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特表2024-532309脛骨冠状部のアライメントを判定するためのデバイス、システム、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】脛骨冠状部のアライメントを判定するためのデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/30 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61F2/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512154
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 US2022040882
(87)【国際公開番号】W WO2023027956
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/235,838
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514071842
【氏名又は名称】オルソセンサー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ORTHOSENSOR, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ハジン、ワエル
(72)【発明者】
【氏名】ライトキャップ、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】トルースデール、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ロシュ、マーティン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA03
4C097BB01
4C097CC18
4C097SC10
(57)【要約】
外科的に埋め込まれた計測デバイスを用いて脛骨の内反または外反角度を計測するためのシステムおよび方法が開示される。例示的な実施形態は、少なくとも1つのプロセッサを用いて、計測デバイスから第1のデータを受信することであって、計測デバイスのハウジングは、患者の筋骨格系に結合され、第1のデータは、ハウジング内に配置された慣性計測ユニットに含まれる加速度計およびジャイロスコープの各々からの複数の計測値を含む、受信することと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、患者の脚の解剖学的特徴の第1の計測値を受信することと、第1の計測値に基づいて脛骨の内反または外反角度を求めることと、求められた脛骨の内反または外反角度をディスプレイに出力させることと、を含み得る。いくつかの実施形態では、本方法を実装するための命令は、非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的に埋め込まれた計測デバイスを用いて脛骨の内反角度または外反角度を計測するための方法であって、
少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記計測デバイスから第1のデータを受信することであって、
前記計測デバイスのハウジングは、患者の筋骨格系に結合されており、
前記第1のデータは、前記ハウジング内に配置された慣性計測ユニットに含まれる加速度計およびジャイロスコープの各々からの複数の計測値を含む、受信することと、
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記患者の脚の解剖学的特徴の第1の計測値を受信することと、
前記第1の計測値に基づいて、前記脛骨の内反角度または外反角度を求めることと、
求められた前記脛骨の内反角度または外反角度をディスプレイに出力させることと、を備える方法。
【請求項2】
前記第1のデータを受信する前に、前記ハウジングを前記患者の筋骨格系に結合することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
実行されると、前記加速度計および前記ジャイロスコープに前記第1のデータを生成させる、前記患者の前記筋骨格系の動きまたは姿勢を取らせるための命令を前記ディスプレイに出力させることをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のデータの異なる複数の部分は、前記患者の前記筋骨格系のそれぞれの動きまたは姿勢に対応しており、
前記患者の前記筋骨格系の動きまたは姿勢を取らせるための前記命令を前記ディスプレイに出力させることは、
それぞれの動きまたは姿勢の各々についてのそれぞれの命令を前記ディスプレイに繰り返し出力させることを含み、
現在の対応する動きまたは姿勢と次の対応する動きまたは姿勢との間の繰り返しは、前記現在の対応する動きまたは姿勢に対応する前記第1のデータの一部分を受信することに基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記第1のデータの検証を実行することをさらに備え、
前記第1のデータが前記検証に失敗したことに応答して、前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記複数の計測値を再取得するためのプロンプトを前記ディスプレイに出力させることと、
前記加速度計および前記ジャイロスコープの各々からのさらなる複数の計測値を含む第2のデータを前記計測デバイスから受信することと、
前記脛骨の内反角度または外反角度が前記第2のデータおよび前記第1の計測値に基づいて求められるように、前記第1のデータを前記第2のデータで置き換えることと、を実行するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記検証を実行することは、
前記少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記第1のデータ内の前記複数の計測値の最大線速度、最大角速度、および時間積分誤差の各々を求めることと、
前記最大線速度、前記最大角速度、および前記時間積分誤差の各々がそれぞれの所定のしきい値を超えるか否かを判定することと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記時間積分誤差を求めることは、
前記複数の計測値の最終部分において前記加速度計から受信された1つまたは複数の静的計測値に基づいて、計測された最終重力方向を求めることと、
前記複数の計測値の時間積分された角速度から推定重力方向を求めることと、
計測された前記最終重力方向と前記推定重力方向との間の角度誤差を求めることと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記計測デバイスのメモリに記憶された前記慣性計測ユニットの較正データを取得することと、
前記脛骨の内反または外反角度を求める前に、前記較正データに基づいて前記複数の計測値を修正することと、をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
所定の最大角加速度を超える前記複数の計測値のうちの1つまたは複数を少なくとも除去することによって、前記第1のデータを前処理することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記脛骨の内反角度または外反角度を求めることは、
前記複数の計測値の各々について角速度の時間積分を実行することによって、前記複数の計測値の各々について前記慣性計測ユニットの配向を算出することと、
前記複数の計測値における各加速度について重力加速度を除去することによって前記第1のデータを修正することと、
前記複数の計測値に基づいて、前記患者の前記筋骨格系の回転軸上の点を前記慣性計測ユニットの中心点に結ぶベクトルを求めることと、
所定の最小閾値を上回る前記複数の計測値の角速度計測値を平均した結果を単位化することによって、前記複数の計測値についての平均回転軸を求めることと、
前記患者の脛骨の基準座標系に対する前記慣性計測ユニットの基準座標系に基づいて、前記複数の計測値を修正することと、
前記患者の踵と前記患者の足首との間のオフセットベクトルに基づいて、前記複数の計測値を修正することと、
前記複数の計測値に基づいて、前記計測デバイスの姿勢を特定することと、
前記計測デバイスの前記姿勢を、前記患者の前記脛骨の基準座標系における3軸回転に分解することと、
前記3軸回転に基づいて前記脛骨の内反角度または外反角度を求めることと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
患者の脛骨の内反角度または外反角度を計測するシステムであって、
計測デバイスであって、該計測デバイスは、
前記患者の筋骨格系に結合するように構成されたハウジングと、
前記ハウジング内に配置された慣性計測ユニットと、を含み、
前記慣性計測ユニットは、
加速度計と、
ジャイロスコープと、を含み、
前記慣性計測ユニットが、前記加速度計および前記ジャイロスコープを使用して複数の計測値を記録するように構成されている、前記計測デバイスと、
前記複数の計測値を出力するように構成された送信機と、を備えるシステム。
【請求項12】
前記患者の脛骨の近位端に結合された脛骨プロテーゼコンポーネントを含む人工膝関節であって、前記計測デバイスの前記ハウジングは、前記脛骨プロテーゼコンポーネントに取り外し可能に結合するように構成されている、前記人工膝関節をさらに備える請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
ディスプレイと、
前記患者の前記脛骨の内反角度または外反角度を求めるコンピューティングデバイスであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に接続された通信コンポーネントと、
前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に接続され、複数の動作を実行するために前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能である複数の命令を記憶するメモリと、をさらに備え、前記複数の動作は、
前記加速度計および前記ジャイロスコープの各々からの複数の計測値を含む第1のデータを前記計測デバイスから受信することと、
前記患者の脛骨の長さの第1の計測値を受信することと、
前記第1のデータおよび前記第1の計測値に基づいて前記脛骨の内反角度または外反角度を求めることと、
求められた前記脛骨の内反角度または外反角度を前記ディスプレイに出力させることと、を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の動作は、
実行されると、前記加速度計および前記ジャイロスコープに前記第1のデータを生成させる、前記患者の前記筋骨格系の動きまたは姿勢を取らせるための命令を前記ディスプレイに出力させることをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のデータの異なる複数の部分は、前記患者の前記筋骨格系のそれぞれの動きまたは姿勢に対応しており、
前記患者の前記筋骨格系の動きまたは姿勢を取らせるための前記命令を前記ディスプレイに出力させることは、
それぞれの動きまたは姿勢の各々についてのそれぞれの命令を前記ディスプレイに繰り返し出力させることを含み、
現在の対応する動きまたは姿勢と次の対応する動きまたは姿勢との間の繰り返しは、前記現在の対応する動きに対応する前記第1のデータの一部分を受信することに基づく、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記計測デバイスは、前記慣性計測ユニットについての較正データを記憶するメモリをさらに含み、
前記複数の動作は、
前記慣性計測ユニットについての前記較正データを取得することと、
前記脛骨の内反角度または外反角度を求める前に、前記較正データに基づいて前記複数の計測値を修正することと、をさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の動作は、
所定の最大角加速度を超える前記複数の計測値のうちの1つまたは複数を少なくとも除去することによって、前記第1のデータを前処理することをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記脛骨の内反角度または外反角度を求めることは、
前記複数の計測値の各々について角速度の時間積分を実行することによって、前記複数の計測値の各々について前記慣性計測ユニットの配向を算出することと、
前記複数の計測値における各加速度について重力加速度を除去することによって前記第1のデータを修正することと、
