(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】インクジェット印刷システム用液滴滴下分析装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240829BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20240829BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/00
B41J2/01 451
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512965
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 US2022074789
(87)【国際公開番号】W WO2023028419
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513317345
【氏名又は名称】カティーバ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140833
【氏名又は名称】岡東 保
(72)【発明者】
【氏名】イーシュワー コッラタ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ルイス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ソ-カン コー
【テーマコード(参考)】
2C056
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EB27
2C056FA10
2C056HA29
2C056HA58
4F041AA02
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F042AA02
4F042AB00
4F042DF07
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】
本願は、インクジェット印刷、インクジェットプリンタの液滴滴下精度分析装置、およびこのようなテスト装置用の基材に関する。
【解決手段】
インクジェットプリンタ用の液滴滴下分析装置について開示する。液滴滴下分析装置は、不透明かつ光学的に非干渉性の真空表面を有するフィルム支持体を備え、光学的に非干渉性の真空表面に対してフィルムを固定し、フィルム上に滴下された液滴を、フィルムの液滴が滴下された側と同じ側から撮影する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタであって、前記インクジェットプリンタは、
処理テーブルと、
前記処理テーブルの上方に配置されたプリントヘッド支持体に結合されたプリントヘッドと、
不透明かつ光学的に非干渉性の表面を有するフィルム支持体を備え、前記フィルム支持体によって支持されたフィルム上に滴下された液滴を撮影する液滴滴下分析装置と、
を備える、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記光学的に非干渉性の表面は、鏡面仕上げを有する、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記光学的に非干渉性の表面は、反射性コーティングを備える、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記光学的に非干渉性の表面は、真空表面である、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記フィルム支持体はガラス体を備え、前記反射性コーティングは前記ガラス体に塗布される、請求項3に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記光学的に非干渉性の表面は、反射性インサート体の表面である、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記光学的に非干渉性の表面は、着脱可能な本体部の表面である、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記フィルム支持体は、前記光学的に非干渉性の表面に、前記フィルム支持体内部のプレナム室と流体連通する開口部を有する、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記フィルム支持体は、前記プレナム室を画定するカバープレートを備え、ガス継手が前記カバープレートに取り付けられる、請求項8に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項10】
