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特表2024-532366人工腱索を心臓組織に固定するためのデバイス、システム、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】人工腱索を心臓組織に固定するためのデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513132
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022042098
(87)【国際公開番号】W WO2023034345
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/239,469
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ギース、トロイ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】コウデラ、クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シューイ、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アボット、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】エッゲルト、ジョエル ティ.
(72)【発明者】
【氏名】キリーン、ラリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ロール、ジェームズ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、ミッチェル
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097AA30
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC05
4C097MM09
4C097SB10
(57)【要約】
組織アンカーならびにアンカー送達および展開システム。組織アンカーは、アンカー送達および展開システムのアンカーガレージに収容されるときの送達構成と、アンカーガレージの外側に展開されたときの展開構成との間でシフト可能である。アンカーは、レーザ切断されたチューブから形成され得る複数の爪を有している。爪は、幅方向などにテーパー状になっていてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカー送達および展開システムであって、
アンカー本体と、前記アンカー本体から延在するとともに送達構成と展開構成との間でシフト可能な複数のアンカー爪とを有するアンカーと、
前記複数のアンカー爪が送達構成にある状態で前記アンカーをその中に収容するように構成されるとともに、前記アンカーが展開可能な開いた鈍い端部を有するアンカーガレージと
を備え、
前記複数のアンカー爪は、前記アンカーガレージ内にあるときの前記送達構成から、前記アンカーガレージの外側に展開されたときの前記展開構成に拡張する、送達および展開システム。
【請求項2】
前記アンカーガレージの前記鈍い端部は、組織を損傷することなく組織に押し付けるための鈍端を呈するように凸状に湾曲した外面を有している、請求項1に記載の送達および展開システム。
【請求項3】
前記アンカー爪は、前記アンカー本体に結合された爪基部から、組織に貫入するように構成された爪遠位端まで延びており、
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪基部と前記爪遠位端との間でテーパー状になっている、請求項1または2に記載の送達および展開システム。
【請求項4】
前記アンカー爪は、前記アンカー本体に結合された爪基部から、組織に貫入するように構成された爪遠位端まで延びており、
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪基部と前記爪遠位端との間に中間領域を有しており、
前記爪のうちの前記少なくとも1つは、前記中間領域から前記爪遠位端に向かってテーパー状になっている、請求項1~3のいずれか一項に記載の送達および展開システム。
【請求項5】
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記中間領域から前記爪基部に向かってテーパー状になっている、請求項4に記載の送達および展開システム。
【請求項6】
前記爪のうちの少なくとも1つは、幅方向にテーパー状になっている、請求項1~5のいずれか一項に記載の送達および展開システム。
【請求項7】
前記アンカーは、チューブから形成され、前記爪は、前記チューブから切り出されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の送達および展開システム。
【請求項8】
前記アンカーに結合された人工腱索をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の送達および展開システム。
【請求項9】
組織アンカーであって、
チューブから形成されたアンカー本体と、
前記チューブを切断することにより形成された複数のアンカー爪と
を備え、
前記アンカー爪は、前記アンカー本体に結合された爪基部から、組織に貫入するように構成された爪遠位端まで延びており、
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪基部と前記爪遠位端との間でテーパー状になっている、組織アンカー。
【請求項10】
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪遠位端に向かってテーパー状になっている、請求項9に記載の組織アンカー。
【請求項11】
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪基部から前記爪遠位端に向かってテーパー状になっている、請求項9または10に記載の組織アンカー。
【請求項12】
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪基部と前記爪遠位端との間に中間領域を有しており、前記爪のうちの少なくとも1つは、前記中間領域から前記爪遠位端に向かってテーパー状になっている、請求項9~11のいずれか一項に記載の組織アンカー。
【請求項13】
前記爪のうちの前記少なくとも1つは、前記中間領域から前記爪基部に向かってテーパー状になっている、請求項12に記載の組織アンカー。
【請求項14】
前記爪のうちの前記少なくとも1つは、幅方向にテーパー状になっている、請求項9~13のいずれか一項に記載の組織アンカー。
【請求項15】
前記爪は、前記アンカー本体が形成される前記チューブをレーザ切断することによって形成されている、請求項9~14のいずれか一項に記載の組織アンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、埋め込み型医療デバイスの分野に関する。特に、本開示は、心臓治療のための医療デバイス、システム、および方法に関する。より詳細には、本開示は、人工腱索を心臓組織に固定するためなどのアンカーを送達および展開するための医療デバイス、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓房室弁機能不全を含む心疾患は、患者の心拍出量を妨げ、患者の生活の質を低下させ、かつ寿命を縮める。心臓を通る適切な血流は、とりわけ、周期的に開閉して血液が一方向に流れることを可能にする軟組織の弁尖(leaflet)を含む心臓房室弁を含む心臓弁によって調節される。健康な弁尖は、反対方向の血流(逆流)を防止する。弁尖から乳頭筋まで延在する腱索は、収縮期の閉鎖中に乳頭筋に負荷を分散させることによって、および弁尖が心房内に揺れ動くのを防止することによってなど、弁尖の適切な機能を支援する。腱索が不適切に機能すると、心臓弁において閉鎖を形成する弁尖の能力が損なわれる。伸長、断裂、肥厚、収縮、石灰化、非弾性伸長、または弾性の他の変化などの腱索不全の様々な欠陥は、心臓弁の不適切な閉鎖、および/または弁尖の動揺をもたらすことがあり、正常な心機能のための弁閉鎖を形成する能力をもはや有しない場合がある。
【0003】
心臓弁膜症は、典型的には、侵襲性外科的介入を介して、または弁尖を複雑に挟みこんで、二重のより小さい開口部を作成することによって、または自然の弁を置換することによって修復される。これらのアプローチは、直接視認および修復のために心臓弁を露出させるための患者の胸部および心腔への開口部を含み得る、危険なバイパス手術を伴う。外科用リングの移植に伴う患者の弁尖の切除、部分的除去、および/または修復は、患者の心臓弁輪の直径を縮小するために外科医によって使用される複雑な技術であり、これにより、弁尖が適切に接合し、逆流を減少させることができる。いくつかの技術は、逆流をわずかに低減し得るが、耐久性のある解決策を提供しない場合があり、弁の損傷した腱索を修復および/または置換しない。したがって、弁膜症に対する経管的な解決策が必要とされる。
【0004】
