(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】VOC検出に基づく健康アセスメント生成
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20240829BHJP
G08B 21/12 20060101ALI20240829BHJP
A61B 5/083 20060101ALI20240829BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20240829BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240829BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G16H50/30
G08B21/12
A61B5/083
A61B5/16 130
A61B5/11 200
A61B5/11 110
A61B5/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513072
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 US2021048065
(87)【国際公開番号】W WO2023027734
(87)【国際公開日】2023-03-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデンソン,アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C038
5C086
5L099
【Fターム(参考)】
4C038PP05
4C038PS00
4C038PS03
4C038PS07
4C038SS08
4C038SU17
4C038SU19
4C038SV01
4C038VA04
4C038VA16
4C038VC01
4C038VC02
4C038VC05
4C038VC20
5C086AA38
5C086BA01
5C086CB11
5L099AA15
(57)【要約】
揮発性有機化合物(VOC)検出に基づいて健康アセスメントを作成するための技術が記載される。一例において、ある期間における閉鎖空間内のVOCの濃度をVOCセンサが測定する。上記期間における空間内の二酸化炭素の蓄積が検出される。二酸化炭素の蓄積に基づいて、人間が空間内に存在する、および空間が実質的に封止されていると判定される。その後、VOCセンサは、上記期間における空間内のVOCの濃度が増大したことを検出する。VOCの検出された増大に基づいて人間の健康アセスメントが生成され、アセスメントを含む通知が電子デバイスに発行される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性有機化合物(VOC)検出により健康アセスメントを作成するための方法であって、
VOCセンサを用いて、第1の期間における閉鎖空間内の第1のVOCの濃度を測定することと、
前記第1の期間における前記閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積を検出することと、
二酸化炭素の前記蓄積に基づいて、人間が前記閉鎖空間内に存在すると判定することと、
二酸化炭素の前記蓄積に基づいて、前記閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することとを含み、
前記閉鎖空間が実質的に封止されている場合は、前記閉鎖空間に出入りする空気流が閾値を下回り、
前記方法は、
前記VOCセンサにより、前記第1の期間における前記閉鎖空間内の前記第1のVOCの前記濃度が増大したことを検出することと、
前記第1のVOCの前記濃度の検出された前記増大に基づいて、前記人間の健康アセスメントを生成することと、
前記健康アセスメントを含む通知を電子デバイスに発行することとをさらに含む、VOC検出により健康アセスメントを生成するための方法。
【請求項2】
前記閉鎖空間が実質的に封止されているとの前記判定および前記人間が前記閉鎖空間内に存在するとの前記判定に基づいて、呼気、発汗、または両方を含む前記人間による1つまたは複数の身体的放出に少なくとも部分的に起因して前記第1のVOCの前記濃度が増大したと判定することをさらに含む、請求項1に記載のVOC検出により健康アセスメントを作成するための方法。
【請求項3】
睡眠センサを使用して、前記人間が前記第1の期間において睡眠中であると判定することをさらに含む、請求項1に記載のVOC検出により健康アセスメントを作成するための方法。
【請求項4】
前記睡眠センサにより収集されたセンサデータに基づいて、前記第1の期間における前記人間の睡眠質アセスメントを生成することをさらに含み、
前記健康アセスメントを生成することは、前記第1のVOCの前記濃度の検出された前記増大および前記睡眠質アセスメントの組合せにさらに基づいている、請求項3に記載のVOC検出により健康アセスメントを作成するための方法。
【請求項5】
前記第1のVOCの前記濃度の検出された前記増大に基づいて、前記健康アセスメントを生成することは、
健康リスクと関連付けられている症状として、人間による前記第1のVOCの放出増大を識別することと、
前記健康リスクの識別を前記健康アセスメントに含めることとを含む、請求項1に記載のVOC検出により健康アセスメントを作成するための方法。
【請求項6】
前記第1のVOCの前記濃度を測定することは、前記閉鎖空間内の二酸化炭素の前記蓄積の検出に応答して行われる、請求項1に記載のVOC検出により健康アセスメントを作成するための方法。
【請求項7】
前記人間が前記閉鎖空間内に存在すると判定することは、運動センサを使用して前記人間による移動を検知することにさらに基づいている、請求項1に記載のVOC検出により健康アセスメントを作成するための方法。
【請求項8】
前記人間が前記閉鎖空間内に存在すると判定することは、前記人間と関連付けられている呼吸数、心拍数、または両方を検出することをさらに含む、請求項1に記載のVOC検出により健康アセスメントを作成するための方法。
【請求項9】
前記方法は、
空気圧センサを使用して、前記第1の期間における前記閉鎖空間内の空気圧の変化を測定することをさらに含み、
前記閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することは、空気圧の前記変化が閾値未満であると判定することをさらに含む、請求項1に記載のVOC検出により健康アセスメントを作成するための方法。
【請求項10】
前記VOCセンサを用いて、複数のVOCの濃度を測定することをさらに含み、
前記第1のVOCは、前記複数のVOCに含まれる、請求項1に記載のVOC検出により健康アセスメントを作成するための方法。
【請求項11】
揮発性有機化合物(VOC)検出により健康アセスメントを作成するためのシステムであって、
閉鎖空間内の第1のVOCのVOC濃度測定結果を収集するように構成されたVOCセンサと、
クラウドベースの健康サーバシステムとを含み、
前記クラウドベースの健康サーバシステムは、
1つまたは複数のプロセッサと、
メモリとを含み、
前記メモリは、前記1つまたは複数のプロセッサと通信結合され、前記1つまたは複数のプロセッサにより読み出し可能であり、プロセッサ可読命令を格納し、前記プロセッサ可読命令は、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、
第1の期間において前記VOCセンサにより収集された前記VOC濃度測定結果を受信することと、
前記第1の期間における前記閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積に基づいて、人間が前記閉鎖空間内に存在すると判定することと、
二酸化炭素の前記蓄積に基づいて、前記閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することとを前記1つまたは複数のプロセッサに行わせ、
前記閉鎖空間が実質的に封止されている場合は、前記閉鎖空間に出入りする空気流が閾値を下回り、
前記プロセッサ可読命令は、
前記VOC測定結果から、前記第1の期間における前記閉鎖空間内の前記第1のVOCの前記濃度が増大したことを検出することと、
前記第1のVOCの前記濃度の検出された前記増大に基づいて、前記人間の健康アセスメントを生成することと、
前記健康アセスメントを含む通知を電子デバイスに発行することとを前記1つまたは複数のプロセッサにさらに行わせる、システム。
【請求項12】
前記閉鎖空間内の二酸化炭素濃度を測定し、二酸化炭素の前記蓄積の指標を前記クラウドベース健康サーバシステムに送信するように構成された二酸化炭素センサをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記人間が前記第1の期間において睡眠中であると判定するように構成された睡眠センサをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記閉鎖空間内の前記人間による移動を検知するように構成された運動センサをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の期間における前記閉鎖空間内の空気圧の変化を測定するように構成された空気圧センサをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記人間と関連付けられている呼吸数、心拍数、または両方を検出するように構成されたウェアラブルセンサをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記VOCセンサから前記VOC濃度測定結果を受信し、前記VOC濃度測定結果を前記クラウドベース健康サーバシステムに送信することと、
前記第1の期間における二酸化炭素センサからの二酸化炭素測定結果を受信し、二酸化炭素の前記蓄積の指標を前記クラウドベース健康サーバシステムに送信することとを行うように構成されたハブデバイスをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
プロセッサ可読命令を含む非一時的プロセッサ可読媒体であって、前記プロセッサ可読命令は、
第1の期間における閉鎖空間内の第1の揮発性有機化合物(VOC)の濃度を測定することと、
前記第1の期間における前記閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積を検出することと、
二酸化炭素の前記蓄積に基づいて、人間が前記閉鎖空間内に存在すると判定することと、
二酸化炭素の前記蓄積に基づいて、前記閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することとを1つまたは複数のプロセッサに行わせ、
前記閉鎖空間が実質的に封止されている場合は、前記閉鎖空間に出入りする空気流が閾値を下回り、
前記プロセッサ可読命令は、
前記第1の期間における前記閉鎖空間内の前記第1のVOCの前記濃度が増大したことを検出することと、
前記第1のVOCの前記濃度の検出された前記増大に基づいて、前記人間の健康アセスメントを生成することと、
前記健康アセスメントを含む通知を電子デバイスに発行することとを前記1つまたは複数のプロセッサにさらに行わせる、非一時的プロセッサ可読媒体。
【請求項19】
前記プロセッサ可読命令は、前記閉鎖空間が実質的に封止されているとの前記判定および前記人間が前記閉鎖空間内に存在するとの前記判定に基づいて、呼気、発汗、または両方を含む前記人間による1つまたは複数の身体的放出に少なくとも部分的に起因して前記第1のVOCの前記濃度が増大したと判定することを前記1つまたは複数のプロセッサに行わせる、請求項18に記載の非一時的プロセッサ可読媒体。
【請求項20】
前記健康アセスメントを生成するための前記プロセッサ可読命令は、
健康リスクと関連付けられている症状として、人間による前記第1のVOCの放出の増大を識別することと、
前記健康リスクの識別を前記健康アセスメントに含めることとを前記1つまたは複数のプロセッサにさらに行わせる、請求項18に記載の非一時的プロセッサ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、同日に出願された代理人整理番号094021-1252809の「COLLABORATIVE ENVIRONMENTAL SENSOR NETWORKS FOR INDOOR AIR QUALITY」と題する米国出願と関連し、あらゆる目的のためにその開示の全内容を参照により本明細書において援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
粒子状物質およびガス等のさまざまな汚染物質の濃度を検出および監視するために、空気質センサを使用可能である。人間は、近隣および外部の両方の汚染物質の濃度を把握することで恩恵を受けられる。また、空気質センサネットワークの使用によって、屋内およびより大きな地理的領域にわたる多様な汚染物質を監視することができる。センサネットワーク内の1つまたは複数のセンサを監視することは、人間が自身の健康および環境について情報に基づく決定を下すのに役立ち得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
揮発性有機化合物(VOC)検出に基づく健康アセスメントの生成と関連する種々実施形態が記載される。いくつかの実施形態において、VOC検出により健康アセスメントを作成するための方法が記載される。この方法は、VOCセンサを用いて、第1の期間における閉鎖空間内の第1のVOCの濃度を測定することを含んでもよい。この方法は、第1の期間における閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積を検出することを含んでもよい。この方法は、二酸化炭素の蓄積に基づいて、人間が閉鎖空間内に存在すると判定することを含んでもよい。この方法は、二酸化炭素の蓄積に基づいて、閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することを含んでもよい。閉鎖空間が実質的に封止されている場合は、閉鎖空間に出入りする空気流は閾値を下回り得る。この方法は、VOCセンサによって、第1の期間における閉鎖空間内の第1のVOCの濃度が増大したことを検出することを含んでもよい。この方法は、検出された第1のVOCの濃度の増大に基づいて、人間の健康アセスメントを生成することを含んでもよい。この方法は、健康アセスメントを含む通知を電子デバイスに発行することを含んでもよい。
【0004】
このような方法の実施形態は、閉鎖空間が実質的に封止されている旨の判定および人間が閉鎖空間内に存在する旨の判定に基づいて、呼気、発汗、または両方を含む人間による1つまたは複数の身体的放出に少なくとも部分的に起因して第1のVOCの濃度が増大したと判定することをさらに含んでもよい。この方法は、睡眠センサを使用して、人間が第1の期間において睡眠中であると判定することをさらに含んでもよい。この方法は、睡眠センサにより収集されたセンサデータに基づいて、第1の期間における人間の睡眠質アセスメントを生成することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、健康アセスメントを生成することは、検出された第1のVOCの濃度の増大および睡眠質アセスメントの組合せにさらに基づいていてもよい。
【0005】
いくつかの実施形態において、検出された第1のVOCの濃度の増大に基づいて、健康アセスメントを生成することは、健康リスクと関連付けられている症状として、人間による第1のVOCの放出増大を識別することと、健康リスクの識別を健康アセスメントに含めることと、を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1のVOCの濃度を測定することは、閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積の検出に応答して行われてもよい。いくつかの実施形態において、人間が閉鎖空間内に存在すると判定することは、運動センサを使用して人間による移動を検知することにさらに基づいてもよい。いくつかの実施形態において、人間が閉鎖空間内に存在すると判定することは、人間と関連付けられている呼吸数、心拍数、または両方を検出することをさらに含んでもよい。
【0006】
いくつかの実施形態において、この方法は、空気圧センサを使用して、第1の期間における閉鎖空間内の空気圧の変化を測定することをさらに含む。閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することは、空気圧の変化が閾値未満であると判定することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、この方法は、VOCセンサを用いて、第1のVOCを含む複数のVOCの濃度を測定することをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、VOC検出により健康アセスメントを作成するためのシステムが記載される。このシステムは、閉鎖空間内の第1のVOCのVOC濃度測定結果を収集するように構成されたVOCセンサを備えてもよい。このシステムは、クラウドベース健康サーバシステムを備えてもよい。クラウドベース健康サーバシステムは、1つまたは複数のプロセッサを備えてもよい。クラウドベース健康サーバシステムは、1つまたは複数のプロセッサと通信結合され、1つまたは複数のプロセッサにより読み出し可能であり、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、第1の期間においてVOCセンサにより収集されたVOC濃度測定結果を受信することを1つまたは複数のプロセッサに行わせるプロセッサ可読命令が格納されているメモリを備えてもよい。1つまたは複数のプロセッサは、第1の期間における閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積に基づいて、人間が閉鎖空間内に存在すると判定してもよい。1つまたは複数のプロセッサは、二酸化炭素の蓄積に基づいて、閉鎖空間が実質的に封止されていると判定してもよい。閉鎖空間が実質的に封止されている場合は、閉鎖空間に出入りする空気流は閾値を下回り得る。1つまたは複数のプロセッサは、VOC測定結果から、第1の期間における閉鎖空間内の第1のVOCの濃度が増大したことを検出し得る。1つまたは複数のプロセッサは、検出された第1のVOCの濃度の増大に基づいて、人間の健康アセスメントを生成してもよい。1つまたは複数のプロセッサは、健康アセスメントを含む通知を電子デバイスに発行してもよい。
【0008】
このようなシステムの実施形態は、閉鎖空間内の二酸化炭素濃度を測定し、二酸化炭素の蓄積の指標をクラウドベース健康サーバシステムに送信するように構成された二酸化炭素センサをさらに備えてもよい。このシステムは、人間が第1の期間において睡眠中であると判定するように構成された睡眠センサをさらに備えてもよい。このシステムは、閉鎖空間内の人間による移動を検知するように構成された運動センサをさらに備えてもよい。このシステムは、第1の期間における閉鎖空間内の空気圧の変化を測定するように構成された空気圧センサをさらに備えてもよい。このシステムは、人間と関連付けられている呼吸数、心拍数、または両方を検出するように構成されたウェアラブルセンサをさらに備えてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、このシステムは、VOCセンサからVOC濃度測定結果を受信し、VOC濃度測定結果をクラウドベース健康サーバシステムに送信するように構成されたハブデバイスをさらに備えてもよい。ハブデバイスは、第1の期間における二酸化炭素センサからの二酸化炭素測定結果を受信し、二酸化炭素の蓄積の指標をクラウドベース健康サーバシステムに送信するようにさらに構成されてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、非一時的プロセッサ可読媒体が記載される。この媒体は、第1の期間における閉鎖空間内の第1の揮発性有機化合物(VOC)の濃度を測定することを1つまたは複数のプロセッサに行わせるように構成されたプロセッサ可読命令を含んでもよい。1つまたは複数のプロセッサは、第1の期間における閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積を検出してもよい。1つまたは複数のプロセッサは、二酸化炭素の蓄積に基づいて、人間が閉鎖空間内に存在すると判定してもよい。1つまたは複数のプロセッサは、二酸化炭素の蓄積に基づいて、閉鎖空間が実質的に封止されていると判定してもよい。閉鎖空間が実質的に封止されている場合は、閉鎖空間に出入りする空気流は閾値を下回り得る。1つまたは複数のプロセッサは、第1の期間における閉鎖空間内の第1のVOCの濃度が増大したことを検出してもよい。1つまたは複数のプロセッサは、検出された第1のVOCの濃度の増大に基づいて、人間の健康アセスメントを生成してもよい。1つまたは複数のプロセッサは、健康アセスメントを含む通知を電子デバイスに発行してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のプロセッサは、閉鎖空間が実質的に封止されている旨の判定および人間が閉鎖空間内に存在する旨の判定に基づいて、呼気、発汗、または両方を含む人間による1つまたは複数の身体的放出に少なくとも部分的に起因して第1のVOCの濃度が増大したと判定するようにさらに構成されてもよい。いくつかの実施形態において、健康アセスメントを生成するためのプロセッサ可読命令は、健康リスクと関連付けられている症状として、人間による第1のVOCの放出の増大を識別することと、健康リスクの識別を健康アセスメントに含めることと、を1つまたは複数のプロセッサに行わせるようにさらに構成されている。
【0012】
種々実施形態の性質および利点のより深い理解は、以下の図を参照することによって、実現され得る。添付の図において、同様の構成要素または特徴は、同じ参照ラベルを有し得る。さらに、ダッシュ記号および同様の構成要素を区別する第2のラベルによる参照ラベルに従うことによって、同じ種類のさまざまな構成要素が区別され得る。本明細書において、第1の参照ラベルのみが使用されている場合は、第2の参照ラベルに関わらず、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素のいずれにもその説明が適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】環境検知システムの一実施形態を示す図である。
【
図2】本明細書に別途記載のデバイス、方法、システム、サービス、および/またはコンピュータプログラム製品のうちの1つまたは複数が適用可能となり得るスマートホーム環境の一例を示す図である。
【
図3】分散環境センサネットワークを管理するための空気質システムの一実施形態を示す図である。
【
図4】分散環境センサネットワークにおける空気質センサシステムの一実施形態を示す図である。
【
図5】分散環境センサネットワークの展開によって構造内の内因性空気汚染を検出し得る例示的な環境を示す図である。
【
図6】分散環境センサネットワークの展開によって構造内の外因性空気汚染を検出し得る別の例示的な環境を示す図である。
【
図8】分散環境検知ネットワークを監視するためのインターフェースの一実施形態を示す図である。
【
図9】分散環境センサネットワークを管理するための方法の一実施形態を示す図である。
【
図10】検出された揮発性有機化合物に基づいて健康アセスメントを生成するためのシステムの一実施形態を示す図である。
【
図11】本明細書に別途記載のデバイス、方法、システム、サービス、および/またはコンピュータプログラム製品のうちの1つまたは複数が適用可能となり得る環境の一例を示す図である。
【
図12】閉鎖空間において検出された二酸化炭素およびVOCの濃度のグラフである。
【
