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特表2024-532384熱的に隔離されたモータ駆動式リッププロフィールアクチュエータ付きの押出ダイ及び関連方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】熱的に隔離されたモータ駆動式リッププロフィールアクチュエータ付きの押出ダイ及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/31 20190101AFI20240829BHJP
【FI】
B29C48/31
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513222
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 US2022075508
(87)【国際公開番号】W WO2023028581
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/237,580
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】トラスコット マイケル ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ユリアーノ サルヴァトーレ ジョヴァンニ
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AG01
4F207AR12
4F207KA01
4F207KA17
4F207KL76
4F207KL78
4F207KM15
(57)【要約】
押出ダイシステムで押出成形品の厚さを調整するためのシステム及び方法が開示される。リップ調節組立体が押出ダイの可動リップに動作可能に連結されていて、第1の方向及び第1の方向とは逆の第2の方向に動くことができる係合部材と、係合部材を第1の方向及び第2の方向に選択的に動かすよう構成されたアクチュエータと、係合部材とアクチュエータの両方に動作可能に連結されていて、係合部材とアクチュエータとの間に配置されたカプラと、カプラに設けられていて、係合部材からアクチュエータへの熱の伝導を妨げるよう構成されたインシュレータとを含む。係合部材が第1の方向に動かされると、可動リップは、押出ダイの第2のリップに近づけられ、係合部材が第2の方向に動かされると、可動リップは、第2のリップから遠ざけられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形品の厚さを調整するためのリップ調節組立体であって、前記リップ調節組立体は、
押出ダイの可動リップに動作可能に連結された係合部材を含み、前記係合部材は、第1の方向及び前記第1の方向とは逆の第2の方向に動くことができ、
前記係合部材を第1の方向及び前記第2の方向に選択的に動かすよう構成されたアクチュエータを含み、
前記係合部材と前記アクチュエータの両方に動作可能に連結されたカプラを含み、前記カプラは、前記係合部材と前記アクチュエータとの間に配置されるようになっており、
前記係合部材が前記第1の方向に動かされると、前記可動リップは、前記押出ダイの第2のリップに近づけられ、前記係合部材が前記第2の方向に動かされると、前記可動リップは、前記第2のリップから遠ざけられる、リップ調節組立体。
【請求項2】
前記アクチュエータは、回転コンポーネント及び直線コンポーネントを有するステッピングモータを含み、第1の回転方向における前記回転コンポーネントの運動により、第1の直線方向における前記直線コンポーネントの運動が生じ、前記第1の回転方向とは逆の第2の回転方向における前記回転コンポーネントの運動により、前記第1の直線方向とは逆の第2の直線方向における前記直線コンポーネントの運動が生じる、請求項1記載のリップ調節組立体。
【請求項3】
前記直線コンポーネントは、前記回転コンポーネントの所定の回転距離に比例した所定の直線距離だけ動かされるよう構成されている、請求項2記載のリップ調節組立体。
【請求項4】
カプラに設けられたインシュレータをさらに含み、前記インシュレータは、前記係合部材から前記アクチュエータへの熱の伝導を妨げるよう構成されている、請求項1~3のうちいずれか一に記載のリップ調節組立体。
【請求項5】
前記カプラは、第1の熱伝導率を有し、前記インシュレータは、第2の熱伝導率を有し、前記第2の熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも低い、請求項4記載のリップ調節組立体。
【請求項6】
前記カプラは、前記インシュレータを受け入れるよう構成された凹部を有する、請求項4又は5記載のリップ調節組立体。
【請求項7】
前記カプラは、前記アクチュエータに結合された第1の部分及び前記係合部材に結合された第2の部分を有し、前記第1の部分は、前記第2の部分から間隔を置いて位置している、請求項1~6のうちいずれか一に記載のリップ調節組立体。
【請求項8】
前記カプラは、前記アクチュエータに結合された第1の部分及び前記係合部材に結合された第2の部分を有し、前記第1の部分は、前記第2の部分から間隔を置いて位置し、前記第1の部分は、第1の凹部を有し、前記第2の部分は、第2の凹部を有し、前記インシュレータは、前記第1及び第2の凹部内に設けられている、請求項4~6のうちいずれか一に記載のリップ調節組立体。
【請求項9】
前記インシュレータは、前記第1の部分と前記第2の部分との間に設けられている、請求項8記載のリップ調節組立体。
【請求項10】
互いに連結されている前記アクチュエータ、前記カプラ、及び前記係合部材は、1組のコンポーネントを構成し、前記リップ調節組立体は、複数の組をなすコンポーネントを含み、前記コンポーネントの各組は、少なくとも1つのアクチュエータ、少なくとも1つのカプラ、及び少なくとも1つの係合部材を含む、請求項1~9のうちいずれか一に記載のリップ調節組立体。
【請求項11】
前記アクチュエータを少なくとも部分的に包囲するよう構成されたハウジングをさらに含む、請求項1~10のうちいずれか一に記載のリップ調節組立体。
【請求項12】
前記ハウジングを貫通して延びる空気ベントを有し、前記空気ベントは、前記ハウジングへの空気の出入りを可能にするよう構成されている、請求項11記載のリップ調節組立体。
【請求項13】
空気を前記アクチュエータに能動的に近づけ又は前記アクチュエータから遠ざけるよう構成されたエアムーバをさらに含む、請求項1~12のうちいずれか一に記載のリップ調節組立体。
【請求項14】
前記アクチュエータの作動を制御するよう構成されたコントローラをさらに含む、請求項1~13のうちいずれか一に記載のリップ調節組立体。
【請求項15】
直線アレイをなして配置された複数のアクチュエータをさらに含み、前記複数のアクチュエータのうちの各アクチュエータは、各アクチュエータと少なくとも、隣の他の1つのアクチュエータの中心線相互間で測定した約1インチ(2.54cm)~約4インチ(10.16cm)の距離だけ少なくとも前記隣の他の1つのアクチュエータから間隔を置いて位置している、請求項1~14のうちいずれか一に記載のリップ調節組立体。
【請求項16】
押出ダイシステム用の押出ダイであって、前記押出ダイは、材料を受け入れるよう構成され、前記押出ダイは、
第1のリップを備えた第1のダイ本体と、
第2のリップを備えた第2のダイ本体と、
前記第1のリップと前記第2のリップとの間に形成された隙間とを有し、前記隙間は、前記材料を受け入れたり、前記材料を押し出したりするよう構成され、
前記押出ダイは、押し出された材料の厚さを調整するためのリップ調節組立体に動作可能に連結されるよう構成され、前記リップ調節組立体は、
前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの一方に動作可能に連結されるとともに、第1の方向に動くことができ、また前記第1の方向とは逆の第2の方向に動くことができる係合部材と、
前記係合部材を前記第1の方向及び前記第2の方向に選択的に動かすよう構成されたアクチュエータと、
前記係合部材と前記アクチュエータの両方に動作可能に連結されたカプラとを含み、前記カプラは、前記係合部材と前記アクチュエータとの間に設けられ、
前記リップ調節組立体は、前記押出ダイに連結され、前記リップ調節組立体の前記係合部材は、前記第1の方向に動かされ、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記一方は、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記他方に近づけられ、前記係合部材は、前記第2の方向に動かされ、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記一方は、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記他方から遠ざけられる、押出ダイ。
【請求項17】
前記リップ調節組立体が前記押出ダイに連結されたときに前記押出ダイから前記リップ調節組立体への熱伝達を妨げるよう構成されたインシュレータをさらに含む、請求項16記載のリップ調節組立体。
【請求項18】
前記カプラは、第1の熱伝導率を有し、前記インシュレータは、第2の熱伝導率を有し、前記第2の熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも低い、請求項16又は17記載のリップ調節組立体。
【請求項19】
前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの一方は、前記リップ調節組立体の複数のアクチュエータ、複数のカプラ及び複数の係合部材によって一方の長さに沿って非直線的に変形するよう構成されている、請求項16~18のうちいずれか一に記載の押出ダイ。
【請求項20】
前記押出ダイ内の前記材料を加熱するよう構成されたヒータをさらに有する、請求項16~19のうちいずれか一に記載の押出ダイ。
【請求項21】
前記第1のダイ本体及び前記第2のダイ本体のうちの一方は、対応の前記第1又は前記第2のリップに隣接して位置する可撓性ヒンジを有し、前記可撓性ヒンジは、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの一方が前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記他方に近づけられたり遠ざけられたりしたときに変形するよう構成されている、請求項16~20のうちいずれか一に記載の押出ダイ。
【請求項22】
前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの一方は、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記他方が前記リップ調節組立体によって動くことができない状態では、前記リップ調節組立体によって動かされるよう構成されている、請求項16~21のうちいずれか一に記載の押出ダイ。
【請求項23】
材料から押出成形品を形成する押出ダイシステムであって、前記押出ダイシステムは、
押出ダイを含み、前記押出ダイは、
第1のリップを備えた第1のダイ本体と、
第2のリップを備えた第2のダイ本体と、
前記第1のリップと前記第2のリップとの間に形成された隙間とを有し、前記隙間は、前記材料を受け入れたり、前記材料を押し出したりするよう構成され、
前記押出ダイ内の前記材料を加熱するよう構成されたヒータを含み、
リップ調節組立体を含み、前記リップ調節組立体は、
前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの一方に動作可能に連結されるとともに、第1の方向に動くことができ、また前記第1の方向とは逆の第2の方向に動くことができる係合部材と、
前記係合部材を前記第1の方向及び前記第2の方向に選択的に動かすよう構成されたアクチュエータと、
前記係合部材と前記アクチュエータの両方に動作可能に連結されたカプラとを含み、前記カプラは、前記係合部材と前記アクチュエータとの間に設けられ、
前記係合部材が前記第1の方向に動かされると、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記一方は、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記他方に向かって動かされ、前記係合部材が前記第2の方向に動かされると、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記一方は、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記他方から遠ざけられ、
前記ヒータ及び前記リップ調節組立体の作動を制御するよう構成されたコントローラを含む、押出ダイシステム。
【請求項24】
前記アクチュエータは、回転コンポーネント及び直線コンポーネントを有するステッピングモータを含み、第1の回転方向における前記回転コンポーネントの運動により、第1の直線方向における前記直線コンポーネントの運動が生じ、前記第1の回転方向とは逆の第2の回転方向における前記回転コンポーネントの運動により、前記第1の直線方向とは逆の第2の直線方向における前記直線コンポーネントの運動が生じる、請求項23記載の押出ダイシステム。
【請求項25】
前記直線コンポーネントは、前記回転コンポーネントの所定の回転距離に比例した所定の直線距離だけ動かされるよう構成されている、請求項24記載の押出ダイシステム。
【請求項26】
前記カプラは、前記アクチュエータに結合された第1の部分及び前記係合部材に結合された第2の部分を有し、前記第1の部分は、前記第2の部分から間隔を置いて位置している、請求項23~25のうちいずれか一に記載の押出ダイシステム。
【請求項27】
前記第1の部分は、第1の凹部を有し、前記第2の部分は、第2の凹部を有する、請求項26記載の押出ダイシステム。
【請求項28】
カプラに設けられたインシュレータをさらに含み、前記インシュレータは、前記係合部材から前記アクチュエータへの熱の伝導を妨げるよう構成されている、請求項23~27のうちいずれか一に記載の押出ダイシステム。
【請求項29】
前記カプラは、第1の熱伝導率を有し、前記インシュレータは、第2の熱伝導率を有し、前記第2の熱伝導率は、前記第1の熱伝導率よりも低い、請求項28記載の押出ダイシステム。
【請求項30】
