(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁、及び、その自動放圧及び遮断方法
(51)【国際特許分類】
F16K 21/04 20060101AFI20240829BHJP
G05D 16/10 20060101ALI20240829BHJP
F16K 17/36 20060101ALI20240829BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20240829BHJP
F17C 13/04 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F16K21/04 Z
G05D16/10 Z
F16K17/36 Z
F23K5/00 301E
F17C13/04 301Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513165
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 CN2022114331
(87)【国際公開番号】W WO2023025162
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110979624.2
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517312490
【氏名又は名称】ヂェァジァン ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.866,Yuhangtang Road,Xihu District,Hangzhou, Zhejiang China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】錢 錦遠
(72)【発明者】
【氏名】趙 磊
(72)【発明者】
【氏名】林 振浩
【テーマコード(参考)】
3E172
3H055
3H061
3K068
5H316
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB03
3E172BD03
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3H055EE08
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5H316AA09
5H316BB05
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5H316EE02
5H316EE10
5H316EE12
5H316GG01
5H316JJ01
5H316KK02
(57)【要約】
本発明は自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁及びその自動放圧及び遮断方法を提供し、水素ガス用減圧弁は主減圧弁及び遮断弁を含む。遮断弁は気流入口、端部に遮断弁コアが設けられる弁ロッド、及び気流出口を含む。前記ガス流入口は、外部吸気管路に接続するためのものであり、ガス流出口は、調整通路の頂部と連通しており、対象ガスは、ガス流出口を通って調整通路に入り、第2の円盤状端部に作用する。前記弁ロッドには、制御端と、外部と連通する排出端とを含む放圧通路が開設されている。制御端は、遮断弁コアが閉じられているときに遮断弁の弁本体内のキャビティと連通し、遮断弁コアが開いているときに閉じることができる。本発明の水素ガス用減圧弁は、安定した圧力と流量を実現することができ、自動遮断が可能であるので、緊急時(例えば、自動車事故等)にガス供給路を自動的に遮断することができる。システムが通常の状態に戻ったときにも、自動放圧機能を実現できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主減圧弁と遮断弁を含む自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁であって、
