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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】液相合成のための化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/08 20060101AFI20240829BHJP
   C07K 1/02 20060101ALI20240829BHJP
   C07K 1/10 20060101ALI20240829BHJP
   C07K 7/08 20060101ALI20240829BHJP
   C07C 237/08 20060101ALI20240829BHJP
   C07C 231/02 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C07C229/08 CSP
C07K1/02 ZNA
C07K1/10
C07K7/08
C07C237/08
C07C231/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512131
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2022075307
(87)【国際公開番号】W WO2023028466
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/260,496
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】コパック,マイケル ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ムルジンスキ,エミリー スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ルスタギ,ビニータ
(72)【発明者】
【氏名】サリム,ヘバ アズミー ファヒム イブラヒム
【テーマコード(参考)】
4H006
4H045
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC53
4H006BB20
4H006BJ50
4H006BP10
4H006BP30
4H006BV21
4H006BV22
4H045AA20
4H045BA09
4H045FA30
4H045FA31
4H045FA61
4H045GA21
(57)【要約】
本開示は、式1の親水性リンカー化合物:
【化1】
を含み、
また、液相合成におけるそれらの使用方法を記載する。式1において、本明細書に記載されるように、「m」は0~20であり、「n」は1~50であり、「Z」はリンカー化合物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物であって、
【化1】
式中、「m」が0~20であり、「n」が1~50であり、「Z」がリンカー化合物である、化合物。
【請求項2】
Zが、
【化2】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、
【化3】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、
【化4】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、
【化5】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、
【化6】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、
【化7】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
「m」が0、1、2、又は3であり、「n」が1~50である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
「m」が0、1、2、又は3であり、「n」が1~10である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
「m」が1であり、「n」が2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が、液相合成に使用される、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前記液相合成が、液相ペプチド合成(Liquid Phase Peptide Synthesis、LPPS)である、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が親水性である、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物であって、「Z」が、任意で保護されたアミノ酸と共有結合を形成する官能基であり、これが次に、1つ以上の任意で保護されたアミノ酸又はペプチドへの反復脱保護及びカップリング工程を受けることができ、次に、得られたポリペプチド生成物を、化学変換によって前記「Z」基から遊離させることができる、化合物。
【請求項15】
配列番号1の、ペプチド。
【請求項16】
液相ペプチド合成を使用して配列番号1のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号1のペプチドを酸で処理して、配列番号2のペプチドを得ることと、を含む、配列番号2のペプチドの調製方法。
【請求項17】
配列番号3の、ペプチド。
【請求項18】
液相ペプチド合成を使用して配列番号3のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号3のペプチドを酸で処理して、配列番号4のペプチドを得ることと、を含む、配列番号4のペプチドの調製方法。
【請求項19】
配列番号5の、ペプチド。
【請求項20】
配列番号6の、ペプチド。
【請求項21】
液相ペプチド合成を使用して配列番号6のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号6のペプチドを酸で処理して、配列番号7のペプチドを得ることと、を含む、配列番号7のペプチドの調製方法。
【請求項22】
配列番号8の、ペプチド。
【請求項23】
配列番号9の、ペプチド。
【請求項24】
液相ペプチド合成を使用して配列番号9のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号1のペプチドを酸で処理して、配列番号10のペプチドを得ることと、を含む、配列番号10のペプチドの調製方法。
【請求項25】
配列番号11の、ペプチド。
【請求項26】
配列番号12の、ペプチド。
【請求項27】
配列番号14の、ペプチド。
【請求項28】
配列番号15の、ペプチド。
【請求項29】
配列番号16の、ペプチド。
【請求項30】
配列番号17の、ペプチド。
【請求項31】
配列番号18の、ペプチド。
【請求項32】
液相ペプチド合成を使用して、配列番号11、12、14、15、16、17、又は18のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号11、12、14、15、16、17、又は18のペプチドを酸で処理して、配列番号13のペプチドを得ることと、を含む、配列番号13のペプチドの調製方法。
【請求項33】
配列番号19の、ペプチド。
【請求項34】
配列番号20の、ペプチド。
【請求項35】
配列番号21の、ペプチド。
【請求項36】
配列番号22の、ペプチド。
【請求項37】
配列番号23の、ペプチド。
【請求項38】
下記式
【化8】
の化合物を調製するための方法であって、
液相合成を使用して前記化合物を調製することを含み、前記液相合成が、AEEA含有分子を請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物にカップリングさせることを含む、方法。
【請求項39】
a.Fmoc-AEEA-OHを、請求項1~14のいずれか一項に記載のリンカー化合物にカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
b.工程aからの前記生成物に第2のFmoc-AEEA-OHをカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
c.工程bの前記生成物にFmoc-Glu-OtBuをカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
d.工程cの前記生成物に20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサン酸をカップリングさせることと、
e.酸を用いて、工程dの前記生成物から前記リンカー化合物を除去することと、を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
a.Fmoc-(AEEA)-OHを、請求項1~14のいずれか一項に記載のリンカー化合物にカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
b.工程aの前記生成物にFmoc-Glu-OtBuをカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
c.工程bの前記得られた生成物に20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサン酸をカップリングさせることと、
d.酸を用いて、工程cの前記生成物から前記リンカー化合物を除去することと、を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
a.Fmoc-(AEEA)-OHを、請求項1~14のいずれか一項に記載のリンカー化合物にカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
b.O1-tert-ブチルO5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(2S)-2-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]ペンタンジオエートを、工程aの前記得られた生成物にカップリングさせることと、
c.酸を用いて、工程bの前記生成物から前記リンカー化合物を除去することと、を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
以下の化合物。
【化9】
【請求項43】
以下の化合物。
【化10】
【請求項44】
以下の化合物。
【化11】
【請求項45】
配列番号32のペプチドを調製するための方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物を使用する液相ペプチド合成によって、前記ペプチド配列の一部又は全部を調製することを含む、方法。
【請求項46】
配列番号19のペプチドと配列番号7のペプチドとをカップリングさせることを含む、配列番号20のペプチドを調製するための方法。
【請求項47】
配列番号21のペプチドと配列番号10のペプチドとをカップリングさせることを含む、配列番号22のペプチドを調製するための方法。
【請求項48】
以下の工程:
a.請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物を使用する液相ペプチド合成によって、配列番号19のペプチドを調製する工程と、
b.前記配列番号19のペプチドを配列番号7のペプチドにカップリングさせて、配列番号20のペプチドを生成する工程と、
c.前記配列番号20のペプチドを脱保護して、配列番号21のペプチドを生成する工程と、
d.配列番号10のペプチドを前記配列番号21のペプチドにカップリングさせる工程と、
e.工程dからの前記ペプチドを脱保護して、配列番号22のペプチドを生成する工程と、を含む、配列番号32のペプチドを調製するための方法。
【請求項49】
以下の工程:
f.個々のアミノ酸、ペプチドフラグメント、又はそれらの混合物をカップリングさせることによって、工程eからの前記配列番号22のペプチドを伸長させる工程と、
g.前記得られたペプチドを酸で処理する工程と、
h.前記得られたペプチドを脱保護する工程と、を更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
以下の工程:
a.配列番号24のペプチドを、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物とカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
b.工程aからの前記ペプチドを、配列番号25のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
c.工程bからの前記ペプチドを、配列番号26のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
d.工程cからの前記ペプチドを、配列番号27のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
e.工程dからの前記ペプチドを、配列番号28のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
f.工程eからの前記ペプチドを、配列番号29のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
g.工程fからの前記ペプチドを、配列番号30のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
h.工程gの前記ペプチドを、配列番号31のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、を含む、配列番号32のペプチドを調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ST.26XML形式の配列表と共に提出されている。配列表は、2022年8月22日に作成された「X22492配列表」というタイトルのファイルとして提供され、サイズは92キロバイトである。ST.26XML形式の配列表情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ポリペプチド及びアミノ酸配列の化学合成は、アミノ酸が配列中で互いに結合される反復プロセスによって、達成される。本プロセスは、成長するペプチド鎖のC末端又はN末端のいずれかの脱保護、そこへの保護されたアミノ酸のカップリング、次に、新たに結合されたアミノ酸の脱保護(これは、配列中の次のカップリングのために、それを調製する)の反復プロセスを伴う。アミノ酸カップリング及び脱保護の工程が何度も繰り返されるこの反復プロセスは、化学合成における主要な課題、すなわち、その他の反応構成成分(溶媒、未反応の出発物質及び試薬、並びに望ましくない反応副生成物)から所望の合成生成物を分離する課題を拡大する。
【0003】
ペプチド固相合成法(「Solid Phase Peptide Synthesis、SPPS」)は、ポリペプチド及びアミノ酸配列を合成するために最も一般的に使用される方法及びシステムである。SPPSは、活性化アミノ酸を固体支持体にカップリングさせることを伴う。本固体支持体は、通常、(NH基などで)官能化されたポリマー樹脂ビーズである。次のアミノ酸(一般に、Fmoc、BOC又はその他の保護基によって保護されたNH末端を有する)を樹脂と反応させ、それによって、樹脂上の官能化基が末端アミノ酸の活性化COOH基と反応して結合するようにする。このようにして、末端アミノ酸は、樹脂に共有結合する。
【0004】