将来の介入のための選択肢を維持しながら、その弁尖などの心臓弁を修復するための低侵襲性の解決策が必要とされている。さらに、組織アンカー、ならびに組織アンカーを送達および展開し、および/またはアンカーを心臓組織に固定するためのデバイス、システム、および方法に対する改善が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示のこの概要は、理解を助けるために与えられており、当業者は、本開示の様々な態様および特徴の各々が、いくつかの例において別々に、または他の例において本開示の他の態様および特徴と組み合わせて有利に使用され得ることを理解するであろう。この概要における要素、構成要素などの包含または非包含による、請求される主題の範囲に関するいかなる限定も意図されていない。
【0006】
本開示の様々な原理に従って、アンカー送達および展開システムは、アンカー本体と、アンカー本体から延在するとともに送達構成と展開構成との間でシフト可能な複数のアンカー爪とを有するアンカーと、アンカー爪が送達構成にある状態でアンカーをその中に収容するように構成されたアンカーガレージとを含む。アンカーガレージは、アンカーがそこを通って展開可能な開いた鈍い端部を有している。複数のアンカー爪は、アンカーガレージ内にあるときの送達構成から、アンカーガレージの外側に展開されたときの展開構成に拡張する。
【0007】
いくつかの実施形態では、アンカーガレージの鈍い端部は、組織を損傷することなく組織に押し付けるための鈍端を呈するように凸状に湾曲した外面を有している。
いくつかの実施形態では、アンカー爪は、アンカー本体に結合された爪基部から、組織に貫入するように構成された爪遠位端まで延びており、爪のうちの少なくとも1つは、爪基部と爪遠位端との間でテーパー状になっている。いくつかの実施形態では、爪のうちの少なくとも1つは、爪遠位端に向かってテーパー状になっている。いくつかの実施形態では、爪のうちの少なくとも1つは、爪基部から爪遠位端に向かってテーパー状になっている。追加的にまたは代替的に、爪のうちの少なくとも1つは、爪基部と爪遠位端との間に中間領域を有している。いくつかの実施形態では、爪のうちの少なくとも1つは、中間領域から爪遠位端に向かってテーパー状になっている。追加的または代替的に、爪のうちの少なくとも1つは、中間領域から爪基部に向かってテーパー状になっている。
【0008】
いくつかの実施形態では、爪のうちの少なくとも1つは、幅方向にテーパー状になっている。
いくつかの実施形態では、アンカーは、チューブから形成され、爪は、チューブから切り出されている。いくつかの実施形態では、爪は、アンカー本体が形成されるチューブをレーザ切断することによって形成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、システムは、アンカーに結合された人工腱索をさらに備える。
本開示の様々な原理に従って、組織アンカーは、チューブから形成されたアンカー本体と、チューブを切断することにより形成された複数のアンカー爪とを含む。アンカー爪は、アンカー本体に結合された爪基部から、組織に貫入するように構成された爪遠位端まで延びており、爪のうちの少なくとも1つは、爪基部と爪遠位端との間でテーパー状になっている。
【0010】
いくつかの実施形態では、爪のうちの少なくとも1つは、爪遠位端に向かってテーパー状になっている。
いくつかの実施形態では、爪のうちの少なくとも1つは、幅方向にテーパー状になっている。
【0011】
いくつかの実施形態では、アンカー爪は、アンカー本体に結合された爪基部から、組織に貫入するように構成された爪遠位端まで延びており、爪のうちの少なくとも1つは、爪基部と爪遠位端との間でテーパー状になっている。いくつかの実施形態では、爪のうちの少なくとも1つは、爪遠位端に向かってテーパー状になっている。いくつかの実施形態では、爪のうちの少なくとも1つは、爪基部から爪遠位端に向かってテーパー状になっている。追加的にまたは代替的に、爪のうちの少なくとも1つは、爪基部と爪遠位端との間に中間領域を有している。いくつかの実施形態では、爪のうちの少なくとも1つは、中間領域から爪遠位端に向かってテーパー状になっている。追加的または代替的に、爪のうちの少なくとも1つは、中間領域から爪基部に向かってテーパー状になっている。
【0012】
いくつかの実施形態では、爪は、アンカー本体が形成されるチューブをレーザ切断することによって形成されている。
本開示の様々な原理に従って、アンカーを組織に固定する方法は、組織アンカーをアンカーガレージに送達することを含み、アンカーガレージは、開いた鈍い遠位端部を有し、組織アンカーは、各々が爪基部から爪遠位端まで延在する複数の爪を有しており、方法は、組織を損傷することなくアンカーガレージの鈍い遠位端部を組織に押し付けること、アンカー爪の遠位端をアンカーガレージの鈍い遠位端から出して前進させて組織に貫入させること、アンカーをアンカーガレージから出して前進させてアンカーを組織内に展開し、アンカー爪が組織内で送達構成から展開構成にシフトすることを可能にすることを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、アンカーおよびアンカー爪は、レーザ切断されたチューブから形成されている。
本開示のこれらおよび他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から容易に明らかになり、請求される発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載される。以下の開示は、態様または実施形態に関して提示されるが、個々の態様は、別個に、またはその実施形態もしくは任意の他の実施形態の態様および特徴と組み合わせて請求され得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の非限定的な実施形態は、添付の図面を参照して例として説明されるが、これらの図面は概略的であり、縮尺通りに描かれることを意図していない。添付の図面は、例示のみを目的として提供され、図面内の図に反映される寸法、位置、順序、および相対的なサイズは、異なり得る。例えば、デバイスは、細部が識別できるように拡大され得るが、例えば、送達カテーテルまたは内視鏡の作業チャネル内に収まるように縮小されることが意図されている。なお、各図において、同一または略同一または同等の要素には同一の符号を付しており、図示されたアンカーの同様の要素には、1000ずつ異なる同様の符号を付し、重複する説明は省略される。明確かつ簡潔にするために、すべての要素がすべての図においてラベル付けされているわけではなく、当業者が本開示を理解することを可能にするために図示が必要でない場合には、各実施形態のすべての要素が示されているわけではない。詳細な説明は、以下のように、同様の参照符号が同様の要素を表す添付の図面と併せてより良く理解されるであろう。
図1図1は、心臓組織での展開のための心臓の概略図に示された、本開示の様々な原理に従って形成されたアンカー送達および展開デバイスおよびシステムの実施形態の一例の斜視図である。
図2図2は、本開示の様々な原理に従って形成されたアンカー送達および展開デバイスおよびシステムの実施形態の一例の斜視図であり、任意選択的にそれに関連付けられる送達カテーテルおよび弁尖クリップ送達/展開システムが仮想線で示されている。
図3図3は、図2のようなアンカー送達および展開デバイスおよびシステムの実施形態の一例の線III-IIIに沿った断面図であり、送達構成におけるアンカー送達および展開システム内に示された、本開示の様々な原理に従って形成されたアンカーの立面図が示されている。
図4図4は、図2のようなアンカー送達および展開デバイスおよびシステムの実施形態の一例の線IV-IVに沿った断面図であり、展開構成におけるアンカー送達および展開システム内に示された、本開示の様々な原理に従って形成されたアンカーの立面図が示されている。
図5A図5Aは、本開示の様々な原理に従って形成されたアンカーの実施形態の一例の斜視図である。
図5B図5Bは、図5Aのアンカーの実施形態の例の平面投影図である。
図6A図6Aは、本開示の様々な原理に従って形成されたアンカーの実施形態の一例の斜視図である。
図6B図6Bは、図6Aの心臓アンカーの実施形態の例の平面投影図である。
図7A図7Aは、本開示の様々な原理に従って形成されたアンカーの実施形態の一例の斜視図である。
図7B図7Bは、図7Aの心臓アンカーの実施形態の例の平面投影図である。
図8A図8Aは、本開示の様々な原理に従って形成された心臓アンカーの実施形態の一例の斜視図である。
図8B図8Bは、図8Aの心臓アンカーの実施形態の例の平面投影図である。
図9A図9Aは、本開示の様々な原理に従って形成された心臓アンカーの実施形態の一例の斜視図である。
図9B図9Bは、図9Aの心臓アンカーの実施形態の例の平面投影図である。
図10A図10Aは、本開示の様々な原理に従って形成された心臓アンカーの実施形態の一例の斜視図である。
図10B図10Bは、図10Aの心臓アンカーの実施形態の例の平面投影図である。
図11A図11Aは、本開示の様々な原理に従って形成された心臓アンカーの実施形態の一例の斜視図である。
図11B図11Bは、図11Aの心臓アンカーの実施形態の例の平面投影図である。
図12図12は、本開示の様々な原理に従って形成された、そのアンカーを心臓に固定する心臓アンカーシステムの実施形態の一例を示す心臓の概略図である。
