(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ナノ粒子のための検出システムおよびサンプル処理器具
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20240101AFI20240829BHJP
G01N 15/1434 20240101ALI20240829BHJP
【FI】
G01N15/14 G
G01N15/14 C
G01N15/1434 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513210
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 CN2022099413
(87)【国際公開番号】W WO2023029667
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111017822.7
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Beckman Coulter, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 S. Kraemer Boulevard, Brea, CA 92821, United States of America
(71)【出願人】
【識別番号】521273743
【氏名又は名称】ベックマン コールター バイオテクノロジー (スージョウ) カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シ, リアン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ウェンレイ
(72)【発明者】
【氏名】タン, リンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン, ジアンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ジンジャン
(72)【発明者】
【氏名】グ, チー
(72)【発明者】
【氏名】ユアン, ジュンタオ
(72)【発明者】
【氏名】キム, エフゲニア
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ヨンチン
(72)【発明者】
【氏名】ブリテン, ジョージ
(57)【要約】
ナノ粒子のための検出システムおよびサンプル処理器具が、提供される。検出システムは、光放出ユニットと、光収集ユニットとを含む。光放出ユニットは、光ビームを放出し、光ビームを検出されるべきナノ粒子の上に投射するように構成されている。光収集ユニットは、収集された光ビームに従ってナノ粒子を分析するための光ビームをナノ粒子から収集するように構成されている。光放出ユニットは、複数の光源と、集束レンズとを含み、複数の光源によって放出される光ビームは、ナノ粒子が通過すべき同じ検出位置上に集束レンズを通して集中させられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子のための検出システムであって、前記検出システムは、
光ビームを放出し、前記光ビームを検出されるべきナノ粒子の上に投射するように構成された光放出ユニットと、
収集された光ビームに従って前記ナノ粒子を分析するための前記光ビームを前記ナノ粒子から収集するように構成された光収集ユニットと
を備え、
前記光放出ユニットは、複数の光源と集束レンズとを備え、前記複数の光源によって放出される前記光ビームは、前記ナノ粒子が通過すべき同じ検出位置上に前記集束レンズを通して集中させられる、検出システム。
【請求項2】
前記複数の光源によって放出される前記光ビームは、互いに異なる波長を有し、ダイクロイックミラーが、各光源と前記集束レンズとの間に提供されている、請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記複数の光源によって放出される前記光ビームは、共線ビームであるように前記ダイクロイックミラーを介して反射または透過される、請求項2に記載の検出システム。
【請求項4】
長焦点レンズが、各光源と前記対応するダイクロイックミラーとの間に提供されている、請求項3に記載の検出システム。
【請求項5】
前記ダイクロイックミラーおよび前記長焦点レンズは、前記ナノ粒子に向かって導かれる前記光ビームの光軸に垂直な方向において前記光ビームの集束点の位置を調節するために、調節可能である、請求項4に記載の検出システム。
【請求項6】
ビーム拡大器が、各光源と前記対応する長焦点レンズとの間に提供され、前記ビーム拡大器は、前記光ビームのスポットの要求されるサイズに従って構成され、前記光軸に沿った方向における前記光ビームのウエスト位置を調節するようにさらに構成されている、請求項5に記載の検出システム。
【請求項7】
前記ビーム拡大器は、2つの光学部品から成り、前記2つの光学部品間の距離は、調節可能であり、前記2つの光学部品の各々は、凸面レンズ、凸面レンズ群、凹面レンズ、および凹面レンズ群のうちの1つから選択される、請求項6に記載の検出システム。
【請求項8】
前記光収集ユニットは、側方収集部品を備え、前記側方収集部品は、
凹面ミラーと非球面レンズとを備え、前記ナノ粒子から放出される光ビームを集中させるように構成された光集束レンズ群と、
前記光集束レンズ群が前記光ビームを集中させる収集ファイバと、
前記収集ファイバからの前記入射光ビームを側方散乱光ビームと蛍光性光ビームとに分割するように構成されたビーム分割器と、
第1のファイバを介して前記ビーム分割器からの前記側方散乱光ビームを受け取るように構成された第1の波長分割マルチプレクサと、
第2のファイバを介して前記ビーム分割器からの前記蛍光性光ビームを受け取るように構成された第2の波長分割マルチプレクサと
を備えている、請求項1-7のいずれか1項に記載の検出システム。
【請求項9】
前記収集ファイバは、前記第1および第2のファイバの直径とは異なる直径を有する、請求項8に記載の検出システム。
【請求項10】
前記収集ファイバの直径は、前記第1および第2のファイバの直径より小さい、請求項9に記載の検出システム。
【請求項11】
前記第1の波長分割マルチプレクサは、複数の光チャネルに対応する複数の光透過経路と、前記複数の光チャネルの各々のための第1のフィルタおよび第2のフィルタとを備え、各光チャネルのために、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタは、非並列様式において、前記光チャネルの前記光透過経路に沿って、互いからある距離を置いて配置されている、請求項8に記載の検出システム。
【請求項12】
前記第2の波長分割マルチプレクサは、各光チャネルのための単一のフィルタを備えている、請求項11に記載の検出システム。
【請求項13】
前記光収集ユニットは、前方収集部品をさらに備え、前記前方収集部品は、
楕円形表面を有する凹面ミラーであって、反射性材料が、前記ナノ粒子からの前記前方散乱光ビームを反射し、集中させるために前記楕円形表面上にコーティングされている、凹面ミラーと、
前記凹面ミラーから反射される前記光ビームを受け取る前方検出器と
を備えている、請求項8に記載の検出システム。
【請求項14】
ナノ粒子のためのサンプル処理器具であって、前記サンプル処理器具は、
種々の処理および洗浄流体を運搬するように構成された流体システムと、
サンプル針を具備する流動セルであって、前記サンプル針は、前記流動セル中にナノ粒子を含むサンプルを供給し、前記流体システムによって供給されるシース流体は、安定的なサンプル流動を取得するために前記流動セル内で前記サンプルを包む、流動セルと、
請求項1-13のいずれか1項に記載の検出システムと
を備え、
