(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】有機複合材料、異成分廃棄物から有機複合材料を得る方法、及びその使用
(51)【国際特許分類】
C08L 23/12 20060101AFI20240829BHJP
C08L 67/04 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C08L23/12
C08L67/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513147
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 IL2022050920
(87)【国際公開番号】W WO2023031911
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523192288
【氏名又は名称】ユー.ビー.キュー.マテリアルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビジオ、ジャック
(72)【発明者】
【氏名】フェラス、ギル
(72)【発明者】
【氏名】スタール、ガト
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AB012
4J002BB121
4J002CF181
(57)【要約】
本開示は、有機複合材料(OCM)、その調製のためのプロセス、及びその使用に関し、OCMは、少なくとも90重量%の異成分有機物質を含む、ブレンドを含み、OCMは、(i)ISO14040:2006に従って決定される約10KgCO2eq/Kg未満のカーボンフットプリントと、(ii)ポリプロピレンと配合される場合に、ISO1133-1:2011に従って決定される約30g/10分超のメルトフローインデックス(MFI 230℃/2.16Kg)と、生分解性と、によって特徴付けられる。また、OCMは、0重量%~3重量%の合成ポリマー含有量及び/又は検出可能な量の特定の合成ポリマーがないことによって特徴付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも90重量%の異成分有機物を含むブレンドを含む、有機複合材料(OCM)であって、前記OCMが、以下:
-前記OCMが、ISO14040:2006に従って決定される約-10KgCO
2eq/Kg未満のカーボンフットプリントを有すること、
-前記OCMが、70重量%のポリプロピレン(PP)と配合されてOCM-PPを形成する場合に、前記OCM-PPが、ISO1133-1:2011に従って決定される約30g/10分超のメルトフローインデックス(MFI 230°C/2.16Kg)を有すること、
-前記OCMが、70重量%のポリ乳酸(PLA)と混合されてOCM-PLAを形成する場合に、前記OCM-PLAが堆肥中に少なくとも80日間置かれ、前記OCM-PLAが少なくとも90%の分解を示すこと、のうちの少なくとも1つによって特徴付けられ、
前記OCMは、更に
-前記OCMが、前記複合材料の総重量のうち、0重量%~3重量%の量の合成ポリマーの量を含むこと、
-検出可能な量のポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの少なくとも1種を含まないこと、のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる、有機複合材料(OCM)。
【請求項2】
前記複合材料の総重量のうち0重量%~3重量%の合成ポリマーを含む、請求項1に記載のOCM。
【請求項3】
合成ポリマーを本質的に含まない、請求項1又は2に記載のOCM。
【請求項4】
セルロース系物質の異成分ブレンドを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項5】
-14KgCO
2eq/Kg未満のカーボンフットプリントによって特徴付けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項6】
合成ポリマーと配合されてOCM-合成ブレンドを形成する場合に、前記OCM合成ブレンドが、前記合成ポリマー単独のカーボンフットプリントよりも低いカーボンフットプリントであることによって特徴付けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項7】
70重量%のポリプロピレン(PP)と配合されてOCM-PPブレンドを形成する場合に、前記OCM-PPブレンドが、230℃の温度及び2.16Kgの標準装填量で、少なくとも45g/10分、好ましくは、少なくとも50g/10分のメルトフローインデックスを示す、請求項1~6のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項8】
熱可塑特性を示す、請求項1~7のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項9】
生分解可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項10】
生分解可能合成ポリマーと配合される場合に、前記ブレンドが生分解可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項11】
ポリ乳酸(PLA)と配合されてOCM-PLAブレンドを形成する場合に、前記OCM-PLAブレンドが生分解可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項12】
2%のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)(臭化セチルトリメチルアンモニウム、CTAB)を含む抽出溶液から抽出される、少なくとも0.1mg/gのDNAを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項13】
元素分析によって決定される、少なくとも6mg/gのカリウムを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項14】
熱重量分析法-示差走査熱量分析法(TG-DSC)によって決定される、少なくとも80重量%のセルロース系材料を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項15】
少なくとも90重量%のセルロース系材料を含む、請求項14に記載のOCM。
【請求項16】
0.5未満のオクタン酸/オレイン酸比を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項17】
1.3未満のノナン酸対オレイン酸比を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項18】
10%未満の無機物を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項19】
2%未満の無機物を含む、請求項18に記載のOCM。
【請求項20】
1.5mg/g未満のシリカを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項21】
抽出溶媒としてのジメチルエーテル(DME)中に、少なくとも5重量%の総抽出炭素を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項22】
熱重量分析(TGA)硬化において、180℃以下の重量喪失開始温度を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項23】
その試料が、射出成形に供された、30重量%のOCM及び70重量%のポリプロピレン(PP)を含み、以下の、
-少なくとも1,000MPaの引張弾性率、
-少なくとも12MPaの降伏点引張応力、
-少なくとも2.2%の降伏点引張歪度、
-少なくとも3.2%の破断時引張歪度、
-少なくとも2.8kJ/m
2のノッチ付きアイゾット衝撃強度、
-少なくとも1,000MPaの曲げ弾性率、
-少なくとも20MPaの曲げ応力、
-少なくとも0.9g/cm
3の密度、のうちの少なくとも1つを示す、請求項1~22のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項24】
異成分有機物のブレンドを含む、有機複合材料(OCM)を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
a.少なくとも90重量%の異成分有機廃棄物のブレンドを含む、取入れ材料を提供することであって、前記取入れ材料が、(i)0重量%~3重量%の合成ポリマー含有量、(ii)検出可能な量の、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの少なくとも1種を含まないこと、のうちの少なくとも1つによって更に特徴付けられる、取入れ材料を提供すること、及び
b.前記取入れ材料を、最大約130℃の温度、少なくとも約2,500rpmの速度で、真空条件下で、高速混合に供し、それによって、前記複合材料を得ること、を含む、プロセス。
【請求項25】
前記取入れ材料が、異成分廃棄物から得られ、前記異成分廃棄物が、乾燥、寸法縮小、金属除去、合成ポリマー除去のいずれか1つ又はそれらの組み合わせに供される、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記合成ポリマー除去が、PVC、PS、及び/又はPETのうちの少なくとも1種を除去するために所望により乾燥され寸法縮小された前記異成分廃棄物をNIR(近赤外線)分離段階に供すことを含む、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記取入れ材料が、10重量%未満の水分を含む、請求項24~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記取入れ材料が、1重量%未満の金属を含む、請求項24~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記取入れ材料が、2重量%未満の合成ポリマーを含む、請求項24~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記取入れ材料が、ISO11358によって決定される検出可能な量の合成ポリマーを含まない、請求項24~29のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記取入れ材料が、40mm未満の平均粒径を有する、請求項24~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記取入れ材料が、水分及び無機物以外の異成分有機物から本質的になる、請求項24~31のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項33】
前記取入れ材料が、少なくとも80重量%のセルロース系異成分廃棄物を含む、請求項24~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記取入れ材料が、前記取入れ材料の総重量のうちの、少なくとも約6mg/gのカリウムを含む、請求項24~33のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記取入れ材料が、少なくとも約0.1mg/gのDNAを含む、請求項24~34のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項36】
前記高速混合が、約3,000rpmの速度である、請求項24~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
前記高速混合が、約0.5バール~約0.9バールの負圧下で行われる、請求項24~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記高速混合が、約100℃~約120℃の温度で行われる、請求項24~37のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項39】
前記高速混合が、45~60m/秒の先端速度で操作される、請求項24~38のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項40】
少なくとも1種の合成ポリマーと、請求項1~23のいずれか一項に記載のOCMと、のブレンドを含む、製造物品であって、前記製造物品が、前記少なくとも1種の合成ポリマーの前記カーボンフットプリントよりも低いカーボンフットプリントを有する、製造物品。
【請求項41】
少なくとも10重量%の、前記OCMを含む、請求項40に記載の製造物品。
【請求項42】
前記少なくとも1種の合成ポリマーが生分解可能ポリマーであり、前記製造物品が生分解可能である、請求項40又は41に記載の製造物品。
【請求項43】
前記合成ポリマーがポリ乳酸(PLA)を含む、請求項42に記載の製造物品。
【請求項44】
包装材料を構成する、又はパッケージの形態である、請求項40~43のいずれか一項に記載の製造物品。
【請求項45】
生分解可能プラスチックの代替品として使用するための、請求項1~23のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項46】
生分解可能添加剤として使用するための、請求項1~23のいずれか一項に記載のOCM。
【請求項47】
カーボンフットプリント還元剤として使用するための、請求項1~23のいずれか一項に記載のOCM。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、廃棄物管理に関する。
【背景技術】
【0002】
現在開示されている主題の背景として関連すると考えられる参考文献を、以下に列挙する。
-国際特許出願公開第WO10082202号。
-国際特許出願公開第WO14193748号。
-欧州特許出願公開第EP0781806号。
-国際特許出願公開第WO9725368号。
-米国特許第US5973035号。
-米国特許第US2004080072号。
-米国特許第US2004043097号。
-国際特許出願公開第WO03084726号。
-国際特許出願公開第WO9411176号。
【0003】
本明細書における上記の参考文献の認識は、これらが本開示の主題の特許性に、何らかの形で関連していることを意味するものとして推論されるべきではない。
[背景技術]
【0004】
国際公開第10082202号には、熱可塑特性を有し、有機物を含み、所望により、固有の特性を有する無機物及びプラスチックの一方又は両方を含む複合材料が、記載されている。このような複合材料は、家庭廃棄物などの廃棄物から調製されてもよい。複合材料の調製のために、廃棄物は乾燥され、粒子化される。次に、乾燥され粒子化された廃棄物は、剪断力下で混合しながら加熱される。複合材料は、有用な物品を得るために加工される。
【0005】
国際公開第14193748号は、廃水流出物から得られるセルロース調製物から作製されるバイオプラスチック組成物、ナノセルロース材料、ナノ結晶セルロース材料、及び/又はナノ繊維、並びにこれらのバイオプラスチック組成物、ナノセルロース材料、ナノ結晶セルロース材料、及び/又はナノ繊維を生成するための方法及びシステムに関する。
【0006】
欧州特許第EP0781806号には、セルロース粉末ペレット及びその製造方法が記載されており、紙又は木材を粉砕することによって生成された乾燥セルロース粉末に、液体防火剤を含浸させ、次に、セルロース粉末を乾燥させて、耐熱性セルロース粉末を生成する。加熱混練機内へと、耐熱性セルロース粉末、潤滑剤、粉砕したポリエチレンテレフタレート樹脂を投入し、加圧加熱下で混練して、ペースト材料を生成する。このペースト材料を、二軸押出成形機に供給し、押出成形機の先端部から押出された小径のスティック状パリソンを小片へと切断し、空冷して、セルロース粉末ペレットを生成する。
【0007】