前記主減圧弁は、同軸上に配置された弁本体(1)と、調整キャップ(3)と、エジェクタピン(6)と、弁コア(7)と、入口キャップ(8)とを備えており、
前記弁本体(1)の軸方向にはキャビティが貫通して開設され、側壁には弁本体出口(12)が開設され、前記弁本体(1)の頂端には前記調整キャップ(3)が着脱可能に密封装着され、前記弁本体(1)の底端には前記入口キャップ(8)が着脱可能に密封装着されており、前記入口キャップ(8)には、順次連通する入口通路(9)、制御通路及び頂部凹溝が設けられ、前記入口通路(9)は、外部吸気管路に接続するために使用され、前記弁コア(7)は、前記弁本体(1)のキャビティの下部に取り付けられ、底部に制御先端を備え、前記制御先端の下部は、前記入口キャップ(8)の前記頂部凹溝内に位置し、且つ前記制御通路を閉鎖することができ、前記制御先端と前記頂部凹溝との間の円周方向の空隙は、前記制御通路を介して前記入口通路(9)と連通することができる中間通路(10)であり、前記弁コア(7)には、前記中間通路(10)と連通する第1ガス通路が設けられ、前記調整キャップ(3)の前記弁本体(1)から離れた一端にはねじ棒(2)が同軸上で連結され、前記ねじ棒(2)と前記調整キャップ(3)にはそれぞれ軸方向に貫通して互いに連通する第1の孔路と第2の孔路が開設され、前記エジェクタピン(6)は、前記弁本体(1)のキャビティの上部に取り付けられ、順次接続されている第1の円盤状端部、ロッド部、及び第2の円盤状端部を含んでおり、前記ロッド部は、前記第2の孔路を貫通して前記第1の孔路内に延び、前記ロッド部の高さは前記第1の孔路を越えておらず、前記第1の孔路の上部に調整通路(11)が開設され、前記ロッド部は前記調整キャップ(3)と前記ねじ棒(2)の接触で気密性を保持し、且つ前記ロッド部は前記第1の孔路と前記第2の孔路に沿って上下に摺動可能であり、前記調整キャップ(3)と前記第1の円盤状端部との間には、前記弁本体出口(12)に連通する第2のガス通路が開設され、前記第1の円盤状端部には、軸方向に貫通する第3のガス通路が開設され、前記第1のガス通路は、前記第3のガス通路を介して前記第2のガス通路に連通し、前記第1の円盤状端部は、前記弁コア(7)の頂部に圧着され、前記弁コア(7)は、前記エジェクタピン(6)を連動させて、前記弁本体(1)のキャビティに沿って上下方向に移動させることができ、前記第2の円盤状端部は、前記調整通路(11)の下部に位置し、前記調整通路(11)に沿って軸方向に移動可能であり、前記第2の円盤状端部の径方向断面は、前記制御先端の断面よりも大きく、前記調整キャップ(3)と前記第1の円盤状端部との間には前記エジェクタピン(6)の前記ロッド部に嵌合される第1スプリング(5a)が設けられ、前記入口キャップ(8)と前記第1の円盤状端部との間には前記弁コア(7)の外側に嵌合される第2スプリング(5b)が設けられ、前記第1スプリング(5a)と前記第2スプリング(5b)は常に圧縮された状態にあり、
前記ねじ棒(2)の頂部は、ガス流入口(14)と、端部に遮断弁コアを備えた弁ロッド(13)と、ガス流出口(15)とを含む遮断弁に接続され、前記ガス流入口(14)は、外部吸気管路に接続するためのものであり、前記ガス流出口(15)は、前記調整通路(11)の頂部と連通しており、対象ガスは、前記ガス流出口(15)を通って前記調整通路(11)に入り、且つ前記第2の円盤状端部に作用し、前記弁ロッド(13)には、制御端と、外部と連通する排出端とを含む放圧通路(17)が開設されており、当該制御端は、前記遮断弁コアが閉じられているときに前記遮断弁の弁本体内のキャビティ(16)と連通し、前記遮断弁コアが開いているときに閉じることができる、ことを特徴とする自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁。
【請求項2】
前記遮断弁は電磁遮断弁であり、車用衝突信号センサに外部接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁。
【請求項3】
