(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】気管切開ガード及び関連のアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 16/04 20060101AFI20240829BHJP
A61M 16/08 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
A61M16/08 300A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513019
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 NZ2022050114
(87)【国際公開番号】W WO2023027601
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518329918
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FISHER & PAYKEL HEALTHCARE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】バン シャルクウィク, アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】オドネル, ケビン ピーター
(57)【要約】
患者インターフェース用の気管切開ガード(10、30、40、50)が提供される。気管切開ガード(10、30、40、50)は、使用中、患者インターフェースに接続するように配置された第1の部分(11)と、第1の部分に取り付けられ、且つ使用中、患者インターフェース及び/又は第1の部分(11)と流体連通するように構成される第2の部分(12)とを含む。第2の部分(12)は、周囲環境と流体連通する少なくとも1つのアパーチャを形成する少なくとも1つの第1の部材(121)及び/又は第2の部材(122)を含み、アパーチャ(13)のサイズは、使用中、第2の部分の少なくとも一部に加えられる力に応えて、可変である。気管切開ガード、弁ユニット、弁構成要素、及び部品のキットを含むアセンブリ(100)も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェース用の気管切開ガードであって:
使用中、患者インターフェースと流体連通するように接続するように配置された、第1の部分と、
前記第1の部分と流体連通する第2の部分であって、周囲環境と流体連通する少なくとも1つのアパーチャを形成する少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材を含み、前記アパーチャのサイズは、使用中、前記第2の部分の少なくとも一部に加えられる力に応えて、可変である、第2の部分と
を含む、気管切開ガード。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の部材は、加えられる前記力に応えて、前記第2の部材に対して二方向に偏る又は動くように配置される、請求項1に記載の気管切開ガード。
【請求項3】
前記アパーチャの前記サイズは前記アパーチャの断面寸法に関連する、請求項1又は2に記載の気管切開ガード。
【請求項4】
加えられる前記力は、前記気管切開ガード内のガスのガス流量と関連付けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項5】
前記ガス流量は、成人患者では20l/min~150l/min又は20l/min~80l/min、及び新生児や小児科の患者では1l/min~30l/minの高流量に関連する、請求項4又はそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項6】
前記アパーチャの前記可変サイズは、使用中、加えられる前記力に応えて、そこを通した痰の放出を可能にするように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項7】
使用中、前記第2の部分に加えられる前記力は、少なくとも部分的に、前記第2の部分内に存在する痰の重量に起因する、請求項1~6のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項8】
前記アパーチャの前記可変サイズは、使用中、最小設定値の呼気終末陽圧(PEEP)を達成するように構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項9】
最小設定値のPEEPは:1cmH
20~7cmH
20の範囲から選択される、請求項8に記載の気管切開ガード。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1の部材及び/又は前記第2の部材は、前記少なくとも1つの可変サイズのアパーチャを形成するように相対的に配置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項11】
前記1つ又は複数の第1の部材は第1の材料又は構造特性を有し、及び前記1つ又は複数の第2の部材は第2の材料又は構造特性を有し、前記第1の材料又は構造特性及び前記第2の材料又は構造特性は、前記加えられた力に応えて前記可変サイズのアパーチャの前記サイズを変更できるように選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項12】
前記第1の材料又は構造特性及び第2の材料又は構造特性は、以下:剛性、スティフネス、柔軟性、弾性係数、断面二次モーメント、長さ、幅、及び/又は厚さうちの少なくとも1つに関連する、請求項11に記載の気管切開ガード。
【請求項13】
前記第1の材料又は構造特性は前記第1の部材の厚さに関連し、及び/又は前記第2の材料又は構造特性は前記第2の部材の厚さに関連する、請求項11に記載の気管切開ガード。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1の部材又は第2の部材は、ポリマー、エラストマー、熱可塑性ポリマー若しくはエラストマー、又は熱硬化性ポリマーで作製される、請求項1~13のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項15】
前記第2の部分は前記第1の部分に解放自在に取り付けられる、請求項1~14のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項16】
前記第2の部分は前記第1の部分に封止式に取り付けられる、請求項1~15のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項17】
前記第2の部分の少なくとも一部は前記第1の部分と一体である、請求項1~14のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項18】
加えられる前記力は前記第2の部分の内圧に関連付けられる、請求項1~17のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項19】
前記第1の部分及び第2の部分は一緒に、使用中、前記1つ又は複数の可変サイズのアパーチャのみを経由して前記周囲環境と流体連通する空洞部を形成する、請求項1~18のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項20】
前記アパーチャは、前記気管切開ガードの静止状態において、その最小サイズに達する、請求項1~19のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第1の部材又は第2の部材はフラップ又はパネルを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項22】
前記第1の材料又は構造特性及び/又は第2の材料又は構造特性は、前記加えられた力に基づいて、前記第1の部材及び/又は第2の部材の可逆的な変形を可能にするように選択される、請求項11又はそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項23】
アパーチャの前記サイズは、前記可逆的な変形に基づいて可変である、請求項23に記載の気管切開ガード。
【請求項24】
前記第2の部分は、使用中、前記患者インターフェースと流体連通するように構成される、請求項1~23のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項25】
患者インターフェース用の気管切開ガードであって:
使用中、患者インターフェースと流体連通するように取り付けるように配置された第1の部分と、
前記第1の部分と流体連通する第2の部分であって、
第1の材料又は構造特性を有する少なくとも1つの第1の部材、及び
第2の材料又は構造特性を有する第2の部材
を含む、第2の部分と
を含み、
前記第1の材料又は構造特性は前記第2の材料又は構造特性とは異なり、且つ使用中、前記第2の部分の少なくとも一部に加えられる力に応えて、前記第1の部材の可逆的な変形を可能にするように選択される、気管切開ガード。
【請求項26】
前記少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材は、周囲環境と流体連通する少なくとも1つのアパーチャを形成するように相対的に配置され、前記アパーチャのサイズは、使用中、前記第2の部分に加えられる前記力に応えて、可変である、請求項25に記載の気管切開ガード。
【請求項27】
前記少なくとも1つの第1の部材は、加えられる前記力に応えて、前記第2の部材に対して偏る又は動くように配置される、請求項25又は26に記載の気管切開ガード。
【請求項28】
前記アパーチャの前記サイズは前記アパーチャの断面寸法に関連する、請求項26又はそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項29】
加えられる前記力は、前記気管切開ガード内のガスの流量に関連付けられる、請求項25~28のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項30】
前記ガス流量は、成人患者では20l/min~150l/min又は20l/min~80l/min、及び新生児や小児科の患者では1l/min~30l/minの高流量に関連する、請求項29又はそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項31】
前記アパーチャの前記可変サイズは、使用中、加えられる前記力に応えて、そこを通した痰の放出を可能にするように構成される、請求項26又はそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項32】
使用中、前記第2の部分に加えられる前記力は、少なくとも部分的に、前記第2の部分内に存在する痰の重量に起因する、請求項25~31のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項33】
前記アパーチャの前記可変サイズは、使用中、最小設定値の呼気終末陽圧(PEEP)を達成するように構成される、請求項26又はそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項34】
最小設定値のPEEPは:1cmH
20~7cmH
20の範囲から選択される、請求項33に記載の気管切開ガード。
【請求項35】
前記第1の材料又は構造特性及び第2の材料又は構造特性は、以下:剛性、スティフネス、柔軟性、弾性係数、断面二次モーメント、長さ、幅、及び/又は厚さのうちの少なくとも1つに関連する、請求項25~34のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項36】
前記第1の材料又は構造特性は前記1つ又は複数の第1の部材の厚さに関し、及び/又は前記第2の材料又は構造特性は前記第2の部材の厚さに関連する、請求項25~35のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項37】
前記少なくとも1つの第1の部材又は第2の部材は、ポリマー、エラストマー、熱可塑性ポリマー若しくはエラストマー、又は熱硬化性ポリマーで作製される、請求項25~36のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項38】
前記第2の部分は前記第1の部分に解放自在に取り付けられる、請求項25~37のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項39】
前記第2の部分は前記第1の部分に封止式に取り付けられる、請求項25~38のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項40】
前記第2の部分の少なくとも一部は前記第1の部分と一体である、請求項25~37のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項41】
加えられる前記力は前記第2の部分の内圧に関連付けられる、請求項25~40のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項42】
前記第1の部分及び第2の部分は一緒に、使用中、前記1つ又は複数の可変サイズのアパーチャのみを経由して前記周囲環境と流体連通する空洞部を形成する、請求項25~41のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項43】
前記アパーチャは、前記気管切開ガードの静止状態において、その最小サイズに達する、請求項26又はそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項44】
前記第1の部材又は第2の部材はフラップ又はパネルを含む、請求項25~43のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項45】
アパーチャのサイズは、前記可逆的な変形に基づいて変化する、請求項26又はそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項46】
患者インターフェース用の気管切開ガードであって:
患者インターフェースに解放自在に取り付けるように配置された端部を有する第1の部分であって:
前記気管切開ガードに接続されるとき、前記患者インターフェースの対応するアライメント特徴と位置合わせするための外側形状又は境界を有するアライメント特徴;及び
取付部材であって、
前記第1の部分が前記患者インターフェースに取り付けられるときに、前記患者インターフェースの対応する取付部材と結び合わせ、及び
前記第1の部分に指向性の力を加えると、前記患者インターフェースの前記対応する取付部材から接続を外される
ように配置された、取付部材
を含む、第1の部分
を含む、気管切開ガード。
【請求項47】
前記アライメント特徴は前記第1の部分の外側形状又は境界に関連する、請求項46に記載の気管切開ガード。
【請求項48】
前記アライメント特徴は、前記第1の部分の引き伸ばされた形状又は舌形状の延長部の外側形状又は境界に関連する、請求項46又は47に記載の気管切開ガード。
【請求項49】
前記取付部材は取付解除リップを含む、請求項46~48のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項50】
前記取付部材は、前記第1の部分の滑らかなチューブ状の内部表面によって形成され、前記滑らかなチューブ状の内部表面は、前記患者インターフェースの対応する滑らかな外面と結び合わせるように配置される、請求項46~49のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項51】
前記取付部材は、摩擦嵌めによって、前記患者インターフェースの前記対応する取付部材と結び合わせるように配置される、請求項46~50のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項52】
前記取付部材は、前記患者インターフェースの対応する凹部と結び合わせるように構成される突出部を含む、請求項46~50のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項53】
前記取付部材は、前記患者インターフェースの対応する突出部と結び合わせるように構成される凹部を含む、請求項46~50のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項54】
ハイフロー気管切開術を施すためのアセンブリであって、
請求項1~24、請求項25~45、又は請求項46~53のいずれか1項に記載の気管切開ガードと、
以下:
前記気管切開ガードへ接続するための気管切開患者インターフェース、
その第1の端部にあるガス源をその第2の端部にある前記気管切開患者インターフェースに接続するように配置された導管又はチューブ、及び
使用中、前記導管を経由して前記患者インターフェースへガスの流れを供給するためのガス源
のうちの少なくとも1つと
を含む、アセンブリ。
【請求項55】
前記ガス源は送風器及び加湿器を含む、請求項54に記載のアセンブリ。
【請求項56】
前記導管又はチューブは、過剰な水蒸気が前記チューブから大気へ出ることを可能にする呼吸に適したチューブである、請求項54に記載のアセンブリ。
【請求項57】
前記気管切開インターフェースは前記呼吸に適したチューブを含む、請求項56に記載のアセンブリ。
【請求項58】
ハイフロー気管切開術を施すための気管切開インターフェースアセンブリであって、
請求項1~24、請求項25~45、又は請求項46~53のいずれか1項に記載の気管切開ガードと、
気管切開インターフェースであって:
患者の気道に接続するための第1の端部、
前記第1の端部を経由して前記患者へガスの流れを供給するためのガス源に接続するためのポート、及び
前記気管切開ガードの第1の部分に接続するための第2の端部
を含む、気管切開インターフェースと
を含む、気管切開インターフェースアセンブリ。
【請求項59】
前記気管切開ガードは、前記第1の部分を介して前記気管切開インターフェースの前記第2の端部に解放自在に取り付け可能である、請求項58に記載の気管切開インターフェースアセンブリ。
【請求項60】
患者インターフェース用の気管切開ガードであって、前記気管切開ガードは:
使用中、患者インターフェースに接続するように配置された第1の部分;
前記第1の部分に取り付けられ、且つ使用中、前記患者インターフェースと流体連通するように構成される第2の部分であって、周囲環境と流体連通する少なくとも1つのアパーチャを形成する、第2の部分
を含み、
前記アパーチャの有効サイズは、使用中、前記第2の部分の少なくとも一部に加えられる力に応えて、可変である、気管切開ガード。
【請求項61】
前記第2の部分の前記少なくとも一部は、前記アパーチャに近接した前記第2の部分の領域を含み、前記領域は弾性変形するように構成されて、前記アパーチャの前記有効サイズが、前記領域に加えられた力に応えて変化するようにする、請求項60に記載の気管切開ガード。
【請求項62】
前記領域は二方向に弾性変形可能である、請求項61に記載の気管切開ガード。
【請求項63】
前記領域は静止位置に偏位され、そこでは、前記アパーチャの前記有効サイズはその最小である、請求項61又は62に記載の気管切開ガード。
【請求項64】
前記領域は、有効サイズの増大が制御式に又は段階的に生じて所望の圧力を維持できるようにし、且つ痰の強力な吐き出しを防ぐように構成される、請求項61~63のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項65】
前記領域は、前記静止位置から始めると、前記アパーチャの前記有効サイズが、加えられる前記力の絶対値が増大するにつれて増大するように構成される、請求項63に記載の気管切開ガード。
【請求項66】
前記第2の部分は、少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材を含み;及び
