(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】神経炎症性障害の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 31/40 20060101AFI20240829BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240829BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240829BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240829BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240829BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20240829BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240829BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240829BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240829BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240829BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240829BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240829BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240829BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240829BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240829BHJP
A61K 31/381 20060101ALI20240829BHJP
A61K 31/275 20060101ALI20240829BHJP
A61K 31/341 20060101ALI20240829BHJP
A61K 31/426 20060101ALI20240829BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20240829BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20240829BHJP
A61K 31/64 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61K31/40
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/44
A61K47/02
A61K47/36
A61K47/20
A61K47/32
A61K47/42
A61K47/38
A61K47/40
A61P29/00
A61P25/00
A61P17/02
A61P21/04
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/381
A61K31/275
A61K31/341
A61K31/426
A61K31/4164
A61K31/4985
A61K31/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512133
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 IB2022057951
(87)【国際公開番号】W WO2023026222
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202121038491
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522224933
【氏名又は名称】ザイダス・ライフサイエンシーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】サミーア アガーワル
(72)【発明者】
【氏名】ディーブン ブイ.パーマー
(72)【発明者】
【氏名】マカル ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】ラジーブ シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】ビヌ フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ハリラル パテル
(72)【発明者】
【氏名】アビジット チャッタージー
(72)【発明者】
【氏名】カシナス ビスワナサン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076BB01
4C076BB31
4C076DD23
4C076DD25B
4C076DD27
4C076DD28
4C076DD41
4C076DD41B
4C076DD41C
4C076DD46
4C076DD46C
4C076DD47
4C076DD47C
4C076DD49
4C076DD52
4C076DD54
4C076DD57B
4C076DD60
4C076DD67
4C076DD69
4C076EE08
4C076EE30B
4C076EE31
4C076EE37B
4C076EE38
4C076EE39
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4C076EE53
4C076EE53C
4C076FF02
4C076FF05
4C076FF06
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4C076FF13
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA63
4C084NA05
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA221
4C084ZA222
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA03
4C086BB02
4C086BC07
4C086BC38
4C086BC82
4C086CB05
4C086DA21
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA22
4C086ZA94
4C086ZB11
4C206AA01
4C206AA02
4C206JA17
4C206JA76
4C206MA01
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA72
4C206MA75
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA01
4C206ZA02
4C206ZA15
4C206ZA16
4C206ZA22
4C206ZA94
4C206ZB11
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、脳精神疾患(brain psychiatric diseases)の治療化合物の開発に関する。具体的には、本発明は、神経炎症性障害(neuroinflammatory disorders)又は神経変性障害疾患(neurodegenerative disorder diseases)の治療に有用なNLRP3阻害剤又はその薬学的に許容される塩若しくは適切な組成物を提供する。これらの重症で持続性の病気には、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の疾患が含まれる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療方法であって、前記方法が、式(I)の化合物
【化1】
又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
前記式中、
Xは、O、NH、又はN-R
3であり、ここで、各発生時でのR
3は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、任意に(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルコキシ、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、SO
2(C
1-C
6)アルキル、チオール、チオアルキル、チオアルコキシ、SO(C
1-C
6)アルキル、ベンジル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルから選択される置換された基から独立して選択され;
YはO、Sであり;
各発生時でのR
1は、水素、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、任意に(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
3-C
7)シクロアルキル、(C
1-C
6)アルキルSO
2(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルキルN(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルキルN(C
3-C
7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ベンジル、tert-ブチルオキシカルボニル、NH(C
1-C
6)アルキル、N((C
1-C
6)アルキル)
2、NH(C
2-C
6)アルケニル、N((C
2-C
6)アルケニル)
2、-N-ヘテロシクリル、N(C
1-C
6)アルキル-ヘテロシクリル、NR’R’’、チオール、メルカプトアルキル、SO
2(C
1-C
6)アルキル、SO
2(C
3-C
7)シクロアルキル、SO
2-アリール、SO
2-ヘテロシクリル、(C
1-C
6)チオアルキル、(C
1-C
6)チオアルコキシ、(C
1-C
6)アルキルSO
2NH
2、-CONH
2、-CO(C
1-C
6)アルキル、-CO(C
1-C
6)ハロアルキル、-CO-アリール、-CO-ヘテロアリール、-CO-ヘテロシクリル、4~7員複素環、7~14員二環式複素環系、任意に1個又は1個より多いヘテロ原子を有する架橋環系又はスピロ環系から選択される置換された基から独立して選択され;
あるいは、R
1は、
【化2】
から選択され;
nは、独立して、0~3の整数から選択され;
各発生時でのR’、R’’、R
1’、R
1’’、R
2’及びR2’’は、水素、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、任意に(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
3-C
7)シクロアルキル、(C
1-C
6)アルキルSO
2(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルキルN(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルキルN(C
3-C
7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ベンジル、tert-ブチルオキシカルボニル、チオール、メルカプトアルキル、SO
2(C
1-C
6)アルキル、SO
2(C
3-C
7)シクロアルキル、SO
2-アリール、SO
2-ヘテロシクリル、(C
1-C
6)チオアルキル、(C
1-C
6)チオアルコキシ、(C
1-C
6)アルキルSO
2NH
2、-CONH
2、-CO(C
1-C
6)アルキル、-CO(C
1-C
6)ハロアルキル、-CO-アリール、-CO-ヘテロアリール、-CO-ヘテロシクリル、4~7員複素環、7~14員二環式複素環系、任意に1個又は1個より多いヘテロ原子を有する架橋環系又はスピロ環系から選択される置換された基から独立して選択され;一実施形態において、R’及びR’’は、任意に、4~7員複素環系を形成し、
R
2は、下記の環系
【化3】
から選択され、
ここで、各発現時でのX、Y、Zは、任意に置換されることができる、C、N、S、SO
2、及びOを独立して表し;
各発現時でのR
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12の各々は、水素、ハロゲン、シアノ、アミド、スルホンアミド、アシル、ヒドロキシル、任意に(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、ベンジル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルから選択される置換された基から独立して選択され;一実施形態において、R
8及びR
9、R
9及びR
10、R
10及びR
11、並びにR
11及びR
12の各々は、可能な限り、一緒に、N、O、及びS(O)
pからなる群より選択される0~2個の追加のヘテロ原子を含む4~7員飽和環又は部分飽和環を形成することができ;p=1~2、
各発現時でのRx及びRyは、独立して、水素、ハロゲン、任意に(C
1-C
6)アルキルから選択される置換された基から独立して選択され;あるいは、Rx及びRyは、一緒に、4~7員複素環系を形成することができ;
「M」は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルから選択され;及びここで、上記で規定された基のいずれかが置換されている場合、それらの上の置換基は、上述のものから選択されるか、あるいは水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルキルチオ、任意に(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
3-C
10)シクロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-COR
11、-CSR
11、C(O)OR
11、C(O)-R
11、-C(O)-NR
11R
12、-C(S)-NR
11R
12、-SO
2R
11基から選択される置換された基から選択され、ここで、R
11及びR
12の各々は、水素、任意に(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
3-C
7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル基から選択される置換された基から独立して選択される、方法。
【請求項2】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患は、パーキンソン病である、請求項1及び2に記載の方法。
【請求項4】
前記式(I)の化合物は:
N’-シアノ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-5-(2-ヒドロキシプロパン-2-N’-シアノ-4-フルオロ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-3-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ベンゼンスルホンイミダミド;
N’-シアノ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フラン-2-スルホンイミダミド;
(E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(チアゾール-2-イル)エテンスルホンアミド;
(E)-2-(1-エチル-1H-イミダゾール-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテンスルホンアミド;
(E)-2-(1-エチル-4-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテンスルホンアミド;
(R,E)-2-(1-エチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-エタンスルホンアミド;
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド;
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド;
(S,E)-2-(1-エチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-エタンスルホンアミド;
(R,E)-2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド;
(S,E)-2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド;
ナトリウム(S,E)-((2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)ビニル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド;
カリウム(R,E)-((2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)ビニル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド;
ナトリウム(R,E)-((2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)ビニル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド;
(E)-N’-シアノ-2-((S)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンイミダミド;