図13】検出された揮発性有機化合物に基づいて生成された健康アセスメントを表示するためのインターフェースの一実施形態を示す図である。
【
図14A】検出された揮発性有機化合物に基づいて健康アセスメントを生成するための方法の一実施形態を示す図である。
【
図14B】検出された揮発性有機化合物に基づいて健康アセスメントを生成するための方法の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
モノのインターネット(IoT)に接続されているデバイスの数が増加するにつれて、増え続けるデータの生成を社会に有意義かつ有用な方法で管理することは、困難なものとなることが多い。一方、日常生活および環境に関して、ほぼすべての側面が何らかの方法で監視されることにより、これまでにない新たなデータへのアクセスが可能になる。空気質の監視も例外ではない。汚染および空気質の低下は、数ある原因の中でもとりわけ、森林火災、裏庭でのバーベキュー、気象条件の変化、家庭のガス漏れ、および産業汚染等、さまざまな原因が考えられる。空気質センサは、当該センサのごく近傍における数ある汚染物質の中でもとりわけ、二酸化炭素、一酸化炭素、鉛、化学物質、および有機化合物等の汚染物質の供給源を監視して検出することができる。複数の空気質センサにより収集されたデータの使用により、人が呼吸している空気または呼吸しようとしている空気の質に関して、情報に基づく決定または予防措置を行うことも可能である。
【0015】
屋内外の空気質センサネットワークにより収集された空気質データの蓄積および/または共有の明示的な許可を受けた後、より広い地理的エリアを網羅する空気質データの共有によって、汚染物質が達する前にそれを人々に知らせることも可能であるし、窓を閉めたり、外部換気システムをオフにしたりするなど、予防措置を講じさせることも可能となり得る。同様に、各ユーザから明示的な許可を受けた後、より広い地理的エリアを網羅する空気質データの共有によって、外気の方が屋内の空気質よりもきれいで健康的であることを人々に知らせることによって、窓を開けたり、外部換気システムおよび/または空気浄化システムをオンにしたりするなど、改善措置を講じさせることも可能である。十分な時間にわたって、空気質センサネットワークから収集された空気質データを使用することにより、将来の空気質に関する予測を生成することもできる。また、一日のある時間帯に検出された汚染物質または空気質の低下の傾向を識別することにより、当該時間帯における外部換気システムの使用の回避等、予防措置を講じることができる。
【0016】
また、空気質センサネットワークの使用によって、汚染物質の発生源の識別または別様に位置特定を行うことができる。検出時間および異なるセンサ間の相対距離を使用することにより、汚染物質の発生源の位置を推定することができる。同様に、発生源から離れて移動するさまざまなレベルの汚染物質をより多くのセンサが検出した場合には、影響を受ける可能性があるエリアに関する予測を生成することができる。これらの決定は、民間または政府の気象および空気質データによって補完することができる。
【0017】
センサからの空気質データを匿名で使用する許可をユーザが与えた後、空気質センサにより生成された空気質データには、郵便番号、都市、近隣、または周辺等の大まかな地理的位置をタグ付けすることができる。特定の住所または位置ではなく、大まかな地理的位置をデータにタグ付けすることによって、個人識別可能情報(PII)なしで空気質データをクラウドに取り込み、共有し、センサと関連付けられている各個人のプライバシを保護することができる。空気質データを収集して分析した後、空気質の低下または汚染物質の影響を受ける可能性があり得る人々に警告および通知を送ることができる。警告および通知は、中央サーバシステムが管理するユーザアカウントと関連付けられている電子デバイスに送ることもできる。
【0018】
空気質センサネットワークからの空気質データの収集および管理に関するさらなる詳細に関しては、図との関連で提供される。
図1は、環境検知システム100の一実施形態を示している。システム100は、クラウドベース空気質サーバシステム110、環境機関データシステム120、ネットワーク130、モバイルデバイス140、パソコン150、および構造160を含み得る。構造160は、空気質センサ165、スマートサーモスタット170、揮発性有機化合物(VOC)センサ175、およびHVACシステム185のうちの1つまたは複数を含んでもよいし、または、別様にこれらと関連付けられてもよい。いくつかの実施形態において、システム100の構成要素のうちの1つまたは複数がネットワーク130を介して、システム100の他の構成要素に通信結合されてもよい。
【0019】
クラウドベース空気質サーバシステム110は、以下に
図3との関連でさらに説明するように、検出された空気汚染物質の指標の受信等、さまざまな機能を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含み得る。クラウドベース空気質サーバシステム110は、1つまたは複数のプロセスを実行する1つまたは複数の物理的サーバを含み得る。また、クラウドベース空気質サーバシステム110は、クラウドベースサーバシステム全体に分散した1つまたは複数のプロセスを含み得る。いくつかの実施形態において、クラウドベース空気質サーバシステム110は、ネットワーク130を介して、システム100のその他の構成要素のいずれかまたはすべてに接続されている。たとえば、クラウドベース空気質サーバシステム110は、空気質センサ165-1に接続して、構造160-1内に汚染物質が存在する旨の指標を受信してもよい。別の例として、クラウドベース空気質サーバシステム110は、空気質センサ165-2に接続して、その動作モードを変更してもよい。
【0020】
また、クラウドベース空気質サーバシステム110は、モバイルデバイス140およびパソコン150に接続して、現在の空気質に関する更新および通知を送ってもよい。たとえば、構造160-1内に汚染物質が存在する旨の空気質センサ165-1からの指標を受信した後、クラウドベース空気質サーバシステム110は、構造160-1内で汚染物質が検出されたことを示す警告と併せて、通知をモバイルデバイス140に送ってもよい。また、クラウドベース空気質サーバシステム110は、スマートサーモスタット170に接続して、HVACシステム185の制御の方法および/またはタイミングを示すコマンドを送ってもよい。たとえば、クラウドベース空気質サーバシステム110は、HVACシステム185の外部換気構成要素の作動もしくは停止、ファンの作動、および/または暖房もしくは冷房の作動を指示するコマンドをスマートサーモスタット170に送ってもよい。
【0021】
環境機関データシステム120は、ネットワーク130を通じて接続されているクラウドベースサーバシステム等のサーバシステムであり得、公的に利用可能な環境データを生成および配信可能であってもよい。環境データは、温度、風速および風向、湿度等の気象データを含み得る。また、環境データは、空気質指数(AQI)等の空気質データを含み得る。空気質データは、1つまたは複数の領域の現在の空気質および予測される空気質に関する情報を含み得る。あるいは、空気質データは、領域内の環境災害または特定の汚染物質の発生源に関する特定の情報を含み得る。たとえば、空気質データは、天然ガスタンカーが近くの幹線道路で事故に巻き込まれ、ガスが近隣エリアに飛散していることを示し得る。環境機関データシステム120が提供する空気質データをクラウドベース空気質サーバシステム110が使用して、ユーザへの通知および/または警告を生成してもよい。また、クラウドベース空気質サーバシステム110は、空気質データを使用して、ある領域またはエリアの潜在的な空気質に関する予測を生成および/または更新してもよい。
【0022】
環境機関データシステム120は、公開されているアプリケーションプログラミングインターフェース(「API」)を使用して、空気質データをウェブサービスとして提供してもよい。たとえば、環境機関データシステム120は、APIを公開して、クラウドベース空気質サーバシステム110等の外部システムがネットワーク130を介してAPIに接続することによって、データのリクエストを送り、その応答として要求データを受信できるようにしてもよい。代替または追加として、環境機関データシステム120は、さまざまな領域の更新空気質データを加入者サービスに公開してもよい。
【0023】
ネットワーク130は、1つまたは複数の無線ネットワーク、有線ネットワーク、パブリックネットワーク、プライベートネットワーク、および/またはメッシュネットワークを含み得る。家庭用無線ローカルエリアネットワーク(たとえば、Wi-Fi(登録商標)ネットワーク)がネットワーク130の一部となり得る。ネットワーク130は、インターネットを含み得る。ネットワーク130は、1つまたは複数の他のスマートホームデバイスを含み得、Wi-Fiネットワーク等の別のネットワークとの空気質センサ165、スマートサーモスタット170、およびVOCセンサ175の通信を可能にするために使用され得るThread等のメッシュネットワークを含み得る。空気質センサ165、スマートサーモスタット170、およびVOCセンサ175のいずれも、比較的小電力のメッシュネットワーク上で他のデバイスから受信した通信を、Wi-Fiネットワーク等の比較的大電力のネットワークなどの別の形態のネットワークに変換するエッジルータとして機能し得る。
【0024】
モバイルデバイス140は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ゲーミングデバイス、またはネットワーク130を介するクラウドベース空気質サーバシステム110との通信もしくは空気質センサ165、スマートサーモスタット170、およびVOCセンサ175のいずれかとの直接通信が可能な他の何らかの形態のコンピュータ化デバイスであってもよい。同様に、パソコン150は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、またはネットワーク130を介するクラウドベース空気質サーバシステム110との通信もしくは空気質センサ165、スマートサーモスタット170、およびVOCセンサ175のいずれかとの直接通信が可能な他の何らかのコンピュータ化デバイスであってもよい。ユーザは、モバイルデバイス140またはパソコン150上で実行されるアプリケーションとの相互作用によって、空気質センサ165、スマートサーモスタット170、およびVOCセンサ175の制御、データ表示、またはこれらとの相互作用を行うことができる。たとえば、モバイルデバイス140またはパソコン150のユーザは、当該ユーザの家でネットワーク130を介してスマートサーモスタット170に接続することにより、スマートサーモスタット170のステータスを監視することも可能であるし、暖房および冷房の命令をスマートサーモスタット170に送って、これによりHVACシステムに当該ユーザの家を暖房または冷房することも可能である。別の例として、モバイルデバイス140は、ネットワーク130を介して空気質センサ165および/またはVOCセンサ175に接続することより、ユーザの家の内部および/または周囲の空気質を監視してもよい。また、モバイルデバイス140は、ネットワーク130を介して、クラウドベース空気質サーバシステム110に接続してもよい。たとえば、クラウドベース空気質サーバシステム110は、ユーザの家または位置の周囲または内側の空気質に関する通知をモバイルデバイス140に送ってもよい。これらの通知または更新は、テキストメッセージ、電子メール、またはアプリケーションを通じた通知の形態であってもよい。
【0025】
構造160は、さまざまな種類の1つまたは複数の構造および/または建物であり得る。たとえば、構造160-1は、戸建て住宅、アパート、および/またはレクリエーションビーグル(RV)等の居住施設であってもよい。別の例として、構造160-2は、アパートまたはマンション等の集合住宅構造であってもよい。本例において、構造160-2は、アパートユニット等の複数の副構造を含んでいてもよい。さらに別の例において、構造160-3は、空気質センサ165-3等の1つまたは複数の空気質センサが配設されているオフィスビルまたは工業団地等の商業構造であってもよい。
【0026】
構造160は、クラウドベース空気質サーバシステム110が管理する1つまたは複数の住居ユーザアカウントと関連付けられてもよい。たとえば、住宅所有者は、クラウドベース空気質サーバシステム110上のモバイルデバイス140および/またはパソコン150を介して、構造160-1と関連付けられている住居ユーザアカウントを作成してもよい。住居ユーザアカウントは、部屋のサイズ、場所、数、空気質センサ165および/またはVOCセンサ175等のセンサの有無および配置等、構造160に関するさまざまな情報を含み得る。いくつかの実施形態において、構造160は、複数の住居ユーザアカウントと関連付けられてもよい。たとえば、構造160-2は、複数のアパートの各々が別個の住居ユーザアカウントと関連付けられているアパートであってもよい。また、モバイルデバイス140および/またはパソコン150は、住居ユーザアカウントと関連付けられてもよい。たとえば、構造内および/または周囲の第1の汚染物質の検出の指標を受信した後、クラウドベース空気質サーバシステム110は、構造とも関連付けられている住居ユーザアカウントと関連付けられているモバイルデバイス140および/またはパソコン150に通知を送ってもよい。住居ユーザアカウントは、いかなる種類のユーザアカウントであってもよく、特に居住目的である必要はない。たとえば、クラウドベースサーバシステムが提供する任意の数のサービスにアクセスするため、ユーザアカウントが作成されてもよい。次いで、個々のユーザは、居住目的および/または商用目的等の任意の目的で、これらのサービスの使用を選定してもよい。
【0027】
構造160は、空気質センサ165、スマートサーモスタット170、VOCセンサ175、および/またはHVACシステム185のうちの1つまたは複数を含み得る。たとえば、構造160-1は、戸建て住宅であってもよく、構造の内部および構造の外部の周囲のあらゆる場所に配設されている1つまたは複数の空気質センサ165および/またはVOCセンサ175を含んでもよい。また、構造160-1は、HVACシステム185に結合されたスマートサーモスタット170を含んでもよい。別の例として、構造160-1は、アパートであってもよく、各ユニット、内部の共用エリア、ならびに駐車場、プールエリア、および/または運動場エリア等の外部の場所に、1つまたは複数の空気質センサ165および/またはVOCセンサ175を含んでもよい。
【0028】
空気質センサ165は、空気汚染の測定およびネットワーク130への接続が可能ないかなるデバイスであってもよい。空気質センサ165は、デバイスのメモリに格納されている専用ソフトウェアを実行し得る1つまたは複数のプロセッサを含んでもよい。空気質センサ165は、限定しないが、ガス、化学物質、有機化合物、および/または粒子状物質などの1つまたは複数の種類の汚染を測定してもよい。たとえば、空気質センサ165は、特定の汚染物質を検出するように校正された1つまたは複数の個々のセンサを含み得る。各空気質センサ165は、1つまたは複数の汚染物質を同時に測定し得、および/またはある種類の特定の汚染物質に特化し得る。たとえば、VOCセンサ175は、VOC濃度のみを検出および監視するように設計された空気質センサであってもよい。いくつかの実施形態において、空気質センサ165は、汚染物質の有無のみを検出してもよい。たとえば、空気質センサ165は、検出可能な汚染物質ごとに閾値を有してもよく、汚染物質の濃度が閾値を上回る場合にのみ汚染物質が検出された旨を示してもよい。いくつかの実施形態において、空気質センサ165は、汚染物質の濃度を測定してもよい。たとえば、各空気質センサ165および/またはVOCセンサ175は、さまざまな空気汚染物質の体積百万分率(PPM)および/または体積十億分率(PPB)を測定可能であってもよい。
【0029】
空気質センサ165および/またはVOCセンサ175は、ネットワーク130を介して、システム100の1つまたは複数の付加的な構成要素に接続してもよい。いくつかの実施形態において、空気質センサ165および/またはVOCセンサ175は、ネットワーク130を介して、クラウドベース空気質サーバシステム110に接続してもよい。たとえば、空気質センサ165-1は、ネットワーク130を介して、第1の汚染物質が検出された旨の指標をクラウドベース空気質サーバシステム110に送信してもよい。いくつかの実施形態において、汚染物質が検出された旨の指標は、検出の場所、検出の時間、および/または検出された汚染物質の量等、1つまたは複数の付加的な情報を含み得る。空気質センサ165は、汚染物質が検出されたら直ちに指標を送信することが可能であり、および/または、所定の時間間隔にわたってデータを収集し、所定の時間間隔の最後に収集データを送信することが可能である。空気質センサ165および/またはVOCセンサ175は、ネットワーク130を介して、モバイルデバイス140および/またはパソコン150に接続してもよい。たとえば、モバイルデバイス140のユーザがいずれか1つまたは複数の空気質センサ165に接続して、センサ周りの空気の質を調べてもよい。また、空気質センサ165および/またはVOCセンサ175は、他の空気質センサ165および/またはVOCセンサ175に接続してもよい。
【0030】
スマートサーモスタット170は、ネットワーク130への接続およびHVACシステム185の制御が可能なスマートサーモスタットであり得る。スマートサーモスタット170は、当該スマートサーモスタット170のメモリに格納されている専用ソフトウェアを実行し得る1つまたは複数のプロセッサを含んでもよい。スマートサーモスタット170は、温度センサまたは周囲光センサ等の1つまたは複数のセンサを含み得る。また、スマートサーモスタット170は、電子ディスプレイを含み得る。電子ディスプレイは、ユーザによる電子スクリーンとの相互作用を可能にするタッチセンサを含んでもよい。スマートサーモスタット170は、ネットワーク130を介して、クラウドベース空気質サーバシステム110に接続してもよい。たとえば、スマートサーモスタット170は、構造160の内部および/または周囲の空気の質に基づいてHVACシステム185を制御する命令を受信してもよい。いくつかの実施形態において、スマートサーモスタット170は、ネットワーク130を介して、モバイルデバイス140またはパソコン150に接続してもよい。たとえば、スマートサーモスタット170は、ユーザのモバイルデバイス140またはパソコン150から、暖房または冷房の命令を受信してもよい。
【0031】
図2は、本明細書に別途記載のデバイス、方法、システム、サービス、および/またはコンピュータプログラム製品のうちの1つまたは複数が適用可能となり得るスマートホーム環境200の一例を示している。図示のスマートホーム環境200は、構造160を含む。構造160は、たとえば上述のような戸建て住宅、マンション、アパート、オフィスビル、車庫、または移動住宅を含み得る。スマートホーム環境は、実際の構造160の内側および/または外側に、空気質センサ165、VOCセンサ175、スマートサーモスタット170、および無線ルータ235等のデバイスを含んでもよい。たとえば、構造160の外側に1つまたは複数のリモート空気質センサ265が配置され得る。
【0032】
図示の構造160は、壁210によって少なくとも部分的に互いに分離されている複数の部屋205を含む。壁210は、内壁または外壁を含み得る。各部屋は、床215および天井220をさらに含み得る。壁210、床215、または天井220に対して、デバイスの取付け、一体化、および/または支持が可能である。
【0033】
図2に示すスマートホームは、相互および/またはクラウドベースサーバシステムとのシームレスな統合によってスマートホームの種々の有用な目的のいずれかを提供し得るインテリジェントマルチセンシングネットワーク接続デバイスを含む複数のデバイスを含む。スマートホーム環境および/または図に示すデバイスのうちの1つ、複数、または各々が上述のような1つまたは複数のセンサ、ユーザインターフェース、電源、通信構成要素、モジュール式ユニット、およびインテリジェントソフトウェアを含み得る。デバイスの例を
図2に示す。
【0034】
スマートサーモスタット170等のインテリジェントマルチセンシングネットワーク接続サーモスタットは、周囲の気象特性(たとえば、温度および/または湿度)を検出して、暖房、換気、および空調(HVAC)システム185を制御することができる。HVACシステム185は、ファン290および/または通気口295との結合および/またはそれらの制御が可能であり得る。代替または追加として、スマートサーモスタット170は、ファン290または通気口295を制御するように構成されてもよい。たとえば、HVACシステム185またはスマートサーモスタット170のいずれかは、ファン290および/または通気口295を作動させ、通気口295を通じて外部空気を取り込むとともに、ファン290によって内部空気を排出するように構成されてもよい。空気質センサ165および/またはVOCセンサ175等の1つまたは複数のインテリジェントネットワーク接続マルチセンシングデバイスは、ホーム環境内および周囲の有害物質および/または汚染物質(たとえば、煙、一酸化炭素、メタン、ラドン、アセトン等)の有無を検出することができる。
【0035】
処理および検知の能力を含むことに加えて、空気質センサ165、VOCセンサ175、リモート空気質センサ265、および/またはスマートサーモスタット170等のデバイスの各々は、その他のデバイスの各々のみならず、上述のようなモバイルデバイス140および/またはパソコン150等、世界のどこかでネットワーク接続されている任意のクラウドサーバまたはその他の任意のデバイスとのデータ通信および情報共有が可能であり得る。これらのデバイスは、多様なカスタムもしくは標準無線プロトコル(Wi-Fi、ZigBee、6LoWPAN、Thread、Bluetooth、BLE、HomeKit Accessory Protocol(HAP)、Weave等)のいずれか、および/または、多様なカスタムもしくは標準有線プロトコル(CAT6イーサネット(登録商標)、HomePlug等)のいずれかを介して通信を送受信可能である。また、これらのデバイスの各々は、Google Home(登録商標)インターフェース等、ユーザからの音声コマンドまたは他の音声ベースの入力の受信が可能であってもよい。
【0036】
たとえば、第1のデバイスが、無線ルータ235を介して第2のデバイスと通信可能である。デバイスは、ネットワーク130等のネットワークへの接続を介して、リモートデバイスとさらに通信可能である。デバイスは、ネットワーク130を介して、クラウドベース空気質サーバシステム110および/または環境機関データシステム120等の中央サーバまたはクラウドコンピューティングシステムと通信可能である。さらに、中央サーバまたはクラウドコンピューティングシステムからデバイスに(たとえば、利用可能な場合、購入した場合、または定期的に)ソフトウェア更新を自動的に送信可能である。
【0037】
ネットワーク接続によって、
図2のスマートホームデバイスのうちの1つまたは複数は、ユーザがデバイスに近接していなくても、ユーザのデバイスとの相互作用をさらに可能にする。たとえば、ユーザは、モバイルデバイス140および/またはパソコン150等のデバイスと通信可能である。ウェブページまたはアプリが、ユーザからの通信を受信し、通信に基づいてデバイスを制御し、および/または、デバイスの動作に関する情報をユーザに提示するように構成可能である。たとえば、ユーザは、コンピュータを使用して、デバイスの現在の設定温度を表示し、調整することができる。ユーザは、このリモート通信中に、構造の中に存在することも可能であるし、構造の外側に存在することも可能である。
【0038】
図3は、分散環境センサネットワークを管理するための空気質システム300の一実施形態を示している。空気質システム300は、クラウドベース空気質サーバシステム110、環境機関データシステム120、ネットワーク130、モバイルデバイス140、および構造160を含み得る。構造160は、空気質センサ165、VOCセンサ175、スマートサーモスタット170、およびHVACシステム185のうちのいずれか1つまたは複数を含んでもよい。