次いで、次工程において、末端アミノ酸のNH末端を脱保護し、それによって、次の反応のために、そのNH基を露出させる。したがって、新しいアミノ酸が導入される。この新しいアミノ酸は、保護基(Fmoc、BOC、又は別の保護基など)を介して保護されたNH末端を有する。したがって、この新しいアミノ酸が追加された際に、新しいアミノ酸からの活性化エステルが末端アミノ酸の新たに脱保護されたNH基と反応し、それによって、これら2種のアミノ酸が、一緒にカップリングされる。この新しいアミノ酸がカップリングされると、続いて脱保護され、次のアミノ酸と反応し得る保護されたNH基を同様に有する。この繰り返される反復プロセスを何度も行うことにより、全アミノ酸配列が構築され得る。配列全体が構築されると、配列を樹脂から分離(切断)して脱保護し、それによって、アミノ酸配列が生成され得る。(本プロセスを介して追加される様々なアミノ酸(R、R等)の側鎖は、BOC、t-ブチル、又はトリチル等の基を介してオルソゴナルに保護されて、このような側鎖がアミノ酸合成プロセス中に反応しないようにしてもよい。当業者は、このような側鎖又はその他の基が合成プロセス中にどのように構築され得、保護され得、その後脱保護され得るか、を理解するであろう。
【0005】
SPPSプロセスの各工程において、成長するポリペプチドは固体支持体に付着したままであるが、これは、相分離によってその他の反応構成成分から分離されたままである。固体支持体は、固体支持体に付着している間に所望の生成物の濾過による分離を可能にすることによって、分離を容易にする。SPPSは商業的に使用されており、依然としてペプチド合成における標準である。しかしながら、それは高価であり、時間がかかり、必要とされる大規模な樹脂洗浄によって高レベルのプロセス廃棄物を発生させるという欠点を有する。追加される各アミノ酸は脱保護及びカップリングされる必要があるが、これは困難であり、通常は大量の溶媒が使用される。樹脂から残留試薬を除去するために、各反応後に複数回の溶媒洗浄が必要とされることが多い。製造設備におけるサイクル時間は、1日当たり約1回の、アミノ酸カップリング及び脱保護のサイクルであり得る。更に悪いことに、これらの溶媒の多くは、環境に優しくない。また、SPPSにおける相分離は、高い生成物純度を得る際に、困難を提示する。成長するポリペプチドはその他の反応構成成分と同じ相にないために、反応速度は液相よりも遅く、凝集などの望ましくない副反応を最小限に抑えながら、所望の生成物への変換を最大にすることは困難であり得る。不均一系反応混合物の反応モニタリング及び最適化は、特に、高速液体クロマトグラフィ(「High-Performance Liquid Chromatography、HPLC」)などの、分析物が均一な液体流に溶解されることを必要とする分析方法を使用する場合、困難であり得る。
【0006】
SPPSとは対照的に、液相ペプチド合成(「Liquid Phase Peptide Synthesis、LPPS」)は、ポリペプチドが均一な反応条件で調製される方法を指す。これは、SPPSにおいて使用されるものと同様の反復脱保護及びカップリングプロセスにおいてポリペプチドが調製され得る可溶性ポリマー支持体部分を含む合成方法を含むことができる。脱保護及びカップリング反応を均一溶液相で生じさせることによって、LPPSは、SPPSに関与する困難のいくつかを克服することができる。一般に、LPPSは、必要とする溶媒、出発物質、及び試薬がより少ないことによって、SPPSよりも実質的に効率的であり得る。また、液相反応速度は、相境界で生じる反応と比較して、より速くなり得る。これは、反応最適化の努力を容易にすることができ、例えば、成長中のポリペプチドにおけるアミノ酸残基のラセミ化を最小限に抑えるために、脱保護工程をより短い時間で、又はより穏やかな反応条件下で行うことを可能にする。LPPSはまた、例えば、質量分析法と組み合わせたHPLC(「HPLC coupled with mass spectrometry、LCMS」)によって、反応を直接モニタリングすることを可能にするが、ここで、可溶性ポリマー支持体に結合した生成物は、類似のSPPSプロセスよりも、むしろより単純に検出及び定量されることができる。
【0007】
SPPSと比較したLPPSにおける利点にもかかわらず、LPPS戦略を首尾よく実装することは、困難であり得る。所望の生成物を単離し、それをその他の反応構成成分及び望ましくない副生成物から効率的に分離するという問題が、残っている。そのために、液相反応混合物からのポリペプチド生成物の分離を可能にする多くの戦略が用いられてきた。疎水性可溶性リンカー系は、タグ補助LPPS支持体として開発されている例えば、Takahashi,D.ら(2017年)Angewandte Chemie International Edition129:7911-7915及び米国特許出願公開第2018/0215782号を参照のこと)。これらのリンカー系を使用して、ペプチドはリンカー上で伸長されることができ、次に、副生成物は、沈殿又は抽出水性ワークアップのいずれかによって除去される。しかしながら、ペプチド鎖が伸長するにつれて溶解性の問題が主要な問題となる、ペプチドの長さなどのいくつかの重要な制限があることが、見出された。なお、水性洗浄は、試薬及び副生成物を除去する際に限られた有効性を有し得るため、純度の課題が存在し得る。これらの構成成分は、下流の合成工程を妨害する場合があり、好ましくない付加及び欠失をもたらし得る。更に、有機層中の残留水が多いと、ペプチドカップリングに悪影響を及ぼす可能性があり、脱水工程の追加が必要になる場合がある。
【0008】
親水性リンカー系は、疎水性リンカー系と比較して、重要な利点を提供することができる。これらの系において、リンカーは、より環境に優しい有機溶媒を用いた単純な抽出によって反応副生成物を除去することを可能にする親水性「タグ」を特徴とする。ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol、PEG)は、液相ペプチド合成のための親水性支持体として報告されている(例えば、Fischer、P.M.;Zheleva、D.I.(2002年)Journal of Peptide Science 8:529-542を参照のこと)。しかしながら、これらの用途に使用されるPEG誘導体は、多くの場合、多分散性であり、固定分子量を欠く。可変PEG鎖長は、高分子量PEG共役結合生成物の分析及び精製において、複雑さを生じ得る。したがって、特にペプチドの商業的製造において、これらの欠点に対処するLPPSのための固定分子量を有する新しい親水性リンカー系を見出すことが改善点となるであろう。このような系が長いペプチド(15-mer以上)の液相ペプチド合成法を可能にすることができれば、更なる進歩となるであろう。実際に、本実施形態は、タグ支援LPPSのための親水性リンカー系、及び商業規模でのペプチドの合成のためのその使用方法を、具体的に提供する。このような方法及びシステムが、本明細書に開示される。
【発明の概要】
【0009】
本実施形態は、LPPSなどの液相有機合成のための親水性リンカー構築物として有用な固定分子量の化合物を提供する。本開示の化合物は、リンカーに結合した反復ヘテロ二官能性PEG様単位を特徴とし、リンカー上に、カップリング(例えば、アミノ酸カップリング)及び脱保護工程を介して、ポリペプチド又はその他の分子を構築することができる。特に、本開示の化合物は、反復合成工程、例えば、アミノ酸カップリング及び脱保護工程を通して、ポリペプチド又はその他の分子を構築するために、使用されることができる。
【0010】
本開示の一実施形態は、式1の親水性リンカー化合物を含む。
【化1】
式中、「m」は0~20であり、「n」は1~50であり、「Z」はリンカー基である。「Z」は、アミノ酸などの任意で保護された化合物と共有結合を形成し得る官能基であり、これは次に、アミノ酸又はペプチドなどの1種以上の任意で保護された化合物への反復脱保護及びカップリング工程を受けることができ、次に、ポリペプチド生成物などの得られた生成物を、化学変換によって、「Z」基から遊離させることができる。
【0011】
本開示の別の実施形態は、「m」が0、1、2、又は3であり、「n」が1~50である式1の化合物を含む。本開示の別の実施形態は、「m」が0、1、2、又は3であり、「n」が1~10である式1の化合物を含む。本開示の別の実施形態は、「m」が1であり、「n」が2~10である式1の化合物を含む。
【0012】
本開示の更なる実施形態は、「Z」が
【化2】
から選択され、「m」及び「n」が、上で定義した通りである、式1の化合物を含む。
【0013】
本開示の親水性リンカーは、ペプチド及びその他の化合物の合成に有用であり、ここで、アミノ酸又はペプチドフラグメントなどの化合物の活性化エステルは、式1のリンカーの遊離アルコール-OH又はアミン-NH上に、最初にカップリングされる。その後、化合物(例えば、ペプチド)は、中間脱保護の後に連続して、個々の分子構成成分(例えば、アミノ酸又はペプチドフラグメント)の活性化エステルをカップリングさせることによって成長する。完成した化合物、例えば、ペプチドは、酸性条件でリンカーから切断される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態は、固定分子量を有するLPPS系などの液相合成系で使用するための、親水性リンカー化合物を提供する。LPPSに使用される場合、開示された化合物は、長いペプチド(15-mer以上)の液相ペプチド合成を可能にする。実際、本実施形態は、特に、LPPSなどの液相合成のための親水性リンカー系、及び商業規模での分子又はペプチドの合成のための、その使用方法を提供する。
【0015】
上記のように、本親水性リンカー化合物は、上記で概説した式1の化合物であってもよい。好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0016】
本明細書に記載される親水性リンカー化合物を使用する液相合成は、アミド結合を介して(すなわち、1つの分子上のカルボニル基の別の分子のアミノ基への縮合を介して)カップリングされた化合物を結合させるために使用されることができる。ペプチド合成は、ペプチド結合が1つのアミノ酸のカルボキシル基の別のアミノ酸のアミノ基への縮合反応から生じるので、本明細書に記載される親水性リンカー分子及び方法の明確な使用である。したがって、アミド結合を含有する化合物は、分子を結合させるためのカップリング及び脱保護反応の反復を通して結合されることができるが、これは、完了時に、合成中に使用される支持体から放出されなければならない。具体的には、利用可能なカルボン酸基を有するFmoc基によって保護されたアミノ基を有する分子を、本明細書に記載される親水性リンカー分子上にカップリングさせることができる。次に、得られた分子は、Fmoc基を除去することによって脱保護されることができ、分子の得られた保護されていないアミノ基は、利用可能なアミノ基を有する更なる分子上の利用可能なカルボン酸基にカップリングされることができる。実施例21~実施例24は、本明細書に記載される親水性リンカー分子を使用する非ペプチド分子の液相合成を示す。
【0017】
SPPS及びLPPSの両方によるペプチド調製は、ペプチドを伸長させるためのカップリング及び脱保護反応の反復を通して進行するが、これは、完了時に、合成中に使用される支持体から放出されなければならない。なお、合成において使用されるアミノ酸又はペプチドフラグメント出発物質は、多くの場合、カップリング工程中の選択性を確実にするのに役立つ側鎖保護基を有する。側鎖保護基は、ペプチド伸長プロセスにおける脱保護工程中に使用される条件に対して安定であるように、選択される。例えば、FMOC基(Fluorenyl Methyl Oxy Carbonyl、フルオレニルメチルオキシカルボニル基)は、アミノ酸出発物質中のアミノ基を保護するために使用されることができ、第二級アミン塩基で容易に除去される。対照的に、BOC(But Oxy Carbonyl)及びトリフェニルメチル(トリチル)保護基は、ペプチド伸長中にFMOC基を除去するために典型的に使用される塩基性条件下で安定であり、完了時に強有機酸で除去されることができる。いくつかのペプチド合成リンカーは、アミノ酸側鎖脱保護に使用されるのと同じ条件下で切断されることができる。これは「ハード(hard)」切断法と称され、ペプチド伸長が完了した際に、ペプチドは同時に脱保護され、樹脂から切断される。複雑な合成戦略は、側鎖脱保護の条件にオルゴソナルな条件下で切断が発生することを可能にするリンカー化学の注意深い選択によって、可能になり得る。これは、「ソフト(soft)」切断法と称され、ペプチドは、側鎖保護基の一部又は全部が依然として完全な状態で樹脂から切断される。
【0018】
本開示の親水性リンカーは、「ハード」及び「ソフト」切断法を利用する合成プロセスにおいて、使用されることができる。「ソフト」切断合成戦略を使用することにより、例えば、合成されたペプチドを、より複雑なペプチドのハイブリッドフラグメントベースの合成において、出発物質としての使用を可能にすることができる。更に、ハイブリッドSPPS/LPPSプロセスは、本明細書に記載される親水性リンカーを使用する収束ペプチド合成戦略の一部として、実施されることができる。ペプチドフラグメントは、SPPSを使用して構築され得、それらの固体支持体から切断され得、単離され得、また任意で精製され得、次に、LPPSを使用して親水性リンカーに結合されたペプチド上にそれらをカップリングさせることによって、結合されることができる。本収束ハイブリッドSPPS/LPPS戦略は、完全にSPPSであるプロセスと比較して、スケールアップ時により実用的かつ効率的であり得る。
【0019】
フラグメントベースの収束ペプチド合成戦略はまた、本明細書に記載される親水性リンカーを使用して、LPPSを用いて実施されることができる。この場合、ペプチドフラグメントは、LPPSを使用して構築され、親水性リンカー支持体から切断され、単離され、また任意で精製され、次に、LPPSを使用して親水性リンカーに結合されたペプチド上にそれらをカップリングさせることによって、結合される。
【0020】
本開示の親水性リンカー化合物はまた、膜強化ペプチド合成(Membrane-Enhanced Peptide Synthesis、MEPS)を促進するリンカー系の一部として使用されることができる。MEPSを中心に構築された合成戦略は、その他の反応構成成分からの成長ペプチドの膜ベースの分離(又は膜分離精製法)を使用する。LPPS戦略におけるMEPSの実用的な実施は、例えば、有機溶媒ナノ濾過(Organic Solvent Nanofiltration、OSN)を使用して、反応が行われる同じ有機溶媒中でこの分離が実施されることを可能にするシステムの使用によって促進される。このような膜ベースの分離技術は、成長するペプチドとその他の反応構成成分との間のサイズの差によって、分離を達成する。そのために、「ナノスター(nanostar)」ハブ構造を、成長するペプチドの分子サイズを増大させるものの、それ自体は緻密であり、容易に合成されるLPPS支持体として使用することができる(例えば、Yeo,J.ら(2021年)Angewandte Chemie International Edition 60:7786-7795を参照のこと)。芳香族ハブ構造は、ペプチド合成リンカーが結合され得る中心結合点として機能することができる。これらのハブ構造はまた、例えば、UHPLC-MS(Ultra-High Performance Liquid Chromatography-Mass Spectrometry、超高速液体クロマトグラフィ質量分析法)による反応モニタリングに有用な追加のUV発色団として機能することができる。ナノスターハブは、成長する合成ペプチドとその他の反応構成成分との間の質量差を増大させ、透析濾過効率を増加させる。
【0021】
本開示の親水性リンカー化合物は、MEPSベースの戦略の一部として使用されることができる。特に、本開示の親水性リンカー化合物を連結して、ナノスターハブを形成することができる。スキーム1は、Rink型リンカー又はWang型リンカーのいずれかを中心フェニル環に連結するポリエチレングリコール鎖を特徴とする、以前に開示されたナノスター構造の合成を示す(Yeo,2021年)。
【0022】
【化7】
【0023】
スキーム1のナノスター構造2と同様に、本明細書に記載の式1の化合物をナノスターハブに結合させて、例えば、式2の化合物を得ることもできる。
【化8】
式中、「Z」は、
【化9】
であり、
mは0、1、2、又は3であり、nは1~10であり、pは2又は3である。特に、「Z」が、
【化10】
であり、
mが1であり、nが2、4、6、8、又は10であり、pが2又は3である、式2のナノスター化合物を調製し得る。