(E)-N’-シアノ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-((R)-1-メチルピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンイミダミド;
(E)-N’-シアノ-2-((R)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンイミダミド;
N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-1-((1S,8aR)-3,3,8a-トリメチルオクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-1-イル)メタンスルホンアミド
N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-1-((4S,8aS)-2,3,3,8a-テトラメチルオクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-4-イル)メタンスルホンアミド;
(E)-3-(ジメチルアミノ)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)プロパ-1-エン-1-スルホンアミド;
ナトリウム(E)-((3-(ジメチルアミノ)-3-メチルブタ-1-エン-1-イル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド;
(S,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(2-メチル-1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド;
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(2-メチル-1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド;
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド;
又は上記の化合物のいずれかの薬学的に許容される塩、
の群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
治療上有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、1mg~500mgから選択され、好ましくは1mg~250mgから選択され、より好ましくは1mg~150mgから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、経口、局所又は非経口投与経路により投与され、好ましくは経口投与経路により投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、他の適切な治療剤と組み合わせて投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を医薬組成物の形態で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療のために医薬を調製するための、請求項1及び4に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項10】
前記化合物は、範囲が1mg~500mgから選択され、好ましくは1mg~250mgから選択され、より好ましくは1mg~150mgから選択される1日投与量で投与される、請求項1及び4に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、ここで式(I)の化合物が
【化4】
である、医薬組成物。
【請求項12】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害から選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患は、パーキンソン病である、請求項11及び12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
治療上有効な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、1mg~500mgから選択され、好ましくは1mg~250mgから選択され、より好ましくは1mg~150mgから選択される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療のための、式(I)の化合物及び他の薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、他の適切な治療剤と組み合わせて投与される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項17】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療のために医薬を調製するための、請求項11に記載の医薬組成物の使用。
【請求項18】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療方法であって、式(11)の化合物
【化5】
又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項19】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患は、パーキンソン病である、請求項18及び19に記載の方法。
【請求項21】
治療上有効な量の式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、1mg~500mgから選択され、好ましくは1mg~250mgから選択され、より好ましくは1mg~150mgから選択される、請求項18に記載の方法、
【請求項22】
式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、経口、局所又は非経口投与経路により投与され、好ましくは経口投与経路により投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、他の適切な治療剤と組み合わせて投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、医薬組成物の形態で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療のために医薬を調製するための、請求項1~24のいずれか一項に記載の式(11)の化合物の使用。
【請求項26】
前記化合物は、範囲が1mg~500mgから選択され、好ましくは1mg~250mgから選択され、より好ましくは1mg~150mgから選択される1日投与量で投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の式(11)の化合物の使用。
【請求項27】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療のための、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、式(11)の化合物が
【化6】
である、医薬組成物。
【請求項28】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害から選択される、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患は、パーキンソン病である、請求項27及び28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
治療上有効な量の式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、1mg~500mgから選択され、好ましくは1mg~250mgから選択され、より好ましくは1mg~150mgから選択される、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項31】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療のための、式(11)の化合物及び他の薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項32】
式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、他の適切な治療剤と組み合わせて投与される、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項33】
神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療のために医薬を調製するための、請求項27に記載の医薬組成物の使用。
【請求項34】
他の薬学的に許容される賦形剤は、希釈剤、担体、結合剤、崩壊剤、潤滑剤及び表面活性剤から選択される、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項35】
希釈剤は、ラクトース一水和物、オイドラギット(Eudragit)、塩化カリウム、スルホブチルエーテルb-シクロデキストリン(sulfobutylether b-cyclodextrin)、塩化ナトリウム及び噴霧乾燥乳糖(spray dried lactose)から選択されるポリメタクリレート、並びにその適切な組み合わせから選択される、請求項1~34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
担体は、ラクトース、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、デンプン、炭酸カルシウム及びカオリン、結晶セルロース、ケイ酸、並びにその適切な組み合わせから選択される、請求項1~35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
結合剤は、カーボポール(carbopol)、ジェラン、アラビアゴム、水素化植物油、オイドラギット、キサンタン、ラクトース及びZeinから選択されるポリメタクリレート、並びにその適切な組み合わせから選択されるカルボマーである、請求項1~36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
崩壊剤は、重炭酸塩、キチン、ジェランガム、ポラクリリンカリウム(polacrillin potassium)、ドキュセートナトリウム及びその適切な組み合わせから選択される、請求項1~37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
潤滑剤は、ベヘン酸グリセリン(Glycerin behenate)、水素化植物油、フマル酸ステアリルナトリウム、ミリスチン酸及びその適切な組み合わせから選択される、請求項1~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
表面活性剤は、アルキルポリグルコシド、コカミドDEA、コカミドMBA、コカミドTEA、デシルマルトシド及びオクチルグルコシドから選択される非イオン性界面活性剤;アラキニダン酸及びアラキドン酸から選択されるアニオン性界面活性剤;臭化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化セチルピリジニウムから選択されるカチオン性界面活性剤、並びにその適切な組み合わせである、請求項1~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、脳精神疾患(brain psychiatric diseases)の治療のための治療化合物の開発に関する。具体的には、本発明は、神経炎症性障害(neuroinflammatory disorders)又は神経変性障害疾患(neurodegenerative disorder diseases)の治療に有用なNLRP3阻害剤又はその薬学的に許容される塩若しくは適切な組成物を提供する。これらの重症で持続性の病気には、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害が含まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン(NOD)様受容体ファミリー、ピリンドメイン含有3(NLRP3又はNALP3)インフラマソームは、粘膜インターロイキン(IL)-1βの主要な供給源であり、そのインフラマソームは、ほとんど炎症関連ストレスの多面的な側面による活性化の対象となる。NLRP3は、細胞質パターン認識受容体(PRR)であり、外因性及び内因性の危険信号を感知する。NLRP3タンパク質は、3つのドメイン:ロイシンリッチリピートドメイン(LRR)、カスパーゼ活性化及び動員ドメイン(CARD)を含むNOD(NACHT)、並びにピリンドメイン(PYD)から構成されている。活性化すると、NLRP3は、オリゴマー化し、PYD-PYD相互作用を介して、CARDを含むアダプターアポトーシス関連スペック様タンパク質(apoptosis-associated speck-like protein)(ASC)の集合を誘発する。ASC線維は、ASCスペックと呼ばれる大きな構造体に集合し、プロカスパーゼ-1をリクルートし、その自己タンパク質分解活性化につながる。活性化されたカスパーゼ-1は、プロIL-1β及びプロIL-18を切断して炎症性サイトカインIL-1β及びIL-18を生成することができる(Guoら、2015;Dinarelloら、2012)。
【0003】
様々な種類の疾患におけるNLRP3インフラマソームの関与は、NLRP3インフラマソームを標的とする薬剤を設計する新たな手段を提供する。現在まで、NLRP3関連疾患の臨床治療は、IL-1β抗体又は組換えIL-1β受容体アンタゴニスト、例えば、それぞれカナキヌマブ及びアナキンラなどを用いてIL-1βを標的としている。さらに、MCC950、β-ヒドロキシブチレート(BHB)、Bay 11-7082、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びI型インターフェロンを含む、いくつかの小分子化合物は、インビトロでNLRP3インフラマソーム活性化に対する抗炎症作用を示した。しかしながら、これらの阻害剤のほとんどは、比較的非特異的であり、有効性も低い。IL-1βを標的とする阻害剤に関して、IL-1βの分泌がNLRP3インフラマソーム活性化の唯一の産物ではないことに留意すべきである;その代わりに、高移動度群ボックス1(HMGB1)及びIL18を含む、他の炎症性サイトカインがこれらの疾患の病因に関与している可能性がある。さらに、IL-1βは、インフラマソーム非依存性経路又は他のインフラマソームによって産生され得る。したがって、IL-1βを標的とする阻害剤は、NLRP3インフラマソームの活性化そのものを妨げる他に、意図しない免疫抑制作用を誘発する可能性がある。NLRP3関連疾患の治療には、NLRP3インフラマソームに特異的な薬理学的阻害剤が最良の選択である可能性がある。(Yangら、2019)。
【0004】
パーキンソン病(PD)は、最も一般的なシヌクレイン症であり、世界で2番目に多く見られる神経変性障害であり、60歳以上の人口の約2%が罹患している(Nat.Rev.Dis.Primers 3,17013(2017))。
【0005】
インフラマソームは、環境及び細胞ストレスの細胞内センサーとして機能する多タンパク質複合体である(Nat.Rev.Neurosci.15,84-97(2014).)。NLRファミリーピリンドメイン含有3(NLRP3)インフラマソームは、NLRP3センサー、カスパーゼ動員ドメインを含むシグナル伝達アダプターアポトーシス関連スペック様タンパク質(ASC)、及びカスパーゼ-1プロテアーゼから構成される。細胞ストレスで免疫細胞内のNLRP3複合体が集合すると、カスパーゼ-1活性化及びインターロイキン-1β(IL-1β)及びIL-18のカスパーゼ-1媒介放出がもたらされ、それによって炎症反応を開始する。アルツハイマー病(AD)のような神経変性状態では、ミスフォールドしたタンパク質の凝集体の持続的な蓄積は、インフラマソーム活性化誘発及び維持し、それによって中枢神経系(CNS)の炎症及び神経病理を推進し得る(19)。ADモデルにおける最近の知見は、ASCスペックなどのミクログリア由来インフラマソーム成分が病原性アミロイド線維を交差播種し得るということを明示している(20)。PD患者の脳では、酸化ストレス及び不溶性α-シヌクレイン凝集体によって、インフラマソーム経路が活性化される可能性がある(PLOS ONE 8,e55375(2013))。
【0006】
NLRP3インフラマソームは、げっ歯類のPD様病態生理学において重要な役割を果たしており、PDにおける神経毒性α-シヌクレイン病理及びその結果として生じる黒質線条体ドーパミン作動性ニューロンの損失を軽減するための、実現可能な治療標的の典型となる可能性がある(Sci.Transl.Med.10,eaah4066(2018))。
【0007】
以前、ナノモル用量の小分子NLRP3阻害剤であるMCC950が、マウスのミクログリア細胞における線維性α-シヌクレイン媒介のインフラマソーム活性化及び細胞外ASC放出を消失させることが明示された。さらに、複数のげっ歯類PDモデルにMCC950を経口投与したところ、インフラマソーム活性化が抑制され、運動障害、黒質線条体ドーパミン作動性変性、及びα-シヌクレイン凝集体の蓄積が効果的に軽減された。これらの知見は、ミクログリアNLRP3がドーパミン作動性神経病理の進行を推進し得る持続的な神経炎症の原因である可能性があるということを示唆しており、NLRP3をPDの疾患修飾治療の潜在的標的として強調する(Sci.Transl.Med.10,eaah4066(2018))。
【0008】
MCC950は、MWSのマウスモデルにおいてNLRP活性化を阻害した。低浸透率のNLRP3バリアント(Q703K及びV198M)を有する患者由来の末梢血単核細胞(PBMC)は、健常対照と比較して、インフラマソーム活性化後にIL-1βレベルの強化を表すことが示されている。さらに、IL-1βの放出は、MCC950によって阻害されたため、NLRP3依存性であることが示されている(Schuhら、2019)。IL-1受容体アンタゴニストであるアナキンラは、症候群の症状を制御するために従来の方法で使用されているが、治療を中止すると患者は再発する。