前記検出システムは、前記流動セルを通して流動するサンプル中のナノ粒子を検出するように構成されている、サンプル処理器具。
【請求項15】
前記流動セルは、気泡排出路を具備し、前記流動セル内の流体中の気泡は、前記気泡排出路を通して排出される、請求項14に記載のサンプル処理器具。
【請求項16】
前記流動セルは、異なるレベルにおいて少なくとも2つの気泡排出路を具備する、請求項15に記載のサンプル処理器具。
【請求項17】
前記少なくとも2つの気泡排出路のうちの2つの気泡排出路は、それぞれ、前記流動セルの流体収束チャンバの底部および上部に配置されている、請求項16に記載のサンプル処理器具。
【請求項18】
前記流体システムは、
シリンダと前記シリンダ内で往復するピストンとを備えているポンプと、
前記ポンプを前記サンプル針またはサンプル源に選択的に流動的に通じさせるように構成された切り替えデバイスと
を備えている、請求項14に記載のサンプル処理器具。
【請求項19】
前記切り替えデバイスは、前記ポンプに接続される第1のポートと、前記サンプル針に接続される第2のポートと、前記サンプル源に接続される第3のポートとを備えている三方弁を備え、前記三方弁は、前記ポンプが前記サンプル針と通じることを可能にされる第1の位置と前記ポンプがサンプル源と通じることを可能にされる第2の位置との間で切り替えられる、請求項18に記載のサンプル処理器具。
【請求項20】
前記切り替えデバイスは、三方コネクタと二方弁とを備え、
前記三方コネクタは、前記ポンプに接続される第1のポートと、前記サンプル針に接続される第2のポートと、前記サンプル源に接続される第3のポートとを備え、
前記二方弁は、前記第3のポートと前記サンプル源との間に配置され、前記第3のポートが前記サンプル源と通じることを可能にされる開放位置と、前記第3のポートと前記サンプル源との間の連絡が遮られる閉鎖位置との間で切り替えられる、請求項18に記載のサンプル処理器具。
【請求項21】
前記サンプル処理器具は、40ナノメートル~1,000ナノメートルの範囲にある粒子を検出するように適合されている、請求項14-20のいずれか1項に記載のサンプル処理器具。
【請求項22】
前記流体システムは、0.5mL/分~1.5mL/分の流量でシース流体を供給し、1μL/分~6μL/分の流量で前記サンプルを供給するように構成されている、請求項21に記載のサンプル処理器具。
【請求項23】
5nm~20nmの範囲にある精度を伴うフィルタが、前記流体システムにおいて前記シース流体のために提供されている、請求項21に記載のサンプル処理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フローサイトメトリソータ/アナライザ等のサンプル処理器具の検出システムに関し、特に、ナノ粒子のための検出システムと、検出システムを含むサンプル処理器具とに関する。
【背景技術】
【0002】
本節は、本開示に関する背景情報を提供するが、それは、必ずしも、従来技術であるとは限らない。
【0003】
サンプル処理器具は、通常、小さい懸濁粒子(例えば、生物学的粒子、非生物学的粒子)または細胞を含む液体サンプルを分析するように構成され、および/または、液体サンプル中の粒子または細胞をソートするように構成されている。従来のサンプル処理器具は、多くの場合、1,000nmを上回る大きいサイズを伴う粒子または細胞を有するサンプルを検出するために適切である。従来のサンプル処理器具は、流動セルの検出チャネル内の異なる検出位置上に集中する複数の光源を含む検出システムを有し、それによって、クロストークが、防止されることまたは減らされることができる。細胞等の従来的に分析される粒子の比較的大きいサイズに起因して、粒子の光信号が、容易に捕捉され、それによって、サンプルは、高速で、流動セルを通して流動し得る。したがって、時間遅延は、短く、液体流動の安定性に関する要件は、低い。
【0004】
しかしながら、従来のサンプル処理器具の検出システムは、生物学的ナノ粒子(例えば、細胞外小胞)または非生物学的ナノ粒子(例えば、ナノビーズ)等の非常に小さい粒子を検出するために十分に適切ではない。例えば、多くの従来のサンプル処理器具は、単に、これらの非常に小さい粒子からの光信号を検出または判別するために十分に高感度ではなく、不正確な検出結果をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本節は、本開示の概要を提供するが、その完全な範囲またはその特徴の全ての包括的な開示ではない。
【0006】
サンプル処理器具の従来の検出システムに関する上記の問題の観点から、本開示の目的は、高精度を伴うナノ粒子のための検出システムおよびサンプル処理器具を提供することである。
【0007】
本開示の側面によると、ナノ粒子のための検出システムが、提供される。検出システムは、光放出ユニットと、光収集ユニットとを含む。光放出ユニットは、光ビームを放出し、光ビームを検出されるべきナノ粒子の上に投射するように構成されている。光収集ユニットは、収集された光ビームに従ってナノ粒子を分析するための光ビームをナノ粒子から収集するように構成されている。光放出ユニットは、複数の光源と、集束レンズとを含み、複数の光源によって放出される光ビームは、ナノ粒子が通過すべき同じ検出位置上に、集束レンズを通して集中させられる。
【0008】
本開示によるいくつかの例では、複数の光源によって放出される光ビームは、互いに異なる波長を有し、ダイクロイックミラーが、各光源と集束レンズとの間に提供される。ダイクロイックミラーは、異なる波長のビームを組み合わせることができる。
【0009】
本開示によるいくつかの例では、複数の光源によって放出される光ビームは、ダイクロイックミラーを介して、共線ビームであるように反射または透過される。
【0010】
本開示によるいくつかの例では、長焦点レンズ(例えば、球面レンズまたは非球面レンズ)レンズが、各光源と対応するダイクロイックミラーとの間に提供される。
【0011】
本開示によるいくつかの例では、ダイクロイックミラーおよび長焦点レンズは、光軸に垂直な方向における光ビームの集束点の位置を調節するために調節可能である。
【0012】
本開示によるいくつかの例では、ビーム拡大器が、各光源と対応する長焦点レンズとの間に提供され、ビーム拡大器は、光ビームのスポット(spot)の要求されるサイズに従って構成され、光軸に沿った方向において、光ビームのウエスト(焦点)位置を調節するようにさらに構成されている。
【0013】
本開示によるいくつかの例では、ビーム拡大器は、2つの光学部品から成り、2つの光学部品間の距離は、調節可能である。2つの光学部品の各々は、凸面レンズ、凸面レンズ群、凹面レンズ、および凹面レンズ群のうちの1つから選択される。
【0014】
本開示によるいくつかの例では、光収集ユニットは、側方収集部品を含む。側方収集部品は、光集束レンズ群と、収集ファイバと、ビーム分割器と、第1の波長分割マルチプレクサと、第2の波長分割マルチプレクサとを含む。光集束レンズ群は、凹面ミラーと、非球面レンズとを含み、ナノ粒子から放出される光ビームを集中させるように構成されている。光集束レンズ群は、光ビームを収集ファイバの中に集中させる。ビーム分割器は、収集ファイバからの入射光ビームを側方散乱光ビームおよび蛍光性光ビームに分割するように構成されている。第1の波長分割マルチプレクサは、第1のファイバを介して、ビーム分割器からの側方散乱光ビームを受け取るように構成されている。第2の波長分割マルチプレクサは、第2のファイバを介して、ビーム分割器からの蛍光性光ビームを受け取るように構成されている。他の例示的構成も、本明細書において説明される。
【0015】
本開示によるいくつかの例では、収集ファイバは、第1および第2のファイバの直径とは異なる直径を有する。
【0016】
本開示によるいくつかの例では、収集ファイバの直径は、第1および第2のファイバの直径より小さい。
【0017】
