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特表2024-532361バッテリー装置およびバッテリー管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】バッテリー装置およびバッテリー管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20240829BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240829BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240829BHJP
【FI】
H02J7/04 A
H02J7/00 P
H02J7/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513123
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 KR2022014259
(87)【国際公開番号】W WO2023068570
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0140418
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イン、ジェオンヒェオン
(72)【発明者】
【氏名】クウォン、ヨウン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チェオルタエク
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
バッテリー管理システムは、複数の区間を含む充電サイクルのディレーティング係数に基づいて各区間で前記バッテリーパックを充電する充電電流を決定し、各区間でのバッテリーパックの電圧と該当区間に設定された電圧上限値を比較した結果に基づいてディレーティング係数を更新し、更新したディレーティング係数を次の充電サイクルに使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパック、および
複数の区間を含む充電サイクルのディレーティング係数に基づいて各区間で前記バッテリーパックを充電する充電電流を決定し、各区間での前記バッテリーパックの電圧と該当区間に設定された電圧上限値を比較した結果に基づいて前記ディレーティング係数を更新し、更新した前記ディレーティング係数を次の充電サイクルに使用するバッテリー管理システム
を含むバッテリー装置。
【請求項2】
前記複数の区間にそれぞれ基本充電電流が設定されており、
前記バッテリー管理システムは前記ディレーティング係数を前記基本充電電流に反映して前記充電電流を決定する、請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項3】
前記バッテリー管理システムは
前記複数の区間で前記ディレーティング係数を同一に設定し、
前記ディレーティング係数を各区間の前記基本充電電流にかけて該当区間の前記充電電流を決定する、請求項2に記載のバッテリー装置。
【請求項4】
前記バッテリー管理システムは、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超える区間の数に基づいて前記ディレーティング係数を更新する、請求項3に記載のバッテリー装置。
【請求項5】
前記電圧上限値を超える区間の数が臨界値を超える場合に、前記バッテリー管理システムは前記ディレーティング係数を減少させる、請求項4に記載のバッテリー装置。
【請求項6】
前記電圧上限値を超える区間の数が前記臨界値を超えない場合に、前記バッテリー管理システムは前記ディレーティング係数を維持する、請求項5に記載のバッテリー装置。
【請求項7】
前記バッテリー管理システムは
前記複数の区間で前記ディレーティング係数を個別的に設定し、
各区間の前記ディレーティング係数を該当区間の前記基本充電電流にかけて該当区間の前記充電電流を決定する、請求項2に記載のバッテリー装置。
【請求項8】
前記バッテリー管理システムは、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超える区間で該当区間の前記ディレーティング係数を減少させる、請求項7に記載のバッテリー装置。
【請求項9】
前記バッテリー管理システムは、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超えない区間で該当区間の前記ディレーティング係数を増加させる、請求項7に記載のバッテリー装置。
【請求項10】
バッテリーパックのバッテリー管理システムであって、
前記バッテリーパックの電圧をモニタリングするモニタリング回路、
複数の区間を含む充電サイクルの各区間での電圧上限値およびディレーティング係数を保存するメモリ、および
