(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】LiFiモジュール、LiFiモジュールを含むモバイルデバイス、及びユーザデバイスのハンドオーバを開始する方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/114 20130101AFI20240829BHJP
【FI】
H04B10/114
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513131
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022073484
(87)【国際公開番号】W WO2023025803
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/115009
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】タオ ハイミン
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA28
5K102AL23
5K102AL28
5K102MH14
5K102MH22
5K102RD02
5K102RD28
(57)【要約】
Wi-Fi接続及びLi-Fi接続の両方をサポートするWiFi通信モジュールに動作可能に接続するためのLiFiモジュールが開示される。LiFiモジュールは、光フロントエンド(OFE)と、OFEをWiFi通信モジュールに通信可能に接続するための接続回路とを含む。接続回路は、LiFi信号強度ディテクタに電気的に接続され、LiFi信号強度ディテクタの制御下で、OFEとWiFi通信モジュールとの間の接続をイネーブル又はディスエーブルにするように構成されるスイッチング要素と、スイッチング要素及びOFEの受信経路に電気的に接続され、OFEの受信経路で受ける光信号の強度を検出する及び光信号の検出強度に基づいてスイッチング要素を制御するように構成されるLiFi信号強度ディテクタとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Wi-Fi接続及びLi-Fi接続の両方をサポートするWiFi通信モジュールに動作可能に接続するためのLiFiモジュールであって、当該LiFiモジュールは、光媒体を介してデータを送信及び受信するための光フロントエンド(OFE)と、前記OFEを前記WiFi通信モジュールに通信可能に接続するための接続回路とを含み、前記接続回路は、
前記OFEと前記WiFi通信モジュールとの間の接続をイネーブル又はディスエーブルにするように構成される第1のスイッチ、及び前記WiFi通信モジュールと無線周波数(RF)アンテナとの間の接続をイネーブル又はディスエーブルにするように構成される第2のスイッチを含むスイッチング要素と、
前記スイッチング要素及び前記OFEの受信経路に電気的に接続され、前記OFEの前記受信経路で受ける光信号の検出強度に基づいて前記スイッチング要素を制御するように構成されるLiFi信号強度ディテクタと、
を含み、
前記第1のスイッチの制御端子は、前記LiFi信号強度ディテクタの第1の出力端子に接続され、前記第2のスイッチの制御端子は、前記LiFi信号強度ディテクタの第2の出力端子に接続される、LiFiモジュール。
【請求項2】
前記LiFi信号強度ディテクタは、前記光信号の検出強度が閾値よりも低い場合、第2の出力信号でイネーブリング信号を出力し、遅延期間後に第1の出力端子でディスエーブリング信号を出力するように構成され、
前記第1のスイッチは、受ける前記ディスエーブリング信号に応答して、前記OFEと前記WiFi通信モジュールとの間の接続をディスエーブルにするように構成され、
前記第2のスイッチは、受ける前記イネーブリング信号に応答して、前記WiFi通信モジュールとRFアンテナとの間の接続をイネーブルにするように構成される、請求項1に記載のLiFiモジュール。
【請求項3】
前記LiFi信号強度ディテクタは、前記光信号の検出強度が閾値よりも高い場合、第1の出力端子でイネーブリング信号を出力し、遅延期間後に第2の出力信号でディスエーブリング信号を出力するように構成され、
前記第1のスイッチは、受ける前記イネーブリング信号に応答して、前記OFEと前記WiFi通信モジュールとの間の接続をイネーブルにするように構成され、
前記第2のスイッチは、受ける前記ディスエーブリング信号に応答して、前記WiFi通信モジュールとRFアンテナとの間の接続をディスエーブルにする及び前記WiFi通信モジュールとターミネータとの間の接続をイネーブルにするように構成される、請求項1に記載のLiFiモジュール。
【請求項4】
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは、単極双投スイッチである、請求項1又は2に記載のLiFiモジュール。
【請求項5】
当該LiFiモジュールは、前記OFEと接続モジュールの前記第1のスイッチとの間に接続され、RFバンドとLiFi光ベースバンドとの間で周波数変換を行うように構成されるRF-LiFiコンバータを含む、請求項1又は2に記載のLiFiモジュール。
【請求項6】
当該LiFiモジュールは、前記RF-LiFiコンバータと接続モジュールの前記第1のスイッチとの間に接続され、前記WiFi通信モジュールからの送信信号及び受信信号を分けるように構成される第3のスイッチを含む、請求項5に記載のLiFiモジュール。
【請求項7】
同じLANに接続されるWiFiネットワーク及びLiFiネットワークの両方にネットワークサービスを提供するためのワイヤレス通信モジュールであって、当該ワイヤレス通信モジュールは、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のLiFiモジュールと、前記LiFiモジュールに動作可能に接続され、WiFi接続及びLiFi接続の両方をサポートするWiFi通信モジュールとを含み、前記WiFi通信モジュールは、第1の接続ポート及び第2の接続ポートを含み、前記LiFiモジュールのLiFi信号強度ディテクタの制御下で、前記第2の接続ポートは、RFアンテナとターミネータとの間でスイッチングされ、前記第1の接続ポートは、前記LiFiモジュールのOFEと第2のRFアンテナ又はターミネータとの間でスイッチングされる、ワイヤレス通信モジュール。
【請求項8】
いずれもユーザデバイスに接続可能であり、いずれも同じローカルエリアネットワークに接続されるWiFiネットワーク及びLiFiネットワーク間で前記ユーザデバイスのハンドオーバを開始する方法であって、前記ユーザデバイスは、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のLiFiモジュールを含み、前記ユーザデバイスはさらに、2つの接続ポートでそれぞれWiFi接続及びLiFi接続をサポートするWiFi通信モジュールを含み、当該方法は、前記ユーザデバイスの前記WiFi通信モジュールの制御ソフトウェアルートによって実行され、
前記WiFi通信モジュールの前記接続ポートの1つで状態変化を検出するステップと、
ローミングプロシージャを使用して前記WiFiネットワーク及び前記LiFiネットワーク間でハンドオーバを開始するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記ユーザデバイスは、前記LiFiネットワークに接続され、
前記検出するステップは、WiFiビーコンメッセージが前記WiFi通信モジュールの第2の接続ポートで受信されるのを検出することを含み、
前記開始するステップは、前記LiFiネットワークから前記WiFiネットワークへのハンドオーバを開始することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
WiFiビーコンメッセージは、前記LiFiモジュールのLiFi信号強度ディテクタの第2の出力端子からの第2のスイッチの制御端子で受けるイネーブリング信号に応答して、前記WiFi通信モジュールの第2の接続ポートとRFアンテナとの間の接続がイネーブルにされる結果として前記WiFi通信モジュールの第2の接続ポートで受信される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