【0009】
NLRP3インフラマソームを標的とする様々な薬剤が、第1相及び第2相の開発の様々な段階にある。(Freemanら、2020年)。MCC950、CY-09、OLT1177、トラニラスト、オリドニン、NT-0167のような薬剤は、NLRP3そのものを直接標的とするが、NLRP3インフラマソーム活性化の上流/下流にある他の成分(NEK7、ASC、カスパーゼ-1、又はIL-1β)を標的としないため、優れた治療特性を表示した。さらに、これらの阻害剤は、臨床で使用されているか、あるいは比較的高い安全性を示した第II相臨床試験で研究されている(Yangら、2019)
【0010】
自然免疫細胞のNLRP3は、病原体関連分子パターン(Pathogen Associated Molecular Patterns)及び死関連分子パターン(Death Associated Molecular Patterns)によって活性化される。結果として得られるNLRP3インフラマソームは、カスパーゼ-1を活性化し、次にIL-1β及びIL-18を切断及び放出する。NLRP3インフラマソーム阻害剤は、パーキンソン病を含むIL-1の媒介による神経変性障害を無効な状態にする可能性がある。
【0011】
現在の治療法は全て、中枢神経系(CNS)への浸透が限定されていることが多い注射用生物学的製剤に限られており、重篤なCNS疾患を有するNOMID患者では特に重要である。したがって、IL-1標的生物学的製剤に代わる、より標的化された、好ましくは小分子の化合物に対する臨床的必要性は、依然として満たされていない。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療の予防及び治療のための式(I)の治療化合物及びそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0013】
本発明の実施形態
一実施形態において、本発明は、神経炎症性疾患又は神経変性障害疾患の治療及び予防に適する以下の式(I)の治療化合物
【化1】
を提供する。これらの重篤で持続性の疾患には、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の疾患が含まれる。
【0014】
一実施形態において、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療に適した式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0015】
さらに別の実施形態において、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療及び予防に適した、式(I)の治療化合物及びそれらの薬学的に許容される塩の単独又は併用での投与を提供する。
【0016】
さらなる実施形態において、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療及び予防のための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の医薬組成物を用いて外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患を治療する方法を提供する。
【0018】
さらに別の実施形態において、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療及び予防のための、式(I)の化合物又はそれらの適切な医薬組成物を含む適切な組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
定義:
「治療(treatment)」又は「治療する(treat)」という用語は、疾患、障害又は状態の臨床又は診断症状の減少又は除去によって証明されるように、患者における疾患又は臨床症状の進行を遅らせること(slowing)、停止させること、又は先延ばしにすること(delaying)を指す。
【0020】
「患者」には、ヒト及び動物の両方が含まれる。「哺乳類」とは、ヒト及び他の哺乳類動物を意味する。
【0021】
「予防」という用語は、対象がそもそも障害又は疾患にかかるのを阻止することを指す。
【0022】
「対象」とは、哺乳動物、好ましくはヒトであるが、獣医学的治療を必要とする動物、例えば、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコなど)、農場動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)及び実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)であってもよい。
【0023】
本明細書において「治療する」とは、部分的又は実質的に、以下の結果の1つ以上を達成することを含む:疾患、障害又は症候群の程度を部分的に又は完全に減少させること。疾患、障害又は症候群の進行を遅延、抑制又は防止することは、例えば、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の進行を遅延、抑制又は防止することを含む。
【0024】
本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患に罹患している対象を治療する方法を記載する。
【0025】
一実施形態において、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療又は予防に適した式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0026】
さらなる実施形態において、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療又は予防のための式(I)の化合物又はそれらの適切な医薬組成物の使用を提供する。
【0027】
好ましい実施形態において、神経炎症性障害又は神経変性障害疾患は、パーキンソン病(PD)である。
【0028】
本方法は、式(I)、
【化2】
それらの互変異性体、それらの立体異性体、それらのエナンチオマー、それらの代謝産物、それらの重水素アナログ、それらの薬学的に許容される塩、及びそれらを含む薬学的組成物、又はそれらの混合物による化合物の有効量を対象に投与することを含み、
前記式中、
Xは、O、NH、又はN-R
3であり、ここで、各発生時でのR
3は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ハロアルキル、任意に(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルコキシ、(C
3-C
10)シクロアルキル、(C
2-C
10)アルケニル、(C
2-C
10)アルキニル、SO
2(C
1-C
6)アルキル、チオール、チオアルキル、チオアルコキシ、SO(C
1-C
6)アルキル、ベンジル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルから選択される置換された基を独立して表し;
YはO、Sであり;
各発生時でのR
1は、水素、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、任意に(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
3-C
7)シクロアルキル、(C
1-C
6)アルキルSO
2(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルキルN(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルキルN(C
3-C
7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ベンジル、tert-ブチルオキシカルボニル、NH(C
1-C
6)アルキル、N((C
1-C
6)アルキル)
2、NH(C
2-C
6)アルケニル、N((C
2-C
6)アルケニル)
2、-N-ヘテロシクリル、N(C
1-C
6)アルキル-ヘテロシクリル、NR’R’’、チオール、メルカプトアルキル、SO
2(C
1-C
6)アルキル、SO
2(C
3-C
7)シクロアルキル、SO
2-アリール、SO
2-ヘテロシクリル、(C
1-C
6)チオアルキル、(C
1-C
6)チオアルコキシ、(C
1-C
6)アルキルSO
2NH
2、-CONH
2、-CO(C
1-C
6)アルキル、-CO(C
1-C
6)ハロアルキル、-CO-アリール、-CO-ヘテロアリール、-CO-ヘテロシクリル、4~7員複素環、7~14員二環式複素環系、任意に1個又は1個より多いヘテロ原子を有する架橋環系又はスピロ環系から選択される置換された基を独立して表し;
一実施形態において、R
1は、
【化3】
を表し:
nは、独立して、0~3の整数を表し;
各発生時でのR’、R’’、R
1’、R
1’’、R
2’及びR2’’は、水素、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、任意に(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
3-C
7)シクロアルキル、(C
1-C
6)アルキルSO
2(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルキルN(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)アルキルN(C
3-C
7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ベンジル、tert-ブチルオキシカルボニル、チオール、メルカプトアルキル、SO
2(C
1-C
6)アルキル、SO
2(C
3-C
7)シクロアルキル、SO
2-アリール、SO
2-ヘテロシクリル、(C
1-C
6)チオアルキル、(C
1-C
6)チオアルコキシ、(C
1-C
6)アルキルSO
2NH
2、-CONH
2、-CO(C
1-C
6)アルキル、-CO(C
1-C
6)ハロアルキル、-CO-アリール、-CO-ヘテロアリール、-CO-ヘテロシクリル、4~7員複素環、7~14員二環式複素環系、任意に1個又は1個より多いヘテロ原子を有する架橋環系又はスピロ環系から選択される置換された基を独立して表し;一実施形態において、R’及びR’’は、任意に、4~7員複素環系を形成し、
R
2は、下記の環系
【化4】
から選択され、
ここで、各発現時でのX、Y、Zは、任意に置換されることができる、C、N、S、SO
2、及びOを独立して表し;
各発生時でのR
4は、水素、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、任意に(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
1-C
6)アルコキシ、(C
3-C
7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ベンジル、複素環式環系、置換アミン、チオール、メルカプトアルキル、(C
1-C
6)チオアルコキシ基から選択される置換された基を独立して表し;
各発現時でのR
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12の各々は、水素、ハロゲン、シアノ、アミド、スルホンアミド、アシル、ヒドロキシル、任意に(C
1-C
6)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
3-C
6)シクロアルキル、(C
1-C
6)アルコキシ、ベンジル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルから選択される置換された基から独立して選択され;一実施形態において、R
8及びR
9、R
9及びR
10、R
10及びR
11、並びにR
11及びR
12の各々は、可能な限り、一緒に、N、O、及びS(O)
pからなる群より選択される0~2個の追加のヘテロ原子を含む4~7員飽和環又は部分飽和環を形成することができ;p=1~2、
各発現時でのRx及びRyは、独立して、水素、ハロゲン、任意に(C
1-C
6)アルキルから選択される置換された基から独立して選択され;あるいは、Rx及びRyは、一緒に、4~7員複素環系を形成することができ;
「M」は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルから選択され;
上記で規定された基のいずれかが置換されている場合、それらの上の置換基は、上述のものから選択されるか、あるいは水素、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルキルチオ、任意に(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
3-C
10)シクロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、-COR
11、-CSR
11、C(O)OR
11、C(O)-R
11、-C(O)-NR
11R
12、-C(S)-NR
11R
12、-SO
2R
11基から選択される置換された基から選択され、ここで、R
11及びR
12の各々は、水素、任意に(C
1-C
6)アルキル、(C
2-C
6)アルケニル、(C
2-C
6)アルキニル、(C
3-C
7)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル基から選択される置換された基から独立して選択される;
【0029】
好ましい実施形態において、上記の基、ラジカルは、以下から選択され得る:
【0030】
「アルキル」、並びにアルコキシ及びアルカノイルのような接頭辞「アルク(alk)」を有する他の基は、炭素鎖が別様に定義されない限り、当業者によく理解されるように、酸素原子でさらに置換されていてもよい炭素鎖を意味し、直鎖状又は分枝状のいずれか、及びそれらの組み合わせであってもよい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert.-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。炭素原子の数が、例えば、C3-10を許容する場合、アルキルという用語にはまた、シクロアルキル基、及びシクロアルキル構造と直鎖状又は分岐状のアルキル鎖の組み合わせも含まれる。炭素原子の数が指定されていない場合、C1-6が意図される。置換アルキルには、ハロ(例えば、CI、F、Br及びI);ハロゲン化アルキル(例えば、CF3、2-Br-エチル、CH2F、CH2CI、CH2CF3、又はCF2CF3);ヒドロキシル;アミノ;カルボキシレート;カルボキサミド;アルキルアミノ;アリールアミノ;アルコキシ;アリールオキシ;ニトロ;アジド;シアノ;チオ;スルホン酸;スルフェート;ホスホン酸;ホスフェート;及びホスホネート、並びに「任意に置換される」の定義の下で記載されるものからなる群より選択される一又は複数の部分で置換されるアルキルが含まれる。
【0031】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む炭素鎖を意味し、炭素鎖が別様に定義されない限り、直鎖状若しくは分枝状又はそれらの組み合わせであってもよい。アルケニルの例には、ビニル、アリール、イソプロペニル、ヘキセニル、ペンテニル、ヘプテニル、l-プロペニル、2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニルなどが含まれるが、これらに限定されない。指定された炭素原子の数が、例えば、C5-10まで許容する場合、アルケニルという用語にはまた、シクロアルケニル基並びに直鎖、分岐及び環状構造の組み合わせも含まれる。炭素原子の数が指定されていない場合は、C2-6)が意図される。
【0032】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む炭素鎖を意味し、直鎖状若しくは分枝状又はそれらの組み合わせであってもよい。アルキニルの例としては、エチニル、プロパルギル、3-メチル-l-ペンチニルなどが挙げられる。炭素原子の数が指定されていない場合、意図されている。
【0033】
単独で又は他のラジカルと組み合わせて使用される「チオアルキル」基は、式-SR’の基(硫黄及びその酸化型)に結合した、上記で定義されるようなアルキル基を示し、ここでR’は、水素、アルキル基又はアリール基、例えば、チオメチル、メチルチオメチル、フェニルチオメチルなどを表し、これらは任意に置換されていてもよい。
【0034】
本明細書で使用する場合、「炭素環」又は「炭素環式残基」とは、安定な単環式又は二環式又は三環式の環を意味することが意図され、そのいずれかが飽和、部分不飽和又は芳香族であってもよい。このような炭素環の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン(デカリン)、[2.2.2]ビシクロオクタン、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル、又はテトラヒドロナフチル(テトラリン)が含まれるが、これらに限定されない。より広い観点において、炭素環という用語は、適用可能な限り、シクロアルキル、フェニル及び他の飽和、部分飽和又は芳香族残基を表す基を含むことを意図している;
【0035】
「シクロアルキル」及び「シクロアルケニル」という用語は、任意に置換された、飽和及び不飽和の単環式、二環式又は三環式炭素基を指す。適切な場合、シクロアルキル基又はシクロアルケニル基は、特定の数の炭素原子を有していてもよく、例えば、C3-C6シクロアルキル又はシクロアルケニルは、3、4、5又は6個の炭素原子を有する炭素環式基をその範囲内に含む。そのような置換基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル等からなる群より選択され得る。置換シクロアルキル又はシクロアルケニルには、ハロ(例えば、CI、F、Br、及びI);ハロゲン化アルキル(例えば、CF3、2-Br-エチル、CH2F、CH2CI、CH2CF3、又はCF2CF3);ヒドロキシル;アミノ;カルボキシレート;カルボキサミド;アルキルアミノ;アリールアミノ;アルコキシ;アリールオキシ;ニトロ;アジド;シアノ;チオ;スルホン酸;スルフェート;ホスホン酸;ホスフェート;及びホスホネート並びに「任意に置換される」の定義の下で記載されるものからなる群より選択される一又は複数の部分での置換基が含まれる。
