IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グーグル インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-532332緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定
<>
  • 特表-緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定 図1
  • 特表-緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定 図2
  • 特表-緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定 図3
  • 特表-緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定 図4
  • 特表-緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定 図5
  • 特表-緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定 図6
  • 特表-緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定 図7
  • 特表-緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定 図8
  • 特表-緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定 図9
  • 特表-緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】緑色光をフィルタとして使用する酸素飽和度の推定
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61B5/1455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513012
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022041892
(87)【国際公開番号】W WO2023028367
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/237,976
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケーナソフスキー,サラ・アン・ストークス
(72)【発明者】
【氏名】ババディ,ハメド
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ヘネガン,コナー・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】サンデン,リンジー
(72)【発明者】
【氏名】スー,ハオ-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ニーハウス,ローガン・アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KM01
4C038KX01
(57)【要約】
本開示は、ユーザの血液の酸素飽和レベルを推定するためのコンピュータが実行する方法、システム、およびデバイスを提供する。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、1つまたは複数の緑色光源を使用して、緑色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射する。ウェアラブルコンピューティングデバイスはさらに、1つまたは複数の赤色光源を使用して、赤色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射する。ウェアラブルコンピューティングデバイスはさらに、1つまたは複数の赤外光源を使用して、赤外波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射する。ウェアラブルコンピューティングデバイスはさらに、ユーザの皮膚から放射された緑色光、赤色光、および赤外光の強度を検出する。ウェアラブルコンピューティングデバイスはさらに、推定酸素飽和レベルを判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにおける血中酸素飽和度を測定するための、コンピュータが実行する方法であって、
1つまたは複数の緑色光源を使用して1つまたは複数のプロセッサを有するコンピューティングシステムが、緑色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射することと、
1つまたは複数の赤色光源を使用してコンピューティングシステムが、赤色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射することと、
1つまたは複数の赤外光源を使用してコンピューティングシステムが、赤外波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射することと、
前記コンピューティングシステムが、ユーザの前記皮膚から放射された緑色光、赤色光、および赤外光の強度を検出することと、
前記コンピューティングシステムが、推定酸素飽和レベルを判定することとを含む、コンピュータが実行する方法。
【請求項2】
ユーザの前記皮膚から放射された緑色光、赤色光、および赤外光の強度を検出するために、1つまたは複数の光センサが使用される、請求項1に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の光センサは、緑色光、赤色光、および赤外光の各々について、それぞれの電気信号を生成し、特定の光の波長のそれぞれの前記電気信号は、1つの回または複数回、光の波長の強度を表す、請求項2に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項4】
前記コンピューティングシステムが、推定酸素飽和レベルを生成することは、
前記コンピューティングシステムが、前記赤色光の電気信号と、前記赤外光の電気信号との飽和比を判定することを含む、請求項3に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項5】
前記コンピューティングシステムが、推定酸素飽和レベルを判定することは、
前記コンピューティングシステムが、前記緑色光に関連付けられた前記電気信号を使用して、前記赤色光の前記電気信号および前記赤外光の前記電気信号をフィルタリングすることを含む、請求項3に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項6】
前記コンピューティングシステムが、前記緑色光に関連付けられた前記電気信号を使用して、前記赤色光の前記電気信号および前記赤外光の前記電気信号をフィルタリングすることはさらに、
前記コンピューティングシステムが、前記緑色光に関連付けられた前記電気信号と、前記赤色光に関連付けられた前記電気信号とのドット積を生成することと、
前記コンピューティングシステムが、前記緑色光に関連付けられた前記電気信号と、前記赤外光に関連付けられた前記電気信号とのドット積を生成することとを含む、請求項5に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項7】
前記コンピューティングシステムが、緑色光、赤色光、および赤外光の検出された前記強度から、特徴量データを生成することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項8】
前記コンピューティングシステムが、前記特徴量データを入力として有する機械学習モデルを使用して、前記ユーザの血液の前記推定酸素飽和レベルに関連付けられた信頼レベルを判定することをさらに含む、請求項7に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項9】
前記コンピューティングシステムが、前記信頼レベルが所定のしきい値を超えるかを判定することをさらに含む、請求項8に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項10】
前記コンピューティングシステムが、前記信頼レベルが所定のしきい値を超えていると判定することに応じて、前記推定酸素飽和レベルを格納することをさらに含む、請求項9に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項11】
前記コンピューティングシステムが、前記信頼レベルが所定のしきい値を超えないと判定することに応じて、前記コンピューティングシステムが、前記推定酸素飽和レベルを破棄することをさらに含む、請求項9に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項12】
前記コンピューティングシステムが、前記推定酸素飽和レベルを表示することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項13】
前記コンピューティングシステムは、ウェアラブルコンピューティングデバイスである、請求項1に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項14】
ウェアラブルコンピューティングデバイスであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