図13図13は、本開示の様々な原理に従って形成された、そこから延在する人工腱索で心臓に固定された心臓アンカーの実施形態の一例を示す心臓の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明は、例示的な実施形態を示す図面を参照して読まれるべきである。本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、変化し得ることを理解されたい。本明細書で説明するすべての装置およびシステムおよび方法は、本開示の1つまたは複数の原理に従って実装される装置および/またはシステムおよび/または方法の例である。実施形態の各例は、説明のために提供され、これらの原理を実施する唯一の方法ではなく、単なる例である。したがって、図面の要素または構造または特徴への言及は、本開示の実施形態の例への言及として認識されなければならず、本開示を図示された特定の要素、構造または特徴に限定するものとして理解されるべきではない。開示された原理を実装する方法の他の例は、本開示を読んだ当業者に想起されるであろう。実際、本主題の範囲または技術思想から逸脱することなく、本開示において様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明される特徴は、別の実施形態とともに使用されて、さらなる実施形態をもたらすことができる。したがって、本主題は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入るそのような修正および変形を包含することが意図されている。
【0016】
本開示は、本出願において様々なレベルの詳細で説明されていることが理解されるであろう。特定の例では、当業者が本開示を理解するのに必要ではない詳細、または他の詳細を認識することを困難にする詳細は、省略されている場合がある。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲を超えて限定することを意図するものではない。別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものとして理解されるべきである。本明細書で開示され、請求されるデバイスおよび/または方法の全ては、本開示に照らして、過度の実験を伴わずに、製造および実行することが可能である。
【0017】
本明細書で使用される場合、「近位」は、デバイスを使用するとき(例えば、デバイスを患者に導入するとき、または埋め込み、配置、もしくは送達中)など、ユーザ(医療専門家または臨床医または技術者またはオペレータまたは医師など、そのような用語は、限定する意図なしに本明細書で互換的に使用され、自動コントローラシステムなどを含む)などに最も近い方向または位置を指し、「遠位」は、デバイスを使用するとき(例えば、デバイスを患者に導入するとき、または埋め込み、配置、もしくは送達中)など、ユーザから最も遠い方向または位置を指す。「長手方向」は、要素のより長い、またはより大きい寸法に沿って延在することを意味する。「中心」は、中心点を少なくとも概ね二等分すること、および/または周囲若しくは境界から概ね等距離であることを意味し、「中心軸」は、開口部に関して、開口部の中心点を少なくとも概ね二等分する線であって、開口部が、例えば、管状要素、チャネル、キャビティ、またはボアを備える場合、開口部の長さに沿って長手方向に延在する線を意味する。「ボア」は、円形断面に限定されないことが理解されるであろう。本明細書で使用される場合、要素の「自由端」は、そのような要素がそれを越えて延びることのない終端である。
【0018】
心臓房室弁機能不全を含む心疾患は、患者の心拍出量を妨げ、患者の生活の質を低下させ、かつ寿命を縮める。心疾患が進行すると、心室の乳頭筋を弁尖に接続する腱索は、非弾性的に伸び、断裂することがある。伸びた、および/または断裂した腱索は、弁尖の動揺をもたらすことがあり、正常な心臓機能のための弁閉鎖を形成する能力をもはや有しない場合がある。例えば、心室から心房への異常な血流逆流が発生することがある。逆流は、心血管系を通して送達される血液の適切な供給を妨げる。
【0019】
心疾患を治療するために、弁および/または腱索の1つまたは複数の弁尖の再配置、修復、および/または置換が望ましい場合がある。本開示のデバイス、システム、および方法は、心疾患を治療するために、単独で、または他のデバイス、システム、および方法とともに使用され得る。本開示の実施形態が実装され得るデバイス、システム、および方法の例は、2021年1月14日に公開された「Devices, Systems, And Methods For Clamping A Leaflet Of A Heart Valve」と題された米国特許出願公開第2021/0007847号明細書、2021年1月7日に公開された「Devices, Systems, And Methods For Adjustably Tensioning An Artificial Chordae Tendineae Between A Leaflet And A Papillary Muscle Or Heart Wall」と題された米国特許出願公開第2021/0000597号明細書、2021年1月7日に公開された「Devices, Systems, And Methods For Artificial Chordae Tendineae」と題された米国特許出願公開第2021/0000599号明細書、2021年1月7日に公開された「Devices, Systems, And Methods For Anchoring An Artificial Chordae Tendineae To A Papillary Muscle Or Heart Wall」と題された米国特許出願公開第2021/0000598号明細書、2022年3月31日に公開された「Devices, Systems, And Methods For Adjustably Tensioning Artificial Chordae Tendineae In A Heart」と題された米国特許出願公開第2022/0096235号明細書に記載されるものを含むが、これらに限定されず、これらの各々は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるデバイスの例は、本開示の実施形態または1つまたは複数の特徴を組み込むように修正され得る。
【0020】
弁および/または腱索の1つまたは複数の弁尖の再配置、修復、および/または置換は、心臓弁の1つまたは複数の弁尖、および乳頭筋組織などの心臓組織に固定される1つまたは複数のデバイスを含んでいてよい。本明細書に説明されるデバイスおよびシステムおよび方法の実施形態の例は、乳頭筋組織などの心臓組織への1つまたは複数のデバイスの固定を容易にする。本明細書に説明されるデバイスの実施形態の例は、心臓などの解剖学的構造に対する他のデバイス、システム、またはツールのための固定を提供する。本明細書で説明されるデバイスおよびシステムは、本明細書に組み込まれる上記で参照された出願で開示されるデバイスまたはシステムとともに使用されてもよく、または本明細書で説明されるものなどの他のデバイスおよびシステムとともに使用されてもよいことを理解されたい。
【0021】
本開示の様々な原理に従って、心臓組織に固定するためなどの組織アンカーが、乳頭筋および/または心臓壁などの解剖学的組織にアンカーを送達および展開するアンカー送達および展開システムと併せて開示される。アンカー送達および展開システムは、好ましくは、アンカーの経管的(切開手術とは対照的に)送達および展開のために、体内の蛇行経路を通してナビゲートされるように構成されている。アンカー送達および展開システムは、送達カテーテルまたはシース、および任意選択的に、体内の蛇行経路をナビゲートすることが可能な他の可撓性管状要素を通して送達され得る。例えば、アンカー送達および展開システムは、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる「Devices, Systems, And Methods For Clamping A Leaflet Of A Heart Valve」と題され、本願と同日に出願され、同時係属中の特許出願[代理人整理番号2001.2700101]に記載されているような、弁尖クリップ送達および展開システムを送達するように構成された送達カテーテル内で送達されてもよい。
【0022】
本開示の様々な原理に従って、アンカー送達および展開システムは、送達中にアンカーを中に収容するように構成されたアンカーガレージを含み、アンカーガレージは、アンカーがガレージから(鈍い遠位端部を通して)排出されるときに組織に押し付けられる鈍い開いた遠位端部を有している。鈍い端部は、アンカーが固定される組織を損傷しないように特に構成されている。アンカー要素という用語は、便宜上使用されており、本明細書では、アンカー、アンカーデバイス、アンカー機構、アンカー構成要素、アンカリング要素、アンカリングデバイス、アンカリング機構、アンカリング構成要素などの用語と互換的に使用することができ、そのような用語は、別の物体を定位置に保持するように構成された構造を表すために当技術分野で知られていることが理解されよう。様々な用語(様々な文法的形式での)は、限定する意図なく、取り付け(attach)、アンカー(anchor)、埋め込み(implant)、貼り付け(affix)、固定(secure)、結合(couple)、係合(engage)、保持(hold)、留め置く(retain)など、組織へのアンカーの取り付けを指すために、本明細書において互換的に使用され得ることがさらに理解されよう。最後に、排出(eject)、押圧(push)、展開(deploy)、解放(release)、推進(propelling)、放出(expire)、分配(dispense)などの用語(およびそれらの様々な文法形式)は、限定する意図なく、本明細書において互換的に使用され得る。