本開示によるいくつかの例では、第1の波長分割マルチプレクサは、複数の光チャネルに対応する複数の光透過経路と、複数の光チャネルの各々のための第1のフィルタおよび第2のフィルタとを含む。各光チャネルのために、第1のフィルタおよび第2のフィルタは、非並列様式において、光チャネルの光透過経路に沿って、互いからある距離を置いて配置される。
【0018】
本開示によるいくつかの例では、第2の波長分割マルチプレクサは、各光チャネルのための単一のフィルタを含む。
【0019】
本開示によるいくつかの例では、光収集ユニットは、前方収集部品をさらに含む。前方収集部品は、凹面ミラーと、前方検出器とを含む。凹面ミラーは、楕円形表面と、ナノ粒子からの前方散乱光ビームを反射し、集中させるために楕円形表面上にコーティングされている、反射性材料とを有する。前方検出器は、凹面ミラーから反射される光ビームを受け取る。
【0020】
本開示の別の側面によると、ナノ粒子のためのサンプル処理器具が、提供される。サンプル処理器具は、流体システムと、流体セルと、検出システムとを含む。流体システムは、種々の処理および洗浄流体を運搬するように構成されている。流動セルは、サンプル針を具備し、サンプル針は、流動セルの中にナノ粒子を含むサンプルを供給する。流体システムによって供給されるシース流体は、安定的なサンプル流動を取得するために流動セル内でサンプルを包む。検出システムは、上で説明される通りであり、流動セルを通して流動するサンプル中のナノ粒子を検出するように構成されている。
【0021】
本開示によるいくつかの例では、流動セルは、流動セル内の流体中の気泡が排出される気泡排出路を具備する。
【0022】
本開示によるいくつかの例では、流動セルは、異なるレベルにおいて少なくとも2つの気泡排出路を具備する。
【0023】
本開示によるいくつかの例では、少なくとも2つの気泡排出路のうちの2つの気泡排出路が、それぞれ、流動セルの流体収束チャンバの底部および上部の近くに配置されている。
【0024】
本開示によるいくつかの例では、流体システムは、ポンプと、切り替えデバイスとを含む。ポンプは、シリンダと、シリンダ内で往復するピストンとを含む。切り替えデバイスは、ポンプをサンプル針またはサンプル源に選択的に流動的に通じさせるように構成されている。
【0025】
本開示によるいくつかの例では、切り替えデバイスは、ポンプに接続される第1のポートと、サンプル針に接続される第2のポートと、サンプル源に接続される第3のポートとを含む三方弁を含む。三方弁は、ポンプがサンプル針と通じることを可能にされる第1の位置とポンプがサンプル源と通じることを可能にされる第2の位置との間で切り替えられる。
【0026】
本開示によるいくつかの例では、切り替えデバイスは、三方コネクタと、二方弁とを含む。三方コネクタは、ポンプに接続される第1のポートと、サンプル針に接続される第2のポートと、サンプル源に接続される第3のポートと含む。二方弁は、第3のポートとサンプル源との間に配置され、第3のポートがサンプル源と通じることを可能にされる開放位置と、第3のポートとサンプル源との間の連絡が遮られる閉鎖位置との間で切り替えられる。
【0027】
本開示によるいくつかの例では、サンプル処理器具は、40ナノメートル~1,000ナノメートルの範囲にある粒子を検出するように適合される。特に、サンプル処理器具は、40ナノメートル~200ナノメートルの範囲にある粒子を検出するために適切である。
【0028】
本開示によるいくつかの例では、流体システムは、0.5mL/分~1.5mL/分の流量において、シース流体を供給し、1μL/分~6μL/分の流量において、サンプルを供給するように構成されている。
【0029】
本開示によるいくつかの例では、5nm~20nmの範囲にある精度を伴うフィルタが、流体システム内のシース流体のために提供される。
【0030】
本開示の上記および他の目的、特徴、および利点は、本開示を限定するのではなく、説明するために与えられる詳細な説明および図面を通して完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本開示の1つ以上の実施形態の特徴および利点は、図面を参照して、以下の説明を通して容易に理解されるものとする。図面では、以下の通りである。
【0032】
【
図1】
図1は、フローサイトメトリアナライザの流動セルの斜視概略図である。
【0033】
【
図2】
図2は、
図1に示される流動セルの縦方向断面概略図である。
【0034】
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による検出システムの概略図である。
【0035】
【
図4】
図4は、
図3に示される検出システムの光学経路の概略図である。
【0036】
【
図5】
図5は、本開示の実施形態によるビーム拡大器による光ビームのウエスト位置の調節を示す概略図である。
【0037】
【
図6】
図6は、本開示の実施形態による前方ミラーの斜視概略図である。
【0038】
【
図7】
図7は、本開示の実施形態による流体システムの一部の概略図である。
【0039】
【
図8】
図8は、
図7に示される流体システムの変形例の概略図である。
【0040】
【
図9】
図9は、本開示の別の実施形態によるサンプル処理器具の流動セルの縦方向断面概略図である。
【0041】
【
図10A】
図10Aは、本開示による検出システムの複数の光源によって同時に照射されるサンプル中の粒子を示す。
【0042】
【
図10B】
図10Bは、従来の検出システムの複数の光源によって異なる時間において照射されるサンプル中の粒子を示す。
【0043】
【
図11】
図11Aおよび11Bは、レーザダイオードから放出される光ビームのスポットを示す。
【0044】
【
図12】
図12は、検出システムの変形例の概略図であり、ビーム分割器と、2つの波長分割マルチプレクサとを示す。
【0045】
【
図13】
図13は、検出システムの別の変形例の概略図であり、ビーム分割器と、2つの波長分割マルチプレクサとを示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本開示は、図面を参照して、例示的実施形態を通して、下で詳細に説明されるであろう。いくつかの図面では、同様の参照番号は、同様の構成要素およびモジュールを表す。本開示の以下の詳細な説明は、本開示の適用または使用に限定するためではなく、例証のみのためにある。本明細書において説明される実施形態は、網羅的ではなく、多くの可能な実施形態のうちのいくつかのみにすぎない。例示的実施形態は、多くの異なる形態において実装され得、本開示の範囲を限定するように理解されるべきではない。いくつかの例示的実施形態では、周知のプロセス、公知のデバイス構造、および周知の技術は、詳細に説明されないこともある。
【0047】
例証の目的のために、フローサイトメトリアナライザが、例示的サンプル処理ユニットとして説明される。しかしながら、本開示が、例証されるフローサイトメトリアナライザに限定されず、他の構造を伴うフローサイトメトリアナライザまたは他のタイプのサンプル処理器具に適用され得ることを理解されたい。特に、本発明は、ナノ粒子を検出、ソート、または別様に処理するための種々のタイプのサンプル処理器具に適用される。
【0048】
本明細書において説明されるナノ粒子は、ナノスケール粒子を指す。例えば、粒子は、1,000nm(ナノメートル)以下のサイズ(例えば、直径、最大サイズ、または平均サイズ)、特に、40nm~200nmの範囲にあるサイズを有し得る。ナノ粒子は、生物学的ナノ粒子(例えば、細胞外小胞)または非生物学的ナノ粒子(例えば、ナノビーズ)であり得る。
【0049】