前記少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材は前記少なくとも1つのアパーチャを形成する、請求項60~65のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項67】
前記第2の部分の前記少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材は、前記第2の部分の前記少なくとも一部に加えられる前記力に応えて弾性的に可動であり、それにより、可変有効サイズの前記少なくとも1つのアパーチャを提供する、請求項66に記載の気管切開ガード。
【請求項68】
前記第2の部分の前記少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材は、二方向に弾性的に可動である、請求項66又は67に記載の気管切開ガード。
【請求項69】
前記少なくとも1つの第1の部材は、加えられる前記力に応えて、前記少なくとも1つの第2の部材に対して偏る又は動くように配置される、請求項66~68のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項70】
前記アパーチャの前記有効サイズは前記アパーチャの断面寸法に関連する、請求項60~69のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項71】
加えられる前記力は、前記気管切開ガード内のガスのガス流量と関連付けられる、請求項60~70のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項72】
前記ガス流量は、成人患者では20l/min~150l/min又は20l/min~80l/min、及び新生児や小児科の患者では1l/min~30l/minの高流量に関連する、請求項71又はそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項73】
前記アパーチャの前記可変有効サイズは、使用中、加えられる前記力に応えて、前記アパーチャを通した痰の放出を可能にするように構成される、請求項60~72のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項74】
加えられる前記力は、少なくとも部分的に、前記第2の部分内に存在する痰の重量に起因する、請求項60~73のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項75】
前記アパーチャの前記可変サイズは、使用中、最小設定値の呼気終末陽圧(PEEP)を達成するように構成される、請求項60~74のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項76】
最小設定値のPEEPは:1cmH
20~7cmH
20の範囲から選択される、請求項75に記載の気管切開ガード。
【請求項77】
前記少なくとも1つの第1の部材及び第2の部材は、前記少なくとも1つの可変サイズのアパーチャを形成するように相対的に配置される、請求項66又はそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項78】
前記1つ又は複数の第1の部材は第1の材料又は構造特性を有し、及び前記1つ又は複数の第2の部材は第2の材料又は構造特性を有し、前記第1の材料又は構造特性及び前記第2の材料又は構造特性は、前記加えられた力に応えて前記可変サイズのアパーチャの前記サイズを変更できるように選択される、請求項66~77のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項79】
前記第1の材料又は構造特性及び第2の材料又は構造特性は、以下:剛性、スティフネス、柔軟性、弾性係数、断面二次モーメント、長さ、幅、及び/又は厚さのうちの少なくとも1つに関連する、請求項78に記載の気管切開ガード。
【請求項80】
前記第1の材料又は構造特性は前記第1の部材の厚さに関連し、及び/又は前記第2の材料又は構造特性は前記第2の部材の厚さに関連する、請求項78に記載の気管切開ガード。
【請求項81】
前記第1の部材及び/又は第2の部材は、ポリマー、エラストマー、熱可塑性ポリマー若しくはエラストマー、又は熱硬化性ポリマーで作製される、請求項60~80のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項82】
前記第2の部分は前記第1の部分に解放自在に取り付けられる、請求項60~81のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項83】
前記第2の部分は前記第1の部分に封止式に取り付けられる、請求項60~82のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項84】
前記第2の部分の少なくとも一部は前記第1の部分と一体である、請求項60~81のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項85】
加えられる前記力は、前記第2の部分内の内圧に関連付けられる、請求項60~84のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項86】
前記加えられた力は、前記内圧と前記第2の部分の外部の周囲圧力との差に関連付けられる、請求項60~84のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項87】
前記第2の部分は、使用中、前記少なくとも1つの可変サイズのアパーチャのみを経由して前記周囲環境と流体連通する空洞部を形成する、請求項60~86のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項88】
前記アパーチャは、前記気管切開ガードの静止状態において、その最小有効サイズに達する、請求項60~87のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項89】
前記第1の部材及び/又は第2の部材はフラップ又はパネルを含む、請求項60~88のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項90】
前記第1の材料又は構造特性及び/又は第2の材料又は構造特性は、前記加えられた力に基づいて、前記第1の部材及び/又は第2の部材の可逆的な変形を可能にするように選択される、請求項78又はそれに従属する請求項のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項91】
アパーチャの前記有効サイズは、前記可逆的な変形に基づいて可変である、請求項90に記載の気管切開ガード。
【請求項92】
前記取付部材は、前記患者インターフェースの前記対応する取付部材に封止式に取り付けるように構成される、請求項45~53のいずれか1項に記載の気管切開ガード。
【請求項93】
気管切開ガードと一緒に使用するための弁ユニットであって、
中空本体であって、
気管切開ガードの対応するポートに接続するための第1のポート、及び
周囲環境と流体連通するための第2のポート
を有する、中空本体と、
少なくとも1つのアパーチャを形成する少なくとも1つの第1の部材及び第2の部材と
を含み、
前記アパーチャの有効サイズは、使用中、前記第1の部材及び/又は第2の部材に加えられる力に応えて、可変である、弁ユニット。
【請求項94】
患者インターフェース用の気管切開ガードと一緒に使用するための弁構成要素であって、前記気管切開ガードは:
使用中、患者インターフェースに接続するように配置された第1の部分;及び
前記第1の部分に取り付けられ、且つ使用中、前記患者インターフェースと流体連通するように構成される第2の部分、
を含み、
前記弁構成要素は、前記第2の部分と実質的に結び合わせ且つ周囲環境と流体連通する少なくとも1つのアパーチャを提供するように構成され、前記アパーチャの有効サイズは、使用中、加えられた力に応えて、可変である、弁構成要素。
【請求項95】
前記弁構成要素の前記アパーチャは、前記弁構成要素が前記第2の部分と実質的に結び合わせるとき、使用中、前記気管切開ガードの前記第2の部分にあるアパーチャと一致するように構成される、請求項93又は94に記載の弁構成要素。
【請求項96】
部品のキットであって:
請求項1~24、請求項25~45、請求項46~53、又は請求項60~92のいずれか1項に記載の気管切開ガードと、
以下:
前記気管切開ガードへ接続するための気管切開患者インターフェース;
その第1の端部にあるガス源をその第2の端部にある前記気管切開患者インターフェースに接続するように配置された導管又はチューブ;及び
使用中、前記導管又はチューブを経由して前記患者インターフェースにガスの流れを供給するためのガス源
のうちの少なくとも1つと
を含む、部品のキット。
【請求項97】
部品のキットであって:
気管切開ガードと;
前記気管切開ガード、並びに以下
前記気管切開ガードへ接続するための気管切開患者インターフェース;
その第1の端部にあるガス源をその第2の端部にある前記気管切開患者インターフェースに接続するように配置された導管又はチューブ;及び
使用中、前記導管又はチューブを経由して前記患者インターフェースにガスの流れを供給するためのガス源
のうちの少なくとも1つ
と一緒に使用するための、請求項93に記載の弁ユニット、又は請求項94~95のいずれか1項に記載の弁構成要素と
を含む、部品のキット。
【請求項98】
前記気管切開患者インターフェースに結合される又は結合可能な気管チューブを含む、請求項96又は97に記載の部品のキット。
【請求項99】
前記気管チューブを前記気管切開患者インターフェースに接続するためのコネクタを含む、請求項98に記載の部品のキット。
【請求項100】
ハイフロー療法を施すために気管切開インターフェースアセンブリを提供するように構成される、請求項96~99のいずれか1項に記載の部品のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[技術分野]
本開示は、概して、呼吸補助システムに関する。より詳細には、本開示は、患者に呼吸療法を施すための付属品及び/又は患者インターフェースに関する。
【0002】
[背景]
気管切開部は、気道を確保し且つ肺からの分泌物を除去するために、患者の気管に外科的に作られた開口である。呼吸ガス(Respiratory gases)は、ガス源から患者インターフェース、例えば気管切開インターフェース(tracheostomy interface)を経由して患者へもたらされ得る。気管切開インターフェースは、換気を促すために、気管切開術において形成されたポートに接続され得る。
【0003】
気管結合器(例えば気管インターフェースのコネクタの形をしている)が、
図1aに示すものなどの従来の呼吸補助システムと共に使用され得る。気管結合器は、ハイフローガス供給装置と患者(気管切開又は挿管された患者など)との間をインターフェースする呼吸ガス(breathing gases)(酸素など)の通路を提供する。気管結合器は、気管切開又は挿管された患者内で又は患者上で気管挿入管/インターフェースに結合するコネクタの形になり得る。一例において、気管インターフェースは、気管切開/挿管された患者に取り付けられ得る。
【0004】
気管切開ガードが気管インターフェースに結合されて、例えば、患者の顎、寝具類又は衣服による患者インターフェースの閉塞を防いでもよい。気管切開ガードは開口を含んで、内部の空気交換を可能にする。
【0005】
気管換気の最中、患者の分泌物が患者インターフェースから吐出され得る。分泌物は、例えば、気管切開ガードにある開口を通して、又は直接インターフェースから介護人へうつってしまう可能性がある。分泌物は、患者の近くに位置する介護人に到達するのに十分な力があると、突然、開口を出ることがある。気管切開ガードは、そこからの分泌物の除去を促す一方で、介護人の方へ向かわないように分泌物をそらし得る。
【0006】
ハイフロー療法の提供は、気道をフラッシングして死腔を減らすために使用され、及び呼吸終末陽圧(PEEP:positive expiratory end pressure)、肺内の粘膜線毛移送を促すために加湿の改善を生じ得る。いくつかの使用事例において、ハイフロー療法はまた、動陽圧(dynamic positive pressure)ももたらし得る。しかしながら、従来の気管切開ガードは、そのような高ガスフロー環境にはふさわしくないかもしれない。それゆえ、ハイフロー気管切開術用の改良型の気管切開ガードが好都合であろう。
【0007】
[概要]
本開示は、気管切開インターフェース(以下、「気管インターフェース」又は「患者インターフェース」とも称す)と一緒に使用されるべき気管切開ガード(以下、「気管ガード」とも称す)に関する。
【0008】
第1の態様において、患者インターフェース用の気管切開ガードであって:使用中、患者インターフェースと流体連通するように接続するように配置された第1の部分と、第1の部分と流体連通し且つ周囲環境と流体連通する少なくとも1つのアパーチャを形成する少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材を含む第2の部分であって、アパーチャのサイズは、使用中、第2の部分の少なくとも一部に加えられる力に応えて、可変である、第2の部分とを含む、気管切開ガードが提供され得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1の部材は、加えられる力に応えて、第2の部材に対して二方向に偏る又は動くように配置される。
【0010】
いくつかの実施形態において、アパーチャのサイズはアパーチャの断面寸法に関連する。
【0011】
いくつかの実施形態において、加えられる力は、気管切開ガード内のガスのガス流量と関連付けられる。
【0012】
いくつかの実施形態において、ガス流量は、成人患者では20l/min~150l/min又は20l/min~80l/min、及び新生児や小児科の患者では1l/min~30l/minの高流量に関連する。
【0013】
いくつかの実施形態において、アパーチャの可変サイズは、使用中、加えられる力に応えて、そこを通した痰の放出を可能にするように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態において、使用中、第2の部分に加えられる力は、少なくとも部分的に、第2の部分内に存在する痰の重量に起因する。
【0015】
いくつかの実施形態において、アパーチャの可変サイズは、使用中、最小設定値の呼気終末陽圧(PEEP:positive end expiratory pressure)を達成するように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、最小設定値のPEEPは:1cmH20~7cmH20の範囲から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材は、少なくとも1つの可変サイズのアパーチャを形成するように相対的に配置される。
【0018】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の第1の部材は第1の材料又は構造特性を有し、及び1つ又は複数の第2の部材は第2の材料又は構造特性を有し、第1の材料又は構造特性及び第2の材料又は構造特性は、加えられた力に応えて可変サイズのアパーチャのサイズを変えることができるように選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、第1の材料又は構造特性及び第2の材料又は構造特性は、以下:剛性、スティフネス、柔軟性、弾性係数、断面二次モーメント、長さ、幅、及び/又は厚さのうちの少なくとも1つに関連する。
【0020】
いくつかの実施形態において、第1の材料又は構造特性は第1の部材の厚さに関連し、及び/又は第2の材料又は構造特性は第2の部材の厚さに関連する。
【0021】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1の部材又は第2の部材は、ポリマー、エラストマー、熱可塑性ポリマー若しくはエラストマー、又は熱硬化性ポリマーで作製される。
【0022】
いくつかの実施形態において、第2の部分は第1の部分に解放自在に取り付けられる。
【0023】
いくつかの実施形態において、第2の部分は第1の部分に封止式に取り付けられる。
【0024】
いくつかの実施形態において、第2の部分の少なくとも一部は第1の部分と一体である。
【0025】
いくつかの実施形態において、加えられる力は前記第2の部分の内圧に関連付けられる。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1の部分及び第2の部分は一緒に、使用中、1つ又は複数の可変サイズのアパーチャのみを経由して周囲環境と流体連通する空洞部を形成する。
【0027】
いくつかの実施形態において、アパーチャは、気管切開ガードの静止状態において、その最小サイズに達する。
【0028】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1の部材又は第2の部材はフラップ又はパネルを含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、第1の材料又は構造特性及び/又は第2の材料又は構造特性は、加えられた力に基づいて、第1の部材及び/又は第2の部材の可逆的な変形又は偏り(deflection)又は曲げ又は屈曲(flex)を可能にするように選択される。
【0030】
いくつかの実施形態において、可逆的な変形に基づいてアパーチャのサイズは可変である。
【0031】
いくつかの実施形態において、前記第2の部分は、使用中、患者インターフェースと流体連通するように構成される。
【0032】
第2の態様において、患者インターフェース用の気管切開ガードであって:使用中、患者インターフェースと流体連通するように取り付けるように配置された第1の部分、第1の部分と流体連通する第2の部分を含む、気管切開ガードが提供され得る。第2の部分は、第1の材料又は構造特性を有する少なくとも1つの第1の部材と、第2の材料又は構造特性を有する第2の部材とを含み、第1の材料又は構造特性は第2の材料又は構造特性とは異なり、及び使用中、第2の部分の少なくとも一部に加えられる力に応えて、第1の部材の可逆的な変形又は偏り又は曲げ又は屈曲を可能にするように選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材は、周囲環境と流体連通する少なくとも1つのアパーチャを形成するように相対的に配置され、ここでは、アパーチャは、使用中、第1の部材に作用する加えられた力に応えて可変の有効サイズを有する。
【0034】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1の部材は、加えられる力に応えて第2の部材に対して偏る又は動くように配置される。
【0035】
いくつかの実施形態において、アパーチャのサイズは、アパーチャの断面寸法に関する。
【0036】
いくつかの実施形態において、加えられる力は、気管切開ガード内のガスの流量に関連付けられる。
【0037】
いくつかの実施形態において、ガス流量は、成人患者では20l/min~150l/min又は20l/min~80l/min、及び新生児や小児科の患者では1l/min~30l/minの高流量に関連する。
【0038】
いくつかの実施形態において、アパーチャの可変サイズは、使用中、加えられる力に応えて、そこを通して痰を放出できるように構成される。
【0039】
いくつかの実施形態において、使用中、第2の部分に加えられる力は、少なくとも一部には、第2の部分に存在する痰の重量による。
【0040】
いくつかの実施形態において、アパーチャの可変サイズは、使用中、最小設定値の呼気終末陽圧(PEEP)を達成するように構成される。
【0041】
いくつかの実施形態において、最小設定値のPEEPは:1cmH20~7cmH20の範囲から選択される。
【0042】