前記複数の計測値に基づいて、前記患者の前記筋骨格系の回転軸上の点を前記慣性計測ユニットの中心点に結ぶベクトルを求めることと、
所定の最小閾値を上回る前記複数の計測値の角速度計測値を平均した結果を単位化することによって、前記複数の計測値についての平均回転軸を求めることと、
前記患者の脛骨の基準座標系に対する前記慣性計測ユニットの基準座標系に基づいて、前記複数の計測値を修正することと、
前記患者の踵と前記患者の足首との間のオフセットベクトルに基づいて、前記複数の計測値を修正することと、
前記複数の計測値に基づいて、前記計測システムの姿勢を特定することと、
前記計測システムの前記姿勢を、前記患者の前記脛骨の基準座標系における3軸回転に分解することと、
前記3軸回転に基づいて、前記脛骨の内反角度または外反角度を求めることと、を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
複数の動作を実行するためにプロセッサによって実行可能である複数の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記複数の動作は、
計測システムから第1のデータを受信することであって、
前記計測システムのハウジングは、患者の筋骨格系に結合されており、
前記第1のデータは、前記ハウジング内に配置された慣性計測ユニットに含まれる加速度計およびジャイロスコープの各々からの複数の計測値を含む、受信することと、
前記患者の脛骨の長さの第1の計測値を受信することと、
前記第1のデータおよび前記第1の計測値に基づいて、脛骨の内反角度または外反角度を求めることと、
求められた前記脛骨の内反角度または外反角度をディスプレイに出力させることと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記複数の動作は、
実行されると、前記加速度計および前記ジャイロスコープに前記第1のデータを生成させる、前記患者の前記筋骨格系の動きまたは姿勢を取らせるための命令を前記ディスプレイに出力させることをさらに含む、請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、物理的パラメータの計測に関し、特に、排他的ではないが、高精度整形外科用アライメントのための医療電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳類の骨格系は、種間で異なる。環境因子、使用による劣化、および老化により、さらなる変化が起こり得る。骨格系の整形外科用関節は、通常、相互に関連して動く2つ以上の骨を含む。運動は、関節の骨格系に付着した筋組織及び腱によって可能になる。靭帯は、1つ以上の関節骨を位置的に保持し、安定させる。軟骨は、骨と骨の接触を防ぎ、負荷を分散させ、摩擦を低下させる摩耗面である。
【0003】
人間の骨格系の修復では、大幅な成長があった。一般に、整形外科用関節は、改善された設計を開始するために収集され使用されるシミュレーション、機械的プロトタイプ、および患者データからの情報を使用して進化してきた。同様に、整形外科手術に使用されているツールは、長年にわたって改良されてきたが、実質的に変わっていない。したがって、整形外科的な関節の置換についての基本的な手順は、幅広い母集団分布の一般的なニーズを満たすために標準化されている。
【0004】
ツール、手順、及び人工関節は一般的なニーズを満たしているが、各置換手順は患者ごとに著しく多様になる。これらの個々の多様性の補正は、特異的な状況に利用可能なツールを使用して置換用関節を適応させ、嵌合させる外科医のスキルに依存する。本開示の解決策は、当該技術分野のこれらおよび他の問題を解決する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の特定の実施形態によれば、筋肉・骨格系の1つ以上のパラメータを計測するシステムが開示される。システムは、計測デバイスを含み得る。計測デバイスは、患者の筋骨格系に結合するように構成されたハウジングと、ハウジング内に配置された慣性計測ユニット(inertial measurement unit)と、複数の計測値を出力するように構成された送信機と、を含み得る。慣性計測ユニットは、加速度計と、ジャイロスコープとを含み得る。慣性計測ユニットは、加速度計およびジャイロスコープを使用して複数の計測値を記録するように構成され得る。システムは、患者の脛骨の近位端に結合された脛骨プロテーゼコンポーネント(tibial prosthetic component)を含む人工膝関節を更に含み得る。計測デバイスのハウジングは、脛骨プロテーゼコンポーネントに取り外し可能に結合するように構成されてもよい。システムは、ディスプレイと、患者の脛骨の内反角度または外反角度を求めるコンピューティングデバイスと、をさらに含み得る。コンピューティングデバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、該プロセッサに動作可能に接続された通信コンポーネントと、該プロセッサに動作可能に接続され、複数の動作を実行するために該プロセッサによって実行可能である複数の命令を記憶するメモリと、を含み得る。複数の動作は、加速度計およびジャイロスコープの各々からの複数の計測値を含む第1のデータを計測デバイスから受信することと、患者の脛骨の長さの第1の計測値を受信することと、第1のデータおよび第1の計測値に基づいて脛骨の内反角度または外反角度を求めることと、求められた脛骨の内反角度または外反角度をディスプレイに出力させることと、を含み得る。
【0006】
例示的な実施形態では、外科的に埋め込まれた計測デバイスを用いて脛骨の内反角度または外反角度を計測するための方法は、少なくとも1つのプロセッサを用いて、計測デバイスから第1のデータを受信することであって、計測デバイスのハウジングは、患者の筋骨格系に結合されており、第1のデータは、ハウジング内に配置された慣性計測ユニットに含まれる加速度計およびジャイロスコープの各々からの複数の計測値を含む、前記第1のデータを受信することと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、患者の脚の解剖学的特徴の第1の計測値を受信することと、第1の計測値に基づいて、脛骨の内反角度または外反角度を求めることと、求められた脛骨の内反角度または外反角度をディスプレイに出力させることと、を含み得る。いくつかの実施形態では、本方法を実装するための複数の命令は、非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶されてもよい。
【0007】
上記および関連する目的を達成するために、いくつかの例示的な態様が、以下の説明および添付の図面に関して本明細書において説明される。しかしながら、これらの態様は、請求項の主題の原理が採用され得る様々な方法のうちの一部を示しており、請求項の主題は、すべてのそのような態様およびそれらの均等物を含むものとする。他の利点および新規な特徴は、図面と併せて考慮するとき、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の様々な例示的な態様を示し、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つものである。
図1図1は、例示的な実施形態による脚の一部の骨格構造の一例を示す。
図2図2は、例示的な実施形態によるプロテーゼシステムを含む膝関節の分解図を示す。
図3図3は、例示的な実施形態による慣性計測ユニットを組み込んだプロテーゼコンポーネントの一例を示す。
図4-1】図4は、本開示の特定の態様による脛骨の内反角度/外反角度を求めるための方法の例示的な実施形態のフロー図を示す。
図4-2】図4の続きである。
図5A図5Aは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力の例示的な実施形態を示す。
図5B図5Bは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力の例示的な実施形態を示す。
図5C図5Cは、図5Bに示される姿勢に動かされている患者の脚の画像を示す。
図5D図5Dは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5E図5Eは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5F図5Fは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5G図5Gは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5H図5Hは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5I図5Iは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5J図5Jは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5K図5Kは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5L図5Lは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5M図5Mは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5N図5Nは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5O図5Oは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図5P図5Pは、図4の方法を実行するときにコンピュータシステムによって生成される出力のさらなる例示的な実施形態を示す。
図6A図6Aは、図4の方法における脛骨の内反角度/外反角度の特定を実行するための方法の例示的な実施形態のフロー図を示す。
図6B図6Bは、患者の脚の踵と足首との間のオフセット距離の一例を示す。
図7A図7Aは、本開示の特定の側面によるシムの例示的な実施形態を示す。
図7B図7Bは、計測デバイスと脛骨プロテーゼコンポーネントとの間の適所に配置された図7Aのシムを示す。
図7C図7Cは、本開示の特定の側面による、種々の事前設定された脛骨の内反角度/外反角度となる場合の脛骨の内反角度/外反角度を求めるための種々の実験結果を例示するグラフを示す。
図8図8は、例示的な実施形態による計測システムまたはコンピュータのブロック図を示す。
図9図9は、例示的な実施形態による計測及び報告のための通信ネットワークの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態は、広義には、物理的パラメータの計測を対象とし、より具体的には、整形外科用アライメント(orthopedic alignment)のためのデバイス、システム、および方法を対象とする。そのような開示の様々な態様は、計測精度を改善し、手術結果を改善し、および/または手術におけるコストまたは時間を削減し得る。以下の例示的な実施形態(複数可)の説明は、本来例示にすぎず、本発明、その用途、または使用を制限することを決して意図するものではない。本開示の特定の複数の態様は、以下により詳細に説明される。参照により組み込まれる用語および/または定義と矛盾する場合、本明細書において提供される用語および定義が優先される。
【0010】
本明細書において使用される場合、用語「含む」、「含んでいる」又はこれらの任意の他の変化形は、要素のリストを含む処理、方法、組成物、物品又は装置が、それらの要素を包含するのみならず、明示的に挙げられていないか、又はかかる処理、方法、組成物、物品若しくは装置に固有の他の要素を包含し得るように、非排他的包含を網羅することが意図される。「例示的」という用語は、「理想的」ではなく「例」という意味で使用される。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が他の意味に解すべき場合を除き、複数の言及を含む。「およそ」および「約」という用語は、参照された数またはその値とほぼ同じであることを指す。「または」という用語は、選言的に使用され、したがって、「または」という用語によって設定されるリストは、リスト内の項目のうちのいずれかの任意の数を含み得る。本明細書において使用される場合、「およそ」および「約」という用語は、指定された量または値の±10%を包含すると理解されるべきである(例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指すことができる)。
【0011】
1つまたは複数の図面の簡略化及び明確化のために、図中の要素は必ずしも縮尺どおりではなく、概略にすぎず、非限定的であり、異なる図中の同じ参照番号は、特に明記しない限り、同じ要素を示す。さらに、説明の簡略化のために、周知のステップ及び要素の説明及び詳細は省略されている。物品が1つの図中で定義されると、次の図では説明されない、またはさらに定義されないことがあることに留意されたい。