インジケータが、前記WiFiネットワークと前記LiFiネットワークを区別するために前記WiFiビーコンメッセージに含まれる、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記ユーザデバイスは、前記WiFiネットワークに接続され、
前記検出するステップは、LiFiビーコンメッセージが前記WiFi通信モジュールの第1の接続ポートで受信されるのを検出することを含み、
前記開始するステップは、前記WiFiネットワークから前記LiFiネットワークへのハンドオーバを開始することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
LiFiビーコンメッセージは、前記LiFiモジュールのLiFi信号強度ディテクタの第1の出力端子からの第1のスイッチの制御端子で受けるイネーブリング信号に応答して、前記WiFi通信モジュールの第1の接続ポートと前記OFEとの間の接続がイネーブルにされる結果として前記WiFi通信モジュールの第1の接続ポートで受信される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
インジケータが、前記WiFiネットワークと前記LiFiネットワークを区別するためにLiFiメッセージに含まれる、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのプロセッサで実行された場合、前記少なくとも1つのプロセッサに請求項8乃至14のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体を含む、コンピュータプログラムプロダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ワイヤレス通信の分野に関し、より具体的には、LiFiモジュール、LiFiモジュールを含むモバイルデバイス、及びユーザデバイスのハンドオーバを開始する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、インターネットに接続するデバイスはますます増えており、そのほとんどがワイヤレスである。このため、無線周波数(RF:Radio Frequency)技術を利用する従来のワイヤレス通信技術は大きなプレッシャーにさらされている。理由は2つある。まず、RFスペクトルがかなり混雑してきていること、その上、RFワイヤレス通信が許可されない又はうまくフィットしないエリアがあることである。
【0003】
最近開発されたLiFi技術は、光を利用して、例えば、可視光、紫外、及び赤外スペクトル等を介して、デバイス間でデータを送信又は通信するワイヤレス通信技術である。
【0004】
ワイヤレスLiFi通信は、様々な面でワイヤレスRF通信よりも有利であり得る。例えば、LiFiで使用される光スペクトルは、RFスペクトルに比べてはるかに広く、より高いデータレートを提供し、航空機等の電磁干渉の影響を受けやすいエリアでも使用可能である。さらに、光を介す通信(communication over light)は、可視/不可視光スペクトルの帯域幅がほぼ無制限であることに起因して、RFよりも大幅に高いデータ密度をサポートする。
【0005】
一方、LiFi通信は、光が壁等を透過できないため、カバレッジが限られる。さらに、現在入手可能なデバイスの大半は、WiFi(登録商標)ネットワーキングのためだけのハードウェアを使用するため、LiFi技術と互換性がない。
【0006】
以上のことから、WiFi及びLiFiの両技術を併用し、ユーザが、WiFi通信及びLiFi通信の両方の利点を体験することを可能にすることがより望ましい。
【0007】
WiFi及びLiFiを同時に使用するための提案されているソリューションは、WiFi及びLiFiの両方のネットワークインターフェースを利用する、又はMIMOチップを利用し、RF及びLiFiの両方の信号経路を介して信号を送るために、上位レイヤ、すなわち、TCP/IPレイヤでコンバイナを必要とする。このようなソリューションは、MIMO技術及びRF周波数と光周波数の混合使用により2つのデバイス間の通信を扱う。
【0008】
別の従来のソリューションでは、LiFiモジュールは、WiFiチップの一体部分として設計され、WiFiネットワークとLiFiネットワークの選択を行うために必要とされる信号は、MACレイヤから来る。この信号は、デジタル領域からのものであり、WiFiチップ内で計算される受信信号強度インジケータ(RSSI:Received Signal Strength Indicator)に基づく。このMAC信号を利用するために、光フロントエンド(OFE:Optical Front End)及びWiFiチップ間の追加の接続が必要とされる。
【0009】
別の既知のシステムによれば、アクセスポイント(AP:Access Point)がWiFi及びLiFiの両方を接続することができ、ユーザ端末デバイスも同様である。この場合、LiFiネットワーク及びWiFiネットワーク間のハンドオーバは同じネットワーク内で起こり、あるLiFi APから別のWiFi AP、又はその逆のローミング又はハンドオーバはない。このハンドオーバは、物理(PHY:physical)層ハンドオーバのみを伴うので、AP内ハンドオーバ(Intra-AP handover)と呼ばれることがある。
【0010】
最近の開発では、LiFiを既存のWiFiネットワークと組み合わせる可能性を可能にする、802.11 WiFiベースのLiFiシステムが提案されている。LiFi通信にWiFiチップを使用する利点としては、豊富なWiFiネットワーク管理及びセキュリティプロトコル及びリソースの再利用が挙げられる。
【0011】
利便性を考慮して、うまく設計されたWiFiベースのLiFiシステムは、高速ローミング等の既存のメカニズムも再利用されることができるように、LiFiフロントエンドが、上位レイヤのWiFiプロトコルに対してトランスペアレントなままである(remain transparent)ことを可能にする。このようにして、LiFiネットワークは、例えば建物において、既存のWiFiネットワークとともに、ワイヤレスアクセスネットワークの一体部分となる。
【0012】
US2020/195342A1は、Wi-Fiデバイス及びアナログフロントエンドを含むWLAN Li-Fiトランシーバを開示している。段落101及び102は、MACコントローラ420が、Li-Fi信号品質が許容できない場合、Li-Fiを介することに代えてWi-Fiを介して通信するようにWLANトランシーバを構成することを開示している。MACコントローラ420は、Wi-Fi RFモジュール408とRF/Li-Fiコンバータ412との間を切断する、及びWi-Fi RFモジュール408とWi-Fiアンテナインターフェース416との間を接続するための選択信号424を生成する。
【0013】
SANUSI JAAFARU等の「Handover in hybrid LiFi and WiFi networks」(2019-12-10)は、LiFi/WiFiネットワークにおけるハイブリッドハンドオーバのオーバービューコンセプトを提供している。これは、ソフトハンドオーバの概念を開示し、RSSIを含む様々なQoSパラメータがハイブリッドハンドオーバにおいて考慮される。
【0014】
ASHIMBAYEVA AIGERIM等の「Hard and soft switching for indoor hybrid VLC/RF systems」(2017-09-20)は、ハイブリッドVLC/RFシステムのためのハードスイッチング(HS:hard switching)及びソフトスイッチング(SS:soft switching)方法の分析に専念している。これは、VLCリンクとRFリンクとの間で電力が最適に共有される場合、SSがHSよりも優れている(outperform)ことを実証している。
【0015】
