMC3Rに結合する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「MC3R部分アゴニスト」という用語は、MC3Rに結合し、MC3Rを促進して、その生物学的活性を、完全アゴニスト(例えば、MC3Rの天然アゴニスト(例えば、メラニン細胞刺激ホルモン及び副腎皮質刺激ホルモン)よりも小さい程度に生じさせる薬剤(例えば、ペプチドなど)を指す。いくつかの実施形態では、MC3R部分アゴニストは、天然のMC3Rリガンド(例えば、メラノサイト刺激ホルモン及び副腎皮質刺激ホルモン)と同じ位置でMC3Rに結合する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、広く、ヒト及び非ヒト動物(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、家禽類、魚、甲殻類など)を含むが、これらに限定されない、任意の動物を指す。本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、典型的には、疾患または状態のために治療されている対象を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「肥満」という用語は、過剰な体脂肪蓄積を伴う医学的状態を指し、人は、概して、体格指数(BMI;体重(kg)を身長の2乗(m)で除した値)が30以上である場合に肥満であると定義される。肥満は、最も一般的には、長期間にわたるエネルギー消費と比較して過剰な食物摂取に起因するエネルギー不均衡(「正のエネルギーバランス」)によって引き起こされる。肥満は、体全体に影響を及ぼす代謝疾患であり、糖尿病及び高脂血症の発症の可能性を高め、性機能障害、関節炎、及び心血管疾患の発生のリスクを高め、場合によってはがんの発症と関連付けられる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「疾患のリスクを有する対象」、例えば、「糖尿病のリスクを有する対象」または「高血圧のリスクを有する対象」という用語は、疾患を発症するための1つ以上のリスク因子(例えば、肥満、過食など)を有する対象を指す。特定の疾患に応じて、リスク因子は、性別、年齢、遺伝的素因、環境曝露、及び以前の疾患の事象、ライフスタイルなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な組成物の量を指す。有効量は、1回以上の投与、適用、または投与量で投与することができ、特定の製剤または投与経路に限定されることが意図されない。
【0038】
本明細書で使用される場合、「投与」及び「投与すること」という用語は、薬物、プロドラッグ、もしくは他の薬剤、または治療的治療を対象に、またはインビボ、インビトロ、もしくはエクスビボの細胞、組織、及び臓器に与える行為を指す。人体への例示的な投与経路は、脳または脊髄のくも膜下領域(髄腔内)、眼(眼内)、口腔(経口)、皮膚(局所または経皮)、鼻(経鼻)、肺(吸入)、口腔粘膜(頬側)、耳、直腸、膣を経由するもの、注射(例えば、静脈内、皮下、腫瘍内、腹腔内など)によるものなどであり得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「同時投与」及び「同時投与する」という用語は、少なくとも2つの薬剤(複数可)(例えば、MC4Rアゴニスト及び1つ以上の追加の治療薬)または療法の対象への投与を指す。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤または療法の同時投与は、同時である(例えば、単一の製剤/組成物で、または別個の製剤/組成物で)。他の実施形態では、第1の薬剤/療法は、第2の薬剤/療法の前に投与される。当業者は、使用される種々の薬剤または療法の製剤及び/または経路は異なり得ることを理解する。同時投与のための適切な投与量は、当業者によって容易に決定することができる。いくつかの実施形態では、薬剤または療法が同時投与される場合、それぞれの薬剤または療法は、それらの投与単独に適切であるよりも低い用量で投与される。よって、薬剤もしくは療法の同時投与が、潜在的に危険な(例えば、毒性の)薬剤(複数可)の必要投与量を低下させる、及び/または、2つ以上の薬剤の同時投与が、他方の薬剤の同時投与を介して、一方の薬剤の有益な効果に対する対象の感作をもたらす実施形態において、同時投与が特に望ましい。
【0040】
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」という用語は、活性剤と、不活性または活性の担体との組み合わせを指し、組成物を、インビトロ、インビボまたはエクスビボでの診断または治療用途に特に好適なものにする。
【0041】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」という用語は、対象に投与されたときに有害反応、例えば、毒性、アレルギー性、または免疫学的反応を実質的に生じない組成物を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン(例えば、油/水もしくは水/油エマルジョンなど)、及び様々な種類の湿潤剤、任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、ラウリル硫酸ナトリウム、等張及び吸収遅延剤、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)などを含むが、これらに限定されない標準的な薬学的担体のいずれかを指す。組成物は、安定剤及び防腐剤も含み得る。担体、安定剤及びアジュバントの例については、例えば、Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.,Mack Publ.Co.,Easton,Pa.(1975)を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、対象への投与時に、本発明の化合物またはその活性代謝産物もしくは残留物を提供することができる、本発明の化合物の任意の薬学的に許容される塩(例えば、酸または塩基)を指す。当業者に知られる通り、本発明の化合物の「塩」は、無機または有機酸及び塩基に由来し得る。酸の例としては、限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それら自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際に、中間物として有用な塩の調製において利用されてもよい。
【0044】
本明細書で使用される場合、「対象に上記化合物を投与するための説明書」という用語、及びその文法的等価物は、状態の治療のためにキットに含まれる組成物を使用するための説明書を含む(例えば、投薬、投与経路、患者固有の特性と治療的作用経過とを相関させるための治療医のための決定木を提供する)。
【0045】
「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及びアミノ酸類似体を指し、それらの構造がそのような立体異性体の形態を可能にする場合、別途指示されない限り、それらのD及びL立体異性体の全てを指す。本明細書の実施形態は、当業者によって理解される様々なアミノ酸の略語(1文字または3文字の略語)を指す。本明細書で定義されない任意のアミノ酸の略語は、それらの分野で許容される意味を指す。例えば、アミノ酸名の前にある「NMe」は、アミノ酸上の「N-メチル」基を指し、「Nle」は「ノルロイシン」であり、「Abu」は「α-アミノ酪酸」であり、「Aib」は「2-アミノイソ酪酸」であり、「Nal(2’)は「3-(2-ナフチル)-L-アラニン」であり、「tic」は「1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸」であり、「HpH」は「ホモフェニルアラニン」であり、「Bip」は「N-アルファ-Fmoc-ベータ-(4-ビフェニル)-L-アラニン」であり、「D-Phe(4tBu)」は「D-4-tert-ブチル-フェニルアラニン」であり、一般的なタンパク質構成アミノ酸の1文字または3文字の略語を以下に提供する。
【0046】
「タンパク質構成アミノ酸」という用語は、ヒト遺伝子コードのためにコードされる20のアミノ酸を指し、アラニン(AlaまたはA)、アルギニン(ArgまたはR)、アスパラギン(AsnまたはN)、アスパラギン酸(AspまたはD)、システイン(CysまたはC)、グルタミン(GlnまたはQ)、グルタミン酸(GluまたはE)、グリシン(GlyまたはG)、ヒスチジン(HisまたはH)、イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、リジン(LysまたはK)、メチオニン(MetまたはM)、フェニルアラニン(PheまたはF)、プロリン(ProまたはP)、セリン(SerまたはS)、トレオニン(ThrまたはT)、トリプトファン(TrpまたはW)、チロシン(TyrまたはY)、及びバリン(ValまたはV)を含む。セレノシステイン及びピロリジンもまた、タンパク質構成アミノ酸とみなされ得る。
【0047】
「非タンパク質構成アミノ酸」という用語は、天然にコードされていないか、またはいかなる生物の遺伝子コードにも見出されておらず、翻訳中にタンパク質に生合成的に組み込まれていないアミノ酸を指す。非タンパク質構成アミノ酸は、「非天然アミノ酸」(天然には存在しないアミノ酸)または「天然に存在する非タンパク質構成アミノ酸」(例えば、ノルバリン、オルニチン、ホモシステインなど)であり得る。非タンパク質構成アミノ酸の例は、限定するものではないが、アゼチジンカルボン酸、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、ベータアラニン、ナフチルアラニン、アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸(3-aminoisbutyric acid)、2-アミノピメリン酸、3級ブチルグリシン、2,4-ジアミノイソ酪酸、デスモシン、2,2’-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ホモプロリン、ヒドロキシリジン、アロ-ヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロ-イソロイシン、N-メチルアラニン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシンを含むN-アルキルグリシン、N-メチルペンチルグリシンを含むN-アルキルペンチルグリシン、N-メチルバリン、ナフチルアラニン、ノルバリン、ノルロイシン(「Norleu」)、オクチルグリシン、オルニチン、ペンチルグリシン、ピペコール酸、チオプロリン、ホモリジン、及びホモアルギニンを含む。非タンパク質構成には、本明細書のアミノ酸のいずれかのD-アミノ酸形態、ならびに本明細書のアミノ酸のいずれかの非アルファアミノ酸形態(ベータアミノ酸、ガンマアミノ酸、デルタアミノ酸など)も含まれ、これらは全て本明細書の範囲内であり、本明細書のペプチドに含まれ得る。
【0048】
「アミノ酸類似体」という用語は、C末端カルボキシ基、N末端アミノ基、及び側鎖生体活性基のうちの1つ以上が、化学的にブロックされているか、可逆的に、または不可逆的に、または別の生体活性基に改変されている、アミノ酸(例えば、天然または非天然、タンパク質構成または非タンパク質構成)を指す。例えば、アスパラギン酸-(ベータ-メチルエステル)は、アスパラギン酸のアミノ酸類似体であり、N-エチルグリシンは、グリシンのアミノ酸類似体であり、またはアラニンカルボキサミドは、アラニンのアミノ酸類似体である。他のアミノ酸類似体としては、メチオニンスルホキシド、メチオニンスルホン、S-(カルボキシメチル)-システイン、S-(カルボキシメチル)-システインスルホキシド及びS-(カルボキシメチル)-システインスルホンが挙げられる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「ペプチド」という用語は、オリゴマー~ペプチド結合によって互いに結合したアミノ酸の短いポリマーを指す。他のアミノ酸ポリマー(例えば、タンパク質、ポリペプチドなど)とは対照的に、ペプチドは、長さが約30アミノ酸以下である。ペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、タンパク質構成アミノ酸、非タンパク質構成アミノ酸、アミノ酸類似体、及び/または修飾アミノ酸を含んでもよい。ペプチドは、天然に存在するタンパク質のサブ配列または非天然(人工)配列であり得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「環式ペプチド」という用語は、直鎖配列において隣接していない2つのアミノ酸が結合してペプチド内にループを形成するペプチドの環式誘導体を指す。例えば、ペプチドまたはペプチドセグメントの環化を容易にするために、環化に好適な1つ以上の追加の基を加えてもよい。環式ペプチドは、分子内ジスルフィド結合(例えば、--S--S--)、2つの残基間の分子内アミド結合(例えば、--CONH--または--NHCO--)、分子内S-アルキル結合(例えば、nが1~6である、--S--(CH--CONH--または--NH--CO(CH--S--)などを含んでもよい。環化はまた、トリアジン化学によって実施されてもよい(例えば、全体が参照により組み込まれるScharn,D.et al.(2001)J.Org,Chem 66;507に例示される通り)。環式ペプチドまたはペプチドセグメントは、ペプチド配列の前の接頭辞「シクロ」及び括弧内の配列の環式部分で示される(例えば、「Arg-シクロ(Cys-D-Ala-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys)」であり、ここでは、2つのCys残基が結合して、「Cys-D-Ala-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys」の環式ペプチドセグメントを形成する)。
【0051】
本明細書で使用される場合、「人工的」という用語は、合成的に設計または調製され、天然に存在しない組成物及び系を指す。例えば、人工ペプチド、ペプトイド、または核酸は、非天然配列(例えば、天然タンパク質またはその断片と100%の同一性を持たないペプチド)を含むものである。
【0052】
本明細書で使用される場合、「保存的」アミノ酸置換は、ペプチドまたはポリペプチド中のアミノ酸を、サイズまたは電荷などの同様の化学的特性を有する別のアミノ酸で置換することを指す。本開示の目的のために、以下の8つの群のそれぞれは、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)及びグリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)及びグルタミン酸I;
3)アスパラギン(N)及びグルタミン(Q);
4)アルギニンI及びリジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、及びバリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W);
7)セリン(S)及びトレオニン(T);ならびに
8)システインI及びメチオニン(M)。
【0053】
天然に存在する残基は、共通の側鎖特性、例えば、極性陽性(または塩基性)(ヒスチジン(H)、リジン(K)、及びアルギニンI)、極性陰性(または酸性)(アスパラギン酸(D)、グルタミン酸I)、極性中性(セリン(S)、トレオニン(T)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q))、非極性脂肪族(アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M))、非極性芳香族(フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、プロリン及びグリシン、ならびにシステインに基づいて、クラスに分けられ得る。本明細書で使用される場合、「半保存的」アミノ酸置換は、ペプチドまたはポリペプチド中のアミノ酸の、同じクラス内の別のアミノ酸との置換を指す。