【0012】
特許請求の範囲では、または/及び詳細な説明では、「第一」、「第二」、「第三」などの用語は、類似の要素間で区別するために使用され、必ずしも時間的か、空間的か、順位付けか、任意の他の方法かいずれかの順序を説明するために使用されない。そのように使用される用語が適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載されている、または示されている以外の順序で動作可能であることを理解されたい。
【0013】
当業者によって知られている処理、技術、装置、及び材料は、詳細に説明されていないことがあるが、必要に応じて、実施可能な程度の説明の一部であることが意図される。
直交デカルト座標のx、y、及びz軸の配向は、x軸及びy軸が所与の位置に平面を規定し、z軸がx-y平面に直交すると仮定される。デバイスのデカルト軸を中心としたこれらの回転軸は、ヨー、ピッチ及びロールとして規定される。この段落で規定されるデカルト座標の配向では、ヨー回転軸は、デバイスの本体を通るz軸である。ピッチは、デバイスの長手方向軸の配向を変える。ロールは、デバイスの長手方向軸を中心とした回転である。
【0014】
直交デカルト座標のX、Y、Z軸の配向は、ユーザーが最も簡単に関連付けることができる配向を有するコンピュータ画面上でのグラフィカル表示を可能にするように選択される。したがって、デバイス自体が例えば地表から離れた上向きに移動するときは常に、デバイスの画像はコンピュータディスプレイ上で上向きに移動する。同じことは、左方向または右方向への動きにも当てはまる。
【0015】
「動き検知」、「傾き検知(tilt sensing)」、および「配向(向き)」という用語も、特定の意味を有することが意図される。「動き検知」は、概して、1つまたは複数の座標軸における指定された閾値、例えば、静的加速度と動的加速度の両方に関する1つまたは複数のデカルト軸における特定の閾値を超える物体の動きの検出を包含する。「ヘディング(heading)」は、概して、動き及び向きを検知するモジュール又はデバイスの長手軸の向きと、ある方向の動きとを包含する。「傾き」は、概して、垂直軸に対する本体の向きを包含する。傾斜(slope)という用語は、「傾き」という用語と交換可能に使用される。「傾き検知」は、概して、1つまたは複数の軸における重力に起因する加速度の計測を包含する。「配向(向き)」は、概して、ヨーならびに「傾き」を包含する。加速度計およびジャイロスコープは、実施形態の説明において有効な例として提供されるが、任意のトラッキングデバイス(tracking device)(例えば、GPSチップ、音響測距、磁力計、傾斜計、ハイブリッドセンサ、MEMs)が、説明される実施形態の範囲内で使用され得ることに留意されたい。
【0016】
本明細書では「屈曲値(flexion value)」という用語が使用されることに留意されたい。本開示の目的のために、約180度の屈曲値は、関節の完全伸展であり、180度以外の任意の値は、関節の両側の骨が交差して180度以外の角度をなす屈曲状態の関節である。また、許容値は、当業者によって知られているものであり、例えば、角度の計測に関する主観的な許容範囲は、1~3度であり得ることに留意されたい。
【0017】
少なくとも1つの実施形態は、運動整形外科(例えば、膝)バランサーシステム(balancer system)を対象にし、この運動整形外科バランサーシステムは、外科医が整形外科用インプラントのアライメント(alignment)、及び荷重をリアルタイムに判定することを支援する。このシステムがあらゆる整形外科手術(例えば、脊髄、肩、膝、股関節)全般に適用可能であるが、以下の例は、本発明の一実施形態の非限定的な一例として膝の手術を扱う。
【0018】
本明細書に記載の非限定的な実施形態は、整形外科手術に基づく定量的計測に関連し、本明細書では運動システムと称される。運動システムは、外科医に視覚的および/または聴覚的および/または触覚的に提供される定量的データ及びフィードバックを提供するセンサシステムを含む。運動システムは、膝の各区画における荷重、全可動域を通した脛骨・大腿骨インプラントの接触および適合性に関するリアルタイムの動的データ、ならびに角度のある骨切りおよび脚のアライメントに関する情報を外科医に提供する。
【0019】
一般に、運動学は、体または体のシステムの動きに応じた力の作用の研究である。本明細書に開示されるのは、筋肉・骨格系の運動評価のためのシステムである。運動システムは、複数のプロテーゼコンポーネント(prosthetic component)の設置のためのものである、または筋肉・骨格系に恒久的に設置されたコンポーネントの監視及び評価のためのものであることができる。例えば、プロテーゼコンポーネントの設置は、デバイスまたはコンポーネントを受容するために1つ以上の骨面を形成する必要がある場合がある。骨表面は、関節の機能軸(mechanical axis)に対して関連する位置にプロテーゼコンポーネントを配置するために骨切りされる。運動システムは、最終的な関節設置のものと同様に関節に加えられる力に関する、少なくとも荷重、荷重の位置、およびアライメントの定量的計測を行うように設計される。センサ付き計測コンポーネントは、定量的な計測データを取得している間、靭帯、組織、及び骨が適所にあることを可能にするように設計される。これは、運動学的評価、そしてそれに続く骨切りによって関節が再構成されると、アライメント、荷重、及び荷重の位置から大幅に変わる可能性がある運動学的力を骨切りでは考慮するため、重要である。
【0020】
計測データは、最適な設置を確実にするために、外科医の主観的なフィードバックを補完する。定量的計測はまた、最終的な設置の前に、骨、プロテーゼコンポーネント、または組織への調整を判定するために、または設置を微調整するために使用され得る。最終的なプロテーゼコンポーネントの恒久的なセンサは、使用中のインプラントの状態に関連する定期的なデータを提供することができる。手術中、そして長期間(手術後)、収集されたデータを使用して、外科的設置についてのパラメータ範囲を求め、今後のプロテーゼコンポーネントを改良することができる。多くの場合、いくつかの計測されたパラメータまたは異なる複数の計測が、定量的評価を行うために使用される。パラメータは、体、機器、アプライアンス、媒体、装備または他の物理システム上に、またはこれらの内部に位置決めされる無線検知モジュールまたはデバイスによって、1つの軸、または軸の組み合わせに沿った運動、回転、または加速だけでなく、向き、アライメント、方向、変位、または位置に関して評価されることができる。グラフィカルユーザインタフェースは、計測データの統合をサポートすることができる。パラメータは、体、機器、アプライアンス、媒体、装備または他の物理システム上に、またはこれらの内部に位置決めされる無線検知モジュールまたはデバイスによって、1つの軸、または軸の組み合わせに沿った運動、回転、または加速だけでなく、向き、アライメント、方向、変位、または位置に関して評価されることができる。
【0021】
運動システムは、最終的な関節設置のものと同様に関節に加えられる力に関する少なくとも荷重、荷重の位置、またはアライメントの定量的計測を行うように設計される。運動システムは、最適な接触点(複数可)、バランス、荷重の大きさ、および可動域にわたるアライメントのために、実際の骨切りをサポートすることができる。複数のセンサを有する1つ以上の計測コンポーネントは、定量的な計測データがリアルタイムで取得および報告される間、靱帯、組織、および骨が定位置にあることを可能にするように設計される。これは、運動学的評価、そしてそれに続く骨切りによって関節が再構成されると、アライメント、荷重、及び荷重の位置から実質的に変わる可能性がある運動学的力を骨切りでは考慮するため、重要である。さらに、計測データを分析し、手術チームが所望の結果を得るためのワークフローを提案することができる手術室内のコンピュータに計測データが送信されることができる。さらに、運動システムは、外科的処置または提案されたワークフローを検証するために、リアルタイム計測を用いて、骨切り、プロテーゼコンポーネントの回転、または靭帯張力等のリアルタイムでの調節をサポートする。
【0022】
本明細書は、新規とみなされる本発明の特徴を定義する特許請求の範囲で終了しているが、本発明が、同様の参照番号を繰り越す、描かれている図面と組み合わせて以下の説明の考察からよりよく理解されると考えられる。
【0023】
本明細書では計測デバイスの以下に示される例示的な実施形態は、例示にすぎず、体の他の部分への使用を制限していない。計測デバイスは、少なくとも1つのパラメータを計測する、または筋骨格系へのプロテーゼコンポーネントの設置をサポートするツール、機器、インプラント、インサート(insert)、または人工器官であることができる。計測デバイスは、骨、膝、股関節、足首、脊椎、肩、手、手首、足、指、足趾、及び筋骨格系の他の領域に使用されることができる。概して、本明細書に開示される複数の原理は、筋骨格系のすべての位置での使用に適応することが意味される。
【0024】
図面を参照すると、図1は、例示的な実施形態による脚10の図である。脚10は、右脚または左脚であり得る。脚10は、大腿骨12および脛骨14を含む。破線16は、脚10の機能軸を示す。脚10の機能軸は、大腿骨頭28の中心160を通って足首関節18の中心180まで引かれた破線16を含む。破線16は、ほぼ内側脛骨突起(medial tibial spine)で膝関節185の中心165を通るようにアラインされる(aligned)。膝関節185は、脚の動きをサポートする外側関節面および内側関節面187および189を含む。脚10の機能軸16に対するアライメントにより、人工膝関節の関節面の摩耗が最小限に抑えられ、摩耗面に加わる機械的応力が減少する。同様に、脚10の機能軸16に対するアライメントにより、大腿骨12および脛骨14に結合された複数のプロテーゼコンポーネントに対する応力を低減する。膝関節185のアライメントは、膝関節185の外側区画187と内側区画189との間のバランスをとることをさらに含む。
【0025】
破線22は、機能軸16及び解剖学的軸(anatomical axis)20に対して示された垂直軸である。破線24は、垂直軸22に垂直な水平軸24である。水平軸24は、大腿骨12の遠位端と脛骨14の近位端との間に示されている。垂直軸22は、骨盤領域に近接する正中線軟骨性関節(midline cartilaginous joint)である恥骨結合(pubic symphysis)とアラインする(aligns)。解剖学的軸20は、破線20によって示される。解剖学的軸20は、大腿骨12の骨髄腔(intramedullary canal)および脛骨14の骨髄腔を通過するので、直線ではない。機能軸16および解剖学的軸20は、膝関節から脚の足首の中心まで同じである。機能軸16および解剖学的軸20の両方は、垂直軸とは異なる。
【0026】
大腿骨12および脛骨14は、脚10の機能軸16に対してずれている可能性がある。アラインされた脚において、機能軸16は、垂直軸と約3度の角度をなす。理想的には、外科医は、膝関節185の信頼性および性能を最適化するために、脚10の機能軸16に対してアラインされた膝関節のプロテーゼコンポーネントを設置する。アライメント処理は、脚の位置ずれ(アライメントずれ:misalignment)の計測と、機能軸に対する脚のアライメントを所定の範囲内に保つための補償とを含むことができる。典型的には、所定の範囲は、位置ずれが所定の範囲内に保たれるときの関節の信頼性および性能をサポートする臨床的エビデンスに基づいて、プロテーゼコンポーネントの製造業者によって決定される。複数の機械的治具が、手術室内で脚のアライメントを計測するために使用されてきた。機械的治具は、扱いにくく、取り付けに時間がかかり、不正確である可能性がある。機械的治具に関する1つの問題は、大腿骨頭の中心が治具による直接的な計測に利用可能ではないことである。脚変形の場合、外科医は、機能軸からのアライメントオフセット(alignment offset)を必要とすることがある。一般に、脚のアライメントを、試験的な設置の間に、骨切り、プロテーゼコンポーネントの回転、靱帯の張力調整、プロテーゼコンポーネントのシミング(shimming)、および他の技法によって調整することができる。一実施形態では、リアルタイムアライメント計測デバイス(real-time alignment measurement device)は、3軸加速度計(または3つの別個の加速度計)と組み合わせて3軸ジャイロスコープ(または3つの別個のジャイロスコープ)を使用して、プロテーゼコンポーネントの試験中にアライメント計測データ(alignment measurement data)を提供する。アライメント計測データは、アライメントを検証するために、またはアライメントにおける脚を位置付ける修正をサポートするために使用されることができる。
【0027】