前記カプラは、前記インシュレータを受け入れるよう構成された凹部を有する、請求項28又は29記載の押出ダイシステム。
【請求項31】
前記第1の部分は、第1の凹部を有し、前記第2の部分は、第2の凹部を有し、前記インシュレータは、前記第1及び前記第2の凹部内に設けられている、請求項30記載の押出ダイシステム。
【請求項32】
前記インシュレータは、前記第1の部分と前記第2の部分との間に設けられている、請求項31記載の押出ダイシステム。
【請求項33】
互いに連結されている前記アクチュエータ、前記カプラ、及び前記係合部材は、1組のコンポーネントを構成し、前記リップ調節組立体は、複数の組をなすコンポーネントを含み、前記コンポーネントの各組は、少なくとも1つのアクチュエータ、少なくとも1つのカプラ、及び少なくとも1つの係合部材を含む、請求項23~32のうちいずれか一に記載の押出ダイシステム。
【請求項34】
前記アクチュエータを少なくとも部分的に包囲するよう構成されたハウジングをさらに有する、請求項23~33のうちいずれか一に記載の押出ダイシステム。
【請求項35】
前記ハウジングを貫通して延びる空気ベントを有し、前記空気ベントは、前記ハウジングへの空気の出入りを可能にするよう構成されている、請求項34記載の押出ダイシステム。
【請求項36】
空気を前記アクチュエータに能動的に近づけ又は前記アクチュエータから遠ざけるよう構成されたエアムーバをさらに含む、請求項23~35のうちいずれか一に記載の押出ダイシステム。
【請求項37】
複数のコントローラをさらに含む、請求項23~36のうちいずれか一に記載の押出ダイシステム。
【請求項38】
前記アクチュエータは、前記押出ダイから少なくとも6インチ(15.24cm)だけ間隔を置いて位置している、請求項23~37のうちいずれか一に記載の押出ダイシステム。
【請求項39】
直線アレイをなして配置された複数のアクチュエータをさらに含み、前記複数のアクチュエータのうちの各アクチュエータは、各アクチュエータと少なくとも、隣の他の1つのアクチュエータの中心線相互間で測定した約1インチ(2.54cm)~約4インチ(10.16cm)の距離だけ少なくとも前記隣の他の1つのアクチュエータから間隔を置いて位置している、請求項23~38のうちいずれか一に記載のリップ調節組立体。
【請求項40】
前記押出ダイ内の前記材料を加熱するよう構成されたヒータをさらに含む、請求項23~39のうちいずれか一に記載の押出ダイシステム。
【請求項41】
前記第1のダイ本体及び前記第2のダイ本体のうちの一方は、対応の前記第1又は前記第2のリップに隣接して位置する可撓性ヒンジを有し、前記可撓性ヒンジは、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの一方が前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記他方に近づけられたり遠ざけられたりしたときに変形するよう構成されている、請求項23~40のうちいずれか一に記載の押出ダイ。
【請求項42】
前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの一方は、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記他方が前記リップ調節組立体によって動くことができない状態では、前記リップ調節組立体によって動かされるよう構成されている、請求項23~41のうちいずれか一に記載の押出ダイ。
【請求項43】
前記押出ダイ及び前記リップ調節組立体から間隔を置いて位置した空気源をさらに含む、請求項23~42のうちいずれか一に記載の押出ダイシステム。
【請求項44】
前記材料を前記押出ダイ中に排出するよう構成された材料源をさらに含む、請求項23~43のうちいずれか一に記載の押出ダイシステム。
【請求項45】
押出ダイシステム内の押出ダイの第1のリップと第2のリップとの間の隙間のサイズを調整する方法であって、前記方法は、
前記第1のリップと前記第2のリップとの間の所望の隙間距離を求めるステップを含み、
リップ調節組立体のアクチュエータを作動させて、前記アクチュエータに連結された係合部材の第1の方向における並進を生じさせるステップを含み、前記係合部材の前記並進により、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの一方を、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの他方に近づけ又は該他方から遠ざけ、
前記アクチュエータの作動を続行し、ついには、前記係合部材が所定の距離並進するようにするステップを含み、前記所定の距離は、前記所望の隙間距離と関連し、
前記アクチュエータの作動を停止させて前記係合部材の並進を停止させ、それにより、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの一方が前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの前記他方に近づき又は該他方から遠ざかるのを停止するようにするステップを含む、方法。
【請求項46】
前記アクチュエータと接触している加熱空気を除くことによって前記アクチュエータを冷却するステップをさらに含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
冷却剤を導入して、該冷却剤を前記アクチュエータに接触させることによって前記アクチュエータを冷却するステップをさらに含む、請求項45記載の方法。
【請求項48】
前記押出ダイシステムは、プロセッサ及びメモリを備えたコントローラを含み、前記方法は、作動パラメータを前記メモリ中に記憶させるステップを含み、前記作動パラメータは、前記所定の所望の隙間及び前記メモリ内の前記所望の隙間と関連した所定の距離を含む、請求項45~47のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項49】
前記作動パラメータを前記メモリから検索して取り出すステップ、及び前記アクチュエータを作動させて該アクチュエータが前記検索により取り出した作動パラメータに対応するようにするステップをさらに含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記押出ダイシステムは、複数のアクチュエータを含み、前記方法は、前記複数のアクチュエータの各々に関する前記特定ステップ、前記作動ステップ、前記続行ステップ、及び前記停止ステップを繰り返すステップをさらに含む、請求項45~49のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項51】
押出ダイシステム内のリップ調節組立体を較正する方法であって、前記方法は、
第1のリップと第2のリップとの間の中立隙間距離を特定するステップを含み、
前記リップ調節組立体のアクチュエータを作動させて、前記アクチュエータに連結されている係合部材の第1の方向における並進を生じさせることによって、中立ダイリップ隙間を調整するステップを含み、前記係合部材の前記並進により、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの一方を、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの他方に第1の並進量近づけ又は該他方から遠ざけ、
リップ調節組立体のアクチュエータを作動させて、前記アクチュエータに連結されている係合部材の第1の方向における並進を生じさせることによって、ダイリップ隙間を二次値に調整するステップを含み、前記係合部材の前記並進により、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの一方を、前記第1のリップ及び前記第2のリップのうちの他方に第2の並進量近づけ又は該他方から遠ざけ、
前記ダイリップ隙間を二次値に決定するステップを含み、
前記ダイリップ隙間値及び並進量を記憶するステップを含み、
前記ダイリップ隙間値及び前記並進量に基づいて、前記リップ調節組立体の次の作動のための制御値を生じさせるステップを含む、方法。
【請求項52】
前記第1のリップと前記第2のリップとの間の中立隙間距離を特定する前記ステップは、前記第1のリップと前記第2のリップとの間の距離を測定するステップを含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記第1のリップと前記第2のリップとの間の中立隙間距離を特定する前記ステップは、前記第1のリップと前記第2のリップとの間の距離を測定装置によって測定するステップを含む、請求項51記載の方法。
【請求項54】
前記第1のリップと前記第2のリップとの間の中立隙間距離を特定する前記ステップは、前記第1のリップと前記第2のリップとの間の距離をセンサ装置によって測定するステップを含む、請求項51記載の方法。
【請求項55】
前記ダイリップ隙間を二次値に決定する前記ステップは、前記第1のリップと前記第2のリップとの間の距離を測定するステップを含む、請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記ダイリップ隙間を二次値に決定する前記ステップは、前記第1のリップと前記第2のリップとの間の距離を測定装置によって測定するステップを含む、請求項51記載の方法。
【請求項57】
前記ダイリップ隙間を二次値に決定する前記ステップは、前記第1のリップと前記第2のリップとの間の距離をセンサ装置によって測定するステップを含む、請求項51記載の方法。
【請求項58】
前記ダイリップ隙間値に基づいて前記リップ調節組立体の次の作動のための制御値を生じさせる前記ステップは、多項式曲線当て嵌めを生成するステップを含む、請求項51記載の方法。
【請求項59】
前記ダイリップ隙間値に基づいて前記リップ調節組立体の次の作動のための制御値を生じさせる前記ステップは、ルックアップテーブルを生成するステップを含む、請求項51記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示(本発明)は、一般に、リップ調節組立体を備えた押出ダイ、特に、押出成形材料のパラメータを変更するためのリップ調節組立体を備えた押出ダイに関する。本発明はさらに、一般に、押出成形材料の厚さを調整する方法、特に、押出成形材料のパラメータを変更するためのリップ調節組立体を備えた押出ダイを使用する方法に関する。
【0002】
〔関連出願の引照〕
本願は、2021年8月27日に出願された米国特許仮出願第63/237,580号の権益主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、あらゆる目的についてその記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
押出ダイは、ポリマーフィルム、ラミネート、及び/又はその他を成形するために使用できる。圧送装置、例えば押出機又は歯車ポンプは、溶融材料、例えばポリマー材料を、出口オリフィスを備えた押出ダイ中に押し込み、出口オリフィスは、典型的には押出成形品と呼ばれている押出成形フィルムを形成するよう間隔を置いて位置したリップによって定められた隙間を有する。押出成形品は、これがその隙間を出る際に冷却される。数ある要因のうちでとりわけ隙間のサイズは、押出成形品の厚さ(thickness)、厚み(gauge)、及び/又は別の寸法を定めることができる。リップ調節組立体は、押出成形厚みの幅方向ばらつきを制御するのを助けるために使用できる。リップ調節組立体は、典型的には、トランスレータ及びトランスレータに結合されたロッドを含む。既存のシステムでは、トランスレータは、温度変化に応答して伸縮するよう構成されているのがよい。かかる伸縮により、典型的には、ロッドが動き、それによりリップが動き、それにより隙間寸法が必要に応じて調整される。トランスレータの運動は、隙間のところ又は隙間からみて下流側に位置する厚み測定に対応して、加工中に制御システムによって制御されるのがよい。トランスレータはまた、隙間寸法を調整するために必要に応じて手動で調節できる。
【0004】
リップの調節は、相当に長い時間がかかる場合が多く、場合によっては、その結果として、調整量が多すぎたり少なすぎたりする場合がある。プロセスは、時間がかかり、しかも所望の結果を達成するようにするために継続的に監視する必要がある場合が多い。調整プロセスもまた、押出ダイを通る材料の流れに悪影響を及ぼす場合があり、それにより、望ましくない最終製品が生じる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、押出成形品に悪影響を及ぼすことなくリップ調節精度を高め、調節を実施する時間を短縮し、かつ/或いはその他のことを行う改良型リップ調節組立体が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の要望は、開示する押出ダイシステム、押出ダイ、及びリップ調節組立体の種々の観点によって満たされる。本発明の一観点によれば、押出成形品の厚さを調整するためのリップ調節組立体は、押出ダイの可動リップに動作可能に連結された係合部材を含み、係合部材は、第1の方向及び第1の方向とは逆の第2の方向に動くことができ、リップ調節組立体は、係合部材を第1の方向及び第2の方向に選択的に動かすよう構成されたアクチュエータと、係合部材とアクチュエータの両方に動作可能に連結されたカプラとをさらに含み、カプラは、係合部材と前記アクチュエータとの間に配置されるようになっている。係合部材が第1の方向に動かされると、可動リップは、押出ダイの第2のリップに近づけられ、係合部材が第2の方向に動かされると、可動リップは、第2のリップから遠ざけられる。
【0007】
オプションとして、アクチュエータは、回転コンポーネント及び直線コンポーネントを有するステッピングモータを含むのがよく、第1の回転方向における回転コンポーネントの運動により、第1の直線方向における直線コンポーネントの運動が生じ、第1の回転方向とは逆の第2の回転方向における回転コンポーネントの運動により、第1の直線方向とは逆の第2の直線方向における直線コンポーネントの運動が生じる。
【0008】
オプションとして、直線コンポーネントは、回転コンポーネントの所定の回転距離に比例した所定の直線距離だけ動かされるよう構成されるのがよい。
【0009】