いくつかの実施形態において、第1の材料又は構造特性及び第2の材料又は構造特性は、以下:剛性、スティフネス、柔軟性、弾性係数、断面二次モーメント、長さ、幅、及び/又は厚さのうちの少なくとも1つに関連する。
【0043】
いくつかの実施形態において、第1の材料又は構造特性は1つ又は複数の第1の部材の厚さに関連し、及び/又は第2の材料又は構造特性は第2の部材の厚さに関連する。
【0044】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1の部材又は第2の部材は、ポリマー、エラストマー、熱可塑性ポリマー若しくはエラストマー、又は熱硬化性ポリマーで作製される。
【0045】
いくつかの実施形態において、第2の部分は第1の部分に解放自在に取り付けられる。
【0046】
いくつかの実施形態において、第2の部分は第1の部分に封止式に取り付けられる。
【0047】
いくつかの実施形態において、第2の部分の少なくとも一部は第1の部分と一体である。
【0048】
いくつかの実施形態において、加えられる力は、前記第2の部分の内圧と関連付けられる。
【0049】
いくつかの実施形態において、第1の部分及び第2の部分は一緒に、使用中、1つ又は複数の可変サイズのアパーチャのみを経由して周囲環境と流体連通する空洞部を形成する。
【0050】
いくつかの実施形態において、アパーチャは、気管切開ガードの静止状態において、その最小サイズに達する。
【0051】
いくつかの実施形態において、第1の部材又は第2の部材はフラップ又はパネルを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、アパーチャのサイズは、可逆的な変形に基づいて変化する。
【0053】
第3の態様において、患者インターフェース用の気管切開ガードであって:患者インターフェースに解放自在に取り付けるように配置された端部を有する第1の部分であって、気管切開ガードに接続されるとき、患者インターフェースの対応するアライメント特徴と位置合わせするための外側形状又は境界を有するアライメント特徴、及び取付部材であって:第1の部分が患者インターフェースに取り付けられるときに、患者インターフェースの対応する取付部材と結び合わせ、及び第1の部分に指向性の力を加えると、患者インターフェースの対応する取付部材から接続を外されるように配置された取付部材を含む第1の部分を含む、気管切開ガードが提供され得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、アライメント特徴は第1の部分の外側形状又は境界に関連する。
【0055】
いくつかの実施形態において、アライメント特徴は、第1の部分の引き伸ばされた(oblong)形状又は舌形状の延長部の外側形状又は境界に関連する。
【0056】
いくつかの実施形態において、取付部材は取付解除リップを含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、取付部材は、第1の部分の滑らかなチューブ状の内部表面によって形成され、滑らかなチューブ状の内部表面は、患者インターフェースの対応する滑らかな外面と結び合わせるように配置される。
【0058】
いくつかの実施形態において、取付部材は、摩擦嵌めによって、患者インターフェースの対応する取付部材と結び合わせるように配置される。
【0059】
いくつかの実施形態において、取付部材は、患者インターフェースの対応する凹部と結び合わせるように構成される突出部を含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、取付部材は、患者インターフェースの対応する突出部と結び合わせるように構成される凹部を含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、取付部材は、患者インターフェースの対応する取付部材に封止式に取り付けるように構成される。
【0062】
第4の態様において、ハイフロー気管切開術を施すためのアセンブリであって、本明細書で開示するような気管切開ガードと、以下:気管切開ガードに接続するための気管切開患者インターフェース、その第1の端部にあるガス源をその第2の端部にある気管切開患者インターフェースに接続するように配置された導管又はチューブ、及び使用中、導管を経由して、患者インターフェースにガスの流れを供給するためのガス源のうちの少なくとも1つとを含む、アセンブリが提供され得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、ガス源は送風器及び加湿器を含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、導管又はチューブは、過剰な水蒸気がチューブから大気へ出ることを可能にする呼吸に適したチューブである。
【0065】
いくつかの実施形態において、気管切開インターフェースは呼吸に適したチューブを含む。
【0066】
第5の態様において、ハイフロー気管切開術を施すための気管切開インターフェースアセンブリであって、本明細書で開示するような気管切開ガードと、患者の気道に接続するための第1の端部、第1の端部を経由して患者へガスの流れを供給するためのガス源に接続するためのポート、及び気管切開ガードの第1の部分に接続するための第2の端部を含む気管切開インターフェース(20)とを含む、気管切開インターフェースアセンブリが提供され得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、気管切開ガードは、第1の部分を介して気管切開インターフェースの第2の端部に解放自在に取り付け可能である。
【0068】
第6の態様において、患者インターフェース用の気管切開ガードであって:使用中、患者インターフェースに接続するように配置された第1の部分;第1の部分に取り付けられ、且つ使用中、患者インターフェースと流体連通するように構成される第2の部分であって、周囲環境と流体連通する少なくとも1つのアパーチャを形成する第2の部分を含み、アパーチャの有効サイズは、使用中、第2の部分の少なくとも一部に加えられる力に応えて、可変である、気管切開ガードが提供され得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、第2の部分の前記少なくとも一部は、アパーチャに近接した第2の部分の領域を含み、前記領域は、アパーチャの有効サイズが、前記領域に加えられた力に応えて変化するように、弾性変形するように構成される。
【0070】
いくつかの実施形態において、前記領域は、二方向に弾性変形可能である。
【0071】
いくつかの実施形態において、前記領域は静止位置に偏位され、そこでは、アパーチャの有効サイズはその最小である。
【0072】
いくつかの実施形態において、前記領域は、有効サイズの増大が制御式に又は段階的に生じて所望の圧力を維持できるようにし、且つ痰の強力な吐き出しを防ぐように構成される。
【0073】
いくつかの実施形態において、前記領域は、前記静止位置から始まるとき、アパーチャの有効サイズが、加えられる前記力の絶対値が増大するにつれて増大するように構成される。
【0074】
いくつかの実施形態において、前記第2の部分は、少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材を含み;及び前記少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材は前記少なくとも1つのアパーチャを形成する。
【0075】
いくつかの実施形態において、前記第2の部分の前記少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材は、第2の部分の前記少なくとも一部に加えられる力に応えて弾性的に可動であり、それにより、可変有効サイズの前記少なくとも1つのアパーチャを提供する。
【0076】
いくつかの実施形態において、第2の部分の前記少なくとも1つの第1の部材及び/又は第2の部材は、二方向に弾性的に可動である。
【0077】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1の部材は、加えられる力に応えて、少なくとも1つの第2の部材に対して偏る又は動くように配置される。
【0078】
いくつかの実施形態において、アパーチャの有効サイズはアパーチャの断面寸法に関連する。
【0079】
いくつかの実施形態において、加えられる力は、気管切開ガード内のガスのガス流量と関連付けられる。
【0080】
いくつかの実施形態において、ガス流量は、成人患者では20l/min~150l/min又は20l/min~80l/min、及び新生児や小児科の患者では1l/min~30l/minの高流量に関連する。
【0081】
いくつかの実施形態において、アパーチャの可変有効サイズは、使用中、加えられる力に応えて、アパーチャを通した痰の放出を可能にするように構成される。
【0082】
いくつかの実施形態において、加えられる力は、少なくとも部分的に、第2の部分内に存在する痰の重量に起因する。
【0083】
いくつかの実施形態において、アパーチャの可変サイズは、使用中、最小設定値の呼気終末陽圧(PEEP)を達成するように構成される。
【0084】
いくつかの実施形態において、最小設定値のPEEPは:1cmH20~7cmH20の範囲から選択される。
【0085】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1の部材及び第2の部材は、少なくとも1つの可変サイズのアパーチャを形成するように相対的に配置される。
【0086】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の第1の部材は第1の材料又は構造特性を有し、及び1つ又は複数の第2の部材は第2の材料又は構造特性を有し、第1の材料又は構造特性及び第2の材料又は構造特性は、加えられた力に応えて可変サイズのアパーチャのサイズを変えることができるように選択される。
【0087】
いくつかの実施形態において、第1の材料又は構造特性及び第2の材料又は構造特性は、以下:剛性、スティフネス、柔軟性、弾性係数、断面二次モーメント、長さ、幅、及び/又は厚さのうちの少なくとも1つに関連する。
【0088】
いくつかの実施形態において、第1の材料又は構造特性は第1の部材の厚さに関連し、及び/又は第2の材料又は構造特性は第2の部材の厚さに関連する。
【0089】
いくつかの実施形態において、第1の部材及び/又は第2の部材は、ポリマー、エラストマー、熱可塑性ポリマー若しくはエラストマー、又は熱硬化性ポリマーで作製される。
【0090】
いくつかの実施形態において、第2の部分は第1の部分に解放自在に取り付けられる。
【0091】
いくつかの実施形態において、第2の部分は第1の部分に封止式に取り付けられる。
【0092】
いくつかの実施形態において、第2の部分の少なくとも一部は第1の部分と一体である。
【0093】
いくつかの実施形態において、加えられる力は、前記第2の部分内の内圧に関連付けられる。
【0094】
いくつかの実施形態において、加えられた力は、内圧と第2の部分の外部の周囲圧力との差に関連付けられる。
【0095】
いくつかの実施形態において、第2の部分は、使用中少なくとも1つの可変サイズのアパーチャのみを経由して周囲環境と流体連通する空洞部を形成する。
【0096】
いくつかの実施形態において、アパーチャは、気管切開ガードの静止状態において、その最小有効サイズに達する。
【0097】
いくつかの実施形態において、第1の部材及び/又は第2の部材はフラップ又はパネルを含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、第1の材料又は構造特性及び/又は第2の材料又は構造特性は、加えられた力に基づいて、第1の部材及び/又は第2の部材の可逆的な変形を可能にするように選択される。
【0099】
いくつかの実施形態において、アパーチャの有効サイズは、可逆的な変形に基づいて可変である。
【0100】
いくつかの実施形態において、取付部材は、患者インターフェースの対応する取付部材に封止式に取り付けるように構成される。
【0101】
第7の態様において、気管切開ガードと一緒に使用するための弁ユニットであって:気管切開ガードの対応するポートに接続するための第1のポートと、周囲環境と流体連通するための第2のポートとを有する中空本体、少なくとも1つのアパーチャを形成する少なくとも1つの第1の部材及び第2の部材を含み、アパーチャの有効サイズは、使用中、第1の部材及び/又は第2の部材に加えられた力に応えて、可変である、弁ユニットが提供され得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、前記弁構成要素の前記アパーチャは、使用中、弁構成要素が第2の部分と実質的に結び合わせるとき、気管切開ガードの第2の部分にあるアパーチャと一致するように構成される。
【0103】
第8の態様において、患者インターフェース用の気管切開ガードと一緒に使用ための弁構成要素であって、気管切開ガードは:使用中、患者インターフェースに接続するように配置された第1の部分;及び第1の部分に取り付けられ、且つ使用中、患者インターフェースと流体連通するように構成される第2の部分を含み、弁構成要素は、第2の部分と実質的に結び合わせ且つ周囲環境と流体連通する少なくとも1つのアパーチャを提供するように構成され、アパーチャの有効サイズは、使用中、加えられた力に応えて、可変である、弁構成要素が提供され得る。
【0104】
いくつかの実施形態において、前記弁構成要素の前記アパーチャは、使用中、弁構成要素が第2の部分と実質的に結び合わせるとき、気管切開ガードの第2の部分にあるアパーチャと一致するように構成される。
【0105】
第9の態様において、部品のキットであって:本明細書で開示するような気管切開ガードと、以下:気管切開ガードへ接続するための気管切開患者インターフェース;その第1の端部にあるガス源をその第2の端部にある気管切開患者インターフェースに接続するように配置された導管又はチューブ;及び使用中、導管又はチューブを経由して患者インターフェースにガスの流れを供給するためのガス源のうちの少なくとも1つとを含む、部品のキットが提供され得る。
【0106】
いくつかの実施形態において、部品のキットは、気管切開患者インターフェースに結合される又は結合可能な気管チューブを含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、部品のキットは、気管チューブを気管切開患者インターフェースに接続するためのコネクタを含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、前記部品のキットは、ハイフロー療法を施すために、気管切開インターフェースアセンブリを提供するように構成される。
【0109】
第10の態様において、部品のキットであって:気管切開ガードと;前記気管切開ガード、並びに以下:気管切開ガードへ接続するための気管切開患者インターフェース;その第1の端部にあるガス源をその第2の端部にある気管切開患者インターフェースに接続するように配置された導管又はチューブ;及び使用中、導管又はチューブを経由して患者インターフェースにガスの流れを供給するためのガス源のうちの少なくとも1つと一緒に使用するための、本明細書で開示するような弁ユニット又は本明細書で開示するような弁構成要素とを含む、部品のキットが提供され得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、部品のキットは、気管切開患者インターフェースに結合される又は結合可能な気管チューブを含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、部品のキットは、気管チューブを気管切開患者インターフェースに接続するためのコネクタを含む。
【0112】
いくつかの実施形態において、前記部品のキットは、ハイフロー療法を施すために気管切開インターフェースアセンブリを提供するように構成される。
【0113】
[図面の簡単な説明]
いくつかの実施形態が、例として、以下の図面を参照してここで示される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【
図1b】患者の気管切開部に接続された従来技術の気管切開コネクタ及び関連の呼吸管の斜視図を示す。
【
図2】第1の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図3】第1の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図4】第1の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図5】第1の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図7】
図6の気管切開ガードの拡大セクションを示す。
【
図10a】静止状態における第1の実施形態の気管切開ガードの断面図を示す。
【
図10b】気管切開ガードの一部分が第1の加えられた力及び/又は内部圧力を受けているときの、
図10aの気管切開ガードの断面図を示す。
【
図10c】気管切開ガードのその一部分が第2の加えられた力及び/又は内部圧力を受けているときの、
図10a及び
図10bの気管切開ガードの断面図を示す。
【
図11】
図2~9の気管切開ガードの斜視的な断面図を示す。
【
図12】
図2~9の気管切開ガードのさらなる斜視的な断面図を示す。
【
図13】従来技術による患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図14】従来技術による患者インターフェースの斜視図を示す。
【
図15】
図13~14の患者インターフェースに接続された
図2~12の気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図16】
図13~14の患者インターフェースに接続された
図2~12の気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図17a】
図13~14の患者インターフェースに接続された
図2~12の気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図17b】
図13~14の患者インターフェースから接続が外れている状態の、
図2~12の気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図18】第2の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図19】第2の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図20】
図13及び
図14の患者インターフェースに接続されたときの第2の実施形態の気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図21】
図13及び
図14の患者インターフェースに接続されたときの第2の実施形態の気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図22】
図13及び
図14の患者インターフェースに接続されたときの第2の実施形態の気管切開ガードの底面図を示す。
【
図23】第3の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図24】第3の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図25】第3の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図26】第3の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図27】
図13~14の患者インターフェースに接続されたときの第3の実施形態の気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図28】
図13~14の患者インターフェースに接続されたときの第3の実施形態の気管切開ガードの前面図を示す。
【
図29】
図13~14の患者インターフェースに接続されたときの第3の実施形態の気管切開ガードの後面図を示す。