前記ディレーティング係数に基づいて前記充電サイクルの各区間で前記バッテリーパックの充電電流を決定し、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超える区間の数に基づいて前記ディレーティング係数を更新するプロセッサー
を含むバッテリー管理システム。
【請求項11】
前記メモリは前記充電サイクルの各区間での基本充電電流の大きさを保存し、
前記プロセッサーは
前記複数の区間で前記ディレーティング係数を同一に設定し、
前記ディレーティング係数を各区間の前記基本充電電流にかけて該当区間の前記充電電流を決定する、請求項10に記載のバッテリー管理システム。
【請求項12】
前記電圧上限値を超える区間の数が臨界値を超える場合に、前記プロセッサーは前記ディレーティング係数を減少させる、請求項11に記載のバッテリー管理システム。
【請求項13】
前記電圧上限値を超える区間の数が前記臨界値を超えない場合に、前記プロセッサーは前記ディレーティング係数を維持する、請求項12に記載のバッテリー管理システム。
【請求項14】
バッテリーパックのバッテリー管理システムであって、
前記バッテリーパックの電圧をモニタリングするモニタリング回路、
複数の区間を含む充電サイクルの各区間でのディレーティング係数および前記充電サイクルの各区間での電圧上限値を保存するメモリ、および
各区間での前記ディレーティング係数に基づいて該当区間で前記バッテリーパックの充電電流を決定し、各区間での前記バッテリーパックの電圧と前記電圧上限値に基づいて該当区間での前記ディレーティング係数を更新するプロセッサー
を含むバッテリー管理システム。
【請求項15】
前記メモリは前記充電サイクルの各区間での基本充電電流の大きさを保存し、
前記プロセッサーは
前記複数の区間で前記ディレーティング係数を個別的に設定し、
各区間での前記ディレーティング係数を該当区間の前記基本充電電流にかけて該当区間の前記充電電流を決定する、請求項14に記載のバッテリー管理システム。
【請求項16】
前記プロセッサーは、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超える区間で該当区間の前記ディレーティング係数を減少させる、請求項15に記載のバッテリー管理システム。
【請求項17】
前記プロセッサーは、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超えない区間で該当区間の前記ディレーティング係数を増加させる、請求項15に記載のバッテリー管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2021年10月20日付大韓民国特許出願第10-2021-0140418号に基づいた優先権の利益を主張し、該当大韓民国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
開示内容は、バッテリー装置およびバッテリー管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
電気自動車またはハイブリッド自動車は主にバッテリーを電源として用いてモータを駆動することによって動力を得る車両であって、内燃自動車の公害およびエネルギー問題を解決することができる代案という点から研究が活発に行われている。また、充電の可能なバッテリーは、車両以外に多様な外部装置で使用されている。
【0004】
車両などの多様な外部装置に使用されるバッテリーの容量が増減するにつれて、バッテリーを急速充電する技術が使用されている。一般的な急速充電アルゴリズムはバッテリーセルの退化を最少化するために高い電流から低い電流に段階別に電流を減らしながら充電を行う。
【0005】
バッテリーセルが退化するにつれてバッテリーセルの抵抗が増加し充電中電圧が上昇することがある。電圧上昇によってバッテリーセルの負極電位が低まり活物質(例えば、リチウム)析出が発生し、これによってバッテリーセルの退化を加速化することができる。この時、急速充電アルゴリズムはバッテリーセルの状態を反映して充電するロジックを使用する。例えば、退化状態(state of health、SOH)を反映して充電電流や充電容量を低めるロジック、段階別に電圧上限線を定めて抵抗退化で電圧が上昇する場合に次の充電段階に進行するロジックなどが使用される。しかし、SOHの推定誤差による限界で退化を完全に防止することができず、電圧上限に到達して次の段階に進行する場合、充電時間が初期状態(beginning of life、BOL)に対比して継続して増加することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、バッテリーセルの退化を最少化することができるバッテリー装置およびバッテリー管理システムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、バッテリーパックおよびバッテリー管理システムを含むバッテリー装置が提供できる。前記バッテリー管理システムは、複数の区間を含む充電サイクルのディレーティング係数に基づいて各区間で前記バッテリーパックを充電する充電電流を決定し、各区間での前記バッテリーパックの電圧と該当区間に設定された電圧上限値を比較した結果に基づいて前記ディレーティング係数を更新し、更新した前記ディレーティング係数を次の充電サイクルに使用することができる。