オプションとして、リップ調節組立体は、カプラに設けられたインシュレータをさらに含むのがよい。インシュレータは、係合部材からアクチュエータへの熱の伝導を妨げるよう構成されるのがよい。カプラは、第1の熱伝導率を有するのがよく、インシュレータは、第2の熱伝導率を有するのがよく、第2の熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも低いのがよい。
【0010】
オプションとして、カプラは、インシュレータを受け入れるよう構成された凹部を有するのがよい。
【0011】
オプションとして、カプラは、アクチュエータに結合された第1の部分及び係合部材に結合された第2の部分を有するのがよく、第1の部分は、第2の部分から間隔を置いて位置する。
【0012】
オプションとして、第1の部分は、第1の凹部を有するのがよく、第2の部分は、第2の凹部をするのがよい。インシュレータは、第1及び第2の凹部内に設けられるのがよい。
【0013】
オプションとして、インシュレータは、第1の部分と第2の部分との間に設けられるのがよい。
【0014】
オプションとして、インシュレータは、マイカ板及び/又はエンジニアリング用ポリマー、例えば、ポリイミド、ポリアミド‐イミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、フルオロポリマーを含むのがよい。
【0015】
オプションとして、互いに連結されているアクチュエータ、カプラ、及び係合部材は、1組のコンポーネントを構成するのがよい。リップ調節組立体は、複数の組をなすコンポーネントを含むのがよく、コンポーネントの各組は、少なくとも1つのアクチュエータ、少なくとも1つのカプラ、及び少なくとも1つの係合部材を含む。
【0016】
オプションとして、リップ調節組立体は、アクチュエータを少なくとも部分的に包囲するよう構成されたハウジングを含むのがよい。
【0017】
オプションとして、ハウジングを貫通して延びる空気ベントが設けられるのがよく、空気ベントは、ハウジングへの空気の出入りを可能にするよう構成されるのがよい。
【0018】
オプションとして、リップ調節組立体は、空気をアクチュエータに能動的に近づけ又はアクチュエータから遠ざけるよう構成されたエアムーバを含むのがよい。
【0019】
オプションとして、リップ調節組立体は、アクチュエータの作動を制御するよう構成されたコントローラを含むのがよい。
【0020】
オプションとして、リップ調節組立体は、直線アレイをなして配置された複数のアクチュエータを含むのがよく、複数のアクチュエータのうちの各アクチュエータは、各アクチュエータと少なくとも、隣の他の1つのアクチュエータの中心線相互間で測定した約1インチ(2.54cm)~約4インチ(10.16cm)の距離だけ少なくとも隣の他の1つのアクチュエータから間隔を置いて位置する。他の用途では、各アクチュエータは、異なる間隔を有するのがよい。
【0021】
もう1つの観点では、押出ダイシステム用の押出ダイが開示される。押出ダイは、材料を受け入れるよう構成され、押出ダイは、第1のリップを備えた第1のダイ本体と、第2のリップを備えた第2のダイ本体と、第1のリップと第2のリップとの間に形成された隙間とを有し、隙間は、材料を受け入れたり、材料を押し出したりするよう構成されている。押出ダイは、押し出された材料の厚さを調整するためのリップ調節組立体に動作可能に連結されるよう構成されている。リップ調節組立体は、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方に動作可能に連結されるとともに、第1の方向に動くことができ、また第1の方向とは逆の第2の方向に動くことができる係合部材と、係合部材を第1の方向及び第2の方向に選択的に動かすよう構成されたアクチュエータと、係合部材とアクチュエータの両方に動作可能に連結されたカプラとを含むのがよく、カプラは、係合部材とアクチュエータとの間に設けられるようになっている。リップ調節組立体が押出ダイに連結されるとともに、リップ調節組立体の係合部材が第1の方向に動かされると、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方は、第1のリップ及び第2のリップのうちの他方に近づけられ、係合部材が第2の方向に動かされると、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方は、第1のリップ及び第2のリップのうちの他方から遠ざけられる。
【0022】
オプションとして、押出ダイは、リップ調節組立体が押出ダイに連結されたときに押出ダイからリップ調節組立体への熱伝達を妨げるよう構成されたインシュレータを含むのがよい。カプラは、第1の熱伝導率を有するのがよく、インシュレータは、第2の熱伝導率を有するのがよく、第2の熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも低いのがよい。
【0023】
オプションとして、インシュレータは、マイカ板を含むのがよい。インシュレータは、エンジニアリング用ポリマー、例えば、ポリイミド、ポリアミド‐イミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、フルオロポリマーを含むものでもよい。
【0024】
オプションとして、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方は、リップ調節組立体の複数のアクチュエータ、複数のカプラ及び複数の係合部材によって一方の長さに沿って非直線的に変形するよう構成されるのがよい。
【0025】
オプションとして、押出ダイは、押出ダイ内の材料を加熱するよう構成されたヒータを有するのがよい。オプションとして、押出ダイは、押出ダイ内の材料を加熱するよう構成されたヒータ集成体を有するのがよい。
【0026】
オプションとして、第1のダイ本体及び第2のダイ本体のうちの一方は、対応の第1又は第2のリップに隣接して位置する可撓性ヒンジを有するのがよく、可撓性ヒンジは、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方が第1のリップ及び第2のリップのうちの他方に近づけられたり遠ざけられたりしたときに変形するよう構成されている。
【0027】
オプションとして、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方は、第1のリップ及び第2のリップのうちの他方がリップ調節組立体によって動くことができない状態では、リップ調節組立体によって動かされるよう構成されるのがよい。
【0028】
もう1つの観点では、材料から押出成形品を形成する押出ダイシステムが開示される。押出ダイシステムは、押出ダイを含み、押出ダイは、第1のリップを備えた第1のダイ本体と、第2のリップを備えた第2のダイ本体と、第1のリップと第2のリップとの間に形成された隙間とを有し、隙間は、材料を受け入れたり、材料を押し出したりするよう構成されている。押出ダイシステムは、押出ダイ内の材料を加熱するよう構成されたヒータを及びリップ調節組立体をさらに含む。リップ調節組立体は、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方に動作可能に連結されるとともに、第1の方向に動くことができ、また第1の方向とは逆の第2の方向に動くことができる係合部材と、係合部材を第1の方向及び第2の方向に選択的に動かすよう構成されたアクチュエータと、係合部材とアクチュエータの両方に動作可能に連結されたカプラとを含むのがよく、カプラは、係合部材とアクチュエータとの間に設けられるようになっている。係合部材が第1の方向に動かされると、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方は、第1のリップ及び第2のリップのうちの他方に向かって動かされ、係合部材が第2の方向に動かされると、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方は、第1のリップ及び第2のリップのうちの他方から遠ざけられる。押出ダイシステムは、ヒータ及びリップ調節組立体の作動を制御するよう構成されたコントローラをさらに含む。オプションとして、押出ダイは、押出ダイ内の材料を加熱するよう構成されたヒータを有するのがよい。
【0029】
オプションとして、アクチュエータは、回転コンポーネント及び直線コンポーネントを有するステッピングモータを含むのがよく、第1の回転方向における回転コンポーネントの運動により、第1の直線方向における直線コンポーネントの運動が生じ、第1の回転方向とは逆の第2の回転方向における回転コンポーネントの運動により、第1の直線方向とは逆の第2の直線方向における直線コンポーネントの運動が生じる。
【0030】
オプションとして、直線コンポーネントは、回転コンポーネントの所定の回転距離に比例した所定の直線距離だけ動かされるよう構成されるのがよい。
【0031】
オプションとして、リップ調節組立体は、カプラに設けられたインシュレータをさらに含むのがよい。インシュレータは、係合部材からアクチュエータへの熱の伝導を妨げるよう構成されるのがよい。カプラは、第1の熱伝導率を有するのがよく、インシュレータは、第2の熱伝導率を有するのがよく、第2の熱伝導率は、第1の熱伝導率よりも低いのがよい。
【0032】
オプションとして、カプラは、インシュレータを受け入れるよう構成された凹部を有するのがよい。
【0033】
オプションとして、カプラは、アクチュエータに結合された第1の部分及び係合部材に結合された第2の部分を有し、第1の部分は、第2の部分から間隔を置いて位置する。
【0034】
オプションとして、第1の部分は、第1の凹部を有するのがよく、第2の部分は、第2の凹部を有するのがよく、インシュレータは、第1及び第2の凹部内に設けられるのがよい。
【0035】
オプションとして、インシュレータは、第1の部分と第2の部分との間に設けられるのがよい。
【0036】
オプションとして、インシュレータは、マイカ板又は別の材料を含むのがよい。インシュレータは、エンジニアリング用ポリマー、例えば、ポリイミド、ポリアミド‐イミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、フルオロポリマーを含むものであってもよい。
【0037】
オプションとして、互いに連結されているアクチュエータ、カプラ、及び係合部材は、1組のコンポーネントを構成するのがよく、リップ調節組立体は、複数の組をなすコンポーネントを含むのがよく、コンポーネントの各組は、少なくとも1つのアクチュエータ、少なくとも1つのカプラ、及び少なくとも1つの係合部材を含む。
【0038】
オプションとして、押出ダイシステムは、アクチュエータを少なくとも部分的に包囲するよう構成されたハウジングを含むのがよい。
【0039】
オプションとして、ハウジングを貫通して延びる空気ベントが設けられるのがよく、空気ベントは、ハウジングへの空気の出入りを可能にするよう構成されるのがよい。
【0040】
オプションとして、押出ダイシステムは、空気をアクチュエータに能動的に近づけ又はアクチュエータから遠ざけるよう構成されたエアムーバを含むのがよい。
【0041】
オプションとして、押出ダイシステムは、複数のコントローラを含むのがよい。
【0042】
オプションとして、アクチュエータは、押出ダイから少なくとも6インチ(15.24cm)だけ間隔を置いて配置されるのがよい。
【0043】
オプションとして、押出ダイシステムは、直線アレイをなして配置された複数のアクチュエータを含むのがよく、複数のアクチュエータのうちの各アクチュエータは、各アクチュエータと少なくとも、隣の他の1つのアクチュエータの中心線相互間で測定した約1インチ(2.54cm)~約4インチ(10.16cm)の距離だけ少なくとも隣の他の1つのアクチュエータから間隔を置いて位置する。他の用途では、各アクチュエータは、異なる間隔を有するのがよい。
【0044】
オプションとして、押出ダイシステムは、押出ダイ内の材料を加熱するよう構成されたヒータを有するのがよい。オプションとして、押出ダイシステムは、押出ダイ内の材料を加熱するよう構成されたヒータ集成体を有するのがよい。
【0045】
オプションとして、第1のダイ本体及び第2のダイ本体のうちの一方は、対応の第1又は第2のリップに隣接して位置する可撓性ヒンジを有するのがよく、可撓性ヒンジは、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方が第1のリップ及び第2のリップのうちの他方に近づけられたり遠ざけられたりしたときに変形するよう構成されている。
【0046】
オプションとして、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方は、第1のリップ及び第2のリップのうちの他方がリップ調節組立体によって動くことができない状態では、リップ調節組立体によって動かされるよう構成されるのがよい。
【0047】
オプションとして、押出ダイシステムは、押出ダイ及びリップ調節組立体から間隔を置いて設けられた空気源を含むのがよい。
【0048】
オプションとして、押出ダイシステムは、材料を押出ダイ中に排出するよう構成された材料源を含むのがよい。
【0049】
もう1つの観点によれば、押出ダイシステム内の押出ダイの第1のリップと第2のリップとの間の隙間のサイズを調整する方法が提供される。本方法は、第1のリップと第2のリップとの間の所望の隙間距離を求めるステップと、リップ調節組立体のアクチュエータを作動させて、アクチュエータに連結された係合部材の第1の方向における並進を生じさせるステップとを含み、係合部材の並進により、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方を、第1のリップ及び第2のリップのうちの他方に近づけ又は他方から遠ざけ、本方法は、アクチュエータの作動を続行し、ついには、係合部材が所定の距離並進するようにするステップをさらに含み、所定の距離は、所望の隙間距離と関連し、本方法は、アクチュエータの作動を停止させて係合部材の並進を停止させ、それにより、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方が第1のリップ及び第2のリップのうちの他方に近づき又は該他方から遠ざかるのを停止するようにするステップをさらに含む。
【0050】
オプションとして、本方法は、アクチュエータと接触している加熱空気を除くことによってアクチュエータを冷却するステップを含むのがよい。
【0051】
オプションとして、本方法は、冷却剤を導入し、かかる冷却剤をアクチュエータに接触させることによってアクチュエータを冷却するステップを含むのがよい。