【0024】
本開示ではまた、「分枝鎖状」親水性リンカー化合物もまた企図されており、リンカーは、ペプチド結合基に結合した2つ以上の親水性官能基を特徴とする。分岐鎖状親水性リンカー系は、式3の化合物を含み得る。
【化11】
式中、「Z」は、任意で保護されたアミノ酸と共有結合を形成し得る官能基を表し、これは次に、1つ以上の任意で保護されたアミノ酸又はペプチドへの反復脱保護及びカップリング工程を受け得、次に、得られたポリペプチド生成物は、化学変換によって「Z」基から遊離させることができ、mは0、1、2、又は3であり、nは1~10であり、pは2又は3である。特に、式3a、式3b、及び式3cの分岐鎖状化合物を調製し得る。
【化12】
式中、「k」は1であり、「m」は1であり、「q」は1であり、「l」、「n」、及び「t」は、それぞれ独立して、2、4、6、8、又は10である。
【0025】
流動化学プロセスの大規模な実施を可能にする技術では、近年、著しく進歩してきている。流動化学において、試薬及び反応物は、通常管又はパイプを通して、連続的に流れる混合物中に一緒にポンプで送り込まれる。従来のバッチプロセスと比較した場合、流動化学戦略を化学製造プロセスに導入することによって、顕著な利点が実現され得る。流動化学戦略は、圧力、温度、及び反応時間などの反応パラメータに対する制御を容易にする。反応混合物を管に通すことによって、例えば、混合物は、管の高い表面積に曝露され、それによって、反応への又は反応からの熱流束が増加し、それによって、急速な加熱又は冷却が可能になる。流通反応装置は加圧され得るが、大気圧で沸点を超えて加熱し、反応速度を増加させることができる。従来のバッチプロセスは、混合及び熱伝達速度のためにスケールアップ時に複雑になる可能性があるが、流動化学プロセスは、これらのパラメータに対する高度な制御をより容易に維持することができる。なお、移動流中で反応を実施することによって、少量の高エネルギー中間体のみが、プロセスの過程中の任意の時間に生成され、それに関連する安全性リスクを減少させる。
【0026】
流動化学原理は、SPPS及びLPPSなどの液相合成系の両方に適用されてきた。SPPSでは、充填床流動システムが大規模及び小規模の両方で調査されており、このようなシステムは自動化に非常に適している。LPPSでは、固定化された試薬及びマイクロリアクタが、小規模でペプチドフラグメントを作製するために使用されている(例えば、Baxendale、I.R.ら(2006年)Chemical Communications 4835-4837、及びFuse、S.ら(2014年)Angewandte Chemie International Edition 53:851-855を参照のこと)、及び連続式撹拌槽型反応器(Continuous Stirred-Tank Reactor、CSTR)技術が、ジ-及びトリペプチド生成物の大規模調製に適用されている(例えば、Jolley,K.E.ら(2017年)Organic Process Research and Development 21:1557-1565を参照のこと)。
【0027】
本開示の親水性リンカー化合物は、LPPSなどの流動化学液相プロセスを可能にするのに、特に有用である。溶液中で親水性リンカーにカップリングされた成長分子、例えばペプチドに対する、カップリング及び脱保護反応の急速な反応速度は、流動化学プロセスの実施にとって好ましい特徴である。望ましくない副生成物及び未反応出発物質から所望の反応生成物を分離する溶液相流動化学において、問題が残っている。本明細書に開示される親水性リンカー化合物を使用するペプチドなどの分子の調製は溶液中で行われるが、所望の生成物の単離は相分離で行われ、連続的な液-液分離(例えば、ミキサ-セトラ又は連続流遠心分離機による)の使用を可能にする。
【0028】
従来の固相ペプチド合成では、例えば、洗浄、カップリング、脱保護などの工程で、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、及びジクロロメタンなどの有毒溶媒が大量に利用されており、産業衛生や環境保護に課題を有している。この理由から、ペプチド合成において使用するための、より環境に優しい(すなわち、「より環境負荷が少ない」)代替溶媒の開発に、強い関心が寄せられている。本明細書に記載される方法は、このようなより環境負荷が少ない溶媒を使用することができる。より環境負荷が少ない洗浄溶媒の実施例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、MTBE(Methyl Tert-Butyl Ether、メチル-tert-ブチルエーテル)及びCPME(Cyclopentyl Methyl Ether、シクロペンチルメチルエーテル)が挙げられる。本明細書に記載されるカップリング反応は、DMSOなどのより環境負荷が少ない溶媒中でも発生し得る。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語「アミノ酸(amino acid)」とは、カルボン酸官能基(-COH)及びアミン官能基(-NH)を含む有機化合物を指す。アミノ酸は、グリシン、L-アラニン、及びL-フェニルアラニンなどのタンパク質生成物(すなわち、翻訳中に生合成的にタンパク質に組み込まれる)であり得、3-アミノイソ酪酸及び8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸などの非タンパク質生成物であり得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「親水性リンカー(hydrophilic linker)」とは、カップリング(例えば、アミノ酸カップリング)及び脱保護工程を通してポリペプチドなどの分子を構築することができ、水に対して高い親和性を有する1つ以上の官能基を特徴とする化学部分を指す。
【0031】
本明細書中で使用される場合、用語「流動化学(flow chemistry)」とは、連続的に流動する流れにおいて化学反応を実施することを指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「ナノスター(nanostar)」とは、コア有機化学構造が、生体高分子鎖を構築することができる2つ以上のリンカーのための中心結合点(又は「ハブ(hub)」)として機能する、生体高分子(例えば、ポリペプチド)の合成に使用されるリンカー構築概念を指す。ポリペプチドの構築のためのナノスター構造が、記載されている(Yeo,J.ら(2021年)Angewandte Chemie International Edition 60:7786-7795を参照のこと)。
【0033】
本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド(peptide)」又は「ポリペプチド(polypeptide)」とは、アミノ酸のポリマー鎖を指す。これらのアミノ酸は、修飾アミノ酸を含む天然アミノ酸又は合成アミノ酸であり得る。本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド」及び「ポリペプチド」は、交換可能に使用される。
【0034】
本明細書中で使用される特定の略語は、以下のように定義される:「AEEA」とは、2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)アセチルを指し、「Aib」とは、2-アミノイソ酪酸を指し、「Boc」とは、tert-ブトキシカルボニルを指し、「CAD」とは、荷電化粒子検出器(Charged Aerosol Detector)を指し、「DCM」とは、ジクロロメタンを指し、「DEPBT」とは、3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オンを指し、「DIC」とは、ジイソプロピルカルボジイミドを指し、「DIEA」とは、ジイソプロピルエチルアミンを指し、「DMF」とは、N,N-ジメチルホルムアミドを指し、「DMSO」とは、ジメチルスルホキシドを指し、「DVB」とは、ジビニルベンゼンを指し、「EDC」とは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを指し、「ESMS」とは、エレクトロスプレー質量分析法(Electro Spray Mass Spectrometry)を指し、「Fmoc」とは、フルオレニルメチルオキシカルボニルを指し、「Fmoc-Suberol」とは、5-Fmoc-アミノ-2-カルボキシメトキシ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテンを指し、「HMPA」とは、4-(ヒドロキシメチル)フェノキシ酢酸を指し、「HMPB」とは、4-(4-ヒドロキシメチル-3-メトキシフェノキシ)酪酸を指し、「LCMS」とは、液体クロマトグラフィ質量分析法を指し、「LPPS」とは、液相ペプチド合成を指し、「MTBE」とは、メチルtert-ブチルエーテルを指し、「oxyma」とは、シアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルを指し、「PEG」とは、ポリエチレングリコールを指し、「PyBop」とは、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、「PyOxim」とは、[(E)-(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデン)アミノ]オキシ-トリピロリジン-1-イルホスファニウムを指し、ヘキサフルオロホスフェート、「SPPS」とは、固相ペプチド合成を指し、「tBu」とは、tert-ブチルを指し、「TFA」とは、トリフルオロ酢酸を指し、「Trt」とは、トリチルを指し、「UPLC」とは、超高速液体クロマトグラフィを指す。
【0035】
【化13】
【0036】
スキーム2は、親水性リンカー化合物8の調製を示し、ここで、「X」は、化学的に不安定な-OH又は-NHを有する官能基を表すが、これは、任意で保護されたアミノ酸に対して(それぞれ)エステル結合又はアミド結合を形成することができ、これは、次に、反復脱保護及び1つ以上の任意で保護されたアミノ酸又はペプチドへのカップリング工程を受けることができ、次に、得られたポリペプチド生成物は、化学変換を介して「X」基から遊離させることができる。
【0037】
化合物8は、スキーム1において、Fmoc保護基戦略を使用する固相合成によって調製される。本合成は、自動ペプチド合成機で、部分的に又は全体的に実行されることができる。工程1において、Fmoc-Sieber(ジーバ)アミド樹脂1をピペリジンで脱保護し、次に、工程2において、アミドカップリング条件(例えば、Oxyma及びDIC)を使用して、Fmoc保護中間体2とカップリングさせて、中間体3を得る。工程3(ピペリジンを使用する脱保護)及び工程4(アミドカップリング条件、例えば、PyOxim及び有機塩基を使用する、Fmoc保護中間体2とのアミドカップリング)の反復サイクルにより、中間体4が得られるが、このサイクルは、「n」マイナス1回繰り返されて、一緒にカップリングされた「n」モノマー単位を達成する。工程5において、中間体4は、ピペリジンで脱保護され、次に、工程6において、中間体5又は中間体6のいずれかとの(例えば、PyOxim及び有機塩基を用いた)アミドカップリングを受けて、中間体7が得られる。中間体7がFmoc保護窒素を有する場合、工程7において、ピペリジンを使用して脱保護される。最後に、親水性リンカー化合物8を、酸性条件下で(例えば、TFAを使用して)Sieber樹脂から切断する。
【0038】
【化14】
【0039】
スキーム3は、窒素を有し、その上にアミノ酸のポリマー鎖が構築され、次に、酸性条件下でリンカーから切断され得る親水性リンカー化合物9を使用したアミノ酸のポリマー鎖の伸長を示す。工程1において、Fmoc保護アミノ酸10を、DMF又はDMSOなどの極性非プロトン性有機溶媒中でアミドカップリング条件(例えば、PyOxim及び有機塩基)を使用して、親水性リンカー化合物9とカップリングさせて、第1のカップリング中間体11を得る。反応が完了した際に、MTBEなどの極性の低い非プロトン性溶媒を追加し、その結果、カップリングした中間体11が反応混合物から沈殿する。沈殿物は(例えば、遠心分離及び上澄みのデカントによって)バルク反応混合物から分離され、任意で、不溶性である溶媒(例えば、MTBE)でこれを再度処理することによって洗浄され、続いて(例えば、遠心分離及び上澄みのデカントによって)沈殿物が分離される。このようにして、中間体11を反応混合物から単離し、反応溶媒、未反応出発物質、及び反応廃棄物の大部分から分離する。工程2において、中間体11を、ピペリジンを使用して脱保護し、沈殿/生成物分離/任意の洗浄手順を実施し、次に、工程3において、次の保護アミノ酸(12)を、アミドカップリング条件(例えば、PyOxim及び有機塩基)を使用してカップリングさせ、続いて、沈殿/生成物分離/任意の洗浄手順を行って中間体13を得る。この時点で、中間体13が、(例えば、スキーム6に概説されるように)その他の化学変換に供され得る。末端窒素保護基が-Fmocであり、ポリマー鎖伸長を継続する場合、工程2及び3を、保護されたアミノ酸(例えば、14)を用いて順番に反復して繰り返して、中間体15を得る。
【0040】
【化15】
【0041】
スキーム4は、酸素を有し、その上にアミノ酸のポリマー鎖が構築され、次に、酸性条件下でリンカーから切断されることができる、親水性リンカー化合物16を使用したアミノ酸のポリマー鎖の伸長を示す。本プロセスの工程は、工程1が(試薬、例えば、PyBOP/有機塩基又はDIC/DMAPを使用して行われる)エステル化工程であることを除いて、スキーム3に概説される工程と類似している。スキーム3(それぞれ、工程2及び3)に概説されているように、脱保護及び保護アミノ酸とのカップリング工程を繰り返すことにより、ポリマー化合物17が得られる。
【0042】
【化16】
【0043】
スキーム5は、酸素によって接続されたリンカーから伸長アミノ酸ポリマーを切断するための、3つの経路を示す。これらのリンカーから切断される場合、アミノ酸ポリマーは、そのC末端に遊離カルボン酸(-COH)を有する。
【0044】
第1の経路では、工程1bにおいて、化合物17は、酸性条件下(例えば、DCM中で2~5%のTFA)で「ソフト」切断を受け、アミノ酸ポリマー由来のリンカーを加水分解することによってC末端でカルボン酸基が得られ、N末端保護基(及びR、R、R等に存在し得るその他の保護基)を、化合物18中で完全な状態のままにする。ピリジンなどの塩基で中和した後、水性後処理を行うと、親水性リンカーの大部分が18から分離される。次に、N末端の保護基を完全な状態にして、18を、例えば、フラグメントベースのペプチド合成戦略の一部として、別のアミンとカップリングさせることができる。
【0045】
第2の経路では、工程1aにおいて、N末端保護基が好適な条件下で除去されて(-Fmoc保護の場合、ピペリジンが使用される)、19が得られる。工程2bにおいて、アミノ酸ポリマーをリンカーから加水分解し、R、R、R等に存在し得る保護基を完全な状態のまま残す条件下で(例えば、DCM中で2~5%のTFAを使用して)20を得ることができるか、又は酸不安定性保護基の全体的な脱保護を、例えば、TFA、トリイソプロピルシラン、1,2-エタンジチオール、及び水の混合物(85:5:5:5v/v比)を使用する「ハード」切断条件下で達成することができる。
【0046】
第3の経路において、中間体19は、工程2aにおいて、アミドカップリング条件下でカルボン酸21とカップリングされて、22が得られる(例えば、DEPBT及び有機塩基、又は21は、有機塩基を使用して、スクシンイミジルエステルとして反応することができる)。工程3において、化合物23は、上記で概説した「ハード」又は「ソフト」切断のいずれかを使用して、親水性リンカーから切断される。
【0047】
【化17】
【0048】
スキーム6は、窒素によって連結されたリンカーから伸長アミノ酸ポリマーを切断するための、2つの経路を示す。これらのリンカーから切断される場合、アミノ酸ポリマーは、そのC末端に一級アミド(-CONH)を有する。
【0049】