図2は、脚のアライメントを計測するように構成された例示的な実施形態による人工膝関節システム40の分解図である。人工膝関節は、大腿骨42の遠位端に結合された大腿骨プロテーゼコンポーネント48と、インサート68(例えば、アライメント計測デバイス)と、脛骨44の近位端に結合された脛骨プロテーゼコンポーネント50とを含む。リアルタイムアライメント計測をサポートするために、慣性計測ユニット62が、例えばインサート68を介して膝関節に結合される。一実施形態では、慣性計測ユニット62は脛骨44に結合される。慣性計測ユニット62は、3つのジャイロスコープおよび3つの加速度計を含み、第1、第2、および第3のジャイロスコープならびに第1、第2、および第3の加速度計は、それぞれ、Xa、Ya、およびZa軸に対してアラインされる。各ジャイロスコープは、図面に示されるような軸の周りの回転に対応する角速度を計測する。各加速度計は、同様に、Xa、Ya、およびZa軸の1つに対応する動き(加速度)の変化を計測する。
【0028】
脛骨44の近位端は、作成された骨表面46を有する。脛骨44の作成された骨表面46は、基準に対して骨切りされる。例えば、脛骨44の近位端は、経上顆軸(transepicondylar axis)に対して骨切りすることができる。あるいは、使用することもできる他の基準がある。大腿骨および脛骨に対する骨切りを、垂直軸22、機能軸16、または解剖学的軸20を基準にして行うこともできる。作成された骨表面46は、内側-外側傾斜、前側-後側傾斜、または可動域にわたる正確な脚の動きおよび大腿骨コンポーネント48の適切な回転をサポートする複合傾斜(compound slope)を有することができる。
【0029】
脛骨プロテーゼコンポーネント50は、上面54および底面56を含む。一実施形態では、上面54は、脛骨トレイ(tibial tray)の主表面である。脛骨トレイは、インサート68を支持し、インサート68を脛骨プロテーゼコンポーネント50に対して保持する。脛骨プロテーゼコンポーネント50は、作成された骨表面46に結合するための1つまたは複数の保持特徴を有することができる。一実施形態では、脛骨プロテーゼコンポーネント50は、脛骨44に穿孔された開口部66に挿入されるキール(keel)52又はステム(stem)を有する。開口部66は、作成された骨表面46上の脛骨プロテーゼコンポーネント50の位置を規定する。キール52は、脛骨プロテーゼコンポーネント50の脛骨44への結合を位置決めし、保持し、強化する。キール52は、脛骨44の髄管内に配置されるように構成されてもよい。脛骨プロテーゼコンポーネント50は、基準位置から回転させることができる。一実施形態では、脛骨44上の脛骨プロテーゼコンポーネント50の位置は、脛骨結節の内側3分の1(medial third)を基準とする。この基準位置からの脛骨プロテーゼコンポーネントの回転を計測し、アライメント計測デバイス68に供給することができる。例えば、回転は、大腿骨プロテーゼコンポーネント48への膝蓋骨の動きに影響を及ぼすために使用され得る。脛骨プロテーゼコンポーネント50の回転はまた、インサート50に対する大腿骨プロテーゼコンポーネント48のアライメント、バランス、および接触点に影響を及ぼすために使用され得る。脛骨プロテーゼコンポーネント50の位置が決定されると、脛骨プロテーゼコンポーネント50を脛骨44に更に保持するために、脛骨プロテーゼコンポーネント50の底面56を作成された骨表面46に結合することができる。脛骨プロテーゼコンポーネント50の脛骨44への結合は、典型的には、機械的な取り付け、接着剤、またはセメント、または当技術分野で知られている他の結合メカニズムを含む。
【0030】
脛骨プロテーゼコンポーネント50の底面56は、作成された骨表面46に結合する。一実施形態では、底面56は、作成された骨表面46とほぼ平行である。同様に、脛骨プロテーゼコンポーネント50の上面54は、底面56または作成された骨表面46とほぼ平行である。インサート68の近位対向面は、脛骨プロテーゼコンポーネント50の上面54に結合する。インサート68は、脛骨プロテーゼコンポーネント50に結合する1つまたは複数の保持特徴を有することができる。インサート68の近位対向面は、脛骨プロテーゼコンポーネント50の上面54とほぼ平行である。
【0031】
一実施形態では、慣性計測ユニット62は、MEMs(micro-electro mechanical)集積回路であるか、またはそれを含む。例えば、ジャイロスコープまたは加速度計のうちの1つまたは複数は、MEMs集積回路であってもよく、またはそれを含んでもよい。MEMsジャイロスコープ集積回路またはMEMs加速度計集積回路のフォームファクタ(form factor)は、筋肉・骨格系のアライメントを計測するために、プロテーゼコンポーネント内の配置またはプロテーゼコンポーネントへの結合をサポートする。MEMs集積回路は、概して、フォトリソグラフィ処理を使用して形成されたソリッドステートデバイス(solid state device)である。そのようなMEMs集積回路は、骨表面に結合され得るプロテーゼコンポーネントまたはモジュール内での配置をサポートするフォームファクタを有し得る。
【0032】
一実施形態では、MEMsジャイロスコープは、角速度とともに変化し、角速度に対応する信号を出力する共鳴質量(resonating mass)を有する。例えば、いくつかの実施形態では、MEMsジャイロスコープは、IMU62の角速度に比例する信号を出力するように構成されてもよい。一実施形態では、MEMs加速度計は、質量ばねシステム(mass-spring system)を有し、質量ばねシステムは、加えられた加速度に応答して、例えば質量ばねシステム内のばねの付勢に逆らって変化する。一実施形態では、MEMs集積回路は、少なくとも1つのジャイロスコープおよび少なくとも1つの加速度計および/または加速度計/ジャイロスコープのハイブリッドを含む。MEMs集積回路は、概して、アナログまたはデジタル出力を供給することができる。
【0033】
一実施形態では、慣性計測ユニット62からの計測データは、脚のアライメント情報(alignment information)を処理して表示するように構成されたコンピュータ43に送信される。典型的には、慣性計測ユニット62は取付面63を含む。取付面63は、慣性計測ユニット62のXa、Ya、およびZa軸のうちの2つの軸の平面に対応することができる。一実施形態では、慣性計測ユニット62のXa-Ya平面は、脛骨44の作成された骨表面46と、対応する平行な脛骨プロテーゼコンポーネント50の表面およびインサート68の表面とにほぼ平行に配置される。一実施形態では、慣性計測ユニット62は、トライアルインサート(trial insert)、例えばインサート68内に配置される。トライアルインサートは、人工膝関節の設置をサポートするために使用される。慣性計測ユニット62を有するトライアルインサートは、最適な性能および信頼性のためにアライメントが所定の範囲内にあることを確実にするために、最終的な設置の前に脚および支持体の変化または修正のアライメントを計測することができる。トライアルインサートはまた、脚に近接した他のパラメータに関する計測データを提供するために、またはプロテーゼコンポーネントの設置をサポートするために、他のセンサを含むことができる。
【0034】
慣性計測ユニット62は、他のプロテーゼコンポーネントまたはモジュール内に配置されることもできる。例えば、慣性計測ユニット62は、最終的なインサートまたは最終的な脛骨プロテーゼコンポーネント内に配置されて、アライメント計測を(術後に)長期にわたって実施し、アライメントの変化を監視することができる。本明細書において上記に開示されるように、脛骨プロテーゼコンポーネント50の位置は、脛骨結節の内側3分の1または任意の他の好適な基準点にアラインされるか、またはそれを基準とすることができる。慣性計測ユニット62の向きは、Z軸Zaが表面54に対してほぼ垂直になるように配置される。インサート68の向きは、脛骨プロテーゼコンポーネント50の位置に対応する。慣性計測ユニット62を組み込んだインサート68は、X軸Xbがインサート68の前後方向にアラインされ、Y軸Ybがインサート68の内側-外側方向(medial-lateral direction)にアラインされた状態で配置される。慣性計測ユニット62の軸、インサート68の軸、垂直軸22の軸、機能軸16の軸、及び解剖学的軸20の軸がどのように互いに関連し、慣性計測ユニット62を用いて、例えば、較正手順を介して決定され得るかの更なる態様が、以下に説明される。
【0035】
図3は、例示的な実施形態による慣性計測ユニット82を組み込んだプロテーゼコンポーネントの一例を示す。概して、慣性計測ユニット82は、アライメントを計測するために、プロテーゼコンポーネント70内に収容されるか、または筋肉・骨格系に結合されることができる。慣性計測ユニット82は、筋肉・骨格系のアライメントを計測するか、または骨の位置を計測することができる。慣性計測ユニット82は、例えば、以下でさらに詳細に説明されるような較正処理を通じて、プロテーゼコンポーネント70を基準とした所定の配向を有することができる。プロテーゼコンポーネント70は、複数のパラメータを計測し、人工関節の適切な適合(フィッティング)を決定するために設置中に使用される一時的なデバイスである試験デバイス(trialing device)とすることができる。プロテーゼコンポーネント70はまた、アライメントを長期的に監視または計測する恒久的プロテーゼコンポーネントとすることもできる。例えば、経時的なアライメントの変化は、補正されない場合に長期にわたって摩耗を加速させる可能性がある関節表面上の不適当な荷重を示し得る。慣性計測ユニット82は、膝関節内に配置されるが、慣性計測ユニット82は、膝プロテーゼコンポーネントに限定されず、同様に、限定ではないが、筋肉・骨格系、股関節、肩、脊椎、足首、肘、手首、指、足指、および手首等の生体構造の他の部分に適用されることができる。同様に、慣性計測ユニット82は、アライメント計測または他の計測をサポートするために、膝蓋骨ボタン(patellar button)、脛骨プロテーゼコンポーネント、または大腿骨プロテーゼコンポーネントなどの他の膝コンポーネント内に配置されることができる。
【0036】
一実施形態では、プロテーゼコンポーネント70は、複数の関節面74を有する支持構造72と、支持構造76とを含む。支持構造72及び76は、互いに結合してハウジングを形成する。ハウジングは、電子回路およびセンサのための少なくとも1つのキャビティを含む。一実施形態では、支持構造72の周面は、支持構造76の周面に結合する。これら周面は、外部環境からキャビティを封止する接着剤を用いて互いに結合されることができる。プロテーゼコンポーネント70の内部および外部は、使用前に滅菌され、パッケージ内に保管されることができる。支持構造72および76は、ポリカーボネート、PEEK、または超高分子量ポリエチレン等の生体適合性ポリマー(bio-compatible polymer)を含む。選択されたポリマーは、筋肉・骨格系によって付与される荷重を支持することができるとともに、関節運動のための低摩擦表面および低減された摩耗を提供する。
【0037】
1つまたは複数の実施形態によれば、計測デバイスは、例えばプロテーゼコンポーネント70内に収容された慣性計測ユニット82と、センサ80と、電子回路78と、電源88とを含む。コンピュータ43などの遠隔システムは、プロテーゼコンポーネント70と近くに配置されてもよい。例えば、遠隔システムは、センサ及び慣性計測ユニット82によって供給される計測データを外科チームが見ることを可能にする場所の手術室に配置されることができる。遠隔システムは、有線接続または無線送信を介してセンサ80および慣性計測ユニット82から計測データを受信する。典型的には、無線送信は、典型的には10メートル未満の短距離であり、セキュリティのために暗号化されることができる。遠隔システムは、プロテーゼコンポーネント70から計測データを受信して処理する、ディスプレイを有するコンピュータを含み得る。コンピュータは、計測データの算出および視覚化をサポートするソフトウェアプログラムを含み得る。一実施形態では、計測データは、リアルタイムで外科医に対して表示され、定量的計測に基づいて変更が行われることを可能にすることができる。代替として、遠隔システムは、患者または他のユーザーがプロテーゼコンポーネント70から送信される計測データを評価することを可能にする、スマートフォンまたはハンドヘルドデバイス等のソフトウェアを起動することが可能であるマイクロプロセッサベースのデバイスであり得る。
【0038】
プロテーゼコンポーネント70は、脛骨プロテーゼコンポーネント90に結合する。脛骨プロテーゼコンポーネント90は脛骨に結合し、プロテーゼコンポーネント70を保持する脛骨トレイ92を含む。脛骨トレイ92は、構造76の底面86に結合するように構成された表面94を含む。関節面74は、大腿骨プロテーゼコンポーネントの複数の顆部および/または大腿骨の複数の部分に結合して、膝関節および脚の動きをサポートする。複数の荷重センサ80は、複数の関節面74の下に配置されることができる。計測デバイス68は、複数の関節面74に加えられた荷重および荷重の位置を計測することができる。複数の関節面74に加えられた荷重は、脛骨プロテーゼコンポーネント90に結合する支持構造76の底面86に分散される。底面86の表面積は、複数の関節面74に対する大腿骨プロテーゼコンポーネントの顆部接触面積よりも大きい。