【0052】
オプションとして、押出ダイシステムは、プロセッサ及びメモリを備えたコントローラを含み、本方法は、作動パラメータをメモリ中に記憶させるステップを含むのがよく、作動パラメータは、所定の所望の隙間及びメモリ内の所望の隙間と関連した所定の距離を含む。
【0053】
オプションとして、本方法は、作動パラメータをメモリから検索して取り出すステップ、及びアクチュエータを作動させて該アクチュエータが検索により取り出した作動パラメータに対応するようにするステップを含むのがよい。
【0054】
オプションとして、押出ダイシステムは、複数のアクチュエータを含み、本方法は、複数のアクチュエータの各々に関する特定ステップ、作動ステップ、続行ステップ、及び停止ステップを繰り返すステップを含むのがよい。
【0055】
1つの一般的観点では、第1のリップと第2のリップとの間の中立隙間距離を特定するステップを含む本方法が提供される。本方法は、リップ調節組立体のアクチュエータを作動させて、アクチュエータに連結されている係合部材の第1の方向における並進を生じさせることによって、中立ダイリップ隙間を調整するステップをさらに含み、係合部材の並進により、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方を、第1のリップ及び第2のリップのうちの他方に近づけ又は他方から遠ざける。本方法は、リップ調節組立体のアクチュエータを作動させて、アクチュエータに連結されている係合部材の第1の方向における並進を生じさせることによって、ダイリップ隙間を二次値に調整するステップを含み、係合部材の並進により、第1のリップ及び第2のリップのうちの一方を、第1のリップ及び第2のリップのうちの他方に近づけ又は他方から遠ざける。本方法は、ダイリップ隙間を二次値に決定するステップをさらに含む。本方法は、ダイリップ隙間値を記憶するステップを含む。本方法は、ダイリップ隙間値に基づいて、リップ調節組立体の次の作動のための制御値を生じさせるステップをさらに含む。
【0056】
本発明は、添付の図面と関連して読まれるとさらに理解される。本発明の内容を示す目的で、本発明の内容の例示の観点が図面に示されているが、本明細書において開示する本発明の内容は、開示する特定の方法、特定の装置、及び特定のシステムには限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明の一観点としての押出ダイシステムの一部分の斜視図である。
図2図1の押出ダイシステムの側面断面図である。
図3図1の押出ダイシステムの一部分の側面断面図である。
図4A】本発明の一観点としてのカプラの斜視図である。
図4B】本発明のもう1つの観点としてのカプラの斜視図である。
図4C図4Bのカプラの分解組立図である。
図5】本発明のもう1つの観点による図1の押出ダイシステムの一部分の斜視図である。
図6A】本発明の一観点によるリップ調節組立体の上からの概略斜視図である。
図6B】本発明のもう1つの観点によるリップ調節組立体の上からの概略斜視図である。
図6C】本発明のさらにもう1つの観点によるリップ調節組立体の正面概略斜視図である。
図7】本発明の一観点による押出ダイシステムを作動させる方法を示す流れ図である。
図8】本発明の諸観点に従ってダイリップ隙間を較正する例示の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
次に、図面を参照して本発明の諸観点について詳細に説明し、図中同一の参照符号は、特段の指定がなければ、図面全体を通じて同一の要素を意味している。
【0059】
本明細書全体を通じて、用語には、関連当業者によって理解される通常の意味を有するものとする。しかしながら、誤解を回避するため、あるいくつかの用語の意味を具体的に定め又は明らかにする。
【0060】
本明細書で用いる「複数」という用語は、2つ以上を意味している。単数形“a”、“an”、及び“the”は、複数形を含み、特定の数値の記載は、文脈上明示の指定がなければ、少なくとも当該特定の値を含む。かくして、例えば、「一材料」という記載は、当業者に知られているかかる材料ならびに均等例及びその他のうちの少なくとも1つの記載である。
【0061】
押出ダイのためのリップ隙間プロフィールの典型的な自動制御は、熱作動式トランスレータブロックにより具体化される。これらは、押出成形品の厚さプロフィールを制御する際に有効であるが、実際のリップ隙間の指標をもたらすわけではない。熱作動式トランスレータブロックは、さらに、膨張したり安定化したりするのに時間がかかる。環境とダイ本体とトランスレータブロック及び/又はその他との間における熱クロストークもまた、制御ノイズに加わる。時定数(全膨張の62.7%にわたる時間)は、設計に応じて、3分間~12分間である場合がある。他方、本発明の諸観点は、プロフィールをミリ秒単位で変更することができるステッピングモータを利用する。回転数を計数することによって、高精度のリップ隙間プロフィールを知ることができる。本発明の諸観点は、極めて高い精度及び速度で立ち上げるリッププロフィール処方(レシピ)を保存することができ、それにより、1つの製品からもう1つの製品への変化を行う際、無駄を最小限に抑えることができる。
【0062】
加うるに、押出ダイは、代表的には、300゜F(148.9℃)から630゜F(332.2℃)までの範囲にある温度で動作する。熱は、ダイ本体からリップ調整システムに伝達することができる。押出ダイの周りの空気は、極めて温かくなることができ、そして低分子量ポリマー又はモノマーの煙を含む場合がある。ステッピングモータを結果的にプロセスオフガスの凝縮に起因して生じる過剰の熱及び汚染から保護することが望ましい。本明細書で説明するように、種々の方式がステッピングモータを過剰の熱や汚染から保護するために提供される。さらに、本発明の諸観点は、ステッピングモータが熱伝達を十分に減少させる距離のところでダイ本体上に取り外し可能に設置される場合のある具体化例を含む。さらに、本発明の諸観点は、ステッピングモータの温度を設計限界以下に安全に保つための空気入口ファン及び空気出口ベントを備えた強制空冷ボックス内に収容されるのがよいステッピングモータのアレイを具体化するのがよい。さらに、本発明の諸観点は、ファン空気入口を有するのがよく、ファン空気入口は、空気供給源が低温領域、例えば、押出ダイ配設場所の領域よりもプロセス煙が著しく少ない工場の低温領域から来るよう、ダクト及びホースを有するのがよい。
【0063】
加うるに、本発明の諸観点は、ステッピングモータの具体化例を含み、ステッピングモータは、比較的高価なコンポーネントである。したがって、本発明の諸観点は、コストを抑えるために、これらの部品を最小数だけ含み、使用に適した仕様のリップ調節システムで構成される。さらに、本発明の諸観点は、プロセッサがシステムのリップを十分にゆがめることができるに足るほど中心が近い状態で互いに間隔を置いたステッピングモータのアレイを具体化することができる。本発明の諸観点では、モータを厚さ制御の問題を生じさせるのに十分な調節相互間のたわみが存在するほど遠くには間隔を置いては配置することがないようにするのがよい。本発明の1つの観点では、代表的な屈曲リップ設計の慣性モーメントの結果として、2インチ中心線から最高3.5インチ中心線までの最適な離隔状態が得られる(なお、1インチ=2.54cm)。本発明の種々の観点は、シャフトを回転させ、その結果として機能を単純化するとともにコストを制御するDCステッピングモータを具体化することができる。この回転運動は、スプールにより直線運動に変換されるのがよく、スプールは、ねじ山を回してダイの屈曲リップをプロフィール設定する。本発明の種々の観点では、特定のモータトルク範囲が屈曲リップをゆがめて第リップ隙間内の加圧ポリマーからの液圧力に打ち勝つよう使用されるのがよい。例えば、1つ以上の観点では、12フィート‐ポンドトルクモータが、高圧力用途に関し最高25フィート‐ポンドトルクモータまで、低圧用途に関して最小限のものとして使用できる(なお、1フィート‐ポンド=1.355N・m)。諸観点では、モータは、5フィート‐ポンド~100フィート‐ポンド、5フィート‐ポンド~10フィート‐ポンド、10フィート‐ポンド~20フィート‐ポンド、20フィート‐ポンド~30フィート‐ポンド、30フィート‐ポンド~40フィート‐ポンド、40フィート‐ポンド~50フィート‐ポンド、50フィート‐ポンド~60フィート‐ポンド、60フィート‐ポンド~70フィート‐ポンド、70フィート‐ポンド~80フィート‐ポンド、80フィート‐ポンド~90フィート‐ポンド、90フィート‐ポンド~100フィート‐ポンド、及び/又はその他のトルクを発揮する状態で具体化されるのがよい。
【0064】
本発明の別の観点では、モータは、保守又は交換のためにダイから定期的に取り外されることが必要な場合がある。したがって、開示するシステムは、定期的な保守が簡便かつ効果的であることができるようにするために、取り外し又は分解プロセスを単純化するよう構成されている。本発明の諸観点では、モータは、モジュール式サブアセンブリの状態でダイ本体から取り外されるのがよい。これは、プロセッサ保守のために特定のモータに至るようにするために多くの部品を取り外す必要がないので、有益な場合がある。
【0065】
本発明の種々の観点では、ステッピングモータのアレイは、屈曲リップをゆがめるために使用できる押出ダイの屈曲リップ本体に取り付けられるのがよく、その結果、屈曲リップと固定リップとの間に作られた隙間は、押出成形品の厚さ分布を微調整するようプロフィール設定できるようになっている。本発明の諸観点は、機能の単純化及びコスト制御のために、シャフトを回すDCステッピングモータを具体化するのがよい。本発明の諸観点では、ステッピングモータの回転運動は、スプールにより直線運動に変換されるのがよく、スプールは、ねじ山を回してダイの屈曲リップをプロフィール設定する。本発明の諸観点は、厚さ測定及び制御システムからの指令に応答するようステッピングモータ又はサーボモータを具体化することができる。加うるに、本発明の種々の観点は、本明細書においてさらに説明するように、温度隔離、間隔、トルク、サブアセンブリ、及び/又はその他を具体化することができる。
【0066】
図1及び図2を参照すると、ポリマーフィルム又は押出成形品を形成する押出ダイシステム1が示されている。押出ダイシステム1は、流動性材料(例えば、ポリマー材料)を材料源8(図2に表示されている)から受け取り、そして流動性材料を押出成形品の状態に排出するよう構成されている。押出成形品は、サブストレート(図示せず)上に排出されるのがよい。押出ダイシステム1は、押出ダイ10及び押出ダイ10に取り付けられたリップ調節組立体100を含む。リップ調節組立体100は、押出ダイ10から小出しされている押出材の厚みを制御することができる。リップ調節組立体100は、押出材の寸法及び形状を変化させるよう構成されているのがよい。いくつかの観点では、リップ調節組立体100は、以下に説明するように、成形された押出品の1つの場所又は多数の場所のところで、押出材の寸法及び形状を変化させることができる。
【0067】
押出ダイシステム1は、溶融材料、例えば溶融ポリマーを形成するよう押出ダイシステム1中に受け入れられる材料を加熱するよう構成されたヒータ12(図2に表示されている)を含むのがよい。次に、溶融材料を押出ダイ10中に動かしてこれから排出するのがよい。理解されるように、材料を任意の既知の機構又は方法に従って、押出ダイシステム1中に導入し、加熱し、そしてこれを通って流すのがよい。本明細書において用いられる材料は、ポリマー材料であるのがよく、かかる材料は、熱可塑性ポリマー、合成樹脂、液晶ポリマー、及び/又はその他を含むのがよい。理解されるべきこととして、他の適当な流動性材料、例えば接着剤を押出ダイシステム1の使用により加工することができる。押出ダイシステム1は、単一種類のポリマー又は多種類のポリマーを加工するよう構成されているのがよい。例えば、押出ダイ10は、各々が互いに異なる材料を加工して案内し、それにより多成分押出成形品又はフィルムを形成するよう構成された複数の互いに異なる通路を備えるのがよい。さらに、理解されるべきこととして、押出ダイ10を用いると、非ポリマー材料を加工することができる。
【0068】
図1及び図2に示すように、押出ダイ10は、第1のダイ本体14及び第2のダイ本体22を有するのがよく、これらダイ本体相互間には隙間30(図2に示す)が形成され、押出成型品は、この隙間を通って押出ダイ10から排出されるのがよい。第1のダイ本体14は、第1のリップ18を有し、第2のダイ本体22は、第2のリップ26(図2に想像線で示す)を有する。第1のリップ18と第2のリップ26は、一緒になって、隙間30の形態で押出ダイ10の出口開口部を構成する。第1のダイ本体14と第2のダイ本体22は、第1の方向2に沿って互いに対して反対側に位置決めされている。この点に関し、第1のリップ18は、第2のリップ26の反対側にかつこれに隣接して位置決めされている。隙間30は、第1のリップ18と第2のリップ26との間に形成され、この隙間は、第1のリップ18から第2のリップ26まで第1の方向2に沿って延びている。隙間30は、第1の方向2に垂直な第2の方向3に沿って延びている。使用中、押出成形品は、第1の方向2及び第2の方向3に垂直な第3の方向4に沿って隙間30を出ることができる。本開示では、第1の方向2を厚さ方向という場合があり、第2の方向3を幅方向という場合があり、第3の方向4を流れ方向という場合がある。
【0069】
隙間30は、第1の方向2に沿って測定して、第1のダイ本体14と第2のダイ本体22との間、特に第1のリップ18と第2のリップ26との間に隙間厚さ又は隙間距離32を定める。図示のように、隙間30は、第1のダイ本体14と第2のダイ本体22との間に定められる隙間距離32を有する。隙間距離32は、隙間30の寸法であり、この隙間距離は、押出ダイ10に沿う所与の場所のところで、例えば、第1の方向2に沿って、第1のリップ18と第2のリップ26を隔てる距離に一致する。リップ調節組立体100は、第1のリップ18及び第2のリップ26のうちの少なくとも一方を動かして隙間距離32を増減するよう構成され、それにより、押出材の厚みが調整される。いくつかの観点では、リップ調節組立体100は、第2のリップ26が固定状態に保たれたまま第1のリップ18を動かすよう構成されているのがよい。隙間距離32は、押出ダイ10の全体に沿って第2の方向3に沿って一様であるのがよい。いくつかの観点では、隙間距離32は、第2の方向3に沿って様々であってよい。リップ調節組立体100は、第2の方向3に沿って同一の変化率か異なる変化率かのいずれかによって隙間距離32を変化させるよう構成されているのがよい。すなわち、隙間30は、第1の方向2及び第2の方向3によって定めた平面内で第3の方向4に沿って見たときに直線であってもよく、非直線状曲線であってもよい。