国際公開第9725368号は、構造部材を製造するために、線状押出物又は熱可塑性ペレットの形態で使用され得る、エンジニアリング樹脂及び木材繊維複合材を含む組成物を記載している。樹脂/木材繊維複合構造部材は、押出プロセス又は射出成形プロセスで製造され得る。本発明はまた、廃棄物流の環境に敏感なリサイクルに関する。樹脂/木材繊維複合材は、ポリマーフレーク若しくはポリマー粒子又は木材繊維を含む、廃棄物流の意図的な再生品を含み得る。
【0008】
米国特許第5973035号は、特殊加工されたセルロース繊維又はリグノセルロース繊維と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブチレン、熱可塑性ポリエステル、ポリエーテル、熱可塑性ポリウレタン、PVCから選択される樹脂との複合材、及び本複合材を形成する方法を、記載している。
【0009】
米国特許出願公開第2004080072号及び米国特許出願公開第US2004043097号は、加水分解装置を使用して、都市固形廃棄物を複合材料へと加工することを、記載している。
【0010】
国際公開第03084726号には、セルロース繊維強化ポリマー製品及び材料の製造に有用な、低水分処理セルロース繊維ペレット、並びに湿式処理セルロース繊維系の廃棄物源材料から、このような低水分セルロース繊維ペレットを形成するための、押出成形機プロセスが少ないプロセスが記載されている。セルロース繊維ペレットは、加工されたセルロース繊維並びに混合プラスチック及び/又は、鉱物、粘土などの無機物等を含む。
【0011】
国際公開第9411176号には、押出成形機を使用して、配向プラスチック材料及び配向粒子状物質を有する組成物を生成する方法が、記載されている。組成物は、80重量%以下の量の木材繊維を含む。
【発明の概要】
【0012】
本開示は、少なくとも90重量%の有機材料を含む異成分ブレンドを含む複合材料を提供する。高い有機物含有量に起因して、複合材料は、本明細書では「有機物」又は「有機複合材料」又は「OCM」という用語で称される。本明細書に開示される有機複合材料(OCM)は、以下:
-OCMが、ISO14040:2006に従って決定される約-10KgCO2eq/Kg未満のカーボンフットプリントを有すること、
-OCMを、70重量%のポリプロピレン(PP)と配合してPP-OCMを得る場合に、得られたPP-OCMが、ISO1133-1:2011に従って決定される約30g/10分超のメルトフローインデックス(MFI 230℃/2.16Kg)を有すること、
-OCMを、70重量%のポリ乳酸(PLA)と配合してPLA-OCMを得る場合に、PLA-OCMが堆肥中に少なくとも80日間置かれた場合に、PLA-OCMは少なくとも90重量%の分解を示すこと、のうちの少なくとも1つによって特徴付けられ、
OCMは、更に、
-OCMは、ISO11358に従って決定されるOCMの総重量のうち0重量%~3重量%の合成ポリマー(すなわち、3%以下)を含むこと、
-OCMは、ISO11358に従って決定される検出可能な量の、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの少なくとも1種を含まないこと、のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる。
【0013】
また、本開示の主題によって提供されるのは、OCMを調製するためのプロセスであって、
a.異成分有機廃棄物及び異成分無機廃棄物を含むブレンドを含む取入れ材料を提供することであって、異成分有機廃棄物が、取入れ材料の総重量の少なくとも90重量%を構成することと、
b.前記取入れ材料を、最大約130℃の温度、少なくとも約2,500rpmの速度で、真空条件下で、高速混合に供し、それによって、OCMを得ることと、
を含み、取入れ材料が、
-ISO11358によって決定されるOCMの総重量のうち0重量%~3重量%の合成ポリマー(すなわち、3%以下)を含むこと、
-ISO11358を使用して決定される検出可能な量の、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの少なくとも1種を含まないこと、のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる、プロセスである。
【0014】
依然として更に、少なくとも1種の合成ポリマーと本明細書に開示されるOCMとのブレンドを含む製造物品であって、前記製造物品が、前記少なくとも1種の合成ポリマーのカーボンフットプリントよりも狭いカーボンフットプリントを有する製造物品が、本開示によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書に開示されている主題をより良く理解し、実際にそれがどのように実行され得るかを例示するために、添付の図面を参照して、非限定的実施例としてのみ、実施形態をここで説明する。
【
図1】本開示のいくつかの実施例に従って得られたOCMの画像である。
【
図2A】負圧条件下で調製されたOCMの射出成形試料の画像(
図2A)、OCM試料と同じ条件下であるが負圧を適用せずに調製された参照複合材料の画像(
図2B)、又は負圧下で80重量%のポリプロピレンと配合されたOCMの画像(
図2C)である。
【
図2B】負圧条件下で調製されたOCMの射出成形試料の画像(
図2A)、OCM試料と同じ条件下であるが負圧を適用せずに調製された参照複合材料の画像(
図2B)、又は負圧下で80重量%のポリプロピレンと配合されたOCMの画像(
図2C)である。
【
図2C】負圧条件下で調製されたOCMの射出成形試料の画像(
図2A)、OCM試料と同じ条件下であるが負圧を適用せずに調製された参照複合材料の画像(
図2B)、又は負圧下で80重量%のポリプロピレンと配合されたOCMの画像(
図2C)である。
【
図3】試料1及び試料2が、それぞれ、OXOなし又はありで、本開示によるOCMを用いて生成されたものであり、試料3及び試料4が、それぞれ、OXOなし又はありで、ポリ乳酸ポリマーを含む、4つの異なる試験体の累積生分解を示すグラフである。
【
図4A】熱重量分析法(TG)と示差走査熱量分析法(DSC)とを組み合わせた分析(TG-DSC)の、グラフである。毎分50℃の速度で、0℃~1,500℃の、プラスチックレス複合材料(「Q0.9」)のDSCグラフである。毎分50℃の速度で、0℃~1500℃の、本開示によるOCMのDSCグラフである。
【
図4B】熱重量分析法(TG)と示差走査熱量分析法(DSC)とを組み合わせた分析(TG-DSC)の、グラフである。毎分50℃の速度で、0℃~1,500℃の、プラスチックレス複合材料(「Q0.9」)のDSCグラフである。毎分50℃の速度で、0℃~1500℃の、本開示によるOCMのDSCグラフである。
【
図4C】熱重量分析法(TG)と示差走査熱量分析法(DSC)とを組み合わせた分析(TG-DSC)の、グラフである。毎分50℃の速度で、0℃~1,500℃の、プラスチックレス複合材料(「Q0.9」)のDSCグラフである。毎分50℃の速度で、0℃~1500℃の、本開示によるOCMのDSCグラフである。
【
図4D】熱重量分析法(TG)と示差走査熱量分析法(DSC)とを組み合わせた分析(TG-DSC)の、グラフである。毎分50℃の速度で、0℃~1,500℃の、プラスチックレス複合材料(「Q0.9」)のDSCグラフである。毎分50℃の速度で、0℃~1500℃の、本開示によるOCMのDSCグラフである。
【
図5】本明細書に開示されるOCMとプラスチックレス複合材料(Q0.9)との間の差を示す、ART-FTIRスペクトルである。
【
図6】以下のパラメータ、すなわち、モデル補正係数(「10」)、SWDSとして捕捉されたメタンの割合(「20」)、メタンの地球温暖化係数の影響(「30」)、酸化係数(「40」)、炭素のメタンへの変換率(「50」)、SWDSでのメタンの割合(「60」)、分解可能な分解性有機炭素の割合(「70」)、メタン補正係数(「80」)、時間範囲の区別(「90」)、廃棄物種類の区別(「100」)、SWDSで廃棄が防止されたSW種類jの量(「110」)、廃棄物種類中の分解性有機炭素の割合(「120」)、廃棄物種類による減衰率(「130」)、レビュー中の時間範囲(「140」)を含む、回避される排出物量を計算するための一次減衰(FOD)法の式を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
異成分廃棄物から使用可能な複合材料を生成することは、多くの課題に直面する。しかし、世界中で毎日産出される廃棄物の量は、そこから新しい有用な材料を再生することを必要とする。したがって、有機廃棄物、特に、食品廃棄物管理は、地方自治体、地域団体、国家政府、及び国際政府によって、最優先事項として列挙される必要がある。
【0017】
本開示は、本質的に全ての非天然(合成)材料が除去された、異成分の家庭固形天然廃棄物(HSNW)からの、バイオベースの(本質的にプラスチックを含まない)熱可塑性プラスチック状複合材の開発に基づく。開示されたバイオベース複合材料は、予想外に低いカーボンフットプリントを有し、以下に更に記載されるように、生分解可能であることが見出された。
【0018】
具体的には、本開示は、得られる総複合材料のうちの少なくとも90重量%、場合によっては少なくとも95重量%、あるいは少なくとも97重量%を構成する異成分有機廃棄物から作製されたブレンドを含む、本質的に合成物フリー有機複合材料を提供し(有機複合材料は、場合によっては略語「有機」若しくは「有機複合材料」、又は略して「OCM」と称される)、OCMは、以下:
-ISO14040:2006に従って決定される約-10KgCO2eq/Kg未満のカーボンフットプリントを有すること、
-OCMを、70重量%のポリプロピレン(PP)と配合してPP-有機複合材料を提供する場合に、PP-有機複合材料は、ISO1133-1:2011に従って決定される約30g/10分を超える、好ましくは、約40g/10分を超える、好ましくは、約50g/10分を超える、メルトフローインデックス(MFI 230℃/2.16Kg)を有すること、
-OCMを、70重量%のポリ乳酸(PLA)と配合してOCM-PLAを得る場合に、OCM-PLAが堆肥中に少なくとも80日間置かれ、OCM-PLAが少なくとも90%の分解を示すこと、のうちのの少なくとも1つによって特徴付けられ、
OCMは、更に、
-OCMの総重量のうち0%~3%、すなわち、最大3%の合成ポリマー含有量と、
-ISO11358(重量喪失>5%)に従って実施されるTG-DSC分析を使用して決定される検出可能な量の、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの少なくとも1種を含まないこと(例えば、0重量%)、のうちの少なくとも1つによって、特徴付けられる。
【0019】
本明細書に開示される主題の文脈において、「複合材料」に言及する場合、それは、それらの化学的特性及び/又は物理的特性が異なるが、それを形成する個々の材料とは異なる特性を有する材料を作製するために、一緒に融合される、2つ以上の構成材料の複合材料内に本質的に均一に分布したブレンド(均一及び均質な混合物を意味するブレンド)として、理解されるべきである。いくつかの実施例では、複合材料は、本質的に全てが天然源である、複数の構成成分のブレンドである。本開示の文脈におけるブレンドは、溶融、蒸発、溶媒和等の化学的手順を適用せずに構成成分を分離することはできないこと、及び/又は構成成分が一緒になって連続塊を形成することが、理解されるべきである。構成成分の配合は、それらの連続塊を形成する。
【0020】
本開示の文脈における有機複合材料、すなわち、OCMは、異成分の非合成有機物を含む、すなわち、複数の非合成有機材料を含み、その一部は、異成分廃棄物に由来するものとして、特定され得る。OCMは、そのセルロース物含有量によって同定され得るが、典型的には、動物由来物質(例えば、DNA)もまた含有する。
【0021】
本明細書に開示される有機複合材料は、本質的に「合成物フリー」複合材料であると考えられる、すなわち、合成ポリマー(プラスチック)が存在する場合、それは、3重量%以下、あるいは2重量%未満、あるいは1重量%未満、あるいは0.5重量%未満の量、あるいは、例えば、ISO11358(重量喪失>5%)に従って実施されるTG-DSC分析を使用するのでは、検出することができない量である。したがって、本開示の文脈において、「合成物フリー」という用語は、本明細書において用語「合成プラスチック」と称される、多くとも3重量%の合成又は半合成炭素含有ポリマーを示す。
【0022】
いくつかの実施例では、合成物フリーという用語は、複合材料が、ISO11358(重量喪失>5%)に従って実施されたTG-DSC分析を使用して決定される、多くとも2.9重量%の合成プラスチック、場合によっては、多くとも2.5重量%の合成プラスチック、場合によっては、多くとも2重量%の合成プラスチック、場合によっては、多くとも1.5重量%の合成プラスチック、場合によっては、多くとも1重量%の合成プラスチック、場合によっては、多くとも0.5重量%の合成プラスチック、場合によっては、多くとも0.1重量%の合成プラスチック、場合によっては、多くとも0.01重量%の合成プラスチック、場合によっては、多くとも0重量%の合成プラスチックしか含まない、又は検出可能な量の合成プラスチックを含まないことを意味する。
【0023】
いくつかの実施例では、有機複合材料は、複合材料の総重量の0重量%~5重量%を構成する量の合成ポリマーを含む。場合によっては、合成ポリマーの量は、0重量%~4重量%を構成し、場合によっては、合成ポリマーの量は、0重量%~3重量%を構成し、場合によっては、合成ポリマーの量は、0重量%~2重量%を構成し、場合によっては、合成ポリマーの量は、0重量%~1重量%を構成し、場合によっては、合成ポリマーの量は、0重量%~0.5重量%を構成し、場合によっては、合成ポリマーの量は、0重量%~0.1重量%を構成し、場合によっては、合成ポリマーの量は、0.01重量%~3重量%を構成し、場合によっては、合成ポリマーの量は、0.1重量%~3重量%を構成し、場合によっては、合成ポリマーの量は、0.1重量%~3重量%を構成し、場合によっては、合成ポリマーの量は、0.1重量%~2重量%を構成し、場合によっては、合成ポリマーの量は、0.1重量%~1重量%を構成する。
【0024】
合成ポリマー(プラスチック)含有物の量は、ISO11358によるTG-DSC分析を使用して、決定可能である。
【0025】
いくつかの実施例では、本明細書に開示されるOCMは、合成プラスチックを本質的に含まない。本開示の文脈において、「本質的に含まない」に言及する場合、OCMがわずかな微量の合成ポリマーも同様に含み得ることを意味すると、理解されるべきである。これに関連して、微量とは、1重量%以下の合成ポリマーを含み、場合によっては、0.5重量%以下の合成ポリマーを含み、場合によっては、0.1重量%以下の合成ポリマーを含み、場合によっては、検出可能な量の合成ポリマーを含まない場合があり、全ての列挙された量は、ISO11358によって決定される通りである。
【0026】
いくつかの実施例では、OCMは、合成ポリマーを含まない、すなわち、ISO11358に従って本明細書に記載されるTG-DSC分析条件を使用して試験した場合に、検出可能な量の合成プラスチックを含まない。
【0027】
本開示の文脈において、「合成ポリマー」又は「合成プラスチック」に言及する場合、少なくとも、家庭廃棄物及び/又は産業廃棄物中に典型的に存在するプラスチック、更には、当該技術分野において周知の、任意のその他の合成プラスチックもまた包含するものとして、理解されるべきである。いくつかの実施例では、合成プラスチックは、複数のプラスチックを含む。
【0028】
いくつかの実施例では、合成ポリマーは、1種以上のポリオレフィンを含む。ポリオレフィンに言及する場合、それは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)のうちのいずれか1種を含むが、これらに限定されない。
【0029】
いくつかの実施例では、合成ポリマーは、1種以上のポリアクリロニトリルを含む。
【0030】
いくつかの実施例では、合成ポリマーは、1種以上のポリブタジエンを含む。
【0031】
いくつかの実施例では、合成ポリマーは、1種以上のポリカーボネートを含む。
【0032】
いくつかの実施例では、合成ポリマーは、1種以上のポリアミド(PA)を含む。
【0033】
いくつかの実施例では、合成ポリマーは、1種以上のエチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)を含む。