液滴滴下分析装置であって、前記液滴滴下分析装置は、
不透明かつ光学的に非干渉性の真空表面を有するフィルム支持体を備えるインクジェットプリンタ用の液滴滴下分析装置であって、前記光学的に非干渉性の真空表面に対してフィルムを固定し、前記フィルム上に滴下された液滴を撮影する、液滴滴下分析装置。
【請求項11】
前記光学的に非干渉性の表面は、鏡面仕上げを有する、請求項10に記載の液滴滴下分析装置。
【請求項12】
前記光学的に非干渉性の表面は、反射性コーティングを備える、請求項10に記載の液滴滴下分析装置。
【請求項13】
前記光学的に非干渉性の表面は、真空表面である、請求項10に記載の液滴滴下分析装置。
【請求項14】
前記フィルム支持本体部がガラス体を備え、前記反射性コーティングは前記ガラス体に塗布される、請求項12に記載の液滴滴下分析装置。
【請求項15】
前記光学的に非干渉性の表面は、反射性インサート体の表面である、請求項10に記載の液滴滴下分析装置。
【請求項16】
前記光学的に非干渉性の表面は、着脱可能な本体部の表面である、請求項10に記載の液滴滴下分析装置。
【請求項17】
前記フィルム支持体は、前記光学的に非干渉性の表面に、前記フィルム支持体内部のプレナム室と流体連通する開口部を有する、請求項10に記載の液滴滴下分析装置。
【請求項18】
前記フィルム支持体は、前記プレナム室を画定するカバープレートを備え、ガス継手が前記カバープレートに取り付けられる、請求項17に記載の液滴滴下分析装置。
【請求項19】
基材処理方法であって、前記基材処理方法は、
平坦かつ不透明な光学的に非干渉性の表面を有する支持本体部を設けることと、
前記支持本体部の前記光学的に非干渉性の表面に対して透明テスト基材を固定配置することと、
前記テスト基材上にテスト液滴を吐出することと、
前記支持本体部の前記光学的に非干渉性の表面から反射する光のノイズおよび歪みを最小限に抑えるように、前記支持本体部の前記光学的に非干渉性の表面とともに使用するように適合された光を用いて前記テスト基材を照明することと、
前記テスト基材上の前記テスト液滴を撮影することと、
を含む、基材処理方法。
【請求項20】
前記光学的に非干渉性の表面は、鏡面仕上げ、反射性コーティング、真空表面、反射性インサート体、着脱可能な本体部、前記支持本体部内部のプレナム室と流体連通する開口部、またはそれらの組み合わせを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年8月27日出願の米国仮特許出願第63/260,641号の利益を主張し、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本願は、インクジェット印刷、インクジェットプリンタの液滴滴下精度分析装置、およびこのようなテスト装置用の基材に関する。
【背景技術】
【0003】
産業用インクジェットプリンタは、大型基材に材料を塗布して各種デバイスを形成するために使用される。基材は、硬質や軟質、厚板、薄板のいずれも可能であり、種々の材質からなるものが可能である。このように使用される基材の最も代表的な種類として、各種ガラスからなる基材が挙げられ、これらの基材は、テレビ等の電子ディスプレイやスマートフォン用のディスプレイを製造するために処理される。
【0004】
インクジェットプリンタでは、基材上に印刷材料を吐出して堆積させるノズルを備えたプリントヘッドが使用される。今日の産業用インクジェットプリンタでは、微小な印刷材料液滴を極めて高い精度で基材上に堆積させて、微小または極細の構造を正確に配置して形成する。液滴を基材上に確実かつ正確に滴下するには、各ノズルの動作特性やその変化を常に把握しておく必要がある。このため、ノズルの性能を測定し追跡するために多数の診断モジュールが使用されることが多い。
【0005】
こうした診断モジュールの一例が、液滴滴下精度モジュールである。液滴滴下精度モジュールは、プリントヘッドによって液滴が滴下される表面を備える。滴下された液滴は、次いで撮影され、画像処理ソフトウェアを用いた分析により、液滴が滴下された位置とその寸法が求められる。こうしたデータを、過去の結果、予想される液滴位置および液滴寸法等の他のデータと比較して、ノズル使用時の印刷計画の指針とする。