コンピュータ可読メモリとを備え、前記コンピュータ可読メモリは、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記ウェアラブルコンピューティングデバイスに、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を格納する、ウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項15】
1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行されると、前記1つまたは複数のコンピューティングデバイスに、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を格納する、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2021年8月27日に出願された「Estimating Oxygen Saturation Using Green Optical Light as a Filter」という名称の米国仮特許出願第63/237,976号の優先権の利益を主張する。上記で参照された特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、ユーザの血中酸素レベルを測定することに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ユーザコンピューティングデバイスには、人間の健康または人体に関連付けられた1つまたは複数の指標を測定する機能がますます組み込まれている。そのような健康関連の1つの指標は、ユーザの血液中に存在する酸素の量である。しかしながら、人体の特定の部分で測定する場合、体のどこで測定するかなどの多くの要因により、血液中の酸素レベルの測定が不正確になる可能性がある。したがって、そのような測定の精度を向上させることで、ウェアラブルコンピューティングデバイスの有用性が向上する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示の実施形態の態様および利点は、以下の説明に部分的に記載されるか、または説明から知ることができるか、または実施形態の実践を通じて知ることができる。
【0005】
例示的な態様は、コンピュータが実行する方法を対象とする。この方法は、1つまたは複数の緑色光源を使用して1つまたは複数のプロセッサを有するコンピューティングシステムが、緑色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射することを含む。この方法はさらに、1つまたは複数の赤色光源を使用してコンピューティングシステムが、赤色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射することを含む。この方法はさらに、1つまたは複数の赤外光源を使用してコンピューティングシステムが、赤外波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射することを含む。この方法はさらに、コンピューティングシステムが、ユーザの皮膚から放射された緑色光、赤色光、および赤外光の強度を検出することを含む。この方法はさらに、コンピューティングシステムが、推定酸素飽和レベルを判定することを含む。
【0006】
本開示の別の例示的な態様は、ウェアラブルコンピューティングデバイスを対象とする。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、1つまたは複数のプロセッサと、コンピュータ可読メモリとを備える。コンピュータ可読メモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、ウェアラブルコンピューティングデバイスに、1つまたは複数の緑色光源を使用して、緑色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射させる命令を格納する。この命令はさらに、1つまたは複数のプロセッサに、1つまたは複数の赤色光源を使用して、赤色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射させる。この命令はさらに、1つまたは複数のプロセッサに、1つまたは複数の赤外光源を使用して、赤外波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射させる。この命令はさらに、1つまたは複数のプロセッサに、ユーザの皮膚から放射された緑色光、赤色光、および赤外光の強度を検出させる。この命令はさらに、1つまたは複数のプロセッサに、推定酸素飽和レベルを判定させる。
【0007】
本開示の別の例示的な態様は、命令を格納するコンピュータ可読媒体を対象とする。この命令は、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行されると、1つまたは複数のコンピューティングデバイスに、1つまたは複数の緑色光源を使用して、緑色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射させる。この命令はさらに、1つまたは複数のプロセッサに、1つまたは複数の赤色光源を使用して、赤色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射させる。この命令はさらに、1つまたは複数のプロセッサに、1つまたは複数の赤外光源を使用して、赤外波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射させる。この命令はさらに、1つまたは複数のプロセッサに、ユーザの皮膚から放射された緑色光、赤色光、および赤外光の強度を検出させる。この命令はさらに、1つまたは複数のプロセッサに、推定酸素飽和レベルを判定させる。
【0008】
本開示の他の態様は、様々なシステム、装置、非一時的なコンピュータ可読媒体、ユーザインターフェース、および電子デバイスを対象とする。
【0009】
本開示の様々な実施形態のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することによって、よりよく理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本開示の例示的な実施形態を示し、説明とともに、関連する原理を説明するのに役立つ。
【0010】
当業者を対象とした実施形態の詳細な説明が、添付の図を参照して本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の例示的な実施形態によるウェアラブルコンピューティングデバイスの正面の例を示す図である。
図2】本開示の例示的な実施形態によるウェアラブルコンピューティングデバイスの裏面の例を示す図である。
図3】血液が酸素を含むか酸素を含まないかに基づいて予想される後方反射光の強度を表す例示的なグラフである。
図4】酸素を含む血液および酸素を含まない血液について、赤色信号およびIR信号について検出された光信号の例示的なグラフである。
図5】本開示の例示的な実施形態による、計算された比に基づく酸素飽和レベルの例示的なグラフである。
図6】本開示の例示的な実施形態による、光検出器によって検出される緑色光、赤色光、およびIR光について検出された光信号の例示的なグラフである。
図7】本開示の例示的な実施形態による、ユーザの血液中の酸素レベルを推定する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
図8】本開示の例示的な実施形態による信頼モデルへの入力例を示す図である。
図9】本開示の例示的な実施形態によるウェアラブルコンピューティングデバイスを含む例示的なコンピューティング環境を示す図である。
図10】本開示の例示的な実施形態による、ユーザの血液中の酸素レベルを推定するための方法の例示的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
次に、実施形態について詳細に参照するが、その1つまたは複数の例が図面に示される。各例は、実施形態の説明のために提供され、本開示を限定するものではない。実際、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、実施形態に様々な修正および変形を加えることができることが、当業者に明らかであろう。たとえば、1つの実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態とともに使用して、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本開示の態様は、そのような修正および変形を包含することが意図されている。
【0013】
一般に、本開示は、ユーザの手首に光を投影し、反射光を測定することによって、手首における非侵襲的な測定により、ユーザの血液中の酸素飽和レベルを正確に推定するためのシステムを対象とする。そうするために、ウェアラブルコンピューティングデバイス(たとえば、フィットネスバンドなど)を、ユーザの手首の周りに配置できる。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、特定の波長の光を、ユーザの皮膚に向けて投影するための1つまたは複数の構成要素を含むことができる。光検出器(たとえば、フォトダイオード)は、ユーザから反射された(または放射された)光の強度を測定し、対応する電気信号を生成できる。しかしながら、1つまたは複数の要因(ユーザの手首に存在する毛細血管の密度が比較的低い、低温による灌流の低下の事例など)により、対応する電気信号が、目標精度を下回る可能性がある。
【0014】