第1の経路では、工程1aにおいて(保護基が-Fmocの場合に、ピペリジンを使用して)中間体24上のN末端保護基を除去して25を得た後に、「ソフト」切断条件(例えば、DCM中で2~5%のTFA)を使用して、R、R、R等の保護基を完全な状態のままにするか、又は「ハード」切断条件(例えば、85:5:5:5のTFA、トリイソプロピルシラン、1,2-エタンジチオール、及び水)を使用して、酸不安定性のR、R、R等の保護基を除去して、26を得るか、のいずれかで、親水性リンカーからの切断が酸性条件下で達成される。中間体24のN末端保護基が-Bocなどの酸不安定性保護基である場合、工程1a及び工程2bは、「ハード」切断条件下にてワンポットで達成されることができる。
【0050】
第2の経路において、25は、工程2aにおいて、アミドカップリング条件下でカルボン酸27とカップリングされて、28が得られる(例えば、DEPBT及び有機塩基、又は27は、有機塩基を使用して、スクシンイミジルエステルとして反応することができる)。工程3において、化合物29は、上記で概説した「ハード」又は「ソフト」切断のいずれかを使用して、親水性リンカーから切断される。
【実施例
【0051】
以下の実施例は、本開示の種々の実施形態を更に説明し、本開示の化合物の典型的な合成を表す。試薬及び出発物質は、容易に入手可能であるか、当業者によって容易に合成されてもよい。実施例は、限定ではなく例示のために記載され、当業者によって様々な変更が行われ得ることを理解すべきである。
【0052】
LCMSは、AGILENT(登録商標)HP1200液体クロマトグラフィシステムで実施される。クロマトグラフィ条件-カラム:Waters CSH(登録商標)C18 150×2.1mm、1.7μm、使用した勾配は、5~95%の溶媒Bであった。溶媒Aを、20~30分間実行し、流量:0.5mL/分、カラム温度:40℃~50℃、溶媒A:水中で0.2%のTFA、溶媒B:アセトニトリル。エレクトロスプレー質量分析測定(Electro Spray Mass Spectrometry measurements、ESMS)は、クロマトグラフィシステムに接続された質量選択検出器四重極質量分析法(Mass Selective Detector quadrupole mass spectrometer)で実施された。
【0053】
実施例1
2-(4-アミノ(2,4-ジメトキシフェニル)メチル)フェノキシ)-N-(53-アミノ-8,17,26,35,44,53-ヘキサオキソ-3,6,12,15,21,24,30,33,39,42,48,51-ドデカオキサ-9,18,27,36,45-ペンタアザトリペンタコンチル)アセトアミド[Rink-(AEEA)-NH]の調製。
【化18】
【0054】
標題化合物を、Fmoc-Sieberアミド樹脂(置換0.8、スチレン1%のDVB、100~200メッシュ)から出発して、Symphony X Automated Peptide Synthesizer(Protein Technologies Inc.社製)でのFmoc戦略を使用する固相合成によって、調製した。
【0055】
Sieber樹脂上でのAEEA単位のカップリング:Fmoc-Sieberアミド樹脂上での(AEEA)の調製を、0.5mmolスケールで、9バッチで実施した(合計4.5mmol)。各バッチについて、樹脂を、それぞれ10分間にわたるDMF(10mL)の2回の洗浄を使用して、膨潤させた。次に、脱保護及びカップリングサイクルを、以下のように実施した。樹脂をDMF(9mLで2分間)で洗浄し、DMF中で20%のピペリジンを使用して脱保護し(7mLで5分間、次に9mLで25分間)、DMFで洗浄し(9mLで1分間、6回繰り返し)、Fmoc-AEEA-OH[DMF中で0.375MのFmoc-AEEA-OH(4mL、1.5mmol、3当量)、Oxyma(0.750M、2mL、3当量)、DIC(0.660M、2.5mL、3.3当量)]とカップリングさせて、窒素ガスを吹き込むことによって1時間45分混合して、最後に反応容器を排液し、DMFで洗浄した(9mLで30秒間、3回繰り返し)。本脱保護及びカップリングサイクルを、合計6回繰り返して、Sieber樹脂上にFmoc-(AEEA)を得た。最後のDMF洗浄の後、樹脂をDCMで洗浄し、窒素流下で4時間乾燥させた(10mLで1分間、5回繰り返し)。本方法で調製した各バッチについてのSieber樹脂上のFmoc-(AEEA)の平均収量は、1.156gであった。
【0056】
Sieber樹脂上の(AEEA)へのRink基のカップリング:Sieber樹脂上のFmoc-(AEEA)の一部(1.1g、0.5mmol)をDMFで膨潤させ(10mLで20分間、3回繰り返し)、DMF中で20%のピペリジンを使用して脱保護し(10mLで20分間、3回繰り返し)、次に、DMFで洗浄した(10mLで2分間、5回繰り返し)。DMF(9mL)中のFmoc-Rinkリンカー(p-[α-[1-(9H-フルオレン-9-イル)-メトキシホルムアミド]-2,4-ジメトキシベンジル]-フェノキシ酢酸、0.81g、1.5mmol、3.0当量)、PyOxim(0.79g、1.5mmol、3.0当量)、及びDIEA(0.52mL、0.39mg、3.0mmol、6.0当量)の溶液を反応容器に追加し、窒素ガスを吹き込むことによって2時間混合した。反応容器を排液し、DMFで洗浄し(10mLで2分間、5回繰り返し)、次に、DMF中で20%のピペリジンを用いて脱保護した(10mLで20分間、3回繰り返し)。樹脂を、DMFで洗浄した(10mLで2分間、5回繰り返し)。最後のDMF洗浄後、樹脂をDCMで洗浄し(10mLで2分間、5回繰り返し)、窒素流下で4時間乾燥させて、Sieber樹脂上に1.21gのRink-(AEEA)を得た。
【0057】
Sieber樹脂からのRink-(AEEA)-NHの切断:Sieber樹脂上のRink-(AEEA)(1.21g)を、DCM(12mL)中で5%のTFAと30分間混合し、濾過し、追加のDCMで洗浄した。濾液をDIEAで中和し、減圧下で濃縮した。得られた油状物をDMSO(2mL)に溶解し、MTBE(30mL)を追加した後、混合物を3000rpmで3分間遠心分離した。上澄みを再度デカントし、新鮮なMTBE(30mL)を追加し、次に、混合物を、再度3000rpmで3分間遠心分離した。上澄みを再度デカントし、標題化合物を油状沈殿物として残した。ESMS m/z1188.5(M+H)。
【0058】
実施例2
2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[4-[アミノ-(2,4-ジメトキシフェニル)メチル]フェノキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセトアミド[Rink-(AEEA)-NH]の調製
【化19】
【0059】
Fmoc-Rinkリンカーへのカップリングの前に8個のAEEA単位を固体支持体にカップリングさせる、本質的に実施例1に記載される手順を使用する固相合成によって、標題化合物を調製した。Sieber樹脂上の(AEEA)にFmoc-Rinkリンカーをカップリングした後、Fmoc-Rink-(AEEA)-NHを、DCM中で2%のTFAを用いて樹脂から切断した(5容量で20分間、5回繰り返し)。合わせた濾液をDIEAで中和し、溶液を蒸発させた。DMFを追加し(2容量)、続いてMTBEを追加して、相分離を開始させた。混合物を遠心分離し、上澄みを除去して、Fmoc-Rink-(AEEA)-NHを油状物質として残した。最終Fmoc基を、DMF中で30%のピペリジンで除去し、続いてMTBEを追加して、相分離を開始させた。上澄みを除去して、標題化合物を油状物として得た。ESMS m/z739.5(M+2H/2)
【0060】
実施例3
2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[4-[アミノ-(2,4-ジメトキシフェニル)メチル]フェノキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセトアミド[Rink-(AEEA)10-NH]の調製
【化20】
【0061】
Fmoc-Rinkリンカーへのカップリングの前に10個のAEEA単位を固体支持体にカップリングさせる、本質的に実施例1に記載される手順を使用する固相合成によって、標題化合物を調製した。ESMS m/z1768.8(M+H
【0062】
実施例4
2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[4-[アミノ-(2,4-ジメトキシフェニル)メチル]フェノキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセトアミド[Rink-(AEEA)-NH]の調製
【化21】
【0063】
Fmoc-Rinkリンカーへのカップリングの前に4個のAEEA単位を固体支持体にカップリングさせる、本質的に実施例1に記載される手順を使用する固相合成によって、標題化合物を調製した。ESMS m/z897.4[(M+H]。
【0064】
実施例5
2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[4-[アミノ-(2,4-ジメトキシフェニル)メチル]フェノキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセトアミド[Rink-(AEEA)-NH]の調製
【化22】
【0065】
Fmoc-Rinkリンカーへのカップリングの前に2個のAEEA単位を固体支持体にカップリングさせる、本質的に実施例1に記載される手順を使用する固相合成によって、標題化合物を調製した。ESMS m/z607.3[(M+H]。
【0066】
実施例6
N-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2-アミノ-2-オキシ-エトキシ)エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチル-4-[4-(ヒドロキシメチル)-3-メトキシ-フェノキシ]ブタンアミド[HMPB-(AEEA)10-NH2-]の調製
【化23】
【0067】
本質的に実施例1に記載される手順を使用して、10個のAEEA単位をSieber樹脂上に結合させた。最後のAEEA単位を樹脂上にカップリングさせた後、それをDCMで洗浄し、窒素流下で4時間乾燥させた。樹脂の一部(0.50mmol)を、本質的に実施例1に記載されるように、DMF中で20%のピペリジンで脱保護し、次に樹脂をDCM(11.4mL)に懸濁し、TFAを追加した(0.6mL)。懸濁液を、25℃で30分間混合し、次に濾過し、DCMで洗浄した。濾液をDIEAで中和し、減圧下で濃縮した。得られた油を、DMSO(2mL)に溶解し、次に、MTBEを追加した(30mL)。混合物を遠心分離し、上澄みを除去し、(AEEA)10-NHを油として遠心分離管中に残した。
【0068】
(AEEA)10-NHを含有する遠心分離管に、DMSO(1.5mL)中のDEPBT(150mg、0.50mmol)、HMPB(120mg、0.50mmol)、及びDIEA(0.174mL、129mg、1.0mmol)の溶液を追加し、溶液を5分間静置した後、それを管に追加した。得られた混合物を振盪器上に置き、2時間混合し、次にMTBE(20mL)を追加して、相分離を誘導した。混合物を遠心分離し(2500rpmで3分間)、上澄みを廃棄した。新鮮なMTBE(20mL)を管に追加し、遠心分離し(2500rpmで3分間)、上澄みを廃棄すると、標題化合物が油状物として残った。ESMS m/z1712.70(M+Na-1H)。
【0069】
実施例7
N-(17-アミノ-8,17-ジオキソ-3,6,12,15-テトラオキサ-9-アザヘプタデシル)-4-(4-(ヒドロキシメチル)-3-メトキシフェノキシ)ブタンアミド[HMPB-(AEEA)-NH]の調製
【化24】
【0070】
HMPBを、(AEEA)-NHにカップリングさせてHMPB-(AEEA)-NHを得たことを除いて、本質的に実施例6に記載される標題化合物を調製した。ESMS m/z552.3(M+Na)。
【0071】
実施例8
N-(35-アミノ-8,17,26,35-テトラオキソ-3,6,12,15,21,24,30,33-オクタオキサ-9,18,27-トリアザペンタトリアコンチル)-4-(4-(ヒドロキシメチル)-3-メトキシフェノキシ)ブタンアミド[HMPB-(AEEA)-NH]の調製
【化25】
【0072】
HMPBを、(AEEA)-NHにカップリングさせてHMPB-(AEEA)-NHを得たことを除いて、本質的に実施例6に記載される標題化合物を調製した。ESMS m/z842.4(M+Na)。
【0073】
実施例9
N-(53-アミノ-8,17,26,35,44,53-ヘキサオキソ-3,6,12,15,21,24,30,33,39,42,48,51-ドデカオキサ-9,18,27,36,45-ペンタアザトリペンタコンチル)-4-(4-(ヒドロキシメチル)-3-メトキシフェノキシ)ブタンアミド[HMPB-(AEEA)-NH]の調製
【化26】
【0074】
HMPBを、(AEEA)-NHにカップリングさせてHMPB-(AEEA)-NHを得たことを除いて、本質的に実施例6に記載される標題化合物を調製した。ESMS m/z1132.5(M+Na)。
【0075】
実施例10
2-((5-アミノ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d][7]アンヌレン-3-イル)オキシ)-N-(53-アミノ-8,17,26,35,44,53-ヘキサオキソ-3,6,12,15,21,24,30,33,39,42,48,51-ドデカオキサ-9,18,27,36,45-ペンタアザトリペンタコンチル)アセトアミド[Ramage-(AEEA-NH]の調製
【化27】
【0076】
Sieber樹脂上の(AEEA)へのRamage基のカップリング:Sieber樹脂上のFmoc-(AEEA)の一部(986.8mg、0.5mmolをDMFで膨潤させ(10mLで20分間、3回繰り返し)、DMF中で20%のピペリジンを使用して脱保護し(10mLで20分間、3回繰り返し)、次に、DMFで洗浄した(10mLで2分間、5回繰り返し)。DMF中のFmoc-Suberol(0.76g,1.5mmol,3.0当量)の溶液:DMSO(4:1、5mL)を反応容器に追加し、続いてOxyma(DMF中0.750M、2mL、1.5mmol、3.0当量)及びDIC(DMF中0.660 M、2.5mL、1.65mmol、3.3当量)を追加し、窒素ガスを吹き込むことによって4時間混合した。反応容器を排液し、DMFで洗浄し(10mLで2分間、5回繰り返し)、次にDMF中で20%のピペリジンを使用して脱保護した(10mLで20分間、3回繰り返し)。樹脂を、DMFで洗浄した(10mLで2分間、5回繰り返し)。最後のDMF洗浄後、樹脂をDCMで洗浄し(10mLで2分間、5回繰り返し)、窒素流下で4時間乾燥させて、Sieber樹脂上に1.21gのRink-(AEEA)を得た。
【0077】
Sieber樹脂からのRamage-(AEEA)-NHの切断:Ramage-(AEEA)-NHを、DCM中で2%のTFAを使用し、更なる処理の前に反応物を30分間ではなく10分間撹拌したことを除いて、本質的に実施例1に記載されるSieber樹脂から切断した。ESMS m/z1153.55(M+H)。
【0078】
実施例11
2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[(11-アミノ-6,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[1,2-e:1’,2’-f][7]アンヌレン-2-イル)オキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセトアミド[Ramage-(AEEA)10-NH]の調製
【化28】
【0079】
実施例10に記載される手順を使用して、Sieber樹脂上でFmoc-Suberolを(AEEA)10にカップリングさせる固相合成によって、標題化合物を調製した。ESMS m/z1733.8(M+H)。
【0080】
実施例12