【0006】
液滴滴下精度モジュールの表面に堆積した液滴は微小であるため、液滴周囲の表面によりノイズや画像の歪みが生じ、液滴の滴下やその寸法が不正確になることがある。産業用インクジェットプリンタの動作の信頼性を確保するには精度が不可欠であるため、こうしたノイズや画像の歪みの原因を最小限に抑えることも重要となる。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載の実施形態によれば、処理テーブルと、処理テーブルの上方に配置されたプリントヘッド支持体に結合されたプリントヘッドと、不透明かつ光学的に非干渉性の表面を有するフィルム支持体を備え、フィルム支持体によって支持されたフィルム上に滴下された液滴を撮影する液滴滴下分析装置とを備える、インクジェットプリンタが提供される。
【0008】
本明細書に記載の他の実施形態によれば、不透明かつ光学的に非干渉性の真空表面を有するフィルム支持体を備えるインクジェットプリンタ用の液滴滴下分析装置であって、光学的に非干渉性の真空表面に対してフィルムを固定し、フィルム上に滴下された液滴を撮影する、液滴滴下分析装置が提供される。
【0009】
本明細書に記載の他の実施形態によれば、平坦かつ不透明な光学的に非干渉性の表面を有する支持本体部を設けることと、支持本体部の光学的に非干渉性の表面に対して透明テスト基材を固定配置することと、テスト基材上にテスト液滴を吐出することと、支持本体部の光学的に非干渉性の表面から反射する光のノイズおよび歪みを最小限に抑えるように、支持本体部の光学的に非干渉性の表面とともに使用するように適合された光を用いてテスト基材を照明することと、テスト基材上のテスト液滴を撮影することとを含む、基材処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るインクジェット印刷システムの概略立面図である。
【0011】
【
図2A】一実施形態に係る液滴滴下分析装置の上面図である。
【
図2B】別の実施形態に係る液滴滴下分析装置の上面図である。
【
図2C】さらに別の実施形態に係る液滴滴下分析装置の上面図である。
【0012】
【
図3】一実施形態に係る液滴滴下分析装置のフィルム支持体の立面図である。
【0013】
【
図4】一実施形態に係る方法の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、インクジェットプリンタ用液滴滴下精度モジュールについて記載する。液滴滴下精度モジュールは、フィルム基材を支持する表面を有する。フィルム基材は、インクジェットプリンタのプリントヘッドから印刷材料の液滴を受ける。液滴を正確に滴下し、かつ滴下された液滴を正確に撮影できるように、液滴滴下精度モジュールの表面は、フィルム基材を平坦な向きで支持する。光学ノイズおよび/または歪みが生じると、フィルム基材のうち液滴が堆積した側と同じ側から液滴を撮影した場合に液滴の画像処理が複雑になるおそれがあるが、液滴滴下精度モジュールの表面は、こうした光学ノイズおよび/または歪みを最小限に抑えるように構成される。本モジュールでは、フィルム基材は透明または半透明であってもよい。表面には、撮像システムがフィルムを介して解像可能な特徴部が設けられず、または最低限の特徴部のみが設けられる。
【0015】
図1は、一実施形態に係るインクジェット印刷システム100の概略立面図である。インクジェット印刷システム100は、処理テーブル104を支持する基部102を有する。処理テーブル104は、概して、印刷材料を堆積させる基材を支持する。プリントヘッド106が、プリントヘッド支持体108によって処理テーブル104の上方で支持され、プリントヘッド支持体108は、処理テーブル104の範囲内に延在する。プリントヘッド106は、プリントヘッド支持体108に沿って処理テーブル104の範囲内を移動し、一方、基材は、プリントヘッド106の移動方向に対して垂直方向に、処理テーブル104に概ね沿って移動する。したがって、基材とプリントヘッド106とは互いに垂直方向に移動し、プリントヘッド106は、印刷材料を堆積させたいあらゆる基材領域に到達することができる。プリントヘッド106が移動する方向を「x軸」、基材が移動する方向を「y軸」と称することがある。一例では、処理テーブル104は、基材と処理テーブル104との間にガスクッションを形成するガス浮揚システム(図示せず)を含み、印刷システム100は、基材を処理テーブル104上に配置する基材ホルダ(図示せず)を含む。
【0016】