フローサイトメトリアナライザは、流動セルと、ポンプおよび弁を含む流体システムと、光検出システムと、サンプル分析システムとを含む。流体システムは、ポンプおよび弁を通して、サンプルおよびシース流体を流動セルに運搬する。流動セルにおいて、シース流体は、単一の列において流動セルを通して、サンプル中に含まれるナノ粒子を線形に流動させ、ナノ粒子の信号を1つずつ収集するために、サンプルを包む。ナノ粒子が、検出エリアを通過するとき、ナノ粒子は、光検出システムの光源(通常、レーザ光源)によって照射される。この照射は、サンプル中の粒子に光を散乱させ得る(例えば、側方散乱信号または前方散乱信号を発生させる)。ある場合、サンプルは、蛍光性粒子(例えば、蛍光色素分子と接合された着目ナノ粒子またはそういでなければそれに関連付けられた着目ナノ粒子、それら自体が蛍光性である着目ナノ粒子)を含み得、蛍光性粒子は、照射に応答して蛍光性信号を放出し得る。これらの信号は、光検出システムによって収集される。ナノ粒子の収集された信号は、検出されたナノ粒子の情報を取得するために、サンプル分析システムによって処理および分析される。
【0050】
流動セルは、フローサイトメトリアナライザの重要な構成要素である。
図1は、例示的フローサイトメトリアナライザの流動セル10の斜視概略図であり、
図2は、
図1に示される流動セル10の縦方向断面概略図である。
図1および2に示されるように、流動セル10は、本体11と、本体11内に嵌め込まれたサンプル針13およびキュベット15とを含む。流体収束チャンバ12および1つ以上のシースチャネル14(1つのみが、
図1に示される)が、本体11内に形成されている。シース流体は、シースチャネル14を通して、流体収束チャンバ12に運搬され、サンプルは、サンプル針13を通して、流体収束チャンバ12に運搬される。検出チャネル18が、キュベット15内に形成されている。キュベット15は、透明な材料から作製され得る。光検出は、サンプルおよびシース流体が、検出チャネル18を通して流動しているとき、サンプル中のナノ粒子に対して実施される。すなわち、キュベット15は、ナノ粒子に関する検出エリアを形成する。
【0051】
本開示の実施形態による検出システムは、
図3-6を参照して、下で説明されるであろう。
【0052】
図3は、本開示の実施形態による検出システム100の概略図であり、
図4は、
図3に示される検出システム100の光学経路の概略図である。
図3および4を参照すると、検出システム100は、光放出ユニット110と、光収集ユニット120(前方散乱ユニットおよび/または側方散乱ユニットを含む)とを含む。光放出ユニット110は、光ビームを放出し、キュベット15の検出チャネル18を通して流動するナノ粒子の上に光ビームを投射するように構成されている。光収集ユニット120は、ナノ粒子から散乱させられ、または放出される光を収集し、したがって、収集された光に基づいて、ナノ粒子を分析するように構成されている。
【0053】
光放出ユニット110は、レーザ等の4つの光源111a-111dを含む。4つの光源111a-111dは、異なる波長(例えば、レーザに関して、405nm、488nm、561nm、および638nm)を伴う光ビームを放出するように構成されている。示される例では、4つの光源111a-111dは、並列に配置されている。光源の数、タイプ、および配置は、示される例に限定されず、必要に応じて、変更され得ることを理解されたい。例えば、システムは、3つ、5つ、6つ、または任意の他の適切な数の光源を含み得る。
【0054】
光放出ユニット110は、集束レンズ119をさらに含む。光源111a-111dによって放出される光ビームは、集束レンズ119を通過し、次いで、キュベット15の検出チャネル18内の同じ検出位置上に集中させられる。検出位置は、集束点または監視点と称され得る。
【0055】
図10Aに示されるように、本開示による検出システムは、同じ監視点L上に集中するように複数の光源の光ビームB1およびB2を制御し、すなわち、シース流体によって包まれたサンプル中のナノ粒子は、検出チャネル18内の監視点Lを通過するとき、同時に光ビームB1およびB2によって照射される。したがって、
図10Bに示されるような従来技術において生じる検出時間の遅延の問題を基本的に排除することが可能である。
【0056】
図10Bは、従来の検出システムにおいて生じる検出時間の遅延を示す。
図10Bに示されるように、従来の検出システムは、それぞれの光ビームB1およびB2を放出する、2つの光源を含む。光ビームB1およびB2は、キュベット15の検出チャネル18内の異なる点L1およびL2に集中する。サンプルが、検出チャネル18を通して上向きに流動するとき、サンプル中に含まれる粒子は、最初、点L1に到達し、粒子は、光ビームB1によって照明され、検出のための光を散乱させ、または放出する。次いで、粒子は、点L2まで上向きにさらに進み、粒子は、光ビームB2によって照明され、検出のための光を散乱させ、または放出する。したがって、粒子から散乱させられ、または放出される光は、当然ながら、時間においてΔtだけシフトされるであろう。従来のシステムは、システムが点L1およびL2において得られる散乱させられ/放出された光の測定値を同じ粒子に関連付けることができるように、Δtだけ単純に時間シフトすることによってこのシフトを考慮し得る。
【0057】
しかしながら、ナノ粒子が検出されたとき、極めて小さいナノ粒子の捕捉を確実するために、サンプルの大幅に減少させられた流量を有することが、所望される。導入される流量を減少させることは、流動の変動性を増加させ、それによって、時間シフト測定値に対する一定のΔtに依拠することは、可能でないこともある。
図10Bに示されるように、従来の検出システムが減少させられた流量においてナノ粒子を検出するために使用される場合、サンプルの流動におけるかなりの変動が存在するので、Δtは、非常に大きく、かつ変動させられるであろう。
【0058】
従来の検出システムと比較すると、本開示による検出システムは、同時に、同じ場所においてサンプルを照射するように構成された共線のビームを伴う光学システムを使用することによって、検出時間の遅延を排除することができる。結果として、測定値を時間シフトさせる必要は、なく、それによって、減らされた流量によって生じる変動するΔtの問題は、もはや問題ではない。故に、検出チャネル18内で流動する流体の速度は、減らされることができ、それは、特に、ナノ粒子の検出のために有益である。
【0059】
ダイクロイックミラー117a-117dが、集束レンズ119とそれぞれの光源111a-111dとの間に配置され得る。ダイクロイックミラー117a-117dの各々は、光源111a-111dのうちの対応する1つの光ビームを反射し、他の光源の光ビームを透過するように構成されている。ダイクロイックミラー117a-117dは、それぞれの光源111a-111dによって放出される光ビームの波長に従って選択および構成され得る。例えば、ダイクロイックミラー117bは、光源111bによって放出される波長の光を反射するように構成され、光源111aによって放出される波長の光を透過するように構成され得、ダイクロイックミラー117cは、光源111cによって放出される波長の光を反射するように構成され、光源111aおよび111bによって放出される波長の光を透過するように構成され得、ダイクロイックミラー117dは、光源111dによって放出される波長の光を反射するように構成され、光源111a、111b、および111cによって放出される波長の光を透過するように構成され得る。光源111a-111dによって放出される光ビームは、ダイクロイックミラー117a-117dによって反射される、またはそれを透過され、共線ビームを形成する。共線ビームは、同じ光軸(
図5に示されるような光軸A)を有することを意味する。共線ビームは、複数の光源の共焦点を実現するために、すなわち、同じ検出位置上に集中するために有益である。ダイクロイックミラー117a-117dは、ビームの集束点の位置、特に、光軸に垂直な平面上の位置を調節するために、それらの位置または向きを調節可能である。図に示されないが、いくつかの実施形態では、ビームは、それらが、共線ではないが、依然として、同じ点に集中する収束性ビームであるように構成され得る。すなわち、それらの全ては、同じ光軸を有しないこともあるが、それらの全ては、キュベット15のサンプルチャネル内の単一点に集中するように構成されている。