図3において構造160を1つしか示していないが、空気質システム300は、構造160に類似する複数の構造を含んでもよいことが理解されるものとする。複数の構造の各々の構造に含まれる各検知構成要素は、クラウドベース空気質サーバシステム110が制御および/または管理する分散環境センサネットワークを形成してもよい。環境機関データシステム120は、
図1との関連で詳しく上述したように機能し得る。スマートサーモスタット170およびHVACシステム185は、
図1との関連で詳しく上述したように機能し得る。ネットワーク130は、
図1との関連で詳しく上述したように機能し得る。
【0039】
クラウドベース空気質サーバシステム110は、APIエンジン311、通信インターフェース312、センサ管理モジュール313、履歴データエンジン314、アカウント管理モジュール315、および予測エンジン316等の複数のサービスを含み得る。また、クラウドベース空気質サーバシステム110は、空気質データベース317等の1つまたは複数のデータベースを含み得る。また、クラウドベース空気質サーバシステム110は、複数のサービスが提供するさまざまな機能の実行を調整し得るとともに、空気質データベース317等の1つまたは複数のデータベースと通信し得る処理システム318を含み得る。
【0040】
APIエンジン311は、1つまたは複数の外部システムおよびデバイスから公開されたインターフェースを実装してもよい。公開インターフェースにより、クラウドベース空気質サーバシステム110は、環境機関データシステム120等のさまざまな外部システムと相互作用して、データを要求および交換することが可能となり得る。また、APIエンジン311により、クラウドベース空気質サーバシステム110は、ネットワーク130に接続されているさまざまなデバイスとの通信が可能となり得る。たとえば、APIエンジン311は、テキストメッセージ、電子メール、またはアプリケーション通知をモバイルデバイス140に送るためのインターフェースを実装してもよい。また、APIエンジン311は、空気質センサ165および/またはVOCセンサ175等の1つまたは複数の空気質センサからの空気質指数の要求を送るようにクラウドベース空気質サーバシステム110を構成してもよい。また、APIエンジン311により、クラウドベース空気質サーバシステム110は、ネットワーク130に接続されているスマートデバイスを動作させるための命令を送信することが可能となり得る。たとえば、APIエンジン311は、スマートサーモスタット170に対するインターフェースを実装してもよい。
【0041】
通信インターフェース312は、1つまたは複数の有線ネットワークとの通信に用いられてもよい。いくつかの実施形態において、ローカルエリアネットワーク(LAN)との通信を可能にするような有線ネットワークインターフェースが存在してもよい。また、通信インターフェース312の使用により、仮想ネットワークを通じて、複数の仮想マシンに分散されたサービスと通信してもよい。その他のプロセスのうちの1つまたは複数による通信インターフェース312の使用によって、その他のプロセスまたはモバイルデバイス140、環境機関データシステム120、空気質センサ165、VOCセンサ175、もしくはスマートサーモスタット170等の外部デバイスおよびサービスと通信してもよい。
【0042】
センサ管理モジュール313は、分散環境検知ネットワークを管理するための1つまたは複数のプロセスを含んでもよい。たとえば、センサ管理モジュール313は、複数の環境センサの各々から、ステータス更新を要求し、それを受信してもよい。環境センサは、空気質センサ165、VOCセンサ175、スマートサーモスタット170、空気圧センサ、二酸化炭素センサ、周囲光センサ、運動検出センサ等を含み得る。複数の環境センサから受信したステータス更新は、複数の環境センサにより収集されたデータを含み得る。たとえば、ステータス更新は、第1の構造内および/または第1の構造の近傍で汚染物質が検出された旨の指標を含んでもよい。別の例として、ステータス更新は、第1の構造内の汚染物質の濃度を含んでもよい。また、ステータス更新は、当該更新を送信した特定のセンサと関連付けられている設定を含んでもよい。たとえば、ステータス更新は、センサの位置および/またはセンサデータが収集された時間等の設定を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、センサの位置は、センサの識別に基づいて決定される。たとえば、センサからステータス更新を受信した後、センサ管理モジュール313は、センサIDを住居ユーザアカウントおよび/またはおおよその地理的位置にマッピングするテーブルまたはデータベースにおいてセンサIDを探索することにより、センサのおおよその位置を決定してもよい。
【0043】
また、センサ管理モジュール313は、一連のステータス更新を分析して、潜在的な追跡措置を識別してもよい。追跡措置は、通知の生成、個々の環境センサの制御、スマートデバイスへの命令の送信等を含み得る。たとえば、センサ管理モジュール313は、地理的領域内の空気質の低下および/または特定の汚染物質の存在を判定し、地理的領域と関連付けられている構造および/またはモバイルデバイスの住居ユーザアカウントへの通知を生成してもよい。別の例として、地理的領域内の空気質の低下および/または特定の汚染物質の存在を判定した後、センサ管理モジュール313は、地理的領域の近傍にある構造内のHVACシステムの外部空気換気構成要素を停止させる命令をスマートサーモスタット170等のスマートデバイスに送信してもよい。
【0044】
また、センサ管理モジュール313は、1つまたは複数の汚染物質の検出の指標を含む一連のステータス更新を分析して、1つまたは複数の汚染物質の潜在的な発生源を決定してもよい。たとえば、センサ管理モジュール313は、第1の汚染物質が第1の構造内で検出された旨の指標を受信してもよい。また、センサ管理モジュール313は、第1の汚染物質が第1の構造の近傍の第2の構造内では検出されなかった旨の指標を受信してもよい。あるいは、センサ管理モジュール313は、第1の汚染物質が第2の構造内で検出された旨の指標が存在しないことから、第1の汚染物質が第2の構造内には存在しないと判定してもよい。第1の汚染物質が第1の構造内に存在するが、第2の構造内には存在しないという判定に基づいて、センサ管理モジュール313は、第1の汚染物質の発生源が第1の構造内であると判定してもよい。第1の汚染物質の発生源が第1の構造内にある可能性が高いと判定した後、センサ管理モジュール313は、第1の構造内の第1の汚染物質の潜在的内因性発生源を示す通知を生成し、第1の構造と関連付けられている住居ユーザアカウントに送信してもよい。
【0045】
別の例として、第1の汚染物質が第1の構造内に存在すると判定した後、センサ管理モジュール313は、第1の汚染物質が第2の構造内にも存在すると判定してもよい。第1の汚染物質が第1の構造内および第2の構造内の両方に存在するという判定に基づいて、センサ管理モジュール313は、第1の汚染物質の発生源が第1の構造および第2の構造の両方の外側であると判定してもよい。第1の汚染物質の発生源が第1の構造および第2の構造の両方の外側にある可能性が高いと判定した後、センサ管理モジュール313は、通知を生成して、第1の構造、第2の構造、ならびに/または第1の構造および第2の構造の近傍内の付加的な構造と関連付けられている1つまたは複数の住居ユーザアカウントに送信してもよい。
【0046】
また、センサ管理モジュール313は、分散環境検知ネットワーク中の個々の環境センサの動作を制御してもよい。いくつかの実施形態において、センサ管理モジュール313は、以下に
図4との関連でさらに論じるように、複数の潜在的な動作モードのうちの第1の動作モードから別の動作モードへと空気質センサ165の動作モードを変更するように構成されてもよい。たとえば、第1の構造内に配置されている空気質センサからの指標を受信した後、センサ管理モジュール313は、第1の構造の近傍の第2の構造内に配置されている空気質センサに、通常感度モードから高感度モードへと動作モードを変更させてもよい。別の例として、センサ管理モジュール313は、HVACシステム185の外部空気換気構成要素の作動および/または停止の命令をスマートサーモスタット170に送るように構成されてもよい。
【0047】
履歴データエンジン314は、履歴データおよび測定基準を分析するためのプロセスを含んでもよい。いくつかの実施形態において、履歴データエンジン314は、さまざまな領域および/または構造内の空気質履歴データを定期的または時折分析して、空気質が将来再び上昇または下降するタイミングを予測する一助とする。たとえば、履歴データエンジン314は、幹線道路の近傍内の構造の空気質履歴データを分析して、ラッシュアワーの交通量と一致して、毎日の予測可能な時間間隔において1つまたは複数の汚染物質の濃度が増減すると判定してもよい。別の例として、履歴データエンジン314は、単一の構造内の一組のセンサの空気質履歴データを分析して、当該構造の住人が存在するタイミングと一致して、夜間に構造内の二酸化炭素の予測可能な増減があると判定してもよい。履歴データエンジン314により識別された傾向および予測を用いて、地理的領域および/または構造と関連付けられている住居ユーザアカウントへの通知を生成してもよい。代替または追加として、履歴データエンジン314により識別された傾向および予測は、さらに分析し、通知を生成するために予測エンジン316に提供されてもよい。通知は、履歴データの要約、ならびに/または、住宅内の窓を開放および/もしくは閉鎖するタイミング等、日常活動を調整するための提案を含んでもよい。
【0048】
アカウント管理モジュール315は、住居ユーザアカウントを管理するための1つまたは複数のプロセスを含んでもよい。たとえば、アカウント管理モジュール315は、特定の住居ユーザアカウントと関連付けられている1人または複数のユーザが所有して動作させる1つまたは複数のデバイスの情報等のアカウントのためのアカウント詳細、住居ユーザアカウントと関連付けられているデバイスおよび構造のおおよその地理的位置等にアクセスし、修正し、格納してもよい。アカウント管理モジュール315は、住居ユーザアカウント固有の情報をセンサ管理モジュール313、履歴データエンジン314、および予測エンジン316のいずれかまたはすべてに提供して、ユーザアカウント固有の通知を生成してもよい。また、いくつかの実施形態において、アカウント管理モジュール315は、ユーザアカウントと関連付けられているユーザまたはユーザアカウントと関連付けられているモバイルデバイス140上のアプリケーションに対して、通知または更新等の通信を送ってもよい。たとえば、アカウント管理モジュール315は、住居ユーザアカウントと関連付けられている構造内または周囲の空気質を示す電子メール、テキスト、またはアプリケーション通知を住居ユーザアカウントに送ってもよい。
【0049】
予測エンジン316は、空気質データを分析し、空気質予測を生成するための1つまたは複数のプロセスを含んでもよい。予測エンジン316は、センサ管理モジュール313からの現在の空気質データおよび/または履歴データエンジン314からの空気質履歴データを受信してもよい。また、予測エンジン316は、環境機関データシステム120から、現在の空気質データおよび/または空気質履歴データを受信してもよい。現在の空気質データおよび/または空気質履歴データは、分散環境センサネットワークの個々のセンサにより収集された生のデータを含み得る。あるいは、現在の空気質データおよび/または空気質履歴データは、分散環境センサネットワークの個々のセンサにより収集された生のデータの要約を含み得る。たとえば、履歴データエンジン314は、汚染物質が検出された旨の指標および/または汚染物質の濃度を分析して、予測エンジン316に提供されるデータの要約を生成してもよい。いくつかの実施形態において、予測エンジン316は、複数の領域からの複数の予測に加えて、単一の領域に関する複数の予測を生成する。たとえば、予測エンジン316は、都市または地方自治体に関する空気質予測のほか、都市または地方自治体内の個々の構造に関する複数の予測を生成してもよい。
【0050】
予測エンジン316は、分散環境センサネットワーク、環境機関データシステム120、または両方から収集された空気質データを使用して予測を生成してもよい。たとえば、予測エンジン316は、分散環境センサネットワークから収集されたデータのみを使用して最初の予測を生成し、環境機関データシステム120から収集されたデータが利用可能となった場合にこれを使用して、生成した予測を補完してもよい。
【0051】
空気質データベース317等の1つもしくは複数のデータベースがデータを格納してもよく、または、クラウドベース空気質サーバシステム110によるデータへのアクセスを可能にしてもよい。空気質データベース317は、空気質履歴および予測と関連付けられているデータを含んでもよい。空気質履歴データは、分散環境センサネットワークにより収集された空気質、および、環境機関データシステム120から収集されたデータ等、都市もしくは地域の第三者サービスにより収集された空気質の両方を含んでもよい。空気質データベース317を含む1つまたは複数のデータベースは、リレーショナルデータベース(たとえば、SQL)またはNoSQLデータベース(たとえば、MongoDB)等の1つまたは複数の好適なデータベース構造により実装されてもよい。
【0052】
処理システム318は、1つまたは複数のプロセッサを含み得る。処理システム318は、1つまたは複数の専用または汎用プロセッサを含んでもよい。このような専用プロセッサは、本明細書に詳述する機能を実行するように具体的に設計されたプロセッサを含み得る。このような専用プロセッサは、本明細書に詳述する機能を実行するように物理的および電気的に構成された汎用構成要素であるASICまたはFPGAであってもよい。このような汎用プロセッサは、クラウドベース空気質サーバシステム110のランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、またはソリッドステートドライブ(SSD)等の1つまたは複数の非一時的プロセッサ可読媒体を使用して格納された専用ソフトウェアを実行してもよい。
【0053】
図4は、分散環境センサネットワークにおける空気質センサシステム400の一実施形態を示している。空気質センサシステム400は、空気質センサ165、スマートサーモスタット170、ネットワーク130、クラウドベース空気質サーバシステム110、モバイルデバイス140、およびリモート空気質センサ465を含み得る。クラウドベース空気質サーバシステム110は、
図1~3との関連で上述したように機能し得る。ネットワーク130は、
図1との関連で上述したように機能し得る。環境機関データシステム120は、クラウドベース空気質サーバシステム110に接続されてもよく、
図1との関連で上述したように機能し得る。スマートサーモスタット170は、
図1~3との関連で上述したように機能し得る。空気質センサシステム400は、複数の空気質センサ165を含み得る。複数の空気質センサ165は、分散環境検知ネットワークを形成してもよい。
【0054】
空気質センサ165は、電子ディスプレイ411、ネットワークインターフェース412、空気センサ413、占有センサ414、睡眠センサ415、周囲光センサ416、温度センサ417、および処理システム419等の複数の構成要素を含み得る。いくつかの実施形態において、空気質センサ165は、単一のデバイスに構成要素のサブセットを含む一方、他の構成要素は分散デバイスに収容されている。たとえば、空気質センサ165は、電子ディスプレイ411、ネットワークインターフェース412、空気センサ413、および処理システム419を含み得る一方、占有センサ414、睡眠センサ415、周囲光センサ416、および温度センサ417等のその他の構成要素は1つまたは複数の異なるデバイスに収容されてもよい。本例において、1つまたは複数の異なるデバイスは、空気質センサ165および1つまたは複数の異なるデバイスの他のセンサと通信するための個々のディスプレイ、ネットワークインターフェース、および処理システムを含み得る。また、空気質センサ165は、リモート空気質センサ465等の1つまたは複数のリモート空気質センサに接続してもよい。いくつかの実施形態において、リモート空気質センサ465は、空気質センサ165の同じ特徴のうちの1つもしくは複数および/または空気質センサ165と同様の機能を含んでもよい。
【0055】
空気質センサ165は、複数の動作モードを含んでもよい。たとえば、動作モードは、小電力モード、通常感度モード、および高感度モードを含み得る。空気質センサ165は、各モードで動作しているとき、検知構成要素のうちの1つまたは複数のサンプリングレートを修正および/または調整してもよい。たとえば、小電力モードにおいて、サンプリングレートは、空気質センサ165による電力消費を抑えるため、5分に1回から最低1時間以上に1回の範囲であってもよい。別の例として、通常感度モードにおいて、サンプリングレートは、電力消費と正確なセンサ測定結果とのバランスをとるために、30分に1回から最高5分以下に1回の範囲であってもよい。さらに別の例において、高感度モードの場合のサンプリングレートは、空気質センサ165が取得するセンサ測定結果の精度を最大化するために、5分に1回から最高10Hzの範囲であってもよい。
【0056】
空気質センサ165の動作モードおよび/またはサンプリングレートは、汚染物質の検出に基づいて変更されてもよい。たとえば、汚染物質の存在を検出した後、空気質センサ165は、通常感度モード等の第1の動作モードから高感度モード等の第2の動作モードに変更されてもよい。第1の動作モードから第2の動作モードへの変更によって、システムは、経時的な汚染物質のレベルのより正確な監視および/または汚染物質が依然として環境内に存在するか、または消失したかに関するよりリアルタイムな更新が可能となり得る。同様に、動作モードは、改善措置に応答して変更されてもよい。たとえば、構造内の汚染物質を検出して、外部換気システムおよび/または空気清浄システムを作動させた後、動作モードを高感度モードに変更して、汚染物質が環境から消失する速度および/または汚染物質が存在しなくなるタイミングを監視してもよい。
【0057】
いくつかの実施形態においては、動作モードは、さまざまな閾値を変更または調整し得る。たとえば、通常感度モードにおいて、空気センサ413は、汚染物質の濃度が第1の閾値を上回る場合に、汚染物質の存在を示してもよい。高感度モードにおいて、空気センサ413は、汚染物質の濃度が第2の閾値を上回る場合に、汚染物質の存在を示してもよい。第2の閾値は、第1の閾値濃度に達する前に汚染物質を検出するために、第1の閾値より低くてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、空気センサ413、占有センサ414、睡眠センサ415、周囲光センサ416、および温度センサ417等、空気質センサ165の各構成要素は、異なる動作モードを有してもよい。たとえば、空気センサ413は、通常感度モードで動作するように構成されてもよく、一方、睡眠センサ415等の他の構成要素は、小電力モードで動作するように構成されている。
【0059】
電子ディスプレイ411は、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、または空気質センサ165により生成された情報を表示するように構成されたその他の任意の類似ディスプレイ等のディスプレイであってもよい。いくつかの実施形態において、電子ディスプレイ411は、電子ディスプレイ411が点灯している場合にのみ視認可能である。いくつかの実施形態において、電子ディスプレイ411は、タッチスクリーンである。タッチセンサにより、タップおよびスワイプのジェスチャを含む1つまたは複数のジェスチャの検出が可能となり得る。電子ディスプレイ411は、空気質センサ165により生成された1つまたは複数の情報を表示してもよい。たとえば、電子ディスプレイ411は、空気質センサ165のステータス、1つまたは複数の汚染物質の濃度等の1つまたは複数の空気質測定結果等を表示してもよい。
【0060】
ネットワークインターフェース412は、1つまたは複数の有線または無線ネットワークとの通信に用いられてもよい。ネットワークインターフェース412は、Wi-Fiネットワーク等の無線ローカルエリアネットワークと通信してもよい。また、追加または代替のネットワークインターフェースが存在してもよい。たとえば、空気質センサ165は、Bluetooth(登録商標)等の使用により、ユーザデバイスと直接通信可能であってもよい。空気質センサ165は、メッシュネットワークを介して、他のさまざまなホームオートメーションデバイスと通信可能であってもよい。メッシュネットワークは、Wi-Fi等の無線ローカルエリアネットワークベースの通信と比較して、使用電力を相対的に少なくすることができる。いくつかの実施形態において、空気質センサ165は、メッシュネットワークとWi-Fiネットワーク等の無線ネットワークとの間の通信を変換するエッジルータとして機能し得る。いくつかの実施形態において、ローカルエリアネットワーク(LAN)との通信を可能にするような有線ネットワークインターフェースが存在してもよい。また、空気質センサ165と異なる場所に設置されたリモート空気質センサ465等のリモート空気質センサとの直接通信を可能にするためなど、1つまたは複数の直接無線通信インターフェースが存在してもよい。無線通信の第5世代(5G)および第6世代(6G)規格および技術への進化により、低レイテンシの高スループットが提供され、モバイルブロードバンドサービスが強化される。また、5Gおよび6G技術は、車両ネットワーキング(V2X)、固定無線ブロードバンド、およびモノのインターネット(IoT)に関して、制御およびデータチャネルを介する新たなサービスクラスを提供する。空気質センサ165は、5Gおよび/または6Gネットワークを使用して通信し得る1つまたは複数の無線インターフェースを含んでもよい。
【0061】
空気センサ413は、さまざまな浮遊汚染物質の有無を検出し、および/またはこのような汚染物質の濃度を測定するように構成された1つまたは複数のセンサであってもよい。空気センサ413が検出可能であり得る汚染物質の例としては、ガス(たとえば、アンモニア、一酸化炭素、二酸化硫黄、メタン、二酸化炭素等)、微粒子(たとえば、エアロゾル)、および/または生体分子が挙げられる。空気センサ413は、1つまたは複数の種類の汚染物質の濃度がある閾値濃度を上回るタイミングを示してもよい。代替または追加として、空気センサ413は、さまざまな種類の汚染物質の実際の濃度を測定するように構成されてもよい。汚染物質の濃度は、PPM、PPB、または浮遊汚染物質の濃度に関する任意の類似の測定単位で測定されてもよい。いくつかの実施形態において、空気センサ413は、空気センサ413により測定された1つまたは複数の空気汚染物質の濃度に基づいて、全体的な空気質スコアを生成するように構成されてもよい。たとえば、空気センサ413は、空気質指数(AQI)または任意の類似空気質尺度を使用して、周囲の空気をスコアリングしてもよい。
【0062】
占有センサ414は、当該占有センサ414の近傍内の1人または複数の人間の有無を検出するように構成された1つまたは複数のセンサであってもよい。たとえば、占有センサ414は、レーダセンサ、ライダーセンサ、写真センサ、赤外線センサ、または環境内の運動を検出し得るその他任意の類似センサのうちの1つまたは複数を含み得る。代替または追加として、占有センサ414は、二酸化炭素センサを含み得る。たとえば、占有センサ414は、環境内の二酸化炭素の濃度を検出することにより、観測された環境内の二酸化炭素の濃度の増大に起因して、1人または複数の人間が環境内にいると判定可能であってもよい。
【0063】