【0054】
いくつかの実施形態では、特に明記しない限り、保存的または半保存的アミノ酸置換は、天然残基と同様の化学的特性を有する非天然に存在するアミノ酸残基も包含してもよい。これらの非天然残基は、典型的には、生物学的システムにおける合成によってではなく、化学ペプチド合成によって組み込まれる。これらは、ペプチド模倣物及び他の逆転または反転形態のアミノ酸部分を含むが、これらに限定されない。本明細書の実施形態は、いくつかの実施形態では、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、及び/またはアミノ酸類似体に限定され得る。
【0055】
非保存的置換は、あるクラスのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを伴い得る。
【0056】
本明細書で使用される場合、「配列同一性」という用語は、2つのポリマー配列(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸など)が同じモノマーサブユニットの連続した組成を有する程度を指す。「配列類似性」という用語は、2つのポリマー配列(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸など)が、保存的及び/または半保存的アミノ酸置換によってのみ異なる程度を指す。「パーセント配列同一性」(または「パーセント配列類似性」)は、(1)比較ウィンドウ(例えば、より長い配列の長さ、より短い配列の長さ、特定のウィンドウなど)にわたって2つの最適に整列した配列を比較することと、(2)同一の(または類似の)モノマーを含む位置の数(例えば、両方の配列に同じアミノ酸があり、両方の配列に類似のアミノ酸がある)を決定して、一致した位置の数を得ることと、(3)一致した位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数(例えば、より長い配列の長さ、より短い配列の長さ、特定のウィンドウ)で除算することと、(4)結果を100で乗算して、配列同一性パーセントまたは配列類似性パーセントを得ることと、によって計算される。例えば、ペプチドA及びBが両方とも長さが20アミノ酸であり、1つの位置を除いて全て同一のアミノ酸を有する場合、ペプチドA及びペプチドBは、95%の配列同一性を有する。非同一の位置にあるアミノ酸が同じ生物物理学的特性を共有する場合(例えば、両方が酸性であった)、ペプチドA及びペプチドBは、100%の配列類似性を有するであろう。別の例として、ペプチドCが長さが20アミノ酸であり、ペプチドDが長さが15アミノ酸であり、ペプチドDの15アミノ酸のうち14アミノ酸がペプチドCの一部のアミノ酸と同一である場合、ペプチドC及びDは、70%の配列同一性を有するが、ペプチドDは、ペプチドCの最適比較ウィンドウに対して93.3%の配列同一性を有する。本明細書では、「配列同一性パーセント」(または「配列類似性パーセント」)を計算する目的で、整列配列における任意のギャップは、その位置でのミスマッチとして扱われる。
【0057】
参照配列番号(reference sequence ID number)と特定のパーセント配列同一性または類似性(例えば、少なくとも70%)を有するものとして本明細書に記載される任意のペプチドはまた、参照配列に関して最大数の置換(または末端欠失)を有するものとして表されてもよい。例えば、配列番号Z(例えば、20のアミノ酸)と少なくともY%の配列同一性(例えば、90%)を有する配列は、配列番号Zに対して最大Xの置換(例えば、2つ)を有してもよく、したがって、「配列番号Zに対してX(例えば、2つ)以下の置換を有する」と表現されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0058】
メラノコルチン4受容体(MC4R)アゴニストペプチド、ならびに摂食障害(例えば、過食)、代謝障害(例えば、正のエネルギー不均衡をもたらす障害)、感情/精神障害、及び/または食事性もしくは症候性の肥満の治療及び/または予防のためのその使用方法が本明細書に提供される。具体的には、他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC3R、MC5R)と比較してMC4Rに対して増強された選択性を示す、及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニストであるMC4Rアゴニストペプチドが本明細書に提供される。本明細書におけるペプチドは、他の既知のメラノコルチン受容体結合ペプチドと比較して、増強したインビトロ効力、インビボ有効性、薬物動態特性、及び/または安定性を示し得る。
【0059】
摂食及び体重の中枢調節は、主に視床下部及び後脳に位置する神経回路によって制御される(参照文献1~3、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。視床下部弓状核に位置する2つの神経細胞タイプのセット、アグーチ関連ペプチドニューロン(AgRPニューロン)及びプロ-オピオメラノコルチンニューロン(POMCニューロン)で構成される中枢メラノコルチン系は、この視床下部及び後脳回路に関与して、摂食及び体重を強力に調節する(参照文献4~6、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。AgRP及びPOMCニューロンは、大部分が重複する脳領域に投影して、摂食及び体重に相反する効果を及ぼす。例えば、AgRPニューロンは、メラノコルチン受容体アゴニスト/逆アゴニスト、アグーチ関連ペプチド(AgRP)、GABA、及びニューロペプチドYを合成及び放出して、摂食及び体重を刺激する(参照文献7、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。対照的に、POMCニューロンは、高速興奮性/阻害性神経伝達物質に加えて、内因性メラノコルチン受容体アゴニスト、アルファメラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)を合成し放出して、摂食を抑制し、体重を減らす(参照文献4、8、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0060】
視床下部AgRPニューロンは、摂食を刺激する上で強力な役割を果たす(参照文献6、9、10、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。成体マウスにおけるAgRPニューロンの焼灼は、飢餓及び死亡をもたらし、刺激は、十分に満足した動物における食物摂取及び体重を迅速かつ堅牢に刺激する(参照文献11~13、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。AgRPニューロン活性化は、摂食を刺激することに加えて、不安及び恐怖などの競合するニーズの状態も抑制し、それによって負のエネルギーバランスに応答した食物探索行動を促進する(参照文献14~15、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。肥満の潜在的な治療戦略として、AgRP神経回路を抑制する薬理学的標的を特定することに多くの努力がなされた。
【0061】
レプチン-メラノコルチン経路の構成要素であるメラノコルチン4受容体(MC4R)は、体重調節の一端を担う(Clement et al.The Lancet.2020 Dec;8(12):960-970.、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。プロオピオメラノコルチン(POMC)由来のペプチドは、メラノコルチン4受容体(MC4R)を発現するニューロンに作用して、体重を減少させる。セトメラノチドは、食事誘発性肥満動物及び完全POMC欠乏症を有する肥満個体において体重減少を生じさせる非常に強力なMC4Rアゴニストである(Collet et al.Mol Metab.2017 Oct;6(10):1321-1329.、その全体が参照により本明細書に組み込まれる):
【化1】

いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるペプチドは、配列類似性及び/または類似の環化モチーフを有する、セトメラノチドのバリアントである。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、セトメラノチドに対して、アミノ置換、欠失、付加などを含む。
【0062】
MC3Rは、主に脳内で発現されるGタンパク質共役型受容体であり、特に、視床下部弓状核で観察される高密度発現を有する(参照文献16~17、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。MC3RはAgRPニューロンで発現され、最近の研究は、MC3Rがこれらの細胞の食欲増進活性を調節する上で重要な役割を有することを示唆している(参照文献16、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、MC3Rノックアウトマウスは、絶食またはカロリー制限に応答した摂食の障害など、AgRPニューロンを活性化する条件において複数の欠陥を示す(参照文献18~20、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。MC3Rは、脳室周囲の視床下部(PVN)のシナプス前AgRP末端内で作用し、食欲不振誘発性PVNメラノコルチン4受容体発現ニューロンへのGABA放出を促進する(参照文献18、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。さらに、MC3Rは、成長及び思春期への成熟において発達的役割を果たす(参照文献62、その全体が参照により組み込まれる)。
【0063】
参照によりその全体が組み込まれる国際特許出願第2020257662号は、MC3Rアゴニストが、AgRPニューロン依存性様式で、摂食を刺激し、体重を増加させ、不安を軽減すること、MC3Rが、弓状AgRPニューロンにおいて高発現し、これらの細胞において、食欲不振誘発性POMCニューロンよりも顕著に高い発現であること、MC3Rアゴニスト治療が、ARC MC3Rニューロンの化学遺伝学的または光遺伝学的活性化を表現型模写し、摂食及び体重の両方を刺激すること、AgRPニューロンの化学遺伝学的阻害が、摂食を減少させること、ならびにMC3Rの標的化は、エネルギー代謝の障害と戦うための治療アプローチであること、を実証し、かつ記載している。
【0064】
本明細書の実施形態は、エネルギー代謝の状態(例えば、肥満)、摂食習慣(例えば、過食など)、またはその下流効果(例えば、高血圧、心疾患、糖尿病など)への所望の影響を達成するために、MC4Rの調節(例えば、活性化)を提供する。いくつかの実施形態では、MC4Rを活性化するためのMC4Rアゴニストペプチドは、対象に、及び/または1つ以上の追加の治療/療法と同時に投与される。
【0065】
本明細書のある特定の実施形態は、エネルギー代謝の状態(例えば、肥満)、摂食習慣(例えば、過食など)、またはその下流効果(例えば、高血圧、心疾患、糖尿病など)への所望の影響を達成するために、MC3Rの調節(例えば、阻害、または部分的でしかない活性化)を提供する。いくつかの実施形態では、MC3Rを阻害するためのMC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニストペプチドは、対象に、及び/または1つ以上の追加の治療/療法と同時に投与される。
【0066】
いくつかの実施形態では、過食、肥満、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、関節炎などの症状を、MC4Rアゴニストペプチドの投与を介して、対象におけるMC4Rの活性を増強することによって、治療、予防、及び/または改善する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、過食、肥満、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、関節炎などの症状を、MC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニストペプチドの投与を介して、対象におけるMC3Rの活性を阻害することによって、治療、予防、及び/または改善する方法が本明細書に提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、対象は、過食、肥満(例えば、食事性肥満、症候性肥満(例えば、メラノコルチン-4受容体ハプロ不全)など)、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、関節炎などに罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、肥満、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、関節炎などを発症するリスクがあるか、または前述の状態のうちの1つの再発を有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書では、セトメラノチド(配列番号2)の配列バリアントを含むMC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニスト)ペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、配列X-AA1-AA1B-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-Y(配列番号1)のペプチドが、本明細書で提供され、式中、Xは、ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合したN末端キャップ部分であり、アセチル、クロロアセチル、または不存在であり、AA1は、Arg、または不存在であり、AA1Bは、Nle、または不存在であり、AA2は、Cys、または不存在であり、AA3は、D-Ala、Glu、D-Glu、D-Gly、D-Aib、Gly、Ala、NMe-Ala、Aib、Abu、D-Abu、または不存在であり、AA4は、Arg、D-Arg、NMe-Arg、NMe-D-Arg、Cit、D-Cit、His、D-His、Nme-His、NMe-D-His、Pro、D-Orn、Orn、Homo-Arg、Homo-Cit、Homo-D-Cit、Pal(2’)、Pal(3’)、Pal(4’)、D-Pal(2’)、D-Pal(3’)、4-グアニジル-Dab、4-グアニジル-D-Dab、3-グアニジル-Dap、3-グアニジル-D-Dap、5-カルバモイル-Dab、5-カルバモイル-D-Dab、3-カルバモイル-Dap、3-カルバモイル-D-Dap、またはD-Pal(4’)であり、AA5は、Phe、D-Phe、D-Phe(4-Br)、D-Phe(4-I)、D-Phe(4-F)、D-Phe(4-tBu)、Phe(4-Br)、Phe(4-F)、Nal(2’)、D-Nal(2’)、Nal(1’)、D-Tyr、Tyr(4-OMe)、またはD-Tyr(4-OMe)、D-Hph、D-Bip、D-Tic、D-Dip、D-Trp、aMe-D-Phe、D-Phe(4-NH-Ac)、NMe-D-Phe、Phe(4-tBu)、Trp、Hph、Bip、Tic、Dip、D-Nal(1’)、aMe-Phe、Phe(4-NH-Ac)、NMe-Phe、Tyr、D-Nal(1’)、Phe(4-I)、D-Phe(4-I)、Phe(4-tBu)]、D-Phe(4-グアニジル)、またはPhe(4-グアニジル)であり、AA6は、Arg、NMe-Arg、D-Arg、Cit、NMe-D-Arg、またはD-Citであり、AA7は、Trp、D-Trp、NMe-Trp、Phe、D-Phe、D-Ala D-Nal(2’)、D-Tic、NMe-D-Trp、Ala、Nal(2’)、またはTicであり、AA8は、Cysであり、AA9は、Lys、Arg、または不存在であり、AA10は、Pro、Phe、D-Phe、または不存在であり、AA11は、Val、Gly、または不存在であり、Yは、ペプチドの最もC末端のアミノ酸に結合したC末端キャップであり、NH、または不存在であり、AA1Bが不存在である場合、AA1はAA2に結合し、AA10が存在する場合、AA9は存在し、AA11が存在する場合、AA9及びAA10は存在し、ペプチドは、Arg-Cys-(D-Ala)-His-(D-Phe)-Arg-Trp-Cys(配列番号2)からなるものではない。