【0070】
図2に最もよく示すように、第1のリップ18及び第2のリップ26のうちの少なくとも一方は、隙間距離32の調整を可能にするよう動くことができるのがよい。図示の実施形態では、第1のダイ本体14は、第1のリップ18として示された可動リップを有するのがよい。第1のリップ18は、屈曲ヒンジ34によって第1のダイ本体14の残部に固定的に取り付けられるのがよい。屈曲ヒンジ34は、リップ調節組立体100によって変形するよう構成されているのがよく、その結果、第1のリップ18を第2のリップ26に向かって近づけたり又は第2のリップ26から遠ざかったりするよう選択的に動かすことができるようになっている。第1のリップ18を第2のリップ26から遠ざけると、隙間距離32が増大し、かくして隙間30の寸法が増大し、第1のリップ18を第2のリップ26に近づけると、隙間距離32が減少し、かくして隙間30の寸法が減少する。理解されるように、屈曲ヒンジ34は、実質的にその構造的健全性を失うことなく、多くの変形繰り返しに耐えるよう構成された適当な変形可能材料で構成されるのがよい。屈曲ヒンジ34は、リップ調節組立体100によって第1のリップ18に加えられた力に応答して曲がるのに足るほど薄いのがよい。
【0071】
リップ調節組立体100は、第1のリップ18に動作可能に連結されるのがよい。第1のリップ18は、第2のリップ26に向かって又は第2のリップ26から遠ざかるよう選択的に動かされるのがよく、かくして、隙間距離32がそれぞれ減少し又は増大する。理解されるように、図示の実施形態では、第1のリップ18に接触してこれを動かすよう構成されているリップ調節組立体100を示しているが、リップ調節組立体100が第2のリップ26に接触してこれを動かすよう構成されるのがよい他の実施形態が想定される。いくつかの実施形態では、押出ダイシステム1は、複数のリップ調節組立体100を含むのがよく、第1のリップ18及び第2のリップ26の各々は、リップ調節組立体100の別個の具体化例に動作可能に連結されるとともにこの別個の具体化例によって動くことができるようになっている。別の実施形態では、リップ調節組立体100の単一リップ具体化例は、第1のリップ18と第2のリップ26の両方を動かすよう構成されているのがよい。
【0072】
リップ調節組立体100は、可動リップ、例えば第1のリップ18を動かすよう構成された係合部材104を含むのがよい。第1のリップ18の少なくとも一部分は、作動方向5に沿って第2のリップ26に対して動くことができるのがよい。作動方向5は、第2のリップ26に向かう方向及び第2のリップ26から遠ざかる逆の方向における運動を含むのがよい。係合部材104は、リップ調節組立体100から力を受け取り、力をリップ調節組立体100から第1のリップ18に伝達するよう構成されたロッド、バー、シャフト、ドエル、ポール、ピン及び/又はその他を含むのがよい。係合部材104は、第1リップ18を作動方向5に沿って第2リップ26に向かって動かす圧縮力及び/又は第1リップ18を作動方向5に沿って第2リップ26から逆方向に引き離す引張力を受け取るのがよい。
【0073】
リップ調節組立体100は、係合部材104を介して第1のリップ18を動かすよう構成されたアクチュエータ108をさらに含むのがよい。アクチュエータ108は、係合部材104を動かすよう構成されたモータを有するのがよい。アクチュエータ108は、直線アクチュエータ、例えばステッピングモータ、サーボモータ、及び/又はその他を含むのがよい。
【0074】
アクチュエータ108は、装置アクチュエータ、電動式アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ及び/又はその他として具体化できる。アクチュエータ108の具体化例としての電動式アクチュエータとしては、DCモータ、ACモータ、自励式モータ、ブラシ付きDCモータ、電子整流子(EC)モータ、ユニバーサルAC/DCモータ、外部整流AC機械、誘導モータ、同期モータ、二重給電電機、回転モータ、リニアモータ、ステッパモータ、ステップ(パルス)モータ、ステッピングモータ、及び/又はその他が挙げられる。アクチュエータ108の具体化例としての空気圧アクチュエータとしては、空気圧モータ、エアモータ、圧縮空気エンジン、リニアモータ、回転ベーンモータ、タービンモータ、及び/又はその他が挙げられる。アクチュエータ108の具体化例としての空気圧アクチュエータとしては、ベーンモータ、歯車モータ、ジェロータモータ、アキシャルプランジャモータ、ラジアルピストンモータ、及び/又はその他が挙げられる。諸観点では、アクチュエータ108は、アクチュエータ108、リップ調節組立体100、及び/又はその他の速度、精度、正確さ、安定性、再現性、及び/又はその他を有益に達成し、制御し、向上させ、かつ/或いはその他を行うために電動式アクチュエータとして具体化されるのがよい。さらに、本発明の諸観点では、電動式アクチュエータとして具体化されたアクチュエータ108は、本明細書において説明するような断熱コンポーネントを利用した断熱手段を含む多くの特徴の具体化によって電動式アクチュエータをリップ調節組立体内で利用するという難題を克服するよう構成されているのがよい。
【0075】
一観点では、アクチュエータ108は、全回転を多くのステップに分割するステッパモータ、ステップ(パルス)モータ、ステッピングモータ及び/又はその他として具体化されるのがよい。ステッパモータを具体化するアクチュエータ108は、ステッピングモータを制御するとともに/或いはステッピングモータに指令を出してこれがフィードバックのためのいかなる位置センサの使用なく、動いたり複数のステップのうちの1つのところで留まったりすることができるようにする(開ループコントローラ)。
【0076】
一観点では、リップ調節組立体100は、アクチュエータ108を制御するとともに/或いはアクチュエータ108に指令を出してフィードバックを用いて動いたり留まったりすることができるようにする(閉ループフィードバックコントローラ)。この点に関し、閉ループフィードバック制御方式は、センサ、コントローラ、及び/又はその他に応動するのがよい。諸観点では、センサ、コントローラ、及び/又はその他は、現在の製品厚さの一様性、現在の塗り厚一様性、現在のフィルム厚さ一様性、現在のシート厚さ一様性、及び/又はその他を検出するとともに/或いは算定するのがよい。しかる後、諸観点では、センサ、コントローラ、及び/又はその他は、指令をアクチュエータ108に送って現在の製品厚さ一様性、現在の塗り厚一様性、現在のフィルム厚さ一様性、現在のシート厚さ一様性、及び/又はその他を向上させるのがよい。しかる後、センサ、コントローラ、及び/又はその他は、変化後の厚さ一様性、変化後の塗り厚一様性、変化後のフィルム厚さ均一性、変化後のシート厚さ均一性、及び/又はその他を検出するとともに/或いは算定するのがよく、そして、必要に応じてアクチュエータ108に指令を出すプロセスを繰り返すのがよい。1つの観点では、リップ調節組立体100は、アクチュエータ108を制御するとともに/或いはアクチュエータ108に指令を出して、1つの製品からもう1つの製品に切り替えたときの無駄を最小限に抑えることを計算に入れて、極めて高い精度及び極めて高い速度で立ち上げられるべき保存されたリッププロフィールレシピでフィードバックにより動いたり留まったりすることができる(閉ループフィードバックコントロール)。
【0077】
ステッパモータを具体化したアクチュエータ108は、方形波であるのがよい一列の入力パルスを、正確に定められた増分かつ結果として生じる回転位置に変換することができる。ステッパモータに提供される各パルスは、ステッパモータシャフトを固定された角度だけ回転させることができる。ステッパモータは、永久磁石ステッパモータ、可変リラクタンスステッパモータ、ハイブリッド同期ステッパモータ、ユニポーラステッパモータ、バイポーラステッパモータ、及びその他であるのがよい。アクチュエータ108及び/又はステッパモータは、1つ以上の駆動回路を有するのがよい。アクチュエータ108は、リップ調節組立体100に接続された電源(図示せず)から電力を受け取ることができる。リップ調節組立体100は、複数の係合部材104及び/又は複数のアクチュエータ108を含むのがよい。各係合部材104は、アクチュエータ108の別個の具体化例に動作可能に連結されるのがよい。
【0078】
諸観点では、係合部材104のうちの1つ以上は、アクチュエータ108を押すプッシュ構成のアクチュエータ108の別個の具体化例に動作可能に連結されるのがよい。諸観点では、係合部材104のうちの1つ以上は、アクチュエータ108を引くプル構成のアクチュエータ108の別個の具体化例に動作可能に連結されるのがよい。諸観点では、係合部材104のうちの1つ以上は、アクチュエータ108を押したり引いたりするプッシュプル構成のアクチュエータ108の別個の具体化例に動作可能に連結されるのがよい。変形例として又は追加例として、2つ以上の係合部材104は、アクチュエータ108の単一の具体化例によって動くことができてもよい。各アクチュエータ108は、約10N‐m~約50N‐m、又は約12N‐m~約40N‐mのトルクキャパシティを有するのがよい。
【0079】
アクチュエータ108は、直線コンポーネント110(図3に表示されている)を並進させるよう構成された回転コンポーネント(図示せず)を有するのがよい。回転コンポーネントは、1つ以上の種類の機構体を有するのがよく、かかる機構体としては、ねじ山を回転させるスプール、ねじ、親ねじ、スクリュージャッキ、ボールスクリュー、ローラスクリュー、及び/又はその他が挙げられる。直線コンポーネントは、第2のリップ26に向かい又はこれから遠ざかるよう作動方向5に沿って並進可能であるのがよい。直線コンポーネント110は、直線コンポーネント110が第2のリップ26に向かって動かされているとき、係合部材104もまた、同一方向に動かされ、直線コンポーネント110が第2のリップ26から遠ざけられているとき、係合部材104もまた、直線コンポーネント110と同一方向に第2のリップ26から遠ざかるよう係合部材104に結合されるのがよい。
【0080】
開示したアクチュエータ108、例えばステッパモータをリップ調節組立体100に利用することによって、第1のリップ18及び隙間30の調整の正確さ及び精度を向上させることができる。ステッパモータは、回転コンポーネントを回すことによって動作し、それにより、直線コンポーネント110の比例並進を所望の距離だけ生じさせる。直線コンポーネント110は、回転コンポーネントの固定された回転距離に相当する固定された直線距離だけ並進することができる。すなわち、回転コンポーネントを第1の増分だけ回転的に動かすと、その結果として、直線コンポーネント110が第2の増分だけ並進する。この構成は、アクチュエータ108に連結された係合部材104の高精度のかつ正確な調整を可能にする。使用にあたり、ユーザは、隙間距離32を減少させ又は増大させるために、それぞれ、係合部材104を第2のリップ26に向かって又は第2のリップ26から遠ざかって所望の距離だけ動かしたい場合がある。係合部材104は、直線コンポーネント110の並進によって動くことができるので、直線コンポーネント110は、回転コンポーネントの既知の回転移動の比に基づいて並進可能であるので、ユーザは、アクチュエータ108が回転コンポーネントを第1又は第2の方向に所望の回転距離だけ回転させるようにするのがよく、その結果、第2のリップ26に向かう又は第2のリップ26から遠ざかる直線コンポーネント110及びこれに連結された係合部材の既知の所望の並進運動が生じる。
【0081】
既存の技術では、係合部材に連結されているサーマルボルトは、膨張又は収縮をそれぞれ生じさせるよう加熱され又は冷却される。サーマルボルトが膨張しているとき、これらサーマルボルトは、隙間を減少させるよう係合部材の運動を生じさせ、サーマルボルトが収縮しているとき、これらサーマルボルトは、隙間を増大させるよう逆方向における係合部材の運動を生じさせる。しかしながら、サーマルボルトは、熱を吸収し又は放射してそれぞれ膨張し又は収縮するのに時間を必要とするので、かかる設計では、隙間の調整には少なくとも数分間かかる場合が多い。加うるに、サーマルボルトの加熱又は冷却を停止させるタイミングを適切に計時間することは困難であり、サーマルボルトは、多すぎる熱を受け又は放出する場合が多く、その結果、標的の膨張又は収縮のオーバーシューティングが生じ、また、それぞれ、隙間距離が大きくなり又は小さくなる。さらに、既存のプロセスは、外部変数、例えば周囲温度による望ましくない影響を受ける。例えば、周囲温度が所望の温度よりも高い場合、サーマルボルトは、熱が加えられる前に高い開始温度の状態にあり、これとは逆に、周囲温度が所望の温度よりも低い場合、サーマルボルトは、低い開始温度状態にあり、それにより、所望の温度に達するのに多量の熱及び加熱時間を必要とすることになる。さらに、既存のサーマルボルト調節の使用では、サーマルボルトの加熱が必要であり、この場合、サーマルボルトを加熱するために用いられる熱は、各サーマルボルトから押出ダイに向かって伝導又は放射される可能性がある。この熱は、その後、不必要な熱を押出ダイ及びこれを通って流れる材料に加える場合があり、かくして、押出成形される材料の粘度、コンシステンシー、及び/又は他の流れパラメータが変化する。この望ましくない過剰の熱の結果として、材料の小出しの際の正確さが低くなる場合があり、また、結果として形成された押出品シートの意図しない厚さ及び/又は組成が生じる場合がある。
【0082】
上述の既存のサーマルボルト調節技術の望ましくない結果は、開示したアクチュエータ108を利用することによって回避できる。アクチュエータ108は、上述の既存のサーマルボルト技術に伴う遅延なく、瞬時に調節を可能にする。加うるに、開示したアクチュエータ108は、上述の既存のサーマルボルトの過剰膨張又は過剰収縮に起因するオーバーシューティングの恐れなく、隙間30の正確な調整を可能にする。アクチュエータ108はさらに、ユーザによる隙間30の正確な調整を可能にする。ユーザは、アクチュエータ108の回転部材の回転運動の任意所与の増分について、作動方向5に沿う係合部材104の正確な直線並進量を求めることができる。求めた比率により、ユーザは、アクチュエータ108が所望の増分だけ回転コンポーネントを動かすようにすることによって、各係合部材104に対する正確な調節を行うことができる。求めた比率は、後の時点でも利用でき、ユーザは、押出ダイスシステム1の異なる動作サイクルにわたって、隙間30に対して正確かつ再現性のある調整を行うことができる。さらに、アクチュエータ108は、熱を加える必要がないので、押出ダイ10に導入される過剰な熱がなく、もしそうでなければ、かかる過剰の熱は、サーマルボルトを利用する既存の解決策のようにメルトフローの特性にマイナスの影響を及ぼす場合がある。