【
図30】
図13~14の患者インターフェースに接続されたときの第3の実施形態の気管切開ガードの後面の断面図を示す。
【
図31】第4の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図32】第4の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図33】第4の実施形態による気管切開ガードの底面図を示す。
【
図34】第4の実施形態による気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図35】
図13~14の患者インターフェースに接続されたときの第4の実施形態の気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図36】
図13~14の患者インターフェースに接続されたときの第4の実施形態の気管切開ガードの前面図を示す。
【
図37】
図13~14の患者インターフェースに接続されたときの第4の実施形態の気管切開ガードの後面図を示す。
【
図38】第5の実施形態による気管切開ガードの斜視図及び底面図を示す。
【
図39】第5の実施形態による気管切開ガードの斜視図及び底面図を示す。
【
図40】第5の実施形態による気管切開ガードの斜視図及び底面図を示す。
【
図41】第5の実施形態による気管切開ガードの斜視図及び底面図を示す。
【
図42】
図13~14の患者インターフェースに接続されたときの第5の実施形態の気管切開ガードの斜視図を示す。
【
図43】
図13~14の患者インターフェースに接続されたときの第5の実施形態の気管切開ガードの前面図を示す。
【
図44】
図13~14の患者インターフェースに接続されたときの第5の実施形態の気管切開ガードの後面図を示す。
【
図45】第1の実施形態の気管切開ガード、チューブ、及び患者インターフェースを含むアセンブリの斜視図を示す。
【0115】
[詳細な説明]
図1aは、気管結合器、例えば本明細書で開示する1つ又は複数の気管切開ガードが組み込まれ得る、従来技術の呼吸補助システムを示す。気管切開チューブ72に対する外側部分が患者71の首から延出する。オスコネクタ73が気管切開チューブ72から延在する。気管コネクタ74が、気管切開チューブのオスコネクタ73に接続される患者側端部75を含む。コネクタ74は出口端部76及び導入管77を含む。導入管は、呼吸管80のカフ78に接続される。呼吸管80は、患者に呼吸ガスを供給するための可撓性導管79を含む。
図1bを参照して特定されるような、少なくとも患者に近位の呼吸管80のセクション80aは、呼吸に適した材料から作製される呼吸に適したチューブとし得る。呼吸管80の他方の端部にあるカフ81がガスフロー源の出口コネクタに接続される。ガスフロー源は、一般に患者に呼吸ガスフローを提供するように配置される呼吸補助装置の一部を形成する流れ発生器83とし得る。
【0116】
コネクタ74の出口端部76は、従来の気管切開ガードに接続されるように配置され得る。そのような従来の気管切開ガードは、ガスフロー療法中に出口端部76において流体が固定サイズのアパーチャを通って気管切開ガードを出ることができるように、又は少なくとも固定サイズのアパーチャを通して臨床家が流体を吸引できるように、配置される。ハイフロー療法は比較的広範囲の流量(下記を参照)にわたって実施されるため、ハイフロー療法に使用される流量の全範囲にわたってPEEPを好適な限度内に保つように従来の気管切開ガードを使用することは困難かもしれない。さらに、従来の気管切開ガードはまた、ハイフロー療法の最中に使用されるとき、詰まる傾向があるかもしれない。
【0117】
流れ発生器83は、任意選択的に、加湿チャンバー84を含む加湿システム/加湿器を含み得る。流れ発生器83は、カフ81に接続するように構成される出口コネクタ82を含み得る。呼吸ガスは、ガスが送給されるとき、最適な温度及び湿度(37℃、44mg/Lの湿度)で又はその近くで使用者に送給され得る。健康な成人の肺内の条件(37℃、44mg/Lの湿度)に似せて機能させることによって、分泌物に影響を及ぼす呼吸器疾患のある使用者において健康な粘液線毛機能を維持するのを助けることができる。気管療法を施すときに加湿システム/加湿器を使用することは、上気道が迂回されるため、好都合かもしれない。さらに、加湿ガスフローは、ハイフロー療法を患者にとってより快適にして耐えられるようにする。
【0118】
流れ発生器83は、一般に、空気取り入れ口85から空気を、及び任意選択的に酸素供給ライン86から酸素を受け入れる送風器を含む。ユーザインターフェースが、ディスプレイ画面87及びユーザコントロール88を含み得る。ユーザコントロールは、流れ発生器のハウジングにある、又は流れ発生器のタッチスクリーンのディスプレイ画面と組み合わせられた、ボタンの形をしていてもよい。この応用に使用するための例示的な流れ発生器は、Fisher & Paykel Healthcare AIRVO 2(商標)又はAIRVO 3である。
【0119】
流れ発生器83は、流れセンサーと、送給されたフローを監視して送風器の速度を変え、ユーザコントロールによって設定されたレベルに発生器の出力フローを維持するフィードバック制御とを含む。
【0120】
呼吸補助装置90のある例が
図1cに示されている。呼吸補助装置90は:いくつかの形態においてモータ/インペラ配置構成(例えば、送風器)の形をしている流れ発生器91、流れ発生器91に空気的に接続されている加湿器92、コントローラ93、及びユーザインターフェース94(例えば、ディスプレイ及び1つ又は複数の入力装置、例えば1つ又は複数のボタン、タッチスクリーンなどを含む)のうちの1つ以上を含んでいるハウジング200(例えば単一のハウジングとして)を含み得る。
【0121】
図1dはまた、ハウジング200を含む呼吸補助装置90を示しており、呼吸補助装置90の構成要素(例えば、流れ発生器91に空気的に接続されている加湿器92を含む)が共通のハウジングに組み込まれていることを示す。これにより、簡単に動かせる又は運ぶことができるコンパクトな装置を提供して、移動性を与える。さらに、同じハウジング内で組み合わせられている呼吸補助装置90の構成要素(例えば、流れ発生器91及び加湿器92)は、より単純なセットアップを可能にする(すなわち、チャンバー300がハウジング内に位置決めされる)。
【0122】
いくつかの形態において、呼吸補助装置90は流れ発生器91を含まなくてもよい。この場合、呼吸補助装置90は、ガスの流れを発生させない代わりに、外部流れ発生器に接続されるように構成されて、外部流れ発生器からのガスの流れを加湿するように構成される。例えば、呼吸補助装置90は、加湿器を流れるガスを加湿するためのスタンドアロン加湿器として使用され得る。流れ発生器は、壁面ガス供給部(例えば流量計若しくはロータメータによって調整される)、又は人工呼吸器、又はハイフロー療法(例えばNIV、CPAP、BCPAPなどのための)を施すように構成され得る他の別個の流れ発生器を含む。加湿器は、加湿器に結合されたバッテリーを含み、コンセントが利用できないときに電力を供給し得る(バッテリー電源として)。いくつかの形態において、バッテリーは、装置に取り外し自在に結合されてもよく、再充電可能である。加湿器は、導管を介して流れ発生器に空気的に結合され、及び別個の導管が加湿器に結合されて、加湿ガスを加湿器から患者へ送る。
【0123】
いくつかの例において、呼吸導管96が、一方の端部において、呼吸補助装置90のハウジング200にあるガス出口97に結合される。呼吸導管96は、別の端部において、現在の目的では気管切開インターフェース及び/又は気管結合器(例えば、本明細書で開示する気管切開ガード)によってもたらされる患者インターフェースに結合される。下記でさらに詳細に説明するように、気管切開インターフェースと気管結合器の組み合わせは、フラッシング効果(下記でさらに説明する)を発生させ/もたらし且つ気圧障害のリスクを低下させるために、非封止式(すなわち、漏れを含む)であることが理解されるだろう。
【0124】
気管結合器、例えば本明細書で開示する気管切開ガード及び関連の1つ又は複数の患者インターフェースは、自発呼吸下の患者のハイフロー療法を施すために使用されてもよい。これは、コネクタに供給される空気のかなりの割合が、患者によって呼吸されることなく、直接室内に出されることを意味する。下記でさらに説明するように、気管切開ガードは、例えば、
図1a又は
図1bのコネクタ74によって示されるように気管切開又は気管インターフェースに接続され得る。
図1aに示すものなどの流れ発生器83は、ハイフローのガスをもたらすためにガス源として使用され得、いくつかの形態において、他のハイフローガス源、例えば、壁面出口からの空気の供給部又は人工呼吸器が使用されてもよい。本明細書で開示する気管切開ガードは、任意の特定のタイプのガス源との使用に限定されないことが理解されるだろう。
【0125】
前述の通り、例えばハイフロー療法における高いガスフロー環境は、気道をフラッシングして死腔を減らし、且つ呼吸終末陽圧(PEEP)をもたらすために、及び任意選択的に患者の気道に上昇した圧力を生じるために使用され得る。呼気終末陽圧(PEEP)が、呼気の終わりに気道及び肺胞が虚脱するのを防ぎ、且つ既に虚脱した気道及び肺胞を再び広げる。PEEPの治療の提供によって、ガス交換を改善し(肺内シャントを低下させる)、空気の流れに対する抵抗を減らし(肺抵抗)、及び肺の硬さを少なくし得る(肺コンプライアンスを高める)。ハイフローガス送給のおかげで酸素及び二酸化炭素のレベルも改善し、補足酸素(supplemental oxygen)の必要性及び息切れの感覚を低下させる。ハイフロー療法はまた、肺内の加湿を高め得、それにより、粘膜線毛輸送を改善する。PEEPは、閉塞性肺疾患及び心不全、例えば気腫、気管支拡張症、慢性気管支炎、嚢胞性線維症及び肺水腫の治療を支援し得る。
【0126】
本明細書で説明するようなハイフロー療法は、当業者に理解されるようなその典型的な通常の意味が与えられることを意図し、患者の吸気流量に適合するか又はそれを上回ることを全体的に意図した流量で、意図的に封止されていない患者インターフェースを介して加湿呼吸ガスの標的フローを送給する呼吸補助装置を一般的に指す。典型的な患者インターフェースは、限定されるものではないが、鼻又は気管患者インターフェースを含む。成人の典型的な流量は、限定されるものではないが、毎分約15リットル~毎分約60リットル以上に及ぶことが多い。小児科の患者(例えば新生児、乳児及び子供)の典型的な流量は、限定されるものではないが、患者の体重1キログラム当たり毎分約1リットル~患者の体重1キログラム当たり毎分約3リットル以上に及ぶことが多い。ハイフロー療法はまた、任意選択的に、補足酸素を含むガス混合物組成、及び/又は治療用薬剤の投与を含み得る。ハイフロー療法は、一般的な名前の中で特に、ネーザルハイフロー(NHF:nasal high flow)、加湿高流量鼻カニューレ(HHFNC:humidified high flow nasal cannula)、高流量経鼻酸素(HFNO:high flow nasal oxygen)、ハイフロー療法(HFT:high flow therapy)、又は気管ハイフロー(THF:tracheal high flow)と呼ばれることが多い。本発明は、特に、気管切開インターフェース又は気管結合器を経由したハイフロー療法の実施に関することが理解されるであろう。
【0127】
例えば、いくつかの形態において、成人患者では、「ハイフロー療法」は、毎分約10リットル以上(10LPM)、例えば約10LPM~約100LPM、又は約15LPM~約95LPM、又は約20LPM~約90LPM、又は約25LPM~約85LPM、又は約30LPM~約80LPM、又は約35LPM~約75LPM、又は約40LPM~約70LPM、又は約45LPM~約65LPM、又は約50LPM~約60LPMの流量での患者へのガスの送給を指し得る。いくつかの形態において、新生児、乳児、又は子供の患者では、「ハイフロー療法」は、1LPM超、例えば約1LPM~約25LPM、又は約2LPM~約25LPM、又は約2LPM~約5LPM、又は約5LPM~約25LPM、又は約5LPM~約10LPM、又は約10LPM~約25LPM、又は約10LPM~約20LPM、又は約10LPM~15LPM、又は約20LPM~25LPMの流量での患者へのガスの送給を指し得る。いくつかの形態において、成人患者、新生児、乳児、又は子供の患者のハイフロー療法装置は、約1LPM~約100LPMの流量で、又は上述の部分的な範囲のいずれかの流量で患者へガスを送給し得る。送給されるガスは、ある割合の酸素を含み得る。いくつかの形態において、送給されるガス中の酸素の割合は、約20%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は100%とし得る。
【0128】
ハイフロー療法は、患者の吸気流量に適合するか又はそれを上回るのに効果的とし得、患者の酸素化を増加させる、及び/又は呼吸の仕事量を減らす。
【0129】
ハイフロー療法は、患者の外鼻孔に及び/又は経口で、又は気管切開インターフェースを介して投与され得る。
【0130】
ハイフロー療法は、気道にフラッシング効果を発生させて、高い流入ガスフローによって気道の解剖学的死腔がフラッシングされるようにする。これは、一回一回の呼吸に利用可能な新鮮なガスの溜め部を生み出す一方で、窒素及び二酸化炭素の再呼吸を減らし得る。ハイフロー療法は、非封止式患者インターフェース、例えば、気管切開インターフェース(気管結合器及び/又は気管切開ガードに結合されてもよい)などを用いて実施され得る。ハイフロー療法は、患者の呼吸速度をゆっくりにし得る。ハイフロー療法は、患者に呼気抵抗をもたらし得る。
【0131】
ハイフロー療法は、閉塞性肺疾患状態、例えば、COPD、気管支拡張症、呼吸困難、嚢胞性線維症、気腫の患者及び/又は呼吸窮迫若しくは高炭酸ガス血症の患者を治療するために使用され得る。
【0132】
本明細書で使用されるような用語「非封止式患者インターフェース」(すなわち、封止されていない患者インターフェース)は、患者の気道とガスフロー源(例えば流れ発生器91からの)との間に空気式リンクをもたらして、患者の気道を完全には閉塞させないようにするインターフェースを指し得る。非封止の空気式リンクは、患者の気道の約95%未満の閉塞を含み得る。非封止の空気式リンクは、患者の気道の約90%未満の閉塞を含み得る。非封止の空気式リンクは、患者の気道の約40%~約80%の閉塞を含み得る。気道は、患者の一方の外鼻孔若しくは両外鼻孔及び/又は患者の口を含み得る。気管切開インターフェースでは、気道は気管を通る。
【0133】
下記でさらに明らかにするように、本明細書の様々な実施形態において開示する気管切開ガードは、そのような高いガスフロー環境用に設計される。
【0134】
気管切開ガードは、関連付けられる高流量での所望のフラッシング効果を依然として有しながら、所望のPEEP圧を生じることができるかもしれない。
【0135】
図2~10cは、第1の実施形態による気管切開ガード(「気管ガード」とも称す)10の様々な図を示す。気管切開ガード10は、気管切開患者インターフェース20に接続するように配置された第1の部分11を含む。患者インターフェースは、例えば、使用中、第1の部分11と流体連通する、
図13及び
図14に関連して示すもののような気管切開インターフェースとし得る。「流体連通する」は、ここでは、患者インターフェース20が第1の部分11に接続されるときに、患者インターフェースの流体が第1の部分11を経由して気管切開ガードに入ることができるようにすることを意味する。気管切開ガード10は、さらに、第1の部分と流体連通する第2の部分12を含む。第2の部分12は第1の部分11と流体連通するため、気管切開ガードのいずれの流体も第1の部分11と第2の部分12との間を移動し得る、又は逆も同様である。第2の部分12は、少なくとも1つの第1の部材121及び第2の部材122を含み、周囲環境と流体連通するアパーチャ13を形成又は規定する。アパーチャ13は、あるサイズを有し、これを、以下、有効サイズとも呼んでもよく、これは可変である。サイズは、下記でさらに明らかにするように、使用中、第2の部分の少なくとも一部に加えられる力に応えて、可変とし得る。
【0136】
第2の部分の少なくとも一部に加えられる力は、下記でさらに明らかにするように、第2の部分の内圧、第2の部分12の内部圧力と、第2の部分を囲む周囲圧力との間の圧力差、第2の部分内の流体や痰の流れに関連付けられる圧力、又は使用者、オペレータ、若しくは臨床家によって第2の部分の少なくとも一部に及ぼされる物理的な力に関連し得る。さらに、下記でさらに明らかにするように、第1の部材121及び第2の部材121の詳細設計と、加えられる力のタイプと、第2の部分12のどの部分に力が加えられるかとによって、アパーチャのサイズの変わり方に影響を及ぼす。
【0137】
第2の部分12は第1の部分11に接続される。使用中、患者インターフェース20が気管切開ガード10に接続されると、第2の部分12は患者インターフェース20と流体連通する。これは、第1の部分11を経由して気管切開ガード10に入る流体が、第2の部分12に自由に入ることができることを意味する。逆も同様であり、それにより、第2の部分12内の流体は、患者インターフェース20に自由に入り得る。
【0138】
アパーチャ13のサイズは、以下、有効サイズとも称し得る。サイズ又は有効サイズは、実際には、所与の時点のアパーチャ13の面積に関連し得る。有効サイズは、所与の時間増分において理論上アパーチャ13を通過することができる流れの量と関連付けられる及び/又はそれに影響を及ぼす(アパーチャ13がその時間増分にわたってその特定のサイズのままであったと仮定すれば)。
【0139】
第1の実施形態の
図2~10cから観察され得るように、第2の部分12は、1つの第1の部材121及び1つの第2の部材122を含み得る。しかしながら、
図23~44を参照して下記でさらに明らかにするように、第2の部分12はまた、1つ以上の第1の部材121を含んでもよい。
【0140】
1つ又は複数の第1の部材121及び第2の部材122は、少なくとも1つの可変サイズのアパーチャ13を形成するように相対的に配置され得る。
【0141】
図2~12に関連して示すように、可変サイズのアパーチャ13は、1つ又は複数の第1の部材121の第1の周端1211と第2の部材122の第2の周端1221との間に形成又は規定され得る。それぞれの周端1211、1221は、第1の部材121及び第2の部材122のそれぞれの境界面を形成し得る。
【0142】
1つ又は複数の第1の部材121は、加えられる力に応えて、第2の部材122に対して偏る(deflect)又は動くように配置され得る。第2の部材122に対する1つ又は複数の第1の部材の偏り又は相対的な動きは、可変サイズのアパーチャ13のサイズを変える。
【0143】
さらに、いくつかの形態において、可変サイズのアパーチャ13の少なくとも一部は、第1又は第2の部分の一領域とそれぞれの第1の部材及び/又は第2の部材との間に形成され得る。例えば、
図6を参照して説明すると、第1の部材121が第2の部材122に直接取り付けられていない場合、可変サイズのアパーチャの少なくとも一部は、第1又は第2の部分の一領域とそれぞれの部材121、122との間に規定され得る。例えば、
図6のアパーチャ13の最も左側の端は、第1の部分11の一領域とそれぞれの部材121、122との間に規定されていると言われ得る。
【0144】
一実施形態において、1つ又は複数の第1の部材121は第1の部分11に片側だけ支えられてもよい。そのような形態は、
図2~12、
図15~30に関連して示されている。
【0145】
それに加えて、又はその代わりに、第2の部材122は第1の部分11に片側だけ支えられてもよい。
【0146】
代替的な実施形態において、第1の部材121は第2の部材122に片側だけ支えられてもよい。それに加えて、又はその代わりに、第2の部材122は第1の部材121に片側だけ支えられてもよい。
【0147】
代替的な実施形態において、1つ又は複数の第1の部材121は、ヒンジ配置構成(図示せず)、例えば一体丁番によって第1の部分11に取り付けられ得る。可変サイズのアパーチャ13のサイズは、1つ又は複数の第1の部材121のヒンジで連結された向きに応えて変わる。1つ又は複数の第1の部材121及びヒンジ配置構成は、静止状態(それに向かって1つ又は複数の第1の部材121が戻るように偏位される)において、可変サイズのアパーチャ13がその最小サイズに達するように、配置され得る。