前記調整キャップ(3)と前記弁本体(1)、前記入口キャップ(8)と前記弁本体(1)、前記調整キャップ(3)と前記ねじ棒(2)、前記ねじ棒(2)と前記遮断弁との組み立て方式は、いずれも螺合である、ことを特徴とする請求項1に記載の自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁。
【請求項4】
前記ねじ棒(2)の孔路底部と前記エジェクタピン(6)のロッド部との当接位置に、シール用の第1のシールリング(4a)を設け、前記弁本体(1)に対する前記調整キャップ(3)の固定位置にシール用の第2のシールリング(4b)を設ける、ことを特徴とする請求項1に記載の自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁。
【請求項5】
前記弁コア(7)と前記弁本体(1)との接触位置には、前記中間通路(10)よりも高い位置にある第3のシールリング(4c)が設けられており、前記中間通路(10)を通過した後、ガスが全て前記第1のガス通路に入るようになり、
前記弁コア(7)と前記入口キャップ(8)の前記頂部凹溝との接触位置には、制御先端よりも高い位置にある第4のシールリング(4d)が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁。
【請求項6】
前記調整キャップ(3)の底部に径方向に上向きの凹み通路を設け、凹み通路の中心軸を前記弁本体出口(12)の中心軸と平行にして、前記第2のガス通路の断面積を大きくしてガスの流通を円滑にする、ことを特徴とする請求項1に記載の自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁。
【請求項7】
前記第1の円盤状端部には前記第3のガス通路が複数ある、ことを特徴とする請求項1に記載の自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁。
【請求項8】
前記第1のガス通路は、互いに連通する垂直ガス通路と水平ガス通路とを含む逆T型であり、前記垂直ガス通路は前記第3のガス通路に連通し、前記水平ガス通路は前記弁コア(7)の制御先端を径方向に貫通して前記中間通路(10)に連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁。
【請求項9】
前記放圧通路(17)は、互いに連通する垂直放圧通路と水平放圧通路とからなるT字型構造であり、前記垂直放圧通路は前記弁ロッド(13)を径方向に貫通しており、前記弁本体内のキャビティ(16)と連通することができ、前記水平放圧通路は外部と連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記水素ガス用減圧弁の、自動車が危険に遭遇した場合の自動放圧及び遮断方法であって、
1)通常の運転状態では、前記遮断弁が閉じ、前記遮断弁コアが遮断弁座に密着してシールを形成し、前記放圧通路(17)が弁本体内のキャビティ(16)に連通し、外部吸気管路のガス流は前記入口キャップ(8)を介してのみ前記主減圧弁に入ることができ、前記入口通路(9)から流入したガス流に押されて前記弁コア(7)の制御先端が上昇し、前記制御通路を開き、前記入口通路(9)と前記中間通路(10)を連通させ、前記入口通路(9)から流入したガス流は、前記制御通路、前記中間通路(10)、前記第1のガス通路、前記第3のガス通路、前記第2のガス通路の順に通過し、減圧されて前記弁本体出口(12)から排出され、
2)自動車が危険な状況に遭遇した場合、前記遮断弁が開き、前記遮断弁コアが前記遮断弁座から離れ、前記ガス流入口(14)が弁本体内のキャビティ(16)と連通し、前記放圧通路(17)が閉じられ、外部吸気管路のガス流は2筋に分かれ、同時に前記ガス流入口(14)と前記入口通路(9)に同じ圧力のガス流を通し、前記ガス流入口(14)から前記遮断弁に入ったガス流は、弁本体内のキャビティ(16)と前記ガス流出口(15)を経て前記調整通路(11)上部に入り、前記第2円盤状端部に下向きの力が働く、同じ圧力のガス流が作用すると、前記第2円盤状端部の径方向断面が前記制御先端の断面よりも大きいため、前記弁コア(7)が受ける圧力の合力が下向きになり、当該制御先端を後退させて前記制御通路を閉じ、前記主減圧弁の自動遮断を実現し、