【0060】
レンズ115a-115dは、それぞれの光源111a-111dとそれぞれのダイクロイックミラー117a-117dとの間に配置され得る。レンズ115a-115dは、長焦点レンズであり得る。いくつかの例では、レンズ115a-115dは、球面レンズであり得る。他の例では、レンズ115a-115dは、非球面レンズであり得る。レンズ115a-115dの各々は、光ビームを平行ビームに変換することができる。示される例では、レンズ115a-115dの各々は、互いに対向する平坦な表面と凸面表面とを有する平凸面レンズの形態にある。例えば、平凸面レンズの凸面表面は、2,400mmの焦点距離を有し得る。レンズ115a-115dは、光ビームの集束点の位置、特に、光軸に垂直な平面上の位置を調節するために、それらの位置または向きにおいて調節可能である。概して、ダイクロイックミラー117a-117dは、光ビームの集束点の位置を大まかに調節するために使用されることができるが、レンズ115a-115dは、光ビームの集束点の位置を細かく調節するために使用されることができる。
【0061】
ダイクロイックミラーおよびレンズの数、タイプ、および配置が、本開示に説明される機能が実現され得る限り、必要に応じて、変更され得、本明細書に例証される例に限定されないことを理解されたい。加えて、ダイクロイックミラーおよびレンズは、類似する機能を伴う他の光学要素または光学モジュールと置換され得る。
【0062】
ビーム拡大器113a-113dは、それぞれの光源111a-111dとそれぞれのレンズ115a-115dとの間に配置され得る。ビーム拡大器113a-113dの各々は、光ビームの断面寸法および発散角を変更することができる。したがって、ビーム拡大器113a-113dの各々は、光ビームのスポットの所望の大きさに従って構成され得る。
【0063】
ナノ粒子上に照射される光ビームを有することが、所望され、光ビームは、従来のシステムより小さいスポットサイズを有する。このより小さいスポットサイズは、高いパワー密度を伴うより集中させられたビームを可能にし、ビームの強度、最終的に、ナノ粒子から収集される光信号の強度を増加させ、それによって、光信号を収集する効率を大幅に改良し、高分解能および高感度をもたらす。例えば、スポットのサイズは、3×15μm、10×80μm、またはこれらのサイズの間の任意の適切なサイズであり得る。スポットのサイズは、サンプルコアストリームのサイズのみならず、流動の変動にも従って決定され得る。
【0064】
光ビームのスポットは、レーザ(光源)のレーザダイオードの向きの変更および半波長プレートの提供によって減らされ得る。
図4に示されるように、レーザの形態における光源111a-111dは、それぞれのレーザダイオード112a-112dを含み、半波長プレート116a-116dが、それぞれ、ダイクロイックミラー117a-117dとレンズ115a-115dとの間に提供される。レーザダイオード112a-112dと半波長プレート116a-116dとは、同じ方法において配置され得る。図示の目的のために、レーザダイオード112aのみが、
図11Aおよび11Bに示される。
図11Aを参照すると、レーザダイオード112aは、光ビームの楕円形スポットを放出する。
図11Aにおけるレーザダイオード112aは、従来の検出システムのそれと同じ方法において向けられている。本発明者は、レーザダイオード112aが、
図11Bに示されるように、光ビームのスポットを減らすために、90度だけ回転させられ得ることを見出している。この回転は、高速軸方向FAを水平方向から縦方向に変更し得る。レーザが線形に偏光されるので、レーザが90度だけ回転させられると、その偏光方向も、90度だけ回転させられる。半波長プレートは、偏光方向を回転させるように機能する。これは、光の散乱が小さいナノ粒子からの垂直偏光においてより強いからである。例では、半波長プレートは、水晶結晶から作製され得る。偏光方向が、結晶軸の方向から、ある角度θにあるとき、偏光方向は、半波長プレートを通して、2θの角度だけ回転させられるであろう。例えば、θ=45度である場合、偏光方向は、90度だけ回転させられるであろう。すなわち、それは、レーザダイオード112aを回転させる前の偏光方向と同じである。このように、レーザスポットは、より小さいサイズと、増加させられたエネルギー密度とを有し、それによって、信号対雑音比を改良し、側方散乱光および蛍光性光の信号強度を増加させる。
【0065】
円筒形レンズ114a-114dは、それぞれのビーム拡大器113a-113dとそれぞれのレンズ115a-115dとの間に提供され得る。円筒形レンズを異なる曲率を用いて変更することによって、キュベット15内に集中させられる光ビームのスポットの水平方向のサイズを調節することが、可能である。
【0066】
加えて、または代替として、光源の一部または全部のパワーが、従来のシステムと比較すると、増加させられ得る。例えば、従来のシステムの特定の光源は、30mWのパワーを有し得るが、本開示において列挙される検出システムの同じ光源は、50mWの増加させられたパワーを有し得る。光源の増加させられたパワーは、検出感度も改良し得る。個々の光源のパワーは、実際の要件として決定され得る。
【0067】
概して、ビーム拡大器113a-113dの各々は、第1の光学部品と、第2の光学部品とから形成される。示される例では、各ビーム拡大器113a、113b、113c、または113dは、第1の光学部品としての対応する光源に隣接する凹面レンズと、第2の光学部品としての対応する光源から離れている凸面レンズとから形成される。ビーム拡大器113a-113dの各々は、示される例に限定されず、任意の適切な光学レンズまたはレンズ群から形成され得ることを理解されたい。例えば、第1の光学部品および第2の光学部品の各々は、凸面レンズ、凸面レンズ群、凹面レンズ、および凹面レンズ群のうちの1つから選択される。
【0068】
各ビーム拡大器に関して、ビーム拡大器を形成する第1の光学部品(示される例では、凹面レンズ)と第2の光学部品(示される例では、凸面レンズ)との間の距離は、光軸上の光ビームのウエスト位置(集束点)を調節するために、調節可能である。
図5は、本開示の実施形態によるビーム拡大器113aによる光ビームのウエスト位置の調節を示す概略図である。光ビームのウエスト位置の調節は、ビーム拡大器113aを例として取り上げることによって、
図5を参照して説明されるであろう。
【0069】
図5に示されるように、ビーム拡大器113aは、光源111aに比較的近い光学経路上の場所における凹面レンズ1131と、(凹面レンズ1131と比較されるような)光源111aから比較的遠い光学経路上の場所における凸面レンズ(2つの可能な位置1132および1132’において描写される)とから構成されている。
図5は、参照番号1132を使用して、第1の位置における凸面レンズを図示し、さらに、参照番号1132’を使用して、第2の位置における同じ凸面レンズを図示する。凸面レンズは、これら2つの位置のうちの1つに、またはこれら2つの位置の中間の位置に移動させられ、最終的に、(例えば、キュベット15内の)ビームウエストを改変し得る。例えば、(
図5では、実線を使用して描写される)第1の位置における凸面レンズ1132の場合、光ビームは、凸面レンズ1132および集束レンズ119を通過し、次いで、ウエスト位置P1において集中させられる。(
図5では、点線を使用して描写される)第2の位置における凸面レンズ1132’の場合、光ビームは、凸面レンズ1132’および集束レンズ119を通過し、次いで、ウエスト位置P2において集中させられる。
図5では、ビームウエスト位置P2は、ビームウエスト位置P1に対して、光軸Aに沿って右に移動させられている。
図5に示されないが、キュベット15は、サンプルがキュベット15を通して流動するためのキュベット15を通したチャネルを含み、位置P1およびP2は、チャネル内にあり得る。