【0023】
本開示の様々な原理に従って形成されるアンカー送達および展開システムは、送達構成においてアンカーガレージ内に配置されたアンカーを送達するように構成されている。いくつかの実施形態では、アンカーガレージは、典型的には約0.22インチ(5.59mm)の内径を有するカテーテル内に配置され、アンカーガレージは、約0.12インチ(3.048mm)の外径(および、いくつかの実施形態では、約0.1065インチ/2.7051mmの内径)を有していてよい。いくつかの実施形態では、アンカーは、複数の爪(talon)を含み、複数の爪は、組織に係合するための展開構成に付勢されているが、アンカー送達および展開システムのアンカー送達および展開デバイス内など、組織への送達のための送達構成に配置されていてよい。送達構成は、コンパクトな、または圧縮された構成であってもよく、展開構成は、開放された、または拡張された構成(送達構成にある場合のアンカーの外側寸法よりも大きい外側寸法を備える)であってよい。例えば、アンカーガレージは、アンカーガレージの内径内に収まるようにアンカー爪をコンパクトな構成に拘束または保持することができる。いくつかの実施形態では、アンカー爪は、コンパクトな構成において、アンカーガレージの長手方向軸に沿って延びるように伸長され、または細長くされる。プッシャーロッドなどのアクチュエータを使用して、アンカーをアンカーガレージから外に移動させて身体組織に展開することができる。アンカーがアンカー送達および展開デバイス内になくなると、アンカー爪は、拡張構成などの開放された構成に移ることができる。拡張構成では、アンカーは、送達構成にあるときのその外径よりも大きく、かつアンカーガレージの内径よりも大きい外径を有していてよい。
【0024】
身体組織に対して押し付けられると、アンカー爪は、組織に突き刺さって貫入し、身体組織内に固定された展開構成に広がることができる。アンカーは、所望の開放構成に(例えば、熱処理によって)形成される、ニチノールなどの弾性および/または形状記憶材料から形成されていてよい。したがって、アンカー爪は、外力がアンカー爪を動かすことなく、実質的に自動的に開いて、開放構成になるように付勢されている。開く、拡張する、シフトする、移動する、遷移するなどの用語(およびそれらに関する様々な文法形式)は、限定する意図なく、アンカー爪の動きを指すために本明細書において互換的に使用され得ることが理解されよう。
【0025】
本開示の様々な原理に従って、アンカー爪は、アンカーがアンカーガレージ内に(例えば、送達構成で)配置されているときに、その自由端がアンカーガレージの壁から離れるように内向きに曲がるように構成されていてよい。したがって、アンカーは、爪の自由端がアンカーガレージに干渉し、引っかかり、損傷し、または妨げられることなく、アンカーガレージ内で摺動可能であるか、または移動可能である。一方、アンカー爪の自由端は、アンカーがアンカーガレージから押し出されて身体組織に接触するときに、身体組織に貫入する(例えば、突き刺さる)ことができるように構成されていてよい。このような実施形態では、アンカーの長手方向軸に対するアンカーの爪の角度は、組織に対して鈍端を呈するほど大きくはなく、その代わりに、爪が組織に貫入するように、爪の自由端(特に、爪/アンカーの長手方向軸を概ね横切る自由端の表面)が、アンカーが展開される組織に押し付けられることを可能にする。爪のそのような角度の選択は、爪の自由端がアンカーガレージの壁に対して動くことを低減または防止する角度の選択とバランスをとることができる。
【0026】
アンカー爪は、組織との係合および組織における保持を確実にしながらも、送達構成と展開構成との間での爪の屈曲または曲げを可能にするようなサイズ、形状、構成、および/または寸法にすることができる。例えば、厚さ、幅、長さ、および他の寸法は、組織係合を確実にし、さらに、変形することなく、またはアンカー爪に構造的もしくは機能的に悪影響を及ぼすことなく、爪の屈曲を可能にするように選択されてよい。追加的または代替的に、アンカー爪は、組織において十分な把持(purchase)を達成するための爪の湾曲の程度にかかわらず、爪を通る応力が、爪に対する張力または力(例えば、送達力、張力、展開後の力など)の範囲の下で、爪の変形または破損(例えば、破壊)を回避するために十分に分散されるようなサイズ、形状、構成、および/または寸法にされてもよい。そのような力は、当業者によって容易に理解され得る。いくつかの実施形態では、アンカー爪は、展開された後に組織の把持を向上させるために、バーブ(barb)または他の特徴を備えて形成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、アンカー爪は、幅方向に(例えば、側面から側面に、またはアンカーを中心とする円周方向に)テーパー状にされているなど、テーパー状である。例えば、アンカー爪は、その基部(爪がアンカー本体から延びる箇所)からその自由端までテーパー状になっていてよい。代替的に、アンカー爪は、その中間領域からその基部およびその自由端に向かってテーパー状になっていてもよい(すなわち、基部と自由端との間の中間領域でより広くなっていてもよい)。
【0028】
本明細書に説明されるいくつかの実施形態では、アンカーは、レーザ切断されたチューブから形成される。そのような実施形態では、アンカー爪は、リングまたはチューブ(爪が切り出され、または形成されるチューブの残りの部分)の形態であり得るアンカー基部から延びていてよい。アンカー基部は、アンカー本体を形成してもよく、またはアンカー本体の一部であってもよい。
【0029】
他の実施形態では、アンカー爪は、代わりに、アンカー基部とは別個に形成され、溶接または他の固着方法などによってアンカー基部に結合されてもよい。アンカー基部は、アンカー本体またはアンカーに関連付けられた別の要素に結合されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、人工腱索を受け入れ、かつ人工腱索を所望の位置および/または構成に保持するように構成および構造化された人工腱索張力付与およびロックデバイスが、アンカーと関連付けられている(例えば、結合されている)。アンカー基部は、本明細書において参照され、および/または参照により組み込まれる特許出願のうちの任意のものに開示されるような、人工腱索張力付与およびロックデバイスに結合されていてよい。アンカー基部の別の要素への結合は、嵌合要素(例えば、アンカー本体およびアンカー基部の穴を通って延びるピン、ねじ切り、戻り止めおよび溝係合など)のような結合要素を介して、または圧着もしくは溶接によって、またはアンカー本体に結合された要素(例えば、人工腱索)によるアンカー爪およびアンカー基部から離れる方向へのアンカー本体への引張力に耐えるのに十分に強い任意の他の適切な結合によって行うことができる。
【0030】
理解されるように、開示される実施形態の送達、展開、および係合は、蛍光透視法、超音波、心臓内超音波検査などの既知の医療視覚化技術の使用によって容易にすることができる。
【0031】
ここで、組織アンカーおよびアンカー送達および展開デバイス、システム、ならびに方法の様々な実施形態が、添付の図面に示される例を参照して説明される。本明細書における「一実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、本開示の原理による1つまたは複数の特定の特徴、構造、および/または特性が、実施形態に関連して含まれ得ることを示す。しかしながら、そのような言及は、すべての実施形態が特定の特徴、構造、および/または特性を含むこと、または、1つの実施形態がすべての特徴、構造、および/または特性を含むことを必ずしも意味しない。いくつかの実施形態は、1つまたは複数のそのような特徴、構造、および/または特性を、それらの様々な組み合わせで含むことができる。さらに、本明細書の様々な箇所における「一実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではなく、別個のまたは代替的な実施形態は、必ずしも他の実施形態と相互排他的ではない。特定の特徴、構造、および/または特性が一実施形態に関連して説明される場合、そのような特徴、構造、および/または特性は、明確に反対のことが述べられない限り、明示的に説明されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連して使用されてもよいことを理解されたい。さらに、そのような特徴、構造、および/または特性は、特徴、構造、および/または特性の多数の可能な組み合わせおよび部分的組み合わせのすべてを説明するには煩雑すぎるので、本開示の一部と考えられる代替実施形態を作成するために、単独で、または互いに様々に組み合わせて使用または提示され得ることを理解されたい。さらに、いくつかの実施形態によって示され得るが、他の実施形態によっては示され得ない様々な特徴、構造、および/または特性が説明される。同様に、いくつかの実施形態の特徴、構造、および/または特性もしくは要件であってもよいが、他の実施形態の特徴、構造、および/または特性もしくは要件でなくてもよい、様々な特徴、構造、および/または特性もしくは要件が説明される。最後に、本明細書で提供される様々な寸法は例であり、当業者は、(例えば、公称寸法、形状、応力/歪みの考慮事項などを考慮して)標準偏差およびそこからの許容可能な変動の適切な範囲を容易に決定することができ、これは、本開示およびこれに関連する任意のクレームによって包含されることを理解されたい。したがって、本開示は、本明細書に具体的に説明される実施形態のみに限定されない。