3)危険が解消された後、前記遮断弁を閉じて前記放圧通路(17)を弁本体内のキャビティ(16)に連通させ、前記遮断弁内のガス流を排出して前記遮断弁の自動放圧を行うとともに、前記主減圧弁を再び正常な動作状態に戻す、ことを特徴とする自動放圧及び遮断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は減圧弁装置分野に関し、具体的には自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス用減圧弁、及び、その自動放圧及び遮断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界のエネルギーに対する需要が日に日に増加するにつれて、化石燃料はその再生不可能及び深刻な汚染などの欠点で将来のエネルギー構造に占める割合がますます少なくなるべきであり、そのため、クリーンで高効率な新エネルギーと再生可能エネルギーの発展はエネルギー業界発展の大勢の流れである。この背景の下で、水素エネルギーは再生可能性があり、製造方式が多様で、汚染がなく、エネルギー転換率が高く、エネルギー密度が高く、貯蔵方式が多様であるなどの特徴がある。世界各国は水素エネルギー産業の発展にさらに注目し、水素エネルギー応用技術の研究も早急に行わなければならない。水素エネルギーは現在のエネルギー産業の発展の中で戦略的意義を持つ、最も発展潜在力のあるクリーンエネルギーである。水素燃料電池自動車は水素エネルギー利用の重要な形態である。実際の応用において、高圧軽量車載水素システムは、高圧水素貯蔵ボトル、配管、高圧水素ガス用減圧弁、安全弁、逆止弁、水素循環ポンプなどの設備を含み、水素ガス用減圧弁は重要な部品である。
【0003】
水素ガス用減圧弁の減圧原理は、水素ガスが狭隘部を通過する際に絞り効果が発生し、水素ガスの温度が上昇し、圧力が低下することであり、狭隘部の面積を調整することで水素ガスの流量と出口圧力を調整することができる。しかし、現在一般的に使用されている水素ガス用減圧弁は、一体型ボトル口弁の一部であり、水素ボトルから出る水素ガスの圧力を燃料電池の作動圧力まで減圧するためにのみ使用されており、機能は非常に単一である。そのため、自働的に遮断できる水素ボトル口減圧弁の設計が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術の欠点を克服し、自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス減圧弁、及び、その自動放圧及び遮断方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用する具体的な技術方案は以下のとおりである。
第1の態様は、主減圧弁と遮断弁を含む自動放圧及び遮断機能を有する水素ガス減圧弁を提供することである。
前記主減圧弁は、同軸上に配置された弁本体と、調整キャップと、エジェクタピンと、弁コアと、入口キャップとを備える。前記弁本体の軸方向にはキャビティが貫通して開設され、側壁には弁本体出口が開設される。弁本体の頂端には調整キャップが着脱可能に密封装着され、弁本体の底端には入口キャップが着脱可能に密封装着される。前記入口キャップには、順次連通する入口通路、制御通路及び頂部凹溝が設けられ、入口通路は、外部吸気管路に接続するために使用される。前記弁コアは、弁本体のキャビティの下部に取り付けられ、底部に制御先端を備え、制御先端の下部は、前記入口キャップの頂部凹溝内に位置し、前記制御通路を閉鎖することができる。前記制御先端と前記頂部凹溝との間の円周方向の空隙は、制御通路を介して入口通路と連通することができる中間通路である。前記弁コアには、中間通路と連通する第1ガス通路が設けられている。前記調整キャップの弁本体から離れた一端にはねじ棒が同軸上で連結され、ねじ棒と調整キャップにはそれぞれ軸方向に貫通して互いに連通する第1の孔路と第2の孔路が開設されている。