【0034】
いくつかの実施例では、合成ポリマーは、1種以上のポリウレタン(PU)を含む。
【0035】
いくつかの実施例では、合成ポリマーは、1種以上のポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
【0036】
いくつかの実施例では、合成ポリマーは、例えば、加硫ゴム、加硫された熱可塑性ポリマー(TPV)及び/又はポリウレタン(PU)などの、1種以上の熱硬化性樹脂を含む。
【0037】
したがって、いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも1種のポリオレフィンと、上記で特定したものなどの少なくとも1種のその他のプラスチック(非ポリオレフィン)と、を含み、ポリオレフィン及び非ポリオレフィンのそれぞれの可能な組み合わせは、本開示による異なる実施例を構成する。
【0038】
いくつかの実施例では、OCMは、HDPEを本質的に含まない。
【0039】
いくつかの実施例では、OCMは、LDPEを本質的に含まない。
【0040】
いくつかの実施例では、OCMは、PEを本質的に含まない。
【0041】
いくつかの実施例では、OCMは、PPを本質的に含まない。
【0042】
いくつかの実施例では、OCMは、ポリアクリロニトリルを本質的に含まない。
【0043】
いくつかの実施例では、OCMは、ポリブタジエンを本質的に含まない。
【0044】
いくつかの実施例では、OCMは、ポリカーボネートを本質的に含まない。
【0045】
いくつかの実施例では、OCMは、ポリアミドを本質的に含まない。
【0046】
いくつかの実施例では、OCMは、エチレンビニルアルコールコポリマーを本質的に含まない。
【0047】
いくつかの実施例では、OCMは、ポリウレタンを本質的に含まない。
【0048】
いくつかの実施例では、OCMは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を本質的に含まない。
【0049】
いくつかの実施例では、OCMは、植物廃棄物、植物由来製品からの廃棄物、及び動物残骸のいずれか1種又は組み合わせを含む。
【0050】
いくつかの実施例では、OCMは、セルロース系材料の異成分ブレンドを含む。これは、リグノセルロースバイオマス、セルロースバイオマス、リグニンバイオマス及び/又はヘミセルロースバイオマスの、任意の組み合わせを含む。以下において、「セルロース」という用語は、リグノセルロース、セルロース、リグニン及びヘミセルロースのいずれか1種又は組み合わせを、集合的に指す。
【0051】
上述したように、OCMは、ISO14040:2006のライフサイクル評価(LCA)に従って決定される約-10KgCO2eq/Kg未満のカーボンフットプリントによって特徴付けられる。
【0052】
本開示の文脈において、「カーボンフットプリント」という用語は、複合材料から放出される二酸化炭素(CO2)又はCO2等価物の量を示すために、使用される。
【0053】
本開示によれば、カーボンフットプリントの決定は、国際連合(UN)のクリーン開発メカニズム(CDM)の方法論ツール4(V.8.0、https://cdm.unfccc.int/Reference/tools/index.htmlに、その詳細が見出される)、及び代替廃棄物処理プロセスのための統合された方法論(ACM0022、https://cdm.unfccc.int/methodologies/DB/YINQ0W7SUYOO2S6GU8E5DYVP2ZC2N3に、その詳細が見出される)を使用する。特に、CDMメカニズムは、欧州連合、英国、米国、及びイスラエルを含む全ての市場において、適用可能である。
【0054】
ツール4は、廃棄物処理場(固形廃棄物の最終的な貯蔵所、Solid Waste Disposal Sites、SWDS)からの排出物に関する。想定されるベースライン計画概要(廃棄物管理/リサイクル施設を使用しない場合)は、部分的に管理された埋立地における、都市固形廃棄物(MSW)の廃棄である。埋立地は、有機廃棄物が分解する際にメタンを生成する、嫌気性条件を生じさせる。理解されるように、メタンは、非常に強力な温室効果ガス(GHG)であり、地球温暖化係数(GWP)は、20年のタイムラインで考慮した場合に、二酸化炭素(CO2)よりも86倍高い(GWP20)、又は100年の時間範囲では、34倍高い(GWP100)(これに関連して、https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/2018/02/WG1AR5_Chapter08_FINAL.pdf,p.714,表8.7.もまた参照のこと)。本明細書に開示される複合材料は、有機廃棄物を、とりわけ、埋立地から転用し、それを、メタンの本生成を防止する生成物へと変換することによって、顕著な必要性に対する解決策を提供する。
【0055】
本開示によれば、回避される排出物量の決定は、以下のパラメータを含む一次減衰法(FOD)によって、決定され得る:
-SWDSガス中のメタンの割合
-SWDSで捕捉されたメタンの割合
-SWDS被覆によって酸化されたメタンの量
-メタン補正係数
-モデル不確実性を説明するための、モデル補正係数
-処理された各種類の廃棄物の量
-分解性有機炭素(DOC)の割合
-各種類の廃棄物の減衰率
【0056】
【0057】
FODパラメータに使用される中心値を、表1A及び表1Bに示す。
【0058】
【表1】
*ベースライン計画概要におけるMSW構成成分特異的DOC
fの重量平均を、計算に使用する。
【0059】
【表2】
*DOC
j値は、国家温室効果ガスインベントリに関する2006IPCCガイドラインに記された、異なる廃棄物種類のデフォルト値から、適合される。
**値は、国家温室効果ガスインベントリに関する2006IPCCガイドラインからのデフォルト値である。
【0060】
カーボンフットプリントの決定を考慮する場合、以下の用語の定義を考慮に入れるべきである。
嫌気性分解(Anaerobic decomposition)-酸素非存在下での分解。有機廃棄物は、酸素の存在下で分解する場合に、CO2を生成するが、嫌気性条件下では、より強力なGHGメタンを生成する(https://www.epa.gov/lmop/basic-information-about-landfill-gas)。
【0061】
ベースライン計画概要(Baseline scenario)-提案されたプロジェクト又は活動がない場合に生じ得る状況(「通常どおりの業務・活動」としても知られる、https://cdm.unfccc.int/Reference/Guidclarif/glos_CDM.pdf)。
【0062】
二酸化炭素(Carbon dioxide、CO2)-地球上で最も大量の温室効果ガス(GHG)。二酸化炭素は天然に存在するが、輸送、エネルギー生成、及び工業プロセスを含む多くの人間の活動によってもまた、放出される。百万分率(ppm)での測定(https://www.epa.gov/ghgemissions/overview-greenhouse-gases#carbon-dioxide)。
【0063】
二酸化炭素等価物(Carbon dioxide equivalent、Co2eq)-Co2に関して、その他のGHGの地球温暖化係数(GWP)、並びにプロセス、活動、又は製品のカーボンフットプリントを表現するために使用される尺度(https://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php/Glossary:Carbon_dioxide_equivalent)。
【0064】
カーボンフットプリント(Carbon footprint)-製品の寿命期間中に又は組織の活動によって引き起こされる炭素排出量を測定するために、気候変動影響カテゴリのみに焦点を当てた、ライフサイクル評価(LCA)(関連するISO規格は、14067である(https://www.iso.org/standard/71206.html)。
【0065】
炭素陰性(Carbon-negative)-炭素陰性製品、プロセス、又は組織は、それが発生させるよりも多くの炭素排出量を封鎖又は防止しなければならない。以下で更に説明するように、本明細書に開示される複合材料は、炭素陰性(「気候陽性」としても知られる)生成物である(https://www.vox.com/the-goods/2020/3/5/21155020/companies-carbon-neutral-climate-positive)。
【0066】
気候陽性(Climate-positive)-気候陽性製品、プロセス、又は組織は、それが発生させるよりも多くの炭素排出量を封鎖又は防止しなければならない。本明細書に詳述されるように、本明細書に開示される複合材料は、気候陽性(「炭素陰性」としても知られる)生成物である。
【0067】
クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism、CDM)-GHG排出量を削減し、認証された認証削減量(Certified Emission Reduction unit、CER)を生成するプロジェクトを提供するために京都議定書において定義された方法論であるが、これは、排出量取引スキームにおいて取引されてもよい(https://cdm.unfccc.int/)。上記及び下記に記載されるように、本CDM方法論は、本明細書に開示される複合材料のLCAについて回避される排出物量を計算するために、使用され得、また使用された。
【0068】
クレイドル・トゥー・ゲイト(cradle-to-gate)-クレイドル・トゥー・ゲイトのLCAは、製品が製造業者又は工場のゲートを出るまで、製造プロセスを通して、抽出段階からの炭素排出量を考慮する。これは、工場への輸送を含むが、顧客への輸送は含まない(https://circularecology.com/glossary-of-terms-and-definitions.html#.X-Ir1C-ZPOQ)。
【0069】
寿命末期(End Of Life、EOL)-製品のライフサイクルの、処分段階を指す。一般的なEOLオプションは、埋立て、化学的リサイクル及び機械的リサイクル、堆肥化、並びに焼却を含む(https://www.wur.nl/en/article/Waste-stage-end-of-life-options-1.htm)。
【0070】
温室効果ガス(Greenhousegas、GHG)-地球の大気からの放射を防止することによって熱を捕捉し、温室効果を引き起こす可能性を有する、ガス。二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、及び水蒸気が、最も重要なGHGであり、程度は低いが、表面レベルのオゾン、亜酸化窒素、及びフッ素化ガスも同様である(https://www.epa.gov/ghgemissions/overview-greenhouse-gases)。
【0071】
地球温暖化係数(Global Warming Potential、GWP)-放射線を捕捉して加熱を引き起こす、GHGの能力。全てのGHGのGWPは、CO2のGWPに基づき、CO2CO2eq.として表現される。異なるガスが異なる寿命を有するために、ガスのGWPは、分析された時間量に依存する。CO2に対して短い寿命を有するガスは、ガスが大気中で分解すると、効果が減少し始めるので、より短い時間範囲でより大きいGWPを有する(https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/2018/02/WG1AR5_Chapter08_FINAL.pdf)。
【0072】
GWP20-メタンが、CO2よりも86倍強力である、20年の時間範囲におけるGWP(https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/2018/02/WG1AR5_Chapter08_FINAL.pdf)。
【0073】
GWP100-メタンが、CO2よりも34倍強力である、100年の時間範囲におけるGWP(https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/2018/02/WG1AR5_Chapter08_FINAL.pdf)。
【0074】
京都議定書(Kyoto Protocol)-1997年に採用され、2005年に施行された合意であって、排出量削減達成目標を設定。排出許可の取引に基づく、CDMなどの確立された柔軟な市場メカニズム。
【0075】
ライフサイクル評価(Life cycle assessment、LCA)-製品、プロセス、又は組織の、環境影響の定量分析。影響カテゴリ(例えば、炭素排出又は水使用)及びシステムの境界(例えば、クレイドル・トゥー・ゲイト)は、評価の目標に応じて変化し得るが、それらは、明快に述べられるべきである。関連するISO規格は、14040及び14044である(https://pre-sustainability.com/legacy/download/Life-Cycle-Based-Sustainability-Standards-Guidelines.pdf)。
【0076】
システム境界(System boundary)-製品、プロセス、又は組織に関連付けられた活動がLCAで考慮される範囲を、記述する。境界は、生産の段階、地理的エリア、及び時間帯を考慮し得る(https://ec.europa.eu/environment/life/project/Projects/index.cfm?fuseaction=home.showFile&rep=file&fil=ECOIL_Life_Cycle.pdf)。
【0077】
上記に基づいて、OCMのカーボンフットプリントは、したがって、国際連合のクリーン開発メカニズム(CDM)の方法論ツール4(V.8.0)及びACM0022に従って、決定されてきた。
【0078】
いくつかの実施例では、OCMが、-11KgCO2eq/Kg以下のカーボンフットプリントを有することが、決定されている。
【0079】
いくつかの実施例では、OCMは、-12KgCO2eq/Kg以下のカーボンフットプリントを有する。いくつかの実施例では、OCMは、-13KgCO2eq/Kg以下のカーボンフットプリントを有する。
【0080】
いくつかの実施例では、OCMは、-14KgCO2eq/Kg以下のカーボンフットプリントを有する。
【0081】
いくつかの実施例では、OCMは、-15KgCO2eq/Kg以下のカーボンフットプリントを有する。
【0082】
いくつかの実施例では、OCMは、-16KgCO2eq/Kg以下のカーボンフットプリントを有する。
【0083】
いくつかの実施例では、OCMは、-17KgCO2eq/Kg以下のカーボンフットプリントを有する。
【0084】
いくつかの実施例では、OCMは、-18KgCO2eq/Kg以下のカーボンフットプリントを有する。
【0085】
場合によっては、OCMは、未充填プラスチック(Virgin Plastic、VP)と混合された後のその特性によって特徴付けられる。本開示の文脈において、「配合」に言及する場合、また同様に上述したように、配合された材料、例えば、「VP-OCM」を形成するための、OCMと追加の構成成分(例えば、VP)との間の均質混合を意味することが、理解されるべきである。
【0086】
いくつかの実施例では、均質混合は、(混合物の少なくとも一部が溶融する温度まで)加熱することと、混合物に剪断力を加えることと、を含む。いくつかの実施例では、均質混合は、混合物の押出成形又は射出成形を含む。
【0087】
いくつかの実施例では、配合されたVP-OCMは、多くとも90wt%のOCM、場合によっては、80wt%以下のOCM、場合によっては、70wt%以下のOCM、場合によっては、60wt%以下のOCM、場合によっては、50wt%以下のOCM、場合によっては、40wt%以下のOCM、場合によっては、30wt%以下のOCM、場合によっては、20wt%以下のOCMを含む。
【0088】
いくつかの実施例では、配合されたVP-OCMは、少なくとも1重量%のOCM、場合によっては、少なくとも10重量%のOCM、場合によっては、少なくとも20重量%のOCM、場合によっては、少なくとも30重量%のOCM、場合によっては、少なくとも40重量%のOCM、場合によっては、少なくとも50重量%のOCM、場合によっては、少なくとも60重量%のOCM、場合によっては、少なくとも70重量%のOCMを含む。