2-((5-アミノ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d][7]アンヌレン-3-イル)オキシ)-N-(35-アミノ-8,17,26,35-テトラオキソ-3,6,12,15,21,24,30,33-オクタオキサ-9,18,27-トリアザペンタトリアコンチル)アセトアミド[Ramage-(AEEA-NH]の調製
【化29】
【0081】
実施例10に記載される手順を使用して、Sieber樹脂上でFmoc-Suberolを(AEEA)にカップリングさせる固相合成によって、標題化合物を調製した。ESMS m/z863.4(M+H)。
【0082】
実施例13
2-((5-アミノ-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d][7]アンヌレン-3-イル)オキシ)-N-(17-アミノ-8,17-ジオキソ-3,6,12,15-テトラオキサ-9-アザヘプタデシル)アセトアミド[Ramage-(AEEA)-NH]の調製
【化30】
【0083】
実施例10に記載される手順を使用して、Sieber樹脂上でFmoc-Suberolを(AEEA)にカップリングさせる固相合成によって、標題化合物を調製した。ESMS m/z595.3(M+Na)。
【0084】
実施例14
N-(2-(2-(2-アミノ-2-オキソエトキシ)エトキシ)エチル)-2-(2-(2-(2-(4-(ヒドロキシメチル)フェノキシ)アセトアミド)エトキシ)エトキシ)アセトアミド[HMPA-(AEEA)-NH]の調製
【化31】
【0085】
Sieber樹脂上の(AEEA)へのHMPA基のカップリング:Sieber樹脂上のFmoc-(AEEA)の一部(845mg、0.5mmolをDMFで膨潤させ(10mLで20分間、3回繰り返し)、DMF中で20%のピペリジンを使用して脱保護し(10mLで20分間、3回繰り返し)、次に、DMFで洗浄した(10mLで2分間、5回繰り返し)。DMF(10mL)中のHMPA(91mg、0.5mmol、1.0当量)、DIEA(0.174mL、1.0mmol、2.0当量)及びDEPBT(150mg、0.5mmol、1.0当量)の溶液を反応容器に追加し、窒素ガスを吹き込むことによって2時間混合した。反応容器を排液し、DMFで洗浄し(10mLで2分間、5回繰り返し)、次にDCMで洗浄し(10mLで2分間、5回繰り返し)、窒素流下で4時間乾燥させて、Sieber樹脂上に908.6mgのHMPA-(AEEA)を得た。
【0086】
Sieber樹脂からのHMPA-(AEEA)-NHの切断:HMPA-(AEEA)-NH2を、本質的に実施例1に記載されるようにSieber樹脂から切断して、標題化合物を得た。ESMS m/z472.2(M+H)。
【0087】
実施例15
2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[4-(ヒドロキシメチル)]フェノキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセトアミド[HMPA-(AEEA)10-NH]の調製
【化32】
【0088】
実施例14に記載される手順を使用して、Sieber樹脂上でHMPAを(AEEA)10にカップリングさせる固相合成によって、標題化合物を調製した。ESMS m/z1632.7(M+H)。
【0089】
実施例16-Rink-(AEEA)-NH2-及びリンカーからの「ハード」切断を用いた液相ペプチド合成
配列番号1の19-merペプチドを、以下のように液相ペプチド合成を使用して調製した。
【化33】
【0090】
Rink-(AEEA)-NH上のアミノ酸鎖の伸長:Fmoc-Ser(tBu)-OH(0.5mmol)、PyOxim(0.5mmol)、及びDIEA(1mmol)を、DMF(1mL)に溶解した。溶液を1分間混合し、次に、Rinkリンカー(AEEA)-NH(実施例1で調製、0.16mmol)を追加した。反応溶液を10分間混合し、次に、MTBE(5mL)を追加した。混合物を3250rpmで遠心分離し、上澄みを廃棄した。残った物質をDMF(1mL)中で30%のピペリジンと5分間混合した。5分間混合した後、MTBE(5mL)を追加した。混合物を遠心分離し、上澄みを廃棄した。LCMSは、各遠心分離工程においてMTBE含有上澄み中に生成物が存在しないことを確認した。
【0091】
アミノ酸カップリング及び脱保護工程を繰り返し、Fmoc保護アミノ酸(tBuで保護された側鎖-OH及び-COH基)を、配列番号1に示すように、C末端からN末端の順にカップリングした。DMF及びDMSOは、ペプチド構築物が15アミノ酸以下である場合に、アミノ酸カップリング及び脱保護工程のための反応溶媒として交換可能であった。ペプチド長が15アミノ酸を超える場合、反応溶媒としてDMSOが好ましかった。配列番号1における最後のアラニン残基カップリングが完了した際に、最後のFmoc基を、上記の30%のピペリジン/DMF脱保護反応条件を使用して除去した。生成物を凍結乾燥して、配列番号1のペプチド(残留溶媒を含む、0.612mg)を得た。ESMS m/z1697.7(M+2H/2)、1132.0(M+3H/3)。粗単離重量は、液相合成中のMTBEによる相分離工程中に、生成物が上澄み中に失われないことを示すLCMSデータを示す。
【0092】
リンカーからのペプチドの「ハード」切断:可溶性リンカー及び保護基を除去するために、配列番号1のペプチドを、TFA:トリイソプロピルシラン:1,2-エタンジチオール:水(85:5:5:5のv/v比)を含有する溶液中、25℃で2時間撹拌し、これにより、次の配列を有するペプチドを得た。
AFIEYLLEGGPSSGAPPPS-NH(配列番号2)
【0093】
配列番号2のペプチドをMTBEで沈殿させ(反応体積と比較して10:1のMTBE)、上記のように遠心分離し、次に、真空中で乾燥させた。高分解能MS m/z実測値944.4783(荷電状態+2、中性質量1886.9426)、理論的中性質量1886.9414。
【0094】
実施例17-Ramage-(AEEA)10-NH2-及びリンカーからの「ソフト」切断を用いた液相ペプチド合成
Ramage-(AEEA)10-NH上での配列番号3の調製:本質的に実施例16に記載される手順を使用して、配列番号3のペプチドを、3.0mmolのRamage-(AEEA)10-NHへのFmoc-Ser(tBu)-OHのカップリングから開始し、続いてFmoc脱保護を行う液相ペプチド合成によって調製した。残りのFmoc保護アミノ酸(tBuで保護された側鎖-OH基)を、配列番号3に示すように、C末端からN末端への順序でカップリング/脱保護した。Pro(7)及びPro(8)を、二量体(Fmoc-Pro-Pro-OH)として組み込んだ。PyBOPは、PyOximと互換的に使用され得る。ESMS m/z913.1(M+3H/3)。
【化34】
【0095】
リンカーからのペプチドのソフト切断:配列番号3のペプチドに、DCM中で2%のTFA(10体積)を追加し、反応物を室温で30分間培養した。反応物を1当量のピリジンを使用して中和し、反応混合物を減圧下で濃縮した。出発物質が生成物中に観察されるが、これに、20容量の、DCM中で2%のTFAを追加した。混合物を室温で30分間培養し、ピリジンで中和し、再度減圧下で濃縮した。残留物に5%のTFAのDCM溶液(50容量)を追加した。40分後、溶液をピリジンで中和し、減圧下で濃縮して、配列番号4の粗ペプチドを得た。ESMS m/z1042.50(M+Na+)。
G-P-S(tBu)-S(tBu)-G-A-P-P-P-S(tBu)-NH(配列番号4)
【0096】
実施例18-Rink-(AEEA)-NH2-を用いた液相ペプチド合成
【化35】
【0097】
配列番号5のペプチドを、本質的に実施例16に記載されるように、液相ペプチド合成における支持体として、Rink-(AEEA)-NHを使用して調製した。MTBEを最終Fmoc脱保護反応混合物に追加し、次に、混合物を遠心分離した。上澄みを廃棄し、配列番号5のペプチドを、油状沈殿物として得た。ESMS m/z1631.8(M+Na)、1609.8(M+H)、805.5(M+2H/2)。
【0098】
実施例19-HMPA-(AEEA)10-NH2-及びリンカーからの「ソフト」切断を用いた液相ペプチド合成
配列番号6のペプチドを、以下のように液相ペプチド合成を使用して調製した。
【化36】
【0099】
HMPA-(AEEA)10-NH上のアミノ酸鎖の伸長:DMSO(2mL)中のFmoc-Gly-OH(0.2388g、0.8032mmol)の溶液に、PyBOP(0.418g、0.803mmol)及びDIEA(0.207g、1.60mmol)を追加した。それを1分間混合し、HMPA-(AEEA)10-NH(0.4372g、0.2678mmol)に追加し、90分間混合し、続いてMTBE(40mL)を追加した。混合物を、室温、3000rpmで3分間遠心分離し、上澄みをデカントした。この洗浄を3回繰り返し、底部油層を残した。カップリング手順をもう一度繰り返し、次に、得られた油状物を、DMF(2mL)中で10%のピペリジンと15分間混合した。MTBEを追加し(20mL)、得られた混合物を、上記と同様の方法で遠心分離した。10%のピペリジン/DMF脱保護手順をもう一度実施し、底部油層を得た。
【0100】
残りのFmoc保護アミノ酸(トリチルで保護されたグルタミン側鎖-CONH基、及び-Bocで保護されたトリプトファン側鎖-NH基)を、配列番号6に示すように、C末端からN末端への順序で、上記の様式でカップリング/脱保護し、その後のカップリング反応物を90分間の代わりに45分間撹拌した。最後のアミノ酸(Fmoc-Phe-OH)カップリング反応物を45分間撹拌した後、酢酸イソプロピルを混合物に追加し、続いて遠心分離し、上記のようにMTBEで洗浄して、底部油層を標題化合物として得た。ES/MS m/z1556.10(M+2H+/2)。
【0101】
リンカーからのペプチドのソフト切断:配列番号6のペプチドを、DCM中で3%のTFAとの30分間の培養を2回使用して、本質的に実施例17に記載されるソフト切断手順に供して、配列番号7のペプチドを得た。ES/MS m/z1519.60(M+Na+)。
Fmoc-F-V-Q(Trt)-W(Boc)-L-I-A-G-OH(配列番号7)
【0102】
実施例20-HMPB-(AEEA)10-NH2-及びリンカーからの「ソフト」切断を用いた液相ペプチド合成
配列番号8のペプチドを、以下のように液相ペプチド合成を使用して調製した。
【化37】
【0103】
HMPB-(AEEA)10-NH上のアミノ酸鎖の伸長:配列番号8のペプチドを、本質的に実施例16に記載されるように調製し、Fmoc保護アミノ酸(トリチルで保護されたグルタミン側鎖-CONH基、及び-Bocで保護されたトリプトファン側鎖-NH基)をカップリングし、次に、実施例16に記載される様式で配列番号8に示すように、C末端からN末端への順序で脱保護して、配列番号8のペプチドを得た。ESMS m/z ESMS m/z1585.70(M+2H/2)。
【0104】
配列番号7のペプチドを得るためのソフト切断:配列番号8のペプチドを、DCM中で3%のTFA(20容量)に溶解し、室温で30分間培養した。反応混合物を1当量のピリジンで中和し、次に水で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮して、配列番号7のペプチドを得た。ESMS m/z1497.7(M+H+)。
【0105】
実施例21
tert-ブチル20-[[(1S)-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[[4-[4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2-アミノ-2-オキソ-エトキシ)エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブトキシ]-2-メトキシ-フェニル]メトキシ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-1-tert-ブトキシカルボニル-4-オキソ-ブチル]アミノ]-20-オキソ-イコサン酸[脂肪酸側鎖-HMPB-(AEEA)10-NH]の調製
【化38】
【0106】
方法1[カップリング順序-(AEEA),γ-Glu,脂肪酸]:Fmoc-(AEEA)-OH(4.493g、8.469mmol)及びDMAP(51.7mg、0.423mmol)のDMSO(11mL)溶液に、DIC(1.33mL、8.469mmol)を追加し、5分間静置した。HMPB-(AEEA)10-NH(2.823mmol)を溶液に追加し、これをDMSO(3mL)ですすいだ。反応溶液を2時間混合し、その後、MTBE(45mL)を追加した。混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みをデカントし、新鮮なMTBE(45mL)を追加し、次に混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、EtOAc(45mL)を追加し、次に混合物を3000rpmで2分間遠心分離し、次に上澄みをデカントして、油状沈殿物を得た。30%のピペリジン/DMF(8mL)を油状沈殿物に追加し、15分間混合した後、MTBE(45mL)を追加した。混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、新鮮なMTBE(45mL)を追加し、次に、混合物を再度3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを再度デカントし、油状沈殿物を残した。
【0107】
DMSO(9mL)中のFmoc-Glu-OtBu(1.201g、2.823mmol)及びPyBOP(1.469g、2.823mmol)の溶液に、DIEA(0.983mL、5.64mmol)を追加した。溶液を5分間熟成させ、次に油状沈殿物に追加し、30分間混合した。MTBE(45mL)を追加し、混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みをデカントし、新鮮なMTBE(45mL)を追加し、混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みをデカントし、EtOAc(45mL)を追加し、次に、混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを再度デカントすると、油状沈殿物が残った。30%のピペリジン/DMF(8mL)を油状沈殿物に追加し、15分間混合した後、MTBE(45mL)を追加した。混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、新鮮なMTBE(45mL)を追加し、次に、混合物を再度3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを再度デカントし、油状沈殿物を残した。
【0108】
DMSO中の20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサン酸(1.13g、2.83mmol、1.0当量)及びDEPBT(844.7mg、2.823mmol、1.0当量):トルエンの溶液(9:1、10mL)に、DIEA(0.983mL、5.64mmol、2.0当量)を追加した。溶液を5分間熟成させ、次に油状沈殿物に追加し、30分間混合した。MTBE(45mL)を追加し、混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みをデカントし、新鮮なMTBE(45mL)を追加し、混合物を再度3000rpmで2分間再度遠心分離した。上澄みを再度デカントし、EtOAc(45mL)を追加し、混合物を再度3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、標題化合物を油状沈殿物として残した。ESMS m/z1274.10(M+2H/2)。
【0109】