印刷システム100は、プリントヘッド管理機構110を含む。プリントヘッド管理機構110は、プリントヘッドにアクセスできるように、プリントヘッド支持体108付近の処理テーブル104の側部に位置する。プリントヘッド管理機構110は、プリントヘッドの性能を評価する複数のモジュールを含んでもよい。プリントヘッド管理機構110は、プリントヘッド管理機構110をy軸に平行な方向に移動させる直線運動システム112に結合されていてもよい。直線運動システム112は、プリントヘッド管理機構110が結合されるトラック114と、プリントヘッド管理機構110のいずれかのモジュールがプリントヘッド106にアクセスできるように、プリントヘッド管理機構110をトラックに沿って移動配置する直線アクチュエータ116とを含むことができる。診断作業または保守作業を行う際には、プリントヘッド106は、概ねプリントヘッド管理機構110が配置される処理テーブル104の側に移動する。
【0017】
プリントヘッド管理機構110は、液滴滴下分析装置120を含む。液滴滴下分析装置120は、光学的に非干渉性の表面122を有し、表面122に支持された光透過性フィルム上に滴下された液滴の鮮明かつ明瞭な撮影を容易にする。その際、写真は、フィルムのうち液滴が滴下された側と同じ側から撮影される。この表面は不透明かつ反射性である。本明細書において「光学的に非干渉性」とは、表面に入射する光が特段に表面と不適合でない場合に、表面122が反射光に顕著な歪みやノイズを加えないことを意味する。すなわち、反射光の歪みやノイズは、反射光を用いて撮影された液滴の位置や寸法の判定に有意な誤差を与えるほどのものではないことを意味する。入射光は、透明または半透明であり得る光透過性フィルムのうち、液滴が滴下された側に入射する。透明フィルムを反射性のフィルム支持面とともに使用すると、例えば、無色透明の液滴の撮像に有効である。
【0018】
入射光の一部はフィルムを透過して液滴滴下分析装置のフィルム支持面で反射し、フィルムを透過して戻る。カメラ124がプリントヘッド106またはプリントヘッド支持体108に、表面122およびその上に支持されたフィルムに向けて下方に面して結合され、フィルム上に堆積した液滴を、フィルムのうち液滴が堆積した側と同じ側から撮影する。この場合、カメラ124は、堆積した液滴の撮影中にプリントヘッド106を他の場所に配備することができるようにプリントヘッド支持体108に結合される。場合によっては、カメラ124を運動システム(図示せず)に結合して、撮影中にカメラ124の位置調整または走査を行ってもよい。
【0019】
図2Aは、一実施形態に係る液滴滴下分析装置200の上面図である。液滴滴下分析装置200は、液滴滴下分析装置120と同様の方向、すなわちフィルムのうち液滴が滴下された側と同じ側から、フィルム上に滴下された液滴を撮影するように構成されている。液滴滴下分析装置200は、光学的に非干渉性の表面122を有するフィルム支持体202を含む。フィルム支持体202は、プリントヘッド106(
図1)から液滴を受けるフィルムを支持するフィルム配置領域204を有する。フィルム配置領域204は、複数の開口部206を備えることを特徴とする。開口部206によってフィルム支持体202とフィルムとの間に吸引力を加えることにより、液滴の堆積中および撮影中、フィルムを固定し平坦にすることができる。光学的に非干渉性の表面122は、フィルム支持体の機能面208に設けられる。機能面208は、液滴滴下分析装置200がプリントヘッド管理機構110に装着されたときに、プリントヘッド106及びカメラ124(
図1)に概ね面している。フィルムは概して透明な可撓性材料であり、液滴滴下分析装置200内に配置された供給ロール(図示せず)から供給される。フィルムは供給スロット210を通り、供給ローラ212によって位置決めされ、フィルム支持体202を横断し、巻取りローラ216によって巻取りスロット214を通り、同じく液滴滴下分析装置200内に配置された巻取りロール(図示せず)へと送られる。フィルムの一部が液滴滴下分析に使用されると、フィルムは前進して、フィルム支持体202のフィルム配置領域204に隣接した未使用フィルムが配置される。
【0020】
フィルム支持体202の光学的に非干渉性の表面122は、概して反射性である。一例では、フィルム支持体202はアルミニウム製で、光学的に非干渉性の表面122はニッケルめっきが施されている。ニッケルめっきは適切な任意の厚さであってよく、一例ではニッケルめっきの厚さは0.001インチである。一例では、ニッケルめっき領域は、全体の平坦度が約2μm以下、平坦度率が長さ25mmあたり約1μm以下、Ra粗さが約0.025μmまたは1μインチ以下である。