【0036】
「アルコキシ」とは、指定された炭素原子数の直鎖又は分岐鎖アルコキシドを意味する。
【0037】
「アリール」とは、炭素環原子を含む単環式又は多環式の芳香族環系を意味する。好ましいアリールは、単環式又は二環式の6~10員芳香族環系である。フェニル及びナフチルが好ましいアリールである。
【0038】
「ヘテロシクリル」とは、窒素、硫黄及び酸素から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、飽和、部分飽和又は不飽和の芳香族又は非芳香族の単環式、二環式又は三環式ラジカルを意味し、さらに任意に硫黄の酸化型、すなわち、SO及びSO2を含む。ヘテロシクリル系は、ラジカルの任意の数の炭素原子又はヘテロ原子を介して別の部位に結合していてもよく、飽和及び不飽和の両方であってもよい。ヘテロシクリル系の例としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4-ジオキサン、モルホリン、1,4-ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3-ジオキソラン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピロリジン、ピロリン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3-ジオキサン、1,3-ジチアン、オキサチアン、チオモルホリンなどが挙げられる。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、上記で定義したアルキル基に連結した上記で定義した複素環基を意味する;
【0039】
「ヘテロアリール」とは、O、S及びNから選択される少なくとも1つの環ヘテロ原子を含む芳香族又は部分芳香族複素環を意味する。したがって、ヘテロアリールには、アリール、シクロアルキル及び芳香族でない複素環などの他の種類の環に縮合したヘテロアリールが含まれる。ヘテロアリール基の例としては;ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニルなどが挙げられる。ヘテロシクリル;及びヘテロアリール基については、3~15個の炭素原子を含み、1~3個の環を形成する環及び環系が含まれる。
【0040】
「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1つの水素がハロゲン原子で置換されたアルキル構造を意味する。2つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されている特定の実施形態において、ハロゲン原子は全て互いに同じである。
【0041】
「ハロアルコキシ」基は、酸素原子に直接結合した、上で定義したような適切なハロアルキルから選択され、より好ましくは、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、フルオロエトキシ、クロロエトキシなどから選択される基である;
【0042】
2つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されている特定の他の実施形態において、ハロゲン原子は互いに全て同じではない。
【0043】
「アリールオキシアルキル」とは、本明細書において定義されるアリールオキシ基で置換されたアルキルラジカルを意味する。
【0044】
「アリールオキシアリール」とは、本明細書で定義されるアリールオキシ基で置換されたアリールラジカルを意味する。
【0045】
「アリールオキシヘテロアリール」とは、本明細書で定義されるアリールオキシ基で置換されたヘテロアリールラジカルを意味する。
【0046】
「ハロ/ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。塩素及びフッ素が一般に好ましい。
【0047】
基上の適切な基及び置換基は、本明細書のどこかに記載されているものから選択することができる。
【0048】
本明細書で使用する「置換された」という用語は、指定された原子の通常の原子価を超えないこと、及び置換が安定な化合物をもたらすことを条件として、指定された原子上の任意の1つ以上の水素が、示された基からの選択で置換されることを意味する。本明細書で使用する「置換された」という用語は、指定された原子の通常の原子価を超えないことを条件として、指定された原子上の任意の1つ以上の水素が、示された基からの選択で置換され、その置換が安定な化合物をもたらすことを意味する。
【0049】
「薬学的に許容される塩」とは、開示された化合物の誘導体を指し、ここで親化合物はその酸塩又は塩基塩を作ることによって修飾されている。薬学的に許容される塩の例には、塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩が含まれるが、これらに限定されない。このような従来の非毒性塩には、1,2-エタンジスルホン酸、2-アセトキシ安息香酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリルサニル酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシル酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクチュロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、亜酢酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、及びトルエンスルホン酸から選択される無機酸及び有機酸から誘導される塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
「任意の(optional)」又は「任意に(optionally)」という用語は、その後に記載される事象又は状況が発生しても発生しなくてもよいことを意味し、その記載には、その事象又は状況が発生する例及び発生しない例が含まれる。例えば、「任意に置換されたアルキル」とは、「アルキル」又は「置換されたアルキル」のいずれかを意味する。さらに、任意に置換された基には、非置換の基が含まれる。
【0051】
本明細書において別段の記載がない限り、本明細書に描かれている構造はまた、1つ以上の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物も含むことを意味する。
【0052】
特に有用な化合物は、以下から選択されるが、これらに限定されなくてもよい:
N’-シアノ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チオフェン-2-スルホンイミダミド;
N’-シアノ-4-フルオロ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-3-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ベンゼンスルホンイミダミド;
N’-シアノ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フラン-2-スルホンイミダミド;
(E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(チアゾール-2-イル)エテンスルホンアミド;
(E)-2-(1-エチル-1H-イミダゾール-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテンスルホンアミド;
(E)-2-(1-エチル-4-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテンスルホンアミド;
(R,E)-2-(1-エチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-エタンスルホンアミド;
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド;
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド;
(S,E)-2-(1-エチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-エタンスルホンアミド;
(R,E)-2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド;
(S,E)-2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド;
ナトリウム(S,E)-((2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)ビニル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド;
カリウム(R,E)-((2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)ビニル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド;
ナトリウム(R,E)-((2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)ビニル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド;
(E)-N’-シアノ-2-((S)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンイミダミド;
(E)-N’-シアノ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-((R)-1-メチルピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンイミダミド;
(E)-N’-シアノ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-((R)-1-メチルピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンイミダミド;
(E)-N’-シアノ-2-((R)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンイミダミド;
N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-1-((1S,8aR)-3,3,8a-トリメチルオクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-1-イル)メタンスルホンアミド;
N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-1-((4S,8aS)-2,3,3,8a-テトラメチルオクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-4-イル)メタンスルホンアミド;
(E)-3-(ジメチルアミノ)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)プロプ-1-エン-1-スルホンアミド;
ナトリウム(E)-((3-(ジメチルアミノ)-3-メチルブト-1-エン-1-イル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド;
(S,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(2-メチル-1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド;
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(2-メチル-1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド;
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド;
(E)-3-(ビス(メチル-d)アミノ)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-3-メチルブト-1-エン-1-スルホンアミド;
ナトリウム(R,E)-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)((2-(2-メチル-1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)ビニル)スルホニル)アミド;
N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-1-((1S,8aR)-3,3,8a-トリメチル-2-(メチル-d)オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-1-イル)メタンスルホンアミド;
(R,E)-2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド;
(E)-2-((R)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((2-ヒドロキシ-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド;
(E)-2-((R)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((3-ヒドロキシ-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド;
(E)-2-((R)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1-ヒドロキシ-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド;
又は上記の化合物のいずれかの薬学的に許容される塩。
【0053】
以下は、本発明の化合物の調製の説明において使用される略号のリストである:
μg:マイクログラム
1H NMR:プロトン核磁気共鳴
bs:ブロードシングレット
CDC13:重水素化クロロホルム
CHC13:クロロホルム
d:ダブレット
DAMP:損傷関連分子パターン
DBU:1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデック-7-エン
DCM:ジクロロメタン
dd:ダブレットのダブレット(doublet of doublet)
DMAC:N,N-(ジメチルアセトアミド)
DMAP:4-(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
dt:トリプレットのダブレット
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
HCl(g):塩化水素(気体)
IL1β:インターロイキン1β
K2CO3:炭酸カリウム
m:マルチプレット
MeOH:メタノール
mmol:ミリモル
MS:マススペクトル
N2:窒素
Na2CO3:炭酸ナトリウム
ng:ナノグラム
NIS:ニオドスクシンイミド
PAMP:病原体関連分子パターン
PMA:ホルボール12-ミリステート13-アセテート
POCI3:ホスホリルクロリド
RM:反応混合物
r.t.、RT:室温
s:シングレット
t:トリプレット
td:ダブレットのトリプレット
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
TLR:トル様受容体
TNFα:腫瘍壊死因子α
【0054】
一実施形態において、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療及び予防のための、式(I)の化合物又はそれらの適切な医薬組成物を含む適切な組成物を提供する。
【0055】
「医薬組成物」という用語は、NLRP3アンタゴニスト又は本明細書に記載の他の化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、及び/又は増粘剤などの他の化学成分(本明細書では「賦形剤」と総称する)との混合物を指す。医薬組成物は、NLRP3アンタゴニスト又は他の化合物の生物への投与を容易にする。直腸投与、経口投与、及び静脈内投与、エアロゾル投与、及び非経口投与、眼科投与、肺投与、及び局所投与を含むが、これらに限定されない、化合物を投与する複数の技術が当該技術分野において存在する。
【0056】
一実施形態において、本発明は、神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療及び予防のために、1mg~500mg;好ましくは1mg~250mg、及びより好ましくは1mg~150mgから選択されることができる式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を提供する。
【0057】
特定の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約1mg~約150mgの範囲の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。例えば、特定の実施形態において、化合物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約25mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、本化合物が対象に投与される各日に、約25mg~約50mgの範囲の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約50mg~約75mgの範囲の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約75mg~約100mgの範囲の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約100mg~約125mgの範囲の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約125mg~約150mgの範囲の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約150mg~約175mgの範囲の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約175mg~約200mgの範囲の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約200mg~約225mgの範囲の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約225mg~約250mgの範囲の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。