血液の酸素化に関して生成された電気信号の精度を向上させるために、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、赤色光、緑色光、および赤外光のデータを収集できる。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、各波長範囲で放射された光の強度または量の比較に基づいて、ユーザの血液の飽和度の初期推定値を生成できる。具体的には、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、赤色光の波長スペクトルにおいて測定された光の強度と、赤外波長スペクトルにおいて測定された光の強度との比を判定できる。いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、測定された緑色光の波長強度を使用して、赤色光の強度と、赤外光の強度とに対して生成された信号をフィルタリングできる。具体的には、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、緑色光の強度を表す電気信号と、赤色光の強度を表す電気信号および赤外光の強度を表す電気信号の両方とのドット積を計算できる。これは、緑色光の信号を使用して、赤色光の信号および赤外光の信号をフィルタリングして、いくつかの異なる要因によって生じるノイズを除去する効果を有することができる。また、システムが、ユーザの心拍内の一定の時間に飽和レベルを正確に測定できるようにする効果も有することができる。フィルタリングされた赤色光の信号と、フィルタリングされた赤外光の信号とを使用して、より正確な推定飽和度を生成できる。
【0015】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、フィルタリングされた信号から1つまたは複数の特徴量を生成できる。特徴量は、測定された緑色光の強度、測定された赤色光の強度、測定された赤外光の強度、フォトダイオードによって生成された信号間の比、光の1つまたは複数の波長の強度に基づく2つ以上の電気信号のドット積、1秒間の平均値などのような情報を含むことができる。これら特徴量は、機械学習モデルに入力できる。機械学習モデルをトレーニングして、ユーザの血液の推定酸素飽和レベルの信頼値を提供できる。いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、血液の推定分類を、飽和または不飽和として生成する。機械学習モデルの出力は、この推定分類が正しいという信頼レベルを表すことができる。いくつかの例では、推定された飽和値は、完全に不飽和から、十分に飽和までの値の範囲内にあり、その範囲内に複数の値がある。推定された飽和レベルが、範囲内の値として表される場合、信頼値は、推定された飽和レベルが適切な範囲内にあるかを表すことができる。
【0016】
たとえば、ユーザは、手首にウェアラブルコンピューティングデバイス(たとえば、フィットネスバンド)を有することができ、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、3つのLEDを含むことができる。第1のLEDは、赤色光スペクトルの光を生成し、第2のLEDは、緑色光スペクトルの光を生成し、第3のLEDは、赤外光スペクトルの光を生成できる。フォトダイオードは、ユーザの皮膚から放射された光を、関連付けられた各波長で検出できる。光波長の1つまたは複数で検出された光を比較して、初期飽和推定を生成できる。初期飽和推定は、ユーザの血液が酸素で飽和していることとすることができる。フォトダイオードによって生成された信号から、複数の特徴量を抽出できる。各特徴量は、機械学習モデルに入力として提供できる。機械学習モデルは、初期推定が正しいという高い信頼度を表す出力値を生成できる。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、高い信頼値に基づいて、推定された飽和値を、ユーザに提供できる(または、その値を他の計算に使用できる)。
【0017】
より具体的には、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、ユーザによって装着されることを意図された物体に組み込まれる任意のコンピューティングデバイスを含むことができる。たとえば、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、スマートウォッチ、フィットネスバンド、スマートリングまたはスマートネックレスなどの宝石に組み込まれたコンピューティングデバイス、ジャケット、靴、およびパンツなどの衣類のアイテムに組み込まれたコンピューティングデバイス、ならびにこれらに含まれるコンピューティング要素を有するウェアラブル眼鏡を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、ウェアラブルコンピューティングデバイスを装着しているユーザの許可を得て情報を収集するように意図された1つまたは複数のセンサを含むことができる。そのような情報は、心拍数、体組成、発汗レベル、水分補給レベル、血中酸素飽和レベルなどを含むことができるが、これらに限定されない。
【0018】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、1つまたは複数の光源および1つまたは複数の光検出構成要素を含むことができる。いくつかの例では、光源は、発光ダイオード(LED)とすることができ、1つまたは複数の指定された波長範囲の光を生成するように構成できる。たとえば、特定のウェアラブルコンピューティングデバイスは、1つまたは複数の赤色LED、1つまたは複数の緑色LED、および1つまたは複数の赤外LEDを含むことができる。各LEDは、関連付けられた波長で、光を生成できる。いくつかの例では、各LEDによって生成される光は、狭い波長帯域内で生成できる。たとえば、1つまたは複数の緑色LEDは、500nmから565nmの間の波長を有する光を生成できる。1つまたは複数の赤色LEDは、625nmから750nmの間の波長を有する光を生成できる。1つまたは複数の赤外LEDは、750nmを超える波長を有する光を生成できる。
【0019】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、センサも含むことができる。センサを、ユーザの皮膚から放射された光を検出できる光センサとすることができる。いくつかの例では、光センサを、広帯域フォトダイオードとすることができる。フォトダイオードは、様々な波長の光を検出できる。いくつかの例では、フォトダイオードは、存在する特定の波長と、現在の波長の各々における光の強度とを測定できる。フォトダイオードは、検出された光を、電気信号に変換できる。いくつかの例では、フォトダイオードは、3つの波長すべてを同時に収集し、信号処理技術を使用して、異なる波長に関連付けられた異なる信号を抽出できる。他の例では、各LEDを、連続して短期間オンにすることができ、その期間から得られる信号を、特定のLEDに関連付けることができる。
【0020】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、生成された電気信号を使用して、ユーザの血液の酸素飽和レベルを推定できる。推定された酸素飽和レベルは、ユーザの血液が、酸素を含むか酸素を含まないかを判定するために使用できる。たとえば、酸素を含む血液は、赤色光の吸収が少なくなり得、その結果、より多くの赤色光が反射される。したがって、フォトダイオードは、放射された(または反射された)赤色光を、より高い強度で検出できる。赤色光に応じて生成される得られる電気信号はより高くなる。逆に、血液の酸素が低下すると、血液が吸収する赤外光が少なくなり、したがって赤外光に応じて生成される電気信号が高くなる。
【0021】
これらの信号を使用して、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、飽和比を生成できる。飽和比は、赤色光に関連付けられた電気信号と、赤外光に関連付けられた電気信号との比を表すことができる。飽和比の値が高いほど、ユーザの血液が、酸素で飽和されている可能性が高くなる。いくつかの例では、所定のしきい値を使用して、ユーザの血液が飽和されているか否かを判定できる。飽和比が、所定のしきい値を超える場合、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、血液が飽和されていると判定できる。飽和比が、所定のしきい値を超えない場合、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、ユーザの血液が酸素で飽和されていないと判定できる。
【0022】
いくつかの例では、1つまたは複数の要因により、飽和比の精度が低下する可能性がある。具体的には、灌流が低い(たとえば、体の特定の領域の血液量が少ない)と、(総血液量が少ないため)測定される赤色光および赤外光の精度が低下する可能性があり、その結果、さほど正確ではない飽和比となる可能性がある。灌流低下は、ユーザの心拍、呼吸(特に、急速または強い呼吸の結果とする)、静脈拍動(たとえば、標的領域付近の筋肉の動き)、温度変化(たとえば、温度が低いと、末端における血液が減少する可能性がある)、および標的領域における毛細血管の密度の結果である可能性がある。
【0023】
いくつかの例では、追加の要因は、呼吸よりも低い周波数で、意識のあるユーザに自発的に発生する動脈圧の振動であるメイヤー波を含むことができる。測定される光の強度は、測定が行われるユーザの体の部分に存在する毛細血管の密度に基づいて影響を受けることもある。静脈血は、動脈血と比較して、酸素を含んでいない可能性がある。そのため、静脈が密集している体の領域では、血液の酸素化を判定することがより困難になる可能性がある。
【0024】
飽和比の信頼性に関する問題を解決する1つの手法は、測定された赤色光および測定された赤外光に関連付けられた電気信号をフィルタリングすることである。そうするために、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、赤色光と緑色光との時系列データのドット積値を、第1のドット積値として生成できる。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、赤外光と緑色光との時系列データからのドット積を、第2のドット積値として生成できる。