図1は、LiFiネットワーク及びWiFiネットワークの両方を用いて展開される通信システム10を概略的に示している。通信システム10は、LANスイッチ11と、LANスイッチ11に接続される、WiFiアクセスポイント(AP)12、並びに2つのLiFi AP13及び14とを含む、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)であってもよい。LiFi AP 13及び14は、それぞれ、実線の三角形で示されるカバレッジエリア15及び16を有し、WiFi APは、破線の三角形で示されるカバレッジエリア17を有する。
【0016】
図1から分かるように、LiFi APは比較的小さなカバレッジエリア15及び16を有し、それゆえ、2つのLiFi APのカバレッジエリアの間にブラインドスポット(blind spot)が存在する可能性がある。対照的に、商業建物に広く存在するWiFi信号は、より広いカバレッジ17を達成することができるが、WiFiのスループットは、干渉に起因してLiFiよりも大幅に遅くなる可能性がある。
【0017】
上記の事実に起因して、
図1に示されるようなネットワーク環境で動作するユーザデバイスは、折に触れてWiFiネットワーク及びLiFiネットワーク間でハンドオーバする必要があり得る。オフィス環境において、ユーザは、オンライン会議中にある部屋から別の部屋に移動する必要があり得る。LiFiネットワークの場合、ユーザがブラインドエリアに入る又は通過する場合、接続リンクが一時的に失われる可能性がある。LiFi APから切断し、WiFi APに接続するのに数秒かかることがあり、これは、悪いユーザ体験をもたらすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
それゆえ、WiFiベースのLiFiネットワークにおけるユーザ体験を向上させるためにLiFi及びWiFiネットワーク間のシームレスなハンドオーバの方法が真に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本開示の第1の態様では、Wi-Fi接続及びLi-Fi接続の両方をサポートするWiFi通信モジュールに動作可能に接続するためのLiFiモジュールであって、当該LiFiモジュールは、光媒体(optical medium)を介してデータを送信及び受信するための光フロントエンド(OFE)と、OFEをWiFi通信モジュールに通信可能に接続するための接続回路とを含み、接続回路は、
LiFi信号強度ディテクタ(LiFi signal strength detector)に電気的に接続され、LiFi信号強度ディテクタの制御下で、OFEとWiFi通信モジュールとの間の接続をイネーブル又はディスエーブルにするように構成されるスイッチング要素と、
スイッチング要素及びOFEの受信経路に電気的に接続され、OFEの受信経路で受ける光信号(optical signal)の強度を検出する及び光信号の検出強度(detected strength)に基づいてスイッチング要素を制御するように構成されるLiFi信号強度ディテクタと、
を含む、LiFiモジュールが提示される。
【0020】
本開示は、デュアルアンテナ接続をサポートするWiFi通信モジュールとともに動作するLiFiモジュールを利用することにより、データ通信に1つのワイヤレスリンクのみを使用することで、LiFiネットワークとWiFiネットワークとの間のシームレスな移行が実現され得るという洞察に基づく。
【0021】
LiFiモジュールをWiFi通信モジュールに接続するためのLiFiモジュールの接続回路は、LiFi信号強度ディテクタ、又は単に信号強度ディテクタの制御下で動作し、LiFi信号強度ディテクタによって検出される光信号の強度に基づいて、LiFiモジュールのOFEとWiFi通信モジュールとの間の接続をイネーブル又はディスエーブルにする、スイッチング要素を含む。これにより、LiFiモジュールのLiFi信号強度ディテクタによって検出される光信号の強度によって示されるLiFiネットワークの可用性(availability)に依存して、LiFiネットワークとWiFiネットワークとの間のシームレスなハンドオーバが実現される。
【0022】
データ通信のために同時にWiFi及びLiFi接続をイネーブルにすることに依拠し、それゆえ、RF及び光データ経路と2つのベースバンドチップを組み合わせるためにTCP/IP層で複雑なプロトコルを必要とする従来技術と比較して、本開示のLiFiモジュールは、回路設計の観点で単純なままであり、既存のTCP/IPプロトコルの変更の必要がない。
【0023】
WiFiネットワークとLiFiネットワークとの選択を行うために必要な信号がMAC層から到来し、それゆえ、OFEとWiFiチップとの間の余分な接続を必要とする従来技術と比較して、本開示で使用される光信号は、OFE内部でローカルに生成されるアナログ信号である。その結果、LiFiモジュール通信はWiFiモジュールから完全に独立したままであり、これにより、LiFiモジュールは「ユニバーサル(universal)」であり、すなわち、LiFiモジュールは、デュアルアンテナ接続をサポートする標準的な市販の(off-the-shelf)WiFi通信モジュールと余分なコネクタなしで動作することができる。
【0024】
本開示の一例において、スイッチング要素は、第1のスイッチ及び第2のスイッチを含み、第1のスイッチの制御端子は、LiFi信号強度ディテクタの第1の出力端子に接続され、第2のスイッチの制御端子は、LiFi信号強度ディテクタの第2の出力端子に接続される。
【0025】
光信号を検出するためのLiFi信号強度ディテクタは、2つのスイッチを別個に制御するための2つの制御信号を出力する。2つのスイッチは、一方のネットワークとの接続が、他方のネットワークとの接続が切れる前に確立されることを意味し、これにより、接続の中断を防止する、いわゆる「メイクビフォワブレーク(make before break)」様式でスムーズな移行を確実にするように動作する。
【0026】
本開示の一例において、信号強度ディテクタは、光信号の検出強度が閾値よりも低い場合、自身の第2の出力信号でイネーブリング信号(enabling signal)を出力し、遅延期間後に自身の第1の出力端子でディスエーブリング信号(disabling signal)を出力するように構成され、第1のスイッチは、LiFi信号強度ディテクタの第1の出力端子からの自身の制御端子で受けるディスエーブリング信号に応答して、OFEとWiFi通信モジュールとの間の接続をディスエーブルにする(disable)ように構成され、第2のスイッチは、LiFi信号強度ディテクタの第2の出力端子からの自身の制御端子で受けるイネーブリング信号に応答して、WiFi通信モジュールと無線周波数(RF)アンテナとの間の接続をイネーブルにする(enable)ように構成される。
【0027】
光信号の検出強度が、ユーザがLiFiカバレッジのエッジ(edge)近くにいることを示す閾値よりも低い場合、WiFiネットワークのRFアンテナが、第2のスイッチによってイネーブルにされる。このようにして、WiFi通信モジュールは、例えば、RFアンテナのカバレッジエリア内のWiFiアクセスポイント(AP)を通じて、WiFiネットワークに接続する準備をし、高速ローミングの準備をすることができる。
【0028】
実際には、第1のスイッチは、OFEとWiFi通信モジュールとの間の接続をわずかに遅れてディスエーブルにするように動作し、これにより、WiFiネットワークとLiFiネットワークとの間にある量の「オーバーラップ(overlap)」時間が確保される。これにより、「メイクアンドブレーク(make and break)」方式で、LiFiネットワークが切断される前にWiFiネットワークが接続されることを確実にし、これにより、LiFiネットワークからWiFiネットワークへのスムーズな移行が可能になる。
【0029】
さらに、OFEとWiFi通信モジュールとの間の接続がディスエーブルにされる場合、第1のスイッチはさらに、WiFi通信モジュールとさらなるRFアンテナとの間の接続をイネーブルにするように構成されてもよい。
【0030】