前記エジェクタピンは、弁本体のキャビティの上部に取り付けられ、順次接続されている第1の円盤状端部、ロッド部、及び第2の円盤状端部を含む。前記ロッド部は、前記第2の孔路を貫通して第1の孔路内に延び、ロッド部の高さは第1の孔路を越えておらず、第1の孔路の上部に調整通路が開設され、ロッド部は調整キャップとねじ棒の接触で気密性を保持し、且つロッド部は第1の孔路と第2の孔路に沿って上下に摺動可能である。調整キャップと第1の円盤状端部との間には、弁本体出口に連通する第2のガス通路が開設され、第1の円盤状端部には、軸方向に貫通する第3のガス通路が開設され、第1のガス通路は、第3のガス通路を介して第2のガス通路に連通する。前記第1の円盤状端部は、弁コアの頂部に圧着され、弁コアは、エジェクタピンを連動させて、弁本体のキャビティに沿って上下方向に移動させることができる。前記第2の円盤状端部は、調整通路の下部に位置し、調整通路に沿って軸方向に移動可能であり、第2の円盤状端部の径方向断面は、前記制御先端の断面よりも大きい。前記調整キャップと第1の円盤状端部との間にはエジェクタピンのロッド部に嵌合される第1スプリングが設けられ、入口キャップと第1の円盤状端部との間には弁コアの外側に嵌合される第2スプリングが設けられ、第1スプリングと第2スプリングは常に圧縮された状態にある。
前記ねじ棒の頂部は、ガス流入口と、端部に遮断弁コアを備えた弁ロッドと、ガス流出口とを含む遮断弁に接続されている。前記ガス流入口は、外部吸気管路に接続するためのものであり、ガス流出口は、調整通路の頂部と連通しており、対象ガスは、ガス流出口を通って調整通路に入り、第2の円盤状端部に作用する。前記弁ロッドには、制御端、及び外部と連通する排出端を含む放圧通路が開設されている。制御端は、遮断弁コアが閉じられているときに遮断弁の弁本体内のキャビティと連通し、遮断弁コアが開いているときに閉じることができる。
【0006】
好ましくは、前記遮断弁は電磁遮断弁であり、車用衝突信号センサに外部接続されている。
【0007】
好ましくは、調整キャップと弁本体、入口キャップと弁本体、調整キャップとねじ棒、ねじ棒と遮断弁との組み立て方式は、いずれも螺合である。
【0008】
好ましくは、ねじ棒の孔路底部とエジェクタピンのロッド部との当接位置にシール用の第1のシールリングを設け、弁本体に対する調整キャップの固定位置にシール用の第2のシールリングを設ける。
【0009】
好ましくは、前記弁コアと弁本体との接触位置には、中間通路よりも高い位置にある第3のシールリングが設けられており、中間通路を通過した後、ガスが全て第1のガス通路に入るようになっている。前記弁コアと入口キャップの頂部凹溝との接触位置には、制御先端よりも高い位置にある第4のシールリングが設けられている。
【0010】
好ましくは、前記調整キャップの底部に径方向に上向きの凹み通路を設け、凹み通路の中心軸を弁本体出口の中心軸と平行にして、第2のガス通路の断面積を大きくしてガスの流通を円滑にする。
【0011】
好ましくは、前記第1の円盤状端部には第3のガス通路が複数ある。
【0012】
好ましくは、前記第1のガス通路は、互いに連通する垂直ガス通路と水平ガス通路とを含む逆T型である。垂直ガス通路は第3ガス通路に連通し、水平ガス通路は弁コアの制御先端を径方向に貫通して中間通路に連通する。
【0013】
好ましくは、前記放圧通路は、互いに連通する垂直放圧通路と水平放圧通路とからなるT字型構造である。垂直放圧通路は弁ロッドを径方向に貫通しており、弁本体内のキャビティと連通することができ、水平放圧通路は外部と連通する。
【0014】
第2の態様では、本発明は、第1の態様のいずれかに従った自動車が危険に遭遇したときの水素ガス減圧弁の自動的な放圧及び遮断方法を提供する。具体的には、以下のようにする。
1)通常の運転状態では、遮断弁が閉じ、遮断弁コアが遮断弁座に密着してシールを形成し、放圧通路が弁本体内のキャビティに連通し、外部吸気管路のガス流は入口キャップを介してのみ主減圧弁に入ることができる。入口通路から流入したガス流に押されて弁コアの制御先端が上昇し、前記制御通路を開き、入口通路と中間通路を連通させる。入口通路から流入したガス流は、制御通路、中間通路、第1ガス通路、第3ガス通路、第2ガス通路の順に通過し、減圧されて弁本体の出口から排出される。