【0083】
作動中、押出ダイ10は、所望の温度まで加熱されるよう構成されており、その結果、押出成形中の材料を所望の温度、粘度、コンシステンシー、及び/又はその他の状態に維持することができるようになっている。加熱状態の押出ダイ10と接触状態にあり、又は違ったやり方でこの隣に位置し又は近接して位置する押出ダイシステム1のコンポーネントは、熱を押出ダイ10から吸収することができる。熱は、加熱状態の押出ダイ10に近接して位置することによって、コンポーネントと押出ダイ10との直接的な接触により、熱伝導、熱対流、及び/又はその他を介して伝達可能である。いくつかの観点では、押出ダイ10の外部に位置する押出ダイシステム1のコンポーネントに伝達される熱の量を最小限に抑えることが有益な場合がある。例えば、押出ダイ10からリップ調節組立体100に伝達される熱の量を最小限に抑え又は減少させることが有益な場合がある。過剰の熱は、リップ調節組立体100のコンポーネント、例えばアクチュエータ108に損傷を及ぼす場合がある。本発明は、対流による熱伝達を減少させるようアクチュエータ108を加熱状態の押出ダイ10から距離を置き又は間隔を置いて配置させるという少なくとも技術的思想により、押出ダイ10からアクチュエータ108への熱伝達を減少させるというオプション、及び伝導による熱伝達を減少させるようコンポーネントを断熱するというオプションを考慮に入れている。いくつかの観点では、リップ調節組立体100のコンポーネントを能動的又は受動的に冷却する追加の検討事項が提供され、これについては以下にさらに説明する。
【0084】
アクチュエータ108を熱から保護する手段としての1つの機構は、アクチュエータ108を加熱状態の押出ダイ10から適切な距離だけ離して配置するということである。いくつかの観点では、アクチュエータ108は、押出ダイ10から少なくとも4インチ(10.16cm)、5インチ(12.70cm)、6インチ(15.24cm)、……、又は24インチ(60.96cm)のところに、又はアクチュエータ108を所定のしきい量を超えて熱を受け取らないよう押出ダイ10から十分に離隔される別の適当な距離のところに配置されるのがよい。
【0085】
いくつかの観点では、アクチュエータ108と係合部材104は、互いに直接連結されるのがよい。変形実施形態では、アクチュエータ108は、カプラ112を介して係合部材104に連結されてもよい。カプラ112は、その一方の側がアクチュエータ108に連結され、その反対側が係合部材104に連結されるのがよい。カプラ112は、アクチュエータ108と係合部材104との間で伝達させている力に耐えるよう構成された任意適当な材料を含むのがよい。理解されるべきこととして、カプラ112は、押出ダイシステム1の所望の温度範囲に耐えるよう構成されるべきである。いくつかの観点では、カプラ112は、鋼、例えばステンレス鋼を含むのがよい。
【0086】
図3図4A図4B、及び図4Cを参照すると、カプラ112上又はカプラ112内にインシュレータ(インシュレータ)又は断熱コンポーネント122が設けられるのがよい。断熱コンポーネント122は、係合部材104に沿う押出ダイ10からアクチュエータ108への熱の伝達を制限し、遮断し、減少させ、かつ/或いはその他のことを実施するよう構成されるのがよい。諸観点では、断熱コンポーネント122は、押出ダイ10をアクチュエータ108から熱的に隔離するよう構成されているのがよい。断熱コンポーネント122は、1つ以上のインシュレータ又は断熱コンポーネント、装置、特徴、熱的分離コンポーネント、及び/又はその他を含むのがよい。断熱コンポーネント122は、マイカ(雲母)板、高品質の耐熱シリコーン樹脂と結合された白雲母又は金雲母紙を備えたマイカシート、及び/又は熱伝達を制限するための他の材料を含むのがよい。いくつかの観点では、断熱コンポーネント122は、エンジニアリング用ポリマー、例えば、ポリイミド、ポリアミド‐イミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、フルオロポリマー、及び/又はその他を含むのがよい。断熱コンポーネント122は、カプラ112を構成する材料よりも低い熱伝導率を有する材料を含むのがよい。すなわち、カプラ112は、第1の熱伝導率を有するのがよく、断熱コンポーネント122は、第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有するのがよい。いくつかの例示の断熱材料としては、KV(登録商標)3 、KV(登録商標)3eco、BRA-GLA(登録商標)3 、BRA-GLA(登録商標)N 、及びS4000(登録商標)でブランデンバーガー・フィルメングルペ(Brandenburger Firmengruppe)社によって製造及び/又は販売されている1つ以上の製品が挙げられる。理解されるべきこととして、リストした製品は、例示であるにすぎない。断熱コンポーネント122に用いられる特定の材料は、本明細書において説明するコンポーネントの予想される用途及び予想される温度範囲に基づいて選択されるのがよく、本明細書は、任意特定の断熱材料の範囲によって限定されることを意図するものではない。断熱コンポーネント122は、複数の断熱コンポーネント122又は類似のコンポーネントを含む断熱組立体であるのがよい(例えば、図4Cの分解組立図を参照されたい)。複数のコンポーネントのうちの1つ以上は、断熱コンポーネント122の個々の具体化例として具体化されるのがよく、これらコンポーネントは、互いに分離可能であるのがよい。
【0087】
いくつかの観点では、カプラ112は、係合部材104に固定的に取り付けられた第1の部分116、及びアクチュエータ108、例えば直線コンポーネント110に固定的に取り付けられた第2の部分120を有するのがよい。第1の部分116は、第2の部分120とは別体であり、かつ間隔を置いて位置するのがよい。断熱コンポーネント122は、第1の部分116と第2の部分120との間に少なくとも部分的に設けられるのがよい。いくつかの観点では、カプラ112は、全体として凹部114として以下に称する溝、切欠き、凹部、及び/又はその他を有するのがよい。凹部114は、作動方向5に沿ってカプラ112の一部分を貫通して延びるのがよい。凹部114は、断熱コンポーネント122を受け入れるよう構成されているのがよい。カプラ112は、複数の凹部114を有するのがよい。図3及び図4Aに示すように、いくつかの観点では、カプラ112の第1の部分116は、第1の凹部114Aを有するのがよく、カプラ112の第2の部分120は、第2の凹部114Bを有するのがよい。断熱コンポーネント122は、第1の凹部114Aと第2の凹部114Bの両方の中に設けられるのがよく、そしてこの断熱コンポーネントは、第1の部分116と第2の部分120との間に延びるのがよい。第1の凹部114A及び第2の凹部114Bは、カプラ112の第1の部分116及び第2の部分120のほぼ幾何学的中心(作動方向5に沿って見て)のところに設けられるのがよい。凹部114をこのように配置すると、熱を放射させる追加の表面領域を提供することによって、カプラ112中に存在する熱の放散を助けることができる。断熱コンポーネント122を第1の凹部114A及び第2の凹部114B内に設けることにより、カプラ112を通って移動する熱の量の減少を助けることができる。カプラ112の幾何学的中心のところ又はその近くに配置されている断熱コンポーネント122は、熱がカプラ112の中心線まで移動し、次にカプラ112の外縁に向かって半径方向外側に広がるのを阻止することができる。断熱コンポーネント122をカプラ112の第1の部分116と第2の部分120との間に配置することによっても、熱が作動方向5に沿ってカプラ112をアクチュエータ108に向かって上方に移動するのを妨げることができる。理解されるべきこととして、断熱コンポーネント122は、本明細書において説明するコンポーネントの任意のものの設置、取り外し、又は使用中に、カプラ112によって当該断熱コンポーネントに加えられる圧縮応力、引張応力、回転応力、及び剪断応力に耐えるよう構成される必要がある。
【0088】
押出ダイシステム1は、押出ダイシステム1の種々のコンポーネント、例えば押出ダイ10の1つ以上のコンポーネント及びリップ調節組立体100の1つ以上のコンポーネントを支持するとともに/或いは互いに連結する剛性の構造部材を含むのがよい。再び図1及び図2を参照すると、フレーム144が、押出ダイ10とリップ調節組立体100との間に延びるのがよい。フレーム144は、その一端が押出ダイ10に固定的に取り付けられるのがよく、かつ/或いはそのもう1つの端がリップ調節組立体100に固定的に取り付けられるのがよい。フレーム144は、押出ダイ10から、リップ調節組立体100から、又は押出ダイ10とリップ調節組立体100の両方から分離されるよう構成されているのがよい。いくつかの観点では、フレーム144は、押出ダイ10の異なる実施形態及び/又はリップ調節組立体100の異なる実施形態に選択的に係合するよう構成されているのがよい。理解されるべきこととして、フレーム144は、押出ダイ10に対するリップ調節組立体100(又は、この逆の関係が成り立つ)ならびにフレーム144に取り付けられ又はこの中に設けられた任意他のコンポーネントの指示と関連した物理的力及び圧力に耐えるよう設計されるとともに製造されるべきである。
【0089】
いくつかの観点では、フレーム144は、リップ調節組立体100のコンポーネント、例えば、係合部材104、カプラ112、及び/又はアクチュエータ108(これらには限定されない)のうちの1つ以上を少なくとも部分的に収容できる内容積部を画定するのがよい。図1及び図2の例示の実施形態に示すように、係合部材104及び各カプラ112の少なくとも一部分は、押出ダイ10とアクチュエータ108との間でフレーム144内に設けられるのがよい。いくつかの観点では、フレーム144には、1つ以上の開口部148が設けられるのがよい。各開口部148は、当該開口部148がフレーム144の内容積部及びフレーム144の外部環境と連通関係をなすようフレーム144の少なくとも一部分を貫通して延びるのがよい。開口部148は、丸形、長方形、三角形、長円形、及び/又は別の幾何学的形状のものであってよい。フレーム144は、複数の開口部148を有するのがよい。押出ダイシステム1の作動中、熱が係合部材104及び/又はカプラ112の運動によって生じる場合がある。加うるに、熱は、本明細書全体を通じて説明するように、押出ダイ10から係合部材104及び/又はカプラ112に伝達される場合がある。フレーム144内のコンポーネントが加熱されているとき、熱は、これらコンポーネントに沿ってかつフレーム144を通ってアクチュエータ108の方へ伝わる場合がある。1つ以上の開口部148がフレーム144に存在することにより、熱のうちの少なくとも何割かがフレーム144を出てリップ調節組立体100から放散することができる。これにより、アクチュエータ108に伝達される熱の量を減少させることができる。いくつかの観点では、1種類以上の冷却剤を1つ以上の開口部148を通ってフレーム144内の係合部材104及び/又はカプラ112に導入するのがよい。例えば、1つ以上のファン128が冷却用流体、例えば空気を1つ以上の開口部148からフレーム144中に差し向けて、このフレーム内の係合部材104及び/又はカプラ112に接触させるよう構成されているのがよい。代替的に又は追加的に、1つ以上のファン128は、加熱された空気を1つ以上の開口部148経由でフレーム144から抜き出すよう構成されていてもよい。
【0090】
リップ調節組立体100は、各アクチュエータ108、各係合部材104、各カプラ112、及び/又はその他のうちの1つ以上を含むのがよい。いくつかの観点では、リップ調節組立体100は、各々が互いに動作的に結合された1つのアクチュエータ108、1つの係合部材104、及び1つのカプラ112を含む複数の組をなす相互連結コンポーネントを含むのがよい。上述の相互連結コンポーネントの各組は、コンポーネントの少なくとも1つの他のコンポーネントの組に隣接して配置されるのがよい。図5に示すように、例えば、係合部材104、カプラ112、及びアクチュエータ108の複数の組がアレイ方向6に沿って実質的に直線アレイをなして互いに隣接して配置されるのがよい。アレイ方向6は、アクチュエータ方向5と実質的に直交するのがよい。いくつかの観点では、アレイ方向6は、押出ダイシステム1の第2の方向3に平行であるのがよい。図5は、各アクチュエータ108、各カプラ112、及び各係合部材104のうちのいくつかの標識を含んでいるが、理解されるべきこととして、図示の参照符号は、この図に示す全ての同様のコンポーネントに等しく当てはまる。図示のように、リップ調節組立体100は、14個の組をなす相互連結コンポーネントを含むのがよく、各組は、アクチュエータ108、カプラ112、及び係合部材104を含む。理解されるように、他の実施形態が想定されるとともに、リップ調節組立体100は、上述したように、1個、2個、……、30個、又は別の適当な数の組をなすコンポーネントを含むことができる。
【0091】
いくつかの観点では、リップ調節組立体100は、相互連結コンポーネントの組の複数のアレイ配置構成を含むことができる。各アレイ中のコンポーネントの各組は、押出ダイシステム1の別の組をなすコンポーネント又は別のコンポーネントに対して位置決めされるのがよい。これらコンポーネントについて、作動方向5、アレイ方向6、及びオフセット方向7に関して説明する。オフセット方向7は、アレイ方向6と作動方向5と直交するのがよい。例示的に図6A図6Cを参照すると、リップ調節組立体100の種々の実施形態の略図が示されている。図6Aは、アクチュエータ108、カプラ112、及び係合部材104の14個の組を含むリップ調節組立体100の例示の具体化例を示している。図6Aに示す実施形態は、アレイ方向6及びオフセット方向7によって定められた平面内に示されている。図6Aは、アレイ方向6に沿って第1のアレイ101をなして配列された組(アクチュエータ108によって特定される)の全てを示している。
【0092】