睡眠センサ415は、人が眠っているタイミングを検出し、睡眠の質を監視するように構成された1つまたは複数のセンサであってもよい。たとえば、睡眠センサ415は、心拍数モニタ、呼吸数モニタ、脳活動モニタ、運動検出センサ、眼活動モニタ、または眠っている人の測定可能な特性を監視および検出し得るその他の任意の類似センサのうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態において、睡眠センサ415による測定結果を用いて、空気センサ413による汚染物質の検出に対する応答を変更してもよい。たとえば、空気センサ413によって第1の汚染物質の有無を検出した後、空気質センサ165は、睡眠センサ415により生成された入力から、占有者が眠っていると判定し、検出された汚染物質の深刻度に基づいて警報を生成するかを判定してもよい。
【0064】
周囲光センサ416は、空気質センサ165の環境中に存在する光の量を検知してもよい。周囲光センサ416による測定結果は、電子ディスプレイ411の輝度の調整に用いられてもよい。周囲光センサ416による測定結果を用いて、占有センサ414および/または睡眠センサ415は、人間が存在するかの判定および/または人間が眠っている可能性のあるタイミングを判定してもよい。たとえば、周囲光センサ416は、通常なら自然光が存在しない時間帯に空気質センサ165の環境中に存在する光を検出することによって、人間が存在し、照明をオンにした旨を示してもよい。別の例として、周囲光センサ416は、通常なら人間が眠っているときに、部屋の光の存在を検出することによって、人間が眠っていない可能性が高い旨を示してもよい。
【0065】
空気質センサ165内には、温度センサ417等の1つまたは複数の温度センサが存在してもよい。温度センサ417は、空気質センサ165の環境中の周囲温度の測定に用いられてもよい。温度センサ417による測定結果は、空気センサ413、占有センサ414、および睡眠センサ415等、空気質センサ165の1つまたは複数の他の構成要素による測定結果と併せて用いられてもよい。たとえば、空気センサ413による空気の1つまたは複数の質の検出が火災を示す場合は、温度の上昇を示す温度センサ417による測定結果での裏付けによって、環境内に火災が存在すると判定してもよい。追加または代替として、周囲環境の温度の測定には、スマートサーモスタット170の温度センサおよび/またはリモート空気質センサ465の温度センサ等、空気質センサ165から遠隔の1つまたは複数の付加的な温度センサが用いられてもよい。
【0066】
処理システム419は、1つまたは複数のプロセッサを含み得る。処理システム419は、1つまたは複数の専用または汎用プロセッサを含んでもよい。このような専用プロセッサは、本明細書に詳述する機能を実行するように具体的に設計されたプロセッサを含み得る。このような専用プロセッサは、本明細書に詳述する機能を実行するように物理的および電気的に構成された汎用構成要素であるASICまたはFPGAであってもよい。このような汎用プロセッサは、空気質センサ165のランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、またはソリッドステートドライブ(SSD)等の1つまたは複数の非一時的プロセッサ可読媒体を使用して格納された専用ソフトウェアを実行してもよい。
【0067】
処理システム419は、電子ディスプレイ411に提示するための情報を出力してもよい。処理システム419は、空気センサ413、占有センサ414、睡眠センサ415、周囲光センサ416、および温度センサ417等のさまざまなセンサから情報を受信することができる。たとえば、処理システム419は、空気センサ413から、空気質センサ165の近傍内に汚染物質が検出された旨の指標を受信してもよい。処理システム419は、ネットワークインターフェース412、モバイルデバイス140、および/またはクラウドベース空気質サーバシステム110との双方向通信を実行可能である。たとえば、汚染物質が検出された旨の指標を空気センサ413から受信した後、処理システム419は、警告をモバイルデバイス140に送信してもよい。この警告は、モバイルデバイス140上で動作し、空気質センサ165と通信するように構成されたアプリケーションにより生成されたプッシュ通知であってもよい。別の例として、処理システム419は、空気センサ413等のセンサから、汚染物質の存在が検出されたことを示す情報を受信し、この指標をクラウドベース空気質サーバシステム110に送信してもよい。いくつかの実施形態において、処理システム419は、空気質センサ165に格納されている1つもしくは複数のソフトウェアアプリケーションもしくはサービスまたは空気質センサ165によりアクセス可能な1つもしくは複数のソフトウェアアプリケーションもしくはサービスを実行する。たとえば、空気センサ413、占有センサ414、睡眠センサ415、周囲光センサ416、および温度センサ417等、空気質センサ165の1つまたは複数の構成要素は、処理システム419により実行され得る1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションまたはソフトウェアサービスを含んでもよい。
【0068】
クラウドベース空気質サーバシステム110は、空気質センサ165にマッピングされた住居ユーザアカウントを維持することができる。代替または追加として、住居ユーザアカウントが構造にマッピングされてもよく、構造はさらに、1つまたは複数の空気質センサ165にマッピングされていてもよい。空気質センサ165は、クラウドベース空気質サーバシステム110と定期的または断続的に通信してもよい。たとえば、汚染物質の有無を検出した後、空気質センサ165は、汚染物質が検出された旨の指標および/または検出された汚染物質の濃度を含むメッセージをクラウドベース空気質サーバシステム110に送信してもよい。別の例として、空気質センサ165は、クラウドベース空気質サーバシステム110から、当該空気質センサ165の動作モードを変更する命令を受信してもよい。また、モバイルデバイス140および/またはパソコン150等のコンピュータ化デバイスを介して、人が空気質センサ165と相互作用するようにしてもよい。コンピュータ化デバイスは、ネットワーク130を介して空気質センサ165と接続してもよい。いくつかの実施形態においては、モバイルデバイス140等のコンピュータ化デバイス上で動作するアプリケーションを介して、当該コンピュータ化デバイスが、空気質センサ165のステータスおよび測定結果を遠隔に監視可能であってもよい。
【0069】
図5は、分散環境センサネットワークの展開によって構造内の内因性空気汚染を検出し得る例示的な環境を示している。内因性空気汚染は、構造内を発生源または起点とするいかなる種類の浮遊汚染であってもよい。たとえば、ガス漏れ、化学物質の漏出、火災、一酸化炭素の蓄積、または任意の類似汚染源が構造物内に存在する場合、構造が内因性空気汚染を示し得る。内因性空気汚染の検出は、構造の外側および構造のごく近傍内の1つまたは複数の種類の汚染物質の検出レベルと、構造内の同じ1つまたは複数の種類の汚染物質の検出レベルを比較することにより実行されてもよい。構造内の検出レベルが構造の外側の検出レベルよりも高い場合は、構造の外側ではなく構造の内側に汚染の発生源が存在すると判定され得る。この判定は、
図5に示すような図解によって、より明確化され得る。
【0070】
図5に示すように、分散環境検知ネットワークは、複数の構造560を含んでもよい。構造560は、上記で詳述したような構造160と同じであってもよい。たとえば、構造560-1が戸建て住宅であってもよく、構造560-2がマンションまたはアパートであってもよい。各構造560は、1つまたは複数の空気質センサ565を含んでもよい。空気質センサ565は、上述の空気質センサ165と同じであってもよいし、同様に機能してもよい。たとえば、各空気質センサ565は、1つまたは複数の種類の空気汚染物質の有無を検出し、および/または濃度を測定するように構成されてもよい。各構造560は、当該構造560の内部内および/または外部の周囲に分散した1つまたは複数の空気質センサ565を含んでもよい。たとえば、
図5に示すように、構造560-1は、当該構造560-1の内部に配置されている空気質センサ565-2を含み得る一方、空気質センサ565-1は、構造560-1の外部またはその周囲に配置されている。
【0071】
各構造560は、既知の地理的位置と関連付けられてもよい。たとえば、地理的位置は、番地、緯度および経度、軍事グリッド参照システム座標、ユニバーサル横メルカトル座標、または任意の同様に好適な位置基準により示され得る。あるいは、各構造560は、既知の地理的位置のある半径内にマッピングされてもよい。たとえば、各構造560は、既知の位置から1マイル~10マイルの範囲内であってもよい。各構造560は、別の構造560から既知の距離であってもよい。たとえば、
図5に示すように、構造560-1および構造560-2の既知の位置を使用することによって、構造560-1と構造560-2との間の距離508が決定され得る。構造560-1と構造560-3との間の距離512も同様に決定され得る。各構造560間の距離は、フィート、メートル、ヤード、マイル、または任意の同様に好適な測定単位にて、上述のようなクラウドベース空気質サーバシステム110等のクラウドベースサーバシステムに格納されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、汚染物質の発生源が構造内にある可能性が高いと判定することは、構造のごく近傍内の空気質センサにより収集されたセンサ測定結果と、構造内の空気質センサにより収集されたセンサ測定結果を比較することに基づいてもよい。たとえば、
図5に示すように、空気質センサ565-2が構造560-1内の第1の汚染物質の有無を検出可能である一方、空気質センサ565-1は、構造560-1の外側の第1の汚染物質の有無を検出不可能であってもよい。この場合、第1の汚染物質の発生源504が構造560-1内にある可能性は、第1の汚染物質の発生源504が構造560-1の外側にある可能性よりも高くなる。また、汚染物質の発生源が構造内にある可能性が高いと判定することは、構造内の空気質センサおよび構造のごく近傍内の空気質センサによる汚染物質の測定濃度の差に基づいてもよい。たとえば、空気質センサ565-2が構造560-1内で高濃度の第1の汚染物質を測定し得る一方、空気質センサ565-1が構造560-1の外側で低濃度の第1の汚染物質を測定することにより、第1の汚染物質の発生源504が構造560-1内にある可能性が高くなり得る。いくつかの実施形態において、異なる構造における空気質センサにより収集されたセンサ測定結果の比較によって、汚染物質の発生源が構造内にある可能性が高いと判定する精度が向上し得る。たとえば、空気質センサ565-1が構造560-1に十分近い場合は、汚染物質の発生源504が構造560-1内であっても、構造560-1の外側で汚染物質の有無を同様に検出可能である。
【0073】
いくつかの実施形態において、汚染物質の発生源が第1の構造内にある可能性が高いと判定することは、第1の構造内および/もしくは第1の構造のごく近傍内の空気質センサならびに第2の構造内に配置されている空気質センサにより収集されたセンサ測定結果の比較に基づいてもよい。たとえば、空気質センサ565-1および空気質センサ565-2が構造560-1内の第1の汚染物質の有無を検出可能である一方、空気質センサ565-3および空気質センサ565-4はいずれも、構造560-2内の第1の汚染物質の有無を検出しない。空気質センサ565-1および565-2により収集されたセンサ測定結果を空気質センサ565-3および565-4により収集されたセンサ測定結果と比較することによって、第1の汚染物質の発生源504が構造560-1の外側ではなく構造560-1内であると判定され得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、第2の構造は、第1の構造と当該第2の構造との間の距離に基づいて選択される。たとえば、構造560-1内の汚染物質を検出した後、構造560-1と構造560-2との間の距離508が所定の距離閾値未満であることから、比較のため構造560-2が識別されてもよい。所定の距離閾値は、判定の精度を向上させるため、最低50フィートであってもよいし、最高5マイル以上であってもよい。同様に、構造560-1と構造560-2との間の距離508が所定の距離閾値よりも大きいことから、比較のため構造560-2が識別されてもよい。いくつかの実施形態において、第2の構造は、最大距離閾値と最小距離閾値との間であることに基づいて識別される。いくつかの実施形態において、最も近い構造が選択される。たとえば、構造560-1と構造560-2との間の距離508が構造560-1と構造560-3との間の距離512よりも小さいことから、構造560-2が選択されてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態においては、汚染物質の発生源が構造内にある可能性が高いという判定に応答して、1つまたは複数の措置が講じられる。1つまたは複数の措置は、構造と関連付けられている住居ユーザアカウントに対する通知の生成および/または発行を含み得る。たとえば、汚染物質の発生源504が構造560-1内にある可能性が高いと判定した後、構造560-1にマッピングされた住居ユーザアカウントと関連付けられているモバイルデバイス140等の電子デバイスに単一構造警告通知が発行されてもよい。単一構造警告通知は、汚染物質が検出されたことと、汚染物質の発生源が構造内にある可能性が高いことと、を住居ユーザアカウントのユーザに知らせてもよい。また、単一構造警告通知は、占有者が構造を立ち退くことならびに/または窓およびドアを開けて構造内の循環を改善することを提案する等、検出された汚染物質がもたらすリスクを軽減するための提案を含んでもよい。
【0076】
追加または代替として、1つまたは複数の措置は、HVACシステムを制御して汚染物質がもたらすリスクを軽減することを含み得る。たとえば、スマートサーモスタット170等のスマートサーモスタットにHVACシステム185等のHVACシステムを制御させて、外気換気構成要素を作動させてもよい。また、1つまたは複数の措置は、別の構造内および/または周囲に分散した1つまたは複数の空気質センサに動作モードを変更させることを含み得る。たとえば、汚染物質が構造560-1内には存在するものの構造560-2内には存在しないものと判定した後、上述のように、構造560-2内および/または周囲に配置されている空気質センサ565-3および565-4は、通常感度モードから高感度モードへと変更されてもよい。動作モードを通常感度モードから高感度モードに変更すると、構造560-1内で検出された汚染物質が構造560-2に拡がった場合に、直ちに検出される可能性が高くなり得る。
【0077】
図6は、分散環境センサネットワークの展開によって構造内の外因性空気汚染を検出し得る別の例示的な環境を示している。外因性空気汚染は、構造の外側を発生源または起点とするいかなる種類の浮遊汚染であってもよい。たとえば、外因性空気汚染は、工場、幹線道路もしくは車道、自然災害、または任意の類似汚染源を発生源とし得る。外因性空気汚染の検出は、別の構造内または近隣内の1つまたは複数の種類の汚染物質の検出レベルと、構造内の同じ1つまたは複数の種類の汚染物質の検出レベルを比較することにより実行されてもよい。単一の構造ではなく複数の構造内で汚染物質が検出された場合は、汚染物質の発生源は両方の構造の外部であると判定され得る。この判定は、
図6に示すような図解によって、より明確化され得る。
【0078】
図6に示すように、分散環境検知ネットワークが複数の構造660を含んでもよい。構造660は、上記で詳述したような構造160および/または560と同じであってもよい。たとえば、構造660-1が戸建て住宅であってもよく、一方、構造660-2がマンションまたはアパートであってもよい。各構造660は、1つまたは複数の空気質センサ665を含んでもよい。空気質センサ665は、上述の空気質センサ165と同じであってもよいし、同様に機能してもよい。たとえば、各空気質センサ665は、1つまたは複数の種類の空気汚染物質の有無の検出および/または濃度の測定を行うように構成されてもよい。各構造660は、当該構造660の内部内および/または外部の周囲に分散した1つまたは複数の空気質センサ665を含んでもよい。たとえば、
図6に示すように、構造660-1は、当該構造660-1の内部内に配置された空気質センサ665-2を含み得る一方、空気質センサ665-1は、構造660-1の外部またはその周囲に配置されている。
【0079】
各構造660は、既知の地理的位置と関連付けられていてもよい。たとえば、地理的位置は、番地、緯度および経度、軍事グリッド参照システム座標、ユニバーサル横メルカトル座標、または任意の同様に好適な位置基準により示され得る。あるいは、各構造660は、既知の地理的位置のある半径内にマッピングされてもよい。たとえば、各構造660は、既知の位置から1マイル~10マイルの範囲内であってもよい。各構造560は、別の構造660から既知の距離であってもよい。たとえば、
図6に示すように、構造660-1および構造660-2の既知の位置を使用することによって、構造660-1と構造660-2との間の距離608が決定され得る。構造660-1と構造660-3との間の距離612および構造660-2と構造660-3との間の距離616も同様に決定され得る。各構造660間の距離は、フィート、メートル、ヤード、マイル、または任意の同様に好適な測定単位にて、上述のようなクラウドベース空気質サーバシステム110等のクラウドベースサーバシステムに格納されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、汚染物質の発生源が構造内にある可能性が高いと判定することは、構造のごく近傍内の空気質センサにより収集されたセンサ測定結果と、構造内の空気質センサにより収集されたセンサ測定結果を比較することに基づいてもよい。たとえば、
図6に示すように、空気質センサ665-2および空気質センサ665-1の両方が構造660-1内および/または周囲の第1の汚染物質の有無を検出可能である。この場合、第1の汚染物質の発生源604が構造660-1の外側にある可能性は、第1の汚染物質の発生源604が構造660-1の内側にある可能性よりも高くなる。また、汚染物質の発生源が構造の外側にある可能性が高いと判定することは、構造内の空気質センサおよび構造のごく近傍内の空気質センサによる汚染物質の測定濃度の差に基づいてもよい。たとえば、空気質センサ665-1が構造660-1の外側で高濃度の第1の汚染物質を測定し得る一方、空気質センサ665-2が構造660-1内で低濃度の第1の汚染物質を測定することにより、第1の汚染物質の発生源604が構造560-1の外側にある可能性が高くなり得る。いくつかの実施形態においては、異なる構造における空気質センサにより収集されたセンサ測定結果の比較によって、汚染物質の発生源が構造の外側にある可能性が高いと判定する精度が向上し得る。たとえば、空気質センサ665-1が構造660-1に十分近い場合は、汚染物質の発生源604が構造660-1内であっても、空気質センサ665-1および空気質センサ665-2の両方が汚染物質の有無を検出可能である。
【0081】
いくつかの実施形態において、汚染物質の発生源が第1の構造の外側にある可能性が高いと判定することは、第1の構造内および/または第1の構造のごく近傍内の空気質センサならびに第2の構造内に配置されている空気質センサにより収集されたセンサ測定結果の比較に基づいてもよい。たとえば、空気質センサ665-1、665-2、665-3、665-4は各々、構造660-1および構造660-2内および/または周囲の第1の汚染物質の有無を検出可能である。空気質センサ665-1および665-2により収集されたセンサ測定結果を空気質センサ665-3および665-4により収集されたセンサ測定結果と比較することによって、第1の汚染物質の発生源604が構造660-1の内側ではなく構造660-1の外側であると判定され得る。同様に、第1の汚染物質の発生源604が構造660-2の外側であると判定され得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、第1の構造からのセンサ測定結果は、通常感度モードで動作している1つまたは複数の空気質センサにより収集される一方、第2の構造からのセンサ測定結果は、高感度モードで動作している1つまたは複数のセンサにより収集される。たとえば、通常感度モードで動作している空気質センサ665-1および665-2が構造660-1内および/または周囲の第1の汚染物質の有無を検出した後、空気質センサ665-3および665-4は、通常感度モードから高感度モードへと動作モードを変更されてもよい。空気質センサ665-3および665-4を通常感度モードから高感度モードへと変更させることにより、汚染物質の発生源604が構造660-1の外側にあるとの判定の精度および/または速度が向上し得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、第2の構造は、第1の構造と当該第2の構造との間の距離に基づいて選択される。たとえば、構造660-1内の汚染物質を検出した後、構造660-1と構造560-2との間の距離608が所定の距離閾値未満であることから、比較のため構造660-2が識別されてもよい。所定の距離閾値は、判定の精度を向上させるため、10マイル、5マイル、1マイル、または任意の同様に好適な閾値距離であってもよい。同様に、構造660-1と構造660-2との間の距離608が所定の距離閾値よりも大きいことから、比較のため構造660-2が識別されてもよい。いくつかの実施形態において、第2の構造は、最大距離閾値と最小距離閾値との間であることに基づいて識別される。いくつかの実施形態においては、最も近い構造が選択される。たとえば、構造660-1と構造660-2との間の距離608が構造660-1と構造660-3との間の距離612よりも小さいことから、構造660-2が選択されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態においては、汚染物質の発生源が構造の外側にある可能性が高いとの判定に応答して、1つまたは複数の措置が講じられる。1つまたは複数の措置は、1つまたは複数の住居ユーザアカウントに対する通知の生成および/または発行を含み得る。たとえば、汚染物質の発生源604が構造560-1の外側にある可能性が高いと判定した後、構造660-1および/または構造660-2にマッピングされた住居ユーザアカウントと関連付けられているモバイルデバイス140等の電子デバイスに潜在的外部発生源警告通知が発行されてもよい。代替または追加として、汚染物質が検出されていない構造にマッピングされた住居ユーザアカウントと関連付けられている電子デバイスに潜在的外部発生源警告通知が発行されてもよい。たとえば、構造660-3にマッピングされた住居ユーザアカウントと関連付けられている電子デバイスに潜在的外部発生源警告通知が発行されることにより、汚染物質が構造660-3に達する前に予防措置を講じることが可能となり得る。潜在的外部発生源警告通知は、ユーザと関連付けられている構造内で汚染物質が検出されたことと、汚染物質の発生源が構造の外側にある可能性が高いことと、を住居ユーザアカウントのユーザに知らせてもよい。また、潜在的外部発生源警告通知は、占有者が構造内に留まることならびに/または窓およびドアを閉めて構造内の外気循環を減らすことを提案する等、検出された汚染物質がもたらすリスクを軽減するための提案を含んでもよい。
【0085】
追加または代替として、1つまたは複数の措置は、HVACシステムを制御して汚染物質がもたらすリスクを軽減することを含み得る。たとえば、スマートサーモスタット170等のスマートサーモスタットにHVACシステム185等のHVACシステムを制御させて、外気換気構成要素を停止させてもよい。また、1つまたは複数の措置は、別の構造内および/または周囲に分散した1つまたは複数の空気質センサに動作モードを変更させることを含み得る。たとえば、汚染物質が構造660-1および構造660-2内に存在すると判定した後、上述のように、構造660-3内および/または周囲に配置されている空気質センサ665-5および665-6は、通常感度モードから高感度モードへと変更されてもよい。動作モードを通常感度モードから高感度モードに変更すると、構造660-1および構造660-2内で検出された汚染物質が構造660-3に拡がった場合に、直ちに検出される可能性が高くなり得る。