【0058】
特定の他の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約1mg~約25mgの範囲の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約50mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約75mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約100mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約125mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約150mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約175mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約200mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約225mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約250mgの範囲で経口投与される。
【0059】
一実施形態において、本発明は、有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、経口、局所、非経口、静脈内又は筋肉内投与経路で投与することができる。好ましい実施形態において、本発明は、有効量の式(I)又はその薬学的に許容される塩を経口投与経路により投与する。
【0060】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、それを必要とする人に医師によって処方されるように、対象に毎日、毎週提供され得る。
【0061】
別の実施形態において、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連する形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患を患う対象を治療する方法を提供しており、好ましくはパーキンソン病(PD)であり、そのような治療を必要とする患者を、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩又はそれらを含む適切な医薬組成物で治療することを含む。
【0062】
一実施形態において、本発明は、神経炎症性疾患又は神経変性障害疾患の治療のための治療剤として、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、他の適切な薬剤との組み合わせを提供する。
【0063】
一実施形態において、使用される追加の治療剤は、インターロイキン-1βの阻害剤(例えば、リロナセプト、カナキヌマブ、及びアナキンラ);免疫抑制剤(例えば、メトトレキサート、メルカプトプリン、シクロホスファミド)、代謝障害薬、グルココルチコイド、非ステロイド性抗炎症薬、ガスデルミンD阻害剤(例えば、ネクロスルホンアミド);Cox-2特異的阻害薬、TNF-α結合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト)、インターフェロン-13、インターフェロン、インターロイキン-2、抗ヒスタミン薬、β-アゴニスト、BTK阻害薬、抗コリン薬、抗がん剤;抗ウイルス薬、例えば:Remdesivir、Lopinavir/Ritonavir、Favipiravir、Molnupiravir、Tamiflu;抗マラリア薬、例えば:コロロキノン、ヒドロキシルクロロキノン;又はそれらの適切な薬学的に許容される塩から選択される。非アルコール性脂肪肝炎(NASH)及び線維症治療薬と組み合わせて使用するためのさらなる例;抗がん剤;抗生物質、例えばアジスロマイシン;ホルモン、アロマターゼ阻害剤、コルヒチン、抗凝固剤、抗体、サイトカイン、抗IL6薬;抗寄生虫薬;ワクチン;インターフェロン;薬物複合体;もともとSARSのために開発された薬剤(ACE2タンパク質デコイ);ビタミンC点滴;分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼシグナル伝達阻害剤(例えば:BAY43-9006);Syk阻害剤;mTOR阻害剤;抗体(リツキサン);及びBCR/ABLアンタゴニスト。
【0064】
本発明の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、以下の治療薬から選択される1つ以上の適切な、薬学的に活性な薬剤と任意の組み合わせでさらに併用することができる。MAO B阻害剤、セレギリン(Zelapar)、ラサギリン(Azilect)及びサフィナミド(Xadago);カテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、エンタカポン(Comtan)及びオピカポン(Ongentys);ベンズトロピン(Cogentin)、トリヘキシフェニジル、アマンタジン;コリンエステラーゼ阻害薬、ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(ラザダイン)及びリバスチグミン(エクセロン)、メマンチン(ナメンダ)、アデュカヌマブ(アドヘルム)、リルゾール(リルテック)、エダラボン(ラディカバ);オクレリズマブ(オクレバス)、プレドニゾン及びメチルプレドニゾロン;テトラベナジン(ゼナジン)及びデューテトラベナジン(オーステド)、ハロペリドール(ハルドール)及びフルフェナジン、リスペリドン(リスパダール)、オランザピン(ジプレキサ)及びクエチアピン(セロクエル)、レベチラセタム(ケプラ、エレプシアXR、スプリタム)及びクロナゼパム(クロノピン);シタロプラム(セレクサ)、エスシタロプラム(レクサプロ)、フルオキセチン(プロザック、サラフェム)及びセルトラリン(ゾロフト)、クエチアピン(セロクエル)、リスペリドン(リスパダール)及びオランザピン(ジプレキサ)、ジバルプロエクス(デパコート)、カルバマゼピン(カルバトロール、エピトール)及びラモトリギン(ラミクタール)。
【0065】
本発明の化合物及び組成物はまた、非経口輸液(ブドウ糖生理食塩水及び乳酸リンゲルを含む)及び栄養、抗生物質(メトロニダゾール並びにセフトリアキソン及びセフロキシムなどのセファロスポリン抗生物質を含む)及び/又は抗真菌予防薬、解熱鎮痛薬、制吐薬(メトクロプラミドなど)及び/又は止瀉剤、ビタミン及びミネラルのサプリメント(ビタミンC又は/及びK、硫酸亜鉛を含む)、抗炎症剤(イブプロフェンなど)、鎮痛剤、及び患者集団によくみられる他の疾患に対する薬剤、抗マラリア剤(アルテメザー及びアルテスネート-ルメファントリン併用療法を含む)、腸チフス(シプロフロキサシンなどのキノロン系抗生物質、アジスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質、セフトリアキソンなどのセファロスポリン系抗生物質、又はアンピシリンなどのアミノペニシリン系抗生物質を含む)、又は赤痢を含む、アレナウイルス科ウイルス感染患者に提供される一般的なケアでの使用も意図される
【0066】
さらに別の実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、医薬組成物の形態で提供される。
【0067】
一実施形態において、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のようなの神経炎症性障害又は神経変性障害疾患、好ましくはパーキンソン病(PD)の治療のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供し、ここで式(I)の化合物は、
【化5】
である、
【0068】
一実施形態において、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患、好ましくはパーキンソン病(PD)の治療のための、式(I)の化合物及び適切な薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0069】
薬学的に許容される賦形剤は、希釈剤、担体、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、表面活性剤等から少なくとも1つを選択されることができる。
【0070】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供しており、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量は、神経炎症性疾患又は神経変性障害疾患の治療のために、1mg~500mg;好ましくは1mg~250mg、及びより好ましくは1mg~150mgから選択されることができる。
【0071】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供し、経口、局所、非経口、静脈内又は筋肉内投与経路によって投与されることができる。好ましい実施形態において、医薬組成物は、経口投与経路によって投与され得る。
【0072】
本発明の別の実施形態において、式(1)の化合物又はその薬学的に許容される塩の安定な医薬組成物の調製するための過程を提供する。
【0073】
安定な医薬組成物は、当業者に既知の技術による乾式混合法、湿式造粒法又は乾式造粒法によって製造することができる。従って、例えば、
【0074】
湿式造粒過程では、薬物は、1種以上の医薬賦形剤と混合され、前述のように適当な結合液を用いて造粒し、湿式顆粒を形成し、湿式顆粒を乾燥し、任意に篩分けする。乾燥された顆粒は、他に記載されたものの中から1つ以上の適切な賦形剤と混合され、次いで錠剤に圧縮されるか、あるいはカプセルに充填される。
【0075】
乾燥混合過程では、薬剤は必要な全ての医薬賦形剤と混合される。ブレンドは、他に記載されているものから1つ以上の適切な賦形剤と混合され、最終ブレンドは錠剤に圧縮されるか、あるいはカプセルに充填される。
【0076】
乾式造粒過程では、薬剤は1つ以上の医薬賦形剤と混合され、スラグに圧縮され、これらのスラグは必要なふるいに通される。ふるい分けされた顆粒は、他に記載されているものから1つ以上の適切な賦形剤と混合され、錠剤に圧縮されるか、あるいはカプセルに充填される。
【0077】
製剤に使用される1つ以上の溶媒又はビヒクルは、水、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、エチルアルコール、酢酸エチル、メチルアルコール、イソプロピルアルコール及びそれらの組み合わせ、並びに当業者に既知の他のそのような材料から選択される。
【0078】
本発明はさらに、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病、及び他の関連形態の障害のような神経炎症性又は神経変性障害疾患、好ましくはパーキンソン病(PD)の治療のための、前記式(I)の化合物又はそれらの適切な医薬組成物の使用を開示する。
【0079】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の医薬組成物を用いて神経炎症性疾患又は神経変性障害疾患を治療する方法を提供する。好ましい実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその医薬組成物を使用する神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療方法を提供する。
【0080】
好ましい実施形態において、本発明は、式(11)の化合物
【化6】
又は神経炎症性疾患又は神経変性障害疾患の治療に適した、その薬学的に許容される塩を提供する。これらの重篤で持続性の疾患には、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の疾患が含まれる。
【0081】
好ましい実施形態において、神経炎症性障害又は神経変性障害疾患は、パーキンソン病(PD)である。
【0082】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連する形態の障害のような神経炎症性障害又は神経変性障害疾患、好ましくはパーキンソン病(PD)の治療のための式(11)の化合物又はそれらの適切な医薬組成物の使用を提供する。
【0083】
別の好ましい実施形態において、本発明は、神経炎症性疾患又は神経変性障害疾患の治療のために、1mg~500mg;好ましくは1mg~250mg、及びより好ましくは1mg~150mgから選択されることができる式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を提供する。
【0084】
特定の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約1mg~約250mgの範囲の式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。例えば、特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約25mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約25mg~約50mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約50mg~約75mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約75mg~約100mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約100mg~約125mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約125mg~約150mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約150mg~約175mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約175mg~約200mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約200mg~約225mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約225mg~約250mgの範囲で経口投与される。
【0085】
特定の他の実施形態において、化合物は、化合物が対象に投与される各日に、約1mg~約25mgの範囲の式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する量で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約50mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約75mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約100mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約125mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約150mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約175mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約200mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約225mgの範囲で経口投与される。特定の実施形態において、化合物は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供するための量で、化合物が対象に投与される各日に約1mg~約250mgの範囲で経口投与される。
【0086】
別の好ましい実施形態において、本発明は、有効量の式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、経口、局所、非経口、静脈内又は筋肉内投与経路により投与することができる。好ましい実施形態において、本発明は、有効量の式(11)又はその薬学的に許容される塩を経口投与経路により投与する。
【0087】
式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、それを必要とする人に医師によって処方されるように、毎日、毎週、対象に提供されることができる。
【0088】
好ましい実施形態の1つにおいて、本発明は、神経炎症障害又は神経変性障害疾患の治療のための治療剤として、式(11)の化合物及びその薬学的に許容される塩と、他の適切な薬剤との組み合わせを提供する。
【0089】