図6Bは、変形実施形態としてのリップ調節組立体100′を示し、リップ調節組立体100′は、上述したコンポーネントの組の2つの直線アレイ配置構成を含む。2つのアレイ配置構成は、第1のアレイ101と第2のアレイ102として示されている。第2のアレイ102は、オフセット方向7に沿って第1のアレイ101から間隔を置いて配置されるのがよい。
【0093】
図6Cは、さらに別の実施形態としてのリップ調節組立体100″を示し、この図は、作動方向5とアレイ方向6とによって定められた平面内に示されている。リップ調節組立体100″は、上述したコンポーネントの組の2つの直線アレイ配置構成を含むのがよく、第1のアレイ101は、作動方向5に沿って第2のアレイ102から間隔を置いて位置している。理解されるべきこととして、図示のように、1つ以上のアクチュエータ108が、アクチュエータ108の1つ以上の他の具体化例よりも押出ダイ10からさらに遠くに間隔を置いて配置される場合、さらに間隔を置いたアクチュエータは、長い係合部材104及び/又は長いカプラ112を含むのがよい。いくつかの観点では、アクチュエータ108は、加熱状態の押出ダイ10からアクチュエータ108に伝わることができる熱の量を減少させるよう少なくとも最小限のしきい距離だけ押出ダイ10から離れて配置されるようにすることが好ましい場合がある。アクチュエータ108は、押出ダイ10から少なくとも2インチ(5.08cm)、3インチ(7.62cm)、4インチ(10.16cm)、……、24インチ(60.96cm)、又は別の適当な距離だけ間隔を置いて配置されるのがよい。いくつかの特定の実施形態では、アクチュエータ108は、押出ダイ10から約6インチ(15.24cm)だけ間隔を置いて配置されるのがよい。
【0094】
図6A図6Cは、コンポーネントのアレイの互いに異なる数及び互いに異なる配置構成を呈する3つの実施形態を示しているが、理解されるように、リップ調節組立体100は、他の実施形態ではより多くのアレイを含んでもよく、かかるより多くのアレイとしては、3個、4個、5個、又は別の適当な数が挙げられる。また、実施形態は、図示の実施形態、すなわち、リップ調節組立体100、リップ調節組立体100′、及びリップ調節組立体100″の組み合わせを含むことができ、例えば、リップ調節組立体100は、作動方向5とオフセット方向7の両方に沿って第2のアレイ102から間隔を置いて位置する第1のアレイ101を含むことができることは理解されるべきである。
【0095】
複数のアクチュエータ108を含む実施形態は、第2のリップ26に対する第1のリップ18の微調整を可能にする。各アクチュエータ108により、連結状態の係合部材104の運動を生じさせることができ、それにより第1のリップ18の一部分を第2のリップ26に近づけたり遠ざけたりすることができ、他方、第1のリップ18の1つ以上の隣接する部分は、動かされず又は異なる程度まで動かされる。これにより、第1のリップ18を所望の隙間30を形成するよう必要に応じて第2の方向3に沿ってその全長を調節することができる。
【0096】
コンポーネントの隣り合う組からのアクチュエータ108を互いに所定の距離を置いて配置するのがよい。例えば、アクチュエータ108の各具体化例、又は1つ以上の具体化例は、リップ調節組立体100のアクチュエータ108の任意他の具体化例から、ほぼ1インチ(2.54cm)~ほぼ4インチ(10.16cm)の距離だけ間隔を置いて配置されるのがよい。いくつかの特定の実施形態では、アクチュエータ108をほぼ2.25インチ(5.72cm)だけ互いに間隔を置いて配置するのがよい。これらの距離は、作動方向5に平行に延びるのがよいアクチュエータ108の中心線相互間の距離として定めるのがよい。
【0097】
各アクチュエータ108は、アクチュエータハウジング124内に少なくとも部分的に設けられるのがよい。再び図1及び図2を参照すると、アクチュエータハウジング124は、押出ダイシステム1、例えば、リップ調節組立体100に取り付けられるのがよい。アクチュエータハウジング124は、リップ調節組立体100に取り外し可能に連結されるのがよく、その結果、アクチュエータ108への接近を可能にするようアクチュエータハウジング124を必要に応じて取り外すことができるようになっている。アクチュエータハウジング124は、金属、ポリマー、及び/又はその他で作られるのがよい。理解されるべきこととして、アクチュエータハウジング124は、加熱状態の押出ダイ10から輻射し、又は加熱状態の押出ダイ10からリップ調節組立体100に沿って伝えられる熱に耐えるよう構成されるべきである。
【0098】
リップ調節組立体100は、リップ調節組立体100のアクチュエータ108の全てを少なくとも部分的に包囲するような寸法形状のものであるアクチュエータハウジング124の単一の具体化例を含むのがよい。いくつかの観点では、リップ調節組立体100は、複数のアクチュエータハウジング124を含むのがよく、各アクチュエータハウジング124は、複数のアクチュエータ108のうちの1つ以上を収容するよう構成されている。
【0099】
アクチュエータハウジング124には、ベント132が設けられるのがよい。ベント132は、アクチュエータハウジング124の少なくとも1つの表面を貫通する開口部を備えるのがよい。ベント132により、空気がアクチュエータハウジング124に出入りすることができる。アクチュエータハウジング124内におけるアクチュエータ108周りの空気流は、アクチュエータ108の冷却を容易にすることができる。ベント132は、格子、ラティス、グリッド、及び/又は別の適当な設計の開口部を含むことができる。アクチュエータハウジング124は、複数のベント132を有するのがよい。
【0100】
空気又は冷却剤ムーバ(以下、エアムーバという場合がある)がアクチュエータハウジング124上に設けられるのがよい。空気又は冷却剤ムーバは、ファン128を含むのがよい。ファン128は、空気をアクチュエータハウジング124中に動かすことができかつ/或いはアクチュエータハウジング124から出すことができる。空気をアクチュエータ108に近づけるとともに/或いは遠ざけることによって、アクチュエータ108の冷却を促進することができる。ファン128は、ファン128を作動させるよう構成された電源及びコントローラ9(図2に表示されている)に連結されるのがよい。リップ調節組立体100は、複数のファン128を含むのがよい。いくつかの観点では、複数のファン128のうちの1つ以上は、空気をアクチュエータハウジング124中に動かすよう構成されているのがよく、他方、複数のファン128のうちの1つ以上の他のものは、空気をアクチュエータハウジング124から出すよう構成されているのがよい。かかる空気の運動により、アクチュエータ108を通って移動することができかつ/或いはアクチュエータ108を越えて移動することができる空気流路を生じさせることができ、かくして、アクチュエータ108が冷却される。
【0101】
ファン128及び/又はベント132によってアクチュエータハウジング124中に動かされた空気は、アクチュエータハウジング124のすぐ外及びアクチュエータハウジング124に隣接したところから調達されるのがよい。いくつかの観点では、図2に概略的に示すように、アクチュエータハウジング124中に動かされた空気は、押出ダイシステム1から遠くに間隔を置いて位置する空気源140から導管136経由で送り出されるのがよい。導管136は、ホース、ダクト、及び/又はその他を含むのがよい。アクチュエータハウジング124に近接して位置する周囲空気は、加熱状態の押出ダイ10から輻射する熱によって加熱されるのがよい。したがって、アクチュエータハウジング124のすぐ隣に位置する周囲空気よりも低温である空気をアクチュエータハウジング124中に動かすことが好ましい場合がある。かかる観点では、空気源140は、加熱状態の押出ダイ10によって所定値を超えて加熱されることがないよう、加熱状態の押出ダイ10から十分な距離を置いたところに設けられるのがよい。いくつかの観点では、押出ダイ10を接近して包囲した環境は、使用中に押出ダイシステム1から蒸発した種々の揮発性ガスを含むのがよい。蒸発した揮発性ガスは、凝縮し、そしてアクチュエータ108に残留物を残す場合がある。したがって、かかる揮発性物質を含む冷却空気をアクチュエータハウジング124中に導入するのを回避すること、及び、その代わりに、望ましくない揮発性物質が実質的にない離隔空気源140から冷却空気を導入することが好ましい場合がある。例えば、空気源140は、外気を含むのがよい。理解されるべきこととして、上記説明は、具体的には空気に関するが、任意他の適当な冷却剤を用いることができる。
【0102】
押出ダイシステム1は、押出ダイシステム1の種々のコンポーネント、例えば、ヒータ12、押出ダイ10、リップ調節組立体100のコンポーネント、及び/又はその他、例えば、アクチュエータ108、ファン128、空気源140、及び/又は他の連結状態のコンポーネント(これらには限定されない)の作動を制御するよう構成されたコントローラ9を含むのがよい。コントローラ9は、多くの入力装置、例えばキーボード、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、電子スタイラス、又は他形式の入力装置から入力を受け取ってこれを処理する入力インターフェースを含むのがよい。同様に、コントローラ9は、出力ディスプレイ、例えば、コンピュータモニタ、フラットパネルディスプレイ、デジタルプロジェクタ、プリンタ、プロッタ、タッチスクリーン、又は他形式の出力装置に出力を提供するための出力インターフェースを含むのがよい。コントローラ9は、押出ダイシステム1、例えばヒータ12、押出ダイ10、リップ調節組立体100のコンポーネント、及び/又はその他、例えば、アクチュエータ108、ファン128、空気源140、及び/又は他の連結状態のコンポーネント(これらには限定されない)を制御するためのドライバ回路装置を含むのがよい。押出ダイシステム1は、1つ以上のセンサ、例えば、温度センサ、流量センサ、位置センサ、及び/又はその他を含むのがよい。コントローラ9は、押出ダイシステム1のうちの1つ以上、例えば、ヒータ12、押出ダイ10、リップ調節組立体100のコンポーネント、及び/又はその他、例えば、アクチュエータ108、ファン128、空気源140、及び/又は他の連結状態のコンポーネント(これらには限定されない)と関連した1つ以上のセンサからのセンサ読みを受け取るための入力装置を含むのがよい。コントローラ9は、コンピューティングデバイスを含むのがよく、コンピューティングデバイスは、物理的コンピューティングデバイス又は仮想マシンホストプロセス及び1つ以上の仮想マシンインスタンスであるのがよい。コンピュータ実行可能命令は、コンピューティングデバイスの物理的ハードウェアによって、仮想マシンのコンテキストに格納され実行される命令の解釈及び/又は実行を介して間接的に実行さるのがよい。コントローラ9は、プロセッサ及びメモリを含むのがよい。プロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコンピュータ、中央演算処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルロジックデバイス、ステートマシン、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、又は、メモリに記憶された動作命令に基づいて信号(アナログ又はデジタル)を操作する他のデバイスから選択される1つ以上のデバイスを含むのがよい。メモリは、単一のメモリデバイスであってもよく、或いは複数のメモリデバイス、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、又はデジタル情報を記憶することができる任意他のデバイスを含むのがよいが、これらには限定されない。メモリは、大容量記憶デバイス(図示せず)、例えば、ハードドライブ、光学ドライブ、テープドライブ、不揮発性ソリッドステートデバイス、又はデジタル情報を記憶することができる任意の他のデバイスをさらに含むのがよい。プロセッサは、メモリに常駐するオペレーティングシステムの制御下で動作するのがよい。押出ダイシステム1は、複数のコントローラ9を含むのがよく、上述するとともに本明細書全体を通じて記載した種々のコンポーネントは、複数のコントローラ9のうちの1つ以上によって制御されるのがよい。
【0103】
本明細書全体を通じて説明した押出ダイシステム1又はそのコンポーネントのうちの任意のものは、ユーザによって操作されるのがよい。図7は、第1のリップ18と第2のリップ26との間の隙間30のサイズを調整するための例示の操作方法200を示している。ステップ204では、ユーザは、第1のリップ18と第2のリップ26との間の隙間30を定める所望の隙間距離32を決定する。所望の隙間距離32は、結果として所望の押出成形品の形状、パターン、コンシステンシー、及び/又はその他をもたらす隙間30のサイズに一致するのがよい。ユーザは、先に特定したデータに基づいて、又は調整前に隙間30をモニタして隙間距離32を変更する必要があると判断することによって、この決定を行うのがよい。
【0104】
ステップ208では、ユーザ及び/又は押出ダイシステム1は、アクチュエータ108を作動させるのがよい。いくつかの観点では、例えば、アクチュエータ108がステッパモータを含む場合、作動では、いくつかのステップによってアクチュエータ108の回転コンポーネントを回転させるのがよい。回転コンポーネントの回転により、上述したような直線コンポーネント110の並進が生じる。回転コンポーネントの回転は、所定数のステップ、回転距離、速度、及び/又はその他によって具体化できる。回転コンポーネントの小刻みな運動、例えば、当該運動は、直線コンポーネント110の小刻みな並進運動に比例的にリンクされるのがよい。アクチュエータ108の作動では、ユーザによる回転コンポーネントの手回しを含むのがよい。いくつかの観点では、作動は、ユーザが指令を押出ダイシステム1、例えばコントローラ9に入力して電子的にアクチュエータ108が回転コンポーネントを回転させる操作を含むのがよい。作動は、作動方向5に沿って第1の並進方向に直線コンポーネント110の並進をもたらす第1の回転方向、又は第1の並進方向とは逆の第2の並進方向に作動方向5に沿って直線コンポーネント110の並進をもたらす第1の回転方向とは逆の第2の回転方向で実施することができる。第1及び第2の並進方向のうちの一方は、押出ダイ10に向かう直線コンポーネント110の運動に対応するのがよく、第1及び第2の並進方向のうちの他方は、押出ダイ10から遠ざかる直線コンポーネント110の運動に対応するのがよい。