【0070】
図5に示される例では、凹面レンズ1131は、固定されるのに対し、凸面レンズ1132は、凹面レンズ1131に対して移動可能である。同様に、示されない代替の例では、凸面レンズ1132は、固定され得るが、凹面レンズ1131は、凸面レンズ1132に対して移動可能である。または、凹面レンズ1131および凸面レンズ1132の両方は、互いに向かって、または互いから離れるように移動可能である。
【0071】
さらに、ビーム拡大器113b-113dの各々は、ビーム拡大器113aに類似する方法において調節され得、したがって、本明細書では、詳細に説明されないであろう。
【0072】
上で説明されるように、ダイクロイックミラー117a-117d、レンズ115a-115d、およびビーム拡大器113a-113dを調節することによって、個々の光ビームは、所望の監視点において集中させられることができ、複数の光ビームが、同じ監視点において集中させられることができる。光ビームの集束点の位置が、任意の他の光学要素を採択することによって、または任意の他の調節様式において調節され得ることを理解されたい。これらの構成要素(ダイクロイックミラー、レンズ、ビーム拡大器)に対するこれらの調節のうちの1つ以上は、手動で行われ得るか、または、構成要素に結合された1つ以上のアクチュエータに関連付けられたコンピューティングデバイス(例えば、コントローラ)を使用して、電子的に行われ得る。
【0073】
光収集ユニット120は、側方収集部品130と、前方収集部品150とを含む。側方収集部品130は、側方散乱ユニットとしての役割を果たし、キュベット15を通過する間、ナノ粒子が光ビームによって照射されるにつれてサンプル中のナノ粒子から散乱させられ、または放出される側方散乱光および蛍光性光を収集するように構成され得る。いくつかの例では、この側方収集部品130によって粒子から収集される光ビームの光軸は、キュベット15に向かって導かれる光ビームの光軸Aに略垂直、または光軸Aから約90度であり得る。前方収集部品150は、前方散乱ユニットとしての役割を果たし、ナノ粒子から前方散乱光を収集するように構成されている。いくつかの例では、この前方収集部品150によって粒子から収集される光ビームの光軸は、キュベット15に向かって導かれる光ビームの光軸Aに略平行、または光軸Aから約0度であり得る。側方収集部品130および前方収集部品150は、下でさらに詳細に説明される。
【0074】
側方収集部品130は、凹面ミラー134と非球面レンズ135とを含む光集束レンズ群と、収集ファイバ136と、ビーム分割器133と、第1の波長分割マルチプレクサ131と、第2の波長分割マルチプレクサ132とを含む光集束レンズ群を含む。凹面ミラー134は、監視点において種々の方向において発散する散乱光および蛍光性光を反射する。凹面ミラー134および非球面レンズ135は、反射された光を収集ファイバ136上に集中させ、例えば、
図4における点線ブロックに示されるように、収集ファイバ136の同じ点に集中させる。具体的に、凹面ミラー134は、光をファイバ上に集中させることができる。非球面レンズ135は、焦点をより小さくする(収差を減らす)ことができる。クロストークを防止するために、ビーム分割器133は、高い強度を伴う散乱光を低い強度を伴う蛍光性光から分離するために配置される。分離された散乱光および蛍光性光は、それぞれ、それぞれのファイバを通して、第1の波長分割マルチプレクサ131および第2の波長分割マルチプレクサ132に進入する。異なる波長を伴う光信号が、分析のために、第1の波長分割マルチプレクサ131および第2の波長分割マルチプレクサ132内で分離される。
【0075】
光集束レンズ群が、本開示において説明される機能が実現され得る限り、他の光学要素または光学要素群を採択し得ることに留意されたい。
【0076】
ビーム分割器133は、ダイクロイックミラー1332と、ノッチフィルタ1334とを含む。収集された光は、収集ファイバによってダイクロイックミラー1132に向かってビーム分割器の中に導かれ得る。収集ファイバ136は、光ビームが、例えば、45度の入射角において、ダイクロイックミラー1332に向かって導かれるように向けられ得る。ダイクロイックミラー1332は、収集ファイバ136から外に出て来る側方散乱光を反射する。反射された側方散乱光は、第1のファイバ137を通して、第1の波長分割マルチプレクサ131に進入する。収集ファイバ136から外に出て来る蛍光性光は、ダイクロイックミラー1332を通過する。ダイクロイックミラー1332から透過される蛍光性光は、90度の入射角において、ノッチフィルタ1334に入射し、次いで、ノッチフィルタ1334を通過する。蛍光性光は、第2のファイバ138を通して、第2の波長分割マルチプレクサ132に進入する。フィルタ1332および1334の各々は、複数の光源の共焦点設計に従って、複数のバンドを有する。この場合、フィルタ1332および1334の両方は、4つのレーザ波長を遮断する4つのバンドを有する。フィルタ1332または1334のバンドの数は、光源の数に対応する。
【0077】
ビーム分割器133は、高い強度を伴う側方散乱光を低い強度を伴う蛍光性光から分離し、蛍光性光に対する側方散乱光のクロストークを減らすか、または防止する。加えて、ビーム分割器を提供することによって、複数の光ビームを分離し、複数の光ビームを2つ以上の波長分割マルチプレクサの中に透過させることが、可能である。既存の波長分割マルチプレクサのほとんどは、限定された信号チャネル、例えば、6つの信号チャネルを有する。6つを超える光信号の場合、6つの信号チャネルを有する単一の波長分割マルチプレクサは、不十分である。既存の波長分割マルチプレクサの使用は、コストをかなり減らし得る。
【0078】
ビーム分割器133の光学要素、タイプ、および構成が、必要に応じて、変更され得ること、および示される例に限定されないことを理解されたい。
【0079】
いくつかの例では、
図4を参照すると、第1の波長分割マルチプレクサ131は、第1のファイバ137を介して、ビーム分割器133からの側方散乱光ビームを受け取り、異なる波長を伴う側方散乱光の光信号を互いから分割するように構成され得る。第1の波長分割マルチプレクサ131では、各光信号は、光信号の光チャネルに対応する光透過経路1310に沿って伝送される。第1の波長分割マルチプレクサ131は、各光チャネルのために、第1のフィルタ1311と第2のフィルタ1312とを含み得る。第1のフィルタ1311および第2のフィルタ1312は、非並列様式において、光チャネルの光透過経路に沿って、互いからある距離を置いて配置され得る。側方散乱光間のクロストークは、2つのフィルタを提供することによって、減らされることまたは防止されることができる。第1および第2のフィルタ1311および1312は、並列に配置されず、したがって、それらの間の光の多重反射を回避し、より良好な光学密度を達成する。次いで、フィルタリングされた光は、光をさらに処理するために、光検出要素1315(例えば、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード(APD)、光電子増倍管)に進入する。
【0080】
この例、では、第2の波長分割マルチプレクサ132は、第2のファイバ138を介して、ビーム分割器133からの蛍光性ビームを受け取り、異なる波長を有する蛍光性ビームの光信号を互いから分割するように構成され得る。第2の波長分割マルチプレクサ132では、各光信号は、光信号の光チャネルに対応する光透過経路1320に沿って伝送される。蛍光性信号が弱いので、第2の波長分割マルチプレクサ132は、各光チャネルのために、単一のフィルタ1321のみを含み得る。次いで、フィルタリングされた蛍光性光は、光をさらに処理するために、光検出要素1325(例えば、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード(APD)、光電子増倍管)に進入する。