【0148】
図15~17は、
図13~14の患者インターフェースに接続された
図2~12の気管切開ガードの斜視図を示す。
【0149】
第1の部分11は、患者インターフェース20と結合するように適合された形状を有し得る。例えば、第1の部分11は、円形、卵形、楕円形、六角形、八角形、又は四角形の断面を有し得る。第1の部分11は、患者インターフェース20の雄型端部と結び合わせる雌型端部を含み得、雄型端部は、雌型端部の形状に対応する形状を有し、又は逆も同様である。
【0150】
患者インターフェース20に接続されるとき、第1の部分11は、気管切開ガード10と患者インターフェース20との間の流体の流れを可能にするように配置される。これは、ガスフロー及び/又は痰が第1の部分11を経由して患者インターフェース20から気管切開ガード10に入り、且つ可変サイズのアパーチャ13を経由して気管切開ガード10を出ることができるようにする。第2の部分12は第1の部分11と一緒に、気管切開ガード10によって捕らえられる痰の量を保持できるようにする気管切開ガード10の空洞部を形成する。これは、気管切開ガード10が一定量の痰を、可変サイズのアパーチャ13を経由して周囲環境に放出される前に保持し得ることを意味する。
【0151】
患者インターフェース20は、形態次第で、異なる深さ又は距離で第1の部分11に接続され得ることが理解されるだろう。いくつかの形態において、患者インターフェース20は、第1の部分11に接続されるように配置され得る。代替的な形態において、患者インターフェース20は、第1の部分にわたって及び/又はその周りに接続されるように配置され得る。接続すると、患者インターフェース20は第1の部分11を封止する。
【0152】
患者インターフェース20が第1の部分11に接続されると、いくつかの形態において、患者インターフェースの終端部分は第1の部分11内に位置決めされ得る。しかしながら、他の形態において、患者インターフェース20の終端部分は第2の部分12内に位置決めされ得る。第1の部分11への患者インターフェース20の関連の侵入深さは、患者インターフェース20の詳細設計並びに第1の部分11の設計次第である。それゆえ、実際の設計次第で、患者インターフェース20を出る又はそこに入る流体は、第1の部分11に接続されるときに、第1の部分11によって形成された空洞部、第2の部分12によって形成された空洞部、又は第1の部分11と第2の部分12とで共有される空洞部を通って流れ得る。
【0153】
第2の部分12によって形成された空洞部は、気管切開ガード10によって捕らえられる痰の量を保持できるように設計される。本明細書で開示する実施形態全体にわたって、第1の部分11に接続されるとき、第2の部分12の空洞部は患者インターフェース20と流体連通する。
【0154】
第1の部材121及び/又は第2の部材122は、1つ以上のフラップ又はパネルを含み得る。1つ又は複数の第1の部材121及び/又は第2の部材122、又はそのフラップ若しくはパネルは、二方向に動くように構成され得るため、使用中、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力に応えて、内側及び外側への相対的な動き又は偏りの双方を可能にする。
【0155】
第1の部材121及び/又は第2の部材122は、第2の部分12の少なくとも一部に加えられた力に起因する二方向の動きの間中ずっと可変サイズのアパーチャ13のサイズがゼロを上回るように、物理的に配置され得る。ゼロを上回るサイズは、可変サイズのアパーチャが常に開いていて、そこを通したガスフロー及び痰の放出を可能にすることを意味する。
【0156】
さらに、ゼロを上回るサイズは、可変サイズのアパーチャ13が常に開いていることを意味する。痰は、初めに第2の部分12によって保持され得、続いて、第2の部分12内で一定の程度又は量に達すると、遅れて/制御された方法で放出され得ることが理解されるだろう。
【0157】
第1の部材121及び/又は第2の部材122は、それらの周端1211、1221が、使用中、第2の部分の少なくとも一部に加えられる力に応えて、互いに又は気管切開ガード10の他の部分に係合しないように、配置され得る。
【0158】
第1の部材121及び第2の部材122それぞれの全ての相対的位置に対してそれらの間にある程度の距離が存在するように、第1の部材121及び第2の部材122を配置することによって、それらの間に形成又は規定された可変サイズのアパーチャ13は開いたままになるため、使用中加えられる力の大きさ又は程度にかかわらず、ガスは可変サイズのアパーチャ13を通って流れることができる。第1の部材121の周端1211及び第2の部材122の周端1221は互いに又は気管切開ガード10の他の部分に係合しないため、可変サイズのアパーチャ13は非閉塞通路を形成し、第2の部分の少なくとも一部に加えられる力の大きさにかかわらず、ガスがそこを通って流れることができるようにする。それゆえ、1つ又は複数の第1の部材121及び/又は第2の部材122は、ガスが気管切開ガード10を通って内側又は外側に流れることを完全には妨害しないように配置される。これは、流れ発生器が機能しなくなる場合に、患者がアパーチャ13を通して、例えば直接通して、息をし得るため、患者の安全性の点で好都合である。さらに、常に開いたままであるアパーチャ13、並びに第1及び/又は第2の部材及び/又は二方向であるそれらそれぞれのフラップは、さらに、そのような技術的効果を可能にする。
【0159】
さらに、上述の通り、ハイフロー療法において、コネクタに供給される空気のかなりの割合が、患者に呼吸されることなく、直接室内に出されるため、アパーチャは、常に、開いたままであるか又は開くことができる必要がある。しかしながら、同時に、呼気相の最中に抵抗を必要とするPEEPを提供することが望ましい。
図2~12を参照して開示した気管切開ガード10は、これらの条件の双方を満たし得る:閉鎖、又は比較的若しくは実質的に閉鎖された位置の方へ偏位される可変サイズアパーチャ13は、呼気時の空気の流れ(expiratory airflow)に対する抵抗をもたらすため、PEEPの提供を促し、同時に、アパーチャ13の設計はまた、空気を逃がすための経路が常に確実に開放するようにし得る。これらの2つの態様はまた、さらなる相乗効果を有し得、アパーチャ13のいずれの詰まりもすぐに第2の部分12内の圧力を上昇させ得るため、同様にアパーチャ13も開放され得るようにする。
【0160】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の第1の部材121は、正常動作条件下で1~3mm動く又は偏るように配置され得るが、痰や分泌物を吐出するときには、それよりも大きい偏りが生じ得る。
【0161】
図2~12に関連して示すように、第1の部材121は、第1の部分11から長手方向に延在する部分的にチューブ状の部分1212を含むような形状にされ得る。さらに、第1の部材121は、さらに、第1の部分11から遠位に、部分的にチューブ状の部分1212から長手方向に延在する部分的に半球状の終端部分1213を含み得る。第1の部材121の周端1211は、部分的にチューブ状の部分1212及び部分的に半球状の終端部分1213の境界に沿って延在すると言われ得る。そのような形状は、第1の部材121に所望の変形特性を提供し得る。
【0162】
第1の部材121に部分的にチューブ状の部分1212及び部分的に半球状の終端部分1213を設けることによって、第1の部材121の偏り及び動きの程度は、より簡単に制御され得る。これは、第1の部材121に所望の変形特性、例えば第1の部材121の時期尚早な及び/又は過度の偏りを防止する程度の剛性だけでなく、加えられた力に応えて制御された方法で第1の部材121が偏ることを保証する又は可能にする必要な程度の柔軟性も提供することによって、可能にされ得る。さらに、この形態は、さらに、第1の部材121の空力弾性フラッタ(aeroelastic fluttering)の影響を低下又は軽減し得る。
【0163】
第2の部材122の厚さを下回る厚さの第1の部材121を配置することによって、第1の部材121は、使用中、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力に応えて、第2の部材122よりも大きい程度で偏る又は動く。
【0164】
しかしながら、他の形態が本発明の範囲内である。例えば、第2の部材に対する第1の部材121の所望の偏りのふるまいは、それらが同じ厚さを有している場合でも、それらの相対的な比率によって(例えば第1の部材121が第2の部材122よりも「浅い」断面を有することによって)、達成され得る。第1及び第2の部材121、122が実質的に同一であることも本発明の範囲内であり、ここでは、双方共、アパーチャ13の有効サイズを変えるために、加えられた力に応えて偏るような構成及び寸法にされ得、並びに第1の部材121の偏りは、第1の部材121内又はその上に痰が蓄積するため、重力によってさらにもたらされる。
【0165】
さらに、第1の部材122に部分的にチューブ状の部分及び部分的に半球状の終端部分を設けることによって、第1の部材の偏り及び動きの程度は、より簡単に制御され得る。また、そのような形状は、第1の部材121の空力弾性フラッタの影響を低下又は軽減し得る。
【0166】
1つ又は複数の第1の部材121と同様に、第2の部材122は、第1の部分11から長手方向に延在する部分的にチューブ状の部分1222を含むような形状にされ得る。さらに、第2の部材122は、さらに、第1の部分11から遠位に、部分的にチューブ状の部分1222から長手方向に延在する部分的に半球状の終端部分1223を含み得る。第2の部材122の周端1221は、部分的にチューブ状の部分1222及び部分的に半球状の終端部分1223の境界に沿って延在すると言われ得る。
【0167】
第1の部材121の部分的にチューブ状の部分1212及び第2の部材122の部分的にチューブ状の部分1222は、気管切開ガード10内で、それらの間に実質的にシリンダー状の空洞部を形成するように配置され得る。第1の部材121の部分的に半球状の終端部分1213及び第2の部材122の部分的に半球状の終端部分1223は、気管切開ガード10内で、それらの間に実質的に半球形の空洞部を形成するように配置され得る。
【0168】
従って、第1の部材121と第2の部材122との間に形成又は規定された空洞部は、実質的にシリンダー状の部分及び終端半球形部分を含み得る。
【0169】
図2~12から観察され得るように、第2の部材122の部分的に半球状の終端部分1223は、第1の部材121の対応する部分的に半球状の終端部分1213を越えて長手方向に延在し得る。この形態は、第1の部材121と第2の部材122との間に形成又は規定された可変サイズのアパーチャ13の方へ向かってガスや痰をそらす又は方向付けるように働き得る。
【0170】
図2~12の形態は、第2の部材122が重なって第1の部材121を越えて突き出ている状態で、力が加えられない場合でも、第1の部材121が第2の部材122よりも小さくてそれらの間にアパーチャ13を形成する間隙を備えるため、アパーチャ13が常に開放している助けとなり得る。さらに、アパーチャ13は全体的にこの形態において下を向くため、爆発的に吐出される痰は、アパーチャ13を通って直ぐに力強く出るのではなく、第2の部材122の部分的に半球状の終端部分1223によって、制御した方法で阻まれて向きを変えられる傾向がある。さらに、「使用中」の形態において、第2の部材122が第1の部材121の上方に配置されるとき、重力は、第2の部材122の部分的に半球状の終端部分1223を経由して、そらされた痰の放出を支援するように働き得る。
【0171】
ある実施形態において、1つ又は複数の第1の部材121は、重力及びそれ自体の重量のみによって偏ったり又は変形したりしないように配置され得る。例えば、第1の部材121の上述の形状は、部分的に半球状の終端部分1213を含め、重力及び第1の部材121の重量のみによって偏ったり又は変形したりしないように設計される。このために、1つ又は複数の第1の部材121の非平面的な配置構成は、この効果を達成するために好都合とし得る。
【0172】
図23~44に示すもの、又は任意の他の好適な形状など、第2の部分、第1の部材、及び第2の部材の他の形状も可能であることが理解されるだろう。
【0173】
従って、本明細書で開示した気管切開ガードのうちのいくつかは実質的に凸状の半球形終端部分1213、1223を有するが、これは、その代わりに、実質的に平面的としてもよいし、又は気管切開ガード内の所与の基準点を参照して凹状の湾曲を有してもよいことが理解されるだろう。
【0174】
可変サイズのアパーチャ13は、少なくとも一部は、第1の部材121の周端1211及び第2の部材122の周端1221によって、形成又は規定され得る。それゆえ、各周端は、アパーチャの境界又は壁として機能し得る。さらに、第1の部分11又は第2の部分12の1つ以上の部分は、アパーチャの境界又は壁として機能し得る。
【0175】
従って、第1の部材121及び第2の部材122は、対応する形状、例えば、それらの間に可変サイズのアパーチャ13を形成する相互補完的な形状を有し得る。
【0176】
可変サイズのアパーチャ13のサイズは、アパーチャ13の断面寸法に関し得る。
【0177】
それに加えて、又はその代わりに、可変サイズのアパーチャ13のサイズは、第1の部材121の周端1211、及び/又は第2の部材122の周端1221、及び/又は任意選択的にアパーチャ13の境界壁を形成若しくは規定する第1の部分11の部分の間に形成若しくは規定された領域に関し得る。その領域は、非閉塞領域又は通路として規定され得、そこを通って、ガスが流れること、及び任意選択的に痰や分泌物が放出されることを可能にする。
【0178】
図2~12、及び
図15~17を参照して説明すると、可変サイズのアパーチャ13は、気管切開ガード10の長手方向中心軸を含む中央平面(
図2においてA1を付す)からある垂直距離だけオフセットされる結合平面(
図2においてA2を付す)に形成されると言われ得る。
図2から観察され得るように、中央平面A1は、第1の部分11及び第2の部分12を通って延在する。
図2を参照して説明すると、結合平面は、そのような中央平面の下に配置され得る。
【0179】
しかしながら、結合平面は、異なる垂直距離だけオフセットされてもよく、それが次に、第1の部材121及び/又は第2の部材122のスティフネスに影響を及ぼすことが理解されるだろう。より大きなオフセット、すなわち中央平面/長手方向中心軸からのより大きな垂直距離は、よりコンプライアントな第1の部材121につながり得るが、より小さなオフセットは、より堅い第1の部材121を提供し得る。
【0180】
これは、第2の部分の外形寸法が固定されていると仮定すると、より大きなオフセット、すなわち中央平面/長手方向中心軸からのより大きな垂直距離によって、第1の部材121の比較的「浅い」断面を生じ、これが、よりコンプライアンスな第1の部材121につながり得るためである。他方で、第1の部材121の比較的「深い」断面を生じるより小さなオフセットによって、より堅い第1の部材121を提供し得る。
【0181】
図2~12を参照して説明すると、第1の部材121及び第2の部材122を含む第2の部分12は、第1の部分11の長手方向軸に対して第1の部分11から離れるように長手方向に延在し得る。
図2において観察され得るように、第2の部分12は、このように、第1の部分11から離れて右側に向かって延在する。これは、第1の部材121及び第2の部材122の双方共、第1の部分11から離れる、例えば長手方向に離れるように延在し得ることを意味する。
図2~6、及び
図10a~10cから観察され得るように、第2の部材122は、第1の部材121を越えて、例えば長手方向に越えて延在し得、及び部分的に半球状の周辺終端部分1223を前提として、第2の部材122は、それゆえガスフロー及び/又は痰をアパーチャ13の方へそらし得る。
【0182】
これは、第2の部材122が、使用中、気管切開ガード10の意図した向きに関して第1の部材121の上に配置されるとき、好都合である。この形態において、可変サイズのアパーチャ13は、使用中、気管切開ガード10より下の周囲環境と流体連通する。下記でさらに明らかにするように、この形態において、重力は、第2の部分12に含まれている痰の放出を改善できるようにするために、第1の部材121が外側へ偏るのを支援する(すなわち気管切開ガードの意図した使用の向きに対して下に)。
【0183】
いくつかの実施形態において、第1の部分11は第2の部分12と一体的に形成される。そのようなものとして、第1の部材121の一部は第1の部分11と一体的に形成され得、それに加えて又はその代わりに、第2の部材122の一部は第1の部分11と一体的に形成され得る。
【0184】
一体的に形成されるとき、第1の部材121の厚さは、第2の部材122とは異なるように配置され得る。より薄い部材は、使用中、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力に応えて、より簡単に偏る又は動く。図示の実施形態において、
図2~12を参照して説明すると、第1の部材121の厚さは第2の部材122の厚さよりも薄い。これは、第1の部材121が、使用中、第2の部分12の少なくとも一部に加えられた任意の所与の力に応えて、第2の部材122よりも大きい程度で偏る又は動くことを意味する。
【0185】
下記でさらに明らかにするように、第2の部分の少なくとも一部に加えられる力は、使用中、第2の部分12の圧力によって生じ得る。
【0186】
本明細書で開示する図面のいくつかは、単一構造の気管切開ガードを示すが、いくつかの実施形態による気管切開ガードは、その代わりに、異なる材料から作製される複数の構成要素にさらに分割され得ることが理解されるだろう。
【0187】
従って、第1の部分11及び第2の部分12は一体的に形成される必要はないことが理解されるだろう。いくつかの実施形態において、第2の部分12は第1の部分11に解放自在に取り付けられる。それに加えて又はその代わりに、第2の部分12は第1の部分11に封止式に取り付けられてもよい。
【0188】
図2~12及び
図15~17bの気管切開ガード10を参照して説明すると、第1の部分11及び第2の部分12によって形成若しくは規定された空洞部、又はその代わりに第2の部分12それ自体が、使用中、1つ又は複数の可変サイズのアパーチャ13のみを経由して、周囲環境と流体連通する。第1の部分11は、使用中、患者インターフェース20を経由する空洞部への流体アクセスを可能にするが、患者インターフェース20内の環境は、周囲環境には関わり合わない。
【0189】
図2~12及び
図15~17bの気管切開ガード10は、その空洞部への2つのアクセス点を有すると言われ得、1つのアクセス点は、患者インターフェース20(すなわち非周囲環境)と流体連通する第1の部分11に形成され、1つのアクセス点は、周囲環境と流体連通するアパーチャ13によって形成される。
【0190】
下記でさらに明らかにするように、気管切開ガード10は、周囲環境とそれぞれ流体連通する2つ以上の可変サイズのアパーチャ13が設けられ得る(
図38~44に関連して示すように)。
【0191】
周囲環境と流体連通する1つ以上の一定サイズの、すなわち非可変サイズのアパーチャは、いくつかの実施形態による可変サイズのアパーチャと組み合わせて使用され得ることも理解されるであろう。
【0192】
侵襲的又はハイフロー換気を受けるとき、患者が、不快感を覚えて患者インターフェース20を取り除いたり又は調整したりしようとするリスクがある。それゆえ、気管切開ガード10の少なくとも1つの可変サイズのアパーチャ13は、そのような干渉から保護するように位置決めされ得る及び/又はそのような形状にされ得る。例えば、使用中、下に向くように気管切開ガード10の底部側又は裏面に可変サイズのアパーチャ13を配置することによって、患者の干渉が減らされ得、且つ重力によって過剰な痰が除去又はドレーンされることができるようにする。その代わりに又はそれに加えて、気管切開ガード10の上側に(使用中の気管切開ガード10の向きに関して)可変サイズのアパーチャ13を配置することによって、患者の干渉は減らされ得る。