【0089】
いくつかの実施例では、配合されたVP-OCMは、10wt%~90wt%の任意の範囲のOCMを含み、場合によっては、20重量%~80重量%、場合によっては、30重量%~70重量%、場合によっては、40重量%~60重量%、場合によっては、55重量%~65重量%のOCMを含み、任意のこのような範囲は、本開示の独立した実施例を構成する。
【0090】
ポリプロピレン(PP)又はポリ乳酸(PLA)などの未充填ポリマーと組み合わせた場合に、OCMは、未充填プラスチックポリマーのカーボンフットプリントを、OCMが存在しない場合の未充填プラスチックのカーボンフットプリント未満へと、大幅に低減する。これは、OCMのカーボンフットプリントを示す、表3~表4に提示された非限定的実施例から、明らかである。更に、表3~表4は、OCMを、PP又はPLAなどの70%の合成ポリマーと配合した場合に、これら2つのポリマーのカーボンフットプリントが、2.8KgCO2eq/Kgから-3.7KgCO2eq/Kgへと、及び3.8KgCO2eq/Kgから-3.1KgCO2eq/Kgへと、それぞれ減少したことを示す。
【0091】
本明細書に開示されるOCMはまた、そのメルトフローインデックス(MFI、メルトフローレート(MFR)としても知られる)によっても特徴付けられる。本開示の文脈において、それは、OCMの流れやすさの尺度(溶融物としての場合)を指すと理解されるべきであり、ISO1133によって定義される寸法を有するダイを通り、更なる条件下で10分間に流れるOCMの、グラム数での重量として、定義される。本規格は、複合材料のメルトフローレート及びメルトボリュームフローレート(MVR)の決定を、定義した。
【0092】
いくつかの実施例では、OCMの流動性(すなわちMFI)は、それが、ポリプロピレン(70重量%、本明細書ではPP-OCM)と配合された場合に、決定される。
【0093】
PP-OCMのMFI(230℃/2.16Kgで)は、ISO1133-1:2011に従って決定される約30g/10分超である。
【0094】
いくつかの実施例では、PP-OCMは、少なくとも約35g/10分のMFIを有し、場合によっては、少なくとも約40g/10分、場合によっては、少なくとも約45g/10分、場合によっては、少なくとも約50g/10分、場合によっては、少なくとも約55g/10分のMFIを有する。
【0095】
驚くべきことに、OCMは、それが配合される未充填プラスチックのMFIを、最小限にしか低下させない。したがって、製造物品における未充填プラスチックの使用をより少なくすることが可能であり、したがって、生態学的利益を提供する一方で、それは、いかなる産業上の課題をも課さない。
【0096】
上記の知見を考慮して、本開示のいくつかの実施例によれば、OCMと配合された後の未充填プラスチック(VP)のMFIにおける変化は、10%以下である(本明細書では「類似のMFI」である)。
【0097】
OCMのMFIは、その熱可塑性挙動を支持する。言い換えれば、OCMは、熱可塑特性を有する。
【0098】
OCMはまた、生分解可能であることを特徴としている。理解されるように、生分解可能材料は、細菌によって分解して、ガス(CO2、N2)、水、バイオマス、及び無機塩などの、天然副産物をもたらし得るものである。驚くべきことに、合成生分解可能ポリマーであるポリ乳酸(PLA)と30:70のOCM/PLA比で、又はポリ乳酸及びOXO(生分解促進剤)(30:69:1)と配合した場合に、得られた配合材料(VP-OCM)は、その平均累積CO2を含む、セルロースの生分解性特性と同様の生分解性特性を有することが、見出された(以下の表5を参照のこと)。本発見は、包装産業及び生分解可能ポリマーが必要とされるその他の分野において、(本明細書に開示されるOCMの、その組み合わせによって)より少ない合成ポリマーの使用を、可能にする。その他の用途は、建設物及び建築要素、物流製品等を含み得る。
【0099】
いくつかの実施例では、OCMは、PLA(30:70)が、UNE-EN13432-2001規格に従って試験した場合に、80日後に少なくとも90%の生分解%によって特徴付けられる。いくつかの実施例では、OCMは、PLA(30:70)が、少なくとも95%の%生分解によって特徴付けられる。
【0100】
いくつかの実施例では、OCMは、そのヌクレオチド又はポリヌクレオチド、例えば、DNA含有量によって特徴付けられる。OCMは、例えば、その他の処理された家庭廃棄物と比較した場合に、比較的多量のDNAを含むことが、見出されている。比較的多量のDNAは、いくつかの実施例では、本明細書で開示されるOCMのフィンガプリントとみなされ得る。OCM中のDNA又はRNAの存在及び量は、以下に記載されるように、2%のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)(CTAB)溶液を使用するDNA抽出法によって、同定及び決定され得る。
【0101】
いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも0.1mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも0.5mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも0.5mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも1mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも1.5mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも2mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも2.5mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも3mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも3.5mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも4mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも4.5mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも5mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも5.5mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも6mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも7mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも8mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも9mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも10mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも11mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも12mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも13g/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも14mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも15mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも16mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも17mg/gのDNAを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも18mg/gのDNAを含む。
【0102】
OCMは、そのセルロース含有量によってもまた、特徴付けられ得る。セルロース含有量は、以下に記載される条件下で、ISO11358(重量喪失>5%)に従って実施されるTG-DSCによって、決定され得る。したがって、本開示の文脈において、セルロース含有量に言及する場合、少なくともISO11358によって決定されるものであると、理解されるべきである。
【0103】
いくつかの実施例では、OCMは、ISO11358によって定義されたTG-DSC条件によって決定される、少なくとも80%のセルロース-系材料を含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも82%のセルロース-系材料を含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも84%のセルロース-系材料を含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも86%のセルロース-系材料を含む。いくつかの実施例では、OCMは少なくとも87%のセルロース-系材料を含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも88%のセルロース-系材料を含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも89%のセルロース-系材料を含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも90%のセルロース-系材料を含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも91%のセルロース-系材料を含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも92%のセルロース-系材料を含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも93%のセルロース-系材料を含む。
【0104】
複合材料はまた、GC-MSによって決定されるその脂肪酸含有量によって特徴付けられ得る。
【0105】
いくつかの実施例では、本明細書に開示されるOCMは、0.5未満のオクタン酸/オレイン酸比によって特徴付けられる。いくつかの実施例では、オクタン酸/オレイン酸比は、0.4未満、場合によっては、0.3未満、場合によっては、0.2未満である。
【0106】
いくつかの実施例では、本明細書に開示されるOCMは、(以下のGC-MSによって決定されるように)1.3未満のノナン酸/オレイン酸比によって特徴付けられる。いくつかの実施例では、ノナン酸/オレイン酸比は、1.1未満、場合によっては、1.0未満、場合によっては、0.9未満、場合によっては、0.8未満、場合によっては、0.7未満、場合によっては、0.6未満である。
【0107】
いくつかの実施例によれば、OCMは、無機含有量によってもまた特徴付けられる。
【0108】
いくつかの実施例では、無機含有量は、OCM内の高カリウム含有量を指す。例えば、国際公開第10082202号の複合材料中のカリウム含有量(非限定的実施例として、表9を参照のこと)と比較すると、後者の約3倍の含有量を含むことが分かる(すなわち、OCMは、カリウムの量の3倍を含む)。
【0109】
カリウムは、植物細胞の主要なオスモライトであり、したがって、その高レベルのOCMは、いくつかの実施例によれば、天然物質からの、その供給源の、フィンガープリントとみなされ得る。これに関連して、木材繊維は、水で徹底的に洗浄されて、そこからカリウムが除去されるので、合成ポリマー又は木材プラスチックであっても、このような高レベルのカリウムを含有しないことに、留意されたい。
【0110】
したがって、OCMは、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP/AES)によって決定される複合材の総量のうちのカリウムの量によって特徴付けられ得る。
【0111】
いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも6mg/gのカリウムを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも7mg/gのカリウムを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも8mg/gのカリウムを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも9mg/gのカリウムを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも10mg/gのカリウムを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも11mg/gのカリウムを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも12mg/gのカリウムを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも13mg/gのカリウムを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも14mg/gのカリウムを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも15mg/gのカリウムを含む。いくつかの実施例では、OCMは、少なくとも16mg/gのカリウムを含む。
【0112】
OCMは、その無機物の重量%によって特徴付けられてもよい。無機物は、ISO11358の条件下で、TG-DSCによって決定される約15%w/wまでの量で存在する。
【0113】
いくつかの実施例では、無機含有量は、約14重量%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約13%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約12%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約11%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約10%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約9%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約8%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約7%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約6%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約5%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約4%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約3%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約2%未満である。いくつかの実施例では、無機含有量は、約1%未満である。
【0114】
本明細書において「未満」に言及する場合、定義された測定方法によって決定される0重量%の量、すなわち、0重量%からの範囲、すなわち、検出不可能な重量もまた包含することが、理解されるべきである。
【0115】
いくつかの実施例では、無機物の量は、上記の下限と上限との間の、任意の範囲内であり得る。例えば、無機物は、約0%~15%、例えば、約1%~15%、又は約5%~10%、又は約1%~8%と、又は0%~6%と、又は1%~5%、又は2%~6%等と、の範囲内の、任意の範囲であり得る。
【0116】