【0025】
検出された緑色光は、赤色光またはIR光よりも灌流が高く、心拍時の信号対雑音比が高いため、緑色光の系列データとのドット積の生成により、赤色/IRデータを、ユーザの心拍に対応する周波数にフィルタリングする効果を有することができる。このようにして、第1および第2のドット積値を使用して、各心拍における赤色/IR波形の振幅を判定できる。これは、心拍が、灌流が最も高くなる時点に対応でき、したがってユーザの血液中の酸素の最も信頼性の高い測定値を提供するので、有用である。これにより、システムは、動脈血酸素化を一貫して測定することも可能となる(たとえば、新しい血液が、システムを通って送り出されるときに、心拍ごとに動脈に流入する)。
【0026】
いくつかの例では、検出された緑色光を使用して、他の手法で赤色光および赤外光のデータをフィルタリングできる。具体的には、フィルタリングシステムは、緑色光のデータの分析に基づいて、ユーザの心拍数を抽出できる。知られている心拍数の周波数を使用して、周波数選択フィルタを調整できる。この周波数選択フィルタを、赤色光および赤外光のデータに適用すると、(よりノイズの高いデータを除去することによって)精度が向上し得る。
【0027】
代替的に、フィルタリングシステムは、緑色光の信号データに基づいて、ユーザの心拍数を判定できる。その測定された心拍数を使用して、その心拍数に基づいてバンドパスフィルタを作成できる。次に、バンドパスフィルタは、赤色光および赤外光の信号データをフィルタリングできる。別の代替例では、フィルタリングシステムは、高速フーリエ変換(FFT)を使用して、緑色光の信号データの周波数ピーク(または複数のピーク)を判定できる。次に、フィルタシステムは、これらのピークを使用して、ピークからのデータを使用して、赤色光の信号データと赤外光の信号データの各々とのドット積を計算し、比較的ノイズのないフィルタリングされた信号を作成できる。いくつかの例では、ピークデータは、赤色光の信号データおよび赤外光の信号データから情報を選択するためのタイミングデータとして使用できる。
【0028】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスが、フィルタリングされた時系列データに基づいて飽和比を判定すると(または、飽和比の信頼性を向上させるためにデータを処理すると)、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、時系列信号データから(直接的に、または電気信号データを処理することによって)特徴量データを生成できる。特徴量は、赤色光またはIRと緑色光との間の相関関係、および緑色灌流に対する赤色灌流の比を含むが、これらに限定されない。具体的には、分類器(classifier)への入力として使用できる特徴量は、飽和係数の平均値、赤色信号およびIR信号の傾き、赤色-緑色相関係数、赤色灌流/緑色灌流値、赤色IR相関係数、飽和比、飽和比の2乗および3乗、赤色信号とIR信号との間の相関関係、赤色信号と緑色信号との間の相関関係、緑色信号とIR信号との間の相関関係、緑色灌流に対する赤色灌流の比、IR灌流値、赤色灌流値、AC比平均、DC比平均、加速度の標準偏差、緑色応答電力、IC AC振幅変動で除された赤色AC振幅変動、赤色DC傾きおよび絶対値、IR DC傾きおよび絶対値、赤色DC標準偏差、ならびにIR DC標準偏差を含むことができる。
【0029】
特徴量は、機械学習モデルへの入力として使用できる。機械学習モデルは、検出された光に基づいて生成された時系列データに関連付けられた入力を取得し、信頼値を出力するようにトレーニングできる。信頼値は、推定された飽和度が正確であるとモデルが確信する程度を表すことができる。たとえば、ウェアラブルコンピューティングデバイスが、血液が飽和されていると推定し、機械学習モデルによって出力される信頼値が高い場合、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、初期推定が正確である可能性が高いと判定できる。同様に、初期推定が、血液が不飽和であることとし、信頼値が高い場合、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、不飽和の血液の初期推定値が正確である可能性が高いと判定できる。
【0030】
いくつかの例では、機械学習モデルは、低い信頼値を出力できる。低い信頼値は、飽和度に関する初期推定が、高い信頼度で検証できないことを表すことができる。いくつかの例では、信頼値が下限しきい値を下回る場合、飽和推定は完全に破棄され、新たな測定を行うことができる。
【0031】
いくつかの例では、ユーザの血液の酸素飽和レベルは、ウェアラブルコンピューティングデバイスに関連付けられたユーザインターフェースで、ユーザに提示できる。たとえば、ウェアラブルコンピューティングデバイスがスマートウォッチである場合、酸素飽和値は、スマートウォッチのディスプレイのユーザインターフェースの一部に表示できる。いくつかの例では、血液飽和度の測定は、データが長期間にわたって平均化されるように、睡眠期間中に行われる。他の例では、ユーザの要求に応じて血液飽和度の測定を実行できる。
【0032】
開示された技術の実施形態は、特にウェアラブルコンピューティングデバイスの分野において、多くの技術的効果および利益を提供する。特に、開示された技術の実施形態は、フィルタとして緑色光を使用して酸素飽和度を推定するための改良された技術を提供する。たとえば、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、開示された技術の実施形態を利用して、ユーザの血液の酸素飽和度をより正確に判定できる。精度の向上により、ユーザ体験が、より向上し、より便利になり得る。さらに、この効果は、比較的低コストで達成される。したがって、開示された実施形態は、ウェアラブルデバイスの総コストを大幅に増加させることなく、追加の機能を可能にする。
【0033】
ここで図を参照して、本開示の例示的な態様が、より詳細に説明される。
図1は、本開示の例示的な実施形態による例示的なウェアラブルデバイス100の正面図を示す。特定の例では、ウェアラブルデバイス100は、リストバンド、ブレスレット、腕時計、アームバンド、ユーザの指の周りに配置される指輪、または本開示で説明されるセンサを備え得る他のウェアラブル製品であり得る。ウェアラブルデバイス100は、ディスプレイ102、デバイスハウジング104、およびバンド106とともに構成できる。ディスプレイ102は、ユーザの酸素飽和レベル、皮膚温度、心拍数、脳波、心電図、筋電図、眼電図、およびユーザの他の生理学的データ(たとえば、血中酸素レベル)に関するデータをユーザに提示するように構成できる。ディスプレイ102は、ウェアラブルデバイス100内に含まれる追加の周囲のセンサからデータを伝送するようにも構成できる。これらの追加の周囲のセンサからディスプレイ102に伝送される例示的な情報は、ユーザに関連付けられた場所の位置、高度、および天気を含むことができる。ディスプレイ102はまた、ユーザの動作(たとえば、ユーザが静止しているか、歩いているか、および/または走っているか)に関するデータも伝送できる。
【0034】
実施形態では、ディスプレイ102は、ユーザによって入力されたデータを受信するように構成できる。いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、ウェアラブルコンピューティングデバイス100を装着しているユーザの血液中の酸素飽和度を測定するように構成できる。そうするために、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ユーザの皮膚に向けて光を投影するための1つまたは複数のLEDと、皮膚から放射されて戻る任意の光を測定するためのフォトダイオードとを含むことができる。いくつかの例では、LEDは、長期間(たとえば、ユーザが眠っている間)にわたってユーザの皮膚に向けて光を投影するように構成できる。
【0035】
ディスプレイ102に表示されるインターフェースを使用して、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、睡眠期間中のユーザの平均酸素飽和度を表示できる。いくつかの例では、ユーザは、ディスプレイ上の入力によって、ウェアラブルコンピューティングデバイス100がユーザに表示する追加データ(たとえば、酸素飽和度データ)を生成することを要求できる。これに応じて、ディスプレイは、要求されたデータを取得するための指示(たとえば、ウェアラブルコンピューティングデバイス100を適切に配置するための指示)をユーザに提示できる。さらに、追加データが収集されている間に、ウェアラブルコンピューティングデバイス100が、追加データが必要であると判定した場合、ディスプレイ102は、ユーザへの指示(たとえば、10秒間静止して下さい)を表示できる。
【0036】
実施形態では、デバイスハウジング104は、本開示で説明される1つまたは複数のセンサを含むように構成できる。デバイスハウジング104によって含まれる例示的なセンサは、光センサ(たとえば、フォトダイオード)、皮膚温度センサ、内部デバイス温度センサ、位置センサ(たとえば、GPS)、動作センサ、高度センサ、心拍数センサ、オーディオセンサ、圧力センサ、および他の生理学的センサを含むことができる。実施形態では、デバイスハウジング104は、1つまたは複数のプロセッサを含むようにも構成できる。バンド106は、たとえば、バンド106の端部をバックル、クラスプ、または他の同様の固定デバイスに接続することによって、ウェアラブルデバイス100を、ユーザの腕の周りに固定するように構成することができ、それによって、ウェアラブルデバイス100は、ユーザによる着用が可能となる。
【0037】
ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。各LEDを、電圧が印加されると、特定の波長または周波数で光を生成する半導体ダイオードとすることができる。特定の波長は、ユーザの体内における血液が、酸素で飽和されているか否かを判定するのに有用であるように選択できる。この例では、LEDは、赤色光を生成するように構成されたLED、赤外光を生成するように構成されたLED、および緑色光を生成するように構成されたLEDを含むことができる。LEDは、その光をユーザの皮膚に向けて下向きに投影するように、ウェアラブルコンピューティングデバイス100内に配置できる。LEDはまた、LEDによって投影された光が、ウェアラブルコンピューティングデバイス100内のフォトダイオードセンサに反射(または吸収および放射)されて戻ることができるように配置されるように構成され得る。
【0038】
図2は、本開示の例示的な実施形態によるウェアラブルコンピューティングデバイス100の裏面の例を示す。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、1つまたは複数の赤色、緑色、およびIRのLED202および広帯域フォトダイオード204を含むことができる。いくつかの例では、LEDは、追加の緑色LED206を含むことができる。これらLEDは、順番に(たとえば、所定の時間に1つだけがアクティブになるように次々に)オンすることができる。その場合、各LEDは、非常に限られた期間だけ起動できる。いくつかの例では、広帯域フォトダイオード204は、複数の時点について、関連付けられた波長で測定された光の強度を表す時系列データを生成できる。たとえば、時系列データは、一連の点について、LEDによって投影された光の各波長の強度のために、対応する値を含めることができる。たとえば、時間1において、フォトダイオードは、赤色光の強度値、赤外光の強度値、および緑色光の強度値を生成できる。
【0039】
いくつかの例では、すべての後に、光を電気信号に自動的に変換することによって、光の強度を測定できる。電気信号が測定され、値の時系列リストに格納できる値に変換され得る。いくつかの例では、電気信号は、信号の交流部分(AC信号)および信号の直流部分(DC信号)を含むことができる。
【0040】
図3は、血液が酸素を含むか酸素を含まないかに基づいて予想される後方反射光の強度を表す例示的なグラフ300を示す。見てわかるように、酸素を含む血液と、酸素を含まない血液とは、異なる吸光係数を有することができる。吸光係数は、材料が、特定の波長において、光をどの程度強く吸収または反射するかを判定できる。
【0041】
この例では、酸素を含む血液302と、酸素を含まない血液304との両方が、緑色波長310において同様の吸光係数を有する。対照的に、赤色波長306内では、酸素を含まない血液は、酸素を含む血液よりも高い吸光係数を有する。赤外波長308内では、酸素を含まない血液は、酸素を含む血液よりも低い吸光係数を有する。これらの差を使用して、ユーザコンピューティングシステム100は、ユーザの血液が酸素を含むか、または酸素を含まないかを推定できる。
【0042】
たとえば、反射される赤色光の量が、反射される赤外光の量よりも多い場合、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、血液が酸素で飽和されていると推定できる。逆に、反射される赤色光の量が、反射される赤外光の量よりも少ない場合、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、血液が酸素を含んでいないと推定できる。
【0043】
図4は、酸素を含む血液および酸素を含まない血液について、赤色信号およびIR信号について検出された光信号の例示的なグラフ400を示す。光の各波長の電気信号は、測定された光の(たとえば、心拍または他の要因に関連付けられた血液の量または流量の変化による)振幅の変化を表す交流成分402(AC)を含むことができる。電気信号の直流部分404(DC)は、血液の酸素化レベルが変化しない場合、比較的一定のままであり得る。赤色光に対応する電気信号の、DC信号に対するAC信号の比を、赤外光に対応する電気信号の、DC信号に対するAC信号の比で除することによって、飽和比(R)を生成できる。たとえば、Rは以下のように計算できる。
【0044】
【数1】
【0045】
赤色光およびIR光に対するAC信号およびDC信号の値は、ユーザの血液が酸素を含む(406)か、酸素を含まない(408)かに基づいて変化できる。したがって、赤外スペクトル光の波長を有する光は、測定されている血液が酸素を多く含む(AC信号振幅がより大きい)場合、より多く吸収され(たとえば、反射光が少なくなるため、DC信号が小さくなり)、血液量の変化に対してより敏感である。血液の酸素が低下すると、赤外光の吸収が少なくなり(たとえば、測定される反射光の量が多くなるため、DC信号が大きくなり)、血液量の変化に対する感度が低くなる(たとえば、測定光の強度の変化が減少するため、AC信号振幅が小さくなる)。
【0046】
逆に、赤色スペクトルの波長を有する光は、測定されている血液が酸素を多く含む(たとえば、AC信号振幅が小さい)場合、吸収が少なく(たとえば、より多くの光が反射されて、より大きなDC信号を与え)、血液量の変化に対する感度が低くなる。血液の酸素が低下すると、赤色光がより多く吸収され(たとえば、光検出器に反射して検出される光が少なくなり、したがってDC信号が小さくなり)、血液量の変化に対してより敏感になる(たとえば、測定された光の強度の変化が増加するため、AC信号の振幅が増加する)。
【0047】
図5は、本開示の例示的な実施形態による、計算された比に基づく酸素飽和レベルの例示的なグラフ500を示す。
【0048】
いくつかの例では、1つまたは複数の要因により、血中酸素化レベルの推定の精度が低下する可能性がある。たとえば、呼吸は、推定酸素飽和値に影響を与える可能性がある。これは、呼吸が速すぎる(もしくは頻繁である)、または強すぎる場合に特に当てはまる。同様に、ユーザの動きによって静脈拍動(たとえば、静脈の機械的拍動)が発生し、その領域の血液量、または血液の動きが変化し、正確な推定がより困難になる可能性がある。
【0049】
低灌流(たとえば、気温の低下または他の要因による血液の減少)は、血中酸素推定の精度を低下させる可能性がある。いくつかの例では、追加の要因は、呼吸よりも低い周波数で、意識のあるユーザに自発的に発生する動脈圧の振動であるメイヤー波を含むことができる。測定される光の強度は、測定が行われているユーザの体の部分に存在する毛細血管の密度に基づいて影響を受けることもある。静脈血は、動脈血と比較して、酸素を含んでいない可能性がある。そのため、静脈が密集している体の領域では、血液の酸素化を判定することがより困難になる可能性がある。
【0050】
たとえば、上記で述べたように、指先は、ユーザの手首よりも毛細血管の密度が高い可能性がある。赤色光と赤外光のスペクトルのみを使用してユーザの血液中に存在する酸素の量を推定すると、これら異なる要因の1つまたは複数により、測定が不正確になる可能性がある。
【0051】
これらの要因を軽減するために、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、これらの要因とは無関係なユーザの血液中の酸素の測定値を生成できる。そうするための1つの方法は、光の第3の波長を使用することである。この場合、光の第3の波長は、緑色波長スペクトルにある可能性がある。
【0052】
図6は、本開示の例示的な実施形態による、光検出器によって検出される緑色光、赤色光、およびIR光について検出された光信号の例示的なグラフ600を示す。緑色光602自体は、酸素レベルを判定するために正確な、酸素を含む血液と酸素を含まない血液との間の、強度の顕著な差を必ずしも示す訳ではない。しかしながら、緑色光602は、ユーザの脈拍数に対応する周波数において高い信号対雑音比を有することができる。
【0053】
したがって、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、1つまたは複数の赤色光源(たとえば、赤色光スペクトルの光を放射する1つまたは複数のLED)、赤外光源(たとえば、赤外光スペクトルの光を放射する1つまたは複数のLED)、1つまたは複数の緑色光源(たとえば、緑色光スペクトルで光を放射する1つまたは複数のLED)、および1つまたは複数の光検出器(たとえば、1つまたは複数の広帯域フォトダイオード)を含むことができる。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、3つの光源の各々が順番にオンされるように動作できる。しかしながら、場合によっては、光源は、少なくとも部分的に同時に起動され得る。光検出器は、光が検出されたときに放射されていた光の波長に関連付けられたユーザの皮膚から反射された光を測定できる。
【0054】
したがって、光検出器は、光源の各々について、複数の時点について、関連付けられた波長で測定された光の強度を表す時系列データを生成できる。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、赤色光604および緑色光602の時系列データのドット積値を、第1のドット積値として生成できる。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、赤外光606および緑色光602の時系列データから、第2のドット積値として、ドット積を生成できる。
【0055】
検出された緑色光602は、赤色光またはIR光(それぞれ604および606)よりも高い灌流を有し、心拍時の信号対雑音比が高いため、緑色光の系列データとのドット積を生成することにより、ユーザの心拍に対応する周波数に、赤色/IRデータをフィルタリングする効果を有することができる。このようにして、第1および第2のドット積値を使用して、各心拍における赤色/IR波形の振幅を判定できる。これは、心拍が、灌流が最も高くなる時点に対応でき、したがってユーザの血液中の酸素の最も信頼性の高い測定値を提供するので、有用である。これにより、システムは、動脈血酸素化を一貫して測定することもできる(たとえば、新しい血液は、システムを介して送り出されると、心拍ごとに動脈に流入する)。