【0086】
いくつかの実施形態においては、3つ以上の構造内および/または周囲における汚染物質の検出に基づいて、外因性空気汚染物質の発生源の位置が決定されてもよい。たとえば、各構造660内で第1の汚染物質の有無が検出された時間620-1、620-2、および620-3の間の差と併せて、距離608、612、および616、ならびに/または構造660の既知の位置を使用することにより、第1の汚染物質の発生源604の位置が決定され得る。この位置は、到着時間差計算またはジオロケーションに用いられる任意の同様に好適な計算を使用することにより決定され得る。
【0087】
図7は、空気質履歴のグラフ700を示す。グラフ700は、時間の関数として空気質履歴708を示している。縦軸702は、空気質指数(AQI)を使用して空気質を示している。ただし、PPM、PPB、および/または1立方メートル当たりのミリグラム数等、任意の類似する空気質測定単位が用いられてもよい。横軸704は、時間(時)を示しているが、所望の粒度レベルを提供するため、任意の時間単位が用いられてもよい。空気質履歴708は、1つまたは複数の種類の汚染物質を表し得る。たとえば、空気質履歴708は、多くの測定可能な汚染物質による組み合わされた空気質を表し得る。代替または追加として、空気質履歴708は、単一の汚染物質および/または単一種類の汚染物質を表し得る。
【0088】
空気質履歴708は、類似する時間間隔にわたる空気質履歴の1つまたは複数の記録を表し得る。たとえば、ある地域または特定の場所の空気質が複数日にわたって同じ時間帯に測定され、上述のように、空気質データベース317等のデータベースに記録されてもよい。また、1つまたは複数の領域および/または場所について、複数の記録が毎日なされてもよい。同様に、記録は、全日にわたっておよび/または特定の時間帯に収集されたデータを含み得る。十分な数の記録が収集された後、記録の分析により、ある領域または場所について記録された空気質の傾向を特定してもよい。たとえば、
図7に示すように、空気質履歴708を分析することによって、複数の空気質記録におけるピーク712および716が特定され得る。これらの記録は、上述のように、履歴データエンジン314等の履歴データエンジンまたは予測エンジン316等の予測エンジンにより分析されてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態においては、空気質履歴記録において特定された傾向の使用により、記録が収集された領域および/または場所に関するある特性を決定する。たとえば、ピーク712および716は、車両の排ガスと最も一般的に関連付けられている1つまたは複数の種類の汚染物質の増加に対応することにより、この場所が交通量の多い車道および/または幹線道路に近い可能性が高いと判定し得る。別の例として、ピーク712および716は、毎日のほぼ同じ時間帯に発生することにより、これらの時間がピークラッシュアワーに対応すると判定し得る。いくつかの実施形態においては、空気質履歴記録において特定された傾向および/または判定された場所の特性に基づいて、特定の場所の空気質が予測されてもよい。たとえば、特定されたピーク712および716に基づいて、同じ時間帯における類似のピークを含む当該場所の空気質予測が生成されてもよい。いくつかの実施形態においては、ある場所について予測された空気質の使用により、その場所に近い構造にマッピングされた住居ユーザアカウントに対する通知および/または提案を生成してもよい。たとえば、空気質の低下が増加する時間に対応してドアおよび/または窓を閉じたままにするタイミングをユーザに助言する通知が1つまたは複数の住居ユーザアカウントと関連付けられているモバイルデバイス140等の1つまたは複数の電子デバイスに対して発行されてもよい。
【0090】
図8は、分散環境検知ネットワークを監視するためのインターフェース800の一実施形態を示している。いくつかの実施形態においては、分散環境検知ネットワークを監視するためのインターフェースが上述のようなモバイルデバイス140および/またはパソコン150等の1つまたは複数の種類の電子デバイスに表示されてもよい。インターフェース800は、電子デバイス上で動作するソフトウェアアプリケーションの実行および/またはウェブブラウザを使用するウェブページの訪問によってアクセス可能である。たとえば、インターフェース800は、モバイルデバイス140等のモバイルデバイス上で実行されるソフトウェアアプリケーションのホームページであってもよい。
【0091】
インターフェース800は、警告、通知、1つもしくは複数のセンサおよび/もしくはデバイスのステータス、収集されたセンサ測定結果、空気質情報、ならびに任意の同様に好適な情報等、1つまたは複数の種類の情報の表示に用いられてもよい。たとえば、インターフェース800は、当該インターフェース800が表示されているモバイルデバイス140と関連付けられている住居ユーザアカウントに対して発行された警告通知を示すバナー通知820を表示するように構成されてもよい。いくつかの実施形態においては、電子デバイス上で動作するアプリケーションがインターフェース800にポップアップダイアログ、バッジ、警告、またはその他の任意の好適な通知法を表示させて、1つまたは複数の汚染物質が検出されたことと、1つまたは複数の汚染物質の潜在的な発生源と、をユーザに警告してもよい。バナー通知820と関連付けられているユーザからの選択の受信に応答して、インターフェース800は、検出された汚染物質の種類および/または検出された汚染物質がもたらすリスクを軽減するための提案等、警告通知に関する付加的な情報を表示してもよい。
【0092】
別の例として、インターフェース800は、スマートサーモスタットステータス804および空気質ステータス816を表示してもよい。スマートサーモスタットステータス804は、上述のようなスマートサーモスタット170等のスマートサーモスタットにより測定された現在の周囲温度812を示してもよい。また、スマートサーモスタットステータス804は、スマートサーモスタットの現在の動作モード808を示してもよい。空気質ステータス816は、上述のような空気質センサ165等の1つまたは複数の空気質センサにより測定された空気質センサ近傍の全体的な空気質を示してもよい。代替または追加として、空気質ステータス816は、1つまたは複数の種類の汚染物質の現在の測定結果を示してもよい。
【0093】
ユーザは、特定の住居ユーザアカウントと関連付けられているユーザ認証情報によるログインによって、インターフェース800にアクセスし得る。たとえば、アプリケーションを開いた後および/またはウェブサイトを訪問した後、ユーザは、ユーザ認証情報をログインページで入力するように促され得る。ログイン後、インターフェース800において利用可能な情報は、特定の住居ユーザアカウントに固有であってもよい。たとえば、各住居ユーザアカウントは、空気質センサ、スマートサーモスタット、および/または他のスマートデバイスの一意の組合せと関連付けられてもよい。また、インターフェース800を修正して、各住居ユーザアカウントと関連付けられている一意の組合せごとに情報を表示するようにしてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態において、インターフェース800の1つまたは複数の態様は、インタラクティブである。たとえば、スマートサーモスタットステータス804との相互作用により、ユーザは、スマートサーモスタットと関連付けられている設定点温度の調整ならびに/またはスマートサーモスタットにより制御されるHVACシステムの外部換気構成要素の作動および/もしくは停止が可能となり得る。別の例として、空気質ステータス816との相互作用により、ユーザは、現在の空気質との関連で表示される情報の粒度の調整、1つもしくは複数の空気質センサの動作モードの変更、新たな空気質センサの追加、および/または既存の空気質センサの除去が可能となり得る。
【0095】
図1~4において詳しく上述したシステムを使用してさまざまな方法を実行することにより、
図5~8との関連で詳しく上述した分散環境センサネットワークを管理してもよい。
図9は、分散環境センサネットワークを管理するための方法900の一実施形態を示している。いくつかの実施形態において、方法900は、
図3との関連で上述したクラウドベース空気質サーバシステム110等のクラウドベース空気質サーバシステムにより実行されてもよい。たとえば、センサ管理モジュール313、履歴データエンジン314、アカウント管理モジュール315、および/または予測エンジン316等の1つまたは複数のモジュールから、クラウドベース空気質サーバシステム110の処理システム318がソフトウェアを実行してもよい。いくつかの実施形態において、方法900のさまざまなステップは、
図4との関連で上述した空気質センサ165等の1つまたは複数の空気質センサにより実行されてもよい。たとえば、空気センサ413、占有センサ414、睡眠センサ415、周囲光センサ416、および/または温度センサ417等の1つまたは複数のモジュールから、空気質センサ165の処理システム419がソフトウェアを実行してもよい。いくつかの実施形態においては、方法900のいくつかのステップがクラウドベース空気質サーバシステム110等のクラウドベース空気質サーバシステムにより実行され得る一方、他のステップが空気質センサ165等の空気質センサにより実行される。
【0096】
方法900は、ブロック910において、第1の構造内に配設されている1つまたは複数の屋内空気質(IAQ)検知デバイスを使用して空気質を測定することを含んでもよい。1つまたは複数のIAQ検知デバイスは、上述のような空気質センサ165と同じであってもよいし、同様に機能してもよい。たとえば、1つまたは複数のIAQ検知デバイスは、1つまたは複数の汚染物質の濃度を測定するように構成されてもよい。1つまたは複数の汚染物質の濃度は、PPM、PPB、または空気質を監視するための任意の同様に好適な測定単位により測定されてもよい。1つまたは複数のIAQ検知デバイスは、1つまたは複数の動作モードを含んでもよい。たとえば、各IAQ検知デバイスは、通常感度モードおよび/または高感度モードを含んでもよい。いくつかの実施形態において、測定のサンプリングレートは、現在の動作モードに基づいて調整される。たとえば、サンプリングレートは、高感度モードと比較して通常感度モードにおいて低くなり得る。代替または追加として、動作モードは、汚染物質が存在すると判定される測定閾値を調整し得る。
【0097】
1つまたは複数のIAQ検知デバイスは、上述のような構造160等の構造内に配設されてもよい。たとえば、第1の構造は、戸建て住宅、マンション、アパート、オフィスビル、または人間が占有するように設計された任意の同様に好適な構造であってもよい。1つまたは複数のIAQ検知デバイスは、第1の構造の内部および/または外部全体にわたって配設されてもよい。たとえば、IAQ検知デバイスは、戸建て住宅の外部全体にわたる複数の場所に加えて、戸建て住宅の各部屋に配置されてもよい。この構造は、クラウドベース空気質サーバシステム110のアカウント管理モジュール315等、クラウドベースサーバシステムが制御および/または管理する住居ユーザアカウントと関連付けられてもよい。アカウント管理モジュール315は、住居ユーザアカウントとの第1の構造の1つまたは複数の特性の関連付けおよび/または格納を行ってもよい。たとえば、住居ユーザアカウントは、構造の地理的位置、構造のサイズ、構造全体にわたる1つまたは複数のIAQ検知デバイスの数および/または配置、ならびに構造内および周囲における空気質の検出および/または管理に関連する任意の同様に好適な詳細等の特性を含んでもよい。また、モバイルデバイス140および/またはパソコン150等の1つまたは複数の電子デバイスが住居ユーザアカウントと関連付けられてもよい。
【0098】
ブロック914において、空気質測定において、第1の汚染物質の有無を検出する。各測定結果の分析によって、汚染物質が検出されたかを判定してもよい。汚染物質の存在は、測定結果が示す汚染物質の測定可能な濃度および/もしくは量が閾値を上回る場合ならびに/または検出可能な量の汚染物質が存在する場合(たとえば、閾値がゼロの場合)に特定され得る。いくつかの実施形態において、各汚染物質は、環境内で受け入れ可能な量の汚染物質に対応する異なる閾値を有してもよい。たとえば、二酸化炭素と比較して一酸化炭素の濃度レベルが低下すると健康リスクが高くなることから、二酸化炭素の閾値は、一酸化炭素の閾値よりも高くなり得る。いくつかの実施形態において、第1の汚染物質の存在は、汚染物質の測定結果が増大する期間が持続した後に検出される。たとえば、汚染物質の濃度の短時間の増大は、汚染物質の存在を示さない場合もある。一方、汚染物質の濃度の長時間の増大は、汚染物質の存在を示し得る。
【0099】
ブロック918において、第1の汚染物質が第1の構造内に存在する旨の指標を送信する。たとえば、IAQ検知デバイスのうちの1つまたは複数は、第1の汚染物質が構造内に存在する旨の指標を上述のようなクラウドベース空気質サーバシステム110等のクラウドベースサーバシステムに送信してもよい。この指標は、上述のようなネットワーク130等のネットワークを介して送信されてもよい。この指標は、検出された特定の汚染物質の指標、汚染物質の測定濃度、IAQ検知デバイスの一意の識別子、第1の構造の一意の識別子、構造内のIAQ検知デバイスの位置、および/またはIAQ検知デバイスの地理的位置等の1つまたは複数の情報を含み得る。いくつかの実施形態において、第1の汚染物質が第1の構造内に存在する旨の指標は、既存のルーチンおよび/またはスケジューリングされた送信とは別に送信される。たとえば、1つまたは複数のIAQ検知デバイスは、一日を通して定期的な間隔でステータス更新を送信してもよい。別の例として、1つまたは複数のIAQ検知デバイスは、毎日の終わりに単一のステータス更新を送信してもよい。ステータス更新は、一日を通して収集された測定結果および/または最後のステータス更新の送信以降に収集された測定結果の一部または全部を含み得る。上記のいずれの場合にも、第1の汚染物質が第1の構造内に存在する旨の指標は、別個のパケットまたはメッセージとして送信されてもよい。
【0100】
ブロック922において、第1の汚染物質が第1の構造内に存在する旨の指標を受信する。たとえば、上述のようなクラウドベース空気質サーバシステム110等のクラウドベースサーバシステムは、IAQ検知デバイスのうちの1つまたは複数から、第1の汚染物質が第1の構造内に存在する旨の指標を受信してもよい。受信された指標は、上述のようなクラウドベース空気質サーバシステム110のセンサ管理モジュール313等、特別なプロセスおよび/またはモジュールによって受信および/または分析されてもよい。いくつかの実施形態において、この指標は、上述のような環境機関データシステム120から受信した空気質データ等、他の空気質データに対して分析されてもよい。たとえば、第1の汚染物質が第1の構造内に存在する旨の指標を受信した後、センサ管理モジュール313は、利用可能な空気質データに基づいて、IAQ検知デバイスの周囲のエリア内では第1の汚染物質のレベルの上昇が予想され、第1の汚染物質の発生源が既知であると判定してもよい。
【0101】
いくつかの実施形態において、第1の汚染物質が第1の構造内に存在する旨の指標を受信した後、指標は格納され、および/または別様に住居ユーザアカウントと関連付けられてもよい。たとえば、アカウント管理モジュール315は、指標の発生源IAQ検知デバイスが特定の住居ユーザアカウントと関連付けられていると判定してもよい。別の例として、アカウント管理モジュール315は、発生源IAQ検知デバイスが構造と関連付けられ、構造が特定の住居ユーザアカウントと関連付けられていると判定してもよい。特定の住居ユーザアカウントを決定した後、住居ユーザアカウントと関連付けられている付加的な情報を用いて、さらなる判定等または付加的な措置を講じてもよい。たとえば、住居ユーザアカウントは、構造のサイズおよび/もしくは場所、ならびに/または、当該住居ユーザアカウントと関連付けられている1つもしくは複数の電子デバイス等、IAQ検知デバイスが配設されている構造に関する1つまたは複数の特性を示してもよい。
【0102】
ブロック926において、第1の構造まで所定の距離内の第2の構造を識別する。第1の汚染物質が第1の構造内に存在する旨の指標を分析した後、第2の構造の識別により、第2の構造において収集された空気質センサ測定結果を第1の構造内で収集されたセンサ測定結果と比較してもよい。いくつかの実施形態においては、第1の構造まで所定の距離内の任意の構造が第2の構造として識別されてもよい。所定の距離は、10マイル、5マイル、1マイル等の最大距離、または任意の同様に好適な最大距離であってもよい。いくつかの実施形態において、第2の構造は、最大距離閾値と最小距離閾値との間であることに基づいて識別される。いくつかの実施形態においては、最も近い構造が選択される。
【0103】
第2の構造は、1つまたは複数の住居ユーザアカウントと関連付けられている複数の構造から識別されてもよい。たとえば、アカウント管理モジュール315は、第1の構造と関連付けられている住居ユーザアカウントに格納されている位置に基づいて、第1の構造まで所定の距離内に位置している構造と関連付けられている住居ユーザアカウントを識別可能であってもよい。第1の構造まで所定の距離内にあるものとして、複数の構造が識別される場合もある。この場合、センサ管理モジュール313および/またはアカウント管理モジュール315は、付加的なフィルタリング基準を適用して、第2の構造を選択してもよい。たとえば、複数の構造のうち、最も近い構造が第2の構造として選択されてもよい。別の例として、IAQ検知デバイスの数が少ない構造よりも、IAQ検知デバイスの数が多い構造が選択され得る。
【0104】
第2の構造を識別した後、第2の構造と関連付けられている1つまたは複数のIAQ検知デバイスに対して、空気質データのリクエストが送信されてもよい。IAQ検知デバイスは、第2の構造内および/または周囲において分散していてもよい。リクエストは、当該リスエストの受信に先立つ所定の時間フレーム内で収集されたすべての空気質データに対する一般的なリクエストを含み得る。代替または追加として、リクエストは、第1の汚染物質の現在の測定結果に対する特定のリクエストを含み得る。
【0105】
ブロック930において、第1の汚染物質が第2の構造内に存在するかを判定する。たとえば、センサ管理モジュール313は、第1の汚染物質が第2の構造内に存在する旨の指標を第2の構造内のIAQ検知デバイスのいずれかが所定の時間長にわたって送信したかを判定してもよい。所定の時間長は、5分、10分、30分、または過去の任意の同様に好適な時間であってもよい。第2の構造内のIAQ検知デバイスがいずれも指標を送信していない場合は、第1の汚染物質が第2の構造内にないと判定され得る。いくつかの実施形態において、第1の汚染物質が第2の構造内に存在するかを判定することは、第2の構造内に配置されている1つまたは複数のIAQ検知デバイスにより収集された直近のセンサ測定結果を分析することを含む。たとえば、センサ管理モジュール313は、第2の構造内に配置されている1つまたは複数のIAQ検知デバイスにより生成された最新のレポートを分析してもよい。レポートは、1つまたは複数の検出可能な汚染物質の測定結果を含んでもよい。別の例として、センサ管理モジュール313は、第2の構造内に配置されている1つまたは複数のIAQ検知デバイスにより生成された1つまたは複数の以前のレポートを分析してもよい。1つまたは複数の以前のレポートは、所定の時間間隔にわたって収集された測定結果を含んでもよい。たとえば、収集された測定結果が過去の5分、15分、30分、1時間、または任意の同様に好適な期間を網羅するまで、1つまたは複数のレポートが分析されてもよい。
【0106】
第1の汚染物質が第2の構造内に存在しない場合、方法900は、ブロック934において、第2の構造内の1つまたは複数のIAQ検知デバイスを高感度動作モードに変更させることを含んでもよい。1つまたは複数のIAQ検知デバイスは、1つまたは複数の動作モードを含んでもよい。たとえば、各IAQ検知デバイスは、通常感度モードおよび/または高感度モードを含んでもよい。いくつかの実施形態において、測定のサンプリングレートは、現在の動作モードに基づいて調整される。たとえば、サンプリングレートは、高感度モードと比較して通常感度モードにおいて低くなり得る。代替または追加として、動作モードは、汚染物質が存在すると判定される測定閾値を調整し得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のIAQ検知デバイスを高感度動作モードに変更させることは、所定の時間長にわたってモードを変更することを含む。たとえば、1つまたは複数のIAQ検知デバイスは、次の5分間、15分間、30分間、1時間、または任意の同様に好適な時間にわたって、高感度動作モードに変更されてもよい。この時間長が経過した後、1つまたは複数のIAQ検知デバイスは、第1の汚染物質が検出されなかった場合、独立して以前の動作モードに戻ってもよい。
【0107】
いくつかの実施形態においては、1つまたは複数の付加的な構造内のIAQ検知デバイスは、高感度動作モードに変更される。たとえば、センサ管理モジュール313および/またはアカウント管理モジュール315は、第1の構造まで所定の距離内に1つまたは複数の構造が存在すると判定し、各構造内の1つまたは複数のIAQ検知デバイスを通常感度動作モードから高感度動作モードに変更してもよい。さまざまな動作モードは、IAQ検知デバイスの異なるサンプリングレートに対応してもよい。たとえば、高感度モードでは、通常感度モードよりも高頻度に、IAQ検知デバイスにサンプルを取得させてもよい。所定の距離は、1マイル、5マイル、10マイル、または任意の同様に好適な距離等、第1の構造からのいかなる距離であってもよい。
【0108】
ブロック938において、第1の構造と関連付けられている住居ユーザアカウントに警告を発行する。たとえば、第1の構造にマッピングされた住居ユーザアカウントと関連付けられているモバイルデバイス140等の電子デバイスに単一構造警告通知が発行されてもよい。単一構造警告通知は、汚染物質が構造内で検出されたことと、汚染物質の発生源が構造内にある可能性が高いことと、を住居ユーザアカウントのユーザに知らせてもよい。汚染物質の発生源が構造内にある可能性を判定することは、汚染物質が第2の構造内に存在しなかった旨の判定に少なくとも部分的に基づいてもよい。また、単一構造警告通知は、占有者が構造を立ち退くことならびに/または窓およびドアを開けて構造内の循環を改善することを提案する等、検出された汚染物質がもたらすリスクを軽減するための提案を含んでもよい。
【0109】
いくつかの実施形態においては、第2の構造に関連する識別情報および/または第2の構造と関連付けられている住居ユーザアカウントが第1の住居ユーザアカウントのユーザに利用可能となることはない。たとえば、第1の構造と関連付けられている住居ユーザアカウントに発行された警告は、第1の汚染物質が第1の構造内で検出される一方、第1の構造の外側では検出されなかったことを示してもよい。いくつかの実施形態において、第1の汚染物質が第2の構造内に存在しないと判定した後、第2の住居ユーザアカウントに対して警告が発行されない。第1の構造と関連付けられている住居ユーザアカウントに警告を発行することは、第2の住居ユーザアカウントのユーザの把握および/または関与なしで達成されてもよい。たとえば、第2の構造内の1つまたは複数のIAQ検知デバイスは、情報のリクエストに対する応答および/または動作モードの変更を行っていることを示すことなく、クラウドベース空気質サーバシステムからのリクエストに対する応答および/または動作モードの変更を行ってもよい。
【0110】