いくつかの実施例では、複合材料内の無機材料は、都市廃棄物、家庭廃棄物、及び/又は産業廃棄物中に典型的に存在する、材料を指す。これには、砂、石、ガラス、セラミック及びその他の鉱物、並びに例えば、アルミニウム、鉄、銅を含む金属(鉄含有金属及び/又は非鉄金属)が含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
驚くべきことに、(カリウム以外の)無機物の総量が低いことが見出されただけではなく、アルミニウム含有量が、独特に低く、0.5mg/g OCM未満であった。
【0118】
いくつかの実施例では、OCM中の無機物は、国際公開第10082202号の複合材料(本明細書では「未分類」複合材料)のものなどの、その他の処理済み廃棄物中の、その含有量と比較して、著しくかつ予想外に低い量の、ケイ酸塩(「Si」)を含む。
【0119】
いくつかの実施例では、OCMは、1.5mg/g未満(すなわち、0mg/g~1.5mg/g)の量のシリカ(Si)を含む。いくつかの実施例では、OCMは、1.4mg/g未満(すなわち、0mg/g~1.4mg/g)の量のシリカ(Si)を含む。いくつかの実施例では、OCMは、1.3mg/g未満(すなわち、0mg/g~1.3mg/g)の量のシリカ(Si)を含む。いくつかの実施例では、OCMは、1.2mg/g未満(すなわち、0mg/g~1.2mg/g)の量のシリカ(Si)を含む。いくつかの実施例では、OCMは、1.1mg/g未満(すなわち、0mg/g~1.1mg/g)の量のシリカ(Si)を含む。いくつかの実施例では、OCMは、1.0mg/g未満(すなわち、0mg/g~1.0mg/g)の量のシリカ(Si)を含む。いくつかの実施例では、OCMは、0.9mg/g未満(すなわち、0mg/g~0.9mg/g)の量のシリカ(Si)を含む。いくつかの実施例では、OCMは、0.8mg/g未満(すなわち、0mg/g~0.8mg/g)の量のシリカ(Si)を含む。いくつかの実施例では、OCMは、0.7mg/g未満(すなわち、0mg/g~0.7mg/g)の量のシリカ(Si)を含む。いくつかの実施例では、OCMは、0.6mg/g未満(すなわち、0mg/g~0.6mg/g)の量のシリカ(Si)を含む。
【0120】
本明細書で開示されるOCMはまた、抽出溶媒としてジメチルエーテル(Di Methyl Ether、DME)を使用して、抽出された総炭素を特徴付け得る。OCMの20grの試料が、少なくとも約1gr(5wt%)、場合によっては、少なくとも1.1g(5.5重量%)、場合によっては、少なくとも1.2g(6重量%)、場合によっては、少なくとも1.3g(6.5重量%)、場合によっては、少なくとも1.4g(7重量%)の炭素含有量を有することが、見出された。
【0121】
いくつかの実施例では、本明細書に開示されるOCMは、熱重量分析(TGA)曲線において、180℃未満の重量喪失開始温度を有する。
【0122】
本明細書に開示されるOCMはまた、未使用合成ポリマー、例えば、70重量%のポリプロピレン(PP)と配合されたその試料、及びVP-OCM(又は特定の実施例では、PP-OCM)が射出成型に供される場合に、固有の物理的特性を有する。
【0123】
いくつかの実施例では、PP-OCM射出成形試験体は、少なくとも1,000MPa場合によっては、少なくとも1,100MPa、場合によっては、少なくとも1,200MPaの(ISO-527-2に従った)引張弾性率によって特徴付けられる。いくつかの実施例では、引張弾性率は、1,000MPa~1400MPaの範囲内である。
【0124】
いくつかの実施例では、PP-OCM射出成形試験体は、少なくとも12MPa、場合によっては、少なくとも13MPaの(ISO-527-2に従った)降伏点引張応力によって特徴付けられる。いくつかの実施例では、降伏点引張応力は、13MPa~15MPaの範囲である。
【0125】
いくつかの実施例では、PP-OCM射出成形試験体は、少なくとも2.2%、場合によっては、少なくとも2.3%、場合によっては、少なくとも2.4%、場合によっては、少なくとも2.5%、場合によっては、少なくとも2.6%、場合によっては、少なくとも2.7%、場合によっては、少なくとも2.8%の、(ISO-527-2に従った)降伏点引張歪度によって特徴付けられる。いくつかの実施例では、降伏点引張歪度は、2.2%~2.85%の範囲である。
【0126】
いくつかの実施例では、PP-OCM射出成形試験体は、少なくとも3.2%、場合によっては、少なくとも3.3%、場合によっては、少なくとも3.4%、場合によっては、少なくとも3.5%、場合によっては、少なくとも3.6%、場合によっては、少なくとも3.7%の、(ISO-527-2に従った)破断時引張歪度によって特徴付けられる。いくつかの実施例では、破断時引張歪度は、3.2%~4.0%の範囲である。
【0127】
いくつかの実施例では、PP-OCM射出成形試験体は、少なくとも2.8kJ/m2、場合によっては、少なくとも2.9kJ/m2、場合によっては、少なくとも3.0kJ/m2、場合によっては、少なくとも3.1kJ/m2の、(ISOO-180に従った)ノッチ付きアイゾット衝撃強度によって特徴付けられる。いくつかの実施例では、ノッチ付きアイゾット衝撃強度は、2.8kJ/m2~4.7kJ/m2の範囲である。
【0128】
いくつかの実施例では、PP-OCM射出成形試験体は、少なくとも1,000MPa、場合によっては、少なくとも1,100MPa、場合によっては、少なくとも1,200MPaの、(ISO-178に従った)曲げ弾性率によって特徴付けられる。いくつかの実施例では、曲げ弾性率は、1,000MPa~1250MPaの範囲内である。
【0129】
いくつかの実施例では、PP-OCM射出成形試験体は、少なくとも20MPa、場合によっては、少なくとも21MPa、場合によっては、少なくとも22MPa、場合によっては、少なくとも23MPa、場合によっては、少なくとも24MPaの、(ISO-178に従った)曲げ応力によって特徴付けられる。いくつかの実施例では、曲げ応力は、20MPa~28MPa、22MPa~26MPaの範囲内である。
【0130】
いくつかの実施例では、PP-OCM射出成形試験体は、約0.98(±0.1)の(ISO-1183に従った)密度によって特徴付けられる。
【0131】
本明細書に開示されるOCMの試料を、50重量%のポリ乳酸(PLA)と共に射出成形に供して、配合されたPLA-OCM射出成形試験体を形成した場合(50%:50%)にもまた、固有の物理的特性が示された。これらの独特な特性は、以下で更に説明するように、OCMが、堆肥化可能な包装に有益であり得ることを示唆した(これらに限定されない)。
【0132】
いくつかの実施例では、PLA-OCM射出成形試験体は、少なくとも2,000MPa、場合によっては、少なくとも2,100MPa、場合によっては、少なくとも2,200MPaの(ISO-527-2に従った)引張弾性率よって特徴付けられる。
【0133】
いくつかの実施例では、PLA-OCM射出成形試験体は、少なくとも11MPa、場合によっては、少なくとも12MPaの(ISO-527-2に従った)降伏点引張応力(「降伏強度」という用語でも知られる)によって特徴付けられる。
【0134】
いくつかの実施例では、PLA-OCM射出成形試験体は、少なくとも2.8%、場合によっては、少なくとも2.9%の(ISO-527-2に従った)破断点伸び(「破断時引張歪度」という用語でも知られる)によって特徴付けられる。
【0135】
いくつかの実施例では、PLA-OCM射出成形試験体は、少なくとも15J/m2、場合によっては、少なくとも16J/m2、場合によっては、少なくとも17J/m2、場合によっては、少なくとも18J/m2、場合によっては、少なくとも19J/m2の(ASTM D256に従った)ノッチ付きアイゾット衝撃強度によって特徴付けられる。
【0136】
いくつかの実施例では、PLA-OCM射出成形試験体は、少なくとも65J/m2、-場合によっては、少なくとも66J/m2、場合によっては、少なくとも67J/m2、場合によっては、少なくとも68J/m2、場合によっては、少なくとも69J/m2の(ASTM D256に従った)ノッチなしのアイゾット衝撃強度によって特徴付けられる。
【0137】
PLAを有するOCM(PLA-OCM)の上記の物理的特性は、2つの様々な組み合わせが、包装用マルチフィルム及び農業用マルチフィルムなどの堆肥化可能な(生分解可能)フィルムのために可能である、という仮定を、支持する。
【0138】
本明細書に開示されるOCMを製造する方法もまた、本明細書に開示される。OCM用の取入れ材料を加工しようとする際に、本発明者らが直面する障害の1つは、押出成形機内での取込み材料の、流動性の欠如である。それに束縛されるものではないが、廃棄材料中に典型的に存在する、ポリオレフィンなどの合成プラスチックの、最小量の欠如は、OCMが、従来の押出成形機で押出されることを妨げたと、結論付けられた。
【0139】
押出成形機の代替物を探索して、少なくとも90%の有機異成分廃棄物を構成する取入れ材料を、混合及び加熱に供するだけでは、有機廃棄物取入れ材料が剪断力に供されたとしても十分ではないこともまた、見出された。追加の条件(加熱しながら、剪断力下で混合することに追加)が必要であると結論付けられた。
【0140】
したがって、本開示はまた、その別の態様に従って、本明細書で定義及び/又は開示されるOCMを調製するためのプロセスを提供し、本プロセスは、
a.少なくとも90重量%の異成分有機廃棄物のブレンドを含む、取入れ材料を提供することと、
b.取入れ材料を、最大約130℃の温度、少なくとも約2,500rpmの速度で、真空条件下で、高速混合に供して、それによって、OCMを得ることと、を含み、
以下の基準のうちの少なくとも1つが、満たされる:
取入れ材料が、取入れ材料又は得られるOCMの総重量から測定した場合に、0重量%~3重量%の合成ポリマーを含み、
複合材料が、ISO11に従って測定されるように、検出可能な量の、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの少なくとも1種を含まない。
【0141】
いくつかの実施例では、高速混合は、少なくとも80℃、場合によっては、少なくとも90℃、場合によっては、少なくとも100℃の温度である。
【0142】
いくつかの実施例では、高速混合は、約80℃~約130℃の、任意の温度又は温度範囲で行われる。
【0143】
本開示の文脈において、「取入れ材料」という用語は、少なくとも90%の異成分有機物、すなわち、少なくとも90%の非合成異成分有機物を含む廃棄物を指すものとして、理解されるべきであり、合成ポリマーの量は、存在する場合、OCM中のプラスチック含有量に関して、上記で定義された通りである(例えば、3%w/w未満の合成ポリマー)。
【0144】
取入れ材料は、粗異成分廃棄物から得られる。本開示の文脈において、「粗異成分廃棄物」に言及する場合、それは、複数の異なる合成プラスチック物と、少なくともセルロースを含む複数の異なる非プラスチック有機物と、複数の異なる無機物と、のブレンドの組み合わせを含む材料として、理解されるべきである。したがって、本開示の文脈において、「異成分」という用語は、複数の多様な構成成分/異なる構成成分の混合物の意味を有すると、理解されるべきである。
【0145】
いくつかの実施例では、粗異成分廃棄物は、都市廃棄物、産業廃棄物、及び/又は家庭廃棄物から得られ得るが、このような未分類の、すなわち、いかなる実質的な産業分類プロセスにも供されていない、異成分廃棄物材料を指す。
【0146】
いくつかの実施例では、粗異成分廃棄物材料は、大きな望ましくない廃棄物アイテムが除去される、事前分類プロセスを受ける。例えば、粗廃棄物は、金属、ガラス、及び大きな鉱物のいずれか1種を除去するために、事前分類され得る。事前分類は、例えば、粗廃棄物をコンベアベルト上で搬送し、望ましくない大きな廃棄物品目を分類することによって、手動で実施され得る。
【0147】
加えて、又は代替的に、事前分類は、典型的には、鉄含有金属、磁性材料、及び/又は強磁性材料の分離並びに除去のために、磁力を使用する分離(磁石ベースの分離)を含む。
【0148】
加えて、又は代替的に、事前分類は、典型的には、非鉄含有金属の除去のための、渦電流分離機を使用する分離を含む。
【0149】
分類プロセスを受けた粗廃棄物は、依然として、複数の異成分プラスチック物、非プラスチック有機物及び無機物を含む。この分類された廃棄物は、金属を含まない異成分廃棄物と称される。
【0150】
次に、金属を含まない異成分廃棄物を、乾燥及び分類のいくつかの工程に供して、有機取入れ材料(すなわち、少なくとも90%の有機物を含有し、0%~3%のプラスチックを含むもの)が、得られ得る。
【0151】
本開示の文脈において、乾燥に言及する場合、異成分廃棄物から水の一部を除去することとして、理解されるべきである。乾燥は、廃棄物から、全ての水を除去するものとして、解釈されるべきではない。いくつかの実施例では、粗廃棄物は、約30%~40%w/wの水を含み、乾燥は、含水量の少なくとも50%、場合によっては、含水量の少なくとも60%、場合によっては、含水量の少なくとも70%、場合によっては、含水量の少なくとも80%、場合によっては、含水量の少なくとも90%、場合によっては、含水量の少なくとも95%の除去を伴う。得られた廃棄物材料は、次に、乾燥廃棄物材料とみなされ得る。乾燥廃棄物材料は、典型的には、10重量%未満の水(水分)を含む。
【0152】
いくつかの実施例では、乾燥廃棄物、したがって、取込み材料は、10重量%未満の水、場合によっては、9重量%未満の水、場合によっては、8重量%未満の水、場合によっては、7重量%未満の水、場合によっては、6重量%未満の水、場合によっては、5重量%未満の水、場合によっては、4重量%未満の水、場合によっては、3重量%未満の水、場合によっては、2重量%未満の水を含む。
【0153】
理論に束縛されるものではないが、残りの残留含水量は、乾燥廃棄物材料/無水廃棄物材料の本開示の複合材料への変換を生じさせる化学プロセスにおいて、役割を果たす、と考えられている。
【0154】
したがって、いくつかの実施例では、取入れ材料中の含水量は、少なくとも1重量%の水、場合によっては、少なくとも2重量%の水、場合によっては、少なくとも3重量%の水を含む。いくつかの実施例では、取入れ材料は、取入れ材料の重量のうちの1%~10%の範囲内の、任意の量の水を含む。
【0155】
乾燥は、当該技術分野で周知の任意の手段によって、達成され得る。
【0156】
いくつかの実施例では、乾燥は、異成分廃棄物を屋外に置き、それを乾燥させることによって、達成される。いくつかのその他の実施例では、乾燥は、廃棄物を乾燥空気流下及び/若しくはオーブンチャンバ中に置くことによって、並びに/又は液体を搾り出すことによって、達成される。
【0157】
乾燥プロセスでは、水、及び場合によっては、いくらかの揮発性液体が除去される。これは、20℃で、少なくとも15mmHgの蒸気圧を有する液体、例えば、エタノールを含んでもよい。
【0158】
いくつかの実施例では、乾燥は、廃棄物中に本質的に存在する細菌を利用するバイオ乾燥プロセスによって、達成される。本目的のために、廃棄物材料は、典型的には、温度制御された環境に置かれる。いくつかの実施例では、粗物乾燥は、約70℃に維持された温度で、実行される。
【0159】
いくつかの実施例では、粗物乾燥プロセスを誘導又は強化するために、細菌が、異成分廃棄物材料(例えば、事前分類された廃棄物材料)に追加される。
【0160】
いくつかの実施例では、乾燥された廃棄物は、次に、粒子状廃棄物材料を得るために、寸法縮小に供される。
【0161】
本開示の文脈において、「粒子」又は「粒子化する」という用語は、廃棄物の寸法縮小をもたらす任意のプロセス又はプロセスの組み合わせを包含すると、理解されるべきである。粒子化/小型化は、造粒、寸断、細断、ダイシング、切断、破砕、崩壊、粉砕などのいずれか1つ又は組み合わせによって、起こり得る。
【0162】
いくつかの実施例では、寸法縮小は、廃棄物(乾燥又は非乾燥、更に好ましくは乾燥)を、40mm未満、場合によっては、30mm未満、場合によっては、20mm未満、場合によっては、10mm未満の、平均寸法の粒子に寸断することを含む。
【0163】
注目すべきことに、シュレッダー内の摩擦に起因して、寸法縮小により、(例えば、更に2%~3%の)水分が、更に減少する可能性がある。
【0164】
いくつかの実施例では、廃棄物の処理は、2つ以上の乾燥段階を含む。いくつかの実施例では、第1の乾燥段階は、金属除去後に行われ、第2の乾燥段階は、廃棄物の寸法縮小後に行われる。