【0081】
本開示は、第1および第2の波長分割マルチプレクサのこの特定の構成に焦点を当てるが、他の適切な構成が、使用され得る。例えば、
図12に示されるようないくつかの例では、第1および第2の波長分割マルチプレクサ231および232は、それぞれの蛍光チャネルに対応するノッチフィルタ2314および2324を含む。ノッチフィルタ2314および2324の提供に起因して、蛍光性光FLに対する側方散乱光SSCのクロストークは、減らされ、または排除され得る。この場合、ビーム分割器233は、ノッチフィルタを伴わないダイクロイックミラー2332のみを含み得る。
図13に示されるような代替の例では、同様に、ビーム分割器333は、ノッチフィルタを伴わないダイクロイックミラー3332のみを含み得る。第1および第2の波長分割マルチプレクサ331および332は、
図13に示されるように、蛍光性光FLに対する側方散乱光SSCのクロストークを減らす、または排除するために、最初に、側方散乱光SSCを蛍光性光FLから分離するためのダイクロイックフィルタ3313および3323を含み得る。
【0082】
側方収集部品130では、収集ファイバ136の直径は、光透過効率に従って、第1のファイバ137および第2のファイバ138の直径と異なり得る。ビーム分割器内のレンズは、収差を引き起こし得、したがって、出力される光のスポットは、ビーム分割器の入力より大きくあり得、ファイバの直径は、これを考慮するように選択され得る。一般に、収集ファイバ136の直径は、第1のファイバ137および第2のファイバ138の直径より小さい。例えば、収集ファイバ136の直径は、約0.4mmであり得、第1のファイバ137および第2のファイバ138の直径は、約0.6mmであり得る。ファイバの直径が、必要に応じて、変更され得ること、および本開示において例証される例に限定されないことを理解されたい。
【0083】
前方収集部品150は、オブスキュレーションバー(obscuration bar)155と、凹面ミラー151と、フィルタ157と、前方検出器159とを含む。オブスキュレーションバー155は、(例えば、キュベットから凹面ミラー151に向かって放出される光の中心半径内で)キュベット15を透過される光の大部分を遮断するように構成され、したがって、キュベットを通して直接進行する光ビームによって生成される背景雑音を減らす。光の大部分は、前方検出器を飽和状態にしないように遮断され得る。オブスキュレーションバー155は、反射防止材料から作製され得る。凹面ミラー151は、ナノ粒子から放出される前方散乱ビームを反射するように構成されている。フィルタ157は、高い信号対雑音比を伴う光が、通過することを可能にし、他の光を遮断するように構成されている。例えば、フィルタ157は、光のうちの1つが、光源111a-111dから放出されることを可能にし、他の3つの光を遮断するように選択され得る。前方検出器159は、フィルタリングされた前方散乱光を遮断フィルタ157から受け取り、前方散乱光を処理および分析する。
【0084】
図6は、本開示の実施形態による前方ミラー(例えば、楕円形ミラー)の斜視概略図である。
図6に示されるように、凹面ミラー151は、楕円形表面151を含み、反射性材料が、楕円形表面151上にコーティングされる。反射性材料は、キュベットに戻るように反射し、背景雑音を潜在的に増加させる得る光を減らすように選択され得る。反射性材料またはコーティングは、保護用アルミニウム(アルミニウム上の酸化防止コーティング)、保護用銀(銀上の酸化防止コーティング)、誘電体フィルム、および保護用金(金上の酸化防止コーティング)であり得る。反射率は、350nm~700nmの光に対して、90%を超え得る。凹面ミラー151は、支持フレーム153上に支えられる。支持フレーム153は、少なくとも1次元方向において調節可能であり、それによって、凹面ミラー151の位置または角度が、調節されることができる。支持フレーム153の構造および据え付けモードは、必要に応じて、変動させられ得る。反射性材料は、一般的に使用される反射性材料であり、光学要素上にコーティングされ得る。前方検出器159は、サンプル処理器具内の既存の前方検出器であり得、したがって、本明細書において説明されない。
【0085】
サンプル処理器具の検出システムは、本開示において説明される例、または図面に示される例に限定されるべきではなく、実際の検出要件に従って、変動させられ得る。例えば、光学要素は、検出性能に関する要件に従って、置換、取り外し、または追加され得る。例えば、半波長プレートが、位相差を変更するために、各球面レンズと対応するダイクロイックミラーとの間に配置され得る。
【0086】
サンプル中のナノ粒子を検出するために、従来のシステムと比較して、サンプルおよびシース流体の流量を減らすことが、有益である。この減らされた流量は、粒子に導かれる光ビームに対するサンプル中の粒子のより長時間の暴露を可能にし、したがって、粒子からの増加させられた光の散乱および/または放出を可能にする。減らされた流量は、粒子に導かれる光ビームのスポットサイズが、(従来のシステムと比較して)比較的小さいとき、特に、重要である。さらに、減らされた流量は、流動パターンにおける変動を減らし、強い変動係数(rCV)を減らす。本明細書において解説されるように、いくつかの例示的システムでは、光ビームのスポットサイズを減らし、したがって、光ビームを集中させ、それによって、ビームの強度を増加させ、したがって、増加させられた光の収集を可能にすることは、有利であり得る。したがって、より小さい光ビームのスポットサイズは、多くの場合、減らされた流量を要求し、標的粒子が、粒子に導かれる光ビームに対する適正な暴露を受けることを確実にし得る。本開示の実施形態による流体システムは、
図7および8を参照して、下で説明されるであろう。
図7および8が、完全な流体システムではなく、流体システムの改良された部分のみを示すことに留意されたい。
【0087】
図7を参照すると、流体システム300は、シース源50を流動セル10に接続するためのシースパイプライン51と、サンプル源30を流動セル10(具体的に、サンプル針13)に接続するためのサンプルパイプライン31-33と、サンプルパイプライン内に配置されるポンプ20と、サンプルパイプライン内に配置される切り替えデバイス(
図7に示されるような三方弁40、または
図8に示されるような三方コネクタ90および二方弁80)と、廃液を廃棄物容器70の中に運搬するための廃棄物パイプライン71とを含む。
【0088】
ポンプ20は、サンプルパイプライン31を介して、サンプル供給源30内のサンプルをサンプルパイプライン32の中に引き込み、サンプルパイプライン32内のサンプルをサンプル針13および流動セル10の中に圧送するように構成されている。ポンプ20は、ピストンポンプである。具体的に、ポンプ20は、シリンダ21と、シリンダ21内で往復するピストン22とを含む。
【0089】
ピストンポンプは、低流量および小流体振動の要件を満たすことができる。ポンプ20は、通常、(サンプルパイプライン31からサンプルパイプライン32まで)流体を吸引すること(サンプルパイプライン32からサンプル針13まで)、および流体を圧送することの2つの動作を実施する。流体を圧送する能力は、シリンダ21内に流体を含むチャンバの容積に関連する。したがって、ポンプ20は、精密な出力、特に、小さい出力を有し得、それは、定量分析、例えば、容積計測等を促進する。ピストンポンプと比較すると、蠕動ポンプは、大きい振動を有し、流体を連続して圧送し、したがって、出力された流体の体積が、正確に決定されないこともある。ある場合、それは、定量分析のために適切ではないこともある。
【0090】