【0032】
ここで図面を参照すると、共通の特徴は共通の参照要素によって識別され、簡潔さおよび便宜のために、限定する意図なく、共通の特徴の説明は概して繰り返されないことが理解されるであろう。明確にするために、同じ参照番号を有する全ての構成要素に番号が付されているわけではない。さらに、類似の要素のグループが、数字および文字によって示されてもよく、概して、数字のみによって(各類似の要素に関連付けられた文字を含まずに)、1つの要素またはそのような要素、またはグループとしてのそのような要素を参照することができる。以下の説明では、図示された様々な実施形態の間で類似する要素または構成要素は、概して、100の倍数だけ増やされた同じ参照番号で指定され、冗長な説明は、概して、簡潔にするために省略されることが理解されよう。さらに、一実施形態における特定の特徴は、異なる実施形態にわたって使用されてもよく、異なる実施形態に現れるときに必ずしも個々にラベル付けされない。
【0033】
本開示の様々な原理に従って形成されたアンカーデバイスおよびシステム100が、心臓アンカーを展開するように配置されて図1に示されている。アンカーデバイスおよびシステム100は、その中に担持されたアンカー120を送達および展開するように構成されたアンカー送達および展開デバイス110を含む。
【0034】
本開示の様々な原理に従って、アンカーデバイスおよびシステム100は、図2および図3を参照して理解され得るように、概して非拡張送達構成でアンカーを収容または保持するように構成されたアンカーガレージ130を含む。アンカーガレージ130は、代替的に、限定することを意図せずに、本明細書において送達ハウジング、シースなどとして参照され得る。図2に示される実施形態の例では、アンカーガレージ130は、開いた鈍い遠位端部131(先端または自由端)を備えて構成されていてよい。鈍い遠位端部131は、アンカーガレージ130の遠位端部131を心臓組織に押し込む可能性なしに、開いた鈍い遠位端部131を通してアンカーガレージ130からアンカー120を展開するために、アンカーガレージ130を心臓組織に押し付けることを容易にするような大きさ、形状、構成、および寸法になっている。例えば、アンカーガレージ130の遠位端部131は、丸みを帯びているか、または内側に湾曲しているか(凸状に湾曲した外面を呈する)、あるいはアンカーガレージ130が押し付けられる組織を傷つけないように十分に鈍くなるように形成されていてよい。例えば、限定するものではないが、アンカーガレージ130の遠位端部131のエッジは、約0.0275インチ(0.6985mm)の半径で湾曲していてよい。
【0035】
図3を参照して理解され得るように、本開示の様々な原理に従って形成されるアンカー120は、アンカー本体124からその遠位端121まで遠位に延在する複数の爪122を有している。アンカー120は、人工腱索150(例えば、図2参照)をアンカー120に固定するために、人工腱索張力付与およびロックデバイス140に結合されていてよい。人工腱索張力付与およびロックデバイス140は、人工腱索を受け入れ、かつアンカー120に対してなど、人工腱索を所望の位置および/または構成に保持するように構造化および構成されている。人工腱索張力付与およびロックデバイス140の具体的構造は、本開示にとって重要ではなく、任意の所望の構造であってよく、限定ではないが、本明細書で参照および/または参照することによって組み込まれる特許出願のうちの任意のものに開示された構造を含む。いくつかの実施形態では、エンドキャップ142が、(例えば、アンカー本体124を介して)アンカー120と人工腱索張力付与およびロックデバイス140とを結合するために提供される。図3および図4に示される実施形態の例では、エンドキャップ142は、エンドキャップ142を通るボア145およびアンカー本体124内の対応するボア(図3には示されていないが、以下でさらに詳細に説明される)を通って延びるロッキングピン144を介してアンカー本体124と結合される。機械的締まり嵌めは、アンカー120がニチノールから形成され、人工腱索張力付与およびロックデバイスが、金属(例えば、医療グレードステンレス鋼)またはポリマーなどの異なる材料から形成される場合、有利であり得る。しかしながら、アンカー120と人工腱索張力付与およびロックデバイス140とを結合する他の方法も、本開示の範囲および趣旨に含まれることが理解されるであろう。
【0036】
図3に示されるアンカー120の実施形態の例の送達構成では、アンカー爪122は、概して細長く、アンカーデバイスおよびシステム100の長手方向軸LAに沿って延びている。爪122は、アンカー本体124に結合された爪基部123からその遠位端121まで延びている。爪122の基部領域122b、中間領域122i、および端部領域122eは、アンカー本体124から離れて遠位方向に延びている。
【0037】
図4を参照して理解され得るように、アンカーガレージ130に対するアンカー120の遠位方向への前進は、アンカー120が、アンカー120の爪122が長手方向軸LAから外向きに湾曲する拡張展開構成にシフトすることを可能にし、爪122は、図2および図3に示される送達構成にあるときに、長手方向軸LAに沿って概して配置されている。アンカー爪122を参照して使用されるような、用語「湾曲」(およびその他の文法的形態)は、本明細書では、「屈曲」、「弓」、「形」など(およびその他の文法的形態)の用語と互換的に使用され得ることが理解されよう。アンカープッシャロッド160は、アンカー120をアンカーガレージ130から遠位方向に前進させて、図4に示されるような、組織内に展開されるような展開構成に延ばすために使用されてもよい(以下でさらに詳細に議論される)。アンカー120は、形状記憶材料(例えば、ニチノール)から形成されてよく、この形状記憶材料は、爪122を、図3に示されるような伸長構成から、図4に示されるような拡張した湾曲した構成または屈曲した構成へとシフトさせるかまたは戻す。図4に示すアンカー120の実施形態の例の拡張構成では、爪122の基部領域122bは、アンカー本体124から離れて遠位方向にそれぞれの爪基部123から延び、爪122の中間領域122iは、アンカー爪122の端部領域122eおよび遠位端121がアンカー本体124に向かって(任意選択でそれを越えて)延びるように、アンカー本体124に向かって近位方向に折り返されている。
【0038】
本開示の様々な原理に従って、アンカー120の爪122は、爪122またはアンカーガレージ130の内面がアンカー120の動きに影響を及ぼすことなく、アンカーガレージ130に対して動くように構成されている。より具体的には、爪122およびアンカーガレージ130は、互いに干渉したり、引っかかったり、損傷したり、妨害されたりしないように形成することができる。爪122は、外力なしに(言い換えれば、自動的にシフトまたは変化して)湾曲および/または拡張した構成へと延びるように(例えば、形状記憶材料を用いて)構成および形成され得るので、爪122は、半径方向外向きに(すなわち、アンカー送達および展開システム100の長手方向軸LAから離れる方向に)湾曲しているか、または付勢されていることが理解されよう。したがって、爪122は、アンカーガレージ130の壁に半径方向外向きの力を加え得る。さらに、爪122の端部領域122eは、爪122の基部領域122bよりもさらに半径方向外側に延びていてよい(言い換えれば、アンカーガレージ130内でより大きな円周または断面積を占めていてもよい)。本開示の様々な原理に従って、図3に示す実施形態の例のように、爪の端部領域122eは、アンカーガレージ130の内面に対して概ね凸状の表面を呈する。追加的にまたは代替的に、爪122の遠位端131は、遠位端131がアンカーガレージ130の内面をこするリスクを最小限に抑えるかまたはなくすために、いくらか内側に向けられていてもよい。例えば、爪122の遠位端131は、アンカー送達および展開システム100の長手方向軸LAに向かって内側に傾斜または湾曲していてよい。
【0039】
上述のように、本開示の様々な原理に従って形成されたアンカー120は、アンカー120が組織から不注意に引き抜かれないように、組織内または組織との強い把持を確立することが望ましい。本開示の一態様では、人工腱索150(図2に示される)は、アンカー120に結合されていてよく、アンカー120は、以下でさらに詳細に議論されるように、人工腱索150を心臓組織に固定するために使用されていてよい。そのような実施形態では、概して、アンカー120が、(人工腱索150が結合される弁尖の動きによってなど)そこに及ぼされる任意の張力に抵抗するように寸法決めされ、成形され、形成され、および構成されることが望ましい。本開示の様々な原理に従って形成されたアンカーの実施形態の様々な例が、図5A図5B図6A図6B図7A図7B図8A図8B図9A図9B図10A図10Bに示されており、ここでさらに詳細に説明する。