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号1と比較して、保存的または半保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、保存的または半保存的置換は、類似の特徴を有する非タンパク質性アミノ酸またはアミノ酸類似体も含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、配列X-AA1-AA1B-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-Y(配列番号1)と少なくとも70%(例えば、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、100%)の保存的配列類似性を有するペプチドが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、配列X-AA1-AA1B-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-Y(配列番号1)と少なくとも70%(例えば、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、100%)の半保存的配列類似性を有するペプチドが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、配列X-AA1-AA1B-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-Y(配列番号1)と少なくとも70%(例えば、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、>95%、100%)の配列同一性を有するペプチドが本明細書に提供される。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、配列番号2と比較して、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上)の置換または末端欠失を有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、または151のうちの1つ以上に対して4つ以下(例えば、4、3、2、1つ)の置換(例えば、保存的、半保存的、非保存的など)を有するペプチドが本明細書に提供される。
【0072】
いくつかの実施形態では、N末端キャップ部分は、ペプチドの最もN末端のアミノ酸に結合している。いくつかの実施形態では、N末端キャップ部分は、アセチル基である。いくつかの実施形態では、N末端キャップ部分は、クロロアセチル基である。N末端キャップがクロロアセチル基である実施形態では、N末端基は、ペプチド内のCys残基(例えば、AA8)と反応して、チオエーテル結合を形成し、チオエーテル環化ペプチド(環式ペプチド)を生じさせてもよい。いくつかの実施形態では、N末端キャップ部分は、薬物動態(PK)修飾基である。そのような群は参照文献59~61に記載されており(それらの全体が参照により組み込まれる)、PK修飾部分(例えば、4-ヨードフェニル、C18二酸など)、アミノ酸リンカー部分(例えば、Gly、γGluなど)、及びPEG部分(例えば、メトキシPEG(例えば、mPEG-2、mPEG-3、mPEG-4、mPEG-5、mPEG-6、またはそれ以上))を含む基を含む。いくつかの実施形態では、N末端キャップは、次の一般的な構造のものである。
【化2】
【0073】
PK修飾キャップの例としては、C18二酸-γGlu-mPEG2(PKcap1)及びアリール(4-I)-Gly-mPEG2(PKcap2)が挙げられる:
【化3】
【0074】
他のPK修飾キャップは、本明細書の範囲内である。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書のペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、修飾アミノ酸、非タンパク質構成アミノ酸、アミノ酸類似体などを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、ペプチドの全てまたは一部は環式である。例えば、表1及び表2に提供されるある特定のペプチドは、それらの表に示されるように、直鎖部分及び環式部分の両方を含む。いくつかの実施形態では、配列番号1のAA2に対応するアミノ酸はCysであり、配列番号1のAA8に対応するアミノ酸はCysであり、配列番号1のAA2に対応するアミノ酸は、配列番号1のAA8に対応するアミノ酸に結合し、配列番号1のAA2~AA8に対応するペプチドセグメントは環式である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号1のAA2に対応するアミノ酸に結合した配列番号1のAA1またはAA1Bに対応するアミノ酸、及び/または前記配列番号1のAA8に対応するアミノ酸に結合した配列番号1のAA9に対応するアミノ酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、表1または表2のペプチド、または本明細書の範囲内の他のペプチド(例えば、配列番号1に対応するもの)は、直鎖ペプチドとして提供されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書のペプチド(例えば、配列番号1に対応するペプチド、表1または2のペプチドなど)は、環式であるが、代替的な環化を含む。例えば、CysもしくはD-Cysまたは他の好適な残基によるペプチド内の残基間への挿入あるいは残基の置換により、AA2~AA8以外のペプチドセグメントの環化が可能になる。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、当該分野で理解され、本明細書に記載される方法によって環化されてもよい。例えば、ペプチドの配列内の第1のアミノ酸は、CysまたはD-Cysに置換されてもよく、ペプチドの第2のアミノ酸に対応するアミノ酸は、Cys、Orn、またはD-Cysに置換されてもよく、第1のアミノ酸に対応するアミノ酸は、第2のアミノ酸に結合し、ペプチドのそれらのアミノ酸間のペプチドセグメントを環式にする。本明細書のペプチド内のアミノ酸のいずれの対も環化に使用することができる。いくつかの実施形態では、AA1、AA1B、AA2、AA3、AA4、AA5、AA6、AA7、AA8、AA9、AA10、及びAA11のうちのいずれも、ペプチドの環式セクションを形成することが可能であり得る。例えば、5アミノ酸環状式グメントは、AA1とAA5との間、AA1BとAA6との間、AA2とAA7との間、AA3とAA8との間、AA4とAA9との間、AA5とAA10との間、またはAA6とAA11との間に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、4アミノ酸環式セグメントは、AA1とAA4との間、AA1BとAA5との間、AA2とAA6との間、AA3とAA7との間、AA4とAA8との間、AA5とAA9との間、AA6とAA10との間、またはAA7とAA11との間に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、6アミノ酸環式セグメントは、AA1とAA6との間、AA1BとAA7との間、AA2とAA8との間、AA3とAA9との間、AA4とAA10との間、またはAA5とAA11との間に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、環式部分のエンドポイントアミノ酸は、CysまたはD-Cys、及びCys、Orn、またはD-Cysである。したがって、いくつかの実施形態では、AA1~AA11のうちのいずれも、環式部分の位置に応じて、環式ペプチド中のCys、Orn、またはD-Cysであり得る。他の環式接続が本明細書の範囲内である。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のMC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、N末端及び/またはC末端で、1つ以上の追加のアミノ酸、ペプチド、タンパク質、または他の担体に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のMC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドと、1つ以上の追加のペプチドまたはポリペプチド配列との融合物が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドに融合した追加のペプチドまたはポリペプチドは、溶解性、局在性(細胞内、組織内、対象内など)、安定性、細胞透過性などを付与する担体である。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドに融合した追加のペプチドまたはポリペプチドは、治療用ペプチドまたはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、いずれの1~10個の追加のアミノ酸も、本明細書に記載のMC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドのN末端またはC末端に融合し得る。いくつかの実施形態では、10~50個、50~100個、100~200個、またはそれ以上のアミノ酸のペプチドまたはポリペプチドが、本明細書に記載のMC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドのN末端またはC末端に融合する。
【0078】
いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、対象に投与される(例えば、任意の好適な投与経路によって、及び任意の好適な薬学的製剤内で)。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、対象においてMC4Rに結合する。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、対象においてMC3Rに結合する。いくつかの実施形態では、MC4Rの活性は、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドの投与によって増強される(MC4Rが活性化される)。いくつかの実施形態では、MC3Rの活性は、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分的アゴニスト)ペプチドの投与によって阻害される(またはMC3Rの活性化が低減される)。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書における方法は、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドを、過食、肥満(例えば、食事性肥満、症候性肥満(例えば、メラノコルチン-4受容体ハプロ不全)など)、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、関節炎などのリスクがある及び/またはそれらに罹患している対照に投与することを含む。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドの投与は、摂食の減少、体重の減少、及び/または肥満、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、関節炎などの観察可能/測定可能な特徴/バイオマーカーにおける他の変化をもたらす。
【0080】
いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、局所投与される。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、全身投与される。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、脳に到達する及び/または局在する様式で投与される。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、視床下部に到達する及び/または局在する様式で投与される。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、AgRPニューロンに到達する及び/または局在する様式で投与される。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、POMCニューロンに到達する及び/または局在する様式で投与される。
【0081】
いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC3R、MC5R)よりも選択的に、MC4Rに結合する。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドの、1つ以上の他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC3R、MC5R)との結合親和性よりも少なくとも2倍高い(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)親和性でMC4Rに結合する。いくつかの実施形態では、本明細書のMC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、MC3Rよりも選択的にMC4Rに結合する。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)の、MC3Rとの結合親和性よりも少なくとも2倍高い(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)親和性でMC4Rに結合する。
【0082】
いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC4R、MC5R)よりも選択的に、MC3Rに結合する。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドの、1つ以上の他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC4R、MC5R)との結合親和性よりも少なくとも2倍高い(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)親和性でMC3Rに結合する。いくつかの実施形態では、本明細書のMC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、MC4Rよりも選択的にMC3Rに結合する。いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)の、MC4Rとの結合親和性よりも少なくとも2倍高い(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)親和性でMC3Rに結合する。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、MC4Rアゴニストであり、1つ以上の他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC3R、MC5R)よりも選択的にMC4Rを活性化する。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、MC4Rアゴニストであり、1つ以上の他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC3R、MC5R)よりも少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)MC4Rを活性化する。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、MC4Rアゴニストであり、MC3Rよりも選択的に、MC4Rの活性を増強する。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、MC4Rアゴニストであり、MC3Rよりも少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)MC4Rを活性化する。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、MC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニストであり、1つ以上の他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC4R、MC5R)よりも選択的にMC3Rの活性を阻害する。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、MC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニストであり、1つ以上の他のメラノコルチン受容体(例えば、MC1R、MC2R、MC4R、MC5R)よりも少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)MC3Rの活性を阻害する。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、MC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニストであり、MC4Rよりも選択的にMC3Rの活性を阻害する。いくつかの実施形態では、本明細書におけるペプチドは、MC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニストであり、MC4Rよりも少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、またはそれ以上)MC3Rの活性を阻害する。
【0085】
いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、追加の薬剤または療法と同時投与される。いくつかの実施形態では、同時投与される薬剤は、MC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニストペプチドと同じ状態/疾患/症状(例えば、過食、肥満、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、関節炎など)の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、同時投与される薬剤は、MC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニストペプチドの副作用の治療または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、同時投与された薬剤は、MC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニストペプチドによって治療または予防されない併存疾患の治療または予防のためのものである。
【0086】
いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、心理療法と同時投与される。「心理療法」という用語は、臨床医またはセラピストが、肯定的な治療結果に影響を与えるために患者との口頭及び他の相互作用を伴う様々な技術のいずれかを使用する、非薬理学的療法の使用を指す。そのような技術は、行動療法、認知療法、精神力学療法、精神分析療法、グループ療法、家族カウンセリング、芸術療法、音楽療法、職業療法、人文療法、実存療法、トランスパーソナル療法、クライアント中心療法(来談者中心療法とも呼ばれる)、ゲシュタルト療法、バイオフィードバック療法、合理的感情行動療法、現実療法、応答ベース療法、箱庭療法、ステータスダイナミクス療法、催眠療法、及び検証療法を含むが、これらに限定されない。上記のものを含む任意の好適な心理療法技術は、適切な状態/疾患(例えば、過食、肥満、糖尿病、心疾患、高血圧、睡眠時無呼吸、うつ病、腎疾患、関節炎など)の治療/予防のために、MC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニストペプチドと同時投与されてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、セマグルチド(WEGOVY)、フェンテルミン(ADIPEX、IONAMIN、SUPRENZA)、ジエチルプロピオン、フェンテルミン-トピラメート持続放出(QSYMIA)、ブプロピオン/ナルトレキソン(CONTRAVE)、リラグルチド(SAXENDA)などの、肥満の治療もしくは治療/予防、体重増加もしくは過食の予防、または体重減少の誘導のための1つ以上の薬物と同時投与される。
【0088】
いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)は、抗うつ剤と同時投与される。同時投与のための好適な抗うつ剤としては、セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤(例えば、デュロキセチン(Cymbalta)、ベンラファキシン(Effexor)、デスベンラファキシン(Pristiq)など)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、イタロプラム(Celexa)、エスシタロプラム(Lexapro)、フルオキセチン(Prozac、Sarafem)、フルボキサミン(Luvox)、パロキセチン(Paxil)、セルトラリン(Zoloft)など)、三環式抗うつ剤(例えば、アミトリプチリン(Elavil)、アモキサピン-クロミプラミン(Anafranil)、デシプラミン(Norpramin)、ドキセピン(Sinequan)、イミプラミン(Tofranil)、ノルトリプチリン(Pamelor)、プロトリプチリン(Vivactil)、トリミプラミン(Surmontil)など)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、フェネルジン(Nardil)、トランシプロミン(Parnate)、イソカルボキジド(Marplan)、セルグリン(EMSAM、Eldepryl)など)、ノルアドレナリン、及び特異的セロトニン作動性抗うつ剤(例えば、ミアンセリン(Tolvon)、ミトラザピン(Remeron、Avanza、Zispinなど)などが挙げられ得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、抗不安薬と同時投与される。同時投与のための好適な抗不安薬としては、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、三環系、ベンゾジアゼピン(例えば、アルプラゾラム(Xanax)、クロルジアゼポキシド(Librium)、ジアゼパム(Valium)、ロラゼパム(Ativan)など)、ベータ遮断薬(例えば、アテノロール(Tenormin)、プロプラノロール(Inderal)など)、ブスピロン(BuSpar)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤などが挙げられ得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチドは、気分安定剤と同時投与される。同時投与のために好適な気分安定剤としては、リチウム、抗けいれん剤(例えば、バルプロアート(valproate)、ラモトリギン、カルバマゼピンなど)などが挙げられ得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書の薬剤(例えば、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)、同時投与された薬剤など)を投与する任意の好適な経路及び/または様式は、本明細書の実施形態で使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、中枢神経系(CNS)に作用するため、薬剤のCNSへの侵入を容易にする経路及び/または投与様式が利用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、対象の脳に作用するため、薬剤の脳への侵入を容易にする(例えば、薬剤が血液脳関門を通過することを可能にする)経路及び/または投与様式が利用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、対象の視床下部に作用するため、薬剤の視床下部への送達を容易にする経路及び/または投与様式が利用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、対象の視床下部の弓状核に作用するため、弓状核への薬剤の送達を容易にする経路及び/または投与様式が利用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、対象のAgRPニューロンに作用するため、AgRPニューロンへの薬剤の送達を容易にする経路及び/または投与様式が利用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、対象のPOMCニューロンに作用するため、POMCニューロンへの薬剤の送達を容易にする経路及び/または投与様式が利用される。
【0092】
いくつかの実施形態では、投与経路、所望の薬剤の形成、及び薬学的組成物は、効率的かつ有効な送達を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、本明細書の治療剤(例えば、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチド、同時投与された薬剤など)は、好適な経路によって対象に投与するための薬学的製剤で提供される。本明細書に記載の薬学的製剤は、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬側、局所、直腸、または経皮投与経路を含むがこれらに限定されない複数の投与経路によって対象に投与され得る。さらに、本明細書に記載の薬学的組成物(例えば、MC3Rアンタゴニストまたは部分アゴニストペプチド、同時投与された薬剤などを含む)は、水性経口分散液、液体、ゲル、シロップ、エリキシル、スラリー、懸濁液、エアロゾル、高速溶融製剤、発泡製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、粉剤、丸剤、糖衣錠、及びカプセル剤を含むが、これらに限定されない任意の好適な剤形に製剤化される。
【0093】
化合物及び/または組成物を、例えば臓器または組織への化合物の直接注射によって、しばしば、デポー調製剤または持続放出製剤で、全身的な様式ではなく局所的に投与してもよい。そのような長時間作用型製剤は、埋め込み(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉内注射によって投与されてもよい。さらに、標的薬物送達システムにおいて、例えば、臓器特異的抗体でコーティングされたリポソームにおいて、薬物を投与してもよい。リポソームは、臓器に標的化され、選択的に取り込まれる。加えて、薬物は、急速放出製剤の形態で、徐放製剤の形態で、または中間放出製剤の形態で提供することができる。
【0094】
経口使用のための薬学的製剤は、1つ以上の固体賦形剤と、本明細書に開示される任意の好適な置換基及び官能基を有する治療剤(例えば、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチド、同時投与された薬剤など)と、を混合し、任意選択的に得られた混合物を粉砕し、適切な補助剤を添加した後に顆粒の混合物を処理して、所望により、錠剤、丸薬、またはカプセルを得ることによって、得ることができる。好適な賦形剤には、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製剤;またはポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)もしくはリン酸カルシウムなどの他のものが含まれる。所望の場合、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、などの崩壊剤を添加してもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、薬剤は、吸入によって送達される。吸入による投与のために、本明細書に記載の薬剤(例えば、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチド、同時投与された薬剤など)は、エアロゾル、ミスト、または粉末の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で便利に送達される。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。
【0096】