【0039】
上述したように、計測デバイス68は、脚の機能軸に対する脚のアライメントを計測する慣性計測ユニット82を含む。慣性計測ユニット82は、3つのジャイロスコープおよび3つの加速度計を含む。第1のジャイロスコープおよび第1の加速度計は、軸Xaに対応するプロテーゼコンポーネント70の前後方向にアラインされた回転軸を有する。第2のジャイロスコープおよび第2の加速度計は、軸Yaに対応するプロテーゼコンポーネント70の内側-外側方向にアラインされた回転軸を有する。第3のジャイロスコープおよび第3の加速度計は、軸Zaに対応するXa-Ya平面に垂直な回転軸を有する。
【0040】
電子回路78は、慣性計測ユニット82と共にプロテーゼコンポーネント70内に収容されることができ、慣性計測ユニット82に関して上述したように、又は別の所定のアライメントでアラインされることができる。上述したように、慣性計測ユニット82は、プロテーゼコンポーネント70または筋肉・骨格系に結合するデバイス内への配置を可能にするスモールフォームファクタデバイス(small form factor device)である。センサ80は、筋骨格系のパラメータを計測するか、またはプロテーゼコンポーネント70の近くでパラメータを計測することができる。
【0041】
電子回路78は、プロテーゼコンポーネント70のキャビティ内の中央に取り付けられたプリント回路84上に搭載される。電子回路78は、関節荷重をほとんどまたは全く有さないプロテーゼコンポーネント70の領域に搭載され、これは、電子回路78の信頼性を増大させ、電子回路78への損傷を防止し得る。複数の荷重センサ80は、電子回路78に結合し、関節面74の下にある。一実施形態では、複数の荷重センサ80および電子回路78は、可撓性の単体プリント回路基板(図示せず)に結合される。一実施形態では、複数の荷重センサ80をプリント回路基板(図示せず)に一体化して、組み立てを簡単にし、信頼性を向上させ、計測デバイス68の性能を向上させることができる。3つ以上の荷重センサ80が、複数の関節面74上で荷重が加えられる位置を計測するために使用される。慣性計測ユニット82は、プリント回路基板84に搭載され、電子回路78に結合される。慣性計測ユニット82は、3つのジャイロスコープおよび3つの加速度計がプロテーゼコンポーネント70に対して配向されるように搭載される。一実施形態では、慣性計測ユニット82のXa-Ya平面は、プロテーゼコンポーネント70の底面86および脛骨プロテーゼコンポーネント90の表面94とほぼ平行である。一実施形態では、底面86及び/又は脛骨44の表面46に対する慣性計測ユニット62の基準座標系は、例えば、以下に説明するような較正処理及び/又はアライメント処理を通じて求められる。
【0042】
電子回路78および慣性計測ユニット82は、支持構造72が図3の支持構造76に結合された場合に外部環境から隔離される。電子回路78は、電源88、受動コンポーネント(passive components)、電力調整部(power regulation)、電力管理回路、変換回路、デジタル論理、アナログ回路、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、メモリ、ASIC、インタフェース回路、または通信回路を含むことができる。一実施形態では、3軸ジャイロスコープは、無線周波数無線送信を用いてコンピュータにリアルタイムで計測データを供給する。
【0043】
1つまたは複数の実施形態によれば、ジャイロスコープと組み合わせた加速度計を用いて脛骨の内反角度/外反角度を求めるための技法は、3Dベクトルベースの(vector-based)数学的手法を使用して実行される。患者の脛骨の解剖学的基準座標系は、例えば、上記の実施形態のうちの1つまたは複数の特徴を組み込む計測デバイス60の慣性計測ユニット62/82に対して求められる。そのようなアプローチの下で、計測デバイス60は、例えば、以下でさらに詳細に説明するように、脛骨プロテーゼコンポーネント50、特に上面54に関連する較正処理に基づいて、脛骨の解剖学的基準座標系に関連した慣性計測ユニット62の所定の基準座標系を有することができる。
【0044】
脛骨プロテーゼコンポーネント50の配置によって、慣性計測ユニット62に対する脛骨の中心点及び/又は軸が確立され得る。1つまたは複数の実施形態によれば、計測デバイス60は、例えば、脛骨の内反角度/外反角度を求めるときに考慮され得る計測デバイス60についての較正データを収集/生成するために、脛骨プロテーゼコンポーネント50内の再現可能な位置に堅固に設置されてもよい。計測デバイス60の較正は、脛骨の内反角度/外反角度を求める精度を著しく高めることができる。
【0045】
概して、加速度計およびジャイロスコープからの計測値において生じる誤差は、例えば、バイアス(biases)誤差、スケールファクタ誤差またはスケーリング誤差、および/あるいは位置ずれまたはスキュー誤差(skew errors)を含み得る。バイアス誤差は、典型的には、センサ上に誘導される力または速度にかかわらず、例えば、加速度計またはジャイロスコープによって検知される外部入力にかかわらず、存在する誤差に関連する。一般に、バイアス誤差は、慣性計測ユニット62についての最大の誤差源を表し、適切に較正された場合の精度向上への最大の寄与因子であり得る。スケーリング誤差は、センサの出力が、付与された外部作用、例えば、力または速度入力にどの程度対応するかに関連する。位置ずれまたはスキュー誤差は、加速度計またはジャイロスコープにおける3つの検知軸の不完全な構成またはアライメントから生じ得る。
【0046】
以下の様々な方法および処理では、様々な動作が、本開示の他の場所で説明されるコンポーネント、例えば、図2または図3からのコンポーネントまたはデバイスによって実施または実行されるものとして説明される。しかしながら、様々な実施形態では、上述の様々なコンポーネントを使用して、以下で説明する動作を含む動作を実行することができることを理解されたい。さらに、種々の実施形態では、種々のステップが、任意の好適な様式で追加、省略、および/または再構成され得ることを理解されたい。
【0047】
例示的な実施形態では、計測デバイス60についての第1の較正処理は、慣性計測ユニット62を異なる姿勢/向きの間で動かしながら、加速度計およびジャイロスコープからの複数の計測値を記録することを含み得る。本明細書において使用される場合、「姿勢(pose)」という用語は、概して、位置及び/又は向きを包含し、様々な要素の互いに対する相対的な位置及び/又は向き、例えば、脛骨44の大腿骨42に対する位置/向き、慣性計測ユニット62の計測デバイス60に対する位置/向きなども含み得る。例示的な実施形態では、第1の較正処理は、慣性計測ユニット62を、例えば計測デバイス60内に搭載された場合に、14個の異なる静的姿勢、すなわち、計測デバイス60の基準座標系を規定するXb軸、Yb軸、およびZb軸の各々について正方向および負方向に配向されるような6つの姿勢と、4つの異なるデカルト象限(Cartesian quadrants)内の対角ベクトルに対応する8つの姿勢との間で動かすことを含み得る。しかしながら、種々の実施形態では、任意の好適な配向における任意の好適な数の姿勢が使用されてもよいことを理解されたい。種々の実施形態では、慣性計測ユニット62は、計測デバイス60の内部または外部に搭載された状態で姿勢をとってもよい。慣性計測ユニット62のその姿勢において取得された複数の計測値は、慣性計測ユニット62の加速度計およびジャイロスコープの各々についてのそれぞれのスキュー行列、スケーリング行列、およびバイアス行列(bias matrix)を生成するために使用され得る。
【0048】
上記の行列を求めることは、ジャイロスコープから収集されたデータをフィルタリングすることを含み得る。例えば、バタワース(Butterworth)2次フィルタが適用されてもよい。いくつかの実施形態では、計測値の一部、例えば、姿勢に向かう動きの開始時または終了時における所定の数の計測値が破棄されてもよい。
【0049】
ジャイロスコープのためのバイアス行列は、例えば、各姿勢において収集された複数の計測値に関連する複数の計測値に含まれる複数の静的計測値からの生データ(raw data)を平均することによって求められ得る。例えば、バイアス行列は、各軸Xb、Yb、Zbについて、複数の計測値からのその軸についての複数の静的計測値の平均に基づくオフセット(offset)を含み得る。ジャイロスコープのスキュー行列およびスケーリング行列は、コスト関数(cost function)を用いた最適化を使用して求められ得る。例えば、コスト関数は、推定された重力方向と、加速度計を用いて特定された計測された重力方向との比較に関連し得る。
【0050】
例えば、計測デバイス60のハウジング50の底面56に対する慣性計測ユニット62の基準座標系を求めるために、第2の較正処理を実行することができる。上述したように、脛骨の内反角度/外反角度のマージン(margin)は、一般的に1~3度である。したがって、計測デバイス内に収容された場合には慣性計測ユニット62の配向に影響を及ぼす材料または機械加工公差に起因するわずかなオフセットでさえも、有意であり得る。第2の較正処理を通じて慣性計測ユニット62の基準座標系と計測デバイス60との間の任意の相対的な向きを考慮することによって、そのような誤差が考慮され、かつ/または低減され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、第2の較正処理、例えば、位置合わせ処理(registration operation)が実行され得る。例えば、慣性計測ユニット62の基準座標系は、第2の較正処理を通じて、2次元で位置合わせされ(registered)得る。第2の較正処理は、例えば、異なる複数の静的姿勢で慣性計測ユニット62の加速度計およびジャイロスコープから複数の計測値を収集することを含み得る。例示的な実施形態では、慣性計測ユニット62が搭載された計測デバイス60の8つの静的姿勢が使用され、それらの姿勢は、z軸を中心とした回転において45度離れている。ジャイロスコープからのデータは、慣性計測ユニット62が動いている(moving)ときを検出して、例えば、慣性計測ユニット62が各姿勢に対応して静止しているときの時間の一部を識別するために使用され得る。慣性計測ユニット62が静止している時間のそれぞれの部分に基づいて識別された各姿勢において、時間の対応する部分の間の加速度計からのデータに基づいて重力ベクトルを求めることができる。次いで、複数の重力ベクトルによって規定された複数の点が3次元空間の円(circle)にフィッティングされる(fitted)ことができ、円の中心、法線ベクトル、および半径を求めることができ、次いで、これらを使用して、様々な姿勢における平均重力方向を求めることができ、これを使用して、例えば、計測デバイス60の基準座標系に対する慣性計測ユニット62の基準座標系(Xa、Ya、およびZa)を規定することができる。いくつかの実施形態では、前述の例における種類のような第2の較正処理は、慣性計測ユニット62の回転軸と重力の方向との間の位置ずれを少なくとも部分的に補正することができる。前述の較正/位置合わせの例は例示的なものにすぎず、較正などを通じて位置ずれを低減するための任意の適切な技法が使用され得ることを理解されたい。
【0052】
いくつかの実施形態では、較正データ、例えば、上記で説明された行列および基準座標系データは、計測デバイス60に搭載されたメモリ上に記憶されてもよい。いくつかの実施形態では、そのようなデータは、計測デバイス60および/または慣性計測ユニット62に関連するエントリ(entry)内のデータベースに記憶され得る。
【0053】
図4は、例えば、本開示の他の箇所で説明される複数の実施形態のうちの1つまたは複数による技法または装置を使用して、脛骨の内反角度/外反角度を求めるための例示的な方法を示す。加えて、図5A図5Pは、図4の方法の種々のステップによる、脚のアライメントを計測するための例示的な臨床フローを示す。種々の実施形態では、本開示によるワークフローは、より多いまたはより少ないステップを用いて実施されてもよく、示されるステップの順序に限定されない。本明細書において説明する複数の例は膝に関するものであるが、他の実施形態は、膝の例に限定されず、例えば、股関節、膝、肩、足首、肘、脊椎、手、手首、足、骨、および/または筋骨格系に関するものでもよい。
【0054】
ステップ400において、医師または医療提供者は、1回または複数回の骨切り、例えば、遠位大腿骨の骨切りおよび/または近位脛骨の骨切りを行ってもよい。典型的には、近位脛骨の骨切りは、例えば、表面46(図2)を形成するように、疾患のある、またはそうでなければ望ましくない骨の十分な除去を確実にしながら、近位脛骨の最小量を除去するように行われる。
【0055】