【0040】
本開示の様々な原理に従って形成され、図5A図5B図6A図6B図7A図7B図8A図8B図9A図9B図10A図10Bにそれぞれ示されるアンカー220,320,420,520,620,720,820の実施形態の例は、それぞれのアンカー本体224,324,424,524,624,724,824に結合されたそれぞれの爪基部223,323,423,523,623,723,823を有する複数の爪222,322,422,522,622,722,822と、アンカー本体224,324,424,524,624,724,824から離れて延びるそれぞれの遠位端221,321,421,521,621,721,821とを有している。遠位端221,321,421,521,621,721,821は、各々、爪222,322,422,522,622,722,822が組織に貫入することができ、アンカー220,320,420,520,620,720,820が、アンカーが組織と係合したときに組織にしっかりと固定することができるように、組織に貫入するのに適したテーパー状のまたは尖った先端を有することができる。
【0041】
図5A図6A図7A図8A図9A、および図10Aの斜視図から理解され得るように、アンカー220,320,420,520,620,720,820の実施形態の図示された例の爪222,322,422,522,622,722,822は、爪222,322,422,522,622,722,822が中立位置にある(例えば、外力が作用していない)ときに、そのそれぞれの中間領域222i,322i,422i,522i,622i,722i,822iが、そのそれぞれのアンカー本体224,324,424,524,624,724,824から半径方向外向きに、アンカー本体224,324,424,524,624,724,824と、爪222,322,422,522,622,722,822の遠位端221,321,421,521,621,721,821との間の距離よりも大きい距離だけ延びるように、曲がった外観を有していてよい。爪222,322,422,522,622,722,822の曲がった領域は、アンカー220,320,420,520,620,720,820が(例えば、図3に示すようなアンカーガレージ130内の)送達構成から(例えば、図4に示すようなアンカーガレージ130の外側の)展開構成に移るときに、爪222,322,422,522,622,722,822の遠位端221,321,421,521,621,721,821をアンカー送達および展開システム100の長手方向軸LAから離れるように半径方向外向きに動かして、アンカー本体224,324,424,524,624,724,824に向かって戻るように曲げるばねとして作用することができる。
【0042】
図5A図6A図7A図8A図9A、および図10Aの斜視図などの、図3の展開構成では、爪222,322,422,522,622,722,822の各々の遠位端221,321,421,521,621,721,821は、本体224,324,424,524,624,724,824から離れる方向を向いていてよい。そのような構成では、遠位端221,321,421,521,621,721,821は、組織に係合するように配置されている。加えて、上述したように、アンカー220,320,420,520,620,720,820が送達構成にあるときに爪222,322,422,522,622,722,822が伸長構成にあるとき、そのような湾曲は、爪222,322,422,522,622,722,822の各々の遠位端221,321,421,521,621,721,821が、アンカー220,320,420,520,620,720,820が送達されるアンカーガレージ130の内面から離れるように内向きに向けられるように維持され得る。
【0043】
本開示の様々な原理に従って、アンカー120,220,320,420,520,620,720,820は、例えば、図3図4図5A図6A図7A図8A図9A、および図10Aに示すように、3つまたは4つの爪など、2つ以上の爪222,322,422,522,622,722,822を有することができる。アンカーの爪は、同様の形状および/または構成を有していてよいが、比較した場合、アンカー上の爪の総数に応じて、異なるプロポーションであってもよいし、異なる間隔であってよい。例えば、図5Aに示すアンカー220の実施形態の例の3つの爪222と、図6Aに示すアンカー320の実施形態の例の4つの爪322とは、同様の形状およびプロポーションを有するが、寸法および/または相対的な間隔がわずかに異なる。より具体的には、爪322は、爪222よりも小さい寸法を有し、および/または互いにより接近しており、その結果、アンカー320は、アンカー220によって収容されるよりも多くの爪を収容することができる。同様に、図7Aに示すアンカー420の実施形態の例の3つの爪422と、図8Aに示すアンカー520の実施形態の例の4つの爪522とは、同様の形状およびプロポーションを有するが、寸法および/または相対的な間隔がわずかに異なる。より具体的には、爪522は、爪422よりも小さい寸法を有し、および/または互いにより接近しており、その結果、アンカー520は、アンカー620によって収容されるよりも多くの爪を収容することができる。
【0044】
本開示の様々な原理に従って、爪の幅方向の(例えば、側面から側面の、またはアンカーの周囲に沿った)テーパーは、爪に十分な可撓性を提供し、爪の基部(例えば、爪基部223,323,623,723)などにある爪に沿った歪みに対する十分な抵抗も提供することが分かっている。本明細書に開示されるようなアンカーの1つまたは複数の爪は、1つまたは複数のテーパー状の領域を含むように、本開示の様々な原理に従って形成され得る。図5A図5B図6A図6B図9A図9B図10A図10Bにそれぞれ示すアンカー220,320,620の実施形態の例では、それぞれのアンカー爪220,320,620,720は、爪基部223,323,623,723から爪遠位端221,321,621,721まで単一のテーパーを有している。しかしながら、組織内および組織に対する所望の固定、ならびに所望の送達および展開構成を達成するために、他の構成も本開示の範囲および趣旨の範囲内にある。例えば、図7A図7B図8A図8Bにそれぞれ示すアンカー420,520の実施形態の例では、爪422,522は、それぞれの爪422,522の中間領域422i,522iから端部領域422e,522eまで、および中間領域422i,522iから基部領域422b,522bまで、2つのテーパーを有している。本開示の様々な原理に従って形成されたアンカーの爪は、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、概して均一な幅を有する領域、または追加のテーパーもしくは幅の他の変化を有する領域を、追加的または代替的に有し得ることが理解されよう。
【0045】
本開示の様々な原理に従って、アンカーの爪に沿ったテーパーの程度および位置、ならびに/またはアンカーの全体的な寸法は、爪間の間隔に影響を及ぼし得る。例えば、図5Aおよび図5Bのアンカー220の実施形態の例と比較して、図9Aおよび図9Bに示されるアンカー620の実施形態の例のように、テーパーの程度が大きいと、図5Aおよび図5Bに示されるアンカー220のようにテーパーの程度が小さい場合と比較して、爪基部領域622bが大きくなり、および/または爪620間の間隔または距離が小さくなり得る。同様に、図10Aおよび図10Bのアンカー720の実施形態の例と比較して、図5Aおよび図5Bに示されるアンカー220の実施形態の例のように、アンカーのより小さい全体サイズ(例えば、直径)は、図10Aおよび図10Bに示されるアンカー720のようなより大きいアンカーと比較して、爪220の間の間隔または距離が小さくなり得る。
【0046】
上述した実施形態の図示された例では、爪は概ね均等に間隔を置いて配置されていることが理解されよう。しかしながら、他の実施形態(図示せず)では、爪は均等に離隔されている必要はない。さらに、アンカーの爪は、異なるサイズ、形状、構成、および/または寸法を有していてもよいことが理解されよう。アンカー爪の材料の(爪の内面と外面との間、またはアンカーの内部と外部との間などの半径方向における)厚さは、爪の自動的なシフトまたは曲げ戻しを可能にすると同時に、破損しにくいように選択されていてよい。追加的または代替的に、爪の幅(アンカーの外周または円周に沿った)は、爪の自動的なシフトまたは曲げ戻しを可能にする一方で、破損しにくいように選択されていてよい。
【0047】
本開示の様々な原理に従って形成されるアンカーの爪の形状および寸法は、アンカーが固定される組織のアンカー爪による把持を高めるように選択されていてよい。追加的または代替的に、本開示の様々な原理に従って形成されるアンカー爪の形状および寸法は、アンカーが固定される組織のアンカー爪による把持を向上させるように選択されていてよい。いくつかの実施形態では、追加的特徴が、組織の把持を向上させるために、爪の上に提供されてもよい。例えば、図11Aおよび図11Bに示されるアンカー820の実施形態の例において、1つまたは複数のバーブ825が、アンカー爪822のうちの1つまたは複数の片側または両側に沿って形成されていてよい。バーブ825は、爪822に切れ目を形成するとともに、爪822の残りの部分から離れた切れ目に沿って爪822の小部分を曲げる(および任意選択で熱硬化する)ことなどによって、任意の所望の方法で形成することができる。バーブ825は、爪822が挿入される組織内により広い設置面積を提供するために、爪822の幅を効果的に増加させるようなサイズ、形状、構成、および寸法にすることができる。