【0008】
一実施形態で、前記複数の区間にそれぞれ基本充電電流が設定され、前記バッテリー管理システムは前記ディレーティング係数を前記基本充電電流に反映して前記充電電流を決定することができる。
【0009】
一実施形態で、前記バッテリー管理システムは、前記複数の区間で前記ディレーティング係数を同一に設定し、前記ディレーティング係数を各区間の前記基本充電電流にかけて該当区間の前記充電電流を決定することができる。
【0010】
一実施形態で、前記バッテリー管理システムは、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超える区間の数に基づいて前記ディレーティング係数を更新することができる。
【0011】
一実施形態で、前記電圧上限値を超える区間の数が臨界値を超える場合に、前記バッテリー管理システムは前記ディレーティング係数を減少させることができる。
【0012】
一実施形態で、前記電圧上限値を超える区間の数が前記臨界値を超えない場合に、前記バッテリー管理システムは前記ディレーティング係数を維持することができる。
【0013】
一実施形態で、前記バッテリー管理システムは、前記複数の区間で前記ディレーティング係数を個別的に設定し、各区間の前記ディレーティング係数を該当区間の前記基本充電電流にかけて該当区間の前記充電電流を決定することができる。
【0014】
一実施形態で、前記バッテリー管理システムは、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超える区間で該当区間の前記ディレーティング係数を減少させることができる。
【0015】
一実施形態で、前記バッテリー管理システムは、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超えない区間で該当区間の前記ディレーティング係数を増加させることができる。
【0016】
他の実施形態によれば、バッテリーパックのバッテリー管理システムが提供できる。前記バッテリー管理システムは、前記バッテリーパックの電圧をモニタリングするモニタリング回路、メモリ、そしてプロセッサーを含むことができる。塩基メモリは、複数の区間を含む充電サイクルの各区間での電圧上限値およびディレーティング係数を保存することができる。前記プロセッサーは、前記ディレーティング係数に基づいて前記充電サイクルの各区間で前記バッテリーパックの充電電流を決定し、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超える区間の数に基づいて前記ディレーティング係数を更新することができる。
【0017】
一実施形態で、前記メモリは前記充電サイクルの各区間での基本充電電流の大きさを保存することができる。前記プロセッサーは、前記複数の区間で前記ディレーティング係数を同一に設定し、前記ディレーティング係数を各区間の前記基本充電電流にかけて該当区間の前記充電電流を決定することができる。
【0018】
一実施形態で、前記電圧上限値を超える区間の数が臨界値を超える場合に、前記プロセッサーは前記ディレーティング係数を減少させることができる。
【0019】
一実施形態で、前記電圧上限値を超える区間の数が前記臨界値を超えない場合に、前記プロセッサーは前記ディレーティング係数を維持することができる。
【0020】
また他の実施形態によれば、バッテリーパックのバッテリー管理システムが提供できる。前記バッテリー管理システムは、前記バッテリーパックの電圧をモニタリングするモニタリング回路、メモリ、およびプロセッサーを含むことができる。前記メモリは、複数の区間を含む充電サイクルの各区間でのディレーティング係数および前記充電サイクルの各区間での電圧上限値を保存することができる。前記プロセッサーは、各区間での前記ディレーティング係数に基づいて該当区間で前記バッテリーパックの充電電流を決定し、各区間での前記バッテリーパックの電圧と前記電圧上限値に基づいて該当区間での前記ディレーティング係数を更新することができる。
【0021】
一実施形態で、前記メモリは、前記充電サイクルの各区間での基本充電電流の大きさを保存することができる。前記プロセッサーは、前記複数の区間で前記ディレーティング係数を個別的に設定し、各区間での前記ディレーティング係数を該当区間の前記基本充電電流にかけて該当区間の前記充電電流を決定することができる。
【0022】