【0056】
いくつかの例では、赤色/IR光の系列データと、緑色光の系列データとのドット積を計算するのではなく、別の方法を使用できる。たとえば、バンドパスフィルタは、緑色光の系列データで発見された心拍数の周波数に調整できる。
【0057】
いくつかの例では、ユーザコンピューティングシステムは、1つまたは複数の機械学習モデルを含むことができる。1つまたは複数の機械学習モデルにより、システムは、ユーザの血液中の推定酸素飽和レベルに関連付けられた信頼レベルを判定でき得る。
【0058】
図7は、本開示の例示的な実施形態による、ユーザの血液中の酸素レベルを推定する例示的なプロセスを示すフローチャートを示す。この方法の1つまたは複数の部分は、たとえば本明細書で説明されるコンピューティングデバイスなどの1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行できる。さらに、方法の1つまたは複数の部分は、本明細書で説明されるデバイスのハードウェア構成要素上のアルゴリズムとして実行できる。図7は、例示および議論の目的のために、特定の順番で実行される要素を示す。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本明細書で議論される方法のいずれかの要素が、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な手法で適合、再構成、拡張、省略、結合、および/または修正できることを理解するであろう。この方法は、図1および図2に示されるコンピューティングデバイスの1つまたは複数など、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行できる。
【0059】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス(たとえば、図1におけるウェアラブルコンピューティングデバイス100)は、702において、緑色光、赤色光、および赤外光の光電脈波記録データを入力として使用できる。いくつかの例では、緑色光、赤色光、および赤外光が、ウェアラブルコンピューティングデバイス100を装着しているユーザの皮膚に投影される。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ウェアラブルスマートウォッチとすることができる。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、1つまたは複数のLEDを含むことができる。LEDは、印加されている電圧に応じて、その構成に基づいて、その波長の光を生成するように制御できる。いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、他の光源を含むことができる。
【0060】
ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ユーザの皮膚から反射された光を検出するフォトダイオードを含むことができる。いくつかの例では、フォトダイオード(または別の光センサ)は、1つまたは複数の波長で、検出された光を表す電気信号を生成できる。
【0061】
それに加えて、加速度計からの動きデータを、入力として使用できる。酸素濃度測定モジュールは、704において、1秒間の酸素飽和度データを生成できる。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、706において、(一連の1秒データスライス(slice)に基づく)5分間のデータを使用して、5分間の特徴量データを抽出できる。たとえば、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、5分間にわたって一連の1秒のスライスを収集できる。次に、これらのスライスを平均化または合計して、期間全体を表す数値を取得できる。他の分析および信号処理技術を実行して、経時的な光の波長の強度を表す時系列データから特徴量を抽出できる。
【0062】
710において、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、回帰モデルを使用して、推定酸素飽和値を判定できる。回帰モデルは、回帰分析を実行して、ユーザの血液の推定酸素飽和レベルを判定できる。
【0063】
ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、708において、機械学習モデルを使用して、ユーザの酸素飽和度の正確な推定を生成するために、入力データを使用できる程度を表す信頼値を判定できる。たとえば、機械学習モデルは、複数の特徴量を入力として受け取ることができるようにトレーニングできる。機械学習モデルは、信頼値を出力できる。信頼値は、推定酸素飽和レベルが正確である程度を表すことができる。
【0064】
ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、複数の5分間からの信頼値および推定酸素飽和度を処理して、712において、酸素飽和度の一晩の平均値を生成できる。
【0065】
図8は、本開示の例示的な実施形態による信頼モデルへの入力例800を示す。たとえば、信頼度分類器(confidence classifier)は、赤色光またはIRと緑色光との間の相関関係や、緑色灌流に対する赤色灌流の比を含む、様々な入力信号を使用できる。
【0066】
分類器への入力として使用できる特徴量は、飽和係数の平均値、赤色信号およびIR信号の傾き、赤色/緑色相関係数、赤色灌流/緑色灌流値、赤色IR相関係数、飽和比、飽和比の2乗および3乗、赤色信号とIR信号との間の相関関係、赤色信号と緑色信号との間の相関関係、緑色信号とIR信号との間の相関関係、緑色灌流に対する赤色灌流の比、IR灌流値、赤色灌流値、AC比平均、DC比平均、加速度の標準偏差、緑色応答電力、IC AC振幅変動で除された赤色AC振幅変動、赤色DC傾きおよび絶対値、IR DC傾きおよび絶対値、赤色DC標準偏差、ならびにIR DC標準偏差を含むことができるが、これらに限定されない。他の値を、分類器への入力として使用して、酸素飽和推定値に関連付けられた信頼レベルを判定できる。
【0067】
機械学習信頼度分類器は、測定値の優先順位を入力として使用して、信頼値を生成できる。信頼値は、推定酸素飽和値が正しいとシステムが確信する程度を表すことができる。いくつかの例では、信頼値がしきい値を下回った場合、酸素飽和値は破棄され、それ以上使用されないようにすることができる。信頼レベルが、特定の所定のしきい値を超える場合、(たとえば、ユーザへの表示のために、または他の計算において)酸素飽和値を使用できる。
【0068】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、飽和比に基づいて、ルックアップテーブルの代わりに、機械学習された回帰モデルを使用して酸素飽和度を判定できる。機械学習された回帰モデルは、飽和係数の平均値、赤色信号およびIR信号の傾き、赤色/緑色相関係数、赤色灌流/緑色灌流値、赤色IR相関係数などの様々な入力を使用できるが、これらに限定されない。
【0069】
ユーザコンピューティングシステムは、機械学習回帰モデルと機械学習信頼度分類器との両方への入力として、ユーザの動きを推定できる。いくつかの例では、加速度計を使用して、ユーザの動きを判定できる。他の例では、赤色光に対する光電脈波記録法(PPG)、および赤外光に対するPPGを使用して、ユーザの動きを判定できる。たとえば、腕の筋肉の屈曲など、加速度計では検出が困難である動きも、赤色光または赤外光のPPGを介して検出可能であり、飽和推定値に関連付けられた信頼度を判定するために使用できる。
【0070】
いくつかの例では、ユーザの飽和レベルは、数分、数時間、または数日などの長期間にわたって判定できる。いくつかの例では、ユーザの酸素飽和レベルは、ウェアラブルコンピューティングデバイスに組み込まれたディスプレイを介してユーザに表示できる。
【0071】
図9は、本開示の例示的な実施形態によるウェアラブルコンピューティングデバイス900を含む例示的なコンピューティング環境を示す。この例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス900は、1つまたは複数のプロセッサ902、メモリ904、1つまたは複数の発光ダイオード910、光センサ912、飽和推定システム914、信頼度判定システム920、およびディスプレイシステム922を含むことができる。
【0072】
より詳細には、1つまたは複数のプロセッサ902は、ウェアラブルコンピューティングデバイスのフォームファクタに埋め込むことができる任意の適切な処理デバイスとすることができる。たとえば、そのようなプロセッサは、1つまたは複数のプロセッサコア、マイクロプロセッサ、ASIC、FPGA、コントローラ、マイクロコントローラなどのうちの1つまたは複数を含むことができる。1つまたは複数のプロセッサは、1つのプロセッサであることも、動作可能に接続された複数のプロセッサであることもできる。メモリ904は、RAM、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリデバイスなど、およびそれらの組合せのような、1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0073】
特に、いくつかのデバイスでは、メモリ904は、飽和推定システム914、信頼度判定システム920、およびディスプレイシステム922を実施するための命令を格納できる。ウェアラブルコンピューティングデバイス900は、本開示の態様を実行するために飽和推定システム914を実施できる。
【0074】