【0048】
アンカーが心臓組織に固定される(人工腱索を乳頭筋に固定するためなど)実施形態では、爪の強度は、概して、爪の可撓性とバランスをとらなければならない。例えば、爪は、その上にかかる複数回の(例えば、8億サイクルを超える)触診力に耐えるのに十分な強度を有しながら、形状の変化(例えば、送達構成と展開構成との間でシフトするときなどの屈曲または直線化)の際に変形または破損してはならない。爪の少なくともいくつかの(半径方向の)厚さは、変形または破損する可能性があるほど厚くはないが、組織における所望の引き抜き抵抗/把持強度を達成するように変更されてもよい(より厚い爪は、概して、より大きな保持力でより強くなる)。追加的または代替的に、爪の幅は、所望の組織把持強度ならびに材料強度(変形または破壊に抵抗するため)を達成するように選択されていてよい。爪の幅は、上述したように変化してもよい。図6Aおよび図6Bに示されるような、爪の基部から爪の遠位端までの概して連続したテーパー、および任意選択で、図9Aおよび図9Bに示されるような、爪間の間隔がより小さい概してより幅広のテーパーは、基部において所望の強度を提供し、および/または屈曲時に爪に応力および/またはひずみを分散させ、および/または人工腱索150のためのアンカーの所望の特性を提供することができる。任意選択的に、図7A図7B図8A図8Bに示すような2つのテーパーを有する爪は、その中間領域422i,522iに沿って爪422,522に増大した強度を提供することができる。いくつかの実施形態では、爪は、爪の幅よりも小さい厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、爪の断面形状は、実質的に長方形であってよい。チューブおよび/またはチューブから形成される爪の長さは、爪が組織に十分に貫入するが、その遠位端が組織から出る(例えば、一方の側面から入って別の側面から出る、または組織に入って曲がって、入ったポイントと同じ組織の側面から出る)ほど長くないように選択することができる。いくつかの実施形態では、爪は、約0.0075インチ(0.1905mm)の厚さを有するチューブからレーザ切断され、爪のうちの少なくともいくつか(および任意選択でアンカー本体も)の厚さは、約0.0055インチ(0.1397cm)以下に(例えば電解研磨によって)低減される。
【0049】
本開示の様々な原理に従って形成されるアンカー爪は、アンカー本体を形成するアンカー基部から形成されてもよく、または別個に形成されたアンカー本体に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、アンカー爪は、アンカー基部/アンカー本体と一体的に形成される。いくつかの実施形態では、アンカーは、チューブから本開示の様々な原理に従って形成され、爪は、チューブを所望の数および形状の爪に切り出すことによって形成される。例えば、アンカーは、ニチノールチューブなどのレーザ切断されたチューブから形成されていてよい。アンカー220,320,420,520,620,720,820(それぞれ図5A図6A図7A図8A図9A図10A、および図11Aに示される)の様々な構成を形成する切断パターンの例を示す平面投影図が、図5B図6B図7B図8B図9B図10B、および図11Bに示されている。チューブが切断されると、爪は、組織に係合および固定するための所望の構成に(例えば、熱硬化され、典型的には爪の曲がりを徐々に増加させるための一連のステップで)成形され得る。チューブは、本開示の様々な原理による組織アンカーを形成するように、電解研磨などで、さらに修正されてもよい。
【0050】
図3および図4に関して上記で説明されるように、アンカー基部またはアンカー本体は、人工腱索張力付与およびロックデバイス140と結合されていてよい。いくつかの実施形態では、アンカー本体には、アンカー本体を人工腱索張力付与およびロックデバイス140と結合するためにピンが通って延びることができるボアが設けられていてよい。それぞれのアンカー220,320,420,520,620,720,820のアンカー本体224,324,424,524,624,724,824を貫通するボア245,345,445,545,645,745,845の例が、図5A図5B図6A図6B図7A図7B図8A図8B図9A図9B図10A図10B図11A図11Bに示されている。本開示の原理に従って形成されるアンカー送達および展開システム100の構成要素を結合するためのボアは、当業者に許容可能な任意の形状であってもよいことが理解されるであろう。
【0051】
使用時、本開示の様々な原理に従って形成されたアンカー送達および展開システム100は、アンカー120(任意選択的にアンカー送達および展開システム100の一部と考えられる)を心臓組織に送達および展開するために使用され得る。図12および図13に図示される実施形態の例では、人工腱索150は、上記で参照され、上記で組み込まれた米国特許出願公開第2021/0000597号または米国特許出願公開第2022/0096235号に開示されるような弁尖クリップ送達および展開システムを用いて送達および展開される弁尖クリップ170などを用いて、心臓弁尖Lにクランプされている。弁尖クリップ送達および展開システムは、本開示の様々な原理に従って形成されるアンカー送達および展開システム100とともに送達されてよく、任意選択で、その一部と見なされてもよい。例えば、弁尖クリップ送達および展開システムは、アンカーガレージ130上に取り付けられていてよい。弁尖クリップスプレッダは、弁尖クリップを展開するために使用されてよく、アンカー120が展開されると弁尖クリップから取り外されてよく、その後、送達/展開部位から除去されてよい。人工腱索150は、弁尖クリップ170から延在し、本開示の様々な原理に従って形成されたアンカー120に結合されてよい。例えば、人工腱索150は、アンカーガレージ130内に延在して、アンカー120が結合された人工腱索張力付与およびロックデバイス140と結合されてもよい。アンカー送達および展開システム100が、アンカー120を心臓組織(心臓弁HVの乳頭筋組織など)に送達するように前進させられると、人工腱索150も、図12に示されるように、心臓組織へと前進させられる。アンカーガレージ130の遠位端131は、図1に示されるように、アンカー120の展開部位で心臓組織に押し付けられ、アンカープッシャ160(例えば、図3および図4参照)は、アンカーガレージ130から心臓組織内にアンカー120を押し出すために、展開部位へと遠位方向に前進されてよい。アンカー120の爪122がアンカーガレージ130の中から心臓組織の中に延ばされると、爪122は、図13に仮想線で示されているような延ばされた構成にシフトする。アンカー送達および展開システム100は、図13に示されるように、アンカー120および人工腱索150を心臓組織に固定されたまま、後退させる(近位方向に動かされる)ことができる。人工腱索張力付与およびロックデバイス140は、人工腱索150上の張力を調節するように調節され得る。人工腱索150は、所望の長さに切断され、弁尖クリップ170およびアンカー120とともに埋め込まれたままにしておくことができる。
【0052】
上記を考慮して、図に示される様々な実施形態は、いくつかの別個の独立した特徴を有し、その各々は、少なくとも単独で、本開示の組織アンカーならびにアンカー送達および展開デバイス、システム、ならびに方法にとって望ましいが必須ではない特有の利点を有することを理解されたい。したがって、本明細書に記載される所望の特性および/または利点の少なくともいくつかを達成するために、本明細書に記載される様々な別個の特徴のすべてが存在する必要はない。本明細書に説明される様々な特徴のうちの1つのみが、本開示の様々な原理に従って形成される組織アンカーまたはアンカー送達および展開システムに存在してもよい。あるいは、一実施形態を参照して記載される特徴のうちの1つまたは複数は、本明細書で提供される他の実施形態のいずれかの特徴のうちの1つまたは複数と組み合わせることができる。すなわち、本明細書で説明される特徴のうちの任意のものは、混合および調和されてハイブリッド設計を作成することができ、そのようなハイブリッド設計は、本開示の範囲内である。さらに、本開示全体を通して、参照番号は、開示された実施形態の包括的な要素または特徴を示すために使用される。同じ参照番号は、形態、形状、構造などが同一ではないが、同様の機能または利点を提供する要素または特徴を示すために使用され得る。同様の要素または特徴を互いに区別するために、追加の参照符号(数字ではなく文字など)が使用され得る。
【0053】