【0193】
第1の部材121は第1の材料又は構造特性を有し得、及び第2の部材122は第2の材料又は構造特性を有し得る。これらの第1及び第2の材料又は構造特性は、加えられた力に応えて可変サイズのアパーチャ13のサイズを変化させることができるように選択される。
【0194】
いくつかの実施形態によれば、第1の材料又は構造特性及び第2の材料又は構造特性は、以下:剛性、スティフネス、柔軟性、弾性係数、断面二次モーメント、長さ、幅、及び厚さのうちの少なくとも1つに関する。
【0195】
第1及び第2の材料又は構造特性は、第1及び第2の部材121、122のそれぞれのプロフィール及び/又は断面及び/又は寸法によってもたらされ得る、又は部分的にそれによってもたらされ得る。例えば、上述の通り、
図2~12の実施形態において、所与の材料及び所与の厚さに関し、比較的「浅い」断面を有する第1の部材121は、比較的「深い」断面を有する第1の部材121よりも偏る傾向がある。
【0196】
いくつかの実施形態において、第2の部材122は第1の部材121よりも硬くてもよい。それに加えて、又はその代わりに、第2の部材122は、1つ又は複数の外部の物体、例えば第2の部材122の外面に影響を与える使用者の手による呼気流路のほぼ完全な閉塞を防止するために実質的に堅くてもよい。それに加えて、又はその代わりに、第2の部材122は、気管切開カニューレから進ませられて第2の部材122の内部表面に影響を与える痰の向きを変えるために、実質的に堅くてもよい。
【0197】
上述のように、第1の材料又は構造特性及び第2の材料又は構造特性は、第1の部材121又は第2の部材122の厚さ又は断面二次モーメントに関連し得る。例えば、
図10a~10cから、第1の部材121の厚さは第2の部材122の厚さよりも薄く(すなわち下回る)、これは、次に、第1の部材121が第1の部分11に配置される又は取り付けられる方法を考えると、第1の部材121が、
図10aに示すその静止状態から第2の部材122に対して内側又は外側に可逆的に偏ることを可能にすることが観察され得る。厚さを増すことは、以下:剛性を高め得る、及び逆も同様であるため、単に第2の部材122を第1の部材121よりも厚くすることによって、第1の部材121は、使用中第2の部分12の少なくとも一部に加えられる任意の所与の力に応えて、第2の部材122よりも大きく偏る又は動く。
【0198】
いくつかの実施形態において、気管切開ガード10、第1の部分11、第2の部分12、第1の部材121及び/又は第2の部材122は、熱硬化性又は熱可塑性のいずれかのポリマーから作製され得る。いくつかの実施形態において、ポリマーはエラストマーである。いくつかの実施形態において、ポリマーは熱可塑性エラストマーである。気管切開ガード10の1つ以上の構成要素は、異なる材料で作製されてもよいことが理解されるだろう。
【0199】
いくつかの実施形態において、気管切開ガード10は単一の材料で作製される。
【0200】
第1の材料又は構造特性及び/又は第2の材料又は構造特性は、使用中第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力に基づいて、第1の部材121及び/又は第2の部材122の可逆的な変形を可能にするように選択され得る。可変サイズのアパーチャ13のサイズは、可逆的な変形に基づいて又はそれに応えて可変とし得る。可逆的な変形は弾性変形と呼ばれてもよく、ここでは、関連の材料が、加えられた力に関連付けられる負荷が除去された後、その元の静止状態の形状に戻る。
【0201】
それゆえ、可逆的な変形によって、ひとたび変形を引き起こすように加えられた力が除去されたら、関連の材料がその静止状態に戻ることを意味する。概して、エラストマー材料は可逆的な変形を可能にする。
【0202】
いくつかの実施形態において、可逆的な変形は、その静止状態から偏らされている又は曲げられている又は屈曲されている又は他の方法で変形されている材料と関連付けられ得る。
【0203】
第1の部材121の材料又は構造特性は、材料のエラストマー性のおかげで
図10aに示すように第1の部材121が閉鎖する又はその静止状態に戻るように偏位されるように、選択され得る。それに加えて、又はその代わりに、使用中第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力を除去すると、閉鎖する又はその静止状態に戻る第1の部材121のふるまい又は傾向をさらに高めるために、追加的な構造特徴、例えばリブ又は補強特徴(厚さを増すことを含む)が使用され得る。
【0204】
いくつかの実施形態において、第1の部材121は十分に可撓性があって、吸引するためのアクセスを可能にする。
【0205】
本明細書で開示する気管切開ガード10は、ハイフロー気管切開術に好適になるように特別に設計される。ハイフロー気管切開術において、流量は、一般に、患者のタイプ次第で約1l/min~150l/minで変わる。例えば、新生児や小児科の患者に対する高流量は、一般に、約1l/min~約30l/minの範囲とし得る。ほとんどの成人では、高流量は、約20l/min~約80l/minの範囲とし得る。さらに、従来技術とは対照的に、本明細書の様々な実施形態に関連して開示した気管切開ガードは、可変サイズのアパーチャ13が設けられており、そのサイズは、正常動作条件下で、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力に応えて、制御式に変化する。これは、気管切開ガード10が、ハイフロー応用に対しても好都合に高いPEEPを維持することを可能にする一方で、依然として分泌物及び痰の放出を可能にすることを意味する。
【0206】
それゆえ、いくつかの実施形態によれば、アパーチャ13の可変サイズは、使用中、加えられる力に応えて、そこを通した痰の放出を可能にするように構成される。これにより、患者インターフェース20の閉塞又は詰まりのリスクを低下させる。詰まりは、気圧障害及び/又はCO2の増加の双方を不都合に引き起こし得、さらにCO2の再呼吸の原因となり得る。本明細書で開示する可変サイズのアパーチャ13は、患者からの呼気用の経路、例えば逃がし路を可能にする。このために、従来技術の固定サイズのアパーチャ(又はPEEP弁配置構成)は、より高い流量でPEEPを増加させ得るが、そのような形態は、痰や分泌物のせいで、より詰まる傾向があることが理解されるだろう。本明細書で開示する可逆的に変形可能な1つ又は複数の第1の部材121及び/又は第2の部材122の偏りは、可変サイズのアパーチャ13のサイズを変えることを可能にし、それにより、詰まりのリスクを低下させる。
【0207】
さらに、可変サイズのアパーチャ13を用いて、いくつかの実施形態による気管切開ガード10は、痰又は分泌物の放出を可能にしながら、所与の範囲の高ガス流量の所望のPEEPを提供し得る。
【0208】
非限定的な例として、いくつかの実施形態による気管切開ガードは、使用中:
・ 流量20l/minで1~3cmH20、
・ 流量30l/minで2~3.2cmH20、
・ 流量40l/minで2.5~3.6cmH20、
・ 流量50l/minで3.3~4.5cmH20、
・ 流量60l/minで3.8~5.2cmH20、又は
・ 流量70l/minで4.5~6cmH20
のPEEPを達成することが可能である。
【0209】
いくつかの実施形態によれば、アパーチャ13の可変サイズは、使用中、最小設定値の呼気終末陽圧(PEEP)を達成するように構成される。最小設定値のPEEPは:1cmH20~7cmH20の範囲から選択され得る。上記の通り、達成されるPEEPは、流量次第であり、及び最小設定値のPEEPの選択は、臨床家の自由裁量である。
【0210】
任意の所与のガス流量では、可変サイズのアパーチャ13のサイズの縮小は、概して、PEEPの増加であり、及び逆も同様であることが理解されるだろう。
【0211】
使用中、第2の部分12の少なくとも一部が受ける加えられた力の程度次第で、第1の部材121と第2の部材122との間の相対的な向きが変わり、第1の部材121と第2の部材122との間に形成又は規定されたアパーチャ13のサイズが変わる又は変化することになる。
【0212】
使用中、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力(これは、同様に、第1の部材121及び第2の部材122の相対的な向きを変化させることによって可変サイズのアパーチャ13のサイズを変化させる)は、前記第2の部分12の内圧に関連し得る、関連付けられ得る、又はそれから少なくとも部分的に生じ得る。
【0213】
第1の部材121及び第2の部材122のそれぞれの形態、形状、材料特性、及び/又は構造特性は、力が加えられる際の動き及び/又は偏りに関してどのように第1の部材121及び/又は第2の部材122がふるまうかに影響を与える。これは、次に、加えられた力を受けるときにどのように第1の部材121及び第2の部材122の部分がふるまうかに影響を与える。さらに、第2の部分の部分、例えば力が加えられる第1の部材121及び/又は第2の部材122の少なくとも一部は、加えられた力を受けるときにどのように第1の部材121及び第2の部材122がふるまうかに影響を与える。
【0214】
ある例として、構造特性を切り離すと、第1の部材121及び第2の部材122の双方が同じ材料で作製され、且つ第1の部材121が第2の部材122よりも薄く作製される場合、所与の形態に対し、第1の部材121は、同じ力を受けるときに、その元の向きから第2の部材122よりも大きく動く又は偏る傾向がある。このシナリオは、
図10a~10cにおいて観察され得、ここでは、第1の部材121は第2の部材122よりも薄く作製される。
【0215】
本明細書でさらに明らかにされるように、それぞれの部材121、122の形態及び/又は形状はまた、加えられた力を受けるときのその部材121、122の動き及び/又は偏りの点でふるまいに影響を与える。
【0216】
少なくとも一例において、第2の部材122は、所与の加えられた力を受けるときに、第1の部材121よりも少ない又は実質的に少ない偏りをもたらすように設計される。
図10a~10cに戻ると、第2の部材122は、加えられた力を受けるときに、所与の加えられた力を受けるときの第1の部材121よりも実質的に少ない偏りをもたらすように設計される。
【0217】
第2の部分12の内圧は、少なくとも一部には、第1の部分11と第2の部分12によって形成された空洞部内の内部ガス圧に関連し得る。それに加えて、又はその代わりに、内圧は、少なくとも一部には、使用中、第2の部分12、例えばその第1の部材121に作用する痰や分泌物の重量によって形成された、結果として生じる圧力に関連し得る。第2の部分の少なくとも一部に加えられる力、例えば第2の部分12又はその少なくとも一部に加えられる力は、少なくとも一部には、使用中、第2の部分12内に存在する痰や分泌物の重量に関連し得る。
【0218】
使用中、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力は、さらに、気管切開ガード10内のガスの流量と関連づけられ得る。例えば、患者が咳をすると、気管切開ガード10を通るガス流量が高くなることによって、第2の部分12の少なくとも一部、例えばその第1の部材121及び/又は第2の部材122に加わる力が増し、それに応じてアパーチャ13のサイズが変化する。
【0219】
使用中、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力は、いくつかの実施形態によれば、作動力(operational force)と呼ばれてもよく、これは、とりわけ、供給されるガス流量、患者の呼吸サイクル、患者の咳に起因する急激な圧力変化及び/又は気管切開ガード10内に存在する痰や分泌物の量次第である。
【0220】
それに加えて又はその代わりに、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力は、さらに、物理的な力、例えば、可変サイズのアパーチャ13のサイズを変化させるために1つ又は複数の第1の部材121及び/又は第2の部材122を変形させるために臨床家などの使用者によってかけられる力に関連し得る。任意選択的に、物理的な力は、ツール、例えば使用中アパーチャ13を通して挿入される吸引カテーテルによって、加えられ得る。
【0221】
いくつかの実施形態において、加えられる力、すなわち第2の部分の少なくとも一部に加えられる力は、第2の部分12又はその第1の部材121及び/又は第2の部材122を含むその関連の部分に作用する全ての力の合力(resultant force、net force)に関する。
【0222】
いくつかの実施形態において、正及び/又は負の合力が第2の部分12又はその第1の部材121及び/又は第2の部材122を含むその一部に加えられるとき、可変サイズのアパーチャ13のサイズは変わる。このようにして、正及び/又は負の合力が第2の部分12又はその一部、例えばその第1の部材121及び/又は第2の部材122に加えられる結果、可変サイズのアパーチャ13のサイズは変わる。ここで、正の合力は、第2の部分12から周囲環境の方へ向かって外側へ方向付けられる成分を有する、力、例えば、第2の部分12の少なくとも一部に作用する力であると定義される。ここで、負の合力は、内側に又は周囲環境から第2の部分12の方へ向かって方向付けられる成分を有する、力、例えば第2の部分12の少なくとも一部に作用する力であると定義される。合力がゼロであるとき、気管切開ガード10は、その静止状態にあると言われ得る。換言すると、静止状態は、気管切開ガード10に作用する全ての外力が平衡状態にある、静止している、すなわち均衡した状態であると定義され得る。例えば、気管切開ガード10は、患者インターフェース20に接続されていないとき、又は使用中、流れ発生器ではなく患者インターフェース20に接続されており、それにより、第2の部分12の内部圧力が周囲圧力と等しいとき、その静止状態にあってもよい。
【0223】
いくつかの実施形態において、加えられた合力はまた、第2の部分12に作用する内部圧力と第2の部分12に作用する外圧との間の相対的な圧力差とも呼ばれ得るか、又はそれに関連し得る。それゆえ、内部圧力が外圧よりも高いときはいつでも、加えられた力は、正の相対的な圧力差に関連すると言われ得、及び逆も同様であり、これは、次に、可変サイズのアパーチャ13のサイズを変えるように作用する。
【0224】
気管切開ガード10のサイズは、患者及び/又は介護人を妨害しないが、閉塞に対する十分なバリアを提供し、及び/又は介護人にうつらないように、別の表現では、制御されずに環境に吐出されたり若しくは吹き出されたりしないように患者の分泌物をそらすことができるように、選択され得る。
【0225】
いくつかの実施形態において、静止状態における可変サイズのアパーチャ13の面積は、およそ25~30mm2、例えば27mm2である。
【0226】
前述の通り、第1の部材121と第2の部材122との間に形成又は規定された可変サイズのアパーチャ13は、使用中、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力に応えて、サイズが変化する。加えられる力は、第1の部材121と第2の部材122との間の相対的な位置に影響を与える。
【0227】
いくつかの実施形態において、例えば
図10a~10cを参照して説明すると、第1の部材121は、加えられた力に応えて第2の部材122に対して動くように配置され、それにより、可変サイズのアパーチャ13のサイズを変化させ得る。
【0228】
可変サイズのアパーチャ13のサイズが増大するか又は縮小するかは、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力の変化次第である。例えば、加えられる力が、第2の部分から外側に、すなわち第2の部分から外側に周囲環境の方へ向かって方向付けられる成分を有する力と定義される正の合力に関連する及び/又はそれを含むとき、これによって、1つ又は複数の第1の部材121及び/又は第2の部材122の外側への偏り又は動きを引き起こす。
【0229】
その代わりに又はそれに加えて、可変サイズのアパーチャのサイズはまた、第2の部分のどの部分に力が加えられるかによって、影響を及ぼされ得る。
【0230】
加えられる力が、周囲環境から内側に第2の部分12の方へ向かって、すなわち周囲環境から内側に方向付けられた成分を有する力と定義される負の合力に関連する及び/又はそれを含むとき、これは、1つ又は複数の第1の部材121及び/又は第2の部材122の内側への偏り又は動きを引き起こす。
【0231】
可変サイズのアパーチャ13がその最小サイズに達する静止状態を除く全ての形態に関し、可変サイズのアパーチャ13のサイズは、負の合力の変化に応えて縮小し、及び正の合力の変化に応えて増大する。それゆえ、静止状態を除く任意の所与の向きに関し、合力の負の変化があるとき、可変サイズのアパーチャ13のサイズは縮小する。ここで、合力の負の変化は、新しい合力が変化前の元の合力よりも小さい又は低いシナリオを暗示する。さらに、静止状態を除く任意の所与の向きでは、合力の正の変化があるとき、可変サイズのアパーチャ13のサイズは増大する。ここで、合力の正の変化は、新しい合力が変化前の元の合力よりも大きい又は高いシナリオを暗示する。換言すると、この文脈では、より大きい及び高いは、関連の合力のより大きい大きさを暗示する。
【0232】
いくつかの条件下で(例えば、同じ大きさ又は絶対値の負及び正の合力に対して同じサイズに達する対称的なアパーチャ形態に関し、又は非対称的なアパーチャ形態に対する静止状態の妨害(crossings)がない限り)、可変サイズのアパーチャ13のサイズは、合力の絶対値(すなわち大きさ)が低下する(すなわち小さくなる)場合、縮小し、及び合力の絶対値(すなわち大きさ)が増加する(すなわち大きくなる)場合、増大すると言われ得る。これらの条件下では、静止状態を除く任意の所与の向き関し、合力の絶対値(大きさ)が低下するとき、可変サイズのアパーチャ13のサイズは縮小する。さらに、これらの条件下では、静止状態を除く任意の所与の向きに関し、合力の絶対値(大きさ)が増加するとき、可変サイズのアパーチャ13のサイズは増大する。
【0233】
図10a~10cは、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる3つの異なる力を受けるときの第1の実施形態の気管切開ガード10のそれぞれの断面図を示す。加えられる異なる力はそれぞれ、第1の部材121を第2の部材122に対して動かすことになり、それにより、可変サイズのアパーチャ13のサイズを変化させる。
図10aは、その静止状態にあるとき、すなわち、可変サイズのアパーチャのサイズがその最小サイズに達している気管切開ガード10を示す。この形態において、第2の部分12の少なくとも一部に作用する合力は全て平衡状態にある。
図10bは、負の合力が第2の部分12の少なくとも一部に加えられる状況を示す。合力の負の変化の結果、第1の部材121は、
図10aに示すその静止状態の位置から内側へと偏らされる又は動かされる。
図10bの形態は、例えば、患者インターフェース20に完全な若しくは部分的な詰まりがある、又はガス源からの患者が吸い込むガスフローに完全な若しくは部分的な詰まりがある、起こりそうにない事象を発生させることがある。
図10cは、使用中、正の合力が第2の部分12の少なくとも一部に加えられるときの気管切開ガード10の形態を表す。前述の通り、正の合力は、ガス源から患者インターフェース20を経由して患者に供給されるガス流量、患者が息を吐くこと、患者が咳をすることによるもの、又は第1の部材121及び/又は第2の部材122などの第2の部分12の少なくとも一部に作用する痰(図示せず)の重量によるものとし得る。
【0234】
加えられた力、例えば加えられた合力が減少する場合、気管切開ガード10が既にその静止状態の形態の負の力の側にあるとき、すなわち第1の部材121(
図10bに示すような)及び/又は第2の部材122(その特別な設計では
図10bにおいて第2の部材122の内側への偏りが実質的に無視できるほどであるため、
図10bから観察され得ない)が、静止状態から内側へ偏らされる又は動かされるとき、可変サイズのアパーチャ13は、気管切開ガード10の形態が静止状態の負の力の側で静止状態からどんどん離れるように動くことによって、増大する。
【0235】