一実施形態で、前記プロセッサーは、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超える区間で該当区間の前記ディレーティング係数を減少させることができる
【0023】
一実施形態で、前記プロセッサーは、前記複数の区間のうちの前記バッテリーパックの電圧が前記電圧上限値を超えない区間で該当区間の前記ディレーティング係数を増加させることができる。
【発明の効果】
【0024】
一実施形態によれば、バッテリーセルの退化状態によって充電電流を調節することができるので、充電時間が過度に増加しないながらバッテリーセルの退化も最少化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態によるバッテリー装置の一例を示す図である。
【0026】
図2】一実施形態によるバッテリー管理システムにおいて充電サイクルでの電圧上限値の一例を示す図である。
【0027】
図3】一実施形態によるバッテリー管理システムにおいて充電サイクルでの基本充電電流の一例を示す図である。
【0028】
図4】一実施形態によるバッテリー管理システムにおける充電制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0029】
図5】他の実施形態によるバッテリー管理システムにおける充電制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0030】
図6】他の実施形態によるバッテリー管理システムにおける充電制御方法による充電電流の変化の一例を示す図である。
【0031】
図7】また他の実施形態によるバッテリー管理システムにおける充電制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0032】
図8】他の実施形態によるバッテリー管理システムにおける充電制御方法による電圧変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。そして図面で本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分については類似の図面符号を付けた。
【0034】
ある構成要素が他の構成要素に"連結されて"いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に"直接連結されて"いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0035】
以下の説明で単数として記載された表現は"一つ"または"単一"などの明示的な表現を使用しない以上、単数または複数に解釈できる。
【0036】
図面を参照して説明したフローチャートにおいて、動作順序は変更可能であり、様々な動作が併合されるか、ある動作が分割されてもよく、特定動作は行われなくてもよい。
【0037】
図1は一実施形態によるバッテリー装置の一例を示す図であり、図2は一実施形態によるバッテリー管理システムにおいて充電サイクルでの電圧上限値の一例を示す図であり、図3は一実施形態によるバッテリー管理システムにおいて充電サイクルでの基本充電電流の一例を示す図である。
【0038】
図1を参照すれば、バッテリー装置100は、外部装置に電気的に連結される構造を有する。外部装置が負荷である場合、バッテリー装置100は負荷に電力を供給する電源として動作して放電される。外部装置が充電器10である場合、バッテリー装置100は充電器を通じて外部電力の供給を受けて充電される。負荷として動作する外部装置は例えば、電子装置、移動手段またはエネルギー貯蔵システム(energy storage system、ESS)であってもよく、移動手段は例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車またはスマートモビリティー(smart mobility)などの車両であってもよい。
【0039】
バッテリー装置100は、バッテリーパック110およびバッテリー管理システム120を含む。
【0040】
バッテリーパック110は、複数のバッテリーセル(図示せず)を含む。一実施形態で、バッテリーセルは充電可能な二次電池であってもよい。一実施形態で、バッテリーパック110において所定個数のバッテリーセルが直列連結されてバッテリーモジュールを構成して所望の電力を供給することができる。一実施形態で、バッテリーパック110において所定個数のバッテリーモジュールが直列または並列連結されて所望の電力を供給することができる。
【0041】
バッテリー管理システム(battery management system、BMS)120は、バッテリーパック110をモニタリングし、バッテリーパック110の充電時にバッテリーパック110のモニタリング結果に基づいてバッテリーパック110の充電電流を制御する。一実施形態で、バッテリー管理システム120は、モニタリング回路121、プロセッサー122、および充電電流制御回路123を含むことができる。