用語「システム」は、特殊なハードウェアや、より一般的なプロセッサで実行するコンピュータロジックや、またはそれらのいずれかの組合せを指すことができると理解されるであろう。したがって、システムは、ハードウェアや、特定用途向け回路や、ファームウェアや、および/または、汎用プロセッサを制御するソフトウェアで実行できる。1つの実施形態では、システムは、記憶デバイスに格納され、メモリにロードされ、プロセッサによって実行されるプログラムコードファイルとして実行できるか、あるいは、RAM、ハードディスク、または光学媒体もしくは磁気媒体などの有形のコンピュータ可読記憶媒体に格納される、たとえばコンピュータ実行可能命令である、コンピュータプログラム製品から提供できる。
【0075】
メモリ904はまた、1つまたは複数のプロセッサ902によって検索、操作、作成、または格納できるデータ906および命令908を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、そのようなデータは、アクセスされ、飽和推定システム914、信頼度判定システム920、およびディスプレイシステム922への入力として使用できる。いくつかの例では、メモリ904は、1つまたは複数のプロセスを実行するために使用されるデータ、およびそれらのプロセスがどのように実行できるのかを記述する命令を含むことができる。
【0076】
ウェアラブルコンピューティングデバイス900は、1つまたは複数の光源(たとえば、発光ダイオード910)、および1つまたは複数の光検出構成要素(たとえば、光センサ912)を含むことができる。いくつかの例では、光源は、発光ダイオード(LED)とすることができ、1つまたは複数の指定された波長範囲の光を生成するように調整できる。たとえば、特定のウェアラブルコンピューティングデバイス900は、赤色LED、緑色LED、および赤外LEDを含むことができる。各LEDは、生成するように構成された、関連付けられた波長の光を生成できる。いくつかの例では、各LEDによって生成される光を、狭い波長帯域内でかなり狭く生成できる。たとえば、緑色LEDは、500nmから565nmの間の波長を有する光を生成できる。赤色LEDは、625nmから750nmの間の波長を有する光を生成できる。赤外LEDは、750nmを超える波長を有する光を生成できる。
【0077】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、光センサ912も含むことができる。光センサは、ユーザの皮膚から放射された光を検出できるセンサとすることができる。いくつかの例では、光センサ912を、フォトダイオードとすることができる。フォトダイオードは、様々な波長の光を検出できる。いくつかの例では、フォトダイオードは、存在する特定の波長と、現在の波長の各々における光の強度とを判定できる。フォトダイオードは、検出した光を電気信号に変換できる。いくつかの例では、フォトダイオードは、3つすべての波長の光を同時に収集でき、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、信号処理技術を使用して、異なる波長から異なる信号を抽出できる。他の例では、各LEDを、連続的に短期間オンにすることができ、その期間から得られる信号を、特定のLEDに関連付けることができる。
【0078】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス900は、生成された電気信号を使用して、ユーザの血液の酸素飽和レベルを推定できる。たとえば、酸素を含む血液は、赤色光の吸収が少なくなり得る。したがって、フォトダイオードは、放射された(または反射された)赤色光を、より高い強度で検出する。したがって、赤色光に応じて生成される電気信号は、より大きくなる。逆に、血液の酸素が低下すると、血液が吸収する赤外光が少なくなり、したがって赤外光に応じて生成される電気信号が大きくなる。
【0079】
いくつかの例では、光センサ912によって生成された電気信号は、飽和推定システム914によってアクセスされる。飽和推定システム914は、信号の飽和比を判定できる。いくつかの例では、飽和比は、赤外の電気信号に対する赤色光の電気信号の比である。高い飽和比を、酸素を含む血液に関連付け、低い飽和比を、酸素を含まない血液に関連付けることができる。
【0080】
フィルタリングシステム916は、測定された赤色光および測定された赤外光に関連付けられた電気信号をフィルタリングすることによって、飽和比の信頼性を向上できる。そうするために、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、赤色光および緑色光の時系列データのドット積値を、第1のドット積値として生成できる。フィルタシステム916は、赤外光および緑色光の時系列データからのドット積を、第2のドット積値として生成できる。
【0081】
緑色光の系列データとのドット積を生成することで、赤色/IRデータを、ユーザの心拍に対応する周波数にフィルタリングする効果を有することができる。このようにして、第1および第2のドット積値を使用して、各心拍における赤色/IR波形の振幅を判定できる。これは、心拍が、灌流が最も高くなる時点に対応でき、したがってユーザの血液中の酸素の最も信頼性の高い測定値を提供するので、有用である。また、これによって、システムは、動脈血酸素化を一貫して測定することも可能となる(たとえば、新しい血液が、システムを介して送り出されるときに、心拍ごとに動脈に流入する)。
【0082】
いくつかの例では、酸素判定システム918は、ユーザの血液の推定酸素化レベルを判定できる。いくつかの例では、推定酸素化レベルは、酸素を含むか、または酸素を含まないかのいずれかであり得る。たとえば、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、所定のしきい値を有することができ、そのしきい値を上回ると血液が酸素を含むとみなされ、そのしきい値を下回ると血液が酸素を含まないとみなされる。いくつかの例では、酸素判定システム918は、しきい値と比較できる特定の推定酸素化レベルを提供できる。他の例では、特定の酸素レベルを格納し、ユーザに表示できる。
【0083】
いくつかの例では、飽和推定システム914が、飽和比を判定し、電気信号データをフィルタリングした(または、飽和比の信頼性を向上させるためにデータを処理した)後、信頼度判定システム920は、電気信号データから(直接的に、または電気信号データを処理することによって)特徴量データを生成できる。
【0084】
特徴量は、信頼度判定システム920によって機械学習モデルへの入力として使用できる。機械学習モデルは、検出された光に基づいて生成された電気信号に関連付けられた入力を取得し、信頼値を出力するようにトレーニングできる。信頼値は、推定された飽和度が正確であるとモデルが確信する程度を表すことができる。
【0085】
カウンタ判定システム920が、推定酸素化レベルに対するI信頼度を判定すると、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、ディスプレイシステム922にアクセスできる。ディスプレイシステム922は、ウェアラブルコンピューティングデバイス900のディスプレイを制御でき、ユーザが興味のある情報を、ディスプレイ上に表示できる。いくつかの例では、ユーザは特定の情報が表示されることを要求でき、ディスプレイシステム922は、その情報を提供できる。
【0086】
図10は、本開示の例示的な実施形態による、ユーザの血液中の酸素レベルを推定するための方法の例示的なフロー図を示す。この方法の1つまたは複数の部分は、たとえば本明細書で説明されるコンピューティングデバイスなどの1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行できる。さらに、方法の1つまたは複数の部分は、本明細書で説明されるデバイスのハードウェア構成要素上のアルゴリズムとして実行できる。図10は、例示および議論を目的として、特定の順番で実行される要素を示す。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本明細書で議論される方法のいずれかの要素が、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な手法で適合、再構成、拡張、省略、結合、および/または修正できることを理解するであろう。この方法は、図1から図2に示されるコンピューティングデバイスの1つまたは複数など、1つまたは複数のコンピューティングデバイスによって実行できる。
【0087】
ウェアラブルコンピューティングデバイス(たとえば、図1におけるウェアラブルコンピューティングデバイス100)は、1つまたは複数のプロセッサや、メモリや、ウェアラブルコンピューティングデバイス100がユーザの血液中の酸素飽和レベルを推定することをともに可能にする他の構成要素を含むことができる。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、1002において、1つまたは複数の緑色光源を使用して、緑色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射できる。たとえば、1つまたは複数の緑色LEDは、500nmから565nmの間の波長を有する光を生成できる。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、1004において、1つまたは複数の赤色光源を使用して、赤色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射できる。1つまたは複数の赤色LEDは、625nmから750nmの間の波長を有する光を生成できる。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、放射し、1006において、赤外光源を使用して、1回または複数回、赤外波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射できる。