【0165】
いくつかの実施例では、粒子状廃棄物は、次に、残留金属及び/又は鉱物粒子(小型化段階前に除去されなかった「不純物」)(第1の金属除去プロセス後に残っているもの)が除去される、洗浄プロセスに、供される。
【0166】
いくつかの実施例では、残留不純物は、重い粒子(例えば、金属粒子及び/若しくは鉱物)が、重力によって除去される一方で、軽質廃棄物画分(「軽質画分」)が収集される、かつ/又は次のプロセス工程に搬送される空気分離システムに、粒子状物質を供することによって、除去される。
【0167】
得られる軽質画分は、多くとも、少量の金属及び鉱物を含むであろう。それに束縛されるものではないが、画分は、多くとも、1%w/wの金属(鉄含有金属及び/又は非鉄金属)並びに多くとも、5%の鉱物を含む、と考えられる。
【0168】
次に、得られた軽質画分は、近赤外線(NIR)を使用する合成物除去段階に供される。NIRベースの分離は、ポリマー種類に基づいて(樹脂の波長シグネチャに基づいて)、望ましくないプラスチック材料を、その他のプラスチック廃棄物から、光学的に分類選別することを、可能にする。NIR技術における当業者によって理解されるように、NIRベースの分離システムは、多くのポリマー及びその他の化合物を同定することが可能であるように、プログラムされる。システムのオペレータは、どの化合物が留まり、何が分類されるかを、定義する。より具体的には、NIR分離工程は、ポリオレフィンと非相溶性のポリマー、例えば、200℃超、若しくは更に210℃超の融点を有するポリマー、及び/又はハロゲン化ポリマー及び/又はアリール含有有機化合物並びに所望によりその他のポリマーを含む、除去される物質ごとのアルゴリズムを装備するシステムを利用する。本アルゴリズムは、それに応じて、各化合物の同定及び分離を可能にする。これに関連して、各化学物質は、化学物質の「フィンガープリント」IDである複雑なIRスペクトルを有することが、当業者には理解される。本フィンガープリントは、任意の公的に利用可能な「Chemical Atlas」において見出され得、コンピュータープログラムによって認識される。
【0169】
いくつかの実施例では、NIRベースの分離は、ポリオレフィンと非相溶性であると当該技術分野で認識されている少なくともポリマーの分離を可能にする様式で、操作される。
【0170】
いくつかの実施例では、NIRベースの分離は、ポリ塩化ビニル(PVC又はビニル)樹脂などの少なくともハロゲン化ポリマー樹脂の分離を可能にする様式で、操作される。
【0171】
いくつかの追加的又は代替的な実施例では、NIR-ベースの分離は、アリール含有有機化合物、好ましくは、スチレン又はポリスチレン有機ポリマーの分離を可能にする様式で、操作される。
【0172】
NIRベースの分離は、合成物フリー有機物取入れ材料、すなわち、ISO11358によって決定される0%~3%の合成材料を含む取入れ材料を、提供する。
【0173】
いくつかの実施例では、有機物取入れ材料は、3重量%未満の合成ポリマーを含む。いくつかの実施例では、有機物取入れ材料は、2.5重量%未満の合成ポリマーを含む。いくつかの実施例では、有機物取入れ材料は、2.0重量%未満の合成ポリマーを含む。いくつかの実施例では、有機物取入れ材料は、1.5重量%未満の合成ポリマーを含む。いくつかの実施例では、有機物取入れ材料は、1.0重量%未満の合成ポリマーを含む。いくつかの実施例では、有機物取入れ材料は、0.5重量%未満の合成ポリマーを含む。いくつかの実施例では、有機物取入れ材料は、0.1重量%未満の合成ポリマーを含む。いくつかの実施例では、有機物取入れ材料は、0.01重量%未満の合成ポリマーを含む。
【0174】
いくつかの実施例では、有機物取入れ材料は、ISO11358によって決定される検出可能な量の合成プラスチックの欠如によって特徴付けられる。
【0175】
いくつかの実施例では、有機物取入れ材料は、95%の異成分有機物質、0重量%~1重量%の金属(鉄含有金属及び/又は非鉄金属)、及び0重量%~5重量%の鉱物を含む乾燥物質から本質的になる。
【0176】
いくつかの実施例では、有機物取入れ材料は、異なるセルロース系廃棄物材料のブレンドを含む。
【0177】
有機取入れ材料を、高速混合に供する。本高速混合は押出成形機内では実行されないことが理解されるべきである。むしろ、高速混合は、最高130℃℃(いくつかの実施例では、80℃~130℃)の高温で、少なくとも2500rpmの速度で、かつ負圧での混合を可能にする、閉鎖された(真空密閉された)高速ミキサ内で実行される。
【0178】
非限定的実施例に関して本明細書に記載されるように、有機物取入れ材料は、従来の押出を受けることができず、それを上記の条件で高速ミキサ内で処理することに利点があることが見出された。
【0179】
いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも2,600rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも2,700rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも2,800rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも2,900rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも3,000rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも3,100rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも3,200rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも3,300rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも3,400rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも3,500rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも3,600rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも3,700rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも3,800rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも3,900rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも4,000rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも4,100rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも4,200rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも4,300rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも4,400rpmの速度である。いくつかの実施例では、高速ミキサ中での混合は、少なくとも4,500rpmの速度である。
【0180】
いくつかの実施例では、混合は、約2,500rpm~約4,500rpmの速度の高速ミキサで、行われる。いくつかの実施例では、混合は、約3,000rpm~約5,000rpmの速度の高速ミキサで、行われる。いくつかの実施例では、混合は、約3,000rpm~約4,500rpmの速度の高速ミキサで、行われる。いくつかの実施例では、混合は、約2,500rpm~約4,000rpmの速度の高速ミキサで、行われる。
【0181】
いくつかの実施例では、高速ミキサ内での混合は、約0.5バール~約0.9バール、場合によっては、0.6バール~0.9バール、場合によっては、0.6バール~0.8バール、場合によっては、約0.7バールの負圧で、行われる。高速ミキサは、全作業時間中に本負圧を提供するように設計され、動作可能である。
【0182】
いくつかの実施例では、混合は、最大約120℃の温度で行われる。
【0183】
いくつかの実施例では、高速ミキサは、約30~約100m/秒、場合によっては、30~80m/秒、場合によっては、約40~約70m/秒、場合によっては、好ましくは、約45~約60m/秒の先端速度で、操作される。いくつかの実施例では、高速ミキサは、約45~約60m/秒、あるいは約50~約70m/秒、あるいは約55~約70m/秒の先端速度で操作されるように、構成又は構築されている。
【0184】
いくつかの実施例では、先端速度は、ロータ直径及び回転速度によって、決定又は指示されている。
【0185】
高速ミキサ内での混合は、上記で定義された特性を有する有機複合材料の乾燥ブレンド(すなわち、押出によって典型的に得られるペレットとは異なる、粉末形態)の形成のために、十分な時間、行われる。混合の持続時間は、混合速度及びミキサ内の負圧に、依存する。
【0186】
いくつかの実施例では、高速ミキサは、2,500rpm~3,000rpmの速度、約0.7バールの負圧、最大120℃(又は80℃~120℃)の温度、及び所望により、約30分~約50分の時間で、操作され得る。
【0187】
いくつかのその他の実施例では、高速ミキサは、撹拌運動を生成しながら混合を可能にすることと同時に、処理中に均質性を達成するように、設計されており、かつ動作可能である。場合によっては、これは、特別に設計されたブレードを使用することによって、達成され得る。
【0188】
いくつかのその他の実施例では、高速ミキサは、振動を防止するために、撹拌運動のバランスを維持するように、設計されており、かつ動作可能である。これは、異なる密度の材料の混合物を含む取入れ材料の存在に起因して、特に関連性がある。
【0189】
一般に、速度が速いほど、及び/又は負圧が低いほど、混合の持続時間は短くなる。いくつかの実施例では、混合は、ミキサ内の揮発性物質の濃度が1%未満になるまで、継続する。
【0190】
次に、得られたOCMは、更なる使用のために梱包/保管され得る、又は物品の製造に向かい得る。
【0191】
したがって、本開示の更に別の態様によれば、少なくとも1種の合成ポリマーと、本開示のOCMと、のブレンドを含む、製造物品が提供されるが、前記製造物品は、物品において使用される合成ポリマーのみから本質的になる、対応する物品のカーボンフットプリントよりも低い、カーボンフットプリントを有する。
【0192】
驚くべきことに、本明細書に開示されるOCMは、物品の製造前又は製造中に、OCMがプラスチックポリマーと配合される場合に、プラスチック含有物品のカーボンフットプリントを低減し得ることが、見出された。
【0193】
製造物品は、少なくとも1種のプラスチックポリマーと配合された任意の量のOCMを、含み得る。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、少なくとも10重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、少なくとも15重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、少なくとも20重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、少なくとも25重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、少なくとも30重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、少なくとも35重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、少なくとも40重量%のOCMを含む。
【0194】
いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、少なくとも45重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、少なくとも50重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、少なくとも55重量%のOCMを含む。
【0195】
いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、最大90重量%、場合によっては、最大85%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、最大80重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、最大75重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、最大70重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、最大65重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、最大60重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、最大55重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、プラスチックポリマーと配合された、最大50重量%のOCMを含む。
【0196】
いくつかの実施例では、製造物品は、約10重量%のOCM~90重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、約20重量%のOCM~80重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、約30重量%のOCM~60重量%のOCMを含む。いくつかの実施例では、製造物品は、約20重量%のOCM~80重量%のOCMを含む。
【0197】
製造物品は、任意の種類のプラスチックポリマーを含み得る。いくつかの実施例では、OCMは、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンなどの、少なくとも1種のポリオレフィンと、配合される。
【0198】
いくつかの実施例では、製造物品は、生分解可能ポリマーと配合される。
【0199】
いくつかの実施例では、製造物品は、ポリ乳酸(PLA)と配合される。驚くべきことに、PLAなどの生分解可能ポリマーと配合した場合に、組み合わされた物品は、表5に記載されているように、セルロースの生分解性と本質的に同様の固有の生分解性、及び同様のカーボンフットプリント(同様の平均累積CO2g排出量)を示すことが、見出された。
【0200】
OCMの固有の生分解性を考慮すると、炭素への影響が低い生分解可能ポリマーを使用することに関心がある、多くの用途を有し得る。
【0201】
いくつかの実施例では、OCMは、包装材料を製造するために使用される。換言すれば、製品は、パッケージ、例えば、食品用パッケージ、好ましくは、食品用認可パッケージの形態である。
【0202】
本開示の更に別の態様によれば、生分解可能プラスチック代替物として使用するための有機複合材料が、提供される。
【0203】
更にいくつかのその他の態様では、OCMは、特に、それが追加されるポリマー又はその他の物質のカーボンフットプリントを低減するための添加剤、例えば、充填剤として、使用するためのものである。換言すれば、OCMは、カーボンフットプリント低減剤として、使用され得る。
【0204】
非限定的実施例の説明
バイオベース複合調製物
合成物フリー家庭固形廃棄物(家庭固形天然廃棄物(HSNW)取入れ材料の調製
様々な家庭廃棄物からのHSNWの分類は、いくつかの連続した工程で行われる。
-事前分類:金属、ガラス、及び鉱物の、手動除去を伴う。
【0205】
-金属分類:強力な磁石(IFE MPQ 900F-P)の使用による、鉄含有金属粒子及び非鉄金属粒子の除去を含む。金属分離磁石は、搬送ベルト上を浮上する電磁石を含み、コイルは、鉄含有金属部品を持ち上げ、それらを、それ自体のコンベアベルトを通して短距離輸送し、したがって、残りの材料から磁性金属を分離する、狭く深い磁場を作り出す。金属は、システムの底部にあるビンに処分され、リサイクルに戻される。磁気ベルトシステムは、コンベアベルトの端部に設置され、ボックスは、磁性材料を捕らえるために、フライトパラボラの真上に配置される。