任意選択的に、ステップ405において、コンピュータ43のディスプレイは、例えば、図5A図5Pに示され、以下でさらに詳細に説明されるワークフローなどの複数のワークフロー命令を出力するように構成されてもよい。図5Aは、計測デバイス60のバイアスを求めるおよび/または推定するためのワークフロー中のコンピュータ43による出力の例示的な実施形態を示す。
【0056】
ステップ410において、患者の解剖学的特徴の第1の計測値が取得されることができる。いくつかの実施形態では、第1の計測値は、例えば、患者の脛骨の長さ、例えば、患者の踵中心と慣性計測ユニット62の中心との間の距離を含み得る。しかしながら、種々の実施形態では、患者の、例えば、患者の脚の任意の好適な解剖学的特徴が使用されてもよい。種々の実施形態では、第1の計測値は、定規、レーザデバイス、またはスケール等の計測デバイスを用いて手動で、および/または患者の脛骨の医療撮像に対して行われる撮像分析処理等を用いてプログラム的に取得されてもよい。図5Aに示すように、ワークフローは、第1の計測値のエントリについての対話型フィールド505を含むことができる。
【0057】
ステップ415において、1つまたは複数のトライアルプロテーゼコンポーネントが膝関節185の一部に挿入されてもよく、例えば、大腿骨プロテーゼコンポーネント48が大腿骨42の遠位端に結合されてもよく、インサート58及び脛骨プロテーゼコンポーネント50が脛骨44の近位端に結合されてもよい。
【0058】
ステップ420において、慣性計測ユニット62を含む計測デバイス60は、上記した複数の実施形態のうちの1つまたは複数に関して説明された様式等で、膝関節185の中に挿入され、例えば、脛骨プロテーゼコンポーネント50に結合され、および/またはその中に挿入され得る。
【0059】
ステップ425において、患者の脚は、伸展された安静位(静止位置:rest position)に動かされる。図5Aに示されるように、ワークフローは、所望の姿勢にある患者の脚の一例を含み得る。例えば、図5Aでは、伸展された安静位が示されており、膝関節185は、大腿骨および脛骨が略直線状であり、足が上向きであるように、直線位置にある。ステップ430において、対話型要素505を起動する(アクティブにする)ことができる。ステップ435において、慣性計測ユニット62は、加速度計およびジャイロスコープから1つまたは複数の計測値を収集し得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ43は、1つまたは複数の計測値を、それら計測値が慣性計測ユニット62によって取得され、送信される場合に収集し得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の計測値は、コンピュータ43によって送信および受信される前に、例えば、計測デバイス60の揮発性メモリなどに一時的に記憶され得る。
【0060】
ステップ440において、コンピュータ43は、1つまたは複数の計測値を受信し、それら計測値に基づいて慣性計測ユニット62のバイアスを求めることができる。患者の脚は伸展された安静位にあるので、慣性計測ユニット62を用いた加速度又は運動の任意の計測は、従って、バイアスと考えられ得る。そのようなバイアスは、例えば、さらなる計測を行う場合に、慣性計測ユニット62を較正するために使用され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、外部制御ユニット等の別のデバイスが、例えば、コンピュータ43のための一時記憶装置または媒介手段として、1つまたは複数の計測値を受信してもよい。いくつかの実施形態では、外部制御ユニットなどの別のデバイスが、コンピュータ43によって実行されるものとして他の場所で説明された複数の動作のうちの1つまたは複数を実行し得る。任意の適切な構成またはアーキテクチャを使用することができる。図5Aに示されるように、ワークフローは、1つまたは複数の計測値を取得することおよび/または初期基準座標系を求めることにおける進捗を示す進捗インジケータ510を含み得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、慣性計測ユニット62および/またはコンピュータ43は、例えば、上記で説明した複数の技法のうちの1つまたは複数と同様の技法を使用して、1つまたは複数の計測値に基づいて、慣性計測ユニット62の動きを検出するように構成され得る。計測デバイス60のバイアスの特定中の動きの検出に応答して、コンピュータ43は、エラーメッセージと、計測デバイス60のバイアスの特定を繰り返すように動作可能である対話型要素とのうちの1つまたは複数を出力するように構成されることができる。
【0063】
ステップ445において、コンピュータ43は、患者の筋骨格系を動かすためのさらなる複数の命令を出力することができ、これら命令は、実行されると、脛骨の内反角度/外反角度を求めるために使用可能なデータを加速度計およびジャイロスコープに生成させる。図5B図5Fは、そのような複数の命令の出力の例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態では、図5Bの出力は、例えば、先行するワークフローステップ(複数可)からの1つまたは複数の計測値を含むデータのコンピュータ43による受信に応答して表示される。換言すると、いくつかの実施形態では、計測デバイス60は、加速度計およびジャイロスコープからの複数の計測値を含むデータの異なる複数の部分を送信し、コンピュータ43は、それらを受信することができ、それによって、異なる複数の部分は、患者の脚の異なる複数の姿勢または動きに対応し得る。いくつかの実施形態では、患者の筋骨格系を動かせるおよび/または姿勢を取らせるための、例えば、コンピュータ43を用いた複数の命令の出力は、繰り返し行われる。例えば、コンピュータ43は、それぞれの動きまたは姿勢の各々についてそれぞれの命令を出力し、それによって、現在の対応する動きまたは姿勢と次の対応する動きまたは姿勢との間の繰り返しは、現在の対応する動きまたは姿勢に対応する計測デバイス60からのデータの一部を受信することに基づくことができる。
【0064】
一例では、図5Bは、患者の脚の初期姿勢を達成するための命令の出力を示す。ステップ450では、患者の脚は、例えば、図5Cに示されるように、出力に示される命令に従って、動かされるおよび/または姿勢を取らされることができる。図5Bに示すように、コンピュータ43は、さらなる対話型要素515を含み得る。ステップ455において、対話型要素515が起動され得る。
【0065】
ステップ455において、対話型要素515の起動に応答して、コンピュータ43は、患者の脚の動きについてのさらなる命令を出力し得る。図5Dに示されるように、動きは、安静位から開始してもよく、図5Eに示されるように、その安静位から、例えば、脚が、例えば、前後に振られるような静的から動的に変化するシーケンスで変化してもよい。ステップ460において、コンピュータ43は、加速度計およびジャイロスコープからの動きに対応する複数の計測値を含むさらなるデータを受信し得る。
【0066】
任意の数の姿勢および/または動きを使用することができるが、例示的な実施形態では、脛骨の内反角度/外反角度を求めるために使用される複数の姿勢および複数の動きは、計測デバイス60のバイアスを求めるための上述した安静位と、上述した前後の動きとからなる。この単純な処置は、安定した踵と、脛骨に対するセンサの安定した位置とを必要とし、その後、踵を中心とした回転運動(rolling motion)が続く。したがって、本開示の1つまたは複数の実施形態による技法は、追加の動きおよび/または姿勢を必要とする手順に対して時間および困難性を低減して、脛骨の内反角度/外反角度を求めることを可能にすることができる。
【0067】
任意選択的には、ステップ465において、コンピュータ43は、さらなるデータの検証を実行し得る。いくつかの実施形態では、検証を実行することは、さらなるデータにおける複数の計測値の最大線速度(maximum linear rate)、最大角速度、または時間積分誤差のうちの1つまたは複数を求めることを含み得る。
【0068】
さらなるデータにおける複数の計測値の最大線速度、最大角速度、または時間積分誤差のうちの1つまたは複数を求めるために、任意の適切な技法が使用され得る。例示的な実施形態では、時間積分誤差を求めることは、(例えば、処置中に慣性計測ユニット62によって検知された脚の最終的な静的姿勢に対応する1つまたは複数の計測値など、複数の計測値の最終部分において加速度計から受信された1つまたは複数の静的計測値に基づいて)計測された最終重力方向を求めること、(例えば、複数の計測値の時間積分された角速度から)推定された重力方向を求めること、および計測された最終重力方向と推定された重力方向との間の角度誤差を求めることを含むことができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、検証は、最大線速度、最大角速度、および時間積分誤差のうちの1つまたは複数がそれぞれの所定のしきい値を超えるか否かを判定することをさらに含み得る。任意の適切な所定の閾値を使用することができる。
【0070】
任意選択的には、ステップ470において、例えば検証の失敗に応答して、コンピュータ43は、さらなるデータおよび/または検証の失敗についての可能性のある説明を再取得するためのプロンプト(prompt)を出力し、動きの繰り返しに対応する置換データを受信し、さらなるデータを置換データと置き換えることができる。図5G図5Nは、様々な理由でさらなるデータの検証に失敗したことに応答したコンピュータ43による様々な例示的な出力を示す。
【0071】
図5Gにおいて、コンピュータ43は、患者の脚の動きが不整合である(inconsistent)というプロンプトを出力することができ、さらなるデータの再取得を促してもよい。そのような検証の失敗は、例えば、最大角速度、平均角速度、または任意の適切な基準のうちの1つまたは複数に基づいて検出され得る。いくつかの実施形態では、そのような検証の失敗は、例えば、直線加速度、直線運動などに基づく最大直線ジャーク(maximum linear jerk)が所定の閾値を超えるという判定に基づいて検出され得る。
【0072】
図5Hにおいて、コンピュータ43は、踵または足首の動きが検出されたというプロンプトを出力することができ、さらなるデータの再取得を促してもよい。そのような検証の失敗は、例えば、慣性計測ユニット62の回転軸に関連する誤差が所定の閾値よりも大きいという判定に基づいて検出され得る。
【0073】
図5Iにおいて、コンピュータ43は、慣性計測ユニット62の位置の変化が検出されたというプロンプトを出力することができ、さらなるデータの再取得を促してもよい。そのような検証の失敗は、例えば、慣性計測ユニット62の回転中心が求められた後などに基づいて求められた、例えば、残差加速度誤差(residual acceleration error)、例えば、二乗平均平方根残差加速度誤差に基づいて検出され得る。
【0074】
図5Jにおいて、コンピュータ43は、脚の動きが遅すぎたというプロンプトを出力することができ、さらなるデータの再取得を促してもよい。そのような検証の失敗は、例えば、最大角速度および/または最大線速度に基づいて検出され得る。
【0075】
図5Kにおいて、コンピュータ43は、脚の動きが速すぎたというプロンプトを出力することができ、さらなるデータの再取得を促してもよい。そのような検証の失敗は、例えば、最大角速度および/または最大線速度に基づいて検出され得る。
【0076】
図5Lでは、コンピュータ43は、計測デバイス60のバイアスの取得中に脚が動いていたというプロンプト、および取得がそのように計時されたというプロンプトを出力することができ、計測デバイス60のバイアスの取得の再取得を促してもよい。そのような検証の失敗は、例えば、上述した技術のうちの1つまたは複数を用いるなどして、計測デバイス60のバイアスの取得中の動きの検出に基づいて検出され得る。
【0077】
図5Mにおいて、コンピュータ43は、計測デバイス60のバイアスの取得が無効であるというプロンプトを出力することができ、計測デバイス60のバイアスの再取得を促してもよい。そのような検証の失敗は、例えば、時間積分誤差に基づいて検出され得る。
【0078】
図5Nにおいて、コンピュータ43は、コンピュータ43と計測デバイス60との間の通信が不良であるというプロンプトを出力することができ、さらなるデータの再取得を促してもよい。そのような検証の失敗は、例えば、破損したデータおよび/または不完全なデータの受信に基づいて検出され得る。
【0079】
ステップ475において、コンピュータ43は、例えば、計測デバイス60のオンボードメモリから、および/または上記したステップ440のバイアスの特定から、慣性計測ユニット62についての較正データを取得し得る。ステップ480において、コンピュータ43は、例えば、計測データが検証された後、および/または患者の脚の脛骨の内反角度または外反角度を求める前に、計測デバイス60によって収集されたさらなるデータにおける複数の計測値に較正データを適用し得る。しかしながら、較正データは、種々の実施形態では、任意の好適なステップまたは時間において慣性計測ユニット62の複数の計測値に適用されてもよいことを理解されたい。