ブロック942において、任意選択として、第1の構造内のHVACシステムに外気換気構成要素を作動させる。たとえば、スマートサーモスタット170等のスマートサーモスタットにHVACシステム185等のHVACシステムを制御させて、外気換気構成要素を作動させてもよい。外気換気構成要素を作動させることは、第1の構造内の汚染空気と構造の外側からの新鮮な空気との交換の促進に役立ち得る。外気換気構成要素は、第1の構造から汚染空気を排出している間に外気が構造内に取り込まれ得るように、構造内に分散した1つまたは複数のファンおよび/または通気口を含んでもよい。
【0111】
ブロック930に戻って、第1の汚染物質が第2の構造内に存在する場合、方法900は、ブロック946において、第1および第2の構造と関連付けられている住居ユーザアカウントに警告を発行することを含んでいてもよい。警告は、潜在的外部発生源警告通知であってもよい。潜在的外部発生源警告通知は、ユーザと関連付けられている構造内で汚染物質が検出されたことと、汚染物質の発生源が構造の外側にある可能性が高いことと、を住居ユーザアカウントのユーザに知らせてもよい。また、潜在的外部発生源警告通知は、占有者が構造内に留まることならびに/または窓およびドアを閉めて構造内の外気循環を減らすことを提案する等、検出された汚染物質がもたらすリスクを軽減するための提案を含んでもよい。
【0112】
いくつかの実施形態においては、第1の構造および第2の構造にマッピングされた住居ユーザアカウントと関連付けられているモバイルデバイス140等の電子デバイスに潜在的外部発生源警告通知が発行される。いくつかの実施形態においては、付加的な構造にマッピングされた住居ユーザアカウントと関連付けられている電子デバイスに潜在的外部発生源警告通知が発行されてもよい。付加的な構造および/または住居ユーザアカウントは、住居ユーザアカウントにマッピングされた構造と第1および/または第2の構造との間の距離に基づいて識別されてもよい。たとえば、付加的な構造は、第1および/または第2の構造から100フィート~10マイルの範囲内等、所定の距離内の任意の構造を含み得る。付加的な構造は、1つまたは複数のIAQ検知デバイスを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。たとえば、1つまたは複数のIAQ検知デバイスによって第1の汚染物質が検出されていない第3の構造にマッピングされた住居ユーザアカウントと関連付けられている電子デバイスに潜在的外部発生源警告通知が発行されてもよい。別の例として、構造内のIAQ検知デバイスの有無に関わらず、第1および/または第2の構造の所定の距離内の構造にマッピングされた任意の住居ユーザアカウントと関連付けられている電子デバイスに潜在的外部発生源警告通知が発行されてもよい。汚染物質が検出されていない構造と関連付けられている住居ユーザアカウントに警告を発行することによって、汚染物質が構造に達する前に予防措置が講じられ得る。
【0113】
ブロック950において、任意選択として、第1および第2の構造内のHVACシステムに外気換気構成要素を停止させる。たとえば、第1および第2の構造内のスマートサーモスタット170等のスマートサーモスタットにHVACシステム185等のHVACシステムを制御させて、外気換気構成要素を停止させてもよい。外気換気構成要素を停止させることは、第1および第2の構造に進入し得る汚染物質の量を低減させるのに役立ち得る。
【0114】
図5~9に例として示すように、分散環境検知システムの管理および監視によって、1つまたは複数の構造内の1つまたは複数の汚染物質の有無を検出し、汚染物質の発生源が構造内にある可能性が高いかを判定し、検出された汚染物質がもたらすリスクを軽減する事前措置を講じてもよい。分散環境センサネットワークは、住居ユーザアカウントと関連付けられている個人識別可能情報(PII)を、他の住居ユーザアカウントのユーザに公開することなく、および/または別様に共有することなく、各ステップを達成し得る。
【0115】
汚染物質は、発電所等の無機プロセスもしくは発生源またはガス漏れにより生成されることが多い。場合により、汚染物質は、無機プロセスまたは有機プロセスに由来し得る。たとえば、二酸化炭素は、化石燃料の燃焼または人間の呼吸により生成され得る。別の例として、揮発性有機化合物(VOC)は、蒸発燃料および/またはアセトンのような溶媒等の人為的発生源に由来する場合もあるし、呼吸および/または皮膚排泄等の1つまたは複数の身体的放出に由来する場合もある。人間によるVOCの生成または放出は、多くの理由に起因し得る。たとえば、ストレスが発汗量を増加させ、体臭と関連付けられる検出可能なVOCの追加生成につながる可能性がある。別の例として、人間は、アルコール飲料を飲んだ後にアルコールを発散する可能性がある。人間によるVOCの生成は無害であることが多い一方、基礎的な健康問題または健康状態の指標となる場合もある。たとえば、アセトンの生成の増加は、糖尿病性ケトアシドーシスに相関し得る。
【0116】
身体機能により生成されるVOCを検出して測定するための方法およびシステムは、多大な時間を必要とし、および/またはより高価で特別な実験室設備を使用する場合がある。いくつかの実施形態においては、上述および後述するような環境検知システムの1つまたは複数のセンサの使用によって、身体機能により生成されたVOCを検出して測定する。たとえば、1つまたは複数のセンサからのセンサ測定をある機関にわたって監視することにより、システムは、その期間の間、1つまたは複数のVOCの増加を検出し、さらにVOCの発生源が、人間からの積極的な参加または相互作用なしで、特定の人間であると判定するように構成されてもよい。1つまたは複数のVOCを検出して測定した後、人間に対して、健康に関する特別な情報を提供し、これに応答する付加的な措置を講ずる提案を知らせるレポートが生成されてもよい。
【0117】
環境センサネットワークシステムによるVOCの検出および測定ならびに健康アセスメントの生成に関するさらなる詳細は、図との関連で提供される。
図10は、検出された揮発性有機化合物に基づいて健康アセスメントを生成するためのシステム1000の一実施形態を示している。システム1000は、ネットワーク130、モバイルデバイス140、スマートサーモスタット170、クラウドベース健康サーバシステム1010、ハブデバイス1020、睡眠センサ1030、ウェアラブルセンサ1040、VOCセンサ175、二酸化炭素センサ1050、圧力センサ1060、および運動センサ1070を含み得る。ネットワーク130、モバイルデバイス140、およびスマートサーモスタット170は、
図1~4との関連で詳しく上述したように機能し得る。VOCセンサ175は、
図1との関連で詳しく上述したように機能し得る。システム1000の1つまたは複数の構成要素が1つまたは複数の電子デバイスに含まれてもよい。たとえば、睡眠センサ1030、VOCセンサ175、二酸化炭素センサ1050、圧力センサ1060、および/または運動センサ1070は、
図1~4との関連で上述したような空気質センサ165等の電子デバイスまたはセンサシステムの構成要素であってもよい。上述したような構造160等の構造全体および/または閉鎖空間内において、システム1000の1つまたは複数の構成要素が分布してもよい。
【0118】
いくつかの実施形態においては、システム1000の1つまたは複数の構成要素が上述のシステム100のクラウドベース空気質サーバシステム110または任意の構成要素と通信してもよい。同様に、当業者には、システム1000の構成要素の任意の組合せが1つまたは複数のデバイスにまたがって含まれ得ることが理解されるものとする。同様に、システム1000において表される1つまたは複数の構成要素が重複を含み得ることが理解されるものとする。たとえば、システム1000は、複数のVOCセンサ175を含んでもよい。
【0119】
クラウドベース健康サーバシステム1010は、システム1000の1つまたは複数の他の構成要素からのセンサ測定結果の受信および分析等、さまざまな機能を実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサを含み得る。クラウドベース健康サーバシステム1010は、1つまたは複数のプロセスを実行する1つまたは複数の物理的サーバを含み得る。また、クラウドベース健康サーバシステム1010は、クラウドベースサーバシステム全体に分散した1つまたは複数のプロセスを含み得る。いくつかの実施形態において、クラウドベース健康サーバシステム1010は、ネットワーク130を介して、システム1000のその他の構成要素のいずれかまたはすべてに接続されている。たとえば、クラウドベース健康サーバシステム1010は、VOCセンサ175に接続し、ある期間にわたってVOCセンサ175により収集されたVOC測定結果を受信してもよい。代替または追加として、クラウドベース健康サーバシステム1010は、ハブデバイス1020に接続して、システム1000の1つまたは複数の構成要素から収集されたセンサ測定結果を要求して受信してもよい。
【0120】
クラウドベース健康サーバシステム1010は、二酸化炭素センサ1050、圧力センサ1060、および/または運動センサ1070等の他の検知デバイスからの1つまたは複数の付加的な入力に基づいて、検出されたVOCをある人間に起因するものとするように構成されてもよい。たとえば、クラウドベース健康サーバシステム1010は、二酸化炭素センサ1050から収集された1つまたは複数の測定結果を識別して、人間が長期間にわたって二酸化炭素センサ1050の近傍に存在することを示してもよい。さらに、クラウドベース健康サーバシステム1010は、人間が存在していた期間において二酸化炭素センサ1050の近傍でVOCセンサ175により検出された1つまたは複数のVOCの濃度が増大したことを識別してもよい。最後に、1つまたは複数のVOCの生成は、人がVOCセンサ175の近傍に存在していた期間と1つまたは複数のVOCの濃度の増大が一致したという判定に基づいて、人間と関連付けられてもよい。
【0121】
クラウドベース健康サーバシステム1010は、ユーザアカウントを管理するように構成されていてもよい。たとえば、クラウドベース健康サーバシステム1010は、誰もがユーザアカウントを作成して、VOCの検出および測定に参加し、ならびに/または検出されたVOCに基づく健康アセスメントを受信することを可能にしてもよい。いくつかの実施形態においては、ユーザアカウントは、上述のような構造160等の住居構造と関連付けられている。ユーザアカウントは、上述のようなアカウント管理モジュール315が管理する住居ユーザアカウントと同じであり、および/または、これと同様に管理が可能である。ユーザは、ユーザアカウントの下で、ユーザアカウントと関連付けられている構造の占有者ごとに複数のプロファイルを作成してもよい。ユーザは、VOCセンサ175および二酸化炭素センサ1050等の1つまたは複数の検知デバイスをユーザアカウントおよび/またはユーザアカウントの特定のプロファイルと関連付けてもよい。たとえば、VOCセンサ175は、VOCセンサ175が特定のプロファイルと関連付けられている占有者の寝室内に配置されていることに基づいて、当該プロファイルと関連付けられてもよい。
【0122】
クラウドベース健康サーバシステム1010は、1つまたは複数の検出されたVOCがユーザアカウントと関連付けられている人間に起因することに基づいて、ユーザアカウントの健康アセスメントを生成するように構成されてもよい。健康アセスメントは、検出されたある人間に起因する特定のVOCのレポートを含んでもよい。追加または代替として、健康アセスメントは、人が1つまたは複数の健康状態または疾病に罹り得る可能性または予測を含み得る人の健康全体の指標を含んでもよい。たとえば、健康アセスメントは、平均的な健常者と比較して、人が、ウィルスもしくは細菌感染症、特定の疾患、体臭の増加を有し、および/または異常な量の1つもしくは複数のVOCを生成している可能性が高いことを示してもよい。人がある健康状態に罹る可能性を予測することは、疾患または感染症等の健康リスクと関連付けられている症状として、人間による第1のVOCの放出の増大を識別することを含んでもよい。
【0123】
また、クラウドベース健康サーバシステム1010は、モバイルデバイス140に接続して、モバイルデバイス140と関連付けられている人間の健康アセスメントを送信してもよい。たとえば、VOC生成を検出して、モバイルデバイス140と関連付けられている人間に起因するものとした後、クラウドベース健康サーバシステム1010は、VOCが検出されたことを示す警告と、VOCと関連付けられている任意の潜在的な健康的意義と、を含む通知をモバイルデバイス140に送ってもよい。また、クラウドベース健康サーバシステム1010は、スマートサーモスタット170に接続して、HVACシステムの制御の方法および/またはタイミングを示すコマンドを送ってもよい。たとえば、クラウドベース健康サーバシステム1010は、ある人間により生成され、その人間の寒暖いずれかの過剰を示す1つまたは複数のVOCの検出に基づいて、設定点温度の調整を指示するコマンドをスマートサーモスタット170に送ってもよい。
【0124】
いくつかの実施形態において、クラウドベース健康サーバシステム1010は、クラウドベース空気質サーバシステム110と同じもの、および/または、クラウドベース空気質サーバシステム110の拡張であってもよい。たとえば、クラウドベース健康サーバシステム1010およびクラウドベース空気質サーバシステム110の各々は、クラウドベースサーバシステム全体に分散した1つまたは複数のプロセスを含み得る。追加または代替として、クラウドベース空気質サーバシステム110の1つまたは複数の構成要素がクラウドベース健康サーバシステム1010をサポートしていてもよい。たとえば、センサ管理モジュール313は、二酸化炭素センサ1050、圧力センサ1060、および運動センサ1070等、システム1000の1つまたは複数の構成要素により収集された測定結果を分析してもよい。別の例として、アカウント管理モジュール315は、1人または複数人の人間と関連付けられている1つまたは複数のユーザアカウントを制御および管理してもよい。
【0125】
ハブデバイス1020は、ネットワーク130を介してクラウドベース健康サーバシステム1010と通信し得るコンピュータ化デバイスであってもよい。また、ハブデバイス1020は、睡眠センサ1030、ウェアラブルセンサ1040、VOCセンサ175、二酸化炭素センサ1050、圧力センサ1060、および運動センサ1070のいずれかと、ネットワーク130を介して通信する、および/または直接通信するように構成されてもよい。たとえば、ハブデバイス1020は、多様なカスタムもしくは標準無線プロトコル(Wi-Fi、ZigBee(登録商標)、6LoWPAN、Thread(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、BLE(登録商標)、HomeKit Accessory Protocol(HAP)(登録商標)、Weave(登録商標)、Matter等)のいずれか、および/または、多様なカスタムもしくは標準有線プロトコル(CAT6イーサネット、HomePlug(登録商標)等)のいずれかを介して通信を送受信するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ハブデバイス1020は、メッシュネットワークとWi-Fiネットワーク等の無線ネットワークとの間の通信を変換するエッジルータとして機能し得る。たとえば、VOCセンサ175、二酸化炭素センサ1050、圧力センサ1060、および/または運動センサ1070等の1つまたは複数の構成要素がメッシュネットワークを形成し、クラウドベース健康サーバシステム1010に中継して分析するために、データをハブデバイス1020に送信してもよい。
【0126】
いくつかの実施形態においては、システム1000の1つまたは複数の構成要素がハブデバイス1020に含まれてもよい。たとえば、ハブデバイス1020は、VOCセンサ175、二酸化炭素センサ1050、圧力センサ1060、および/または運動センサ1070のいかなる組合せを含んでもよい。ハブデバイス1020上で実行されているアプリケーションとユーザが相互作用して、スマートサーモスタット170、VOCセンサ175、睡眠センサ1030、ウェアラブルセンサ1040、二酸化炭素センサ1050、圧力センサ1060、および/または運動センサ1070を制御し、またはこれらとの相互作用することができる。たとえば、ハブデバイス1020のユーザは、スマートサーモスタット170のステータスを監視してもよいし、暖房および冷房の命令をスマートサーモスタット170に送って、これによりHVACシステムに当該ユーザの家を暖房または冷房させるようにしてもよい。また、ハブデバイス1020は、ネットワーク130を介して、クラウドベース空気質サーバシステム110に接続されてもよい。たとえば、クラウドベース空気質サーバシステム110は、ユーザの家または位置の周囲または内側の空気質に関する通知をモバイルデバイス140に送ってもよい。また、ハブデバイス1020は、ネットワーク130を介して、クラウドベース健康サーバシステム1010に接続されてもよい。たとえば、ハブデバイス1020は、1つまたは複数のセンサから収集されたセンサ測定結果をクラウドベース健康サーバシステム1010に送信し、収集されたセンサ測定結果の分析に基づく健康アセスメントの通知および/または更新を受信してもよい。通知または更新は、テキストメッセージ、電子メール、またはアプリケーションを通じた通知の形態であってもよい。ハブデバイス1020は、通知および/または更新を表示するように構成された電子ディスプレイを含んでもよい。
【0127】
睡眠センサ1030は、人が眠っているタイミングを検出するとともに、睡眠の質を監視するように構成された1つまたは複数のセンサであってもよい。たとえば、睡眠センサ1030には、心拍数モニタ、呼吸数モニタ、脳活動モニタ、運動検出センサ、眼活動モニタ、または眠っている人の測定可能な特性を監視および検出し得るその他の任意の類似センサのうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態において、睡眠センサ1030による測定結果は、収集されたVOC測定結果に関連して、人間の健康アセスメントの生成に用いられてもよい。たとえば、1つまたは複数のVOCの有無を検出した後、睡眠センサ1030により収集されたセンサデータの使用によって、人間が実際に検出されたVOCの発生源であり、当該人間が眠っていると判定してもよい。別の例として、VOCの有無を検出した後、睡眠センサにより収集されたセンサデータに基づいて、睡眠質アセスメントが生成されてもよい。睡眠質アセスメントは、収集されたVOC測定結果と組み合わせて、VOC測定結果のみに基づく初期の健康アセスメントの裏付けに用いられてもよい。
【0128】
ウェアラブルセンサ1040は、着用者の健康に関連するさまざまなバイタルサインおよび身体機能を検出および/または監視するように構成された1つまたは複数のセンサであってもよい。たとえば、ウェアラブルセンサ1040は、心拍数モニタ、呼吸数モニタ、パルスオキシメータ、脳活動モニタ、運動検出センサ、眼活動モニタ、および/または人間の活動を監視するための任意の同様に好適なセンサのうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態において、ウェアラブルセンサ1040は、睡眠センサ1030を含んでもよいし、睡眠センサ1030に含まれていてもよい。たとえば、睡眠センサ1030は、睡眠と関連付けられているさまざまな測定結果を監視して分析するように構成されたウェアラブルセンサ1040の構成要素であってもよい。ウェアラブルセンサ1040は、着用者の現在の活動レベルを決定するようにさらに構成されてもよい。現在の活動レベルは、着用者が座っているか、軽い活動を行っているか、および/または激しい活動を行っているかを示し得る。着用者の収集された測定結果および/または活動レベル等の任意の相関判定は、収集されたVOC測定結果に関連して、着用者の健康アセスメントの生成に用いられてもよい。たとえば、体臭等の1つまたは複数のVOCの検出されたレベルの上昇は、着用者が激しい活動を行った結果上昇したと判定した後、無視することができる。いくつかの実施形態において、ウェアラブルセンサ1040は、システム1000の1つまたは複数の他の構成要素と通信している。たとえば、ウェアラブルセンサ1040は、Bluetooth(登録商標)を介してモバイルデバイス140とペアリングされてもよい。また、ウェアラブルセンサ1040は、収集された測定結果をクラウドベース健康サーバシステム1010に送信し、クラウドベース健康サーバシステム1010から健康アセスメントの通知を受信してもよい。
【0129】
二酸化炭素センサ1050は、上述のような空気質センサ165等の空気質センサであり、当該センサの近傍内の二酸化炭素およびその他の任意の数の汚染物質の濃度を検出して測定するように構成されてもよい。あるいは、二酸化炭素センサ1050は、二酸化炭素の濃度のみを検出して測定するように構成された独立型検知デバイスであってもよい。二酸化炭素センサ1050は、百万分率(PPM)および/または十億分率(PPB)にて二酸化炭素の濃度を測定してもよい。
【0130】
二酸化炭素センサ1050は、ある期間にわたる二酸化炭素の蓄積に基づいて、人間が当該二酸化炭素センサ1050の近傍に存在すると判定するように構成されてもよい。たとえば、二酸化炭素センサ1050は、少なくとも1人の人間の存在と整合する二酸化炭素の測定濃度の一定の増加率を検出し、少なくとも1人の人間が当該センサの近傍内に存在すると判定してもよい。別の例として、二酸化炭素センサ1050は、人間の占有と整合する第1の定常状態濃度から第2の定常状態濃度への二酸化炭素濃度の増大を検出してもよい。いくつかの実施形態において、人間の占有と整合する環境内の二酸化炭素の蓄積率および/または定常状態濃度は、予めプログラムされた値である。代替または追加として、これらの値は、二酸化炭素測定結果履歴を分析することによりトレーニング済みの機械学習モデルを使用して決定されてもよい。機械学習モデルは、システム1000の1つまたは複数の他の構成要素から収集された測定結果等の付加的な入力によりトレーニングされてもよい。
【0131】
二酸化炭素センサ1050は、ある期間にわたる二酸化炭素の蓄積に基づいて、当該二酸化炭素センサ1050が閉鎖空間内にあると判定し、および/または閉鎖空間が実質的に封止されていると判定するように構成されてもよい。閉鎖空間は、壁、天井、および床等の物理的な障壁によって四方を囲まれているエリアであってもよい。追加または代替として、閉鎖空間は、出入りが制限されているエリアであってもよい。閉鎖空間の例としては、自家用車、レクリエーションビーグル(たとえば、キャンパ)、戸建て住宅、オフィス、アパート、飛行機、および/または列車が挙げられる。閉鎖空間内の1つまたは複数のガスの濃度が閉鎖空間の外側の1つまたは複数のガスの濃度と平衡に達することが阻止される場合および/または達し得ない場合は、閉鎖空間が実質的に封止されている可能性がある。代替または追加として、閉鎖空間内の空気圧が閉鎖空間の外側の空気圧の変化の影響を受けない場合は、閉鎖空間が実質的に封止されている可能性がある。閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することは、閉鎖空間に流入する空気および/または閉鎖空間から流出する空気の体積が閾値流量を下回ると判定することを含んでもよい。実質的に封止されている閉鎖空間内で、人間の占有者の通常の呼吸によって、二酸化炭素が蓄積し得、および/または二酸化炭素の濃度が増大し得る。したがって、閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することは、閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積および/または濃度の増大を検出することも含み得る。
【0132】