【0042】
モニタリング回路121は、バッテリーパック110の電圧をモニタリングする電圧測定回路を含むことができる。一実施形態で、モニタリング回路121は、バッテリーパック110の温度を測定する温度センサーをさらに含むことができる。一実施形態で、モニタリング回路121は、バッテリーパック110の電流、即ち、充電電流または放電電流を測定する電流センサーをさらに含むことができる。
【0043】
プロセッサー122は、モニタリング回路121でモニタリングされたバッテリーパック110の電圧に基づいてバッテリーパック110の充電電流の大きさを決定することができる。プロセッサー122は、モニタリング回路121にモニタリングされた情報に基づいてバッテリーパック110の充電状態(state of charge、SOC)を計算することができる。充電電流制御回路123は、プロセッサー122で決定された充電電流の大きさに基づいてバッテリーパック110の充電電流を制御することができる。即ち、充電電流制御回路123は、バッテリー装置100に連結された充電器10からバッテリーパック110に供給される充電電流がプロセッサー122で決定された大きさになるように充電電流を制御することができる。
【0044】
図2および図3を参照すれば、バッテリーパック110の充電サイクルはSOCによって複数の区間に分けられる。図2に示したように、充電サイクルの各区間には電圧上限値210が設定されている。電圧上限値210はSOCに比例するように設定できる。一実施形態で、電圧上限値210はバッテリーセルの退化を最少化することができる値に設定でき、例えば、実験などによって予め決定できる。一実施形態で、同一な区間内での電圧上限値210は同一に設定できる。例えば、第1区間での電圧上限値210が第1区間より高いSOCに該当する第2区間での電圧上限値210より低く設定できる。図2ではSOCの8%~80%区間で電圧上限値210が設定されていると示されているが、図示していない区間でも電圧上限値210が設定できる。
【0045】
図3に示したように、充電サイクルの各区間には基本充電電流310が設定されている。一実施形態で、基本充電電流310はBOLでの充電電流であってもよい。基本充電電流310の大きさはSOCに反比例するように設定できる。一実施形態で、同一な区間内での基本充電電流310の大きさは同一に設定できる。例えば、第1区間での基本充電電流310が第1区間より高いSOCに該当する第2区間での基本充電電流310より大きく設定できる。
【0046】
一実施形態で、バッテリー管理システム120は、プロセッサー122で使用されるデータを保存するメモリ124をさらに含むことができる。一実施形態で、メモリ124は、充電サイクルの各区間での電圧上限値と基本充電電流の大きさを保存することができる。一実施形態で、メモリ124は、充電電流を制御する制御値(例えば、ディレーティング係数(derating factor))を保存することができる。
【0047】
図4は、一実施形態によるバッテリー管理システムにおける充電制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0048】
図4を参照すれば、バッテリー装置に充電器が連結されてバッテリーパック(例えば、図1の110)を充電する充電サイクルが開始される。バッテリー管理システム(例えば、プロセッサー(例えば、図1の122))はディレーティング係数(現在ディレーティング係数)に基づいてバッテリーパック110の充電に使用される充電電流を決定する(S410)。プロセッサー122は、ディレーティング係数を基本充電電流に反映してバッテリーパック110の充電に使用される充電電流を決定することができる(S410)。一実施形態で、プロセッサー122は、ディレーティング係数を基本充電電流にかけた値を充電電流と決定することができる(S410)。一実施形態で、ディレーティング係数は、バッテリーパック110の初期状態(beginning of life、BOL)で基本値(例えば、1)に設定され、充電サイクルが繰り返されることによって更新できる。一実施形態で、ディレーティング係数は、充電サイクルの区間ごとに別途に設定できる。一実施形態で、ディレーティング係数は、充電サイクルの複数の区間で同一に設定できる。
【0049】
充電が行われるにつれて、バッテリー管理システムはバッテリーパック110の電圧を測定する(S420)。一実施形態で、バッテリー管理システムのモニタリング回路(例えば、図1の121)がバッテリーパック110の電圧をモニタリングし、プロセッサー122がモニタリング回路121のモニタリング結果に基づいてバッテリーパック110の電圧を測定することができる。
【0050】