2)自動車が危険な状況に遭遇した場合、遮断弁が開き、遮断弁コアが遮断弁座から離れ、ガス流入口が弁本体内のキャビティと連通し、放圧通路が閉じられる。外部吸気管路のガス流は2筋に分かれ、同時にガス流入口と入口通路に同じ圧力のガス流を導入する。ガス流入口から遮断弁に入ったガス流は、弁本体内のキャビティとガス流出口を経て調整通路の上部に入り、第2円盤状端部に下向きの力が働く。同じ圧力のガス流が作用すると、第2円盤状端部の径方向断面が制御先端の断面よりも大きいため、弁コアが受ける圧力合力が下向きになり、制御先端を後退させて制御通路を閉じ、主減圧弁の自動遮断を実現する。
3)危険が解消された後、遮断弁を閉じて放圧通路を弁本体内のキャビティに連通させ、遮断弁内のガス流を排出して遮断弁の自動放圧を行うとともに、主減圧弁を再び正常な動作状態に戻す。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、従来技術と比較して、以下の有益な効果を有する。
本発明の水素ガス減圧弁は、安定した圧力と流量を実現することができ、自動遮断が可能であるので、緊急時(例えば、自動車事故等)にガス供給路を自動的に遮断することができる。システムが通常の状態に戻ったときにも、自動放圧機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面及び具体的な実施形態に関連して、本発明をさらに説明する。本発明における各実施形態の技術的特徴は、互いに抵触しないことを前提として、いずれも対応して組み合わせることができる。
【0018】
図1に示すように、水素ガス減圧弁の上端構造を従来技術から変更することにより、圧力と流量の安定化を図るだけでなく、自動車事故等の緊急時にガス供給路を自動的に遮断する、つまり自動遮断機能を実現できるようにした自動放圧及び遮断機能付き水素ガス減圧弁を提供することを目的としたものである。水素ガス減圧弁は主に主減圧弁と遮断弁の2つの部分が連結されており、以下に各部分の構造と連結方式について具体的に説明する。
【0019】
主減圧弁は、主に弁本体1と、調整キャップ3と、エジェクタピン6と、弁コア7と、入口キャップ8とを備えている。弁本体1は、上下方向において、上から順に、調整キャップ3、エジェクタピン6、弁コア7、入口キャップ8が取り付けられている。弁本体1、調整キャップ3、エジェクタピン6、弁コア7、及び入口キャップ8の中心軸が一致する、すなわち、各部材が同軸上で組み付けられている。
【0020】
弁本体1の軸方向に貫通してキャビティを開設し、側壁に弁本体出口12を開設する。弁本体出口12はパイプセグメントとしてもよく、パイプセグメントの最後のガス排出用の一端が、外部出口管路に接続するための接続構造を有する。この接続構造は、外部管路に螺合固定するための雌ねじ構造としてもよい。弁本体1の頂端に調整キャップ3を取り付け、両者を着脱可能に連結し、その連結箇所を密封状態とする。調整キャップ3と弁本体1との間には螺合を採用してもよく、調整キャップ3と弁本体1との固定位置には、シール用の第2シールリング4bを設けてもよい。弁本体1の底端に入口キャップ8を取り付け、両者を着脱可能に連結し、その連結部を密封状態とする。入口キャップ8と弁本体1とは螺合を採用してもよく、その連結部を密封状態とする。
【0021】
入口キャップ8には、減圧弁吸気用の入口通路9と制御通路と頂部凹溝とが順次連通するように設けられている。入口キャップ8の弁本体1から離れた端部は、外部吸気管路に接続するための接続構造を有し、この接続構造は、外部吸気管路に螺合により固定される螺合構造であってもよい。
【0022】