本明細書に記載の薬剤(例えば、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチド、同時投与された薬剤など)を含む口腔製剤は、米国特許第4,229,447号、同第4,596,795号、同第4,755,386号、及び同第5,739,136号を含むが、これらに限定されない様々な製剤を使用して投与され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の薬剤(例えば、アンタゴニストまたは部分アゴニストアゴニストペプチド、同時投与された薬剤など)は、経皮的に送達される。本明細書に記載の経皮製剤は、米国特許第3,598,122号、同第3,598,123号、同第3,710,795号、同第3,731,683号、同第3,742,951号、同第3,814,097号、同第3,921,636号、同第3,972,995号、同第3,993,072号、同第3,993,073号、同第3,996,934号、同第4,031,894号、同第4,060,084号、同第4,069,307号、同第4,077,407号、同第4,201,211号、同第4,230,105号、同第4,292,299号、同第4,292,303号、同第5,336,168号、同第5,665,378号、同第5,837,280号、同第5,869,090号、同第6,923,983号、同第6,929,801号、及び同第6,946,144号(その全体が参照により組み込まれる)を含むが、これらに限定されない、様々なデバイスを使用して投与され得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の薬剤(例えば、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチド、同時投与された薬剤など)は、非経口投与(例えば、筋肉内、皮下、静脈内、硬膜外、脳内、脳室内など)によって送達される。非経口投与のための好適な製剤は、生理学的に許容される滅菌水性もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、及び注射可能な滅菌溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末を含み得る。好適な水性及び非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレン-グリコール、グリセロール、クレモフォールなど)、それらの好適な混合物、植物油(オリーブ油など)、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを含む。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。本明細書に記載の薬剤(例えば、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチド、同時投与された薬剤など)は、水溶液中、好ましくはハンクス液、リンゲル液、または生理学的生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合する緩衝液中に製剤化してもよい。経粘膜投与のために、浸透すべき障壁に適切な浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は、当分野で一般的に認識されている。他の非経口注射の場合、適切な製剤は、好ましくは生理学的に適合する緩衝剤または賦形剤を有する水性または非水性溶液を含み得る。このような賦形剤は、当分野で一般的に認識されている。
【0099】
ある特定の実施形態では、薬学的薬剤(例えば、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)アゴニスト、同時投与された薬剤など)のための送達システム、例えば、リポソーム及びエマルジョンが用いられ得る。ある特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物はまた、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、及びデキストランの中から選択される粘膜付着性ポリマーを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、薬剤(例えば、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチド、同時投与された薬剤など)は、治療有効量で投与される。したがって、治療有効量は、疾患、障害、またはその症状を少なくとも部分的に予防または反転することができる量である。有効量を得るために必要な用量は、薬剤、製剤、疾患または障害、及び薬剤が投与される個体に応じて変化し得る。
【0101】
有効量の決定は、様々な用量の薬剤が培養中の細胞に投与され、いくつかまたは全ての症状を改善するのに有効な薬剤の濃度がインビボで必要な濃度を計算するために決定されるインビトロアッセイを含み得る。有効量は、インビボ動物試験に基づいてもよい。
【0102】
薬学的組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形であってもよい。単位剤形では、製剤は、適切な量の1つ以上の薬剤(例えば、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチド、同時投与された薬剤など)を含む単位用量に分割される。
【0103】
投薬及び投与レジームは、治療効果の所望のレベル、及び治療効果が得られる実用的なレベルを含むが、これらに限定されない、周知の薬理学的及び治療上の考慮に基づいて、臨床医、または薬理学分野の他の当業者によって調整される。
【0104】
いくつかの実施形態では、臨床医の裁量により、障害を治療するため、または患者の疾患の症状を改善する、もしくはそれ以外の場合、制御する、もしくは制限するために、化合物の投与は、患者の寿命全体を含む、長期間にわたって投与されてもよい。
【0105】
患者の状態が改善しない場合、臨床医の裁量により、薬剤(例えば、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチド、同時投与された薬剤など)の投与は連続的に与えられてもよく、代替的に、投与される薬物の用量は、一時的に減少されてもよく、または一定の期間(すなわち、「休薬期間」)一時的に中断されてもよい。休薬期間の長さは、単に例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日を含む、2日~1年の間で変化し得る。休薬期間中の用量低減は、単に例として、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%を含む、約10%~約100%であってもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、患者の症状/障害/状態の改善が起こると、必要に応じて、維持用量が投与される。その後、症状の関数として、改善された疾患、障害または状態が保持されるレベルまで、投与量もしくは投与頻度、またはその両方を減らしてもよい。ただし、なんらかの症状が再発した場合、患者は長期の断続的な治療を必要とし得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、そのような量に対応する所与の薬剤の量は、特定の化合物、疾患及びその重症度、治療を必要とする対象または宿主のアイデンティティ(例えば、体重)などの要因に応じて変化するが、それにもかかわらず、例えば、投与される特定の薬剤、投与経路、治療される状態、ならびに治療される対象または宿主を含む、症例を取り巻く特定の状況に従って、現場で認識される様式で決定することができる。しかしながら、一般に、成人のヒトの治療に用いられる用量は、典型的には、約0.02~約5000mg/日、いくつかの実施形態では、約1~約1500mg/日の範囲である。所望の用量は、単回用量で、または同時に(または短期間にわたって)または適切な間隔で、例えば1日当たり2、3、4またはそれ以上のサブ用量として投与される分割用量として、便利に提供され得る。
【0108】
上述のように、本明細書のある特定の実施形態では、MC4Rアゴニスト(及び/またはMC3Rアンタゴニストもしくは部分アゴニスト)ペプチを、障害/状態、主要薬剤の副作用、または障害/状態の併存疾患の治療のための、追加の薬剤と同時投与する併用療法が提供される。同時投与された薬剤は、同じ薬学的組成物中で投与される必要はなく、異なる物理的及び化学的特性のために、異なる経路によって投与されなければならない場合がある。同時投与された薬剤は、同時に(同じまたは別個の製剤/組成物で)、または別個の時間(分、時間、日などで離れて)投与されてもよい。同時投与された薬剤は、疾患、障害、または状態の性質、患者の状態、及び使用される薬剤の実際の選択に応じて、同時に(例えば、同時に、本質的に同時に、または同じ治療プロトコル内で)、または連続的に投与され得る。投与の順序、ならびに治療プロトコル中の各治療薬の投与の反復回数の決定は、治療される疾患及び患者の状態の評価後の臨床医の知識の範囲内で十分である。
【0109】
治療上有効な投与量は、薬物が治療の組み合わせで使用されるときに変化し得る。併用治療レジメンで使用するための薬物及び他の薬剤の治療上有効な投与量を実験的に決定するための方法は、文献に記載されている。例えば、メトロノミック投与の使用、すなわち、毒性の副作用を最小限に抑えるためにより頻繁に、より低い用量を提供することは、文献において広く説明されている。併用治療は、患者の臨床管理を補助するために、様々な時点で開始及び停止する定期的な治療をさらに含む。
【0110】
本明細書に記載の併用療法では、同時投与された薬剤の投与量は、用いられる併用薬物の種類、用いられる特定の薬物、治療される疾患などに応じて当然変化する。加えて、1つ以上の生物学的に活性な薬剤と同時投与される場合、本明細書に提供される化合物は、生物学的に活性な薬剤(複数可)と同時に、または連続的に投与されてもよい。
【実施例
【0111】
実験
実施例1
薬理学的インビトロアッセイ
生細胞における細胞内cAMPレベルの決定:ヒトMC4R受容体(Promegaから贈与)、またはヒトMC3R(クローン選択によって自ら生成)を発現する安定したクローンの生成の基礎として、遺伝子的にコードされたcAMPスプリットルシフェラーゼレポーター安定発現細胞株(Promega、Madison,WI)(Binkowski et al.,2011,ACS Chemical Biology 6,1193-1197.、その全体が参照により組み込まれる)を使用した。安定した細胞株を、10%ウシ胎児血清、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2.5μg/mlのアンフォテリシンB、200μg/mlのハイグロマイシンB(GScAMP22fルシフェラーゼレポーターの陽性選択用)、及びGeneticin(商標)(G418)700μg/ml(MC3RまたはMC4R選択用)を補充した4mMのL-グルタミン(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)、4.5g/lのD-グルコースを有するダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)からなる選択培地中で増殖及び維持した。アッセイ中の実際の血清濃度は、約1%であると推定される。細胞株の同一性は、qPCR及びMC3R-及びMC4R特異的オリゴヌクレオチドによって日常的に検証される。
【0112】
生細胞におけるcAMP応答の決定のためのアッセイは、前述した。(Yu et al.,2020,Science 368,428-433、その全体が参照により組み込まれる)。細胞を、384ウェルのポリDリジンでコーティングされた透明な底部及び黒壁アッセイプレート(Corning Inc.Corning、NJ)を使用して、ウェル当たり20,000細胞の密度で播種した。細胞をプレートに18~24時間付着させ、その後、成長培地を除去し、CO2に依存しない無血清培地(Thermo Fisher Scientific)中の4%D-ルシフェリン(Promega)20μlを各ウェルに添加した。ルシフェラーゼ基質を、37℃で120分間細胞に浸透させた。細胞内cAMPレベルは、Life Sciences InstituteのCenter for Chemical GenomicsのFDSS 7000EX Functional Drug Screening System(Hamamatsu Photonics、Hamamatsu、Japan)を使用して測定した。この器具は、生細胞から発光シグナルを同時に取得しながら、試験ペプチド及び受容体アゴニストのインライン添加を可能にした。アッセイ読み取りステップを、以下のように設定した:2分のベースライン取得、10μlの様々な3×濃度の試験ペプチドまたはビヒクルの添加、それに続く11分の測定(測定ウィンドウ1)、及び10μlの4×濃度の内因性メラノコルチンアゴニストα-MSH(Bachem、Bubendorf、Switzerland)の添加、それに続く、さらに11分の応答測定(測定ウィンドウ2)。得られたα-MSHの最終濃度は、各受容体についてのそれぞれの受容体EC90用量に近かった。α-MSH及びSHU-9119(Phoenix Pharmaceuticals、Burlingame CA)のプレート内濃度応答曲線を参照対照として含めた。細胞株間のアッセイトランスデューサー効率の細胞数の変動及び差異を説明するための正規化基準として機能するために、準最大のフォルスコリン(20μM)濃度も含まれた。
【0113】
この設定により、EC90 α-MSHの存在下でのアンタゴニストプロファイルを測定ウィンドウ2で決定しながら、測定ウィンドウ1の間にMC3R及びMC4R細胞株に対する試験ペプチドの直接的な効果を評価することが可能であった。データ分析のために、ベースライン発光(すなわち、初期の0~2分ウィンドウからの最大発光シグナル)を、測定ウィンドウ1(2~13分)及び測定ウィンドウ2(13~24分)中に得られた最大発光から差し引いて、試験ペプチドが誘発した応答を得た。EC50またはIC50の効力の値は、GraphPad Prismバージョン8.4ソフトウェアパッケージ(San Diego CA)を使用して、データをシグモイド4パラメータ可変スロープモデルに適合させることによって、非線形回帰によって決定した。
【0114】
薬理学的インビトロアッセイの例示的な結果を、図2及び4、ならびに及び表1~4に提供する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【0115】
実施例2
血漿安定性
プールしたマウス血漿を調製し、使用前に-80℃で保存した。396μLのマウス血漿を、1.5mLのマイクロ遠心チューブ中で37℃で5分間インキュベートした。4μLの100μMの試験または対照化合物/ペプチドを各チューブに添加し、0.5、15、30、60、120、または240分間インキュベートした。各反応の40μLのアリコートを200ng/mLのを含む4体積の冷アセトニトリルを添加することによって停止した。インキュベーション溶液を3500rpmで10分間遠心分離して、タンパク質を沈殿させた。上清をLC/MS/MS分析に使用した。自然対数ピーク面積比(化合物ピーク面積/内部標準ピーク面積)を時間に対してプロットし、線の勾配を決定した。例のデータを以下に示す。
【0116】
LC-MS/MS法:
【表5】
【0117】
4500のMS/MS条件
【表6】
【0118】
結果
マウス血漿安定性
試験化合物のマウス血漿安定性及びT1/2を表に列挙し、以下のグラフにプロットした。
【0119】
CTX1200、1211、1227、1228、及び陽性対照のマウス血漿安定性及び半減期
【表7】

【表8】
【0120】
実施例3
血漿タンパク質結合データ
DMSO中の試験化合物の溶液を、1mM、100uM、及び10uMで調製した。試験化合物の各溶液5ulを495uLの血漿に添加し、25℃で5分間インキュベートした。試料をCentrifree(登録商標)デバイスに加えた後、2000×gで20分間遠心分離して、所望の濾液量を得た。最初の血漿試料及び限外濾過物をLC-MS/MSに供した。遊離ペプチド%=(限外濾過物の濃度/血漿の濃度)×100%。結合%=100%-遊離%
【表9】
【0121】
実施例4
薬物動態
10% DMSO及び10% PEG-400を含有するPBS中1.5mg/mLの薬物を、IP注射(15mg/kg)により与えた。所与の時点(0.5時間、2時間、4時間、7時間、及び24時間)で、脳試料を取り出し、後の調製及び分析のために即座に-80℃で凍結させ、ヘパリン化し較正したピペットを使用して血液試料を採取した。血液試料を15000rpmで10分間遠心分離した。次に、上層から血漿を採取した。血漿を、後の分析のために-80℃で凍結させた。
【表10】

【表11】
【0122】
1.1特異性
クロマトグラフィー条件は、血漿、脳、内部標準(CTX-1227及びセトメラノチドは互いの内部標準化合物である)がCTX-1227及びセトメラノチドの決定に干渉しないことを示した。(図3~4)。
【0123】
1.2較正曲線