プロセッサー122は、充電サイクルの各区間で測定したバッテリーパック110の電圧と該当区間での電圧上限値を比較する(S430)。プロセッサー122は、各区間でのバッテリーパック110の電圧と該当区間での電圧上限値の比較結果に基づいてディレーティング係数を決定する(S440)。決定されたディレーティング係数は次の充電サイクルで充電電流を決定することに使用できる(S410)。一実施形態で、各区間でのバッテリーパック110の電圧と該当区間での電圧上限値の比較結果に基づいて、充電サイクル全体のディレーティング係数が更新できる。一実施形態で、各区間でのバッテリーパック110の電圧と該当区間での電圧上限値の比較結果に基づいて、充電サイクルの複数の区間のうちの少なくとも一部区間のディレーティング係数が更新できる。一実施形態で、各区間でのバッテリーパック110の電圧と該当区間での電圧上限値の比較結果に基づいて、ディレーティング係数が更新されず維持できる。
【0051】
以上で説明した実施形態によれば、バッテリーセルが退化するにつれて充電中バッテリーパック110の電圧が上昇するので、ディレーティング係数がバッテリーセルの退化状態によって決定できる。これにより、バッテリーセルの退化状態によって充電電流を調節することができるので、充電時間が過度に増加しないながらバッテリーセルの退化も最少化することができる。
【0052】
図5は他の実施形態によるバッテリー管理システムにおける充電制御方法の一例を示すフローチャートであり、図6は他の実施形態によるバッテリー管理システムにおける充電制御方法による充電電流の変化の一例を示す図である。
【0053】
図5を参照すれば、バッテリー装置に充電器が連結されてバッテリーパック(例えば、図1の110)を充電する充電サイクルが開始される。バッテリー管理システム(例えば、プロセッサー(例えば、図1の122))は、ディレーティング係数(現在ディレーティング係数)に基づいて充電サイクルの各区間での充電電流を決定する(S510)。プロセッサー122はバッテリー管理システムはディレーティング係数を基本充電電流に反映して充電サイクルの各区間での充電電流を決定することができる(S510)。ディレーティング係数は、充電サイクルの複数の区間で同一に設定されている。一実施形態で、バッテリー管理システムは、各区間の基本充電電流に該当ディレーティング係数をかけた値を該当区間での充電電流と決定することができる。一実施形態で、ディレーティング係数はバッテリーパック110のBOLで基本値(例えば、1)に設定され、充電サイクルが繰り返されるにつれて更新できる。
【0054】
充電が行われるにつれて、バッテリー管理システムはバッテリーパック110の電圧を測定する(S520)。一実施形態で、バッテリー管理システムのモニタリング回路(例えば、図1の121)がバッテリーパック110の電圧をモニタリングし、プロセッサー(例えば、図1の122)がモニタリング回路121のモニタリング結果に基づいてバッテリーパック110の電圧を測定することができる。
【0055】
プロセッサー122は、充電サイクルの各区間で測定したバッテリーパック110の電圧と該当区間での電圧上限値を比較する(S530)。プロセッサー122は 、充電サイクルの複数の区間のうちのバッテリーパック110の電圧が電圧上限値を超えた区間の数を指示するペナルティ値を計算する(S540)。一実施形態で、プロセッサー122は、ある区間でのバッテリーパック110の電圧が該当区間での電圧上限値を超える場合、カウンターを1増加させ、充電サイクルの複数の区間が終了した後にカウンター値をペナルティ値と決定することができる。
【0056】
プロセッサー122は、ペナルティ値を臨界値と比較する(S550)。ペナルティ値が臨界値を超える場合、プロセッサー122はディレーティング係数を更新する(S560)。一実施形態で、プロセッサー122は、ディレーティング係数を減少させてディレーティング係数を更新することができる。一実施形態で、プロセッサー122は、更新したディレーティング係数をメモリ(例えば、図1の124)に保存することができる。ペナルティ値が臨界値を超えない場合、プロセッサー122はディレーティング係数を更新せず維持する(S570)。
【0057】
これにより、次のサイクルではメモリ124に保存されたディレーティング係数に基づいて充電電流が決定できる。バッテリーパック110の電圧が電圧上限値を頻繁に超えた場合(即ち、ペナルティ値が臨界値より大きい場合)、ディレーティング係数の減少によって次の充電サイクルで充電電流を減らすことができる。例えば、図6に示したように、ディレーティング係数の減少によって、現在充電サイクルでの充電電流610より次の充電サイクルでの充電電流620が減少できる。この場合、全体区間で減少したディレーティング係数が使用されるので、全体区間で充電電流が減少できる。
【0058】
以上で説明した実施形態によれば、バッテリーセルが退化するにつれて充電中バッテリーパック110の電圧が上昇するので、ディレーティング係数がバッテリーセルの退化状態によって決定できる。これにより、バッテリーセルの退化状態によって充電電流を調節することができるので、充電時間が過度に増加しないながらバッテリーセルの退化も最少化することができる。