【0080】
任意選択的には、ステップ480において、コンピュータ43は、複数の計測値に対して前処理動作を実行することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コンピュータ43は、所定の最大角加速度を超える複数の計測値のうちの1つまたは複数を除去することができる。任意の適切な前処理動作を実行することができる。ステップ485において、コンピュータ43は、以下にさらに詳細に説明するように、さらなるデータおよび第1の計測値に基づいて脛骨の内反角度または外反角度を求めることができる。
【0081】
ステップ490において、コンピュータ43は、求められた脛骨の内反角度または外反角度をコンピュータ43に出力させることができる。図5Oおよび図5Pは、それぞれ、コンピュータ43からの求められた外反角度および内反角度を含む出力の例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態では、求められた角度は、最も近い1/2度、最も近い1/10度などで出力される。いくつかの実施形態では、求められた脛骨の内反角度または外反角度は、例えば、医療記録データベース等の中の患者の医療記録に記憶されるように、さらに出力されてもよい。いくつかの実施形態では、求められた角度を出力することは、例えば、求められた角度を示すグラフィカルインジケータ(graphical indicator)、例えば、脛骨、大腿骨、および膝関節の任意の他の部分を含み得る膝のグラフィカル描写(graphical depiction)を生成することと、求められた角度の数値表示に加えて、またはその代わりに、グラフィカル表示を出力することとを含む。
【0082】
種々の実施形態では、求められた脛骨の内反角度または外反角度の出力に応答して、種々の動作が行われてもよい。例えば、3度を超える求められた脛骨の内反角度または外反角度によって、脛骨44のさらなる骨切り、計測デバイス60および/または慣性計測ユニット62の配向を調整するためのシム(shim)の挿入などが行われてもよい。別の実施例では、脚の1つまたは複数の靱帯の靱帯解放(ligament release)が行われてもよい。脛骨の内反角度または外反角度の特定に応答して、任意の好適な動作が行われてもよい。3度未満の脛骨の内反角度または外反角度が求められた場合、トライアルプロテーゼが除去されるおよび/または恒久的プロテーゼが設置され得る。
【0083】
図6Aは、例えば図4の方法のステップ485に関して、患者の脚の脛骨の内反角度または外反角度を求めるための方法の例示的な実施形態を示す。上述したように、患者の筋骨格系に結合された計測デバイス60内に配置された慣性計測ユニット62の加速度計及びジャイロスコープによって取得された複数の計測値は、例えば、コンピュータ43によって受信されていてもよい。加えて、先に説明したように、患者の脛骨の長さに関連する第1の計測値は、例えばコンピュータ43によって計測および/または受信されていてもよい。したがって、様々な実施形態では、コンピュータ43は、さらなるデータおよび第1の計測値に基づいて脛骨の内反角度または外反角度を求めることができる。いくつかの実施形態では、脛骨の内反角度または外反角度の特定の少なくとも一部は、上述した検証処理の前に、および/または上述した検証処理と併せて行われてもよい。
【0084】
ステップ605において、コンピュータ43は、複数の計測値の各々について角速度の時間積分を実行することによって、複数の計測値の各々について慣性計測ユニット62の配向を算出することができる。配向は、3自由度方位(three degree of freedom orientation)(例えば、ピッチ、ヨー、およびロール)であり得る。いくつかの実施形態では、複数の計測値の各々について角速度の時間積分を実行することは、開始時の配向についての初期クォータニオン(initial quaternion)を規定することと、次いで、複数の計測値からの角速度を用いてクォータニオン積分(quaternion integration)を適用することとを含む。
【0085】
ステップ610において、コンピュータ43は、複数の計測値における各計測された加速度について重力加速度を除去することによって、さらなるデータを修正することができる。加速度計からの計測された加速度は、一般に重力加速度を含んでおり、したがって、剛体力学定式化(rigid-body dynamics formulation)において複数の計測値を利用する前に、重力成分が減算されることができる。いくつかの実施形態では、推定重力加速度は、重力法線および推定重力方向(例えば、グローバル(global)基準座標系の-z軸)に基づいて求められ得る。その結果、慣性計測ユニット62の中心点の直線加速度をグローバル基準座標系で推定することができる。上述したように、いくつかの実施形態では、図4の方法のステップ465において実行される検証処理などの検証処理は、重力ベクトルが除去された後に複数の計測値に対して実行されることができる。
【0086】
ステップ615において、コンピュータ43は、複数の計測値に基づいて、患者の筋骨格系の回転軸上の点を慣性計測ユニットの中心点に結ぶ第1のベクトル(r)を求めることができる。いくつかの実施形態では、動きは、求められたベクトルが複数の計測値にわたって慣性計測ユニット62の基準座標系に対して一定であるように規定され得る。
【0087】
ステップ620において、コンピュータ43は、複数の計測値の平均回転軸(u)を求めることができる。複数の計測値についての平均回転軸を求めるための任意の適切な技術を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、平均回転軸は、所定の最小角速度を上回る複数の計測値の角速度計測値を平均した結果を単位化する(unitizing)ことによって求められてもよい。
【0088】
ステップ625において、コンピュータ43は、脛骨の基準座標系に対する(relative to a reference frame)慣性計測ユニット62の基準座標系に基づいて、複数の計測値を修正することができる。例えば、平均回転軸および第1のベクトル(r)は、回転軸(u)に対して垂直であり且つ慣性計測ユニット62の中心に向かう法線(n)を規定するために使用され得る。法線(n)および脛骨長さの第1の計測値は、両方とも平均回転軸と平行であり且つ患者の踵の中心点を法線(n)に結ぶ第3のベクトル(t)を見出すために使用されてもよい。第3のベクトル(t)及び法線(n)は、例えば、(例えば、第2の較正処理からの)脛骨/膝に対する慣性計測ユニット62の基準座標系のオフセットとともに使用されて、踵から膝の中心まで延びる位置ベクトルを規定することができる。したがって、踵基準座標系(heel reference frame)は、位置ベクトルとアラインされたz軸を有するものとして規定され得る。さらに、踵座標系のy軸を慣性計測ユニットのx軸と平行になるように一時的に設定することにより、踵基準座標系を完全に規定することができる。図6Bは、踵から膝の中心までの位置ベクトルの一例を示す。
【0089】
図6Aに戻ると、ステップ630において、コンピュータ43は、(例えば、3次元において所定の大きさを有する)患者の踵と患者の足首との間のオフセットベクトル(offset vector)を補正するために、複数の計測値を修正することができる。図6Bは、オフセットベクトル、例えば足首から踵までの位置ベクトルの一例を示す。種々の実施形態では、オフセットベクトルの大きさおよび方向は、例えば、母集団(population)の平均として計測および/または予め決定され、および/または母集団または他のデータに基づいて推定されてもよい。次いで、足首を膝の中心と結ぶ第2の位置ベクトルが、オフセットベクトルおよび踵の基準座標系に基づいて規定され得る。したがって、脛骨の基準座標系は、脛骨基準座標系のz軸を第2の位置ベクトルとアラインする(aligning)ことによって規定され得る。脛骨基準座標系のy軸を慣性計測ユニット62のx軸と平行になるように一時的に設定することにより、脛骨基準座標系を完全に規定することができる。
【0090】
再び図6Aを参照すると、ステップ635において、コンピュータ43は、複数の計測値に基づいて計測デバイス60の姿勢または位置を求めることができる。例えば、姿勢は、(例えば、較正処理を通じた)慣性計測ユニット62の基準座標系と計測デバイス60の基準座標系との間の既知の関係とともに、慣性計測ユニット62の基準座標系に対する脛骨基準座標系の配向に基づいて求められてもよい。例えば、脛骨インプラント50の基準座標系と脛骨の基準座標系との間のアライメント角度は、以下に説明するように、脛骨の内反角度又は外反角度に対応する。
【0091】
ステップ640において、コンピュータ43は、ステップ635において求められた計測デバイス60の姿勢を、脛骨の基準座標系における3軸回転に分解することができる。ステップ645において、コンピュータ43は、次いで、3軸回転に基づいて脛骨の内反角度または外反角度を求めることができる。
【0092】
図6に関して上述した方法は例示的なものにすぎず、様々な実施形態では、複数のステップが任意の適切な様式で追加、修正、省略、および/または再構成され得ることを理解されたい。
【0093】
上述したように、アラインされる脛骨の内反角度または外反角度の範囲は比較的小さく、例えば約1~3度である。したがって、計測デバイス60による脛骨の内反角度または外反角度の正確な特定は、患者にとって肯定的な結果を達成するために重要であり得る。計測デバイス60の精度を検証するために、いくつかの実験を行った。具体的には、近位脛骨の骨切りを死体の脚に実施し、得られた0.43度の脛骨の内反角度または外反角度を、CTスキャンを使用して直接計測した。以下に説明される5つの実験の各々において、(それぞれ、-4度、-2度、0度、+2度、および+4度である)異なる角度の修正を生じさせるシムが、脛骨プロテーゼコンポーネント50と計測デバイス60との間に配置された。図7Aは、シム700の例示的な実施形態を示し、図7Bは、脛骨プロテーゼコンポーネント50と計測デバイス60との間に配置された図7Aのシム700を示す。各実験を5回繰り返し、合計25回の実験を行った。
【0094】
図7Cは、(i)計測されたシム角度と、(ii)例えば、上述した複数の方法または複数の技術のうちの1つまたは複数に従って、計測デバイス60を用いて求められた角度との間のオフセットのグラフを示す。言い換えれば、オフセットは、各実験について、計測デバイスによって計測された角度(CTスキャンによって計測された角度(0.43度)+対応するシムの角度修正)として規定され得る。
【0095】
図7Cのグラフでは、中央エラーバー(central error bar)710は、CTスキャン計測に固有の潜在的な不正確さに対応し、外側エラーバー720は、真値から3度以下の脛骨の内反角度または外反角度に対して許容される典型的な許容誤差を示す。上述した25回の実験から、期待される角度と計測された角度との間の最大相対差は1.29度であった。さらに、25回の実験の標準偏差は、異なる角度変化を有する複数のシムにわたって、0.27度~0.60度の範囲であった。
【0096】
これらの実験結果によって示されるように、本開示の1つまたは複数の実施形態による技法を用いた脛骨の内反角度または外反角度の特定は、脛骨の内反角度または外反角度について一般に許容される範囲よりも正確であり得るだけでなく、上述のように、処理時間、複雑さ、困難さ、およびコストを劇的に低減し得る。
【0097】
図8は、例示的な実施形態による計測デバイスまたはコンピュータのブロック図である。システム250の形式では、マシン、システム、またはコンピュータの例示的な図式表現は、システム内で一組の命令が、実行されると、上記に考察される方法論のいずれか1つ以上をマシンに実行させることができる。いくつかの実施形態では、マシンはスタンドアロンデバイスとして動作する。いくつかの実施形態では、マシンは、他のマシンに接続されることができる(例えば、ネットワークを使用して)。ネットワーク化された展開では、マシンは、サーバ-クライアントユーザネットワーク環境中のサーバもしくはクライアントユーザマシンの能力内で動作することができる、またはピアツーピア(もしくは分散)ネットワーク環境中のピアマシンとして動作することができる。
【0098】
マシンは、サーバコンピュータ、クライアントユーザコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、制御システム、論理回路、センサシステム、ASIC、集積回路、ネットワークルーター、スイッチもしくはブリッジ、またはそのマシンによって行われるアクションを指定するインストラクションセット(シーケンシャルまたはその他のもの)を実行することができる任意のマシンを含むことができる。本開示のデバイスが、音声、ビデオ、またはデータ通信を提供する広くあらゆる電子デバイスを含むことが理解されよう。さらに、単一のマシンが示されているが、「マシン」という用語は、本明細書で考察される方法論のいずれか1つ以上を実行するために一組(または複数組)の命令を個別に、またはあわせて実行するマシンのいずれかの集合体をも含むと解釈されるものとする。