方法2[カップリング順序-AEEA)、γ-Glu-脂肪酸のスクシンイミジルエステル]:Fmoc-(AEEA)-OHを、同じスケールで上記のようにHMPB-(AEEA)10-NHにカップリングした。30%のピペリジン/DMFの溶液(3mL)をFmoc-(AEEA)-HMPB-(AEEA)10-NHの油に追加し、15分間混合した。MTBE(総容量40mL)を反応物に追加し、混合物を遠心分離した(3000rpm×2分)。MTBEをデカントし、DMSO(2mL)を油に追加し、それを溶解した。新鮮なMTBE(総体積40mL)を追加し、混合物をもう一度遠心分離し、MTBE層をデカントした。O1-tert-ブチルO5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(2S)-2-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]ペンタンジオエート(5.76g、8.46mmol)を、DMSO:トルエンの混合物(9:1比、5.4mLのDMSO+0.6mLのトルエン)に溶解した。DIEAを追加し(3mL、16.92mmol)、得られた溶液を5分間静置して予備活性化した。混合物を遠心管中のAEEA-HMPB-(AEEA)10-NH(2.82mmol)に30分間追加した。MTBE(総体積40mL)を追加し、混合物を遠心分離した(3000rpm×2分)。MTBE層を除去し、新鮮なMTBE(総体積40mL)を追加し、混合物をもう一度遠心分離した。上澄みを廃棄し、標題化合物を油状物として残した。ESMS m/z1273.70(M+2H+/2)。
【0110】
実施例22
ソフト切断法による、2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]酢酸[脂肪酸側鎖]の調製
【化39】
【0111】
脂肪酸側鎖-HMPB-(AEEA)10-NH(実施例21で調製、2500mg)を、2%のTFA/トルエン溶液(10容量、25mL)に追加した。混合物を10分間混合した後、3000rpmで5分間遠心分離した。上澄みを回収し、ピリジン(TFAと等モル)で中和した。残った油状沈殿物にMTBE(25mL)を追加し、3000rpmで5分間遠心分離した。上澄みを回収し、油状物に新鮮なMTBE(25mL)を追加し、混合物を再度3000rpmで5分間遠心分離した。再度上澄みを回収し、油状沈殿物を得た。切断及び洗浄を、更に2回繰り返した。有機体を飽和NaCl水溶液及び水で洗浄し、続いて、合わせた有機体を減圧下に濃縮して、標題化合物を得た。ESMS m/z874(M+H+)。粗生成物を、UPLC-CAD[カラム:Waters CSH(登録商標)C18 150×2.1mm、1.7μm、カラム温度:50℃、勾配-21分間にわたる30~90%溶媒B:溶媒A、流量-0.5mL/分、溶媒A:水中で0.2%のTFA、溶媒B:アセトニトリル、検出器:フォトダイオードアレイUV、CAD]を使用して分析した。粗生成物は、61.71%の純度を示した。
【0112】
実施例23
tert-ブチル20-[[(1S)-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[[4-[4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2-アミノ-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブトキシ]-2-メトキシ-フェニル]メトキシ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-1-tert-ブトキシカルボニル-4-オキソ-ブチル]アミノ]-20-オキソ-イコサン酸[脂肪酸側鎖-HMPB-(AEEA)-NH]の調製
【化40】
【0113】
DMSO(4mL)中のFmoc-AEEA-OH(1156mg、3mmol)及びDMAP(18.4mg、0.149mmol)の溶液に、DIC(0.47mL、3mmol)を追加した。得られた溶液を5分間放置して活性化し、次に、HMPB-(AEEA)-NH(1mmol)に追加した。反応混合物を振盪器上に置き、2時間混合した。MTBE(総体積40mL)を追加してオイリングアウト(oiling out)を誘導し、混合物を遠心分離した(3000rpm×2分)。MTBE層を廃棄し、新鮮なMTBE(総体積40mL)を追加した。混合物をもう一度遠心分離し、MTBEを廃棄した。得られた油状物に、30%のピペリジン/DMF(3mL)を追加し、15分間混合した。次に、MTBE(総体積40mL)を追加し、混合物を遠心分離した(3000rpm×2分)。MTBE層をデカントし、DMSO(2mL)を油に追加してそれを溶解し、新鮮なMTBE(総体積40mL)を追加した。混合物をもう一度遠心分離し、MTBE層をデカントした。Fmoc-AEEA-OH(1156mg、3mmol)及びPyOxim(1598.1mg、3mmol)の溶液を、DMSO(4mL)に溶解した。DIEAを追加し(1mL、6mmol)、得られた溶液を、予備活性化のために5分間静置した。混合物を遠心分離管中のAEEA-HMPB-(AEEA)-NH(1mmol)に追加し、30分間混合した。30%のピペリジン/DMF(3mL)を使用したFmoc除去及びMTBE洗浄を、上記のように実施した。O1-tert-ブチルO5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(2S)-2-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]ペンタンジオエート(2040mg、3mmol)を、DMSO:トルエンの混合物(9:1比、2.7mLのDMSO+0.3mLのトルエン)に溶解した。DIEAを追加し(1mL、6mmol)、得られた溶液を、予備活性化のために5分間静置した。混合物を遠心管中のAEEA-HMPB-(AEEA)-NH(1mmol)に30分間追加した。次に、MTBE洗浄を繰り返して、油形成を誘導した。MTBEを廃棄すると、標題化合物が油状沈殿物として残った。ESMS m/z1966.3(M+H+)。
【0114】
実施例24
tert-ブチル20-[[(1S)-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[[4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2-アミノ-2-オキソ-エトキシ)エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]フェニル]メトキシ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-1-tert-ブトキシカルボニル-4-オキソ-ブチル]アミノ]-20-オキソ-イコサン酸[脂肪酸側鎖-HMPA-(AEEA)10-NH]の調製
【化41】
【0115】
DMSO(4mL)中のFmoc-AEEA-OH(578mg、1.50mmol)及びDMAP(9.2mg、0.075mmol)の溶液に、DIC(0.235mL、1.50mmol)を追加した。溶液を5分間熟成させた後、HMPA-(AEEA)10-NH(0.500mmol)に追加し、2時間混合した。MTBE(14mL)を追加し、混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、新鮮なMTBE(14mL)を追加し、混合物を再度3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、Fmoc-(AEEA)-OHを用いて上記のように第2のカップリングサイクルを実施し、2時間後、MTBE(14mL)を追加し、混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、新鮮なMTBE(14mL)を追加し、再度3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、油状沈殿物を得た。30%のピペリジン/DMF(3mL)を油沈殿物に追加し、15分間混合した。MTBE(14mL)を追加し、混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、油状沈殿物を1mLのDMSOに溶解し、新鮮なMTBE(14mL)を追加した。混合物を再度3000rpmで2分間遠心分離し、次に上澄みをデカントして、油状沈殿物を得た。
【0116】
Fmoc-AEEA-OH(586mg、1.5mmol)及びPyOxim(791mg、1.5mmol)のDMSO(4mL)中の溶液に、DIEA(0.523mL、3.0mmol)を追加した。溶液を5分間熟成させ、次に上記で得られた油状沈殿物に追加し、30分間混合した。MTBE(14mL)を追加し、混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、新鮮なMTBE(14mL)を追加し、混合物をもう一度3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、油状沈殿物を得た。30%のピペリジン/DMF(3ml)を油沈殿物に追加し、15分間混合した。MTBE(14mL)を追加し、混合物を3000rpmで2分間遠心分離し、次に、上澄みを廃棄した。新鮮なMTBE(14mL)を追加し、混合物を再度3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、(AEEA)-HMPA-(AEEA)10-NHの油状沈殿物を得た。
【0117】
Fmoc-AEEA-OHの第2のカップリングと同様の様式で、Fmoc-Glu-OtBuを、(AEEA)-HMPA-(AEEA)10-NH上にカップリングし、次にMTBEを追加及び遠心分離し、次にDMF中で30%のピペリジンで脱保護し、続いてMTBEを追加及び遠心分離して、Fmoc-γGlu-(AEEA)-HMPA-(AEEA)10-NHを油状沈殿物として得た。
【0118】
DMSO(4mL)中の20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサン酸(600mg、1.5mmol、3.0当量)及びPyBOP(781mg、1.5mmol、3.0当量)の溶液に、DIEA(0.523mL、3.0mmol、6.0当量)を追加した。溶液を5分間熟成させ、その間に活性化エステルが沈殿したので、トルエン(8mL)を追加し、次に更に5分間熟成させた。溶液を、Fmoc-γGlu-(AEEA)-HMPA-(AEEA)10-NHに追加し、1時間混合した(反応混合物の完全な溶解は達成されなかった)。MTBE(14mL)を追加し、混合物を3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、新鮮なMTBE(14mL)を追加し、混合物を再度3000rpmで2分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、標題化合物を油状物として得た。ESMS m/z2488.2(M+H)、1245.5(M+2H/2)。
【0119】
実施例25-HMPB-(AEEA)10-NH2-及びリンカーからの「ソフト」切断を用いた液相ペプチド合成
【化42】
【0120】
HMPB-(AEEA)10-NH上のアミノ酸鎖の伸長:Fmoc-Ala-OH(1.9g、6mmol)及びDMAP(36.8mg、0.301mmol)の混合物を、4mLのDMSOに溶解した。DIC(0.93mL、6mmol)を混合物に追加し、予備活性化のために5分間静置した。本混合物を、HMPB-(AEEA)-NHに追加し、混合物を室温で2時間振盪した。MTBEを追加して混合物の体積を40mLにし、カップリング生成物Fmoc-Ala-HMPB-(AEEA)-NHが油として沈殿する相変化を誘導した。混合物を遠心分離し(3000rpm×2分)、MTBEの上澄みをデカントした。追加のMTBEを油状沈殿物に追加して体積を40mLにし、混合物を遠心分離し、MTBEの上澄みをデカントした。カップリング手順を、Fmoc-Ala-OHで2回繰り返して、完全なカップリングを達成した。
【0121】
DMF(3mL)中で30%のピペリジンを、得られた油状沈殿物に追加し、混合物を15分間振盪した。次に、MTBEを追加して、体積を40mLにし、油を沈殿させた。混合物を遠心分離し(3000rpm×2分)、上澄みをデカントし、DMSO(1mL)を油状沈殿物に追加した。MTBEを追加して体積を40mLにし、混合物を再度遠心分離し、上澄みをデカントして、油状沈殿物を残した。
【0122】
アミノ酸カップリング及び脱保護工程を、本質的に実施例16に記載したように繰り返し、最初に、(2S)-6-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-5-tert-ブトキシ-4-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]-5-オキソ-ペンタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸をカップリングし、次に、残りのFmoc保護アミノ酸(tBuで保護されたアスパラギン酸側鎖-COH基、トリチルで保護されたグルタミン側鎖-NH、及びリジン-NH)をカップリングし、配列番号9に示すようにC末端からN末端の順に、PyOximの代わりにDEPBTを使用して、各カップリング手順で60分間混合し、配列番号9のペプチドを得た。ESMS m/z1961.08(M+2H/2)。
【0123】
配列番号10のペプチドを得るためのソフト切断:
DCM(15mL)中で2%のTFA中の配列番号9のペプチド(0.38mmol、1.5g)の混合物を、室温で30分間培養した。次に、ピリジン(1当量)を追加して、反応混合物を中和した。反応混合物を水で洗浄し、有機層を減圧下で濃縮した。残渣をEtOAcで洗浄し、次に再度DCMに溶解し、減圧下で濃縮して、配列番号10のペプチドを得た。ESMS m/z1125(M+2H/2)。
【0124】
粗生成物を、UPLC-MS[カラム:Waters CSH(登録商標)C18 150×2.1mm、1.7mm、カラム温度:50℃、勾配-21分間にわたる30~90%溶媒B:溶媒A、流量:0.5mL/分、溶媒A:水中で0.2%のTFA、溶媒B:アセトニトリル、検出器:フォトダイオードアレイUV、ESMS]を使用して分析した。粗ペプチドの純度は、71.31%であった。
【化43】
【0125】
実施例26-HMPB-(AEEA)10-NHの液相ペプチド合成
配列番号11のペプチドを、以下のように液相ペプチド合成を使用して調製した。
【化44】
【0126】
Fmoc-Leu-OH(4.2g、12mmol)及びDMAP(73.6mg、0.602mmol)の混合物を、DMSO(5mL)に溶解した。DIC(1.58g、1.96mL、12mmol)を追加し、混合物を予備活性化のために5分間静置した。混合物をHMPB-(AEEA)10-NH(4mmol)に追加し、室温で2時間振盪した。MTBEを追加して混合物の体積を40mLにし、カップリング生成物Fmoc-Leu-HMPB-(AEEA)-NHが油として沈殿する相変化を誘導した。混合物を遠心分離し(3000rpm×3分)、MTBEの上澄みをデカントした。追加のMTBEを油状沈殿物に追加して体積を40mLにし、混合物を遠心分離し、MTBEの上澄みをデカントした。カップリング手順を、Fmoc-Leu-OHで2回繰り返して、完全なカップリングを達成した。
【0127】
DMF(3mL)中で30%のピペリジンを、得られた油状沈殿物に追加し、混合物を15分間振盪した。次に、MTBEを追加して、体積を40mLにし、油を沈殿させた。混合物を遠心分離し(3000rpm×3分)、上澄みをデカントし、DMSO(1mL)を油状沈殿物に追加した。MTBEを追加して体積を40mLにし、混合物を再度遠心分離し、上澄みをデカントして、油状沈殿物を残した。
【0128】
続くアミノ酸カップリング及び脱保護工程を、本質的に実施例16に記載されるように繰り返し、配列番号11に示すように、C末端からN末端への順に、Fmoc保護アミノ酸(tBuで保護された-OH及び-COH側鎖基)をカップリングして、配列番号11のペプチドを得た。ESMS m/z1893(M+2H+/2)、1262(M+3H+/3)。
【0129】
実施例27-四量体ペプチドの液相合成及びHMPBベースのリンカーからの「ソフト」切断
【化45】
【0130】