【0059】
図7は他の実施形態によるバッテリー管理システムにおける充電制御方法の一例を示すフローチャートであり、図8は他の実施形態によるバッテリー管理システムにおける充電制御方法による電圧変化の一例を示す図である。
【0060】
図7を参照すれば、バッテリー装置に充電器が連結されてバッテリーパック(例えば、図1の110)を充電する充電サイクルが開始される。バッテリー管理システム(例えば、プロセッサー(例えば、図1の122))はディレーティング係数(現在ディレーティング係数)に基づいて充電サイクルの各区間での充電電流を決定する(S710)。プロセッサー122は、充電サイクルの各区間での基本充電電流に該当する区間のディレーティング係数を反映して各区間での充電電流を決定することができる(S710)。充電サイクルの複数の区間でディレーティング係数が個別的に設定される。一実施形態で、バッテリー管理システムは、各区間の基本充電電流に該当区間でのディレーティング係数をかけた値を該当区間での充電電流と決定することができる。一実施形態で、ディレーティング係数はバッテリーパック110のBOLで基本値(例えば、1)と設定され、充電サイクルが繰り返されるにつれて更新できる。
【0061】
充電が行われるにつれて、バッテリー管理システムはバッテリーパック110の電圧を測定する(S720)。一実施形態で、バッテリー管理システムのモニタリング回路(例えば、図1の121)がバッテリーパック110の電圧をモニタリングし、プロセッサー(例えば、図1の122)がモニタリング回路121のモニタリング結果に基づいてバッテリーパック110の電圧を測定することができる。
【0062】
プロセッサー122は、充電サイクルの各区間で測定したバッテリーパック110の電圧と該当区間での電圧上限値を比較する(S730)。一実施形態で、プロセッサー122は、各区間での比較結果に基づいて該当区間のディレーティング係数を更新することができる(S740、S750)。ある区間で、該当区間で測定したバッテリーパック110の電圧が該当区間での電圧上限値を超える場合、プロセッサー122は該当区間のディレーティング係数を減少させてディレーティング係数を更新することができる(S740)。ある区間で、該当区間で測定したバッテリーパック110の電圧が該当区間での電圧上限値を超えない場合、プロセッサー122は該当区間のディレーティング係数を増加させてディレーティング係数を更新することができる(S750)。プロセッサー122は、このような過程を通じて充電サイクルの複数の区間のディレーティング係数を更新することができる(S760)。一実施形態で、プロセッサー122は更新したディレーティング係数をメモリ(例えば、図1の124)に保存することができる。一実施形態で、ある区間で測定したバッテリーパック110の電圧が該当区間での電圧上限値を超えない場合、プロセッサー122は該当区間のディレーティング係数を維持することができる(S750)。
【0063】
これにより、次のサイクルでは、メモリ124に保存されたディレーティング係数に基づいて充電電流が決定できる。バッテリーパック110の電圧が電圧上限値を超える区間ではディレーティング係数の減少によって次の充電サイクルで充電電流を減少させ、バッテリーパック110の電圧が電圧上限値を超えない区間ではディレーティング係数の増加によって次の充電サイクルで充電電流を増加させることができる。これにより、図8に示したように、ディレーティング係数810が区間別に設定され、充電中バッテリーパック110の電圧820が電圧上限値830を追従することができる。
【0064】
以上で説明した実施形態によれば、バッテリーセルが退化するにつれて充電中バッテリーパック110の電圧が上昇するので、ディレーティング係数がバッテリーセルの退化状態によって決定できる。これにより、バッテリーセルの退化状態によって充電電流を調節することができるので、充電時間が過度に増加しないながらバッテリーセルの退化も最少化することができる。また、バッテリーパック110の電圧が電圧上限値を追従することができる最適のディレーティング係数(即ち、充電電流)を決定することができる。
【0065】
一実施形態で、プロセッサー(例えば、図1の122)は前述の充電方法を実行するためのプログラムに対する演算を行うことができる。充電方法を実行するためのプログラムがメモリにロードできる。このようなメモリは、テーブルを保存するメモリ(例えば、図1の124)と同一なメモリであるか、別途のメモリであってもよい。プログラムは、メモリにロードされる時、プロセッサー122が充電方法を行うようにする命令語を含むことができる。即ち、プロセッサーは、プログラムの命令語を実行することによって充電方法のための動作を行うことができる。
【0066】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】