それゆえ、WiFi通信モジュールは、同じ又は異なる周波数で動作する、2つのアンテナに接続され、これにより、より多くの通信リソースが可能になる。
【0031】
当業者であれば、第1のスイッチによって制御されるWiFi通信モジュールへの接続をディスエーブルにするために、WiFi通信モジュールを50オーム(Ohm)ターミネータ等の負荷に接続することも可能であることを企図することができる。
【0032】
本開示の一例において、LiFi信号強度ディテクタは、光信号の検出強度が閾値よりも高い場合、自身の第1の出力端子でイネーブリング信号を出力し、遅延期間後に自身の第2の出力信号でディスエーブリング信号を出力するように構成され、第1のスイッチは、LiFi信号強度ディテクタの第1の出力端子からの自身の制御端子で受けるイネーブリング信号に応答して、OFEとWiFi通信モジュールとの間の接続をイネーブルにするように構成され、第2のスイッチは、LiFi信号強度ディテクタの第2の出力端子からの自身の制御端子で受けるディスエーブリング信号に応答して、WiFi通信モジュールとRFアンテナとの間の接続をディスエーブルにする及びWiFi通信モジュールと50オームターミネータとの間の接続をイネーブルにするように構成される。
【0033】
これは、WiFiネットワークからLiFiネットワークへのハンドオーバのシナリオに関する。ユーザがLiFiカバレッジエリアに入る場合、光信号の検出強度は、閾値より高くなる。それゆえ、信号強度ディテクタは、第1のスイッチに制御信号を出力し、OFEとWiFi通信モジュールとの間の接続をイネーブルにする。第2のスイッチも、遅れてWiFi通信モジュールからRFアンテナを切断するように信号強度ディテクタによって制御される。
【0034】
これにより、LiFi及びWiFiネットワーク間のスムーズなハンドオーバ並びにシームレスなコネクティビティが、WiFi及びLiFi接続の両方をサポートするWiFi通信モジュールと共に動作するLiFiモジュールを通じて実現される。
【0035】
本開示のさらなる例において、第1のスイッチ及び第2のスイッチは、単極双投スイッチ(single pole double throw switch)である。
【0036】
これらの容易に入手可能なスイッチは、LiFiモジュールの接続回路を実装するために便利に使用されることができる。LiFiモジュールのコストは低く抑えられ、実装はシンプルである。
【0037】
本開示の一例において、LiFiモジュールはさらに、OFEと接続モジュールの第1のスイッチとの間に接続され、RFバンド(RF band)とLiFi光ベースバンド(LiFi optical baseband)との間で周波数変換を行うように構成されるRF-LiFiコンバータを含む。
【0038】
RF-LiFiコンバータは、WiFi通信モジュールの接続ポートで例えば2.4G、5GHzのRF信号を光ベースバンド周波数にアップコンバート又はダウンコンバートし、その後OFEとインターフェースされる。
【0039】
本開示の一例において、第3のスイッチが、RF-LiFiコンバータと接続モジュールの第1のスイッチとの間に接続され、WiFi通信モジュールからの送信信号及び受信信号を分ける(separate)ように構成される。
【0040】
OFE通信モジュールは全二重(full-duplex)で動作し、WiFi通信モジュールは半二重(half-duplex)で動作するため、第3のスイッチは、TX経路のRF信号を検出することによりWiFi通信モジュールからのTX信号及びRX信号を分けるようにRFディテクタとともに機能する。
【0041】
本開示の第2の態様は、同じLANに接続されるWiFiネットワーク及びLiFiネットワークの両方にネットワークサービスを提供するためのワイヤレス通信モジュールであって、当該ワイヤレス通信モジュールは、本開示の第1の態様によるLiFiモジュールと、LiFiモジュールに動作可能に接続され、WiFi接続及びLiFi接続の両方をサポートするWiFi通信モジュールとを含む、ワイヤレス通信モジュールを提供する。WiFi通信モジュールは、第1の接続ポート及び第2のポートを含み、LiFiモジュールのLiFi信号強度ディテクタの制御下で、第1の接続ポートは、RFアンテナとターミネータとの間でスイッチングされ、第2の接続ポートは、LiFiモジュールのOFEと第2のRFアンテナ又はターミネータとの間でスイッチングされる。
【0042】
本開示のLiFiモジュールは、ユーザデバイスにおいて使用されてもよい。本開示の第1の態様によるLiFiモジュールを含むことに加えて、ユーザデバイスはさらに、WiFi接続及びLiFi接続の両方をサポートし、LiFiモジュールに動作可能に接続されるWiFi通信モジュールを含み、LiFiモジュールのOFEとWiFi通信モジュールとの間の接続は、LiFiモジュールの信号強度ディテクタの制御下でイネーブル又はディスエーブルされる。
【0043】
このようなユーザデバイスは、WiFiネットワークとLiFiネットワークの間をシームレスにハンドオーバすることができ、これにより、ネットワークコネクティビティの観点でユーザ体験を向上させることができる。
【0044】
本開示の第3の態様は、いずれもユーザデバイスに接続可能であり、いずれも同じローカルエリアネットワーク(LAN)に接続されるWiFiネットワーク及びLiFiネットワーク間でユーザデバイスのハンドオーバを開始する方法であって、ユーザデバイスは、本開示の第1の態様によるLiFiモジュールを含み、ユーザデバイスはさらに、2つの接続ポートでそれぞれWiFi接続及びLiFi接続をサポートするWiFi通信モジュールを含み、当該方法は、ユーザデバイスのWiFi通信モジュールの制御ソフトウェアルーチンによって実行され、
WiFi通信モジュールの接続ポートの1つで状態変化を検出するステップと、
高速ローミングプロシージャ(fast roaming procedure)を使用してWiFiネットワーク及びLiFiネットワーク間でハンドオーバを開始するステップと、
を含む、方法を提供する。
【0045】
例えば高速ローミングを使用してWiFi通信ネットワークとLiFi通信ネットワークとの間でハンドオーバを開始する場合、WiFiモジュールにとって、2つのネットワーク間のスイッチングアクションがいつ行われるべきかを知ることは非常に重要である。本開示の第1の態様によるLiFiモジュールは、WiFi通信モジュールとともに動作している場合、LiFiモジュールの信号強度ディテクタの制御下で、接続ポートの1つで状態変化が起こる場合にWiFi通信モジュールに指示(indication)を与える。
【0046】
WiFiモジュールは、状態変化が起こったことを検出すると、ハンドオーバプロシージャを始める又は開始する時が来たことに気付くことになる。高速ローミングは典型的には約40ミリ秒と非常に短時間で達成されるため、ユーザデバイスは、現在のネットワークとの接続が切れる前に、新しいネットワークへ成功裏に接続され、これにより、ネットワーク間のシームレスなハンドオーバが実現される。
【0047】
本開示の一例において、ユーザデバイスは、LiFiネットワークに接続され、検出するステップは、WiFiビーコンメッセージがWiFi通信モジュールの第2の接続ポートで受信されるのを検出することを含み、開始するステップは、LiFiネットワークからWiFiネットワークへのハンドオーバを開始することを含む。
【0048】
ユーザデバイスがLiFiネットワークにアクセスしている場合、WiFiモジュールは、例えばユーザデバイスがLiFiネットワークのエッジにいることに起因して、ユーザデバイスがLiFiネットワークとの接続を失おうとしている結果としてWiFiビーコンメッセージを受信することができる。この時点で、LiFiネットワークからWiFiネットワークへのハンドオーバが開始される。
【0049】
具体的に、本開示の一例において、WiFiビーコンメッセージは、LiFiモジュールの信号強度ディテクタの第2の出力端子からの第2のスイッチの制御端子で受けるイネーブリング信号に応答して、WiFi通信モジュールの第2の接続ポートとRFアンテナとの間の接続がイネーブルにされる結果としてWiFi通信モジュールの第2の接続ポートで受信される。