分析曲線を、ブランク血漿及び脳試料中で非ゼロ標準を使用して構築した。汚染を排除するために、ブランク試料(内部標準なしで処理したマトリックス試料)を使用した。CTX1227/セトメラノチドの線形回帰分析を、それぞれCTX1227/セトメラノチド濃度(x)に対するピーク面積比(y)をng/mLでプロットすることによって実施した。ピーク面積比と濃度との関係の線形性を相関係数(R)によって示した。
【0124】
1.3 LC-MS/MS条件
【表12】
【0125】
1.4 MS/MS条件
【表13】
【0126】
2 結果
【表14】
【0127】
実施例5
急性給餌試験
マウス
試験には、条件ごとに7匹のMC4R+/-雄C57BL/6Jマウス、8~24週齢(図6)、または8~24週齢のWT雄C57BL/6Jマウスを利用し、16~20週の高脂肪食を8週齢で開始して肥満にした(食事誘発性肥満マウス、図7;全マウス、図9)。マウスを個別に収容する。
【0128】
順応:
動物に、150mLの生理食塩水を、3日間、または14時間の食物摂取量が処置前のレベルに戻ることによって示される動物の順応まで、毎日午後5時に注射する。次いで、動物を無作為化し、実験日にビヒクルまたはビヒクル中の薬物のいずれかを注射する。
【0129】
I.P.注射プロトコル:
・150μlの生理食塩水(0.9%Nacl)または化合物(2.5mg/kg用量で調製し、アリコートして-80℃で保存済み)を注射する。
・バイアルから針を取り外し、針をはじいて気泡を除去する。
・正中線の右側または左側の腹腔に注射する。
・暗サイクルの開始の1時間前である午後5時に注射する。午後8時(3時間)、午前7時(14時間)、及び翌日午後5時(24時間)に、体重及び食物重量を記録する。
【0130】
ICV注射プロトコル
脳室内(icv)カニューレ挿入のために、DIOマウスに、ステンレス鋼製カニューレを、イソフルラン麻酔下、以下の座標で右側脳室に埋め込んだ:前項を基準として、L:0.460、AP:-1.0、DV:-2.20。回復後、マウスを、20ngのアンジオテンシンIIによる陽性カニューレ挿入について試験した。ビヒクル(水中の10%DMSO)または示されるペプチドを暗サイクルの開始から30分以内にマウスの側脳室に注入した。
【0131】
実施例6
低用量注入試験
状態当たり6~7匹の42週齢のMC4R+/-雄C57BL/6Jマウス(図8)の肩甲下領域に、Alzetミニポンプモデル#1002を皮下で埋め込んだ。ポンプは、推定1200nmol/kg/日を送達するように、埋め込み前に充填した。2週間にわたるペプチドの低用量注入の間、累積食物摂取量を監視した(図8)。データ点は平均+SEMを示す。
【0132】
配列
配列番号1-X-AA1-AA1B-AA2-AA3-AA4-AA5-AA6-AA7-AA8-AA9-AA10-AA11-Y
配列番号2-Arg-Cys-D-Ala-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号3-D-Ala-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号4-D-Ala-Nme-His-D-Phe-Arg-Nme-Trp-Cys
配列番号5-Cys-Glu-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号6-Cys-Gly-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号7-Cys-D-Ala-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号8-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号9-Arg-Cys-D-Ala-His-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号10-Arg-Nle-Cys-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号11-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号12-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe-Arg-D-Phe-Cys
配列番号13-Arg-Cys-D-Ala-His-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号14-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号15-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe-Arg-D-Nal(2’)-Cys
配列番号16-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe-Arg-D-Phe-Cys
配列番号17-Arg-Cys-Ala-Arg-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号18-Arg-Cys-Ala-Arg-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号19-Arg-Cys-NMe-Ala-Arg-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号20-Arg-Cys-Aib-Arg-D-Phe-Cit-Trp-Cys
配列番号21-Arg-Cys-D-Ala-Arg-aMe-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号22-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe-Cit-D-Trp-Cys
配列番号23-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe-N-Me-Arg-D-Trp-Cys
配列番号24-Arg-Cys-D-Ala-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号25-Arg-Cys-D-Ala-Cit-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号26-Arg-Cys-Ala-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号27-Arg-Cys-Ala-Cit-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号28-Arg-Cys-Aib-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号29-Arg-Cys-Aib-Cit-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号30-Arg-Cys-Aib-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号31-Arg-Cys-Aib-Arg-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号32-Arg-Cys-Gly-Arg-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号33-Arg-Cys-Gly-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号34-Arg-Cys-D-Abu-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号35-Arg-Cys-Aib-His-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号36-Arg-Cys-Aib-Arg-D-Tyr(4-OMe)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号37-Arg-Cys-Aib-Arg-D-Tyr(4-OMe)-Arg-Phe-Cys
配列番号38-Arg-Cys-Aib-Cit-D-Tyr(4-OMe)-Arg-Phe-Cys
配列番号39-Arg-Cys-Aib-Arg-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号40-Arg-Cys-Aib-Orn-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号41-Arg-Cys-Aib-ホモ-Cit-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号42-Arg-Cys-Aib-Pal(2’)-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号43-Arg-Cys-Aib-Pal(3’)-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号44-Arg-Cys-Aib-Pal(4’)-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号45-Arg-Nle-Cys-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号46-Arg-Nle-Cys-Cit-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号47-Arg-Nle-Cys-Cit-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号48-Arg-Nle-Cys-His-Nal(1’)-Arg-Trp-Cys
配列番号49-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Nal(1’)-Arg-Trp-Cys
配列番号50-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号51-Arg-Nle-Cys-Orn-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号52-Arg-Nle-Cys-ホモ-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号53-Arg-Nle-Cys-Pal(2’)-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号54-Arg-Nle-Cys-Pal(3’)-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号55-Arg-Nle-Cys-Pal(4’)-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号56-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号57-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-Phe-Cys
配列番号58-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Tyr(4-OMe)-Arg-Phe-Cys
配列番号59-Arg-Nle-Cys-His-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号60-Arg-Nle-Cys-Cit-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号61-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号62-Cys-D-Ala-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号63-Cys-Gly-Arg-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号64-Cys-Gly-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号65-Cys-Aib-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号66-Cys-Aib-Arg-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号67-Cys-Aib-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号68-Cys-Aib-His-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号69-Cys-Aib-Arg-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号70-Cys-Aib-Cit-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号71-Cys-Gly-His-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号72-Cys-Gly-Arg-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号73-Cys-Gly-Cit-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号74-D-Ala-Arg-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号75-D-Ala-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号76-Gly-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号77-Gly-Arg-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号78-Gly-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号79-Aib-His-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号80-Aib-Arg-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号81-Aib-Cit-D-Phe-Arg-Trp-Cys
配列番号82-Aib-His-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号83-Aib-Arg-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号84-Aib-Cit-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号85-Gly-His-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号86-Gly-Arg-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号87-Gly-Cit-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号88-D-Ala-His-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号89-D-Ala-Arg-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号90-D-Ala-Cit-D-Phe-Arg-Phe-Cys