ここで、他の適切な治療剤は、インターロイキン-1βの阻害剤(例えば、リロナセプト、カナキヌマブ、及びアナキンラ);免疫抑制剤(例えば、メトトレキサート、メルカプトプリン、シクロホスファミド)、代謝障害薬、グルココルチコイド、非ステロイド性抗炎症薬、ガスデルミンD阻害剤(例えば、ネクロスルホンアミド);Cox-2特異的阻害薬、TNF-α結合タンパク質(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト)、インターフェロン-13、インターフェロン、インターロイキン-2、抗ヒスタミン薬、β-アゴニスト、BTK阻害薬、抗コリン薬、抗がん剤;抗ウイルス薬、例えば:Remdesivir、Lopinavir/Ritonavir、Favipiravir、Molnupiravir、Tamiflu;抗マラリア薬、例えば:コロロキノン、ヒドロキシルクロロキノン;又はそれらの適切な薬学的に許容される塩から選択されることができる。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及び線維症治療薬と組み合わせて使用するためのさらなる例;抗がん剤;抗生物質、例えばアジスロマイシン;ホルモン、アロマターゼ阻害剤、コルヒチン、抗凝固剤、抗体、サイトカイン、抗IL6薬;抗寄生虫薬;ワクチン;インターフェロン;薬物複合体;もともとSARSのために開発された薬剤(ACE2タンパク質デコイ);ビタミンC点滴;マイトジェン活性化プロテインキナーゼシグナル伝達阻害剤(例えば:BAY 43-9006);Syk阻害剤;mTOR阻害剤;抗体(リツキサン);及びBCR/ABLアンタゴニストもまた、神経炎症性疾患又は神経変性障害疾患の治療のために式(11)の化合物と組み合わせて使用されることができる。
【0090】
本発明の式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、以下の治療薬から選択される1つ以上の適切な、薬学的に活性な薬剤と任意の組み合わせでさらに併用することができる。MAO B阻害剤、セレギリン(Zelapar)、ラサギリン(Azilect)及びサフィナミド(Xadago);カテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、エンタカポン(Comtan)及びオピカポン(Ongentys);ベンズトロピン(Cogentin)、トリヘキシフェニジル、アマンタジン;コリンエステラーゼ阻害薬、ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン(ラザダイン)及びリバスチグミン(エクセロン)、メマンチン(ナメンダ)、アデュカヌマブ(アドヘルム);リルゾール(リルテック)、エダラボン(ラディカバ);オクレリズマブ(オクレバス)、プレドニゾン及びメチルプレドニゾロン;テトラベナジン(ゼナジン)及びデューテトラベナジン(オーステド)、ハロペリドール(ハルドール)及びフルフェナジン、リスペリドン(リスパダール)、オランザピン(ジプレキサ)及びクエチアピン(セロクエル)、レベチラセタム(ケプラ、エレプシアXR、スプリタム)及びクロナゼパム(クロノピン);シタロプラム(セレクサ)、エスシタロプラム(レクサプロ)、フルオキセチン(プロザック、サラフェム)及びセルトラリン(ゾロフト)、クエチアピン(セロクエル)、リスペリドン(リスパダール)及びオランザピン(ジプレキサ)、ジバルプロエクス(デパコート)、カルバマゼピン(カルバトロール、エピトール)及びラモトリギン(ラミクタール)。
【0091】
本発明の式(11)の化合物及びその組成物はまた、非経口輸液(ブドウ糖生理食塩水及び乳酸リンゲルを含む)及び栄養、抗生物質(メトロニダゾール並びにセフトリアキソン及びセフロキシムなどのセファロスポリン抗生物質を含む)及び/又は抗真菌予防薬、解熱鎮痛薬、制吐薬(メトクロプラミドなど)及び/又は止瀉薬、ビタミン及びミネラルのサプリメント(ビタミンC又は/及びK、硫酸亜鉛を含む)、抗炎症剤(イブプロフェンなど)、鎮痛剤、及び患者集団によくみられる他の疾患に対する薬剤、抗マラリア剤(アルテメザー及びアルテスネート-ルメファントリン併用療法を含む)など、腸チフス(シプロフロキサシンなどのキノロン系抗生物質、アジスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質、セフトリアキソンなどのセファロスポリン系抗生物質、又はアンピシリンなどのアミノペニシリン系抗生物質を含む)、又は赤痢を含む、アレナウイルス科ウイルス感染症患者に提供される一般的なケアでの使用も意図される。
【0092】
好ましい実施形態において、本発明は、神経炎症性疾患又は神経変性障害疾患の治療のための、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。これらの重篤で持続性の疾患には、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害が含まれる。
【0093】
好ましい実施形態において、神経炎症性障害又は神経変性障害疾患は、パーキンソン病である。
【0094】
別の好ましい実施形態において、本発明は、神経炎症性障害又は神経変性障害疾患の治療のための、式(11)の化合物及び適切な薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0095】
薬学的に許容される賦形剤は、希釈剤、担体、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、表面活性剤などから少なくとも1つを選択することができる。
【0096】
別の実施形態において、本発明はさらに、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、ハンチントン病及び他の関連形態の障害のような神経炎症性疾患又は神経変性疾患疾患、好ましくはパーキンソン病の治療のための前記式(11)の化合物又はそれらの適切な医薬組成物の使用を開示する。
【0097】
別の好ましい実施形態において、本発明は、式(11)の化合物又はその薬学的に許容される塩の医薬組成物を用いて神経炎症性障害又は神経変性障害疾患を治療する方法を提供する。好ましい実施形態において、式(11)の化合物又はその医薬組成物を用いて神経炎症性障害又は神経変性障害疾患を治療する方法を提供する。
【0098】
本発明の別の好ましい実施形態において、式(11)の化合物の安定な医薬組成物を調製するための過程を提供する。
【0099】
安定な医薬組成物は、当業者に既知の技術による乾式混合法、湿式造粒法又は乾式造粒法によって製造することができる。従って、例えば、
【0100】
湿式造粒過程では、薬物は、1種以上の医薬賦形剤と混合され、前述のように適当な結合液を用いて造粒し、湿式顆粒を形成し、湿式顆粒を乾燥し、任意に篩別する。乾燥された顆粒は、他に記載されたものの中から1つ以上の適切な賦形剤と混合され、次いで錠剤に圧縮されるか、あるいはカプセルに充填される。
【0101】
乾燥混合過程では、薬剤は、必要な全ての医薬賦形剤と混合される。ブレンドは、他に記載されているものから1つ以上の適切な賦形剤と混合され、最終ブレンドは錠剤に圧縮されるか、あるいはカプセルに充填される。
【0102】
乾式造粒過程では、薬剤は、1つ以上の医薬賦形剤と混合され、スラグに圧縮され、これらのスラグは必要なふるいに通される。ふるい分けされた顆粒は、他に記載されているものから1つ以上の適切な賦形剤と混合され、錠剤に圧縮されるか、あるいはカプセルに充填される。
【0103】
製剤に使用される1つ以上の溶媒又はビヒクルは、水、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、エチルアルコール、酢酸エチル、メチルアルコール、イソプロピルアルコール及びそれらの組み合わせ、並びに当業者に既知の他のそのような材料から選択される。
【0104】
一実施形態において、本発明に記載される薬学的に許容される賦形剤は、希釈剤、担体、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、表面活性剤などから少なくとも1つ選択される。
【0105】
希釈剤には、ラクトース一水和物、オイドラギット(Eudragit)、塩化カリウム、スルホブチルエーテルb-シクロデキストリン(sulfobutylether b-cyclodextrin)、塩化ナトリウム及び噴霧乾燥乳糖(spray dried lactose)から選択されるポリメタクリレート、それらの組み合わせ、並びに当業者に既知の他のそのような材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
担体には、ラクトース、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、デンプン、炭酸カルシウム及びカオリン、結晶セルロース及びケイ酸、それらの組み合わせ、並びに当業者に既知の他のそのような材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0107】
結合剤には、カーボポール(carbopol)、ジェラン、アラビアゴム、水素化植物油、オイドラギット、キサンタン、ラクトース及びZeinから選択されるポリメタクリレート、それらの組み合わせ、並びに当業者に既知の他のそのような材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0108】
崩壊剤には、重炭酸塩、キチン、ジェランガム、ポラクリリンカリウム(polacrillin potassium)及びドキュセートナトリウム、それらの組み合わせ、並びに当業者に既知の他のそのような材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0109】
潤滑剤には、ベヘン酸グリセリン(Glycerin behenate)、水素化植物油、フマル酸ステアリルナトリウム及びミリスチン酸、それらの組み合わせ、並びに当業者に既知の他のそのような材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
表面活性剤には、アルキルポリグルコシド、コカミドDEA、コカミドMBA、コカミドTEA、デシルマルトシド及びオクチルグルコシドから選択される非イオン性界面活性剤;アラキニダン酸及びアラキドン酸から選択されるアニオン性界面活性剤;臭化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化セチルピリジニウムから選択されるカチオン性界面活性剤、それらの組み合わせ、並びに当業者に既知の他のそのような材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0111】
一般的な調製過程
本発明の新規化合物は、有機合成の当業者に既知の従来技術、又は当業者に理解されるその変形と共に、以下に記載する反応及び技術を用いて調製され得る。
【0112】
反応は、使用される試薬及び材料に適切であり、影響を受ける変換に適した溶媒中で実施され得る。好ましい方法には、以下に記載するものが含まれるが、これらに限定されるものではなく、以下に特に定義しない限り、全ての記号(symbols)は先に定義した通りである。
【0113】
一般式(I)の化合物は、当業者の範囲内である適切な修飾/変形とともに、以下のスキームに記載されるように調製され得る。
【化7】
ここで、R
1、R
2、X、及びYの各々は、先に定義した通りである。化合物1及び化合物2は、報告されている手順を用いて、当業者によく知られている様々な方法によって調製され得る。水素化ナトリウムのような塩基及び適切な溶媒の存在下、適切な条件下でイソシアナト誘導体(2)を用いて化合物(1)を処理すると、式(I)の化合物が得られる。
【0114】
上記のような工程を実施するために必要な特定の反応条件、溶媒及び他のパラメーターは、当業者の能力の範囲内である。
【0115】
本発明は、本発明を実施する好ましい方法を記載する以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。これらは、本発明の範囲を何ら限定することなく提供される。
【0116】
実施例において与えられる1H NMRスペクトルデータ(vide infra)は、400MHzスペクトロメーター(Bruker AVANCE-400)を使用して記録され、δスケールで報告される。言及されるまで及びそれ以外の場合、NMRに使用した溶媒は、内部標準としてTMSを用いるCDCl3である。
【実施例】
【0117】
実施例-1
N’-シアノ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-5-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)チオフェン-2-スルホンイミダミド
【化8】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=7.95(bs,1H),7.23(d,J=4.0Hz,1H),6.82(d,J=4.0Hz,1H),6.81(s,1H),5.63(s,2H),2.77(t,J=7.2Hz,4H),2.68-2.65(m,4H),1.94(qui,J=7.2Hz,4H),1.49(s,6H);MS(ESI):m/z(%)=445.10(100%)(M+H)
+,443.10(100%)(M-H)。
【0118】
実施例2
N’-シアノ-4-フルオロ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-3-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ベンゼンスルホンイミダミド
【化9】
1H NMR(400MHz,DMSO):δ=8.13(dd,J=2.4Hz,J=7.6Hz,1H),8.00(bs,1H),7.68-7.64(m,1H),7.24-7.19(m,2H),6.79(s,1H),2.76-2.60(m,8H),1.95-1.85(m,4H),1.50(s,3H),1.48(s,3H);MS(ESI):m/z(%)=456.88(100%)(M+H)
+。
【0119】
実施例-3
N’-シアノ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-4-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)フラン-2-スルホンイミダミド
【化10】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=8.10(bs,1H),7.55(s,1H),6.82(s,1H),6.79(s,1H),5.03(s,1H),2.77(t,J=7.2Hz,4H),2.68(t,J=7.2Hz,4H),1.94(qui,J=7.2Hz,4H),1.38(s,6H);MS(ESI):m/z(%)=429.20(100%)(M+H)
+,427.30(100%)(M-H)。
【0120】
実施例4
(E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(チアゾール-2-イル)エテンスルホンアミド
【化11】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6,D2O-X):δ=10.7(br,s,1H),8.23(s,1H),8.05(d,J=2.8Hz,1H),8.02(d,J=2.8Hz,1H),7.74(d,J=15.2Hz,1H),7.58(d,J=15.2Hz,1H),6.96(s,1H),2.79(t,J=7.2Hz,4H),2.66(t,J=6.8Hz,4H),1.98-1.91(m,4H);MS(ESI):m/z(%)=389.92(100%)(M+H)
+,411.90(20%)(M+Na
+)。
【0121】
実施例5
(E)-2-(1-エチル-1H-イミダゾール-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテンスルホンアミド
【化12】
1H NMR(400MHz,DMSO):δ=10.55(bs,1H),8.20(s,1H),7.46-7.42(m,2H),7.29(d,J=14.8Hz,1H),7.13(s,1H),6.95(s,1H),4.16(q,J=7.2Hz,2H),2.82-2.78(m,4H),2.67-2.64(m,4H),1.98-1.91(m,4H),4.16(t,J=7.2Hz,3H);MS(ESI):m/z(%)=401.15(100%)(M+H)
+;423.15(50%)(M+Na)
+。
【0122】
実施例6
(E)-2-(1-エチル-4-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテンスルホンアミド
【化13】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=10.55(s,1H),8.16(s,1H),7.36(d,J=14.8Hz,1H),7.21(d,J=14.8Hz,1H),7.17(s,1H),6.95(s,1H),4.08(q,J=7.2Hz,2H),2.80(t,J=7.2Hz,4H),2.66(t,J=7.2Hz,4H),2.12(s,3H),1.98-1.91(m,4H),1.27(d,J=7.2Hz,3H);MS(ESI):m/z(%)=415.18(100%)(M+H)
+。
【0123】
実施例-7
(R,E)-2-(1-エチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-エタンスルホンアミド
【化14】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=8.03(s,1H),6.92(s,1H),6.87(d,J=14.8Hz,1H),6.60-6.54(m,1H),3.27-3.16(m,3H),2.80(t,J=7.2Hz,4H),2.67(t,J=7.2Hz,4H),2.35-2.33(m,2H),2.09-1.94(m,6H),1.81-1.73(m,2H),1.03(t,J=7.2Hz,3H);MS(ESI):m/z(%)=404.20(100%)(M+H)
+。
【0124】
実施例-8
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド
【化15】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=9.71(brs,1H),7.49(s,1H),6.95(d,J=15.2Hz,1H),6.80(s,1H),6.36(dd,J=7.2Hz,J=15.2Hz,1H),4.08-4.02(m,1H),3.18-3.03(m,2H),2.77(t,J=7.2Hz,4H),2.70(t,J=7.2Hz,4H),2.14-2.07(m,4H),2.03-1.80(m,6H),1.70-1.60(m,1H);MS(ESI):m/z(%)=376.10(100%)(M+H)
+,374.05(100%)(M-1).