【0021】
上記実施形態において、フィルム支持体202のフィルム配置領域204は、「鏡面仕上げ」を有すると言える。ニッケルめっき下のアルミニウム表面は、全体の平坦度が少なくとも約5μm、平坦度率が長さ25mmあたり少なくとも約2μm、粗面計で測定したRa粗さが約0.8μmまたは約32μインチ以下に機械加工される。その後、この表面は全体の平坦度が少なくとも約3μm、例えば約1μm、平坦度率が長さ25mmあたり少なくとも約2μm、Ra粗さが約0.05μmまたは2μインチ以下までラップ加工される。ニッケルめっきが厚さ約0.001インチまで施された後、全体の平坦度が少なくとも約2μm、例えば約1μm、平坦度率が長さ25mmあたり少なくとも約1μm、Ra粗さが約0.025μmまたは1μインチ以下までラップ加工される。上述した鏡面は、約1μm以下の光学的に解像可能な特徴部を有し得る。
【0022】
図2Bは、別の実施形態に係る液滴滴下分析装置220の上面図であり、やはり、フィルム上に滴下された液滴を、フィルムのうち液滴が滴下された側と同じ側から撮影するように構成されている。本例では、フィルム支持体222が、基部部材224およびガラス体226を備える。ガラス体226は、基部部材224と係合し、液滴を受けて液滴を撮影するためのテスト基材を支持する。本例では、ガラス体226が光学的に非干渉性の表面となる。ガラス体226は、光干渉を最小限に抑えるように構成された高反射性コーティングを有する。高反射性コーティングの反射率は約90%超であってもよい。ガラス体226を製造するには、液滴の撮像に使用する光に応じてガラス体226のガラス上面が機械加工およびラップ加工される。例えば、この表面は、平坦度率が長さ1インチにわたって4分の1波長、または全体の平坦度が走査領域にわたって1波長まで機械加工およびラップ加工される。
【0023】
本例では、ガラス体226がフィルム配置領域全体を構成し、平坦度が求められる走査領域となる。ガラス体226は、基部部材224の一方側から反対側まで、基部部材224の長さに沿って第1の壁部228から第2の壁部230まで延在する。フィルム配置領域は、第1の壁部228と第2の壁部230との間に位置する。基部部材224とガラス体226には、ガラス体226の反射面に吸引力を加えるように位置合せされた開口部232がそれぞれ設けられている。
【0024】
図2Cは、別の実施形態に係る液滴滴下分析装置250の上面図である。液滴滴下分析装置250は、光学的に非干渉性の表面となる反射性インサート体を有する。本例では、光学的に非干渉性の表面は、基部部材224とはわずかに異なる基部部材254と係合する結晶シリコン体252の表面として設けられる。シリコン体252はシート状に構成され、一例として波長650nmの光子について反射率が70~80%となるように構成される。シリコン体252は、基部部材254の上面に設けられたポケット256に嵌合するように構成される。基部部材254は吸引用開口部258を有し、ポケット256は開口部258間に位置する。シリコン体252と基部部材254の周囲の上面とが分析装置250のフィルム配置領域を画定している。
【0025】
なお、フィルム支持体の光学的に非干渉性の表面を着脱可能な本体部の表面としてもよい。これにより、液滴の撮像に使用する光に応じて本体部の特性を選択できるように本体部を変更することができる。光に応じて異なるように着脱可能な本体部を構成し、最適化することができ、光自体は、撮像する液滴の色や反射率などの特性に基づいて選択される。インクジェット印刷システムによって堆積させる印刷材料が変更される場合には、液滴の撮像に適した材料となるように、着脱可能な本体部を異なる材料のものに変更できると有利となり得る。
【0026】
上述の着脱可能な本体部は、撮像する液滴および液滴の撮像に使用する光に適合した反射面となる材料であれば、適切な任意の材料から作製することができる。着脱可能な本体部は、金属、プラスチック、セラミック、または反射面を塗布または形成できる適切な他の材料で作製することができる。着脱可能な本体部の反射面は、撮像の一助となる場合には所望のスペクトルまたは所望の色の光を反射するように構成することができる。
【0027】