弁本体1のキャビティ下部に弁コア7を装着し、弁コア7の底部には、テーパ状、半球状等の形状であってもよく、徐々に縮径した制御先端を設ける。弁コア7の下部が入口キャップ8の頂部凹溝内に延在し、且つ側壁が頂部凹溝と密封を形成し、この密封は、弁コア7の制御先端よりも高い位置に第4のシールリング4dを付設することにより行うことができる。初期状態では、弁コア7の底部の制御先端が制御通路の出口に圧接されて制御通路が閉塞される。制御先端と頂部凹溝との間の周方向空隙は、制御先端が開放されたときに、制御通路を介して入口通路9に連通可能な中間通路10である。弁コア7内に第1のガス通路を設け、第1のガス通路を中間通路10に連通させる。弁コア7と弁本体1との接触位置には、中間通路10よりも高い位置に第3シールリング4cが設けられており、ガスが中間通路10を通過した後、全て第1のガス通路に入るようになっている。実用上、第1のガス通路は、第3のガス通路に連通する垂直ガス通路と、弁コア7の制御先端を径方向に貫通して中間通路10に連通する水平ガス通路とを含む逆T型とすることができる。第1ガス通路は、必要に応じて他の形状の通路とすることもできる。
【0023】
調整キャップ3の弁本体1から離れた一端にはねじ棒2が同軸上で連結され、該連結方式は螺合を採用することができ、ねじ棒2には軸方向に貫通する第1の孔路が設けられ、調整キャップ3には軸方向に貫通する第2の孔路が設けられ、第1の孔路と第2の孔路とが連通する。ねじ棒2の孔路底部とエジェクタピン6のロッド部との接触位置にシールするための第1シールリング4aを設ける。ねじ棒2の調整キャップ3から離れた端部は、遮断弁出口管路に接続するための接続構造を有しており、この接続構造は、遮断弁とのねじ結合により固定する螺合構造であってもよい。
【0024】
エジェクタピン6は、弁本体1のキャビティ上部に装着され、第1の円盤状端部、ロッド部、及び第2の円盤状端部が順次接続されている。ロッド部は、第2の孔路を貫通して第1の孔路内に延びており、ロッド部の高さは第1の孔路を越えず、第1の孔路の上部には調整通路11が開設される。ロッド部は、調整キャップ3及びねじ棒2との接触箇所で気密性を保持し、第1の孔路及び第2の孔路に沿ってピストン式に上下動可能である。
【0025】
調整キャップ3と円盤状ヘッドとの間には第1スプリング5aが設けられ、第1スプリング5aはロッド部に嵌着され、調整キャップ3と円盤状ヘッドとの間には第2のガス通路が開設され、第2のガス通路は弁本体出口12に連通する。第1の円盤状端部が弁コア7の頂部に当接し、第1の円盤状端部が軸方向に貫通する第3のガス通路を開設し、第3のガス通路を必要に応じて複数設けることができ、第1のガス通路と第2のガス通路とを第3のガス通路を介して連通させる。ガスの流通を円滑にするために、第2のガス通路の断面積を大きくするために、調整キャップ3の底部に径方向に上向きの凹み通路を設け、凹み通路の中心軸を弁本体出口12の中心軸と平行にするようにしてもよい。
【0026】
入口キャップ8と第1の円盤状端部との間には第2スプリング5bが設けられ、第2スプリング5bは弁コア7の外側に嵌設されている。第1の円盤状端部と弁コア7とは、それぞれ第1スプリング5a及び第2スプリング5bの付勢力により圧接状態とされ、弁コア7は、エジェクタピン6を連動させて弁本体1のキャビティに沿って上下方向に移動可能とされている。
【0027】
第2の円盤状端部は、調整通路11の下部に位置し、エジェクタピン6の上下動時に調整通路11に沿って同期して軸方向に移動可能であり、第2の円盤状端部の径方向断面積は、制御先端部の断面積よりも大きく、具体的には、第2円盤状端部の径方向断面積を、制御通路を閉じる際に制御先端が頂部凹溝に接触する断面積よりも大きく設定すべきである。
【0028】
ねじ棒2の頂部には遮断弁が接続されており、遮断弁は従来の構造を採用することができ、好ましくは電磁遮断弁とすることができ、実用時に車両用衝突信号センサに外部接続され、異なる信号を受信することで弁の開閉を自動的に行うことができる。遮断弁は、ガス流入口14と、端部に遮断弁コアが設けられた弁ロッド13と、ガス流出口15とを主に備えている。ガス流入口14を外部吸気管路に接続し、ガス流出口15を調整通路11の頂部に連通させ、対象ガスをガス流出口15を介して調整通路11に流入させ、第2の円盤状端部に作用させる。ただし、従来の遮断弁と異なり、弁ロッド13には、制御端と排出端とからなる放圧通路17が設けられており、排出端は外部と連通している。制御端は、遮断弁コアが閉じられているときに遮断弁の弁本体内のキャビティ16と連通し、遮断弁コアが開いているときに閉じることができる。そのため、放圧通路17を遮断弁コアから遠い側に配置することにより、遮断弁コアが開いているときに放圧通路17の流入口を弁本体内壁で塞ぐことができるようにする。放圧通路17は、互いに連通する垂直放圧通路と水平放圧通路とからなるT字型構造とすることができる。垂直放圧通路は弁ロッド13を径方向に貫通して弁本体内のキャビティ16と連通可能であり、水平放圧通路は外部と連通可能である。