いくつかの実施形態において、閉鎖空間のサイズを用いて、閉鎖空間が実質的に封止されていること、および/または閉鎖空間内に人間が存在することをさらに判定してもよい。たとえば、二酸化炭素センサ1050には、閉鎖空間のサイズおよび/または容積がプログラムされてもよい。あるいは、閉鎖空間の容積は、二酸化炭素センサ1050が配置されている閉鎖空間の寸法により決定されてもよい。次いで、二酸化炭素センサ1050のメモリおよび/またはクラウドベース健康サーバシステム1010のメモリにこの容積が格納されてもよい。閉鎖空間の容積に基づいて、人間が存在する場合の閉鎖空間内の二酸化炭素の予想増加率が上下に調整されてもよい。たとえば、二酸化炭素の増加率は、大きな空間よりも小さな空間において早くなり得る。
【0133】
圧力センサ1060は、近傍の大気圧を測定するように構成された電子デバイスであってもよい。圧力センサ1060は、1つまたは複数の圧力計を含んでもよい。圧力センサ1060は、バールおよび/または水銀柱ミリメートル/インチにて大気圧を測定してもよい。いくつかの実施形態において、圧力センサ1060が測定した大気圧は、閉鎖空間が実質的に封止されているとの判定の補助として用いられてもよい。たとえば、圧力センサ1060が測定した検出された空気圧が閾値を超えて変化している場合、これは、閉鎖空間の窓またはドアが閉じて、閉鎖空間を封止していることに対応し得る。代替または追加として、圧力センサ1060が測定した検出された空気圧が所定の時間間隔にわたって無変化または閾値未満の変化の場合、これは、当該所定の時間間隔において、閉鎖空間の窓もドアも開いていないことに対応し得る。
【0134】
運動センサ1070は、閉鎖空間等の環境内の運動を検出するように構成された1つまたは複数のセンサを有する電子デバイスであってもよい。たとえば、運動センサ1070は、レーダセンサ、ライダーセンサ、写真センサ、赤外線センサ、または環境内の運動を検出し得る任意の同様に好適なセンサのうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態において、運動センサ1070が検出した運動は、人間が閉鎖空間内に存在するとの判定の補助として用いられる。たとえば、運動センサ1070が検出した運動と二酸化炭素センサ1050が収集した測定結果とを組み合わせることによって、人間が実際に閉鎖空間内に存在すると判定してもよい。
【0135】
図11は、本明細書に別途記載のデバイス、方法、システム、サービス、および/またはコンピュータプログラム製品のうちの1つまたは複数が適用可能となり得る環境1100の一例を示している。図示の環境1100は、構造1104を含む。構造1104は、たとえば戸建て住宅、マンション、アパート、オフィスビル、車庫、または移動住宅を含み得、上述のような構造160に類似し得る。環境1100は、実際の構造1104の内側にVOCセンサ175、スマートサーモスタット170、ハブデバイス1020、睡眠センサ1030、ウェアラブルセンサ1040、二酸化炭素センサ1050、センサデバイス1110、および無線ルータ235を含んでもよい。センサデバイス1110は、上述のような圧力センサ1060等の圧力センサおよび/または運動センサ1070等の運動センサを含み得る。
【0136】
構造1104は、四方から当該構造および閉鎖空間1108を囲む1つまたは複数の壁を介して少なくとも部分的に互いに分離されている1つまたは複数の閉鎖空間1108を含んでもよい。また、構造1104は、当該構造を上下から囲む天井および壁を含んでもよい。壁は、窓1120およびドア1130を含み得る。窓1120およびドア1130の各々が、閉じている場合、閉鎖空間1108は、上述のように、実質的に封止されていることになり得る。閉鎖空間1108内の壁および/または表面へのデバイスの取付け、統合、および/または支持が可能である。たとえば、スマートサーモスタット170が閉鎖空間1108の内壁に取り付けられる一方、VOCセンサ175は、デスクまたはナイトテーブル等の表面に配置されていてもよい。
【0137】
VOCセンサ175および二酸化炭素センサ1050等の1つまたは複数のインテリジェントネットワーク接続マルチセンシングデバイスは、VOCおよび二酸化炭素等、閉鎖空間1108内の有害物質および/または汚染物質の濃度を検出して測定することができる。センサデバイス1110等の1つまたは複数のセンサデバイスは、閉鎖空間1108内の空気圧の変化および/または占有者の移動を検出することができる。1つまたは複数のデバイスの各々が収集したデータは、クラウドベース健康サーバシステム1010またはハブデバイス1020等の中央デバイスおよび/またはサービスに提供され、分析されてもよい。
【0138】
処理および検知の能力を含むことに加えて、スマートサーモスタット170、ハブデバイス1020、睡眠センサ1030、ウェアラブルセンサ1040、二酸化炭素センサ1050、センサデバイス1110等のデバイスの各々は、その他のデバイスの各々のみならず、上述のようなモバイルデバイス140等、世界のどこかでネットワーク接続されている任意のクラウドサーバまたはその他の任意のデバイスとのデータ通信および情報共有が可能である。これらのデバイスは、多様なカスタムもしくは標準無線プロトコル(Wi-Fi、ZigBee(登録商標)、6LoWPAN、Thread(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、BLE(登録商標)、HomeKit Accessory Protocol(HAP)(登録商標)、Weave(登録商標)、Matter等)のいずれか、および/または、多様なカスタムもしくは標準有線プロトコル(CAT6イーサネット、HomePlug(登録商標)等)のいずれかを介して通信を送受信可能である。また、これらのデバイスの各々は、Google Home(登録商標)インターフェース等、ユーザからの音声コマンドまたは他の音声ベースの入力の受信が可能であってもよい。
【0139】
たとえば、第1のデバイスが無線ルータ235を介して第2のデバイスと通信可能である。デバイスは、ネットワーク130等のネットワークへの接続を介して、リモートデバイスとさらに通信可能である。デバイスは、ネットワーク130を介して、クラウドベース健康サーバシステム1010および/またはクラウドベース空気質サーバシステム110等の中央サーバまたはクラウドコンピューティングシステムと通信可能である。さらに、中央サーバまたはクラウドコンピューティングシステムからデバイスに対して、(たとえば、利用可能な場合、購入した場合、または定期的に)ソフトウェア更新を自動的に送信可能である。
【0140】
ネットワーク接続によって、
図11のデバイスのうちの1つまたは複数は、ユーザがデバイスに近接していなくても、ユーザのデバイスとの相互作用をさらに可能にする。たとえば、ユーザは、モバイルデバイス140等のデバイスと通信可能である。ウェブページまたはアプリがユーザからの通信を受信し、通信に基づいてデバイスを制御し、および/または、デバイスの動作に関する情報をユーザに提示するように構成可能である。たとえば、ユーザは、コンピュータを使用して、1つまたは複数の種類の汚染物質の現在の濃度を表示することができる。ユーザは、このリモート通信時に、構造の中に存在することも可能であるし、構造の外側に存在することも可能である。
【0141】
図12は、閉鎖空間において検出された二酸化炭素およびVOCの濃度のグラフ1200を示している。グラフ1200は、閉鎖空間内の二酸化炭素測定濃度1208を時間の関数として示している。また、グラフ1200は、閉鎖空間内のVOC測定濃度1212を時間の関数として示している。縦軸1202は、空気中の濃度をPPMとして示しているが、PPBおよび/または1立方メートル当たりのミリグラム数等、浮遊汚染物質の濃度に関する任意の同様の測定単位が用いられてもよい。横軸1204は、時間(時)を示しているが、所望の粒度レベルを提供するため、任意の時間単位が用いられてもよい。VOC測定濃度1212は、1つまたは複数の種類のVOCを表していてもよい。たとえば、VOC濃度1212は、VOCセンサ175等のVOCセンサにより検出可能なすべてのVOCの組み合わされた濃度を表してもよい。測定結果が収集された閉鎖空間は、寝室を含み得る。
【0142】
図12に示すように、二酸化炭素測定濃度1208は、一日の大部分において安定したレベルを維持し、21:00ごろ~翌朝06:00に急激に増大し、その後再び減少する。21:00ごろにおける二酸化炭素濃度1208の初期ピーク1216は、人間が閉鎖空間に入ったタイミングおよび/または人間による呼吸の増加に対応する閉鎖空間内の人間による活動量の増加と一致し得る。時刻1220に始まる二酸化炭素濃度1208の定常的な増大は、人間が閉鎖空間のドアを閉めたことにより、閉鎖空間が実質的に封止され、上述のような閉鎖空間内から閉鎖空間の外側への二酸化炭素の平衡が制限されるタイミングに一致し得る。その後の時刻1224に始まる二酸化炭素濃度1208の減少は、人間がドアを開けたことにより、閉鎖空間がもはや実質的に封止されなくなり、閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積が閉鎖空間の外側の二酸化炭素と等しくなる時間に一致し得る。
【0143】
図12にさらに示すように、時間間隔1228は、二酸化炭素濃度1208が時刻1224にピークに向かって定常的に増大する時間を示す。上述のようなクラウドベース健康サーバシステム1010等のクラウドベース健康サーバシステムは、二酸化炭素測定濃度1208を分析して、時間間隔1228に人間が存在したと判定するように構成されてもよい。代替または追加として、モバイルデバイス140および/またはハブデバイス1020等の1つまたは複数の他のデバイスが時間間隔1228に人間が存在したと判定するように構成されてもよい。クラウドベース健康サーバシステムまたは別のデバイスのいずれかが時間間隔1228に人間が眠っていたと判定するようにさらに構成されてもよい。時間間隔1228に人間が存在したと判定し、および/または眠っていたと判定することは、上述のような睡眠センサ1030、ウェアラブルセンサ1040、圧力センサ1060、および/または運動センサ1070等の1つまたは複数の他のセンサにより収集された付加的なデータを分析することを含んでもよい。たとえば、時刻1220に運動センサ1070により検出された移動および間隔1228の一部で人間が眠っていた旨の睡眠センサ1030からの指標を使用することによって、時間間隔1228の全体で人間が存在しており、時間間隔1228の少なくとも大部分で眠っていたと判定してもよい。
【0144】
また、
図12は、収集された測定結果の全体を通してVOC濃度1212が時折増大したことに加えて、時間間隔1228全体にわたってVOC濃度1212がわずかに増大していることも示している。上述のようなクラウドベース健康サーバシステム1010等のクラウドベース健康サーバシステムは、VOC測定濃度1212と併せて二酸化炭素測定濃度1208を分析し、時間間隔1228全体にわたるVOC濃度1212のわずかな増大がその他の何らかの人為的発生源ではなく人間に起因するものとするように構成されてもよい。たとえば、二酸化炭素測定濃度1208および他のデバイスからの入力に基づいて、閉鎖空間内の人間の存在および/または睡眠を判定した後、クラウドベース健康サーバシステム1010は、VOC濃度1212のわずかな増大を人間に起因するものとしてもよい。代替または追加として、モバイルデバイス140および/またはハブデバイス1020等の1つまたは複数の他のデバイスがVOC濃度1212の増大を人間に起因するものとするように構成されてもよい。VOC濃度1212の増大を人間に起因するものとした後、人間に起因するものとされた特定のVOCに基づく人間の健康アセスメントの生成等、付加的なステップが行われてもよい。
【0145】
図13は、検出された揮発性有機化合物に基づいて生成された健康アセスメントを表示するためのインターフェース1300の一実施形態を示している。いくつかの実施形態において、検出された揮発性有機化合物に基づいて生成された健康アセスメントを表示するためのインターフェースは、上述のようなモバイルデバイス140および/またはハブデバイス1020等の1つまたは複数の種類の電子デバイスに表示されてもよい。インターフェース1300は、電子デバイス上で動作するソフトウェアアプリケーションの実行および/またはウェブブラウザを使用するウェブページの訪問によってアクセス可能である。たとえば、インターフェース1300は、モバイルデバイス140および/またはハブデバイス1020により実行されるアプリケーションのホームページであってもよい。
【0146】
インターフェース1300は、閉鎖空間内のVOCの検出および/または検出されたVOCに基づいて生成された健康アセスメントに関連する1つまたは複数の種類の情報をさまざまなフォーマットにて表示するように構成されてもよい。たとえば、
図13に示すように、インターフェース1300は、電子デバイスと関連付けられているユーザに対して健康アセスメントが生成されたことを示すバナー通知1304を表示するように構成されてもよい。いくつかの実施形態においては、電子デバイス上で動作するアプリケーションがインターフェース1300にポップアップダイアログ、バッジ、警告、またはその他の任意の好適な通知法を表示させ、ユーザに対して健康アセスメントが生成されたことを当該ユーザに警告してもよい。
【0147】
また、
図13に示すように、インターフェース1300は、関連情報の1つまたは複数のコンテナ1308を表示するように構成されてもよい。たとえば、インターフェース1300は、VOC検出コンテナ1308-1および/または健康アセスメントコンテナ1308-2を含んでもよい。各コンテナ1308は、関連データを表示するための1つまたは複数のフィールドを含んでもよい。たとえば、VOC検出コンテナ1308-1は、VOCセンサにより測定および/または検出されたVOCを示す検出されたVOC1312と、測定または検出された各VOCの濃度を示すVOCレベル1316と、を含んでもよい。VOCレベル1316は、PPM、PPB、等級(たとえば、低、中、高)、または測定されたVOCの濃度を表示するための任意の同様に好適な測定にてVOCの濃度を示してもよい。
【0148】
別の例として、健康アセスメントコンテナ1308-2は、健康リスク1320、症状1324、および/または付加的なリンク1328を含んでもよい。健康リスク1320は、検出されたVOC1312等、1つまたは複数のVOCの検出濃度に基づいて識別された全体的な健康リスクを示してもよい。健康リスクは、上述のように、基礎疾患もしくは疾病および/またはウィルスもしくは細菌感染症等の感染症といったいかなる種類の健康リスクであってもよい。
【0149】
症状1324は、識別された各健康リスクと関連付けられている一般的症状を示してもよい。また、症状1324は、識別された各健康リスクとさらに関連付けられ、ユーザが患っている他の症状を示してもよい。たとえば、ユーザは、別個のインターフェースを介して、ユーザが現在患っている1つまたは複数の症状をシステムに提供してもよく、健康評価は、ユーザにより提供された症状に基づいて生成および/または更新されてもよい。また、症状は、睡眠センサまたはウェアラブルセンサ等の他の検知デバイスにより収集された測定結果により識別されてもよい。たとえば、睡眠センサにより収集された測定結果は、ユーザが平均睡眠質を下回っていることを示し得る。次いで、平均睡眠質を下回る旨の指標を1つまたは複数のVOCの検出と併せて使用することにより、一致する症状で健康リスクを識別してもよい。別の例として、ウェアラブルセンサにより収集された測定結果は、ユーザが最近、高血圧および心拍数の上昇を経験する一方、体臭と関連付けられているVOCがVOCセンサにより検出されたことを示し得る。体臭と関連付けられているVOCとバイタルサインのレベルの上昇を組み合わせて使用することにより、検出された症状のすべてと関連付けられている健康リスクとして、ストレスを識別してもよい。
【0150】
付加的なリンク1328は、各健康リスクと関連する付加的な情報へのリンクを含み得る。いくつかのリンクは、アプリケーションおよび/またはウェブサイトの新たなページに移動し得る。たとえば、アプリケーションは、健康リスクごとに1つまたは複数の情報ページを有してもよい。また、付加的なリンク1328は、外部ページおよび/またはウェブサイトに移動するように構成されてもよい。たとえば、付加的なリンク1328は、専用の健康ウェブサイトまたは当該特定の健康リスクの治療を専門とする地域の医師のウェブサイトに移動してもよい。
【0151】
いくつかの実施形態において、VOC検出コンテナ1308-1および健康アセスメントコンテナ1308-2は、アプリケーションおよび/またはウェブサイトの異なるページを介してアクセス可能である。たとえば、ユーザは、アプリケーションおよび/またはウェブサイトのセンサステータスページに移動することにより、VOC検出コンテナ1308-1ならびに/または二酸化炭素センサ1050、睡眠センサ1030、ウェアラブルセンサ1040、および/もしくは運動センサ1070等の1つまたは複数の付加的な検知デバイスにより収集された最新の測定結果を表示可能であってもよい。また、VOC検出コンテナ1308-1および健康アセスメントコンテナ1308-2は、アプリケーションおよび/またはウェブサイトの単一のページを介してアクセス可能であってもよい。たとえば、健康アセスメントのページは、VOC検出コンテナ1308-1および/または健康アセスメントコンテナ1308-2の両方を含んでもよい。別の例として、インターフェース1300は、バナー通知1304と関連付けられているユーザからの選択の受信に応答して、健康アセスメントのページを表示してもよい。
【0152】
ユーザは、特定のユーザアカウントと関連付けられているユーザ認証情報によるログインによって、インターフェース1300にアクセスし得る。たとえば、アプリケーションを開いた後および/またはウェブサイトを訪問した後、ユーザは、ユーザ認証情報をログインページで入力するように促されてもよい。ログイン後、インターフェース1300において利用可能な情報は、特定のユーザアカウントに固有であってもよい。たとえば、各ユーザアカウントは、閉鎖空間および検知デバイスの一意の組合せと関連付けられてもよい。ログイン後、インターフェース1300は、ユーザアカウントと関連付けられている1つまたは複数の設定および/または機能を修正するためのインタラクティブフィールドを含むユーザアカウントのホームページを表示してもよい。たとえば、設定ページへの移動により、ユーザは、ユーザアカウントに対する検知デバイスの追加および/もしくは削除、ユーザアカウントの異なる閉鎖空間と既存の検知デバイスとの関連付け、ユーザアカウントの異なる閉鎖空間とプロファイルとの関連付け、ならびに/または他の同様に好適な措置が可能であってもよい。
【0153】
図10において詳しく上述したシステムを使用してさまざまな方法を実行することにより、
図11~13との関連で詳しく上述したVOCの検出および測定ならびに環境センサネットワークシステムによる健康アセスメントの生成を管理してもよい。
図14Aおよび14Bは、検出された揮発性有機化合物に基づいて健康アセスメントを生成するための方法1400の一実施形態を示している。いくつかの実施形態において、方法1400は、
図10との関連で詳しく上述したクラウドベース健康サーバシステム1010等のクラウドベース健康サーバシステムにより実行されてもよい。いくつかの実施形態において、方法1400のさまざまなステップは、
図10との関連で詳しく上述したVOCセンサ175、二酸化炭素センサ1050、圧力センサ1060、および/または運動センサ1070等の1つまたは複数の検知デバイスにより実行されてもよい。いくつかの実施形態においては、方法1400のいくつかのステップがクラウドベース健康サーバシステム1010等のクラウドベース健康サーバシステムにより実行され得る一方、他のステップがVOCセンサ175等の検知デバイスにより実行される。
【0154】
方法1400は、ブロック1410において、第1の期間における閉鎖空間内のVOC濃度をVOCセンサで測定することを含んでもよい。VOCセンサは、上述のようなVOCセンサ175と同じであってもよいし、同様に機能してもよい。また、VOCセンサは、閉鎖空間内の1つまたは複数の付加的なVOCの濃度を測定するように構成されてもよい。1つまたは複数のVOCの濃度は、PPM、PPB、またはVOCを測定するための任意の同様に好適な測定単位により測定されてもよい。閉鎖空間は、上述のような構造160等の構造内に配設されてもよい。たとえば、構造は、戸建て住宅であってもよく、閉鎖空間は、戸建て住宅内の寝室であってもよい。構造は、当該構造全体で他の閉鎖空間に配設されている1つまたは複数の付加的なVOCセンサを有してもよい。たとえば、構造内の各寝室にVOCセンサが配設されてもよい。構造、閉鎖空間、および/またはVOCセンサは、上述のようなクラウドベース健康サーバシステム1010等のクラウドベース健康サーバシステムが制御および/または管理するユーザアカウントと関連付けられてもよい。閉鎖空間は、特定の人間の占有者および/またはユーザアカウント下のユーザプロファイルと関連付けられてもよい。たとえば、ユーザアカウントは、閉鎖空間を通常占有するユーザプロファイルに関連して、閉鎖空間の説明を格納してもよい。
【0155】
ブロック1414において、第1の期間における閉鎖空間内の運動を監視する。閉鎖空間内の運動は、上述のような運動センサ1070等の1つまたは複数の運動センサにより監視されてもよい。運動センサは、閉鎖空間内の運動を検出するように構成された1つまたは複数のセンサを有する電子デバイスであってもよい。たとえば、運動センサは、レーダセンサ、ライダーセンサ、写真センサ(たとえば、カメラ)、赤外線センサ、または環境内の運動を検出し得る任意の同様に好適なセンサのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0156】
ブロック1418において、第1の期間における閉鎖空間内の二酸化炭素濃度を測定する。二酸化炭素濃度は、上述のような二酸化炭素センサ1050等の二酸化炭素センサを使用して測定されてもよい。二酸化炭素センサは、上述のような空気質センサ165等の空気質センサであり、当該センサの近傍内の二酸化炭素およびその他の任意の数の汚染物質の濃度を検出して測定するように構成されてもよい。あるいは、二酸化炭素センサは、二酸化炭素の濃度のみを検出して測定するように構成された独立型検知デバイスであってもよい。二酸化炭素センサは、百万分率(PPM)および/または十億分率(PPB)にて二酸化炭素の濃度を測定してもよい。
【0157】
ブロック1422において、人間が閉鎖空間内に存在するかを判定する。人間が閉鎖空間内に存在するかを判定することは、ある期間にわたる二酸化炭素の蓄積を検出することを含んでもよい。たとえば、二酸化炭素センサ1050等の二酸化炭素センサは、ある期間にわたる二酸化炭素の蓄積に基づいて、人間が当該二酸化炭素センサの近傍ひいては閉鎖空間内に存在すると判定するように構成されてもよい。追加または代替として、ハブデバイスまたはクラウドベース健康サーバシステム等の別のデバイスが二酸化炭素センサからの二酸化炭素測定結果を分析して、ある期間にわたる二酸化炭素の蓄積を検出するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、閉鎖空間内で検出された移動は、人間が閉鎖空間内に存在するとの判定の補助として用いられる。たとえば、運動センサ1070が検出した運動と二酸化炭素センサ1050が収集した測定結果とを組み合わせることによって、人間が実際に閉鎖空間内に存在すると判定してもよい。
【0158】
二酸化炭素測定濃度は、少なくとも1人の人間の存在と整合する二酸化炭素の測定濃度の一定の増加率、したがって、少なくとも1人の人間がセンサの近傍内に存在するとの判定を示し得る。別の例として、二酸化炭素測定濃度は、人間の占有と整合する第1の定常状態濃度から第2の定常状態濃度への二酸化炭素濃度の増加を示し得る。いくつかの実施形態において、人間の占有と整合する環境内の二酸化炭素の蓄積率および/または定常状態濃度は、予めプログラムされた値である。代替または追加として、これらの値は、閉鎖空間の二酸化炭素測定結果履歴を分析することによりトレーニング済みの機械学習モデルを使用して決定されてもよい。機械学習モデルは、システム1000の1つまたは複数の他の構成要素から収集された測定結果等の付加的な入力によりトレーニングされてもよい。閉鎖空間内で運動および/または二酸化炭素の蓄積が検出されなかった場合、方法1400は、ブロック1414またはブロック1418に戻って、人間が閉鎖空間内に存在するとの判定がなされるまで、閉鎖空間内の二酸化炭素濃度の測定および/または運動の検出を継続してもよい。