【0125】
実施例-9
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド
【化16】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=10.53(brs,1H),7.97(s,1H),6.92(s,1H),6.84(d,J=15.2Hz,1H),6.53(dd,J=7.6Hz,J=15.2Hz,1H),3.13-3.04(m,1H),3.05-2.92(m,1H),2.80(t,J=7.2Hz,4H),2.67(t,J=7.2Hz,4H),2.33-2.28(m,1H),2.26(s,3H),2.05-1.91(m,5H),1.79-1.72(m,2H),1.59-1.54(m,1H);MS(ESI):m/z(%)=390.17(100%)(M+H)
+,388.07(30%)(M-1)。
【0126】
実施例-10
(S,E)-2-(1-エチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-エタンスルホンアミド
【化17】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=8.03(s,1H),6.92(s,1H),6.87(d,J=14.8Hz,1H),6.60-6.54(m,1H),3.27-3.16(m,3H),2.80(t,J=7.2Hz,4H),2.67(t,J=7.2Hz,4H),2.35-2.33(m,2H),2.09-1.94(m,6H),1.81-1.73(m,2H),1.03(t,J=7.2Hz,3H);MS(ESI):m/z(%)=404.20(100%)(M+H)
+。
【0127】
実施例-11
(R,E)-2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド
【化18】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=8.04(s,1H),6.93(s,1H),6.74(d,J=15.6Hz,1H),6.65(d,J=15.2Hz,1H),2.93-2.86(m,1H),2.80(t,J=7.2Hz,4H),2.67(t,J=7.2Hz,4H),2.19(s,3H),1.99-1.91(m,5H),1.80-1.69(m,4H),1.13(s,3H),MS(ESI):m/z(%)=404.16(100%)(M+H)
+。
【0128】
実施例-12
(S,E)-2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド
【化19】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ=8.04(s,1H),6.93(s,1H),6.73(d,J=15.2Hz,1H),6.65(d,J=15.2Hz,1H),2.80(t,J=7.2Hz,4H),2.68(t,J=7.2Hz,4H),2.20(s,3H),1.96(m,4H),1.72(m,4H),1.13(s,3H);MS(ESI):m/z(%)=404.25(100%)(M+1)。
【0129】
実施例-13
ナトリウム(S,E)-((2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)ビニル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド
【化20】
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ=7.33(s,1H),6.77(s,1H),6.56(d,J=15.2Hz,1H),6.16(d,J=16Hz,1H),2.76(t,J=7.2Hz,4H),2.69(t,J=7.2Hz,4H),2.62(m,1H),2.08(s,3H),1.90(m,4H),1.72(m,4H),1.60(m,3H),1.01(s,3H);MS(ESI):m/z(%)=404.20(100%)(M+1)。
【0130】
実施例-14
カリウム(R,E)-((2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)ビニル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド
【化21】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=7.33(s,1H),6.77(s,1H),6.58(d,J=15.6Hz,1H),6.18(d,J=15.6Hz,1H),2.77-2.72(m,5H),2.69(t,J=7.2Hz,4H),2.64-2.58(m,1H),2.08(s,3H),1.90(quin,J=7.6Hz,4H),1.75-1.70(m,3H),1.62-1.60(m,1H),1.01(s,3H);MS(ESI):m/z(%)=404.21(100%)(M-K)
+。
【0131】
実施例-15
ナトリウム(R,E)-((2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)ビニル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド
【化22】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=7.36(s,1H),6.77(s,1H),6.57(d,J=15.6Hz,1H),6.19(d,J=15.6Hz,1H),2.76(t,J=7.2Hz,5H),2.69(t,J=7.2Hz,4H),2.64-2.59(m,1H),2.08(s,3H),1.91(quin,J=7.6Hz,4H),1.74-1.68(m,3H),1.62-1.60(m,1H),1.01(s,3H);MS(ESI):m/z(%)=404.17(100%)(M-Na)
+。
【0132】
実施例-16
(E)-N’-シアノ-2-((S)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンイミダミド
【化23】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=9.94(s,1H),8.06(s,1H),6.97(d,J=16.0Hz,1H),6.83(s,1H),6.56-6.48(m,1H),3.58(brs,1H),3.24-3.12(m,1H),2.77(t,J=7.2Hz,4H),2.69(t,J=7.2Hz,7H),2.10-1.99(m,3H),1.95-1.88(m,5H),1.53-1.36(m,3H);ESI-Q-TOF-MS:m/z[M-HCl+H]
+calcd for[C22H30N5O2S]
+:428.2120;found:428.2052。
【0133】
実施例-17
(E)-N’-シアノ-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-((R)-1-メチルピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンイミダミド
【化24】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=9.82(s,1H),8.06(s,1H),7.11-7.02(m,1H),6.83(s,1H),6.43-6.35(m,1H),4.99(brs,1H),3.62-3.61(m,1H),3.09-3.07(m,1H),2.77(t,J=7.2Hz,7H),2.70(t,J=7.2Hz,4H),2.33-2.27(m,1H),2.1-1.88(m,7H);MS(TOF):m/z(%)=414.1897(100%)(M+H)
+,412.1765(100%)(M-1)
-。
【0134】
実施例-18
(E)-N’-シアノ-2-((R)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンイミダミド
【化25】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=9.98(s,1H),8.03(s,1H),6.94-6.90(m,1H),6.83(s,1H),6.54-6.51(m,1H),2.77(t,J=7.2Hz,5H),2.70(t,J=7.2Hz,5H),2.62(brs,3H),1.99-1.90(brs,2H),1.97-1.93(m,6H),1.48-1.46(m,3H);MS(TOF):m/z(%)=428.2097(100%)(M+H)
+,426.1941(60%)(M-1)
-。
【0135】
実施例-19
N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-1-((1S,8aR)-3,3,8a-トリメチルオクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-1-イル)メタンスルホンアミド
【化26】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=7.92(s,1H),6.87(s,1H),3.42-3.26(m,5H),3.07-3.01(m,1H),2.89-2.80(m,1H),2.89-2.80(m,1H),2.77(t,J=7.2Hz,4H),2.73-2.67(m,4H),2.58-2.44(m,1H),2.38-2.33(m,1H),1.98-1.92(m,4H),1.69-1.61(m,2H),1.31(s,3H),1.18(s,3H),0.78(s,3H);MS(TOF):m/z(%)=461.2537(100%)(M+H)
+。
【0136】
実施例-20
N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-1-((4S,8aS)-2,3,3,8a-テトラメチルオクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-4-イル)メタンスルホンアミド
【化27】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=8.03(s,1H),6.93(s,1H),3.52-3.48(m,2H),3.18-3.09(m,1H),3.09-3.01(m,1H),3.00-2.88(m,1H),2.81(t,J=7.2Hz,4H),2.70(t,J=7.2Hz,4H),2.36-2.33(m,2H),2.19(s,3H),2.01-1.93(m,4H),1.76-1.69(m,1H),1.67-1.54(m,3H),1.01-1.04(m,6H),0.86(s,3H);MS(TOF):m/z(%)=475.2709(100%)(M+H)
+,473.2593(20%)(M-1)。
【0137】
実施例-21
(E)-3-(ジメチルアミノ)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)プロプ-1-エン-1-スルホンアミド
【化28】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=10.22(brs,1H),7.94(s,1H),6.91(s,1H),6.86(d,J=15.2Hz,1H),6.62-6.55(m,1H),3.27(t,J=6.0Hz,2H),2.79(t,J=7.2Hz,4H),2.67(t,J=7.2Hz,4H),2.30(s,6H),1.99-1.91(m,4H);MS(ESI):m/z(%)=364.1513(100%)(M+H)
+。
【0138】
実施例-22
ナトリウム(E)-((3-(ジメチルアミノ)-3-メチルブト-1-エン-1-イル)スルホニル)((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)アミド
【化29】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=7.36(s,1H),6.77(s,1H),6.51(d,J=15.6Hz,1H),6.23(d,J=15.6Hz,1H),2.76(t,J=7.2Hz,4H),2.69(t,J=7.2Hz,4H),2.11(s,1H),1.94-1.87(m,4H),1.06(s,6H);MS(TOF):m/z(%)=392.1987(100%)(M+H)
+,390.1841(20%)(M-1)。
【0139】
実施例-23
(S,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(2-メチル-1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド
【化30】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=7.93(s,1H),6.91(s,1H),6.71(d,J=15.2Hz,1H),6.60(d,J=15.6Hz,1H),2.85-2.83(m,1H),2.80(t,J=7.2Hz,4H),2.73-2.71(m,1H),2.67(t,J=7.2Hz,4H),2.15(s,2H),1.95(quin,J=7.2Hz,4H),1.81-1.69(m,4H),1.10(s,3H).ESI-Q-TOF-MS:m/z405.2268(100%)[M+H]
+,403.1901(100%)[M-H]
-。
【0140】
実施例-24
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(2-メチル-1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド
【化31】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=7.94(s,1H),6.91(s,1H),6.72(d,J=15.2Hz,1H),6.61(d,J=15.2Hz,1H),2.88-2.83(m,1H),2.80(t,J=7.2Hz,4H),2.75-2.71(m,1H),2.67(t,J=7.2Hz,4H),2.15(s,2H),1.95(quin,J=7.2Hz,4H),1.82-1.69(m,4H),1.11(s,3H),ESI-Q-TOF-MS:m/z405.2104(100%)[M+H]
+,403.1915(100%)[M-H]
-。
【0141】
実施例-25
(R,E)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-2-(1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)エテン-1-スルホンアミド