配列番号91-Nle-Cys-His-Nal(2’)-Arg-D-Trp-Cys-Arg-Phe-Gly
配列番号92-Arg-Cys-D-Ala-Arg-Phe(4-Br)-Arg-Trp-Cys
配列番号93-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号94-Arg-Cys-D-Ala-Arg-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号95-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys-Lys-Pro-Val
配列番号96-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys-Lys-Pro
配列番号97-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys-Lys
配列番号98-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys-Arg-Phe-Gly
配列番号99-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys-Arg-Phe
配列番号100-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys-Arg-D-Phe
配列番号101-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号102-Arg-Nle-Cys-His-D-Phe(4-Br)-Arg-Trp-Cys
配列番号103-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-Trp-Cys
配列番号104-Arg-Nle-Cys-His-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号105-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号106-Arg-Nle-Cys-His-D-Phe(4-I)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号107-Nle-Cys-His-D-Phe(4-I)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号108-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-F)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号109-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Tyr-Arg-D-Trp-Cys
配列番号110-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Tyr(O-Me)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号111-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Hph-Arg-D-Trp-Cys
配列番号112-Arg-Cys-D-Ala-Arg-aMe-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号113-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-tBu)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号114-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Bip-Arg-D-Trp-Cys
配列番号115-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Trp-Arg-D-Trp-Cys
配列番号116-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-NH-Ac)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号117-Arg-Cys-Aib-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号118-Arg-Cys-D-Abu-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号119-Arg-Cys-D-Ala-NMe-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号120-Arg-Cys-D-Ala-Pro-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号121-Arg-Cys-D-Ala-D-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号122-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-NMe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号123-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-D-Arg-D-Trp-Cys
配列番号124-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Cit-D-Trp-Cys
配列番号125-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Nal(2’)-Cys
配列番号126-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Phe-Cys
配列番号127-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Tic-Cys
配列番号128-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-Phe-Cys
配列番号129-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-Tic-Cys
配列番号130-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Ala-Cys
配列番号131-Arg-Cys-Aib-Arg-D-Phe-Cit-D-Trp-Cys
配列番号132-Arg-Cys-D-Ala-Arg-NMe-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号133-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Tic-Arg-D-Trp-Cys
配列番号134-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Trp-Arg-Trp-Cys
配列番号135-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Trp-Arg-D-Trp-Cys
配列番号136-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Hph-Arg-D-Trp-Cys
配列番号137-Arg-Cys-D-Ala-Arg-a-Me-D-Phe-Arg-D-Trp-Cys
配列番号138-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Dip-Arg-D-Trp-Cys
配列番号139-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe-D-Arg-Trp-Cys
配列番号140-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe-D-Arg-D-Trp-Cys
配列番号141-Arg-Cys-Aib-Cit-D-Tyr(4-OMe)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号142-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-Trp-Cys
配列番号143-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号144-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Tyr(4-OMe)-Arg-Trp-Cys
配列番号145-Arg-Nle-Cys-Arg-D-Tyr(4-OMe)-Arg-D-Trp-Cys
配列番号146-Cys-Gly-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-Phe-Cys
配列番号147-Cys-Gly-Arg-D-Tyr(4-OMe)-Arg-Phe-Cys
配列番号148-Arg-Cys-D-Ala-Pro-D-Nal(2’)-Arg-Trp-Cys
配列番号149-Arg-Cys-D-Ala-Pro-D-Phe(4-Br)-Arg-Trp-Cys
配列番号150-Arg-Cys-D-Ala-Arg-D-Phe(4-Br)-Arg-Trp-Cys
配列番号151-Arg-Cys-D-Ala-His-D-Phe(4-Br)-Arg-Trp-Cys
【0133】
参照文献
以下の参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
1.Andermann,M.L.& Lowell,B.B.Toward a Wiring Diagram Understanding of Appetite Control.Neuron(2017).doi:10.1016/j.neuron.2017.06.014
2.Sternson,S.M.,Nicholas Betley,J.& Cao,Z.F.H.Neural circuits and motivational processes for hunger.Current Opinion in Neurobiology(2013).doi:10.1016/j.conb.2013.04.006
3.Sohn,J.W.,Elmquist,J.K.& Williams,K.W.Neuronal circuits that regulate feeding behavior and metabolism.Trends in Neurosciences(2013).doi:10.1016/j.tins.2013.05.003
4.Mercer,A.J.,Hentges,S.T.,Meshul,C.K.& Low,M.J.Unraveling the central proopiomelanocortin neural circuits.Front.Neurosci.(2013).doi:10.3389/fnins.2013.00019
5.Cone,R.D.Anatomy and regulation of the central melanocortin system.Nature Neuroscience(2005).doi:10.1038/nn1455
6.Sternson,S.M.& Atasoy,D.Agouti-related protein neuron circuits that regulate appetite.Neuroendocrinology(2014).doi:10.1159/000369072
7.Krashes,M.J.,Shah,B.P.,Koda,S.& Lowell,B.B.Rapid versus delayed stimulation of feeding by the endogenously released agRP neuron mediators GABA,NPY,and AgRP.Cell Metab.(2013).doi:10.1016/j.cmet.2013.09.009
8.Zhan,C.et al.Acute and Long-Term Suppression of Feeding Behavior by POMC Neurons in the Brainstem and Hypothalamus,Respectively.J.Neurosci.(2013).doi:10.1523/jneurosci.2742-12.2013
9.Betley,J.N.,Cao,Z.F.H.,Ritola,K.D.& Sternson,S.M.Parallel,redundant circuit organization for homeostatic control of feeding behavior.Cell(2013).doi:10.1016/j.cell.2013.11.002
10.Atasoy,D.,Nicholas Betley,J.,Su,H.H.& Sternson,S.M.Deconstruction of a neural circuit for hunger.Nature(2012).doi:10.1038/nature11270
11.Luquet,S.,Perez,F.A.,Hnasko,T.S.& Palmiter,R.D.NPY/AgRP neurons are essentials for feeding in adult mice but can be ablated in neonates.Science(80-.).(2005).doi:10.1126/science.1115524
12.Krashes,M.J.et al.Rapid,reversible activation of AgRP neurons drives feeding behavior in mice.J.Clin.Invest.(2011).doi:10.1172/JCI46229
13.Aponte,Y.,Atasoy,D.& Sternson,S.M.AGRP neurons are sufficient to orchestrate feeding behavior rapidly and without training.Nat.Neurosci.(2011).doi:10.1038/nn.2739
14.Burnett,C.J.et al.Hunger-Driven Motivational State Competition.Neuron(2016).doi:10.1016/j.neuron.2016.08.032
15.Padilla,S.L.et al.Agouti-related peptide neural circuits mediate adaptive behaviors in the starved state.Nat.Neurosci.(2016).doi:10.1038/nn.4274
16.Bagnol,D.et al.Anatomy of an endogenous antagonist:relationship between Agouti-related protein and proopiomelanocortin in brain.J.Neurosci.(1999).