HMPB-(AEEA)10-NH上での四量体ペプチドの調製:配列番号12のペプチドを、以下の変更を追加して、本質的に実施例16に記載のように調製した:第1のアミノ酸(Fmoc-Gly-OH)を、以下のようにHMPB-(AEEA)10-NHにカップリングし、Fmoc-Gly-OH、DIC、及びDMAP(3:3:0.15モル比)を、DMSOに溶解し、1分間混合し、次に、HMPB-(AEEA)10-NHに追加した。2時間後、MTBE(5mL)を追加して相分離を開始させた。混合物を3250rpmで遠心分離し、上澄みを廃棄した。Fmoc-Gly-OHを用いて、上記のように第2のカップリングサイクルを実施し、2時間後、MTBE(5mL)を追加して相分離を開始させた。混合物を3250rpmで遠心分離し、上澄みを廃棄した。Fmoc基を、30%のピペリジン/DMFを使用して除去し、次に、その後のカップリング及び脱保護を、本質的に実施例16に記載されるように実施して、配列番号12のペプチドを得た。ESMS m/z2360.1(M+Na)、2338.1(M+H)、1169.6(M+2H/2)。
【0131】
HMPB-(AEEA)10-NHリンカーからの四量体ペプチドのソフト切断:
2つの方法を用いて、配列番号12のペプチドを「ソフト」切断して、配列番号13の保護された四量体ペプチドを得た。
Boc-Y(tBu)-Aib-E(tBu)-G-OH(配列番号13)。
【0132】
方法1:配列番号12のペプチドに、5%のTFA/DCM溶液(10体積)を追加した。30分後、溶液をピリジンで中和し、10%のNaCl溶液で2回洗浄した。有機物をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を最少量のDMFに溶解し、水(3容量)で希釈した。混合物をMTBEで3回抽出し、合わせた有機物を減圧下で濃縮して、配列番号13のペプチドを得た。ESMS m/z687.4(M+Na+)、665.4(M+H+)。
【0133】
方法2:配列番号12のペプチドに、2%のTFAトルエン溶液(10体積)を追加した。混合物を10分間混合した後、3000rpmで5分間遠心分離した。上澄みを回収し、ピリジン(TFAと等モル)で中和した。残った油状沈殿物にMTBE(3mL)を追加し、3000rpmで5分間遠心分離した。上澄みを回収し、油状物に新鮮なMTBE(3mL)を追加し、混合物を再度3000rpmで5分間遠心分離した。再度上澄みを回収し、油状沈殿物を得た。油沈殿物に対して、切断及び洗浄を更に2回繰り返した。合わせた有機上澄み混合物を飽和NaCl水溶液及び水で洗浄し、続いて、合わせた有機物を減圧下で濃縮して、配列番号13のペプチドを得た。
【化46】
【0134】
HMPB-(AEEA)-NH上での四量体ペプチド調製:配列番号14のペプチドを、HMPB-(AEEA)-NHを使用して、本質的に上記のように調製した。ESMS m/z1488.7(M+Na)。
【0135】
HMPB-(AEEA)-NHリンカーからの四量体ペプチドのソフト切断:配列番号14のペプチドに、3%のTFA/DCM溶液(20容積)を追加した。30分後、溶液をピリジンで中和し、水で2回洗浄した。有機物をMgSOで乾燥させ、これを減圧下で濃縮して、配列番号13のペプチドを得た。ESMS m/z687.4(M+Na+)、665.4(M+H+)。
【化47】
【0136】
HMPB-(AEEA)-NH上での四量体ペプチド調製:配列番号15のペプチドを、HMPB-(AEEA)-NHを使用して、本質的に上記のように調製した。ESMS m/z1198.5(M+Na)。
【化48】
【0137】
HMPB-(AEEA)-NH上での四量体ペプチド調製:配列番号16のペプチドを、HMPB-(AEEA)-NHを使用して、本質的に上記のように調製した。ESMS m/z1778.8(M+Na)。
【0138】
実施例28-四量体ペプチドの液相合成及びHMPAベースのリンカーからの「ソフト」切断
【化49】
【0139】
HMPA-(AEEA)10-NH上での四量体ペプチド調製:DMF(1mL)中のFmoc-Gly-OH(140mg、0.470891mmol)の溶液に、DIC(60mg、0.47mmol)及び2,4,6-トリメチルピリジン(0.125mL、0.945mmol)を追加した。本溶液を、HMPA-(AEEA)10-NH(256mg、0.15679mmol)に追加し、室温で2時間振盪した。MTBE(20mL)をそれに追加し、得られた混合物を遠心分離した(5000rpm×3分)。上澄みをデカントし、抽出MTBE洗浄を更に3回実施し、毎回デカントすることによって、上澄みから底部油層を分離した。上記のカップリング及び洗浄プロセスを、3回繰り返した。反応を完了させる。沈殿した油層を、DMF(2mL)中で25%のピペリジンと20分間混合し、MTBE(20mL)で洗浄し、上記と同様の方法で3回遠心分離し、底部油層を残した。
【0140】
DMSO(750μL)及びアセトニトリル(750μL)中のFmoc-Glu(OtBu)-OH(90.74mg、0.2111mmol)及びPyOxim(112.5mg、0.2111mmol)の溶液に、DIEA(74μL、0.424mmol)を追加し、溶液を2分間混合した。この溶液を、上記の油沈殿物(0.180g、0.107mmol)に追加し、室温で30分間混合し、続いてMTBE(20mL)を追加した。混合物を遠心分離し(3000rpm×3分)、上澄みをデカントした。本抽出洗浄を2回実施し、毎回上澄みをデカントして、底部油層から分離した。10%のピペリジン/DMF(2mL)を油沈殿物に追加し、15分間混合し、MTBE(20mL)で洗浄し、上記と同様の方法で2回遠心分離し、底部油層を残した。
【0141】
Fmoc-Aib-OH(68.4mg、0.210mmol)及びPyOxim(110.8mg、0.2080mmol)のDMSO(750mL)中の溶液に、DIPEA(55.05μL、0.316mmol)を追加した。溶液を2分間混合し、上記の油層(0.197g、0.105mmol)に追加し、室温で30分間混合した後、MTBE(20mL)を追加して油を沈殿させた。混合物を遠心分離し(3000rpm×3分)、上澄みをデカントした。本抽出洗浄を2回行い、毎回デカンテーションによって、底部油層を上澄みから分離した。10%のピペリジン/DMF(2mL)を油状沈殿物に追加し、15分間混合した。同様に、MTBE(20mL)で洗浄し、上記のように2回遠心分離し、底部油層を残した。
【0142】
DMSO(750μL)及びアセトニトリル(750μL)中のBoc-Tyr(tBu)-OH(106.4mg、0.3153mmol)及びPyOxim(166.3mg、0.3153mmol)の溶液に、DIEA(91μL、0.316mmol)を追加した。溶液を2分間混合し、上記の油層(201.0mg、0.1026mmol)に追加し、室温で30分間混合した後、MTBE(20mL)を追加して油を沈殿させた。混合物を遠心分離した(3000rpm×3分)。本抽出洗浄を2回行い、毎回デカンテーションによって、底部油層を上澄みから分離した。上記のカップリング及び洗浄プロセスを4回実施して反応を完了させ、配列番号17のペプチドを油状物として得た。ESMS m/z2279.10(M+H+)、1140.20(M+2H+/2)。
【0143】
HMPA-(AEEA)10-NHリンカーからの四量体ペプチドのソフト切断:配列番号17のペプチド(102.3mg、0.04488mmol)に、1%のTFA(DCM中、1.22mL)を追加し、混合物を室温で1時間撹拌した。得られた溶液に、ピリジン(10.6mg、0.134mmol)を追加した。混合物を水(4.5mL)で洗浄し、次に有機層を回収し、更に濃縮して、配列番号13のペプチドを油状物として濃縮した。LCMSは、反応が出発物質から生成物への33%の変換まで進行したことを示した。ESMS m/z665.40(M+H+)、687.30(M+Na+)。
【0144】
HMPA-(AEEA)10-NH上での四量体ペプチドの調製:
【化50】
【0145】
DMSO(2.5mL)中のFmoc-Gly-OH(522.5mg、1.757mmol)の溶液に、EDC(249.7mg、1.609mmol)及びシアノグリオキシル酸エチル-2-オキシム(272.4mg、1.898mmol)を追加した。本溶液を、HMPA-(AEEA)(0.4143g、0.8787mmol)に追加し、溶液を室温で2時間混合し、続いて、MTBE(30mL)を追加して油を沈殿させた。混合物を遠心分離し(3000rpm×3分)、上澄みをデカントした。本抽出洗浄を3回行い、毎回デカンテーションによって、底部油層を上澄みから分離した。上記のカップリング及び洗浄プロセスを3回繰り返して、反応を完了させた。沈殿した油層を、DMF(2mL)中で10%のピペリジンと20分間混合し、MTBE(20mL)で洗浄し、上記と同様の方法で遠心分離した。後者のFmoc除去工程をもう一度行い、底部油層を得た。
【0146】
DMSO(3mL)及びアセトニトリル(1mL)中のFmoc-Glu(OtBu)-OH(0.842g、1.980mmol)及びPyOxim(1.055g、1.980mmol)の溶液に、DIEA(0.516g、4.01mmol)を追加し、溶液を1分間混合した。この溶液を、上記の油沈殿物(0.504g、0.954mmol)に追加し、室温で45分間混合し、続いてMTBE(40mL)を追加して、油を沈殿させた。混合物を遠心分離し(3000rpm×3分)、上澄みをデカントした。本抽出洗浄を2回実施し、毎回上澄みをデカントして、底部油層から分離した。カップリング及び洗浄工程を、もう一度繰り返した。10%のピペリジン/DMF(2mL)を油沈殿物に追加し、15分間混合した。上記と同様の方法で洗浄し、底部油層を残した。
【0147】
DMSO(3mL)及びアセトニトリル(1mL)中のFmoc-Aib-OH(970mg、2.98mmol)及びPyOxim(1.57g、2.92mmol)の溶液に、DIEA(782μL、4.48mmol)を追加し、溶液を1分間混合した。この溶液を、上記の油沈殿物(1.001g、1.402mmol)に追加し、室温で45分間混合し、次に混合物をMTBEで洗浄し、上記のように遠心分離した。10%のピペリジン/DMF(2mL)を油沈殿物に追加し、15分間混合した。混合物をMTBEで洗浄し、上記のように遠心分離した。後者のFmoc除去工程をもう一度行い、底部油層を得た。
【0148】
DMSO(3mL)及びアセトニトリル(1mL)中のBoc-Tyr(tBu)-OH(1.63g、4.83mmol)及びPyOxim(2.55g、4.74mmol)の溶液に、DIEA(1.13mL、6.48mmol)を追加し、溶液を1分間混合した。この溶液を、上記の油沈殿物(1.289g、1.613mmol)に追加し、室温で60分間混合し、次にそれをMTBEで洗浄し、上記のように遠心分離した。カップリング及びMTBE洗浄工程をもう一度繰り返して、配列番号18のペプチドを油として得た。ESMS m/z1118.50(M+H+)、1140.50(M+Na+)。
【0149】
HMPA-(AEEA)-NHリンカーからの四量体ペプチドのソフト切断:配列番号18のペプチド(50mg、0.045mmol)に、DCM(0.8mL)中の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(200μL、1.91mmol)の混合物を追加し、得られた混合物を、室温で20分間撹拌した。ACN(2mL)を追加し、反応混合物を減圧下で濃縮した。ACN追加及び濃縮工程を、2回繰り返した。残渣を上記条件(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール及びDCM中で20分間撹拌し、続いてACNを追加し、濃縮する)に2回供して、配列番号13のペプチドを油状物として得た。LCMSは、反応が出発物質から生成物への8%の変換まで進行したことを示した。ESMS m/z664.40(M+)。
【0150】
実施例29-Rinkリンカー-(AEEA)-NHを使用した配列番号22のペプチドの液相フラグメントベースの調製
液相フラグメントベースのアプローチによる配列番号22のペプチドの合成が、本明細書に記載される。
【0151】
Rink-(AEEA)-NH上での配列番号19のペプチドの調製:本質的に実施例16に記載される手順を使用して、配列番号19のペプチドを、0.05mmolのRink-(AEEA)-NHへのFmoc-Ser(tBu)-OHのカップリングから開始し、続いてFmoc脱保護を行う液相ペプチド合成によって、調製した。残りのFmoc保護アミノ酸(tBuで保護された側鎖-OH基)を、配列番号19に示すように、C末端からN末端への順序でカップリング/脱保護した。
【化51】
【0152】
ESMS m/z1095.7(M+2H/2)、731.0(M+3H/3)。
【0153】
配列番号19のペプチドへの配列番号7のペプチドのカップリング:DMSOを反応溶媒として使用して、本質的に実施例16に記載のカップリング手順を使用して、配列番号7のペプチドを配列番号19のペプチド上にカップリングさせて、配列番号20のペプチドを得た。反応物を、1分間の反応時間後にサンプリングし、LCMSによって分析したところ、反応が完了していることが示された。
【化52】
【0154】
ESMS m/z1835.90(M+2H/2)、1224.20(M+3H/3)。DMSOを反応溶媒として使用して、本質的に実施例16に記載の脱保護手順を使用して、N末端Fmoc基を配列番号20のペプチドから除去して、配列番号21のペプチドを得た。
【化53】
【0155】
ESMS m/z1724.9(M+2H/2)、1150.20(M+3H/3)。
【0156】
配列番号21のペプチドへの配列番号10のペプチドのカップリング:配列番号10のペプチド(0.06mmol)を、DMSOを反応溶媒として使用して、本質的に実施例16に記載のカップリング手順を使用して配列番号21のペプチドにカップリングし、次に、DMSO中で30%のピペリジンを使用して、本質的に実施例16に記載の脱保護手順を使用してFmoc基を除去して、配列番号22のペプチドを得た。
【化54】
【0157】
ESMS m/z=1820.1(M+3H/3)、1365.3(M+4H/4)。
【0158】
実施例30
フラグメントベースのアプローチを使用する、Rink-(AEEA)10-NHを用いた配列番号23のペプチドの調製。
【化55】
【0159】
DMSO(2mL)中のFmoc-P-P-P-S(tBu)-OH(配列番号24、0.2291g、0.3395mmol)の溶液に、PyBOP(0.1781g、0.3422mmol)及びDIEA(54.186μL、0.311mmol)を追加した。それを1分間混合し、Rink-(AEEA)10-NH(0.500g、0.338mmol)に追加し、60分間混合し、続いてMTBE(12mL)を追加して、油状沈殿物を得た。混合物を、室温で(3000rpm×3分間)遠心分離し、上澄みをデカントした。この洗浄を、もう1回繰り返した。油状沈殿物を、酢酸イソプロピル(2回、毎回10mL)で、同様の方法で洗浄した。カップリングを、更に2回繰り返した。油層を、DMF(2mL)中で20%のピペリジンと20分間混合し、同様の方法でMTBE(12mL)及び酢酸イソプロピルで洗浄して、油状沈殿物を得た。
【0160】
DMSO(2mL)中のFmoc-S(tBu)-S(tBu)-G-A-OH(配列番号25、0.2262g、0.3454mmol)の溶液に、PyBOP(0.180g、0.346mmol)及びDIEA(60.34μL、0.346mmol)を追加した。溶液を1分間混合し、次に前工程からの油状沈殿物(0.5073g、0.2303mmol)に追加し、60分間混合した。MTBE(12mL)を追加し、油を沈殿させ、混合物を遠心分離し(3000rpm×3分)、上澄みをデカントした。油状沈殿物を上記のように、MTBE及び酢酸イソプロピルで2回洗浄した。カップリング反応を、更に2回繰り返した。油層を、DMF(2mL)中で20%のピペリジンと20分間混合し、沈殿させ、同様の方法でMTBE(12mL)及び酢酸イソプロピルで洗浄/遠心分離して、油状沈殿物を得た。
【0161】
本質的に先のカップリング及び脱保護について記載した方法で、以下のものを、前工程で単離した油状沈殿物に、順次カップリングさせた。
1.Fmoc-A-G-G-P-OH(配列番号26)、
2.Fmoc-Q(Trt)-W(Boc)-L-I-OH(配列番号27)、
3.