【0159】
人間が閉鎖空間内に存在すると判定された場合、方法1400は任意選択として、ブロック1426において、第1の期間における閉鎖空間内の空気圧を測定することを含んでもよい。閉鎖空間内の空気圧は、上述のような圧力センサ1060等の圧力センサを使用して測定されてもよい。圧力センサは、近傍の大気圧を測定するように構成された電子デバイスであってもよい。圧力センサは、1つまたは複数の圧力計を含んでもよい。閉鎖空間内の空気圧は、バールおよび/または水銀柱ミリメートル/インチにて測定されてもよい。いくつかの実施形態において、圧力センサにより測定された大気圧は、閉鎖空間が実質的に封止されているとの判定の補助として用いられてもよい。たとえば、圧力センサ1060が測定した検出された空気圧が閾値を超えて変化している場合、これは、閉鎖空間の窓またはドアが閉じていて、閉鎖空間を封止していることに対応し得る。代替または追加として、圧力センサ1060が測定した検出された空気圧が所定の時間間隔にわたって無変化または閾値未満の変化の場合、これは、当該所定の時間間隔において、閉鎖空間の窓もドアも開いていないことに対応し得る。
【0160】
ブロック1430において、閉鎖空間が実質的に封止されているかを判定する。閉鎖空間は、壁、天井、および床等の物理的な障壁によって四方を囲まれているエリアであってもよい。追加または代替として、閉鎖空間は、出入りが制限されているエリアであってもよい。閉鎖空間の例としては、自家用車、レクリエーションビーグル(たとえば、キャンパ)、戸建て住宅、オフィス、アパート、飛行機、および/または列車が挙げられ得る。閉鎖空間内の1つまたは複数のガスの濃度が閉鎖空間の外側の1つまたは複数のガスの濃度との平衡に達することが阻止される場合および/または達し得ない場合は、閉鎖空間が実質的に封止されている可能性がある。代替または追加として、閉鎖空間内の空気圧が閉鎖空間の外側の空気圧の変化の影響を受けない場合は、閉鎖空間が実質的に封止されている可能性がある。閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することは、閉鎖空間に流入する空気および/または閉鎖空間から流出する空気の体積が閾値流量を下回ると判定することを含んでもよい。
【0161】
また、閉鎖空間が実質的に封止されているかを判定することは、ある期間にわたる二酸化炭素の蓄積を二酸化炭素センサで検出することを含んでもよい。二酸化炭素センサは、ある期間にわたる二酸化炭素の蓄積に基づいて、当該二酸化炭素センサが閉鎖空間内にあること、および/または閉鎖空間が実質的に封止されていると判定するように構成されてもよい。実質的に封止されている閉鎖空間内で、人間の占有者の通常の呼吸によって、二酸化炭素の蓄積が起こり得、および/または二酸化炭素の濃度の増大が起こり得る。したがって、閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することは、閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積および/または濃度の増大を検出することも含み得る。
【0162】
いくつかの実施形態において、閉鎖空間のサイズを用いて、閉鎖空間が実質的に封止されていること、および/または閉鎖空間内に人間が存在することをさらに判定してもよい。閉鎖空間のサイズおよび/または容積は、閉鎖空間の寸法により決定されてもよい。次いで、二酸化炭素センサのメモリおよび/またはクラウドベース健康サーバシステムのメモリにこの容積が格納されてもよい。閉鎖空間の容積に基づいて、人間が存在する場合の実質的に封止された閉鎖空間内の二酸化炭素の予想増加率が上下に調整されてもよい。たとえば、二酸化炭素の増加率は、大きな空間よりも小さな空間において早くなり得る。
【0163】
また、閉鎖空間が実質的に封止されているかを判定することは、閉鎖空間内の空気圧を監視することを含んでもよい。たとえば、圧力センサにより測定された検出された空気圧が閾値を超えて変化している場合、これは、閉鎖空間の窓またはドアが閉じていて、閉鎖空間を封止していることに対応し得る。代替または追加として、圧力センサにより測定された検出された空気圧が第1の期間にわたって無変化または閾値未満の変化の場合、これは、第1の期間において、閉鎖空間の窓もドアも開いていないことに対応し得る。閉鎖空間が実質的に封止されていないと判定された場合、方法1400は、ブロック1426に戻って、閉鎖空間が実質的に封止されていると判定されるまで、閉鎖空間内の空気圧の測定を継続してもよい。あるいは、人間がもはや閉鎖空間内に存在しないと判定された場合、方法1400は、たとえばブロック1418に戻ってもよい。
【0164】
引き続き
図14Bを参照すると、閉鎖空間が実質的に封止されていると判定された場合、方法1400は、ブロック1434において、期間におけるVOCの濃度の増大を検出することを含んでもよい。この期間におけるVOCの濃度の増大を検出することは、上述のようなクラウドベース健康サーバシステム1010等のクラウドベース健康サーバシステムにより実行されてもよい。たとえば、クラウドベース健康サーバシステム1010は、第1の期間におけるVOCセンサにより収集された1つまたは複数の測定結果を受信し、これら1つまたは複数の測定結果を分析して、第1の期間における閉鎖空間内のVOCの濃度が増大していたかを判定してもよい。追加または代替として、ハブデバイス1020および/またはモバイルデバイス140等のハブデバイスまたは電子デバイスは、1つまたは複数のVOCセンサにより収集された測定結果を分析して、第1の期間におけるVOCの増大を検出するように構成されてもよい。別の例として、1つまたは複数のVOCセンサは、1つまたは複数のVOCの濃度の増大を検出するように構成されてもよい。VOCセンサは、1つまたは複数のVOCの濃度閾値を含んでもよく、特定のVOCごとに、1つまたは複数のVOCの濃度が濃度閾値を上回る時間と関連付けられているマーカを作成および/または送信してもよい。
【0165】
いくつかの実施形態において、VOCセンサにより収集された測定結果の検出および/または分析は、人間が閉鎖空間内に存在する、および空間が実質的に封止されていると判定した際に開始される。たとえば、1つまたは複数のVOCセンサにより収集された測定結果は、過去の所定の期間を網羅するバッファに格納されてもよい。新たな測定結果が収集されると最も古い測定結果が削除され、記憶空間が最適化されてもよい。人間が閉鎖空間内に存在すること、および閉鎖空間が実質的に封止されていると判定した後、警告またはプロセスのトリガによって、バッファリングされたVOC測定結果が分析されてもよい。警告またはプロセスは、人間が空間内に存在する、および空間が実質的に封止されていると判定してから所定の時間が経過するまでトリガされなくてもよい。この所定の時間は、実質的に封止されている閉鎖空間内でのVOCの蓄積に要する時間に基づいてもよい。たとえば、閉鎖空間の容積および平均呼吸数に基づいて、閉鎖空間が実質的に封止されてから2時間、4時間、6時間またはそれ以上の間、人間が放出するVOCが検出可能なレベルまで蓄積されない可能性もある。
【0166】
人間が閉鎖空間内に存在すること、閉鎖空間が実質的に封止されていること、およびVOCの濃度の増大が検出された後、濃度の増大が閉鎖空間内の人間に起因するものとされ得る。検出されたVOCが人間に起因するものとすることは、上述のような二酸化炭素センサ1050、圧力センサ1060、および/または運動センサ1070等の他の検知デバイスからの1つまたは複数の付加的な入力に基づいてもよい。いくつかの実施形態において、VOCの濃度の増大は、上述のようなクラウドベース健康サーバシステム1010等のクラウドベース健康サーバシステムが制御および/または管理するユーザアカウントと関連付けられている人間に起因するものであってもよい。たとえば、クラウドベース健康サーバシステムは、収集された測定結果がユーザアカウントのプロファイルと関連付けられている部屋内に配設されているVOCセンサから受信されたものと判定し、VOCの濃度の増大をプロファイルおよび/またはプロファイルと関連付けられている人間に起因するものとしてもよい。
【0167】
いくつかの実施形態において、VOCの増大が検出されなかった場合、方法1400は、1422に戻って、人間が閉鎖空間内に存在するかを再び判定してもよい。たとえば、人間が閉鎖空間から出たと判定された場合は、閉鎖空間内で人間が再び検出されるまでプロセスをやり直すことができる。あるいは、方法1400は、ブロック1430に戻って、閉鎖空間が実質的に封止されているかを再び判定してもよい。たとえば、閉鎖空間内の人間が窓またはドアを開けた場合は、人間がもはや閉鎖空間内に存在しないこと、または閉鎖空間が再び実質的に封止されたことが判定されるまでプロセスをやり直すことができる。
【0168】
VOCの濃度の増大が検出された場合、方法1400は、ブロック1438において、VOCの濃度の検出された増大に基づいて人間の健康アセスメントを生成することを含んでもよい。健康アセスメントは、検出されたある人間に起因する特定のVOCのレポートを含んでもよい。追加または代替として、健康アセスメントは、人が1つまたは複数の健康状態または疾病に罹り得る可能性または予測を含み得る人の健康全体の指標を含んでもよい。たとえば、健康アセスメントは、平均的な健常者と比較して、人が、ウィルスもしくは細菌感染症、特定の疾患、体臭の増加を有し、および/または異常な量の1つもしくは複数のVOCを生成する可能性が高いことを示してもよい。ある人がある健康状態に罹る可能性を予測することは、疾患または感染症等の健康リスクと関連付けられている症状として、人間による第1のVOCの放出の増大を識別することを含んでもよい。
【0169】
また、健康アセスメントを生成することは、人間と関連付けられている1つまたは複数の識別特性を分析することを含んでもよい。識別特性には、年齢、体重、総合的な健康状態、開示された疾病もしくは既往症、安静時心拍数、安静時呼吸数、血圧等の最近のバイタルサイン測定結果、および健康状態の診断に役立ち得る任意の同様に好適な識別可能特性を含み得る。識別特性は、上述のようなクラウドベース健康サーバシステム1010等のクラウドベース健康サーバシステムが管理するユーザアカウントに格納され、および/または関連付けられてもよい。たとえば、ユーザアカウントは、構造および構造を通常占有する1人もしくは複数の人間と関連付けられてもよい。追加または代替として、各人間は、ユーザアカウントの個々のプロファイルと関連付けられてもよい(たとえば、家族の各メンバーが家族のユーザアカウントと関連付けられているプロファイルを有してもよい)。さらに、識別特性は、人間の占有者および/またはプロファイルごとに、ユーザアカウントと関連付けられているユーザにより提供されてもよい。追加または代替として、識別特性は、睡眠センサおよび/またはウェアラブルセンサにより収集される新たな測定結果等の新たな測定結果が利用可能となった場合に、定期的に更新されてもよい。健康アセスメントを生成することは、クラウドベース健康サーバシステム1010等の中央クラウドベースサーバシステムまたはハブデバイス1020および/もしくはモバイルデバイス140等の別の電子デバイスにより実行されてもよい。
【0170】
ブロック1442において、健康アセスメントを含む通知を電子デバイスに発行する。電子デバイスは、モバイルデバイス140および/またはハブデバイス1020等のいかなる電子デバイスであってもよい。電子デバイスは、人間および/またはユーザアカウントのプロファイルと関連付けられてもよい。たとえば、各プロファイルは、一意のモバイルデバイス140と関連付けられてもよい。別の例として、各プロファイルは、単一の共有ハブデバイス1020と関連付けられてもよい。プロファイルおよび/またはユーザアカウントと関連付けられている人間の健康アセスメントを生成した後、人間および/またはプロファイルと関連付けられている電子デバイスに通知が送信されてもよい。通知は、健康アセスメントが生成されたことを示し、健康アセスメントへの移動をユーザに促すバナー通知を含み得る。次いで、上述のようなインターフェース1300等のインターフェースに健康アセスメントが表示されてもよい。インターフェースは、電子デバイスが実行するソフトウェアアプリケーションにより表示されてもよい。追加または代替として、インターフェースは、インターネットブラウザを介したウェブサイトまたはウェブページとしてアクセス可能であってもよい。
【0171】
上述の方法、システム、およびデバイスは、例に過ぎないことが意図されることに留意するものとする。種々実施形態では、必要に応じてさまざまな手順または構成要素を省略、置換、または追加可能であることを強調する必要がある。たとえば、当然のことながら、代替実施形態においては、上記方法は記載と異なる順序で実行されてもよく、さまざまなステップが追加、省略、または組み合わされてもよい。また、ある実施形態に関して記載された特徴が他の種々実施形態において組み合わされてもよい。実施形態の異なる態様および要素が同様に組み合わされてもよい。また、技術は進歩することから、要素の多くが例であって、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではないことが強調されるものとする。
【0172】
本明細書においては、具体的詳細を与えることにより、実施形態の完全な理解を提供する。ただし、当業者であれば、これらの具体的詳細なしで実施形態を実現可能であることが理解されよう。たとえば、実施形態の明瞭化のため、不要な詳細を伴わずに周知のプロセス、構造、および技術を示している。本明細書は、例示的な実施形態を提供しているに過ぎず、本発明の範囲、適用可能性、または構成の制限は意図されない。むしろ、実施形態に関する上記説明は、本発明の実施形態の実現を可能にする説明を当業者に提供する。要素の機能および構成においては、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更が可能である。
【0173】
なお、実施形態は、フロー図またはブロック図として示されるプロセスとして記載可能である。各々が動作を順次プロセスとして記載し得るものの、動作の多くは、並列または同時実行可能である。加えて、動作の順序を再構成可能である。プロセスは、図に含まれない付加的なステップを有し得る。
【0174】
いくつかの例示的な構成を説明したが、本開示の趣旨から逸脱することなく、種々の修正、代替構成、および同等物を使用可能である。たとえば、上記要素は、より大きなシステムの構成要素であってもよく、他の規則が本発明の出願に優先していてもよいし、または本発明の出願を修正してもよい。また、上記要素の検討の前、最中、または後に多くのステップが実行され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性有機化合物(VOC)検出により健康アセスメントを作成するための方法であって、
VOCセンサを用いて、第1の期間における閉鎖空間内の第1のVOCの濃度を測定することと、
前記第1の期間における前記閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積を検出することと、
二酸化炭素の前記蓄積に基づいて、人間が前記閉鎖空間内に存在すると判定することと、
二酸化炭素の前記蓄積に基づいて、前記閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することとを含み、
前記閉鎖空間が実質的に封止されている場合は、前記閉鎖空間に出入りする空気流が閾値を下回り、
前記方法は、
前記VOCセンサにより、前記第1の期間における前記閉鎖空間内の前記第1のVOC
の濃度が増大したことを検出することと、
検出された前記第1のVOC
の濃度の増大に基づいて、前記人間の健康アセスメントを生成することと、
前記健康アセスメントを含む通知を電子デバイスに発行することとをさらに含む
、方法。
【請求項2】
前記閉鎖空間が実質的に封止されているとの前記判定および前記人間が前記閉鎖空間内に存在するとの前記判定に基づいて、呼気、発汗、または両方を含む前記人間による1つまたは複数の身体的放出に少なくとも部分的に起因して前記第1のVOCの濃度が増大したと判定することをさらに含む、請求項1に記載
の方法。
【請求項3】
睡眠センサを使用して、前記人間が前記第1の期間において睡眠中であると判定することをさらに含む、請求項1
または2に記載
の方法。
【請求項4】
前記睡眠センサにより収集されたセンサデータに基づいて、前記第1の期間における前記人間の睡眠質アセスメントを生成することをさらに含み、
前記健康アセスメントを生成することは、
検出された前記第1のVOC
の濃度の増大および前記睡眠質アセスメントの組合せにさらに基づいている、請求項3に記載
の方法。
【請求項5】
検出された前記第1のVOC
の濃度の増大に基づいて、前記健康アセスメントを生成することは、
健康リスクと関連付けられている症状として、人間による前記第1のVOCの放出増大を識別することと、
前記健康リスクの識別を前記健康アセスメントに含めることとを含む、請求項1
~4のいずれか1項に記
載の方法。
【請求項6】
前記第1のVOCの濃度を測定することは、前記閉鎖空間内の二酸化炭素の前記蓄積の検出に応答して行われる、請求項1
~5のいずれか1項に記載
の方法。
【請求項7】
前記人間が前記閉鎖空間内に存在すると判定することは、運動センサを使用して前記人間による移動を検知することにさらに基づいている、請求項1
~6のいずれか1項に記載
の方法。
【請求項8】
前記人間が前記閉鎖空間内に存在すると判定することは、前記人間と関連付けられている呼吸数、心拍数、または両方を検出することをさらに含む、請求項1
~7のいずれか1項に記載
の方法。
【請求項9】
前記方法は、
空気圧センサを使用して、前記第1の期間における前記閉鎖空間内の空気圧の変化を測定することをさらに含み、
前記閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することは、空気圧の前記変化が閾値未満であると判定することをさらに含む、請求項1
~8のいずれか1項に記載
の方法。
【請求項10】
前記VOCセンサを用いて、複数のVOCの濃度を測定することをさらに含み、
前記第1のVOCは、前記複数のVOCに含まれる、請求項1
~9のいずれか1項に記載
の方法。
【請求項11】
揮発性有機化合物(VOC)検出により健康アセスメントを作成するためのシステムであって、
閉鎖空間内の第1のVOCのVOC濃度測定結果を収集するように構成されたVOCセンサと、
クラウドベー
ス健康サーバシステムとを含み、
前記クラウドベー
ス健康サーバシステムは、
1つまたは複数のプロセッサと、
メモリとを含み、
前記メモリは、前記1つまたは複数のプロセッサと通信結合され、前記1つまたは複数のプロセッサにより読み出し可能であり、プロセッサ可読命令を格納し、前記プロセッサ可読命令は、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、
第1の期間において前記VOCセンサにより収集された前記VOC濃度測定結果を受信することと、
前記第1の期間における前記閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積に基づいて、人間が前記閉鎖空間内に存在すると判定することと、
二酸化炭素の前記蓄積に基づいて、前記閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することとを前記1つまたは複数のプロセッサに行わせ、
前記閉鎖空間が実質的に封止されている場合は、前記閉鎖空間に出入りする空気流が閾値を下回り、
前記プロセッサ可読命令は、
前記VOC
濃度測定結果から、前記第1の期間における前記閉鎖空間内の前記第1のVOC
の濃度が増大したことを検出することと、
検出された前記第1のVOC
の濃度の増大に基づいて、前記人間の健康アセスメントを生成することと、
前記健康アセスメントを含む通知を電子デバイスに発行することとを前記1つまたは複数のプロセッサにさらに行わせる、システム。
【請求項12】
前記閉鎖空間内の二酸化炭素濃度を測定し、二酸化炭素の前記蓄積の指標を前記クラウドベース健康サーバシステムに送信するように構成された二酸化炭素センサをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記人間が前記第1の期間において睡眠中であると判定するように構成された睡眠センサをさらに含む、請求項11
または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記閉鎖空間内の前記人間による移動を検知するように構成された運動センサをさらに含む、請求項11
~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の期間における前記閉鎖空間内の空気圧の変化を測定するように構成された空気圧センサをさらに含む、請求項11
~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記人間と関連付けられている呼吸数、心拍数、または両方を検出するように構成されたウェアラブルセンサをさらに含む、請求項11
~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記VOCセンサから前記VOC濃度測定結果を受信し、前記VOC濃度測定結果を前記クラウドベース健康サーバシステムに送信することと、
前記第1の期間における二酸化炭素センサからの二酸化炭素測定結果を受信し、二酸化炭素の前記蓄積の指標を前記クラウドベース健康サーバシステムに送信することとを行うように構成されたハブデバイスをさらに含む、請求項11
~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
プロセッサ可読命令を含
むプロセッサ可読
プログラムであって、前記プロセッサ可読命令は、
第1の期間における閉鎖空間内の第1の揮発性有機化合物(VOC)の濃度を測定することと、
前記第1の期間における前記閉鎖空間内の二酸化炭素の蓄積を検出することと、
二酸化炭素の前記蓄積に基づいて、人間が前記閉鎖空間内に存在すると判定することと、
二酸化炭素の前記蓄積に基づいて、前記閉鎖空間が実質的に封止されていると判定することとを1つまたは複数のプロセッサに行わせ、
前記閉鎖空間が実質的に封止されている場合は、前記閉鎖空間に出入りする空気流が閾値を下回り、
前記プロセッサ可読命令は、
前記第1の期間における前記閉鎖空間内の前記第1のVOCの濃度が増大したことを検出することと、
検出された前記第1のVOC
の濃度の増大に基づいて、前記人間の健康アセスメントを生成することと、
前記健康アセスメントを含む通知を電子デバイスに発行することとを前記1つまたは複数のプロセッサにさらに行わせる
、プロセッサ可読
プログラム。
【請求項19】
前記プロセッサ可読命令は、前記閉鎖空間が実質的に封止されているとの前記判定および前記人間が前記閉鎖空間内に存在するとの前記判定に基づいて、呼気、発汗、または両方を含む前記人間による1つまたは複数の身体的放出に少なくとも部分的に起因して前記第1のVOC
の濃度が増大したと判定することを前記1つまたは複数のプロセッサに行わせる、請求項18に記載
のプロセッサ可読
プログラム。
【請求項20】
前記健康アセスメントを生成するための前記プロセッサ可読命令は、
健康リスクと関連付けられている症状として、人間による前記第1のVOCの放出の増大を識別することと、
前記健康リスクの識別を前記健康アセスメントに含めることとを前記1つまたは複数のプロセッサにさらに行わせる、請求項18
または19に記載
のプロセッサ可読
プログラム。
【国際調査報告】