図7に示される例では、蠕動ポンプ60が、シースパイプライン51内に配置され、それは、コストを減らす。しかしながら、蠕動ポンプ60も、必要に応じて、ピストンポンプまたは任意の他の適切なポンプによって置換され得ることを理解されたい。本開示によるサンプル処理器具では、例えば、ポンプは、0.5mL/分~1.5mL/分の範囲にある流量において、シース流体を供給し、1μL/分~6μL/分の範囲にある流量において、サンプルを供給するように制御され得る。
【0091】
切り替えデバイスが、選択的に、ポンプ20をサンプル針13またはサンプル源30に流動的に通じさせるように構成されている。ポンプ20がサンプルを吸引するとき、切り替えデバイスは、ポンプ20をサンプル源30に流動的に通じさせる。ポンプ20がサンプルを圧送するとき、切り替えデバイスは、ポンプ20をサンプル針13に流動的に通じさせる。したがって、切り替えデバイスは、ポンプ20がサンプル針13に通じることを可能にされる第1の位置とポンプ20がサンプル源30に通じることを可能にされる第2の位置との間で切り替えられ得る。
【0092】
図7に示される例では、切り替えデバイスは三方弁40である。三方弁40は、ポンプ20に接続される第1のポート41と、サンプル針に接続される第2のポート42と、サンプル源に接続される第3のポート43とを含む。三方弁40が、第1の位置(図示せず)にあるとき、第1のポート41は、第2のポート42と通じさせられ、第3のポート43とは通じさせられない。この時点において、ポンプ20は、サンプル針13と通じさせられることを可能にされる。三方弁40が(
図7に示されるように)第2の位置にあるとき、第1のポート41は、第3のポート43と通じさせられ、第2のポート42とは通じさせられない。この時点において、ポンプ20は、サンプル源30と通じさせられることを可能にされる。
【0093】
フィルタ52が、シースパイプライン51内に提供され得る。フィルタ52は、検出されるべきサンプル中の粒子のサイズに従って、選択され得る。例えば、ナノ粒子に関して、フィルタ52は、5nm~40nm、好ましくは、5nm~20nmの範囲にある正確度を伴って選択され得る。フィルタ52を提供することによって、大きいサイズを伴う異物が、シース流体中に搬送され、不正確な検出結果を引き起こすことを防止することができる。
【0094】
図8は、
図7に示される流体システムの変形例の概略図である。
図8に示される流体システム300’は、切り替えデバイスにおいて、
図7に示される流体システム300とは異なる。
図8における切り替えデバイスは、三方コネクタ90と、二方弁80とを含む。
【0095】
三方コネクタ90は、ポンプ20に接続される第1のポート91と、サンプル針13に接続される第2のポート92と、サンプル源30に接続される第3のポート93とを含む。
【0096】
二方弁80は、第3のポート93とサンプル源30との間のサンプルパイプライン31内に配置され、サンプルライン31のオン/オフ状態を制御する。二方弁80は、第3のポート93がサンプル源30と通じることを可能にされる開放位置と第3のポート93がサンプル源30と通じていない閉鎖位置との間で切り替えられる。二方弁80は、オンオフ弁と称され得る。二方弁80が、開放位置(図示せず)にあるとき、第3のポート93は、サンプル源30と通じさせられる。この時点において、ポンプ20は、サンプルをサンプルパイプライン32の中に吸引するために、サンプル針13と通じることを可能にされる。二方弁80が、(
図8に示されるように)閉鎖位置にあるとき、第3のポート93は、サンプル源30とは通じていない。この時点において、ポンプ20は、サンプルパイプライン32内の流体をサンプル針13に圧送することを可能にされる。
【0097】
本開示による流体システムは、本明細書において説明され、図面に示される例に限定されるべきではない。必要に応じて、種々の弁、ポンプ、または他の流体要素が、種々のパイプライン内に提供され得る。例えば、センサが、運搬された流体の量を検出するために、流体システム内に提供され得る。例えば、センサが、サンプルまたはシース流体に関して、運搬体積および運搬速度等のサンプルまたはシース流体についての情報を感知するために提供され得る。例えば、プロセッサを含む制御デバイスが、流体システム内に提供され得る。制御デバイスは、種々の流体要素の動作を制御するだけではなく、センサによって検出されるデータに従って、運搬された流体の体積および速度等の要求されるパラメータの値を計算することができる。
【0098】
気泡は、通常、シース流体およびサンプルが流動セル10の流体収束チャンバ12の中に流動するとき、発生する。気泡は、流体収束チャンバ12内の流動場を変化させ、不安定な層流をもたらし、それによって、サンプルの検出結果に悪影響を及ぼし得る。気泡を排除するために、気泡排出路16が、流動セル10の本体11内にさらに形成される。次に、気泡排出路16が、
図1および2に戻って参照して説明されるであろう。
【0099】
図1に示されるように、流体収束チャンバ12は、滑らかな内側表面を有し、実質的に筒形の区分と、円錐形区分とを含み、実質的に筒形の区分は、円錐形区分まで円滑に移行させられる。サンプルおよびシース流体は、流体収束チャンバ12の円錐形区分において、ほぼ収束させられる。サンプル針13は、流体収束チャンバ12の円筒形区分に対して同軸に配置される。シース流体の層流が、サンプル針13と本体11との間の環状空間内に形成される。
【0100】
流体収束チャンバ12の滑らかな内側表面は、気泡が集積し、内側表面に付着する可能性を減らすことができる。市場で販売される従来のフローサイトメーターと比較すると、流体収束チャンバ12は、減らされた容積および表面積を有し、それによって、気泡が流体収束チャンバ12の内側表面上に付着する可能性をさらに減らす。加えて、流体収束チャンバ12の減らされた容積は、流体の流速を増加させ、それによって、気泡の除去を促進する。
【0101】
気泡排出路16は、流体収束チャンバ12内の気泡を完全に排出するために、流体収束チャンバ12に対して開いた端部と、真空ポンプ等の気泡除去デバイスに取り付けられるべき他端部とを有する。
【0102】
図1および2に示される例では、本体11は、異なるレベルにおいて2つの気泡排出路16を具備する。気泡排出路16のうちの一方は、流体収束チャンバ12の上部(または上部表面)に隣接し、気泡排出路16のうちの他方は、流体収束チャンバ12の底部(または底部表面)に隣接する。異なるレベルにおける気泡排出路16は、気泡を効果的に排出し、それによって、サンプル中の粒子を検出する正確度を改良することができる。
【0103】
図1および2に示される例では、サンプル針13は、流動セル10の下方側に配置されている。しかしながら、流動セルの構造が、
図1および2に示される構造に限定されないことを理解されたい。
図9は、別の構造を伴う流動セル10’を示す。サンプル針13は、流動セル10’の上方側に配置されている。流動セル10’は、流体収束チャンバ12’を有する。気泡排出路16’が、流体収束チャンバ12’の上部に配置され、流体の上部の気泡を除去し、それによって、流体の安定性上の気泡の除去の影響を最小化する。
【0104】
流体収束チャンバ12’は、傾斜した上部表面121を含み得る。上部表面121は、流動セル10’の本体によって形成され得るか、または本体の上方のカバープレートによって形成され得る。傾斜した上部表面121は、排出されるべき気泡を誘導し、気泡が、流体収束チャンバ12’の上部において、非流動面積内に集積することを防止することができる。
【0105】
気泡排出路の構造(数、位置等)が、必要に応じて、変更され得、示される例に限定されないことを理解されたい。
【0106】
本開示は、例示的実施形態を参照して説明されているが、本開示が、本明細書において詳細に説明され、示される実施形態に限定されないことを理解されたい。当業者に関しては、種々の変形例が、請求項において定義される範囲から逸脱することなく、例示的実施形態に対して行われ得る。種々の実施形態における特徴は、矛盾がない場合、互いに組み合わせられてもよい。代替として、実施形態における特徴が、省略され得る。
【国際調査報告】