【0206】
-渦電流分類:ポールシステムは、1~3m/秒の外部速度を有するベルトドラムを装備したベルトドラムの内側に、設置される。内部ドラムは、最大3,000rpmで回転した。これにより、HSNWの流れから非鉄金属を忌避する、渦電流場が生成された(Wagner Magnete0429\0-37)。
【0207】
本分類プロセスの終わりに、金属/プラスチック/無機物が著しく低減された、家庭固形有機廃棄物が得られた。これらの不純物の最終的な除去を、乾燥後に行った。
【0208】
本段階で、HSNWは、典型的には、25%~50%の高い水分/湿分含有量を含有する。そこで、本HSNWを、乾燥工程へと移した。
【0209】
バイオ乾燥
本段階での乾燥の目的は、水分濃度を18%(w/w)未満に減少させることである。HSNWの乾燥は、天然廃棄物中に本質的に存在する細菌及び多細胞生物の活動が、最大65℃の内部温度へのHSNWの加熱、及び廃棄物材料からの液体の蒸発をもたらす、産業用バイオ乾燥において、行われる。温度は、コンピュータ制御部に連結された熱電対によって、決定される。
【0210】
発生した熱は、空気の制御された供給によって調節され、細菌が活性のままである最適なプロセス温度、典型的には、55℃~65℃、場合によっては、更に70℃までを維持した。
【0211】
数日から2週間後、HSNWの乾燥レベルは、水分含量約15%~18%に達した(これは、標準的な水分計を使用して、測定可能である)。有機廃棄物の乾燥流を、シュレッダーステーションに移して、本質的に乾燥した固形有機廃棄物の粒子寸法を、均質化した。
【0212】
寸断
寸断は、工業用回転シュレッダーを使用して実行され、30mmまでのHSNW粒子寸法を得る。
【0213】
第2の乾燥(風乾):
第2の乾燥段階を、熱風の原理で作動する、工業用回転床乾燥機で行った。本乾燥段階は、水分濃度を、10%未満に減少させた。
【0214】
最終洗浄
最終洗浄は、無機残留不純物及び金属残留不純物並びに全ての種類のプラスチックの除去を、含んでいた。
【0215】
当初、洗浄は、一組の振動板の原理に基づいて動作するマルチデッキスクリーンを使用した寸法に、基づいていた。
【0216】
空気分離
空気分離システム(IFE UFS600X+1000X)を使用して、軽質粒子と重質粒子とを、分離した。具体的には、空気分離機/分級機は、粒子が1つの層に配置される加速ベルト、及び調整可能な規定の空気流を材料に吹き込む後続のエアバーからなる。エアバーの後には、通常、軽質粒子と重質粒子との間に、分離機がある。分離に続いて、軽質部分に沈み込む機会を与える、分割空間がある。重質材料は、エアバーと分離機との間で、分離される。
【0217】
NIR分離
最後に、プラスチック及び残留金属の除去は、近赤外線の原理に基づいた。
【0218】
近赤外線システム(SESOTEC MN 1024)を使用して、特定のプラスチックポリマーを、選択的に分類選別/分離した。具体的には、スキャナ並びにアクティブセンサ支持体及びアクティブブローバーを有するシステムを、使用した。なお、システムは、少なくとも1.5mmの感度を有する高解像度NIRカメラを装備しているが、これは、特定の物質のIRスペクトルの反射を捕捉し、それを、様々な物質の記憶されたスペクトルと比較する。システムが所望の物質を検出した場合に、自由にプログラムされた関数を、バイナリ形式-分離又は保持で照会した。次に、接続されたブローノズルバーを使用して、検出と同じ細かさで、粒子を吹き飛ばした。
【0219】
NIR分離後、固形有機廃棄物材料は、金属材料、無機材料、及びプラスチック材料のいずれをも、本質的に含まなかった(少なくとも90%の合成物フリー有機物を含む)。この本質的に乾燥した粒子状の飛散性HSNW材料を、所望の有機複合材料に加工するための取入れ材料として、使用した。
【0220】
OCMの生成
合成物フリー有機物の飛散性取入れ材料を、次に、粉末を混合するように設計されている高速加熱ミキサに移した。本目的のために、負圧下(0.7バールで40分間、最大120℃の温度)で、3,000rpmで動作する、高速加熱ミキサを使用した。
【0221】
従来のバンベリーミキサは、強力なミキサであるが、ゴム又は溶融ポリマーを混合するように設計されており、粉末及び/又は飛散性材料を強力に混合するためには好適でないので、飛散性取入れ材料は、従来のバンベリーミキサでは処理され得ないことに、留意されたい。
【0222】
高速ミキサの原理は、生成された渦及び粉末粒子間の内部摩擦に起因して、加熱しながらの同時混合、粉砕、及び均質化を可能にするために、必要であった。内部温度を監視し、内部温度が90℃に達したら、負圧を適用して(0.7バール)、密閉ミキサ内の揮発性物質を除去した。真空下での混合プロセスを、内部温度が120℃に達するまで、継続する。
【0223】
次に、得られた均一な、合成物フリー複合材料を、40℃未満の温度に達するように、工業用冷却ミキサに移した。
【0224】
参照複合材料の調製
以下において、本開示の天然複合材は、プラスチックもまた含み、押出技術によって得られる参照複合材料とも比較される。参照を容易にするために、これらの比較複合材を、以下のように調製した。
【0225】
国際特許出願公開第WO10082202号に基づく比較複合材(以下、「未分類複合材」と呼ぶ)
比較のために、国際公開第10082202号に記載されている複合材料を、使用した。本複合材料は、プラスチック(少なくとも10%)並びに有機物を含有する。プラスチック/有機複合材は、実施例2中で調製された複合材料に基づいて、分析された。具体的には、複合材料は、家庭から収集された実質的に未分類の廃棄物(SUW)から調製され、ブレードを備えたシュレッダーで寸断され、次に、数ミクロンから数センチメートルの寸法の粒子へと、粉砕された。次に、粉砕した粒子を篩にかけて、直径100~200mmの範囲の粒子を収集した。100~200mmの粒子流は、SUWの元の磁性金属含有量の少なくとも一部を除去する磁石を、通過する。磁性金属を分離した後、残りの粒子流を粉砕し、再び篩にかけて、約20mmの寸法を有する粒子を得る。次に、粉砕した粒子を数日間空気乾燥し、全てではないが少なくともいくらかの水分が除去されて、乾燥粒子が得られるまで、乾燥空気流下で乾燥させた。乾燥させた粒子を、180°℃の温度、及び約50rpmの回転速度に設定された、単軸押出成形機(Erema又は自家製押出成形機)内へと供給した。粒子状材料を、約3分~約5分の滞留時間で、押出成形機中で処理した。押出成形機ノズルを冷却して、押出成形機内の圧力及び剪断力を増大させた。押出物を、室温まで冷却した。
【0226】
プラスチックレス複合材
プラスチック含有量が低減され、合成有機物及び非合成有機物の両方を依然として含有する複合材料を、上記のようなバイオ乾燥プロセス及び寸断プロセスを受けた取入れ材料を使用して調製し、その後、いくつかの非ポリオレフィン合成ポリマーのNIR分離を使用して、選択的に分類選別した。したがって、得られた複合材料は、プラスチック物を含有するが、ハロゲン化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル(PVC))、並びに/又はアリール含有化合物、並びに/又は(PVC)、ポリスチレン(PS)及びPETなどの、少なくとも200℃以上の融点範囲を有するポリマーなどの、ポリオレフィンと不相溶性であると考えられる、選択されたポリマーの量を(実質的に分類されていない家庭廃棄物中の量と比較して)減少させている。具体的には、取入れ材料は、1%未満のPVC、3%未満のPS、及び/又は5%未満のPETを、含有していた。
【0227】
次に、プラスチックレス取入れ材料を、単軸押出成形機(直径145mmの寸法、スクリュー長さ:950cm、スクリュー対バレルのクリアランス値:0.5~2mm、高耐摩耗性スクリュー及びバレル、最大30mmのダイ開口部直径、及び2つの通気ゾーン)に供した。次に、押出されたプラスチックレス複合材料を、粉砕プロセスに供して、以下の粒径:1.4mm(以下「Q1.4」と呼ぶ)、0.9mm(以下「Q0.9」と呼ぶ)、及び0.7mm(以下「Q0.7」と呼ぶ)で、プラスチックを含まない複合材を得た。
【0228】
結果及び比較分析
高速加熱ミキサ対押出成形
以下の比較は、本開示に従って生成された、合成物フリー有機複合材料と、異成分廃棄物が押出成形機内で処理された国際公開第10082202号のプロセスを使用した場合の同じ合成物フリー有機取入れ材料からの押出物とを区別することを目的とする。
【0229】
本目的のために、合成物フリー有機取入れ材料を120℃でオーブン乾燥して湿度を10%に低下させた。次に、乾燥した合成物フリー有機取入れ材料を、6mmのスクリーンを有する粉砕機で更に粉砕した。次に、粉砕した合成物を含まない有機取入れ材料を、以下の代替法に供した:
-高速加熱ミキサ中、3,000rpmで、負圧下で混合すること(0.7バールで、40分間、最大120℃の温度、
○次に、粉砕された乾燥合成物フリー有機物を、最大120℃、40分間0.7バールの真空下3,000rpmで高速ミキサ中で混合した、
又は
○乾燥した合成物フリー有機取入れ材料を、単軸スクリュー押出成形機で、100℃-120℃で60rpmで押出すこと。
【0230】
合成物フリー有機取入れ材料を、押出成形機を通して移送しようとする場合に、合成物フリー有機取入れ材料は、材料が押出成形機のスクリューに付着し、早期に分解するために、通過できなかった。その他のrpm及び温度設定を試みても、成功しなかった。
【0231】
差し迫った結論は、たとえ少量のプラスチックが存在しなくても、合成物フリー有機取入れ材料を、押出成形機を通して運ぶ流動媒体が存在せず、したがって、合成物フリー有機取入れ材料の押出を可能にするために少量の熱可塑性物質又はその他の種類の潤潤滑剤(例えばワックス)を添加する必要があるということであった。
【0232】
負圧を適用する又は適用しない高速加熱ミキサ
真空条件下での混合の重要性を評価するために、乾燥した合成物フリー取込み材料(水分約10%まで乾燥)を、6mmサイズに粉砕し(6mmのスクリーンを使用)、真空あり(0.7バールの負圧、「合成物フリー有機物」又は「有機物」)あるいは真空なし(「参照(Reference)」又は「参照(Ref)」)で、115℃~120℃、3,000rpmで40分間高速混合し、その後、上記のように冷却ミキサで冷却して、合成物フリー有機複合材料を得る。
【0233】
試料評価(調製)のために、次に、得られた合成物フリー有機複合材料を、表2に設定された以下の条件下で単軸スクリュー押出成形機を使用してポリプロピレン(70%、コポリマーMFI=60)と配合した。
【0234】
【0235】
次に、得られた押出成形材料(合成物フリー有機物又は参照)を、射出成形に供し、得られた成形物を表面外観、臭気、及び機械的特性について試験した。
【0236】
射出成形試料の画像を撮影し、
図2A~
図2Bに提供する。具体的には、
図2Aは、真空条件下で調製された、合成物フリー有機複合材料の射出成形試料を示し、一方、
図2Bは、その調製中に、負圧/真空を適用せずに調製された、参照複合材料の射出成形試料を示す。
【0237】
更なる実施例として、有機複合材を、80%のPPと、真空条件下で同様に配合し、その画像を、
図2Cとして提供する。
【0238】
これらの画像から、複合材料中の揮発性物質の存在(すなわち、負圧を適用せずに、調製中に、揮発性物質が除去されないこと)が、射出成形生成物の表面外観を損なうことが、明らかである。理論に束縛されるものではないが、密閉型高速ミキサ内に蓄積された蒸気が、これらの表面損傷を引き起こしたと考えられる。
【0239】
1~5の内部スコアシステム(1は無臭、5は臭気が高い)に基づいて、2種類の試料の臭気もまた評価したが、参照複合材料の臭気スコアは5であった一方、有機複合材料の臭気スコアは3であったと結論付けられた。これらの結果は、真空が最終複合材料に有益な効果を提供するという結論を強化する。
【0240】
OCMカーボンフットプリント
二酸化炭素排出量は、特定の製品の製造などの所与の活動によって放出される、温室効果ガスの尺度であり、発生する二酸化炭素当量(CO2eq)排出量の、メートルトンで表される。
【0241】
OCMカーボンフットプリントは、新しいプロセスによって必要とされる総エネルギー質量バランスから、LCA計算機ソフトウェアを使用して、ISO14040に従って、LCA(ライフサイクル評価)によって、決定された。計算の方法論は、上記で提供される。
【0242】
具体的には、複合材料のLCAを計算する方法は、変換活動の影響を決定することを、必要とする。これに関連して、OCMのカーボンフットプリントの計算は、変換プロセス自体のために使用されるエネルギーのみを説明し、先行する乾燥工程及び寸断工程は、廃棄物が処理施設に到達する前に行われたので、これらを含まないことに、留意されたい。
【0243】
以下の非限定的実施例は、イスラエル南部のTze’elimに基地を置く工場設備に基づいており、乾燥のための太陽熱の利用可能性に起因して、OCMを生成するためにはほとんどエネルギーが必要とされない。したがって、本非限定的実施例の条件下では、1キログラムのOCMを生成するために、0.39kWhの電力しか必要とせず、これは、1.40MJ/kgへと変換される。
【0244】
イスラエルの電気ミックスの気候影響は、0.31kgCO2eq/MJ(GWP100)及び0.35kgCO2eq/MJ(GWP20)であった。本情報は、LCAソフトウェアIMPACT 2002+(vQ2.28)(2017年7月)V2.28/IMPACT 2002+から取られ、Quantisの持続可能性コンサルタントと併せて、決定された。
【0245】
正味LCAは、変換プロセスのエネルギー使用(上記)の気候影響から、
図6に提示された式に従って計算された、回避される排出量を減算することによって計算された。回避される排出量は有機複合材料によって発生される排出量よりも多いので、本明細書に開示される複合材料の正味の影響は、負であることが見出された。
【0246】
更に、93.3%の食品廃棄物及び6.7%の無機物を含む有機複合材料について本組成物から得られる回避される排出量及び正味の気候影響を表3に示す。
【0247】
【0248】
OCMの影響を決定するために、そのカーボンフットプリントを、未使用のポリプロピレン(PP)のカーボンフットプリント、未使用のポリ乳酸(PLA)のカーボンフットプリント、及び国際公開第10082202号に記載されている複合材料のカーボンフットプリントと、比較した(以下、「未分類複合材」と呼ぶ)。これに関連して、「未分類複合材」は、少なくとも10%の合成プラスチックを含む未分類の家庭廃棄物からのものであり、上記で簡単に説明したように、未分類廃棄物の押出成形によって生成されることに、留意されたい。更に、PLAは、生分解可能製品に使用されることが周知であることに留意されたい。
【0249】
表4は、単独又は組み合わせでのいずれかの材料のカーボンフットプリントを提供する。
【0250】
【表5】
*国際公開第10082202号に記載されている。
【0251】
表4は、本明細書に開示されるOCMが、その負の正味カーボンフットプリントによって、環境に対してはるかに大きな影響を有することを明確に示しているが、この負の正味カーボンフットプリントは、国際公開第10082202号の未分類複合材よりも多い。
【0252】
更に、以下に示すように、カーボンフットプリントははるかに少ないが、OCMとPP又はPLAとの組み合わせの機械的特性は、プラスチックとして使用した場合のPP又はPLAの機械的特性と、本質的に同じである。
【0253】
OCM対未分類複合材
国際公開第10082202号には、上記のような条件下で、押出成形に供された、未分類の家庭廃棄物(プラスチックを含む)からの複合材料が記載されているが、本文献において、より詳細に記載されている。国際公開第10082202号に従って得られた複合材料は、本明細書において、未分類複合材と称される。
【0254】
未分類複合材料のカーボンフットプリントは、LCA計算機ソフトウェア及び製造プロセスによって必要とされる総エネルギー質量バランスを使用して、ISO14040/44に従って、LCA(ライフサイクル評価)によって、決定された。計算の方法論は、上記で提供される。