気管切開ガードがその静止状態の形態の負の力の側にあるとき、これは、第2の部分に加えられる合力が負であると定義されることを意味する。換言すると、前記第2の部分又はその少なくとも一部に対して内側へ向かって作用する全ての力は、第2の部分に対して外側へ向かって作用する力よりも大きい。この形態において、少なくとも1つの第1の部材は内側へ偏らされる。
【0236】
気管切開ガードがその静止状態の形態の正の力の側にあるとき、これは、第2の部分に加えられる合力が正であると定義されることを意味する。換言すると、前記第2の部分又はその少なくとも一部に対して内側へ向かって作用する全ての力は、第2の部分に対して外側へ向かって作用する力よりも小さい。この形態において、少なくとも1つの第1の部材は、外側へ偏らされる。
【0237】
気管切開ガードが既にその静止状態にあるとき、これは、第2の部分に加えられる合力は、ゼロであると定義されることを意味する。静止状態において、前記第2の部分又はその少なくとも一部に対して内側へ向かって作用する全ての力は、第2の部分に対して外側へ向かって作用する力と平衡状態にある。この形態において、少なくとも1つの第1の部材は、内側へも外側へも偏らされない。
【0238】
第2の部分に対して内側へ向かって作用する力の全て及び第2の部分に対して外側へ向かって作用する力の全てが、時間が経つにつれてどのように変化するか次第で、これは、気管切開ガードが負の力の側、正の力の側、又は静止状態のどれに達するかに影響を及ぼす。
【0239】
完全を期すために、加えられる負の合力の絶対値の増大は、その代わりに、より大きな負の値になるという意味で、力の「低減」と呼ばれ得ることに留意されたい。しかしながら、この説明において、用語「絶対値の増大/低下」は、力それ自体の大きさの変化を示すために使用される;及び「正/負」は、前記力の全体的な方向を示すために使用され、「正」は、第2の部分に対して外側方向に力が作用することを示し、及び「負」は、第2の部分に対して内側方向に力が作用することを示す。
【0240】
他方で、加えられた力、例えば加えられた合力が低減する場合、気管切開ガード10が既にその静止状態の形態の正の力の側にあるとき、すなわち、第1の部材121及び/又は第2の部材122が、
図10cにおけるように静止状態から外側へ偏らされる又は動かされるとき、可変サイズのアパーチャ13は、加えられた力の低減によって形態を静止状態の近くにするため、縮小するが、
図10aに示す静止状態を通り過ぎた後、加えられた力が依然として低減し続ける条件で、気管切開ガード10の形態が
図10bに示すように静止状態の負の力の側で静止状態からどんどん離れるように動くことによって、可変サイズのアパーチャ13は増大する。
【0241】
その代わりに又はそれに加えて、加えられる正の合力の絶対値が低下する場合、加えられた力の絶対値の低下によって形態を静止状態(
図10aに示す)の近くに持って行くため、可変サイズのアパーチャ13は縮小する。しかしながら、気管切開ガード10が静止状態に到達した後、負の力(すなわち内側へ向かって作用する力)が加えられる(又は加えられ続ける)場合、気管切開ガード10の形態が
図10bに示すように静止状態の負の力の側で静止状態からどんどん離れるように動くことによって、可変サイズのアパーチャ13は増大する。
【0242】
第2の部分12の少なくとも一部に作用する正又は負の加えられた合力次第で、可変サイズのアパーチャのサイズは最終的に安定化して(すなわち平衡状態に達成して)、加えられた力がさらに変更されるまで維持され得る。この安定化した状態において、第1の部材121及び第2の部材122は、それらそれぞれの向き及び偏りを維持する。
【0243】
気管切開ガード10が既にその静止状態の形態の正の力の側にあるとき(例えば外側へ向かって作用する正の加えられる合力を受けて、加えられる正の合力の絶対値が増大するとき)、加えられた力が増大する場合、気管切開ガードの形態が静止状態の正の力の側で静止状態からどんどん離れるように動くことによって、可変サイズのアパーチャは大きくなる。
【0244】
他方で、気管切開ガード10が既にその静止状態の形態の正の力の側にあって(すなわち加えられる正の(外側へ向かって作用する)合力を受けている)、加えられる正の合力の絶対値が低下する場合、気管切開ガードの形態が静止状態の近くに動くことによって、可変サイズのアパーチャは小さくなる。
【0245】
他方で、
図10bに示すように、気管切開ガード10が既にその静止状態の形態の負の力の側にある(例えば加えられる負の(内側へ向かって作用する)合力を受けている)ときに、加えられた力が増大し、且つ加えられた負の合力の絶対値が低下する場合、加えられた力の増大によって形態を
図10aに示すような静止状態の近くに持って行くため、可変サイズのアパーチャは小さくなるが、静止状態を通り過ぎた後、気管切開ガードの形態が
図10cに示すように静止状態の正の力の側で静止状態からどんどん離れるように動くことによって、可変サイズのアパーチャは大きくなる。
【0246】
このようにして、可変サイズのアパーチャは、加えられた力の大きさの低減によって形態を
図10aに示すような静止状態の近くに持って行くため、縮小すると言われ得る。
【0247】
他方で、
図10bに示すように、気管切開ガード10が既にその静止状態の形態の負の力の側にあって(すなわち負の(内側へ向かって作用する)加えられた合力を受ける)、加えられた負の合力の絶対値が増大する場合、加えられた力の大きさの増大によって第1の部材121をさらに内側へと静止状態から離れるように促すため、可変サイズのアパーチャは大きくなる。
【0248】
第2の部分12は、アパーチャのサイズが二方向に増大し得るように構成されることが理解されるであろう;すなわち、アパーチャの最小サイズは、第2の部分12が静止状態にあるときであり、且つ加えられた力(内側(負)又は外側(正)方向における)が、内側へ向かってか又は外側へ向かってかに関わらず静止状態から離れるように促される第1の部材121によって、アパーチャのサイズを大きくさせる。変位された第1の部材が、静止状態の方へ戻って、他方の方向における力が加えられる又は加えられ続ける場合、第1の部材121は、他方の方向において静止状態を通り過ぎて動くため、再度アパーチャのサイズを大きくすることも理解されるであろう。それゆえ、気管切開ガード10がその静止状態の負の力の側にあって、加えられた負の合力の絶対値(大きさ)が低下する場合、第1の部材121は、加えられた合力がゼロ(気管切開ガードがその静止状態に達する点)になるか又はそれを通過するまで、静止状態の方へ向かって動く。そのため、加えられる正の合力が加えられると、第1の部材121は静止状態から離れるように外側へ向かって動く。
【0249】
上述の通り、加えられた力、例えば加えられた合力の大きさ次第で、システムは平衡状態に到達し得、そこでは、可変サイズのアパーチャのサイズは安定化し、且つ加えられた力がさらに変更されるまで、維持される。この安定化した状態において、第1の部材121及び第2の部材122は、それらそれぞれの向き及び偏りを維持する。
【0250】
加えられた力の静止状態の形態からのいずれの変化も、例えばその関連の絶対値の変化も、可変サイズのアパーチャのサイズを大きくする。例えば、気管切開ガードがその静止状態にあって、負の合力を受ける場合、第1の部材121及び/又は第2の部材122は内側へ偏って、可変サイズのアパーチャのサイズは大きくなる。他方で、気管切開ガードがその静止状態にあって、正の合力を受ける場合、第1の部材121及び/又は第2の部材122は、外側へ偏り、それにより、可変サイズのアパーチャのサイズはまた大きくなる。
【0251】
他の箇所に述べられているように、加えられる合力は、気管切開ガード10の第2の部分12内の圧力、気管切開ガード10の第2の部分12外の周囲環境圧力、及び/又は第2の部分12の内部と第2の部分12外/周囲の周囲環境との圧力の差に少なくとも部分的に関連し得る、又はそれに起因し得ることが理解されるであろう。その代わりに又はそれに加えて、加えられた合力はまた、第2の部分の少なくともいくつかの部分に及ぼされる他の力(例えば痰の重量又は使用者や臨床家からの力)に少なくとも部分的に関連し得る、又はそれに起因し得ることが理解されるだろう。
【0252】
代替的な実施形態において、気管切開ガード10は、ベースラインガス流量に応えて可変サイズのアパーチャの最小サイズに達するように設計され得る。ベースラインガス流量は、患者のタイプに関連付けられる最低の高流量、例えば成人患者では20l/min、又は新生児の患者では1l/minに関連し得る。或いは、ベースラインガス流量は、上述の高流量範囲から選択されるいずれの高流量にも関連し得る。
【0253】
二方向の動作を、可動/偏り可能な1つ又は複数の第1の部材121を有する気管切開ガードの
図2の実施形態を示す
図10a及び
図10cを参照して上述したが、他の実施形態において、アパーチャ13、及び気管切開ガード10の第2の部分12の周囲部分は、同様に、加えられた力に応えて二方向にふるまってもよいことが理解されるであろう;及び、実施形態次第で、これは、第1の部材121、第2の部材122、及び/又は加えられた力に応えて可動である第2の部分12の1つ又は複数の別の領域若しくは部分の機能とし得る。
【0254】
本明細書で参照する患者インターフェース20は、気管切開口において患者に係合するように配置された気管切開インターフェースとし得る。気管切開患者インターフェース20は、任意選択的に、ハイフローを送給することによって発生する気圧障害の機会を減らすために漏れがあるように配置され得る。
【0255】
図13及び
図14は患者インターフェース20の斜視図を示す。患者インターフェース20は、本体によって接続される第1の端部21及び第2の端部22を含む。患者インターフェース20の第1の端部21は、例えば、気管チューブ(図示せず)と結合することによって、患者の気道と流体接続するように構成される。患者インターフェース20の第2の端部22は、気管切開ガード10の第1の部分11と結合するように構成される。ポート23が、ガス源(図示せず)から第1の端部21へガスを送給する供給チューブ又は導管101と結合する。患者インターフェース20は、患者、介護人による、又は患者インターフェース20内の患者の分泌物に起因する患者インターフェース20の予想外の閉塞を防ぐために通気口を含んでも又は含まなくてもよい。
【0256】
ガス源は、使用中、患者インターフェースにガスフローを供給できる任意の機器、例えば送風器、流れ発生器、人工呼吸器、及び/又は加湿装置とし得る。
【0257】
第2の実施形態によれば、
図18~22を参照して説明すると、気管切開ガード10は、さらに、気管切開ガード10を患者インターフェース20に結合できるようにする患者インターフェース保持ユニット14、15を含む。患者インターフェース保持ユニット14、15は、患者インターフェース20に接続されたり又は接続を外されたりする第1の部分11とは独立して、気管切開ガード10を患者インターフェース20に保持できるようにし得る。それゆえ、患者インターフェース保持ユニット14、15は、例えば、使用中、任意選択的な洗浄のために気管切開ガード10が接続を外されるときに、気管切開ガード10が患者インターフェース20から分離されたり又は外されたりするのを防止する。患者インターフェース保持ユニット14、15は、患者インターフェース取付部材15の一方の端部に取り付けられる可撓性部材14(例えばテザー)を含み得、これは、ループ配置構成を含み得る。患者インターフェース取付部材15は、使用中患者の気道に又は患者インターフェース20の任意の他の好適な部材に流体接続するように配置される患者インターフェース20の第1の端部21に接続するか又は近接するように配置され得る。
図20~22に関連して示すように、患者インターフェース保持ユニット14、15は、患者インターフェース20の第1の端部21の周りに又はそれに近接して配置され得る。テザー又は可撓性部材14は、気管切開ガード10の第1の部分11に解放自在に又は一体的に取り付けられ得る。
【0258】
図20~22は、それぞれ、
図13及び
図14の患者インターフェース20に接続されるときの、第2の実施形態の気管切開ガード10の斜視図、側面図、及び底面図を示す。
【0259】
患者インターフェース保持ユニット14、15は、本明細書で開示する気管切開ガードの実施形態のいずれか1つに提供され得ることが理解されるだろう。
【0260】
いくつかの実施形態において、気管切開ガード10は、患者インターフェース20に解放自在に取り付けるように配置された端部を有する第1の部分11を含む。第1の部分11は、患者インターフェース20に封止式に取り付けるように構成され得る。第1の部分11は、患者インターフェース20の対応するアライメント特徴25と位置合わせするためのアライメント特徴11aを含み得る。第1の部分11は、さらに、患者インターフェース20の対応する取付部材221に取り付けるように配置された取付部材11bを含み得る。取付部材11bは、第1の部分11が患者インターフェース20に取り付けられるときに、患者インターフェース20の取付部材221と結び合わせるように配置され得る。取付部材11bは、患者インターフェース20の対応する取付部材221に封止式に取り付けるように構成され得る。取付部材11bは、さらに、気管切開ガード10に指向性の力を加えると、患者インターフェース20の対応する取付部材221から接続を外されるように配置され得る。
【0261】
指向性の力は、取付部材11bが患者インターフェース20の対応する取付部材221と結び合わせるとき、全体的に結び合わせる方向の成分とは反対の成分を有し得る。
【0262】
取付部材11bは、結び合わせる方向とは反対の指向性の力、例えば結び合わせる方向とは実質的に反対の指向性の力を加えるのに続いて、患者インターフェース20に関連する気管切開ガード10にモーメントを加えることによって、患者インターフェース20の対応する取付部材221から接続を外されるように配置され得る。
【0263】
このようにして、結び合わせる方向とは実質的に反対の指向性の力を加えることによって、例えば実質的に第1の部分11の長手方向中心軸(
図2、
図6、
図10a~10c、
図17a~17b、
図21、
図27、
図35、及び
図42においてA1を付して破線で示している)に沿って、気管切開ガード10に、患者インターフェース20から離れるように作用する力をかけることによって、取付部材11bは、患者インターフェース20の対応する取付部材221から接続を外されるように配置され得る。これは、「押込み嵌め式/引張り解除式(pull-release)」形態と呼ばれてもよく、それにより、使用者は、単に、気管切開ガード10を患者インターフェース20から引き抜いてそれら2つの接続を外すようにする。
【0264】
モーメントは、第1の部分11の長手方向中心軸と交差する第1の部分11の横軸、又は実質的に横軸の周りに方向付けられ得る。モーメントは、
図17a、
図17b、
図21、
図27、
図35、及び
図42において点線の矢印(Mを付す)によって示されている。
【0265】
指向性の力は、第1の部分11の長手方向中心軸から離れるように方向付けられる。長手方向中心軸(A1を付す)は、
図2、
図6、
図10a~10c、
図17a~17b、
図21、
図27、
図35、及び
図42において破線として示されている。
【0266】
例えば、指向性の力又はモーメントは、患者インターフェース20の下縁250の周りにかけられ得る。下縁250は、モーメントを加えることによって取り外されるときに、気管切開ガード10の効果的な「ピボット点」を形成し得る。指向性の力又はモーメントは、前記下縁250を通る軸、例えば軸252の周りに方向付けられ得、これは、第1の部分11の長手方向中心軸を実質的に横切る及び/又はそれと交差する。
【0267】
或いは、取付部材11bは、患者や使用者によってモーメントを加えると、患者インターフェース20の対応する取付部材221から接続を外されるように配置され得る。
【0268】
このようにして、
図14を参照して点線252と示されるような横軸又は実質的に横軸は、患者インターフェース20の下縁250と交差して、モーメントを加えることによって取り外されるときに、前記下縁250が気管切開ガード10の効果的な「ピボット点」を形成するようにする。使用中、使用者は、第1の部分に(例えば次に説明するリップ11cを介して)力を加え、それによりモーメントを発生させて、気管切開ガード10を患者インターフェース20から離れるように旋回させ、それゆえ外す。
【0269】
いくつかの実施形態において、取付部材11bは、患者インターフェース20の対応する取付部材221と結び合わせるための取付解除リップ(例えば、取付解除リップ11c)を含み得る。
【0270】
いくつかの例において、取付解除リップ11cは、使用者が、対応する取付部材221から取付部材11bの接続を外すために必要なモーメントをかけることができるように構成され得る。例えば、解除リップ11cは、モーメントを生じさせるために使用者が掴んで引くことができるタブ、舌部又は突出部として形成され得る;引く動きは、一般的に、破線矢印M(上方への後に外側へ)によって示す弧を辿る。それゆえ、この形態は、「ピボット解除」と呼ばれてもよく、ここでは、結び合わせる力と実質的に正反対方向の力を加えるのではなく、その代わりに、使用者は、点250の周りにモーメントを生じる力を加え、それにより、気管切開ガード10を患者インターフェース20から旋回させて係合解除させる。上記に加えて、いくつかの実施形態において、取付部材11bは取付解除リップ11cを含み得る。取付解除リップ11cは、患者インターフェース20の対応する取付部材221に取り付けるように構成される取付部材11bの一部を形成し得る。さらに、取付解除リップ11cは、使用者が、対応する取付部材221から取付部材11bの接続を外すのに必要とされるモーメントをかけることができるように構成され得る。例えば、解除リップ11cは、モーメントを生じさせるように使用者が掴んで引くことができるタブ、舌部又は突出部として形成され得る;引く動きは、一般的に、破線矢印M(上方への後に外側へ)によって示す弧を辿る。
【0271】
例えば
図2~19に関連して示すように、取付部材11bの少なくとも一部、例えば取付解除リップ11cは、患者インターフェース20の対応する取付部材221の対応する滑らかな面と結び合わせるチューブ状の滑らかな面を有し得る。そのような形態は、封止接続をもたらすように、気管切開ガード10と患者インターフェース20との間に摩擦嵌めをもたらす。
【0272】
摩擦嵌めは、取付部材11bと患者インターフェース20の対応する取付部材221とによって形成された摩擦嵌め機構によって達成され得る。これに関して、それぞれの取付部材(11b、221)の断面は相補的とし得、例えば双方共、それらの間のしっかりとした結合(snug coupling)を容易にするように、例えば封止接続をもたらすように、円形としても、又はそうでなければ形状が同様のものとしてもよい。
【0273】
摩擦嵌め機構は、気管切開ガード10と患者インターフェース20を解放自在に結合するように構成されて、使用者が気管切開ガード10を患者インターフェース20に接続する及び/又はそれから接続を外すことができるようにする。これは、押込み嵌め式及び/又は引張り解除式によるものとし得、それにより、ガード10の形状は、円形又はそうでなければ患者インターフェース20と形状が同様のものであるため、例えば封止接続をもたらすように、それにしっかりと結合できる。
【0274】
その代わりに又はそれに加えて、接続を外すことは、例えば、上述のように、引張り解除式又はピボット解除を用いて達成され得る。
【0275】
使用者は、例えば、洗浄のために、又は患者インターフェース20により良好にアクセスするために、一時的に気管切開ガード10との接続を外し得る。結合機構又は摩擦嵌め機構は、患者インターフェース20と気管切開ガード10との間の結合を容易にするように構成され、十分な保持力によって、気管切開ガード10の思いがけない接続の外れ又は取り外しの可能性を低下させる。そのため、患者インターフェース20から気管切開ガード10を取り外すための力は、使用中に遭遇する可能性のある力よりも大きい必要がある。患者の不快感を減らすために、使用中、気管切開ガード10を患者インターフェース20に結合するためには最小限の力が必要とされるべきである。いくつかの実施形態において、患者インターフェース20から気管切開ガード10を切り離すために必要な力は、結合力を上回る。患者インターフェース20から気管切開ガード10を外すために必要な力の方向は、