【0105】
ステップ212では、ユーザ及び/又は押出ダイシステム1は、所望の隙間距離32に基づいて、アクチュエータ108の作動時間及び/又は直線コンポーネント110の並進距離を決定するのがよい。直線コンポーネント110は、上述したように係合部材104に連結されるのがよく、それにより、第1のリップ18及び第2のリップ26のうちの一方が第1のリップ18及び第2のリップ26のうちの他方に近づき又は遠ざかる。隙間距離32に対する調整を必要とする度合いが高ければ高いほど、アクチュエータ108の作動がそれだけいっそう長くなる場合がありかつ/或いはアクチュエータ108の作動がそれだけいっそう速くなる場合がある。この点に関し、所望の効果は、所望の製品厚さ、所望の塗り厚、所望のフィルム厚さ、所望のシート厚さ、及び/又はその他であるのがよい。
【0106】
ステップ216では、ユーザ及び/又は押出ダイシステム1は、アクチュエータ108の作動を終了させるのがよい。アクチュエータ108が作動を停止すると、連結状態の係合部材104の並進もまた停止する。係合部材104が動かなくなると、係合部材104に連結されている第1のリップ18又は第2のリップ26もまた、第1のリップ18及び第2のリップ26の他方に近づき又は他方から遠ざかるのが止まる。この時点で、第1のリップ18と第2のリップ26との間の隙間距離32が確立される。理解されるように、このステップで言及している隙間距離32は、第1のリップ18上の一点と、第1の方向2に沿って第1のリップ18上の一点から間隔を置いて位置する第2のリップ26上の一点との間の第1の方向2に沿った距離にのみ当てはまる。リップ調節組立体100が複数のアクチュエータ108を含み、第1のリップ18及び第2のリップ26のうちの少なくとも一方が非直線的に(第1の方向2及び第2の方向3によって定められる平面で見て)ゆがむよう構成されている諸観点では、第1の方向2に沿う第1のリップ18及び第2のリップ26上の隣り合う点相互間の隙間距離32は、依然として調節プロセス中にあるといえ、或いは、既に早期に定められているといえる。
【0107】
例示の方法200は、複数のアクチュエータ108を作動させて、第1の方向2に沿って互いに間隔を置いて位置する第1のリップ18及び第2のリップ26上の異なる点の組相互間の隙間距離32を調整するステップを含むのがよい。上述のステップのうちの1つ以上を1回以上繰り返し実施して、第2の方向3に沿って測定して押出ダイ10の全長に沿う所望の隙間30を達成するのがよい。
【0108】
ユーザ及び/又は押出ダイシステム1はまた、リップ調節組立体100内の1つ以上のアクチュエータ108を冷却するよう構成された1つ以上の冷却機構を作動させるのがよい。冷却ステップは、1つ以上のファン128を作動させて、冷却用空気又は他の冷却剤流体を1つ以上のアクチュエータ108に向かって動かすステップを含むのがよい。いくつかの観点では、冷却ステップは、1つ以上のファン128を作動させてアクチュエータ108から熱を受け取った加熱空気をアクチュエータ108から遠ざけ、かくして、アクチュエータ108からの熱の放射を可能にするとともにアクチュエータ108を冷却するステップを含むのがよい。
【0109】
いくつかの観点では、冷却ステップは、冷却用空気又は他の冷却剤を空気源140の外部具体化例から導入するのがよい。いくつかの観点では、ユーザは、リップ調節組立体100内の1つ以上のベント132を開き、又は違ったやり方で導入して、アクチュエータ108周りの良好な空気流を可能にし、かくして、アクチュエータ108を冷却するのがよい。
【0110】
冷却ステップは、アクチュエータ108を押出しダイ10から少なくとも所定の最小距離だけ離隔させて、加熱状態の押出ダイ10からアクチュエータ108に伝わる熱の量を減少させるステップを含むのがよい。いくつかの観点では、冷却ステップは、断熱コンポーネント122の1つ以上の具体化例をリップ調節組立体100、例えば、係合部材104とアクチュエータ108との間に設けられたカプラ112中に導入するステップを含むのがよい。
【0111】
本方法は、所望の調整距離及び/又はアクチュエータ108の作動の度合いを識別し、その結果として所望の隙間距離32を得るステップをさらに含むのがよい。識別された情報を将来における使用のためにコントローラ9内に又は関連コントローラもしくはコンピューティングシステムに記憶させるのがよい。本方法は、所望の隙間距離32、及びアクチュエータ108の特定の具体化例の関連する持続時間、速度、及び他の作動パラメータに関する先に記憶した情報を検索により取り出すステップをさらに含むのがよい。先に記憶させた情報を利用することにより、本システムは、ユーザが必要な作動パラメータを識別して先に記憶した情報なしに所望の隙間30を常に達成しなければならない場合よりも、極めて迅速に使用のために較正できるとともにセットアップできる。
【0112】
図8は、本発明の諸観点にしたがってダイリップ隙間を較正する例示の方法を示している。
【0113】
具体的には、図8は、本発明のダイリップ隙間を較正する例示の方法300を示している。この点に関し、ダイリップ隙間を較正する方法300は、リップ調節組立体100を較正する方法を含む場合がある。特に、注目されるべきこととして、ダイリップ隙間を較正する方法300は、例示にすぎず、本明細書において開示する種々の観点と一致して改造可能である。注目されるべきこととして、ダイリップ隙間を較正する方法300は、上述の諸観点と一致して異なる順序で実施できる。さらに、ダイリップ隙間を較正する方法300は、本明細書において開示する種々の観点と一致して多い又は少ないプロセスステップを有するよう改造可能である。
【0114】
さらに、ダイリップ隙間を較正する方法300は、製造中、初期使用中、使用中の時々、及び/又はその他において実施することができる。ダイリップ隙間を較正する方法300によって定められる種々の値は、リップ調節組立体100の迅速な動作を提供することができかつ/或いはリップ調節組立体100の将来の動作のために利用できる。
【0115】
本発明のダイリップ隙間の較正方法300は、中立ダイリップ隙間を決定するステップ302を含むのがよい。この点に関し、中立ダイリップ隙間の決定302は、本明細書において説明するような任意の1つ以上の材料、構造、配列構成、プロセス、及び/又はその他を含むのがよい。さらに、1つ以上の先行又は後続プロセスは、本発明と一致した中立ダイリップ隙間の決定302に関して実施されてもよい。
【0116】
リップ調節組立体100の中立ダイリップ隙間は、動作温度まで加熱された後、隙間ゲージ、本明細書において説明したようなセンサ、及び/又はその他によってチェックされるのがよい。
【0117】
本発明のダイリップ隙間の較正方法300は、中立ダイリップ隙間を調整するステップ304を含むのがよい。この点に関し、中立ダイリップ隙間の調整304は、本明細書において説明するような任意の1つ以上の材料、構造、配列構成、プロセス、及び/又はその他を含むのがよい。さらに、1つ以上の先行又は後続プロセスは、本発明と一致した中立ダイリップ隙間の調整304に関して実施されてもよい。
【0118】
この点に関し、リップ調節組立体100を次に調節するのがよい。諸観点では、アクチュエータ108は、隙間が所望の中立隙間のところ極めて一様になるまで調節されるのがよい。これら設定値は、リップ調節組立体100に関する最大リップ隙間として指定されるのがよい。例えば、リップ調節組立体100に関する最大リップ隙間は、キャストフィルムダイに関しては代表的には0.040インチ(0.102cm)であるのがよい。諸観点では、アクチュエータ108は、リップ隙間と線形関係を実現するのがよい。他の観点では、アクチュエータ108は、リップ隙間と非線形関係を実現するのがよい。
【0119】
例えば、アクチュエータ108を作動させると、リップ隙間は、アクチュエータ108の動作と正確には比例関係をなして変化することはない。これは、調節がリップ隙間に対してある角度をなしており、屈曲リップがダイ本体内におけるヒンジの機械的な曲げに起因して弧を描いて動く場合があるからである。アクチュエータ108の特定の観点では、モータが調節ねじ山と係合すると、リップ隙間は、回転回数と正確に比例関係をなして変化することはない。これは、調節がリップ隙間に対してある角度(代表的には45゜)をなしており、屈曲リップがダイ本体内に置けるヒンジの機械的曲げに起因して弧を描いて動くからである。
【0120】
本発明のダイリップ隙間の較正方法300は、ダイリップ隙間を二次値に調整するステップ306を含むのがよい。この点に関し、二次値へのダイリップ隙間の調整306は、本明細書において説明するような任意の1つ以上の材料、構造、配列構成、プロセス、及び/又はその他を含むのがよい。さらに、1つ以上の先行又は後続プロセスは、本発明と一致したダイリップ隙間を二次値に調整するステップ306に関して実施されてもよい。この点に関し、リップ調節組立体100は、二次隙間値を得るようアクチュエータ108を構成するのがよい。
【0121】
本発明のダイリップ隙間の較正方法300は、ダイリップ隙間を二次値に決定するステップ308を含むのがよい。この点に関し、二次値へのダイリップ隙間の調整308は、本明細書において説明するような任意の1つ以上の材料、構造、配列構成、プロセス、及び/又はその他を含むのがよい。さらに、1つ以上の先行又は後続プロセスは、本発明と一致したダイリップ隙間を二次値に決定するステップ308に関して実施されてもよい。リップ調節組立体100の二次的ダイリップ隙間は、動作温度まで加熱された後、隙間ゲージ、本明細書において説明したようなセンサ、及び/又はその他によって決定されるのがよい。
【0122】
この点に関し、リップ調節組立体100を正確に較正する諸観点では、他の隙間が設定されて、隙間ゲージ又はセンサによりチェックされる必要がある。例えば、設定される隙間は、0.030インチ(0.076cm)、0.020インチ(0.051cm)、及び0.010インチ(0.025cm)であるのがよく、そして隙間ゲージ又はセンサを用いて実際の結果をチェックするのがよい。
【0123】
本発明のダイリップ隙間の較正方法300は、ダイリップ隙間を二次値で記憶するステップ310を含むのがよい。この点に関し、二次値でのダイリップ隙間の記憶310は、本明細書において説明するような任意の1つ以上の材料、構造、配列構成、プロセス、及び/又はその他を含むのがよい。さらに、1つ以上の先行又は後続プロセスは、本発明と一致したダイリップ隙間を二次値に記憶するステップ310に関して実施されてもよい。さらに、ダイリップ隙間の較正する方法300は、ダイリップ隙間を二次値に調整するステップ306と、ダイリップ隙間を追加の二次値を得るために二次値に決定するステップ308とを繰り返すステップを含むのがよい。
【0124】
本発明のダイリップ隙間の較正方法300は、ダイリップ隙間値に基づいてリップ調節組立体の次の作動のための制御値を発生させるステップ312を含むのがよい。この点に関し、ダイリップ隙間値に基づくリップ調節組立体の次の作動のための制御値の発生312は、本明細書において説明するような任意の1つ以上の材料、構造、配列構成、プロセス、及び/又はその他を含むのがよい。さらに、1つ以上の先行又は後続プロセスは、本発明と一致したダイリップ隙間値に基づくリップ調節組立体の次の作動のための制御値を発生させるステップ312に関して実施されてもよい。
【0125】
諸観点では、1組のデータ点(意図した隙間と測定した隙間との関係を表す)は、多項式曲線当てはめを生じさせるために用いられるのがよく、その結果、この当てはめ曲線を制御システムに適用した後、将来の意図した隙間と実際の隙間が通常の作動範囲にわたって極めて正確に一致するようになっている。この較正をいったん完了すると、今後隙間測定装置を使用する必要がなくなる。ユーザは、所望の隙間を入力するのがよく、システムは、かかる隙間を正確かつ再現可能に達成することになる。
【0126】
諸観点では、1組のデータ点(意図した隙間と測定した隙間との関係を表す)は、ルックアップテーブルを作成するよう用いられるのがよい。しかる後、ルックアップテーブルは、将来の意図した隙間と実際の隙間が通常の作動範囲にわたって極めて正確に一致するよう利用されるのがよい。
【0127】
したがって、押出成形品に悪影響を及ぼすことなくリップ調節の正確さを高める改良型リップ調節組立体を説明した本開示は、調節を実施する時間の長さ及び/又はその他を減少させる。
【0128】
システム及び方法を種々の図の種々の実施形態と関連して説明したが、当業者であれば理解されるように、広義の本発明の技術的思想から逸脱することなく、かかる実施形態に対する変更を行うことができる。したがって、理解されるように、本発明は、開示した特定の実施形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲内における改造を含むようになっている。
【0129】
値が先行する「約」いう用語の使用によって近似値として表されている場合、理解されるように、特定の値は、別の実施形態を構成する。一般的に、「約」という用語の使用は、開示した本発明によって得られることが求められている所望の特性に応じてばらつきのある近似値を示し、その機能に基づいて用いられる特定の文脈で解されるべきであり、当業者は、これをそのようなものであると解釈することができる。いくつかの場合に関し、特定の値について用いられる有効数字の数は、「約」という用語の範囲を決定する1つの非限定的な方法であるのがよい。他の場合において、一連の値で用いられる段階的変化を用いると、各値について「約」という用語に利用できる想定される範囲を決定することができる。存在している場合、全ての範囲は、包括的でありかつ組み合わせ可能である。すなわち、ある範囲で示された値に言及した場合、これは、当該範囲内における各値及びあらゆる値を含む。
【0130】
リストが提供されている場合、別段の指定がなければ、当該リストの個々の要素の各々、及び当該リストのあらゆる組み合わせは、別個の実施形態である。例えば、「A、B、又はC」として表されている実施形態のリストは、「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」という実施形態を含むものとして解されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B-4C】
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
【国際調査報告】