【0029】
本発明の前記水素ガス減圧弁の、自動車が危険に遭遇したときに自動的に放圧・遮断する方法は、具体的には以下のようになる。
1)まず、外部吸気管路を主減圧弁の入口通路9と遮断弁のガス流入口14にそれぞれ連通させる。通常運転状態では遮断弁は閉弁状態であり、このとき遮断弁コアは遮断弁座に密着してシールを形成し、放圧通路17は弁本体内のキャビティ16に連通するので、外部吸気管路のガス流は入口キャップ8のみを介して主減圧弁に入ることができる。
高圧ガス流(例えば水素ガス)の外部吸気管路が主減圧弁に進入すると、入口通路9に流入するガス流に押されて弁コア7の制御先端が上方に移動して制御通路が開放され、このとき入口通路9と中間通路10とが連通する。入口通路9から流入したガス流は、制御通路、中間通路10、第1ガス通路、第3ガス通路、第2ガス通路を順に通過して減圧された後、弁本体出口12から排出される。
【0030】
2)自動車が危険な状況に遭遇した場合、衝突が発生した場合、自動車自身の衝突信号が遮断弁に伝達され、遮断弁が開く。このとき、遮断弁コアが遮断弁座から分離し、ガス流入口14が弁本体内のキャビティ16に連通し、放圧通路17が閉じられる。外部吸気管路のガス流を2つに分割し、ガス流入口14と入口通路9に同圧力のガス流を同時に導入する。
ガス流入口14から遮断弁に入った一筋のガス流は、弁本体内のキャビティ16及びガス流出口15を経て調整通路11の上部に入り、第2の円盤状端部に下向きの力を発生させる。入口通路9から主減圧弁に流入したもう一方のガス流は、制御通路、中間通路10、第1ガス通路、第3ガス通路、第2ガス通路を順に通過して減圧された後、弁本体出口12から排出される。
同じ圧力のガス流が作用すると、第2円盤状端部の径方向断面積が制御先端の断面積よりも大きくなり、弁コア7が受ける圧力の合力が下向きになるので、制御先端が後退して制御通路を閉じ、主減圧弁の自動遮断が達成される。
【0031】
3)危険が解除された後、手動で遮断弁を閉じるか、信号を送って遮断弁を閉じるように制御し、さらに放圧通路17を弁本体内のキャビティ16に連通させ、遮断弁内のガス流を排出することにより、エジェクタピン6の頂部が常圧に戻り、弁コアに下向きの大きな圧力がかからないようにして遮断弁の自動放圧を実現する。同時に、主減圧弁は再び正常な作動状態に戻る。
【0032】
本発明の水素ガス減圧弁は、安定した圧力と流量を実現することができ、自動遮断が可能であるので、緊急時(例えば、自動車事故等)にガス供給路を自動的に遮断することができる。システムが通常の状態に戻ったときにも、自動放圧機能を実現できる。
【0033】
上記の実施例は、本発明のより良い態様に過ぎず、本発明を限定するものではない。当該技術分野の通常の技術者は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更及び変形を行うことができる。したがって、均等置換又は等価変換の方法で得られた技術的解決手段は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
弁本体1、ねじ棒2、調整キャップ3、第1シールリング4a、第2シールリング4b、第3シールリング4c、第4シールリング4d、第1スプリング5a、第2スプリング5b、エジェクタピン6、弁コア7、入口キャップ8、入口通路9、中間通路10、調整通路11、弁本体出口12、弁ロッド13、ガス流入口14、ガス流出口15、弁本体内のキャビティ16、放圧通路17
【国際調査報告】