図3は、一実施形態に係るフィルム支持体300の立面図である。フィルム支持体300は、上述の光学的に非干渉性の表面122を有し、前述の実施形態のいずれであってもよい。フィルム支持体300には、光学的に非干渉性の表面122とは反対側の面にカバープレート302が取り付けられている。カバープレート302と、フィルム支持体300の光学的に非干渉性の表面とは反対側の面とによって、プレナム室(図示せず)が内部に画定されている。ガス継手304がカバープレート302に結合され、プレナム室と流体連通している。光学的に非干渉性の表面122の開口部206(図示せず)などの開口部によって、プレナム室は光学的に非干渉性の表面122まで流体連通している。ガス継手304を用いて、光学的に非干渉性の表面122に吸引力を加えることができる。フィルム基材と表面122との間を減圧するように、真空源がガス継手304に結合されている。減圧によってフィルム基材が表面122に押し付けられることにより、フィルム基材が表面122に固定され平坦になる。処理後にフィルム基材を表面122から外れやすくすると便利な場合には、任意選択で、フィルム基材が表面122から離れるようにガス継手304から正圧を加えることができる。
【0028】
上述のフィルム支持体はすべて、水平方向に突出した細長い部材であり、テスト基材の支持面となる。フィルム支持体は、
図1に関して説明したように、x軸に略平行な方向に延在するように配置され、処理テーブル104に近接して延在してもよいし、処理テーブル104から離隔して延在してもよい。上述の各フィルム支持体の上面では、フィルム支持体の長辺縁部が面取りされ、フィルム支持体の上面においてテスト基材を係脱させる傾斜面となっている。
図2Bの場合、ガラス体226に面取り部が組み込まれ、
図2Aの実施形態ではフィルム支持体のアルミニウム上面に面取り部が組み込まれ、
図2Cの実施形態では基部部材252の上面に面取り部が組み込まれている。各フィルム支持体はまた、遠位端も面取りされている。
図3の例では、フィルム支持体300の長辺縁部の面取り部は306に位置し、遠位端の面取り部は308に位置する。
【0029】
本明細書に記載の装置を用いて、インクジェットプリントヘッドによって滴下された液滴を撮像する方法を実施することができる。
図4は、一実施形態に係る方法400の概略を示すフローチャートである。402において、平坦かつ光学的に非干渉性の表面を有する支持本体部を設ける。光学的に非干渉性の表面は真空表面でもよいが、いずれの場合であっても表面上に透明テスト基材を固定する機能を有する。表面は概して高い反射率を有し、着脱可能な本体部を用いて設けてもよい。表面は、上述のように「鏡面仕上げ」であってもよいし、テスト基材上の液滴の明瞭かつ鮮明な撮像を促す分光反射率(「色」)を有していてもよい。
【0030】
404において、支持本体部の光学的に非干渉性の表面に対して透明テスト基材を固定配置する。テスト基材は、高分子材料等の可撓性基材であってもよい。透明テスト基材は、支持本体部の光学的に非干渉性の表面に面した表面とは逆向きの基材表面と、基材と支持本体部との間の空間との間に圧力差を生じさせることによって、支持本体部の光学的に非干渉性の表面に対して固定配置することができる。基材と支持本体部との間の空間に吸引力を加える、またはテスト基材のうち、支持本体部に面した表面とは逆向きの表面の圧力を増大させる、またはその両方を行うことができる。例えば、基材と支持本体部との間を減圧し、テスト基材のうち、支持本体部に面した表面とは逆向きの表面の圧力を瞬間的に増大させることにより、テスト基材を支持本体部の方に押し付ける。
【0031】
406において、テスト基材上にテスト液滴を吐出する。プリントヘッド106(
図1)を、テスト基材と相互作用するようにテスト位置に配置する。テスト基材上に所望のパターンの液滴を形成するように、プリントヘッド106、支持本体部、またはその両方をテスト液滴の堆積中に移動させてもよい。テスト液滴は、プリントヘッド106の全ノズル、一部のノズル、または単一のノズルから吐出させてもよい。
【0032】
408において、テスト液滴を照明し撮影する。照明光は、支持本体部の光学的に非干渉性の表面から反射する光のノイズや歪みを最小限に抑えるように、支持本体部の光学的に非干渉性の表面とともに使用するのに適合した光として構成される。照明光は単色光であってもよく、高解像度で鮮明なエッジ検出が可能となるように、基材上に堆積させたテスト液滴の色と対照的な色を選択してもよい。照明光はパルス光またはストロボ光であってもよく、この場合、照明光は露光時間中照射され、それ以外の時間は停止する。
【0033】
本発明の1つ以上の態様に係る実施形態に関して上述したが、本開示に具体的に記載されていない他の実施形態を本開示の基本範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲によって規定される。
【国際調査報告】