【0088】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、1008において、ウェアラブルコンピューティングデバイス100によって、ユーザの皮膚表面から放射された緑色光、赤色光、および赤外光の強度を検出できる。いくつかの例では、フォトダイオードは、ユーザの皮膚表面から放射された緑色光、赤色光、および赤外光の強度を検出するために使用される。フォトダイオードは、緑色光、赤色光、および赤外光の各々について、時間経過に対応して、関連付けられた光の強度を表すそれぞれの電気信号を生成できる。
【0089】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、推定酸素飽和レベルを生成できる。そうするために、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、赤色光の電気信号と、赤外光の電気信号との飽和比を判定できる。
【0090】
ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、緑色光に関連付けられた電気信号を使用して、赤色光の電気信号および赤外光の電気信号をフィルタリングできる。そうするために、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、緑色光に関連付けられた電気信号と、赤色光に関連付けられた電気信号とのドット積を生成できる。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、緑色光に関連付けられた電気信号と、赤外光に関連付けられた電気信号とのドット積を生成できる。
【0091】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、緑色光、赤色光、および赤外光の検出された強度から、特徴量データを生成できる。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、特徴量データを入力として有する機械学習モデルを使用して、ユーザの血液の推定酸素飽和レベルに関連付けられた信頼レベルを判定できる。
【0092】
ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、信頼レベルが所定のしきい値を超えるかを判定できる。コンピューティングシステムが、信頼レベルが所定のしきい値を超えていると判定することに応じて、推定酸素飽和レベルを格納する。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、コンピューティングシステムが、信頼レベルが所定のしきい値を超えないと判定することに応じて、コンピューティングシステムによって、推定酸素飽和レベルを破棄できる。いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、推定酸素飽和レベルを表示できる。
【0093】
本明細書で議論される技術は、センサおよび他のコンピュータベースのシステム、ならびにそのようなシステムに対して講じられるアクションおよびそのようなシステムから送られる情報を指す。当業者であれば、コンピュータベースのシステムの固有の柔軟性により、構成要素間でのタスクおよび機能の多種多様な可能な構成、組合せ、および分割が可能となることを認識するであろう。たとえば、本明細書で議論されるプロセスは、単一のシステム、または組み合わせて動作する複数のシステムを使用して実行され得る。データベースおよびアプリケーションは、単一のシステムにおいて、または、複数のシステム間で分散されて実行され得る。分散された構成要素は、順番に、または並行して動作し得る。
【0094】
本主題は、その特定の例示的な実施形態に関して詳細に説明されているが、当業者が前述を理解すれば、そのような実施形態に対する変更、変形、および等価物を容易に生成し得ることが理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく、例によるものであり、主題の開示は、当業者によって容易に明らかなような、本主題に対するそのような修正、変形、および/または追加を含むことを排除しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-03-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにおける血中酸素飽和度を測定するための、コンピュータが実行する方法であって、
1つまたは複数の緑色光源を使用して1つまたは複数のプロセッサを有するコンピューティングシステムが、緑色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射することと、
1つまたは複数の赤色光源を使用してコンピューティングシステムが、赤色波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射することと、
1つまたは複数の赤外光源を使用してコンピューティングシステムが、赤外波長で、光をユーザの皮膚に向けて放射することと、
前記コンピューティングシステムが、ユーザの前記皮膚から放射された緑色光、赤色光、および赤外光の強度を検出することと、
前記コンピューティングシステムが、推定酸素飽和レベルを判定することとを含む、コンピュータが実行する方法。
【請求項2】
ユーザの前記皮膚から放射された緑色光、赤色光、および赤外光の強度を検出するために、1つまたは複数の光センサが使用される、請求項1に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数の光センサは、緑色光、赤色光、および赤外光の各々について、それぞれの電気信号を生成し、特定の光の波長のそれぞれの前記電気信号は、1つの回または複数回、光の波長の強度を表す、請求項2に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項4】
前記コンピューティングシステムが、推定酸素飽和レベルを判定することは、
前記コンピューティングシステムが、前記赤色光の電気信号と、前記赤外光の電気信号との飽和比を判定することを含む、請求項3に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項5】
前記コンピューティングシステムが、推定酸素飽和レベルを判定することは、
前記コンピューティングシステムが、前記緑色光に関連付けられた前記電気信号を使用して、前記赤色光の前記電気信号および前記赤外光の前記電気信号をフィルタリングすることを含む、請求項3に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項6】
前記コンピューティングシステムが、前記緑色光に関連付けられた前記電気信号を使用して、前記赤色光の前記電気信号および前記赤外光の前記電気信号をフィルタリングすることはさらに、
前記コンピューティングシステムが、前記緑色光に関連付けられた前記電気信号と、前記赤色光に関連付けられた前記電気信号とのドット積を生成することと、
前記コンピューティングシステムが、前記緑色光に関連付けられた前記電気信号と、前記赤外光に関連付けられた前記電気信号とのドット積を生成することとを含む、請求項5に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項7】
前記コンピューティングシステムが、緑色光、赤色光、および赤外光の検出された前記強度から、特徴量データを生成することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項8】
前記コンピューティングシステムが、前記特徴量データを入力として有する機械学習モデルを使用して、前記ユーザの血液の前記推定酸素飽和レベルに関連付けられた信頼レベルを判定することをさらに含む、請求項7に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項9】
前記コンピューティングシステムが、前記信頼レベルが所定のしきい値を超えるかを判定することをさらに含む、請求項8に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項10】
前記コンピューティングシステムが、前記信頼レベルが所定のしきい値を超えていると判定することに応じて、前記推定酸素飽和レベルを格納することをさらに含む、請求項9に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項11】
前記コンピューティングシステムが、前記信頼レベルが所定のしきい値を超えないと判定することに応じて、前記コンピューティングシステムが、前記推定酸素飽和レベルを破棄することをさらに含む、請求項9に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項12】
前記コンピューティングシステムが、前記推定酸素飽和レベルを表示することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項13】
前記コンピューティングシステムは、ウェアラブルコンピューティングデバイスである、請求項1に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項14】
ウェアラブルコンピューティングデバイスであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
コンピュータ可読メモリとを備え、前記コンピュータ可読メモリは、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記ウェアラブルコンピューティングデバイスに、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を格納する、ウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項15】
1つまたは複数のプロセッサに請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行させるための、プログラム
【国際調査報告】