前述の議論は、広範な用途を有し、例示および説明の目的で提示されており、本開示を本明細書に開示される1つまたは複数の形態に限定することを意図していない。本開示の概念、技術思想、および範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される実施形態に対して様々な追加、修正、および置換が行われ得ることが理解されるであろう。特に、本開示の原理は、その概念、技術思想、もしくは範囲、または特性から逸脱することなく、他の形態、構造、配置、比率で、ならびに他の要素、材料、および構成要素を用いて具現化され得ることが当業者には明らかであろう。例えば、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的で、1つまたは複数の態様、実施形態、または構成に、一緒にグループ化される。しかしながら、本開示の特定の態様、実施形態、または構成の様々な特徴は、代替の態様、実施形態、または構成において組み合わされ得ることを理解されたい。本開示は、実施形態に関して提示されるが、本主題の様々な別個の特徴は、本主題またはそのような個々の特徴の所望の特性および/または利点のうちの少なくともいくつかを達成するために、全てが存在する必要はないことを理解されたい。本開示は、本開示の原理または技術思想または範囲から逸脱することなく、多くの修正、または特定の環境および動作要件に特に適合される、本開示の実施において使用される構造、配置、比率、材料、構成要素などの修正とともに使用され得ることを当業者は理解するであろう。例えば、一体的に形成されるものとして示される要素は、複数の部品から構成されてもよく、または複数の部品として示される要素は、一体的に形成されてもよく、要素の動作は、逆にされてもよく、または変更されてもよく、要素のサイズまたは寸法は、変更されてもよい。同様に、動作またはアクションまたは手順が特定の順序で説明されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような特定の順序を必要とすると理解されるべきではなく、あるいはすべての動作またはアクションまたは手順が実行されるべきであると理解されるべきではない。加えて、他の実装形態は、以下の特許請求の範囲内にある。いくつかの場合には、特許請求の範囲に記載された動作は、異なる順序で実行することができ、それでも望ましい結果を達成することができる。したがって、現在開示されている実施形態は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、請求される主題の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示されており、前述の説明、または本明細書で説明もしくは図示されている特定の実施形態もしくは構成に限定されない。上記を考慮して、任意の実施形態の個々の特徴が使用されてもよく、別個に、またはその実施形態もしくは任意の他の実施形態の特徴と組み合わせて請求されてもよく、主題の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、前述の説明に限定されない。
【0054】
前述の説明および以下の特許請求の範囲において、以下が理解されるであろう。本明細書で使用される「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」、および「および/または」という語句は、動作において接続的および選言的の両方であるオープンエンド表現である。「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「第1の」、「第2の」などの用語は、複数を除外しない。例えば、用語「1つの」エンティティは、本明細書で使用される場合、そのエンティティの1つまたは複数を指す。したがって、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」は、本明細書において互換的に使用することができる。全ての方向に関する言及(例えば、近位、遠位、上部、下部、上方、下方、左、右、横方向、長手方向、前部、後部、頂部、底部、上、下、垂直、水平、半径方向、軸方向、時計回り、反時計回りなど)は、本開示の読者の理解を助けるための識別目的でのみ使用され、および/または関連する要素の領域を互いに区別する役割を果たし、特に本開示の位置、向き、または使用に関して関連する要素を限定するものではない。接続に関する言及(例えば、取り付けられる、結合される、接続される、および接合される)は、広義に解釈されるべきであり、別段の指示がない限り、要素の集合の間の中間部材および要素間の相対移動を含み得る。したがって、接続に関する言及は、2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを必ずしも示唆するものではない。識別に関する参照(例えば、一次、二次、第1、第2、第3、第4など)は、重要性または優先度を含意することを意図するものではなく、1つの特徴を別の特徴から区別するために使用される。
【0055】
以下の特許請求の範囲は、参照によりこの詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、本開示の別個の実施形態として独立している。特許請求の範囲において、「備える/備えている」という用語は、他の要素またはステップの存在を除外しない。加えて、個々の特徴が異なる請求項に含まれ得るが、これらは、有利に組み合わせられる可能性があり、異なる請求項に含まれることは、特徴の組み合わせが実現可能でないおよび/または有利でないことを意味するものではない。加えて、単数の参照は、複数を除外しない。特許請求の範囲における参照符号は、単に明確にする例として提供されており、特許請求の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカー送達および展開システムであって、
アンカー本体と、前記アンカー本体から延在するとともに送達構成と展開構成との間でシフト可能な複数のアンカー爪とを有するアンカーと、
前記複数のアンカー爪が送達構成にある状態で前記アンカーをその中に収容するように構成されるとともに、前記アンカーが展開可能な開いた鈍い端部を有するアンカーガレージと
を備え、
前記複数のアンカー爪は、前記アンカーガレージ内にあるときの前記送達構成から、前記アンカーガレージの外側に展開されたときの前記展開構成に拡張する、送達および展開システム。
【請求項2】
前記アンカーガレージの前記鈍い端部は、組織を損傷することなく組織に押し付けるための鈍端を呈するように凸状に湾曲した外面を有している、請求項1に記載の送達および展開システム。
【請求項3】
前記アンカー爪は、前記アンカー本体に結合された爪基部から、組織に貫入するように構成された爪遠位端まで延びており、
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪基部と前記爪遠位端との間でテーパー状になっている、請求項1または2に記載の送達および展開システム。
【請求項4】
前記アンカー爪は、前記アンカー本体に結合された爪基部から、組織に貫入するように構成された爪遠位端まで延びており、
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪基部と前記爪遠位端との間に中間領域を有しており、
前記爪のうちの前記少なくとも1つは、前記中間領域から前記爪遠位端に向かってテーパー状になっている、請求項1または2に記載の送達および展開システム。
【請求項5】
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記中間領域から前記爪基部に向かってテーパー状になっている、請求項4に記載の送達および展開システム。
【請求項6】
前記爪のうちの少なくとも1つは、幅方向にテーパー状になっている、請求項に記載の送達および展開システム。
【請求項7】
前記アンカーは、チューブから形成され、前記爪は、前記チューブから切り出されている、請求項1または2に記載の送達および展開システム。
【請求項8】
前記アンカーに結合された人工腱索をさらに備える、請求項1または2に記載の送達および展開システム。
【請求項9】
組織アンカーであって、
チューブから形成されたアンカー本体と、
前記チューブを切断することにより形成された複数のアンカー爪と
を備え、
前記アンカー爪は、前記アンカー本体に結合された爪基部から、組織に貫入するように構成された爪遠位端まで延びており、
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪基部と前記爪遠位端との間でテーパー状になっている、組織アンカー。
【請求項10】
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪遠位端に向かってテーパー状になっている、請求項9に記載の組織アンカー。
【請求項11】
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪基部から前記爪遠位端に向かってテーパー状になっている、請求項9または10に記載の組織アンカー。
【請求項12】
前記爪のうちの少なくとも1つは、前記爪基部と前記爪遠位端との間に中間領域を有しており、前記爪のうちの少なくとも1つは、前記中間領域から前記爪遠位端に向かってテーパー状になっている、請求項9または10に記載の組織アンカー。
【請求項13】
前記爪のうちの前記少なくとも1つは、前記中間領域から前記爪基部に向かってテーパー状になっている、請求項12に記載の組織アンカー。
【請求項14】
前記爪のうちの前記少なくとも1つは、幅方向にテーパー状になっている、請求項9または10に記載の組織アンカー。
【請求項15】
前記爪は、前記アンカー本体が形成される前記チューブをレーザ切断することによって形成されている、請求項9または10に記載の組織アンカー。
【国際調査報告】