17.Roselli-Rehfuss,L.et al.Identification of a receptor for gamma melanotropin and other proopiomelanocortin peptides in the hypothalamus and limbic system.Proc.Natl.Acad.Sci.(2006).doi:10.1073/pnas.90.19.8856
18.Ghamari-Langroudi,M.et al.Regulation of energy rheostasis by the melanocortin-3 receptor.Sci.Adv.(2018).doi:10.1126/sciadv.aat0866
19.Sutton,G.M.et al.The Melanocortin-3 Receptor Is Required for Entrainment to Meal Intake.J.Neurosci.(2008).doi:10.1523/JNEUROSCI.3615-08.2008
20.Renquist,B.J.et al.Melanocortin-3 receptor regulates the normal fasting response.Proc.Natl.Acad.Sci.(2012).doi:10.1073/pnas.1201994109
21.Fenselau,H.et al.A rapidly acting glutamatergic ARC→PVH satiety circuit postsynaptically regulated by α-MSH.Nat.Neurosci.(2017).doi:10.1038/nn.4442
22.Armbruster,B.N.,Li,X.,Pausch,M.H.,Herlitze,S.& Roth,B.L.Evolving the lock to fit the key to create a family of G protein-coupled receptors potently activated by an inert ligand.Proc.Natl.Acad.Sci.(2007).doi:10.1073/pnas.0700293104
23.Alexander,G.M.et al.Remote Control of Neuronal Activity in Transgenic Mice Expressing Evolved G Protein-Coupled Receptors.Neuron(2009).doi:10.1016/j.neuron.2009.06.014
24.Stachniak,T.J.,Ghosh,A.& Sternson,S.M.Chemogenetic Synaptic Silencing of Neural Circuits Localizes a Hypothalamus→Midbrain Pathway for Feeding Behavior.Neuron(2014).doi:10.1016/j.neuron.2014.04.008
25.Li,C.et al.AGRP neurons modulate fasting-induced anxiolytic effects.Transl.Psychiatry(2019).doi:10.1038/s41398-019-0438-1
26.Dietrich,M.O.,Zimmer,M.R.,Bober,J.& Horvath,T.L.Hypothalamic Agrp neurons drive stereotypic behaviors beyond feeding.Cell(2015).doi:10.1016/j.cell.2015.02.024
27.Zelikowsky,M.et al.The Neuropeptide Tac2 Controls a Distributed Brain State Induced by Chronic Social Isolation Stress.Cell(2018).doi:10.1016/j.cell.2018.03.037
28.Ieraci,A.,Mallei,A.& Popoli,M.Social Isolation Stress Induces Anxious-Depressive-Like Behavior and Alterations of Neuroplasticity-Related Genes in Adult Male Mice.Neural Plast.(2016).doi:10.1155/2016/6212983
29.Buynitsky,T.& Mostofsky,D.I.Restraint stress in biobehavioral research:Recent developments.Neuroscience and Biobehavioral Reviews(2009).doi:10.1016/j.neubiorev.2009.05.004
30.Campos,A.C.,Fogaca,M.V.,Aguiar,D.C.& Guimaraes,F.S.Animal models of anxiety disorders and stress.Rev.Bras.Psiquiatr.(2013).doi:10.1590/1516-4446-2013-1139
31.Grieco,P.,Balse,P.M.,Weinberg,D.,MacNeil,T.& Hruby,V.J.D-amino acid scan of γ-melanocyte-stimulating hormone:Importance of Trp8 on human MC3 receptor selectivity.J.Med.Chem.(2000).doi:10.1021/jm000211e
32.Merlino,F.et al.Development of Macrocyclic Peptidomimetics Containing Constrained α,α-Dialkylated Amino Acids with Potent and Selective Activity at Human Melanocortin Receptors.J.Med.Chem.(2018).doi:10.1021/acs.jmedchem.8b00488
33.Carotenuto,A.et al.Discovery of Novel Potent and Selective Agonists at the Melanocortin-3 Receptor.J.Med.Chem.(2015).doi:10.1021/acs.jmedchem.5b01285
34.Herpertz-dahlmann,B.,Holtkamp,K.& Konrad,K.Eating disorders:Anorexia and bulimia nervosa.Handb.Clin.Neurol.(2012).doi:10.1016/B978-0-444-52002-9.00026-7
35.Smink,F.R.E.,Van Hoeken,D.& Hoek,H.W.Epidemiology,course,and outcome of eating disorders.Current Opinion in Psychiatry(2013).doi:10.1097/YCO.0b013e328365a24f
36.Jerlhag,E.et al.Ghrelin stimulates locomotor activity and accumbal dopamine-overflow via central cholinergic systems in mice:Implications for its involvement in brain reward.Addict.Biol.(2006).doi:10.1111/j.1369-1600.2006.00002.x
37.Adermark,L.et al.Ghrelin administration into tegmental areas stimulates locomotor activity and increases extracellular concentration of dopamine in the nucleus accumbens.Addict.Biol.(2007).doi:10.1111/j.1369-1600.2006.00041.x
38.Marks,D.L.,Hruby,V.,Brookhart,G.& Cone,R.D.The regulation of food intake by selective stimulation of the type 3 melanocortin receptor(MC3R).Peptides(2006).doi:10.1016/j.peptides.2005.01.025
39.Lee,M.et al.Effects of selective modulation of the central melanocortin-3-receptor on food intake and hypothalamic POMC expression.Peptides(2008).doi:10.1016/j.peptides.2007.11.005
40.Lippert,R.N.,Ellacott,K.L.J.& Cone,R.D.Gender-specific roles for the melanocortin-3 receptor in the regulation of the mesolimbic dopamine system in mice.Endocrinology(2014).doi:10.1210/en.2013-2049
41.Pandit,R.et al.Melanocortin 3 receptor signaling in midbrain dopamine neurons increases the motivation for food reward.Neuropsychopharmacology(2016).doi:10.1038/npp.2016.19
42.Mavrikaki,M.et al.Melanocortin-3 receptors in the limbic system mediate feeding-related motivational responses during weight loss.Mol.Metab.(2016).doi:10.1016/j.molmet.2016.05.002
43.Pei,H.et al.Lateral Hypothalamic Mc3R-Expressing Neurons Modulate Locomotor Activity,Energy Expenditure,and Adiposity in Male Mice.Endocrinology 160,343-358(2018).
44.Sternson,S.M.& Eiselt,A.-K.Three Pillars for the Neural Control of Appetite.Annu.Rev.Physiol.(2016).doi:10.1146/annurev-physiol-021115-104948
45.Rossi,M.A.& Stuber,G.D.Overlapping Brain Circuits for Homeostatic and Hedonic Feeding.Cell Metabolism(2018).doi:10.1016/j.cmet.2017.09.021
46.Sweeney,P.& Yang,Y.Neural Circuit Mechanisms Underlying Emotional Regulation of Homeostatic Feeding.Trends in Endocrinology and Metabolism(2017).doi:10.1016/j.tem.2017.02.006
47.Hay,P.J.,Touyz,S.& Sud,R.Treatment for severe and enduring anorexia nervosa:A review.Australian and New Zealand Journal of Psychiatry(2012).doi:10.1177/0004867412450469
48.Bulik,C.M.et al.Prevalence,heritability,and prospective risk factors for anorexia nervosa.Arch.Gen.Psychiatry(2006).doi:10.1001/archpsyc.63.3.305
49.Keski-Rahkonen,A.et al.Epidemiology and course of anorexia nervosa in the community.Am.J.Psychiatry(2007).doi:10.1176/appi.ajp.2007.06081388
50.Marks,D.L.,Butler,A.A.,Turner,R.,Brookhart,G.& Cone,R.D.Differential role of melanocortin receptor subtypes in cachexia.Endocrinology(2003).doi:10.1210/en.2002-221099
51.Fazeli,P.K.et al.Treatment with a ghrelin agonist in outpatient women with anorexia nervosa:A randomized clinical trial.J.Clin.Psychiatry(2018).doi:10.4088/JCP.17m11585
52.Fazeli,P.et al.Short-term treatment with a ghrelin agonist significantly improves gastric emptying in anorexia nervosa.Endocrine reviews.Conference:98th annual meeting and expo of the endocrine society,ENDO 2016.United states.Conference start:20160401.Conference end:20160404(2016).doi:10.1210/endo-meetings.2016.OABA.2.SUN-606
53.Carlini,V.P.et al.Ghrelin increases anxiety-like behavior and memory retention in rats.Biochem.Biophys.Res.Commun.(2002).
54.Carvajal,P.,Carlini,V.P.,Schioth,H.B.,de Barioglio,S.R.& Salvatierra,N.A.Central ghrelin increases anxiety in the Open Field test and impairs retention memory in a passive avoidance task in neonatal chicks.Neurobiol.Learn.Mem.(2009).doi:10.1016/j.nlm.2008.12.008
55.Sweeney,P.& Yang,Y.An excitatory ventral hippocampus to lateral septum circuit that suppresses feeding.Nat.Commun.(2015).doi:10.1038/ncomms10188
56.Sweeney,P.& Yang,Y.An Inhibitory Septum to Lateral Hypothalamus Circuit That Suppresses Feeding.J.Neurosci.(2016).doi:10.1523/jneurosci.2042-16.2016
57.Sweeney,P.,Li,C.& Yang,Y.Appetite suppressive role of medial septal glutamatergic neurons.Proc.Natl.Acad.Sci.(2017).doi:10.1073/pnas.1707228114
58.Singh,A.,Dirain,M.,Witek,R.,Rocca J.R.,Edison,A.S.,and Haskell-Luevano,C.Structure-Activity Relationships of Peptides Incorporating a Bioactive Reverse-Turn Heterocycle at the Melanocortin Receptors:Identification of a 5800-fold Mouse Melanocortin-3 Receptor(mMC3R) Selective Antagonist/Partial Agonist versus the Mouse Melanocortin-4 Receptor(mMC4R).J.Med.Chem.56,2747-2763,2013.
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
2024532294000001.xml
【国際調査報告】