【0050】
ユーザデバイスがLiFiネットワークとの接続を失いそうになる場合、信号強度ディテクタは、当該状況に気付き、WiFi通信モジュールの第2のポートとRFアンテナとの間の接続をイネーブルにするように第2のスイッチを制御し、これにより、WiFi通信モジュールがWiFiビーコンメッセージを受信することを可能にする。
【0051】
2つの接続ポートを除き、LiFiモジュールとWiFi通信モジュールとの間の直接通信は必要ない。
【0052】
本開示の一例において、ユーザデバイスは、WiFiネットワークに接続され、検出するステップは、LiFiビーコンメッセージがWiFi通信モジュールの第1の接続ポートで受信されるのを検出することを含み、開始するステップは、WiFiネットワークからLiFiネットワークへのハンドオーバを開始することを含む。
【0053】
これは、WiFi通信モジュールが今やWiFiネットワークからLiFiネットワークへのハンドオーバを開始すべきであることを意味する、ユーザがWiFiネットワークにアクセスしていて、LiFiネットワークのカバレッジエリアに移動する場合のシナリオに関する。
【0054】
本開示の一例において、LiFiビーコンメッセージは、LiFiモジュールの信号強度ディテクタの第1の出力端子からの第1のスイッチの制御端子で受けるイネーブリング信号に応答して、WiFi通信モジュールの第1の接続ポートとOFEとの間の接続がイネーブルにされる結果としてWiFi通信モジュールの第1の接続ポートで受信される。
【0055】
この場合も、LiFiモジュールの信号強度ディテクタによって状態変化がトリガされ、適切な時に高速ローミングを開始することができる。
【0056】
本開示の一実施形態において、インジケータ(indicator)が、WiFiネットワークとLiFiネットワークを区別するためにWiFiビーコンメッセージ及びLiFiメッセージに含まれる。
【0057】
インジケータは、ビーコンメッセージの適切なフィールドに挿入されるLiFi APを識別するための特別なコードであってもよく、これにより、ユーザデバイスは、どのネットワークに到達可能になるかを判断することができる。
【0058】
本開示の第4の態様では、少なくとも1つのプロセッサで実行された場合、少なくとも1つのプロセッサに本開示の第3の態様による方法を実行させる命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体を含む、コンピュータプログラムプロダクトが提供される。
【0059】
本開示の上述の及び他の特徴及び利点は、添付の図面を参照する以下の説明から最も良く理解されるであろう。図面において、同様の参照数字は、同一の部品又は同一の若しくは同等の機能若しくは動作を実行する部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】LiFiネットワーク及びWiFiネットワークの両方を用いて展開される通信システムを概略的に示す。
【
図2】本開示によるLiFiモジュールのブロック図を概略的に示す。
【
図3】光信号の検出強度に基づいてLiFi又はWiFiネットワークをイネーブル又はディスエーブルするスイッチの制御を示す概略タイミング図である。
【
図4】802.11ビーコンフレームを概略的に示す。
【
図5】WiFiネットワーク及びLiFiネットワーク間で本開示のLiFiモジュールを含むユーザデバイスのハンドオーバを開始する方法をフローチャートタイプの図で概略的に示す。
【
図6】ユーザデバイス又はEPによる
図5の方法を利用した完全な動作プロシージャを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
ここで、本開示によって企図される実施形態が、添付の図面を参照してより詳細に述べられる。開示される主題は、本明細書に記載の実施形態のみに限定されると解釈されるべきではない。むしろ、図示される実施形態は、主題の範囲を当業者に伝えるために例示として提供される。
【0062】
以下の説明では、「ハンドオーバ(handover)」、「ハンドオフ(handoff)」及び「ローミング(roaming)」という用語は互換的に使用され、「ユーザデバイス(user device)」及び「EP」という用語も互換的に使用される。
【0063】
WiFiネットワークとLiFiネットワークとの間のシームレスなハンドオフが、本開示によって提案されるLiFiモジュールを使用することによって実現される。LiFiモジュールのアプリケーションシナリオは、ローカルエリアネットワーク(LAN)に展開される、エンドポイント(EP:Endpoint)とも呼ばれ得る、ラップトップ又はモバイルフォン等のユーザデバイスであってもよい。
【0064】
LANは、LiFi AP及びWiFi APを含む複数のBSSを含む拡張基本サービスセット(拡張BSS(Extended BSS))であってもよい。LiFi AP及びWiFi APは互いに独立し、いずれも同じLANに接続される。また、LiFi APは、WiFi APに着脱可能に接続されるモジュールであって、2つのAPは、互いに独立して機能してもよい。言い換えれば、LiFi AP及びWiFi APは、物理的には一緒にパッケージされてもよく、ましては同じPCB上にあってもよいが、論理的には同じLANに接続される2つの別個のAPである。
【0065】
LiFi AP及びWiFi APのいずれもIEEE 802.11rを実装する。IEEE 802.11rは、ほぼシームレスにあるBSS又はAPから別のBSS又はAPへの高速且つセキュアなクライアント移行でもって、移動中のワイヤレスデバイスでの継続的なコネクティビティを許可するIEEE 802.11標準の改訂版である。あるAPから別のAPへのスイッチング又は移行(transition)は、ハンドオフ又はローミングとしても知られている。
【0066】
802.11rは、高速移行(FT:Fast Transition)と呼ばれる、クライアント、すなわち、EP又はユーザデバイスがターゲットAPにローミングする前に新しいAPとの初期ハンドシェイクが行われる、ローミングの新しい概念を導入する。初期ハンドシェイクにより、クライアント及びAPは、事前にペアワイズトランジェントキー(PTK:Pairwise Transient Key)の計算を行うことができる。クライアントが新しいターゲットAPと再アソシエーション要求又は応答交換を行った後、これらのPTKキーはクライアント及びAPに適用される。
【0067】
802.11rに準拠するFTは、「メイクビフォワブレーク」プロシージャと呼ばれてもよい。具体的には、EP又はユーザデバイスであってもよい、FTオリジネータは、現在のAPにまだ接続されている際、新しい又はターゲットAPに移行する必要があると判断する。その後、FTオリジネータは、ターゲットAPと再アソシエーション要求(Reassociation Request)及び再アソシエーション応答(Reassociation Response)メッセージを交換する前に当該ターゲットAPと認証要求(Authentication-Request)及び認証応答(Authentication-Response)メッセージを交換する。認証要求と再アソシエーション要求との間の時間が再アソシエーションデッドライン時間(Reassociation Deadline Time)を超えない場合にのみ成功再アソシエーション(successful reassociation)が生じる。
【0068】
それゆえ、あるAPから他のAPへの移行又はスイッチングアクションを行うEPのWiFiチップは、他のネットワークへのスイッチを開始する契機(moment)を知ることが非常に重要である。
【0069】
本開示によって提案されるLiFiモジュールは、デュアルアンテナWiFi通信モジュールとともに動作し、LiFiネットワークとWiFiネットワークとの間のスムーズ且つシームレスなハンドオフを実現する。
【0070】
図2は、本開示によるLiFiモジュール20のブロック図を概略的に示している。場合によってはアナログフロントエンドと呼ばれる、LiFiモジュール20は、WiFi接続及びLiFi接続の両方をサポートする既存のWiFi通信モジュール200とともに動作するのに適している。