図17a及び
図17bにおいて破線矢印(Mを付す)によって示される。
【0276】
上述の「ピボット解除」形態におけるように、気管切開ガード10を取り外すためにモーメントを加えることを必要とすることは、気管切開ガード10を取り外すために必要な力が比較的大きいかもしれない(使用中、気管切開ガード10をがっしりと保持するために)一方で、気管切開ガード10を患者インターフェース20から取り外すために必要な力を使用者がかけることを比較的簡単にすることを保証する1つの方法である。
【0277】
いくつかの実施形態において、取付部材11bは、第1の部分11の長手方向中心軸の方へ向かって内側へ延在する突出部を含んで、患者インターフェース20の凹部などの対応する特徴24と結び合わせるようにする。この特徴を示す実施形態は、
図25に示す突出部11dなど、
図23~30を参照して示されている。
【0278】
いくつかの代替的な実施形態において、取付部材11bは、患者インターフェース20の突出部(図示せず)などの対応する特徴と結び合わせるように構成される凹部(図示せず)を含む。
【0279】
いくつかの実施形態において、アライメント特徴11aは、第1の部分11の外側形状又は境界、例えば第1の部分11の縁の外側形状に関連し得る。例えば、
図2~22を参照して説明すると、第1の部分11のアライメント特徴11aは、第1の部分11の引き伸ばされた形状又は舌形状の延長部(例えば、取付解除リップ11c)の外側形状に関連する。アライメント特徴11aは、使用中、第2の部分12から長手方向に離れ且つ患者インターフェース20の方へ向かう方向に延在し得る。この種の部分は、アーチ形状、ほぼ長方形、又は別の形状を含み得、及び例えば、アライメント特徴11aの少なくとも一部を形成する縁輪郭を含み得る。
【0280】
アライメント特徴11aのさらに取り得る例はまた、
図24、
図32、
図39に関連して示されている。
【0281】
対応するアライメント特徴25が患者インターフェース20に配置され得る。
図13~17bを参照して説明すると、アライメント特徴25は、患者インターフェース20の取付部材221から外側へ突出する1つ以上の突出部によって形成され得る。例えば
図15~17bに関連して示すように、アライメント特徴25は、気管切開ガード10のアライメント特徴11aの対応する形状又は境界と位置合わせする外側形状又は境界を有し得る。
【0282】
患者インターフェース20の1つ又は複数の突出部25は、気管切開ガード10の1つ又は複数の対応するアライメント特徴11aと整列するために、患者インターフェース20の両側に対称的に配置され得る。例えば、
図16は、舌形状の延長部11aの右側の境界と整列する患者インターフェース20の第1の突出部25の境界を示し、
図17aは、第1の突出部に対称的に配置され、舌形状の延長部11aの左側の境界と整列する第2の突出部25の境界を示す。
【0283】
他の実施形態において、アライメント特徴11aは、その代わりに、又はそれに加えて、
図2、
図16、
図17a~17b、
図32、
図39、
図43に最もよく示すロゴで呼ばれ得る、それに関連し得る、又はそれによって提供され得ることが理解されるだろう。そのような実施形態において、使用者は、例えば、気管切開ガード10を患者インターフェース20に接続するとき、ロゴを上向きに位置決めし得る。それに加えて又はその代わりに、アライメント特徴11aは、
図32の矢印、
図24のリブに関連し得る。アライメント特徴のさらに他の形態は本発明の範囲内である。
【0284】
上述したもの以外の、気管切開ガード10の第2の部分12におけるアパーチャ13の他の形態は、本発明の範囲内である。いくつかの例において、第2の部分12は、アパーチャ13を形成又は規定する追加的な(すなわち、3つ以上の)部材を含み得る。そして、図面のいくつかは単一の第1の部材121を示すが、第2の部材122及び第1の部材121は、その代わりに、複数の要素、例えば複数のフラップから形成され得ることが理解されるだろう。
【0285】
例えば、部材は、「花弁」形態を有してもよく、部材に又はそれに近接して作用するように加えられた力(例えば、第2の部分12に対して内側又は外側方向に作用する)に応じて、それらが互いに離れるように内側へ向かって又は外側へ向かって弾性的に動いて、アパーチャ13の有効サイズを大きくするようになっている。別の例において、第1の部材121は、サブ部材、例えば、2つの等しいサブ部材、別名フラップに分かれ得、ここでも、「花弁」効果を達成し、それにより、サブ部材は、フラップに又はそれに近接して力が加えられると、全体的に内側へ向かって又は外側へ向かって動く。そのような形態において、本明細書で説明するように、部材又はサブ部材は適切なレベルの剛性を有し、アパーチャ13を経由して痰を放出するために、部材又はサブ部材が制御式に最終的に弾性変形する前に、痰が最初に第2の部分12内に保持されるようにする。
【0286】
別の取り得る例は、アパーチャ13が第2の部分12に形成されるが、第2の部分12内/上の別個の「部材」によって規定されていないことである。例えば、第2の部分12は、実質的に「指ぬき状」である単一の連続的な構成要素によって提供され得、及びアパーチャ13は、第2の部分12の遠位端部又はチップ、すなわち、第1の部分11から最も遠い端部にあるスリット又は切り込み、例えば十字形の切り込みによって、提供され得る。切り込みの近くにある材料は弾性変形可能な性質を有し得、アパーチャ13の有効サイズが、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力(具体的には、スリット又は切り込みの近くに加えられる力)次第で、変わり、それにより、スリット又は切り込みを開くようにする。さらなる変形例において、第2の部分12の表面上に単純な1つ又は複数のスリット又は1つ又は複数の切り込みによって設けられるアパーチャ13の代わりに、アパーチャ13は、3次元に延在する、すなわち、深さ及び3次元輪郭を有する複数の「尖(cusps)」又は「弁葉すなわち弁尖(leaflets)」を含む人工心臓弁又は心臓弁バイオプロテーゼに若干似ている「先の尖った」形態を有し得る。
【0287】
上述の気管切開ガードの形態の例のうちのいくつかは、図面を参照して下記でさらに詳細に説明される。
【0288】
図23~26は、第3の実施形態による気管切開ガード30の斜視図を示す。気管切開ガード30は、2つの第1の部材121を含み、それらの間に可変サイズのアパーチャ13が少なくとも部分的に形成又は規定される。さらに、可変サイズのアパーチャ13は、第2の部分12の少なくとも1つの領域140とそれぞれの第1の部材121との間に少なくとも部分的に形成され得る。このようにして、領域140は、第1の実施形態の第2の部材と同様に働くと言われ得る。領域140は、アパーチャ13の近くにおいて第2の部分12の本体によって提供され得る。
【0289】
この実施形態において、2つの第1の部材121は、気管切開ガード10の長手方向中心軸に対して直角又は実質的に直角の平面に配置される。可変サイズのアパーチャ13は、各第1の部材121の周端1211a、1211b間に形成又は規定される。第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力に応えて、それぞれの第1の部材121は互いに対して動いてもよく、それゆえ、可変サイズのアパーチャ13のサイズを変化させる。第2の部分12は、長手方向中心軸に対してある角度で、例えば長手方向中心軸に対して垂直に延在する、任意選択的に湾曲したそらし用終端部材42(ここでは、支持/補強構造41と併せて示す)を含み得る。そらし用終端部材42は、可変サイズのアパーチャ13を経由して気管切開ガード10を出るいずれの痰や分泌物又はガスも阻止する及び/又はそらすように働き、例えば、それらが制御されずに排出されるのを防止する。
図23~26から観察され得るように、可変サイズのアパーチャ13は、少なくとも1つの真っ直ぐな延長部131と、任意選択的に真っ直ぐな延長部を実質的に横切って配置される1つ以上の湾曲した延長部132とを有し得るか、又はそれらによって形成され得る。
図27~31は、
図13~14の患者インターフェース20に接続されるときの第3の実施形態の気管切開ガード30の様々な図を示す。
【0290】
いくつかの実施形態において、可変サイズのアパーチャ13は、静止状態において、
図2~30に関連して示すような結合平面ではなく、1つ以上の湾曲のある結合表面上に配置されてもよい。
【0291】
図31~34は、第4の実施形態による気管切開ガード40のそれぞれの斜視図を示す。第3の実施形態のように、気管切開ガード40は、それらの間に設けられた可変サイズのアパーチャ13の少なくとも一部を形成する2つの第1の部材121を含む。
【0292】
第3の実施形態におけるように、可変サイズのアパーチャ13は、第2の部分12の少なくとも1つの領域140とそれぞれの第1の部材121との間に少なくとも部分的に形成され得る。領域140は、アパーチャ13の近くにおいて第2の部分12の本体によって提供されると言われ得る。
【0293】
しかしながら、第4の実施形態において、2つの第1の部材121は、使用中、気管切開ガード10の側面、例えば底部側に配置されて、第2の部分12内に存在するいずれの痰や分泌物にも作用する重力を利用し、及び/又は痰の堆積物が2つの第1の部材121上に存在するときに、2つの第1の部材121の偏りが重力によって支援されるようにする。この実施形態において、可変サイズのアパーチャ13は、各第1の部材121の周端1211a、1211b間に形成又は規定される。第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力に応えて、それぞれの第1の部材121は互いに対して動いてもよく、それゆえ、可変サイズのアパーチャ13のサイズを変化させる。
図32~34から観察され得るように、可変サイズのアパーチャ13は、気管切開ガード10の長手方向中心軸に対して平行又は実質的に平行に配置された少なくとも1つの真っ直ぐな延長部133を有し得る。可変サイズのアパーチャ13は、さらに、任意選択的に真っ直ぐな延長部133を実質的に横切って配置された1つ以上の湾曲した延長部134を有し得る。
図35~37は、
図13~14の患者インターフェースに接続されるときの第4の実施形態の気管切開ガード40の様々な図を示す。
【0294】
図38~42は、第5の実施形態による気管切開ガード50のそれぞれの斜視図を示す。この実施形態において、気管切開ガード50は、気管切開ガード50の対向する両側に配置された2組の4つの第1の部材121a~dを含む。対向する両側は、使用中の気管切開ガード50の意図した向きに関して、上部側及び底部側、又は非側面と呼ばれてもよい。各組の第1の部材121a~dは、それらの間にそれぞれの可変サイズのアパーチャ13を形成するように配置される。
【0295】
第2及び第3の実施形態と同様に、可変サイズのアパーチャ13の少なくとも一部は、さらに、第2の部分12の少なくとも1つの領域140とそれぞれの第1の部材121a~dとの間に形成され得る。このようにして、アパーチャ13に近接した領域140は、第1の実施形態の第2の部材に対して同様に働くと言われ得る。
【0296】
気管切開ガード50のそれぞれの可変サイズのアパーチャ13は、2つの交差する真っ直ぐな延長部によって十字形を形成し得る。各可変サイズのアパーチャ13は、各組のそれぞれの第1の部材121の周端1211aによって形成又は規定され、且つ使用中、第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力に応えて変化するサイズを有する。2つの可変サイズのアパーチャ13を備え、一方はセーフティバックアップとして機能し得る。既述したように、第1の部材121が底部側に配置されるとき(使用中のその意図した向きに関して)、第2の部分12に存在するいずれの痰や分泌物にも作用する重力を利用することが好都合とし得る。第2の部分12の少なくとも一部に加えられる力に応えて、第1の部材121a~121dの組は互いに対して動いてもよく、それゆえ関連の可変サイズのアパーチャ13のサイズを変化させる。
図42~44は、
図13~14の患者インターフェースに接続されるときの第5の実施形態の気管切開ガード50の様々な図を示す。
【0297】
代替的な実施形態において、第1の部材121が複数のフラップから形成されるのではなく、遠位端部にある第1の部材121の部分はセグメント化されてもよく、それにより、流れ又は他の方法に起因して、第1の部材121のセクションの離散した及び局所的な変形を可能にする。
【0298】
さらなる実施形態によれば、弁ユニットが提供される。弁ユニットは、気管切開ガードの対応するポートに接続するための第1のポートと、周囲環境と流体連通する第2のポートとを有する中空本体を含む。弁ユニットは、さらに、少なくとも1つの第1の部材121と、使用中、第1の部材及び/又は第2の部材122に加えられる力に応えて可変である有効サイズを有する少なくとも1つのアパーチャを形成する第2の部材122とを含む。第1の部材121及び/又は第2の部材122は弁ユニットの本体に取り付けられ得る。可変サイズのアパーチャは、静止状態において、第1のポートに配置されても、第2のポートに配置されても、又は第1のポートと第2のポートとの間に配置されてもよい。
【0299】
代替的な実施形態によれば、既存の気管切開ガードに取り付ける又は組み込むための挿入管、又は弁構成要素が提供される。挿入管又は弁構成要素は、加えられた力に応えて使用中可変サイズを有するアパーチャを容易にするように構成され得る。既存の気管切開ガードの例は、Optiflow+Tracheostomyインターフェース(OPT970)と併せて使用/販売される痰ガード(OPT971)である。OPT971痰ガードは、OPT970インターフェースに取り付け、且つ上方及び下方の硬質アパーチャを有する。OPT971痰ガードのための挿入管、又は弁構成要素を提供し、前記挿入管が、本明細書で説明するような1つ又は複数の可変サイズアパーチャを含むことは、本発明の範囲内である。例えば、挿入管は、適切に可撓性にされた材料から形成され得、及びOPT971痰ガードと実質的に結び合わせ、例えばOPT971痰ガード内に(又は外側でも)ぴったりと載置されるように、OPT971痰ガードの形態に実質的に相補的な形態を有し得る。挿入管は、OPT971痰ガードの硬質アパーチャと一致して位置決めされる本発明の可変サイズアパーチャを含む(例えば可撓性材料の1つ又は複数のスリットによって設けられる)。同様に、適切な修正例を用いて、例えば挿入管又は弁構成要素は、他のタイプ、ブランド又はモデルの気管切開ガードに取り付ける又は組み込むために提供され得る。
【0300】
図45は、第1の実施形態の気管切開ガード10を含む、呼吸補助システム用のアセンブリ100の斜視図を示す。アセンブリ100は、さらに、気管切開ガード10に接続するための気管切開患者インターフェース20と、ガス源(図示せず)からのガスフローを提供するために、患者インターフェース20のポート23に接続するための供給チューブ又は導管101とを含む。
【0301】
供給チューブ又は導管101は、ガス源に接続するためのコネクタ102を有し得る。
【0302】
供給チューブ又は導管101は、主に、入口、出口、及び前記入口と前記出口との間のガス通路を規定する囲い壁を含み得る。前記壁の少なくともある領域は、呼吸に適した材料の膜を含み、液体の水や呼吸ガスの通過を可能にせずに、水蒸気の通過を可能にする。好ましくは、供給チューブ又は導管101の実質的に全長が、液体の水や呼吸ガスの通過を可能にせずに、水蒸気の通過を可能にするように構成される。
【0303】
本発明による気管切開ガードは、以下:気管結合器(例えば、気管切開ガード10、30、40若しくは50);気管切開患者インターフェース20;気管結合器に取り付けるように構成される弁構成要素;気管切開患者インターフェース20に結合される若しくは結合可能である及び/又は患者の気道と気管切開患者インターフェース20を流体接続するように構成される気管チューブ;気管チューブを気管切開患者インターフェース20に接続するためのコネクタ;気管切開患者インターフェース20をガス源に接続するように配置された導管若しくはチューブ;及びガス源のうちの1つ以上を含み得る、部品のキットで提供され得る。
【0304】
一例において、気管切開ガード10、30、40又は50と、以下:患者インターフェース20;気管チューブ;気管チューブを気管切開患者インターフェース20に接続するためのコネクタ;気管切開患者インターフェース20をガス源に接続するように配置された導管若しくはチューブ;及びガス源のうちのいずれか1つ以上とを含む、部品のキットが提供される。
【0305】
別の例において、弁構成要素と、以下:気管結合器(弁構成要素を受け入れるように適合される);患者インターフェース20;気管チューブ;気管チューブを気管切開患者インターフェース20に接続するためのコネクタ;気管切開患者インターフェース20をガス源に接続するように配置された導管若しくはチューブ;及びガス源のうちのいずれか1つ以上とを含む、部品のキットが提供される。
【0306】
キットの少なくともいくつかの部品は、梱包及び/又は最初に使用するときの設置を容易にするために、予め組み立てられ得る(例えば、気管切開ガード10と気管切開患者インターフェース20が予め組み立てられてもよい)ことが理解されるだろう。
【0307】
本明細書で使用されるような用語「呼吸に適した」は、一般的に、水蒸気に対して非常に透過性があり、且つ液体の水及びバルクガス流に対して実質的に不透過性であることを意味する。本明細書で使用されるような「呼吸に適した材料」は、一般的に、水蒸気に対して非常に透過性があり、且つ液体の水及びバルクガス流に対して実質的に不透過性である材料を指す。
【0308】
供給チューブ又は導管101は、少なくとも1つのらせん巻きのポリマーテープ又は条片を含み得、前記条片の一部又は全ては膜を含み、前記条片の隣接する巻回のそれぞれの縁は隣接するか又は重なり合って、囲い壁を形成するようにボンディングされる。
【0309】
呼吸に適した領域に考えられる1つの材料は、極めて親水性を有する活性ペルフルオロ化ポリマー材料である。このポリマー材料の例は、DuPont Fluoro products(Fayetteville USA)によって商品名NAFION(登録商標)下で販売されている。この材料は、その極度な親水性ゆえに、及び押出される、特に他のプラスチック材料と組み合わせて共押出されるその能力ゆえに、有用である。
【0310】
代替的な材料は:
(a)親水性熱可塑性物質、
(b)呼吸に適していることを示す織り加工されたファブリック製品
を含む。
【0311】
特に好適な材料は、均質なフラットフィルムに形成された親水性ポリエステルブロックコポリマーである。そのようなフィルムの例は、ブランドSYMPATEX(登録商標)下で販売されている。この材料は、薄膜生産に特に好適である。
【0312】
供給チューブ又は導管101は、条片の巻回間の前記隣接する又は重なる縁にわたって配置されるヘリカルビーズ、又は前記導管の長さにわたって分散した一連の環状リングビーズ若しくはリブなどの、呼吸ガス導管の変形に対する横方向補強を含み得る。ビーズは、熱可塑性物質から形成され得、及び好ましくはポリエステルベースのポリマーで作製される。テープ又は条片及びビーズは、双方共、ポリエステルベースのポリマーであり、これは、それらの間のボンドを改善する。ビーズは、商品名Arnitel(登録商標)EM550下で販売される材料で作製される。
【0313】
供給チューブ又は導管101は、さらに、又はその代わりに、供給チューブ又は導管101の伸張に対する長手方向補強を含み得る。
【0314】
ガス源は、例えば、流れ発生器、人工呼吸器、加湿器、又は患者インターフェースにガス流量を供給するための任意の他のガス源とし得る。いくつかの実施形態において、アセンブリ100はガス源を含む。
【0315】
図45のアセンブリ100は、第1の実施形態による気管切開ガード10を参照して示されるが、アセンブリ100はまた、本明細書で開示する実施形態のいずれかによる気管切開ガードを含み得ることが理解されるだろう。
【国際調査報告】