【0099】
システム250は、バス258を介して互いに通信する、プロセッサ252(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、またはその両方)、メインメモリ254、及びスタティックメモリ256を含むことができる。システム250は、ビデオ表示部260(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、フラットパネル、ソリッドステートディスプレイ、または陰極線管(CRT))をさらに含むことができる。システム250は、入力デバイス262(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス264(例えば、マウス)、ディスクドライブユニット266、信号発生デバイス268(例えば、スピーカーまたはリモコン)、及びネットワークインタフェースデバイス270を含むことができる。
【0100】
ディスクドライブユニット266は、フラッシュメモリなどの他のタイプのメモリであることができ、機械可読媒体272を含むことができ、この機械可読媒体上には、上記に示されるそれらの方法を含む、本明細書に記載されている方法論または機能のいずれか1つ以上を具現化する1つ以上の組の命令274(例えば、ソフトウェア)が格納される。また、命令274は、システム250によるそれらの実行中に、メインメモリ254、スタティックメモリ256、及び/またはプロセッサ252内に完全に、または少なくとも部分的に常駐することができる。また、メインメモリ254及びプロセッサ252は、機械可読媒体とみなされることがある。
【0101】
特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックアレイ、及び他のハードウェアデバイスを含むが、これらに限定されない専用ハードウェア実装を同様に構築して、本明細書に記載される方法を実装することができる。さまざまな実施形態の装置及びシステムを含むことができるアプリケーションは、広く、さまざまな電子及びコンピュータシステムを含む。いくつかの実施形態は、モジュール間で、そしてモジュールを介して通信される、関連する制御信号及びデータ信号を用いて、または特定用途向け集積回路の部分として、2つ以上の特定の相互接続されたハードウェアモジュールまたはデバイス内に機能を実装する。したがって、システムの例は、ソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェアの実装に適用可能である。
【0102】
本開示のさまざまな実施形態によれば、本明細書に記載される方法は、コンピュータプロセッサ上で実行するソフトウェアプログラムとしての動作のためのものである。さらに、ソフトウェア実装は、本明細書に記載される方法を実装するように構築されることもできる、分散処理もしくはコンポーネント/オブジェクト分散処理、並列処理、または仮想マシン処理を含むことができるが、これらに限定されない。
【0103】
本開示は、ネットワーク環境276に接続されるデバイスが音声、ビデオ、またはデータを送信する、または受信することができるように、そして命令274を使用してネットワーク276経由で通信することができるように、命令274を含む機械可読媒体、または伝播信号からの命令274を受信して実行する機械可読媒体を企図する。さらに、命令274は、ネットワークインタフェースデバイス270を介してネットワーク276経由で送信される、または受信されることができる。
【0104】
例示的な実施形態では、機械可読媒体272は単一の媒体であることが示されているが、「機械可読媒体」という用語が、1つ以上の組の命令を格納する、単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、及び/または関連するキャッシュ及びサーバ)を含むと解釈されたい。また、「機械可読媒体」という用語は、機械による実行のために一組の命令を格納する、符号化する、または搬送することができ、この機械に、本開示の方法論のいずれか1つ以上を実行させる、任意の媒体を含むと解釈されるものとする。
【0105】
したがって、「機械可読媒体」という用語は、メモリカード、または1つ以上の読み出し専用(不揮発性)メモリ、ランダムアクセスメモリ、もしくはその他の再書き込み可能な(揮発性)メモリを収容する他のパッケージなどのソリッドステートメモリと、ディスクまたはテープなどの光磁気または光学媒体と、伝送媒体内のコンピュータ命令を具現化する信号などの搬送波信号とを含むが、これらに限定されないと解釈されるものとする、及び/または電子メール、またはその他の自己完結型の情報アーカイブもしくはアーカイブセットへのデジタルファイルの添付ファイルは、有形の記憶媒体に均等の配信媒体とみなされる。したがって、本開示は、本明細書に列挙され、本明細書でのソフトウェア実装が格納されている技術分野で認識された均等物及び後継媒体を含む、機械可読媒体または配信媒体のいずれか1つ以上を含むとみなされる。
【0106】
本明細書は特定の規格及びプロトコルを参照して実施形態に実装されるコンポーネント及び機能を説明しているが、本開示は、それらのような規格及びプロトコルに限定されない。インターネット及びその他のパケット交換網伝送(TCP/IP、UDP/IP、HTML、HTTPなど)についての各規格は、現在の技術水準の例を表す。それらのような規格は、基本的に同じ機能を有する、より高速な、またはより効率的な均等物によって定期的に取って代わられる。したがって、同じ機能を有する代替の規格及びプロトコルは、均等物とみなされる。
【0107】
図9は、例示的な実施形態による、計測及び報告のための通信ネットワーク280の図を示す。簡単に言えば、通信ネットワーク280は、他のデバイスまたはサービスへの広範囲に及ぶデータ接続性を拡張する。図示されるように、計測及び報告システム304は、通信ネットワーク280、及び任意の関連するシステムまたはサービスに通信可能に結合されることができる。
【0108】
一例として、計測デバイス304は、手術の状態または結果に関する分析または報告などのために、関心のあるそのパラメータ(例えば、角度、荷重、平衡、距離、アライメント、変位、運動、回転、及び加速度)をリモートサービスまたはプロバイダと共有することができる。このデータは、例えば、進捗を監視するためにサービスプロバイダと、または手術モニタリングの目的、もしくは有効性調査のために計画管理者と共有されることができる。さらに、通信ネットワーク280は、電子医療記録(EMR)システムに関連付けられ、医療情報技術の実務を実施することができる。他の実施形態では、通信ネットワーク280は、病院情報システム(HIS)、病院情報技術(HIT)及び病院情報管理(HIM)、電子カルテ(EHR)、コンピュータ化された医師オーダーエントリ(CPOE)、及びコンピュータ化された意思決定支援システム(CDSS)に通信可能に結合されることができる。これにより、データを正確に、効率的に、かつ一貫して通信して交換し、交換されたデータを使用する、さまざまな情報技術システム及びソフトウェアアプリケーションの機能が提供される。
【0109】
通信ネットワーク280は、ローカルエリアネットワーク(LAN)292、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)288、セルラーネットワーク294、及び/または他の無線周波数(RF)を介して有線または無線接続を提供することができる。LAN292及びWLAN288は、中央局などを介してインターネット908に通信可能に結合されることができる。中央局は、電気通信サービスを配信するための共通のネットワーク切替器を収容することができる。電気通信サービスは、従来のPOTS(基本電話サービス)と、ケーブル、HDTV、DSL、VoIP(ボイスオーバーインターネットプロトコル)、IPTV(インターネットプロトコルテレビ)、インターネットサービスなどのブロードバンドサービスとを含むことができる。
【0110】
通信ネットワーク280は、一般的なコンピューティング及び通信技術を利用して、回線交換及び/またはパケット交換通信をサポートすることができる。インターネット296及びその他のパケット交換網伝送(TCP/IP、UDP/IP、HTML、HTTP、RTP、MMS、SMS)についての各規格は、現在の技術水準の例を表す。それらのような規格は、基本的に同じ機能を有する、より高速な、またはより効率的な均等物によって定期的に取って代わられる。したがって、同じ機能を有する代替の規格及びプロトコルは、均等物とみなされる。
【0111】
セルラーネットワーク294は、GSM-GPRS、EDGE、CDMA、UMTS、WiMAX、2G、3G、WAP、ソフトウェア無線(SDR)、及び他の既知の技術などの多くのアクセス技術を介して音声及びデータサービスをサポートすることができる。セルラーネットワーク294は、モバイルデバイス282と通信するための周波数再利用計画の下で、基準局受信器290に結合されることができる。
【0112】
次に、基地局受信器290は、パケット交換リンクを介してインターネット296にモバイルデバイス282を接続することができる。インターネット296は、計測デバイス304からモバイルデバイス282にデータを配信するためにアプリケーションサービス及びサービス層をサポートすることができる。また、モバイルデバイス282は、無線通信チャネルを使用してインターネット296を介して他の通信デバイスに接続することができる。
【0113】
また、モバイルデバイス282は、WLAN288を介してインターネット296に接続することができる。ワイヤレスローカルアクセスネットワーク(WLAN)は、局所的な地理的領域内で無線アクセスを提供する。WLANは、通常、基地局としても知られているアクセスポイント(AP)284のクラスタから構成される。計測システム304は、基地局エリア内のラップトップ286などの他のWLAN局と通信することができる。一般的なWLAN実装では、物理層は、802.11bまたは802.11gのWLAN技術などのさまざまな技術を使用する。物理層は、赤外線、2.4GHz帯内の周波数ホッピングスペクトラム拡散、2.4GHz帯内のダイレクトシーケンススペクトラム拡散、または5.8GHzのISM帯もしくはそれより高いISM帯(例えば、24GHzなど)などの内の他のアクセス技術を使用することができる。
【0114】
通信ネットワーク280を介して、計測システム304は、ネットワーク上のリモートサーバ298との接続、及びデータを交換するための他のモバイルデバイスとの接続を確立することができる。リモートサーバ298は、データベース300へのアクセスを有することができ、このデータベースは、ローカルに、またはリモートに格納され、特定用途向けデータを含むことができる。また、リモートサーバ298は、直接に、またはインターネット296を介して、アプリケーションサービスをホストすることができる。
【0115】
埋め込まれた整形外科用デバイスに関して存在するデータがほとんどないことに留意されたい。ほとんどのデータは、ヒトの被験者またはシミュレート用途に使用された整形外科用デバイスを分析することによって実証的に得られている。摩耗のパターン、材料の問題、及び不具合のメカニズムが研究されている。この種の研究を通じて情報を収集することができるが、計測の観点から、初期設置、術後の使用、及び長期の使用に関する実質的なデータは得られる。一人一人が異なるように、各デバイスの設置も異なり、初期の荷重、平衡、及びアライメントでは差異がある。データを計測し、そのデータを使用して、整形外科用デバイスを設置することで、インプラント手順の一貫性が大幅に向上することによって、やり直しが減少し、デバイスの寿命が最大になる。少なくとも1つの例示的な実施形態では、計測されたデータは、データベースに収集され、そこに格納されて分析することができる。例えば、計測されたデータの関連サンプルが収集されると、それを使用して、埋め込まれた整形外科用デバイスの寿命及び有用性を最大にするのに、最適な初期計測設定、幾何学的形状、及びアライメントを規定することができる。
【0116】
本発明が特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらに多くの変更を加えることができることを認識するであろう。これらの実施形態及びその明らかな変形形態のそれぞれは、本発明の趣旨及び範囲内にあるものとして企図される。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
図5M
図5N
図5O
図5P
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
【国際調査報告】