【0071】
WiFi通信モジュール200は、例えばPCIeインターフェースを介して、ユーザデバイスのマザーボードへの容易な接続を可能にする、ポピュラーなM.2モジュールフォームファクタで構成されてもよい。WiFi通信モジュール200は、2つの接続ポート201及び202を有し、これは、WiFi通信モジュール200がデュアルアンテナをサポートすることを意味する。WiFi通信モジュール200のWiFiチップ205は、LiFiモジュール20の動作と協働してWiFiネットワークとLiFiネットワークの間の高速ローミングを行うように構成される。
【0072】
LiFiモジュール20は、可視光、紫外、及び赤外スペクトル等、光媒体を介してデータを送信及び受信するためにそれぞれ配置される送信経路22及び受信経路23を含む、光フロントエンド(OFE)21を含む。
【0073】
OFE21の送信経路22は、ドライバと、例えば垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL:vertical-cavity surface-emitting laser)、又は発光ダイオード(LED:Lighting Emitting Diode)であってもよい送光デバイスとを含む。OFE21の受信経路23は、フォトダイオード等の受光デバイスと、トランスインピーダンスアンプ(TIA:transimpedance amplifier)とを含む。
【0074】
LiFiモジュール20はさらに、OFE21をWiFi通信モジュール200の接続ポートの1つに通信可能に接続するための接続回路を含む。
図2に示されるような例では、接続回路を介したLiFiモジュール20のOFE21とWiFi通信モジュール200の接続ポート201との間の接続26が、イネーブル又はディスエーブルにされてもよい。
【0075】
接続回路は、スイッチング要素24と、LiFi信号強度ディテクタ又は単に信号強度ディテクタ25とを含む。スイッチング要素24は、信号強度ディテクタ25に電気的に接続され、信号強度ディテクタ25の制御下で、OFE21とWiFi通信モジュール200との間の、通信接続である、接続26をイネーブル又はディスエーブルにするように構成される。
【0076】
信号強度ディテクタ25は、スイッチング要素24及びOFE21の受信経路23に電気的に接続され、OFEの受信経路23で受ける光信号の強度を検出する及び光信号の検出強度に基づいてスイッチング要素24を制御するように構成される。
【0077】
スイッチング要素24は、信号強度ディテクタ25によって出力される第1の制御信号K1及び第2の制御信号K2によってそれぞれ制御される第1のスイッチS1及び第2のスイッチS2を含む。すなわち、第1のスイッチS1の制御端子は、信号強度ディテクタ25の第1の出力端子に接続され、第2のスイッチS2の制御端子は、信号強度ディテクタ25の第2の出力端子に接続される。
【0078】
2つのスイッチS1及びS2は、例えば、検出された光信号強度に依存して、WiFi通信モジュール200から、LiFiモジュール20のOFE21への又はRFアンテナ203への、及び任意選択的にさらなるRFアンテナ204への通信信号のルーティングを制御するように共に動作する単極双投(SPDT)スイッチであってもよい。
【0079】
具体的には、第1のスイッチS1は、第1の制御信号K1によって制御され、WiFi通信モジュール200の第1の接続ポート201を、OFE21に接続されているポジション1と、さらなるRFアンテナ204に接続されているポジション0との間でスイッチングする。RFアンテナ204に接続するS1のポジション0の出力端子は、50オーム負荷(図示せず)で終端されてもよいことが理解され得る。この場合、WiFi通信モジュール200は、RFアンテナ203を介して1つのRFバンドでのみ動作する。
【0080】
第2のスイッチS2は、第2の制御信号K2によって制御され、WiFi通信モジュール200の第2の接続ポート202を、RFアンテナ203に接続されているポジション1と、50オーム負荷R1で終端されているポジション0との間でスイッチングする。
【0081】
WiFi通信モジュール200の接続ポートにおける信号が無線周波数信号であることに起因して、LiFiモジュール20はさらに、WiFi通信モジュール200の接続ポート201を介して伝送されるRF信号をダウン/アップ変換し、その後LiFiモジュール20のOFE21とインターフェースするためのRFミキサを含む。
【0082】
OFE21は全二重モジュールである一方、WiFi通信モジュール200は半二重で動作するため、LiFiモジュール20はさらに、RFディテクタ28及び第3のスイッチS3を含み、これらは、TX経路のRF信号を検出することによりWiFi通信モジュール200からのTX信号及びRX信号を分けるように共に機能する。
【0083】
以下、LiFiモジュール20の動作が詳述される。
【0084】
信号強度ディテクタ25は、LiFiモジュール20を含むユーザデバイスがLiFiカバレッジエリア内にあるか否かを示す、LiFiモジュール20の受信経路23を介して受ける光信号の強度を測定する。
【0085】
受けた光信号の測定強度と予め定められた閾値との比較結果に依存して、信号強度ディテクタ25は、第1のスイッチS1及び第2のスイッチS2をそれぞれ別個に制御するための2つの制御信号K1及びK2を出力する。
【0086】
一例として、信号強度ディテクタ25は、受けた光信号の測定強度が閾値よりも高い場合、自身の出力端子の一方でハイレベル「1」を有する制御信号及び他方の出力端子でさらなる制御信号「0」を出力してもよい。制御信号がハイ「1」である場合、制御されるスイッチはポジション1に接続され、制御信号がロー「0」である場合、スイッチはポジション2に接続される。
【0087】
当業者であれば、上記の例は、本開示の実装態様を限定するものではないことを企図することができる。実際には、他のコントローラのやり方が定義されてもよい。
【0088】
LiFi及びWiFi通信モジュール20及び200を含むユーザデバイスの定常状態動作モードでは、WiFi通信モジュール200におけるWiFiチッププロセッサ205が状態遷移又は状態変化を検出することを可能にし、これが、ユーザデバイスによって高速ローミングを開始するために使用されるように、RF接続又は光接続のいずれかがアクティブであり、他方の媒体はディスエーブルにされる。
【0089】
ユーザデバイスは、いずれも同じLANに接続されるLiFi AP及びWiFi APを含むLANに接続される。
【0090】
現在、第1のスイッチS1がポジション1にあり、スイッチS2がポジション0にある、すなわち、WiFi通信モジュール200とLiFiモジュール20のOFE21との間の接続がイネーブルにされていると仮定する。この時点で、ユーザデバイスは、LiFi APを介してLANに接続される。ユーザデバイスがLiFiカバレッジエリアのエッジに向かって移動する場合、信号強度ディテクタ25によって検出される光LiFi信号の強度は低下し始め、閾値よりも低くなる。
【0091】
この場合、第2のスイッチS2は、信号強度ディテクタ25からの第2のスイッチS2の入力端子で受ける制御信号K2によって、接続ポート202を介したRFアンテナ203とWiFi通信モジュール200との間の接続をイネーブルにする、ポジション1にスイッチングするように制御される。このようにして、WiFi通信モジュール200は、RFアンテナ203のカバレッジエリア内のWiFi APとのコンタクトを確立し、高速ローミングの準備をすることができる。
【0092】
同時に、ユーザデバイスは、接続ポート201を介して、第1のスイッチS1を通る信号経路によって、LiFi APとまだ関連付けられている。WiFiチップ205は、WiFi APがアクセス可能であることに気付き次第、例えば802.11高速ローミングプロシージャを開始する。
【0093】