【化56】
4.Fmoc-K-I-A-Q(Trt)-OH(配列番号29)
5.Fmoc-I-Aib-L-D(tBu)-OH(配列番号30)
6.Fmoc-S(tBu)-D(tBu)-Y(tBu)-S(tBu)-OH(配列番号31)
【0162】
配列番号31のペプチドをカップリングした後、ピペリジン/DMF脱保護工程を実施し、MTBE/酢酸イソプロピル洗浄/遠心分離手順の後に、配列番号23のペプチドを油として得た。ESMS m/z1756.50(M+4H+/4)。
【0163】
配列表
配列番号1
【化57】
【0164】
配列番号2
AFIEYLLEGGPSSGAPPPS-NH
【0165】
配列番号3
【化58】
【0166】
配列番号4
G-P-S(tBu)-S(tBu)-G-A-P-P-P-S(tBu)-NH
配列番号5
【化59】
【0167】
配列番号6
【化60】
【0168】
配列番号7
Fmoc-F-V-Q(Trt)-W(Boc)-L-I-A-G-OH
【0169】
配列番号8
【化61】
【0170】
配列番号9
【化62】
【0171】
配列番号10
【化63】
【0172】
配列番号11
【化64】
【0173】
配列番号12
【化65】
【0174】
配列番号13
Boc-Y(tBu)-Aib-E(tBu)-G-OH
【0175】
配列番号14
【化66】
【0176】
配列番号15
【化67】
【0177】
配列番号16
【化68】
【0178】
配列番号17
【化69】
【0179】
配列番号18
【化70】
【0180】
配列番号19
【化71】
【0181】
配列番号20
【化72】
【0182】
配列番号21
【化73】
【0183】
配列番号22
【化74】
【0184】
配列番号23
【化75】
【0185】
配列番号24
Fmoc-P-P-P-S(tBu)-OH
【0186】
配列番号25
Fmoc-S(tBu)-S(tBu)-G-A-OH
【0187】
配列番号26
Fmoc-A-G-G-P-OH
【0188】
配列番号27
Fmoc-Q(Trt)-W(Boc)-L-I-OH
【0189】
配列番号28
【化76】
【0190】
配列番号29
Fmoc-K-I-A-Q(Trt)-OH
【0191】
配列番号30
Fmoc-I-Aib-L-D(tBu)-OH
【0192】
配列番号31
Fmoc-S(tBu)-D(tBu)-Y(tBu)-S(tBu)-OH
【0193】
配列番号32
【化77】
【配列表】
2024532301000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の化合物であって、
【化1】
式中、「m」が0~20であり、「n」が1~50であり、「Z」がリンカー化合物である、化合物。
【請求項2】
Zが、
【化2】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、
【化3】
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1)「m」が0、1、2、又は3であり、「n」が1~50であるか;
2)「m」が0、1、2、又は3であり、「n」が1~10であるか;又は
3)「m」が1であり、「n」が2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、液相合成に使用される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記液相合成が、液相ペプチド合成(Liquid Phase Peptide Synthesis、LPPS)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が親水性である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物であって、「Z」が、任意で保護されたアミノ酸と共有結合を形成する官能基であり、これが次に、1つ以上の任意で保護されたアミノ酸又はペプチドへの反復脱保護及びカップリング工程を受けることができ、次に、得られたポリペプチド生成物を、化学変換によって前記「Z」基から遊離させることができる、化合物。
【請求項9】
配列番号1、3、5、6、8、9、11、12、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23の、ペプチド。
【請求項10】
液相ペプチド合成を使用して配列番号1のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号1のペプチドを酸で処理して、配列番号2のペプチドを得ることと、を含む、配列番号2のペプチドの調製方法。
【請求項11】
液相ペプチド合成を使用して配列番号3のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号3のペプチドを酸で処理して、配列番号4のペプチドを得ることと、を含む、配列番号4のペプチドの調製方法。
【請求項12】
液相ペプチド合成を使用して配列番号6のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号6のペプチドを酸で処理して、配列番号7のペプチドを得ることと、を含む、配列番号7のペプチドの調製方法。
【請求項13】
液相ペプチド合成を使用して配列番号9のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号9のペプチドを酸で処理して、配列番号10のペプチドを得ることと、を含む、配列番号10のペプチドの調製方法。
【請求項14】
液相ペプチド合成を使用して、配列番号11、12、14、15、16、17、又は18のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号11、12、14、15、16、17、又は18のペプチドを酸で処理して、配列番号13のペプチドを得ることと、を含む、配列番号13のペプチドの調製方法。
【請求項15】
下記式
【化4】
の化合物を調製するための方法であって、
液相合成を使用して前記化合物を調製することを含み、前記液相合成が、AEEA含有分子を請求項1に記載の化合物にカップリングさせることを含む、方法。
【請求項16】
1)
a.Fmoc-AEEA-OHを、請求項1に記載のリンカー化合物にカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
b.工程aからの前記生成物に第2のFmoc-AEEA-OHをカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
c.工程bの前記生成物にFmoc-Glu-OtBuをカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
d.工程cの前記生成物に20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサン酸をカップリングさせることと、
e.酸を用いて、工程dの前記生成物から前記リンカー化合物を除去すること、
2)
a.Fmoc-(AEEA)-OHを、請求項1に記載のリンカー化合物にカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
b.工程aの前記生成物にFmoc-Glu-OtBuをカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
c.工程bの前記得られた生成物に20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサン酸をカップリングさせることと、
d.酸を用いて、工程cの前記生成物から前記リンカー化合物を除去すること、又は
3)
a.Fmoc-(AEEA)-OHを、請求項1に記載のリンカー化合物にカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
b.O1-tert-ブチルO5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(2S)-2-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]ペンタンジオエートを、工程aの前記得られた生成物にカップリングさせることと、
c.酸を用いて、工程bの前記生成物から前記リンカー化合物を除去すること
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
以下の化合物。
【化5】
【請求項18】
配列番号32のペプチドを調製するための方法であって、請求項1に記載の化合物を使用する液相ペプチド合成によって、前記ペプチド配列の一部又は全部を調製することを含む、方法。
【請求項19】
配列番号19のペプチドと配列番号7のペプチドとをカップリングさせることを含む、配列番号20のペプチドを調製するための方法。
【請求項20】
配列番号21のペプチドと配列番号10のペプチドとをカップリングさせることを含む、配列番号22のペプチドを調製するための方法。
【請求項21】
以下の工程:
a.請求項1に記載の化合物を使用する液相ペプチド合成によって、配列番号19のペプチドを調製する工程と、
b.前記配列番号19のペプチドを配列番号7のペプチドにカップリングさせて、配列番号20のペプチドを生成する工程と、
c.前記配列番号20のペプチドを脱保護して、配列番号21のペプチドを生成する工程と、
d.配列番号10のペプチドを前記配列番号21のペプチドにカップリングさせる工程と、
e.工程dからの前記ペプチドを脱保護して、配列番号22のペプチドを生成する工程と、を含む、配列番号32のペプチドを調製するための方法。
【請求項22】
以下の工程:
f.個々のアミノ酸、ペプチドフラグメント、又はそれらの混合物をカップリングさせることによって、工程eからの前記配列番号22のペプチドを伸長させる工程と、
g.前記得られたペプチドを酸で処理する工程と、
h.前記得られたペプチドを脱保護する工程と、を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
以下の工程:
a.配列番号24のペプチドを、請求項1に記載の化合物とカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
b.工程aからの前記ペプチドを、配列番号25のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
c.工程bからの前記ペプチドを、配列番号26のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
d.工程cからの前記ペプチドを、配列番号27のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
e.工程dからの前記ペプチドを、配列番号28のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
f.工程eからの前記ペプチドを、配列番号29のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
g.工程fからの前記ペプチドを、配列番号30のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
h.工程gの前記ペプチドを、配列番号31のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、を含む、配列番号32のペプチドを調製するための方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0193
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0193】
配列番号32
【化77】

本願発明には以下の態様が含まれる。
[項目1]
下記式の化合物であって、
【化78】
式中、「m」が0~20であり、「n」が1~50であり、「Z」がリンカー化合物である、化合物。
[項目2]
Zが、
【化79】
からなる群から選択される、項目1に記載の化合物。
[項目3]
前記化合物が、
【化80】
である、項目2に記載の化合物。
[項目4]
前記化合物が、
【化81】
である、項目2に記載の化合物。
[項目5]
前記化合物が、
【化82】
である、項目2に記載の化合物。
[項目6]
前記化合物が、
【化83】
である、項目2に記載の化合物。
[項目7]
前記化合物が、
【化84】
である、項目2に記載の化合物。
[項目8]
「m」が0、1、2、又は3であり、「n」が1~50である、項目1~7のいずれか一項に記載の化合物。
[項目9]
「m」が0、1、2、又は3であり、「n」が1~10である、項目1~7のいずれか一項に記載の化合物。
[項目9]
「m」が1であり、「n」が2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である、項目1~7のいずれか一項に記載の化合物。
[項目11]
前記化合物が、液相合成に使用される、項目1~10のいずれか一項に記載の化合物。
[項目12]
前記液相合成が、液相ペプチド合成(Liquid Phase Peptide Synthesis、LPPS)である、項目1~11のいずれか一項に記載の化合物。
[項目13]
前記化合物が親水性である、項目1~12のいずれか一項に記載の化合物。
[項目14]
項目1~13のいずれか一項に記載の化合物であって、「Z」が、任意で保護されたアミノ酸と共有結合を形成する官能基であり、これが次に、1つ以上の任意で保護されたアミノ酸又はペプチドへの反復脱保護及びカップリング工程を受けることができ、次に、得られたポリペプチド生成物を、化学変換によって前記「Z」基から遊離させることができる、化合物。
[項目15]
配列番号1の、ペプチド。
[項目16]
液相ペプチド合成を使用して配列番号1のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号1のペプチドを酸で処理して、配列番号2のペプチドを得ることと、を含む、配列番号2のペプチドの調製方法。
[項目17]
配列番号3の、ペプチド。
[項目18]
液相ペプチド合成を使用して配列番号3のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号3のペプチドを酸で処理して、配列番号4のペプチドを得ることと、を含む、配列番号4のペプチドの調製方法。
[項目19]
配列番号5の、ペプチド。
[項目20]
配列番号6の、ペプチド。
[項目21]
液相ペプチド合成を使用して配列番号6のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号6のペプチドを酸で処理して、配列番号7のペプチドを得ることと、を含む、配列番号7のペプチドの調製方法。
[項目22]
配列番号8の、ペプチド。
[項目23]
配列番号9の、ペプチド。
[項目24]
液相ペプチド合成を使用して配列番号9のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号1のペプチドを酸で処理して、配列番号10のペプチドを得ることと、を含む、配列番号10のペプチドの調製方法。
[項目25]
配列番号11の、ペプチド。
[項目26]
配列番号12の、ペプチド。
[項目27]
配列番号14の、ペプチド。
[項目28]
配列番号15の、ペプチド。
[項目29]
配列番号16の、ペプチド。
[項目30]
配列番号17の、ペプチド。
[項目31]
配列番号18の、ペプチド。
[項目32]
液相ペプチド合成を使用して、配列番号11、12、14、15、16、17、又は18のペプチドを調製することと、次に、前記調製された配列番号11、12、14、15、16、17、又は18のペプチドを酸で処理して、配列番号13のペプチドを得ることと、を含む、配列番号13のペプチドの調製方法。
[項目33]
配列番号19の、ペプチド。
[項目34]
配列番号20の、ペプチド。
[項目35]
配列番号21の、ペプチド。
[項目36]
配列番号22の、ペプチド。
[項目37]
配列番号23の、ペプチド。
[項目38]
下記式
【化85】
の化合物を調製するための方法であって、
液相合成を使用して前記化合物を調製することを含み、前記液相合成が、AEEA含有分子を項目1~14のいずれか一項に記載の化合物にカップリングさせることを含む、方法。
[項目39]
a.Fmoc-AEEA-OHを、項目1~14のいずれか一項に記載のリンカー化合物にカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
b.工程aからの前記生成物に第2のFmoc-AEEA-OHをカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
c.工程bの前記生成物にFmoc-Glu-OtBuをカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
d.工程cの前記生成物に20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサン酸をカップリングさせることと、
e.酸を用いて、工程dの前記生成物から前記リンカー化合物を除去することと、を含む、項目38に記載の方法。
[項目40]
a.Fmoc-(AEEA) -OHを、項目1~14のいずれか一項に記載のリンカー化合物にカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
b.工程aの前記生成物にFmoc-Glu-OtBuをカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
c.工程bの前記得られた生成物に20-(tert-ブトキシ)-20-オキソイコサン酸をカップリングさせることと、
d.酸を用いて、工程cの前記生成物から前記リンカー化合物を除去することと、を含む、項目38に記載の方法。
[項目41]
a.Fmoc-(AEEA) -OHを、項目1~14のいずれか一項に記載のリンカー化合物にカップリングさせ、得られた生成物を、塩基を使用して脱保護することと、
b.O1-tert-ブチルO5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)(2S)-2-[(20-tert-ブトキシ-20-オキソ-イコサノイル)アミノ]ペンタンジオエートを、工程aの前記得られた生成物にカップリングさせることと、
c.酸を用いて、工程bの前記生成物から前記リンカー化合物を除去することと、を含む、項目38に記載の方法。
[項目42]
以下の化合物。
【化86】
[項目43]
以下の化合物。
【化87】
[項目44]
以下の化合物。
【化88】
[項目45]
配列番号32のペプチドを調製するための方法であって、項目1~14のいずれか一項に記載の化合物を使用する液相ペプチド合成によって、前記ペプチド配列の一部又は全部を調製することを含む、方法。
[項目46]
配列番号19のペプチドと配列番号7のペプチドとをカップリングさせることを含む、配列番号20のペプチドを調製するための方法。
[項目47]
配列番号21のペプチドと配列番号10のペプチドとをカップリングさせることを含む、配列番号22のペプチドを調製するための方法。
[項目48]
以下の工程:
a.項目1~14のいずれか一項に記載の化合物を使用する液相ペプチド合成によって、配列番号19のペプチドを調製する工程と、
b.前記配列番号19のペプチドを配列番号7のペプチドにカップリングさせて、配列番号20のペプチドを生成する工程と、
c.前記配列番号20のペプチドを脱保護して、配列番号21のペプチドを生成する工程と、
d.配列番号10のペプチドを前記配列番号21のペプチドにカップリングさせる工程と、
e.工程dからの前記ペプチドを脱保護して、配列番号22のペプチドを生成する工程と、を含む、配列番号32のペプチドを調製するための方法。
[項目49]
以下の工程:
f.個々のアミノ酸、ペプチドフラグメント、又はそれらの混合物をカップリングさせることによって、工程eからの前記配列番号22のペプチドを伸長させる工程と、
g.前記得られたペプチドを酸で処理する工程と、
h.前記得られたペプチドを脱保護する工程と、を更に含む、項目48に記載の方法。
[項目50]
以下の工程:
a.配列番号24のペプチドを、項目1~14のいずれか一項に記載の化合物とカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
b.工程aからの前記ペプチドを、配列番号25のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
c.工程bからの前記ペプチドを、配列番号26のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
d.工程cからの前記ペプチドを、配列番号27のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
e.工程dからの前記ペプチドを、配列番号28のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
f.工程eからの前記ペプチドを、配列番号29のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
g.工程fからの前記ペプチドを、配列番号30のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、
h.工程gの前記ペプチドを、配列番号31のペプチドとカップリングさせ、得られたペプチドを脱保護する工程と、を含む、配列番号32のペプチドを調製するための方法。
【国際調査報告】