【化32】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=10.5(brs,1H),7.99(s,1H),6.92(s,1H),6.86(d,J=15.2Hz,1H),6.56(dd,J
1=7.6Hz,J
2=15.2Hz,1H),3.12-3.06(m,2H),2.80(t,J=7.2Hz,4H),2.67(t,J=7.2Hz,4H),2.38-2.32(m,1H),2.25(s,2H),2.08-2.01(m,1H),1.95(quin,J=7.2Hz,4H),1.80-1.73(m,2H),1.63-1.54(m,1H),ESI-Q-TOF-MS:m/z391.1956(100%)[M+H]
+,389.1756(100%)[M-H]
-。
【0142】
実施例-26
(E)-3-(ビス(メチル-d)アミノ)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-3-メチルブト-1-エン-1-スルホンアミド
【化33】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=7.87(s,1H),6.89(s,1H),6.73(d,J=15.2Hz,1H),6.61(d,J=15.2Hz,1H),2.79(t,J=7.6Hz,4H),2.67(t,J=7.2Hz,4H),2.30(s,4H),1.97-1.93(m,4H),1.21(s,6H),ESI-Q-TOF-MS:m/z394.2150(100%)[M+H]
+,392.1980(100%)[M-H]
-。
【0143】
実施例-27
ナトリウム(R,E)-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)((2-(2-メチル-1-(メチル-d)ピロリジン-2-イル)ビニル)スルホニル)アミド
【化34】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=7.35(s,1H),6.77(s,1H),6.55(d,J=15.6Hz,1H),6.18(d,J=15.6Hz,1H),2.78-2.68(m,9H),2.64-2.59(m,1H),2.06(s,2H),1.94-1.87(m,4H),1.74-1.70(m,3H),1.60-1.57(m,1H),1.01(s,3H);MS(ESI):m/z(%)=405.2101(100%)(M+H)
+,403.1921(100%)(M-1)。
【0144】
実施例-28
N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-1-((1S,8aR)-3,3,8a-トリメチル-2-(メチル-d)オクタヒドロピロロ[1,2-a]ピラジン-1-イル)メタンスルホンアミド
【化35】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=8.01(bs,1H),6.94(s,1H),3.54(s,2H),2.98-2.50(m,10H),2.45-2.09(m,5H),1.99-1.91(m,4H),1.81-1.65(m,4H),1.10(s,6H),0.8(s,3H);MS(TOF):m/z(%)=476.2797(100%)(M+H)
+;474.2623(100%)(M-1)
-。
【0145】
実施例-29
(R,E)-2-(1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1,2,3,5-テトラヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド
【化36】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=8.27(bs,1H),7.18(s,1H),6.79-6.73(m,2H),6.66-6.62(m,1H),6.46-6.45(m,1H),3.34-3.22(m,2H),2.90-2.86(m,3H),2.78-2.72(m,3H),2.22(s,3H),2.03-1.96(m,2H),1.88-1.73(m,4H),1.15(s,3H);MS(TOF):m/z(%)=402.25(100%)(M+H)
+。
【0146】
実施例-30
(E)-2-((R)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((2-ヒドロキシ-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド
【化37】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=10.5(bs,1H),8.10(s,1H),6.91(s,1H),6.77-6.65(m,2H),4.79(d,J=3.6Hz,1H),4.43(d,J=2.8Hz,1H),3.03-2.97(m,3H),2.81-2.78(m,7H),2.33(s,3H),1.99-1.76(m,6H),1.16(s,3H);MS(TOF):m/z(%)=420.19(100%)(M+H)
+。
【0147】
実施例-31
(E)-2-((R)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((3-ヒドロキシ-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド
【化38】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=8.05(s,1H),6.90(s,1H),6.75(t,J=15.2Hz,1H),6.60(t,J=15.6Hz,1H),5.01(t,J=3.2Hz,1H),3.18-2.89(m,2H),2.87-2.67(m,3H),2.68-2.60(m,2H),2.32-2.19(m,4H),2.07-1.93(m,2H),1.90-1.79(m,6H),1.17(s,3H);MS(TOF):m/z(%)=420.1937(50%)(M+H)
+,418.1843(5%)(M-1)。
【0148】
実施例-32
(E)-2-((R)-1,2-ジメチルピロリジン-2-イル)-N-((1-ヒドロキシ-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)エテン-1-スルホンアミド
【化39】
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6):δ=10.4(brs,1H),8.02(s,1H),7.02(s,1H),6.75(t,J=15.2Hz,1H),6.65(t,J=15.6Hz,1H),5.13(d,J=4.4Hz,1H),4.98(d,J=3.6Hz,1H),2.88-2.79(m,3H),2.77-2.60(m,4H),2.56-2.54(m,1H),2.30-2.24(m,1H),2.20(s,3H),2.00-1.91(m,2H),1.84-1.67(m,5H),1.13(s,3H);MS(TOF):m/z(%)=420.1947(100%)(M+H)
+,418.1800(20%)(M-1)。
【0149】
生物学的活性:
インビトロアッセイ:
THP1単球をPMA(100ng/ml)で分化させ、5%CO2存在下、37℃で20時間培養した。96ウェル組織培養プレートの1ウェルあたり2X10
5個の分化細胞をプレーティングした。細胞を500ng/mLのリポ多糖でプライミングし、同じ条件下で4時間培養した。次に、細胞を様々な濃度の化合物で30分間処理した後、5mM ATPで1時間処理した。上清を回収し、IL-1b(Mabtech Cat#3415-1H-20)又はTNF-a(Mabtech;Cat#3510-1H-20)検出キットで分析した。データは、GraphPad Prism V7.0を用いて解析した。用量反応曲線(DRC)は、非線形回帰分析を用いて細胞生存率データをGraphPad Prismに当てはめることによりIC
50値を決定するために構築された。代表的な化合物のインビトロIL-1β阻害活性(IC
50)を表1に示す。
【表1】
【0150】
インビトロにおけるミクログリア細胞のMPTP誘導NLRP3-アッセイ:成体マウスの脳を用いた。脳をPBSで洗浄し、断片に切断した後、機械的に均質化した。均質化した懸濁液を0.25%トリプシンEDTA溶液で37℃、10分間消化した。懸濁液をセルストレーナーで濾過し、365g、5分間、室温で遠心分離した。ペレットをRPMI完全培地に再懸濁し、30%等張パーコール(SIP)上に重層した。このグラジエント混合物を室温で700g、10分間遠心した。ミエリンを含むPBSと30%パーコールの間の相を捨てる。ミクログリアを含むペレット化した細胞を洗浄し、ポリ-L-リジンコートした96ウェルプレートに50000細胞/ウェルを播種し、37℃、5%CO
2インキュベーターで一晩培養した。一晩培養後、試験化合物を添加し、さらに1時間培養した。続いてLPS(1μg/mL)を添加し、4時間培養した。その後、20μMのニゲリシンをそれぞれのウェルに添加し、プレートを再び1時間培養した。1時間後、上清を回収し、Mouse R&D system ELISA kit(MLB00C)を用いてIL-1βの分泌を測定した。
【表2】
【0151】
結果:
ミクログリア細胞をLPSでプライミングし、ニゲリシンで活性化すると、分泌IL-1βの増加を通じてNLRP3の大幅な誘導が観察された。試験化合物である本発明化合物11及びMCC950は、両方ともインフラマソームの活性化を阻害した。本発明の化合物11はMCC950と比較してより優れた活性を示し、半減最大阻害濃度はMCC950の108nMに対して43nMであった。
【0152】
インビボでの有効性研究:
ラットマウス、経口投与経路における試験化合物のインビボでの有効性の実証。
【0153】
動物:全ての動物実験は、社内で繁殖させた雌のラット及びマウスを用いて実行された。動物は、ビバリウムの条件(25±4℃、相対湿度60~65%、明暗サイクル12:12時間、午前7時30分点灯)に慣れさせるため、1ケージあたり6匹の群に分け、1週間飼育した。全ての動物実験は、「ザイダス研究センター動物倫理委員会」の承認を得て、国際的に有効なガイドラインに従って実行された。
【0154】
インビボでのLPS及びATP誘導IL-1βアッセイ:
雌のC57マウス(6~8週)にPBS中50μg/マウスのリポ多糖(LPS)を腹腔内注射した。動物は、直ちに試験物質又はビヒクルで治療された。LPS注射2時間後、動物は、PBSに溶かした12.5mg/マウスのATPを、腹腔内経路を介して投与された。ATP注射30分後、ELISAによるIL-1β測定のために血清を採取した。
【0155】
血漿及び脳組織における薬物動態学的分析:研究の目的は、C57マウスに試験化合物を単回経口投与した後の試験化合物の脳内分布を調べることであった。研究は、雄又は雌のC57マウス(各時点につきn=4)を用いて実施した。研究期間中、動物は、餌及び水を自由に摂取できた。投与製剤は、1% v/v Tween(登録商標)80、99% v/v 0.5%メチルセルロース、精製水で調製された。動物は、30mg/kgの試験物質懸濁製剤を10.0mL/kgの用量で経口投与した。製剤強度は、3.0mg/mLであった。合計6個の血液及び脳組織サンプルを異なる時間間隔で採取した。投与後、特定の時点で血液サンプルを採取し、その後、脳組織のために動物を犠牲にした。血液及び脳サンプルは、投与後0.25、0.5、1、2、4及び8時間に採取された(n=4/時点)。採血は、Na-ヘパリンを含むチューブ(~20 IU/mLの血液)中で、軽度のイソフルラン麻酔下で眼窩後神経叢から実施され、氷冷下に置いた。血液サンプルを4000rpmで15分間遠心分離して血漿を得て、分析まで-70±20℃で保存した。採血後すぐに、動物を4mLの1X PBS緩衝液で深部イソフルラン麻酔下に灌流し、脳組織を採取した。採取した脳サンプルは、直ちに氷上に置かれ、均質化まで-70±20℃で保存した。脳組織サンプルは、リン酸緩衝生理食塩水中でポリトロン組織ホモジナイザーを用いて均質化され、脳ホモジネート濃度は、0.2g/mLに保たれた。血漿及び脳組織ホモジネートサンプルは、別途開発した研究用LC-MS/MSアッセイに適合する検量線を用いて、全試験化合物及び非結合試験化合物濃度を分析した。検量線範囲は、試験物質の総濃度で5~2000ng/mL、未結合画分で0.2~200ng/mLにわたって直線的であった。
【表3】
【表4】
【0156】
フェーズ2a POC研究:
パーキンソン病患者を対象とした試験化合物(本発明化合物11)のフェーズ2a POC試験。臨床的にパーキンソン病と診断され、年齢が45歳から75歳で、ホーエンヤールの重症度分類(Modified Hoehn and Yahr Stage)が3未満のパーキンソン病患者が本試験に含まれる。約15名のパーキンソン病患者が試験に登録されている。研究は、約25~75mgの用量範囲で1日2回、14日間実施される。適格患者は、1日目から13日目まで1日2回、朝の朝食前及び夕方の夕食前に試験化合物(本発明化合物11)の27回の投与を受ける。14日目には朝食前に単回投与する。
【0157】
スクリーニング期間から28日以内に、適格患者は、(-1)日目に臨床病棟に入院する。1日目及び14日目の初回投与後12時間は、安全性評価、並びに薬物動態学的及び薬力学的サンプリングのため、患者は、引き続き臨床病棟に入院する。2日目、4日目、7日目、10日目、14日目、15日目、及び21日目(フォローアップ)に、安全性評価、並びに薬物動態学的及び薬力学的採血のため、患者は、再び施設に報告される。
【0158】
本研究の主要目的は、パーキンソン病患者における試験化合物(本発明化合物11)の経口投与の安全性及び忍容性を評価することである。副次的及び探索的目的には、1日2回、14日間経口投与した試験化合物(本発明化合物11)の薬物動態及び薬力学の評価が含まれる。薬物動態及び薬力学評価のため、複数の時点で血液サンプルを採取する。最終投与後2時間後に脳脊髄液(CSF)を採取して、CSF及び血漿中の試験化合物(本発明化合物11)の濃度を相関させる。α-シヌクレインレベル、NLRP3、可溶性LAG-3、トル結合タンパク質及びhs C-反応性タンパク質のような探索的パラメーターは、定義された時点で、血液中で測定される。
【0159】
安全性は、試験期間中の様々な時点での身体検査及び神経学的検査、バイタルサイン、臨床検査、ECG、並びにAE/SAEの記録によって評価される。
【0160】
本発明をその具体的な実施形態について説明してきたが、特定の変更及び同等物は、当業者には明らかであり、本発明の範囲に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】