この時点以後、制御信号K1は、所定量の「オーバーラップ」時間後、又は検出されたLiFi信号がほぼゼロになる場合、レベル「0」に設定される。それゆえ、第1のスイッチS1は、K1によって、ポジション0にスイッチングするように制御される。その時から、WiFi通信モジュール200とOFE21との間の接続は切断され、ユーザデバイスはWiFiモードで動作する。
【0094】
実際には、第2のスイッチS2をポジション1にスイッチングすることと、第1のスイッチS1をポジション0にスイッチングすることとの間の「オーバーラップ」時間又は遅延は、高速ローミングプロシージャが終了するのに十分である、例えば100ms等、所定時間に設定されてもよい。
【0095】
代替的に、制御信号K1は、信号強度ディテクタ25によって検出される光LiFi信号の強度についてのさらなるより一層低い閾値(further even lower threshold value)によってトリガされてもよい。WiFiネットワークからLiFiネットワークへのスイッチングプロシージャについても同様である。
【0096】
スイッチS1のポジション0がさらなるアンテナ204に接続される場合、WiFiチップ205はデュアルアンテナで動作する。また、S1のポジション0を50オームターミネータと接続し、WiFiチップを1つのアンテナのみで動作させることも可能である。
【0097】
一方、WiFiネットワークに接続したまま、ユーザデバイスがLiFiカバレッジエリアに入る場合、LiFi接続モジュール20のOFEとWiFi通信モジュール200との間の接続が、(複数の)RFアンテナを切断する前にイネーブルにされる。
【0098】
具体的には、信号強度ディテクタ25によって検出される光LiFi信号の強度が閾値を上回る。それゆえ、信号強度ディテクタ25は、スイッチS1をポジション1にスイッチングするために制御信号K1「1」を出力する。それゆえ、WiFi通信モジュール200の接続ポート202はRFアンテナ203に接続されたまま、WiFi通信モジュール200の接続ポート201がOFE21に接続される。
【0099】
WiFiチップ205はWiFi APとの関連付けを維持する一方、高速ローミングプロシージャが、LiFi APとの関連付けを始めるために開始される。
【0100】
ユーザデバイスがLiFi APと関連付けられる場合、第2のスイッチS2は、信号強度ディテクタ25によって、接続ポート202を50オームターミネータに接続する、ポジション0にスイッチングするように制御され、すなわち、WiFi信号の受信が完全にディスエーブルにされる。これは、WiFiチップ205が、LiFi及びWiFi通信モジュール間の余分な信号接続なしにWiFi/LiFi動作モード状態遷移を検出することを可能にするという目的を果たす。
【0101】
ユーザデバイスはいつでも1つのAPにのみ関連付けられるため、本開示によって提案されるLiFiモジュール20は、LiFi及びWiFiネットワーク間のスムーズなハンドオーバを実現することができ、これにより、シームレスなコネクティビティが実現される。
【0102】
図3は、光信号の検出強度に基づいてLiFi又はWiFiネットワークをイネーブル又はディスエーブルにするために制御信号K1及びK2を使用するスイッチS1及びS2の制御を示す概略タイミング
図30である。
【0103】
曲線31は、信号強度ディテクタ25によって検出される光信号の強度を表す。時点Aにおいて、検出された光信号の強度は閾値39を下回る。このポイント32における制御信号K2は、スイッチS2がRFアンテナをWiFi通信モジュールに接続することを可能にし、WiFiネットワークにローミングするための高速ローミングプロシージャの開始をトリガする。
【0104】
時点33において、ユーザデバイスはWiFiネットワークに接続される。その後、時点34において、制御信号K1は、OFEをWiFi通信モジュールから切断するようにスイッチS1を制御する。上述したように、32と34との間の時間期間は、所定値に設定されてもよい。代替的に、時点34は、第1の閾値39よりも低いさらなる閾値310によって決定されてもよい。
【0105】
一方、時点Bにおいて、信号強度ディテクタ25によって検出される光信号の強度は閾値39を上回る。このポイント36において、制御信号K1は、スイッチS1がOFEをWiFi通信モジュールに接続することを可能にし、LiFiネットワークにローミングするための高速ローミングプロシージャの開始をトリガする。
【0106】
時点37において、ユーザデバイスはLiFi APに接続される。その後、時点38において、制御信号K2は、RFアンテナをWiFi通信モジュールから切断する及び接続ポート202を50オームターミネータに接続するようにスイッチS2を制御する。ここでも、36と38との間の遅延期間は、所定長を有するように設定されてもよい。代替的に、時点38は、第1の閾値39よりも高いさらなる閾値(図示せず)に基づいて決定されてもよい。
【0107】
WiFiネットワーク及びLiFiネットワーク間での本開示のLiFiモジュールを含むユーザデバイスのハンドオーバを開始する方法が以下で詳述される。
【0108】
IEEE 802.11rは、2つのローミング方法、すなわち、Over-the-Air及びOver-the-DS(分散システム(Distribution System)を提供する。完全を期すために、IEEE、「Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications」、IEEE、2016に準拠するOver-the-Airメッセージ交換プロシージャが以下で簡単に述べられる。すべての高速ローミング処理において、FTオリジネータ(FTO:FT Originator)はクライアントである。
【0109】
初めに、FTOは、セキュアなセッションで現在のAPに接続されていて、ターゲットAPに移行する必要があると判断する場合にデータ伝送を実行している。その後、FTOは、802.11認証要求をターゲットAPに送り、ターゲットAPから認証応答を受信する。その後、再アソシエーション要求がFTOからターゲットAPに送られ、ターゲットAPからFTOへの再アソシエーション応答が続き得る。認証要求と再アソシエーション要求との間の時間が再アソシエーションデッドライン時間を超えない場合にのみ成功再アソシエーションが生じる。再アソシエーションが成功する場合、802.1X制御ポート(802.1X controlled Port)がブロック解除され(unblocked)、成功裏に(セキュアな)セッション及びデータ伝送が実行され得る。
【0110】
高速ローミングを成功させるために、ユーザデバイスにおけるWiFiチップは、ネイバーAPの記録を保持し、WiFi及びLiFi APの両方が見え始める場合に移行の契機を知る。その後、ユーザデバイスは、直ちに新しいAPへのハンドオーバを決定する。
【0111】
WiFi APとLiFi APを区別するために、インストール段階(installation phase)で、LiFi APは、ユーザデバイスがWiFi APとLiFi APを常に区別することができるようにビーコンフレームに特別なコードが与えられる。この情報により、ユーザデバイスは、高速ローミングプロシージャをトリガする必要がある正確な時(exact moment)を知る。
【0112】
LiFi APを識別するための特別なコードは、例えば、
図4に示されるように802.11ビーコンフレームにおけるVender Specificフィールド、又はビーコンフレームの任意の他の都合の良いフィールドに実装されることができる。このようにして、ユーザデバイスは、ビーコンフレームをデコードした後、APがWiFi APであるかLiFi APであるかを知るであろう。
【0113】
図5は、WiFiネットワーク及びLiFiネットワーク間で本開示のLiFiモジュールを含むユーザデバイスのハンドオーバを開始する方法50をフローチャートタイプの図で概略的に示している。
【0114】
WiFi通信モジュールの2つの接続ポートを除き、本開示のLiFiモジュールとWiFiチップとの間の直接通信はない。
【0115】
方法50は、WiFiチップが、スイッチングアクション、すなわち、
図3において「A」及び「B」で示されるK1、K2の遷移契機がいつ起こるかを知ること、及び、これにより適切な時点で高速ローミングを開始することを可能にする。