【0255】
具体的には、複合材料のLCAを計算する方法は、変換活動の影響を決定することを、必要とする。これに関連して、未分類複合材料のカーボンフットプリントの計算は、変換プロセス自体のために使用されるエネルギーのみを説明し、先行する乾燥工程及び寸断工程は、廃棄物が処理施設に到達する前に行われたので、これらを含まないことに、留意されたい。
【0256】
次に、表5に要約されているように、30%の複合材料(OCM又は未分類複合材のどちらか)と70%のPPとを含む射出成形試料の、物理的特性を、比較した。
【0257】
表5に要約された機械的特性を、以下のように測定した:
引張試験-引張特性を、試験体種類A1:全長≧150~200mm、狭い平行側面部分の長さ=80±2mm、半径20~25mm、広い平行側面部分間の距離104~113mm、端部における幅=20±0.2mm、狭い部分における幅10±0.2mm、好ましい厚さ4±0.2mm、ゲージ長さ50±0.5mm、及びグリップ間の初期距離=115±1mmを使用して、ISO-527-2に従って決定した。
【0258】
衝撃強度アイゾット(ノッチ付き)-アイゾット衝撃強度を、ISO180(1J振り子)/ASTM D256(1J振り子)、ノッチ付き、ハンマー1Jを使用して、測定した。(アイゾット衝撃強度、エッジワイズノッチ付き試験体)
【0259】
破断点伸び(破断時引張歪度)-ASTM D790(ISO178)法を使用して、試験速度5mm/分で、試験を実施した。
【0260】
密度-ISO1183を使用して、試験を実施した。
【0261】
【0262】
表5は、OCM-PP複合材と未分類-PP複合材(未分類の家庭廃棄物中に存在するような量の、プラスチックもまた含む)の機械的特性が類似していることを示す一方で、OCM-PP複合材は、MFIが大幅に高いため、OCM-PP複合材は、射出成形に関してより適合性があり、流動性がより高いため、産業用途により好適である。これに関連して、MFIが高いほど、材料は、設定温度においてより流動性であることに、留意されたい。
【0263】
OCM-PP複合材のより高いMFIは、PPコポリマーのMFIが同じであり(60)、OCMがMFIを低下させることが予想されていたので、予想外であった。しかし、これは起こらなかった。差し迫った結論は、OCMを使用することによって、未充填ポリマーの量を低減し、少なくとも30%少ない未充填ポリマーを有する、本質的に同じ官能性を有する生成物を得ることが、可能である、ということである。
【0264】
OCM-PLA複合材の生分解性対未分類(Q0.7)PLA複合材又は未充填プラスチック
堆肥中の好気性生分解性OCM-PLA、0.7mmに粉砕された未分類複合材料(「Q0.7」)、及び未分類Q0.7-PLA(以下「Q0.7-PLA」と呼ぶ)を、OXO(通常、生分解可能生成物/生分解可能複合材料-d2w93224(シンフォニー・エンバイロメンタル社(Symphony Environmental))、d2w(登録商標)技術に準拠、に追加される、生分解可能促進剤)の有無にかかわらず、参照としてのセルロース(Cellulose Standard UNE-EN13432-2001、表4中の「0」)を使用して、未充填PLA(Ingeo 4032D、ネイチャー・ワークス(Nature Works))のものと比較した。
【0265】
4つの試験試料を、表6の組み合わせに従って調製し、直径2mm、長さ3mmのペレットに、ペレット化した。
【0266】
【0267】
堆肥中の最終的な好気性生分解性の決定を、UNE-EN13432-2001(欧州規格-堆肥化及び生分解によって回収可能な包装物の要件-包装物の最終承認のための試験スキーム及び評価基準)で確立された要件に従って、UNE-EN ISO14855-1:2013に詳述された技術的手順に従って、実行した。(制御された堆肥化条件下での、プラスチック材料の最終的な好気性生分解性の決定-発生した二酸化炭素の分析による方法)。当業者によって理解されるように、標準的な要件は、セルロース参照に対して、90%超の生分解である。UNE-EN13432-2001に従って、各組の試験について、セルロース参照を並行して行う。
【0268】
生分解%を表7に示し、累積生分解を示す
図3のグラフに、更に示す。
【0269】
【0270】
表7は、欧州規格UNE-EN13432-2001及びUNE-EN ISO14855-1:2013に従って、OCM-PLA複合材を使用した場合に、試料が完全に分解されたことを示す。
【0271】
しかし、Q0.7-PLAを使用した場合には、OXOを追加しても、各試料は、規格通りに分解しなかった。
【0272】
有機複合材対プラスチックレス複合材
有機複合材の様々な特性対プラスチックレス複合材(すなわち、PETを含む特定のプラスチックが除去され、したがって、国際公開第10082202号と比較して、プラスチックの含有量が少ないと考えられるが、依然としてなおもプラスチックを含有している複合材)の様々な特性を、決定した。
【0273】
最初に、合成ポリマーの相対含有量、熱安定性、及び無機物含有量の量(灰分)を決定するために、OCMの試料及びプラスチックレス複合材の試料(上で定義した「Q0.9」)を、示差走査分析(DSC)及び熱重量分析(TGA、(Tonset及びT0))によって、分析した。具体的には、質量分析と組み合わせた、STA TG-DSCを使用した[NETZSCH-Geratebau、STA TG-DSC 443 F3 Jupiter(登録商標)]。
【0274】
【0275】
【0276】
【0277】
表8は、OCMが、90%超のセルロースを含有し、検出可能な量の合成ポリマーを含有しないことを示す。更に、表8は、OCMが、減少した量の合成物及び/又は無機物もまた含むことを示す。
【0278】
更に、表8は、Tonset(酸化又は分解が始まる場合の温度)が、OCMに対してはるかに低いことを示すが、これは、OCMが、わずかに安定性が低く、172℃で劣化することを意味する。本結果はまた、OCMが、国際公開第10082202号(180℃の温度での押出成形)において設定された条件下では、押出成形されることができない、という結論につながる。
【0279】
更に、各試料の密度を、ISO1183-2に従って測定したところ、Q0.9では1.2g/cm3、OCMでは1.25g/cm3であり、すなわち、本質的に同じであった。
【0280】
元素分析もまた、OCM、分類されていない複合材(国際公開第10082202号に記載されているようなもの)、及びプラスチックレス複合材(上記のようなQ0.9)に関して、実施した。具体的には、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP/AES)を用いた。
【0281】
本目的のために、液体試料を、6000~10000°Kで燃焼するアルゴンプラズマトーチ内へと噴霧する。注入された試料は急速に脱水され、その溶質は最初に溶融し、次に、熱によって蒸発する。分子は自由原子に分解し、これらの原子の大部分もまた、イオン化される。
【0282】
表9は、試験した各複合材料中の無機物含有量を、提供する。
【0283】
【0284】
表9は、OCMが、著しく低い含有量のFe、Al及びSi(砂)と、更に高い含有量のKとを含むことを示しており、後者は、生体からの合成物フリー有機物を示している。カリウムは、植物細胞の主要なオスモライトであり、したがって、その高濃度はOCMであり、それは、その供給源のフィンガープリントである。これに関連して、木材繊維は、水で徹底的に洗浄されて、そこからカリウムが除去されるので、合成ポリマー又は木材プラスチックであっても、このような高濃度のカリウムを含有しないことに、留意されたい。
【0285】
全抽出炭素-ジメチルエーテル(DME)で抽出した20gの試料を使用して、測定した。油残渣を計量し、抽出された炭素の量を計算した。結果を、表10に示す。
【0286】
【0287】
OCM:PLA(50:50)又はQ0.9:PLA(50:50)を含有する試料の機械的特性を測定するために、これらを、双軸スクリュー押出成形機中で配合することによって、調製した。試験方法は、双軸スクリュー押出成形機(Coperion、ZSK18MegaLab、D=18mm、48L/D)によって、ブレンドを配合することを含んだ。
【0288】
配合された材料又はPLAを、80℃で2時間、露点:-49℃の除湿器で乾燥させ、次に、射出成形して、ISO294に従って、試験体を形成した。
【0289】
機械的特性-表11に要約された機械的特性を、以下のように測定した:
引張試験-引張特性を、試験体種類A1:全長≧150~200mm、狭い平行側面部分の長さ=80±2mm、半径20~25mm、広い平行側面部分間の距離104~113mm、端部における幅=20±0.2mm、狭い部分における幅10±0.2mm、好ましい厚さ4±0.2mm、ゲージ長さ50±0.5mm、及びグリップ間の初期距離=115±1mmを使用して、ISO-527-2に従って決定した。
【0290】
衝撃強度アイゾット(ノッチ付き)-アイゾット衝撃強度を、ISO180(1J振り子)/ASTM D256(1J振り子)、ノッチ付き、ハンマー1Jを使用して、測定した。(アイゾット衝撃強度、エッジワイズノッチ付き試験体)
【0291】
破断点伸び(破断時引張歪度)-ASTM D790(ISO178)法を使用して、試験速度5mm/分で、試験を実施した。
【0292】
【0293】
表11は、Q0.9-PLA試料中のプラスチックの含有量が、より高い引張弾性率、降伏強度及び破断応力から明らかなように、より剛性の試料を提供するが、両方の試料が、同じノッチ付きアイゾット衝撃強度を有したことを示す。したがって、OCMは、以下のように結論付けられた:PLA(50:50)の組み合わせは、包装用及び農業用マルチフィルムなどの、堆肥化可能フィルムに使用され得る。
【0294】
更に、試料を、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)分析に供した:(Nicolet6700、ATR Accessoryを使用する、中赤外範囲用のFTIR分光光度計)。吸光度スペクトルは、波長の関数として吸光度を記録することによって得られる。製造業者の操作説明書内に提供され、一般に周知のライブラリに基づく、特定の波長での吸光度測定から、濃度を計算した。
【0295】
図5は、OCMとプラスチックレス複合材(Q0.9)との間の差を示す、ART-FTIRスペクトルである。表10に記載したピークの差を、具体的に参照し得る。
【0296】
【0297】
図5及び表12は、合成物フリー有機物含有量の差を明確に示している(破損した有機人参を参照のこと)。
【0298】
具体的には、OCMは、Q0.9複合材と比較して、高い割合で、天然(すなわち、非合成)有機物を含有することが分かる。例えば、ピーク3335.56cm-1は、ヒドロキシル性成分を示し、主に、ポリマーを特徴付ける、より少ない脂肪族基を含有する。
【0299】
図5は、0.9mm寸法の複合材料(Q0.9)及びOCMを含む、2種の異なる試料についての結果を、提供する。
【0300】
興味深いことに、FTIRライブラリでは、Q0.9が、ルテイン(86%)として識別され、OCMが、人参の種子(95%)として識別された。これは決定的な化学的同定とみなすことはできないが、それは、単に、カロテノイドを示す優勢なFTIRシグナルに対する指標であり、これは、興味深い観察であり、Q0.9とOCMとの間、より重要なことには、OCMとその他の木材プラスチックとの間の、明確な区別である。OCMは、セルロース繊維が比較的豊富であるが、Q0.9は、より少ない繊維及びより高い割合のカロチノイドを含有した。
【0301】
OCMはまた、ガスクロマトグラフィ(GC-MS、Agilent 7890A)を使用して特徴付けられた。具体的には、有機複合材の24時間ヘッドスペース抽出を、GC-Sniffer、続いて、GC-MSによって、分析した。GC-Snifferは、16~20分の保持時間で不快な酸敗臭を示した。GC-MS結果は、2種の主要な揮発性化合物、ノナン酸及びオクタン酸を示し、オクタン酸については15分、ノナン酸については19分の保持時間で、溶出した。参照として、オレイン酸が、35分の保持時間で溶出されたことに、留意されたい。
【0302】
表13は、Q0.9が、OCMと比較してはるかに高い濃度のオクタン酸及び有意に低い濃度のオレイン酸を含有することを示す。更に、表11は、OCMにおいて適用されたより低い温度及び圧力に起因して、オクタン酸/オレイン酸及びノナン酸/オレイン酸の、著しく低い比を示す。
【0303】
これに関連して、オクタン酸(カプリル酸という名称でも知られている)は、8個の炭素で飽和されており、わずかに不快な悪臭を伴う、水への溶解性が最小限の油性液体であることに、留意されたい。ノナン酸及びオクタン酸は、不飽和オレイン酸の分解生成物である。オレイン酸は、様々な動物性脂肪及び植物性脂肪並びに動物性油及び植物性油中に、天然に存在する脂肪酸であり、したがって、都市廃棄物中に存在する。ノナン酸及びオクタン酸を所与するオレイン酸の分解は、特に、20MPa(約200Atm)及び300℃超の亜臨界水の存在下で、生じる。興味深いことに、ステアリン酸(オレイン酸の飽和形態)は、370℃でも安定である。なお、オレイン酸は、亜臨界水の存在下、20MPaで、300℃下で、安定である。
【0304】
【0305】
Q0.9及びOCMのDNA抽出及びクロロフィル含有量
DNA抽出プロトコルを、http://www.bio-protocol.org/e2906から改変した。具体的には、20gのQ0.9及びOCMの三連を、冷却した乳鉢及び乳棒を使用して、液体窒素中で、微粉末に粉砕した(これは、-210℃において、DNA LN2を抽出するための、一般的な方法である)。次に、この微粉末を、管に入れ、これに、500μlの2%のクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)(CTAB)溶液を追加し、激しく混合しながら、65℃の水浴中で、1時間培養した。カチオン性界面活性剤であるCTABの使用は、精製中の多糖の分離を容易にし、ポリビニルピロリドンなどの添加剤は、ポリフェノールの除去に役立ち得る。CTAB系の抽出緩衝液は、植物組織からDNAを精製する場合に、広く使用される。
【0306】
次に、混合物を、12,000gで、15分間、遠心分離し、上清を回収し、これに、等量のクロロホルムを追加し、再び遠心分離した。水相を採取し、管を穏やかに混合することによって、等体積のイソプロピルアルコールを追加した。管を、-20℃で、1時間置き、12,000×gで、15分間遠心分離した。700μlの75%のエタノールを、ペレットに追加し、12,000×gで、5分間、遠心分離した。ペレットを、完全に乾燥させ、30μlの超純水、1ulの10%のRNaseA中で混合し、37℃で、1時間、培養した。NanoDropを使用して、DNA量を決定した。
【0307】
クロロフィル含有量の測定を、以下に概説するプロトコルを使用して行った。具体的には、20mg質量の試験複合材料の三連を、1mlのジメチルホルムアミド(DMF)を含有する1.5mlの管に、追加した。管を、4℃で、一晩培養して、クロロフィルを、DMF溶液に溶解させた。300μlの試料溶液を、新しいエッペンドルフ管中で、600μlのDMFと混合した(試料の体積当たり、2体積のDMF)。吸光度(A)を、石英キュベットを使用して、647nm及び664.5nmの波長で、分光光度計で取得した。
【0308】
クロロフィルa含有量(μg/ml)=(12×A664.5)-(2.79×A647)
クロロフィルb含有量(μg/ml)=(20.78×A647)-(4.88×A664.5)
【0309】
【0310】
上記のデータは、クロロフィルル濃度が、2種の複合材料においてほぼ同じであるが、OCM中のDNA含有量が有意に高いことを示す。
【0311】
OCM対Q0.9におけるQ材料の元素分析(C、H、N)
製造業者の指示に従って、Flash EA 1112元素分析装置使用して、C、H、N、S、及びOの元素分析を実施した。結果を、表15に提供する。
【0312】
【0313】
Q0.9は、炭素及び水素が豊富なポリオレフィンを、比較的高濃度で含有し、典型的には、窒素を含有しないが、OCM中により豊富に見出されるものなどの天然産物は、窒素が豊富なタンパク質を含有するので、OCM中の窒素の量が多いことは、合成物フリー有機(天然)材料の量がより多いことを示す。
【国際調査報告】