【0116】
ステップ51において、WiFiチップは、WiFi通信モジュールの接続ポートの1つで状態変化を検出する。
【0117】
これは、WiFiチップが、RFアンテナがWiFi通信モジュールの接続ポート202に接続されていること、又はOFEがWiFi通信モジュールの接続ポート201に接続されていることを検出することを含んでもよい。
【0118】
一例において、ユーザデバイスは、自身の通信範囲にAPがあることを知るために従来のやり方でネットワークスキャンを実行する。ユーザデバイスがLiFi APを「見る(see)」、すなわち、ユーザデバイスがLiFi APに接続される(connected or attached)ことができると、ユーザデバイスは、LiFi APに接続することになる。
【0119】
この動作状態において、RFアンテナは、制御信号K1及びK2による、LiFi信号強度ディテクタの制御下でディスエーブルにされることになる。それゆえ、WiFiチップは、物理的にはまだWiFiカバレッジエリア内にあり得るが、WiFi APを見ることができなくなる。
【0120】
ユーザデバイスがLiFiカバレッジエリアのエッジに近づくと、LiFi信号ディテクタは、接続ポート202へのRFアンテナの接続をイネーブルにする。この時点でWiFiチップは、WiFiビーコンメッセージがWiFi通信モジュールの接続ポート202で受信されるため、WiFi APが自身の通信範囲内にあることに気付く。
【0121】
この状態変化は、接続ポートとOFEとの間のアクティブなデータ通信がまだ存在するため、WiFiチップが、LiFi及びWiFi APの両方を同時に見ることを可能にする。状態変化は、(K2を「0」から「1」に変更する)LiFi信号強度ディテクタのアクションの直接的な結果である。この状態変化は、WiFiチップによって、次のステップにおいて高速ローミングプロシージャを開始及びWiFiネットワークにハンドオーバするためのトリガとして使用されることになる。
【0122】
ステップ52において、WiFiチップは、高速ローミングプロシージャを使用してLiFiネットワークからWiFiネットワークへのハンドオーバを開始する。
【0123】
高速ローミングプロシージャは非常に高速であり、典型的には約40msで完了する。LiFi信号が完全に失われる前に、ユーザデバイスはすでにWiFi APと関連付けられていることが見込まれる。
【0124】
別の例では、WiFi APとまだ関連付けられている際にユーザがLiFiゾーンに入る。この時点で、LiFi信号ディテクタは、時点「B」において制御信号K1を「1」に変更する(
図3参照)。これは、WiFiチップが、WiFi及びLiFi APの両方を見ることができるため、状態変化に気づく又は検出する(ステップ51)ことを可能にする。この状態変化は、高速ローミングプロシージャを介してLiFiネットワークにハンドオーバするためのトリガとして使用される。
【0125】
その後、WiFiチップは、高速ローミングプロシージャを使用してWiFiネットワークからLiFiネットワークへのハンドオーバを開始する(ステップ52)。
【0126】
このプロシージャは、WiFi信号がLiFiゾーンにおいて利用可能なままであり、ゆえに、必要に応じて、移行はゆっくりと行うことができるため、LiFi-WiFiハンドオーバよりもタイムクリティカルではない。
【0127】
さらに、信号K1は、ユーザデバイスがLiFiカバレジ外にある場合、省電力化のためOFE TX回路をオフにするために利用されてもよい。
【0128】
LiFi信号強度ディテクタによる頻繁な移行又は誤検出を避けるため、信号品質評価回路(signal quality assessment circuit)は、OFEによって受信される信号が十分な接続品質のものである、例えば、定義された信号対雑音比(SNR:signal noise ratio)、又はRSSI閾値を上回る場合にのみ光媒体にスイッチングすることを確実にする。
【0129】
これは、ユーザデバイスがLiFiカバレッジのエッジの近くで静止している場合にLiFi-WiFi間の頻繁なスイッチングを避けるために、
図3に示されるようなよく考えられた閾値、及び場合によってはヒステリシスと組み合わせて実現されることができる。ヒステリシスは、(
図3に示されない)2つの異なる閾値、例えば、(同じ閾値を使用することに代えて)時点Bよりも時点Aについてより高い閾値で実装されることができる。
【0130】
実生活のアプリケーションシナリオでは、WiFi及びLiFiネットワークの両方を有するLANに存在するユーザデバイスは、スタートアップ時に、デフォルトでWiFiネットワークに接続されることが想定される。WiFiチップの2つのアンテナポートを除いて、ユーザデバイスにおいてLiFiモジュールとWiFiチップとの間の直接通信はないため、上述した方法は、LiFi信号強度検出が状態を変え次第(カバレッジエリア内又はカバレッジエリア外)、WiFiチップにローミングを始めさせるために使用される。
【0131】
図6は、ユーザデバイス又はEPによる上記の方法を利用した完全な動作プロシージャ60を概略的に示している。
【0132】
ユーザデバイスをパワーアップすることによる等ステップ601における始動後、ユーザデバイスは、ステップ602においてWiFi APと接続される。まだWiFi APに接続している際、EPは、ステップ603においてネットワークスキャンを実行する。これは、どのAPが範囲内にあるかを知るためにWiFiデバイスに通常実装されている。
【0133】
ユーザデバイスは、ステップ604において到達範囲(reach)内にLiFi APが見え次第、ステップ605において高速ローミングプロシージャを開始し、ステップ606においてLiFi APに接続する。
【0134】
これが起こる場合、RFアンテナ203は、LiFi信号強度ディテクタ回路(K1、K2)によってディスエーブルにされることになる。この動作状態では、両方のRFアンテナが切断されているため、WiFiチップは、物理的にはまだWiFiカバレッジ内にあるが、WiFi APを見ることができなくなる。
【0135】
LiFi APに接続している際、ユーザがLiFiカバレッジのエッジの近くに移動すると、LiFi信号ディテクタは、RFアンテナ203をイネーブルにする(K2が、時点32においてハイ「1」になる、
図3参照)。EPがネットワークをスキャンする(607)場合、そのWiFiチップは、608において到達できるWiFi APがあることに気づくことになる。この時点で、アクティブなデータ通信が、OFEに接続されているポート201を介してまだ行われている一方、WiFiビーコンが、ポート202を介して受信される。
【0136】
この状態変化は、高速ローミングプロシージャを開始(609)及びWiFiネットワークにハンドオーバする(602)ためのトリガとして使用される。LiFi及びWiFi APの両方が見えている、この状態変化は、(K2を「0」から「1」に変更する)LiFi信号強度ディテクタのアクションの直接的な結果である。
【0137】
別のシナリオでは、ユーザデバイスがまだWiFiネットワークと関連付けられている際にLiFiゾーンに入る場合、WiFiチップは、WiFi及びLiFi APの両方を見ることができるため、状態変化に気づくことになる。これは、LiFi信号ディテクタが時点36においてK1を「1」に変更する(
図3参照)ためである。
【0138】
この状態変化は、高速ローミングプロシージャを介してLiFiネットワークにハンドオーバするためのトリガとして使用される。このプロシージャは、WiFi信号がLiFiゾーンにおいて利用可能なままであり、ゆえに、必要に応じて、移行はゆっくりと行うことができるため、LiFi-WiFiハンドオーバよりもタイムクリティカルではない。
【0139】
本開示は、上記で開示される例に限定されず、任意のデータ通信、データ交換及びデータ処理環境、システム又はネットワークで使用するために、発明的技能を適用する必要なしに、添付の特許請求の範囲に開示される本開示の範囲を越えて当業者によって変更及び拡張されることができる。
【国際調査報告】